(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】生物学的汚染水流を処理するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/06 20230101AFI20240220BHJP
C02F 1/34 20230101ALI20240220BHJP
C02F 11/18 20060101ALI20240220BHJP
C02F 11/13 20190101ALI20240220BHJP
【FI】
C02F1/06
C02F1/34
C02F11/18
C02F11/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547612
(86)(22)【出願日】2022-02-04
(85)【翻訳文提出日】2023-09-22
(86)【国際出願番号】 US2022015382
(87)【国際公開番号】W WO2022170148
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523297310
【氏名又は名称】シュライファース、ジェームス ダブリュー.
(71)【出願人】
【識別番号】523297321
【氏名又は名称】エドリング、ランス
(71)【出願人】
【識別番号】523297332
【氏名又は名称】サンダーソン、ラリー
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】シュライファース、ジェームス ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】エドリング、ランス
(72)【発明者】
【氏名】サンダーソン、ラリー
【テーマコード(参考)】
4D034
4D037
4D059
【Fターム(参考)】
4D034AA26
4D034CA06
4D034CA13
4D037AA11
4D037AB03
4D037BA26
4D037BB07
4D059AA03
4D059BF02
4D059CA27
4D059EB20
(57)【要約】
【要約】
【解決手段】
生物学的汚染水流内の病原体を溶解するように生物学的汚染水流を処理するシステムが提供される。このシステムは、生物学的汚染水流を受け取り、当該生物学的汚染水流中の液体から蒸気を分離するように構成されたフラッシュ容器と、前記フラッシュ容器から前記分離された蒸気を受け取り、前記生物学的汚染水流に再導入するために当該分離された蒸気を圧縮するように構成されたブロワーと、前記フラッシュ容器から前記分離された液体を受け取り、当該分離された液体を加圧して循環流に入れるように構成された循環ポンプと、前記循環流から処理水を受け取り、前記生物学的汚染水流を予熱するように構成された予熱交換器と、前記フラッシュ容器が受け取る前に前記生物学的汚染水流の圧力を下げるように構成された圧力降下装置とを含むことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的汚染水流を処理するシステムであって、
生物学的汚染水流を受け取り、当該生物学的汚染水流中の液体から蒸気を分離するように構成されたフラッシュ容器と、
前記フラッシュ容器から前記分離された蒸気を受け取り、前記生物学的汚染水流に再導入するために当該分離された蒸気を圧縮するように構成されたブロワーと、
前記フラッシュ容器から前記分離された液体を受け取り、当該分離された液体を加圧して循環流に入れるように構成された循環ポンプと、
前記循環流から処理水を受け取り、前記生物学的汚染水流を予熱するように構成された予熱交換器と、
前記フラッシュ容器が受け取る前に前記生物学的汚染水流の圧力を下げるように構成された圧力降下装置と
を有するシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、 さらに、前記フラッシュ容器と前記ブロワーとの間に配置され、前記分離された蒸気から液体を抽出するように動作可能なミスト分離器を有するものである、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記生物学的汚染水流は、前記循環ポンプと前記圧力降下装置との間において前記循環流と合流するものである、システム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムにおいて、 前記処理水は、前記ポンプと、前記循環流と前記生物学的汚染水流との合流との間において、前記循環流から分離されるものである、システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムにおいて、さらに、前記生理学的汚染水流が前記圧力降下装置に導かれる前に、当該生物学的水流をさらに加熱するように動作可能な熱交換器を有するものである、システム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記循環ポンプは、前記循環流中の微細胞生物の少なくとも一部を溶解するのに十分な圧力まで前記循環流を加圧するものである、システム。
【請求項7】
生物学的汚染水流を処理するシステムであって、
微生物および固形分を含む生物学的汚染水流を有する循環流に熱を加えるように構成された熱源と、
前記循環流を受け取り、当該循環流からの液体から蒸気を分離するように構成されたフラッシュ容器と、
前記フラッシュ容器から前記分離された蒸気を受け取り、当該分離された蒸気を圧縮し、その分離された蒸気を前記循環流に再導入して蒸発潜熱を回収するように構成されたブロワーと、
前記フラッシュ容器から前記分離された液体を受け取り、当該分離された液体を加圧して前記循環流に入れるように構成された循環ポンプと、
前記フラッシュ容器が前記循環流を受け取る前に前記循環流の圧力を下げるように構成された圧力降下装置であって、当該圧力降下装置および前記循環ポンプは前記循環流内の微生物の細胞壁の破壊を引き起こすものである、前記圧力降下装置と、
前記循環流から処理水を受け取って前記循環流に加える導入水を予熱することで当該処理水から熱を回収するように構成された予熱交換器と
を有するシステム。
【請求項8】
請求項6に記載のシステムにおいて、さらに、前記フラッシュ容器と前記ブロワーとの間に配置され、前記分離された蒸気から液体を抽出するように動作可能なミスト分離器を有するものである、システム。
【請求項9】
請求項6に記載のシステムにおいて、前記熱源は熱交換器である、システム。
【請求項10】
請求項6に記載のシステムにおいて、前記熱源は、前記循環流へ補給蒸気を加えることを含むものである、システム。
【請求項11】
請求項6に記載のシステムにおいて、前記分離された蒸気は、前記フラッシュ容器と前記循環ポンプとの間において前記循環流に再導入されるものである、システム。
【請求項12】
生物学的汚染水流中の微生物から水を回収する方法であって、
処理水流からの熱を用いて生物学的汚染水流を予熱する工程と、
前記予熱された生物学的汚染水流を循環流に加える工程と、
前記循環流を加圧し且つ加熱する工程と、
前記循環流の圧力を下げる工程と、
前記循環流中の液体から蒸気を分離する工程と、
前記蒸気を圧縮し、当該蒸気を前記循環流に再導入する工程と、
前記循環流から前記処理水流を排出する工程と
を有する方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法において、前記循環流は、前記液体からの前記蒸気の分離と、前記循環流への前記予熱された生物学的汚染水流を加えることとの間において、加圧されるものである、方法。
【請求項14】
請求項11に記載の方法において、さらに、前記予熱された生物学的汚染水流を前記循環流に加えた後に、前記循環流に追加の熱を加える工程を有するものである、方法。
【請求項15】
請求項11に記載の方法において、さらに、前記蒸気を圧縮する前に前記蒸気から液体流を抽出する工程と、当該液体流を前記循環流に加える工程とを有するものである、方法。
【請求項16】
請求項11に記載の方法において、前記循環流を加圧する前に、前記蒸気は前記循環流に再導入されるものである、方法。
【請求項17】
生物学的汚染水流からの水の回収を最大化する方法であって、
圧力、若しくは熱、またはそれらの組み合わせを用いて、前記汚染水流中の微細胞生物を溶解する工程を有する方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、前記圧力は、圧力上昇、圧力降下、またはそれらの組み合わせである、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、前記圧力は、圧力の増加および圧力降下である、方法。
【請求項20】
請求項17に記載の方法において、前記汚染水流中の微細胞生物の5%~100%が溶解されるものである、方法。
【請求項21】
請求項17に記載の方法において、前記微細胞生物は細菌を含むものである、方法。
【請求項22】
請求項17に記載の方法において、さらに、前記水流中の溶解されていない任意の他の病原体を不活性化する工程を有するものである、方法。
【請求項23】
生物学的汚染水流から得られる固形分の重量を減らす方法であって、
前記水流中の微細胞生物を溶解し、そこから水を放出させる工程と、
前記放出された水を前記汚染水流中の他の水と合わせる工程と、
前記水から前記固形分を分離する工程と
を有する方法。
請求項23に記載の方法において、前記溶解は、圧力若しくは熱またはそれらの組み合わせを用いて行われるものである、方法。
【請求項24】
請求項17に記載の方法において、前記圧力は、圧力上昇、圧力降下、またはそれらの組み合わせである、方法。
【請求項25】
請求項18に記載の方法において、前記圧力は、圧力増加および圧力降下である、方法。
【請求項26】
請求項17に記載の方法において、前記汚染水流中の微細胞生物の5%~100%が溶解されるものである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年2月4日に出願された米国仮出願第63/145,912号の利益を主張するものであり、それは参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、生物学的汚染水の、例えば都市または工業用水処理施設における生物学的汚染水の処理に関する。より具体的には、本開示は、生物学的汚染水の細胞溶解、生物学的汚染水中の病原体の破壊、および生物学的汚染水流の脱水のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
生物学的酸素要求量(BOD:Biological Oxigen Demand)の観点から測定される有機物のレベルが高い汚染水は、多くの場合、その汚染水から有機物を除去するために生物学的処理プロセスを用いる。このプロセスは生物有機体(主に細菌)の指数関数的な増殖に好ましい環境を作り出すが、その生物有機体の増殖には細胞の再生のために汚染水中の有機廃棄物が利用される。生物学的処理プロセスの結果、有機物質が水から除去され(水中のBODレベルが低下し)、多数の生物有機体が生成される。多くの場合、生成されるバイオマスの一種は活性汚泥という。生成される余剰なバイオマスは余剰活性汚泥(WAS:Waste Activated Sludge)という。
【0004】
このような生物学的処理プロセスに関連する1つの問題は、汚染廃棄物中の固形分の最終処分に関する。WAS、すなわち生物学的処理プロセス内で不要になったバイオマスは、一般的に(肥料として)再利用可能な製品として、または埋立地で処分される。しかしながら、WASは単純に処分できる廃棄物ではない。これはWASが病原体(病気を引き起こす細菌)を含むためであり、また、それは水を保持しやすい。それ故、従来の水分離技術を用いてWASの全体積を減らすことは困難である。米国のほぼ全ての都市下水処理施設(約16,000か所)で毎日WASが生成されるため、WASの廃棄は大きな問題となっている。
【0005】
米国内の多くの場所では、WASは、固形分含有量約20%、水分含有量約80%まで脱水される。その後、それは廃棄のために埋立地に送られる。大規模な都市施設では、WASの処理に消化槽を用いることが多いが、これによりエネルギー生産用の天然ガスが生成され、最終処分量がわずかに減少し、また、最も重要なことに、病原体が破壊され、WASの再利用用途がより安全になる。しかしながら、消化槽を用いる場合でも、WASの脱水は改善しない。すなわち、固形分約20%対水分80%の比率がまだ残っている。
【0006】
標準規模の下水処理施設(米国に16,000あるシステムのうちの1つ)が1日あたり3,000ポンドの乾燥WASを生成するとすると、これは、一日あたり約15,000ポンドの脱水WASが再利用または廃棄のために出荷されることを意味する。米国各地の埋立地におけるWASの処分コストは上昇しており、常に1トンあたり50ドルを超えている。これは、国中の下水処理施設に多大なコストをもたらす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、病原体を破壊することによって消化槽のように汚泥を調整できるシステムを開発することが有利であることを見出した。さらに、WASをより高い固形分/水分比まで脱水して、廃棄コストを削減し、再利用の可能性を高めることができるシステムも必要である。
【0008】
本開示で説明されるシステムおよび方法は、固形分対水分比が最大4%対96%以上の比率で(WASなどの)生物学的廃水流を処理および調整するように動作可能である。生物学的廃水流がそのように調整されることにより、消化槽および/または脱水技術を通じた更なる処理の準備が整う。本明細書に記載のシステムおよび方法は、消化プロセスと脱水プロセスの両方を強化する。消化槽を用いる用途では、前記システムおよび方法は処理速度を向上させることができ、それにより、消化槽がより小さいサイズの消化槽内でより大きな流量を処理することができる。他の利点として、嫌気性消化槽と組み合わせて用いると、バイオガス(メタン)の生成がさらに25%増加することが期待される。さらに、好気性または嫌気性消化槽と組み合わせて用いると、固形分の生成がさらに25%削減されることが期待される。脱水について、前記システムおよび方法は生物学的廃水流の脱水性を向上させて、廃棄される物質の全体積を削減することができる。向上した消化および脱水による利益は、本明細書に記載のシステムおよび方法に関連する追加の運転コストおよびエネルギーコストを上回ると推定される。
【0009】
一例において、生物学的廃水流を処理して生物学的廃水流内の病原体を溶解するシステムが提供される。このシステムは、生物学的廃水流を受け取り、当該生物学的廃水流中の液体から蒸気を分離するように構成されたフラッシュ容器と、前記フラッシュ容器から前記分離された蒸気を受け取り、前記生物学的廃水流に再導入するために当該分離された蒸気を圧縮するように構成されたブロワーと、前記フラッシュ容器から前記分離された液体を受け取り、当該分離された液体を加圧して循環流に入れるように構成された循環ポンプと、前記循環流から処理水を受け取り、前記生物学的廃水流を予熱するように構成された予熱交換器と、前記フラッシュ容器が受け取る前に前記生物学的廃水流の圧力を下げるように構成された圧力降下装置とを含むことができる。
【0010】
一例において、システムは、さらに、前記フラッシュ容器と前記ブロワーとの間に配置されたミスト分離器を有することができる。前記ミスト分離器は、前記分離された蒸気から液体を抽出するように動作可能であってよい。
【0011】
一例において、生物学的に汚染された廃水流は、前記循環ポンプと前記圧力降下装置との間において前記循環流と合流するものである。前記処理水は、前記ポンプと、前記循環流と前記生物学的に汚染された廃水流との合流との間において、前記循環流から分離されるものである。さらに、前記生物学的に汚染された廃水流が前記圧力降下装置に導かれる前に、当該生物学的に汚染された廃水流を加熱するように動作可能な熱交換器を設けることができる。
【0012】
他の例では、生物学的に汚染された廃水流内の病原体を溶解するように当該生物学的に汚染された廃水流を処理するシステムが提供される。このシステムは、病原体および固形分を含む生物学的汚染水流を有する循環流に熱を加えるように構成された熱源と、前記循環流を受け取り、当該循環流からの液体から蒸気を分離するように構成されたフラッシュ容器と、前記フラッシュ容器から前記分離された蒸気を受け取るように構成されたブロワーとを有することができる。前記ブロワーは前記分離された蒸気を圧縮することができ、次いで、その分離された蒸気を前記循環流に再導入することで蒸発潜熱を回収することができる。
【0013】
このシステムは、さらに、前記フラッシュ容器から前記分離された液体を受け取り、当該分離された液体を加圧して前記循環流に入れるように構成された循環ポンプと、前記フラッシュ容器が前記循環流を受け取る前に前記循環流の圧力を下げるように構成された圧力降下装置とを有することができる。前記圧力降下装置および前記循環ポンプは前記循環流内の病原菌の細胞壁の破壊を引き起こし得るものである。このシステムは、さらに、前記循環流から処理水を受け取って前記循環流に加える導入水を予熱することで当該処理水から熱を回収するように構成された予熱交換器を有することができる。
【0014】
一例において、前記熱源は熱交換器である。他の例では、前記熱源は前記循環流へ補給蒸気を加えることを含むものである。
【0015】
一例において、前記分離された蒸気は、前記フラッシュ容器と前記循環ポンプの間において前記循環流に再導入されるものである。
【0016】
他の例では、生物学的汚染水蒸気中の病原体から水を回収する方法が提供される。この方法は、処理水流からの熱を用いて生物学的汚染水流を予熱する工程と、前記予熱された生物学的汚染水流を循環流に加える工程と、前記循環流を加圧し且つ加熱する工程と、前記循環流の圧力を下げる工程と、前記循環流中の液体から蒸気を分離する工程と、前記蒸気を圧縮し、当該蒸気を前記循環流に再導入する工程と、前記循環流から前記処理水流を排出する工程とを有する。
【0017】
一例において、前記循環流は、前記液体からの前記蒸気の分離と、前記循環流への前記予熱された生物学的汚染水流を加えることとの間において、加圧されるものである。
【0018】
一例において、この方法は、さらに、前記予熱された生物学的汚染水流を前記循環流に加えた後に、前記循環流に追加の熱を加える工程を有することができる。この方法はまた、前記蒸気を圧縮する前に前記蒸気から液体流を抽出する工程と、当該液体流を前記循環流に加える工程とを有することができる。一例において、前記循環流を加圧する前に、前記蒸気は前記循環流に再導入されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の実施形態の更なる特徴および利点は、本発明の特徴を例として示す添付図面と併せて以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【
図1】
図1は、例示的な実施形態における生物学的汚染水を処理するシステムの概略図である。
【
図2】
図2は、例示的な実施形態における生物学的汚染水を処理するシステムの概略図である。
【
図3】
図3は、例示的な実施形態における生物学的汚染水を処理するシステムの概略図である。 ここで、図示される例示的な実施形態を参照し、本明細書においてそれらを説明するために特定の用語を用いる。ただし、それらは本発明の範囲を限定することを意図したものではないことが理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態を説明する前に、本開示は、本明細書に開示される特定の構成、プロセス工程、または材料に限定されるものではなく、関連技術の当業者によって認識されるであろうその等価物にまで広がっていることを理解されたい。また、本明細書で用いる用語は、特定の例または実施形態を説明する目的でのみ用いられており、限定することを意図していないことも理解されたい。異なる図面中の同じ参照番号は同じ要素を表す。フローチャートおよびプロセス中で提供される番号は、工程および動作の説明を明確にするために提供されているものであり、必ずしも特定の順序またはシーケンスを示すものではない。
【0021】
さらに、記載されている特徴、構成、または特性は、1若しくはそれ以上の実施形態において任意の好適な方法で組み合わせることができる。以下の説明では、本発明の様々な実施形態の十分な理解を提供するために、組成物、剤形、処理などについての例といった多くの具体的な詳細が提供されている。しかしながら、当業者であれば、そのような詳細な実施形態は、本明細書で明示される全体的な発明概念を限定するものではなく、単にその代表的なものであることを理解されよう。
【0022】
本明細書で用いられる場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかに他段の指示がない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「流れ」への言及は、1若しくはそれ以上のそのような流れへの言及を含み、「生物(有機体)」への言及は、1若しくはそれ以上のそのような生物への言及を含む。
【0023】
本開示において、「有する(comprise)」、「有する(comprising)」、「含む(containing)」および「有する(having)」等は、米国特許法においてそれらに付与される意味を有することができ、また、「含む(includes)」、「含む(including)」等を意味し、一般的にオープンエンド用語であると解釈される。「からなる(consisting of)」または「からなる(consists of)」という用語は、クローズドの用語であり、かかる用語と関連して具体的に列挙された構成要素、構成、工程等のみを含むとともに、米国特許法に従ったものである。「実質的にからなる(Consisting essentially of)」または「実質的にからなる(consists essentially of)」は米国特許法によって一般的に付与される意味を有する。特に、このような用語は一般にクローズドの用語であるが、それに関連して使用される品目の基本的かつ新規な特性または機能に重大な影響を与えない追加の品目、材料、構成要素、工程、または要素を含めることを許可するという例外がある。例えば、組成物中に存在するが組成物の性質や特性に影響を及ぼさない微量元素は、「本質的に~からなる」という用語の下では、そのような用語に続く品目のリストに明示的に記載されていなくても、許容されるであろう。本明細書の説明において「有する」または「含む」などのオープンエンド用語を用いる場合、「~からなる」という語句とともに、「本質的に~からなる」という語句にも、明示的に記載されているかのように、またはその逆なように、直接サポートが提供されるべきであることが理解されよう。
【0024】
本明細書および特許請求の範囲における「第1」、「第2」、「第3」、「第4」などの用語は、類似する要素を区他するために用いられており、必ずしも特定の連続的または時系列的な順序を説明するために用いられているわけではない。このように用いられる用語はいずれも、本明細書に記載される実施形態が、例えば、本明細書に図示またはその他方法で説明したもの以外のシーケンスで動作できるような適切な状況下では交換可能であることを理解されたい。同様に、ある方法が一連の工程を有するものとして記載されている場合、提示されたそのような工程の順序は、そのような工程が実行され得る唯一の順序であるとは限らず、記載された工程のうちの或るものは場合により省略されてもよく、および/または本明細書に記載されていないその他の或る工程がその方法に追加されてもよい。
【0025】
本明細書で用いられる場合、「増加した」、「減少した」、「より良い」、「より悪い」、「より高い」、「より低い」、「強化された」、「最大化された」、「最小化された」などの比較用語は、周囲または隣接する領域にある、同様に位置している、単一のデバイス若しくは組成物中にある、または複数の比較可能なデバイス若しくは組成物中にある、或るグループ若しくはクラス中にある、複数のグループ若しくはクラス中にある、既知の状態の技術との比較による、他のデバイス、構成要素、組成物、活性とは測定可能に異なるデバイス、構成要素、組成物、または活性の特性をいう。
【0026】
本明細書で用いられる場合、「微生物」という用語は、肉眼で個他に見ることができないほど小さな任意の生物をいう。いくつかの微生物は、内部細胞小器官および核酸などの成分を収容するセルロースまたは脂質構造を含む細胞壁または他の膜を含んでいることがあり、さらに水または他の液体を含んでいることがある。このような微生物の例としては、これらに限定されないが、藻類、細菌、胞子、ウイルス、原生動物などを含み得る。本明細書で用いられる場合、「病原体」という用語は、任意の疾患促進微生物をいう。
【0027】
本明細書で用いられる場合、「生物学的廃水」、「生物学的に汚染された廃水」、および「生物学的汚染水」は、交換可能に用いることができ、これらおよび同様の用語は、測定可能な量の少なくとも1つの微生物を含む組成物または溶液(例えば、水溶液)をいう。
【0028】
本明細書で用いられる場合、「結合された」という用語は、化学的、機械的、電気的、または非電気的な方法で直接的または間接的に接続されることとして定義される。互いに「隣接する」と本明細書で説明される物体は、その語句が使用される文脈に応じて、互いに物理的に接触している、互いに近接している、または互いに同じ一般的領域またはエリアにある可能性がある。「直接的に結合された」物体または要素は、互いに物理的に接触している。
【0029】
本明細書において、「一実施形態において」または「一態様において」の語句の出現は必ずしも全てが同じ実施形態または態様を指すとは限らない。
【0030】
本明細書で用いられる場合、「実質的に」という用語は、動作、特性、特質、状態、構成、品目、または結果の完全またはほぼ完全な範囲または程度をいう。例えば、「実質的に」囲まれた物体は、その物体が完全に囲まれているか、ほぼ完全に囲まれていることを意味する。絶対的な完全性からの逸脱の正確な許容範囲は、いくつかの場合では特定の状況に依存する可能性がある。しかしながら、一般的に言って、完成に近いと、絶対的かつ完全な完成が得られるのと同じような全体的結果となる。「実質的に」の使用は、動作、特性、特質、状態、構成、品目、または結果が完全にまたはほぼ完全に欠如していることを指す否定的な意味合いで使用される場合にも同様に適用される。例えば、粒子を「実質的に含まない」組成物は、粒子が完全に欠如しているか、粒子がほぼ完全に欠如しており、それは、粒子が完全に欠如しているのと同じような効果が得られる。すなわち、或る成分または要素を「実質的に含まない」組成物は、その測定可能な影響がない限り、実際にはそのような品目を依然として含んでいてもよい。
【0031】
本明細書で用いられる場合、「約」という用語は、所与の値が一定の数値範囲の端点より「わずかに大きく」または「わずかに小さく」てもよいとして、その端点に柔軟性を与えるため使用される。特に明記しない限り、特定の数または数値範囲に合わせて「約」という用語の使用は、「約」という用語なしでもそのような数値用語または数値範囲をサポートするものであると理解されるべきである。例えば、便宜および簡潔性のために、「約50オングストローム~80オングストローム」という数値範囲は、「50オングストローム~80オングストローム」の範囲をサポートするものであると理解されるべきである。さらに、本明細書では、「約」という用語が使用される場合でも、実際の数値がサポートされることを理解されたい。例えば、「約」30という記載は、30を少し上回る値と少し下回る値をサポートするだけでなく、30という実際の数値もサポートすると解釈されるべきである。
【0032】
本明細書では、複数の品目、構成要素、組成物の要素、および/または材料が、便宜上、共通のリストで示されている場合がある。しかしながら、これらのリストは、そのリストの各メンバーが個別の一意のメンバーとして個々に特定されるように解釈すべきである。そのため、そのようなリストの個々のメンバーと、同じリストの他の任意のメンバーとは、他段の断りがない限り、共通の群内におけるそれらの表現だけに基づいて、事実上等価であると解釈すべきではない。
【0033】
濃度、量、レベルおよびその他の数値データは、本明細書では範囲形式で表現または提示されていることがある。このような範囲形式は単に便宜上および簡潔性のために使用されており、したがって、このような範囲形式は、範囲の限定として明示的に記載される数値だけでなく、各数値および部分範囲が明示的に記載されているかのように、全ての個々の数値または部分範囲もしくはその範囲内に含まれる少数単位をも含むように柔軟に解釈されるべきであることを理解されたい。その一例として、「約1~約5」という数値範囲は、明示的に記載された値である約1~約5を含むだけでなく、その示された範囲内の個々の値および部分範囲も含むものと解釈すべきである。したがって、この数値範囲には、個々の値、例えば2、3、4、および部分的範囲、例えば1~3、2~4、3~5など、また、個々の1、2、3、4、および5が含まれる。これと同じ原則は、最小値または最大値として1つの数値のみを記載している範囲にも当てはまる。さらに、そのような解釈は記載されている範囲の幅または特性にかかわらず適用されるべきである。
【0034】
本明細書全体を通じて「一例」への言及は、その例に関連して説明される特定の特徴、構成、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細中の様々な箇所における「一例において」という語句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではない。
【0035】
本開示は、廃棄物活性汚泥(WAS)などの生物学的に汚染された水中の生物(例えば、細菌)細胞を分解(溶解)するために熱を用いる熱システムについて説明する。例えば、液体の温度を100℃以上に上げると、細菌の細胞壁が弱くなり、破裂し始める。さらに、圧力が急速に変化すると、細胞にかかる外部圧力に基づいて細菌細胞が膨張および/または収縮し、細胞壁がさらに弱まり、壊れる。本明細書に開示されるシステムおよび方法は、一方または両方の技術を用いて汚染水中の細胞を溶解し、それにより、細胞内に捕捉されていた水を放出させることができる。さらに、温度上昇と急激な圧力変化により、汚染水中の大きな鎖状ポリマーや複雑な有機分子が変性する。
【0036】
以下でより詳細に説明するように、本開示は、蒸気および圧力の付加を用いて、システムにおいて汚染水を標準大気圧での沸点以上に加熱することができる。次いで、システムはポンプを用いて、沸騰した汚染水をオリフィスを通して循環させることができる。これにより液体の圧力を継続的に上下させることができ、それにより、汚染水中の生物の細胞壁に対する圧力が上下する。さらに、システム内で活発な沸騰によって生成された蒸気を収集し、ブロワーを通じて圧縮して、液体の流れに再注入することができる。これにより、沸騰した溶液からの蒸発潜熱を回収することができ、効率が向上する。
【0037】
このシステムは、エネルギーの節約に留意しつつ、細胞の溶解および汚染水の変性を達成することができる。出ていく汚染水は熱交換器へと送ることができ、当該熱交換器は熱エネルギーをちょうど入ってくる流入汚染水に戻すことで熱エネルギーを回収することができる。さらに、前述したように、蒸気の形で遊離した水を圧縮し導入汚染水に再注入して、蒸発潜熱を回収することができる。全体として、このシステムは、乾燥状態の汚染水固形分1トンあたり約500KWHのエネルギー需要で、汚染水流の完全な細胞破壊を引き起こすことができると推定される。標準的なエネルギーコスト0.08ドル/KWHで、乾燥状態の汚染水固形分1トンあたり40ドルのコストになる。比較としては、湿潤状態の汚染水固形分の推定処理コストは1トンあたり50ドル(これは乾燥トンの体積の5倍になる可能性がある)であり、この国の埋立処分の一般的な料金である。これら2つの値の比較からすれば、本明細書に記載のシステムおよび方法を用いることにより廃棄コストを大幅に削減することができる。汚染水中において病原菌も死滅することを考慮すると、その生成物を埋立処分用に考えるだけでなく、再利用の可能性が高まる。
【0038】
上述したように、本システムは消化槽と組み合わせて用いることができる。本システムは処理速度を向上させることができ、それにより、消化槽は、より小さなサイズの消化槽内でより大きな流量を処理できるようになる。いくつかの例において、本システムは消化槽の前において前処理として実施することができ、生物学的に汚染された廃水流の消化槽への流れを管理することができる。いくつかの例において、本システムは消化槽の後部から前部まで循環する後流(slipstream)として構成することができる。いくつかの例において、消化槽は嫌気性消化槽であってもよい。
【0039】
次に、システムおよび方法の非限定的な例を図面を参照して説明する。
図1は、水処理サービスを提供するシステムの一実施形態を示す概略ブロック図である。細胞壁を溶解して細胞内の水および流体を放出させることによって汚染水を処理するように動作可能なシステム1が提供され、それにより水の濾過が容易になり、したがって廃棄する固形分が最小限になる。システム1はさらに、EPA仕様に従う温度および滞留時間によって危険な病原体を破壊するように動作可能であり、固形分の処分を容易にすることにさらに貢献する。
【0040】
システム1は、当該システム1に入る生物学的汚染水の供給流100と、システム1から出る処理水流119とを含むことができる。生物学的汚染水の供給流100は、これらに限定されないが、廃棄物活性汚泥消化槽(例えば、好気性消化槽または嫌気性消化槽)、フィルタ、遠心分離機、病院、医薬品製造、食品工場など、汚染水を生成する任意の上流の装置またはプロセスから来るものであってよい。また、汚染水流100は、異なる濃度範囲の固形分(例えば、0%~30%)を含み得る。システム1を出る処理水119は、更なる処理または固形分分離のために送ることができるが、それはここには示していない。処理水119の固形分含有量および体積は、汚染された供給蒸気100と同じか、それよりわずかに多い可能性がある。
【0041】
システム1は、生物学的汚染水流100を取り込み、それを、熱処理水流118を熱源として用いて予熱交換器101内で予熱する。これは、システム1から熱を回収し、システム1の効率を向上させ、したがって、システム1に関連するエネルギーコストを削減するのに役立つ。予熱された生物学的汚染水流102は、その後、循環流106に合流する。
【0042】
次に、循環流106中の汚染水の循環について、
図1に示すフラッシュ容器103から始め、説明する。フラッシュ容器103の底部にある液体はフラッシュ容器103から出て、ライン104を介して循環ポンプ105に吸引される。
【0043】
循環ポンプ105は、循環流106中の汚染水の圧力を上昇させるように動作可能である。例えば、循環ポンプ105は、循環流106の圧力を約15PSIGから約100PSIGまで上昇させることができる。循環ポンプ105を通る流量は、例えば、生物学的汚染水の供給100の流量の約5倍~約400倍とすることができる。循環ポンプ105は循環流106内へ排出する。次に、主循環流106は、主循環流106の一部106Aと、熱処理水流118とに分岐するものであり、熱処理水流118はその後、熱交換器101に入り、上述のように処理水流119としてシステム1から出る。
【0044】
循環ポンプ105は、遠心ポンプ、容積式ポンプ、ダイヤフラムポンプ、またはその他の種類のポンプであってよい。予熱された汚染水の供給102は、主循環流106の部分106Aと合流して、主循環流106の部分106Bを形成する。ブロワー113からの圧縮蒸気114は、蒸気スパージャ115を介して部分106Bの主循環流106に注入され、部分106Cの主循環流106を加熱することができる。
【0045】
補給蒸気116は蒸気スパージャ117を介して主循環106Cに導入され、循環流106の部分106Dに補熱を供給することができる。補給蒸気116は、システム1に熱エネルギーを加えるために外部源から供給することができる。蒸気スパージャ115および117は、穴あきパイプ、エダクタ、またはパイプ内で蒸気と液体を混合できるその他の装置であってよい。次に、主循環流106の加熱された部分106Dを圧力降下装置107を通じて勢いよく流し循環流106の部分106Eにおいて蒸気を形成することができ、その後、これをフラッシュ容器103内のフラッシュスパージャ108に導入することができ、そこで蒸気と液体が分離される。圧力降下装置107は、オリフィスプレート、バルブ、ゲート、ドア、収縮部(例えば、ベンチュリ)、フィルタ、接合部、屈曲部、または圧力降下を生じさせるその他の装置もしくは構成であってよい。圧力降下装置107は、高い温度および高圧から低圧への変化により多くの細胞溶解が発生し得る場所である。いくつかの実施形態において、圧力降下は約100PSIGから50PSIGまでであってよい。いくつかの他の実施形態では、降下は約150PSIGから約15PSIGまでであってよい。いくつかの実施形態において、圧力降下は、より高い圧力からより低い圧力まであってよく、約10%の圧力降下から約90%の圧力降下であってもよい。他の実施形態では、特定の結果を達成するために、必要に応じて、降下は約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、またはそれらの間の他の割合の降下であってもよい。このような圧力降下は、本明細書で説明するように、微細胞生物の溶解に大きく寄与し得る。主循環流106内の温度は、華氏150度~300度の範囲であってもよく、当該温度範囲は生物学的汚染水流100を介してシステム1に導入された全ての病原体を破壊するのに十分なものである。
【0046】
効率を高めるために、フラッシュ容器103からの蒸気を捕捉し、ライン109を通ってミストエリミネータ110に入るよう導くことができ、当該ミストエリミネータでミストが蒸気から分離される。ミストエリミネータ110から回収された液体は、ライン111を通ってフラッシュ容器103に再導入される。ミストエリミネータ110からの乾燥蒸気は、ライン112を通って導かれブロワー113内で圧縮することができる。例えば、ブロワー113の出口での圧力は、5PSIG~30PSIGの間とすることができる。ブロワー113は、回転ローブ、ファン、遠心式、またはその他の種類の圧縮機であってよい。ブロワー113からの圧縮蒸気は、ライン114を通って導かれ、上述したように蒸気スパージャ115を介して部分106Bの主循環流106に再導入される。蒸気の捕捉および再導入のこのプロセスは、システム1内の潜熱を回収して全体の効率を高めるのに役立つ。
【0047】
上述したように、主循環106からの高温処理水118は、循環ライン106から分離され、予熱器101に導かれるものであり、そこで予熱器101は生物学的汚染水供給119を加熱しつつ処理水の排出流119を冷却する。予熱器101は、プレートおよびフレーム、スパイラル、シェルおよびチューブ、またはその他の種類の熱交換であってよい。
【0048】
図2は、水処理サービスを提供するシステムの他の実施形態を示す概略ブロック図である。
図2に示すシステム2は
図1と類似しており、同様の部分が同様の識別子を用いてラベル付けされている。システム2は、細胞壁を溶解することによって汚染水を処理するように動作可能であり、これにより水の濾過が容易になり、したがって廃棄される固形分が最小限になる。システム2はさらに、EPA仕様に従う温度および滞留時間によって危険な病原体を破壊するように動作可能であり、固形分の処分を容易にすることにさらに貢献する。
【0049】
システム2は、当該システム2に入る生物学的汚染水の供給流100と、システム2から出る処理水流119とを含むことができる。生物学的汚染水の供給流100は、これらに限定されないが、廃棄物活性汚泥消化槽、フィルタ、遠心分離機、病院、医薬品製造、食品工場など、汚染水を生成する任意の上流の装置またはプロセスから来るものであってよい。また、汚染水流100は0%~30%の固形分を含み得る。システム2を出る処理水119は、更なる処理または固形分分離のために送ることができるが、それはここには示していない。処理水119の固形分含有量および体積は、汚染された供給蒸気100と同じか、それよりわずかに多い可能性がある。
【0050】
システム2は、生物学的汚染水流100を取り込み、それを、熱処理水流118を熱源として用いて予熱交換器101内で予熱する。これは、システム2から熱を回収し、システム2の効率を向上させ、したがって、システム2に関連するエネルギーコストを削減するのに役立つ。予熱された生物学的汚染水流102は、その後、循環流106に合流する。
【0051】
次に、循環流106中の汚染水の循環について、
図2に示すフラッシュ容器103から始め、説明する。フラッシュ容器103の底部の液体はフラッシュ容器から出て、ライン104を介して循環ポンプ105に吸引される。
図1に示すシステム1とは異なり、ブロワー113から供給される圧縮蒸気はライン214を通って、蒸気スパージャ215Aを介して主循環流106のライン104に注入され、部分104Aの主循環流106をさらに加熱する。次に、主循環流の部分104Aは循環ポンプ105に送られる。
【0052】
循環ポンプ105は、循環流106内の汚染水の圧力を上昇させるように動作可能である。例えば、循環ポンプ105は、循環流106の圧力を15PSIGから100PSIGへ上昇させることができる。循環ポンプ105を通る流量は、例えば、生物学的汚染水の供給100の流量の5~400倍とすることができる。循環ポンプ105は循環流106内へ排出する。次に、主循環流106は、主循環流106の一部106Aと、熱処理水流118とに分岐するものであり、熱処理水流118はその後、熱交換器101に入り、上述のように処理水流119としてシステム1から出る。
【0053】
循環ポンプ105は、遠心容積式ポンプ、ダイヤフラムポンプ、またはその他の種類のポンプであってよい。予熱された汚染水供給102は、主循環流106の部分106Aと合流して、主循環流106の部分106Bを形成する。補給蒸気116が蒸気スパージャ117を介して主循環106Bに導入され、循環流106の部分106Cに補熱を供給することができる。補給蒸気116は、システム1に熱エネルギーを加えるために外部源から供給することができる。
【0054】
蒸気スパージャ215Aおよび117は、穴あきパイプ、エダクタ、またはパイプ内の蒸気と液体を混合できるその他の装置であってよい。次に、圧力降下装置107を通じて主循環流106の加熱された部分106Dを勢いよく流して循環流106の部分106Eにおいて蒸気を形成することができ、次いで、これをフラッシュ容器103内のフラッシュスパージャ108に導入することができ、そこで蒸気と液体が分離される。圧力降下装置107は、オリフィスプレート、バルブ、または圧力降下を生じさせるその他の装置であってよい。圧力降下装置107は、高い温度および高圧から低圧への変化により多くの細胞溶解が発生し得る場所である。主循環流106内の温度は、華氏150度~300度の範囲であってもよく、当該温度範囲は生物学的汚染水流100を介してシステム1に導入された全ての病原体を破壊するのに十分なものである。
【0055】
効率を高めるために、フラッシュ容器103からの蒸気を捕捉し、ライン109を通ってミストエリミネータ110に入るように導くことができ、当該ミストエリミネータ110でミストが蒸気から分離される。ミストエリミネータ110から回収された液体は、ライン111を通って導かれフラッシュ容器103に再導入される。ミストエリミネータ110からの乾燥蒸気は、ライン112を通って導かれブロワー113内で圧縮することができる。例えば、ブロワー113の出口での圧力は、5PSIG~30PSIGの間とすることができる。ブロワー113は、回転ローブ、ファン、遠心式、またはその他の種類の圧縮機であってよい。次いで、ブロワー113からの圧縮蒸気は、ライン214を通って導かれ、上述したように、蒸気スパージャ215Aを介して主循環106に再導入される。蒸気の捕捉および再導入のこのプロセスは、システム2内の潜熱を回収して全体の効率を高めるのに役立つ。
【0056】
上述したように、主循環106からの高温処理水118は、循環ライン106から分離され、予熱器101に導かれるものであり、そこで予熱器101は生物学的汚染水供給119を加熱しつつ処理水の排出流119を冷却する。予熱器101は、プレートおよびフレーム、スパイラル、シェルおよびチューブ、またはその他の種類の熱交換であってよい。
【0057】
図3は、水処理サービスを提供するシステムの他の実施形態を示す概略ブロック図である。
図3に示すシステム3は、
図1および
図2と類似しており、同様の部分が同様の識別子を用いてラベル付けされている。システム3は、細胞壁を溶解することによって汚染水を処理するように動作可能であり、これにより水の濾過が容易になり、したがって廃棄される固形分が最小限になる。システム3はさらに、EPA仕様に従う温度および滞留時間によって危険な病原体を破壊するように動作可能であり、固形分の処分を容易にすることにさらに貢献する。
【0058】
システム3は、当該システム3に入る生物学的汚染水の供給流100と、システム3から出る処理水流119とを含むことができる。生物学的汚染水の供給流100は、これらに限定されないが、廃棄物活性汚泥消化槽、フィルタ、遠心分離機、病院、医薬品製造、食品工場などの、汚染水を生成する任意の上流の装置またはプロセスから来るものであってよい。また、汚染水流100は0%~30%の固形分を含み得る。システム3を出る処理水119は、更なる処理または固形分分離のために送ることができるが、それはここには示していない。処理水119の固形分含有量および体積は、汚染された供給蒸気100と同じか、それよりわずかに多い可能性がある。
【0059】
システム3は、生物学的汚染水流100を取り込み、それを、熱処理水流118を熱源として用いて予熱交換器101内で予熱する。これは、システム3から熱を回収し、システム3の効率を向上させ、したがって、システム3に関連するエネルギーコストを削減するのに役立つ。予熱された生物学的汚染水流102は、その後、循環流106に合流する。
【0060】
次に、循環流106中の汚染水の循環について、
図3に示すフラッシュ容器103から始め、説明する。フラッシュ容器103の底部にある液体はフラッシュ容器103から出て、ライン104を介して循環ポンプ105に吸引される。
【0061】
循環ポンプ105は、循環流106内の汚染水の圧力を上昇させるように動作可能である。例えば、循環ポンプ105は、循環流106の圧力を15PSIGから100PSIGまで増加させることができる。循環ポンプ105を通る流量は、例えば、生物学的汚染水の供給100の流量の5~400倍とすることができる。循環ポンプ105は循環流106内へ排出する。次に、主循環流106は、主循環流106の一部106Aと、熱処理水流118とに分岐するものであり、熱処理水流118はその後、熱交換器101に入り、上述のように処理水流119としてシステム1から出る。
【0062】
循環ポンプ105は、遠心ポンプ、容積式ポンプ、ダイヤフラムポンプ、またはその他の種類のポンプであってよい。予熱された汚染水供給102は、主循環流106の部分106Aと合流して、主循環流106の部分106Bを形成する。
【0063】
図3に示すように、循環流106の部分106Bは熱交換器321内へ導くことができる。熱交換器は、熱交換器321に熱を提供するために外部源から取り込まれる熱入力316を有する。熱交換器321から出る戻りライン322が設けられている。いくつかの実施形態において、熱入力316および戻りライン322は、外部源からシステム3に熱をもたらす閉ループ流体流の一部とすることができる。熱交換器321は、主循環流の部分106Cで熱交換器321を出る主循環流106に、熱エネルギーを加える。
【0064】
ブロワー113からの圧縮蒸気114は、蒸気スパージャ115を介して部分106Cの主循環流106に注入され、部分106Dの主循環流106をさらに加熱することができる。蒸気スパージャ115は、穴あきパイプ、エダクタ、またはパイプ内で蒸気と液体を混合できる他の装置であってよい。次に、圧力降下装置107を通じて主循環流106の加熱された部分106Dを勢いよく流して循環流106の部分106Eに蒸気を形成することができ、次いで、これをフラッシュ容器103内のフラッシュスパージャ108に導入することができ、そこで蒸気と液体が分離される。圧力降下装置107は、オリフィスプレート、バルブ、または圧力降下を生じさせるその他の装置であってよい。圧力降下装置107は、高い温度および高圧から低圧への変化により多くの細胞溶解が発生し得る場所である。主循環流106内の温度は、華氏150度~300度の範囲であってもよく、当該温度範囲は生物学的汚染水流100を介してシステム1に導入された全ての病原体を破壊するのに十分なものである。
【0065】
いくつかの実施形態において、循環流の圧力上昇が、細胞微生物(例えば、細菌)の溶解を誘発し、または引き起こすことができる。他の実施形態では、循環流の圧力の降下または変化が、細胞微生物の溶解を誘発し、または引き起こすことができる。更なる他の実施形態では、循環流に加えられる熱が、細胞微生物の溶解を誘発し、または引き起こすことができる。更なる実施形態では、上記のうちの2つ以上の組み合わせ(例えば、圧力上昇、圧力降下、または温度)が、循環流中で細胞微生物の溶解を誘発し、または引き起こすことができる。いくつかの実施形態において、これらの条件のうちの1若しくはそれ以上(例えば、任意の個々の、2つのうちの任意の組み合わせ、または3つ全ての組み合わせ)は、循環流中の細胞微生物の5%~100%にとって十分である可能性がある。他の実施形態では、これらの条件または事象の1若しくはそれ以上は、循環流中の細胞微生物の20%~100%を溶解するのに十分である可能性がある。他の実施形態では、溶解される細胞微生物の量は、50%、60%、70%、80%、90%、または95%を超えてもよい。いくつかの実施形態において、これらの条件または事象のうちの1若しくはそれ以上は、ウイルスおよび他の核酸材料などの循環流中の他の非細胞性病原体を殺す、破壊する、またはその他の方法で(例えば、変性などによって)不活化または非活化することができる。前述したように、細胞微生物を含む細胞物質の溶解、および液体(水など)やその他の内部物質の放出により、システムによって排出される固形分が大幅に減少し、水の更なる回収または転用が可能になる。
【0066】
効率を高めるために、フラッシュ容器103からの蒸気を捕捉し、ライン109を通ってミストエリミネータ110に入るように導くことができ、当該ミストエリミネータ110でミストが蒸気から分離される。ミストエリミネータ110から回収された液体は、ライン111を通って導かれフラッシュ容器103に再導入される。ミストエリミネータ110からの乾燥蒸気は、ライン112を通って導かれブロワー113内で圧縮することができる。例えば、ブロワー113の出口での圧力は、5PSIG~30PSIGの間とすることができる。ブロワー113は、回転ローブ、ファン、遠心式、またはその他の種類の圧縮機であってよい。ブロワー113からの圧縮蒸気は、ライン114を通って導かれ、上述したように、蒸気スパージャ115を介して部分106Cの主循環流106に再導入される。蒸気の捕捉および再導入のこのプロセスは、システム1内の潜熱を回収して全体の効率を高めるのに役立つ。
【0067】
上述したように、主循環106からの高温処理水118は、循環ライン106から分離され、予熱器101に導かれるものであり、そこで予熱器101は生物学的汚染水供給119を加熱しつつ処理水の排出流119を冷却する。予熱器101は、プレートおよびフレーム、スパイラル、シェルおよびチューブ、またはその他の種類の熱交換であってよい。
【0068】
前述の例は、1若しくはそれ以上の特定の用途における本発明の原理を説明するものであるが、創造性を働かせることなく、また、本発明の原理および概念から逸脱することなく、形態、使用法、および実施の詳細において多数の修正を加えることができることが当業者には明らかであろう。したがって、以下に記載の特許請求の範囲による場合を除き、本発明が限定されることは意図されていない。
【国際調査報告】