(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】試料溶解試薬組成物ならびにその製造方法およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/48 20060101AFI20240220BHJP
G01N 33/569 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
G01N33/48 A
G01N33/569 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548597
(86)(22)【出願日】2022-01-14
(85)【翻訳文提出日】2023-09-21
(86)【国際出願番号】 US2022012514
(87)【国際公開番号】W WO2022173553
(87)【国際公開日】2022-08-18
(32)【優先日】2021-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】508147326
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】サイ・パティバンドラ
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナ・シンフ
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルディーン・アロード-ブラッシーズ
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045AA40
2G045BA20
2G045BB29
2G045CA25
2G045CB03
2G045CB07
2G045CB08
2G045CB11
2G045CB12
2G045CB14
2G045DA36
2G045FB03
(57)【要約】
(限定されないが)重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)などのウイルスを含む試料の取り扱いにおいて試料溶解試薬組成物を利用する方法が開示される。試料溶解試薬組成物を含むキットも開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体試料中に存在する少なくとも1つのウイルスを不活化する方法であって:
(i)試料溶解試薬組成物を生体試料に添加して混合物を形成する工程であって、試料溶解試薬組成物は、非イオン性オクチルフェノールエトキシレート界面活性剤および水を含み、界面活性剤は、約1wt%~約15wt%の範囲の初期濃度で試料溶解試薬組成物中に存在する、工程と;
(ii)混合物を、約5分~約20分の範囲の期間、少なくとも1つのウイルスを実質的に不活化するのに十分な温度でインキュベートする工程と
を含む、前記方法。
【請求項2】
非イオン性界面活性剤は、ポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
非イオン性界面活性剤は、2-[4-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェノキシ]エタノールを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
界面活性剤は、約5wt%~約10wt%の範囲の初期濃度で試料溶解試薬組成物中に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
界面活性剤は、約10wt%の初期濃度で試料溶解試薬組成物中に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
試料溶解試薬組成物は、生体試料1mL当たり約10μL~約100μLの範囲の濃度で生体試料に添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
試料溶解試薬組成物は、生体試料1mL当たり約50μLの濃度で生体試料に添加される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
界面活性剤は、約0.01wt%~約2wt%の範囲の最終濃度で混合物中に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
混合物は、約18℃~約25℃の範囲の温度でインキュベートされる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
混合物は、約10分間インキュベートされる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
生体試料は、鼻、鼻咽頭、前鼻、唾液、粘液、痰、脳脊髄液、腸液、腹腔内液、嚢胞液、全血またはその任意の部分、尿、汗、間質液、細胞外液、涙、膀胱洗浄液、精液、糞便、胸膜液、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
生体試料は、鼻、鼻咽頭、前鼻、唾液、粘液、痰、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
(iii)インキュベートした混合物を約-80℃~約8℃の範囲の温度で保存する工程:
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ウイルスはコロナウイルスである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
コロナウイルスは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ウイルスはインフルエンザウイルスである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
非イオン性オクチルフェノールエトキシレート界面活性剤および水を含み、界面活性剤は約1wt%~約15wt%の範囲で組成物中に存在する、少なくとも1つの試料溶解試薬組成物と;
ウイルス抗原アッセイを実行する際に使用するための少なくとも1つの試薬と
を含む、キット。
【請求項18】
非イオン性界面活性剤は、ポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテルを含む、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
界面活性剤は、2-[4-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェノキシ]エタノールを含む、請求項17に記載のキット。
【請求項20】
界面活性剤は、約5wt%~約10wt%の範囲の濃度で試料溶解試薬組成物中に存在する、請求項17に記載のキット。
【請求項21】
界面活性剤は、約10wt%の濃度で試料溶解試薬組成物中に存在する、請求項17に記載のキット。
【請求項22】
ウイルス抗原アッセイを実行する際に使用するための少なくとも1つの試薬は、ウイルス抗原に特異的に結合する抗体、ウイルス抗原を含むキャリブレーター、ウイルス抗原を含む品質管理溶液、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項17に記載のキット。
【請求項23】
ウイルス抗原はコロナウイルスに由来する、請求項17に記載のキット。
【請求項24】
コロナウイルスは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)である、請求項23に記載のキット。
【請求項25】
ウイルス抗原はインフルエンザウイルスに由来する、請求項17に記載のキット。
【請求項26】
少なくとも1つの試料採集チューブと関連する少なくとも1つの試料溶解試薬組成物を有する少なくとも1つの試料採集チューブであって、試料溶解試薬組成物は、非イオン性オクチルフェノールエトキシレート界面活性剤および水を含み、界面活性剤は約1wt%~約15wt%の範囲で存在する、前記少なくとも1つの試料採集チューブ
を含む、キット。
【請求項27】
非イオン性界面活性剤は、ポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテルを含む、請求項26に記載のキット。
【請求項28】
界面活性剤は、2-[4-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェノキシ]エタノールを含む、請求項26に記載のキット。
【請求項29】
界面活性剤は、約5wt%~約10wt%の範囲の濃度で試料溶解試薬組成物中に存在する、請求項26に記載のキット。
【請求項30】
界面活性剤は、約10wt%の濃度で試料溶解試薬組成物中に存在する、請求項26に記載のキット。
【請求項31】
試料採集チューブ内に存在する試料溶解試薬組成物の量は、試料採集チューブの体積1mL当たり約10μL~約100μLの範囲内である、請求項26に記載のキット。
【請求項32】
試料採集チューブ内に存在する試料溶解試薬組成物の量は、試料採集チューブの体積1mL当たり約50μLの濃度である、請求項26に記載のキット。
【請求項33】
非イオン性オクチルフェノールエトキシレート界面活性剤は凍結乾燥されている、請求項26に記載のキット。
【請求項34】
非イオン性オクチルフェノールエトキシレート界面活性剤は、試料採集チューブの側壁に付着している、請求項33に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照/参照による組み入れの記述
本出願は、2021年2月12日に出願された米国仮出願第63/200,083号の、米国特許法第119条(e)に基づく利益を主張する。上記の参照出願の全体の内容は参照によって本明細書に組み入れる。
【0002】
連邦政府の支援による研究または開発に関する記述
適用なし。
【背景技術】
【0003】
医療診断の分野は多くの異なる形態のアッセイ技術を利用する。患者が微生物(限定されないが、細菌またはウイルスなど)に感染している疑いがある場合、微生物由来の抗原または患者の免疫系によって産生される微生物に対する抗体を検出するために患者からの生体試料に対してアッセイが実施される。
【0004】
COVID-19(コロナウイルス疾患2019)は、SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)ウイルスによる感染によって生じる病気である。このウイルスは、主に唾液および呼吸器飛沫またはエアロゾルなどの感染した分泌物を介して人から人へと容易に広がる。証拠により、症候性および無症候性の個体の両方により広まることが裏付けられている。ウイルスの潜伏期間は曝露後2~14日の範囲であり、ほとんどの場合、曝露後約5日以内に症状が現れる。
【0005】
逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)などのSARS-CoV-2核酸増幅検査は、典型的に上気道検体を使用する、現在の感染症に対する診断検査のためのゴールドスタンダードとみなされる。RT-PCRはウイルスの遺伝物質を検出するが、抗原検査はウイルスタンパク質(例えば、ヌクレオカプシド)を検出する。SARS-CoV-2ヌクレオカプシド抗原を検出するイムノアッセイも、現在の感染症の診断のために使用されている。このウイルスの感染性の強さおよび伝染様式のために、さらなる、より複雑ではない検査の解決策の必要性が認識されている。SARS-CoV-2検査ストラテジーの一環としての抗原検査は、現在SARS-CoV-2に感染している症候性および無症候性の個体を特定するために使用される。
【0006】
SARS-CoV-2に対する抗原検査は、それらの使用により、リスクのある個体のより迅速なスクリーニングへのアクセスを拡大できるため、COVID-19パンデミックの間に特に望まれる。それらは、特にPCRがすぐに利用できない場合に、COVID-19の疑いがある大流行に対応する際に有用であり、それらは、感染制御措置の早期の実装を可能にする。SARS-CoV-2抗原検査はまた、閉鎖的または半閉鎖的な群での大流行の調査、および地域における疾患発生率の傾向を監視するのにも役立つ。市中感染が広がっている場合、抗原検査により、陽性症例の早期検出および隔離が可能になるだけでなく、効果的な感染制御および感染追跡も可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(限定されないが)COVID-19などの様々なウイルスおよびウイルス感染症に対する新規の改良されたアッセイが必要とされているのと同様に、それに対応して、新規の改良された試薬およびそれとともに利用される試料取り扱い方法も必要とされている。特に、ウイルスを不活化し、それによって試料を非感染性にし、より安全な試料取り扱い条件を提供するために試料取り扱いの間に利用される方法および試薬が必要とされている。本開示は、そのような試薬、それを含むキット、ならびにそれを製造および使用する方法を対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】rt-PCRおよびハイスループットアッセイを含む、検査室ベースのウイルス抗原アッセイフォーマットの2つの非限定的な例についてのウイルス抗原試料の流れを概略的に示す図である。VTM:ウイルス輸送用培地;UTM:普遍的輸送用培地。スループット ADVIA Centaur 240試験/時間;Atellica IM 440試験/時間。
【発明を実施するための形態】
【0009】
例示的な言語および結果によって本開示の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本開示は、その適用において以下の説明に記載される構成の詳細および構成要素の配列に限定されないことは理解されるべきである。本開示は、他の実施形態が可能であるか、または種々の手法で実践もしくは実行することができる。したがって、本明細書に使用される言語は、可能な限り最も広い範囲および意味を与えることを意図し;実施形態は包括的ではなく、例示的であることを意味する。また、本明細書に利用される表現および用語は、説明の目的のためであり、限定的とみなされるべきではないことは理解されるべきである。
【0010】
本明細書で別段に定義されない限り、本開示に関連して使用される科学的および技術的用語は、当業者によって一般的に理解されている意味を有するものとする。さらに、文脈によって別段に必要とされない限り、単数形の用語は複数を含むものとし、複数形の用語は単数を含むものとする。前述の技術および手順は、一般に、当該技術分野において周知であり、本明細書全体を通して引用され、論じられている種々の一般的およびより具体的な参考文献に記載されている従来の方法に従って実施される。本明細書に記載される分析化学、有機合成化学、ならびに医薬品化学および薬化学と関連して利用される命名法、ならびにそれらの実験手順および技術は、当該技術分野において周知であり、一般的に使用されているものである。標準的な技術が化学合成および化学分析のために使用される。
【0011】
本明細書において言及される全ての特許、公開された特許出願、および非特許刊行物は、本開示が関係する当業者の技術レベルを示す。本出願のいずれかの部分に参照されている全ての特許、公開された特許出願、および非特許刊行物は、各個々の特許または刊行物が参照によって組み入れることを具体的かつ個別に示している場合と同じ程度までそれらの全体を参照によって明示的に本明細書に組み入れる。
【0012】
本明細書に開示される組成物、キット、デバイス、および/または方法の全ては、本開示に照らして過度の実験をすることなく作製され、実行される。組成物、キット、デバイス、および/または方法は特定の実施形態に関して記載されているが、本開示の概念、趣旨および範囲から逸脱せずに、組成物、キット、デバイス、および/または方法に対して、ならびに本明細書に記載される方法の工程または一連の工程において変更を適用することができることは当業者には明らかであろう。当業者に明らかである全てのこのような同様の置換および修飾は、添付の特許請求の範囲によって規定される本開示の趣旨、範囲および概念内であるとみなされる。
【0013】
本開示に従って利用される場合、別段に示さない限り、以下の用語は以下の意味を有すると理解されるべきである:
【0014】
特許請求の範囲および/または明細書において「含む(comprising)」という用語と併せて使用される場合、「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語の使用は、「1つ(one)」を意味することがあるが、それはまた、「1つまたはそれ以上」、「少なくとも1つ」および「1つまたは1つより多い」の意味と一致する。したがって、「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その」という用語は、文脈が明確に別段を示さない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「化合物」に対する言及は、1つもしくはそれ以上の化合物、2つもしくはそれ以上の化合物、3つもしくはそれ以上の化合物、4つもしくはそれ以上の化合物、またはより多い数の化合物を指すことがある。「複数」という用語は、「2つまたはそれ以上」を指す。
【0015】
「少なくとも1つ」という用語の使用は、1つおよび限定されないが、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、100などを含む1つより多い任意の量を含むと理解されるだろう。「少なくとも1つ」という用語は、それが付されている用語に応じて、100または1000またはそれ以上にまで及ぶことがある;さらに、より高い限界値も満足のいく結果をもたらす可能性があるため、100/1000の量は限定的と考えられるべきではない。さらに、「X、Y、およびZのうちの少なくとも1つ」という用語の使用は、X単独、Y単独、およびZ単独、ならびにX、YおよびZの任意の組合せを含むと理解されるだろう。序数の用語(すなわち、「第1」、「第2」、「第3」、「第4」など)の使用は、2つまたはそれ以上の項目を区別する目的のためのみであり、例えば、任意の順列もしくは順序または1つの項目の別の項目に対する重要性あるいは添加の任意の順序を意味することを意図するものではない。
【0016】
特許請求の範囲における「または」という用語の使用は、選択肢のみを指すように明示的に示されない限りまたは選択肢が相互に排他的でない限り、包括的な「および/または」を意味するために使用される。例えば、条件「AまたはB」は、以下のいずれかによって満たされる:Aは真であり(または存在する)、かつBは偽である(または存在しない)、Aは偽であり(または存在しない)、かつBは真である(または存在する)、およびAとBは両方とも真である(または存在する)。
【0017】
本明細書で使用される場合、「1つの実施形態」、「ある実施形態」、「いくつかの実施形態」、「1つの例」、「例えば」または「ある例」に対するいずれかの言及は、実施形態に関連して記載される特定の要素、機能、構造または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。例えば、明細書の種々の場所における「いくつかの実施形態において」または「1つの例」という語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を参照しているわけではない。さらに、1つまたはそれ以上の実施形態または例に対する言及は、全て、特許請求の範囲を限定するものではないと解釈されるべきである。
【0018】
本出願全体を通して、「約」という用語は、値が組成物/装置/デバイスについての誤差の固有の変動、値を決定するために用いられる方法、または研究対象の間に存在する変動を含むことを示すために使用される。例えば、限定する目的ではないが、「約」という用語が利用される場合、指定された値は、特定された値から、プラスマイナス20パーセント、または15パーセント、または12パーセント、または11パーセント、または10パーセント、または9パーセント、または8パーセント、または7パーセント、または6パーセント、または5パーセント、または4パーセント、または3パーセント、または2パーセント、または1パーセントだけ変化することがあり、このような変動は、開示された方法を実施するのに適切であり、当業者によって理解されている通りである。
【0019】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、「含む(comprising)」(ならびに「含む(comprise)」および「含む(comprises)」のような含む(comprising)の任意の形)、「有する(having)」(ならびに「有する(have)」および「有する(has)」のような有する(having)の任意の形)、「含む(including)」(ならびに「含む(includes)」および「含む(include)」のような含む(including)の任意の形)、または「含有する(containing)」(ならびに「含有する(contains)」および「含有する(contain)」のような含有する(containing)の任意の形)という単語は、包括的であるかまたは無制限であり、追加の、記載されていない要素または方法工程を排除しない。
【0020】
本明細書で使用される場合、「またはそれらの組合せ」という用語は、この用語に先立って列挙された項目の全ての順列および組合せを指す。例えば、「A、B、Cまたはそれらの組合せ」は:A、B、C、AB、AC、BCまたはABCの少なくとも1つを含むことを意図し、特定の文脈において順序が重要である場合、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BACまたはCABも、含むことを意図する。この例に引き続いて、BB、AAA、AAB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABBなどのような、1つまたはそれ以上の項目または用語の繰り返しを含有する組合せも明示的に含まれる。当業者は、文脈からそうでないことが明らかでない限り、典型的には、いかなる組合せにおいても項目または用語の数に制限がないことを理解するであろう。
【0021】
本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、それに引き続いて記載される事象もしくは状況が完全に起きるか、またはそれに引き続いて記載される事象もしくは状況が大いにもしくはかなりの程度起きることを意味する。例えば、特定の事象または状況と関連する場合、「実質的に」という用語は、それに引き続いて記載される事象または状況が時間の少なくとも80%、または時間の少なくとも85%、または時間の少なくとも90%、または時間の少なくとも95%に起きることを意味する。「実質的に隣接している」という用語は、2つの項目が互いに100%隣接していること、または2つの項目が互いに近接している範囲内であるが、互いに100%隣接していないこと、または2つの項目のうちの1つの一部が他の項目に100%隣接していないが、他の項目に近接している範囲内であることを意味することがある。
【0022】
本明細書で使用される場合、「会合する」および「連結する」という語句は、2つの部分の互いに直接的な会合/結合および2つの部分の互いに間接的な会合/結合の両方を含む。会合/連結の非限定的な例には、例えば、直接結合によるもしくはスペーサー基を介した1つの部分の別の部分への共有結合、直接的なもしくは両部分に結合している特異的結合対メンバーによる1つの部分の別の部分への非共有結合、1つの部分の別の部分への溶解もしくは合成によるような1つの部分の別の部分への組み込み、および1つの部分の別の部分への被覆が含まれる。
【0023】
本明細書で使用される場合、「試料」という用語は、本開示に従って利用することができる任意の種類の生体試料を含むと理解されるだろう。利用することができる流体生体試料の例には、限定されないが、鼻、鼻咽頭、前鼻、唾液、粘液、痰、脳脊髄液(CSF)、皮膚、腸液、腹腔内液、嚢胞液、全血またはそのいずれかの部分(すなわち、血漿または血清)、尿、汗、間質液、細胞外液、涙、膀胱洗浄液、精液、糞便、胸膜液、それらの組合せなどが含まれる。
【0024】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、生体試料中のウイルス抗原を検出するためのアッセイを実施する前に、生体試料中の1つまたはそれ以上のウイルスを不活化するのに有効なウイルス試料溶解試薬組成物を対象とする。試薬組成物は、非イオン性オクチルフェノールエトキシレート界面活性剤および水を含む。試薬組成物は、場合により、(限定されないが)抗菌剤(限定されないが、アジ化物など)、保存剤、または溶解試薬中に一般的に見出される他の薬剤などの他の成分を含んでもよい。あるいは、試料溶解試薬組成物は、界面活性剤および水のみを含んでもよい。
【0025】
生体試料中で不活化されるウイルスは、アッセイされるウイルスおよび/または試料中に存在する任意の他のウイルスであり得る。例えば(限定する目的ではないが)、ウイルスは、(限定されないが)SARS-CoV-2ウイルスなどのコロナウイルス;インフルエンザウイルス;呼吸器合胞体ウイルス(RSV);肝炎ウイルス;ヒトパピローマウイルス(HPV);水痘帯状疱疹ウイルス;単純ヘルペスウイルス;エプスタイン・バーウイルス;サイトメガロウイルス(CMV);ロタウイルス;ヒト免疫不全ウイルス(HIV);モルビリウイルス(麻疹ウイルス);パラミクソウイルス(ムンプスウイルス);エボラウイルス;ポリオウイルス;ノロウイルス;BKウイルス;ウエストナイルウイルス;ジカウイルス;デング熱ウイルス;ピコルナウイルス;エンテロウイルス;パラインフルエンザウイルス;ルビウイルス;および同様のもの;ならびにそれらの任意の組合せであってもよい。
【0026】
当該技術分野において公知であるか、またはそうでなければ本明細書で企図される任意の非イオン性オクチルフェノールエトキシレート界面活性剤を、本開示に従って利用することができる。利用することができるオクチルフェノールエトキシレート界面活性剤の非限定的な例には、ポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテル、特に、2-[4-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェノキシ]エタノールが含まれる。
【0027】
非イオン性界面活性剤は、試薬組成物が本開示に従って機能する(すなわち、ウイルスを不活化し、抗原アッセイを妨げない)ことを可能にする任意の初期濃度で試料溶解試薬組成物中に存在し得る。ある特定の非限定的な実施形態では、界面活性剤は、約0.01wt%、約0.02wt%、約0.03wt%、約0.04wt%、約0.05wt%、約0.06wt%、約0.07wt%、約0.08wt%、約0.09wt%、約0.1wt%、約0.2wt%、約0.3wt%、約0.4wt%、約0.5wt%、約0.6wt%、約0.7wt%、約0.8wt%、約0.9wt%、約1.0wt%、約1.1wt%、約1.2wt%、約1.3wt%、約1.4wt%、約1.5wt%、約1.6wt%、約1.7wt%、約1.8wt%、約1.9wt%、約2wt%、約3wt%、約4wt%、約5wt%、約6wt%、約7wt%、約8wt%、約9wt%、約10wt%、約11wt%、約12wt%、約13wt%、約14wt%、約15wt%、約16wt%、約17wt%、約18wt%、約19wt%、約20wt%、もしくはそれ以上、または上記の値のうちの2つから形成される範囲(すなわち、約0.1wt%~約20wt%の範囲、約0.5wt%~約15wt%の範囲、約1wt%~約10wt%の範囲など)、または上記の値のうちの2つの範囲内の任意の値(すなわち、約2.7wt%)から独立して選択される濃度で試薬組成物中に存在する。
【0028】
特定の(しかし非限定的な)実施形態では、非イオン性界面活性剤は、約1wt%~約15wt%の範囲の初期濃度で試料溶解試薬組成物中に存在する。特定の(しかし非限定的な)実施形態では、非イオン性界面活性剤は、約5wt%~約10wt%の範囲の初期濃度で試料溶解試薬組成物中に存在する。別の特定の(しかし非限定的な)実施形態では、非イオン性界面活性剤は、約10wt%の初期濃度で試料溶解試薬組成物中に存在する。
【0029】
脱イオン水は、試薬組成物が本開示に従って機能することを可能にする任意の濃度で試料溶解試薬組成物中に存在し得る。例えば(限定する目的ではないが)、脱イオン水は、約50wt%、約55wt%、約60wt%、約65wt%、約70wt%、約75wt%、約80wt%、約81wt%、約82wt%、約83wt%、約84wt%、約85wt%、約86wt%、約87wt%、約88wt%、約89wt%、約90wt%、約91wt%、約92wt%、約93wt%、約94wt%、約95wt%、約96wt%、約97wt%、約98wt%、約99wt%、もしくはそれ以上、または上記の値のうちの2つから形成される範囲(すなわち、約85wt%~約99wt%の範囲、約90wt%~約95wt%の範囲など)、または上記の値のうちの2つの範囲内の任意の値から選択される濃度で存在し得る。
【0030】
同様に、試薬組成物中に存在する任意の追加の成分(すなわち、1つまたはそれ以上の抗菌剤、保存剤、増量剤など)は各々、それらから形成される試薬組成物が、本開示に従って機能することを可能にする任意の濃度で存在し得る。例えば(限定する目的ではないが)、各々の追加の成分は、約0.001wt%、約0.002wt%、約0.003wt%、約0.004wt%、約0.005wt%、約0.006wt%、約0.007wt%、約0.008wt%、約0.009wt%、約0.01wt%、約0.02wt%、約0.03wt%、約0.04wt%、約0.05wt%、約0.06wt%、約0.07wt%、約0.08wt%、約0.09wt%、約0.1wt%、約0.2wt%、約0.3wt%、約0.4wt%、約0.5wt%、約0.6wt%、約0.7wt%、約0.8wt%、約0.9wt%、約1.0wt%、約1.1wt%、約1.2wt%、約1.3wt%、約1.4wt%、約1.5wt%、約1.6wt%、約1.7wt%、約1.8wt%、約1.9wt%、約2wt%、約3wt%、約4wt%、約5wt%、約6wt%、約7wt%、約8wt%、約9wt%、約10wt%、約15wt%、約20wt%、約25wt%、もしくはそれ以上、または上記の値のうちの2つから形成される範囲(すなわち、約0.001wt%~約10wt%の範囲、約0.1wt%~約5wt%の範囲、約2wt%~約60wt%の範囲など)、または上記の値のうちの2つの範囲内の任意の値から独立して選択される濃度で存在し得る。
【0031】
本開示の試料溶解試薬組成物は、所望の期間、所望の温度で実質的に安定である。例えば(限定する目的ではないが)、試料溶解試薬組成物は、少なくとも約7日、少なくとも約14日、少なくとも約28日、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約13ヶ月、少なくとも約14ヶ月、少なくとも約15ヶ月、少なくとも約16ヶ月、少なくとも約17ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、またはそれ以上の間、実質的に安定であり得る。また、試料溶解試薬組成物は、室温(すなわち、約18℃~約25℃の範囲)で保存することができるか、または冷蔵もしくは冷凍条件下で保存することができる。保存剤が試料溶解試薬組成物中に存在する場合、利用される保存剤は、特定の保存条件および所望の保存期間に基づいて選択される。
【0032】
本開示の試料溶解試薬組成物は、試薬組成物が本開示に従って機能することを可能にする任意の形態で提供される。例えば、限定する目的ではないが、試薬組成物は液体の形態で提供される。あるいは、試薬組成物は、フリーズドライまたは凍結乾燥され、乾燥試薬の形態で提供されてもよい。
【0033】
ウイルス抗原アッセイは、患者(限定されないが、ヒトまたは家畜など)に感染して疾患状態を引き起こす可能性があり、それに関して特定の抗原が知られている任意の種類のウイルスを検出することができる。本開示によるウイルス抗原アッセイによって検出されるウイルスの例には、限定されないが、(限定されないが)SARS-CoV-2ウイルスなどのコロナウイルス;インフルエンザウイルス;呼吸器合胞体ウイルス(RSV);肝炎ウイルス;ヒトパピローマウイルス(HPV);水痘帯状疱疹ウイルス;単純ヘルペスウイルス;エプスタイン・バーウイルス;サイトメガロウイルス(CMV);ロタウイルス;ヒト免疫不全ウイルス(HIV);モルビリウイルス(麻疹ウイルス);パラミクソウイルス(ムンプスウイルス);エボラウイルス;ポリオウイルス;ノロウイルス;BKウイルス;ウエストナイルウイルス;ジカウイルス;デング熱ウイルス;ピコルナウイルス;エンテロウイルス;パラインフルエンザウイルス;ルビウイルス;および同様のもの;ならびにそれらの任意の組合せが含まれる。
【0034】
本開示によるウイルス抗原アッセイによって検出されるウイルスの特定の(しかし非限定な)例には、コロナウイルス(限定されないが、SARS-CoV-2ウイルスなど)およびインフルエンザウイルスが含まれる。
【0035】
本開示の試料溶解試薬組成物が利用されるSARS-CoV-2抗原アッセイは、任意の既知のウイルスの抗原を検出することができる。検出される抗原の非限定的な例には、ヌクレオカプシド(N)タンパク質の少なくとも一部、スパイク(S)タンパク質の少なくとも一部、マトリックス(M)タンパク質の少なくとも一部、エンベロープ(E)タンパク質の少なくとも一部、ssRNAの少なくとも一部、それらの組合せなどが含まれる。
【0036】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、本明細書に記載されるか、またはそうでなければ企図される試料溶解試薬組成物のいずれかの1つまたはそれ以上を含むキットを対象とする。
【0037】
キットは、本開示による試料の取り扱いおよび/またはアッセイで使用するための1つまたはそれ以上の他の試薬/成分を含んでもよい。例えば(限定する目的ではないが)、キットは、ウイルス抗原アッセイ(限定されないが、SARS-CoV-2もしくは他のコロナウイルス抗原アッセイ、またはインフルエンザ抗原アッセイなど)を実施する際に使用するための少なくとも1つの試薬組成物をさらに含んでもよい。例えば、限定する目的ではないが、キットは、抗原に特異的に結合する少なくとも1つの試薬(限定されないが、ウイルス抗原に特異的に結合する抗体など(すなわち、抗SARS-CoV-2抗体または抗インフルエンザ抗体など))、利用される特定のアッセイフォーマットで利用される少なくとも1つの試薬、および/または少なくとも1つのウイルス抗原含有試薬、ならびにそれらの種々の組合せをさらに含んでもよい。試薬がウイルス抗原を含む場合、ウイルス抗原は、アッセイされるウイルス抗原と同じであってもよいか、または異なっていてもよい。本開示の範囲内に含まれるウイルス抗原含有試薬の非限定的な例には、ウイルス抗原を含むキャリブレーター、ウイルス抗原を含む品質管理溶液などが含まれる。
【0038】
本開示の範囲内に含まれるコロナウイルス抗原含有試薬の非限定的な例には、コロナウイルス抗原を含むキャリブレーター、コロナウイルス抗原を含む品質管理溶液などが含まれる。本開示の範囲内に含まれるSARS-CoV-2抗原含有試薬の非限定的な例には、SARS-CoV-2抗原を含むキャリブレーター、SARS-CoV-2抗原を含む品質管理溶液などが含まれる。本開示の範囲内に含まれるインフルエンザ抗原含有試薬の非限定的な例には、インフルエンザ抗原を含むキャリブレーター、インフルエンザ抗原を含む品質管理溶液などが含まれる。
【0039】
あるいは、および/またはそれに加えて、キットは、1つまたはそれ以上の試料採集チューブを含んでもよい。
【0040】
特定の(しかし非限定的な)実施形態では、キットは、本明細書に記載されるか、試料採集チューブと関連して企図される試料溶解試薬組成物のいずれかを有する1つまたはそれ以上の試料採集チューブを含んでもよい。
【0041】
本明細書に記載されるキットのいずれかに存在する試料溶解試薬組成物は、それらが本開示に従って機能することを可能にする任意の形態で提供される。例えば、限定する目的ではないが、試薬の各々は液体の形態で提供され、キット内にバルクおよび/または単一のアリコートの形態で配置される。あるいは、特定の(しかし非限定的な)実施形態では、試薬の1つまたはそれ以上は、単一のアリコートの凍結乾燥試薬の形態でキット内に配置される。キットおよびマイクロ流体デバイスにおける乾燥試薬の使用は米国特許第9,244,085号(Samproni)に詳細に記載されており、それらの全体の内容は参照によって明示的に本明細書に組み入れる。試薬の1つまたはそれ以上が凍結乾燥されている場合、キットは、試薬を再構成するための賦形剤をさらに含んでもよく;あるいは試料自体が凍結乾燥試薬と混合されたときに賦形剤として機能してもよい。
【0042】
キットが、試料溶解試薬組成物が配置される試料採集チューブを含む場合、および試料溶解試薬が液体の形態である場合、試料溶解試薬組成物が本開示に従って機能することを可能にする任意の体積で試料溶解試薬組成物は試料採集チューブ内に配置される。本開示に従って利用される試料採集チューブの体積1mL当たりの体積の非限定的な例には、約1μL、約2μL、約3μL、約4μL、約5μL、約6μL、約7μL、約8μL、約9μL、約10μL、約11μL、約12μL、約13μL、約14μL、約15μL、約16μL、約17μL、約18μL、約19μL、約20μL、約21μL、約22μL、約23μL、約24μL、約25μL、約26μL、約27μL、約28μL、約29μL、約30μL、約31μL、約32μL、約33μL、約34μL、約35μL、約36μL、約37μL、約38μL、約39μL、約40μL、約41μL、約42μL、約43μL、約44μL、約45μL、約46μL、約47μL、約48μL、約49μL、約50μL、約51μL、約52μL、約53μL、約54μL、約55μL、約56μL、約57μL、約58μL、約59μL、約60μL、約61μL、約62μL、約63μL、約64μL、約65μL、約66μL、約67μL、約68μL、約69μL、約70μL、約71μL、約72μL、約73μL、約74μL、約75μL、約76μL、約77μL、約78μL、約79μL、約80μL、約81μL、約82μL、約83μL、約84μL、約85μL、約86μL、約87μL、約88μL、約89μL、約90μL、約91μL、約92μL、約93μL、約94μL、約95μL、約96μL、約97μL、約98μL、約99μL、約100μL、約101μL、約102μL、約103μL、約104μL、約105μL、約106μL、約107μL、約108μL、約109μL、約110μL、約115μL、約120μL、約125μL、約130μL、約135μL、約140μL、約145μL、約150μL、もしくはそれ以上、または上記の値のうちの2つから形成される範囲(すなわち、約1μL~約150μLの範囲、約10μL~約100μLの範囲など)、または上記の値のうちの2つの範囲内の任意の値が含まれる。
【0043】
特定の(しかし非限定的な)実施形態では、試料溶解試薬組成物は、試料採集チューブの体積1mL当たり約10μL~約100μLの範囲の量で試料採集チューブ内に配置される。特定の(しかし非限定的な)実施形態では、試料溶解試薬組成物は、試料採集チューブの体積1mL当たり約50μLの量で試料採集チューブ内に配置される。
【0044】
あるいは、キットが、試料溶解試薬組成物が配置される試料採集チューブを含む場合、試料溶解試薬組成物は、フリーズドライまたは凍結乾燥形態で試料採集チューブ内に配置される。このように、試料は凍結乾燥試薬を溶解するための賦形剤として作用する;あるいはキットは、試料採集チューブに試料を添加する前に試料溶解試薬組成物を再構成するために試料採集チューブ内に配置される別個の賦形剤を含んでもよい。さらに、ある特定の(しかし非限定的な)実施形態では、凍結乾燥形態で試料溶解試薬組成物を使用すると、凍結乾燥試薬を試料採集チューブの側壁に付着させることができる。
【0045】
本明細書上記で詳細に記載されるアッセイ成分/試薬に加えて、本明細書に記載されるか、またはそうでなければ企図されるキットのいずれかは、本明細書に記載されるか、またはそうでなければ企図される特定のアッセイのいずれかを行うための他の試薬をさらに含んでもよい。これらの追加の試薬の性質は特定のアッセイフォーマットに依存し、その同定は十分に当業者の技術の範囲内である;したがって、そのさらなる説明は必要ではないと考えられる。また、キットに存在する成分/試薬の各々は、別個の容器/区画内にあってもよいか、または種々の組成物/試薬は、成分/試薬の交差反応性および安定性に応じて、1つもしくはそれ以上の容器/区画内に合わせられる。さらに、キットは、成分/試薬が配置されているマイクロ流体デバイスを含んでもよい。
【0046】
キット内の種々の成分/試薬の相対量は、アッセイ方法の間に発生することを必要とする反応を十分に最適化し、さらに、アッセイの感度を十分に最適化する濃度の成分/試薬を提供するために広範に変更することができる。適切な状況下で、キット内の成分/試薬の1つまたはそれ以上は凍結乾燥粉末のような乾燥粉末として提供することができ、キットは乾燥試薬を溶解するための賦形剤をさらに含んでもよい;このように、本開示に従って方法またはアッセイを実施するための適切な濃度を有する試薬溶液はこれらの成分から得ることができる。キットに含まれる他の試薬の非限定的な例には、洗浄液、希釈液、賦形剤、干渉液、陽性対照、陰性対照などが含まれる。さらに、キットは、キットの使用方法を説明している書面の説明書のセットをさらに含んでもよい。この性質のキットは、本明細書に記載されるか、またはそうでなければ企図される方法のいずれかにおいて使用することができる。
【0047】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、本明細書に記載されるか、またはそうでなければ企図される、SARS-CoV-2抗原アッセイのための試料溶解試薬組成物のいずれかを製造する方法を対象とする。この方法では、所望の界面活性剤濃度(本明細書上記に詳細に記載される通り)が達成されるまで、水が所望の量の非イオン性界面活性剤に添加される。次いで溶液は十分に混合され、所望の温度で所望の期間(本明細書に記載される通り)、保存される。
【0048】
さらに、試料溶解試薬組成物のいずれかを製造する方法は、本明細書に記載される試薬組成物を形成するために1つまたはそれ以上の追加の工程を含んでもよい。
【0049】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、生体試料中に存在する少なくとも1つのウイルスを不活化する方法を対象とする。この方法では、本明細書に記載されるか、またはそうでなければ企図される試料溶解試薬組成物のいずれかが、混合物を形成するために生体試料に添加され、その混合物は、所望の期間、および少なくとも1つのウイルスを実質的に不活化するのに十分な温度でインキュベートされる。
【0050】
1つまたはそれ以上のウイルスによる感染の証拠を潜在的に含む任意の生体試料が、本開示に従って利用される。例えば、限定する目的ではないが、生体試料は、鼻、鼻咽頭、前鼻、唾液、粘液、痰、脳脊髄液、腸液、腹腔内液、嚢胞液、全血またはその任意の部分、尿、汗、間質液、細胞外液、涙、膀胱洗浄液、精液、糞便、胸膜液、およびそれらの組合せであり得る。
【0051】
特定の(しかし非限定的な)実施形態では、生体試料は、鼻、鼻咽頭、前鼻、唾液、粘液、痰、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0052】
試料溶解試薬組成物は、本明細書に記載されるか、またはそうでなければ企図されるウイルスのいずれかを不活化するために利用される。特定の(しかし非限定的な)実施形態では、不活化される1つまたはそれ以上のウイルスには、(限定されないが)SARS-CoV-2ウイルスなどのコロナウイルス;インフルエンザウイルス;呼吸器合胞体ウイルス(RSV);肝炎ウイルス;ヒトパピローマウイルス(HPV);水痘帯状疱疹ウイルス;単純ヘルペスウイルス;エプスタイン・バーウイルス;サイトメガロウイルス(CMV);ロタウイルス;ヒト免疫不全ウイルス(HIV);モルビリウイルス(麻疹ウイルス);パラミクソウイルス(ムンプスウイルス);エボラウイルス;ポリオウイルス;ノロウイルス;BKウイルス;ウエストナイルウイルス;ジカウイルス;デング熱ウイルス;ピコルナウイルス;エンテロウイルス;パラインフルエンザウイルス;ルビウイルス;および同様のもの;ならびにそれらの任意の組合せが含まれる。
【0053】
試料溶解試薬組成物が本開示に従って機能することを可能にする任意の体積(したがって、本明細書上記に詳細に記載される試料溶解試薬組成物の初期濃度に基づく任意の最終濃度)で試料溶解試薬組成物は生体試料に添加される。本開示に従って利用される生体試料の体積1mL当たりの体積の非限定的な例には、約1μL、約2μL、約3μL、約4μL、約5μL、約6μL、約7μL、約8μL、約9μL、約10μL、約11μL、約12μL、約13μL、約14μL、約15μL、約16μL、約17μL、約18μL、約19μL、約20μL、約21μL、約22μL、約23μL、約24μL、約25μL、約26μL、約27μL、約28μL、約29μL、約30μL、約31μL、約32μL、約33μL、約34μL、約35μL、約36μL、約37μL、約38μL、約39μL、約40μL、約41μL、約42μL、約43μL、約44μL、約45μL、約46μL、約47μL、約48μL、約49μL、約50μL、約51μL、約52μL、約53μL、約54μL、約55μL、約56μL、約57μL、約58μL、約59μL、約60μL、約61μL、約62μL、約63μL、約64μL、約65μL、約66μL、約67μL、約68μL、約69μL、約70μL、約71μL、約72μL、約73μL、約74μL、約75μL、約76μL、約77μL、約78μL、約79μL、約80μL、約81μL、約82μL、約83μL、約84μL、約85μL、約86μL、約87μL、約88μL、約89μL、約90μL、約91μL、約92μL、約93μL、約94μL、約95μL、約96μL、約97μL、約98μL、約99μL、約100μL、約101μL、約102μL、約103μL、約104μL、約105μL、約106μL、約107μL、約108μL、約109μL、約110μL、約115μL、約120μL、約125μL、約130μL、約135μL、約140μL、約145μL、約150μL、もしくはそれ以上、または上記の値のうちの2つから形成される範囲(すなわち、約1μL~約150μLの範囲、約10μL~約100μLの範囲など)、または上記の値のうちの2つの範囲内の任意の値が含まれる。
【0054】
特定の(しかし非限定的な)実施形態では、試料溶解試薬組成物は、存在する生体試料1mL当たり約10μL~約100μLの範囲の量で生体試料に添加される。特定の(しかし非限定的な)実施形態では、試料溶解試薬組成物は、生体試料1mL当たり約50μLの量で生体試料に添加される。
【0055】
試料溶解試薬組成物は、試料溶解試薬組成物が本開示に従って機能する(すなわち、ウイルスを不活化し、抗原アッセイを妨げない)ことを可能にする任意の最終濃度で試料溶解試薬組成物/生体試料混合物中に存在し得る。ある特定の非限定的な実施形態では、界面活性剤は、約0.01wt%、約0.02wt%、約0.03wt%、約0.04wt%、約0.05wt%、約0.06wt%、約0.07wt%、約0.08wt%、約0.09wt%、約0.1wt%、約0.2wt%、約0.3wt%、約0.4wt%、約0.5wt%、約0.6wt%、約0.7wt%、約0.8wt%、約0.9wt%、約1.0wt%、約1.1wt%、約1.2wt%、約1.3wt%、約1.4wt%、約1.5wt%、約1.6wt%、約1.7wt%、約1.8wt%、約1.9wt%、約2wt%、約3wt%、約4wt%、約5wt%、もしくはそれ以上、または上記の値のうちの2つから形成される範囲(すなわち、約0.01wt%~約2wt%の範囲、約0.01wt%~約1wt%の範囲、約0.05wt%~約1wt%の範囲など)、または上記の値のうちの2つの範囲内の任意の値から独立して選択される濃度で試薬組成物中に存在する。
【0056】
本明細書で上述したように、混合物は、任意の所望の期間、およびウイルスを実質的に不活化するのに十分な任意の温度でインキュベートされる。例えば(限定する目的ではないが)、混合物は、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、またはそれ以上、および上記の値のうちの2つから形成される任意の範囲の温度でインキュベートされる。特定の(しかし非限定的な)実施形態では、混合物は室温(すなわち、約18℃~約25℃の範囲の温度)でインキュベートされる。
【0057】
また、例えば(限定する目的ではないが)、混合物は、少なくとも約1分、少なくとも約2分、少なくとも約3分、少なくとも約4分、少なくとも約5分、少なくとも約6分、少なくとも約7分、少なくとも約8分、少なくとも約9分、少なくとも約10分、少なくとも約11分、少なくとも約12分、少なくとも約13分、少なくとも約14分、少なくとも約15分、少なくとも約16分、少なくとも約17分、少なくとも約18分、少なくとも約19分、少なくとも約20分、少なくとも約21分、少なくとも約22分、少なくとも約23分、少なくとも約24分、少なくとも約25分、少なくとも約26分、少なくとも約27分、少なくとも約28分、少なくとも約29分、少なくとも約30分、少なくとも約45分、少なくとも約60分、少なくとも約90分、少なくとも約120分、またはそれ以上、および上記の値のうちの2つから形成される任意の範囲(すなわち、約5分~約20分の範囲など)の間、インキュベートされる。特定の(しかし非限定的な)実施形態では、混合物は約10分の間、インキュベートされる。
【0058】
本開示の方法の工程の1つまたはそれ以上は、生体試料中の1つまたはそれ以上のウイルス抗原を検出するための1つまたはそれ以上のアッセイ工程と同時に、または全体的もしくは部分的に連続して実施される。
【0059】
さらに、不活化ウイルスを含む混合物は、生体試料中に存在する抗原が検出される限り、任意の所望の期間および任意の温度で保存される。利用できる保存条件の特定の(しかし非限定的な)例には、室温で最大約4時間、2~8℃で最大約3日、および-20℃以下で保存する場合、それ以上が含まれる。
【実施例】
【0060】
実施例を本明細書以下に提供する。しかしながら、本開示は、その適用において、本明細書に開示される特定の実験、結果、および実験手順に限定されないことは理解されるべきである。むしろ、実施例は種々の実施形態の1つとして単に提供され、包括的ではなく、例示的であることを単に意図する。
【実施例1】
【0061】
この実施例は、本開示に従って構成された試料溶解試薬組成物の調製を説明する。
【0062】
必要量のTriton X-100(2-[4-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェノキシ]エタノール)を容器に入れ、次いで約10wt%のTriton X-100濃度が得られるまで脱イオン水を加えた。次いで溶液を混合して、Triton X-100がその中に適切に分散されることを確実にした。例えば(限定する目的ではないが)、Triton X-100および脱イオン水溶液を、30~45に設定したローラーミキサーまたは70~90RPMに設定した3D Orbital Mixerで120~240分間混合して、適切な混合を確実にした。
【0063】
次いで溶液のpHを室温(すなわち、約18℃~約25℃の範囲)で測定して、pHが約4.0~約6.0の範囲であることを確認した。場合により、溶液をまた、所望の場合、0.2μmのフィルターを通して濾過した。
【0064】
次いで得られた試料溶解試薬組成物を室温または約2℃~約8℃の範囲で保存した。
【実施例2】
【0065】
この実施例は、SARS-CoV-2培養液の試料溶解試薬組成物処理のための感染力の判定を開示する。この研究を実施して、Triton X-100(2-[4-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェノキシ]エタノール)が、抗原ベースの検出アッセイにおいて検出されるウイルスタンパク質の能力を破壊することなく、SARS-CoV-2を不活化する能力の程度を判定した。
【0066】
材料および方法:
約0.5wt%のTriton X-100濃度を用いたこと以外は実施例1と同様に製造した試料溶解試薬組成物を利用して、SARS-CoV-2(分離株:USAWA1/2020)を不活化する有効性を試験した。より低い初期Triton X-100濃度を利用して、試料溶解試薬組成物に曝露されたときに試験される細胞が無傷のままであることを確実にした;しかしながら、無傷の細胞を保持することはSARS-CoV-2抗原アッセイの要件ではないため、本開示の方法に従って利用される試料溶解試薬組成物では、より高い初期界面活性剤濃度を利用することができる。
【0067】
SARS-CoV-2に感染したVeroE6細胞培養液(ZeptoMetrix、Buffalo、NY Part#0610587CF Lot#544347)を増殖させ、実験手順のために凍結(-65℃またはそれ以下)した。培養液を解凍し、2×106TCID50/mLに希釈し、1:10希釈で溶解緩衝剤と合わせた。感染性プレートを設定する前に、溶解緩衝剤およびウイルスは、1、2、5、および10分の接触時間を有した。対照として、緩衝剤を、1:10希釈で10分の接触時間、未感染のVeroE6細胞培養液と合わせて、細胞毒性が感染性試験の判定に影響を与えるかどうかを観察した。全ての試料を4連で試験し、細胞変性効果(CPE)の顕微鏡での可視化によって7日間観察した。
【0068】
0日目に、SARS-CoV-2を2×106TCID50/mLに希釈し、1:10希釈で0.5%Triton X-100と合わせた。混合物を室温で1、2、5、および10分間インキュベートした。インキュベーション後、混合物を96ウェルプレートに移した。細胞のみを含む対照ウェルには、溶解緩衝剤を添加しなかった。陰性対照として、0.5%Tritonを、1:10希釈で10分間、2%MEM培地と混合した。インキュベーション後、細胞/試薬混合物を96ウェルプレートに移した。細胞のみを含む対照ウェルには、溶解試薬を添加しなかった。陽性対照として、VeroE6細胞培養液を使用してTCID50アッセイを実施した。全ての培養物を37℃で7日間インキュベートした。全ての条件を設定した後、VeroE6細胞をウェルに添加した。96ウェルプレート内の全ての状態を感染後3日および7日(dpi)に観察し、プレートマップに記録した。細胞変性効果(CPE)を表1に示すようにスコア付けした。
【0069】
【0070】
結果:
感染性SARS-CoV-2ウイルス陽性対照は、TCID50アッセイにおいて目に見えるCPEを示し、ウェル1~7において感染後7日までに完全に破壊された。これは、任意の溶解試薬の不在下でもVeroE6細胞のウイルス感染が適切に起こったことを示す。陽性対照は、1.05×106TCID50/mLの値の力価を有した。VeroE6細胞のみからなる各陰性対照は、アッセイの過程にわたって、各プレートにおいて健康なままであった。
【0071】
非感染VeroE6細胞も、細胞毒性についての対照として、1:10希釈で0.5%Tritonに曝露した。1:10の比で0.5%Tritonで処理したVeroE6細胞は、処理後3日および7日後に細胞毒性の兆候を示さなかったため、この比はSARS-CoV-2を処理するのに効果的であり、全体的な細胞の健康を妨げなかった。
【0072】
SARS-CoV-2感染は、VeroE6細胞単層の完全または部分的破壊を引き起こす可能性がある。感染すると、細胞の多くは急速に縮小し、高密度になり、単層から剥離する。この現象は、SARS-CoV-2に感染したVeroE6細胞において観察された。1:10の比で1、2、および5分間、0.5%Tritonで処理したSARS-CoV-2は、アッセイの過程の間、細胞変性効果を示した。1分間インキュベートしたSARS-CoV-2では、CPEを示すウェルの数が最も多かった。インキュベーション時間が増加するにつれて、効果は減少した。1:10希釈の0.5%Tritonで処理したSARS-CoV-2は、1、2、および5分間曝露した場合、SARS-CoV-2ウイルスを不活化するのに完全に効果的ではなかった。(表2)。
【0073】
1:10希釈の0.5%Tritonで10分間処理した感染性SARS-CoV-2は、目に見えるCPEを示さず、1:10希釈で添加された0.5%Tritonが、10分間またはそれ以上曝露されると、SARS-CoV-2ウイルスを不活化するのに効果的であることを示した。
【0074】
【0075】
受け入れ基準は次の通りであった:(1)陽性対照の感染性SARS-CoV-2培養液はCPEを示さなければならない。(2)全ての細胞のみの対照ウェルは、7日間のアッセイ全体を通じて健康なままでなければならない。(3)健康な細胞に対する0.5%Triton試薬の効果により、感染性プレートの読み取りが可能でなければならない(すなわち、細胞死がCPEを妨げてはならない)。
【0076】
結論:
細胞のみの陰性対照は、全ての試験プレートにおいてアッセイの過程にわたって健康なままであった。陽性対照のSARS-CoV-2培養液は、アッセイの過程にわたって感染CPEを示した。したがって、対照の受け入れ基準を満たした。VeroE6細胞のみのウェルはCPEの兆候を示さなかった。1:10希釈の0.5%Tritonで処理したSARS-CoV-2は、1、2、および5分間曝露した場合、SARS-CoV-2ウイルスを不活化するのに完全に効果的ではなかった。1:10希釈の0.5%Tritonで処理したSARS-CoV-2は、10分間またはそれ以上曝露された場合、SARS-CoV-2ウイルスを不活化するのに効果的であった。
【実施例3】
【0077】
この実施例は、生体試料中のウイルスを不活化するために試料溶解試薬組成物を使用する方法についての1つの非限定的なプロトコールを提供する。
【0078】
必要に応じて、鼻咽頭(NP)または前鼻(AN)スワブ試料チューブを解凍させた。次いでNP/APスワブ試料チューブを10秒間ボルテックスした。キャップを試料チューブから慎重に取り外し、スワブをチューブの側面に対して少なくとも3回転がし、次いで取り外した。その後、スワブを生物有害廃棄物収集容器に廃棄した。
【0079】
次いでCoV2Ag試料溶解試薬(実施例1で上記のように調製した)を、試料1mL当たり50μL(または2滴)の量でNP/APスワブ試料チューブに分注した;例えば、これは、3mL試料については150μL(または6滴)のCoV2Ag試料溶解試薬(または100μL試料については5μLの試料溶解試薬)を必要とした。次いでこの混合物を穏やかに混合した。
【0080】
混合物を室温で10分間インキュベートして試料を不活化した。次いで不活化した試料を、場合により、アッセイシステム上に配置される(または手動アッセイを実施するための)適切な試料カップまたは他のアッセイデバイスに移した。
【0081】
不活化した試料は、インキュベーション工程が完了するとすぐに試験することができる。あるいは、不活化した試料は、アッセイを実施する前に短期間室温で保存することができるか、またはより長い期間凍結することができる。例えば(限定する目的ではないが)、不活化した試料はシステム上で最大4時間安定であり、不活化した試料は2~8℃で最大3日間、または-20℃以下でより長い保存期間、保存することができる。不活化した試料は霜取り不要冷凍庫に保存すべきではなく、2回を超える凍結融解サイクルを回避しなければならない。
【0082】
図1は、2種類の検査室ベースのアッセイ(rt-PCRおよびハイスループットSARS-CoV-2抗原アッセイ)による試料の流れを示す概略図を提供し、本開示の方法の工程(すなわち、試料への試料溶解試薬組成物の添加、混合、およびウイルスを不活化するためのインキュベーション)を含む。しかしながら、この概略図は例示のみを目的としたものであり、本開示を限定するものではない;本明細書に記載されているように、異なる試料、異なるアッセイ、および異なる試料の流れの工程が利用されることが理解されるであろう。さらに、
図1に列挙される特定の試料溶解試薬組成物の濃度およびインキュベーション条件もまた、例示のみを目的としたものであり、本明細書に開示されるか、またはそうでなければ企図される方法を限定するものではない。
【0083】
このように、本開示に従って、本明細書上記に示した目的および利点を完全に満たす、組成物、キット、およびデバイス、ならびにそれらを製造し、使用する方法が提供されてきた。本開示は、本明細書上記に示した具体的な図面、実験、結果、および言語と併せて記載してきたが、多くの代替、修飾、および変更が当業者には明らかであることは自明である。したがって、本開示の趣旨および広い範囲内である全てのこのような代替、修飾、および変更を包含することを意図する。
【国際調査報告】