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特表2024-5087464-1BBおよびOX40結合タンパク質を含む組成物および使用方法
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  • 特表-4-1BBおよびOX40結合タンパク質を含む組成物および使用方法 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】4-1BBおよびOX40結合タンパク質を含む組成物および使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20240220BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240220BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240220BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240220BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240220BHJP
   C07K 1/16 20060101ALI20240220BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
A61K39/395 T
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 105
A61K39/395 Y
A61K39/395 W
A61K9/08
A61K47/12
A61K47/22
A61K47/18
A61K47/26
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
C07K1/16
C07K16/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549549
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-09-20
(86)【国際出願番号】 US2022016776
(87)【国際公開番号】W WO2022178114
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】63/150,475
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511001758
【氏名又は名称】アプティーボ リサーチ アンド デベロップメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ビアンヴニュ,デイビッド レオナルド
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076BB13
4C076CC27
4C076CC41
4C076DD01
4C076DD38
4C076DD42Z
4C076DD60Z
4C076DD67
4C076EE23
4C076FF36
4C076FF43
4C076FF61
4C076FF63
4C076FF67
4C085AA14
4C085AA37
4C085BB11
4C085BB31
4C085CC22
4C085CC23
4C085DD11
4C085DD51
4C085EE01
4C085EE05
4C085EE07
4C085GG02
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA21
(57)【要約】
本開示は、4-1BBおよびOX40に結合する二重特異性抗体およびその抗原結合断片を含む医薬組成物を提供する。このような組成物を使用して、がんなどの障害を治療するための方法も提供される。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)4-1BBおよびOX40に特異的に結合する二重特異性抗体またはその抗原結合断片と;
(b)約5mM~約15mMの安定性促進緩衝液と;
(c)約25mM~約50mMの安定化アミノ酸と;
(d)約2%~約8%w/vの糖と;
(e)約0.01%~約0.03%の界面活性剤と、を含む、医薬組成物。
【請求項2】
前記安定性促進緩衝液が、コハク酸塩、ヒスチジン、クエン酸塩、およびグルタミン酸塩からなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記安定性促進緩衝液が、前記組成物中に、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、約11mM、約12mM、約13mM、約14mM、または約15mMの濃度で存在する、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記安定性促進緩衝液が、グルタミン酸塩である、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記グルタミン酸塩が、前記組成物中に、約5mMの濃度で存在する、請求項2~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記安定化アミノ酸が、アルギニン、メチオニン、ロイシン、およびグリシンからなる群から選択される、請求項1~5のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記安定化アミノ酸が、前記組成物中に、約25mM、約26mM、約27mM、約28mM、約29mM、約30mM、約31mM、約32mM、約33mM、約34mM、約35mM、約36mM、約37mM、約38mM、約39mM、約40mM、約41mM、約42mM、約43mM、約44mM、約45mM、約46mM、約47mM、約48mM、約49mM、または約50mMの濃度で存在する、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記安定化アミノ酸が、ロイシンである、請求項6または7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記ロイシンが、前記組成物中に、約40mMの濃度で存在する、請求項6~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記糖が、スクロース、トレハロース、およびソルビトールからなる群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記糖が、前記組成物中に、約2%w/v~約8%w/vの濃度で存在する、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記糖が、前記組成物中に、約2%w/v、約3%w/v、約4%w/v、約5%w/v、約6%w/v、約7%w/v、または約8%w/vの濃度で存在する、請求項10または11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記糖が、スクロースである、請求項10~12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記スクロースが、前記組成物中に、約3%w/vの濃度で存在する、請求項11~13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
界面活性剤をさらに含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記界面活性剤が、ポリソルベート-80である、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記ポリソルベート-80が、前記組成物中に、約0.01%w/v~約0.03%w/vの濃度で存在する、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記ポリソルベート-80が、前記組成物中に、約3%w/vの濃度で存在する、請求項6または17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記組成物の前記pHが、約4.3~約4.7の範囲にある、請求項1~18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記組成物の前記pHが、約4.5である、請求項1~19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記二重特異性抗体またはその抗原結合断片が、前記組成物中に、約10mg/mL~約50mg/mLの濃度で存在する、請求項1~20のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
塩化ナトリウム(NaCl)を含まない、請求項1~21のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記4つの二重特異性抗体またはその抗原結合断片が、約90%を超える純度を有する、請求項1~22のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか一項に記載の医薬組成物であって、
(a)約10mg/mLの濃度の4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片と;
(b)約10mMグルタミン酸塩と;
(c)約40mMロイシンと;
(d)約3%w/vスクロースと;
(e)約0.02%ポリソルベート-80と、を含み、
ここで、前記組成物の前記pHが、約4.3~約4.7である、医薬組成物。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか一項に記載の医薬組成物であって、
(a)10mg/mLの濃度の前記4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片と;
(b)10mMグルタミン酸塩と;
(c)40mMロイシンと;
(d)3%w/vスクロースと;
(e)0.02%ポリソルベート-80と、を含み、
ここで、前記組成物の前記pHが、4.5である、医薬組成物。
【請求項26】
前記二重特異性抗体またはその抗原結合断片が、一本鎖Fv(scFv)を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記二重特異性抗体またはその抗原結合断片が、Fab、Fab’、F(ab’)2、scFv、ジスルフィド結合Fv、またはscFv-Fcを含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記二重特異性抗体またはその抗原結合断片が、ヒト4-1BB抗原結合ドメインおよびヒトOX40抗原結合ドメインを含み、
ここで、(a)前記4-1BB抗原結合ドメインが、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;(iii)配列番号3のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;(iv)配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)-CDR1;(v)配列番号5のアミノ酸配列を含むVL-CDR2;および(vi)配列番号6のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含み;
(b)前記OX40抗原結合ドメインが、(i)配列番号7のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;(ii)配列番号8のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;(iii)配列番号9のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;(iv)配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR1;(v)配列番号11のアミノ酸配列を含むVL-CDR2;および(vi)配列番号12のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記二重特異性抗体またはその抗原結合断片が、ヒト4-1BB抗原結合ドメインおよびヒトOX40抗原結合ドメインを含み、
(a)前記4-1BB抗原結合ドメインが、配列番号14のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号15のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み;
(b)前記OX40抗原結合ドメインが、配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片が、ヒト4-1BB抗原結合ドメインおよびヒトOX40抗原結合ドメインを含み、
(a)前記4-1BB抗原結合ドメインが、配列番号16のアミノ酸配列を含むscFvを含み;
(b)前記OX40抗原結合ドメインが、配列番号19のアミノ酸配列を含むscFvを含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記二重特異性抗体またはその抗原結合断片が、配列番号13のアミノ酸配列を含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項32】
以下を含む医薬組成物:
(a)10mg/mLの4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片であって:
(i)配列番号1のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;配列番号2のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;配列番号3のアミノ酸配列を含むVH-CDR3:配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)-CDR1;配列番号5のアミノ酸配列を含むVL-CDR2;および配列番号6のアミノ酸配列を含むVL-CDR3;を含む4-1BB抗原結合ドメイン、ならびに配列番号7のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;配列番号8のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR1;配列番号11のアミノ酸配列を含むVL-CDR2;および配列番号12のアミノ酸配列を含むVL-CDR3;を含むOX40抗原結合ドメイン;
(ii)配列番号14のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号15のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む4-1BB抗原結合ドメイン、ならびに配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むOX40抗原結合ドメイン;
(iii)配列番号16のアミノ酸配列を含むscFvを含む4-1BB抗原結合ドメイン、および配列番号19のアミノ酸配列を含むscFvを含むOX40抗原結合ドメイン;または
(iv)配列番号13のアミノ酸配列;を含む、4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片と;
(b)約5mM~約15mMグルタミン酸塩と;
(c)約25mM~約50mMロイシンと;
(d)約2%~約8%w/vスクロースと;
(e)約0.01%~約0.03%ポリソルベート-80と;を含み、
ここで、前記組成物の前記pHが、約4.3~約4.7である、医薬組成物。
【請求項33】
以下を含む医薬組成物:
(a)10mg/mLの4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片であって:
(i)配列番号1のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;配列番号2のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;配列番号3のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)-CDR1;配列番号5のアミノ酸配列を含むVL-CDR2;および配列番号7のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む4-1BB抗原結合ドメイン;および
(ii)配列番号7のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;配列番号8のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR1;配列番号11のアミノ酸配列を含むVL-CDR2;および配列番号12のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含むOX40抗原結合ドメインを含む4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片と;
(b)10mMグルタミン酸塩と;
(c)40mMロイシンと;
(d)3%w/vスクロースと;
(e)0.02%ポリソルベート-80と、を含み、
ここで、前記組成物の前記pHが、4.5である、医薬組成物。
【請求項34】
(a)前記4-1BB抗原結合ドメインが、配列番号14のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号15のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み;
(b)前記OX40抗原結合ドメインが、配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記医薬製剤が、液体である、請求項1~34のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記ヒト4-1BB結合ドメインおよび前記ヒトOX40結合ドメインが、同じポリペプチド上にある、請求項28~30および32~35のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記ヒト4-1BB結合ドメインが、前記ヒトOX40結合ドメインのN末端にある、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記ヒト4-1BB結合ドメインが、前記ヒトOX40結合ドメインのC末端にある、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記抗体またはその抗原結合断片が、免疫グロブリン定常領域を含む、請求項1~30および32~38のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項40】
前記免疫グロブリン定常領域が、IgG1の免疫グロブリンCH2およびCH3ドメインを含む、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項41】
前記抗体が、CH1ドメインを含まない、請求項1~40のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項42】
前記免疫グロブリン定常領域が、EUナンバリングシステムに従って、置換E233P、L234A、L235A、G237A、およびK322A、ならびにG236の欠失を含むヒトIgG1 CH2ドメインを含む、請求項39~41のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項43】
前記抗体またはその抗原結合断片が、免疫グロブリン定常領域と前記ヒト4-1BB結合ドメインとの間、および/または免疫グロブリン定常領域と前記ヒトOX40結合ドメインとの間にリンカーを含む、請求項28~30および32~42のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項44】
前記免疫グロブリン定常領域と前記ヒト4-1BB結合ドメインとの間の前記リンカー、および/または前記免疫グロブリン定常領域と前記ヒトOX40結合ドメインとの間の前記リンカーが、10~30アミノ酸、15~30アミノ酸、または20~30アミノ酸を含む、請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項45】
前記免疫グロブリン定常領域と前記ヒト4-1BB結合ドメインとの間の前記リンカー、または前記免疫グロブリン定常領域と前記ヒトOX40結合ドメインとの間の前記リンカーが、アミノ酸配列(Gly4Ser)nを含み、式中、n=1~5(配列番号21)、任意によりn=1である、請求項44に記載の医薬組成物。
【請求項46】
前記抗体が、2つのポリペプチドの二量体を含み、各ポリペプチドは、アミノ末端からカルボキシル末端への順で、第1のscFv、ヒンジ領域、免疫グロブリン定常領域、および第2のscFvを含み、ここで、(a)前記第1のscFvは、ヒト4-1BB抗原結合ドメインを含み、前記第2のscFvは、ヒトOX40抗原結合ドメインを含むか、または(b)前記第1のscFvは、ヒトOX40抗原結合ドメインを含み、前記第2のscFvは、ヒト4-1BB抗原結合ドメインを含む、請求項28~45のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項47】
前記二量体が、ホモ二量体である、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項48】
前記医薬製剤が-20℃で保存できる、請求項1~47のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項49】
-20℃での保存後、約3週間後、約6週間後、約3ヶ月後、約6ヶ月後、および約7ヶ月後にpHに有意な変化を有しない、請求項1~48のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項50】
-20℃での保存後、約3週間後、約6週間後、約3ヶ月後、約6ヶ月後、または約7ヶ月後に高分子量含有率(%HMW)に有意な変化を有しない、請求項1~49のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項51】
-20℃での保存後、約3週間後、約6週間後、約3ヶ月後、約6ヶ月後、または約7ヶ月後の前記%HMWの前記変化が、5%未満である、請求項1~50のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項52】
1、2、または3回の凍結/解凍サイクル後に前記%HMWの有意な変化を有しない、請求項1~51のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項53】
1、2、または3回の凍結/解凍サイクル後の前記%HMWの前記変化が、5%未満である、請求項1~52のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項54】
前記%HMWが、サイズ排除超圧液体クロマトグラフィー(SE-UPLC)によって測定される、請求項50~53のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項55】
サイズ排除超圧液体クロマトグラフィー(SE-UPLC)によって測定した場合、-20℃での保存後、約3週間後、約6週間後、約3ヶ月後、約6ヶ月後、または約7ヶ月後、凝集体形成に有意な変化を有しない、請求項1~54のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項56】
対象におけるがんを治療する方法であって、有効量の請求項1~55のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項57】
前記がんが、固形腫瘍がんである、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記がんが、肉腫、癌腫、またはリンパ腫である、請求項56または57に記載の方法。
【請求項59】
前記がんが、黒色腫、腎癌、膵癌、肺癌、胃癌、大腸/腸癌、前立腺癌、卵巣癌、乳癌、肝癌、脳癌、または血液癌からなる群から選択される、請求項56~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記対象が、ヒトである、請求項56~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記対象が、腫瘍浸潤リンパ球上で4-1BBおよびOX40を発現する、請求項56~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
がんの治療に使用するための、請求項1~61のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項63】
固形腫瘍がんの治療に使用するための、請求項1~62のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項64】
前記固形腫瘍がんが、肉腫、癌腫、またはリンパ腫である、請求項63に記載の使用のための抗体医薬組成物。
【請求項65】
前記がんが、黒色腫、腎癌、膵癌、肺癌、大腸/腸癌、胃癌、前立腺癌、卵巣癌、乳癌、肝癌、脳癌、または血液癌からなる群から選択される、請求項64に記載の使用のための医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本国際出願は、2021年2月17日に出願された米国仮出願第63/150,475号の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
電子的に提出された配列表への参照
電子的に提出された配列表の内容(名称:4897_0060000_Seqlisting_ST25.txt;サイズ:18,030バイト;および作成日:2022年2月16日)は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
技術分野
本開示は、4-1BBおよびOX40に特異的に結合する二重特異性抗体およびその抗原結合断片を含む医薬組成物に関する。この組成物は、固形腫瘍がんなどの障害の治療に有用である。このような組成物を使用して、がんなどの障害を治療するための方法も提供される。
【背景技術】
【0004】
4-1BB(CD137)およびOX40は、TNF受容体(TNFR)ファミリーのメンバーである(Bremer,ISRN Oncol.:371854(2013))。これらの受容体は、ナイーブT細胞またはNK細胞には構成的に存在しない:その発現は、T細胞受容体(TCR)を介したT細胞の刺激、またはNK細胞内の他の刺激によって引き起こされる。4-1BBは、主にCD8 T細胞およびNK細胞内で上方制御され、OX40は、主にCD4 T細胞上で上方制御される。これらの受容体の機能は、T細胞およびNK細胞に共刺激シグナルを提供することである。これらの受容体の活性化は、4-1BBリガンド(4-1BBL)またはOX40リガンド(OX40L)三量体との相互作用による三量体化によって自然に引き起こされ、シグナル伝達および特定の細胞機能の開始につながる。4-1BBは、IFN-γ、グランザイム、および抗アポトーシス遺伝子の発現の増加を通じて、CD8 T細胞およびNK細胞のエフェクター機能を増強し、これにより、多くのより優れたエフェクターCD8 T細胞およびNK細胞が生成される。OX40は、IL-2を産生する能力およびメモリーCD4 T細胞のクローン拡大能力を増強することにより、CD4 T細胞のエフェクター機能を増強する。
【0005】
4-1BBおよびOX40は、多くの場合、腫瘍浸潤リンパ球上で発現し、それらの発現は、腫瘍特異的T細胞を同定するために使用されている。ヒト固形腫瘍には、多くの場合、リンパ球、ほとんどがCD8+およびCD4+T細胞が浸潤している。腫瘍浸潤リンパ球の蓄積は、多くの場合、様々な悪性腫瘍に罹患した患者の生存率の改善と関連している。(Ye et al.,OncoImmunology 2:e27184(2013);Montler et al.,Clin Transl Immunology 5:e70(2016))。
【0006】
様々な誘導腫瘍モデルおよび自然発生腫瘍モデルにおける前臨床結果は、アゴニスト抗体で4-1BBを標的にすることが、腫瘍の除去および持続的な抗腫瘍免疫をもたらし得ることを示唆している。ウレルマブおよびウトミルマブは、アゴニスト抗4-1BBモノクローナル抗体であり、固形腫瘍の治療を含む適応症について臨床試験が進行している。初期に有効性の兆候が確認されたにもかかわらず、ウレルマブの臨床開発は、1mg/kgを超える用量での炎症性肝毒性によって妨げられている。ウトミルマブは、ウレルマブほど効力は強くないが、ウレルマブと比較して、改善された安全性プロファイルを有する(Chester et al.,Blood131:39-57(2018))。ウレルマブで観察されるような肝毒性または他の全身性損傷を引き起こさない、4-1BBを標的とする有効な治療薬が必要とされている。
【0007】
OX40アゴニストは、腫瘍へのT細胞浸潤を増加させることが報告されている。また、OX40シグナル伝達は、Tregを介した抗腫瘍免疫応答の抑制を防ぐことができる。4T-1乳癌、B16黒色腫、ルイス肺がん、およびいくつかの化学的誘導肉腫などのいくつかの前臨床マウスがんモデルでは、OX40アゴニストの注射により、治療的応答が結果的に得られている。(Ohsima et al.,J.Immunology 159:3838-3848(1997);Imura et al.,J.Exp.Med.183:2185-2195(1996);Maxwell et al.,J.Immunology 164:107-112(2000);Gough et al.,J.Immunotherapy 33(8):798-809(2010))。
【0008】
場合によっては、研究者らは、アゴニズムを誘導するために、4-1BBもしくはOX40に対する複数(>2)の結合ドメイン、または複数のOX40Lおよび4-1BBL細胞外ドメインの融合を含むタンパク質構築物を生成した。他の例では、4-1BBまたはOX40に対する結合ドメイン(複数可)および腫瘍特異的抗原に対する結合ドメイン(複数可)を含む二重特異性タンパク質が存在する。腫瘍抗原結合を介した結合およびクラスター化は、4-1BBおよびOX40のクラスター化およびシグナル伝達を誘導する。しかし、これらの構築物はいずれも、腫瘍浸潤リンパ球、すなわちCD8+T細胞、CD4 T+細胞、およびNK細胞の機能を刺激すること、およびエフェクター細胞のオフターゲット活性化(すなわち、FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIIa、およびFcγRIIIbへの結合による活性化)を最小限にするまたはまったく行わずにそうすることとは期待されていない。
【0009】
したがって、腫瘍浸潤リンパ球の活性を選択的に強化する(循環リンパ球への効果は最小限であるかまたは全くない)治療選択肢、例えば、4-1BBおよびOX40の両方に結合して刺激する二重特異性抗体を含む医薬組成物が必要である。
【発明の概要】
【0010】
本開示のいくつかの態様は、(a)4-1BBおよびOX40を特異的に結合する二重特異性抗体またはその抗原結合断片;(b)約5mM~約15mMの安定性促進緩衝液;(c)約25mM~約50mMの安定化アミノ酸;(d)約2%~約8%w/vの糖;および(e)約0.01%~約0.03%の界面活性剤を含む医薬組成物を提供する。
【0011】
本開示のいくつかの態様では、安定性促進緩衝液は、コハク酸塩、ヒスチジン、クエン酸塩、およびグルタミン酸塩からなる群から選択される。いくつかの態様では、安定性促進緩衝液は、組成物中に、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、約11mM、約12mM、約13mM、約14mM、または約15mMの量で存在する。いくつかの態様では、安定性促進緩衝液は、グルタミン酸塩である。いくつかの態様では、グルタミン酸塩は、組成物中に、約5mMの濃度で存在する。
【0012】
本開示のいくつかの態様では、安定化アミノ酸は、アルギニン、メチオニン、ロイシン、およびグリシンからなる群から選択される。いくつかの態様では、安定化アミノ酸は、組成物中に、約25mM、約26mM、約27mM、約28mM、約29mM、約30mM、約31mM、約32mM、約33mM、約34mM、約35mM、約36mM、約37mM、約38mM、約39mM、約40mM、約41mM、約42mM、約43mM、約44mM、約45mM、約46mM、約47mM、約48mM、約49mM、または約50mMの濃度で存在する。いくつかの態様では、安定化アミノ酸は、ロイシンである。いくつかの態様では、ロイシンは、組成物中に、約40mMの濃度で存在する。
【0013】
本開示のいくつかの態様では、糖は、スクロース、トレハロース、およびソルビトールからなる群から選択される。いくつかの態様では、糖は、組成物中に、約2%w/v~約8%w/vの濃度で存在する。いくつかの態様では、糖は、組成物中に、約2%w/v、約3%w/v、約4%w/v、約5%w/v、約6%w/v、約7%w/v、または約8%w/vの濃度で存在する。いくつかの態様では、糖は、スクロースである。いくつかの態様では、スクロースは、組成物中に、約3%w/vの濃度で存在する。
【0014】
本開示のいくつかの態様では、医薬組成物は、界面活性剤をさらに含む。いくつかの態様では、界面活性剤は、組成物中に、約0.01%w/v~約0.03%w/vの濃度で存在する。いくつかの態様では、界面活性剤は、ポリソルベート-80である。いくつかの態様では、ポリソルベート-80は、組成物中に、約3%w/vの濃度で存在する。
【0015】
本開示のいくつかの態様では、組成物のpHは、約4.3~約4.7の範囲にある。いくつかの態様では、組成物のpHは、約4.5である。
【0016】
本開示のいくつかの態様では、4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、組成物中に、約10mg/mL~50mg/mLの濃度で存在する。
【0017】
本開示のいくつかの態様では、医薬組成物は、塩化ナトリウム(NaCl)を含まない。
【0018】
本開示のいくつかの態様では、4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、約90%を超える純度を有する。
【0019】
本開示のいくつかの態様では、本明細書で提供される医薬組成物は、(a)約10mg/mLの濃度の4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片;(b)約10mMグルタミン酸塩;(c)約40mMロイシン;(d)約3%w/vスクロース;および(e)約0.02%ポリソルベート-80を含み;ここで、組成物のpHは、約4.3~約4.7である。
【0020】
本開示のいくつかの態様では、本明細書で提供される医薬組成物は、(a)10mg/mLの濃度の4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片;(b)10mMグルタミン酸塩;(c)40mMロイシン;(d)3%w/vスクロース;および(e)0.02%ポリソルベート-80を含み;ここで、組成物のpHは、4.5である。
【0021】
本開示のいくつかの態様では、本明細書で提供される医薬組成物は、一本鎖Fv(scFv)を含む4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0022】
本開示のいくつかの態様では、本明細書で提供される医薬組成物は、Fab、Fab’、F(ab’)2、scFv、ジスルフィド結合Fv、またはscFv-Fcを含む4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0023】
本開示のいくつかの態様では、本明細書で提供される医薬組成物は、ヒト4-1BB抗原結合ドメインおよびヒトOX40抗原結合ドメインを含む4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片を含み、ここで、(a)4-1BB抗原結合ドメインは、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;(iii)配列番号3のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;(iv)配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)-CDR1;(v)配列番号5のアミノ酸配列を含むVL-CDR2;および(vi)配列番号6のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含み;(b)OX40抗原結合ドメインは、(i)配列番号7のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;(ii)配列番号8のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;(iii)配列番号9のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;(iv)配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR1;(v)配列番号11のアミノ酸配列を含むVL-CDR2;および(vi)配列番号12のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む。
【0024】
いくつかの態様では、4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、ヒト4-1BB抗原結合ドメインおよびヒトOX40抗原結合ドメインを含み、(a)4-1BB抗原結合ドメインは、配列番号14のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号15のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み;(b)OX40抗原結合ドメインは、配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0025】
いくつかの態様では、4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、ヒト4-1BB抗原結合ドメインおよびヒトOX40抗原結合ドメインを含み、ここで、(a)4-1BB抗原結合ドメインは、配列番号16のアミノ酸配列を含むscFvを含み、(b)OX40抗原結合ドメインは、配列番号19のアミノ酸配列を含むscFvを含む。
【0026】
いくつかの態様では、4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、配列番号13のアミノ酸配列を含む。
【0027】
本開示のいくつかの態様では、本明細書で提供される医薬組成物は、(a)10mg/mLの4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片であって、ここで、抗体またはその抗原結合断片は、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;配列番号2のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;配列番号3のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)-CDR1;配列番号5のアミノ酸配列を含むVL-CDR2;および配列番号6のアミノ酸配列を含むVL-CDR3;を含む4-1BB抗原結合ドメイン、ならびに配列番号7のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;配列番号8のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR1;配列番号11のアミノ酸配列を含むVL-CDR2;および配列番号12のアミノ酸配列を含むVL-CDR3;を含むOX40抗原結合ドメイン;(ii)配列番号14のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号15のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;を含む4-1BB抗原結合ドメイン、ならびに配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むOX40抗原結合ドメイン;(iii)配列番号16のアミノ酸配列を含むscFvを含む4-1BB抗原結合ドメイン;および配列番号19のアミノ酸配列を含むscFvを含むOX40抗原結合ドメイン;または(iv)配列番号13のアミノ酸配列を含む4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片と;(b)約5mM~約15mMグルタミン酸塩と;(c)約25mM~約50mMロイシンと;(d)約2%~約8%w/vスクロースと;(e)約0.01%~約0.03%ポリソルベート-80と、を含み;ここで、組成物のpHは、約4.3~約4.7である。
【0028】
本開示のいくつかの態様では、本明細書で提供される医薬組成物は、(a)10mg/mLの4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片であって;(i)配列番号1のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;配列番号2のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;配列番号3のアミノ酸配列を含むVH-CDR3:配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)-CDR1;配列番号5のアミノ酸配列を含むVL-CDR2;および配列番号7のアミノ酸配列を含むVL-CDR3;を含む4-1BB抗原結合ドメイン、ならびに(ii)配列番号7のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;配列番号8のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR1;配列番号11のアミノ酸配列を含むVL-CDR2;および配列番号12のアミノ酸配列を含むVL-CDR3;を含むOX40抗原結合ドメイン;を含む、抗体またはその抗原結合断片と;(b)10mMグルタミン酸塩と;(c)40mMロイシンと;(d)3%w/vスクロースと;(e)0.02%ポリソルベート-80と、を含み、ここで、組成物のpHは、4.5である。
【0029】
いくつかの態様では、医薬組成物は、(a)配列番号14のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号15のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む4-1BB抗原結合ドメインと、(b)配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むOX40抗原結合ドメインと、を含む。
【0030】
本開示のいくつかの態様では、本明細書で提供される医薬組成物は、液体である。
【0031】
本明細書で提供される医薬組成物のいくつかの態様では、ヒト4-1BB結合ドメインおよびヒトOX40結合ドメインは、同じポリペプチド上にある。いくつかの態様では、ヒト4-1BB結合ドメインは、ヒトOX40結合ドメインのN末端にある。いくつかの態様では、ヒト4-1BB結合ドメインは、ヒトOX40結合ドメインのC末端にある。
【0032】
本明細書で提供される医薬組成物のいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、免疫グロブリン定常領域を含む。態様において、免疫グロブリン定常領域は、IgG1の免疫グロブリンCH2およびCH3ドメインを含む。いくつかの態様では、抗体は、CH1ドメインを含まない。いくつかの態様では、免疫グロブリン定常領域は、EUナンバリングシステムに従って、置換E233P、L234A、L235A、G237A、およびK322A、ならびにG236の欠失を含むヒトIgG1 CH2ドメインを含む。
【0033】
いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、免疫グロブリン定常領域とヒト4-1BB結合ドメインとの間、および/または免疫グロブリン定常領域とヒトOX40結合ドメインとの間にリンカーを含む。いくつかの態様では、免疫グロブリン定常領域とヒト4-1BB結合ドメインとの間のリンカー、および/または免疫グロブリン定常領域とヒトOX40結合ドメインとの間のリンカーは、10~30アミノ酸、15~30アミノ酸、または20~30アミノ酸を含む。いくつかの態様では、免疫グロブリン定常領域とヒト4-1BB結合ドメインとの間のリンカー、または免疫グロブリン定常領域とヒトOX40結合ドメインとの間のリンカーは、アミノ酸配列(Gly4Ser)nを含み、式中、n=1~5(配列番号21)、任意によりn=1である。いくつかの態様では、抗体は、2つのポリペプチドの二量体を含み、各ポリペプチドは、アミノ末端からカルボキシル末端への順で、第1のscFv、ヒンジ領域、免疫グロブリン定常領域、および第2のscFvを含み、ここで、(a)第1のscFvは、ヒト4-1BB抗原結合ドメインを含み、第2のscFvは、ヒトOX40抗原結合ドメインを含むか、または(b)第1のscFvは、ヒトOX40抗原結合ドメインを含み、第2のscFvは、ヒト4-1BB抗原結合ドメインを含む。いくつかの態様では、二量体は、ホモ二量体である。
【0034】
本開示のいくつかの態様では、本明細書で提供される医薬組成物は、-20℃で保存することができる。いくつかの態様では、本明細書で提供される医薬組成物は、-20℃での保存後、約3週間後、約6週間後、約3ヶ月後、約6ヶ月後、および約7ヶ月後にpHに有意な変化を有しない。いくつかの態様では、本明細書で提供される医薬組成物は、-20℃での保存後、約3週間後、約6週間後、約3ヶ月後、約6ヶ月後、または約7ヶ月後に高分子量含有率(%HMW)に有意な変化を有しない。いくつかの態様では、-20℃での保存後、約3週間後、約6週間後、約3ヶ月後、約6ヶ月後、または約7ヶ月後の%HMWの変化は、5%未満である。
【0035】
本開示のいくつかの態様では、本明細書で提供される医薬組成物は、1、2、または3回の凍結/解凍サイクル後に%HMWの有意な変化を有しない。いくつかの態様では、1、2、または3回の凍結/解凍サイクル後の%HMWの変化は、5%未満である。いくつかの態様では、%HMWは、サイズ排除超圧液体クロマトグラフィー(SE-UPLC)によって測定される。
【0036】
本開示のいくつかの態様では、本明細書で提供される医薬組成物は、サイズ排除超圧液体クロマトグラフィー(SE-UPLC)によって測定した場合、-20℃での保存後、約3週間後、約6週間後、約3ヶ月後、約6ヶ月後、または約7ヶ月後、凝集体形成に有意な変化を有しない。
【0037】
また、本明細書では、有効量の本明細書に開示される医薬組成物を対象に投与することを含む、対象におけるがんを治療する方法も提供される。いくつかの態様では、がんは、固形腫瘍がんである。いくつかの態様では、がんは、肉腫、癌腫、またはリンパ腫である。いくつかの態様では、がんは、黒色腫、腎癌、膵癌、肺癌、胃癌、大腸/腸癌、前立腺癌、卵巣癌、乳癌、肝癌、脳癌、または血液癌からなる群から選択される。いくつかの態様では、対象は、ヒトである。いくつかの態様では、対象は、腫瘍浸潤リンパ球上に4-1BBおよびOX40を発現する。
【0038】
本開示のいくつかの態様では、本明細書で提供される医薬組成物は、がんの治療に使用するためのものである。いくつかの態様では、本明細書で提供される医薬組成物は、固形腫瘍がんの治療に使用するためのものである。いくつかの態様では、固形腫瘍がんは、肉腫、癌腫、またはリンパ腫である。いくつかの態様では、がんは、黒色腫、腎癌、膵癌、肺癌、大腸/腸癌、胃癌、前立腺癌、卵巣癌、乳癌、肝癌、脳癌、または血液癌からなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1A】異なるタンパク質製剤におけるFXX01102のTagg分析を示す。(実施例2を参照のこと)。
図1B】異なるタンパク質製剤におけるFXX01102のTagg分析を示す。(実施例2を参照のこと)。
図2】100mM塩化ナトリウムを有するまたは有しない、10mMグルタミン酸塩、8%w/vスクロース、0.02%w/vポリソルベート-80中10mg/mLで製剤化されたFXX01102に対して行われたB22分析の結果を示す。(実施例3を参照のこと)。
図3】10mMグルタミン酸塩、4%w/vスクロース、pH4.5中で製剤化された10mg/mL FXX01102に対するアルギニン、メチオニン、およびグリシンの影響を比較するB22分析の結果を示す。(実施例4を参照のこと)。
図4】10mMグルタミン酸塩、4%w/vスクロース、pH4.5中で製剤化されたFXX01102に対するロイシンの影響を決定するためのB22実験の結果を示す。(実施例4を参照のこと)。
図5】25mM MgSO、リジンまたはロイシンを添加したまたは添加しなかった、10mMグルタミン酸塩、4%w/vスクロース、pH4.5中で製剤化された10mg/mL FXX01102のTaggプロットの比較を示す(実施例5を参照のこと)。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本開示の理解を容易にするために、いくつかの用語および語句を以下に定義する。
I.用語
本明細書で使用する場合、用語「4-1BB」は、これらに限定されないが、天然の4-1BBポリペプチドおよび4-1BBポリペプチドのアイソフォームなどの哺乳動物の4-1BBポリペプチドを指す。「4-1BB」は、完全長の未プロセシング4-1BBポリペプチド、ならびに細胞内でのプロセシングの結果生じる4-1BBポリペプチドの形態を包含する。本明細書で使用される場合、用語「CD137」は、用語「4-1BB」と交換可能であると理解されるものとする。本明細書で使用される場合、用語「ヒト4-1BB」は、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドを指す。本明細書で使用される場合、用語「カニクイザル4-1BB」は、配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドを指す。「4-1BBポリヌクレオチド」、「4-1BBヌクレオチド」、または「4-1BB核酸」は、4-1BBをコードするポリヌクレオチドを指す。
【0041】
本明細書で使用する場合、「OX40」という用語は、これらに限定されないが、天然OX40ポリペプチドおよびOX40ポリペプチドのアイソフォームなど、哺乳動物OX40ポリペプチドを指す。「OX40」は、完全長の未プロセシングのOX40ポリペプチド、ならびに細胞内でのプロセシングから生じるOX40のポリペプチド形態を包含する。本明細書で使用される場合、用語「ヒトOX40」は、配列番号3のアミノ酸配列を含むポリペプチドを指す。本明細書で使用される場合、用語「カニクイザルOX40」は、配列番号4のアミノ酸配列を含むポリペプチドを指す。「OX40ポリヌクレオチド」、「OX40ヌクレオチド」、または「OX40核酸」は、OX40をコードするポリヌクレオチドを指す。
【0042】
本明細書で使用される場合、「腫瘍浸潤リンパ球」または「TIL」という用語は、腫瘍細胞に直接対抗するおよび/または腫瘍細胞を取り囲むリンパ球を指す。腫瘍浸潤リンパ球は、典型的には、非循環リンパ球であり、CD8+T細胞、CD4+T細胞、およびNK細胞が挙げられる。腫瘍浸潤リンパ球は、OX40および4-1BBを発現できる。
【0043】
本明細書で使用される場合、用語「抗体(複数可)」は、専門用語であり、本明細書では互換的に使用することができ、抗原を特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合部位を有する分子または分子の複合体を指す。
【0044】
抗体としては、例えば、モノクローナル抗体、組換えにより生産された抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、再表面化した抗体、キメラ抗体、免疫グロブリン、合成抗体、2つの重鎖分子および2つの軽鎖分子を含む四量体抗体、抗体軽鎖モノマー、抗体重鎖モノマー、抗体軽鎖二量体、抗体重鎖二量体、抗体軽鎖-抗体重鎖ペア、イントラボディ、ヘテロコンジュゲート抗体、単一ドメイン抗体、一価抗体、一本鎖抗体または単鎖Fv(scFv)、ラクダ化抗体、アフィボディ、Fab断片、F(ab’)断片、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、抗抗Id抗体)、二重特異性抗体、および多重特異性抗体を挙げることができる。いくつかの態様では、本明細書に記載される抗体は、ポリクローナル抗体集団を指す。抗体は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、またはIgY)、任意のクラス(例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IgA、またはIgA)、または任意のサブクラス(例えば、IgG2aまたはIgG2b)であり得る。いくつかの態様では、本明細書に記載される抗体は、IgG抗体、またはそのクラス(例えば、ヒトIgG、IgGもしくはIgG)もしくはサブクラスである。特定の態様では、抗体は、ヒト化モノクローナル抗体である。別の特定の態様では、抗体は、ヒトモノクローナル抗体、例えば免疫グロブリンである。いくつかの態様では、本明細書に記載される抗体は、IgG、IgG、またはIgG抗体である。
【0045】
「二重特異性」抗体は、2つの異なる抗原に結合する2つの異なる抗原結合部位(Fc領域を除く)を有する抗体である。二重特異性抗体としては、例えば、組換えにより産生された抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、再表面化抗体、キメラ抗体、免疫グロブリン、合成抗体、2つの重鎖分子および2つの軽鎖分子を含む四量体抗体、抗体軽鎖モノマー、ヘテロコンジュゲート体抗体、連結一本鎖抗体または連結一本鎖Fv(scFv)、ラクダ化抗体、アフィボディ、連結Fab断片、F(ab’)断片、化学連結Fv、およびジスルフィド連結Fv(sdFv)を挙げることができる。二重特異性抗体は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、またはIgY)、任意のクラス(例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IgA、またはIgA)、または任意のサブクラス(例えば、IgG2aまたはIgG2b)であり得る。いくつかの態様では、本明細書に記載される二重特異性抗体は、IgG抗体、またはそのクラス(例えば、ヒトIgG、IgGもしくはIgG)もしくはサブクラスである。いくつかの態様では、本明細書に記載される二重特異性抗体は、2つのポリペプチド、任意により同一のポリペプチドを含み、各ポリペプチドは、アミノ末端からカルボキシル末端の順で、第1のscFv抗原結合ドメイン、リンカー(任意により、リンカーは、ヒンジ領域である)、免疫グロブリン定常領域、および第2のscFv抗原結合ドメインを含む。この特定のタイプの抗体は、ADAPTIR(商標)技術によって例示される。例示的な分子は、本開示全体においてFXX01102と呼ばれる。二重特異性抗体は、例えば、各標的に対して一価(例えば、一方のアームが一方の抗原を標的とし、他方のアームが第二の抗原を標的とするIgG分子)、または各標的に対して二価(例えば、二重可変ドメイン抗体、IgG-scFv、scFv-Fc-scFv、または二量体を含むADAPTIR(商標)抗体(二量体の各ポリペプチドは、2つの異なる抗原結合ドメインを含む)であり得る。
【0046】
本明細書で使用される場合、用語「抗原結合ドメイン」、「抗原結合領域」、「抗原結合部位」、および同様の用語は、「抗体分子に抗原に対する特異性を付与するアミノ酸残基を含む抗体分子の部分(例えば、相補性決定領域(CDR))を指す。抗原結合領域は、げっ歯類(例えば、マウス、ラット、またはハムスター)およびヒトなどの任意の動物種に由来し得る。4-1BBに結合する抗原結合ドメインは、本明細書では例えば「4-1BB結合ドメイン」と呼ぶことができる。OX40に結合する抗原結合ドメインは、本明細書では例えば「OX40結合ドメイン」と呼ぶことができる。本明細書で使用される場合、「ヒト4-1BB結合ドメイン」または「ヒト4-1BB抗原結合ドメイン」は、ヒト4-1BBに特異的に結合するが、非ヒト4-1BB(例えば、マウス、げっ歯類、または非ヒト霊長類4-1BB)にも結合し得る抗原結合ドメインを指す。
【0047】
同様に、「ヒトOX40結合ドメイン」または「ヒトOX40抗原結合ドメイン」は、ヒトOX40に特異的に結合する抗原結合ドメインを指す。
【0048】
本明細書で使用される「4-1BB/OX40抗体」、「抗4-1BB/OX40抗体」または「4-1BBxOX40抗体」という用語は、4-1BB(例えば、ヒト4-1BB)に結合する抗原結合ドメインおよびOX40(例えば、ヒトOX40)に結合する抗原結合ドメインを含む二重特異性抗体を指す。
【0049】
「モノクローナル」抗体は、単一の抗原決定基またはエピトープの高度に特異的な認識および結合に関与する均質な抗体集団を指す。これは、典型的には、異なる抗原決定基に対して向けられる異なる抗体を含むポリクローナル抗体とは対照的である。「モノクローナル」抗体という用語は、無傷の免疫グロブリン分子および全長免疫グロブリン分子の両方、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv)、一本鎖(scFv)、抗体部分を含む融合タンパク質、および抗原認識部位を含む任意の他の修飾免疫グロブリン分子を包含する。さらに、「モノクローナル」抗体とは、これらに限定されないが、ハイブリドーマ、ファージ選択、組換え発現、およびトランスジェニック動物などによる任意の数の方法で作製された抗体を指す。
【0050】
用語「キメラ」抗体は、アミノ酸配列が2つ以上の種に由来する抗体を指す。典型的には、軽鎖および重鎖の両方の可変領域は、望ましい特異性、親和性、および能力を有する1種の哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギなど)に由来する抗体の可変領域に対応するが、定常領域は、その種における免疫応答の誘発を回避するために、別の種(通常はヒト)に由来する抗体の配列と相同である。
【0051】
「ヒト化」抗体という用語は、最小限の非ヒト(例えばマウス)配列を含む非ヒト(例えばマウス)抗体の形態を指す。典型的には、ヒト化抗体は、相補性決定領域(CDR)の残基が、所望の特異性、親和性、および能力を有する非ヒト種(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター)のCDRの残基で置き換えられた(「CDR移植」)ヒト免疫グロブリンである(Jonesetal.,Nature321:522-525(1986);Riechmannetal.,Nature332:323-327(1988);Verhoeyenetal.,Science239:1534-1536(1988))。
【0052】
場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基が、所望の特異性、親和性、および能力を有する非ヒト種由来の抗体中の対応する残基で置き換えられる。そのヒト化抗体を、Fvフレームワーク領域でのおよび/または置き換えられた非ヒト残基内でのさらなる残基の置換によってさらに修飾し、抗体の特異性、親和性、および/または能力を改善し、最適化することができる。一般に、ヒト化抗体は、非ヒト免疫グロブリンに対応するCDR領域のすべてまたは実質的にすべてを含む、少なくとも1つ、典型的には2つまたは3つの可変ドメインのすべてを実質的に含むが、FR領域のすべてまたは実質的にすべては、ヒト免疫グロブリンのコンセンサス配列のFR領域である。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域またはドメイン(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンの定常領域またはドメイン(Fc)の少なくとも一部を含むこともできる。ヒト化抗体を生成するために使用される方法の例は、米国特許第5,225,539号;Roguska et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,91(3):969-973(1994)、およびRoguska et al.,Protein Eng.9(10):895-904(1996)に記載されている。
【0053】
「ヒト」抗体という用語は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座に由来するアミノ酸配列を有する抗体を意味し、そのような抗体は、当技術分野で知られている任意の技術を使用して作製される。
【0054】
可変領域は、典型的には、抗体の一部、一般に、軽鎖または重鎖の一部、典型的には、成熟重鎖中のアミノ末端約110~125アミノ酸および成熟軽鎖中のアミノ末端約90~115アミノ酸を指し、これは、抗体間で配列が大きく異なり、特定の抗原に対する特定の抗体の結合および特異性に使用される。配列の可変性は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる領域に集中しているが、可変ドメイン内のより高度に保存された領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。いかなる特定の機構または理論にも束縛されるものではないが、軽鎖および重鎖のCDRは、主に、抗体と抗原との相互作用および特異性に関与すると考えられている。いくつかの態様では、可変領域は、ヒト可変領域である。いくつかの態様では、可変領域は、げっ歯類またはマウスのCDRおよびヒトフレームワーク領域(FR)を含む。特定の態様では、可変領域は、霊長類(例えば、非ヒト霊長類)可変領域である。いくつかの態様では、可変領域は、げっ歯類またはマウスのCDRおよび霊長類(例えば、非ヒト霊長類)のフレームワーク領域(FR)を含む。
【0055】
用語「VH」および「VHドメイン」は、抗体の重鎖可変領域を指すために互換的に使用される。
【0056】
用語「VL」および「VLドメイン」は、抗体の軽鎖可変領域を指すために互換的に使用される。
【0057】
「Kabatナンバリング」という用語および類似の用語は、当技術分野で認識されており、抗体またはその抗原結合部分の重鎖および軽鎖可変領域内のアミノ酸残基に番号を付けるシステムを指す。いくつかの態様では、抗体のCDRは、Kabatナンバリングシステムに従って決定され得る(例えば、Kabat EA&Wu TT(1971)Ann NY Acad Sci 190:382-391 and Kabat EA et al.,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242を参照のこと)。Kabatナンバリングシステムを使用することにより、抗体重鎖分子内のCDRは、典型的には、アミノ酸位置31~35(これには、任意により、35の後に1つまたは2つの追加のアミノ酸を含むことができる(Kabatナンバリングスキームでは35Aおよび35Bと呼ばれる)(CDR1))、アミノ酸位置50~65(CDR2)、およびアミノ酸位置95~102(CDR3)に存在する。
【0058】
Kabatナンバリングシステムを使用することにより、抗体軽鎖分子内のCDRは、典型的には、アミノ酸位置24~34(CDR1)、アミノ酸位置50~56(CDR2)、およびアミノ酸位置89~97(CDR3)に存在する。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体のCDRは、Kabatナンバリングスキームに従って決定されている。
【0059】
Chothiaは、代わりに、構造ループの位置に言及する(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987))。Kabatナンバリング規則を使用して番号付けした場合のChothiaCDR-H1ループの終端は、ループの長さに応じて、H32とH34との間で変化する(これは、Kabatのナンバリングスキームでは、挿入がH35AおよびH35Bに置かれるためである;35Aまたは35Bのいずれも存在しない場合、ループは32で終端する;35Aのみが存在する場合、ループは33で終端する;35Aおよび35Bの両方が存在する場合、ループは34で終端する)。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体のCDRは、Chothiaナンバリングスキームに従って決定されている。
【0060】
AbM超可変領域は、Kabat CDRとChothia構造ループとの間の妥協を表し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによって使用される。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体のCDRは、AbMナンバリングスキームに従って決定されている。
【表1】
【0061】
IMGTのナンバリング規則は、Brochet,X,et al,Nucl.Acids Res.36:W503-508(2008)に記載されている。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体のCDRは、IMGTナンバリング規則に従って決定されている。本明細書で使用される場合、別段の定めがない限り、免疫グロブリン分子の可変領域内のアミノ酸残基の位置は、IMGTのナンバリング規則に従って番号付けされる。
【0062】
本明細書で使用される場合、「定常領域」または「定常ドメイン」という用語は、交換可能であり、当該技術分野において共通の意味を有する。定常領域は、抗体部分、例えば、抗原への抗体の結合には直接関与しないが、Fc受容体との相互作用などの様々なエフェクター機能を呈することができる軽鎖および/または重鎖のカルボキシル末端部分である。免疫グロブリン分子の定常領域は、一般に、免疫グロブリン可変ドメインと比較して、より保存されたアミノ酸配列を有する。免疫グロブリン「定常領域」または「定常ドメイン」は、CH1ドメイン、ヒンジ、CH2ドメイン、およびCH3ドメイン、またはこれらのドメインのサブセット、例えばCH2ドメインおよびCH3ドメインを含み得る。本明細書で提供されるいくつかの態様では、免疫グロブリン定常領域は、CH1ドメインを含まない。本明細書で提供されるいくつかの態様では、免疫グロブリン定常領域は、ヒンジを含まない。本明細書で提供されるいくつかの態様では、免疫グロブリン定常領域は、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含む。
【0063】
「Fc領域」または「Fcドメイン」は、細胞上の抗体受容体および補体のC1q成分への結合を担うソース抗体の部分に対応する、またはそれに由来するポリペプチド配列を指す。Fcは、「結晶断片」の略で、タンパク質結晶を容易に形成する抗体の断片を指す。タンパク質分解消化によって最初に記述された個別のタンパク質断片は、免疫グロブリンタンパク質の全体的な一般構造を定義することができる。「Fc領域」または「Fcドメイン」は、CH2ドメイン、CH3ドメイン、および任意によりヒンジの全部または一部を含む。「Fc領域」または「Fcドメイン」は、単一のポリペプチドまたは2つのジスルフィド結合ポリペプチドを指し得る。免疫グロブリンの構造および機能の概説については、Putnam,The Plasma Proteins,Vol.V(Academic Press,Inc.,1987),pp.49- 140;およびPadlan,Mol.Immunol.31:169-217,1994を参照されたい。本明細書で使用される場合、Fcという用語には、天然に存在する配列のバリアントが含まれる。
【0064】
本明細書で使用される「免疫グロブリン二量体化ドメイン」または「免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメイン」は、第2のポリペプチド鎖の異なる免疫グロブリンドメインと優先的に相互作用または会合するポリペプチド鎖の免疫グロブリンドメインを指し、ここで、異なる免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインの相互作用は、第1および第2のポリペプチド鎖のヘテロ二量体化(すなわち、「ヘテロ二量体」とも呼ばれる、2つの異なるポリペプチド鎖間の二量体の形成)に実質的に寄与するか、または効率的に促進する。第1のポリペプチド鎖の免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインおよび/または第2のポリペプチド鎖の免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインの非存在下で、第1ポリペプチド鎖と第2ポリペプチド鎖との間の二量体化に統計的に有意な減少がある場合、免疫グロブリンのヘテロ二量体化ドメイン間の相互作用は、第1および第2のポリペプチド鎖のヘテロ二量体化に「実質的に寄与するか、効率的に促進する」。いくつかの態様では、第1および第2のポリペプチド鎖が共発現される場合、第1および第2のポリペプチド鎖の少なくとも60%、少なくとも約60%~約70%、少なくとも約70%~約80%、少なくとも80%~約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%は、互いにヘテロ二量体を形成する。代表的な免疫グロブリンヘテロ二量体化ドメインとしては、免疫グロブリンCH1ドメイン、免疫グロブリンCLドメイン(例えば、CκもしくはCλアイソタイプ)、または本明細書に提供される野生型免疫グロブリンCH1およびCLドメイン、ならびに改変(または突然変異)免疫グロブリンCH1およびCLドメインなどのそれらの誘導体が挙げられる。
【0065】
「野生型免疫グロブリンヒンジ領域」とは、天然に存在する抗体の重鎖に見られるCH1ドメインとCH2ドメイン(IgG、IgA、およびIgDの場合)との間に挿入され、接続される、またはCH1ドメインとCH3ドメイン(IgEおよびIgMの場合)との間に挿入され、接続される天然に存在する上部および中間ヒンジアミノ酸配列を指す。いくつかの態様では、野生型免疫グロブリンヒンジ領域配列は、ヒトのものであり、ヒトIgGヒンジ領域を含むことができる。「改変された野生型免疫グロブリンヒンジ領域」または「改変された免疫グロブリンヒンジ領域」は、(a)最大30%のアミノ酸変化(例えば、最大25%、20%、15%、10%、または5%のアミノ酸置換もしくは欠失)を有する野生型免疫グロブリンのヒンジ領域、または(b)約5アミノ酸(例えば、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20アミノ酸)から最大約120アミノ酸の長さを有する(例えば、約10~約40アミノ酸、または約15~約30アミノ酸、または約15~約20アミノ酸、または約20~約25アミノ酸の長さを有する)、最大約30%のアミノ酸変化(例えば、最大約25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、もしくは1%のアミノ酸置換もしくは欠失、またはそれらの組み合わせ)を有する、および米国特許第2013/0129723号および米国特許第2013/0095097号に開示のIgGコアヒンジ領域を有する野生型免疫グロブリンのヒンジ領域の一部を指す。本明細書で提供されるように、「ヒンジ領域」または「ヒンジ」は、抗原結合ドメイン(例えば、4-1BBまたはOX40結合ドメイン)と免疫グロブリン定常領域との間に位置し得る。
【0066】
本明細書で使用される場合、「リンカー」とは、2つの化合物、例えば2つのポリペプチドを連結することができる部分、例えばポリペプチドを指す。リンカーの非限定的な例としては、グリシン-セリン(例えば、(Gly4Ser))リピートを含む柔軟なリンカー、および(a)膜貫通タンパク質(例えば、I型膜貫通タンパク質)のドメイン間領域;(b)II型C-レクチンのストーク領域;または(c)免疫グロブリンヒンジに由来するリンカーが挙げられる。本明細書で提供される場合、リンカーは、例えば、(1)一本鎖Fv(scFv)におけるVH領域とVL領域との間のポリペプチド領域、または(2)免疫グロブリン定常領域と抗原結合ドメインとの間のポリペプチド領域を指し得る。いくつかの態様では、リンカーは、5~約35個のアミノ酸、例えば約15~約25個のアミノ酸から構成される。いくつかの態様では、リンカーは、少なくとも5個のアミノ酸、少なくとも7個のアミノ酸、または少なくとも9個のアミノ酸から構成される。
【0067】
本明細書で使用される場合、「重鎖」という用語は、抗体に関して使用される場合、定常領域のアミノ酸配列に基づいて、任意の異なるタイプ、例えば、アルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)、およびmu(μ)を指すことができ、それぞれ抗体のIgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMクラス、例えば、IgGのサブクラス、例えば、IgG、IgG、IgG、およびIgGなどを生じる。
【0068】
本明細書で使用される場合、用語「軽鎖」は、抗体に関して使用される場合、定常領域のアミノ酸配列に基づく任意の異なるタイプ、例えばカッパ(κ)またはラムダ(λ)を指すことができる。軽鎖アミノ酸配列は、当技術分野でよく知られている。特定の態様では、軽鎖は、ヒト軽鎖である。
【0069】
本明細書で使用される場合、「EUナンバリングシステム」という用語は、Edelman,G.M.et al.,Proc.Natl.Acad.USA,63,78-85(1969)およびKabat et al,Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Dept.Health and Human Services,5th edition,1991に記載の抗体の定常領域のEUナンバリング規則を指し、これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で使用する場合、別段の定めがない限り、免疫グロブリン分子の定常領域内のアミノ酸残基の位置は、EU命名法に従って番号付けされる(Ward et al.,1995 Therap.Immunol.2:77-94)。
【0070】
本明細書で使用される場合、「二量体」という用語は、共有結合(例えば、ジスルフィド結合)および他の相互作用(例えば、静電相互作用、塩橋、水素結合、および疎水性相互作用)など、1つ以上の分子内力の形態を介して互いに結合した2つのサブユニットからなる生物学的実体を指し、適切な条件下(例えば、生理学的条件下、組換えタンパク質の発現、精製、および/または保存に好適である水溶液中、または非変性および/または非還元電気泳動条件下)で安定である。本明細書で使用される「ヘテロ二量体」または「ヘテロ二量体タンパク質」は、2つの異なるポリペプチドから形成される二量体を指す。本明細書で使用される「ホモ二量体」または「ホモ二量体タンパク質」とは、2つの同一のポリペプチドから形成される二量体を指す。
【0071】
「結合親和性」は、一般に、分子(例えば、抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有結合性相互作用の合計の強さを指す。別途指定されない限り、本明細書で使用される「結合親和性」は、結合対(例えば、抗体および抗原)のメンバー間の1:1の相互作用を反映する、本来の結合親和性を指す。分子XのパートナーYに対する親和性は、一般に、解離定数(K)で表すことができる。親和性は、これらに限定されないが、平衡解離定数(K)および平衡結合定数(K)など、当技術分野で知られている複数の方法で測定および/または表現することができる。Kは、koff/konの商から計算され、Kは、kon/koffの商から計算される。konは、例えば抗原に対する抗体の結合速度定数を指し、koffは、例えば抗原からの抗体の解離を指す。konおよびkoffは、BIAcore(登録商標)またはKinExAなどの当業者に知られている技術によって決定することができる。
【0072】
本明細書で使用される場合、用語「免疫特異的に結合する」、「免疫特異的に認識する」、「特異的に結合する」、および「特異的に認識する」は、抗体の文脈において類似の用語である。これらの用語は、抗体がその抗原結合ドメインを介してエピトープに結合すること、およびその結合が抗原結合ドメインとエピトープの間に若干の相補性を伴うことを示している。したがって、ヒト4-1BBおよび/またはOX40に「特異的に結合する」抗体は、また、無関係な非4-1BBおよび/またはOX40タンパク質に結合する程度が、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定される場合、4-1BBおよび/またはOX40に対する抗体の結合の約10%未満であり得る。
【0073】
結合ドメインは、「高親和性」結合ドメインおよび「低親和性」結合ドメインに分類することができる。「高親和性」結合ドメインとは、10-7M未満、10-8M未満、10-9M未満、10-10M未満のK値を有する結合ドメインを指す。「低親和性」結合ドメインとは、10-7Mより大きい、10-6Mより大きい、または10-5Mより大きいKDを有する結合ドメインを指す。「高親和性」結合ドメインおよび「低親和性」結合ドメインは、標的に結合するが、試験サンプル中に存在する他の成分には顕著に結合することはない。
【0074】
本明細書で使用される場合、抗体は、標的の非常に近くにある場合に、当業者であれば結合に必要と考える条件下で、その標的(すなわち、ヒト4-1BBまたはヒトOX40)に特異的に結合する場合、「結合可能」である。「ヒト4-1BB抗原結合ドメイン」は、ヒト4-1BBに特異的に結合する結合ドメインを意味すると理解されるものとする。「ヒトOX40抗原結合ドメイン」は、OX40に特異的に結合する結合ドメインを意味すると理解されるものとする。
【0075】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は、本明細書では互換的に使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指す。ポリマーは、直鎖状または分岐状であり得、修飾されたアミノ酸を含んでもよく、また、非アミノ酸によって中断され得る。この用語は、自然にまたは介入によって、例えば、ジスルフィド結合の形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識成分とのコンジュゲーションなどの任意の他の操作または修飾によって、修飾されたアミノ酸ポリマーも包含する。また、定義には、例えば、アミノ酸の1つ以上の類似体(例えば、非天然アミノ酸など)を含むポリペプチド、ならびに当技術分野で知られている他の修飾が含まれる。本発明のポリペプチドは、抗体に基づいているため、いくつかの態様では、ポリペプチドは、一本鎖または結合鎖として存在し得ることが理解される。
【0076】
「医薬製剤」および「医薬組成物」という用語は、活性成分の生物学的活性が有効になるような形態であり、かつ製剤を投与される対象が許容できない毒性を有する追加の成分を含まない調製物を指す。製剤は、滅菌であってもよい。
【0077】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される」という用語は、当技術分野で周知の経路を使用して投与した場合に、一般にアレルギー応答または他の重篤な副作用を生じない分子実体および組成物を指す。連邦政府または州政府の規制当局によって承認された分子実体および組成物、または動物、特にヒトでの使用が米国薬局方または他の一般に認められた薬局方に記載されている分子実体および組成物は、「薬学的に許容される」と考えられる。
【0078】
本明細書で使用される「投与する」、「投与すること」、「投与」などの用語は、薬物、例えば4-1BB/OX40抗体またはその抗原結合断片の生物学的作用の所望の部位への送達を可能にするために使用され得る方法(例えば、静脈内投与)を指す。本明細書に記載の剤および方法と共に使用され得る投与技術としては、例えば、Goodman and Gilman,The Pharmacological Basis of Therapeutics,current edition,Pergamon;and Remington’s,Pharmaceutical Sciences,current edition,Mack Publishing Co.,Easton,Paに見られる。
【0079】
本明細書で使用される場合、「対象」および「患者」という用語は、同義的に使用される。対象は、動物であってもよい。いくつかの態様では、対象は、非ヒト動物(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラット、マウス、サル、または他の霊長類など)などの哺乳動物である。いくつかの態様では、対象は、ヒトである。本明細書で使用する場合、「必要とする患者」または「必要とする対象」という用語は、例えば、本明細書に提供される4-1BB/OX40抗体またはその抗原結合断片による治療または改善に適応する疾患、障害または状態のリスクがある、またはそれらに罹患している患者を指す。その必要のある患者とは、例えば、がんと診断された患者であり得る。
【0080】
「治療有効量」という用語は、対象における疾患または障害を治療するのに有効な薬物、例えば抗4-1BB/OX40抗体の量を指す。がんの場合、治療有効量の薬物により、がん細胞の数を減少させる;腫瘍のサイズまたは負荷を減少させる;末梢臓器へのがん細胞の浸潤を阻害する(すなわち、ある程度遅延させる、ある態様では、停止させる);腫瘍の転移を阻害する(すなわち、ある程度遅延させる、ある態様では、停止させる);ある程度腫瘍の成長を阻害する;がんに関連する症状のうちの1つ以上をある程度軽減する;および/または結果的に良好な応答、例えば、無増悪生存期間(PFS)、無病生存期間(DFS)、または全生存期間(OS)の延長、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、または、ある場合には、病状安定(SD)、進行性疾患(PD)の減少、進行までの時間(TTP)の短縮、またはそれらの任意の組み合わせが得られることが可能である。
【0081】
「治療する」または「治療」または「治療するため」または「緩和すること」または「緩和する」などの用語は、診断された病理学的状態または障害を治癒する、減速する、症状を軽減する、および/またはその進行を停止する治療手段を指す。したがって、治療が必要な場合には、すでにその障害と診断されているか、その障害を有する疑いがある場合が挙げられる。いくつかの態様では、患者が以下のうちの1つ以上を示す場合、対象は、本発明の方法に従ってがんの「治療」に奏功している:がん細胞の数の減少または完全な欠如;腫瘍サイズの縮小;例えば、軟組織および骨へのがんの広がりなど、末梢器官へのがん細胞浸潤の阻害または不在;腫瘍転移の阻害または不在;腫瘍成長の阻害または不在;特定のがんに関連する1つ以上の症状の軽減;罹患率および死亡率の低下;生活の質の向上;腫瘍の腫瘍形成性、腫瘍形成頻度、または腫瘍形成能力の低下;腫瘍内のがん幹細胞の数または頻度の減少;腫瘍形成性細胞の非腫瘍形成性状態への分化;無増悪生存期間(PFS)、無病生存期間(DFS)、または全生存期間(OS)の延長、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、病状安定(SD)、進行性疾患(PD)の減少、進行までの時間(TTP)の短縮、またはそれらの任意の組み合わせ。
【0082】
用語「がん」または「がん性」は、細胞の集団が、調節されていない細胞の成長を特徴とする哺乳動物における生理学的状態を指すか、または記載する。がんの例としては、これらに限定されないが、黒色腫、腎癌、膵癌、肺癌、腸癌、前立腺癌、乳癌、肝癌、脳癌、および血液癌が挙げられる。がんは、原発腫瘍であってもよいし、進行がんまたは転移がんであってもよい。
【0083】
がんは、固形腫瘍がんであり得る。「固形腫瘍」という用語は、通常、嚢胞または液体領域を含まない異常な組織塊を指す。固形腫瘍の例としては、肉腫、癌腫、およびリンパ腫である。白血病(血液のがん)は、一般に、固形腫瘍を形成しない。固形腫瘍には、OX40および4-1BBを発現する腫瘍浸潤リンパ球が含まれ得る。
【0084】
本明細書で使用される用語「a」および「an」は、別段の指示がない限り、列挙された構成要素の「1つ以上」を指すことを理解されたい。
【0085】
特に記載されない限り、または文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される場合、用語「または」は包括的であることが理解される。本明細書において「Aおよび/またはB」などの語句で使用される「および/または」という用語は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」、および「B」の両方を含むことを意図する。同様に、「A、B、および/またはC」などの語句で使用される「および/または」という用語は、次の態様の各々を包含することを意図する:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)。
【0086】
本明細書で態様が「含む(comprising)」という言語を用いて記載される場合はいずれも、「からなる(consisting of)」および/または「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語で記載される類似の態様も提供され、本出願の開示の一部であることが理解される。本開示では、「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含有する(containing)」、および「有する(having)」などは、米国特許法および欧州特許法に定められている意味を有することができ、また、「含有する(includes)」、「含有している(including)」などを意味することもできる;「から本質的になる(consisting essentially of)」または「本質的になる(consists essentially)」も同様に、米国特許法および欧州特許法に定められている意味を有する。この用語は、オープンエンドであり、列挙されているものの基本的または新規な特徴が、列挙されている以上のものの存在によって変更されない限り、列挙されているもの以上のものが存在し得るが、従来技術の態様は除外される。また、欧州特許法に関する限り、「から本質的になる(consisting essentially of)」または「実質的に含む(comprising substantially)」の使用は、特定のさらなる成分が存在し得ること、すなわち、化合物または組成物の本質的な特性に実質的に影響を及ぼさない成分が存在し得ることを意味することを理解されたい。
【0087】
本明細書で使用される場合、「約」および「およそ」という用語は、数値または数値範囲を修飾するために使用される場合、その値または範囲を最大5%上回るか、または5%下回るまでの偏差が、列挙された値または範囲の意図された意味内にとどまることを示す。
【0088】
本明細書で提供される任意のドメイン、成分、組成物、および/または方法は、本明細書で提供される他のドメイン、成分、組成物、および/または方法のいずれかのうちの1つ以上と組み合わせることができる。
【0089】
II.医薬組成物
本開示は、既知の製剤と比較して、安定性が向上した、4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片を含む新規医薬組成物を提供する。本明細書で提供される新規医薬組成物は、-20℃での保存中、および複数回の凍結融解サイクル後の凝集体形成を時間の経過とともに阻害する。本開示の新規医薬組成物は、安定性を改善させるために、特定の賦形剤(すなわち、安定性促進緩衝液、安定化アミノ酸、糖成分、および界面活性剤)と共に製剤化された4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片を含む。有利には、新規医薬組成物は、ある範囲のpH値にわたって安定性の向上をもたらす。
【0090】
治療用製剤には、凝集生成物または分解生成物の形成を最小限に抑えるために、タンパク質の二次および三次構造を安定化する溶液条件が望ましい。疾患の治療に使用される治療用タンパク質、例えば4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片の場合、生成物関連汚染物質は、効力の喪失、効力の予期せぬ増加、免疫原性および他の望ましくない副作用など、望ましくない結果を有し得る。製剤は、いくつかの成分から構成され得、典型的には、水溶液で提供される。このような成分には、これらに限定されないが、特定のpHを維持し、保存中のpHの変化に抵抗するための緩衝液、塩、アミノ酸、洗浄剤、ポリマー、糖、および薬物の安定性もしくは溶解性を維持する役割、または溶液に他の望ましい特性を組み込む役割を果たす界面活性剤などの他の化学賦形剤を挙げることができる。このような成分は、正または負の電荷を有する可能性があり、両性イオンである可能性があり、または両親媒性、疎水性または親水性である可能性がある。異なる成分は、その化学的特性に基づいて、タンパク質の異なる領域に結合し得る、相互作用し得る、および/または安定化し得る。
【0091】
ヒト患者への投与に好適である医薬組成物は、典型的には、非経口投与用に、例えば液体担体中で製剤化されるか、または静脈内もしくは皮下投与用の液体溶液もしくは懸濁液に再構成するために好適である。非経口投与用の液体組成物は、注射または持続注入による投与用に製剤化させ得る。注射または注入による投与経路には、静脈内、腹腔内、筋肉内、髄膜腔内および皮下が含まれる。いくつかの態様では、本明細書に開示される医薬製剤は、投与前に凍結乾燥される。いくつかの態様では、本明細書に開示される医薬製剤は、投与前に凍結乾燥されない。
【0092】
本開示は、4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片を含む新規医薬組成物を提供する。いくつかの態様では、本開示は、(a)4-1BBおよびOX40を特異的に結合する二重特異性抗体またはその抗原結合断片;(b)約5mM~約15mMの安定性促進緩衝液;(c)約25mM~約50mMの安定化アミノ酸;(d)約2%~約8%w/vの糖;および(e)約0.01%~約0.03%の界面活性剤を提供する。
【0093】
いくつかの態様では、本明細書に開示される4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物は、コハク酸塩、ヒスチジン、クエン酸塩、およびグルタミン酸塩からなる群から選択される安定性促進緩衝液を含む。いくつかの態様では、安定性促進緩衝液は、組成物中に、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、約11mM、約12mM、約13mM、約14mM、または約15mMの濃度で存在する。いくつかの態様では、安定性促進緩衝液は、グルタミン酸塩である。いくつかの態様では、グルタミン酸塩は、組成物中に、約5mMの濃度で存在する。
【0094】
いくつかの態様では、本明細書に開示される4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物は、アルギニン、メチオニン、ロイシン、およびグリシンからなる群から選択される安定化アミノ酸を含む。いくつかの態様では、安定化アミノ酸は、組成物中に、約25mM、約26mM、約27mM、約28mM、約29mM、約30mM、約31mM、約32mM、約33mM、約34mM、約35mM、約36mM、約37mM、約38mM、約39mM、約40mM、約41mM、約42mM、約43mM、約44mM、約45mM、約46mM、約47mM、約48mM、約49mM、または約50mMの濃度で存在する。
【0095】
いくつかの態様では、安定化アミノ酸は、ロイシンである。いくつかの態様では、ロイシンは、組成物中に、約40mMの濃度で存在する。
【0096】
いくつかの態様では、本明細書に開示される4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物は、スクロース、トレハロース、およびソルビトールからなる群から選択される糖を含む。いくつかの態様では、糖は、組成物中に、約2%w/v~約8%w/vの濃度で存在する。いくつかの態様では、糖は、組成物中に、約2%w/v、約3%w/v、約4%w/v、約5%w/v、約6%w/v、約7%w/v、または約8%w/vの濃度で存在する。いくつかの態様では、糖は、スクロースである。いくつかの態様では、スクロースは、組成物中に、約3%w/vの濃度で存在する。
【0097】
いくつかの態様では、本明細書に開示される4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物は、界面活性剤を含む。いくつかの態様では、界面活性剤は、組成物中に、約0.01%w/v~約0.03%w/vの濃度で存在する。いくつかの態様では、界面活性剤は、ポリソルベート-80である。いくつかの態様では、ポリソルベート-80は、組成物中に、約3%w/vの濃度で存在する。
【0098】
いくつかの態様では、本明細書に開示される4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物は、特定のpH範囲内での安定性の向上をもたらす。いくつかの態様では、組成物のpHは、約4.3~約4.7の範囲にある。いくつかの態様では、組成物のpHは、約4.5である。いくつかの態様では、組成物のpHは、4.5である。
【0099】
本明細書に開示される医薬組成物のいくつかの態様では、4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、組成物中に、約10~50mg/mLの濃度で存在する。いくつかの態様では、4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、組成物中に、約10mg/mLの濃度で存在する。いくつかの態様では、4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、組成物中に、約20mg/mLの濃度で存在する。いくつかの態様では、4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、組成物中に、約30mg/mLの濃度で存在する。いくつかの態様では、4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、組成物中に、約40mg/mLの濃度で存在する。
いくつかの態様では、4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、組成物中に、約50mg/mLの濃度で存在する。
【0100】
グルタミン酸塩、スクロース、およびポリソルベート-80と共に製剤化された4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物への塩化ナトリウム(NaCl)の添加は、組成物に対して不安定化効果を有し得、タンパク質の凝集を引き起し得るタンパク質間の相互作用を促進することができる。したがって、いくつかの態様では、本明細書に開示される医薬組成物は、塩化ナトリウム(NaCl)を含まない。
【0101】
本明細書に開示される医薬組成物のいくつかの態様では、4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、約90%を超える純度を有する。いくつかの態様では、4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、約91%を超える純度を有する。いくつかの態様では、4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、約92%を超える純度を有する。いくつかの態様では、4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、約93%を超える純度を有する。いくつかの態様では、4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、約94%を超える純度を有する。いくつかの態様では、4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、約95%を超える純度を有する。
【0102】
いくつかの態様では、本明細書では、以下を含む医薬組成物が提供される:(a)約10mg/mLの濃度の4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片;(b)約10mMグルタミン酸塩;(c)約40mMロイシン;(d)約3%w/vスクロース;および(e)約0.02%ポリソルベート-80を含み;ここで、組成物のpHは、約4.3~約4.7である。
【0103】
いくつかの態様では、本明細書では、以下を含む医薬組成物が提供される:(a)10mg/mLの濃度の4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片;(b)10mMグルタミン酸塩;(c)40mMロイシン;(d)3%w/vスクロース;および(e)0.02%ポリソルベート-80を含み;ここで、組成物のpHは、4.5である。
【0104】
一般に、そのような組成物は、典型的には、薬学的に許容される担体をさらに含むことができる。本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される」という用語は、動物、特にヒトでの使用に関して政府規制機関によって承認されているか、米国薬局方もしくは他の一般に認められている薬局方に収載されていることを意味する。このような医薬担体としては、これらに限定されないが、水および油などの滅菌液体、例えば、石油、動物、植物または合成起源のもの、例えば落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油、グリセロールポリエチレングリコールリシノール酸などが挙げられる。水、または生理食塩水水溶液、デキストロースおよびグリセロール水溶液は、特に注射用溶液の担体として使用することができる。
【0105】
III.4-1BBxOX40二重特異性抗体
本明細書では、ヒト4-1BBに特異的に結合する抗原結合ドメイン(すなわち、ヒト4-1BB抗原結合ドメイン)およびヒトOX40に結合する抗原結合ドメイン(すなわち、ヒトOX40抗原結合ドメイン)を含む4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片を含む新規医薬組成物が提供される。本明細書に記載の4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、両方の標的タンパク質に対して二価である、すなわち、4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、2つの4-1BB結合ドメインおよび2つのOX40結合ドメインを含む。このような4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、ADAPTIR(商標)技術によって例示される。例示的な分子は、本開示全体においてFXX01102と呼ばれる。各標的に対して二価である二重特異性抗体またはその抗原結合断片としては、これらに限定されないが、二重可変ドメイン抗体、IgG-scFv、scFv-Fc-scFv、または二量体を含むADAPTIR(商標)抗体が挙げられ、二量体の各ポリペプチドには、2つの異なる抗原結合ドメインを含む。いくつかの態様では、本明細書に記載の4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、一本鎖Fv(scFv)を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載の4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、Fab、Fab’、F(ab’)2、scFv、ジスルフィド結合Fv、またはscFv-Fcを含む。
【0106】
A.4-1BB結合ドメイン
本明細書では、4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片を集合させるために使用できる、ヒト4-1BBに結合する抗原結合ドメイン(すなわち、4-1BB結合ドメイン)が提供される。4-1BB結合ドメインは、ヒト4-1BBに結合することに加えて、他の種、例えばカニクイザル由来の4-1BB、および/またはマウス4-1BBに結合することができる。いくつかの態様では、4-1BB結合ドメインは、ヒト4-1BBおよびカニクイザル4-1BBに結合する。
【0107】
4-1BB結合ドメインは、6つの相補性決定領域(CDR)、すなわち、可変重鎖(VH)CDR1、VH CDR2、VH CDR3、可変軽鎖(VL)CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含むことができる。4-1BB結合ドメインは、可変重鎖(VH)および可変軽鎖(VL)を含むことができる。VHおよびVLは、別個のポリペプチドであってもよく、または同じポリペプチド上に存在してもよい(例えば、scFv内)。
【0108】
いくつかの態様では、本明細書に記載される4-1BB結合ドメインは、表Aに提供される6つのCDR(例えば、配列番号1~6)の組み合わせを含む。
【表2】
【表3】
【0109】
4-1BBに対して二価である4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、それぞれが上記の表Aおよび表Bに列挙される6つのCDRを含む2つの4-1BB結合ドメインを含むことができる。
【0110】
本明細書に記載される4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片のいくつかの態様では、4-1BB結合ドメインは、表Cに提供されるVH配列を含む。
【表4】
【0111】
本明細書に記載の4-1BB結合ドメインは、表CのVH配列のCDR、例えば、IMGT定義のCDR、Kabat定義のCDR、Chothia定義のCDR、またはAbM定義のCDRを含むVHを含むことができる。
【0112】
本明細書に記載の4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片のいくつかの態様では、4-1BB結合ドメインは、表Dに提供されるVL配列を含む。
【表5】
【0113】
本明細書に記載の4-1BB結合ドメインは、表DのVL配列のCDR、例えばIMGT定義のCDR、Kabat定義のCDR、Chothia定義のCDR、またはAbM定義のCDRを含むVLを含むことができる。
【0114】
いくつかの態様では、本明細書に記載の4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、それぞれが表Cに提供されるVHおよび表Dに提供されるVLを含む、2つの4-1BB結合ドメインを含むことができる。表Cに提供されるVHおよび表Dに提供されるVLは、異なるポリペプチド上に存在する、または同じポリペプチド上に存在することができる。VHおよびVLが同じポリペプチド上にある場合、それらはいずれの配向(すなわち、VH-VLまたはVL-VH)であってもよく、リンカー(例えば、グリシン-セリンリンカー)によって接続され得る。いくつかの態様では、VHおよびVLは、少なくとも15アミノ酸長(例えば、15~50アミノ酸、15~40アミノ酸、15~30アミノ酸、15~25アミノ酸、または15~20アミノ酸)であるグリシン-セリンリンカーにより接続される。いくつかの態様では、VHおよびVLは、少なくとも20アミノ酸長(例えば、20~50アミノ酸、20~40アミノ酸、20~30アミノ酸、または20~25アミノ酸)であるグリシン-セリンリンカーにより接続される。
【0115】
本明細書に記載される4-1BBxOX40二重特異性抗体または抗原結合断片のいくつかの態様では、4-1BB結合ドメインは、表CのVH配列のCDR、例えばIMGT定義のCDR、Kabat定義のCDR、Chothia定義のCDR、またはAbM定義のCDRを含むVH、および表DのVL配列のCDR、例えば、IMGT定義のCDR、Kabat定義のCDR、Chothia定義のCDR、またはAbM定義のCDRを含むVLを含むことができる。
【0116】
B.OX40結合ドメイン
本明細書では、4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片を集合させるために使用できるヒトOX40に結合する抗原結合ドメイン(すなわち、OX40結合ドメイン)が提供される。OX40結合ドメインは、ヒトOX40に結合することに加えて、他の種、例えばカニクイザルおよび/またはマウスOX40に由来するOX40にも結合することができる。いくつかの態様では、OX40結合ドメインは、ヒトOX40およびカニクイザルOX40に結合する。
【0117】
OX40結合ドメインは、6つの相補性決定領域(CDR)、すなわち、可変重鎖(VH)CDR1、VH CDR2、VH CDR3、可変軽鎖(VL)CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含むことができる。OX40結合ドメインは、可変重鎖(VH)および可変軽鎖(VL)を含むことができる。VHおよびVLは、別個のポリペプチドであってもよく、または同じポリペプチド上に存在してもよい(例えば、scFv内)。
【0118】
いくつかの態様では、本明細書に記載されるOX40結合ドメインは、表Eおよび表Fに列挙される6つのCDRを含む。
【表6】
【表7】
【0119】
OX40に対して二価である4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、それぞれが上記の表Eおよび表Fに列挙される6つのCDRを含む2つのOX40結合ドメインを含むことができる。
【0120】
本明細書に記載される4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片のいくつかの態様では、OX40結合ドメインは、表Gに示すVH配列を含む。
【表8】
【0121】
本明細書に記載のOX40結合ドメインは、表GのVH配列のCDR、例えばIMGT定義のCDR、Kabat定義のCDR、Chothia定義のCDRを含むVHを含むことができる。
【0122】
本明細書に記載される4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片のいくつかの態様では、OX40結合ドメインは、表Hに示すVL配列を含む。
【表9】
【0123】
本明細書に記載のOX40結合ドメインは、表IのVL配列のCDR、例えばIMGT定義のCDR、Kabat定義のCDR、Chothia定義のCDR、またはAbM定義のCDRを含むVLを含むことができる。
【0124】
いくつかの態様では、本明細書に記載の4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、それぞれが表Gに提供されるVHおよび表Hに提供されるVLを含む、2つのOX40結合ドメインを含むことができる。表Gに提供されるVHおよび表Hに提供されるVLは、異なるポリペプチド上に存在する、または同じポリペプチド上に存在することができる。VHおよびVLが同じポリペプチド上にある場合、それらはいずれの配向(すなわち、VH-VLまたはVL-VH)であってもよく、リンカー(例えば、グリシン-セリンリンカー)によって接続され得る。いくつかの態様では、VHおよびVLは、少なくとも15アミノ酸長(例えば、15~50アミノ酸、15~40アミノ酸、15~30アミノ酸、15~25アミノ酸、または15~20アミノ酸)であるグリシン-セリンリンカーにより接続される。いくつかの態様では、VHおよびVLは、少なくとも20アミノ酸長(例えば、20~50アミノ酸、20~40アミノ酸、20~30アミノ酸、または20~25アミノ酸)であるグリシン-セリンリンカーにより接続される。
【0125】
本明細書に記載される4-1BBxOX40二重特異性抗体または抗原結合断片のいくつかの態様では、OX40結合ドメインは、表GのVH配列のCDR、例えばIMGT定義のCDR、Kabat定義のCDR、Chothia定義のCDR、またはAbM定義のCDRを含むVH、および表HのVL配列のCDR、例えば、IMGT定義のCDR、Kabat定義のCDR、Chothia定義のCDR、またはAbM定義のCDRを含むVLを含むことができる。
【0126】
C.4-1BBおよび/またはOX40結合ドメイン
4-1BBまたはOX40結合ドメインにおいて、VH CDRまたはVHおよびVL CDRまたはVLは、別個のポリペプチドであってもよく、または同じポリペプチド上にあってもよい。VH CDRまたはVHおよびVL CDRまたはVLが同じポリペプチド上にある場合、それらはいずれの配向(すなわち、VH-VLまたはVL-VH)であってもよい。
【0127】
VH CDRまたはVHおよびVL CDRまたはVLが同じポリペプチド上にある場合、それらはリンカー(例えば、グリシン-セリンリンカー)によって接続され得る。VHは、リンカー配列のN末端に位置することができ、VLは、リンカー配列のC末端に位置することができる。あるいは、VLは、リンカー配列のN末端に位置し、VHは、リンカー配列のC末端に位置することができる。
【0128】
VH領域とVL領域とを接合させるためのペプチドリンカーの使用は、当技術分野でよく知られており、この特定の分野には、多数の出版物が存在する。いくつかの態様では、ペプチドリンカーは、Gly-Gly-Gly-Gly-Serアミノ酸配列((GlySer))(配列番号20)の3つのリピートからなる15量体である。いくつかの態様では、好適なリンカーは、単純なリンカー(例えば、(Gly4Ser)n)(n=1~5(配列番号21))をランダム突然変異誘発によって最適化することによって得ることができる。
【0129】
4-1BBおよび/またはOX40結合ドメインは、ヒト化結合ドメインであり得る。
4-1BBおよび/またはOX40結合ドメインは、ラット結合ドメインであり得る。4-1BBおよび/またはOX40結合ドメインは、マウス結合ドメインであり得る。いくつかの態様では、4-1BBxOX40二重特異性抗体は、ヒト化4-1BB結合ドメインおよびラットOX40結合ドメインを含む。いくつかの態様では、4-1BBxOX40二重特異性抗体は、ヒト化4-1BB結合ドメインおよびマウスOX40結合ドメインを含む。いくつかの態様では、4-1BBxOX40二重特異性抗体は、ヒト化4-1BB結合ドメインおよびヒト化OX40結合ドメインを含む。
【0130】
本明細書に記載の4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片のいくつかの態様では、4-1BBおよび/またはOX40結合ドメインは、scFvであり得る。いくつかの態様では、4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片中の4-1BBおよびOX40結合ドメインのすべてが、scFvである。いくつかの態様では、4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片中の少なくとも1つの4-1BBまたはOX40結合ドメインは、scFvである。本明細書に記載される4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片のいくつかの態様では、ポリペプチドは、4-1BB結合ドメイン(例えば、scFv)およびOX40結合ドメイン(例えば、scFv)を含む。
【0131】
本明細書に記載の4-1BBxOX40二重特異性抗体または抗原結合断片のいくつかの態様では、4-1BB scFvは、配列番号16のアミノ酸配列を含む。本明細書に記載の4-1BBxOX40二重特異性抗体または抗原結合断片のいくつかの態様では、OX40 scFvは、配列番号19のアミノ酸配列を含む。
【0132】
いくつかの態様では、4-1BBおよび/またはOX40結合ドメインは、別個のポリペプチド鎖上にVHおよびVLを含むことができる。いくつかの態様では、4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片における4-1BBおよびOX40結合ドメインのすべては、別個のポリペプチド鎖上にVHおよびVLを含む。いくつかの態様では、4-1BBおよび/またはOX40結合ドメインは、同じポリペプチド鎖上にVHおよびVLを含むことができる。いくつかの態様では、4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片における4-1BBまたはOX40結合ドメインのすべては、同じポリペプチド鎖上にVHおよびVLを含む。
【0133】
本明細書に記載の4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片のいくつかの態様では、4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、2つのポリペプチドを含み、各ポリペプチドは、アミノ末端からカルボキシル末端の順で、第1の抗原結合ドメイン、リンカー(例えば、リンカーがヒンジ領域である)、免疫グロブリン定常領域、および第2の抗原結合ドメインを含む。この構成は、本明細書ではADAPTIR(商標)フォーマットとも呼ばれる。例示的な分子は、本開示全体においてFXX01102と呼ばれる。
【0134】
このようなフォーマットでは、4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、2つのポリペプチドの二量体を含み、各ポリペプチドは、アミノ末端からカルボキシル末端への順で、第1のscFv、ヒンジ領域、免疫グロブリン定常領域、および第2のscFvを含み、ここで、(a)第1のscFvは、ヒト4-1BB抗原結合ドメインを含み、第2のscFvは、ヒトOX40抗原結合ドメインを含むか、または(b)第1のscFvは、ヒトOX40抗原結合ドメインを含み、第2のscFvは、ヒト4-1BB抗原結合ドメインを含む。
【0135】
本明細書で提供される抗体もしくはその抗原結合断片、または本明細書で提供されるCDR、VH、VL、scFv、および/またはヒンジのいずれかを含むポリペプチドは、免疫グロブリン定常領域をさらに含み得る。定常領域の存在により、定常領域を有しない同様の二重特異性抗体と比較して、二重特異性抗体の半減期が延長される。免疫グロブリン定常領域は、例えばヒンジと4-1BB結合ドメイン(例えば4-1BB結合scFv)との間に位置し得る。免疫グロブリン定常領域は、ヒンジとOX40結合ドメイン(例えば、OX-40結合scFv)との間に位置することもできる。いくつかの態様では、ポリペプチドは、アミノ末端からカルボキシル末端の順に、ヒンジ領域、免疫グロブリン定常領域、および抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含む。
【0136】
いくつかの態様では、免疫グロブリン定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、またはIgDの免疫グロブリンCH2およびCH3ドメインを含み、任意により、IgGは、ヒトである。場合によっては、免疫グロブリン定常領域は、IgG1(例えば、ヒトIgG1)の免疫グロブリンCH2およびCH3ドメインを含む。いくつかの態様では、ポリペプチドは、CH1ドメインを含まない。
【0137】
いくつかの態様では、本明細書に記載の4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ配列番号1~3の4-1BB VH CDR1、CDR2、およびCDR3配列、それぞれ配列番号4~6の4-1BB VL CDR1、CDR2、およびCDR3配列、それぞれ配列番号7~9のOX40 VH CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号10~12のOX40 VL CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む。
【0138】
いくつかの態様では、ヒト4-1BB結合ドメインおよびヒトOX40結合ドメインは、同じポリペプチド上にある。いくつかの態様では、ヒト4-1BB結合ドメインは、ヒトOX40結合ドメインのN末端にある。いくつかの態様では、ヒト4-1BB結合ドメインは、ヒトOX40結合ドメインのC末端にある。いくつかの態様では、免疫グロブリン定常領域は、IgG1の免疫グロブリンCH2およびCH3ドメインを含む。
【0139】
いくつかの態様では、抗体は、CH1ドメインを含まない。
【0140】
いくつかの態様では、免疫グロブリン定常領域は、EUナンバリングシステムに従って、置換E233P、L234A、L235A、G237A、およびK322A、ならびにG236の欠失を含むヒトIgG1 CH2ドメインを含む。いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、免疫グロブリン定常領域とヒト4-1BB結合ドメインとの間、および/または免疫グロブリン定常領域とヒトOX40結合ドメインとの間にリンカーを含む。いくつかの態様では、免疫グロブリン定常領域とヒト4-1BB結合ドメインとの間のリンカー、および/または免疫グロブリン定常領域とヒトOX40結合ドメインとの間のリンカーは、10~30アミノ酸、15~30アミノ酸、または20~30アミノ酸を含む。いくつかの態様では、免疫グロブリン定常領域とヒト4-1BB結合ドメインとの間のリンカー、または免疫グロブリン定常領域とヒトOX40結合ドメインとの間のリンカーは、アミノ酸配列(Gly4Ser)nを含み、式中、n=1~5(配列番号21)、任意によりn=1である。
【0141】
D.4-1BBおよびOX40結合ドメインを含む組成物
いくつかの態様では、本明細書に記載の医薬組成物は、2つのポリペプチドの二量体を含む4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片を含み、各ポリペプチドは、アミノ末端からカルボキシル末端への順で、第1のscFv、ヒンジ領域、免疫グロブリン定常領域、および第2のscFvを含み、ここで、(a)第1のscFvは、ヒト4-1BB抗原結合ドメインを含み、第2のscFvは、ヒトOX40抗原結合ドメインを含むか、または(b)第1のscFvは、ヒトOX40抗原結合ドメインを含み、第2のscFvは、ヒト4-1BB抗原結合ドメインを含む。いくつかの態様では、二量体は、ホモ二量体である。
【0142】
いくつかの態様では、本明細書に記載の4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、配列番号13のアミノ酸配列を含む。
【0143】
本開示のいくつかの態様は、ヒト4-1BB抗原結合ドメインおよびヒトOX40抗原結合ドメインを含む4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物を提供し、ここで、(a)4-1BB抗原結合ドメインは、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;(iii)配列番号3のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;(iv)配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)-CDR1;(v)配列番号5のアミノ酸配列を含むVL-CDR2;(vi)配列番号6のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含み;(b)OX40抗原結合ドメインは、(i)配列番号7のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;(ii)配列番号8のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;(iii)配列番号9のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;(iv)配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR1;(v)配列番号11のアミノ酸配列を含むVL-CDR2;および(vi)配列番号12のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む。
【0144】
本開示のいくつかの態様は、ヒト4-1BB抗原結合ドメインおよびヒトOX40抗原結合ドメインを含む4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物を提供し、(a)4-1BB抗原結合ドメインは、配列番号14のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号15のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み;(b)OX40抗原結合ドメインは、配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0145】
本開示のいくつかの態様は、ヒト4-1BB抗原結合ドメインおよびヒトOX40抗原結合ドメインを含む4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物を提供し、ここで、(a)4-1BB抗原結合ドメインは、配列番号16のアミノ酸配列を含むscFvを含み;(b)OX40抗原結合ドメインは、配列番号19のアミノ酸配列を含むscFvを含む。
【0146】
本開示のいくつかの態様は、配列番号13のアミノ酸配列を含むヒト4-1BB抗原結合ドメインおよびヒトOX40抗原結合ドメインを含む4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物を提供する。
【0147】
本開示のいくつかの態様は、以下を含む医薬組成物を提供する:(a)10~50mg/mLの4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片であって、ここで、抗体またはその抗原結合断片は、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;配列番号2のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;配列番号3のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)-CDR1;配列番号5のアミノ酸配列を含むVL-CDR2;および配列番号6のアミノ酸配列を含むVL-CDR3;を含む4-1BB抗原結合ドメイン、ならびに配列番号7のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;配列番号8のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR1;配列番号11のアミノ酸配列を含むVL-CDR2;および配列番号12のアミノ酸配列を含むVL-CDR3;を含むOX40抗原結合ドメイン;(ii)配列番号14のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号15のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;を含む4-1BB抗原結合ドメイン、ならびに配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むOX40抗原結合ドメイン;(iii)配列番号16のアミノ酸配列を含むscFvを含む4-1BB抗原結合ドメイン;および配列番号19のアミノ酸配列を含むscFvを含むOX40抗原結合ドメイン;または(iv)配列番号13のアミノ酸配列を含む4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片と;(b)約5mM~約15mMグルタミン酸塩と;(c)約25mM~約50mMロイシンと;(d)約2%~約8%w/vスクロースと;(e)約0.01%~約0.03%ポリソルベート-80と、を含み;ここで、組成物のpHは、約4.3~約4.7である。
【0148】
本開示のいくつかの態様は、以下を含む医薬組成物を提供する:(a)10mg/mLの4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片であって;(i)配列番号1のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;配列番号2のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;配列番号3のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)-CDR1;配列番号5のアミノ酸配列を含むVL-CDR2;配列番号7のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む4-1BB抗原結合ドメイン;(ii)配列番号7のアミノ酸配列を含むVH-CDR1;配列番号8のアミノ酸配列を含むVH-CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含むVH-CDR3;配列番号10のアミノ酸配列を含むVL-CDR1;配列番号11のアミノ酸配列を含むVL-CDR2;および配列番号12のアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含むOX40抗原結合ドメインを含む抗体またはその抗原結合断片と;(b)10mMグルタミン酸塩と;(c)40mMロイシンと;(d)3%w/vスクロースと;(e)0.02%ポリソルベート-80と、を含む医薬組成物を提供し、ここで、組成物のpHは、4.5である。
【0149】
いくつかの態様では、医薬組成物は、(a)配列番号14のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号15のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む4-1BB抗原結合ドメインと、(b)配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むOX40抗原結合ドメインと、を含む。
【0150】
IV.方法および使用
本開示は、4-1BBおよび/またはOX40に結合する抗体または抗原結合断片を含む医薬組成物を提供し、本組成物は、これらに限定されないが、がん治療法などの治療的治療法などの様々な用途において有用である。いくつかの態様では、医薬組成物は、腫瘍成長の阻害および/または腫瘍体積の減少に有用である。使用方法は、in vitro法またはin vivo法であり得る。本明細書に記載の医薬組成物は、治療法において使用するための開示された抗体または抗原結合断片のいずれかの使用を含むことができる。
【0151】
本開示は、対象におけるがんの治療方法を提供し、本方法は、(a)4-1BBおよびOX40を特異的に結合する二重特異性抗体またはその抗原結合断片;(b)約5mM~約15mMの安定性促進緩衝液;(c)約25mM~約50mMの安定化アミノ酸;(d)約2%~約8%w/vの糖;および(e)約0.01%~約0.03%の界面活性剤を含む有効量の医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0152】
いくつかの態様では、がんは、これらに限定されないが、黒色腫、腎癌、膵癌、肺癌、大腸/腸癌、胃癌、前立腺癌、卵巣癌、乳癌、肝癌、脳癌、および血液癌が挙げられる。がんは、原発腫瘍であってもよいし、進行がんまたは転移がんであってもよい。いくつかの態様では、がんは、固形腫瘍である。例えば、本開示には、肉腫、癌腫、およびリンパ腫の治療のための二重特異性抗体の使用が含まれる。本開示は、本明細書に記載の、治療有効量の医薬組成物を対象に投与することによって、肉腫、癌腫、またはリンパ腫を有するヒト対象を治療するための方法を提供する。
【0153】
いくつかの態様では、本開示は、腫瘍浸潤リンパ球を含む腫瘍または癌性組織を有するヒト対象を治療する方法を提供する。本開示は、4-1BBおよびOX40を発現するリンパ球を含む腫瘍を有するヒト対象を治療することを提供する。いくつかの態様では、本開示は、固形腫瘍を有するヒト対象に、(a)4-1BBおよびOX40を特異的に結合する二重特異性抗体またはその抗原結合断片;(b)約5mM~約15mMの安定性促進緩衝液;(c)約25mM~約50mMの安定化アミノ酸;(d)約2%~約8%w/vの糖;および(e)約0.01%~約0.03%の界面活性剤を含む、治療有効量の医薬組成物を投与することを提供する。
【0154】
本開示のいくつかの態様は、対象において、免疫応答を増強する方法を提供し、本方法は、本明細書に開示される4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0155】
本開示のいくつかの態様は、対象において、T細胞共刺激経路を刺激する方法を提供し、本方法は、本明細書に開示される4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0156】
本開示のいくつかの態様は、対象においてNK細胞および/またはT細胞(例えば、CD4+T細胞および/またはCD8+T細胞)の増殖を増加させる方法を提供し、本方法は、本明細書に開示される4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0157】
本開示のいくつかの態様は、本明細書に開示の4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与することによって、対象における腫瘍浸潤リンパ球の数を増加させる方法を提供する。
【0158】
本開示のいくつかの態様は、本明細書に開示の4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片を含む治療有効量の医薬組成物を対象に投与することによって、対象において腫瘍浸潤リンパ球によるグランザイムの発現を増加させる方法を提供する。
【0159】
いくつかの態様では、対象は、ヒトである。
【0160】
いくつかの態様では、医薬品として使用するための、4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物が本明細書に提供される。いくつかの態様では、がんの治療のための方法で使用するための、4-1BBxOX40二重特異性抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物が本明細書に提供される。
【0161】
V.キットおよび容器
本開示はまた、本明細書に記載され例示される任意の医薬製剤を含む容器を提供する。
【0162】
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載および例示される医薬製剤および/または二重特異性抗体もしくはその抗原結合断片のいずれかを含むキットを提供する。キットは、とりわけ診断法、基礎研究法、または治療的方法で使用するための医薬製剤、抗体、その抗原結合断片、および他の剤を供給するために使用することができる。いくつかの態様では、キットは、本明細書に記載され例示される医薬製剤、抗体もしくはその抗原結合断片、および/または二重特異性抗体のうちのいずれか1つ以上、およびがんを治療する方法における1つ以上の医薬製剤、抗体、またはその抗原結合断片を使用するための指示書を含む。いくつかの態様では、キットは、本明細書に記載され例示される医薬製剤、抗体もしくはその抗原結合断片、および/または二重特異性抗体のうちのいずれか1つ以上、および対象における固形腫瘍がんの治療において使用するための1つ以上の医薬製剤、抗体、またはその抗原結合断片を使用するための指示書を含む。
【0163】
実施例
本明細書に記載された実施例は、例示目的のみのためであり、それらを考慮した様々な修正または変更が当業者に示唆され、本出願の趣旨および範囲内に含まれるものとすることを理解されたい。
【0164】
実施例1.様々な賦形剤を使用してタンパク質を安定化し、凝集および/または分解を最小限に抑える。
異なる成分および賦形剤は、それらの化学的特徴に基づいて、タンパク質の異なる領域に結合し得る、相互作用し得るおよび/または安定化し得る。したがって、以下の表1に列挙されているサブセットなど、様々な異なるタイプの賦形剤をスクリーニングして、タンパク質製剤に対するそれらの影響を判定することが有用である。
【0165】
異なる製剤の影響は、様々な手段で測定することができる。1つのアプローチは、製剤化されたタンパク質を様々な温度で保存することであり、これには、薬物が製造された後の潜在的な保存条件(「意図された保存条件」)および加速保存条件(意図された保存条件よりも高い温度)の両方を含む。保存安定性実験を行う場合、サンプルは、様々な時点で取り出され、分析用サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE-HPLC)などの様々な技法によって分析される。SE-HPLCを使用して純度の経時変化を測定することは、様々な製剤が凝集または分解を阻害または促進するか否か評価するのに有用であり得る。分析陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX-HPLC)および/またはキャピラリー等電点電気泳動(cIEF)を使用して、タンパク質の電荷変動プロファイルの変化を監視し、様々な製剤条件が、タンパク質構造の電荷関連の変化を阻害または促進しているかを判断できる。
【0166】
保存安定性実験を使用して異なる製剤を評価することに加えて、他の方法を使用して、タンパク質の安定性に対する生物物理学的影響の特徴を明らかにすることができる。例えば、示差走査蛍光分析(DSF)または示差走査熱量測定(DSC)を使用して、融点(T、熱溶融転移の中点)を測定することにより、様々な製剤が、タンパク質の熱安定性を安定化(Tの上昇)しているか不安定化(Tの低下)しているかを評価するのに有用であり得る。製剤の安定化効果を評価するために使用できる別の生物物理学的方法は、粒子相互作用パラメータまたは第2ビリアル係数であるB22を決定することである。特定の製剤中での様々なタンパク質濃度での光散乱測定を使用すると、線の傾きを使用して、その溶液が有益であるか(増加、正の傾き)、または不利であるか(減少、負の傾き)を判断できる。266nmでの動的光散乱(DLS)監視を使用して、凝集温度(Tagg)を決定することもでき、これは異なる製剤を比較する際にも有用である。
【表10】
【0167】
実施例2.異なる緩衝液、pH、およびスクロース濃度の評価
FXX01102二重特異性タンパク質をバイオリアクター中のCHO細胞によって発現させ、カラムクロマトグラフィーを使用して、ほぼ均一になるまで精製した(SE-HPLCによる純度>95%)。それを濃縮し、緩衝液交換し、以下の表2に示す一連の異なる組成物に製剤化した。すべての緩衝液は、10mMで使用され、FXX01102タンパク質濃度は、各溶液で10mg/mLであった。本試験の目的は、FXX01102二重特異性抗体の安定性に対する様々な緩衝液、pH、およびスクロース濃度の効果を測定することであった。凝集の開始は、Uncle装置(Unchained Labs)を使用して、温度(Tagg)およびT(融解曲線の中点)に対応させて測定した。Taggは、温度上昇と対応させて、266nmでの光散乱測定によって測定した。
【0168】
サンプルセットでのT値を比較したところ、値がすべて約61~62℃の範囲内にあるため(データは示さず)、pH、緩衝液、およびスクロース濃度が、折り畳みのない第1のドメイン(Tm1)に大きな影響を有しないことが示唆された。しかし、266nmでの動的光散乱(DLS)データの比較は、サンプル中の不溶性微粒子の形成における差異を示した(図1Aおよび図1B)。スクロース濃度は、緩衝液およびpHの影響に関して、わずかな変化を引き起こしたため、コハク酸塩、ヒスチジン、クエン酸塩および8%w/vグルタミン酸緩衝液については、2%w/vスクロースデータのみをプロットした。図1Aに示すとおり、pH5.8および6.6の2つのクエン酸緩衝液は、非常に類似したTagg曲線を有し、pH6.6のトレースは、わずかに高い温度にシフトし、これは、FXX01102のより安定な溶液条件を反映した。クエン酸塩のTaggデータでは、クエン酸塩が、試験した緩衝液の中で最も低い安定性促進緩衝液であることを示唆し、次いでコハク酸塩であることが示唆された。pH5.2の低pHコハク酸塩製剤は、pH6.0の溶液よりも高いTagg値をもたらした。ヒスチジンおよびグルタミン酸塩緩衝液はすべて、光散乱の増加が最小限であり、セット内の好ましい製剤として特定された。His緩衝液およびGlu緩衝液のプロット(図1B)は、評価したものの中で、グルタミン酸塩が、最も低い光散乱シグナルを有することを示した。ヒスチジン製剤は、コハク酸塩製剤と同じ傾向を示し、低pH5.8の製剤の方が、高pH6.2溶液よりも優れた性能を示した。異なる緩衝剤で同様のpH値が使用されたため、Taggの差は、pHのみの結果ではなく、緩衝液のpHと電荷特性との組み合わせによるものである可能性がある。これらの結果に部分的に基づいて、グルタミン酸塩は、その後の実験で主要な緩衝剤となった。
【表11】
【0169】
実施例3.低pH製剤に対するNaClの影響の評価
FXX01102二重特異性タンパク質を濃縮し、100mM塩化ナトリウム(NaCl)を含む場合、および含まない場合において、10mMグルタミン酸塩、8%重量/体積スクロース、および0.02%重量/体積ポリソルベート-80の溶液にpH4.5、最終タンパク質濃度8mg/mLで交換した。タンパク質濃度0、2、4、6、および8mg/mLで、一連の希釈を生成した。これらの溶液は、Unchained Laboratories製の「Uncle」装置で分析した。目標は、塩化ナトリウムを含めることで、グルタミン酸塩/スクロース/ポリソルベート-80製剤の安定化特性が改善されるかを判断することであった。
【0170】
これら2つの溶液についてB22を調べたところ、NaClを製剤に添加することにより、傾きの大幅な減少が生じ、これは不安定化効果に相当し、凝集を引き起こし得るタンパク質間相互作用を促進することが明らかであった(図2)。したがって、塩化ナトリウムは、これらの試験ではさらに評価しなかった。
【0171】
実施例4.FXX01102製剤のB22値に対するアルギニン、メチオニン、ロイシン、およびグリシンの影響の評価
アミノ酸のメチオニン、アルギニン、およびグリシンも、それらがFXX01102に及ぼし得る安定化特性について調査した。FXX01102の10mg/mL溶液を、追加の賦形剤を含まず、100mMアルギニン、50mMメチオニンまたは50mMグリシンのいずれかを用いて、10mMグルタミン酸塩、4%w/vスクロース、pH4.5で調製した。0、2、4、6、8、および10mg/mLの一連の希釈をUncleで分析し、B22への影響を調べた。B22勾配の比較(図3)は、グリシンおよびメチオニンの両方が、アルギニンと比較してB22勾配値を増加させるようであり、追加のアミノ酸を添加しなかった製剤と比較して、勾配を減少させることを示す。これは、非荷電アミノ酸またはより疎水性の高いアミノ酸が、塩または他の荷電アミノ酸を添加する場合と比較して、FXX01102の安定性に対してより有益な効果を有し得ることを示唆した。
【0172】
FXX01102の安定性に対する疎水性アミノ酸の影響をさらに調べるために、25mMロイシンを含むまたは含まない製剤のB22勾配を比較した。ロイシンを含む場合または含まない場合の、pH4.5の10mMグルタミン酸塩、4%w/vスクロース中のFXX01102の一連の希釈を調べた。ロイシン含有製剤の傾きは、ロイシンを含まないタンパク質溶液の傾きよりわずかに高く、これは、ロイシンがタンパク質に安定化効果を発揮し、自己相互作用特性を低下させ得ることを示唆している(図4)。
【0173】
実施例5.FXX01102製剤の凝集温度(Tagg)に対する硫酸マグネシウム、リジン、およびロイシンの影響の評価
製剤のサブセットについて、温度に対応させた凝集の開始(Tagg)を、Uncle機器(Unchained Labs)を使用して決定した。Taggは、温度の上昇に対応させて、266nmでの光散乱測定によって測定した。
【0174】
25mMロイシン、MgSOおよびリジンを含む、10mMグルタミン酸塩、4%w/vスクロース、pH4.5中のFXX01102。266nmでの散乱対温度のプロットの比較により、MgSOおよびリジンの両方が、追加の賦形剤を含まない製剤と比較して、はるかに低い温度で散乱の増加を引き起こすことが示された(図5)。ロイシンを含むサンプルは、評価された温度の全範囲にわたって散乱の増加をいずれも示さなかった。これは、ロイシンで得られたB22の改善(前の実施例で説明した)が、FXX01102を製剤化したときに、凝集に対する耐性の増加に変換された可能性を有することを示した。
【0175】
実施例6.-20℃でのFXX01102製剤の安定性評価
-20℃で保存した場合のFXX01102の安定性を評価するために実験を行った。以下の表3に示すすべての製剤は、緩衝剤として10mMグルタミン酸塩および0.02%ポリソルベートを含んでいた。さらに、すべての製剤には糖成分、3%w/vまたは8%w/vスクロース、3%トレハロース、または3%ソルビトールが含まれていた。以前のデータに基づいて、Leu、Met、またはGlyアミノ酸の添加により、FXX01102の安定性を改善させるかを調査した。安定性が改善した製剤は、サイズ排除超圧液体クロマトグラフィー(SE-UPLC)によって測定したときに、凝集形成が少ないことを示すものとなる。
【0176】
2つのクロマトグラフィーカラムを使用して、清澄バイオリアクター上清からFXX01102を精製し、95%を超える開始純度を達成した。この物質を、UF/DFシステムおよび少なくとも10倍量の緩衝液を使用して、グルタミン酸塩に緩衝液交換し、10mg/mLに濃縮した。様々な製剤を調製後、0.5mL Sarstedtバイアルに200μLのアリコートを作製した。pHは、試験の開始時に測定した。ほとんどのサンプルは、約4.6のpHを有する。SE-UPLCを使用して、初期の高分子量含量%(%HMW)を決定した。次に、バイアルを-20℃に置き、(製剤のサブセットについて)保存後、3週間、6週間、3ヶ月、6ヶ月、および7ヶ月に測定した。適切な時間枠で、バイアルを冷凍庫から取り出し、分析した。より大きい3.75mLアリコートを調製し、3回の凍結/解凍(3xF/T)サイクルを行った。これは、様々な製剤を比較するための追加のストレステストとして用いた。このデータを以下の表3にまとめる。3ヶ月後のデータの評価後、目的の特定の製剤に焦点を当てるために、サンプルのサブセットのみを6ヶ月目および7ヶ月目に分析した。
【0177】
ソルビトールおよびトレハロース含有製剤(ID#5、6)をセット内の他の製剤と比較したときに、それらが凝集体形成に寄与していることが示された。これら2つの製剤は、3xF/Tサンプル、3ヶ月および6ヶ月の時点の%HMWに基づいて分析した、最も性能の低い条件であった。したがって、スクロースが、好ましい糖成分として特定された。3%および8%スクロース(それぞれ、ID#2および#3)の凝集データでは、高濃度のスクロースが、長期保存に顕著な利点を有しないことが示されたが、これらの製剤の3ヶ月および6ヶ月での%HMWは、かなり類似していた。しかし、スクロース濃度が高くなると、3xF/T後に存在する凝集体が少なくなることが観察された(6.3対8.8%)。
【0178】
上記で実施したB22分析に基づいて、Met、GlyおよびLeuが、FXX01102の保存安定性にプラスの影響を有するであろうことが予測された。各アミノ酸の3つの濃度について、-20℃の安定性に対する影響を分析した。それぞれについて、濃度が増加することにより、時間の経過とともに凝集体の形成が減少した。Met(ID#10、11、12)、Gly(ID#13、14、15)、およびLeu(ID#7、8、9)では、添加されたアミノ酸賦形剤の濃度と対応させて、時間の経過とともに%HMWが低下する明らかな傾向が見られた。ロイシンは、製剤ID#9が、3xF/T分析において、かつ経時的に、凝集体形成が最も低かったため、最大の安定化影響を有すると考えられる。アミノ酸の組み合わせを含む製剤も調査され(ID#16、17、18)、このアプローチにはある程度の利点があることが示された。しかし、この組み合わせの%HMWを、同等の濃度のLeuを含む製剤(すなわち、#16対#8、または#18対#8)と比較したところ、Leuがこの効果の主な推進力であることが示唆された。ID#7、8、および9のT値およびTagg値は、ロイシン濃度を10mMから40mMに増加させることが、これら2つのパラメータのいずれかに大きな影響を有するか否かを確認するために決定した。差は比較的小さく、3つの緩衝液すべてのTは61℃であり、266nmで測定した光散乱には大きな変化はなかった。
【表12】
【0179】
実施例7-20℃でのFXX01102の追加グルタミン酸塩製剤の評価
-20℃で保存した場合のFXX01102の安定性を評価するために実験を行った。以下の表4に示すすべての製剤は、緩衝剤として5mMグルタミン酸塩を含んでいた。さらに、すべての製剤には糖成分(0、2、3、または8%w/vスクロースのいずれか)が含まれていた。以前のデータに基づいて、FXX01102の安定性に対するLeu濃度およびpHの変動をさらに調査した。実施例6に記載したものと同様の方法で実施した。安定性が改善した製剤は、サイズ排除超圧液体クロマトグラフィー(SE-UPLC)によって測定したときに、凝集形成が少ないことを示すものとなる。データは、最初と6週間の時点との間の%HMWの差、および3xF/Tストレス試験で分析した。データは、pH値が低く、ロイシン濃度が高い場合には、時間の経過とともに、複数の凍結融解サイクル中にも凝集体の形成が阻害されることを示した。製剤にスクロースを含めることにより、緩衝剤としての10mMグルタミン酸塩および0.02%ポリソルベートによりプラスの効果を有した。さらに、すべての製剤には、糖成分、3%w/vもしくは8%w/vスクロース、3%トレハロース、または3%ソルビトールが含まれていた。以前のデータに基づいて、Leu、Met、またはGlyアミノ酸の添加も調べたが、スクロースが存在しない場合、他の製剤よりも高い%HMWが得られた(製剤#6、表4)。前の実験と同様に、より高いレベルのスクロースは、6週間の保存安定性データに名目上の影響を有していたが、3XF/T中の凝集体形成の阻害に対して、より大きい影響を有していた。
【表13】
【0180】
本発明は、本明細書に記載される特定の態様によって範囲が限定されるものではない。実際に、記載されたものに加えて本発明の様々な修正が、前述の説明および添付の図面から当業者には明らかとなるであろう。このような修正は、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
【0181】
本明細書で引用されるすべての参考文献(例えば、刊行物、特許、または特許出願)は、あたかも各々の個々の参考文献(例えば、刊行物、特許または特許出願)が、具体的かつ個別に、その全体があらゆる目的で参照により組み込まれるように示されているかのように、参照によりその全体が、あらゆる目的のために同じ範囲で本明細書に組み込まれる。
【0182】
他の態様は、以下の特許請求の範囲内に含まれる。
配列
配列番号1
GYTFTSYW
配列番号2
IYPGSSTT
配列番号3
ASFSDGYYAYAMDY
配列番号4
QDISNY
配列番号5
YTS
配列番号6
QQGYTLPYT
配列番号7
GFTLSYYG
配列番号8
ISHDGSDK
配列番号9
SNDQFDP
配列番号10
NIGSKS
配列番号11
DDS
配列番号12
QVWDSSSDHVV
配列番号13
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYWMNWVRQAPGQGLEWMGNIYPSGGS TNYAQKFQGRVTMTVDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCASFSDGYYAYAMDYWGQG TLVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSEIVMTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYL NWYQQKPGQAPRLLIYYASRRHTGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFAVYYCQQGYN LPYTFGQGTKVEIKEPKSSDKTHTCPPCPAPPAAAPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVV VDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEY KCAVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVE WESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQ KSLSLSPGGGGSPSSYVLTQPPSVSVAPGKTARITCGGNNIGSKSVNWFQQKPGQAPVLV VYDDSGRPSGIPERFSGSTSGNTATLTISRVEAGDEADYYCQVWDSSSDHVVFGGGTKL TVLGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSQVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTLSYYGM
HWVRQAPGKGLEWVAAISHDGSDKYYADSVKGRFTISRDNSKNRLYLQMNSLRAEDT AVYYCSNDQFDPWGQGTLVTVSSR
配列番号14
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYWMNWVRQAPGQGLEWMGNIYPSGGS TNYAQKFQGRVTMTVDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCASFSDGYYAYAMDYWGQG TLVTVSS
配列番号15
EIVMTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLNWYQQKPGQAPRLLIYYASRRHTGIPA RFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFAVYYCQQGYNLPYTFGQGTKVEIK
配列番号16
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYWMNWVRQAPGQGLEWMGNIYPSGGS TNYAQKFQGRVTMTVDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCASFSDGYYAYAMDYWGQG TLVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSEIVMTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYL NWYQQKPGQAPRLLIYYASRRHTGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFAVYYCQQGYN LPYTFGQGTKVEIK
配列番号17
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTLSYYGMHWVRQAPGKGLEWVAAISHDGSD KYYADSVKGRFTISRDNSKNRLYLQMNSLRAEDTAVYYCSNDQFDPWGQGTLVTVSS
配列番号18
SYVLTQPPSVSVAPGKTARITCGGNNIGSKSVNWFQQKPGQAPVLVVYDDSGRPSGIPER FSGSTSGNTATLTISRVEAGDEADYYCQVWDSSSDHVVFGGGTKLTVL
配列番号19
SYVLTQPPSVSVAPGKTARITCGGNNIGSKSVNWFQQKPGQAPVLVVYDDSGRPSGIPER FSGSTSGNTATLTISRVEAGDEADYYCQVWDSSSDHVVFGGGTKLTVLGGGGSGGGGS GGGGSGGGGSQVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTLSYYGMHWVRQAPGKGLEW VAAISHDGSDKYYADSVKGRFTISRDNSKNRLYLQMNSLRAEDTAVYYCSNDQFDPWG QGTLVTVSSR
配列番号20
GGGGSGGGGSGGGGS
配列番号21
GGGGS

図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
【配列表】
2024508746000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2023-10-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2024508746000001.app
【国際調査報告】