(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】車両用センサデバイス、並びにこれを使用するシート・ベルト・リトラクタ
(51)【国際特許分類】
B60R 22/40 20060101AFI20240220BHJP
B60R 22/28 20060101ALI20240220BHJP
B60R 22/34 20060101ALI20240220BHJP
B60R 22/48 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
B60R22/40
B60R22/28
B60R22/34
B60R22/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550158
(86)(22)【出願日】2021-12-09
(85)【翻訳文提出日】2023-08-19
(86)【国際出願番号】 KR2021018595
(87)【国際公開番号】W WO2022181942
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0026516
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】ムーン,チャン キ
【テーマコード(参考)】
3D018
【Fターム(参考)】
3D018DA07
3D018GA05
3D018HA07
(57)【要約】
【解決手段】 本発明は、車両用センサデバイス、並びにこれを使用するシート・ベルト・リトラクタに関する。この車両用センサデバイスは、本体の設置角度及び傾きに応じて、本体に結合されたシャフトを中心に回動できるよう、上記本体に設置された重錘体ハウジングであって、この重錘体ハウジングには、重錘体が設置される重錘体ハウジングと、車両の傾きの変化を検知するボールアセンブリと、ボールアセンブリが移動できるよう設置されたセンサハウジングと、このセンサハウジングに設置され、上記ボールアセンブリの移動により回動するセンサレバーとを、含む。上記センサレバーは、ロッキングデバイスに設けられたパイロットレバーを、回動することによって直線的に往復運動するように構成される。上記センサレバーは、ボールアセンブリが結合されているセンサハウジングに設置されている。センサレバーは、車両の傾きの変化に応じたボールアセンブリの移動によってヒンジシャフトを中心に回動し、センサレバーと接続されたパイロットレバーが、直線的に往復運動し、これにより、パイロットレバーがロッキングデバイスとの間で結合、又は分離する。これにより、パイロットレバーの正常な制御を可能とする範囲を広げることができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の傾きの変化を検出する車両用センサデバイスであって、前記車両用センサデバイスは、
外側を形成する本体と、
前記体の1つの開放表面に結合するカバーと
前記本体の設置角度及び傾きに応じて、前記本体に結合されたシャフトを中心に回動できるよう、前記本体に設置された重錘体ハウジングであって、重錘体を内部に設置した重錘体ハウジングと、
前記車両の前記傾きの前記変化を検出するように構成されたボールアセンブリと、
前記ボールアセンブリが内部を移動できるように設置されたセンサハウジングと、
前記センサハウジングに設置され、前記ボールアセンブリの移動により回動するセンサレバーとを含み、
前記センサレバーは、ロッキングデバイスに設けられたパイロットレバーを、回動することによって直線的に往復運動するように構成される、車両用センサデバイス。
【請求項2】
前記センサレバーは、水平に配置された水平部と、前記水平部の一端に配置され、且つ、上向き方向で垂直に延在する垂直部とを含み、前記垂直部の上端は前記パイロットレバーにロックされ、
一対のヒンジシャフトが、前記センサハウジングの両側壁へと回動可能に結合されるよう、前記水平部の両端に配置され、
前記ボールアセンブリから伝わる重量で支持されるよう、支持突起部が前記水平部の下面に配置され、
前記車両の前記傾きの前記変化によって、前記ボールアセンブリが片側に移動すると、重心の変化により前記水平部が回動し、これにより、前記パイロットレバーが前記カバーの外側に移動する、請求項1に記載の車両用センサデバイス。
【請求項3】
車両の傾きの変化を検出する車両用センサデバイスであって、前記車両用センサデバイスは、
外側を形成する本体と、
前記本体の1つの開放表面に結合するカバーと、
前記本体の設置角度及び傾きに応じて、前記本体に結合されたシャフトを中心に回動できるよう、前記本体に設置されたセンサハウジングと、
前記車両の前記傾きの前記変化を検出するために、前記センサハウジングに設置されたボールと、
前記ボールの上部に設置されたレバーガイドと、前記センサハウジング内で回動可能に設置されたセンサレバーとを含み、
前記センサレバーは、ロッキングデバイスに設けられたパイロットレバーを、前記ボールの移動が原因で生じる回動によって、直線的に往復運動させるように構成される、車両用センサデバイス。
【請求項4】
前記センサレバーは、水平に配置された水平部と、前記水平部の一端に配置され、且つ、上向き方向で垂直に延在する垂直部とを含み、前記垂直部の上端は前記パイロットレバーにロックされ、
ヒンジシャフトが、前記センサハウジングの両側壁へと回動可能に結合されるよう、前記水平部の両端から突出し、
前記水平部は、前記ボールの上部に着座する前記レバーガイドの上部に配置され、
前記水平部の下面には、前記レバーガイドの上面に支持されるべき支持突起部が形成され
前記車両の前記傾きの前記変化によって、前記ボールが片側に移動すると、重心の変化により前記水平部が回動し、これにより、前記パイロットレバーが前記カバーの外側に移動する、請求項3に記載の車両用センサデバイス。
【請求項5】
前記レバーガイドは、前記ボールの上面に着座できるよう、上向きに凸状の湾曲面を有する円錐形状で形成され、
前記レバーガイドの上面は、その中心から外側に向かって下向きに傾斜する傾斜面を有し、
前記センサレバーの前記水平部上に取り付けられるよう、取付突起部が前記レバーガイドの前記上面から突出し、
前記取付突起部を移動できるよう取り付けられるよう、取付孔が前記センサレバーの前記水平部内に形成される、請求項4に記載の車両用センサデバイス。
【請求項6】
前記パイロットレバーには、その両端よりも直径が短いロッキング部が設けられており、
前記ロッキング部が回動可能にロックされるよう、ロッキング凹部が前記センサレバーの前記垂直部の上端に形成される、請求項2、請求項4及び請求項5のいずれか一項に記載の車両用センサデバイス。
【請求項7】
シートの背もたれの傾きの変化に伴って、
前記センサハウジングが前記本体に結合された前記シャフトを中心に回動した場合でも、前記車両用センサデバイスは、前記パイロットレバーの前記ロッキング部と前記センサレバーの前記ロッキング凹部との間の接続を維持し、これにより、前記車両用センサデバイスは、前記背もたれの全角度範囲内で正常に動作する、請求項6に記載の車両用センサデバイス。
【請求項8】
車両用センサデバイスを使用するシート・ベルト・リトラクタであって、前記シート・ベルト・リトラクタは、
請求項1又は3記載の構成を含み、車両の傾きの変化を検出するように構成された車両用センサデバイスと、
シート・ベルト・ウェビングが巻かれるスピンドルを含むスピンドルデバイスと、
車両衝突時に前記シート・ベルト・ウェビングが抜けるのを防止するロッキング動作を実行するように構成されたロッキングデバイスとを含み、
前記車両用センサデバイスは、前記車両の前記傾きの前記検出された変化に基づいて、前記ロッキングデバイスとの間で結合、又は分離するよう、パイロットレバーを直線的に往復運動させるよう構成される、シート・ベルト・リトラクタ。
【請求項9】
車両衝突の直前に前記ウェビングを巻くことによって、
弛みを低減させるように構成されたプレテンション装置も更に含む、請求項8に記載のシート・ベルト・リトラクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シート・ベルト・リトラクタに関し、より具体的には、車両の傾きの変化を検出して、シートベルトの抜けを防止する車両用センサデバイス、並びにこれを使用するシート・ベルト・リトラクタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両は、乗員の安全性を確保するためにシートベルト安全装置をシートに備えている。
【0003】
シートベルト安全装置は、帯状のシート・ベルト・ウェビング(以降、ウェビングと称する)をスプールで巻くか、あるいはウェビングを抜いて乗員を拘束するように構成されたリトラクタと、ウェビングの一端に固定された舌部が着脱可能に挿入されるバックルとを含む。
【0004】
リトラクタは、車両事故によって引き起こされる車両の急停止、又は急加速時に、シートベルトを着用した乗員が駆動慣性によって前方に放り出されたり、あるいは、シートから引き離されることを防止する。係るリトラクタとしては、乗員がシートベルトを着用している通常の状態では、ウェビングの抜けを許容するが、車両衝突によって、ウェビングが抜ける加速度、又は車両の傾きが変化したことを検出すると、それ以上のウェビングの抜けを防止する装置、並びに、ウェビングの弛み、又は垂れ下がり、つまり、ウェビングの弛みを低減する緊急用張力付与装置、及びプレテンション装置があり得る。
【0005】
例えば、以下の特許文献1及び特許文献2では、シート・ベルト・ウェビングの巻き取り及び巻き戻し動作を制御するリトラクタ技術が開示されている。
【0006】
一方、車両衝突が発生したとき等、所定の値を超える加速度がリトラクタに水平方向で印加された場合、あるいは、車両の傾きが変化した場合、加速度、又は傾きを検出する車両センサをリトラクタに適用して、シートベルトのロッキングデバイスを動作させることで、シートベルトの抜けを防止する。
【0007】
慣性部材又は独立した慣性部材としてボールを使用する車両センサが、一般に当該技術分野で既知である。
【0008】
例えば、車両センサは、ウェビングの通常の減速度よりも高い減速度、又は傾きが車両に印加された危険な状況で動く慣性部材と、慣性部材に動かされて、シート・ベルト・リトラクタのスプールと共に回動する、制御ディスクの外歯と相互作用するセンサレバーとを含む。
【0009】
係るシート・ベルト・リトラクタは、例えば、車両のセンタピラー、シートの背もたれ、リアピラー等の車体に取り付けられ得る。したがって、シート・ベルト・リトラクタの取付姿勢は、センタピラー、シートの背もたれ、リアピラー等の構造に合わせて、様々に変更できる。つまり、シート・ベルト・リトラクタは、必ずしも水平状態で取り付けられるとは限らず、水平状態から左右方向又は前後方向に所定角度だけ傾いた状態で着用される場合もある。
【0010】
とりわけ、シート・ベルト・リトラクタがシートの背もたれに設置されている場合、背もたれの回動に応じて、シート・ベルト・リトラクタの傾きを変えることができる。
【0011】
しかし、関連技術のシート・ベルト・リトラクタの姿勢が特定の範囲を超えて変化すると、加速度及び傾きを適切に検出することができない。
【0012】
例えば、車両センサを有するシート・ベルト・リトラクタが水平状態から特定の範囲を超えて傾いた姿勢になると、制御ディスクと車両センサのセンサレバーとの間の距離が過度に近くなり、その結果、センサレバーが敏感に動作して、ロッキング動作を適切に実行できなくなる。
【0013】
更に、車両センサを有するシート・ベルト・リトラクタがシートの背もたれに取り付けられ、シートの背もたれが車両の前方に傾いていると、車両センサのセンサレバーが制御ディスクの外歯に引っ掛かり、スプールの回動が制限される。
【0014】
このため、乗員がシートベルトを着用しようとしても、スプールの回動が制限されるために、シートベルトを着用できない場合がある。
【0015】
上記の問題を解決するために、本発明の出願人は、以下の特許文献3における、固定構造が改善された車両センサを有するシート・ベルト・リトラクタを開示する特許出願を提出しており、ここに登録される。
【0016】
一方、近年の自律走行車の発展に伴い、車両に適用されるシート及びシート・ベルト・リトラクタの体積を最小限に抑える技術が、開発されている。
【0017】
更に、シートと一体化された一体型シートベルト(ベルト・イン・シート(BIS))が適用される場合もある。
【0018】
関連技術のシート・ベルト・リトラクタの車両センサでは、内部に重錘を有するジンバルを適用することにより、車両の傾きを測定する。
【0019】
係る車両センサは、シートに設けられた背もたれの角度が変化しても、車両の傾きを測定することができる。
【0020】
しかし、関連技術のシート・ベルト・リトラクタが設置されたシートの回動角度、例えば、背もたれの回動が所定の角度範囲を超えると、ジンバルに接続するセンサレバーがパイロットレバーを適切に制御できなくなり、正常な動作ができなくなるという問題が起こる場合がある。
【0021】
したがって、背もたれの回動が原因で生じる異常な動作範囲を最小限に抑えることで、正常に動作できる角度範囲を広げられる車両センサを使用するシート・ベルト・リトラクタの開発が、求められている。
【0022】
(特許文献1)米国特許第6,499,554号(2002年12月31日登録済み)
(特許文献2)米国特許第6,443,382号(2002年9月3日登録済み)
(特許文献3)韓国特許登録第10-1766844号(2017年8月9日発行済み)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本開示の目的は、上述の課題を解決することであり、車両の傾きの変化を検出する車両用センサデバイス、並びにこれを使用するシート・ベルト・リトラクタを提供することである。
【0024】
本開示の別の目的は、背もたれの回動角度及び設置角度に関わらず、パイロットレバーを制御することにより、正常に動作できる角度範囲を広げられる車両用センサデバイス、並びにこれを使用するシート・ベルト・リトラクタを提供することである。
【0025】
本開示の更に別の目的は、1つのボールを適用することにより、車両の傾き及びシート背もたれの角度を検出可能とする車両用センサデバイス、並びにこれを使用するシート・ベルト・リトラクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記の目的を達成するために、本開示に係る車両用センサデバイスは、外側を形成する本体と、上記本体の1つの開放表面に結合するカバーと、上記本体の設置角度及び傾きに応じて、上記本体に結合されたシャフトを中心に回動できるよう、上記本体に設置された重錘体ハウジングであって、重錘体を内部に設置した重錘体ハウジングと、車両の傾きの変化を検出するように構成されたボールアセンブリと、上記ボールアセンブリが内部を移動できるように設置されたセンサハウジングと、上記センサハウジング内に設置され、上記ボールアセンブリの移動によって回動するセンサレバーとを含むことができ、上記センサレバーは、ロッキングデバイスに設けられたパイロットレバーを、回動することによって直線的に往復運動させることができる。
【0027】
更に、上記の目的を達成するために、本開示に係る車両用センサデバイスは、外側を形成する本体と、上記本体の1つの開放表面に結合するカバーと、上記本体の設置角度及び傾きに応じて、上記本体に結合されたシャフトを中心に回動できるよう、上記本体に設置されたセンサハウジングと、車両の傾きの変化を検出するために、上記センサハウジングに設置されたボールと、上記ボールの上部に設置されたレバーガイドと、上記センサハウジング内で回動可能に設置されたセンサレバーとを含むことができ、上記センサレバーは、ロッキングデバイスに設けられたパイロットレバーを、ボールの移動が原因で生じる回動によって、直線的に往復運動させることができる。
【0028】
更に、上記の目的を達成するために、本開示に係る車両用センサデバイスを使用するシート・ベルト・リトラクタは、車両の傾きの変化を検出するように構成された車両用センサデバイスと、シート・ベルト・ウェビングが巻かれるスピンドルを含むスピンドルデバイスと、車両衝突時にシート・ベルト・ウェビングが抜けるのを防止するロッキング動作を実行するように構成されたロッキングデバイスとを含むことができ、車両用センサデバイスは、車両の傾きの検出された変化に基づいて、ロッキングデバイスとの間で結合、又は分離するよう、パイロットレバーを直線的に往復運動させることができる。
【0029】
発明の効果
上記の本開示に係る車両用センサデバイス、並びにこれを使用するシート・ベルト・リトラクタによると、センサレバーは、ボールアセンブリが結合されたセンサハウジング内に設置され、センサレバーと接続するパイロットレバーは、車両の傾きの変化が原因で生じるボールアセンブリの移動に応じ、ヒンジシャフトを中心にセンサレバーを回動させることによって、往復運動することができる。
【0030】
とりわけ、本開示によると、パイロットレバーには、ロッキング部が設けられ、センサレバーの上端に設けられたロッキング用の凹所がロッキング部に結合することにより、車両用センサデバイスの設置角度に関わらず、直線的に往復運動するよう、パイロットレバーを正常に制御することができる。
【0031】
つまり、本開示によれば、基準位置を基準とするセンサデバイスの設置角度が±90°、つまり、180°となる範囲内でパイロットレバーを正常に制御できるという効果がある。
【0032】
更に、本開示によると、背もたれの傾きを検出するための重錘体、及び重錘体ハウジングを省いて、ボール及びセンサハウジングを使用して、車両の傾きの変化を検出し、更に、センサレバーを回動させることによって、パイロットレバーを制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、関連技術のシート・ベルト・リトラクタの一例について説明する図である。
【
図2】
図2は、本開示の好ましい一実施形態に係る車両用センサデバイスを使用するシート・ベルト・リトラクタの斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2で示すシート・ベルト・リトラクタの部分分解斜視図である。
【
図4】
図4は、本開示の好ましい一実施形態に係る車両用センサデバイスの斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4で示す車両用センサデバイスの分解斜視図である。
【
図6】
図6は、種々の角度で設置された車両用センサデバイスの動作状態図である。
【
図7】
図7は、センサデバイスに設けられた重錘体ハウジング、センサレバー、及びパイロットレバーの動作方法についてそれぞれ説明する図である。
【
図8】
図8は、センサデバイスに設けられた重錘体ハウジング、センサレバー、及びパイロットレバーの動作方法についてそれぞれ説明する図である。
【
図9】
図9は、本開示の別の実施形態に係る車両用センサデバイスの分解斜視図である。
【
図10】
図10は、
図9で示す車両用センサデバイスの動作方法について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付図面を参照することで、本開示の好ましい実施形態に係る車両用センサデバイスを有するシート・ベルト・リトラクタについて、詳細に説明することにする。
【0035】
本開示の好ましい実施形態に係るシート・ベルト・リトラクタの構成について説明する前に、
図1を参照しながら、関連技術に係るシート・ベルト・リトラクタの構成について、概略的に説明する。
【0036】
図1は、関連技術のシート・ベルト・リトラクタの一例について説明する図である。
【0037】
以下の説明では、シートを基準にしてステアリングホイールが設置されている方向を「前方方向」、その反対方向を「後方方向」と称する。更に、「左側」、「右側」、「上向き方向」、及び「下向き方向」等の方向を示す用語は、上述した前方方向及び後方方向を基準としたそれぞれの方向を示すように定義される。
【0038】
図1で見られるように、関連技術のシート・ベルト・リトラクタ1は、シート・ベルト・ウェビング(以下、「ウェビング」と称する)2が巻かれたスピンドル3と、車両の傾きを検出するセンサユニット4と、車両衝突時にウェビング2を巻くことで、弛みを軽減する緊急用張力付与ユニット5と、車両の通常運転中にウェビング2を滑らかに抜き、車両衝突直前にウェビング2を巻くことで、弛みを低減するプレテンションユニット6とを、含むことができる。
【0039】
センサユニット4は、車両衝突が原因で生じる、ウェビングが抜ける加速度の変化、又は車両の傾きの変化を検出する。
【0040】
緊急用張力付与ユニット5は、車両衝突を検出した検出信号に応じて、内部に火薬を埋め込んだインフレータ(図示せず)を動作させ、発生したガスの圧力を使用することにより、スピンドル3にウェビング2を巻くことができる。したがって、緊急用張力付与ユニット5は、車両衝突時にウェビング2を巻くことで、ウェビング2の弛みを低減し、乗員が受ける障害の度合を抑えることができる。
【0041】
車両に適用されたセンサを通じて、車両衝突が予測された場合、プレテンションユニット6は、回転及び逆回転に対応したモータを動作させることにより、スピンドルにウェビング2を巻くことができる。つまり、車両が正常に走行する場合、プレテンションユニット6は、摩耗したウェビング2の張力を維持し、車両の加速又は減速が強くなるまでの間、事故を起こさずにウェビング2の弛みを防止することができ、更に、車両衝突直前にウェビング2を巻くことによりウェビング2の弛みを低減して、乗員が受ける障害の度合を抑えることができる。
【0042】
ここで、スピンドル3は固定フレーム7の内側に設置され、センサユニット4、緊急用張力付与ユニット5、及びプレテンションユニット6は固定フレーム7の両側に配置され、更に、各ユニットの外側には左右のハウジング8、9が結合している。
【0043】
すなわち、それぞれのユニット4、5、6は、スピンドル2の横方向に沿って両側に配置されている。
【0044】
上述した関連技術のシート・ベルト・リトラクタ1において、スピンドルは、シートの背もたれに幅方向、つまり、左右方向に沿って設置されている。それ故、スプール上で巻かれているウェビング2の長さが長くなると、前後方向の厚さ(以下、「厚さ」と称する)も増すので、スリムシートの背もたれにシート・ベルト・リトラクタを適用しにくくなるという問題があった。
【0045】
この問題を解決するために、本開示は、ウェビングが巻かれたスピンドルの設置方向を回動させることで、ひいては、シート・ベルト・リトラクタをスリムシートに適用することで、シート・ベルト・リトラクタの厚みを最小限に抑える。
【0046】
これに沿って、本開示は、車両用センサデバイスの構造を強化することで、ジンバルの回動角度に応じて生じる、センサレバーとパイロットレバーとの間の接続が不安定になるという問題を解決することができる。
【0047】
これから、
図2~
図3を参照することで、本開示の好ましい一実施形態に係る車両用センサデバイスを使用したシート・ベルト・リトラクタの構成について、簡単に説明する。
【0048】
図2は、本開示の好ましい一実施形態に係る車両用センサデバイスを使用するシート・ベルト・リトラクタの斜視図であり、
図3は、
図2で示すシート・ベルト・リトラクタの部分分解斜視図である。
【0049】
本実施形態において、シートへと一体的に取り付けられる一体型シートベルト(BIS)に適用されるシート・ベルト・リトラクタの構成について、説明する。
【0050】
本開示がこれに限定されるものではないことは言うまでもなく、一体型シートベルトだけでなく、通常の車両、又は自律走行車にも適用できるよう、様々な構造及び形状のシート・ベルト・リトラクタが提供され得ることに留意されたい。
【0051】
図2と
図3で見られるように、本開示の好ましい一実施形態に係る車両用センサデバイスを使用するシート・ベルト・リトラクタ10は、スピンドルデバイス20、車両用センサデバイス(以下、「センサデバイス」と称する)30、並びにロッキングデバイス40を含むことができる。
【0052】
これらと共に、シート・ベルト・リトラクタ10は、車両衝突の直前にウェビング21を巻くことによって、弛みを低減させるプレテンション装置も更に含むことができる。
【0053】
スピンドルデバイス20及びセンサデバイス30は、シート・ベルト・リトラクタ10を構成する基本モジュールであり、別個のモジュールとして製造、組み立てたり、あるいは、1つのモジュールに統合して設けることもできる。
【0054】
スピンドルデバイス20は、ウェビング21が巻かれるスピンドル22を備えて設けられ、スピンドルデバイス及びセンサデバイスはハウジング23内に設置されてもよい。
【0055】
センサデバイス30は、ウェビング21が抜ける加速度の変化を検出する加速度センサ、又は車両の傾きの変化を検出する傾きセンサを含むことができる。
【0056】
本実施形態において、
図4~
図5を参照することで、車両の傾きを検出する傾きセンサが適用されるセンサデバイス30の構成について、詳細に説明する。
【0057】
図4は、
図2で示すセンサデバイスの拡大図であり、
図5は、
図4で示すセンサデバイスの分解斜視図である。
【0058】
本実施形態において、
図2~
図3で示したシート・ベルト・リトラクタの構成に適用されるセンサデバイスの構成について説明する。
【0059】
本開示が上記構成に限定されるものではないことは言うまでもなく、本開示は、
図1で見られるようなシート・ベルト・リトラクタ等の様々な構成を有するシート・ベルト・リトラクタに適用できるよう、変更できることに留意されたい。
【0060】
図4及び
図5で見られるように、本開示の好ましい一実施形態に係るシート・ベルト・リトラクタで使用される車両用センサデバイス30は、外側を形成する本体31と、本体31の1つの開放表面に結合するカバー32と、本体31の設置角度に応じて、本体31に結合されたシャフト33を中心に回動できるよう、本体31に設置された重錘体ハウジング34であって、重錘体341を内部に設置した重錘体ハウジング34と、センサデバイス30が設置された車両の傾きの変化を検出するボールアセンブリ35と、ボールアセンブリ35が移動できるよう設置されたセンサハウジング36と、センサハウジング36に設置され、ボールアセンブリ35の移動により回動して、パイロットレバー41を移動させるセンサレバー37とを、含むことができる。
【0061】
本体31は、1つの開放表面を有し、ある側から見た断面が実質的に半円形である半円筒形状で形成されてもよい。
【0062】
本体31の上端と下端にそれぞれ1つ以上のロッキング突起部311を形成し、カバー32の上端と下端に1つ以上のロッキング凹部321を形成して、ロッキング突起部311を内部へとロックできるようにすることができる。
【0063】
本体31及びカバー32は、互いに結合されたままで、スピンドル22の設置方向、つまり、X軸方向に沿って配置され得る。
【0064】
シャフト33は、スピンドル22と直交するようにY軸方向に沿って本体31に設置することができる。
【0065】
重錘体ハウジング34は、シートの背もたれにセンサデバイスが設置される角度、及び背もたれの回動角度に応じて、回動するよう機能する。
【0066】
これを実現するために、重錘体ハウジング34のY軸方向に沿った上端には、本体31の内側表面上に形成されたシャフト孔312、及びシャフト33に結合されるべき回転シャフト332が設置されており、更に、シャフト孔312を本体31に形成して、そこに回転シャフト332を結合することができる。
【0067】
更に、シャフト33は、実質的に円筒形状で形成され、回転シャフト332を結合可能とする結合空間331が中央に形成されており、パイロットレバー41は、Y軸方向に沿って移動できるよう、シャフト33内で形成された結合空間331の一端、つまり、
図9で見て右端に結合されていてもよい。
【0068】
一対の取付リブ333は、本体31の上端に結合されるように、シャフト33の上端の前面及び後面で、左右方向に沿って互いに平行に形成され、更に、本体31の上端には、シャフト33の上端を取り付け可能とする取付凹部313を形成できる。
【0069】
それ故、シャフト33は、一対の取付リブ333によって本体31の上端に結合し、重錘体ハウジング34を中心に回動可能とする中心シャフトの機能を果たす。
【0070】
一方、パイロットレバー41は、センサレバー37の回動に応じて、シャフト33内で形成された結合空間331内をY軸方向に沿って、直線的に往復運動する。
【0071】
つまり、パイロットレバー41が
図8で見て右側に移動すると、パイロットレバー41の右端が、ロッキングデバイス40に設けられたステアリングディスク(図示せず)の外周上に形成された複数の突起部のいずれか1つに係合することで、ロッキングデバイス40は、ウェビング21が抜けないよう、ロッキング動作を行う。
【0072】
一方、パイロットレバー41が左側に移動すると、パイロットレバー41とロッキングデバイス40が互いから分離し、ウェビング21を自由に抜くことができる。
【0073】
これを実現するために、パイロットレバー41がY軸方向に沿って移動して右側に突出するよう、カバー32上で貫通孔322を形成することもできる。
【0074】
ボールアセンブリ35は、センサデバイス30がセンサハウジング36に設置されている間に、このデバイスが設置されている車両の傾きの変化を検出するように機能する。
【0075】
すなわち、ボールアセンブリ35は、重錘を有するボール351と、ボール351が設置される設置部材352とを含むことができる。
【0076】
設置部材352の中央には、ボール351を内部に設置可能とする設置空間が形成され、更に、結合突起部353が、設置部材352の下端から突出することで、自由に移動できるようにセンサハウジング36へと結合する。
【0077】
更に、以下で説明するセンサレバー37の水平部371を挿入できるよう、挿入空間354を設置空間と結合突起部353との間の設置部材352に形成してもよい。
【0078】
内側に結合したセンサレバー37が円滑に回動できるよう、水平部371の幅及び厚さよりも厚くして、挿入空間354を形成できることが、好ましい。
【0079】
センサハウジング36は開放した上面を備え、ボールアセンブリ35の結合突起部353をセンサハウジング36の中央に取り付けることができる。
【0080】
センサレバー37の前端及び後端に形成された一対のヒンジシャフト373をそれぞれ結合できるように、一対のシャフト結合孔362をセンサハウジング36の前方側壁及び後方側壁に形成することができる。
【0081】
センサレバー37は、前方から見たときの断面を、実質的に「┛」形状で形成することができる。
【0082】
つまり、センサレバー37は、水平に配置された水平部371と、水平部371の右端に配置され、且つ、上向き方向へと垂直に延在する垂直部372とを含むことができる。
【0083】
更に、ヒンジシャフト373は、水平部37の右端の前面及び後面から突出して、センサハウジング36の前方側壁及び後方側壁上で形成されたシャフト結合孔362へとそれぞれ結合することができる。
【0084】
ボールアセンブリ35の設置部材352上で形成された挿入空間354に水平部371を挿入し、更に、支持突起部374を水平部371の下面に形成してもよい。
【0085】
支持突起部374は、車両の傾きが変化する前に、ボールアセンブリ35から加わる重量で支持され、これにより、水平部371は水平を保つ。
【0086】
一方、車両の傾きが変化し、ボールアセンブリ35が移動すると、水平部37は、重心の変化により支持突起部374の支持力を失い、水平を保てなくなる場合がある。
【0087】
このため、センサレバー37はヒンジシャフト373を中心に時計回り方向に回動し、これにより、パイロットレバー41を右側に移動させる。
【0088】
これを実現するために、パイロットレバー41の中央に形成されたロッキング部411を回動可能にロックできるよう、垂直部372の上端には、ロッキング凹部375を形成してもよい。
【0089】
ロッキング凹部375は、断面が実質的に「U」字形で形成されるように作られたロッキング用の凹所を中央に備えることができる。
【0090】
ここで、パイロットレバー41の左側部は、シャフト33内で形成された結合空間331の断面形状に対応する形状、例えば、実質的に矩形形状で形成されてもよい。
【0091】
パイロットレバー41の右側部は、カバー32上で形成された貫通孔322の断面形状に対応する形状で形成されてもよい。
【0092】
更に、パイロットレバー41の左側部及び右側部よりも直径が短くなるように形成されたロッキング部411は、センサレバー37のロッキング凹部375にロックされるよう、パイロットレバー41の中央に設けられる。
【0093】
したがって、ロッキング部441がセンサレバー37のロッキング凹部375にロックされた状態で、パイロットレバー41は、一対のヒンジシャフト373を中心とするセンサレバー37の回動によって、シャフト33とカバー32との間を直線的に往復運動する。
【0094】
これから、
図6~
図8を参照することで、本開示の好ましい一実施形態に係る車両用センサデバイスの動作方法について、詳細に説明する。
【0095】
図6は、種々の角度で設置された車両用センサデバイスの動作状態図であり、
図7及び
図8は、センサデバイスに設けられた重錘体ハウジング、センサレバー、及びパイロットレバーの動作方法についてそれぞれ説明する図である。
【0096】
図6の図(b)は、センサデバイスがシャフトを基準とした基準位置に設置されている状態を示しており、
図6の図(a)及び(c)は、センサデバイスがシャフトを中心に反時計回り及び時計回りにそれぞれ90°回動した状態を示している。
【0097】
図7は、センサレバーが回動する前の状態を示す図であり、
図8は、センサレバーがヒンジシャフトを中心に時計回り方向に回動した状態を示す図である。
【0098】
図6で見られるように、センサデバイス30は、センサデバイスが車両に設置される環境に応じて、様々な回動角度で設置することができる。
【0099】
この場合、重錘体ハウジング34は、本体31及びカバー32が背もたれに設置される設置角度、並びに背もたれの傾き、つまり、回動角度に関わらず、重錘体341の重量によって常に垂直配置状態を維持する。
【0100】
図7で見られるように、センサレバー37は、ボールアセンブリ35から印加される重量によって水平部371が水平状態となるように配置される。
【0101】
したがって、垂直部372の上端に形成されたロッキング凹部375にロッキング部411がロックされたパイロットレバー41は、カバー32の内側、つまり、左側に移動した状態に保たれる。
【0102】
上述のように、パイロットレバー41が左側に移動すると、パイロットレバー41とロッキングデバイス40が互いから分離し、ウェビング21を自由に抜くことができる。
【0103】
一方、車両の走行中、車両の傾きが継続的に変化し、背もたれの傾き、つまり、回動角度も変化し得る。
【0104】
したがって、車両の傾きが変化すると、ボールアセンブリ35はセンサハウジング36にわたって移動する。
【0105】
上記のとおり、
図8で見られるように、ボールアセンブリ35が移動すると、重心の変化によって、センサレバー37はヒンジシャフト373を中心に時計回り方向に回動する。
【0106】
したがって、センサレバー37に接続されたパイロットレバー41は、カバー32上に形成された貫通孔322を通過してカバー32の外側、つまり、右側に移動し、そこから突出する。
【0107】
上記のとおり、パイロットレバー41がカバーの外側に突出すると、パイロットレバー41の右端がロッキングデバイス40にロックされ、これにより、ロッキングデバイス40がウェビング21の抜けを防止するロッキング動作を行う。
【0108】
上記の本開示によると、センサレバーは、ボールアセンブリが結合されたセンサハウジングに設置され、センサレバーは、車両の傾きの変化に応じたボールアセンブリの移動によってヒンジシャフトを中心に回動し、これにより、センサレバーと接続されたパイロットレバーが、直線的に往復運動する。
【0109】
したがって、本開示では、パイロットレバーをカバーの外側に突出させ、パイロットレバーをロッキングデバイスとの間で結合、又は分離させることによって、ウェビングの抜けやすさを制御することができる。
【0110】
とりわけ、パイロットレバーには、ロッキング部が設けられ、センサレバーの上端に設けられたロッキング凹部がロッキング部に結合することにより、シート背もたれの角度調整による、センサデバイスが回動して配置される角度に関わらず、直線的に往復運動するよう、パイロットレバーを正常に制御することができる。
【0111】
つまり、本開示では、シート背もたれの角度調整によって変化するセンサデバイスの配置角度が、基準位置を基準として±90°、つまり、180°となる範囲内で、パイロットレバーを正常に制御することができる。
【0112】
上述の実施形態では、重錘体が設置された重錘体ハウジングが適用されることについて例示したが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0113】
図9及び10を参照することで、本開示の別の実施形態に係るシート・ベルト・リトラクタで使用されるセンサデバイスの構成について、詳細に説明する。
【0114】
図9は、本開示の別の実施形態に係るシート・ベルト・リトラクタで使用されるセンサデバイスの分解斜視図であり、
図10は、センサデバイスに設けられたボールアセンブリ、センサレバー、及びパイロットレバーの動作方法について説明する図である。
【0115】
図9及び
図10で見られるように、本開示の別の実施形態に係るシート・ベルト・リトラクタ10で使用されるセンサデバイス30は、その構成において、
図4~
図8を参照して上述の実施形態で説明したセンサデバイス30と同様である。
【0116】
しかし、本実施形態に係るセンサデバイス30は、背もたれにおける設置角度及び背もたれの傾きを検出するための重錘体341及び重錘体ハウジング34を省いてもよく、更に、ボール351及びセンサハウジング36を使用して車両の傾き及び背もたれの角度の変化を検出し、センサレバー37を回動させることで、パイロットレバー41を制御することもできる。
【0117】
具本体的には、
図9で見られるように、センサデバイス30は、外側を形成する本体31と、本体31の1つの開放表面に結合するカバー32と、本体31の設置角度及び背もたれの傾きに応じて、本体31に結合されたシャフト33を中心に回動できるよう、本体31に設置されたセンサハウジング36と、センサハウジング36に設置され、センサデバイス30が設置された車両の傾きの変化を検出するボール351と、ボール351の上部に設置されたレバーガイド38と、センサハウジング36内で回動可能に設置され、ボール351の移動により回動して、パイロットレバー41を移動させるセンサレバー37とを、含むことができる。
【0118】
本体31、カバー32及びシャフト33の構成は、上述の実施形態で説明したものと同様であるので、本体31、カバー32及びシャフト33の構成に関する詳細な説明は割愛する。
【0119】
センサハウジング36は、矩形フレームを結合した実質的に六面本体形状として形成されており、センサハウジング36の左端からシャフト33及び本体31を貫通して上向きに延在する左壁には、回転シャフト332を設置することができる。
【0120】
取付形状部361をセンサハウジング36に設けて、そこにボールを取り付け、更に、ボール351が着座できるよう、センサハウジング36の底面を下向きに凸状の湾曲面にすることもできる。
【0121】
ボール351をセンサハウジング36の取付空間361に設置して、このボール351は、上述した実施形態で説明したボール351よりも直径が長く、重量のあるものを設けることができる。
【0122】
上向きに凸状の湾曲面を有する実質的に円錐形状としてレバーガイド38を形成することで、このレバーガイド38はボール351の上面に着座できるようになる。したがって、レバーガイド38の上面は、中央から外側の下部に向かって傾いた傾斜面を有してもよい。
【0123】
取付突起部381をレバーガイド38の上面から突出させることで、センサレバー37の水平部371に取り付けることができる。
【0124】
センサレバー37は、前方から見たときの断面を、実質的に「┛」形状で形成することができる。
【0125】
つまり、センサレバー37は、水平に配置された水平部371と、水平部371の右端に配置され、且つ、上向き方向へと垂直に延在する垂直部372とを含むことができる。
【0126】
更に、ヒンジシャフト373は、水平部371の右端の前面及び後面から突出して、センサハウジング36の前方側壁及び後方側壁に形成されたシャフト結合孔362へとそれぞれ結合することができる。
【0127】
水平部371は、ボール351の上部に着座するレバーガイド38の上部に配置されてもよく、水平部371の下面には、レバーガイド38の上面に支持されるべき支持突起部374を形成できる。
【0128】
水平部371には、レバーガイド38の取付突起部381を取り付けるための取付孔376を形成することができる。
【0129】
取付突起部381がX軸方向に沿って移動できるよう、取付孔376を長孔状に形成できる。
【0130】
図10で見られるように、上記のように構成されたセンサデバイス30において、本体31及びカバー32の設置角度、並びに背もたれの傾きが様々に変化しても、センサハウジング36とそこに設置されたボール351、並びにレバーガイド38とセンサレバー37が、シャフト33及び回転シャフト332を中心に回動することにより、常に水平が保たれる。
【0131】
一方、車両の傾きが変化する前では、支持突起部374がボール351の上部に着座したレバーガイド38の上面に接触して支持されることにより、水平部371は水平を保つ。
【0132】
したがって、垂直部372の上端に形成されたロッキング凹部375にロッキング部411がロックされたパイロットレバー41は、パイロットレバーがカバー32の内側、つまり、左側に移動する状態に保たれる。
【0133】
上述のように、パイロットレバー41が左側に移動すると、パイロットレバー41と緊急用張力付与装置40とが分離し、これにより、ウェビング21を自由に抜くことができる。
【0134】
一方、車両の傾きが変化し、ボール351が片側、例えば、左側に移動すると、支持突起部374がレバーガイド38の傾斜した上面に沿って移動するにつれて、水平部37は時計回り方向に回動する。
【0135】
したがって、センサレバー37はヒンジシャフト373を中心に時計回り方向に回動し、これにより、パイロットレバー41を右側に移動させる。
【0136】
それ故、センサレバー37に接続されたパイロットレバー41は、カバー32上に形成された貫通孔322を通過してカバー32の外側、つまり、右側に移動し、そこから突出する。
【0137】
上記のとおり、パイロットレバー41がカバー32の外側に突出すると、パイロットレバー41の右端がロッキングデバイス40にロックされ、これにより、ロッキングデバイス40がウェビング21の抜けを防止するロッキング動作を行う。
【0138】
上記のとおり、本開示は、重錘体及び重錘体ハウジングを省いてもよく、更に、ボール及びセンサハウジングを使用して車両の傾き及び背もたれの傾きを検出し、センサレバーを回動させることで、パイロットレバーを制御することもできる。
【0139】
以上、上記実施形態に基づいて、本願の発明者らによってなされた発明を具体的に説明してきたが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的本質の範囲内で様々な変更が可能である。
【0140】
つまり、
図2~
図3を参照して上述した実施形態において、シート・ベルト・リトラクタの構成について説明したが、本開示は上述の構成に限定されるものではなく、例えば、
図1に示したシート・ベルト・リトラクタ等、様々な構成を持つシート・ベルト・リトラクタに適用できるように変更してもよい。
【0141】
産業上の適用可能性
本開示は、車両の傾き変化を検出するセンサデバイスにセンサレバーを設置し、更に、車両の傾きの変化に応じたボールアセンブリの移動によりセンサレバーをヒンジシャフトを中心に回動させることで、センサレバーに接続したパイロットレバーを移動させるシート・ベルト・リトラクタの技術に適用される。
【国際調査報告】