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特表2024-508722性障害の機能回復および治療のための電気刺激システムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】性障害の機能回復および治療のための電気刺激システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20240220BHJP
   A61N 1/05 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
A61N1/36
A61N1/05
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548722
(86)(22)【出願日】2022-02-08
(85)【翻訳文提出日】2023-09-13
(86)【国際出願番号】 IB2022051127
(87)【国際公開番号】W WO2022172157
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】17/174,021
(32)【優先日】2021-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/174,033
(32)【優先日】2021-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/450,392
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523303839
【氏名又は名称】コンフィア エスアー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】フラガ ダ シルバ, ロドリゴ アロジョ
(72)【発明者】
【氏名】ステルジオプロ, ニコラオ
(72)【発明者】
【氏名】ストゥーニー, ミカエル ニル
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼフ, フィオナ
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053CC10
4C053JJ02
4C053JJ03
4C053JJ04
4C053JJ13
4C053JJ25
(57)【要約】
プログラマブルコントローラと刺激回路と一対の可撓性パドル上に配置された電極のアレイとに結合された刺激ユニットを有する埋め込み可能刺激システムが、少なくとも1つの骨盤(例えば、海綿)神経を選択的に刺激するために提供される。プログラマブルコントローラは、一連の方向性電流流動を伴う電極アレイを選択的に走査し、神経を刺激することにおいて使用するための電極選択を最適化する励起電極ルーチンを起動するように事前にプログラムされる。埋め込み可能刺激システムは、第1のモードに対応する迅速な勃起性応答を誘発するための第1の刺激パルスシーケンス、海綿神経内の神経伝達を機能回復させるための第2の神経機能回復刺激モード、陰茎線維症を減らすための第3の陰茎機能回復モード、および/または下部尿路を制御する神経内の神経伝達を機能回復させるための第4の膀胱神経機能回復モードを起動するようにプログラムされ得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
勃起性機能不全を治療するための埋め込み可能システムであって、前記システムは、
電極のアレイを有する可撓性パドルと、
刺激回路とマイクロプロセッサとメモリとを備えているプログラマブルコントローラと
を備え、
前記刺激回路は、前記アレイに動作可能に結合され、前記マイクロプロセッサは、
前記アレイの第1の電極対を選択的に活性化し、それらの間に第1の方向における第1の電流流動を生成することを前記刺激回路に行わせることであって、前記第1の電流流動は、海綿神経を刺激し、第1の勃起性応答を誘い出すように構成されている、ことと、
前記アレイの第2の電極対を選択的に活性化し、それらの間に第2の方向における第2の電流流動を生成することを前記刺激回路に行わせることであって、前記第2の方向は、前記第1の方向と異なり、前記第2の電流流動は、前記海綿神経を刺激し、第2の勃起性応答を誘い出すように構成されている、ことと、
前記第1の勃起性応答または前記第2の勃起性応答のいずれかを第1の好ましい勃起性応答として識別することと、
前記海綿神経の後続の刺激のための好ましい電流方向として、前記第1の方向または前記第2の方向のいずれかの識別を記憶することと
を行うための前記メモリに記憶されたプログラムされた命令を実行するように構成されている、埋め込み可能システム。
【請求項2】
前記プログラムされた命令は、前記プログラマブルコントローラに関連付けられたセンサシステムによって発生させられた入力に応答して、前記第1の勃起性応答または前記第2の勃起性応答のいずれかを前記第1の好ましい勃起性応答として識別する、請求項1に記載の埋め込み可能システム。
【請求項3】
前記プログラムされた命令は、外部患者コントローラまたは外部医師コントローラによって提供される入力に応答して、前記第1の勃起性応答または前記第2の勃起性応答のいずれかを前記第1の好ましい勃起性応答として識別する、請求項1に記載の埋め込み可能システム。
【請求項4】
前記電極のアレイは、第1の領域と第2の領域とを備え、前記マイクロプロセッサは、
前記好ましい電流方向を伴う前記第1の領域内の電極を選択的に活性化し、第3の勃起性応答を発生させることを前記刺激回路に行わせることと、
前記好ましい電流方向を伴う前記第2の領域内の電極を選択的に活性化し、第4の勃起性応答を発生させることを前記刺激回路に行わせることと、
前記第3の勃起性応答または前記第4の勃起性応答のいずれかを第2の好ましい勃起性応答として識別することと、
好ましい領域として、前記第1の領域または前記第2の領域のいずれかの識別を記憶することと
を行うための前記メモリに記憶されたプログラムされた命令を実行するようにさらに構成されている、請求項1に記載の埋め込み可能システム。
【請求項5】
前記プログラムされた命令は、前記プログラマブルコントローラに関連付けられたセンサシステムによって発生させられた入力に応答して、前記第3の勃起性応答または前記第4の勃起性応答のいずれかを第2の好ましい勃起性応答として識別する、請求項4に記載の埋め込み可能システム。
【請求項6】
前記プログラムされた命令は、外部患者コントローラまたは外部医師コントローラによって提供される入力に応答して、前記第3の勃起性応答または前記第4の勃起性応答のいずれかを第2の好ましい勃起性応答として識別する、請求項4に記載の埋め込み可能システム。
【請求項7】
前記マイクロプロセッサは、
前記好ましい電流方向を伴う前記好ましい領域内の電極のサブセットを順次活性化し、一連の勃起性応答を誘い出すことを前記刺激回路に行わせることと、
好ましい勃起性応答を前記一連の勃起性応答の中から識別することと、
前記海綿神経の後続の刺激のための好ましい励起電極の組として、前記好ましい領域内の少なくとも1つの電極のサブセットの識別を記憶することと
を行うための前記メモリに記憶されたプログラムされた命令を実行するようにさらに構成されている、請求項4に記載の埋め込み可能システム。
【請求項8】
前記プログラムされた命令は、前記プログラマブルコントローラに関連付けられたセンサシステムによって発生させられた入力に応答して、前記好ましい勃起性応答を前記一連の勃起性応答の中から識別する、請求項7に記載の埋め込み可能システム。
【請求項9】
前記プログラムされた命令は、外部患者コントローラまたは外部医師コントローラによって提供される入力に応答して、前記好ましい勃起性応答を前記一連の勃起性応答の中から識別する、請求項7に記載の埋め込み可能システム。
【請求項10】
前記マイクロプロセッサは、
前記好ましい電流方向において、一連の刺激パラメータを用いて前記好ましい励起電極の組を選択的に活性化し、さらなる一連の勃起性応答を誘い出すことを前記刺激回路に行わせることと、
最適応答を前記一連のさらなる勃起性応答の中から識別することと、
好ましい刺激パラメータとして、前記最適応答を誘い出す前記刺激パラメータを記憶することと
を行うための前記メモリに記憶されたプログラムされた命令を実行するようにさらに構成されている、請求項7に記載の埋め込み可能システム。
【請求項11】
前記プログラムされた命令は、前記プログラマブルコントローラに関連付けられたセンサシステムによって発生させられた入力に応答して、前記最適応答を前記一連のさらなる勃起性応答の中から識別する、請求項10に記載の埋め込み可能システム。
【請求項12】
前記プログラムされた命令は、外部患者コントローラまたは外部医師コントローラによって提供される入力に応答して、前記最適応答を前記一連のさらなる勃起性応答の中から識別する、請求項10に記載の埋め込み可能システム。
【請求項13】
前記好ましい刺激パラメータを記憶している前記プログラムされた命令は、迅速な勃起性応答を誘い出す刺激パラメータを記憶している、請求項10に記載の埋め込み可能システム。
【請求項14】
前記好ましい刺激パラメータを記憶している前記プログラムされた命令は、前記海綿神経を介した神経伝達を機能回復させる刺激パラメータを記憶している、請求項10に記載の埋め込み可能システム。
【請求項15】
前記好ましい電流方向、前記好ましい領域、前記好ましい励起電極の組、および前記好ましい刺激パラメータを決定する前記プログラムされた命令は、前記埋め込み可能システムが埋め込まれた後、外部患者コントローラまたは外部医師コントローラからのコマンドに応答して、周期的に実行されるように構成されている、請求項10に記載の埋め込み可能システム。
【請求項16】
前記プログラマブルコントローラは、機械学習または人工知能のうちの少なくとも1つを使用して、前記好ましい刺激パラメータを調節するように構成されている、請求項10に記載の埋め込み可能システム。
【請求項17】
前記プログラマブルコントローラは、外部患者コントローラから受信されたコマンドに応答して、前記刺激回路を活性化し、迅速な勃起性応答を誘い出す前記刺激パラメータを適用するように構成されている、請求項13に記載の埋め込み可能システム。
【請求項18】
前記プログラマブルコントローラは、少なくとも1日1回、前記刺激回路を自動的に活性化し、神経伝達を機能回復させる前記刺激パラメータを適用するように構成されている、請求項14に記載の埋め込み可能システム。
【請求項19】
前記可撓性パドルは、腹腔鏡下外科手術を介して前記骨盤神経叢に埋め込まれるように構成されている、請求項1に記載の埋め込み可能システム。
【請求項20】
前記可撓性パドルは、半球形状を有し、電極のアレイは、少なくとも2つの電極行と少なくとも2つの電極列とを備えている、請求項1に記載の埋め込み可能システム。
【請求項21】
前記第2の電流流動の前記第2の方向は、前記第1の電流流動の前記第1の方向に対して斜めである、請求項1に記載の埋め込み可能システム。
【請求項22】
勃起性機能不全を治療する方法であって、前記方法は、
骨盤神経叢に隣接し、かつ海綿神経に近い第1の位置に可撓性パドルを設置することであって、前記可撓性パドルは、電極のアレイを有する、ことと、
プログラマブルコントローラを用いて、前記アレイの第1の電極対を選択的に活性化し、第1の勃起性応答を誘い出す第1の方向における電流流動を用いて、前記海綿神経を刺激することと、
前記プログラマブルコントローラを用いて、前記アレイの第2の電極対を選択的に活性化し、第2の勃起性応答を誘い出す第2の方向における電流流動を用いて、前記海綿神経を刺激することと、
前記第1の勃起性応答と前記第2の勃起性応答を比較し、好ましい勃起性応答を決定することと、
前記プログラマブルコントローラを用いたさらなる刺激の印加のための好ましい電流方向として、前記第1の方向または前記第2の方向のいずれかを前記プログラマブルコントローラに記憶することと
を含む、方法。
【請求項23】
電極のアレイは、第1の領域と第2の領域とを含み、前記方法は、
前記プログラマブルコントローラを用いて、前記好ましい電流方向を伴う前記第1の領域内の電極を選択的に活性化し、第3の勃起性応答を発生させることと、
前記プログラマブルコントローラを用いて、前記好ましい電流方向を伴う前記第2の領域内の電極を選択的に活性化し、第4の勃起性応答を発生させることと、
前記第3の勃起性応答と前記第4の勃起性応答を比較し、第2の好ましい勃起性応答を決定することと、
前記プログラマブルコントローラを用いたさらなる刺激の印加のための好ましい領域として、前記第1の領域または前記第2の領域のいずれかを前記プログラマブルコントローラに記憶することと
をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記プログラマブルコントローラを用いて、前記好ましい電流方向を伴う前記好ましい領域内の電極のサブセットを順次活性化し、一連の勃起性応答を誘い出すことと、
好ましい勃起性応答を前記一連の勃起性応答の中から識別することと、
前記プログラマブルコントローラを用いたさらなる刺激の印加のために、前記好ましい領域内の少なくとも1つの電極のサブセットの識別を前記プログラマブルコントローラに記憶することと
をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記プログラマブルコントローラを用いて、一連の刺激パラメータを用いて前記好ましい電流方向における電極のサブセットを選択的に活性化し、一連の勃起性応答を誘い出すことと、
最適応答を前記一連の勃起性応答の中から識別することと、
前記プログラマブルコントローラを用いたさらなる刺激の印加のために、好ましい刺激パラメータを前記プログラマブルコントローラに記憶することと
をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
迅速な勃起性応答を誘い出すことまたは前記海綿神経を介して神経伝達を機能回復させることを行うための好ましい刺激パラメータを前記プログラマブルコントローラに記憶することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
電流流動の前記第2の方向は、電流流動の前記第1の方向と異なり、前記第1の方向に対して斜めである、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前立腺摘除術に続く陰茎線維症を減らすための埋め込み可能システムであって、前記システムは、
患者の骨盤神経叢に隣接して配置されるように構成された電極のアレイを有する可撓性パドルと、
刺激回路とマイクロプロセッサとメモリとを備えているプログラマブルコントローラと
を備え、
前記刺激回路は、前記アレイに動作可能に結合され、前記マイクロプロセッサは、前記メモリに記憶されたプログラムされた命令を実行するように構成され、前記命令は、電極のアレイ内の励起電極の組を選択的に活性化し、前記患者の骨盤神経叢の1つ以上の神経を刺激し、少なくとも部分的陰茎腫脹を誘発させることを前記刺激回路に行わせ、
前記プログラムされた命令は、前立腺摘除術に続く療養期間中、少なくとも1日1回、前記刺激回路の活性化を引き起こし、陰茎線維症のリスクを減らす、埋め込み可能システム。
【請求項29】
前記プログラムされた命令は、一連の刺激パラメータを用いて前記励起電極の組を励起し、陰茎腫脹を誘発するための刺激パラメータの最適組を識別することを前記刺激回路にさらに行わせる、請求項28に記載の埋め込み可能システム。
【請求項30】
前記プログラムされた命令は、前記刺激パラメータの最適組を記憶している、請求項29に記載の埋め込み可能システム。
【請求項31】
前記プログラマブルコントローラは、陰茎腫脹の程度を監視するセンサに結合され、前記プログラムされた命令は、前記刺激パラメータの最適組として、陰茎腫脹の最も高い程度を発生させる前記刺激パラメータの組をさらに記憶している、請求項30に記載の埋め込み可能システム。
【請求項32】
前記プログラムされた命令は、外部患者コントローラまたは外部医師コントローラによって提供される入力に応答して、前記刺激パラメータの最適組を識別する、請求項31に記載の埋め込み可能システム。
【請求項33】
前記刺激回路は、0.1~1.0ミリ秒のパルス幅を伴って、10~48Hzの周波数で、0.5~25mAの範囲内の電流振幅を印加する、請求項32に記載の埋め込み可能システム。
【請求項34】
勃起性機能不全を治療するための埋め込み可能システムであって、前記システムは、
患者の骨盤神経叢に隣接して配置されるように構成された電極のアレイを有する可撓性パドルと、
刺激回路とマイクロプロセッサとメモリとを備えているプログラマブルコントローラと
を備え、
前記刺激回路は、前記アレイに動作可能に結合され、前記マイクロプロセッサは、
外部患者コントローラまたは外部医師コントローラからの「オンデマンド」入力に応答して、第1の刺激パラメータの組に従って前記アレイ内の電極のサブセットを活性化し、勃起を誘い出すことを前記刺激回路に行わせることと、
少なくとも毎日、前記外部患者コントローラまたは前記外部医師コントローラからのスケジュール入力に応答して、第2の刺激パラメータの組を用いて、前記アレイ内の前記電極のサブセットを活性化し、陰茎機能回復を促進する勃起性応答を誘い出すことと
を行うための前記メモリに記憶されたプログラムされた命令を実行するように構成されている、埋め込み可能システム。
【請求項35】
前記プログラムされた命令は、一連の刺激パラメータを用いて前記電極のサブセットを励起し、前記第1の刺激パラメータの組および前記第2の刺激パラメータの組のうちの少なくとも1つのための刺激パラメータの最適組を識別することを前記刺激回路にさらに行わせる、請求項34に記載の埋め込み可能システム。
【請求項36】
前記プログラムされた命令は、前記刺激パラメータの最適組を記憶する、請求項35に記載の埋め込み可能システム。
【請求項37】
前記プログラマブルコントローラは、陰茎腫脹の程度を監視するセンサに結合され、前記プログラムされた命令は、前記刺激パラメータの最適組として、陰茎腫脹の最も高い程度を発生させる前記刺激パラメータの組をさらに記憶する、請求項36に記載の埋め込み可能システム。
【請求項38】
前記プログラムされた命令は、外部患者コントローラまたは外部医師コントローラによって提供される入力に応答して、前記刺激パラメータの最適組を識別する、請求項36に記載の埋め込み可能システム。
【請求項39】
前記第1の刺激パラメータの組および前記第2の刺激パラメータの組は、0.1~1.0ミリ秒のパルス幅を伴って、10~48Hzの周波数において、0.5~25mAの範囲内の電流振幅を印加する、請求項35に記載の埋め込み可能システム。
【請求項40】
前記プログラムされた命令は、少なくとも毎日、前記外部患者コントローラまたは前記外部医師コントローラからのスケジュール入力に応答して、第3の刺激パラメータの組を用いて前記アレイ内の電極のサブセットを活性化し、海綿神経の機能回復を促進する勃起性応答を誘い出すことを前記刺激回路にさらに行わせる、請求項35に記載の埋め込み可能システム。
【請求項41】
前記第3の刺激パラメータの組は、0.01~1.0ミリ秒のパルス幅を伴って、10~48Hzの周波数において、0.1~2mAの範囲内の電流振幅を印加する、請求項40に記載の埋め込み可能システム。
【請求項42】
前立腺摘除術に続く陰茎線維症を減らす方法であって、前記方法は、
前立腺摘除術手技中、電極のアレイを有する可撓性パドルを患者の骨盤神経叢に隣接して埋め込むことと、
前記前立腺摘除術手技中または前記前立腺摘除術手技後、電極のアレイに、刺激回路とマイクロプロセッサとメモリとを含むプログラマブルコントローラを結合することであって、前記マイクロプロセッサは、前記メモリに記憶されたプログラムされた命令を実行するように構成され、前記命令は、電極のアレイ内の励起電極の組を選択的に活性化することを前記刺激回路に行わせる、ことと、
少なくとも1日1回、前記前立腺摘除術手技に続く療養期間中、前記プログラムされた命令を実行することと
を含み、
前記命令は、前記刺激回路の活性化を引き起こし、前記患者の骨盤神経叢の1つ以上の神経を刺激し、少なくとも部分的陰茎腫脹を誘発し、それによって、陰茎線維症のリスクを減らす、方法。
【請求項43】
前記プログラムされた命令を実行することをさらに含み、前記命令は、一連の刺激パラメータを用いて励起電極の組を励起し、陰茎腫脹を誘発するための刺激パラメータの最適組を識別することを前記刺激回路にさらに行わせる、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記刺激パラメータの最適組を記憶することをさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記マイクロプロセッサに結合されたセンサを提供することであって、前記センサは、陰茎腫脹の程度を監視するように構成されている、ことと、
前記刺激パラメータの最適組として、陰茎腫脹の最も大きい程度を発生させる前記刺激パラメータの組を記憶することと
をさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記刺激パラメータの最適組を識別することは、外部患者コントローラまたは外部医師コントローラによって提供される入力を受け入れることを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記刺激回路は、0.1~1.0ミリ秒のパルス幅を伴って、10~48Hzの周波数において、0.5~25mAの範囲内の電流振幅を印加する、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
尿失禁を治療するための埋め込み可能システムであって、前記システムは、
第1の側に配置された電極のアレイを有する可撓性パドルであって、前記可撓性パドルは、前記患者の骨盤神経叢に隣接して配置されるように構成されている、可撓性パドルと、
刺激回路とマイクロプロセッサとメモリとを備えているプログラマブルコントローラと
を備え、
前記刺激回路は、前記アレイに動作可能に結合され、前記マイクロプロセッサは、前記メモリに記憶されたプログラムされた命令を実行するように構成され、前記命令は、電極のアレイの少なくとも1つの電極対を活性化し、前記膀胱括約筋の制御に関連付けられた少なくとも1つの神経を刺激し、前記少なくとも1つの神経の機能回復を促進することを前記刺激回路に行わせ、
前記プログラムされた命令は、少なくとも1日1回、前記刺激回路の活性化を引き起こす、埋め込み可能システム。
【請求項49】
前記刺激回路は、0.1~2mAの範囲内の電流振幅、10~48Hzの範囲内の周波数、および0.01~1ミリ秒の範囲内のパルス幅を印加する、請求項48に記載の埋め込み可能システム。
【請求項50】
前記可撓性パドルは、腹腔鏡下外科手術を介して前記骨盤神経叢に埋め込まれるように構成されている、請求項48に記載の埋め込み可能システム。
【請求項51】
前記可撓性パドルは、半球形状を有し、電極のアレイは、少なくとも2つの電極行と少なくとも2つの電極列とを備えている、請求項48に記載の埋め込み可能システム。
【請求項52】
前記プログラムされた命令は、少なくとも1日1時間にわたって、前記刺激の活性化を引き起こす、請求項48に記載の埋め込み可能システム。
【請求項53】
前記膀胱括約筋の制御に関連付けられた前記少なくとも1つの神経は、陰部神経、下腹交感神経、または骨盤副交感神経である、請求項48に記載の埋め込み可能システム。
【請求項54】
前記プログラムされた命令は、電極のアレイの少なくとも1つの電極対を活性化し、陰部神経を刺激し、前記陰部神経の機能回復を促進することを前記刺激回路にさらに行わせる、請求項48に記載の埋め込み可能システム。
【請求項55】
前記可撓性パドルはさらに、前記第1の側と反対側の第2の側に配置された電極の第2のアレイを備えている、請求項54に記載の埋め込み可能システム。
【請求項56】
前記プログラムされた命令は、前記電極の第2のアレイの少なくとも1つの電極対を活性化し、陰部神経を刺激し、前記陰部神経の機能回復を促進することを前記刺激回路にさらに行わせる、請求項55に記載の埋め込み可能システム。
【請求項57】
前記プログラムされた命令は、前記電極の第2のアレイの少なくとも1つの電極対を活性化し、下腹交感神経を刺激し、前記下腹交感神経の機能回復を促進することを前記刺激回路にさらに行わせる、請求項56に記載の埋め込み可能システム。
【請求項58】
尿失禁を治療する方法であって、前記方法は、
可撓性パドルを骨盤神経叢に隣接する位置に埋め込むことであって、前記可撓性パドルは、第1の側に配置された電極のアレイを有する、ことと、
前記電極のアレイに、刺激回路とマイクロプロセッサとメモリとを含むプログラマブルコントローラを結合することであって、前記マイクロプロセッサは、前記メモリに記憶されたプログラムされた命令を実行するように構成され、前記命令は、電極のアレイの少なくとも1つの電極対を活性化することを前記刺激回路に行わせる、ことと、
前記プログラムされた命令を実行し、前記刺激回路の活性化を引き起こし、前記膀胱括約筋の制御に関連付けられた少なくとも1つの神経を刺激することと
を含む、方法。
【請求項59】
前記可撓性パドルは、前立腺摘除術中に埋め込まれる、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
少なくとも1日1回、前記プログラムされた命令を実行することをさらに含む、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
少なくとも1日1回、前記プログラムされた命令を実行することは、少なくとも1時間にわたって、前記神経を刺激することを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記刺激回路は、0.1~2mAの範囲内の電流振幅、10~48Hzの範囲内の周波数、および0.01~1ミリ秒の範囲内のパルス幅を印加する、請求項58に記載の方法。
【請求項63】
外部患者コントローラまたは外部医師コントローラを使用して、前記プログラムされた命令を調節することをさらに含む、請求項58に記載の方法。
【請求項64】
前記膀胱括約筋の制御に関連付けられた前記少なくとも1つの神経は、陰部神経、下腹交感神経、または骨盤副交感神経である、請求項58に記載の方法。
【請求項65】
前記プログラムされた命令を実行し、前記刺激回路の活性化を引き起こすことは、前記陰部神経の刺激を引き起こす、請求項58に記載の方法。
【請求項66】
前記可撓性パドルは、前記第1の側と反対側の第2の側に配置された電極の第2のアレイをさらに備えている、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記マイクロプロセッサは、前記メモリに記憶されたプログラムされた命令を実行するようにさらに構成され、前記命令は、前記電極の第2のアレイの少なくとも1つの電極対を活性化することを前記刺激回路に行わせる、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記プログラムされた命令を実行し、前記刺激回路の活性化を引き起こし、下腹交感神経を刺激することをさらに含む、請求項67に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、それらの各々の内容の全体が参照することによって本明細書に組み込まれる2021年10月8日に出願された米国特許出願第17/450,392号、2021年2月11日に出願された米国特許出願第17/174,033号(現米国特許第11,141,590号)、および2021年2月11日に出願された米国特許出願第17/174,021号(現米国特許第11,141,589号)の優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、勃起性機能不全、前立腺摘除術外科手術に続く勃起性機能不全、および脊髄傷害に関連付けられた勃起性機能不全等の性障害を治療および防止するための改良された埋め込み可能電気刺激システムおよび方法に関する。本発明のシステムは、海綿神経を機能回復させるために、陰茎線維症を減らすために、または尿失禁を治療するためにも使用され得る。
【背景技術】
【0003】
性障害(例えば、性機能不全、性異常)は、勃起、物理的快楽、欲求、選好、興奮、または絶頂感を含む正常性活動の任意の段階中に個人の男性または女性またはカップルによって体験される合併症である。性機能不全は、概して、個人の生活の質に顕著な影響を及ぼす。最も広く認められている性障害は、勃起性機能不全(ED)および女性における性的興奮障害(FSAD)である。
【0004】
陰茎勃起は、協調された神経心血管応答である。Dean RC and Lue TF,Physiology of penile erection and pathophysiology of erectile dysfunction,Urol Clin North Am. 2005 Nov;32(4):379-95を参照されたい。萎んだ状態で、陰茎平滑筋は、緊張性に収縮され、栄養目的のために少量の血流のみを可能にする。陰茎勃起は、性刺激が、神経伝達物質(主に、一酸化窒素)の海綿神経終末からの解放を発動するときに生じる。神経伝達物質は、海綿細動脈および洞内の平滑筋細胞の弛緩を引き起こし、増やされた血流を陰茎の中にもたらす。これは、海綿洞に血液で充填させ、白膜に対して拡張させ、部分的に静脈流出口を閉塞させ、したがって、勃起をもたらす。
【0005】
EDは、多様化された病因を伴う複数原因の疾患であり、心因性、血管性、ホルモン性、または神経性であり得る。しかしながら、研究は、神経性および血管性原因が最も広く認められていることを示す。一般に、EDに関与する主な機構は、ニューロン応答における機能停止(例えば、前立腺摘除術、嚢胞摘除術、腹会陰切除、脊髄傷害、または糖尿病)または海綿体および陰茎動脈内の平滑筋の緊張および/または収縮の増加(例えば、高血圧症、アテローム性動脈硬化症、および糖尿病)である。Sadeghi-Nejad H.,Penileprosthesis surgery:a review o fprosthetic devices and associated complications,Sex Med. 2007 Mar;4(2):296-309を参照されたい。
【0006】
前立腺摘除術は、深刻なEDを引き起こすことが知られている。概して、前立腺癌の治療のためのこの不可欠な外科手術手技は、多くの場合、勃起性機能のための神経経路の不可避な途絶に起因して、EDにつながる。これらの内膜神経は、前立腺の周囲に位置し、外科手術中、損傷され得る。現在、外科医は、神経温存外科手術を実施することを試みている。しかしながら、実際のシナリオでは、驚くべきことに、前立腺摘除術を受ける患者の70%が、EDを発症するであろう。Penson DF,McLerran D,Feng Z,Li L,Albertsen PC,Gilliland FD,Hamilton A,Hoffman RM,Stephenson RA,Potosky AL,Stanford JL.,5-year urinary and sexual outcomes after radical prostatectomy:results from the Prostate Cancer Outcomes Study,J Urol. 2008 May;179(5 Suppl):S40-4を参照されたい。
【0007】
薬理学的治療が、EDのために現在利用可能である。これらの薬物(例えば、シルデナフィル、Viagra(登録商標)、タダラフィル、Cialis(登録商標)またはバルデナフィル、Levitra(登録商標))は、ED患者の大部分にとって効率的である。しかしながら、それらは、前立腺摘除術またはニューロン応答における機能停止に関連付けられたその他の原因から生じるEDに関して、低有効性を示す。そのような薬物は、酵素ホスホジエステラーゼタイプ5(PDE-5)を阻害することによる神経伝達物質である一酸化窒素の作用を増強することによって、作用する。Rotella DP.,Phosphodiesterase 5 inhibitors:current status and potential applications,Nat Rev Drug Discov. 2002 Sep;1(9):674-82を参照されたい。PDE-5は、NO刺激によって発生させられた細胞内の第2のメッセンジャであるcGMPを破壊することに関与する酵素である。cGMPは、いくつかのタンパク質依存キナーゼの調整に関わり、それは、平滑筋細胞を弛緩させ、勃起を促進する。したがって、勃起性神経応答の途絶を伴う患者は、そのような投薬療法物に良好に応答しない。これらの患者のための1つの代替は、血管拡張剤の陰茎内注射であり、それは、神経経路から独立して、直接、勃起を生じさせる。Leungwattanakij S,Flynn V Jr,Hellstrom WJ,Intracavernosal injection and intraurethral therapy for erectile dysfunction,Urol Clin North Am. 2001 May;28(2):343-54およびHarding LM,Adeniyi A,Everson R,Barker S,Ralph DJ,Baranowski AP,Comparison of a needle-free high-pressure injection system with needle- tipped injection of intracavernosal alprostadil for erectile dysfunction,Int J Impot Res. 2002 Dec;14(6):498-501を参照されたい。アルプロスタジル(プロスタグランジンE1、PGE1)は、EDのために使用される最も一般的血管拡張剤である。Harding and Eardley I,Donatucci C,Corbin J,El-Meliegy A,Hatzimouratidis K,McVary K,Munarriz R,Lee SW,Pharmacotherapy for erectile dysfunction,J Sex Med. 2010 Jan;7(1 Pt 2):524-40を参照されたい。血管拡張剤は、針を用いて、海綿体の中に注入され得、患者の80%超に効果的である。Hardingを参照されたい。陰茎内注射の一般的副作用は、陰茎疼痛、出血、血腫、持続勃起症、および陰茎線維症であり、それらは、恒久的EDにつながり得る。Leungwattanakijを参照されたい。
【0008】
これらの患者のための別のオプションは、陰茎インプラントであり、それは、陰茎の勃起室内に外科的に埋め込まれた一対の可鍛性または膨張可能ロッドから成る。Sadeghi-Nejadを参照されたい。異なるタイプの陰茎人工補綴物(剛体、半剛体、または膨張可能)が存在し、それらの人工補綴物の全ては、通常、術中および術後合併症のリスクを伴う不可逆的かつ破壊的外科手術を要求する。そのような人工補綴物は、高頻度において、外科手術の修正手術を要求する。それにもかかわらず、人工補綴物埋め込みは、より良好な治療オプションの欠如に起因して、一般的手技である。したがって、無痛、安全、より容易、非外傷性、かつより効果的代替を提供する前立腺摘除術後ED等の神経経路の機能停止から生じるEDの治療のためのより良好な療法方略の明確な必要性がある。
【0009】
多数の研究は、海綿神経刺激が、動物および男性において、勃起を誘発および維持し得ることを示している。Lue TF,Schmidt RA,Tanagho EA,Electrostimulation and penile erection,Urol Int. 1985;40(1):60-4、Shafik A,Shafik AA,Shafik IA,El Sibai 0.,Percutaneous perinea! electrostimulation induces erection:clinical significance in patients with spinal cord injury and erectile dysfunction,J Spinal Cord Med. 2008;31(1):40-3、および Shafik A,el-Sibai 0,Shafik AA,Magnetic stimulation of the cavernous nerve for the treatment of erectile dysfunction in humans,Int J Impot Res. 2000 Jun;12(3):137-41を参照されたい。以降、勃起性応答のための電気神経刺激は、前立腺摘除術を受ける患者のためのオプションと見なされている。しかしながら、そのような技術の開発のための障壁は、ヒト海綿神経の複雑な生体構造である。Klotz L.,Intraoperative cavernous nerve stimulation during nerve sparing radical prostatectomy:how and when? Curr Opin Urol. 2000 May;10(3):239-43およびPonnusamy K,Sorger JM,Mohr C.,Nerve mapping for prostatectomies:novel technologies under development,J Endourol. 2012 Jul;26(7):769-77を参照されたい。電気神経刺激のための最適部位を位置特定することは、ヒト海綿神経が、骨盤神経叢から陰茎まで複雑な吻合部を通して進行するので、困難である。さらに、海綿神経の場所に、かなりの解剖学的変動性が存在する。骨盤神経叢は、微視的神経を伴う透明なベールであり、海綿神経は、全ての人に均一に配置されているわけではない。さらに、各患者の生体構造、疾患病期、および癌場所は、独特である。集合的に、これらの障壁は、選択的刺激のための海綿神経セグメントの識別を極度に困難にする。
【0010】
いくつかのこれまでに知られているシステムでは、海綿神経の位置特定および識別が、埋め込み外科手術中に行われる。例えば、Lueの米国特許第4,585,005号(特許文献1)は、海綿神経の事前の識別および単離を要求する。Spinelliの米国特許第7,328,068号は、最適刺激を達成するために、インプラントの精密な位置付けを要求する陰茎神経経路の刺激のための方法を説明する。Spinelliでは、神経生理学的監視査定が、埋め込み前に最適刺激部位を位置特定する方法として使用され得る。Bovejaの米国特許第7,330,762号は、渦巻電極、カフ電極、ステロイド溶出電極、巻着電極、およびヒドロゲル電極等の異なるタイプの電極を含む海綿神経の電気神経刺激のためのシステムを開示する。再び、Bovejaシステムは、埋め込み前の刺激のための最適部位の識別を要求する。Whitehurstの米国特許第7,865,243号は、海綿神経の刺激のためのシステムおよび方法を説明する。しかしながら、刺激されるべき陰部神経および/または他の神経の針路の解剖学的識別は、埋め込み前に位置特定されなければならない。
【0011】
最近、重要な成果が、埋め込み後に海綿神経の位置特定および識別を可能にするEDの治療のための実践的神経電気刺激システムを達成することにおいて得られている。例えば、本願の本発明者らによって発明された、Fraga da Silva et al.の米国特許第9,821,163号(特許文献2)および第10,300,279号は、神経電気刺激システムを説明し、電極が、埋め込み後に刺激され、性的興奮を達成するために好ましい電極励起構成を実験的に決定する。それらの特許に説明される発明は、EDを治療するための神経電気刺激の使用においてかなりの進歩を表すが、電極励起構成が自動化されたプロセスによって決定され得る興奮を生成するための電極励起構成を確実に決定する方法を提供することが望ましいであろう。
【0012】
両側神経温存根治的前立腺摘除術後、一部の患者、特に設計、EDの既往歴または関連付けられたリスク因子を伴わないより若年の患者は、勃起性機能不全から回復し得る。しかしながら、個人が、勃起性機能を取り戻す場合でも、それは、典型的に、長期間にわたり、それは、数年に及び得る。回復期間中、恒久的陰茎内損傷が、生じ、一部は、恒久的EDにつながり得る。
【0013】
前立腺摘除術後ED病態生理学の理解における最近の進歩が、この病状の管理に関する議論を刺激し、前立腺摘除術後、陰茎機能回復の概念の出現につながっている。例えば、Wang,R.,Penile rehabilitation after radical prostatectomy:where do we stand and where are we going?,J Sex Med,2007,4(4 Pt 2):1085-97、Segal,R.L. et al.,Current penile-rehabilitation strategies:Clinical evidence,Arab J Urol,2013. 11(3):230-6、Gandaglia,G.,et al.,Penile rehabilitation after radical prostatectomy:does it work?,Transl Androl Urol,2015,4(2):110-23、Clavell-Hernandez,J. et al,Penile rehabilitation following prostate cancer treatment:review of current literature,Asian J Androl,2015. 17(6):916-22を参照されたい。そのような治療に関する合理性は、勃起を達成することの長期不能性が、体内線維症、陰茎構造の劣化、およびEDの進行性悪化につながり、EDの恒久的状態につながることを認識する。
【0014】
前述の参考文献に議論されるように、陰茎勃起の規則的サイクルは、健康な男性における組織酸素化および陰茎機能の維持にとって不可欠である。実際、睡眠中の生理学的夜間陰茎腫脹および自発的勃起は、器官酸素化および機能の維持において重要な役割を果たす。対照的に、勃起を達成することの長期不能性は、Gandaglia;Muller,A.,et al.,The effect of hyperbaric oxygen therapy on erectile function recovery in a rat cavernous nerve injury model,J Sex Med,2008. 5(3):p.562-70に説明されるように、慢性陰茎低酸素症および結果として生じる線維形成誘導性サイトカイン生産につながる。この好ましくない局所陰茎内環境は、アポトーシスおよび増やされたコラーゲン生産をもたらし、海綿構造を改変し得る。例えば、Gandaglia;Moreland,R.B.,Is there a role of hypoxemia in penile fibrosis:a viewpoint presented to the Society for the Study of Impotence,Int J Impot Res,1998. 10(2):p.113-20を参照されたい。
【0015】
上記の参考文献にさらに議論されるように、陰茎機能回復は、天然勃起性機能を達成するための能力が復元されるまで、陰茎血流を増加させ、体内酸素化を改善し、線維症を回避または減らす目標を伴って、前立腺摘除術時または後における任意の医療介入または介入の組み合わせの使用として定義される。陰茎機能回復治療は、好ましくは、神経再生が達成されるまで、適用されるべきであり、それは、前立腺摘除術後、12~18ヶ月、最大で数年もかかり得る。現在、最先端技術は、経口PDE5阻害薬、体内注射療法(例えば、アルプロスタジル)、真空勃起デバイス、またはこれらの治療の組み合わせを要求する。Mulhall,J.P.,et al. ,Standard operating procedure for the preservation of erectile function outcomes after radical prostatectomy,J Sex Med,2013. 10(1):195-203およびFode,M.,et al.,Penile rehabilitation after radical prostatectomy:what the evidence really says,BJU Int,2013. 112(7):p.998-1008 を参照されたい。集合的に、これらのアプローチを使用する臨床試験は、殆どまたは全く改善を報告していない。Clavell-Hern and ez;Fodeを参照されたい。
【0016】
前立腺摘除術後または脊髄傷害後に生じ得る別の合併症は、下部尿路を制御する1つ以上の神経、すなわち、骨盤副交感神経、下腹交感神経、および陰部神経の損傷に起因する尿失禁である。電気刺激が、神経性膀胱機能不全を治療するために使用され得る。以下の技法が、使用されている:経直腸/経膣電気刺激、経表皮的電気神経刺激(TENS)、および仙椎神経神経変調。電気骨盤底刺激(EPFS)は、尿失禁を改善し得る。早期EPFSは、肛門および/または膣電極等の外部刺激デバイスによって実施されていたが、これらのデバイスは、刺激中の疼痛または粘膜への損傷をもたらし得る適用される粘膜へのデバイスからの電気電流の漏出を含む、いくつかの副作用と結び付けられる。
【0017】
前立腺摘除術後尿失禁の一次原因は、括約筋機能不全に起因すると説明されている。現在、骨盤底筋訓練(PFMT)が、根治的前立腺摘除術に続く尿失禁を防止するために最も広く推奨される非侵襲性方法である。それにもかかわらず、随意調節を回復するために数ヶ月かかり得、一部の患者は、機能回復の試みを継続するにもかかわらず、持続的失禁を有し得る。「陰部神経およびその分岐の電気刺激は、尿道および骨盤底横紋筋の直接および反射応答を生じさせることができる」(Yamanishi,T. et al.,Pelvic floor electrical stimulation in the treatment of stress incontinence:an investigational study and a placebo controlled double-blind trial,The Journal of urology vol. 158,6 (1997):2127-31)。研究は、骨盤底の低強度電気刺激が、神経再生を促進し、したがって、根治的前立腺摘除術に続く尿機能を改善することに役立ち得ることを示している。Yamanishi,Tomonori et al.,Randomized,placebo controlled study of electrical stimulation with pelvic floor muscle training for severe urinary incontinence after radical prostatectomy,The Journal of urology vol. 184,5 (2010):2007-12、Mariotti,Gianna et al.,Early recovery of urinary continence after radical prostatectomy using early pelvic floor electrical stimulation and biofeedback associated treatment,The Journal of urology vol. 181,4 (2009):1788-93、Yokoyama,Teruhiko et al.,Comparative study of effects of extracorporeal magnetic innervation versus electrical stimulation for urinary incontinence after radical prostatectomy,Urology vol. 63,2 (2004):264-7を参照されたい。
【0018】
これまでに知られているシステムおよび方法の前述の短所に照らして、埋め込み中および/または埋め込み後、海綿神経の場所を系統的に識別し、活性化の異なるモードのための最適パラメータを決定するために使用され得るシステムおよび方法の必要がある。さらに、前立腺摘除術後、組織酸素化を増加させ、陰茎機能を維持し、それによって、線維症を減らし、海綿神経を再生させるために使用され得るシステムおよび方法の必要がある。さらに、尿失禁等の他の骨盤障害を治療するために使用され得るシステムおよび方法の必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第4,585,005号明細書
【特許文献2】米国特許第9,821,163号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0020】
本開示は、陰茎勃起を自発的に取得することが可能でない患者(例えば、前立腺摘除術後ED等のニューロン応答における機能停止に関連付けられたEDを含む勃起性機能不全(ED))、および女性における性的興奮障害(FSAD)に悩まされる患者においてを含む性障害を治療するための神経電気刺激システムおよび方法を提供し、電極励起構成および刺激パラメータの最適化は、広範な実験的試験を伴わずに達成されることができる。
【0021】
患者における性障害、例えば、EDの治療のための電気刺激システムは、米国特許第9,821,163号および第10,300,279号(その全体が、参照することによって本明細書に組み込まれる)に説明されるように、埋め込み可能刺激ユニットと、外部患者コントローラと、外部医師コントローラとを含み得る。埋め込み可能刺激ユニットは、埋め込み可能パドル上に配置された電極のアレイと、再充電可能であり得る電力供給源とを含む。
【0022】
本発明の原理によると、埋め込み可能刺激ユニットのプログラマブルコントローラは、迅速な勃起性応答を発生させ、埋め込み後の海綿神経伝達を機能回復させ、および/または陰茎線維症を減らすために適用されるべき励起電極のアレイのサブセットおよび刺激パラメータの選択を最適化するためのルーチンで事前にプログラムされる。事前にプログラムされたルーチンは、続いて、組織治癒後にも、埋め込みプロセスに続いて活性化され、励起電極のサブセットの選択を再最適化し、および/または第1の迅速な応答モード、第2の神経機能回復モード、または第3の陰茎機能回復モードのいずれかにおいて採用される刺激パラメータを調節し得る。
【0023】
好ましい実施形態では、埋め込み可能刺激ユニットは、少なくとも1つの海綿神経を選択的に刺激するために、骨盤神経叢に埋め込まれるようにサイズおよび形状を決定される一対の可撓性パドル上に配置された電極のアレイを含む。対のパドルの各々上の電極のアレイは、刺激回路と、不揮発性メモリと、刺激回路および不揮発性メモリに結合されるマイクロプロセッサとを含む、プログラマブルコントローラに結合される。本発明の一側面によると、プログラマブルコントローラは、および少なくとも2つの領域内において、少なくとも2つの方向において、一連の方向性電流流動を伴うパドル上の電極アレイを選択的に走査し、患者の海綿神経を刺激することにおいて使用するための電極選択を最適化する、励起電極ルーチンを起動するように事前にプログラムされる。
【0024】
電極選択構成プロセスの完了時、電極(「励起電極」)のアレイの好ましいサブセットの識別が、定義され、プログラマブルコントローラの不揮発性メモリに記憶される。その後、記憶された電極構成は、性的興奮、例えば、勃起を引き起こすために十分に、骨盤神経叢の1つ以上の神経、例えば、少なくとも1つの海綿神経を刺激するために最適化された刺激パラメータを用いて、採用される。刺激処方計画は、パルス持続時間、周波数、電圧、および電流を含む刺激パラメータから成り得、埋め込み後、外部医師コントローラおよび/または外部患者コントローラによって、調節され得る。
【0025】
好ましい実施形態では、プログラマブルコントローラは、事前にプログラムされた電極構成プロセスを開始し、刺激回路に、電極アレイの第1の一連の電極対を選択的に活性化させ、第1の方向において、それらの間に第1の電流流動を生成させ、海綿神経を刺激させ、第1の勃起性応答を誘い出させる。続いて、電極構成プロセスは、電極アレイの第2の一連の電極対を選択的に活性化し、第2の電流流動をそれらの間に、第1の方向と異なり、それに対して斜めであり得る第2の方向において生成し、海綿神経を刺激し、第2の勃起性応答を誘い出す。第1および第2の勃起性応答は、次いで、例えば、医師によって、比較され、第1および第2の方向性電流流動のどちらがより好ましい勃起性応答を提供するかを選択し、それによって、好ましい電流流動方向を決定し、それは、将来的刺激のために、不揮発性メモリに記憶され得る。プログラムされた命令は、プログラマブルコントローラに関連付けられたセンサシステムによって発生させられた入力に応答して、または外部患者コントローラまたは外部医師コントローラによって提供される入力に応答して、好ましい勃起性応答を識別し得る。
【0026】
次に、プログラマブルコントローラは、刺激回路に、以前に決定された好ましい電流流動方向を使用して、電極アレイのサブセットを選択的に活性化させ、少なくとも第1および第2の領域内において、海綿神経を刺激させる。特に設計、第1の領域内の電極アレイの第1のサブセットは、第1の局部的応答を発生させるために刺激され、第1の領域と異なる第2の領域内の電極アレイの第2のサブセットは、第2の局部的応答を発生させるために刺激される。第1および第2の局部的応答は、比較され、どちらの応答がより好ましいかを決定し、電極のそれらの対応する領域は、好ましい励起領域として選択され、将来的刺激のために、不揮発性メモリに記憶される。
【0027】
次いで、プログラマブルコントローラは、刺激回路に、順次、以前に決定された好ましい電流流動方向を使用して、好ましい励起領域内で電極のサブセットを活性化させ、一連の勃起性応答を誘い出させる。一連の勃起性応答は、比較され、どちらの応答がより好ましいかを決定し、電極のそれらの対応するサブセットは、好ましい励起電極として選択され、将来的刺激のために、不揮発性メモリに記憶される。
【0028】
方向性電流流動を伴う好ましい励起電極を含む好ましい励起領域が、決定されると、プログラマブルコントローラは、刺激回路を選択的に活性化し、印加される電気刺激が迅速な勃起性応答を誘発する少なくとも第1の刺激モードを定義する。特に設計、プログラマブルコントローラは、刺激回路に、順次、異なる刺激パラメータを採用する第1および第2の刺激処方計画を適用させ、それによって、第1および第2の刺激応答を誘発する。患者の医師または患者は、次いで、第1の応答と第2の応答を比較し、どちらの刺激処方計画がより強いおよび/またはより迅速な勃起性応答を生じさせるかを決定し、その刺激処方計画を好ましい第1の刺激モードとして選択し、不揮発性メモリ内に記憶する。好ましい実施形態では、本発明のシステムは、患者が、例えば、埋め込み可能刺激ユニットを活性化し、迅速な勃起性応答を誘発するためのボタンを押すことによって、「オンデマンド」モードで作動させ得る外部コントローラを含み得る。
【0029】
本発明の別の側面によると、プログラマブルコントローラは、第1の刺激モードより低い電流強度に対応する第2の神経機能回復刺激モードも決定し得る。例えば、神経機能回復刺激モードは、10~48Hzの周波数において、0.01~1.0ミリ秒のパルス幅を伴って、0.1~2mAの範囲内の電流振幅を印加する刺激パラメータの組を有し得る一方、第1の刺激モードは、10~48Hzの周波数において、0.1~1.0ミリ秒のパルス幅を伴って、印0.5~25mAの範囲内の電流振幅を印加する刺激パラメータの組を有し得る。神経機能回復刺激モードは、少なくとも1つの海綿神経に沿った神経活動の伝達を改善するように設計される。プログラマブルコントローラは、1つ以上の規定された時間において、例えば、患者が覚醒する直前、少なくとも1日1回、神経機能回復刺激パルスシーケンスを自動的に実行するようにプログラムされ得る。
【0030】
本発明の別の側面によると、プログラマブルコントローラは、第2の刺激モードより高い電流強度に対応する第3の陰茎機能回復刺激モードも提供し得る。例えば、陰茎機能回復刺激モードは、10~48Hzの周波数において、0.1~1.0ミリ秒のパルス幅を伴って、0.5~25mAの範囲内の電流振幅を印加する刺激パラメータの組を有し得る。陰茎機能回復モードは、少なくとも部分的陰茎腫脹を誘発し、組織酸素化を増加させ、陰茎線維症のリスクを減らすように設計される。プログラマブルコントローラは、陰茎腫脹の程度を監視するセンサに結合され得、プログラムされた命令は、刺激パラメータの最適組として、陰茎腫脹の最も高い程度を発生させる刺激パラメータの組を記憶し得る。プログラマブルコントローラは、より好ましくは、1つ以上の規定された時間に、例えば、患者が覚醒する直前、少なくとも1日1回、陰茎機能回復刺激パルスシーケンスを自動的に実行するようにプログラムされ得る。前立腺摘除術に続いて、神経機能回復刺激モードおよび陰茎機能回復刺激モードの両方は、自動的かつ別個に、少なくとも1日1回、実行され得る。
【0031】
さらに、本発明の原理によると、プログラマブルコントローラは、埋め込み手技が完了されてから数週間または数ヶ月後、励起電極構成プロセスを再活性化し、随意に、第1、第2、および/または第3の刺激モードを選択するようにプログラムされ得る。このように、好ましい励起電極および/または刺激処方計画の選択は、例えば、組織被包化に対処するために、再最適化され、埋め込み可能刺激ユニットを包囲する組織の治癒応答を考慮し得る。加えて、そのような再最適化プログラミングは、本発明のシステムが、埋め込み後に最初に要求されたものより低い電流強度を用いて迅速な勃起性応答を誘発する等、神経機能回復刺激モードによって達成される神経伝達における改善を捕捉することを可能にし得る。そのような調節は、医師または患者の制御下で行われ得る。代替として、第1、第2、および/または第3の刺激モードの励起電極構成および/または刺激処方計画への調節は、機械学習または他の形態の人工知能のうちの少なくとも1つを使用して行われ得る。
【0032】
外部患者コントローラは、患者入力に応答して、埋め込み可能刺激ユニットを選択的に活性化し、励起電極構成プロセスを作動させ、および/または第1、第2、および/または第3の刺激モードにおいて採用される刺激処方計画を精緻化し、第1の刺激モードをオンデマンドで選択的に作動させ、パラメータ、例えば、機能回復刺激モードのための活性化時間および持続時間を設定するように構成され得る。外部医師コントローラも、励起電極構成プロセスを選択的に活性化し、不揮発性メモリに記憶される電極構成および刺激処方計画を改訂および/または再最適化することを含む類似能力を提供するように構成される。外部医師コントローラは、好ましくは、また、埋め込み可能刺激ユニットに問い合わせを行い、埋め込み可能刺激ユニットのステータスおよび使用に関する他の動作データを回収するための能力を提供する。
【0033】
埋め込み可能刺激ユニットと外部患者コントローラとは、好ましくは、無線で通信する。故に、埋め込み可能刺激ユニットは、第1の送受信機を含み得、外部患者コントローラは、第2の送受信機を含み得る。第1および第2の送受信機は、IEEE802.11またはBluetooth(登録商標)TM通信スキームを採用し得る。第1の送受信機と第2の送受信機との間の無線通信は、暗号化され得る。外部患者コントローラは、埋め込み可能刺激ユニットとの通信のために特に設計され得るか、または、埋め込み可能刺激ユニットと通信するようにプログラムされたスマートフォン、ラップトップ、タブレット、またはスマートウォッチを備え得る。
【0034】
埋め込み可能刺激ユニットと外部医師コントローラとも、好ましくは、無線で通信し、外部医師コントローラは、第3の送受信機を含み得る。第1および第3の送受信機は、IEEE802.11またはBluetooth(登録商標)TM通信スキームを採用し得、第1の送受信機と第3の送受信機との間の無線通信は、暗号化され得る。外部医師コントローラは、埋め込み可能刺激ユニットとの通信のために特に設計され得るか、または、埋め込み可能刺激ユニットと通信するようにプログラムされたスマートフォン、ラップトップ、タブレット、またはデスクトップコンピュータであり得る。
【0035】
電極アレイを有する可撓性パドルは、好ましくは、骨盤神経叢の一部の解剖学的形状に形状適合し、より好ましくは、腹腔鏡下で埋め込まれるようにサイズおよび形状を決定される。一実施形態では、可撓性パドルの各々は、骨盤神経叢の半分に形状適合し、両側刺激を提供する半球形状を有する。各パドルは、個々にアドレス可能な電極の少なくとも2つの行と、2つの列とのアレイを含む。各パドルは、根治的前立腺摘除術に続いて、パドルを骨盤神経叢と接触して保持するように構成される縫合糸孔またはアンカ等の1つ以上の特徴も含み得る。アンカは、例えば、縫合糸または生体適合性糊であり得る。代替として、または加えて、各可撓性パドルは、パドル内および/またはそれを通した結合組織成長を可能にし、パドルを骨盤神経叢に隣接して据え付けるように設計される少なくとも1つの開口部を含み得る。
【0036】
埋め込み可能刺激ユニットを埋め込む方法、埋め込み可能刺激ユニットをプログラムし、好ましい励起電極、電極領域、電流方向、および刺激処方計画を構成し、迅速な勃起性応答を引き起こす、神経伝達を機能回復させる、または陰茎線維症を減らす方法、およびシステムを使用する方法も、本明細書において提供される。埋め込み可能刺激ユニットおよび可撓性パドルは、ロボット誘導外科手術システムを使用した、または腹腔鏡下での埋め込みのためにサイズおよび形状を決定され得る。
【0037】
本発明の別の側面によると、システムは、例えば、下部尿路の1つ以上の神経を電気刺激することによって、尿失禁を治療するために使用され得る。骨盤底の電気刺激は、根治的前立腺摘除術に続いて、神経再生を促進し、したがって、尿機能を改善することに役立ち得る。特に、低強度刺激は、軸索再成長および再接続を促進することによって、神経機能を再確立し得る。
【0038】
プログラマブルコントローラは、刺激回路に、電極のアレイの一対の電極を活性化させ、陰部神経、下腹交感神経、または骨盤副交感神経等の膀胱括約筋の制御に関連付けられた少なくとも1つの神経を刺激させ、神経の機能回復を促進させ得る。膀胱神経機能回復刺激モードは、0.1~2mAの範囲内の電流振幅、10~48Hzの範囲内の周波数、および0.01~1ミリ秒の範囲内のパルス幅を印加する刺激パラメータの組を有し得、前立腺摘除術に続いて、少なくとも1日1時間にわたって、自動的に実行され得る。
【0039】
可撓性パドルは、第1の側と反対側の第2の側に配置された電極の第2のアレイをさらに備え得る。プログラマブルコントローラは、刺激回路に、電極の第2のアレイの一対の電極を活性化させ、膀胱括約筋の制御に関連付けられた少なくとも1つの神経を刺激させ得る。
【0040】
上で説明されるシステムを使用し、尿失禁を治療する方法も、本明細書において提供される。例えば、方法は、第1の側に配置された電極の第1のアレイと、骨盤神経叢に隣接する位置における、第2の側の電極の第2のアレイとを有する可撓性パドルを埋め込むことと、プログラマブルコントローラを電極のアレイに結合することと、メモリに記憶される刺激回路に、第1および/または電極の第2のアレイ上の一対の電極を活性化させ、膀胱括約筋の制御に関連付けられた少なくとも1つの神経を刺激させるようにプログラムされた命令を実行することとを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本開示のこれらおよび他の特徴、側面、および利点は、以下の説明、添付の請求項、および下記に簡潔に説明される図面に示される付随の例示的実施形態から明白となるであろう。
【0042】
図1図1は、本開示の原理に従って構築される例示的電気刺激システムの略図である。
【0043】
図2図2Aおよび2Bは、それぞれ、本発明との使用のために好適である例示的可撓性パドルの平面図と、患者の骨盤神経叢に対して位置付けるために配置される2つのパドルの遠位端の平面図とである。
【0044】
図3図3は、本発明のシステムとの使用のために好適な可撓性パドルの代替実施形態の平面図である。
【0045】
図4-1】図4Aおよび4Bは、それぞれ、図2および3の可撓性パドルにおいて使用するための異なる電極形状の側面断面および斜視線図である一方、図4C-4Eは、図4Aおよび4Bに描写される種々の電極形状にわたる電荷分布を描写する。
図4-2】図4Aおよび4Bは、それぞれ、図2および3の可撓性パドルにおいて使用するための異なる電極形状の側面断面および斜視線図である一方、図4C-4Eは、図4Aおよび4Bに描写される種々の電極形状にわたる電荷分布を描写する。
【0046】
図5図5は、図1の刺激システムの埋め込み可能刺激ユニットの例示的プログラマブルコントローラの一般化されたブロック図を描写する。
【0047】
図6図6は、図1の刺激システムの例示的外部患者コントローラの一般化されたブロック図を描写する。
【0048】
図7図7は、図1の刺激システムの外部医師コントローラ上で起動するように構成される例示的ソフトウェアベースのプログラミングシステムの機能コンポーネントのブロック図である。
【0049】
図8図8Aおよび8Bは、それぞれ、患者の前立腺および骨盤神経叢上に位置付けられる、図2の可撓性パドルの設置を示す挿入詳細図を伴う斜視図である。
【0050】
図9図9Aおよび9Bは、それぞれ、患者の尿道に対する本発明の可撓性パドルの代替設置を示す、平面図である。
【0051】
図10図10A-10Cは、図2Aの可撓性パドル上に配置される隣接する電極対間の種々の方向性電流流動を描写する。
【0052】
図11図11A-11Cは、図2Aの可撓性パドルの電極アレイ内の例証的領域を描写する。
【0053】
図12図12A-12Cは、本発明による種々の電極領域内の好ましい電極対の選択を描写する。
【0054】
図13図13は、性的興奮を取得するための電気神経刺激において使用するための好ましい励起電極および領域を定義する例示的方法を描写する。
【0055】
図14図14は、本発明の原理による順次、隣接する電極対を術中に走査する方法を描写する。
【0056】
図15図15は、本発明の原理による最適性的興奮を引き起こすための刺激のための電極のアレイのサブセットを構成するための例示的方法のステップを図示するフローチャートである。
【0057】
図16図16は、本開示の原理による可撓性パドルを埋め込むための最適位置を決定するための例示的方法のステップを図示するフローチャートである。
【0058】
図17図17は、勃起を引き起こすための最適刺激処方計画、少なくとも1つの海綿神経の機能回復のための刺激処方計画、および/または陰茎線維症を減らすための陰茎機能回復のための刺激処方計画を決定するための例示的方法のステップを図示する、フローチャートである。
【0059】
図18図18は、埋め込み後のある時間間隔後の機能回復のための最適モードを調節するための例示的方法のステップを図示するフローチャートである。
【0060】
図19図19は、男性の骨盤領域における局所生体構造の略図である。
【0061】
図20-1】図20Aおよび20Bは、例示的可撓性パドルの断面側面図である。
【0062】
図20-2】図20Cおよび20Dは、それぞれ、患者の骨盤神経叢上に位置付けられる、図20Aおよび20Bの可撓性パドルの設置を示す挿入詳細図を伴う斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
本明細書に説明されるシステムおよび方法は、ニューロン応答における機能停止に関連付けられたED(例えば、前立腺摘除術、嚢胞摘除術、腹会陰切除、脊髄傷害、および/または糖尿病から生じる)、および海綿体および陰茎動脈内の平滑筋の緊張および/または収縮性の増加に関連付けられたED(例えば、高血圧症、アテローム性動脈硬化症、および/または糖尿病から生じる)を含む勃起性機能不全(ED)、および女性における性的興奮障害(FSAD)等の性障害のみならず、尿失禁等の骨盤障害を治療するために使用され得る。
【0064】
本明細書に説明されるシステムおよび方法は、例えば、海綿神経の最末端を電気刺激することによって、除神経された陰茎の機能を復元することが予期される。勃起性応答を誘発するニューロン経路は、骨盤内臓神経叢から生じる副交感入力である。骨盤内臓神経叢は、下下腹神経叢と交絡し、骨盤内の神経の網を形成する、第2、第3、および第4の仙椎神経からの枝から成る。海綿神経は、骨盤内臓神経から派生され、前立腺の周囲にほぼ位置する前立腺神経叢を介して、それに沿って進行し、副交感線維を陰茎の陰核海綿体および尿道海綿体に供給する。したがって、電気神経刺激のための最適部位を位置特定することは、ヒト海綿神経が骨盤神経叢から陰茎まで複雑な吻合部を通して進行するので、困難である。さらに、海綿神経の場所に、かなりの解剖学的変動性が存在する。各患者の生体構造、疾患病期、および/または癌場所は、独特である。骨盤神経叢は、微視的神経を伴う透明なベールであり、海綿神経は、全ての人において均一な位置特定に従うわけではない。したがって、これらの障壁は、選択的刺激のための海綿神経セグメントの識別を極度に困難にする。これらの障壁を克服するためのシステムおよび方法が、本明細書において提供される。
【0065】
図1を参照すると、本開示の原理に従って構築された例示的電気刺激システムの概要が、提供される。図1では、システムのコンポーネントは、相対的または絶対的ベースのいずれにおいても正確な縮尺で描写されない。電気刺激システム100は、プログラマブルコントローラ300を有する埋め込み可能刺激ユニット200と、外部患者コントローラ400と、外部医師コントローラ500と、外部充電器600とを含み得る。
【0066】
ここでまた図2Aおよび2Bを参照すると、埋め込み可能刺激ユニット200は、少なくとも1つの可撓性パドル(例証として、第1の可撓性パドル202aおよび第2の可撓性パドル202b:パドルの各々は、電極204のアレイと縫合糸孔206とを備えている)、ケーブル208、およびプログラマブルコントローラ300を含む。各電極204は、組織を刺激するための電気エネルギーを放出するように個々に選択され得る。好ましくは、電極204は、埋め込み可能刺激ユニット200のプログラマブルコントローラによって1つ以上の対で選択されることによって、ユーザまたは医師によって(例えば、外部患者コントローラ400または医師コントローラ500を使用して)活性化されると、勃起性組織の刺激を引き起こす。
電極204は、均一に配置され得、および/または、異なる空間構成に配置され得る。例えば、電極204は、約0.05mm~約5.0mm、より好ましくは、約0.5mm~約1.5mm間隔を置かれ得る。例証として、電極204は、複数の行および複数の列に配置され、電極204の数は、必要に応じて、約10~50超の電極まで変動し得る。電極204は、電流が1つの電極から別の電極に通過し、それらの間に配置された神経または神経群を刺激するように、双極刺激を印加し得る。電極204のアレイは、線維被包化の形成につながり得る有害な組織反応を減らすように設計される組織に優しい形状を有し得る。例えば、電極204は、凸面、球状、または平坦形状の部分が、可撓性基板上に露出され、組織を損傷または炎症させ得る鋭い表面を回避するように、サイズおよび形状を決定され得る。電極204は、神経の電気刺激のために好適な白金、金、または他の伝導性埋め込み可能材料から作製され得る。
【0067】
可撓性パドル202は、好ましくは、患者の骨盤神経叢の少なくとも一部に隣接するようにサイズおよび形状を決定される。図2Aおよび2Bに示されるように、第1の可撓性基板202aは、骨盤神経叢の第1の半分に形状適合するように構成され、第2の可撓性パドル202bは、骨盤神経叢の第2の半分に形状適合するように構成される。可撓性パドルは、骨盤神経叢に形状適合する弧形状を形成するために曲がり得、骨盤神経叢の上に埋め込まれ得る(例えば、前立腺摘除術外科手術中)。好ましくは、可撓性パドル202は、電極204が海綿神経と最適に接触するように、骨盤神経叢の一部の解剖学的形状に形状適合し、骨盤神経叢のエリアの一部または全体を覆い得る。可撓性パドルは、シリコーンまたは他の可撓性の電気的に非伝導性の材料の構造マトリクスを備え得、該構造マトリクスは、局所生体構造への適合および成型を可能にし、設置を最適化し、組織反応を最小化する。可撓性パドルは、好適な形状(例えば、半球、長方形、正方形、長円形、楕円形、または台形)において設計され、各患者の生体構造および必要性により良好に適合するように寸法を決定された平坦な構造を有し得る。
【0068】
再び図1を参照すると、埋め込み可能刺激ユニット200は、第1の可撓性パドル202a上に配置された電極204の第1のアレイと、第2の可撓性パドル202b上に配置された電極204の第2のアレイとを含む。プログラマブルコントローラ300は、好ましくは、刺激回路を活性化し、第1の可撓性パドル202a上に配置された1つ以上の電極204と第2の可撓性パドル202b上に配置された1つ以上の電極204とに、患者の勃起性に対する両側電気刺激を同時に印加させるようにプログラムされる。
【0069】
埋め込み可能刺激ユニット200は、可撓性パドルを骨盤神経叢と接触して維持するために、好ましくは、個々に可撓性パドルに結合された少なくとも1つのアンカを含み得る。アンカは、縫合糸、生体適合性マトリクス、生体適合性糊、またはそれらのある組み合わせから成り得る。1つの好ましい実施形態では、各可撓性パドルは、1つ以上の縫合糸孔206を含み、それを通して縫合糸は、可撓性パドルを骨盤神経叢に据え付け得る。埋め込み可能刺激ユニット200は、長期埋め込みのために好適な1つ以上の生体適合性材料(例えば、チタンケージ、シリコーンケージ)内に被包され得る。一実施形態では、可撓性パドル202は、電極204間またはパドルの具体的領域内に配置された1つ以上の空洞を含み、パドル内および/またはそれを通した結合組織成長を可能にし、骨盤空洞内への据え付けおよび固定を高め得る。
【0070】
ケーブル208が、可撓性パドル202aおよび202bの電極204をプログラマブルコントローラ300に電気的に結合する。ケーブル208は、各電極204のための独立ワイヤを有する絶縁された多導体ケーブルであり得る。ケーブル208は、図示されるように、複数の枝を含み、可撓性パドルとの接続を可能にし得る。一実施形態では、2つ以上のケーブル208は、第1の可撓性パドル202aおよび第2の可撓性パドル202bの電極204のアレイの各々に結合され得る。
【0071】
プログラマブルコントローラ300は、臍線と腸骨稜線との間の下側側腹内に埋め込まれ、回路網を含み得、回路網は、刺激ルーチンを記憶することと、刺激回路に、刺激処方計画によって定義されたパラメータで電気刺激を電極204の選択されたサブセットに供給させることとを行うように構成される。そのような刺激処方計画において採用されるパラメータは、パルス持続時間、交流の周波数、電圧、電流、および刺激の期間を含み得る。
【0072】
プログラマブルコントローラ300は、外部患者コントローラ400によって制御され得、随意に、外部患者コントローラ400によって給電され得る。外部患者コントローラ400は、好ましくは、ユーザインターフェース402を含み、ユーザインターフェース402は、ユーザ、例えば、患者、医師、介護者が刺激セッションを開始することおよび停止することを含むプログラマブルコントローラ300の限定された数の動作パラメータを調節することを可能にする。プログラマブルコントローラ300は、それぞれの通信ユニットを介して外部患者コントローラ400と通信し、通信ユニットの各々は、患者の皮膚を横断して双方向様式において情報を通信すること、随意に、電力をプログラマブルコントローラ300に伝送することを行うための誘導コイルおよび/またはRF送受信機を含み得る。例えば、外部患者コントローラ400は、ユーザインターフェース402において受信されたユーザ入力に応答して、プログラマブルコントローラ300および外部患者コントローラ400内のそれぞれのテレメトリ(またはRF)システムを介して、プログラマブルコントローラ300を選択的に活性化し得る。
【0073】
好ましい実施形態では、限定された数の刺激パラメータが、非医師ユーザによって行われる調節不良によって引き起こされる傷害の機会を減少させるために、ユーザインターフェース402において調節され得る。代替実施形態では、外部患者コントローラ400も、ユーザインターフェース402において受信されるユーザ入力に応答して、刺激パラメータ、例えば、刺激を印加するために使用される電極、パルス持続時間、交流の周波数、電圧、電流、および刺激の期間に対する調節をプログラマブルコントローラ300に送信し得る。一実施形態では、外部患者コントローラ400は、本明細書の下記に説明されるように、プログラマブルコントローラ300内に記憶される事前にプログラムされたルーチンを活性化し、最適化された励起電極の組を識別し、それらの電極の識別を不揮発性メモリ内に記憶し得る。
【0074】
外部患者コントローラ400は、埋め込み可能刺激ユニット200およびプログラマブルコントローラ300との使用のために特に設計され得る。代替として、外部患者コントローラ400は、アプリストアからダウンロードされたアプリケーションまたは「アプリ」を介して、埋め込み可能刺激ユニット200と通信するようにプログラムされたスマートフォン、ラップトップ、タブレット、スマートウォッチ等であり得る。いずれの場合も、外部患者コントローラ400は、埋め込み可能刺激ユニット200および/または外部医師コントローラ500とインターフェースをとるようにプログラムされ、それらのデバイスとの通信のために、セルラー、802.11Wifi、Zigbee(登録商標)、および/またはBLUETOOTH(登録商標)TMチップセットを使用し得る。具体的に、外部患者コントローラは、患者入力に応答して、プログラマブルコントローラ300を選択的に活性化するようにプログラムされ得る。
【0075】
外部医師コントローラ500は、直接、または外部患者コントローラ400を介してのいずれかにおいて、プログラマブルコントローラ300と通信するようにプログラムされる。図1に示されるように、外部医師コントローラ500は、例証として、命令でプログラムされた非一過性コンピュータ読み取り可能な媒体を有するコンピュータであり得、命令は、コンピュータ上で起動されると、コンピュータにプログラミングをプログラマブルコントローラ300に提供させる。外部医師コントローラ500は、外部医師コントローラ500が、精査のために、プログラマブルコントローラ300および/または外部患者コントローラ400上に記憶されたデータをダウンロードし得るように、プログラマブルコントローラ300および/または外部患者コントローラ400に無線で結合され得る。外部医師コントローラ500は、プログラマブルコントローラ300の中にプログラムされた刺激パラメータを再プログラムするために、プログラミングデータをプログラマブルコントローラ300に転送し得る。例えば、外部医師コントローラ500は、刺激のために使用されるべき電極対、パルス持続時間、交流の周波数、電圧、電流、および刺激の期間等のパラメータをプログラムおよび調節するために使用され得る。外部医師コントローラ500は、医師による後のアクセスのために、プログラマブルコントローラ300から回収されるデータを遠隔サーバにアップロードおよび記憶するようにプログラムされ得る。一実施形態では、外部医師コントローラ500は、下記にさらに説明されるように、所望の電極204のサブセットを選択的に活性化し、それらの電極の識別と、性的興奮、または神経または陰茎機能回復を引き起こすために十分な刺激ルーチンとをプログラマブルコントローラ300の不揮発性メモリに記憶させ得る。
【0076】
外部医師コントローラ500は、プログラマブルコントローラ300を選択的に活性化し、不揮発性メモリに記憶される走査プロトコルを実行し得、走査プロトコルは、活性化されると、迅速な勃起性応答を引き起こし、神経機能回復を可能にし、および/または陰茎線維症を減らす好ましい電極対、電流流動方向、および電極領域を決定し、それらの電極の識別をプログラマブルコントローラ300の不揮発性メモリ内に記憶する。より具体的に、走査プロトコルは、本明細書の下記に説明されるように、所定の様式において、アレイの電極204を選択的に活性化し、電流流動の好ましい方向、電流流動の好ましい方向において刺激されるときの電極の好ましい領域、電極の好ましい領域内の好ましい電極対、およびそれらの好ましい電極に適用されるべき好ましい刺激パラメータを決定することによって、刺激回路を介して、プログラマブルコントローラ300のマイクロプロセッサに電気刺激を供給させ得る。走査プロトコルは、活性化の勃起モードに対応する刺激パルスシーケンス;随意に、少なくとも1つの海綿神経の機能回復のための活性化の機能回復モードに対応する神経機能回復刺激パルスシーケンス;および/または、少なくとも部分的陰茎腫脹を誘発し、陰茎線維症を減らすための活性化の機能回復モードに対応する陰茎機能回復刺激パルスシーケンスを決定するために使用され得る。
【0077】
一実施形態では、外部医師コントローラ500は、術(例えば、前立腺摘除術)後期間において、好ましい迅速な勃起性応答をもたらす(または、神経または陰茎機能回復のための)好ましい電極対および好ましい刺激パラメータを決定するために使用され得る。外部医師コントローラ500は、外部患者コントローラ400によってオンデマンドで活性化されると迅速な勃起性応答を誘発する第1の刺激処方計画と、外部患者コントローラ400を介して、または自動的にプログラマブルコントローラ300によって事前に設定された時間において活性化されると、より低い電流強度を提供し、少なくとも1つの海綿神経を介した神経伝達を機能回復させる第2の刺激処方計画とをプログラマブルコントローラ300の不揮発性メモリに記憶させるために使用され得る。刺激処方計画は、ログラマブルコントローラ300のメモリに記憶され、それによって、勃起が、後の時間に、それらのパラメータを使用して達成され得る(例えば、外部患者コントローラ400におけるユーザ入力に応答して)。
【0078】
外部医師コントローラ500は、埋め込み可能刺激ユニット200との使用のために特に設計され得る。代替として、外部医師コントローラ500は、埋め込み可能刺激ユニット200と通信するようにプログラムされたスマートフォン、ラップトップ、タブレット、デスクトップコンピュータ等であり得る。故に、外部医師コントローラ500は、アプリストアからダウンロードされたアプリケーションまたは「アプリ」等のソフトウェアを使用して、埋め込み可能刺激ユニット200および/または外部患者コントローラ400とインターフェースをとり得、それらのデバイスとの通信のために、セルラー、802.11Wifi、Zigbee(登録商標)、および/またはBluetooth(登録商標)TMチップセットを使用し得る。外部医師コントローラ500は、直接、または外部患者コントローラ400を介して、埋め込み可能刺激ユニット200と通信し得る。
【0079】
外部充電器600が、プログラマブルコントローラ300と電気的に通信し、それぞれの誘導コイルを介して、プログラマブルコントローラ300を経表皮的に充電し得る。外部充電器600は、プログラマブルコントローラ300の電力レベルが閾値電力レベルを下回ると、インジケータLED、可聴アラーム、または振動モータを介して、アラートを発生させ得る。
【0080】
ここで図2A、2B、および3を参照すると、埋め込み可能刺激ユニットの例示的パドル設計が、図示される。埋め込み可能刺激ユニット200は、電極204のアレイと縫合糸孔206とを有する少なくとも1つの可撓性パドル202を含み得る。可撓性パドル202は、リード210を有するケーブル208を介して、プログラマブルコントローラ300に動作可能に結合され得る。ケーブル208は、各電極204のための独立ワイヤを有する絶縁された多導体ケーブルであり得る。図2Aは、単一ケーブル208が可撓性パドル202をプログラマブルコントローラ300に結合する、ある実施形態を描写する。代替として、図3に示されるように、2つ以上のケーブル208が、可撓性パドル202をプログラマブルコントローラ300に結合するために提供され得る。図3の実施形態では、ケーブル208のケーブルのうちの1つは、電極204のアレイの第1のサブセット、例えば、6つの電極をプログラマブルコントローラ300に電気的に結合し得、他のケーブル208は、電極204のアレイの第2のサブセット、例えば、残りの6つの電極をプログラマブルコントローラ300に電気的に結合し得る。したがって、プログラマブルコントローラ300は、ケーブル208を受け取るための複数のポートを含み得る。
【0081】
可撓性パドル202は、曲がり得、例えば、弧形状をとり得、骨盤神経叢と接触するように埋め込まれ得る(例えば、前立腺摘除術外科手術中)。好ましくは、可撓性パドル202は、骨盤神経叢の一部の解剖学的形状に形状適合され得る。可撓性パドル202は、少なくとも2つの電極行および少なくとも2つの電極列204を備え得る。図2Bに描写される好ましい実施形態では、電極204のアレイは、12の電極を第1の可撓性パドル202aおよび第2の可撓性パドル202bの各々上に含み得る。可撓性パドル202は、突出する部分203を含む実質的に半球の形状を有し得、それは、ケーブル208から最も遠い可撓性パドルの角から延びている。半球形状は、軟組織を損傷させることを回避し、傷害を最小化し、刺激パルスの電極から神経までの伝達を妨害し得る線維被包化を減らすように選択される。突出する部分203はまた、図8Aおよび8Bに関して下記に説明されるように、可撓性パドルが、その領域の生体構造を収容しながら、海綿神経に隣接して設置されることを可能にする。少なくとも1つの電極204が、パドルの突出する部分203上に配置され得る。
【0082】
依然として、図2Bを参照すると、2パドル実施形態が、説明される。本実施形態では、刺激ユニット200(図1参照)は、各々が電極204のアレイと縫合糸孔206とを有する第1の可撓性パドル202aと第2の可撓性パドル202bとを含む。第1の可撓性パドル202aおよび第2の可撓性パドル202bの各々は、ケーブル208を介して、プログラマブルコントローラ300に結合される。代替として、単一ケーブル208は、パドル202aおよび202bをプログラマブルコントローラ300に結合する枝を含み得る。骨盤神経叢は、概して、2つの神経群を有するので、第1の可撓性パドル202aおよび第2の可撓性パドル202bの各々は、電極204のアレイのうちの少なくとも1つが海綿神経と接触するように、1つの神経群のエリアの一部または全体を覆い得る。例えば、第1の可撓性パドル202aおよび第2の可撓性パドル202bは、図2Bに示されるように、各半球パドルの突出する部分203が互いに面するように、患者内に埋め込まれ得る。突出する部分203は、したがって、図9Aおよび9Bに示され、下記に説明されるように、可撓性パドルが、尿道を包囲して設置されることを可能にし得る。好ましい実施形態では、各可撓性パドル202は、約2mmの厚さ、約32.5mmの長さ、および約18mmの幅を有するが、但し、突出する部分203が、約22mmの幅まで延びている。第1の可撓性パドル202aおよび第2の可撓性パドル202bは、同じまたは異なる寸法を有し得る。2つのパドル間の距離は、埋め込まれると、約0.5mm~約8cmであり得る。
【0083】
ここで図4Aおよび4Bを参照すると、埋め込み可能刺激ユニット200において使用するための例示的電極形状が、説明される。電極204a、204b、および204cの各々は、電極の周囲の線維症形成につながり得る有害な組織反応を減らすように構成される組織に優しい形状を有する。電極204aは、可撓性基板部分212から延びている球状部分を有し、ケーブルのワイヤ214aによって、独立して、プログラマブルコントローラ300の回路網に結合される。電極204bは、可撓性基板部分212の高さの上方に延びている平坦部分を有し、独立して、ケーブルのワイヤ214bによって、プログラマブルコントローラ300の回路網に結合される。電極204cは、平坦であり、可撓性基板部分212の表面と同一平面にあり、ケーブルのワイヤ214cによって、独立して、プログラマブルコントローラ300の回路網に結合される。有利なこととして、電極形状の各々は、組織を損傷または炎症させ得る鋭い表面を有していない。当業者によって理解されるであろうように、電極204のアレイは、これらの電極形状のうちの1つ、2つ、または3つ、または他の好適な組織に優しい形状を使用し得る。
【0084】
ここで図4C-4Eを参照すると、例示的電極形状が、さらに説明され、図4C-4Eは、各電極形状に関する表面電荷密度を描写する。図4Cに示されるように、電極204aの半球形状は、電極の表面にわたる均質電荷分布を可能にし、それによって、周囲組織への損傷を伴わずにエネルギーの電極から海綿神経までの効率的伝達を提供する。対照的に、図4Dおよび4Eに描写されるように、平坦ディスク電極204bおよび204cの電荷の分布は、電極の周界上に電荷の大きい蓄積を示し、それは、エネルギー伝達を妨害し、可能性として、組織損傷に影響し得る。
【0085】
図5に関して、プログラマブルコントローラ300の内部機能コンポーネントの一般化された概略図が、ここで説明される。プログラマブルコントローラ300は、プログラマブルコントローラ300のメモリに記憶される刺激処方計画に従って、好ましい励起電極の刺激を引き起こすようにプログラムされる。プログラマブルコントローラ300は、好ましくは、マイクロプロセッサ302と、不揮発性メモリ304と、通信ユニット306と、システムセンサ308と、電力供給源310と、刺激回路312と、デマルチプレクサ314とを含む。
【0086】
マイクロプロセッサ302は、プログラマブルコントローラ300の機能コンポーネントに電気的に結合され、それらを制御する。マイクロプロセッサ302は、プログラマブルマイクロプロセッサと、揮発性メモリと、プログラミングを記憶するためのEEPROM等の不揮発性メモリ304と、ファームウェアおよびシステム動作パラメータおよび患者データのログを記憶するための不揮発性ストレージ、例えば、フラッシュメモリとを含む市販のマイクロコントローラユニットを備え得る。マイクロプロセッサ302のメモリは、マイクロプロセッサ302によって実行されると、本明細書のそれらに帰する機能性をプログラマブルコントローラ300のプロセッサおよび機能コンポーネントに提供させるプログラム命令を記憶する。マイクロプロセッサ302は、好ましくは、プログラミングデータ(例えば、刺激処方計画、励起電極の識別、刺激パラメータ等)が、マイクロプロセッサ302の不揮発性メモリ304内に記憶され、外部患者コントローラ400および/または外部医師コントローラ500を使用して、調節され得るように、プログラム可能である。
【0087】
マイクロプロセッサ302は、アレイ上の電極204の任意の選定された組み合わせの電気刺激を可能にし、したがって、単純双極構成を提供するようにプログラム可能であり得る。マイクロプロセッサ302は、電極204のアレイの所望のサブセットを選択的に活性化し、有益である刺激を提供する電極のアレイのサブセットおよび1つ以上の刺激処方計画を決定し、マイクロプロセッサ302による後続使用のために、その情報を不揮発性メモリ304内に記憶するためのルーチンでさらにプログラムされ得る。本開示において使用されるように、用語「励起電極」は、好ましい電流流動方向のための好ましい勃起性応答を提供することが決定された電極のサブセットを指す。さらに、本開示において使用されるように、用語「刺激処方計画」は、励起電極に適用されると、好ましい迅速な勃起性応答を誘発すると患者または医師によって判断される刺激パラメータの組、または、少なくとも1つの海綿神経を介した神経伝達を復元または補強するために好ましいと患者または医師によって決定された刺激を提供する刺激パラメータの組を指す。
【0088】
例えば、マイクロプロセッサ302は、電力を放出するデマルチプレクサ314を使用して、刺激回路312を介して励起電極204の組に電気信号を送信するように電力供給源310に指示し得る。マイクロプロセッサ302によって使用される刺激処方計画は、性的興奮、例えば、勃起を引き起こすために、または神経または陰茎機能回復のために十分な電気刺激を、刺激回路312および骨盤神経叢を介して、少なくとも1つの海綿神経に供給する。ルーチンは、自動的に、および/または外部患者コントローラ400および/または外部医師コントローラ500におけるユーザ入力に応答して、識別および記憶された電極のサブセットを活性化し得る。加えて、下記に説明されるように、不揮発性メモリ304は、外部患者コントローラ400または外部医師コントローラ500によって指示され得るように、埋め込み可能刺激ユニット200の埋め込み後の最初と、埋め込み後の後の時間との両方において、好ましい刺激処方計画のための励起電極の組と刺激パラメータとの識別を可能にするために、電極のアレイを走査するために事前にプログラムされたルーチンを記憶する。励起電極の組は、最良の性的興奮、例えば、勃起性応答をもたらし、メモリに記憶される。励起電極の組の識別は、後の刺激のために記憶され、さらに、外部患者コントローラ400および/または外部医師コントローラ500に伝送され得る。
【0089】
刺激パラメータは、性的興奮を提供し、神経再生を促進し、および/または神経再生を改善し、勃起性機能不全および女性における性的興奮障害等の性障害を治療するように選択される。例えば、刺激は、勃起を生じさせ、維持し得、神経(例えば、骨盤神経叢の神経および/または海綿神経)再生を経時的に促進および/または改善し得る。例として、パルス持続時間は、約0.5ミリ秒~約10ミリ秒、約0.5ミリ秒~約5ミリ秒、約1ミリ秒~約4秒、または約1ミリ秒~約3ミリ秒であるようにプログラムされ得る。交流の周波数は、約10Hz~約30Hz、約10Hz~約25Hz、約10Hz~約20Hz、または約15Hz~約25Hzであるようにプログラムされ得る。電圧は、約1V~約15V、約5V~約10V、約1V~約5V、または約10V~約15Vであるようにプログラムされ得る。電流は、約1ミリアンペア~約100ミリアンペア、約1ミリアンペア~約50ミリアンペア、約1ミリアンペア~約20ミリアンペア、約20ミリアンペア~約50ミリアンペア、約50ミリアンペア~約100ミリアンペア、または約75ミリアンペア~約100ミリアンペアであるようにプログラムされ得る。刺激の期間は、所定の時間の間、自動的に刺激するようにプログラムされ得るか、または、例えば、ユーザインターフェース402におけるユーザ入力に応答して、刺激し得る。例えば、刺激は、所望の勃起の期間の一部中またはその全体中、維持され得る。神経再生のために、所定の時間間隔において、経時的に刺激することが好ましくあり得る。例えば、自動刺激は、1時間毎、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日おき、3日おき、または毎週10分~2時間の期間、10分~1時間、10分~30分、10分~20分、または1時間~2時間にわたって、生じ得る。好ましくは、神経再生のための刺激は、振動する電流または低周波電気刺激を使用して生じる。
【0090】
マイクロプロセッサ302は、外部患者コントローラ400および/または外部医師コントローラ500に通信するように構成される回路網を有する通信ユニット306に結合される。通信ユニット306は、プログラマブルコントローラ300が、外部患者コントローラ400によって、給電、プログラム、および/または制御され得るように、プログラマブルコントローラ300と外部患者コントローラ400との間の刺激コマンド、随意に、電力の伝送を可能にする。例えば、マイクロプロセッサ302は、外部患者コントローラ400の対応する通信ユニット(例えば、テレメトリシステムおよびコイルを有する誘導ユニットおよび/または送受信機およびアンテナを有するRFユニット)から受信される刺激コマンドに応答して、刺激セッションを開始または停止させ得るか、または査定を行い、電極204のアレイの好ましいサブセットを決定し得る。通信ユニット306は、プログラマブルコントローラ300が外部医師コントローラ500によって、給電、プログラム、および/または制御され得るように、プログラマブルコントローラ300と外部医師コントローラ500との間のプログラミングデータ、随意に、電力の伝送をさらに可能にする。例えば、マイクロプロセッサ302は、外部医師コントローラ500の対応する通信ユニット(例えば、テレメトリシステムおよびコイルを有する誘導ユニットおよび/または送受信機およびアンテナを有するRFユニット)から受信されるプログラミングデータに応答して、刺激のために使用される励起電極の組内に含まれる電極のみならず、パルス持続時間、交流の周波数、電圧、電流、および/または刺激の期間を含む好ましい刺激処方計画に対する変更を指示し得る。
【0091】
通信ユニット306は、誘導コイルに電気的に結合されるテレメトリシステムを含み得る。テレメトリシステムおよびコイルのための技術は、当業者に周知であり、磁石、短距離テレメトリシステム、より長距離のテレメトリシステム(Zarlink Semiconductor(Ottawa,Canada)から利用可能なMICS RF Telemetry等を使用して)、またはペースメーカープログラマに類似する技術を含み得る。代替として、コイルは、電力のみを伝送するために使用され得、別個の無線周波数送信機が、双方向または一方向性データ通信を確立するために、プログラマブルコントローラ300、外部患者コントローラ400、および/または外部医師コントローラ500内に提供され得る。
【0092】
通信ユニット306は、アンテナ(密閉筐体の内側または外部にあり得る)に結合される送受信機を採用する(テレメトリシステムおよびコイルの有無にかかわらず)通信回路も含み得る。送受信機は、好ましくは、無線周波数(RF)送受信機を備え、アンテナを介して、外部患者コントローラ400および/または外部医師コントローラ500内に配置される類似送受信機回路との双方向通信のために構成される。例えば、送受信機は、刺激コマンドを外部患者コントローラ400から、およびプログラミングデータを外部医師コントローラ500から受信し得る。マイクロプロセッサ302は、通信ユニット306のアンテナおよび送受信機を介して、外部患者コントローラ400および/または外部医師コントローラ500の対応する送受信機およびアンテナから受信されるプログラミングデータおよび/または刺激コマンドに応答して、刺激のために使用される励起電極の組内に含まれる、電極、およびパルス持続時間、交流の周波数、電圧、電流、および/または刺激の期間を含む好ましい刺激処方計画に対する変更を指示し得、刺激セッションを開始または停止させ得、および/または、査定を行い、電極の好ましいサブセットを再査定し得る。送受信機は、低電力動作モードも含み得、それによって、送受信機は、周期的にアウェイクし、着信メッセージをリッスンし、そのプログラマブルコントローラに割り当てられた独特のデバイス識別子を含むそれらのメッセージのみに応答する。加えて、送受信機は、暗号化ルーチンを採用し、プログラマブルコントローラ300から送信されるメッセージ、またはそれによって受信されるメッセージが、傍受または偽造されることができないことを確実にし得る。通信ユニット306は、無線チップセット、例えば、Wifi、Bluetooth(登録商標)TM、セルラー、Zigbee(登録商標)等を含み得、それによって、プログラマブルコントローラ300が、外部患者コントローラ400および/または外部医師コントローラ500と無線で通信することを可能にする。
【0093】
システムセンサ308は、プログラマブルコントローラ300のシステムの動作を監視する1つ以上のセンサ、システム動作およびシステム障害に関連するログデータを備え得、
ログデータは、外部医師コントローラ500を使用した後の読み出しのためにログ内に記憶され得る。マイクロプロセッサ302は、センサ信号をシステムセンサ308から受信し、センサ信号に基づいて、刺激パラメータを調節するようにプログラムされ得る。センサ308は、例えば、湿度センサを含み、プログラマブルコントローラ300の筐体内の湿気を測定し、それは、例えば、充電中のバッテリ温度を測定し、バッテリの安全動作を確実にするために、電子コンポーネントおよび/または温度センサの状態に関連する情報を提供し得る。システムセンサからのデータは、マイクロプロセッサ302によってログをとられ、外部医師コントローラ500への後の伝送のために、不揮発性メモリ304内に記憶され得る。
【0094】
電力供給源310は、プログラマブルコントローラ300の電気コンポーネントに給電し、一次セルまたはバッテリ、二次(再充電可能)セルまたはバッテリ、または両方の組み合わせを備え得る。代替として、電力供給源310は、セルまたはバッテリを含まないこともあり、代わりに、経表皮的エネルギー伝達システム(TET)を介して、例えば、誘導結合によって、皮膚を通して伝達されるエネルギーを貯蔵するコンデンサを備えている。好ましい実施形態では、電力供給源310は、リチウムイオンバッテリを備えている。
【0095】
刺激回路312は、選択された電極が電気刺激を所望のパラメータにおいて供給するように、電力供給源310から供給されるエネルギーを使用して、パルスを電極204に送信するように構成される。
【0096】
マイクロプロセッサ302は、アレイの任意の電極204のサブセットが刺激回路312に選択的に結合され得るように、デマルチプレクサ314にさらに結合され得る。このように、適切な電極組は、所望の療法効果を達成するために、患者の身体内に埋め込まれる電極の選択全体から選定され得る。デマルチプレクサ314は、好ましくは、高速で動作し、それによって、連続刺激パルスが異なる電極組み合わせに印加されることを可能にする。
【0097】
図6に関して、外部患者コントローラ400の内部機能コンポーネントの一般化された概略図が、ここで説明される。外部患者コントローラ400は、ユーザインターフェース402と、プログラマブルマイクロプロセッサ404と、通信ユニット406と、電力供給源408と、入力および出力回路網(I/O)410とを含み得る。上で解説されるように、外部患者コントローラ400は、埋め込み可能刺激ユニット200との使用のために特に設計され得るか、または、代替として、埋め込み可能刺激ユニット200および/または外部医師コントローラ500と通信するようにプログラムされた多目的スマートフォン、ラップトップ、タブレット、スマートウォッチ等であり得る。後者の場合では、ユーザインターフェース402、プログラマブルマイクロプロセッサ404、通信ユニット406、電力供給源408、およびI/O410は、スマートフォン、ラップトップ、タブレット、スマートウォッチ等上に事前にインストールされたハードウェアであり得る。
【0098】
マイクロプロセッサ404は、外部患者コントローラ400の内部機能コンポーネントに電気的に結合され、それらを制御するように構成される。マイクロプロセッサ404は、プログラマブルマイクロプロセッサと、揮発性メモリと、プログラミングを記憶するためのEEPROM等の不揮発性メモリと、ファームウェアおよびシステム動作パラメータおよび患者データのログを記憶するための不揮発性ストレージ、例えば、フラッシュメモリとを含む市販のマイクロコントローラユニットを備え得る。マイクロプロセッサ404のメモリは、マイクロプロセッサ404のプロセッサによって実行されると、本明細書のそれらに帰する機能性をプロセッサおよび外部患者コントローラ400の機能コンポーネントに提供させるプログラム命令を記憶し得る。好ましくは、マイクロプロセッサ404は、プログラム可能であり、ユーザインターフェース402において、および/または外部医師コントローラ500において、受信されるユーザ入力に応答して、刺激のために使用される励起電極の組内に含まれる電極、およびパルス持続時間、交流の周波数、電圧、電流、および/または刺激の期間を含む好ましい刺激処方計画に対する変更を記憶し、通信ユニット406を介してプログラマブルコントローラ300に刺激コマンドおよびプログラミングデータを送信するようにプログラムされる。
【0099】
マイクロプロセッサ404は、通信ユニット406に結合され得、それは、プログラマブルコントローラ300および外部医師コントローラ500と通信し得る。通信ユニット406は、テレメトリシステムを有する誘導ユニットおよびコイル、および/または送受信機およびアンテナを有するRFユニットを含み得、無線チップセット、例えば、Wifi、Bluetooth(登録商標)TM、セルラー、Zigbee(登録商標)等を伴い、それによって、外部患者コントローラ400が、プログラマブルコントローラ300および/または外部医師コントローラ500と無線で通信し、随意に、電力をプログラマブルコントローラ300に供給することを可能にする。
【0100】
ユーザインターフェース402は、ユーザ入力を受信し、情報をユーザに表示する。ユーザインターフェース402は、ユーザ入力を受信し、および/または情報をユーザに表示するために、ボタン、LED、ディスプレイ、タッチスクリーン、キーパッド、マイクロホン、スピーカ、トラックボール等を含み得る。例えば、ユーザインターフェース402は、電流刺激パラメータを表示し、ユーザが刺激パラメータを調節することを可能にし得る。好ましい実施形態では、限定された数の刺激パラメータが、ユーザインターフェース402において調節され、非医師ユーザによって行われる調節によって引き起こされる傷害の機会を減少させ得る。例えば、ユーザインターフェース402は、ユーザが、迅速な勃起性応答を誘発するための第1のモードに対応する第1の刺激パルスシーケンス、海綿神経内の神経伝達を機能回復させるように選択される第2の神経機能回復刺激モード、または陰茎線維症を減らすように選択される第3の陰茎機能回復モード等の励起電極を使用した刺激セッションを開始または停止させることのみを可能にし得る。
【0101】
電力供給源408は、外部患者コントローラ400の電気コンポーネントに給電し、一次セルまたはバッテリ、二次(再充電可能)セルまたはバッテリ、または両方の組み合わせを備え得る。代替として、電力供給源408は、ポートであり、外部患者コントローラ400が、コンポーネントに給電するために、従来の壁ソケットの中に差し込まれることを可能にし得る。
【0102】
入力および出力回路網(I/O)410は、コンピュータとの有線通信等のデータ通信のためのポート、および/または、外部患者コントローラ400の使用に関連するプログラム命令またはデータが記憶され得る除去可能メモリ(例えば、SDカード)を受け取るためのポートを含み得る。
【0103】
図7を参照すると、外部医師コントローラ500上に実装されるソフトウェアが、ここで説明される。ソフトウェアは、メインブロック502と、イベントログブロック504と、データダウンロードブロック506と、構成設定ブロック508と、ユーザインターフェースブロック510と、アラーム検出ブロック512と、センサ較正ブロック514と、ファームウェアアップグレードブロック516と、デバイス識別子ブロック518と、ステータス情報ブロック520とを含む図7に図式的に描写されるいくつかの機能ブロックを備えている。ソフトウェアは、好ましくは、C++で記述され、オブジェクト指向フォーマットを採用する。1つの好ましい実施形態では、ソフトウェアは、デスクトップおよびラップトップコンピュータ上で従来採用されるようなMicrosoft Windows(登録商標)(Microsoft Corporation(Redmond,Wash.)の商標名)またはUnix(登録商標)ベースのオペレーティングシステムの上で起動するように構成される。上で議論)されるように、コンピュータは、送受信機と、アンテナと、無線カードとを含み得、例えば、IEEE802.11規格、セルラー、Bluetooth(登録商標)TM、Zigbee(登録商標)等に準拠し、それによって、プログラマブルコントローラ300および/または外部患者コントローラ400が、外部医師コントローラ500と無線で通信することを可能にする。
【0104】
メインブロック502は、好ましくは、医師のコンピュータ上で実行され、他の機能ブロックの全体的動作を制御するメインソフトウェアルーチンを含む。メインブロック502は、医師がプログラマブルコントローラ300および/または外部患者コントローラ400上に記憶されるイベントデータおよびアラーム情報をそのオフィスコンピュータにダウンロードすることを可能にし、外部医師コントローラ500がプログラマブルコントローラ300の動作を直接制御することも可能にする。メインブロック502は、医師がファームウェア更新および構成データをプログラマブルコントローラ300にアップロードすることも可能にする。
【0105】
イベントログブロック504は、プログラマブルコントローラ300からダウンロードされた動作データの記録であり、イベントログブロック504は、例えば、治療セッション開始および停止時間、現在の刺激パラメータ、前の治療セッションからの刺激パラメータ、センサデータ、バッテリ電流、バッテリ電圧、バッテリステータス等を含み得る。イベントログは、アラームまたは他の異常条件等のイベントの発生も含み得る。
【0106】
データダウンロードブロック506は、プログラマブルコントローラ300が外部医師コントローラ500に結合された後、ダウンロードのためにデータを外部医師コントローラ500に転送するようにプログラマブルコントローラ300にコマンドするルーチンである。データダウンロードブロック506は、自動的に、またはユーザインターフェースブロック510を介した医師の指示で、イベントログ内に記憶されるデータのダウンロードを開始し得る。
【0107】
構成設定ブロック508は、プログラマブルコントローラ300の動作を制御するプログラマブルコントローラ300内に記憶されるパラメータを構成するルーチンである。時間間隔タイミングパラメータは、例えば、無線通信をリッスンするために、またはプログラマブルコントローラ300の動作を制御するためにアウェイクされることに先立って、プロセッサがスリープモードに留まる長さを決定し得る。時間間隔タイミングパラメータは、例えば、刺激セッションの持続時間を制御し得る。プログラマブルコントローラ300に伝送される時間間隔タイミング設定は、イベントデータがマイクロプロセッサ302内のメモリに書き込まれる時間および頻度も決定し得る。ある実施形態では、外部医師コントローラ500は、データを外部患者コントローラ400に転送するようにも構成され、外部医師コントローラ500は、外部患者コントローラ400のマイクロプロセッサ404によって実行されるファームウェアによって使用されるタイミングパラメータを構成するためにも使用され得る。ブロック508は、医師によって、マイクロプロセッサ302の動作上の限界値に関連するマイクロプロセッサ302のメモリに記憶されるパラメータを構成するためにも使用され得る。これらの値は、プログラマブルコントローラ300が動作し得るとき、および動作していないこともあるときの時間等を含み得る。
【0108】
ブロック508は、プログラマブルコントローラ300の動作の制御に関連するマイクロプロセッサ302のメモリに記憶されるパラメータも構成し得る。これらの値は、刺激パラメータを含み得る。
【0109】
ユーザインターフェースブロック510は、プログラマブルコントローラ300および/または外部患者コントローラ400およびデータダウンロードブロック506から読み出される情報の表示をハンドリングし、直感的な容易に理解されるフォーマットにおいて医師の精査のためにその情報を提示する。そのような情報は、プログラマブルコントローラ300のステータス、治療セッション開始および停止時間、現在の刺激パラメータ、前の治療セッションからの刺激パラメータ、センサデータ、バッテリステータス等を含み得る。ユーザインターフェースブロック510は、医師がセッションタイミング、刺激パラメータ、および要求を構成し、励起電極のサブセット等を決定または再決定するために、情報を入力することを可能にするユーザインターフェース画面も発生させる。
【0110】
アラーム検出ブロック512は、プログラマブルコントローラ300から読み出されるデータを評価し、医師の注意のために、異常条件をフラグで知らせるルーチンを含み得る。例えば、アラーム検出ブロック512は、システムセンサ308によって測定されたパラメータが所定の閾値を上回るまたは下回るとき、フラグを付け得る。
【0111】
センサ較正ブロック514は、例えば、劣化または湿度の変化に起因するプログラマブルコントローラ300内で採用されるシステムセンサ308の変動を試験または測定するためのルーチンを含み得る。ブロック514は、次いで、センサからの測定されたデータを補正するためのオフセット値を算出し、マイクロプロセッサ302の不揮発性メモリ内への記憶のために、その情報をプログラマブルコントローラ300に伝送し得る。
【0112】
ファームウェアアップグレードブロック516は、プログラマブルコントローラ300および/または外部患者コントローラ400上にインストールされるコントローラファームウェアのバージョン番号をチェックし、アップグレードされたファームウェアが存在するかどうかを識別するためのルーチンを備え得る。該当する場合、ルーチンは、医師に通知し、医師が改訂されたファームウェアをプログラマブルコントローラ300および/または外部患者コントローラ400の不揮発性メモリ内にダウンロードすることを可能にし得る。
【0113】
デバイス識別子ブロック518は、マイクロプロセッサ302の不揮発性メモリ304内に記憶されるプログラマブルコントローラ300のための独特の識別子と、外部医師コントローラ500がプログラマブルコントローラ300に結合されると、そのデータを読み取るためのルーチンとを含み得る。デバイス識別子は、外部患者コントローラ400および/または外部医師コントローラ500から受信される通信がその特定のプログラマブルコントローラのために意図されることを確認するためにも、プログラマブルコントローラ300によって使用され得る。同様に、この情報は、受信されたメッセージがそのシステムに関連付けられたプログラマブルコントローラによって発生させられたかどうかを決定するために、外部患者コントローラ400および/または外部医師コントローラ500によって採用される。最後に、デバイス識別子情報は、外部患者コントローラ400とプログラマブルコントローラ300とが適合した組を構成することを確認するために、外部医師コントローラ500によって、採用され得る。
【0114】
ステータス情報ブロック520は、プログラマブルコントローラ300に問い合わせを行い、現在のステータスデータをプログラマブルコントローラ300から読み出すためのルーチンを備えている。そのような情報は、例えば、バッテリステータス、刺激パラメータ、治療セッションの内部クロック上の日時、現在使用中のファームウェアおよびハードウェアに関するバージョン制御情報、およびセンサデータを含み得る。
【0115】
図8Aおよび8Bは、それぞれ、前立腺および骨盤神経叢上の可撓性パドル202aおよび202bの位置付けを図示する。図2Aおよび2Bに関して上で説明されるように、可撓性パドル202aおよび202bの各々は、電極204のアレイと、縫合糸孔206とを有し、1つ以上のケーブル208を介して、プログラマブルコントローラ300に結合される。システムは、腹腔鏡下で、例えば、可撓性パドルを折り畳み、それらをトロカールに通すことによって、埋め込まれ得る。図8Aおよび8Bにおける挿入図は、膀胱と、前立腺と、尿道と、骨盤底とを示す、局所生体構造を描写する。図8Aでは、可撓性パドル202は、前立腺に対して位置付けられて示される。代替として、可撓性パドル202は、図8Bに示されるように、パドル202が尿道を包囲するように、骨盤神経叢に対して位置付けられ得る。骨盤神経叢上への埋め込みは、前立腺を部分的または完全に除去した前立腺摘除術を受けている患者にとって好ましくあり得る。
【0116】
ここで図9Aおよび9Bを参照すると、可撓性パドル202の位置付けが、説明される。図2Aおよび2Bに関して上で説明されるように、各可撓性パドル202は、好ましくは、実質的に半球の形状を有し、突出する部分203が、ケーブル208から最も遠い可撓性パドルの角から延びている。第1の可撓性パドル202aおよび第2の可撓性パドル202bは、露出された電極を伴う可撓性パドルの側面が、骨盤神経叢に接触し、可撓性パドルが、尿道を包囲し、突出する部分203が、互いに面するように位置付けられ得る。可撓性パドル202は、縫合糸孔206を含み、それを通して、縫合糸が、可撓性パドルを骨盤神経叢に据え付け得る。図9Aでは、第1の位置は、パドルの突出する部分203が互いに近接するように図示される。図9Bでは、第2の位置は、パドルの突出する部分203が互いからより遠くに離れるように示され、それは、患者の海綿神経が尿道からより遠くに離れで位置する場合、有利であり得る。
【0117】
電極のアレイに動作可能に結合されるプログラマブルコントローラ300は、パドルの埋め込み中、電極204を選択的に活性化し、可撓性パドルを埋め込むための最適位置、例えば、図9Aおよび9Bに示されるような第1の位置または第2の位置を決定するようにプログラムされ得る。例えば、可撓性パドルは、骨盤神経叢に隣接し、かつ少なくとも1つの海綿神経の近傍にある第1の位置に設置され得る(例えば、図9A)。プログラマブルコントローラは、次いで、刺激装置回路に、第1の位置における電極204を活性化させ、第1の位置応答を発生させ得る。海綿神経の活性化は、例えば、陰茎プレチスモグラフを使用して測定され、陰茎直径または円周変動および陰茎腫脹を測定し得る。
【0118】
可撓性パドルは、次いで、骨盤神経叢に隣接し、少なくとも1つの海綿神経の近傍の第1の位置と異なる第2の位置に移動させられ得る(例えば、図9B)。プログラマブルコントローラは、再び、第2の位置における電極204を選択的に活性化し、第2の位置応答を発生させ得る。プログラマブルコントローラは、センサシステム308からのフィードバックを介して、または外部患者コントローラ400または外部医師コントローラ500からの入力に応答して、第1位置応答と第2の位置応答とを比較し、勃起性応答を誘い出す位置を決定することも行い得る。2つ以上の位置が、勃起性応答を誘い出す場合、著しい不快感または副作用を引き起こさずに、最強または最も迅速な勃起性応答を誘い出す位置が、好ましいパドル設置位置として選択され得る。
【0119】
ここで図10A-10Cを参照すると、電極204のアレイ内の電流流動の順次変動させられる方向を用いて組織刺激を査定するプロセスが、説明される。上で解説されるように、可撓性パドル202aおよび202b上の電極204の各々は、個々にアクセスされ、ソースまたはシンクとしての役割を果たし、図10A-10Cにおける電極204間の矢印によって示されるように、複数の方向における電流流動を可能にし得る。図10Aでは、電流流動の第1の方向は、他方の可撓性パドルに向かって対角線方向に矢印220aによって示される。例えば、電流は、電極1から電極2に流動するが、電極1と電極3または4との間では流動しない。図10Bは、電流流動の第2の方向220bを示し、電流は、各可撓性パドル内の電極204間において、対角線方向に他方の可撓性パドルから離れるように流動する。図10Bに示されるように、電流流動の第2の方向は、電極対の活性化が、神経を刺激し、それによって、応答を誘い出すであろう確率を増加させるために、好ましくは、電流流動の第1の方向に対して斜めである。図10Bに描写されるように、電流は、電極1から電極3に流動するが、電極1と電極2または4との間では流動しない。図10Cは、電流流動の第3の方向220cを示し、電流は、各可撓性パドル内の電極204間において、下向き方向に流動する。例えば、電流は、電極1から電極4に流動し得るが、電極1から電極2または3へは流動しない。当業者によって理解されるであろうように、電極204のアレイの数および配置に応じて、電流流動の方向は、図10A-10Cに示されるものと異なり得る。
【0120】
図11A-11Cに関して、例示的領域の中への電極204の群化が、説明される。図11A-11Cは、それぞれ、図10A-10Cに描写される電流流動方向に対応する。電極204の各アレイ、例えば、第1のアレイおよび第2のアレイは、電極222の少なくとも2つの所定の領域を有する。例えば、電極の第1の領域222aおよび電極の第2の領域222bは、第1の可撓性パドル上に配置され得、電極の第3の領域222cおよび電極の第4の領域222dは、第2の可撓性パドル上に配置され得る。当業者によって理解されるであろうように、各パドルは、3つ以上の電極の領域を有し得、電極の領域は、異なる電極のサブセット対を含むように変動させられ得る。各領域内に含まれる電極204の数および組成物は、電流流動の方向に依存し得る。例えば、図11Aにおける電極の第1の領域222aは、電極1-5を含み得る一方、図11Bにおける電極の第1の領域222aは、電極1-4および6を含み得、図11Cにおける電極の第1の領域222aは、電極1、3、4、6、7、10、および11を含み得る。
【0121】
ここで図12A-12Cを参照すると、電極のアレイ内の好ましい電極対の選択が、示される。図12A-12Cの各々は、それぞれ、図10A-10Cに描写される方向性電流流動に対応し、かつ、それぞれ、図11A-11Cに描写される電極の領域に対応する。電極204の各アレイは、電極の各領域222内に少なくとも1つの電極対を有し、各電極対は、電極のアレイからの2つの電極204を含む。電極の各領域222は、電極の他の領域222と同じまたは異なる数の電極204および電極対を有し得る。
【0122】
図13を参照すると、励起電極のサブセットを識別するためのプログラムされた方法が、説明され、電流流動の好ましい方向、電極の領域、および好ましい電極対が、決定されている。その電極選択プロセスに続いて、好ましい勃起性応答を誘い出すための好ましい刺激処方計画のためのパラメータを決定するプログラムされた方法が、完了される。本発明の一側面によると、プログラマブルコントローラ300は、電極のアレイに動作可能に結合され、電極204を選択的に活性化し、励起電極および好ましい刺激処方計画を決定するようにプログラムされる。
【0123】
より具体的に、プログラマブルコントローラ300は、例えば、図10A-10Cに示されるような少なくとも2つの電流流動の方向において、電極のアレイ内の電極204を選択的に活性化するようにプログラムされる。順次刺激が、電極のアレイ上の各電極対間に印加され得、勃起性応答が、測定され得る。勃起性応答を決定するために、海綿神経の活性化が、例えば、陰茎プレチスモグラフを使用して測定され、陰茎直径または円周変動および陰茎腫脹を測定し得る。各電極のアレイに関して、勃起性応答を誘い出す電流流動の方向が、電流流動の好ましい方向として選択され得る。電極の各アレイ上の電流流動の2つ以上の方向が勃起性応答を誘い出す場合、著しい不快感または副作用を伴わずに最強勃起性応答を誘い出す電流流動の方向が、好ましい電流流動方向として選択され得る。例えば、図13は、電流流動の第2の方向220bが、電極のアレイの各々に関して、電流流動の好ましい方向として選択されていることを示す。当業者によって理解されるであろうように、第1の可撓性パドル上の電流流動の好ましい方向は、第2の可撓性パドル上の電流流動の好ましい方向と同じであることも、異なることもある。
【0124】
プログラマブルコントローラ300は、先行プロセスからの好ましい電流流動方向を使用して、領域別に、電極のアレイ内の電極204を選択的に活性化するようにさらにプログラムされ得る。例えば、電流流動の第2の方向220bが、好ましい電流流動方向である場合、好ましい電流流動方向に対応する電極の領域が、図11Bに図示されるように、活性化され得る。順次刺激が、電極の各アレイ上の各電極対間において、好ましい電流流動方向に各領域内で印加され得、勃起性応答が、再び、上で説明されるものと同じ方法を使用して、各局部的刺激に関して測定される。電極の各アレイに関して、勃起性応答を誘い出す電極の領域が、好ましい電極領域として選択され得る。2つ以上の領域電極が、勃起性応答を誘い出す場合、著しい不快感または副作用を引き起こさずに、最強勃起性応答を誘い出す電極の領域が、好ましい領域として選択される。例えば、図13は、第1の可撓性パドル上の電極の第2の領域222bおよび第2の可撓性パドル上の電極の第3の領域222cが好ましい領域として選択されることを描写する。
【0125】
次に、プログラマブルコントローラ300は、電極のアレイ内の電極204を好ましい電流流動方向および好ましい領域において選択的に活性化する。例えば、図13は、電流流動の第2の方向220bが、好ましい電流流動方向であり、第1の可撓性パドル上の電極の第2の領域222bおよび第2の可撓性パドル上の電極の第3の領域222cが、好ましい領域であることを描写する。順次刺激が、電極のアレイ上の各電極対間において、電流流動の好ましい方向に、好ましい領域内で印加され得、勃起性応答が、上で説明される同じ方法を使用して、測定され得る。電極の各アレイに関して、勃起性応答を誘い出す1つ以上の電極対が、好ましい電極対として選択され得る。2つ以上の電極対が、勃起性応答を誘い出す場合、著しい不快感または副作用を引き起こさずに、最強勃起性応答を誘い出す1つ以上の電極対が、好ましい電極対として選択され得る。図13では、3つの好ましい電極対224が、励起電極のサブセットとして識別される。当業者によって理解されるであろうように、第1の可撓性パドル上の好ましい電極対の数は、第2の可撓性パドル上の好ましい電極対の数と同じであることも、異なることもある。
【0126】
好ましい電極対224が決定された後、周波数と強度振幅の独特の組み合わせを有する複数の刺激パラメータが、好ましい電極対に印加され得る。異なる使用のための刺激パルスシーケンスが、異なる刺激パラメータを有する異なるモードにおいて好ましい電極対を活性化することによって発生させられた応答を比較することによって、決定され得る。例えば、勃起のための活性化のモードに対応する刺激パルスシーケンスが、決定され得る。勃起を生じさせるための刺激処方計画は、0.5~25mAの範囲内の電流振幅、10~48Hzの範囲内の周波数、0.1~1ミリ秒の範囲内のパルス幅を印加し得る。代替として、または加えて、デバイスは、少なくとも1つの海綿神経を機能回復させるために、および神経機能回復のための活性化のモードに対応する神経機能回復刺激処方計画を決定するために、使用され得る。神経機能回復刺激処方計画は、勃起を生じさせるための刺激処方計画より低い電流強度を伴う刺激パラメータを備え得る。例えば、神経機能回復刺激処方計画は、0.1~2mAの範囲内の電流振幅、10~48Hzの範囲内の周波数、および0.01~1ミリ秒の範囲内のパルス幅を印加し得る。神経機能回復刺激処方計画は、少なくとも1日1回、自動的に実行するようにプログラムされ得る。
【0127】
代替として、デバイスは、陰茎機能回復のための活性化のモードに対応する陰茎機能回復刺激処方計画を決定するために使用され得る。前立腺摘除術後、海綿神経が、傷つけられている場合、または完全に切断されている場合、陰茎機能回復刺激処方計画は、少なくとも部分的陰茎腫脹を誘発し、組織酸素化を増加させ、陰茎機能を維持し、それによって、陰茎線維症を減らすために使用され得る。そのような刺激処方計画は、海綿神経が自然に再確立する間、または神経機能回復刺激処方計画からの補助を伴って再接続および再生する間、少なくとも1日1回、実行され得る。陰茎機能回復刺激処方計画は、神経機能回復刺激処方計画より高い電流強度と、勃起を生じさせるための刺激処方計画より低い電流強度とを伴う刺激パラメータを備え得る。例えば、陰茎機能回復刺激処方計画は、0.5~25mAの範囲内の電流振幅、10~48Hzの範囲内の周波数、0.1~1ミリ秒の範囲内のパルス幅を印加し得る。陰茎機能回復刺激処方計画は、少なくとも1日1回、自動的に実行するようにプログラムされ得、そのような作動は、神経機能回復プログラムと異なる時間に生じ得る。
【0128】
電流流動の好ましい方向、電極領域、電極対、および刺激パラメータは、プログラマブルコントローラ300、外部患者コントローラ400、および/または外部医師コントローラ500の不揮発性メモリに記憶され得る。複数の刺激処方計画も、プログラマブルコントローラが患者または医師入力に応答して選択的に活性化され得るように、プログラマブルコントローラ300、外部患者コントローラ400、および/または外部医師コントローラ500のメモリに記憶され得る。例えば、患者は、勃起を生じさせるために、刺激処方計画を選択的に活性化し得る。代替として、そのようにプログラムされた場合、プログラマブルコントローラは、前立腺摘除術に続いて、少なくとも1日1回、好ましくは、各機能回復刺激処方計画に関して1時間にわたって、神経機能回復刺激処方計画および/または陰茎機能回復刺激処方計画を自動的に実行し得る。
【0129】
図14に関して、術中走査プロセスの動作の概略が、説明される。順次刺激が、電極の各アレイ内の各電極対間で印加されるであろう。各電極対の刺激は、他の電極対のパルス間期間中、自動的に印加されるであろう。術中刺激は、海綿神経の活性化を可能にし、それは、陰茎プレチスモグラフによって検出され、陰茎直径または円周変動および陰茎腫脹を測定する。走査手技の間、構成あたり刺激の1~2分の期間が、適切な測定を可能にするために必要とされ得る。各刺激間の5分の休止期間が、安定化のために可能にされ、腫脹減退不応性効果を回避し得る。
【0130】
図15では、好ましくは、埋め込み後、骨盤神経叢を介して、電気刺激を少なくとも1つの海綿神経に供給し、性的興奮、例えば、勃起を引き起こすように位置付けられる、電極のアレイのサブセットを決定するための例示的方法が、説明される。方法700では、702において、刺激パラメータが、設定され、それらは、使用されるべきアレイ内の電極204の対、パルス持続時間、交流の周波数、電圧、電流、および刺激の期間を含み得る。刺激パラメータは、外部患者コントローラ400において設定され得るが、好ましくは、外部医師コントローラ500において設定される。704では、電気刺激が、設定された刺激パラメータにおいて、アレイの選択された電極対間で、組織、例えば、骨盤神経叢に供給される。設定された刺激パラメータにおけるアレイの選択された電極対は、外部医師コントローラ500を介して、医師によって選択され、および/または、上で説明される走査プロトコルの結果として、決定され得る。706では、性的興奮、例えば、勃起が、達成されたかどうかが観察される。該当しない場合、刺激パラメータは、選択された電極対に関してリセットされ得るか、または、異なる電極対が、同じパラメータを用いて、または調節されたパラメータにおいて、刺激のために選択され得る。性的興奮が、達成された場合、電極対を含む刺激パラメータが、プログラマブルコントローラ300、外部患者コントローラ400、および/または医師コントローラ500におけるメモリに記憶される。
【0131】
随意に、性的興奮が達成された後も、さらなる刺激が、710において、調節された刺激パラメータを使用して、電極対において行われ得るか、または、さらに異なる電極対が、同じパラメータを用いて、または調節されたパラメータにおいて、刺激のために選択され、712において、より強い性的興奮が達成され得るかどうかを決定し得る。該当しない場合、刺激は、710において、異なる構成を用いて、繰り返され得るか、または、試験は、終了し得、708において記憶されるパラメータが、使用され得る。より強い性的興奮が達成された場合、電極対を含む刺激パラメータは、プログラマブルコントローラ300、外部患者コントローラ400、および/または医師コントローラ500におけるメモリ内に、好ましいパラメータとして記憶され、708において以前に記憶されたパラメータは、上書きされ得る。随意に、より強い性的興奮が達成された後も、さらなる刺激が、710において、電極対において、調節された刺激パラメータを使用して、行われ得るか、または、さらに異なる電極対が、同じパラメータを用いて、または調節されたパラメータにおいて、刺激のために選択され、712において、さらにより強い性的興奮が達成され得るかどうかを決定し得る。
【0132】
ユーザが、好ましいパラメータが決定されたことに満足すると、アレイ内の全ての電極対合が試験されたので、または、好適な性的興奮が達成されたので、好ましいパラメータが、記憶される。このように、好ましいパラメータにおける刺激ルーチンは、患者外部コントローラ400および/または外部医師コントローラ500によって、性的興奮、例えば、勃起を引き起こすために、後の時間、例えば、数分、数時間、数日、数ヶ月、数年後に、開始され得る。
【0133】
ここで図16を参照すると、可撓性パドルのための最適位置付けを決定するための例示的方法が、説明される。方法800では、ステップ802において、電極のアレイが、骨盤神経叢に隣接し、かつ少なくとも1つの海綿神経の近傍にある第1の位置に設置される。少なくとも1つの電極対が、選択的に活性化され、少なくとも1つの海綿神経を刺激し、第1の位置応答を発生させる。ステップ804では、同じプロセスが、第1の位置と異なる骨盤神経叢に隣接し、少なくとも1つの海綿神経の近傍にある第2の位置において、繰り返される。具体的に、少なくとも1つの電極対が、選択的に活性化され、少なくとも1つの海綿神経を刺激し、第2の位置応答を発生させる。ステップ806では、第1の位置応答および第2の位置応答は、比較され、どちらの応答がより強い位置勃起性応答を誘い出すかを決定する。2つ以上の位置が、勃起性応答を誘い出す場合、著しい不快感または副作用を引き起こさずに、最強勃起性応答を誘い出す位置が、最適位置として選択され得る。プロセスは、第3の位置において、繰り返され、可撓性パドルを埋め込むための最適位置をさらに決定し得る。
【0134】
ここで図17を参照すると、勃起を引き起こすために好ましい刺激処方計画、随意に、神経機能回復のための、および/または陰茎機能回復のための好ましい刺激処方計画を決定するための例示的方法が、説明される。方法900では、ステップ902において、少なくとも1つの電極対のアレイが、選択的に活性化され、少なくとも1つの海綿神経を刺激する。少なくとも1つの電極対が、第1の方向および第2の方向において、選択的に活性化され、それぞれ、第1の方向性応答および第2の方向性応答を発生させ得る。ステップ904では、第1の勃起性応答を誘い出す電流流動の方向が、第1の方向性応答と第2の方向性応答とを比較することによって、決定され得る。ステップ906では、少なくとも1つの電極対のアレイが、好ましい方向において、選択的に活性化され、少なくとも1つの海綿神経を刺激する。第1の領域内の少なくとも1つの電極対および第2の領域内の少なくとも1つの電極対は、好ましい方向において、選択的に活性化され、それぞれ、第1の局部的応答および第2の局部的応答を発生させ得る。
【0135】
ステップ908では、第2の勃起性応答を誘い出す電極の領域が、第1の局部的応答および第2の局部的応答を比較することによって、決定され得る。プロセスは、次いで、繰り返され、好ましい電極対を決定する。ステップ910では、少なくとも1つの電極対のアレイが、好ましい方向において、好ましい領域内で、選択的に活性化される。好ましい領域内の第1の電極対および第2の電極対が、好ましい方向において、選択的に活性化され、それぞれ、第1の対応答および第2の対応答を発生させ得る。ステップ912では、第3の勃起性応答を誘い出す1つ以上の電極対が、第1の対応答と第2の対応答とを比較することによって、決定され得る。
【0136】
ステップ914では、好ましい電極対が、異なる周波数および電流強度において、選択的に活性化され得る。好ましい電極対は、第1のシミュレーション処方計画を有する第1のモードにおいて、および第1の刺激処方計画と異なる刺激パラメータを採用する、第2の刺激処方計画を有する第2のモードにおいて、選択的に活性化され、第1の応答および第2の応答を発生させ得る。随意に、ステップ916では、勃起のための活性化のモードが、第1のモード応答と第2のモード応答とを比較することによって、決定され得る。随意に、ステップ918では、比較は、繰り返され、少なくとも1つの海綿神経の機能回復のための活性化のモードを決定し得る。随意に、ステップ920では、比較は、繰り返され、陰茎線維症を減らすための陰茎機能回復のための活性化のモードを決定し得る。ステップ922では、活性化の決定されたモードは、プログラマブルコントローラ300、外部患者コントローラ400、および/または医師コントローラ500のメモリに記憶され得る。
【0137】
ここで図18を参照すると、海綿神経内の神経伝達の機能回復のための刺激処方計画を有する好ましいモードを調節するための例示的方法が、説明される。方法1000では、ステップ1002-1010が、方法900におけるステップ914-918に類似する。ステップ1002では、好ましい電極対は、第1の刺激処方計画を有する第1のモードにおいて、選択的に活性化され、第1の応答を発生させ得る。ステップ1004では、好ましい電極対は、第2の刺激処方計画を有する第2のモードにおいて、選択的に活性化され、第2の応答を発生させ得る。ステップ1006では、第1の応答と第2の応答とが、比較され得る。随意に、ステップ1008では、活性化の迅速な勃起モードが、比較に基づいて、決定され得る。随意に、ステップ1010では、少なくとも1つの海綿神経の機能回復を促進させるための活性化のモードが、比較に基づいて、決定され得る。神経機能回復モードは、活性化の迅速な勃起モードより低い電流強度刺激を供給し得る。随意に、ステップ1012では、活性化の神経機能回復モードが、機械学習または他の種類の人工知能を使用して、調節され得る。加えて、好ましい電極は、神経活動を測定するためにも使用され得、それらの測定値は、活性化の機能回復モードを調節し、より効率的または効果的神経伝達を可能にするために、人工知能と併せて使用され得る。代替として、図18の方法は、勃起を生じさせるための刺激処方計画または線維症を減らすための陰茎機能回復刺激処方計画を調節するために使用され得る。
【0138】
迅速な勃起性応答を引き起こすこと、海綿神経内の神経伝達を機能回復させること、または陰茎線維症を減らすことを行うための刺激処方計画に加え、本明細書に説明されるシステムおよび方法は、例えば、下部尿路の1つ以上の神経を電気刺激することによって、尿失禁を治療するために使用され得る。上で説明されるように、骨盤底の電気刺激は、神経再生を促進し、したがって、根治的前立腺摘除術に続く尿機能を改善することに役立ち得る。特に、低強度刺激は、軸索再成長および再接続を促進することによって、神経機能を再確立し得る。
【0139】
ここで図19を参照すると、局所生体構造の略図が、示される。下部尿路を制御する神経は、骨盤副交感神経と、下腹交感神経と、陰部神経とを含む。可撓性パドルは、好ましくは、外部括約筋を制御する陰部神経が刺激されるように構成される。しかしながら、可撓性パドルの埋め込み場所および電極の構成に応じて、下腹交感神経を含む、電極と直接接触しない、追加の神経も、機能回復され得る。
【0140】
ここで図20Aおよび20Bを参照すると、例示的可撓性パドルの断面側面図が、示される。図2Aおよび2Bに示されるそれらに類似する可撓性パドル202が、尿失禁を治療するために使用され得る。特に、埋め込み可能刺激ユニットは、上で説明されるように、各々が電極204のアレイと縫合糸孔とを備えている第1および第2の可撓性パドル202と、ケーブルと、プログラマブルコントローラとを含み得る。電極204は、複数の行および複数の列に配置され得、電流が1つの電極から別の電極に通過し、それらの間に配置された神経または神経群を刺激するように、双極刺激を印加し得る。可撓性パドル202は、好ましくは、患者の骨盤神経叢の少なくとも一部に隣接するようにサイズおよび形状を決定される。第1の可撓性基板は、骨盤神経叢の第1の半分に形状適合するように構成され、第2の可撓性パドルは、骨盤神経叢の第2の半分に形状適合するように構成される。可撓性パドルは、曲がり、骨盤神経叢に形状適合する弧形状を形成し得、例えば、前立腺摘除術外科手術中、骨盤神経叢の上に埋め込まれ得る。好ましくは、可撓性パドル202は、電極204が陰部神経との最適接触にあるように、骨盤神経叢の一部の解剖学的形状に形状適合し、骨盤神経叢のエリアの一部または全体を覆い得る。可撓性パドルは、シリコーンまたは他の可撓性の電気的に非伝導性の材料の構造マトリクスを備え得、それは、局所生体構造への適合および成型を可能にし、設置を最適化し、組織反応を最小化する。可撓性パドルは、好適な形状(例えば、半球、長方形、正方形、長円形、楕円形、または台形)において設計され、各患者の生体構造および必要性により良好に適合するように寸法を決定される平坦な構造を有し得る。
【0141】
図20Aに示されるように、可撓性パドル202は、第1の複数の電極204aをパドルの第1の表面上に含み得る。図20Bに示されるように、可撓性パドル202は、加えて、第2の複数の電極204bをパドルの第1の表面と反対側の第2の表面上に含み得る。図20Bの実施形態は、特に、下腹交感神経等の損傷された神経が骨盤底に隣接していないこともあるので、尿失禁を治療するために有益であり得る。低強度刺激が、下部尿路を制御する1つ以上の神経を機能回復させるために使用されるので、骨盤神経叢のより大きい部分は、悪影響を伴わずに刺激され得る。
【0142】
図20Cおよび20Dは、それぞれ、患者の骨盤神経叢上に位置付けられた図20Aおよび20Bの可撓性パドルの設置を示す挿入詳細図を伴う斜視図である。好ましくは、可撓性パドル202は、パドルが尿道を包囲し、陰部神経に隣接するように、骨盤神経叢に対して位置付けられる。図20Dは、第1の複数の電極204cおよび第2の複数の電極204dをパドルの反対側の表面上に有する図20Bの可撓性パドルの埋め込みを示す。第1の複数の電極204cは、骨盤底の近傍の神経を刺激するように構成され得、第2の複数の電極204dは、膀胱頸部および内部括約筋の近傍の神経を刺激するように構成され得る。特に、この構成は、より大きい面積が刺激されることを可能にし、それは、陰部神経に加え、下腹交感神経、または電極と直接接触しない他の神経の機能回復および再生をもたらし得る。
【0143】
低強度刺激は、損傷された軸索の再成長および神経の再接続を促進し、好ましくは、神経を活性化しないように設計され得る。故に、患者は、刺激を知覚することが可能ではないはずであり、生理学的応答は、存在しないはずである。いくつかの実施形態では、最適電極対は、決定される必要はない。代わりに、好ましくは、各可撓性パドル上の電極が全て、活性化され、それは、領域内の全ての神経を刺激し、その再生を促進する、骨盤神経叢のエリアを増加させる。代替として、各可撓性パドル上の1つのみの電極対または複数の電極対が、活性化され得る。
【0144】
好ましくは、膀胱神経機能回復刺激モードは、少なくとも1つの海綿神経を機能回復させるための神経機能回復刺激モードのための電流強度に類似する低電流強度を有する。例えば、膀胱神経機能回復刺激処方計画は、0.1~2mAの範囲内の電流振幅、10~48Hzの範囲内の周波数、および0.01~1ミリ秒の範囲内のパルス幅を印加し得る。プログラマブルコントローラは、少なくとも1時間にわたって、少なくとも1日1回、1つ以上の規定された時間(例えば、患者が覚醒する直前)に、膀胱神経機能回復刺激パルスシーケンスを自動的に実行するようにプログラムされ得る。
【0145】
上で説明されるように、プログラマブルコントローラは、外部患者コントローラによって制御され得る。外部患者コントローラは、好ましくは、ユーザ、例えば、患者、医師、介護者が、プログラマブルコントローラの限定された数の動作パラメータを調節すること(膀胱神経機能回復刺激セッションを開始および停止することを含む)を可能にするユーザインターフェースを含む。外部医師コントローラは、外部患者コントローラおよびプログラマブルコントローラと通信するようにプログラムされ得る。外部医師コントローラは、プログラマブルコントローラの不揮発性メモリに、外部患者コントローラによってオンデマンドで、または、事前に設定された時間にプログラマブルコントローラによって自動的に活性化されると、下部尿路を制御する神経内の神経伝達を機能回復させる膀胱神経機能回復刺激処方計画を記憶させるために使用され得る。
【0146】
本発明の種々の例証的実施形態が、上で説明されるが、種々の変更および修正が、本発明から逸脱することなく、その中に行われ得ることが、当業者に明白であろう。添付の請求項は、本発明の真の範囲内に該当する、全てのそのような変更および修正を網羅するように意図される。
図1
図2A
図2B
図3
図4-1】
図4-2】
図5
図6
図7
図8
図9
図10A-10C】
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20-1】
図20-2】
【国際調査報告】