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特表2024-508688岩石を特定する方法、システム、装置、端末および可読記憶媒体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】岩石を特定する方法、システム、装置、端末および可読記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/24 20060101AFI20240220BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240220BHJP
   G06T 7/11 20170101ALI20240220BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20240220BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20240220BHJP
   G01N 21/65 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
G01N33/24 Z
G06T7/00 300F
G06T7/00 350C
G06T7/11
G01N21/17 A
G01N21/64 E
G01N21/65
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548202
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 CN2021121840
(87)【国際公開番号】W WO2022166232
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】202110181773.4
(32)【優先日】2021-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110182027.7
(32)【優先日】2021-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】523299783
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司石油勘探開発研究院
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】余暁露
(72)【発明者】
【氏名】趙永強
(72)【発明者】
【氏名】倪春華
(72)【発明者】
【氏名】馬中良
(72)【発明者】
【氏名】周生友
(72)【発明者】
【氏名】楊偉利
(72)【発明者】
【氏名】張俊
(72)【発明者】
【氏名】陶成
(72)【発明者】
【氏名】李▲クァン▼
(72)【発明者】
【氏名】王強
(72)【発明者】
【氏名】鄭倫挙
【テーマコード(参考)】
2G043
2G059
5L096
【Fターム(参考)】
2G043AA01
2G043CA07
2G043DA06
2G043EA03
2G043EA13
2G043FA02
2G043KA01
2G043LA03
2G043NA01
2G043NA02
2G059AA01
2G059BB10
2G059DD13
2G059EE01
2G059EE03
2G059EE12
2G059HH01
2G059KK04
2G059MM01
2G059MM02
5L096AA06
5L096BA03
5L096CA02
5L096DA02
5L096FA02
5L096FA04
5L096FA64
5L096HA11
5L096KA04
(57)【要約】
本出願は、岩石を特定する方法、システム、装置、端末および可読記憶媒体を開示するものであり、岩石特定の技術分野に関する。前記方法は、画像取得デバイスによって送信された岩石薄片画像を受信する工程(301)と、前記岩石薄片画像に基づいて、岩石薄片に対応する幾何学特徴量、鉱物特徴量および構造特徴量を生成する工程(302)と、前記幾何学特徴量、前記鉱物特徴量および前記構造特徴量に基づいて、前記岩石薄片の特定結果を生成する工程(303)と、を含む。前記岩石薄片画像が得られた後、当該岩石薄片画像は、三次元、すなわち、前記幾何学特徴量、前記鉱物特徴量および前記構造特徴量に基づく特徴抽出に供され、多次元特徴量に基づいて岩石の性質が決定され、最終的に、テキスト記述を含む前記特定結果が生成される。前記岩石薄片に対応する微視的な視覚的画像が得られた後、多次元に基づく特徴抽出が前記画像に対して実行され、多次元特徴量を参照して前記岩石薄片が特定される。その結果、岩石特定の精度が向上する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
岩石特定方法であって、
岩石薄片を撮影することによって得られる岩石薄片画像を受信する工程;
前記岩石薄片画像に基づいて、前記岩石薄片に対応する幾何学特徴量、鉱物特徴量および構造特徴量を生成する工程;ならびに、
前記幾何学特徴量、前記鉱物特徴量および前記構造特徴量に基づいて、前記岩石薄片の特定結果を生成する工程
を含み、
前記岩石薄片は、岩石サンプルをカットすることによって得られる薄片であり、
前記岩石薄片画像は、少なくとも1つの成分領域を含み、
前記幾何学特徴量は、前記岩石薄片の前記成分領域の区分を示すために用いられ、
前記鉱物特徴量は、前記岩石薄片における前記成分領域に対応する鉱物タイプの分布とそれから得られる鉱物特定結果とを示すために用いられ、
前記構造特徴量は、前記岩石サンプルの岩石タイプを示すために用いられる、方法。
【請求項2】
前記構造特徴量は、事前選択岩石タイプの構造特徴量を含み、
前記岩石薄片画像に基づいて、前記岩石薄片に対応する前記幾何学特徴量、前記鉱物特徴量および前記構造特徴量を生成する前記工程は、
前記岩石薄片画像に基づいて、前記岩石サンプルに対応する事前選択岩石タイプを示すために用いられる事前選択岩石タイプの前記構造特徴量を生成する工程;
事前選択岩石タイプの前記構造特徴量に基づいて、前記岩石薄片に対応する前記事前選択岩石タイプを決定する工程;
前記事前選択岩石タイプに従って、前記岩石薄片画像に基づいて、前記幾何学特徴量を生成する工程;および、
前記事前選択岩石タイプに従って、前記岩石薄片画像に基づいて、前記鉱物特徴量を生成する工程
を含み、
前記事前選択岩石タイプは、堆積岩、火成岩および変成岩を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記構造特徴量は、細分岩石タイプの構造特徴量をさらに含み、
前記事前選択岩石タイプに従って、前記岩石薄片画像に基づいて、前記鉱物特徴量を生成する工程の後に、
前記幾何学特徴量および前記鉱物特徴量に基づいて、前記岩石サンプルに対応する細分岩石タイプを示すための、細分岩石タイプの前記構造特徴量を決定する工程
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記岩石薄片画像は、前記成分領域を特徴付ける少なくとも2つの成分画像を含み、
前記岩石薄片画像に基づいて、前記岩石薄片に対応する前記幾何学特徴量、前記鉱物特徴量および前記構造特徴量を生成する前記工程は、
複数の前記成分画像の位置に基づいて前記岩石薄片画像を区分して、前記成分領域に基づく前記岩石薄片画像の分割を示す少なくとも2つの分割領域を含む岩石薄片分割画像を得る工程;
複数の前記分割領域に基づいて、前記岩石薄片に対応する前記幾何学特徴量を決定する工程;および、
複数の前記分割領域に基づいて、前記岩石薄片に対応する前記鉱物特徴量を決定する工程
を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
複数の前記成分画像の前記位置に基づいて前記岩石薄片画像を区分して、前記岩石薄片分割画像を得る前記工程は、
前記岩石薄片画像を岩石薄片画像分割モデルに入力して、前記岩石薄片分割画像が出力される工程
を含み、
前記岩石薄片画像分割モデルは、機械学習に基づくMask-RCNNネットワークモデルである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
複数の前記分割領域に基づいて、前記岩石薄片に対応する前記鉱物特徴量を決定する前記工程は、
各分割領域に基づいて、1つの成分領域を含む各成分画像を決定する工程;
前記成分画像を成分タイプ識別モデルに入力して、前記成分領域の前記鉱物特徴量を特徴付ける前記成分画像の成分タイプ特徴量が出力される工程;および、
前記成分画像の前記成分タイプ特徴量に基づいて、前記岩石薄片に対応する前記鉱物特徴量を決定する工程
を含み、
前記成分タイプ識別モデルは、機械学習に基づくニューラルネットワークモデルである、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
複数の前記分割領域に基づいて、前記岩石薄片に対応する前記鉱物特徴量を決定する前記工程は、
前記岩石薄片分割画像を分類識別モデルに入力して、単結晶成分集合画像および非単結晶成分集合画像が出力される工程;
前記単結晶成分集合画像に基づいて、鉱物データ取得デバイスにスキャン命令を送信する工程;
前記スキャン命令に基づいて、前記鉱物データ取得デバイスからスキャンデータを受信する工程;
前記スキャンデータに基づいて単結晶成分識別結果を検証して、検証結果を得る工程;ならびに、
非単結晶成分識別結果、前記単結晶成分識別結果および前記検証結果に基づいて、前記岩石薄片に対応する前記鉱物特徴量を決定する工程
を含み、
前記単結晶成分集合画像は、少なくとも1つの単結晶成分領域とそれに対応する前記単結晶成分識別結果とを含み、
前記非単結晶成分領域は、少なくとも1つの非単結晶成分領域とそれに対応する前記非単結晶成分識別結果とを含み、
前記分類識別モデルは、ディープラーニングに基づくニューラルネットワークモデルである、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記単結晶成分集合画像に基づいて、前記鉱物データ取得デバイスにスキャン命令を送信する前記工程は、
前記単結晶成分集合画像を領域選択モデルに入力して、領域選択結果が出力される工程;
前記領域選択結果に基づいて、前記スキャン命令を生成する工程;および、
前記スキャン命令を前記鉱物データ取得デバイスに送信する工程
を含み、
前記領域選択結果は、表面スキャンデータのための前記単結晶成分集合画像の部分を示すために用いられる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記スキャンデータに基づいて前記単結晶成分識別結果を検証して、前記検証結果を得る前記工程は、
前記スキャンデータに基づいて、スキャン識別結果を決定する工程;
前記単結晶成分識別結果と前記スキャン識別結果とが同じであることに応答して、前記検証が合格であることを前記検証結果が示すことを決定し、前記単結晶成分識別結果が変更されないことを決定する工程;および、
前記単結晶成分識別結果と前記表面スキャン識別結果とが異なることに応答して、前記検証が不合格であることを前記検証結果が示すことを決定し、識別結果生成規則に基づいて、前記単結晶成分識別結果を決定する工程
を含み、
前記識別結果生成規則は、前記鉱物データ取得デバイスの種類に基づく規則を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記分割領域に基づいて、前記岩石薄片に対応する前記鉱物特徴量を決定する前記工程は、
各分割領域に基づいて、1つの成分領域を含む各成分画像を決定する工程;
前記成分画像に基づいて、前記鉱物データ取得デバイスにスペクトルデータ取得命令を送信する工程;
前記スペクトルデータ取得命令に基づいて前記鉱物データ取得デバイスによって送信された前記スペクトルデータを受信する工程;
前記スペクトルデータに基づいて、鉱物スペクトルデータデータベースにおいて前記成分領域に対応する事前選択鉱物タイプを決定する工程;
前記事前選択鉱物タイプに対応する鉱物タイプ検証規則を決定する工程;
前記鉱物タイプ検証規則および前記事前選択鉱物タイプに基づいて、前記成分領域に対応する鉱物タイプを決定する工程;ならびに、
前記岩石薄片分割画像の一部である前記成分画像に対応する前記鉱物タイプに基づいて、前記岩石薄片に対応する前記鉱物特徴量を決定する工程
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記鉱物スペクトルデータデータベースは、鉱物タイプサブデータベースを含み、
前記スペクトルデータに基づいて、前記鉱物スペクトルデータデータベースにおいて前記成分領域に対応する事前選択鉱物タイプを決定する前記工程は、
前記スペクトルデータに基づいて、前記鉱物スペクトルデータデータベースにおいて前記成分領域に対応する前記事前選択鉱物タイプの第1レベルカテゴリを決定する工程;および、
前記鉱物タイプの前記第1レベルカテゴリに対応する前記鉱物タイプサブデータベースに基づいて、前記成分領域に対応する前記事前選択鉱物タイプを決定する工程
を含み、
鉱物タイプの前記第1レベルカテゴリは、前記鉱物がどの程度一般的であるかに基づいて定められるカテゴリであって、一般鉱物カテゴリおよび非一般鉱物カテゴリを含み、
前記一般鉱物カテゴリに対応する前記事前選択鉱物タイプは、鉱物グループタイプおよび一般鉱物タイプを含み、
前記非一般鉱物カテゴリに対応する前記事前選択鉱物タイプは、包有物鉱物タイプ、高感度鉱物タイプおよび変質鉱物タイプを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記鉱物タイプ検証規則は、分類検証規則、直接検証規則および選択点再検証規則を含み、
前記事前選択鉱物タイプに対応する前記鉱物タイプ検証規則を決定する前記工程は、
前記事前選択鉱物タイプが鉱物グループタイプであることに応答して、前記鉱物タイプ検証規則が前記分類検証規則であることを決定する工程;
前記事前選択鉱物タイプが前記包有物鉱物タイプ、前記高感度鉱物タイプまたは前記変質鉱物タイプであることに応答して、前記鉱物タイプ検証規則が前記選択点再検証規則であることを決定する工程;および、
前記事前選択鉱物タイプが前記一般鉱物タイプであることに応答して、または、前記事前選択鉱物タイプに対応する前記第1レベルカテゴリが非一般鉱物タイプであり、かつ、前記事前選択鉱物タイプが前記包有物鉱物タイプ、前記高感度鉱物タイプおよび前記変質鉱物タイプのいずれでもないことに応答して、前記鉱物タイプ検証規則が前記直接検証規則であることを決定する工程
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記岩石薄片画像は、前記成分領域を特徴付ける少なくとも2つの成分画像を含み、
前記岩石薄片画像に基づいて、前記岩石薄片に対応する前記幾何学特徴量、前記鉱物特徴量および前記構造特徴量を生成する前記工程は、
前記岩石薄片画像を岩石薄片画像分割識別モデルに入力して、前記岩石薄片画像に対応する少なくとも2つの分割領域と、少なくとも2つの当該分割領域に対応する前記成分タイプ特徴量とが出力される工程;ならびに、
複数の前記分割領域と前記成分タイプ特徴量とを組み合わせて、前記岩石薄片に対応する前記幾何学特徴量および前記鉱物特徴量を決定する工程
を含み、
複数の前記分割領域は、複数の前記成分領域に基づく前記岩石薄片画像の前記分割を示し、
前記成分タイプ特徴量は、複数の前記分割領域における複数の前記成分領域の前記鉱物特徴量を特徴付けるために使用され、
前記岩石薄片画像識別モデルは、機械学習に基づくニューラルネットワークモデルである、請求項4に記載の方法。
【請求項14】
前記特定結果は、事前選択岩石タイプを含み、
前記事前選択岩石タイプの前記構造特徴量に基づいて、前記岩石薄片に対応する前記事前選択岩石タイプを決定する前記工程は、
前記岩石薄片画像を事前選択岩石タイプ選択モデルに入力して、事前選択岩石タイプ結果が出力される工程
を含み、
前記事前選択岩石タイプ結果は、前記岩石薄片に対応する前記事前選択岩石タイプの前記構造特徴量を示し、
前記事前選択岩石タイプ構造選択モデルは、複数の事前選択岩石タイプ画像のサンプルセットに基づいて構成されたモデルである、請求項3に記載の方法。
【請求項15】
前記特定結果は、細分岩石タイプをさらに含み、
前記幾何学特徴量および前記鉱物特徴量に基づいて、前記細分岩石タイプの前記構造特徴量を決定する前記工程は、
前記幾何学特徴量および前記鉱物特徴量を細分岩石タイプ選択モデルに入力して、細分岩石タイプ結果が出力される工程
を含み、
前記細分岩石タイプ結果は、前記岩石薄片に対応する前記細分岩石タイプの前記構造特徴量を示し、
前記細分岩石タイプ選択モデルは、幾何学-鉱物特徴量相互サンプルセットに基づいて構成されたモデルであり、
前記幾何学-鉱物特徴量相互サンプルセットは、前記幾何学特徴量と前記鉱物特徴量との組合せと、前記細分岩石タイプの前記構造特徴量との間の対応関係を示す、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記特定結果は、岩石薄片サブ特定結果および岩石薄片名称のうちの少なくとも一方をさらに含み、
前記幾何学特徴量、前記鉱物特徴量および前記構造特徴量に基づいて、前記岩石薄片の前記特定結果を生成する前記工程は、
前記事前選択岩石タイプ特徴量および前記細分岩石タイプの前記構造特徴量に基づいて、前記特定結果に対応する岩石薄片サブ特定結果の少なくとも1つのタイプを決定する工程;
前記幾何学特徴量および前記鉱物特徴量に基づいて、前記岩石薄片サブ特定結果を生成する工程;ならびに、
前記岩石薄片サブ特定結果に基づいて、前記岩石薄片名称を決定する工程
を含み、
前記岩石薄片サブ特定結果は、粒径区間識別結果、最大粒径識別結果、粒子分別性結果、粒子円磨度識別結果、鉱物自形度結果、および粒子接触モード識別結果のうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
岩石特定システムであって、
互いに接続された画像取得デバイスとコンピュータデバイスとを備え、
前記画像取得デバイスは、岩石薄片画像を生成し、当該岩石薄片画像を前記コンピュータデバイスに送信するように構成されており、
前記コンピュータデバイスは、前記画像取得デバイスによって送信された前記岩石薄片画像を受信し、前記岩石薄片画像に基づいて、岩石薄片に対応する幾何学特徴量、鉱物特徴量および構造特徴量を生成し、前記幾何学特徴量、前記鉱物特徴量および前記構造特徴量に基づいて、前記岩石薄片の特定結果を生成するように構成されており、
前記岩石薄片画像は、前記岩石薄片を撮影することによって得られる画像であって、少なくとも1つの成分領域を含み、
前記岩石薄片は、岩石サンプルをカットすることによって得られる薄片であり、
前記幾何学特徴量は、前記岩石薄片の前記成分領域の区分を示すために用いられ、
前記鉱物特徴量は、前記岩石薄片における前記成分領域に対応する鉱物タイプの分布を示すために用いられ、
前記構造特徴量は、前記岩石サンプルの岩石タイプを示すために用いられる、岩石特定システム。
【請求項18】
前記画像取得デバイスは、
第1光源;
第1基部および第1支持体;
前記第1支持体の中央に配置された第1ステージ;
前記第1支持体の頂部に配置された第1対物レンズ;
偏光子と検光子とを含む偏光素子;ならびに、
前記第1対物レンズの頂部に配置された電荷結合素子(CCD)カメラ
を備え、
前記第1基部は、前記第1支持体の底部に接続されており、
前記検光子は、前記第1対物レンズ内に配置されており、
第1取り付け対物レンズ変換器は、前記第1対物レンズの底部に配置され、当該第1対物レンズに接続されており、
前記偏光子と前記第1光源との両方は、前記第1基部上に配置されており、
前記画像取得デバイスが前記岩石薄片画像を生成するとき、前記岩石薄片は、前記第1ステージの頂部上に配置され、前記CCDカメラは、第1作業モードにある、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記岩石特定システムは、前記コンピュータデバイスとの通信状態にある鉱物データ取得デバイスをさらに備え、
前記鉱物データ取得デバイスは、
第2光路を有する第2光源;
第2基部および第2支持体;
前記第2支持体の中央に配置された第2ステージ;
前記第2支持体の頂部上に配置された第2対物レンズ;
前記第2対物レンズの頂部上に配置され、前記コンピュータデバイスとの通信状態にある、光電信号変換器;ならびに、
測定デバイス
を備え、
前記第2光路の終点は、前記第2ステージに投射され、
第2取り付け対物レンズ変換器は、前記第2対物レンズの底部に配置され、当該第2対物レンズに接続されており、
前記鉱物データ取得デバイスが鉱物データを生成するとき、前記岩石薄片は、前記第2ステージの頂部上に配置され、前記光電信号変換器は、第2作業モードにある、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記鉱物データ取得デバイスおよび前記画像取得デバイスは、前記第1ステージ、前記第1対物レンズ、前記第1基部および前記第1支持体を共用する、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
岩石特定デバイスであって、
画像取得デバイスによって送信された岩石薄片画像を受信するための受信モジュール;ならびに、
前記岩石薄片画像に基づいて、岩石薄片に対応する幾何学特徴量、鉱物特徴量および構造特徴量を生成するための生成モジュール
を備え、
前記岩石薄片は、岩石サンプルをカットすることによって得られる薄片であり、
前記岩石薄片画像は、前記岩石薄片を撮影することによって得られる画像であって、少なくとも1つの成分領域を含み、
前記幾何学特徴量は、前記岩石薄片の前記成分領域の区分を示すために用いられ、
前記鉱物特徴量は、前記岩石薄片における前記成分領域に対応する鉱物タイプの分布を示すために用いられ、
前記構造特徴量は、前記岩石サンプルの岩石タイプを示すために用いられ、
前記生成モジュールは、前記幾何学特徴量、前記鉱物特徴量および前記構造特徴量に基づいて、前記岩石薄片の特定結果を生成するようにさらに構成されている、岩石特定デバイス。
【請求項22】
コンピュータデバイスであって、
プロセッサおよびメモリを備え、
前記メモリは、少なくとも1つの命令、プログラムの少なくとも1つのセグメント、少なくとも1つのコードセットまたは少なくとも1つの命令セットを記憶しており、
前記少なくとも1つの命令、プログラムの少なくとも1つのセグメント、少なくとも1つのコードセットまたは少なくとも1つの命令セットは、前記プロセッサによってロードおよび実行されて、請求項1~16のいずれか一項に記載の岩石特定方法を実施する、コンピュータデバイス。
【請求項23】
コンピュータ可読記憶媒体であって、
少なくとも1つの命令、プログラムの少なくとも1つのセグメント、少なくとも1つのコードセットまたは少なくとも1つの命令セットを記憶しており、
前記少なくとも1つの命令、プログラムの少なくとも1つのセグメント、少なくとも1つのコードセットまたは少なくとも1つの命令セットは、プロセッサによってロードおよび実行されて、請求項1~16のいずれか一項に記載の岩石特定方法を実施する、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2021年2月8日に出願された中国特許出願CN202110181773.4(発明の名称「インテリジェントな岩石薄片特定デバイスおよび方法」)、および2021年2月10日に出願された中国特許出願CN202110182027.7(発明の名称「炭酸塩岩薄片画像中の有機物を識別する方法」)の優先権を主張するものである。その内容全体が、参照によって本明細書に援用される。
【0002】
本出願は、岩石特定技術の分野に関し、具体的には、岩石を特定する方法、デバイス、端末および可読記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
光学的原理に従って岩石を30ミクロン厚の薄片にカットおよび研磨し、偏光顕微鏡で観察および研究することは、地質学的な調査および生産における、最も基本的で便利かつ経済的な方法のうちの一つである。これはまた、地質学者が習得すべき基本的な知識および技能でもある。
【0004】
今日なお用いられている、従来の岩石薄片特定方法においては、研究者は、岩石薄片に対して、顕微鏡観察を通じた人手による識別を行うのが一般的である。その一方で、研究者は、より詳細な観察のために、適切なデバイスおよびコンピュータを用いて顕微鏡画像を捕捉(キャプチャ)することもある。
【0005】
しかしながら、岩石薄片を直接的に観察する手法も、岩石薄片画像をコンピュータに入力して観察する手法も、主観的な要因に大きく影響されるため、エラーが避けられず、岩石特定精度が低くなってしまう。
【発明の概要】
【0006】
本出願は、岩石を特定する方法、システム、デバイス、端末および可読記憶媒体に関する。これにより、岩石特定の精度を向上させることができる。以下に技術的解決手段を示す。
【0007】
一態様において、岩石特定方法が提供される。当該岩石特定方法は、岩石特定システムのコンピュータデバイスに応用(適用)される。このシステムは、画像捕捉デバイスと、コンピュータデバイスと、を含む。前記画像捕捉デバイスは、前記コンピュータデバイスに接続されている。当該方法は、
前記画像捕捉デバイスによって送信された岩石薄片画像を受信する工程、ここで、前記岩石薄片画像は、岩石薄片を撮影することによって得られる画像であり、前記岩石薄片は、岩石サンプルをカットすることによって得られる薄片であり、前記岩石薄片画像は、少なくとも1つの成分領域を含む;
前記岩石薄片画像に基づいて、前記岩石薄片に対応する幾何学特徴量(幾何学特徴)、鉱物特徴量(鉱物特徴)および構造特徴量(構造特徴)を生成する工程、ここで、前記幾何学特徴量は、前記岩石薄片の前記成分領域の区分(division)を示すために用いられ、前記鉱物特徴量は、前記岩石薄片における前記成分領域に対応する鉱物タイプ(鉱種:mineral type)の分布とそれから得られる鉱物特定結果とを示すために用いられ、前記構造特徴量は、前記岩石サンプルの岩石タイプ(岩種:rock type)を示すために用いられる;ならびに、
前記幾何学特徴量、前記鉱物特徴量および前記構造特徴量に基づいて、前記岩石薄片の特定結果を生成する工程
を含む。
【0008】
任意選択的な一実施形態では、当該方法は、
サンプル分割結果が付された(印された)サンプル薄片画像を得る工程;
前記サンプル薄片画像を岩石薄片画像分割モデルに入力して、予測分割結果が出力される工程;
前記予測分割結果を前記サンプル分割結果と比較して、分割差異を得る工程;および、
前記分割差異に基づいて、前記岩石薄片画像分割モデルを調整する工程
をさらに含む。
【0009】
任意選択的な一実施形態では、前記予測分割結果を前記サンプル分割結果と差異に関して比較する工程の後に、当該方法は、
前記分割差異が前記予測分割結果と前記サンプル分割結果との間の差異閾値を示すことに応答して、前記岩石薄片画像分割モデルの訓練が完了したことを決定する工程;または、
分割訓練サイクルにおける前記岩石薄片画像分割モデルへのサンプル薄片画像の入力の数が分割数閾値に達したことに応答して、前記岩石薄片画像分割モデルの訓練が完了したことを決定する工程
をさらに含む。
【0010】
任意選択的な一実施形態では、当該方法は、
サンプル成分タイプ特徴量が付されたサンプル成分画像を得る工程;
前記サンプル成分画像を成分タイプ識別モデルに入力して、予測成分タイプ特徴量が出力される工程;
前記予測成分タイプ特徴量を前記サンプル成分タイプ特徴量と比較して、識別差異を得る工程;および、
前記識別差異に基づいて、前記成分タイプ識別モデルを調整する工程
をさらに含む。
【0011】
任意選択的な一実施形態では、非単結晶成分集合画像は、非晶質成分集合画像と、多結晶成分集合画像と、を含む。非単結晶成分領域は、非晶質成分領域と、多結晶成分領域と、を含む。前記非晶質成分領域は、非晶質成分識別結果に対応し、前記多結晶成分領域は、多結晶成分識別結果に対応する。
【0012】
任意選択的な一実施形態では、前記岩石薄片は、砕屑岩薄片である;
単結晶成分領域は、石英-長石デトリタス領域および珪質-石灰質セメント領域を含み、非単結晶成分領域は、非陸源デトリタス領域、岩屑デトリタス領域、マトリクスフィラー領域および泥質セメント領域を含む;
分類識別モデルは、分類サブモデルグループおよび識別サブモデルグループを含む;
前記分類サブモデルグループは、粒子分類サブモデル、デトリタス分類サブモデル、陸源デトリタス分類サブモデル、フィラー分類サブモデルおよびセメント分類サブモデルを含む;ならびに、
前記識別サブモデルグループは、非陸源デトリタス識別サブモデル、岩屑デトリタス識別サブモデル、石英-長石デトリタス識別サブモデル、珪質-石灰質セメント識別サブモデル、泥質セメント識別サブモデル、およびマトリクスフィラー識別サブモデルを含む。
【0013】
岩石薄片分割(segmentation)画像が前記分類識別モデルに入力され、前記単結晶成分集合画像と前記非単結晶成分集合画像とが出力される;
前記砕屑岩薄片が前記粒子分類サブモデルに入力され、デトリタスサブ画像とフィラーサブ画像とが出力される;
前記デトリタスサブ画像が前記デトリタス分類サブモデルに入力され、非陸源デトリタスサブ画像と陸源デトリタスサブ画像とが出力される;
前記陸源デトリタスサブ画像が陸源デトリタス分類サブモデルに入力され、岩屑デトリタスサブ画像と石英-長石デトリタスサブ画像とが出力される;
前記フィラーサブ画像が前記フィラー分類サブモデルに入力され、マトリクスフィラーサブ画像とセメントサブ画像とが出力される;
前記セメントサブ画像が前記セメント分類サブモデルに入力され、珪質-石灰質セメントサブ画像と泥質セメントサブ画像とが出力される;
前記非陸源デトリタスサブ画像が前記非陸源デトリタス識別サブモデルに入力され、非陸源デトリタス識別結果が出力される。前記非陸源デトリタス領域は、前記非陸源デトリタス識別結果に基づいて決定される;
岩屑サブ画像が前記岩屑デトリタス識別サブモデルに入力され、岩屑デトリタス識別結果が出力される。岩屑領域は、前記岩屑デトリタス識別結果に基づいて決定される;
石英-長石サブ画像が前記石英-長石デトリタス識別サブモデルに入力され、石英-長石デトリタス識別結果が出力される。前記石英-長石デトリタス領域は、前記石英-長石デトリタス識別結果に基づいて決定される;
前記マトリクスフィラーサブ画像が前記マトリクスフィラー識別サブモデルに入力され、マトリクスフィラー識別結果が出力される。前記マトリクスフィラー領域は、前記マトリクスフィラー識別結果に基づいて決定される;
前記珪質-石灰質セメントサブ画像が前記珪質-石灰質セメント識別サブモデルに入力され、珪質-石灰質セメント識別結果が出力される。前記珪質-石灰質セメント領域は、前記珪質-石灰質セメント識別結果に基づいて決定される;
前記泥質セメントサブ画像が前記泥質セメント識別サブモデルに入力され、泥質セメント識別結果が出力される。前記泥質セメント領域は、前記泥質セメント識別結果に基づいて決定される;
前記単結晶成分領域は、前記石英-長石デトリタス領域および前記珪質-石灰質セメント領域に基づいて決定される;そして、
前記非単結晶成分領域は、前記非陸源デトリタス領域、前記岩屑デトリタス領域、前記泥質セメント領域、および前記マトリクスフィラー領域に基づいて決定される。
【0014】
任意選択的な一実施形態では、当該方法は、
複数のサンプル分割領域とサンプル成分タイプ特徴量とが付されたサンプル薄片画像を得る工程;
前記サンプル薄片画像を岩石薄片画像識別モデルに入力して、複数の予測分割領域と予測成分タイプ特徴量とが出力される工程;
複数の前記予測分割領域を複数の前記サンプル分割領域と比較して、サンプル分割差異を得、前記予測成分タイプ特徴量を前記サンプル成分タイプ特徴量と比較して、サンプル成分差異を得る工程;および、
前記サンプル分割差異と前記サンプル成分差異とに基づいて、前記岩石薄片画像識別モデルを調整する工程
を含む。
【0015】
任意選択的な一実施形態では、前記岩石薄片特定結果は、最大粒径識別結果を含む;
前記幾何学特徴量および前記鉱物特徴量に基づいて、岩石薄片構造特定結果が生成される。これには、以下が含まれる:
前記鉱物特徴量に基づいて、前記最大粒径識別結果に対応する最大粒子成分領域を決定する工程;および、
前記幾何学特徴量に基づいて、前記成分領域に対応する最大粒径を決定し、前記最大粒径に基づいて、前記最大粒径識別結果を生成する工程。
【0016】
任意選択的な一実施形態では、前記岩石薄片特定結果は、粒子分別性(分別度)結果を含む;
前記幾何学特徴量および前記鉱物特徴量に基づいて、前記岩石薄片構造特定結果が生成される。これには、以下の工程が含まれる:
前記鉱物特徴量に基づいて、前記粒子分別性識別結果に対応する複数の分別性成分領域のセットを決定する工程、ここで、複数の分別性成分領域の前記セットは、少なくとも2つの成分領域を含む;
複数の分別性成分領域の前記セットにおける複数の前記成分領域に対応する前記幾何学特徴量に基づいて、粒径レベル対応関係を決定する工程、ここで、前記粒径レベル対応関係は、粒径の少なくとも2つのレベル、および前記粒径レベル内の成分領域の数を含む;ならびに、
前記粒径レベル対応関係に基づいて、前記粒子分別性結果が決定される。
【0017】
任意選択的な一実施形態では、前記岩石薄片特定結果は、粒子円磨度(円形度)識別結果を含む;
前記幾何学特徴量および前記鉱物特徴量に基づいて、前記岩石薄片構造特定結果が生成される。これには、以下の工程が含まれる:
前記鉱物特徴量に基づいて、前記粒子円磨度識別結果に対応する複数の円磨度識別成分領域のセットを決定する工程、ここで、複数の円磨度識別成分領域の前記セットは、少なくとも2つの成分領域を含む;
複数の円磨度成分識別領域の前記セットにおける複数の前記成分領域に対応する前記幾何学特徴量に基づいて、円磨度レベル対応関係を決定する工程、ここで、前記円磨度レベル対応関係は、少なくとも2つの円磨度レベル、および複数の前記円磨度レベルにおける成分領域の数を含む;および、
前記円磨度レベル対応関係に基づいて、前記粒子円磨度識別結果が決定される。
【0018】
任意選択的な一実施形態では、前記岩石薄片特定結果は、粒子自形度結果を含む;
前記幾何学特徴量および前記鉱物特徴量に基づいて、前記岩石薄片構造特定結果が生成される。これには、以下の工程が含まれる:
前記鉱物特徴量に基づいて、前記粒子自形度結果に対応する複数の自形度成分領域のセットを決定する工程、ここで、複数の自形度成分領域の前記セットは、少なくとも2つの自形度成分領域を含む;
複数の自形度成分領域の前記セットにおける複数の前記成分領域に対応する前記幾何学特徴量に基づいて、複数の前記成分領域の形状を決定する工程;および、
複数の前記成分領域の形状に基づいて、前記粒子自形度結果を決定する工程。
【0019】
任意選択的な一実施形態では、前記岩石薄片特定結果は、粒子接触モード識別結果を含む;
前記幾何学特徴量および前記鉱物特徴量に基づいて、前記岩石薄片構造特定結果が生成される。これには、以下の工程が含まれる:
前記鉱物特徴量に基づいて、少なくとも2セットの成分領域対を決定する工程、ここで、前記成分領域対は、隣り合う2つの成分領域を含む;
前記幾何学特徴量に基づいて、複数の前記成分領域対における2つの成分領域のインターセクションオーバーユニオン(intersection over union)を決定する工程;および、
少なくとも2つの前記成分領域のインターセクションオーバーユニオンに基づいて、前記粒子接触モード識別結果を決定する工程。
【0020】
任意選択的な一実施形態では、前記岩石薄片特定結果に基づいて、岩石薄片名称が決定される。これには、以下の工程が含まれる:
前記細分岩石タイプ特徴量に基づいて、前記岩石薄片名称に対応する命名規則を決定する工程;および、
前記命名規則と前記岩石薄片構造特定結果とに基づいて、前記岩石薄片名称を生成する工程。
【0021】
岩石特定システムがさらに提供される。当該岩石特定システムは、互いに接続された画像取得デバイスとコンピュータデバイスとを備える。
前記画像取得デバイスは、岩石薄片画像を生成し、当該岩石薄片画像を前記コンピュータデバイスに送信するように構成されており、
前記コンピュータデバイスは、前記画像取得デバイスによって送信された前記岩石薄片画像を受信するように構成されており、岩石薄片は、岩石サンプルをカットすることによって得られる薄片であり、前記岩石薄片画像は、前記岩石薄片を撮影することによって得られる画像であって、少なくとも1つの成分領域を含み、前記岩石薄片画像に基づいて、前記岩石薄片に対応する幾何学特徴量、鉱物特徴量および構造特徴量が生成され、前記幾何学特徴量は、前記岩石薄片の前記成分領域の区分を示すために用いられ、前記鉱物特徴量は、前記岩石薄片における前記成分領域に対応する鉱物タイプの分布と得られる鉱物特定結果とを示すために用いられ、前記構造特徴量は、前記岩石サンプルの岩石タイプを示すために用いられ、前記幾何学特徴量、前記鉱物特徴量および前記構造特徴量に基づいて、前記岩石薄片特定結果が生成される。
【0022】
岩石特定デバイスがさらに提供される。当該岩石特定デバイスは、
画像取得デバイスによって送信された岩石薄片画像を受信するための受信モジュール、ここで、岩石薄片は、岩石サンプルをカットすることによって得られる薄片であり、前記岩石薄片画像は、前記岩石薄片を撮影することによって得られる画像であって、少なくとも1つの成分領域を含む;ならびに、
前記岩石薄片画像に基づいて、前記岩石薄片に対応する幾何学特徴量、鉱物特徴量および構造特徴量を生成するための生成モジュール、ここで、前記幾何学特徴量は、前記岩石薄片の複数の成分領域の区分を示すために用いられ、前記鉱物特徴量は、前記岩石薄片における複数の前記成分領域に対応する複数の鉱物タイプの分布を示すために用いられ、前記構造特徴量は、前記岩石サンプルの複数の岩石タイプを示すために用いられる
を備え、
前記生成モジュールは、前記幾何学特徴量、前記鉱物特徴量および前記構造特徴量に基づいて、前記岩石薄片の特定結果を生成するようにさらに構成されている。
【0023】
コンピュータデバイスがさらに提供される。当該コンピュータデバイスは、プロセッサおよびメモリを備え、前記メモリは、少なくとも1つの命令、プログラムの少なくとも1つのセグメント、少なくとも1つのコードセットまたは少なくとも1つの命令セットを記憶しており、前記少なくとも1つの命令、プログラムの少なくとも1つのセグメント、少なくとも1つのコードセットまたは少なくとも1つの命令セットは、前記プロセッサによってロードおよび実行されて、本出願の実施形態において提供される前記岩石特定方法を実施する。
【0024】
コンピュータ可読記憶媒体がさらに提供される。当該コンピュータ可読記憶媒体は、少なくとも1つの命令、プログラムの少なくとも1つのセグメント、少なくとも1つのコードセットまたは少なくとも1つの命令セットを記憶しており、前記少なくとも1つの命令、プログラムの少なくとも1つのセグメント、少なくとも1つのコードセットまたは少なくとも1つの命令セットは、プロセッサによってロードおよび実行されて、本出願の実施形態において提供される前記岩石特定方法を実施する。
【0025】
前記コンピュータ可読記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラム命令を含むコンピュータプログラムまたはコンピュータプログラムプロダクトがさらに提供される。前記プロセッサは、前記コンピュータ可読記憶媒体から前記コンピュータ命令を読み取り、当該コンピュータ命令を実行することができ、その結果、前記コンピュータデバイスは、本出願の実施形態において提供される前記岩石特定方法を実行することができる。
【0026】
本出願によって提供される技術的解決手段の有益な効果は、少なくとも以下の通りである。
【0027】
岩石薄片画像が得られた後、前記岩石薄片画像に対する特徴抽出が、三次元の特徴量、すなわち、前記幾何学特徴量、前記鉱物特徴量および前記構造特徴量に基づいて実行される。多次元の特徴量を組み合わせて、微視的組成および巨視的性能の観点から岩石の性質が決定され、最終的に、テキスト記述を含む特定結果が生成される。岩石特定の手順では、前記岩石薄片の対応する微視的な可視化画像が得られた後、その画像に対して多次元特徴量の抽出が行われる。そして、前記多次元特徴量を参照して前記岩石薄片が特定され、これにより、岩石特定の精度が向上する。
【0028】
本発明の実施形態における技術的解決手段をより明確に説明するために、実施形態を導入するのに必要な図面を、以下に簡単に説明する。なお、以下に導入する図面は、本発明の一部の実施形態のみに関し、当業者であれば、これらの図面に基づいて、創造的な労力を要することなく、他の図面を想到し得ることは明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本出願の例示的な一実施形態によって提供される岩石特定システムを概略的に示す。
図2】本出願の例示的な一実施形態によって提供される画像取得デバイスの構造を概略的に示す。
図3】本出願の例示的な一実施形態によって提供される岩石特定方法を示すフローチャートである。
図4】本出願の例示的な一実施形態によって提供される岩石薄片画像の構造を概略的に示す。
図5】本出願の例示的な一実施形態によって提供される、幾何学特徴量、鉱物特徴量および構造特徴量を決定するための方法のフローチャートである。
図6】本出願の例示的な一実施形態によって提供される岩石薄片画像を分割するための方法を示すフローチャートである。
図7】本出願の例示的な一実施形態によって提供される画像分割モデルの構造を示すブロック図である。
図8】本出願の例示的な一実施形態によって提供される分割された後の岩石薄片分割画像を概略的に示す。
図9】本出願の例示的な一実施形態によって提供される鉱物特徴量を識別する方法を示すフローチャートである。
図10】本出願の例示的な一実施形態によって提供される岩石薄片分割画像における分割領域を抽出する方法を概略的に示す。
図11】本出願の例示的な一実施形態によって提供される別の岩石特定システムを概略的に示す。
図12】本出願の例示的な一実施形態によって提供される鉱物データ取得デバイスを概略的に示す。
図13】本出願の例示的な一実施形態によって提供される岩石薄片に対応する鉱物特徴量を決定するための特定方法を概略的に示すフローチャートである。
図14】本出願の例示的な一実施形態によって提供される砕屑岩に対応する岩石薄片を概略的に示す。
図15】本出願の例示的な一実施形態によって提供される砕屑岩に対応する岩石識別モデルの構造を概略的に示す。
図16】本出願の例示的な一実施形態によって提供される成分領域に対応する鉱物特徴量を決定する方法を示すフローチャートである。
図17】本出願の例示的な一実施形態によって提供される鉱物スペクトルデータベースの構造を概略的に示す。
図18】本出願の例示的な一実施形態によって提供される幾何学特徴量および鉱物特徴量を決定するための手順を概略的に示す。
図19】本出願の例示的な一実施形態によって提供される岩石薄片の特定結果を生成するための方法を概略的に示す。
図20】本出願の例示的な一実施形態によって提供される岩石特定方法の手順を概略的に示す。
図21】本出願の例示的な一実施形態によって提供される岩石薄片特定報告を概略的に示す。
図22】本出願の例示的な一実施形態によって提供される岩石特定方法の手順を概略的に示す。
図23】本出願の例示的な一実施形態によって提供される火成岩薄片を概略的に示す。
図24】本出願の例示的な一実施形態によって提供される貫入岩の分類相図である。
図25】本出願の例示的な一実施形態によって提供される岩石特定デバイスの構成を示すブロック図である。
図26】本出願の例示的な一実施形態によって提供される別の岩石特定デバイスの構成を示すブロック図である。
図27】本出願の例示的な一実施形態によって提供される岩石特定方法を実行するためのコンピュータデバイスの構成を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本出願の目的、技術的解決手段および利点をより明確に説明するために、添付の図面を参照しつつ、本出願の実施形態をさらに詳細に説明する。
【0031】
まず、本出願の実施形態に関わる用語を説明する。
【0032】
「成分(構成要素:component)」とは、混合物の成分(構成要素)を指す。本出願において、成分とは、固体材料の成分を指す。当該固体材料は、互いに分離した少なくとも2つの成分を含む混合物であるため、固体多成分混合材料とも称される。混合物が金属ワイヤとして具現化される一実施形態では、当該ワイヤの成分には、鉛、カドミウム、ビスマスおよびスズのうちの少なくとも1つが含まれる。混合物が岩石として具現化される別の一実施形態では、当該岩石の成分には、陸源デトリタス(terrigenous detritus)、非陸源デトリタス(non-terrigenous detritus)、セメント、およびマトリクス成分のうちの少なくとも1つが含まれるが、これらに限定されるものではない。本出願において、成分は、岩石薄片に含まれる成分を示し、その画像には、異なる成分に対応する異なる成分領域が含まれる。
【0033】
「画像処理技術」とは、画像情報をコンピュータで処理する技術である。画像処理技術には主に、画像デジタル化、画像強調および画像復元、画像データ符号化、画像分割ならびに画像認識が含まれる。このうち、画像分割は、画像を、特有の性質を有する複数の特定領域へ分割し、関心対象を提示する技法および手順である。画像分割(image segmentation)の方法には、閾値に基づく分割方法(threshold-based segmentation method)、領域に基づく分割方法(region-based segmentation method)、エッジに基づく分割方法(edge-based segmentation method)、および特定の理論に基づく分割方法のうちの少なくとも1つが含まれる。画像認識とは、コンピュータを用いて画像を処理、分析および理解し、様々な対象および異なるパターンの物体を認識する技法であり、ディープラーニングアルゴリズムの実際的応用である。現段階では、画像認識技術には一般に、顔認識および商品認識が含まれる。顔認識は主に、セキュリティ検査、本人確認、モバイル決済に応用される。商品認識は主に、商品流通の手続きに応用され、特に、無人棚およびインテリジェント小売棚等の無人小売分野に応用される。本出願の実施形態では、画像認識技術と画像分割技術とがともに、岩石特定の分野に応用される。
【0034】
「人工知能(AI)」とは、人間の知能をシミュレート、拡張および拡大し、環境を知覚し、知識を獲得および利用して最適な結果を得るために、デジタルコンピュータまたはデジタルコンピュータによって制御される機械を使用する、理論、方法、技術、応用システムのことである。人工知能は、知能の本質を理解し、人間の知能と同じように応答できる知的機械を生み出そうとするものである。人工知能では、知覚、推論、意思決定ができる機械を作ることが目的とされている。
【0035】
「人工知能技術」は、幅広い分野を含む包括的な学問分野である。基本的な人工知能技術には、センサ技術、人工知能チップ技術、クラウドコンピューティング技術、ビッグデータ処理技術およびメカトロニクス技術が含まれるが、これらに限定されるものではない。本出願の実施形態に応用される人工知能技術は、機械学習技術であり、機械学習デバイスには、コンピュータデバイスが応用される。
【0036】
「機械学習(Machine Learning、ML)」は、確率論、統計学、アルゴリズム複雑性理論等を含む学際的な主題である。機械学習の学問分野は、コンピュータが新しい知識を獲得して既存の知識構造を再編成することで、コンピュータ自身の性能を向上させることを可能とするために、コンピュータがいかにして人間の学習行動をシミュレートまたは実装することができるかを研究するものである。機械学習は通常、ディープラーニングと組み合わせられる。ディープラーニングには、例えば、人工ニューラルネットワーク、信頼ネットワーク(confidence networks)、強化学習、転移学習、帰納的学習、指示による学習等の技術が含まれる。
【0037】
「スペクトル」とは、多色光が分散系を通過した後に分散した単色光が、波長の大きさに従って配列されたパターンのことである。スペクトルの正式名称は、光学スペクトルである。本出願の一実施形態では、スペクトルは、成分領域における測定点において測定を実行するスペクトルデータ取得デバイスによって取得される。例えば、鉱物成分に電磁波が照射されると、エネルギー準位間の量子跳躍が鉱物内部の分子に起こる。その結果、放出、吸収または散乱、および放射の現象が生じ、これによりスペクトルが生成される。スペクトルは、スペクトルデータの視覚的表現として実現される。言い換えれば、スペクトルが生成されている間、スペクトルデータ取得デバイスは、対応するスペクトルデータを生成し、かかるスペクトルデータを他のコンピュータデバイスに送信する。
【0038】
「データベース」とは、データ構造に従ってデータを編成、格納および管理する仮想レポジトリを指す。これは、コンピュータに長期間記憶される、大規模、組織的、共有可能かつ一元管理のデータの集合である。本出願の一実施形態では、コンピュータデバイスは、分子スペクトルに対応するスペクトルデータデータベースにアクセスして、スペクトルデータを確認および分析することができる。
【0039】
「表面スキャン」または「表面スキャン分析」は、試験器械を通じて材料成分を精密に特定するための主流の方法である。典型的には、表面が研磨されたサンプルへと、材料成分がスライスまたは作製され、その中の成分が、表面スキャンによって精密に特定される。表面スキャンに使用される試験器械には、例えば、赤外スペクトルおよびラマンスペクトル等の分子スペクトル、蛍光X線分析(X-ray Fluorescence、XRF)、エネルギー分散型X線分光法(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy、EDS)等が含まれるが、これらに限定されるものではない。本出願の一部の実施形態では、表面スキャン手順を顕微鏡または走査型電子顕微鏡と結びつけて、顕微鏡観察を微細分析と組み合わせることができる。
【0040】
本出願では、従来技術における人手による岩石特定方法の、煩雑かつ専門性の要求される特定手順、および精度の低さに鑑み、人工知能に基づく画像認識技術の助けを借りて、多次元特徴量を岩石特定手順において生成することにより、岩石特定の精度を向上させる、岩石特定システムおよび岩石特定方法が提供される。
【0041】
図1は、本出願の例示的な一実施形態によって提供される岩石特定システムを概略的に示す。このシステムは、互いに接続された画像取得デバイス101とコンピュータデバイス102とを含む。
【0042】
本出願の実施形態において、コンピュータデバイスは、岩石特定方法を実行するための端末デバイスである。コンピュータデバイスは、データを送信、受信および処理する機能を有する。
【0043】
画像取得デバイスは、コンピュータデバイスが岩石特定方法を実行するときに、コンピュータデバイスに画像を提供するデバイスである。本出願の一実施形態では、画像取得デバイスは、画像を送信する機能だけでなく、画像を撮像する機能も有する。一実施形態において、図2は、本出願の例示的な一実施形態によって提供される画像取得デバイス200の構造を概略的に示す。画像取得デバイス200は、第1光源201と、第1ステージ202と、第1対物レンズ203と、偏光素子204と、電荷結合素子(CCD)カメラ205と、第1基部206と、第1支持体207と、を含む。図2を参照すると、第1ステージ202は、第1支持体207の中央に配置され、第1対物レンズ203は、第1支持体の頂部上に配置されている。第1対物レンズ203内には、検光子が設けられており、第1対物レンズ203の底部には、第1取り付け対物レンズ変換器が接続されている。CCDカメラ205は、第1対物レンズ203の頂部上に配置されている。偏光素子204は、偏光子と検光子とを含み、偏光子と第1光源201とは、第1支持体207の底部に接続された第1基部206上に配置されている。画像取得デバイス200が岩石薄片の画像を生成するとき、第1光源201が作動して光を発し、この光が偏光子および検光子を通過し、最終的に岩石薄片上に投射される。岩石薄片は、第1ステージ202の頂部上に配置される。すなわち、岩石薄片は、第1ステージ202上に配置される。CCDカメラは、第1作業モードにある。第1作業モードにおいて、CCDカメラは、対物レンズの位置に照準を合わせて、対応する岩石薄片の顕微鏡画像を岩石薄片画像として捕捉する。
【0044】
本出願の実施形態では、画像取得デバイスは、コンピュータデバイスとの通信状態にある。この通信に基づいて、画像取得デバイスは、保存のためにコンピュータデバイスに画像を送信することができる。コンピュータデバイスが画像取得デバイスから画像を受信した後、当該画像は、本出願に関連する特徴量であって、岩石特定手順に適した特徴量が得られるように処理され、これに基づいて岩石特定が実行される。
【0045】
上記の岩石特定システムに対応して、図3は、本出願の例示的な一実施形態によって提供される岩石特定方法を示すフローチャートである。この方法は、岩石特定システムのコンピュータデバイスに応用される場合、以下のようになる。この方法は、以下の工程を含む。
【0046】
工程301では、岩石薄片画像が受信される。
【0047】
一実施形態では、画像取得デバイスから岩石薄片画像を受信する前に、コンピュータデバイスは、画像取得デバイスに画像取得命令を送信する。画像取得命令を受信すると、画像取得デバイスは、当該命令に応答して画像を取得し、取得した画像をコンピュータデバイスに送信する。コンピュータデバイスは、画像取得デバイスによって送信された画像を選択して処理して、最終的に岩石薄片画像が得られる。岩石薄片は、岩石サンプルをカットして得られる薄片であり、岩石薄片の成分は、岩石サンプルの成分を表し特徴付け得る。これに対応して、岩石薄片画像には、少なくとも1つの成分領域が含まれる。当該少なくとも1つの成分領域には各々、1つの成分が含まれる。本出願の一実施形態では、成分は、岩石に対応する成分を示す。図4を参照すると、岩石薄片の顕微鏡図としての岩石薄片画像400には、成分領域401が含まれる。図4では、18個の成分領域がある。これらは、同じ成分、互いに異なる成分、または少なくとも2つの異なる成分を表し得る。複数の成分領域における成分は、同じであってもよい。本出願の実施形態において、成分領域に含まれる内容は特に限定されていない。本出願の実施形態において、成分領域に含まれる成分は、鉱物成分または構造成分として具現化されてもよい。任意選択的に、成分領域が鉱物成分を含む場合、当該成分領域は、鉱物のカテゴリを示し得る;そして、成分領域が構造成分を含む場合、当該成分領域は、粒子のカテゴリ、またはフィラーのカテゴリを示し得る。
【0048】
なお、本出願の実施形態における岩石薄片画像は、岩石薄片に対応する単偏光画像と直交偏光画像との2つの岩石薄片画像であり、または、本出願の実施形態における岩石薄片画像は、岩石薄片に対応する単偏光画像と直交偏光画像とを組み合わせて得られる1つの岩石薄片画像であることに留意されたい。本出願の実施形態において、岩石薄片画像の実際の表現は特に限定されていない。しかしながら、岩石薄片画像は、通常の光源または偏光光源に曝されたときの岩石薄片の異方性(anisotropy)を表している必要がある。
【0049】
工程302では、岩石薄片画像に基づいて、岩石薄片に対応する幾何学特徴量、鉱物特徴量および構造特徴量が生成される。
【0050】
本出願の実施形態では、コンピュータデバイスは、岩石薄片画像を受信すると、岩石薄片画像に対して、特徴抽出を実行する。これは、岩石薄片の幾何学特徴量、鉱物特徴量および構造特徴量に対応する。任意選択的に、幾何学特徴量は、成分に基づく岩石薄片の区分領域を示すために用いられ、鉱物特徴量は、岩石薄片の鉱物特定結果を示すために用いられ、構造特徴量は、岩石サンプルの空間的構造を示すために用いられる。本出願の実施形態において、岩石薄片画像における成分領域の分布は、幾何学特徴量を表し、岩石薄片画像の成分領域における鉱物の具体的なタイプは、鉱物特徴量を表し、岩石薄片画像が呈する空間的構造の性質は、構造特徴量を表し得る。なお、本出願の実施形態において、具体的な幾何学特徴量、鉱物特徴量および構造特徴量は、特に限定されていない。
【0051】
工程303では、幾何学特徴量、鉱物特徴量および構造特徴量に基づいて、岩石薄片の特定結果が生成される。
【0052】
本出願の実施形態では、岩石薄片画像の幾何学特徴量、鉱物特徴量および構造特徴量、すなわち岩石薄片に対応するこれらの特徴量をコンピュータデバイスが決定した後、岩石薄片の特定結果が、上記の特徴量に基づいて生成される。特定結果には、岩石サンプルの特徴量のテキスト(文字)記述が含まれる。一実施形態では、特定結果には、岩石サンプルの名称と、幾何学特徴量、鉱物特徴量および構造特徴量のテキスト要約とが含まれる。任意選択的に、特定結果は、リスト形式で表され、または、特定結果は、ダイアグラム形式で表される視覚的画像をさらに含む。本出願の実施形態において、特定構造を生成する方法は特に限定されていない。
【0053】
要約すると、本出願の実施形態によって提供される方法は、以下の工程を含む。岩石薄片画像が得られた後、岩石薄片画像に対する特徴抽出が、三次元の特徴量、すなわち、幾何学特徴量、鉱物特徴量および構造特徴量に基づいて実行される。多次元特徴量において、微視的組成および巨視的性能の観点から岩石の性質が決定され、最終的に、テキスト記述を含む特定結果が生成される。岩石特定の手順では、岩石薄片に対応する微視的な可視化画像が得られた後、その画像に対して多次元特徴量の抽出が行われる。この多次元特徴量を参照して岩石薄片が特定され、これにより、岩石特定の精度が向上する。
【0054】
本出願の一部の実施形態では、幾何学特徴量、鉱物特徴量および構造特徴量の間には、相関性がある。一実施形態では、構造特徴量は、岩石の具体的なカテゴリを示し、幾何学特徴量および鉱物特徴量は、岩石の具体的なカテゴリを特定するための導きを提供し得る。別の一実施形態では、鉱物特徴量は成分領域に対応する鉱物を示すため、鉱物特徴量を決定する前に、コンピュータデバイスは幾何学特徴量を優先的に決定する必要がある。図5は、本出願の例示的な一実施形態によって提供される、幾何学特徴量、鉱物特徴量および構造特徴量を決定するための方法のフローチャートである。この方法は、図3に示す工程302に取って代えることができ、工程501から工程506までとして実施することができる。この方法には、以下の工程が含まれる。
【0055】
工程501では、岩石薄片画像に基づいて、事前選択(pre-selected)岩石タイプ(一次岩種)の構造特徴量が生成される。
【0056】
本出願の実施形態において、構造特徴量は、事前選択岩石タイプの構造特徴量と、細分(subdivided)岩石タイプの構造特徴量と、を含み、事前選択岩石タイプの構造特徴量は、岩石薄片に対応する岩石サンプルを分類するために使用される。岩石サンプルは、事前選択岩石タイプ(すなわち、堆積岩、火成岩および変成岩)に従って分類される。
【0057】
一実施形態では、事前選択岩石タイプ選択モデルに岩石薄片画像が入力され、岩石薄片に対応する事前選択岩石タイプの構造特徴量を示す、事前選択岩石タイプ結果が出力される。事前選択岩石タイプ構造選択モデルは、複数の事前選択岩石タイプ画像のサンプルセットに基づいて構成されたモデルである。事前選択岩石タイプ選択モデルに岩石薄片画像が入力された後、事前選択岩石タイプ選択モデルは、岩石薄片画像を、サンプルセットに格納された複数のサンプル画像と比較し、次いで、事前選択岩石タイプの構造特徴量が決定される。
【0058】
工程502では、事前選択岩石タイプの構造特徴量に基づいて、岩石薄片に対応する事前選択岩石タイプが決定される。
【0059】
本出願の実施形態において、事前選択岩石タイプ結果は、堆積岩、火成岩および変成岩を含む。すなわち、事前選択岩石タイプは、成因に基づいて、3つの岩石タイプに分けられる。事前選択岩石タイプの異なる構造特徴量に対応して、事前選択岩石タイプを得ることができる。一実施形態では、事前選択岩石タイプの構造特徴量は、対応する事前選択岩石タイプとの相似度(similarity)によって示される。
【0060】
工程503では、事前選択岩石タイプに従って、成分の位置に基づいて岩石薄片画像が区分され、少なくとも2つの分割領域を含む岩石薄片分割画像が得られる。
【0061】
任意選択的に、コンピュータデバイスは、事前選択岩石タイプを決定した後、事前選択岩石タイプに対応する成分領域の内容と、成分領域の一般形状(common shape)とを、さらに決定することができる。本出願の一実施形態では、コンピュータデバイスは、成分領域の内容および一般形状に基づいて岩石薄片画像を分割し、少なくとも2つの分割領域を含む岩石薄片分割画像を得る。分割領域は、岩石薄片画像の分割をその成分領域に基づいて示すために用いられる。
【0062】
工程504では、分割領域に基づいて、岩石薄片に対応する幾何学特徴量が決定される。
【0063】
決定された分割領域に基づいて、岩石薄片に対応する幾何学特徴量を決定することができる。その間、コンピュータデバイスは、分割領域を、幾何学特徴量識別のための成分領域とみなす。この手順では、コンピュータデバイスによる対応する処理の後、幾何学特徴量は、成分領域の面積、最大直径および形状のうちの少なくとも1つを特徴付ける(特徴を表す)ために用いられてもよい。
【0064】
工程505では、分割領域に基づいて、岩石薄片に対応する鉱物特徴量が決定される。
【0065】
岩石薄片に対応する幾何学特徴量が決定された後、事前選択岩石タイプの構造特徴量に基づいて、岩石薄片に対応する鉱物特徴量をさらに決定することができる。本出願の一実施形態では、鉱物特徴量は、それぞれの分割領域における成分の鉱物タイプを示すために用いられる。
【0066】
なお、本出願の一部の実施形態では、岩石薄片に対応する幾何学特徴量が最初に決定され、次いで、岩石薄片に対応する鉱物特徴量が決定されることに留意されたい。本出願の別の一部の実施形態では、岩石薄片に対応する鉱物特徴量が最初に決定され、次いで、岩石薄片に対応する幾何学特徴量が決定される。本出願のさらなる一部の実施形態では、岩石薄片に対応する幾何学特徴量および鉱物特徴量が、同時に決定される。本出願の実施形態において、幾何学特徴量と鉱物特徴量とが決定される順序は、特に限定されていない。
【0067】
工程506では、幾何学特徴量および鉱物特徴量に基づいて、細分岩石タイプの構造特徴量が決定される。
【0068】
本出願の実施形態では、幾何学特徴量および鉱物特徴量が決定された後に、細分岩石タイプの構造特徴量を、さらに決定することができる。細分岩石タイプの構造特徴量は、岩石サンプルに対応する細分岩石タイプを示すために用いられる。これは、すなわち、岩石成分領域と成分領域の鉱物成分とを組み合わせて、成因に基づいてさらに決定されるタイプである。
【0069】
任意選択的に、幾何学特徴量および鉱物特徴量が細分岩石タイプ選択モデルに入力され、細分岩石タイプ結果が出力される。細分岩石タイプ結果は、岩石薄片に対応する細分岩石タイプの構造特徴量を示す。細分岩石タイプ選択モデルは、幾何学‐鉱物特徴量相互サンプルセット(geometric-mineral feature interaction sample set)に基づいて構成されたモデルである。幾何学‐鉱物特徴量相互サンプルセットは、幾何学特徴量および鉱物特徴量の組み合わせと、細分岩石タイプの構造特徴量との間の対応関係を示す。一実施形態では、岩石サンプルに対応する事前選択岩石タイプの構造特徴量は、岩石サンプルが堆積岩であることを示す。細分岩石タイプ選択モデルを通じて、岩石サンプルに対応する細分岩石タイプの構造特徴量が得られ、岩石サンプル薄片における分割領域の性質およびタイプに基づいて、岩石サンプルが堆積岩における砕屑岩であることが示される。
【0070】
任意選択的に、事前選択岩石タイプと細分岩石タイプとの両方が、特定結果に含まれる。
【0071】
要約すると、岩石特定のための構造特徴量の実際的応用に対応して、本出願の実施形態によって提供される方法は、構造特徴量を、事前選択岩石タイプの構造特徴量と、細分岩石タイプの構造特徴量とに分類する。事前選択岩石タイプの構造特徴量が決定された後、岩石薄片画像に対応する幾何学特徴量および構造特徴量がさらに決定され、次いで、細分岩石タイプの構造特徴量が決定される。このように、岩石特定手順の間に幾何学特徴量および構造特徴量を決定することは、より適切であり、岩石特定の精度がさらに向上する。
【0072】
次に、図5に示す実施形態に関わる幾何学特徴量および鉱物特徴量を決定するための方法について、その全容を説明する。
【0073】
上記の複数の実施形態において説明したように、幾何学特徴量は、成分に基づく岩石薄片の領域区分を示すために用いられる。本出願では、幾何学特徴量は、機械学習に基づくニューラルネットワークモデルによって取得される。図6は、本出願の例示的な一実施形態によって提供される岩石薄片画像を分割するための方法を示すフローチャートである。この方法は、図5に示す実施形態における工程503から工程504までに取って代わり得る。この方法をコンピュータデバイスに応用すると、以下のようになる。図6を参照すると、この方法は以下の工程を含む。
【0074】
工程601では、サンプル分割結果が付されたサンプル薄片画像が取得される。
【0075】
本出願の実施形態において、岩石薄片画像分割モデルの構成および応用が、具体的に説明される。岩石薄片画像分割モデルは、成分領域を分割するためのモデルである。本出願の一実施形態において、機械学習手順は、岩石薄片画像分割モデルの基礎ネットワークを選択した後、サンプル訓練によって実現される。工程601は、サンプル薄片画像を得る手順、すなわち、サンプルセットを構成する手順である。
【0076】
本出願の実施形態では、サンプル薄片画像は、対応する岩石薄片画像に従って選択された画像である。一実施形態では、サンプル薄片画像は、岩石薄片の事前選択岩石タイプに対応する岩石薄片画像である。別の一実施形態では、サンプル薄片画像は、岩石薄片の細分岩石タイプに対応する岩石薄片画像である。本出願の実施形態において、サンプル薄片画像に対応する具体的な岩石タイプは特に限定されていない。
【0077】
任意選択的に、サンプル薄片画像には、サンプル分割結果、すなわち、他の手段による判断後のサンプル薄片画像の成分領域に基づく分割が付される。
【0078】
工程602では、サンプル薄片画像が岩石薄片画像分割モデルに入力され、予測分割結果が出力される。
【0079】
本出願の実施形態において、岩石薄片画像分割モデルは、機械学習に基づくMask-RCNNネットワークモデルである。図7に係る一実施形態では、岩石薄片画像分割モデル700には、特徴画像生成ネットワーク(feature image generation network)701、領域提案ネットワーク(region suggestion network)702、および結果生成ネットワーク(result generation network)703が含まれる。これらは、岩石薄片画像分割モデルにおける、相互接続された3つのサブネットワークである。このうち、特徴画像生成ネットワーク701には、特徴抽出サブネットワーク(feature extraction sub-network)7011および特徴強調サブネットワーク(feature enhancement sub-network)7012が含まれ、結果生成ネットワーク703には、結果領域分類分岐ネットワーク(result region classification branch network)7031および境界回帰分岐ネットワーク(border regression branch network)7032が含まれる。
【0080】
岩石薄片画像分割モデルを通じて分割結果を得る場合、岩石薄片画像は、岩石薄片画像分割モデルに入力された後、特徴画像生成ネットワークを通じて伝わることとなる。特徴抽出サブネットワークでは、特徴抽出サブネットワークにおける表面特徴抽出と、特徴強調サブネットワークにおける特徴強調との後、岩石薄片画像に対応する特徴画像を得ることができる。その後、特徴画像は、領域提案ネットワークに入力され、試験対象の薄片に対応する事前に分割された特徴画像として、出力が得られる。簡便なシンニング(細化:thinning)の後、事前に分割された特徴画像は、領域分類分岐ネットワークに入力される。事前に分割された特徴画像に対する、領域分類分岐ネットワークによる性質分類と、境界回帰分岐ネットワークによる補正との後、分割結果が最終的に出力される。
【0081】
本出願の実施形態では、予測分割結果は、サンプル薄片画像を完成した岩石薄片画像分割モデルに入力することによって得られる。予測分割結果は、分割線が重ねられた岩石サンプル薄片の形態で出力され得る。
【0082】
工程603では、予測分割結果とサンプル分割結果との間で差異を比較することによって、分割差異が得られる。
【0083】
この手順では、予測分割結果がサンプル分割結果と比較され、それらの間の差異が決定される。予測分割結果とサンプル分割結果との間の差異は、岩石薄片画像分割モデルによって行われるパラメータ調整が完了していない場合に存在し得る。一実施形態では、分割差異は、岩石薄片分割画像における分割線の長さにおける差異として実現される。別の一実施形態では、分割差異は、岩石薄片分割画像における分割線の形状における差異として実現される。本出願の実施形態において、分割差異の具体的な形態は特に限定されていない。
【0084】
工程604では、分割差異に基づいて、岩石薄片画像分割モデルが調整される。
【0085】
本出願の実施形態では、岩石薄片画像分割モデルの訓練が完了したか否かが、分割差異に基づいて決定される。岩石薄片画像分割モデルの訓練が完了していない場合、サンプル薄片画像の岩石薄片画像分割モデルへの入力を継続し、他の予測分割結果を出力し、次いで、それらの間の差異を比較することによって、当該モデルの訓練手順がさらに実行される。任意選択的に、本出願の別の実施形態において、岩石薄片画像分割モデルの訓練が完了したか否かを、岩石薄片画像分割モデルが訓練された回数に基づいて決定することも可能である。本出願の一実施形態では、分割差異が予測分割結果とサンプル分割結果との間の差異閾値を示すことに応答して、岩石薄片画像分割モデルの訓練が完了したことが決定され、または、分割訓練期間における岩石薄片画像分割モデルへのサンプル薄片画像の入力の数が分割数閾値に達したことに応答して、岩石薄片画像分割モデルの訓練が完了したことが決定される。
【0086】
なお、本出願における「閾値」は、コンピュータプログラムに格納された閾値として実現されてもよく、または、コンピュータデバイスが対応する工程を実行するときに手動で入力される閾値として実現されてもよいことに留意されたい。また、本出願の実施形態において、閾値の具体的な取得方法は特に限定されていない。
【0087】
岩石薄片画像分割モデルの訓練が完了したことの決定後に、試験対象の岩石薄片画像が入力されて、設定された特徴量の抽出のために分割される。
【0088】
工程605では、岩石薄片画像分割モデルの訓練が完了したことに応答して、岩石薄片画像が岩石薄片画像分割モデルに入力され、岩石薄片分割画像として出力が得られる。
【0089】
工程605は、岩石薄片に対応する岩石薄片分割画像を生成する手順である。岩石薄片分割画像は、少なくとも2つの分割領域を含む。上述したように、複数の当該分割領域は、複数の成分領域に基づいて決定された分割を示す。岩石薄片画像分割モデルの訓練が完了すると、複数の当該分割領域が複数の成分領域を直接的に表示し得る。図8に示すように、岩石薄片画像分割モデルによって得られる岩石薄片分割画像800における分割線801によって、複数の成分領域802が形成される。図8では、例えば、分割線801によって完全に囲まれた領域が、成分領域802である。
【0090】
岩石薄片分割画像が得られた後、岩石薄片画像に対応する分割結果を生成することができる。当該分割結果には、岩石薄片画像に対応する成分領域の数、岩石薄片画像に対応する成分領域の分布密度、および岩石薄片画像に対応する成分領域の大きさのうちの少なくとも1つが含まれる。一実施形態では、上記分割結果は、岩石薄片に対応する幾何学特徴量を直接的に示してもよく、または、上記分割結果は、岩石薄片に対応する幾何学特徴量を生成するように処理されてもよい。
【0091】
要約すると、本出願の実施形態によって提供される方法によれば、岩石薄片画像を識別する手順において、岩石薄片画像は、岩石薄片に対応する幾何学特徴量が得られるように、Mask-RCNNネットワークに基づく岩石薄片画像分割モデルを通じて分割される。人手による分割方法ではなくコンピュータによる画像分割方法を応用することを基礎として、機械学習に基づく画像処理のためのMask-RCNNネットワークモデルが導入される。これにより、岩石薄片画像内の成分領域を分割するためのより良好な導きが提供され、幾何学特徴量を得る効率が向上する。
【0092】
任意選択的に、本出願における図6に示す実施形態は、コンピュータデバイスによって幾何学特徴量を得る一実施形態である。本出願の別の実施形態において、幾何学特徴量は、他の方法によって得られてもよい。本出願の実施形態において、幾何学特徴量を得る具体的な方法は特に限定されていない。
【0093】
本出願の実施形態では、幾何学特徴量が成分領域の分割を示し、各成分領域が異なる成分に対応するので、幾何学特徴量が決定された後に、鉱物特徴量が決定される、すなわち、岩石薄片における鉱物の分布が決定される。
【0094】
本出願の一実施形態では、鉱物特徴量は、機械学習に基づくニューラルネットワークモデルによって決定される。図9は、本出願の例示的な一実施形態によって提供される鉱物特徴量を識別する方法を示すフローチャートである。図5に示す実施形態における工程505として、代替的にこの方法が実現(実施)されてもよい。この方法は、コンピュータデバイスに応用される場合、以下のようになる。この方法には、以下の工程が含まれる。
【0095】
工程901では、分割領域に基づいて、成分画像が決定される。ここで、成分画像には、1つの成分領域が含まれる。
【0096】
本出願の実施形態では、図10に示すように、分割領域1001は、岩石薄片分割画像1000に基づいて決定された分割結果を示し、1つの成分領域を含む成分画像1010を決定するために使用することができる。岩石薄片画像分割モデルは訓練済みであるため、成分領域は、岩石薄片に含まれる成分領域に対応し、岩石薄片内の成分を直接的に表示する。
【0097】
工程902では、サンプル成分タイプ特徴量が付されたサンプル成分画像が得られる。
【0098】
本出願の実施形態では、成分タイプ識別モデルは、成分領域に対応する成分タイプ特徴量、すなわち、成分領域に対応する鉱物成分を決定するために、使用される。任意選択的に、成分タイプ識別モデルは、岩石薄片画像分割モデルと同様にして構成され、両者はともに、サンプル訓練に関する機械学習に基づいている。本出願の実施形態では、サンプル成分画像は、サンプル成分画像データセットから選択され、各サンプル成分画像は、1つの成分領域を含み、1つの成分領域のみを含む。当該成分領域は、サンプル成分タイプ特徴量に対応する。
【0099】
工程903では、サンプル成分画像が成分タイプ識別モデルに入力され、予測成分タイプ特徴量として出力が得られる。
【0100】
本出願の実施形態において、予測される成分タイプ特徴量は、訓練手順において成分タイプ識別モデルを通じてサンプル成分画像を識別することによって得られる。本出願の実施形態において、成分タイプ識別モデルに関して選択可能な地層ニューラルネットワーク(stratum neural network)には、Mobilenetニューラルネットワーク、Resnetニューラルネットワーク(Resnet neural network)、およびVGG(Visual Geometry Group Network)ニューラルネットワークのうちの少なくとも1つが含まれる。
【0101】
工程904では、予測成分タイプ特徴量がサンプル成分タイプ特徴量と比較され、識別差異が得られる。
【0102】
この手順では、予測成分タイプ特徴量とサンプル成分タイプ特徴量との間の差異が識別される。一実施形態では、成分タイプ特徴量は、数値形式で特徴付けられ(記述される)、異なる値は、異なる成分タイプ、および成分領域が成分タイプに属する確率を特徴付ける(記述する)。この場合において、識別差異は、予測成分タイプ特徴量とサンプル成分タイプ特徴量との間の差異を示し、または、サンプル成分タイプ特徴量に対する予測成分タイプ特徴量の比率を示し得る。なお、本出願の実施形態において、成分タイプ特徴量の実際の出力形式は、特に限定されていない。
【0103】
工程905では、識別差異に基づいて、成分タイプ識別モデルが調整される。
【0104】
この手順では、成分タイプ識別モデルは、成分タイプ識別差異に従って、その差異が差異閾値未満になるまで、または、成分タイプ識別モデルの訓練回数が訓練回数閾値に到達するまで、調整される。上記の複数の条件が満たされたとき、または上記の複数の条件のうちの一つの条件が満たされたとき、成分タイプ識別モデルの訓練が完了したことを決定することができる。
【0105】
工程906では、成分タイプ識別モデルの訓練が完了したことに応答して、成分画像が成分タイプ識別モデルに入力され、成分画像の成分タイプ特徴量として出力が得られる。
【0106】
この手順では、成分タイプ特徴量が出力される。なお、本出願の実施形態は、成分画像中の1つの単一成分の識別に焦点を当てるものであることに留意されたい。したがって、成分画像が2つの成分領域を含むことが避けられない場合には、成分タイプ識別モデルは、上記2つの成分領域を集合的に識別し、または、成分タイプ識別モデルは、上記2つの成分領域のいずれか一方に対応する画像領域を選択して、個々に識別する。一度の成分識別に対応して、成分タイプ識別モデルは1つの成分タイプ特徴量を出力し、1つの成分タイプ特徴量のみを出力する。
【0107】
工程907では、成分画像に対応する成分タイプ特徴量に基づいて、岩石薄片に対応する鉱物特徴量が決定される。
【0108】
任意選択的に、成分タイプ特徴量と鉱物タイプとの間の対応関係が、コンピュータデバイスに記憶される。成分タイプ特徴量が出力されると、コンピュータデバイスは、成分タイプ特徴量と鉱物タイプとの間の対応関係に基づいて、成分領域に対応する鉱物タイプを決定することができる。
【0109】
岩石薄片画像に対応するすべての成分領域の鉱物タイプが決定された後、岩石薄片に対応する鉱物特徴量を得ることができる。
【0110】
要約すると、本出願の実施形態によって提供される方法によれば、単一の成分領域に対応して、成分領域を成分タイプ識別モデルに入力することによって、成分識別が行われ、成分領域の鉱物特徴量を示す成分タイプ特徴量として、その出力が得られる。単一の成分領域を含む成分画像を入力し、機械学習に基づく識別モデルの助けを借りて成分粒子の具体的な種類の識別を行うことによって、岩石薄片における成分を識別する効率が向上する。
【0111】
本出願の別の実施形態では、鉱物特徴量の事前選択決定は、分類識別モデルによって実行される。次いで、分類識別モデルの事前選択決定結果が、鉱物データ取得デバイスを通じて検証される。この場合において、岩石特定システムは、鉱物データ取得デバイスも含む。図11は、本出願の例示的な一実施形態によって提供される岩石特定システムの構造を示すブロック図である。岩石特定システムは、画像取得デバイス1101と、コンピュータデバイス1102と、鉱物データ取得デバイス1103と、を含む。画像取得デバイス1101および鉱物データ取得デバイス1103は、それぞれ、コンピュータデバイス1102に接続されている。対応して、図12は、本出願の例示的な一実施形態によって提供される鉱物データ取得デバイス1200を概略的に示す。鉱物データ取得デバイス1200には、第2光源1201と、第2ステージ1202と、第2対物レンズ1203と、光電信号変換器1204と、第2基部1205と、第2支持体1206と、が含まれる。第2光源1201は、第2光路1207に対応し、その端点は、第2ステージ1202へ投射される。第2ステージ1202は、第2支持体1206の中央に位置し、第2対物レンズ1203は、第2支持体1206の頂部上に位置する。第2対物レンズ1203の底部には、第2対物レンズ1203に接続された第2取り付け対物レンズ変換器が設けられている。光電信号変換器1204は、第2対物レンズ1203の頂部に配置されている。鉱物データ取得デバイス1200が鉱物データを生成するとき、岩石薄片は、第2ステージ1202の頂部に配置され、光電信号変換器1204は、スペクトルデータ取得のための第2作業モードにある。本出願の実施形態において、第2作業モードとは、光電信号変換器1204がデータ取得を行うときのモードのことを指す。
【0112】
なお、鉱物データ取得デバイスと画像取得デバイスとは同じデバイスであってもよく、すなわち、鉱物データ取得デバイスと画像取得デバイスとは、第1ステージ、第1対物レンズ、第1基部および第1支持体を共用してもよいことに留意されたい。CCDカメラと光電信号変換器とはともに、第1対物レンズ上に配置される。鉱物データ取得デバイスと画像取得デバイスとからなる統合デバイスは、岩石薄片画像とスペクトルデータとを得ることができる。これらは、コンピュータデバイスへ一緒に送信される。
【0113】
上述したような岩石特定システムに基づいて、図13は、本出願の例示的な一実施形態によって提供される岩石薄片に対応する鉱物特徴量を決定するための特定方法を概略的に示すフローチャートである。図5に対応する実施形態における工程505として、代替的にこの方法が実現(実施)されてもよい。この方法は、コンピュータデバイスに応用される場合、以下のようになる。この方法は、以下の工程を含む。
【0114】
工程1301では、岩石薄片分割画像が分類識別モデルに入力され、単結晶成分集合画像(monocrystalline component collection image)および非単結晶成分集合画像(non-monocrystalline component collection image)として出力が得られる。
【0115】
本出願の実施形態では、分類識別モデルは、岩石薄片分割画像において、異なる結晶タイプに属する成分領域を区別するために使用される。
【0116】
一般に、岩石は、多成分混合物として具現化される。当該多成分混合物における成分は、成分領域内の結晶の巨視的形態に基づいて、単結晶成分と非単結晶成分とに分けることができる。任意選択的に、非単結晶成分は、多結晶成分と非晶質成分とを含む。一実施形態では、分類識別モデルは、成分を単結晶成分および非単結晶成分に区別するための結晶成分分類モデルを含む。分類識別モデルは、非単結晶成分を多結晶成分および非晶質成分に区別するための非単結晶成分分類モデルをさらに含む。加えて、単結晶成分識別モデル、多結晶成分識別モデルおよび非晶質成分識別モデルが対応して設けられ、成分領域に対応する具体的な鉱物タイプが識別される。
【0117】
この場合において、異なる岩石タイプについて、分類識別モデルにおける分類サブモデルおよび識別サブモデルを、異なる岩石タイプに含まれる異なる成分領域に適合するように構成することができる。岩石薄片の岩石タイプが砕屑岩である場合の一例を、以下に示す。
【0118】
砕屑岩における成分領域によって示される成分には、デトリタス(detritus)成分とフィラー(filler)成分とが含まれる。この場合、デトリタスは、堆積岩または堆積物の成分であって、母岩の機械的風化の産物である。フィラーは、デトリタス間に位置する連結物質である。続く細分では、デトリタス成分は、陸源デトリタス成分と非陸源デトリタス成分とに分けられる。このうち、陸源デトリタスは、物理的風化または機械的損傷の後に陸源エリアにおける母岩によって形成されるデトリタスを指し、主に石英、長石および岩屑等が含まれる。非陸源デトリタスとは、物理的風化または機械的損傷の後に非陸源エリアにおける母岩によって形成されるデトリタスを指し、主に内源砕屑岩(endogenous clastic rock)、火山砕屑物(volcanic debris)等が含まれる。フィラー(filler)成分は、セメント(cement)成分とマトリクス(matrix)成分とに分けられる。ここで、マトリクスとは、デトリタス粒子間に充填する、微細な機械的混入物を示す。本出願の実施形態において、マトリクスは、シルト、粘土、微粒(fines)、炭酸塩灰泥のうちの少なくとも1つとして実現され得る。セメントは、フィラーにおけるマトリクス以外の化学的沈殿物の位置を示す。さらに、セメント成分は、その組成に従って、珪質-石灰質成分と泥質成分とにさらに分けられる。陸源デトリタス成分は、デトリタスの形態に従って、石英-長石成分と岩屑成分とにさらに分けられる。言い換えれば、砕屑岩に関しては、分類識別モデルは、石英-長石デトリタス領域、珪質-石灰質セメント領域、非陸源デトリタス領域、岩屑デトリタス領域、マトリクスフィラー領域、および泥質セメント領域を識別する能力を有する必要がある。図14は、本出願の例示的な一実施形態によって提供される、様々な成分を含む砕屑岩に対応する岩石薄片を概略的に示す。図14に示すように、砕屑岩薄片1400には、石英デトリタス領域(quartz detritus region)1401、珪質-石灰質セメント領域(siliceous-calcareous cement region)1402、非陸源デトリタス領域(non-terrigenous detritus region)1403、岩屑デトリタス領域(rock debris and detritus region)1404、マトリクスフィラー領域(matrix filler region)1405、および泥質セメント領域(argillaceous cement region)1406が含まれる。
【0119】
図15に示すように岩石タイプが砕屑岩である場合、岩石識別モデル1500は、分類サブモデルグループおよび識別サブモデルグループを含む。分類サブモデルグループは、成分分類サブモデル1511、デトリタス分類サブモデル1512、陸源デトリタス分類サブモデル1513、フィラー分類サブモデル1514、およびセメント分類サブモデル1515を含む。識別サブモデルグループは、非陸源デトリタス識別サブモデル1521、岩屑デトリタス識別サブモデル1522、石英-長石デトリタス識別サブモデル1523、珪質-石灰質セメント識別サブモデル1524、泥質セメント識別サブモデル1525、およびマトリクスフィラー識別サブモデル1526を含む。このうち、それぞれ、成分分類サブモデル1511は、デトリタス分類サブモデル1512およびフィラー分類サブモデル1514に接続し、デトリタス分類サブモデル1512は、非陸源デトリタス識別サブモデル1521および陸源デトリタス分類サブモデル1513に接続し、陸源デトリタス分類サブモデル1513は、岩屑デトリタス識別サブモデル1522および石英-長石デトリタス識別サブモデル1523に接続し、フィラー分類サブモデル1514は、セメント分類サブモデル1515およびマトリクスフィラー識別サブモデル1526に接続し、セメント分類サブモデル1515は、珪質-石灰質セメント識別サブモデル1524および泥質セメント識別サブモデル1525に接続している。
【0120】
この実施形態では、岩石薄片分割画像が岩石識別モデルに入力された後、各分類サブモデルは、岩石薄片分割画像における対応する領域が決定されるように、岩石薄片分割画像を区分および再編成することによって、対応する分類のサブ画像を生成する。各識別サブモデルは、具体的な成分タイプを決定するための、対応するサブ画像を有する。すなわち、上記の手順は以下のように実現できる。砕屑岩薄片は、成分分類サブモデルに入力され、当該成分分類サブモデルは、デトリタスサブ画像およびフィラーサブ画像を出力する。デトリタスサブ画像は、デトリタス分類サブモデルに入力され、当該デトリタス分類サブモデルは、非陸源デトリタスサブ画像および陸源デトリタスサブ画像を出力する。陸源デトリタスサブ画像は、陸源デトリタス分類サブモデルに入力され、当該陸源デトリタス分類サブモデルは、岩屑デトリタスサブ画像および石英-長石デトリタスサブ画像を出力する。フィラーサブ画像は、フィラー分類サブモデルに入力され、当該フィラー分類サブモデルは、マトリクスフィラーサブ画像およびセメントサブ画像を出力する。セメントサブ画像は、セメント分類サブモデルに入力され、当該セメント分類サブモデルは、珪質-石灰質セメントサブ画像および泥質セメントサブ画像を出力する。非陸源デトリタスサブ画像は、非陸源デトリタス識別サブモデルに入力され、当該非陸源デトリタス識別サブモデルは、非陸源デトリタス識別結果を出力し、当該非陸源デトリタス識別結果に基づいて、非陸源デトリタス領域を決定する。岩屑サブ画像は、岩屑デトリタス識別サブモデルに入力され、当該岩屑デトリタス識別サブモデルは、岩屑デトリタス識別結果を出力し、当該岩屑デトリタス識別結果に基づいて、岩屑領域を決定する。石英-長石サブ画像は、石英-長石デトリタス識別サブモデルに入力され、当該石英-長石デトリタス識別サブモデルは、石英-長石デトリタス識別結果を出力し、当該石英-長石デトリタス識別結果に基づいて、石英-長石デトリタス領域を決定する。マトリクスフィラーサブ画像は、マトリクスフィラー識別サブモデルに入力され、当該マトリクスフィラー識別サブモデルは、マトリクスフィラー識別結果を出力し、当該マトリクスフィラー識別結果に基づいて、マトリクスフィラー領域を決定する。珪質-石灰質セメントサブ画像は、珪質-石灰質セメント識別サブモデルに入力され、当該珪質-石灰質セメント識別サブモデルは、珪質-石灰質セメント識別結果を出力し、当該珪質-石灰質セメント識別結果に基づいて、珪質-石灰質セメント領域を決定する。泥質セメントサブ画像は、泥質セメント識別サブモデルに入力され、当該泥質セメント識別サブモデルは、泥質セメント識別結果を出力し、当該泥質セメント識別結果に基づいて、泥質セメント領域を決定する。単結晶成分領域は、石英-長石デトリタス領域および珪質-石灰質セメント領域に基づいて決定される。非単結晶成分領域は、非陸源デトリタス領域、岩屑デトリタス領域、泥質セメント領域、およびマトリクスフィラー領域に基づいて決定される。
【0121】
砕屑岩の実際的な性質によれば、石英-長石デトリタス領域および珪質-石灰質セメント領域は、単結晶成分領域に属し、非陸源デトリタス領域、岩屑デトリタス領域、泥質セメント領域、およびマトリクスフィラー領域は、非単結晶成分領域に属する。
【0122】
すなわち、本出願の一実施形態において、単結晶成分集合画像は、少なくとも1つの単結晶成分領域と、当該単結晶成分領域に対応する単結晶成分識別結果と、を含み、非単結晶成分領域は、少なくとも1つの非単結晶成分領域と、当該非単結晶成分領域に対応する非単結晶成分識別結果と、を含む。
【0123】
なお、本出願の実施形態における分類識別モデル、または当該分類識別モデルを構成する様々なサブモデルはすべて、ディープラーニングに基づくニューラルネットワークモデルであることに留意されたい。
【0124】
工程1302では、単結晶成分集合画像に基づいて、鉱物データ取得デバイスにスキャン命令が送信される。
【0125】
単結晶成分領域に対応する画像特徴は突出していない(顕著でない)ので、スキャンデータは、単結晶成分集合画像のための鉱物データ取得デバイスによって収集される必要がある。任意選択的に、スキャンデータは、鉱物データ取得デバイスによって収集されたスペクトルデータである。本出願の一実施形態では、鉱物データ取得デバイスは、赤外スペクトルおよびラマンスペクトル等の分子スペクトル、蛍光X線分析(XRF)、エネルギー分散型X線分光法(EDS)等を含むがこれらに限定されるものではないデバイスのうちの、少なくとも1種のデバイスとして実現(具現化)されてもよい。コンピュータデバイスは、鉱物データ取得デバイスにスキャン命令を送信する。スキャン命令は、単結晶成分集合画像に対応する成分領域の位置を、鉱物データ取得デバイスに対して示す。
【0126】
任意選択的に、岩石薄片の作製中に不純物が導入されることは避けられず、単結晶成分に対応する鉱物は、変質(alteration)(外部からの影響を受けて鉱物の組成が変化し、新たな鉱物が形成される現象;一実施形態では、長石が粘土鉱物に変化する)、双晶(2つ以上の同種の結晶の規則的連結を指す現象であり、結晶の接合がデータ収集に支障を来し得る;一実施形態では、斜長石に多合成双晶が含まれる)、包有物(インクルージョン:inclusion)(主結晶鉱物(host crystal mineral)に対して相境界を有する1または複数の相の物質から鉱物が構成された閉じた系を指す現象;一実施形態では、石英にルチル包有物が含まれる)、およびクラック(鉱物が外的な応力により破壊する現象;一実施形態では、石英にクラックが含まれる)を起こしやすい。これらは、鉱物データ取得デバイスのデータ取得結果に影響を与えることになる。それゆえ、スキャン命令を生成する前に、まず、単結晶成分集合画像が領域選択モデルに入力されて、領域選択結果が得られ、スキャンに適した単結晶成分集合画像の部分が決定される。すなわち、当該領域選択結果は、単結晶成分集合画像内のクリーン領域(clean region)を示す。この場合、コンピュータデバイスは、領域選択結果に基づいてスキャン命令を生成し、当該スキャン命令を鉱物データ取得デバイスに送信する。
【0127】
工程1303では、スキャン命令に基づいて鉱物データ取得デバイスによってフィードバックされたスキャンデータが受信される。
【0128】
一実施形態では、鉱物データ取得デバイスは、スキャン命令を受信した後、ステージ上における岩石薄片の対応する領域が対物レンズの下に位置するようにするように、当該スキャン命令に基づいて、対物レンズまたはステージを移動させる。光源の照射および光電信号変換器の信号変換を通じて、スキャンデータが収集され、コンピュータデバイスにフィードバックされる。本出願の実施形態では、スキャンデータは、スペクトルデータとして実現(具現化)されてもよい。
【0129】
工程1304では、スキャンデータに基づいて単結晶成分識別結果が検証され、検証結果が得られる。
【0130】
スキャンデータは、化学組成次元または結晶構造次元から単結晶成分集合画像内の各成分領域における成分タイプを決定するために使用することができる。ここで、単結晶成分集合画像内の各単結晶成分領域は、その領域の化学組成を示すスキャンデータに対応する。したがって、スキャンデータは、単結晶成分集合中の各単結晶成分における単結晶識別結果を決定することができる。
【0131】
工程1305では、非単結晶成分識別結果、単結晶成分識別結果および検証結果に基づいて、岩石薄片に対応する鉱物特徴量が決定される。
【0132】
検証結果が単結晶成分識別結果と同じ場合には、当該検証結果は検証が合格である(通過した)ことを示し、単結晶成分識別結果は変更されない。
【0133】
検証結果が単結晶成分識別結果と異なる場合には、当該検証結果は検証が不合格である(通過しない)ことを示す。本出願の実施形態では、単結晶成分識別結果は、識別結果生成規則に基づいて決定される。当該識別結果生成規則は、鉱物データ取得デバイスが単結晶成分識別結果に与える影響に基づいて生成される決定規則である。鉱物データ取得デバイスのスキャンデータ生成結果は鉱物データ取得デバイスの具体的な種類によって大きな影響を受けるため、この規則が生成される。
【0134】
各成分領域に対応する鉱物タイプを決定した後、各成分領域に対応する鉱物タイプを要約し、岩石薄片に対応する鉱物特徴量を決定することができる。
【0135】
要約すると、本出願の複数の実施形態によって提供される方法は、表面スキャンによって岩石薄片分割画像の成分を決定する前に、分類識別モデルを通じて、結晶状態に基づく岩石薄片分割画像の事前選択識別を実行する。単結晶成分領域に対応する領域を選択した後、2回目の成分識別結果の検証を行うことで、最終的な鉱物特徴量の精度の割合が向上する。
【0136】
本出願の別の実施形態では、成分領域に対応するスペクトルデータが鉱物データ取得デバイスによって収集された後に、スペクトルデータデータベースにおいて検索および比較することによって、鉱物特徴量が決定される。図16は、本出願の例示的な一実施形態によって提供される成分領域に対応する鉱物特徴量を決定する方法を示すフローチャートである。図5に対応する実施形態における工程505として、代替的にこの方法が実現(実施)されてもよい。この方法をコンピュータデバイスに応用すると、以下のようになる。この方法は、以下の工程を含む。
【0137】
工程1601では、分割領域に基づいて、成分画像が決定される、ここで、当該成分画像は、1つの成分領域を含む。
【0138】
この手順では、岩石薄片分割画像における分割領域に基づいて、成分領域が分割および決定される。
【0139】
工程1602では、成分画像に基づいて、スペクトルデータ取得命令が鉱物データ取得デバイスに送信される。
【0140】
各独立成分領域について、成分領域におけるスペクトルデータ取得点を選択した後、スペクトルデータ取得命令が鉱物データ取得デバイスに送信される。
【0141】
工程1603では、スペクトルデータ取得命令に基づいて鉱物データ取得デバイスによって送信されたスペクトルデータが受信される。
【0142】
本出願の実施形態において、鉱物データ取得デバイスは、対応するスペクトルデータを取得し、コンピュータデバイスに対してフィードバックを提供する。
【0143】
工程1604では、スペクトルデータに基づいて、鉱物スペクトルデータデータベースにおいて成分領域に対応する事前選択鉱物タイプが決定される。
【0144】
本出願の実施形態では、鉱物スペクトルデータデータベースがコンピュータデバイスに記憶され、スペクトルデータと事前選択鉱物タイプとの間の対応関係が、鉱物スペクトルデータデータベースに格納される。
【0145】
本出願の実施形態において、事前選択鉱物タイプは、鉱物をその典型的な性質に基づいて区分することによって得られる。任意選択的に、コンピュータデバイスは、スペクトルデータデータベースにおけるスペクトルデータサンプルセットを分類し、異なる鉱物の分類数に基づいて、鉱物に対応する希少性を決定する。任意選択的に、1つの事前選択鉱物タイプの区分は、少なくとも2つの細分鉱物タイプを含む。
【0146】
本出願の実施形態において、事前選択鉱物タイプを得る手順は、以下の通りである。
【0147】
まず、スペクトルデータに基づいて、鉱物スペクトルデータデータベースにおいて成分領域に対応する事前選択鉱物タイプの第1レベルカテゴリが決定される。鉱物タイプの第1レベルカテゴリは、その鉱物がどの程度一般的であるかに基づいて決定されるカテゴリであって、一般鉱物カテゴリ(common mineral category)と非一般鉱物カテゴリ(uncommon mineral category)とが含まれる。本出願の実施形態では、鉱物の第1レベルカテゴリは、第1レベルカテゴリ度数(頻度:frequency)閾値との比較によって決定される。任意選択的に、成分領域におけるスペクトルデータに対する鉱物に対応するスペクトルデータの割合が第1レベルカテゴリ度数閾値よりも大きい場合、すなわち、鉱物に対応するスペクトルデータの度数が第1レベルカテゴリ度数閾値よりも大きい場合、鉱物の第1レベルカテゴリが一般鉱物であることが決定される。鉱物に対応するスペクトルデータの度数が第1レベルカテゴリ度数閾値以下である場合、鉱物の第1レベルカテゴリが非一般鉱物であることが決定される。本出願の実施形態では、スペクトルデータデータベースにおける鉱物サンプルの数に基づいて、一般鉱物カテゴリと非一般鉱物カテゴリとが決定される。すなわち、スペクトルデータデータベースにおける鉱物サンプルの数がサンプル数閾値未満である場合、鉱物タイプの第1レベルカテゴリが非一般鉱物カテゴリであることが決定され、スペクトルデータデータベースにおける鉱物サンプルの数がサンプル数閾値以上である場合、鉱物タイプの第1レベルカテゴリが一般鉱物カテゴリであることが決定される。この分類の下で、一般鉱物カテゴリに対応する事前選択鉱物タイプには、鉱物グループタイプと一般鉱物タイプとが含まれ、非一般鉱物カテゴリに対応する事前選択鉱物タイプには、包有物鉱物タイプ(inclusions mineral type)、高感度鉱物タイプ(highly sensitive mineral type)および変質鉱物タイプ(alteration mineral type)が含まれる。このうち、一般鉱物タイプは、鉱物スペクトルデータデータベースにおいて、ある事前選択鉱物タイプの度数閾値よりも大きな度数を有する事前選択鉱物タイプを示す;包有物鉱物タイプは、鉱物成長後に包有物として現れる鉱物に対応する鉱物タイプを示す;高感度鉱物タイプは、スペクトルデータを取得する手順において、その化学的性質によりスペクトルデータ取得デバイスの取得精度に影響を与える鉱物に対応する鉱物タイプを示し、スペクトルデータ取得デバイスの関心となる;変質鉱物タイプは、鉱物形成の手順において、識別可能な現象を生成する鉱物に対応する鉱物タイプを示す。
【0148】
なお、上記手順における「第1レベルカテゴリ度数閾値」および「鉱物タイプ度数閾値」は、コンピュータデバイスに事前に記憶された閾値であってもよく、コンピュータデバイスが対応する工程を実行するときに受信した信号によって決定される閾値であってもよいことに留意されたい。また、本出願の実施形態において、各閾値の生成方法は特に限定されていない。
【0149】
本出願の実施形態において、鉱物スペクトルデータデータベースは、複数の対応するサブデータベースをさらに含む。図17によれば、鉱物スペクトルデータデータベース1700は、一般鉱物カテゴリサブデータベース1701と、非一般鉱物カテゴリサブデータベース1702と、を含む。一般鉱物カテゴリサブデータベース1701は、一般鉱物タイプサブデータベース1711と、鉱物グループデータベース1712と、をさらに含む。非一般鉱物カテゴリサブデータベース1702は、包有物鉱物タイプデータベース1721、高感度鉱物タイプデータベース1722、および変質鉱物タイプデータベース1723をさらに含む。加えて、鉱物スペクトルデータデータベース1700は、不純物に対応する不純物カテゴリサブデータベース1703をさらに含む。不純物には様々な種類があるため、砕屑岩に含まれる不純物成分が、例えば炭化ケイ素である場合、不純物カテゴリサブデータベース1703は、炭化ケイ素に対応する識別データベースとなる。
【0150】
工程1605では、事前選択鉱物カテゴリに対応する鉱物タイプ検証規則が決定される。
【0151】
本出願の実施形態では、上記の事前選択鉱物タイプに対応して、鉱物タイプ検証規則は、分類検証規則、直接検証規則および選択点再検証規則を含む。事前選択鉱物タイプが鉱物グループタイプである場合、鉱物タイプ検証規則は、分類検証規則として決定され、事前選択鉱物タイプが包有物鉱物タイプ、高感度鉱物タイプまたは変質鉱物タイプである場合、鉱物タイプ検証規則は選択点再検証規則として決定される;事前選択鉱物タイプが一般鉱物タイプである場合、または、事前選択鉱物タイプに対応する第1レベルカテゴリが非一般鉱物タイプである場合であって、かつ事前選択鉱物タイプが包有物鉱物タイプ、高感度鉱物タイプおよび変質鉱物タイプのいずれでもない場合、鉱物タイプ検証規則は、直接検証規則として決定される。本出願の実施形態において、選択点再検証規則は、コンピュータデバイスがスペクトルデータ取得デバイスからスキャンデータを再取得する規則を示す;分類検証規則は、事前選択鉱物タイプに対応するサブデータベースが二次検証を実施するように選択されることを示す;直接検証規則は、事前選択鉱物タイプの結果が鉱物タイプの検証結果として直接的に使用される規則を示す。
【0152】
上記のうち、事前選択鉱物タイプが包有物鉱物タイプ、高感度鉱物タイプまたは変質鉱物タイプである場合、対応する検証規則は、選択点再検証規則となる。すなわち、成分領域における結晶の特殊な性質のため、成分領域における点を再選択する必要がある。かかる再選択点の数は、コンピュータデバイスに事前に記憶された検証数に対応する。
【0153】
本出願の実施形態では、分類検証規則は、鉱物スペクトルデータデータベースにおけるサブデータベースに基づいて鉱物タイプをさらに細分するための規則である。任意選択的に、事前選択鉱物タイプが鉱物グループタイプである場合、鉱物グループデータベースにおけるサブデータベースに基づいて、成分領域における鉱物タイプが細分され、検証結果が得られる。すなわち、この分類検証規則は、鉱物グループタイプの鉱物に適用される。
【0154】
本出願の実施形態では、直接検証規則は、事前選択鉱物タイプが一般鉱物タイプである場合、または、鉱物タイプの第1レベルカテゴリが非一般鉱物タイプである場合であって、かつ細分鉱物タイプが包有物鉱物タイプ、高感度鉱物タイプおよび変質鉱物タイプのいずれでもない場合に決定される。また、直接検証規則は、事前選択鉱物タイプを細分鉱物タイプとして決定するための規則でもある。
【0155】
工程1606では、鉱物タイプ検証規則および事前選択鉱物タイプに基づいて、成分領域に対応する鉱物タイプが決定される。
【0156】
すなわち、この手順では、成分領域に対応する鉱物タイプが決定される。
【0157】
工程1607では、成分画像に対応する鉱物タイプに基づいて、岩石薄片に対応する鉱物特徴量が決定される。
【0158】
すなわち、この手順では、岩石薄片に対応する最終的な鉱物特徴量は、各成分領域に対応する鉱物タイプに基づいて決定される。
【0159】
要約すると、本出願の実施形態によって提供される方法によれば、成分領域に対応するスペクトルデータが得られた後、データベースに対応する成分領域の鉱物タイプが予備的に決定され、検証規則も決定される。検証規則に基づいて、成分領域に対応する鉱物タイプが、最終的に決定される。成分領域に対応する鉱物タイプを決定するとき、データベースを通じて決定された事前選択タイプに基づいて、事前選択タイプの各々について、関連する検証規則が決定され、その結果、細分鉱物タイプが得られる。このようにして、鉱物タイプ識別の精度を向上させることができ、岩石薄片の鉱物特徴量を決定する効率および精度も向上させることができる。
【0160】
なお、図16図13および図9に示す実施形態は、鉱物特徴量を識別する3つの並列的な方法として、岩石特定の手順において任意の組み合わせで適用することができる。その結果、鉱物特徴量の識別および検証の効果が達成され、岩石薄片の鉱物特徴量の決定精度がさらに向上することに留意されたい。すなわち、図9図13および図16に示す実施形態は、岩石特定の手順において鉱物特徴量を得るための3つの実施形態である。
【0161】
なお、本出願の一部の実施形態では、岩石薄片に対応する、鉱物特徴量および幾何学特徴量は、同時に決定できることに留意されたい。図18は、本出願の例示的な一実施形態によって提供される、幾何学特徴量および鉱物特徴量を決定するための手順を概略的に示す。図18によれば、この方法は以下の工程を含む。
【0162】
工程1801では、サンプル薄片画像が得られる。
【0163】
本出願の一実施形態では、岩石薄片画像識別モデルは、機械学習に基づくニューラルネットワークモデルである。ニューラルネットワークモデルは、図6に示す実施形態における岩石薄片画像分割モデルと、図9に示す実施形態における成分タイプ識別モデルとを組み合わせることによって得られてもよく、あるいは、ニューラルネットワークモデルは、岩石薄片画像分割モデルおよび成分タイプ識別モデルのパラメータに基づいて構成されてもよい。岩石薄片画像識別モデルを訓練するためのサンプルは、サンプル分割結果とサンプル成分タイプ特徴量とが付されたサンプル薄片画像である。
【0164】
工程1802では、サンプル薄片画像が岩石薄片画像分割識別モデルに入力される、ここで、当該岩石薄片画像分割識別モデルは、予測分割領域と予測成分タイプ特徴量とを出力する。
【0165】
すなわち、この手順では、訓練済みでない岩石薄片画像識別モデルを通じて、サンプル薄片画像が予測され、その結果、予測分割領域と予測成分タイプ特徴量とが得られる。
【0166】
工程1803では、予測分割領域がサンプル分割領域と比較され、サンプル分割差異が得られる。予測成分タイプ特徴量がサンプル成分タイプ特徴量と比較され、サンプル成分差異が得られる。
【0167】
本出願の実施形態では、予測分割領域と予測成分タイプ特徴量とが同時に出力されるため、サンプル分割差異とサンプル成分差異とが同時に決定される。
【0168】
工程1804では、サンプル分割差異とサンプル成分差異とに基づいて、岩石薄片画像分割識別モデルが調整される。
【0169】
すなわち、この手順では、岩石薄片画像分割識別モデルが調整される。
【0170】
工程1805では、岩石薄片画像が岩石薄片画像分割識別モデルに入力される。ここで、当該岩石薄片画像分割識別モデルは、岩石薄片画像に対応する少なくとも2つの分割領域と、少なくとも2つの当該分割領域に対応する成分タイプ特徴量とを出力する。
【0171】
すなわち、この手順では、試験対象の岩石薄片画像が岩石薄片画像分割識別モデルに入力される。当該岩石薄片画像分割識別モデルは、複数の当該分割領域と、複数の当該領域に対応する成分タイプ特徴量とを出力する。
【0172】
工程1806では、分割された領域と成分タイプ特徴量とを組み合わせて、岩石薄片に対応する幾何学特徴量および鉱物特徴量が決定される。
【0173】
本出願の実施形態では、分割領域は、幾何学特徴量に対応し、成分タイプ特徴量は、鉱物特徴量に対応する。
【0174】
要約すると、本出願の実施形態によって提供される方法によれば、岩石薄片画像分割識別モデルへの入力としてのサンプル薄片画像に対応して、モデルの訓練が完了したことを前提として、岩石薄片画像の幾何学特徴量と鉱物特徴量とが同時に抽出され、岩石特定の手順における特徴抽出の効率がさらに向上する。
【0175】
任意選択的に、本出願における図18に示す実施形態は、コンピュータデバイスが幾何学特徴量と鉱物特徴量とを同時に得る実施形態である。
【0176】
上記の複数の実施形態に例示された方法を通じて鉱物特徴量および幾何学特徴量を決定した後、本出願の実施形態では、幾何学特徴量、鉱物特徴量および構造特徴量に基づいて、岩石薄片に対応する特定結果、すなわち岩石サンプルの特徴量のテキスト記述が生成される。図19は、本出願の例示的な一実施形態によって提供される岩石薄片の特定結果を生成するための方法を概略的に示す。図3に示す工程303として、代替的にこの方法が実現(実施)されてもよい。この方法は、コンピュータデバイスに応用される場合、以下のようになる。この方法は、以下の工程を含む。
【0177】
工程1901では、事前選択岩石タイプ特徴量および細分岩石タイプ特徴量に基づいて、特定結果に対応する少なくとも1つの岩石薄片サブ特定結果のタイプが決定される。
【0178】
本出願の実施形態において、岩石薄片サブ特定結果は、岩石薄片の具体的な種類を特徴付けることができる特定結果であり、成分領域の形状および成分領域の鉱物的性質に基づいて得られる。任意選択的に、岩石薄片特定結果は、粒径区間識別結果(particle size interval identification result)、最大粒径識別結果(maximum particle size identification result)、粒子分別性結果(particle sortability result)、粒子円磨度識別結果(particle roundness identification result)、鉱物自形度結果(mineral automorphic degree result)、および粒子接触モード(接触方式)識別結果(particle contact mode identification result)のうちの少なくとも1つを含む。
【0179】
工程1902では、幾何学特徴量および鉱物特徴量に基づいて、岩石薄片サブ特定結果が生成される。
【0180】
任意選択的に、岩石薄片サブ特定結果を生成する手順を説明するために、上記の粒径区間識別結果、最大粒径識別結果、粒子分別性結果、粒子円磨度識別結果、鉱物自形度結果、および粒子接触モード識別結果を決定する方法に対応する例が提供される。
【0181】
一実施形態では、岩石薄片特定結果は、粒径区間識別結果を含む。当該粒径区間識別結果は、岩石薄片における1つの成分に対応する成分領域の粒径区間を示す。まず、鉱物特徴量に基づいて、粒径区間識別結果に対応する複数の粒径区間成分領域のセット(集合)が決定される。ここで、複数の粒径区間成分領域のセットは、少なくとも2つの成分領域を含む。次に、複数の粒径区間成分領域のセット中の成分領域に対応する幾何学特徴量に基づいて、複数の粒径区間成分領域中の成分領域に対応する粒径が決定される。最後に、成分領域に対応する粒径に基づいて、粒径区間識別結果が決定される。
【0182】
一実施形態では、岩石薄片特定結果は、最大粒径識別結果を含む。当該最大粒径識別結果は、1つの成分に対応する複数の成分領域の中で最大粒径を有する岩石薄片内の成分領域の粒径を示す。この場合、鉱物特徴量に基づいて、最大粒径識別結果に対応する最大粒径を有する成分領域が決定され、幾何学特徴量に基づいて、当該成分領域に対応する最大粒径が決定され、最大粒径に基づいて、最大粒径識別結果が生成される。
【0183】
一実施形態では、岩石薄片特定結果は、粒子分別性結果を含む。当該粒子分別性結果は、岩石薄片における1つの粒子タイプに対応する粒径の分布を示す。この場合、まず、鉱物特徴量に基づいて、粒子分別性識別結果に対応する複数の分別性成分領域のセットが決定される。ここで、複数の分別性成分領域のセットは、少なくとも2つの成分領域を含む。次に、複数の分別性成分領域のセットにおける複数の成分領域に対応する幾何学特徴量に基づいて、粒径等級対応関係が決定される。ここで、粒径等級対応関係は、粒径の少なくとも2つのレベル、および粒径レベル内の成分領域の数を含む。最後に、粒径等級対応関係に基づいて、粒子分別性結果が決定される。
【0184】
一実施形態では、岩石薄片特定結果は、粒子円磨度識別結果を含む。当該粒子円磨度識別結果は、成分領域の円磨度を示す。円磨度は、円磨度レベルによって示すことができる。この場合、まず、鉱物特徴量に基づいて、粒子円磨度識別結果に対応する複数の円磨度識別成分領域のセットが決定される。ここで、複数の円磨度識別成分領域のセットは、少なくとも2つの成分領域を含む。次に、複数の円磨度識別成分領域のセットにおける複数の成分領域に対応する幾何学特徴量に基づいて、円磨度レベルの対応関係が決定される。ここで、円磨度レベルの対応関係は、少なくとも2つの円磨度レベル、および複数の円磨度レベルにおける成分領域の数を含む。最後に、円磨度レベルの対応関係に基づいて、粒子円磨度識別結果が決定される。
【0185】
一実施形態では、岩石薄片特定結果は、鉱物自形度結果を含む。当該鉱物自形度結果は、成分領域における鉱物が自身の晶癖に基づいて発達する程度を示す。この場合、まず、鉱物特徴量に基づいて、鉱物自形度結果に対応する複数の自形度成分領域のセットが決定される。ここで、複数の自形度成分領域のセットは、少なくとも2つの自形度成分領域を含む。次に、複数の自形度成分領域のセットにおける複数の成分領域に対応する幾何学特徴量に基づいて、複数の成分領域の形状が決定される。最後に、複数の成分領域の形状に基づいて、鉱物自形度結果が決定される。
【0186】
一実施形態では、岩石薄片特定結果は、粒子接触モード識別結果を含む。当該粒子接触モード識別結果は、隣り合う2つの成分領域の接触状態を示す。この場合、まず、鉱物特徴量に基づいて、少なくとも2対の成分領域が決定される。ここで、1つの成分領域対は、隣り合う2つの成分領域を含む。次に、幾何学特徴量に基づいて、当該成分領域対における2つの成分領域のインターセクションオーバーユニオンが決定される。最後に、少なくとも2つの成分領域のインターセクションオーバーユニオンに基づいて、粒子接触モード識別結果が決定される。
【0187】
上記の手順をまとめると、岩石薄片サブ特定結果のタイプを決定した後、鉱物タイプに基づいて、岩石薄片画像中の岩石薄片サブ特定結果に対応する成分領域が決定される。次いで、幾何学特徴量に基づいて、当該成分領域の形状、形態、大きさ等から、岩石薄片サブ特定結果が決定される。
【0188】
工程1903では、細分岩石タイプの特徴量に基づいて、岩石薄片名称に対応する命名規則が決定される。
【0189】
本出願の実施形態では、異なる岩石タイプは異なる命名規則に対応するため、細分岩石タイプの特徴量に基づいて、岩石薄片名称を決定する必要がある。
【0190】
工程1904では、命名規則と岩石薄片サブ特定結果とに基づいて、岩石薄片名称が生成される。
【0191】
この手順で、岩石薄片の名称が最終確定される。任意選択的に、コンピュータデバイスは、岩石薄片サブ特定結果に基づいて、対応するキーワードを生成し、細分岩石タイプの特徴量と組み合わせて、岩石薄片の対応する名称を最終確定してもよい。
【0192】
任意選択的に、本出願の一部の実施形態では、岩石薄片の特定結果に関して、岩石サンプル特定報告も生成される。岩石サンプル特定報告は、岩石薄片名称および各岩石薄片のサブ特定結果を含む。本出願の実施形態において、コンピュータデバイスは、異なる細分岩石タイプ特徴量に基づいて、少なくとも2つの岩石サンプル特定報告を事前に記憶する。
【0193】
要約すると、本出願の実施形態で提供される方法によれば、事前選択岩石タイプ特徴量と細分岩石タイプ特徴量とを得た後に、岩石タイプに対応する岩石薄片サブ特定結果が選択される。選択された岩石薄片サブ特定結果に基づいて、最終的な岩石薄片特定結果は岩石薄片のタイプに対応し得る。その結果、岩石薄片特定結果の精度をさらに向上させることができる。
【0194】
上記の実施形態で説明したように、図19に対応する実施形態は、幾何学特徴量、鉱物特徴量および構造特徴量に基づいて、岩石薄片サブ特定結果を得て、最終的な岩石薄片特定結果を得る手順を示す。
【0195】
一実施形態では、砕屑岩薄片特定の手順に対応して、図20は、本出願の例示的な一実施形態によって提供される岩石特定方法の手順を概略的に示す。この手順は、以下の工程を含む。
【0196】
工程2001では、砕屑岩薄片の画像が得られる。
【0197】
本出願の実施形態において、砕屑岩薄片サンプルの画像は、単偏光画像と、直交偏光画像と、を含む。任意選択的に、砕屑岩薄片サンプルの画像は、画像取得デバイスによって継続的に取得され、次いで一緒に結合されて、その結果、砕屑岩薄片サンプルに対応する単偏光画像および直交偏光画像が得られる。
【0198】
工程2002では、砕屑岩薄片画像の事前選択岩石タイプが決定される。
【0199】
本出願の実施形態では、砕屑岩薄片画像の事前選択岩石タイプは、岩石分類モデルを通じて、堆積岩として決定される。
【0200】
工程2003では、砕屑岩薄片の細分岩石タイプが決定される。
【0201】
本出願の実施形態において、砕屑岩薄片の細分岩石タイプは、岩石構造分類モデルを通じて、砂状構造を有する砕屑岩であることが決定される。
【0202】
工程2004では、砕屑岩薄片画像が砕屑岩分割モデルに入力され、砕屑岩薄片の分割画像が得られる。
【0203】
この手順では、砕屑岩薄片画像が、岩石薄片分割モデルを通じて分割され、分割画像が得られる。分割の後、コンピュータデバイスは、砕屑岩薄片画像に対応する砕屑岩の幾何学特徴量を決定することができる。
【0204】
工程2005では、分割された砕屑岩薄片画像に基づいて成分領域が抽出され、成分タイプ識別モデルを通じて成分タイプ特徴量が得られる。
【0205】
すなわち、この手順では、砕屑岩薄片画像に対応する鉱物特徴量が得られる。
【0206】
工程2006では、成分タイプ特徴量が砕屑岩薄片画像にマッピングされ、砕屑岩薄片サンプルの中間画像が得られる。
【0207】
すなわち、この手順では、砕屑岩薄片画像が成分タイプ特徴量および分割画像に基づいて印付けられて(マークされ)、砕屑岩薄片の幾何学特徴量と鉱物特徴量を特徴付けることができる中間画像が得られる。
【0208】
本出願の別の実施形態では、成分タイプ識別モデルは、砕屑岩薄片サンプルの中間画像を直接的に出力することとなる。
【0209】
工程2007では、砕屑岩薄片サンプルの中間画像上における対応する成分領域の面積が計算される。
【0210】
本出願の実施形態では、各成分領域における鉱物タイプの識別結果に基づいて、成分領域の面積を計算することによって、異なる成分の相対的な含量が決定される。一実施形態では、成分の鉱物タイプに基づいて、珪質セメントが2.0%を占め、石灰質セメントが10.5%を占め、マトリクスフィラーが1%を占め、岩屑デトリタスが13.84%を占め、長石デトリタスが20.76%を占め、石英デトリタスが51.9%を占めることを決定できる。石英デトリタス、長石デトリタスおよび岩屑デトリタスはすべて陸源デトリタスに属し、珪質セメント、石灰質セメントおよびマトリクスフィラーはすべてフィラーに属するので、陸源デトリタスが86.5%を占め、フィラーが13.5%を占めることをさらに決定できる。そして、砕屑岩薄片画像は、非陸源デトリタスを含んでおらず、粒子とフィラーとの相対的な含量は、粒子が86.5%であり、フィラーが13.5%であることを決定できる。
【0211】
工程2008では、石英デトリタス領域、長石デトリタス領域、珪質セメント領域、および石灰質セメント領域に対応するサブ領域画像がそれぞれ計算され、クリーン領域が選択される。
【0212】
石英デトリタス領域、長石デトリタス領域、珪質セメント領域、および石灰質セメント領域は単結晶成分に対応するため、クリーン領域を選択してスキャンを行う必要がある。任意選択的に、この手順は機械学習に基づくモデルを通じて実現される。
【0213】
工程2009では、表面スキャン座標マップが決定される。
【0214】
すなわち、この手順では、具体的なスキャン領域の位置が決定される。本出願の実施形態では、スキャン方法は、表面スキャンである。
【0215】
工程2010では、表面スキャン座標が計算され、最適経路が計画され、スキャン命令が生成される。
【0216】
任意選択的に、この手順において、コンピュータデバイスがスキャン命令を決定する。表面スキャンの対象となる領域は実際には互いに隣り合っていないため、最適経路を計画する必要がある。
【0217】
工程2011では、スキャン命令によって鉱物データ取得デバイスが制御され、スキャンデータが取得される。
【0218】
すなわち、この手順では、スキャンデータが鉱物データ取得デバイスに送信され、その結果、鉱物データ取得デバイスが対応するスキャンデータを生成する。任意選択的に、スキャンデータはスペクトルデータである。
【0219】
工程2012では、スキャンデータに基づいて、鉱物情報が生成される。
【0220】
すなわち、この手順では、鉱物データ取得デバイスによって送信されるスキャンデータがスキャンデータに基づいて生成され、スキャンデータによって特徴付けられる成分領域の鉱物成分が決定される。
【0221】
工程2013では、鉱物情報が分類識別結果と比較され、各成分領域についての最終結果が得られる。
【0222】
すなわち、この手順では、鉱物成分がスキャンデータと比較され、最終結果が得られる。任意選択的に、当該手順における鉱物データ取得デバイスの種類に従って、最終的な検証結果が得られる。
【0223】
工程2014では、最終結果に基づいて、砕屑岩薄片サンプルの中間画像上における対応する成分領域の識別結果が置き換えられる。
【0224】
すなわち、この手順では、機械学習モデルによって得られる砕屑岩薄片サンプルの中間画像上における成分領域の鉱物識別結果が、表面スキャンの検証結果に基づいて置き換えられる。スペクトルデータは鉱物成分の特定に関してより精確であるため、表面スキャンの検証結果がこの工程で用いられ、成分領域の鉱物特徴量が決定される。
【0225】
工程2015では、砕屑岩薄片サンプルの更新された最終画像が決定される。
【0226】
工程2007における実施形態と組み合わせると、更新後には、珪質セメントが2.0%を占め、実際の形態では方解石である石灰質セメントが10.5%を占め、マトリクスフィラーが1%を占め、岩屑デトリタスが13.84%を占め、石英デトリタスが69.2%を占め、長石デトリタスが3.46%を占める。すなわち、陸源デトリタスの割合は依然として86.5%であり、非陸源デトリタスの割合は依然として0%である。対応して、粒子の割合は86.5%であり、フィラーの割合は13.5%である。
【0227】
工程2016では、砕屑岩薄片に対応する薄片サブ特定結果が決定される。
【0228】
本出願の実施形態において、薄片サブ特定結果には、粒径区間識別結果、粒子分別性結果、最大粒径識別結果、相対成分含量結果、粒子円磨度識別結果および粒子接触モード識別結果が含まれる。鉱物特徴量に基づく成分領域の選択、および幾何学特徴量に基づく結果の生成の後、一実施形態では、主要粒径区間は、細砂(0.125~0.25mm)が10%を占め、中砂(0.25~0.5mm)が30%を占め、粗砂(0.5~2mm)が60%を占めることを決定できる。最大粒径は1.8mmであり、粒子分別性は中程度である。85%の成分領域の粒子円磨度は、亜角であり、15%の成分領域の粒子円磨度は、亜円である。75%の成分領域は、互いに線接触(line contact)しており、25%の成分領域は、互いに点接触(point contact)している。
【0229】
工程2017では、薄片サブ特定結果に基づいて、薄片名称および薄片特定報告が決定される。
【0230】
図21によれば、薄片特定報告2100は、砕屑岩指定(指示:designation)領域2110を含む。砕屑岩指定領域2110は、薄片サブ特定結果に基づく砕屑岩薄片に関する指定を含む。本出願の実施形態では、砕屑岩は、「中粗粒岩屑石英砂岩(medium-coarse grained debris quartz sandstone)」と指定される。任意選択的に、この指定は、コンピュータデバイスに記憶された工業標準、すなわち、工業標準CN SY/T 5368-2016「岩石薄片特定」に基づくものである。薄片特定報告2100は、砕屑岩サンプルの取得位置および取得方法を示す薄片サンプル情報領域2120と、砕屑岩サンプルの鉱物成分を示す成分特徴領域2130と、砕屑岩サンプルの構造特徴を示す構造特徴領域2140と、岩石薄片画像表示領域2150と、をさらに含む。
【0231】
要約すると、本出願の実施形態において提供される方法によれば、構造特徴量の識別に基づいて岩石タイプが砕屑岩であることを決定した後、機械学習に基づく画像分割および画像識別、ならびにスペクトルデータの取得に基づく画像特定結果の検証を通じて、最終的な特定結果が生成される。スペクトルデータにおける成分領域を特徴付ける化学的特徴が、画像における成分領域を特徴付ける画像特徴と組み合わせられて、砕屑岩薄片が特定される。その結果、砕屑岩薄片特定の効率および精度が向上する。
【0232】
上記の実施形態で説明したように、図20は、砕屑岩の幾何学特徴量、鉱物特徴量および構造特徴量が決定され、これらに基づいて、砕屑岩薄片のサブ特定結果が決定され、次いで、砕屑岩薄片の最終的特定結果が最終的に得られる手順を示す。
【0233】
一実施形態では、火成岩薄片特定手順に関して、図22は、本出願の例示的な一実施形態によって提供される岩石特定方法の手順を概略的に示す。この手順は、以下の工程を含む。
【0234】
工程2201では、火成岩薄片サンプルの画像が取得される。
【0235】
図23は、本出願の例示的な一実施形態によって提供される火成岩薄片を概略的に示す。火成岩薄片2300は、少なくとも1つのかんらん石成分領域2301、普通輝石成分領域2302、塩基性斜長石成分領域2303、紫蘇輝石成分領域2304および磁鉄鉱成分領域2305を含む。
【0236】
本出願の当該実施形態では、図20に示す実施形態と同様に、火成岩薄片画像には、火成岩薄片サンプルに対応する単偏光画像と直交偏光画像とが含まれる。
【0237】
工程2202では、火成岩薄片画像に対応する事前選択岩石タイプが決定される。
【0238】
本出願の当該実施形態では、火成岩薄片画像に基づいて、岩石が火成岩であることが決定される。これによって、その幾何学特徴量および鉱物特徴量は、火成岩に対応するものである。
【0239】
本出願の別の実施形態では、モデル識別を通じて、岩石薄片画像が火成岩薄片画像であることを決定した後、火成岩構造の細分構造が斑れい岩組織(gabbro texture)であることをさらに決定できる。すなわち、事前選択岩石タイプの決定後に、細分岩石タイプが直接的に決定されてもよい。したがって、幾何学特徴量および鉱物特徴量は、斑れい岩組織を有する火成岩に対応する特徴量である。
【0240】
工程2203では、火成岩薄片サンプルの画像が火成岩分割モデルに入力され、火成岩薄片の分割画像が得られる。
【0241】
すなわち、この手順では、火成岩薄片画像が分割され、分割結果が得られる。
【0242】
工程2204では、分割された火成岩薄片画像に従って成分領域が抽出され、成分タイプ識別モデルを通じて成分タイプ特徴量が得られる。
【0243】
すなわち、この手順では、分割結果に基づいて成分領域が抽出され、その成分領域に対応する鉱物成分がさらに識別される。
【0244】
工程2205では、分割された火成岩薄片画像における対応する成分領域が選択されてクリーン領域が得られ、表面スキャン領域が決定される。
【0245】
本出願の実施形態では、スキャンデータを取得することによって、各成分領域に対応する鉱物成分を検証することが必要である。そのため、工程2205では、クリーン領域を選択することを通じて、表面スキャン領域が決定される。
【0246】
工程2206では、表面スキャン座標が計算され、最適経路が計画されて、スキャン命令が生成される。
【0247】
すなわち、この手順では、表面スキャン領域が互いに隣り合っていない場合に、最適経路が計画されて、鉱物データ取得デバイスに送信されるスキャン命令が生成される。
【0248】
工程2207で、スキャン命令によって鉱物データ取得デバイスが制御され、スキャンデータが取得される。
【0249】
この手順では、コンピュータデバイスが鉱物データ取得デバイスを制御して、スキャンデータを収集する。
【0250】
工程2208では、スキャンデータに基づいて、鉱物情報が生成される。
【0251】
すなわち、この手順では、鉱物データ取得デバイスから、スキャンデータ、すなわちスペクトルデータが受信され、次いで、当該スペクトルデータに基づいて、成分領域に対応する鉱物タイプが決定される。
【0252】
工程2209では、鉱物情報が分類識別結果と比較され、各成分の最終結果が得られる。
【0253】
すなわち、この手順では、各成分領域に対応する最終的な鉱物タイプが、検証を通じて決定される。
【0254】
工程2210では、火成岩薄片に含まれる鉱物タイプが決定される。
【0255】
本出願の実施形態では、各成分領域に対応する鉱物タイプを決定することによって、火成岩薄片に含まれる鉱物タイプを決定することができる。一実施形態では、火成岩薄片は、斜長石、普通輝石、紫蘇輝石、かんらん石、黒雲母、磁鉄鉱および燐灰石等の鉱物タイプを含む。
【0256】
工程2211では、含まれる鉱物タイプに基づいて、火成岩薄片に対応する細分岩石タイプが決定される。
【0257】
工程2210で得られる鉱物タイプに基づいて、火成岩薄片に対応する細分岩石タイプが斜長石であることを決定できる。サブグループは、塩基性斜長石に属する曹灰長石である。
【0258】
なお、本出願の実施形態では、火成岩に対応する少なくとも2つの細分構造特徴量が存在することに留意されたい。一実施形態では、具体的な岩石タイプを示す構造特徴量に加えて、火成岩に対応する細分構造特徴量は、反応縁組織(reaction rim texture)特徴量をさらに含む。これは、火成岩に含まれる反応縁のタイプを示す。
【0259】
工程2212では、細分岩石タイプに基づいて、火成岩薄片に対応する薄片サブ特定結果が決定される。
【0260】
本出願の一実施形態では、細分岩石タイプに基づいて、薄片サブ特定結果が粒径識別結果、粒径形状結果、鉱物自形度結果、粒子相互関係結果および鉱物含量結果を含むことが決定される。火成岩薄片の画像が示す鉱物特徴量に基づけば、斜長石が52.4%を占め、普通輝石が34.9%を占め、紫蘇輝石が3.2%を占め、かんらん石が7.6%を占め、黒雲母が1.6%を占め、磁鉄鉱が0.4%を占め、燐灰石が0.1%を占めていた。
【0261】
かんらん石および普通輝石に対応する粒子、ならびに、普通輝石および黒雲母に対応する粒子間の相互関係に基づいて、コンピュータデバイスは、かんらん石の外縁が反応縁組織を有する紫蘇輝石縁を有することを決定できる。これは、火成岩が塩基性貫入岩または超塩基性貫入岩であることを示す。
【0262】
また、成分領域の粒径分析によれば、斜長石の粒径は(1.6-2.1)×(1.8-3.5)mm、普通輝石の粒径は1.2-2.2mm、紫蘇輝石の粒径は1.1-1.7mm、かんらん石の粒径は0.4-2.5mm、黒雲母の粒径は1.2-2.2mm、磁鉄鉱の粒径は0.05-0.2mm、燐灰石の粒径は0.05-0.1mmである。統計データ、および粒径と形状との間の対応関係の決定に従って、コンピュータデバイスは、斜長石が粒状および短板状であり、普通輝石が不規則な粒状および短柱状であり、紫蘇輝石が粒状であり、かんらん石が粒状であり、黒雲母が板片状であり、磁鉄鉱が粒状であり、燐灰石が短柱状であることを決定できる。自形度と関連付けた分析の後に、斜長石が半自形-他形であり、普通輝石が他形-半自形であり、紫蘇輝石が他形であり、かんらん石が他形であり、黒雲母が自形-半自形であり、磁鉄鉱が自形であり、燐灰石が半自形-自形であることを決定できる。
【0263】
なお、火成岩薄片のサブ特定結果を決定および生成する手順は、構造特徴量に関する検証手順とみなすことができることに留意されたい。上述した実施形態では、かんらん石と普通輝石との間の相互関係、または普通輝石と黒雲母との間の相互関係を計算することによって、コンピュータデバイスは、火成岩薄片が反応縁組織を有し、火成岩薄片に対応する薄片サブ特定結果が反応縁を示す反応縁組織を含むことを決定できる。細分岩石タイプを決定する先立つ工程において、岩石薄片が反応縁組織を含み得ることはすでに決定されており、この工程で反応縁組織を決定する手順は、細分岩石タイプに関する検証手順である。
【0264】
工程2213では、薄片サブ特定結果に基づいて、薄片名称および薄片特定報告が決定される。
【0265】
上記の複数の実施形態において説明したように、薄片サブ特定結果に基づいて薄片名称および薄片特定報告を決定する手順において、火成岩の命名に関する以下の要素を抽出することができる。
【0266】
要素1:火成岩薄片の画像において、斜長石に対応する成分領域は、斜長石が中程度の粒径を有することを示す。
【0267】
要素2:火成岩薄片の画像において、鉱物特徴量は、主要鉱物に斜長石および普通輝石が含まれることを示す。
【0268】
要素3:主要鉱物が斜長石および普通輝石である場合、斜長石と普通輝石とはともに、幾何学特徴量に基づいて、粒状であることが決定される。
【0269】
要素4:主要鉱物が斜長石および普通輝石である場合、幾何学特徴量に基づいて、斜長石と普通輝石とが類似の自形度(すなわち、半自形-他形)を有することが決定される。
【0270】
上記の要素に基づいて、この火成岩薄片がかんらん石斑れい岩(olivine gabbro)と命名され得ることが決定できる。
【0271】
本出願の実施形態では、コンピュータデバイスによって火成岩薄片の名称がかんらん石斑れい岩であり得ると決定した後に、以下の実施形態における方法を通じてそれを検証することができる。なお、以下の検証は、コンピュータデバイスに記憶された関連する国家標準データおよび工業標準データのガイダンスの下で実施されることに留意されたい。
【0272】
例示的な方法を以下に示す。鉱物特徴量と幾何学特徴量との組み合わせに基づいて、含量が成分領域の面積によって示される。Qは、石英、鱗珪石および方珪石の含量の合計と定められ、Aは、アルカリ長石(すなわち、正長石、微斜長石、パーサイト、曹微斜長石、玻璃長石およびソーダ長石の集合)の含量と定められ、Pは、斜長石と柱石の含量の合計と定められ、Fは、準長石類と準長石(すなわち、霞石、白榴石、カリウム黄銅鉱、擬白榴石、方ソーダ石、ユウ方石、藍銅鉱、カルシウム黄銅鉱および沸石の集合)の含量の合計と定められ、Mは、マグネシウム鉄鉱物および関連鉱物の含量の合計と定められる。火成岩では、Qグループにおける鉱物とFグループにおける鉱物とは互いに排他的であり、または、Qグループにおける鉱物が存在すれば、Fグループにおける鉱物は存在せず、その逆もまた成り立つ。火成岩が超塩基性貫入岩または塩基性貫入岩であり、かつ、Q=0、A=0、P=52.4、F=0、M=47.6である場合、図24によれば、貫入岩分類相図2400において、Pの相対的含量が100%であることにより、火成岩薄片に対応する分類領域が分類領域2401であることを決定できる。この分類領域2401は、火成岩薄片に対応する岩石名称に、閃緑岩、斑れい岩および斜長石のうちの少なくとも1つが含まれ得ることを示す。この場合、火成岩薄片のタイプが斑れい岩であることを検証することができる。
【0273】
任意選択的に、本出願の別の実施形態において、検証方法は、細分構造特徴量が示す輝石構造(pyroxene structure)に基づいて検証する工程も含む。これについては、本明細書ではこれ以上説明しない。
【0274】
この場合、鉱物特徴量は、かんらん石が火成岩薄片の7.6%を占めており、5%を超えることを示しているから、かんらん石の特徴量が命名に反映される必要がある。対応して、火成岩薄片の命名が「かんらん石斑れい岩」と最終的に決定されたことを検証できる。
【0275】
なお、上記の命名は、コンピュータデバイスに記憶された工業標準および国家標準、すなわち、工業標準CN SY/T 5368-2016「岩石薄片特定」、およびCN国家標準GB/T 17412.1-1998「岩石の分類および命名方式-火成岩の分類および命名方式」に基づくものであることに留意されたい。任意選択的に、本出願の実施形態は、火成岩薄片に対応する薄片特定報告をさらに提供する。
【0276】
要約すると、本出願の実施形態で提供される方法によれば、岩石薄片サンプルが火成岩である場合について、構造特徴量の識別に基づいて岩石タイプが火成岩と決定された後、機械学習に基づく画像分割および画像識別、ならびにスペクトルデータに基づいて得られる画像特定結果の検証を通じて、最終的な特定結果が生成される。また、スペクトルデータにおいて特徴付けられた成分領域の化学的特徴を、画像において特徴付けられた成分領域の画像特徴と組み合わせて、火成岩の細分タイプが決定され、火成岩薄片によって特徴付けられる構造特徴量と成分特徴量とがさらに特定される。このようにして、砕屑岩薄片の特定の効率と精度との両方が向上する。
【0277】
上記の複数の実施形態で説明したように、図22は、火成岩識別のための方法の一実施形態を示す。ここで、火成岩薄片のサブ特定結果は、幾何学特徴量、鉱物特徴量および構造特徴量に基づいて得られ、最終的な特定結果を得ることができる。
【0278】
図25は、本出願の例示的な一実施形態によって提供される岩石特定デバイスの構造を示すブロック図である。当該デバイスは、
画像取得デバイスによって送信された岩石薄片画像を受信するための受信モジュール2501、ここで、岩石薄片は、岩石サンプルをカットすることによって得られる薄片であり、岩石薄片画像は、岩石薄片を撮影することによって得られる画像であって、少なくとも1つの成分領域を含む;ならびに、
岩石薄片画像に基づいて、岩石薄片に対応する幾何学特徴量、鉱物特徴量および構造特徴量を生成するための生成モジュール2502、ここで、幾何学特徴量は、岩石薄片における成分領域の区分を示すために用いられ、鉱物特徴量は、岩石薄片における鉱物の分布を示すために用いられ、構造特徴量は、岩石サンプルの空間的構造を示すために用いられる
を備える。
【0279】
幾何学特徴量、鉱物特徴量および構造特徴量に基づいて、岩石薄片の特定結果が生成される。当該特定結果は、岩石サンプル特徴量のテキスト記述を含む。
【0280】
任意選択的な一実施形態では、構造特徴量は、岩石サンプルに対応する事前選択岩石タイプを示すための、事前選択岩石タイプの構造特徴量を含む。事前選択岩石タイプには、堆積岩タイプ、火成岩タイプおよび変成岩タイプが含まれる。
【0281】
生成モジュール2502は、岩石薄片画像に基づいて事前選択岩石タイプ構造特徴量を生成するために、さらに使用される。
【0282】
図26を参照すると、当該デバイスは、事前選択岩石タイプ構造特徴量に基づいて岩石薄片に対応する事前選択岩石タイプを決定するための決定モジュール2503をさらに含む。
【0283】
生成モジュール2502は、事前選択岩石タイプに従って、岩石薄片画像に基づいて、幾何学特徴量を生成し、事前選択岩石タイプに従って、岩石薄片画像に基づいて、鉱物特徴量を生成するために、さらに使用される。
【0284】
任意選択的な一実施形態では、構造特徴量は、岩石サンプルに対応する細分岩石タイプを示すための細分岩石タイプ構造特徴量をさらに含む。
【0285】
決定モジュール2503は、幾何学特徴量および鉱物特徴量に基づいて、細分岩石タイプ構造特徴量を決定するために、さらに使用される。
【0286】
任意選択的な一実施形態では、岩石薄片画像は、成分領域を特徴付ける少なくとも2つの成分画像を含み、当該デバイスは、複数の成分画像の位置に基づいて岩石薄片画像を区分して、岩石薄片分割画像を得るための区分モジュール2504を、さらに含む。ここで、当該岩石薄片分割画像は、少なくとも2つの分割領域を含み、少なくとも2つの当該分割領域は、成分領域に基づく岩石薄片画像の分割を示すために用いられる。
【0287】
決定モジュール2503は、複数の分割領域に基づいて、岩石薄片に対応する幾何学特徴量を決定し、複数の分割領域に基づいて、岩石薄片に対応する鉱物特徴量を決定するために、さらに使用される。
【0288】
任意選択的な一実施形態では、デバイスは、岩石薄片画像を岩石薄片画像分割モデルに入力するための入力モジュール2505を、さらに含む。当該岩石薄片画像分割モデルは、岩石薄片分割画像を出力する。ここで、当該岩石薄片画像分割モデルは、機械学習に基づくMask-RCNNネットワークモデルである。
【0289】
任意選択的な一実施形態では、決定モジュール2503は、各分割領域に基づいて、各成分画像を決定するために、さらに使用される。ここで、各成分画像は、1つの成分領域を含む。
【0290】
入力モジュール2505は、成分画像を成分タイプ識別モデルに入力するために、さらに使用される。当該成分タイプ識別モデルは、成分領域の鉱物特徴量を特徴付ける成分画像の成分タイプ特徴量を出力する。ここで、当該成分タイプ識別モデルは、機械学習に基づくニューラルネットワークモデルである。
【0291】
決定モジュール2503は、成分画像に対応する成分タイプ特徴量に基づいて、岩石薄片に対応する鉱物特徴量を決定するために、さらに使用される。
【0292】
任意選択的な一実施形態では、岩石特定システムは、コンピュータデバイスに接続された鉱物データ取得デバイスをさらに含む。
【0293】
入力モジュール2505は、岩石薄片分割画像を分類識別モデルに入力するために、さらに使用される。当該分類識別モデルは、単結晶成分集合画像および非単結晶成分集合画像を出力する。前記単結晶成分集合画像は、少なくとも1つの単結晶成分領域とそれに対応する単結晶成分識別結果とを含み、前記非単結晶成分領域は、少なくとも1つの非単結晶成分領域とそれに対応する非単結晶成分識別結果とを含み、前記分類識別モデルは、ディープラーニングに基づくニューラルネットワークモデルである。
【0294】
当該デバイスは、単結晶成分集合画像に基づいて鉱物データ取得デバイスにスキャン命令を送信するための送信モジュール2506をさらに含む。受信モジュール2501は、スキャン命令に基づいて鉱物データ取得デバイスによってフィードバックされたスキャンデータを受信するために、さらに使用される。
【0295】
当該デバイスは、スキャンデータに基づいて単結晶成分識別結果を検証して、検証結果を得るための検証モジュール2507をさらに含む。決定モジュール2503は、非単結晶成分識別結果、単結晶成分識別結果、および検証結果に基づいて、岩石薄片に対応する鉱物特徴量を決定するために、さらに使用される。
【0296】
任意選択的な一実施形態では、入力モジュール2505は、単結晶成分集合画像を領域選択モデルに入力するために、さらに使用される。当該領域選択モデルは、表面スキャンデータを生成するために使用される単結晶成分集合画像の部分を示すための領域選択結果を出力する。生成モジュール2502は、当該領域選択結果に基づいて、スキャン命令を生成するために、さらに使用され、送信モジュール2506は、当該スキャン命令を鉱物データ取得デバイスに送信するために、さらに使用される。
【0297】
任意選択的な一実施形態では、決定モジュール2503は、スキャンデータに基づいてスキャン識別結果を決定するために、さらに使用される。
【0298】
単結晶成分識別結果とスキャン識別結果とが同じであることに応答して、検証が合格であることを検証結果が示すことが決定され、単結晶成分識別結果が変更されないことが決定される。
【0299】
単結晶成分識別結果と表面スキャン識別結果とが異なることに応答して、検証が不合格であることを検証結果が示すことが決定され、識別結果生成規則に基づいて、単結晶成分識別結果が決定される。ここで、当該識別結果生成規則は、鉱物データ取得デバイスの種類に基づく規則を含む。
【0300】
任意選択的な一実施形態では、決定モジュール2503は、各分割領域に基づいて、各成分画像を決定するために、さらに使用される。ここで、各成分画像は、1つの成分領域を含む。送信モジュール2506は、成分画像に基づいて、鉱物データ取得デバイスにスペクトルデータ取得命令を送信するために、さらに使用される。受信モジュール2501は、スペクトルデータ取得命令に基づいて鉱物データ取得デバイスによって送信されたスペクトルデータを受信するためにさらに使用される。決定モジュール2503は、スペクトルデータに基づいて、鉱物スペクトルデータデータベースにおいて成分領域に対応する事前選択鉱物タイプを決定する工程と、事前選択鉱物タイプに対応する鉱物タイプ検証規則を決定する工程と、鉱物タイプ検証規則および事前選択鉱物タイプに基づいて、成分領域に対応する鉱物タイプを決定する工程と、成分画像に対応する鉱物タイプに基づいて、岩石薄片に対応する鉱物特徴量を決定する工程とのために、さらに使用される。
【0301】
任意選択的な一実施形態では、鉱物スペクトルデータデータベースは、鉱物タイプサブデータベースを含む。決定モジュール2503は、スペクトルデータに基づいて、鉱物スペクトルデータデータベースにおいて成分領域に対応する事前選択鉱物タイプの第1レベルカテゴリを決定する工程、ここで、鉱物がどの程度一般的であるかに基づいて定められる、鉱物タイプの第1レベルカテゴリは、一般鉱物カテゴリと非一般鉱物カテゴリとを含み、一般鉱物カテゴリに対応する事前選択鉱物タイプは、鉱物グループタイプおよび一般鉱物タイプを含み、非一般鉱物カテゴリに対応する事前選択鉱物タイプは、包有物鉱物タイプ、高感度鉱物タイプおよび変質鉱物タイプを含む;および、鉱物タイプの第1レベルカテゴリに対応する鉱物タイプサブデータベースに基づいて、成分領域に対応する事前選択鉱物タイプを決定する工程
のために、さらに使用される。
【0302】
任意選択的な一実施形態では、鉱物タイプ検証規則は、分類検証規則、直接検証規則および選択点再検証規則を含む。決定モジュール2503は、
事前選択鉱物タイプが鉱物グループタイプであることに応答して、鉱物タイプ検証規則が分類検証規則であることを決定し、
事前選択鉱物タイプが包有物鉱物タイプ、高感度鉱物タイプまたは変質鉱物タイプであることに応答して、鉱物タイプ検証規則が選択点再検証規則であることを決定し、
事前選択鉱物タイプが一般鉱物タイプであることに応答して、または、事前選択鉱物タイプに対応する第1レベルカテゴリが非一般鉱物カテゴリであり、かつ、事前選択鉱物タイプが包有物鉱物タイプ、高感度鉱物タイプおよび変質鉱物タイプのいずれでもないことに応答して、鉱物タイプ検証規則が直接検証規則であることを決定する
ために、さらに使用される。
【0303】
任意選択的な一実施形態では、岩石薄片画像は、複数の成分領域を特徴付ける少なくとも2つの成分画像を含む。入力モジュール2505は、岩石薄片画像分割識別モデルに岩石薄片画像を入力するためにさらに使用され、当該岩石薄片画像分割識別モデルは、岩石薄片画像に対応する少なくとも2つの分割領域と、複数の当該分割領域に対応する成分タイプ特徴量と、を出力する。ここで、複数の当該分割領域は、複数の当該成分領域に基づく岩石薄片画像の分割を示すために用いられ、複数の当該成分タイプ特徴量は、複数の当該分割領域における複数の当該成分領域の鉱物特徴量を特徴付けるために使用され、岩石薄片画像分割識別モデルは、機械学習に基づくニューラルネットワークモデルである。決定モジュール2503は、複数の当該分割領域と当該成分タイプ特徴量とを組み合わせて、岩石薄片に対応する幾何学特徴量および鉱物特徴量を決定するために、さらに使用される。
【0304】
任意選択的な一実施形態では、入力モジュール2505は、岩石薄片画像を事前選択岩石タイプ選択モデルに入力するためにさらに使用され、当該事前選択岩石タイプ選択モデルは、岩石薄片に対応する事前選択岩石タイプの構造特徴量を示す、事前選択岩石タイプ結果を出力する。事前選択岩石タイプ選択モデルは、事前選択岩石タイプの複数のサンプル画像のセットに基づいて構成されたモデルである。
【0305】
任意選択的な一実施形態では、特定結果は、細分岩石タイプを含む。入力モジュール2505は、幾何学特徴量および鉱物特徴量を細分岩石タイプ選択モデルに入力するためにさらに使用され、当該細分岩石タイプ選択モデルは、岩石薄片に対応する細分岩石構造特徴量を示す細分岩石タイプ結果を出力する。細分岩石タイプ選択モデルは、幾何学-鉱物特徴量相互サンプルセットに基づいて構成されたモデルである。当該幾何学-鉱物特徴量相互サンプルセットは、幾何学特徴量と鉱物特徴量との組み合わせと、細分岩石タイプの構造特徴量との間の対応関係を示す。
【0306】
任意選択的な一実施形態では、特定結果は、岩石薄片サブ特定結果および岩石薄片名称のうちの少なくとも一方を含む。決定モジュール2503は、事前選択岩石タイプ特徴量および細分岩石タイプ特徴量に基づいて、特定結果に対応する少なくとも1つの岩石薄片サブ特定結果のタイプを決定するために、さらに使用される。岩石薄片特定結果は、粒径区間識別結果、最大粒径識別結果、粒子分別性結果、粒子円磨度識別結果、鉱物自形度結果、および粒子接触モード識別結果のうちの少なくとも1つを含む。生成モジュール2502は、幾何学特徴量および鉱物特徴量に基づいて、岩石薄片サブ特定結果を生成するためにさらに使用され、決定モジュール2503は、岩石薄片特定結果に基づいて、岩石薄片名称を決定するためにさらに使用される。
【0307】
要約すると、本出願の実施形態によって提供されるデバイスは、岩石薄片画像を得た後、岩石薄片画像の幾何学特徴量、鉱物特徴量および構造特徴量に基づく三次元的な特徴抽出を行い、多次元的な特徴量を統合することにより、微視的組成および巨視的性能の観点から岩石の性質を決定し、最終的に、テキスト記述を含む特定結果を生成する。岩石特定の手順としては、岩石薄片に対応する微視的な可視化画像を得た後、その画像を多次元特徴抽出に供する。そして、多次元特徴量を参照して岩石薄片が特定され、これにより、岩石特定の精度が向上する。
【0308】
なお、上記の複数の実施形態によって提供される岩石特定デバイスは、上記の機能モジュールによって、例として個々に示されているに過ぎないことに留意されたい。実際には、上記の機能は、必要に応じて異なる機能モジュールによって満たされるように割り当てられてもよく、すなわち、デバイスの内部構造は、上記の機能の全部または一部が満たされるように、異なる機能モジュールに分けられてもよい。
【0309】
図27は、本出願の例示的な一実施形態によって提供される岩石特定方法を実行するためのコンピュータデバイスの構造を概略的に示す。コンピュータデバイスは、以下のコンポーネントを含む。
【0310】
プロセッサ2701は、1または複数の処理コアを含み、ソフトウェアプログラムおよびモジュールを実行することによって、様々な機能アプリケーションおよびデータ処理を実行する。
【0311】
受信器2702および送信器2703は、1つの通信コンポーネントとして実現されてもよく、通信チップであってもよい。任意選択的に、当該通信コンポーネントは、信号伝送を含む機能を有していてもよい。すなわち、送信器2703は、画像取得デバイスおよびスキャンデバイスに制御信号を送信するために使用されてもよく、受信器2702は、対応するフィードバック命令を受信するために使用されてもよい。
【0312】
メモリ2704は、バス2705を介して、プロセッサ2701に接続されている。
【0313】
メモリ2704は、少なくとも1つの命令を記憶するために使用されてもよく、プロセッサ2701は、上記の複数の方法実施形態における各工程を実現(実施)する少なくとも1つの命令を実行するために使用されてもよい。
【0314】
本出願の実施形態は、プロセッサによってロードおよび実行されて上記の岩石特定方法を実施する、少なくとも1つの命令、プログラムの少なくとも1つのセグメント、1つのコードセットまたは1つの命令セットが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体を、さらに提供する。
【0315】
また、本出願は、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されたコンピュータ命令を含むコンピュータプログラムまたはコンピュータプログラムプロダクトを提供する。コンピュータデバイスのプロセッサは、上記の複数の実施形態において説明された岩石特定方法のいずれか1つをコンピュータデバイスが実行するように、コンピュータ可読記憶媒体からのコンピュータ命令を読み取り、当該コンピュータ命令を実行する。
【0316】
任意選択的に、コンピュータ可読記憶媒体には、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ソリッドステートドライブ(SSD)、またはCD等が含まれてもよい。このうち、ランダムアクセスメモリには、抵抗変化型メモリ(ReRAM)およびダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)が含まれてもよい。本出願の上記の複数の実施形態の通し番号は、単に説明を目的とするものであり、実施形態の長所または短所を表すものではない。
【0317】
当業者であれば、上記の複数の実施形態を実現するための工程の全部または一部が、ハードウェアによって履行され得、または関連するハードウェアに命令を与えるプログラムによって履行され得ることを理解し得る。プログラムは、読み取り専用メモリ、ディスクまたはCD等であり得るコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。
【0318】
以上の説明は、本発明の任意選択的な実施形態を単に例示するものであり、本発明を限定することを意図するものではない。本発明の精神および原理の範囲内における任意の修正形態、均等置換形態、改良形態等が本発明の保護範囲に含まれることが意図されている。
図1
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【国際調査報告】