IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ズッキーニ イノヴァツィオーネ エッセ.エッレ.エッレ.の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】タイヤ用の接着シーラント配合物
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/10 20060101AFI20240220BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20240220BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20240220BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20240220BHJP
   C08K 5/13 20060101ALI20240220BHJP
   C08L 53/00 20060101ALI20240220BHJP
   C08L 55/04 20060101ALI20240220BHJP
   C08L 93/04 20060101ALI20240220BHJP
   C08L 91/00 20060101ALI20240220BHJP
   C08L 61/06 20060101ALI20240220BHJP
   C08L 25/04 20060101ALI20240220BHJP
   B29C 73/16 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
C09K3/10 A
C09K3/10 K
C09K3/10 Q
C09K3/10 Z
C08K3/013
C08K3/04
C08K3/36
C08K5/13
C08L53/00
C08L55/04
C08L93/04
C08L91/00
C08L61/06
C08L25/04
B29C73/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550168
(86)(22)【出願日】2022-03-02
(85)【翻訳文提出日】2023-10-12
(86)【国際出願番号】 IT2022050041
(87)【国際公開番号】W WO2022185354
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】102021000004847
(32)【優先日】2021-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523313746
【氏名又は名称】ズッキーニ イノヴァツィオーネ エッセ.エッレ.エッレ.
【氏名又は名称原語表記】ZUCCHINI INNOVAZIONE S.R.L.
【住所又は居所原語表記】Via Cristoforo Colombo 6, Frazione Cassana, Ferrara, ITALY
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マチェラーニ ジャンフランコ
【テーマコード(参考)】
4F213
4H017
4J002
【Fターム(参考)】
4F213AG07
4H017AA04
4H017AA22
4H017AA27
4H017AB07
4H017AB17
4H017AD02
4H017AE01
4J002AC021
4J002AE053
4J002AF022
4J002BA012
4J002BC022
4J002BP011
4J002BP021
4J002BP031
4J002CC032
4J002DA027
4J002DA037
4J002DJ017
4J002EJ016
4J002FD017
4J002FD023
4J002FD076
4J002GJ02
4J002GN01
(57)【要約】
本発明は、タイヤ用の接着シーラント配合物であって、配合物全体に対して最低20重量%~最高35重量%の、ポリイソブタジエン(PIB)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、スチレン-イソプレン-ブタジエン-スチレン(SIBS)、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン(SEES)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン(SEPS)、熱可塑性エラストマー(TPE)から選ばれるブロックコポリマー、配合物全体に対して最低55重量%~最高75重量%の、ロジン樹脂、エステル化ロジン樹脂及び他のロジン誘導体、炭化水素樹脂、水素添加脂環式炭化水素樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂、又はそれらの混合物から選ばれる樹脂と、配合物全体に対して最低0.2重量%~最高2.0重量%の安定剤及び酸化防止剤の混合物であって、混合物中の安定剤の量が配合物全体に対して0重量%~最高1.50重量%の範囲内であり、酸化防止剤の量が配合物全体に対して0重量%~最高1.50重量%の範囲内であり、且つ一例は特に、第一級フェノールであるペンタエリスリトール-テトラキス(3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)である混合物と、配合物全体の最低5重量%~最高35重量%のパラフィン系又はナフテン系可塑剤と、配合物全体の最低2重量%~最高5重量%の無機充填剤、一例は特に、シリカ、カーボンブラック、グラファイトとからなるものに関する。本発明は、配合物の製造方法、少なくともトレッドに対応する内面が配合物で被覆されたタイヤ、及びタイヤの製造方法にも関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ用の接着シーラント配合物であって、
前記配合物の全体に対して最低20重量%~最高35重量%の、ポリイソブタジエン(PIB)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、スチレン-イソプレン-ブタジエン-スチレン(SIBS)、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン(SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン(SEPS)、熱可塑性エラストマー(TPE)から選ばれるブロックコポリマーと、
前記配合物の全体に対して最低55重量%~最高75重量%の、ロジン樹脂、エステル化ロジン樹脂及び他のロジン誘導体、炭化水素樹脂、水素添加脂環式炭化水素樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂、又はそれらの混合物から選ばれる樹脂と、
前記配合物の全体に対して最低0.2重量%~最高2.0重量%の安定剤及び酸化防止剤の混合物であって、前記混合物中の前記安定剤の量が前記配合物の全体に対して0重量%~最高1.50重量%の範囲内であり、前記酸化防止剤の量が前記配合物の全体に対して0重量%~最高1.50重量%の範囲内であり、一例は特に、第一級フェノールであるペンタエリスリトール-テトラキス(3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)である、混合物と、
前記配合物の全体に対して最低5重量%~最高35重量%のパラフィン系又はナフテン系可塑剤と、
前記配合物の全体に対して最低2重量%~最高5重量%の無機充填剤、一例は特に、シリカ、カーボンブラック、グラファイトである無機充填剤と、
からなる、タイヤ用の接着シーラント配合物。
【請求項2】
完全な配合物の固形物全体の溶融温度が160℃~180℃の範囲内に含まれる、請求項1に記載のタイヤ用の接着シーラント配合物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のタイヤ用の接着シーラント配合物の製造方法であって、160℃~180℃の範囲内の温度において、真空下で以下の成分を加熱混合することを含む、方法。
前記配合物の全体に対して最低20重量%~最高35重量%の、ポリイソブタジエン(PIB)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、スチレン-イソプレン-ブタジエン-スチレン(SIBS)、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン(SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン(SEPS)、熱可塑性エラストマー(TPE)から選ばれるブロックコポリマーと、
前記配合物の全体に対して最低55重量%~最高75重量%の、ロジン樹脂、エステル化ロジン樹脂及び他のロジン誘導体、炭化水素樹脂、水素添加脂環式炭化水素樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂、又はそれらの混合物から選ばれる樹脂と、
前記配合物の全体に対して最低0.2重量%~最高2.0重量%の安定剤及び酸化防止剤の混合物であって、前記混合物中の前記安定剤の量が前記配合物の全体に対して0重量%~最高1.50重量%の範囲内であり、前記酸化防止剤の量が前記配合物の全体に対して0重量%~最高1.50重量%の範囲内であり、一例は一例は特に、第一級フェノールであるペンタエリスリトール-テトラキス(3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)である、混合物と、
前記配合物の全体に対して最低5重量%~最高35重量%のパラフィン系又はナフテン系可塑剤と、
前記配合物の全体に対して最低2重量%~最高5重量%の無機充填剤、一例は特に、シリカ、カーボンブラック、グラファイトである無機充填剤。
【請求項4】
少なくともトレッドに対応する内面が、請求項1又は2に記載の接着シーラント配合物の層で被覆されているタイヤ。
【請求項5】
前記接着シーラント配合物の層が吸音材の層で被覆されている、請求項4に記載のタイヤ。
【請求項6】
前記吸音材の層が発泡EVA又は発泡ポリエチレンを含む、請求項5に記載のタイヤ。
【請求項7】
請求項4~6のいずれか一項に記載のタイヤの製造方法であって、タイヤの内面の少なくともトレッドに対応する部分に、請求項1又は2に記載のタイヤ用の接着シーラント配合物の層をホットメルト押出により塗布する工程を含む、方法。
【請求項8】
前記ホットメルト押出により塗布する工程を180℃の温度で行う、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ホットメルト押出により塗布する工程の前に、前記タイヤの内面を機械的洗浄によって準備する工程を実施する、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記タイヤの内面にタイヤ用の接着シーラント配合物の層を塗布する工程の後に、前記タイヤ用の接着シーラント配合物の層の上に発泡EVA又は発泡ポリエチレンを含む吸音材の層を塗布する工程を実施する、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ用の接着シーラント配合物に関する。
特に、本発明は、インナーチューブを有しないタイヤ(以下、チューブレスタイヤとも称される)のパンクを塞ぐための接着シーラント配合物に関する。
【背景技術】
【0002】
チューブレスタイヤが一般にパンクに対して比較的安全であるとみなされることが知られている。これは、釘等の物体がチューブレスタイヤを貫通し、穴を生じさせた場合であっても、タイヤを構成する材料が釘の周囲を締め付ける傾向があり、結果として釘が穴の中にしっかりと留まり、容易に抜けることがなく、穴が釘によって完全に占められ、空気が急速に漏れることがないためである。しかしながら、釘が刺さったチューブレスタイヤを長時間にわたって、特に高速で使用した場合、遠心力によって釘が抜ける傾向があり、釘が抜けると、空いた穴から空気が急速に漏れることとなる。
【0003】
したがって、自動車を安全な状態に保つためには、タイヤを貫通した釘が抜けて穴が空いた場合であっても、タイヤ内に入っている空気がその穴を通ることのない状態にタイヤを保つことが重要である。
【0004】
この問題を解決するために、従来技術によると、製造時にタイヤの内部に配置されるシーリング材の層がトレッドの突出部(projection)の内部表面に設けられた車両用のタイヤが提案されている。その塗布は、タイヤとシーリング材の層との間のより良好な結合を確実にするために、特に加硫の前の工程で行うことができる。トレッドにパンクが生じたときにパンクを引き起こした物体が排出されると、シーラントが残された溝に流れ込んで気密に塞ぐための粘度及び接着性を、シーリング材は有している。
【0005】
特に、セルフシールタイヤが米国特許出願公開第2016/001611号明細書に記載されており、タイヤの安全性を高めるための材料が中国特許出願公開第112280233号明細書に記載されている。
【0006】
本出願人によると、セルフシールタイヤにおいて直面する大きな問題の1つは、使用するシーリング材について正しい特性の組合せを見出すことである。実際に、シーリング材は、空気が抜けることによるタイヤの収縮を回避するために、パンク部に向かって急速に流れることができ、パンクを引き起こした物体に付着し、パンク部から抜け出ることのないものでなくてはならない。加えて、シーリング材は、車両の静止時又は保管中にタイヤ内での位置を維持する必要がある。一方、タイヤが動き、シーリング材の分布に不均一性が生じる可能性がある場合、このシーリング材は、タイヤ内で迅速かつ均一に再配置し得るものでなくてはならない。実際に、シーリング材が元の位置から移動し、タイヤの他の部位に蓄積すると、タイヤ内の重量分布のバランスが失われるだけでなく、シール層としての使用が効果的でなくなるか、又はタイヤに少なくとも1つの不十分なセルフシール能を与えることとなる。
【0007】
従来技術によるシーリング材の別の重要な制限は、揮発性成分を含むことであり、これがタイヤへの塗布時に蒸発し、製造環境の健全性を損なう可能性がある。
【0008】
最後に、タイヤ自体の製造の後にシーリング材をタイヤに塗布することができ、特に従来のタイプのタイヤをセルフシールにすることが望ましい。
【発明の概要】
【0009】
本発明による解決策は、この状況に当てはまり、広範な温度で満足のいく挙動を有するように最適化された組成のタイヤ用の接着シーラント配合物を提供することを目的とする。さらに、特にホットメルト接着剤押出機(ホットメルト型)等の既に市場で入手可能なシステムを用いた、完成したタイヤへの適用を容易にし、作業環境の最大限の安全性及び健全性を保証することを目的とする。
【0010】
これら及び他の結果が、本発明により、全てのチューブレスタイヤに適用可能な接着シーラント配合物を提案することで得られる。
【0011】
したがって、本発明の目的は、従来技術による配合物の制限を克服し、前述の技術的結果を得ることを可能にするタイヤ用の接着シーラント配合物を提供することである。
【0012】
本発明の更なる目的は、上記のタイヤ用の接着シーラント配合物が、製造コスト及び適用コストの両方について大幅に抑えられたコストで実現及び適用され得ることである。
【0013】
最後に述べるが決して軽んずるべきでないこととして、本発明の更なる目的は、安全かつ信頼性の高いタイヤ用の接着シーラント配合物を提案することである。
【0014】
したがって、本発明の第1の特定の目的は、
タイヤ用の接着シーラント配合物であって、
配合物の全体に対して最低20重量%~最高35重量%の、ポリイソブタジエン(PIB)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、スチレン-イソプレン-ブタジエン-スチレン(SIBS)、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン(SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン(SEPS)、熱可塑性エラストマー(TPE)から選ばれるブロックコポリマーと、
配合物の全体に対して最低55重量%~最高75重量%のロジン樹脂、エステル化ロジン樹脂及び他のロジン誘導体、炭化水素樹脂、水素添加脂環式炭化水素樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂、又はそれらの混合物から選ばれる樹脂と、
配合物の全体に対して最低0.2重量%~最高2.0重量%の安定剤及び酸化防止剤の混合物であって、混合物中の安定剤の量が配合物の全体に対して0重量%~最高1.50重量%の範囲内であり、酸化防止剤の量が配合物の全体に対して0重量%~最高1.50重量%の範囲内であり、一例は特に、第一級フェノールであるペンタエリスリトール-テトラキス(3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)である、混合物と
配合物の全体に対して最低5重量%~最高35重量%のパラフィン系又はナフテン系可塑剤と、
配合物の全体に対して最低2重量%~最高5重量%の無機充填剤、一例は特に、シリカ、カーボンブラック、グラファイトである無機充填剤と、
からなるタイヤ用の接着シーラント配合物である。
【0015】
好ましくは、本発明によると、完全な配合物の固形物(mass)全体の溶融温度は、160℃~180℃の範囲内に含まれる。
【0016】
また、本発明の第2の特定の目的は、先に規定したタイヤ用の接着シーラント配合物の製造方法であって、160℃~180℃の範囲内の温度において、真空下で以下の成分を加熱混合することを含む、方法である。
配合物の全体に対して最低20重量%~最高35重量%の、ポリイソブタジエン(PIB)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、スチレン-イソプレン-ブタジエン-スチレン(SIBS)、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン(SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン(SEPS)、熱可塑性エラストマー(TPE)から選ばれるブロックコポリマーと、
配合物の全体に対して最低55重量%~最高75重量%の、ロジン樹脂、エステル化ロジン樹脂及び他のロジン誘導体、炭化水素樹脂、水素添加脂環式炭化水素樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂、又はそれらの混合物から選ばれる樹脂と、
配合物の全体に対して最低0.2重量%~最高2.0重量%の安定剤及び酸化防止剤の混合物であって、混合物中の安定剤の量が配合物の全体に対して0重量%~最高1.50重量%の範囲内であり、酸化防止剤の量が配合物の全体に対して0重量%~最高1.50重量%の範囲内であり、一例は特に、第一級フェノールであるペンタエリスリトール-テトラキス(3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)である、混合物と、
前記配合物の全体に対して最低5重量%~最高35重量%のパラフィン系又はナフテン系可塑剤と、
配合物の全体に対して最低2重量%~最高5重量%の無機充填剤、一例は特に、シリカ、カーボンブラック、グラファイトである無機充填剤。
【0017】
本発明の第3の特定の目的は、少なくともトレッドに対応する内面が、上記で規定した接着シーラント配合物の層で被覆されているタイヤである。
【0018】
好ましくは、本発明によると、上記接着シーラント配合物の層は、吸音材の層で被覆されており、より好ましくは、上記吸音材の層は、発泡EVA又は発泡ポリエチレンを含む。
【0019】
また、本発明の第4の特定の目的は、請求項4~6のいずれか一項に記載のタイヤの製造方法であって、上記タイヤの内面の少なくともトレッドに対応する部分に、上記で規定したタイヤ用の接着シーラント配合物の層をホットメルト押出により、好ましくは180℃の温度で、塗布する工程を含む、方法である。
【0020】
さらに、この場合も本発明によると、上記方法では、上記タイヤの内部表面を機械的洗浄によって準備する予備工程を実施する。
【0021】
最後に、この場合も本発明によると、上記タイヤの内面に接着シーラント配合物の層を塗布する工程に続いて、上記タイヤ用の接着シーラント配合物の層の上に発泡EVA又は発泡ポリエチレンを含む吸音材の層を更に塗布する工程を実施する。
【0022】
特に、本発明によると、上記吸音材の層は、中間接着剤層又は他の防止調製物(preventive preparations)を介在させる必要なく、接着シーラント配合物層上に直接塗布される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、幾つかの実例を特に参照し、限定ではなく例示を目的として、本発明を説明する。
【0024】
本発明によるタイヤ用の接着シーラント配合物は、最終的な所望の特性に応じて、選択されたタイプのブロックコポリマーと、選択されたタイプの樹脂と、酸化防止剤と、パラフィン系又はナフテン系可塑剤とを様々な割合で混合することによって得られる。
【0025】
例として、本発明によるタイヤ用の接着シーラント配合物の特性は、使用時に物理的及び機械的特性を変化させずに維持しながら、-10℃~+130℃の温度範囲内での実用を可能にするものでなくてはならない。
【0026】
特に、本発明によるタイヤ用の接着シーラント配合物の組成では、以下の材料群を使用する。
配合物の全体に対して最低20重量%~最高35重量%の、ポリイソブタジエン(PIB)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、スチレン-イソプレン-ブタジエン-スチレン(SIBS)、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン(SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン(SEPS)、熱可塑性エラストマー(TPE)から選ばれるブロックコポリマーと、
配合物の全体に対して最低55重量%~最高75重量%の、ロジン樹脂、エステル化ロジン樹脂及び他のロジン誘導体、炭化水素樹脂、水素添加脂環式炭化水素樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂、又はそれらの混合物から選ばれる樹脂と、
配合物の全体に対して最低0.2重量%~最高2.0重量%の安定剤及び酸化防止剤の混合物であって、混合物中の安定剤の量が配合物の全体に対して0重量%~最高1.50重量%の範囲内であり、酸化防止剤の量が配合物の全体に対して0重量%~最高1.50重量%の範囲内であり、一例は特に、第一級フェノールであるペンタエリスリトール-テトラキス(3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)である、混合物と、
配合物の全体に対して最低5重量%~最高35重量%のパラフィン系又はナフテン系可塑剤と、
配合物の全体に対して最低2重量%~最高5重量%の無機充填剤、一例は特に、シリカ、カーボンブラック、グラファイトである無機充填剤。
【0027】
本発明によるタイヤ用の接着シーラント配合物の最終用途に必要とされる特有の特性を満たすために、組成物は指定の範囲を守る必要がある。特に、添加剤(すなわち酸化防止剤及び/又は高温での安定剤)の量は、使用するブロックコポリマーの量及び性質に応じて決定される。
【0028】
使用するコポリマー及び樹脂は、使用する動作温度範囲に応じて選択される。温度耐性を高めるためには分子量がより高く、粘度がより高いものを選択し、-20℃~+150℃のより低い温度範囲については、粘度が低く、低温でより柔軟なものを選択する。
【0029】
さらに、製造工程で使用する成分を選択する際には、劣化の問題を回避するために、全ての成分について以下のパラメーターを考慮する必要がある:最低160℃~最高180℃の溶融温度。より高い温度は、シーラント製品の最終的な特性、例えば弾性率、引張強度、及び接着性又は粘着性に影響を及ぼす。
【0030】
本発明によるタイヤ用の接着シーラント配合物の調製は、高温ミキサーを用いて行い、固形物内に気泡が形成されるのを回避するために、必然的に真空下に置く必要がある。気泡の存在は、タイヤ内の圧力の損失を引き起こす可能性がある。
【0031】
ミキサーによる処理手順は、以下に掲載する配合に示す順序に従い、使用する原料に応じて確立する必要がある。
【実施例
【0032】
以下の実施例においては、本発明によるタイヤ用の接着シーラント配合物の実現可能性及び有効性を検証することを目的とした試験に供した2つの特定の配合物を規定する。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
本発明によるタイヤ用の接着シーラント配合物は、ゴム状の固形物とし提供され、以下のように温度を調整することで、タイヤの形状に適合した端部を有するホットメルト押出機システムを用いて、溶融状態で約3mmの厚さに塗布することができる。溶融ゾーン(又は溶融タンク)内は160℃、塗布端部(成形アプリケータ)は180℃。
【0036】
これらの配合物は、溶媒又は他の揮発性物質を全く含まない。
【0037】
塗布後に、粘着性の固形物がタイヤの保管工程中に埃で覆われるのを防ぐために、塗布後の固形物はポリエチレン又はEVAの非常に薄いフィルムで覆うことが望ましい。
【0038】
本発明の一実施形態によると、タイヤ用の接着シーラント配合物は、予め形成されたテープ又はシートの形態に調製してから、タイヤに塗布することもできる。この場合、単純な機械的洗浄を用いて調製される。
【0039】
本発明によるタイヤ用の接着シーラント配合物に関連する化学的及び物理的特性は、以下の通りである。
凝集による接着力=2N/mm~3N/mm
伸長率=1,200%±15%
100%伸長時の弾性率=1.5kg/cm~3kg/cm
引張強度=10kg/cm~12kg/cm
粘着性=ASTM D3121規格により1cm
160℃での粘度=5,500cP~5,700cP
190℃での粘度=1,150cP~1,350cP
【0040】
粘度は、Brookfield社のThermocell粘度計、ローター28、速度10で測定した。
【0041】
その内部に本発明による接着シーラント配合物が塗布されたタイヤを自動車に装着し、最高150km/時間の速度で行う試験、したがって大きな遠心力がかかる条件では、本発明によるタイヤ用の接着シーラント配合物が塗布された固形物に変形が見られることはなく、弾塑性コンシステンシー、ひいては機能性がそのまま維持されることが示された。
【0042】
本発明による接着シーラント配合物を内部に塗布したタイヤに対して行った更なる試験により、釘をタイヤに挿入すると、釘が接着シーラント配合物の固形物に完全に包まれ、接着されたままであり、空気の漏れが防止されることを確認することができた。続いて、釘を完全に抜き取ると、釘に接着した接着シーラント配合物の固形物がそれに続き、穴が完全に塞がれるまで伸長し、これによりタイヤ圧の損失が防がれる。
【0043】
セルフシール特性を損なうことなく、タイヤの回転時の騒音を低減するために、タイヤ内に先に塗布されている固形物(配合物による)の上に、発泡EVA又は発泡ポリエチレン等の吸音材の層を手作業で塗布することも可能である。特に、この吸音材の層は、接着剤中間層又は他の防止調製物を介在させる必要なく、接着シーラント配合物の層上に直接塗布することができる。
【0044】
本発明を、その好ましい実施形態に従い、限定ではなく例示を目的として説明したが、添付の特許請求の範囲によって規定される保護範囲から逸脱することなく、変形形態及び/又は変更形態が当業者によって行われることが理解される。
【国際調査報告】