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  • 特表-脱毛症に関する組成物及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】脱毛症に関する組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/06 20060101AFI20240220BHJP
   A61Q 7/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 38/08 20190101ALI20240220BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 8/14 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20240220BHJP
   C07K 5/08 20060101ALI20240220BHJP
   C07K 7/06 20060101ALI20240220BHJP
   C07K 14/47 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
A61K38/06
A61Q7/00
A61K8/64
A61K38/08
A61K45/00
A61P17/14
A61P43/00 121
A61K8/14
A61K8/49
C07K5/08 ZNA
C07K7/06
C07K14/47
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549553
(86)(22)【出願日】2022-02-15
(85)【翻訳文提出日】2023-09-06
(86)【国際出願番号】 US2022016409
(87)【国際公開番号】W WO2022177881
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】63/150,411
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515344370
【氏名又は名称】アラスティン・スキンケア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ALASTIN SKINCARE, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【弁理士】
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】ウィッジロー アラン デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ガルート ジョン エイ.
【テーマコード(参考)】
4C083
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C083AC841
4C083AC851
4C083AC861
4C083AD411
4C083AD412
4C083AD531
4C083BB60
4C083CC37
4C083EE22
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA22
4C084BA15
4C084BA17
4C084BA23
4C084BA31
4C084MA63
4C084NA05
4C084ZA921
4C084ZC412
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA12
4H045BA14
4H045EA15
(57)【要約】
毛包の刺激及び再生のための、真皮白色脂肪組織を標的とするための組成物及び方法が、本明細書に提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛包を刺激又は再生するための、真皮白色脂肪組織(dWAT)を標的とするための組成物であって、
(a)トリペプチド-1と、
(b)ヘキセパプチド-12と、
(c)PPAR-ガンマアゴニストと
を含み、
毛包を刺激又は再生する、
前記組成物。
【請求項2】
前記トリペプチド-1が、パルミトイルトリペプチド-1、ミリストイルトリペプチド-1、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ヘキサペプチド-12が、パルミトイルヘキサペプチド-12、ミリストイルヘキサペプチド-12、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
ヘキサペプチド-38を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記ヘキサペプチド-38が、アセチル-ヘキサペプチド-38である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記ヘキサペプチド-38が、リポソームに封入される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
オクタペプチドを更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記PPAR-ガンマアゴニストが、チアゾリジンジオン(TZD)、アレグリタザール、ファルグリタザール、ムラグリタザール、テサグリタザール、又はこれらの組み合わせである、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記PPAR-ガンマアゴニストが、植物源に由来する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記PPAR-ガンマアゴニストが、天然産物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
M2-マクロファージ分極化合物を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記M2-マクロファージ分極化合物が、フラボノイド、テルペノイド、グリコシド、リグナン、クマリン、アルカロイド、ポリフェノール、キノン、又はこれらの組み合わせである、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記M2-マクロファージ分極化合物が、アルクチゲニンである、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記M2-マクロファージ分極化合物が、ルペオール、マリバトールA、ゲラニイン、アロエ-エモジン、ケルセチン、クルクミン、アピゲニン、タクロリムス、若しくはナイアシンアミド、又はこれらの組み合わせである、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
前記M2-マクロファージ分極化合物が、植物源に由来する、請求項11に記載の組成物。
【請求項16】
前記植物源が、アルクチウム・ラッパ(Arctium lappa)植物、クルクミン、ルテオリン、ピペリン、レスベラトロール、シリビナム、バイカリン、又はこれらの組み合わせである、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
インスリン成長因子1(IGF-1)の局所アクチベーターを更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記インスリン成長因子1(IGF-1)の局所アクチベーターが、カプサイシン、イソフラボン、又はこれらの組み合わせである、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記インスリン成長因子1(IGF-1)の局所アクチベーターが、カプサイシンである、請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
PGC-1αのアクチベーターを更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記PPAR-ガンマアゴニストが、アディポネクチン又はアディポネクチン模倣物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
前記アディポネクチン模倣物が、AdipoRon、ADP355、ADP399、JT003、6-C-β-D-グルコピラノシル-(2S,3S)-(+)-5,7,30,40-テトラヒドロキシジヒドロフラボノール(GTDF)、オスモチン、又はこれらの組み合わせを含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
Jak-STAT阻害剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
前記Jak-STAT阻害剤が、ルキソリチニブ、トファシチニブ、又はこれらの組み合わせを含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
請求項1に記載の組成物を投与することを含む、毛包を刺激又は再生するための方法。
【請求項26】
毛髪の成長を刺激する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
請求項1に記載の組成物を投与することを含む、脱毛を防止又は低減するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2021年2月17日に出願された米国仮特許出願第63/150,411号の利益を主張し、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
脱毛又は脱毛症は、不均一な病因から生じる一般的な障害である。脱毛を防止又は減少させ、毛髪の成長を刺激するための様々な処置が、利用可能である。しかしながら、これらの処置は、脱毛を防止又は減少させ、あるいは毛髪の成長を刺激するのに最も効果的ではない場合がある。
【発明の概要】
【0003】
概要
毛包の刺激及び再生のための方法及び組成物が、本明細書に記載されている。いくつかの場合において、本明細書に記載される方法及び組成物は、真皮白色脂肪組織(dWAT)を標的とする。dWATを標的とする本明細書に記載される方法及び組成物は、いくつかの場合において、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)-ガンマ(PPAR-ガンマ)アゴニスト、PGC-1αのアクチベーター、dWAT脂肪分解の代謝インフルエンサー、M2マクロファージ分極化合物、インスリン成長因子1(IGF-1)の局所アクチベーター、オートファジーのアクチベーター若しくは刺激剤、1つ以上のペプチド、又はこれらの組み合わせを含む。
【0004】
本明細書に記載される態様は、毛包を刺激又は再生するための、真皮白色脂肪組織(dWAT)を標的とするための組成物であって、(a)トリペプチド-1と、(b)ヘキセパプチド-12と、(c)PPAR-ガンマアゴニストとを含み、毛包を刺激又は再生する、前記組成物である。1つの特徴において、トリペプチド-1は、パルミトイルトリペプチド-1、ミリストイルトリペプチド-1、又はこれらの組み合わせを含む。1つの特徴において、ヘキサペプチド-12は、パルミトイルヘキサペプチド-12、ミリストイルヘキサペプチド-12、又はこれらの組み合わせを含む。1つの特徴において、本組成物は、ヘキサペプチド-38を更に含む。1つの特徴において、ヘキサペプチド-38は、アクチル-ヘキサペプチド-38である。1つの特徴において、ヘキサペプチド-38は、リポソームに封入される。1つの特徴において、本組成物は、オクタペプチドを更に含む。1つの特徴において、PPAR-ガンマアゴニストが、チアゾリジンジオン(TZD)、アレグリタザール、ファルグリタザール、ムラグリタザール、テサグリタザール、又はこれらの組み合わせである。1つの特徴において、PPAR-ガンマアゴニストは、植物源に由来する。1つの特徴において、PPAR-ガンマアゴニストは、天然産物である。1つの特徴において、本組成物は、M2-マクロファージ分極化合物を更に含む。1つの特徴において、M2-マクロファージ分極化合物は、フラボノイド、テルペノイド、グリコシド、リグナン、クマリン、アルカロイド、ポリフェノール、キノン、又はこれらの組み合わせである。1つの特徴において、M2-マクロファージ分極化合物は、アルクチゲニンである。1つの特徴において、M2-マクロファージ分極化合物は、ルペオール、マリバトールA、ゲラニイン、アロエ-エモジン、ケルセチン、クルクミン、アピゲニン、タクロリムス、若しくはナイアシンアミド、又はこれらの組み合わせである。1つの特徴において、M2-マクロファージ分極化合物は、植物源に由来する。いくつかの特徴において、植物源は、アルクチウム・ラッパ(Arctium lappa)植物、クルクミン、ルテオリン、ピペリン、レスベラトロール、シリビナム、バイカリン、又はこれらの組み合わせである。1つの特徴において、本組成物は、インスリン成長因子1(IGF-1)の局所アクチベーターを更に含む。1つの特徴において、インスリン成長因子1(IGF-1)の局所アクチベーターは、カプサイシン、イソフラボン、又はこれらの組み合わせである。1つの特徴において、インスリン成長因子1(IGF-1)の局所アクチベーターは、カプサイシンである。1つの特徴において、本組成物は、PGC-1αのアクチベーターを更に含む。いくつかの実施形態において、PPAR-ガンマアゴニストは、アディポネクチン又はアディポネクチン模倣物を含む。いくつかの実施形態において、アディポネクチン模倣物は、AdipoRon、ADP355、ADP399、JT003、6-C-β-D-グルコピラノシル-(2S,3S)-(+)-5,7,30,40-テトラヒドロキシジヒドロフラボノール(GTDF)、オスモチン、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、本組成物は、Jak-STAT阻害剤を更に含む。いくつかの実施形態において、Jak-STAT阻害剤は、ルキソリチニブ、トファシチニブ、又はこれらの組み合わせを含む。
【0005】
本明細書に記載される態様は、本明細書に記載される組成物を投与することを含む、毛包を刺激又は再生するための方法である。1つの特徴において、方法は、毛髪の成長を刺激する。
【0006】
本明細書に記載される態様は、本明細書に記載される組成物を投与することを含む、脱毛を防止又は低減するための方法である。
【0007】
参照による援用
本明細書において言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、各個々の刊行物、特許、又は特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されたときと同じ程度に、本明細書において参照により組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の新規特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に述べられる。本発明の原理が利用される例示的な実施形態を記載する以下の詳細な説明及び付属の図面(本明細書では「図(Figure)」及び「図(FIG.)」)を参照することにより、本発明の特徴及び利点のより良好な理解が得られる。
【0009】
図1】毛包の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
定義
本開示全体を通して、様々な実施形態が範囲形式で提示される。範囲形式の説明は、単に便宜上及び簡潔さのためであり、任意の実施形態の範囲に対して変更できない制限として解釈されるべきではないことが理解されるべきである。したがって、範囲の説明は、文脈により明らかにそうではないと指示されない限り、下限の単位の10分の1までの範囲内の全ての可能な部分範囲及び個々の数値を具体的に開示したとみなされるべきである。例えば、1~6などの範囲の説明は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分範囲、並びにその範囲内の個々の値、例えば、1.1、2、2.3、5、及び5.9を具体的に開示したものとみなされるべきである。これは、範囲の幅に関係なく適用される。これらの介在する範囲の上限及び下限は、独立して、より小さな範囲に含まれてもよく、また、記載された範囲内の任意の具体的に除外された制限に従うことを条件として、本開示内に包含される。記載された範囲が制限の一方又は両方を含む場合、文脈が別途明確に指示しない限り、それらの含まれる制限の一方又は両方を除外する範囲も本開示に含まれる。
【0011】
本明細書で使用される専門用語は、単に特定の実施形態を説明することを目的とし、任意の実施形態を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形の「1つ(a)」、「1つ(an)」、及び「その(the)」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数形も同様に含むことが意図される。「含む(comprises)」及び/又は「含む(comprising)」という用語は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除しないことが更に理解されるであろう。本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語は、関連して列挙された品目の1つ以上のもののありとあらゆる組み合わせを含む。
【0012】
本明細書で使用される場合、具体的に記載されない限り、又は文脈から明らかでない限り、数値又は数値の範囲に関して「約」という用語は、記載された数値及びその数値+/-10%を意味するか、又は範囲の列挙された値について列挙された下限を10%下回る及び列挙された上限を10%上回ることを意味すると理解される。
【0013】
真皮白色脂肪組織を標的とするための方法及び組成物
真皮白色脂肪組織(dWAT)を標的とするための方法及び組成物が、本明細書に記載されている。dWATを標的とすることは、毛包の刺激又は再生をもたらし得る。本明細書に記載される方法及び組成物は、いくつかの実施形態において、PPAR-ガンマアゴニスト、PGC-1αのアクチベーター、dWAT脂肪分解の代謝インフルエンサー、M2マクロファージ分極化合物、インスリン成長因子1(IGF-1)の局所アクチベーター、オートファジーのアクチベーター若しくは刺激剤、1つ以上のペプチド、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のペプチドは、トリペプチド(例えば、トリペプチド-1)である。いくつかの実施形態において、1つ以上のペプチドは、ヘキサペプチド(例えば、ヘキサペプチド-12及びヘキサペプチド-38)である。いくつかの実施形態において、1つ以上のペプチドは、オクタペプチド(例えば、GPHGVRQA)である。
【0014】
シグナル伝達機構及び細胞クロストークは、毛包を取り巻く微小環境及び大規模環境全体において生じる。特に、バルジ領域及び真皮乳頭の前駆細胞は、毛包の再生に重要な役割を果たし得る。ここで、シグナルは、毛髪再生を調整する毛包幹細胞に結合し、これに影響を与えることができる。バルジ幹細胞は、毛包の循環再生に重要であり、この循環再生の間に、毛包は、成長期(アナゲン)から退行期(カタゲン)を経て相対的に休止期(テロゲン)へと切り替わる。更に、皮膚線維芽細胞、脂肪細胞(dWAT)、前脂肪細胞、及び神経線維から生じる組織大規模環境のシグナルは、毛包循環に寄与し得る。バルジ領域及び真皮乳頭の両方において、誘導線維芽細胞、筋線維芽細胞、マクロファージ、ケラチノサイト、周皮細胞、及びASCの相互作用は、毛細胞の恒常性において相互に関連する役割を果たし得る。これらの細胞表現型の全ては、毛包を包むdWATに見られ得るため、dWATは、この領域における主要な影響臓器であり得、毛包経路及び刺激において役割を果たし得る。図1を参照されたい。
【0015】
毛包を介して活性剤を投与することを含む、真皮白色脂肪組織(dWAT)を標的とするための方法であって、活性剤が、毛包を介してdWATに送達される、前記方法が、本明細書に記載される。いくつかの場合において、低分子量の活性剤は、dWATを介して毛包を通して送達される。いくつかの場合において、活性剤は、約600ダルトン(Da)以下の分子量を有する。いくつかの場合において、活性剤は、少なくとも50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、800、825、850、875、900、925、950、975、1000ダルトン(Da)、若しくは1000ダルトン(Da)超、又は約50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、800、825、850、875、900、925、950、975、1000ダルトン(Da)、若しくは1000ダルトン(Da)超の分子量を有する。いくつかの場合において、活性剤は、少なくとも1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000ダルトン(Da)、若しくは10000ダルトン(Da)超、又は約1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000ダルトン(Da)、若しくは10000ダルトン(Da)超の分子量を有する。いくつかの場合において、活性剤は、約50~約1000、約100~約900、約200~約800、約300~約700、又は約400~約600ダルトン(Da)の範囲の分子量を有する。代替的に、又は組み合わせて、活性剤は、毛包を通して皮膚浸透を改善するためにリポソームにカプセル化されたペプチド又は他の活性剤である。
【0016】
いくつかの実施形態において、組成物は、局所組成物である。いくつかの実施形態において、組成物は、水性製剤である。いくつかの実施形態において、組成物は、無水製剤である。
【0017】
乳酸デヒドロゲナーゼ(Ldh)活性の調節因子
乳酸デヒドロゲナーゼ(Ldh)活性の調節因子を標的とするための方法及び組成物が、本明細書に記載されている。通常、ヒトの毛包は、好気性解糖及びグルタミノリシスのうちの1つ以上を使用して、それらの代謝に電力を供給する。代謝プロセス中、バルジ及び毛芽内の毛包幹細胞は、グルコースを取り込み、バルジ内における、増加した乳酸デヒドロゲナーゼ(Ldh)活性によって、乳酸塩を生成することができる。多くの場合、Ldh活性の活性化又はLdh活性の増加は、毛髪サイクルを刺激し得る。したがって、ピルビン酸塩のミトコンドリアへの侵入の薬理学的阻害は、Ldh活性を増加させ、毛髪サイクルを加速することができる。
【0018】
MPCを阻害し、それによってLdh活性を増加させるいくつかの薬理学的経路が存在する。例えば、TZDは、MPC活性を阻害し得る。例えば、チアゾリジンジオンファミリーのメンバーであるグリタゾンは、MPCの強力な阻害剤であり得る。いくつかの場合において、ミトコンドリアピルビン酸塩担体(MPC)は、Ldh活性を変化させ得る。通常、ミトコンドリアピルビン酸塩担体(MPC)は、ミトコンドリアの内膜を横切るピルビン酸塩の輸入を媒介するタンパク質である。いくつかの場合において、MPC複合体の遮断によるピルビン酸塩の酸化の阻害は、酵素が乳酸塩に変換するためのより多くの基質を提供することによって、Ldh活性を増加させる。次に、これは、毛髪サイクルを活性化し、休眠中の毛包を刺激する。いくつかの場合において、オートファジーは、毛髪成長サイクルの成長期を通して上昇し得る。いくつかの場合において、長寿代謝産物α-KG及びα-KB、並びに小分子mTOR阻害剤及びAMPKアクチベーターによるオートファジー誘導は、毛包活性化及び毛髪再生を開始し得る。
【0019】
いくつかの実施形態において、Ldh活性の調節因子は、チアゾリジンジオン(TZD)ファミリーのメンバーである。いくつかの実施形態において、Ldh活性の調節因子は、TZDである。いくつかの実施形態において、Ldh活性の調節因子は、グリタゾンである。
【0020】
PPAR-ガンマアゴニスト
毛包を刺激し、毛包再生を促進するためdWATを標的とするための方法及び組成物が、本明細書に記載されている。いくつかの実施形態において、本方法及び組成物は、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)-ガンマ(PPAR-ガンマ)を刺激する薬剤を含む。いくつかの実施形態において、PPAR-ガンマを刺激する薬剤は、PPAR-ガンマアゴニストである。いくつかの実施形態において、PPAR-ガンマアゴニストは、チアゾリジンジオン(TZD)、アレグリタザール、ファルグリタザール、ムラグリタザール、テサグリタザール、アディポネクチン、又はこれらの組み合わせである。例示的なチアゾリジンジオンしては、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、リボグリタゾン、及びトログリタゾンが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、PPAR-ガンマアゴニストは、植物源に由来する。いくつかの実施形態において、植物源は、茶樹(カメリア・シネンシス(Camellia sinensis))、大豆(グリシン・マックス(Glycine max))、パーム油(エラエイス・ギニエンシス(Elaeis guineensis))、ショウガ(ジンジバー・オフィシナール(Zingiber officinale))、ブドウ及びワイン(ヴィティス・ヴィニフェラ(Vitis vinifera))、又はハーブ若しくはスパイス(例えば、オリガヌム・ヴィルガレ(Origanum vulgare)、ローズマリヌス・オフィシナリス(Rosmarinus officinalis)、サルビア・オフィシナリス(Salvia officinalis)、チムス・ブルガリス(Thymus vulgaris))である。いくつかの実施形態において、PPAR-ガンマは、天然産物である。例示的な天然産物としては、フラボノイド(例えば、ルテオリン、ケルセチン、ケンプフェロール、カテキン、ヒドロキシカルコン、ビオカニンA、ゲニステイン、ヒドロキシダイゼイン、及び6’-ヒドロキシ-O-デスメチルアンゴレンシン)、ネオリグナン(例えば、ホノキオール及びマグノロール)、スチルベン(例えば、レスベラトール及びアモルファスチルボール)、アモールフルチン(例えば、アモールフルチン1、アモールフルチン1、及びアモールフルチンB)、ポリアセチレン(例えば、ファルカリンジオール)、セスキテルペンラクトン(例えば、デオキシエレファントピン)、及びジテレペンキノン誘導体(例えば、サルガキノ酸及びサルガヒドロキノン酸)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
PPAR-ガンマコアクチベーター
毛包を刺激し、毛包再生を促進するためdWATを標的とするための方法及び組成物であって、いくつかの実施形態において、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマコアクチベーター1-アルファ(PGC-1α)を調節する薬剤を含む、前記方法及び組成物が、本明細書に記載されている。いくつかの実施形態において、PGC-1αを調節する薬剤は、PGC-1αアゴニストである。いくつかの実施形態において、PGC-1αを調節する薬剤は、ペプチドである。いくつかの実施形態において、このペプチドは、ヘキサペプチド-38である。
【0022】
M2マクロファージ-分極化合物
通常、マクロファージは、毛周期の刺激に関与する。いくつかの場合において、それらは、毛包退縮中のマトリックス除去、並びに毛包幹細胞活性化及びアナゲン誘導に関与する。いくつかの場合において、Wnt産生のマクロファージ特異的薬理学的阻害は、毛包成長を遅延させる。いくつかの場合において、毛包周囲マクロファージは、それらの再生活性を調節する新規の追加の合図として、皮膚上皮幹細胞の活性化に寄与する。いくつかの場合において、M2表現型マクロファージは、アナゲンの刺激に関与する。いくつかの場合において、M2-表現型マクロ相は、IGF-1経路を通して関与する。
【0023】
毛包を刺激し、毛包再生を促進するためdWATを標的とするための方法及び組成物であって、いくつかの実施形態において、M2マクロファージ分極性化合物を含む、前記方法及び組成物が、本明細書に記載されている。いくつかの実施形態において、M2マクロファージ分極化合物は、フラボノイド、テルペノイド、グリコシド、リグナン、クマリン、アルカロイド、ポリフェノール、キノン、又はこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、M2マクロファージ分極化合物は、アルクチゲニンである。いくつかの実施形態において、M2マクロファージ分極化合物は、ルペオール、マリバトールA、ゲラニイン、アロエ-エモジン、ケルセチン、クルクミン、アピゲニン、タクロリムス、ナイアシンアミド、又はこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、M2マクロファージ分極化合物は、植物源に由来する。いくつかの実施形態において、植物は、アルクチウム・ラッパ植物、クルクミン、ルテオリン、ピペリン、レスベラトロール、シリビナム、バイカリン、又はこれらの組み合わせである。
【0024】
アディポネクチン
毛包を刺激し、毛包再生を促進するためdWATを標的とするための方法及び組成物であって、アディポネクチン又はアディポネクチン模倣物を含む、前記方法及び組成物が、本明細書に記載されている。時には、PPAR-γの薬理学的リガンドは、線維芽細胞の活性化及び筋線維芽細胞の分化を弱め、dWATの減少を防ぎながら、臓器線維症を改善し得る。いくつかの実施形態において、アディポネクチンは、PPAR-γリガンドである。いくつかの実施形態において、アディポネクチンは、PPAR-γアゴニストである。いくつかの実施形態において、アディポネクチンは、PPAR-γ活性を刺激する。通常、アディポネクチンは、分泌型アディポカインであり得る。いくつかの場合において、アディポネクチンは、約30kDaである。合成アゴニストペプチドを用いて細胞アディポネクチン受容体を標的とすることは、毛包(HF)の成長にプラス効果を有するdWATコンパートメントを潜在的に増加させ得る。いくつかの場合において、アディポネクチンの複雑な構造、アディポネクチンの不溶性、及び比較的短い半減期のために、アディポネクチンをターゲティングすることは困難である。いくつかの場合において、アディポネクチンの生物学的活性を模倣するアディポネクチン模倣物が、使用され得る。いくつかの実施形態において、アディポネクチン模倣物は、小分子である。いくつかの実施形態において、アディポネクチン模倣物は、アディポネクチンベースの短いペプチドである。
【0025】
いくつかの実施形態において、合成アゴニストペプチドとしては、AdipoRonが挙げられるが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、AdipoRonは、GCPRリガンド及びAMPKアクチベーター活性化剤とのモチーフ類似性を有する。いくつかの実施形態において、合成アゴニストペプチドとしては、ADP355、ADP399、及びJT003のうちの1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、植物ベースの小分子は、アディポネクチン模倣物として機能し得る。いくつかの実施形態において、アディポネクチン模倣物として機能する植物ベースの小分子には、6-C-β-D-グルコピラノシル-(2S,3S)-(+)-5,7,30,40-テトラヒドロキシジヒドロフラボノール(GTDF)、及びオスモチンのうちの1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される方法及び組成物は、アディポネクチン又はアディポネクチン模倣物を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に提供される方法及び組成物は、PPAR-γリガンドを含む。いくつかの実施形態において、PPAR-γリガンドは、アディポネクチン又はアディポネクチン模倣物を含む。いくつかの実施形態において、アディポネクチン模倣物は、小分子である。いくつかの実施形態において、アディポネクチン模倣物は、アディポネクチン受容体アゴニストである。いくつかの実施形態において、アディポネクチン模倣物は、アディポネクチン受容体1(AdipoR1)の合成小分子アゴニストである。いくつかの実施形態において、小分子アゴニストは、AdipoRonである。いくつかの実施形態において、本組成物は、アディポネクチン模倣物を含む。いくつかの実施形態において、アディポネクチン模倣物は、アディポネクチンベースの短いペプチドである。いくつかの実施形態において、アディポネクチン模倣物は、ADP355である。いくつかの実施形態において、アディポネクチン模倣物は、ADP399である。いくつかの実施形態において、アディポネクチン模倣物は、GTDFである。いくつかの実施形態において、アディポネクチン模倣物は、JT003である。いくつかの実施形態において、アディポネクチン模倣物は、植物ベースである。いくつかの場合において、植物ベースのアディポネクチン模倣物は、GTDFである。いくつかの場合において、植物ベースのアディポネクチン模倣物は、オスモチンである。
【0027】
成長因子
いくつかの場合において、dWATは、成長因子の分泌を通じて、ヒトの毛髪の成長及び色素沈着を調節し得る。そのような成長因子の例としては、肝細胞成長因子(HGF)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、毛髪の成長及び色素沈着に関与する成長因子は、脂肪由来幹細胞(ADSC)から分泌され得る。いくつかの実施形態において、ADSCから分泌される成長因子としては、血小板由来成長因子(PDGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、IGF結合タンパク質前駆体、及びフィブロネクチンが挙げられるが、これらに限定されない。これらの成長因子は、毛髪の成長を刺激する様々な機能を果たし得る。いくつかの実施形態において、PDGFは、アナゲンを誘導し、維持し得る。いくつかの実施形態において、VEGFは、毛包血管形成によって毛髪の成長を増加させ得る。いくつかの実施形態において、IGF-1は、毛包細胞の移動、生存、及び増殖を改善し得る。
【0028】
毛包を刺激し、毛包再生を促進するためdWATを標的とするための方法及び組成物であって、いくつかの実施形態において、成長因子のアクチベーターを含む、前記方法及び組成物が、本明細書に記載されている。いくつかの実施形態において、成長因子の活性化剤は、肝細胞成長因子1(HGF-1)の局所アクチベーターである。いくつかの実施形態において、成長因子のアクチベーターは、インスリン成長因子1(IGF-1)の局所アクチベーターである。いくつかの実施形態において、IGF-1の局所アクチベーターは、カプサイシン、イソフラボン、血管内皮成長因子(VEGF)、又はTGF-βである。いくつかの実施形態において、成長因子のアクチベーターは、PDGFの局所アクチベーターである。いくつかの実施形態において、PDGFの局所アクチベーターは、トリペプチド-1である。いくつかの実施形態において、成長因子のアクチベーターは、HGFの局所アクチベーターである。いくつかの実施形態において、HGFの局所アクチベーターは、トリペプチド-1である。いくつかの実施形態において、成長因子のアクチベーターは、オクタペプチド45である。いくつかの実施形態において、成長因子のアクチベーターは、ビタミンDである。
【0029】
ペプチド
真皮白色脂肪組織を標的とするための本明細書に記載される方法は、いくつかの実施形態において、1つ以上のペプチドを含む組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のペプチドは、リポソームに封入される。
【0030】
いくつかの場合において、ペプチドは、約50ppm以下から、1000、5000、10000、50000、100000、500000ppm、又はそれ以上、例えば、100ppmのペプチドで存在する。局所製剤は、0.01重量%以下(例えば、0.001重量%)~10重量%又はそれ以上、例えば、0.01重量%から、0.02重量%、0.03重量%、0.04量%、0.05重量%、0.1重量%、1重量%~5重量%又は10重量%の第1のペプチドを含有することができる。いくつかの場合において、組成物は、複数のペプチドを含む。いくつかの場合において、複数のペプチドのうちのペプチドは、約50ppm以下から、1000、5000、10000、50000、100000、500000ppm、又はそれ以上、例えば、100ppmのペプチド、又は任意の他の好適な量で存在する。組成物は、ペプチドの0.01重量%以下(例えば、0.001重量%)~10重量%又はそれ以上、例えば、0.01重量%から、0.02重量%、0.03重量%、0.04重量%、0.05重量%、0.1重量%、1重量%~5重量%又は20重量%を含み得る。塩基中のペプチドの量は、上下に調整することができる。
【0031】
本明細書に記載される組成物は、いくつかの実施形態において、複数のペプチドを含む。いくつかの実施形態において、複数のペプチドの各ペプチドは、少なくとも0.00001重量%、0.0003重量%、0.0005重量%、0.001重量%、0.001重量%、0.005重量%、0.0055重量%、0.01重量%、0.02重量%、0.05重量%、0.10重量%、0.25重量%、0.50重量%、0.75重量%、1.0重量%、1.5重量%、2.0重量%、2.5重量%、3.0重量%、3.5重量%、4.0重量%、4.5重量%、5.0重量%、5.5重量%、6.0重量%、6.5重量%、7.0重量%、8重量%、9重量%、10重量%、若しくは10重量(wt.)%超、又は約0.00001重量%、0.0003重量%、0.0005重量%、0.001重量%、0.001重量%、0.005重量%、0.0055重量%、0.01重量%、0.02重量%、0.05重量%、0.10重量%、0.25重量%、0.50重量%、0.75重量%、1.0重量%、1.5重量%、2.0重量%、2.5重量%、3.0重量%、3.5重量%、4.0重量%、4.5重量%、5.0重量%、5.5重量%、6.0重量%、6.5重量%、7.0重量%、8重量%、9重量%、10重量%、若しくは10重量(wt.)%超で提供される。いくつかの実施形態において、複数のペプチドのうちの各ペプチドは、約0.25重量%~約10重量%、約0.5重量%~約8重量%、約0.75重量%~約6重量%、又は約1重量%~約4重量%の範囲で提供される。いくつかの実施形態において、複数のペプチドのうちの各ペプチドは、約0.001重量%~約6重量%、約0.002重量%~約4重量%、約0.01重量%~約3重量%、又は約0.02重量%~約2重量%の範囲で提供される。
【0032】
いくつかの実施形態において、ペプチドは、トリペプチド-1、ヘキサペプチド-12、オクタペプチド、ヘキサペプチド-38、又はこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、ペプチドは、アセチル基で官能化される。例えば、ペプチドは、アセチルヘキサペプチド-38である。いくつかの実施形態において、オクタペプチドは、GPHGVRQAである。いくつかの実施形態において、ペプチドは、リポソームに封入される。
【0033】
いくつかの実施形態において、トリペプチド-1は、少なくとも0.00001重量%、0.0003重量%、0.0005重量%、0.001重量%、0.001重量%、0.005重量%、0.0055重量%、0.05重量%、0.10重量%、0.25重量%、0.50重量%、0.75重量%、1.0重量%、1.5重量%、2.0重量%、2.5重量%、3.0重量%、3.5重量%、4.0重量%、4.5重量%、5.0重量%、5.5重量%、6.0重量%、6.5重量%、7.0重量%、8重量%、9重量%、10重量%、若しくは10重量(wt.)%超、又は約0.00001重量%、0.0003重量%、0.0005重量%、0.001重量%、0.001重量%、0.005重量%、0.0055重量%、0.05重量%、0.10重量%、0.25重量%、0.50重量%、0.75重量%、1.0重量%、1.5重量%、2.0重量%、2.5重量%、3.0重量%、3.5重量%、4.0重量%、4.5重量%、5.0重量%、5.5重量%、6.0重量%、6.5重量%、7.0重量%、8重量%、9重量%、10重量%、若しくは10重量(wt.)%超で提供される。いくつかの実施形態において、トリペプチド-1は、約0.25重量%~約10重量%、約0.5重量%~約8重量%、約0.75重量%~約6重量%、又は約1重量%~約4重量%の範囲で提供される。
【0034】
いくつかの実施形態において、ヘキサペプチド-12は、少なくとも0.00001重量%、0.0003重量%、0.0005重量%、0.001重量%、0.001重量%、0.005重量%、0.0055重量%、0.05重量%、0.10重量%、0.25重量%、0.50重量%、0.75重量%、1.0重量%、1.5重量%、2.0重量%、2.5重量%、3.0重量%、3.5重量%、4.0重量%、4.5重量%、5.0重量%、5.5重量%、6.0重量%、6.5重量%、7.0重量%、8重量%、9重量%、10重量%、若しくは10重量(wt.)%超、又は約0.00001重量%、0.0003重量%、0.0005重量%、0.001重量%、0.001重量%、0.005重量%、0.0055重量%、0.05重量%、0.10重量%、0.25重量%、0.50重量%、0.75重量%、1.0重量%、1.5重量%、2.0重量%、2.5重量%、3.0重量%、3.5重量%、4.0重量%、4.5重量%、5.0重量%、5.5重量%、6.0重量%、6.5重量%、7.0重量%、8重量%、9重量%、10重量%、若しくは10重量(wt.)%超で提供される。いくつかの実施形態において、ヘキサペプチド-12は、約0.25重量%~約10重量%、約0.5重量%~約8重量%、約0.75重量%~約6重量%、又は約1重量%~約4重量%の範囲で提供される。
【0035】
いくつかの実施形態において、ヘキサペプチド-38は、少なくとも0.00001重量%、0.0003重量%、0.0005重量%、0.001重量%、0.001重量%、0.005重量%、0.0055重量%、0.01重量%、0.02重量%、0.05重量%、0.10重量%、0.25重量%、0.50重量%、0.75重量%、1.0重量%、1.5重量%、2.0重量%、2.5重量%、3.0重量%、3.5重量%、4.0重量%、4.5重量%、5.0重量%、5.5重量%、6.0重量%、6.5重量%、7.0重量%、8重量%、9重量%、10重量%、若しくは10重量(wt.)%超、又は約0.00001重量%、0.0003重量%、0.0005重量%、0.001重量%、0.001重量%、0.005重量%、0.0055重量%、0.01重量%、0.02重量%、0.05重量%、0.10重量%、0.25重量%、0.50重量%、0.75重量%、1.0重量%、1.5重量%、2.0重量%、2.5重量%、3.0重量%、3.5重量%、4.0重量%、4.5重量%、5.0重量%、5.5重量%、6.0重量%、6.5重量%、7.0重量%、8重量%、9重量%、10重量%、又は10重量(wt.)%超で提供される。いくつかの実施形態において、ヘキサペプチド-38は、約0.25重量%~約10重量%、約0.5重量%~約8重量%、約0.75重量%~約6重量%、若しくは約1重量%~約4重量%の範囲で提供される。いくつかの実施形態において、ヘキサペプチド-38は、約0.001%~約6%、約0.002%~約4%、約0.01%~約3%、又は約0.02%~約2%の範囲で提供される。いくつかの実施形態において、ヘキサペプチド-38は、約0.005重量%~約0.02重量%の範囲で提供される。
【0036】
例示的な実施形態において、局所用製剤中の第1のペプチド対第2のペプチドの重量比は、第1のペプチドが1に対して、第2のペプチドが0.2~10、第2のペプチドが1~10、第2のペプチドが1~8、又は第2のペプチドが1~5.5である。以下の命名法は、本明細書では、様々なアミノ酸を指すために用いられる:アラニン(本明細書では「Ala」又は「A」とも称される)、アルギニン(本明細書では「Arg」又は「R」とも称される)、アスパラギン(本明細書では「Asn」又は「N」とも称される)、アスパラギン酸(本明細書では「Asp」又は「D」とも称される)、システイン(本明細書では「Cys」又は「C」とも称される)、グルタミン酸(本明細書では「Glu」又は「E」とも称される)、グルタミン(本明細書では「Gln」又は「Q」とも称される)、グリシン(本明細書では「Gly」又は「G」とも称される)、ヒスチジン(本明細書では「His」又は「H」とも称される)、イソロイシン(本明細書では「Ile」又は「I」とも称される)、ロイシン(本明細書では「Leu」又は「L」とも称される)、リジン(本明細書では「Lys」又は「K」とも称される)、メチオニン(本明細書では「Met」又は「M」とも称される)、フェニルアラニン(本明細書では「Phe」又は「F」とも称される)、プロリン(本明細書では「Pro」又は「P」とも称される)、セリン(本明細書では「Ser」又は「S」とも称される)、スレオニン(本明細書では「Thr」又は「T」とも称される)、トリプトファン(本明細書では「Trp」又は「W」とも称される)、チロシン(本明細書では「Tyr」又は「Y」とも称される)、バリン(本明細書では「Val」又は「V」とも称される)。
【0037】
いくつかの実施形態において、第1のペプチドは、ジペプチドである。好適なジペプチドには、以下のアミノ酸の配列を有するものが含まれるが、これらに限定されない:KK、KP、CK、KC、KT、DF、NF、VW、YR、又はTT。いくつかの実施形態において、ジペプチドは、以下のアミノ酸配列を有する:KV。他の実施形態において、第1のペプチドは、トリペプチドである。好適なトリペプチドには、以下のアミノ酸の配列を有するものが含まれるが、これらに限定されない:HGG、RKR、GHK、GKH、GGH、GHG、KFK、又はKPK。いくつかの実施形態において、トリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有する:KVK。いくつかの実施形態において、第1のペプチドは、テトラペプチドである。好適なテトラペプチドには、以下のアミノ酸の配列を有するものが含まれるが、これらに限定されない:GQPR、KTFK、AQTR、又はRSRK。いくつかの実施形態において、テトラペプチドは、以下のアミノ酸配列を有する:KDVY。いくつかの実施形態において、第2のペプチドは、ペンタペプチドである。好適なペンタペプチドには、以下のアミノ酸の配列を有するものが含まれるが、これらに限定されない:KTTKS、YGGFX、又はKLAAK。いくつかの実施形態において、第2のペプチドは、ヘキサペプチドである。好適なヘキサペプチドには、以下のアミノ酸の配列を有するものが含まれるが、これらに限定されない:VGVAPG又はGKTTKS。いくつかの実施形態において、ヘキサペプチドは、以下のアミノ酸配列を有する:FVAPFP。いくつかの実施形態において、第2のペプチドは、ヘプタペプチドである。好適なヘプタペプチドには、アミノ酸配列RGYYLLEを有するもの、又はヘプタペプチド-6(プロサーチュインペプチド)が含まれるが、これらに限定されない。組成物は、組成物が少なくとも1つのジペプチド、トリペプチド、又はテトラペプチドと、少なくとも1つのペンタペプチド、ヘキサペプチド、又はヘプタペプチドとを含有することを条件に、2つ以上のペプチド、例えば、2つのジペプチド及び1つのペンタペプチド、1つのトリペプチド及び1つのヘキサペプチド、1つのジペプチド、1つのトリペプチド、及び1つのヘプタペプチドなどを含み得る。いくつかの実施形態において、本組成物は、トリペプチド及び1つ以上のヘキサペプチドを含む。いくつかの実施形態において、トリペプチドは、トリペプチド-1である。いくつかの実施形態において、1つ以上のヘキサペプチドのうちの第1のヘキサペプチドは、ヘキサペプチド-12である。いくつかの実施形態において、1つ以上のヘキサペプチドのうちの第2のヘキサペプチドは、ヘキサペプチド-38である。
【0038】
ペプチドは、官能化することができる。例えば、ペプチドは、脂肪酸、例えば、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、α-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸などで官能化することができる。例としては、パルミトイルヘキサペプチド-12(Pal-VGVAPG)、パルミトイルトリペプチド-1(Pal-GHK)、ミリストイルヘキサペプチド-12(Myr-VGVAPG)、ミリストイルトリペプチド-1(Myr-GHK)が挙げられる。パルミトイル又はミリストイル官能化は、他の脂肪酸と比較した場合に増強された浸透を示すため、ある特定の実施形態において望ましい可能性がある。いくつかの実施形態において、ペプチドは、化学基で官能化される。例えば、ペプチドは、アセチルで官能化される。例は、アセチルヘキサペプチド-38を含む。いくつかの場合において、ペプチドは、14個以下の炭素を含む官能基で官能化される。いくつかの場合において、ペプチドは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個以下、又は20個以上の炭素を含む官能基で官能化される。いくつかの場合において、ペプチドは、非パルミトイル化される。特定の理論に限定されるものではないが、いくつかの実施形態において、ペプチドをリポソームに組み込むことにより、官能化されている、又は官能化されていないペプチドの親油性が増加される。
【0039】
本明細書に提供される方法及び組成物のいくつかの実施形態は、第1のペプチドとして、グリシン-ヒスチジン-リジン(GHK)を含む。GHKは、一般的なタンパク質のクラスにはほとんど見られないが、細胞外マトリックスタンパク質において頻繁に見られるペプチド配列である。GHKの小さなサイズは、より大きなペプチドよりもはるかに容易に膜受容体にアプローチすることを可能にする。更に、その独自の銅結合構造は、細胞内外への銅輸送を増強し、いくつかの異なるが関連する経路を通じて創傷治癒を促進する。強力な銅結合構造に起因して、GHKは、GHK-Cuの形態(銅結合GHK形態)で提供され得る。
【0040】
組成物において、トリペプチドは、典型的には、約50ppm以下から、約100、200、300、400、若しくは500ppm、又はそれ以上、例えば、50ppm~150ppmの量で存在する。
【0041】
組成物において、ヘキサペプチドは、典型的には、約50ppm以下から、約100、200、300、400、若しくは500ppm、又はそれ以上、例えば、50ppm~150ppmの量で存在する。
【0042】
ペプチドは、リポソーム組成物の他の構成要素と組み合わせるのに好適な基材中に有利に提供され得る。基剤は、増粘剤/結合剤(例えば、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル)、軟化剤/分散剤(例えば、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド)、溶媒(例えば、炭酸プロピレン)、及び/又はレオロジー変性剤/抗沈降剤(例えば、ジステアジモニウムヘクトライト)などの1つ以上の構成要素を含み得る。
【0043】
dWAT脂肪分解の代謝インフルエンサー
様々な代謝産物及び代謝経路は、dWATサイズに影響を及ぼし得る。いくつかの実施形態において、脂肪分解及び脂肪酸放出は、dWATサイズを増加させ得る。いくつかの実施形態において、アミノ酸は、dWATサイズを増加させ、それによって、毛髪の成長を刺激し得る。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組成物は、dWAT脂肪分解の代謝調節因子を含む。いくつかの実施形態において、dWAT脂肪分解の代謝調節因子は、アミノ酸である。一態様では、アミノ酸は、l-カルニチンである。いくつかの実施形態において、L-カルニチンは、エネルギーを消費するアナゲン毛髪マトリックスへのエネルギー供給を増加させることによって、毛髪の成長を刺激し得る。いくつかの実施形態において、L-カルニチンは、インビトロで、濾胞性ケラチノサイトにおける増殖の上方制御及びアポトーシスの下方制御によって、ヒト頭皮の毛髪の成長を刺激し得る。いくつかの実施形態において、L-カルニチンは、dWAT体積が減少したときに低減される脂肪分解及びアミノ酸放出の代用物として機能し得る。
【0044】
メラトニン
通常、抗酸化物質であるメラトニンは、毛髪の成長の刺激に関連し得る。いくつかの場合において、メラノトニンは、早期アンドロゲン性脱毛症又は一般的な脱毛症の女性及び男性におけるメラトニン溶液の局所適用から生じるプラス効果を有する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組成物は、メラトニンを含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組成物は、メラトニン受容体の調節因子を含む。いくつかの実施形態において、メラトニン受容体は、MT1、MT2、又はRORαである。いくつかの実施形態において、メラトニン受容体の刺激は、毛髪の成長を上方制御し得る。そのようなメラトニン受容体の例は、MT1、MT2、及びRORαを含み得るが、これらに限定されない。
【0045】
オートファジー
多くの場合、オートファジーは、HFがアナゲンを通して自然に進行するにつれて上昇し得、毛髪の成長刺激に有益であり得る。通常、オートファジー誘導は、様々な経路を介して生じ得る。例えば、長寿代謝産物α-ケト酪酸塩(α-KB)及びα-ケトグルタル酸塩(α-KG)、並びにAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)のアクチベーターは、オートファジーを刺激することができる。いくつかの場合において、ラパマイシンの哺乳動物標的(mTOR)の阻害剤は、オートファジーを活性化し、それによって、毛包活性化及び毛髪再生を開始することができる。
【0046】
本明細書に開示される方法及び組成物は、毛包細胞内のオートファジーを刺激する成分を含み得る。いくつかの実施形態において、オートファジーを刺激する成分は、ヘキサペプチド-11、α-KB、α-KG、5-アミノイミダゾール-4-カルボキサミドリボヌクレオチド(AICAR)、メトホルミン、オリゴマイシン、ラパマイシン、又はこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、オートファジーを刺激する成分は、mTOR阻害剤である。いくつかの実施形態において、mTOR阻害剤は、オリゴマイシンである。いくつかの実施形態において、mTOR阻害剤は、ラパマイシンである。いくつかの実施形態において、オートファジーを刺激する成分は、AMPK刺激剤である。いくつかの実施形態において、AMPK刺激剤は、メトホルミンである。
【0047】
ミトコンドリアピルビン酸担体(MPC)複合体阻害剤
ミトコンドリア由来のエネルギー源は、毛包休眠及びミトコンドリアピルビン酸担体(MPC)阻害に影響を及ぼし得る。すなわち、MPC複合体阻害剤は、休眠している毛胞を活性化し得る。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組成物は、MPC複合体阻害剤を含む。いくつかの実施形態において、MPC複合体阻害剤は、チアゾリジンジオンファミリーのメンバーである。一態様において、チアゾリジンジオンファミリーのメンバーは、グリタゾンである。
【0048】
Jak-STAT阻害剤
多くの場合、Jak-STATシグナル伝達経路は、細胞シグナル伝達にとって重要である。通常、Jak-STATシグナル伝達の阻害は、活性化を刺激することによって毛髪の成長を促進し得る。いくつかの場合において、HF幹細胞の増殖につながり得る。いくつかの場合において、Jak-STAT阻害剤による局所処置は、アンドロゲン性脱毛症(AA)における全身処置よりもより堅牢な毛髪の成長をもたらし得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される組成物は、Jak-STAT阻害剤を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される組成物は、Jak-STATシグナル伝達経路の活性を低減させる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される組成物は、Jak-STATシグナル伝達経路の活性を阻害する。一態様において、Jak-STAT阻害剤は、ルキソリチニブである。一態様において、Jak-STAT阻害剤は、トファシチニブである。
【0049】
Wnt/b-カテニン及びBMPシグナル伝達
通常、刺激性Wnt/β-カテニンシグナル伝達経路及び阻害性骨形態形成タンパク質(BMP)シグナルは、毛包幹細胞(HF-SC)、又はバルジ幹細胞の固有の活性化、及び毛包(HF)のアナゲンへの移行に関与し得る。多くの場合、これらのシグナルは、HF-SCを休止状態に維持し、Wnt発現波が生じるときに低下するBMP活性の同期環状波を生成し、それによって、HFサイクリングを制御するDPから生じる。いくつかの場合において、HF成長刺激シグナルは、テロゲンから隣接するHFを介してアナゲンへの移行中に伝播され得る。いくつかの場合において、線維芽細胞成長因子ファミリー内のWntシグナル伝達遺伝子は、過小発現され得、BMPシグナル伝達は、老化dWATにおいて増加し得る。いくつかの場合において、いくつかの植物由来化学物質は、Wnt/b-カテニンシグナル伝達を活性化することによって毛髪の成長を促進し得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される組成物は、Wnt/b-カテニンシグナル伝達を活性化することによって毛髪の成長を促進する植物由来化学物質を含む。いくつかの態様では、植物由来化学物質としては、プルヌス・ミラ・ケーネ(Prunus mira Koehne)ナッツオイル、赤朝鮮人参油、及びロリオライドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
コルチコステロン及びストレス
毛包幹細胞(HF-SC)の活性化及び毛髪の成長のストレス誘発阻害を低減する組成物及び方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、組成物は、成長停止特異的6(Gas6)の発現を回復させる。いくつかの場合において、ストレスは、毛包の状態に影響を及ぼし得る。いくつかの場合において、ストレスホルモンコルチコステロンは、毛包幹細胞(HF-SC)の休眠及び毛髪の成長を調節し得る。慢性ストレス下では、コルチコステロンレベルの上昇はHF-SCの休眠を延長し、毛包を、延長した休止期にある状態に維持し得る。いくつかの場合において、コルチコステロンは、真皮乳頭に作用し得、成長停止特異的6(Gas6)と呼ばれる遺伝子/タンパク質の発現、次いで、毛髪の成長を刺激するHF-SC受容体を抑制する。いくつかの実施形態において、Gas6発現を復元することは、HF-SCの活性化及び毛髪の成長の、ストレス誘発阻害を克服する。
【0051】
線維芽細胞成長因子5(FGF5)
本明細書に提供される組成物及び方法は、毛包周囲マクロファージによるFGF5の放出を調節し得る。いくつかの場合において、FGF5の放出の調節は、毛包のアナゲンへの移行を増加させ得る。いくつかの場合において、調節は、FGF5の放出の増加である。通常、成熟HFは、別個の免疫系を有し得る。多くの場合、HFバルブ及びHFバルジは、免疫特権の領域を表し得、その崩壊は、明確な炎症性脱毛障害を引き起こす。例えば、毛包周囲肥満細胞及びマクロファージは、アナゲンを介したHF成長の調節及びカタゲンへの移行に関与している。いくつかの場合において、毛包周囲マクロファージによる線維芽細胞成長因子5(FGF5)の持続放出は、アナゲン-カタゲンスイッチを調節し得る。いくつかの場合において、毛包周囲マクロファージによるWntシグナルの放出の変化は、テロゲンの不応期及びコンピテント期の確立、並びにアナゲンを誘導する合図の増殖に寄与し得る。
【0052】
浸透促進剤
様々なタイプの浸透促進剤は、本明細書に記載される組成物とともに使用され得る。いくつかの実施形態において、浸透促進剤は、脂肪酸、テルペン、アルコール、ピロリドン、スルホキシド、ラウロカプラム、表面活性剤、アミド、アミン、レシチン、ポリオール、四級アンモニウム化合物、シリコーン、アルカノエート、又はこれらの組み合わせを含む。
【0053】
脂肪酸及びアルコールは、ペプチドの浸透を増強し、製剤、例えば、メタン酸、エタン酸、プロパン酸、ブタン酸、イソ酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ミリストレイン酸、イソ吉草酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレイド酸、α-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、中鎖脂肪酸、例えば、C6-12脂肪酸などに絹のような感触を与えるために用いられ得る。組成物に用いられる場合の典型的な量は、1重量%~4重量%である。
【0054】
他の構成要素
他の構成要素には、抗炎症剤、抗酸化剤、植物由来化学物質、及び溶解性向上剤(solubility enhancer)が含まれ得る。例示的な抗刺激剤には、パンテニルトリアセテート及びナリンゲニンが含まれるが、これらに限定されない。パンテニルトリアセテート及びナリンゲニンは、皮膚の発赤及び皮膚からの水分喪失を軽減する天然植物抽出物である。組成物に用いられる場合の抗刺激剤の典型的な量は、1重量%~4重量%である。
【0055】
例示的な抗炎症剤には、アルニカ・モンタナ(Arnica montana)抽出物が含まれるが、これらに限定されない。アルニカ・モンタナ抽出物には、精油、脂肪酸、チモール、プソイドグアイアノリドセスキテルペンラクトン、及びフラバノングリコシドなどの構成要素が含まれる。これは、抗炎症効果を示し得る。組成物に用いられる場合の抗刺激剤の典型的な量は、1重量%~4重量%である。
【0056】
例示的な抗酸化剤には、ナイアシンアミドが含まれるが、これに限定されない。ナイアシンアミドは、真皮乳頭細胞における細胞内活性酸素種(ROS)産生の低下によって誘導される過酸化水素として現れるDKK-1のタンパク質発現レベルを低下させる。したがって、ナイアシンアミドは、酸化ストレス誘発性細胞老化及び毛包の早期カタゲン移行を防止することによって、毛髪の成長を促進し得る。いくつかの実施形態において、ナイアシンアミドは、少なくとも0.001%、0.005%、0.01%、0.02%、0.05%、0.10%、0.20%、0.25%、0.50%、0.75%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、若しくは4%超、又は約0.001%、0.005%、0.01%、0.02%、0.05%、0.10%、0.20%、0.25%、0.50%、0.75%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、若しくは4%超で提供される。いくつかの実施形態において、ドナリエラ・サリナ(Dunaliella salina)抽出物は、約2%で提供される。
【0057】
例示的な抗酸化剤には、ドナリエラ・サリナ抽出物が含まれるが、これに限定されない。ドナリエラ・サリナ抽出物には、ベータカロテンなどの構成要素が含まれる。これは、抗酸化作用を示し得る。組成物に用いられる場合の抗炎症剤の典型的な量は、0.1重量%~2重量%である。いくつかの実施形態において、ドナリエラ・サリナ抽出物は、少なくとも0.001%、0.005%、0.01%、0.02%、0.05%、0.10%、0.20%、0.25%、0.50%、0.75%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、若しくは4%超、又は約0.001%、0.005%、0.01%、0.02%、0.05%、0.10%、0.20%、0.25%、0.50%、0.75%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、若しくは4%超で提供される。いくつかの実施形態において、ドナリエラ・サリナ抽出物は、約0.0027%で提供される。
【0058】
例示的な抗酸化剤には、ピロクトンオラミン、亜鉛ピリチオン、炭酸亜鉛、ナイアシンアミド、パンテノール、及びカフェインが含まれるが、これらに限定されない。
【0059】
製剤のある特定の成分は、従来の製剤において可溶化することが困難である傾向がある。ホスファチジルセリン及びオレウロペインは、溶解度の問題を示すことが知られている。いくつかの実施形態において、シロキサンポリマー、例えば、カプリリルメチコンを可溶化するために使用される。いくつかの実施形態において、カプリリルメチコンは、無水製剤中のホスファチジルセリンを可溶化するために使用される。いくつかの実施形態において、トリ酢酸パンテニル及びナリンゲニンは、オレウロペインを可溶化するために使用される。約0.05重量%~約0.1重量%のホスファチジルセリン及び/又は約0.05重量%~約0.1重量%のオレウロペインを含有する局所用組成物の場合、約0.5重量%~約1重量%の量でカプリリルメチコンは、無水製剤中でホスファチジルセリンを可溶化することができる。いくつかの実施形態において、ホスファチジルセリンは、少なくとも0.001%、0.005%、0.01%、0.02%、0.05%、0.10%、0.20%、0.25%、0.50%、0.75%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、若しくは4%超、又は約0.001%、0.005%、0.01%、0.02%、0.05%、0.10%、0.20%、0.25%、0.50%、0.75%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、若しくは4%超で提供される。いくつかの実施形態において、ホスファチジルセリンは、約0.05重量%で提供される。いくつかの実施形態において、ホスファチジルセリンは、約0.25重量%で提供される。いくつかの実施形態において、ホスファチジルセリンは、約1重量%で提供される。いくつかの実施形態において、オレウロペインは、少なくとも0.001重量%、0.005重量%、0.01重量%、0.02重量%、0.05重量%、0.10重量%、0.20重量%、0.25重量%、0.50重量%、0.75重量%、1.0重量%、1.5重量%、2.0重量%、2.5重量%、3.0重量%、3.5重量%、4.0重量%、4.5重量%、5.0重量%、5.5重量%、6.0重量%、6.5重量%、7.0重量%、8重量%、9重量%、10重量%、若しくは10重量(wt.)%超、又は約0.001重量%、0.005重量%、0.01重量%、0.02重量%、0.05重量%、0.10重量%、0.20重量%、0.25重量%、0.50重量%、0.75重量%、1.0重量%、1.5重量%、2.0重量%、2.5重量%、3.0重量%、3.5重量%、4.0重量%、4.5重量%、5.0重量%、5.5重量%、6.0重量%、6.5重量%、7.0重量%、8重量%、9重量%、10重量%、若しくは10重量(wt.)%超で提供される。いくつかの実施形態において、オレウロペインは、約0.001重量%~約6重量%、約0.002重量%~約4重量%、約0.01重量%~約3重量%、約0.02重量%~約2重量%、又は約0.01重量%~約0.05重量%の範囲で提供される。いくつかの実施形態において、オレウロペインは、約0.010重量%で提供される。いくつかの実施形態において、オレウロペインは、約0.020重量%で提供される。いくつかの実施形態において、オレウロペインは、約0.050重量%で提供される。
【0060】
ベントナイト粘土をペプチドと併用して、組成物に浸透及び吸着特性を付与することができ、エマルジョンの安定化を補助することができる。ヘクトライト及びケイ酸アルミニウムマグネシウムなどの他の粘土も用いることができる。ベントナイト又は他の粘土を修飾して、有機修飾粘土化合物を得ることができる。脂肪酸(例えば、水素化脂肪酸)の塩(例えば、四級アンモニウム塩)は、ヘクトライト又は他の粘土と反応させることができる。本明細書で提供されるように、脂肪酸は、当業者によって用いられるような従来の命名法を使用して参照及び説明される。飽和脂肪酸は、炭素-炭素二重結合を含まない。不飽和脂肪酸は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む。一不飽和脂肪酸は、1つの炭素-炭素二重結合のみを含む。多価不飽和脂肪酸は、2つ以上の炭素-炭素二重結合を含む。脂肪酸における二重結合は一般にシスであるが、トランス二重結合も可能である。二重結合の位置は、Δnで示され得、nは、二重結合炭素原子の各対のより低い番号の炭素を示す。総炭素数:二重結合数、Δ二重結合位置を指定する、簡略表記法を用いることができる。例えば、20:4Δ5,8,11,14は、20個の炭素原子及び4つの二重結合を有する脂肪酸を指し、二重結合は、5と6の炭素原子、8と9の炭素原子、11と12の炭素原子、及び14と15の炭素原子との間に位置し、炭素原子1は、カルボン酸基の炭素である。ステアレート(オクタデカノエート)は、飽和脂肪酸である。オレエート(シス-Δ9-オクタデカノエート)は、一価不飽和脂肪酸であり、リノレエート(全シス-Δ9,12,15-オクタデカノエート)は、多価不飽和脂肪酸である。使用に好適な脂肪酸は、5~30個の炭素原子、例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30個の炭素原子を含むことができる。脂肪酸は、完全に飽和し得るか、又は鎖長に対して実行可能な限り多くの二重結合を含むことができる。ヘクトライト又は他の粘土を官能化するのに好適な脂肪酸としては、パルミチン酸及びステアリン酸が挙げられる。ジアルキル四級カチオン性変性剤としては、ジパルモイルジモニウムクロリド及びジステアリルジモニウムクロリドが挙げられる。アミドアミン四級カチオン性変性剤としては、パルミタミドプロピルトリモニウムクロリドセテアリルアルコール及びパルミタミドプロピルトリモニウムクロリドが挙げられる。
【0061】
いくつかの実施形態において、ペプチドは、好適な担体、希釈剤、又は賦形剤と混合されており、投与経路及び所望の調製物に応じて、湿潤剤若しくは乳化剤、pH緩衝剤、ゲル化若しくは粘度増強添加剤、保存剤、香味剤、着色剤などの補助物質を含有し得る。例えば、“Remington:The Science and Practice of Pharmacy”,Lippincott Williams & Wilkins;20th edition(June 1,2003)及び“Remington’s Pharmaceutical Sciences,”Mack Pub.Co.;18th and 19th editions(それぞれ、1985年12月、及び1990年6月)を参照されたい。そのような調製物は、複合剤、金属イオン、ポリ酢酸、ポリグリコール酸、ヒドロゲル、デキストランなどの高分子化合物、リポソーム、マイクロエマルジョン、ミセル、単層若しくは多層小胞、赤血球ゴースト、又はスフェロブラストを含むことができる。組成物に好適な脂質としては、モノグリセリド、ジグリセリド、スルファチド、リゾレシチン、リン脂質、サポニン、胆汁酸などが挙げられるが、これらに限定されない。そのような追加の構成要素の存在は、活性成分の物理的状態、溶解性、安定性、放出速度、クリアランス速度、及び浸透に影響を及ぼし得る。
【0062】
局所投与用組成物は、本明細書に記載されるペプチド組成物と、皮膚科的に許容されるビヒクルとを含む。ビヒクルは、水性であっても非水性であってもよい。局所用組成物で使用される皮膚科的に許容されるビヒクルは、ローション、ゲル、軟膏、液体、クリーム、又はエマルジョンの形態であり得る。ビヒクルがエマルジョンである場合、エマルジョンは、連続水相及び不連続非水相若しくは油相(水中油型エマルジョン)、又は連続非水相若しくは油相及び不連続水相(油中水型エマルジョン)を有し得る。液体又はゲル形態で局所投与される場合、水、石油、動物又は植物由来の油、例えば、ピーナッツ油、鉱油、大豆油、若しくはゴマ油、又は合成油などの液体担体を活性成分に添加することができる。生理食塩水、デキストロース、若しくは他の糖溶液、又はエチレングリコール、プロピレングリコール、若しくはポリエチレングリコールなどのグリコールもまた、好適な液体担体である。薬学的組成物はまた、水中油型エマルジョンの形態であってもよい。油相は、植物油、例えば、オリーブ油若しくはラッカセイ油、鉱油、例えば、液体パラフィン、又はこれらの混合物であり得る。好適な乳化剤としては、天然に存在するガム、例えば、アカシアガム及びトラガカントガム、天然に存在するリン脂質、例えば、大豆レシチン、脂肪酸及びヘキシトール無水物に由来するエステル又は部分エステル、例えば、ソルビタンモノオレエート、並びにこれらの部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートが挙げられる。エマルジョンはまた、着色剤及び香味剤を含有することもできる。
【0063】
ある特定の実施形態において、ペプチドの皮膚への送達及び浸透を増加させるために、シリコーンエラストマー(例えば、ジメチコンクロスポリマー)が用いられる。分子量を増加させる(シリコーンガムのように)か、又は充填剤を添加する(シリコーン化合物のように)ことに対する代替案は、シロキサンポリマーを部分的に架橋し、適切なシリコーン担持流体にこの材料を分散させることである。得られるジメチコンクロスポリマー(パーソナルケア業界ではシリコーンエラストマーとしても知られる)は、直鎖状ポリマー間の架橋のため、塩基性ポリジメチルシロキサン(PDMS)とは異なる。これらの材料は、ペプチド製剤に用いることができ、また、瘢痕治療、創傷周囲保護、及び酵素送達における利点を提供する。スキンケア用途において、シリコーンエラストマー(官能基を有するものを含む)の審美性及び様々な油を吸収する(例えば、Dow Corning(登録商標)9506 Elastomer Powderなどのジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーにより)それらの能力は、エラストマーの望ましい特性のうちの2つである。シリコーンエラストマーは、「滑らか」、「柔らか」、及び「さらりとした」と説明されるシリコーン流体のいずれとも異なる肌触りを有する。これは、配合における液相の量、したがって、膨潤度を制御することにより変更することができる。ジメチコンクロスポリマーは、それらのフィルム形成特性により、本明細書に記載されるペプチドなどの活性成分、又は油溶性ビタミン及び日焼け止めなどの他の製剤構成要素の送達系として使用することができる。オクチルメトキシシンナメートなどの日焼け止めは、シリコーンエラストマーを含有する製剤からより効率的に送達され、より高い日焼け止め指数(SPF)をもたらし得る。有機日焼け止めを含有する水中油型製剤におけるSPFを増強するために、シリコーンエラストマーブレンドを使用することができる。例えば、SPFに関して実施された試験において、有機日焼け止めを含有するサンケア製剤に4%シリコーンエラストマーブレンドを添加すると、SPFが5.7から18に増加した。シリコーンエラストマーのこの特性は、所望のSPFを達成するために必要な量を低減しながら、製剤中の日焼け止め剤の有効性を最大にすることを可能にする。結果として、製剤のコストは、日焼け止め活性剤によって引き起こされる潜在的な刺激とともに低減することができる。したがって、同じ量の紫外線吸収剤でより高いSPFを達成することができ、結果として、製剤のコストを加えることなく、性能を向上させることができる。シリコーンエラストマーは、様々な架橋反応によって、例えば、ビニル基が水素化ケイ素と反応するヒドロシリル化反応によって、直鎖状シリコーンポリマーから製造することができる。一般的なプロセスは、架橋剤と反応するポリマー鎖に沿った反応部位を有する直鎖状シリコーンポリマーを伴う。ジメチコンクロスポリマーは、担体流体中で膨潤したエラストマー粒子の懸濁液(例えば、Dow Corning(登録商標)9040 Silicone Elastomer Blendなどのシクロペンタシロキサン中の高分子量シリコーンエラストマーの混合物)から作製されたゲルとして、又は噴霧乾燥粉末(Dow Corning(登録商標)9506 Elastomer Powderなどのジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー)としてのいずれかとして製造することができる。望ましい属性を有するゲル形態は、シクロメチコンであるが、低粘度ジメチコン及び有機流体も使用することができる。懸濁液又はゲル形態のジメチコンクロスポリマーの例は、デカメチルシクロペンタシロキサン中の高分子量シリコーンエラストマー(12%)(例えば、Dow Corning(登録商標)ST-Elastomer 10)、及びシクロペンタシロキサン中の高分子量シリコーンエラストマーの混合物(例えば、Dow Corning(登録商標)9040 Silicone Elastomer Blend)であり、これは、典型的には、10重量%~20重量%の範囲のエラストマー含有量を有する。
【0064】
ペプチド組成物の局所用調製物に使用される薬学的賦形剤は、溶媒、軟化剤及び/又は乳化剤、油基剤、保存剤、抗酸化物質、張力調整剤、浸透促進剤及び可溶化剤、キレート剤、緩衝剤、界面活性剤、1つ以上のポリマー、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0065】
水性又は親水性リポソーム組成物に好適な溶媒としては、水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、水とエチル及び/又はイソプロピルアルコールとの混合物、グリセリン、エチレン、プロピレン又はブチレングリコール、DMSO、並びにこれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態において、グリセリンは、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、若しくは12%超、又は約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、若しくは12%超で提供される。いくつかの実施形態において、グリセリンは、少なくとも7%又は約7%で提供される。いくつかの実施形態において、グリセリンは、約1%~約12%、約2%~約11%、又は約3%~約10%の範囲で提供される。疎水性組成物に好適な溶媒としては、鉱油、植物油、及びシリコーン油が挙げられる。必要に応じて、本明細書に記載されるペプチド組成物を疎水性油相に溶解又は分散させてもよく、次いで油相を、水を含む水相中で、単独で又は低級アルコール、グリセリン、及び/又はグリコールと組み合わせて乳化してもよい。水の存在が、レーザー治療、化学的剥離、皮膚切除などを受ける皮膚組織への投与時に刺激をもたらす可能性があるため、無水組成物を適用することが、一般的に好ましい。無水製剤はまた、発疹及び皮膚刺激をもたらし、創傷の治癒及び皮膚の質の改善を遅延させる可能性がある損傷した又は敏感な皮膚における水性刺激性接触性皮膚炎の発生を防止するように作用し得る。Tsai,T.F.,Maibach,H.I.How irritant is water?An overview.Contact Dermatitis 41(6)(1999):311-314(刺激物として水によって引き起こされる接触性皮膚炎を説明する)。しかしながら、ある特定の実施形態において、水性組成物を提供すること、又は限られた量の水が存在することを可能にすることが容認され得る。例えば、水が存在してもよいが、損傷した皮膚に適用したときに刺激感が生じる可能性がある閾値未満の量で存在する。浸透圧ショック又は浸透圧ストレスは、細胞の周囲の溶質濃度の突然の変化であり、細胞膜を横断する水の移動に急激な変化を引き起こす。上清における高濃度の塩、基質、又は任意の溶質のいずれかの条件下で、水は、浸透によって細胞から引き出される。これはまた、基質及び補因子の細胞への輸送を阻害し、したがって、細胞に「ショックを与える」。代替的に、低濃度の溶質では、水が大量に細胞に侵入し、細胞が膨らみ、破裂するか、又はアポトーシスを受けるかのいずれかを引き起こす。本明細書に記載される製剤のうちのある特定のものは、浸透圧ショックを最小限に抑えることが望ましい場合に有利に用いることができる。
【0066】
組成物の粘度は、薬学的に許容される増粘剤を使用して、選択されたレベルで維持することができる。水性基剤を用いて粘性ゲル又はクリームを調製するために使用することができる好適な粘度向上剤又は増粘剤としては、ポリアクリル酸ナトリウム、キサンタンガム、ポリビニルピロリドン、アクリル酸ポリマー、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエトキシル化ポリアクリルアミド、ポリエトキシル化アクリレート、及びポリエトキシル化アルカンチオールが挙げられる。メチルセルロースは、容易かつ経済的に入手可能であり、取り扱いが容易であるため、好ましい。他の好適な増粘剤として、例えば、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマーなどが挙げられる。増粘剤の好ましい濃度は、選択された増粘剤に依存する。選択した粘度を達成する量が好ましくは使用される。粘性組成物は、そのような増粘剤の添加によって、又は許容レベルの粘度を有する基剤を用いることによって、通常、溶液から調製される。
【0067】
好適な軟化剤としては、炭化水素油及びワックス、例えば、鉱油、ワセリン、パラフィン、セレシン、オゾケライト、微結晶ワックス、ポリエチレン、スクアレン、ペルヒドロスクアレン、シリコーン油、トリグリセリドエステル、アセトグリセリドエステル、例えば、アセチル化モノグリセリド、エトキシル化グリセリド、例えば、エトキシル化グリセリルモノステアレート、脂肪酸又はジカルボン酸のアルキルエステルが挙げられる。
【0068】
軟化剤として使用するのに好適なシリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチル(フェニル)ポリシロキサン、並びに水溶性及びアルコール可溶性シリコーングリコールコポリマーが挙げられる。軟化剤として使用するのに好適なトリグリセリドエステルとしては、ヒマシ油、紅花油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ油、肝油、アーモンド油、アボカド油、ヤシ油、ゴマ油、及び大豆油を含む、植物性及び動物性脂肪及び油が挙げられる。
【0069】
軟化剤として使用するのに好適なカルボン酸又は二酸のエステルとしては、脂肪酸のメチル、イソプロピル、及びブチルエステルが挙げられる。アルキルエステルの具体的な例としては、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、オレイン酸イソデシル、ステアリン酸ヘキサデシル、ステアリン酸デシル、イソステアリン酸イソプロピル、乳酸ジラウリル、乳酸ミリスチル、及び乳酸セチル、並びに脂肪酸のアルケニルエステル、例えば、ミリスチン酸オレイル、ステアリン酸オレイル、及びオレイン酸オレイルが挙げられる。二塩基酸アルキルエステルの具体的な例としては、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソヘキシル、アジピン酸ビス(ヘキシルデシル)、及びセバシン酸ジイソプロピルが挙げられる。
【0070】
組成物に使用され得る他の好適な軟化剤又は乳化剤のクラスとしては、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪アルコールエーテル、エトキシル化脂肪アルコール、エトキシル化脂肪アルコールの脂肪酸エステル、及びワックスが挙げられる。
【0071】
軟化剤として使用するための脂肪酸の具体的な例としては、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、アラキジン酸、ベヘン酸、及びエルカ酸が挙げられる。軟化剤として使用するための脂肪アルコールの具体的な例としては、ラウリル、ミリスチル、セチル、ヘキサデシル、ステアリル、イソステアリル、ヒドロキシステアリル、オレイル、リシノレイル、ベヘニル、及びエルシルアルコール、並びに2-オクチルドデカノールが挙げられる。
【0072】
軟化剤としての使用に好適なワックスの具体的な例としては、ラノリン油、ラノリンワックス、ラノリンアルコール、ラノリン脂肪酸、イソプロピルラノレート、エトキシル化ラノリン、エトキシル化ラノリンアルコール、エトキシル化コレステロール、プロポキシル化ラノリンアルコール、アセチル化ラノリン、アセチル化ラノリンアルコール、ラノリンアルコールリノレート、ラノリンアルコールレシノレート、ラノリンアルコールレシノレートのアセテート、ラノリンアルコールレシノレートのアセテート、エトキシル化アルコールエステルのアセテート、ラノリンの水素化溶解物(hydrogenolysates)、水素化ラノリン、エトキシル化水素化ラノリン、エトキシル化ソルビトールラノリン、並びに液体及び半固体ラノリンを含む、ラノリン及びその誘導体が挙げられる。また、ワックスとしても使用可能であるものには、炭化水素ワックス、エステルワックス、及びアミドワックスが含まれる。有用なワックスには、蜜蝋、鯨蝋、ミリスチン酸ミリスチル、及びステアリン酸ステアリルなどのワックスエステル、蜜蝋誘導体、例えば、ポリオキシエチレンソルビトール蜜蝋、並びにカルナウバ及びカンデラワックスを含む植物性ワックスが含まれる。
【0073】
多価アルコール及びポリエーテル誘導体は、組成物において溶媒及び/又は界面活性剤として使用され得る。好適な多価アルコール及びポリエーテルとしては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール2000及び4000、ポリ(オキシエチレン-co-オキシプロピレン)グリコール、グリセロール、ソルビトール、エトキシル化ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ポリエチレングリコール200~6000、メトキシポリエチレングリコール350、550、750、2000、及び5000、ポリ[エチレンオキシド]ホモポリマー(100,000~5,000,000)、ポリアルキレングリコール及び誘導体、ヘキシレングリコール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、15~18個の炭素原子を有する隣接グリコール、並びにトリメチルプロパンのポリオキシプロピレン誘導体が挙げられる。
【0074】
多価アルコールエステルを乳化剤又は軟化剤として使用してもよい。好適な多価アルコールエステルとしては、エチレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(200~6000)モノ及びジ脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ及びジ脂肪エステル、ポリプロピレングリコール2000モノオレエート、ポリプロピレングリコール2000モノステアレート、エトキシル化プロピレングリコールモノステアレート、グリセリルモノ及びジ脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリ脂肪酸エステル、エトキシル化グリセリルモノステアレート、1,3-ブチレングリコールモノステアレート、1,3-ブチレングリコールジステアレート、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、並びにポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。
【0075】
組成物における使用に好適な乳化剤としては、アニオン性、カチオン性、非イオン性、及び双性イオン性界面活性剤が挙げられる。好ましいイオン乳化剤としては、レシチン及び誘導体などのリン脂質が挙げられる。
【0076】
例えば、コレステロール及びコレステロール脂肪酸エステルを含むステロール、脂肪酸アミド、エトキシル化脂肪酸アミド、及び脂肪酸アルカノールアミドなどのアミドもまた、軟化剤及び/又は浸透促進剤として使用され得る。
【0077】
薬学的に許容される保存剤を用いて、組成物の保存期間を増加させることができる。組成物に使用するための他の好適な保存剤及び/又は酸化防止剤としては、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、フェノール、尿素、パラベン、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、トコフェロール、チメロサール、クロロブタノールなど、並びにこれらの混合物が挙げられ、用いることができる。抗酸化物質などの保存剤が用いられる場合、濃度は、典型的には、組成物の総重量に基づいて約0.02%~約2%であるが、選択される薬剤に応じて、より大きい量又はより小さい量が望ましい場合がある。本明細書に記載される還元剤は、製剤の良好な保存期間を維持するために有利に使用することができる。一般に、実施形態の無水製剤は、十分な安定性を示すことが観察されるため、保存剤を製剤から省略することができる。
【0078】
組成物における使用に好適なキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸、そのアルカリ金属塩、そのアルカリ土類金属塩、そのアンモニウム塩、及びそのテトラアルキルアンモニウム塩が挙げられる。
【0079】
担体は、好ましくは、約4.0~10.0、より好ましくは、約6.8~約7.8のpHを有する。pHは、緩衝液又は他のpH調整剤を使用して制御することができる。好適なpH調整剤としては、リン酸及び/又はリン酸塩、クエン酸及び/又はクエン酸塩、水酸化物塩(すなわち、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、並びにトリエタノールアミンなどのアミンが挙げられる。好適な緩衝液としては、リン酸一カリウム及びリン酸二カリウムの溶液を含み、5.8~8のpHを維持する緩衝液、及びリン酸一ナトリウム及びリン酸二ナトリウムの溶液を含み、6~7.5のpHを維持する緩衝液が挙げられる。他の緩衝液としては、クエン酸/クエン酸ナトリウム、及び二塩基性リン酸ナトリウム/クエン酸が挙げられる。実施形態のペプチド組成物は、レシピエントの血液又は他の体液と等張であることが好ましい。組成物の等張性は、酒石酸ナトリウム、プロピレングリコール、又は他の無機若しくは有機溶質を使用して達成することができる。塩化ナトリウムが特に好ましい。緩衝剤、例えば、酢酸及び塩、クエン酸及び塩、ホウ酸及び塩、並びにリン酸及び塩を用いることができる。ビタミンC、ビタミンE、又は医薬分野で既知の他の還元剤などの還元剤を製剤に含むことが望ましい場合がある。
【0080】
界面活性剤、例えば、アニオン性洗剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、及びスルホン酸ジオクチルナトリウム、カチオン性洗剤、例えば、塩化ベンザルコニウム若しくは塩化ベンゼトニウム、又は非イオン性洗剤、例えば、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油、グリセロールモノステアレート、ポリソルベート、スクロース脂肪酸エステル、メチルセルロース、若しくはカルボキシメチルセルロースを賦形剤として用いることができる。
【0081】
ある特定の実施形態において、薬理活性を有する追加の薬剤を含むことが有利であり得る。抗感染薬としては、駆虫剤(メベンダゾール)、アミノグリコシドを含む抗生物質(ゲンタマイシン、ネオマイシン、トブラマイシン)、抗真菌抗生物質(アンホテリシンb、フルコナゾール、グリセオフルビン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ニスタチン、ミカチン、トルナフテート)、セファロスポリン(セファクロル、セファゾリン、セフォタキシム、セフタジジム、セフトリアキソン、セフロキシム、セファレキシン)、ベータ-ラクタム抗生物質(セフォテタン、メロペネム)、クロラムフェニコール、マクロライド(アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン)、ペニシリン(ペニシリンGナトリウム塩、アモキシリン、アンピシリン、ジクロキサシリン、ナフシリン、ピペラシリン、チカルシリン)、テトラサイクリン(ドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン)、バシトラシン、クリンダマイシン、コリスチメタートナトリウム、ポリミキシンb硫酸塩、バンコマイシン、抗菌剤(アシクロビル、アマンタジン、ジダノシン、エファビレンツ、ホスカルネット、ガンシクロビル、インジナビル、ラミブジン、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、スタブジン、バラシクロビル、バルガンシクロビル、ジドブジンを含む)、キノロン(シプロフロキサシン、レボフロキサシン)、スルホンアミド(スルファジアジン、スルフイソキサゾール)、スルホン(ダプソン)、フラゾリドン、メトロニダゾール、ペンタミジン、スルファニルアミダムクリスタリナム(sulfanilamidum crystallinum)、ガチフロキサシン、及びスルファメトキサゾール/トリメトプリムが挙げられるが、これらに限定されない。麻酔薬としては、エタノール、ブピバカイン、クロロプロカイン、レボブピバカイン、リドカイン、メピバカイン、プロカイン、ロピバカイン、テトラカイン、デスフルラン、イソフルラン、ケタミン、プロポフォール、セボフルラン、コデイン、フェンタニル、ヒドロモルホン、マーカイン、メペリジン、メタドン、モルヒネ、オキシコドン、レミフェンタニル、スフェンタニル、ブトルファノール、ナルブフィン、トラマドール、ベンゾカイン、ジブカイン、塩化エチル、キシロカイン、及びフェナゾピリジンが挙げられ得るが、これらに限定されない。抗炎症剤としては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、例えば、アスピリン、セレコキシブ、トリサリチル酸コリンマグネシウム、ジクロフェナクカリウム、ジクロフェナクナトリウム、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メレナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、オキサプロジン、ピロキシカム、ロフェコキシブ、サルサレート、スリンダク、及びトルメチン、並びにコルチコステロイド、例えば、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、プレドニゾロン、ベタメテゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ブデソニド、リン酸デキサメタゾンナトリウム、フルニソリド、プロピオン酸フルチカゾン、トリアムシノロンアセトニド、ベタメタゾン、フルオシノニド、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、デソニド、デスオキシメタゾン、フルオシノロン、トリアムシノロン、プロピオン酸クロベタゾール、及びデキサメタゾンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
ある特定の実施形態において、軟化剤、エマルジョン安定剤、保湿剤、賦形剤、及び他の化合物の添加は、限定されないが、皮膚感触(絹のような柔らかさ、軽さ、クリーミーさなど)、吸収性(製品が湿潤感を失い、皮膚上で感知されなくなるのに必要な時間)、一貫性、硬さ、拡散性(例えば、粘度、流動開始、剪断速度)、粘着性、形状の完全性、光沢、親水性又は疎水性などを含む、局所用組成物の感覚特性を増強するように変更され得る。好ましくは、組成物は、高い拡散性及び低い粘度特性を有する。そのような特性を有する組成物は、増強された「絹のような」又は「軽い」皮膚感触評価を有することが示されている(例えば、Bekker,M.Webber,G.,Louw,N.Relating rheological measurements to primary and secondary skin feeling when mineral-based and Fischer-Tropsch wax-based cosmetic emulsions and jellies are applied to the skin,International Journal of Cosmetic Science 2013,35(4),pp.354-61を参照のこと)。
【0083】
治療的使用
真皮白色脂肪組織(dWAT)を標的とするための本明細書に記載される方法及び組成物が、毛包の刺激又は再生をもたらし得る。いくつかの場合において、本明細書に記載される方法及び組成物は、毛髪の成長を促進する。いくつかの場合において、本明細書に記載される方法及び組成物は、脱毛症を低減又は予防する。
【0084】
脱毛症は、様々なタイプの脱毛を含むことができる。いくつかの場合において、脱毛は、男性又は女性型脱毛症、円形脱毛症、テロゲン性脱毛、アナゲン性脱毛、又はこれらの組み合わせである。いくつかの場合において、脱毛は、感染症によって引き起こされる。脱毛を引き起こす例示的な感染症には、解離性蜂巣炎、真菌感染症(例えば、頭部白癬)、毛嚢炎、二期梅毒、及びニキビダニ(demodex folliculorum)が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの場合において、脱毛は、薬物又は医薬(例えば、化学療法)によって引き起こされる。いくつかの場合において、脱毛は、牽引性脱毛症、摩擦性脱毛症、抜毛癖、放射線療法、化学療法、及び手術を含むが、これらに限定されない外傷によって引き起こされる。いくつかの場合において、脱毛は、疾患又は障害によって引き起こされる。いくつかの場合において、脱毛は、ムチン沈着性脱毛症、ビオチニダーゼ欠損症、慢性炎症、糖尿病、紅斑性狼瘡、瘢痕性脱毛症、テロゲン性脱毛、房状毛包炎、及び遺伝的特徴によって引き起こされる。
【0085】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される方法及び組成物は、脱毛治療と併せて使用される。いくつかの実施形態において、脱毛治療は、非侵襲性である。いくつかの場合において、脱毛治療は、侵襲性である。いくつかの場合において、脱毛治療は、薬物の局所投与を含む。いくつかの場合において、脱毛治療は、薬物の摂取を含む。いくつかの場合において、脱毛治療は、植毛手術、頭皮の縮小、又はこれらの組み合わせを含む。例示的な植毛手術としては、マイクログラフト、スリットグラフト、及びパンチグラフトが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの場合において、脱毛治療は、血小板が豊富な血漿の使用を含む。
【0086】
いくつかの場合において、本明細書に記載される組成物は、1日1回、1日2回、1日3回又はそれ以上投与される。本明細書に記載される組成物は、いくつかの実施形態において、毎日(daily)、毎日(every day)、隔日、週に5日間、週に1回、隔週、月に2週間、月に3週間、月に1回、月に2回、月に3回又はそれ以上投与される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される組成物は、1日2回、例えば、朝及び夕方に投与される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるリポソーム組成物は、少なくとも1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、2週間、3週間、1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、7カ月間、8カ月間、9カ月間、10カ月間、11カ月間、12カ月間、18カ月間、2年間、3年間、4年間、5年間、10年間又はそれ以上投与される。
【0087】
いくつかの場合において、本明細書に記載される組成物は、脱毛の部位に投与される。いくつかの場合において、本明細書に記載される組成物は、脱毛を防止するための部位に投与される。脱毛は、身体のいかなる部分にも起こり得る。いくつかの場合において、本明細書に記載される組成物は、毛髪の成長を促進するための部位に投与される。
【0088】
本明細書に記載される組成物は、脱毛治療の前に使用され得る。いくつかの場合において、本明細書に記載される組成物は、脱毛治療の前に、最大1日、最大2日、最大3日、最大5日、又は5日超投与される。場合によっては、本明細書に記載される組成物は、脱毛治療の前に、単回で、又は毎日、週に複数回、毎週、2週間に1回、毎月、若しくはより少ない頻度などの時間経過にわたって投与される。いくつかの場合において、本明細書に記載される組成物は、脱毛治療の前に、単回で、又は毎日、週に複数回、毎週、2週間に1回、毎月、若しくはより少ない頻度などの時間経過にわたって投与される。
【0089】
本明細書に記載される組成物は、脱毛治療中に投与され得る。
【0090】
本明細書に記載される組成物は、脱毛治療後に投与され得る。いくつかの場合において、本明細書に記載される組成物は、脱毛治療の後に、最大1日、最大2日、最大3日、最大5日、又は5日超投与される。場合によっては、本明細書に記載される組成物は、脱毛治療の後に、単回で、又は毎日、週に複数回、毎週、2週間に1回、毎月、若しくはより少ない頻度などの時間経過にわたって投与される。いくつかの場合において、本明細書に記載される組成物は、脱毛治療の後に、単回で、又は毎日、週に複数回、毎週、2週間に1回、毎月、若しくはより少ない頻度などの時間経過にわたって投与される。
【0091】
安定性試験
組成物の安定性試験は、以下のように実施することができる。
【0092】
高温試験は現在、長期的な安定性の予測因子として一般的に使用されている。高温試験は、37℃(98F)及び45℃(113°F)で実施することができる。製品が45℃で3カ月間保存される場合(及び許容される安定性を示す場合)、室温で2年間安定しているはずである。良好な制御温度は、4℃(39°F)であり、ほとんどの製品は、優れた安定性を示す。場合によっては、製品はまた、3カ月間、-10℃(14°F)に供される。
【0093】
いくつかの場合において、製品の安定性は、-10℃(14°F)~25℃(77°F)の3サイクルの温度試験を経ることによって評価される。そのような場合において、製品を、24時間-10℃に置き、次いで、24時間室温(25℃)に置く。これで1サイクルが完了する。更により厳しい試験が、-10℃~45℃の5サイクル試験である。これはエマルジョンに大きなストレスを与える。
【0094】
(水中油型エマルジョンの)分散相は、分離してエマルジョンの上部まで上昇し、油滴の層を形成する傾向がある。この現象をクリーミングと呼ぶ。クリーミングは、エマルジョンの不安定が近いことの最初の兆候のうちの1つである。クリーミングを予測するための試験方法は、遠心分離である。エマルジョンを50℃(122°F)まで加熱し、それを3000rpmで30分間遠心分離する。次いで、結果として生じる製品にクリーミングの兆候がないか検査する。
【0095】
調合物及びパッケージの両方が紫外線に敏感である可能性がある。製品をグラスに入れ、実際のパッケージを広域スペクトル出力のライトボックスに入れる。アルミ箔で完全に覆われた別のガラス瓶は対照の役割を果たす。製品の変色が観察され得る。
【0096】
上記の全ての試験について、色、臭い/香り、粘度、pH値、並びに利用可能であれば、顕微鏡下での粒径均一性及び/又は粒子の凝集が観察され得る。
【0097】
実施形態
番号付き実施形態1は、毛包を刺激又は再生するための、真皮白色脂肪組織(dWAT)を標的とするための組成物であって、
(a)トリペプチド-1と、
(b)ヘキセパプチド-12と、
(c)PPAR-ガンマアゴニストと
を含み、
毛包を刺激又は再生する、
前記組成物を含む。
番号付き実施形態2は、トリペプチド-1が、パルミトイルトリペプチド-1、ミリストイルトリペプチド-1、又はこれらの組み合わせを含む、番号付き実施形態1の組成物を含む。
番号付き実施形態3は、ヘキサペプチド-12が、パルミトイルヘキサペプチド-12、ミリストイルヘキサペプチド-12、又はこれらの組み合わせを含む、番号付き実施形態1の組成物を含む。
番号付き実施形態4は、ヘキサペプチド-38を更に含む、番号付き実施形態1の組成物を含む。
番号付き実施形態5は、ヘキサペプチド-38が、アセチル-ヘキサペプチド-38である、番号付き実施形態4の組成物を含む。
番号付き実施形態6は、ヘキサペプチド-38が、リポソームに封入される、番号付き実施形態5の組成物を含む。
番号付き実施形態7は、オクタペプチドを更に含む、番号付き実施形態1の組成物を含む。
番号付き実施形態8は、PPAR-ガンマアゴニストが、チアゾリジンジオン(TZD)、アレグリタザール、ファルグリタザール、ムラグリタザール、テサグリタザール、又はこれらの組み合わせである、番号付き実施形態1の組成物を含む。
番号付き実施形態9は、PPAR-ガンマアゴニストが、植物源に由来する、番号付き実施形態1の組成物を含む。
番号付き実施形態10は、PPAR-ガンマアゴニストが、天然産物である、番号付き実施形態1の組成物を含む。
番号付き実施形態11は、M2-マクロファージ分極化合物を更に含む、番号付き実施形態1の組成物を含む。
番号付き実施形態12は、M2-マクロファージ分極化合物が、フラボノイド、テルペノイド、グリコシド、リグナン、クマリン、アルカロイド、ポリフェノール、キノン、又はこれらの組み合わせである、番号付き実施形態11の組成物を含む。
番号付き実施形態13は、M2-マクロファージ分極化合物が、アルクチゲニンである、番号付き実施形態11の組成物を含む。
番号付き実施形態14は、M2-マクロファージ分極化合物が、ルペオール、マリバトールA、ゲラニイン、アロエ-エモジン、ケルセチン、クルクミン、アピゲニン、タクロリムス、若しくはナイアシンアミド、又はこれらの組み合わせである、番号付き実施形態11の組成物を含む。
番号付き実施形態15は、M2-マクロファージ分極化合物が、植物源に由来する、番号付き実施形態11の組成物を含む。
番号付き実施形態16は、植物源が、アルクチウム・ラッパ(Arctium lappa)植物、クルクミン、ルテオリン、ピペリン、レスベラトロール、シリビナム、バイカリン、又はこれらの組み合わせである、番号付き実施形態15の組成物を含む。
番号付き実施形態17は、インスリン成長因子1(IGF-1)の局所アクチベーターを更に含む、番号付き実施形態1の組成物を含む。
番号付き実施形態18は、インスリン成長因子1(IGF-1)の局所アクチベーターが、カプサイシン、イソフラボン、又はこれらの組み合わせである、番号付き実施形態17の組成物を含む。
番号付き実施形態19は、インスリン成長因子1(IGF-1)の局所アクチベーターが、カプサイシンである、番号付き実施形態17の組成物を含む。
番号付き実施形態20は、PGC-1αのアクチベーターを更に含む、番号付き実施形態1の組成物を含む。
番号付き実施形態21は、PPAR-ガンマアゴニストが、アディポネクチン又はアディポネクチン模倣物を含む、請求項1の組成物を含む。
番号付き実施形態22は、アディポネクチン模倣物が、AdipoRon、ADP355、ADP399、JT003、6-C-β-D-グルコピラノシル-(2S,3S)-(+)-5,7,30,40-テトラヒドロキシジヒドロフラボノール(GTDF)、オスモチン、又はこれらの組み合わせを含む、請求項21の組成物を含む。
番号付き実施形態23は、Jak-STAT阻害剤を更に含む、請求項1の組成物を含む。
番号付き実施形態24は、Jak-STAT阻害剤が、ルキソリチニブ、トファシチニブ、又はこれらの組み合わせを含む、請求項23の組成物を含む。
番号付き実施形態25は、番号付き実施形態1の組成物を投与することを含む、毛包を刺激又は再生するための方法を含む。
番号付き実施形態26は、毛髪の成長を刺激する、番号付き実施形態25の方法を含む。
番号付き実施形態27は、番号付き実施形態1の組成物を投与することを含む、脱毛を防止又は低減するための方法を含む。
図1
【手続補正書】
【提出日】2023-10-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リペプチド-1と、
サペプチド-12と、
PAR-ガンマアゴニストと
を含む、組成物。
【請求項2】
前記トリペプチド-1が、パルミトイルトリペプチド-1、ミリストイルトリペプチド-1、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ヘキサペプチド-12が、パルミトイルヘキサペプチド-12、ミリストイルヘキサペプチド-12、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
ヘキサペプチド-38又はヘキサペプチド-11を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物がオクタペプチドを更に含み、前記オクタペプチドがGPHGVRQAである、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記PPAR-ガンマアゴニストが、チアゾリジンジオン(TZD)、アレグリタザール、ファルグリタザール、ムラグリタザール、テサグリタザール、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、リボグリタゾン、トログリタゾン、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記PPAR-ガンマアゴニストが、アディポネクチン又はアディポネクチン模倣物を含み、前記アディポネクチン模倣物が、AdipoRon、ADP355、ADP399、JT003、6-C-β-D-グルコピラノシル-(2S,3S)-(+)-5,7,30,40-テトラヒドロキシジヒドロフラボノール(GTDF)、及びオスモチンからなる群より選択される1つ又は複数を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
フラボノイド、テルペノイド、グリコシド、リグナン、クマリン、アルカロイド、ポリフェノール、キノン、又はこれらの組み合わせからなる群より選択されるM2-マクロファージ分極化合物を更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
アルクチゲニン、ルペオール、マリバトールA、ゲラニイン、アロエ-エモジン、ケルセチン、クルクミン、アピゲニン、タクロリムス、及びナイアシンアミド、ルテオリン、ピペリン、レスベラトロール、シリビナム、及びバイカリンからなる群より選択される1つまたは複数のM2-マクロファージ分極化合物を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
インスリン成長因子1(IGF-1)の局所アクチベーターを更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
PGC-1αのアクチベーターを更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
Jak-STAT阻害剤を更に含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記Jak-STAT阻害剤が、ルキソリチニブ、トファシチニブ、又はこれらの組み合わせを含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
L-カルニチン、メラトニン、プルヌス・ミラ・ケーネ(Prunus mira Koehne)ナッツオイル、赤朝鮮人参油、ロリオライド、ヘキサペプチド-11、α-ケト酪酸塩(α-KB)、α-ケトグルタル酸塩(α-KG)、5-アミノイミダゾール-4-カルボキサミドリボヌクレオチド(AICAR)、メトホルミン、オリゴマイシン、ラパマイシン、ビタミンD、カプサイシン、イソフラボン、血管内皮成長因子(VEGF)、TGF-β、又はこれらの組み合わせを更に含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
毛包を刺激若しくは再生する、又は脱毛を防止若しくは低減するための、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物
【手続補正書】
【提出日】2023-11-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2024508747000001.app
【国際調査報告】