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特表2024-508795キシロシル化ステビオールグリコシド及び酵素的産生方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】キシロシル化ステビオールグリコシド及び酵素的産生方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/54 20060101AFI20240220BHJP
   C12P 19/18 20060101ALI20240220BHJP
   C12N 9/10 20060101ALI20240220BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240220BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240220BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240220BHJP
   C12N 15/53 20060101ALI20240220BHJP
   C12N 15/52 20060101ALI20240220BHJP
   C07H 15/256 20060101ALI20240220BHJP
   C07H 1/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 47/26 20060101ALN20240220BHJP
【FI】
C12N15/54
C12P19/18 ZNA
C12N9/10
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N15/53
C12N15/52 Z
C07H15/256 A
C07H1/00
A61K47/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550550
(86)(22)【出願日】2022-03-01
(85)【翻訳文提出日】2023-10-02
(86)【国際出願番号】 US2022070906
(87)【国際公開番号】W WO2022187819
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】63/155,229
(32)【優先日】2021-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397058666
【氏名又は名称】カーギル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンス、エリン
(72)【発明者】
【氏名】ガスパード、ダニエル スコット
(72)【発明者】
【氏名】キリアコウ、パナジオタ
(72)【発明者】
【氏名】マラスコ、エリン キャスリーン
(72)【発明者】
【氏名】ジェン、グオ-フア
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C057
4C076
【Fターム(参考)】
4B064AF03
4B064AF41
4B064CA02
4B064CA05
4B064CA06
4B064CA19
4B064CA21
4B064CC24
4B064DA01
4B064DA10
4B064DA20
4B065AA15X
4B065AA26X
4B065AA77X
4B065AA88Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA01
4B065BB15
4B065CA19
4B065CA20
4B065CA27
4B065CA28
4B065CA29
4B065CA41
4B065CA44
4B065CA50
4C057AA03
4C057BB03
4C057BB04
4C057DD03
4C057JJ53
4C076BB01
4C076DD69T
4C076FF52
(57)【要約】
ステビオール塩基の19位の炭素に結合したキシロース残基又はキシロース残基を含むオリゴ糖部分を含むキシロシル化ステビオールグリコシドを産生するための方法及び組成物が開示される。UDP-キシロース:19-ステビオールキシロシルトランスフェラーゼ活性を有するグリコシルトランスフェラーゼ(例えば、配列番号1又はその相同体若しくは変異体のうちの1つ)は、ステビオール塩基の19位に結合したグルコース残基を有するステビオールグリコシドアクセプターを使用して、キシロシル化ステビオールグリコシドを形成する。増加した活性を有するグリコシルトランスフェラーゼ変異体もまた、記載される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリコシル化ステビオールグリコシドを形成するための方法であって、前記方法が、
UDP-キシロース:19-ステビオールキシロシルトランスフェラーゼ活性を有するグリコシルトランスフェラーゼと、(ii)活性化キシロースと、を使用して、インビトロで又は操作された細胞において、式Iの化合物から式IIの化合物を形成することを含み、
式Iが、下記の通りであり、
【化1】
式中、Rが、グルコース残基を含み、Rが、1つ以上の糖残基を含むか、又は水素であり、
前記グリコシルトランスフェラーゼが、活性化キシロースから前記式Iの化合物にキシロースを転移させ、
式IIが、下記のとおりであり、
【化2】
式中、Rが、前記グリコシルトランスフェラーゼによって付加される1つ以上のキシロース残基を含み、Rが、Rと同じであるか、又は1つ以上の追加の糖残基を含む、方法。
【請求項2】
式IIのRが、1つ以上のキシロース残基を含むオリゴ糖部分である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記オリゴ糖部分が、-β-Glu-β-Xyl又は-β-Glu-β-Xyl-Rであり、式中、Rが1つ以上の糖残基を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
式IIのRが、-Glu-β-Xylからなる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記式Iの化合物が、ステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドF、レバウジオシドG、及びズルコシド-Aからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記式Iの化合物が、ステビオシド、レバウジオシドA、及びレバウジオシドCからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記式Iの化合物が、レバウジオシドAである、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記式IIの化合物が、
【化3】
レバウジオシドDGである、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記活性化キシロースが、UDP-キシロースである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記グリコシルトランスフェラーゼが、配列番号1に対して少なくとも50%の同一性を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記グリコシルトランスフェラーゼが、配列番号1に対して55%以上、65%以上、75%以上、85%以上、90%以上、92.5%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上の同一性を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記グリコシルトランスフェラーゼが、配列番号1と比べて以下のアミノ酸:
(A)W22、L23、A24、F25、G26、H27、L28、L29、P30、L57、P59、D90、V91、P92、H93、D94、R95、P96、D97、M98、V99、D128、F130、L149、L150、G151、S152、M155、R190、M191、K192、R195、T196、K197、S199、S200、G201、M202、S203、L204、A205、R221、P249、P250、L251、Y277、A279、L280、G281、S282、E283、V284、P285、A308、L309、R310、R338、W339、V340、P341、Q342、M343、L346、F354、H357、C358、G359、W360、N361、S362、T363、E365、I378、F379、G380、D381、Q382、及びN385、
(B)M1、H16、V18、P21、W22、L23、A24、F25、G26、H27、P30、L34、L38、A39、G42、H43、S46、S49、T50、P51、N53、R56、L57、P58、V71、P76、L81、P82、A85、E86、T88、D90、A105、D107、L109、L117、D123、D128、W133、A138、A153、P180、E187、S200、R207、R221、S222、E225、E227、P241、G246、P249、W266、L267、Q270、S274、V275、Y277、V278、A279、G281、S282、E283、E293、L294、A295、G297、L298、E299、F305、W307、R310、L321、P322、G324、F325、R328、G333、V335、W339、P341、Q342、I345、L346、H348、V351、G352、F354、L355、T356、H357、G359、S362、E365、L373、L376、P377、D381、Q382、G383、N385、A386、R387、G395、V398、R400、D404、G405、F407、V412、A413、V419、及びA433、又は
(A)と(B)の両方、を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記グリコシルトランスフェラーゼが、配列番号1と比べて、以下のアミノ酸モチーフ:WLAFGHLLP(配列番号5)、LPP;NDVPHDRPDMV(配列番号6)、DVF、LLGSAHM(配列番号7);RMKLIRTKGSSGMSLA(配列番号8);PPL;YVALGSEVP(配列番号9);ALR;RWVPQMSIL(配列番号10);FLTHCGWNSTIE(配列番号11);IFGDQGPN(配列番号12)、のうちの1つ以上を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
(i)式Iのステビオールグリコシド化合物と、(ii)活性化キシロース糖と、(iii)前記UDP-キシロース:19-ステビオールキシロシルトランスフェラーゼ活性を有するグリコシルトランスフェラーゼと、を含むステビオールグリコシド反応組成物を使用してインビトロで行われる、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記式Iの化合物が、前記反応組成物中のステビオールグリコシドの50%(mol)超、75%(mol)以上、85%(mol)以上、90%(mol)以上、92.5%(mol)以上、95%(mol)以上、97%(mol)以上、98%(mol)以上、99%(mol)以上、99.5%(mol)以上、若しくは99.9%(mol)以上、又は本質的に全てを構成する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記反応組成物中で、前記式Iのステビオールグリコシド化合物の10%超、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、65%超、75%超、又は80%超が、式IIのキシロシル化ステビオールグリコシド化合物に変換される、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記式IIの化合物が、レバウジオシドDGである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記反応組成物が、以下:(a)マグネシウム及び/又はマンガン塩、(b)3~9、4~8、6.8~7.8、又は7.1~7.5の範囲のpH、(c)前記式Iのステビオールグリコシド化合物(SGI)に対してモル過剰のUDP-キシロース(UDP-X)、又は1:1~1:100、1:5~1:10、1:20~1:50、1:50~1:100、又は1.1:1~10:1、1.2:1~5:1、若しくは1.5:1~3:1の範囲のUDP-X:SGIモル比であって、前記活性化キシロースが、前記UDP-キシロース(UDP-X)を含む、モル過剰のUDP-キシロース(UDP-X)、又はUDP-X:SGIモル比、(d)50μg:1μmol~10μg:1μmolの範囲、25μg:1μmol~15μg:1μmolの範囲、又は約20μg:1μmolのポリペプチド(重量)対UDP-X(mol)比、(e)25μg:1μmol~5μg:1μmolの範囲、15μg:1μmol~7.5μg:1μmolの範囲、又は約10μg:1μmolのポリペプチド(重量)対SGI(mol)比、のうちの1つ以上を含む、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
反応が、以下の条件:(a)1時間~10日の範囲内、1時間~24時間の範囲内、1時間~12時間の範囲内、12時間~7日の範囲内、又は1日~5日の範囲内の時間、(b)5~95℃、25~80℃、25~40℃、30~40℃、40~50℃、50~60℃、60~70℃、70~80℃、又は25~35℃、又は28~32℃の範囲の温度で、のうちの1つ以上を含む、請求項14~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記組成物中の1つ以上の他の成分から式IIのグリコシル化ステビオールグリコシド化合物を分離する1つ以上の工程を更に含む、請求項14~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
形成することが、式Iのステビオールグリコシド化合物を作製することができる操作された細胞中で行われること、
前記活性化キシロースが、前記細胞に(外部から)供給されるか、又は前記操作された細胞が、前記活性化キシロースを作製することができ、キシロースが、前記活性化から前記式Iの化合物に転移されて、式IIのキシロシル化ステビオールグリコシド化合物を形成すること、を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
操作された細胞であって、
式Iのステビオールグリコシド化合物を形成するための経路であって、
【化4】
式中、Rが、グルコース残基を含み、Rが、1つ以上の糖残基を含むか、又は水素であり、
前記経路が、前記細胞内で形成され得る式Iではないステビオールグリコシドの量よりも多い量の前記式Iのステビオールグリコシド化合物を提供する、経路と、
UDP-キシロース:19-ステビオールキシロシルトランスフェラーゼ活性を有するグリコシルトランスフェラーゼであって、前記グリコシルトランスフェラーゼが、キシロース残基のうちの1つ以上を前記式Iの化合物に転移させて、式IIのグリコシル化ステビオールグリコシド化合物を形成することができ、
【化5】
式中、式IIのRが、1つ以上のキシロース残基を含み、Rが、Rと同じであるか、又は1つ以上の追加の糖残基を含む、グリコシルトランスフェラーゼと、を含む、操作された細胞。
【請求項23】
前記操作された細胞が、UDP-キシロースの産生のための経路を含む、請求項21に記載の方法又は請求項22に記載の操作された細胞。
【請求項24】
前記操作された細胞において、前記UDP-キシロースの産生のための前記経路が、UDP-グルコースデヒドロゲナーゼ、UDP-グルクロン酸デカルボキシラーゼ、UDP-キシロースシンターゼ、又はそれらの組み合わせを含む、請求項23に記載の方法又は操作された細胞。
【請求項25】
前記操作された細胞が、異種遺伝子制御下の1つ以上のUDP-グルコース再利用酵素及び/又は1つ以上のUGTを含む、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法又は操作された細胞。
【請求項26】
前記操作された細胞が、操作された酵母、細菌、又は真菌である、請求項21~25のいずれか一項に記載の方法又は操作された細胞。
【請求項27】
前記操作された細胞が、カンジダ(Candida)属、クロエケラ(Kloeckera)(ハンセニアスポラ(Hanseniaspora))属、イサチェンキア(Issatchenkia)属、クリベロマイセス(Kluyveromyces)属、リポマイセス(Lipomyces)属、ピキア(Pichia)(ハンゼヌラ(Hansenula))属、ロドトルラ(Rhodotorula)属、酵母菌類(Saccharomycete)、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属、トルロプシス(Torulopsis)属、トルラスポラ(Torulaspora)属、ヤロウイア(Yarrowia)属、及びジゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)属の種からなる群から選択され、好ましくは、ピキア(Pichia)(ハンゼヌラ(Hansenula))属、酵母菌類(Saccharomycete)、及びヤロウイア(Yarrowia)属の種からなる群から選択される操作された酵母である、請求項26に記載の方法又は操作された細胞。
【請求項28】
前記操作された細胞が、エシェリキア(Escherichia)属及びバチルス(Bacillus)属の種からなる群より選択される操作された細菌細胞である、請求項27に記載の方法又は操作された細胞。
【請求項29】
前記操作された細胞が、前記細胞に対して異種の以下のタンパク質:GGPPSポリペプチド、ent-コパリル二リン酸シンターゼ(CDPS)ポリペプチド、カウレンオキシダーゼ(KO)ポリペプチド、カウレンシンターゼ(KS)ポリペプチド、ステビオールシンターゼ(KAH)ポリペプチド、シトクロムP450レダクターゼ(CPR)ポリペプチド、UGT74G1ポリペプチド、UGT76G1ポリペプチドのうちの1つ以上をコードする1つ以上の外因性核酸を発現する、請求項20~28のいずれか一項に記載の方法又は操作された細胞。
【請求項30】
キシロシル化ステビオールグリコシドを形成するための方法であって、前記方法が、
(i)ステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドC、レバウジオシドF、レバウジオシドG、又はズルコシドAのうちの1つ以上、(ii)UDP-キシロース、(iii)配列番号1又は配列番号2のポリペプチド、(iv)非活性化糖、並びに(v)マグネシウム及び/又はマンガン塩、を含む反応組成物中のステビオールグリコシド反応物からキシロシル化ステビオールグリコシド生成物を形成することであって、
前記反応組成物が、4.8~7.8の範囲のpHを有し、
前記ステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドC、レバウジオシドF、レバウジオシドG、又はズルコシドAのうちの1つ以上が、前記反応組成物中の全てのステビオールグリコシドの合計80%(mol)以上で存在し、
前記ポリペプチド(重量)対前記ステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドC、レバウジオシドF、レバウジオシドG、又はズルコシドAのうちの1つ以上(mol)の比が、15μg:1μmol~7.5μg:1μmolの範囲である、形成することと、
前記反応組成物を25~95℃の範囲の温度で少なくとも12時間反応させて、化合物D、E、G、H、I、又はJのうちの1つ以上を含む生成物組成物を提供することと、を含む、方法。
【化6】
【化7】
【化8】
【請求項31】
請求項1~30のいずれか一項から形成されるキシロシル化ステビオールグリコシド化合物を含む、組成物。
【請求項32】
式IIの化合物を含むステビオールグリコシドの混合物を含む摂取可能な組成物又は水性組成物であって、
【化9】
式中、Rが、キシロース残基を含み、Rが、1つ以上の糖残基を含むか、又は水素であり、前記式IIの化合物が、前記組成物中のいずれの他の単一のステビオールグリコシドよりも多い量で存在する、摂取可能な組成物又は水性組成物。
【請求項33】
式IIの化合物を含む、任意選択でレバウジオシドMを含む、ステビオールグリコシドの混合物を含む摂取可能な組成物又は水性組成物であって、
【化10】
式中、Rが、キシロース残基を含み、Rが、1つ以上の糖残基を含むか、又は水素であり、前記式IIの化合物が、レバウジオシドMが存在する場合、レバウジオシドMの量より多い量で存在し、前記式IIの化合物が、任意選択で、前記摂取可能な組成物又は水性組成物中の全てのステビオールグリコシドの1%(mol)以上、例えば、2%、3%、又は5%(mol)以上を構成する、摂取可能な組成物又は水性組成物。
【請求項34】
式IIの2つ以上の化合物が存在し、そのような化合物が、前記組成物中の他のステビオールグリコシドの総量よりも多い総量で存在する、請求項32又は33に記載の摂取可能な組成物又は水性組成物。
【請求項35】
配列番号1に対して50%以上の同一性を有するポリペプチドと、配列番号1に対して以下のアミノ酸:I152とを含む、UDP-キシロース:19-ステビオールキシロシルトランスフェラーゼ活性を有する、グリコシルトランスフェラーゼ。
【請求項36】
配列番号1に対して少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の同一性を有する、請求項35に記載のグリコシルトランスフェラーゼ。
【請求項37】
配列番号2である、請求項35に記載のグリコシルトランスフェラーゼ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年3月1日に出願された米国特許仮出願第63/155,229号の利益を主張するものであり、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(EFS-WEBを介して提出された配列表への参照)
2022年3月1日に作成され、本出願とともにEFS-Webに対して電子的に提出された、サイズが43.7kbである「PT_923_WO_ST25.txt」という名称の配列表のASCIIテキストファイルの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
(発明の分野)
本開示は、キシロシル化ステビオールグリコシド及びそれらの酵素的産生方法に関する。
【背景技術】
【0004】
スクロース、フルクトース、及びグルコース等の糖は、飲料、食品、医薬品、及び口腔衛生製品/美容製品に好ましい味を提供するために利用される。スクロースは、具体的には、消費者に好まれる味を付与する。スクロースは、優れた甘味特徴を提供するが、カロリーが高い。ノンカロリー又はより低いカロリーの甘味料が、消費者需要を満たすために導入されており、望ましい味の特徴を有するこれらの種類の甘味料が求められている。
【0005】
ステビア(Stevia)は、ヒマワリ属[キク科(Asteraceae)]に属するおよそ240種類のハーブ及び灌木であり、北アメリカ西部から南アメリカ一帯の亜熱帯及び熱帯地域が原産である。ステビアレバウジアナ種は、スウィートリーフ、スウィート・リーフ、シュガーリーフ、又は単にステビアとして一般的に知られており、その甘味のある葉のために広域で栽培されている。ステビア系の甘味料は、葉から1種以上の甘味化合物を抽出することにより得ることができる。これらの化合物の多くは、ステビオールグリコシドであり、これらは、ジテルペン化合物であるステビオールのグリコシドである。これらのジテルペングリコシドは、糖の約150~450倍の甘味がある。
【0006】
ステビオールグリコシドの例は、国際公開第2013/096420号(例えば、図1のリスト参照)、及びOhta et.al.,(2010)「Characterization of Novel Steviol Glycosides from Leaves of Stevia rebaudiana Morita,」J.Appl.Glycosi.,57:199-209(例えば、p.204の表4を参照)に記載されている。構造的には、ジテルペングリコシドは、単一の塩基、ステビオールを特徴とし、図2a~図2kに提示されるように、C13及びC19の位置に存在する炭水化物残基により異なる。PCT特許公開第WO20013/096420号も参照されたい。
【0007】
S.レバウジアナにおける最も豊富なステビオールグルコシドは、1,2-ステビオシド、レバウジオシドA(rebaudioside A、Reb A)及びレバウジオシドC(rebaudioside C、Reb C)であり、これらは、それぞれ、葉の乾燥重量の5~10%、2~4%、及び1~2%を構成する(Chatsudthipong,V.,and Muanprasat,C.(2009)Stevioside and related compounds:therapeutic benefits beyond sweetness.Pharmacol Ther.;121:41-54)。Reb Aは、スクロースよりも250~300倍甘いが、苦く長引く後味を有する(Prakash,I.,et al.(2014)Development of next generation stevia sweetener:rebaudioside M.Foods 3:162-75)。Reb Cは、グルコースよりも30倍甘いだけである(C13位でグルコース部分に結合したラムノース部分によって区別される(DuBois,G.E.,and Stephenson,R.A.(1985)Diterpenoid sweeteners.Synthesis and sensory evaluation of stevioside analogues with improved organoleptic properties.J.Med.Chem.28:93-8]。レバウジオシドD(Rebaudioside D、Reb D)及びレバウジオシドM(Rebaudioside M、Reb M)は、スクロースの350倍までの甘味度を有し、苦味が少ない(Prakash)。Reb Mは、Reb A及び他のステビオールグルコシドと比較して、高い甘味強度、速い甘味開始、すっきりとした味覚、並びに甘味(licorice)、苦味、酸味及び渋味の後味が大幅に低減されていることを特徴とする。Reb D及びReb Mは、S.レバウジアナの葉に微量で存在するに過ぎない(中国の伝統的な植物中で、約0.4~1.5%(w/w)の総乾燥重量)。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、キシロシル化ステビオールグリコシドを産生するための酵素的方法を提供する。態様では、キシロシル化は、反応組成物中で行うことができるか、又は操作された細胞中で行うことができる。本開示はまた、キシロシル化ステビオールグリコシドを産生することができる操作された細胞、並びにキシロシル化ステビオールグリコシドを含む組成物を提供する。本開示の態様は、活性化キシロースを利用して、ステビオール塩基の19C位に結合したキシロース残基又はキシロース残基を含むオリゴ糖部分を有するステビオールグリコシドを提供することができる、UDP-キシロース:19-ステビオールキシロシルトランスフェラーゼ活性を有するグリコシルトランスフェラーゼポリペプチド(配列番号1、配列番号2、及び配列番号3のものを含む)の同定に関連する実験的知見に基づく。
【0009】
いくつかの態様では、本開示は、キシロシル化ステビオールグリコシドを形成するための方法を提供する。本方法は、UDP-キシロース:19-ステビオールキシロシルトランスフェラーゼ活性を有するグリコシルトランスフェラーゼをインビトロで又は操作された細胞中で使用して、式Iの化合物から式IIの化合物を形成することを含む。式Iは、下記のとおりであり、
【0010】
【化1】
式中、Rはグルコース残基を含み、Rは1つ以上の糖残基を含むか、又は水素である。グリコシルトランスフェラーゼは、活性化キシロースから式Iの化合物にキシロースを転移させて、式IIの化合物を形成し、
【0011】
【化2】
式中、Rは、グリコシルトランスフェラーゼによって付加される1つ以上のキシロース残基を含み、Rは、Rと同じであるか、又は1つ以上の追加の糖残基を含む。
【0012】
UDP-キシロース:19-ステビオールキシロシルトランスフェラーゼ活性を有するグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドとしては、配列番号1、配列番号2、及び配列番号3のもの、それらの変異体、並びにそれらの相同体が挙げられる。
【0013】
式IIのキシロシル化生成物において、Rはキシロース残基を含み、Rは式Iの化合物中のRと同じ化学であってもよく、又はRはRと比較して1つ以上の追加の糖残基を含んでいてもよい。態様では、Rは、β-Glc-β-Xylなどのキシロース残基を含むオリゴ糖部分であり、これはGlc2C→Xyl1Cグリコシド結合を有し得る。態様では、Rは、グルコース又はラムノースなどの1つ以上の他の糖残基を含むことができる。更に他の態様では、19位でキシロシル化される式Iの化合物は、ステビオシド、レバウジオシドA(RebA)、レバウジオシドC(RebC)、レバウジオシドD(RebD)、レバウジオシドF、レバウジオシドG、及びズルコシド-Aから選択され、ステビオシド、RebA、及びRebCが好ましい基質である。
【0014】
いくつかのアプローチにおいて、本明細書に開示される方法は、式IIの化合物を提供する。
【0015】
【化3】
化学的にアノテートされたSG-[13-β-Glc[(3→1)β-Glc](2→1)β-Glc(1-2)]-[19-β-Glc(2→1)βXyl及びレバウジオシドDG(rebaudioside DG、RebDG)と命名された。
【0016】
態様では、本開示は、キシロシル化ステビオールグリコシドを形成する方法を提供し、本方法は、反応組成物を使用する。反応組成物は、(i)式Iのステビオールグリコシド化合物と、(ii)活性化キシロースと、(iii)UDP-キシロース:19-ステビオールキシロシルトランスフェラーゼ活性を有するグリコシルトランスフェラーゼと、を含む。生成物組成物は、反応組成物から形成され、ここでは、RebDGなどの式IIのキシロシル化ステビオールグリコシド化合物は、グリコシルトランスフェラーゼが活性化キシロースから式Iの化合物にキシロースを転移させることによって形成される。
【0017】
いくつかの態様では、反応組成物において、式Iの化合物は、その中のステビオールグリコシドアクセプターの50%(mol)超から最大100%(mol)の量で存在し得る。反応組成物は、非活性化糖及び塩、所望の範囲のpH、活性化キシロース、ステビオールグリコシドアクセプター、並びにステビオールグリコシドアクセプターへのキシロースの転移のための最適化された反応条件を提供するための、ステビオールグリコシドアクセプターに対する活性化キシロースに対して所望の量のポリペプチドなどの成分を含み得る。いくつかの態様では、活性化キシロースは、ステビオールグリコシドアクセプターに対してモル過剰で使用される。本方法では、式Iのステビオールグリコシド化合物の2%、5%、7%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、65%、75%超、又は80%超が、RebDGなどの式IIのキシロシル化ステビオールグリコシド化合物に変換され得る。
【0018】
他の態様では、本開示は、操作された細胞を使用してキシロシル化ステビオールグリコシドを形成するための方法を提供し、操作された細胞は、式Iのステビオールグリコシド化合物を作製することができ、細胞は、配列番号1、配列番号2、若しくは配列番号3のうちの1つなどのUDP-キシロース:19-ステビオールキシロシルトランスフェラーゼ活性を有するグリコシルトランスフェラーゼ、又は配列番号1~3のいずれかのグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドに対して少なくとも50%の同一性を有するポリペプチドを発現する。
【0019】
活性化キシロースは、例えば、活性化キシロースを外部供給源から細胞に供給することによって、操作された細胞中に提供されるか、又は操作された細胞は、活性化キシロースを作製することができる。ポリペプチドは、キシロースを活性化キシロースから式Iの化合物に転移させて、式IIのキシロシル化ステビオールグリコシド化合物を形成する。いくつかの態様では、アクセプター分子として使用される式Iのステビオールグリコシド化合物を作製するために使用されるステビオールグリコシド(前駆体)化合物を、細胞に供給することができる。いくつかの態様では、RebAなどの式Iのステビオールグリコシド化合物を細胞に供給し、これを次にキシロシル化のためのアクセプターとして直接使用して、RebDGなどの式IIの化合物を形成することができる。
【0020】
他の態様では、本開示は、式Iのステビオールグリコシド化合物を形成するための経路を有する操作された細胞を提供する。細胞は、細胞内で形成され得る式Iではないステビオールグリコシドの量よりも多い量で、ステビオシド、RebA、又はRebCなどの式Iのステビオールグリコシド化合物を提供するように操作される。細胞はまた、UDP-キシロース:19-ステビオールキシロシルトランスフェラーゼ活性を有するグリコシルトランスフェラーゼを発現し、ポリペプチドは、活性化キシロースから式Iの化合物にキシロースを転移させて、式IIのキシロシル化ステビオールグリコシド化合物を形成することができる。
【0021】
他の態様では、本開示は、式IIの化合物を含むステビオールグリコシドの混合物を含む摂取可能な組成物又は水性組成物を提供し、ここでは、RebDGなどの式IIの化合物が、組成物中の任意の他の単一のステビオールグリコシドより多い量で存在する。更なる態様では、そのような摂取可能な組成物又は水性組成物中に式IIの2つ以上の化合物が存在し、式IIの化合物は、組成物中の他のステビオールグリコシドの総量よりも多い総量で存在する。別の態様では、任意選択でレバウジオシドMを含み、レバウジオシドMが存在する場合、レバウジオシドMより多い量で存在する式IIの化合物を含むステビオールグリコシドの混合物を含む摂取可能な組成物又は水性組成物、式IIの化合物は、任意選択で、摂取可能な組成物又は水性組成物中の全てのステビオールグリコシドの1%(mol)以上、例えば、2%、3%、又は5%(mol)以上を構成する。
【0022】
ステビオールグリコシドの混合物を含む組成物は、UDP-キシロース:19-ステビオールキシロシルトランスフェラーゼ活性を有するグリコシルトランスフェラーゼを含む反応組成物又は操作された細胞から得ることができる。
【0023】
更に別の態様では、本開示は、驚くほど高レベルのUDP-キシロース:19-ステビオールキシロシルトランスフェラーゼ活性を有する操作されたグリコシルトランスフェラーゼ変異体を提供する。グリコシルトランスフェラーゼ変異体は、配列番号1に対して152位でセリン(野生型)をイソロイシン(変異体)残基に変化させる変異アミノ酸を含む。アミノ酸変化は、活性化キシロースの存在下での19位でのステビオールグリコシド分子のキシロシル化の顕著な増加をもたらす。
【0024】
したがって、別の態様では、本開示は、配列番号1に対して50%以上、90%以上、95%以上、又は98%以上の同一性を有するポリペプチド及び以下のアミノ酸:I152を含む、UDP-キシロース:19-ステビオールキシロシルトランスフェラーゼ活性を有するグリコシルトランスフェラーゼ変異体を提供する。いくつかの態様では、グリコシルトランスフェラーゼ変異体は配列番号2であり、配列番号2は、配列番号1と比較して152位に単一のセリンからイソロイシンへの変化を有する配列を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】ステビオール塩基の化学構造、並びにR及びR基の化学的定義を有する様々なステビオールグリコシドの表を示す。
図2】真核生物及び/又は古細菌酵素を使用した、アセチル-CoAのイソペンテニル二リン酸(isopentenyl diphosphate、IPP)及びジメチルアリル二リン酸(dimethylallyl diphosphate、DMAPP)への変換のためのメバロン酸(mevalonate、MVA)経路を示す。
図3】グリセルアルデヒド-3-リン酸(glyceraldehyde-3-phosphate、G3P)及びピルビン酸(PYR)のIPP及びDMAPPへの酵素的変換のための非メバロン酸(MEP)経路を示す。
図4】IPP及びファルネシルピロリン酸(farnesyl pyrophosphate、FPP)のステビオールへの変換のための酵素経路を示す。
図5】配列番号1の酵素及びUGT76G1酵素を使用したUDP-キシロースによる平均%SGアクセプター変換を示すグラフである。
図6】配列番号1(AC133334)のアミノ酸配列である。
図7】配列番号1と他のグリコシルトランスフェラーゼ又はその変異体とのアミノ酸配列アラインメントである。
図8A】配列番号1のポリペプチド及び1mMの活性化糖の存在下での、UDP-グルコース及びUDP-キシロースからRebAへのグルコース及びキシロースの経時的な転移を示すグラフである。
図8B】配列番号1のポリペプチド及び2mMの活性化糖の存在下での、UDP-グルコース、UDP-キシロース、及びUDP-ラムノースからRebAへのグルコース、キシロース、及びラムノースの経時的な転移を示すグラフである。
図9A】配列番号1のポリペプチドの存在下での、UDP-グルコース、UDP-キシロース、及びUDP-ラムノースからReb F、Reb G、及びズルコシドAの-19C(O))-β-Glc残基への経時的な転移を示すグラフである。
図9B】配列番号1のポリペプチドの存在下での、UDP-グルコース、UDP-キシロース、及びUDP-ラムノースからReb F、Reb G、及びズルコシドAの-19C(O))-β-Glc残基への経時的な転移を示すグラフである。
図9C】配列番号1のポリペプチドの存在下での、UDP-グルコース、UDP-キシロース、及びUDP-ラムノースからReb F、Reb G、及びズルコシドAの-19C(O))-β-Glc残基への経時的な転移を示すグラフである。
図10】配列番号1と配列番号2~4とのアミノ酸配列アラインメントである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書に記載される本開示の態様は、網羅的であるか、又は特許請求の範囲を以下の詳細な説明で開示されるまさにその形態に限定することを意図しない。むしろ、選択及び説明される態様の目的は、開示の原理及び実施についての当業者による深い認識及び理解が容易となり得るようにすることである。
【0027】
本開示の方法は、UDP-キシロース:19-ステビオールキシロシルトランスフェラーゼ活性を有するグリコシルトランスフェラーゼ(いくつかの態様では、配列番号1~3のいずれかと少なくとも50%の同一性を有するポリペプチドである)及び活性化キシロース分子を使用して、ステビオールグリコシドアクセプター分子からキシロシル化ステビオールグリコシドを形成する方法を提供する。配列番号1のグリコシルトランスフェラーゼポリペプチド及び活性化キシロースの存在下で、ステビオールグリコシドアクセプター分子は、19位の炭素で優先的にキシロシル化されて、19位の炭素に結合したキシロース残基を有するか、又は19位の炭素に結合したオリゴ糖中に存在する1つ以上のキシロース残基を有するキシロシル化ステビオールグリコシドを形成することが見出された。
【0028】
本開示の方法は、ステビオールグリコシドアクセプター、配列番号1~3のいずれかと少なくとも50%の同一性を有するグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドなどのUDP-キシロース:19-ステビオールキシロシルトランスフェラーゼ活性を有するグリコシルトランスフェラーゼ、及びUDP-キシロースなどの活性化キシロースを含む反応組成物(例えば、操作された細胞を必要としないインビトロ方法)を使用して実施することができる。
【0029】
本開示の方法はまた、配列番号1~3のいずれかと少なくとも50%の同一性を有するグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドなどのUDP-キシロース:19-ステビオールキシロシルトランスフェラーゼ活性を有するグリコシルトランスフェラーゼを発現する操作された細胞、及びUDP-キシロースなどの活性化キシロースを使用して実施することができる。操作された細胞はまた、19位の炭素におけるキシロシル化のためのアクセプター分子であるステビオールグリコシド化合物を作製する経路を有し得る。いくつかの態様では、操作された細胞はまた、ステビオールグリコシド化合物をキシロシル化するためにポリペプチドによって利用され得る活性化キシロースを作製する経路を有し得る。例えば、操作された細胞はまた、UDP-キシロースの産生のためのUDP-グルコースデヒドロゲナーゼ及び/又はUDP-グルクロン酸デカルボキシラーゼのうちの1つ以上を含むことができる。あるいは、操作された細胞に、細胞によって取り込まれ、グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドによって使用され得る活性化キシロースを供給することができる。あるいは、操作された細胞に、19位のCでキシロシル化のためのアクセプター分子として働くことができるか、又はステビオールグリコシドアクセプター分子の形成の前駆体として働くことができるステビオールグリコシド分子を供給することができる。
【0030】
本明細書で使用される場合、「ステビオールグリコシド」という用語は、ステビオールのグリコシド、すなわち、ステビオール塩基に結合した1つ以上の糖残基を指す。構造的に、ステビオールグリコシドは、単一のステビオール塩基である中央分子部分、及び以下に示す塩基上の原子番号付与に従った、ステビオール塩基のC13及び/又はC19原子に結合したグルコピラノシル残基を有する。すなわち、1つ以上のグリコピラノシル残基が、式I中の基R及び/又はRに存在してもよい。
【0031】
【化4】
【0032】
ステビオールグリコシド中に存在し得るグリコピラノシル残基としては、グルコース、ラムノース、アラビノース、及びキシロースに基づくものが挙げられる。フルクトース及びデオキシグルコースなどの他の糖残基は、ステビオールグリコシド中に存在し得る。R及び/又はRの一方又は両方が単一のグリコピラノシル基を有する場合、ステビオールグリコシドの単糖類部分又は単糖類基と称することができる。R及び/又はRの一方又は両方が2つ以上のグリコピラノシル基を有する場合、ステビオールグリコシドのオリゴ糖部分/基と称することができる。オリゴ糖部分は、その部分内の同じタイプのグリコピラノシル残基からなることができ(ホモオリゴ糖部分)、又はその部分内の異なるタイプのグリコピラノシル残基からなることができる(ヘテロオリゴ糖部分)。
【0033】
オリゴ糖部分はまた、オリゴ糖中のグリコピラノシル残基間の化学結合に関して説明することもできる。例えば、オリゴ糖部分において、結合は、グリコピラノシル環上の番号付け及びグリコシド結合の立体化学に基づいて、1→2、1→3、1→4、又は1→6、アルファ(α)又はベータ(β)グリコシド結合であり得る。アルファ(α)グリコシド結合においては、グリコシド結合のアノマー炭素から酸素原子への結合は、グリコピラノシル環から下向きに配向しているが、一方ベータ(β)グリコシド結合においては、結合はグリコピラノシル環から上向きに配向している。ステビオールグリコシドのオリゴ糖部分は、直鎖又は分岐構造を有することができ、分岐構造は、オリゴ糖部分中の2つ以上の他の糖残基に結合した少なくとも1つの糖残基を有する。グリコピラノシル残基は、任意選択で、第一級グリコピラノシル残基が19C及び/又は13C原子に直接結合し、第二級グリコピラノシル残基が第一級グリコピラノシル残基に直接結合し、第三級グリコピラノシル残基が第二級グリコピラノシル残基に直接結合するなど、第一級、第二級、第三級残基などのステビオール塩基の19C及び13Cへの順序付けられた結合に関連して記述することができる。様々な既知のステビオールグリコシドが、式Iのステビオール塩基構造、並びにそれぞれステビオール塩基の19C及び13C位に結合したR及びR基に関連して、図1に示されている。例えば、食品添加物公定書(Compendium of Food Additive Specifications)(Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives;84th Meeting 2017,FAO JECFA Monographs)を参照されたい。
【0034】
本開示の方法は、UDP-キシロース:19-ステビオールキシロシルトランスフェラーゼ活性を有するグリコシルトランスフェラーゼを使用する。「グリコシルトランスフェラーゼ」は一般に、糖部分をアクセプター分子に転移させることができる酵素を指し、「ステビオールグリコシルトランスフェラーゼ」又は「ステビオールグリコシドグリコシルトランスフェラーゼ」はそれぞれ、糖部分をステビオール塩基アクセプター又はステビオールグリコシドアクセプターのいずれかに転移させることができる。グリコシルトランスフェラーゼはまた、ステビオール又はステビオールグリコシド分子上の特定の位置(単数又は複数)に特定の糖部分(単数又は複数)を付加するその活性についても記載され得る。本開示の方法、組成物、及び操作によれば、配列番号1のポリペプチドなどの、UDP-キシロース:19-ステビオールキシロシルトランスフェラーゼ活性を有するグリコシルトランスフェラーゼが使用される。UDP-キシロース:19-ステビオールキシロシルトランスフェラーゼ活性は、キシロース部分をUDP-キシロースから19C原子に、又は19C原子に直接若しくは間接的に結合した(及び19C原子から伸びている)糖残基をステビオールアクセプター分子に転移する酵素活性を指す。グリコシルトランスフェラーゼは、UDP-キシロース:19-ステビオールキシロシルトランスフェラーゼ活性を排他的に有していなくてもよく、UDP-キシロース:13-ステビオールキシロシルトランスフェラーゼ活性、及び/又はUDP-グルコース:19-ステビオールグルコシルトランスフェラーゼ活性、及び/又はUDP-グルコース:19-ステビオールグルコシルトランスフェラーゼ活性、及び/又はUDP-ラムノース:19-ステビオールラムノシルトランスフェラーゼ活性、及び/又はUDP-ラムノース:19-ステビオールラムノシルトランスフェラーゼ活性などの異なるグリコシルトランスフェラーゼ活性を更に有してもよい(又は有さなくともよい)。本開示のグリコシルトランスフェラーゼは、(13位よりも)-ステビオール/ステビオールグリコシドの19位にキシロースを優先的に付加することができる。グリコシルトランスフェラーゼが19位にキシロースを優先的に付加する能力は、グリコシルトランスフェラーゼ及びUDP-キシロースを含む組成物を使用してアッセイを行い、反応生成物を分析することによって決定することができ、生成物の50mol%超(又は>60%、>70%、>80%、>90%、>95%、>97%、>98%、若しくは>99%)が19(c)位でキシロシル化されたステビオールグリコシドである。
【0035】
態様では、配列番号1~3のいずれかと少なくとも50%の同一性を有するグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドを使用して、1つ以上のキシロース残基をステビオールグリコシドアクセプター分子の19位の炭素に転移させる。本方法において、ステビオールグリコシドアクセプター分子は、単一のグルコピラノース部分、又はステビオールグリコシドの19位の炭素に結合した1つ以上のグルコピラノース残基を含むオリゴ糖部分を有する。ステビオールグリコシドアクセプターは、式Iの化合物であり得る。
【0036】
【化5】
式中、Rはグルコース残基を含み、Rは1つ以上の糖残基を含むか、又は水素である。キシロシル化のための例示的なステビオールグリコシドアクセプターは、ステビオシド、レバウジオシドA(RebA)、レバウジオシドC(RebC)、レバウジオシドD(RebD)、レバウジオシドF、レバウジオシドG、及びズルコシド-Aから選択され、ステビオシド、RebA、及びRebCが好ましい基質である。
【0037】
いくつかの場合では、配列番号1、2、又は3のグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドは、活性化キシロースを利用して、キシロースを19位の炭素でグルコピラノース残基に結合させ、キシロース残基にグリコシド結合したグルコピラノース残基を含むオリゴ糖をもたらす。酵素反応は、式IIの化合物をもたらすことができ、
【0038】
【化6】
式中、Rはキシロース残基を含み、Rは式Iの化合物中のRと同じ化学を有するか、又はRはRと比較して1つ以上の追加の糖残基を含む。いくつかの場合では、グリコシルトランスフェラーゼは、1つ以上のキシロース、グルコース、又はラムノース部分を13位の炭素に(例えば、13位の炭素に結合した糖残基に)付加する。態様では、Rは、β-Glc-β-Xyl(これはGlc2C→Xyl1Cグリコシド結合を有し得る)などのキシロース残基を含むオリゴ糖部分である。例えば、キシロシル化ステビオールグリコシドは、ステビオール塩基の19位の炭素に結合したオリゴ糖部分(R)を含むことができ、オリゴ糖部分はβ-Glc-β-Xylを含み、β-Glc-β-Xylは、Glc2C→Xyl1Cグリコシド結合を有し得る。式IIの例示的な生成物は、レバウジオシドDGと呼ばれる、SG-[13-β-Glc[(3→1)β-Glc](2→1)β-Glc(1-2)]-[19-β-Glc(2→1)β-Xylである。
【0039】
グリコシルトランスフェラーゼは、糖(グリコシル)部分のアクセプター分子への転移を触媒する酵素のファミリーを構成する。一般的なアクセプター分子としては、多糖類、糖タンパク質、糖脂質、及びテルペンを含む糖類及び非糖類が挙げられる。典型的にはヌクレオシド二リン酸糖の形態である活性化された単糖は、糖部分のアクセプター分子への転移のための基質として使用される。単糖単位は、ステビオール又はステビオールグリコシド分子上のヒドロキシル又はカルボキシル部分に、又はステビオール塩基に結合しているグルコース基上のヒドロキシル基に転移させることができる。グリコシルトランスフェラーゼは、UDP-グルコースからβ-グルコシドを形成するなど、糖のアノマー立体配置を反転させるか、又はUDP-グルコースからα-グルコシドを形成するなど、アノマー立体配置を保持することができる。
【0040】
ウリジン二リン酸(Uridine diphosphate、UDP)グリコシルトランスフェラーゼ(Uridine glycosyltransferase、UGT)は、天然産物のグリコシル化、特に植物天然産物への様々な糖の転移を行うファミリー1グリコシルトランスフェラーゼ(glycosyltransferase、GT)のメンバーである。異なるタイプの植物産物のグリコシル化に関与する多くのUGT遺伝子サブファミリーも存在する。例えば、Wang,X.(2009)FEBS Letters 583:3303-3309を参照されたい。GTは、配列相同性に基づいてファミリー及びサブファミリーに分類されている。Li,et al.,2001,J.Biol.Chem.276:4338-4343を参照されたい。各々が42アミノ酸コンセンサス配列を含有するUGTをコードする100を超える遺伝子のスーパーファミリーがモデル植物シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)において同定されており、UGTをコードする遺伝子はいくつかの他の高等植物種においても同定されている。各GTファミリーは、配列によって、結果としてタンパク質フォールディングのタイプによって関連付けられるタンパク質から構成される。したがって、触媒機構の保存に基づいてファミリー内に予測可能性が存在する。GTポリペプチドはまた、アミノ酸類似性によってファミリーに分類されている(例えば、Coutinhoet al、2003を参照されたい)。活発にキュレートされているGTファミリー及びメンバーのリストは、糖質関連酵素(Carbohydrate Active Enzyme)データベースのafmb.cnrs-mrs.fr/CAZYに見出すことができる。
【0041】
いくつかの植物UGTの結晶構造は、酵素のGTスーパーファミリーの2つの一般的なフォールドのうちの1つであるGT-Bフォールドの存在を明らかにし、また、これらのUGTが、類似のロスマン様フォールドを有する2つのN末端及びC末端ドメインを有することを明らかにする。いくつかのUGT結晶構造は、タルウマゴヤシ(M.truncatula)UGT71G1、UGT85H2、UGT78G1、ブドウ(ヴィティス・ヴィニフェラ(Vitis vinifera))VvGT1 26、及びシロイヌナズナ(A.thaliana)UGT72B1の結晶構造を含む。例えば、Shao,H.,et al.(2005)Plant Cell,17:3141-3154)、Modolo,L.V.,et al.(2009),pp.J.Mol.Biol.,392:1292-1302、L.Li,L.et al.(2007)J.Mol.Biol.,370:951-963、Offen,W.,et al.(2006)EMBO J.,25:1396-1405、Brazier,M.et al.(2007),Proc.Natl.Acad.Sci.104:20238-20243、及びBourne,Y.,and Henrissat,B.(2001)Curr.Opin.Struct.Biol.,11:593-600を参照されたい。また、レバウジオシドAからレバウジオシドDを合成するためのUDP依存性グリコシルトランスフェラーゼ配列番号1の触媒効率を改善するために、タンパク質構造予測、配列最適化、及び分子動力学シミュレーションを組み合わせた計算戦略を使用した配列番号1のモデル化構造について記載している、Lin,Mら(Biochemical Engineering Journal,59,2020)も参照されたい。
【0042】
配列番号1の酵素は、GT-BフォールドサブファミリーUGTに属する。配列番号1は、イネ(Oryza sativa Japonica Group)由来の462個のアミノ酸のウリジン5’-ジホスホ(UDP)グリコシルトランスフェラーゼに相当する(例えば、米国特許第9,631,215号(#152)及びアクセス番号AC133334を参照のこと)。他のEUGTとのアラインメントに基づいて、活性部位、基質結合ポケット及びTDP結合部位を含む保存されたドメインのアミノ酸残基を配列番号1において同定することができる。
【0043】
本開示の方法は、配列番号1と少なくとも50%の同一性を有するポリペプチドを使用する。好ましくは、グリコシルトランスフェラーゼは、配列番号1に対して少なくとも55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%以上の同一性を有する。いくつかの態様では、グリコシルトランスフェラーゼは、配列番号1に対して100%の同一性を有する。
【0044】
インシリコモデリングシステムを使用して、配列番号1のポリペプチドとリガンドとの相互作用を予測し、これは、次には、配列番号1の相同体の解明された構造に基づいた。このインシリコモデリングにより、配列番号1-RebA-UDP-キシロース及び配列番号1-RebA-UDP-グルコースについて、基質と接触する配列番号1を有するアミノ酸残基を明らかにするデータが得られた。データは、RebA-UDP-キシロース(リガンド)相互作用に関与する以下のアミノ酸を明らかにした:W22、L23、A24、F25、G26、H27、L28、L29、P30、L57、P59、D90、V91、P92、H93、D94、R95、P96、D97、M98、V99、D128、F130、L150、G151、S152、M155、R190、M191、K192、R195、T196、K197、S199、S200、G201、M202、S203、L204、A205、R221、P249、P250、L251、Y277、A279、L280、G281、S282、E283、V284、P285、A308、L309、R310、R338、W339、V340、P341、Q342、M343、L346、F354、H357、C358、G359、W360、N361、S362、T363、E365、I378、F379、G380、D381、Q382、及びN385(アミノ酸表リスト「A」)。データは、以下の例外を除いて、同じアミノ酸がRebA-UDP-グルコース(リガンド)相互作用に関与することを明らかにした:P59及びD128はUDP-キシロース(リガンド)相互作用に関与するが、UDP-グルコース相互作用には関与せず、L149、S203、R310、及びI378はUDP-グルコース(リガンド)相互作用に関与するが、UDP-キシロース(リガンド)相互作用には関与せず、しかし、S203、R310、及びI378は依然としてRebA相互作用に関与する。
【0045】
比較配列分析により、以下のアミノ酸が配列番号1と他のUGTとの間で高度に保存されていることが明らかになった:M1、H16、V18、P21、W22、L23、A24、F25、G26、H27、P30、L34、L38、A39、G42、H43、S46、S49、T50、P51、N53、R56、L57、P58、V71、P76、L81、P82、A85、E86、T88、D90、A105、D107、L109、L117、D123、D128、W133、A138、A153、P180、E187、S200、R207、R221、S222、E225、E227、P241、G246、P249、W266、L267、Q270、S274、V275、Y277、V278、A279、G281、S282、E283、E293、L294、A295、G297、L298、E299、F305、W307、R310、L321、P322、G324、F325、R328、G333、V335、W339、P341、Q342、I345、L346、H348、V351、G352、F354、L355、T356、H357、G359、S362、E365、L373、L376、P377、D381、Q382、G383、N385、A386、R387、G395、V398、R400、D404、G405、F407、V412、A413、V419、及びA433(アミノ酸リスト「B」)。
【0046】
比較分析はまた、UGTにおいて高度に保存されているが、配列番号1においては保存されていない以下のアミノ酸を明らかにした:M15、A35、Q36、S87、H102、R103、V143、F244、M248、A301、R304、A350、A415、S425、及びQ430(アミノ酸リスト「C」)。
【0047】
いくつかの態様では、グリコシルトランスフェラーゼは、配列番号1に対して、99.8%未満の同一性を有するが、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%超、又は99%以上の同一性を有し、グリコシルトランスフェラーゼは、アミノ酸リスト「A」の位置にない、アミノ酸リスト「B」の位置にない、又は「A」及び「B」の両方の位置にない1つ以上の変異アミノ酸を有する。いくつかの態様では、配列番号1に基づくグリコシルトランスフェラーゼは、アミノ酸リスト「C」の位置にある1つ以上の変異アミノ酸を有する。
【0048】
いくつかの態様では、UDP-キシロース:19-ステビオールキシロシルトランスフェラーゼ活性を有するグリコシルトランスフェラーゼは、アミノ酸モチーフ:配列番号1:WLAFGHLLP(配列番号5)、LPP;NDVPHDRPDMV(配列番号6)、DVF、LLGSAHM(配列番号7);RMKLIRTKGSSGMSLA(配列番号8);PPL;YVALGSEVP(配列番号9);ALR;RWVPQMSIL(配列番号10);FLTHCGWNSTIE(配列番号11);IFGDQGPN(配列番号12)、のうちの1つ以上を含む。これらのモチーフは、配列番号1における以下のアミノ酸位置に対応する:22~30、57~59、90~99、128~130、149~155、190~205、249~251、277~285、308~310、338~346、354~365、及び378~385。
【0049】
Hughes及びHughes(DNA Sequence,5:41-49,1994)は、全てのグリコシルトランスフェラーゼについてのコンセンサスモチーフが、二次代謝植物UGTに典型的な44アミノ酸のコンセンサスへと、タンパク質のN末端に向かって精製及び伸長され得ることを示した。この植物二次産物グリコシルトランスフェラーゼ(plant secondary product glycosyltransferase、PSPG)モチーフは、後に、他の植物種由来の全てのクローン化二次代謝UGTにおいて見出された。
【0050】
いくつかの態様では、UDP-キシロース:19-ステビオールキシロシルトランスフェラーゼを有するグリコシルトランスフェラーゼは、RebA-UDP-グルコース(リガンド)相互作用に関与するが、RebA-UDP-キシロース(リガンド)相互作用には関与しない位置に1つ以上の変異アミノ酸を有する。本明細書に記載されるように、データは、以下の例外を除いて、同じアミノ酸がRebA-UDP-グルコース(リガンド)相互作用に関与することを明らかにした:P59及びD128はUDP-キシロース(リガンド)相互作用に関与するが、UDP-グルコース相互作用には関与せず、L149、S203、R310、及びI378はUDP-グルコース(リガンド)相互作用に関与するが、UDP-キシロース(リガンド)相互作用には関与せず、しかし、S203、R310、及びI378は依然としてRebA相互作用に関与する。したがって、配列番号1又は2と比較して、グリコシルトランスフェラーゼは、以下の位置:L149、S203、R310、及びI378W339のうちの1つ以上に変異アミノ酸を有し得る。
【0051】
1つ以上のアミノ酸変異体は、非保存的置換(より好ましい)、又は保存的置換(あまり好ましくない)であり得る。そのような変異は、UDP-グルコースと相互作用するグリコシルトランスフェラーゼの相互作用の低減をもたらすことができ、次に、UDP-キシロースとの相互作用に有利に働き、ステビオールグリコシドアクセプター分子のより大きなキシロシル化を駆動する。他の態様では、配列番号1又は2に関して、グリコシルトランスフェラーゼは、以下の位置:M15、A35、Q36、S87、H102、R103、V143、F244、M248、A301、R304、A350、A415、S425、及びQ430(アミノ酸リスト「C」)の1つ以上に変異アミノ酸を有することができる。
【0052】
いくつかの態様では、UDP-キシロース:19-ステビオールキシロシルトランスフェラーゼ活性を有するグリコシルトランスフェラーゼは、配列番号1と比べて以下のアミノ酸変異を含む:I152。配列番号1~3のいずれか1つに対して100%未満の同一性を有するポリペプチドを使用する態様では、同一性の差は、ポリペプチドの1つ又は複数の領域、例えば、配列番号1と同じファミリーの1つ又は複数の他のUGTとのアラインメントに基づいて、活性部位、基質結合ポケット、及びTDP結合部位にとって重要であると理解されている領域の外側の領域、及び/又は保存領域の外側の領域における1つ以上のアミノ酸置換に起因し得る。あるいは、1つ以上のアミノ酸置換、欠失、又は付加が配列番号1~3のいずれかになされる場合、それらは、好ましくは、配列番号1~3のいずれかと同じファミリーの他のUGTとの間でより低い程度の同一性を有する位置でなされる。いくつかの態様では、グリコシルトランスフェラーゼは、ある特定の配列特徴を保持しながら、配列番号1、配列番号2、又は配列番号3の配列のものから配列を変化させる1つ以上のアミノ酸置換、欠失、又は付加を有する。すなわち、配列番号1が改変される場合、それは、保存されている領域及び/又はタンパク質の酵素的機能に重要な領域の外側の1つ以上のアミノ酸位置で改変される。
【0053】
図7は、配列番号1と、配列番号1に対する相同性を有する変異体又は他のグリコシルトランスフェラーゼとのアラインメントを示す。アラインメントに示されるように、特定の位置の影付きアミノ酸の列は、配列番号1鋳型中の対応するアミノ酸と同一性又は類似性を有する配列番号1相同体中のアミノ酸を表す。同様に、図10は、配列番号1と配列番号2~4とのアラインメントを示し、陰影は、アミノ酸の異なる群の特性を表す。
【0054】
好ましい態様では、配列番号1、配列番号2、又は配列番号3の任意の変異体は、その位置に変異アミノ酸を有さないか、又は変異体が存在する場合、保存的アミノ酸置換であるかのいずれかである。例えば、2つ以上のグリコシルトランスフェラーゼ配列(そのうちの1つは、配列番号1、配列番号2、又は配列番号3である)の任意のアラインメントを使用して、変異体グリコシルトランスフェラーゼは、グリコシルトランスフェラーゼ鋳型(例えば、配列番号1、配列番号2、又は配列番号3)において、配列番号1、配列番号2、又は配列番号3に対して3位~15位、18位~20位などと整列する任意のアミノ酸位置で作製された1つ以上のアミノ酸置換によって生成され得る(影なしのアミノ酸によって反映されるように)。そのような置換は、好ましくは保存的置換であり得るが、機能が影響を受けない場合、非保存的置換が使用され得る。1、2、16、17、21~24などの配列番号1、配列番号2、又は配列番号3などの鋳型中の影付きアミノ酸は、変異体が使用若しくは調製される場合、又はそれらが多くても保存的アミノ酸置換が使用される場合、好ましくはいかなる置換も受けない。
【0055】
特定の配列の「保存的アミノ酸置換」又は「保存的変異」は、1つのアミノ酸又は一連のアミノ酸の、機能的に同一のアミノ酸による置換を指す。機能的に類似したアミノ酸を提供する保存的置換表は、当技術分野において周知であり、同じタイプの官能基又は側鎖極性、サイズ、形状若しくは電荷を有する別のアミノ酸による1つのアミノ酸の置換を含む(例えば、脂肪族残基、芳香族残基、正に荷電した残基、負に荷電した残基、極性残基、非極性残基、正の極性残基、負の極性残基、非荷電極性残基、非極性疎水性残基、イオン性酸性残基、イオン性塩基性残基、又は硫黄含有残基)。以下の6つの群はそれぞれ、互いに保存的置換であり得るアミノ酸を含む:1)アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リジン(K);ヒスチジン(H);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);及び6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。
【0056】
配列番号1、配列番号2、又は配列番号3と相同ポリペプチドとの間のポリペプチド配列同一性領域は、本明細書に記載の配列アラインメントツールを用いて理解することができる。
【0057】
本開示のグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドはまた、天然グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドの1つ以上の領域に対する欠失を有し得、ここで、欠失は、ポリペプチドのグリコシルトランスフェラーゼ活性に影響を及ぼさない。欠失は、例えば、本明細書に記載の配列(a)~(i)などの、タンパク質の酵素的機能に保存されている及び/又は重要である領域に関する情報を含む、天然グリコシルトランスフェラーゼの構造及び機能に関する既知の情報に基づくことができる。
【0058】
2つ以上のグリコシルトランスフェラーゼからの「対応する」アミノ酸の決定は、それらのアミノ酸配列の全て又は一部のアラインメントによって理解することができる。配列アラインメント及び配列同一性の生成には、グローバルアラインメント及びローカルアラインメントが含まれ、これらは典型的には計算アプローチを使用する。グローバルアラインメントを提供するために、全ての問い合わせ配列の全長にわたる配列アラインメントを強制する大域的最適化が使用される。比較により、局所的アラインメントでは、長い配列内の類似性のより短い領域が同定される。
【0059】
本明細書で使用される場合、「等価な位置」は、1つのグリコシルトランスフェラーゼのアミノ酸配列の最良のアラインメントに基づく、又は三次元構造のアラインメントとしての、2つの配列(例えば、配列番号1及び所望の置換を有する異なるUGT配列)に共通である位置を意味する。したがって、配列アラインメント若しくは構造アラインメントのいずれか、又は両方を使用して、同等性を決定することができる。
【0060】
本明細書に記載されるアミノ酸位置は、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列に関連するが、同じ配列長を有さないが、Schrodingerプラットフォームv 2020-4において実行されるような10個の位置のオープニングギャップ及び0.2個の伸長ギャップを有するMUSCLEアルゴリズムを使用してなおアラインメントされ得る、他のグリコシルトランスフェラーゼにおける対応する位置が本開示の方法において使用される。図10に示すように、配列番号1又は配列番号2は、配列番号3及び4と良好なアラインメントを有し、したがって、配列番号1及び3に対する配列番号3及び4のいずれかにおける対応する位置の同定は、容易に理解することができる。例えば、配列番号3において、アミノ酸位置は、最初の44アミノ酸について配列番号1及び2から-10シフトされ(すなわち、配列番号1における11位は配列番号3における1位である)、次いで、配列番号3における次の49アミノ酸について-9シフトされる。
【0061】
いくつかの実施様式において、BLASTアルゴリズムは、配列類似性又は同一性を比較及び決定するために使用される。更に、重み又はスコアを割り当てることができる配列中のギャップの存在又は有意性を決定することができる。これらのアルゴリズムはまた、ヌクレオチド配列類似性又は同一性を決定するために使用され得る。関連性を決定するためのパラメータは、統計学的類似性及び決定された一致の有意性を計算するための当該分野で公知の方法に基づいて計算される。関連する遺伝子産物は、高い類似性(例えば、50%を超える配列同一性)を有すると予想される。BLASTアルゴリズムを使用して2つ以上の配列の関連性を決定するための例示的なパラメータは、以下の通りであり得る。
【0062】
いくつかの実施様式において、アラインメントは、BLAST(アメリカ国立生物工学情報センター(National Center for Biological Information(NCBI))ローカルアラインメント検索ツール(Basic Local Alignment Search Tool)バージョン2.2.29ソフトウェアを使用してデフォルトパラメータを用いて行われる。デフォルトパラメータを用いてBLASTバージョン2.2.29アルゴリズムを使用して参照配列に対してXX%(例えば、80%)の同一性スコアを有する配列は、参照配列に対して少なくともXX%同一であるか、又は同等にXX%の配列同一性を有するとみなされる。
【0063】
グリコシルトランスフェラーゼ変異体が使用される場合、標的配列(例えば、グリコシルトランスフェラーゼオルソログ)中のどの対応するアミノ酸位置が1つ以上のアミノ酸で置換され得るかを決定するために、グローバルアラインメントが、配列番号1、配列番号2、又は配列番号3に対して有意な同一性を有する配列をアラインメントするために使用され得る。
【0064】
本開示の態様では、キシロシル化ステビオールグリコシドを形成する方法は、反応組成物中で行われる。反応組成物は、所望のタイプ及び量の以下の試薬を含むように調製することができる:(i)式Iのステビオールグリコシド化合物(ステビオールグリコシドアクセプター)、(ii)活性化キシロース、及び(iii)UDP-キシロース:19-ステビオールキシロシルトランスフェラーゼ活性を有するグリコシルトランスフェラーゼ、例えば、配列番号1と少なくとも50%の同一性を有するもの。反応組成物は、成分(i)、(ii)、及び(iii)を含むことができ、これは、(i)、(ii)、及び(iii)とは異なる他の成分が反応組成物中に任意選択で含まれ得ることを意味する。反応組成物は、非活性化糖、補因子、及び反応が行われる液体又は液体混合物などの他の成分を含むことができる。
【0065】
反応組成物は、式Iのステビオールグリコシドアクセプターを含み、
【0066】
【化7】
式中、Rは、グルコース残基を含み、Rは、1つ以上の糖残基を含むか、又は水素である。いくつかの場合では、Rは、β-Glcなどの単一グルコース残基である。Rに単一のグルコース残基を有するステビオールグリコシドアクセプターの例としては、ステビオールモノグルコシルエステル(R=β-Glu、R=-Η)、ルブソジド(R=β-Glc、R=β-Glc、)、ステビオシド(R=β-Glc、R=-β-Glc(1-2)β-Glc)、レバウジオシドA(RebA;R=β-Glc、R=-β-Glc[β-Glc(1-3)]β-Glc(1-2)])、レバウジオシドC(RebC;R=β-Glc、R=-α-Rha(1-2)[β-Glc(1-3)]β-Glc)、レバウジオシドF(RebF;R=β-Glc、R=β-Glc(1-2)[β-Xyl(1-3)]β-Glc)、レバウジオシドG(RebG;R=β-Glu、R=-β-Glu(1-3)β-Glu)、及びズルコシドA(R=β-Glu、R=α-Rha(1-2)β-Glu-)が挙げられる。いくつかの態様では、式Iのステビオールグリコシドアクセプターは、純粋な形態(例えば、総ステビオールグリコシドの99.9%(重量)超)又は実質的に純粋な形態(例えば、総ステビオールグリコシドの99%(重量)超)で反応組成物に提供される。
【0067】
いくつかの態様では、式Iのステビオールグリコシドアクセプターは、1つ以上の他のステビオールグリコシドとの混合物として反応組成物に提供され得る。例えば、ステビオールグリコシドの混合物は、植物又は植物細胞からステビオールグリコシドを抽出するプロセスから得ることができる。あるいは、ステビオールの混合物は、1つ以上のステビオールグリコシドを産生することができる操作された生物から得ることができる。例えば、細胞培養又は発酵培地を使用して、ステビオールグリコシドの混合物を得ることができる(例えば、米国特許第9,631,215号、国際公開第2016/196321号(CAR0210/WO)、国際公開第2016/196345号(CAR0211/WO)、国際公開第2016/196368号(CAR0212/WO)を参照されたい)。
【0068】
いくつかの態様では、反応組成物において、ステビオールグリコシドアクセプター(式Iの化合物)は、例えば、ステビオールモノグルコシルエステル、ステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドF、レバウジオシドG、及びズルコシドAのいずれか1つ又は混合物であり得る。式Iのステビオールグリコシドアクセプターに加えて、反応組成物は、式Iのものとは異なり、キシロシル化のためのアクセプター分子ではない1つ以上の他のステビオールグリコシドを含み得る。アクセプター及び非アクセプターステビオールグリコシドの混合物を含む反応組成物は、葉(例えば、ステビオールの葉)抽出物から得ることができる。
【0069】
他の態様では、反応組成物は、式Iの1つ以上のステビオールグリコシドアクセプターを濃縮させることができる。例えば、反応組成物中で、式Iのステビオールグリコシドアクセプターは、反応組成物中のステビオールグリコシドの50%(mol)超、75%(mol)以上、85%(mol)以上、90%(mol)以上、92.5%(mol)以上、95%(mol)以上、97%(mol)以上、98%(mol)以上、99%(mol)以上、99.5%(mol)以上、若しくは99.9%(mol)以上、又は本質的に全てを構成する。いくつかの態様では、反応混合物のステビオールグリコシド成分は、式Iの1つ以上の化合物から本質的になり、これは、式Iではない他のステビオールグリコシドが、反応混合物のステビオールグリコシド成分中に非常に少量(全ステビオールグリコシドの1%(重量)未満)で存在し得ることを意味する。更に他の態様では、反応混合物のステビオールグリコシド成分は、式Iの1つ以上の化合物からなり、これは、式Iではない他のステビオールグリコシドが、反応混合物のステビオールグリコシド成分中に検出可能な量で存在しないことを意味する。
【0070】
いくつかの態様では、反応組成物は、その中のステビオールグリコシドの50%(mol)超、75%(mol)以上、85%(mol)以上、90%(mol)以上、92.5%(mol)以上、95%(mol)以上、97%(mol)以上、98%(mol)以上、99%(mol)以上、99.5%(mol)以上、若しくは99.9%(mol)以上、又は本質的に全てを構成する。他の態様では、反応組成物のステビオールグリコシド成分は、レバウジオシドAからなる。
【0071】
態様では、ステビオールグリコシド(steviol glycoside、SG)アクセプターは、ステビオールグリコシドアクセプターのいずれか1つ又は混合物であってもよく、SGアクセプターが反応混合物に可溶性である量で反応組成物中に存在する。例えば、(SG)アクセプターは、約0.01~約1.0モル(例えば、100μLの反応体積当たり約0.01μモル~約1μモルのSG)、約0.025~約0.5モル、又は約0.05~約0.2モルの範囲で存在し得る。
【0072】
組成物はまた、UDP-キシロース:19-ステビオールキシロシルトランスフェラーゼ活性を有するグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドを含む。いくつかの態様では、グリコシルトランスフェラーゼは、配列番号1又は2に対するアミノ酸リスト「A」及び/又はアミノ酸リスト「B」の以下のアミノ酸を含む。本開示のグリコシルトランスフェラーゼは、配列番号1又は2に対して少なくとも50%の同一性、好ましくは、配列番号1又は配列番号2に対して少なくとも60%、75%、85%、90%、95%、98%、又は99%以上の同一性を有するポリペプチドであり得る。米国特許第9,631,215号は、この融合タンパク質を発現する組換え大腸菌(E.coli)株からの6HISタグ化又はGSTタグ化配列番号1の精製を記載している。
【0073】
態様では、グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドは、反応組成物中に、約0.25%(重量)~約10%(重量)(例えば、100μLの反応体積当たり約0.25μg~約10μgのタンパク質)、約0.5%(重量)~約5%(重量)、又は約1%(重量)~約3%(重量)の範囲の量で存在する。
【0074】
必要に応じて、反応組成物中に存在するステビオールグリコシド(SG)アクセプター及びグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドの量は、互いに関連して記載され得る。例えば、反応組成物は、25μg:1μmol~5μg:1μmolの範囲、15μg:1μmol~7.5μg:1μmolの範囲、又は約10μg:1μmolのグリコシルトランスフェラーゼポリペプチド(重量)対ステビオールグリコシド(SG)アクセプター(mol)比を有し得る。
【0075】
反応組成物はまた、好ましくはUDP-キシロース(ウリジン[5’]ジホスホ-α-D-キシロピラノシド)の形態であり、これは市販されている(例えば、Biosynth Carbosynth,UK;Sigma-Aldrich)。態様では、UDP-キシロースは、約0.02~約2.0モル(例えば、100μLの反応体積当たり約0.02μモル~約2μモルのUDP-キシロース)、約0.05~約1.0モル、又は約0.1~約0.4モルの範囲の量で反応組成物中に存在する。UDP-キシロースは、以下の化学構造を有する:
【0076】
【化8】
【0077】
必要に応じて、反応組成物中に存在するUDP-キシロース及びステビオールグリコシド(SG)アクセプターの量、又はUDP-キシロース及びグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドの量は、互いに関連して記載され得る。例えば、いくつかの態様では、反応組成物は、式Iのステビオールグリコシド化合物(steviol glycoside compound of formula I、SGI)に対してモル過剰のUDP-キシロース(UDP-X)、又は1.1:1~100:1、1.1:1~10:1、1.2:1~5:1、又は1.5:1~3:1の範囲のUDP-X:SGIモル比を含む。いくつかの態様では、反応組成物は、50μg:1μmol~10μg:1μmolの範囲、25μg:1μmol~15μg:1μmolの範囲、又は約20μg:1μmolのグリコシルトランスフェラーゼポリペプチド(重量)対UDP-X(mol)比を含む。
【0078】
反応組成物はまた、反応を促進するために、1つ以上の非活性化糖成分を含み得る。例えば、組成物は、酵素反応の安定化を促進するために、スクロースなどの非活性化糖を含むことができる。他の非活性化糖としては、マルトース、トレハロース、グルコース、並びにグルコースシロップ及びマルトデキストリンなどのデンプン加水分解物が挙げられる。非活性化糖は、約10mM~約0.5M、又は約50mM~約0.2Mの範囲の量で使用することができる。任意選択で、非活性化糖及びステビオールグリコシド(SG)アクセプターの量は、互いに関連して記載することができる。例えば、いくつかの態様では、反応組成物は、モル過剰の非活性化糖対式Iのステビオールグリコシド化合物(SGI)を、0.1:1~1:1、1:1~5:1、2:1~5:1、5:1~10:1、又は10:1~20:1の範囲で含む;。
【0079】
組成物はまた、グリコシルトランスフェラーゼポリペプチドの補因子として使用され得る二価カチオンを提供する塩を含み得る。例示的な二価金属塩としては、マグネシウム及び/又はマンガン塩が挙げられ、これらは、反応混合物中で約0.5mM~約5mM又は約1mM~約4mMの範囲の量で使用することができる。
【0080】
反応は、クエン酸塩、リン酸塩、又はトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)を含むものなどの緩衝液を使用して、4.0~8.0、6.8~7.8、又は7.1~7.5の範囲のpHなどの中性又はわずかに塩基性のpHで行うことができる。
【0081】
いくつかの態様では、反応組成物は、(i)式Iのステビオールグリコシド化合物(ステビオールグリコシドアクセプター)と、(ii)活性化キシロースと、(iii)配列番号1に対して少なくとも50%の同一性を有するポリペプチドと、(iv)非活性化糖と、(v)二価カチオンの塩と、(vii)緩衝剤と、から本質的になる。
【0082】
反応は、ステビオールグリコシドアクセプター分子のキシロシル化を促進するために所望の温度及び時間で行うことができる。例えば、反応は、少なくとも1時間、最大約10日間、例えば、1時間~24時間の範囲、1時間~12時間の範囲、約12時間~約7日間の範囲、又は約1日間~約5日間の時間量で行われる。反応は、約5~95℃、25~80℃、25~40℃、30~40℃、40~50℃、50~60℃、60~70℃、70~80℃、又は25~35℃、又は28~32℃の範囲の温度で行うことができる。
【0083】
反応の結果として、「生成物組成物」が形成され、これは、ポリペプチド及び任意の賦形剤成分又は反応から生じる成分を含む、1つ以上のキシロシル化ステビオールグリコシド残留反応成分を含む。いくつかの場合では、生成物組成物は、いくらかの量の未反応ステビオールグリコシドアクセプター反応物を含み得る。
【0084】
反応後、生成物組成物を精製に供して、反応混合物の成分を分離することができる。キシロシル化ステビオールグリコシド生成物は、本明細書に記載される結晶化などの方法によって、又は逆相クロマトグラフィーカラムを使用することによって精製することができる。反応混合物の親水性成分は、水で除去することができ、キシロシル化ステビオールグリコシド化合物は、メタノールなどの溶媒で溶出することによって除去することができる。更に、キシロシル化ステビオールグリコシド化合物は、分取HPLCを使用して更に分割することができる(例えば、国際公開第2009/140394号を参照されたい)。
【0085】
反応組成物は、式IIのキシロシル化ステビオールグリコシド化合物を提供することができ、
【0086】
【化9】
【0087】
【化10】
式中、Rは、キシロース残基を含み、Rは、1つ以上の糖残基を含むか、又は水素である。態様では、Rは、β-Glc-β-Xylなどのキシロース残基を含み、かつGlc2C→Xyl1Cグリコシド結合を有するオリゴ糖部分である。いくつかの態様では、キシロシル化ステビオールグリコシドは、以下の化合物の1つ以上から選択される。
【0088】
【化11】
【0089】
【化12】
【0090】
【化13】
【0091】
【化14】
化合物E(RebDG)の化学構造を以下に示す。
【0092】
【化15】
【0093】
反応はまた、高収率のキシロシル化ステビオールグリコシドを提供することができる。特に、反応組成物中で、式Iのステビオールグリコシド化合物の50%超、60%超、65%超、75%超、又は80%超が、式IIのキシロシル化ステビオールグリコシド化合物に変換される。
【0094】
反応はまた、本明細書に記載の式IIの1つ以上の化合物を含む生成物組成物を提供することができる。キシロシル化ステビオールグリコシド生成物のタイプ及び相対量は、反応組成物中で使用されるステビオールグリコシドアクセプターのタイプ及び相対量に依存し得る。
【0095】
いくつかの態様では、生成物組成物は、化合物A~Fの1つ、2つ、又は3つ以上のキシロシル化ステビオールグリコシドを含むステビオールグリコシド成分の混合物を含む。いくつかの態様では、生成物組成物は、少なくとも化合物E及び/又はFのキシロシル化ステビオールグリコシドを含むステビオールグリコシド成分の混合物を含む。いくつかの態様では、化合物E及び/又はFは、生成物組成物中の主要なステビオールグリコシド成分であり、これは、化合物が生成物組成物中のいずれの他のステビオールグリコシドよりも多い量で存在することを意味する。他の態様では、2つ以上の化合物E及びFが、生成物組成物中の主要なステビオールグリコシド成分として存在し、これは、化合物が、生成物組成物中のいずれの他のステビオールグリコシドよりも多い量で存在することを意味する。いくつかの態様では、化合物E及び/又はFは、組成物中のステビオールグリコシドの総量の50%超、60%超、65%超、75%超、80%超、85%超、90%超、又は95%超の量で生成物組成物中に存在する。
【0096】
反応後、生成物組成物を精製に供して、反応混合物の成分を分離することができる。グリコシル化ステビオールグリコシド生成物は、結晶化などの方法によって、又は逆相クロマトグラフィーカラムを使用することによって精製することができる。反応混合物の親水性成分は、水で除去することができ、グリコシル化ステビオールグリコシド化合物は、メタノールなどの溶媒で溶出することによって除去することができる。更に、グリコシル化ステビオールグリコシド化合物は、分取HPLCを使用して更に分割することができる(例えば、国際公開第2009/140394号を参照されたい)。
【0097】
いくつかの態様では、操作された細胞を使用して、式IIのキシロシル化ステビオールグリコシド化合物を調製する。操作された細胞は、式Iのステビオールグリコシドアクセプター化合物を作製することができる経路を有することができ、配列番号1と少なくとも50%の同一性を有するポリペプチドなどの、UDP-キシロース:19-ステビオールキシロシルトランスフェラーゼ活性を有するグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドを発現することができる。細胞はまた、UDP-キシロースなどの活性化キシロースを形成するための経路を発現し得る。
【0098】
態様では、操作された細胞は、配列番号1と少なくとも50%の同一性を有するポリペプチドなどのUDP-キシロース:19-ステビオールキシロシルトランスフェラーゼ活性を有するグリコシルトランスフェラーゼポリペプチド及び活性化キシロースを使用して式IIの化合物を形成するための基質として使用することができる、式Iの化合物の前駆体であるステビオールへの経路を含む。細胞は、細胞内で形成され得る式Iではないステビオールグリコシドの量よりも多い量の式Iのステビオールグリコシド化合物を提供するように操作され得る。細胞はまた、UDP-キシロース:19-ステビオールキシロシルトランスフェラーゼ活性を有するグリコシルトランスフェラーゼポリペプチド、例えば配列番号1に対して少なくとも50%の同一性を有するポリペプチドを発現し、ポリペプチドは、式Iの化合物を活性化キシロースからキシロースを転移させて、式IIのキシロシル化ステビオールグリコシド化合物を形成することができる。例示的な操作された細胞としては、操作された酵母、細菌、及び真菌であるものが挙げられる。
【0099】
テルペノイド化合物であるイソペンテニル二リン酸(IPP)及びジメチルアリル二リン酸(DMAPP)は、操作された細胞においてステビオールグリコシドの化学前駆体として機能し得る。植物、昆虫、及びいくつかの微生物種を含むいくつかの生物は、アセチル-CoAを一連の化学中間体を介してIPP及びDMAPPに変換するメバロン酸(MVA)経路を有する。いくつかの生物は、グリセルアルデヒド-3-リン酸(G3P)及びピルビン酸(PYR)から始まる非メバロン酸経路(メチルD-エリスリトール4-リン酸又はMEP経路としても知られる)を介してIPP及びDMAPPを産生する。
【0100】
図2は、代表的なメバロン酸経路を示す。この経路において、メバロン酸経路遺伝子は、(a1)アセトアセチルCoAチオラーゼ(EC 2.3.1.9);(b1)3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-補酵素A(3-hydroxy-3-methylglutaryl-coenzyme A、HMG-CoA)シンターゼ(EC 4.1.3.5);(c1)HMG-CoAレダクターゼ(EC 1.1.1.34);(d1)メバロン酸キナーゼ(EC 2.7.1.36);(e1)ホスホメバロン酸キナーゼ(EC 2.7.4.2);及び(f1)メバロン酸二リン酸デカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.33)を含む。メバロン酸経路の酵素は、以下のようにアセチル-CoAをIPPに変換する:アセチル-CoA→アセトアセチル-CoA→3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-CoA→メバロン酸→メバロン酸-5-リン酸→メバロン酸-5-ピロリン酸→IPP。あるいは、経路は、メバロン酸をメバロン酸-3-リン酸に変換するメバロン酸-3-キナーゼ、次いでメバロン酸-3-リン酸をメバロン酸-3,5-二リン酸に変換するメバロン酸-3-リン酸-5-キナーゼ、メバロン酸-3,5-二リン酸をイソペンチルリン酸に変換するメバロン酸-5-リン酸デカルボキシラーゼ、次いでイソペンチルリン酸をIPPに変換するイソペンチルリン酸キナーゼを使用する古細菌由来の酵素を含み得る。
【0101】
いくつかの宿主細胞は、メバロン酸経路に必要な酵素のいずれも含まない場合があり、いくつかの細胞は、全てではないがいくつかのメバロン酸経路遺伝子を含む場合があり、いくつかの宿主細胞は、自然にメバロン酸経路の遺伝子の全てを含む場合がある。いくつかの場合において、いずれも含まないか、又はいくつかを含む宿主細胞は、メバロン酸経路遺伝子を欠くものを含むように操作することができる。酵母サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)は、メバロン酸経路の遺伝子を天然に発現するが、これらの経路遺伝子の発現を増加させるように操作することができる。
【0102】
いくつかの態様では、原核生物細胞は、メバロン酸経路を操作される。Martin,V.J.らは、テルペノイドの産生のための大腸菌におけるメバロン酸経路の操作を記載している(Nature Biotechnology 21:796-802,2003)。Wang,J.ら.は、染色体組込みによるメバロン酸発酵のための高効率大腸菌株の操作を記載している(Appl.Environ.Microbiol.82:7176-7184,2016)。
【0103】
いくつかの態様では、真核生物細胞は、メバロン酸経路で操作されるか、又はメバロン酸経路遺伝子の改変を介してより多量のIPPを提供するように操作される。例えば、Gold,N.D.らは、パン酵母におけるステビオールグルコシドのデノボ産生のためのシトクロムP450酵素を研究するためのコンビナトリアルアプローチを記載している。ACS Synth.Biol.7:2918-2929(2018)。
【0104】
あるいは、非メバロン酸(MEP)経路を使用して、ステビオール産生の前駆体としてIPP及びDMAPPを提供することができる。理論的には、MEP経路は、一般に、MVA経路と比較してCOとして失われる炭素が少ないので、エネルギー的により効率的である(MEP経路:1 CO/IPP;MVA経路:4 CO/IPP;炭素源として糖)。
【0105】
特に、非メバロン酸(MEP)経路において、化合物イソペンテニル二リン酸(IPP)、ジメチルアリル二リン酸(DMAPP)は、グリセルアルデヒド-3-リン酸(G3P)及びピルビン酸(PYR)から生じる一連の中間体を介して生成され、いくつかの酵素がこの変換に関与する。図3は、代表的な非メバロン酸経路を示す。G3P及びPYRからIPP及びDMAPPへの生合成経路に関与する酵素には、(a2)1-デオキシ-D-キシルロース-5-リン酸シンターゼ(1-deoxy-D-xylulose-5-phosphate synthase、DXS)、(b2)1-デオキシ-D-キシルロース-5-ホスフェートレダクトイソメラーゼ(ispC)-、(c2)4-ジホスホシチジル-2C-メチル-D-エリスリトールシンターゼ(IspD)、(d2)4-ジホスホシチジル-2-C-メチル-D-エリスリトールキナーゼ(IspE)、(e2)2Cメチル-D-エリスリトール-2,4-シクロ二リン酸シンターゼ(IspF)、(f2)1-ヒドロキシ-2-メチル-2-(E)-ブテニル-4-二リン酸シンターゼ(IspG)、(g2)4-ヒドロキシ-3-メチル-2-(E)-ブテニル-4-二リン酸レダクターゼ(IspH)、及び(h2)イソペンテニル-二リン酸イソメラーゼ(isopentenyl-diphosphate isomerase、IDI)が挙げられる。
【0106】
米国特許第9,284,570号は、イソペンチルピロリン酸(IPP)及びジメチルアリルピロリン酸(DMAPP)を産生する上流メチルエリスリトール経路(MEP)を使用する、大腸菌においてステビオール又はステビオールグリコシドを産生するための方法を記載している。
【0107】
酵母サッカロマイセス・セレビシエは、MEP経路の遺伝子を天然に発現するが、必要に応じて、MEP経路遺伝子を提供するように操作することができる。
【0108】
いくつかの態様では、操作された細胞は、アセチル-CoAからIPP及び/又はDMAPPへのフラックスを増加させ、それによってステビオールへの経路で使用するためのIPP及び/又はDMAPPの増加したプールを提供するための1つ以上の改変を含み得る。改変としては、例えば、細胞に対して同種又は異種である酵素をコードする核酸を、発現の増加をもたらすプロモーターの制御下に置くこと、核酸の複数コピーを使用すること、及び/又は異種酵素、変異体酵素(例えば、1つ以上のアミノ酸置換を含むもの)、若しくは天然酵素と比較してより高いレベルの酵素活性をもたらす変異体異種酵素を使用することなどによる、1つ以上のメバロン酸経路酵素(a1)~(f1)の発現又は活性の増加を挙げることができる。
【0109】
操作された細胞を使用するキシロシル化ステビオールグリコシドを産生するための本開示の方法は、G3P及びPYRからIPP及び/又はDMAPPへのフラックスを増加させ、それによってステビオールへの経路において使用するためのIPP及び/又はDMAPPの増加したプールを提供する1つ以上の遺伝子改変を有する細胞を含み得る。改変としては、例えば、宿主細胞に対して異種である酵素をコードする核酸を、発現の増加をもたらすプロモーターの制御下に置くこと、核酸の複数コピーを使用すること、及び/又は異種酵素、変異体酵素(例えば、1つ以上のアミノ酸置換を含むもの)、若しくは高いレベルの酵素活性をもたらす変異体異種酵素を使用することなどによる、1つ以上の酵素(a2)~(h2)の発現又は活性の増加を挙げることができる。
【0110】
キシロシル化ステビオールグリコシドを産生するための本開示の方法は、IPP及び/又はDMAPP並びにファルネシルピロリン酸(FPP)をステビオールに変換する経路も含み得る、操作された細胞を使用することができる。例えば、図4を参照すると、いくつかの態様では、操作された細胞は、以下の酵素を発現する外因性核酸を含み得る:(a3)ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ(geranyl geranyldiphosphate synthase、GGPPS)、(b3)コパリル二リン酸シンターゼ(copalyl diphosphate synthase、CPS)、(c3)カウレンシンターゼ(kaurene synthase、KS)、(d3)カウレンオキシダーゼ(kaurene oxidase、KO)、及び(e3)カウレン酸13-ヒドロキシラーゼ(kaurenoic acid 13-hydroxylase、KAH)。メバロン酸経路の酵素は、以下のようにIPP及び/又はDMAPPをステビオールに変換する:IPP/DMAPP→ゲラニルゲラニル二リン酸→コパリル二リン酸→カウレン→カウレン酸→ステビオール。酵母細胞に対して異種である酵素(a3)~(e3)をコードする外因性核酸は、核酸の複数のコピーを使用して、及び/又は変異体酵素(例えば、1つ以上のアミノ酸置換を含むもの)若しくは高レベルの酵素活性を提供する変異体異種酵素を使用して、増加した発現を提供するプロモーターの制御下に配置され得る。
【0111】
米国特許第9,284,570号は、イソペンチルピロリン酸(IPP)及びジメチルアリルピロリン酸(DMAPP)を産生する上流メチルエリスリトール経路(MEP)、並びにコパリル二リン酸シンターゼ(CPS)、カウレンシンターゼ(KS)、ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ(GGPPS)、カウレン酸13-ヒドロキシラーゼ(KAH)及びカウレンオキシダーゼ(KO)、並びに任意選択で1つ以上のステビアUDPグリコシルトランスフェラーゼ酵素を発現する、IPP及びDMAPPからステビオール又はステビオールグリコシドを産生する下流経路を使用する、大腸菌においてステビオール又はステビオールグリコシドを産生するための方法を記載している。
【0112】
操作された細胞はまた、UDP-キシロース:19-ステビオールキシロシルトランスフェラーゼ活性を有するグリコシルトランスフェラーゼポリペプチド、例えば、配列番号1に対して少なくとも50%の同一性、好ましくは配列番号1に対して少なくとも60%、75%、85%、90%、95%、98%、又は99%以上の同一性を有するポリペプチドを発現する。
【0113】
異種遺伝子の発現の調節は、所望のプロモーター、ターミネーター、及び遺伝子コピー数を用いて制御することができる。
【0114】
いくつかの態様では、操作された細胞は、他のステビオールグリコシドよりも多くのReb A、Reb C、又はステビオシドを作製するように操作される。
【0115】
操作された細胞は、配列番号1又は配列番号1の相同体若しくは変異体とは異なり、活性化ヌクレオチド糖からステビオールアクセプター分子へのグリコシル残基の転移を媒介する1つ以上のウリジン二リン酸(UDP)グリコシルトランスフェラーゼ(UGT)を含むことができる。
【0116】
配列番号1を有するもの以外の例示的なUDP-グルコシルトランスフェラーゼは、少なくとも1つのグルコース単位をステビオール及び/又はステビオールグリコシド基質に付加して、標的ステビオールグリコシドを提供することができる任意のUDP-グルコシルトランスフェラーゼであり得る。一態様では、操作された細胞は、UGT74G1、UGT85C2、UGT76G1、UGT91d2、及びこれらのポリペプチドに対して実質的な(>85%)同一性を有するUGTの群から選択される1つ以上のUDP-グルコシルトランスフェラーゼを含むことができる。操作された細胞は、これらのUGTをコードする1つ以上の外因性核酸分子を含むことができる。
【0117】
操作された細胞はまた、異種遺伝子制御下の1つ以上のUDP-グルコース再利用酵素及び/又は1つ以上のUGTを含むこともできる。少なくとも1つのグルコース単位をルブソシドに付加してステビオシドを形成することができる例示的なUDP-グルコシルトランスフェラーゼは、UGT91d2である。少なくとも1つのグルコース単位をステビオシドに付加してレバウジオシドAを形成することができる例示的なUDP-グルコシルトランスフェラーゼは、UGT76G1である。少なくとも1つのグルコース単位をレバウジオシドAに付加してレバウジオシドDを形成することができる例示的なUDP-グルコシルトランスフェラーゼは、UGT91d2である。少なくとも1つのグルコース単位をレバウジオシドDに付加してステビオシドMを形成することができる例示的なUDP-グルコシルトランスフェラーゼは、UGT76G1である。
【0118】
ステビオールグリコシドの産生及びステビオールグリコシド経路酵素のための操作された微生物を記載する例示的な刊行物としては、例えば、米国特許出願公開第2014/0357588号、国際公開第2014/193934号、国際公開第2014/193888号、及び国際公開第2014/222227号が挙げられる。
【0119】
一態様では、ステビオールグリコシドの産生に有用な遺伝子操作された細胞は、以下の酵素の一部又は全部を発現する:ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ(GGPPS)、ent-コパリル二リン酸シンターゼ(CDPS)、カウレンオキシダーゼ(KO)、カウレンシンターゼ(KS);システインシンターゼ(KAH)、シトクロムP450レダクターゼ(CPR)、UGT74G1、UGT76G1、UGT91d2、及び配列番号1のポリペプチド。国際公開第2014/122227号は、これらの酵素を発現する操作された酵母株を記載している。UGT74G1酵素は、ウリジン5’-ジホスホグルコシル;ステビオール19-COOHトランスフェラーゼ及びウリジン5’-ジホスホグルコシル:ステビオール-13-O-グルコシド19-COOHトランスフェラーゼとして機能する。UGT76G1酵素は、ステビオール骨格上のいくつかのグリコシル化反応を触媒するステビアウリジン二リン酸依存性グリコシルトランスフェラーゼである。UGT76G1酵素は、19-0位又は13-0位のステビオール及びステビオールグリコシドのグリコシル化を触媒することができる。
【0120】
UGT91d2酵素は、ステビオシドを産生するために、受容体分子であるステビオール-13-O-グルコシドの13-O-グルコースのC-2’にグルコース部分を転移させるウリジン5’-ジホスホグルコシル:ステビオール-13-O-グルコシドトランスフェラーゼ(ステビオール-13-モノグルコシド1,2-グリコシラーゼとも称される)として、又は受容体分子であるルブソシドの13-O-グルコースのC-2’にグルコース部分を転移させるウリジン5’-ジホスホグルコシル:ルブソシドトランスフェラーゼとして機能し得る。配列番号1の酵素はまた、受容体分子であるルブソシドの19-O-グルコースのC-2’にグルコース部分を転移させて、19-O-1,2-ジグリコシル化ルブソシドも産生することができる。
【0121】
活性化キシロースは、例えば、活性化キシロースを外部供給源から細胞に供給することによって、操作された細胞中に提供されるか、又は操作された細胞は、活性化キシロースを作製することができる。ポリペプチドは、キシロースを活性化キシロースから式Iの化合物に転移させて、式IIのキシロシル化ステビオールグリコシド化合物を形成する。
【0122】
「操作された細胞」は、細胞のゲノムに組み込まれるか、又はプラスミド若しくはエピソームなどの染色体外構築物上に存在するかのいずれかで、細胞に導入される少なくとも1つの外因性DNA配列を有する宿主細胞を指す。「外因性」という用語は、宿主細胞に導入される核酸などの分子、又は酵素活性などの活性を指す。外因性核酸は、周知の技術によって宿主細胞に導入され得、宿主染色体物質の外部に維持され得る(例えば、非組込みベクター上に維持される)か、又は組換え事象などによって細胞の染色体に組み込まれ得る。一般に、操作された細胞のゲノムは、1つ以上の組換え遺伝子の安定な導入を介して増強される。外因性核酸は、細胞に対して同種又は異種のいずれかである酵素又はその一部をコードすることができる。外因性核酸は、「組換え遺伝子又はDNA構築物」の形態であり得、これは、天然に存在しない形態であるように分子技術によって1つ以上の方法で操作された核酸をいう。
【0123】
「異種」(例えば、「非天然」)という用語は、参照される分子又は生物とは異なる供給源に由来する分子又は活性を指す。したがって、参照される生物に対して異種である遺伝子又はタンパク質は、その生物において見出されない遺伝子又はタンパク質である。本開示の文脈において、「異種グリコシルトランスフェラーゼ」は、宿主生物に対してネイティブであり得る任意のグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドとは異なるグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドを指す。例えば、第1の種において見出され、第1の種とは異なる宿主細胞生物に外因的に導入された特定のグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子は、宿主細胞にとって「異種」である。
【0124】
いくつかの態様では、キシロシル化ステビオールグリコシドを産生する操作された細胞は、原核生物細胞である。ステビオールグリコシド経路酵素をコードする外因性DNA構築物のための宿主に使用することができる例示的な細菌としてはエシェリキア(Escherichia)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、バチルス(Bacillus)属、クロストリジウム(Clostridium)属、ラルストニア(Ralstonia)属、マイコバクテリウム(Mycobacterium)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、ゲオバクター(Geobacter)属、ザイモモナス(Zymonas)属、アセトバクター(Acetobacter)属、シトロバクター(Citrobacter)属、シネコシスティス(Synechocystis)属、リゾビウム(Rhizobium)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、キサントマナス(Xanthomonas)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、アエロモナス(Aeromonas)属、アゾトバクター(Azotobacter)属、コマモナス(Comamonas)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、グルコノバクター(Gluconobacter)属、アシディチオバチルス(Acidithiobacillus)、ミクロルナタス(Microlunatus)属、ゲオバチルス(Geobacillus)属、アースロバクター(Arthrobacter)属、フラボバクテリウム(Flavobacterium)属、セラチア(Serratia)属、サッカロポリスポラ(Saccharopolyspora)属、サーマス(Thermus)属、ステノトロホモナス(Stenotrophomonas)属、クロモバクテリウム(Chromobacterium)属、シノリゾビウム(Sinorhizobium)属、サッカロポリスポラ(Saccharopolyspora)、及びパントエア(Pantoea)属の種が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な細菌種は、大腸菌(Escherichia coli)である。
【0125】
いくつかの態様では、キシロシル化ステビオールグリコシドを産生する操作された細胞は、真核生物細胞である。
【0126】
例えば、様々な酵母宿主が、1つ以上のキシロシル化ステビオールグリコシドへの経路を提供するように操作された。このような細胞は、キシロシル化ステビオールグリコシド合成のための酵素をコードする1つ以上のDNA構築物で形質転換することができる。ステビオールグリコシド経路酵素をコードする外因性DNA構築物の宿主に使用することができる例示的な酵母菌としては、アガリクス(Agaricus)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ブレタノマイセス(Brettanomyces)属、カンジダ(Candida)属、フザリウム(Fusariumm)属、ジベレラ(Gibberella)属、エルイベロマイセス(Eluyveromyces)属、ハンセヌラ(Hansenula)属、フミコラ(Humicola)属、イサタケンキア(Issatchenkia)属、クロエケラ(Kloeckera(ハンセニアスポラ(Hanseniaspora))属、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)属、ラエティポルス(Laetiporus)属、レンチヌス(Lentinus)属、リポミセス(Lipomyces)属、パキソロン(Pachysolen)、ファフィア(Phaffia)、ファネロキーテ(Phanerochaete)属、フィスコミトレラ(Physcomitrella)属、ピキア(Pichia(ハンゼヌラ(Hansenula))属、ロドトルラ(Rhodotorula)属、酵母菌類(Saccharomycete)、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属、スファセロマ(Sphaceloma)属、トルロプシス(Torulopsis)属、トルラスポラ(Torulaspora)、トリコスポロン(Trichosporon)属、キサントフィロマイセス(Xanthophyllomyces)属、ヤマダザイマ(Yamadazyma)属、ヤロウイア(Yarrowia)属、及びジゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)属の種が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な種は、アークスラ・アデニニボランス(Arxula adeninivorans)、アッシビヤ・ゴシッピー(Ashbya gossypii)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、ガンジダ・ボイジニイ(Candida boidinii)、カンジダ・グラブラータ(Candida glabrata)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)、シベルリンドネラ・ジャディニイ(Cyberlindnera jadinii)、エルベロマイセス・ラクチス(Eluyveromyces lactis)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、イサチェンキア・オリエンタリス(Issatchenkia orientalis)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、キサントフィロマイセス・デンドロアス(Xanthophyllomyces dendrorhous)、及びヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)である。更に、宿主細胞はまた、発酵中に改善された性能を提供し得るステビオールグリコシド経路の遺伝子改変以外の遺伝子改変を含み得る。
【0127】
遺伝子操作された酵母は、ステビオールグリコシド経路酵素をコードする核酸を有する形質転換体を選択するのに適した栄養要求性マーカーを使用することができる。宿主酵母は、栄養要求性を制御する1つ以上の遺伝子、例えばLYS2、LEU2、HIS3、URA3、URA5、及びTRP1における改変(欠失など)を含み得る。1つ以上の外因性遺伝子の導入のための所望の遺伝的背景を有する宿主細胞を使用して、1つ以上の遺伝子構築物が細胞に導入されて、ゲノムに組み込まれるか、又は安定に維持されて発現を可能にする。遺伝子構築物を宿主細胞に導入するための方法としては、形質転換、形質導入、トランスフェクション、同時トランスフェクション、及びエレクトロポレーションが挙げられる。特に、酵母の形質転換は、酢酸リチウム法、プロトプラスト法などを用いて行うことができる。導入される遺伝子構築物は、プラスミドの形態で染色体に組み込まれてもよく、宿主の遺伝子に挿入されてもよく、宿主の遺伝子との相同組換えによって組み込まれてもよい。遺伝子構築物が導入された形質転換酵母は、選択マーカー(例えば、上述の栄養要求性マーカー)を用いて選択することができる。更なる確認は、発現されたタンパク質の活性、又はステビオールグリコシドなどの生物産物の産生を測定することによって行うことができる。
【0128】
ステビオール経路遺伝子を含む外因性核酸配列の形質転換は、当技術分野において周知の方法を使用して確認することができる。そのような方法としては、例えば、mRNAのノーザンブロット若しくはポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction、PCR)増幅などの核酸分析、又は遺伝子産物の発現についてのイムノブロッティング、又は導入された核酸配列若しくはそれらの対応する遺伝子産物の発現を試験するための他の適切な分析方法が挙げられる。外因性核酸は、所望の産物を産生するのに十分な量で発現されることが当業者によって理解され、発現レベルは、当該分野で周知の方法及び本明細書中に開示される方法を使用して、十分な発現を得るために最適化され得ることが更に理解される。
【0129】
細胞培養によってステビオールグリコシドを産生するための本開示の方法は、ステビオールを式IIのキシロシル化ステビオールグリコシドに変換する経路を有する操作された細胞を使用することができる。2つ以上のステビオールグリコシド経路酵素が、遺伝子操作された酵母中に存在する場合、酵母は、異なるステビオールグリコシドを産生することが可能であり得、式IIのステビオールキシロシル化ステビオールグリコシドのうちの少なくとも1つである。例えば、酵母は、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、又は10種を超える異なるステビオールグリコシド種を産生することができてもよく、それらのうちの1つ以上はキシロシル化ステビオールグリコシドである。
【0130】
「培地」という用語は、操作された細胞が維持され得る、増殖し得る、発酵し得る、又はそれらの組み合わせである液体組成物を指す。「培地」はまた、「ブロス」又は「細胞培養」と称されてもよく、「増殖」、「分裂」、「呼吸」、及び「発酵」などの用語は、培地中で生じている細胞活性のタイプをより具体的に定義するために使用されてもよい。「細胞培養」は、制御された条件下で細胞を増殖させるプロセスを指し、限定された培地、限定された期間、及び限定された温度のうちの1つ又は複数における原核生物細胞及び真核生物細胞の増殖を含む。細胞培養が含まれる。
【0131】
培地は、(a)グルコースなどの炭水化物及びマルトデキストリンなどのデンプン生成物を含む炭素源、(b)窒素源、例えば酵母窒素塩基、水酸化アンモニウム、尿素、硫酸アンモニウム、又はそれらの任意の組み合わせ、(c)リン酸カリウム(一塩基性、二塩基性)、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、及び塩化カルシウムなどの塩、(d)ビタミン、例えばビオチン、パントテン酸カルシウム、葉酸、(myo)-イノシトール、ニコチン酸、p-アミノ安息香酸、ピリドキシンHCl、リボフラビン、チアミンHCL、及びクエン酸、(e)ホウ酸、硫酸銅、塩化コバルト、塩化カルシウム、ヨウ化カリウム、塩化第二鉄、硫酸マグネシウム、塩化マンガン、モリブデン酸ナトリウム、硫酸亜鉛等の微量金属などの培地中に存在する成分、及びそれらの量に関して定義することができる。培地中の成分は、乾燥重量基準で定義することができる。更に、媒体は、水ベース又は「水性」組成物である。培地はまた、そのpH、並びに培地中のpHを制御するために使用される生体適合性の酸、塩基、及び緩衝液に関して定義され得る。
【0132】
組成(「フィード組成」)を、操作された細胞を含む培地に添加して、培地の体積を増加させることができ、操作された細胞が培地中で増殖するにつれて、バイオマスの量を増加させることができる。
【0133】
いくつかの実施形態において、細胞培養は、ステビオール含有化合物を含む培地中で行うことができる。特に、培地は、式Iの1つ以上のステビオールグリコシド化合物を含むことができる。そのような化合物は、グルコシルトランスフェラーゼポリペプチド、例えば、配列番号1に対して少なくとも50%の同一性を有するものによって直接使用することができ、ポリペプチドは、活性化キシロースから式Iの化合物にキシロースを転移させて、式IIのキシロシル化ステビオールグリコシド化合物を形成することができる。ラムノース、ガラクトース、アラビノース及び/又はグルコースなどの他の糖もまた、式Iの化合物に転移され得る。これらの態様では、操作された細胞は、ステビオールグリコシド前駆体への経路(例えば、本明細書に記載されるようなMVA、MEP、又はSG経路)を有する必要はない。
【0134】
例示的な操作された細胞としては、操作された酵母、細菌、及び真菌であるものが挙げられる。
【0135】
「総ステビオールグリコシド」は、細胞培養の期間後に培地中に存在する全てのステビオールグリコシドを指し、液体培地中の本開示のキシロシル化ステビオールグリコシドを含むステビオールグリコシドの量を含み、遺伝子操作された酵母から得ることができる。ステビオールグリコシド含量は、培地中の総ステビオールグリコシド量、又は培地中の1つ以上であるが全てではないステビオールグリコシドの量に関して表すことができる。組成物中のキシロシル化ステビオールグリコシドを含むステビオールグリコシドの量は、重量パーセント又はモルパーセントで表される、例えば、ステビオールグリコシドの総量の重量パーセンテージ、又は比、若しくは比の範囲によって、互いに、又はステビオールグリコシドの総量に関連して表され得る。
【0136】
キシロシル化ステビオールグリコシドの回収のために、次いで、培地を遠心分離又は濾過して、操作された細胞を除去することができる。培地は、任意選択的に、例えば膜透析によって低分子量成分(グルコース、基礎的栄養、及び塩)を除去するために処理され得る。所望の用途に応じて、1つ以上のステビオールグリコシド化合物を含む組成物を使用することができる。
【0137】
キシロシル化ステビオールグリコシドを含む組成物を濃縮若しくは精製形態で提供することが所望される場合、又はある特定のステビオールグリコシドが互いに分離される場合、更なる精製が行われ得る。ステビオールグリコシド成分のそのような濃縮若しくは精製は、発酵が起こっている培地上で行われ得るか、又は培地は、次いで精製前に乾燥され得る。例えば、凍結乾燥を用いて培地を乾燥させて、後で処理され得る、ステビオールグリコシドを含む乾燥組成物(例えば、粉末又はフレーク)を形成し得る。
【0138】
本明細書で使用するとき、用語「全ステビオールグルコシド類」(total steviol glycoside、TSG)は、乾燥(無水物)ベースで、組成物中の全てのステビオールグリコシド類の含有量合計として算出される。
【0139】
実施のいくつかのモードでは、ステビオールグリコシドを濃縮した乾燥発酵ブロスが、精製の出発材料として使用される。例えば、乾燥発酵ブロスに溶媒又は溶媒の組み合わせを添加して、ステビオールグリコシドを含む材料を溶解又は懸濁させ得る。ステビオールグリコシドを溶解するための例示的な組み合わせは、水とアルコールとの混合物(例えば、50:50のエタノール:水)である。溶解又は懸濁を容易にするために、乾燥ブロス材料は、40℃~60℃の範囲等の室温より高い温度で加熱され得る。乾燥ブロス材料の機械的破砕は、超音波処理等によって行われ得る。溶解又は懸濁したブロス材料は、例えば分取クロマトグラフィーによる更なる精製の前に、ミクロン又はサブミクロンを使用して濾過され得る。
【0140】
ステビオールグリコシド化合物を濃縮した乾燥発酵ブロスは、例えば、結晶化などの方法を使用するか、又は逆相液体クロマトグラフィーを使用することによる、精製若しくは精錬に供され得る。ステビオールグリコシド化合物の濃縮及び精製のための当該技術分野で既知の技術としては、異なる溶媒を使用する抽出、吸着及びイオン交換クロマトグラフィー、超臨界流体抽出、結晶化、並びに限外及びナノ膜濾過が挙げられる(例えば、Kumari,N.et al.(2017)Indian J Pharm Sci;79:617-624、Zhang,S.Q.,et al.(2000)Food Res Int;33:617-20、Pol,J.,et al.(2007)Anal Bioanal Chem;388:1847-57、Puri,M.,et al.(2012)Food Chem;132:1113-20、Teo,C.C.,et al,Tan,S.N.,et al.(2010)J Chromatogr A;121:2484-91を参照されたい)。米国特許第5,962,678号は、80%純度のレバウジオシドAを得るための無水メタノール溶液を用いたレバウジオシドAの再結晶化を開示している。米国特許公開第2006/0083838号は、エタノール及び4~15%の水を含む溶媒を用いた再結晶によるレバウジオシドAの精製を開示している。日本国特許出願第55-23756号は、80%純度のレバウジオシドAを得るために、水性エタノール(>70%)からの結晶化によってレバウジオシドA及びステビオシドを精製する方法を開示している。米国特許公開第2007/0082103号は、水性エタノールからの再結晶によってレバウジオシドAを精製する方法を開示しており、粗レバウジオシド(60%)からの2段階再結晶が97%収率で98%超の純度のレバウジオシドの形成をもたらすと主張している。国際公開第2007/149672号及び国際公開第2011/082288号は、有機溶媒を使用する一段階結晶化方法を開示している。
【0141】
クロマトグラフィーが使用される場合、適当な樹脂を使用して、水等の液体でカラムを通して洗浄される親水性化合物を除去しながら、ステビオールグリコシド化合物をカラムに保持し得る。カラムからのステビオールグリコシドの溶出は、アセトニトリル又はメタノール等の好適な溶媒又は溶媒の組み合わせを達成し得る。
【0142】
例えば、ステビオールグリコシド化合物は、高圧液体クロマトグラフィー(high pressure liquid chromatography、HPLC)又は超高圧液体クロマトグラフィー(ultra-high pressure liquid chromatography、UHPLC)等の分取液体クロマトグラフィーを用いて精製され得る。キシロシル化ステビオールグリコシドを有するステビオールグリコシド組成物は、所望の比率(例えば、60%の水、40%のメタノール、v/v)の水とアルコール(例えば、メタノール)との混合物等の移動相に、溶解され得る。この組成物はまた、約50℃での加熱等の、ステビオールグリコシド材料の溶解を促進するために加熱もされ得る。溶液は、例えば0.2μmのフィルターを使用して、カラム内への注入前に濾過もされ得る。Phenomenex Kinetex XB-C18 5μm、コア-シェルシリカ固体支持体、並びにイソブチル側鎖及びTMSエンドキャップを有するC18の固定相。カラムを通る流速は、(約20mL/分等の)カラム特性に基づき得、最大圧力は400barである。様々なキシロシル化ステビオールグリコシドは、カラムからのそれらの溶出時間によって同定され得る。当事者であれば、キシロシル化ステビオールグリコシドの溶出時間が溶媒及び/又は装置の変更とともに変化し得ることを理解するであろう。
【0143】
逆相カラムからのキシロシル化ステビオールグリコシドの溶出は、様々な目的のうちのいずれか1つに有用であり得る組成物を生じ得る。例えば、精製されたキシロシル化ステビオールグリコシド組成物は、経口摂取又は経口使用のための 経口摂取又は経口使用のための甘味料組成物等として使用され得る。本組成物は、組成物中のステビオールグリコシドに関して定義され得る。
【0144】
本明細書で使用するとき、甘味料組成物(甘味付け組成物とも呼ばれる)は、式IIの1つ以上のキシロシル化ステビオールグリコシドを含む組成物を指す。好ましい態様では、甘味料組成物は、化合物E(SG-[13-β-Glu[(3→1)β-Glu](2→1)β-Glu(1-2)]-[19-β-Glu(2→1)β-Xyl])を含む。例えば、甘味料組成物は、式IIの1つ以上のステビオールグリコシド(式IIのSG)を、式II以外の別のステビオールグリコシド(非式IIのSG)とともに含むことができる。いくつかの態様では、複数のステビオールグリコシドが甘味料組成物中に存在する場合、式IIではないSVは、組成物中に少量、組成物中のステビオールグリコシドの総量の(例えば、約25%未満、約20%未満、約15%未満、又は約10%未満)存在し得る。1つ以上の式IIのSGは、組成物中に、組成物中のステビオールグリコシドの総量の約75%超、約80%超、約85%超、約90%超、又は約95%超などの主要量で存在し得る。いくつかの態様では、化合物E(RebDG;SG-[13-β-Glu[(3→1)β-Glu](2→1)β-Glu(1-2)]-[19-β-Glu(2→1)β-Xyl])は、甘味料組成物中のSGの主要なSGであり、これは、組成物中のいずれの他のSGよりも多い量で存在することを意味する。いくつかの態様では、化合物Eは、組成物中の全ての他のSGの合計量より多い量で存在し、すなわち、化合物Eは、甘味料組成物中の総SGの50%(重量)超、いくつかの態様では、組成物中のステビオールグリコシドの総量の60%超、70%超、80%超、90%超、95%超、98%超、又は99%(重量)超の量で存在する。
【0145】
甘味料組成物は、任意選択的に、別の甘味料、添加剤、液体担体、又はそれらの組み合わせを含み得る。甘味料組成物は、食品、飲料、薬品、口腔衛生組成物、栄養補助食品等の他の組成物(甘味付け可能な組成物)に甘味付けするために使用される。
【0146】
本明細書で使用するとき、「甘味付け可能な組成物」は、ヒト又は動物の口腔に接触する物質を意味し、口腔に入れられるが後に吐き出される物質(マウスウォッシュ・リンス等)及び飲まれ、食べられ、嚥下され、又は消化され、かつ通常受容され得る範囲内で使用されたときにヒト又は動物による消費に好適な物質を含む。甘味付け可能な組成物は、甘味付けされた組成物の前駆体組成物であり、甘味付け可能な組成物を、1つ以上の式IIのキシロシル化ステビオールグリコシドを含む少なくとも1つの甘味付け組成物と組み合わせることによって、甘味付けされた組成物に変換される。例えば、甘味料成分を含まない飲料は、甘味付け可能な組成物の一種である。1つ以上の式IIのキシロシル化ステビオールグリコシドを含む甘味料組成物を非甘味飲料に添加し、それによって甘味飲料を提供することができる。甘味付けされた飲料は、甘味付けされた組成物の一種である。
【0147】
いくつかの調製物では、1つ以上の式IIのキシロシル化ステビオールグリコシドは、甘味付け組成物中に唯一の甘味料成分を提供する。
【0148】
いくつかの態様では、甘味付け組成物は、特定の量のスクロースと同等の甘味強度を提供するのに有効な量で、1つ以上の式IIのキシロシル化ステビオールグリコシドを含む。基準溶液中のスクロース量は、ブリックス度(°Bx)で記載され得る。1ブリックス度は、100グラムの溶液中に1グラムのスクロースであり、重量百分率(%w/w)として、溶液の強度を表す。例えば、甘味料組成物は、甘味付けされた組成物中に存在する場合に、糖ブリックス度約0.50~14、例えば、ブリックス度約5~約11の、ブリックス度約4~約7、又はブリックス度約5と同等の甘味を提供するのに有効な量で1つ以上の式IIのキシロシル化ステビオールグリコシドを含有する。
【0149】
甘味料組成物中の式IIのキシロシル化ステビオールグリコシドの量は、変動してもよい。1つ以上の式IIのキシロシル化ステビオールグリコシドは、甘味料組成物が甘味付けされた組成物中に組み込まれる場合に、所望の甘味を付与する任意の量で甘味料組成物中に存在し得る。例えば、1つ以上の式IIのキシロシル化ステビオールグリコシドは、甘味付け組成物中に存在する場合、約1ppm~約10,000ppmの総ステビオールグリコシド濃度を提供するのに有効な量で甘味料組成物中に存在し、別の態様では、1つ以上の式IIのキシロシル化ステビオールグリコシドは、甘味料組成物中に、約10ppm~約2,500ppmの範囲、より具体的には約10ppm~約2,000ppm、約10ppm~約1500ppm、約10ppm~約1250ppm、約10ppm~約1000ppm、約10ppm~約800ppm、約50ppm~約800ppm、約50ppm~約600ppm、又は約200ppm~約500ppmのステビオールグリコシド濃度を提供するのに有効な量で存在する。特に断りのない限り、ppmは重量基準である。
【0150】
任意に、甘味料組成物は、スクロース、フルクトース、グルコース、エリスリトールなどの天然甘味料、又はスクラロース、アセスルファムカリウム、アセスルファム酸及びその塩、アスパルテーム、サッカリン及びその塩などの1つ以上の合成甘味料などの、1つ以上の追加の非ステビオールグリコシド甘味料化合物も含有し得る。
【0151】
1つ以上の式IIのキシロシル化ステビオールグリコシドに加えて、甘味料組成物は、液体担体、結合剤マトリクス、及び/又は追加の添加剤等を任意選択的に含み得る。いくつかの態様では、甘味料組成物は、炭水化物、ポリオール類、アミノ酸及びそれらの対応する塩類、ポリアミノ酸及びそれらの対応する塩類、糖酸類及びそれらの対応する塩類、ヌクレオチド類、有機酸類、無機酸類、有機酸塩類及び有機塩基塩類を含む有機塩類、無機塩類、苦味化合物、風味材料及び香料、収れん化合物、タンパク質又はタンパク質加水分解物、界面活性剤、乳化剤、増量剤、ガム類、酸化防止剤、着色剤、フラボノイド類、アルコール類、ポリマー類、並びにそれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない添加剤を含有する。いくつかの態様では、添加剤は、時間的プロファイル及び風味プロファイルを改良して、スクロースに似た味などの望ましい味を有する甘味料組成物を提供するよう作用する。
【0152】
甘味料組成物には、実際の又は認識される健康上の利益を組成物にもたらす1種以上の機能性材料を含有させることができる。機能性材料としては、サポニン類、酸化防止剤、食物繊維源、脂肪酸類、ビタミン類 グルコサミン、ミネラル類、保存料、水和剤、プロバイオティクス、プレバイオティクス、体重管理剤、骨粗しょう症管理剤、植物エストロゲン類、長鎖一級脂肪族飽和アルコール類、フィトステロール類、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0153】
概して、甘味料組成物又は甘味付与した組成物中の機能性材料の量は、具体的な甘味料組成物又は甘味付与した組成物、及び望ましい機能性材料に応じて広く異なる。当業者であれば、それぞれの甘味料組成物又は甘味付与した組成物に適切な機能性材料の量を容易に確認されるであろう。
【0154】
1つ以上の式IIのキシロシル化ステビオールグリコシド、又はこれらのステビオールグリコシドを含む甘味料組成物は、任意の知られている食材(本明細書において「甘味付与可能組成物」と参照する)、あるいはヒト若しくは動物の口腔による消化及び/又は摂食が意図とされている、その他の組成物、例えば、医薬組成物、食用ゲル混合物及び組成物、歯科及び口腔衛生組成物、食品(糖剤、香辛料、チューインガム、シリアル組成物、焼き菓子、半調理食品、食品添加物、乳製品、及び卓上甘味料組成物)、飲料、並びにその他の飲料製品(例えば、飲料混合物、飲料濃縮物など)に組み込むことができる。
【0155】
一態様では、甘味付けされた組成物は、1つ以上の式IIのキシロシル化ステビオールグリコシドを含む飲料製品である。本明細書で使用するとき、「飲料製品」は、インスタント飲料、飲料濃縮物、飲料シロップ、冷凍飲料、又は粉末飲料である。好適なレディ・トゥ・ドリンク飲料としては、炭酸飲料及び非炭酸飲料が挙げられる。炭酸飲料としては、高発泡性清涼飲料、コーラ、レモンライム風味の発泡性清涼飲料、オレンジ風味の発泡性清涼飲料、ブドウ風味の発泡性清涼飲料、イチゴ風味の発泡性清涼飲料、パイナップル風味の発泡性清涼飲料、ジンジャーエール、ソフトドリンク、及びルートビアが挙げられるがこれらに限定されない。非炭酸飲料としては、果汁、フルーツフレーバーのジュース、ジュース飲料、ネクター、野菜ジュース、野菜フレーバーのジュース、スポーツドリンク、エナジードリンク、成分を強化した水飲料(enhanced water drinks)、ビタミンで強化した水飲料、ほとんど水の飲料(例えば、水に天然風味材料又は合成風味材料を加えたもの)、ココナツ水、お茶タイプの飲料(例えば、黒茶、緑茶、紅茶、烏龍茶)、コーヒー、ココア飲料、乳成分を含有している飲料(例えば、乳飲料、乳成分を含有しているコーヒー、カフェラテ、ミルクティー、果汁乳飲料)、穀類抽出物を含有している飲料、スムージー及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0156】
冷凍飲料の例には、アイシー、冷凍カクテル、ダイキリ、ピナコラダ、マルガリータ、ミルクシェイク、冷凍コーヒー、冷凍レモネード、グラニタ、及びスラッシーが含まれるが、これらに限定されない。
【0157】
飲料濃縮物及び飲料シロップは、初期体積の液体マトリクス(例えば、水)及び所望の飲料成分で調製され得る。以降、更なる体積の水を添加することによって最終濃度の飲料を調製する。粉末飲料は、液体マトリクスの不在下で飲料原料の全てを乾式混合することによって調製される。次いで、全強度の飲料は、全体積の水を添加することによって、調製される。
【0158】
一態様では、飲料は、1つ以上の式IIのキシロシル化ステビオールグリコシドを含む、ステビオールグリコシドを含む甘味料組成物を含有する。本明細書に詳述される1つ以上の式IIのキシロシル化ステビオールグリコシドを含む任意の甘味料組成物を、飲料に使用することができる。別の態様では、飲料を調製する方法は、液体マトリクスと、1つ以上の式IIのキシロシル化ステビオールグリコシドを含むステビオールグリコシドとを組み合わせることを含む。この方法は、1つ以上の甘味料、添加剤、及び/又は機能性材料の添加を更に含み得る。更に別の態様では、飲料を調製する方法は、液体マトリクスと、1つ以上の式IIのキシロシル化ステビオールグリコシドを含むステビオールグリコシドを含む甘味料組成物とを組み合わせることを含む。
【0159】
別の実施形態では、飲料は、1つ以上の式IIのキシロシル化ステビオールグリコシドを含有する甘味料組成物を含有し、ステビオールグリコシドは、飲料中に、例えば、約25ppm~約800ppmなどの約1ppm~約10,000ppmの範囲にわたる量で存在する。別の態様では、ステビオールグリコシドは、飲料中に、約100ppm~約600ppmの範囲にわたる量で存在する。更に他の態様では、ステビオールグリコシドは、飲料中に、約100~約200ppm、約100ppm~約300ppm、約100ppm~約400ppm、又は約100ppm~約500ppmの範囲にわたる量で存在する。更に別の態様では、ステビオールグリコシドは、飲料中に、例えば、約400ppm~約600ppm等の約300~約700ppmの範囲にわたる量で存在する。特定の態様では、ステビオールグリコシドは、飲料中に、約500ppmの量で存在する。
【0160】
別の態様では、1つ以上の式IIのキシロシル化ステビオールグリコシドの顆粒状形態が提供される。本明細書で使用するとき、用語「顆粒」、「顆粒状形態」、及び「顆粒形態」は、同義であり、ステビオールグリコシド甘味料組成物の自由流動性で、実質的に無塵で、機械的に強い粒塊を指す。造粒法は当業者には知られており、PCT公開第WO01/60842号により詳細に記載されている。
【0161】
UGT酵素の調製
配列番号1のアミノ酸配列をGSTタンパク質のC末端に融合させて、配列を大腸菌発現のためにコドン最適化した。(DNA2.0、Menlo Park,CA)。得られた配列を、IPTG誘導性T5プロモーター及び強力なRBSを含む独自の発現ベクター(DNA2.0)にクローニングした。プラスミドを大腸菌に形質転換した。表1からの適切なプラスミドを、標準的な方法を用いてBL21細胞に形質転換した。一晩培養物を、50mLのLB+50mg/mLカナマイシンを含む250mLフラスコ中、30℃及び250RPMで増殖させた。翌朝、種培養物はOD600=2.4+/-0.5を有していた。翌朝、LB又はTerrific Broth+50mg/mlカナマイシンのいずれかを含有する3リットルのFernbachフラスコに、初期OD600=0.04を目標として、16mlの一晩培養物を接種した。培養物を表1に示した温度で250RPMで5~7時間増殖させ、次いで0.8mMのIPTGで誘導した。誘導後、培養物を表1に示す温度で250RPMで一晩インキュベートした。バイオマスを、4℃で15分間、8000RPMで1リットルの遠心分離ボトル中でペレット化した。細胞を溶解緩衝液中に再懸濁し、超音波処理によって溶解した。細胞懸濁液を20秒パルスで2分間超音波処理し、続いて氷上で20秒静置する。細胞を30mLのオークリッジ管へ移し、15,000RPMで15分間遠心分離した。上清を新しいコニカルチューブにデカントした。
【0162】
実施例1:配列番号1の酵素及びUDP-キシロースを使用したステビオシド、Reb A、Reb C、及びReb Dの19Cキシロシル化
ステビアの葉におけるSG生合成において重要な役割を果たすことが知られている2つのグルコシルトランスフェラーゼ酵素(配列番号1及びUGT76G1)及び活性化キシロース(UDP-キシロース)を使用して、6つのステビオールグリコシド(SG)「アクセプター」Reb A、B、C、D、M及びステビオシドを試験した。
【0163】
UDP-キシロース(純度98.9%)及びUDP-ラムノース二ナトリウム塩(純度95%)は、BOC Sciencesから購入した。活性化糖ドナーを、0.05Mのトリス緩衝液で10mM濃度に調製し、使用前に製造業者の推奨に従って保存した。
【0164】
配列番号1の酵素及びUGT76G1酵素を、化学誘導物質によって誘導された発現を有するタグ化タンパク質として大腸菌宿主細胞において調製した。誘導後、細胞を一晩インキュベートし、採取した。次いで、細胞を溶解し(超音波処理、機械的破砕又は化学的溶解のいずれかによって)、タンパク質をクロマトグラフィーによって精製し、使用するまで-20℃で凍結保存した。予備試験において、UDP-グルコースを用いて酵素活性を確認した。凍結酵素溶液を使用直前に解凍し、使用後に凍結保存に戻した。以前の研究は、反復凍結-解凍が酵素活性に対してほとんど影響を及ぼさないことを示した。
【0165】
SG材料は、90%以上の純度で様々な供給源から入手した。全てのSG材料を、90%DMSOを用いて20mMで調製し、周囲温度で保存した。反応混合物中の最終DMSO濃度は4.5%であった。以前の研究は、このレベルのDMSOが生物変換に対していかなる効果も有さないことを示した。
【0166】
生物変換反応に対する安定化効果を有することが以前に示されたスクロースを、0.05Mのトリス緩衝液を用いて0.1Mで調製した。
【0167】
トリス(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)緩衝液を0.05M、pH7.3で調製し、補因子としてそれぞれ3mMのMgCl及びMnClを含有させた。
【0168】
生物変換反応は、トリス緩衝液、0.1μモルのSGアクセプター、0.2μモルの活性化糖ドナー、1μモルのスクロース及び2ugの酵素のタンパク質を含有する合計100uLの密封バイアル中で行った。各バイアルに、緩衝液、スクロース、UDP-糖ドナー、及びSGアクセプターをこの順序で添加した後、最後に酵素を添加した。各SGドナーについて、UDP-糖ドナーを含まない同量のスクロース及び酵素を含有する対照を含めた。手で混合した後、バイアルを、30℃及び100rpmに設定した温度制御振盪器に入れ、96時間(4日間)回転させた。
【0169】
4日間の反応後、0.9mLの80%アセトニトリルを各バイアルに添加し、得られた試料をLC/MSで分析した。-19C(O)-β-Glc残基のキシロース修飾が確認された。
【0170】
表1及び図5に示されるように、配列番号1のポリペプチドは、UGT76G1よりもSGアクセプターへのキシロースの転移においてより有効であった。UGT76G1が配列番号1よりもアクセプター及びドナーに対してより広い活性を有すると他者によって想定されていたので、この結果はむしろ予想外であった。配列番号1のポリペプチドを使用した場合、ステビオシド、Reb A 及びReb Cは全て非常に高い変換を示し、RebD複製物の1つは約10%の変換を示した。UGT76G1を使用した場合、ステビオシドは、Reb A及びReb Cよりも高い変換率を示した。
【0171】
【表1】
【0172】
実施例2:配列番号1及び活性化糖を用いたReb Aのグリコシル化の経時変化分析
異なる濃度で使用される異なる活性化糖を用いてReb Aをグリコシル化する配列番号1の能力を調べ、形成された反応生成物を反応の過程にわたって測定した。
【0173】
配列番号1の精製タンパク質をUDP-グルコース、UDP-キシロース、及びUDP-ラムノース二ナトリウム塩とともに使用し、試薬及び反応条件は実施例1に記載した通りであった。
【0174】
【表2】
【0175】
【表3】
【0176】
配列番号1のポリペプチドは、グルコース及びキシロースをそれぞれUDP-グルコース及びUSP-キシロースからRebAに効果的に転移することができた。配列番号1の精製タンパク及び1mMの活性化糖が存在する場合、RebAのグルコシル化及びキシロシル化は20分後にプラトーに達し、RebAはキシロシル化よりもわずかに高いレベルのグルコシル化を有していた(表2及び図8A参照)。配列番号1の精製タンパク及び2mMの活性化糖が存在する場合、RebAのグルコシル化及びキシロシル化は20分後にプラトーに達し、同様のレベルであったが、UDP-ラムノースを用いたラムノシル化は大幅に低かった(表3及び図8B参照)。
【0177】
実施例3:配列番号1及び活性化糖を使用するReb F、Reb G、及びズルコシドAのグリコシル化
異なる濃度で使用される異なる活性化糖を用いてRebF、RebG、及びズルコシドAの-19C(O)-β-Glc残基をグリコシル化する配列番号1の能力を調べ、形成された反応生成物を反応の過程にわたって測定した。
【0178】
UDP-グルコース、UDP-キシロース、及びUDP-ラムノース二ナトリウム塩を使用し、試薬及び反応条件は実施例1に記載した通りであった。
【0179】
【表4】
【0180】
【表5】
【0181】
【表6】
【0182】
配列番号1は、グルコース及びキシロースを、それぞれ、UDP-グルコース及びUDP-キシロースから、Reb F、Reb G、及びズルコシドAの-19C(O)-βGlc残基に効果的に転移することができ、グルコシル化及びキシロシル化は20分後にプラトーに達した。UDP-ラムノースを使用したラムノシル化は、大幅に低かった(表4~6及び図9A~C参照)。
【0183】
実施例4:配列番号1の相同体及び変異体を使用したReb Aのグリコシル化
インビトロでの酵素産生
250ngのプラスミドDNA及び20単位のRNase阻害剤、Murine(NEB#M0314)の添加を含む、New England Biolabs製のPURExpress In Vitro Protein Synthesisキット(NEB#E6800)を製造業者の指示に従って使用して、候補キシロシルトランスフェラーゼ酵素をインビトロで産生する。
【0184】
インビトロタンパク質合成によって産生される酵素についてのグリコシルトランスフェラーゼアッセイ
ステビオールグリコシド(SG)「アクセプター」Reb Aを、ステビアの葉におけるSG生合成においてグルコシルトランスフェラーゼに相同な4つのグルコシルトランスフェラーゼ酵素(配列番号1~4)を使用して試験した。配列番号1に対する配列番号2~4の同一性は、表7に列挙されている。
【0185】
【表7】
【0186】
UDP-キシロース(純度98.9%)をBOC Sciencesから購入した。活性化糖ドナーを、0.05Mのトリス緩衝液で10mM濃度に調製し、使用前に製造業者の推奨に従って保存した。SG材料は、90%以上の純度で様々な供給源から入手した。全てのSG材料を、90%DMSOを用いて20mMで調製し、周囲温度で保存した。反応混合物中の最終DMSO濃度は4.5%であった。以前の研究は、このレベルのDMSOが生物変換に対していかなる効果も有さないことを示した。
【0187】
トリス(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)緩衝液を0.05M、pH7.3で調製し、補因子としてそれぞれ3mMのMgCl及びMnClを含有させた。
【0188】
酵素は、インビトロ転写-翻訳(IVTT)を介して産生され、活性は、予備試験においてUDP-グルコースを使用して確認された。生物変換反応は、トリス緩衝液、0.1μモルのSGアクセプター、0.2μモルの活性化糖ドナー、1μモルのスクロース及び2μgの酵素のタンパク質を含有する合計100μLの密封バイアル中で行った。各バイアルに、緩衝液、UDP-糖ドナー、SGアクセプターをこの順序で添加した後、最後に酵素を添加した。各SGドナーについて、UDP-糖ドナーを含まない同量の酵素を含有する対照を含めた。手で混合した後、バイアルを、30℃及び100rpmに設定した温度制御振盪器に入れ、96時間(4日間)回転させた。
【0189】
4日間の反応後、0.9mLの80%アセトニトリルを各バイアルに添加し、得られた試料をLC/MSで分析した。-19C(O)-β-Glc残基のキシロース修飾が確認された。
【0190】
配列番号2~4の活性は、配列番号1の活性に対して表される。表8に示されるように、配列番号1は、SGアクセプターへのキシロースの転移において、配列番号3又は4のいずれよりも効果的であった。配列番号1と比較して配列番号2の活性が実質的に全体的に増加したことは、むしろ予想外であった。配列番号1及び2の存在下では、Reb Aのキシロシル化産物への非常に高い変換が、UDP-グルコース及びUDP-キシロースの両方の存在下で起こった。[配列番号3は、この実験において2回以上実行された。]
【0191】
【表8】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図10
【配列表】
2024508795000001.app
【国際調査報告】