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特表2024-508718積層造形の粉末除去に適したコールドプレート設計の特徴
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  • 特表-積層造形の粉末除去に適したコールドプレート設計の特徴 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】積層造形の粉末除去に適したコールドプレート設計の特徴
(51)【国際特許分類】
   B22F 10/38 20210101AFI20240220BHJP
   B33Y 40/20 20200101ALI20240220BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240220BHJP
   B29C 64/124 20170101ALI20240220BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20240220BHJP
   B22F 10/25 20210101ALI20240220BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20240220BHJP
   B22F 10/68 20210101ALI20240220BHJP
   B22F 10/85 20210101ALI20240220BHJP
   B28B 1/30 20060101ALI20240220BHJP
   F28F 3/12 20060101ALI20240220BHJP
   F28F 7/02 20060101ALI20240220BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
B22F10/38
B33Y40/20
B33Y10/00
B29C64/124
B33Y50/02
B22F10/25
B22F10/28
B22F10/68
B22F10/85
B28B1/30
F28F3/12 Z
F28F7/02
H05K7/20 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548665
(86)(22)【出願日】2021-12-01
(85)【翻訳文提出日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 US2021061452
(87)【国際公開番号】W WO2022173490
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】17/175,091
(32)【優先日】2021-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】セイビアズ,キンバリー
(72)【発明者】
【氏名】ホワイトン,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】へリング,ニール
【テーマコード(参考)】
4F213
4G052
4K018
5E322
【Fターム(参考)】
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL12
4G052DA02
4G052DB12
4G052DC06
4K018AA06
4K018AA08
4K018AA14
4K018BA03
4K018BA04
4K018BA08
5E322AA05
5E322AA11
5E322DB12
5E322FA01
(57)【要約】
コールドプレートを製造する方法は、造形材料から層ごとに造形表面に流体回路を形成することを含む。流体回路は複数の周壁を含み、複数の周壁のそれぞれは一次チャネルを少なくとも部分的に画定し、周壁のうちの長手方向の1つは、余分な造形材料が通過できるように構成された開口を含むように形成される。流体回路の中央壁は、一次チャネルと、一次チャネルに流体接続された複数の二次チャネルとを少なくとも部分的に画定する。本方法は、開口を通して余分な造形材料を除去することをさらに含む。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コールドプレートを製造する方法であって、
造形材料から層ごとに造形表面に流体回路を形成することであって、前記流体回路が、
複数の周壁であって、
前記複数の周壁のそれぞれが少なくとも部分的に一次チャネルを画定し、
前記周壁のうちの長手方向に延びる1つの周壁が、余分な造形材料が通過できるように構成された開口を含むように形成される、
前記周壁と、
前記一次チャネル、及び前記一次チャネルと流体接続される複数の二次チャネルを少なくとも部分的に画定する中央壁と、
を含む、前記形成することと、
余分な造形材料を前記開口から除去することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記周壁のうちの前記長手方向に延びる1つの周壁が、多孔質材料および複数のフィンのうちの1つから形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記造形材料が粉末である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記流体回路が、粉末ベースの積層造形技術を使用して形成される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記コールドプレート上に外側カバーを形成することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記余分な造形材料を除去することが、振とう、振動、または真空技術を使用して、前記複数の周壁のうちの第1の周壁を通して前記余分な造形材料を排出することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記余分な造形材料を除去した後、前記複数の周壁のうちの前記第1の周壁を封止することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記周壁のうちの前記第1の周壁を封止することが、溶接またはろう付け技術を使用して前記複数の周壁のうちの前記第1の周壁に固体材料を取り付けることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の壁のうちの前記第1の壁は、前記複数の壁のうちの第2の壁に当接し、前記複数の壁のうちの前記第2の壁は、流体入口および流体出口のうちの1つを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記中央壁を貫通して延びる複数の三次チャネルを有する前記中央壁を形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の三次チャネルのうちの第1のチャネルが、前記複数の二次チャネルのうちの第1のチャネルと、前記一次チャネルとを流体接続する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の三次チャネルのうちの第2のチャネルが、前記複数の二次チャネルのうちの前記第1のチャネルと、前記複数の二次チャネルのうちの第2のチャネルとを流体接続する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の三次チャネルのうちの少なくとも1つがフィンを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の三次チャネルのうちの少なくとも1つが、ある量の流体が流れることができるように構成された多孔質材料および格子構造のうちの1つを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
コールドプレートの流体回路を設計する方法であって、
入力パラメータに基づいて前記コールドプレートの三次元モデルに対して最適化操作を実行することであって、前記最適化操作が、
第1の数値を用いて前記流体回路の固体領域を識別することと、
第2の数値を用いて前記流体回路の開放領域を識別することと、
前記第1の数値と前記第2の数値との間の少なくとも1つの数値を用いて前記流体回路の中間領域を識別することと、
を含む、前記実行することと、
最適化モデルを生成することと、
前記中間領域が部分的に開いた領域を示すように、前記最適化モデルを変換することと、
を含む、方法。
【請求項16】
前記最適化モデルに基づいて前記流体回路を積層造形することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記固体領域が、複数の周壁のうちの1つおよび中央壁として形成される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記開放領域が、一次チャネルおよび複数の二次チャネルのうちの1つである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記部分的に開いた領域が、フィンを備えた複数の三次チャネルとして形成される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記部分的に開いた領域が、ある量の流体が流れることができるように構成された多孔質材料を含む三次チャネルとして形成される、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、一般にコールドプレートに関し、より具体的には、分岐チャネルを備えたコールドプレート流体回路を設計および製造する方法に関する。
【0002】
多くの熱管理システムは、発熱する電子機器を冷却するためにコールドプレートを使用する。ほとんどのコールドプレートは、プレート全体に単一の流体を流し、関連する電子機器からの廃熱を吸収するように設計されている。さまざまな標準設計は、Uターンまたはその他の迂回路の内部流体チャネルを含み、フィンを含む場合もある。現在の設計プロセスと製造方法では、複雑なコールドプレートの設計が制限され、その結果、熱伝達能力が制限される。コールドプレート全体にわたる熱伝達と流動性能を改善するには、新しい設計方法が望ましい。
【発明の概要】
【0003】
コールドプレートを製造する方法は、造形材料から層ごとに造形表面に流体回路を形成することを含む。流体回路は複数の周壁を含み、複数の周壁のそれぞれは一次チャネルを少なくとも部分的に画定し、周壁のうちの長手方向の1つは、余分な造形材料が通過できるように構成された開口を含むように形成されている。流体回路の中央壁は、一次チャネルと、一次チャネルに流体接続された複数の二次チャネルとを少なくとも部分的に画定する。本方法は、開口を通して余分な造形材料を除去することをさらに含む。
【0004】
コールドプレートの流体回路を設計する方法は、入力パラメータに基づいてコールドプレートの三次元モデルに対して操作を実行することを含み、最適化操作は、第1の数値を用いて流体回路の固体領域を識別することと、第2の数値を用いて流体回路の開放領域を識別することと、第1の数値と第2の数値との間の少なくとも1つの数値を用いて流体回路の中間領域を識別することとを含む。本方法は、最適化モデルを生成することと、中間領域が部分的に開いた領域を示すように最適化モデルを変換することとをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】コールドプレートアセンブリの斜視図である。
図2】コールドプレートを通って配置された流体回路を示すために、カバープレートが取り外されたコールドプレートアセンブリの上面図である。
図3】流体回路の三次チャネルの簡略化した断面図である。
図4】流体回路の三次チャネルの、別の実施形態の簡略化した断面図である。
図5】流体回路の三次チャネルの、第2の別の実施形態の簡略化した断面図である。
図6】流体回路の三次チャネルの、第3の別の実施形態の簡略化した断面図である。
図7】余分な粉末の除去を容易にするための特徴を示すために、カバープレートが取り外された中間のコールドプレートアセンブリの上面図である。
図8】コールドプレートの流体回路を設計および最適化する方法のステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
上で特定された図は本開示の1つまたは複数の実施形態を明らかにするものであるが、説明で述べられるように、他の実施形態も企図される。いかなる場合も、本開示は、本発明を代表として提示するものであり、限定するものではない。当業者であれば、本発明の原理の範囲及び趣旨に収まる他の多数の修正及び実施形態を考案することができることを理解されたい。図面は一定の縮尺で描かれていない場合があり、本発明の出願及び実施形態には、図面に具体的に示されていない特質および構成要素が含まれる場合がある。
【0007】
本開示は、複雑な幾何学的形状を有するコールドプレート流体回路を設計および製造するための方法を提示する。流体回路は、一次チャネル、一次チャネルから分岐する二次チャネル、および二次チャネルから分岐する三次チャネルを有し得る。このような設計は、粉末ベースの積層造形技術を使用して製造し得る。中間のコールドプレート構造は、余分な粉末を排出するための開口を含み得る。流体回路の設計プロセスは、積層造形用の生産モデルに変換できるチャネルレイアウトを生成するためのトポロジーの最適化を含み得る。
【0008】
図1は、コールドプレート12と、コールドプレート12と熱的に接続する少なくとも1つの発熱部品14とを含むコールドプレートアセンブリ10の簡略化した斜視図である。概略的に示されているが、発熱部品14は、以下でより詳細に説明するように、コールドプレート12に取り外し可能に取り付けられるなど、コールドプレート12と物理的に接触する電子部品であり得る。
【0009】
コールドプレート12は、カバープレート18、反対側に配置されたベースプレート20、および4つの側壁22を含む外側ハウジング16を含む。外側ハウジング16は、熱管理用途に適した金属または非金属材料から形成され得る。流体入口24および流体出口26は、図1に示すように、横方向の側壁22に配置される。流体入口24は、冷却流体F(図2に表示)を受け入れるための冷却流体Fの供給源と接続するポートまたは他の開口であってもよく、一方、流体出口26は、使用済みの冷却流体Fを排出するためのポートまたは他の開口であってもよい。図示の実施形態では、流体入口24と流体出口26は同じ側壁22に配置されているが、別の実施形態では、流体入口24が第1の側壁22に配置されてもよく、流体出口26は他の場所、例えば、側壁22に隣接して、または側壁22の反対側に配置されてもよい。
【0010】
図1の実施形態では、外側ハウジング16は、コールドプレート12に、x軸に沿った長さL、y軸に沿った幅W、およびz軸に沿った高さHを有するほぼ長方形の三次元構造を提供する。図示のように、コールドプレート12の寸法はL>W>Hであるが、本明細書では、例えば空間的制約および/または熱伝達要件に基づいて他の寸法も考慮される。したがって、コールドプレート12は、直方体(L=W>H)または立方体(L=W=H)などの他の多角形の幾何学的形状を有し得る。別の実施形態では、コールドプレート12は、丸い形状、湾曲した側面および平坦な側面を有する形状、またはより自由な形状を形成するために1つまたは複数の湾曲した側面を有し得る。
【0011】
図2は、外側ハウジング16によって画定される内部空間に配置された流体回路28を露出させるためにカバープレート18を除いて示されるコールドプレート12の上面図である。コールドプレート12の流体回路28は、一次チャネル30、二次チャネル32、および三次チャネル34を含む。周壁36および中央壁38は共に、一次チャネル30、二次チャネル32、および三次チャネル34を少なくとも部分的に画定する。より具体的には、壁36および38は、様々なチャネルを画定するためにx、y、およびz軸に沿って可変的に延びる固体金属または非金属材料から形成され得る。ある実施形態では、周壁36および/または中央壁38は、ほぼ連続的な単一壁構造として、または壁構造を形成するようにグループ化された個別の壁部分として形成され得る。
【0012】
図2に示される実施形態では、一次チャネル30は、同じ側壁22に配置された流体入口24と流体出口26とを流体接続するためのほぼU字形の幾何学的形状を有する。したがって、U字形の一次チャネル30は、入口脚部40、すなわち入口24のすぐ下流にあり、ほぼx軸に沿って配置された一次チャネル30の部分を含む。一次チャネル30の接続部分42は、ほぼy軸に沿って配置され、入口脚部40を出口脚部44に流体接続する。出口脚部44は流体出口26のすぐ上流にあり、入口脚部40とほぼ平行である。
【0013】
二次チャネル32は一次チャネル30から分岐する。図2に示される実施形態では、二次チャネル32は、いくぶん湾曲した形状を有するが、入口脚部40および出口脚部44のそれぞれからほぼ垂直に(いくつかの部分がy軸に沿って配置されて)分岐し、中央壁38の蛇行/曲がりくねった形状により互いに噛み合う構成を有する。別の実施形態は、追加的/代替的に、接続部分42から分岐する1つまたは複数の二次チャネル32を含み得る。
【0014】
三次チャネル34は二次チャネル32から分岐しており、中央壁38の固体材料内に配置されている。三次チャネル34は、いくつかの三次チャネル34がほぼx軸に沿って配置され、他のいくつかの三次チャネル34がほぼy軸に沿って配置され、さらに他の三次チャネルがx軸とy軸との間に角度を付けて配置され得るように、様々な方向に分岐する。三次チャネル34の配置により、以下でより詳細に説明するように、一次チャネルと二次チャネルとの流体相互接続が可能になる。
【0015】
別の実施形態では、流体回路28は、熱伝導要件および/または設計パラメータに基づいて、三次チャネル(例えば、五次、六次、七次など)を越えるさらなる分岐段を含み得る。もう一つの別の代替実施形態では、一次チャネルと、一次チャネルの様々な部分(例えば、入口脚部および出口脚部)を直接流体接続する二次チャネルのみを含み得る。一般に、任意の実施形態における最終(n番目)の分岐段は、流体回路の面全域で流体回路の前の段を流体接続する。
【0016】
1つまたは複数の孔46は、壁36および/または38の固体材料、ならびに外側ハウジング16の一部(例えば、ベースプレート20)を貫通して形成され得る。孔46は、コールドプレート12を発熱部品14またはマウントなどの別の構造に取り外し可能に取り付けるための締結具(図示せず)を収容するように構成される。
【0017】
一次チャネル30、二次チャネル32、および三次チャネル34は、断面積Aを有し得る。断面積は、チャネルの断面形状によって画定されてもよく、たとえば、円形の断面形状の場合、A=πrであり(図3に図示)、楕円形の場合はA=πrであり、rおよびrがそれぞれ長軸および短軸を表す。四角形の断面形状の場合、A=LWであり、Lは長さ、Wは幅である。湾曲部分および/または平坦な部分を含む他の、より不規則な幾何学的形状も本明細書で企図される。一次チャネル30、二次チャネル32、および/または三次チャネル34のいずれかの断面形状および/または面積は、流量要件および/または設計の最適化に基づいて、個々のチャネルの長さに沿って変化し得る。
【0018】
一般に、一次チャネル30の平均断面積は二次チャネル32の平均断面積より大きく、二次チャネル32の平均断面積は三次チャンネル34の平均断面積より大きい。さらに、図2に示すように、二次チャネル32の数は一次チャネルの数(1つ)よりも多く、三次チャネル34の数は二次チャネル32の数よりも多い。
【0019】
図2は、流体回路28を通る冷却流体Fの流れパターンを示す矢印を含む。しかしながら、考えられるすべての流路が矢印で示されているわけではないことを理解されたい。冷却流体Fは、いくつかの非限定的な例を挙げると、水、空気、油、エチレングリコール、または冷媒であり得る。冷媒などの冷却流体はいずれも、さらに二相(例えば、蒸気-液体)流であり得る。
【0020】
動作中、冷却流体Fは、流体入口24を介して流体回路28に入り、一次チャネル30の入口脚部40に沿って第1の方向に移動する。冷却流体の一部は入口脚部40から分岐する二次チャネル32(入口側二次チャネル32)に流入し、冷却流体の他の一部は一次チャネル30に残り、接続部分42及び出口脚部44に沿って流れる。冷却流体は、出口脚部に沿って、入口脚部40内の冷却流体とは反対の方向に流れる。入口側二次チャネル32に入る冷却流体は、特定の二次チャネル32を画定する中央壁38の一部に形成された分岐する三次チャネル34を通って流れる。図2に示されるように、三次チャネル34のサブセットは、入口側二次チャネル32を出口脚部44に流体接続する。三次チャネル34の別のサブセットは、入口側二次チャネル32を、出口脚部44から分岐する二次チャネル32(出口側二次チャネル32)に流体接続する。三次チャネル34のさらに別のサブセットは、入口側二次チャネル32を接続部分42に流体接続する。最後に、三次チャネル34のさらに別のサブセットは、入口脚部40から直接分岐し、出口側二次チャネル32まで延びて、入口脚部40と出口側二次チャネル32とを流体接続する。使用済みの冷却流体Fは、流体出口26を介して流体回路28から排出される。使用済みの冷却流体は、一般に、発熱部品14からの廃熱の吸収により、流体入口24における冷却流体Fの温度よりも高い温度を有する。流体回路28内のチャネルの分岐設計および相互接続により、冷却流体Fが、一次、二次、三次チャネルを使用してx軸およびy軸によって画定される流体回路28の平面をほぼ同時に流れることができるため、流体の流れのより均一な分布およびコールドプレート12全域の熱伝達が可能になる。
【0021】
別の実施形態では、流体回路28は、代替的または追加的に温かい流体を受け取り、冷却の代わりに加熱を必要とする関連部品へ、流体からの熱を戻すように構成され得る。このような実施形態では、流体回路から排出される流体は、一般に、流体回路に入る流体よりも低い温度を有することになる。比較的高温の流体を受け取ることは、例えば、システムや車両などを低温浸透状態においている、またはその状態にした後に、または一般に、関連する電子機器の全体的なパフォーマンスを向上させるのに役立つ。
【0022】
図2に示される実施形態では、流体入口24と流体出口26は両方とも共通の側壁22に配置されているが、他の配置も可能である。例えば、別の実施形態では、流体出口26を隣接または対向する側壁22内に配置し得る。もう一つの別の実施形態では、共通の側壁22または別個の側壁22に複数の流体入口24および/または複数の流体出口26を含み得る。いずれの場合でも、流体回路28は、一次チャネル30がすべての流体入口24とすべての流体出口26を流体接続するように調整し得る。
【0023】
複雑なチャネル形状および分岐パターンに加えて、個々のチャネルは、チャネルの内側部分(すなわち、流体処理部分)に特徴を含み得る。図3は、三次チャネル34の簡略化された断面図であり、開放チャネル(すなわち、内部空間には何も形成されていない)として示されている。図4、5、および6は、それぞれ内部特徴を有する別の三次チャネル34’、34’’、および34’’’の簡略化された断面図である。
【0024】
図3に示されるように、三次チャネル34は、その半径rによって画定される断面積を有する。ほぼ円形の断面として示されているが、前述したように、三次チャネル34は他のタイプの対称な、または不規則な幾何学的形状を有することができることを理解されたい。図4の実施形態では、三次チャネル34’は内部フィン48を含む。フィン48は、例えば、所望の流体の流れ特性(例えば、方向、速度など)に基づいて、三次チャネル32A内に均一または不均一に分布させ得る。比較的真っ直ぐな縁部で示されているが、フィン48は様々な幾何学的形状を有し得る。したがって、フィン48は積層造形によって形成され、所望の分布および形状を達成し得る。図5は、三次チャネル34’’が固体マトリックス材料52内に孔50を含むもう一つの別の実施形態を示す。固体マトリックス材料52は、三次チャネル34’’が図2の三次チャネル34のように中央壁38内に配置され得るため、中央壁38を形成する固体材料と同等であり得る。三次チャネル34’’は、例えば、中央壁38の、より密に充填された(固体)領域に比べて造形材料が低密度で充填され、孔50により多孔質のチャネル34’’が形成され、ある量の冷却流体Fが三次チャネル34’’を通過できるように、選択された位置に中央壁38を積層造形することによって形成され得る。三次チャネル34’’は、例えば、構造上の要件には、より中実の材料が都合がよく、孔50が流体の流れの要件を満たすのに十分である場合に望ましい可能性がある。図6は、内部格子ネットワークを備えた三次チャネル34’’’を示す。このような実施形態は、例えば流体回路の構造的剛性を高める場合に望ましい可能性がある。さらに、別の実施形態は、三次チャネル34、34’、34’’、および/または34’’’の1つまたはそれらの組み合わせを含み得ることが考えられる。別の実施形態では、三次チャネル34’、34’’、および/または34’’’の特徴が、追加的または代替的に、一次チャネル30および/または二次チャネル32内に含まれ得る。
【0025】
例示的な実施形態では、コールドプレート12は、流体回路28内の複雑な幾何学的形状を達成するために積層造形によって部分的または全体的に形成され得る。金属部材(インコネル、アルミニウム、チタンなど)の場合、積層造形プロセスの例は、いくつかの非限定的な例を挙げると、直接金属レーザー焼結(DMLS)、レーザーネットシェイプ製造(LNSM)、電子ビーム製造(EBM)などの粉末床融合技術を含む。ポリマーまたはプラスチック部材の場合は、ステレオリソグラフィー(SLA)を使用できる。セラミック材料の場合は、バインダージェッティング、光重合、SLA、または材料堆積法を使用できる。積層造形は、壁36および38の形状、流体ネットワーク28の分岐パターン、および/または個々の流体チャネルの様々な幾何学形状などの独特の幾何学形状を得るのに特に有用である。しかしながら、ろう付けなどの他の適切な製造プロセスを使用することもできる。
【0026】
粉末ベースの積層造形技術の場合、粉体/粉末造形材料を造形表面に堆積させ、エネルギー源を使用して固化させ得る。粉末の堆積および固化のこれらの一般的なステップは、三次元構造(例えば、壁36および38)が層ごとに形成される際に繰り返すことができる。ある余分な(遊離した)粉末の量がコールドプレート12内、特にコールドプレート12の開いたままの領域(例えば、流体チャネル)内に残る可能性がある。流体回路28の蛇行する設計により、一旦コールドプレート12が外側ケーシング16と完全に組み立てられると、余分な粉末の除去が困難になる可能性がある。
【0027】
図7は、造形中間状態にあるコールドプレートアセンブリの上面図であり、カバープレート18を除いて示されている。図7に示されるように、中央壁38には三次チャネル34が形成されている。周壁36の3つの側面も形成されている。周壁36の長手方向に延びる(x軸に沿って延びる)1つの側面が、部分的に形成されている。より具体的には、周壁36の一部は、開口56を画定するために間隔を置いて配置されたフィン54を含む。フィン54は、壁36の残りの部分と同じ材料から形成され得る。流体回路28および外側ハウジング16が形成された後、余分な粉末は、コールドプレート12の内部空間から開口56を通って除去または排出される。余分な粉末を除去する1つの方法は、フィン54および開口56が(z軸に沿って)下方を向くようにコールドプレート12を回転させることを含み得る。この向きでは、余分な粉末の一部が重力によって開口56を通って引き出される可能性がある。このように配向されている間にコールドプレート12を振とうさせたり振動させたりすると、余分な粉末の除去をさらに促進し得る。追加的および/または代替的に、空気流または減圧を1つまたは複数の開口56に適用して、余分な粉末を除去し得る。別の実施形態では、例えば流体回路28の設計の複雑さ、または特定の積層造形技術から予想される余分な粉末の量に応じて、周壁36の追加部分がフィン54および開口56で形成され得る。あるいは、これらと同じ理由により、壁36の別個の部分のみが、図7に示されるよりも少ないフィン54および開口56を含むように形成されてもよい。余分な粉末を十分に除去した後、フィン54および開口56を有する壁36の部分に、コールドプレート12を流体的に封止するための1つまたは複数の後処理ステップを施してもよい(流体入口24および流体出口26を除く)。このようなステップは、開口56を覆うために1つまたは複数の固体材料片を壁36に接合するための材料接合技術(例えば、溶接またはろう付け)を含み得る。別の実施形態では、壁36の長手方向に延びる側が、余分な粉末を排出できるサイズの孔を有する多孔質材料として形成され得る。多孔質材料を封止するための後処理は、上で論じたような材料の接合、または多孔質材料上に高密度の流体的に封止された層を形成するための、さらなる一連の積層造形を含む可能性がある。さらに、フィン付きまたは有孔の実施形態のいずれかにおいて、開口56を塞ぐために樹脂(例えばエポキシ)材料を使用して壁部分を封止することが可能である。
【0028】
図8は、コールドプレート12の流体回路28を設計するための方法100の選択されたステップを示す方法フローチャートである。ステップ102では、流体回路の提案された三次元モデルに対して最適化操作が実行される。これらの操作は、いくつかの非限定的な例を挙げると、重量および寸法の制限、必要な機械的特性、流体の入口および出口の位置、熱伝導要件、流体の流れ要件などのさまざまな入力パラメータに基づいてもよい。ステップ104では、オプティマイザは流体回路の固体領域、開放領域、および中間領域を識別する。固体領域(例えば、壁36)には、1.0またはそれに近い数値を割り当てることができるが、一方、開放領域(例えば、一次チャネル30)には、0またはそれに近い値を割り当てることができる。中間領域には、0と1.0との間の値を割り当てることができる。ステップ106では、固体領域、開放領域、および中間領域のすべて/いずれかを含む最適化モデルが生成される。ステップ108は、最適化モデルの中間領域が、後続の製造モデル(例えば、CADモデル)にとって部分的に開いた構造として解釈される変換ステップである。例えば、三次チャネル34を最適化モデルに含めることができ、さらに中間領域として指定することもできる。したがって、三次チャネル34は、図4の三次チャネル34’と同様に、高密度に充填されたフィンを含むように設計され得る。三次チャネル34は、代替的および/または追加的に、それぞれ三次チャネル34’’および34’’’と同様の多孔質チャネルまたは格子構造として設計され得る。このような解釈は、そのような構造を製造できる後続の積層造形プロセスに適する。
【0029】
本明細書で説明される方法は、複雑な流体回路の幾何学的形状および様々な材料密度を必要とし得るコールドプレート12の最適な設計を可能にするだけでなく、そのような設計を製造し、廃棄材料を十分に除去し得るようにする。
【0030】
可能な実施形態の考察
以下は、本発明の可能な実施形態の非排他的な説明である。
【0031】
コールドプレートを製造する方法は、造形材料から層ごとに造形表面に流体回路を形成することを含む。流体回路は複数の周壁を含み、複数の周壁のそれぞれは一次チャネルを少なくとも部分的に画定し、周壁のうちの長手方向の1つは、余分な造形材料が通過できるように構成された開口を含むように形成される。流体回路の中央壁は、一次チャネルと、一次チャネルと流体接続する複数の二次チャネルとを少なくとも部分的に画定する。本方法は、開口を通して余分な造形材料を除去することをさらに含む。
【0032】
先の段落の方法は、追加的および/または代替的に、以下の特徴、構成、および/または追加の構成要素のうちのいずれか1つ以上を任意選択で含み得る。
【0033】
上記の方法において、複数の周壁のうちの長手方向に延びる1つの周壁は、多孔質材料および複数のフィンのうちの1つから形成され得る。
【0034】
上記の方法のいずれにおいても、造形材料は粉末であり得る。
【0035】
上記の方法のいずれにおいても、流体回路は粉末ベースの積層造形技術を使用して形成され得る。
【0036】
上記の方法のいずれも、コールドプレート上に外側カバーを形成することをさらに含み得る。
【0037】
上記の方法のいずれにおいても、余分な造形材料を除去することは、振とう、振動、または真空技術を使用して、複数の周壁のうちの第1の周壁を通して余分な造形材料を排出することを含む。
【0038】
上記の方法のいずれも、余分な造形材料を除去した後、複数の周壁のうちの第1の周壁を封止することをさらに含み得る。
【0039】
上記の方法のいずれにおいても、複数の周壁のうちの第1の周壁を封止することは、溶接またはろう付け技術を使用して複数の周壁のうちの第1の周壁に固体材料を取り付けることを含み得る。
【0040】
上記の方法のいずれにおいても、複数の壁のうちの第1の周壁は、複数の壁のうちの第2の周壁に当接することができ、複数の壁のうちの第2の壁は流体入口および流体出口のうちの1つを含み得る。
【0041】
上記の方法のいずれも、中央壁を貫通して延びる複数の三次チャネルを有する中央壁を形成することをさらに含み得る。
【0042】
上記の方法のいずれにおいても、複数の三次チャネルのうちの第1のチャネルは、複数の二次チャネルのうちの第1のチャネルと一次チャネルとを流体接続し得る。
【0043】
上記の方法のいずれにおいても、複数の三次チャネルのうちの第2のチャネルは、複数の二次チャネルのうちの第1のチャネルと複数の二次チャネルのうちの第2のチャネルとを流体接続し得る。
【0044】
上記の方法のいずれにおいても、複数の三次チャネルのうちの少なくとも1つはフィンを含み得る。
【0045】
上記の方法のいずれにおいても、複数の三次チャネルのうちの少なくとも1つは、ある量の流体がそこを流れることができるように構成された多孔質材料および格子構造のうちの1つを含み得る。
【0046】
コールドプレートの流体回路を設計する方法は、入力パラメータに基づいてコールドプレートの三次元モデルに対して操作を実行することを含み、最適化操作は、第1の数値を用いて流体回路の固体領域を識別することと、第2の数値を用いて流体回路の開放領域を識別することと、第1の数値と第2の数値との間の少なくとも1つの数値を用いて流体回路の中間領域を識別することとを含む。本方法は、最適化モデルを生成することと、中間領域が部分的に開いた領域を示すように最適化モデルを変換することとをさらに含む。
【0047】
先の段落の方法は、追加的および/または代替的に、以下の特徴、構成、および/または追加の構成要素のうちのいずれか1つ以上を任意選択で含み得る。
【0048】
上記の方法は、最適化モデルに基づいて、流体回路を積層造形することをさらに含み得る。
【0049】
上記の方法のいずれにおいても、固体領域は、複数の周壁および中央壁のうちの1つとして形成され得る。
【0050】
上記の方法のいずれにおいても、開放領域は、一次チャネルおよび複数の二次チャネルのうちの1つであり得る。
【0051】
上記の方法のいずれにおいても、部分的に開いた領域は、フィンを備えた複数の三次チャネルとして形成され得る。
【0052】
上記の方法のいずれにおいても、部分的に開いた領域は、ある量の流体がそこを流れることを可能にするように構成された多孔質材料を含む三次チャネルとして形成され得る。
【0053】
本発明を例示的実施形態(複数可)に関して説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく種々の変更を行うことができ、また均等物をその要素に対して置き換えることができることを当業者ならば理解するであろう。加えて、本発明の必須の範囲から逸脱することなく、多くの修正を行って特定の状況または材料を本発明の教示に適合させることができる。したがって、本発明は、開示される特定の実施形態(複数可)に限定されず、本発明は、添付の特許請求の範囲内に収まる全ての実施形態を含むことが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】