(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】基板研磨部品用の封じ込め及び排気システム
(51)【国際特許分類】
B24B 37/00 20120101AFI20240220BHJP
B24B 37/34 20120101ALI20240220BHJP
B24B 55/02 20060101ALI20240220BHJP
B24B 55/06 20060101ALI20240220BHJP
B24B 37/24 20120101ALI20240220BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
B24B37/00 Z
B24B37/34
B24B55/02 Z
B24B55/06
B24B37/24 C
H01L21/304 621D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550016
(86)(22)【出願日】2022-02-24
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 US2022017711
(87)【国際公開番号】W WO2022182881
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519379905
【氏名又は名称】アクス テクノロジー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【氏名又は名称】関口 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【氏名又は名称】小野寺 隆
(72)【発明者】
【氏名】トロジャン ダニエル レイ
(72)【発明者】
【氏名】シュグルー ジョン ケヴィン
【テーマコード(参考)】
3C047
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C047FF08
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5F057AA39
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5F057GA07
(57)【要約】
基板研磨部品用の封じ込め及び排気システムが開示される。一態様では、基板キャリアヘッドは、研磨パッドと、ウェーハを研磨パッドに対して保持するように構成された基板キャリアヘッドと、液体を霧化し、霧化された液体の層を研磨パッドの表面領域上に広げるように構成された霧化器と、霧化された液体を収容し排気するように構成されたチャンバと、を含む。基板の化学機械研磨(CMP)中に基板を冷却する方法も開示され、この方法は、研磨パッドの表面にスラリーを供給するステップと、以下:研磨パッドの表面に霧化冷却液を供給するステップと、研磨パッドの表面に洗浄液を供給するステップと、の少なくとも1つを実行するステップと、霧化冷却液及び洗浄液の少なくとも一方の少なくとも一部を、表面に近接した点から除去するステップと、を含む。
【選択図】
図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学機械平坦化(CMP)システムであって、
研磨パッドと、
ウェーハを前記研磨パッドに対して保持するように構成された基板キャリアヘッドと、
以下:
液体を霧化し、前記霧化された液体の層を前記研磨パッドの表面領域上に広げるように構成された霧化器と、
前記研磨パッドを洗浄するために前記研磨パッドに洗浄液を噴霧するように構成された少なくとも1つのパッド洗浄ノズルを含むスプレー装置と、
のうちの少なくとも1つと、
チャンバであって、前記霧化された液体及び前記洗浄液の少なくとも一方を前記チャンバから収容するように構成されたチャンバと、
前記霧化された液体及び前記洗浄液の少なくとも一方を前記チャンバから除去するように構成された出力と、
を備える、CMPシステム。
【請求項2】
前記チャンバは、
内側チャンバと、
前記内側チャンバを包囲するように配置された外側チャンバと、
を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記内側チャンバと前記外側チャンバが同軸に配置されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記霧化器が、前記内側チャンバ内で前記霧化された液体を吐出するように構成された出力ノズルを備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記外側チャンバは、前記内側チャンバよりも低い圧力を有するように構成される、請求項2に記載の基板キャリアヘッド。
【請求項6】
前記外側チャンバは、前記霧化された液体を排気するように構成された出力を備える、請求項2に記載の基板キャリアヘッド。
【請求項7】
前記出力が排気ポートを備え、
前記排気ポートに結合され、前記霧化された液体からのあらゆる腐食性化学物質及び/又は毒性化学物質のレベルを低減するように構成されたスクラバ
を更に備える、請求項6に記載の基板キャリアヘッド。
【請求項8】
前記霧化された液体は、蒸発冷却を介して前記研磨パッドを冷却するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記研磨パッドは、ポリウレタンで形成される、請求項1に記載のCMPシステム。
【請求項10】
前記研磨パッドは、前記ウェーハが炭化ケイ素で形成されている場合、前記ウェーハを研磨するように更に構成される、請求項1に記載のCMPシステム。
【請求項11】
前記スプレー装置は、前記チャンバ内に配置されたスプレーバーを備える、請求項1に記載のCMPシステム。
【請求項12】
前記チャンバは、
内側チャンバと、
前記内側チャンバを包囲するように配置された外側チャンバと、
を備え、
前記スプレーバーが前記内側チャンバ内に配置される、請求項11に記載のCMPシステム。
【請求項13】
前記外側チャンバに洗浄液を噴霧するように構成された少なくとも1つの排気プレナムフラッシュノズル
を更に備える、請求項12に記載のCMPシステム。
【請求項14】
基板の化学機械研磨(CMP)中に前記基板を冷却する方法であって、
研磨パッドの表面にスラリーを供給するステップと、
以下:
前記研磨パッドの前記表面に霧化冷却液を供給するステップと、
前記研磨パッドの前記表面に洗浄液を供給するステップと、
の少なくとも1つを実行するステップと、
前記霧化冷却液及び前記洗浄液の少なくとも一方の少なくとも一部を、前記表面に近接した点から除去するステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
除去するステップが、前記表面上に配置されたチャンバから前記霧化冷却液及び前記洗浄液の前記少なくとも一方を排気するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
除去するステップが、前記表面上に配置されたチャンバから前記霧化冷却液及び前記洗浄液の前記少なくとも一方を排出するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
内側チャンバと、
前記内側チャンバを包囲するように配置された外側チャンバと、
を備える、請求項14又は15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
排気するステップが、前記霧化冷却液の前記少なくとも1つを、前記内側チャンバから間隙を通して前記外側チャンバに流し、前記外側チャンバから排気ポートを通して流すステップを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
排気するステップが、前記排気ポートからスクラバに前記霧化冷却液を流すステップを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記内側チャンバ内に配置されたスプレーバーを用いて前記研磨パッドに洗浄液を噴霧するステップを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
少なくとも1つの排気フラッシュノズルを介して前記外側チャンバに洗浄液を噴霧するステップを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
化学機械平坦化(CMP)システムであって、
研磨パッドと、
ウェーハを前記研磨パッドに対して保持するように構成された基板キャリアヘッドと、
液体を収容するように構成されたプレナムを含むチャンバと、
以下:
前記チャンバ内の液体を霧化し、前記霧化された液体の層を前記チャンバ内の前記研磨パッドの一部の表面領域上に広げるように構成された霧化器と、
ノズルであって、
前記研磨パッドの一部に洗浄液を噴霧することと、
前記チャンバの外側部分に洗浄液を噴霧することと、の少なくとも一方を行うように構成されたノズルと、
の少なくとも一方と、
前記チャンバから前記洗浄液を除去するように構成された出口と、
を備える、CMPシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2021年2月26日に出願された米国仮特許出願第63/154,175,号及び2021年3月24日に出願された米国仮特許出願第63/165,652号の利益を主張し、それらのそれぞれの開示は、参照により、その全体があらゆる目的のために、本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、基板処理設備に関し、より具体的には、薄膜の平坦化のための化学機械平坦化(CMP)性能を改善するためのシステム及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
化学機械平坦化又は研磨(CMP)中に、研磨剤と酸性又はアルカリ性のスラリーが、計量ポンプ又は質量流量制御調整器システムを介して回転する研磨パッド/プラテンに塗布される。ウェーハは、回転しているウェーハキャリアによって保持され、特定の時間にわたって、研磨プラテンに押し付けられる。ウェーハは、CMPプロセスにおける摩耗(abrasion)と腐食の両方によって研磨又は平坦化される。処理中のウェーハとキャリアとの間の相互作用は、ウェーハの破損、不均一性、又はその他の問題を引き起こす可能性がある。したがって、処理中のウェーハとキャリアとの間の相互作用によって引き起こされる影響に対処するために、ウェーハキャリアの性能を改善する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本開示と、従来技術に対して達成された利点とを概説する目的で、本開示の特定の目的及び利点が本明細書に記載されている。そのような目的又は利点のすべてが任意の実施形態で達成され得るわけではない。したがって、例えば、当業者は、本発明が、本明細書で教示されるような1つの利点又は利点のグループを達成又は最適化する方法で、本明細書で教示又は示唆され得るような他の目的又は利点を必ずしも達成することなく、具体化又は実行され得ることを認識するであろう。
【0005】
開示される技術の一態様は、化学機械平坦化(CMP)システムであり、前記システムは、研磨パッドと、ウェーハを前記研磨パッドに対して保持するように構成された基板キャリアヘッドと、以下:液体を霧化し、前記霧化された液体の層を前記研磨パッドの表面領域上に広げるように構成された霧化器と、前記研磨パッドを洗浄するために前記研磨パッドに洗浄液を噴霧するように構成された少なくとも1つのパッド洗浄ノズルを含むスプレー装置と、のうちの少なくとも1つと、チャンバであって、前記霧化された液体及び前記洗浄液の少なくとも一方を前記チャンバから収容するように構成されたチャンバと、前記霧化された液体及び前記洗浄液の少なくとも一方を前記チャンバから除去するように構成された出力と、を備える。
【0006】
前記チャンバは、内側チャンバと、前記内側チャンバを包囲するように配置された外側チャンバと、を備えることができる。
【0007】
前記内側チャンバと前記外側チャンバは、同軸に配置することができる。
【0008】
前記霧化器が、前記内側チャンバ内で前記霧化された液体を吐出するように構成された出力ノズルを備えることができる。
【0009】
前記外側チャンバは、前記内側チャンバよりも低い圧力を有するように構成することができる。
【0010】
前記外側チャンバは、前記霧化された液体を排気するように構成された出力を備えることができる。
【0011】
前記出力は、排気ポートを備えることができ、CMPは、前記排気ポートに結合され、前記霧化された液体からのあらゆる腐食性化学物質及び/又は毒性化学物質のレベルを低減するように構成されたスクラバを更に備えることができる。
【0012】
前記霧化された液体は、蒸発冷却を介して前記研磨パッドを冷却するように構成することができる。
【0013】
前記研磨パッドは、ポリウレタンで形成することができる。
【0014】
前記研磨パッドは、前記ウェーハが炭化ケイ素で形成されている場合、前記ウェーハを研磨するように更に構成することができる。
【0015】
前記スプレー装置は、前記チャンバ内に配置されたスプレーバーを備えることができる。
【0016】
前記チャンバは、内側チャンバと、前記内側チャンバを包囲するように配置された外側チャンバと、を備えることができ、前記スプレーバーが前記内側チャンバ内に配置される。
【0017】
前記CMPシステムは、前記外側チャンバに洗浄液を噴霧するように構成された少なくとも1つの排気プレナムフラッシュノズルを更に備えることができる。
【0018】
開示される技術の一態様は、基板の化学機械研磨(CMP)中に前記基板を冷却する方法であって、前記方法は、研磨パッドの表面にスラリーを供給するステップと、以下:前記研磨パッドの前記表面に霧化冷却液を供給するステップと、前記研磨パッドの前記表面に洗浄液を供給するステップと、の少なくとも1つを実行するステップと、前記霧化冷却液及び前記洗浄液の少なくとも一方の少なくとも一部を、前記表面に近接した点から除去するステップと、を含む。
【0019】
前記除去するステップが、前記表面上に配置されたチャンバから前記霧化冷却液及び前記洗浄液の前記少なくとも一方を、排気するステップを含むことができる。
【0020】
前記除去するステップが、前記表面上に配置されたチャンバから前記霧化冷却液及び前記洗浄液の前記少なくとも一方を、排出するステップを含むことができる。
【0021】
前記チャンバは、内側チャンバと、前記内側チャンバを包囲するように配置された外側チャンバと、を備えることができる。
【0022】
前記排気するステップが、前記霧化冷却液を、前記内側チャンバから間隙を通して前記外側チャンバに流し、前記外側チャンバから排気ポートを通して流すステップを更に含むことができる。
【0023】
前記排気するステップが、前記排気ポートからスクラバに前記霧化冷却液を流すステップを更に含むことができる。
【0024】
前記方法は、前記内側チャンバ内に配置されたスプレーバーを用いて前記研磨パッドに洗浄液を噴霧するステップを更に含むことができる。
【0025】
前記方法は、少なくとも1つの排気フラッシュノズルを介して前記外側チャンバに洗浄液を噴霧するステップを更に含むことができる。
【0026】
開示される技術の別の態様は、化学機械平坦化(CMP)システムであり、化学機械平坦化(CMP)システムは、研磨パッドと、ウェーハを前記研磨パッドに対して保持するように構成された基板キャリアヘッドと、液体を収容するように構成されたプレナムを含むチャンバと、以下:前記チャンバ内の液体を霧化し、前記霧化された液体の層を前記チャンバ内の前記研磨パッドの一部の表面領域上に広げるように構成された霧化器と、ノズルであって、前記研磨パッドの一部に洗浄液を噴霧することと、前記チャンバの外側部分に洗浄液を噴霧することと、の少なくとも一方を行うように構成されたノズルと、の少なくとも一方と、前記チャンバから前記洗浄液を除去するように構成された出口と、を備える。
【0027】
これらの実施形態のすべては、本明細書に開示される本発明の範囲内にあることを意図している。これら及び他の実施形態は、添付の図を参照する好ましい実施形態の以下の詳細な説明から、当業者にとって容易に明らかになり、本発明は、開示される任意の特定の好ましい実施形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明の概念の上記及び追加の目的、特徴、及び利点は、添付の図面を参照して、本発明の実施形態の以下の例示的かつ非限定的な詳細な説明を通じて、よりよく理解されるであろう。図面において、特に明記しない限り、同様の参照番号が同様の要素に使用される。
【0029】
【
図1】基板処理システムの概略図であり、基板を処理位置で保持する基板キャリアを示す。
【
図2】
図1の基板処理システムの図であり、基板を装着位置で保持する基板キャリアを示す。
【
図3】
図1及び
図2に示されるウェーハキャリアの一部として含まれ得る基板キャリアヘッドの部分断面図である。
【
図4A】本開示の態様に従って、ウェーハの温度を制御するために使用することができる基板キャリアシステムを示すブロック図である。
【
図4B】本開示の態様に従って、ウェーハの温度を制御するために使用することができる別の基板キャリアシステムを示すブロック図である。
【
図5】別の実施形態に従って、
図1及び
図2に示されるウェーハキャリアの一部として含まれ得る基板キャリアヘッドの別の部分断面図である。
【
図6】本開示の態様に従う基板キャリアヘッドの一実施形態の分解上面等角図である。
【
図7】本開示の態様に従う、
図6のキャリアヘッドの分解底部等角図である。
【
図8】本開示の態様に従う、
図6のキャリアヘッドの断面図である。
【
図9】本開示の態様に従って、基板の温度を制御するための基板キャリアシステムの一部として使用することができる基板キャリアの別の実施形態の斜視図である。
【
図10】
図9の線A-Aに沿って取られた、
図9の基板キャリアの断面図である。
【
図11】
図9の線B-Bに沿って取られた、
図9の基板キャリアの別の断面図である。
【
図12】
図10の線C-Cに沿って取られた、底板の断面斜視図である。
【
図13】ポリウレタンの熱伝導率を温度の関数として示すプロットである。
【
図14A】IC1000微細多孔性ポリウレタン(MPU)パッドのSEM画像である。
【
図14B】本開示の態様に従う、CMP中の研磨パッド及びウェーハの断面図である。
【
図15】本開示の態様に従う一体化霧化器システムを含む基板処理システムの概略図である。
【
図16】実験1と実験2との間のパッド温度の差を示すプロットである。
【
図17】保持リングを使用するCMPシステムのリング圧力(psi)とプラテン温度(℃)との間の関係を示すプロットである。
【
図19】本開示の態様に従って、霧化冷却液の封じ込め及び排気システムを含む例示的なCMPシステムの断面図である。
【
図20】
図19の外側チャンバ及び内側チャンバを形成するプレナムの2つの分解斜視図である。
【
図21A】
図19の外側チャンバ及び内側チャンバを形成するプレナムの実施形態の追加図を提供する。
【
図21B】
図19の外側チャンバ及び内側チャンバを形成するプレナムの実施形態の追加図を提供する。
【
図21C】
図19の外側チャンバ及び内側チャンバを形成するプレナムの実施形態の追加図を提供する。
【
図21D】
図19の外側チャンバ及び内側チャンバを形成するプレナムの実施形態の追加図を提供する。
【
図22A】本開示の態様に従ってスプレー装置を含む封じ込め及び排気システムを含む例示的なCMPシステムの図を提供する。
【
図22B】本開示の態様に従ってスプレー装置を含む封じ込め及び排気システムを含む例示的なCMPシステムの図を提供する。
【
図23】センサを備えたCMPシステムの一例の概略図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下のテキストは、本発明の多くの異なる実施形態の詳細な説明を記載しているが、本発明の法的範囲は、特許出願の最後に記載されている特許請求の範囲の文言によって定義されることを理解されたい。詳細な説明は、単に例示として解釈されるべきであり、すべての可能な実施形態を説明することは不可能ではないにしても非現実的であるため、本発明のすべての可能な実施形態を説明するわけではない。現在の技術又は本特許出願の出願日以降に開発された技術のいずれかを使用して、多くの代替の実施形態を実施することができるが、それらも、依然として、本発明を定義する特許請求の範囲内にある。
【0031】
(化学機械平坦化(CMP))
半導体IC、MEMSデバイス、及びLEDの製造における薄膜の平坦化のための化学機械平坦化(CMP)の採用と使用は、他の多くの同様の応用の中で、これらのタイプのデバイスの「チップ」を製造する企業の間で一般的である。この採用には、携帯電話、タブレット、その他のポータブルデバイス用と、デスクトップ及びラップトップコンピュータ用のチップの製造が含まれる。超微細技術と微細加工の成長は、医療分野、自動車分野、及びモノのインターネット(「IoT」)におけるデジタルデバイスのこれまでにない広範な使用と適応に非常に有望である。薄膜の平坦化のための化学機械平坦化は、1980年代初頭に、IBM社の科学者及び技術者によって発明され、開発された。今日、このプロセスは、世界規模で普及しており、多くのデジタルデバイスの製造において真に可能になる技術の1つである。
【0032】
集積回路は、導電性材料(例えば、銅、タングステン、アルミニウムなど)、絶縁層(例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素など)、及び半導体材料(例えば、ポリシリコン)の多層及び交互の層で製造される。これらの層の連続的な組合せがウェーハ表面に順次適用されるが、その表面にデバイスが埋め込まれているために、デバイス構造に地形的な起伏が生じる。これは、二酸化ケイ素絶縁体層ではよくあることである。これらの不要な地形的な起伏は、次の層を堆積できるようにする前に、CMPを使用して扁平化又は「平坦化」されて、サイズがますます小さくなるデバイス構造間の適切な相互接続を可能にする。銅層の場合、銅は、表面に堆積して接触ビアを満たし、デバイス間及び層間の電子の移動のための効果的な垂直経路を作る。この手順は、適用される(通常は堆積プロセスによって適用される)各層で続行される。複数の導電性材料層(複数の金属層)の場合、これは、デバイス構造間の回路と相互接続を成功させるために、多くの研磨手順(導体、絶縁体、及び半導体材料の各層に1つ)をもたらす可能性がある。
【0033】
CMPプロセスにおいて、基板又はウェーハはウェーハキャリアによって保持され、ウェーハキャリアは回転しており、通常、ウェーハキャリア内の弾性膜を介して、特定の時間研磨にわたってプラテンに押し付けられる。CMPウェーハキャリアは、通常、プロセスヘッドのシリコンウェーハ及び/又はそれらに堆積されたフィルムなどの、一般的に平らで丸いワークピースの精密研磨用の部品を組み込んでいる。これらの部品には、1)上面又は裏側に圧縮ガスが加えられた弾性膜であって、該圧力が膜を介してワークピースの上面又は裏側に伝達されて、CMP中に材料を除去する、弾性膜と、2)膜をその嵌合部品に固定し、膜をその所望の形状及び寸法に保持し、及び/又は、膜をクランプして、制御されたガス圧を密封して、封じ込めるための密封容積部を提供するための手段を提供する1つ又は複数の剛性支持部品とが含まれる。
【0034】
プロセス中に、スラリーは、計量ポンプや質量流量制御調整器システムなどの流体制御装置を介して、回転する研磨パッドに塗布される。スラリーは、シングルパス分配システムで研磨プラテンに運ぶことができる。性能を向上させるには、媒体中のスラリー粒子を回転するウェーハと回転する研磨パッド/プラテンとの間に均等に分配する必要がある。
【0035】
ウェーハキャリア膜によってウェーハの裏側に力が加えられて、ウェーハがパッドに押し込まれ、両方が運動して相対速度を生成する場合がある。その運動と力により、研磨剤がウェーハ表面を横切って移動するとき、研磨剤を基板に押し付けることで、パッドの一部に摩耗が生じる。スラリー中の腐食性化学物質は、ウェーハの表面で研磨される材料を変化させる。この摩耗の機械的効果と化学的変化とが組み合わさることは、化学機械平坦化又は研磨(CMP)と呼ばれる。材料の除去速度は、化学的効果と機械的効果の両方を同時に使用すると、どちらか一方を単独で使用した場合と比較して、簡単に一桁高くすることができる。同様に、化学的効果と機械的効果を併用することにより、研磨後の表面の平滑性が向上する。
【0036】
研磨プロセス中に、銅、誘電体、ポリシリコンなどの材料がウェーハの表面から除去される。これらの微細な粒子は、スラリー中に懸濁したままであるか、研磨パッドに埋め込まれるか、又はその両方になる。これらの粒子は、研磨されているフィルムの表面に引っかき傷を引き起こすため、回路の壊滅的な障害を引き起こし、チップが役立たなくなり、歩留まりに大きな悪影響を及ぼす。
【0037】
歩留まりは、集積回路、MEMS、LEDなどの多くの製品の製造レベルでの成功を決定する原動力である。半導体製造施設(「ファブ」)及びファウンドリ内のCMPプロセスの表面品質公差は、ナノメートルで測定され、オングストローム単位でさえも測定される。CMP中にウェーハ又はフィルムの表面から可能な限り均一に材料を除去する能力は重要である。したがって、キャリア設計技術は、この能力の向上に向けて絶えず進化している。CMPシステムで処理されたウェーハの平坦度に小さな不均一性があると、歩留まりが低下し、廃棄物が増加する可能性がある。ウェーハキャリアと処理パッドの直径全体にわたる不均一性又は圧力差は、ウェーハの破損を引き起こす可能性がある。ソリッドステートデバイスの製造にかかる累積コストは、まとめて「所有コスト」(CoO)と呼ばれ、この用語は、必要な各製造ステップにも適用される。CMPプロセスのCoOは、半導体「チップ」とそれに関連するデジタルデバイスを製造するために必要な500~800ある個々の製造ステップでCoO数値が最も高いものの1つである。
【0038】
炭化ケイ素で形成されたウェーハは、多くの集積回路の応用でより一般的になる可能性がある。例えば、自動車産業は、従来のシリコンウェーハに対する炭化ケイ素ウェーハの特定の利点のために、炭化ケイ素ウェーハを使用して集積回路を製造することが期待されている。例えば、シリコンウェーハベースの集積回路と比較して、炭化ケイ素ウェーハベースの集積回路は、電力消費が少なく、耐熱性が高い可能性がある。したがって、自動車が車両の様々な側面を制御するために集積回路をますます多く使用するにつれて、炭化ケイ素ウェーハが望ましい特性を有するために、これらの制御システムは、炭化ケイ素ウェーハを使用してますます多く製造されている。
【0039】
しかしながら、炭化ケイ素は、シリコンよりも硬い材料である。したがって、炭化ケイ素ウェーハでは、他の点では同様のシリコンウェーハベースのCMPプロセスと比較して、CMP中に十分な除去速度を達成するために、より高い圧力及び/又は速度(例えば、ウェーハの表面と研磨パッド/プラテンとの間の相対速度)を必要とする場合がある。圧力及び/又は速度がこのように高くなると、同様のシリコンウェーハベースのCMPと比較して、炭化ケイ素ウェーハのCMP中に生成される熱が増加する可能性がある。熱がこのように増加すると、次に、ウェーハ表面、研磨パッド、及び/又はウェーハに接触して圧力を加える弾性膜に悪影響を与える可能性がある。例えば、熱が過剰にあると、ウェーハの表面欠陥につながる可能性がある。熱が過剰にあると、弾性膜及び/又は研磨パッドを溶融し、及び/又はウェーハを膜に付着させ、又はキャリアからそれを失って、ウェーハ及びキャリアを損傷し、及び/又はウェーハをキャリアから荷卸すのを妨げる可能性がある。 したがって、研磨中の温度を下げるために、ウェーハ及び/又は弾性膜を冷却する必要がある。本開示の態様は、炭化ケイ素以外の材料で形成された基板に対して実施され得ること、CMPなどの基板キャリアを有する基板プロセスの任意の段階で、ウェーハ、膜、又はウェーハキャリアの他の部分を所望の温度に冷却、加熱、又は他の方法で制御するために実施され得ることが理解されよう。
【0040】
CMPパッドの表面温度は、CMP処理において重要な変数となり得る。パッドの温度は、プロセス開始前のアイドル時間、ウェーハとプラテンの回転速度、ウェーハ圧力、スラリー流量、プラテン上で処理されるウェーハの数、スラリー温度、及び他の変数などの多くの変数によって大きく変動する可能性がある。本明細書に記載される実施形態の態様は、これらの変数の広い範囲にわたって、パッド表面温度を本質的に一定、例えば約50℃に維持することができる。これは、パッド表面に塗布される霧化された水の蒸発熱によるものであると考えられており、これにより、パッド表面が一定の温度に保たれるが、これらの他の変数が大きな温度変動を引き起こす程度とはほぼ無関係である。温度安定性はCMPプロセスの安定性にとって極めて重要なため、これは、本実施形態の別の重要な利点である。
【0041】
CMPツールは、通常、外部の排気源に接続される。この主な目的は、スラリーの蒸発によって生じる可能性のあるフューム(fumes)、特に有毒、揮発性(アンモニアなどの強いフューム)及び/又は腐食性の可能性のあるスラリーを除去することである。排気接続は、通常、研磨機の底部デッキ又は天井にある。どちらの場合も、排気によって引き起こされる空気の流れは、スラリーが分配され、フュームが発生する研磨パッドの表面に近接しない。本発明によれば、排気によって引き起こされる空気流は、パッド表面に直接、スラリーの使用点(近接)で適用され、研磨機及び/又は動作環境内のより広い領域/体積への伝播を低減(例えば、最小化)してフュームの捕集を増加(例えば、最大化)するように、高度に制約される。これは、作業員の安全、環境への配慮、及び機械の寿命にとって、著しい改善となる。
【0042】
開示された技術は、特定の実施形態に関して、特定の図面を参照して説明される。本開示は、それに限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。記載されている図面は、単に概略的なものであり、限定的なものではない。図面では、いくつかの要素のサイズは、例示の目的で誇張されており、縮尺どおりに描かれていない場合がある。寸法及び相対寸法は、必ずしも本開示の実施のための実際の縮小に対応するわけではない。
【0043】
(液冷式CMPシステム)
図1は、研磨パッド110を処理するための化学機械平坦化システム100の概略図である。システム100は、ウェーハを保持及び処理するように構成されたウェーハキャリア150を含むことができる。本明細書で使用される「ウェーハ」という用語は、半導体ウェーハ(例えば、円形)を指す場合があるが、CMP設備などの研磨又は平坦化設備によって処理される異なる形状の他のタイプの基板をより広く包含することもできることが理解されよう。したがって、以下の説明において、「ウェーハ」及び「基板」という用語は、文脈が特に「基板」の「ウェーハ」の1つのみに明確に関連する場合を除いて、交換可能に使用され得る。図示の実施形態では、基板キャリア150は、処理(例えば、下部)位置にあり、膜(図示せず)を備えた研磨パッド110に対して基板(図示せず)を保持している。研磨パッド110は、プラテン120の表面などの支持面に配置することができる。
【0044】
図2は、
図1の化学機械平坦化システムの図であり、基板キャリア150によって装着(例えば、上部)位置で保持された基板155を示す。基板155は、例えば、真空の力によって保持することができる。
図1及び
図2の両方を参照すると、システム100は、処理スラリーを基板155に送給し、それを研磨パッド110に対して化学的/機械的に平坦化することを可能にするように構成されたスラリー送給システム140を含むことができる。システム100は、その端部にパッド調整器を含むパッド調整アーム160を含むことができ、パッド調整器は、処理サイクル中又は処理サイクルの間に、パッドの表面粗さ又は他の処理特性を処置又は「リフレッシュ」するように構成することができる。
【0045】
図1及び
図2のシステム100では、研磨パッド110は、垂直軸を中心に反時計回りに回転するプラテン120の上面にある。他の向きと移動方向を実現することもできる。
【0046】
スラリー送給システム140は、研磨性及び腐食性粒子を含むスラリーを、処置された研磨パッド130の表面に送給することができる。研磨スラリーは、通常、研磨粒子のコロイド懸濁液であり、すなわち、水性媒体中のコロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、又はコロイダルセリアである。様々な実施形態では、スラリー送給システム140は、計量ポンプ、質量流量制御調整器システム、又は他の適切な流体送給部品を含む。
【0047】
基板キャリア150は、例えば、真空で基板155を保持することができ、その結果、研磨される基板155の表面は、研磨パッド110の方を向く。研磨パッド110上にスラリー送給システム140によって堆積されたスラリー中の研磨粒子及び腐食性化学物質は、それぞれ、摩耗及び腐食によって基板を機械的及び化学的に研磨する。基板キャリア155及び研磨パッド110は、研磨を提供するために、いくつかの異なる方法のいずれかで互いに対して移動することができる。例えば、基板キャリア150は、基板155が研磨パッド110に押し付けられるように、プラテン120に対して下向きの力を加えることができる。本明細書で更に説明するように、基板155は、加圧膜(図示せず)を用いて研磨パッド110に押し付けることができる。基板155と研磨パッド110との間のスラリーの研磨粒子及び腐食性化学物質は、研磨パッド110及び基板キャリア155が互いに対して移動するとともに、化学的及び機械的研磨を提供することができる。研磨パッドと基板キャリアとの間の相対移動は、様々な方法で構成することができ、いずれか又は両方を、互いに対して振動、直線移動、及び/又は反時計回り、及び/又は時計回りに回転するように構成することができる。
【0048】
パッド調整アーム160は、力で研磨パッド110を押すことによって、研磨パッド及び基板キャリア150に関して、上述の相対運動などのそれらの相対移動を伴い、研磨パッド110の表面を調整することができる。図示の実施形態のパッド調整アーム160は、振動することができ、その端部に、研磨パッド110に接触する回転するパッド調整器を備える。
【0049】
図3は、
図1及び
図2に示される基板キャリア150の一部として含まれ得る基板キャリアヘッド300の部分断面図である。基板キャリアヘッド300は、化学機械平坦化(CMP)システムのための膜アセンブリ305を含む。いくつかの実施形態では、基板キャリアヘッド300(本明細書ではキャリアヘッドとも呼ばれる)は、膜アセンブリ305が取り付けられる支持ベース380を含み得る。支持ベース380は、膜アセンブリに支持を提供するための任意の適切な構成であり得る。支持ベース380は、基板キャリアヘッド300の残りの部分をCMPシステム(図示せず)に取り付けられて接続することができる。支持ベース380は、キャリア本体、基板保持器、支持板、及び/又は本明細書の他の箇所に記載されている、ウェーハ(例えば、膜アセンブリ305)を支持し、及び/又はキャリアヘッド300の残りの部分をCMPシステムに接続する他の部品を含むことができる。
【0050】
膜アセンブリ305は、図示されるように、支持板310、弾性膜320、膜クランプ330などの膜保持器、及び任意選択の外部圧力リング340を含み得る。支持板310は、処理中にウェーハを支持し、例えば、膜アセンブリ305を支持ベース380に取り付けるための任意の適切な構成であり得る。例えば、支持板310は、1つ又は複数のボルト、又は他の適切な取り付け要素を使用して、支持ベース380に取り付けられ得る。支持板310は、支持ベース380の外周に沿ってなど、様々な位置で支持ベース380に取り付けられ得る。
【0051】
支持板310は、例えば、弾性膜320を通してウェーハを支持するための任意の適切な構成であり得る。弾性膜320は、いくつかの異なる方法で支持板310に固定することができる。弾性膜320は、支持板310が支持ベース380に固定される前又は後に、支持板310に固定することができる。弾性膜320は、膜クランプ330などのいくつかの適切な異なる膜保持器保持要素のいずれかを使用することによって、支持板310に固定することができる。いくつかの実施形態では、膜クランプ330は、ばね荷重式であり得る。他の実施形態では、膜クランプ330は、締結機構(例えば、ナット及びボルトなど)を使用することによって確実に締め付けることができる。膜クランプ330は、膜320の外側部分(例えば、外縁)を、支持板310及び/又は支持ベース380の対応する部分に固定することができる。膜保持器は、膜320の少なくとも一部を支持板310及び/又は支持ベース380に固定するための任意の適切な構成であり得る。
【0052】
弾性膜320は、例えば、
図1及び
図2を参照して上記で記載されたように、膜320が研磨パッドに対して基板370を保持し、基板を処理することができるように、支持板310に固定することができる。膜は、基板の(例えば、上向きの)表面に接触するように構成された(例えば、下向きの)第一の表面を含むことができる。膜320は、十分な弾性及び柔軟性を有することができ、その結果、研磨パッド材料及びプロセスパラメータと組み合わせて、膜320は、基板370全体にわたってより均一な圧力を加えることができる。いくつかの実施形態では、膜320の弾性及び柔軟性は、また、基板の破損を低減するのに役立ち得る。膜320及び支持板310は、液体が膜320と支持板310との間を流れることを可能にし、平坦化中に膜320を基板370に押し付けるように構成することができる。例えば、膜320は、液体が上向きの第二の表面、例えば、前述の第一の膜表面に対向する上向きの表面に沿って流れることを可能にするように構成することができる。支持板310は、膜320から離間して、それらの間にギャップ又は膜空洞360を形成することができる。膜空洞360は、膜320が静止(例えば、非加圧)状態にあるときに形成することができる。膜空洞360は、密封することができる。いくつかの実施形態では、液密シールは、膜空洞360内に形成され、液体が加圧されるときに液体が膜空洞360から漏れるのを防ぐことができる。したがって、膜空洞360は、液体を循環させることができる液体空洞を形成することができる。シールは、例えば、膜クランプ330において、膜320の一部とキャリア本体の一部(例えば、板310及び/又はベース380)との間に形成することができる。本明細書で使用される場合、密封された膜空洞は、選択的に密封され得る(例えば、弁で開閉される)入口及び/又は出口と流体的に連通している膜空洞を含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、膜320が静止状態にあるとき、膜320の一部分、例えば、その上向きの表面は、板310の対応する一部分、例えば、その下向きの表面などの上にあるか、又はそれに近接している。そして、膜空洞360は、膜320が拡張される(例えば、液体を介して加圧される)ときに形成される。膜空洞360は、平坦化中に、膜320に対して、したがって、基板370に対して、液圧の変動を再分配し、考慮することができる。液体は、図示のように、入口350を介して膜320の裏側に提供されて膜空洞360に入ることができる。入口350は、支持板310内に配置すること、又は他の構成を介して液体を供給することができる。液体は、また、出口355を介して膜空洞360から除去することができる。入口350及び出口355のそれぞれは、用途(例えば、円形管、正方形管など)に応じて異なって変更され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で更に説明するように、ウェーハ370を膜アセンブリの下側に保持するために、入口及び/又は出口を介して空洞360に真空を提供することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、膜空洞360は、膜320を支持板310から離間させることによって形成することができる。例えば、支持板310は、空洞を形成するために凹んだ内部部分を含むことができる。図示の実施形態では、膜アセンブリ305は、膜空洞360を形成するために任意選択の外部圧力リング340を含むことができる。他の実施形態では、膜アセンブリ305は、圧力リングなしで組み立てることができる。例えば、弾性膜320は、例えば、液体が膜空洞360に存在しない場合、膜320を支持板310から分離する膜空洞360なしで、支持板310に対して直接静止することができる。いくつかの実施形態では、膜アセンブリ305は、同心円に配置された1つ又は複数の圧力リング340を含み得る。1つ又は複数の圧力リング340は、液体が圧力リング340の一方の側から圧力リング340の他方の側に流れることを可能にするチャネル(図示せず)を含み得る。
【0055】
別の実施形態では、ウェーハキャリアは、マルチゾーンキャリアを含むことができる。例えば、膜320は、マルチゾーン膜であり得る。マルチゾーン膜の各ゾーンは、液体を受け取り、及び/又は単一ゾーン空洞を有する単一ゾーンキャリアについて本明細書に記載されるように同様に(例えば、別々に)制御されるように構成された対応する膜空洞を含むことができる。例えば、膜320は、膜320の様々なゾーンを効果的に隔離する膜320の溝(例えば、くぼみ)及び/又は隆起部分を有し得る。非限定的な例では、溝は、膜の中心から生じる一連の同心円に配置され得る。別の例では、膜アセンブリ305に取り付けられたときに基板370を横切って加えられる圧力の分布を改善するために、溝及び隆起部分は不規則な形状(例えば、相互接続する円、非円形のくぼみ、膜の表面全体に散在する円形パターン)であり得る。いくつかの実施形態では、システムは、マルチゾーン膜の1つ又は複数のゾーンに異なる圧力を加えて、各ゾーンの除去速度を調整することができる。例えば、より高い圧力が加えられるゾーンでは、除去速度がより高くなる可能性がある。システムはまた、除去速度を調整するために、1つ又は複数のゾーンに提供される液体の温度を調整することができる場合がある。例えば、より高い温度(例えば、より少ない冷却)を特定のゾーンに適用して、別のゾーンと比較して除去速度を上げることができる。除去速度に対する温度変化の影響は、圧力変化の影響よりも比較的低い可能性がある。したがって、単一ゾーン又はマルチゾーンシステムの除去速度を調整するときに、温度を微調整変数として使用することができる。例えば、第一のゾーンの圧力は、第二のゾーンの圧力と同じ、第二のゾーンの圧力よりも大きく、又は第二のゾーンの圧力よりも小さくなるように制御することができる。第一のゾーンの温度は、第二のゾーンの温度と同じ、第二のゾーンの温度よりも高く、又は第二のゾーンの温度よりも低くなるように制御することができる。
【0056】
膜320は、それが取り囲む構造に一致するように柔軟であり得る。場合によっては、膜320は、凸状であり得る。例えば、膜320は、中心で、弛んでいる可能性がある。膜320は、より精密な研磨のために、膜320の小さな領域が基板表面に接触するように円錐のような形状にすることもできる。
【0057】
膜材料は、本明細書に記載されているように、平坦化に適し、例えば、CMPプロセス用のキャリアヘッド内で使用するのに適した任意の弾性材料であり得る。いくつかの実施形態では、膜材料は、ゴム又は合成ゴム材料の1つであり得る。膜材料は、また、エチレンプロピレンジエンモノマー(Mクラス)(EPDM)ゴム又はシリコーンの1つであり得る。あるいは、膜材料は、ビニル、ゴム、シリコーンゴム、合成ゴム、ニトリル、熱可塑性エラストマー、フルオロエラストマー、水和アクリロニトリルブタジエンゴム、又はウレタンとポリウレタンの形態のうちの1つ又は複数の組合せであり得る。基板を効果的に冷却する(又は加熱し、又はその温度を制御する)ために、特定の実施形態では、弾性膜320の材料は、材料の熱伝達特性に基づいて選択され得る。したがって、炭化ケイ素基板などの基板を冷却するとき、より高い熱伝導率を有する材料が望ましい場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、膜材料は、基板の冷却を助けることができる熱伝導率を有する、Rogers Corporationが所有するArlon(登録商標)の下で入手可能なものを含むシリコーンなどのエラストマーであり得る。いくつかの実施形態では、弾性膜320は、弾性膜320の熱伝導率を高めて、温度制御された液体と基板との間の熱伝達を改善する無機添加剤を含み得る。熱伝導率を高める無機添加剤の例には、Martinswerk GMBHが所有するMartoxid(登録商標)の下で製造された一連の添加剤が含まれる場合がある。
【0058】
1つ又は複数の膜アセンブリを単一のCMPシステム内に実装することができる。CMPシステムは、CMPプロセスをより正確に制御するために、動作中にシステムからのフィードバックを利用する制御部(例えば、可変速モータ制御部など)を有する場合がある。
【0059】
例示的な実施形態では、膜320は、平坦化され得る。例えば、膜320は、所望の許容範囲内で平坦にすること、及び/又は所望の許容範囲内で表面粗さに一致するように作ることができる。例えば、膜320は、膜が研磨パッドにかけられる平坦化手順を受けることができる。また、膜320は、膜320を平坦化させる化学スラリーに導入することができる。更に、膜320の表面粗さは、この平坦化プロセス全体を通じて改善することができる。表面粗さは、CMPプロセスとの関連で使用される膜にとって、密封性とスティクションとの少なくとも2つの理由で重要になる可能性がある。平坦化プロセスにより、取り扱い目的で基板370と膜320との間の密封性を改善するために、表面粗さを低下させることができる。同時に、スティクション(すなわち、表面張力によって膜が基板に付着すること)を防ぎ、処理後の膜からの基板の放出を改善するために、表面粗さを増加させることができる。低表面粗さと高表面粗さとの間の所望のバランスを達成するために、(以下で説明する)平坦化プロセス中に、制御機構を使用することができる。制御機構は、膜を平坦化するために使用される装置の外部にあり得る。
【0060】
上述したように、より高い圧力及び/又は速度で基板を研磨する場合、炭化ケイ素基板などの特定の基板に関連する可能性があり、基板と回転する研磨パッド/プラテンとの間の摩擦は、基板370及び/又は弾性膜360に悪影響を与えるのに十分に高い温度をもたらす可能性がある。したがって、本開示の一態様は、弾性膜360及び基板370を冷却するために、弾性膜360の表面に沿って液体を流すことに関する。
図4Aは、本開示の態様に従って、基板の温度を制御するために使用することができる基板キャリアシステム400を示すブロック図である。
【0061】
図4Aを参照すると、基板キャリアシステム400は、圧縮乾燥空気(CDA)源405などのガス源、及び液体源410を含むことができる。ガス源及び液体源は、施設、現場での容器を介して提供することができ、及び/又は本明細書に記載の再循環システムの一部であり得る。システム400は、選択的な真空、気体又は液体の流れを提供するために、弁420、425、及び427などの1つ又は複数の弁を含むことができる。システム400は、空気駆動吸引器430などの真空源を含むことができる。システム400は、膜空洞360、入口350、及び出口355を備えたキャリアヘッド500を含むことができ、これは、本明細書に記載されるようなキャリアヘッド300(
図3及び
図5)、キャリアヘッド600(
図6~
図8)、又は温度制御を提供する他のキャリアヘッドに関して本明細書に記載されているものと同様である。システム400は、キャリアヘッドと研磨ヘッドとの間の相対移動を提供するように構成された回転ユニオン435などの可動要素を含むことができる。回転ユニオン435は、キャリアヘッドの一部又はそれに取り付けられた別個の部品であり得る。システム400は、制御システム440を含むことができる。制御システム440は、膜空洞360内の入口及び/又は出口での圧力及び/又は流量を制御するように構成された圧力及び/又は流量調整器を含むことができる。例えば、制御システム440は、流体背圧調整器445を含むことができ、いくつかの実施形態では、空気圧調整器415を含むことができる。いくつかの実施形態では、制御システム440は、空気圧調整器415、流体背圧調整器445、及び/又は基板キャリアシステム400の他の部品のうちの1つ又は複数を制御するように構成された制御プロセッサ(図示せず)を更に含み得る。制御システム440は、制御プロセッサを用いて開ループ又は閉ループの制御を提供するために、流量、圧力、温度などの様々なプロセスパラメータを感知するように構成された1つ又は複数のセンサを含むことができることが理解されよう。例えば、温度、流量、及び/又は圧力センサを実装して、膜空洞と流体的に連通している液体の温度、流量、及び/又は圧力を感知することができる。
【0062】
冷却に使用される液体は、液体の熱伝達特性に少なくとも部分的に基づいて選択することができる。一実施形態では、液体は、水であり得る。別の実施形態では、液体は、水よりも高い熱伝達特性を有するように設計することができ、例えば、液体は、Galden HT熱伝達流体であり得る。実施形態に応じて、他の液体も使用することができる。
【0063】
液体源410は、液体を膜空洞360に(例えば、弁425経由で回転ユニオン435を介して)選択的に提供する。回転ユニオンは、キャリアヘッド500を回転させながら、液体源410がキャリアヘッド500の入口350に液体を提供し、出口355を介して基板キャリアヘッド300から流出する液体を受け取ることを可能にする一組の流体チャネルを含み得る。液体源から受け取られた液体は、入口350を介して膜空洞360に流入することができ、出口355を介して膜空洞360から、例えば、流体背圧調整器445に流出することができる。
【0064】
CDA源405は、空気圧調整器415が流体背圧調整器445を制御できるように、空気圧調整器415にCDAを提供する。いくつかの実施形態では、流体背圧調整器445は、空気圧調整器415を含まなくても、制御プロセッサによって直接制御することができる。流体背圧調整器445は、流体背圧調整器445の上流の液体の所望の圧力を維持することによって、膜空洞360内の液体の圧力を制御する。したがって、流体背圧調整器445は、液体の一部が液体排出ポート450に流出することを可能にすることによって、液圧が所望の圧力よりも高いときに過剰圧力を低下させることができる。液体排出ポート450は、調整器445、吸引器430、及び/又は任意選択の熱交換器460の間の選択的な流れを提供するためのT字連結部又は弁を含むことができる。流体背圧調整器445は、膜空洞360内の液体の圧力を制御するため、CMP中に基板に加えられる圧力を制御するように構成することができる。液体源によって提供される液体の圧力は、CMP中に基板370に加えられる圧力の予想範囲よりも高くてもよい。したがって、流体背圧調整器445は、流体の圧力を所望のレベルまで低下させることによって、膜空洞360内の液体の圧力を調整するように構成することができる。膜360内の圧力は、膜空洞360の上流に配置された追加又は代替の圧力調整器によって制御することができる。
【0065】
CDA源405は、また、弁420を介して空気駆動液体吸引器430にCDAを提供する。弁427は、液体を膜空洞360に提供する方法を、液体を流すこと、(例えば、空気駆動吸引器430を介して)負圧を提供すること、及び膜空洞360を通気することの間で制御するために使用することができる。負圧を提供する場合、空気駆動液体吸引器430は、膜空洞360内の液体に負圧(例えば、真空)を提供するように構成される。特定の実施形態では、空気駆動液体吸引器430は、また、CDAのための排気部を含み得、ここで、空気駆動液体吸引器430を通るCDAの流れは、液体に提供される負圧を制御する。負圧は、弾性膜と基板370との間に吸引を提供するために使用することができ、基板キャリアヘッド300が処理機能のために基板を拾い上げることを可能にする。すなわち、空気駆動液体吸引器430によって提供される負圧は、弾性膜320の下側に基板370を保持することができる。弾性膜320の裏側に支持を提供する支持板は、上記真空を提供するため(ウェーハに吸盤効果を与えるため)、及び/又は膜空洞360内の液体の正圧を可能にして基板370を弾性膜320から切り離すための穴を含んでもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、液体排出ポート450から流出する過剰な液体は、単に廃棄されるだけで、非再循環システムを形成することができる。しかしながら、他の実施形態では、液体排出ポート450から流出する過剰な液体は、再循環して、液体源410に戻されてもよい。特定の実施形態では、システム400は、液体を液体源410に戻し、キャリアヘッドに流入させる前に、液体の温度を調整する(例えば、冷却する)ように構成された任意選択の熱交換器460を更に含むことができる。
【0067】
図4Bは、本開示の態様に従って、ウェーハの温度を制御するために使用することができる別の基板キャリアシステムを示すブロック図である。
図4Bを参照すると、基板キャリアシステム700は、冷却装置705、圧力設定点710、背圧調整器(BPR)715、入力圧力計720、流量計725、水「オン」弁730、キャリア735(キャリアヘッド300又は600など)、プラテン740、出力圧力計745、再循環/真空弁750、及び真空分離器755を含むことができる。
【0068】
図4Bの実施形態では、背圧調整器(BPR)715は、キャリア735の上流に位置する。この構成は、BPR715がキャリア735の下流に位置する構成よりも高い流量を提供することができる。より高い流量は、弾性膜を介した基板の冷却を改善することができる。キャリアヘッド500の上流側への流体背圧調整器445の同様の配置は、
図4Aの実施形態で実施することができる。
【0069】
図3、
図4A、及び
図4Bを参照すると、液体が弾性膜320の裏側に沿って膜空洞360を通って流れるとき、研磨プロセスの摩擦によって発生した熱は、弾性膜320を介して基板370から液体に伝達される。基板キャリアシステム400は、研磨プロセス中に発生する過剰な熱を除去するために、弾性膜320に沿って十分な流量を有するように液体を制御することができる。例えば、液体流コントローラ(例えば、制御システム440)は、膜空洞360の上流又は下流に実装することができる。
【0070】
入口と出口は、膜空洞内の液体の流れ(したがって温度制御)に影響を与えるように、様々な方法で構成することができる。
図3の実施形態では、入口350は、基板キャリアヘッド300の本体のほぼ中心に位置することができ、出口355は、入口350よりもキャリア本体の中心から遠くの半径方向の位置に、例えば、弾性膜320の外周縁の近くに位置することができる。研磨中の基板キャリアヘッド300の回転は、求心力のために、入口350から出口355への液体の流れを助けることができる。単一の入口350及び単一の出口355が
図3に示されているが、いくつかの実施形態では、複数の入口350及び/又は出口が含まれてもよい。例えば、複数の出口355は、弾性膜320の外周縁の近くに、及び/又はキャリア本体の中心から延びる半径方向(又は円周方向)の経路に沿って間隔を置いて配置することができる。
【0071】
図5は、別の実施形態に従って、
図1及び
図2に示される基板キャリア150の一部として含まれ得る基板キャリアヘッド300の別の部分断面図である。
図3の実施形態と同様に、
図5の実施形態の基板キャリアヘッド300は、膜アセンブリ305、入口350、出口355、膜空洞360、及び支持ベース380を含む。膜アセンブリ305は、支持板310、弾性膜320、膜クランプ330、及び任意選択の外部圧力リング340を含んでもよい。膜アセンブリ305は、平坦化中に研磨パッドに対して基板370を保持し、基板370を膜アセンブリ305の下側に保持するための真空を提供するように構成され得る。これらの部品は、
図3に関連して説明されたものと同様の機能を有し得る。
【0072】
図5に示されるように、入口350及び出口355は、対向する位置、例えば、弾性膜320の外周縁の近くに位置し得る。したがって、入口350から流れる液体は、弾性膜320の一方の側(例えば、縁)から、弾性膜320の反対側(例えば、縁)に位置する出口355に流れることができる。
【0073】
本明細書に記載の入口350及び出口355は、温度制御及び液体分配を改善するために任意の適切な構成(例えば、形状、サイズ、位置、数量など)で提供することができることが理解されよう。例えば、単一の入口350及び出口355が
図3及び
図5の断面図に示されているが、2つ以上の入口350及び2つ以上の出口355が提供されてもよい。1つ又は複数の入口又は1つ又は複数の出口は、液体が弾性膜320に沿ってより均一に流れるように、弾性膜320の反対側の様々な位置(例えば、外周縁の近く)に提供することができる。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の入口350は、弾性膜320の中心に関して、1つ又は複数の出口355に対して半径方向内側に配置することができ、逆もまた同様である。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の入口350は、1つ又は複数の出口355に対して、ほぼ同じ半径方向位置に配置することができるが、異なる円周方向位置に配置することもできる。1つ又は複数の入口350又は1つ又は複数の出口355は、弾性膜320のほぼ中心に配置することができる。
【0074】
(液冷式多膜CMPシステム)
図6は、基板キャリアヘッド600の一実施形態の分解上面等角図である。
図7は、
図6のキャリアヘッド600の分解底部等角図である。
図8は、
図6のキャリアヘッド600の断面図である。キャリアヘッド600の実施形態は、様々なタイプの基板処理装置内に実装することができる。例えば、キャリアヘッド600は、
図1及び
図2を参照して説明されたものなどのCMPシステム、又は他のタイプのCMPシステム内に実装することができる。キャリアヘッド600は、
図4Aの基板キャリアシステム内に実装することができ、
図3及び
図5のキャリアヘッドのいくつかの特徴を含むことができる(逆も同様)。
【0075】
図6~
図8の1つ又は複数を参照すると、基板キャリアヘッド600は、キャリアヘッド600の様々な部品を支持するために、キャリア本体21を含むことができる。キャリアヘッドは、キャリア本体21に取り付けられた基板保持器20を含むことができる。保持器20は、キャリアヘッド600上の基板を保持及び支持するように構成することができる。例えば、基板保持器は、基板を受け取るように構成された開口40を含むことができる。開口40は、基板保持器の厚さを部分的又は完全に貫通して延びる側壁を形成して、開口40内に保持された基板を支持して、その横方向の動きを防ぐことができる。保持器20は、別個の又は一体的に形成された部品であり得、キャリア本体21と同じ又は異なる材料であり得る。基板保持器は、実質的に切れ目のない外面42を含むことができ、又はその外面は、スラリーの流れを改善するための溝又は他の窪みを有することができる。
【0076】
キャリアヘッド600は、第一の弾性膜25及び第二の弾性膜30を含むことができる。膜又はその一部は、例えば、介在する構造なしに、互いに隣接して積み重ねるか又は配置することができる。膜25、30は、一緒に、
図1及び
図2のCMP処理に関して上述したように、基板処理中に基板処理プラテンに基板を押し付けることができる。膜25、30の一部は互いに押し付けることができる。
【0077】
膜25、30は、それぞれが隣接する構造に一致するように柔軟であり得る。膜材料は、任意の弾性材料、例えば、背圧を受け、その背圧をキャリアヘッド内に保持された基板に対して伝達するのに適した材料であり得る。いくつかの実施形態では、膜材料は、ゴム又は合成ゴム材料の1つであり得る。上述のように、膜材料は、また、エチレンプロピレンジエンモノマー(Mクラス)(EPDM)ゴム又はシリコーンの1つであり得る。あるいは、膜材料は、ビニル、ゴム、シリコーンゴム、合成ゴム、ニトリル、熱可塑性エラストマー、フルオロエラストマー、水和アクリロニトリルブタジエンゴム、又はウレタンとポリウレタンの形態のうちの1つ又は複数の組合せであり得る。基板を効果的に冷却するために、特定の実施形態では、弾性膜25、30の材料は、材料の熱伝達特性に基づいて選択され得る。したがって、炭化ケイ素基板などの基板を冷却するとき、より高い熱伝導率を有する材料が望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、弾性膜25、30は、弾性膜25、30の熱伝導率を高めて、温度制御された液体と基板との間の熱伝達を改善する無機添加剤を含んでもよい。
【0078】
弾性膜25、30(及び本明細書の他の膜)は、キャリア600(及び本明細書の他のキャリア)内に保持された基板に支持を提供する部分を含むことができる。そのような基板支持部は、基板を支持しないが、膜25、30をキャリアの他の部分に取り付けるのを助ける膜25、30の他の部分と区別することができる。
【0079】
例えば、第一の弾性膜25は、示されるように、幅W1を有する第一の基板支持部を含むことができる。示される第一の基板支持部は、第一の弾性膜25の水平部分であり、この水平部分は、その幅W1にわたって、基板保持器20の開口40内に保持された基板に延び、それに対して支持を提供する。第一の弾性膜25の残りの部分(すなわち、第一の基板支持部ではない部分)、膜バッキングサポート17、基板保持器20、及びキャリア本体21は、第一の弾性膜25をキャリアヘッド600の残りの部分に取り付けるように構成することができ、第一の弾性膜25の残りの部分は、例えば、外側支持板36(以下で更に説明される)の外側部分の周り及び/又はその間に蛇行形状で包まれるより短い垂直部分及び水平部分を含むことができる。
【0080】
第二の弾性膜30は、幅W2を有する第二の基板支持部を含むことができる。示される第二の基板支持部は、第二の弾性膜30の水平部分であり、この水平部分は、その幅W2にわたって、基板保持器20の開口40内に保持された基板の内側の中心部分まで延び、それに対して支持を提供する。第二の基板支持部は、第一の基板支持部とキャリア本体21との間に配置することができる。第一及び第二の基板支持部は、互いに対して積み重ねることができ、互いに直接的に積み重ねることができる(すなわち、互いに接触することができる)。第二の基板部は、示されている向きで、第一の基板部の上に積み重ねることができる。第二の基板支持部は、示されるように、第一の無孔基板支持部の内部に対して選択的に力を提供するように構成することができる。第二の基板支持部の外面は、第一の基板支持部の少なくとも内部の内面に直接接触することができる。この構成により、第二の弾性膜30は、改善されたプロセス及び基板上の均一性を提供し、例えば、CMPプロセスにおいて改善された中心除去速度の制御を提供することができる。
【0081】
(第二の基板支持部以外の)第二の弾性膜30の残りの部分は、第二の弾性膜30をキャリアヘッド600の残りの部分に取り付けるように構成することができ、第二の弾性膜30の残りの部分は、例えば、その外縁での短い垂直部分、及びその垂直部分の遠位端から延びる水平リップを含むことができる。
【0082】
膜25、30(又は本明細書の他の膜)は、それぞれ無孔部分を含むことができ、又は膜25、30は、それぞれ実質的に完全に無孔である可能性がある。例えば、対応する密閉された膜空洞と流体的に連通している表面を貫通する穴がない場合、膜は、「実質的に完全に無孔」である。したがって、例えば、取り付けの目的でその周縁に穴を有するが、膜空洞から流体的に隔離されている(例えば、密封されている)膜は、「実質的に完全に無孔」である可能性がある。膜25、30、又はその一部は、液体の漏れなしに、処理中に液圧又は真空を使用して膜の膨張及び収縮を可能にしながら、密封された空洞を提供するために、無孔である可能性がある。第一の及び第二の基板支持部のそれぞれは、それぞれ第一の無孔基板支持部及び第二の無孔基板支持部を形成するように無孔である可能性がある。
【0083】
キャリアヘッドは、内側支持板33を含むことができる。内側支持板は、一旦組み立てられると、キャリア本体21に対する相対移動を防ぐために固定することができる。内側支持板33は、処理中に第二の弾性膜30の第二の基板支持部に保持された基板を支持するように構成された、概して平面の剛性支持表面を含むことができる。
【0084】
キャリアは、外側支持板36を含むことができる。外側支持板36は、第一の弾性膜25の第一の基板支持部に保持された基板を支持するように構成された、概して平面の剛性支持表面を含むことができる。いくつかの実施形態では、外側支持板36は、第一の弾性膜25の第一の基板支持部の一部を支持することができる。例えば、外側支持板36は、処理中に第二の弾性膜30の第一の基板支持部の対応する外側部分を支持することができる外側板部分によって取り囲まれる中心開口部41を含むことができる。中心開口部41は、第二の基板支持部を取り囲むように構成することができる。いくつかの実施形態では、第一の基板支持部の幅W1は、第二の基板支持部の幅W2よりも大きくすることができる。いくつかの実施形態では、外側支持板36、第一の弾性膜25、及び第二の弾性膜30は、第二の基板支持部が外側支持板36の中心開口部41を通過できるように構成することができる。したがって、いくつかの実施形態では、処理中に、内側支持板33は、キャリア600に保持された基板の内側部分を支持することができ、外側支持板36は、キャリア600に保持された基板の外側部分を支持することができる。
【0085】
本明細書の膜は、単一ゾーン膜又はマルチゾーン膜であり得る。例えば、膜は、各膜内の様々なゾーンを効果的に隔離する溝(例えば、くぼみ)及び/又は隆起部分を有し得る。非限定的な例では、溝は、膜の中心から生じる一連の同心円に配置され得る。別の例では、処理中に、基板を横切って加えられる圧力の分布を改善するために、溝及び隆起部分は、不規則な形状(例えば、相互接続する円、非円形のくぼみ、膜の表面全体に散在する円形のパターン)であり得る。いくつかの実施形態では、ゾーンは、弾性膜の1つ又は複数の関連ゾーンに温度制御された液体を適用することにより、基板の様々な領域で材料除去速度を制御又は調整するために使用できる。
【0086】
いくつかの実施形態では、いずれか又は両方の弾性膜は、各ゾーンが各膜の裏側の単一の空洞からのみ圧力又は真空を受け取るように構成される単一ゾーン膜であり得る。「単一の空洞」は、共通の流体的連通における単一の容積として定義され、特定の形状に限定されない。空洞は、共通の流体的連通における小さな容積を含むことができ、これは、
図8で容易に見ることない、部品間の相対的に小さな許容誤差の間に形成される。例えば、キャリア600は、第一の弾性膜25の第一の基板支持部とキャリア本体21及び/又は外側支持板36の一部との間の比較的小さな開放空間内に形成された単一の第一の膜空洞を含むことができる。第一の膜空洞は、液体源410から第一の弾性膜25の第一の基板支持部の裏側への流体的連通を提供することができる。したがって、温度制御された液体を第一の弾性膜25の裏側に沿って流すことにより、基板及び第一の弾性膜25は、CMPプロセス中に冷却することができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、キャリア600は、例えば、第二の弾性膜30の第二の基板支持部と内側支持板33との間に形成された単一の第二の膜空洞を含むことができる。第二の膜空洞は、液体が第一の膜空洞から第二の膜空洞に漏れないように、第一の膜空洞から流体的に隔離され得る。第一の膜空洞は、例えば、流体背圧調整器445を介して第一の弾性膜25内の液体が加圧されると、容積が増加することができる。第二の膜空洞は、対応する第二の弾性膜30がCDAで加圧されると、容積が増加することができる。
【0088】
いくつかの実施形態では、第二の弾性膜30の底面及び/又は第一の弾性膜25の上面は、テクスチャ及び/又は液体流路を含むことができる。テクスチャ及び/又は液体流路は、液体が第一の弾性膜25と第二の弾性膜30との間に流れることを可能にして、液体が第二の弾性膜30と重なる基板の領域を冷却することを可能にし得る。
【0089】
(シリコン基板と炭化ケイ素基板の比較例)
シリコン基板と炭化ケイ素基板の違いにより、各タイプのプロセスで実行されるCMPプロセスに関連する多数のパラメータは、異なる場合がある。パラメータのこれらの変動の結果、本開示の態様で冷却するように設計されている炭化ケイ素CMPは、過剰な熱が発生する可能性がある。以下の表1は、典型的なシリコン基板と炭化ケイ素基板のCMPプロセスの値の例をまとめたものである。
【表1(1)】
【0090】
炭化ケイ素基板のCMPに使用されるパラメータは、特定の実装に応じて、異なる場合がある。いくつかの実装形態では、炭化ケイ素基板の処理中に、基板キャリアヘッドは、シリコンに使用される回転速度の典型的な範囲を超える速度で回転することがある。例えば、炭化ケイ素基板を研磨するために、基板キャリアヘッドは、約100rpmを超え、約110rpmを超え、約125rpmを超え、約150rpmを超え、又は約175rpmを超えて、最大約200rpmの速度まで、又はそれらの間の任意の範囲の速度で回転する可能性がある。
【0091】
基板に加えられる圧力は、また、シリコン基板の研磨と比較して、炭化ケイ素基板の研磨の典型的な範囲を超える可能性がある。ここで、例えば、炭化ケイ素基板を研磨するために、制御システム440は、液圧を、約6psiを超え、約7psiを超え、約8psiを超え、約9psiを超え、約10psiを超え、約11psiを超え、約12psiを超え、約13psiを超え、又は約14psiを超えて、最大約15psiの圧力まで、又はそれらの間の任意の範囲に制御することができる。
【0092】
シリコン基板の典型的な研磨において、温度は、環境の周囲温度(例えば、室温)を大幅に上回ったり下回ったりしない。しかしながら、炭化ケイ素基板の能動的な温度制御(例えば、冷却)を使用しない場合、炭化ケイ素基板及び研磨パッドの温度は、約100°Fを超えて上昇する可能性がある。本開示の態様に従って基板(例えば、炭化ケイ素基板)を冷却することにより、基板と研磨パッドの温度は、能動的な温度制御なしで発生するプロセスの温度と比較して、約10°Fを超え、20°Fを超え、30°Fを超え、40°Fを超え、50°Fを超え、60°Fを超え、70°Fを超え、80°Fを超え、90°Fを超えて最大100°Fまで、又はそれらの間の任意の範囲の温度だけ低下する可能性がある。他の場所で述べたように、いくつかのプロセス中に温度を上昇させる温度制御は、温度を低下させること、又は温度を所望の目標に維持することと同様に、有利であり得ることが予想される。したがって、いくつかの実施形態では、CMPプロセスの温度は、所望の目標温度の(プラス又はマイナス)0°F、10°F、20°F、30°F、40°F、50°F、60°F、70°F、80°F、90°F、又は100°F以内、又はそれらの間の任意の範囲に制御することができる。
【0093】
本明細書の実施形態は、減少した厚さの基板の処理を可能にすることができる。例えば、炭化ケイ素基板は、また、約600~800μmの典型的なシリコン基板の厚さよりも薄い厚さを有し得る。例えば、炭化ケイ素基板は、約600μm未満、約500μm未満、約450μm未満、約400μm未満、最小約350μmの厚さ、又はそれらの間の任意の範囲の厚さを有し得、又はいくつかの実施形態では、約350μmの厚さを有し得る。
【0094】
本明細書の実施形態を使用する炭化ケイ素基板の研磨によって、また、シリコン基板の典型的な材料除去速度よりも遅い速度を使用することが可能になり得る。例えば、炭化ケイ素基板に実施され得る材料除去速度は、約50μm/h未満、40μm/h未満、30μm/h未満、20μm/h未満、10μm/h未満、最低5μm/h、及びそれらの間の任意の範囲である可能性がある。
【0095】
本明細書の実施形態を使用する炭化ケイ素基板の研磨は、また、100~200ml/minのシリコン基板の研磨の典型的なスラリー流量よりも低い流量を使用することを可能にし得る。例えば、スラリー送給システム140は、約100ml/min未満、約90ml/min未満、約75ml/min未満、約60ml/min未満、最低約50ml/min、又はそれらの間の任意の範囲の流量で炭化ケイ素基板に処理スラリーを送給することができる。
【0096】
本明細書で使用される場合、「シリコンウェーハ」又は「シリコン基板」に関する「シリコン」は、シリコンウェーハを形成する際に使用される従来の材料を意味し、これは、通常、高純度の単結晶材料である。本明細書の実施形態によって、炭化ケイ素基板など、従来のシリコン基板よりも高い硬度の基板の処理を可能にすることができる。例えば、硬度(モース硬度)が約7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11を超え、それらの間の任意の範囲にある基板を含めて、破損を減らして処理することができる。いくつかの実施形態では、約11を超える硬度(モース硬度)を有する基板を処理することができる。いくつかの実施形態では、約8.5~10、又は9~9.5の間の硬度(モース硬度)を有する基板を処理することができる。シリコン基板中のシリコンの硬度よりも高い硬度を有する基板を処理することができる。シリコン基板内のシリコンではない基板を処理することができる。いくつかの実施形態では、プロセスの温度制御を提供するために、シリコン基板を含めることができる。更に、シリコン又は炭化ケイ素基板以外の基板を実装することができる。
【0097】
(剛性ウェーハ支持板を備えた液冷式CMPシステム)
本開示の態様は、弾性膜を使用しない他のCMPシステムにも適用することができる。例えば、
図9~
図12は、本開示の態様に従って、基板の温度を制御するための基板キャリアシステム(例えば、
図4A又は
図4Bのシステム)の一部として使用することができる「剛性バック(rigid backed)」基板キャリアの一実施形態を示す。特に、
図9は、本開示の態様に従って、基板の温度を制御するための基板キャリアシステムの一部として使用することができる基板キャリアの別の実施形態の斜視図である。
図10は、
図9の線A-Aに沿って取られた、
図9の基板キャリアの断面図である。
図11は、
図9の線B-Bに沿って取られた、
図9の基板キャリアの別の断面図である。
図12は、
図10の線C-Cに沿って取られた、底板の別の断面図である。
【0098】
図9及び
図10を参照すると、入口ライン及び出口ライン805は、ウェーハ支持板310を通って液体を循環させるための経路を提供する。支持板は、一体に接合されて、それらの間に液体空洞(例えば、液体冷却通路)815を形成することができる上部板及び下部板を含む。上部板と下部板を一体に接合して、例えば、炉内ろう付け(furnace brazing)によって継ぎ目810を形成することができる。液体冷却通路815は、下部板に機械加工することができ、次いで、下部板と上部板を一体に炉内ろう付けして、密封された液体冷却通路815を形成することができる。
図3及び
図8に示される実施形態と同様に、基板キャリアヘッドは、キャリアヘッドの様々な部品を支持するためのキャリア本体21を含むことができる。キャリアヘッドは、キャリア本体21に取り付けられた基板保持器20を含むことができる。支持板310は、キャリア本体21及び基板保持器20のそれぞれに取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、板310の全周(板310の上部を含む)は、保持器20及び/又は本体21によって取り囲まれ得る。
【0099】
図9~
図12の実施形態では、支持板310及び基板保持器20は、弾性膜を使用せずに基板を保持及び支持することができる。いくつかの実施形態では、基板キャリアは弾性膜を含まないので、基板キャリアは、剛性であり得る。キャリアフィルムは、図示されていないが、基板と支持板310との間にクッションを提供するために、支持板310と基板との間に含んでもよい。
図12に示されるように、液体冷却通路は、支持板310のどの部分も液体冷却通路から閾値距離を超えないように、支持板310の実質的に全領域をカバーするように経路指定され得る。液体冷却通路は、支持板310の底板及び上部板のうちの1つ又は複数に機械加工することができる。これによって、基板キャリアは、弾性膜の実施形態に関連して上述したように、基板(炭化ケイ素又は他の材料で形成された基板など)の温度制御(例えば、冷却)を提供するために使用することができる。例えば、
図4A又は
図4Bに示されているものと同様のシステムは、膜空洞360が液体冷却通路で置き換えられており、このシステム使用して、CMP中に基板を冷却するための液体を循環又は再循環させることができる。
【0100】
(温度制御された研磨パッドを備えたCMPシステム)
上述のように、化学機械研磨機は、下向きの力(圧力)、プラテン速度(摩擦)、及び研磨剤の化学的性質の組合せを使用して、多くの異なる基板から材料を除去することができる。これらの材料には、シリコン、AlTiC、GaSi、SiC、ガラス、石英、及びその他の材料が含まれるが、これらに限定されない。ウェーハに加えられる圧力と摩擦の量は、ウェーハが接触しているパッドの温度によって制限される可能性がある。高温は、パッドの故障を引き起こし、変形、溶融、グレージング、及び化学的性質(例えば、スラリーの化学的性質)の破壊を導く可能性がある。したがって、特定の実施方式では、除去の量及び/又は速度は、機械的システムによって制限されるのではなく、プロセスによって生成された熱を除去することができないことによって制限される。熱を効果的に除去できれば、機器の機械的システムを限界まで押し上げて、除去速度を上げることができる。これにより、スループットが向上し、現在利用できないプロセスを実行できるようになる。
【0101】
図13は、ポリウレタンの熱伝導率を温度の関数として示すプロットである。特に、
図13は、ポリウレタンパッド内の熱の熱管理が困難である理由を示す。バルクポリウレタンは熱伝導率(λ)が比較的低いため、ポリウレタンパッドを使用するときに、熱管理が難しい場合がある。特定の実施形態では、これらのパッドの通常の動作温度は、293K(20℃)と323K(50℃)との間で、0.0225~0.0275W/mKである。
【0102】
プラテンの冷却を使用しても、プラテンへの熱伝導によって除去できるパッドの熱量には制限がある場合がある。更に、対流及び放射による熱の除去は、パッドの典型的な動作温度では無視できる場合がある。
【0103】
図14Aは、IC1000微細多孔性ポリウレタン(MPU)研磨パッドのSEM画像830である。
図14Bは、本開示の態様に従う、CMP中の研磨パッド832及びウェーハ834の断面図である。例示的なIC1000微細多孔性ポリウレタン(MPU)パッド832に微細孔が存在すると、熱伝導率(λ)が大幅に低下する可能性がある。パッド832から熱を除去するために使用できる1つの技術は、パッド832の表面を冷却することである。いくつかの実施形態では、液体を使用してパッド832を冷却することができる。例えば、水は、非常に優れた冷却媒体である。しかしながら、10ml/mを超える量の水を使用すると、ウェーハ834を研磨するために使用されるスラリー836を希釈し、除去速度を低下させることによって圧力838及び速度840の増加の利点を打ち消す可能性がある。
【0104】
追加された液体が表面を希釈するのを防ぐために、液体の蒸発潜熱を利用する方法で液体(水など)を送給することができる。水は、約2260J/gの蒸発潜熱を有するため、パッド表面の冷却に非常に適している。したがって、少量の水を使用してパッドを冷却することができ、それにより、スラリー836の化学的性質に実質的に影響を与えることなくパッドを冷却することができる。いくつかの実施形態では、スラリー836の化学的性質の変化による除去速度の低下を考慮する場合、パッドを冷却するために使用される水の量は、除去速度の正味の改善をもたらすのに、十分に少ないかもしれない。
【0105】
図15は、本開示の態様に従う霧化器システムを含む基板処理システムの概略図である。
図15に示されるように、システムは、液体を霧化し、(プラテン915に固定することができる)パッド910の大きな表面積にわたって液体の非常に薄い層を広げて、水を蒸発させ、パッド910の表面から熱を直接的に引き出すことを可能にするように構成された霧化器905を含むことができる。一実施形態の除去された熱の量(ワット)は、0.1ml/sの流量×2260J/g=226Wと計算された。電流計を備えた熱板を使用した実験では、例示的な0.1ml/sの流量に対して、ワット数の実際の値が204Wであることが示された。以下に提供される様々な例において、霧化器905を含むシステムは、パッドの温度を14℃(25.2°F)低下させることができた。
【0106】
(液体霧化器を使用するパッドの冷却の比較例)
以下に、本明細書に記載の液体冷却を使用して研磨パッドの冷却を試験するために実行されるいくつかの実験についての実験データを提供する。以下に示す実験1、2、4、及び5のそれぞれについて、AlTiCで形成されたウェーハを使用した。
【0107】
実験1を表1(高圧、高速、冷却装置によるプラテンへの冷却なし、キャリアの冷却なし、霧化器なし)に示す。
【表1(2)】
【0108】
実験2を表2(高圧、高速、冷却装置によるプラテンへの冷却なし、キャリアの冷却なし、霧化器起動)に示す。
【表2】
【0109】
図16は、実験3のSiウェーハの霧化器ノズル適用前及び適用後の規準化された除去速度と温度を示すプロットである。
【0110】
実験4を表3(高圧、高速、冷却装置によるプラテンへの冷却なし、キャリアの冷却開始、霧化器なし)に示す。
【表3】
【0111】
実験5を表4(高圧、高速、冷却装置によるプラテンへの冷却なし、キャリアの冷却開始、霧化器起動)に示す。
【表4】
【0112】
(保持リングを備えたCMPシステム)
図17は、保持リングを使用するCMPシステムのリング圧力(psi)とプラテン温度(℃)との間の関係を示すプロットである。
図17に示されるように、リング圧力とプラテン温度との間には実質的に線形の関係がある。
【0113】
例示的な実施形態では、保持リングは、18.9平方インチの表面積を有し得る。約240ポンドの命令された下向きの力は、この実施形態の保持リングに加えられ、パッド表面上に約12.7psiの圧力をかけることができる。いくつかの実施形態では、システムは、命令された圧力(例えば、psi単位)をリングに提供することができる。一実施形態では、リングへの各psiの圧力は、24ポンドの力になる。表面積が約5平方インチの別の保持リングを使用して保持リングの接触面積を小さくすると、パッドに約48psiの圧力をかけることができる。保持リングと研磨パッドの間の接触面積が減少すると、研磨中に発生する熱も少なくすることができ、これは、炭化ケイ素ウェーハなどの特定のウェーハにとって特に有利である。したがって、下向きの力が保持リングの利用可能な表面積全体に広がるので、パッド圧力は、保持リングの表面積に関連している可能性がある。保持リングの接触面積を減少させることによる効果の1つは、保持リングの摩耗(wear)が増加することであり得る。例えば、保持リングの表面積が小さくなり、加えられる圧力が高くなると、保持リングの摩耗が速くなる可能性がある。
【0114】
保持リングの増加した摩耗は、パッドと接触している保持リングの部分の材料を、耐摩耗性のより優れた硬い材料に変更することによって、少なくとも部分的に軽減することができる。しかしながら、保持リングにそのような硬い材料を使用すると、ウェーハの脆弱性のためにウェーハが破損する可能性がある。特定のタイプのウェーハは壊れやすいため、保持リングに硬い材料を使用すると破損する可能性が高くなる。
図18は、階段状の形状を有する保持リング1000を示す。図示されていないが、特定の実施形態では、保持リング1000は、2つの異なる材料で形成することができる。特に、ウェーハがリングに接触している場所に、ポリフェニレンサルファイド(PPS)やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの異なる材料を使用して、保持リングの摩耗を減らしながら、保持リングがウェーハを破損するのを防止することができる。
【0115】
保持リングの摩耗を低減するために、本明細書に開示されるCMPプロセスは、表面積が小さくツーピース構造を有する保持リング1000を使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、保持リングは、150mmのキャリアに対して、15平方インチ未満、12平方インチ未満、10平方インチ未満、8平方インチ未満、又は5平方インチ未満の表面積を有し得る。例えば、保持リング1000は、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、炭化ホウ素、炭化ケイ素、及びステンレス鋼などの、硬く、摩耗率が低い外部材料を含むことができる。保持リング1000は、PPS、PEEK、Torlon(登録商標)、Rulon(登録商標)、ポリスルホン(PSU)、Ultem(登録商標)ポリエーテルイミド(PEI)、又はポリフッ化ビニリデン(PVDE)などの、基板接触と適合性のある設計されたポリマーを有する内部材料を更に含むことができる。
【0116】
十分な硬度を有する外部材料を使用することで、CMP中のリングの摩耗を最小限に抑え、保持リングの耐用年数を延ばすことができる。
図5に示されるように、保持リングは、また、保持リングの面と研磨パッドとの間の接触によって発生する熱を低減するために、接触面積を低減するための階段状の接触面を有することもできる。
【0117】
(霧化冷却液の封じ込め及び排気)
本明細書で説明するように、基板を冷却するために霧化液を使用すると、シリコンウェーハに使用される従来の材料よりも高い硬度を有する材料で形成された基板に対して、特に有利なことがある。これは、このような「硬い」基板の研磨により過剰な熱が発生する可能性があり、過熱により基板及び/又はCMP装置が損傷する前に達成できる除去速度が制限されるためである。従来のウェーハと比較して更に熱を発生する可能性のある材料の一例として、炭化ケイ素が挙げられる。しかしながら、本開示の態様は、基板に使用できる他の材料にも適用可能である。
【0118】
霧化冷却液は、除去速度を高めるために基板/CMPシステムを効果的に冷却することができるが、霧化液は、CMP処理中に生成されるスラリーと結合する可能性がある。霧化冷却液を使用する場合の潜在的な欠点の1つは、冷却に霧化液を使用しないCMP処理と比較して、スラリーの化学物質の一部が空気中に浮遊したり、処理環境から(例えば、パッド、プラテン及び/又は基板から)より容易に移動したりする可能性があることである。このことが重要になり得るのは、炭化ケイ素基板(又は、金や窒化ガリウムなどの他の一般的でない材料)の処理に使用されるスラリーは、従来のシリコンウェーハ材料に使用されるスラリーに比べて、腐食性及び/又は毒性のことがあるからである。そのため、腐食性及び/又は毒性化学物質の一部が霧化液を介してシステムから流出し、健康被害を引き起こしたり、汚染源となったり、近隣の機械/システムの腐食源となったりする可能性がある。
【0119】
本開示の態様は、霧化された腐食性及び/又は毒性化学物質が環境中に流出するのを低減又は防止するために、霧化された液体を捕捉及び排気することができるシステムに関する。
図19は、本開示の態様に従って、霧化冷却液の封じ込め及び排気システム1100を含むCMPシステムの例示的な部分の断面図である。
図19に示すように、封じ込め及び排気システム1100は、研磨パッド1110を冷却するように構成された霧化器1102、外側排気/低圧チャンバ1104、内側冷却チャンバ1106、及び排気ポート1108として構成された出力を含む。
【0120】
外側チャンバ1104と内側チャンバ1106は、2つの別個のプレナムを用いて形成することができる。内側プレナムは、外側プレナム内に収まるように、例えば入れ子構成で構成することができる。内側及び外側プレナムは、互いに対して同軸であることができる。霧化器1102は、回転研磨パッド1110を冷却するために、霧化された液体を内側チャンバ1106内に吐出することができる。例えば、霧化器1102は、霧化された液体を吐出するための出力ノズルを含むことができる。霧化器1102は、少なくとも一部が内側チャンバ1106内に配置することができる。外側チャンバ1104は、内側チャンバ1104から霧化液及びスラリー(例えば、空気中のスラリー粒子)を引き抜き、出力(例えば、排気ポート1108)を介してスクラバに霧化液及びスラリーを排気するために、内側チャンバ1104よりも低い圧力を有することができる。この霧化された液体及びスラリーは、内側チャンバ1106から、例えば、隙間1112のようなそこを通る流れを可能にする1つ又は複数の開口を通って外側チャンバ1104に流れることができる。排気ポート1108は、約-1.5~-4.0インチの負圧を有するように構成された排気ラインに接続され得る。スクラバは、霧化液からあらゆる腐食性及び/又は毒性化学物質のレベルを除去又は低減することができる。例示的な一実施形態では、排気は、約1500~2000、又は約1800(例えば、1877リニアフィート/分、及び約36.49立方フィート/分)の流量を有することができるが、本開示の態様は、これに限定されない。内側及び/又は外側プレナムは、研磨パッド1110と接触して、研磨パッド1110とプレナムとの間の霧化液及びスラリーの漏れを低減するために、研磨パッド1110の近くに、又はいくつかの実施形態では、研磨パッド1110と接触して配置され得る。典型的な間隙距離は、約1mmであっても、0mm(プレナムがパッド表面と接触)から約25mmまでの範囲、又はその間の任意の範囲であってもよい。プレナムがパッド表面に接触している場合、外側プレナムの下部に穴又はスロットを追加して、排気が外側プレナムに流入し、外側プレナムを通過できるようにしてもよい。あるいは、内側プレナムの底面を外側プレナムの底面よりも低くして、内側プレナムのみがパッドに接触し、外側プレナムはパッドからクリアランスを有するようにしてもよいし、その逆でもよい。あるいは、プレナムの底面の高さも同様に変化させることができ、両方ともパッドからある程度のクリアランスを有する。このように、排気に誘導される空気流は、スラリーの使用ポイント(近接)において、パッド表面に直接適用することができ、研磨機及び/又は動作環境内のより広い領域/体積への伝播を低減して、霧化液及び/又はスラリーフュームの捕集を増加させるように高度に制約することができる。
【0121】
図20は、
図19の外側チャンバ1104及び内側チャンバ1106を形成するプレナムの2つの分解斜視図を提供する。
図20に示されるように、外側チャンバ1104及び内側チャンバ1106は、内側チャンバ1104が外側チャンバ1104によって同軸構成で包含され得るような大きさにされる。示されるように、各プレナムは、組立中に取り付けられる別個の部分から形成することができる。
【0122】
図21A~Dは、
図19の外側チャンバ1104及び内側チャンバ1106を形成するプレナムの部分の実施形態の追加図を提供する。特に、
図21Aは、外側チャンバ1104及び内側チャンバ1106の拡大図であり、
図21Bは、空気及び水を霧化器1102に供給する外側チャンバ1104の側面に形成された空気及び液体(例えば、水)入力ポートを示す側面図であり、
図21Cは、組み立てられたプレナムの全体的なレイアウトを示す図であり、
図21Dは、組み立てられたプレナムの上面図である。
【0123】
(高圧パッドリンスと排気プレナムフラッシュの統合)
CMP処理中、使用済みのプロセス粒子及び化学物質による汚染を低減し、したがってプロセスの歩留まりを向上させるために、ウェーハプロセス実行の間に清浄な研磨パッドを維持することが有利であり得る。特定の実施態様では、スプレーバーを使用して研磨パッドに水を噴霧することができる。本開示の態様は、研磨パッドを洗浄するための例示的な液体として水(例えば、脱イオン水)を使用して提供されるが、本開示はこれに限定されず、研磨パッドを洗浄するために、他の液体(例えば、洗浄液)を使用することができる。研磨パッドを洗浄するために使用することができる例示的な液体としては、界面活性剤及びSC-1(例えば、水、アンモニア、過酸化水素の混合物)が挙げられる。更に、本開示の態様は、スプレーバーの実施態様の文脈内で説明されているが、同様のパッド洗浄の利点及び機能性を提供するために、様々な形状及びサイズの液体の1つ又は複数の流れを研磨パッドに向けるように構成されたスプレー装置を実装できることが理解されるであろう。
【0124】
スプレーバーの使用に関する1つの問題は、パッドに水を噴霧することに応答してパッドから排出される水及び副生成物(一般に、スプレーバーで導入された水のために水増しされたスラリーとも呼ばれる)を制御することが困難又は不可能な場合があることである。スラリーが制御されずに(例えば、抑制されずに)分布することで、パッド上に不要な材料が残ること、及び/又は、CMPシステムの、水及び/又はスラリーを取り扱うように設計されていない領域(例えば、研磨パッドから離れた領域)にスラリーが噴霧されることがあり得る。状況によっては、スラリーは、最終的に乾燥することがあり、これもまた、例えば、微粒子汚染に起因して問題となることがある。このように、パッドスプレー洗浄プロセスから生じた湿潤又は乾燥した液体が封じ込められないまま放置されると、CMPシステムが汚染され、例えば、乾燥したスラリーをシステムから洗浄するために、又は液体の侵入により損傷した部品を修理するために、CMPシステムに不必要なダウンタイムが発生する可能性がある。
【0125】
上記の問題に対処するために、本開示の態様は、スプレーバーを冷却チャンバ内に配置することができるCMPシステムに関する。
図22A及び
図22Bは、本開示の態様に従って、スプレーバーを含む封じ込め及び排気システムを含む例示的なCMPシステム1200の図を提供する。
【0126】
図22A及び
図22Bを参照すると、CMPシステム1200は、研磨パッド1208を冷却するように構成された霧化器1202と、外側排気/低圧チャンバ1204と、内側冷却チャンバ1210と、出力(例えば、排気ポート1206)とを含み、これらは、例えば、
図19~21Dに示されるシステム1100及びその部品と同様であり得る。ここで、CMPシステム1200は、スプレー装置(例えば、スプレーバー)1212を更に含む。図示の実施形態では、スプレーバー1212は、外側冷却チャンバ1204及び内側冷却チャンバ1210を含む同軸冷却システムに組み込まれている。
図22Aでは、外側チャンバ(排気/低圧チャンバ)1204がクロスハッチングを用いて示されている。
【0127】
スプレーバー1212は、例えば、ウェーハ処理実行後に、パッドを洗浄するために、パッド1208に(例えば、直接)水を(例えば、下向きに)噴霧するように構成された複数のパッド洗浄ノズル1213を含む。スプレーバー1211、及び/又はそのノズル1213は、排気システム1200の一部内に部分的に又は完全に配置され得る。例えば、スプレーバー1211及び/又はそのノズル1213は、外側チャンバ1204又は内側チャンバ1210に対応するプレナム内に部分的に又は完全に配置され得る。図示された実施形態では、ノズル1213及びスプレーバー1211の両方が、内側チャンバ1210内に形成されたプレナム内に配置される。内側チャンバ1210は、スプレーバー1212が動作している間に生成される水/スラリーの一部、大部分、又は実質的に全てを収容するように構成することができ、それによって、スプレーバーのパッド洗浄の利点を提供する一方で、水及びスラリーが、パッド及びシステム1200の内部特徴以外のCMPシステムの他の部品に噴霧されるのを防止する。排気ポート1206は、スプレー装置1212が作動している間に生成された水/スラリーを、研磨パッド及び内側チャンバ1210から、間隙を通って、外側チャンバ1204に、そして排気ポート1206からスクラバに、除去(例えば、排気)するように構成され得る。代替又は追加として、以下に更に説明するように、ドレインを介してこれらの副生成物を除去するための出力を実装することもできる。スプレー装置1212は、いかなる特定の量のノズルにも、いかなる特定のマニホールド又は「棒状」形状にも限定されず、同様のパッド洗浄機能を提供するために、様々なサイズ、形状、及び向きの、1つ又は複数のパッド洗浄ノズルを含むことができる。
【0128】
システム1200は、1つ又は複数の排気プレナムフラッシュノズル1214を含むことができる。排気プレナムフラッシュノズルは、スプレー装置1212の部品であることも、又は別個の液体供給を有する別個の部品であることもできる。フラッシュノズルは、本明細書に記載されるパッド洗浄ノズルとは同じ洗浄液供給源からの同様の洗浄液、又は異なる洗浄液供給源からの異なる洗浄液を使用することができる。排気プレナムフラッシュノズル1214は、外側チャンバ1204によって形成されたプレナム内に水又は他の適切な洗浄液を(例えば、上向きに)噴霧することによって、排気領域水リンス1205を提供するように構成され得る。排気領域水リンス1205は、外側チャンバ1204によって形成されたプレナム内へのリンス流体の上向き噴霧を説明するために青色で示されている。このようにして、ノズル1214は、水/スラリーを外側チャンバ1204から排気ポート1206を介してスクラバにフラッシュすることができる。例えば、上述した下部チャンバ1210の水/スラリー排気の間に、ある程度の量の水/スラリーが排気ポート1206から離れる方向で外側チャンバ1204に侵入することがある。このような不要なスラリー/水は、外側チャンバ1204によって形成されるプレナムの一部に蓄積すること、又は他の方法で汚染することがある。排気プレナムフラッシュノズル1214は、外側チャンバ1204から任意の不要な水/スラリーをフラッシュし、排気ポート1206を通して排気されるようにすることによって、そのような不要な汚染物の蓄積を防止することができる。外側チャンバ1204は、また、内側チャンバ1210と研磨パッド1208との間に形成された隙間に逃げる可能性のある水/スラリーを含むことによって、内側チャンバ1210に冗長性を提供することができる。
【0129】
いくつかの実施形態では、不要な水/スラリーを排気ポート1206から排気するのではなく、(研磨パッド及び/又は外側チャンバ1204の洗浄からの)洗浄液及び/又は本明細書のプロセスのリンス及び洗浄ステップからの他の副生成物を、チャンバ1210、1214によって形成されたプレナムの一方又は両方内から、内側チャンバ1210及び外側チャンバ1204の一方又は両方から外側の位置へ排出させることができる。例えば、リンス液、洗浄液、及び/又は他の副生成物のうちの1つ又は複数が、外側チャンバ1210内のプレナムから、内側チャンバ1210と外側チャンバ1204との間に形成された出力(例えば隙間)を通って、内側チャンバ1210内に排出されるようにしてもよい。リンス液、洗浄液、及び/又は他の副生成物のうちの1つ又は複数が、内側チャンバ1204内のプレナムから、内側チャンバ1210及び/又は外側チャンバ1204と、研磨パッド1208との間に配置された第二の隙間を通って、同軸プレナムの外側の位置に排出されるようにしてもよい。いくつかの実施態様では、システム1200は、研磨パッド1208からの不要なリンス液、洗浄液、及び/又は他の副生成物を捕捉するように構成された追加の排気を含んでよく、あるいは、例えば、チャンバ1204及び/又は1210内のプレナムとは別個で、それらのプレナムの外部にあるドレインシステムに、不要な水/スラリーが研磨パッド1208から自由に流れ出るのを単に許容してよい。
【0130】
同軸プレナムは、スプレーバー1212からの不要な過剰噴霧からCMPシステムを制御し保護することができ、同時に、研磨パッド1208を洗浄するときに生成されたスラリーを、排気ポート1206を介してスクラバに押し出すことができる。
【0131】
同軸冷却プレナム1204及び120内のスプレーバー1212のようなスプレー装置の組合せに関連する本開示の態様は、少なくとも2つの利点を提供する。第一に、スプレーバー1212によって提供される圧力噴霧水の比較的高い容積及び速度は、内側チャンバ1210、外側チャンバ1204、及び排気ポート1206を含む冷却チャンバ部品内の流出物のあらゆる蓄積をフラッシュするのに役立つ。第二に、スプレーマニホールド1212を冷却チャンバアセンブリに統合することにより、これら2つのアセンブリを別々に取り付ける場合と比較して、研磨パッド1208の上方に必要とされるスペースが少なくなる。
【0132】
図23は、センサ1310を備えた化学機械平坦化システム1300の概略図である。例えば、
図23は、
図1に示す基板処理システム100の変更バージョンであってもよい。
図1の部品と類似する化学機械平坦化システム1300の部品は、
図23に関して詳細に説明されない場合がある。
【0133】
化学機械平坦化システム1300には、1つ又は複数の検出器を実装することができる。センサ1310は、システム1300の別の部品の上に配置された、及び/又は別の部品内に埋め込まれた温度センサで構成することができる。検出器1310は、研磨パッド1100の少なくとも一部を見るように配置され得る。例えば、検出器は、研磨パッドとは別の位置(例えば、研磨パッドの上方の位置、及び/又は研磨パッドから距離を置いた位置)から研磨パッドの少なくとも一部の温度を遠隔監視するように構成することができる。例えば、パイロメータなどの赤外線温度検出器、又は他の非接触温度検出器を実装することができる。検出器1310は、例えば、研磨パッド110が霧化器で冷却されているとき(例えば、ウェーハがプラテンに載置されて処理されるとき)、研磨パッド110の温度を監視できるように構成することができる。上述したコントローラ440などのコントローラは、温度を示す温度センサ1310から送信される信号を受信し、これに応答して、霧化器からの霧化液の流れを制御するように実装することができる。このような制御は、研磨パッドの所望の表面温度を維持するために、その場でのパッド表面温度の測定及び制御を提供するように実施することができる。
【0134】
(まとめ)
本明細書に記載の霧化システムは、CMPシステムの研磨パッドを冷却するため、あるいは研磨パッドからエネルギー及び/又は熱を除去するための任意のタイプの霧化システムの使用を含む。霧化システムは、オリフィスを介して任意の圧縮ガスと組み合わせて任意の液体媒体を使用して、パッドを冷却すること、あるいはパッドからエネルギー及び/又は熱を除去することができ、それによって、CMP中の除去速度をより高くすることが可能になる。本開示の態様は、また、パッドを冷却するため、あるいはパッドからエネルギー及び/又は熱を除去するための任意の断熱冷却システムの使用に関する。霧化器を使用する場合、システムは、CMP中にパッド表面の温度を制御するための追加の手段としての霧化された流体の温度を制御するように更に構成することができる。本開示の更なる別の態様は、CMPプロセス及び消耗品に悪影響を与えることなくパッド表面を冷却するための追加の手段としての渦冷却ノズルを通って流れる冷却及び/又は温度制御ガス(圧縮空気など)の適用に関する。本明細書における排気システムの実施形態は、炭化ケイ素基板プロセスで使用されるような腐食性又はその他の危険なスラリー、又はその他のより腐食性の高いプロセス(例えば、過マンガン酸カリウムベースのスラリー、過ヨウ素酸塩、硝酸第二鉄)、又はその他の腐食性の低い良性のスラリー(水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなど)を使用するCMPプロセスで採用できることが理解されるであろう。例えば、スラリーの種類に関係なく、どのようなプロセスにおいても、本明細書の実施形態の霧化された液体は、装置上で凝縮し、「曇り(fogging)」又は他の悪影響を引き起こす可能性がある。更に、本明細書における封じ込め及び排気システムは、研磨を冷却するように構成された霧化器を、単独で、又は研磨パッドを洗浄するためのスプレー装置と組み合わせて、封じ込め及び排気するように実施することができ、逆もまた同様である。
【0135】
「例示的」という言葉は、本明細書では、「例、事例、又は実例として役立つこと」を意味するために使用される。本明細書で「例示的」として記載される任意の態様又は実施形態は、必ずしも他の態様又は実施形態よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。新規のシステム、装置、及び方法の様々な態様は、添付の図面を参照して以下により完全に説明される。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で具体化され得るものであり、本開示全体を通して提示される特定の構造又は機能に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの態様は、本開示が徹底的かつ完全であり、当業者に本開示の範囲を完全に伝えるように提供されている。本明細書の教示に基づいて、当業者は、本開示の範囲が、記載された他の態様とは独立して、又は組み合わせて実施されるかどうかにかかわらず、本明細書に開示される新規のシステム、装置、及び方法の任意の態様をカバーすることを意図することを理解すべきである。例えば、本明細書に記載の任意の数の態様を使用して、装置を実現することができ、又は方法を実施することができる。更に、本開示の範囲は、本明細書に記載の本開示の様々な態様に加えて、又はそれ以外の他の構造、機能、又は構造及び機能を使用して実施されるそのような装置又は方法をカバーすることを意図している。本明細書に開示される任意の態様は、請求項の1つ又は複数の要素によって具体化され得ることを理解されたい。
【0136】
また、この特許で「本明細書で使用される場合、用語…は、本明細書では、…を意味するように定義される」という文又は同様の文を使用して用語が明示的に定義されていない限り、その用語の意味を、その明白な又は通常の意味を超えて、明示的又は暗示的に制限する意図はなく、そして、このような用語は、この特許のいずれかの節(請求項の文言を除く)で行われた陳述に基づいて範囲が限定されると解釈されるべきではないことも理解されたい。本特許の最後の特許請求の範囲に記載されている用語が単一の意味と一致する形で本特許に言及されている限り、読者を混乱させないように明確にするためにのみ行われ、そのような請求項用語が、暗示又はその他の方法で、その単一の意味に限定されることを意図するものではない。
【0137】
「できる」、「可能である」、「し得る」、又は「してもよい」などの条件付きの言葉は、特に明記されない限り又は使用される文脈の中で他の解釈がなされない限り、特定の特徴、要素、及び/又はステップを、特定の実施形態では含むが、それ以外の実施形態では含まないことを伝えることを一般的に意図する。したがって、そのような条件付きの言葉は、1つ以上の実施形態で特徴、要素、及び/又はステップが何らかの形で必須であるか、あるいは1つ以上の実施形態が、これらの特徴、要素及び/又はステップが任意の特定の実施形態に含まれるか又はそれらが任意の特定の実施形態に実行されるかを、ユーザ入力又はプロンプトの有無にかかわらず決定するためのロジックを必ず含むことを示唆することを一般的に意図していない。
【0138】
「X、Y、及びZの少なくとも1つ」という語句などの接続的表現は、特に指定がない限り、項目、用語などがX、Y、又はZのいずれかであり得ることを伝えるために一般的に使用される文脈で理解される。したがって、このような接続的表現は、一般的に、特定の実施形態が少なくとも1つのX、少なくとも1つのY、及び少なくとも1つのZの存在を必要とすることを意味することを意図するものではない。
【0139】
本明細書で使用される「およそ」、「約」、「一般的に」、及び「実質的に」という用語などの程度の言語は、依然として望ましい機能を実行し、及び/又は望ましい結果を達成する記載された値、量、又は特性に近い値、量、又は特性を表す。例えば、「およそ」、「約」、「一般的に」、及び「実質的に」という用語は、所望の機能又は目的の結果に応じて、記載された量の10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満、及び/又は0.01%未満の範囲内の量を意味し得る。
【0140】
特定の実施形態が説明されてきたが、これらの実施形態は、単なる例として提示されており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。実際に、本明細書に記載の新規の方法及びシステムは、他の様々な形態で具体化することができる。更に、本明細書に記載のシステム及び方法の様々な省略、置換、及び変更は、本開示の精神から逸脱することなく行うことができる。添付の特許請求の範囲及びそれらの同等物は、本開示の範囲及び精神に含まれるような形式又は修正をカバーすることを意図している。
【0141】
特定の態様、実施形態、又は例に関連して説明される特徴、材料、特性、又はグループは、互換性がない場合を除き、この節又はこの仕様の他の節に記載される他の任意の態様、実施形態、又は例に適用可能であると理解されるべきである。本明細書に開示されているすべての特徴(添付の特許請求の範囲、要約及び図面を含む)、及び/又はそのように開示されている任意の方法又はプロセスのすべてのステップは、そのような機能及び/又はステップの少なくともいくつかが相互に排他的である組合せを除いて、任意の組合せで組み合わせることができる。保護は、前述のいかかる実施形態の詳細に限定されない。保護は、本明細書(添付の特許請求の範囲、要約及び図面を含む)に開示された特徴の任意の新規のもの、又は任意の新規の組合せにまで及び、又はそのように開示された任意の方法又はプロセスのステップの任意の新規のもの、又は任意の新規の組合せにまで及ぶ。
【0142】
更に、本開示で個別の実施形態の文脈で記載されている特定の特徴は、単一の実施形態で組み合わせて実施することもできる。逆に、単一の実施形態の文脈で記載されている様々な特徴は、複数の実施形態で個別に、又は任意の適切な部分組合せで実施することもできる。更に、特徴は、特定の組合せで機能するものとして上述されている場合があるが、請求された組合せからの1つ又は複数の特徴は、場合によっては、組合せから削除することができ、その組合せは、部分組合せ又は部分組合せの変形として請求することができる。
【0143】
更に、操作は、特定の順序で図面に描かれること又は明細書に記載されることもあるが、望ましい結果を達成するために、このような操作は、示されている特定の順序又は順番に実行される必要はなく、すべての操作を実行する必要もない。図示又は記載されていない他の操作は、例示的な方法及びプロセスに組み込むことができる。例えば、1つ以上の追加の操作を、記載されている操作の前に、後に、同時に、又はそれらの間に実行することもできる。更に、他の実施形態では、操作を再配置又は順序再設定することができる。当業者は、いくつかの実施形態では、図示及び/又は開示されるプロセスにおいて取られる実際のステップが図に示されるものとは異なる可能性があることを理解するであろう。実施形態に応じて、上記で記載された特定のステップを除去することもでき、他のステップを追加することもできる。更に、上記で開示された特定の実施形態の特徴及び属性は、異なる方法で組み合わされて、追加の実施形態を形成することができ、それらはすべて、本開示の範囲内に入る。また、上述された実施形態における様々なシステム部品の分離は、すべての実施形態でそのような分離を必要とするものとして理解されるべきではなく、上述の部品とシステムを、通常、単一の製品に統合することも、複数の製品にパッケージ化することもできることを理解されたい。例えば、本明細書に記載のエネルギー貯蔵システムの任意の部品は、別々に提供することも、一体に統合して(例えば、一体にパッケージ化されて、又は一体に取り付けられて)エネルギー貯蔵システムを形成することもできる。
【0144】
本開示の目的のために、特定の態様、利点、及び新規の特徴が本明細書に記載されている。必ずしもすべてのそのような利点が特定の実施形態に従って達成され得るとは限らない。したがって、例えば、当業者は、本明細書で教示されるような1つの利点又は利点のグループを達成する方法で、本開示を具体化又は実行し得るが、本明細書で教示又は示唆されるような他の利点を必ずしも達成する必要がないことを認識するであろう。
【0145】
本明細書に提供される見出しは、もし見出しがあれば、単に便宜上のものであり、本明細書に開示される装置及び方法の範囲又は意味に必ずしも影響を及ぼさない。
【0146】
本開示の範囲は、この節又は本明細書の他の節における好ましい実施形態の特定の開示によって限定されることを意図するものではなく、この節又は本明細書の他の節に提示されているように、又は将来提示されるように、特許請求の範囲によって定義され得る。特許請求の範囲の文言は、特許請求の範囲で使用されている文言に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書に記載されている例又は本出願の審査中の例に限定されることなく、これらの例は、非排他的であると解釈されるべきである。
【国際調査報告】