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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】一酸化窒素ガスを投与する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/00 20060101AFI20240220BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 31/16 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 33/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
A61K33/00
A61P11/00
A61P25/06
A61P31/14
A61P31/16
A61P31/04
A61P31/10
A61P33/00
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548263
(86)(22)【出願日】2022-02-11
(85)【翻訳文提出日】2023-10-04
(86)【国際出願番号】 US2022016231
(87)【国際公開番号】W WO2022174116
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】63/148,523
(32)【優先日】2021-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/180,039
(32)【優先日】2021-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】316009027
【氏名又は名称】サーモライフ インターナショナル, エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】THERMOLIFE INTERNATIONAL,LLC
【住所又は居所原語表記】1220 E Hill St, Signal Hill, CA 90755 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】クレイマー, ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】ニコライディス, アレクサンドロス
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084MA02
4C084MA52
4C084MA57
4C084NA06
4C084NA14
4C084ZA08
4C084ZA59
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA04
4C086HA01
4C086HA04
4C086HA07
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA12
4C086MA52
4C086MA57
4C086NA06
4C086NA14
4C086ZA08
4C086ZA59
(57)【要約】
本開示は、特別な装置なしに投与可能で、二酸化窒素(NO)ガスをもたらさず、一酸化窒素(NO)ガスを生成する方法に関する。方法は、液体および気体成分を収容することが可能な容器において、酸性溶液中で硝酸アニオンおよび/または亜硝酸アニオン、ならびに単体金属を組み合わせることを含み、NOガスは、酸性溶液中での硝酸アニオンおよび/または亜硝酸アニオン、ならびに単体金属の反応によって生成される。方法は、吸入を介して対象に生成されたNOガスを投与することをさらに含む。NOガスの改善された送達のための組成物およびキットもまた、記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
NO吸入療法のためのNOガスを生成する方法であって、液体および気体成分を収容することが可能な容器において、酸性溶液中で硝酸アニオンの供給源および単体金属を組み合わせ、それによってNOガスを生成することを含む、方法。
【請求項2】
前記単体金属が、単体マグネシウム、単体カルシウム、単体リチウム、単体亜鉛、単体カリウム、単体ナトリウム、単体ベリリウム、単体バリウムおよび単体鉄からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記単体金属が単体マグネシウムである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記単体金属が単体亜鉛である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記硝酸アニオンの供給源が、硝酸塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記硝酸アニオンの供給源が、ニトレートの植物性供給源である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
有効量の前記硝酸アニオンの供給源および有効量の前記単体金属が、前記酸性溶液中で組み合わせられて、有効量のNOガスを生成し、
前記単体金属の有効量が、1mg~2000mgの間であり、
前記有効量の前記硝酸アニオンの供給源が、30mg~4000mgの間の硝酸アニオンをもたらす、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
有効量の前記硝酸アニオンの供給源および有効量の前記単体金属が、10:1~1:10の比で、前記酸溶液中で組み合わせられて、有効量のNOガスを生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
有効量の前記硝酸アニオンの供給源および有効量の前記単体金属が、前記酸溶液中で組み合わせられて、少なくとも5ppmのNOガスおよび1000ppmのHガスを生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記酸性溶液のpHが、0.1~6.9の間である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記酸性溶液のpHが、2~4の間である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
酸粉末を溶媒に溶解して、前記酸性溶液を生成することをさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記酸粉末が、クエン酸、リンゴ酸またはフマル酸である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記溶媒が水である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記酸粉末が、1ml~10000mlの間の水に溶解される、請求項15に記載の方法。
【請求項16】
前記酸性溶液中で前記硝酸アニオンの供給源および前記単体金属を組み合わせることによって生成された前記気体成分が、安全でないレベルのNOガスを含まない、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記酸性溶液中で前記硝酸アニオンの供給源および前記単体金属を組み合わせることによって生成されたNOガスのレベルが、2ppmを超えない、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記酸性溶液中で前記硝酸アニオンの供給源および前記単体金属を組み合わせることによって生成されたNOガスのレベルが、5ppmを超えない、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記酸性溶液中で前記硝酸アニオンの供給源および前記単体金属を組み合わせることによって生成されたNOガスのレベルが、10ppmを超えない、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記酸性溶液中で前記硝酸アニオンの供給源および前記単体金属を組み合わせることによって生成された前記気体成分が、NOガスをまったく含まない、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記酸性溶液中で前記硝酸アニオンの供給源および前記単体金属を組み合わせることによって生成された前記気体成分が、ニトロキシルガスをさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
NO吸入療法のためにNOガスを安全に生成する方法であって、液体および気体成分を収容することが可能な容器において、酸性溶液中で亜硝酸アニオンの供給源および単体金属を組み合わせ、それによってNOガスを生成することを含む、方法。
【請求項23】
前記単体金属が、単体マグネシウム、単体カルシウム、単体リチウム、単体亜鉛、単体カリウム、単体ナトリウム、単体ベリリウム、単体バリウムおよび単体鉄からなる群より選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記単体金属が単体マグネシウムである、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記単体金属が単体亜鉛である、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記亜硝酸アニオンの供給源が、亜硝酸塩である、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記亜硝酸アニオンの供給源が、ニトライトの植物性供給源である、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
有効量の前記亜硝酸アニオンの供給源および有効量の前記単体金属が、前記酸性溶液中で組み合わせられて、有効量のNOガスを生成し、前記単体金属の有効量が、1mg~2000mgの間であり、前記有効量の前記亜硝酸アニオンの供給源は、1mg~1000mgの亜硝酸アニオンをもたらす、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
有効量の前記亜硝酸アニオンの供給源および有効量の前記単体金属が、10:1~1:10の比で、前記酸溶液中で組み合わせられて、有効量のNOガスを生成する、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
有効量の前記亜硝酸アニオンの供給源および有効量の前記単体金属が、前記酸溶液中で組み合わせられて、少なくとも5ppmのNOガスおよび1000ppmのHガスを生成する、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
前記酸性溶液のpHが、0.1~6.9の間である、請求項22~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記酸性溶液のpHが、2~4の間である、請求項22~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
酸粉末を溶媒に溶解して、前記酸性溶液を生成することをさらに含む、請求項22~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記酸粉末が、クエン酸、リンゴ酸またはフマル酸である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記溶媒が水である、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記水の体積が1ml~10000mlである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記酸性溶液中で前記硝酸アニオンの供給源および前記単体金属を組み合わせることによって生成された前記気体成分が、安全でないレベルのNOガスを含まない、請求項22~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記酸性溶液中で前記亜硝酸アニオンの供給源および前記単体金属を組み合わせることによって生成されたNOガスのレベルが、2ppmを超えない、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記酸性溶液中で前記亜硝酸アニオンの供給源および前記単体金属を組み合わせることによって生成されたNOガスのレベルが、5ppmを超えない、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記酸性溶液中で前記亜硝酸アニオンの供給源および前記単体金属を組み合わせることによって生成されたNOガスのレベルが、10ppmを超えない、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記酸性溶液中で前記亜硝酸アニオンの供給源および前記単体金属を組み合わせることによって生成された前記気体成分が、NOガスをまったく含まない、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
前記亜硝酸アニオンの供給源および前記単体金属を組み合わせることによって生成された前記気体成分が、ニトロキシルガスを含む、請求項22~30に記載の方法。
【請求項43】
液体および気体成分を収容することが可能な容器を介して対象に前記NOガスを投与することをさらに含む、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
液体および気体成分を収容することが可能な前記容器が水パイプである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
液体および気体成分を収容することが可能な前記容器を介して前記対象に前記NOガスを投与することが、前記対象が前記水パイプから吸入することを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記容器が、パイプを介して人工呼吸器に接続されている、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記対象が、呼吸困難を患っているか、片頭痛を患っているか、95未満の酸素飽和レベルを有するか、運動能力の改善を求めているか、持久力の増加を求めているか、またはメンタルパフォーマンスの改善を求めている、請求項44~46に記載の方法。
【請求項48】
吸入NOガスを治療的に投与する方法であって、対象に有効量の水素ガスをNOガスと共に同時投与することを含み、水素の前記有効量が、前記対象へのNOガスの投与の間のNOの形成を低減または防止するのに十分な量である、方法。
【請求項49】
水素ガスの前記有効量が、少なくとも1000ppmである、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
酸性化溶媒中で、単体金属をニトレートおよび/またはニトライトと混合し、それによって、NOガスおよび前記有効量の水素ガスを生成し、吸入を介して前記対象に投与することを含む、請求項48または49に記載の方法。
【請求項51】
対象に、低減された毒性を有する吸入一酸化窒素ガスを投与する方法であって、
対象に一酸化窒素ガスを投与すること、および
前記対象に水素ガスを投与すること
を含む、方法。
【請求項52】
前記対象が、ニトロキシルガスも投与される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記低減された毒性が、同じ濃度でのNOガスの単独投与によって起こると考えられる肺傷害の量と比較して低減された肺傷害として表れる、請求項51または52に記載の方法。
【請求項54】
前記低減された毒性が、メトヘモグロビン血症が発症しないこととして表れる、請求項51または52に記載の方法。
【請求項55】
前記対象の血中メトヘモグロビンレベルが2%を超えない、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
ニトライト;および
単体金属
を含む、組成物。
【請求項57】
前記ニトライトが亜硝酸塩である、請求項56に記載の組成物。
【請求項58】
前記亜硝酸塩が、亜硝酸ナトリウムまたは亜硝酸カリウムである、請求項57に記載の組成物。
【請求項59】
前記ニトライトが、ニトライト含有量について標準化されたニトライトの植物性供給源である、請求項56に記載の組成物。
【請求項60】
ニトライト含有量について標準化されたニトライトの前記植物性供給源が、発酵ビートルート粉末である、請求項59に記載の組成物。
【請求項61】
前記単体金属が、単体マグネシウム、単体カルシウム、単体リチウム、単体亜鉛、単体ナトリウム、単体カリウム、単体ベリリウム、単体ルビジウム、単体セシウム、単体アルミニウム、単体ガリウム、単体インジウム、単体スズ、単体ビスマス、単体スカンジウム、単体チタン、単体バナジウム、単体クロム、単体マンガン、単体コバルト、単体マンガン、単体スカンジウム、単体チタン、ニッケル、単体銅、単体亜鉛、単体イットリウム、単体ジルコニウム、単体ニオブ、単体モリブデン、単体テクニチウム、単体ルテニウム、単体ロジウム、単体パラジウム、単体銀、単体カドミウム、単体ランタン、単体ハフニウム、単体タンタル、単体タングステン、単体レニウム、単体オスミウム、単体イリジウム、単体白金、単体金、単体マンガンおよび単体鉄からなる群より選択される、請求項56に記載の組成物。
【請求項62】
カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、散剤、顆粒剤、ペレット、ビーズ、粒子、トローチ、ロゼンジ、口内錠、液剤、エリキシル、シロップ、チンキ、懸濁剤、エマルジョン、マウスウォッシュ、スプレー、ドロップ、軟膏、クリーム、ゲル、ペースト、経皮パッチ、坐薬、ペッサリー、クリーム、ゲル、ペースト、フォームおよびそれらの組合せの形態である、請求項56~61のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項63】
許容される添加剤および/または許容される担体をさらに含む、請求項56~61のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項64】
前記許容される添加剤が、可溶化剤、酵素阻害剤、抗凝血剤、消泡剤、酸化防止剤、着色剤、冷却剤、凍結保護物質、水素結合剤、矯味矯臭剤、可塑剤、保存剤、甘味料および増粘剤からなる群からの少なくとも1つのメンバーから選択され;
前記許容される担体が、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、希釈剤、増量剤、溶媒、懸濁化剤、溶解助剤、等張化剤、緩衝化剤、鎮静剤および両親媒性脂質送達系からなる群からの少なくとも1つのメンバーから選択される、
請求項63に記載の組成物。
【請求項65】
治療効果を生じるための有効量のニトライト、およびニトライトの毒性を防止または低減するための有効量の単体金属を含む、請求項56~61のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項66】
ニトライトの毒性が、メトヘモグロビン血症の発症として表れる、請求項65に記載の組成物。
【請求項67】
前記ニトライトの前記治療効果が、血圧を低下させること、または呼吸器疾患の症状を処置および/もしくは緩和することである、請求項65に記載の組成物。
【請求項68】
前記呼吸器疾患が、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、呼吸器多核体ウイルス、Streptococcus pneumoniae、Haemophilus influenzae b型、Pneumocystis jiroveci、真菌または原生動物による感染症である、請求項67に記載の組成物。
【請求項69】
前記ニトライトの有効量が1~1000mgであり、前記単体金属の有効量が1~10000mgである;または
前記ニトライトの有効量が5~200mgであり、前記単体金属の有効量が5~1000mgである;または
前記ニトライトの有効量が30~100mgであり、前記単体金属の有効量が10~400mgである、
請求項65に記載の組成物。
【請求項70】
経口投与に適した形態である、請求項63に記載の組成物。
【請求項71】
酸性化溶媒と接触したときに生成されるガスの吸入に適した形態である、請求項63に記載の組成物。
【請求項72】
前記ニトライトが、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、散剤、顆粒剤、ペレット、ビーズ、粒子、トローチまたは口内錠にパッケージ化され;
前記単体金属が、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、散剤、顆粒剤、ペレット、ビーズ、粒子、トローチまたは口内錠にパッケージ化されている、
請求項63に記載の組成物。
【請求項73】
酸をさらに含む、請求項56~61のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項74】
前記ニトライトが、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、散剤、顆粒剤、ペレット、ビーズ、粒子、トローチまたは口内錠にパッケージ化され;
前記単体金属が、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、散剤、顆粒剤、ペレット、ビーズ、粒子、トローチまたは口内錠にパッケージ化され、
前記酸が、前記ニトライトおよび前記単体金属とは別にパッケージ化されている、
請求項73に記載の組成物。
【請求項75】
前記ニトライト、前記単体金属および前記酸が、固体形態である、請求項73に記載の組成物。
【請求項76】
前記ニトライトおよび前記単体金属が、一緒にパッケージ化されている、請求項73に記載の組成物。
【請求項77】
前記ニトライトおよび前記単体金属が、カプセル剤、カシェ剤、丸剤または錠剤にパッケージ化されている、請求項76に記載の組成物。
【請求項78】
患者にNOガスを安全に投与するためのキットであって、
ニトライトまたはニトレート;
単体金属、ここで、前記ニトライトまたはニトレートおよび前記単体金属は、一緒にパッケージ化されている、単体金属;
酸;ならびに
前記ニトライトまたはニトレート、前記単体金属および前記酸を組み合わせて、NOガスを生成することなく、NOガスを生成するため、および患者に前記生成されたNOガスを投与するための指示
を含む、キット。
【請求項79】
液体および気体成分を収容することが可能な容器をさらに含む、請求項78に記載のキット。
【請求項80】
液体および気体成分を収容することが可能な前記容器が水パイプである、請求項79に記載のキット。
【請求項81】
前記ニトライトまたはニトレートが、亜硝酸塩または硝酸塩である、請求項78~80のいずれか一項に記載のキット。
【請求項82】
前記亜硝酸塩が、亜硝酸ナトリウムまたは亜硝酸カリウムである、請求項81に記載のキット。
【請求項83】
前記硝酸塩が、硝酸ナトリウムまたは硝酸カリウムである、請求項81に記載のキット。
【請求項84】
前記単体金属が、単体マグネシウム、単体カルシウム、単体リチウム、単体亜鉛、単体ナトリウム、単体カリウム、単体ベリリウム、単体ルビジウム、単体セシウム、単体アルミニウム、単体ガリウム、単体インジウム、単体スズ、単体ビスマス、単体スカンジウム、単体チタン、単体バナジウム、単体クロム、単体マンガン、単体コバルト、単体マンガン、単体スカンジウム、単体チタン、ニッケル、単体銅、単体亜鉛、単体イットリウム、単体ジルコニウム、単体ニオブ、単体モリブデン、単体テクニチウム、単体ルテニウム、単体ロジウム、単体パラジウム、単体銀、単体カドミウム、単体ランタン、単体ハフニウム、単体タンタル、単体タングステン、単体レニウム、単体オスミウム、単体イリジウム、単体白金、単体金、単体マンガンおよび単体鉄からなる群より選択される、請求項78~80のいずれか一項に記載のキット。
【請求項85】
一酸化窒素ガス;および
水素ガス
を含む、組成物。
【請求項86】
ニトロキシルガスをさらに含む、請求項85に記載の組成物。
【請求項87】
前記一酸化窒素ガスが少なくとも1ppmの濃度であり、前記水素ガスが0.55ppmより高い濃度である、請求項85または86に記載の組成物。
【請求項88】
前記水素ガスの濃度が1~10000ppmであり、前記一酸化窒素ガスの濃度が1~500ppmの間である、請求項85または86に記載の組成物。
【請求項89】
前記水素ガスの濃度が、液体の水の形成をもたらさない、請求項85または86に記載の組成物。
【請求項90】
吸入NO毒性を低減する方法であって、NOを、有効量の水素と共に吸入して、NO毒性を低減することを含む、方法。
【請求項91】
低減される前記NO毒性が、肺組織損傷である、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
防止される前記NO毒性が、NOに曝露された組織におけるニトロチロシンレベルの増加である、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
対象においてメトヘモグロビン血症を防止および/または処置する方法であって、吸入を介して前記対象に有効量の水素ガスを投与することを含む、方法。
【請求項94】
対象においてメトヘモグロビン血症を防止および/または処置する方法であって、前記対象に有効量の単体金属を経口投与することを含む、方法。
【請求項95】
前記対象に酸を経口投与することをさらに含み、前記単体金属が前記酸と共に摂取される、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記単体金属および前記酸が、胃内で水素ガスを生成するのに有効な量である、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記メトヘモグロビン血症が、吸入NO療法、ニトライトの投与、またはニトレートの投与によって引き起こされる、請求項93~96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記対象が、NO誘導毒性を示さない、請求項93~96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記対象が、低減したNO誘導毒性を示す、請求項93~96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記NO誘導毒性が、肺および/または気道炎症、肺機能低下、咳の悪化、喘鳴の悪化、喘息発作の増加または救急科受診および入院のより高い可能性である、請求項98または99に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年2月11日に出願された米国仮特許出願第63/148,523号、および2021年4月26日に出願された米国仮特許出願第63/180,039号への優先権を主張し、その各々の内容は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
吸入一酸化窒素(NO)は、小児および成人における肺高血圧を含む幅広い心肺の状態を処置するために使用される。吸入NOガスはまた、低酸素レベルおよび呼吸困難のCOVID-19患者のための病院における処置として提案されている。COVID-19患者における一酸化窒素の治療利益について多くの機序が提案されている(図1):吸入NOガスは、選択的肺血管拡張薬であることが公知である。NOは、急性および慢性肺高血圧を有する対象における右心機能を改善し、肺血管収縮を低減することができる。NOガスの呼吸は、軽度喘息対象における換気を改善し、気管支拡張をもたらすことが示されている。肺胞腔におけるNOガスは、換気肺ユニットへの血流を増加させることによって酸素化を改善する(すなわち、換気灌流マッチの改善)。in vitroおよびin vivoデータは、NOガスが抗炎症および抗血栓剤として作用しうることを示した。NOドナーおよびNOガスは、in vitro研究および初期臨床研究において抗菌および抗ウイルス特性を示した。
【0003】
しかしながら、吸入NOの広範な使用は、物流および経済的障壁によって制限される。現在、吸入NO療法には、特別な換気装置およびNOキャニスターを使用する必要があるため、費用がかかり、家庭での使用は現実的ではない。吸入一酸化窒素は、非常に費用のかかる治療である。NOの直接費は、用量に関わらず、1時間の使用当たり少なくとも$100である。平均的なCOVID-19患者は、80時間超の処置を必要とすることがあり、費用は数千ドルにも上る。したがって、COVID-19患者におけるNO療法の利益を示す研究が存在するにも関わらず、実際的な考慮事項により、これまでのところ、治療の広範な使用は妨げられ、ほぼ入院した重症患者に限られている。したがって、一酸化窒素を生成し、それを患者に投与する、より経済的かつ簡便な方法、とりわけ特別な機器を使用する必要のない方法への必要性が存在する。
【0004】
しかしながら、その治療利益にも関わらず、残念なことにNO療法には、毒性化学物質への潜在的に深刻な曝露が伴う。メトヘモグロビン血症もまた、一酸化窒素療法でよく起こる(Raut and Maheshwari, "Inhaled nitric oxide, methemoglobinemia, and route of delivery," Saudi J Anaesth. 2017, 11(3):364)。しかしながら、NOガス吸入に伴う課題、例えば、メトヘモグロビン血症および二酸化窒素の形成のため、新たな証拠は、NO吸入がCOVID-19患者における死亡率を改善しうるかという疑問を投げかける(Prakash et al., "Efficacy and safety of inhaled nitric oxide in the treatment of severe/critical COVID-19 patients: A systematic review." Indian Journal of Pharmacology, 2021, 53(3): 236-243)。COVID-19患者は疾患自体からメトヘモグロビン血症を発症することが報告されているため、これらの患者においてメトヘモグロビン血症は高い懸念事項である。(Naymagon et al., "The emergence of methemoglobinemia amidst the COVID-19 pandemic." Am J Hematol., 2020, 95(8):E196-E197)。
【0005】
NO療法の現在の方法はまた、NOガスへの患者の曝露が避けられず、NOガスは、主要な毒性大気汚染物質と考えられ、治療価値を有さない。NOは、酸素の存在下で急速にNOに酸化される(Glasson and Tuesday, "The Atmospheric Thermal Oxidation of Nitric Oxide, J. Am. Chem. Soc., 1963, 85(19): 2901-2904)。労働安全衛生局(OSHA)はNOの制限を、1就業日8時間、週に40時間の就業時間の間、仕事場の空気中25ppmに設定している一方、NOへの曝露の制限はわずか15分間、仕事場の空気中5ppmである。この理由は、大部分の生化学研究が、3160μg/m(2ppm)を超える二酸化窒素の急性または亜慢性曝露後にのみ明らかな毒性効果を示しているためである(Jarvis et al. "Nitrogen dioxide." In: WHO Guidelines for Indoor Air Quality: Selected Pollutants. Geneva: World Health Organization; 2010. 5)。NO療法におけるNOの形成を最小にするためには、ボトルに保存されたNOは酸素を含んではならず、これは、利用可能なNO療法に向けたハードルを増加させる。これらの予防策を用いてさえ、なおNO曝露は高すぎるため、NO療法を必要とする患者にとって懸念事項である。
Van Meursらは、重度の呼吸不全を有する未熟児における5~10ppmのNO用量レベルでの吸入NOの使用により、患者は、4名の乳児において少なくとも3ppmおよび2名の乳児において5ppmのNO濃度に曝露された一方、プラセボ群の乳児ではいずれもNO濃度が上昇しなかったと記述した(Van Murs et al., "Inhaled Nitric Oxide for Premature Infants with Severe Respiratory Failure," N Engl J Med, 2005; 353:13-22)。Petitらは、既存の圧縮ガス送達系による吸入NOの投与の結果、患者への送達前にNOがO2富化空気で希釈された場合、NOが生成することを見出した(Petit et al., "The Pathophysiological of Nitrogen Dioxide During Inhaled Nitric Oxide Therapy," ASAIO Journal, 2017, 63(1): 7-13)。Petitらはまた、患者によって吸入されたNOは、上皮内層流体(epithelial lining fluid)(ELF)内の保護酸化防止剤を酸化し、気道中の細胞外損傷を引き起こし、これは、場合により、浮腫、気管支収縮および1秒間の努力呼気量の低下につながると記述した。有害物質疾病登録局によると、低濃度のNOガスへの曝露は、初期に軽度の息切れを引き起こしうるが、数時間~数日後、曝露された者は気管支痙攣および肺水腫を患いうる。より高濃度(>10ppm)のNOガスへの曝露は、対象において、咳、疲労、吐き気、窒息、頭痛、腹痛および呼吸困難を含んでもよい即時応答を誘発しうる。次いで、3~30時間の無症状期間の後、不安、精神錯乱、嗜眠および意識喪失を伴う肺水腫の発病が続きうる。より高濃度のNOへの曝露を生存した場合、数週間後に閉塞性細気管支炎のエピソードが続きうる。非常に高濃度(>50ppm)の吸入は、熱傷、痙攣、喉組織の腫れ、上気道閉塞およびさらには死亡を急速に引き起こしうる。したがってまた、患者に一酸化窒素を投与するより安全な方法への必要性が存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Van Mursら、N Engl J Med(2005)353:13~22
【非特許文献2】Petitら、ASAIO Journal(2017)63(1):7~13
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
概要
本開示は、NO吸入療法のためのNOガスを生成することに関する組成物、キットおよび方法に関する。一態様では、NO吸入療法のためのNOガスを生成する方法は、液体および気体成分を収容することが可能な容器において、酸性溶液中で硝酸アニオンの供給源および単体金属を組み合わせ、それによってNOガスを生成することを含む。別の態様では、NO吸入療法のためのNOガスを安全に生成する方法は、液体および気体成分を収容することが可能な容器において、酸性溶液中で亜硝酸アニオンの供給源および単体金属を組み合わせ、それによってNOガスを生成することを含む。ある特定の実施では、方法は、液体および気体成分を収容することが可能な容器を介して対象にNOガスを投与することをさらに含み、例えば、液体および気体成分を収容することが可能な容器は、水パイプである。一部の態様では、液体および気体成分を収容することが可能な容器を介して対象にNOガスを投与することは、対象が水パイプから吸入することを含む。ある特定の実施では、水パイプは、人工呼吸器に接続される。NOガスを投与されている対象は、呼吸困難を患っているか、片頭痛を患っているか、95未満の酸素飽和レベルを有するか、運動能力の改善を求めているか、持久力の増加を求めているか、またはメンタルパフォーマンス(mental performance)の改善を求めている。
【0008】
単体金属は、単体マグネシウム、単体カルシウム、単体リチウム、単体亜鉛、単体カリウム、単体ナトリウム、単体ベリリウム、単体バリウムおよび単体鉄からなる群より選択される。ある特定の実施形態では、単体金属は、単体マグネシウムおよび/または単体亜鉛である。酸性溶液のpHは、0.1~6.9の間、例えば2~4の間である。ある特定の実施では、方法は、溶媒(例えば水)に酸粉末を溶解して、酸性溶液を生成することをさらに含む。一部の態様では、酸粉末は、クエン酸、リンゴ酸またはフマル酸である。特定の実施形態では、酸性溶液は、1ml~10000mlの水に酸粉末を溶解することで生成される。
【0009】
NO吸入療法のためのNOガスを生成する方法の一部の態様では、硝酸アニオンの供給源は、硝酸塩またはニトレート(nitrate)の植物性供給源である。そのような実施形態では、有効量の硝酸アニオンの供給源および有効量の単体金属が、酸性溶液中で組み合わせられて、有効量のNOガスを生成し、単体金属の有効量は、1mg~2000mgの間であり、有効量の硝酸アニオンの供給源は、30mg~4000mgの硝酸アニオンをもたらす。ある特定の実施では、有効量の硝酸アニオンの供給源および有効量の単体金属は、10:1~1:10の比で、酸溶液中で組み合わせられて、有効量のNOガスを生成する。一部の実施では、有効量の硝酸アニオンの供給源および有効量の単体金属は、酸溶液中で組み合わせられて、少なくとも5ppmのNOガスおよび1000ppmのHガスを生成する。一部の実施形態では、酸性溶液中で硝酸アニオンの供給源および単体金属を組み合わせることによって生成された気体成分は、ニトロキシルガスをさらに含む。
【0010】
NO吸入療法のためのNOガスを生成する方法の一部の態様では、亜硝酸アニオンの供給源は、亜硝酸塩またはニトライト(nitrite)の植物性供給源である。そのような実施形態では、有効量の亜硝酸アニオンの供給源および有効量の単体金属は、酸性溶液中で組み合わせられて、有効量のNOガスを生成し、単体金属の有効量は、1mg~2000mgの間であり、有効量の亜硝酸アニオンの供給源は、1mg~1000mgの亜硝酸アニオンをもたらす。ある特定の実施では、有効量の亜硝酸アニオンの供給源および有効量の単体金属は、10:1~1:10の比で、酸溶液中で組み合わせられて、有効量のNOガスを生成する。一部の実施では、有効量の硝酸アニオンの供給源および有効量の単体金属は、酸溶液中で組み合わせられて、少なくとも5ppmのNOガスおよび1000ppmのHガスを生成する。一部の実施形態では、酸性溶液中で硝酸アニオンの供給源および単体金属を組み合わせることによって生成された気体成分は、ニトロキシルガスをさらに含む。
【0011】
NO吸入療法のためのNOガスを生成する上記の方法では、安全でないレベルのNOガスは生成されない。例えば、酸性溶液中で亜硝酸アニオンの供給源および単体金属を組み合わせることによって生成されたNOガスのレベルは、10ppmを超えない、5ppmを超えない、または2ppmを超えない。一部の実施形態では、酸性溶液中で亜硝酸アニオンの供給源および単体金属を組み合わせることによって生成された気体成分は、NOガスをまったく含まない。
【0012】
本明細書に記載されるNO吸入療法のためのNOガスを生成することに関する組成物は、ニトライトおよび単体金属を含む。一部の態様では、組成物は酸を含む。組成物中の単体金属は、単体マグネシウム、単体カルシウム、単体リチウム、単体亜鉛、単体ナトリウム、単体カリウム、単体ベリリウム、単体ルビジウム、単体セシウム、単体アルミニウム、単体ガリウム、単体インジウム、単体スズ、単体ビスマス、単体スカンジウム、単体チタン、単体バナジウム、単体クロム、単体マンガン、単体コバルト、単体マンガン、単体スカンジウム、単体チタン、ニッケル、単体銅、単体亜鉛、単体イットリウム、単体ジルコニウム、単体ニオブ、単体モリブデン、単体テクニチウム、単体ルテニウム、単体ロジウム、単体パラジウム、単体銀、単体カドミウム、単体ランタン、単体ハフニウム、単体タンタル、単体タングステン、単体レニウム、単体オスミウム、単体イリジウム、単体白金、単体金、単体マンガンおよび単体鉄からなる群より選択される。一部の態様では、組成物中のニトライトは、亜硝酸塩、例えば、亜硝酸ナトリウムまたは亜硝酸カリウムである。他の態様では、組成物中のニトライトは、ニトライト含有量について標準化されたニトライトの植物性供給源、例えば、ビートルート粉末である。
【0013】
一部の態様では、組成物は、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、散剤、顆粒剤、ペレット、ビーズ、粒子、トローチ、ロゼンジ、口内錠(pastille)、液剤、エリキシル、シロップ、チンキ、懸濁剤、エマルジョン、マウスウォッシュ、スプレー、ドロップ、軟膏、クリーム、ゲル、ペースト、経皮パッチ、坐薬、ペッサリー、クリーム、ゲル、ペースト、フォームおよびそれらの組合せの形態である。組成物は、許容される添加剤および/または許容される担体をさらに含んでもよい。許容される添加剤は、可溶化剤、酵素阻害剤、抗凝血剤、消泡剤、酸化防止剤、着色剤、冷却剤、凍結保護物質、水素結合剤(hydrogen bonding agent)、矯味矯臭剤、可塑剤、保存剤、甘味料および増粘剤からなる群からの少なくとも1つのメンバーから選択されうる。許容される担体は、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、希釈剤、増量剤、溶媒、懸濁化剤、溶解助剤、等張化剤、緩衝化剤、鎮静剤(soothing agent)および両親媒性脂質送達系からなる群からの少なくとも1つのメンバーから選択されうる。一部の態様では、組成物は、経口投与に適した形態である。他の態様では、組成物は、酸性化溶媒と接触したときに生成されるガスの吸入に適した形態である。
【0014】
一部の態様では、組成物は、治療効果を生じるための有効量のニトライト、およびニトライトの毒性を防止または低減するための有効量の単体金属を含む。ニトライトの治療効果は、血圧を低下させること、または呼吸器疾患の症状を処置および/もしくは緩和することでありうる。呼吸器疾患は、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、呼吸器多核体ウイルス、Streptococcus pneumoniae、Haemophilus influenzae b型、Pneumocystis jiroveci、真菌または原生動物による感染症であってもよい。治療組成物のある特定の実施形態では、ニトライトの有効量は1~1000mgであり、単体金属の有効量は1~10000mgである。他の実施形態では、ニトライトの有効量は5~200mgであり、単体金属の有効量は5~1000mgである。治療組成物の特定の実施形態では、ニトライトの有効量は30~100mgであり、単体金属の有効量は10~400mgである。
【0015】
治療組成物の特定の実施形態では、ニトライトは、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、散剤、顆粒剤、ペレット、ビーズ、粒子、トローチまたは口内錠にパッケージ化され;単体金属は、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、散剤、顆粒剤、ペレット、ビーズ、粒子、トローチまたは口内錠にパッケージ化されている。別の実施形態では、ニトライトは、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、散剤、顆粒剤、ペレット、ビーズ、粒子、トローチまたは口内錠にパッケージ化され;単体金属は、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、散剤、顆粒剤、ペレット、ビーズ、粒子、トローチまたは口内錠にパッケージ化され;酸は、ニトライトおよび単体金属とは別にパッケージ化されている。一部の態様では、ニトライト、単体金属および酸は、固体形態である。特定の実施形態では、ニトライトおよび単体金属は、例えば、1個のカプセル剤、1個のカシェ剤、1個の丸剤または1個の錠剤中に一緒にパッケージ化されている。
【0016】
本明細書に記載される患者にNOガスを安全に投与するためのキットは、ニトライトまたはニトレート;単体金属、ここで、ニトライトおよび/またはニトレートならびに単体金属は一緒にパッケージ化されている;酸;ならびにニトライト、単体金属および酸を組み合わせて、NOガスを生成することなくNOガスを生成するため、ならびに生成されたNOガスを患者に投与するための指示を含む。一部の実施形態では、キットは、液体および気体成分を収容することが可能な容器、例えば、水パイプをさらに含む。一部の態様では、キット中のニトライトまたはニトレートは、塩、例えば、亜硝酸塩または硝酸塩である。例示的な塩としては、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウムが挙げられる。キット中の単体金属は、単体マグネシウム、単体カルシウム、単体リチウム、単体亜鉛、単体ナトリウム、単体カリウム、単体ベリリウム、単体ルビジウム、単体セシウム、単体アルミニウム、単体ガリウム、単体インジウム、単体スズ、単体ビスマス、単体スカンジウム、単体チタン、単体バナジウム、単体クロム、単体マンガン、単体コバルト、単体マンガン、単体スカンジウム、単体チタン、ニッケル、単体銅、単体亜鉛、単体イットリウム、単体ジルコニウム、単体ニオブ、単体モリブデン、単体テクニチウム、単体ルテニウム、単体ロジウム、単体パラジウム、単体銀、単体カドミウム、単体ランタン、単体ハフニウム、単体タンタル、単体タングステン、単体レニウム、単体オスミウム、単体イリジウム、単体白金、単体金、単体マンガンおよび単体鉄からなる群より選択される。
【0017】
また、対象に低減された毒性を有する吸入一酸化窒素ガスを投与する方法が開示される。一部の態様では、毒性の低減は、同じ濃度でのNOガス単独での投与によって起こると考えられる肺傷害の量と比較して低減された肺傷害として表れ、または対象の血中メトヘモグロビンレベルは2%を超えない。方法は、対象に一酸化窒素ガスを投与すること、および対象に水素ガスを投与することを含む。ある特定の実施では、方法は、対象にニトロキシルガスを投与することをさらに含む。一部の態様では、吸入NOガスを治療的に投与する方法は、対象に有効量の水素ガスをNOガスと共に同時投与することを含むと記載される。有効量の水素は、対象へのNOガスの投与の間のNOの形成を低減または防止するのに十分な量である。一部の態様では、有効量の水素ガスは、少なくとも1000ppmである。ある特定の実施では、方法は、酸性化溶媒中で、単体金属をニトレートおよび/またはニトライトと混合し、それによって、NOガスおよび有効量の水素ガスを生成し、吸入を介して対象に投与することを含む。
【0018】
したがって、吸入NO毒性を低減する方法であって、NOを有効量の水素と共に吸入して、NO毒性(例えば、肺組織損傷、またはNOに曝露された組織におけるニトロチロシンレベルの増加)を低減することを含む、方法が記載される。したがって、一酸化窒素ガスおよび水素ガスを含む組成物が記載される。一部の態様では、ニトライトの毒性は、メトヘモグロビン血症の発症として表れる。対象においてメトヘモグロビン血症を防止および/または処置する方法がまた、記載される。方法は、吸入を介して対象に有効量の水素ガスを投与することを含む。
【0019】
一酸化窒素ガスおよび水素ガスを含む組成物について、ガスの濃度は、少なくとも1ppmの一酸化窒素ガスおよび少なくとも5ppmの水素ガスである。特定の実施形態では、組成物は、1~10000ppmの水素ガスおよび1~500ppmの一酸化窒素ガスを含む。一酸化窒素ガスおよび水素ガスを含む組成物において、その濃度の水素ガスは、液体の水の形成をもたらさない。
【0020】
別の態様では、対象においてメトヘモグロビン血症(例えば、吸入NO療法、ニトライトの投与、またはニトレートの投与によって引き起こされるメトヘモグロビン血症)を防止および/または処置する方法が、開示される。方法は、対象に有効量の単体金属を経口投与することを含む。ある特定の実施では、方法は、対象に酸を経口投与することをさらに含み、単体金属および酸は、一緒に摂取される。一部の態様では、方法は、胃で水素ガスを生成するのに有効な量の単体金属および酸を経口投与することを含む。メトヘモグロビン血症を防止および/または処置する本開示の方法の実践により、対象によって示されるNO誘導毒性、例えば、肺および/または気道炎症、肺機能低下、咳の悪化、喘鳴の悪化、喘息発作の増加または救急科受診および入院のより高い可能性が低減する。一部の態様では、対象は、単体金属および/または酸の経口投与時にNO誘導毒性を示さない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、肺においてNOが機能する種々の経路を示す。
【0022】
図2図2は、大気濃度の二酸化窒素の存在下での一酸化窒素の定量的分析を示す。
【0023】
図3図3は、例示的な実施における、人工呼吸器に接続されたICU患者へのNOおよびHガスの投与を示し、NOおよびHは空気弁入口を通して投与され、これは典型的には、噴霧薬を挿入するために使用される。
【0024】
図4図4は、NO、HNOおよび水素ガスの組合せを費用効果的に生成するために利用できる例示的な装置を示す。装置は、3つのコンパートメントを備え、上部コンパートメントは酸性化水(好ましくはクエン酸で酸性化された)の溶液を収容し、中央のコンパートメントはSpO2組成物を収容し、下部のコンパートメントは混合チャンバーであり、上部コンパートメント中の酸性化水は、混合チャンバーに滴り落ち、そこでやはり中央のコンパートメントから混合チャンバーに滴り落ちるSpO2組成物と混合される。
【発明を実施するための形態】
【0025】
詳細な説明
本開示の詳細な態様および適用が、以下の技術の詳細な説明において下記に記載される。別途具体的に記述されない限り、本明細書および特許請求の範囲における語および句は、適用可能な分野の当業者にそれらの平易な、通常の、慣用の意味を示すことが意図される。
【0026】
以下の記載において、説明の目的で、多数の具体的な詳細が、本開示の種々の態様の完全な理解を提供するために示される。しかしながら、関連分野の当業者であれば、本明細書に開示される技術の実施は、これらの具体的な詳細なしに実践されうることを理解するであろう。本開示の技術が適用されうる多くの異なる代替的な構成、デバイスおよび技術が存在することに留意すべきである。本明細書に開示される技術の全範囲は、下記に記載される例に限定されない。
【0027】
単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈がそうでないことを明らかに記述していない限り、複数の参照を含む。したがって、例えば、「1つのステップ(a step)」への参照は、そのようなステップの1つまたは複数への参照を含む。
【0028】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、所与の値の5%以下の偏差、例えば、所与の値の3%、2%、1%、0.5%または0.1%の偏差を指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、「許容される」という用語は、その最も広い意味で使用される句であり、食品医薬品局(FDA)規格、米国薬局方(USP)規格、食品グレード材料についてのUS農務省(USDA)規格、栄養補助食品産業で一般に認められた規格、産業規格、植物性物質規格(botanical standards)または任意の個人によって確立された規格を満たす組成物の構成成分を記載しうる。これらの規格は、組成物の構成成分の許容される範囲の態様、例えば、可食性、毒性、薬理効果、または組成物の実施に使用される化学物質、組成物もしくは調製物の任意の他の態様を表しうる。
【0030】
本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、構成成分または成分の混合物、および異なる構成成分または成分を含有するカプセル剤の組合せの両方を指す。したがって、ある特定の実施形態では、組成物は、一緒にパッケージ化され、一緒に摂取されることが意図された別々のカプセル剤を包含する。
【0031】
本明細書で使用される場合、「単体金属(elemental metal)」という用語は、中性電荷状態の金属元素、言い換えると、その単体形態にあり、塩形態または荷電形態(例示的な塩形態および荷電形態としては、金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、塩化物、乳酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、グリシン酸塩およびグルコン酸塩が挙げられる)にはない金属を指す。したがって、本明細書で使用される場合、単体金属と、その同じ金属の塩とは、異なる成分である。組成物が単体金属を含むという記載は、金属塩の存在によって満足され得ず、逆もまた同様である。例えば、クエン酸マグネシウムからなる組成物は、クエン酸マグネシウムがいくらかの量の単体マグネシウムをもたらすという記載の有無に関わらず、単体マグネシウムを含む組成物ではない。本明細書に記載される単体金属としては、単体マグネシウム、単体カルシウム、単体リチウム、単体亜鉛、単体ナトリウム、単体カリウム、単体ベリリウム、単体ルビジウム、単体セシウム、単体アルミニウム、単体ガリウム、単体インジウム、単体スズ、単体ビスマス、単体スカンジウム、単体チタン、単体バナジウム、単体クロム、単体マンガン、単体コバルト、単体マンガン、単体スカンジウム、単体チタン、ニッケル、単体銅、単体亜鉛、単体イットリウム、単体ジルコニウム、単体ニオブ、単体モリブデン、単体テクニチウム、単体ルテニウム、単体ロジウム、単体パラジウム、単体銀、単体カドミウム、単体ランタン、単体ハフニウム、単体タンタル、単体タングステン、単体レニウム、単体オスミウム、単体イリジウム、単体白金、単体金、単体マンガンおよび単体鉄が挙げられる。
【0032】
本明細書で使用される場合、「SpO2組成物」という用語は、硝酸アニオンおよび/または亜硝酸アニオン、ならびに単体金属を含む組成物を指す。一部の態様では、組成物は粉末形態である。したがって、組成物は、「SpO2粉末」と呼ばれることがある。
【0033】
本開示は、溶液中で酸、単体金属および硝酸アニオンを組み合わせることにより、NOセンサーによって確認されるように、吸入可能な一酸化窒素(NO)ガスが生成されるという発見に関する。ニトロキシルガスもまた形成され、製剤の驚くべき治療利益に寄与しうる。ニトロキシル形成は、ガス混合物を、アンモニア溶液中ニトロソベンゼンを含有するバイアルと共に気密チャンバーに入れ、その結果、特徴的な明黄色のクペロンが形成することによって確認された。驚くべきことに、生成されたNOガスは、例えば、水パイプを介して対象に投与することができ、NOのそのような投与は、注意力、活力レベルを改善し、頭痛/片頭痛を治癒し、筋力(strength)および持久力の増加によって示される通り、運動能力を増加させたことが見出された。したがって、本明細書において、それを必要とする対象にNOガスを投与する方法が開示される。
【0034】
驚くべきことに、NOガスを生成する記載の方法は、40ppmまでの濃度ではNOガスを生成しない一方、より高いNO濃度では、生成されるNOガスは、様々な研究で記載される量よりもはるかに少ない。したがって、一部の実施では、NOガスを必要とする対象は、呼吸器疾患の処置を必要とする対象である。ある特定の態様では、対象は、息切れ、呼吸の問題、胸部痛、肺炎症および酸素飽和度の低下からなる群より選択される少なくとも1つの症状を示す。一部の実施形態では、呼吸器疾患は、感染、例えば、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、呼吸器多核体ウイルス、Streptococcus pneumoniae、Haemophilus influenzae b型(Hib)および/またはPneumocystis jiroveciによる感染によって引き起こされる。特定の実施では、呼吸器疾患の処置を要する対象は、コロナウイルス、例えば、299EおよびNL63から選択されるアルファコロナウイルス、またはOC43、HKU1、MERS-CoV、SARS-CoVもしくはSARS-CoV-2から選択されるベータコロナウイルスによって引き起こされた肺炎または重度急性呼吸器症候群と診断される。一部の他の態様では、対象は、コロナウイルス-19疾患(COVID-19)後の低酸素症、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、ARDS後低酸素症、肺炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、中皮腫、貧血症、喘息、間質性肺疾患、肺塞栓症、肺虚脱(collapsed lung)、先天性心欠損または疾患、肺水腫、高山病(high altitude sickness)、低呼吸数、肺線維症、睡眠時無呼吸、胃腸感染症、Heliobacter pylori感染症および呼吸器感染症からなる群より選択される状態を有する。
【0035】
他の実施では、NOガスを必要とする対象は、NOレベルの増加から利益を受けると考えられる対象、例えば、運動能力の改善、活力レベルまたは持久力の増加、健康の改善、および片頭痛の処置を求めている対象である。
【0036】
NOガスを、それを必要とする対象に投与する方法は、液体および気体成分を収容することが可能な容器(例えば、水パイプ)において、酸性溶液中で硝酸アニオンの供給源および/または亜硝酸アニオンの供給源、ならびに単体金属を組み合わせるステップであって、NOガスが生成される、ステップならびに液体および気体成分を収容することが可能な容器を介して対象にNOガスを投与するステップを含む。一部の態様では、ニトロキシルおよび水素ガスもまた、反応によって生成される。一部の実施では、酸溶液のpHは、0.1~6.9の間である。好ましい実施では、酸溶液のpHは、2~4の間である。対象は、水パイプまたは気体成分の吸入を可能にする液体および気体成分を収容することが可能な何らかの他の好適な容器中の気体内容物を吸入することによってNOガスを投与される。ある特定の実施形態では、方法は、水パイプにおいて、酸性溶液中で治療有効量の硝酸アニオンおよび治療有効量の単体金属を組み合わせることを含み、治療有効量のNOガスが生成される。一部の態様では、単体金属の治療有効量および硝酸アニオンの治療有効量は、それぞれ1mg~2000mgの間および30mg~4000mgの間である。特定の実施形態では、治療有効量の硝酸アニオンおよび単体金属は、1:1モル比である。
【0037】
単体金属は、アルカリ土類金属、アルカリ金属または遷移金属である。単体金属は反応性であるため、それらは天然においては見出されない。むしろそれらは、塩および酸化物などの種々の金属化合物の混合物を含有する鉱石として存在する。したがって、単体金属を生成するためには、物理化学法を利用した複雑な抽出および精製が必要である。一部の実施形態では、単体金属は、単体マグネシウム、単体カルシウム、単体リチウム、単体亜鉛、単体ナトリウム、単体カリウム、単体ベリリウム、単体ルビジウム、単体セシウム、単体アルミニウム、単体ガリウム、単体インジウム、単体スズ、単体ビスマス、単体スカンジウム、単体チタン、単体バナジウム、単体クロム、単体マンガン、単体コバルト、単体マンガン、単体スカンジウム、単体チタン、ニッケル、単体銅、単体亜鉛、単体イットリウム、単体ジルコニウム、単体ニオブ、単体モリブデン、単体テクニチウム、単体ルテニウム、単体ロジウム、単体パラジウム、単体銀、単体カドミウム、単体ランタン、単体ハフニウム、単体タンタル、単体タングステン、単体レニウム、単体オスミウム、単体イリジウム、単体白金、単体金、単体マンガンまたは単体鉄である。一部の実施形態では、単体金属は、単体マグネシウム、単体カルシウム、単体リチウム、単体亜鉛および単体鉄からなる群より選択される。一部の実施形態では、対象は、単体金属の組合せを投与される。したがって、一部の態様では、対象に投与される組成物は、2種以上の単体金属を含む。単体金属は、任意の形態、例えば、粉末または顆粒であってもよい。単体金属のサイズおよび表面積の変更を利用して、金属およびニトレートおよび酸の間の反応速度に影響を与えてもよい。したがって、金属の粒径が小さいほど、反応はより急速になり、より大量のNOがより短時間で生成されることが見出された。
【0038】
一部の態様では、硝酸アニオン(NO )の供給源は、アミノ酸またはアミノ酸誘導体の硝酸塩(例えば、硝酸クレアチン、硝酸アルギニン、硝酸カルニチン、硝酸n-アセチルカルニチン、硝酸シトルリン、硝酸ベタインおよび硝酸プロリン)、無機硝酸塩(例えば、硝酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸カルシウムおよび硝酸リチウム、またはそれらの混合塩、共結晶製剤および水和物)、または天然ニトレート供給源である。天然ニトレート供給源について、ニトレートは、天然供給源、例えば植物性ニトレート供給源から濃縮および/または単離されている。天然ニトレート供給源の例としては、これらに限定されないが、ビートジュース、ビートジュース粉末、濃縮ビートジュース粉末、セロリ粉末、ホウレンソウおよび赤ホウレンソウ抽出物、ならびにアマランサス抽出物が挙げられる。好ましい実施では、天然ニトレート供給源中のニトレート含有量は、十分な量のニトレートを提供するように標準化される。一部の態様では、組成物は、2種以上の硝酸アニオンの供給源を含む。
【0039】
一部の態様では、亜硝酸アニオン(NO )の供給源は、アミノ酸またはアミノ酸誘導体の亜硝酸塩(例えば、亜硝酸クレアチン、亜硝酸アルギニン、亜硝酸カルニチン、亜硝酸n-アセチルカルニチン、亜硝酸シトルリン、亜硝酸ベタインおよび亜硝酸プロリン)、無機亜硝酸塩(例えば、亜硝酸マグネシウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸カルシウムおよび亜硝酸リチウム、またはそれらの混合塩、共結晶製剤および水和物)、または天然ニトライト供給源である。天然ニトライト供給源について、ニトライトは、天然供給源、例えば植物性ニトライト供給源から濃縮および/または単離することができる。
【0040】
一部の実施形態では、単体金属、ならびに硝酸アニオンおよび/または亜硝酸アニオンは、NOの持続放出のための系に含有される。例えば、系は、時間放出系(例えば、拡散系、溶解系、浸透系およびイオン交換樹脂)、浮動系(floating system)、生体付着系、または酸もしくは酸溶液への曝露が制御されるマトリックス系であってもよい。他の実施では、持続NOガス放出を可能にするため、機械的または電気的方法のいずれかを利用して、連続方式で酸溶液中に金属およびニトレートが放出されてもよい。特定の実施では、本明細書に記載されるNOの持続放出のための系は、流体接続された3つのコンパートメントを含む(例えば、図4を参照されたい)。上部コンパートメントは酸性化水(好ましくはクエン酸を含む)の溶液を収容し、中央のコンパートメントはSpO2組成物を収容し、下部のコンパートメントは混合チャンバーであり、上部コンパートメント中の酸性化水は、やはり中央のコンパートメントから混合チャンバーに滴り落ちるSpO2組成物と混合する混合チャンバーに滴り落ちる。装置により、酸性化水およびSpO2組成物の反応速度を制御することによって、患者に投与されたNO、HNOおよびHの量の容易な調節が可能になる。反応速度は、溶液の酸性度を調整するか、酸性化水の滴下速度を調整するか、SpO2組成物の粒径を調整するか、または例えば作り付けのサーモスタットを有する加熱要素により混合チャンバー中の加熱を調整する(加熱の増加により反応速度が増加する)ことによって、制御されてもよい。同様のスキームは、自宅でまたは病院環境のいずれかで、呼吸器系を使用して、非ICU患者にNO/H/HNOガスを投与するために利用することができ、唯一の差は、患者が、気管内チューブの代わりにマスクまたはガスを送達する等価物を着用しなくてはならないことである。
【0041】
例示的な実施では、人工呼吸器に接続された患者は、典型的には噴霧薬を挿入するために使用される空気弁入口を通してNO/Hガスを投与されうる。NO/Hガスは、図4の装置によって生成することができる。同様のスキームは、自宅でまたは病院環境のいずれかで、呼吸器系を使用して、非ICU患者にNO/Hガスを投与するために利用することができ、唯一の差は、患者が、気管内チューブの代わりにマスク、カニューレまたはガスを送達する同様の装置を着用しなくてはならないことである(図3を参照されたい)。
【0042】
したがって、本明細書において、NOガスを患者に安全に投与するためのキットが開示される。キットは、ニトライトまたはニトレート;単体金属、ここで、ニトライトおよび/またはニトレートならびに単体金属は一緒にパッケージ化されている;酸;ならびにニトライト、単体金属および酸を組み合わせて、NOガスを生成することなくNOガスを生成するため、ならびに生成されたNOガスを患者に投与するための指示を含む。一部の実施形態では、キットは、液体および気体成分を収容することが可能な容器、例えば、水パイプをさらに含む。一部の態様では、キット中のニトライトまたはニトレートは、塩、例えば、亜硝酸塩または硝酸塩である。例示的な塩としては、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウムが挙げられる。キット中の単体金属は、単体マグネシウム、単体カルシウム、単体リチウム、単体亜鉛、単体ナトリウム、単体カリウム、単体ベリリウム、単体ルビジウム、単体セシウム、単体アルミニウム、単体ガリウム、単体インジウム、単体スズ、単体ビスマス、単体スカンジウム、単体チタン、単体バナジウム、単体クロム、単体マンガン、単体コバルト、単体マンガン、単体スカンジウム、単体チタン、ニッケル、単体銅、単体亜鉛、単体イットリウム、単体ジルコニウム、単体ニオブ、単体モリブデン、単体テクニチウム、単体ルテニウム、単体ロジウム、単体パラジウム、単体銀、単体カドミウム、単体ランタン、単体ハフニウム、単体タンタル、単体タングステン、単体レニウム、単体オスミウム、単体イリジウム、単体白金、単体金、単体マンガンおよび単体鉄からなる群より選択される。
【0043】
一部の実施では、方法は、粉末形態の酸を提供すること、および硝酸アニオンもしくは亜硝酸アニオンおよび/または単体金属を混合した後、溶媒に溶解して、NOガスを生成することを含む。粉末化形態の酸は、例えば、クエン酸、リンゴ酸またはフマル酸であってもよい。好ましい実施形態では、使用される溶媒は水であり、これは、水が安全で、非毒性で、容易に利用可能であるためである。しかしながら、他のプロトン性および/または極性溶媒、例えば、アンモニア、エタノール、酢酸等を利用することができる。水または溶媒は、純粋である必要はなく、他の化合物、例えば、アロマ、香水(scent)、他の医薬品等が溶解していることがある。一部の実施形態では、酸は、強酸と弱塩基の塩であり、これは、水または一部の他の極性プロトン性溶媒に溶解した場合、酸性溶液を形成する。したがって、酸は、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウムまたは硝酸クレアチンであってもよい。ある特定の実施では、硝酸アニオンが、弱塩基により形成された硝酸塩(例えば、硝酸クレアチンまたは硝酸プロリン)として提供されるとき、硝酸塩は、酸および硝酸アニオンの両方の供給源として役立ちうる。
【0044】
製剤の構成成分を添加する通常の順番では、最初に酸溶液を作り、次いで、単体金属およびニトレートを同時に添加するが、そのような順番は、必須ではなく、変動しうることが理解される。例えば、酸性溶液中で硝酸アニオンおよび単体金属を組み合わせるステップは、ニトレート、粉末化酸および単体金属を水に同時に添加することを含んでもよく、または水中のニトレートの溶液を調製し、次いで、酸および単体金属を添加することを含んでもよい。本開示の方法の必須の特徴は、単体金属が酸と完全には反応できないようにすることであり、これにより単体金属の塩が形成し、NOガスは形成しない。したがって、単体マグネシウム金属を酸溶液に添加し、次いで、反応の完了(これは、その塩形態での液体へのマグネシウムの溶解によって示される)後、ニトレートを添加することで、一酸化窒素ガスは形成しなくなる。
【0045】
NO吸入療法のためのNOガスを生成する方法は、安全でないレベルのNOガスを生成せず、したがって、生成される気体成分は、NOガスを含まない。例えば、酸性溶液中で亜硝酸アニオンの供給源および単体金属を組み合わせることによって生成されたNOガスのレベルは、10ppmを超えない、5ppmを超えない、または2ppmを超えない。一部の実施形態では、酸性溶液中で亜硝酸アニオンの供給源および単体金属を組み合わせることによって生成された気体成分は、NOガスをまったく含まない。
【0046】
本明細書に記載されるNO吸入療法のためのNOガスを生成することに関する組成物は、ニトライトおよび単体金属を含む。一部の態様では、組成物は酸を含む。組成物中の単体金属は、単体マグネシウム、単体カルシウム、単体リチウム、単体亜鉛、単体ナトリウム、単体カリウム、単体ベリリウム、単体ルビジウム、単体セシウム、単体アルミニウム、単体ガリウム、単体インジウム、単体スズ、単体ビスマス、単体スカンジウム、単体チタン、単体バナジウム、単体クロム、単体マンガン、単体コバルト、単体マンガン、単体スカンジウム、単体チタン、ニッケル、単体銅、単体亜鉛、単体イットリウム、単体ジルコニウム、単体ニオブ、単体モリブデン、単体テクニチウム、単体ルテニウム、単体ロジウム、単体パラジウム、単体銀、単体カドミウム、単体ランタン、単体ハフニウム、単体タンタル、単体タングステン、単体レニウム、単体オスミウム、単体イリジウム、単体白金、単体金、単体マンガンおよび単体鉄からなる群より選択される。一部の態様では、組成物中のニトライトは、亜硝酸塩、例えば、亜硝酸ナトリウムまたは亜硝酸カリウムである。他の態様では、組成物中のニトライトは、ニトライト含有量について標準化されたニトライトの植物性供給源、例えば、ビートルート粉末である。
【0047】
一部の態様では、組成物は、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、散剤、顆粒剤、ペレット、ビーズ、粒子、トローチ、ロゼンジ、口内錠、液剤、エリキシル、シロップ、チンキ、懸濁剤、エマルジョン、マウスウォッシュ、スプレー、ドロップ、軟膏、クリーム、ゲル、ペースト、経皮パッチ、坐薬、ペッサリー、クリーム、ゲル、ペースト、フォームおよびそれらの組合せの形態である。組成物は、許容される添加剤および/または許容される担体をさらに含んでもよい。許容される添加剤は、可溶化剤、酵素阻害剤、抗凝血剤、消泡剤、酸化防止剤、着色剤、冷却剤、凍結保護物質、水素結合剤、矯味矯臭剤、可塑剤、保存剤、甘味料および増粘剤からなる群からの少なくとも1つのメンバーから選択されうる。許容される担体は、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、希釈剤、増量剤、溶媒、懸濁化剤、溶解助剤、等張化剤、緩衝化剤、鎮静剤および両親媒性脂質送達系からなる群からの少なくとも1つのメンバーから選択されうる。一部の態様では、組成物は、経口投与に適した形態である。他の態様では、組成物は、酸性化溶媒と接触したときに生成されるガスの吸入に適した形態である。
【0048】
一部の態様では、組成物は、治療効果を生じるための有効量のニトライト、およびニトライトの毒性を防止または低減するための有効量の単体金属を含む。ニトライトの治療効果は、血圧を低下させること、または呼吸器疾患の症状を処置および/もしくは緩和することでありうる。呼吸器疾患は、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、呼吸器多核体ウイルス、Streptococcus pneumoniae、Haemophilus influenzae b型、Pneumocystis jiroveci、真菌または原生動物による感染症であってもよい。治療組成物のある特定の実施形態では、ニトライトの有効量は1~1000mgであり、単体金属の有効量は1~10000mgである。他の実施形態では、ニトライトの有効量は5~200mgであり、単体金属の有効量は5~1000mgである。治療組成物の特定の実施形態では、ニトライトの有効量は30~100mgであり、単体金属の有効量は10~400mgである。
【0049】
治療組成物の特定の実施形態では、ニトライトは、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、散剤、顆粒剤、ペレット、ビーズ、粒子、トローチまたは口内錠にパッケージ化され;単体金属は、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、散剤、顆粒剤、ペレット、ビーズ、粒子、トローチまたは口内錠にパッケージ化されている。別の実施形態では、ニトライトは、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、散剤、顆粒剤、ペレット、ビーズ、粒子、トローチまたは口内錠にパッケージ化され;単体金属は、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、散剤、顆粒剤、ペレット、ビーズ、粒子、トローチまたは口内錠にパッケージ化され;酸は、ニトライトおよび単体金属とは別にパッケージ化されている。一部の態様では、ニトライト、単体金属および酸は、固体形態である。特定の実施形態では、ニトライトおよび単体金属は、例えば、1個のカプセル剤、1個のカシェ剤、1個の丸剤または1個の錠剤中に一緒にパッケージ化されている。
【0050】
SpOレベルの低下によってモニタリングすることができる状態であるメトヘモグロビン血症は、吸入NO療法に関連する副作用である(Raut and Maheshwari, "Inhaled nitric oxide, methemoglobinemia, and route of delivery." Saudi J Anaesth. 2017, 11(3):364)。驚くべきことに、本明細書に記載される方法によるNOガスの投与の結果、メトヘモグロビン血症は発症しなかったことが見出された。何故本開示の方法によってメトヘモグロビン血症が引き起こされなかったのかについての機序は研究中であるが、酸性溶液中での硝酸アニオンおよび単体金属の反応の水素ガス生成物は、保護効果を有しうる。メトヘモグロビン血症の防止および処置がこの方法を使用する結果であるならば、一部の単体金属、例えば、アルミニウムは、塩基と反応することによって水素を生成しうることに留意すべきである:2Al+2NaOH+2HO→2NaAlO+3H。本発明の目的で、1つのビーカー中でのニトライトと酸との反応によってNOガスを作り、アルミニウムなどの塩基と接触して水素を生成する金属の反応によってHガスを生成することができる。
【0051】
本発明の開発の間、主発明者は、自身が長時間にわたって25ppm超のNOレベル(BW BWS-N-Y黄色ハウジング、単一一酸化窒素(NO)ガス検出器で測定)に複数回曝露され、疾病効果は観察されなかったことを見出した。実際、SpOオキシメーターによって測定した彼の酸素化レベルは、常に97~100の範囲であった。したがって、本明細書においてまた、ニトレート、ニトライトまたはNO曝露からのメトヘモグロビン血症の発病を防止する方法であって、ニトレートの供給源、ニトライトの供給源またはNOに曝露した対象に水素を投与することを含む、方法が開示される。
【0052】
一部の態様では、対象に低減された毒性を有する吸入一酸化窒素ガスを投与する方法が記載される。一部の態様では、毒性の低減は、同じ濃度でのNOガスの単独投与によって起こると考えられる肺傷害の量と比較して低減された肺傷害として表れる。他の態様では、毒性の低減は、2%を超えない対象の血中メトヘモグロビンレベルとして表れる。他の態様では、吸入NO毒性を低減する方法であって、NOを有効量の水素と共に吸入して、NO毒性(例えば、肺組織損傷、NOに曝露された組織におけるニトロチロシンレベルの増加、およびメトヘモグロビン血症の発症)を低減することを含む、方法が記載される。方法は、対象に一酸化窒素ガスを投与すること、および対象に水素ガスを投与することを含む。ある特定の実施では、方法は、対象にニトロキシルガスを投与することをさらに含む。一部の態様では、吸入NOガスを治療的に投与する方法は、対象に有効量の水素ガスをNOガスと共に同時投与することを含むと記載される。有効量の水素は、対象へのNOガスの投与の間のNOの形成を低減または防止するのに十分な量である。一部の態様では、有効量の水素ガスは、少なくとも1000ppmである。ある特定の実施では、方法は、酸性化溶媒中で、単体金属をニトレートおよび/またはニトライトと混合し、それによって、NOガスおよび有効量の水素ガスを生成し、吸入を介して対象に投与することを含む。
【0053】
一酸化窒素ガスおよび水素ガスを含む組成物がまた、記載される。組成物中のガスの濃度は、少なくとも1ppmの一酸化窒素ガスおよび少なくとも5ppmの水素ガスである。特定の実施形態では、組成物は、1~10000ppmの水素ガスおよび1~500ppmの一酸化窒素ガスを含む。一酸化窒素ガスおよび水素ガスを含む組成物において、その濃度の水素ガスは、液体の水の形成をもたらさない。
【実施例
【0054】
(実施例1)
1000mlビーカー中、5グラムのクエン酸を100mlの温水に溶解することによって、酸溶液を生成した。単体マグネシウム(200mg)および硝酸カリウム(1000mg)を、酸溶液に同時に添加した。周囲NOレベルを測定することができるNiox機器によってFeNOを使用して、酸溶液への単体マグネシウムおよび硝酸カリウムの添加からNOガスが形成されたかどうかを試験した。実験前の室内のNOレベルは0であった。酸溶液への単体マグネシウムおよび硝酸カリウムの添加直後、機器は200ppbのNOを記録した。200bbpは機器の検出限界であるため、より多くのNOが生成された可能性がある。
【0055】
(実施例2)
1000mgのクエン酸を、温水を含有するビーカーボン(beaker bong)中で混合して、酸溶液を生成した。200mgの単体マグネシウムおよび1000mgの硝酸カリウムを、事前充填したカプセルから、酸溶液を含有するボン中に空けた。片頭痛を患う58歳の男性対象が、ビーカーボンを介して、生成されたガスを吸入した。対象は、自身の頭痛が止まり、呼吸が楽になったことを報告した。対象はまた、自身の活力および集中力レベルが増加したことも報告した。
【0056】
(実施例3)
エクササイズバイクでの疲労までの時間の比較において、39歳の対象は、実施例2に記載される同じ方法に従ってビーカーボン中で生成されたガスを吸入した後、その最高強度設定でのエクササイズバイクでの自身の疲労までの時間が、5分増加したことを報告した。別の事例では、対象は、単体マグネシウムおよび硝酸カリウムを混合することによって生成されたNOガスを吸入した場合、実施した腕立て伏せ(pushup)の最大量が10増加した(腕立て伏せの最大回数が50回から60回に増加した)ことを報告した。
【0057】
(実施例4)
水素ガスが、単体金属を酸と組み合わせた際の副生成物であることを確認するため、小さじ1杯の単体マグネシウム粉末を、100mlのクエン酸飽和水を含有するバイアルに添加した。バイアル上部の空気は可燃性であった。
【0058】
(実施例5)
亜硝酸ナトリウムは、高量では有毒であることが公知である。その毒性のために、治療法におけるNO源としてのその利用は、シアン化物中毒に対して使用される解毒剤のみに限定される。計算された最低致死用量は、2.6グラムである(Katabami et al., "Severe Methemoglobinemia due to Sodium Nitrite Poisoning", Case Reports in Emergency Medicine, 2016, Article ID 9013816)が、はるかに低用量での重度のメトヘモグロビン血症の症例が報告されている。シアン化物毒性の処置のため成人への600mgの投与は、58%のメトヘモグロビンレベルをもたらした(van Heijst et al., "Therapeutic Problems in Cyanide Poisoning," Journal of Toxicology: Clinical Toxicology, 1987, 25(5): 383-398)。中等度から重度の中毒には、チアノーゼ(皮膚の青み)、錯乱、意識喪失、発作、異常な心リズムおよび死亡が関連する。単体金属およびニトレートの供給源の組合せを摂取する、または酸性溶液中のこの組合せによって生成されたガスを吸入する対象についてのメトヘモグロビン血症の観察症例がないため、水素ガスおよび/または亜鉛/マグネシウムイオンへの曝露は、メトヘモグロビン血症の発症を防止しうるという仮説がたてられた。メトヘモグロビン血症は、時間のかかる血液試験によって直接、およびSpO2測定によって間接的の両方でモニタリングすることができる。メトヘモグロビンはOを担持することができないため、より高いメトヘモグロビンレベルは、より低い酸素飽和レベルをもたらす。
【0059】
終夜絶食した本発明者らのうちの1名が、メトヘモグロビン血症を誘導する目的で、310mgのNaNOを含有するカプセル剤および1000mgのクエン酸を含有する1個のカプセル剤を摂取し、他方の発明者が試験対象の発明者の状態をモニタリングした。最初の15分後、試験対象の発明者は、胃腸の窮迫(gastrointestinal distress)、めまい、ブレインフォグ、錯乱、呼吸困難、片頭痛、異常な心臓の動悸、240拍/分のピークを有する頻脈、および実験開始約25分で、最低読取り値91の低SpO2レベルを含む望ましくない副作用を経験し始めた。実験の経過にわたる試験対象の発明者のSpO2レベルおよび心拍数を、表1にまとめる。SpO2レベルおよび心拍数の読取り値は録画し、それらは、下記のチャートに見出すことができる。
【表1】
【0060】
48時間のウォッシュアウト期間後、試験対象の発明者は、各々1000mgの単体マグネシウム粉末を含有する3個のカプセル剤、および各々1000mgのクエン酸を含有する3個の他のカプセル剤を調製した。単体マグネシウム粉末は、非常に発熱性の反応で酸と激しく反応する。したがって、そのような大量の単体マグネシウムの摂取が安全であるか、またはさらには耐容されるか、および毒性用量のニトライトとのそれらの反応が耐容されるかは不明であった。それにも関わらず、試験対象の発明者は、310mgの亜硝酸ナトリウムおよび1000mgの単体マグネシウムを含有するカプセル剤を、各カプセル剤中に1000mgのクエン酸を含有する2個のカプセル剤と共に同時摂取した(酸の一部は、単体マグネシウムによって消費されると考えられるため、クエン酸の量は第1の実験の初期用量と比較して二倍とした)。30分後および60分後、試験対象の発明者は、カプセル剤の形態の別の1000mgの単体マグネシウムおよび1000mgのクエン酸を摂取した。本発明者は、最初の実験の望ましくない副作用のいずれも経験しなかった。認められた唯一の副作用は意識朦朧であり、これは、彼が過去に何度も経験したことがあり、低血圧と関連した。彼のSpO2レベルは、第1の実験と比較して上昇したままであり、95%の閾値レベル未満に低下することはなかった。第2の実験の経過にわたる試験対象の発明者のSpO2レベルおよび心拍数を、表2にまとめる。
【表2-1】
【表2-2】
【0061】
試験対象の発明者は、実験90分後、体調が完全に良かった。彼のSpO2レベルは95%~97%の範囲であった。
【0062】
(実施例6)
二酸化窒素はオレンジ色で臭いのあるガスであり、高濃度の硝酸と空気との反応(濃HNOは、開放空気中でオレンジ色のNOを絶えず生じるため、「赤煙硝酸」と呼ばれる)、および大気中の酸素による一酸化窒素(NO)の酸化から形成されうる(Holleman and Wiberg, Inorganic Chemistry. Academic Press: San Diego, 2001)。窒素が燃料の燃焼の間に放出された場合、窒素は酸素原子と組み合わさってNOを作り出す。NOは、酸素とさらに組み合わさって二酸化窒素(NO)を作り出す。NOは、典型的な周囲濃度では健康に有害でないと考えられるが、二酸化窒素は有害でありうる。NOはまた、酸性溶液中でのニトライトの分解によって形成される。強酸性化亜硝酸ナトリウムを使用した場合、これは、亜硝酸に変換されうる。亜硝酸は非常に不安定であり、NO、NO(これは、空気中で酸素とさらに反応してNOになりうる)および水に容易に分解する。このため、溶液中でのニトライトと酸との反応からのガス生成物の吸入は、生成されるNOレベルに起因して安全ではないと一般に考えられる。NOは、治療法におけるNOガスの利用の主要な問題である。現在のNOタンクは、典型的には、不活性窒素ガス中0.1%のNOガスを含有するが、NOはなお、治療法としてのNOガスの利用の主要な課題である。
【0063】
既存の圧縮ガス送達系による吸入一酸化窒素(NO)の投与は、二酸化窒素(NO)の同時送達が避けられない。平均的な大気条件において、NO濃度は、NO濃度に優る(Levaggi, et al., "Quantitative analysis of nitric oxide in presence of nitrogen dioxide at atmospheric concentrations," Environ. Sci. Technol., 1974, 8(4): 348-350)(図2を参照されたい)。
【0064】
平衡は、100%酸素処置を受けた人など、より高い酸素飽和度の雰囲気において、大気よりもはるかにより高いと予想される。
【0065】
Totapallyらは、ヒトにおけるNO送達を模倣するように設計された機械換気装置モデルにおいて、NOが肺に到達する時間までに、NOが19.4ppmの高い毒性濃度に増加したことを示した。その間、NOレベルは増加し続けた一方、NO濃度は降下したため、NO+NOの総濃度は同じままであった。
NOの濃度は、近位ポート(吸気回路の部位11(86.16+/-0.38ppm)から肺ベロー(部位4)(70.08+/-0.23ppm)まで有意に減少した(P<.001)。NO2の濃度は、部位1(3.25+/-0.04ppm)から部位4(19.4+/-0.19ppm)まで有意に増加した(P<.001)。肺におけるNO2濃度は、高濃度のNO(80ppm)および高分画濃度の酸素による換気の間、通常許容される毒性濃度を上回って大幅に増加した(強調を付加)。
(Totapally et al., "Nitric oxide and nitrogen dioxide concentrations during in vitro high-frequency oscillatory ventilation," J Crit Care. 1999, 14(3):141-149)。
【0066】
近位ポート(人の鼻または喉とみなされるもの)においてさえ、NOレベルは安全/許容可能と考えられるもの(2ppm未満、米国環境保護庁の窒素酸化物についての空気の質に関する基準、EPAリポート番号EPA/600/8-91/049aF-cF)を既に十分上回った。多数の生化学研究は、3160μg/m(2ppm)を超える高レベルの二酸化窒素への急性または亜慢性曝露により有害な効果が引き起こされることを示しており、これが現在許容される最大推奨WHOレベルである。喘息、COVID-19、肺炎、COPD等々の気道の疾患を有する人の場合、NO療法の間、NOレベルは必ず、可能な限り低くなくてはならない。
【0067】
実験:
700mlグラスに、500mlの室温(約20℃)の水を添加した。BW BWS-D-Y黄色ハウジング、単一二酸化窒素(NO)ガス検出器(有線)を、センサーが水に接触することなく、可能な限り水面に近くなるように、グラスのへりにクリップで留めた。3000mgのクエン酸を水に溶解して、胃の酸性条件をシミュレートしたが、「クリーン」なNOガスを生成する目的では、クエン酸を任意の他の好適な酸性化物質で置き換えることができる。SpO2maxのカプセル剤(1200mg KNO3、200mg単体マグネシウム、50mg単体亜鉛)を溶液に溶解し、全プロセスを録画した。反応により治療濃度のNO(>20ppm)が直ちに生成され、患者および健康な人に同様に有益な効果を提供する。反応の最初の約10分間、NOは放出されなかった。次の20分間、NO2のわずかな放出(2ppm未満、特に1.7ppm未満)が起こった。したがって、反応の最初の10分間の反応生成物を投与し、次いで、より多くのNOを投与する必要がある場合、反応混合物を再作製することによって、NOの存在なしにNOを投与することが可能である。当然のことながら、異なる反応速度および/または反応物質を、より長時間にわたって、NOガスをまったくなしに、「クリーン」なNOガスを生成することが可能であり、この可能性は本出願人が完全に探究しようとするものである。したがって、NOを投与する記載される方法は、現在のNOガス送達よりもより容易で、より健康的で、より安価で、かつより安全な方法である。
【0068】
(実施例7)
NO療法のより入手可能で、効果的かつ安全な供給源のためのNOを生成するための記載される方法を開発する過程で、本発明者らのうちの1名が、慢性的かつ急性的にNOガスに偶発的に曝露された。高量の周囲NO(周囲NO>80ppm)に曝露された翌日、彼は、85%のSpO2、めまい、肺の痛みおよび虚弱によって示される通り、メトヘモグロビン血症の症状を経験し始め、肺炎症を有した。症状の開始から、本発明者は、水のグラス中で単体マグネシウムおよびクエン酸を反応させることによって生成したHガスを吸入した。彼はまた、2000mgの単体マグネシウム粉末を水と共に摂取し、これは、彼の胃内でHClと反応してHガスを生成すると考えられた。
【0069】
彼の状態およびSpO2は、その日を通して悪化し、後にその夜、彼は、ERに収容され、SpO2は45%を記録した。病院は、X線およびCATスキャンによって、本発明者がNO誘導性肺炎症を発症したことを確認した。診断の際、メトヘモグロビンレベルを測定するために本発明者から血液試料が取られた。医療スタッフが驚いたことに、本発明者が45%のSpO2を有していた間でさえ、メトヘモグロビンは検出されなかった。正常メトヘモグロビン分率は約1%である。移動の間、彼は、3~15%のメトヘモグロビンを有する人に関連するチアノーゼ(青色の皮膚)もまったく示さなかった。このため、メトヘモグロビン処置(i.v.メチレンブルー)は本発明者に投与されなかった。
【0070】
したがって、水素吸入および摂取により(単体金属の形態、この場合マグネシウムを介して)、NO誘導性メトヘモグロビン血症が処置および/または緩和された。しかしながら、本発明者の肺における流体の存在は、投与されたH2が、肺において液体の水を形成しない濃縮状態でなくてはならないことを警告している。
【0071】
(実施例8)
100mlの0.1M HClを含有するフラスコを、Bel-Art Secadorポリスチレンミニ乾燥機キャビネット(0.31ft)に入れた。1200mgのKNO、200mgの単体マグネシウムおよび50mgの単体亜鉛を含有する1個のカプセル剤の内容物、ならびに1000mgのクエン酸を含有する第2のカプセル剤の内容物を、フラスコに添加した。NOセンサーを、乾燥機キャビネットに入れた。10分間で、NOレベルは0ppmから6.4ppmに上昇した。したがって、理論的に、1リットルのサイズを有する平均的な胃で、2個のカプセル剤の摂取に由来する胃内のNOの量は、56ppmになると考えられる。
【0072】
とりわけ、小さじ1杯のKNOを50mlの25% HClに添加することで、測定可能な量のNOガスは生じなかった。
【0073】
(実施例9)
100mgのNaNO3および50mgの単体マグネシウムを含有する100mlバイアルを、Bel-Art Secadorポリスチレンミニ乾燥機キャビネット(0.31ft)に入れた。Honeywell NOおよびHoneywell NO検出器を起動し、これも乾燥機キャビネットに入れた。バイアルに0.1N HClを充填し、容器を迅速に密封した。3分以内に、NOガスの濃度は治療レベルの20ppmを超えた。NOは検出されなかった。
【0074】
塩酸を入れた5分後、NOレベルは31.4ppmのレベルに達した一方、NOレベルは、有害な生物学的効果を引き起こすことが認識されるレベルである2ppm未満を維持した。
【0075】
(実施例10)
Honeywell NOおよびHoneywell NO検出器を、バイアルと共にBel-Art Secadorポリスチレンミニ乾燥機キャビネット(0.31ft)に入れた。1000mgのクエン酸を含有するゼラチンカプセル剤、ならびに1200mgのKNO、200mgの単体(金属)マグネシウムおよび50mgの単体(金属)亜鉛を含有するゼラチンカプセル剤を、バイアルに添加した。バイアルに100mlの0.1N HCl(胃の酸条件をシミュレートする)を添加した後、乾燥機キャビネットの扉を迅速に閉じた。NOのレベルは、40分の間隔で10.6ppmの濃度に上昇し、このとき、1ppmのNOが形成された。したがって、呼吸器疾患の処置におけるこの経口製剤の驚くべき効果は、NOの形成に起因するだけでなく、NOがNOに変換されないことにも起因する。
【0076】
(実施例11)
実施例9および10の予期しない結果の背後にある機序についてさらに研究するために、実施例10におけるのと同じ条件(同じ反応物質)で、NOおよびNOセンサーと共に水素センサーおよび酸素センサーも、乾燥機キャビネットに入れた。
【0077】
反応の間、Hレベルは急速に上昇した。Hレベルの上昇は、HClをフラスコに添加した3分後に検出され、これは、NOレベルの上昇前であった。反応開始の約20分後、H濃度は、センサーの最大容量である1000ppmに達した。反応開始の約50分後、NO濃度は15ppmに達し、NO濃度は2ppmに達した。
【0078】
驚くべきことに、酸素センサーによって、酸素の損失はモニタリングされなかった。前の実験では、本発明者らは、Hガスの過剰な吸入が、SpO2の低下につながりうることを見出し、これは、大気酸素と水素との反応による、肺における水の形成に由来し得る。高濃度の水素が大気酸素と反応し、肺において水を形成しうるという仮説は後の実験で確認され、このとき、乾燥機キャビネットに入れたバイアル中、500mlの水に10グラムの単体マグネシウムを添加した結果、液体比重計の増加によって測定される湿度レベルの増加と同時に、Oレベルが低下した。実際、明らかな水滴が、乾燥機キャビネットの壁に見られた。
【0079】
本出願の結果を鑑み、1000ppmのHへの曝露は安全であると推定されるが、さらなる実験では、NO、窒素ガスおよび水素ガスの最も安全で最も効果的な比を探る必要がある。
【0080】
(実施例12)
NO、NOおよびHの間の関係、ならびにNOを生成する製剤の吸入または摂取により患者を処置するためのそれらの利用をさらに明らかにするために、3つの実験を行った。
【0081】
第1の実験では、100mlの0.1N HCl中200mgの単体(金属)マグネシウムを含有する100mlバイアルを、実施例9~11において使用したのと同じキャビネットに、これらの実施例において使用したNO、NOおよびHセンサーと共に入れ、キャビネットの扉を素早く閉めた。Hのレベルは急速に上昇して、1000ppmを超えた。NOおよびNOのレベルは、乾燥機キャビネットにバイアルを入れた後に行った記録で1時間にわたってゼロを維持した。
【0082】
第2の実験では、100mgのNaNOおよび100mlの0.1N HClを含有する100mlバイアルを、実施例9~11において使用したのと同じキャビネットに、NO、NOおよびHセンサーと共に入れた。2分後、NOおよびNOのレベルは急速に上昇し始め、NOレベルは2ppmを超え、NOレベルは4.2ppmを超えた。Hレベルは0ppmを維持した。
【0083】
反応開始の3分後、NOレベルは5ppmの安全限界を超えた一方、NOレベルは13ppmまで上昇した。Hレベルはなお0ppmを維持した。反応の30分後、NOレベルは58ppmに達し、これは、理論上、ほんの数分の吸入曝露で人を殺傷するのに十分な高レベルである。NOレベルは約58ppmで、NOレベルとほぼ等しかった。興味深いことに、Hレベルは112ppmに上昇した。水素生成の反応機序は不明である(おそらくHCLガスの部分的な蒸発による)が、この濃度のHは、人に影響を与えるほどには高くなく、その存在は、NO/NO比の減少に対して正の効果を有さなかった。
【0084】
第3の実験では、2つの100mlバイアルを、実施例9~11において使用したのと同じキャビネットに、これらの実施例において使用したNO、NOおよびHセンサーと共に入れた。1つのバイアルは、100mlの0.1N HCl中200mgの単体(金属)マグネシウムを含有し、これは、1000ppmを超えるレベルで急速にHを生成することが示されている。もう一方のバイアルは、100mlの0.1N HCl中100mgのNaNOを含有した。30分間の記録を通して、NO/NO比はおよそ2:1を維持した。反応開始の30分後の時点で、NOレベルは44ppmのNOであり、NOレベルは22ppmのNO2であった。Hレベルは、前の実験における通り、センサーの検出限界である1000ppmに急速に上昇し、30分間の記録時間にわたってこのレベルを維持した。したがって、水素ガスとNOとが同時に存在すると、NOの形成が低減し、NO吸入の安全性および有効性が改善されうる。
【0085】
(実施例13)
1対のヒツジ肺を、Carolina Chemicalsから得た。どのようにガスが生成されるかに基づくNOへの曝露の効果に対する研究のために、各肺をBel-Art Secadorポリスチレンミニ乾燥機キャビネット(0.31ft)に挿入した。1つの肺では、1グラムのクエン酸を含有する100mlの水に200mgの亜硝酸ナトリウムを混合することによって、NOおよびその副生成物二酸化窒素をチャンバー内に生成した。肺を、4時間にわたって、ガスに曝露させた。肺を切片化し、顕微鏡で検査したところ、顕著な病理組織学的損傷(肺胞壁の融解)および組織の変色が観察できた。実験を、第2の肺に対して繰り返したが、今回は、100mlの水中での200mgの単体マグネシウム、50mgの単体亜鉛、1200mgのKNOおよび1000mgのクエン酸の混合を介して生成したNOに曝露させた。2時間後、肺を取り出し、切片化し、病理組織学的損傷または組織の変色について顕微鏡で検査した。肺への病理組織学的損傷も、組織の変色も観察されなかった。
【0086】
(実施例14)
単体マグネシウムのサイズは、投与される組成物の有効性、安全性および副作用プロファイルに影響を与える。
【0087】
様々なメッシュサイズの単体金属を有する組成物の複数の反復物を調製し、対象において試験して、単体金属のメッシュサイズが、摂取の際に対象が経験しうる利益および/または副作用に影響を与えるかどうかを決定した。表3に、試験した製剤を列挙する。
【表3】
【0088】
異なる製剤は、呼吸器疾患の緩和において様々な有効性を示した。一部の場合には、対象は、胃腸の障害、下痢、吐き気および嘔吐を含む副作用を経験した。有害作用は、他の製剤よりもマグネシウムダスト製剤ではるかにより一般的であった。
【0089】
(実施例15)
様々な形態の単体マグネシウムが、硝酸カリウムとH、NOおよびNOガスを生成することが可能である。
【0090】
200mg量の3つの形態(およびサイズ)の単体マグネシウムを使用して、1200mgのKNOおよび1000mgのクエン酸粉末との混合後、100mlの水の添加の際に生成されたH、NOおよびNOガスの生成を比較した。室温で100mlの蒸留水を添加した直後、マグネシウムを含有するビーカーをBel-Art Secadorポリスチレンミニ乾燥機キャビネット(0.31ft)に入れた。マグネシウム粉末、顆粒マグネシウムおよびマグネシウムビーズによる実験の開始の時点で、H、NOおよびNOのセンサーはすべてゼロであった。
【0091】
マグネシウム粉末(60~200メッシュサイズ)および1200mgのKNOおよび1000mgのクエン酸粉末を含むビーカーへの水の添加の約90秒後、NOガスの濃度は12.8ppmであり、NOガスの濃度は0ppmであり、Hガスの濃度は142ppmであった。実験を継続するにつれて、NOおよびHガスの濃度は上昇し続けた。粉末に水を添加した2分後、NOガスの濃度は39.2ppmであり、Hガスの濃度は435ppmであり、NOガスの濃度は0ppmであった。NO対NOのこの比は驚くべきものである。ゼロNOでほぼ40ppmのNOガスに達するのはこれまでに聞いたことがなかった。粉末に水を添加した5分後、NOガスは49ppmに達した一方、NOガスは3.0ppmに増加した。水素ガスは1000ppm超(センサーの最大検出範囲)に増加した。
【0092】
顆粒マグネシウム(約35メッシュサイズ)および1200mgのKNOおよび1000mgのクエン酸粉末による実験では、NOガス、HガスおよびNOガスの濃度は、水の添加後1分の時点で、それぞれ3.8ppm、66ppmおよび0ppmであった。水の添加後5分の時点で、センサー読取り値は、NOガスについて11.4ppm、Hガスについて186ppm、およびNOガスについて0ppmであった。したがって、顆粒マグネシウムを使用すると、マグネシウム粉末と比較した場合、同じ時間枠でほぼ4分の1のNOの、はるかに少ないNOおよびHガスが生成した。
【0093】
マグネシウムビーズ(約5mm直径)および1200mgのKNOおよび1000mgのクエン酸粉末による実験では、実験への1分および20秒の時点で、NOガスもNOガスも生成されなかった。水の添加後5分の時点で、NOガスについてのセンサー読取り値は16.2ppmであり、NOガスについては0ppmであり、水素については337ppmであった。
【0094】
本発明者らの実験は、本開示の方法および組成物によるHガスとNOガスの同時生成により、NOガスの生成が低減またはさらには排除されることを示す。
【0095】
(実施例16)
また、本発明者らは、高濃度の水素が、長時間吸入した場合、水の形成をもたらし得、対象の肺において、肺からの酸素の吸収を妨げうる水の蓄積につながると考えられることに気付いたことにも留意すべきである。これは、本発明者がNOからのメトヘモグロビン血症と闘うためにHガスを長時間吸入したときに患った低SpO2を説明すると考えられる。大気湿度を、30℃周囲温度で製剤から得られたH濃度と比較する一連の実験において、本発明者は、H濃度が約40ppm増加する毎に、相対湿度が1%増加した(空気中に存在する水蒸気の量は同じ温度で飽和に必要な量のパーセンテージとして表される)ことに気付いた。H濃度の増加に伴う相対湿度の増加の結果を、下記表4に示す。
【表4】
1000ppmでセンサーの限界に達したものの、これらの実験、および対象のいずれかにおいて肺に水が存在した(浮腫)いかなる症状もなかったことにより、1000ppmのH濃度が安全であることが示される。1500ppmまでのH濃度もまた、組成物から生成されたガスを吸入する対象の肺において認識できるHO形成がなく、安全であることが想定される。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-10-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
NO吸入療法のための一酸化窒素(NOガスを生成する方法であって、液体および気体成分を収容することが可能な容器において、酸性溶液中で硝酸または亜硝酸アニオンの供給源および単体金属を組み合わせ、それによってNOガスを生成することを含む、方法。
【請求項2】
前記単体金属が、単体マグネシウム、単体カルシウム、単体リチウム、単体亜鉛、単体カリウム、単体ナトリウム、単体ベリリウム、単体バリウムおよび単体鉄からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記単体金属が単体マグネシウムである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記単体金属が単体亜鉛である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記硝酸または亜硝酸アニオンの供給源が、それぞれ、硝酸塩または亜硝酸塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記硝酸または亜硝酸アニオンの供給源が、それぞれ、ニトレートまたはニトライトの植物性供給源である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
有効量の前記硝酸または亜硝酸アニオンの供給源および有効量の前記単体金属が、前記酸性溶液中で組み合わせられて、有効量のNOガスを生成し、
前記単体金属の有効量が、1mg~2000mgの間であり、
前記有効量の前記硝酸または亜硝酸アニオンの供給源が、それぞれ30mg~4000mgの間の硝酸アニオンまたは1mg~1000mgの間の亜硝酸アニオンをもたらす、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
有効量の前記硝酸または亜硝酸アニオンの供給源および有効量の前記単体金属が、100:1~1:100の比で、前記酸溶液中で組み合わせられて、有効量のNOガスを生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
有効量の前記硝酸または亜硝酸アニオンの供給源および有効量の前記単体金属が、前記酸溶液中で組み合わせられて、少なくとも5ppmのNOガスおよび100ppmのHガスを生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記酸性溶液のpHが、0.1~6.9の間および2~4の間のうちの1つである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
酸粉末を溶媒に溶解して、前記酸性溶液を生成することをさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記酸粉末が、クエン酸、リンゴ酸またはフマル酸である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記溶媒が水である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記が、1ml~10000mlの間の体積を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記酸性溶液中で前記硝酸または亜硝酸アニオンの供給源および前記単体金属を組み合わせることによって生成された前記気体成分が、安全でないレベルの二酸化窒素(NO ガスを含まない、およびNO ガスをまったく含まない、の一方である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記酸性溶液中で前記硝酸または亜硝酸アニオンの供給源および前記単体金属を組み合わせることによって生成されたNOガスのレベルが、1ppm、2ppm、5ppmおよび10ppmのうちの1つを超えない、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記酸性溶液中で前記硝酸または亜硝酸アニオンの供給源および前記単体金属を組み合わせることによって生成された前記気体成分が、ニトロキシルガスをさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の方法から生成されたNOガスを含む組成物であって、前記組成物が、液体および気体成分を収容することが可能な容器を介して対象に投与されることを特徴とする組成物
【請求項19】
液体および気体成分を収容することが可能な前記容器が水パイプである、請求項18に記載の組成物
【請求項20】
前記組成物が前記水パイプを介して吸入されることを特徴とする、請求項19に記載の組成物
【請求項21】
前記容器が、パイプを介して人工呼吸器に接続されている、請求項20に記載の組成物
【請求項22】
前記対象が、呼吸困難を患っているか、片頭痛を患っているか、95未満の酸素飽和レベルを有するか、運動能力の改善を求めているか、持久力の増加を求めているか、またはメンタルパフォーマンスの改善を求めている、請求項19~21に記載の組成物
【請求項23】
吸入一酸化窒素(NO)ガスおよび水素ガスを含む組み合わせ物であって、前記組み合わせ物は、対象に、低減された毒性を有する前記NOガスを投与する方法における使用のためのものであり、前記方法が
前記対象に前記NOガスを投与すること、および
前記対象に前記水素ガスを投与すること
を含む、組み合わせ物
【請求項24】
前記水素ガスが、前記対象へのNOガスの投与の間の二酸化窒素(NO )の形成を低減または防止するのに十分な量で投与される、請求項23に記載の組み合わせ物。
【請求項25】
水素ガスの量が少なくとも1000ppmである、請求項24に記載の組み合わせ物。
【請求項26】
前記対象が、ニトロキシルガスも投与される、請求項23に記載の組み合わせ物
【請求項27】
前記低減された毒性が、同じ濃度でのNOガスの単独投与によって起こると考えられる肺傷害の量と比較して低減された肺傷害、およびメトヘモグロビン血症が発症しないことのうちの1つとして表れる、請求項23または26に記載の組み合わせ物
【請求項28】
前記対象の血中メトヘモグロビンレベルが2%を超えない、請求項27に記載の組み合わせ物
【請求項29】
ニトライト;および
単体金属
を含む、組成物。
【請求項30】
前記ニトライトが亜硝酸塩である、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記亜硝酸塩が、亜硝酸ナトリウムまたは亜硝酸カリウムである、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
前記ニトライトが、ニトライト含有量について標準化されたニトライトの植物性供給源である、請求項29に記載の組成物。
【請求項33】
前記単体金属が、単体マグネシウム、単体カルシウム、単体リチウム、単体亜鉛、単体ナトリウム、単体カリウム、単体ベリリウム、単体ルビジウム、単体セシウム、単体アルミニウム、単体ガリウム、単体インジウム、単体スズ、単体ビスマス、単体スカンジウム、単体チタン、単体バナジウム、単体クロム、単体マンガン、単体コバルト、単体マンガン、単体スカンジウム、単体チタン、ニッケル、単体銅、単体亜鉛、単体イットリウム、単体ジルコニウム、単体ニオブ、単体モリブデン、単体テクニチウム、単体ルテニウム、単体ロジウム、単体パラジウム、単体銀、単体カドミウム、単体ランタン、単体ハフニウム、単体タンタル、単体タングステン、単体レニウム、単体オスミウム、単体イリジウム、単体白金、単体金、単体マンガンおよび単体鉄からなる群より選択される、請求項29に記載の組成物。
【請求項34】
治療効果を生じるための有効量のニトライト、およびニトライトの毒性を防止または低減するための有効量の単体金属を含む、請求項29~33のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
ニトライトの毒性が、メトヘモグロビン血症の発症として表れる、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
前記ニトライトの前記治療効果が、血圧を低下させること、または呼吸器疾患の症状を処置および/もしくは緩和することである、請求項34に記載の組成物。
【請求項37】
前記呼吸器疾患が、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、呼吸器多核体ウイルス、Streptococcus pneumoniae、Haemophilus influenzae b型、Pneumocystis jiroveci、真菌または原生動物による感染症である、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
前記ニトライトの有効量が1~1000mgであり、前記単体金属の有効量が1~10000mgである;または
前記ニトライトの有効量が5~200mgであり、前記単体金属の有効量が5~1000mgである;または
前記ニトライトの有効量が30~100mgであり、前記単体金属の有効量が10~400mgである、
請求項34に記載の組成物。
【請求項39】
経口投与および酸性化溶媒と接触したときに生成されるガスの吸入のうちの1つに適した形態である、請求項29に記載の組成物。
【請求項40】
酸をさらに含む、請求項29~39のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項41】
患者に一酸化窒素(NOガスを安全に投与するためのキットであって、
ニトライトまたはニトレート;
単体金属、ここで、前記ニトライトまたはニトレートおよび前記単体金属は、一緒にパッケージ化されている、単体金属;
酸;ならびに
前記ニトライトまたはニトレート、前記単体金属および前記酸を組み合わせて、二酸化窒素(NO ガスを生成することなく、NOガスを生成するため、および患者に前記生成されたNOガスを投与するための指示
を含む、キット。
【請求項42】
液体および気体成分を収容することが可能な容器をさらに含む、請求項41に記載のキット。
【請求項43】
液体および気体成分を収容することが可能な前記容器が水パイプである、請求項42に記載のキット。
【請求項44】
前記ニトライトまたはニトレートが、亜硝酸塩または硝酸塩である、請求項41~43のいずれか一項に記載のキット。
【請求項45】
前記亜硝酸塩が、亜硝酸ナトリウムまたは亜硝酸カリウムであり、前記硝酸塩が、硝酸ナトリウムまたは硝酸カリウムである、請求項44に記載のキット。
【請求項46】
前記単体金属が、単体マグネシウム、単体カルシウム、単体リチウム、単体亜鉛、単体ナトリウム、単体カリウム、単体ベリリウム、単体ルビジウム、単体セシウム、単体アルミニウム、単体ガリウム、単体インジウム、単体スズ、単体ビスマス、単体スカンジウム、単体チタン、単体バナジウム、単体クロム、単体マンガン、単体コバルト、単体マンガン、単体スカンジウム、単体チタン、ニッケル、単体銅、単体亜鉛、単体イットリウム、単体ジルコニウム、単体ニオブ、単体モリブデン、単体テクニチウム、単体ルテニウム、単体ロジウム、単体パラジウム、単体銀、単体カドミウム、単体ランタン、単体ハフニウム、単体タンタル、単体タングステン、単体レニウム、単体オスミウム、単体イリジウム、単体白金、単体金、単体マンガンおよび単体鉄からなる群より選択される、請求項41~45のいずれか一項に記載のキット。
【請求項47】
一酸化窒素ガス;および
水素ガス
を含む、組成物。
【請求項48】
ニトロキシルガスをさらに含む、請求項47に記載の組成物。
【請求項49】
一酸化窒素の濃度と少なくとも同等の濃度で酸素ガスをさらに含む、請求項47に記載の組成物。
【請求項50】
前記一酸化窒素ガスが少なくとも1ppmの濃度であり、前記水素ガスが0.55ppmより高い濃度である、請求項47~49のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項51】
前記水素ガスの濃度が1~10000ppmであり、前記一酸化窒素ガスの濃度が1~500ppmの間である、請求項47~49のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項52】
前記水素ガスの濃度が、液体の水の形成をもたらさない、請求項47~49のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項53】
前記組成物が、ガスを貯蔵し、分配することが可能な容器内にある、請求項47~52のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項54】
前記容器がガスシリンダーである、請求項53に記載の組成物。
【請求項55】
吸入NO毒性を低減する方法における使用のための、NOおよび水素を含む組み合わせ物であって、前記方法が、前記NOを、有効量の前記水素と共に吸入させて、NO毒性を低減することを含む、組み合わせ物
【請求項56】
低減される前記NO毒性が、肺組織損傷である、請求項55に記載の組み合わせ物
【請求項57】
防止される前記NO毒性が、NOに曝露された組織におけるニトロチロシンレベルの増加である、請求項55に記載の組み合わせ物
【請求項58】
対象においてメトヘモグロビン血症を防止および/または処置する方法における使用のための、水素ガスを含む組成物であって、前記方法が、吸入を介して前記対象に有効量の水素ガスを投与することを含む、組成物
【請求項59】
対象においてメトヘモグロビン血症を防止および/または処置する方法における使用のための、単体金属を含む組成物であって、前記方法が、前記対象に有効量の単体金属を経口投与することを含む、組成物
【請求項60】
前記方法が、前記対象に酸を経口投与することをさらに含み、前記単体金属が前記酸と共に摂取される、請求項59に記載の組成物
【請求項61】
前記単体金属および前記酸が、胃内で水素ガスを生成するのに有効な量である、請求項60に記載の組成物
【請求項62】
前記メトヘモグロビン血症が、吸入一酸化窒素(NO療法、ニトライトの投与、またはニトレートの投与によって引き起こされる、請求項58~61のいずれか一項に記載の組成物
【請求項63】
前記対象が、二酸化窒素(NO 誘導毒性を示さない、請求項58~61のいずれか一項に記載の組成物
【請求項64】
前記対象が、低減したNO誘導毒性を示す、請求項58~61のいずれか一項に記載の組成物
【請求項65】
前記NO誘導毒性が、肺および/または気道炎症、肺機能低下、咳の悪化、喘鳴の悪化、喘息発作の増加または救急科受診および入院のより高い可能性である、請求項63または64に記載の組成物
【請求項66】
吸入一酸化窒素(NO)ガスを含む組成物であって、前記組成物が対象に、低減された毒性を有する前記NOガスを投与する方法における使用のためのものであり、前記方法が前記対象に、前記組成物を水素ガスと組み合わせて投与することを含む、組成物。
【請求項67】
水素ガスを含む組成物であって、前記組成物が対象に、低減された毒性を有する吸入一酸化窒素(NO)ガスを投与する方法における使用のためのものであり、前記方法が前記対象に、前記組成物を前記NOガスと組み合わせて投与することを含む、組成物。
【請求項68】
吸入NO毒性を低減する方法における使用のための、NOを含む組成物であって、前記方法が、前記組成物を、有効量の前記水素と共に吸入させて、NO毒性を低減することを含む、組成物。
【請求項69】
吸入NO毒性を低減する方法における使用のための、水素を含む組成物であって、前記方法が、前記組成物を、前記NOと共に吸入させて、NO毒性を低減することを含む、組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0095
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0095】
(実施例16)
また、本発明者らは、高濃度の水素が、長時間吸入した場合、水の形成をもたらし得、対象の肺において、肺からの酸素の吸収を妨げうる水の蓄積につながると考えられることに気付いたことにも留意すべきである。これは、本発明者がNOからのメトヘモグロビン血症と闘うためにHガスを長時間吸入したときに患った低SpO2を説明すると考えられる。大気湿度を、30℃周囲温度で製剤から得られたH濃度と比較する一連の実験において、本発明者は、H濃度が約40ppm増加する毎に、相対湿度が1%増加した(空気中に存在する水蒸気の量は同じ温度で飽和に必要な量のパーセンテージとして表される)ことに気付いた。H濃度の増加に伴う相対湿度の増加の結果を、下記表4に示す。
【表4】
1000ppmでセンサーの限界に達したものの、これらの実験、および対象のいずれかにおいて肺に水が存在した(浮腫)いかなる症状もなかったことにより、1000ppmのH濃度が安全であることが示される。1500ppmまでのH濃度もまた、組成物から生成されたガスを吸入する対象の肺において認識できるHO形成がなく、安全であることが想定される。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
NO吸入療法のためのNOガスを生成する方法であって、液体および気体成分を収容することが可能な容器において、酸性溶液中で硝酸アニオンの供給源および単体金属を組み合わせ、それによってNOガスを生成することを含む、方法。
(項目2)
前記単体金属が、単体マグネシウム、単体カルシウム、単体リチウム、単体亜鉛、単体カリウム、単体ナトリウム、単体ベリリウム、単体バリウムおよび単体鉄からなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記単体金属が単体マグネシウムである、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記単体金属が単体亜鉛である、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記硝酸アニオンの供給源が、硝酸塩である、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記硝酸アニオンの供給源が、ニトレートの植物性供給源である、項目1に記載の方法。
(項目7)
有効量の前記硝酸アニオンの供給源および有効量の前記単体金属が、前記酸性溶液中で組み合わせられて、有効量のNOガスを生成し、
前記単体金属の有効量が、1mg~2000mgの間であり、
前記有効量の前記硝酸アニオンの供給源が、30mg~4000mgの間の硝酸アニオンをもたらす、
項目1に記載の方法。
(項目8)
有効量の前記硝酸アニオンの供給源および有効量の前記単体金属が、10:1~1:10の比で、前記酸溶液中で組み合わせられて、有効量のNOガスを生成する、項目1に記載の方法。
(項目9)
有効量の前記硝酸アニオンの供給源および有効量の前記単体金属が、前記酸溶液中で組み合わせられて、少なくとも5ppmのNOガスおよび1000ppmのH ガスを生成する、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記酸性溶液のpHが、0.1~6.9の間である、項目1~9のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
前記酸性溶液のpHが、2~4の間である、項目1~9のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
酸粉末を溶媒に溶解して、前記酸性溶液を生成することをさらに含む、項目1~9のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
前記酸粉末が、クエン酸、リンゴ酸またはフマル酸である、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記溶媒が水である、項目12に記載の方法。
(項目15)
前記酸粉末が、1ml~10000mlの間の水に溶解される、項目15に記載の方法。
(項目16)
前記酸性溶液中で前記硝酸アニオンの供給源および前記単体金属を組み合わせることによって生成された前記気体成分が、安全でないレベルのNO ガスを含まない、項目1~9のいずれか一項に記載の方法。
(項目17)
前記酸性溶液中で前記硝酸アニオンの供給源および前記単体金属を組み合わせることによって生成されたNO ガスのレベルが、2ppmを超えない、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記酸性溶液中で前記硝酸アニオンの供給源および前記単体金属を組み合わせることによって生成されたNO ガスのレベルが、5ppmを超えない、項目16に記載の方法。
(項目19)
前記酸性溶液中で前記硝酸アニオンの供給源および前記単体金属を組み合わせることによって生成されたNO ガスのレベルが、10ppmを超えない、項目16に記載の方法。
(項目20)
前記酸性溶液中で前記硝酸アニオンの供給源および前記単体金属を組み合わせることによって生成された前記気体成分が、NO ガスをまったく含まない、項目16に記載の方法。
(項目21)
前記酸性溶液中で前記硝酸アニオンの供給源および前記単体金属を組み合わせることによって生成された前記気体成分が、ニトロキシルガスをさらに含む、項目1~9のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
NO吸入療法のためにNOガスを安全に生成する方法であって、液体および気体成分を収容することが可能な容器において、酸性溶液中で亜硝酸アニオンの供給源および単体金属を組み合わせ、それによってNOガスを生成することを含む、方法。
(項目23)
前記単体金属が、単体マグネシウム、単体カルシウム、単体リチウム、単体亜鉛、単体カリウム、単体ナトリウム、単体ベリリウム、単体バリウムおよび単体鉄からなる群より選択される、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記単体金属が単体マグネシウムである、項目22に記載の方法。
(項目25)
前記単体金属が単体亜鉛である、項目22に記載の方法。
(項目26)
前記亜硝酸アニオンの供給源が、亜硝酸塩である、項目22に記載の方法。
(項目27)
前記亜硝酸アニオンの供給源が、ニトライトの植物性供給源である、項目22に記載の方法。
(項目28)
有効量の前記亜硝酸アニオンの供給源および有効量の前記単体金属が、前記酸性溶液中で組み合わせられて、有効量のNOガスを生成し、前記単体金属の有効量が、1mg~2000mgの間であり、前記有効量の前記亜硝酸アニオンの供給源は、1mg~1000mgの亜硝酸アニオンをもたらす、項目22に記載の方法。
(項目29)
有効量の前記亜硝酸アニオンの供給源および有効量の前記単体金属が、10:1~1:10の比で、前記酸溶液中で組み合わせられて、有効量のNOガスを生成する、項目22に記載の方法。
(項目30)
有効量の前記亜硝酸アニオンの供給源および有効量の前記単体金属が、前記酸溶液中で組み合わせられて、少なくとも5ppmのNOガスおよび1000ppmのH ガスを生成する、項目22に記載の方法。
(項目31)
前記酸性溶液のpHが、0.1~6.9の間である、項目22~30のいずれか一項に記載の方法。
(項目32)
前記酸性溶液のpHが、2~4の間である、項目22~30のいずれか一項に記載の方法。
(項目33)
酸粉末を溶媒に溶解して、前記酸性溶液を生成することをさらに含む、項目22~30のいずれか一項に記載の方法。
(項目34)
前記酸粉末が、クエン酸、リンゴ酸またはフマル酸である、項目33に記載の方法。
(項目35)
前記溶媒が水である、項目33に記載の方法。
(項目36)
前記水の体積が1ml~10000mlである、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記酸性溶液中で前記硝酸アニオンの供給源および前記単体金属を組み合わせることによって生成された前記気体成分が、安全でないレベルのNO ガスを含まない、項目22~30のいずれか一項に記載の方法。
(項目38)
前記酸性溶液中で前記亜硝酸アニオンの供給源および前記単体金属を組み合わせることによって生成されたNO ガスのレベルが、2ppmを超えない、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記酸性溶液中で前記亜硝酸アニオンの供給源および前記単体金属を組み合わせることによって生成されたNO ガスのレベルが、5ppmを超えない、項目37に記載の方法。
(項目40)
前記酸性溶液中で前記亜硝酸アニオンの供給源および前記単体金属を組み合わせることによって生成されたNO ガスのレベルが、10ppmを超えない、項目37に記載の方法。
(項目41)
前記酸性溶液中で前記亜硝酸アニオンの供給源および前記単体金属を組み合わせることによって生成された前記気体成分が、NO ガスをまったく含まない、項目37に記載の方法。
(項目42)
前記亜硝酸アニオンの供給源および前記単体金属を組み合わせることによって生成された前記気体成分が、ニトロキシルガスを含む、項目22~30に記載の方法。
(項目43)
液体および気体成分を収容することが可能な容器を介して対象に前記NOガスを投与することをさらに含む、項目1~42のいずれか一項に記載の方法。
(項目44)
液体および気体成分を収容することが可能な前記容器が水パイプである、項目43に記載の方法。
(項目45)
液体および気体成分を収容することが可能な前記容器を介して前記対象に前記NOガスを投与することが、前記対象が前記水パイプから吸入することを含む、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記容器が、パイプを介して人工呼吸器に接続されている、項目45に記載の方法。
(項目47)
前記対象が、呼吸困難を患っているか、片頭痛を患っているか、95未満の酸素飽和レベルを有するか、運動能力の改善を求めているか、持久力の増加を求めているか、またはメンタルパフォーマンスの改善を求めている、項目44~46に記載の方法。
(項目48)
吸入NOガスを治療的に投与する方法であって、対象に有効量の水素ガスをNOガスと共に同時投与することを含み、水素の前記有効量が、前記対象へのNOガスの投与の間のNO の形成を低減または防止するのに十分な量である、方法。
(項目49)
水素ガスの前記有効量が、少なくとも1000ppmである、項目48に記載の方法。
(項目50)
酸性化溶媒中で、単体金属をニトレートおよび/またはニトライトと混合し、それによって、NOガスおよび前記有効量の水素ガスを生成し、吸入を介して前記対象に投与することを含む、項目48または49に記載の方法。
(項目51)
対象に、低減された毒性を有する吸入一酸化窒素ガスを投与する方法であって、
対象に一酸化窒素ガスを投与すること、および
前記対象に水素ガスを投与すること
を含む、方法。
(項目52)
前記対象が、ニトロキシルガスも投与される、項目51に記載の方法。
(項目53)
前記低減された毒性が、同じ濃度でのNOガスの単独投与によって起こると考えられる肺傷害の量と比較して低減された肺傷害として表れる、項目51または52に記載の方法。
(項目54)
前記低減された毒性が、メトヘモグロビン血症が発症しないこととして表れる、項目51または52に記載の方法。
(項目55)
前記対象の血中メトヘモグロビンレベルが2%を超えない、項目54に記載の方法。
(項目56)
ニトライト;および
単体金属
を含む、組成物。
(項目57)
前記ニトライトが亜硝酸塩である、項目56に記載の組成物。
(項目58)
前記亜硝酸塩が、亜硝酸ナトリウムまたは亜硝酸カリウムである、項目57に記載の組成物。
(項目59)
前記ニトライトが、ニトライト含有量について標準化されたニトライトの植物性供給源である、項目56に記載の組成物。
(項目60)
ニトライト含有量について標準化されたニトライトの前記植物性供給源が、発酵ビートルート粉末である、項目59に記載の組成物。
(項目61)
前記単体金属が、単体マグネシウム、単体カルシウム、単体リチウム、単体亜鉛、単体ナトリウム、単体カリウム、単体ベリリウム、単体ルビジウム、単体セシウム、単体アルミニウム、単体ガリウム、単体インジウム、単体スズ、単体ビスマス、単体スカンジウム、単体チタン、単体バナジウム、単体クロム、単体マンガン、単体コバルト、単体マンガン、単体スカンジウム、単体チタン、ニッケル、単体銅、単体亜鉛、単体イットリウム、単体ジルコニウム、単体ニオブ、単体モリブデン、単体テクニチウム、単体ルテニウム、単体ロジウム、単体パラジウム、単体銀、単体カドミウム、単体ランタン、単体ハフニウム、単体タンタル、単体タングステン、単体レニウム、単体オスミウム、単体イリジウム、単体白金、単体金、単体マンガンおよび単体鉄からなる群より選択される、項目56に記載の組成物。
(項目62)
カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、散剤、顆粒剤、ペレット、ビーズ、粒子、トローチ、ロゼンジ、口内錠、液剤、エリキシル、シロップ、チンキ、懸濁剤、エマルジョン、マウスウォッシュ、スプレー、ドロップ、軟膏、クリーム、ゲル、ペースト、経皮パッチ、坐薬、ペッサリー、クリーム、ゲル、ペースト、フォームおよびそれらの組合せの形態である、項目56~61のいずれか一項に記載の組成物。
(項目63)
許容される添加剤および/または許容される担体をさらに含む、項目56~61のいずれか一項に記載の組成物。
(項目64)
前記許容される添加剤が、可溶化剤、酵素阻害剤、抗凝血剤、消泡剤、酸化防止剤、着色剤、冷却剤、凍結保護物質、水素結合剤、矯味矯臭剤、可塑剤、保存剤、甘味料および増粘剤からなる群からの少なくとも1つのメンバーから選択され;
前記許容される担体が、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、希釈剤、増量剤、溶媒、懸濁化剤、溶解助剤、等張化剤、緩衝化剤、鎮静剤および両親媒性脂質送達系からなる群からの少なくとも1つのメンバーから選択される、
項目63に記載の組成物。
(項目65)
治療効果を生じるための有効量のニトライト、およびニトライトの毒性を防止または低減するための有効量の単体金属を含む、項目56~61のいずれか一項に記載の組成物。
(項目66)
ニトライトの毒性が、メトヘモグロビン血症の発症として表れる、項目65に記載の組成物。
(項目67)
前記ニトライトの前記治療効果が、血圧を低下させること、または呼吸器疾患の症状を処置および/もしくは緩和することである、項目65に記載の組成物。
(項目68)
前記呼吸器疾患が、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、呼吸器多核体ウイルス、Streptococcus pneumoniae、Haemophilus influenzae b型、Pneumocystis jiroveci、真菌または原生動物による感染症である、項目67に記載の組成物。
(項目69)
前記ニトライトの有効量が1~1000mgであり、前記単体金属の有効量が1~10000mgである;または
前記ニトライトの有効量が5~200mgであり、前記単体金属の有効量が5~1000mgである;または
前記ニトライトの有効量が30~100mgであり、前記単体金属の有効量が10~400mgである、
項目65に記載の組成物。
(項目70)
経口投与に適した形態である、項目63に記載の組成物。
(項目71)
酸性化溶媒と接触したときに生成されるガスの吸入に適した形態である、項目63に記載の組成物。
(項目72)
前記ニトライトが、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、散剤、顆粒剤、ペレット、ビーズ、粒子、トローチまたは口内錠にパッケージ化され;
前記単体金属が、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、散剤、顆粒剤、ペレット、ビーズ、粒子、トローチまたは口内錠にパッケージ化されている、
項目63に記載の組成物。
(項目73)
酸をさらに含む、項目56~61のいずれか一項に記載の組成物。
(項目74)
前記ニトライトが、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、散剤、顆粒剤、ペレット、ビーズ、粒子、トローチまたは口内錠にパッケージ化され;
前記単体金属が、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、散剤、顆粒剤、ペレット、ビーズ、粒子、トローチまたは口内錠にパッケージ化され、
前記酸が、前記ニトライトおよび前記単体金属とは別にパッケージ化されている、
項目73に記載の組成物。
(項目75)
前記ニトライト、前記単体金属および前記酸が、固体形態である、項目73に記載の組成物。
(項目76)
前記ニトライトおよび前記単体金属が、一緒にパッケージ化されている、項目73に記載の組成物。
(項目77)
前記ニトライトおよび前記単体金属が、カプセル剤、カシェ剤、丸剤または錠剤にパッケージ化されている、項目76に記載の組成物。
(項目78)
患者にNOガスを安全に投与するためのキットであって、
ニトライトまたはニトレート;
単体金属、ここで、前記ニトライトまたはニトレートおよび前記単体金属は、一緒にパッケージ化されている、単体金属;
酸;ならびに
前記ニトライトまたはニトレート、前記単体金属および前記酸を組み合わせて、NO ガスを生成することなく、NOガスを生成するため、および患者に前記生成されたNOガスを投与するための指示
を含む、キット。
(項目79)
液体および気体成分を収容することが可能な容器をさらに含む、項目78に記載のキット。
(項目80)
液体および気体成分を収容することが可能な前記容器が水パイプである、項目79に記載のキット。
(項目81)
前記ニトライトまたはニトレートが、亜硝酸塩または硝酸塩である、項目78~80のいずれか一項に記載のキット。
(項目82)
前記亜硝酸塩が、亜硝酸ナトリウムまたは亜硝酸カリウムである、項目81に記載のキット。
(項目83)
前記硝酸塩が、硝酸ナトリウムまたは硝酸カリウムである、項目81に記載のキット。
(項目84)
前記単体金属が、単体マグネシウム、単体カルシウム、単体リチウム、単体亜鉛、単体ナトリウム、単体カリウム、単体ベリリウム、単体ルビジウム、単体セシウム、単体アルミニウム、単体ガリウム、単体インジウム、単体スズ、単体ビスマス、単体スカンジウム、単体チタン、単体バナジウム、単体クロム、単体マンガン、単体コバルト、単体マンガン、単体スカンジウム、単体チタン、ニッケル、単体銅、単体亜鉛、単体イットリウム、単体ジルコニウム、単体ニオブ、単体モリブデン、単体テクニチウム、単体ルテニウム、単体ロジウム、単体パラジウム、単体銀、単体カドミウム、単体ランタン、単体ハフニウム、単体タンタル、単体タングステン、単体レニウム、単体オスミウム、単体イリジウム、単体白金、単体金、単体マンガンおよび単体鉄からなる群より選択される、項目78~80のいずれか一項に記載のキット。
(項目85)
一酸化窒素ガス;および
水素ガス
を含む、組成物。
(項目86)
ニトロキシルガスをさらに含む、項目85に記載の組成物。
(項目87)
前記一酸化窒素ガスが少なくとも1ppmの濃度であり、前記水素ガスが0.55ppmより高い濃度である、項目85または86に記載の組成物。
(項目88)
前記水素ガスの濃度が1~10000ppmであり、前記一酸化窒素ガスの濃度が1~500ppmの間である、項目85または86に記載の組成物。
(項目89)
前記水素ガスの濃度が、液体の水の形成をもたらさない、項目85または86に記載の組成物。
(項目90)
吸入NO毒性を低減する方法であって、NOを、有効量の水素と共に吸入して、NO毒性を低減することを含む、方法。
(項目91)
低減される前記NO毒性が、肺組織損傷である、項目90に記載の方法。
(項目92)
防止される前記NO毒性が、NOに曝露された組織におけるニトロチロシンレベルの増加である、項目90に記載の方法。
(項目93)
対象においてメトヘモグロビン血症を防止および/または処置する方法であって、吸入を介して前記対象に有効量の水素ガスを投与することを含む、方法。
(項目94)
対象においてメトヘモグロビン血症を防止および/または処置する方法であって、前記対象に有効量の単体金属を経口投与することを含む、方法。
(項目95)
前記対象に酸を経口投与することをさらに含み、前記単体金属が前記酸と共に摂取される、項目94に記載の方法。
(項目96)
前記単体金属および前記酸が、胃内で水素ガスを生成するのに有効な量である、項目95に記載の方法。
(項目97)
前記メトヘモグロビン血症が、吸入NO療法、ニトライトの投与、またはニトレートの投与によって引き起こされる、項目93~96のいずれか一項に記載の方法。
(項目98)
前記対象が、NO 誘導毒性を示さない、項目93~96のいずれか一項に記載の方法。
(項目99)
前記対象が、低減したNO 誘導毒性を示す、項目93~96のいずれか一項に記載の方法。
(項目100)
前記NO 誘導毒性が、肺および/または気道炎症、肺機能低下、咳の悪化、喘鳴の悪化、喘息発作の増加または救急科受診および入院のより高い可能性である、項目98または99に記載の方法。
【国際調査報告】