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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】網膜疾患の遺伝子治療
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/861 20060101AFI20240220BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240220BHJP
   C12N 15/86 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20240220BHJP
   A61K 35/761 20150101ALI20240220BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
C12N15/861 Z
C12N15/12 ZNA
C12N15/86 Z
A61P27/02
A61K35/76
A61K35/761
A61K48/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548581
(86)(22)【出願日】2022-02-14
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 US2022016318
(87)【国際公開番号】W WO2022174146
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】63/149,122
(32)【優先日】2021-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522382691
【氏名又は名称】グレフェックス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シュテルツ, ウーベ ディー.
【テーマコード(参考)】
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4C084AA13
4C084NA14
4C084ZA331
4C084ZA332
4C084ZB211
4C084ZB212
4C087AA01
4C087BC83
4C087NA14
4C087ZA33
4C087ZB21
(57)【要約】
ウイルスベクターは、導入遺伝子コンストラクトを含む。いくつかの実施形態では、導入遺伝子コンストラクトは、プロモーターエレメント、10kbよりも長い網膜遺伝子の開いた読み枠、及びターミネーター配列を含むDNA配列である。他の実施形態では、導入遺伝子コンストラクトは、10kbより長い網膜遺伝子のDNAセグメントである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導入遺伝子コンストラクトを含むウイルスベクターであって、導入遺伝子コンストラクトが、(a)プロモーターエレメント、10kbよりも長い網膜遺伝子の開いた読み枠、及びターミネーター配列を含むDNA配列、並びに(b)10kbよりも長い網膜遺伝子のDNAセグメントのうちの1つである、ウイルスベクター。
【請求項2】
ベクターが、ITR配列以外の内因性遺伝子を完全に欠失している、請求項1に記載のウイルスベクター。
【請求項3】
ベクターが、カーゴ配列のための最大10kbのスペースを作るのに十分な内因性アデノウイルス遺伝子を欠失している、請求項2に記載のウイルスベクター。
【請求項5】
ウイルスベクターが、完全に又は部分的に除去されたミミウイルスである、請求項1に記載のウイルスベクター。
【請求項6】
ウイルスベクターが、完全に又は部分的に除去されたアデノウイルスである、請求項1に記載のウイルスベクター。
【請求項7】
ウイルスベクターが、アデノウイルス5型に基づくカプシドにカプシド化される、請求項6に記載のウイルスベクター。
【請求項8】
ウイルスベクターが、アデノウイルス6型に基づくカプシドにカプシド化される、請求項6に記載のウイルスベクター。
【請求項9】
ウイルスベクターが、アデノウイルスに基づくカプシドにカプシド化され、カプシドタンパク質からRGD配列を除去するように改変される、請求項6に記載のウイルスベクター。
【請求項10】
ウイルスベクターが、ファミリーA~Gのアデノウイルスに基づくカプシドにカプシド化される、請求項6に記載のウイルスベクター。
【請求項11】
導入遺伝子コンストラクトが、(a)プロモーターエレメント、10kbよりも長い網膜遺伝子の開いた読み枠、及びターミネーター配列を含むDNA配列である、請求項6に記載のウイルスベクター。
【請求項12】
プロモーターエレメントが、ヒトロドプシンキナーゼプロモーターである、請求項11に記載のウイルスベクター。
【請求項13】
プロモーターエレメントが、ヒトロドプシンキナーゼプロモーターである、請求項11に記載のウイルスベクター。
【請求項14】
プロモーターエレメントが、マウスロドプシンキナーゼプロモーターである、請求項11に記載のウイルスベクター。
【請求項15】
プロモーターエレメントが、ユビキタスCMVプロモーターである、請求項11に記載のウイルスベクター。
【請求項16】
プロモーターエレメントが、ヌクレオチドXXX~YYYからのアシェリン(Usherin)ゲノムの上流非コード配列である、請求項11に記載のウイルスベクター。
【請求項17】
プロモーターエレメントが、合成トランスデューシンアルファ-サブユニットプロモーターである、請求項11に記載のウイルスベクター。
【請求項18】
プロモーターエレメントが、光受容体間レチノイド結合タンパク質プロモーター及びヒトトランスデューシンアルファ-サブユニットプロモーターの最小配列である、請求項11に記載のウイルスベクター。
【請求項19】
プロモーターエレメントが、化学的に制御されたtet誘導性プロモーターである、請求項11に記載のウイルスベクター。
【請求項20】
プロモーターエレメントが、化学的に阻害されたプロモーターである、請求項11に記載のウイルスベクター。
【請求項21】
プロモーターエレメントが、ヒトL-オプシンプロモーターである、請求項11に記載のウイルスベクター。
【請求項22】
プロモーターエレメントが、ヒトレチノスキシン近位プロモーター及びヒト光受容体間レチノイド結合タンパク質エンハンサーである、請求項11に記載のウイルスベクター。
【請求項23】
プロモーターエレメントが、光受容体に特異的である、請求項11に記載のウイルスベクター。
【請求項24】
導入遺伝子コンストラクトが、Ush2Aに翻訳するヌクレオチド配列である、請求項11に記載のウイルスベクター。
【請求項25】
導入遺伝子コンストラクトが、ADGV1に翻訳するヌクレオチド配列である、請求項11に記載のウイルスベクター。
【請求項26】
導入遺伝子コンストラクトが、アイズシャット(eyes shut)ホモログに翻訳するヌクレオチド配列である、請求項11に記載のウイルスベクター。
【請求項27】
導入遺伝子コンストラクトが、ヘミセンチンに翻訳するヌクレオチド配列である、請求項11に記載のウイルスベクター。
【請求項28】
導入遺伝子コンストラクトが、バーシカンに翻訳するヌクレオチド配列である、請求項11に記載のウイルスベクター。
【請求項29】
導入遺伝子コンストラクトが、(b)10kbより長い網膜遺伝子のDNAセグメントである、請求項6に記載のウイルスベクター。
【請求項30】
DNAセグメントが、少なくともUsh2A遺伝子のセグメントである、請求項29に記載のウイルスベクター。
【請求項31】
DNAセグメントが、少なくともADGVl遺伝子のセグメントである、請求項29に記載のウイルスベクター。
【請求項32】
DNAセグメントが、少なくともアイズシャット(eyes shut)ホモログ遺伝子のセグメントである、請求項29に記載のウイルスベクター。
【請求項33】
DNAセグメントが、少なくともヘミセンチン遺伝子のセグメントである、請求項29に記載のウイルスベクター。
【請求項34】
DNAセグメントが、バーシカン遺伝子の少なくともセグメントである、請求項29に記載のウイルスベクター。
【請求項35】
導入遺伝子コンストラクトが、(b)10kbより長い網膜遺伝子のDNAセグメントである、請求項5に記載のウイルスベクター。
【請求項36】
ウイルスベクター及びパッキングプラスミドを含む組成物であって、ウイルスベクターが、(a)プロモーターエレメント、10kbよりも長い網膜遺伝子の開いた読み枠、及びターミネーター配列を含むDNA配列、並びに(b)10kbよりも長い網膜遺伝子のDNAセグメントから選択される導入遺伝子コンストラクトを含有する、組成物。
【請求項37】
網膜疾患を治療する方法であって、導入遺伝子コンストラクトを含むウイルスベクターを提供することを含み、導入遺伝子コンストラクトが、(a)プロモーターエレメント、10kbよりも長い網膜遺伝子の開いた読み枠、及びターミネーター配列を含むDNA配列、並びに(b)10kbよりも長い網膜遺伝子のDNAセグメントのうちの1つである、方法。
【請求項38】
網膜疾患が、アッシャー症候群IIA型、アッシャー症候群2C型、網膜色素変性39、網膜色素変性(retinis pigmentosa)25、ワーグナー症候群、及び加齢黄斑変性からなる群から選択される、請求項37に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2021年2月12日に出願された仮出願第63/149,122号の優先権を主張し、非仮出願である。
【0002】
配列表提出
サイズが110キロバイト(MS-Windowsで測定)であり、2022年2月11日に作成された配列表という名前のファイルを含む配列表が本明細書と共に提供され、その全体が参照により組み込まれる。
【0003】
本開示は、アッシャー症候群IIA型、アッシャー症候群2C型、網膜色素変性39、網膜色素変性(retinis pigmentosa)25、ワーグナー症候群、又は加齢黄斑変性を治療するための遺伝子治療に関する。
【背景技術】
【0004】
アッシャー症候群2型は、失明と難聴が併存する主な原因である。網膜色素変性(RP)は、遺伝性失明の主な原因である。アッシャー症候群2A(Ush2A)変異は、網膜色素変性症例の約20%を引き起こすと推定されており、単一の最大の原因である可能性がある。症候性アッシャー2A症候群は、若年時の聴力喪失を伴い、成人期早期から中期には視覚喪失が起こる。非症候性失明は、聴覚は正常であるが視力低下が依然として起こるUsh2A変異によって引き起こされ得る。
【0005】
アッシャー症候群2C型(Ush2C)、RP39、RP25、ワーグナー症候群、及び加齢黄斑変性を引き起こすヘミセンチン変異も同様に光受容体細胞喪失を伴うが、アッシャー2A型よりもはるかに希少な疾患である。しかしながら、これらの疾患はいずれも視力喪失をもたらし、アデノ随伴ウイルスを使用する従来の遺伝子治療には大きすぎる遺伝子の変異を伴う。
【0006】
ウイルス遺伝子治療ベクターは、重症複合免疫不全のX連鎖型の治療において最初の大きな臨床的成功を見出した。レトロウイルスベクターは長期間の免疫再構成を達成したが、対象の30%において生命を脅かす急性リンパ性白血病を引き起こした。アデノ随伴ウイルス(AAV)系などの他のベクター系は、限られた能力を有し、肝細胞癌の発症に関連しているにもかかわらず、近年進歩している。レンチウイルスベクターの染色体組込みは、持続的な導入遺伝子発現を可能にするが、挿入突然変異誘発を引き起こす可能性がある。アデノウイルスベクター(Adベクター)は、分裂細胞及び非分裂細胞の両方を形質導入し、迅速かつ効率的な導入遺伝子発現をもたらす。それらの最初の反復において、Adベクターは、誘導された既存の免疫応答によって妨害された。免疫応答及び炎症性応答を最小限に抑えるために、完全欠失(fd)Adベクターを作製するために、すべての内因性Ad遺伝子をAdベクターから除去する必要があった。カプシド修飾及び抗炎症薬もAd関連炎症を減少させ、遺伝子治療手法が可能になった。
【0007】
Ush2A変異によって引き起こされるアッシャー2型症候群に対する遺伝子治療手法は、RNAスプライシングを変化させて影響を受けたエクソンをスキップすること(ProQRのQR-421a)、又はCRISPR/Cas9編集を使用して変異を固定することを含むことが提案されている。これらの手法は、個々の変異又は変異領域に合わせた治療を必要とするであろう。2018年現在、UMD-USHbaseは、失明に関連するUsh2Aにおける3083個の変異を列挙している。最も一般的な変異は、病原性変異のわずか38%を占める。遺伝子全体の正常なコピーを供給することは、すべてのUsh2A変異を潜在的に解決し得る既製の解決策であろう。さらに、in vivoでのCRISPR編集の潜在的な副作用には、がん及び光受容体死の増加が含まれる。これらの副作用は、遺伝子のエピソームコピーによって回避されるであろう。同様に、Ush2C、RP39、RP25、ワーグナー症候群及び加齢黄斑変性を引き起こすヘミセンチン変異は、何千もの個々の解決策を立てなければならないのではなく、各遺伝子に対して1つの遺伝子治療手法で解決され得る。
【0008】
さらに、網膜遺伝子治療は、遺伝子のゲノムコピーにおける変異のドミナントネガティブ効果、網膜機能に重要な遺伝子の大きな非コード化領域の欠失のためにゲノム編集手法をとること、又は他の問題を解決するために補償遺伝子コンストラクトを追加することが有利である可能性がある。そのような場合、相同組換え非依存的な特異的遺伝子挿入(HITI)又は5kbアデノ随伴ウイルス(AAV)が可能であるよりも長いドナー/鋳型配列を使用する相同組換え(HR)を使用して問題を解決することが重要である可能性がある。アデノウイルスは、最大30kbの長さの鋳型を供給することができ、さらに同じベクターにおけるCRISPR編集に必要な機構に適合することができ、治療の効率を高める。
【0009】
さらに、Ush2Aの場合の重要な転写産物の遺伝子長は、約15,000(15kb)塩基対である。AAVの最大容量は、約4,000塩基対である。レンチウイルスは、(ゲノムインテグレーションの安全性の懸念にもかかわらず)別の一般的な遺伝子治療ベクターであるが、最大10,000塩基対を有する。
【発明の概要】
【0010】
一実施形態では、本開示は、ウイルスベクターを提供する。本開示の実施形態によれば、ウイルスベクターは、導入遺伝子コンストラクトを含み、導入遺伝子コンストラクトは、(a)プロモーターエレメント、10kbよりも長い網膜遺伝子の開いた読み枠、及びターミネーター配列を含むDNA配列、並びに(b)10kbよりも長い網膜遺伝子のDNAセグメントのうちの1つである。
【0011】
一実施形態では、ベクターは、ITR配列以外の内因性遺伝子を完全に欠失している。別の実施形態では、ベクターは、カーゴ配列のための最大10kbのスペースを作るのに十分な内因性アデノウイルス遺伝子を欠失している。さらなる実施形態では、ウイルスベクターは、完全に又は部分的に除去されたミミウイルスである。
【0012】
別の実施形態では、ウイルスベクターは、完全に又は部分的に除去されたアデノウイルスである。一実施形態では、ウイルスベクターは、アデノウイルス5型に基づくカプシドにカプシド化される。さらなる実施形態では、ウイルスベクターは、アデノウイルス6型に基づくカプシドにカプシド化される。なおさらなる実施形態では、ウイルスベクターは、アデノウイルスに基づくカプシドにカプシド化され、カプシドタンパク質からRGD配列を除去するように改変される。さらに別の実施形態では、ウイルスベクターは、ファミリーA~Gのアデノウイルスに基づくカプシドにカプシド化される。なおさらなる実施形態では、導入遺伝子コンストラクトは、(a)プロモーターエレメント、10kbよりも長い網膜遺伝子の開いた読み枠、及びターミネーター配列を含むDNA配列である。
【0013】
一実施形態では、プロモーターエレメントは、ヒトロドプシンキナーゼプロモーターである。別の実施形態では、プロモーターエレメントは、ヒトロドプシンキナーゼプロモーターである。さらなる実施形態によれば、プロモーターエレメントは、マウスロドプシンキナーゼプロモーターである。さらなる実施形態では、プロモーターエレメントは、ユビキタスCMVプロモーターである。さらに別の実施形態では、プロモーターエレメントは、アシェリン(Usherin)遺伝子の天然プロモーターを含有するアシェリン(Usherin)遺伝子の上流非コード配列である。別の実施形態では、プロモーターエレメントは、合成トランスデューシンアルファ-サブユニットプロモーターである。なおさらなる実施形態では、プロモーターエレメントは、光受容体間レチノイド結合タンパク質プロモーター及びヒトトランスデューシンアルファ-サブユニットプロモーターの最小配列である。なおさらなる実施形態では、プロモーターエレメントは、化学的に制御されたtet誘導性プロモーターである。別の実施形態では、プロモーターエレメントは、化学的に阻害されたプロモーターである。別の実施形態では、プロモーターエレメントは、ヒトL-オプシンプロモーターである。さらなる実施形態では、プロモーターエレメントは、ヒトレチノスキシン近位プロモーター及びヒト光受容体間レチノイド結合タンパク質エンハンサーである。なおさらなる実施形態では、プロモーターエレメントは、光受容体に特異的である。
【0014】
一実施形態では、導入遺伝子コンストラクトは、Ush2Aに翻訳するヌクレオチド配列である。別の実施形態では、導入遺伝子コンストラクトは、ADGV1に翻訳するヌクレオチド配列である。さらなる実施形態では、導入遺伝子コンストラクトは、アイズシャット(eyes shut)ホモログに翻訳するヌクレオチド配列である。さらに別の実施形態では、導入遺伝子コンストラクトは、ヘミセンチンに翻訳するヌクレオチド配列である。なおさらなる実施形態では、導入遺伝子コンストラクトは、バーシカンに翻訳するヌクレオチド配列である。
【0015】
一実施形態では、導入遺伝子コンストラクトは、(b)10kbより長い網膜遺伝子のDNAセグメントである。一実施形態では、DNAセグメントは、少なくともUsh2A遺伝子のセグメントである。別の実施形態では、DNAセグメントは、少なくともADGVl遺伝子のセグメントである。さらに別の実施形態では、DNAセグメントは、少なくともアイズシャット(eyes shut)ホモログ遺伝子のセグメントである。なおさらなる実施形態では、DNAセグメントは、少なくともヘミセンチン遺伝子のセグメントである。さらに別の実施形態では、DNAセグメントは、少なくともバーシカン遺伝子のセグメントである。
【0016】
一実施形態では、導入遺伝子コンストラクトは、(b)10kbより長い網膜遺伝子のDNAセグメントである。
【0017】
一実施形態では、本開示は、組成物を提供する。本開示の実施形態によれば、組成物は、ウイルスベクター及びパッキングプラスミドを含み、ウイルスベクターは、(a)プロモーターエレメント、10kbよりも長い網膜遺伝子の開いた読み枠、及びターミネーター配列を含むDNA配列、並びに(b)10kbよりも長い網膜遺伝子のDNAセグメントから選択される導入遺伝子コンストラクトを含有する。
【0018】
一実施形態では、本開示は、網膜疾患を治療する方法を提供する。本開示の実施形態によれば、網膜疾患を治療する方法は、導入遺伝子コンストラクトを含むウイルスベクターを提供することを含み、導入遺伝子コンストラクトは、(a)プロモーターエレメント、10kbよりも長い網膜遺伝子の開いた読み枠、及びターミネーター配列を含むDNA配列、並びに(b)10kbよりも長い網膜遺伝子のDNAセグメントのうちの1つである。
【0019】
一実施形態では、網膜疾患は、アッシャー症候群IIA型、アッシャー症候群2C型、網膜色素変性39、網膜色素変性(retinis pigmentosa)25、ワーグナー症候群、及び加齢黄斑変性からなる群から選択される。
【0020】
配列表の簡単な説明
配列番号1は、USH2AのDNA配列を示す。
【0021】
配列番号2は、CMVプロモーターの後ろのUSH2AのDNA配列を示す。
【0022】
配列番号3は、ロドプシンキナーゼプロモーターの後ろのUSH2AのDNA配列を示す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】アデノウイルスベクターの成分を示す。特に、図1Aは、本開示の実施形態によるベクターゲノムモデルの設計を示し、図1Bは、本開示の実施形態によるpPaCパッケージング発現プラスミドの設計を示し、図1Cは、本開示の実施形態による宿主細胞へのコトランスフェクションによるベクターカプシド化を示し、図1Dは、本開示の実施形態によるパッケージングされたベクターの放出を示す。
図2】本開示の実施形態による血友病8遺伝子導入ベクターを用いた試験細胞の形質導入を示す。
図3】特異的遺伝子転写について試験するためのマウス網膜細胞のトランスフェクションを示す。
図4】(1)強制クローニング及び(2)リコンビニアリングによるスタッフィングによるUSH2Aベクターの構築を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示の任意の実施形態を詳細に説明する前に、本開示は、その適用において、以下の説明に記載されるか又は図面に示される成分の構成及び配置の詳細に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施又は実行することができる。また、本明細書で使用される表現及び用語は、説明のためのものであり、限定するものとみなされるべきではないことが理解される。本明細書における「含む(including)」、「含む(comprising)」又は「有する」及びそれらの変形の使用は、その後に列挙される項目及びその均等物並びに追加の項目を包含することを意味する。本明細書における「本質的に含む」及び「から本質的になる」及びその変形の使用は、その後に列挙される項目、均等物及び追加の項目を包含することを意味するが、そのような均等物及び追加の項目は、全体の特性、使用又は製造を本質的に変更しないことを条件とする。本明細書における「からなる」及びその変形の使用は、その後に列挙される項目及びそれらの項目のみを含むことを意味する。
【0025】
図面を参照すると、全体を通して、同様の番号は同様の要素を指す。第1、第2などの用語は、様々な要素、成分、領域、及び/又はセクションを説明するために本明細書で使用される場合があるが、これらの要素、成分、領域、及び/又はセクションは、これらの用語によって限定されるべきではないことが理解されよう。これらの用語は、1つの要素、成分、領域及び/又はセクションを別の要素、成分、領域及び/又はセクションと区別するためにのみ使用される。したがって、第1の要素、成分、領域又はセクションは、本開示から逸脱することなく、第2の要素、成分、領域又はセクションと呼ばれ得る。
【0026】
本開示における数値範囲は近似値であり、別途指示がない限り範囲外の値を含んでもよい。数値範囲は、任意のより低い値と任意のより高い値との間に少なくとも2つの単位の分離があるという条件で、一単位の増分で、(特に明記しない限り)より低い値及びより高い値からの、及びこれらを含むすべての値を含む。一例として、例えば重量基準による成分の量などの組成上の、物理的な又は他の特性が10~100である場合、10、11、12などのすべての個々の値、及び10~44、55~70、97~100などの部分範囲が明示的に列挙されることが意図される。明示的な値を含む範囲(例えば、1、又は2、又は3から5、又は6、又は7までの範囲)の場合、任意の2つの明示的な値の間の任意の部分範囲が含まれる(例えば、上記の範囲1~7は、部分範囲1~2、2~6、5~7、3~7、5~6などを含む)。1未満の値を含む範囲又は1より大きい分数(例えば、1.1、1.5など)を含む範囲については、一単位は、適切には0.0001、0.001、0.01又は0.1であるとみなされる。10未満の一桁の数を含む範囲(例えば、1~5)については、一単位は通常0.1であるとみなされる。これらは、具体的に意図されるものの例にすぎず、列挙された最低値と最高値との間の数値のすべての可能な組合せは、本開示において明示的に述べられているとみなされるべきである。
【0027】
「真下(beneath)」、「下(below)」、「下方(lower)」、「上(above)」、「上方(upper)」などの空間的用語は、本明細書では、図に示すように、1つの要素又は特徴と別の要素又は特徴との関係を説明するための記述を容易にするために使用されてもよい。空間的に相対的な用語は、使用又は例示における向きに応じて異なる向きを包含することを意図していることが理解されよう。例えば、図中の装置がひっくり返された場合、他の要素又は特徴の「下(below)」又は「真下(beneath)」にあると記載された要素は、他の要素又は特徴の「上(above)」に配向される。したがって、例示的な「下(below)」という用語は、上及び下の両方の向きを包含し得る。装置は、他の方向に向けられ(90°に又は他の向きで回転され)てもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子はそれに応じて解釈される。
【0028】
本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上のありとあらゆる組合せを含む。例えば、「A及び/又はB」などの語句で使用される場合、「及び/又は」という語句は、AとBの両方;A又はB;A(単独);及びB(単独)を含むことが意図される。同様に、「A、B及び/又はC」などの語句で使用される「及び/又は」という用語は、以下の実施形態”A、B、及びC;A、B、又はC;A又はC;A又はB;B又はC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);及びC(単独)のそれぞれを包含することを意図している。
【0029】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般に、本明細書で使用される命名法、並びに以下に記載される細胞培養、分子遺伝学、及び核酸化学並びにハイブリダイゼーションにおける実験室手順は、当技術分野で周知であり、一般的に使用されるものである。組換え核酸法、ポリヌクレオチド合成、並びに微生物の培養及び形質転換(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション)には、標準的な技術が使用される。一般に、酵素反応及び精製工程は、製造業者の仕様に従って行われる。技術及び手順は、一般に、当技術分野における従来の方法及び本文書全体を通して提供される様々な一般的な参考文献(一般に、参照により本明細書に組み込まれる、Sambrook et al.Molecular Cloning:a Laboratory Manual,2d ed.(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.参照)に従って実施される。単位、接頭辞、及び記号は、それらのSI承認形態で示されてもよい。別途指示がない限り、核酸は、5’から3’方向に左から右に書かれ、アミノ酸配列は、それぞれアミノからカルボキシルへの方向で左から右に書かれる。アミノ酸は、一般に知られている三文字の記号又はIUPAC-IUB生化学命名委員会によって推奨される一文字の記号のいずれかによって本明細書で言及されてもよい。同様に、ヌクレオチドは、一般に受け入れられている一文字コードによって参照されてもよい。特に明記しない限り、本明細書で使用されるソフトウェア、電気、及び電子の用語は、The New IEEE Standard Dictionary of Electrical and Electronics Terms(5.sup.th edition,1993)で定義されている通りである。
【0030】
本明細書で使用される「アデノウイルスベクター」という用語は、アデノウイルスに基づき、遺伝物質を導入するために使用される任意の遺伝子コンストラクト又はウイルスコンストラクトを含む。本明細書で使用される「欠失アデノウイルス」又は「欠失アデノウイルスベクター」という用語は、1つ以上の内因性遺伝子又はそれから欠失された遺伝子断片を有するありとあらゆるアデノウイルス又はアデノウイルスベクターを含む。対照的に、本明細書で使用される「完全欠失アデノウイルス」及び「完全欠失アデノウイルスベクター」という用語は、内部末端反復配列(internal terminal repeat)(ITR)及びパッケージングシグナル(Ψ)を除いて、すべての内因性アデノウイルス遺伝子及び遺伝物質がそこから欠失している、ありとあらゆるアデノウイルス及びアデノウイルスベクターを含む。本明細書で使用される「アデノウイルスベクターゲノム」という用語は、アデノウイルスベクターにみられる遺伝物質を含む。
【0031】
「コード配列」又は選択されたポリペプチドを「コードする」配列は、適切な調節配列(又は「制御エレメント」)の制御下に置かれた場合、in vivoでポリペプチドに転写され(DNAの場合)、翻訳される(mRNAの場合)核酸分子である。コード配列の境界は、5’(アミノ)末端の開始コドン及び3’(カルボキシ)末端の翻訳終止コドンによって決定される。転写終結配列は、コード配列の3’に位置してもよい。コード配列の転写及び翻訳は、典型的には、転写プロモーター、転写エンハンサーエレメント、シャイン・ダルガモ配列(Shine and Delagamo sequence)、転写終結シグナル、ポリアデニル化配列(翻訳終止コドンに対して3’に位置する)、翻訳開始の最適化のための配列(コード配列に対して5’に位置する)、及び翻訳終止配列を含むがこれらに限定されない「制御エレメント」によって調節される。
【0032】
本明細書で使用される「欠失する」又は「欠失した」という用語は、削除、消去、又は除去することを意味する。
【0033】
本明細書で使用される「欠失Ad(ウイルス)ベクター」及び「除去~」、「ミニ~」、「欠失~」、「.DELTA.」又は「擬似ベクター」という用語は、ITRを有する線形ベクターモジュールを指す。これらのベクターはまた、いくつかの構造遺伝子配列及び/若しくは非構造遺伝子配列並びに/又は1つ以上の目的の遺伝子若しくは導入遺伝子をコードし得る。
【0034】
「発現」という用語は、細胞内の内因性遺伝子、導入遺伝子又はコード化領域の転写及び/又は翻訳を指す。
【0035】
「遺伝子送達ベクター」、「GDV」、「遺伝子導入ベクター」、又は「遺伝子導入ビヒクル」は、本開示のパッケージングされたベクターモジュールを含む組成物である。
【0036】
本明細書で使用される場合、「遺伝子発現コンストラクト」という用語は、プロモーター、少なくとも目的の遺伝子の断片、及びポリアデニル化シグナル配列を指す。本開示のベクターモジュールは、遺伝子発現コンストラクトを含んでもよい。
【0037】
本明細書で使用される「目的の遺伝子」、「GOI」、及び「導入遺伝子」という用語は、その機能が医学的に重要であり、天然のフラビウイルス遺伝子ではない可能性がある遺伝子をコードする遺伝子を指す。目的の遺伝子は、RNA又はタンパク質のレベルでその効果を発揮する遺伝子であり得る。目的の遺伝子の例としては、治療遺伝子、免疫調節遺伝子、ウイルス遺伝子、細菌遺伝子、タンパク質産生遺伝子、阻害性RNA又はタンパク質、及び制御タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
「遺伝子配列」は、ヌクレオチドの順序を指す。遺伝子配列は、調節可能であり得る。遺伝子発現の調節は、(1)遺伝子構造の変化:部位特異的リコンビナーゼ(例えば、Cre-loxPシステムに基づくCre)は、プロモーターと遺伝子との間の挿入配列を除去することによって遺伝子発現を活性化し得る;(2)転写の変化:誘導(カバーされた)又は阻害の軽減のいずれかによる;(3)mRNAに組み込まれる特異的配列又はsiRNAによるmRNA安定性の変化;及び(4)mRNA中の配列による翻訳の変化、のうちの1つによって達成され得る。欠失アデノウイルスは、「高容量」アデノウイルスとも呼ばれる。これらの欠失アデノウイルスは、最大33kbの遺伝子配列を収容することができる。
【0039】
「異種」という用語は、通常は自然と密接に関連していないDNA配列の任意の組合せに使用される。
【0040】
「相同性」という用語は、一対の構造又は遺伝子間に共通の祖先が存在することを指す。
【0041】
「宿主細胞」又は「パッケージング細胞」は、アデノウイルス又はアデノウイルスベクターゲノム又は改変ゲノムをパッケージングしてウイルス粒子を産生することができる細胞である。それは、欠損遺伝子産物又はその均等物を提供するように操作され得る。したがって、パッケージング細胞は、アデノウイルスゲノムをアデノウイルス粒子にパッケージングすることができる。そのような粒子の産生は、ゲノムが複製され、感染性ウイルスを組み立てるために必要なそれらのタンパク質が産生されることを必要とする。粒子はまた、ウイルス粒子の成熟に必要な特定のタンパク質を必要とし得る。そのようなタンパク質は、ベクター、パッケージングコンストラクト又はパッケージング細胞によって提供され得る。本開示によるapパッケージング細胞株を作製するために使用されてもよい例示的な宿主細胞(HC)としては、宿主細胞がアデノウイルスの増殖を許容する限り、A549、HeLa、MRC5、W138、CHO細胞、ベロ細胞、ヒト胚性網膜細胞、又は任意の真核細胞が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの宿主細胞株には、脂肪細胞、軟骨細胞、上皮、線維芽細胞、膠芽細胞腫、肝細胞、ケラチノサイト、白血病、リンポホブラストイド(lympohoblastoid)、単球、マクロファージ、筋芽細胞、及びニューロンが含まれる。他の細胞型には、初代細胞培養物に由来する細胞、例えば、ヒト初代前立腺細胞、ヒト胚性網膜細胞、ヒト幹細胞が含まれるが、これらに限定されない。真核生物の二倍体細胞株及び異数体細胞株は、本開示の範囲内に含まれる。パッケージング細胞は、組換えウイルスベクターの高力価ストックを生成するために、本明細書に記載の異なるコンストラクトの産物をそれらの産物に対して適切なレベルで発現することができるものでなければならない。
【0042】
「免疫応答」は、細胞性又は液性免疫応答などの獲得免疫応答である。
【0043】
本明細書で使用される「導入する」又は「トランスフェクション」という用語は、宿主細胞への発現ベクターの送達を指す。ベクターは、トランスフェクション、これは、典型的には、物理的手段(例えば、リン酸カルシウムトランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション又はリポフェクション)による異種DNA又はRNAの細胞への挿入を意味する;感染、これは、典型的には、感染病原体、すなわちウイルスによる導入を指す;又は形質導入、これは、典型的には、ウイルスによる細胞の安定した感染、若しくはウイルス病原体(例えば、バクテリオファージ)によるある微生物から別の微生物への遺伝物質の導入を意味する、によって細胞に導入されてもよい。ベクターは、プラスミド、ウイルス又は他のビヒクルであってもよい。
【0044】
「パッケージングコンストラクト」又は「パッケージング発現プラスミド」という用語は、環状二本鎖DNA分子の操作されたプラスミドコンストラクトを指し、DNA分子は、少なくともプロモーターの制御下にあるアデノウイルス構造遺伝子又は非構造遺伝子のサブセットを含む。「パッケージングコンストラクト」は、独立したウイルス複製が感染、ウイルス粒子を産生すること、及び/又はウイルス粒子にパッケージングされるこの遺伝物質の効率的なパッケージングを可能にする2つ以上のITR又は遺伝情報を含まない。
【0045】
本明細書で使用される「プラスミド」という用語は、染色体DNAとは独立して複製することができる、染色体DNAとは別個の染色体外DNA分子を指す。多くの場合、それは環状で二本鎖である。
【0046】
「プロモーター」という用語は、特定の遺伝子の転写を促進するDNAの調節領域を意味する。プロモーターは通常、特定のコード配列の適切な転写開始部位でRNA合成を開始するようにRNAポリメラーゼIIに指示することができるTATAボックスを含む。プロモーターは、転写開始速度に影響を及ぼす、上流プロモーターエレメントと呼ばれる、一般にTATAボックスの上流又はTATAボックスに対して5’に位置する他の認識配列をさらに含んでもよい。
【0047】
「トランスフェクション」という用語は、DNA又はRNAとしての細胞遺伝物質への指示(例えば、単離された核酸分子又は本開示のコンストラクトの導入)を指す。本明細書で使用される「形質導入」という用語は、DNAとして、又は本開示のGDVを用いてのいずれかで、細胞DNAに導入することを指す。本開示のGDVを標的細胞に形質導入することができる。
【0048】
「ベクター」という用語は、宿主細胞の感染に使用され、その中にポリヌクレオチドを挿入することができる核酸を指す。ベクターは、しばしばレプリコンである。発現ベクターは、その中に挿入された核酸の転写を可能にする。いくつかの一般的なベクターには、プラスミド、コスミド、ウイルス、ファージ、組換え発現カセット、及びトランスポゾンが含まれるが、これらに限定されない。「ベクター」という用語はまた、ある場所から別の場所への遺伝子の導入を助ける要素を指す場合がある。
【0049】
「ベクターモジュール」という用語は、アデノウイルスビリオンにパッケージングされたアデノウイルス遺伝子組成物を指す。
【0050】
本開示の実施形態によれば、アデノウイルスベクターが提供される。アデノウイルスベクターは、DNAセグメント又はDNA配列である導入遺伝子コンストラクトを含む。一実施形態では、アデノウイルスベクターは、カプシドに含まれる。一実施形態では、カプシドは、アッシャー症候群IIA型、アッシャー症候群2C型、網膜色素変性39、網膜色素変性25、ワーグナー症候群、若しくは加齢黄斑変性の治療において、又は変異によるUsh2A、ADGRV1、アイズシャット(eyes shut)ホモログ、ヘミセンチン、若しくはバーシカン(VCAN)タンパク質の損失によって引き起こされる網膜光受容体変性の予防において、遺伝子治療として提供される。
ウイルスベクター
【0051】
本開示のベクターは、アデノウイルス及びミミウイルスからなる群から選択されるウイルスに基づく。好ましくは、ウイルスベクターは、アデノウイルスに基づく。本開示で使用されるウイルスベクターは、完全欠失(fd)ウイルス、より具体的には、ヘルパーウイルスの非存在下でパッケージングされたfdアデノウイルスとして設計される。ウイルスベクターは、カプシドの2つの独立して改変可能な成分のうちの一方であり、他方は環状パッケージング発現プラスミドである。
【0052】
一実施形態では、ウイルスベクターは、Adベクターである。
【0053】
一実施形態では、ウイルスベクターは、完全に欠失しており、ヘルパーウイルスを含まないAdベクターである。
【0054】
一実施形態では、アデノウイルスベクター70、好ましくはfdアデノウイルスベクターは、遺伝子コンストラクトを受け取ることができ、図1に示すように、逆位末端反復配列(ITR)72、72及びパッケージングシグナル(Ψ)73を有する。欠失内因性遺伝子は、サイズ補償スタッファー75で置き換えられる。示されている実施形態では、これらのスタッファー75は、ヒト遺伝子5-アミノイミダゾール-4-カルボキサミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼ遺伝子(ATIC)の断片から調製される。さらなる実施形態では、限定されないが、ヒトヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼなどの他のスタッファー配列を使用することができる。
【0055】
fdベースベクターゲノムモジュールは、異なる長さの導入遺伝子コンストラクト76のために操作される。いくつかの実施形態では、fdベースベクターゲノムモジュールは、1kb、又は5kb、又は10kbから20kb、又は25kb、又は30kb、又は35kbまでの、好ましくは10kb、又は10kb超、又は12kb、又は15kb、又は18kb、又は20kbから22kb、又は25kb、又は28kb、又は30kb、又は32kb、又は35kb未満までの導入遺伝子コンストラクトのために操作される。
【0056】
一実施形態では、導入遺伝子コンストラクト76は、プロモーターエレメント、10kbよりも長い網膜遺伝子の開いた読み枠、及びターミネーター配列を含むDNA配列である。
【0057】
一実施形態では、プロモーターは、光受容体に特異的である。光受容体特異的プロモーターの非限定的な例としては、ヒトロドプシンキナーゼプロモーター、マウスロドプシンキナーゼプロモーター、ユビキタスCMVプロモーター、ユビキタスCAGプロモーター、アシェリン(Usherin)遺伝子の天然プロモーターを含有するアシェリン(Usherin)遺伝子の上流非コード配列、合成トランスデューシングアルファ-サブユニットプロモーター(synthetic a transducing alpha-subunit promoter)、光受容体間レチノイド結合タンパク質プロモーター、ヒトトランスデューシンアルファ-サブユニットプロモーターの最小配列、化学的に制御されたtet誘導性プロモーター、ヒトL-オプシンプロモーター、レチノスキシン近位プロモーター、ヒト光受容体間レチノイドバインディンタンパク質エンハンサー(human interphotorceptor retinoid-bindin protein enhancer)、及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
特定の実施形態では、プロモーターは、ヒトロドプシンキナーゼプロモーター、マウスロドプシンキナーゼプロモーター、ユビキタスCMVプロモーター、ユビキタスCAGプロモーター、アシェリン(Usherin)遺伝子の天然プロモーターを含有するアシェリン(Usherin)遺伝子の上流非コード配列、合成トランスデューシンアルファ-サブユニットプロモーター、光受容体間レチノイド結合タンパク質プロモーター及びヒトトランスデューシンアルファ-サブユニットプロモーターの最小配列、化学的に阻害されたプロモーター、ヒトL-オプシンプロモーター、並びにヒトレチノスキシン近位プロモーター及びヒト光受容体間レチノイド結合タンパク質エンハンサーからなる群から選択される。
【0059】
一実施形態では、網膜遺伝子の開いた読み枠は、ヌクレオチド配列である。一実施形態では、ヌクレオチド配列は、光受容体特異的タンパク質に翻訳する。ヌクレオチド配列の非限定的な例としては、Ush2A、ADGV1、アイズシャット(eyes shut)ホモログ、ヘミセンチン、バーシカン、及びそれらの組合せから選択される遺伝子によってコードされるタンパク質に翻訳するヌクレオチド配列が挙げられる。一実施形態では、ヌクレオチド配列は、Ush2A、ADGV1、アイズシャット(eyes shut)ホモログ、ヘミセンチン、及びバーシカンからなる群から選択される遺伝子によってコードされるタンパク質に翻訳される。
【0060】
一実施形態では、導入遺伝子コンストラクトは、10kbより長い網膜遺伝子のDNAセグメントである。10kbより長い網膜遺伝子の好適なDNAセグメントの非限定的な例としては、Ush2A遺伝子のゲノム配列、ADGV1遺伝子のゲノム配列、アイズシャット(eyes shut)ホモログ遺伝子のゲノム配列、ヘミセンチン遺伝子のゲノム配列、バーシカン遺伝子のゲノム配列、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0061】
異なる導入遺伝子発現カセットが、fdベースゲノムベクターモジュールに首尾よく移動されている。Adベクターゲノムのエピソーム位置に起因して、細胞ゲノムへの組換えは予想されず、観察されていない。
【0062】
パッキングプラスミド
一実施形態では、ウイルスベクターにパッキングプラスミドが提供される。
【0063】
環状パッケージング発現プラスミド(pPac)は、図1に示されるように、早期遺伝子E2及びE4と共に後期遺伝子(L1、L2、L3、L4、L5)をトランスで提供するように開発される。LITR、パッケージングシグナル(Ψ)、早期遺伝子E1、E3及びタンパク質IX遺伝子は、環状pPacには存在しない。
【0064】
一実施形態では、異なるパッケージングプラスミドが、ベクターモジュールを、Ad2(pPaC2)、Ad5(pPaC5)、Ad6(pPaC6)、Ad4(pPaE4)及びAd35(pPaB35)などの異なる血清型のカプシドにカプシド化する。
【0065】
トランスフェクション
一実施形態では、ウイルスベクター及びパッキングプラスミドは、パッケージング細胞にトランスフェクトされる。
【0066】
一実施形態では、パッケージング細胞は、1つ以上のウイルスベクター及び1つ以上のプラスミドを含有してもよい。好ましい実施形態では、パッケージング細胞は、少なくとも1つ、好ましくは2つ以上、より好ましくは3つ以上のウイルスベクター及び1つのパッキングプラスミドを含む。
【0067】
さらに図1を参照すると、ウイルスベクター70及びプラスミド82は、コトランスフェクションを介して真核生物宿主細胞、又はパッケージング細胞85に導入される。示される特定の実施形態では、ウイルスベクター70及びプラスミド82は、最適化及び標準化された一週間コトランスフェクションプロトコールを使用してパッケージング細胞85にコトランスフェクトされる。
【0068】
一実施形態では、ウイルスベクターは、アデノウイルスベクター、特にfdアデノウイルスベクターであり、パッケージング細胞は、ヒト胎児性腎細胞(HEK293)及びPerC.6細胞などであるがこれらに限定されない細胞株に由来する。fdアデノウイルスベクターをパッケージングするのに必要なパッケージング細胞は、アデノウイルスベクターのE1領域内にコードされる遺伝子を発現するように改変されなければならない。特定の実施形態では、パッケージング細胞は、アデノウイルスベクターのE1領域内にコードされる遺伝子を発現するように改変されたHEK293由来のQ7パッケージング細胞である。
【0069】
カプシド
本開示の実施形態によれば、図1に示すように、ウイルスベクター70及びプラスミド82を含有するパッキング細胞85がカプシド化される。
【0070】
ウイルスベクター70及びプラスミド82を含有するパッケージング細胞85は、アデノウイルス又はミミウイルスの血清型のカプシドで送達される。一実施形態では、カプシドは、アデノウイルスに基づき、カプシドタンパク質からRGD配列を除去するように改変される。一実施形態では、カプシドは、アデノウイルスファミリーA~Gに基づく。一実施形態では、ウイルスベクターは、アデノウイルスのAd2、Ad5、Ad6及びAd35血清型、並びにそれらの組合せのカプシドで送達される。一実施形態では、ウイルスベクターは、Ad6血清型のカプシドで送達される。
【0071】
提供される実施形態において、fdベクターゲノムモジュールは、ベクターゲノムモジュール及びパッケージング発現プラスミドの標準化されたコトランスフェクションプロトコールによってカプシド化される。現在の技術は、細胞あたり2,000パッケージのウイルスゲノムを提供し、技術の進歩により、将来、生産効率が向上する可能性がある。次いで、パッケージベクターは、カラムクロマトグラフィーによって精製される。
【0072】
網膜疾患の治療
一実施形態では、ウイルスベクターは、遺伝子変異によって引き起こされる網膜疾患の治療のために提供される。ウイルスベクターは、本明細書に記載の任意の実施形態、又は実施形態の組合せに従ってもよい。さらなる実施形態では、ウイルスベクターは、組成物として提供され、組成物は、少なくとも1つのウイルスベクター及び少なくとも1つのパッキングプラスミドを含む。別の実施形態では、パッケージング細胞が提供され、パッケージング細胞は、少なくとも1つのウイルスベクター及び少なくともオン(at least on)のパッキングプラスミドを含有する。なおさらなる実施形態では、カプシドが提供され、カプシドは、少なくとも1つのウイルスベクター、好ましくは少なくとも1つのパッキングプラスミドを含有する。ウイルスベクター、パッキングプラスミド、及びパッケージング細胞は、本明細書に記載の任意の実施形態、又は実施形態の組合せに従ってもよい。さらなる実施形態では、ウイルスベクター及びパッキングプラスミドを含有するパッケージング細胞は、カプシドにカプシド化される。
【0073】
一実施形態では、ウイルスベクター、組成物、パッケージング細胞及び/又はカプシドは、対象の眼、好ましくは哺乳動物対象、より好ましくはヒト対象に注射される。ウイルスベクターは、網膜下又は硝子体内のいずれかで眼に注射されて光受容体に感染し、導入遺伝子コンストラクトがコードするタンパク質を光受容体に発現させる。さらなる実施形態では、ウイルスベクターにパッキングプラスミドが提供される。ウイルスベクター及びパッキング血漿は、パッケージング細胞にトランスフェクトされてもよい。パッケージング細胞は、カプシドにカプシド化されてもよい。ウイルスベクター、パッキングプラスミド、パッケージング細胞及びカプシドは、本明細書で提供される任意の実施形態又は実施形態の組合せに従って、独立していてもよい。
【0074】
実施例及び事例研究
本明細書で論じられる方法及び組成物は、網膜疾患を引き起こす変異の修正を可能にし、光受容体死及び失明を予防する。本明細書で提供される方法及び組成物は、例えば、アッシャー症候群IIA型、アッシャー症候群2C型、網膜色素変性39、網膜色素変性25、ワーグナー症候群、又はヘミセンチン変異による加齢黄斑変性の進行を予防する。
【0075】
本明細書に記載の遺伝子療法のためのウイルスベクターは、大きな導入遺伝子を送達する必要がある場合に特異的に操作される。例えば、ウイルスベクターは、約12kbの全発現カセットのために、CMV前初期プロモーター/エンハンサーから駆動される完全長ヒト凝固第VIII因子cDNA(7kb)を免疫抑制分子と共に送達してもよい。このようなベクターを形質導入された線維芽細胞は、第VIII因子をフォーカス(focus)及びシャドウ(shadow)として生成した。
【0076】
一実施形態では、広域活性CMV前初期プロモーター/エンハンサーを、非常に強力なバリアントが同定されており、錐体及び桿体の両方における遺伝子発現を駆動する、光受容体特異的ヒトロドプシンキナーゼ(RK)プロモーターの活性を測定するための標準として使用した。普遍的なCMV前初期プロモーター/エンハンサープロモーターはミクログリア細胞において機能し、したがって有害な炎症性応答を誘導する可能性があるので(図3)、それをRKの活性の指標としてのみ使用する。増強された緑色蛍光タンパク質(GFP)は、異なるベクターのプロモーター活性を試験するために使用される。
【0077】
増強された緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子を、in vivoエレクトロポレーション研究における試験遺伝子として使用した。PBS(5mg/ml)中のそれぞれの精製プラスミドDNAの溶液約0.5piを、32ゲージの平滑末端針を備えたハミルトンシリンジを使用して新生仔マウスの網膜下腔に注射した。エレクトロポレーションは、パルス発生器を用いて5つの方形パルスを印加することによって行った。エレクトロポレーション後21日目に、マウスを屠殺し、ベクター取込みについて網膜切片を分析した。図3に例示されるように、両方のプロモーターが、光受容体細胞におけるGFP発現を同程度のレベルまで駆動した。広域反応性CMVプロモーターはまた、ミクログリアにおけるGFP導入遺伝子発現を誘導した。したがって、広域活性CMVプロモーターを使用するベクターは、炎症性応答をより惹起しやすい可能性がある。
【0078】
本開示において有用なプロモーターを、FGP発現を研究するために組み込む。RKプロモーターの活性が確認されたら、光受容体におけるUSH2Aの発現を駆動するその能力を調べる。これらのベクターゲノム分子の設計は、既に作製されたCMV-GFPベクターの設計に従う。発現カセットは、特異的RKプロモーター、GFP配列及びヒト成長ホルモンポリアデニル化部位(HT-pA)を含有するであろう。それを、図4に示すように、ウイルスベクターに容易に移動させることができるように、必要なクローニング要素と共にその全体を合成する。組み立てられたコンストラクトの完全性を、配列決定によって確認する。
【0079】
さらなる実験/事例研究の目的のために、ベクターゲノムモジュールを、標準的なコトランスフェクションプロトコールを使用してヒトAd5(又は他のヒト血清型)にパッケージングする。
【0080】
トランスフェクション研究における発現カセットを調べるために、3つの異なる試験細胞、HEK293、患者iPSC、及びY79網膜芽細胞腫細胞をin vitro研究に使用する。すべての実験を少なくとも3回行う。アシェリン(usherin)を連続的に産生しないHEK293細胞及び未分化患者iPSC細胞は、アシェリン(usherin)タンパク質産生の研究によく適している。RKプロモーターの活性を評価するために、これらの細胞をCrx及びSp1転写因子をコードするプラスミドでコトランスフェクトする。導入遺伝子の転写を、USH2Aプローブの様々なセットを使用するRT-qPCRによって測定し、タンパク質産生を、ポリクローナル抗アシェリン(usherin)抗体による固定細胞の免疫染色によって測定する。GFP発現のレベルを、FACSによって測定する。Y79網膜芽細胞腫細胞は、エクソン62をスキップするスプライスバリアントにおいてUSH2Aを構成的に発現する。ベクター送達導入遺伝子の発現は、エクソン62特異的RT-qPCRプローブを用いて構成的に転写されたUSH2Aと区別され得る。Y79細胞におけるRKプロモーター活性を調べるために、転写因子を提供する必要はない。第2の工程では、カプシド化されたベクターを使用して、異なる感染多重度で試験細胞に形質導入する。以前の研究では、最高レベルの導入遺伝子発現が48時間後に観察されている。組織培養細胞における導入遺伝子発現のパーセンテージ及び細胞あたりの導入遺伝子発現のレベルを、FACSにおける免疫蛍光によって定量的に分析する。
【0081】
この研究は、ベクターゲノムモジュールプラスミド及びパッケージングされたベクターを送達するGHFP及びUSH2Aを用いて行う。USH2及び常染色体劣性RPは常染色体劣性であるが、X連鎖遺伝性疾患ではなく、性に関連する表現型の違いはヒト又はマウスにおいて報告されていない。それにもかかわらず、C57BI/6野生型マウスを、両性のGFP試験及びUsha2aノックアウト(USH2A試験用)に使用する。分子、生化学及びイメージング研究のために1群あたり4匹のマウスを含めるが、網膜電図記録のために1群あたり8匹のマウスを含める。導入遺伝子を欠くベクターゲノムモジュールを、陰性対照として使用する。
【0082】
1ヶ月齢のマウスに、網膜下注射手順によってカプシド化ベクターを注射する。2×10IU/mlの濃度の1μl以下の体積のベクター懸濁液を送達する。
【0083】
エレクトロポレーション後の21日目、光受容体がそれらの分化をちょうど終えたとき、又は導入遺伝子発現がそれらの最大レベルに達し、注射関連創傷が完全に回復した形質導入後の7日目に、マウスを屠殺する。ホールマウント網膜及び網膜切片をベクター取込みについて分析する。有効な導入遺伝子発現がみられるならば、3ヶ月及び6ヶ月での治療効果並びに炎症応答及び毒性応答を調査するために、さらなるマウスを加える。
【0084】
エレクトロポレーション及び形質導入後にベクターDNAを取り込んだ細胞を局在化するためのITR特異的プローブを用いたin situ PCRに加えて、GFP試験遺伝子を直接可視化する。処置ノックアウトマウスにおけるアシェリン(usherin)発現を、免疫蛍光及び共焦点顕微鏡法によって検出する。導入遺伝子発現細胞の数及び細胞あたりの導入遺伝子発現強度を、ImageJプログラムを使用してスコア化する。さらに、網膜におけるGFP及びUSH2Aの発現を、半定量的イムノブロット解析によって評価する。並行して、網膜切片を、炎症性応答及び免疫応答の証拠について免疫組織学によって調べる。アシェリン(Usherin)は、光受容体におけるUsh2タンパク質複合体の完全性に必須であるので、本発明者らは、処置されたUsh2aノックアウト網膜におけるUSH2タンパク質複合体のレスキューを調べる。動物あたり4つの切片から平均値を得る。スチューデントのt検定及び/又は一方向ANOVAを使用して、実験群及び対照群(模擬注射した眼又は対照ベクターで処置した眼)あたり4匹のマウスからのデータを比較する。Ush2aノックアウトマウスは、1歳まで網膜デジャーメーション(retinal degermation)を示さないので、本発明者らは、ウイルスベクター形質導入の3ヶ月後及び6ヶ月後に網膜電図(ERG)及び光干渉断層法(OCT)を使用して、マウスにおける網膜の健康を評価するが、網膜変質のレスキューは評価しない。以前のERG及びOCTデータの標準偏差に基づいて、実験群及び対照群あたり8匹のマウスを試験する。ERG及びOCTデータを分析するために、スチューデントのt検定及び二方向ANOVAを実施する。
【0085】
本明細書では複数の実施形態及び関連する方法を詳細に説明してきたが、それらの修正及び変形が可能であり、それらのすべてが本発明の本来の趣旨及び範囲内に入ることは明らかであるはずである。さらに、多数の修正及び変更が当業者には容易に想到するので、本発明を図示及び説明された正確な構成及び動作に限定することは望ましくなく、したがって、すべての好適な修正及び均等物が本開示の範囲内で行われてもよい。
図1
図2
図3
図4
【配列表】
2024508710000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-10-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導入遺伝子コンストラクトを含むウイルスベクターであって、導入遺伝子コンストラクトが、(a)プロモーターエレメント、10kbよりも長い網膜遺伝子の開いた読み枠、及びターミネーター配列を含むDNA配列、並びに(b)10kbよりも長い網膜遺伝子のDNAセグメントのうちの1つである、ウイルスベクター。
【請求項2】
ベクターが、ITR配列以外の内因性遺伝子を完全に欠失している、請求項1に記載のウイルスベクター。
【請求項3】
ベクターが、カーゴ配列のための最大10kbのスペースを作るのに十分な内因性アデノウイルス遺伝子を欠失している、請求項2に記載のウイルスベクター。
【請求項4】
ウイルスベクターが、完全に又は部分的に除去されたミミウイルスである、請求項1に記載のウイルスベクター
【請求項5】
ウイルスベクターが、完全に又は部分的に除去されたアデノウイルスである、請求項1に記載のウイルスベクター
【請求項6】
ウイルスベクターが、アデノウイルス5型に基づくカプシドにカプシド化される、請求項5に記載のウイルスベクター
【請求項7】
ウイルスベクターが、アデノウイルス6型に基づくカプシドにカプシド化される、請求項5に記載のウイルスベクター
【請求項8】
ウイルスベクターが、アデノウイルスに基づくカプシドにカプシド化され、カプシドタンパク質からRGD配列を除去するように改変される、請求項5に記載のウイルスベクター
【請求項9】
ウイルスベクターが、ファミリーA~Gのアデノウイルスに基づくカプシドにカプシド化される、請求項5に記載のウイルスベクター
【請求項10】
導入遺伝子コンストラクトが、(a)プロモーターエレメント、10kbよりも長い網膜遺伝子の開いた読み枠、及びターミネーター配列を含むDNA配列である、請求項5に記載のウイルスベクター
【請求項11】
プロモーターエレメントが、ヒトロドプシンキナーゼプロモーターである、請求項10に記載のウイルスベクター
【請求項12】
プロモーターエレメントが、ヒトロドプシンキナーゼプロモーターである、請求項10に記載のウイルスベクター
【請求項13】
プロモーターエレメントが、マウスロドプシンキナーゼプロモーターである、請求項10に記載のウイルスベクター
【請求項14】
プロモーターエレメントが、ユビキタスCMVプロモーターである、請求項10に記載のウイルスベクター
【請求項15】
プロモーターエレメントが、ヌクレオチドXXX~YYYからのアシェリン(Usherin)ゲノムの上流非コード配列である、請求項10に記載のウイルスベクター
【請求項16】
プロモーターエレメントが、合成トランスデューシンアルファ-サブユニットプロモーターである、請求項10に記載のウイルスベクター
【請求項17】
プロモーターエレメントが、光受容体間レチノイド結合タンパク質プロモーター及びヒトトランスデューシンアルファ-サブユニットプロモーターの最小配列である、請求項10に記載のウイルスベクター
【請求項18】
プロモーターエレメントが、化学的に制御されたtet誘導性プロモーターである、請求項10に記載のウイルスベクター
【請求項19】
プロモーターエレメントが、化学的に阻害されたプロモーターである、請求項10に記載のウイルスベクター
【請求項20】
プロモーターエレメントが、ヒトL-オプシンプロモーターである、請求項10に記載のウイルスベクター
【請求項21】
プロモーターエレメントが、ヒトレチノスキシン近位プロモーター及びヒト光受容体間レチノイド結合タンパク質エンハンサーである、請求項10に記載のウイルスベクター
【請求項22】
プロモーターエレメントが、光受容体に特異的である、請求項10に記載のウイルスベクター
【請求項23】
導入遺伝子コンストラクトが、Ush2Aに翻訳するヌクレオチド配列である、請求項10に記載のウイルスベクター
【請求項24】
導入遺伝子コンストラクトが、ADGV1に翻訳するヌクレオチド配列である、請求項10に記載のウイルスベクター。
【請求項25】
導入遺伝子コンストラクトが、アイズシャット(eyes shut)ホモログに翻訳するヌクレオチド配列である、請求項10に記載のウイルスベクター
【請求項26】
導入遺伝子コンストラクトが、ヘミセンチンに翻訳するヌクレオチド配列である、請求項10に記載のウイルスベクター
【請求項27】
導入遺伝子コンストラクトが、バーシカンに翻訳するヌクレオチド配列である、請求項10に記載のウイルスベクター
【請求項28】
導入遺伝子コンストラクトが、(b)10kbより長い網膜遺伝子のDNAセグメントである、請求項5に記載のウイルスベクター
【請求項29】
DNAセグメントが、少なくともUsh2A遺伝子のセグメントである、請求項28に記載のウイルスベクター
【請求項30】
DNAセグメントが、少なくともADGVl遺伝子のセグメントである、請求項28に記載のウイルスベクター
【請求項31】
DNAセグメントが、少なくともアイズシャット(eyes shut)ホモログ遺伝子のセグメントである、請求項28に記載のウイルスベクター
【請求項32】
DNAセグメントが、少なくともヘミセンチン遺伝子のセグメントである、請求項28に記載のウイルスベクター
【請求項33】
DNAセグメントが、少なくともバーシカン遺伝子のセグメントである、請求項28に記載のウイルスベクター
【請求項34】
導入遺伝子コンストラクトが、(b)10kbより長い網膜遺伝子のDNAセグメントである、請求項6に記載のウイルスベクター
【国際調査報告】