(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】試料適性線を用いる側方流動アッセイ
(51)【国際特許分類】
G01N 33/543 20060101AFI20240220BHJP
G01N 33/569 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
G01N33/543 521
G01N33/569 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548309
(86)(22)【出願日】2022-02-11
(85)【翻訳文提出日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 US2022070626
(87)【国際公開番号】W WO2022174252
(87)【国際公開日】2022-08-18
(32)【優先日】2021-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100168871
【氏名又は名称】岩上 健
(72)【発明者】
【氏名】レン フイミャオ
(72)【発明者】
【氏名】ドワイヤー ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン リチャード
(57)【要約】
本明細書に記載されたイムノアッセイデバイス、システム、及び方法は、試料中の注目分析物の存在、並びに試料中の試料適性マーカーの存在を測定する。試料適性マーカーは、試料の質、量、及び組成の評価を可能にする。1つの態様では、試料中の試料適性マーカーは、ヒトアルブミンを含む。別の態様では、試料中の試料適性マーカーは、ラクトトランスフェリンを含む。イムノアッセイデバイス、システム、及び方法は、注目分析物を含有しない試料と、正確な結果を取得するには不十分な適性のものである試料との間を区別することができる。本明細書で説明するイムノアッセイデバイス、システム、及び方法は、臨床システム、検査室システム、又は在宅検査システムの一部として実装することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を受容するように構成された流路と、
前記流路に結合された試料受容ゾーンと、
少なくとも1つの試料適性線と、
少なくとも1つの分析物捕捉線と、
を備えるイムノアッセイ検査ストリップ。
【請求項2】
前記試料は、少なくとも1つの試料適性マーカーを含み、前記試料中の前記少なくとも1つの試料適性マーカーは、ヒトアルブミンを含み、前記少なくとも1つの試料適性線は、抗HSA抗体を含む、請求項1に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
【請求項3】
前記試料は、少なくとも1つの試料適性マーカーを含み、前記試料中の前記少なくとも1つの試料適性マーカーは、ラクトトランスフェリンを含み、前記少なくとも1つの試料適性線は、抗ラクトトランスフェリン抗体を含む、請求項1に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
【請求項4】
前記試料中の前記少なくとも1つの試料適性マーカーの存在及び存在量は、前記試料の量、質、及び/又は組成に依存する、請求項2又は3に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
【請求項5】
前記試料は、少なくとも1つの注目分析物を更に含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
【請求項6】
前記試料中の前記少なくとも1つの試料適性マーカーの存在及び存在量は、提供者の疾患状態に依存する、請求項5に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
【請求項7】
前記試料は、提供者から採取された鼻汁試料、粘液試料、血液試料、血漿試料、尿試料、汗液試料、又は唾液試料からなる群から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
【請求項8】
前記試料中の前記少なくとも1つの注目分析物は、感染疾患のマーカーを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
【請求項9】
前記試料中の前記少なくとも1つの注目分析物は、ウィルスマーカーを含む、請求項8に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
【請求項10】
前記試料中の前記少なくとも1つの注目分析物は、SARS-CoV-2に対するマーカーを含む、請求項8又は9に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
【請求項11】
前記試料中の前記少なくとも1つの注目分析物は、インフルエンザに対するマーカーを含む、請求項8から10のいずれか一項に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
【請求項12】
前記試料中の前記少なくとも1つの注目分析物は、A型インフルエンザウィルスに対するマーカーを含む、請求項11に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
【請求項13】
前記試料中の前記少なくとも1つの注目分析物は、B型インフルエンザウィルスに対するマーカーを含む、請求項11に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
【請求項14】
前記試料中の前記少なくとも1つの注目分析物は、インフルエンザに対するマーカーとSARS-CoV-2に対するマーカーとを含む、請求項8から11のいずれか一項に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
【請求項15】
前記試料中の前記少なくとも1つの注目分析物は、細菌マーカーを含む、請求項8に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
【請求項16】
前記試料の提供者は、哺乳動物である、請求項1から12のいずれか一項に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
【請求項17】
前記試料の提供者は、ヒトである、請求項1から13のいずれか一項に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
【請求項18】
前記検査ストリップは、直接イムノアッセイの一部として用いられる、請求項1から17のいずれか一項に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
【請求項19】
前記検査ストリップは、間接イムノアッセイの一部として用いられる、請求項1から17のいずれか一項に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
【請求項20】
前記検査ストリップは、サンドイッチイムノアッセイの一部として用いられる、請求項1から17のいずれか一項に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
【請求項21】
前記検査ストリップは、競合イムノアッセイの一部として用いられる、請求項1から17のいずれか一項に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
【請求項22】
前記検査ストリップは、側方流動アッセイの一部として用いられる、請求項1から21のいずれか一項に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
【請求項23】
前記検査ストリップは、BD Veritor(商標)システムで用いられる、請求項1から22のいずれか一項に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
【請求項24】
前記検査ストリップは、BD Veritor(商標)在宅COVID-19検査で用いられる、請求項1から23のいずれか一項に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
【請求項25】
前記検査ストリップは、陽性対照線及び/又は陰性対照線を更に備える、請求項1から24のいずれか一項に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
【請求項26】
前記検査ストリップは陽性対照線を備え、前記陽性対照線は、前記検査ストリップ上で前記少なくとも1つの分析物捕捉線と前記少なくとも1つの試料適性線との間、前記少なくとも1つの分析物捕捉線と陰性対照線との間、又は前記少なくとも1つの試料適性線と前記陰性対照線との間に位置決めされる、請求項25に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
【請求項27】
前記陽性対照線は、前記イムノアッセイの完全性、適正な試薬機能を検証し、正しい検査手順を保証する、請求項26に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
【請求項28】
前記検査ストリップは、陰性対照線を備え、前記陰性対照線は、前記イムノアッセイの完全性、適正な試薬機能を検証し、正しい検査手順を保証する、請求項25に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
【請求項29】
前記試料は、前記流路の中に入る時に標識づけされていない、請求項1から28のいずれか一項に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
【請求項30】
前記試料は、前記流路の中に入る時に標識づけされている、請求項1から請求項28のいずれか一項に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
【請求項31】
試料を受容するように構成された流路と、前記流路に結合された試料受容ゾーンと、少なくとも1つの試料適性線と、少なくとも1つの分析物捕捉線とを備えるイムノアッセイ検査ストリップを用いて試料の適性を評価するための方法であって、
前記試料を前記イムノアッセイ検査ストリップに適用する段階と、
前記試料を前記流路内で前記試料受容ゾーンまで流す段階と、
前記少なくとも1つの分析物捕捉線で行われるイムノアッセイによって前記試料中の少なくとも1つの注目分析物の存在を監視する段階と、
前記少なくとも1つの試料適性線で行われるイムノアッセイによって前記試料中の少なくとも1つの試料適性マーカーの存在を監視する段階と、
を含み、
前記少なくとも1つの試料適性マーカーの検出が、前記試料の量、質、及び/又は組成の指示として用いられる、方法。
【請求項32】
前記試料は、少なくとも1つの試料適性マーカーを含み、前記試料中の前記少なくとも1つの試料適性マーカーは、ヒトアルブミンを含み、前記少なくとも1つの試料適性線は、抗HSA抗体を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記試料は、少なくとも1つの試料適性マーカーを含み、前記試料中の前記少なくとも1つの試料適性マーカーは、ラクトトランスフェリンを含み、前記少なくとも1つの試料適性線は、抗ラクトトランスフェリン抗体を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記試料は、少なくとも1つの注目分析物を含む、請求項31から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記試料中の前記少なくとも1つの試料適性マーカーの存在及び存在量は、提供者の疾患状態に依存する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記試料は、提供者から採取された鼻汁試料、粘液試料、血液試料、血漿試料、尿試料、汗液試料、又は唾液試料からなる群から選択される、請求項31から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記試料中の前記少なくとも1つの注目分析物は、感染疾患のマーカーを含む、請求項31から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記試料中の前記少なくとも1つの注目分析物は、ウィルスマーカーを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記試料中の前記少なくとも1つの注目分析物は、SARS-CoV-2に対するマーカーを含む、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項40】
前記試料中の前記少なくとも1つの注目分析物は、インフルエンザに対するマーカーを含む、請求項37から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記試料中の前記少なくとも1つの注目分析物は、A型インフルエンザウィルスに対するマーカーを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記試料中の前記少なくとも1つの注目分析物は、B型インフルエンザウィルスに対するマーカーを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記試料中の前記少なくとも1つの注目分析物は、インフルエンザに対するマーカーとSARS-CoV-2に対するマーカーとを含む、請求項37から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記試料中の前記少なくとも1つの注目分析物は、細菌マーカーを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項45】
前記試料の提供者は、哺乳動物である、請求項31から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記試料の提供者は、ヒトである、請求項31から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記少なくとも1つの注目分析物の存在を監視するために用いられる前記イムノアッセイは、直接イムノアッセイである、請求項31から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記少なくとも1つの試料適性マーカーの存在を監視するために用いられる前記イムノアッセイは、直接イムノアッセイである、請求項31から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記少なくとも1つの注目分析物の存在を監視するために用いられる前記イムノアッセイは、間接イムノアッセイである、請求項31から46及び48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記少なくとも1つの試料適性マーカーの存在を監視するために用いられる前記イムノアッセイは、間接イムノアッセイである、請求項31から47及び49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記少なくとも1つの注目分析物の存在を監視するために用いられる前記イムノアッセイは、サンドイッチイムノアッセイである、請求項31から46、48、及び50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記少なくとも1つの試料適性マーカーの存在を監視するために用いられる前記イムノアッセイは、サンドイッチイムノアッセイである、請求項31から47、49、及び51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記少なくとも1つの注目分析物の存在を監視するために用いられる前記イムノアッセイは、競合イムノアッセイである、請求項31から46、48、50、及び52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記少なくとも1つの試料適性マーカーの存在を監視するために用いられる前記イムノアッセイは、競合イムノアッセイである、請求項31から47、49、51、及び53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記イムノアッセイは、側方流動アッセイである、請求項31から54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記イムノアッセイは、BD Veritor(商標)システムを用いて行われる、請求項31から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記イムノアッセイは、BD Veritor(商標)在宅COVID-19検査を用いて行われる、請求項31から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記イムノアッセイ検査ストリップは、陽性対照線及び/又は陰性対照線を更に備える、請求項31から57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記検査ストリップは陽性対照線を備え、前記陽性対照線は、前記検査ストリップ上で前記少なくとも1つの分析物捕捉線と前記少なくとも1つの試料適性線との間、前記少なくとも1つの分析物捕捉線と前記陰性対照線との間、又は前記少なくとも1つの試料適性線と前記陰性対照線との間に位置決めされる、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記陽性対照線は、前記イムノアッセイの完全性、適正な試薬機能を検証し、正しい検査手順を保証する、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記検査ストリップは、陽性対照線を備え、前記陰性対照線は、前記イムノアッセイの完全性、適正な試薬機能を検証し、正しい検査手順を保証する、請求項58に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
【請求項62】
前記試料は、前記流路の中に入る時に標識づけされていない、請求項31から61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記試料は、前記流路の中に入る時に標識づけされている、請求項31から61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が検出されない場合、前記方法は、前記試料が不十分な品質のものであるという指示を表示する段階を更に含む、請求項31から63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が検出された場合、前記方法は、前記試料が十分な品質のものであるという指示を表示する段階を更に含む、請求項31から63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が高濃度で検出され場合、前記方法は、前記試料が高濃度で存在するという指示を表示する段階を更に含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が低濃度で検出された場合、前記方法は、前記試料が低濃度で存在するという指示を表示する段階を更に含む、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が検出され、前記少なくとも1つの注目分析物の存在が検出されなかった場合、前記方法は、前記少なくとも1つの注目分析物が検出されなかったという指示を表示する段階を更に含む、請求項65から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が検出され、前記少なくとも1つの注目分析物の存在が検出された場合、前記方法は、前記注目分析物が存在するという指示を表示する段階を更に含む、請求項65から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が検出され、前記少なくとも1つの注目分析物の存在が高濃度で検出された場合、前記方法は、前記注目分析物が高濃度で存在するという指示を表示する段階を更に含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が検出され、前記少なくとも1つの注目分析物の存在が低濃度で検出された場合、前記方法は、前記注目分析物が低濃度で存在するという指示を表示する段階を更に含む、請求項69に記載の方法。
【請求項72】
前記少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が検出され、前記少なくとも1つの注目分析物のうちの第1の分析物の存在が検出され、前記少なくとも1つの注目分析物のうちの第2の分析物の存在が検出されなかった場合、前記方法は、前記少なくとも1つの注目分析物のうちの前記第1の分析物が存在し、前記少なくとも1つの注目分析物のうちの前記第2の分析物が検出されなかったという指示を表示する段階を更に含む、請求項69から71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記試料中の前記少なくとも1つの試料適性マーカーの存在を監視する段階は、光学シグナルの存在に関して前記少なくとも1つの試料適性線を視覚的に観察する段階を含む、請求項31から72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記試料中の前記少なくとも1つの注目分析物の存在を監視する段階は、光学シグナルの存在に関して前記少なくとも1つの分析物捕捉線を視覚的に観察する段階を含む、請求項31から73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記試料中の前記少なくとも1つの試料適性マーカーの存在を監視する段階は、前記少なくとも1つの試料適性線の画像を取得する段階を含む、請求項31から72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記試料中の前記少なくとも1つの注目分析物の存在を監視する段階は、前記少なくとも1つの分析物捕捉線の画像を取得する段階を含む、請求項31から72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
請求項1から30のいずれか一項に記載のイムノアッセイ検査ストリップと、
前記イムノアッセイ検査ストリップの画像を解析して前記少なくとも1つの試料適性線に少なくとも部分的に基づいて検査結果を決定するように構成されたソフトウェアアプリケーションを特定するコンピュータ読み取り可能コードと、
を備える検査キット。
【請求項78】
前記ソフトウェアアプリケーションによって決定される前記検査結果は、前記少なくとも1つの試料適性線からの光学シグナルの強度が予め設定された閾値を下回ることを前記ソフトウェアアプリケーションが決定することに少なくとも部分的に基づく無効検査結果である、請求項77に記載の検査キット。
【請求項79】
前記ソフトウェアアプリケーションによって決定される前記検査結果は、前記少なくとも1つの試料適性線からの光学シグナルの強度が予め設定された閾値を上回ることを前記ソフトウェアアプリケーションが決定することに少なくとも部分的に基づく有効検査結果である、請求項77に記載の検査キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2021年2月14日に出願された米国仮出願第63/149,321号の利益を主張し、その全開示内容全体が引用によって本明細書に組み込まれている。
【0002】
(技術分野)
本開示は、一般的にイムノアッセイのデバイス、システム、及び方法に関する。より具体的には、本開示は、試料中の注目分析物の不在に起因する陰性検査結果が、不十分な試料の質、量、又は組成に起因する陰性検査結果から区別可能であるように試料の適性を示すために用いられる試薬検査判定線を含むイムノアッセイ検査ストリップに関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書で説明するイムノアッセイシステムは、確実、安価、携帯可能、迅速、及び簡単な診断検査を可能にする。イムノアッセイは、試料中の注目分析物の存在又は不在を迅速且つ正確に検出し、一部の例ではこの分析物を定量することができる。有利なことに、ほとんどのイムノアッセイは、極低侵襲性のものであり、ポイントオブケア検査システムとして用いられる。イムノアッセイは、多種多様な医療又は環境の分析物を検出するために開発されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、イムノアッセイは、偽陰性、不正確に低い結果、及び注目分析物が試料中に高濃度で存在する時の分解能不足を含む多くの欠点に悩まされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、試料を受容するように構成された流路と、流路に結合された試料受容ゾーンと、少なくとも1つの試料適性線と、少なくとも1つの分析物捕捉線とを備えるイムノアッセイ検査ストリップを開示する。本開示の複数の実施形態は、イムノアッセイ検査ストリップに関連して説明されるが、本開示によると、試料の適性を示すための試料適性マーカーの使用は、プレートベースのアッセイ又はウェルプレートアッセイを用いて実施されるアッセイ、Luminexアッセイ、ELISAアッセイ、ビーズベースのアッセイ、及びマイクロアレイアッセイを含むがこれらに限定されない、検査ストリップフォーマットを用いないイムノアッセイにおいて実施することもできることを理解されたい。いくつかの実施形態では、試料は、少なくとも1つの試料適性マーカーを含み、試料中の少なくとも1つの試料適性マーカーは、ヒトアルブミンを含み、少なくとも1つの試料適性線は、抗HSA抗体を含む。いくつかの実施形態では、試料は、少なくとも1つの試料適性マーカーを含み、試料中の少なくとも1つの試料適性マーカーは、ラクトトランスフェリンを含み、少なくとも1つの試料適性線は、抗ラクトトランスフェリン抗体を含む。いくつかの実施形態では、試料中の少なくとも1つの試料適性マーカーの存在及び存在量は、試料の量、質、及び/又は組成に依存する。いくつかの実施形態では、試料は、少なくとも1つの注目分析物を更に含む。いくつかの実施形態では、試料中の少なくとも1つの試料適性マーカーの存在及び存在量は、提供者の疾患状態に依存する。いくつかの実施形態では、試料は、提供者から採取された鼻汁試料、粘液試料、血液試料、血漿試料、尿試料、汗液試料、又は唾液試料からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、試料中の少なくとも1つの注目分析物は、感染疾患のマーカーを含む。いくつかの実施形態では、試料中の少なくとも1つの注目分析物は、ウィルスマーカーを含む。いくつかの実施形態では、試料中の少なくとも1つの注目分析物は、SARS-CoV-2に対するマーカーを含む。いくつかの実施形態では、試料中の少なくとも1つの注目分析物は、インフルエンザに対するマーカーを含む。いくつかの実施形態では、試料中の少なくとも1つの注目分析物は、A型インフルエンザウィルスに対するマーカーを含む。いくつかの実施形態では、試料中の少なくとも1つの注目分析物は、B型インフルエンザウィルスに対するマーカーを含む。いくつかの実施形態では、試料中の少なくとも1つの注目分析物は、インフルエンザに対するマーカーとSARS-CoV-2に対するマーカーとを含む。いくつかの実施形態では、試料中の少なくとも1つの注目分析物は、細菌マーカーを含む。いくつかの実施形態では、試料の提供者は、哺乳動物である。いくつかの実施形態では、試料の提供者は、ヒトである。いくつかの実施形態では、検査ストリップは、直接イムノアッセイの一部として用いられる。いくつかの実施形態では、検査ストリップは、間接イムノアッセイの一部として用いられる。いくつかの実施形態では、検査ストリップは、サンドイッチイムノアッセイの一部として用いられる。いくつかの実施形態では、検査ストリップは、競合イムノアッセイの一部として用いられる。いくつかの実施形態では、検査ストリップは、側方流動アッセイの一部として用いられる。いくつかの実施形態では、検査ストリップは、BD Veritor(商標)システムで用いられる。いくつかの実施形態では、検査ストリップは、BD Veritor(商標)在宅COVID-19検査で用いられる。いくつかの実施形態では、検査ストリップは、陰性対照線を更に備える。いくつかの実施形態では、検査ストリップは、陽性対照線を更に備える。いくつかの実施形態では、陽性対照線は、検査ストリップ上で少なくとも1つの分析物捕捉線と少なくとも1つの試料適性線との間、少なくとも1つの分析物捕捉線と陰性対照線との間、又は少なくとも1つの試料適性線と陰性対照線との間に位置決めされる。いくつかの実施形態では、陽性対照線は、イムノアッセイの完全性、適正な試薬機能を検証し、正しい検査手順を保証する。いくつかの実施形態では、陰性対照線は、イムノアッセイの完全性、適正な試薬機能を検証し、正しい検査手順を保証する。いくつかの実施形態では、試料は、流路の中に入る時に標識づけされていない。いくつかの実施形態では、試料は、流路の中に入る時に標識づけされている。
【0006】
本開示のいくつかの態様は、試料を受容するように構成された流路と、流路に結合された試料受容ゾーンと、少なくとも1つの試料適性線と、少なくとも1つの分析物捕捉線とを備えるイムノアッセイ検査ストリップを用いて試料の適性を評価するための方法であって、試料をイムノアッセイ検査ストリップに適用する段階と、試料を流路内で試料受容ゾーンまで流す段階と、少なくとも1つの分析物捕捉線で行われるイムノアッセイによって試料中の少なくとも1つの注目分析物の存在を監視する段階と、少なくとも1つの試料適性線で行われるイムノアッセイによって試料中の少なくとも1つの試料適性マーカーの存在を監視する段階と、を含み、少なくとも1つの試料適性マーカーの検出が、試料の量、質、及び/又は組成の指示として用いられる方法に関する。本開示の複数の実施形態は、イムノアッセイ検査ストリップを用いて試料の適性を評価するための方法に関連して説明されるが、本開示によると、試料の適性を示すための試料適性マーカーの使用は、プレートベースのアッセイ又はウェルプレートアッセイを用いて実施されるアッセイ、Luminexアッセイ、ELISAアッセイ、ビーズベースのアッセイ、及びマイクロアレイアッセイを含むがこれらに限定されない、検査ストリップフォーマットを用いないイムノアッセイにおいて実施することもできることを理解されたい。いくつかの実施形態では、試料は、少なくとも1つの試料適性マーカーを含み、試料中の少なくとも1つの試料適性マーカーは、ヒトアルブミンを含み、少なくとも1つの試料適性線は、抗HSA抗体を含む。いくつかの実施形態では、試料は、少なくとも1つの試料適性マーカーを含み、試料中の少なくとも1つの試料適性マーカーは、ラクトトランスフェリンを含み、少なくとも1つの試料適性線は、抗ラクトトランスフェリン抗体を含む。いくつかの実施形態では、試料は、少なくとも1つの注目分析物を更に含む。いくつかの実施形態では、試料中の少なくとも1つの試料適性マーカーの存在及び存在量は、提供者の疾患状態に依存する。いくつかの実施形態では、試料は、提供者から採取された鼻汁試料、粘液試料、血液試料、血漿試料、尿試料、汗液試料、又は唾液試料からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、試料中の少なくとも1つの注目分析物は、感染疾患のマーカーを含む。いくつかの実施形態では、試料中の少なくとも1つの注目分析物は、ウィルスマーカーを含む。いくつかの実施形態では、試料中の少なくとも1つの注目分析物は、SARS-CoV-2に対するマーカーを含む。いくつかの実施形態では、試料中の少なくとも1つの注目分析物は、インフルエンザに対するマーカーを含む。いくつかの実施形態では、試料中の少なくとも1つの注目分析物は、A型インフルエンザウィルスに対するマーカーを含む。いくつかの実施形態では、試料中の少なくとも1つの注目分析物は、B型インフルエンザウィルスに対するマーカーを含む。いくつかの実施形態では、試料中の少なくとも1つの注目分析物は、インフルエンザに対するマーカーとSARS-CoV-2に対するマーカーとを含む。いくつかの実施形態では、試料中の少なくとも1つの注目分析物は、細菌マーカーを含む。いくつかの実施形態では、試料の提供者は、哺乳動物である。いくつかの実施形態では、試料の提供者は、ヒトである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの注目分析物の存在を監視するために用いられるイムノアッセイは、直接イムノアッセイである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの試料適性マーカーの存在を監視するために用いられるイムノアッセイは、直接イムノアッセイである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの注目分析物の存在を監視するために用いられるイムノアッセイは、間接イムノアッセイである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの試料適性マーカーの存在を監視するために用いられるイムノアッセイは、間接イムノアッセイである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの注目分析物の存在を監視するために用いられるイムノアッセイは、サンドイッチイムノアッセイである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの試料適性マーカーの存在を監視するために用いられるイムノアッセイは、サンドイッチイムノアッセイである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの注目分析物の存在を監視するために用いられるイムノアッセイは、競合イムノアッセイである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの試料適性マーカーの存在を監視するために用いられるイムノアッセイは、競合イムノアッセイである。いくつかの実施形態では、イムノアッセイは、側方流動アッセイである。いくつかの実施形態では、イムノアッセイは、BD Veritor(商標)システムを用いて行われる。いくつかの実施形態では、イムノアッセイは、BD Veritor(商標)在宅COVID-19検査を用いて行われる。いくつかの実施形態では、イムノアッセイ検査ストリップは、陰性対照線を更に備える。いくつかの実施形態では、イムノアッセイ検査ストリップは、陽性対照線を更に備える。いくつかの実施形態では、陽性対照線は、検査ストリップ上で少なくとも1つの分析物捕捉線と少なくとも1つの試料適性線との間、少なくとも1つの分析物捕捉線と陰性対照線との間、又は少なくとも1つの試料適性線と陰性対照線との間に位置決めされる。いくつかの実施形態では、陽性対照線は、イムノアッセイの完全性、適正な試薬機能を検証し、正しい検査手順を保証する。いくつかの実施形態では、陰性対照線は、イムノアッセイの完全性、適正な試薬機能を検証し、正しい検査手順を保証する。いくつかの実施形態では、試料は、流路の中に入る時に標識づけされていない。いくつかの実施形態では、試料は、流路の中に入る時に標識づけされている。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が検出されない場合、方法は、試料が不十分な品質のものであるという指示を表示する段階を更に含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が検出された場合、方法は、試料が十分な品質のものであるという指示を表示する段階を更に含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が高濃度で検出された場合、方法は、試料が高濃度で存在するという指示を表示する段階を更に含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が低濃度で検出された場合、方法は、試料が低濃度で存在するという指示を表示する段階を更に含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が検出され、少なくとも1つの注目分析物の存在が検出されなかった場合、方法は、少なくとも1つの注目分析物が検出されなかったという指示を表示する段階を更に含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が検出され、少なくとも1つの注目分析物の存在が検出された場合、方法は、注目分析物が存在するという指示を更に含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が検出され、少なくとも1つの注目分析物の存在が高濃度で検出された場合、方法は、注目分析物が高濃度で存在するという指示を表示する段階を更に含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が検出され、少なくとも1つの注目分析物の存在が低濃度で検出された場合、方法は、注目分析物が低濃度で存在するという指示を表示する段階を更に含む。少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が検出され、少なくとも1つの注目分析物のうちの第1の分析物の存在が検出され、少なくとも1つの注目分析物のうちの第2の分析物の存在が検出されなかった場合、方法は、少なくとも1つの注目分析物のうちの第1の分析物が存在し、少なくとも1つの注目分析物のうちの第2の分析物が検出されなかったという指示を表示する段階を更に含む。いくつかの実施形態では、試料中の少なくとも1つの試料適性マーカーの存在を監視する段階は、光学シグナルの存在に関して少なくとも1つの試料適性線を視覚的に観察する段階を含む。いくつかの実施形態では、試料中の少なくとも1つの注目分析物の存在を監視する段階は、光学シグナルの存在に関して少なくとも1つの分析物捕捉線を視覚的に観察する段階を含む。いくつかの実施形態では、試料中の少なくとも1つの試料適性マーカーの存在を監視する段階は、少なくとも1つの試料適性線の画像を取得する段階を含む。いくつかの実施形態では、試料中の少なくとも1つの注目分析物の存在を監視する段階は、少なくとも1つの分析物捕捉線の画像を取得する段階を含む。
【0007】
本開示のいくつかの態様は、検査キットに関する。検査キットは、上記で説明したイムノアッセイ検査ストリップのうちのいずれかと、イムノアッセイ検査ストリップの画像を解析し、少なくとも1つの試料適性線に少なくとも部分的に基づいて検査結果を決定するように構成されたソフトウェアアプリケーションを特定するコンピュータ読み取り可能コードとを含むことができる。いくつかの実施形態では、ソフトウェアアプリケーションによって決定される検査結果は、少なくとも1つの試料適性線からの光学シグナルの強度が予め設定された閾値を下回ることをソフトウェアアプリケーションが決定することに少なくとも部分的に基づく無効検査結果である。いくつかの実施形態では、ソフトウェアアプリケーションによって決定される検査結果は、少なくとも1つの試料適性線からの光学シグナルの強度が予め設定された閾値を上回ることをソフトウェアアプリケーションが決定することに少なくとも部分的に基づく有効検査結果である。
【0008】
本明細書で提示する本開示の複数の実施形態は、以下に続く番号付きの代替形態を用いて説明される。
代替形態1.
試料を受容するように構成された流路と、
流路に結合された試料受容ゾーンと、
少なくとも1つの試料適性線と、
少なくとも1つの分析物捕捉線と、
を備えるイムノアッセイ検査ストリップ。
代替形態2.
試料は、少なくとも1つの試料適性マーカーを含み、試料中の少なくとも1つの試料適性マーカーは、ヒトアルブミンを含み、少なくとも1つの試料適性線は、抗HSA抗体を更に含む、代替形態1に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
代替形態3.
試料は、少なくとも1つの試料適性マーカーを含み、試料中の少なくとも1つの試料適性マーカーは、ラクトトランスフェリンを含み、少なくとも1つの試料適性線は、抗ラクトトランスフェリン抗体を含む、代替形態1に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
代替形態4.
試料中の少なくとも1つの試料適性マーカーの存在及び存在量は、試料の量、質、及び/又は組成に依存する、代替形態2から3のいずれかに記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
代替形態5.
試料は、少なくとも1つの注目分析物を含む、代替形態1から4のいずれかに記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
代替形態6.
試料中の上記少なくとも1つの試料適性マーカーの存在及び存在量は、提供者の疾患状態に依存する、代替形態5に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
代替形態7.
試料は、提供者から採取された鼻汁試料、粘液試料、血液試料、血漿試料、尿試料、汗液試料、又は唾液試料からなる群から選択される、代替形態1から6のいずれかに記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
代替形態8.
試料中の少なくとも1つの注目分析物は、感染疾患のマーカーを含む、代替形態1から7のいずれかに記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
代替形態9.
試料中の少なくとも1つの注目分析物は、ウィルスマーカーを含む、代替形態8に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
代替形態10.
試料中の少なくとも1つの注目分析物は、SARS-CoV-2に対するマーカーを含む、代替形態8から9のいずれかに記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
代替形態11.
試料中の少なくとも1つの注目分析物は、インフルエンザに対するマーカーを含む、代替形態8から10のいずれかに記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
代替形態12.
試料中の少なくとも1つの注目分析物は、A型インフルエンザウィルスに対するマーカーを含む、代替形態11に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
代替形態13.
試料中の少なくとも1つの注目分析物は、B型インフルエンザウィルスに対するマーカーを含む、代替形態11に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
代替形態14.
試料中の少なくとも1つの注目分析物は、インフルエンザに対するマーカーとSARS-CoV-2に対するマーカーとを含む、代替形態8から11のいずれかに記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
代替形態15.
試料中の少なくとも1つの注目分析物は、細菌マーカーを含む、代替形態8に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
代替形態16.
試料の提供者は、哺乳動物である、代替形態1から12のいずれかに記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
代替形態17.
試料の提供者は、ヒトである、代替形態1から13のいずれかに記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
代替形態18.
検査ストリップは、直接イムノアッセイの一部として用いられる、代替形態1から17のいずれかに記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
代替形態19.
検査ストリップは、間接イムノアッセイの一部として用いられる、代替形態1から17のいずれかに記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
代替形態20.
検査ストリップは、サンドイッチイムノアッセイの一部として用いられる、代替形態1から17のいずれかに記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
代替形態21.
検査ストリップは、競合イムノアッセイの一部として用いられる、代替形態1から17のいずれかに記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
代替形態22.
検査ストリップは、側方流動アッセイの一部として用いられる、代替形態1から21のいずれかに記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
代替形態23.
検査ストリップは、BD Veritor(商標)システムで用いられる、代替形態1から22のいずれかに記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
代替形態24.
検査ストリップは、BD Veritor(商標)在宅COVID-19検査において用いられる、代替形態1から23のいずれかに記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
代替形態25.
検査ストリップは、陽性対照線及び/又は陰性対照線を更に備える、代替形態1から24のいずれかに記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
代替形態26.
検査ストリップは陽性対照線を備え、陽性対照線は、検査ストリップ上で少なくとも1つの分析物捕捉線と少なくとも1つの試料適性線との間、少なくとも1つの分析物捕捉線と陰性対照線との間、又は少なくとも1つの試料適性線と陰性対照線との間に位置決めされる、代替形態25に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
代替形態27.
陽性対照線は、イムノアッセイの完全性、適正な試薬機能を検証し、正しい検査手順を保証する、代替形態26に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
代替形態28.
検査ストリップは陰性対照線を備え、陰性対照線は、イムノアッセイの完全性、適正な試薬機能を検証し、正しい検査手順を保証する、代替形態25に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
代替形態29.
試料は、流路の中に入る時に標識づけされていない、代替形態1から28のいずれかに記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
代替形態30.
試料は、流路の中に入れ時に標識づけされている、代替形態1から28のいずれかに記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
代替形態31.
試料を受容するように構成された流路と、流路に結合された試料受容ゾーンと、少なくとも1つの試料適性線と、少なくとも1つの分析物捕捉線とを備えるイムノアッセイ検査ストリップを用いて試料の適性を評価するための方法であって、
試料をイムノアッセイ検査ストリップに適用する段階と、
試料を流路内で試料受容ゾーンまで流す段階と、
少なくとも1つの分析物捕捉線で行われるイムノアッセイによって試料中の少なくとも1つの注目分析物の存在を監視する段階と、
少なくとも1つの試料適性線で行われるイムノアッセイによって試料中の少なくとも1つの試料適性マーカーの存在を監視する段階と、
を含み、
少なくとも1つの試料適性マーカーの検出が、試料の量、質、及び/又は組成の指示として用いられる方法。
代替形態32.
試料は、少なくとも1つの試料適性マーカーを含み、試料中の少なくとも1つの試料適性マーカーは、ヒトアルブミンを含み、少なくとも1つの試料適性線は、抗HSA抗体を含む、代替形態31に記載の方法。
代替形態33.
試料は、少なくとも1つの試料適性マーカーを含み、試料中の少なくとも1つの試料適性マーカーは、ラクトトランスフェリンを含み、少なくとも1つの試料適性線は、抗ラクトトランスフェリン抗体を含む、代替形態31に記載の方法。
代替形態34.
試料は、少なくとも1つの注目分析物を含む、代替形態31から33のいずれかに記載の方法。
代替形態35.
試料中の少なくとも1つの試料適性マーカーの存在及び存在量は、提供者の疾患状態に依存する、代替形態34に記載の方法。
代替形態36.
試料は、提供者から採取された鼻汁試料、粘液試料、血液試料、血漿試料、尿試料、汗液試料、又は唾液試料からなる群から選択される、代替形態31から35のいずれかに記載の方法。
代替形態37.
試料中の少なくとも1つの注目分析物は、感染疾患のマーカーを含む、代替形態31から36のいずれかに記載の方法。
代替形態38.
試料中の少なくとも1つの注目分析物は、ウィルスマーカーを含む、代替形態37に記載の方法。
代替形態39.
試料中の少なくとも1つの注目分析物は、SARS-CoV-2に対するマーカーを含む、代替形態37から38のいずれかに記載の方法。
代替形態40.
試料中の少なくとも1つの注目分析物は、インフルエンザに対するマーカーを含む、代替形態37から39のいずれかに記載の方法。
代替形態41.
試料中の少なくとも1つの注目分析物は、A型インフルエンザウィルスに対するマーカーを含む、代替形態40に記載の方法。
代替形態42.
試料中の少なくとも1つの注目分析物は、B型インフルエンザウィルスに対するマーカーを含む、代替形態40に記載の方法。
代替形態43.
試料中の少なくとも1つの注目分析物は、インフルエンザに対するマーカーとSARS-CoV-2に対するマーカーとを含む、代替形態37から40のいずれかに記載の方法。
代替形態44.
試料中の少なくとも1つの注目分析物は、細菌マーカーを含む、代替形態37に記載の方法。
代替形態45.
試料の提供者は、哺乳動物である、代替形態31から44のいずれかに記載の方法。
代替形態46.
試料の提供者は、ヒトである、代替形態31から45のいずれかに記載の方法。
代替形態47.
少なくとも1つの注目分析物の存在を監視するために用いられるイムノアッセイは、直接イムノアッセイである、代替形態31から46のいずれかに記載の方法。
代替形態48.
少なくとも1つの試料適性マーカーの存在を監視するために用いられるイムノアッセイは、直接イムノアッセイである、代替形態31から47のいずれかに記載の方法。
代替形態49.
少なくとも1つの注目分析物の存在を監視するために用いられるイムノアッセイは、間接イムノアッセイである、代替形態31から46及び代替形態48のいずれかに記載の方法。
代替形態50.
少なくとも1つの試料適性マーカーの存在を監視するために用いられるイムノアッセイは、間接イムノアッセイである、代替形態31から47及び代替形態49のいずれかに記載の方法。
代替形態51.
少なくとも1つの注目分析物の存在を監視するために用いられるイムノアッセイは、サンドイッチイムノアッセイである、代替形態31から46、代替形態48、及び代替形態50のいずれかに記載の方法。
代替形態52.
少なくとも1つの試料適性マーカーの存在を監視するために用いられるイムノアッセイは、サンドイッチイムノアッセイである、代替形態31から47、代替形態49、及び代替形態51のいずれかに記載の方法。
代替形態53.
少なくとも1つの注目分析物の存在を監視するために用いられるイムノアッセイは、競合イムノアッセイである、代替形態31から46、代替形態48、代替形態50、及び代替形態52のいずれかに記載の方法。
代替形態54.
少なくとも1つの試料適性マーカーの存在を監視するために用いられるイムノアッセイは、競合イムノアッセイである、代替形態31から47、代替形態49、代替形態51、及び代替形態53のいずれかに記載の方法。
代替形態55.
イムノアッセイは、側方流動アッセイである、代替形態31から54のいずれかに記載の方法。
代替形態56.
イムノアッセイは、BD Veritor(商標)システムを用いて行われる、代替形態31から54のいずれかに記載の方法。
代替形態57.
イムノアッセイは、BD Veritor(商標)在宅COVID-19検査を用いて行われる、代替形態31から56のいずれかに記載の方法。
代替形態58.
イムノアッセイ検査ストリップは、陽性対照線及び/又は陰性対照線を更に備える、代替形態31から57のいずれかに記載の方法。
代替形態59.
検査ストリップは陽性対照線を備え、陽性対照線は、検査ストリップ上で少なくとも1つの分析物捕捉線と少なくとも1つの試料適性線との間、少なくとも1つの分析物捕捉線と陰性対照線との間、又は少なくとも1つの試料適性線と陰性対照線との間に位置決めされる、代替形態58に記載の方法。
代替形態60.
陽性対照線は、イムノアッセイの完全性、適正な試薬機能を検証し、正しい検査手順を保証する、代替形態59に記載の方法。
代替形態61.
検査ストリップは陰性対照線を備え、陰性対照線は、イムノアッセイの完全性、適正な試薬機能を検証し、正しい検査手順を保証する、代替形態58に記載のイムノアッセイ検査ストリップ。
代替形態62.
試料は、流路の中に入る時に標識づけされていない、代替形態31から61のいずれかに記載の方法。
代替形態63.
試料は、流路の中に入る時に標識づけされている、代替形態31から61のいずれかに記載の方法。
代替形態64.
少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が検出されない場合、方法は、試料が不十分な品質のものであるという指示を表示する段階を更に含む、代替形態31から63のいずれかに記載の方法。
代替形態65.
少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が検出された場合、方法は、試料が十分な品質のものであるという指示を表示する段階を更に含む、代替形態31から63のいずれかに記載の方法。
代替形態66.
少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が高濃度で検出された場合、方法は、試料が高濃度で存在するという指示を表示する段階を更に含む、代替形態65に記載の方法。
代替形態67.
少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が低濃度で検出された場合、方法は、試料が低濃度で存在するという指示を表示する段階を更に含む、代替形態65に記載の方法。
代替形態68.
少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が検出され、少なくとも1つの注目分析物の存在が検出されなかった場合、方法は、少なくとも1つの注目分析物が検出されなかったという指示を表示する段階を更に含む、代替形態65から67のいずれかに記載の方法。
代替形態69.
少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が検出され、少なくとも1つの注目分析物の存在が検出された場合、方法は、注目分析物が存在するという指示を表示する段階を更に含む、代替形態65から67のいずれかに記載の方法。
代替形態70.
少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が検出され、少なくとも1つの注目分析物の存在が高濃度で検出された場合、方法は、注目分析物が高濃度で存在するという指示を表示する段階を更に含む、代替形態69に記載の方法。
代替形態71.
少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が検出され、少なくとも1つの注目分析物の存在が低濃度で検出された場合、方法は、注目分析物が低濃度で存在するという指示を表示する段階を更に含む、代替形態69に記載の方法。
代替形態72.
少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が検出され、少なくとも1つの注目分析物のうちの第1の分析物の存在が検出され、少なくとも1つの注目分析物のうちの第2の分析物の存在が検出されなかった場合、方法は、少なくとも1つの注目分析物のうちの第1の分析物が存在し、少なくとも1つの注目分析物のうちの第2の分析物が検出されなかったという指示を表示する段階を更に含む、代替形態69から71のいずれかに記載の方法。
代替形態73.
試料中の少なくとも1つの試料適性マーカーの存在を監視する段階は、光学シグナルの存在に関して少なくとも1つの試料適性線を視覚的に観察する段階を含む、代替形態31から72のいずれかに記載の方法。
代替形態74.
試料中の少なくとも1つの注目分析物の存在を監視する段階は、光学シグナルの存在に関して少なくとも1つの分析物捕捉線を視覚的に観察する段階を含む、代替形態31から代替形態73のいずれかに記載の方法。
代替形態75.
試料中の少なくとも1つの試料適性マーカーの存在を監視する段階は、少なくとも1つの試料適性線の画像を取得する段階を含む、代替形態31から72のいずれかに記載の方法。
代替形態76.
試料中の少なくとも1つの注目分析物の存在を監視する段階は、少なくとも1つの分析物捕捉線の画像を取得する段階を含む、代替形態31から72のいずれかに記載の方法。
代替形態77.
代替形態1から30のいずれかに記載のイムノアッセイ検査ストリップと、イムノアッセイ検査ストリップの画像を解析して少なくとも1つの試料適性線に少なくとも部分的に基づいて検査結果を決定するように構成されたソフトウェアアプリケーションを特定するコンピュータ読み取り可能コードと、を備える検査キット。
代替形態78.
ソフトウェアアプリケーションによって決定される検査結果は、少なくとも1つの試料適性線からの光学シグナルの強度が予め設定された閾値を下回ることをソフトウェアアプリケーションが決定することに少なくとも部分的に基づく無効検査結果である、代替形態77に記載のテストキット。
代替形態79.
ソフトウェアアプリケーションによって決定される検査結果は、少なくとも1つの試料適性線からの光学シグナルの強度が予め設定された閾値を上回ることをソフトウェアアプリケーションが決定することに少なくとも部分的に基づく有効検査結果である、代替形態77に記載のテストキット。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】L5が試料適性線であり、L4が陽性対照線(PC)であり、L3がブランク線であり、L2が、SARS-Cov-2マーカーに対する分析物捕捉線であり、L1が陰性対照線(NC)であり、B2が背景区分である本開示による例示的イムノアッセイ検査ストリップを示す。
【
図2】本開示による例示的イムノアッセイを用いて採取及び分析された369個の流体試料に関するAUを単位とする試料適性線強度分布のヒストグラムを示す。
【
図3】本開示による例示的イムノアッセイを用い臨床治験中に採取及び分析された試料に関するAUを単位とする試料適性線強度分布のヒストグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
高品質迅速診断検査の開発は、より適切な患者診療を可能にする上でこれまで長きにわたって試料を処理してリアルタイムで結果を得ることが不可能であった環境の中への検査室品質の診断アッセイの展開を可能にした。しかしながら、診断プロセスには、これまで長きにわたって問題として残っている、検査すべき試料の適正な取得という段階がある。不十分な品質の試料は、不十分な品質の診断検査結果につながることになる。この問題の結果として生じる、熟練医療専門家が試料採取に携わる必要性が、全ての考え得る検査現場におけるこれらの迅速技術の展開の広がりに対する障害として一般的に残ったままである。
【0011】
この理由から、検査室以外の個人を含むそれほど訓練を受けていない個人が、分析に有効な臨床試料を採取することを可能にする必要が存在している。かかる実施構成の従来の例は、注目バイオマーカーの判読に影響を及ぼす尿排出量のばらつきに対処するためにアルブミン等の他のバイオマーカーの測定を正規化するための尿中クレアチニンの使用である。
【0012】
かかる実施構成の価値は、臨床試料から得られた分析測定値を、試料の有効性等の性状に関して判定することができる点である。例えば依存性物質に関する検査では、検査対象である個人は、診断ターゲットの測定値を改変するための水の添加等の機構を利用して分析結果を改ざんしようと試みようという気を起こす可能性がある。試料有効性検査は、かかる改ざんを検出することができ、それによって生じる結果を適切に有効又は無効と判定することができる。
【0013】
COVID-19のパンデミックは、前例のない規模でウィルス感染を検出するための機構の必要性を生み出した。この検出は、これまで長きにわたって検査室品質の診断検査との関わりがなかった環境において、広く普及した感染症検査を行うことによって、更には場合によってはかかる検査に適する有効試料の採取の経験がない個人によって遂行されるのが最善である。空港、長期介護施設、学校等であり、更には自宅環境をも含む広く散在している検査室以外の環境における試料採取の品質を確保することへの要求が明らかに発生している。
【0014】
尿中の試料有効性バイオマーカーへの要求とほぼ同様に、検査室以外の環境における評価に向けて高品質試料が検査室以外の個人によって採取されることを保証するために、SARS-CoV-2等の病原体に関するより一般的な迅速抗原検査と組み合わせることができる、鼻腔由来の試料中のバイオマーカーを識別して検出することへの要求が存在する。
【0015】
本開示の実施形態は、流体等の生体試料又は非生体試料の中に存在する可能性がある注目分析物の検出に適するシステム及び技法に関する。本開示の全体を通して、例示的なシステム、デバイス、及び方法は、感染疾患に関連する診断検査に適切なもの等の分析物の採取、検査、及び検出に関連して説明することになるが、本技術は、注目するいずれかの粒子、分子、又は分析物を採取、検査、及び検出するために用いることができることを理解されたい。
【0016】
定義
別途定義しない限り、本明細書で用いる全ての科学技術用語は、当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書で引用する全ての特許、出願、公開出願、及びその他の公報は、別途述べない限りその開示内容全体が引用によって本明細書に組み込まれている。本明細書に記載の用語に対して複数の定義が存在する場合には、別途述べない限り本節に記載のものが優先する。
【0017】
本明細書で用いる場合、単数形「a」、「an」は、1又は2以上の指示対象を意味する場合がある。
【0018】
本明細書で用いる場合、「約」、「ほぼ」、又は「およそ」という用語は、当業者によって理解されている通常の意味を有し、従ってある値が、値を決定するために採用される方法に固有の誤差ばらつき、又は複数回の決定の間に存在するばらつきを含むことを示す。
【0019】
本明細書の全体を通して、文脈上別途定められない限り、「備える」及びその変化形は、記述する段階又は要素或いはそれらの群の包含を意味するが、いずれか他の段階又は要素或いはそれらの群の除外を意味しないと理解されよう。「~からなる」は、この句に先行するいずれかのものを含み、それらに限定されることを意図したものである。従って、「~からなる」という句は、列記する要素が必要とされ又は必須であり、いかなる他の要素も存在することができないことを示す。「基本的に~からなる」は、この句の「~」の部分に列記するいずれかの要素、及びこれらの列記要素に関して本開示で明示する活動又は行為を妨害しない又はそれらに寄与する他の要素に限定されたいずれかの要素を含むことを意図したものである。従って「基本的に~からなる」という句は、列記要素が必要とされる又は必須であるが、他の要素が任意選択的であり、当該の他の要素が列記要素の活動又は行為に実質的に影響を及ぼすか否かに依存して存在してもしなくてもよいことを示す。
【0020】
本明細書で開示する寸法及び値は、具陳する正確な数値に厳密に限定されるものと理解すべきではない。代わりに、そのような各寸法は、別途明示しない限り、記載された値とこの値の前後の機能的に等価な範囲との両方を意味することを意図したものである。例えば、「20mm」として開示する寸法は、「約20mm」を意味することを意図したものである。
【0021】
本明細書で用いる「機能」及び「機能的」という用語は、本明細書に照らして理解される平易で通常の意味を有し、生体機能、酵素機能、又は治療機能を意味する。
【0022】
本開示は、イムノアッセイデバイス、検査システム、及び方法に関する。本明細書で用いる場合、「分析物」は、検出すべき物質を一般的に意味する。注目分析物は、抗体、抗原、抗原性物質、リガンド、蛋白質、不完全抗原、糖、脂質、核酸、RNA、DNA、増幅産物、ホルモン、低分子、サイトカイン、免疫細胞、免疫細胞粒子、免疫細胞表面、細菌粒子、細菌表面、ウィルス粒子、ウィルス表面、細胞断片、細胞表面、及び癌治療に用いられる抗腫瘍薬等の有害又は無害の薬物又は汚染物質等であるがこれらに限定されないいずれかの検出可能物質を含むことができる。分析物は、毒素、有機化合物、ペプチド、微生物、アミノ酸、ステロイド、ビタミン、薬物(治療目的で投与されるもの並びに違法目的で投与されるものを含む)、薬物の中間物又は副産物、及びこれらの物質のうちのいずれかの代謝物又はそれに対する抗体を含むが、これらに限定されない。いくつかの分析物の特定の例は、SARS-CoV-2粒子、A型インフルエンザ粒子、B型インフルエンザ粒子、フェリチン、クレアチニンキナーゼMB(CK-MB)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、ジゴキシン、フェニトイン、フェノバルビトール、カルバマゼピン、バンコマイシン、ゲンタマイシン、テオフィリン、バルプロ酸、キニジン、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、エストラジオール、プロゲステロン、C-反応性蛋白質(CRP)、リポカリン、IgE抗体、サイトカイン、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、ビタミンB2ミクログロブリン、インターフェロンガンマ誘導蛋白質10(IP-10)、糖化ヘモグロビン(Gly Hb)、コルチゾール、ジギトキシン、N-アセチルプロカインアミド(NAPA)、プロカインアミド、風疹IgG及び風疹IgM等の抗風疹抗体、トキソプラズマIgG(トキソIgG)及びトキソプラズマIgM(トキソIgM)等の抗トキソプラズマ抗体、テストステロン、サリチラート、アセトアミノフェン、B型肝炎ウィルス表面抗原(HBsAg)、抗B型肝炎コア抗原IgG及びIgM等の抗B型肝炎コア抗原抗(抗HBC)、ヒト免疫不全ウィルス1型及び2型(HIV1及びHIV2)、ヒトT細胞白血病ウィルス1型及び2型(HTLV)、B型肝炎e抗原(HBeAg)、抗B型肝炎e抗原抗体(抗HBe)、インフルエンザウィルス、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、チロキシン(T4)、トータルトリヨードチロニン(トータルT3)、遊離トリヨードチロニン(遊離T3)、癌胎児性抗原(CEA)、リポ蛋白質、コレステロール、及びトリグリセリド、並びにアルファフェトプロテイン(AFP)を含む。依存性薬物及び規制物質は、アンフェタミン、メタンフェタミン、バルビツラート類(例えば、アモバルビタール、セコバルビタール、ペントバルビタール、バルビツラート、フェノバルビタール、及びバルビタール)、リブリウム及びバリウム等のベンゾジアゼピン類、ハシシ及びマリファナ等のカンナビノイド類、コカイン、フェンタニル、LSD、メタカロン、オピエート類(例えば、ヘロイン、モルヒネ、コデイン、ヒドロモルフォン、ヒドロコドン、メタドン、オキシコドン、オキシモルフォン、及びアヘン)、フェンシクリジン、及びプロポキシフェンを含むが、これらに限定されることを意図していない。注目の生体物質又は環境物質の用途で更なる分析物を含めることができる。本明細書で用いる場合、注目分析物は、試料の提供者の疾患状態に基づく試料中に存在する場合がある。
【0023】
イムノアッセイ
本明細書で用いる場合、「イムノアッセイ」という用語は、本明細書に照らして理解される平易で通常の意味を有し、溶液中の1又は2以上の分析物の存在又は濃度を抗体又は抗原の使用によって測定する生化学検査を意味する。イムノアッセイの例は、放射イムノアッセイ、計数イムノアッセイ、酵素イムノアッセイ、蛍光イムノアッセイ、及び化学発光イムノアッセイを含む。
【0024】
本開示の実施形態は、イムノアッセイにおいて用いられ、試料適性線を含む検査ストリップに関する。本明細書では、本開示の実施形態を、直接イムノアッセイ、間接イムノアッセイ、サンドイッチイムノアッセイ、及び競合イムノアッセイに向けたこれらの検査ストリップの使用に関連して説明するが、本明細書で説明する検査ストリップは、いずれの分析物検出アッセイにおける構成要素としても用いることができることを理解されたい。更に、本開示の実施形態は、検査ストリップに関連して説明するが、本開示は、下記で詳細に説明するように、いずれか適切なフォーマットで実施することができることを理解されたい。
【0025】
本明細書で用いる場合、「直接イムノアッセイ」という用語は、当業者によって理解されている通常の意味を有し、従って分析物に特異的な標識抗体又は標識抗原による注目分析物の直接測定を意味する。いくつかの実施形態では、抗体又は抗原は、検査ストリップ上に固定され、注目分析物は、溶液中で抗体又は抗原と接触される。いくつかの実施形態では、注目分析物は、検査ストリップ上に固定され、標識抗体又は標識抗原が、溶液中の分析物と接触される。
【0026】
本明細書で用いる場合、「間接イムノアッセイ」という用語は、当業者によって理解されている通常の意味を有し、従って最初に注目分析物が、それに特異的な抗体又は抗原に結合して複合体を形成し、続いて第2の抗体、分析物、又は化合物がこの複合体に結合して検出可能シグナルを提供するアッセイを意味する。いくつかの実施形態では、第1又は「一次」の抗体又は抗原は標識づけされていない。いくつかの実施形態では、注目分析物は、検査ストリップ上に固定される。いくつかの実施形態では、第2の抗体、分析物、又は化合物は、一次の抗体又は抗原に結合する。いくつかの実施形態では、第2の抗体、分析物、又は化合物は、分析物に結合する。いくつかの実施形態では、第2の抗体、分析物、又は化合物は、分析物との複合体内にある一次の抗体又は抗原に結合する。
【0027】
本明細書で用いる場合、「サンドイッチイムノアッセイ」という用語は、当業者によって理解されている通常の意味を有し、従って注目分析物に特異的な抗体又は抗原が検査ストリップ上に固定され、続いて注目分析物が溶液中で抗体又は抗原に接触して複合体を形成し、更に第2の抗体、分析物、又は化合物がこの複合体に結合して検出可能シグナルを提供する。いくつかの実施形態では、第1又は「一次」の抗体又は抗原は標識づけされていに。いくつかの実施形態では、第2の抗体、分析物、又は化合物は、一次の抗体又は抗原に結合する。いくつかの実施形態では、第2の抗体、分析物、又は化合物は、分析物に結合する。いくつかの実施形態では、第2の抗体、分析物、又は化合物は、分析物との複合体内にある一次の抗体又は抗原に結合する。
【0028】
本明細書で用いる場合、「抑制」イムノアッセイ又は「阻害」イムノアッセイとしても公知の「競合イムノアッセイ」という用語は、当業者によって理解されている通常の意味を有し、従って試料中の注目分析物の濃度が、予測シグナル出力において干渉を検出することによって測定されるアッセイを意味する。
【0029】
本明細書で説明するイムノアッセイは、標識を含むことができる。標識は、分光手段、光化学手段、生化学手段、免疫化学手段、電気手段、光学手段、又は化学手段によって検出可能な分析物、分析物類似物、検出試薬、又は結合パートナーに結合された又は結合される能力を有する分子又は組成を含む多くの異なる形態をとることができる。標識の例は、酵素、コロイド金粒子(金ナノ粒子とも呼ぶ)、有色ラテックス粒子、放射性同位体、補因子、リガンド、化学発光剤又は蛍光剤、蛋白質吸着銀粒子、蛋白質吸着鉄粒子、蛋白質吸着銅粒子、蛋白質吸着セレン粒子、蛋白質吸着硫黄粒子、蛋白質吸着テルル粒子、蛋白質吸着炭素粒子、及び蛋白質結合色素嚢を含む。標識への化合物(例えば検出試薬)の付着は、共有結合、吸着プロセス、疎水性結合及び/又は静電結合、キレートのようなものなど、又はこれらの結合及び相互作用によるものとすること、及び/又は連結基を含むことができる。
【0030】
「特異結合パートナー(又は結合パートナー)」という用語は、関与する分子の3次元構造に依存する特異的な非共有相互作用によって相互作用する分子対の一方を意味する。典型的な特異結合パートナー対は、抗原/抗体、不完全抗原/抗体、ホルモン/受容体、核酸鎖/相補的核酸鎖、基質/酵素、阻害剤/酵素、炭水化物/レクチン、ビオチン/(ストレプト)アビジン、受容体/リガンド、及びウィルス/細胞受容体、又はこれらの様々な組み合わせを含む。
【0031】
本明細書で用いる場合、「免疫グロブリン」又は「抗体」という用語は、特異抗原を結合する蛋白質を意味する。免疫グロブリンは、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、及びヒト化抗体、Fabフラグメント、F(ab′)2フラグメントを含むがこれらに限定されず、更にIgG、IgA、IgM、IgD、IbE、及び分泌免疫グロブリン(sIg)という分類の免疫グロブリンを含む。一般的に、免疫グロブリンは、2つの等しい重鎖と2つの軽鎖とを含む。しかしながら、「抗体」及び「免疫グロブリン」という用語は、一本鎖抗体と二本鎖抗体とを更に包含する。
【0032】
本明細書で説明するイムノアッセイは、例えば、ベースプレート、ウェルプレート、ポリスチレンマイクロチューブ、マイクロタイタープレート、側方流動アッセイ、BD Veritor(商標)システム、Luminexアッセイ、ドライキット、ELISAアッセイ、マイクロアレイアッセイ、ビーズベースのアッセイ、蛍光プレートリーダ、発光プレートリーダ、化学プレートリーダ、光学プレートリーダ、化学発光プレートリーダ、及びチップベースのアッセイであるがこれらに限定されない、様々な対応デバイス、対応材料、及び対応プラットフォーム上で実行することができる。従って、本開示の実施形態はイムノアッセイ検査ストリップに関連して説明されるが、本開示によると、試料の適性を示すための試料適性マーカーの使用は、プレートベースのアッセイ又はウェルプレートアッセイを用いて実施されるアッセイ、Luminexアッセイ、ELISAアッセイ、ビーズベースのアッセイ、及びマイクロアレイアッセイを含むがこれらに限定されない、検査ストリップフォーマットを用いないイムノアッセイにおいて実施することもできることを理解されたい。
【0033】
側方流動アッセイ
本開示のいくつかの態様は、特殊なタイプのイムノアッセイである側方流動アッセイに関する。側方流動アッセイは、本明細書で説明する側方流動デバイス上で実施することができるアッセイである。本明細書で説明する側方流動デバイスは、側方流動クロマトグラフィーにおいて用いられる分析デバイスである。側方流動デバイスは、検査ストリップ上に実装することができるが、他の形態が適切な場合もある。検査ストリップフォーマットでは、分析物を含有することが疑われる検査試料流体が、ストリップを通って流れる(例えば毛細管作用によって)。ストリップは、紙、ニトロセルロース、及びセルロース等の吸湿性材料で作製することができる。試料流体は、試料貯留部に受容される。試料流体は、ストリップに沿って捕捉ゾーンまで流れることができ、そこで分析物が(存在する場合に)捕捉剤と相互作用して分析物の存在、不在、及び/又は量を示す。捕捉剤は、捕捉ゾーン内に固定化された抗体を含むことができる。
【0034】
本明細書では、本開示によるアッセイが発生するシグナルは、反射型標識(金ナノ粒子標識等であるがそれに限定されない)が発生する光学シグナルとの関連において説明される。本明細書では、本開示の実施形態を「光学」シグナルを参照して説明するが、本明細書で説明するアッセイは、蛍光シグナルを発生する蛍光型ラテックスビーズ標識、及びアッセイに関連する磁場の変化を示すシグナルを発生する磁気ナノ粒子標識を含むがこれらに限定されない、検出可能シグナルを発生するための標識に適切ないずれかの材料を用いることができることを理解されたい。
【0035】
本開示の実施構成は、高濃度を含む様々な濃度で発生する注目分析物又は試料適性マーカーを検出することができる。例えば、本開示の実施形態は、開示内容全体が引用によって本明細書に組み込まれている、2018年6月25日に出願された国際出願PCT/US2018/039347号に説明されている側方流動デバイス、検査システム、及び方法を用いて分析物を検出することができる。2018年6月25日に出願された国際出願PCT/US2018/039347号に説明されている側方流動デバイス、検査システム、及び方法を実装する実施形態では、注目分析物が分析物捕捉線により強く結合するほど、分析物捕捉線における検出可能シグナルの量は、増加するのではなく減少することを理解されたい。
【0036】
サンドイッチ型及び競合型の側方流動アッセイ
側方流動アッセイは、サンドイッチフォーマット又は競合フォーマットで実施することができる。本明細書で説明するサンドイッチフォーマット及び競合フォーマットのアッセイは、光学シグナルを発生する反射型標識(金ナノ粒子標識等)との関連で説明されることになるが、アッセイは、蛍光シグナルを発生するように構成されたラテックスビーズ標識、磁気シグナルを発生するように構成された磁気ナノ粒子標識、又は検出可能シグナルを発生するように構成されたいずれか他の標識を含むことができることを理解されたい。サンドイッチ型側方流動アッセイは、固体基板上にある試料貯留部に堆積された標識抗体を含む。試料が試料貯留部に適用された後に、標識抗体は、試料中に溶出し、その後、抗体は、試料中の分析物上にあるエピトープを認識して結合し、標識-抗体-分析物複合体を形成する。この複合体は、液体フロント(liquid front)に沿って試料貯留部から固体基板を通って、固定化抗体(「捕捉剤」と呼ばれる場合もある)が位置決めされた捕捉ゾーン(「検査線」と呼ばれる場合もある)まで流れる。分析物が多量体である又は同じモノマー上に複数の等しいエピトープを含む一部の例では、試料貯留部に堆積される標識抗体は、捕捉ゾーン内に固定化される抗体と同じとすることができる。固定化抗体は、分析物上のエピトープを認識して結合し、それによって捕捉ゾーンに標識-抗体-分析物複合体を捕捉する。捕捉ゾーンにおける標識抗体の存在は、捕捉ゾーンに検出可能な光学シグナルを提供する。1つの非限定的な例では、金ナノ粒子が比較的安価で安定しており、その表面プラズモン共鳴特性に基づいて容易に観察可能な色を生じることから、金ナノ粒子を用いて抗体が標識づけされる。いくつかの実施形態では、このシグナルは、分析物が試料中に存在するか否か等の定性情報を提供する。一部の例では、このシグナルは、試料中の分析物の量の測定値等の定量情報を提供する。
【0037】
試料適性マーカー
いくつかの実施形態では、試料は、環境内にある分析物を検出するための環境試料である。いくつかの実施形態では、試料は、対象者からの生体試料である。いくつかの実施形態では、試料は流体である。いくつかの実施形態では、生体試料は、血液、末梢血液、血清、血漿、腹水、尿、脳脊髄液(CSF)、痰、唾液、骨髄、滑液、房水、羊水、耳垢、母乳、気管支肺胞洗浄液、精液(前立腺液を含む)、カウパー腺液又は尿道球腺液、バルトリン腺液、汗液、排泄物、毛、涙液、嚢胞液、胸水及び腹水、心嚢液、リンパ液、糜粥、乳糜、胆汁、間質液、月経液、膿、皮脂、嘔吐物、膣分泌物、粘膜分泌物、鼻汁、粘液、水様便、膵液、副鼻腔からの洗浄液、気管支肺吸引液、又はその他の洗浄液を含むことができる。
【0038】
本明細書で用いる場合、「試料適性マーカー」は、その元の試料の量、質、及び/又は組成を評価するために用いることができる分析物、分子、化合物、又は物質である。従前のイムノアッセイでは、注目分析物が試料中に存在しない場合又は試料が不十分な適性のものである場合のどちらかに陰性結果が得られる。本開示では、試料適性マーカーの陽性検出が、イムノアッセイに試料が存在し、それが検出を誘発するのに十分に高い濃度で完全なものであることを示す。試料適性マーカーは、構成的分子、内在的分子、及び「ハウスキーピング」分子を含む、試料に固有のいずれかのものとすることができる。試料適性マーカーの例は、蛋白質、総蛋白質、アルブミン、血清アルブミン、ヒトアルブミン、ラクトトランスフェリン(ラクトフェリン)、アクチン、リゾチーム、IgA、ヘモグロビン、ムチン、ムチン7、ムチン5ac、ムチン20、トレフォイル因子3、細胞、細胞粒子、アンモニウム、酸性リン酸塩、カルシウム、高プロリン蛋白質族、唾液アミラーゼ、ホルモン、アポリポ蛋白質D、クラスタリン、外分泌蛋白質、及びダームシジンを含むが、これらに限定されない。
【0039】
イムノアッセイ用検査ストリップ
本開示によるイムノアッセイ検査ストリップは、生物学的作用物質を検出、識別、及び一部の例では定量するために用いることができる。生物学的作用物質は、原核生物細胞株、真核生物細胞株、哺乳動物細胞株、微生物細胞株、昆虫細胞株、植物細胞株、混合細胞株、自然発生細胞株、又は合成的に操作された細胞株を含むことができる、生存生物によって生成される化学化合物又は生化学化合物を含む。生物学的作用物質は、蛋白質、多糖類、脂質、及び核酸等の巨大分子、並びに一次代謝物、二次代謝物、及び天然物等の低分子を含むことができる。
【0040】
本明細書で開示するように、試料は、流路を通して検査ストリップに投与される。いくつかの実施形態では、試料は、流路の中への投与の前に緩衝液又は溶液に添加される。続いて試料は、流路に沿って試料受容ゾーンの中まで進む。いくつかの実施形態では、検査ストリップは、抗体、分析物、又は化合物への注目分析物の結合から非特異シグナルを区別するように機能する陰性対照線を備える。いくつかの実施形態では、検査ストリップは、結合に関する最適なシグナルを表示する陽性対照線を備える。陽性対照線及び陰性対照線の両方は、イムノアッセイの完全性を検証し、適正な試薬機能を保証し、正しい検査手順を検証することができる。本開示のいくつかの非限定的な実施構成は、検査線と、試料適性線と、陽性対照線と、陰性対照線とを含む検査ストリップに関連して説明されるが、本開示の実施構成は、陽性対照線及び/又は陰性対照線を含む必要がないことを理解されたい。いくつかの非限定的な実施形態では、試料適性線は、試料が十分又は有効であるか否かを示すのに加えて、陽性対照線と同じ又は同様の機能を果たす。
【0041】
本開示の特定の態様は、捕捉剤を含む。捕捉剤は、遊離(非標識)分析物及び/又は標識分析物を含む分析物に結合する能力を有する固定化剤を含む。捕捉剤は、(i)注目標識分析物に特異的、(ii)競合アッセイの場合等の標識分析物又は非標識分析物に特異的、又は(iii)間接アッセイの場合等の補助特異結合パートナーであって、それ自体が分析物に特異的なものである結合パートナーに特異的な非標識特異結合パートナーを含む。本明細書で用いる場合、「補助特異結合パートナー」は、分析物の特異結合パートナーに結合する特定の結合パートナーである。例えば、補助特異結合パートナーは、別の抗体、例えばヤギ抗ヒト抗体に特異的な抗体を含むことができる。本明細書で説明するイムノアッセイ検査ストリップは、捕捉試薬が固定化される側方流動デバイスの領域である「捕捉線」を含むことができる。本明細書で説明するイムノアッセイ検査ストリップは、2以上の捕捉区域、例えば、「一次捕捉区域」、「二次捕捉区域」、及び同様のものを含むことができる。一部の例では、一次、二次、及び/又はその他の捕捉区域内に異なる捕捉試薬を固定化することができる。これら複数の捕捉区域は、側方流動基板上で互いに対して何らかの向きを有することができ、例えば、一次捕捉区域は、流体流の経路に沿って二次(又は他の)捕捉区域に対して遠位又は近位とすることができ、その逆もまた同様である。代替的に、一次捕捉区域と二次(又は他の)捕捉区域とは、流体がこれらの捕捉区域に同時又はほぼ同時に接触することができるように流体流の経路に対して垂直な軸に沿って整列させることができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、捕捉剤は、その移動が、イムノアッセイ検査ストリップの通常動作の最中に制限されるように固定化される。例えば、固定化された捕捉剤の移動は、流体試料がイムノアッセイ検査ストリップに適用される前後に制限される。捕捉剤の固定化は、障壁、静電相互作用、水素結合、生体親和性、共有結合相互作用、又はこれらの組み合わせ等の物理的手段によって達成することができる。
【0043】
本明細書で説明する検査ストリップは、分析物捕捉線と試料適性線とを更に備える。分析物捕捉線は、少なくとも1つの捕捉剤を用いて少なくとも1つの注目分析物に結合し、それを固定化する。いくつかの実施形態では、分析物捕捉線への注目分析物の結合は、検出可能シグナルを生成する。本開示の試料適性線の複数の実施形態は、少なくとも1つの捕捉剤を用いて少なくとも1つの試料適性マーカーに結合し、それを固定化するように構成される。いくつかの実施形態では、試料適性線への試料適性マーカーの結合は、検出可能シグナルを生成する。いくつかの実施形態では、分析物捕捉線によって生成されるシグナルは、試料適性線とは測定できる程度に異なる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのシグナルは蛍光シグナルである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのシグナルは化学発光シグナルである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのシグナルは発光シグナルである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのシグナルは磁気シグナルである。
【0044】
本開示の複数の実施形態が、4つの異なる線を含む側方流動アッセイを含むことができる。例えば、陽性対照線、陰性対照線、分析物捕捉線、及び試料適性線は、検査ストリップ上に、互いに対して何らかの順序で存在すること、及び互いに対して何らかの距離で配列することができる。いくつかの実施形態では、これらの線は、強いシグナルを誘発する線が、弱いシグナルを誘発する線から十分に相隔たるように分散配置される。陽性対照線及び/又は陰性対照線は、本開示による側方流動アッセイに含まれない場合があり、本開示による試料適性線は、分析物捕捉線及び存在する可能性がある何らかの対照線に対して、流路に沿って何らかの位置に位置決めすることができることを理解されたい。
【0045】
上記で開示したように、捕捉線への注目分析物又は試料適性マーカーの結合は、検出可能シグナルを又はシグナルの変化をもたらす。それによって、注目分析物及び/又は試料適性マーカーが試料中に存在することの識別が可能になる。本開示の複数の実施形態は、試料中の試料適性マーカーの存在又は不在を示すように構成された試料適性線を含む。本開示の他の複数の実施形態は、試料中の試料適性マーカーの量又は濃度を示すように構成された試料適性線を含む。いくつかの実施形態では、試料中の試料適性マーカーの存在又は不在の指示は、試料適性線を観察するユーザによって視覚的に読み取られる又は判読されるように構成される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が示されず又は検出されず、この場合、検査ストリップ又はそれから発せられるシグナルを検出するデバイスは、試料が不十分な品質のものであるという指示を表示することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が示され又は検出され、この場合、検査ストリップ又はそれから発せられるシグナルを検出するデバイスは、試料が十分な品質のものであるという指示を表示することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が高濃度で示され又は検出され、この場合、検査ストリップ又はそれから発せられるシグナルを検出するデバイスは、試料適性マーカーが高濃度で存在するという指示を表示することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が低濃度で示され又は検出され、この場合、検査ストリップ又はそれから発せられるシグナルを検出するデバイスは、試料適性マーカーが低濃度で存在するという指示を表示することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が示され又は検出され、更に少なくとも1つの注目分析物の存在が示されず又は検出されず、この場合、検査ストリップ又はそれから発せられるシグナルを検出するデバイスは、少なくとも1つ注目分析物が存在しない又は検出限度を上回る量では存在しないという指示を表示することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が示され又は検出され、更に少なくとも1つの注目分析物の存在が示され又は検出され、この場合、検査ストリップ又はそれから発せられるシグナルを検出するデバイスは、当該注目分析物が存在するという指示を表示することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が示され又は検出され、更に少なくとも1つの注目分析物の存在が高濃度で示され又は検出され、この場合、検査ストリップ又はそれから発せられるシグナルを検出するデバイスは、当該注目分析物が高濃度で存在するという指示を表示することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が示され又は検出され、更に少なくとも1つの注目分析物の存在が低濃度で示され又は検出され、この場合、検査ストリップ又はデバイスは、当該注目分析物が低濃度で存在するという指示を表示することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの試料適性マーカーの存在が示され又は検出され、更に少なくとも1つの注目分析物のうちの第1の注目分析物の存在が示され又は検出され、少なくとも1つの注目分析物のうちの第2の注目分析物の存在が示されず又は検出されず、この場合、検査ストリップ又はそれから発せられるシグナルを検出するデバイスは、少なくとも1つの注目分析物のうちの第1の注目分析物が存在し、少なくとも1つの注目分析物のうちの第2の注目分析物が存在しない又は検出限度を上回る量では存在しないという指示を表示することができる。
【0046】
本明細書で説明する検査ストリップ及び/又はカートリッジは、診断検査及び/又は非診断検査の実施に適するように構成することができる。いくつかの実施形態では、本開示の複数の実施形態は、BD Veritor(商標)在宅COVID-19検査、SARS-CoV-2迅速検出用BD Veritor(商標)システム、インフルエンザA+B迅速検出用BD Veritor(商標)システム、呼吸器合胞体ウィルス(RSV)迅速検出用BD Veritor(商標)システム、A群連鎖球菌迅速検出用BD Veritor(商標)システム、BD Veritor(商標)システム、BD Veritor Plus(商標)システム等のシステム、及び/又はこれらの構成要素又は動作との併用で実施することができる。本開示の複数の実施形態は、いずれか適切な検出システムとの併用で実施することができることを理解されたい。いくつかの非限定的な例では、検査結果は、検査ストリップの視覚観察を用いて読み取られる。
【0047】
本開示によるイムノアッセイ検査ストリップは、多重アッセイに構成要素として含めることができる。多重アッセイは、複数の異なる注目分析物を検出、識別し、一部の例では定量することができるアッセイを含む。例えば、多重アッセイデバイス内には、複数の注目分析物のうちの1つの注目分析物に各々が特異的なものである一次、二次、又はそれよりも多くの捕捉区域を存在させることができる。1つの非限定的な例では、本開示の複数の実施形態は、SARS-CoV-2を含むがそれに限定されない第1の注目分析物、A型インフルエンザを含むがそれに限定されない第2の注目分析物、B型インフルエンザを含むがそれに限定されない第3の注目分析物、又はこれらの注目分析物のいずれかの組み合わせを検出する。
【0048】
本開示によるイムノアッセイを用いて病状を診断する方法
本明細書で提示するいくつかの実施形態は、イムノアッセイを用いて病状を診断する方法に関する。いくつかの実施形態では、方法は、本明細書で説明するイムノアッセイを準備する段階を含む。いくつかの実施形態では、方法は、イムノアッセイの試料貯留部に試料を受容する段階を含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、試料は、環境供給源又は生体供給源を含む供給源から取得される。いくつかの実施形態では、試料は、注目分析物を有する疑いがある。いくつかの実施形態では、試料は、注目分析物を有する疑いがない。いくつかの実施形態では、試料は、分析物の不在又は存在の検証にために取得及び分析される。いくつかの実施形態では、試料は、その中の分析物の量に関して取得及び分析される。いくつかの実施形態では、試料中の分析物の量は、健常対象者に存在する正常値よりも低い、又は健常対象者に存在する正常値の近くである、又は健常対象者に存在する正常値を上回る。
【0050】
いくつかの実施形態では、イムノアッセイの試料貯留部に試料を受容する段階は、試料をイムノアッセイと接触させる段階を含む。試料は、点滴器又はその他のアプリケータと同様に外部適用によって試料貯留部に試料を導入することによってイムノアッセイに接触することができる。いくつかの実施形態では、試料貯留部は、試料を保持する容器の中に検査ストリップを浸漬させる場合等に試料の中に直接浸漬させることができる。いくつかの実施形態では、試料は、試料貯留部に注入、滴下、噴霧、配置する、又は他の方法で接触させることができる。
【0051】
[実施例1]
評価に向けて最初に選択した予備的なバイオマーカー候補のうちで、アルブミン又はラクトフェリンのどちらか一方が、生存鼻腔試料の採取を確かにし、更にそれによって関連の抗原アッセイの品質を保証すると判断した。SARS-CoV-2に関する迅速抗原検査へのヒトバイオマーカーの導入によって、検査室以外の個人が用いることになる診断検査は、自宅等の検査室以外の現場の中に確実に展開することができる。
【0052】
以下の例は、本開示による側方流動アッセイの準備及び使用を説明する。この非限定的な例は、在宅COVID-19検査におけるヒト血清アルブミン(HSA)に関する側方流動サンドイッチアッセイの使用を説明する。この種のアッセイは、エンドユーザ(被検者)、この場合、不慣れな個人が、自分の鼻腔(又は被検者である別の個人の鼻)から熟練保健医療提供者による補助又は指示なしにスワブ試料を採取することを必要とすることになる。側方流動アッセイのこの非限定的な例による検査ストリップ100の一部分は
図1に示される。
【0053】
側方流動アッセイを準備するために、検査ストリップ100のニトロセルロース薄膜(固相)のL5位置に位置決めされた試料適性線上に抗HSA抗体の筋がつけられ、L4位置に陽性対照(PC)線の筋がつけられ、L2位置に位置決めされた分析物捕捉線上に抗SARS-CoV-2抗体の筋がつけられ、L1位置に陰性対照(NC)線の筋がつけられる。L3位置は、この例では空白のままに残されるが、インフルエンザ検査用の抗インフルエンザ抗体等の他の抗体用に用いることができる。試料が背景区域からL5位置に向かって流れるように、L1位置は上流にあり、L5位置は下流にある。上流側では、ニトロセルロース薄膜は、抗SARS-CoV-2金コンジュゲート、抗HSA金コンジュゲート、及びPC線特異コンジュゲートが堆積されたコンジュゲートパッド(図示せず)と接触する。ニトロセルロース薄膜の下流側は、試料がコンジュゲートパッドから固相、この場合にはニトロセルロースを横断して流れるのを容易にする吸収体としての役割を果たす吸収パッド(図示せず)と接触する。
【0054】
次に、側方流動アッセイの使用を説明する。ユーザは、被検者の鼻腔に適用された鼻腔スワブから液体試料を取得する。1つの非限定的な例では、液体試料は、鼻腔スワブに接触した抽出試薬を含む。1つの非限定的な例では、抽出試薬は、所定のpHを維持するための緩衝液を含有する。抽出試薬は、このpHにおいて特異的な抗体-抗原結合が発生することを可能にし、非特異的な抗体-抗原複合体が形成されるのを防止する又は最小限に抑えるための塩類溶液及び界面活性剤を含む。界面活性剤は、鼻腔スワブ上の試料が抽出試薬の中に溶出するのも促進する。別の非限定的な例では、液体試料は抽出試薬を含まない。鼻腔スワブからの液体試料又は抽出液体試料がコンジュゲートパッドに適用されると、コンジュゲートパッド上に堆積された抗体-金コンジュゲートが再水和され、可溶化状態になる。ヒト鼻内に存在するHSA等の特異分析物が、金粒子に共役された抗体に結合してHSA-抗体-金複合体を形成し、反応ゾーン(この場合、L5位置に位置決めされた試料適性線)に向かって流れ、そこでHSA-抗体-金複合体を捕捉することができる別の抗HSA抗体が固相上に固定されてサンドイッチを形成し、エンドユーザが視覚的に観察する、検出器で検出する、及び/又は初期又はさらなる判読又は他の目的で撮像することができるシグナルを発することになる。
【0055】
試料に関わるスワブが被検者の鼻腔の中に挿入されない場合、又は鼻腔が非常に乾燥している場合には、鼻腔からのHSA等の蛋白質が不在である又は非常に低い濃度でしか存在しない。この場合、捕捉抗体-HSA-抗体-金サンドイッチは形成されないか又は検出可能レベルよりも少量しか形成されないことになり、L5位置に位置決めされた試料適性線は陰性結果を示し、試料が不十分であることを示すことになる。試料が不十分であることをL5位置に位置決めされた試料適性線が示す場合がある別の例示的シナリオは、ユーザがスワブを鼻腔に入れるのを許すことを嫌がる又は望まない被検者から試料が採取される場合(例えば被検者が子供である場合)である。この例示的なシナリオでは、スワブは、被検者の鼻腔に入ることができない、又はスワブを鼻腔の中に十分に深く入れることができない、又はスワブを鼻腔の中に十分な時間にわたって及び/又は十分な接触を伴って入れることができない。試料が不十分であることをL5位置に位置決めされた試料適性線が示す場合がある更なる例示的シナリオは、敏感及び/又は虚弱な鼻腔を有する被検者から試料が採取される場合である。この例示的シナリオでは、スワブは、被検者の鼻腔に入ることができない、又はスワブを鼻腔の中に十分に深く入れることができない、又はスワブを鼻腔の中に十分な時間にわたって及び/又は十分な接触を伴って入れることができない。試料が不十分であることをL5位置に位置決めされた試料適性線が示す場合があるなおも別の例示的シナリオは、側方流動アッセイ用と示されたスワブ以外のスワブを用いて試料が採取される場合である。例えば、エンドユーザは、無認可又は不適切なスワブを用いて試料を採取する場合があり、これは、十分な試料を発生させるのには不十分又は非効率な鼻分泌物の採取につながる又はスワブ先端に用いられる材料に起因して試料を抽出試薬の中に溶出させることができないことにつながる。
【0056】
SARS-CoV-2アッセイは、上記で説明したHSAアッセイと同じ又は同様の方式で動作する。例えば、十分なウィルス抗原の存在下では、捕捉抗体-SARS-CoV-2抗原-抗体-検出剤複合体が、L2位置にある分析物捕捉線上に形成されて検出可能シグナルを発することになる。ウィルス抗原の不在下では、サンドイッチは形成されないことになり、分析物捕捉線においてシグナルは発せられないことになる、又は発せられるシグナルが、検出限度閾値を下回ることになる。液相がPC線を通って流れる限り、PC線特異コンジュゲートは、PC線に結合することになり、可視線が形成されてアッセイが適切に稼働していること、及びアッセイ試薬は実用可能であることを示すことになる。被検者の試料が、ヒト抗マウス抗体等の干渉物質又は高濃度のリウマチ因子を含む場合には、NC線がシグナルを発し、アッセイを陽性として報告すべきでないこと又は検査結果を無効にすべきことを示すことになる。
【0057】
[実施例2]
本開示の実施形態は、様々な検出範囲においてアルブミン又はラクトフェリンの存在を指示又は検出し、生存鼻腔試料の採取を確認するための非常に高感度の試料適性検査を可能にすることができる。本開示による側方流動アッセイの1つの非限定的な実施構成では、試料適性線は、約50ng/mLから約1.5μg/mLまでの範囲の量のHSAを有する試料中でHSAの存在を示す。本発明の複数の実施形態において、他のHSA検出範囲が可能である。本開示による側方流動アッセイの別の非限定的な実施構成では、50ng/mLよりも少ないHSAを有する試料中のHSAの存在が、試料適性線において指示又は検出される。本開示による側方流動アッセイのさらに別の非限定的な実施構成では、試料中のHSAの存在に関する検出限度の下端は、約100ng/mLのHSAである。本開示による側方流動アッセイの更なる非限定的な実施構成では、1.5μg/mLよりも多いHSAを有する試料中のHSAの存在が、試料適性線において指示又は検出される。本開示の複数の実施形態は、試料中の様々な範囲のラクトトランスフェリンを指示又は検出することもできる。本開示による側方流動アッセイの1つの非限定的な実施構成では、試料適性線は、約10ng/mLのラクトトランスフェリンを有する試料中のラクトトランスフェリンの存在を示す。
【0058】
[実施例3]
本開示の複数の実施形態は、試料適性線において複数の抗HSA抗体の組み合わせを用いてHSAの存在を指示又は検出し、試料中の非常に低い濃度のHSAの指示又は検出を可能にすることができる。本開示による側方流動アッセイの1つの非限定的な実施構成では、2つの抗HSA抗体が、50/50の比で試料適性線に適用される。第1の抗HSA抗体は、BiosPacificによって供給されているA15374であり、第2の抗HSA抗体は、Fitzgerald Industries Internationalによって供給されているカタログ番号10C-CR2116M2、clone227425である。この例示的な実施構成は、HSAを非常に低い濃度で有する試料中のHSAの存在を示す試料適性線が得られた。他の供給元からの抗HSA抗体は、本開示による試料適性線に適切に実装することができることを理解されたい。2つの異なる抗HSA抗体の50/50の比と異なる比、及び異なる抗HSA抗体の異なる組み合わせは、本開示による試料適性線に適切に実装することができることも理解されたい。
【0059】
[実施例4]
次に、本開示による側方流動アッセイから取得される検査結果を説明する。検査結果は
図2に提示されており、これは、本開示による例示的なイムノアッセイを用いて採取し、分析した369個の流体試料に関して、測定された試料適性線強度の分布をAU(任意単位)で示す度数グラフである。この実験では、本開示による側方流動アッセイの試料適性線は、抗HSA抗体で筋をつけた。1.2mg/mLのBiosPacific抗HSA抗体A15374とFitzgeraldの抗HSA抗体10C-CR2116M2とを含有する筋つけ溶液は、2つの種類の抗体の各々が0.41μgずつ検査デバイス上に堆積されるのに対応する、0.75μL/cmの速度でニトロセルロース薄膜の試料適性線上に堆積させた。検査結果の度数グラフは、本開示の試料適性線の複数の実施形態が、試料中の試料適性マーカー、この場合にはHSAの存在又は不在を十分な正確さ及び信頼性で示し、それぞれの試料が検査に適しているか否かを示すことができることを示している。
【0060】
[実施例5]
次に、本開示による側方流動アッセイから得られた臨床治験検査を説明する。非限定的な例は、伝染性呼吸器疾患であるCOVID-19を引き起こすウィルスであるSARS-CoV-2ウィルスの存在を決定するための、本開示による試料適性線を含むアッセイの使用を示す。対象者からの検体中のSARS-CoV-2の存在の検出は、対象者がCOVID19を引き起こすウィルスに感染したことを示すことができる。2021年の3月から5月まで行った臨床治験の間に、鼻腔スワブ試料は、鼻腔スワブ内のSARS-CoV-2ウィルス蛋白質の検出用の定量検査であるBD Veritor(商標)在宅COVID-19検査(米国ニュージャージー州フランクリンレイクスのBecton,Dickinson and Company)を用いて臨床治験参加者が採取した。本開示によるアッセイは、試料を採取するためにスワブを用いるいずれかの種類の検出アッセイに用いることができることを理解されたい。
【0061】
この臨床治験では、治験参加者がスワブ試料を採取し、8つのポイントオブケア現場において本開示による側方流動アッセイを用いて同じ参加者が検査した。BD Veritor(商標)在宅COVID-19検査の非臨床治験使用中に、この検査を用いる個人は、自宅又は他の非臨床環境において鼻腔スワブ試料を採取し、続いて採取済みの試料を検査に含まれる本開示による側方流動アッセイを用いて検査することができることを理解されたい。検査は、自宅で実施することができ、結果は、およそ15分で得ることができる。段階的な指示が、対象者を試料採取、試料処理、及び即時の結果判読の始めから終わりまで案内する。この臨床治験では、ポイントオブケア現場において、対応スマートフォン上の関連アプリ、製品情報折り込み印刷物、及びクイックスタートガイドの中で入手可能な情報だけで自宅環境の場合のように補助を受けることなく、対象者が、BD Veritor(商標)在宅COVID-19検査を自分で実施し、又は保護者/法定後見人/協力者が、スワブ処理を実施し、試料の処理、及び検査結果の判読を実施した。
【0062】
BD Veritor(商標)在宅COVID-19検査は、個人が、COVID-19を引き起こすウィルスからの蛋白質に関して自分で又は誰かを頼って検査するのに適するように設計されたものである。この検査は、処方箋なしの自宅使用に関して公認のものである。この検査は、症状の有無又はCOVID-19を疑う他の疫学的理由の有無にかかわらず、検査間隔が少なくとも24時間で48時間以内の間隔で2又は3日に2回検査される個人が使用することを目的としている。この検査は、成人が検体を採取してこの検査を用いる場合の2~13才の個人、及び自己試料採取の場合の14才以上の個人からの直接前鼻腔スワブ検体中のSARS-CoV-2ウィルス蛋白質の定性的検出を目的としたものである。14才を超える個人は、成人が採取することもできる。BD Veritor(商標)在宅COVID-19検査を用いた陽性検査結果は、COVID-19を引き起こすウィルスからの蛋白質が個人の検体中で検出されたことを理由として検査対象個人がCOVID-19を有する可能性が非常に高いことを示す。BD Veritor(商標)在宅COVID-19検査を用いた陰性検査結果は、COVID-19を引き起こすウィルスからの蛋白質が検査対象個人の検体中で見つからず、当該個人がCOVID-19を有する可能性が低いことを示す。検査結果が陰性であったとしても、検査対象個人がCOVID-19を有する可能性がある。
【0063】
893人の成人及び小児のヒト対象者が臨床治験に登録した。BD Veritor(商標)在宅COVID-19検査で提供されているスワブを用いて各対象者の鼻腔からスワブ試料を採取した。試料は、医療従事者(HCP)による補助なしに検査対象者、検査対象者の保護者、又は協力者のいずれかが直接採取した。続いて、各試料を、検査対象者、検査対象者の保護者、又は協力者が本開示に従って側方流動アッセイを用いて分析した。基準スワブをHCPが採取し、輸送媒体(Becton,Dickinson and Company(米国ニュージャージー州フランクリンレイクス)による汎用ウィルス輸送媒体(UVT))内に保管し、基準検査室に送った。中央基準検査室が、Lyra SARS-CoV-2 Assay(米国カリフォルニア州サンディエゴのQuidel)を用いてこの基準スワブを検査した。
【0064】
臨床治験において検査対象者が用いた側方流動アッセイを、
図1を参照しながら上記の実施例1で説明した検査ストリップ100と同様の検査ストリップ上で実施した。側方流動アッセイ検査ストリップを、上記の実施例3及び実施例4に従って準備した。例えば、臨床治験において用いた側方流動アッセイを準備するために、実施例3で説明した検査ストリップ100と同様の検査ストリップのニトロセルロース薄膜(固相)のL5位置に位置決めした試料適性線上に抗体の筋をつけた。検査線抗体、この場合には組み換えウサギモノクローナル抗体(フィンランド国トゥルクのHyTest Ltd.)を用いて2.4mg/mLの濃度及び0.75μL/cmの筋つけ速度でL2線を筋つけした。各検査ストリップは、0.814μgのこの抗体を含有した。実施例1で説明したように、L4位置に陽性対照(PC)線を筋つけし、L1位置に陰性対照(NC)線を筋つけし、L3線を空白のままに残した。試料が背景区域からL5位置に向かって流れるように、L1位置は上流にあり、L5位置は下流にあった。上流側では、ニトロセルロース薄膜が、抗体金コンジュゲート及びPC線特異コンジュゲートを上に堆積させたコンジュゲートパッドと接触した。ニトロセルロース薄膜の下流側は、試料がコンジュゲートパッドから固相、この場合にはニトロセルロースを横断して流れるのを容易にするための吸収体としての役割を果たす吸収パッドと接触した。
【0065】
臨床治験参加者が採取した各試料を、BD Veritor(商標)在宅COVID-19検査内で供給されている個々の検査ストリップ上にあるコンジュゲートパッドに適用した。参加者は、対応スマートフォン上の関連アプリ、製品情報折り込み印刷物、及びクイックスタートガイドを用いる自宅環境の場合のように補助を受けることなく検査結果を判読した。上記の実施例で開示したように、検査ストリップに適用され、十分な量の(例えば、検査のための検出の限度における又はそれを上回る)ウィルス抗原を含有していた試料は、L2位置にある分析物捕捉線上に抗体-COVID-19抗原-抗体-検出剤複合体を形成してシグナル(AU単位とする)を発し、このシグナルを、対応スマートフォン上に実装したBD Veritor(商標)在宅COVID-19検査アプリケーションソフトウェアを用いて検出した。閾値を上回る検出シグナルが、試料がSARS-CoV-2ウィルス抗原を含有するものとして識別され、試料検査結果がCOVID-19に関して「陽性」であると報告されるという結果を生じた。十分な量のウィルス抗原を含有していなかった試料は、かかる複合体を形成せず、シグナル(AUを単位とする)は、分析物捕捉線で検出されなかった。これらの試料は、SARS-CoV-2ウィルス抗原を含有していないものとして識別され、試料検査結果は、COVID-19に関して「陰性」として報告された。アッセイが適切に稼働していること、及びアッセイ試薬が実用可能であることを示す、PC線に結合されたPC線特異コンジュゲートによって形成された可視線を、各試料に対する陽性対照として用いた。
【0066】
側方流動アッセイから取得したAUを単位とするシグナルを、対応スマートフォン上に実装したBD Veritor(商標)在宅COVID-19検査アプリケーションソフトウェアを用いて測定して分析した。有症状対象者に関するLyra SARS-CoV-2アッセイに対するBD Veritor(商標)在宅COVID-19検査の総合性能は、81.3%PPA(陽性パーセント一致率)、99.8%NPA(陰性パーセント一致率)、及び98.7%OPA(総合パーセント一致率)であった。
図3は、臨床治験中に分析した試料に関するAUを単位とする試料適性線強度分布の、度数をy軸とし、試料適性線強度をx軸とするヒストグラムを示す。L5(試料適性線)値は、58.17AUの平均値を有する0.55AUから98.92AUまでの範囲にわたった。
図3に示すように、いくつかの検査ストリップの試料適性線L5において測定した強度は、ゼロ又はほぼゼロであり(又は測定強度は、試料適性に対する予め設定された閾値又は「カットオフ」値を下回り)、HSAが、試料中で非常に低い濃度であっても検出されなかったこと(又はHSAが、試料適性に対する予め設定された閾値又は「カットオフ」値を下回るところでしか検出されないような低い濃度で存在すること)を示した。これらの試料中のHSAの不在(又は試料適性に対する閾値を下回る濃度におけるHSAの存在)は、これらの試料が不十分であったことを示した。上記の実施例1は、これらの試料が検査に不十分な可能性があると考えられる潜在的な非限定的理由を説明している。
【0067】
この臨床治験中には、10.4AUのカットオフ値を、特定の試料が検査に適性を有するか否かを評価するための閾値又はカットオフ値として用いた。例えば、試料適性線における10.4AUよりも低い強度測定値の結果として、この測定値は、この臨床治験に関して確定した予め設定された閾値又はカットオフ値を下回ることから、それぞれの試料が適性を有さないと見なされると考えられる。かかる試料には、BD Veritor(商標)在宅COVID-19検査アプリケーションソフトウェアによって「無効」検査結果が割り当てられた。試料適性線における10.4AUよりも高い強度測定値の結果として、この測定値は、この臨床治験に関して確定した予め設定された閾値又はカットオフ値を上回ることから、それぞれの試料が検査に対して適性を有すると見なされると考えられる。かかる試料には、BD Veritor(商標)在宅COVID-19検査アプリケーションソフトウェアによって、「陽性」検査結果、「陰性」検査結果、又は場合によって、検査が、試料適性線において測定される強度に関連しない理由から無効である(例えば、陽性対照線又は陰性対照線において測定された強度に基づいて)場合には「無効」検査結果が割り当てられた。この臨床治験に関する試料適性線強度に対する10.4AUの閾値又はカットオフ値は非限定的な例であり、本開示の複数の実施形態において他の適切なカットオフ値を実装することができることを理解されたい。
【0068】
この臨床治験の結果は、本開示の複数の実施形態による試料適性線を含む側方流動アッセイが、試料中のSARS-CoV-2ウィルス抗原を、それぞれの試料が検査に対する適性を有するか否かを示すのに十分な正確さ及び信頼性で検出することを明確に示した。ほとんどの試料に対する検査において、試料適性線は、それぞれの試料が臨床治験参加者によって適正に採取されたことを示す強い強度を表示した。2つの試料に対する検査において、試料適性線は非常に弱かった(0.55AU及び6.59AU)。これら2つの測定強度は、この臨床治験に関して確定した試料適性に関する10.4AUのカットオフ値を下回った。その結果、BD Veritor(商標)在宅COVID-19検査アプリケーションソフトウェアは、これら2つの試料に関する検査結果を「無効」と判定した。第3の試料に対する検査では、試料適性線における測定強度は、この臨床治験に関して確定した試料適性に対する10.4AUのカットオフ値を上回る15.09AUであった。その結果、BD Veritor(商標)在宅COVID-19検査アプリケーションソフトウェアは、この検査結果が検査に対する適性を有すると判定し、特に、位置L2にある分析物捕捉線において測定された強度(この試料では0.000255AU)に少なくとも部分的に基づいてこの検査結果を「陰性」であると判定した。第4の試料に対する検査では、試料適性線における測定強度は、この臨床治験に関して確定した試料適性に対する10.4AUのカットオフ値を上回る57.46AUであった。その結果、BD Veritor(商標)在宅COVID-19検査アプリケーションソフトウェアは、この検査結果が検査に対する適性を有すると判定し、特に、位置L2にある分析物捕捉線において測定された強度(この試料では119.9AU)に少なくとも部分的に基づいてこの検査結果を「陽性」であると判定した。上記のことから、この臨床治験は、2つの試料において、本開示による試料適性マーカーが検出されず(又は試料適性に対する閾値又はカットオフ値を下回るレベルでしか検出されず)、元の試料の量、質、及び/又は組成が適性を有さなかったことを示した。特に、この臨床治験は、2つの試料において、臨床治験参加者が検査に対する適性を有する量、質、及び/又は組成を有する試料を採取しなかったことを示した。
【0069】
明細書、特定の実施例、及びデータは、例示的な実施形態を示すものであるが、例証的に提示され、本開示の様々な実施形態を限定することを意図したものではないことを理解されたい。当業者には、本明細書に含まれる説明及びデータから本開示の範囲で様々な変更及び改変が明らかになり、従ってこれらの変更及び改変は、本開示の様々な実施形態の一部と考えられる。
【国際調査報告】