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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】多分岐血管内デバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/07 20130101AFI20240220BHJP
【FI】
A61F2/07
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550291
(86)(22)【出願日】2022-02-22
(85)【翻訳文提出日】2023-09-21
(86)【国際出願番号】 US2022017207
(87)【国際公開番号】W WO2022178378
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】63/152,164
(32)【優先日】2021-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】メリル ジェイ.バードノ
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド エム.クローリー
(72)【発明者】
【氏名】ケヒンデ エー.マジョラグベ
(72)【発明者】
【氏名】ブランドン シー.ショート
(72)【発明者】
【氏名】デレク エム.ワード
(72)【発明者】
【氏名】パトリック エス.ヤング
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA15
4C097BB01
4C097CC01
4C097DD04
4C097EE06
4C097EE08
4C097EE09
4C097EE13
(57)【要約】
主管腔を画定する壁を有するチューブ状要素を含む主本体、ここで、前記チューブ状要素は、前記主管腔内への第一の開口部を画定する第一の端部と、前記主管腔内への第二の開口部を画定する第二の端部とを有し、前記チューブ状要素は、前記チューブ状要素の第一の長手方向端部と第二の長手方向端部との間の壁を通るアパチャを画定する少なくとも1つの側枝ポータルを含む、及び、二次管腔を画定する少なくとも1つの二次本体、ここで、前記少なくとも1つの二次本体は、前記主本体の少なくとも1つの側枝ポータル内に配置された前記二次本体の部分で展開されるように動作可能である、
を含む、多分岐のインプラント可能なデバイス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主管腔を画定する壁を有するチューブ状要素を含む主本体、ここで、前記チューブ状要素は、前記主管腔内への第一の開口部を画定する第一の端部と、前記主管腔内への第二の開口部を画定する第二の端部を有し、前記チューブ状要素は、前記チューブ状要素の第一の長手方向端部と第二の長手方向端部との間の壁を通るアパチャを画定する少なくとも1つの側枝ポータルを含む、及び、
二次管腔を画定する少なくとも1つの二次本体、ここで、前記少なくとも1つの二次本体は、前記主本体の少なくとも1つの側枝ポータル内に配置された二次本体の部分で展開されるように動作可能である、
を含む、多分岐のインプラント可能なデバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの側枝ポータルは第一の端部と第二の端部を有し、前記二次本体は、前記側枝ポータルの第二の端部が前記主本体の外面と実質的に連続しているように展開されるように動作可能である、請求項1記載の多分岐のデバイス。
【請求項3】
前記主本体が中立の曲がっていない構成にあるときに、前記チューブ状要素の第一の長手方向端部の第一の開口部は第一の方向に向き、前記少なくとも1つの側枝ポータルの第二の端部は、実質的に前記第一の方向を向いている、先行の請求項のいずれか1項記載の多分岐のデバイス。
【請求項4】
前記主本体が中立の曲がっていない構成にあるときに、前記チューブ状要素の第二の長手方向端部の第二の開口部は第二の方向を向いており、前記少なくとも1つの側枝ポータルの第二の端部は実質的に前記第二の方向を向いている、請求項1又は請求項2記載の多分岐のデバイス。
【請求項5】
前記主本体の壁は少なくとも1つの側枝ポータルに隣接する凹部を画定する、先行の請求項のいずれか1項記載の多分岐のデバイス。
【請求項6】
前記主本体は前記壁に結合されたステントをさらに含む、先行の請求項のいずれか1項記載の多分岐のデバイス。
【請求項7】
前記凹部を画定する壁の部分は支持されていない、先行の請求項のいずれか1項記載の多分岐のデバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの側枝ポータルは、前記主本体に沿った第一の長手方向位置に配置された外部開口部をそれぞれ有する第一のポータル、第二のポータル及び第三のポータルを含む、先行の請求項のいずれか1項記載の多分岐のデバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1つの側枝ポータルは、前記主本体に沿った少なくとも2つの長手方向位置のうちの1つに配置された外部開口部をそれぞれ有する第一のポータル、第二のポータル及び第三のポータルを含む、、請求項1~7のいずれか1項記載の多分岐のデバイス。
【請求項10】
主管腔及び第一の分枝管腔を有する標的部位に内部人工器官を展開する方法であって、
前記方法は、
多分岐ステントグラフトの主本体を標的部位の主管腔に向かって前進させること、ここで、前記主本体は第一の部分及び第二の部分を有し、前記主本体は、前記主本体が前記標的部位に展開されるときに、前記標的部位から延在している第一の側枝への前記主本体からの流体アクセスを提供するように動作可能な第一のポータルを画定する、
前記主本体の前記第一の部分を前記標的部位の前記主管腔内で部分的に展開すること、
前記第一のポータルを通して前記第一の分枝管腔内に第一の関節運動可能なワイヤを前進させること、
前記主本体の前記第二の部分を前記標的部位の前記主管腔内で部分的に展開すること、
前記主本体の前記第一の部分及び前記第二の部分を完全に展開すること、
前記第一の関節運動可能なワイヤに沿って前記標的部位の前記第一の分枝管腔内に第一の側枝体を前進させること、及び、
前記標的部位の前記第一の分枝管腔内で前記第一の側枝体を展開すること、
を含む、方法。
【請求項11】
前記第一のポータルは第一の端部及び第二の端部を有し、前記第二の端部は前記主本体の外面と実質的に連続している、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記主本体は主本体長手方向軸を画定し、前記第一のポータルは第一のポータル長手方向軸を画定し、前記主本体長手方向軸及び前記第一のポータル長手方向軸は実質的に平行である、請求項10又は11記載の方法。
【請求項13】
前記第一のポータルは、前記第一の端部から前記第二の端部までの第一のポータルが前記主本体を通した流体流に対して逆行するように配置されている、請求項10~12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記主本体の壁は、前記第一の関節運動可能なワイヤ及び前記第一の側枝体が前進されたときに、前記第一の関節運動可能なワイヤ及び第一の側枝体がよじれることなく前記第一のポータルから出るためのクリアランスを凹部が提供するように、前記第一のポータルに隣接した凹部を画定する、請求項10~13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記主本体は前記壁に結合されたステントを含み、前記凹部を画定する壁の部分はステントを含まない、請求項10~14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記主本体は第二のポータル及び第三のポータルを含み、
前記方法は、
前記第二の関節運動可能なワイヤを前記第二のポータルを通して前記標的部位の第二の分枝管腔内に前進させること、
第三の関節運動可能なワイヤを前記第三のポータルを通して前記標的部位の第三の分枝管腔内に前進させること、
第二の側枝体を前記標的部位の前記第二の分枝管腔内に前記第二の関節運動可能なワイヤに沿って前進させること、及び、
第三の側枝体を前記標的部位の前記第三の分枝管腔内に前記第三の関節運動可能なワイヤに沿って前進させること、
をさらに含む、請求項10記載の方法。
【請求項17】
前記第一の側枝体は、前記第二の側枝体及び前記第三の側枝体を展開する前に展開される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記第一のポータル、前記第二のポータル及び前記第三のポータルのそれぞれの外部開口部は、前記主本体に沿った第一の長手方向位置にそれぞれ配置される、請求項16又は17記載の方法。
【請求項19】
前記第一のポータル、前記第二のポータル及び前記第三のポータルのそれぞれの外部開口部は各外部開口部が前記主本体に沿った少なくとも2つの長手方向位置のうちの1つに配置される外部開口部を有する、請求項16又は17記載の方法。
【請求項20】
前記主本体の前記第一の部分及び前記第二の部分を完全に展開する前に、前記主本体の内部湾曲を調整することをさらに含む、請求項10~19のいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
前記側枝体のそれぞれは実質的に同時に展開される、請求項16記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年12月1日に国際出願されたPCT/US2021/061379号の利益を主張し、その全体をあらゆる目的で参照により本明細書に組み込む。
【0002】
分野
本開示は、概して、複数の分岐を有する管腔内デバイス、ならびに関連するシステム及び方法に関する。より具体的には、本開示は、分岐した解剖学的通路内に実装されるように構成された管腔内デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
様々な分岐した解剖学的通路は、インプラント処置された管腔内デバイスの形態での治療から利益を得ることができる。そのような通路の1つは、動脈瘤のある動脈などの血管通路である。動脈瘤は、患者の年齢、疾患又は遺伝的素因により、血管壁の強度又は弾力性が、血液が通過する際に壁が膨らんだり又は伸びたりするのを防ぐのに不十分な部位において血管において発生する。動脈瘤を治療せずに放置すると、血管壁が拡張して破裂し、しばしば死に至る可能性がある。
【0004】
動脈瘤の破裂を防ぐために、ステントグラフトを経皮的に血管内に導入し、動脈瘤嚢にまたがるように展開することができる。様々なステントグラフトは、1つ以上のステントの筒形の足場又はフレームワークに固定されたグラフト布帛を含む。一般に、ステントは、グラフトをチューブ状構成で開いた状態に保持するための剛性及び構造を提供するだけでなく、グラフトと血管壁の健全な部分との間にシールを形成し、移行抵抗を提供するために必要な外向きの半径方向の力も提供する。血管を通って流れる血液は、ステントグラフトの管腔表面を通って流れ、動脈瘤嚢の位置における血管壁にかかる応力を、排除しないにしても軽減することができる。ステントグラフトは、動脈瘤部位での血管壁の破裂のリスクを軽減し、血液が中断されることなく血管を流れることを可能にすることができる。
【0005】
しかしながら、動脈瘤の除去などの様々な血管内修復処置では、ステントグラフトを血管分岐部に隣接してインプラント処置する必要がある。しばしば、動脈瘤は分岐部まで広がっており、ステントグラフトを分岐部に留置する必要がある。したがって、このような場合には分岐型ステントグラフトが必要となる。個別の主本体及び分岐コンポーネントを有するモジュール式ステントグラフトは、展開の容易さ及び正確さのため、これらの処置でしばしば好ましい。別個の主本体及び分岐ステント構成要素を有するモジュール式ステントグラフトの例については、Hartleyらの米国特許出願第2008/0114446号明細書を参照されたい。Hartleyらの刊行物において、主本体ステントは側枝ステントと係合して固定するように調整された開窓を側壁に有する。このような構成の側枝ステントは、主本体の開窓部と「ラインツーライン」の締り嵌め状態にあり、ステント同士の接合部の耐疲労性が損なわれる可能性がある。Quinn に対する米国特許第6,645,242号明細書は、より堅牢なステント同士の接合構成を示す。Quinnの特許において、ステント同士の接合の信頼性を高めるために、主本体ステントの内部にチューブ状支持体が組み込まれている。Quinnのチューブ状の内部支持体は、耐疲労性を向上させるとともに、シール長さを延長する。
【発明の概要】
【0006】
要旨
主本体を含む内部人工器官には、内部人工器官の主本体が主管腔内に展開されるときに主管腔の側枝への流体アクセスを提供するための側枝ポータルが設けられている。
【0007】
1つの例(「例1」)によれば、多分岐のインプラント可能なデバイスは、主管腔を画定する壁を有するチューブ状要素を含む主本体、ここで、前記チューブ状要素は、前記主管腔内への第一の開口部を画定する第一の端部と、前記主管腔内への第二の開口部を画定する第二の端部を有し、前記チューブ状要素は、前記チューブ状要素の第一の長手方向端部と第二の長手方向端部との間の壁を通るアパチャを画定する少なくとも1つの側枝ポータルを含む、及び、二次管腔を画定する少なくとも1つの二次本体、ここで、前記少なくとも1つの二次本体は、前記主本体の少なくとも1つの側枝ポータル内に配置された二次本体の部分で展開されるように動作可能である、を含む。
【0008】
別の例(「例2」)によれば、例1の多分岐のデバイスにおいて、少なくとも1つの側枝ポータルは第一の端部と第二の端部を有し、前記二次本体は、前記側枝ポータルの第二の端部が前記主本体の外面と実質的に連続しているように展開されるように動作可能である。
【0009】
別の例(「例3」)によれば、上述の例のいずれかの多分岐のデバイスにおいて、前記主本体が中立の曲がっていない構成にあるときに、前記チューブ状要素の第一の長手方向端部の第一の開口部は第一の方向に向き、前記少なくとも1つの側枝ポータルの第二の端部は、実質的に前記第一の方向を向いている。
【0010】
別の例(「例4」)によれば、例1又は例2のいずれかの多分岐のデバイスにおいて、前記主本体が中立の曲がっていない構成にあるときに、前記チューブ状要素の第二の長手方向端部の第二の開口部は第二の方向を向いており、前記少なくとも1つの側枝ポータルの第二の端部は実質的に前記第二の方向を向いている。
【0011】
別の例(「例5」)によれば、上述の例のいずれかの多分岐のデバイスにおいて、前記主本体の壁は少なくとも1つの側枝ポータルに隣接する凹部を画定する。
【0012】
別の例(「例6」)によれば、上述の例のいずれかの多分岐のデバイスにおいて、前記主本体は前記壁に結合されたステントをさらに含む。
【0013】
別の例(「例7」)によれば、上述の例のいずれかの多分岐のデバイスにおいて、前記凹部を画定する壁の部分は支持されていない。
【0014】
別の例(「例8」)によれば、上述の例のいずれかの多分岐のデバイスにおいて、前記少なくとも1つの側枝ポータルは、前記主本体に沿った第一の長手方向位置に配置された外部開口部をそれぞれ有する第一のポータル、第二のポータル及び第三のポータルを含む。
【0015】
別の例(「例9」)によれば、例1~7のいずれか1つの多分岐のデバイスにおいて、前記少なくとも1つの側枝ポータルは、前記主本体に沿った少なくとも2つの長手方向位置のうちの1つに配置された外部開口部をそれぞれ有する第一のポータル、第二のポータル及び第三のポータルを含む。
【0016】
別の例(「例10」)によれば、主管腔及び第一の分枝管腔を有する標的部位に内部人工器官を展開する方法は、多分岐ステントグラフトの主本体を標的部位の主管腔に向かって前進させること、ここで、前記主本体は第一の部分及び第二の部分を有し、前記主本体は、前記主本体が前記標的部位に展開されるときに、前記標的部位から延在している第一の側枝への前記主本体からの流体アクセスを提供するように動作可能な第一のポータルを画定する、前記主本体の前記第一の部分を前記標的部位の前記主管腔内で部分的に展開すること、前記第一のポータルを通して前記第一の分枝管腔内に第一の関節運動可能なワイヤを前進させること、前記主本体の前記第二の部分を前記標的部位の前記主管腔内で部分的に展開すること、前記主本体の前記第一の部分及び前記第二の部分を完全に展開すること、前記第一の関節運動可能なワイヤに沿って前記標的部位の前記第一の分枝管腔内に第一の側枝体を前進させること、前記標的部位の前記第一の分枝管腔内で前記第一の側枝体を展開することを含む。
【0017】
別の例(「例11」)によれば、例10の方法において、前記第一のポータルは第一の端部及び第二の端部を有し、前記第二の端部は前記主本体の外面と実質的に連続している。
【0018】
別の例(「例12」)によれば、例10又は11のいずれかの方法において、前記主本体は主本体長手方向軸を画定し、前記第一のポータルは第一のポータル長手方向軸を画定し、前記主本体長手方向軸及び前記第一のポータル長手方向軸は実質的に平行である。
【0019】
別の例(「例13」)によれば、例10~12のいずれか1つの方法において、前記第一のポータルは、前記第一の端部から前記第二の端部までの第一のポータルが前記主本体を通した流体流に対して逆行するように配置されている。
【0020】
別の例(「例14」)によれば、例10~13のいずれか1つの方法において、前記主本体の壁は、前記第一の関節運動可能なワイヤ及び前記第一の側枝体が前進されたときに、前記第一の関節運動可能なワイヤ及び第一の側枝体がよじれることなく前記第一のポータルから出るためのクリアランスを凹部が提供するように、前記第一のポータルに隣接した凹部を画定する。
【0021】
別の例(「例15」)によれば、請求項10~14のいずれかの方法において、前記主本体は前記壁に結合されたステントを含み、前記凹部を画定する壁の部分はステントを含まない。
【0022】
別の例(「例16」)によれば、例10の方法において、前記主本体は第二のポータル及び第三のポータルを含み、第二の関節運動可能なワイヤを前記第二のポータルを通して前記標的部位の第二の分枝管腔内に前進させること、第三の関節運動可能なワイヤを前記第三のポータルを通して前記標的部位の第三の分枝管腔内に前進させること、第二の側枝体を前記標的部位の前記第二の分枝管腔内に前記第二の関節運動可能なワイヤに沿って前進させること、第三の側枝体を前記標的部位の前記第三の分枝管腔内に前記第三の関節運動可能なワイヤに沿って前進させることを含む。
【0023】
別の例(「例17」)によれば、例16の方法において、前記第一の側枝体は、前記第二の側枝体及び前記第三の側枝体を展開する前に展開される。
【0024】
別の例(「例18」)によれば、例16又は例17のいずれかの方法において、前記第一のポータル、前記第二のポータル及び前記第三のポータルのそれぞれの外部開口部は、前記主本体に沿った第一の長手方向位置にそれぞれ配置される。
【0025】
別の例(「例19」)によれば、例16又は例17のいずれかの方法において、前記第一のポータル、前記第二のポータル及び前記第三のポータルのそれぞれの外部開口部は各外部開口部が前記主本体に沿った少なくとも2つの長手方向位置のうちの1つに配置される外部開口部を有する。
【0026】
別の例(「例20」)によれば、例10~19の方法は、前記主本体の前記第一の部分及び前記第二の部分を完全に展開する前に、前記主本体の内部湾曲を調整することをさらに含む。
【0027】
別の例(「例11」)によれば、例16の方法において、前記側枝体のそれぞれは実質的に同時に展開される。
【0028】
上述の例は単なる実施例であり、本開示によって別途提供される本発明の概念の範囲を限定したり又は狭めたりするように解釈されるべきではない。複数の例が開示されているが、さらに他の実施形態は、例示的な例を示し説明する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に制限的なものではなく、本質的に例示的なものとして考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図面の簡単な説明
添付図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれてその一部を構成し、実施形態を示し、記載とともに本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0030】
図1図1は、1つの実施形態による、主本体及び側枝を備えたインプラント可能なデバイスの側面図である。
【0031】
図2図2は、1つの実施形態による、患者の大動脈弓内に展開されたインプラント可能なデバイスの側面図である。
【0032】
図3図3は、1つの実施形態による、インプラント可能なデバイスの主本体の上面図であり、主本体は側枝ポータルを含み、それを通して側枝部材をデリバリーし展開することができる。
【0033】
図4図4は、1つの実施形態による、インプラント可能なデバイスの主本体の側面図であり、側枝ポータルを通してデリバリーされ展開される側枝部材のためのクリアランスを提供するためのポータルアクセス機構を含む。
【0034】
図5図5は、1つの実施形態による、インプラント可能なデバイスの主本体の端面図であり、側枝ポータルの内部開口部が主本体の管腔内に位置する。
【0035】
図6図6は、1つの実施形態による、インプラント可能なデバイスの主本体の端面図であり、ポータルアクセス機構が主本体の管腔内に突き出ている。
【0036】
図7図7は、1つの実施形態による、主本体が側枝ポータルを超えて延在するステント構造を含む、インプラント可能なデバイスの主本体の上面図である。
【0037】
図8図8は、1つの実施形態による、主本体の長手方向の長さに沿ってずれて配置された側枝ポータルを含む主本体の斜視図である。
【0038】
図9図9は、1つの実施形態による、主本体の長手方向の長さに沿って位置合わせされた2つの側枝ポータルに対してずれて配置された側枝ポータルを含む主本体の斜視図である。
【0039】
図10図10は、1つの実施形態による、ポータルアクセス機構を横切って延在しているステント構造を有する側枝を含む主本体の上面図である。
【0040】
図11図11は、1つの実施形態による、ポータルアクセス機構を含む主本体の斜視図である。
【0041】
図12図12は、1つの実施形態による、ポータルアクセス機構を含む主本体の側面図である。
【0042】
図13図13は、1つの実施形態による、側枝ポータルを有するカートリッジを含む主本体の端面図であり、該カートリッジは主本体のポケット内で展開可能である。
【0043】
図14図14は、1つの実施形態による、主本体のポケット内で展開されたカートリッジの端面図である。
【0044】
図15図15は、1つの実施形態による、主本体のステント構造とは別個のポータルアクセスステント構造によって支持されたポータルアクセス機構を備えた主本体の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
詳細な説明
定義及び用語
本開示は、限定的に読まれることを意図したものではない。例えば、本出願で使用される用語は、その分野の専門家がそのような用語に帰する意味の文脈で広く読まれるべきである。
【0046】
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現できることを容易に理解するであろう。言い換えれば、意図された機能を発揮するために他の方法及び装置を本明細書に組み込むことができる。また、本明細書で参照される添付の図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を説明するために誇張されていることがあり、その点において、図面は限定的なものとして解釈されるべきではないことにも留意されたい。
【0047】
構成要素及び特徴の相対的な位置を示すために、特定の相対的な用語が使用される。 例えば、「上(top)」、「下(bottom)」、「上(upper)」、「下(lower)」、「左(left)」、「右(right)」、「水平(horizontal)」、「垂直(vertical)」、「上向き(upward)」、「下向き(downward)」などの単語は相対的な意味(構成要素及び特徴が互いにどのように配置されるかなど)であり、文脈で別段の指示がない限り、絶対的な意味ではない。。同様に、本開示を通じて、プロセス又は方法が図示又は説明されるときに、方法が最初に実行される特定の動作に依存することが文脈から明らかでない限り、方法は任意の順序で又は同時に行われてよい。
【0048】
不正確さの用語に関して、「約」及び「およそ」という用語は、特定の場合には、記載された測定値を含む測定値、及び記載された測定値に合理的に近い測定値も含む測定値を指すために使用されうる。記載された測定値に合理的に近い測定値は、関連技術の当業者によって理解され、容易に確認されるように、記載された測定値から合理的に小さな量だけ逸脱している。このような逸脱は、測定誤差、測定及び/又は製造装置の校正の違い、測定値の読み取り及び/又は設定における人的エラー、他の構成要素に関連する測定値の違いを考慮した性能及び/又は構造パラメータを最適化するために行われた微調整、特定の実装シナリオ、人又は機械によるオブジェクトの不正確な調整及び/又は操作などに起因する可能性がある。
【0049】
本明細書で使用されるときに、「結合」とは、直接的又は間接的及び永久的又は一時的を問わず、連結、接続、取り付け、接着、貼り付け又はボンド結合を意味する。
【0050】
本明細書で使用されるときに、「エラストマー」という用語は、元の長さの少なくとも1.3倍に伸長し、解放されるとほぼ元の長さまで急速に収縮する能力を有するポリマー又はポリマーの混合物を指す。「エラストマー性材料」という用語は、必ずしも同程度の伸長及び/又は回復ではないが、エラストマーと同様の伸長及び回復特性を示すポリマー又はポリマーの混合物を指す。「非エラストマー材料」という用語は、エラストマー又はエラストマー性材料のいずれとも似ていない伸長特性及び回復特性を示す、すなわち、一般に知られているようなエラストマー又はエラストマー性材料ではないと考えられるポリマー又はポリマーの混合物を指す。
【0051】
「フィルム」という用語は、本明細書で使用されるときに、膜、複合材料又は積層体のうちの1つ以上を総称して指す。
【0052】
「生体適合性材料」という用語は、本明細書で使用されるときに、一般に、生体適合性の特性を有する任意の材料を指し、限定するわけではないが、生体適合性ポリマーなどの合成材料、又は、限定するわけではないが、ウシ心膜などの生体材料を含む。生体適合性材料は、様々な実施形態に関して本明細書に記載されるように、第一のフィルム及び第二のフィルムを含むことができる。
【0053】
参考までに、「周囲」及び「直径」という用語は、それぞれ、円形断面を必要とすることを意味するものではなく(円形断面も含むが)、代わりに、外面もしくは寸法、又は、外面の対向面間の寸法を指すものとして広く理解されるべきである。
【0054】
本明細書の実施形態は、様々な原理及び信念に関連して説明される場合があるが、記載される実施形態は理論に拘束されるべきではない。例えば、実施形態は、血管ステントグラフト、より具体的には分岐ステントグラフトに関連して本明細書に記載される。しかしながら、本開示の範囲内の実施形態は、同様の構造及び/又は機能の任意の内部人工器官に適用することができる。さらに、本開示の範囲内の実施形態は、非血管用途にも適用することができる。
【0055】
様々な実施形態の説明
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現できることを容易に理解するであろう。また、本明細書で参照される添付の図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示のさまざまな態様を説明するために誇張されていることがあり、その点において、図面は限定的なものとして解釈されるべきではないことにも留意されたい。
【0056】
図1に示されるデバイス10は、デバイスの様々な特徴の一例として提供されているが、これらの図示された特徴の組み合わせは明らかに本発明の範囲内であり、その例及びその図は、本明細書で提供される発明の概念がより少ない特徴、追加の特徴、又は図1に示される1つ以上のそれらの特徴に対する代替の特徴によって限定されることを示唆するものではない。
【0057】
図1及び図2を参照すると、主血管20及び該主血管20から延在している少なくとも1つの枝血管22に沿って疾患を治療するためのデバイス10が示されている。デバイス10は、主血管内に展開するように構成され、主管腔を有する主本体100を含む。デバイス10はまた、少なくとも1つの分枝血管内に展開するための、分枝管腔202を有する少なくとも1つの分枝部材200を含む。
【0058】
図3を参照すると、本体100の一実施形態が示されている。主本体100は、主管腔102を形成する壁104を含む。主本体100は、第一の端部106及び第二の端部108を有する。第一の端部106において、主本体100は、主本体100は第一の開口部107を含み、第二の端部108において、主本体100は第二の開口部109を含む。開口部107、109のそれぞれは、対応する端部106、108で主管腔102へのアクセスを提供する。流体は、第一の開口部107を通って主管腔102に入り、第二の開口部109から出ることによって主管腔102を通って流れ、主本体流体流方向を画定することができる。又は、流れは反対方向であることができ、主本体流体流方向を画定することができる。外壁104は、主本体100の外側プロファイルを実質的に形成又は画定する。
【0059】
幾つかの実施形態において、主本体100は、ステント構造120及びグラフト部材130から形成されている。ステント構造120は、主本体100が展開されたときに、主本体100及び/又は主血管20の開存性を維持するように動作可能である。ステント構造120は、弾性又は可塑性(例えば、自己拡張型又はバルーン拡張可能なステント)を提供するために、限定するわけではないが、金属、金属合金、ポリマー及びそれらの任意の組み合わせを含む様々な材料から形成することができる。グラフト部材130はステント構造120に結合され、流体(例えば、血液)が流れることができる流体不透過性又は半透過性の層を形成する。
【0060】
主本体100は、少なくとも1つの側枝ポータル110をさらに含む。側枝ポータル110は、主管腔102と枝血管との間に流体アクセスを提供するように動作可能である。側枝ポータル110は、主本体100の外側プロファイルに沿って壁104を貫通する開口部112を形成するか、又は開口部112に配置される。別の言い方をすると、側枝ポータル110は、主本体100の壁104を通って主本体100の第一の端部106と第二の端部108との間で長手方向に延在している。したがって、流体は、第一の開口部107を通って、側枝ポータル110を通って流れることができる。幾つかの実施形態は、複数の側枝ポータル110を含む。例えば、図3は、主本体100が第一の側枝ポータル110a、第二の側枝ポータル110b及び第三の側枝ポータル110cを含むことを示す。デバイス10が展開される特定の解剖学的構造に適応するために、任意の数の側枝ポータル110を組み込むことができる。
【0061】
さらに図3を参照すると、幾つかの実施形態において、側枝ポータル110のそれぞれは、側枝ステント構造114及び側枝グラフト部材116を含む。様々な実施形態において、側枝ステント構造114及び側枝グラフト部材116は、主本体ステント構造120及び主本体グラフト部材140から独立していてよく、それらに組み込まれていてよく、又は、それらと統合されてよい。例えば、図3~5に示されるように、側枝ステント構造114は、主本体ステント構造120から分離又は独立しているが、側枝グラフト部材116は、主本体グラフト部材140に組み込まれる(例えば、主本体グラフト部材140の層の間に挟まれるか又は介在される)。幾つかの実施形態において、側枝ステント構造114は、主本体ステント構造120から延在し、したがって、独立したステント構造ではなく、主本体ステント構造120の一部を表す。さらに他の実施形態において、側枝ステント構造114は、主本体ステント構造120に結合されている。同様に、側枝グラフト部材116は、主本体グラフト部材140から直接形成することができ、したがって、主本体グラフトの一部を表すことができる。他の実施形態において、側枝グラフト部材116は、主本体グラフト部材140に結合されるか、又はさらに他の実施形態において、主本体グラフト部材140から離間される。側枝ステント構造114及び側枝グラフト部材116の任意の組み合わせの実施形態が本開示の範囲内にあると理解される。
【0062】
幾つかの実施形態において、側枝ポータル110は、主本体100の第一の端部106と第二の端部108との間に位置し、主本体100の外側プロファイルを超えて延在又は主本体100の外側プロファイルを増加させることがない(図4及び図5を参照されたい)。別の言い方をすれば、側枝ポータル110の外壁の部分は、主本体100の外側プロファイル内で主本体100の壁104に沿って(例えば、外側プロファイルと同一平面上に)配置される。したがって、側枝ポータル110は、主本体100からの側枝ポータル110の出口位置に隣接する主本体100の外側プロファイルを実質的に増加させることなく、主本体100の主管腔102内に延在することができる。
【0063】
各側枝ポータル110は、第一の開口部119と第二の開口部121をそれぞれ画定する第一の端部118と第二の端部122を含むことができる。流体は、側枝ポータルを通って第一の端部118から第二の端部122へ(又はその逆)に移動し、側枝流体流方向を画定する。側枝ポータル110は、第一の開口部119が主本体100の主管腔102内に配置されるか、又は主本体100の主管腔102に向けて配向され、第二の開口部121は主本体100の外側に配置されるか、又は主本体100から離れるように配向されるように配置される(例えば、第一の開口部119は主本体100の壁104及び主管腔102に対する側枝ポータル110の内部開口であり、第二の開口部121は外部開口である)。例えば、図5は、側枝ポータル110の第一の開口部119が主管腔102内に配置されている実施形態を示す。側枝ポータル110は、様々な長手方向長さを有することができる。さらに、複数の側枝ポータル110が実装されるときに、1つ以上の側枝ポータル110は、別の側枝ポータル110とは異なる長さを有してもよいし、又は、1つ以上の側枝ポータル110は、別の側枝ポータル110と同じ長さを有してもよい。複数の側枝ポータル110を実装する実施形態において、各側枝ポータル110は、他の側枝ポータル110に対して固有の直径及び/又は幾何学的なオリフィス面積を有することができる(図10を参照されたい)。
【0064】
幾つかの実施形態において、側枝ポータル110は、側枝流体流方向が主本体流体流方向と反対になるように(例えば、主本体流体流方向に対して逆行するように)配向される。これらの実施形態における反対又は逆行は、180度の差に限定されず、一般に90度を超える流体流の方向の変化を含むことが理解される。また、主本体100は湾曲した解剖学的構造に適合するときには、流体流方向は、主本体100の長手方向の長さに沿った特定の位置に関するものであることも理解される。例えば、側枝流体流方向が主本体流体流と反対又は逆行である実施形態には、側枝ポータル110の第二の開口部121が側枝ポータル110の第一の開口部119に対して長手方向において主本体100の第一の端部106に近い実施形態が含まれる。側枝ポータル110を逆行方向に向けることによって、外科医は、より有利なアクセス部位(例えば、頚動脈、鎖骨下動脈、又は他の動脈への外傷を軽減するための、又は大動脈弓で手術する場合の首又は胸部の周りなど、患者の解剖学的に密集した部分での外科的存在を減らす大腿アクセス部位)から介入及びその後のあらゆる介入を行うことができる。この向きは、特定のアクセス部位からのアクセスが困難であり、妨害され又は危険な場合がある一部の提示では有利な場合がある。
【0065】
他の実施形態において、側枝ポータル110は、側枝流体流方向が主本体流体流方向とともに(例えば、主本体流体流方向に対して順方向に)ほぼ配向されるように配向される。側枝流体流方向が主本体流体流に対して順方向である実施形態には、側枝ポータル110の第一の開口部119が、側枝ポータル110の第二の開口部121に対して主本体100の第一の端部106に長手方向で近い実施形態が含まれる。順方向の配向は、幾つかの実施形態において、特に逆方向の配向の使用を制限する独特の幾何学的形状を有する可能性がある組織又は解剖学的構造において、より伝統的な流体流を維持するのに有利でありうる。複数の側枝ポータル110を実装する実施形態において、側枝ポータルはすべて順方向の配向を有してもよく、すべてが逆方向の配向を有してもよく、又は順方向の配向を有する1つ以上の枝ポータル及び逆方向の配向を有する1つ以上のポータルを含んでもよい。
【0066】
側枝ポータル110の第二の開口部121は、主本体100の第一の端部106と第二の端部108との間の様々な長手方向位置に配置されることができる。例えば、側枝ポータル110の第二の開口部121は、主本体100の第一の端部及び第二の端部106、108のほぼ中点に配置されることができる。他の実施形態において、側枝ポータル110の第二の開口部121は、第二の端部108に対して第一の端部106により近く配置されてよく、又は、主本体100の第一の端部106に対して第二の端部108により近く配置されてよい。複数の側枝ポータル110を含む実施形態において、第二の開口部121のそれぞれは、主本体100の長さに沿って長手方向に位置合わせされていてよく(図3を参照されたい)、主本体100の長さに沿ってずれて配置されてよく(図8を参照されたい)、又はそれらの組み合わせであってよい(図9を参照されたい)。
【0067】
側枝ポータル110は、様々な方法で主本体100に組み込まれることができる。例えば、側枝ポータル110は、グラフト部材130のフィルム層の間に巻き付けられてもよい(例えば、図11)。複数の側枝ポータル110が実装されている実施形態において、1つ以上の側枝ポータルが特定の用途で必要とされないならば、プラグ(図示せず)が任意の1つ以上の側枝ポータル110に挿入されうることに留意されたい。例えば、デバイス10は3つの側枝ポータル110を含むことができるが、患者(例えば、バイパスのある大動脈弓の場合)には2つだけが必要であり、側枝ポータル110のうちの1つは(例えばプラグにより)閉じられてよい。
【0068】
幾つかの実施形態において、ステント構造120は、側枝ポータル110の外周にわたって延在している(図7)。より目立たない材料を実装することができる又は主ステント構造120よりも小さい保持力又は拡張力を提供する材料を実装することができる側枝ステント構造114を実装する実施形態において、ステント構造120は、デバイス10のデリバリー、展開及び使用中に側枝ポータル110、及び、側枝ステント構造114の潰れを制限するために、側枝ポータル110の周りに延在してもよい。しかしながら、幾つかの実施形態において、ステント構造120は、側枝ポータル110の周囲に延在しない(例えば、図4を参照されたい)。
【0069】
図13及び図14を参照すると、主本体100は、側枝ポータル110が挿入されるポケット180を形成することができる。例えば、幾つかの実施形態において、側枝ポータル110は、カートリッジ190に組み込まれる。カートリッジ190は、主本体100のポケット180に挿入できるモジュール式要素である。例えば、カートリッジは、主本体100とともに使用するために1つ、2つ、3つ、4つ又は任意の数の側枝ポータルを実装することができる。これにより、デバイス10を患者の特定のニーズに合わせてカスタマイズすることが可能になる。幾つかの実施形態において、カートリッジ190は、(例えば、ラッピング又はフィルムを介して)互いに結合された1つ以上の側枝ポータル110を含む。カートリッジ190は、側枝ポータル110を介して、第一の端部106と第二の端部108との間の位置で主管腔102への主本体の外側からのアクセスを提供する。これは、既製の構成要素を用いてデバイス10をカスタマイズするためのモジュール式解決策を提供する。
【0070】
ここで図4を参照すると、主本体100は、ポータルアクセス機構150を含む。ポータルアクセス機構150は、側枝ポータル110内に少なくとも部分的に配置され展開される分枝部材200のためのクリアランスを提供するように動作可能である。例えば、ポータルアクセス機構150は凹んだ外側プロファイルを有する主本体100の壁104の一部であることができる。例えば、図4において、図示のとおりの主本体100は、ポータルアクセス機構150を画定する主本体100の長手方向の長さを除いて、主本体100の長手方向長さに沿った実質的に円形の断面を含む。図6は、主管腔102を通して見た側面図から主本体100を示す。この図において、実質的に円形の外側プロファイルが示されている。この図は、ポータルアクセス機構150における主本体のプロファイルも示している。ポータルアクセス機構150における主本体100は、実質的に円形の断面を含み、壁104の切頭部分又は弦部分152は、壁104の第一の位置154から壁104の第二の位置156まで延在している。図示されるように、ポータルアクセス機構150は、主本体100の残りの部分の典型的な外側プロファイルから逸脱しており、その結果、ポータルアクセス機構150は、主本体100の残りの部分から半径方向内側へに現れる。
【0071】
再び図4を参照すると、ポータルアクセス機構150は、側枝ポータル110の少なくとも第二の開口部121から主本体の第一の端部106に向かって主本体100の壁104内に画定される。ポータルアクセス機構150の深さ158は、側枝ポータル110の直径に実質的に等しい。ポータルアクセス機構150は、側枝ポータル110の第二の開口部121から深さ158で所定の長さ160で延在することができる。所定の長さ160は、分枝部材200が側枝ポータル110から出て、枝血管22に向かって回転又は屈曲するのに十分な空間を提供することができ、ポータルアクセス機構150の入口部分160を画定する。幾つかの実施形態における入口部分160は、図4及び10に示されるように、実質的に平坦である。しかしながら、幾つかの実施形態において、入口部分160は湾曲を組み込むことができる。例えば、幾つかの実施形態において、入口部分160は、弓形プロファイルを含む。弓形プロファイルは、複数の側枝ポータル110を実装することを可能にし(例えば、各側枝ポータル110が同じ直径を有する)、各側枝ポータル110の下端はポータルアクセス機構150の入口部分160と位置合わせされており、上端は主本体100の外側プロファイルと位置合わせされている(図示せず)。ポータルアクセス機構150はまた、移行部分162を含むことができる。移行部分162は、入口部分160に移行する壁104の部分を含む。移行部分162はまた、側枝ポータル110から出るときに分枝部材200を収容するように動作可能であることができる。幾つかの実施形態において、移行部分162は、側枝ポータル110の第二の開口部121から直接延在している(図示せず)。なおもさらなる実施形態において、ポータルアクセス機構150は、側枝ポータル110の第二の開口部121に近接した主本体100の狭窄部(図示せず)である。
【0072】
ポータルアクセス機構150は側枝ポータル110の第二の開口部121から始まる必要はないことが理解される。例えば、幾つかの実施形態において、ポータルアクセス機構150は側枝ポータル110の下に延在している。側枝ポータルは、ポータルアクセス機構150とグラフト部材130の外層との間に配置されてよい。これらの実施形態において、ポータルアクセス機構150は、側枝ポータル110から主本体100の第一の端部106に向かって延在している。
【0073】
さらに図4を参照すると、ポータルアクセス機構150は、幾つかの実施形態において、ポータルアクセス機構はステントがない。幾つかの実施形態において、グラフト部材130を支持するために使用されるステント構造120は、ポータルアクセス機構150上に延在しない。例えば、ステント構造120がらせん状に巻かれている実施形態において、ステント構造120は、ポータルアクセス機構150を横切って延在せず、その代わりに、ポータルアクセス機構150の近くで主本体100の長さに沿って延在し、長手方向部分170の各端でポータルアクセス機構150から遠ざかるように延在している長手方向部分170を有する。ステント構造120は、概してらせん状に巻かれている一方で、頂点172、正弦波形状などの様々な特徴を含むことができることが理解される。他の実施形態において、ステント構造120は、主本体100の長さに沿って長手方向に間隔を置いて配置された複数の独立したリングを含むことができる。ポータルアクセス機構150と共有した主本体100の長手方向長さで配置されたステント構造120のリングは、主本体100の周囲全体に延在するのではなく、ポータルアクセス機構150の近くで終端してもよく、あるいは、らせん巻きに関して説明したようにリングを接続する長手方向部分を含むことができる。
【0074】
他の実施形態において、ステント構造120は、ポータルアクセス機構150を横切って延在することができる。例えば、図10は、ステント構造120がポータルアクセス機構150を横切って延在している実施形態を示し、ステント構造は、ポータルアクセス機構150のプロファイルを収容及び/又は形状付けするように成形及び/又は造形される。ポータルアクセス機構150の上に画定されたステント構造120の部分は、ステント構造120の残りの部分と連続していてもよい。例えば、主本体100の周囲にらせん状に配置されるか、又は巻き付けられるステント構造120を実装する主本体100において、ステント構造120は、実質的にポータルアクセス機構150においてらせん経路を継続しうる。幾つかの実施形態において、ポータルアクセス機構150におけるステント構造120の頂点170aは、主本体100の残りの周囲での頂点170bよりも短くてもよい(図11を参照されたい)。さらに、頻度は、より多くの頂点がポータルアクセス機構150において主本体100の周長に組み込まれるように減少されうる。他の実施形態において、ポータルアクセス機構150に配置されたステント構造120は、ポータルアクセス機構150の周囲プロファイルの輪郭を描くように、又はさもなければ一致するように成形される。これらの実施形態において、ポータルアクセス機構150のステント構造120は、主本体100の残りの部分のステント構造120から延在するか、又はそれに結合されるが、主本体100の残りの部分のステント構造120のパターンから独立した形状を有するか、又は。そのパターンと一致しない形状を有する。
【0075】
幾つかの実施形態において、ポータルアクセス機構150は、前述したように、ステント構造120から独立したポータルアクセスステント151(図15)を含むことができる。独立したステント部材は、ポータルアクセス機構150においてグラフト部材130に結合されることができる。独立したステント部材は、ポータルアクセス機構150の周囲プロファイルに一致するように動作可能なパターンを含む、任意の数の構成を組み込むことができる。
【0076】
ポータルアクセス機構150は補強材をさらに含むことができる。補強材は、ポータルアクセス機構150の強度を高めるように動作可能である。強化材は、デバイス10が展開される際にポータルアクセス機構150により発生されうる引裂き、穿刺及びその他の損傷に耐えることができる。例えば、分枝部材200のカニューレ挿入及び/又はデリバリー及び展開は、ポータルアクセス機構との接触をもたらす可能性があり、補強材は、デバイス10の損傷を引き起こす可能性がある引き裂き又は磨耗に耐えるのに十分に頑丈である。幾つかの実施形態において、強化材は、ポータルアクセス機構に適用されるか、ポータルアクセス機構においてグラフト部材130に組み込まれるか、又はそれらの組み合わせである。限定するわけではないが、高密度のePTFE層又は多層を含む強化材には、様々な材料を実装することができる。
【0077】
図1及び図2を参照すると、側枝ポータル110を通して分枝部材200を展開することができる。分枝部材200は、ステント、ステントグラフト、グラフトなどを含むことができる。ステント及びステントグラフトは、例えば、自己拡張型又はバルーン拡張型であることができる。1つの例において、デバイス10は大動脈弓内で展開されうる。図示のように、デバイス10は、3つの側枝ポータル110を備えた主本体100を含むが、様々な数の側枝ポータル110が考えられる。様々な実施形態において、第一の側枝ポータル110aは、腕頭動脈の第一の分枝体200aを展開するためにカニューレ挿入されるように動作可能であり、第二の側枝ポータル110bは左総頸動脈のための第二の分枝体200b、そして、第三の側枝ポータル110bは左鎖骨下動脈のための第三の分枝体200cを展開するためにカニューレ挿入されるように動作可能である。
【0078】
上述の主本体100及び分枝部材200を含むデバイス10は、選択された体腔内でグラフト又はステントグラフトとして使用するのに適した任意の材料から構成することができる。グラフトは同じ材料又は異なる材料から構成することができる。さらに、グラフトは、同じ材料であっても又は異なる材料であってもよい複数の材料層を含むことができる。幾つかの例において、グラフトは、チューブ状に形成された層(最内チューブ)及びチューブ状に形成された最外層(最外チューブ)を含む、幾つかの材料層を有することができる。
【0079】
既知の血管グラフト材料及びステントグラフト材料を含む、様々な材料セットがグラフト部材に実装されうる。ポリマー、生分解性及び天然素材は特定の用途に使用できる。また、グラフト部材を形成するために、押出成形、コーティング、ラッピング、それらの組み合わせなどを含む様々な製造技術を実施することができる。
【0080】
本明細書で論じるグラフト構成要素用の生体適合性材料を使用することができる。特定の例において、グラフトは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ポリマー又は延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)ポリマーなどのフルオロポリマーを含むことができる。特定の例において、グラフトは、限定するわけではないが、ポリエステル、シリコーン、ウレタン、ポリエチレンテレフタレートもしくは別の生体適合性ポリマー又はそれらの組み合わせなどから形成されうる。幾つかの例において、生体再吸収性又は生体吸収性材料、例えば生体再吸収性又は生体吸収性ポリマーが使用されてよい。幾つかの例において、グラフトは、ダクロン、ポリオレフィン、カルボキシメチルセルロース布帛、ポリウレタン又は他の織布、不織布又はフィルムエラストマーを含むことができる。
【0081】
適切な合成ポリマーの例としては、限定するわけではないが、ナイロン、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリホルムアルデヒド、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロクロロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エラストマー有機ケイ素ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリグリコール酸、ポリエステル、ポリアミド、それらの混合物、ブレンド及びコポリマーが挙げられ、グラフト部材として適している。1つの実施形態において、グラフトは、DACRON(登録商標)及びMYLAR(登録商標)を含むポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、及びKEVLAR(登録商標)などのポリアラミド、共重合ヘキサフルオロプロピレンを含む又は含まないポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(TEFLON(登録商標)又はGORE-TEX(登録商標))などのポリフルオロカーボン及び多孔質又は非多孔質ポリウレタンのクラスから作製される。別の実施形態において、グラフトは延伸フルオロカーボンポリマー(特にPTFE)材料を含む。好ましいフッ素ポリマーの種類としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、テトラフルオロエチレン(TFE)とパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)のコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)のホモポリマー及びそのTFE、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)とのコポリマー、エチレン-テトラフルオロエチレン(ETFE)のコポリマー、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリフッ化ビニル(PVF)が挙げられる。ePTFEは人工血管に広く使用されているため、特に好ましい。別の実施形態において、グラフトは、上に挙げた材料の組み合わせを含む。別の実施形態において、グラフトは体液に対して実質的に不透過性である。実質的に不透過性のグラフトは、体液に対して実質的に不透過性である材料から作製することができ、あるいは、体液に対して実質的に不透過性となるように処理又は製造された透過性材料から構築することができる(例えば、上述した又は当該技術分野で知られている異なる種類の材料を層状にすることによる)。1つの実施形態において、主本体及び分枝部材は、上述のように、上記の材料の任意の組み合わせから作られる。別の実施形態において、上記のように、主本体及び分枝部材はePTFEを含む。
【0082】
ステントは、上述したように、拘束時及び/又は非拘束時にほぼ筒形であり、複数のらせん巻きを有するらせん状に配置された波形を含むことができる。波形は、好ましくは、互いに「同位相」になるように整列される。より具体的には、波形は、対向する第一の方向及び第二の方向に頂点を含む。波形が同位相であるときに、隣接するらせん巻きの頂点は、隣接するらせん巻きの対応する波形のそれぞれの頂点へと変位できるように位置合わせされる。1つの実施形態において、波形は正弦波形状を有する。別の実施形態において、波形はU字形である。別の実施形態において、波形はV字形である。別の実施形態において、波形は卵形である。
【0083】
別の実施形態において、ステントは、上述のように、グラフト本体に沿ってほぼ同軸に配置された一連のリングの形態で提供されうる。
【0084】
様々な実施形態において、ステントは、インプラント可能なメディカルデバイスの製造に使用される一般に知られている材料(又は材料の組み合わせ)を含む様々な生体適合性材料から製造することができる。典型的な材料としては、316Lステンレス鋼、コバルト-クロム-ニッケル-モリブデンアルミニウム合金(「コバルト-クロム」)、L605などの他のコバルト合金、タンタル、ニチノール又はその他の生体適合性金属が挙げられる。1つの実施形態において、本明細書に記載の任意のステントグラフトは、バルーン拡張可能なステントグラフトである。別の実施形態において、本明細書に記載の任意のステントグラフトは自己拡張型ステントグラフトである。別の実施形態において、ステントは巻線ステントである。別の実施形態において、巻線ステントは、波状、又は頂点の繰り返しの波状パターンを含む。
【0085】
巻線ステントは、合理的に高強度の材料、例えば、応力がかかったときに塑性変形に耐性のある材料から構築することができる。1つの実施形態において、ステント部材は、以下に説明するように、らせん巻き及び波形を同時に形成できるように、ピンが配置されたマンドレルの周りにらせん巻きされたワイヤを含む。他の構造も使用されうる。例えば、適切な形状は平らな原料から形成され、筒状に巻かれ、又は、適切な形状に形成され又は材料シートをレーザ切断したある長さのチューブから形成されうる。別の実施形態において、前記ステントは超弾性合金から作られる。ニチノールなどの超弾性合金をステントに使用する様々な開示が存在する。
【0086】
ニチノールなどの様々な金属、超弾性合金などの様々な材料はこれらのステントでの使用に適している。材料の主な要件は、非常に薄いシート又は小さな直径のワイヤに成形されたときでも、適切な弾力性があることである。高いバネ性を生み出すために物理的、化学的、その他の方法で処理された様々なステンレス鋼が適しており、コバルトクロム合金 (例えば、ELGILOY(登録商標))、白金/タングステン合金、特に一般的に「ニチノール」として知られているニッケルチタン合金などの他の金属合金も適している。
【0087】
ニチノールは、その「超弾性」又は「擬似弾性」形状回復特性、すなわち、有意な量の曲げ及びたわみに耐えながらも永久変形せずに元の形状に戻る能力のため、特に好ましい。これらの金属は、特定の温度でオーステナイト結晶構造から応力誘起マルテンサイト構造に変態し、応力が解放されるとオーステナイト形状に弾性的に戻る能力を特徴としている。これらの交互の結晶構造により、合金に超弾性特性が与えられる。
【0088】
他の適切なステント材料としては、特定のポリマー材料、特にサーモトロピック液晶ポリマー(「LCP」)などのエンジニアリングプラスチックが挙げられる。これらのポリマーは、いわゆる「液晶状態」で存在できる高分子量材料であり、ここで、材料は幾つかの液体の特性(流れることができる点で)を持ちながら、結晶の長距離分子秩序を保持している。「サーモトロピック」という用語は、温度調整によって形成されるLCPのクラスを指す。LCPは、p,p'-ジヒドロキシ-多核芳香族又はジカルボキシ-多核芳香族などのモノマーから調製されうる。LCPは容易に形成され、室温で必要なインターポリマー引力を保持し、折り畳み可能なステントとして必要とされる高強度プラスチック加工品として機能する。これらは、後述する金属又は合金の繊維などの繊維で増強又は充填されるときに特に適している。繊維は直線である必要はなく、複合材料の物理的なねじれ強化能力を高める波形などの何らかの予備成形性を有していてもよいことに留意されたい。
【0089】
様々な生物活性剤のいずれも、上述のもののいずれかとともに実装されうる。例えば、デバイス10のうちの任意の1つ以上(その一部を含む)は、生物活性剤を含むことができる。デバイス10がインプラント処置されると、生物活性剤を制御放出するように、生物活性剤を上述のフィーチャの1つ以上の上にコーティングすることができる。このような生物活性剤としては、限定するわけではないが、ヘパリンなどの血栓形成剤を挙げることができる。生物活性剤は、限定するわけではないが、天然物、例えば、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン及びビノレルビン)、パクリタキセル、エピディポドフィロトキシン(例えば、エトポシド及びテニポシド)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン)、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミスラマイシン)及びマイトマイシン、酵素(例えば、L-アスパラギンを全身的に代謝する、自分自身のアスパラギンを合成する能力がない細胞を奪うL-アスパラギナーゼ)、G(GP) IIb/IIIa阻害剤及びビトロネクチン受容体アンタゴニストなどの抗血小板薬、抗増殖性/抗有糸分裂性アルキル化剤、例えばナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド及びその類似体、メルファラン、クロラムブシル)、エチレンイミン及びメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミン及びチオテパ)、アルキルスルホネートブスルファン、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン(BCNU)及び 類似体、ストレプトゾシン)、トラゼンダカルバジニン(DTIC)、抗増殖性/抗有糸分裂性抗代謝薬、例えば、葉酸類似体(例えば、メトトレキサート)、ピリミジン類似体(例えば、フルオロウラシル、フロクスウリジン及びシタラビン)、プリン類似体及び関連阻害剤(例えば、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン及び2-クロロデオキシアデノシン{クラドリビン}など)、白金配位錯体(例えば、シスプラチン及びカルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、ミトタン、アミノグルテチミド、ホルモン(例えば、エストロゲン)、抗凝固剤(例えば、ヘパリン、合成ヘパリン塩及び他のトロンビン阻害剤)、抗血小板薬(例えば、アスピリン、クロピドグレル、プラスグレル及びチカグレロル)、血管拡張薬(例えば、ヘパリン、アスピリン)、線維素溶解剤(例えば、プラスミノーゲン活性化因子、ストレプトキナーゼ及びウロキナーゼ)、アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン、クロピドグレル、アブシシマブ、抗移行剤、抗分泌剤(例えば、ブレベルジン)、抗炎症剤、例えば、副腎皮質ステロイド(例えば、コルチゾール、コルチゾン、フルドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、6α-メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、ベタメタゾン及びデキサメタゾン)、非ステロイド剤(例えば、アスピリンなどのサリチル酸誘導体)、パラアミノフェノール誘導体(例えば、アセトアミノフェン)、インドール及びインデン酢酸(例えば、インドメタシン、スリンダク及びエトダラク)、ヘテロアリール酢酸(例えば、トルメチン、ジクロフェナク及びケトロラク)、アリールプロピオン酸(例えば、イブプロフェン及び誘導体)、アントラニル酸(例えば、メフェナム酸及びメクロフェナム酸)、エノール酸(例えば、ピロキシカム、テノキシカム、フェニルブタゾン及びオキシフェンタトラゾン)、ナブメトン、金化合物(例えば、オーラノフィン、オーロチオグルコース及びチオリンゴ酸金ナトリウム)、免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス(FK-506)、シロリムス(ラパマイシン)、アザチオプリン及びミコフェノール酸モフェチル)、血管新生剤(例えば、血管内皮増殖因子(VEGF))、線維芽細胞増殖因子(FGF)、アンジオテンシン受容体遮断薬、一酸化窒素供与体、アンチセンスオリゴヌクレオチド及びそれらの組み合わせ、細胞周期阻害剤、mTOR阻害剤、成長因子受容体シグナル伝達キナーゼ阻害剤、レチノイド、サイクリン/CDK阻害剤、HMG補酵素還元酵素阻害剤(スタチン)及びプロテアーゼ阻害剤を挙げることができる。
【0090】
デバイス10を展開する様々な方法は実施されうる。例えば、主管腔及び第一の分枝管腔(例えば、腕頭動脈、左総頸動脈及び左鎖骨下動脈を伴う大動脈弓)を有する標的部位に内部人工器官を展開する方法は以下を含むことができる:(1)多分岐ステントグラフトの主本体を標的部位の主管腔に向かって前進させること、ここで、前記主本体は第一の部分と第二の部分とを有し、前記主本体は、前記主本体が標的部位で展開されたときに前記標的部位から延在している第一の側枝への前記主本体からの流体アクセスを提供するように動作可能な第一のポータルを画定する、(2)前記主本体の前記第一の部分を前記標的部位の前記主管腔内で部分的に展開すること、(3)第一の関節運動可能なワイヤを前記第一のポータルを通して前記第一の分枝管腔内に前進させること、(4)前記主本体の前記第二の部分を前記標的部位の前記主管腔内で部分的に展開すること、(5)前記主本体の前記第一の部分と前記第二の部分を完全に展開すること、(6)前記第一の関節運動可能なワイヤに沿って第一の側枝体を前記標的部位の前記第一の分枝管腔内に前進させること、及び、(7)前記標的部位の前記第一の側枝管腔内で前記第一の側枝体を展開すること。
【0091】
幾つかの実施形態において、第一のポータルは第一の端部と第二の端部を有し、前記第二の端部は主本体の外面と実質的に連続している。これにより、デバイスの外側プロファイルが周囲の解剖学的構造と一致するように維持される。主本体は主本体長手方向軸を画定し、第一のポータルは第一のポータル長手方向軸を画定し、主本体長手方向軸と第一のポータル長手方向軸は実質的に平行である。幾つかの実施形態において、第一のポータルは、第一の端部から第二の端部までの第一のポータルが主本体を通る流体流に対して逆行するように配置される。主本体の壁は、第一の関節運動可能なワイヤ及び第一の側枝体が前進されるとき、第一の関節運動可能なワイヤ及び第一の側枝体がよじれることなくポータルから出るためのクリアランスを凹部が提供するように、第一のポータルに隣接する凹部を画定することができる。幾つかの実施形態において、主本体は壁に結合されたステントを含み、凹部を画定する壁の部分はステントを含まない。
【0092】
主本体が請求項10記載の第二のポータル及び第三のポータルを含む実施形態において、方法は、(1)第二の関節運動可能なワイヤを第二のポータルを通して標的部位の第二の分枝管腔内に前進させること、(2)第三の関節運動可能なワイヤを第三のポータルを通して標的部位の第三の分枝管腔内に前進させること、(3)前記第二の関節運動可能なワイヤに沿って第二の側枝体を前記標的部位の前記第二の分枝管腔内に前進させること、(4)前記第三の関節運動可能なワイヤに沿って第三の側枝体を前記標的部位の前記第三の分枝管腔内に前進させることをさらに含むことができる。これらの実施形態において、第一の側枝体は、第二の側枝体及び第三の側枝体を展開する前に展開されうる。第一のポータル、第二のポータル及び第三のポータルのそれぞれの外側開口部がそれぞれ主本体に沿った第一の長手方向位置に配置される場合、又は、第一のポータル、第二のポータル及び第三ポータルのそれぞれの外側開口部がそれぞれ主本体に沿った異なる長手方向位置に配置される場合を含む、ポータルの様々な配置が実装されうる。幾つかの実施形態において、方法は、主本体の第一の部分及び第二の部分を完全に展開する前に、主本体の内部湾曲を調整することをさらに含む。
【0093】
本発明の多くの特徴及び利点は、本発明の構造及び機能の詳細とともに、好ましい実施形態及び代替実施形態を含む、先行の説明で示されている。本開示は、例示のみを目的としており、したがって、網羅的であることを意図したものではない。特に、本発明の原理の範囲内で、部品の構造、材料、要素、構成要素、形状、サイズ及び配置に関して、添付の特許請求の範囲が表現される用語の広範な一般的な意味により示される全範囲まで種々の変更を加えることができることは、当業者に明らかであろう。これらの様々な変更は、添付の特許請求の範囲の主旨及び範囲から逸脱しない限り、特許請求の範囲に包含されるものとする。本発明は、上記及び以下に請求される実施形態を対象とすることに加えて、上記及び以下に請求される特徴の異なる組み合わせを有する実施形態をさらに対象とする。
【0094】
本出願の発明は、一般的に及び特定の実施形態に関して上記で説明されてきた。当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態に様々な変更及び変形を加えることができることが明らかであろう。したがって、実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその均等の範囲内にある限り、本発明の変更及び変形を包含することが意図されている。
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【国際調査報告】