(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】センサアレイ、センサアレイを動作させるための方法、およびセンサアレイを動作させるための方法を実行するためのコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/388 20210101AFI20240220BHJP
H03M 3/02 20060101ALI20240220BHJP
A61B 5/294 20210101ALI20240220BHJP
A61B 5/311 20210101ALI20240220BHJP
【FI】
A61B5/388
H03M3/02
A61B5/294
A61B5/311
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547613
(86)(22)【出願日】2021-11-08
(85)【翻訳文提出日】2023-10-03
(86)【国際出願番号】 EP2021080979
(87)【国際公開番号】W WO2022167112
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523297505
【氏名又は名称】アルベルト-ルートヴィヒス-ウニヴェルジテート フライブルク
【氏名又は名称原語表記】Albert-Ludwigs-Universitaet Freiburg
【住所又は居所原語表記】Friedrichstrasse 39 79098 Freiburg,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100134119
【氏名又は名称】奥町 哲行
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンドラー・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】デドリゴ・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】マノリ・イアノス
【テーマコード(参考)】
4C127
5J064
【Fターム(参考)】
4C127AA04
4C127DD01
4C127GG11
4C127KK07
4C127LL08
5J064BA03
5J064BA06
5J064BC05
5J064BC06
5J064BC10
5J064BC11
5J064BC15
5J064BC16
(57)【要約】
センサアレイは、プローブ信号を提供するためのベースと、複数のモジュール式記録サイトとを備える。複数のモジュール式記録サイトの各モジュール式記録サイトは、信号を受信し、インサイチュアナログデジタル変換器を使用して信号をデジタルセンサ信号に変換し、通信インターフェースを使用してデジタルセンサ信号をベースに提供するように構成されている。複数のモジュール式記録サイトの通信インターフェースは、互いにおよびベースに直列に接続され、各インサイチュアナログデジタル変換器は、第1の動作モードおよび第2の動作モードにおいて動作するように構成されている。ベースは、複数のモジュール式記録サイトから複数のデジタルセンサ信号を受信し、複数のデジタルセンサ信号を処理してプローブ信号を提供するように構成されている。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサアレイ(2000)であって、
プローブ信号(112)を提供するためのベース(110、210、330、966、1310、2100)と、
複数(120、220)のモジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)であって、前記複数(120、220)のモジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)の各モジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)が、
CMOS基板(2210)と、
アナログ信号(132
1から132
n、130)を受信するように構成された少なくとも1つのセンサ素子(2220)と、
前記アナログ信号(132
1から132
n、130)をデジタルセンサ信号(134
1から134
n)に変換するように構成されたインサイチュアナログデジタル変換器(226
1から226
n)と、
前記デジタルセンサ信号(134
1から134
n)を前記ベース(110、210、330、966、1310、2100)に提供するように構成された通信インターフェース(2230)と、を備え、
前記複数(120、220)のモジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)の前記通信インターフェース(228
1から228
n、328
1から328
n、440、460、550、2230)が、互いにおよび前記ベース(110、210、330、966、1310、2100)に直列に接続され、
各インサイチュアナログデジタル変換器(226)が、第1の量子化設定を使用して前記アナログ信号(132)の第1の量子化を実行し、前記第1の量子化から残差(225)を取得するために第1の動作モード(227a)において動作し、前記アナログデジタル変換器(226)の同じ要素に対して第2の異なる量子化設定を使用して前記残差(225)の第2の量子化を実行するために第2の動作モード(227b)において動作するように構成されている、センサアレイ。
【請求項2】
各インサイチュアナログデジタル変換器(226)が、信号入力(2240)を備え、前記第1の動作モード(227a)において前記信号入力(2240)と前記信号(132)との間に接続(2242)を提供し、前記第2の動作モード(227b)において前記信号入力(2240)を前記信号(132)から切断する(2244)ように構成されている、請求項1に記載のセンサアレイ。
【請求項3】
前記第1の動作モード(227a)および前記第2の動作モード(227b)が、前記アナログデジタル変換器のデルタシグマ変調器のフィードバックループに印加される増幅、前記デルタシグマ変調器のサンプリングレート、および/または前記デルタシグマ変調器におけるサンプリングのために適用される信号形状の観点から互いに異なる、請求項1または2に記載のセンサアレイ。
【請求項4】
前記第2の動作モード(227b)において、アナログデジタル変換器のデルタシグマ変調器の積分器および/または量子化器および/またはフィードバックDACが、前記第1の動作モード(227a)に関して再使用される、請求項1から3のいずれか一項に記載のセンサアレイ。
【請求項5】
デジタルアナログ変換器のデルタシグマ変調器が、入力-フィードフォワード経路の不在下で実装される、請求項1から4のいずれか一項に記載のセンサアレイ。
【請求項6】
前記アナログ信号(132
1から132
n、130)が生体信号である、請求項1から5のいずれか一項に記載のセンサアレイ(2000)。
【請求項7】
前記複数(120、220)のモジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)の各モジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)が、前記ベース(110、210、330、966、1310、2100)から構成データを受信するように構成された通信インターフェース(228
1から228
n、328
1から328
n、440、460、550、2230)を備え、前記モジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)が、前記受信した構成データに基づいて前記モジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)の前記動作に関するパラメータを適合させるように構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載のセンサアレイ(2000)。
【請求項8】
前記複数(120、220)のモジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)の各モジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)が、通信インターフェース(228
1から228
n、328
1から328
n、440、460、550、2230)を備え、前記通信インターフェース(228
1から228
n、328
1から328
n、440、460、550、2230)がシリアルインターフェースを備え、
前記複数(120、220)のモジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)の前記通信インターフェース(228
1から228
n、328
1から328
n、440、460、550、2230)が、前記ベース(110、210、330、966、1310、2100)から前記センサアレイのセンサアレイエンドポイント(230、310)への順方向経路(352)と、前記センサアレイエンドポイント(230、310)から前記ベース(110、210、330、966、1310、2100)への逆方向経路(354)とを含むシリアル通信チェーンにおいて互いに接続され、第1のモジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)および隣接する第2のモジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)の各ペアについて、前記第1のモジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)の前記通信インターフェース(228
1から228
n、328
1から328
n、440、460、550、2230)が、前記順方向経路(352)に接続され、前記第2のモジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)の前記通信インターフェース(228
1から228
n、328
1から328
n、440、460、550、2230)が、前記逆方向経路(354)に接続される、請求項1から7のいずれか一項に記載のセンサアレイ(2000)。
【請求項9】
前記ベース(110、210、330、966、1310、2100)が、前記複数(120、220)のモジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)から合成センサ信号を受信するように構成され、前記合成センサ信号が、前記モジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)のそれぞれの前記デジタルセンサ信号(134
1から134
n)を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のセンサアレイ(2000)。
【請求項10】
前記複数(120、220)のモジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)の各モジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)が、前記信号(132
1から132
n、130)を前記デジタルセンサ信号(134
1から134
n)に直接変換するように構成された積分器(324
1から324
n、420、510、921)および量子化器(325
1から325
n、430、520、928)を備える、請求項1から9のいずれか一項に記載のセンサアレイ(2000)。
【請求項11】
前記複数(120、220)のモジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)の各モジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)が、隣接するモジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)とは無関係に前記信号(132
1から132
n、130)を前記デジタルセンサ信号(134
1から134
n)に変換するように構成されている、請求項1から10のいずれか一項に記載のセンサアレイ(2000)。
【請求項12】
前記複数(120、220)のモジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)が、軸方向に沿って配置され、前記軸方向に沿ってアレイを形成し、
前記軸方向に垂直な第1の垂直方向に沿った前記ベース(110、210、330、966、1310、2100)の延長部が、最大で、前記第1の垂直方向に沿った前記複数(120、220)のモジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)の延長部であり、
前記軸方向に垂直な第2の垂直方向に沿った前記ベース(110、210、330、966、1310、2100)の延長部が、最大で、前記第2の垂直方向に沿った前記複数(120、220)のモジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)の延長部である、請求項1から11のいずれか一項に記載のセンサアレイ(2000)。
【請求項13】
前記センサアレイ(2000)の軸方向延長部に垂直な平面内の前記複数(120、220)のモジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)の断面が、前記モジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)の数とは無関係である、請求項1から12のいずれか一項に記載のセンサアレイ(2000)。
【請求項14】
前記センサアレイ(2000)が、前記複数(120、220)のモジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)を備える1つまたは複数の列を備える、請求項1から13のいずれか一項に記載のセンサアレイ(2000)。
【請求項15】
前記複数のモジュール式記録サイトの第1のサブセットが、第1の半導体基板上に配置されており、前記複数のモジュール式記録サイトの隣接する隣接する第2のサブセットが、第2の半導体基板上に配置されており、前記第1の半導体基板と前記第2の半導体基板とが、間隙を介して離間しており、少なくとも1本の導電ラインによって電気的に接続されている、請求項1から14のいずれか一項に記載のセンサアレイ(2000)。
【請求項16】
前記少なくとも1つの導電ラインが、可撓性基板上または可撓性基板内に配置される、請求項1から15のいずれか一項に記載のセンサアレイ(2000)。
【請求項17】
前記ベース(110、210、330、966、1310、2100)が、前記プローブ信号(112)を提供するための有線出力インターフェース(218、260、340、942、962)を備え、前記有線出力インターフェース(218、260、340、942、962)のチャネルの数が、前記モジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)の数とは無関係であり、且つ前記センサアレイ(2000)の軸方向延長部に垂直な平面内の前記複数(120、220)のモジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)の断面とは無関係である、請求項1から16のいずれか一項に記載のセンサアレイ(2000)。
【請求項18】
前記複数(120、220)のモジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)が、前記センサアレイ(2000)の前記ベース(110、210、330、966、1310、2100)とセンサアレイエンドポイント(230、310)との間に配置され、前記センサアレイ(2000)が針を形成する、請求項1から17のいずれか一項に記載のセンサアレイ(2000)。
【請求項19】
前記複数(120、220)のモジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)のうちのモジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)が、ハウジングを備え、前記ハウジングが、前記信号(132
1から132
n、130)を受信するためのセンサ部(222
1から222
n、322
1から322
n、410、410
1から410
4、511、964、2220)を備え、隣接するモジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)の前記ハウジングのセンサ部(222
1から222
n、322
1から322
n、410、410
1から410
4、511、964、2220)から前記センサ部(410)を絶縁するための絶縁部(968)を備える、請求項1から18のいずれか一項に記載のセンサアレイ(2000)。
【請求項20】
前記複数(120、220)のモジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)のうちのモジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)が、ハウジングを備え、前記ハウジングが、前記信号(132
1から132
n、130)を受信するための2つ以上のセンサ部(222
1から222
n、322
1から322
n、410、410
1から410
4、511、964、2220)を備え、且つ各センサ部(222
1から222
n、322
1から322
n、410、410
1から410
4、511、964、2220)を前記2つ以上のセンサ部(222
1から222
n、322
1から322
n、410、410
1から410
4、511、964、2220)のうちの別のセンサ部から絶縁するための絶縁部(968)を備える、請求項1から19のいずれか一項に記載のセンサアレイ(2000)。
【請求項21】
前記センサアレイ(2000)の少なくとも1つのモジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)が、少なくとも第1および第2のセンサ素子(222
1から222
n、322
1から322
n、410、410
1から410
4、511、964、2220)を用いて前記信号をサンプリングし、前記第1および第2のセンサ素子(222
1から222
n、322
1から322
n、410、410
1から410
4、511、964、2220)の出力を前記デジタルセンサ信号に多重化するように構成されている、請求項1から20のいずれか一項に記載のセンサアレイ(2000)。
【請求項22】
前記複数(120、220)のモジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)の各モジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)が、アナログ部分(360、920)とデジタル部分(350、910)とに分割され、
前記アナログ部分(360、920)および前記デジタル部分(350、910)が、別個の供給経路(214、334、335、337、514)を備え、
前記デジタル部分(350、910)が、第1の導電性素子(390、930)によって前記アナログ部分(360、920)から遮蔽され、
前記アナログ部分(360、920)および前記デジタル部分(350、910)を前記センサ素子(222
1から222
n、322
1から322
n、410、410
1から410
4、511、964、2220)から遮蔽するように、前記センサ素子(222
1から222
n、322
1から322
n、410、410
1から410
4、511、964、2220)のコネクタ(250、323)を取り囲むように第2の導電性素子(392)が配置され、
前記アナログ部分(360、920)が、前記センサ素子(222
1から222
n、322
1から322
n、410、410
1から410
4、511、964、2220)によって受信された前記信号(132
1から132
n、130)を前記デジタルセンサ信号(134
1から134
n)に変換するように構成され、
前記アナログ部分(360、920)および前記デジタル部分(350、910)が、前記デジタルセンサ信号(134
1から134
n)を前記デジタル部分(350、910)に提供するために結合され、
前記デジタル部分(350、910)が、前記デジタルセンサ信号(134
1から134
n)を前記ベース(110、210、330、966、1310、2100)に提供するように構成されている、請求項1から21のいずれか一項に記載のセンサアレイ(2000)。
【請求項23】
前記センサアレイ(2000)が、生物医学的センサアレイ(2000)、特にニューロンプローブ(2000)である、請求項1から22のいずれか一項に記載のセンサアレイ(2000)。
【請求項24】
各モジュール式記録サイトにおいて、前記生体信号におけるオフセットを補償するように構成されたオフセット補償回路をさらに備える、請求項1から23のいずれか一項に記載のセンサアレイ。
【請求項25】
前記複数のモジュール式記録サイト(2200)のうちのモジュール式記録サイト(2200)によって得られる前記デジタルセンサ信号(134)のデータレートを低減させるように構成されたデータ圧縮ユニット(4000)をさらに備える、請求項1から24のいずれか一項に記載のセンサアレイ。
【請求項26】
前記データ圧縮ユニット(4000)が、第1の時間インスタンスの間に前記モジュール式記録サイト(2200)によって得られた第1のデジタルセンサ信号(134a)と、第2の後の時間インスタンスの間に前記モジュール式記録サイト(2200)によって得られた第2のデジタルセンサ信号(134b)との間の差(4100a)を決定するように構成されている、請求項25に記載のセンサアレイ。
【請求項27】
前記データ圧縮ユニット(4000)が、前記モジュール式記録サイト(2200)によって得られた前記デジタルセンサ信号(134)の2つの連続するサンプル(4110)間の差(4100b)を決定するように構成されている、請求項25に記載のセンサアレイ。
【請求項28】
前記データ圧縮ユニット(4000)が、差(4100)を決定してデルタ信号またはデルタ値を取得するように構成され、前記ベース(2100)が、前記デルタ信号または前記デルタ値に基づいて前記プローブ信号(112)を提供するように構成されている、請求項26または27に記載のセンサアレイ。
【請求項29】
前記ベース(2100)が、前記データ圧縮ユニット(4000)を備え、前記データ圧縮ユニット(4000)が、前記複数のモジュール式記録サイト(2200)から前記ベース(2100)に提供される各デジタルセンサ信号(134)のそれぞれのデータレートを低減するように構成されている、請求項25から28のいずれか一項に記載のセンサアレイ。
【請求項30】
前記モジュール式記録サイト(2200)が、前記データ圧縮ユニット(4000)を備える、請求項25から28のいずれか一項に記載のセンサアレイ。
【請求項31】
各モジュール式記録サイト(2200)が、前記それぞれのインサイチュアナログデジタル変換器(226)によって提供される前記デジタルセンサ信号(134)のワードサイズを縮小するように構成された縮小要素(4200)を備える、請求項25から30のいずれか一項に記載のセンサアレイ。
【請求項32】
各モジュール式記録サイト(2200)について、前記それぞれの縮小要素(4200)が、所定数の上位ビットを省略することによって前記それぞれのデジタルセンサ信号(134)のワードサイズを縮小するように構成されている、請求項25から31のいずれか一項に記載のセンサアレイ。
【請求項33】
第1の量子化設定を使用してアナログ信号の第1の量子化を実行し、前記第1の量子化から残差(225)を取得するために第1の動作モード(227a)において動作し、前記アナログデジタル変換器の第2の異なる量子化設定を使用して前記残差(225)の第2の量子化を実行するために第2の動作モード(227b)において動作するように構成された連続時間デルタシグマ変調器を備えるアナログデジタル変換器。
【請求項34】
請求項33に記載のアナログデジタル変換器を備えるニューロンプローブ。
【請求項35】
オフセット補償回路をさらに備え、前記補償回路が前記アナログ信号のオフセットを補償するように構成されている、請求項34に記載のニューロンプローブ。
【請求項36】
請求項1から32のいずれか一項に記載のセンサアレイ(2000)を動作させるための方法であって、以下のステップ、すなわち、
前記センサアレイ(2000)の複数(120、220)のモジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)のうちのモジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)のセンサによる信号(132
1から132
n、130)の記録ステップと、
各アナログデジタル変換器を第1の動作モード(227a)および第2の動作モード(227b)において動作させてそれぞれのデジタルセンサ信号を得ることによる、前記センサアレイ(2000)の前記複数(120、220)のモジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)を使用した前記信号(132
1から132
n、130)の複数のデジタルセンサ信号(134
1から134
n)への変換ステップと、
前記センサアレイ(2000)の前記複数(120、220)のモジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)の前記通信インターフェース(228
1から228
n、328
1から328
n、440、460、550、2230)を使用した前記センサアレイ(2000)の前記ベース(110、210、330、966、1310、2100)への複数のデジタルセンサ信号(134
1から134
n)の提供ステップと、
前記センサアレイ(2000)の前記ベース(110、210、330、966、1310、2100)を有する前記センサアレイ(2000)の前記複数(120、220)のモジュール式記録サイト(122
1から122
n、122
e;224
1から224
n;320
1から320
n;321
1から321
3;400;500、514;900;2200)からの前記複数のデジタルセンサ信号(134
1から134
n)の受信ステップと、
プローブ信号(112)を取得するための、前記センサアレイ(2000)の前記ベース(110、210、330、966、1310、2100)による前記複数のデジタルセンサ信号(134
1から134
n)の処理ステップと、
遠隔装置用の前記センサアレイ(2000)の前記ベース(110、210、330、966、1310、2100)への前記プローブ信号(112)を提供ステップと、を含む、方法。
【請求項37】
コンピュータ上で実行されると、請求項36に記載の方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明にかかる実施形態は、ニューロンプローブなどのセンサアレイ、センサアレイを動作させるための方法、およびセンサアレイを動作させるための方法を実行するためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
生物医学測定技術などのセンサ用途では、多くの場合、体内の多数の(100を超える)センサ信号が外部電子機器に接触されて搬送されなければならない。これは、特に、脳組織内のニューロン信号を検出するための装置に、可能な限り大きい多数の小型センサおよび電極がそれぞれ取り付けられているニューロンセンサの場合である。信号は、信号を処理および記憶することができるコンピュータ制御システムに外部に運ばれる。そのようなニューロンセンサシステムは、神経科学において、または一般に脳活動研究を扱う応用分野において適用される。
【0003】
典型的には、ニューロン針は、複数の電極と、信号を針の上端のベースに搬送する導電性トレースとからなる。この端部には、信号を外部信号処理装置に搬送するためのケーブルが取り付けられている。典型的には、信号調整は、前置増幅器、フィルタおよびアナログデジタル変換器のチェーンからなる。受動針では、能動読み出し電子回路は針内に実装されていないが、電子回路は、能動針内のベースに部分的または完全に統合されている。
【0004】
ニューロン信号は、2つの主なタイプ、すなわち、最大数ミリボルトの振幅を有する低周波信号(局所電場電位)と、最大数百ミリボルトの振幅を有する高周波信号(活動電位)とに分けられることができる。
【0005】
振幅は非常に小さいため、特に信号を外部に搬送する導体が数センチメートルの長さを有する場合、干渉源の影響を受けやすい。
【0006】
ライン容量などの寄生効果によって、異なる信号が1つの針で互いに干渉する可能性があり、その結果、元のソース/電極は、もはや識別されることができない(クロストーク)。
【0007】
ニューロン針を典型的には脳組織に導入しなければならないという要件は、適用のための別の重要な態様をもたらす:脳組織への外科的導入中の組織損傷は、最小限に抑えられるべきである。そのため、針は、可能な限り小さい断面積を有する必要がある。これはシャンクについてこれまでうまく実現されてきたが、これまでに公開された全てのニューロン針は、そのサイズのために脳組織に埋め込むことができない大きなベースを有する。したがって、最大導入深さは、針の長さに制限される。
【0008】
ニューロン信号を評価するための別の手順は、多電極アレイ(MEA)の使用である。そのようなシステムでは、脳切片がニューロンセンサの二次元アレイ上に配置されることができ、脳切片の神経活動が測定されることができる。
【0009】
一般に、記載された用途に使用されることができる異なる設計の多数のニューロンプローブが既に存在する。全ての既知のシステムは、電子統合の程度に基づいて分類されることができる。
【0010】
ニューロン評価システムは、3つのグループに分けられることができる。
1つのグループは、電子機器のない受動システムを備える。そのようなシステムは、電極および導体からなり、導体は、センサからの信号を外部インターフェースに導く。主に可撓性基板上に、複数の異なる実装が存在する。概要は、[1]に見出すことができる。これらのシステムは、少数の電極に限定される。
【0011】
別のグループは、受動電子システムを備える。受動CMOSセンサシステムでは、能動評価電子機器は実装されず、特定のセンサ素子(例えば、電極)と出力接点につながる導体のうちの1つとの接続を可能にする電子制御スイッチングのみが実装される。評価電子機器は、システムの外部に配置される。同時に読み出されることができる電極の数は、ベース上の接点の数によって制限される。論文[2]および[3]は、ニューロン針を記載しているが、論文[4]は、受動概念に基づく二次元MEAシステムを紹介している。
【0012】
第3のグループは、能動電子システムを備える。能動針では、評価電子機器の一部がチップに集積される[5、6]。ここで、信号チェーン(例えば、信号増幅器、アナログデジタル変換、デジタル処理/インターフェース)は、ベースに集積される。[2]および[3]と同様に、シャンク自体は、選択された電極からのニューロン信号をベースに搬送する電子制御スイッチおよび前置増幅器を含む。しかしながら、同様の能動MEAシステムが[7]に記載されている。センサノードを選択するためのスイッチに加えて、評価回路の一部がセンサアレイ(フィルタおよび前置増幅器)に集積される。アナログからデジタルへの変換は、検知領域外である。
【0013】
既知の解決策は欠点を示す。全ての既知の解決策は、非常に大きなベース(検知領域外の電子機器)を有し、したがって、ニューロン針の場合、組織に完全に没入されることはできない。さらに、ベースのサイズは、侵襲的な外科的処置を必要とする。並列に読み出されることができるセンサノード(例えば、電極)の数は、電極からベース電子機器にアナログ信号を搬送するためのシャンク幅および利用可能な面積にそれぞれ依存する。信号を外部に搬送するために、他の解決策は、多くの端子を有し、したがって取り扱いが困難である。受動針では、端子の数は、同時に読み出されることができる電極の数に正比例する。
【0014】
既知の解決策は、センサからベースに感受性ニューロン信号を搬送する。したがって、外部干渉源に対して特に敏感であり、チャネル間のクロストークの影響を受けやすい。受動システムと比較して、能動的概念は、現場(インサイチュ/電極下)で信号を予め増幅することによって信号の完全性を改善する。全ての既知の概念は、任意の数の電極を同時に読み出すのに適していない。さらにまた、シャンク内の導体は、依然としてアナログ信号を導き、アナログ信号は、実際には増幅されるが、外乱に完全には反応しない。
【0015】
電極の数が増加するにつれて、従来の装置は、プローブのベースに多数の相互接続部を必要とするか、または減少した数の電極のみを同時に読み出すことを可能にする[8、3]。
【0016】
生物医学的測定方法の使用では、身体機能を監視するために多数のセンサが同時に読み出されることが多い。特に、これは、センサが脳組織に侵襲的に挿入される、神経科学の分野、または脳活動の検出に関する。これらのニューロンプローブは、個々のニューロンの活性を確実に検出することができるように、50μm未満のピッチを有する電極が可能な限り多く存在すべきシャンクを有する。単一ニューロンのこれらのスパイク様事象は、活動電位(AP)と呼ばれ、300Hzから10kHzの周波数範囲を有する。対照的に、いくつかのニューロンからなるか、またはそれを含み、脳組織によってフィルタリングされる信号は、局所電場電位(LFP)と呼ばれる。これらは、典型的には、0.5Hzから1kHzの周波数範囲で発生する。一般に、受動プローブと能動プローブとを区別することができる。受動プローブでは、直接的な信号調整は行われない。シャンク上には、いわゆるベース内のパッドに接続され、外部測定手段に接続され得る電極のみが存在する。能動的完全集積プローブでは、完全な信号調整チェーンがオンチップで実装される。アナログニューロン信号は、シャンクに沿ってベースに配線され、そこで信号調整の大部分が行われる。電子機器の集積度が高いため、ベースには大きなシリコン面積が必要である。したがって、プローブは、脳組織を損傷することなく脳組織に完全に没入されることができない。国際公開第2019154989号パンフレット[13]には、プローブのシャンク上で完全な信号調整が行われ、全てのセンサ/チャネルが同時に読み出される概念が記載されている。これは、ベースおよびシャンクが、プローブが組織を著しく損傷することなく脳組織に完全に没入され得るように、等しい幅で寸法決めされることを可能にする。これは、高い信号品質および高い空間分解能によって脳深部領域のニューロン信号の検出を可能にする。したがって、この概念は、電極密度に関する要件を満たし、プローブのシャンクに統合されることができる可能な限り小さいシリコン面積を有するアナログフロントエンド(AFE)を必要とする。同時に、ノイズは、小さな大きさのニューロン信号を確実に検出することができるように非常に低くなければならない。温度要件(<1℃の組織内の温度上昇)を満たすために、フロントエンドの電力消費、またはシャンク内の電力密度は、非常に低くなければならない。
【0017】
一般に、ニューロン信号の検出のための多数のアナログフロントエンドが存在し、一部は既にニューロンプローブに統合されている。[5]は、その信号調整チェーンが、前置増幅器と、APおよびLFP用の増幅器を有する別個のフィルタと、マルチプレクサと、逐次比較レジスタ(SAR)アナログデジタル変換器(ADC)とからなるか、またはそれらを含むAFEを記載している。プローブのシャンク上に統合された前置増幅器を除いて、残りの構成要素は、プローブのベース内に配置される。[6]では、[5]とは対照的に、いくつかの電極がベースへのラインを共有するように、シャンク上の前置増幅器の後にマルチプレクサが実装される。さらに、多重化による帯域幅の増加によるノイズを低減するために、[5]と同様に、リセットを伴う積分器がベース内のさらなる信号調整の前に配置される。
【0018】
[10]は、パイプライン構成において接続された2つの連続時間インクリメンタルデルタシグマ(IΔΣ)ADCに基づくAFEを記載している。この場合、まず、第1のADCによって入力信号の粗量子化が行われる。残りの量子化誤差は、第2のADCの入力信号として使用され、それに応じて精密量子化が行われる。AFEには前置増幅器やアンチエイリアシングフィルタは不要である。
【0019】
[11]は、連続時間デルタのデルタシグマADCに基づくシステムを記載している。これは、低雑音増幅器を含み、プログラマブル増幅器およびADCがそれに続く。
【0020】
[12]は、ニューロンプローブのシャンクに既に実装されているAFEを記載している。これは、フロントエンドを表す面積効率的な連続時間一次IΔΣADCを用いて、信号調整チェーンを最小化することによって実現された。
【0021】
[12]を除いて、記載された方法の全ては、トランジスタレベルでかなりのシリコン面積を必要とするため、面積要件を満たしながらニューロンプローブのシャンク上に統合されることはできない。
【0022】
方法[5]および[6]の信号調整チェーンは、シャンク上にそれらを全て統合することができるには多すぎる構成要素を備える。対照的に、[10]に提示されているシステムの信号調整は、2つのADCからなる。しかしながら、記載されたアーキテクチャは、必要とされるシリコン面積のために不適切である。この場合、対応するデシメーションフィルタなしで、IΔΣADCの変調器のみがシリコンに実装されている。[11]のニューロンAFEは、やはり面積要件が大きすぎる。
【0023】
[12]のAFEは、シリコン面積をほとんど必要とせず、プローブのベースに既に統合されている。しかしながら、電極密度が低すぎて、個々のニューロンの活性を確実に検出することができない。さらに、記載された一次IΔΣADC AFEは、シャンク内の出力密度の増加をもたらす。使用中に十分に高い分解能を得るためには、高いサンプリングレートが必要であり、高い電力消費につながる。例えば、時間多重化方法または他の回路技術を使用してAFEの面積をさらに減少させることが可能であった場合、電力密度は、さらに増加する。これは、脳組織の温度条件に関して問題となる。さらに、他の既知の解決策と比較して、APの周波数帯域におけるノイズレベルが増加する。米国特許第5410310号明細書[14]のような離散時間法もまた、システムがノイズ要件を満たすために積分コンデンサを非常に大きく選択する必要があるため、この用途には適さない。その結果、可能な限り小さい面積での実装が保証されることができず、電極密度に関する要件が満たされることができない。
【0024】
したがって、ベースのサイズを縮小し、任意の数のセンサノードの同時読み出しを可能にすることと複雑さとの間のより良好な妥協を可能にする概念を得ることが望ましい。
【0025】
本発明の目的は、高い空間分解能で脳深部領域の脳活動を記録するための信号調整システムを提供することである。本発明は、専用アーキテクチャを有するAFEのシステム設計と、可能な限り小さいシリコン面積、可能な限り低い電力消費、および十分に高い線形性を有しながら可能な限り低いノイズを有するニューロンプローブのシャンク上に統合されることができるトランジスタレベルでの実装とを含む。このシステムは、1D電極アレイだけでなく、2Dおよび3D多電極アレイにも適している。
【0026】
適用範囲は、脳活動の読み出しに限定されず、バイオセンサ、微小電気機械システム、または画像センサなどの高分解能ADCが必要とされる他のセンサシステムの動作にも適している。
【発明の概要】
【0027】
本発明の第1の態様によれば、本出願の発明者らは、ニューロン信号の検出において高い信号品質および高い空間分解能を達成しようとするときに遭遇する1つの問題が、高い電極密度が必要とされ、同時にニューロンプローブのシャンクに統合された構成要素が、シャンクにおいて小さい面積消費および非常に低い電力密度の要件を満たさなければならないという事実に起因することを認識した。本出願の第1の態様によれば、この困難は、異なる量子化設定を有する2つのモードにおいて動作するように構成された2段階インサイチュアナログデジタル変換器を使用することによって克服される。発明者らは、従来の一次システムと比較して、粗量子化および精密量子化による多段階法を用いることでオーバーサンプリング比が低減されることができることを見出した。同時に、システムが双方のモードにおいて1つの積分器を使用すれば十分であるため、面積が維持されることができる。これは、合計で、少ない要素数で低い量子化誤差が得られ、これにより、小さな要素および低いチップサイズを可能にし、これはバイオメトリックプローブの分野において特に有利であるという考えに基づいている。
【0028】
したがって、本発明の第1の態様によれば、センサアレイは、プローブ信号を提供するためのベースと、複数のモジュール式記録サイトとを備える。複数のモジュール式記録サイトの各モジュール式記録サイトは、CMOS基板と、アナログ信号を受信/検出するように構成された少なくとも1つのセンサ素子と、アナログ信号をデジタルセンサ信号に変換するように構成されたインサイチュアナログデジタル変換器と、デジタルセンサ信号をベースに提供するように構成された通信インターフェースとを備える。複数のモジュール式記録サイトの通信インターフェースは、互いにおよびベースに対して直列に接続される。例えば、ベースは、複数のモジュール式記録サイトから複数のデジタルセンサ信号を受信し、複数のデジタルセンサ信号を処理してプローブ信号を提供するように構成されている。各インサイチュアナログデジタル変換器は、第1の量子化設定を使用して信号の第1の量子化を実行し、第1の量子化から残差を取得するために第1の動作モードにおいて動作し、アナログデジタル変換器の同じ要素に対して第2の異なる量子化設定を使用して残差の第2の量子化を実行するための第2の動作モードにおいて動作するように構成されている。
【0029】
通信インターフェースによって実現されるシリアル接続とは、複数のモジュール式記録サイトの全てのモジュール式記録サイトが同時に読み出されることができることを意味する。この場合、通信インターフェースは、例えば、通常動作モードにある。各モジュール式記録サイトの各通信インターフェースは、例えば、複数のデジタルセンサ信号のシーケンス(例えば、シーケンスは、各モジュール式記録サイトからのデジタルセンサ信号を含む)においてそれぞれのデジタルセンサ信号を転送し、シーケンス内のそれぞれのデジタルセンサ信号の位置は、他の各モジュール式記録サイトの位置に対するそれぞれのモジュール式記録サイトの位置に対応する。このようにして、各モジュール式記録サイトのデジタルセンサ信号は、隣接するモジュール式記録サイトのデジタルセンサ信号にリンクされることができ、ベースに搬送されることができる。そのようにして、例えば、複数のモジュール式記録サイトのうちの1つのモジュール式記録サイトから複数のモジュール式記録サイトのうちの隣接するモジュール式記録サイトへの接続の数は非常に少なく保たれ、干渉を受けやすいアナログ信号(例えば、各モジュール式記録サイトによって受信された生体信号)は、ベースに転送されない。全ての信号は、現場で(例えば、各モジュール式記録サイトで)直接デジタル化(これは、例えば、複数のモジュール式記録サイトのうちのモジュール式記録サイトによって受信された各生体信号がデジタルセンサ信号に変換されることを意味する)され、通信インターフェースによってベースにシリアルに送信されるため、センサアレイは、非常に少数のラインのみをベースに必要とする。したがって、センサアレイは、デジタルセンサ信号をベースに転送するために、複数のモジュール式記録サイトの各モジュール式記録サイトからの低減されたライン数しか必要としないため、複雑さを低減するだけでなく、センサアレイのベースおよびシャンクのサイズも低減する。複数のモジュール式記録サイトの通信インターフェースを互いにおよびベースに対して直列接続することは、センサアレイを任意の数のモジュール式記録サイトに接触させることも可能にする。
【0030】
実施形態によれば、各インサイチュアナログデジタル変換器は、信号入力を含み、第1の動作モードにおいて信号入力と信号との間に接続を提供し、第2の動作モードにおいて信号入力を信号から切断するように構成されている。インサイチュアナログデジタル変換器は、信号入力と信号との接続と切断とを切り替えるように構成されたスイッチを備え得る。これは、第1の動作モードでは粗量子化によって信号が量子化されることができ、第2の動作モードにおいて信号を切断することによって、第1の動作モードにおける信号の量子化から残った量子化誤差が精密量子化によって量子化されることができるという考えに基づく。これは、信号品質を向上させる。
【0031】
実施形態によれば、第1の動作モードおよび第2の動作モードは、アナログデジタル変換器のデルタシグマ変調器、デルタシグマ変調器のサンプリングレート、および/またはデルタシグマ変調器におけるサンプリングのために適用される信号形状のフィードバックループ内で印加される増幅の点で互いに異なる。例えば、第2の動作モードの場合、増幅率が低減され得て、サンプリングレートが増加され得て、および/または異なる信号形状が精密量子化に使用され得る。したがって、これは、統合ステージまたは積分器および/または量子化器および/またはデルタシグマ変調器のフィードバックデジタルアナログ変換器を異なる粒度で再使用することを可能にし、それにより、合計で、少ない数の要素で低い量子化誤差が得られ、それにより、小さな要素および低いチップサイズを可能にし、これはバイオメトリックプローブの分野において特に有利である。
【0032】
実施形態によれば、第2の動作モードでは、アナログデジタル変換器、すなわちインサイチュアナログデジタル変換器のデルタシグマ変調器の積分器および/または量子化器および/またはフィードバックDACが、第1の動作モードに関して再使用される。これは、インサイチュアナログデジタル変換器のいくつかの要素が再使用されても、異なる量子化レベルが達成されることができるという考えに基づいている。これは、特に、オーバーサンプリングレート、したがって消費電力の低減、およびそれぞれのモジュール式記録サイトの少なくとも1つのセンサ素子によって検出されたアナログ信号のアナログデジタル変換のためのプローブシャンク上の必要な面積の低減という利点を有する。したがって、各モジュール式記録サイトは、非常に小さく実現されることができ、その結果、センサアレイが挿入される材料の損傷を防止または低減する薄いセンサアレイをもたらす。
【0033】
実施形態によれば、デジタルアナログ変換器のデルタシグマ変調器は、入力フィードフォワードパスがない状態で実装される。換言すれば、モジュール式記録サイトのインサイチュアナログデジタル変換器は、入力-フィードフォワード経路を有しないデルタシグマ変調器を備えることができる。入力フィードフォワードのないアーキテクチャは、信号経路を最小化し、したがってセンサアレイのサイズを縮小するために使用される。
【0034】
本発明の発見は、測定されるアナログ信号、特に生物医学的信号、例えば生化学的信号、より具体的にはニューロン、筋肉、脳、または耳および/もしくは眼などの身体の他の部分から取得可能なニューロン信号などの生体信号を、局所的に、すなわち電極の場所でデジタルセンサ信号に変換することによって、デジタルセンサ信号が得られ得ることである。例えば、複数のモジュール式記録サイトの各モジュール式記録サイトにおいて、それぞれのインサイチュアナログデジタル変換器は、緊密なパッケージングを実現するそれぞれの少なくとも1つのセンサ素子の下に実装されてもよい。複数のモジュール式記録サイトのうちのモジュール式記録サイトによって受信された生体信号がモジュール式記録サイトにおいてデジタルセンサ信号に直接変換される場合、より効率的であり、複雑さを低減する。したがって、アナログセンサ信号の代わりにデジタルセンサ信号がベースに提供されることができる。読み出し電子回路の(当該技術分野で述べられているような)信号調整チェーンは、前置増幅、増幅およびフィルタリングを省略することによって低減され、生体信号(例えば、センサ信号)の直接ローカルアナログデジタル変換によって置き換えられる。デジタルセンサ信号(それぞれデジタルデータ)のみが、複数のモジュール式記録サイトの各モジュール式記録サイトからベースに(例えば、シャンクに沿って)搬送されないため、各モジュール式記録サイト(例えば、センサ)間で(ほぼ)クロストークが測定されることができず、光源または電磁場などの外部干渉源に対して高い堅牢性がある。したがって、デジタルセンサ信号は、歪みに対して堅牢であり、および/または小さな通信インターフェースを可能にする複数のさらなる信号と組み合わせられ得る。さらに、測定のためのセンサ素子を担持する記録サイトの数が多い可能性があるにもかかわらず、小さなベースが得られる。
【0035】
アナログ信号は、各モジュール式記録サイトによってデジタルセンサ信号に直接変換され、したがって、信号調整は、各モジュール式記録サイトによって既に行われている。したがって、信号を処理するための構成要素がほとんど必要とされないため、ベースが小さいサイズで実装されることができる。この実施形態では、ベースのサイズが低減されることができるだけでなく、センサアレイの複雑さが低くされることができ、任意の数のモジュール式記録サイトに同時に接触されて読み出されることができる。
【0036】
複数のモジュール式記録サイトの各モジュール式記録サイトは、例えば生体信号を受信する。生体信号は、生体信号からデジタルセンサ信号への変換がアナログデジタル変換によって行われるようにアナログ信号である。これは、例えば、各モジュール式記録サイトに実装されたアナログデジタル変換器、例えばインサイチュアナログデジタル変換器によって実現される。ベースは、複数のモジュール式記録サイトの各モジュール式記録サイトからデジタルセンサ信号を受信する。それにより、例えば、ベースが当該技術分野において述べられている能動センサアレイのようなアナログデジタル変換器を備える必要はない。したがって、ベースは、例えば、当該技術分野で述べられているセンサアレイのベースと比較して、例えば、全ての記録サイトおよび/またはADC(アナログデジタル変換器)のための導体、および/またフィルタおよび/または増幅器のような構成要素をほとんど必要としないため、例えば、小さいサイズで実装される。複数のモジュール式記録サイトの各モジュール式記録サイトによって生体信号をデジタルセンサ信号に直接変換することは、複数のモジュール式記録サイトの任意の数のモジュール式記録サイトに接触することが可能になる。
【0037】
実施形態では、複数のモジュール式記録サイトの各モジュール式記録サイトは、通信インターフェースを備える。通信インターフェースは、例えば、ベースから構成データを受信することができる。受信した構成データに基づいて、モジュール式記録サイトは、例えば、モジュール式記録サイトの動作に関するパラメータを適合させることができる。構成データは、例えば、各モジュール式記録サイトの状態に関する情報、例えばモジュール式記録サイトのオン状態またはオフ状態を保持することができる。したがって、どのモジュール式記録サイトが記録すべきか、したがって信号を受信すべきかが選択されることができる。例えば、構成データの形態で受信されることができる情報は、アナログからデジタルへの変換のスケーリングの変更、例えば、インサイチュアナログデジタル変換器の2つの異なる動作モードの量子化設定を含み得る。通信インターフェースは、各モジュール式記録サイトとベースとの間の通信を可能にするインターフェースである。この場合、通信インターフェースは、例えば、構成モードで動作する。
【0038】
実施形態では、通信インターフェースは、シリアルインターフェースを備える。複数のモジュール式記録サイトの通信インターフェースは、例えば、ベースからセンサアレイのセンサアレイエンドポイントへの順方向経路およびセンサアレイエンドポイントからベースへの逆方向経路を含むシリアル通信チェーンで互いに接続される。ここで、センサアレイエンドポイントは、生物医学的センサアレイエンドポイント、特に先端である。
【0039】
第1のモジュール式記録サイトおよび直接隣接する第2のモジュール式記録サイトを疎なる各ペアについて、第1のモジュール式記録サイトの通信インターフェースは、往路に接続され、第2のモジュール式記録サイトの通信インターフェースは、復路に接続される。各モジュール式記録サイトおよび時計からのデジタルセンサ信号は、例えば、あるモジュール式記録サイトから次のモジュール式記録サイト(例えば、直接隣接するモジュール式記録サイト)に転送される。クロックは、例えば、あるモジュール式記録サイトから別のモジュール式記録サイトへ僅かに遅延され、デジタル供給ノイズを拡散し、ピーク電流消費を低減する。
【0040】
モジュール式記録サイトは、例えば、順方向チェーンおよび順方向クロックに接続された第1のモジュール式記録サイトと、逆方向チェーンおよび逆方向クロックに接続された第2のモジュール式記録サイトとを備える2つのモジュール式記録サイトのブロックにグループ化される。したがって、例えば、全ての第2のモジュール式記録サイトのシリアルインターフェースは、順方向チェーンに接続/結合され、他の全てのモジュール式記録サイトのシリアルインターフェースは、逆方向チェーンに接続/結合される。第1のチェーンおよび第2のチェーンは、デジタルセンサ信号がベースに転送されるようにベースに結合される。あるいは、順方向および逆方向チェーンにモジュール式記録サイトの対を使用する代わりに、2の倍数(例えば、順方向チェーンに接続された最初の2つおよび逆方向チェーンに接続された2番目の2つの4つのモジュール式記録サイト、または順方向チェーンに接続された最初の3つおよび逆方向チェーンに接続された2番目の3つの6つのモジュール式記録サイト)が使用されてもよく、または一方向に1つのチェーンのみを有する単一のモジュールのみが使用されてもよい。1つのチェーンのみの後者の場合、全てのモジュール式記録サイトが順方向チェーンに接続されている場合には、チェーンの端部からベースまでの追加のデジタルワイヤが逆方向経路として機能してもよく、全てのモジュール式記録サイトが逆方向チェーンに接続されている場合には、ベースからチェーンの端部までの追加のデジタルワイヤが順方向経路として機能しなければならない。順方向経路および逆方向経路上のモジュール式記録サイトのペアを使用する実装は、順方向経路または逆方向経路のいずれか1つの経路のみが使用されるが必須ではない単一のモジュール解決策と比較して効率的である。したがって、各モジュール式記録サイトによって提供される各デジタルセンサ信号は、ベースに非常に迅速に転送されることができ、実施形態によれば、各モジュール式記録サイトとベースとの間でデジタル信号のみが交換される。各モジュール式記録サイトを各モジュール式記録サイトおよびベースと接続する順方向チェーンおよび逆方向チェーンの実装のために、複数のモジュール式記録サイトが同時に読み出されることが可能であり、ベースに転送された各デジタルセンサ信号は、特定のモジュール式記録サイトに割り当てられることができる。
【0041】
実施形態では、ベースは、複数のモジュール式記録サイトから合成センサ信号を受信するように構成され、合成センサ信号は、モジュール式記録サイトのそれぞれのデジタルセンサ信号を含む。合成センサ信号は、例えば、各モジュール式記録サイトの各デジタルセンサ信号のシーケンス(例えば、複数のセンサ信号のシーケンス)、または各モジュール式記録サイトの各デジタルセンサ信号と各モジュール式記録サイトの各デジタルセンサ信号との重ね合わせである。複数のモジュール式記録サイトの各モジュール式記録サイトをベースに接続し、結合されたデジタルセンサ信号をベースに転送する1つのデジタルデータバスしか必要とされないため、この実装は、例えば、センサアレイの複雑さを低減し、ベースのサイズを低減することができる。
【0042】
実施形態では、複数のモジュール式記録サイトの各モジュール式記録サイトは、例えばインサイチュアナログデジタル変換器として、連続時間多段階インクリメンタルデルタシグマアナログデジタル変換器を備える。最大の生体信号、特にニューロン信号でさえ数ミリボルトの範囲にすぎず、必要とされる線形性が低いため、Gm-C(コンデンサCと組み合わせた増幅器の相互コンダクタンスGmを使用する積分器)ベースのインクリメンタルデルタシグマアナログデジタル変換器を使用した直接変換(例えば、各モジュール式記録サイトによる)が各モジュール式記録サイトにおいて実装されることができる。一次変調器の積分器および比較器は、複数の量子化ステップにおいて再使用されることができるため、連続時間マルチステップインクリメンタルADCは、ハードウェア共有および拡張されたカウント技術を活用し、最小シリコン領域での実装を可能にする。複数のモジュール式記録サイトの各モジュール式記録サイトによる連続時間多段階インクリメンタルデルタシグマアナログデジタル変換器の使用は、各モジュール式記録サイトによる受信信号が各モジュール式記録サイトにおいて直接デジタルセンサ信号に変換されることができるという利点を有する。したがって、各モジュール式記録サイトからベース(ほぼ)鈍感なデジタルセンサ信号、電磁干渉またはクロストークが送信される。これにより、センサアレイは、非常に正確になる。この実施形態の別の利点は、複数のモジュール式記録サイトの各モジュール式記録サイトからベースに転送される信号が、従来技術のようにセンサアレイの代わりに既にデジタル化されており、信号のデジタルセンサ信号への変換がベースに実装され、これによりベースを非常に大きくするが、本発明にかかるセンサアレイではベースのサイズが小さくなることができることである。連続時間デルタシグマ変換器は、固有の低域通過伝達特性が知られている。したがって、追加の回路ブロックとしての専用のアンチエイリアスフィルタの必要性が省略されることができるため、より多くの電流および追加の面積が節約されることができる。したがって、センサアレイの複雑さは低い。
【0043】
実施形態では、複数のモジュール式記録サイトの各モジュール式記録サイトは、積分器と、量子化器と、信号をデジタルセンサ信号に直接変換するように構成された異なる利得係数を有する少なくとも2つのフィードバック経路とを備える。積分器は、例えば、OTA-C積分器(それぞれ、演算相互コンダクタンス増幅器+コンデンサ)、すなわち2段階インクリメンタルデルタシグマADCである。しかしながら、より多くの量子化ステップを有するADCを実装することも実現可能であり(より多くの量子化ステップは、異なる利得係数を有するより多くのフィードバック経路を意味する)、これはセンサアレイの異なる設計に対してより最適であり得る。単一分岐OTA-C積分器の出力は、量子化器、すなわち比較器および出力ラッチに接続され、電流および/または電圧フィードバックのためにスイッチを駆動する。複数のモジュール式記録サイトの各モジュール式記録サイトの積分器は、積分された信号を得るために、信号を受信し、信号を積分するように構成されている。複数のモジュール式記録サイトの各モジュール式記録サイトの量子化器は、ラッチされた比較器および出力ラッチを備える。ラッチされた比較器は、積分された信号を受信し、積分された信号を量子化するように構成されている。出力ラッチは、比較器出力および量子化ステップに基づいて、積分器への電流および/または電圧フィードバックのためのフィードバックスイッチを駆動するように構成されている。デジタルレベルの入力信号において動作するフィードバック電流およびフィードバックスイッチのノイズは、主要なノイズ要因と比較して無視できる。Gm-C積分器による実装は、例えば、さらに、需要領域が非常に小さいという利点を有する。各モジュール式記録サイトによって積分器および量子化器を直接使用することの別の利点は、前置増幅器が不要であることである。積分器および量子化器を用いると、各モジュール式記録サイトによって信号がデジタルセンサ信号に直接変換されることができる。したがって、デジタルセンサ信号は、複数のモジュール式記録サイトの各モジュール式記録サイトからベースに転送される。センサアレイでは、従来技術のように、生体信号は、アナログ信号としてベースに転送され、したがって前置増幅器が必要である。
【0044】
実施形態では、複数のモジュール式記録サイトの各モジュール式記録サイトは、隣接するモジュール式記録サイトとは無関係に信号をデジタルセンサ信号に変換するように構成されている。これは、複数のモジュール式記録サイトの各モジュール式記録サイトによって受信された信号が、アナログ信号として、例えば次のモジュール式記録サイトに、または直接ベースに転送される必要がなく、代わりに各モジュール式記録サイトによってデジタルセンサ信号に直接変換されるという利点を有する。したがって、センサアレイは、電磁干渉またはクロストークにほとんど影響されない。
【0045】
実施形態では、複数のモジュール式記録サイトのうちの1つのモジュール式記録サイトは、信号を検出するように構成された少なくとも1つのセンサ素子を備える。センサ素子は、電極、光学センサおよび/または化学センサであってもよい。例えば、3つのセンサ素子を有する1つのモジュール式記録サイトを有することも可能である。これは、例えば、複数のセンサ素子が、アナログ信号をデジタルセンサ信号に変換するための複数のモジュール式記録サイトのうちの1つのモジュール式記録サイト内の電子回路を共有することを意味する。したがって、構成要素の数が低減され、したがって、センサアレイのサイズも低減される。
【0046】
実施形態では、複数のモジュール式記録サイトは、軸方向に沿って配置され、軸方向に沿ってアレイを形成する。軸方向に垂直な第1の垂直方向に沿ったベースの延長部は、最大で、第1の垂直方向に沿った複数のモジュール式記録サイトの延長部である。軸方向に垂直な第2の垂直方向に沿ったベースの延長部は、最大で、第2の垂直方向に沿った複数のモジュール式記録サイトの延長部である。これは、例えば、ベースから全てのモジュール式記録サイトを通って(複数のモジュール式記録サイトを通って)最後のモジュール式記録サイトまでの軸に垂直な断面が変化する必要がないことを意味する。これは、ベースの断面に影響を及ぼすことなく、センサアレイの複数のモジュール式記録サイトに対して任意の数のモジュール式記録サイトを選択することができるという利点を有する。したがって、ベースは、例えば、複数のモジュール式記録サイトのうちのモジュール式記録サイトのそれぞれと同じ断面を有することができる。これにより、ベースを組織内に完全に埋設することができる。したがって、センサアレイは、組織のより深くに配置されることができ、侵襲的な外科手術が最小限に抑えられ得る。この実施形態は、ベースのサイズがモジュール式記録サイトの数によって変化しないことを意味しない。ベースの大きさは、例えば、一次元的に(僅かに)変化することができる。
【0047】
実施形態では、センサアレイの軸方向延長部に垂直な平面における複数のモジュール式記録サイトの断面は、モジュール式記録サイトの数とは無関係である。これは、より多くのモジュール式記録サイトがセンサアレイに付加されても、各モジュール式記録サイトの断面が変化しないことを意味することができるが、外科的処置が、例えば、複数のモジュール式記録サイトにわたってベースから最後のモジュール式記録サイトまで減少する断面を有するセンサアレイを有することが必要な場合、複数のモジュール式記録サイトの各モジュール式記録サイトの断面を変化させることが可能であり得る。実施形態は、多数のモジュール式記録サイトであっても小さなベースを可能にするが、ベースのサイズは、モジュール式記録サイトの数によって変化し得る。ベースのサイズは、例えば、モジュール式記録サイトの数を増やすと、一次元で(僅かに)変化することができる。
【0048】
実施形態では、センサアレイは、複数のモジュール式記録サイトを備える1つまたは複数の列を備える。モジュール概念は、二次元アレイまたは1つもしくは複数の列を有する針の形態など、複数のモジュール式記録サイトの任意の配置の実現を可能にする。複数のモジュール式記録サイトのモジュール概念の利点は、各モジュール式記録サイトに対する複数のモジュール式記録サイトの各モジュール式記録サイトの配置が非常に柔軟であることである。これにより、例えば、2列のセンサアレイが実現されることができる。したがって、センサアレイは、より大きな領域から信号を記録することができる。グローバルアナログ信号経路は存在せず、設計の高いモジュール性に起因して、より長いプローブまたはプローブジオメトリの任意の用途固有の変更は、同一の性能を提供する。
【0049】
実施形態では、ベースは、プローブ信号を提供するための有線出力インターフェースを備える。有線出力インターフェースのチャネルの数は、モジュール式記録サイトの数とは無関係であり、センサアレイの軸方向延長部に垂直な平面における複数のモジュール式記録サイトの断面とは無関係である。この実装により、センサアレイの複雑さが低減されることができる。センサアレイの複雑さを低減する理由は、例えば、任意の数のモジュール式記録サイトを有するが、外部装置に対するベースにおいて同じ有線出力インターフェースを有するセンサアレイを形成することができるためである。
【0050】
実施形態では、複数のモジュール式記録サイトは、ベースとセンサアレイのセンサアレイエンドポイントとの間に配置され、センサアレイは、針を形成する。ここで、センサアレイエンドポイントは、生物医学的センサアレイエンドポイント、特に先端である。したがって、センサアレイを組織に入れるための外科的処置がより容易になる。先端の実装により、センサアレイを組織内に埋め込むことがより容易になる。
【0051】
実施形態では、複数のモジュール式記録サイトのうちのモジュール式記録サイトは、ハウジングを備え、ハウジングは、信号を受信するためのセンサ部を備え、隣接するモジュール式記録サイトのハウジングのセンサ部からセンサ部を絶縁するための絶縁部を備える。ハウジングは、生体適合性であり得て、したがって、センサアレイは、合併症なしに組織に埋め込まれることができる。2つのモジュール式記録サイトの間の絶縁部により、1つのモジュール式記録サイトからの受信信号を別のモジュール式記録サイトからの受信信号から分離することが可能である。絶縁部によって、1つのモジュール式記録サイトによる受信信号が1つのモジュール式記録サイトから他のサイトにジャンプし、それによって、受信信号をセンサアレイによって位置特定することができなくなることを防止することができる。絶縁部により、例えば、センサアレイによって1つのモジュール式記録サイトによって受信信号を位置特定することができる。
【0052】
実施形態によれば、複数のモジュール式記録サイトのうちのモジュール式記録サイトは、ハウジングを備え、ハウジングは、信号を受信するための2つ以上のセンサ部を備え、各センサ部を2つ以上のセンサ部のうちの別のセンサ部から絶縁するための絶縁部を備える。2つ以上のセンサ部の各センサ部は、信号を受信することができ、各センサ部は、例えば、個々の信号を生成する。個々の信号は、互いに同じとすることができ、または少なくとも部分的に異なることができる。したがって、例えば、モジュール式記録サイトが3つのセンサ部を含む場合、3つの個々の信号(例えば、受信信号から、3つのセンサ部によって生成され、センサ部は、電極またはセンサ素子とも呼ばれることができる)は、全て同じであり、全てが互いに異なるか、または2つが同じであり、1つが他の2つとは異なる。したがって、2つ以上のセンサ部によって受信される1つの信号は、例えば、センサ部の位置に応じて、2つ以上の個別の信号をもたらすことができる。第1のセンサ部が、例えば、第2のセンサ部よりも信号源の近くに配置されている場合、第1のセンサ部は、実施形態によれば、第2のセンサ部によって生成された第2の個別信号よりも高い振幅を有する第1の個別信号を生成する。少なくとも2つのセンサ部を互いに絶縁することによって、2つ以上のセンサ部が互いに相互作用して不正確な個々のセンサを生成することが防止され得る。したがって、受信信号の非常に正確な位置特定および分析が達成されることができる。
【0053】
実施形態では、複数のモジュール式記録サイトの各モジュール式記録サイトは、アナログ部分とデジタル部分とに分割される。アナログ部分およびデジタル部分は、別個の供給経路を備える。デジタル部分は、第1の導電性素子によってアナログ部分から遮蔽される。これは、例えば、アナログ部分が、電磁干渉を遮断する(それに対する堅牢性を高める)ように構成されたシールド(低インピーダンス接地シールド)によってデジタル部分から分離されることを意味する。第2の導電性素子は、アナログ部分およびデジタル部分をセンサ素子から遮蔽するように、センサ素子のコネクタを取り囲むように配置される。換言すれば、第2の導電性素子は、例えば、センサ方向においてアナログ部分およびデジタル部分も覆うシールドである。アナログ部分は、センサ素子によって受信された生体信号をデジタルセンサ信号に変換するように構成されている。アナログ部分およびデジタル部分は、デジタルセンサ信号をデジタル部分に提供するために結合される。デジタル部分は、デジタルセンサ信号をベースに提供するように構成されている。センサアレイ全体は、例えば、電磁干渉に対する堅牢性を高め、デジタルノイズ結合を低減するために上部(センサの方向においてアナログ部分およびデジタル部分をそれぞれ覆う平面)も覆う、別個の供給経路および低インピーダンス接地シールドを間に有するデジタル部分およびアナログ部分に(ベースから最後のモジュール式記録サイトまで)一次元に沿って分離される。
【0054】
実施形態によれば、センサアレイは、各モジュール式記録サイトに、例えば、Gm-C積分器内の追加のカレントステアリング型デジタルアナログ変換器またはそのダイナミックレンジを拡大するインサイチュアナログデジタル変換器の入力におけるレベルシフタを使用して、アナログ信号(例えば、生体信号)内のオフセット(例えば、電極のようなセンサ素子間の電気化学的電位差)を補償するように構成されたオフセット補償回路を備える。
【0055】
実施形態によれば、センサアレイは、各モジュール式記録サイトに、例えば、インサイチュアナログデジタル変換器の入力トランジスタおよび負荷トランジスタに適用される「チョッパ」法を使用して、インサイチュアナログデジタル変換器の積分器出力基準電流のオフセット(例えば、精密変換中に入力が切断されたときの電流分岐の不整合)を補償するように構成されたオフセット補償回路を備える。オフセットは、特に第2の動作モードおよび後続の動作モードにおいて、精密量子化の分解能を制限する可能性がある。したがって、オフセットを補償することによって、高分解能が達成されることができる。
【0056】
実施形態は、アナログ信号の量子化を実行するための複数の動作モードにおいて、例えば、第1の量子化設定を使用してアナログ信号の第1の量子化を実行するための第1の動作モードにおいて、第1の量子化設定から残差を取得するための2つのモードにおいて、アナログデジタル変換器の第2の異なる量子化設定を使用して残差の第2の量子化を実行するための第2の動作モードにおいて動作するように構成された連続時間デルタシグマ変調器を備えるアナログデジタル変換器に関する。例えば、4つのモードにおいて、第1の量子化設定を使用してアナログ信号の第1の量子化を実行し、第1の量子化から第1の残差を取得するように第1の動作モードにおいて、アナログデジタル変換器の第2の異なる量子化設定を使用して第1の残差の第2の量子化を実行し、第2の量子化から第2の残差を取得するために第2の動作モードにおいて動作するように、アナログデジタル変換器の第3の異なる量子化設定を使用して第2の残差の第3の量子化を実行し、第3の量子化から第3の残差を取得するために第3の動作モードにおいて動作するように、およびアナログデジタル変換器の第4の異なる量子化設定を使用して第3の残差の第4の量子化を実行するために第4の動作モードにおいて動作するように構成されている。換言すれば、第nの動作モード(2≦n≦mの場合、ここで、mは、アナログデジタル変換器の動作モードの最大数である)では、先行する動作モードによって得られた残差、すなわち第(n-1)の動作モードにおいて得られた第(n-1)の残差が量子化されて第nの残差を得る。
【0057】
別の実施形態は、例えばニューロンプローブのモジュール式記録サイトに、および/またはニューロンのプローブのベースに、上述したアナログデジタル変換器を備えるニューロンプローブに関する。
【0058】
実施形態によれば、ニューロンプローブは、例えばニューロンプローブのモジュール式記録サイトに、および/またはニューロンのプローブのベースにオフセット補償回路をさらに備える。補償回路は、例えば、Gm-C積分器内の追加のカレントステアリング型デジタルアナログ変換器またはそのダイナミックレンジを拡大するインサイチュアナログデジタル変換器の入力におけるレベルシフタを使用して、アナログ信号(例えば、生体信号)内のオフセット(例えば、電極のようなセンサ素子間の電気化学的電位差)を補償するように構成されている。
【0059】
実施形態によれば、ニューロンプローブは、例えばニューロンプローブのモジュール式記録サイトに、および/またはニューロンのプローブのベースにオフセット補償回路をさらに備える。補償回路は、例えば、インサイチュアナログデジタル変換器の入力トランジスタおよび負荷トランジスタに適用される「チョッパ」法を使用して、インサイチュアナログデジタル変換器の積分器出力基準電流のオフセット(例えば、精密変換中に入力(理想的にはゼロ差動入力)が切断されたときの電流分岐の不整合)を補償するように構成されている。オフセットは、特に第2の動作モードおよび後続の動作モードにおいて、精密量子化の分解能を制限する可能性がある。したがって、オフセットを補償することによって、高分解能が達成されることができる。
【0060】
ニューロンプローブは、上述したセンサアレイと同じ考慮事項に基づいている。ニューロンプローブは、上述したセンサアレイに関しても説明されている全ての特徴および機能を用いて完成されることができる。
【0061】
実施形態によれば、センサアレイを動作させるための方法は、以下のステップ、すなわち、センサアレイの複数のモジュール式記録サイトのうちのモジュール式記録サイトのセンサによって信号を記録するステップと、それぞれのデジタルセンサ信号を取得するために、第1の動作モードおよび第2の動作モードにおいて各アナログデジタル変換器を動作させることによって、センサアレイの複数のモジュール式記録サイトを使用して信号を複数のデジタルセンサ信号に変換するステップと、センサアレイの複数のモジュール式記録サイトの通信インターフェースを使用して複数のデジタルセンサ信号をセンサアレイのベースに提供するステップと、センサアレイの複数のモジュール式記録サイトからセンサアレイのベースによって複数のデジタルセンサ信号を受信するステップと、プローブ信号を取得するためにセンサアレイのベースによって複数のデジタルセンサ信号を処理するステップと、遠隔装置用のセンサアレイのベースによってプローブ信号を提供するステップと、を含む。
【0062】
本方法は、上述したセンサアレイまたはニューロンプローブと同じ考慮事項に基づいている。
【0063】
本方法は、センサアレイまたはニューロンプローブに関しても説明されている全ての特徴および機能を用いて完成されることができる。
【0064】
実施形態によれば、コンピュータ上で実行されると、上述した方法を実行するためのプログラムコードを含むコンピュータプログラムが作成される。
【0065】
図面は必ずしも縮尺通りではなく、代わりに、一般に本発明の原理を説明することに重点が置かれている。以下の説明では、本発明の様々な実施形態が、以下の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1】本発明の実施形態にかかるニューロンプローブの概略図を示している。
【
図2a】本発明の実施形態にかかる先端を有するニューロンプローブの概略ブロック図を示している。
【
図2b】
図2aに示すニューロンプローブの概略斜視図を示している。
【
図3a】本発明の実施形態にかかるシールドを有するニューロンプローブの概略ブロック図を示している。
【
図3b】
図3aに示すニューロンプローブの概略斜視図を示している。
【
図3c】本発明の実施形態にかかるセグメント化ニューロンプローブの概略斜視図を示している。
【
図4a】本発明の実施形態にかかるモジュール式記録サイトの概略ブロック図を示している。
【
図4b】本発明の実施形態にかかる4つのセンサ素子を有するモジュール式記録サイトの概略ブロック図を示している。
【
図5a】本発明の実施形態にかかるアナログデジタル変換器を有するモジュール式記録サイトの回路図を示している。
【
図5b】本発明の実施形態にかかるモジュール式記録サイトの構成要素(Gm-C積分器、ラッチされた比較器、および出力ラッチ)の回路図を示している。
【
図6a】本発明の実施形態にかかるニューロンプローブによって測定されたDNL/INL(微分非線形性/積分非線形性)インビトロ測定データによる図を示している。
【
図6b】本発明の実施形態にかかるニューロンプローブによって測定されたインビトロパワースペクトル密度プロットによる図を示している。
【
図6c】本発明の実施形態にかかるニューロンプローブによって測定されたインビトロ測定データの統計的ノイズ分布による図を示している。
【
図7】本発明の実施形態にかかるニューロンプローブを用いたインビトロ測定セットアップの概略図を示している。
【
図8】本発明の実施形態にかかるニューロンプローブを用いた光遺伝学的適用のための測光および放射測定光感度測定を示している。
【
図9】本発明の実施形態にかかるCMOSチップおよびニューロンプローブの顕微鏡写真を示している。
【
図10a】従来技術にかかるニューロンプローブの概略図を示している。
【
図10b】本発明の実施形態によるニューロンプローブの概略図を示している。
【
図11】従来技術にかかるニューロンプローブの概略図を示している。
【
図12】本発明の実施形態にかかるニューロンプローブを含む異なるニューロンプローブの比較を示している。
【
図13】2段階インサイチュアナログデジタル変換器を有するセンサアレイの実施形態を示している。
【
図14a】インサイチュアナログデジタル変換器の2つの動作モードの実施形態を示している。
【
図14b】インサイチュアナログデジタル変換器の2つの動作モードの実施形態を示している。
【
図14c】インサイチュアナログデジタル変換器の2つの動作モードの実施形態を示している。
【
図15】インサイチュアナログデジタル変換器の制御信号のタイミング図を示している。
【
図16】インサイチュアナログデジタル変換器の概略図を示している。
【
図17】インサイチュアナログデジタル変換器の積分器の概略図を示している。
【
図18】2段階インサイチュアナログデジタル変換器を有するセンサアレイのシステムアーキテクチャを概略的に示している。
【
図19a】2段階インサイチュアナログデジタル変換器の動作を示している。
【
図19b】2段階インサイチュアナログデジタル変換器の動作を示している。
【
図19c】2段階インサイチュアナログデジタル変換器の動作を示している。
【
図19d】2段階インサイチュアナログデジタル変換器の動作を示している。
【
図19e】2段階インサイチュアナログデジタル変換器の動作を示している。
【
図20a】2段階インサイチュアナログデジタル変換器のトランジスタレベル実装を示している。
【
図20b】2段階インサイチュアナログデジタル変換器に統合されたオフセット補償によって補償可能なローカルオフセットの図を示している。
【
図21a】本明細書に記載のセンサアレイによって測定された測定データを示している。
【
図21b】本明細書に記載のセンサアレイによって測定された測定データを示している。
【
図21c】本明細書に記載のセンサアレイによって測定された測定データを示している。
【
図22】ローカルオフセット補償を備えるセンサアレイを有する測定システムの実験的セットアップを示している。
【
図23】最先端のニューロンプローブを本明細書で提案されるセンサアレイと比較する表を示している。
【
図24】電極オフセット補償ありおよびなしのフロントエンドのレイアウトとともに、センサアレイプロトタイプの顕微鏡写真を示している。
【
図25】CMOSニューロンプローブに統合可能な信号調整の様々な選択肢を示している。
【
図26】2段階インサイチュアナログデジタル変換器および関連する測定データを含むセンサアレイを有する測定システムの実施形態を示している。
【
図27】データ圧縮ユニットを有するセンサアレイの実施形態を示している。
【
図28】データ圧縮ユニットによって得られる差の選択肢を示している。
【
図29】データ圧縮ユニットを備えるセンサアレイを有する測定システムの実施形態を示している。
【
図30】縮小要素を備えるセンサアレイの実施形態を示している。
【
図31】データ圧縮ユニットを備えるセンサアレイを有する測定システムの詳細図を示している。
【
図33a】一次IΔΣADCの従来のデシメーションフィルタを示している。
【
図33b】デシメーションフィルタに統合された7ビットデルタ符号化を示している。
【
図34】データ圧縮ユニットを備えるセンサアレイを有する測定システムの概略図を示している。
【
図35】
図34に示すセットアップによって得られた測定結果を示している。
【
図36】4段階アナログデジタル変換器の実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0067】
等しいまたは同等の要素または同等または均等の機能を有する要素は、異なる図で発生する場合であっても、同等または均等の参照符号によって以下の説明で示されている。
【0068】
以下の説明では、本発明の実施形態のより完全な説明を提供するために、複数の詳細が示されている。しかしながら、本発明の実施形態がこれらの特定の詳細なしで実施されることができることは当業者にとって明らかであろう。他の例では、本発明の実施形態を曖昧にすることを回避するために、周知の構造および装置が詳細ではなくブロック図の形態で示されている。さらに、以下に説明する異なる実施形態の特徴は、特に明記しない限り、互いに組み合わせることができる。
【0069】
以下では、本発明の実施形態を参照する。実施形態は、本発明を実装する1つの可能性としてニューロンプローブに関連して説明される。限定するものではないが、以下に記載される説明はまた、他のセンサアレイ、特に生物医学的センサアレイに関する。そのような生物医学的センサアレイの例は、ヒトまたは動物の網膜に関連して使用され得る光学センサアレイである。例えば、そのようなセンサアレイは、信号を受信するように構成され得る。以下では、記載された例は、モジュール式記録サイトによって受信される信号として生体信号を指し得るが、例はこれに限定されず、一般に、例えば光信号または電気信号などの他のタイプのアナログ信号に関する。生体信号は、継続的に測定および監視されることができる生物内の任意の信号であり得る。生体信号という用語は、生体電気信号を指すために使用され得るが、電気信号(例えば、電気化学的にトリガされる)および電気化学信号または光信号などの非電気信号の双方を指し得る。生体信号は、特に電気信号であってもよく、または少なくとも電気信号を含んでもよく、信号は、生化学反応および/または光学信号もしくは刺激に基づく。センサアレイは、そのような生体信号を検出し得て、それに基づいてセンサ信号を提供し得る。したがって、記載された例は、ニューロン信号を受信するように構成され得るニューロンプローブを指し得るが、例はこれに限定されない。
【0070】
図1は、本発明の実施形態にかかるニューロンプローブ100の概略図を示している。ニューロンプローブ100は、プローブ信号112を提供するように構成されたベース110、すなわち生物医学センサーベース、特にニューロンプローブベースを備える。ニューロンプローブ100はまた、複数の120個のモジュール式記録サイトを備える。複数の120個のモジュール式記録サイトは、モジュール式記録サイト122
1から122
nを備える。サブインデックスnは、例えば、少なくとも2、好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも50、例えば50、70、100またはそれ以上の整数、例えば144であり、サブインデックスnが144を超える任意の整数であることも可能である。便宜上、各モジュール式記録サイトは、122
eによって識別される。複数のモジュール式記録サイト120の各モジュール式記録サイト122
eは、ニューロン信号または生体信号130を受信するように構成され、各モジュール式記録サイト122
eは、ニューロン信号132
1から132
nを受信することができる。ニューロン信号132
1から132
nは、ニューロン信号132
1から132
nのうちの少なくとも2つを含むことができ、これらは互いに類似しているか、同じであるか、または全てのニューロン信号132
1から132
nが互いに異なる。複数のモジュール式記録サイト120の各モジュール式記録サイト122
eは、受信したニューロン信号132
1から132
nをデジタルセンサ信号134
1から134
nに変換するように構成されている。複数のモジュール式記録サイト120の各モジュール式記録サイト122
eは、それぞれのデジタルセンサ信号122
1から122
nをベース110に提供するように構成されている。ベース110は、複数のデジタルセンサ信号122
1から122
nを複数の120個のモジュール式記録サイトから受信し、複数のデジタルセンサ信号134
1から134
nを処理してプローブ信号112を提供するように構成されている。
【0071】
ニューロンプローブ100は、インビボ神経活動の高密度深部脳記録のための組織貫入プローブとして使用され得て、プローブシャンク上の電子的統合のレベルによる制限を克服する。能動プローブは、従来技術では、インサイチュで信号品質を改善し、寄生効果を低減するために使用されるが、これらの信号を電極から読み出し電子回路が広い領域に位置するベースにルーティングする必要がある[4、6]。ニューロンプローブ100は、複数のモジュール式記録サイト120の各モジュール式記録サイト122eにおいて、受信したニューロン信号1321から132nをデジタルセンサ信号1341から134nに変換することを含み、その結果、ベース110は、この構成要素を必要とせず、したがってベース110は、小さな領域に実装されることができる。
【0072】
図2aは、ニューロンプローブ200のブロック図を示し、
図2bは、ニューロンプローブ200の概略図を示している。
【0073】
図2aのニューロンプローブ200は、ベース210と、複数の220個のモジュール式記録サイト、例えば先端230とを備える。複数の220個のモジュール式記録サイトの各モジュール式記録サイト224
1から224
nは、センサ素子222
1から222
nと、インサイチュアナログデジタル変換器226
1から226
nと、双方向シリアルデジタルデータバス228
1から228
nとを備える。ニューロンプローブ200のベース210は、基準212と、電源214と、デジタルインターフェース/制御ユニット216と、周辺インターフェース/接点218(パッド)とを備え、基準212は、例えば、モジュール式記録サイト224
1から224
nのそれぞれに接地電位または任意の基準電位を提供し、電源214は、モジュール式記録サイト224
1から224
nのそれぞれに電力を提供し、電源214は、基準212とアナログデジタル変換器226
1から226
nの差動入力を形成し、デジタルインターフェース/制御ユニット216は、モジュール式記録サイト224
1から224
nのそれぞれの各双方向シリアルデジタルデータバス228
1から228
nに接続され、例えば、各モジュール式記録サイト224
1から224
nの各インサイチュアナログデジタル変換器226
1から226
nの動作を調整することを可能にする構成データを複数のモジュール式記録サイト220に提供するように構成されている。先端230の主な機能は、例えば、組織内に容易に入り込むことである。複数のモジュール式記録サイト220は、例えば、異なるセンサ素子222
eから222
nによってニューロン信号を受信することができる。
【0074】
図2aは、モジュール式読み出し回路としてのニューロンプローブ200の概略構成を示している。モジュール式記録サイト224
1から224
nは任意の数であり、センサまたはセンサ素子222
1から222
n、任意に(電圧としてニューロンパルスを受信する)電極、光学センサまたは化学センサを備えてもよい。各モジュール式記録サイト224
1から224
nは、センサ素子222
1から222
nを介してニューロン信号を受信し、受信したニューロン信号をインサイチュアナログデジタル変換器226
1から226
nによってデジタルセンサ信号に変換し、このデジタルセンサ信号を双方向シリアルデジタルデータバス228
1から228
n内でベース210のデジタルインターフェース/制御ユニット216に転送するように構成されている。デジタルインターフェース/制御ユニット216は、双方向シリアルデジタルデータバス228
1から228
nを介して複数のモジュール式記録サイト224
1から224
nから複数のデジタルセンサ信号を受信し、プローブ信号を周辺インターフェース/接点218に提供するように複数のデジタルセンサ信号を処理するように構成され、それによって周辺インターフェース/接点218は、外部装置と接続し、プローブ信号を外部装置に送信するように構成されている。
【0075】
図2bは、ニューロンプローブ200の概略図を示している。ニューロンプローブ200は、複数のモジュール式記録サイト224
1から224
nを備え、各モジュール式記録サイト224
1から224
nは、センサ素子222
1から222
nを備える。センサ素子222
1から222
nは、各センサ素子222
1から222
nの下方の電子機器240にセンサ接触領域250によって接続されている。ニューロンプローブの一端に、ニューロンプローブは、例えば、周辺インターフェース/接点218として使用されるパッド260を備える。周辺インターフェース/接点218により、プローブは、ケーブルに接続され、それによって遠隔装置に接続される。センサ素子222
1から222
nは、例えば、ニューロン信号を受信し、センサ接触領域250上のニューロン信号をセンサ素子222
1から222
nの下方の電子機器240に転送することができる。各センサ素子222
1から222
nの下方の電子機器240は、例えば、受信したニューロン信号を処理し、ニューロン信号を(デジタル)センサ信号に変換することができる。
【0076】
図3aは、ニューロンプローブ300のブロック図を示し、
図3bは、ニューロンプローブ300の概略図を示している。
【0077】
図3aのニューロンプローブ300は、例えば、
図2aの先端230と同じ機能を有する先端310を備える。複数のモジュール式記録サイト320
1から320
nは、
図2aおよび
図2bのモジュール式記録サイト224
1から224
nのそれぞれと同じ機能を実装し得る。ニューロンプローブ300は、例えば、
図2aのベース210または
図1のベース110と同じ機能を有することができるベース330をさらに備える。各モジュール式記録サイト320
1から320
nは、センサ素子322
1から322
nを備える。センサ素子322
1から322
nは、例えば、
図2aおよび
図2bのセンサ素子222
1から222
nと同じ機能を有することができる。各モジュール式記録サイト320
1から320
nはまた、積分器324
1から324
nと、量子化器325
1から325
nと、カウンタ326
1から326
nと、双方向シリアルデジタルデータバス328とを備え、双方向シリアルデジタルデータバス328は、例えば、
図2aの双方向シリアルデジタルデータバス228
1から228
nと同じ機能を有することができる。双方向シリアルデジタルデータバス328は、各モジュール式記録サイト320
1から320
nについて、通信インターフェース328を備えることができ、通信インターフェース328は、構成モード328
1aから328
naまたは通常動作モード328
1bから328
nbのいずれかとすることができる。
【0078】
換言すれば、複数のモジュール式記録サイトの各モジュール式記録サイト3201から320nのデジタル部分350は、例えば、シリアルインターフェースによってその隣接ノードに接続された通信インターフェース3281から328n(例えば、各隣接するモジュール式記録サイトの通信インターフェース3281から328n)を備える。そのようにして、変換された結果(例えば、デジタルセンサ信号)は、隣接ノードの結果にリンクされることができ、システム全体(例えば、ニューロンプローブ300)の外部端末(例えば、ベース330またはベースに接続された外部装置)に搬送されることができる。そのようにして、例えば、複数のモジュール式記録サイトのうちの1つのモジュール式記録サイト3201から320nから複数のモジュール式記録サイトのうちの隣接するモジュール式記録サイト3201から320nへの接続の数(モジュール式記録サイト3201から320nは、例えば、センサチャネルとも理解されることができる)は、可能な限り低く保たれ、干渉の影響を受けやすいアナログ信号(例えば、各モジュール式記録サイト3201から320nによって受信されたニューロン信号)は、外部に(例えば、ベースまたはベースに接続された外部装置に)またはベース330(例えば、外部)からモジュール式記録サイト3201から320n(例えば、センサノードとしても理解される)に搬送されない。全てのニューロン信号(これは電極信号またはセンサ信号であり得る)は現場で(例えば、各モジュール式記録サイト3201から320n上で)直接デジタル化されるため(これは、例えば、複数のモジュール式記録サイト3201から320nのうちのモジュール式記録サイト3201から320nによって受信された各ニューロン信号がデジタルセンサ信号に変換されることを意味する)、ニューロンプローブ300(それぞれ、システム)は、外部への非常に少数のラインのみを必要とする(これは、例えば、ベース330から外部装置へのラインを含むことができるが、例えば、各モジュール式記録サイト3201から320nからベース330へのラインを含むこともできる)。したがって、ニューロンプローブ300は、デジタルセンサ信号をベース330に転送するために必要なのは、複数のモジュール式記録サイト3201から320nの各モジュール式記録サイト3201から320nまでのラインの数が少なくて済むため、複雑さを低減するだけでなく、ニューロンプローブ300のベース330およびシャンク(例えば、先端310を有する複数のモジュール式記録サイト3201から320n)のサイズも低減する。複数のモジュール式記録サイト3201から320nの通信インターフェース3281から328nを互いにおよびベースに直列に接続することはまた、ニューロンプローブを任意の数のモジュール式記録サイト3201から320n(それぞれ、センサノード)に接触させることも可能にする。
【0079】
モジュール式記録サイト3201から320nのそれぞれからのデジタルセンサ信号のそれぞれは、合成センサ信号としてベース330に転送されることができる。各モジュール式記録サイト3201から320nは、例えば、変換されたニューロン信号をデジタルセンサ信号として双方向シリアルデジタルデータバス328に提供する。次いで、デジタルセンサ信号は、デジタルデータバス328によって、複数のモジュール式記録サイトの全てのデジタルセンサ信号の合成センサ信号としてベース330に転送され、ベース330は、合成センサ信号を処理してプローブ信号を提供する。
【0080】
実施形態によれば、
図1、
図2および
図3に示すニューロンプローブ100、200および300は、非限定的な例として、ニューロン信号を含み得て、したがって
図3に関する以下の説明ではセンサアレイ300と呼ばれる、記載されたアナログ生体信号の代替として、またはそれに加えて、光信号または電気信号などのアナログ信号を受信するように構成されたセンサアレイとして見ることができる。
【0081】
センサアレイ300は、実施形態によれば、ピクセルレベルADC(ADC=アナログデジタル変換器)であり、これは、例えば、各モジュール式記録サイト3201から320nにおいてアナログ信号をデジタル信号に変換する光センサを表す。本発明のセンサアレイ300は、自己完結型アナログデジタル変換に関して既知の光学センサに関して最適化されている。既知のセンサは、電流(フォトダイオード)から時間への変換(パルスの時間間隔)に基づく。閾値に到達するのに必要な時間それぞれのパルスの時間間隔は、同時に全てのセンサノットまたはノードで既知のセンサにおいて測定され、その結果、センサ間に並列リンクをもたらし、直列リンクは不可能になる。センサアレイ300の実施形態のような直列リンクは、例えば、面積効率の良いおよび/または安価なセンサをもたらす。
【0082】
ニューロンプローブ300のベース330は、例えば、
図2aの基準212と同じ機能を有することができる基準331と、例えば、
図2aの電源214と同じ機能を有することができる電源334と、例えば、
図2aのデジタルインターフェース/制御ユニット216と同じ機能を有することができるデジタルインターフェース/制御ユニット339とを備え得る。ベース330はまた、例えば、
図2aの周辺インターフェース/接点218と同じ機能を有することができるパッド/デジタル4線インターフェース340を備える。ニューロンプローブ300の先端310は、例えば、第1の供給バッファ312および第2の供給バッファ314を備える。
【0083】
各変換器(モジュール式記録サイト3201から320n)は、デジタル部分350およびアナログ部分360を備え、最小面積消費のために構成されている。システム(例えば、ニューロンプローブ300)は、モジュール方式で構成され、各電極(センサ素子3221から322n)の信号は、隣接する電極(センサ素子3221から322n)から独立したデジタル出力信号に局所的に変換される。
【0084】
このようにして、隣接するモジュール(センサチャネル/モジュール式記録サイト3201から320n)への接続数は可能な限り低く保たれ、干渉を受けやすいアナログ信号は、外部に、または外部からセンサノード(センサ素子322nから322n)に転送されない。全ての電極信号(ニューロン信号)は、現場で直接デジタル化(デジタル信号に変換)されるため、システム(例えば、ニューロンプローブ300)は、外部への(例えば、外部装置への)非常に少数のラインのみを必要とする。
【0085】
ニューロンプローブ300の各モジュール式記録サイト3201から320nは、センサ素子3221から322nによってニューロン信号を受信し、最初に積分器3241から324nによってニューロン信号を積分し、量子化器3251から325nを使用して量子化することによって、受信したニューロン信号をデジタルセンサ信号に変換することができる。双方向シリアルデジタルデータバス328により、各モジュール式記録サイト3201から320nのデジタルセンサ信号は、各モジュール式記録サイト3201から320nからベース330のデジタルインターフェース/制御ユニット339に転送され、デジタルセンサ信号はデジタルインターフェース/制御ユニット339によってプローブ信号に処理され、プローブ信号は、パッド/デジタル4線インターフェース340を介して外部装置に転送される。
【0086】
プローブ全体(ニューロンプローブ300)は、その長さに沿って、別個の供給経路、および任意にその間に低インピーダンス接地シールド390を有するデジタル部分350およびアナログ部分360に分離されており、これもまたEMI(電磁干渉)に対する堅牢性を高め、デジタルノイズ結合を低減するために上部を覆う。
【0087】
供給経路は、電源334を用いて実現されることができる。アナログ部分360の供給経路は、例えば、任意の供給バッファ335aを有する電圧VDD,A335および接地電圧VSS336を含む。デジタル部分の供給経路は、例えば、接地電圧VSS336を有する電圧VDD,D337を含む。デジタル部分350は、シリアルインターフェース(通信インターフェース3281から328n)により、その隣接ノード(隣接する記録サイト3201から320n)と接続され得る。そのようにして、変換された結果は、隣接ノード(隣接するモジュール式記録サイト3201から320n)の結果にリンクされてもよく、システム全体に対する外部端末(例えば、外部装置またはベース330)に搬送されてもよい。構成データは、例えば、ノード(例えば、モジュール式記録サイト3201から320n)のオン/オフを切り替えるため、またはそのスケーリングを変更するために、同じインターフェース(通信インターフェース3281から328n)を介して各センサノード(モジュール式記録サイト3201から320n)にリンクされた方法で搬送されることができる。ベース330は、例えば、全ての記録サイト(モジュール式記録サイト3201から320n)にグローバル電圧バイアスVBIASを提供する基準トランジスタ332と、構成モードと通常動作モード(読み出しモード)との間の切り替えを可能にし、内部データ(例えば、デジタルセンサ信号)および構成チェーンを外部ユニット(例えば、外部装置)に転送する有限状態機械とを含む。構成モード3281aから328naと通常動作モード3281bから328nbとの(通信インターフェース3281から328nの)切り替えは、例えば別の制御信号によって制御される。構成モード3281aから328naでは、設定は、例えば双方向シリアルデジタルデータバス328を介して転送され、各モジュール式記録サイト3201から320nによって適合されることができる記憶装置の読み出しが可能であり、一方、通常動作モード3281bから328nbでは、変換器(モジュール式記録サイト3201から320n)のデジタル出力(デジタルセンサ信号)は、例えば記憶装置に書き込まれる。記憶装置は、揮発性または不揮発性の記憶装置であってもよく、例えば、情報を記憶するための複数のトランジスタ素子を備えてもよい。実施形態によれば、構成モード3281aから328naの構成データおよび通常動作モード3281bから328nbのデジタルデータは、双方向シリアルデジタルデータバス328を直接使用することによって、記憶装置を使用せずに各モジュール式記録サイト3201から320nとベース330との間で送信され得る。
【0088】
デジタル側350では、グローバル信号はルーティングされる必要はない:チェーン信号およびクロックは、あるブロック(双方向シリアルデジタルデータバス328)から次のブロックに転送され得る。クロックは、各モジュール式記録サイト3201から320nから各モジュール式記録サイト3201から320nまで僅かに遅延され、デジタル供給ノイズを拡散し、ピーク電流消費を低減する。記録サイト(モジュール式記録サイト3201から320n)は、順方向チェーン352に接続されたADC(アナログデジタル変換器)と、逆方向チェーン354およびクロックとのブロックにグループ化される。アナログ部分360では、プローブ全体に2つのグローバル基準ライン、すなわち本体基準電圧VBODY333aおよびVBIAS333bのみが存在してもよい。バイアス電圧(VDDを基準とする)は、外部ソースからのノイズ除去を強化するために、大きな寄生容量を伴って電源334に送られる。
【0089】
換言すれば、モジュール式記録サイト3201から320nは、例えば、2つのモジュール式記録サイト(ADC、例えば積分器3241から324nのそれぞれと量子化器3251から325nのそれぞれとを備えるアナログデジタル変換器)のブロックにグループ化され、第1のADCを備える一方のモジュール式記録サイトは、順方向チェーン352および順方向クロックに接続され、第2のADCを備える他方のモジュール式記録サイトは、逆方向チェーン354および逆方向クロックに接続される。したがって、全ての第2のモジュール式記録サイトのシリアルインターフェース(通信インターフェース3281から328n)は、例えば、第1のチェーン(例えば、順方向チェーン352)に接続/結合され、他の全てのモジュール式記録サイトのシリアルインターフェースは、第2のチェーン(例えば、逆方向チェーン354)に接続/結合される。第1のチェーンおよび第2のチェーンは、デジタルセンサ信号がベースに転送されるようにベースに結合される。
【0090】
アナログデジタル変換器(例えば、積分器3241から324nは、量子化器3251から325nに結合される)は、供給電圧(例えば、電源334の接地VSS336を有する電源電圧VDD,A335)の干渉に対しておおむね堅牢であるように、差動入力を用いて構成され得る。供給電圧(例えば、電源334)とは別に、2つのさらなるグローバルライン(例えば、ジョイント)が使用されてもよく、全てのセンサノード(モジュール式記録サイト3201から320n)によって共有されてもよい。
【0091】
・制御電圧(例えば、基準電圧VBIAS333b):各回路は、例えば内部に一定数の一定の基準電位および設定電流を必要とする。全ての電流および電位は、例えば、グローバルラインとして全てのセンサノード(モジュール式記録サイト3201から320n)に分配されるグローバル調整電圧(例えば、制御電圧VBIAS333b)から導出される。全てのセンサモジュール(モジュール式記録サイト3201から320n)が接続されるグローバルラインであるため、大きな寄生容量を備え得る。これは、このラインを介したノイズの結合の可能性にプラスの効果をもたらす。さらに、差動読み出しの原理により、(例えば、制御電圧VBIAS333bにおける)ノイズが抑制される。この制御電圧(例えば、基準電圧VBIAS333b)は、試験のために使用されてもよいが、原則として、それ(例えば、基準電圧VBIAS333b)は、必ずしもグローバル接続である必要はなく、機能は、例えば、各電極(センサ素子3221から322n)の下方に実装されることができる。
【0092】
・基準電圧(例えば、基準電圧VBODY333a):差動入力の一方側は、例えば、センサ(電極/センサ素子3221から322n)に接続される一方で、第2の入力は、例えば、基準電圧(例えば、基準電圧VBODY333a)に接続される。VBODY(基準電圧VBODY333a)に対する可能性のある干渉は、全てのセンサノード(モジュール式記録サイト)上で等しく検出されることができ、したがって、デジタル後処理において除外されることができる。
【0093】
最大のニューロン信号でさえも数十ミリボルトの範囲内にあり、必要とされる線形性は低いため、例えば、各電極(センサ素子3221から322n)の下方の連続時間gm-Cベースのインクリメンタルデルタシグマアナログデジタル変換器を使用する直接変換(例えば、積分器3241から324nは、量子化器3251から325nに結合される)は、最小のシリコン面積での実装を可能にする一次変調器を使用して実装され得て、これは、ただ1つの積分器3241から324nおよびコンデンサ、正確な時定数、したがってローカルバイアスが不要であるためである。デシメーションは、単純なリップルカウンタ3261から326nを使用して達成され得る。単一分岐OTA-C積分器3241から324nの出力は、例えば、量子化器3251から325n、すなわち比較器および出力ラッチに接続され、電流フィードバックのためのスイッチを駆動する。
【0094】
以下では、ニューロンプローブ300などの実施形態にかかるニューロンプローブの具体例が与えられる。この例は、ニューロンプローブを実装するために使用されるパラメータのいくつかの具体的な値を含む。値は非限定的な例としてのみ理解されるべきであり、したがって、それらは実施形態を限定するものではなく、単に本発明のより良い理解に適しているにすぎない。さらなる、異なる、または他の構成要素を使用することによって、異なる電圧、電流、および/またはデータレートなどの他の値が得られ得ることは明らかである。
【0095】
ADC(アナログデジタル変換器)のデジタル部分350は、例えば、デシメータ、すなわちリップルカウンタ3261から326n、11b(11ビット)変換結果のための2つのレジスタ、および2b(2ビット)構成レジスタからなるか、またはそれらを備える。例によれば、ADCは、10bの結果をもたらす1024サイクルにわたって実行され得る。OTA、OTA出力(例えば、積分器3241から324nの出力)およびカウンタ3261から326nをリセットする前に、結果がデータバスを使用して送信され得る。例えば、最終的な変換エラーを表す比較器の最後の結果が10ビットの結果に11番目のビットとして付加され、得られた11ビットがデータチェーン上に置かれ得る。例えば、ビットシーケンスは、双方向シリアルデジタルデータバス328の記憶装置に記憶され得る。代替的または追加的に、各モジュール式記録サイト3201から320nのデジタルセンサ信号のビットシーケンスは、双方向シリアルデジタルデータバス328を使用して直接送信されてもよい。ラッチと比較器との間のタイミング違反を回避するために、後続のセル(モジュール式記録サイト3201から320n)の遅延クロックがラッチに使用される。読み出し中、デジタルデータ(複数のデジタルセンサ信号)は、モジュール式記録サイト3201から320nを通ってシフトされ、ニューロンプローブ300は、2つの可能性のあるチェーン(順方向チェーン352および逆方向チェーン354)を使用し、それらのそれぞれは、少なくとも15Mビット/秒または少なくとも20Mビット/秒、例えば20.48Mビット/秒などの同じまたは異なるデータレートを使用し得る。例えば、双方のチェーン(順方向チェーン352および逆方向チェーン354)は、20.48Mビット/秒のビットレート、すなわちfs=20.48MHzを使用し得る。ベース330内のFSMは、例えば、所与の例においてフロントエンドにおいて40.96Mビット/秒をもたらす時間多重化によって、双方のチェーンの出力を単一のデータストリームに結合し得る。ベース330は、低電力素子であってもよく、1W未満、100mW未満、またはさらには100μW未満、例えば37μWを消費してもよく、記録サイト(モジュール式記録サイト3201から320n)あたりの電力消費量は、1W未満、100mW未満、またはさらには100μW未満、例えば39.14μWをもたらしてもよく、そのうちの1W未満、100mW未満、またはさらには100μW未満、例えば12.77μWがアナログ部分360によって消費される。
【0096】
11bのADC(例えば、積分器3241から324nは、量子化器3251から325nに結合される)は、領域ごとにノイズ性能を最適化するように設計されてもよく、したがって、可能な限り多くの領域がノイズに重要な構成要素、すなわち入力専用である(専用面積は、所与の例では、171μm2など、1000μm2未満、または500μm2未満、または200μm2未満であるべきである)および負荷トランジスタ(専用面積は、所与の例では、144μm2など、1000μm2未満、または500μm2未満、または200μm2未満であるべきである)。小さな領域のみが、例えば、グローバルバイアスラインから導出されるフィードバック電流シンクに専用である。フィードバック電流は、3つの異なる範囲、例えば、±15mVの1つの範囲、±30mVの第2の範囲および±55mVの第3の範囲、または±13mVの1つの範囲、±25mVの第2の範囲および±50mVの第3の範囲、または±12mVの1つの範囲、±23mVの第2の範囲および±46mVの第3の範囲、例えば±11.25mV、±22.5mVまたは±45mVに構成されることができるADC(例えば、積分器3241から324nは、量子化器3251から325nに結合される)のフルスケール(FS)を決定する。
【0097】
図3bは、ニューロンプローブ300の3Dビューを有するシステムレベルの概略図を示している。ニューロンプローブ300のハウジングは、場合により、不動態化層(ハウジングを外部から覆い、ハウジングに電気絶縁を提供する)を備える。不動態化層は、(例えば、パッド340および/または電極の位置において)ハウジングを通過する電気信号を可能にする1つまたは複数の領域を確保し得て、パッド340(
図3bでは、1つのパッドのみが示されているが、ニューロンプローブ300は、2つ以上のパッド340によって実装されることもできる)および電極(センサ素子322
1から322
n)のみは、不動態化層を含まなくてもよい。読み出し電子回路の信号チェーンは、前置増幅、増幅およびフィルタリングを省略することによって小さくなり、センサ信号(ニューロン信号)のローカルアナログデジタル変換によって置き換えられることができる。これにより、各センサ(電極/センサ素子322
1から322
n)の下方に直接シャンク上にアナログデジタル変換器が実装されることができる。センサ素子322
1から322
nは、電極接点323によって各センサ素子322
1から322
nの下方の電子機器に結合されてもよい。
【0098】
各モジュール式記録サイト3201から320nは、アナログ部分360とデジタル部分350とに分割されてもよい。デジタル部分350は、第1の導電性素子390によってアナログ部分360から遮蔽されてもよく、導電性素子は、電磁干渉を遮断するように構成されている。導電性素子は、例えば、低インピーダンスの接地シールドとすることができる。センサ素子3221から322nからアナログ部分360およびデジタル部分350を遮蔽するように、センサ素子3221から322nのコネクタ(電極接点323)を囲むように第2の導電性素子392が配置されている。各センサ素子3221から322nの下方で、基準331は、制御電圧VBIAS333bおよび基準電圧VBODY333aによって実装されることができる。電源334は、例えば、アナログ電源電圧VDD,A335および接地電圧VSS336として実装されることができる。
【0099】
アナログ部分360の少なくとも一部およびデジタル部分350の少なくとも一部は、例えば、ニューロン信号を受信するように構成されたセンサ素子3221から322nによって覆われている。実施形態では、センサ素子3221から322nは、デジタル部分350およびアナログ部分360を中心として覆うが、センサ素子3221から322nがデジタル部分350のみまたはアナログ部分360のみを覆うことも可能である。
【0100】
この実施形態では、針プローブのモジュール式のスケーラブルなアーキテクチャが実現され、これは、シャンクに沿ってノイズに敏感なアナログ信号をルーティングまたは事前バッファリングする代わりに、例えば、各電極(センサ素子3221から322n)の下方でのアナログデジタル変換を統合する。そのような統合に使用される領域は任意であり、統合される機能によって影響され得る。例えば、200×200μm2未満、150×150μm2未満、または100×100μm2未満、例えば70×70μm2の面積が使用され得る。この設計は、プローブ(例えば、ニューロンプローブ300)の上部に追加の読み出し回路を必要とせず、デジタル4線インターフェース340と接続する。ニューロンプローブ300は、再構成可能な11.5mmニューロンプローブ(しかしながら、11.5mm超、14mm超、または20mm超のより大きなプローブを有することも可能である)として実装され得て、例えば144個の統合された記録サイト(モジュール式記録サイト3201から320n)による組織損傷を最小限に抑えるために、上から下に(例えば、最後のモジュール式記録サイト320nから最初のモジュール式記録サイト3201まで、またはアレイの軸方向延長部に沿ってベース330まで)70μmの一定の幅370(幅370は、例えば、100μm未満、90μm未満または75μm未満である)および50μmの厚さ380(厚さ380は、例えば、100μm未満、80μm未満または60μm未満である)を特徴とし、脳深部記録用途のために組織に完全に没入されることができる。
【0101】
複数のモジュール式記録サイト3201から320nは、軸方向に沿って配列され、軸方向に沿ってアレイを形成する。軸方向に垂直な第1の垂直方向に沿った延長部は、幅370として理解され、軸方向に垂直な第2の垂直方向に沿った延長部は、厚さ380として理解される。
【0102】
実施形態では、複数のモジュール式記録サイト3201から320nは、例えば、軸方向に沿って配置され、軸方向に沿ってアレイを形成する。軸方向に垂直な第1の垂直方向に沿ったベース330の延長部は、例えば、最大でも複数のモジュール式記録サイト3201から320nの第1の垂直方向に沿った延長部である。軸方向に垂直な第2の垂直方向に沿ったベース330の延長部は、例えば、多くとも第2の垂直方向に沿った複数のモジュール式記録サイトの延長部である。
【0103】
換言すれば、複数のモジュール式記録サイト3201から320nの軸方向におけるベース330の伸びは、複数のモジュール式記録サイト3201から320nの軸方向における複数のモジュール式記録サイト3201から320nの伸び以下であってもよい。複数のモジュール式記録サイト3201から320nの軸に垂直な方向におけるベース330の伸びは、複数のモジュール式記録サイト3201から320nの軸に垂直な方向における複数のモジュール式記録サイト3201から320nの伸び以下であってもよい。
【0104】
換言すれば、ベースから全てのモジュール式記録サイト3201から320nを通って(複数のモジュール式記録サイト3201から320nを通って)最後のモジュール式記録サイト320nまでの軸に垂直な断面は、変化する必要はない。これは、ベース330の断面に影響を与えることなく、ニューロンプローブの複数のモジュール式記録サイト3201から320nに対して任意の数のモジュール式記録サイト3201から320nを選択することができるという利点を有する。したがって、ベース330は、例えば、複数のモジュール式記録サイト3201から320nのうちのモジュール式記録サイト3201から320nのそれぞれと同じ断面を有することができる。これにより、ベース330を組織内に完全に埋設/没入することができる。したがって、ニューロンプローブ300を組織内により深く配置することができ、侵襲的外科的処置を最小限に抑えることができる。
【0105】
モジュール概念は、例えば、1列または複数列を有する針の二次元アレイの形態など、センサノード(モジュール式記録サイト320
1から320
n)の任意の配置の実現を可能にする。各モジュール式記録サイト320
1から320
nは、少なくとも1行または1列に配置され、互いに接続されてもよい。再び
図3bを参照すると、ニューロンプローブ300は、軸方向に沿って配置された複数のモジュール式記録サイトの単一行を含み得る。実施形態によれば、ニューロンプローブ300は、モジュール式記録サイト320
1から320
nの複数の行またはラインを含み得る。1行または1列内で、モジュール式記録サイト320
1から320
nは、並列通信を回避し、それによって小型通信エンティティを可能にするように、互いに直列に配置されてもよい。したがって、軸方向に沿ったニューロンプローブ300の軸方向延長部は、少なくとも、その方向に沿って配置されたいくつかのモジュール式記録サイト320
1から320
nによって影響され得る。対照的に、モジュール式記録サイト320
1から320
nの数は、軸方向に垂直な1つまたは複数の方向に沿ったニューロンプローブ300の行/列の伸長に影響を与えないか、または全く影響を与えない可能性がある。
【0106】
デジタルデータのみがシャンクに沿って搬送され、敏感な信号が存在しないため、センサ間(例えば、各センサ素子3221から322nの間)または各モジュール式記録サイト3201から320nの間で測定されることができるクロストークは少なく、またはクロストークさえもなく、光源または電磁場などの外部干渉源に対して高い堅牢性がある。
【0107】
外側へのラインの数は、それぞれ電極(センサ素子3221から322n)および/またはセンサモジュールの数(例えば、モジュール式記録サイト3201から320nの数)から独立していてもよく、および/またはシャンクの幅370から独立していてもよい。
【0108】
針のベース330は、シャンクと同じ幅370を有し得るため、さらなる損傷を引き起こすことなくシャンクの長さを超えて組織に導入されることができる。したがって、従来の針と比較して、より深い脳領域が測定されることができる。
【0109】
ニューロンプローブ300は、例えば、144個の記録サイトの並列読み出しのために各電極の下方に統合されたモジュール式アーキテクチャおよびデルタシグマADC(アナログデジタル変換器)を有する完全に没入可能な深脳ニューロンプローブを表すことができる。
【0110】
図3cは、本発明のセンサアレイの実施形態を表すセグメント化プローブ300の概略3Dビューを示し、セグメント化プローブ300は、
図3aおよび
図3bに示すニューロンプローブ300の特徴および機能を備えることができる。
図3cに示すセグメント化プローブ300は、以下にさらに説明するように、モジュール式記録サイトの位置決めおよびセンサ素子(センサ素子は、センサ部または電極として記載されることもできる)の配置に関して、
図3aおよび
図3bのニューロンプローブ300とは異なる。
図3cでは、
図3aおよび
図3bに示す要素と比較して、同等または均等の要素、または同等または均等の機能を有する要素は、異なる図で発生する場合であっても、同等または均等の参照符号によって示されている。
【0111】
実施形態によれば、
図3cに示すセグメント化プローブ300は、セグメント321
1から321
3のうちの少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、またはさらにはそれ以上の数、例えば10、20などを備え、各セグメント321
1から321
3は、いくつかのセンサ素子322
1から322
30を備え得る。例えば、3×4構成に配置された12個のセンサ素子322
1から322
12または322
13から322
24、または3×2構成に配置された6個のセンサ素子322
25から322
30を備えるものとして示されているが、記載された実施形態の範囲内で、任意の異なる数のセンサ素子および/または任意の異なる構成が実装され得る。セグメント化プローブ300の先端には、第1のセグメント321
1が配置され、次いで第2のセグメント321
2、次いで第3のセグメント321
3が配置され、例えば、ベースがセグメント化プローブ300の端部に配置される前に、より多くのセグメントが配置されることができる。
【0112】
実施形態によれば、センサアレイ、すなわちセグメント化プローブ300は、例えばセグメント3211から3213またはセンサ素子3221から32230によって表される複数のモジュール式記録サイトを備える。例えば、一方のセンサ素子3221から32230は、一方のモジュール式記録サイトを表すことができ、および/または2つ以上のセンサ素子3221から32230のグループは、一方のモジュール式記録サイトを表すことができ、一方のモジュール式記録サイトは、例えば、一方のアナログデジタル変換器を備える。
【0113】
実施形態によれば、複数のモジュール式記録サイトの第1のサブセットは、第1の半導体基板329
1上に配置され、複数のモジュール式記録サイトの隣接する隣接する第2のサブセットは、第2の半導体基板329
2上に配置され、第1の半導体基板329
1と第2の半導体基板329
2とは、間隙を介して離間しており、少なくとも1つの導電ライン386
1から386
6によって電気的に接続されている。第1のセグメント321
1が1つのモジュール式記録サイトを表す場合、これは、例えば、セグメント321
1が複数のモジュール式記録サイトの第1のサブセットであることを意味し、モジュール式記録サイトは、12個のセンサ部322
1から322
12および1つのアナログデジタル変換器を備える。センサ素子322
13から322
24またはセンサ素子のグループ(例えば、2×2、3×1、1×3、3×2など)が第2の半導体基板329
2上に2つ以上のモジュール式記録サイトを表す場合、これは、例えば、2つ以上のモジュール式記録サイトが第2のサブセットを表すことを意味する。したがって、例えば、第2の半導体基板329
2上の第2のサブセットは、各モジュール式記録サイトが、例えば3×1構成を有する3つのセンサ素子322
13から322
15、322
16から322
18、322
19から322
21および322
22から322
24を備える場合、4つのモジュール式記録サイトを備え、4つのモジュール式記録サイトのそれぞれは、1つのアナログデジタル変換器を備える。
図3cには、3つの半導体基板329
1から329
3が示されており、これらは、半導体基板なしで間隙によって離間されている。
【0114】
実施形態によれば、少なくとも1つの導電ライン3861から3866は、可撓性基板385の上または中に配置される。
【0115】
実施形態によれば、セグメント3211から3213は、可撓性ポリマーケーブルのように、可撓性基板385上に配置される。セグメント化プローブ300の可撓性を改善し、プローブを曲げるかまたはねじることによってセグメント化プローブ300に起こり得る損傷を低減するために、セグメント3211から3213の間の間隙が調整されることができる。間隙が大きいほど、例えば、セグメント化プローブ300は、より柔軟である。
【0116】
実施形態によれば、セグメント3211から3213は、各セグメント3211から3213を可撓性ポリマーケーブル385に接続する接点を備え、それにより、可撓性ポリマーケーブルは、セグメントを例えば直列に相互接続する。実施形態によれば、信号および/または電源が、可撓性ポリマーケーブル385を介してベースによって各セグメント3211から3213に提供され、各セグメント3211から3213は、例えば、可撓性ポリマーケーブル385によってベースに信号を送信するように構成され、セグメント3211から3213は、例えば、可撓性ポリマーケーブル385によって直列に接続される。各セグメント3211から3213は、例えば、いくつかのインターフェースまたは接点3281、3282、331、335、336および/または338を備える。6つの接点を有するものとして示されているが、任意の数の接点、すなわち多かれ少なかれ、信号を送信し、および/または電力供給を提供するように実装され得るため、実施形態はこれに限定されない。例えば、第1の接点331は、基準、例えば基準電圧を表し、第2の接点338は、クロックを表し、第3の接点3281は、データ入力を表し、第4の接点3282は、データ出力を表し、第5の接点335は、電圧供給を表し、第6の接点336は、接地、例えば接地電圧を表す。
【0117】
実施形態によれば、セグメント3211から3213は、CMOSシリコン基板3291から3293を備えることができ、提案されたセンサアレイの電子機器、すなわちセグメント化プローブが実装される。任意に、6つの接点または6つの接点331、338、3281、3282、335および/または336のうちの少なくともいくつかは、シリコン貫通ビアとして実現されることができる。
【0118】
図4aは、モジュール式記録サイト400のブロック図を示し、モジュール式記録サイト400は、
図1のモジュール式記録サイト122
1から122
nのそれぞれ、
図2aおよび
図2bのモジュール式記録サイト224
1から224
nのそれぞれ、ならびに
図3aおよび
図3bのモジュール式記録サイト320
1から320
nのそれぞれと同じ機能を有する。モジュール式記録サイト400は、例えば、
図3aのニューロンプローブ300のセンサ素子322
1から322
nのそれぞれと同じ機能を有することができるセンサ素子410を備える。センサ素子410は、例えば、連続時間Gm-Cデルタシグマ変調器420に結合される。時間連続Gm-Cデルタシグマ変調器420は、例えば、
図3aの積分器324
1から324
nと同じ機能を有することができる。連続時間Gm-Cデルタシグマ変調器420は、例えば、センサ素子410への接続およびグローバル基準422への接続を含む差動入力を有することができる。グローバル基準422は、例えば、神経活動が測定される脳組織の基準電位を表す
図3aの基準331の基準電圧V
BODY333aからなるか、またはそれを含むことができる。連続時間Gm-Cデルタシグマ変調器は、例えば、出力信号を量子化器430に転送するように構成されている。量子化器430は、例えば、
図3aの各量子化器325
1から325
nと同じ機能を有することができる。量子化器430は、制御ユニット440に結合されてもよく、制御ユニット440は、例えば、制御信号442と相互作用することができる。制御ユニット440は、構成モジュール450および記憶装置460に結合され得る。
【0119】
モジュール式記録サイト400のセンサ素子410は、例えば、ニューロン信号を受信し、ニューロン信号を連続時間Gm-Cデルタシグマ変調器420に転送することができる。次いで、連続時間Gm-Cデルタシグマ変調器420は、例えば、ニューロン信号を積分し、積分されたニューロン信号を量子化器430に送信することができ、量子化器430は、例えば、積分されたニューロン信号をデシメートし、ニューロン信号をデジタルセンサ信号に変換することができる。制御ユニット440は、例えば、通常動作モードまたは構成モードのいずれかにあるように構成されている。制御信号442は、どのモードが適切であるかを制御ユニット440に伝え得る。制御ユニットが通常動作モードで動作するとき、量子化器430からのデジタル化されたセンサ信号は、記憶装置460に書き込まれ、デジタルデータバス462によってベースに転送され得る。制御ユニット440が構成モードにおいて動作するとき、制御ユニット440は、構成パラメータを構成モジュール450に送信し得て、それによって、構成モジュール450は、例えば、連続時間Gm-Cデルタシグマ変調器420のスケーリングが変更されるなど、各モジュール式記録サイトを動作させるためのパラメータを変更することができる。
【0120】
換言すれば、通信インターフェース(例えば、制御ユニット440および記憶装置460)は、例えば、構成モードまたは通常動作モードのいずれかで動作することができる。構成モードと通常動作モードとの間の切り替えは、例えば、別個の制御信号によって実行されることができる。構成モードでは、各モジュール式記録サイトの設定は、例えば、受信した構成データから読み出され、モジュール式記録サイト400の動作に関するパラメータを適合させるために各モジュール式記録サイトによって使用されることができる。複数のモジュール式記録サイトの各モジュール式記録サイトの通信インターフェースの通常動作モードでは、デジタルセンサ信号がベースに転送されることができる。各モジュール式記録サイトに通信インターフェースを実装することにより、各モジュール式記録サイトを個別に動作させ、ニューロン信号のデジタルセンサ信号への変換に関するパラメータを変更することが可能である。
【0121】
例えば、記憶装置460(記憶装置460は、例えば、トランジスタである)を備えるデジタルデータバス462は、複数のモジュール式記録サイトの各モジュール式記録サイトの通信インターフェースを、互いにおよびベースに対して直列に結合する。なお、制御信号442用のラインとデジタルデータバス462用のラインとは、必ずしも個別のラインである必要はない。例えば、データバス462を使用して制御信号442を送信することができる。通信インターフェースが通常動作モードにある場合、ニューロン信号から複数のモジュール式記録サイトの各モジュール式記録サイトによって変換されたデジタルセンサ信号は、例えば、デジタルデータバス462の記憶装置460に書き込まれることができる。そして、デジタルデータバス462は、例えば、デジタルセンサ信号とともに記憶装置をベースに転送する。複数のモジュール式記録サイトの各モジュール式記録サイトの通信インターフェースは、互いにおよびベースに対して直列に接続される。これは、各モジュール式記録サイトの各通信インターフェースがそれぞれのデジタルセンサ信号をデジタルデータバス462の記憶装置460に書き込むことを意味することができ、その結果、各モジュール式記録サイトのデジタルセンサ信号は、他の各モジュール式記録サイトの位置に対する各モジュール式記録サイトの位置にそれぞれ順番に配置される。別個の制御信号を用いて、通信インターフェースは、そのモードを通常動作モード(デジタルセンサ信号が各モジュール式記録サイトからベースに転送される)から構成モード(構成データがベースから各モジュール式記録サイトに転送される)に変更することができる。したがって、このモジュール式システムの概念は、例えば、任意の数のモジュール式記録サイト(例えば、任意のトポロジーまたは幾何学的形状のニューロン電極)を最小限の複雑さ、小さいサイズのベースと接触させ、同時にモジュール式記録サイトを読み出すことを可能にする。
【0122】
換言すれば、アナログデジタル変換器(それぞれ、モジュール式記録サイト400)のアーキテクチャは、時間連続Gm-Cデルタシグマ変調器のアーキテクチャに似ている。時間連続デルタシグマ変調器は、電力需要が低減されていることで知られている。Gm-C積分器420を用いた実装は、面積需要が非常に小さくなり得るという利点をさらに有する。さらにまた、これらの変換器は、暗黙のアンチエイリアシングフィルタ効果を含むことが知られている。したがって、追加の回路ブロックとしての専用のアンチエイリアスフィルタの必要性が省略されることができるため、より多くの電力および面積が節約されることができる。そのような変換器および回路アーキテクチャの使用は、信号チェーンを低減し、アナログデジタル変換器をセンサ素子410の真下に置くことを可能にする。
【0123】
図4bは、モジュール式記録サイト400のブロック図を示し、モジュール式記録サイト400は、
図4aに示すモジュール式記録サイト400の特徴および機能を備えることができる。
図4bに示すモジュール式記録サイト400は、センサ素子に関して
図4aのモジュール式記録サイト400とは異なり、
図4aのモジュール式記録サイト400は、実施形態によれば、少なくとも第2のセンサ素子、例として、
図4aのようにただ1つのセンサ素子410の代わりに4つのセンサ素子410
1から410
2を備える。4つのセンサ素子の数は、説明のためだけに選択され、記載された実施形態の範囲を限定するものではない。少なくとも10または少なくとも15など、任意の他の適切な数の2つ以上、3つ以上、5つ以上またはさらに高い数が実装されてもよい。
図4bでは、
図4aに示す要素と比較して、同等または均等の要素、または同等または均等の機能を有する要素は、異なる図で発生する場合であっても、同等または均等の参照符号によって示されている。センサ素子410
1から410
4は、センサ部または電極として理解されることもできる。
【0124】
少なくとも2つのセンサ素子4101および4102は、信号を受信するように適合されている。2つ以上のセンサ素子4101から4104は、例えば、4つのセンサ素子4101から4104を表す2×2センサマトリックスに配置される。実施形態によれば、あるモジュール式記録サイト400の全てのセンサ素子4101から4104は、同じ信号を検出することができ、それによって、各センサ素子4101から4104は、例えば、モジュール式記録サイト400におけるセンサ素子4101から4104の異なる位置に対する同じ信号の依存性に基づいて、同じ信号に関連付けられた異なる個別の信号を生成する。すなわち、同じ信号、例えば生体信号は、異なるセンサ素子4101から4104において受信され、センサ素子4101から4104は、本発明の他の実施形態に関連して説明したのと同じ生体信号に基づく個々の異なる信号を提供する。
【0125】
したがって、実施形態によれば、モジュール式記録サイト400は、受信信号に関連する4つの個別の信号を処理するように構成されている。個々の信号は、互いに異なることができ、または個々の信号の少なくとも一部は、同じとすることができる。積分器420は、少なくともセンサ素子4101および4102の個々の信号を時系列的に積分し得て、それによって、モジュール式記録サイト400が、2つ以上のセンサ素子に基づいて出力信号を順次提供すること、すなわち、センサ素子4101および4102によって収集された情報を時間多重化することを可能にする。これは、提供されたアナログ電子信号をデジタル信号に変換するための各構成要素を設けることなく、センサ素子4101および4102によって検知された信号のより高い分解能および/またはオーバーサンプリングを可能にし得る。
【0126】
実施形態によれば、
図4bは、モジュール式記録サイト400の実装を示し、一方のアナログデジタル変換器(例えば、Gm-C積分器420および量子化器430)は、2つ以上のセンサ素子410
1から410
4によって提供される2つ以上の個体を変換するように構成されている。アナログデジタル変換器は、例えば、センサ素子410
1から410
4の出力を選択的に変換するように構成されている。時間多重化は、複雑さを最小限に抑えるために広く使用されている方法である。4つのセンサ素子を有する記載された実施形態によれば、4倍高速のアナログデジタル変換器(
図4aと比較した場合)は、
図4aに関して記載されたアナログデジタル変換器がただ1つの信号を変換するのと同時に、4つのセンサ素子410
1から410
4によって受信された信号をサンプリングおよび量子化することができる。すなわち、追加の変換器を個別に配置する代わりに、より高い変換速度が使用されてセンサ素子のセットをグループ化し得る。
【0127】
すなわち、プローブの1つ、複数、または全てのモジュール式記録サイトは、少なくとも第1および第2のセンサ素子によって生体信号をサンプリングし、第1および第2のセンサ素子の出力をデジタルセンサ信号に多重化するように構成されてもよい。時間多重化の代わりに、または時間多重化に加えて、異なるまたはさらなる多重化の概念、例えば周波数多重化が実装されてもよい。
【0128】
図5aは、モジュール式記録サイト500のブロック図を示し、
図5bは、電流フィードバックを有するGm-C積分器510、ラッチされた比較器520、および出力ラッチ530の回路図を示している。
【0129】
図5aのモジュール式記録サイト500は、Gm-C積分器510を備え、Gm-C積分器510は、例えば、センサ素子511(例えば、電極)および基準電圧V
BODY512への接触を含む差動入力を有する。積分器510は、制御電圧V
BIAS513によって制御され、供給電圧V
DD514に接続され、フルスケールのモード選択516が適用されることができる。センサ素子511は、例えば、
図3aまたは
図3bのセンサ素子322
1から322
nのそれぞれと同じ機能を有することができ、基準電圧V
BODY512は、例えば、
図3aまたは
図3bの基準電圧333aと同じ機能を有することができ、供給電圧514は、例えば、
図3aまたは
図3bの供給電圧V
DD,A335と同じ機能を有することができ、制御電圧V
BIAS513は、例えば、
図3aまたは
図3bの制御電圧333bと同じ機能を有することができる。積分器510は、量子化器520に結合された差出力を有し、量子化器520は、例えば、
図3aの量子化器325
1から325
nのそれぞれと同じ機能を有することができる。量子化器520から、フィードバック電流528が積分器510に結合され、ビットストリームがカウンタ530に送られることができ、カウンタ530は、例えば、
図3aのカウンタ326
1から326
nのそれぞれと同じ機能を有することができる。
【0130】
量子化器520は、リセット522、クロック524、および遅延クロック526を備えることができ、遅延クロック526は、チェーン内の次の側(次のモジュール式記録サイト)に接続する。リセット522は、例えば、トランジスタを切り替えて量子化器520をリセットする。したがって、例えば、量子化器520によって、デジタル化されたセンサ信号は、隣接するモジュール式記録サイトのデジタルセンサ信号に対して遅延される。カウンタ530は、例えば、リセット532およびクロック534を有する十ビットカウンタである。カウンタ530は、例えば、デジタルセンサ信号をラッチ540(これは、例えば、
図4aおよび
図4bからの記憶装置460の機能を有する)に書き込む。次に、デジタルセンサ信号は、ラッチ540から結果レジスタ550に書き込まれ、結果レジスタ550は、例えば、
図4aおよび
図4bからの記憶装置460と同じ機能を有することができる。入力552を介して、ベースから到来するデータチェーンは、結果レジスタ550に入り、出力554を介してラッチ540から追加のデジタルセンサ信号を受信した後に離れる。
【0131】
図5bでは、
図5aのブロック図がより詳細に示されている。Gm-C積分器は、例えば、2つのグローバルアナログ線(基準電圧V
BODY512および制御電圧V
BIAS513)に接続される。積分器はまた、例えば、供給電圧V
DD514を含み、供給電圧514は、第1の出力514aから第1の入力514bへの電流および第2の出力514cから第2の入力514dへの電流を生成する。積分器510は、センサ素子511(例えば、電極)に接続されてもよく、例えば、リセットモジュール516を備えることができる。積分器510は、例えば、第1の差動出力517と第1の差動入力517aとの間の接続および第2の差動出力518と第2の差動入力518aとの間の接続によってラッチされた比較器570と結合する。ラッチされた比較器570は、例えば、リセット522、第1のクロック524a、第2のクロック524b、第3のクロック524cおよび遅延クロック526を備え、第1のクロック524a、第2のクロック524b、第3のクロック524cおよび/または遅延クロック526は、周期的に動作し、例えば同じ信号が供給される。ラッチされた比較器570は、電源電圧V
DD514によって出力ラッチ580に接続されている。出力ラッチ580は、フィードバック出力528aとフィードバック入力528bとの間の接続によって積分器510に接続されている。
【0132】
フィードバック電流シンク(例えば、フィードバック出力528aとフィードバック入力528bとの間の接続)は、例えば、グローバルバイアスライン(制御電圧513)から導出される。フィードバック電流は、例えば、±11.25mV、±22.5mVまたは±45mVに構成されることができるADCのフルスケール(FS)を決定する。比較器出力(例えば、フィードバック出力528a)に応じて、電流は、OTA(積分器510)の左または右の低インピーダンスカスケードノードのいずれかに注入され得る。非対称フィードバックによって引き起こされるコモンモードリップルは、95fFのMIM積分容量(第1のMIM(金属/絶縁体/金属)積分容量519aおよび第2のMIM積分容量519bであって、第1のMIM積分容量519aおよび第2のMIM積分容量519bは、それぞれ、例えば7×3.5μm2など、例えば20×10μm2、15×7μm2または10×4μm2未満の面積を占有し、例えば95fFなど、20fFから200fF、50fFから150fFまたは80fFから100fFの範囲内の容量を有することができる)をVCMFB590に接続することによって低減され、差動比較器入力によって拒絶され得る。デジタルレベルの入力信号において動作し得るフィードバック電流源およびフィードバックスイッチのノイズは、主要なノイズ要因と比較して無視できる。コモンモードフィードバックの面積および精度に対する制約は厳しくはなく、第1に、ノイズは、回路の微分特性によって相殺され、第2に、比較器入力(例えば、第1の入力517aおよび第2の入力518a)において正確なコモンモードが必要とされないためである。差動対の相互コンダクタンスは、例えば、4.2μSなど、1μSから20μS、2μSから10μSまたは3μSから5μSの範囲内にあるように、熱雑音を考慮することによって決定され得る。測定された最大SNRは、300dB、200dBまたは100dB未満、例えば65.6dB(FS=±45mV)であり得て、例えばVPP=10mV(FS=±11.25mV)における5%、1%または0.5%未満、例えば0.22%などのTHDが、この例によれば1.5μAのテール電流に対して得られる。
【0133】
換言すれば、複数のモジュール式記録サイトの各モジュール式記録サイトの積分器510は、統合されたニューロン信号を得るために、ニューロン信号を受信し、ニューロン信号を統合するように構成されている。複数のモジュール式記録サイトの各モジュール式記録サイトの量子化器520は、ラッチされた比較器570および出力ラッチ580を備える。ラッチされた比較器570は、積分されたニューロン信号を受信し、積分されたニューロン信号を量子化するように構成されている。出力ラッチ580は、比較器出力ラッチ580に基づいて、積分器510へのフィードバック電流528のためのスイッチを駆動するように構成されている。比較器出力ラッチ580に応じて、電流は、OTAの左または右の低インピーダンスカスケードノードのいずれかに注入される(OTAは、コンデンサとともに積分器の例である)。
【0134】
図5bは、例えば、インクリメンタルデルタシグマシステムレベルの概略的且つトランジスタレベルの実装(例えば、ただ1つのフルスケールモードのフィードバック電流源が示される:I
FBN(第1の出力514aから第1の入力514bまで)、I
FBP(第2の出力514cから第2の入力514dまで))を示している。
【0135】
図6a、
図6bおよび
図6cは、本明細書に記載の実施形態にかかるニューロンプローブによって得られ得るインビトロ測定の図を示している。実施形態に関連して与えられた電子パラメータ、サイズまたは数を考慮した測定結果も特定の詳細も、特に明記しない限り、与えられた教示を限定するのに適していない。他の構成、パラメータ、数、またはサイズが、本実施形態の範囲内で実装され得ることは明らかである。
【0136】
図6aは、FS=±45mVについて測定されたDNL/INL(微分非線形性/積分非線形性)を示している。FSは、±11.25mV、±22.5mVまたは±45mVに構成されることができるADC(アナログデジタル変換器)のフルスケールを意味する。
【0137】
図6bは、前半610がLFP帯域(局所電場電位の帯域)に対応し、第2の部分620がAP帯域(活動電位の帯域)に対応するインビトロパワースペクトル密度プロットを示している。
図6bはまた、複数のノイズコーナー630を示している。
【0138】
図6cは、統計的ノイズ分布(384の記録サイト-複数のプローブ)を示している。FS=±11.25mVの統計的ノイズ分布が黒色で示され、FS=±22.5mVの統計的ノイズ分布が薄黒色で示され、FS=±45mVの統計的ノイズ分布が灰色で示されている。最上段の図は全帯域幅を示し、中段の図は局所電場電位帯域を示し、下段の図は活動電位帯域を示している。ADC(実施形態にかかるニューロンプローブの各モジュール式記録サイト内のアナログデジタル変換器)は、FSモードに応じて、240Hzから590Hzのフリッカーノイズコーナーを有する10kHzの入力信号帯域幅をカバーする。2種類のニューロン信号、すなわち局所電場電位(LFP、1から300Hz)および活動電位(AP、0.3から10kHz)の周波数帯域のノイズは、それぞれ、8.1μVrmsおよび13.4μVrmsである(FS=±11.25mV)。全ての測定はインビトロで行われ、すなわち、電極および電解質表面界面から生じるノイズも含み、いかなる追加の遮蔽もない。
【0139】
図7は、DC(直流)コントローラ/アーチファクトフィルタおよびデジタル後処理を示すインビトロ測定セットアップを示している。測定は、事前に記録されたデータ(海馬)による刺激に由来する。右上の写真は、脳切片活性記録用の2つの針プローブを備えたインビトロMEAアダプタを示している。ニューロンプローブ700(これは、例えば、ニューロンプローブ100、200および300と同じ機能を有することができる)は、本体電圧V
BODY704を有するリン酸緩衝生理食塩水702に入れられる。ニューロンプローブ700は、可撓性ケーブルを介してフィールドプログラマブルゲートアレイ710(FPGA)に接続されている。FPGA710は、USB(ユニバーサルシリアルバス)を介して後処理ユニット720に接続されている。後処理ユニット720は、DCコントローラアーチファクトフィルタ722、LFPフィルタ724、およびAPフィルタ726を備える。
【0140】
以下では、測定例について簡単に説明する。全てのADC(実施形態にかかるニューロンプローブの各モジュール式記録サイト内のアナログデジタル変換器)の平均データが使用されて、生理食塩水における適用およびアーチファクト信号の相殺のために適切な本体電圧を駆動する。測定された信号は、デジタル後処理によって低周波局所電場電位(LFP)と高周波活動電位(AP)とに分離される。
【0141】
図8は、光遺伝学的用途のための測光および放射測定光感度測定(全ての照射された記録サイトの平均ノイズ)を示している(比較のために、約500ルクスの照度は、典型的なオフィス照明に相当し、約10000ルクスから完全な昼間の照明に相当する)。光遺伝学的刺激中、外部光源は、脳組織を特異的に励起し、したがって活動が誘発されることができ、これは、ニューロンプローブによって検出されることができる。一般に、光パルスはまた、ニューロンのプローブアーチファクト信号を生成する。本明細書に記載のニューロンプローブの設計は、光学的破壊を大きく受けないように実装される。
【0142】
パルス(20Hzまたは1kHzの周波数でオン/オフ)広帯域光源810(λ=400nmから1000nm)は、中性密度フィルタ830を介して能動針プローブ800(能動針プローブ800は、例えば、ニューロンプローブ100、200および300と同じ機能を有することができる)にビーム820を送信し得て、能動針プローブ800は、リンガー溶液840に配置される。右図では、第1の曲線850は、高周波(例えば、1kHz)に対応し、第2の曲線852は、低周波(例えば、20Hz)に対応する。図にはまた、全帯域幅ノイズ限界854も示されている。差動対(差動トランジスタ対は、信号経路において差動シグナリングを生成するために2つの入力トランジスタが使用される回路技術を記載する)の双方の入力トランジスタが電極の下方に配置された実施形態にかかるニューロンプローブの遮蔽およびレイアウトの(上述したような)概念は、ニューロン細胞の光遺伝学的刺激の強い要件である照明アーチファクトを抑制する[9]。パルス広帯域光源に対する感度測定値が
図8に示されている。光励起中の結果として生じる信号シフトは、電極表面へのフォトニック効果と一致するが、下層のCMOS回路は、性能をさらに低下させない。
【0143】
図9は、ケーブル上でのポストCMOS処理(供給電圧は、オフチップで密に一緒になっている)後のCMOSチップおよび最終針プローブ(実施形態にかかるニューロンプローブについての例)を示す顕微鏡写真を示している。パッドは、例えば、電極特性評価(例えば、サイクリックボルタンメトリーまたは電気化学インピーダンス分光法)に使用され、読み出しに必ずしも必要ではない。本発明にかかるニューロンプローブの一方のモジュール式記録サイト900は、シールド930によって分離されたデジタル部分910とアナログ部分920とに分離されることができる。アナログ部分920は、例えば、Gm積分器921、CMFB922(C923、CMOS負荷924、スイッチ925、電流バイアス926、V
B927、量子化器928、および構成モジュール929)を備える。
【0144】
ニューロンプローブ940は、任意の第1の電極942を備え、第1の電極(例えば、Pt電極)は、電極特性評価のためにVREFパッドに直接接続されることができる。ニューロンプローブ960は、パッド962およびセンサ素子964を備え、パッド962は、例えば、ニューロンプローブ960を外部装置に接続するための接点である。ニューロンプローブ950は、パッド962、センサ素子964、ベース966、および任意のSi3N4-SiO2不動態化を含み、パッド962は、例えばニューロンプローブ960を外部装置に接続するための接点であり、センサ素子964は、例えばPt電極(白金電極)であり、Si3N4-SiO2不動態化は、各センサ素子964の間に絶縁部968を形成する。ニューロンのプローブは、CMOS作製後に分離される。
【0145】
顕微鏡写真は、例えば、先端からベースまで70μmの一定の幅および50μmの厚さを有する完全に移植可能なプローブを示している。ベースの長さは、例えば、電極の数に依存しない。クロック周波数がADCのfsに等しいため、記録サイトの最大数は、チェーンのデータレートによってのみ制限され得る。各ADCは、例えば、20kS/秒を送達し、長さを、例えば、チェーンあたり93個の電極に制限する。例示的なプローブは、例えば、2つのデータチェーン(それぞれが、例えば93個のモジュール式記録サイトを有する)を使用する。しかしながら、複数のチェーンを有する拡張は、デジタル部分に僅かな複雑さしか追加しない。グローバルアナログニューロン信号経路は、存在しなくてもよく、設計の高いモジュール性に起因して、より長いプローブまたはプローブジオメトリの任意の用途固有の修正は、同一の性能を提供する。技術スケーリングは、プローブ領域の半分がデジタル回路専用であるため、電力散逸およびプローブ幅を大幅に低減する。
【0146】
図10aは、当該技術分野において述べられているようなニューロンプローブ1000の概略図を示している。
図10bは、本発明の実施形態にかかるニューロンプローブ1100を示している。全ての既知の解決策は、非常に大きなベース1010を有し、したがって、組織に完全に埋め込まれることはできない。さらに、ベース1010のサイズは、侵襲的な外科的処置を必要とする。ニューロンプローブ1100により、これらの問題が克服されることができる。したがって、本発明にかかるニューロンプローブは、従来の解決策よりも明らかに優れていることが分かる。
【0147】
図11は、ベース1110、シャンク1120および信号処理ユニット1130を備えた最新技術にかかるニューロンプローブを示している。信号処理ユニット1130は、信号増幅器1132と、アナログデジタル変換1134と、デジタル処理/インターフェース1136と、コンピュータ1138とを備える。
【0148】
本明細書に記載のニューロンプローブでは、信号増幅器1132およびアナログ/デジタル変換1134を省略することにより、信号処理ユニット1130の構成要素の数が低減されることができる。例えば、ニューロンプローブは、各モジュール式記録側にそれらの構成要素を既に含む。したがって、本発明にかかるニューロンプローブは、従来の解決策よりも明らかに優れていることが分かる。
【0149】
図12は、本出願において提示されるニューロンプローブ1300(本発明の実施形態)と比較した、当該技術分野において述べられているようなニューロンプローブ(ニューロンプローブ1212、1222、1232、1242および1252)を示している。本明細書に記載のニューロンプローブ1300は、非常に小さなベース1310を備えることが分かる。ベース1310は、ベース1210、1220、1230、1240および1250よりもはるかに小さく実装されてもよい。したがって、ニューロンプローブ1300は、ニューロンプローブ1212、1222、1232、1242および1252よりもはるかに容易且つ深く組織に埋め込まれることができる。したがって、本発明にかかるニューロンプローブは、従来の解決策よりも明らかに優れていることが分かる。
【0150】
いくつかの実施形態は、積分器および比較器または量子化器を使用するアナログデジタル変換に関連して説明されているが、具体例では、Gm-Cベースのインクリメンタルデルタシグマアナログデジタル変換器、すなわち一次デルタシグマ変調器に関連して説明され、以下に説明される実施形態は、再構成可能な連続時間インクリメンタルデルタシグマ変換器、すなわちインサイチュアナログデジタル変換器226(226
1から226
nを参照)を使用することによるアナログデジタル変換の有利な実装形態をさらに提供し、これは、粗量子化のために第1の動作モード227a(227a
1から227a
nを参照)で動作し、精密量子化のために第2の動作モード227b(227b
1から227b
nを参照)で動作する、すなわち、第1の動作モード227aの残差225(225
1から225
nを参照)を量子化する。例えば
図13を参照されたい。
【0151】
第1の動作モード227aおよび第2の動作モード227bは、例えば、デルタシグマ変換器のフィードバックに実装される増幅率を考慮して、使用されるサンプリングレートを考慮して、および/または、フィードバックデジタルアナログ変換器226に使用される信号形状または信号タイプを考慮して、互いに異なってもよい。
【0152】
以下に説明するセンサアレイは、上述した実施形態のうちの1つに関して説明した特徴および/または機能を備え得る。これらの実施形態は、限定することなく、例えば、従来のADC素子を置き換えるために、またはアナログデジタル変換を変更するために、上述した実施形態と組み合わせられ得る。しかしながら、単一のアナログ信号132(1321から132nを参照)を量子化するために異なる動作モード227(227aおよび227bを参照)におけるデルタシグマ変調器の要素を再使用する利点、アナログ信号132の合成結果を得るために互いに組み合わされるべき異なる動作モード227の結果は、ニューラルプローブまたはプローブに限定されず、アナログデジタル変換を使用する任意の他の用途、例えば、センサ用途、通信用途などで使用されてもよい。
【0153】
図13は、ベース2100および複数のモジュール式記録サイト2200(2200
1から2200
nを参照)を備えるセンサアレイ2000の実施形態を示している。ベース2100および複数のモジュール式記録サイト2200は、互いに隣接する第1の方向2050に沿って配置され、ベース2100は、複数のモジュール式記録サイト2200が続く第1の要素を表し得る。位置合わせされた要素、例えばベース2100および複数のモジュール式記録サイト2200は、互いに接続されてセンサアレイ2000を形成する。
【0154】
複数のモジュール式記録サイト2200の各モジュール式記録サイト2200は、CMOS基板2210(22101から2210nを参照)と、少なくとも1つのセンサ素子2220(22201から2220nを参照)と、インサイチュアナログデジタル変換器226と、通信インターフェース2230(22301から2230nを参照)とを備える。
【0155】
インサイチュアナログデジタル変換器226および通信インターフェース2230のようなモジュール式記録サイト2200の電気部品は、CMOS基板2210内に集積されてもよく、少なくとも1つのセンサ素子2220の表面の下方に配置されてもよい。少なくとも1つのセンサ素子2220の表面が一体化され得るハウジングは、外部の影響から電子部品を遮蔽することができる。
【0156】
少なくとも1つのセンサ素子2220は、アナログ信号132を受信する、例えば検出するように構成されている。例えば、センサアレイ2000の周囲に生体信号130が発生する可能性があり、これは複数のモジュール式記録サイト2200のうちの少なくとも1つによって検出されることができる。モジュール式記録サイト2200のセンサ素子2220は、生体信号130をアナログ信号132として検出してもよく、アナログ信号132は、それぞれのモジュール式記録サイト2200の位置における生体信号130を、例えば、同じ特性を有するが、伝搬損失のために減衰した振幅を有するものとして表す。それぞれの少なくとも1つのセンサ素子2220は、アナログ信号132をインサイチュアナログデジタル変換器226に直接転送するように、または処理されたアナログ信号をインサイチュアナログデジタル変換器226に提供するように構成された前処理手段に転送するように構成されてもよい。
【0157】
それぞれのインサイチュアナログデジタル変換器226は、アナログ信号132をデジタルセンサ信号134(1341から134nを参照)に変換するように構成されている。各インサイチュアナログデジタル変換器226は、第1の量子化設定を使用してそれぞれのアナログ信号132の第1の量子化を実行し、第1の量子化から残差225を取得するために第1の動作モード227aにおいて動作し、それぞれのインサイチュアナログデジタル変換器226の同じ要素に対して第2の異なる量子化設定を使用して残差225の第2の量子化を実行するために第2の動作モード227bにおいて動作するように構成されている。インサイチュアナログデジタル変換器226は、デジタルセンサ信号134をさらなる処理手段に、または直接通信インターフェース2230に提供するように構成されてもよい。
【0158】
通信インターフェース2230は、デジタルセンサ信号134またはさらなる処理されたデジタルセンサ信号をベース2100に提供するように構成されている。複数のモジュール式記録サイト2200の通信インターフェース2230は、互いにおよびベース2100に対して直列に接続されている。
【0159】
ベース2100は、プローブ信号112を提供するように構成されている。プローブ信号112は、通信インターフェース2230によって提供されるデジタルセンサ信号134に対応し得る。あるいは、ベース2100は、通信インターフェース2230によって提供されるデジタルセンサ信号134に基づいてプローブ信号112を決定するように構成されてもよい。
【0160】
センサアレイ2000は、
図14から
図35に関して以下に説明する特徴および/または機能を備え得る。センサアレイ2000は、例えば、特に、
図27から
図35に関してより詳細に説明するように、データ圧縮ユニット4000および任意に縮小要素4200をさらに備え得る。
【0161】
実施形態は、拡張された計数およびハードウェア再使用を有する2段階インクリメンタルデルタシグマ変換器226に基づく、完全に没入可能なニューロンプローブのための、例えば0.00378mm2の面積を有する小型のスケーラブルなニューロン記録フロントエンドを提供する。
【0162】
したがって、実施形態は、いくつかの実施形態にかかるニューロンプローブに組み込まれるデルタシグマ変調器に関する。例えば、そのようなデルタシグマ変調器は、モジュール式記録サイト2200または異なる場所、例えばベース2100に含まれてもよい。
【0163】
さらなる実施形態によれば、アナログデジタル変換器226は、ニューロンプローブなしで使用されてもよい。
【0164】
ニューロンプローブは、1つ、または複数、または全てのアナログデジタル変換器226、例えば各モジュール式記録サイト2200において、インサイチュアナログデジタル変換器226が、第1の量子化設定を使用して生体信号、すなわちアナログ信号132の第1の量子化を実行し、第1の量子化から残差225を取得するために、第1の動作モード227aにおいて動作し、アナログデジタル変換器226の同じ要素に対して第2の異なる量子化設定を使用して残差225の第2の量子化を実行するために第2の動作モード227bにおいて動作するように構成されるように実装されてもよい。したがって、アナログデジタル変換のために、モードに応じて異なる設定を適用することによって、増幅要素および/またはサンプリング要素などの要素が双方の動作モード227において使用されることができる。これは、第1の動作モード227aにおいて使用される要素、2つ以上の要素または全ての要素が第2の動作モード227bにおいて再使用されることができるため、アナログデジタル変換器226の全ての構成要素に必要な小さな面積をもたらす。
【0165】
実施形態によれば、量子化設定は、アナログデジタル変換時に適用される増幅または利得に対応する。第1の増幅または利得の例は、1、1未満または1超であり得る。第2の量子化設定の増幅、利得の例は、異なる値、例えば、1に対して1/16、1/8、または1/4などのより低い値、または第1の量子化設定の増幅値であってもよい。
【0166】
実施形態によれば、量子化設定は、アナログデジタル変換において適用されるサンプリングレートに対応する。第1の量子化設定の第1のサンプリングレートの例は、1の正規化値および/または1MHz以下、少なくとも1.5MHz、または2.72MHz以上などの少なくとも2MHzの絶対値を含み得る。第2の量子化設定の例示的な第2のサンプリングレートは、第1のサンプリングレートに関して少なくとも5、少なくとも8、またはそれ以上の正規化された値、例えば、2.72MHzの8倍であり得る21.76MHzを含み得る。例えば、第1の設定に関して第2の設定のサンプリングレートの8倍にしたがって、第1の利得の1/8である第2の利得が選択されてもよく、関係値として8をレンダリングする。あるいは、異なる関係値が選択されてもよく、または関係値が選択されなくてもよい。
【0167】
実施形態によれば、量子化設定は、アナログデジタル変換においてサンプリングに適用される信号形状に対応する。第1の量子化設定の例示的な第1の信号は、非ゼロ復帰パルス形状フィードバック信号を含んでもよく、一方、第2の量子化設定の第2の信号は、例えば12.5%のデューティサイクルを有し、したがって関係値に対応するゼロ復帰フィードバック信号を含んでもよい。
【0168】
実施形態によれば、第1の量子化設定は、1の増幅、2.72MHzのサンプリングレート、非ゼロ復帰パルス形状フィードバック信号としての信号形状を含んでもよく、第2の量子化設定は、1/8の増幅/利得、21.76MHzのサンプリングレート、アナログデジタル変換器の要素「デジタルアナログ変換器」DACを制御するための12.5%のデューティサイクルを有するゼロ復帰フィードバック信号としての信号形状を含んでもよい。1つまたは複数のパラメータに対して異なる値が選択されてもよい。
【0169】
実施形態によれば、例えば
図14aから
図14cを参照すると、センサアレイ2000は、インサイチュアナログデジタル変換器226のそれぞれまたは少なくとも一方が信号入力2240を含むように実装されてもよく、第1の動作モード227aにおいて信号入力2240とアナログ信号132、例えば生体信号との間に接続2242を提供し、第2の動作モード227bにおいて信号入力2240をアナログ信号132、例えば生体信号から切断2244するように構成されている。
【0170】
実施形態に応じて、第1の動作モード227aおよび第2の動作モード227bは、アナログデジタル変換器226のデルタシグマ変調器2250のフィードバックループ内に印加される増幅2245a/2245b、デルタシグマ変調器2250のサンプリングレート2248、および/または、デルタシグマ変調器2250におけるフィードバックDAC2246a/2246bのパルス形状を考慮して互いに異なる。
【0171】
例えば、フィードバックDAC2246a/2246bのパルス形状として、非ゼロ復帰およびゼロ復帰が実施形態において使用され得る。
【0172】
図14aおよび
図14bは、動作モード227aおよび227bの双方で同じDACが使用される実施形態を示している。第1の動作モード227aにおいて非ゼロ復帰(NRZ)パルス形状を仮定すると、NRZ DACを使用しながら第2の動作モード227bにおいてフィードバック利得を調整する代わりに、フィードバック信号の形状が変更されることができ、その結果、DAC2246aは、再構成なしに双方の動作モード227aおよび227bに使用されることができ、したがってシリコン面積が節約されることができる。この目的のために、パルス幅が第2の動作モードM
2227bにおけるクロックサイクルの数に依存する第2の動作モード227bにおいてゼロ復帰パルス形状が使用され得る。別の選択肢は、第2の動作モード227bにおいてサンプリング周波数2248を増加させることであり、これにより、同じDAC2246aが再構成なしに双方の動作モード227aおよび227bにおいて再使用されることを可能にし、したがってシリコン面積を節約することを可能にする。
【0173】
2段階インクリメンタルデルタシグマ変換器、すなわちインサイチュアナログデジタル変換器226のフィードバック経路内の増幅2245aが1であり、M2=8であり、サンプリング周波数2248が2.72MHzであり、第1の動作モード227aの非ゼロ復帰フィードバック信号であると仮定すると、増幅2245bは、第2の動作モード227bにおける精密量子化のために係数M2だけ低減され、すなわち増幅2245bは、1/8であり、またはサンプリング周波数2248は、係数M2だけ増加され、すなわちサンプリング周波数2248は、21.76MHzであり、または100%/M2のデューティサイクルを有するゼロ復帰信号が使用され、すなわちデューティサイクルは、12.5%であり、または上述した方法の組み合わせ、例えば、第2の位相、すなわち第2の動作モード227bにおける増幅2245bは、1/4であり、サンプリング周波数2248は、5.44MHzであり、または増幅2245bは、1/4であり、ゼロ復帰フィードバック信号のデューティサイクルは、50%である。
【0174】
実施形態に応じて、第2の動作モード227bでは、アナログデジタル変換器226の積分器2260および/または量子化器2270および/またはデルタシグマ変調器2250のフィードバックDAC2246が、第1の動作モード227aに対して再使用される。フィードバックDAC2246aを再使用する場合、
図14aおよび
図14bに示すように、フィードバックDAC2246bが省略されて、インサイチュアナログデジタル変換器226に必要なシリコン面積を低減することができる。
【0175】
換言すれば、以下のとおりである:
実施形態は、多段階連続時間インクリメンタルデルタシグマアナログデジタル変換器に基づいてニューラル信号を記録するためのアナログフロントエンドを提供する。
【0176】
アナログフロントエンドのアーキテクチャは、一次および高次ΔΣシステムの利点を組み合わせた多段階連続時間IΔΣADC、すなわちインサイチュアナログデジタル変換器226に基づいている。これは、従来の一次システムと比較して、粗量子化および精密量子化による多段階法を用いることでオーバーサンプリング比が低減されることができることを意味する。同時に、システムが量子化プロセスの異なる段階、すなわち第1の動作モード227aおよび第2の動作モード227bのために再使用されることができる1つの積分器2260を使用すれば十分であるため、面積が維持されることができる。連続時間ADCのシステムアーキテクチャは、
図14の量子化プロセスの異なる位相、すなわち第1の動作モード227aおよび第2の動作モード227bについて示されており、一方、
図15は、制御信号のタイミング図を示している。ここで、M
1およびM
2は、それぞれ、粗量子化時および精密量子化時のクロックサイクル数に相当する。システム、例えばセンサアレイ2000は、構成可能なIΔΣ変調器2250およびデシメーションフィルタ2290から構成されてもよい。粗量子化のプロセスのために、変調器2250は、位相1 227a(
図14aを参照)における従来のΔΣ変調器として構成されている。入力フィードフォワード経路は、信号経路の数を最小にするために省略される。しかしながら、これにより、積分器2260だけでなく、入力信号132にも量子化誤差が記憶される。
【0177】
位相1 227aからの残りの量子化誤差のみが位相2 227bの開始時に積分器に残ることを保証するために、入力信号u
in(t)132は、位相1 227aの最後のクロックサイクルにおいて切断2244される(
図14bを参照)。位相2 227bにおいて、ΔΣ変調器2250は、係数M
2に応じてフィードバック経路における利得2245が低減されるように構成されている(
図14cを参照)。利得2245を低減させる代わりに、サンプリングレート2248が増加されることができ、波形が変更されることができ、または方法の組み合わせが使用されることができる。積分器2260および比較器2270は、精密量子化に再使用される。
【0178】
図14は、多段階連続時間インクリメンタルデルタシグマアナログデジタル変換器226のシステムレベルの設計を示している:(a)位相1 227aでは、再構成可能ΔΣ変調器2250は、従来のΔΣ変調器2250として2242に接続されている。(b)位相1 227aの最後のクロックサイクルでは、入力信号132は、量子化誤差、例えば残差量子化誤差のみが位相2 227bの積分器2260に残ることを保証するために切断される2244。(c)フィードバック経路における利得2245は、位相2 227bにおける精密量子化に適合される。
【0179】
この位相、すなわち第2の動作モード227bの間、積分器2260y(t)の記憶値は、ADCの中心値に向かって積分される。この際、比較器2270の出力に生じる1秒および0秒の数がカウントされる。その結果は、粗量子化の結果に加算される。さらにまた、精密量子化の残りの部分は、位相2 227bの最後のクロックサイクルにおいて評価され、1ビットの分解能がさらに得られる。この目的のために、残差値y(t)の符号がチェックされ、その結果が前のものに添付される。その後、変調器2250がリセットされ、新たなアナログデジタル変換が開始されることができる。システム、すなわち、インサイチュアナログデジタル変換器226の分解能は、それぞれの位相227aおよび227bにおけるクロックサイクルの数によって与えられ、ENOB=log2(M1)+log2(M2)+1である。
【0180】
図14の2段階アーキテクチャは、例えば
図36の2246cおよび2246dなどの追加のフィードバック経路を含むことによって、複数の段階、例えば4段階に拡張されることができる。システムの分解能は、ステップの数に応じて、ENOB=ENOB
P1+ENOB
P2+ENOB
P3+ENOB
P4+1と与えられ、OSR=M
1+M
2+M
3+M
4+2(M
1、M
2、M
3、M
4は、各相のクロックサイクル数を示す)である。4つの動作モードの場合、ADC226は、第3の動作モードおよび第4の動作モードにおいて第1の動作モード227aおよび第2の動作モード227bに加えて動作するように構成されることができ、第1の動作モードによって取得された残差信号は、第1の残差信号を表し得て、ADCは、第2の量子化から第2の残差を取得するように構成されている。ADC226は、アナログデジタル変換器の第3の異なる量子化設定を使用して第2の残差の第3の量子化を実行し、第3の量子化から第3の残差を取得するために第3の動作モードで動作し、アナログデジタル変換器の第4の異なる量子化設定を使用して第3の残差の第4の量子化を実行するための第4の動作モードで動作するように構成されている。第1の量子化は、粗量子化を表し得て、量子化は、各動作モードによってますます細かくなり、第4の量子化は、最も精密な量子化を表す。そのような多次ADC226では、オーバーサンプリング比は、2段階ADC226と比較してさらに低減されることができ、同時に、面積は、システムが全てのモードにおいて1つの積分器および量子化器を使用するのに十分であるため、大幅に増加しない。複数の動作モードを可能にするために、追加のフィードバック経路のみが追加されてもよい。
【0181】
図16のフロントエンドアーキテクチャは、11ビットの分解能および136のオーバーサンプリング比(M
1=128、M
2=8)で可能な限り最小の領域のための差動gm-C積分器2260に基づいている。フィードバックのために、位相1(I
FB1)、すなわち第1の動作モード227a、および位相2(I
FB2)、すなわち第2の動作モード227bについて、2つの電流源がそれに応じて使用される。デシメーションフィルタ2290は、リップルキャリー加算器を1つずつ用いて、各相のサイクル数に応じて実現される。
【0182】
図16は、gm-C積分器2260に基づく2段階連続時間IΔΣADC226のフロントエンドアーキテクチャを示している。
【0183】
トランジスタレベルの実装の中心は、
図17に示すgm-C積分器2260である。出力コモンモードを制御するための追加の増幅器の代わりに、積分器出力によってバイアスされる交差結合負荷トランジスタT
Lが使用され、したがって面積および電力を節約する。出力コモンモード電圧は、負荷トランジスタT
LのV
GSによって画定される。回路のノイズを最小化するために、または負荷トランジスタの面積を低減するために、位相1 227aにおいて「チョッパ」方法が使用される。位相2 227bに対する入力信号132を切断するために、差動入力対の2つの入力トランジスタT
INは、それぞれ2つの単位トランジスタに分割される。単位トランジスタのうちの1つは、それぞれ、左または右の電流経路に切り替えられることができる。位相2 227bにおいて入力トランジスタを交差結合することによって、差動出力電流が相殺される。位相2 227bにおけるオフセットは、精密量子化の分解能を制限することができるため、残りのオフセットを最小にするように、この位相227bにおける入力トランジスタおよび負荷トランジスタにも「チョッパ」法が適用される。
【0184】
多段階量子化方法により、オーバーサンプリング比は、同じ分解能を有する従来の一次IΔΣシステムと比較して、(2M1M2)/(M1+M2)の係数によって低減されることができ、第2の動作モード227bにおけるハードウェア再使用に起因して、同様のシリコン領域上の電力消費の大幅な低減をもたらすことができる。これは、消費電力の大幅な低減をもたらし、積分器2260および比較器2270が全ての位相227aおよび227bに使用されるため、シリコン面積が増加しない。電力が低減されるため、温度要件に違反することなく時間多重化方法が採用されることができる。そのような方法により、チャネル当たりの面積がさらに低減されることができる。離散時間システムとは対照的に、gm-C積分器2260に基づく連続時間の実装は、可能な限り小さい面積の小さな積分コンデンサおよび低ノイズによってシステム、例えばセンサアレイ2000を実現することを可能にする。ADCの固有の低域通過挙動に起因して、追加のアンチエイリアシングフィルタが陳腐化する。さらにまた、入力トランジスタを交差結合することは、入力信号132を切断する2244ために入力の前に追加の入力トランジスタまたはマルチプレクサを追加する必要性を回避することによって面積を節約する。さらに、高インピーダンス入力ノードVinにおいてスイッチングする必要性を回避する。
【0185】
本明細書において提案されるフロントエンドアーキテクチャは、他の概念と比較して面積、ノイズ、および電力消費が大幅に低減されることができるという利点を有する。
【0186】
換言すれば、0.00378mm2の可能なサイズを有するフロントエンド、したがって拡張された計数およびハードウェア再使用を有する2段階インクリメンタルデルタシグマ変換器226に基づく完全に没入可能なニューロンプローブのためのスケーラブルなニューロン記録フロントエンドが記載される。
【0187】
電子機器の組織透過性プローブへの広範な統合は、信号品質を改善し、インビボ神経活動の高密度記録のための寄生効果を低減する。プローブシャンク[5]、[6]、[11]に信号チェーンの一部のみを実装する受動ニューロンプローブまたは装置とは対照的に、完全に没入可能な皮質下プローブは、脳深部領域におけるニューロン信号の記録を可能にする[12]。これは、インサイチュで脳活動を直接デジタル化し、したがって大きなベースを回避し、プローブが等しい幅のベースおよびシャンクを有することを可能にすることによって達成される。しかしながら、これは、プローブシャンクにおける空間分解能の低下および出力密度の増加を伴う。完全に没入可能なプローブの概念を進めるために、面積だけでなくチャネル当たりの電力も低減し、したがって電力密度の増加による組織の過熱を回避するニューロン記録フロントエンドアーキテクチャが必要である。この文献は、最新技術と比較してノイズおよび線形性性能を向上させながら、これらの目的を達成するモジュール式ニューロン記録フロントエンド、すなわちセンサアレイ2000を提示する。
【0188】
図18は、可変数のカスケード接続されたモジュール式記録サイト2200を有する完全に没入可能なプローブ2000のシステムアーキテクチャを示し、11ビットのアナログデジタル変換器226、すなわち現場電極オフセット補償2285(os comp)を伴うインサイチュA/D変換のためのものが、各電極、すなわちセンサ素子2220の下方に統合されている。各記録サイト2200は、拡張された計数技術およびハードウェア再使用を有する連続時間2段階インクリメンタルΔΣ(IΔΣ)ADCを特徴とし、これは、低インピーダンスシールド390を挟んでアナログ部分360およびデジタル部分350に厳密に分割される。デジタル領域350は、デジタル化されたニューラル信号の構成および読み出しのためのシフトレジスタを含む。各記録サイト2200は、通信インターフェース2230と、デシメーションフィルタ2290と、制御信号を生成するように構成された制御ユニット2295とを備えることができる。通信インターフェース2230は、例えば、データチェーンおよび構成チェーンを備える。
図18は、フレキシブルな数の記録サイト2200を有する完全に没入可能なニューロンプローブ2000に統合されたニューロン記録フロントエンドのシステムレベルの設計、および等しい幅のベース2100およびシャンク2150を有するプローブ2000の図を示している。ベース2100は、4線インターフェース(クロック、制御、データ入力およびデータ出力)を介して制御可能な有限状態機械を有する回路を備える。さらに、回路は、カレントミラー基準(外部電流源)を有するバイアス回路を備える。チャネルの数にかかわらず、ベースは、9個のパッドのみを備える。
【0189】
図19aに示す2段階変換器フロントエンドの動作は、2段階の位相227aおよび227bに分割され、M
1およびM
2は、クロックサイクルのそれぞれの持続時間を示し、
図14および
図15ならびにさらなる詳細についての対応する説明も参照されたい。
図19aは、タイミング
図2002を有する2段階インクリメンタルΔΣADC 226のブロック図と、1つの変換の期間にわたる量子化器2270の入力y(t)の
図2004とを示している。連続時間2段階インクリメンタルΔΣ変換器は、ローパスの伝達特性を有する。面積を維持しながらOSRが低減され、再構成フィルタ2280は、単純なアップカウンタである。
図19bから
図19eは、量子化器2270の入力y(t)の
図2004とともに、インサイチュアナログデジタル変換器226の2つの動作モード227aおよび227bをより詳細に示している。
【0190】
図19bは、第1の動作モード227aの実施形態を示している。インサイチュアナログデジタル変換器226は、粗量子化のΔΣとして構成されている。システムの分解能は、ENOB
P1=log
2(M
1)によって与えられ、ここで、M
1は、第1の動作モード227aのサイクル数である。インサイチュアナログデジタル変換器226は、信号経路を最小化するための入力フィードフォワードを含まない。量子化誤差および信号は、積分器2260に記憶される。
【0191】
図19cは、第1の動作モード227aの最後のクロックサイクルを示している。入力信号132は、インサイチュアナログデジタル変換器226の信号入力2240から切断される。第2の動作モード227bについては、残差量子化誤差のみが残る。量子化器2270の入力y(t)は、以下のように決定されることができる:
図19dは、第2の動作モード227bの実施形態を示している。量子化器2270の入力y(t)は、ゼロに向かって積分することによって評価される。第1の動作モード227aにおいて使用された積分器2260および比較器2270は、第2の動作モード227bにおいて再使用される。フィードバック利得2245bは、第1の動作モード227aのフィードバック利得2245aと比較して、第2の動作モード227bのサイクル数M
2だけ低減される。システムの分解能は、ENOB
P2=log
2(M
2)によって与えられる。
【0192】
図19eは、第2の動作モード227bの最後のクロックサイクルを示している。第2の動作モード227bの最後のクロックサイクルでは、第2の動作モード227bの残差が評価され、量子化器2270の符号入力y(t)をチェックすることによって分解能の1つの追加ビットをもたらす。システムの分解能は、ENOB=log
2(M
1)+log
2(M
2)+1によって与えられ、OSR=M
1+M
2である。OSRは、一次IΔΣADCと比較して(2M
1M
2/M
1+M
2)だけ低減される。
【0193】
図20aは、電流フィードバックを有する再構成可能最小面積Gm-C積分器2260および電極オフセット補償のための任意のIDAC2246を有するインクリメンタルΔΣ変調器2250のトランジスタレベルの実装を示している。量子化器利得は定義されていないため、時定数は重要ではない。面積は、時定数、すなわちC
intを低減することによって最小化される。
図20aにおける2段階IΔΣADC226は、Gm-C積分器2260によって実現され、オーバーサンプリング比は、136(M
1=128、M
2=8)である。したがって、OSRは、一次IΔΣADCと比較して約15倍低減される。リセットされた動的ラッチ比較器の出力ビットストリームは、再構成フィルタに供給され、フィードバック電流源(I
FB1またはI
FB2=I
FB1/M
2)、すなわち、積分器2260の左または右分岐から電流を排出するNMOSフィードバックを制御するために使用される。ダミー経路は、フィードバック電流が変換位相間、すなわち動作モード227aと227bとの間で切り替えられるときの過渡応答を向上させるために含まれる。追加のCMFB増幅器を使用する代わりに、交差結合負荷トランジスタT
Lは、OTA出力によって自己バイアスされ、したがって面積および電力を節約する。位相1 227aにおけるNMOS負荷トランジスタを周波数f
chop=340kHz(f
chopはf
chnを表す)によるチョッピングは、フリッカノイズを低減する。f
chopは、IΔΣリセット周波数f
rst=20kHzの倍数であるため、チョッピングによって生じるスペクトル成分は、変換器の伝達特性によって抑制され、DCに折り畳まれる、すなわち、AP/LFPの周波数帯域内のスペクトル成分を回避する。周波数f
chopは、ベースにおけるf
sの2の整数分周のべき乗によって生成される。第2の変換位相中に入力を切断するときの高インピーダンスOTA入力におけるスイッチングを回避するために、Gm=21.7μSを有するPMOS入力トランジスタのそれぞれは、2つの単位トランジスタT
INに分けられ/分割され、それぞれのうちの1つが反対の電流分岐に切り替えられることができ、すなわちそれぞれのうちの1つが左右の分岐に切り替えられることができる。これは、高インピーダンス入力におけるスイッチングを回避する。これらの単位トランジスタをクロスカップリングすることにより、OTAの差動出力電流が相殺される。カスコードトランジスタT
CNおよびT
CPは、高インピーダンス出力を保護するために実装される。Gm-C積分器2260は、ノイズクリティカル入力および負荷トランジスタを有し得る。さらに、位相2における残差オフセットは、入力における電流分岐をチョッピングすることによって最小化され、OTA電流源は、サンプル周波数f
sによって負荷する。位相2における積分オフセットは、精密変換の分解能を制限しないために<<FS/(2M
2)であるべきである。再構成フィルタ2280は、7b(ビット)および3bリップルキャリー加算器からなるか、またはそれを備え、その結果は、最後の変換サイクルから生じるLSBとマージされる。7bリップルキャリアカウンタは、第1の動作モード227aに使用され、3bリップルキャリアカウンタは、第2の動作モード227bに使用される。11bの結果は、例えば通信インターフェース2230によって、隣接するADCの結果レジスタにカスケード接続されたシフトレジスタに記憶される。インサイチュアナログデジタル変換器は、11ビットの分解能を有する。各フロントエンドは、オフセット補償およびADCをオン/オフにするための5つの構成ビットを含む。用途および電極材料[12]に応じて、ADCのフルスケール(FS)入力範囲を超える電極間の電気化学的オフセット変動が発生する可能性がある。FS範囲は、未処理電極を有するDC結合完全没入型ニューロンプローブを使用したインビボ測定に基づいて画定された[12]。これにより、±60mVのFSは、電極間の全ての電気化学的オフセットを確実にカバーすることができる。しかしながら、ポストCMOS電極堆積技術の改善は、ローカルオフセットをさらに低減することが期待される。したがって、以下の2つのプロトタイプが設計されている:フルスケール(FS)が±7mVであり、電極ピッチが35μmであり、ローカルオフセット変動が少ない用途のためのコンパクトな高密度記録サイト、および最大±60mVのオフセットおよび55μmのピッチをカバーする追加の4b IDAC2246を備えたより汎用的なフロントエンド。
図20bも参照されたい。ニューロン信号は、ADCフルスケール範囲内にある必要がある。8、12、および24個の電極を有する異なるプロトタイプチップが製造され、試験されている。システムのモジュール性により、[12]におけるように、記録サイトの数は、電極数以上まで容易に増加されることができる。しかしながら、この特定のプロトタイプ実行では、プローブの長さは、利用可能なCMOSレチクルによって制限されていた。2段階IΔΣADC226は、10kHz(f
rst=20kHz、f
s=2.72MHz)の帯域幅を有し得る。
【0194】
第1の動作モード227aについての差動出力電流は、Iout=Gmin・(Velectrode-VBODY)にしたがって決定されることができ、第2の動作モード227bについては、Iout≒0にしたがって決定されることができる。
【0195】
図20aのオフセット補償用のIDAC2246、
図18のos comp2285は、アナログ信号132内のオフセット、例えば生体信号を補償するように構成され得る。そのようなオフセット補償回路は、例えば、各モジュール式記録サイト2200に配置されてもよいが、少なくとも部分的に、ベース2100および/または異なる場所に配置されてもよい。オフセット補償回路は、アナログデジタル変換器226の変換フルスケール窓に一致するように入力信号132がDCオフセットを考慮して適合されるようにオフセットを補償するように構成されてもよい。それにより、例えばローカル変動、例えばpH値に起因して身体内で起こり得る、隣接するセンサ間のオフセットが補償され得る。
【0196】
図21aは、デシメーション後の測定された伝達特性を、オフセット補償を伴うADCのノイズおよび線形性性能、すなわち、例えばIDACを使用したオフセット補償を伴う2段階インクリメンタルΔΣADC226の性能メトリックとともに示している。統計的ノイズ分布は、16個の記録サイト2200(2つの8チャネルチップ)にわたって測定される。10kHzの全帯域幅における平均積分ノイズは、4.9μVrmsになり、一方、局所電場電位(LFP、0.5Hz~1kHz)および活動電位(AP、0.3Hz~10kHz)の周波数帯域における平均ノイズは、それぞれ、2.72μVrmsおよび4.37μVrmsになる。非線形性測定は、-0.84/+0.44LSBのDNLおよび-1.72/+2.55LSBのINLを示す。0.078%のTHDが、10mVppの振幅を有する1kHzの入力信号について測定される。各ADCは、8.59μWの電力消費を有し、そのうち2.67μWがデジタル回路(デシメーション、コントローラ、および重複しないクロック発生器、例えば、NMOSおよびPMOSトランジスタのための2つの重複しないクロック発生器)によって消費される。デジタルデータインターフェース、例えば通信インターフェース、およびデータ送信は、チャネルごとに追加の6.35μWを必要とする。
【0197】
図21bは、オフセット補償のためのIDACを有しない12個の記録サイト2200を備えるセンサアレイ2000について、デシメーション後の測定されたsinc形状の伝達特性をノイズとともに示している。チャネルあたりの消費電力は、13.94μWである。チョッピングアーチファクトが約40dBだけ低減されることが分かる。
【0198】
図21cは、オフセット補償またはADCのダイナミックレンジの増加のためのIDACを有する8つの記録サイト2200を含むセンサアレイ2000の測定されたノイズを示している。チャネルあたりの消費電力は、14.94μWである。SNDRのピークは、57.5dB付近であることが分かる。
【0199】
提案されたシステムの機能性は、
図22に示す実験的セットアップによるオフセット補償を備えた8チャネルプロトタイプの生理食塩水において検証される。事前に記録されたニューロン信号は、アルミニウム基準電極を介して生理食塩水に印加され、グローバル基準コントローラによって調整された基準電位も印加された[12]。予め記録されたニューロン信号は、プロトタイププローブを用いて測定される。CMOS製造プロセスからの11×11μm
2のサイズを有する標準的なAlCuパッドは、記録電極として、すなわちセンサ素子として機能した。記録された信号は、デジタル後処理によってAPおよびLFPにおいて分離される。図は、約3mVのLFPの最大振幅がADCのフルスケールによって十分にカバーされることを示している。しかしながら、y軸上の数字によって分かるように、ADCへの入力信号の実際の値は、数10ミリボルトの正および負の電圧をカバーする広い範囲にわたって広がる。チャネル1および2は隣接しているが、それらはローカル電気化学的オフセットに大きな差を有し、それにもかかわらず、ADCのダイナミックレンジの拡張によって局所的に補償される。これは、グローバル基準の自動制御と組み合わせたローカルオフセット補償の有効性を実証する。このシステムによって記録された信号は、デジタル後処理によってAPおよびLFPにおいて分離される。
【0200】
提示されたモジュール式ニューロン記録フロントエンドは、オフセット補償なしで0.00378mm
2およびオフセット補償ありで0.00462mm
2の面積で0.18μm CMOS技術において実装される。これは、58.04dBおよび57dBのSNDRに対して4.04fJ/C・s・mm
2および5.97fj/C・s・mm
2のE-AチャネルFoM[11]をもたらす。双方のバージョンは、
図23の最先端のニューラルプローブと比較され、提示されたアーキテクチャが、他の完全に統合されたプローブ設計と比較して最大23%小さいシリコン面積で2~3倍小さい電力/チャネルを達成することを示している。AP帯域およびLFP帯域のノイズは、それぞれ31~38%および65~70%低減される。ニューロンプローブのプロトタイプの顕微鏡写真は、電極オフセット補償ありおよびなしの双方のフロントエンドのレイアウトとともに
図24に示されている。単位セル、すなわちモジュール式記録サイト2200は、電極オフセット補償なしでほぼ108×35μm
2の寸法を有し、電極オフセット補償ありで84×55μm
2の寸法を有する。集積デジタル回路は、総面積の最大67%を占めるため、提示された設計は、技術および供給スケーリングから強く利益を得る。
図24は、10個のボンドパッドを備えるベース2100を有するセンサアレイを示し、ここでは9個のみが現在使用されている。
【0201】
図25は、ベース2100と、複数のセンサ素子2220を備えるシャンク2150とを有するCMOSニューロンプローブを概略的に示している。さらに、
図25は、CMOSニューロンプローブに統合可能な信号調整のための異なる選択肢を示している。受動ニューロンプローブ2010は、オンチップ信号調整、少数の並列読み出しチャネル、および高い空間分解能(多重化あり)を有しない。EMIおよびクロストークに敏感な信号は、シャンク2150内にルーティングされる。さらに、受動ニューロンプローブ2010は、多数の相互接続のために大きなベースを有する。能動ニューロンプローブ2020は、オンチップでの完全な信号調整を有し、高い空間分解能および増加した並列読み出しチャネル数を有する。クロストークおよびEMIの影響を受けにくいバッファ信号が、シャンク2150内にルーティングされる。さらに、能動ニューロンプローブ2020は、集積電子回路に起因して大きなベースを有する。本明細書において提案される完全に没入可能なニューロンプローブ2000は、最小化された信号調整チェーン、インサイチュA/D変換、記録サイトの数に依存しない小さなベース、および完全な並列読み出しを有する。敏感な信号は、シャンク2150内にルーティングされない。しかしながら、空間分解能は困難である。特に有利なのは、シリコン面積/電極ピッチの低減、消費電力の低減、およびノイズ性能の向上である。
【0202】
図26は、センサアレイ2000およびグローバル基準コントローラ3100を備えるシステム3000、例えば制御システムを示している。グローバル基準コントローラ3100は、全てのチャネル、すなわちセンサアレイ2000の記録サイト2200の平均値を決定し、組織3200に印加される基準電位を制御するように構成されている。
図3300は、完全に没入可能なニューロンプローブを使用した非ヒト霊長類の運動皮質におけるインビボ測定を示している[12]。
図3300は、電極オフセットの分散、すなわちローカルオフセットを示している。
図3400に示すように、±50mVのオフセット補償で十分であり、例えば、センサアレイ2000のインサイチュアナログデジタル変換器226のIDACに実装される。
【0203】
結論:
-2段階IΔΣADCに基づくニューロン記録フロントエンド
・一次IΔΣADCの同じ分解能におけるOSRの低減、したがって電力消費の低減
・ハードウェア再使用による最小シリコン面積
-完全に没入可能なニューロンプローブプロトタイプ
・±60mVオフセット補償/4ビット構成可能
・完全に統合されたニューロンプローブの最小消費電力
・完全に統合されたニューロンプローブの最良のノイズ性能
-回路の最大67%がデジタルセルによってカバーされているため、プロセス技術および供給によって非常にスケーラブルである
図27は、ベース2100および複数のモジュール式記録サイト2200を備えるセンサアレイ2000を示している。複数のモジュール式記録サイトの各モジュール式記録サイト2200は、CMOS基板2210と、少なくとも1つのセンサ素子2220と、インサイチュアナログデジタル変換器226とを備える。特徴は、センサアレイのうちの1つまたは複数に関して上述したような機能を有することができる。しかしながら、センサ素子2220は、少なくともアナログ信号132を受信するように構成され、インサイチュアナログデジタル変換器226は、少なくとも、それぞれのアナログ信号132をそれぞれのデジタルセンサ信号134に変換するように構成されている。特に、インサイチュアナログデジタル変換器226は、上述した異なる方法において実装されることができる。
【0204】
ベース2100は、複数のモジュール式記録サイト2200によって提供されるデジタルセンサ信号134に基づいてプローブ信号112を提供するように構成されている。ベース2100は、各モジュール式記録サイト2200からそれぞれのデジタルセンサ信号134を受信し得て、プローブ信号112と同じ信号を提供するように構成されることができる。あるいは、デジタルセンサ信号134は、プローブ信号112を取得するためにさらに処理される。
【0205】
さらに、センサアレイ2000は、複数のモジュール式記録サイト22001のうちのモジュール式記録サイト2200によって得られるデジタルセンサ信号1341のデータレートを低減するように構成されたデータ圧縮ユニット4000、例えばデータ圧縮機を備える。インサイチュアナログデジタル変換器226は、デジタルセンサ信号1341をデータ圧縮ユニット4000に直接提供するように構成され得る。あるいは、モジュール式記録サイト2200および/またはベース2100は、デジタルセンサ信号1341をデータ圧縮ユニット4000に提供する前にそれを処理するための追加の処理手段を備えてもよい。
【0206】
図27に示すように、データ圧縮ユニット4000は、モジュール式記録サイト2200
1またはベース2100に、例えば統合されてまたは組み込まれて実装されることができる。
【0207】
実施形態によれば、データ圧縮ユニット4000は、第1の時点t
1の間にモジュール式記録サイト2200
1によって取得された第1のデジタルセンサ信号134a
1と、第2の後の時点t
2の間にモジュール式記録サイト2200
1によって取得された第2のデジタルセンサ信号134b
1との間の差4100aを決定するように構成されている。
図28を参照されたい。データ圧縮ユニット4000は、例えば、差4100aを決定するために2つのデジタルセンサ信号134a
1および134b
1を重ね合わせるように構成されている。差4100aは、デルタ信号または残差信号を表し得る。差4100aは、第2のデジタルセンサ信号134b
1と関連付けられることができる。換言すれば、差4100aは、第2のデジタルセンサ信号134b
1のデルタ符号化バージョンを表すことができる。したがって、データ圧縮ユニット4000はまた、デルタエンコーダと理解されることもできる。データ圧縮ユニット4000は、現在のデジタルセンサ信号134と適時に先行するデジタルセンサ信号134との間の差4100aを決定することによって、現在の、例えば現在のデジタルセンサ信号134のデータレートを低減するように構成され得て、双方のデジタルセンサ信号134は、同じモジュール式記録サイト2200
1によって取得される。適時に先行するデジタルセンサ信号134は、データ圧縮ユニット4000に記憶されてもよく、データ圧縮ユニット4000は、例えば、現在のデジタルセンサ信号134に関連付けられた差4100aの決定後に、モジュール式記録サイト2200
1によって取得された後続のデジタルセンサ信号134に関連付けられた差4100aの決定のために、適時に先行するデジタルセンサ信号134を現在のデジタルセンサ信号134と置き換えるように構成されてもよい。
【0208】
図28にも示す代替の実施形態によれば、データ圧縮ユニット4000は、モジュール式記録サイト2200
1によって得られたデジタルセンサ信号134
1(例えば、参照符号134a
1によって
図28に示されている)の2つの連続するサンプル4110
1および4110
2間の差4100bを決定するように構成されている。差4100bは、デルタ値または残差値を表し得る。2つの連続サンプル4110
1および4110
2は、第1のサンプル4110
1および第2のサンプル4110
2によって表され、第2のサンプル4110
2は、第1のサンプル4110
1の後にモジュール式記録サイト2200
1によって得られる。差4100bは、第2のサンプル4110
2と関連付けられることができる。換言すれば、差4100bは、第2のサンプル4110
2のデルタ符号化バージョンを表すことができる。したがって、データ圧縮ユニット4000はまた、デルタエンコーダと理解されることもできる。適時に先行するサンプル4110(例えば、第1のサンプル4110
1)は、データ圧縮ユニット4000に記憶されてもよく、データ圧縮ユニット4000は、デジタルセンサ信号134
1の後続サンプル4110
3に関連付けられた差4100bを決定するために、例えば、現在のサンプル4110に関連付けられた差4100bの決定後に、適時に先行するサンプル4110を現在のサンプル4110(例えば、第2のサンプル4110
2)と置き換えるように構成されてもよい。
【0209】
実施形態によれば、ベース2100は、例えば差4100aなどのデルタ信号、または例えば差4100bなどのデルタ値に基づいてプローブ信号112を提供するように構成されている。好ましくは、ベース2100は、差4100aなどのデルタ信号、または差4100bなどのデルタ値をプローブ信号112として提供するように構成されている。
【0210】
実施形態によれば、ベース2100に統合されたデータ圧縮ユニット4000は、複数のモジュール式記録サイト2200の各モジュール式記録サイト2200からそれぞれのデジタルセンサ信号134を受信し、それぞれのデジタルセンサ信号134のそれぞれのデータレートを低減するように構成されることができる。複数のモジュール式記録サイト2200によって提供される各デジタルセンサ信号134について、データ圧縮ユニット4000は、上述したように差4100aまたは4100bを取得するように構成されることができる。差4100aは、例えば、複数のモジュール式記録サイト2200のうちの同じモジュール式記録サイト2200によって得られ、そこから提供されるデジタルセンサ信号134の間で常に決定され、例えば、同じモジュール式記録サイト2200から受信された2つの連続するデジタルセンサ信号134の間の差4100aである。
【0211】
別の実施形態によれば、複数のモジュール式記録サイト2200のうちの第1のモジュール式記録サイト22001は、データ圧縮ユニット4000を備え、複数のモジュール式記録サイト2200のうちの第2のモジュール式記録サイト22002は、さらなるデータ圧縮ユニットを備える。さらなるデータ圧縮ユニットは、データ圧縮ユニット4000に関して上述したような特徴および/または機能を備えることができる。
【0212】
実施形態によれば、複数のモジュール式記録サイト2200の各モジュール式記録サイト2200は、データ圧縮ユニット4000に関して上述したのと同じ特徴および/または機能を有するデータ圧縮ユニットを備えることができる。したがって、各モジュール式記録サイト2200は、低減されたデータレートによってそれぞれのデジタルセンサ信号134をベース2100に提供することができる。
【0213】
実施形態によれば、複数のモジュール式記録サイト2200の各モジュール式記録サイト2200は、前述のセンサアレイのうちの1つに関して説明したように、通信インターフェース(例えば、228、328、440、460、550および/または2230)をさらに備えることができる。それぞれの通信インターフェースは、それぞれのモジュール式記録サイトがデータ圧縮ユニット4000を備えるか否かに応じて、それぞれのデジタルセンサ信号134またはデジタルセンサ信号134に低減されたデータレートをベース2100に提供するように構成され得る。
【0214】
このセンサアレイ2000は、デジタルデルタ符号化に基づくローカルデジタル化を用いて完全集積CMOSニューロンプローブにおけるデータレートの低減を可能にする。インビボ実験中に記録されたニューロン信号、すなわちアナログ信号132の分析は、データ圧縮ユニット4000によって実行されるデータ圧縮、例えばデルタ符号化が、例えばインサイチュアナログデジタル変換器2261のフルスケール±11.25mVおよび11ビットの分解能に対してデータレートを36%低減させることができることを明らかにした。デルタ符号化は、オフチップで決定されるか、またはプローブのシャンク、すなわちセンサアレイ2000上の各センサ素子2220の下方、例えば電極の下方に配置されたインサイチュアナログデジタル変換器2261、例えばインクリメンタルデルタシグマADCのデシメーションフィルタに直接統合されることができる。180nm技術における合成によるフィルタの面積推定は、デルタ符号化を使用する場合に34%の面積の低減をもたらした。
【0215】
任意に、複数のモジュール式記録サイト2200のうちの1つまたは複数のモジュール式記録サイト2200のそれぞれは、
図30に関してより詳細に説明するように、縮小要素4200をさらに備える。
【0216】
図29は、
図27および
図28に関して説明したセンサアレイ2000を備える測定システム3000を示している。さらに、測定システム3000は、基準電極3150と、基準電極3150の基準電圧を制御するように構成された基準制御ユニット3100とを備える。測定システム3000は、センサアレイ2000のインサイチュアナログデジタル変換器226に実装されることができるオフセット補償を決定するように構成され得る。
【0217】
実施形態によれば、センサアレイ2000のデータ圧縮ユニット4000、またはデータ圧縮ユニット4000を備える複数のデータ圧縮ユニットは、複数のモジュール式記録サイト2200によって提供される各デジタルセンサ信号134について、それぞれの差4100aまたは4100bを決定するように構成され、それぞれの元々受信されたアナログセンサ信号132を表すそれぞれの生データ、例えば再構成値、再構成信号、復号値または復号信号は、それぞれの差4100aまたは4100bに基づいて決定可能である。
【0218】
DC結合ニューロンプローブ2000内の基準電極の電位を制御するためには、例えば、圧縮されていない生データが必要である。デルタ符号化は非可逆であるため、調整を可能にするために初期基準掃引が提示される。これは、リン酸緩衝生理食塩水における測定によって検証される。
【0219】
実施形態によれば、初期ステップにおいて、基準制御ユニット3100は、複数のモジュール式記録サイト2200の各モジュール式記録サイト2200について、それぞれの差4100aまたは4100bがゼロに等しくなるまで、基準電極3150の基準電圧を変更するように構成されている。次に、さらなるステップにおいて、基準制御ユニット3100は、基準電極3150の基準電圧を構成可能なインクリメンタルによってさらに変更し、基準電圧ごとに、複数の再構成値の平均を取得し、複数の再構成値の平均が所定の値に等しくなるまで基準電圧のさらなる変更を実行するように構成されている。初期ステップの初期化時に、複数のモジュール式記録サイト220に関連するデルタ値は、既に全てゼロに等しくすることができる。この場合、基準制御ユニット3100は、さらなるステップに進むように構成される。
【0220】
測定システム3000および基準掃引に関するさらなる選択肢の詳細は、
図31および
図32に関して説明される。
【0221】
図30は、ベース2100および複数のモジュール式記録サイト2200を備えるセンサアレイ2000を示している。複数のモジュール式記録サイトの各モジュール式記録サイト2200は、CMOS基板2210と、少なくとも1つのセンサ素子2220と、インサイチュアナログデジタル変換器226とを備える。特徴は、センサアレイのうちの1つまたは複数に関して上述したような機能を有することができる。しかしながら、センサ素子2220は、少なくともアナログ信号132を受信するように構成され、インサイチュアナログデジタル変換器226は、少なくとも、それぞれのアナログ信号132をデジタルセンサ信号134に変換するように構成されている。特に、インサイチュアナログデジタル変換器226は、上述した異なる方法において実装されることができる。さらに、センサアレイ2000は、本明細書に記載の他のセンサアレイのさらなる特徴および/または機能を備えることができることに留意されたい。
【0222】
複数のモジュール式記録サイトの各モジュール式記録サイト2200は、それぞれのモジュール式記録サイト2200のそれぞれのインサイチュアナログデジタル変換器226によって提供されるそれぞれのデジタルセンサ信号134のワードサイズを縮小するように構成された縮小要素4200をさらに備える。例えば、各モジュール式記録サイト2200について、それぞれの縮小要素4200は、それぞれのインサイチュアナログデジタル変換器226の分解能よりも小さいワードサイズを有するそれぞれのデジタルセンサ信号を提供するように構成されることができる。低減されたワードサイズは、インサイチュアナログデジタル変換器226の分解能を表す第2のビット数4210bよりも小さい第1のビット数4210a、例えば11ビット分解能で6ビット低減されたワードサイズに対応する。
【0223】
実施形態によれば、各モジュール式記録サイト2200について、それぞれの縮小要素4200は、それぞれのデジタルセンサ信号134が少なくとも6つの下位ビットによって表されるように、所定数の上位ビットを省略することによって、例えば、所定数の上位ビットを省略することによって、それぞれのデジタルセンサ信号134のワードサイズを縮小するように構成されている。
【0224】
本明細書において提案されるセンサアレイ、特に
図27および
図28に関して説明されたセンサアレイは、以下により詳細に説明するように、インビボデータを評価するために使用されることができる。
【0225】
ニューロン信号を用いて、低周波局所電場電位(LFP、0.5Hz~1kHz)と高周波活動電位(AP、300Hz~10kHz)との間で区別が従来行われている。[12]、[16-18]を参照されたい。プローブの読み出し電子回路の値の範囲は、[12]において±11.25mV、±22.5mVおよび±45mVによって指定されているが、純粋なニューロン信号用には設計されておらず、個々の電極間の電気化学的電位差の変動をカバーすることができるように設計されている。しかしながら、例えばニューロンプローブを用いた侵襲的方法によって測定可能なニューロン信号の最大振幅は、1mVによって指定される[20]。したがって、読み出しシステムの全ダイナミックレンジは、関心対象の信号に必要とされず、デルタ値を考慮することによってデジタル化されたニューロン信号の可能な圧縮が期待される。
【0226】
デルタ符号化がインサイチュΔΣADCフロントエンドを有するニューロン読み出しシステムのための適切な圧縮方法であるかどうか、およびビット単位のどのワード幅、すなわちワードサイズがデルタデータ転送に十分であるかについて述べることができるように、インビボ実験からのデータセットは、最初にそれらのデルタ値に関して統計的に分析される。20kHzのサンプリングレートによって評価された生データの統計パラメータ(標準偏差σおよび最大デルタ値Δmax)、値の範囲(FS)および最下位ビット(LSB)が表1に示されている。データセットnc-m1、nc-m2およびnc-m3は、完全に没入可能なCMOSプローブ[12]を用いて非ヒト霊長類の運動皮質に記録され、データセットHC2(ec013.527)[21]がラットの海馬に記録された
【0227】
【表1】
表1:20kHzのサンプリングレートで記録された利用可能なインビボ実験からの生データの統計分析。
【0228】
しかしながら、この場合、標準偏差は、12σの範囲を考慮しても、全ての最大デルタ値に到達するわけではないため、意味がない。後者はAPに関連付けられており、これは生データのデジタル後処理、すなわち対応する周波数範囲におけるバンドパスフィルタリングによって明らかになる。ニューロンの不応期のために、APは、約500Hzの周波数限界で散発的にしか発生しない。しかしながら、それらの特徴的な形状のために、それらはより大きな変化率を有する。一方、LFPは、ゆっくりとしか変化しないため、標準偏差は低く、最大デルタ値は大きい。デルタ符号化では、最大の信号変化が検出されることができることを保証する必要がある。表1のデータ評価によれば、これは、6ビットのデータワード+符号ビット、すなわちビット数6+符号ビットに対応するワードサイズで、343μVの最大デルタ値に対して可能である。この場合、±11.25mVの値範囲および11ビットの分解能を有するプローブ、すなわちセンサアレイ2000が参照される[12]。これにより、約700μV/サンプルの信号変化率が検出されることができ、データレートは、36%低減されることができる。
【0229】
図31は、各記録チャネルにおいて、例えばデータ圧縮ユニット4000によって実行されるデルタ符号化を伴うIΔΣADC226フロントエンドに基づく、N個のチャネル、すなわちモジュール式記録サイト2200を有するニューロン読み出しシステムを示している。グローバル基準3150は、デルタ値によって制御可能である。インサイチュIΔΣADCフロントエンド、ならびに各記録チャネルに統合されたデルタ符号化、および外部基準閉ループ制御、例えば基準制御ユニット3100を有するプローブ、例えばセンサアレイ2000を備える全ニューロン読み出しシステム、例えば測定システム3000が
図31に示されている。各記録チャネルに統合されたデルタ符号化は、例えば、複数のデータ圧縮ユニット4000によって実現され、各データ圧縮ユニット4000は、例えば、複数のモジュール式記録サイトの各モジュール式記録サイト2200がデータ圧縮ユニット4000を備えるように、センサアレイ2000のモジュール式記録サイト2200に統合される。基準制御ユニット3100は、ニューロン信号、すなわちアナログ信号132がADC、すなわちインサイチュアナログデジタル変換器226の値の範囲内にあることを確実にするために、組織3200と電気読み出しシステム[12]および[18]の入力、例えばセンサ素子2220から受信したアナログ信号132との間の電気化学的電位差を補償するために使用される。この目的のために、全ての、または選択されたチャネル(例えば、モジュール式記録サイト2200)の復号された平均値が決定され、補償電圧が、統合されたコントローラ、例えば基準制御ユニット3100を介して基準電極3150に印加される。フロントエンドの入出力信号に関して、デジタル積分器は、閉ループ制御システムにおいてハイパス挙動をもたらす。積分器の増幅率を設定することにより、ハイパスフィルタのカットオフ周波数が制御されることができ、電極2220のハーフセル電位などの読み出しチャネルの相互信号が所望の周波数まで補償されることができる。
【0230】
しかしながら、デルタ符号化は、非可逆圧縮方法であり、時変信号に関する情報のみを含む。AC結合読み出しシステム[16、17]の場合、この情報の損失は関連しないが、この情報は、そのような基準閉ループ制御[12]および[18]を有するDC結合システムに必要である。DC部分または初期オフセットに関する情報が失われ、前記情報は、補償電圧を正確に閉ループ制御するために不可欠である。デルタ符号化と組み合わせた基準閉ループ制御の機能性を保証するために、
図32のフロー図にしたがって初期基準掃引3500が実行される。この目的のために、復号は最初に非活性化され、読み出しチャネルのうちの1つ、すなわち複数のモジュール式記録サイト2200のうちの1つが非ゼロデルタ値を転送するかどうかが検証される(3510)。これが該当する場合、補償電圧、すなわち基準電圧は、全てのデルタ値がゼロに対応するまで、すなわち全てのチャネルがADC226の値の範囲外になるまで一方向に制御される(3520)。続いて3530、復号の開始値が閉ループ制御の方向にしたがって設定され、復号が起動され、復号された平均値、すなわち再構成された値の平均が所望の目標値に対応するまで、反対方向に固定インクリメンタルで閉ループ制御される。最初にゼロに対応する全てのデルタ値の場合、復号は既に開始時に活性化されることができる。しかしながら、基準電極3150および捕捉電極の材料、すなわちセンサ素子2220、ならびに組織3200のpH値によって電気化学的電位が変化するため、ADC226の値の範囲は、3540について探索されなければならない。この目的のために、非ゼロデルタ値が転送されるまで、1つの方向に指定されたインクリメンタルで制御が実行される。これにより、復号の開始値が設定され、目標値3530に閉ループ制御される。前述の符号化は、データ圧縮ユニット4000によるモジュール式記録サイト2200によって取得されたデジタルセンサ信号134のデータレートの低減に対応し、復号は、低減されたデータレート、例えば差4100を有するデジタルセンサ信号に基づくデジタルセンサ信号134の再構成に対応する。このような符号化および復号は、複数のモジュール式記録サイト2200によって提供される全てのデジタルセンサ信号134に対して実行されることができる。
【0231】
換言すれば、基準掃引3500において、基準制御ユニット3100は、基準電極3150の基準電圧を、
初期ステップ3505において、所定の基準電圧を基準電極3150に印加することと、
複数の差4100が得られるように、複数の記録サイト2200の各モジュール式記録サイト2200について、それぞれの差4100をデータ圧縮ユニット4000から取得することと、
複数の差4100の全ての差4100がゼロに等しいかどうかをチェックする(3510)ことと、によって制御するように構成されており、
複数の差の全ての差がゼロである場合、基準制御ユニット3100は、
ゼロに等しくない少なくとも1つの差4100がデータ圧縮ユニット4000から得られるまで、構成可能なインクリメンタルによって第1の方向に基準電圧を変更し(3540)、
次いで、基準電圧を第1の方向に変更し続け(3530)、平均が所定の値に等しくなるまで、データ圧縮ユニット4000によって決定された複数の差4100に基づいて再構築された信号の平均を取得し、任意に、
次いで、基準制御(例えば、P、I、D、PI、PD、またはPID制御)を自動的に実行し、すなわち、方向およびインクリメンタルはもはや予め決定されていないように構成され、
複数の差4100のうちの少なくとも1つがゼロに等しくない場合、基準制御ユニット3100は、
複数のモジュール式記録サイト2200の各モジュール式記録サイト2200について、ゼロに等しい差4100がデータ圧縮ユニット4000から得られるまで、構成可能なインクリメンタルによって第2の方向に基準電圧を変更し(3520)、
次いで、第2の方向とは反対の方向に基準電圧を変更し(3530)、平均が所定値に等しくなるまで、データ圧縮ユニット4000によって決定された複数の差4100に基づいて再構築された信号の平均を取得し、任意に、
次いで、基準制御(例えば、P、I、D、PI、PD、またはPID制御)を自動的に実行し、すなわち、方向およびインクリメンタルはもはや予め決定されていないように構成されている。
【0232】
図33(a)に示すように、11ビットの分解能を有する一次IΔΣADCのデシメーションフィルタ2290は、単純なアップカウンタおよび結果レジスタによって実現されることができる[12]。後者は、データをベース2100に転送するために必要である。しかしながら、
図33(b)に示すように、デルタ符号化が直接デシメーションフィルタ2290に統合されてもよい。
図33(b)に示す実施形態によれば、データ圧縮ユニット4000は、モジュール式記録サイト2200のインサイチュアナログデジタル変換器226のデシメーションフィルタ2290に統合されることができる。この場合、デジタル実装の合成による面積推定は、7ビット符号化について1859μm
2、すなわち、180nmのCMOS技術において約21%のフィルタの面積の増加をもたらした。デルタ符号化4000をデシメーションフィルタ2290に直接統合する代わりに、プローブ2000の外部でそれが決定されてもよい。しかしながら、これは、11ビットの生データ、すなわちデジタルセンサ信号134が転送されることを必要としない。デルタ値を計算するときに転送ビットが上位値ビットに排他的に影響を及ぼすため、7LSBで十分である。この2の補数にしたがって、(-2
6,...,0,...2
6-1)・LSBの範囲の信号変化がカバーされることを可能にし、
図33(a)のデシメーションフィルタ2290は、6ビットのアップカウンタと7ビットの結果レジスタによって実現され得る。そのようなデシメーションフィルタ2290は、
図30において述べた縮小要素4200に対応することができる。このデジタル実装の合成による面積推定は、999μm
2、すなわち従来のフィルタと比較して約34%の面積減少をもたらした。
【0233】
基準閉ループ制御および初期基準掃引によるデルタ転送の概念を検証するために、
図29、
図31および
図32に関連して説明した概念がフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)上に実装され、
図34におけるセットアップにしたがってリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中のニューロンCMOSプローブ2000[12]によって試験された。
図34は、Spartan-6 FPGAを備えたインターフェースボード、プローブとFPGAとの間のデータ転送のための可撓性ケーブル、およびPBS中のニューロンCMOSプローブ[12]を備えた試験ボードからなる測定セットアップを示している。
【0234】
使用されるプローブ2000の場合、デシメーションフィルタ2290が144個のチャネル2200のそれぞれのシャンク上に統合されているため、11ビットの生データ134が最初にプローブ2000からFPGAに転送され、そこで基準電圧を制御するためのデルタ値4100が決定された。符号化および復号されたデータ、ならびに初期基準掃引3500中の基準電極3150における電圧は、
図35の測定結果に示されており、それらは提案された概念を検証する。
図35は、デルタ符号化およびFPGAに実装された初期基準掃引3500を使用した、PBS中の144チャネルおよび±11.25mV[12]の値範囲を有するニューロンCMOSプローブによる測定を示している。この場合、初期化3505では、全ての入力信号が±11.25mVモードにおいて構成された捕捉チャネル2200の値の範囲外であった。当初、基準電圧は1.7Vであり、補償状態では0.68Vであった。
【0235】
いくつかの態様が装置の文脈で説明されたが、これらの態様は、対応する方法の説明も表すことは明らかであり、ブロックまたは装置は、方法ステップまたは方法ステップの特徴に対応する。同様に、方法ステップの文脈で説明された態様は、対応する装置の対応するブロックまたは項目または機能の説明も表す。方法ステップの一部または全ては、例えば、マイクロプロセッサ、プログラム可能なコンピュータ、または電子回路などのハードウェア装置によって(または使用して)実行され得る。いくつかの実施形態では、最も重要な方法ステップのうちの1つまたは複数が、そのような装置によって実行され得る。
【0236】
特定の実装要件に応じて、本発明の実施形態は、ハードウェアまたはソフトウェアで実装されることができる。実装は、電子的に読み取り可能な制御信号が記憶され、それぞれの方法が実行されるようにプログラム可能なコンピュータシステムと協働する(または協働することができる)、フロッピーディスク、DVD、ブルーレイ、CD、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリなどのデジタル記憶媒体を使用して行われることができる。したがって、デジタル記憶媒体は、コンピュータ可読であり得る。
【0237】
本発明にかかるいくつかの実施形態は、本明細書に記載された方法の1つが実行されるように、プログラム可能なコンピュータシステムと協調することができる電子的に読み取り可能な制御信号を有するデータキャリアを備える。
【0238】
一般に、本発明の実施形態は、プログラムコードを備えたコンピュータプログラム製品として実装されることができ、プログラムコードは、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行されるときに方法の1つを実行するために動作する。プログラムコードは、例えば、機械可読キャリアに記憶されてもよい。
【0239】
他の実施形態は、機械可読キャリアに記憶された、本明細書に記載された方法の1つを実行するためのコンピュータプログラムを備える。
【0240】
換言すれば、本発明の方法の実施形態は、したがって、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるときに、本明細書に記載の方法の1つを実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。
【0241】
したがって、本発明の方法のさらなる実施形態は、本明細書に記載された方法の1つを実行するためのコンピュータプログラムをその上に記録して含むデータキャリア(またはデジタル記憶媒体、またはコンピュータ可読媒体)である。データキャリア、デジタル記憶媒体、または記録された媒体は、通常、有形および/または非一時的である。
【0242】
したがって、本発明の方法のさらなる実施形態は、本明細書に記載された方法の1つを実行するためのコンピュータプログラムを表すデータストリームまたは信号のシーケンスである。データストリームまたは信号のシーケンスは、例えば、インターネットなどのデータ通信接続を介して転送されるように構成されてもよい。
【0243】
さらなる実施形態は、本明細書に記載された方法の1つを実行するように構成または適合された処理手段、例えば、コンピュータ、またはプログラマブルロジックデバイスを備える。
【0244】
さらなる実施形態は、本明細書に記載された方法のうちの1つを実行するためのコンピュータプログラムをその上にインストールしたコンピュータを備える。
【0245】
本発明にかかるさらなる実施形態は、本明細書に記載された方法の1つを実行するためのコンピュータプログラムを受信機に(例えば、電子的または光学的に)転送するように構成された装置またはシステムを備える。受信機は、例えば、コンピュータ、モバイル装置、メモリ装置などであり得る。装置またはシステムは、例えば、コンピュータプログラムを受信機に転送するためのファイルサーバを含み得る。
【0246】
いくつかの実施形態では、プログラマブルロジックデバイス(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ)が使用されて、本明細書に記載された方法の機能のいくつかまたは全てを実行し得る。いくつかの実施形態では、フィールドプログラマブルゲートアレイは、本明細書に記載された方法の1つを実行するためにマイクロプロセッサと協調し得る。一般に、方法は、好ましくは、任意のハードウェア装置によって実行される。
【0247】
本明細書に記載された装置は、ハードウェア装置を使用して、またはコンピュータを使用して、またはハードウェア装置とコンピュータの組み合わせを使用して実装され得る。
【0248】
本明細書に記載された装置、または本明細書に記載された装置の任意の構成要素は、少なくとも部分的にハードウェアおよび/またはソフトウェアで実装され得る。
【0249】
本明細書に記載された方法は、ハードウェア装置を使用して、またはコンピュータを使用して、またはハードウェア装置とコンピュータの組み合わせを使用して実行され得る。
【0250】
本明細書に記載された方法、または本明細書に記載された装置の任意の構成要素は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアによって少なくとも部分的に実行され得る。
【0251】
上述した実施形態は、本発明の原理を単に例示するものである。本明細書に記載された構成および詳細の変更および変形は、当業者にとって明らかであろうことが理解される。したがって、本明細書の実施形態の説明および説明として提示された特定の詳細によってではなく、差し迫った特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
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