(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】エネルギー使用を調節する方法とシステム
(51)【国際特許分類】
F24H 4/02 20220101AFI20240220BHJP
F24H 1/18 20220101ALI20240220BHJP
F24D 3/00 20220101ALI20240220BHJP
F24H 15/254 20220101ALI20240220BHJP
F24H 15/223 20220101ALI20240220BHJP
F24H 15/296 20220101ALI20240220BHJP
F24H 15/375 20220101ALI20240220BHJP
F24H 15/37 20220101ALI20240220BHJP
F24H 1/10 20220101ALI20240220BHJP
F24H 1/00 20220101ALI20240220BHJP
F24H 15/164 20220101ALI20240220BHJP
F24H 15/414 20220101ALI20240220BHJP
【FI】
F24H4/02 C
F24H1/18 G
F24D3/00 J
F24H15/254
F24H15/223
F24H15/296
F24H15/375
F24H15/37
F24H1/10 C
F24H1/00 A
F24H15/164
F24H15/414
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547558
(86)(22)【出願日】2022-02-07
(85)【翻訳文提出日】2023-09-28
(86)【国際出願番号】 IB2022051076
(87)【国際公開番号】W WO2022168044
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2021-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523293529
【氏名又は名称】オクトパス エナジー ヒーティング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OCTOPUS ENERGY HEATING LIMITED
【住所又は居所原語表記】UK House, 164-182 Oxford Street, London, W1D 1NN, UNITED KINGDOM
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】コノヴァルチク ピーター
【テーマコード(参考)】
3L034
3L070
3L122
【Fターム(参考)】
3L034BA12
3L070BB14
3L122AA02
3L122AA23
3L122AA53
3L122AA62
3L122BA33
3L122BB02
3L122EA45
(57)【要約】
【解決手段】
本開示は、建物に設置された水供給システムによりエネルギー消費を調節するコンピュータ実装方法を提供する。水供給システムは、建物の外側から建物の内側の熱エネルギー貯蔵媒体に熱エネルギーを伝達するように構成されるヒートポンプと、水供給システムの動作を制御するように構成される制御モジュールと、を備える。水供給システムは、熱エネルギー貯蔵媒体により加熱された水を1つ以上の水出口に提供するように構成されて、さらに、建物の屋内の温度を上昇させるように構成されるセントラルヒーティングシステムに加熱水を供給するように構成される。方法は、制御モジュールにより行われて、建物を備える地理的領域のエネルギー需要の水準を決定することと、エネルギー需要の水準が低いことを決定すると、熱エネルギーを熱エネルギー貯蔵媒体に蓄えるようにヒートポンプを動作させて、熱エネルギー貯蔵媒体に蓄えられた熱エネルギーを使用してセントラルヒーティングシステムに加熱水を供給するように水供給システムを動作させることと、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設置された水供給システムによりエネルギー消費を調節するコンピュータ実装方法であって、
前記水供給システムは、
前記建物の外側から前記建物の内側の熱エネルギー貯蔵媒体に熱エネルギーを伝達するように構成されるヒートポンプと、
前記水供給システムの動作を制御するように構成される制御モジュールと、
を含み、
前記水供給システムは、前記熱エネルギー貯蔵媒体により加熱された水を1つ以上の水出口に提供するように構成されて、さらに、前記建物の屋内の温度を上昇させるように構成されるセントラルヒーティングシステムに加熱水を供給するように構成されて、
前記方法は、前記制御モジュールにより行われて、
前記建物を備える地理的領域のエネルギー需要の水準を決定することと、
前記エネルギー需要の水準が低いことを決定すると、熱エネルギーを前記熱エネルギー貯蔵媒体に蓄えるように前記ヒートポンプを動作させて、前記熱エネルギー貯蔵媒体に蓄えられた熱エネルギーを使用して前記セントラルヒーティングシステムに加熱水を供給するように前記水供給システムを動作させることと、
を有してなる、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ヒートポンプは、熱エネルギー貯蔵が所定の動作温度に達するまで動作する、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ヒートポンプは、前記熱エネルギー貯蔵が所定の動作温度よりも高い温度に達するまで動作する、
請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記所定の動作温度は、47℃と49℃との間の範囲内である、
請求項2または3記載の方法。
【請求項5】
前記地理的領域の前記エネルギー需要の水準を監視し続けること、
を有してなる、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記エネルギー需要の水準が低から高に変化したことを決定すると、前記ヒートポンプの動作を停止すること、
を有してなる、
請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記水供給システムは、前記屋内の温度が所定の屋内の温度に達するまで、前記熱エネルギー貯蔵媒体に蓄えられた熱エネルギーを使用して加熱水を前記セントラルヒーティングシステムに供給するように動作する、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記水供給システムは、
前記水供給システムにより供給する水を加熱するように構成される少なくとも1つの電気加熱要素、
を含む、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記エネルギー需要の水準が低いことを決定すると、加熱水を前記セントラルヒーティングシステムに供給するように少なくとも1つの前記電気加熱要素を動作させること、
を有してなる、
請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記エネルギー需要の水準が高いことを決定したことに応じて、前記建物の前記屋内の温度を上昇させた結果として前記建物に蓄えられた熱エネルギーを抽出すること、
を有してなる、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記エネルギー需要の水準は、エネルギー供給者から取得される料金データに基づいて、決定される、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記エネルギー需要の水準は、前記料金データがオフピーク料金を示すときに低くなるように決定される、
請求項11記載の方法。
【請求項13】
建物に設置された水供給システムの動作を制御する制御モジュールであって、
前記水供給システムは、
熱エネルギーを熱エネルギー貯蔵媒体に伝達するように構成されるヒートポンプ、
を備えて、
前記水供給システムは、前記熱エネルギー貯蔵媒体により加熱された水を1つ以上の水出口に提供するように構成されて、
前記制御モジュールは、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成される、
ことを特徴とする制御モジュール。
【請求項14】
建物内に配置された1つ以上の水出口に水を供給して、前記建物の屋内の温度を上昇させるように構成されるセントラルヒーティングシステムに加熱水を供給する水供給システムであって、
熱エネルギーを蓄えるように構成される、前記建物の内側に配置された熱エネルギー貯蔵と、
前記熱エネルギー貯蔵に蓄えられた熱エネルギーを使用して、前記水供給システムにより供給する水を加熱するように構成される、前記熱エネルギー貯蔵の近くに配置された熱交換器と、
前記建物の外側から前記熱エネルギー貯蔵に熱エネルギーを伝達するように構成されるヒートポンプと、
前記水供給システムの動作を制御するように構成される制御モジュールと、
を有してなり、
前記制御モジュールは、
前記建物を備える地理的領域のエネルギー需要の水準を決定して、
前記エネルギー需要の水準が低いことを決定すると、熱エネルギーを熱エネルギー貯蔵媒体に蓄えるように前記ヒートポンプを動作させて、前記熱エネルギー貯蔵媒体に蓄えられた熱エネルギーを使用して前記セントラルヒーティングシステムに加熱水を供給するように前記水供給システムを動作させるように構成される、
ことを特徴とする水供給システム。
【請求項15】
コンピュータ可読記憶媒体上に記憶されたコンピュータプログラムであって、コンピュータシステム上で実行されると、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の方法を実行するように前記コンピュータシステムに命令する、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーティリティ消費を管理する方法とシステムとに関する。特に、本開示は、水および/またはエネルギー供給を伴う家庭用環境、さらには、商用環境と公共環境と他の環境とにおける水および/またはエネルギー消費を能動的に調節する方法とシステムとに関する。
【背景技術】
【0002】
水および/またはエネルギー消費が商用環境かまたは家庭用環境かに関わらず、加熱水は、一年中、一日中、必要とされる。加熱水の供給は、きれいな水と熱源との両方を必要とすることは言うまでもない。加熱水を提供するために、ヒーティングシステムは、例えば、ユーザにより設定される所定の温度まで水を加熱するために、多くの場合、セントラル式水供給システムに提供されて、使用される熱源は、慣習的に、1つ以上の電気加熱要素または天然ガスの燃焼である。概して、高いエネルギー(例えば、ガスまたは電力)需要の期間中、ユーティリティ提供者は、部分的には、顧客への供給のためにより多くのエネルギーを購入しなければならないことによる追加のコストをカバーするために、部分的には、不必要なエネルギー使用を抑止するために、エネルギーの単位コストを増加させるピーク料金を実施する。次いで、低いエネルギー需要の期間中、ユーティリティ提供者は、ピーク期間の代わりにオフピーク期間中のエネルギーの使用に切換えるように顧客に奨励して、全体的によりバランスのとれた経時的なエネルギー消費を達成するために、エネルギーの単位コストを低下させるオフピーク料金を実施する。しかしながら、このような方策は、顧客が常に料金の変化を認識しており、加えて、顧客のエネルギー消費習慣を修正する意識的な取組みを行う場合にのみ効果的である。
【0003】
ユーティリティとしてのきれいな水は、現在、大いに注目されている。きれいな水が不足状態になると、きれいな水の節約について公衆に啓蒙する多くの取組みがあり、さらには、水流を低減する空気を含んだシャワーと蛇口、モーションが検出されない場合に水流を停止させるモーションセンサを備えたシャワーと蛇口などの、水消費を低減するシステムとデバイスとの開発がある。しかしながら、これらのシステムとデバイスとは、単一の特定の使用に制限されて、問題となる水消費習慣に対しては限定的な影響を有するのみである。
【0004】
エネルギー消費の環境の影響に対する懸念が増しており、家庭用の加熱水を提供する方法としてヒートポンプ技術の使用への関心が最近増してきている。ヒートポンプは、熱源から熱貯蔵部に熱エネルギーを伝達するデバイスである。ヒートポンプは熱源から熱貯蔵部に熱エネルギーを伝達する作業を達成するために電力を必要とするが、ヒートポンプは、通常、少なくとも3または4の成績係数を有するため、概して、電気抵抗ヒータ(電気加熱要素)よりも効率的である。これは、電気抵抗ヒータと比較して、等しい電力使用下で、3倍または4倍の熱の量がヒートポンプを介してユーザに提供され得ること、を意味する。
【0005】
熱エネルギーを搬送する熱伝達媒体は、冷媒として知られている。空気(例えば、外気、もしくは家の中の暑い部屋からの空気)または地中熱源(例えば、グランドループ、もしくは水で満たされたボアホール)からの熱エネルギーは、受容熱交換器により抽出されて、含まれる冷媒に伝達される。ここで、より高いエネルギー冷媒が、圧縮されて、同エネルギー冷媒に著しい温度上昇をもたらして、ここで、この高温冷媒は熱交換器を介して加熱水ループに対して熱エネルギーを交換する。加熱水供給の文脈では、ヒートポンプにより抽出される熱は熱エネルギー貯蔵として機能する断熱タンク内の水に伝達可能であり、加熱水は必要な場合に後の時間で使用され得る。加熱水は、必要に応じて1つ以上の水出口、例えば、蛇口、シャワー、ラジエータに回され得る。しかしながら、ヒートポンプは、概して、電気抵抗ヒータと比較して、水を所望の温度に上げた状態にするためにより多くの時間を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
様々な世帯と職場と商用空間とが加熱水使用についての様々な要件と好みとを有するため、加熱水供給の新しい方法は、ヒートポンプが電気ヒータに対する実用的な代替になることを可能にするために望ましい。さらに、エネルギーと水とを節約するために、エネルギーときれいな水との消費を調節することが望ましい場合があるが、ユーティリティ消費の調節は、使用におけるブランケットキャップ(blanket cap)となり得ない。
【0007】
したがって、エネルギー消費を調節するために改善された方法とシステムとを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上を考慮して、本技術の態様は、建物に設置された水供給システムによりエネルギー消費を調節するコンピュータ実装方法であって、水供給システムは、建物の外側から建物の内側の熱エネルギー貯蔵媒体に熱エネルギーを伝達するように構成されるヒートポンプと、水供給システムの動作を制御するように構成される制御モジュールと、を備えて、水供給システムは、熱エネルギー貯蔵媒体により加熱された水を1つ以上の水出口に提供するように構成されて、さらに、建物の屋内の温度を上昇させるように構成されるセントラルヒーティングシステムに加熱水を供給するように構成されて、方法は、制御モジュールにより行われて、建物を備える地理的領域のエネルギー需要の水準を決定することと、エネルギー需要の水準が低いことを決定すると、熱エネルギーを熱エネルギー貯蔵媒体に蓄えるようにヒートポンプを動作させることと、熱エネルギー貯蔵媒体に蓄えられた熱エネルギーを使用してセントラルヒーティングシステムに加熱水を供給するように水供給システムを動作させることと、を含む、コンピュータ実装方法を提供する。
【0009】
本技術の実施形態は、ヒートポンプにより熱エネルギー貯蔵に蓄えられる熱の形態で、低いエネルギー需要の期間中にエネルギーが蓄えられることを可能にする。次いで、蓄えられた熱エネルギーは、必要な場合、建物に加熱水または加熱を提供するために、後の時間、例えば、高いエネルギー需要の期間中に抽出され得る。そうする際、水を加熱するエネルギー需要の少なくとも一部を高いエネルギー需要の期間から低いエネルギー需要の期間にシフトさせることが可能であり、異なる期間中のエネルギー需要のバランスを改善することが可能である。さらに、低いエネルギー需要の期間中に熱エネルギー貯蔵を予熱することにより、加熱水を供給する実用的な方法としてのヒートポンプの効率と有用性とを改善することが可能である。さらに、熱エネルギー貯蔵が最大の動作温度に達したとき、熱エネルギー貯蔵の温度をさらに上昇させることは望ましくない場合がある。ヒートポンプにより熱エネルギー貯蔵に伝達されるエネルギーの一部をセントラルヒーティングシステムのための水を加熱するために回して、追加のエネルギー貯蔵として建物構造物を使用することにより、最大動作温度未満に熱エネルギー貯蔵を維持することが可能である。
【0010】
いくつかの実施形態において、ヒートポンプは、熱エネルギー貯蔵が所定の動作温度に達するまで動作し得る。そうする際、熱エネルギー貯蔵は、加熱水への需要が生じたときの動作のために備える。
【0011】
いくつかの実施形態において、ヒートポンプは、熱エネルギー貯蔵が所定の動作温度よりも高い温度に達するまで動作し得る。熱エネルギー貯蔵を「過熱」することにより、低いエネルギー需要の期間中により多くのエネルギーを蓄えることが可能である。熱エネルギー貯蔵により加熱される水の水温が、熱エネルギー貯蔵が過熱されるときに望ましいものよりも高い場合、水温を調整するために冷たい水を追加することが可能である。
【0012】
所定の動作温度は、熱エネルギー貯蔵において使用される媒体の熱特性により決定される最適動作温度、および/または熱エネルギー貯蔵により加熱される水の所望の水温であり得る。いくつかの実施形態において、所定の動作温度は、47℃と49℃との間の範囲内であり得る。
【0013】
いくつかの実施形態において、方法は、地理的領域のエネルギー需要の水準を監視し続けることをさらに含み得る。
【0014】
いくつかの実施形態において、方法は、エネルギー需要の水準が低から高に変化したことを決定すると、ヒートポンプを動作させることを停止することをさらに含み得る。
【0015】
低いエネルギー需要の期間中に後での使用にエネルギーを蓄えるために、建物構造物を使用することが望ましい場合があるが、建物の占有者にとって快適な温度を超えて建物の屋内の温度を上昇させることが望ましくない場合がある。したがって、いくつかの実施形態において、水供給システムは、屋内の温度が所定の屋内の温度に達するまで、熱エネルギー貯蔵媒体に蓄えられた熱エネルギーを使用して加熱水をセントラルヒーティングシステムに供給するように動作し得る。
【0016】
熱エネルギー貯蔵に蓄えられた熱が加熱水を提供するために不十分な場合、例えば、加熱水の需要が高い場合があり得る。したがって、追加の熱源を水供給システムに提供することが望ましい場合がある。いくつかの実施形態において、水供給システムは、水供給システムにより供給する水を加熱するように構成される少なくとも1つの電気加熱要素を備え得る。
【0017】
いくつかの実施形態において、方法は、エネルギー需要の水準が低いことを決定すると、加熱水をセントラルヒーティングシステムに供給するように少なくとも1つの電気加熱要素を動作させることをさらに含み得る。
【0018】
いくつかの実施形態において、方法は、エネルギー需要の水準が高いことを決定したことに応じて、建物の屋内の温度を上昇させた結果として建物に蓄えられた熱エネルギーを抽出することをさらに含み得る。
【0019】
いくつかの実施形態において、エネルギー需要の水準は、エネルギー供給者から取得される料金データに基づいて、決定され得る。
【0020】
いくつかの実施形態において、エネルギー需要の水準は、料金データがオフピーク料金を示すときに低くなるように決定され得る。
【0021】
本技術の別の態様は、建物に設置された水供給システムの動作を制御する制御モジュールであって、水供給システムは、熱エネルギーを熱エネルギー貯蔵媒体に伝達するように構成されるヒートポンプを備えて、水供給システムは、熱エネルギー貯蔵媒体により加熱された水を1つ以上の水出口に提供するように構成されて、制御モジュールは、建物を備える地理的領域のエネルギー需要の水準を決定して、エネルギー需要の水準が低いことを決定すると、熱エネルギーを熱エネルギー貯蔵媒体に蓄えるようにヒートポンプを動作させるように構成される、制御モジュールを提供する。
【0022】
本技術のさらなる態様は、建物内に配置された1つ以上の水出口に水を供給して、建物の屋内の温度を上昇させるように構成されるセントラルヒーティングシステムに加熱水を供給する水供給システムであって、熱エネルギーを蓄えるように構成される、建物の内側に配置された熱エネルギー貯蔵と、熱エネルギー貯蔵に蓄えられた熱エネルギーを使用して、水供給システムにより供給する水を加熱するように構成される、熱エネルギー貯蔵の近くに配置された熱交換器と、建物の外側から熱エネルギー貯蔵に熱エネルギーを伝達するように構成されるヒートポンプと、水供給システムの動作を制御するように構成される制御モジュールと、を備えて、制御モジュールは、建物を備える地理的領域のエネルギー需要の水準を決定して、エネルギー需要の水準が低いことを決定すると、熱エネルギーを熱エネルギー貯蔵媒体に蓄えるようにヒートポンプを動作させて、熱エネルギー貯蔵媒体に蓄えられた熱エネルギーを使用してセントラルヒーティングシステムに加熱水を供給するように水供給システムを動作させるように構成される、水供給システムを提供する。
【0023】
本発明はまた、コンピュータ可読記憶媒体上に記憶されたコンピュータプログラムであって、コンピュータシステム上で実行されると、前述のとおりの方法を実行するようにコンピュータシステムに命令する、コンピュータプログラムを提供する。
【0024】
本技術の実装態様はそれぞれ、前述の目的および/または態様のうちの少なくとも1つを有するが、前述の目的および/または態様の全てを必ずしも有するわけではない。前述の目的を実現するための試みに起因した本技術のいくつかの態様は、この目的を満たさなくてもよく、および/または本明細書に具体的に記載されていない他の目的を満たし得ると理解されるべきである。
【0025】
本技術の実装態様の追加の、および/または代替的な特徴と態様と利点とは、以下の説明と添付図面と添付の特許請求の範囲とから明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
ここで、本開示の実施形態は、添付図面を参照して記載される。
【
図1】
図1は、例示的な水供給システムの模式的なシステム概要である。
【
図2】
図2は、料金に基づいて、ユーティリティ使用を調節する例示的な方法を示す。
【
図3】
図3は、水のフローと温度とを調節する方法の例示的な方法を示す。
【
図4】
図4は、加熱出力を調節する例示的な方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以上を考慮して、本開示は、ヒートポンプを使用して、またはヒートポンプにより補助されて加熱水を供給して、いくつかの場合、水消耗とエネルギー消耗とを低減するために水とエネルギーとを含むユーティリティの使用を調節する、様々な手法を提供する。
【0028】
水供給システム
本技術の実施形態において、冷水と加熱水とは、セントラル水供給システムにより、家庭用または商用環境の建物用の蛇口、シャワー、ラジエータなどを含む複数の水出口に供給される。例示的な水供給システム100は、
図1に示される。
【0029】
本実施形態において、水供給システム100は、制御モジュール110を備える。制御モジュール110は、水供給システムの様々な要素に通信可能に接続されて、様々な要素を制御するように構成されて、水供給システムは、例えば、システムの内部と外部とで水流を制御するように配置された1つ以上のバルブの形態のフロー制御130と、周囲から熱を抽出して、抽出された熱を、水の加熱に使用するために熱エネルギー貯蔵150に預けるように構成される(地中熱源または空気熱源)ヒートポンプ140と、電気加熱要素160に供給されるエネルギーの量を制御することにより冷たい水を所望の温度まで直接的に加熱するように構成される1つ以上の電気加熱要素160と、を含む。次いで、加熱水は、熱エネルギー貯蔵150により加熱されるか、または電気加熱要素160により加熱されるか、に関わらず、1つ以上の水出口、およびまたは、必要な場合にはセントラルヒーティングシステムに向けられる。実施形態において、ヒートポンプ140は、熱エネルギー貯蔵媒体が動作温度に達するまで、周囲から熱エネルギー貯蔵150内の熱エネルギー貯蔵媒体に熱を抽出して、次いで、例えば、本管からの冷たい水は、熱エネルギー貯蔵媒体により所望の温度まで加熱され得る。次いで、加熱水は、システム内の様々な水出口に供給され得る。
【0030】
本実施形態において、制御モジュール110は、複数のセンサ170-1,170-2,170-3,...,170-nから入力を受信するように構成される。複数のセンサ170-1,170-2,170-3,...,170-nは、例えば、屋内および/または屋外に配置された1つ以上の空気温度センサと、1つ以上の水温センサと、1つ以上の水圧センサと、1つ以上のタイマーと、1つ以上のモーションセンサと、を含んでもよく、GPS信号受信機、カレンダー、例えば、占有者が携帯するスマートフォン上の天気予報アプリなどの、水供給システム100に直接的には接続されていない通信チャネルを介して、制御モジュールと通信する他のセンサを含んでもよい。本実施形態において、制御モジュール110は、例えば、フロー制御130を通る、水を加熱する熱エネルギー貯蔵150または電気加熱要素160への水流を制御する様々な制御機能を行うために、受信された入力を使用するように構成される。
【0031】
任意選択的に、1つ以上の機械学習アルゴリズム(MLA:machine learning algorithm)120は、制御モジュール110上、例えば、制御モジュール110のプロセッサ(図示せず)上で実行され得るか、または制御モジュール110から離れたサーバ上で実行されて、通信チャネル上で制御モジュール110のプロセッサと通信し得る。例えば、MLA120は、例えば、時刻、曜日、日付(例えば、季節変化、公休日)、占有期間などに基づいて、ベースラインの水とエネルギーとの使用パターンを確立するために、制御モジュール110により受信される入力センサデータを使用して訓練され得る。次いで、学習された使用パターンは、制御モジュール110により行われる様々な制御機能を決定して、いくつかの場合には向上させるために、ならびに/または、例えば、ユーザのユーティリティ使用をユーザが分析することを可能にするようにレポートを生成するために、および/もしくは、より効率的なユーティリティ使用についての提案を提供するために使用され得る。
【0032】
ヒートポンプは、概して、電気抵抗ヒータと比較して水を加熱するのにエネルギー効率がよいが、ヒートポンプは、熱エネルギー貯蔵媒体からの熱が水を加熱するために使用され得る前に、熱エネルギー貯蔵媒体が所望の動作温度に達するように十分な量の熱エネルギーを熱エネルギー貯蔵媒体に伝達するために時間を必要として、したがって、ヒートポンプは、概して、電気抵抗ヒータと比較して、同じ量の水を同じ温度まで加熱するために長時間を必要とする。いくつかの実施形態において、ヒートポンプ140は、熱エネルギー貯蔵媒体として、例えば、加熱すると固体から液体に変化する相変化材料(PCM:phase change material)を使用し得る。この場合、ヒートポンプにより抽出される熱エネルギーが熱貯蔵媒体の温度を上昇させるために使用され得る前に、PCMが凝固することが可能であったとき、PCMを固体から液体に変えるために追加の時間が必要とされ得る。電気加熱要素を用いた水の加熱と比較して、水を加熱する本手法は遅いものであり得るが、水を加熱するために消費されるエネルギーの全体量は少ないため、全体的には、エネルギーは節約されて、加熱水の供給コストは低減される。
【0033】
相変化材料
本実施形態において、相変化材料は、ヒートポンプ用の熱貯蔵媒体として使用され得る。ある好適な種類の相変化材料は、家庭用温水供給と、ヒートポンプとの組合せでの使用と、において重要な温度で固体-液体相変化を有するパラフィンワックスである。摂氏40度(℃)から摂氏60度(℃)までの範囲の温度で溶けるパラフィンワックスは特に重要であり、この範囲内で、ワックスは特定の用途に適するように様々な温度で溶けることが見出され得る。典型的な潜熱容量は約180kJ/kgと230kJ/kgとの間であり、場合により、比熱容量は、液相で2.27Jg-1K-1であり、固相で2.1Jg-1K-1である。非常に多くの量のエネルギーが融解潜熱の使用を要して蓄えられ得ることがわかる。より多くのエネルギーはまた、相変化液体を相変化液体の融点を上回って加熱することにより蓄えられ得る。例えば、電力コストがオフピーク期間の間に比較的低い場合、ヒートポンプは、熱エネルギー貯蔵を「過熱」するために熱エネルギー貯蔵を通常よりも高い温度まで「チャージ」するように動作し得る。
【0034】
好適な選択肢のワックスは、ヒートポンプが約51℃の温度で動作することを必要として、かつ、例えば、キッチン/バスルームの蛇口、シャワーなどに十分な一般家庭用温水にとって約45℃の十分な温度まで水を加熱できる、n-トリコサンC23またはパラフィンC20-C33などの約48℃の融点を有するものであり得る。冷たい水は、必要な場合、水温を低減するためにフローに追加され得る。ヒートポンプの温度性能は、考慮に入れられる。概して、ヒートポンプにより加熱される流体の入力温度と出力温度との最大の差は、好ましくは、5℃から7℃までの範囲に維持されるが、10℃の高さであり得る。
【0035】
パラフィンワックスは熱エネルギー貯蔵媒体として使用するために好ましい材料であるが、他の好適な材料も使用され得る。例えば、塩水和物も、本システムなどの潜熱エネルギー貯蔵システムに好適である。本文脈での塩水和物は無機塩と水との混合物であり、相変化は同混合物の水の全てまたは多くを失うことを伴う。相転移において、水和結晶は、無水(または少量の水を含む)塩と、水と、に分けられる。塩水和物の利点は、パラフィンワックスよりもはるかに高い(2倍と5倍との間の高さ)熱伝導率を有することと、相転移を伴う体積変化がはるかに小さいことと、である。現在の用途の好適な塩水和物は、約48℃から49℃までの融点と、200kJ/kgから220kJ/kgまでの潜熱と、を有するNa2S2O3・5H2Oである。
【0036】
ユーティリティ調節
エネルギーときれいな水とは必須のものであるため、これらの使用を調節することが望ましい。本手法は、家庭用、商用、または公共用に好適な加熱水供給システムに組み込まれるエネルギー使用を能動的に調節する方法とシステムとを提供する。本手法は、特に、ヒートポンプが加熱水の供給に使用される場合に関連している。現在のエネルギー需要に基づいて、エネルギー消費を能動的に調節することにより、全国電力網におけるエネルギー需要が低いときに(例えば、オフピーク時間中に)熱を熱エネルギー貯蔵に蓄えるようにヒートポンプを動作させることが可能になり、蓄えられたエネルギーは、エネルギー需要が高いときに(例えば、ピーク時間中に)加熱水および/またはセントラルヒーティングを提供するために後で抽出され得る。次いで、これは、ピーク期間と、オフピーク期間と、の間のエネルギー需要のバランスの改善を可能にして、加熱水供給とセントラルヒーティングとの形態としてのヒートポンプの有用性を改善するために、ピーク期間中のエネルギー需要を低減する。
【0037】
図2は、実施形態に係る、現在のエネルギー料金に基づいて、エネルギー消費を調節する方法を示す。エネルギー料金は、例えば、エネルギー供給者から取得されて、所与の期間における全国または地域のエネルギー需要を反映して、したがって、本実施形態において、エネルギー料金はエネルギー調節を実施するインジケータとして使用される。方法は、例えば、家庭用環境における世帯に加熱水を提供する水供給システム(例えば、水供給システム100)の制御モジュール(例えば、制御モジュール110)により実施され得る。
【0038】
方法は、制御モジュールが、例えば、エネルギー供給者から直接的に受信されるデータを使用して、および/または公共のドメインから(例えば、エネルギー供給者のウェブサイトから)取得されるデータに基づいて、現在のエネルギー料金を決定する(S201)ときに始まる。
【0039】
制御モジュールは、現在のエネルギー料金が、エネルギーの高い需要を示すピーク料金である(エネルギーの単位コストが高い)か、またはエネルギーの低い需要を示すオフピーク料金である(エネルギーの単位コストが低い)か、を決定する(S202)。現在のエネルギー料金がオフピーク料金であることを制御モジュールが決定する(S202)場合、制御モジュールは、1つ以上のオフピーク方策を行う(S203)。例えば、ヒートポンプ(例えば、ヒートポンプ140)はエネルギーを熱エネルギー貯蔵(例えば、熱エネルギー貯蔵150)に蓄えるように動作してもよく(S204)、その結果、後の時間に、例えば、ピーク期間中に、蓄えられたエネルギーは水を加熱するために抽出され得る。例えば、制御モジュールは、セントラルヒーティングシステムの加熱出力を増加させるために、水供給システムによりセントラルヒーティングシステムに提供される加熱水の量および/または温度を増加させて(S205)、水供給システムが熱貯蔵媒体として設置された建物構造物を使用し得る。これらの例は、以下でより詳細に述べられて、非網羅的であり、他の方策は、追加で、または代替として実施され得る。
【0040】
現在のエネルギー料金がピーク料金であることを制御モジュールが決定する(S202)場合、制御モジュールは、例えば、熱エネルギー貯蔵に既に蓄えられた熱エネルギーを使用して、および/または、電気加熱要素を動作させることを優先した状態で熱を熱エネルギー貯蔵に伝達し続けるようにヒートポンプを動作させて、水供給システムに対して、水を加熱する低コストのエネルギー源に能動的に切換えるように命令し得る。
【0041】
追加で、または代替的に、制御モジュールは、ユーティリティ消費を調節するために、1つ以上のユーティリティ消費低減方策を実施し得る(S208)。制御モジュールは、1つ以上の異なる低減方策を用いてプログラムされて、ピーク期間中に実施される1つ以上の同方策を選択し得る。例示的な方策の非網羅的なリストは、本明細書で与えられる。制御モジュールは、加熱水予算に基づいて、水供給システムにより水出口に提供される加熱水の流量(もしくは圧力)および/または温度を調節し得る(S209)。例えば、水出口への加熱水の流量は、加熱水予算内にとどめるために、ユーザにより設定される水準と比較して低減されてもよく、および/または、水出口に供給される加熱水の温度は、加熱水予算内にとどめるために、ユーザにより設定される温度と比較して低下してもよい。制御モジュールは、例えば、1つ以上の加熱目標に従って、セントラルヒーティングシステムに供給される加熱水の量(流量、圧力)および/または温度を調整し得る(S210)。例えば、制御モジュールは、エネルギー出力目標を満たすために、水供給システムに対して、セントラルヒーティングシステムに供給される加熱水の量および/または温度を低減するように命令し得る。これらの方策は、以下でより詳細に述べられる。目標は、通常の温度、圧力、流量と比較して低い、加熱水の特定の温度、圧力、流量でもよく、同目標は料金が高いときにエネルギーの消費を少なくするために設定され得る。
【0042】
オフピーク方策
オフピーク期間中、制御モジュールは、低いエネルギー需要の期間を最適化するために、1つ以上のオフピーク方策を実施し得る(S203)。
【0043】
実施形態において、制御モジュールは、エネルギー需要が低いとき、オフピーク期間中にエネルギーを熱エネルギー貯蔵150に蓄える(S204)ように、ヒートポンプ140を動作させるように構成される。蓄えられたエネルギーは、1つ以上の水出口および/またはセントラルヒーティングシステムに供給する水を加熱するために、水供給システムにより、後の時間、例えば、ピーク期間中に抽出され得る。ヒートポンプ140は、熱エネルギー貯蔵150の温度を上昇させるか、または熱エネルギー貯蔵150を所定の動作温度(例えば、48℃)までチャージするために、周囲から熱エネルギー貯蔵150内に熱を伝達するように動作し得る。代替的に、ヒートポンプ140は、熱エネルギー貯蔵150を「過熱」するために、所定の動作温度よりも高い温度まで熱エネルギー貯蔵150をチャージするように動作してもよく、その結果、ピーク期間中に使用され得る熱エネルギー貯蔵150により多くのエネルギーが蓄えられる。この場合、水は、低い所定の動作温度まで熱エネルギー貯蔵150がチャージされる場合よりも高い温度まで、熱エネルギー貯蔵150により加熱されるが、水温は、冷たい水を追加して冷たい水と加熱水との割合を調整することにより、所望の温度に容易に調整され得る。
【0044】
実施形態において、オフピーク期間中、制御モジュールは、セントラルヒーティングシステムの加熱出力を増加させる(S205)ために、水供給システムによりセントラルヒーティングシステムに提供される加熱水の量および/または温度を増加させるように構成される。より具体的には、エネルギー需要が低くエネルギーのコストが低いオフピーク期間中、制御モジュールは、熱エネルギー貯蔵150を所定の動作温度まで予熱するようにヒートポンプ140を動作させ得て、熱エネルギー貯蔵150に蓄えられたエネルギーを使用して水を加熱して、水供給システムが設置された建物構造物を加熱するためにセントラルヒーティングシステムに加熱水を回すように水供給システムを制御し得る。追加で、または代替的に、制御モジュールは水を加熱するように電気加熱要素160を動作させてもよく、同水は、次いで、水供給システムによりセントラルヒーティングシステムに回される。追加で、または代替的に、制御モジュールは、建物構造物を加熱するために、制御モジュールに接続された1つ以上の電気の空間加熱デバイス(例えば、電気ラジエータ、赤外線ヒータ、ファンヒータなど)を動作させ得る。したがって、本手法において、建物構造物自体は、熱エネルギー貯蔵150に追加で、または熱エネルギー貯蔵150に対する代替として、熱エネルギーバッファとして使用される。建物構造物に蓄えられ得る熱エネルギーの量と、建物構造物が周囲へ熱を失う割合とは、構造の熱容量、屋外の温度、建物がどのくらい十分に断熱されているか、などに依存する。次いで、制御モジュールは、ピーク期間中、セントラルヒーティングシステムへの加熱水の供給を停止して、建物構造物が、受動的な加熱の形態として、蓄えられた熱エネルギーをゆっくりと解放することを可能にするように水供給システムを制御し得る。追加で、または代替的に、屋内のヒートポンプは、水供給システムに提供されて、建物内から熱を抽出して熱を、例えば、熱エネルギー貯蔵150に伝達するように制御モジュール110により制御され得る。次いで、制御モジュールは、建物構造物に蓄えられた過剰な熱エネルギーを抽出して、抽出されたエネルギーを、水を加熱するために使用される熱エネルギー貯蔵150に伝達するように屋内のヒートポンプを動作させ得る。
【0045】
ピーク時間方策
図2に示されるように、ピーク期間中、制御モジュールは、全国電力網におけるエネルギー需要を低減してユーザに対するエネルギーコストを低減するために1つ以上のピーク時間方策を実施し得る(S206)。同方策の1つは、低コスト、すなわち、低いエネルギー需要のエネルギー源に切換えること(S207)を含む。電気加熱要素160と、ヒートポンプ140(熱エネルギー貯蔵150)と、を備える水供給システム100を伴う実施形態において、制御モジュール110は、水を加熱する電気加熱要素160を優先したヒートポンプ140の使用に切換えることにより本方策を実施するように構成される。
【0046】
任意選択的に、制御モジュール110は、熱エネルギー貯蔵150を所定の動作温度以上までにチャージするように、オフピーク期間(または低いエネルギー需要の期間)中にヒートポンプ140を動作させ得る。次いで、蓄えられたエネルギーは、水を加熱するためにピーク期間(または高いエネルギー需要の期間)中に使用され得る。
【0047】
任意選択的に、制御モジュール110は、例えば、MLA120により水供給システムのユーザの水使用パターンを学習するように構成されてもよく、これにより、加熱水が必要とされ得るときを制御モジュールが予測可能となる。この場合、熱エネルギー貯蔵150がオフピーク期間中に予めチャージされているか否かに関係なく、制御モジュールは、依然として、より高コストの電気加熱要素に依存する代わりに、水使用パターンにより可能となった予測を使用して、加熱水の供給のために熱エネルギー貯蔵150を準備するように、予測される加熱水の需要の前にヒートポンプ140を動作させることにより、本ピーク時間方策を実施し得る。
【0048】
低コストのエネルギー源に切換えることに追加で、制御モジュールは、任意選択的に、ピーク料金の間に1つ以上のユーティリティ消費低減方策を実施する(S208)ようにプログラムされ得る。ユーティリティ消費低減方策は、例えば、水供給システムにより供給される加熱水の流量および/もしくは温度の調節(S209)、ならびに/または1つ以上の加熱目標に基づく水供給システムにより、セントラルヒーティングに供給される加熱水の調節(S210)を含み得る。
【0049】
図3は、実施形態に係る、加熱水予算に基づいて加熱水の流量および/または温度を調節する方法を示す。方法は、制御モジュールが水流制御方策を実施して、始まる(S209)。
【0050】
水供給システムに接続されて水供給システムにより供給される水出口が開放される(S301)。水出口は、例えば、水の蛇口またはシャワーであり得る。水出口は、例えば、温度制御で水温を設定して、例えば、水圧制御で流量を設定することにより、ユーザにより開けられ得る。
【0051】
水出口が開けられたことを検出すると、制御モジュールは、経過時間Tを監視し始める(S302)。例えば、制御モジュールは、水出口が開けられたときからの経過時間Tを記録するタイマーを備え得るか、または同タイマーに接続され得る。制御モジュールは、複数の水出口が同時に開けられた場合に複数の経過時間を制御モジュールが決定することを可能にするために、複数のタイマーを備え得るか、または複数のタイマーに接続され得る。経過時間Tは、水温と圧力(流量)と共に、使用されるエネルギーの量の表示を提供する。
【0052】
本実施形態によると、経過時間閾値T1は、ユーティリティ消費低減方策が実施されるとき(例えば、ピーク時間中)に使用するために、加熱水の量に限度を設定した所定の加熱水予算、または水を加熱するために使用されるエネルギーの量に基づいて、設定され得る。したがって、制御モジュールは、経過時間Tが閾値T1を超えたか否かを決定する(S303)。経過時間Tが閾値T1を超えていないことを制御モジュールが決定する場合、制御モジュールは、水出口を監視し続ける(S304)。水出口が依然として開放されている場合、制御モジュールは、経過時間Tを監視し続ける。水出口がもう開放されていない場合、制御モジュールは水出口の監視を停止して、プロセスは終了する。
【0053】
経過時間Tが閾値T1を超えていることを制御モジュールが決定する(S303)場合、制御モジュールは、水出口に供給されている加熱水の流量を低減するように水供給システムを制御する(S305)。そうする際、使用される加熱水の全体量を低減することが可能であり、それにより、消費されるきれいな水の量と水を加熱するために必要とされるエネルギーの量との両方が低減される。代替的に、または追加的に、制御モジュールは、水出口に供給されている加熱水の温度を低減するように水供給システムを制御し得る(S305)。そうする際、水を加熱するために消費されるエネルギーの全体量を低減することが可能である。
【0054】
任意選択的に、制御モジュールは、水出口が開けられてからの経過時間Tを監視し続けて、例えば、経過時間Tが閾値T1を再び超える場合に流量をさらに低減し得る。
【0055】
図4は、実施形態に係る、加熱目標のセットのうち所定の加熱目標に基づいて、セントラルヒーティングに供給される加熱水を調節する方法を示す。方法は、制御モジュールが加熱目標を実施して、始まる(S210)。
【0056】
制御モジュールは、セントラルヒーティングシステムがオンされたか否かを決定する(S401)。例えば、セントラルヒーティングシステムは、指定の時刻に、および/もしくは屋内の温度が指定の温度以下に達するときにオンになるように設定されて、ならびに/またはユーザにより手動でオンされ得る。セントラルヒーティングシステムがオンされていないと決定された場合、プロセスは、終了する。
【0057】
セントラルヒーティングシステムがオンされたことが決定された(S401)場合、制御モジュールは、例えば、セントラルヒーティングシステムに回される加熱水の温度と量とを監視することにより、および/または屋内の温度変化を監視することにより、セントラルヒーティングシステムのエネルギー出力Eoutを監視するように進行する。
【0058】
制御モジュールはセントラルヒーティングシステムのエネルギー出力Eoutを決定して(S402)、次いで、制御モジュールはエネルギー出力Eoutが所定の加熱目標を満たすか否かを決定する(S403)。加熱目標は、例えば、消費されるエネルギーの量の観点で、および/またはセントラルヒーティングシステムに供給される水を加熱するために費やされるエネルギーの最大のコストの観点で、例えば、セントラルヒーティングシステムについて所定の最大のエネルギー出力を設定し得る。
【0059】
セントラルヒーティングシステムのエネルギー出力Eoutが加熱目標を満たすこと、例えば、Eoutが所定の最大のエネルギー出力未満であることを制御モジュールが決定する(S403)場合、制御モジュールは、セントラルヒーティングシステムが依然としてオンされているか否かを監視し続けて(S404)、セントラルヒーティングシステムが依然としてオンされている場合、セントラルヒーティングシステムのエネルギー出力Eoutを監視し続けて、そうでない場合、プロセスは終了する。
【0060】
セントラルヒーティングシステムのエネルギー出力Eoutが加熱目標を満たしていないこと、例えば、Eoutが所定の最大のエネルギー出力を上回っていることを制御モジュールが決定する(S403)場合、制御モジュールは、例えば、水供給システムによりセントラルヒーティングシステムに供給される加熱水の温度および/または加熱水の量を低減することにより(例えば、フローを低減することにより、および/または加熱水を断続的に供給することにより)、セントラルヒーティングシステムのエネルギー出力を低減する(S405)。次いで、制御モジュールは、セントラルヒーティングシステムのエネルギー出力を監視し続けて、任意選択的に、加熱目標が満たされていない場合、さらなる調整を行い得る。
【0061】
1つ以上のユーティリティ消費低減方策を実施することにより、制御モジュールは、エネルギー支出(任意選択的に、水消費)を予算内に維持するために加熱水使用を制御できて、調節できる。上述の方策が、独立して、または必要に応じて任意の組合せで実施され得ることは、当業者に明らかであろう。
【0062】
本手法によると、低いエネルギー需要の期間中に(建物自体を含む)1つ以上の熱エネルギー貯蔵に熱エネルギーを蓄えるように方策を実施して、高いエネルギー需要の期間中に水を加熱するために、蓄えられた熱エネルギーを使用することにより、加熱水を供給する実用的な低コストの方法としてのヒートポンプの効率と有用性とを改善することが可能である。さらに、水を加熱するエネルギー需要の少なくとも一部をピーク期間からオフピーク期間にシフトさせることにより、異なる期間中のエネルギー需要のバランスを改善することが可能である。
【0063】
当業者により理解されるように、本技術は、システム、方法、またはコンピュータプログラム製品として具現化され得る。したがって、本技術は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態、またはソフトウェアとハードウェアとを組み合わせた実施形態の形態を取り得る。
【0064】
さらに、本技術はコンピュータ可読媒体内で具現化されたコンピュータプログラム製品の形態を取ってもよく、同コンピュータ可読媒体は同コンピュータ可読媒体上で具現化されたコンピュータ可読プログラムコードを有する。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体またはコンピュータ可読記憶媒体であり得る。コンピュータ可読媒体は、例えば、電子、磁気、光、電磁気、赤外線、もしくは半導体のシステム、装置、もしくはデバイス、または以上のものの任意の好適な組合せであり得るが、これらに限定されない。
【0065】
本技術の動作を実行するコンピュータプログラムコードは、オブジェクト指向プログラミング言語と、従来の手続き型プログラミング言語と、を含む1つ以上のプログラミング言語の任意の組合せで書かれ得る。
【0066】
例えば、本技術の動作を実行するプログラムコードは、Cなどの(解釈もしくはコンパイルされる)従来のプログラミング言語におけるソース、オブジェクト、もしくは実行可能コード、もしくはアセンブリコード、ASIC(特定用途向け集積回路)もしくはFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)を設定もしくは制御するコード、またはVerilog(登録商標)もしくはVHDL(超高速集積回路ハードウェア記述言語)などのハードウェア記述言語についてのコードを備え得る。
【0067】
プログラムコードは、ユーザのコンピュータ上で完全に実行され得るか、ユーザのコンピュータ上で部分的にかつリモートコンピュータ上で部分的に実行され得るか、またはリモートコンピュータもしくはサーバ上で完全に実行され得る。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、任意のタイプのネットワークを通じてユーザのコンピュータに接続され得る。コード構成要素は、プロシージャや方法などとして具現化されてもよく、ネイティブ命令セットの直接的な機械命令から高水準のコンパイル、または解釈される言語構成への抽象化のいずれかの水準での命令もしくは命令のシーケンスの形態をとり得るサブ構成要素を備えてもよい。
【0068】
本技術の好ましい実施形態に係る論理方法の全てまたは一部が方法のステップを行うために、論理要素を備える論理装置において好適に具現化され得ることも、同論理要素が例えば、プログラマブル論理アレイまたは特定用途向け集積回路において論理ゲートなどの構成要素を備え得ることも当業者に明らかであろう。このような論理構成は、さらに、要素が例えば、仮想ハードウェア記述言語を使用して同アレイまたは回路において論理構造を一時的にまたは永久的に確立することを可能にして、具現化されてもよく、同仮想ハードウェア記述言語は固定のまたは送信可能なキャリアメディアを使用して記憶されて送信されてもよい。
【0069】
本明細書に記載された例と条件付き言語とは、読者が本技術の原理を理解する助けとなることを意図したものであり、そのような具体的に記載された例と条件とに本技術の範囲を限定することを意図したものではない。当業者は、本明細書に明示的には記載されていないかまたは示されていないが、それでもなお本技術の原理を具現化して、添付の特許請求の範囲により定められるような本技術の範囲内に含まれる、様々な構成を考え出してもよいことが理解されるであろう。
【0070】
さらに、理解を助けるものとして、上記の説明は、本技術の比較的簡略化された実装態様を記載し得る。当業者が理解するように、本技術の様々な実装態様は、より複雑なものであり得る。
【0071】
いくつかの場合、本技術に対する改変の有用な例であると考えられるものも記載され得る。これは単に、理解を助けるものとして行われて、この場合もまた、範囲を限定するかまたは本技術の限界を記載するためのものではない。同改変は網羅的なリストではなく、本技術の範囲内にとどまりながらでも当業者は他の改変を行い得る。さらに、改変の例が記載されていなかった場合、改変が可能でないとして、および/または記載されたことが本技術のその要素を実施する唯一の方法であるとして解釈されるべきではない。
【0072】
さらに、技術の原理と態様と実装態様とを記載した本明細書の全ての記述、さらにはその特定の例は、その構造的と機能的との両方の均等物が現在知られているかまたは将来に開発されるかに関わらず、その構造的と機能的との両方の均等物を包含することを意図したものである。したがって、例えば、本明細書の任意のブロック図は、本技術の原理を具現化した例示的な回路の概念図を表すことが当業者により理解されるであろう。同様に、任意のフローチャート、フロー図、状態遷移図、擬似コードなどは、様々なプロセスを表して、同プロセスはコンピュータ可読媒体において実質的に表されるため、コンピュータまたはプロセッサにより、同コンピュータまたはプロセッサが明示的に示されているか否かに関わらず実行され得ることが理解されるであろう。
【0073】
「プロセッサ」と呼ばれる任意の機能ブロックを含む、図示されている様々な要素の機能は、専用ハードウェア、さらには適切なソフトウェアと関連してソフトウェアを実行可能なハードウェアの使用を通じて提供され得る。プロセッサにより提供されるとき、機能は、単一の専用プロセッサにより、単一の共有プロセッサにより、または一部が共有され得る複数の個々のプロセッサにより、提供され得る。さらに、「プロセッサ」または「コントローラ」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行可能なハードウェアのみを指すように解釈されるべきではなく、限定することなく、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)ハードウェアと、ネットワークプロセッサと、特定用途向け集積回路(ASIC)と、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)と、ソフトウェアを記憶する読取専用メモリ(ROM)と、ランダムアクセスメモリ(RAM)と、不揮発性ストレージと、を暗に含み得る。他のハードウェア、従来のものおよび/またはカスタムも含まれ得る。
【0074】
ソフトウェアモジュール、またはソフトウェアであることが示唆される単なるモジュールは、プロセスステップおよび/もしくはテキスト記述の実行を示すフローチャート要素または他の要素の任意の組合せとして本明細書で表され得る。同モジュールは、明示的または暗に示されるハードウェアにより実行され得る。
【0075】
本技術の範囲から逸脱することなく、以上の例示的な実施形態に対して多数の改善と改変とがなされ得ることが当業者に明らかであろう。
【国際調査報告】