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特表2024-508778鶏の背肉から食品および食用料理を得る方法
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  • 特表-鶏の背肉から食品および食用料理を得る方法 図1
  • 特表-鶏の背肉から食品および食用料理を得る方法 図2a
  • 特表-鶏の背肉から食品および食用料理を得る方法 図2b
  • 特表-鶏の背肉から食品および食用料理を得る方法 図3a
  • 特表-鶏の背肉から食品および食用料理を得る方法 図3b
  • 特表-鶏の背肉から食品および食用料理を得る方法 図4a
  • 特表-鶏の背肉から食品および食用料理を得る方法 図4b
  • 特表-鶏の背肉から食品および食用料理を得る方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】鶏の背肉から食品および食用料理を得る方法
(51)【国際特許分類】
   A22C 21/00 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
A22C21/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550147
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-10-11
(86)【国際出願番号】 NL2022050081
(87)【国際公開番号】W WO2022177426
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】1043944
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523313377
【氏名又は名称】コユンク、レセプ
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コユンク、レセプ
【テーマコード(参考)】
4B011
【Fターム(参考)】
4B011FA03
(57)【要約】
ヒトが摂取するための食品を鶏の背肉(2)から得るための方法であって、食品が鶏の少なくとも1つの肩甲骨(3、4)を含み、背骨(5)の幅方向(W)の第1の側続いて第2の側で背骨(5)に隣接して長さ方向にナイフ(6)を挿入し、第1および第2の肩甲骨(3、4)の下で第1および第2の幅方向(W)に肉を切断するステップ;背骨(5)の上方で幅方向(W)にナイフ(6)を挿入し、続いて背骨(5)と肩甲骨(3、4)との間で長さ方向(L)に切断して、両方の肩甲骨(3、4)を含む食品(8)が背骨(5)から取り除かれるようにするステップを含む、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトが摂取するための食品を鶏の背肉(2)から得るための方法であって、前記食品が前記鶏の少なくとも1つの肩甲骨(3、4)を含み、
背骨(5)の幅方向(W)の第1の側で前記背骨(5)に隣接して長さ方向にナイフ(6)を挿入し、続いて前記第1の肩甲骨(3)の下で前記第1の幅方向(W)に前記肉を切断するステップ;
前記背骨(5)の前記幅方向(W)の第2の側で前記背骨(5)に隣接する前記長さ方向(L)に前記ナイフ(6)を挿入し、続いて前記第2の肩甲骨(4)の下で前記肉を前記第2の幅方向(W)に切断するステップ;
前記背骨(5)の上方で前記幅方向(W)に前記ナイフ(6)を挿入し、続いて前記背骨(5)と前記肩甲骨(3、4)との間で前記長さ方向(L)に切断して、両方の肩甲骨(3、4)を含む前記食品(8)が前記背骨(5)から取り除かれるようにするステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記背肉(2)が、
-前記鶏の前腹部;
-前記鶏の胸部の上部;
-前頸部;
-上部脊椎または背骨
由来の少なくとも1つの部分を含む、請求項1に記載の鶏の背肉(2)からヒトが摂取するための食品を得るための方法。
【請求項3】
両方の肩甲骨を含む前記食品(8)を前記長さ方向(L)に前記ナイフ(6)で切断し、それぞれが鶏の前記肩甲骨(3、4)の1つを含む、2つの食品(9、10)を提供するステップをさらに含む、請求項1~3に記載の、鶏の背肉(4)からヒトが摂取するための食品を得るための方法。
【請求項4】
前記食品(9、10)の外側に部分的に突出する肩甲骨(3、4)を有する食品(9、10)が得られるよう、前記肉を前記肩甲骨(3、4)から部分的に取り除くステップをさらに含む、請求項3に記載の、鶏の背肉(2)からヒトが摂取するための食品を得るための方法。
【請求項5】
請求項1~4に記載の方法で鶏の背肉(2)から得られる食品であって、前記鶏由来の少なくとも1つの肩甲骨(3、4)を含む、食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鶏の背肉からヒトが摂取するための食品を得るための方法に関し、食品は、鶏の少なくとも1つの肩甲骨を含む。
【0002】
本発明の目的は、鶏の背肉からヒトが摂取するための食品を得るための方法を提供することであり、より好ましくは、食品は食用料理であり、既知の限りでは、そのようなものとして以前に市販されていなかったものである。以下では、本発明に係る生産物は、「チキンバタフライ」および「チキンカツレツ」という名称で(も)言及される。
【0003】
「チキンバタフライ」という生産物は、解剖学的に、まだ市販されていない生産物である。これは、当該生産物が未だ発見、製造されていないためである。これまで、両肩甲骨を含むチキンバタフライを得る方法は利用できなかった。チキンバタフライは、スーパーマーケットや肉屋では入手できず、鶏の解剖学的構造を検索する際に、鶏のこの部分は、インターネットで販売される、言及される、また引用されることもない。本発明者は、通常はスクラップ肉として販売されている鶏の背肉から鶏のこの部分を偶然発見し、作り出した。本発明者のさらなる研究の後、特別な切断技術を使用して鶏のこの部分を切断して切り分ける新しい手作業の方法が開発され、それによって、生産物であるチキンバタフライが背肉から分離される。
【0004】
背肉という用語は、鶏の背中の部分を含む鶏の部分を指す。胸肉、手羽および脚のような鶏の屠体から主要な食用部分を取り除いた後、背肉および他の肉のスクラップ部分は後に残る。
【0005】
解剖学的に、背肉は、
-鶏の前腹部;
-鶏の胸部の上部;
-前頸部;
-上部脊椎または背骨;
-両方の肩甲骨
という部分を含む。
【0006】
チキンバタフライという用語は、背骨が取り除かれているが、依然として両方の肩甲骨を含む、背肉から得られた肉の切り身を指す。
【0007】
チキンバタフライは独特の断片であり、解剖学的に鶏の様々な断片の肉の様々な部分を含み、それによって鶏の様々な部分の味および風味を保存する。この生産物を得るために、新たな切断技術が開発されており、鶏の肉の切り身に両方の肩甲骨を残し、チキンバタフライを消費者が容易に入手できるようにしている。
(チキンバタフライの生産物は、2つの肩甲骨のないチキンバタフライではない)。
【0008】
米国特許第6,280,311号明細書には、七面鳥の屠体全体を切断して骨抜きをして、肩甲骨に肉が付着した状態の肩甲骨を含む肉の切り身を作成する方法が開示されている。第1のステップでは、七面鳥の背部に十字形の切開を作り、それによって左右の肩甲骨を分離する。第2のステップにおいて、七面鳥リブの切り身は、一方の手で後部隅のフラップを掴み、他方の手で七面鳥の屠体の背骨からナイフで左肋骨肩甲部を切断することによって得られる。第3のステップでは、右肋骨肩甲骨部分を背骨から切断する。
【0009】
この方法には、七面鳥の背部に隅のフラップを形成して、肉が付着している肩甲骨を手で掴んで引き上げて出すことができるよう、2つの肩甲骨を最初に分離しなければならないという欠点がある。さらに、この既知の方法は、屠体全体に適用することしかできず、背肉などの鶏の小さな部分には適していない。鶏の屠体は、サイズが小さく、世界的な摂取量が多いため、異なって処理される。食肉処理場では、高速自動化プロセスを使用して、鶏をドラムスティック、鶏の手羽肉などの食品に分割する。鶏を処理した後または間に、屠体をいくつかの部分に分け、そのうち背肉は、肩甲骨および背骨の一部を含む。一般に、この背肉は、例えば、チキンスープを作製するための肉のスクラップとして販売されている。
【0010】
したがって、本発明の目的は、鶏の背肉のスクラップを切断するための方法を提供すること、および両方の肩甲骨を含む鶏の切り身を提供することであり、この鶏の切り身は、「チキンバタフライ」として食品として市販され得る。本発明のさらなる目的は、「チキンバタフライ」を切断する方法を提供すること、1つの肩甲骨を含む「チキンカツレツ」を提供することである。
【0011】
これらの目的は、本発明に係る方法によって達成され、これにより、第1のステップにおいて、ナイフが背骨の幅方向である第1の側で背骨に隣接して長さ方向に挿入され、続いて第1の肩甲骨の下で第1の幅方向に肉を切断し、
第2のステップにおいて、ナイフは、背骨の幅方向であるその第2の側で背骨に隣接して長さ方向に挿入され、続いて第2の肩甲骨の下で第2の幅方向に肉を切断し、
第3のステップにおいて、ナイフは背骨の上方で幅方向に挿入され、続いて、両方の肩甲骨を含む食品が背骨から取り除かれるように、背骨と肩甲骨との間で肉が長さ方向に切断される。
【0012】
最初に背肉の肉に、背骨に平行にナイフを挿入することによって、肩甲骨を含む背肉の部分は、背骨を含む背肉の部分から、切開によって分離される。次いで、長さ方向に切開をすることで、両肩甲骨を含むチキンバタフライ食品を、背肉から容易に分離することができる。
【0013】
好ましくは、背肉は、
-鶏の前腹部;
-鶏の胸部の上部;
-前頸部;
-上部脊椎または背骨
由来の少なくとも1つの部分を含む。
【0014】
鶏の様々な部分が生産物に含まれるとき、味および風味が組み合わされ、より複雑で改善された味の食品が提供される。
【0015】
好ましくは、方法は、ナイフで長さ方向に2つの肩甲骨で食品を切断するステップ、およびそれぞれが鶏の肩甲骨のうちの1つを含む2つの食品を提供するステップをさらに含む。
【0016】
より好ましくは、方法は、肩甲骨から肉を部分的に取り除くステップをさらに含み、それにより、食品の外側に部分的に突出する肩甲骨を有する食品が得られる。この生産物は赤肉のカツレツに似ているため、チキンカツレツと呼ばれる。有利には、むき出しの骨の部分は、チキンカツレツ食品をつまんで食べるための把持部として使用することができる。さらに、チキンカツレツは見た目が美しく、フィンガーフードとして食することができる。
【0017】
チキンバタフライでは、肉の部分にあるように、両方の肩甲骨が食品の両側に残る。チキンカツレツ食品では、肩甲骨が1つしか存在せず、肩甲骨の一部が食品から突出している。
【0018】
本発明に係る言及された両方の生産物は、これまで他のいずれの場でも入手できなかった。特別なツールを用いる特別な技術を使用することにより、消費者にこの独特のチキンバタフライとチキンカツレツを入手できるようにする。これは、特別なツールおよび特別な充填技術を用いて行われる。本発明に係る食品の製造は、手で、または(専用の)機械によって行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】両肩甲骨を含む背肉の位置の領域Sを示す鶏の解剖学的構造を概略的に示す。
図2a】本発明に係る方法の第1のステップを示す上面図である。
図2b】本発明に係る方法の第1のステップを示す、図2aの断面図である。
図3a】本発明に係る方法の第2のステップを示す上面図である。
図3b】本発明に係る方法の第2のステップを示す、図3aの断面図である。
図4a】本発明に係る方法の第3のステップを示す上面図である。
図4b】本発明に係る方法の第3のステップを示す断面図である。
図5】各々に肩甲骨が付いている一対のチキンカツレツを上面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、屠体の状態である鶏1を示す。Sで示す領域は、背肉が得られる領域である。
【0021】
図2aは、図1の領域Sに由来する鶏の背肉2の上側を上面図で示す。背肉2には、第1の(または右)の肩甲骨3および第2の(または左)の肩甲骨4が示されている。また、鶏の背骨5の一部は、背肉2に含まれる。背肉2は、本質的に肉および前述の骨からなる。本発明に係る方法の第1のステップでは、ナイフ6が背骨に平行に隣接して背肉2に挿入され、ナイフのブレード7は、背骨5の第1の(右側)側の近くに配置される。ナイフ6のブレード7は、挿入している最中にブレード7が背骨5によって多少誘導されるため、容易に挿入される。続いて、ナイフ6およびブレード7で、背肉2の幅方向(矢印)Wの背肉2の第1の(右)部分の肉を切断する。図2aの断面図である図2bには、ブレード7が背骨5に隣接して配置され、第1の(右)肩甲骨3の下で、幅方向(矢印)Wに背肉2の肉を切断することが明確に示されている。
【0022】
図3aは、本発明に係る第2のステップにおいて、ナイフ6が、背骨の左側に平行に隣接して、背肉2に挿入され、ナイフのブレード7が背骨5の近くに配置されることを、上面図で示す。ナイフ6のブレード7は、ここでも容易に挿入されるが、これは、ブレード7も背骨5の左側により誘導されるからである。続いて、ナイフ6のブレード7が、背肉2の幅方向(矢印)Wの背肉2の第2の(左)部分の肉を切断する。図3aの断面図である図3bには、ブレード7が背骨5に隣接する第2の(左)側に配置され、第2の(左)肩甲骨4の下で幅方向(矢印)Wに背肉2の肉を切断することが示されている。
【0023】
図4aは、本発明に係る第3のステップにおいて、ナイフ6が幅方向Wにおいて背骨5を横切る背肉2に挿入され、ナイフ6のブレード7が背骨5の上部付近に位置することを、上面図で示す。ここで、ナイフ6のブレード7は、背骨5の上部の肉を長さ方向Lにおいて切断し、背骨5が、背肉2の上側部分(チキンバタフライ)から離れるようにする。チキンバタフライを取り除くことは、本質的に矢印Bによって示されている。図4aの断面図である図4bには、ナイフ6のブレード7が背骨5と両方の肩甲骨3、4との間に配置されていることが示されている。背肉の第1の(右側)側では、第1のステップで行われた切開が、ブレード7を誘導するために利用可能であり、背肉の第2の(左側)側では、第2のステップで行われた切開がブレード7を誘導するために利用可能であるため、ブレード7は背肉2に容易に挿入される。
【0024】
チキンバタフライ食品8は、図4bから分かるように、両方の肩甲骨3、4を含む背肉2の実質的に上部にある。
【0025】
チキンバタフライ食品8は、チキンバタフライを長さ方向Lに上から下へ、またはその逆に切断することによって、2つの本質的に等しい部分に分割することができる。図5を参照すると、各々がチキンバタフライの両肩甲骨3、4の一方を含む2つの食品9、10が得られる。図示の代替的な実施形態では、肩甲骨3、4の周りの肉の部分が取り除かれ、その結果、(むき出し、露出の)肩甲骨3、4の一部が食品から部分的に突出した一対の食品9、10が得られる。1つの(一部がむき出しの)肩甲骨を有するこれらの食品9、10は、チキンカツレツとも呼ばれる。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5
【国際調査報告】