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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】多層アセンブリ用フィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20240220BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20240220BHJP
   C08L 71/10 20060101ALI20240220BHJP
   C08G 65/34 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
B32B27/00 103
B32B27/20 Z
C08L71/10
C08G65/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549841
(86)(22)【出願日】2022-02-22
(85)【翻訳文提出日】2023-10-12
(86)【国際出願番号】 EP2022054442
(87)【国際公開番号】W WO2022175558
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】63/151,822
(32)【優先日】2021-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】21181639.2
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512323929
【氏名又は名称】ソルベイ スペシャルティ ポリマーズ ユーエスエー, エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】517318182
【氏名又は名称】サイテック インダストリーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ルイス, シャンタル
(72)【発明者】
【氏名】プラット, ジェームズ フランシス
(72)【発明者】
【氏名】エル-ヒブリ, モハマド ジャマール
(72)【発明者】
【氏名】チャオ, イーチアン
【テーマコード(参考)】
4F100
4J002
4J005
【Fターム(参考)】
4F100AA03B
4F100AA08B
4F100AA12B
4F100AA14B
4F100AA15B
4F100AA17B
4F100AA31B
4F100AB09B
4F100AK01A
4F100AK01C
4F100AK41
4F100AK45
4F100AK46
4F100AK49
4F100AK50
4F100AK54B
4F100AK55
4F100AK56B
4F100AK57
4F100AS00
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100CA23B
4F100DG01A
4F100DG01C
4F100DG11B
4F100DG15B
4F100EJ42
4F100GB31
4F100JA04B
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
4J002CH09W
4J002CH09X
4J002GF00
4J005AA21
4J005BA00
(57)【要約】
本発明は、第1の構成要素と、第2の構成要素と、フィルムとを含むアセンブリであって、各構成要素がポリマーを含み、フィルムが第1の構成要素と第2の構成要素との間に配置されており且つ第1の構成要素と第2の構成要素に接合されている、アセンブリに関する。このフィルムは、少なくとも2種のポリ(エーテルケトンケトン)(PEKK)ポリマーのブレンドと任意選択的な少なくとも1種の核剤とを含むものである。このアセンブリは、改善された破壊靭性と全体的に優れた機械的特性を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- ポリマー(P1)を含む第1の構成要素と、
- ポリマー(P2)を含む第2の構成要素と、
- 前記第1の構成要素と前記第2の構成要素と間に配置されており且つこれらに接合しているフィルムと、を含むアセンブリであって、
前記フィルムが、少なくとも2種のポリ(エーテルケトンケトン)(PEKK)ポリマー(PEKK1、PEKK2)のブレンドを含み、前記PEKKポリマーが、前記ポリマーの総モル数を基準として少なくとも50モル%の式(M)及び(P):
【化1】
の繰り返し単位を含み、これらの式中、
- 各R及びRが、それぞれの場合において、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ金属又はアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ金属又はアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン、及び第四級アンモニウムからなる群から独立して選択され;
- i及びjが、それぞれの場合において、0~4の範囲の独立して選択される整数であり;
前記PEKK1とPEKK2が、繰り返し単位(M)に対する繰り返し単位(P)の異なるモル比を有する点で互いに異なる;
アセンブリ。
【請求項2】
前記フィルムの前記PEKKポリマーのうちの少なくとも一つが、少なくとも50モル%の式(M’)及び(P’):
【化2】
の繰り返し単位を含み、前記モル%は前記ポリマー中の総モル数基準である、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
各R及びRの基について、i及びjが0である、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記PEKKポリマー(PEKK1、PEKK2)のうちの少なくとも1つ、好ましくはPEKK1とPEKK2の両方の少なくとも90モル%が、式(M)及び(P)の繰り返し単位である、請求項1又は3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記PEKKポリマー(PEKK1、PEKK2)のうちの少なくとも1つ、好ましくはPEKK1とPEKK2の両方の少なくとも95モル%が、式(M)及び(P)の繰り返し単位である、請求項1又は3に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記PEKKポリマー(PEKK1、PEKK2)のうちの少なくとも1つ、好ましくはPEKK1とPEKK2の両方の少なくとも99モル%が、式(M)及び(P)の繰り返し単位である、請求項1又は3に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記PEKKポリマー(PEKK1、PEKK2)のうちの少なくとも一方、好ましくはPEKK1とPEKK2の両方の実質的に全ての繰り返し単位が式(M)及び(P)の繰り返し単位である、請求項1又は3に記載のアセンブリ。
【請求項8】
PEKK1のT/Iモル比が少なくとも50/50、好ましくは少なくとも54/46、より好ましくは少なくとも56/44、最も好ましくは少なくとも57/43である、請求項1~7のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項9】
PEKK1のT/Iモル比が最大64/36、好ましくは最大63/37、より好ましくは最大62/38である、請求項1~8のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項10】
PEKK1のT/Iモル比が50/50~64/36である、請求項1~9のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項11】
PEKK2のT/Iモル比が少なくとも65/35、好ましくは少なくとも66/34、より好ましくは少なくとも67/33である、請求項1~10のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項12】
PEKK2のT/Iモル比が最大85/15、好ましくは最大83/17、より好ましくは最大82/18である、請求項1~11のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項13】
PEKK2のT/Iモル比が65/35~85/15である、請求項1~12のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項14】
重量比PEKK1/PEKK2が65/35~99/1である、請求項1~13のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項15】
重量比PEKK1/PEKK2が少なくとも70/30、より好ましくは少なくとも75/25である、請求項1~14のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項16】
重量比PEKK1/PEKK2が最大97/3、より好ましくは最大96/4である、請求項1~15のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項17】
前記PEKKのブレンドが、ASTM D3418に準拠した示差走査熱量測定(DSC)で測定される、270~340℃、好ましくは280~330℃の範囲の融解温度Tmを有する、請求項1~16のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項18】
前記PEKKのブレンドが、ASTM D3418に準拠した示差走査熱量測定(DSC)で測定される、280~330℃、好ましくは280~310℃の範囲の融解温度Tmを有する、請求項1~16のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項19】
前記PEKKポリマーブレンドが、以下の式を満たす融解熱ΔHfを有するものである、請求項1~18のいずれか一項に記載のアセンブリ:
ΔH>1.69×T-480 (式1)
(式中、
- Tは前記ブレンドの融解温度(℃)であり、
ΔHはJ/g単位である)。
【請求項20】
前記ブレンドの融解熱ΔHfが少なくとも5.0J/gである、請求項1~19のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項21】
前記ブレンドの融解熱ΔHfが少なくとも6.0J/gである、請求項1~19のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項22】
前記ブレンドの融解熱ΔHfが少なくとも7.0J/gである、請求項1~19のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項23】
前記フィルムの前記PEKKポリマーが、
- PEKK1の繰り返し単位(P)/(P’)対繰り返し単位(M)/(M’)のモル比が少なくとも50/50、好ましくは少なくとも54/46、より好ましくは少なくとも56/44、最も好ましくは少なくとも57/43である、及び/若しくは最大64/36、好ましくは最大63/37、より好ましくは最大62/38であるものである、並びに/又は
- PEKK2の繰り返し単位(P)/(P’)対繰り返し単位(M)/(M’)のモル比が少なくとも65/35、好ましくは少なくとも66/34、より好ましくは少なくとも67/33である、及び/若しくは最大85/15、好ましくは最大83/17、より好ましくは最大82/18であるものである、
請求項1~22のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項24】
前記フィルム中のPEKK1対PEKK2の重量比が少なくとも65/35、より好ましくは少なくとも70/30、更に好ましくは少なくとも75/25である、及び/又は最大99/1、好ましくは最大97/3、更に好ましくは最大96/4である、請求項1~23のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項25】
前記フィルムが、ホウ素含有化合物、アルカリ土類金属炭酸塩、酸化物、ケイ酸塩、アルカリ土類金属の塩、窒化物、及び炭素系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の核剤を更に含む、請求項1~24のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項26】
前記フィルムが窒化ホウ素を更に含む、請求項1~25のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項27】
前記フィルムの前記PEKKポリマーのうちの少なくとも1種が、ルイス酸の非存在下、又はモノマーの総重量に基づいて2重量%未満、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満である量のルイス酸の存在下で溶媒中で製造されたものである、請求項1~26のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項28】
PEKK1及びPEKK2が、100ppmを超える量、好ましくは200ppmを超える量、更に好ましくは300ppmを超える量のフッ素をそれぞれ含む、請求項1~27のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項29】
PEKK1及びPEKK2が、100ppmを超える量、好ましくは200ppmを超える量、更に好ましくは300ppmを超える量のポリマーに結合したフッ素をそれぞれ含む、請求項1~28のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項30】
PEKK1及びPEKK2がアルミニウムを実質的に含まない、請求項1~29のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項31】
PEKK1及びPEKK2中のAlの量が50ppm未満、好ましくは25ppm未満、より好ましくは10ppm未満である、請求項1~30のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項32】
PEKK1及びPEKK2が、10℃/分の加熱速度を用いて窒素下で30℃から800℃まで加熱する、ASTM D3850に従った熱重量分析で測定されたときに、少なくとも500℃、好ましくは少なくとも505℃、より好ましくは少なくとも510℃のTd(1%)を示す、請求項1~31のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項33】
前記フィルムが、15~800μm、25~600μm、好ましくは30~500μm、より好ましくは40~300μm、最も好ましくは50~250μmの範囲の厚さを有する、請求項1~32のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項34】
前記フィルムが単層フィルムである、請求項1~33のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項35】
ポリマー(P1)及びポリマー(P2)が、ポリ(アリールエーテルケトン)(PAEK)、ポリ(エーテルイミド)(PEI)、ポリ(アミドイミド)(PAI)、ポリ(アリールエーテルスルホン)(PAES)、ポリ(アリーレンスルフィド)(PAS)、ポリ(フタルアミド)(PPA)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、液晶ポリマー(LCP)、ポリ(芳香族エステル)(PAE)、及びそれらのブレンドからなる群から独立して選択される、請求項1~34のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項36】
ポリマー(P1)及びポリマー(P2)が、ポリ(アリールエーテルケトン)(PAEK)、ポリ(エーテルイミド)(PEI)、ポリ(アミドイミド)(PAI)、ポリ(アリールエーテルスルホン)(PAES)、ポリ(アリーレンスルフィド)(PAS)、ポリ(フタルアミド)(PPA)、及びそれらのブレンドからなる群から独立して選択される、請求項1~34のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項37】
ポリマー(P1)及び/又はポリマー(P2)が、PEEK及びPEKKからなる群から独立して選択される、請求項1~36のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項38】
ポリマー(P1)及び/又はポリマー(P2)が、PEEK及びPEKKからなる群から独立して選択され、
PEEKが、前記繰り返し単位の少なくとも10モル%が式(J-A’’):
【化3】
の繰り返し単位(RPEEK)である任意のポリマーを示し、前記モル%は前記ポリマー中の繰り返し単位の総モル数に基づくものであり、
且つ
PEEKが、少なくとも50モル%の式(J’-B)及び(J’-B):
【化4】
の繰り返し単位を含む任意のポリマーを示し、前記モル%は前記ポリマー中の繰り返し単位の総モル数に基づくものである、請求項1~37のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項39】
ポリマー(P1)及びポリマー(P2)が、55/45~85/15、好ましくは57/43~80/20、より好ましくは58/42~75/25の範囲のT/I比を有するPEKKポリマー及びこれらの混合物から独立して選択される、請求項1~38のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項40】
- 前記第1の構成要素が、繊維とポリマー(P1)とを含む1つ以上の層を含む複合材料であり、
- 前記第2の構成要素が、繊維とポリマー(P2)とを含む1つ以上の層を含む複合材料である、及び/又は
- 前記フィルムが、少なくとも1つのスクリム、不織布、又は軽量布地を含む、
請求項1~39のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項41】
請求項1~40のいずれか一項に記載のアセンブリを製造する方法であって、
- ポリマー(P1)を含む第1の構成要素とポリマー(P2)を含む第2の構成要素との間に前記フィルムを配置する工程;及び
- 前記フィルムを溶融するがポリマー(P1)及びポリマー(P2)を融解しないために適した温度(T )に前記フィルムをさらす工程、
を含む、方法。
【請求項42】
(T )が式(3)又は(4)を満たす、請求項41に記載の方法:
>T+5 (3)
>T+10 (4)
(式中、Tは前記フィルムの溶融温度(℃)である)。
【請求項43】
温度(T )が、前記フィルムの前記溶融温度よりも高く、好ましくはポリマー(P1)及びポリマー(P2)の前記融解温度よりも低い、請求項41又は42に記載の方法。
【請求項44】
(T )が式(7)及び/又は(8)を満たす、請求項41~43のいずれか一項に記載の方法:
<Tm1-5 (7)、
<Tm2-5 (8)、
(式中、Tm1及びTm2は、それぞれポリマー(P1)及び(P2)の融解温度である)。
【請求項45】
(T )が式(9)及び/又は(10)を満たす、請求項41~43のいずれか一項に記載の方法:
<Tm1-10 (9)、
<Tm2-10 (10)、
(式中、Tm1及びTm2は、それぞれポリマー(P1)及び(P2)の融解温度である)。
【請求項46】
前記温度(T )が280℃~340℃で変化する、請求項41~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記フィルムが前記温度(T )にさらされている間に圧力が加えられて前記構成要素がコンソリデーションされる、請求項41~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
好ましくはブラケット、クリップ、及び補強材からなる群から選択される、請求項1~40のいずれか一項に記載のアセンブリを含む部品又は物品。
【請求項49】
航空宇宙産業又は自動車産業用の部品又は物品を製造するための物品又は部品を製造するための、請求項1~40のいずれか一項に記載のアセンブリの使用。
【請求項50】
請求項1~49のいずれか一項に記載のポリマー(P1)及び(P2)から製造される2つの部品を接合するための、請求項1~32のいずれか一項に記載のブレンドの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年2月22日に出願された米国仮特許出願第63/151822号及び2021年6月25日に出願された欧州特許出願第21181639.2号に基づく優先権を主張し、その内容はあらゆる目的で参照により本明細書に完全に組み込まれる。本出願とこのPCT出願との間に用語又は表現の明確さに影響を与える何らかの矛盾がある場合には、本出願のみが参照されるものとする。
【0002】
本発明の分野は、ポリマー複合材料の分野である。本発明は、第1の構成要素と、第2の構成要素と、フィルムとを含むアセンブリであって、各構成要素がポリマーを含み、フィルムが第1の構成要素と第2の構成要素との間に配置されており且つ第1の構成要素と第2の構成要素とに接合されている、アセンブリに関する。このフィルムは、異なるT/I比を有する少なくとも2種のポリ(エーテルケトンケトン)(PEKK)ポリマーのブレンドを含むものである。このアセンブリは、特に航空宇宙産業及び自動車産業向けの部品及び物品を製造するために使用することができる。
【背景技術】
【0003】
多くの産業、特に航空宇宙産業内では、積層体、複合材料、及び多層の異なる材料からなる他のアセンブリが大いに使用されており、各々の材料が最終アセンブリに特定の特性をもたらしている。複合材料又は積層体を利用するのに必要とされ得る異なる層の間に、満足度の高い直接的な接着又は接合を達成することは、しばしば困難であることが証明されている。複合層の間で適合性が乏しいと、そのようなアセンブリに提示される特性が制限される可能性がある。特に、特定の熱可塑性ポリマー(特に結晶性及び/又は高温熱可塑性物質)は、他の材料との接着性に乏しいことが示されており、アセンブリを極めて厳しい環境で使用する状況に置かれた場合、剥離及び構造的一体性が失われるという問題がもたらされる。
【0004】
熱可塑性構成要素を共に固定及び/又は接合するための多数の技術が提案されている。特に、第1及び第2の熱可塑性構成要素を共に固定するために、超音波溶接、誘導溶接及び熱板溶接などの多くの異なる溶接プロセスが提案されている。しかしながら、第1及び第2の部品が溶接領域で局所的に融解することにより、部品の一体性及び/又は形状に影響を及ぼす可能性がある。また、溶接領域の熱可塑性物質を融解及び/又は冷却する間に、部品に残留応力が蓄積することによって、変形が生じる可能性がある。
【0005】
溶接プロセスに関連する問題のいくつかに対処するために、フィルム及び/又は接着剤を部品及び/又は層の間に設け、それらを共に接合することが提案されている。
【0006】
国際公開第2011/001103A2号パンフレットには、複合材料や積層体などのアセンブリにおける結合層としての非晶質ポリ(エーテルケトンケトン)(PEKK)フィルムの使用が記載されている。しかしながら、フィルムが非晶質性である場合、航空宇宙産業において構造物用途に使用するのに好適であるとは見なされない。一般的見地として、非晶質材料を複合材料の接合層として使用すると、耐溶剤性などの特性が相対的に低い、構造物の最も弱い部分となる可能性がある。したがって、接合部が液体に腐食されやすくなり、構造物の早すぎる破損をもたらす可能性がある。
【0007】
国際公開第2015/198063A1号パンフレットには、ポリアリールエーテルケトンポリマー、特にPEEKを含む第1の部品と第2の部品との間の接着剤として、PEEK-PEDEKポリマー、すなわち、式
-O-Ph-O-Ph-CO-Ph- I
の繰り返し単位と、式
-O-Ph-Ph-O-Ph-CO-Ph- II
の繰り返し単位
(式中、Phはフェニレン部分を表す)とを有するポリマーを含む、ポリマー材料の使用が開示されている。しかしながら、PEEK-PEDEKポリマーの機械的特性は、他のポリアリールエーテルケトンポリマーほど優れたものではない。
【0008】
米国特許出願公開第2021/039369号明細書には、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)と炭素繊維とを含む構造が開示されており、PEKKポリマーは開示されていない。国際公開第2018/115033号パンフレットには、請求項1のアセンブリも本発明のPEKKのブレンドも開示されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
改善された耐薬品性及び改善された機械的特性を示すアセンブリを製造するために、ポリマー製の2つの構成要素(又は部品)を一体に強固に接合可能なフィルムが求められている。フィルムは、接合される2つの構成要素の融解温度よりも低い温度で、有利には340℃よりも低い温度で処理される必要がある。
【0010】
本発明はこの技術的問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、添付の特許請求の範囲に記載されている。したがって、本発明の目的は、請求項1~40に記載のアセンブリである。
【0012】
本発明の別の目的は、請求項41~47のいずれか一項に記載のアセンブリの製造方法である。
【0013】
本発明の別の目的は、請求項48に記載の部品又は物品である。
【0014】
本発明の別の目的は、請求項49又は請求項50に記載の使用である。
【0015】
別の目的は、PEKK1と、PEKK2と、任意選択的な少なくとも1種の核剤とのブレンドを含む組成物である。
【0016】
これらの目的についてのより正確且つ詳細な事項を以降で提供する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、異なる材料の複数の層を含む積層体、複合材料、及び他のアセンブリの分野であり、各材料はアセンブリに特定の特性を付与する。これらのアセンブリは、同じであっても又は異なっていてもよい少なくとも2つの構成要素と、本明細書で「接合フィルム」と呼ばれる場合がある少なくとも1つのフィルムとを含む。
【0018】
本開示に記載される使用されるフィルムは、アセンブリ構造、特にポリ(アリールエーテルケトン)(PAEK)ポリマーから製造されるアセンブリ構造においてポリマー構成要素を接合するためによく適した一連の特性を示す。これらのフィルムは、少なくとも2種のポリ(エーテルケトンケトン)(PEKK)ポリマー(PEKK1、PEKK2)のブレンドを含み、PEKK1とPEKK2は、異なるモルT/I比(本明細書では、同じ意味で繰り返し単位(P)と繰り返し単位(M)のモル比とも呼ばれる)を有するという点で互いに異なる。このPEKKブレンドは、航空宇宙産業における複合材料構造の場合のように、耐薬品性と機械的特性が必要とされるアセンブリ構造によく適した結晶性を示す。
【0019】
PEKKポリマーは、ポリマー中に存在するイソフタロイル(I)部位に対するテレフタロイル(T)部位のモル比であるT/I比によって特徴付けられることが知られている。
【0020】
本明細書に記載のフィルムは、有利なことに、接合されるポリマー系の構成要素と適合性を有する。
【0021】
本出願では、
- いずれの記載も、特定の実施形態に関連して記載されているとしても、本開示の他の実施形態に適用可能であり、且つそれらと交換可能であり、
- 要素又は成分が、列挙された要素又は成分のリストに含まれ、且つ/又はリストから選択されると言われる場合、本明細書で明示的に企図される関連する実施形態では、要素又は成分は、個別の列挙された要素若しくは成分の任意の1つでもあり得るか、又は明示的に列挙された要素若しくは成分の任意の2つ以上からなる群からも選択され得、要素又は成分のリストに列挙されたいかなる要素又は成分も、このようなリストから省略され得ることが理解されるべきであり、
- 端点による数値範囲の本明細書でのいかなる列挙も、列挙された範囲内に包含される全ての数並びに範囲の端点及び同等物を含む。
【0022】
本発明の第1の目的は、
- ポリマー(P1)を含む第1の構成要素と、
- ポリマー(P2)を含む第2の構成要素と、
- 第1の構成要素と第2の構成要素と間に配置されており且つこれらに接合しているフィルムと、を含むアセンブリであって、
フィルムが、少なくとも2種のポリ(エーテルケトンケトン)(PEKK)ポリマー(PEKK1、PEKK2)のブレンドを含み、PEKKポリマーが、ポリマーの総モル数を基準として少なくとも50モル%の式(M)及び(P):
【化1】
の繰り返し単位を含み、
これらの式中、
- R及びRが、それぞれの場合において、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ金属又はアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ金属又はアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン、及び第四級アンモニウムからなる群から独立して選択され;
- i及びjが、それぞれの場合において、0~4の範囲の独立して選択される整数であり;
PEKK1とPEKK2が、繰り返し単位(M)に対する繰り返し単位(P)の異なるモル比(T/I比とも呼ばれる)を有する点で互いに異なる;
アセンブリである。
【0023】
2種のPEKKは、技術的課題の解決を可能にする以下で詳述する特定の特徴を提供する特定の方法によって調製される。
【0024】
本発明との関係において、「接合された」という用語は、一方が他方に、又は互いに、好ましくは永久的に、構成要素が結合していることを意味する。
【0025】
アセンブリのフィルムは、少なくとも1種の核剤を更に含んでいてもよい。
【0026】
フィルムは、スクリム及び/又は不織布系補強材及び/又は軽量布地を含んでいてもよく、これらはメルトフローを調節するのに役立つ、及び/又は接合する均一な表面を提供するだけでなく、ボンドラインの局所的な形態に影響を与える可能性がある。
【0027】
本発明のアセンブリは、構築される複合材料部品に応じて、追加の構成要素(第3、第4、第5、…)及びフィルムも含み得る。例えば、本発明のアセンブリは、ポリマー(P3)を含む第3の構成要素と、第2と第3の構成要素の間のフィルムとを含んでもよく、この追加のフィルムが第2と第3の構成要素を一体に結び付ける。
【0028】
PEKKポリマー(PEKK1、PEKK2)
本明細書に記載のポリ(エーテルケトンケトン)(PEKK)ポリマーは、式(M)及び(P)の繰り返し単位を少なくとも50モル%含むものであり、モル%は、ポリマーにおける総モル数を基準とする:
【化2】
(これらの式中、
- R及びRは、それぞれの場合において、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ金属又はアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ金属又はアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン、及び第四級アンモニウムからなる群から独立して選択され;
- i及びjは、それぞれの場合において、0~4の範囲の独立して選択される整数である)。
【0029】
一実施形態によれば、R及びRは、上の式(P)及び(M)のそれぞれの位置において、1つ以上のヘテロ原子を任意選択的に含むC1~C12部位;スルホン酸及びスルホネート基;ホスホン酸及びホスホネート基;アミン及び第四級アンモニウム基;からなる群から独立して選択される。
【0030】
本開示の一実施形態によれば、フィルム中のPEKKポリマー(PEKK1、PEKK2)のうちの少なくとも一方、好ましくはPEKK1とPEKK2の両方における繰り返し単位の少なくとも55モル%、少なくとも60モル%、少なくとも70モル%、少なくとも80モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、少なくとも99モル%、又は全てが、式(M)及び式(P)の繰り返し単位である。
【0031】
一実施形態では、PEKKポリマー(PEKK1、PEKK2)のうちの少なくとも一方、好ましくはPEKK1とPEKK2の両方の実質的に全ての繰り返し単位が、式(M)及び式(P)の繰り返し単位である。一実施形態では、PEKKポリマー(PEKK1、PEKK2)のうちの少なくとも一方、好ましくはPEKK1とPEKK2の両方の繰り返し単位が、式(M)と式(P)の繰り返し単位からなる。
【0032】
別の好ましい実施形態によれば、i及びjは、各R及びR基についてゼロである。この実施形態によれば、フィルム中のPEKKポリマー(PEKK1、PEKK2)のうちの少なくとも一方、好ましくはPEKK1とPEKK2の両方が、少なくとも50モル%の式(M’)及び式(P’)の繰り返し単位を含み、モル%は、ポリマーにおける総モル数を基準とする:
【化3】
【0033】
本開示の一実施形態によれば、フィルム中のPEKKポリマー(PEKK1、PEKK2)のうちの少なくとも一方、好ましくはPEKK1とPEKK2の両方における繰り返し単位の少なくとも55モル%、少なくとも60モル%、少なくとも70モル%、少なくとも80モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、少なくとも99モル%、又は全てが、式(M’)及び式(P’)の繰り返し単位である。
【0034】
一実施形態では、PEKKポリマー(PEKK1、PEKK2)のうちの少なくとも一方、好ましくはPEKK1とPEKK2の両方の実質的に全ての繰り返し単位が、式(M’)及び式(P’)の繰り返し単位である。一実施形態では、PEKKポリマー(PEKK1、PEKK2)のうちの少なくとも一方、好ましくはPEKK1とPEKK2の両方の繰り返し単位が、式(M’)と式(P’)の繰り返し単位からなる。
【0035】
本発明によれば、PEKK1の繰り返し単位(P)対繰り返し単位(M)のモル比(本明細書では「PEKK1のT/I比」とも呼ばれる)は、PEKK2の繰り返し単位(P)対繰り返し単位(M)のモル比(PEKK2のT/I比)とは異なる。
【0036】
いくつかの実施形態では、PEKK1のT/Iモル比は:
- 少なくとも50/50、好ましくは少なくとも54/46、より好ましくは少なくとも56/44、最も好ましくは少なくとも57/43、及び/又は
- 最大64/36、好ましくは最大63/37、より好ましくは最大62/38
である。PEKK1のT/Iモル比は、50/50~64/36が適切である。
【0037】
いくつかの実施形態では、PEKK2のT/Iモル比は:
- 少なくとも65/35、好ましくは少なくとも66/34、より好ましくは少なくとも67/33、及び/又は
- 最大85/15、好ましくは最大83/17、より好ましくは最大82/18
である。PEKK2のT/Iモル比は、65/35~85/15が適切である。
【0038】
いくつかの実施形態では、アセンブリフィルムは、フィルム中のPEKK1対PEKK2の重量比が少なくとも65/35、より好ましくは少なくとも70/30、更に好ましくは少なくとも75/25である、及び/又は最大99/1、好ましくは最大97/3、更に好ましくは最大96/4である。
【0039】
重量比PEKK1/PEKK2は、65/35~99/1が適切である。重量比は、80/20~99/1、又は90/10~99/1が適切な場合がある。
【0040】
いくつかの実施形態では、アセンブリフィルムは、PEKK1がPEKKブレンドの50~95重量%、例えば60~90重量%、又は70~85重量%を占めるものである。
【0041】
本開示の一実施形態によれば、本明細書に記載のフィルム中の少なくとも1種のPEKKポリマー(PEKK1、PEKK2)、又は好ましくはPEKKブレンドは、ASTM D3418に準拠した示差走査熱量測定(DSC)によって測定される、270~340℃、好ましくは280~330℃の範囲の融解温度Tmを有する。Tmは、より好ましくは280~320℃、最も好ましくは280~310℃である。
【0042】
より具体的には、Tmは、ASTM D3418に準拠して、10℃/分の加熱及び冷却速度を使用するDSCによって測定される。Tmは2回目の加熱走査で決定される。次のサイクルに従うことができる:
- 1回目の加熱サイクル:10.00℃/分で30.00℃~400.00℃、400.00℃で1分間等温;
- 1回目の冷却サイクル:10.00℃/分で400.00℃~30.00℃、1分間等温;
- 2回目の加熱サイクル:10.00℃/分で30.00℃~400.00℃、400.00℃で1分間等温。
【0043】
本開示の一実施形態によれば、本明細書に記載のフィルムに使用されるPEKKポリマーブレンドは、融解熱ΔHfが以下の式を満たすものである:
ΔH>1.69×T-480 (式1)
(式中、
- TはPEKKの融解温度(℃)であり、
- ΔHはJ/g単位である)。
【0044】
このような式は、本発明との関係においては、所定の融解温度(Tm)における許容可能な結晶化度のブレンドを、同じTmにおける許容できない結晶化度のブレンドから区別する経験式である。
【0045】
本開示の一実施形態によれば、本明細書に記載のフィルムに使用されるPEKKポリマーブレンドは、融解熱ΔHfが少なくとも5.0J/g、少なくとも6.0J/g、又は少なくとも7.0J/gであるものである。
【0046】
より具体的には、融解熱は、ASTM D3418に準拠して、10℃/分の加熱及び冷却速度を使用して、2回目の加熱走査でDSCによって測定された。次のサイクルに従うことができる:
- 1回目の加熱サイクル:10.00℃/分で30.00℃~400.00℃、400.00℃で1分間等温;
- 1回目の冷却サイクル:10.00℃/分で400.00℃~30.00℃、1分間等温;
- 2回目の加熱サイクル:10.00℃/分で30.00℃~400.00℃、400.00℃で1分間等温。
【0047】
PEKKポリマーの合成
PEKKポリマーの合成は、文献に記載されており、典型的には、PEKKポリマーを得るために溶媒中でモノマーを重縮合する工程並びに溶媒及び塩を抽出する工程を含む。
【0048】
本発明の好ましい実施形態では、モノマーの重縮合は、ルイス酸の非存在下で起こるか、又はモノマーの総重量に基づいて2重量%未満、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満の量のルイス酸の存在下で起こる。
【0049】
本発明との関係において、ルイス酸は、BF、AlCl、FeCl、CFSOH及びCHSOHからなる群から選択されるものとして定義され得る。
【0050】
好ましい実施形態では、PEKKポリマーの合成は、
工程a)溶媒中、ルイス酸の非存在下又はモノマーの総重量に基づいて2重量%未満、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満の量のルイス酸の存在下において、以下のモノマー(P-OH)、(M-OH)、(P-F)及び/又は(M-F):
【化4】
(これらの式中、
- R、R、R及びRは、それぞれの場合において、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ又はアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ又はアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン及び第四級アンモニウムからなる群から独立して選択され、
- p、q、r及びsは、それぞれの場合において、0~4から独立して選択される)
を重縮合する工程であって、
(P-OH)及び(M-OH)のモル数対(P-F)及び(M-F)のモル数のモル比が、
【数1】
好ましくはモル比が、≧対0.985、≧対0.990又は≧対0.995であり、
好ましくはモル比が、≦対1.015、≦対1.010又は≦対1.005である
工程、
工程b)粉末を得るために溶媒及び塩を抽出する工程、
を含む。
【0051】
好ましくは、p=q=r=s=0である。
【0052】
上記の方法は、揮発分が少ないPEKK粉末を製造する。一実施形態によれば、PEKKポリマーは、10℃/分の加熱速度を用いて窒素下で30℃から800℃まで加熱する、ASTM D3850に従った熱重量分析で測定されたとき、少なくとも500℃、好ましくは505℃、より好ましくは510℃のTd(1%)を有する。Td(1%)は、決められた量の揮発性物質(=1.0重量%)がサンプルから離れる温度を表す。
【0053】
一実施形態では、R、R、R、及びRは、上記の式(P-OH)、(P-F)、(M-OH)、及び(M-F)の各位置において、1つ以上のヘテロ原子を任意選択的に含むC1~C12部位;スルホン酸及びスルホネート基;ホスホン酸及びホスホネート基;アミン及び第四級アンモニウム基;からなる群から独立して選択される。
【0054】
T/I比は、(P-F)+(P-OH)及び(M-F)+(M-OH)の量によって制御される。
【0055】
好ましい実施形態によれば、PEKKポリマーが生じる重縮合には、以下のモノマー:(P-OH)、(M-OH)、及び(P-F)のみが関与する。
【0056】
工程a):工程a)の重縮合は、求核置換に基づく。重縮合は、NaCO、KCO、又はこれらの組み合わせの群の中で選択される少なくとも1種の塩基の塩の存在下、DPSなどの溶媒中で行われる。工程a)の温度は、通常250℃~350℃、より具体的には300℃~350℃である。
【0057】
塩基の量は、好ましくはモノマーの全てのOH基を活性化するために十分な量である必要がある。塩基の量は、通常OH基の量よりわずかに多い。1.0~5.0%のモル過剰量が使用されてもよい。
【0058】
一実施形態によれば、塩基は溶媒とモノマーとを含む混合物に添加され、混合物は好ましくは250℃よりも高い温度、特には250℃~350℃である。塩基の導入時間は、10分~120分、好ましくは30分~90分であってよい。
【0059】
別の好ましい実施形態によれば、重縮合の最後に、モノマー(P-F)及び/又は(M-F)、好ましくは(P-F)が混合物に添加される。これにより、フッ素末端基がPEKKポリマーに確実に含まれる。
【0060】
工程b)では、工程a)で得られたポリマーが処理されて、溶媒及び塩が除去される。例えば、工程b)は、ポリマーを、水、アルコール、エーテル、ケトン、及びこれらの組み合わせの群の中で選択される液体と接触させることによって行うことができる。液体は、水と、水、アルコール、エーテル、ケトン、及びこれらの組み合わせの群の中で選択される液体との混合物であることが便利な場合がある。液体は、酸又は塩基も含んでいてもよい。
【0061】
合成アプローチは、PEKKを、リン酸二水素ナトリウム(NaHPO)、リン酸水素二ナトリウム(NaHPO)、リン酸二水素カリウム(KHPO)及びリン酸水素二カリウム(KHPO)、又はこれらの混合物のうちの少なくとも1つの溶液と接触させる工程、好ましくはPEKKをそれらで洗浄する工程を伴い得る。例えば、PEKKを、溶液、例えばNaHPO及びNaHPOの両方を含む水溶液と接触させる(例えばそれらで洗浄する)ことができる。本明細書で用いられる溶液で使用されるリン酸塩は、例えば、無水物、一水和物、二水和物又は七水和物であり得る。
【0062】
PEKKポリマーをリン酸二水素ナトリウム(NaHPO)、リン酸水素二ナトリウム(NaHPO)、リン酸二水素カリウム(KHPO)及びリン酸水素二カリウム(KHPO)又はこれらの混合物の少なくとも1つの溶液と接触させる工程に加えて、合成アプローチは、PEKKを接触させる少なくとも1つの工程、好ましくはPEKKを、PEKKポリマーを中和するのに十分な量の酸又は塩基を含む溶液で洗浄する工程も伴い得る。
【0063】
好適な酸及び塩基としては、アルコール、ケトン、アミド、芳香族炭化水素などの有機溶媒中又は溶媒の沸点より低い温度の水中で少なくとも0.1重量%の溶解度を示す任意の有機又は無機の酸又は塩基が挙げられる。好ましくは、溶媒は、最大で250℃、より好ましくは最大で150℃、最も好ましくは最大で100℃の沸点を有する。好ましくは、酸は、3.0~7.5の範囲のpKを有し、好ましくは、塩基は、-1.0~8.0の範囲のpKを有する。
【0064】
いくつかの実施形態では、酸は、酢酸、一アルカリ金属クエン酸及びこれらの組み合わせから選択される。
【0065】
いくつかの実施形態では、塩基は、有機アミン、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド、テトラアルキルアンモニウムアセテート、テトラアルキルホスホニウムヒドロキシド、テトラアルキルホスホニウムアセテート、アルカリ金属又はアルカリ土類金属ヒドロキシド、アルカリ金属又はアルカリ土類金属一水素リン酸、アルカリ金属又はアルカリ土類金属リン酸及びこれらの組み合わせから選択される。
【0066】
好ましい溶媒は、水、アルコール、エーテル、又はケトンであり、沸点が最大で150℃であるが、少なくとも0.1重量%の酸又は塩基を溶解することができ、PEKKポリマーと不利に反応しない任意の溶媒を使用することができる。好ましくは、溶媒は、水、メタノール、エタノール、プロパノール又はイソプロパノールである。より好ましくは、溶媒は、水、メタノール又はエタノールである。いくつかの実施形態では、2つ以上の溶媒を使用することができる。
【0067】
PEKKポリマーは、より具体的には、実施例1~2に開示されたレシピに従って調製することができ、T/I比は、重縮合に使用されるモノマーの量を変えることによって修正及び調整される(表1及び1’を参照)。
【0068】
本明細書に開示の調製方法は、一般的に又は開示される特定の実施形態に従って、以下の特性のうちの1つ以上を有する特定のPEKK1及びPEKK2を得ることを可能にする:
- PEKKポリマーが、通常100ppmを超える量、好ましくは200ppmを超える量、更に好ましくは300ppmを超える量のフッ素を含む。そのようなポリマーに結合したフッ素は、フッ素含有モノマー使用の避けられないフィンガープリントである;
- PEKKポリマーがアルミニウムを実質的に含まない。PEKKポリマー中のAlの量は、通常50ppm未満、好ましくは25ppm未満、より好ましくは10ppm未満である;
- PEKKポリマーが、10℃/分の加熱速度を用いて窒素下で30℃から800℃まで加熱する、ASTM D3850に従った熱重量分析で測定されたときに、少なくとも500℃、好ましくは少なくとも505℃、より好ましくは少なくとも510℃のTd(1%)を有する。
【0069】
Al及びFの含有量は、AlについてのICP-OES分析及びフッ素についての燃焼-イオンクロマトグラフィーなどの、元素分析によって都合よく測定される。
【0070】
核剤
本発明によれば、フィルムは少なくとも1種の核剤を更に含み得る。核剤は、ホウ素含有化合物(例えば、窒化ホウ素、四ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸カリウム、四ホウ酸カルシウムなど)、アルカリ土類金属炭酸塩(例えば、炭酸カルシウムマグネシウム)、酸化物(例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、三酸化アンチモンなど)、シリケート(例えば、タルク、ケイ酸ナトリウムアルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウムなど)、アルカリ土類金属の塩(例えば、炭酸カルシウム、硫酸カルシウムなど)、窒化物などからなる群から選択され得る。核剤はまた、炭素系であり得る。このカテゴリーの核剤には、グラファイト、グラフェン、グラファイトナノプレートレット及び酸化グラフェンが含まれる。カーボンブラック並びに炭素の他の形態であってもよい。
【0071】
核剤が窒化ホウ素であった場合に特に良好な結果が得られた。
【0072】
核剤の割合は、通常2.0重量%未満、更には1.5重量%未満であり、この割合はPEKKポリマーの重量に対するものである。この割合は通常0.1重量%よりも高く、更には0.5重量%よりも高い。この割合は、通常0.5~2.0重量%又は0.5~1.5重量%である。
【0073】
その他の添加剤
いくつかの実施形態では、フィルムは、PEKKポリマーと任意選択的な核剤以外の追加の成分として、少なくとも1種の添加剤を含む。好適な添加剤としては、(i)染料などの着色剤、(ii)二酸化チタン、硫化亜鉛及び酸化亜鉛などの顔料、(iii)光安定剤、例えばUV安定剤、(iv)熱安定剤、(v)有機ホスファイト及びホスホナイトなどの酸化防止剤、(vi)酸スカベンジャー、(vii)加工助剤、(ix)内部潤滑剤及び/又は外部潤滑剤、(x)難燃剤、(xi)煙抑制剤、(x)帯電防止剤、(xi)ブロッキング防止剤、(xii)カーボンブラック及びカーボンナノフィブリルなどの導電性添加剤、(xiii)可塑剤、(xiv)流動調整剤、(xv)増量剤、(xvi)金属不活性化剤、並びに(xvii)シリカなどの流動助剤が挙げられるが、それらに限定されない。フィルムは、上で列挙した同じカテゴリー又は異なるカテゴリーの1種の添加剤、2種、3種、又は複数の添加剤、例えば1種の熱安定剤と1種の顔料とを含んでいてもよい。
【0074】
これらの実施形態によれば、そのような添加剤の量は、フィルムの総重量を基準として20重量%未満、好ましくは10重量%未満、より好ましくは5重量%未満、更に好ましくは2重量%未満の添加剤、最も好ましくは1重量%未満である。
【0075】
別の実施形態では、フィルムは充填剤を含まないか、又は0.5重量%未満、好ましくは0.1重量%未満の任意の充填剤を含む。
【0076】
別の実施形態では、フィルムは充填剤を全く含まないが、後述するスクリム、不織布、又は軽量布地などの「強化繊維質繊維」を含む。「強化繊維質繊維」という用語は、複合材料構造の強化に適した1種以上の繊維質材料、すなわち「強化繊維」を含み得る。「繊維」という用語は、少なくとも0.5mmの長さを有する有機及び/又は無機の繊維を指すために本明細書では用いられる。
【0077】
本明細書に記載のフィルムは、少なくとも2種のPEKKポリマーのブレンドであるポリマー成分と、任意選択的な少なくとも1種の核剤とを含む。本明細書で使用される「ポリマー成分」という用語は、繰り返し単位を有し、且つ少なくとも2,000g/モルの分子量を有する化合物を意味する。
【0078】
いくつかの実施形態では、上で詳述したPEKKポリマーは、フィルム中の唯一のポリマー成分である。
【0079】
いくつかの別の実施形態では、フィルムのポリマー成分は、本明細書に記載の2種より多いPEKKポリマーのブレンド、例えば異なるポリマーのブレンドを含む。
【0080】
例えば、フィルムのポリマー成分は、PEKK1と、PEKK2と、1種の追加の別個のポリマーとのブレンドであって、ポリマー成分の少なくとも60重量%が上記PEKKブレンドからなり、40重量%未満が上記PEKKブレンドとは異なる少なくとも1種のポリマーから構成されていてもよい。別の例として、フィルムのポリマー成分は、少なくとも70重量%の上記PEKKブレンドと、上記PEKKブレンドとは異なる30重量%未満の少なくとも1種のポリマーとからなる。更に別の例として、フィルムのポリマー成分は、少なくとも80重量%の上記PEKKブレンドと、上記PEKKブレンドとは異なる20重量%未満の少なくとも1種のポリマーとからなる。別の例として、フィルムのポリマー成分は、少なくとも90重量%の上記PEKKブレンドと、上記PEKKブレンドとは異なる10重量%未満の少なくとも1種のポリマーとからなる。
【0081】
いくつかの実施形態では、フィルムのポリマー成分は、上記PEKKブレンドとは異なるポリマーを3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、又は0.5重量%未満含む。
【0082】
このような別個のポリマーは、ポリ(アリールエーテルスルホン)(PAES)ポリマー及びポリ(アリールエーテルケトン)(PAEK)ポリマーからなる群から選択することができる。追加のポリマー成分がPAESポリマーである場合、これは、ポリスルホン(PSU)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、及びポリ(エーテルスルホン)(PES)からなる群から選択され得る。追加のポリマー成分がPAEKポリマーである場合、これは、有利には、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)ポリマー、ポリ(エーテルケトンケトン)(PEKK)ポリマー、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)、及びPEEK-PEDEKコポリマーからなる群から選択され得る。追加のポリマー成分は、ポリエーテルイミド(PEI)又はポリ(アミドイミド)(PAI)などのポリイミドであってもよい。
【0083】
特定の実施形態では、フィルムは、少なくとも90重量%のPEKKブレンドと少なくとも1種の添加剤とを含む。最も好ましくは、フィルムは、フィルムの総重量を基準として少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも98重量%のPEKKブレンドと少なくとも1種の添加剤とを含む。
【0084】
スクリム、不織布、及び軽量補強材
アセンブリのフィルムは、メルトフローを調節するのに役立つ、及び/又は接合する均一な表面を提供するだけでなく、ボンドラインの局所的な形態に影響を与える可能性がある、スクリム及び/又は不織布系補強材及び/又は軽量布地を追加的に含み得る。
【0085】
本明細書に記載のフィルムは、有利にはスクリム又はスクリム層を含み得る。スクリムは、天然織布、合成織布、不織布、編物(限定するものではないが緯糸挿入編物など)、又はプラスチックから製造することができる。
【0086】
本明細書に記載のフィルムは、不織布又は繊維ウェブとも呼ばれる不織布を有利に含むこともできる。
【0087】
そのようなスクリム、不織布、又は軽量布地は、均一なボンドラインの厚さを維持するのに役立つため有利である。
【0088】
フィルムの製造方法
本明細書に記載のフィルムは、15~800μm、25~600μm、好ましくは30~500μm、より好ましくは40~300μm、最も好ましくは50~250μmの範囲の厚さを有し得る。
【0089】
本記載のフィルムは、ポリマー加工における当該技術分野で公知のあらゆる従来の方法によって製造することができる。例えば、フィルムの構成要素は、任意選択的に一軸又は二軸延伸を伴うキャスト押出によってフィルムの形態に加工することができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、フィルムの作製方法は、フィルムの成分の物理的混合物を融解混練することを含む。共回転及び逆回転押出機、一軸押出機、コニーダー、ディスクパックプロセッサー並びに様々な他のタイプの押出装置などの従来の融解混練装置を使用することができる。好ましくは、押出機、より好ましくは二軸押出機を使用することができる。
【0091】
いくつかの実施形態では、物理的混合物は、押出機内で混練され、その後、ペレット又は顆粒に細断される。その後、顆粒又はペレットを更に加工して、フィルムを製造することができる。
【0092】
或いは、物理的混合物は、押出機内で混練され、その後フィルムに直接成形される。フィルムの製造に特に適した技術は、融解した組成物を細長い形状のダイを通して押し出して押出テープを得、前記押出テープをキャスト/カレンダー加工してフィルムを得ることを伴う。テープは、適切なロールに通すことによって圧延してフィルムにすることができ、ロールは適切な温度で維持することができ、その速度は要求される厚さを達成するように調整することができる。フィルムの厚さは、ダイで調整される。フィルムを固化させるために使用した冷却温度に応じて、完成(押出)形態のフィルムを非晶質又は半結晶にすることができる。
【0093】
一実施形態によれば、フィルムの成分はDPSなどのPEKKの溶媒と接触させられ、ポリマーが溶媒に完全に又は部分的に溶解する温度で混合物が撹拌される。その後、溶媒は、例えば上で既に開示された方法を用いて抽出される。実施例で開示される溶液ブレンドは、この実施形態を例示する。
【0094】
有利な実施形態では、フィルムは単層フィルムである。すなわちPEKKブレンドを含む1層のみから構成される。
【0095】
フィルムがスクリム、不織布、又は軽量布地を含む場合、これらの強化層又は布地系補強材は、APCプロセス、スラリー含浸プロセス、又はフィルム積層などの様々な方法によってPEKKポリマーブレンドで含浸することができる。例えば、方法は、
- ポリマー粉末粒子の形状のPEKKブレンド成分と、少なくとも水性溶媒と、少なくとも1種の界面活性剤とを含む液体媒体中に布地を含浸すること、
- 含浸した布地をPEKKの融解温度より上に加熱すること、及び
- 例えば特定の形状の少なくとも1つのダイを使用して生地を成形すること、
を含み得る。
【0096】
ポリマー(P1)及び(P2)
「ポリマー(P1)を含む第1の構成要素」という表現は、少なくとも1つの表面、特にポリマー(P1)を含む接合フィルムと接触する表面を有する構成要素を指すために本明細書で使用される。第1の構成要素は、前記ポリマー(P1)から構成されてもよい。或いは、第1の構成要素は、ポリマー(P1)を含む1つの表面を含む。ポリマー(P1)を含む表面は、典型的に、接合フィルムとの接合を形成するのに好適な厚さを有する。前記厚さは、5μm以上であることが便利な場合がある。
【0097】
「ポリマー(P2)を含む第2の構成要素」という表現は、少なくとも1つの表面、特にポリマー(P2)を含む接合フィルムと接触する表面を有する構成要素を指すために本明細書で使用される。第2の構成要素は、前記ポリマー(P2)から構成されてもよい。或いは、第2の構成要素は、ポリマー(P2)を含む1つの表面を含む。ポリマー(P2)を含む表面は、典型的に、接合フィルムとの接合を形成するのに好適な厚さを有する。前記厚さは、5μm以上であることが便利な場合がある。
【0098】
ポリマー(P1)とポリマー(P2)は、同一であっても又は異なっていてもよい。
【0099】
ポリマー(P1)及びポリマー(P2)は、結晶性及び/又は高温熱可塑性ポリマーからなる群から独立して選択され得る。非限定的な例としては、限定するものではないが、ポリ(アリールエーテルケトン)(PAEK)、ポリ(エーテルイミド)(PEI)、ポリ(アミドイミド)(PAI)、ポリ(アリールエーテルスルホン)(PAES)、ポリ(アリーレンスルフィド)(PAS)、ポリ(フタルアミド)(PPA)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、液晶ポリマー(LCP)、ポリ(芳香族エステル)(PAE)、及びそれらのブレンドが挙げられる。
【0100】
好ましい実施形態では、ポリマー(P1)及びポリマー(P2)は、PAEK及びPAEKのブレンドからなる群から独立して選択される。PAEKは、例えば、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)ポリマー、PEEKコポリマー、ポリ(エーテルケトンケトン)(PEKK)ポリマー、ポリ(エーテルケトン)(PEK)及びポリ(エーテルケトンエーテルケトンケトン)(PEKEKK)からなる群から選択することができる。PEEKコポリマーは、例えばPEEK-PEDEKコポリマーであってよい。
【0101】
ポリ(アリールエーテルケトン)(PAEK)
本明細書で使用される場合、ポリ(アリールエーテルケトン)(PAEK)は、Ar’-C(=O)-Ar*基(式中、Ar’及びAr*は、互いに同じであるか又は異なり、芳香族基である)を含む繰り返し単位(RPAEK)を含む任意のポリマーを示し、モル%は、ポリマー中の繰り返し単位の総モル数に基づく。繰り返し単位(RPAEK)は、以下の式(J-A)~式(J-D)の単位からなる群から選択される:
【化5】
(式中、
R’は、各位置において、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ又はアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ又はアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン及び第四級アンモニウムからなる群から独立して選択され、
j’は、独立して、ゼロ又は1~4の範囲の整数である)。
【0102】
繰り返し単位(RPAEK)において、それぞれのフェニレン部分は、独立して、繰り返し単位(RPAEK)においてR’とは異なる他の部位への1,2-、1,4-又は1,3-結合を有し得る。好ましくは、フェニレン部分は、1,3-又は1,4-結合を有し、より好ましくは、それらは、1,4-結合を有する。
【0103】
繰り返し単位(RPAEK)において、フェニレン部分がポリマーの主鎖を連結するもの以外の他の置換基を有さないように、j’は、好ましくは、各位置においてゼロである。
【0104】
一実施形態によれば、PAEKは、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)である。
【0105】
本明細書で使用される場合、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)は、ポリマー中の繰り返し単位の総モル数に基づいて、式(J-A)の繰り返し単位(RPEEK)を含む任意のポリマーを示す:
【化6】
(式中、
R’は、各位置において、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ又はアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ又はアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン及び第四級アンモニウムからなる群から独立して選択され、
j’は、各R’について、独立して、ゼロ又は1~4の範囲の整数(例えば、1、2、3、又は4)である)。
【0106】
式(J-A)によれば、繰り返し単位(RPEEK)の各芳香環は、1~4のラジカル基R’を含み得る。j’が0である場合、対応する芳香環は、いかなるラジカル基R’も含まない。
【0107】
繰り返し単位(RPEEK)の各フェニレン部分は、互いに独立して、他のフェニレン部分への1,2-、1,3-又は1,4-結合を有し得る。ある実施形態によれば、繰り返し単位(RPEEK)の各フェニレン部分は、互いに独立して、他のフェニレン部分への1,3-又は1,4-結合を有する。更に別の実施形態によれば、繰り返し単位(RPEEK)の各フェニレン部分は、他のフェニレン部分への1,4-結合を有する。
【0108】
一実施形態によれば、R’は、上の式(J-A)中での各位置において、1つ以上のヘテロ原子を任意選択で含む、C1~C12部位、スルホン酸及びスルホネート基、ホスホン酸及びホスホネート基、アミン並びに第四級アンモニウム基からなる群から独立して選択される。
【0109】
一実施形態によれば、j’は、各R’についてゼロである。換言すれば、この実施形態によれば、繰り返し単位(RPEEK)は、式(J’-A):
【化7】
に従うものである。
【0110】
本開示の別の実施形態によれば、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)は、繰り返し単位の少なくとも10モル%が式(J-A’’):
【化8】
の繰り返し単位(RPEEK)(モル%は、ポリマー中の繰り返し単位の総モル数に基づく)である任意のポリマーを示す。
【0111】
本開示の一実施形態によれば、PEEK中の繰り返し単位の少なくとも10モル%(ポリマー中の繰り返し単位の総モル数に基づく)、少なくとも20モル%、少なくとも30モル%、少なくとも40モル%、少なくとも50モル%、少なくとも60モル%、少なくとも70モル%、少なくとも80モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、少なくとも99モル%又は全てが、式(J-A)、(J’-A)及び/又は(J’’-A)の繰り返し単位(RPEEK)である。
【0112】
PEEKポリマーは、そのため、ホモポリマー又はコポリマーであり得る。PEEKポリマーがコポリマーである場合、それは、ランダム、交互又はブロックコポリマーであり得る。
【0113】
PEEKがコポリマーである場合、式(J-D):
【化9】
(式中、
R’は、各位置において、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ又はアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ又はアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン及び第四級アンモニウムからなる群から独立して選択され、
j’は、各R’について、独立して、ゼロ又は1~4の範囲の整数である)
の繰り返し単位などの、繰り返し単位(RPEEK)とは異なり、且つこの繰り返し単位に加えて、繰り返し単位(R*PEEK)から製造することができる。
【0114】
式(J-D)によれば、繰り返し単位(R*PEEK)の各芳香環は、1~4のラジカル基R’を含み得る。j’が0である場合、対応する芳香環は、いかなるラジカル基R’も含まない。
【0115】
一実施形態によれば、R’は、上の式(J-D)中での各位置において、1つ以上のヘテロ原子、スルホン酸及びスルホネート基、ホスホン酸及びホスホネート基、アミン並びに第四級アンモニウム基を任意選択的に含む、C1~C12部位からなる群から独立して選択される。
【0116】
一実施形態によれば、j’は、各R’についてゼロである。言い換えれば、この実施形態によれば、繰り返し単位(R*PEEK)は、式(J’-D):
【化10】
に従う。
【0117】
本開示の別の実施形態によれば、繰り返し単位(R*PEEK)は、式(J’’-D):
【化11】
に従う。
【0118】
本開示の一実施形態によれば、PEEK中の繰り返し単位の90モル%(ポリマー中の繰り返し単位の総モル数に基づく)未満、80モル%未満、70モル%未満、60モル%未満、50モル%未満、40モル%未満、30モル%未満、20モル%未満、10モル%未満、5モル%未満、1モル%未満、又は全てが、式(J-D)、(J’-D)、及び/又は(J’’-D)の繰り返し単位(R*PEEK)である。
【0119】
一実施形態によれば、PEEKポリマーは、PEEK-PEDEKコポリマーである。本明細書で使用される場合、PEEK-PEDEKコポリマーは、式(J-A)、(J’-A)、及び/又は(J’’-A)の繰り返し単位(RPEEK)と、式(J-D)、(J’-D)又は(J’’-D)の繰り返し単位(R*PEEK)(本明細書では繰り返し単位(RPEDEK))とも呼ばれる)とを含むポリマーを示す。PEEK-PEDEKコポリマーは、95/5~5/95、90/10~10/90、又は85/15~15/85の範囲の繰り返し単位の相対モル比(RPEEK/RPEDEK)を含み得る。繰り返し単位(RPEEK)と(RPEDEK)の合計は、例えば、少なくとも60モル%、70モル%、80モル%、90モル%、95モル%、99モル%のPEEKコポリマー中の繰り返し単位を表すことができる。また、繰り返し単位(RPEEK)と(RPEDEK)の合計は、100モル%のPEEKコポリマー中の繰り返し単位を表すこともできる。
【0120】
PEEKは、Solvay Specialty Polymers USA,LLCからKetaSpire(登録商標)PEEKとして市販されている。
【0121】
本開示の一実施形態によれば、PEEKポリマーは、55,000~105,000g/モル、例えば65,000~85,000g/モルの範囲の重量平均分子量(Mw)を有する(ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により決定、フェノール及びトリクロロベンゼン(1:1)を使用、160℃、ポリスチレン標準)。
【0122】
別の実施形態では、PAEKは、ポリ(エーテルケトンケトン)(PEKK)である。ポリマー(P1)及び(P2)に関連して記載されるPEKKは、アセンブリの2つの構成要素を接合するフィルムを製造するために使用されるPEKK1及びPEKK2とは異なっていてもよい。特に、このPEKKポリマーは異なるT/I比を有していてもよい。ポリマー(P1)及び(P2)は、それ自体同じ又は異なるPEKK、例えば異なるT/I比を有するPEKKであってもよい。
【0123】
より正確には、アセンブリの第1及び第2の構成要素のポリマーとして使用され得るポリ(エーテルケトンケトン)(PEKK)は、実際には、50モル%超の式(J-B)及び(J-B)の繰り返し単位を含むポリマーを意味し、モル%は、ポリマー中の繰り返し単位の総モル数に基づく:
【化12】
(これらの式中、
及びRは、それぞれの場合において、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリ又はアルカリ土類金属スルホネート、アルキルスルホネート、アルカリ又はアルカリ土類金属ホスホネート、アルキルホスホネート、アミン、及び第四級アンモニウムからなる群から独立して選択され、
i及びjは、それぞれの場合において、0~4の範囲の独立して選択される整数である)。
【0124】
一実施形態によれば、R及びRは、上の式(J-B)及び(J-B)中で、各位置において、任意選択で1つ以上のヘテロ原子を含む、C1~C12部位、スルホン酸及びスルホネート基、ホスホン酸及びホスホネート基、アミン及び第四級アンモニウム基からなる群から独立して選択される。
【0125】
別の実施形態によれば、i及びjは、各R及びR基についてゼロである。この実施形態によれば、PEKKポリマーは、少なくとも50モル%の式(J’-B)及び(J’-B)の繰り返し単位を含み、モル%は、ポリマー中の繰り返し単位の総モル数に基づく:
【化13】
【0126】
本開示の一実施形態によれば、PEKK中の繰り返し単位の少なくとも55モル%、少なくとも60モル%、少なくとも70モル%、少なくとも80モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、少なくとも99モル%又は全てが、式(J-B)及び(J-B)の繰り返し単位である。
【0127】
特定の実施形態では、ポリマー(P1)及びポリマー(P2)は、T/I比とも呼ばれる繰り返し単位(J-B)/(J’-B)対繰り返し単位(J-B)/(J’-B)のモル比が55/45~85/15、好ましくは57/43~80/20、より好ましくは58/42~75/25の範囲である上で定義した(PEKK1、PEKK2)としてのPEKKポリマーから独立して選択される。
【0128】
他の実施形態では、ポリマー(P1)及びポリマー(P2)は、各PEKKポリマーがT/I比によって特徴付けられる第1及び第2のPEKKポリマーを含む組成物から独立して選択されてもよく、第1のPEKKポリマーのT/I比は、第2のPEKKポリマー、特に330℃以下の融解温度を有するそれらの組成物のT/I比とは異なる。この実施形態の一態様では、第1のPEKKポリマーは、好ましくは、a)少なくとも50/50、好ましくは少なくとも54/46、より好ましくは少なくとも56/44、最も好ましくは少なくとも57/43のT/I比、及び/又はb)最大64/36、好ましくは最大63/37、より好ましくは最大62/38のT/I比を有する。第2のPEKKポリマーは、好ましくは、a)少なくとも65/35、好ましくは少なくとも66/34、より好ましくは少なくとも67/33のT/I比、及び/又はb)最大85/15、好ましくは最大83/17、より好ましくは最大82/18のT/I比を有する。
【0129】
PEKKは、特に、Solvay Specialty Polymers USA,LLCからNovaSpire(登録商標)PEKKとして、又はCypek(登録商標)FC及びCypek(登録商標)DSとして市販されている。
【0130】
一実施形態では、ポリマー(P1)及び/又は(P2)は求核性PEKK、すなわちルイス酸の非存在下でのモノマーの重縮合によって生成するPEKKであり、ここでのモノマーは、ジ-ヒドロキシ及びジ-フルオロベンゾイル含有芳香族化合物、及び/又はヒドロキシル-フルオロベンゾイル含有芳香族化合物である。
【0131】
代替の実施形態では、ポリマーPEKKは、求電子性のPEKKである。
【0132】
別の実施形態では、PAEKはポリ(エーテルケトン)(PEK)である。本明細書で使用される「ポリ(エーテルケトン)」及び「ポリマー(PEK)」という表現は、繰り返し単位(RPEK)の50モル%超が式(K’-C):
【化14】
の繰り返し単位である任意のポリマーを意味し、モル%は、PEK中の繰り返し単位の総モル数に基づく。
【0133】
この実施形態によれば、PEKポリマーは、少なくとも60モル%、少なくとも70モル%、少なくとも80モル%、少なくともモル%、少なくとも95モル%、少なくとも99モル%、又は更には実質的に全ての繰り返し単位(RPEK)が繰り返し単位(K’-C)であるものであってよい。好ましいPEKポリマーは、実質的に全ての繰り返し単位が式(K’-C)の単位であるポリマーであり、末端基、欠陥、及び少量の不純物が存在し得ることが理解される。
【0134】
いくつかの実施形態では、ポリマー(PAEK)は、ポリ(エーテルジフェニルエーテルケトン)(PEDEK)である。本明細書で使用される「ポリ(エーテルジフェニルエーテルケトン)」又は「ポリマー(PEDEK)」という表現は、繰り返し単位(R)の50モル%超が式(K’-D):
【化15】
の繰り返し単位である任意のモノマーを意味し、モル%は、PEDEK中の繰り返し単位の総モル数に基づく。
【0135】
この実施形態によれば、少なくとも60モル%、少なくとも70モル%、少なくとも80モル%、少なくともモル%、少なくとも95モル%、少なくとも99モル%、又は更には実質的に全ての繰り返し単位(R)が上で詳述した繰り返し単位(K’-D)である。好ましいPEDEKポリマーは、実質的に全ての繰り返し単位が式(K’-D)の単位であるポリマーであり、末端基、欠陥、及び少量の不純物が存在し得ることが理解される。
【0136】
いくつかの実施形態では、アセンブリの第1の構成要素は、ポリマー(P1)と充填剤とを含み得る。前記充填剤は、繊維状充填剤又は非繊維状充填剤を含み得る。前記充填剤は、繊維状充填剤及び非繊維状充填剤の両方を含み得る。
【0137】
加えて、又は代わりに、アセンブリの第2の構成要素は、ポリマー(P2)と充填剤とを含み得る。前記充填剤は、繊維状充填剤、又は非繊維状充填剤を含み得る。前記充填剤は、繊維状充填剤、及び非繊維状充填剤の両方を含み得る。
【0138】
好ましい実施形態によれば、アセンブリの第1及び第2の構成要素は共に少なくとも1種の充填剤を含み、それらは同じであっても又は異なっていてもよい。この実施形態によれば、第1の構成要素と第2の構成要素との間に配置されるフィルム自体が充填剤を含んでいてもよく、それはアセンブリの第1の構成要素又は第2の構成要素に使用される充填剤と同じであっても又は異なっていてもよい。或いは、第1の構成要素と第2の構成要素との間に配置されるフィルムは、好ましくは充填剤を含まない(又はフィルムの総重量を基準として1重量%未満、0.5重量%未満、又は更には0.1重量%未満の量で充填剤を含む)。
【0139】
好適な繊維状充填剤としては、例えば、炭素繊維、グラファイト繊維、Eガラス繊維などのガラス繊維、炭化ケイ素繊維などのセラミック繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポリイミド繊維、高弾性率ポリエチレン(PE)繊維、ポリエステル繊維及びポリ-p-フェニレン-ベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維などのポリベンゾオキサゾール繊維、アラミド繊維などの合成ポリマー繊維、ホウ素繊維、玄武岩繊維、石英繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維並びにこれらの混合物が挙げられる。繊維は、連続であっても又は不連続であってもよく、整列していても又はランダムに配向していてもよい。
【0140】
いくつかの実施形態では、繊維は、少なくとも1種の炭素繊維を含む。本明細書で使用される「炭素繊維」という用語は、グラファイト化、部分グラファイト化、及び非グラファイト化炭素強化用繊維、並びにこれらの混合物を含むことを意図する。炭素繊維は、例えば、レーヨン、ポリアクリロニトリル(PAN)、芳香族ポリアミド又はフェノール樹脂などの異なるポリマー前駆体を熱処理及び熱分解することによって得ることができ、また、炭素繊維は、ピッチ系材料から得てもよい。「グラファイト繊維」という用語は、炭素繊維を高温で熱分解(2000℃超)することによって得られる炭素繊維を意味することを意図し、炭素原子がグラファイト構造と同様に配置される。炭素繊維は、好ましくは、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、グラファイト繊維、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0141】
いくつかの実施形態では、繊維は、少なくとも1種のガラス繊維を含む。ガラス繊維は、円形断面又は非円形断面(卵形若しくは長方形断面など)を有し得る。使用されるガラス繊維が円形断面を有する場合、3~30μmの平均ガラス繊維直径、特に好ましくは5~12μmの平均ガラス繊維直径を有することが好ましい。円形断面を有する異なるタイプのガラス繊維は、それらが製造されるガラスのタイプに応じて市場で入手可能である。特に、E-ガラス又はS-ガラスから製造されたガラス繊維が挙げられ得る。いくつかの実施形態では、ガラス繊維は、非円形断面を有する標準的なE-ガラス材料である。いくつかの実施形態では、アセンブリの第1及び第2の構成要素は、円形断面を有するSガラス繊維を含む。
【0142】
一実施形態では、本発明のアセンブリの第1及び第2の構成要素は連続繊維を含む。本明細書で言及される「連続繊維」は、3mm以上、より典型的には10mm以上の長さ、且つ500以上、より典型的には5000以上のアスペクト比を有する繊維を指す。
【0143】
本発明の一実施形態では、第1の構成要素は、1つ以上の層を含む積層体とも呼ばれる複合材料であり、これらの層は、例えばポリマー(P1)と繊維とを含む。ポリマー(P1)は、例えば繊維上に含浸、コーティング、又は積層することができる。
【0144】
本発明の更なる実施形態では、第2の構成要素は、1つ以上の層を含む積層体とも呼ばれる複合材料であり、これらの層は、例えば繊維とポリマー(P2)とを含む。ポリマー(P2)は、例えば繊維上に含浸、コーティング、又は積層することができる。
【0145】
本発明の第2の目的は、上述したフィルムを使用してアセンブリを製造する方法である。本方法は、
a)ポリマー(P1)を含む第1の構成要素とポリマー(P2)を含む第2の構成要素との間にフィルムを配置する工程;
b)フィルムを温度(T )にさらす工程であって、
≧T (1)、
>T (2)、
>T+5 (3)、又は
>T+10 (4)、
(Tはフィルムの溶融温度(℃)である)である工程;
を含む。
【0146】
言い換えると、温度(T )は、フィルムを溶融するために適した処理温度である。温度(T )はフィルムの溶融温度(T)と同じであり、好ましくはそれよりも高い。
【0147】
温度(T )は、360℃未満、好ましくは350℃未満、より好ましくは340℃未満であってよい。温度(T )は、270℃より高くてもよく、例えば275℃よりも高くてもよい。温度(T )は、274℃~328℃の範囲、例えば278℃~315℃の範囲であってよい。
【0148】
いくつかの実施形態によれば、温度(T )は、ポリマー(P1)の融解温度(Tm1)よりも低い、及び/又はポリマー(P2)の融解温度(Tm2)よりも低い:
<Tm1 (5)、及び/又は
<Tm2 (6)
(式中、Tm1及びTm2は、それぞれポリマー(P1)及びポリマー(P2)の融解温度である)。
【0149】
有利には、温度(T )は、ポリマー(P1)の融解温度(Tm1)とポリマー(P2)の融解温度(Tm2)の両方よりも低い。
【0150】
いくつかの実施形態によれば、
<Tm1-5 (7)、
<Tm2-5 (8)、
<Tm1-10 (9)、及び/又は
<Tm2-10 (10)
である。
【0151】
いくつかの好ましい実施形態では、アセンブリのフィルムと第1及び第2の構成要素とが温度(T )にさらされる一方で、方法は、アセンブリをコンソリデーションするためにアセンブリに圧力を加える工程を更に含む。言い換えると、方法は、好ましくは、工程b)と同時に、第1及び第2の構成要素に圧力を加え、フィルムを温度(T )にさらす工程を更に含む。
【0152】
本発明の方法は、好ましくは、アセンブリの制御された冷却からなる工程c)を更に含む。この追加の工程は、フィルムに結晶性を構築するために有利である。アセンブリ内のフィルムは、好ましくは冷却後に少なくとも3%、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも15%、特には少なくとも20%の結晶化度を示し、結晶化度は以下の実施例に記載の通りに測定される。
【0153】
本発明の第3の態様は、様々な最終用途で使用される部品又は物品を製造するための、本明細書に記載のアセンブリの使用に関する。航空宇宙産業及び自動車産業における利用を挙げることができる。例えば、本発明のアセンブリを含むか又はそれから構成される部品及び物品としては、ブラケット、クリップ、補強材、及び他の同様のタイプの部品を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0154】
以下、本発明を、非限定的な実施例によって以下のセクションで更に詳細に説明する。
【0155】
参照により本明細書に組み込まれる任意の特許、特許出願、及び刊行物の開示が、ある用語が不明確になり得る程度にまで本出願の記載と矛盾する場合は、本記載が優先するものとする。
【実施例
【0156】
原材料
1,2-ジクロロベンゼン、テレフタロイルクロリド、イソフタロイルクロリド、3,5-ジクロロベンゾイルクロリド、塩化アルミニウム(AlCl)、メタノールは、Sigma Aldrichから購入した。
【0157】
インド特許第193687号明細書(1999年6月21日に出願され、参照により本明細書に組み込まれる)に従って、1,4-ビス(4-フェノキシベンゾイル)ベンゼンを調製した。
【0158】
ジフェニルスルホン(ポリマーグレード)は、Provironから調達した(純度99.8%)。
【0159】
炭酸ナトリウム、軽ソーダ灰は、Solvay S.A.,Franceから調達し、使用前に乾燥させた。その粒径は、d90が130μmであるようなものであった。
【0160】
90<45μmの炭酸カリウムは、Armand productsから調達し、使用前に乾燥させた。
【0161】
塩化リチウム(無水粉末)は、Acrosから調達した。
【0162】
NaHPO・2HO及びNaHPOは、Sigma-Aldrichから購入した。
【0163】
1,4-ビス(4’-フルオロベンゾイル)ベンゼン(1,4-DFDK)及び1,3ビス(4’-フルオロベンゾイル)ベンゼン(1,3-DFDK)は、Gilbらの米国特許第5,300,693号明細書(1992年11月25日に出願され、その全体を参照により本明細書に援用される)の実施例1に従ってフルオロベンゼンのフリーデルクラフツアシル化によって調製した。1,4-DFDKの一部は、米国特許第5,300,693号明細書に記載されているようにクロロベンゼン中での再結晶により精製し、1,4-DFDKの一部は、DMSO/エタノール中での再結晶により精製した。DMSO/エタノール中で再結晶させることによって精製した1,4-DFDKを、重合反応で1,4-DFDKとして使用して下記に記載されるPEKKを製造する一方で、クロロベンゼン中で再結晶させた1,4-DFDKを、1,4-ビス(4’-ヒドロキシベンゾイル)ベンゼン(1,4-BHBB)の前駆体として使用した。
【0164】
1,4-BHBB及び1,3-ビス(4’-ヒドロキシベンゾイル)ベンゼン(1,3-BHBB)は、Hackenbruchらの米国特許第5,250,738号明細書(1992年2月24日に出願され、その全体を参照により本明細書に援用される)の実施例1に記載される手順に従って、それぞれ1,4-DFDK、及び1,3-DFDKの加水分解によって製造した。それらは、DMF/エタノール中での再結晶化によって精製した。
【0165】
窒化ホウ素:Boronid(登録商標)S1-SF、3M Corporationから市販されている六方晶窒化ホウ素グレード。
【0166】
ガラス転移温度(Tg)、融解温度(T)、結晶化温度(Tc)、及び融解熱(ΔH)の決定
ガラス転移温度(Tg)、融解温度(T)、結晶化温度(Tc)、及び融解熱(ΔH)は、10℃/分の加熱及び冷却速度を使用してASTM D3418に従って示差走査熱量計(DSC)で決定した。
【0167】
(半値法を使用した中点)、融解熱ΔH、及びT(融解吸熱のピーク温度)は、2回目の加熱走査で決定した。Tは、1回目の冷却走査における結晶化発熱のピーク温度として決定した。
【0168】
組成物の融解は、220℃から最後の吸熱を超える温度まで引かれる直線ベースラインにわたる面積として得た。接合した構造体(部品)におけるフィルムの結晶化度を評価する場合は、融解熱は1回目の加熱走査で決定した。
【0169】
手順の詳細は以下の通りである:キャリアガスとしての窒素(純度99.998%、50mL/分)と共に、TA Instruments DSC Q20を使用した。温度及び熱流量較正は、インジウムを使用して行った。試料サイズは5~7mgであった。重量を±0.01mgと記録した。加熱サイクルは、
- 1回目の加熱サイクル:10.00℃/分で30.00℃~400.00℃、400.00℃で1分間等温;
- 1回目の冷却サイクル:10.00℃/分で400.00℃~30.00℃、1分間等温;
- 2回目の加熱サイクル:10.00℃/分で30.00℃~400.00℃、400.00℃で1分間等温;
であった。
【0170】
メルトフローインデックスの決定
メルトフローインデックスは、ASTM D1238に従って、3.8kgの荷重を用いて、指示された温度(材料の融点に応じて340~380℃)で決定した。荷重8.4kgの最終的なMFIは、得られた値に2.35を掛けることによって得た。
【0171】
合成実施例
T/I=71/29のPEKK#1
撹拌機、N注入管、反応媒体中に入れられている熱電対付きのClaisenアダプター、並びに凝縮器及びドライアイストラップ付きのDean-Starkトラップを備えた500mLの4口反応フラスコに、112.50gのジフェニルスルホン(DPS)、23.054gの1,3-BHBB、16.695gの1,4-BHBB及び41.292gの1,4-DFDKを導入した。フラスコ内容物を真空下で排気し、次いで(10ppm未満のOを含有する)高純度窒素で満たした。その後、反応混合物を連続窒素パージ下に置いた(60mL/分)。反応混合物を270℃までゆっくり加熱した。270℃で、13.725gのNaCO及び0.078gのKCOを60分にわたって反応混合物に粉末ディスペンサーによって添加した。添加の終了時に、反応混合物を1℃/分で310℃に加熱した。310℃で2分後に、1.107gの1,4-DFDKを、反応器に窒素パージを保ちながら反応混合物に添加した。5分後に、0.741gの塩化リチウムを反応混合物に添加した。10分後に、別の0.402gの1,4-DFDKを反応器に添加し、反応混合物を15分間温度に保った。15gのジフェニルスルホンの別の装入物を反応混合物に添加し、それを15分間撹拌下に保った。
【0172】
その後、反応器の内容物を反応器からステンレス鋼製受け皿に注ぎ込んで冷却した。固形物を分割し、2mmの篩を通してアトリションミル内で粉砕した。ジフェニルスルホン及び塩をpH1~12のアセトン及び水で混合物から抽出した。最後の洗浄のために、0.67gのNaHPO・2HO及び0.62gのNaHPOを1200mLのDI水に溶解させた。次いで、粉末を、反応器から取り出し、真空下に120℃で12時間乾燥させ、72gの黄色粉末を得た。
【0173】
T/I=58/42のPEKK#2
下の表1に示される量の試薬を用いて実施例1と同じ手順に従った。
【0174】
【表1】
【0175】
【表2】
【0176】
実施例3のPEKK組成物の溶液ブレンドの手順
撹拌機、N注入管、反応媒体中に入れられている熱電対付きのClaisenアダプター、並びに凝縮器を備えた500mLの4口反応フラスコに、235.00gのジフェニルスルホン(DPS)及び窒化ホウ素である核剤を入れた(表2)。フラスコの内容物を330℃までゆっくり加熱した。330℃で、PEKKポリマー粉末#1(5g)及び#2(95g)を、フレックスチューブを介して溶融DPS中へとゆっくりと添加した。添加の最後に、撹拌速度を上げてよく混合し、混合物を330℃で更に1時間保持した。
【0177】
その後、反応器の内容物を反応器からステンレス鋼製受け皿に注ぎ込んで冷却した。固形物を分割し、2mmの篩を通してアトリションミル内で粉砕した。ジフェニルスルホンを混合物からアセトンと水を用いて抽出した。最後の洗浄のために、0.67gのNaHPO・2HO及び0.62gのNaHPOを1200mLのDI水に溶解した。その後、粉末を反応器から取り出し、真空下120℃で12時間乾燥させ、90~95gの黄色の粉末を得た。
【0178】
【表3】
【0179】
熱特性
【0180】
【表4】
【0181】
上で収集したデータ(表3)によって示されるように、実施例3(本発明)のPEKK組成物は、実施例1~2のPEKK組成物と比較して改善された結晶化及び結晶化度を示す。
【0182】
実施例3のPEKK組成物の測定された融解エンタルピーΔHfは、以下の式1に従って計算される最小のΔHfよりも高く、これは、実施例3のPEKK組成物が以下の式を満たすことを意味する:
ΔH>1.69×T-480 (式1)
(式中、
- Tは℃単位での融点であり、
- ΔHはJ/g単位である)。
【0183】
したがって、本発明による実施例3のPEKK組成物は、以下の一連の特性:
・ 融点T≦310℃;
・ 融解熱ΔH>5J/g;及び
・ 式1を満たすΔH
を示し、そのため、積層構造において使用されるフィルムへの加工に適している。
【0184】
比較例に関する限り:
- 71/29のT/I比を有するPEKK#1は、340℃を超える高すぎるTmを示し、式1を満たさない;及び
- 58/42のT/I比を有するPEKK#2は、測定された融解熱ΔHが式1で計算された最小融解熱ΔHと等しいため、式1を満たさない。
【0185】
実施例4のブレンド組成物の調製
この実施例のポリマーブレンド組成物は、93.8重量%のn-PEKK#2と、5.0重量%のn-PEKK#1と、1.2重量%の窒化ホウ素とから構成された。これを、48:1のL/D比を有する26mm Coperion(登録商標)(ZSK-26型)同方向回転部分噛合二軸押出機を使用して溶融混錬により調製した。粗い粉末形態の2種のPEKK樹脂と微粉末形態の窒化ホウ素核剤を最初に20分間タンブルブレンドして、物理的なプレブレンドを形成した。次いで、プレブレンドを、押出機のバレル部分1の供給ホッパーに35ポンド/時(15.9kg/時)の速度で重量測定法により供給した。押出機には12個のバレル部分があり、バレル部分2~12、並びにダイを、全体を通して350℃の温度特性設定で加熱した。押出物の融解温度を、ダイから出る度に携帯型高温計で測定した。押出物の融解温度は、混練運転全体を通して約385℃であった。スクリュー速度を200rpmに設定し、得られた押出機のトルクの読み出し値は、生産運転全体を通して約55%であった。化合物から水分及びあらゆる存在可能な残留揮発性物質を除去するために、混練中のバレル部分10で26Hgの真空レベルの真空ベントを適用した。運転による押出物をストランド状にして水槽中で冷却し、その後、直径約2.7mm、長さ3.0mmのペレットにペレット化した。
【0186】
60/40のT/I比を有するPEKK#3(比較)
攪拌機、乾燥N注入管、反応媒体中に入れられている熱電対、及び凝縮器を備えた2000mLの4つ口反応フラスコに、1000gの1,2-ジクロロベンゼン及び65gの1,4-ビス(4-フェノキシベンゾイル)ベンゼンを導入した。次いで、乾燥窒素スイープ下、5.4gのテレフタロイルクロリド、22.2gのイソフタロイルクロリド、及び0.2gのベンゾイルクロリドを反応混合物に加えた。次いで、反応器を-5℃に冷却し、温度を5℃未満に保ちながら、115gの塩化アルミニウム(AlCl)をゆっくり添加した。反応を10分間5℃に保持し、次いで混合物の温度を5℃/分で90℃まで上げた。反応混合物を30分間90℃に保持し、次いで30℃まで冷却した。30℃で、250gのメタノールをゆっくり添加して、温度を60℃未満に維持した。添加の終了後に、反応混合物を2時間攪拌下に保ち、次いで30℃まで冷却した。次いで、固体をブフナーでの濾過によって除去した。湿ったケーキを、追加の188gのメタノールで、フィルター上ですすいだ。次いで、湿ったケーキを2時間440gのメタノールでビーカーにおいて再スラリー化した。ポリマー固体をブフナー漏斗で再度濾過し、湿ったケーキを188gのメタノールで、フィルター上ですすいだ。この固体を、2時間470gの塩酸水溶液(3.5重量%)でスラリー化した。次いで、固体をブフナーでの濾過により除去した。湿ったケーキを追加の280gの水で、フィルター上ですすいだ。次いで、湿ったケーキを、2時間250gの0.5N水酸化ナトリウム水溶液でビーカーにおいて再スラリー化した。次いで、湿ったケーキを475gの水でビーカーにおいて再スラリー化し、ブフナー漏斗で濾過した。最後の水洗工程を更に3回繰り返した。次いで、ポリマーを、6.6重量%のNaHPO・2HO及び3.3重量%のNaHPOを含有する0.75gの水溶液でスラリー化し、次いで180℃での真空オーブン中で12時間乾燥させた。メルトフローインデックス(360℃、8.4kg)は82.g/10分であった。PEKKは以下の特徴を有していた:
・ MFI:33g/10分
・ MFI温度:360℃
・ Al含有量:>10ppm(25ppm)
・ F含有量:<100ppm。
【0187】
【表5】
【0188】
実施例4及び5cの組成物からのバインダーフィルムの押出
混練したペレットを、一軸押出機での溶融押出を使用して、公称厚さ140μm、幅8.5~9cmのフィルムに加工した。この目的のために、OCS(Optical Control Systems、GmbH)押出機を使用した。この押出機は、直径が20mm、L/D比が30の単段式ノンベントスクリューを有していた。押出機は、0.5mmのギャップ厚を有する125mm幅のフィルムダイを装備していた。押出機のバレルには4つの加熱部分があり、後方から前方に向かって、それぞれ約335℃、345℃、345℃、及び350℃の設定温度で操作した。フィルムダイを360℃の温度で設定した。フィルムに押し出す前に、ペレットを150℃に設定した乾燥空気対流式オーブンで一晩(約16時間)乾燥させた。36rpmのスクリュー速度及び約5ポンド/時(2.3kg/時)の押出量を使用してブレンドを押し出した。155℃及び160℃に設定されているそれぞれ第1の(上部)ロール及び第2の(下部)ロールの2本の冷却ロール上にフィルムを成形してドローダウンした。
【0189】
アセンブリの作製及び破壊靭性試験
材料
Solvayから市販されているAPC(PEKK-FC)/AS4D
BGFから市販されているガラス繊維生地スタイル108
Solvayから市販されているKapton(登録商標)フィルム(51mm)。
【0190】
手順
亀裂面の層がPEKKフィルムである305mm×305mmのサイズのアセンブリ(積層体とも呼ばれる)を以下の通りに製造した:
- 公称繊維目付=145gsm、樹脂含有量34重量%のAPC(PEKK FC)/AS4Dのユニテープを切断して積み重ね、16プライの疑似等方性配向(+45°/90°/-45°/0°02sのレイアップ)を作製した。
- レイアップスタックの上に、表面全体を覆うようにスタイル108ガラス繊維生地の1プライを配置する。
- ガラス繊維生地の上に、280mm×305mm×0.125mmのPEKKフィルム(実施例4又は5c)を、3つの端部をレイアップの端部と位置合わせして配置した。他方の端部には、305mm×25mm×0.05mmの厚さの剥離剤がコーティングされたKapton(登録商標)フィルムがあり、パネルがコンソリデーションされるとこれがクラックスターターとなった。
- レイアップの残りは、スタイル108ガラス繊維生地から始め、その後16プライの疑似等方性のものを配置して、材料の順序を逆にする。
【0191】
レイアップは、中央面において対称である必要がある。その後、レイアップを平らな鋼鉄製工具の上に載せ、真空バッグに入れ(710~730mmHgの真空)、高温オートクレーブ内で処理した。オートクレーブサイクルは375℃までの直線的な温度勾配であり、この375℃の時点で6.7バールの圧力をかけて15分間保持した後、6.7バールの圧力及び711mmHgの下でレイアップを冷却した。93℃で圧力を解放し、室温まで冷却した後にオートクレーブから取り出した。得られたパネルの厚さを測定し、その後1’’×12’’のテストクーポンに機械加工し、G1c破壊靭性の測定を行った。
【0192】
【表6】
【0193】
データは、本発明によるフィルムを使用すると(実施例4)、PEKK 60/40から製造されたフィルムと同程度の大きさの結合が得られることを示している(表5)。加えて、本発明によるPEKK配合物は、同じTmでより高い結晶化度を示す(表3)。このことは耐薬品性及び高温性能に重要である。
【国際調査報告】