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▶ ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティドの特許一覧

特表2024-508793マルチコンポーネントデリバリーシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】マルチコンポーネントデリバリーシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/07 20130101AFI20240220BHJP
   A61F 2/954 20130101ALI20240220BHJP
   A61F 2/852 20130101ALI20240220BHJP
【FI】
A61F2/07
A61F2/954
A61F2/852
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550310
(86)(22)【出願日】2022-02-22
(85)【翻訳文提出日】2023-10-19
(86)【国際出願番号】 US2022017333
(87)【国際公開番号】W WO2022216374
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】63/152,144
(32)【優先日】2021-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】メリル ジェイ.バードノ
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド エム.クローリー
(72)【発明者】
【氏名】ケヒンデ エー.マジョラグベ
(72)【発明者】
【氏名】アダム エイチ.パワー
(72)【発明者】
【氏名】ブランドン シー.ショート
(72)【発明者】
【氏名】デレク エム.ワード
(72)【発明者】
【氏名】パトリック エス.ヤング
【テーマコード(参考)】
4C097
4C267
【Fターム(参考)】
4C097AA15
4C097BB01
4C097BB04
4C097CC01
4C097DD01
4C097DD09
4C097DD10
4C097EE02
4C097EE06
4C097EE08
4C097EE09
4C097EE13
4C097MM09
4C267AA05
4C267AA50
4C267AA51
4C267AA56
4C267BB02
4C267BB26
4C267CC10
4C267GG03
4C267GG04
4C267GG05
4C267GG06
4C267GG22
4C267GG24
4C267GG42
(57)【要約】
主管腔及び第一の分枝管腔を有する標的部位で多分岐ステントグラフトを展開する方法は提供される。この方法は、第一の部分及び第二の部分を有する主本体を含むカテーテルを前進させること、ここで、前記主本体は、第一のガイド部材が予めカニューレ挿入されている第一のポータルを画定している、前記主本体の前記第一の部分を部分的に展開すること、前記第一のポータルを通して前記第一のガイド部材に沿って第一のシースを前進させること、前記第一のシースを通して第一の関節運動可能なワイヤを前進させること、前記標的部位の第一の分枝管腔内に前記第一の関節運動可能なワイヤを配置すること、前記主本体の前記第二の部分を部分的に展開すること、前記主本体の前記第一の部分及び前記第二の部分を完全に展開すること、及び、第一の側枝体を前記第一の関節運動可能なワイヤに沿って前記第一の分枝管腔内に前進させること、及び、前記第一の側枝体を前記第一の分枝管腔内で展開することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主管腔と第一の分枝管腔を有する標的部位に多分岐ステントグラフトを展開する方法であって、前記方法は、
主ガイドワイヤを標的部位まで前進させること、
多分岐ステントグラフトの主本体を含むカテーテルを前記主ガイドワイヤに沿って標的部位の主管腔に向かって前進させること、ここで、前記主本体は第一の部分と第二の部分とを有し、前記主本体が前記標的部位に展開されるときに、前記主本体は、前記標的部位から延在している第一の側枝への前記主本体からの流体アクセスを提供するように動作可能な第一のポータルを画定しており、前記第一のポータルは、前記主ガイドワイヤに沿って前記主本体を前進させる前に、前記第一の二次ガイドワイヤが予めカニューレ挿入されている、
前記主本体の前記第二の部分を前記標的部位の前記主管腔内で部分的に展開すること、
前記第一のポータルを通して第一のガイド部材に沿って第一のシースを前進させること、
前記第一のシースを通して第一の関節運動可能なガイドカテーテルを前進させること、
前記第一の関節運動可能なガイドカテーテルを前記標的部位の第一の分枝管腔内に配置すること、
前記主本体の前記第一の部分を前記標的部位の前記主管腔内で部分的に展開すること、
前記主本体の前記第一の部分及び前記第二の部分を完全に展開させること、
前記第一の関節運動可能なガイドカテーテルに沿って第一の側枝体を前記標的部位の前記第一の分枝管腔内に前進させること、及び、
前記第一の側枝体を前記標的部位の前記第一の分枝管腔内で展開させること、
を含む、方法。
【請求項2】
前記標的部位の前記第一の分枝管腔内に塞栓フィルタを展開することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記塞栓フィルタのフィルタシースを吸引することをさらに含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記第一の側枝体が展開された後に、前記塞栓フィルタを除去することをさらに含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記第一のガイド部材は、前記長尺部材の前記第一の端部の近傍に保持される、先行の請求項のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記主本体は、前記主本体が前記標的部位で展開されるときに、前記標的部位から延在している第二の側枝及び第三の側枝への前記主本体からの流体アクセスを提供するように動作可能な第二のポータル及び第三のポータルをさらに画定しており、前記主ガイドワイヤに沿って前記主本体を前進させる前に、前記第二のポータルには第二のガイド部材が予めカニューレ挿入され、前記第三のポータルには第三のガイド部材が予めカニューレ挿入される、先行の請求項のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
第二のシースを前記第二のポータルを通して前記第二のガイド部材に沿って前進させること、
前記第二のシースを通して第二の関節運動可能なガイドカテーテルを前進させること、
前記第二の関節運動可能なガイドカテーテルを前記標的部位の第二の分枝管腔内に配置すること、
第三のシースを前記第三のポータルを通して前記第三のガイド部材に沿って前進させること、
前記第三のシースを通して第三の関節運動可能なガイドカテーテルを前進させること、 及び、
前記第三の関節運動可能なガイドカテーテルを前記標的部位の第三の分枝管腔内に配置すること、
をさらに含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
第二の側枝体を前記第二の関節運動可能なガイドカテーテルに沿って前記標的部位の前記第二の分枝管腔内に前進させること、
前記第二の側枝体を前記標的部位の前記第二の分枝管腔内で展開すること、
第三の側枝体を前記第三の関節運動可能なガイドカテーテルに沿って前記標的部位の前記第三の分枝管腔内に前進させること、及び、
前記第三の側枝体を前記標的部位の前記第三の側枝管腔内で展開すること、
をさらに含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記主ガイドワイヤ、前記第一のガイド部材、第二のガイド部材及び第三のガイド部材、ならびに前記第一のシース、第二のシース及び第三のシースを除去することをさらに含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記カテーテルは、前記第一のシース、第二のシース及び第三のシースを前進させる前に除去される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
第一の端部と第二の端部を有する長尺部材、
前記長尺部材の前記第一の端部に結合されたエンドキャップ、
主管腔及び少なくとも1つの側枝ポータルを画定する主本体、及び、二次管腔を画定する少なくとも1つの第二の本体を含む、内部人工器官、及び、
前記少なくとも1つの側枝ポータルを通って延在し、前記エンドキャップに結合されている少なくとも1つのガイド部材、
を含む、内部人工器官デリバリーシステム。
【請求項12】
前記内部人工器官の前記主本体を前記長尺部材に拘束する拘束部材をさらに含む、請求項11記載の内部人工器官デリバリーシステム。
【請求項13】
前記拘束部材は、前記主本体を拘束構成及び部分的展開構成で拘束するように動作可能であり、前記主本体は、前記拘束構成で第一の直径を有し、前記部分的展開構成で前記第一の直径より大きい第二の直径を有し、そして展開構成で前記第一の直径及び前記第二の直径より大きい第三の直径を有する、請求項12記載の内部人工器官デリバリーシステム。
【請求項14】
前記拘束部材は第一の部分及び第二の部分を含み、前記第一の部分及び前記第二の部分は、独立して、前記主本体の対応する第一の部分及び第二の部分を前記拘束構成及び前記部分的展開構成で拘束するように動作可能である、請求項13記載の内部人工器官デリバリーシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つのガイド部材に沿って前進されるように動作可能なシースをさらに含む、請求項11~14のいずれか1項記載の内部人工器官デリバリーシステム。
【請求項16】
前記シースを通して前進されるように動作可能な関節運動可能なワイヤ又はガイドカテーテルをさらに含む、請求項15記載の内部人工器官デリバリーシステム。
【請求項17】
前記関節運動可能なワイヤ又はガイドカテーテルに沿って前進され、少なくとも部分的に前記少なくとも1つの側枝ポータル内で展開されるように動作可能な少なくとも1つの二次枝をさらに含む、請求項16記載の内部人工器官デリバリーシステム。
【請求項18】
前記内部人工器官の標的部位から下流で展開されるように動作可能な取り外し可能なフィルタをさらに含む、請求項17記載の内部人工器官デリバリーシステム。
【請求項19】
前記取り外し可能なフィルタは、前記関節運動可能なワイヤ又はガイドカテーテルが延在するように動作可能な中央管腔を含む、請求項18記載の内部人工器官デリバリーシステム。
【請求項20】
前記エンドキャップは湾曲している、請求項11~19のいずれか1項記載の内部人工器官デリバリーシステム。
【請求項21】
前記内部人工器官デリバリーシステムは、前記エンドキャップから前記主本体を通して湾曲している、請求項11~20のいずれか1項記載の内部人工器官デリバリーシステム。
【請求項22】
第一の端部及び第二の端部を有する長尺部材、
前記長尺部材の前記第一の端部と前記第二の端部との間に長手方向に配置され、主管腔及び側枝ポータルを画定する主本体を含む、内部人工器官、
前記側枝ポータルを通って延在しているガイド部材、及び、
結合位置で前記長尺部材に取り外し可能に結合されるガイド部材保持器であって、前記ガイド部材は前記側枝ポータルと前記ガイド部材保持器の前記結合位置との間の位置で前記ガイド部材保持器に結合される、ガイド部材保持器、
を含む、内部人工器官デリバリーシステム。
【請求項23】
前記主本体は複数の側枝ポータルを画定する、請求項22記載の内部人工器官デリバリーシステム。
【請求項24】
複数のガイド部材をさらに含む、請求項22又は請求項23記載の内部人工器官デリバリーシステム。
【請求項25】
前記ガイド部材保持器は、前記ガイド部材のそれぞれの端部に形成されたループを通って延在している、請求項22~24のいずれか1項記載の内部人工器官デリバリーシステム。
【請求項26】
前記ガイド部材保持器は、前記第一の結合位置から選択的に切り離されるように動作可能である、請求項22~25のいずれか1項記載の内部人工器官デリバリーシステム。
【請求項27】
前記長尺部材は、前記長尺部材の前記第一の端部に配置されたロックワイヤ保持器を含む、請求項22~26のいずれか1項記載の内部人工器官デリバリーシステム。
【請求項28】
前記ガイド部材保持器が前記ロックワイヤ保持器に解放可能に結合されている、請求項27記載の内部人工器官デリバリーシステム。
【請求項29】
側枝体をさらに含み、各ガイド部材は第一の端部を含み、前記側枝体が前記ガイド部材に沿って前進されるときに、前記ガイド部材の各第一の端部は、前記結合位置と前記側枝ポータルの間で前記ガイド部材保持器によって保持される、請求項22~28のいずれか1項記載の内部人工器官デリバリーシステム。
【請求項30】
各ガイド部材は、前記ガイド部材保持器が解放されるときに、対応する側枝ポータルから除去されるように動作可能である、請求項22~29のいずれか1項記載の内部人工器官デリバリーシステム。
【請求項31】
複数のガイド部材保持器をさらに含み、各ガイド部材保持器は対応するガイド部材に結合されている、請求項22~30のいずれか1項記載の内部人工器官デリバリーシステム。
【請求項32】
各ガイド部材保持器は、各ガイド部材が対応する側枝ポータルから個別に除去されるように動作可能であるように、前記第一の結合位置での係合から個別かつ選択的に解放されるように動作可能である、請求項29記載の内部人工器官デリバリーシステム。
【請求項33】
前記長尺部材は、前記長尺部材の第一の端部に配置されたキャップを含み、前記ガイド部材保持器は前記結合位置で前記キャップに結合される、請求項22記載の内部人工器官デリバリーシステム。
【請求項34】
前記ガイド部材保持器は、前記長尺部材の前記第一の端部で前記長尺部材に結合される、請求項22~33のいずれか1項記載の内部人工器官デリバリーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年2月22日に出願された仮出願第63/152,144号の利益を主張し、その全体をあらゆる目的で参照により本明細書に組み込む。
【0002】
分野
本開示は、一般に、マルチコンポーネントデバイスをデリバリーするためのシステム及び方法に関する。より具体的には、本開示は、個々の構成要素を含む血管内デバイスを標的部位にデリバリーするためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
様々な分岐した解剖学的通路は、インプラント処置された管腔内デバイスの形態での治療から利益を得ることができる。そのような通路の1つは、動脈瘤のある動脈などの血管通路である。大動脈疾患及び動脈瘤及び解離などの外傷は、患者に重大なリスクをもたらす。そのリスクは患者の状態に基づいて増加する。このような状態又は要因としては、患者の年齢、心肺バイパス、心停止、循環停止などの既存の状態及び/又は関連する状態を挙げることができる。これら及びその他の要因により、患者が大動脈疾患を修復する手術に耐え、回復する能力が制限されることがある。これと同じ問題が、患者の他の罹患組織及び損傷組織にも存在する。
【0004】
動脈瘤に関しては、動脈瘤の破裂を防ぐために、ステントグラフトを経皮的に血管内に導入し、動脈瘤嚢にまたがるように展開することができる。ステントグラフトは、1つ以上のステントの筒形の足場又はフレームワークに固定されたグラフト布帛を含む。ステントは、グラフトをチューブ状構成で開いた状態に保持するための剛性及び構造を提供するだけでなく、グラフトと血管壁の健全な部分との間にシールを形成し、移行抵抗を提供するために必要な外向きの半径方向の力も提供する。血管を通って流れる血液は、ステントグラフトの管腔表面を通って流れ、動脈瘤嚢の位置における血管壁にかかる応力を、排除しないにしても軽減することができる。ステントグラフトは、動脈瘤部位での血管壁の破裂のリスクを軽減し、血液が中断されることなく血管を流れることを可能にすることができる。
【0005】
動脈瘤の除去などの様々な血管内修復処置では、ステントグラフトを血管分岐部に隣接してインプラント処置する必要がある。しばしば、動脈瘤は分岐部まで広がっており、ステントグラフトを分岐部に留置する必要がある。したがって、このような場合には分岐型ステントグラフトが必要となる。個別の主本体及び分岐コンポーネントを有するモジュール式ステントグラフトは、展開の容易さ及び正確さのため、これらの処置でしばしば好ましい。別個の主本体及び分岐ステント構成要素を有するモジュール式ステントグラフトの例については、Hartleyらの米国特許出願第2008/0114446号明細書を参照されたい。Hartleyらの刊行物において、主本体ステントは側枝ステントと係合して固定するように調整された開窓を側壁に有する。
【発明の概要】
【0006】
要旨
主本体を含む内部人工器官には、内部人工器官の主本体が主管腔内に展開されるときに主管腔の側枝への流体アクセスを提供するための側枝ポータルが設けられている。内部人工器官の展開方法も提供される。
【0007】
1つの例(「例1」)によれば、展開方法は主管腔及び第一の分枝管腔を有する標的部位に多分岐ステントグラフトを提供することを含み、この方法は、標的部位まで主ガイドワイヤを前進させること、多分岐ステントグラフトの主本体を含むカテーテルを前記主ガイドワイヤに沿って前記標的部位の前記主管腔に向かって前進させること、ここで、前記主本体は第一の部分と第二の部分とを有し、前記主本体は、前記主本体が前記標的部位で展開されるときに、前記標的部位から延在している第一の側枝への前記主本体からの流体アクセスを提供するように動作可能な第一のポータルを画定しており、前記主本体を前記主ガイドワイヤに沿って前進させる前に、前記第一のポータルに第一の二次ガイドワイヤが予めカニューレ挿入されている、前記主本体の前記第一の部分を前記標的部位の主管腔内で部分的に展開すること、前記第一のポータルを通して第一のガイド部材に沿って第一のシースを前進させること、前記第一のシースを通して第一の関節運動可能なワイヤ又はガイドカテーテルを前進させること、前記第一の関節運動可能なワイヤ又はガイドカテーテルを前記標的部位の第一の分枝管腔内に配置すること、前記主本体の前記第二の部分を前記標的部位の前記主管腔内で部分的に展開すること、前記主本体の前記第一の部分と前記第二の部分を完全に展開すること、前記第一の関節運動可能なワイヤ又はガイドカテーテルに沿って第一の側枝体を前記標的部位の前記第一の分枝管腔内に前進させること、及び、前記第一の側枝体を前記標的部位の前記第一の分枝管腔内で展開することを含む。
【0008】
別の例(「例2」)によれば、例1に加えて、この方法は、前記標的部位の第一の分枝管腔内に塞栓フィルタを展開することを含む。
【0009】
別の例(「例3」)によれば、例2に加えて、この方法は、前記塞栓フィルタのフィルタシースを吸引することを含む。
【0010】
別の例(「例4」)によれば、例3に加えて、この方法は、前記第一の側枝体が展開された後に前記塞栓フィルタを除去することを含む。
【0011】
別の例(「例5」)によれば、上述の例のいずれかに加えて、前記第一のガイド部材は、カテーテルのキャップの周りにループ状にされた第一の端部を含む。
【0012】
別の例(「例6」)によれば、上述の例のいずれかに加えて、前記主本体は、前記主本体が前記標的部位で展開されるときに前記標的部位から延在している第二の側枝及び第三の側枝への前記主本体からの流体アクセスを提供するように動作可能な第二のポータル及び第三のポータルをさらに画定し、前記主本体を前記主ガイドワイヤに沿って前進させる前に、前記第二のポータルには第二のガイド部材が予めカニューレ挿入され、前記第三のポータルには、第三のガイド部材が予めカニューレ挿入されている。
【0013】
別の例(「例7」)によれば、例6に加えて、前記第二のポータルを通して前記第二のガイド部材に沿って第二のシースを前進させること、前記第二のシースを通して第二の関節運動可能なワイヤ又はガイドカテーテルを前進させること、前記第二の関節運動可能なワイヤ又はガイドカテーテルを前記標的部位の第二の分枝管腔内に配置すること、前記第三のポータルを通して前記第三のガイド部材に沿って第三のシースを前進させること、前記第三のシースを通して第三の関節運動可能なワイヤ又はガイドカテーテルを前進させること、及び、前記第三の関節運動可能なワイヤ又はガイドカテーテルを前記標的部位の第三の分枝管腔内に配置することをさらに含む。
【0014】
別の例(「例8」)によれば、例7に加えて、この方法は、前記第二の関節運動可能なワイヤ又はガイドカテーテルに沿って第二の側枝体を前記標的部位の第二の分枝管腔内に前進させること、前記第二の側枝体を前記標的部位の第二の分枝管腔内で展開すること、前記第三の関節運動可能なワイヤ又はガイドカテーテルに沿って第三の側枝体を前記標的部位の第三の分枝管腔内に前進させること、及び、前記第三の側枝体を前記標的部位の第三の分枝管腔内で展開することを含む。
【0015】
別の例(「例9」)によれば、例8に加えて、この方法は、主ガイドワイヤ、第一のガイド部材、第二のガイド部材及び第三のガイド部材、ならびに第一のシース、第二のシース及び第三のシースを除去することをさらに含む。
【0016】
別の例(「例10」)によれば、例9に加えて、前記カテーテルは、第一のシース、第二のシース及び第三のシースを前進させる前に除去される。
【0017】
別の例(「例11」)によれば、内部人工器官デリバリーシステムは、第一の端部と第二の端部とを有する長尺部材、前記長尺部材の第一の端部に結合されたエンドキャップ、主管腔及び少なくとも1つの側枝ポータルを画定する主本体、及び、二次管腔を画定する少なくとも1つの第二の本体を含む、内部人工器官、及び、前記少なくとも1つの側枝ポータルを通って延在し、前記エンドキャップに結合されている、少なくとも1つのガイド部材を含む。
【0018】
別の例(「例12」)によれば、例11に加えて、内部人工器官デリバリーシステムは、前記内部人工器官の主本体を前記長尺部材に拘束する拘束部材をさらに含む。
【0019】
別の例(「例13」)によれば、例12に加えて、内部人工器官デリバリーシステムにおいて、前記拘束部材は、前記主本体を拘束構成及び部分展開構成で拘束するように動作可能であり、前記主本体は、前記拘束構成で第一の直径、前記部分展開構成で前記第一の直径よりも大きい第二の直径、及び、展開構成で前記第一の直径及び前記第二の直径よりも大きい第三の直径を有する。
【0020】
別の例(「例14」)によれば、例13に加えて、内部人工器官デリバリーシステムにおいて、前記拘束部材は第一の部分及び第二の部分を含み、前記第一の部分及び前記第二の部分は、独立して、前記主本体の対応する第一の部分及び第二の部分を拘束構成及び部分展開構成で拘束するように動作可能である。
【0021】
別の例(「例15」)によれば、例11~14のいずれかに加えて、内部人工器官デリバリーシステムは、前記少なくとも1つのガイド部材に沿って前進されるように動作可能なシースをさらに含む。
【0022】
別の例(「例16」)によれば、例15に加えて、内部人工器官デリバリーシステムは、前記シースを通して前進されるように動作可能な関節運動可能なワイヤ又はガイドカテーテルをさらに含む。
【0023】
別の例(「例17」)によれば、例16に加えて、内部人工器官デリバリーシステムは、前記関節運動可能なワイヤ又はガイドカテーテルに沿って前進し、少なくとも部分的に前記少なくとも1つの側枝ポータル内で展開されるように動作可能な少なくとも1つの二次枝をさらに含む。
【0024】
別の例(「例18」)によれば、例17に加えて、内部人工器官デリバリーシステムは、前記内部人工器官の標的部位から下流で展開されるように動作可能な取り外し可能なフィルタをさらに含む。
【0025】
別の例(「例19」)によれば、例18に加えて、内部人工器官デリバリーシステムにおいて、前記取り外し可能なフィルタは、前記関節運動可能な又はガイドカテーテルワイヤが延在するように動作可能な中央管腔を含む。
【0026】
別の例(「例20」)によれば、さらに例11~19のいずれか1つに加えて、内部人工器官デリバリーシステムにおいて、前記エンドキャップは湾曲している。
【0027】
別の例(「例21」)によれば、例11~20のいずれか1つの内部人工器官デリバリーシステムに加えて、内部人工器官デリバリーシステムは、前記エンドキャップから前記主本体を通って湾曲している。
【0028】
別の例(「例22」)によれば、内部人工器官デリバリーシステムは、第一の端部と第二の端部とを有する長尺部材、前記長尺部材の第一の端部と第二の端部との間に長手方向に配置された内部人工器官、ここで、前記内部人工器官は主管腔及び側枝ポータルを画定する主本体を含む、前記側枝ポータルを通って延在しているガイド部材、及び、結合位置で前記長尺部材に取り外し可能に結合されているガイド部材保持器、ここで、前記ガイド部材は、前記側枝ポータルと前記ガイド部材保持器の結合位置との間の位置で前記ガイド部材保持器に結合されている、を含む。
【0029】
別の例(「例23」)によれば、例22の内部人工器官デリバリーシステムに加えて、前記主本体は複数の側枝ポータルを画定している。
【0030】
別の例(「例24」)によれば、例22又は例23のいずれかの内部人工器官デリバリーシステムに加えて、複数のガイド部材をさらに含む。
【0031】
別の例(「例25」)によれば、例22~24のいずれか1つの内部人工器官デリバリーシステムに加えて、前記ガイド部材保持器は、前記ガイド部材のそれぞれの端部に形成されたループを通って延在している。
【0032】
別の例(「例26」)によれば、例22~25のいずれか1つの内部人工器官デリバリーシステムに加えて、前記ガイド部材保持器は、第一の結合位置から選択的に結合解除されるように動作可能である。
【0033】
別の例(「例27」)によれば、例22~26のいずれか1つの内部人工器官デリバリーシステムに加えて、前記長尺部材は、前記長尺部材の第一の端部に配置されたロックワイヤ保持器を含む。
【0034】
別の例(「例28」)によれば、例27の内部人工器官デリバリーシステムに加えて、前記ガイド部材保持器は前記ロックワイヤ保持器に解放可能に結合されている。
【0035】
別の例(「例29」)によれば、例22~28のいずれか1つの内部人工器官デリバリーシステムに加えて、側枝体をさらに含み、各ガイド部材は第一の端部を含み、前記ガイド部材の第一の端部の各々は、前記側枝体が前記ガイド部材に沿って前進されるときに、前記結合位置と前記側枝ポータルとの間で前記ガイド部材保持器によって保持される。
【0036】
別の例(「例30」)によれば、例22~例29のいずれか1つの内部人工器官デリバリーシステムに加えて、各ガイド部材は、前記ガイド部材保持器が解放されたときに、対応する側枝ポータルから除去されるように動作可能である。
【0037】
別の例(「例31」)によれば、例22~例30のいずれか1つの内部人工器官デリバリーシステムに加えて、複数のガイド部材保持器をさらに含み、各ガイド部材保持器は対応するガイド部材に結合されている。
【0038】
別の例(「例32」)によれば、例29の内部人工器官デリバリーシステムに加え、各ガイド部材保持器は、各ガイド部材は対応する側枝ポータルから個別に除去されるように動作可能であるように、第一の結合位置での係合から個別かつ選択的に解放されるように動作可能である。
【0039】
別の例(「例33」)によれば、例22の内部人工器官デリバリーシステムに加えて、前記長尺部材は、前記長尺部材の第一の端部に配置されたキャップを含み、前記ガイド部材保持器は、結合位置で前記キャップに結合される。
【0040】
別の例(「例34」)によれば、例22~33のいずれか1つの内部人工器官デリバリーシステムに加えて、前記ガイド部材保持器は、前記長尺部材の第一の端部で前記長尺部材に結合される。
【0041】
上述の例は単なる実施例であり、本開示によって別途提供される本発明の概念の範囲を限定したり又は狭めたりするように解釈されるべきではない。複数の例が開示されているが、さらに他の実施形態は、例示的な例を示し説明する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に制限的なものではなく、本質的に例示的なものとして考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図面の簡単な説明
添付図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれてその一部を構成し、実施形態を示し、記載とともに本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0043】
図1図1は、1つの実施形態によるデリバリーシステムの図である。
【0044】
図2図2は、1つの実施形態による、大動脈及び隣接する側枝内に展開された主本体及び側枝を備えたインプラント可能なデバイスの正面図である。
【0045】
図3図3は、1つの実施形態による、インプラント可能なデバイスの主本体の上面図であり、主本体は側枝ポータルを含み、それを通して側枝体をデリバリーし展開することができる。
【0046】
図4図4は、1つの実施形態による、インプラント可能なデバイスの主本体の側面図であり、側枝ポータルを通してデリバリーされ展開される側枝体のためのクリアランスを提供するためのポータルアクセス機構を含む。
【0047】
図5図5は、1つの実施形態による、インプラント可能なデバイスの主本体の端面図であり、側枝ポータルの内部開口部が主本体の管腔内に位置する。
【0048】
図6図6は、1つの実施形態による、インプラント可能なデバイスの主本体の端面図であり、ポータルアクセス機構が主本体の管腔内に突き出ている。
【0049】
図7図7は、1つの実施形態による、主本体の長手方向の長さに沿ってずれて配置された側枝ポータルを含む主本体の斜視図である。
【0050】
図8図8は、1つの実施形態による、主本体の長手方向の長さに沿って位置合わせされた2つの側枝ポータルに対してずれて配置された側枝ポータルを含む主本体の斜視図である。
【0051】
図9図9は、1つの実施形態による患者の大動脈の断面図である。
【0052】
図10図10は、1つの実施形態による、患者の血管系内に展開されたろ過システムの図である。
【0053】
図11A図11Aは、1つの実施形態による、標的部位にデリバリーされるインプラント可能なデバイスの主本体を示す図であり、主本体は、予めカニューレ挿入された側枝ポータルを含む。
【0054】
図11B図11Bは、1つの実施形態による、ロックワイヤ保持器を介してガイド部材を保持するガイド部材保持器を備えたデリバリーシステムの図である。
【0055】
図11C図11Cは、1つの実施形態による、ロックワイヤを備えたデリバリーシステムの図であり、デリバリーシステムは操縦可能である。
【0056】
図12図12は、1つの実施形態による、第一の領域及び第二の領域を含む主本体の図であり、第二の領域は部分的に展開されている。
【0057】
図13図13a~13cは、1つの実施形態による、主本体の側枝ポータルにカニューレ挿入しているガイド部材に沿って前進しているシースの図である。
【0058】
図14図14は、1つの実施形態による、シースを通して進められ、標的管腔の側枝に配置されている関節運動可能なガイドカテーテル及び/又はワイヤの図である。
【0059】
図15図15は、1つの実施形態による、アクセス部位間のスルー・アンド・スルー構成のためのろ過システム内を前進する関節運動可能なワイヤの図である。
【0060】
図16図16は、1つの実施形態による、標的部位の側枝のそれぞれに配置された関節運動可能なワイヤの図である。
【0061】
図17図17は、1つの実施形態による、標的管腔内に主本体を正確に配置するために、主本体の長手方向全長に沿って部分的に展開された主本体の図である。
【0062】
図18図18は、1つの実施形態による、標的管腔内で完全に展開された主本体の図である。
【0063】
図19図19は、1つの実施形態による、標的部位の対応する枝にデリバリーされる側枝体の図である。
【0064】
図20図20は、1つの実施形態による、標的部位の対応する枝で展開されている側枝体の図である。
【0065】
図21図21は、1つの実施形態による、標的部位から除去される側枝体のデリバリーシステムの図である。
【0066】
図22図22は、1つの実施形態による、デリバリーシステムの除去前に吸引されるろ過システム、及び、分岐標的部位にインプラント可能なデバイスを展開するために使用されるろ過システムの図である。そして
【0067】
図23図23は、1つの実施形態による、分岐標的部位の各部分にカニューレ挿入するために使用された複数のガイドワイヤを取り外す前の、分岐標的部位としてインプラント処置されたインプラント可能なデバイスの図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
詳細な説明
定義及び用語
本開示は、限定的に読まれることを意図したものではない。例えば、本出願で使用される用語は、その分野の専門家がそのような用語に帰する意味の文脈で広く読まれるべきである。
【0069】
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現できることを容易に理解するであろう。言い換えれば、意図された機能を発揮するために他の方法及び装置を本明細書に組み込むことができる。また、本明細書で参照される添付の図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を説明するために誇張されていることがあり、その点において、図面は限定的なものとして解釈されるべきではないことにも留意されたい。
【0070】
構成要素及び特徴の相対的な位置を示すために、特定の相対的な用語が使用される。 例えば、「上(top)」、「下(bottom)」、「上(upper)」、「下(lower)」、「左(left)」、「右(right)」、「水平(horizontal)」、「垂直(vertical)」、「上向き(upward)」、「下向き(downward)」などの単語は相対的な意味(構成要素及び特徴が互いにどのように配置されるかなど)であり、文脈で別段の指示がない限り、絶対的な意味ではない。。同様に、本開示を通じて、プロセス又は方法が図示又は説明されるときに、方法が最初に実行される特定の動作に依存することが文脈から明らかでない限り、方法は任意の順序で又は同時に行われてよい。
【0071】
不正確さの用語に関して、「約」及び「およそ」という用語は、特定の場合には、記載された測定値を含む測定値、及び記載された測定値に合理的に近い測定値も含む測定値を指すために使用されうる。記載された測定値に合理的に近い測定値は、関連技術の当業者によって理解され、容易に確認されるように、記載された測定値から合理的に小さな量だけ逸脱している。このような逸脱は、測定誤差、測定及び/又は製造装置の校正の違い、測定値の読み取り及び/又は設定における人的エラー、他の構成要素に関連する測定値の違いを考慮した性能及び/又は構造パラメータを最適化するために行われた微調整、特定の実装シナリオ、人又は機械によるオブジェクトの不正確な調整及び/又は操作などに起因する可能性がある。
【0072】
本明細書で使用されるときに、「結合」とは、直接的又は間接的及び永久的又は一時的を問わず、連結、接続、取り付け、接着、貼り付け又はボンド結合を意味する。
【0073】
本明細書で使用されるときに、「エラストマー」という用語は、元の長さの少なくとも1.3倍に伸長し、解放されるとほぼ元の長さまで急速に収縮する能力を有するポリマー又はポリマーの混合物を指す。「エラストマー性材料」という用語は、必ずしも同程度の伸長及び/又は回復ではないが、エラストマーと同様の伸長及び回復特性を示すポリマー又はポリマーの混合物を指す。「非エラストマー材料」という用語は、エラストマー又はエラストマー性材料のいずれとも似ていない伸長特性及び回復特性を示す、すなわち、一般に知られているようなエラストマー又はエラストマー性材料ではないと考えられるポリマー又はポリマーの混合物を指す。
【0074】
「フィルム」という用語は、本明細書で使用されるときに、膜、複合材料又は積層体のうちの1つ以上を総称して指す。
【0075】
「生体適合性材料」という用語は、本明細書で使用されるときに、一般に、生体適合性の特性を有する任意の材料を指し、限定するわけではないが、生体適合性ポリマーなどの合成材料、又は、限定するわけではないが、ウシ心膜などの生体材料を含む。生体適合性材料は、様々な実施形態に関して本明細書に記載されるように、第一のフィルム及び第二のフィルムを含むことができる。
【0076】
参考までに、「周囲」及び「直径」という用語は、それぞれ、円形断面を必要とすることを意味するものではなく(円形断面も含むが)、代わりに、外面もしくは寸法、又は、外面の対向面間の寸法を指すものとして広く理解されるべきである。
【0077】
本明細書の実施形態は、様々な原理及び信念に関連して説明される場合があるが、記載される実施形態は理論に拘束されるべきではない。例えば、実施形態は、血管ステントグラフト、より具体的には分岐ステントグラフトに関連して本明細書に記載される。しかしながら、本開示の範囲内の実施形態は、同様の構造及び/又は機能の任意の内部人工器官に適用することができる。さらに、本開示の範囲内の実施形態は、非血管用途にも適用することができる。
【0078】
様々な実施形態の説明
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現できることを容易に理解するであろう。また、本明細書で参照される添付の図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示のさまざまな態様を説明するために誇張されていることがあり、その点において、図面は限定的なものとして解釈されるべきではないことにも留意されたい。
【0079】
ヒトの血管系の疾患を治療するために、様々な実施形態による分岐可能で拡張可能なインプラントを管腔内デリバリーするデバイス、システム及び方法が本明細書に開示される。以下の説明及び図は、上行大動脈21、大動脈弓22及び下行大動脈23を含む大動脈20と、腕頭動脈24、左総頸動脈25及び左鎖骨下動脈26を含む、そこからの分岐を治療するという文脈で例示されるが、本開示は、例えば、より大きな血管及び1つ以上の分枝血管が治療される任意の疾患を含む、血管系の他の部分の治療に適用できることを理解されたい。
【0080】
分岐可能な拡張可能なインプラント
図2を参照すると、インプラント可能なデバイス10は、大動脈20内にデリバリーされ、展開されることができ、インプラント可能なデバイス10は主本体100及び分枝体200を含む。主本体100は大動脈弓22内で展開され、分枝体200は、分枝動脈(例えば、腕頭動脈24の第一の分枝体200a、左総頸動脈25の第二の分枝体200b、及び左鎖骨下動脈26の第三の分枝体200c)内に展開されうる。
【0081】
本明細書に記載されるデリバリーシステム及び方法に関して、インプラント可能なデバイス10の様々な構成が考えられるが、デリバリーシステム及びデリバリー及び展開の方法の様々な構成要素及び工程の参考となるために、インプラント可能なデバイス10の幾つかの個別の例は詳細に提供されている。例えば、図3は、インプラント可能なデバイス10の例示的な実施形態である。主本体100は、主管腔102を形成する壁104を含む。主本体100は、第一の端部106及び第二の端部108を有する。第一の端部106において、主本体100は、主本体100は第一の開口部107を含み、第二の端部108において、主本体100は第二の開口部109を含む。開口部107、109のそれぞれは、対応する端部106、108で主管腔102へのアクセスを提供する。流体は、第一の開口部107を通って主管腔102に入り、第二の開口部109から出ることによって主管腔102を通って流れるように動作可能であり、主本体流体流方向を画定する。又は、流れは反対方向であることができ、主本体流体流方向を画定することができる。外壁104は、主本体100の外側プロファイルを実質的に形成又は画定する。
【0082】
幾つかの実施形態において、主本体100は、ステント構造120及びグラフト部材130から形成されている。ステント構造120は、主本体100が展開されたときに、主本体100及び/又は主血管(例えば、大動脈20)の開存性を維持するように動作可能である。ステント構造120は、弾性又は可塑性(例えば、自己拡張型又はバルーン拡張可能なステント)を提供するために、限定するわけではないが、金属、金属合金、ポリマー及びそれらの任意の組み合わせを含む様々な材料から形成することができる。グラフト部材130はステント構造120に結合され、流体(例えば、血液)が流れることができる流体不透過性又は半透過性の層を形成する。
【0083】
主本体100は、少なくとも1つの側枝ポータル110をさらに含む。側枝ポータル110は、主管腔102と枝血管との間に流体アクセスを提供するように動作可能である。側枝ポータル110は、主本体100の外側プロファイルに沿って壁104を貫通する開口部112を形成するか、又は開口部112に配置される。特定の例において、側枝ポータル110は、主本体100の壁104を通って主本体100の第一の端部106と第二の端部108との間で長手方向に延在している。したがって、流体は、第一の開口部107を通って、側枝ポータル110を通って流れることができる。幾つかの実施形態は、複数の側枝ポータル110を含む。例えば、図3は、主本体100が第一の側枝ポータル110a、第二の側枝ポータル110b及び第三の側枝ポータル110cを含むことを示す。デバイス10が展開される特定の解剖学的構造に適応するために、任意の数の側枝ポータル110を組み込むことができる。
【0084】
さらに図3を参照すると、幾つかの実施形態において、側枝ポータル110のそれぞれは、側枝ステント構造114及び側枝グラフト部材116を含む。様々な実施形態において、側枝ステント構造114及び側枝グラフト部材116は、主本体ステント構造120及び主本体グラフト部材140から独立していてよく、それらに組み込まれていてよく、又は、それらと統合されてよい。例えば、図3~5に示されるように、側枝ステント構造114は、主本体ステント構造120から分離又は独立しているが、側枝グラフト部材116は、主本体グラフト部材140に組み込まれる(例えば、主本体グラフト部材140の層の間に挟まれるか又は介在される)。幾つかの実施形態において、側枝ステント構造114は、主本体ステント構造130から延在し、したがって、独立したステント構造ではなく、主本体ステント構造130の一部を表す。さらに他の実施形態において、側枝ステント構造114は、主本体ステント構造130に結合されている。同様に、側枝グラフト部材116は、主本体グラフト部材140から直接形成することができ、したがって、主本体グラフトの一部を表すことができる。他の実施形態において、側枝グラフト部材116は、主本体グラフト部材140に結合されるか、又はさらに他の実施形態において、主本体グラフト部材140から離間される。側枝ステント構造114及び側枝グラフト部材116の任意の組み合わせの実施形態が本開示の範囲内にあると理解される。
【0085】
幾つかの実施形態において、側枝ポータル110は、主本体100の第一の端部106と第二の端部108との間に位置し、主本体100の外側プロファイルを超えて延在又は主本体100の外側プロファイルを増加させることがない(図4及び図5を参照されたい)。別の言い方をすれば、側枝ポータル110の外壁の部分は、主本体100の外側プロファイル内で主本体100の壁104に沿って(例えば、外側プロファイルと同一平面上に)配置される。したがって、側枝ポータル110は、主本体100からの側枝ポータル110の出口位置に隣接する主本体100の外側プロファイルを実質的に増加させることなく、主本体100の主管腔102内に延在することができる。
【0086】
各側枝ポータル110は、第一の開口部119と第二の開口部121をそれぞれ画定する第一の端部118と第二の端部122を含むことができる。流体は、側枝ポータルを通って第一の端部118から第二の端部122へ(又はその逆)に移動し、側枝流体流方向を画定する。側枝ポータル110は、第一の開口部119が主本体100の主管腔102内に配置されるか、又は主本体100の主管腔102に向けて配向され、第二の開口部121は主本体100の外側に配置されるか、又は主本体100から離れるように配向されるように配置される(例えば、第一の開口部119は主本体100の壁104及び主管腔102に対する側枝ポータル110の内部開口であり、第二の開口部121は外部開口である)。例えば、図5は、側枝ポータル110の第一の開口部119が主管腔102内に配置されている実施形態を示す。側枝ポータル110は、様々な長手方向長さを有することができる。さらに、複数の側枝ポータル110が実装されるときに、各側枝ポータル110は、様々な長さを備えても又は均一な長さであってもよい。複数の側枝ポータル110を実装する実施形態において、各側枝ポータル110は独立した直径又は幾何学的なオリフィス面積を有しうることが理解される。
【0087】
幾つかの実施形態において、側枝ポータル110は、側枝流体流方向が主本体流体流方向と反対になるように(例えば、主本体流体流方向に対して逆行するように)配向される。これらの実施形態における反対又は逆行は、180度の差に限定されず、一般に90度を超える流体流の方向の変化を含むことが理解される。また、主本体100は湾曲した解剖学的構造に適合するときには、流体流方向は、主本体100の長手方向の長さに沿った特定の位置に関するものであることも理解される。例えば、側枝流体流方向が主本体流体流と反対又は逆行である実施形態には、側枝ポータル110の第二の開口部121が側枝ポータル110の第一の開口部119に対して長手方向において主本体100の第一の端部106に近い実施形態が含まれる。側枝ポータル110を逆行方向に向けることによって、外科医は、より有利なアクセス部位(例えば、頚動脈、鎖骨下動脈、又は他の動脈への外傷を軽減するための、又は大動脈弓で手術する場合の首又は胸部の周りなど、患者の解剖学的に密集した部分での外科的存在を減らす大腿アクセス部位)から介入及びその後のあらゆる介入を行うことができる。この向きは、特定のアクセス部位からのアクセスが困難であり、妨害され又は危険な場合がある一部の提示では有利な場合がある。
【0088】
他の実施形態において、側枝ポータル110は、側枝流体流方向が主本体流体流方向とともに(例えば、主本体流体流方向に対して順方向に)ほぼ配向されるように配向される。側枝流体流方向が主本体流体流に対して順方向である実施形態には、側枝ポータル110の第一の開口部119が、側枝ポータル110の第二の開口部121に対して主本体100の第一の端部106に長手方向で近い実施形態が含まれる。順方向の配向は、幾つかの実施形態において、特に逆方向の配向の使用を制限する独特の幾何学的形状を有する可能性がある組織又は解剖学的構造において、より伝統的な流体流を維持するのに有利でありうる。複数の側枝ポータル110を実装する実施形態において、側枝ポータルはすべて順方向の配向を有してもよく、すべてが逆方向の配向を有してもよく、又は順方向の配向を有する1つ以上の枝ポータル及び逆方向の配向を有する1つ以上のポータルを含んでもよい。
【0089】
側枝ポータル110の第二の開口部121は、主本体100の第一の端部106と第二の端部108との間の様々な長手方向位置に配置されることができる。例えば、側枝ポータル110の第二の開口部121は、主本体100の第一の端部及び第二の端部106、108のほぼ中点に配置されることができる。他の実施形態において、側枝ポータル110の第二の開口部121は、第二の端部108に対して第一の端部106により近く配置されてよく、又は、主本体100の第一の端部106に対して第二の端部108により近く配置されてよい。複数の側枝ポータル110を含む実施形態において、第二の開口部121のそれぞれは、主本体100の長さに沿って長手方向に位置合わせされていてよく(図3を参照されたい)、主本体100の長さに沿ってずれて配置されてよく(図7を参照されたい)、又はそれらの組み合わせであってよい(図8を参照されたい)。
【0090】
側枝ポータル110は、様々な方法で主本体100に組み込まれることができる。例えば、側枝ポータル110は、グラフト部材130のフィルム層の間に巻き付けられてもよい。複数の側枝ポータル110が実装されている実施形態において、1つ以上の側枝ポータルが特定の用途で必要とされないならば、プラグ(図示せず)が任意の1つ以上の側枝ポータル110に挿入されうることに留意されたい。例えば、デバイス10は3つの側枝ポータル110を含むことができるが、患者(例えば、バイパスのある大動脈弓の場合)には2つだけが必要であり、側枝ポータル110のうちの1つは(例えばプラグにより)閉じられてよい。
【0091】
幾つかの実施形態において、ステント構造120は、側枝ポータル110の外周にわたって延在している。より目立たない材料を実装することができる又は主本体ステント構造120よりも小さい保持力又は拡張力を提供する材料を実装することができる側枝ステント構造114を実装する実施形態において、ステント構造120は、デバイス10のデリバリー、展開及び使用中に側枝ポータル110(及び、含まれるときには、側枝ステント構造114)の潰れを制限するために、側枝ポータル110の周りに延在してもよい。しかしながら、幾つかの実施形態において、ステント構造120は、側枝ポータル110の周囲に延在しない。
【0092】
ここで図4を参照すると、主本体100は、ポータルアクセス機構150を含む。ポータルアクセス機構150は、側枝ポータル110内に少なくとも部分的に配置され展開される分枝体200のためのクリアランスを提供するように動作可能である。例えば、ポータルアクセス機構150は凹んだ外側プロファイルを有する主本体100の壁104の一部であることができる。例えば、図4において、図示のとおりの主本体100は、ポータルアクセス機構150を画定する主本体100の長手方向の長さを除いて、主本体100の長手方向長さに沿った実質的に円形の断面を含む。図5は、主管腔102を通して見た側面図から主本体100を示す。この図において、実質的に円形の外側プロファイルが示されている。この図は、ポータルアクセス機構150における主本体のプロファイルも示している。ポータルアクセス機構150における主本体100は、実質的に円形の断面を含み、壁104の切頭部分又は弦部分152は、壁104の第一の位置154から壁104の第二の位置156まで延在している。図示されるように、ポータルアクセス機構150は、主本体100の残りの部分の典型的な外側プロファイルから逸脱しており、その結果、ポータルアクセス機構150は、主本体100の残りの部分から半径方向内側へに現れる。
【0093】
再び図4を参照すると、ポータルアクセス機構150は、側枝ポータル110の少なくとも第二の開口部121から主本体の第一の端部106に向かって主本体100の壁104内に画定される。ポータルアクセス機構150の深さ158は、側枝ポータル110の直径に実質的に等しい。ポータルアクセス機構150は、側枝ポータル110の第二の開口部121から深さ158で所定の長さ延在して、入り口部分160を画定することができる。入口部分160の所定の長さは、分枝体200が側枝ポータル110から出て、枝血管に向かって回転又は屈曲するのに十分な空間を提供することができ、ポータルアクセス機構150の入口部分160を画定する。幾つかの実施形態における入口部分160は、図4に示されるように、実質的に平坦である。しかしながら、幾つかの実施形態において、入口部分160は湾曲を組み込むことができる。例えば、幾つかの実施形態において、入口部分160は、弓形プロファイルを含む。弓形プロファイルは、複数の側枝ポータル110を実装することを可能にし(例えば、各側枝ポータル110が同じ直径を有する)、各側枝ポータル110の下端はポータルアクセス機構150の入口部分160と位置合わせされており、上端は主本体100の外側プロファイルと位置合わせされている(図示せず)。ポータルアクセス機構150はまた、移行部分162を含むことができる。移行部分162は、入口部分160に移行する壁104の部分を含む。移行部分162はまた、側枝ポータル110から出るときに分枝体200を収容するように動作可能であることができる。幾つかの実施形態において、移行部分162は、側枝ポータル110の第二の開口部121から直接延在している(図示せず)。なおもさらなる実施形態において、ポータルアクセス機構150は、側枝ポータル110の第二の開口部121に近接した主本体100の狭窄部(図示せず)である。
【0094】
ポータルアクセス機構150は側枝ポータル110の第二の開口部121から始まる必要はないことが理解される。例えば、幾つかの実施形態において、ポータルアクセス機構150は側枝ポータル110の下に延在している。側枝ポータルは、ポータルアクセス機構150とグラフト部材130の外層との間に配置されてよい。これらの実施形態において、ポータルアクセス機構150は、側枝ポータル110から主本体100の第一の端部106に向かって延在している。
【0095】
さらに図4を参照すると、ポータルアクセス機構150は、幾つかの実施形態において、ポータルアクセス機構はステントがない。幾つかの実施形態において、グラフト部材130を支持するために使用されるステント構造120は、ポータルアクセス機構150上に延在しない。例えば、ステント構造120がらせん状に巻かれている実施形態において、ステント構造120は、ポータルアクセス機構150を横切って延在せず、その代わりに、ポータルアクセス機構150の近くで主本体100の長さに沿って延在し、長手方向部分の各端でポータルアクセス機構150から遠ざかるように延在している長手方向部分を有する。ステント構造120は、概してらせん状に巻かれている一方で、頂点170、正弦波形状などの様々な特徴を含むことができることが理解される。他の実施形態において、ステント構造120は、主本体100の長さに沿って長手方向に間隔を置いて配置された複数の独立したリングを含むことができる。ポータルアクセス機構150と共有した主本体100の長手方向長さで配置されたステント構造120のリングは、主本体100の周囲全体に延在するのではなく、ポータルアクセス機構150の近くで終端してもよく、あるいは、らせん巻きに関して説明したようにリングを接続する長手方向部分を含むことができる。
【0096】
他の実施形態において、ステント構造120は、ポータルアクセス機構150を横切って延在することができる。例えば、ステント構造120がポータルアクセス機構150を横切って延在している実施形態において、ステント構造は、ポータルアクセス機構150のプロファイルを収容及び/又は形状付けするように成形及び/又は造形されうる。ポータルアクセス機構150の上に画定されたステント構造120の部分は、ステント構造120の残りの部分と連続していてもよい。例えば、主本体100の周囲にらせん状に配置されるか、又は巻き付けられるステント構造120を実装する主本体100において、ステント構造120は、実質的にポータルアクセス機構150においてらせん経路を継続しうる。幾つかの実施形態において、ポータルアクセス機構150におけるステント構造120の頂点170aは、主本体100の残りの周囲での頂点170bよりも短くてもよい(図7を参照)。さらに、頻度は、より多くの頂点がポータルアクセス機構150において主本体100の周長に組み込まれるように減少されうる。他の実施形態において、ポータルアクセス機構150に配置されたステント構造120は、ポータルアクセス機構150の周囲プロファイルの輪郭を描くように、又はさもなければ一致するように成形される。これらの実施形態において、ポータルアクセス機構150のステント構造120は、主本体100の残りの部分のステント構造120から延在するか、又はそれに結合されるが、主本体100の残りの部分のステント構造120のパターンから独立した形状を有するか、又は。そのパターンと一致しない形状を有する。
【0097】
幾つかの実施形態において、ポータルアクセス機構150は、前述したように、ステント構造120から独立したポータルアクセスステント(図示せず)を含むことができる。独立したステント部材は、ポータルアクセス機構150においてグラフト部材130に結合されることができる。独立したステント部材は、ポータルアクセス機構150の周囲プロファイルに一致するように動作可能なパターンを含む、任意の数の構成を組み込むことができる。
【0098】
ポータルアクセス機構150は補強材をさらに含むことができる。補強材は、ポータルアクセス機構150の強度を高めるように動作可能である。強化材は、デバイス10が展開される際にポータルアクセス機構150により発生されうる引裂き、穿刺及びその他の損傷に耐えることができる。例えば、枝体200のカニューレ挿入及び/又はデリバリー及び展開は、ポータルアクセス機構との接触をもたらす可能性があり、補強材は、デバイス10の損傷を引き起こす可能性がある引き裂き又は磨耗に耐えるのに十分に頑丈である。幾つかの実施形態において、強化材は、ポータルアクセス機構に適用されるか、ポータルアクセス機構においてグラフト部材130に組み込まれるか、又はそれらの組み合わせである。限定するわけではないが、高密度のePTFE層又は多層を含む強化材には、様々な材料を実装することができる。
【0099】
デリバリーシステムならびにデリバリー及び展開の方法
図1を参照すると、デリバリーシステム1000が示されている(必ずしも縮尺通りではない)。デリバリーシステム1000は、マルチコンポーネントのインプラント可能なデバイス(例えば、インプラント可能なデバイス10)を標的部位にデリバリーするように動作可能である。デリバリーシステムは、ハンドル1100と、ハンドル1100に結合された及び/又はハンドル1100から延在している第一の端部1202と第二の端部1204とを有する長尺部材1200と、長尺部材1200の第二の端部1204に近接して配置されたキャップ1300と、長尺部材1200に沿ってキャップ1300に向けて少なくとも部分的に延在している少なくとも1つのガイド部材1400を含む。長尺部材1200及びキャップ1300は、主ガイドワイヤ1500に沿って並進するように動作可能である(図10を参照されたい)。デリバリーシステム1000は、少なくとも1つのシース1600(図13a~図13cを参照されたい)をさらに含むことができ、シース1600は、ガイド部材1400とともに使用するように動作可能である(複数のガイド部材1400a、1400b、1400cが存在するときに、各ガイド部材1400は対応するシース1600を有する)。各シース1600には、関節運動可能な二次ガイドワイヤ1700(図14を参照されたい)を含めることができる。デリバリーシステム1000は、マルチコンポーネントのインプラント可能なデバイスの少なくとも一部を拘束するように動作可能な拘束部材1800(図11を参照されたい)を含むこともできる。個別の拘束部材1800は、マルチコンポーネントのインプラント可能なデバイスの個別のコンポーネントごとに実装できることが理解される。デリバリーシステム1000は、ろ過システム2000と組み合わせて使用することができる(例えば、塞栓症のリスクを低減するために、図10を参照されたい)。幾つかの実施形態において、拘束部材1800は、側枝ポータル110用の窓1802を含むことができ、拘束部材1800の窓1802は、拘束部材1800がデバイス10を拘束しているときに側枝ポータル110にアクセスできるように、側枝ポータルを覆うように配置される(図24を参照されたい)。
【0100】
図9を参照すると、マルチコンポーネントのインプラント可能なデバイスのデリバリー及び展開のための例示的な標的部位が示されている。この例において、大動脈20が示されている。しかしながら、デリバリーシステム1000は、必要に応じて分岐管腔を含む脈管構造の任意の部分に実装されうることが理解される。この例において、上行大動脈21、大動脈弓22及び下行大動脈23を含む大動脈20と、腕頭動脈24、左総頚動脈25及び左鎖骨下動脈26を含むそこからの分枝が示されている。
【0101】
図10は、デリバリーシステム1000に関連したろ過システム2000の実装を示す。ろ過システム2000は、マルチコンポーネントのインプラント可能なデバイスがインプラント処置される標的部位から流体的に下流にある側枝管腔を含む、目立たない管腔内に展開することができる複数の展開可能なフィルタ2002を含むことができる。ろ過システム2000は、手順全体を通して間欠的にフラッシュすることができる。主ガイドワイヤ1500は、標的部位(例えば、大動脈弓)まで前進される。主ガイドワイヤ1500は、下行大動脈23から(例えば、大腿アクセス部位から)来るように示されているが、主ガイドワイヤ1500は、任意の適切なアクセス部位から挿入することができる。
【0102】
図11を参照すると、マルチコンポーネントのインプラント可能なデバイスは、ガイドワイヤ1500により標的部位に進められる。本明細書で提供される例の目的のために、マルチコンポーネントのインプラント可能なデバイスには、図3~4に関して開示された実施形態が含まれる。しかしながら、本方法及びデリバリーシステム1000は、図3及び4を参照して記載されたようなインプラント可能なデバイス10のみをデリバリーすることに限定されないことが理解される。インプラント可能なデバイス(例えば、主本体100)は、長尺部材1200上に配置される。例えば、インプラント可能なデバイス10は、長尺部材1200の周りで圧縮構成に拘束されうる。インプラント可能なデバイス10は拘束部材1800によって拘束されうる。インプラント可能なデバイス10は、キャップ1300及び長尺部材1200の第二の端部1204に近接して配置されうる。
【0103】
図11Aに示されるように、デリバリーシステム1000は、複数のガイド部材1400a、1400b、1400cを含むことができる。ガイド部材1400a、1400b、1400cは、長尺部材1200の第二の端部1204に近接してデリバリーシステム1000に結合(例えば、解放可能に結合)される。例えば、幾つかの実施形態において、ガイド部材1400a、1400b、1400cはキャップ1300に結合される。ガイド部材1400a、1400b、1400cはそれぞれ、キャップ1300の少なくとも一部に固定するか、又はキャップ1300の少なくとも一部の周りに配置することができるループ1402(図示を容易にするためにそのうちの1つを図11Aで参照する)を形成することができる。他の実施形態において、ガイド部材1400a、1400b、1400cは、ガイド部材1400を長尺部材1200の第二の端部1204の近くでデリバリーシステム1000に結合するための結合システム(図示せず)を実装することができ、この結合システムは、ボールチップなどの機構を含み、それは、長尺部材1200の第二の端部1204に近接した対応する部材によって受け入れられる(例えば、長尺部材1200の第二の端部1204に近接して配置されたキャップ1300は、対応する部材を含むことができる)。長尺部材1200の第二の端部1204に近接したデリバリーシステム1000の端部でガイド部材1400a、1400b、1400cを接合係合又は結合するための実施形態の他の例は、圧入、ねじ込み、ボールアンドディテント、関節式クリップ又はジョー、フックアンドループ及び磁気を含む様々な結合構成によって達成することができる。ガイド部材1400a、1400b、1400cを長尺部材1200の第二の端部1204に近接して固定するために、任意の数の方法及び構造を実装することができ、開示された実施形態は本開示の範囲を限定するものではない。また、ガイド部材1400は、デリバリーシステム1000上の様々な他の位置に固定することができることも理解される。例えば、幾つかの実施形態において、ガイド部材1400は、長尺部材1200又はデリバリーシステム1000の他の部分に固定されうる。幾つかの実施形態において、ガイド部材1400は、主本体100の内壁に(例えば、解放可能な縫合糸によって)固定される。幾つかの実施形態において、ガイド部材1400は、以下にさらに詳細に記載されるロックワイヤ保持器1902を介して所定の位置に保持することができる。ロックワイヤ保持器1902は、ガイド部材1400を捕捉するためだけに実装されてもよく、又は後述するように、限定するわけではないが、主本体100の操縦及び標的部位での配置を含む、様々な他の目的のために他の部材と組み合わせて使用されてもよい。ガイド部材1400をデリバリーシステム1000に結合するためのさらなる例が以下に提供され、図27A~27Cに関して議論される。
【0104】
図11Bを参照すると、幾つかの実施形態において、インプラント可能なデバイス10のデリバリー中及びガイド部材1400に沿ったシース1600の前進中にガイド部材1400を保持するために、ガイド部材保持具1980はガイド部材1400に対して実装されうる。例えば、図11Bに示されるように、デリバリーシステム1000は、第一の端部1202を有する長尺部材1200を含む。第一の端部1202において、デリバリーシステムは、ロックワイヤ保持器1902及びエンドキャップ1300を含む(例えば、ロックワイヤ保持器1902は、エンドキャップ1300と長尺部材1200の第一の端部1202との間に配置される)。主本体100は長尺部材1200の周囲に配置され、ここで、主本体100の第二の領域3002は部分的に展開され、第一の領域3000は拘束される。ガイド部材1400は、長尺部材1200の第一の端部1202に向かって側枝ポータル110を通って延在している。ガイド部材1400は、各ガイド部材1400の端部に保持部材(例えば、ループ1402)を含む。ガイド部材保持器1980は、ロックワイヤ保持器1902に解放可能に結合され、長尺部材1200に沿って延在している。ガイド部材保持器1980は、長尺部材1200の第一の端部1202又はその近傍にガイド部材1400を保持するように動作可能である(例えば、ロックワイヤ保持器1902、キャップ1300の近くなど)。ガイド部材保持器1980は、結合位置でデリバリーシステム1000に解放可能に結合されることができ、例えば、ロックワイヤ保持器1902に解放可能かつ選択的に結合されうる。ガイド部材保持器1980は、ガイド部材1400を長尺部材1200に対して長手方向の位置に捕捉、捕獲し、又はその他の方法で保持することができ、それにより、ガイド部材1400が、長尺部材1200の長手方向の長さに沿って後退することが制限される。例えば、ガイド部材保持器1980は、各ガイド部材1400の端部(例えば、ループ1402)に固定的に結合され、それにより、ガイド部材保持器1980がロックワイヤ保持器1902と係合するときに、ガイド部材1400が後退することが制限される。ガイド部材保持器1980がガイド部材1400と係合する位置は、概して、ロックワイヤ保持器1902と側枝ポータル110との間の位置にある。
【0105】
幾つかの実施形態において、ガイド部材1400a、1400b、1400cは、ガイド部材1400を長尺部材1200の第二の端部1204に近接したガイド部材保持器1980に結合するための結合システムを実装することができ、この結合システムは、例えば、ガイド部材保持器1980の対応する部材によって受け入れられる機構、例えば球形先端部を備える。例えば、ガイド部材保持器1980は、アパチャ又はループを通してガイド部材1400の球形先端部を受け入れることができ、ここで、ガイド部材1400の球状先端部の直径は、ガイド部材保持器1980のアパチャ又はループの直径よりも大きい。長尺部材1200の第二の端部1204に近接したデリバリーシステム1000の端部でガイド部材1400a、1400b、1400cを接合係合又は結合するための実施形態の他の例は、圧入、ねじ、ボールアンドディテント、関節運動クリップ又はジョー、フックアンドループ及び磁気構成を含む様々な結合構成によって達成されうる。ガイド部材1400a、1400b、1400cを長尺部材1200の第二の端部1204に近接して固定するために、任意の数の方法及び構造を実装することができ、開示された実施形態は本開示の範囲を限定するものではない。幾つかの実施形態において、複数のガイド部材保持器1980が実装されることができ、各ガイド部材保持器1980は、対応するガイド部材1400を保持するように動作可能である。したがって、各ガイド部材1400は、長尺部材1200の第一の端部1202の近くで独立して保持され、係合から解放されうる。ガイド部材1400が解放されると、ガイド部材を対応する側枝ポータル110から除去することができる。
【0106】
幾つかの実施形態において、ガイド部材1400は、ロックワイヤ保持器1902に直接結合されうる。ガイド部材保持器1980及びガイド部材1400は(ロックワイヤ保持器1902から直接的又は間接的に)選択的にロックワイヤ保持器1902から解放されうる。ガイド部材1400のそれぞれは、集合的に又は個別に選択的に保持されうる。
【0107】
ここで図11Cを参照すると、様々な実施形態において、デリバリーシステム1000はロックワイヤ1900を含むことができる。そのような実施形態において、ロックワイヤ1900は、1つ以上のステアリングライン1850をカテーテルアセンブリに固定することができる。例えば、図11Cを参照すると、デリバリーシステム1000は、長尺部材1200、インプラント可能なデバイス10、少なくとも1つのステアリングライン1850及びロックワイヤ1900を含む。ロックワイヤ1900は、患者の体の外側から長尺部材1200を通過し、そして、キャップ1300の近くの点で出てくる。幾つかの実施形態において、この点で、ロックワイヤ1900はステアリングライン1850と相互作用し、次いで、長尺部材1200に再び入り、キャップ1300に続く。幾つかの実施形態において、ロックワイヤ1900はロックワイヤ保持器1902(図1も参照されたい)に結合され、ロックワイヤ保持器は、長尺部材1200の第二の端部1204で、例えば、キャップ1300とインプラント可能なデバイス10との間に配置される。このような構成において、ロックワイヤ1900はステアリングライン1850をデリバリーシステム1000に解放可能に固定する。ロックワイヤ1900が1つ以上のステアリングライン1850と相互作用して、1つ以上のステアリングライン1850とデリバリーシステム1000との間の解放可能な結合を維持することができるあらゆる方法は本開示の範囲内である。
【0108】
様々な実施形態において、各ステアリングラインは、エンドループをさらに含むことができる。例えば、各ステアリングライン1850はエンドループを含む。ロックワイヤ1900は各エンドループを通過し、各ステアリングライン1850をデリバリーシステム1000に固定することができる。1つ以上のステアリングライン1850をデリバリーシステム1000に固定するあらゆる方法は本発明の範囲内である。
【0109】
様々な実施形態において、ロックワイヤは、金属、ポリマー又は材料から形成することができ、ナイロン、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリホルムアルデヒド、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロクロロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エラストマー有機ケイ素ポリマー、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、ニチノールなどの金属などの従来の医療グレードの材料を含むことができる。長尺部材又はロックワイヤは、超高分子量ポリエチレン繊維(例えば、Spectra(登録商標)、Dyneema Purity(登録商標)など)又はアラミド繊維(例えば、Technora(登録商標)など)などの高強度ポリマー繊維から形成することもできる。
【0110】
様々な実施形態において、拡張可能なインプラントをデリバリーするために使用されるカテーテルアセンブリは、カテーテルシャフト、拡張可能なインプラント、1つ以上のスリーブ、1つ以上のステアリングライン及びロックワイヤを含む。このような構成において、拡張可能なインプラントは、1つ以上のステアリングラインに加えられる張力及び対応する変位によって、患者の血管系の湾曲に適合するように曲がることができる。ステアリングライン1850に張力を加えることができ、拡張可能なインプラント可能なデバイス10を所望のように屈曲させることができる。例えば、インプラント可能なデバイス10は、ステアリングライン1850の位置と整列した方向に曲げられることができる。インプラント可能なデバイス10が十分に曲がると、曲げの程度を維持するためにステアリングライン1850に一定の張力が加えられる。他の例において、デバイス10は、真っすぐにする力がなければ、ステアリングライン1850の張力に従って湾曲したままとなるように構成されている。
【0111】
様々な実施形態において、ステアリングライン1850を患者の体の外側から引っ張ることにより、ステアリングライン1850に張力を加えることができる。他の実施形態において、ステアリングライン1850は、長尺部材1200の後端に張力を加えるために、1つ以上のダイヤル又は他の機構に接続することができる。この構成において、ダイヤルを使用して、所望の張力を加えることができ、また、インプラント可能なデバイス10の所望の曲げ角度が達成されたときに正しい量の張力を維持することができる。様々な実施形態は、ステアリングラインの張力又は変位の量、及び/又はインプラント可能なデバイスの曲げの量を示すインジケータ、スケール、勾配などを含むこともできる。様々な実施形態において、カテーテルアセンブリは、使用者が血管系に対するステアリングラインの向きを決定できるようにする1つ以上の追加のマーキング(例えば、ハンドル上)を含むことができる。
【0112】
インプラント可能なデバイス10において十分な程度の屈曲が達成された後に、インプラントは、血管系の治療領域内での最終的な位置決めのために回転させることができる。様々な例示的な実施形態において、ロックワイヤ1900は、カテーテルシャフトのねじり回転によって、インプラント可能なデバイス10が血管系内で回転するように、ステアリングライン1850と係合される。しかしながら、インプラント可能なデバイス10の回転を可能にするデリバリーシステム1000のいかなる構成も本開示の範囲内である。
【0113】
インプラント可能なデバイス10が所定の位置にあり、血管系内で拡張した後に、ロックワイヤ1900をデリバリーシステム1000から外すことができる。様々な実施形態において、ロックワイヤ1900は、患者の体の外側からロックワイヤ1900に十分な張力を加えることによって外される。ロックワイヤ1900が解除された後に、ステアリングライン1850は、長尺部材1200との結合から解放され、インプラント可能なデバイス10及びデリバリーシステム1000から除去することができる。
【0114】
さらに図11Aを参照すると、ガイド部材1400a、1400b、1400cはそれぞれ、インプラント可能なデバイス10の主本体100のそれぞれの側枝ポータル110を通って延在している。側枝ポータル110のカニューレ挿入は、インプラント可能なデバイス10をアクセス部位を介して患者に挿入する前に行われる。事前カニューレ挿入により、処置時間を短縮し、手術中に実行される工程を簡素化することができ、患者の組織への外傷及びインプラント可能なデバイス10への損傷を軽減することができる。ガイド部材1400a、1400b、1400cは、側枝ポータル110を通って延在し、そしてインプラント可能なデバイス10の主本体100の第二の開口部109を通って延在している。したがって、ガイド部材1400a、1400b、1400cは、インプラント可能なデバイス10の主管腔102の内部に、側枝ポータル110からインプラント可能なデバイス10の主本体100の第二の端部108まで配置されうる。ガイド部材1400a、1400b、1400cは、第二の開口部109から長尺部材1200の第二の端部1204に向かって延在している。幾つかの実施形態において、ガイド部材1400a、1400b、1400cは、ハンドル1100(図1を参照されたい)を通って送られ、他の実施形態において、ガイド部材1400a、1400b、1400cは、他のポート(図示せず)を通って送られる。ガイド部材1400a、1400b、1400cは、長尺部材1200の外側に沿って延在してもよく、又はガイド部材1400a、1400b、1400cは、長尺部材を通って延在してもよい(図示せず)。ガイド部材1400a、1400b、1400cのもつれ又は交差を軽減するために、ワイヤ管理デバイス(図示せず)を実装してよい。例えば、ワイヤ管理デバイスは、複数のガイドワイヤ及び/又はガイド部材のそれぞれの相互作用、及び、複数のガイドワイヤ及び/又はガイド部材のデリバリーシステム1000の他の構成要素との相互作用を最小限に抑えて、ガイドワイヤ及び/又はガイド部材に沿ったデバイスの前進を妨げるガイドワイヤ及び/又はガイド部材同士又はガイドワイヤ及び/又はガイド部材とデリバリーシステム1000の他の構成要素とのもつれ、結びつき及び/又は干渉を制限又は防止する。ワイヤ管理デバイスは、ガイドワイヤ及び/又はガイド部材のそれぞれを所定の位置に維持する。ワイヤ管理デバイスは、デバイスがワイヤ管理デバイスの長手方向の長さに沿って前進するときにガイドワイヤ及び/又はガイド部材の一部を解放するように動作可能であり、デバイス及びその枝が患者の管腔を通って前進できるようにする。例えば、デリバリーシステム1000は、複数のガイドワイヤ及び/又はガイド部材を解放可能に収容するワイヤ管理デバイスを含むことができる。ワイヤ管理デバイスは、デバイスが主ガイドワイヤ1500に沿って前進されるときにガイドワイヤ及び/又はガイド部材のうちの少なくとも1つの第一の部分を解放するように構成され、デバイスが主ガイドワイヤ1500に沿って第二の長手方向位置まで前進されるときに、ガイドワイヤ及び/又はガイド部材のうちの第二の部分を解放するように構成されることができる。したがって、ワイヤ管理デバイスは、デバイスがデリバリーシステム1000に対して前進されるにつれて、ガイドワイヤを徐々に(段階的に、インチごとに、又は順次とも記載される)解放する。これにより、ガイドワイヤを適切に位置決めし、デバイスのデリバリーによって、デバイスと相互作用する(例えば、デバイスの内腔を通過する)。
【0115】
ここで図12を参照すると、インプラント可能なデバイス10は少なくとも部分的に展開することができる。例えば、主本体100は、第一の拘束された直径から、第一の直径よりも大きい第二の部分的に拘束された直径まで部分的に展開することができる。図12に示されるように、主本体100はまた、第一の領域3000及び第二の領域3002を含むことができる。第一の領域3000は、側枝ポータル110の第一の端部106から第二の開口部121まで延在し、第二の領域3002は、側枝ポータル110の第二の開口部121から主本体100の第二の端部108まで延在している。第一の領域3000と第二の領域3002との間の分割点は、わずかに異なる位置(例えば、一般的に側枝ポータル110の約3cm以内)に画定されうる。幾つかの実施形態において、第一の領域及び第二の領域3000、3002は、独立して拘束及び/又は展開することができる。例えば、図12に示されるように、第二の領域3002は第二の部分的に拘束された直径に部分的に展開されるが、第一の領域3000は第一の拘束された直径に維持される。 第二の領域3002を部分的に展開することによって、側枝ポータル110は少なくとも部分的に拡張するように動作可能である。このような拘束部材及び段階的展開には、必ずしも限定するわけではないが、拘束部材1800の主スリーブ及び二次スリーブが含まれる。主スリーブ及び二次スリーブは直列で使用されてよく、主スリーブ及び二次スリーブのうちの1つを解放することにより、主本体100の一部の拡張又は部分的拡張を可能にする。これにより、側枝ポータルを通したアクセスが可能になり、同時に主本体100を標的部位に対して操作できるようになる。さらに、第一の領域3000を第一の拘束された構成に維持することによって、側枝ポータル110の第二の開口部121を通したアクセスは、主本体100の第一の領域3000によって再構築されず、又は遮断されない。これにより、分岐管腔(例えば、腕頭動脈24)へのアクセスも容易になる。
【0116】
ここで図13a~13cを参照すると、例えば、シース1600は各ガイド部材1400のために提供されている。第一の側枝ポータル、第二の側枝ポータル及び第三の側枝ポータル110a、110b、110cに対して第一のガイド部材、第二のガイド部材及び第三のガイド部材1400a、1400b、1400cがあるときに、第一のシース、第二のシース及び第三のシース1600a、1600b、1600c(図15を参照されたい)はそれぞれの対応する側枝体200及びガイド部材1400に提供される。各シース1600は、それぞれの対応するガイド部材1400に沿って前進するように動作可能である。シース1600は、ガイド部材1400を取り囲むことによって、ガイド部材を横並びのレールとして使用することによって、あるいはシース1600が実質的にガイド部材1400の経路に沿って移動できるようにすることによって、ガイド部材1400に沿って移動するように形成することができる。側枝ポータル110には、ガイド部材1400a、1400b、1400cが予めカニューレ挿入されているため、シース1600は、長尺部材の第二の開口部109を通って前進し、側枝ポータル110の第二の開口部121から出ることができる。例えば、シース1600の第一の端部1602は、患者の血管系を通って前進し、側枝ポータル110の第二の開口部121から出ることができる。第一の端部1602は、血管系の対応する枝(例えば、腕頭動脈)の近くに配置されうる。
【0117】
幾つかの実施形態において、シース1600は、関節運動可能な二次ガイド部材又はカテーテル1700を挿入できる管腔(例えば、ガイド部材1400が通過するのと同じ管腔)を含む。限定するわけではないが、ステアリング可能なカテーテル及びガイドワイヤを含む、様々な二次関節運動可能な部材又はカテーテル1700を実装することができる。例えば、関節運動可能な二次部材又はカテーテル1700は、関節運動可能なガイドワイヤ1700の遠位端に結合された少なくとも1つのテザー又は張力部材(図示せず)を使用して操縦することができる(関節運動可能なガイド部材又はカテーテル1700は、一体ユニットであってもよく、又は、関節運動機能を提供するための様々なコンポーネントの複合体、例えば、ガイドカテーテル及びガイドワイヤであることができる)。関節運動可能なガイド部材又はカテーテル1700は、テザー又は張力部材に張力を加えることによって操縦されうる。複数のテザー及び/又は張力部材を使用して、様々な程度の動きを実現できる。他の実施形態は、ロボット又はモータ駆動のガイドワイヤを含むことができる。関節運動可能なガイドワイヤの様々な実施形態はデリバリーシステム1000及び方法に実装されうる。関節運動可能な二次ガイド部材又はカテーテル1700は、シース1600を介して治療部位まで前進される。例えば、図14に示されるように、第一の関節運動可能な二次ガイド部材又はカテーテル1700aは、第一の側枝ポータル110aを通って第一のシース1600aを介して標的部位まで前進される。関節運動可能な二次ガイドワイヤ1700は、使用者が後方端(図示せず)で関節運動させることができる前方端を含む。前方端は、様々な構成及び位置に曲げ又は関節運動することができる。第一の関節運動可能な二次ガイド部材又はカテーテル1700aの前方端が第一のシース1600aから解放されると、使用者は、第一の関節運動可能な二次ガイド部材又はカテーテル1700aの前方端を、第一の側枝ポータル110aに対応する標的枝(例えば、腕頭動脈)内の位置に関節運動させることができる。二次ガイド部材又はカテーテル1700aが所定の位置にあると、ガイドワイヤ1702を(例えば、二次ガイド部材又はカテーテル1700aを通して)所定の位置に進めることができる。この工程は、後続の関節運動可能な二次ガイド部材又はカテーテル1700を用いて、各分枝及び対応する側枝ポータル110に対して繰り返される。図15を参照すると、ガイドワイヤ1702は、分枝内に展開されたフィルタ2002を通して前進することができる。さらに、ガイドワイヤ1702は、ガイドワイヤ1702がフィルタのアクセス部位の外に延在して、ガイドワイヤ1702の貫通構成を作り出すように前進することができる。図16は、対応する関節運動可能な二次ガイドワイヤ1700がカニューレ挿入されている各枝(例えば、腕頭動脈、左総頸動脈及び左鎖骨下動脈24、25、26)を示しており、ガイドワイヤ1700は、対応する側枝ポータル110を通って延在している。
【0118】
ここで図17を参照すると、第一の領域3000は、第二の部分的に拘束された直径まで部分的に展開される。第一の領域3000が部分的に展開されるときに、主本体100全体が、部分的に拘束された第二の直径まで部分的に展開される。この段階で、主本体100を標的部位内の適切な位置に調整して、インプラント可能なデバイス10の最適な配置及び性能を促進することができる。主本体100の所望の位置決めが達成されると、主本体100を第三の展開直径(例えば、拘束部材1800によって拘束されない)まで展開することができる。図18に示されるように、主本体100が完全に展開されると、長尺部材1200及びキャップ1300、少なくとも1つのガイド部材1400、少なくとも1つのシース1600及び拘束部材1800を含むデリバリーシステム1000の一部を除去することができる。上述したように、ガイド部材1400は解放されることができ、これは手順のこの時点で起こりうる。幾つかの実施形態において、主ガイドワイヤ1500も除去されうる。これにより、主本体100は、対応する側枝ポータル110及び分枝(例えば、腕頭動脈、左総頸動脈及び左鎖骨下動脈24、25、26)にカニューレ挿入する二次的な関節運動可能なガイドワイヤ1700とともに標的部位に残ることになる。
【0119】
図19を参照すると、分枝体200は、対応する二次的な関節運動可能なガイドワイヤ1700に沿って前進されることができる。分枝体200は、例えば、エンドキャップ4002を備えた長尺部材4000などの、主本体100をデリバリーするのに使用される構成要素と同様の独立した構成要素上で前進されることができる。幾つかの実施形態において、分枝体200が側枝ポータル110を通過するときに、エンドキャップ4002又は他の独立した構成要素が側枝ポータル110を拡張することができる。分枝体200は、第一の部分202が標的部位の分枝内に少なくとも部分的に配置され、そして第二の部分がインプラント可能なデバイス10内(例えば、側枝ポータル110内)に配置されるように配置されている。分枝体200が適切に配置されると、図20に示すように、分枝体200は展開される。図21を参照すると、分枝体200をデリバリーするために使用される長尺部材4000及びエンドキャップ4002は除去される。図22は、ろ過システム2000の吸引を示す。ろ過システム2000が吸引されると、図23に示されるように、ろ過システム2000を除去することができる。残りの構成要素(例えば、主ガイドワイヤ1500及び二次の関節運動可能なガイドワイヤ1700)を患者から除去することができ、外科医は閉鎖を開始することができる。
【0120】
図25~28を参照すると、幾つかの実施形態において、デバイス10の別の実施形態には、複数の選択可能な側枝ポータル510が設けられている。図25は、主本体500と、それを通って延在している複数の選択可能な側枝ポータル510とを有するインプラント可能なデバイス10の例の側面図を示す。インプラント可能なデバイス10は、主本体500から選択可能な側枝ポータル510を通って延在している側枝502も含む。側枝502は、主本体500から分離されている(すなわち、側枝502は、主本体500と一体ではない)。側枝502は主本体500とは別個の構造であるため、側枝502は主本体500に結合されてインプラント可能なデバイスを形成する。例えば、主本体500は腹部大動脈内に配置され、側枝502は腎動脈内で展開され、腹部大動脈内に位置する主本体500内に延在することができる。
【0121】
図26Aに示されるように、幾つかの実施形態において、インプラント可能なデバイス10の主本体500は、チューブ状部材520及びステント部材540を含む。図示されるように、チューブ状部材520は、第一の端部522及び第二の端部524を有する。チューブ状部材520は、チューブ状部材520の第一の端部522に第一の開口部523を有し、第二の端部524に第二の開口部525を有する主管腔526を形成する。チューブ状部材520は、主管腔526内に配置されたカラム528を含む側枝ポータル510を含み、二次管腔530を形成する(図26Bを参照されたい)。チューブ状部材520は、チューブ状部材520の第一の端部522と第二の端部524との間の長手方向の位置で二次管腔530内へのアパチャ532を画定する。カラム528は、チューブ部材520の第二の端部の近位にカラム開口部534(図26Bを参照されたい)を画定する。ステント部材540は、インプラント可能なデバイスがデリバリー構成及び展開構成に構成されるように、又はデリバリー構成から展開構成に移行するように動作可能であるように、チューブ状部材520を支持する。
【0122】
幾つかの実施形態において、チューブ状部材520は、主管腔526を画定する第一のグラフト部材541と、第一のグラフト部材541に結合された第二のグラフト部材542とを含み、第一のグラフト部材541と第二のグラフト部材542との間に二次管腔530を画定するカラム528を形成する。例えば、第一のグラフト部材541は、主管腔526を画定するためにチューブの形状に形成されたグラフト材料を含む。第二のグラフト部材542は、場合により、第一のグラフト部材に(例えば、ボンド結合、接着剤又はその他の方法で一緒に結合することによって)結合されるグラフト材料を含み、二次管腔530を形成する。第一のグラフト材料及び第二のグラフト部材541、542のグラフト材料は、所望に応じて、同じ材料であってもよいし、又は異なる材料であってもよい。一部の材料は他の材料に比べて特定の利点を提供する可能性があるが、様々な適切なグラフト材料を実装することができ、一般に、本明細書で論じる材料を含む任意の適切なグラフト材料を実装することができる。
【0123】
幾つかの実施形態において、二次管腔530は、主本体512の長手方向の長さに沿って少なくとも部分的に延在している。カラム528の二次管腔530は、二次管腔530の近位開口部で主管腔526内に開く。幾つかの実施形態において、カラム528は、カラム開口部534がチューブ状部材520の第二の開口部525に、又はそれと同一平面上に位置されるように、チューブ状部材520の第二の端部524まで延在している。他の実施形態において、カラム528は、カラム開口部534がチューブ状部材520の第二の開口部525から長手方向に空間を開けているようにして、チューブ状部材520の第二の端部520に向けて延在している。複数のカラム528を含む実施形態において、カラム開口部534は、チューブ状部材520を横切って同一の長手方向長さで、別の言い方をすれば、チューブ状部材520に沿った同じ長手方向位置で配置されても、あるいはチューブ状部材520の長さに沿って長手方向に間隔をあけた2つ以上の位置でずれて配置されてもよい。
【0124】
幾つかの実施形態において、カラム528、したがって二次管腔530は崩潰可能である。例えば、カラム528はステント部材によって支持されていなくてもよいが、支持された崩潰可能な実施形態も考えられる。支持体の欠如、又は適切に構成された支持体により、カラム528が崩潰され(半径方向に崩潰され)、アパチャ532をシールし、アパチャ532を通る流体(例えば、血液)の漏洩又は他の通過を制限することができる。幾つかの実施形態において、流体によって及ぼされる圧力(例えば、静圧、流体圧力勾配、及び/又は運動中の流体によって加えられる圧力)は、カラムがチューブ状部材520に密着又はシールして、二次管腔530、ひいてはアパチャ532を通る流体を制限するようにカラム528を潰す。
【0125】
図26Aに示されるように、カラム528は、チューブ状部材520の第一の端部522の近くで、又は図示しない幾つかの実施形態において、第一の端部522でシール又は閉鎖されうる。このようにして、二次管腔530は、例えば、カラム528が開存しているときに、第一の端部及び第二の端部522、524の間のチューブ状部材520の外表面と主管腔526との間に流体連通を提供するように動作可能である。幾つかの実施形態において、チューブ状部材520は、チューブ状部材520の第一の端部の近くで、シールされていない(すなわち、開口部を含む)カラム528を含むことができる。そのような実施形態において、デリバリーカテーテルなどの長尺部材はカラム528を通して配置されうる。図26Bを参照すると、主本体512の端面図が示されており、カラム開口部534が主本体512の第二の端部524に近接して配置されている。幾つかの実施形態において、カラム528は、主本体512の第二の端部524まで延在している。示されているように、二次管腔530は主管腔526内に含まれることができる。
【0126】
再び図26Aを参照すると、主本体512はステント部材540を含む。ステント部材540は、以下に論じるように、任意の適切な材料から形成することができる。ステント部材540は、チューブ状部材520を支持するように動作可能である。ステント部材540は、デリバリー構成に圧縮されることができ、展開時などに拡張構成に拡張されることができる。ステント部材540は、自己拡張型ステント又はバルーン拡張型ステントであることができる。図示されるように、ステント部材540は複数のステントリング544を含む。各ステントリング544は、チューブ状部材520の長さに沿った長手方向位置でチューブ状部材520を周方向に支持する。例えば、各ステントリング544は、隣接するステントリング544から長手方向に間隔を置いて配置される。ステントリング544はそれぞれ、第一の端部522に向かう第一の頂部546aと、第二の端部524に向かう第二の頂部546bとを備えた頂部546を含むことができる。本明細書では、限定するわけではないが、らせん状ステント(波形らせん状ステント、ダイヤモンドパターンステントなどを含む)を含む、ステント部材40の様々な他の構成が考えられる。
【0127】
図26Aに示されるように、チューブ状部材520は、主本体512の長手方向の長さに沿って間隔をあけて配置された複数のアパチャ532を含む。アパチャ532は、少なくとも1つのステントリングが長手方向に隣接する2つのアパチャ532の間にあるように配置されうる。例えば、カラム528は、アパチャ532が主本体512に沿って長手方向に間隔をあけて配置されるように、チューブ状部材520を通るアパチャ532を含むことができる。アパチャはすべて、カラム528の二次管腔530と流体連通している。アパチャ532は、主本体512に沿って様々な長手方向の長さで二次分枝のためのアクセスポイントを提供する。
【0128】
図26Cを参照すると、アパチャ532は、円形プロファイル、丸い縁及び実質的に平坦な縁を有するプロファイル、卵形プロファイルなどを含む様々な形状及びサイズで形成されうる。様々な形状及びサイズは、アパチャ532における主本体512からの側枝502の出口の角度などの様々な側枝502及び構成に適合するように実装されうる。図示されていない幾つかの実施形態において、アパチャ532は、カラム528の長手方向の長さに沿って、不規則な間隔で配置されうる。さらに、図示されていない幾つかの実施形態において、アパチャ532は、カラム528内で周方向に間隔を置いて配置されうる。例えば、アパチャ532は、周方向及び/又は長手方向にずれて配置されうる。
【0129】
幾つかの実施形態において、主本体512は、複数のカラム528を含むことができる。例えば、主本体512は、2つの側枝514を患者の解剖学的構造の側枝管腔内に展開するために、周方向に互いに間隔を置いた2つのカラム528を含むことができる。さらに、主本体512は、患者の解剖学的構造の各側枝管腔に関連付けられた複数のカラム528を含むことができる。例えば、主本体512が腹部大動脈に配置され、側枝514が腎動脈に配置されるならば、各患者は、腎動脈が大動脈に入る周方向の様々な位置を有しうる。
【0130】
各側枝514が展開されうる複数のカラム528を有することにより、外科医は、インプラント可能なデバイス10が展開されるときに血管にねじれを加えることなく、患者の本来の解剖学的構造に最もよく適合する適切なカラム528を選択することができる。したがって、1つの例において、主本体512は、チューブ状部材520の一方の周方向の側に3つのカラム528を含み、チューブ状部材520の反対側の周方向の側にさらに3つのカラム528を含むことができる。各カラム528は、チューブ状部材520の周囲に、隣接するカラムから周方向に間隔を置いて配置される。チューブ状部材520の周囲に等間隔又は可変間隔で配置されうる1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又はそれ以上のカラム528を含む、任意の数のカラム528及びカラム528の間隔が実装されうることが考えられる。特定の間隔は、患者のサンプル母集団における特定の実装について側枝の平均周方向間隔を調査して、カラム528の間隔を決定することにより決定できることがさらに考えられる。カラム528の周方向の間隔により、側枝血管内に側枝514を適切に位置決めするために増加した位置で患者の解剖学的構造内で主本体512をクロッキングすることができる。本明細書で使用されるときに、「クロッキング」という用語は、物体の周囲の所望の位置にフィーチャを配置する能力を指す。1つ以上のカラム528をクロッキングするこの能力は、例えば、手順が蛍光透視法を介して実行されるときに、視覚化とともに使用するのにさらに有利であることができる。これは、視覚化技術によって示される二次元平面とそのような視覚化に関連する視差を処理するときに、幾つかのエントリポイントを提供することにより、配置を簡素化する。幾つかの実施形態において、カラム528は、主本体512の周囲に不規則な間隔で配置されてもよい(例えば、カラム528間の不均一な間隔)。図示しない幾つかの実施形態において、カラム528は、主本体512の長手方向軸に対してゼロより大きい角度で長手方向に冤罪している。例えば、二次管腔530は、主管腔526の軸に対してゼロより大きい角度で長手方向に(例えば、主本体512の周りでらせん状に)延在する二次管腔軸に沿って延在している。
【0131】
再び図26Aを参照すると、主本体512は、ステント部材40の少なくとも一部を取り囲むように配置された拘束部材受容体50を含むことができる。例えば、複数のステントリング544を含む実施形態において、対応する拘束部材受容体550は各ステントリング544の周りに配置される。拘束部材受容体550は、グラフト材料、繊維などを含む様々な材料から形成されうる。拘束部材受容体550は、後述するように、ステントリング544を部分的に拘束又は崩潰するようにリトラクトされうる拘束部材を受け入れるように動作可能である。
【0132】
幾つかの実施形態において、チューブ状部材520は、第一の端部522にスカラップ552を含むことができる。スカラップ552は、展開される補綴側枝を必要としない側枝管腔を含む管腔内へのチューブ状部材520の配置を容易にする。例えば、インプラント可能なデバイス10が腹部大動脈内に配置され、上腸間膜動脈がその中に展開される側枝514を必要としないときに、スカラップ552は、上腸間膜動脈を通る血液灌流を遮断又は制限することなく、上腸間膜動脈への入口の上に配置されうる。スカラップ552は、直線縁プロファイル、湾曲プロファイル及びそれらの組み合わせを含む様々な形状を含むことができる。
【0133】
ここで図27A~27Cを参照すると、カテーテルオリーブ又はキャップ1300は、インプラント可能なデバイス10の主本体512がキャップ1300と長尺部材1200の第二の端部との間に長手方向に配置されるように、長尺部材1200の第一の端部に配置される。キャップ1300の実施形態が図面に示されているが、任意のカテーテルオリーブ又はキャップが本開示の範囲内で実装されうることは本開示の範囲内である。キャップ1300は、デリバリーシステム1000を患者を通して非外傷的に前進させ、必要に応じて周囲の解剖学的構造を拡張するために実装されうる。例えば、キャップ1300は、最初に患者の解剖学的構造を通って前進される前方端を含むことができる。図27A~27Cを参照すると、キャップ1300はガイド部材保持器1302を含むことができる。しかしながら、ガイド部材保持器1302は、ガイド部材1400が通過する通路を含むことができる(図27Aを参照されたい)。この実施形態において、ガイド部材1400は、キャップ1300を通過し、別の反対側に位置するカラム528のアパチャ532を通って戻るように延在することができる。ガイド部材保持器1302は、ガイド部材1400を結合することができるロックワイヤ1900を解放可能に保持するように動作可能であることができる(図27Bを参照されたい)。ロックワイヤ1900は、ロックワイヤ管腔を介して制御されうる。ガイド部材保持器は、例えば摩擦嵌め又は他の結合を介して、ガイド部材1400の端部を受容し、解放可能に保持するように動作可能であることができる(図27Cを参照されたい)。キャップ1300の様々な実施形態は、特にガイド部材1400(例えば、ガイド部材保持器1302)を結合するために実装されうる。このような実施形態としては、2019年8月13日に出願されたChungらによる米国特許公開第2020/0046534号明細書に論じられているもとが挙げられ、その内容を参照により明示的に本明細書に組み込む。幾つかの実施形態において、キャップ1300は、インプラント処置から標的部位に前進するときにデバイス10のクロッキングを容易にするために湾曲していてもよい。
【0134】
この方法は大動脈20を参照して開示されたが、本明細書に記載されるシステム及び方法は、分岐が生じる様々な管腔に実装されうる。
【0135】
本明細書に開示されるメディカルデバイスデリバリーシステム及び方法で使用可能なカテーテル、イントロデューサシース、ハブ、ハンドル及び他の構成要素は、任意の適切な医療グレードの材料又は材料の組み合わせを使用して任意の適切な製造プロセス又は工具を使用して構築することができる。適切な医療グレードの材料としては、例えば、ナイロン、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリホルムアルデヒド、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、延伸ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロクロロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エラストマー有機ケイ素ポリマー、Pebax(登録商標)ポリエーテルブロックアミド、及びステンレス鋼及びニチノールなどの金属が挙げられる。カテーテルは、金属編組の層などの補強部材を含むこともできる。
【0136】
本明細書で論じるグラフト構成要素用の生体適合性材料を使用することができる。特定の例において、グラフトは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ポリマー又は延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)ポリマーなどのフルオロポリマーを含むことができる。特定の例において、グラフトは、限定するわけではないが、ポリエステル、シリコーン、ウレタン、ポリエチレンテレフタレートもしくは別の生体適合性ポリマー又はそれらの組み合わせなどから形成されうる。幾つかの例において、生体再吸収性又は生体吸収性材料、例えば生体再吸収性又は生体吸収性ポリマーが使用されてよい。幾つかの例において、グラフトは、ダクロン、ポリオレフィン、カルボキシメチルセルロース布帛、ポリウレタン又は他の織布、不織布又はフィルムエラストマーを含むことができる。
【0137】
システムの構成要素のいずれも、インプラント処置中にX線透視法での観察を容易にするために放射線不透過性マーカを含むこともできることが理解される。必要に応じて、任意の数、形状及び位置の放射線不透過性マーカを利用することができる。
【0138】
本明細書に開示されるデリバリーシステム及び方法は、分岐血管系を治療するための分岐可能な拡張可能なインプラントの管腔内デリバリーに特に適している。拡張可能なインプラントとしては、例えば、ステント、グラフト及びステントグラフトを挙げることができる。さらに、拡張可能なインプラントは、ステントの上及び/又は下に配置された1つ以上のグラフト部材を備えた1つ以上のステント構成要素を含むことができ、それは、デリバリー構成から、より大きな中間構成の範囲を通って、治療部位で血管壁と係合した展開構成に向かって拡張することができる。しかしながら、以下に論じられるように、ステント構成要素及びグラフト部材の任意の適切な組み合わせ及び構成は、本開示の範囲内である。例えば、ステント構成要素は、例えば、リング、カットチューブ、巻回ワイヤ(又はリボン)、又はチューブ状に巻かれた平らなパターンシートなどの様々な構成を有することができる。ステント構成要素は、金属材料、ポリマー材料又は天然材料から形成することができ、ナイロン、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリホルムアルデヒド、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロクロロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エラストマー有機ケイ素ポリマー、ステンレス鋼、コバルトクロム合金及びニチノールなどの金属、及びウシ動脈/静脈、心膜及びコラーゲンなどの生体由来材料などの従来の医療グレードの材料を含むことができる。ステント構成要素は、ポリ(アミノ酸)、ポリ(無水物)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(乳酸/グリコール酸)ポリマー、ポリ(ヒドロキシ酪酸)及びポリ(オルトエステル)などの生体再吸収性材料を含むこともできる。
【0139】
さらに、グラフト部材の可能性のある材料としては、例えば、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリエステル、ポリウレタン、パーフルオロエラストマーなどのフルオロポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン、ウレタン、超高分子量ポリエチレン、アラミド繊維及びそれらの組み合わせが挙げられる。グラフト部材材料の他の実施形態は、超高分子量ポリエチレン繊維(例えば、Spectra(登録商標)、Dyneema Purity(登録商標)など)又はアラミド繊維(例えば、Technora(登録商標)など)などの高強度ポリマー繊維を含むことができる。グラフト部材は生物活性剤を含むことができる。1つの実施形態において、ePTFEグラフトは、その血液接触表面に沿って炭素成分を含む。カテーテルによってデリバリーできるあらゆるグラフト部材は本開示によるものである。
【0140】
さらに、ニチノール(NiTi)は、フレーム又はステント(及び本明細書で論じられるフレームのいずれか)の材料として使用されうるが、他の材料、例えば、限定するわけではないが、ステンレス鋼、L605鋼、ポリマー、MP35N鋼、ポリマー材料、Pyhnox、Elgiloy又は任意の他の適切な生体適合性材料及びそれらの組み合わせをフレームの材料として使用することができる。NiTiの超弾性特性及び柔らかさにより、ステントの適合性を向上させることができる。さらに、NiTiは所望の形状に形状設定することができる。すなわち、フレームがデリバリーシステムから展開されるときなど、フレームが拘束されていないときに、フレームが所望の形状に自己拡張する傾向があるように、NiTiを形状設定することができる。限定するわけではないが、NiTiCoを含む他の材料も、必要に応じて使用されうる。
【0141】
本出願の発明は、一般的に及び特定の実施形態に関して上で説明されてきた。当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態に様々な変更及び変形を加えることができることが明らかであろう。したがって、実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその均等の範囲内にある限り、本発明の変更及び変形を包含することが意図されている。
【0142】
様々な生物活性剤のいずれも、上述のもののいずれかとともに実装されうる。例えば、インプラント可能なデバイス10及びデリバリーシステム1000のうちの任意の1つ以上の(その一部を含む)は、生物活性剤を含むことができる。生物活性剤を制御放出するために、生物活性剤を上述のフィーチャの1つ以上の上にコーティングすることができる。このような生物活性剤としては、限定するわけではないが、ヘパリンなどの血栓形成剤を挙げることができる。生物活性剤は、限定するわけではないが、天然物、例えば、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン及びビノレルビン)、パクリタキセル、エピディポドフィロトキシン(例えば、エトポシド及びテニポシド)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン)、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミスラマイシン)及びマイトマイシン、酵素(例えば、L-アスパラギンを全身的に代謝する、自分自身のアスパラギンを合成する能力がない細胞を奪うL-アスパラギナーゼ)、G(GP) IIb/IIIa阻害剤及びビトロネクチン受容体アンタゴニストなどの抗血小板薬、抗増殖性/抗有糸分裂性アルキル化剤、例えばナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド及びその類似体、メルファラン、クロラムブシル)、エチレンイミン及びメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミン及びチオテパ)、アルキルスルホネートブスルファン、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン(BCNU)及び 類似体、ストレプトゾシン)、トラゼンダカルバジニン(DTIC)、抗増殖性/抗有糸分裂性抗代謝薬、例えば、葉酸類似体(例えば、メトトレキサート)、ピリミジン類似体(例えば、フルオロウラシル、フロクスウリジン及びシタラビン)、プリン類似体及び関連阻害剤(例えば、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン及び2-クロロデオキシアデノシン{クラドリビン}など)、白金配位錯体(例えば、シスプラチン及びカルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、ミトタン、アミノグルテチミド、ホルモン(例えば、エストロゲン)、抗凝固剤(例えば、ヘパリン、合成ヘパリン塩及び他のトロンビン阻害剤)、抗血小板薬(例えば、アスピリン、クロピドグレル、プラスグレル及びチカグレロル)、血管拡張薬(例えば、ヘパリン、アスピリン)、線維素溶解剤(例えば、プラスミノーゲン活性化因子、ストレプトキナーゼ及びウロキナーゼ)、アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン、クロピドグレル、アブシシマブ、抗移行剤、抗分泌剤(例えば、ブレベルジン)、抗炎症剤、例えば、副腎皮質ステロイド(例えば、コルチゾール、コルチゾン、フルドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、6α-メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、ベタメタゾン及びデキサメタゾン)、非ステロイド剤(例えば、アスピリンなどのサリチル酸誘導体)、パラアミノフェノール誘導体(例えば、アセトアミノフェン)、インドール及びインデン酢酸(例えば、インドメタシン、スリンダク及びエトダラク)、ヘテロアリール酢酸(例えば、トルメチン、ジクロフェナク及びケトロラク)、アリールプロピオン酸(例えば、イブプロフェン及び誘導体)、アントラニル酸(例えば、メフェナム酸及びメクロフェナム酸)、エノール酸(例えば、ピロキシカム、テノキシカム、フェニルブタゾン及びオキシフェンタトラゾン)、ナブメトン、金化合物(例えば、オーラノフィン、オーロチオグルコース及びチオリンゴ酸金ナトリウム)、免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス(FK-506)、シロリムス(ラパマイシン)、アザチオプリン及びミコフェノール酸モフェチル)、血管新生剤(例えば、血管内皮増殖因子(VEGF))、線維芽細胞増殖因子(FGF)、アンジオテンシン受容体遮断薬、一酸化窒素供与体、アンチセンスオリゴヌクレオチド及びそれらの組み合わせ、細胞周期阻害剤、mTOR阻害剤、成長因子受容体シグナル伝達キナーゼ阻害剤、レチノイド、サイクリン/CDK阻害剤、HMG補酵素還元酵素阻害剤(スタチン)及びプロテアーゼ阻害剤を挙げることができる。本明細書に開示される様々な実施形態によるデリバリーシステム及び方法は、治療部位への管腔内デリバリーのためのデリバリー構成に向けて拡張可能なインプラントを圧縮した後に、取り外し可能なガイドワイヤを利用して、ガイドワイヤを挿管するための分枝ポータルを保存することができる。取り外し可能なガイドワイヤチューブは、カテーテルの材料として上に挙げたものと同じ材料を含むことができる。
【0143】
本発明の多くの特徴及び利点は、本発明の構造及び機能の詳細とともに、好ましい実施形態及び代替実施形態を含む、先行の説明で示されている。本開示は、例示のみを目的としており、したがって、網羅的であることを意図したものではない。特に、本発明の原理の範囲内で、部品の構造、材料、要素、構成要素、形状、サイズ及び配置に関して、添付の特許請求の範囲が表現される用語の広範な一般的な意味により示される全範囲まで種々の変更を加えることができることは、当業者に明らかであろう。これらの様々な変更は、添付の特許請求の範囲の主旨及び範囲から逸脱しない限り、特許請求の範囲に包含されるものとする。本発明は、上記及び以下に請求される実施形態を対象とすることに加えて、上記及び以下に請求される特徴の異なる組み合わせを有する実施形態をさらに対象とする。
【0144】
本出願の発明は、一般的に及び特定の実施形態に関して上記で説明されてきた。当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態に様々な変更及び変形を加えることができることが明らかであろう。したがって、実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその均等の範囲内にある限り、本発明の変更及び変形を包含することが意図されている。
図1
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【図
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【手続補正書】
【提出日】2023-10-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0066】
図22図22は、1つの実施形態による、デリバリーシステムの除去前に吸引されるろ過システム、及び、分岐標的部位にインプラント可能なデバイスを展開するために使用されるろ過システムの図である
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0067】
図23図23は、1つの実施形態による、分岐標的部位の各部分にカニューレ挿入するために使用された複数のガイドワイヤを取り外す前の、分岐標的部位としてインプラント処置されたインプラント可能なデバイスの図である。
図24 図24は、1つの実施形態による、インプラント処置されたインプラント可能なデバイスを拘束するためのスリーブの図である。
図25 図25は、1つの実施形態による、側枝のための選択的な開窓を有するインプラント可能なデバイスの図である。
図26 図26A~26Cは、図25のインプラント可能なデバイスの主本体グラフトの様々な図である。
図27 図27A~27Cは、輸送システムのための結合ガイド部材の様々な実施形態である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0120
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0120】
図2527を参照すると、幾つかの実施形態において、デバイス10の別の実施形態には、複数の選択可能な側枝ポータル510が設けられている。図25は、主本体500と、それを通って延在している複数の選択可能な側枝ポータル510とを有するインプラント可能なデバイス10の例の側面図を示す。インプラント可能なデバイス10は、主本体500から選択可能な側枝ポータル510を通って延在している側枝502も含む。側枝502は、主本体500から分離されている(すなわち、側枝502は、主本体500と一体ではない)。側枝502は主本体500とは別個の構造であるため、側枝502は主本体500に結合されてインプラント可能なデバイスを形成する。例えば、主本体500は腹部大動脈内に配置され、側枝502は腎動脈内で展開され、腹部大動脈内に位置する主本体500内に延在することができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
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【国際調査報告】