(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】植物由来の筋肉内脂肪代替物
(51)【国際特許分類】
A23J 3/00 20060101AFI20240220BHJP
C08L 89/00 20060101ALI20240220BHJP
C08L 91/00 20060101ALI20240220BHJP
C08L 5/04 20060101ALI20240220BHJP
C08L 3/02 20060101ALI20240220BHJP
C08L 1/26 20060101ALI20240220BHJP
A23L 13/00 20160101ALI20240220BHJP
A23L 13/60 20160101ALI20240220BHJP
【FI】
A23J3/00 503
C08L89/00
C08L91/00
C08L5/04
C08L3/02
C08L1/26
A23L13/00 Z
A23L13/60 A
A23L13/60 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549630
(86)(22)【出願日】2022-02-16
(85)【翻訳文提出日】2023-10-13
(86)【国際出願番号】 US2022016537
(87)【国際公開番号】W WO2022177943
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523310837
【氏名又は名称】ブンゲ・エスアー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジーン・リカルド・デ・ソウザ
【テーマコード(参考)】
4B042
4J002
【Fターム(参考)】
4B042AC10
4B042AD36
4B042AE03
4B042AK06
4B042AK09
4B042AK10
4B042AP27
4J002AB033
4J002AB043
4J002AB053
4J002AD03W
4J002AE05X
4J002GT00
4J002HA07
(57)【要約】
1種又は複数の植物性タンパク質、及び植物由来の油、及び/又は植物由来の脂肪の混合物を含む水中油型エマルジョンを含む動物性脂肪代替組成物であって、エマルジョンが有効量のトランスグルタミナーゼを用いて又は用いずに安定化されている、動物性脂肪代替組成物が開示される。そのような動物性脂肪代替組成物を製造する方法が更に開示される。
[化1]
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種又は複数の植物性タンパク質と、植物由来の油、植物由来の脂肪、及びこれらの組合せからなる群から選択される植物由来成分とを含む混合物を含む安定なエマルジョンを含む動物性脂肪代替組成物。
【請求項2】
混合物が、1種又は複数の植物性タンパク質と、植物由来の油とを含む、請求項1に記載の動物性脂肪代替組成物。
【請求項3】
混合物が、1種又は複数の植物性タンパク質と、植物由来の脂肪とを含む、請求項1に記載の動物性脂肪代替組成物。
【請求項4】
混合物が、1種又は複数の植物性タンパク質と、植物由来の油と、植物由来の脂肪とを含む、請求項1に記載の動物性脂肪代替組成物。
【請求項5】
1種又は複数の植物性タンパク質が、ダイズタンパク質、エンドウマメタンパク質、キャノーラタンパク質、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の動物性脂肪代替組成物。
【請求項6】
水を更に含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の動物性脂肪代替組成物。
【請求項7】
タンパク質対水の比が、約1:1~約1:10である、請求項6に記載の動物性脂肪代替組成物。
【請求項8】
タンパク質対水の比が、約1:3~約1:6である、請求項6又は7に記載の動物性脂肪代替組成物。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の動物性脂肪代替組成物を調製するための方法であって、1種又は複数の植物性タンパク質と、植物由来の油、植物由来の脂肪、及びこれらの組合せからなる群から選択される植物由来成分と、水とを含む混合物を形成する工程、並びに混合物を乳化して安定なエマルジョンを形成する工程を含む、方法。
【請求項10】
安定なエマルジョンをケーシングに包装する工程を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ケーシングが、ファイブラスケーシング及びプラスチックケーシングからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
1種又は複数の植物性タンパク質と、植物由来の油、植物由来の脂肪、及びこれらの組合せからなる群から選択される植物由来成分とを含む混合物を含むエマルジョンを含む動物性脂肪代替組成物であって、
エマルジョンが有効量のトランスグルタミナーゼを用いて安定化されている、動物性脂肪代替組成物。
【請求項13】
混合物が、1種又は複数の植物性タンパク質と、植物由来の油とを含む、請求項12に記載の動物性脂肪代替組成物。
【請求項14】
混合物が、1種又は複数の植物性タンパク質と、植物由来の脂肪とを含む、請求項12に記載の動物性脂肪代替組成物。
【請求項15】
混合物が、1種又は複数の植物性タンパク質と、植物由来の油と、植物由来の脂肪とを含む、請求項12に記載の動物性脂肪代替組成物。
【請求項16】
混合物が、エマルジョンの連続相に含まれる、請求項12から15のいずれか一項に記載の動物性脂肪代替組成物。
【請求項17】
1種又は複数の植物性タンパク質が、リジン及びグルタミンアミノ酸を含む、請求項12から16のいずれか一項に記載の動物性脂肪代替組成物。
【請求項18】
1種又は複数の植物性タンパク質が、ダイズタンパク質、エンドウマメタンパク質、キャノーラタンパク質、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項12から17のいずれか一項に記載の動物性脂肪代替組成物。
【請求項19】
トランスグルタミナーゼが、組成物の約0.25質量%~約1質量%の有効量で組成物中に存在する、請求項12から18のいずれか一項に記載の動物性脂肪代替組成物。
【請求項20】
水を更に含む、請求項12から19のいずれか一項に記載の動物性脂肪代替組成物。
【請求項21】
タンパク質対水の比が、約1:1~約1:10である、請求項20に記載の動物性脂肪代替組成物。
【請求項22】
タンパク質対水の比が、約1:3~約1:6である、請求項20又は21に記載の動物性脂肪代替組成物。
【請求項23】
添加物を更に含む、請求項12から22のいずれか一項に記載の動物性脂肪代替組成物。
【請求項24】
添加物が、アルギン酸塩、カルボキシメチルセルロース、天然のデンプン及び加工デンプン、並びにこれらの組合せからなる群から選択される、請求項23に記載の動物性脂肪代替組成物。
【請求項25】
植物由来の油が、組成物の約10質量%~約80質量%の量で組成物中に存在する、請求項12から24のいずれか一項に記載の動物性脂肪代替組成物。
【請求項26】
植物由来の脂肪が、組成物の約10質量%~約80質量%の量で組成物中に存在する、請求項12から25のいずれか一項に記載の動物性脂肪代替組成物。
【請求項27】
請求項12から26のいずれか一項に記載の動物性脂肪代替組成物を調製するための方法であって、
1種又は複数の植物性タンパク質と、植物由来の油、植物由来の脂肪、及びこれらの組合せからなる群から選択される植物由来成分と、水とを含む混合物を形成する工程、
混合物を乳化してエマルジョンを形成する工程、並びに
有効量のトランスグルタミナーゼを用いてエマルジョンを安定化させる工程
を含む、方法。
【請求項28】
安定化エマルジョンをケーシングに包装する工程を更に含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
ケーシングが、ファイブラスケーシング及びプラスチックケーシングからなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
1種又は複数の植物性タンパク質と、植物由来の油、植物由来の脂肪、及びこれらの組合せからなる群から選択される植物由来成分と、水とを含む混合物を含む安定なエマルジョンを含む動物性脂肪代替組成物であって、タンパク質対水の比が、約1:1~約1:10である、動物性脂肪代替組成物。
【請求項31】
タンパク質対水の比が、約1:3~約1:6である、請求項30に記載の動物性脂肪代替組成物。
【請求項32】
1種又は複数の植物性タンパク質が、ダイズタンパク質、エンドウマメタンパク質、キャノーラタンパク質、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項30又は31に記載の動物性脂肪代替組成物。
【請求項33】
添加物を更に含む、請求項30から32のいずれか一項に記載の動物性脂肪代替組成物。
【請求項34】
添加物が、アルギン酸塩、カルボキシメチルセルロース、天然のデンプン及び加工デンプン、並びにこれらの組合せからなる群から選択される、請求項33に記載の動物性脂肪代替組成物。
【請求項35】
植物由来の油が、組成物の約10質量%~約80質量%の量で組成物中に存在する、請求項30から34のいずれか一項に記載の動物性脂肪代替組成物。
【請求項36】
植物由来の脂肪が、組成物の約10質量%~約80質量%の量で組成物中に存在する、請求項30から35のいずれか一項に記載の動物性脂肪代替組成物。
【請求項37】
請求項1から36のいずれか一項に記載の動物性脂肪代替組成物を含む食品。
【請求項38】
植物由来の食肉、植物由来ベーコン、植物由来ミートパティ、植物由来コールドカット、植物由来ソーセージ、植物由来の鶏肉、植物由来の魚肉、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項37に記載の食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年2月16日に出願された米国仮特許出願第63/149,946号、及び2021年10月8日に出願された米国仮特許出願第63/262,262号の優先権を主張するものであり、これらの内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の分野は、一般に、動物性脂肪代替組成物及びそのような組成物の製造方法に関する。より具体的には、本開示の分野は、トランスグルタミナーゼを使用して又は使用せずに安定化されたタンパク質エマルジョンを含む動物性脂肪代替組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
動物の脂肪組織は、特徴的なレオロジー及び物理的特性を有するタンパク質性結合組織ネットワーク内に包まれた液体及び固体の脂肪で構成されている。食肉脂肪組織の微細構造は、単純化して言えば、脂肪細胞内に含まれるトリグリセリドのプールであり、それは、強力な物理的結合組織マトリックスに埋め込まれている。そのような構造は、入手可能な植物性油脂の環境では類似のものがない弾性及び融解特性を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
植物由来の食肉類似物の製造に使用される植物由来の動物結合組織様マトリックス組成物に対する継続的な必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、1種又は複数の植物性タンパク質と、植物由来の油、植物由来の脂肪、及びこれらの組合せからなる群から選択される植物由来成分との混合物を含む安定なエマルジョンを含む動物性脂肪代替組成物を対象とする。
【0006】
本開示の一態様は、1種又は複数の植物性タンパク質と、植物由来の油、植物由来の脂肪、及びこれらの組合せからなる群から選択される植物由来成分との混合物を含むエマルジョンを含む動物性脂肪代替組成物であって、混合物が、有効量のトランスグルタミナーゼを用いて安定化されている、動物性脂肪代替組成物を対象とする。
【0007】
本開示の一態様は、1種又は複数の植物性タンパク質と、植物由来の油、植物由来の脂肪、及びこれらの組合せからなる群から選択される植物由来成分と、水との混合物を含む安定なエマルジョンを含む動物性脂肪代替組成物であって、タンパク質対水の比が、約1:1~約1:10である、動物性脂肪代替組成物を対象とする。
【0008】
本開示の別の態様は、動物性脂肪代替組成物であって、1種又は複数の植物性タンパク質と、植物由来の油、植物由来の脂肪、及びこれらの組合せからなる群から選択される植物由来成分との混合物が、エマルジョンの連続相に含まれる、動物性脂肪代替組成物を対象とする。
【0009】
本開示の別の態様は、1種又は複数の植物性タンパク質が、リジン及びグルタミンアミノ酸を含む、動物性脂肪代替組成物を対象とする。
【0010】
本開示の別の態様は、動物性脂肪代替組成物を調製するための方法であって、1種又は複数の植物性タンパク質と、植物由来の油、植物由来の脂肪、及びこれらの組合せからなる群から選択される植物由来成分と、水とを含む混合物を形成する工程;並びに混合物を乳化して安定なエマルジョンを形成する工程を含む、方法を対象とする。
【0011】
本開示の別の態様は、動物性脂肪代替組成物を調製するための方法であって、1種又は複数の植物性タンパク質と、植物由来の油、植物由来の脂肪、及びこれらの組合せからなる群から選択される植物由来成分と、水とを含む混合物を形成する工程;混合物を乳化してエマルジョンを形成する工程;並びに有効量のトランスグルタミナーゼを用いてエマルジョンを安定化させる工程を含む、方法を対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】構造化コラーゲンマトリックス(structured collagen matrix)に包まれた脂肪細胞で構成されている動物の脂肪組織の構造を示す図である。
【
図2】非混和性液体の安定化された二相系を示す図である。
【
図3】トランスグルタミナーゼによるリジンとグルタミン酸の架橋を示す図である。
【
図4】Table 1(表1)の分析試料のゲル強度に及ぼすタンパク質分散指数(PDI)値の影響を示すグラフである。
【
図5】熱処理後の動物性脂肪代替組成物の実施形態の外観を示す図である。
【
図6】処理後の動物性脂肪代替組成物の実施形態の外観を示す図である。
【
図7】調理後の類似物脂肪組織T27、T35、及びT43の外観を示す図である。
【
図8】押し出し後の類似物脂肪組織T43の外観を示す図である。
【
図9】すりつぶし後の類似物脂肪組織T43の外観を示す図である。
【
図10】スライス後の類似物脂肪組織T43の外観を示す図である。
【
図11】最終包装形態の類似物脂肪組織製品の実施形態を示す図である。
【
図12】最終包装形態の類似物脂肪組織製品の実施形態を示す図である。
【
図13】最終包装形態の類似物脂肪組織製品の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
動物の脂肪は、
図1に示されるように、構造化コラーゲンマトリックスに包まれた脂肪細胞で構成されている複雑な組織である。いくつかの態様では、安定性はより少ないが、類似の構造が食品エマルジョンに存在し、これは、
図2に示されるような、乳化剤及び他の技術の使用により一般に安定化された、非混和性液体の二相系を含みうる。いくつかの態様では、一つの相は、不連続相と呼ばれる細かく分割された油滴の形態であってもよい。不連続相は、連続相又は外相に懸濁されうる。ほとんどの食品エマルジョンは、水中油型エマルジョンであり、例としてマヨネーズ及びサラダドレッシングが挙げられる。エマルジョンの特性は、一般に、連続相の性質及び連続相の分散相に対する割合に依存する。
【0014】
他の類似の系は、乳化脂質を含む変性及び/若しくは架橋タンパク質又は炭水化物ネットワークから構成されるマトリックスを含むエマルジョンゲルを含みうる。そのような架橋ネットワーク内の油滴の役割は、液滴のサイズ及び数、エマルジョンの化学的及び/又は物理的性質、並びに乳化された油滴を取り囲む界面膜又は成分に依存しうる。いくつかの態様では、架橋されていない又は架橋された水中油型エマルジョンの製造のために液体油(室温)を使用することができ、動物性脂肪の特徴を達成するために一定量の固体脂肪を使用することができる。様々な態様では、外相に分散又は溶解した植物性タンパク質の官能性は、タンパク質エマルジョンの形成に影響を及ぼす可能性がある。
【0015】
コロイド分散体(すなわち、エマルジョン)及びゲルのレオロジー特性は、その分散相体積分率に密接に関係している。比較的低いΦ(内相)では、液滴の運動を駆動する主な力は、ブラウン力である。しかし、液滴濃度が高くなるにつれて、流体力学的相互作用及び液滴と液滴の衝突がますます重要になる。いくつかの態様では、高い体積分率(例えば、内相が約74%を超える)では、粒子は面心立方特性を採用する可能性があり、そこでこれらはより密接に詰まった状態となり、それにより固体様の挙動をもたらす。
【0016】
トランスグルタミナーゼ(TG)は、ペプチド結合中のグルタミン残基のγ-カルボキシアミド基と第1級アミンとの間のアシル転移反応を触媒するために使用することができる酵素である。様々な態様では、TGは、タンパク質分子を架橋するために利用することができる。いくつかの態様では、TGは、植物性タンパク質に含まれるグルタミンとリジンアミノ酸を連結して架橋植物性タンパク質分子を形成するために使用することができる。TGを用いた反応によりグルタミンとリジンアミノ酸との間に形成されうる架橋は、一般に共有結合であり、これは、タンパク質内及びタンパク質間の弱い静電相互作用及び疎水性相互作用とは対照的に、強く安定である。いくつかの態様では、TGを用いて安定化された製品は、レトルト後、類似の条件下で他の処理よりも長い時間、その元のテクスチャを維持することができる可能性がある。
【0017】
本開示は、1種又は複数の植物性タンパク質と、植物由来の油、植物由来の脂肪、及びこれらの組合せから選択されうる植物由来成分との混合物を含むエマルジョンを含む動物性脂肪代替組成物であって、混合物が有効量のトランスグルタミナーゼを用いて又は用いずに安定化されうる、動物性脂肪代替組成物に関する。様々な態様では、エマルジョンは、水中油型エマルジョンでありうる。様々な態様では、エマルジョンの強度を高めるために有効量のトランスグルタミナーゼを加えることができる。様々な態様では、例えば、エマルジョンが構造及び官能性の観点から動物組織と十分な類似性を有していないとき、エマルジョンを安定化させるために有効量のトランスグルタミナーゼを加えることができる。
【0018】
いくつかの態様では、本開示の動物性脂肪代替組成物は、1種又は複数の植物性タンパク質と、植物由来の油、植物由来の脂肪、及びこれらの組合せから選択されうる植物由来成分との混合物を、トランスグルタミナーゼを用いた反応により安定化されたエマルジョンの連続相に含む。いくつかの態様では、本開示の動物性脂肪代替組成物は、1種又は複数の植物性タンパク質と、植物由来の油、植物由来の脂肪、及びこれらの組合せから選択されうる植物由来成分との混合物を、トランスグルタミナーゼを使用せずに安定化されたエマルジョンの連続相に含む。
【0019】
様々な態様では、好適な植物性タンパク質は、TGを使用して効率的に架橋されうる任意の植物性タンパク質を含みうる。様々な態様では、好適な植物性タンパク質は、1種又は複数の油及び/又は1種又は複数の脂肪との混合物の一部として、TGを使用せずに、安定な動物性脂肪代替組成物を形成することができる任意の植物性タンパク質を含みうる。様々な態様では、TGによる分子間架橋及び分子内架橋の程度は、タンパク質の三次元構造、並びにタンパク質に含まれるリジン及びグルタミン酸の量に関連しうる。いくつかの態様では、グルタミン酸及びリジンがネットワークを形成するためには遊離している必要があるため(
図3を参照のこと)、タンパク質の親水性及び親油性のバランスも、TGの架橋効果に影響する可能性がある。
【0020】
様々な態様では、TGを使用して効率的に架橋されうる好適な植物性タンパク質は、エンドウマメタンパク質、キャノーラタンパク質、ダイズタンパク質、黄レンズマメタンパク質、赤レンズマメタンパク質、ソラマメタンパク質、ヒヨコマメタンパク質、及びこれらの混合物を含む。様々な態様では、1種又は複数の油及び/又は1種又は複数の脂肪との混合物の一部として、TGを使用せずに、安定な動物性脂肪代替組成物を形成することができる好適な植物性タンパク質は、ダイズタンパク質を含みうる。様々な態様では、植物性タンパク質は、動物性脂肪代替組成物の約1質量%~約20質量%の量で含まれうる。いくつかの態様では、植物性タンパク質は、動物性脂肪代替組成物の約1質量%、2質量%、3質量%、4質量%、5質量%、6質量%、7質量%、8質量%、9質量%、10質量%、11質量%、12質量%、13質量%、14質量%、15質量%、16質量%、17質量%、18質量%、19質量%、若しくは20質量%、又は動物性脂肪代替組成物の約2質量%~約15質量%、若しくは動物性脂肪代替組成物の約5質量%~約15質量%を含むこれらの量の任意の2つの間の任意の範囲の量で含まれうる。
【0021】
様々な態様では、好適な植物由来の油は、食用の植物由来の油を含みうる。好適な食用の植物由来の油は、天然に存在する植物由来の油及び/又は合成の植物由来の油を含む。好適な天然に存在する植物由来の油は、様々な植物油、例えばキャノーラ油、ダイズ油、ベニバナ油、ヒマワリ油等を含む。様々な態様では、植物由来の油は、動物性脂肪代替組成物の約10質量%~約80質量%の量で含まれうる。いくつかの態様では、植物由来の油は、動物性脂肪代替組成物の約10質量%、20質量%、30質量%、40質量%、50質量%、60質量%、70質量%、若しくは80質量%、又は動物性脂肪代替組成物の約20質量%~80質量%、若しくは動物性脂肪代替組成物の約30質量%~約80質量%を含むこれらの量の任意の2つの間の任意の範囲の量で含まれうる。
【0022】
様々な態様では、好適な植物由来の脂肪は、ダイズ脂肪、綿実脂肪、トウモロコシ脂肪、アーモンド脂肪、落花生脂肪、ヒマワリ脂肪、アブラナ脂肪、オリーブ脂肪、パーム脂肪、パーム核脂肪、イリッペ脂肪、シアバター脂肪、ココナツ脂肪、カカオバター等を含みうる。様々な態様では、植物由来の脂肪は、動物性脂肪代替組成物の約10質量%~80質量%の量で含まれうる。いくつかの態様では、植物由来の脂肪は、動物性脂肪代替組成物の約10質量%、20質量%、30質量%、40質量%、50質量%、60質量%、70質量%、若しくは80質量%、又は動物性脂肪代替組成物の約20質量%~約80質量%、若しくは動物性脂肪代替組成物の30質量%~約80質量%を含むこれらの量の任意の2つの間の任意の範囲の量で含まれうる。
【0023】
様々な態様では、本開示の動物性脂肪代替組成物は、その組成物を安定化させるのに有効な任意の量のTGを含みうる。いくつかの態様では、動物性脂肪代替組成物は、約0質量%~約3質量%のTGを含みうる。いくつかの態様では、動物性脂肪代替組成物は、約0質量%、0.25質量%、0.5質量%、0.75質量%、1質量%、1.25質量%、1.5質量%、1.75質量%、2質量%、2.25質量%、2.5質量%、2.75質量%若しくは3質量%からのTG、又は約0.25質量%~約1質量%を含むこれらの量の任意の2つの間の任意の範囲のTGを含みうる。
【0024】
選択されたタンパク質について、TGを使用して架橋されたリジンとグルタミン酸の含有量、及びグルタミン酸のリジンに対する比、並びに溶解度(タンパク質分散性指数-PDIとして)及び粘度をTable 1(表1)で下記に示す。
【0025】
【0026】
Table 1(表1)の分析製品では、リジンの量、それに続いてPDI値及び粘度が制限因子であるように思われた。PDIにより測定された溶解度は、エマルジョンの品質に影響を与えることが示された。分析製品のゲル強度に及ぼすPDI値の影響を、
図4に更に示す。強調された領域の製品は、分離ダイズタンパク質である。
【0027】
様々な態様では、動物性脂肪代替組成物は、水を更に含みうる。様々な態様では、水は、動物性脂肪代替組成物の約10質量%~約50質量%の量で含まれうる。いくつかの態様では、水は、動物性脂肪代替組成物の約10質量%、20質量%、30質量%、40質量%、若しくは50質量%、又は動物性脂肪代替組成物の約20質量%~約50質量%を含むこれらの量の任意の2つの間の任意の範囲の量で含まれうる。いくつかの態様では、動物性脂肪代替組成物は、タンパク質対水の比が、約1:1~約1:10、又は約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9、若しくは約1:10、又は約1:3~約1:6を含むこれらの比の任意の2つの間の任意の範囲でありうる。
【0028】
様々な態様では、動物性脂肪代替組成物は、添加物を更に含みうる。好適な添加物は、アルギン酸塩、カルボキシメチルセルロース(CMC)、天然のデンプン又は加工デンプン等を含む。いくつかの態様では、添加物は、動物性脂肪代替組成物の約0質量%~約5質量%、又は動物性脂肪代替組成物の約0質量%、1質量%、2質量%、3質量%、4質量%、若しくは5質量%、又はこれらの量の任意の2つの間の任意の範囲の量で含まれうる。
【0029】
本開示は、動物性脂肪代替組成物を調製するための方法であって、1種又は複数の植物性タンパク質と、植物由来の油、植物由来の脂肪、及びこれらの組合せから選択されうる植物由来成分とを水と混合する工程、並びに混合物を乳化して安定なエマルジョンを形成する工程による、方法にも関する。様々な態様では、方法は、有効量のトランスグルタミナーゼを使用して又は使用せずに安定なエマルジョンを形成する工程を含む。いくつかの態様では、方法は、有効量のトランスグルタミナーゼを用いてエマルジョンを安定化させる工程を含む。
【0030】
様々な態様では、方法は、エマルジョンの強度を高めるために有効量のトランスグルタミナーゼを加える工程を含む。様々な態様では、方法は、例えば、エマルジョンが構造及び官能性の観点から動物組織と十分な類似性を有していないとき、有効量のトランスグルタミナーゼを加える工程を含む。いくつかの態様では、方法は、混合物を形成する工程であって、1種又は複数の植物性タンパク質と、植物由来の油、植物由来の脂肪、及びこれらの組合せから選択されうる植物由来成分とがトランスグルタミナーゼを用いた反応により安定化されたエマルジョンの連続相に存在する、混合物を形成する工程を含む。いくつかの態様では、方法は、1種又は複数の植物性タンパク質と、植物由来の油、植物由来の脂肪、及びこれらの組合せから選択されうる植物由来成分との混合物をトランスグルタミナーゼを使用せずに安定化されたエマルジョンの連続相に形成する工程を含む。
【0031】
様々な態様では、方法に含まれうる好適な植物性タンパク質は、TGを使用して効率的に架橋されうる任意の植物性タンパク質を含む。様々な態様では、好適な植物性タンパク質は、1種又は複数の油及び/又は1種又は複数の脂肪との混合物の一部として、TGを使用せずに、安定な動物性脂肪代替組成物を形成することができる任意の植物性タンパク質を含みうる。様々な態様では、TGを使用して効率的に架橋されうる好適な植物性タンパク質は、エンドウマメタンパク質、キャノーラタンパク質、ダイズタンパク質、黄レンズマメタンパク質、赤レンズマメタンパク質、ソラマメタンパク質、ヒヨコマメタンパク質、及びこれらの混合物を含む。様々な態様では、1種又は複数の油及び/又は1種又は複数の脂肪との混合物の一部として、TGを使用せずに、安定な動物性脂肪代替組成物を形成することができる好適な植物性タンパク質は、ダイズタンパク質及びその混合物を含みうる。様々な態様では、植物性タンパク質は、動物性脂肪代替組成物の約1質量%~約20質量%の量で含まれうる。いくつかの態様では、植物性タンパク質は、動物性脂肪代替組成物の約1質量%、2質量%、3質量%、4質量%、5質量%、6質量%、7質量%、8質量%、9質量%、10質量%、11質量%、12質量%、13質量%、14質量%、15質量%、16質量%、17質量%、18質量%、19質量%、若しくは20質量%、又は動物性脂肪代替組成物の約2質量%~約15質量%、若しくは動物性脂肪代替組成物の約5質量%~約15質量%を含むこれらの量の任意の2つの間の任意の範囲の量で含まれうる。
【0032】
様々な態様では、方法に含まれうる好適な植物由来の油は、食用の植物由来の油を含む。好適な食用の植物由来の油は、天然に存在する植物由来の油及び/又は合成の植物由来の油を含む。好適な天然に存在する植物由来の油は、様々な植物油、例えばキャノーラ油、ダイズ油、ベニバナ油、ヒマワリ油等を含む。様々な態様では、植物由来の油は、動物性脂肪代替組成物の約10質量%~約80質量%の量で含まれうる。いくつかの態様では、植物由来の油は、動物性脂肪代替組成物の約10質量%、20質量%、30質量%、40質量%、50質量%、60質量%、70質量%、若しくは80質量%、又は動物性脂肪代替組成物の約20質量%~約80質量%、若しくは動物性脂肪代替組成物の30質量%~約80質量%を含むこれらの量の任意の2つの間の任意の範囲の量で含まれうる。
【0033】
様々な態様では、方法に含まれうる好適な植物由来の脂肪は、ダイズ脂肪、綿実脂肪、トウモロコシ脂肪、アーモンド脂肪、落花生脂肪、ヒマワリ脂肪、アブラナ脂肪、オリーブ脂肪、パーム脂肪、パーム核脂肪、イリッペ脂肪、シアバター脂肪、ココナツ脂肪、カカオバター等を含む。様々な態様では、植物由来の脂肪は、動物性脂肪代替組成物の約10質量%~80質量%の量で含まれうる。いくつかの態様では、植物由来の脂肪は、動物性脂肪代替組成物の約10質量%、20質量%、30質量%、40質量%、50質量%、60質量%、70質量%、若しくは80質量%、又は動物性脂肪代替組成物の約20質量%~80質量%、若しくは動物性脂肪代替組成物の30質量%~約80質量%を含むこれらの量の任意の2つの間の任意の範囲の量で含まれうる。
【0034】
様々な態様では、方法は、動物性脂肪代替組成物を安定化させるのに有効な任意の量のTGを加えることにより安定なエマルジョンを形成する工程を含みうる。いくつかの態様では、方法は、動物性脂肪代替組成物の約0質量%~約3質量%の量のTGを加える工程を含みうる。いくつかの態様では、方法は、動物性脂肪代替組成物の約0質量%、0.25質量%、0.5質量%、0.75質量%、1質量%、1.25質量%、1.5質量%、1.75質量%、2質量%、2.25質量%、2.5質量%、2.75質量%、若しくは3質量%、又は動物性脂肪代替組成物の約0.25質量%~約1質量%を含むこれらの量の任意の2つの間の任意の範囲の量のTGを加える工程を含みうる。
【0035】
様々な態様では、本開示の方法は、1種又は複数の植物性タンパク質と、植物由来の油、植物由来の脂肪、及びこれらの組合せから選択されうる植物由来成分との混合物を、動物性脂肪代替組成物の約10質量%~約50質量%を表す量の水と形成する工程を含みうる。いくつかの態様では、水は、動物性脂肪代替組成物の約10質量%、20質量%、30質量%、40質量%、若しくは50質量%、又は動物性脂肪代替組成物の約20質量%~約50質量%を含むこれらの量の任意の2つの間の任意の範囲の量で含まれうる。いくつかの態様では、方法は、1種又は複数の植物性タンパク質と、植物由来の油、植物由来の脂肪、及びこれらの組合せから選択されうる植物由来成分と、水との混合物を形成する工程であって、混合物のタンパク質対水の比が、約1:1~約1:10、又は約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9、若しくは約1:10、又は約1:3~約1:6を含むこれらの比の任意の2つの間の任意の範囲である、混合物を形成する工程を含みうる。
【0036】
様々な態様では、方法は、動物性脂肪代替組成物に添加物を加える工程を更に含みうる。好適な添加物は、アルギン酸塩、カルボキシメチルセルロース(CMC)、天然のデンプン及び加工デンプン等を含む。いくつかの態様では、添加物は、動物性脂肪代替組成物の約0質量%~約5質量%、又は動物性脂肪代替組成物の約0質量%、1質量%、2質量%、3質量%、4質量%、若しくは5質量%、又はこれらの量の任意の2つの間の任意の範囲の量で含まれうる。
【0037】
様々な態様では、本開示の方法は、安定なエマルジョンをケーシングに包装する工程を含みうる。好適なケーシングは、エマルジョンをその中に封入するのに有効な任意のケーシング材料を含みうる。いくつかの態様では、好適なケーシングは、天然ケーシング、例えば動物の腸、皮膚等、又は人工ケーシング、例えばファイブラスケーシング、セルロースケーシング、プラスチックケーシング、又はコラーゲンケーシング等を含む。
【0038】
様々な態様では、本開示の動物性脂肪代替組成物は、植物由来の代替製品に含まれることにより、食肉タンパク質及び食肉脂肪の代替の選択肢を提供することによって、生活習慣の懸念に対処するために使用することができる。いくつかの態様では、好適な植物由来の代替製品は、植物由来のビーガン製品、植物由来ベーコン、植物由来ミートパティ、植物由来ソーセージ、植物由来コールドカット、及び植物由来の魚肉を含む。動物性脂肪及び動物性タンパク質を排除することで、本明細書に記載の、トランスグルタミナーゼを用いて安定化された植物由来のタンパク質エマルジョン、及びトランスグルタミナーゼを用いずに安定化された植物由来のタンパク質エマルジョンを用いた食品は、健康的な利益のためのビーガン代替品を提供することができる。
【0039】
様々な態様では、動物性脂肪代替組成物は、植物由来の代替製品の約1質量%~約80質量%の量で植物由来の代替製品に含まれうる。いくつかの態様では、動物性脂肪代替組成物は、植物由来の代替製品の約1質量%、5質量%、10質量%、15質量%、20質量%、25質量%、30質量%、35質量%、40質量%、45質量%、50質量%、55質量%、60質量%、65質量%、70質量%、75質量%若しくは80質量%、又は植物由来の代替製品の約1質量%~約65質量%、若しくは約5質量%~約55質量%を含むこれらの量の任意の2つの間の任意の範囲の量で含まれうる。
【実施例】
【0040】
(実施例1)
例示的な配合物T1~T9をTable 2(表2)で下記に提示する。
【0041】
【0042】
Table 3(表3)で下記に示すように、Table 2(表2)で上記に示した様々な配合物を、様々な変数の観点から比較した。
【0043】
【0044】
材料及び方法
装置
本明細書で実施した実験で用いた装置を下記に列挙する:
- 特定のrpm設定(10~100%)が可能な300~3000rpmの可変制御モーターを有する、エマルジョン形成用のStephan GMBH社からのUMC5ミキサー、
- 乳化中に、混合物に混入する空気の量を減らすことを目的とした、Busch社真空ポンプ、モデルRB 00056 C IZO、
- 調製物の熱処理を行うための、コンビオーブン、Electrolux社Air-o-steamタッチラインモデルオーブン、
- テクスチャ解析を行うためのStable Micro Systems (SMS)社テクスチャアナライザー、モデルTA-XT2、
- 金属缶に詰めるためのKitchen aid社プラスチック製へら、12インチサイズ、
- 方法を標準化するためのULINE社金属缶、高さ5cm、直径8cm、蓋付き、容量8oz、ジョブ#9685。
【0045】
成分及び試薬
実験で用いた成分/化学物質を下記に列挙する:
- 分離ダイズタンパク質Bunge社Purepro 90E、バッチ#2020727、使用期限1-26-2022、タンパク質最小90%、水分最大6%、淡白/中程度の匂いと色、及び固体10%、25℃での粘度は100~200cp、
- 分離キャノーラタンパク質Merit社Puratein C、ロット#142H2720AC500、賞味期限2022年8月26日、タンパク質最小90%、水分最大7%、黄緑色と特有のキャノーラの風味、及び固体10%、25℃での粘度は50cp未満、
- 分離エンドウマメタンパク質Merit社Peazazz、ロット#P1021AL08、賞味期限2023年4月4日、タンパク質最小90%、水分最大7%、淡い黄色と淡白なエンドウマメの風味、及び固体10%、25℃での粘度は100cp未満、
- ダイズタンパク質濃縮物Bunge社PurePro 70E、ロット#20210126、賞味期限2022年1月26日、タンパク質最小69%、水分最大10%、淡白/中程度の匂いと色、及び固体10%、25℃での粘度は600~10000cp、
- 分離ダイズタンパク質Bunge社Purepro 90EY、バッチD1052、使用期限2022年10月、タンパク質最小90%、水分最大6%、淡白/中程度の匂いと色、及び固体10%、25℃での粘度は100~500cp、
- Bunge社Old Worldキャノーラ油、バッチ0345714005ロットL0074、110℃での油安定性指数最小7.5時間、赤色最大1、及び最小12時間の冷却試験を用いた。製品の他の技術的特徴は、遊離脂肪酸最大0.05%、及び過酸化物価1kgあたり1.0ミリ当量O2、
- Bunge社ダイズサラダ油、ロット#H1181、バッチ1234714 049、110℃での油安定性指数最小6時間、赤色最大1、及び最小5.5時間の冷却試験を用いた。製品の他の技術的特徴は、遊離脂肪酸最大0.05%、及び過酸化物価1kgあたり1.0ミリ当量O2、
- Bunge社NH108パーム由来多目的脂肪、バッチ0168714057ロットF0110、赤色3.5以下、滴点98~108°F、遊離脂肪酸最大0.05%、及び最大過酸化物価1kgあたり1ミリ当量O2。固体脂肪含有量は、10℃で48~57%、20℃で23~30%、30℃で6~13%、及び40℃で最大5%の固体であった、
- JRS社Vivapur FD 176アルギン酸塩、バッチ4504002293、賞味期限17/11/2021、Brookfield LVT 60RPM、スピンドル3、550~750mPa.sで20℃において粘度1%溶液、1%溶液のpH値5~8、乾燥減量最大15%、100ミクロンよりも粗い粒子は5%未満、
- Cargill社A16Mメチルセルロース、
- Cargill社微粒子粉末塩、ロットL0010777931 IHCZ、
- ISI社精製カッパカラギーナンWG-2000、1.5%の濃度でゲル強度800g/cm2、80メッシュふるいを通過する粒子95%、水分最大12%、pH範囲8~11、
- Gateway社デキストロースコーンシロップ、デキストロース相当品DE 42/43 Lot2018110、
- 味の素社アクティバTI100トランスグルタミナーゼ、バッチ051119A、作用pHは2~11、至適pHは4~8、反応温度0~80℃、理想的には50℃、
- ダイズレシチンBungeMaxx 1200透明明澄ダイズレシチン、最小62%アセトン不溶性、酸価最大30mg KOH/g、ヘキサン不溶性最大0.05、水分最大1%、及び過酸化物価10ミリ当量gO2/kg以下。他の特徴は、ガードナー色最大14、及び固体10%、25℃での粘度最大10000cPsを含む。
- Great Value社トウモロコシデンプン、ロットコード21336、賞味期限2023年12月2日。
【0046】
脂肪組織代替物製造手順
類似物脂肪組織を以下の手順を使用して調製した。
【0047】
タンパク質及び水の量をUMC5ミキサーボウルに加える。蓋を閉め、真空ポンプを0.8bar未満で作動させる。UMC5ミキサーを1500rpmで1分間作動させる。次に真空を解除し、蓋を開ける。蓋の表面をこすり、すべてのタンパク質が水に確実に接触するようにする。蓋を再度閉め、ミキサーを真空下1500rpmで4分間作動させる。真空を解除し、蓋を開ける。塩及び脂肪を加える。蓋を閉め、ミキサーを真空下1500rpmで1分間作動させる。真空を解除し、蓋を開け、材料がボウル側に付着していないことを確認する。蓋を閉め、ミキサーを真空下3000rpmで4分間作動させる。真空を解除し、蓋を開ける。トランスグルタミナーゼを加える。蓋を閉め、ミキサーを真空下3000rpmで1分間作動させる。真空を解除し、蓋を開ける。
【0048】
得られた材料を空気の混入を避けるようにへらで金属缶に加える。充填した金属缶をオーブンに移し、155°Fで20分間蒸して調理する。温度を165°Fまで上げて、充填した金属缶を追加で20分間調理する。次に温度を175°Fまで上げて、更に20分間調理する。次に温度を更に185°Fまで上げて、充填した金属缶を内部温度175°Fまで加熱する。充填した金属缶を水道水及び氷の入ったシンクで一晩急冷する。調理した材料を取り出し、室温まで冷却する。
【0049】
ゲル強度測定用分析機器
5kNロードセルを備え、特定のソフトウェア(Texture Expert Exceed 2.52、Stable Micro Systems社、Surrey、England)で制御したテクスチャアナライザー(TXT2 plus「Stable Micro Systems社」)を使用して得られた試料の圧縮によりテクスチャを測定した。試料を30mm圧縮実験にかけ、そこで10-mm円筒形プローブを使用して円筒容器の下方に10mm/sで押し込んだ。ゲル強度のテクスチャパラメーターは、貫入過程におけるプローブの最大力(試料を圧縮するのに必要な最大力、単位グラム)と定義した。
【0050】
結果
各試料のゲル強度力を分析した。ゲル強度分析の結果を下記のTable 4(表4)にまとめる。
【0051】
【0052】
エマルジョン強度が高いほど、製品の耐性は高くなる。ゲル強度は脂肪量に影響されず(50%対70%)、トランスグルタミナーゼはこの条件から独立して働くようであることが観察された(表面吸着なし)。配合物T1、T2、T3、及びT6の試験は、フライ条件下で、透明で揺れる脂肪を生成するようであった。調理後の脂肪組織類似物試料の実例を
図5及び
図6に示す。
【0053】
(実施例2)
Table 5(表5)に示す以下の配合物を、前述の実験パラメーターに従って試験した。
【0054】
【0055】
水のタンパク質に対する比を増やした試料(T10及びT11)は、成分の投与量の最適化と、乳化時の混合を最適化するための粘度調製の両方を行うために、配合された。液体油を入れた試料(T12及びT13)は、前記試料の構造的能力及び乳化能力の両方を検証するために試験した。TGの架橋能力を評価するために、異なるタンパク質源を配合した試料(T6及びT15)を分析した。
【0056】
Table 5(表5)の配合物を、Table 6(表6)で下記に示すそのペア間で比較した。
【0057】
【0058】
配合物を前述のゲル強度法により評価し、結果の概要をTable 7(表7)で下記に記載する。
【0059】
【0060】
エマルジョン及び製品を形成することはできるが、水のタンパク質に対する比を高くすると、より柔らかいゲルが形成されることが実証できる。TGに対するタンパク質の量が十分であれば、タンパク質を減らしたエマルジョンに及ぼすTGの影響からわかるように、良好な結果が得られることも留意されうる。ダイズタンパク質はエンドウマメタンパク質と同様に機能し、TGがタンパク質源とは独立して作用することを示している。
【0061】
類似物脂肪組織に望まれる特徴の一つは、その挙動が動物の脂肪組織と類似しているべきで、製品の調理中に加熱条件下で収縮挙動を示し、サイズが収縮するのが観察されることである。
【0062】
Table 5(表5)の配合物を収縮率の比較にかけ、試料を下記に記載するように処理した:
- 材料を缶から取り出した。
- 試料を室温にし、次に直径70.3mm、厚さ1/4インチの円盤状にスライスした。
- フッ素樹脂加工のフライパンを、水100gを4分で沸騰させるのに十分な温度まで予熱した。
- 試料をフライパンで80秒間調理し、それから裏返して追加で80秒調理して均等に調理されるようにした。
- 試料をフライパンから取り出し、室温に達するまでペーパータオルの上に置いた。
その後、調理された材料の平均最終直径を出すために、試料の最も短い寸法及び最も広い寸法をキャリバーを用いて測定した。
【0063】
次に、線収縮率及び面積収縮率を決定するために、試料をその初期寸法と比較し、結果をTable 8(表8)に示す。
【0064】
【0065】
結果は、すべての配合物が調理/フライ手順後に収縮することを示し、これは望ましい効果を表している。タンパク質含有量が高いと、より大きな収縮が可能になることもわかる。
【0066】
(実施例3)
下記のTable 9(表9)に列挙する配合物T10~T23も試験した。
【0067】
【0068】
レシチン(T19)及びアルギン酸塩(T21)を配合した試料を試験して、強度及び配合物中の脂肪を高脂肪含有量(67%)に維持する能力に及ぼすその影響を評価した。ゲル特性を損なうことなくTGを除去する可能性を確認するため、脂肪含有量を低くした実験もいくつか行った。すべての配合物は、最終的なゲル強度を向上させ、プロセスを簡略化するため、塩を入れずに配合した。結果をTable 10(表10)で下記に示す。
【0069】
【0070】
エマルジョン強度について試料を評価し、結果をTable 11(表11)に示す。
【0071】
【0072】
脂肪内相の増加、レシチン添加、及び50%脂肪配合物からのTG除去は、ゲル強度を低下させた。アルギン酸塩の添加は、製造における高剪断条件、例えば、ソーセージ製造でのものに対して、エマルジョン構造を改善し、官能性を付加する方法であるように思われた。
【0073】
Table 9(表9)の配合物をボディオブプルーフ(body-of-proof)及び実施例2と同様に調理手順にかけ、収縮率の結果を下記のTable 12(表12)に示す。
【0074】
【0075】
レシチン添加実験(T19)ではエマルジョン強度が低かったため、試料を廃棄した。アルギン酸塩(T21)試料は、T20と比較してより堅い材料を生成し、収縮率を減少させた。興味深いことに、TGの除去は、材料収縮量を減少させた。これらの実験は、望ましい収縮量を達成するために調整できる一連の変数があることを実証した。
【0076】
(実施例4)
類似物脂肪組織にとって重要な別の特徴は、ベーコン、サーモン、又はポークチョップのような動物の切り身を模した製品に期待されるような、凍結条件に耐えるその能力である。
【0077】
凍結に耐える能力を評価するために、試料を、-18℃で48時間、続いて室温での融解プロセスを行う凍結サイクルにかけた。次に、前述したように、エマルジョン強度について試料を評価した。結果をTable 13(表13)に示す。
【0078】
【0079】
結果は、凍結プロセスが類似物脂肪組織の平均強度を低下させることを実証した。初期組織強度が高かったため、凍結は大きな影響を与えるように思われた。
【0080】
(実施例5)
Table 14(表14)に記載の配合物も試験した。
【0081】
【0082】
【0083】
Table 14(表14)は、目的の異なる一連の異なる配合物を示す。配合物T27~T29は、TG最適化のために配合し、過剰使用及びラベルへの成分表示を避けることを目的とした。配合物T30及びT31は、脂肪内相を70%まで増加させることを目的とした。配合物T32及びT33は、異なる親水コロイドがエマルジョンの質及び強度に及ぼす影響を試験した。配合物T34及びT35は、タンパク質構造源としてエンドウマメタンパク質を試験した。配合物T36~T38は、タンパク質構造源として分離ダイズタンパク質(ISP)の代わりに機能性ダイズタンパク質濃縮物(SPC)を用いた。配合物T39及びT40は、内相に70%の油を含む繰り返しのISP条件を用いた。最後に、配合物T41~T43は、油の内相を増加させる目的で、異なる製造条件を提示した。
【0084】
配合物T39及びT40は、十分に安定したエマルジョンを生成しなかった。分離ダイズタンパク質(ISP)は、高い乳化能力を有すると信じられていたが、用いた分離ダイズタンパク質は、機能性ダイズタンパク質濃縮物(FSPC)製品と比較して、油の乳化性能で劣ることを実証した。
【0085】
配合物T27~T29を、Table 15(表15)に示すように、エマルジョン強度についてこれらの脂肪対応物(T22及びT23)と比較した。
【0086】
【0087】
Table 15(表15)の実験は、ISP(T22及びT23)をFSPC(T27、T28、及びT29)に変更し、内相として50%の油を取り込み、脂肪及びISP対応物と同様の強度を有するエマルジョンを生成することが可能であることを実証した。しかし、ゲルの特性は大きく異なり、脂肪由来配合物は柔軟性がなく塑性挙動を示し、油由来の配合物は、非常に弾性のある挙動を示した。
【0088】
T30~T33の配合物は、70%内相をISP及び油と配合しても、有益な結果をもたらさないことを示した。用いたダイズタンパク質は、この限界よりも低い乳化率を有することが観察された。
【0089】
配合物T34及びT35のエマルジョン強度を、Table 16(表16)に示すように、これらの脂肪対応物(T11)と比較した。
【0090】
【0091】
油の内相により特徴付けられる配合物T34及びT35は、T11試料よりも柔らかく、安定なスタンドアップ(stand-up)エマルジョンを生成することができ、T35はスライス可能で弾性のある最終試料を提供した。
【0092】
FSPCの代わりのISP及び油を有する70%内相を配合した、配合物T36~T39は、有益な結果をもたらさなかった。タンパク質源の変更に伴い、FSPCでも油乳化の限界があり、それはおそらくISPを入れた配合物に近く、ダイズタンパク質の場合、50~70%内相であった。
【0093】
類似物脂肪組織の形成に及ぼすTGの影響を評価するために配合物T41~T43を比較し、これらのエマルジョン強度の結果をTable 17(表17)で下記に列挙する。
【0094】
【0095】
T41及びT42は二重に行い、これらの結果はプロセス自体の良好な再現性を示した。TGを加えると、T42とT43の配合物の両方でゲル強度が上昇し、内相含有量の低い配合物でより大きな影響を与えた。しかし、実施例1~5で製造された脂肪類似物配合物はすべて、動物組織と比較して十分な堅さ及び挙動を実証した。
【0096】
現行のベンチでの方法に加えて、パイロット規模のプロセスにスケールアップするいくつかの配合物を選択した。スケールアップする配合物は、ベンチ規模での最良結果に基づいて選ばれ、Table 18(表18)で下記に列挙する。
【0097】
【0098】
これらの配合物の15KバッチをSeydelmannモデルK64AL8Vaボウルチョッパーで調製した。
【0099】
類似物脂肪組織配合物は、以下の通りに調製した:
- 氷水溶液(50%氷及び50%水)を、調製に十分な水相が得られる量で調製した。
- 氷水をボウルに入れた。
- チョッパーを900rpmの混合速度で作動させ、タンパク質をゆっくりと水に加えた。(15kgの調製物に対し約1分)。
- フィッシュアイがないことを確認しながら、タンパク質を確実に良好に分散させた。
- 蓋を閉め、100mbarに達するまで真空にした。
- この状態で、タンパク質を更に3分間混合した。
- 真空を止め、装置の蓋を開けた。
- 油の半分を、水和したタンパク質にゆっくりと加えた(15kgバッチに対して添加時間2分)。
- 蓋を閉め、100mbarに達するまで真空ポンプを作動させた。
- 速度を1200rpmまで上げ、この状態で混合物を1分間混合した。
- 真空を止め、蓋を開けて速度を900RPMまで下げた。
- 配合の残りの油をゆっくりと加えた(15kgの配合物に対して2分)。
- 蓋を閉め、真空にして100mbarにした。
- 混合物を1200rpmで更に2分間混合した。
- 真空を解除し、蓋を開けた。
- トランスグルタミナーゼを配合物に加え、蓋を閉めて真空にして100mbarにした。
- 速度を3000rpmに調節し、混合物を更に1分間混合した。
- 製品をすべてボウルから取り出し、調理手順のためにステンレス製の平鍋に入れた。
- 製品をコンビオーブン(100%水分)で、155°Fで20分間から開始し、次に165°Fで20分間、次に175°Fで20分間、次に185°Fで20分間、70℃の温度に達するまで段階的な手順により調理した。
- 製品をコンビオーブンから取り出し、表面のタンパク質のブルーミングを避けるために直ちにプラスチックフィルムで覆った。
【0100】
製造した脂肪組織類似物を、実施例2で前述した調理工程にかけ、タンパク質変性及びTG不活性化を確実にした。このようにして調製した類似物脂肪組織は、連則してすりつぶし、押し出し成形し及びスライスする、又はこの用途により適合するように形成することができる。形成されたゲル及びその機械加工性の特性を、
図7~
図10に示す。
【0101】
パイロット試料に加えて、配合物を包装試験にかけ、配合物が一連の最終プレゼンテーションにわたり分配される能力を評価した。選ばれた配合物は、Table 19(表19)に記載のT45配合物である。
【0102】
【0103】
この配合物の15kgバッチをSeydelmannモデルK64AL8Vaボウルチョッパーで調製した。
【0104】
類似物脂肪組織配合物は、以下の通りに調製した:
- 氷水溶液(50%氷及び50%水)を、調製に十分な水相が得られる量で調製した。
- 氷水をボウルに入れた。
- 装置を900rpmの混合速度で作動させ、タンパク質をゆっくりと水に加えた。(15kgの調製物に対し約1分)。
- フィッシュアイがないことを確認しながら、タンパク質を確実に良好に分散させた。
- 蓋を閉め、100mbarに達するまで真空にした。
- この状態で、タンパク質を更に3分間混合した。
- 真空を止め、装置の蓋を開けた。
- 油の半分を、水和したタンパク質にゆっくりと加えた(15kgバッチに対して添加時間2分)。
- 蓋を閉め、100mbarに達するまで真空ポンプを作動させた。
- 速度を1200rpmまで上げ、この状態で混合物を1分間混合した。
- 真空を止め、蓋を開けて速度を900rpmまで下げた。
- 配合の残りの油をゆっくりと加えた(15kgの配合物に対して2分)。
- 蓋を閉め、真空にして100mbarにした。
- 混合物を1200rpmで更に2分間混合した。
- 速度を3000rpmに調節し、混合物を更に1分間混合した。
【0105】
この時点で、製品を3つの異なる方法で包装した。
【0106】
1)容量が6ガロンの食品等級PPで作られた青いプラスチック製の袋(Uline社)に移した。袋を10×10×10インチの段ボール箱に入れ、40°Fで保存した。
【0107】
2)食品等級PEでできているプラスチックケーシング(Viscoteepak社モデルB1)に、ケースマシン(case machine)(Ultrasource社モデルPS-50)を通して500gサイズで充填した。5個を、コンビオーブン(Alto Shaam社、モデルCTP10-20E)(100%水分)で、155°Fで20分間から開始し、次に165°Fで20分間、次に175°Fで20分間、次に185°Fで20分間、70℃の温度に達するまで段階的な手順による調理工程にかけ、調理後40°F冷蔵庫に保存した。
【0108】
3)ファイブラスケーシング(Viscoteepak社、モデルB1)に、ケースマシン(Ultrasource社モデルPS-50)を通して1kgサイズで充填した。3個を、コンビオーブン(Alto Shaam社、モデルCTP10-20E)(100%水分)で、155°Fで20分間から開始し、次に165°Fで20分間、次に175°Fで20分間、次に185°Fで20分間、70℃の温度に達するまで段階的な手順により調理し、調理後冷蔵庫に保存した。5個を、コンビオーブン(Alto Shaam社、モデルCTP10-20E)(100%水分)で、155°Fで20分間から開始し、次に165°Fで20分間、次に175°Fで20分間、次に185°Fで20分間、70℃の温度に達するまで段階的な手順により調理し、その後室温で保存した。
【0109】
図11、
図12、及び
図13は、最終形態の製品を示し、用途のニーズを満たすために、製品を異なる方法で加工できるという証拠を示している。
【0110】
パイロット試料に加えて、配合物を保存試験にかけ、提案する発明の品質に及ぼす温度の影響を確認した。選ばれた配合物は、Table 20(表20)に記載のT45配合物である。
【0111】
【0112】
これらの配合物の15kgバッチをSeydelmannモデルK64AL8Vaボウルチョッパーで調製した。
【0113】
類似物脂肪組織配合物は、以下の通りに調製した:
- 氷水溶液(50%氷及び50%水)を、調製に十分な水相が得られる量で調製した。
- 氷水をボウルに入れた。
- 装置を900rpmの混合速度で作動させ、タンパク質をゆっくりと水に加えた。(15kgの調製物に対し約1分)。
- フィッシュアイがないことを確認しながら、タンパク質を確実に良好に分散させた。
- 蓋を閉め、100barに達するまで真空にした。
- この状態で、タンパク質を更に3分間混合した。
- 真空を止め、装置の蓋を開けた。
- 油の半分を、水和したタンパク質にゆっくりと加えた(15kgバッチに対して添加時間2分)。
- 蓋を閉め、100mbarに達するまで真空ポンプを作動させた。
- 速度を1200rpmまで上げ、この状態で混合物を1分間混合した。
- 真空を止め、蓋を開けて速度を900rpmまで下げた。
- 配合の残りの油をゆっくりと加えた(15kgの配合物に対して2分)。
- 蓋を閉め、真空にして100mbarにした。
- 混合物を1200rpmで更に2分間混合した。
- 速度を3000rpmに調節し、混合物を更に1分間混合した。
【0114】
この時点で、製品を3つの異なる方法で保存した。
【0115】
1)ブランド(ULINE社モデルS23235容量)のブリキ缶に移し、40°Fで保存した。
【0116】
2)ブランド(ULINE社モデルS23235容量)のブリキ缶に移し、ブランドのコンビオーブン(Alto Shaam社、モデルCTP10-20E)(100%水分)で、155°Fで20分間から開始し、次に165°Fで20分間、次に175°Fで20分間、次に185°Fで20分間、70℃の温度に達するまで段階的な手順により調理し、40°Fの冷蔵庫に移して保存した。
【0117】
3)ブランド(ULINE社モデルS23235、6oz容量)のブリキ缶に移し、ブランド(Alto Shaam社、モデルCTP10-20E)のコンビオーブン(100%水分)で、155°Fで20分間から開始し、次に165°Fで20分間、次に175°Fで20分間、次に185°Fで20分間、70℃の温度に達するまで段階的な手順により調理し、0°Fの冷凍庫に移して保存した。
【0118】
Table 21(表21)は、調理した製品及び調理していない製品は同様の挙動を示す一方で、凍結条件は製品特性のいくつかを低下させる可能性があることを実証している。
【0119】
【0120】
これらの結果は、配合物がその品質特性を失うことなく、主要な保存条件に耐える能力を実証している。
【0121】
【0122】
Table 21(表22)に示す配合物を、実験パラメーターに従って試験した。
【0123】
タンパク質、水、及びデンプンをUMC5ミキサーボウルに加える。蓋を閉め、真空ポンプを0.8bar未満で作動させる。UMC5ミキサーを1500rpmで1分間作動させる。次に真空を解除し、蓋を開ける。蓋の表面をこすり、すべてのタンパク質が水に確実に接触するようにする。蓋を再度閉め、ミキサーを真空下1500rpmで4分間作動させる。真空を解除し、蓋を開ける。塩及び脂肪を加える。蓋を閉め、ミキサーを真空下1500rpmで1分間作動させる。真空を解除し、蓋を開け、材料がボウル側に付着していないことを確認する。蓋を閉め、ミキサーを真空下3000rpmで4分間作動させる。真空を解除し、蓋を開ける。トランスグルタミナーゼを加える。蓋を閉め、ミキサーを真空下3000rpmで1分間作動させる。真空を解除し、蓋を開ける。
【0124】
得られた材料を空気の混入を避けるようにへらで金属缶に加える。充填した金属缶をオーブンに移し、155°Fで20分間蒸して調理する。温度を165°Fまで上げて、充填した金属缶を追加で20分間調理する。次に温度を175°Fまで上げて、更に20分間調理する。次に温度を更に185°Fまで上げて、充填した金属缶を内部温度175°Fまで加熱する。充填した金属缶を水道水及び氷の入ったシンクで一晩急冷する。調理した材料を取り出し、室温まで冷却する。
【0125】
【0126】
デンプン入りの配合物では、T29と比較してエマルジョン強度が上昇し、ペパロニのような堅いソーセージに堅い粒子が必要な場合の代替品となった。ベーコン、ミートパティ、ソーセージ、コールドカット、及び魚肉等の植物由来又はビーガン製品は、本開示の安定なエマルジョンを含む動物性脂肪代替組成物を含むことにより利益を得る。含有率は、Table 23(表24)に見いだすことができる。
【0127】
【0128】
本明細書は、実施例を使用して、最良の形態を含む本発明を開示し、また、当業者が、任意のデバイス又はシステムを作ること及び使用すること、並びに任意の組み込まれた方法を実施することを含め、本発明を実施することを可能にする。本発明の特許性のある範囲は、特許請求の範囲により定義され、当業者が思いつく他の例を含むことができる。そのような他の例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有する場合、又は特許請求の範囲の文言と非実質的差異を有する同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが意図されている。
【国際調査報告】