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特表2024-508681K線形化(KL)及び分散補正(DC)を使用して光コヒーレンス断層撮影(OCT)画像分解能を改善するシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】K線形化(KL)及び分散補正(DC)を使用して光コヒーレンス断層撮影(OCT)画像分解能を改善するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
A61B1/00 526
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547696
(86)(22)【出願日】2022-02-08
(85)【翻訳文提出日】2023-10-10
(86)【国際出願番号】 US2022015644
(87)【国際公開番号】W WO2022170256
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】63/146,904
(32)【優先日】2021-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】509128672
【氏名又は名称】ライトラボ・イメージング・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【氏名又は名称】池本 理絵
(72)【発明者】
【氏名】リュウ,チハオ
(72)【発明者】
【氏名】ストロムスキー,スティーヴン・エム.
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161BB08
4C161FF40
4C161JJ06
4C161JJ11
4C161PP09
(57)【要約】
本開示の態様は、ハードウェア修正、経験的な調整、正確なミラー位置合わせを必要とせず、低い計算コストでリアルタイムに行うことができる、光学システムにおける波数線形化及び分散補正を実施するシステム、方法、及びアルゴリズムに関する。1回の較正プロセスは、波数線形化基準、分散補正、及びスペクトル平坦化スペクトルを含むスペクトル又は較正基準を生成することができ、これらを使用して、リアルタイムで光コヒーレンス断層像を補正することができる。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学システムを較正することを含む、光学信号を処理する方法であって、
前記較正は、
1つ以上のプロセッサが、少なくとも第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値を取得するステップであって、前記第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値は、ゼロ遅延線の両側から収集されるステップと、
前記1つ以上のプロセッサが、前記第1のミラー測定値及び前記第2のミラー測定値の振幅及び位相を取得するステップと、
前記第1のミラー測定値及び前記第2のミラー測定値のうちの少なくとも一方を、(i)線形波数(k)空間と、(ii)線形波長と、(iii)線形時間とのうちの少なくともいずれかとなるようにリサンプリングして、リサンプリングされたミラー測定値を生成するステップと、
関数を使用して、前記リサンプリングされたミラー測定値の最適化されたフィッティングを計算するステップと
を含むものである、方法。
【請求項2】
前記関数は、多項式関数、三次スプラインフィッティング関数、動径基底関数、又は区分関数のうちの1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ミラー測定値に対してk線形化を実施するステップであって、前記ミラー測定値は、kクロックを使用して又は使用せずに取得されるステップと、リサンプリングされたインターフェログラムを生成するステップとを更に含み、前記リサンプリングされたミラー測定値は、k空間内にある、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記k線形化は、補間関数を使用して実施され、前記補間関数は、k空間における三次スプライン補間、三次補間、又は線形補間のうちの1つである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
特定のミラー測定値から計算された包絡線を使用することによって、少なくとも1つのミラー測定値に対してスペクトル平坦化を実施するステップを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
各ミラー測定値は、インターフェログラム、信号、又はシステムインパルス応答のうちの1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも2つのミラー測定値について分散補償を計算するステップを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
スペクトル平坦化の際に計算されたスペクトル包絡線を保存するステップを更に含む請求項5に記載の方法。
【請求項9】
(i)点像強度分布関数の面積、又は(ii)半値全幅(FWHM)分解能のうちの少なくとも一方の和を最小化する多項式フィッティングの次数を求めるステップを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
(i)k線形化(KL)、(ii)分散補正(DC)、及び(iii)スペクトル平坦化(SF)に関連する較正基準を保存するステップを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
検体からOCT信号又は干渉信号を受信するステップを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記KL較正基準を使用することによって、前記受信されたOCT信号又は干渉信号をk線形化する線形k補間の後に、新しいフリンジを生成するか、又はインターフェログラムをリサンプリングするステップを更に含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記DC較正基準を使用して、前記k線形化されたOCT信号又は干渉信号に対して分散補正を実施するステップを更に含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記k線形化及び分散補正されたOCT信号又は干渉信号の包絡線を除去するステップを更に含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記OCT信号又は干渉信号を、ディスプレイ上に表示するOCT画像に変換するステップを更に含む請求項11に記載の方法。
【請求項16】
被検者に対応する画像データ及び時変データを記憶するメモリと、
前記メモリと通信する1つ以上のプロセッサと
を備えてなるシステムであって、
前記1つ以上のプロセッサは、
前記1つ以上のプロセッサが、少なくとも第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値を取得し、前記第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値は、ゼロ遅延線の両側から収集され、各ミラー測定値は、インターフェログラム又は信号又はシステムインパルス応答であり、
前記1つ以上のプロセッサが、前記第1のミラー測定値及び前記第2のミラー測定値の振幅及び位相を算出し、
前記第1のミラー測定値及び前記第2のミラー測定値のうちの少なくとも一方を、(i)線形波数(k)空間と、(ii)線形波長と、(iii)線形時間とのうちの少なくともいずれかとなるようにリサンプリングして、リサンプリングされたミラー測定値を生成し、
関数を使用して、前記リサンプリングされたミラー測定値の最適化されたフィッティングを計算する
ように動作可能である、システム。
【請求項17】
フィッティングのために使用される前記関数は、多項式関数、三次スプラインフィッティング関数、動径基底関数、又は区分関数のうちの1つである、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記1つ以上のプロセッサは、生のインターフェログラムミラー測定値に対してk線形化を実施し、前記ミラー測定値は、kクロックを使用して又は使用せずに取得され、
リサンプリングされたインターフェログラムを生成するように更に動作可能であり、前記リサンプリングされたミラー測定値は、k空間内にある、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記1つ以上のプロセッサは、特定のミラー測定値から計算された包絡線を使用することによって、少なくとも1つのミラー測定値に対してスペクトル平坦化を実施するように更に動作可能である、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
方法を実施するために1つ以上のプロセッサによって実行可能な命令を含むコンピュータ可読媒体であって、前記命令は、
少なくとも第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値を取得し、前記第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値は、ゼロ遅延線の両側から収集され、各ミラー測定値は、インターフェログラム又は信号又はシステムインパルス応答であり、
前記第1のミラー測定値及び前記第2のミラー測定値の振幅及び位相を算出し、
前記第1のミラー測定値及び前記第2のミラー測定値のうちの少なくとも一方を、(i)線形波数(k)空間と、(ii)線形波長と、(iii)線形時間とのうちの少なくともいずれかとなるようにリサンプリングして、リサンプリングされたミラー測定値を生成し、
ある関数を使用して、前記リサンプリングされたミラー測定値の最適化されたフィッティングを計算する
ことを含んでなる、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、血管系画像化及びデータ収集システム及び方法の分野に関する。特に、本開示は、光コヒーレンス断層撮影システムにおいて取得される画像の分解能を改善する方法に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は、2021年2月8日に出願された米国仮特許出願第63/146,904号の出願日の利益を主張し、その開示内容は引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【背景技術】
【0003】
光コヒーレンス断層撮影(OCT:optical coherence tomography)は、光を使用して、ミクロンスケールで組織の断面画像を取り込む画像化技術である。OCTは、生体内(in situ)でも、試料となる生物の外部にあるシステムでも使用することができる。
【0004】
OCT画像の軸方向分解能は、より具体的には、フーリエ領域での光コヒーレンス断層撮影システムにおいて、色分散及び非線形波数サンプリングによるサイドローブアーチファクトの広がりとともに低下する可能性がある。多くのOCTシステムは、不均一な波数(k)間隔で干渉パターンをサンプリングしている。これにより、OCT信号の経路長差に依存し得る「チャープ」(chirp)又はノイズが信号にもたらされる可能性がある。
【0005】
(k線形化(k-linearization)としても知られる)非線形波数サンプリングと波数線形化による色分散(chromatic dispersion)との両方の制御は、OCT画像の分解能を維持する上で重要なステップである。
【0006】
色分散は、光学システムに特有のものであり、システム内の光ファイバ及び他の構成要素を慎重に制御することによって管理することができる。波数線形化は、より困難な技術的課題を提起するものであり、OCTシステム内のミラーからのフリンジ信号に基づく数値再スケーリング方法等の数値方法を適用することによって、又はAbbott vascular社から市販されている現在のOPTIS統合システムで用いられる外部サンプリングクロック(kクロック)を使用することによって実施される。外部kクロックは波数の非線形サンプリング間隔の線形化を試みることができるが、kクロック遅延及び色分散の不適切な調整のために、波数線形化の精度は、システムにおいて限りがある。k遅延の誤差による非線形サンプリングは、軸方向分解能の低下とサイドローブの拡大等の画像化アーチファクトとを引き起こす。k遅延を正確に調整しても、わずかなシステム分散により分解能が直接低下する可能性がある。分散のないシステムでは、試料アームにミラーを配置し、線幅を最小にすることによって、kクロック遅延を正確に調整することができる。しかしながら、分散があるシステムでは、k線形化と色分散との組み合わせにより、特定の深度でしか最適な分解能を達成できないk遅延調整が行われる。さらに、波長掃引型OCTエンジン(swept source OCT engine)が光学的に最適化された場合でも、バンドパスフィルタ及びケーブル等の電子機器が、外部サンプリングクロックに予期しない波数遅延をもたらす可能性がある。
【0007】
システム分散から分離させる必要がある「真の」k線形化スペクトルを計算することによって、不適切なk遅延をデジタル的に補償するアルゴリズムが提案されている。そして、フリンジデータは、「真の」kスペクトルを補間してk空間におけるサンプリングを線形化することによって、リサンプリングされる(resampled)。システム分散は、その後、高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier transform)の前に、干渉信号に逆分散位相(counter-dispersive phase)を乗算することによって補償される。一般に、システム分散位相を計算することは、OCTミラー信号の鮮鋭度(sharpness)に基づいて、二次及び三次の分散係数を最適化する反復プロセスである。しかしながら、分散次数(dispersion order)は、OCTシステムによって異なる。分散次数の先験的な知識が必要であるため、市販のOCTシステムにおける反復プロセスでは実現可能性が限られている可能性がある。
【0008】
k遅延を補償するために「真の」リマッピングテーブル(波数スペクトル)を生成するアルゴリズムが提案されているが、そのようなアルゴリズムにはシステム分散の測定値を必要とするハードウェア要件があるため、特に市販製品において、リマッピングテーブルを実装することは困難又は非実用的となっている。k遅延バイアス及びシステム分散を補償するために提案されている他の方法は、計算量が多く、数十分の処理時間を必要とし、画像化されたミラー位置の正確な位置合わせが必要となるため、実装することが不可能である。最近、分散があるシステムにおいてリマッピングテーブルを生成した後に、システム分散を導出し、それを補償するアルゴリズムが提案されている。この方法は単純で効果的であり、ハードウェアセットアップの変更を必要としないが、報告された補正後の有用な画像化深度が(空気中で)わずか1mmであるため、計算されたリマッピングテーブルの精度が不十分であると、実際の心血管用途に使用することができない。画像化深度全体にわたって最適な画像化性能を達成するために、本開示の主な焦点のうちの1つは、「真の」リマッピングテーブルの正確性を改善する多項式最適化プロセスを提案し、より深い深度におけるSNR及び分解能の改善を示すものである。現在まで、上述したアルゴリズムは、制御された研究環境においてk非線形性及びシステム分散を補償するのに有効であったが、市販のOCTシステムにおいて実現可能であることを妨げる様々な課題を有している。
【発明の概要】
【0009】
部分的に、本開示は、これまで提案されてきた他のシステム及び方法に伴う追加のハードウェア修正、分散次数の先験的な知識、正確なミラー位置合わせ、及び計算コストを必要とせずに、非線形サンプリング及び色分散の問題を同時に補正するシステム及び方法に関するものである。
【0010】
部分的に、本開示は、種々の較正深度におけるOCTシステムの較正データを取得するシステム及び方法、並びに波数線形化又はk線形化(KL:k-linearization)、分散補正(DC:dispersion correction)、及びスペクトル平坦化(SF:spectral flattening)を使用して、スペクトルを最適化する較正プロセスに関する。
【0011】
開示される技術の態様は、追加のハードウェア及びシステム分散の先験的な知識なしにk遅延バイアス及びシステム分散を補償するアルゴリズムを含む。さらに、開示された技術の態様は、提案された位相シフトプロセスを使用することで、ミラー位置を同じ位置に正確に位置合わせする必要がない。
【0012】
開示される技術の態様は、現在公開されている方法における14%及び20%の限界と比較して、スペクトル領域OCTシステム及び波長掃引型OCTシステムの有用な画像化深度の増加を可能にする。開示される技術の態様は、k線形化スペクトルを最適化し、ナイキスト深度(Nyquist depth)の80%以上の深度全体にわたって改善された分解能及びSNRを維持するために、正の画像化面内に少なくとも2つの深度を有する、異なる深度における3つ以上のミラーサンプリング位置を使用することによる多項式最適化プロセスを含む。1つの例として、開示される技術によって、6mmを超える画像化深度が高い精度で可能となり、(最大6mmの深度を要求する)冠状血管周囲のカルシウムプラークを検出すること等の用途において、OCT画像分解能及びSNRを改良することができる。
【0013】
開示される技術の態様は、オーバーサンプリング又はいかなるアップスケーリングも必要とせず、数秒のオーダで実装することができ、リアルタイムで製品を使用することが可能になる。さらに、計算効率が高いため、OCT技術を使用して画像化されているライブ試料(live sample)に対して提案されたアルゴリズムを実装することができる。
【0014】
開示される技術の態様は、k空間における非線形サンプリングを補償する外部kクロックの必要性を排除する。1つの例として、提案される方法は、kクロック周波数よりも速いアナログ-デジタル(A/D)カードの1GHz内部サンプリングレートを使用することによって、システム信号対雑音(SNR:system signal-to-noise)比を3デシベル~5デシベル(dB)向上させる。アナログ-デジタルカードの内部サンプリングレートが高速になると、システムノイズがインコヒーレントに平均化されるが、信号がコヒーレントに加算されるため、フーリエ変換後の画像コントラストを向上させ得るサンプリング点は増加する。
【0015】
開示される技術の態様は、ソフトウェア又は方法の変更を通じて既存の市販の血管内OCT製品内での使用を可能にし、k遅延バイアス、システム分散及びスペクトル平坦化を補償することによって軸方向分解能を向上させ、最適化されたKLDCスペクトルを使用することにより拡張された高分解能深度、及び低い計算コストを提供する。
【0016】
開示される技術の態様は、kクロックを排除することを可能にし、システムSNR及び画像化深度を改善するアナログ-デジタル(A/D)カードによって提供される内部サンプリングの使用を可能にする。これは、より深い深度からの信号に到達するためにより速いサンプリングレートを必要とするので、将来の高速OCTシステムにとって特に理想的である。
【0017】
開示される技術の態様は、光学信号を処理して光学的に取得された画像の分解能を改善する方法を含む。方法は、光学システムを較正することを含むことができ、較正することは、(i)1つ以上のプロセッサによって、少なくとも第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値を取得することであって、第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値は、ゼロ遅延線(zero-delay line)の両側から収集され、各ミラー測定値は、インターフェログラム又は信号又はシステムインパルス応答であることと、(ii)1つ以上のプロセッサによって、第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値の振幅及び位相を取得することと、(iii)第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値のうちの少なくとも一方を、(a)線形波数(k)空間、又は(b)線形波長のうちの少なくとも一方となるようにリサンプリングして、リサンプリングされたミラー測定値を生成することと、(iv)ある関数を使用して、リサンプリングされたミラー測定値の最適化されたフィッティング(optimized fit)を計算することとを含む。幾つかの例では、2つのミラー測定値が使用されるが、他の例では、追加のミラー測定値が使用され得る。例えば、較正は、3個、4個、数十個、数百個、又は任意の数のミラー測定値に基づくことができる。
【0018】
開示される技術の態様は、方法を含む、以下の任意の組み合わせを含み得る。方法は、光学システムを較正することを含むことができ、較正することは、(i)1つ以上のプロセッサによって、少なくとも第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値を取得することであって、第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値は、ゼロ遅延線の両側から収集され、各ミラー測定値は、インターフェログラム又は信号又はシステムインパルス応答であることと、(ii)1つ以上のプロセッサによって、第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値の振幅及び位相を取得することと、(iii)第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値のうちの少なくとも一方を、(a)線形波数(k)空間、又は(b)線形波長のうちの少なくとも一方となるようにリサンプリングして、リサンプリングされたミラー測定値を生成することと、(iv)ある関数を使用して、リサンプリングされたミラー測定値の最適化されたフィッティングを計算することとを含む。データをリサンプリングするために使用される関数は、多項式関数、三次若しくは他のスプラインフィッティング関数(cubic or other spline fitting function)、動径基底関数(radial basis function)、又は区分関数(piece-wise function)のうちの1つであり得る。K線形化は、kクロックの有無にかかわらず、ミラー測定値の生のインターフェログラムに対して実施され、リサンプリングされたインターフェログラムを生成することができ、リサンプリングされたミラー測定値は、k空間内にある。K線形化関数(K-linearization function)の最適化は、次数1~nの多項式フィッティング次数(polynomial fitting order)に基づくことができ、ここでnは固定された整数である。ミラー測定値のそれぞれについての(i)点像強度分布関数の面積、及び/又は(ii)半値全幅(FWHM:full-width half max)分解能の和を最小化する多項式フィッティング次数は、方法の一部として求めることができる。最適化された多項式は、2つ以上のミラー測定値に基づいて決定することができる。少なくとも1つのミラー測定値について分散スペクトル又は基準を計算することができ、補償を計算することができる。分散補償、分散係数又は分散基準は、「ゼロ遅延線」の両側に1つずつの位置を有する2つのミラー位置を使用して計算することができる。スペクトル平坦化は、特定のミラー測定値から計算された包絡線を使用することによって、少なくとも1つのミラー測定値に対して実施することができる。スペクトル平坦化中に計算されたスペクトル包絡線(spectral envelope)を保存することができる。複数のミラー測定値の各ミラー測定値は、システムインパルス応答であり得る。(i)k線形化(KL)、(ii)分散補正(DC)、及び(iii)スペクトル平坦化(SF)に関する較正基準を保存することができる。検体(specimen)からのOCT信号又は干渉信号を受信することができる。KL較正基準を使用することによって、受信されたOCT信号又は干渉信号をk線形化する線形k補間が生成され得た後に、新しいフリンジが生成され得る、又はインターフェログラムがリサンプリングされ得る。分散補正は、DC較正基準を使用して、k線形化されたOCT信号又は干渉信号に対して実施することができる。k線形化及び分散補正されたOCT信号又は干渉信号の包絡線を除去することができる。OCT信号又は干渉信号は、ディスプレイ上に表示するためにOCT画像に変換することができる。
【0019】
開示される技術の態様は、方法を含む。方法は、OCT信号からOCT画像を生成することを含むことができ、方法は、検体に対応するOCT信号を取得することと、OCT信号を波長(k)線形化してk線形化(KL)OCT信号を生成することと、KL OCT信号を分散補正(DC)してKL DC OCT信号を生成することと、KLDC OCT信号をスペクトル平坦化(sf)して最終KLDCsf OCT信号を生成することと、最終OCT信号に対して後処理を実施してOCT画像を生成することとを含む。KL OCT信号、KL DC OCT信号、及び最終KLDCsf OCT信号は、較正段階で生成される較正基準に基づく。OCT信号はインターフェログラムであり得る。較正基準は、少なくとも第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値を使用して、較正段階で生成することができ、第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値は、ゼロ遅延線の両側から収集され、各ミラー測定値は、インターフェログラム又は信号又はシステムインパルス応答である。
【0020】
開示される技術の態様は、画像のセットを表示するシステムを含む。システムは、被検者に対応する画像データ及び時変データを記憶するメモリと、メモリと通信する1つ以上のプロセッサとを備えることができる。1つ以上のプロセッサは、第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値を取得することであって、第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値は、ゼロ遅延線の両側から収集され、各ミラー測定値は、インターフェログラム又は信号又はシステムインパルス応答であることと、1つ以上のプロセッサによって、第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値の振幅及び位相を算出することと、第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値のうちの少なくとも一方を、(i)線形波数(k)空間、及び(ii)線形波長のうちの少なくとも一方となるようにリサンプリングして、リサンプリングされたミラー測定値を生成することと、関数を使用して、リサンプリングされたミラー測定値の最適化されたフィッティングを計算することとを行うように動作可能であり得る。システムは、前述の方法のいずれかのステップを実施するように構成することができる。
【0021】
開示される技術の態様は、試料に対して光コヒーレンス断層撮影を実施するシステムを含む。システムは、光源と、可変位置を伴う参照ミラーと、ディスプレイと、試料に対応する画像データを記憶するメモリと、メモリと通信する1つ以上のプロセッサとを備えることができる。1つ以上のプロセッサは、システムが起動されるたびに少なくとも1つの較正パラメータを取得することと、試料から信号を取得することと、取得された信号に少なくとも1つの較正パラメータを適用することであって、較正パラメータは、波長線形化、分散補正、又はスペクトル平坦化パラメータのうちの少なくとも1つであることと、補正された取得された信号から画像を生成することとを行うように動作可能であり得る。システムは、光学スイッチと、較正信号を生成させるように構成された較正ミラーとを更に備えることができる。システムは、前述の方法のいずれかのステップを実施するように構成することができる。
【0022】
本明細書において開示される異なる態様及び実施形態は、必要に応じて、全体として又は一部において、ともに統合することができることを理解されたい。こうして、本明細書において開示される各例は、所与の実装のために必要に応じて種々の程度で態様のそれぞれに組み込むことができる。さらに、医療画像化問題と他の関連する課題及び問題と上記の一部とに対処するための種々のソフトウェアベースのツールを、限定することなく、医療アプリケーションと、ステントと血管に関連する情報とその2次元ビュー及び3次元ビューを表示するための他のアプリケーションとのために使用することができる。開示する例の他の特徴及び利点は、以下の説明及び添付図面から明らかになるであろう。
【0023】
本開示は、本明細書において挙げられ示される異なる態様と例と他の特徴とに関するが、本明細書において開示される上記のそれぞれが、必要に応じて、全体として又は一部において、ともに統合することができることが理解される。こうして、本明細書において開示される各例は、所与の実装のために必要に応じて種々の程度で態様のそれぞれに組み込むことができる。さらに、本明細書において述べる種々の方法及び技法を、種々の画像化モダリティとともに使用することができる。
【0024】
開示される例の他の特徴及び利点は、以下の説明及び添付図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1A】本開示の態様による、画像化及びデータ収集システムの概略図である。
図1B】本開示の態様による一例の参照ミラーの例示的な位置決めを示す図である。
図1C】本開示の態様による、画像化及びデータ収集システムの概略図である。
図1D】本開示の態様による、例示的な較正ミラーのブロック図である。
図2】本開示の態様による、画像化及びデータ収集を行う一例示のコンピューティングデバイスを示す図である。
図3】本開示の態様による方法のフロー図である。
図4A】本開示の態様による、取得されたインターフェログラムの態様を示す図である。
図4B】KLプロセスによって較正されたkスペクトル及び理想的な線形化されたkスペクトルの曲線に基づく、システム分散による非線形効果の態様を示す図である。図4Bはまた、KLプロセスを適用することによる未較正kスペクトルに対する有効な補正を示す。破線は、k線形化プロセス後に計算された光学位相である。
図4C】本開示の態様による、kスペクトル最適化の有無による、種々の画像化深度における強度の態様を示す図である。
図4D】本開示の態様による、生の分散位相及び分散位相の多項式フィッティング(polynomial fit)の態様を示す図である。
図4E】本開示の態様による、KLDC補正されたフリンジと、補正されたフリンジに対して計算された包絡線とを示す図である。
図5】本開示の態様による方法のフロー図である。
図6A】本開示の態様による、生の光学信号及びk線形化された光学信号を示す図である。
図6B】本開示の態様による、試料アーム内のミラー反射から生じるインターフェログラム及び対応する強度の拡大図である。
図6C】本開示の態様による、生のフリンジ並びにスペクトル平坦化の前後を示す図である。
図6D】本開示の態様による、kクロックデータ、KLデータ、KLDCデータ、及びKLDCsfデータについて、様々な深度に対してプロットされた半値全幅(FWHM)の様々な態様を示す図である。
図7】本開示の態様による、強度画像を取得する方法を示す図である。
図8】本開示の態様による点像強度分布関数(PSF:point spread function)の幅及び分解能チャートの改善の一例を示す図である。
図9】本開示の態様による、KLDCsf技術の有無による、種々の画像化深度における強い分散を伴うPSFの態様を示す図である。
図10】本開示の態様による、kクロックデータ、KLDCsfデータ、及び最適化されたkスペクトルを有するKLDCsfデータを用いた、k遅延調整及び強い分散のないFWHM及び信号対雑音比の態様を示す図である。
図11】本開示の態様による、最適化されたkスペクトルの有無による、KLDCsfを使用したaラインの強度の態様を示す図である。「Aライン」又は「軸方向ライン」は、レーザの1つの波長掃引に対応し、これは、1次元ラインスキャンに対応する。
図12】本開示の態様による、kクロックを用いずに時間(波長)において線形にサンプリングされたデータ、及びKLDCsf法を使用して処理されたデータの態様を示す図である。
図13】本開示の態様による、種々の画像化深度において、kクロックを使用してリサンプリングされたデータを使用し、KLDCsf技法を用いたA/Dカード内部サンプリングを使用する、FWHMの態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
部分的に、本開示は、k線形化(KL)、分散、及びスペクトル平坦化のスペクトルを計算することができる較正プロセスに関する。較正プロセスは、較正スペクトルのセットを提供することができる。試料アーム内にミラーを有する、生のフリンジデータ(raw fringe data)を含むOCT信号は、参照アーム経路距離を調整することによって、正平面及び負平面から別々に取得することができる。較正スペクトルは、ヒルベルト変換プロセス(Hilbert transform process)を使用することによって取り出された位相に基づいて計算することができる。
【0027】
部分的に、本開示は、高速フーリエ変換(FFT)処理の前にインターフェログラムを修正又は補正するために、取得された較正スペクトルを利用することに関する。較正スペクトルを使用して、改善されたインターフェログラムのために波数領域においてシステムによって取得される将来のフリンジデータを線形化することができる。幾つかの例では、波数サンプリングは、較正スペクトルを使用する補間によって線形化することができる(k線形化)。分散は、ヒルベルト変換を適用し、k線形化インターフェログラムの分散スペクトルと乗算することによって補正することができる。
【0028】
部分的に、本開示は、レーザ帯域幅を最適化するレーザ源のスペクトル包絡線の平坦化によるスペクトル掃引中の不均一なレーザ強度に起因するサイドローブアーチファクトの抑制に更に関連することができる。
【0029】
部分的に、本開示の態様は、信号処理ステップを用いて較正されたスペクトルを使用することによって、kスペクトル非線形性だけでなく、分散及び非対称レーザ掃引強度も別々に補正するシステム及び方法を提供する。本開示は、最適化された光学分解能が画像化深度全体にわたって維持されることを可能にする。さらに、本開示において説明されるアルゴリズム、方法、及びシステムはまた、kクロックの最大周波数より典型的に速いデジタイザの内部サンプリングレートを使用することによって、システムSNRを改善するオプションを提供するkクロックの有無にかかわらず、機能することができる。
【0030】
本開示の幾つかの態様において、OCT画像化エンジンは、OCT画像化エンジンの品質に対応する情報を自動的に受信する内部基準反射器又は較正ミラーを含む。基準反射器は、OCT画像化エンジンの試料アームの内部にあってもよく、OCT画像化エンジンの性能を定量化する種々の診断プロセスを行う光学信号を受信するために使用され得る。例えば、OCT画像化エンジンは、点像強度分布関数(PSF)、半値全幅(FWHM)、ノイズレベル、信号対雑音比、及びシステムのダイナミックレンジのうちの1つ以上を含み得るシステム性能データを算出することによって、その性能を自己評価することができる。基準反射器は、光学スイッチを通してOCT画像化エンジンの残りの部分に結合されていてもよく、OCT画像化エンジンが画像化モードと自己検査モードとの間で切り替わることを可能にする。OCT画像化エンジンは、システム内部の基準反射器を使用して、較正スペクトルを生成するために光学信号をサンプリングすることができる。基準反射器が内部にあるので、OCT画像化エンジンは、ユーザ入力又は外部デバイスが最初にシステムに接続されることを必要とすることなく、自己検査及び較正を自動的に行うことができる。
【0031】
本開示において使用され、当業者によって理解されるように、システムインパルス応答又はインパルス応答は、インパルスである短い入力信号に対する応答である。光学系において、システムインパルス応答は、試料上の光のインパルスから取得される応答であり得る。幾つかの例では、システムインパルス応答は、(以下で説明されるように)試料アーム内の単一のミラーから取得される反射であり得る。幾つかの例では、システムインパルス応答は、波長掃引レーザから取得される。
【0032】
本開示において使用されるように、インターフェログラム又は干渉パターンは、例えば、OCTシステムの参照アーム及び試料アームからの光の波の干渉によってなどの、波干渉によって形成されるパターンであり得る。インターフェログラムは、アナログ-デジタル変換器を使用して変換することができる時変信号(time varying signal)と見なすこともできる。
【0033】
(例示のシステム)
OCTは、光を使用して冠動脈壁を覗き込み、研究用の画像を生成するカテーテルベースの画像化モダリティ(catheter based imaging modality)である。コヒーレント光、干渉法、及びマイクロ光学系を利用して、OCTは、マイクロメートルレベルの分解能で、罹患した血管内のビデオレート生体内(in vivo)断層撮影を提供することができる。光ファイバプローブを使用して高分解能で表面下構造を観察することにより、OCTは、内部組織及び臓器の低侵襲画像化に特に有用となる。OCTを用いて可能となるこの詳細なレベルにより、ユーザは、冠動脈疾患の進行を診断及び監視することができる。
【0034】
患者の身体の部分のOCT画像化は、医師及び他の人にとって有用な診断ツールを提供する。例えば、血管内OCTによる冠状動脈の画像化は、狭細又は狭窄の場所を明らかにすることができる。この情報は、心臓専門医が、侵襲的冠状動脈バイパス手術と、血管形成術又はステント送達等の低侵襲的カテーテルベースの処置との間で選択することに役立つ。普及している選択肢ではあるが、ステント送達はそれ自体の関連するリスクを有する。
【0035】
図1Aは、本開示の態様による一例示のOCTシステム100を示している。幾つかの例では、OCTシステム100は、光学干渉計であるか、又は光学干渉計を組み込む。当業者は、OCTシステムの1つの構成が図1に示されているが、システムの変形形態、及び生体内(in vivo)OCTシステム等の異なる実施態様が本開示の範囲内であることを理解するであろう。光又は電気信号の方向が図1内の矢印によって示されている。
【0036】
光源110は、マイクロメートル以下のレベルの分解能を取り込み可能な低コヒーレンス光の光源であり得る。光源は、可視波長範囲内にある光、及びその波長範囲を超える光を生成することができる。幾つかの例では、光の波長の超広域出力が望ましい。幾つかの例では、レーザを光源として使用することができる。更に他の例では、発光ダイオードを光源として使用することができる。幾つかの例では、光源110で生成された光は、コリメーションレンズを通して送ることができる。
【0037】
光源110からの光は、ビームスプリッタ120に送ることができる。ビームスプリッタ120は、光源110からの光ビームを2つ以上のビームに分割する光学デバイスであり得る。ビームスプリッタによって分割された光は、参照ミラー130及び試料140に移動することができる。参照ミラー130の態様は、図1Bに関して更に説明される。試料140は、OCTが実施され得る有機試料又は他の試料であり得る。幾つかの例では、試料140は、生体内OCTスキャンの場合と同様に、内部で調べることができる。光は、参照ミラー130及び試料140の両方から、ビームスプリッタを横切り、光をフォトダイオード150に向ける光路を通って反射され得る。フォトダイオード150は、光を電流に変換し、光の検出を可能にする半導体又は他のデバイスであり得る。光子又は光の波がフォトダイオードに入射すると、フォトダイオード内に電流又は別の電気信号が生成される。フォトダイオード150は、光を集束させ、信号対雑音比を増加させるために、複数の光学フィルタ、レンズ、又は他の構成要素を含み得る。フォトダイオード150において生成された信号は、アナログからデジタル信号に変換され、デジタル信号プロセッサ160によって処理され得る。デジタル信号プロセッサは、デジタル信号処理の動作上の必要性のために最適化されたアーキテクチャ及び/又はソフトウェアを有する専用マイクロプロセッサ又は集積チップであり得る。幾つかの例では、デジタル信号プロセッサ160は、フォトダイオード150において生成された情報を、191におけるkクロック信号によって処理及びサンプリングされ、ディスプレイ170上に表示する画像に変換することを可能にし得る。以下に更に説明されるように、デジタル信号プロセッサは、試料140を研究又は観察することから生成される画像を最適化することによって、以下に説明されるステップのうちの1つ以上を実施することができる。ディスプレイ170は、試料140に関連する画像を表示することができる。非限定的な例として、ディスプレイ170は、モニタ、OLEDスクリーン、LCDスクリーン、テレビ、エレクトロルミネセントディスプレイ、又は量子ドットディスプレイであり得る。特殊化されたコントラスト比又はOCT情報の表示を容易にする他の特殊化されたスクリーン又はディスプレイもまた、ディスプレイ170として使用することができる。
【0038】
kクロック190も図1Aに示されている。kクロック出力からA/Dカードへの信号の到着時間が、主干渉計からA/Dカードへの信号と同期していない場合、インターフェログラムを正確にサンプリングすることができない。同期の問題は、光ファイバの長さと、例えばバンドパスフィルタ又は電気ケーブルの長さ等のフォトダイオード191及びフォトダイオード150の後の電子接続との不一致によってもたらされる可能性がある。幾つかの例では、数パーセント、例えば2%~3%の光のみがkクロックに伝送され得る。kクロック190は、90度位相シフタ、ゼロ交差検出ユニット、XORゲート若しくはORゲート、又は同様の要素の任意の組み合わせからなることができる。
【0039】
ビームスプリッタ180はまた、光をkクロック190及びビームスプリッタ120に分割することができる。幾つかの例では、少量の光が、ビームスプリッタを通してkクロックに伝送され得る。フォトダイオード191は、フォトダイオード150に類似しており、kクロックに接続され、フォトダイオード191上に入射する光を分析することができる。フォトダイオード191は、デジタル信号プロセッサ160に接続することができる。光の一部がkクロックを透過するので、その光は、試料140に入射する光又は試料140から取得される光とは別に分析することができる。
【0040】
当業者であれば、図1では様々な光学部品が参照されているが、同等の部品を使用することができ、又は上述したシステム100と交換することができることを理解するであろう。幾つかの例では、光ファイバ及び光カプラ等の関連する光学部品が、本明細書において説明される構成要素の代わりに、又はそれとともに使用され得る。例えば、当業者は、コリメーションレンズ及びビームスプリッタを使用するのではなく、光カプラを使用して、図1Aに関して説明したものと同じ又は同等のセットアップを達成することができることを理解するであろう。光は、光ファイバワイヤによって決定される経路を取ることができる。光ファイバ及び光カプラを使用することで、市販のOCT用途で使用される、より堅牢でより単純な光学セットアップを提供することができる。1つの例として、ビームスプリッタ180及びビームスプリッタ120は、1つの入力ファイバを2つの出力ファイバに分割し、入力光を2つの経路に分割する光ファイバカプラからなることができる。
【0041】
幾つかの例では、様々な構成要素は、図2を参照して以下で更に説明されるコンピューティングシステム200等の適切なコンピューティングシステムを通じてリンクされ、制御され、通信され得る。
【0042】
図1Bは、参照ミラー130の態様を示している。参照ミラー130は、光子の反射を可能にする高い反射率及び光学特性を有するミラー又は他の反射面であり得る。参照ミラー130は、OCTシステム100の参照アームに含まれ得る。試料140からの光と共に参照アーム内のミラーをスキャンすることによって、干渉パターンを生成することができ、この干渉パターンからOCT画像を再構成することができる。図1Bに示すように、ミラーが試料140に配置されると、参照ミラー130は、「ゼロ遅延線」の両側の様々な位置に移動させることができる。位置P1、P2、及びP3等の様々な位置は、ミラーの画像を異なる深度ピクセルに移動させることができる。位置-P1及び位置P1は、ゼロ遅延線に対して等距離である場合があり、又は等距離でない場合がある。簡略化のために-P1及びP1~P3のみが示されているが、任意の順序付けられた有限数の位置が存在し得る。例えば、位置P3よりも大きい正のピクセル深度にある追加の位置P4が存在することができる。一例では、ピクセル深度は、+1024ピクセル~-1024ピクセルまでの範囲であり得る。ピクセル深度は、A/Dカードのkクロック総試料又は内部サンプリングレート、及びFFT前のゼロパディングされたデータ長に従って、FFT前に使用されたピクセル数の総量の半分に依存し得る。ピクセル深度0~ピクセル深度1024までの画像化深度は、{(中心波長)/(2*レーザ帯域幅)}*(0.5*OCTフリンジからの試料点の総数)の式によって決定される。
【0043】
幾つかの例では、参照ミラー130の位置は、試料140から戻る光から生成される干渉パターンを変化させることができる。他の例では、参照ミラー130の位置は、光学システムの性能に関連する情報を生成するために使用され、本明細書に記載される方法で使用され得る。幾つかの例では、図6Cを参照して更に説明するように、位置P1及び位置P2から生成された情報を使用して、スペクトル波長線形化及びスペクトル平坦化スペクトルを計算することができる。
【0044】
図1Cは、試料アームに一体化されたミラーを有するOCTシステム(システム199)を示すことができる。図1Cは、システム199がシステム100と同様であり得るが、追加の較正ミラー193及び光学スイッチ192を更に含み得ることを示している。光学スイッチ192は、一端でビームスプリッタ120と、他端で試料140及び較正ミラー193との間に光学的に結合することができる。較正ミラー193からの信号は、可変位置参照ミラー130と共に、システムがKLDCsf法を自動プロセス又は半自動プロセスで実施することを可能にする。幾つかの例では、「自己診断」手順は、システムが開始されるたびに、又は新しい光学ジョイントがシステムの任意の部分に含まれるか若しくは変更されるたびに実行され得る。
【0045】
図1Dは、幾つかの例による、図1Cの較正ミラー193のブロック図である。較正ミラー193は、較正ミラー193をスイッチ192に接続する光コネクタ205Cを含み得る。あるいは、較正ミラー193は、スイッチ192に接続するために融着接続され得る。較正ミラー193は、減衰器210Cを含み得る。減衰器210Cは、所定の減衰を有することができ、例えば、反射の大きさが試料140からの反射と同様になるように反射信号を減衰させることができる。較正ミラー193は、単一点反射(single point reflection)を提供する平坦面215Cを含み得る。光ファイバの長さは、215Cから反射された光が参照アームと干渉するように、試料140と同じ光路長を有することができる。単一点反射は、点像強度分布関数(PSF)と称される場合があり、OCT画像化エンジンを定量化する情報を取得するために、DSP160又はOCT画像化エンジンの他の構成要素によって処理することができる。
【0046】
幾つかの例によれば、OCT画像化エンジンは、参照ミラー及び較正ミラーを使用してミラー測定値を受信する。ミラー測定値は、インターフェログラムの時変振幅(a time-varying amplitude)を含み得る。システムは、受信した測定値を使用して、光学信号の位相をサンプリングインデックスの関数として取り出すことができる。
【0047】
図2は、一例示のコンピューティングシステム200を示している。コンピューティングシステム200は、本明細書において更に説明されるようなハードウェア、ソフトウェア、及び他のモジュールを含み得る。以下の説明は、コンピューティングシステム200の一部であり得る、本明細書において説明する本開示の方法を実施するのに適したデバイスハードウェア及び他の動作構成要素の概要を提供することを意図している。この説明は、適用可能な環境又は本開示の範囲を限定することを意図するものではない。同様に、ハードウェア及び他の動作構成要素は、上述した装置の一部として適切であり得る。本開示は、パーソナルコンピュータ、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースの電子デバイス又はプログラム可能な電子デバイス、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ等を含む他のシステム構成で実施することができる。本開示はまた、OCT実験室又はカテーテル実験室の異なる部屋等の通信ネットワークを通してリンクされる遠隔処理デバイスによってタスクが行われる、分散コンピューティング環境において実践されることもできる。
【0048】
詳細な説明の幾つかの部分は、コンピュータメモリ内でのデータビットに対する操作のアルゴリズム及び記号表現によって提示される。これらのアルゴリズム記述及び表現を、コンピュータ及びソフトウェア関連分野の当業者によって使用することができる。1つの例において、アルゴリズムは、本明細書において、一般的に、所望の結果をもたらす操作の自己一貫性シーケンス(self-consistent sequence)であると考えられる。方法ステップとして実施される又は本明細書においてその他の方法で述べる操作は、物理量の物理的マニピュレーション(manipulation)を必要とする操作である。必ずしもそうではないが通常は、これらの量は、記憶される、転送される、結合される、変換される、比較される、及びその他の方法でマニピュレートされることが可能な、電気信号又は磁気信号の形態を取る。
【0049】
別段の定めがない限り、以下の議論から明らかなように、説明全体を通して、「処理する(processing)」又は「計算する(computing)」、「オーバーレイする(overlaying)」又は「探索する(searching)」又は「検出する(detecting)」又は「測定する(measuring)」又は「計算する(calculating)」又は「比較する(comparing)」、「生成する(generating)」又は「決定(determining)」又は「表示する(displaying)」等の用語又はブール論理又は操作に関連する他のセット等を利用する議論は、コンピュータシステム又は電子デバイスの動作(action)及びプロセスを指し、その動作及びプロセスは、コンピュータシステムの又は電子デバイスのレジスタ及びメモリ内の物理(電子)量として表されるデータをマニピュレートし、電子メモリ若しくはレジスタ又は他のそのような情報記憶デバイス、伝送デバイス、又は表示デバイス内の物理量として同様に表される他のデータに変換することが、認識される。
【0050】
本開示はまた、幾つかの例において、本明細書の操作を実施するための装置に関する。この装置は、要求される目的のために特別に構築することができる、又は、この装置は、コンピュータに記憶されたコンピュータプログラムによって選択的に起動又は再構成された汎用コンピュータを含むことができる。
【0051】
本開示の例示のシステムは、プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、又は汎用コンピュータ)とともに使用するためのコンピュータプログラムロジック、プログラマブルロジックデバイス(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は他のプログラマブルロジックデバイス)とともに使用するためのプログラマブルロジック、ディスクリートコンポーネント、集積回路(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC))、又はその任意の組み合わせを含む任意の他の手段を含むが、それらに全く限定されない多くの異なる形態で具現化することができる。1つの例において、OCTプローブ及びプロセッサベースのシステムを使用して収集されるデータの処理の一部又は全ては、コンピュータプログラム命令のセットとして実装され、その命令のセットは、コンピュータ実行可能な形式に変換され、コンピュータ可読媒体にそれ自体が記憶され、オペレーティングシステムの制御下でマイクロプロセッサによって実行される。こうして、クエリ応答及び入力データは、画像化データを生成し、管腔境界を検出し、ステントストラットを検出し、測定された垂直距離を設定閾値と比較し、画像比較、信号処理、管腔検出、ステント検出、及び検出されたステントの比較、並びに、上述した他の特徴及び例をその他の方法で実施するのに適するプロセッサ理解可能な命令に変換される。
【0052】
本明細書において上述した機能の全部又は一部を実施するコンピュータプログラムロジックは、ソースコード形式、コンピュータ実行可能形式、及び種々の中間形式(例えば、アセンブラ、コンパイラ、リンカ、又はロケータによって生成される形式)を含むが、それらに全く限定されない、種々の形式で具現化することができる。ソースコードは、種々のオペレーティングシステム又はオペレーティング環境とともに使用するために、種々のプログラミング言語(例えば、オブジェクトコード、アセンブリ言語、又は、Fortran、C、C++、JAVA、又はHTML等の高水準言語)のいずれかで実装された一連のコンピュータプログラム命令を含むことができる。ソースコードは、種々のデータ構造及び通信メッセージを規定し、使用することができる。ソースコードは、(例えば、インタプリタを介して)コンピュータ実行可能な形式とすることができる、又は、ソースコードは(例えば、トランスレータ、アセンブラ、又はコンパイラを介して)コンピュータ実行可能形式に変換することができる。
【0053】
コンピュータプログラムは、半導体メモリデバイス(例えば、RAM、ROM、PROM、EEPROM、又はフラッシュプログラマブルRAM)、磁気メモリデバイス(例えば、ディスケット又は固定ディスク)、光メモリデバイス(例えば、CD-ROM)、PCカード(例えば、PCMCIAカード)、又は他のメモリデバイス等の有形の記憶媒体に任意の形式(例えば、ソースコード形式、コンピュータ実行可能形式、又は中間形式)で永続的又は一時的に固定することができる。コンピュータプログラムは、様々な通信技術のうちの任意のものを用いてコンピュータに送信可能である信号に任意の形式で固定することができる。これらの通信技術には、アナログ技術、デジタル技術、光技術、無線技術(例えば、Bluetooth)、ネットワーキング技術、及びインターネットワーキング技術が含まれるが、これらに全く限定されるものではない。コンピュータプログラムは、添付の印刷文書又は電子文書を有するリムーバブル記憶媒体(例えば、市販(shrink wrapped)ソフトウェア)として任意の形式で配布することもできるし、コンピュータシステム(例えば、システムROM又は固定ディスク)にプリロードすることもできるし、サーバ又は電子掲示板から通信システム(例えば、インターネット又はワールドワイドウェブ)を介して配信することもできる。
【0054】
本明細書において上述した機能の全て又は一部分を実施するハードウェアロジック(プログラマブルロジックデバイスとともに用いられるプログラマブルロジックを含む)は、従来の手動の方法を用いて設計することもできるし、コンピュータ支援設計(CAD)、ハードウェア記述言語(例えば、VHDL又はAHDL)、又はPLDプログラミング言語(例えば、PALASM、ABEL、又はCUPL)等の様々なツールを用いて電子的に設計、取り込み、シミュレーション、又は文書化することもできる。
【0055】
プログラマブルロジックは、半導体メモリデバイス(例えば、RAM、ROM、PROM、EEPROM、又はフラッシュプログラマブルRAM)、磁気メモリデバイス(例えば、ディスケット又は固定ディスク)、光メモリデバイス(例えば、CD-ROM)、又は他のメモリデバイス等の有形の記憶媒体に永続的又は一時的のいずれかで固定することができる。プログラマブルロジックは、アナログ技術、デジタル技術、光技術、無線技術(例えば、Bluetooth)、ネットワーキング技術、及びインターネットワーキング技術を含むが、これらに全く限定されない様々な通信技術のうちの任意のものを用いてコンピュータに伝送可能な信号に固定することができる。プログラマブルロジックは、添付の印刷文書又は電子文書を有するリムーバブル記憶媒体(例えば、市販ソフトウェア)として配布することもできるし、コンピュータシステム(例えば、システムROM又は固定ディスク)にプリロードすることもできるし、サーバ又は電子掲示板から通信システム(例えば、インターネット又はワールドワイドウェブ)を介して配信することもできる。
【0056】
適切な処理モジュールの種々の例は、以下でより詳細に論じられる。本明細書において使用するとき、モジュールは、特定のデータ処理タスク又はデータ伝送タスクを実施するのに適するソフトウェア、ハードウェア、又はファームウェアを指す。幾つかの例において、モジュールは、命令、又は、OCTスキャンデータ等の種々のタイプのデータ及び他の関心情報を、受信し、変換し、ルーティングし、処理するのに適する、ソフトウェアルーチン、プログラム、又は他のメモリ常駐アプリケーションを指す。
【0057】
本明細書において述べるコンピュータ及びコンピュータシステムは、データを取得する、処理する、記憶する及び/又は通信するときに使用されるソフトウェアアプリケーションを記憶するためのメモリ等の、動作可能に連結されたコンピュータ可読媒体を含むことができる。そのようなメモリは、その動作可能に連結されたコンピュータ又はコンピュータシステムに関して、内部、外部、遠隔、又はローカルにあることができることを認識することができる。
【0058】
メモリはまた、例えば、限定することなく、ハードディスク、光ディスク、フロッピーディスク、DVD(デジタル多用途ディスク)、CD(コンパクトディスク)、メモリスティック、フラッシュメモリ、ROM(読み出し専用メモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、DRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)、PROM(プログラマブルROM)、EEPROM(拡張消去可能PROM)、及び/又は他の同様なコンピュータ可読媒体を含む、ソフトウェア又は他の命令を記憶するための任意の手段を含むことができる。
【0059】
概して、本明細書において述べる本開示の例に関連して適用されるコンピュータ可読メモリ媒体は、プログラマブル装置によって実行される命令を記憶することが可能な任意のメモリ媒体を含むことができる。適用可能である場合、本明細書において述べる方法ステップは、単数又は複数のコンピュータ可読メモリ媒体上に記憶された命令として具現化又は実行することができる。これらの命令は、C++、C、Java等の種々のプログラミング言語及び/又は本開示の例による命令を作成するために適用され得る種々の他の種類のソフトウェアプログラミング言語で具現化されたソフトウェアとすることができる。
【0060】
記憶媒体は、非一時的であるか、又は、非一時的デバイスを含むことができる。したがって、非一時的記憶媒体又は非一時的デバイスは有形であるデバイスを含むことができ、これは、デバイスが、その物理的状態を変更する場合があるが、具体的な物理的形式を有することを意味する。こうして、例えば、非一時的は、この状態の変化があったとしてもデバイスが有形のままであることを指す。
【0061】
(例示の方法)
図3は、1つ以上の較正スペクトルを取得する方法300を示している。較正スペクトルを試料140等の試料から導出されたOCT信号の較正に使用して、分解能、信号対雑音比を改善し、画像サイドローブアーチファクトを抑制することができる。
【0062】
方法300を参照して使用されるように、以下の表記を使用することができる。以下の式は、表記を参照して導出し、理解することができる。当業者は、同等及び類似のステップ、シンボル、及び表記が使用され得ることを理解するであろう。
k:波数。
j:複素領域における虚数単位。
KL:k線形化。
DC:分散補正。
SF:スペクトル平坦化。
n:使用されるA/Dカードによるサンプリングインデックス。
I:強度
P1(n):位置P1における強度であり、nはA/Dカードによるサンプリングインデックスの変数である。
:ゼロ遅延面に対する深度位置x。
Px:正平面上の画像化位置xであり、例えばx=1,2,3...である。
-Px:負平面上の画像化位置x。
Φ(n):正平面上のx位置で取得された光学位相。
Φ-x(n):負平面上のx位置で取得された光学位相。
Φdisp:光学分散位相。
ΦKL(n):k線形化プロセス後の無分散kスペクトル。
(n):ゼロ遅延線に関する非対称性を補償するために使用される位相補償項。
:FFT後のPSFピーク位置であり、dはPx及び-Pxである。
:k線形化後の補正されたフリンジ。
:KL及びDCプロセス後の補正されたフリンジ。
:KL、DC及びスペクトル平坦化プロセス後の補正されたフリンジ。
:計算コストを低減するために解析形式を使用しない、KL、DC及びスペクトル平坦化プロセス後の補正されたフリンジ。
【0063】
ブロック305において、ミラー測定値を取得することができる。ミラー測定値は、ミラーが試料140に配置されたときにOCTシステム100から生成される信号である。結果として得られる測定値は、A/Dカードによって取得されたインターフェログラムからの時変振幅である。このブロックでは、生のフリンジデータを含み得るOCT信号を、OCTシステムの試料アーム内のミラー又は基準反射器から、負の画像化面及び正の画像化面の両方から別々に取得することができる。バックグラウンドスペクトルは、試料を除去することによっても取得することができる。幾つかの例では、ミラーアームの両側の生のフリンジは、1024ピクセルシステムにおけるナイキスト深度の25%~30%に相当する250ピクセル~300ピクセルのピクセル深度で取得することができる。他の例では、任意の2つの任意の位置がピクセル深度のために選択され得る。
【0064】
幾つかの例では、図1Bに示すように、位置P1~位置P3として測定値を取得することができる。更に説明されるように、これらの測定値から情報が導出される。幾つかの例では、P1位置及び-P1位置からの測定値は、サンプリングインデックスn、ΦP1(n)及びΦ-P1(n)の関数として位相を取り出すために使用され、それに応じて、スペクトルKL及び分散スペクトルを計算するために使用され得る。P1で取得されたフリンジを使用して、スペクトル平坦化スペクトルを推定することができる。他の例では、P1~P3で取られた測定値を使用して、アルゴリズムから検出された最良の多項式フィッティング次数に基づいてkスペクトルを最適化することができる。幾つかの例では、P1、P2、及びP3の位置を試料の所望の深度又は推定された深度に基づいて選択して、深度範囲全体にわたる多項式フィッティングを最適化することができる。
【0065】
取得された単数又は複数の信号の態様が、図4Aを参照して示されている。幾つかの例では、複素信号及びその信号の位相は、位置P1~位置P3で取得された測定値からヒルベルト変換によって計算することができる。
【0066】
k線形位相はまた、フリンジを平均化してP1位置及びP2位置からのクリーンな光学位相ΦP1(n)及びΦ-P1(n)を取得することによって計算され得る。P1~P3のインターフェログラムを使用して、KLスペクトルの補間性能が最適化され、OCT信号のより深い深度からのノイズの影響が低減又は回避される。
【0067】
別の言い方をすれば、IP1(n)∝cos{k(n)zP1+Φdisp(n)}及びI-P1(n)∝cos{k(n)z-P1-Φdisp(n)}であることが既知のため、瞬時光学位相ΦP1(n)及びΦ-P1(n)をヒルベルト変換によって計算して、ΦP1(n)=k(n)zP1+Φdisp(n)及びΦ-P1(n)=k(n)z-P1-Φdisp(n)を取得することができる。このブロックでは、ブロック305で取得された信号からバックグラウンドを除去することができる。
【0068】
ブロック310において、無分散kスペクトル(kスペクトル)ΦKL(n)は、ΦKL(n)=0.5*{ΦP1(n)+Φ-P1(n)}の関係に基づいて計算することができる。このブロックの態様は、図4B(1)を参照して更に説明されており、実線は、無分散kスペクトルを表し、破線は、理想的な線形化されたkスペクトルを示す。曲線間の差は、次のセクションで補正される必要があるkクロックの非線形性を表す。両方の曲線を使用して、波数位相領域上の生のフリンジが直接補間され、KL補正されたフリンジs(n)が取得される。加えて、未較正のOPTISシステムを用いてアルゴリズムを試験するために、kクロックを使用する代わりに、A/Dカードの500MHz内部サンプリングレートでOCT信号が取得された。図4B(2)は、非線形kスペクトルをKLプロセス後の線形化されたkスペクトルに補正する有効な較正を示している。したがって、較正された結果を図12に示す。従来の技術は、時間領域において補間を実施するが、時間領域において補間を実施することは、k領域位相を時間領域(N=1~2048)に投影して戻すために追加の多項式フィッティングを必要とし、精度は、多項式フィッティング次数に極めて敏感である。補間をk領域から時間領域にリマッピングする追加の多項式フィッティングから計算コストを節約するために、この方法の態様を選択して、波数領域において直接kスペクトル補間を実行することができる。
【0069】
幾つかの例では、図4Cを参照すると、フリンジ全体にわたるシステムノイズ、及びナイキスト深度に近いサンプリングエラーの増加は、画像化サイドローブアーチファクトを容易に引き起こし、より深い深度でシステム分解能を更に低下させる可能性がある(すなわち、信号のより深い深度は、フリンジサイクル当たりより少ないサンプリング点を有する)。このため、無分散kスペクトルを多項式フィッティング関数によって最適化する必要があり、多項式フィッティング次数を最適化することができる。結果は、拡大窓図455及び465を有する図4Cを参照すると、サイドローブアーチファクトのない改善されたPSFが示されている。
【0070】
ブロック315では、以下のステップのいずれか又は全てを多項式最適化プロセスの一部として使用して、KLスペクトルの最良の多項式次数を求めることができる。
・KLスペクトルΦKL(n)は、P1又は他のミラー(P2、P3等)位置のいずれかにおける多項式フィッティングを用いて取得することができる。
・P2及びP3等の他の位置で取得された信号に対して、様々な多項式フィッティング次数を用いたKLリサンプリングを適用することができる。幾つかの例では、0~50の次数の多項式を使用することができ、0は、フィッティングを適用しない生のkスペクトルを表す。
・各フィッティング次数によるkスペクトル補間後のPSFプロファイルに基づいて、半値全幅(FWHM)(このブロックではa1と称する)と点像強度分布関数(PSF)面積総和(このブロックではa2と称する)が計算される。
・a1及びa2パラメータは、各深度位置P1、P2、及びP3に対してあらゆる多項式次数で計算することができる。その後、パラメータa1及びa2は、深度に沿って平均化され、次いで、別々に0~1に正規化される。
・最小の(a1+a2)を有する多項式次数を求めることができる。
・先行するステップにおいて最も鋭い強度ピークを生じさせる多項式次数は、保存されたkスペクトルの最適化されたフィッティング次数として保存され、全ての他の深度におけるKLプロセス全体にわたって、及びリアルタイム画像化段階における全ての他のOCT信号のために使用され得る。画像化アーチファクトの例示的な改善は、図4C及び図11の最も下の行を参照されたい。
【0071】
ブロック320において、分散スペクトルを計算することができる。最初に、ブロック310からのkスペクトルを使用して生のフリンジが補間される。位置P1及び-P1におけるミラーとのインターフェログラムは、以下の関係IP1(n)∝cos{k(n)zP1+Φdisp(n)}及びI-P1(n)∝cos{k(n)z-P1-Φdisp(n)}によって記述される。ミラー位置がゼロ遅延線に対して等距離でない場合、分散位相Φdispは、以下のように達成することができる。
Φdisp(n)=0.5*{(ΦP1(n)+n*Xp1)-(Φ-P1(n)+n*X(-P1))}、及びX=-z+0.5*{z(P1)+z(-P1)
【0072】
ミラーの各較正ペアについて、項Xを使用して、ゼロ遅延線に対するそれらの等しくない位置に起因する較正ミラーの位相差が補償される。ノイズΦdisp(n)は、図4Dに示されるように、多項式関数をフィッティングすることによって除去され得るか、又はローパスフィルタによって単純にフィルタリングされ得る。取得されたΦdisp(k)関数は、KL補正されたフリンジs(n)の解析形式を用いて減算する逆分散位相として使用するために保存することができる。分散補正を適用した後のフリンジデータ及びOCT強度形状の例示の結果は、図6Bを参照されたい。
【0073】
ブロック325において、スペクトル平坦化(SF)スペクトルが計算される。SF(n)は、KLDC補正されたフリンジs(n)の包絡線値によって計算することができる。幾つかの例では、スペクトル平坦化は、図6Cに示されるように、利用可能な帯域幅を増加させることによって、軸方向分解能の性能を更に増加させることができる。1つの例では、SF窓は、較正ステップとして計算され、窓関数(すなわち、カイザーベッセル窓(Kaiser-Bessel window))を使用して将来のデータに適用されて、復調窓、例えば、s(n)=s(n)×(kaiser window)/SF(n)を形成することができる。1つの例では、使用される包絡線は、ブロック305からの参照ミラー位置のいずれかから取得された信号から導出することができる。
【0074】
1つの例では、スペクトル平坦化プロセスの第1のステップは、ヒルベルト変換が適用された後にKLDC補正されたフリンジの絶対数を取ることによってフリンジの包絡線を計算することである。このステップは、ミラーが試料アーム内に配置されたときに起こり得る。スペクトル包絡線が計算されると、スペクトル包絡線は、多項式関数によってフィッティングされ得る(一例として図4Eを参照されたい)。
【0075】
ブロック330において、ステップ310~ステップ325で計算された様々なスペクトルを保存することができる。このブロックでは、様々なスペクトルを記憶するか、又はコンピューティングデバイス200の様々な部分に移動することができる。
【0076】
図4Aは、取得された入力信号の様々な態様を示している。グラフ410は、正の画像化面から取得された入力信号を示す。グラフ420は、負の画像化面から取得された入力信号を示す。グラフ410及びグラフ420は、OCTシステムからのkクロックサンプリングされたインターフェログラム(生のフリンジ)の一例として説明することもできる。グラフ410及びグラフ420は、経験的に取得されたデータを表すが、グラフ内のフリンジ信号の強度は、波数「k」及び分散によって記述することができ、関係IP1(n)∝cos{k(n)zP1+Φdisp(n)}及びI-P1(n)∝cos{k(n)z-P1-Φdisp(n)}を有する。分散は、ラジアン又は任意の他の角度尺度で測定することができ、正弦波信号の振幅変調を決定する光学位相を表す。
【0077】
図4Bを参照すると、グラフ430(図4B(1))及びグラフ440(図4B(2))が示されている。図4B(1)は、理想的な線形化されたkスペクトルと比較した無分散kスペクトルを示すグラフ430である。図4B(2)は、KLプロセス後の未較正のkスペクトルに対する有効な補正を示すグラフ440を示している。図4Bにおいて、破線は、k線形化プロセス後に計算された光学位相であり得る。
【0078】
図4Cは、グラフ450及びグラフ460を示している。グラフ450は、kスペクトル最適化なしの強度を示す。グラフ455は、不均一なサイドローブを示す1つのピークを強調している。グラフ460は、kスペクトル最適化を用いた同一の信号を示す。グラフ465は、サイドローブが抑制されていることを示す455と同じピークを強調しており、グラフはkスペクトル最適化後に対称となっている。
【0079】
図4Dは、多項式フィッティングΦdisp(n)が保存された生の分散データのグラフを示すグラフ470を示している。
【0080】
図4Eは、グラフ480を示している。グラフ480は、KLDC補正されたフリンジの例示のデータと、多項式フィッティングを用いて計算されたその包絡線とを示す。計算された包絡線は、後の使用のために保存することができる。
【0081】
図5は、本開示の態様による、グラフィック処理ユニット(GPU)又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)によって行われるリアルタイムOCT画像化を行う方法500を示している。方法500はまた、例えば、デバイス200等の他のコンピューティングデバイスによって部分的又は全体的に実施することができる。方法500は、先の箇所で取得されたデータを使用して、OCTシステムの動作中にリアルタイムで実施することができる。
【0082】
ブロック505において、1つ以上のスペクトルをロード又は取得することができる。例えば、方法300を参照して計算された1つ以上のスペクトル、例えば、kスペクトル、分散スペクトル、及びスペクトル平坦化スペクトルは、メモリからロードすることができる。このブロックでは、各フリンジのバックグラウンドデータは、ハイパスフィルタによって除去されるか、又は試料アームを遮断することによってデータを取得する必要がある。
【0083】
ブロック510において、k線形化(KL)補正が、収集された生のフリンジデータに対して実施され得る。このブロックでは、最適化された多項式フィッティング次数を有する保存されたkスペクトルによって、フリンジデータを補間することができる。幾つかの例では、ブロック510は、方法300を参照して保存され、図4Bを参照して示されるようなkスペクトルデータを使用することができる。このステップでは、ロードされたkスペクトルを使用して、収集された生のフリンジデータに対して波数空間(k空間)において三次スプライン補間を実施することによって取得された生のフリンジデータを補正することができる。波数空間において三次スプライン補間を実施することで、FFTプロセスを実施する前に、生のフリンジを非線形波数領域から線形波数領域にスケーリングすることが可能になる。スプライン補間は、スパイクエラーを引き起こす過剰フィッティングの問題を回避する区分的多項式補間の一形態である。幾つかの例では、FPGA又はGPUを使用して、波数領域において三次スプライン補間を効率的に実施することができ、OCTシステムの動作中等に、KL補正をリアルタイムで実施することが可能になる。生のフリンジデータ及びKLDC補正されたフリンジデータが図6Bに関して示されている。スペクトルは、数値補間プロセスを伴わずに非一様FFTにロードすることもできる。
【0084】
ブロック515では、分散補正(DC)が、方法300を参照して、より具体的には、ブロック320を参照して計算されるΦdisp(n)関数の使用を通して、ブロック510で生成されるKL補正されたフリンジデータに対して実施され得る。このブロックでは、分散位相を打ち消すように分散補償が実施され、取得されるOCT信号が補正される。多項式フィッティング関数又はローパスフィルタが使用されているので、生の分散データと比較して、よりロバストな補正を実施することができる。
【0085】
このブロックでは、フリンジデータを解析形式にヒルベルト変換することができ、jを虚数単位として、-jΦdisp(n)の指数関数を使用して分散位相を補償することができる。
【0086】
このブロックにおいて、新しいフリンジ関数は、複素数値の位相によって乗算された補正されたフリンジデータの実数部を取ることによって計算することができる。
(n)=Real{analytical form of s(n)×exp[-jΦdisp(n)]}
【0087】
上記の実数関数は、k線形化され、複素数値の解析形式に変換されたフリンジの「実数」部分を取るものである。
【0088】
ブロック520において、ブロック515で取得された結果に対してスペクトル平坦化を実施することができる。このブロックでは、スペクトル包絡線を除去することができる。KL補正及びDC補正の両方にもかかわらず、図4Eに示されるフリンジの傾斜包絡線(ramping envelope)は、制約された帯域幅のため、軸方向分解能の性能を依然として制限することができる。このブロックでは、ブロック320で計算された実数値包絡線を使用することができる。較正からのスペクトル包絡線は、窓関数(例えば、カイザー窓)に組み込まれ、KLDC補正されたフリンジを平坦化する復調窓として使用される。
【0089】
幾つかの例では、ブロック520において、以下のステップを実施することができる。
(n)=s(n)×(kaiser window(n))/SF(n)
【0090】
上記のスペクトル包絡線SF(n)は、s(n)の包絡線として定義される。
【0091】
図4Bは、生成されたkスペクトル及び理想的なkスペクトルを示すグラフ430を示している。グラフ620は、方法300の態様による、元のフリンジ対KL補正フリンジの拡大部分である。フィッティングされたスペクトルは、方法500で説明したように、リアルタイム画像化のために保存して使用することができる。グラフ620は、元のデータと、k線形化補正のステップが実施された後の補正されたデータとを示す。
【0092】
図6Aは、サンプリングインデックスの関数としてのインターフェログラムであるグラフ620を示している。グラフ620には、元のフリンジ信号及びKL補正されたフリンジ信号が示されている。
【0093】
図6Bは、分散補正を適用する前後のKL補正されたフリンジ信号の差を有するグラフ630を示している。リアルタイム画像化プロセスを加速する簡略化された形式は、次のように記述することができる。
(z)=abs{s(n)×exp[-jΦdisp(n)]×(kaiser window(n))/SF(n)}
【0094】
上記で言及した絶対関数absは、k線形化されたフリンジの「大きさ又は係数」部分に分散位相を乗じたものを取る。
【0095】
グラフ640は、KLDC処理後のより狭いPSF対kクロック線形化を示す。
【0096】
図6Cは、グラフ650内のスペクトル平坦化の適用前後の帯域幅の差の一例を示している。下のプロットは、スペクトル平坦化後に、より広いFWHM帯域幅及びより対称な構造を有していることに留意されたい。
【0097】
図6Dは、異なる方法を使用した異なる画像化深度におけるFWHMを示す一例示のグラフ660を示している。データは、最適化されていないk遅延及び強いシステム分散のないOPTIS OCTシステムから取得された。グラフ660は、(i)kクロックデータのみを使用する信号と、(ii)KL技法のみを使用する信号と、(iii)KL技法及びDC技法を使用する信号と、(iv)KL技法、DC技法、及びSF技法を使用する信号との間の、全ての画像化深度全体にわたるFWHMの改善を示す。FWHMが小さいほど、OCT画像における軸方向分解能が向上していることを示す。
【0098】
図7は、本開示の態様による、KLDCの態様を組み込んだOCTリアルタイム画像化を生成する方法700を示している。
【0099】
ブロック705において、OCTシステムのセンサからフリンジデータを取得することができる。1つの例として、図1を参照して説明したシステムを使用することができる。別の例では、Abbott社製のOPTISシステムを使用することができる。
【0100】
ブロック710において、KL、DC、及びスペクトル平坦化が実施され得る。このステップでは、方法500に関する1つ以上のステップを実施することができる。
【0101】
ブロック715において、ゼロパディング(zero padding)及び窓処理(windowing)が行われ得る。窓処理では、選択された間隔内に信号の一部が保持される。数学的には、窓処理は、選択された間隔の外側でゼロの値を有する窓関数(window function)を適用することと等価である。ゼロパディングは、信号の長さを拡張するために信号の終わりにゼロを追加することができるプロセスである。このプロセスはまた、取得された信号が高速フーリエ変換によってより効率的に処理されることを可能にし得る。ゼロパディングは、試料点を増加させることができ、再構成された信号が光学分解能の理論的限界に近づくことを可能にする。
【0102】
ブロック720において、取得されたデータに対して高速フーリエ変換(FFT)を実施することができる。FFTは、離散フーリエ変換又はその逆を計算するアルゴリズムであり得る。
【0103】
ブロック725において、データは対数(log)スケールに変換される。幾つかの例では、FFTデータは、対数スケールに変換する前に正規化することができる。
【0104】
ブロック730において、強度画像を生成することができる。生成された強度画像は、モニタ上に表示することができる。画像データは、ブロック725で取得された対数スケール値に基づくことができる。
【0105】
図8は、標準的な製造手順によって設定されたk遅延調整を有する例示的なOPTISシステムを表している。プロットは、KLDCsf(KLDC及びスペクトル平坦化)プロセスが、画像化サイドローブを補正し、規格を満たす市販のシステムにおけるシステム分解能を改善することを示す。
【0106】
図9は、規格内のk遅延調整を有するOPTISシステムにおけるKLDCsf性能を示している。PSFプロファイルは、より鋭いビームウエストを示し、システムFWHMは、画像化深度全体にわたって優れたシステム分解能を示す。図9は、種々の画像化深度における強度プロット910,920及び930と、KLDCsf技法を使用して取得された信号の強度と、KLDCsf技法を使用しない同一の信号の強度とを示している。
【0107】
図9はまた、プロット940を示している。プロット940は、x軸上に画像化深度を示し、y軸上にマイクロメートル単位のFWMHを示す。プロット940に示されるように、KLDCsf技法を使用した場合、FWMHは、kクロックを使用するシステムと比較して画像化深度全体にわたって一貫してより狭くなっている。
【0108】
図10は、k遅延調整及び強い分散(規格内ではない)のないOPTISシステム上のKLDCsfの性能に関連するプロット1010及びプロット1020を示している。プロット1010及びプロット1020はまた、最適化されたkスペクトルを用いてKLDCsfを実行することによって、最良の分解能及びSNRを実証するものである。プロット1010は、x軸上に画像化深度を、y軸上にマイクロメートル単位のFWHMを示す。プロット1010は、KLDCsfプロセスによるより小さいFWHMと、kクロックを使用してリサンプリングされたデータにKLDCsfプロセスが適用された場合のわずかなFWHMの改善とを示す。プロット1020は、y軸上の信号対雑音比(SNR)と、x軸上の画像化深度とを示しており、kクロックを使用して取得された信号と比較して、KLDCsf技法を用いた高い信号対雑音比を示す。
【0109】
図11は、規格内で動作するOPTISシステムによってカプトンテープロールから画像化された単一ラインスキャン(Aライン)のグラフ1110を示している。KLDCsfは、生のデータと、kクロックを使用してk空間内で線形化されたデータとに適用された。グラフ1110は、x軸上にピクセル深度を、y軸上にデシベル単位の強度を示す。ピークを示すラベル付けされていない矢印から分かるように、最適化されたkスペクトルを有するKLDCsfを使用して取得された強度ピークは、より深い深度(ナイキスト画像化深度の80%以上)においてKLDCsfのみを使用することによる強度ピークよりも高く、その結果、深度においてより良好なSNR及びシステム分解能が得られる。ナイキスト深度80%以前では、明らかな差は見られなかった。
【0110】
図12は、kクロックを使用せずにOPTISシステムのミラー信号に適用されたKLDCsfの性能を示している。グラフ1210から分かるように、信号のKLDCsf処理は、試料深度においてより鮮鋭で対称的なピークをもたらすが、ミラー信号は、k空間において線形化されていないデータを用いて再構成することができない。
【0111】
図13は、その内部kクロックを使用する標準OPTISシステムと、KLDCsfプロセスが使用される、kクロックを接続しない同じシステムとの分解能を示すプロット1310を示している。1310から分かるように、kクロックを使用しないKLDCsfは、元のkクロック構成の分解能を改善する。
【0112】
本開示の態様、実施形態、特徴、及び例は、全ての点で例示的であると考えられ、本開示を限定することを意図するものではなく、その範囲は特許請求の範囲によってのみ規定される。他の例、修正形態、及び使用法は、特許請求される開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。
【0113】
本出願における見出し及び段落の使用は、本開示を制限することを意味せず、各段落は、本開示の任意の態様、例、又は特徴に適用することができる。
【0114】
本出願全体を通して、構成物が特定のコンポーネントを有する、含む、又は備えるものとして述べられる場合、又は、プロセスが特定のプロセスステップを有する、含む、又は備えるものと述べられる場合、本教示の構成物が、本質的に列挙されるコンポーネントからなる又は列挙されるコンポーネントからなること、及び、本教示のプロセスが、本質的に列挙されるプロセスステップからなる又は列挙されるプロセスステップからなることが企図される。
【0115】
本出願において、要素又はコンポーネントが、列挙された要素又はコンポーネントのリストに含まれる及び/又はそのリストから選択されると言及される場合、その要素又はコンポーネントが、列挙される要素又はコンポーネントのいずれか1つとすることができ、また、列挙される要素又はコンポーネントの2つ以上からなる群から選択することができることが理解されるべきである。さらに、本明細書において述べる構成物、装置、又は方法の要素及び/又は特徴を、本明細書において明示的であろうと暗黙的であろうと、本教示の趣旨及び範囲から逸脱することなく種々の方法で組み合わせることができることが理解されるべきである。
【0116】
用語「含む(include)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(have)」、「有する(has)」、又は「有している(having)」の使用は、別段の定めがない限り、一般にオープンエンドでかつ非限定的であると理解されるべきである。
【0117】
本明細書における単数形の使用は、別段の定めがない限り、複数を含む(逆の場合も同様である)。さらに、別段に文脈が明確に指示しない限り、単数形「一("a," "an")」及び「その(the)」は、複数形を含む。さらに、用語「約(about)」又は「実質的に(substantially)」の使用が定量値の前である場合に、本教示は、別段の定めがない限り、特定の定量値自体も含む。本明細書において使用される用語「約」又は「実質的に」は、例えば、現実の世界における測定又はハンドリング処置を通して、これらの処置における偶発的な誤差を通して、複合テープ等の材料の製造における差/不具合を通して、欠陥を通して起こり得る数量の変動、並びに、変動であって、そのような変動が従来技術によって実施される既知の値を包含しない限り、当業者によって同等であるものと認識されることになる、変動を指す。典型的には、用語「約」又は「実質的に」は、述べる値の1/10、例えば、±10%だけ、述べた値又は値の範囲より大きい又は小さいことを意味する。
【0118】
ステップの順序又は或る特定の動作を実施するための順序が、本教示が使用可能なままである限り、重要でないことが理解されるべきである。さらに、2つ以上のステップ又は動作を、同時に行うことができる。
【0119】
本出願における見出し及び段落の使用は、本開示を制限することを意味しない。各段落は、本開示の任意の態様、例、又は特徴に適用することができる。用語「する手段(means for)」を使用する請求項のみが、米国特許法112条6項の下で解釈されることを意図される。請求項において「する手段(means for)」の列挙が存在しない場合、そのような請求項は、米国特許法112条の下で解釈されるべきでない。本明細書からの制限は、そのような制限が特許請求の範囲に明示的に含まれない限り、いずれの請求項に読み込まれることも意図されない。
【0120】
値又は値の範囲が与えられる場合、各値及び所与の範囲のエンドポイント及びその間の値は、何らかの異なる範囲が特に述べられない限り、本開示の教示内に依然として留まりながら、20%だけ増加又は減少することができる。
【0121】
値の範囲又はリストが提供される場合、値のその範囲又はリストの上限と下限との間の介在する各値は、個々に企図され、各値が本明細書に具体的に列挙されているかのように本開示内に包含される。さらに、所与の範囲の上限と下限との間及びそれらを含むより小さい範囲が、企図され、本開示内に包含される。例示的な値又は範囲のリストは、所与の範囲の上限及び下限の間並びにそれらを含む他の値又は範囲を排除するものではない。
【0122】
本開示の図及び説明が、明確化のために他の要素を削除しながら、本開示の明確な理解のために適切である要素を示すように簡略化されていることが理解される。当業者は、しかしながら、これら及び他の要素が望ましい場合があることを認識するであろう。しかしながら、そのような要素が当技術分野でよく知られているため、また、それらの要素が本開示のより良い理解を促進しないため、そのような要素の説明は、本明細書において提供されない。図が、構造図としてではなく、例示のために提示されていることが理解されるべきである。省略された詳細及び修正形態又は代替的な例は、当業者の知識の範囲内にある。
【0123】
本開示の或る特定の態様において、要素又は構造を提供するため、又は単数若しくは複数の所与の機能を実施するために、単一コンポーネントを複数コンポーネントに置き換えることができ、また、複数コンポーネントを単一コンポーネントに置き換えることができることを、認識することができる。そのような置換が本開示の或る特定の実施形態を実施するために使用可能でない場合を除いて、そのような置換は、本開示の範囲内にあると考えられる。
【0124】
本明細書に提示される例は、本開示の可能性のあるかつ具体的な実施態様を例示することを意図される。その例が、主に、当業者のために本開示の例示のために意図されることを、認識することができる。本開示の趣旨から逸脱することなく、これらの図又は本明細書において述べる操作に対する変形が存在する場合がある。例えば、或る特定の場合には、方法ステップ又は操作を、異なる順序で実施若しくは実行することができる、又は、操作を、追加、削除、若しくは修正することができる。
【0125】
開示される技術の態様は、以下の特徴を任意の組み合わせで含み得る。
【0126】
光学信号を処理して光学的に取得された画像の分解能を向上させる方法は、光学システムを較正することを含み、較正は、1つ以上のプロセッサが、少なくとも第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値を取得するステップであって、第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値は、ゼロ遅延線の両側から収集され、各ミラー測定値は、インターフェログラム又は信号又はシステムインパルス応答であるステップと、1つ以上のプロセッサが、第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値の振幅及び位相を取得するステップと、第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値のうちの少なくとも一方を、(i)線形波数(k)空間と、(ii)線形波長と、(iii)線形時間とのうちの少なくともいずれかとなるようにリサンプリングして、リサンプリングされたミラー測定値を生成するステップと、関数を使用して、リサンプリングされたミラー測定値の最適化されたフィッティングを計算するステップとを含む。任意の数のミラー測定値を較正のために使用することができる。例えば、数個、数十個、数百個、又はそれ以上のミラー測定値を取得し、較正に使用することができる。
【0127】
フィッティングさせるために使用される関数は、多項式関数、三次スプラインフィッティング関数、動径基底関数、又は区分関数のうちの1つであり得る。方法は、ミラー測定値の生のインターフェログラムに対してk線形化を実施するステップであって、ミラー測定値は、kクロックを使用して又は使用せずに取得されるステップと、リサンプリングされたインターフェログラムを生成するステップとを更に含んでいてもよく、リサンプリングされたミラー測定値は、k空間内にある。
【0128】
k線形化は、補間関数を使用して実施することができ、補間関数は、k空間における三次スプライン補間、三次補間、又は線形補間のうちの1つである。
【0129】
方法は、特定のミラー測定値から計算された包絡線を使用することによって、少なくとも1つのミラー測定値に対してスペクトル平坦化を実施するステップを更に含み得る。
【0130】
各ミラー測定値は、システムインパルス応答であり得る。
【0131】
方法は、少なくとも2つのミラー測定値について分散補償を計算するステップと、任意選択的に分散を補償するステップとを更に含み得る。方法は、スペクトル平坦化中に計算されたスペクトル包絡線を保存するステップを更に含み得る。
【0132】
幾つかの例によれば、最適化された多項式は、少なくとも2つのミラー測定値に基づいて決定される。幾つかの例では、3つ以上のミラー測定値が使用され得る。最適化された多項式の最適化は、多項式フィッティング次数1~nに基づくことができ、ここでnは固定された整数である。方法は、ミラー測定値のそれぞれについて、(i)点像強度分布関数の面積、(ii)半値全幅(FWHM)分解能、又は(i)及び(ii)の組み合わせを最小化する多項式フィッティング次数を求めるステップを更に含み得る。
【0133】
(i)方法は、k線形化(KL)、(ii)分散補正(DC)、及び(iii)スペクトル平坦化(SF)に関連する較正基準を保存するステップを更に含み得る。
【0134】
方法は、検体からOCT信号又は干渉信号を受信するステップを更に含み得る。方法は、KL較正基準を使用することによって、受信されたOCT信号又は干渉信号をk線形化する線形k補間の後に、新しいフリンジを生成するか、又はインターフェログラムをリサンプリングするステップを更に含み得る。方法は、DC較正基準を使用して、k線形化されたOCT信号又は干渉信号に対して分散補正を実施するステップを更に含み得る。方法は、k線形化及び分散補正されたOCT信号又は干渉信号の包絡線を除去するステップを更に含み得る。方法は、OCT信号又は干渉信号を、ディスプレイ上に表示するOCT画像に変換するステップを更に含み得る。
【0135】
OCT信号からOCT画像を生成する方法は、検体に対応するOCT信号を取得し、較正スペクトルをロードするステップと、OCT信号を波数線形化(KL)してKL OCT信号を生成するステップと、KL OCT信号を分散補正(DC)してKL DC OCT信号を生成するステップと、KLDC OCT信号をスペクトル平坦化(sf)して最終KLDCsf OCT信号を生成するステップと、最終OCT信号に対して後処理を実施してOCT画像を生成するステップとを含むことができ、KL OCT信号、KL DC OCT信号、及び最終KLDCsf OCT信号を生成するために使用される較正スペクトルは、較正段階で生成される較正基準に基づく。
【0136】
OCT信号は、例えば、インターフェログラムであり得る。
【0137】
較正基準は、少なくとも第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値を使用して、較正段階で生成することができ、第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値は、ゼロ遅延線の両側から収集され、各ミラー測定値は、インターフェログラム又は信号又はシステムインパルス応答である。幾つかの例によれば、追加のミラー測定値が使用され得る。
【0138】
被検者の画像のセットを表示するシステムは、被検者に対応する画像データ及び時変データを記憶するメモリと、メモリと通信する1つ以上のプロセッサとを備え、1つ以上のプロセッサは、1つ以上のプロセッサが、少なくとも第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値を取得し、第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値は、ゼロ遅延線の両側から収集され、各ミラー測定値は、インターフェログラム又は信号又はシステムインパルス応答であり、1つ以上のプロセッサが、第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値の振幅及び位相を算出し、第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値のうちの少なくとも一方を、(i)線形波数(k)空間と、(ii)線形波長と、(iii)線形時間とのうちの少なくともいずれかとなるようにリサンプリングして、リサンプリングされたミラー測定値を生成し、関数を使用して、リサンプリングされたミラー測定値の最適化されたフィッティングを計算するように動作可能である。
【0139】
システム又はコンピュータ可読媒体は、上記の特徴の任意の組み合わせを実施するように構成され得る。
【0140】
試料に対して光コヒーレンス断層撮影を実施するシステムは、光源、可変位置を有する参照ミラー、ディスプレイ、試料に対応する画像データを記憶するメモリと、メモリと通信する1つ以上のプロセッサとを備えることができ、1つ以上のプロセッサは、システムが起動されるたびにミラー測定値から少なくとも1つの較正パラメータを取得することと、試料から信号を取得することと、取得された信号に少なくとも1つの較正パラメータを適用することであって、較正パラメータは、波数線形化、分散補正、又はスペクトル平坦化パラメータのうちの少なくとも1つであることと、補正された取得された信号から画像を生成することとを行うように動作可能である。
【0141】
システムは、光学スイッチと、較正信号を生成させるように構成された較正ミラーとを更に備えることができる。
【0142】
コンピュータ可読媒体は、第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値を取得し、第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値は、ゼロ遅延線の両側から収集され、各ミラー測定値は、インターフェログラム又は信号又はシステムインパルス応答であり、第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値の振幅及び位相を算出し、第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値のうちの少なくとも一方を、(i)線形波数(k)空間と、(ii)線形波長と、(iii)線形時間とのうちの少なくともいずれかとなるようにリサンプリングして、リサンプリングされたミラー測定値を生成し、関数を使用して、リサンプリングされたミラー測定値の最適化されたフィッティングを計算することを含む方法を実施するように、1つ以上のプロセッサによって実行可能な命令を含むことができる。
【0143】
コンピュータ可読媒体は、システムが起動されるたびに少なくとも1つの較正パラメータを取得し、試料から信号を取得し、取得された信号に少なくとも1つの較正パラメータを適用し、較正パラメータは、波数線形化、分散補正、又はスペクトル平坦化パラメータのうちの少なくとも1つであり、補正された取得された信号から画像を生成することを含む方法を実施するように、1つ以上のプロセッサによって実行可能な命令を記憶することができる。
【0144】
光学信号を処理して光学的に取得された画像の分解能を向上させる方法は、光学システムを較正することを含むことができ、較正は、1つ以上のプロセッサが、第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値を取得するステップであって、第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値は、ゼロ遅延線の両側から収集され、各ミラー測定値は、インターフェログラム又は信号又はシステムインパルス応答であるステップと、1つ以上のプロセッサが、第1のミラー測定値及び第2のミラー測定値の振幅及び位相を取得するステップと、少なくとも1つのミラー測定値に対する分散補償を計算し、任意選択的に分散を補償するステップと、関数を使用して、ミラー測定値に対する最適化されたフィッティングを計算するステップとを含む。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】