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特表2024-508798組織工学のためのバイオマトリックス含浸多孔質導管
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  • 特表-組織工学のためのバイオマトリックス含浸多孔質導管 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】組織工学のためのバイオマトリックス含浸多孔質導管
(51)【国際特許分類】
   A61L 27/16 20060101AFI20240220BHJP
   A61L 27/56 20060101ALI20240220BHJP
   A61L 27/58 20060101ALI20240220BHJP
   A61L 27/22 20060101ALI20240220BHJP
   A61L 27/40 20060101ALI20240220BHJP
   A61L 27/24 20060101ALI20240220BHJP
   A61L 27/26 20060101ALI20240220BHJP
   A61L 27/50 20060101ALI20240220BHJP
   A61L 27/38 20060101ALI20240220BHJP
   A61L 27/36 20060101ALI20240220BHJP
   A61F 2/06 20130101ALI20240220BHJP
   C12N 5/071 20100101ALN20240220BHJP
【FI】
A61L27/16
A61L27/56
A61L27/58
A61L27/22
A61L27/40
A61L27/24
A61L27/26
A61L27/50 300
A61L27/38 120
A61L27/36 300
A61F2/06
C12N5/071
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550593
(86)(22)【出願日】2022-02-23
(85)【翻訳文提出日】2023-09-29
(86)【国際出願番号】 US2022017588
(87)【国際公開番号】W WO2022182805
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】63/152,749
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】519219324
【氏名又は名称】イヴィヴァ メディカル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】クラッセン, チャールズ シー.
【テーマコード(参考)】
4B065
4C081
4C097
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065BD21
4B065CA44
4C081AB13
4C081AB32
4C081BA16
4C081CA081
4C081CD121
4C081CD151
4C081CD34
4C081DA03
4C081DB03
4C097AA15
4C097BB01
4C097EE06
4C097EE19
4C097MM05
(57)【要約】
生体適合性細胞外マトリックス材料中に包埋された多孔質生体適合性ポリマーと、内部管腔空間とを含む管状構造を含む、導管、及び導管を作製する方法が、本明細書に開示される。導管は、人工組織及び臓器などのデバイスにおける使用のためのものである。導管を作製する方法は、内部管腔空間を有し、多孔質生体適合性ポリマーを含む、管状構造を提供することと、管状構造の細孔及び管腔空間を第1の溶液で灌流することと、管状構造の細孔及び管腔空間を、液化細胞外マトリックス材料を含む水溶液で灌流することによって、第1の溶液を置き換えることと、液化細胞外マトリックス材料を重合することによって、管状構造を細胞外マトリックス材料中に包埋して、導管を形成することと、を含み得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体適合性細胞外マトリックス材料中に包埋された多孔質生体適合性ポリマーと、内部管腔空間とを含む管状構造を含む、導管。
【請求項2】
前記多孔質生体適合性ポリマーが、延伸ポリテトラフルオロエチレンである、請求項1に記載の導管。
【請求項3】
前記多孔質生体適合性ポリマーが、直径0.1~0.5μmの細孔サイズ及び50%を超える多孔度を有する細孔を含む、請求項1~2に記載の導管。
【請求項4】
前記生体適合性細胞外マトリックス材料が、重合されており、ゼラチン、ゼラチンメタクリロイル、コラーゲン、又は脱細胞化天然細胞外マトリックスを含む、請求項1~3に記載の導管。
【請求項5】
前記内部管腔空間が、0.1~10cmの直径を有する、請求項1~4に記載の導管。
【請求項6】
前記導管が、平滑筋細胞、線維芽細胞、及び/又は内皮細胞から必要に応じて選択される、哺乳動物細胞を更に含む、請求項1~5に記載の導管。
【請求項7】
前記導管の一方又は両方の端部が、インビボで天然血管系に外科的に吻合される、請求項1~6に記載の導管。
【請求項8】
前記生体適合性細胞外マトリックス材料と、血管チャネルシステムとを含む組織足場中に包埋された第1の端部を有する請求項1~7に記載の導管を含むデバイスであって、前記導管の前記管腔空間が、前記血管チャネルシステムと流体連通するように構成されている、デバイス。
【請求項9】
組織足場及び導管を含むデバイスであって、
a.前記組織足場が、生体適合性細胞外マトリックス材料及び血管チャネルシステムを含み、
b.前記導管が、前記生体適合性細胞外マトリックス材料中に包埋された多孔質生体適合性ポリマーと、内部管腔空間とを含む管状構造を含み、
前記管状構造が、前記組織足場の前記生体適合性細胞外マトリックス材料中に包埋及び統合された第1の端部と、流体供給部に接続するように構成された第2の端部とを有し、前記管腔空間が、前記流体供給部及び前記血管チャネルシステムと流体連通するように構成されている、デバイス。
【請求項10】
前記多孔質生体適合性ポリマーが、延伸ポリテトラフルオロエチレンである、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記多孔質生体適合性ポリマーが、直径0.1~10μmの細孔サイズ及び50%を超える多孔度を有する細孔を含む、請求項9~10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記生体適合性細胞外マトリックス材料が、重合されており、ゼラチン、ゼラチンメタクリロイル、コラーゲン、又は脱細胞化天然細胞外マトリックスを含む、請求項9~11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記内部管腔空間が、0.1~10cmの直径を有する、請求項9~12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記導管が、平滑筋細胞、線維芽細胞、及び/又は内皮細胞から必要に応じて選択される、哺乳動物細胞を更に含む、請求項9~13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記血管チャネルシステムが、平滑筋細胞、線維芽細胞、及び/又は内皮細胞から必要に応じて選択される、哺乳動物細胞を更に含む、請求項9~14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記血管チャネルシステムが、約0.01mL~約10Lの体積を有する、請求項9~15に記載のデバイス。
【請求項17】
第2の管腔空間を有する第2の導管と、前記組織足場の前記生体適合性細胞外マトリックス材料中に包埋された第1の端部と、流体出口に接続するように構成された第2の端部とを更に含み、前記管腔空間、血管チャネルシステム及び第2の管腔空間が、相互、前記流体供給部、及び前記流体出口と流体連通するように構成されている、請求項9~16に記載のデバイス。
【請求項18】
膜と、第2の血管チャネルシステムと、第3の管腔空間を有する第3の導管と、第4の管腔空間を有する第4の導管とを更に含み、
a.前記血管チャネルシステムと、前記第2の血管チャネルシステムとが、前記膜を横断して流体連通するように構成されており、
b.前記第3の導管が、前記組織足場の前記生体適合性細胞外マトリックス中に包埋された第1の端部と、第2の流体供給部に接続するように構成された第2の端部とを有し、
c.前記第4の導管が、前記組織足場の前記生体適合性細胞外マトリックス中に包埋された第1の端部と、第2の流体出口に接続するように構成された第2の端部とを有し、
d.前記第3の管腔空間、第2の血管チャネルシステム、及び第4の管腔空間が、相互、第2の流体供給部、及び第2の流体出口と流体連通するように構成されている、請求項9~17に記載のデバイス。
【請求項19】
導管を製造する方法であって、
a.内部管腔空間を有し、多孔質生体適合性ポリマーを含む、管状構造を提供することと、
b.前記管状構造の細孔及び管腔空間を第1の溶液で灌流することと、
c.前記管状構造の前記細孔及び管腔空間を、液化細胞外マトリックス材料を含む水溶液で灌流することによって、前記第1の溶液を置き換えることと、
d.前記液化細胞外マトリックス材料を重合することによって、前記管状構造を細胞外マトリックス材料中に包埋して、前記導管を形成することと、を含む、方法。
【請求項20】
前記細胞外マトリックス材料を含む組織足場を提供することと、前記導管の第1の端部を前記組織足場の前記細胞外マトリックス材料中に包埋することと、を更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記組織足場が、血管チャネルシステムを更に含み、前記第1の端部は、前記管腔空間が前記血管チャネルシステムと流体連通するように構成されるように、前記細胞外マトリックス材料中に包埋される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の溶液が、前記細孔中への灌流を可能にする界面活性剤を含む、請求項19~21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の溶液が、非極性であり、前記水溶液において混和性である、請求項19~21に記載の方法。
【請求項24】
前記多孔質生体適合性ポリマーが、延伸ポリテトラフルオロエチレンである、請求項19~23に記載の方法。
【請求項25】
前記多孔質生体適合性ポリマーが、直径01.~10μmの細孔サイズ及び50%を超える多孔度を有する細孔を含む、請求項19~24に記載の方法。
【請求項26】
前記生体適合性細胞外マトリックス材料が、重合されており、ゼラチン、ゼラチンメタクリロイル、コラーゲン、又は脱細胞化天然細胞外マトリックスを含む、請求項19~25に記載の方法。
【請求項27】
前記内部管腔空間が、0.1~10cmの直径を有する、請求項19~26に記載の方法。
【請求項28】
前記血管チャネルシステム及び/又は前記導管に哺乳動物細胞を添加することを更に含む、請求項19~27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国仮出願第63/152,749号(02/23/2021出願、その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
血管灌流は、臓器に血液を供給し、気体及び溶質交換などの機能を可能にする。同様の管腔構造(すなわち、「チューブ」)は、廃棄物除去などのような同様の機能を可能にする。天然組織において、これらのチューブは、機械的強度及び耐久性を提供するために、それらのコラーゲン繊維の高度に組織化された構造に依存する。これらの高度に精緻化されたメカニズムは、数百、時には数千mmHgの圧力に耐え得、裂けることなしに縫合されることができるが、従順で柔らかく、細胞増殖に許容性のままである薄い血管壁を可能にする。
【0003】
加工された組織、具体的には、天然機能を再現し、置き換え得る血管系を開発するために、加工された足場のための同様に堅牢な導管構造が必要である。これは極めて挑戦的であることが判明しており、これまでの進歩は限定されている。しかしながら、スタンドアロンの加工された血管移植片及び血管に向けた洗練されたアプローチが有望性を示し始めている(Dahl,et al(2011)Science Translational Medicine,3(68),68ra9-68ra9を参照)。これらの移植片は、それに実質的な強度を与える、天然血管と同様のコラーゲン層を用いて製作される。しかしながら、それらが作製される方法は、加工された臓器組織又は細胞との統合及び/又は共製作を禁止する。その洗練された性質にもかかわらず、これらの移植片は、機能を提供し得る足場構造と統合されず、実際、天然血管系との吻合のためのスタンドアロンの血管としてのみ目的を持って開発されている。天然の生理学の要求を満たすことができる完全に統合された血管系を有する臓器足場を作るために、加工された臓器足場内で並行して又は理想的にはインサイチュで製作され得る同様の組成の血管を開発することが必要である。
これは、いくつかの重大なチャレンジを提起する。なぜなら、細胞工学に最も適した材料(ヒドロゲル及び天然細胞外マトリックス誘導体)は、機械的に堅牢な導管を構築するのに不向きであるからである。強化の試みは、支持構造を提供する合成メッシュ及び他の材料に集中していたが、材料構造のマクロスケールの性質及びヒドロゲルとの界面は、一体化された管状構造の開発を妨げ、これらの移植片は機械的不安定性を抱えている。加工された足場と界面を形成する管状構造を開発するこれらの限定的な試みは、最も洗練された加工された組織足場が、持続的な灌流のために、周囲のチャンバ又は他の人工的な外来の構築物に依存するままにした(Homan,et al.(2016)Sci Rep 6,34845を参照)。人工又はバイオ人工チューブを加工された足場に固定する試みは、チューブとバルク材料との間の乏しい結合及び機械的ミスマッチに起因して失敗する。加工された完全な生物学的な血管系及び臓器足場の開発を推し進めるために、柔軟性があり、様々な製作アプローチに容易に統合される、血管構築のためのアプローチを開発することが重要である。加工された組織における血管及び管腔構造の再現の向こうに、機械的に安定なヒドロゲルベースの加工された管状構造のための多くの潜在的なインビトロ用途、例えば、生物学的機能、生理学、又は発生プロセスの再現が存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Dahl,et al(2011)Science Translational Medicine,3(68),68ra9-68ra9
【非特許文献2】Homan,et al.(2016)Sci Rep 6,34845
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書において、本発明者らは、それによって、機械的に堅牢な管状構造が、ポリテトラフルオロエチレンチューブ(ePTFE)などの延伸合成ポリマーの高度に微孔質性の(最大80%及びそれを超える多孔度、0.1~0.5μmの細孔サイズ)支持構造を使用して製作される、新規のソリューションを提示する。ePTFEの低多孔度で、厚壁の構成は、数十年にわたって無細胞血管移植片として使用され、移植されており、これは、生体適合性に関する深いデータのプールを提供し、ePTFEを組織工学のための理想的な材料にしている。管状構造のスタンドアロンの構成に加えて、この新規のプロセスは、加工された組織足場又は構築物の製作プロセス内での、全体的な方法での、支持構造の統合及び管状血管の共製作を可能にする。これは、移植のための性能要件を満たすことができる機械的に安定な血管系及び管状構造を有するが、機械的及び物質的に粘着性の構造でもある、一体化された最終産物をもたらす。この新規のソリューションは、加工された血管及び加工された組織の灌流についての現在のチャレンジを克服する。
【0006】
本特許又は出願包袋は、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を含むこの特許又は特許出願公開のコピーは、請求及び必要な料金の支払いに際して官庁により提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態としての導管を製造するための模式図を示す。製造する方法は、ステップA:内部管腔空間を有し、多孔質生体適合性ポリマーを含む、管状構造を提供することと、ステップB:管状構造の細孔及び管腔空間を第1の溶液で灌流することと、ステップC:管状構造の細孔及び管腔空間を、液化細胞外マトリックス材料を含む水溶液で灌流することによって、第1の溶液を置き換えることと、ステップD:液化細胞外マトリックス材料を重合することによって、管状構造を細胞外マトリックス材料中に包埋して、導管を形成することと、を含む。
図2A】多孔度ポリテトラフルオロエチレンチューブ(ePTFE)を示す。図2Aは、ePTFEチューブのSEM及び光学顕微鏡画像を提供する。図2Bは、密度及び細孔サイズの関数としてのePTFEチューブの多孔度を示す。
図2B】多孔度ポリテトラフルオロエチレンチューブ(ePTFE)を示す。図2Aは、ePTFEチューブのSEM及び光学顕微鏡画像を提供する。図2Bは、密度及び細孔サイズの関数としてのePTFEチューブの多孔度を示す。
図3】GFP+HUVEC細胞を播種及び培養して、完全な内皮被覆を提供した、製作した管状構築物の組織学(断面)を示す。
図4】ePTFE管状導管を用いて製作した、本発明の加工された構築物の実施形態の画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示のいくつかの態様は、生体適合性細胞外マトリックス材料中に包埋された多孔質生体適合性ポリマーと、内部管腔空間とを含む管状構造を有する、導管に関する。
【0009】
多孔質生体適合性ポリマーは、限定されず、任意の好適な多孔質生体適合性ポリマーであり得る。いくつかの実施形態では、多孔質生体適合性ポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン、ポリジメチルシロキサン、ポリカーボネート、又はシリコーンを含むか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、多孔質生体適合性ポリマーは、延伸ポリテトラフルオロエチレンである。
【0010】
生体適合性ポリマーにおける細孔の細孔サイズは、限定されず、任意の好適な細孔サイズであり得る。いくつかの実施形態では、平均又は中央値の細孔サイズ(すなわち、細孔直径)は、約0.1μm、0.15μm、0.2μm、0.25μm、0.3μm、0.35μm、0.4μm、0.45μm、又は約0.5μmである。いくつかの実施形態では、平均又は中央値の細孔サイズは、約0.1~0.5μmである。多孔質生体適合性ポリマーの多孔度(すなわち、全体積に対する空隙の体積の割合)もまた、限定されず、任意の好適な多孔度であり得る。いくつかの実施形態では、多孔度は、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、又はそれ以上である。いくつかの実施形態では、多孔度は、50%を超える。いくつかの実施形態では、多孔度は、50%~60%、50%~70%、又は50%~80%である。
【0011】
生体適合性細胞外マトリックス材料は、限定されず、当該技術分野において知られている任意の好適な生体適合性細胞外マトリックス材料であり得る。生体適合性細胞外マトリックス材料は、コラーゲン、脱細胞化天然細胞外マトリックス、ゼラチン、ゼラチンメタクリロイル、他のヒドロゲル、セルロース、又は他の材料などの、生物学的、合成、又は複合材料であり得る。いくつかの実施形態では、生体適合性細胞外マトリックス材料は、重合されている。いくつかの実施形態では、生体適合性細胞外マトリックス材料は、ゼラチン、ゼラチンメタクリロイル、コラーゲン、又は脱細胞化天然細胞外マトリックスから選択される重合材料を含む。
【0012】
導管の内部管腔空間は、生物学的流体供給部(例えば、血管、リンパ管、腎臓集合管、細気管支、内分泌管又はホルモン管など)への接続のための任意の好適な形状であり得る。いくつかの実施形態では、内部管腔空間は、長軸を有する。いくつかの実施形態では、内部管腔空間は、円柱状又は概ね円柱状である。いくつかの実施形態では、内部管腔空間は、0.1~10cmの直径(例えば、長軸上)を有する。いくつかの実施形態では、内部管腔空間は、0.1~1cmの直径(例えば、長軸上)を有する。いくつかの実施形態では、内部管腔空間は、0.1~0.5cmの直径(例えば、長軸上)を有する。いくつかの実施形態では、内部管腔空間は、少なくとも0.1cm、0.2cm、0.3cm、0.5cm、又は1cmの直径(例えば、長軸上)を有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、導管は、哺乳動物細胞を更に含む。哺乳動物細胞は、限定されず、任意の好適な哺乳動物細胞であり得る。いくつかの実施形態では、哺乳動物細胞は、上皮又は内皮細胞である。いくつかの実施形態では、哺乳動物細胞は、平滑筋細胞、線維芽細胞、及び/又は内皮細胞から選択される。いくつかの実施形態では、哺乳動物細胞は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、又はそれ以上の細胞型を含む。いくつかの実施形態では、哺乳動物細胞は、ヒト血管内皮細胞、ヒト腎上皮細胞、ヒト腸上皮細胞、ヒト内分泌細胞、又はヒト上皮細胞のうちの1つ以上を含むか、又はそれからなる。
【0014】
いくつかの実施形態では、導管は、別の構造(例えば、使用前の導管)に取り付けられない。いくつかの実施形態では、導管の一方の端部は、人工組織足場に取り付けられる(例えば、外科的に吻合される)。いくつかの実施形態では、導管は、一方の端部で、天然組織(例えば、血管、リンパ管、腎臓集合管、細気管支、内分泌管又はホルモン管など)に取り付けられる。いくつかの実施形態では、導管は、両方の端部で、天然組織(例えば、血管、リンパ管、腎臓集合管、細気管支、内分泌管又はホルモン管など)に取り付けられる。いくつかの実施形態では、導管の一方又は両方の端部は、インビボで天然血管系に外科的に吻合される。
【0015】
本開示のいくつかの態様は、本明細書に記載される導管を含むデバイスに関する。いくつかの実施形態では、デバイスは、組織足場中に包埋された(例えば、包埋及び統合された)第1の端部を有する、本明細書に記載されるような導管を含む。いくつかの実施形態では、組織足場は、導管と同じ生体適合性細胞外マトリックス材料と、血管チャネルシステムとを含む。いくつかの実施形態では、導管の管腔空間は、血管チャネルシステムと流体連通するように構成されている。組織足場は、限定されない。いくつかの実施形態では、組織足場は、PCT公開第WO2018/112480号(2018年6月21日公開、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載される組織足場である。いくつかの実施形態では、組織足場は、1つ以上の哺乳動物細胞型を含む。哺乳動物細胞型は、限定されず、本明細書に記載される哺乳動物細胞型であり得る。
【0016】
本開示のいくつかの態様は、組織足場及び導管を含むデバイスであって、組織足場が、生体適合性細胞外マトリックス材料と、血管チャネルシステムとを含み、導管が、生体適合性細胞外マトリックス材料中に包埋された多孔質生体適合性ポリマーと、内部管腔空間とを含む管状構造を含み、管状構造が、組織足場の生体適合性細胞外マトリックス材料中に包埋及び統合された第1の端部と、流体供給部に接続するように構成された第2の端部と、を有し、管腔空間が、流体供給部及び血管チャネルシステムと流体連通するように構成されている、デバイスに関する。導管は、限定されず、本明細書に記載される任意の好適な導管であり得る。組織足場もまた、限定されず、本明細書に記載される任意の好適な組織足場であり得る。生体適合性細胞外マトリックス材料もまた、限定されず、本明細書に記載される任意の好適な生体適合性細胞外マトリックス材料であり得る。いくつかの実施形態では、組織足場は、1つ以上の哺乳動物細胞型を含む。哺乳動物細胞型は、限定されず、本明細書に記載される哺乳動物細胞型であり得る。
【0017】
多孔質生体適合性ポリマーは、限定されず、本明細書に記載される任意の多孔質生体適合性ポリマーであり得る。いくつかの実施形態では、多孔質生体適合性ポリマーは、延伸ポリテトラフルオロエチレンである。
【0018】
多孔質生体適合性ポリマーの細孔サイズは、限定されず、本明細書に記載される任意の細孔サイズであり得る。いくつかの実施形態では、多孔質生体適合性ポリマーは、直径0.1~10μmの細孔サイズ及び50%を超える多孔度を有する細孔を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、生体適合性細胞外マトリックス材料は、重合されており、ゼラチン、ゼラチンメタクリロイル、コラーゲン、又は脱細胞化天然細胞外マトリックスを含む。
【0020】
導管の内部管腔空間は、生物学的流体供給部(例えば、血管、リンパ管、腎臓集合管、細気管支、内分泌管又はホルモン管など)への接続のための任意の好適な形状であり得る。いくつかの実施形態では、内部管腔空間は、長軸を有する。いくつかの実施形態では、内部管腔空間は、円柱状又は概ね円柱状である。いくつかの実施形態では、内部管腔空間は、0.1~10cmの直径(例えば、長軸上)を有する。いくつかの実施形態では、内部管腔空間は、0.1~1cmの直径(例えば、長軸上)を有する。いくつかの実施形態では、内部管腔空間は、0.1~0.5cmの直径(例えば、長軸上)を有する。いくつかの実施形態では、内部管腔空間は、0.3~0.7cmの直径(例えば、長軸上)を有する。いくつかの実施形態では、内部管腔空間は、少なくとも0.1cm、0.2cm、0.3cm、0.5cm、0.6cm、0.8cm、0.9cm、又は1cmの直径(例えば、長軸上)を有する。
【0021】
いくつかの実施形態では、導管は、平滑筋細胞、線維芽細胞、及び/又は内皮細胞から必要に応じて選択される、哺乳動物細胞を更に含む。
【0022】
血管チャネルシステムの体積は、限定されず、インビボで移植されるときの使用のための、又は体外での若しくはインビトロ適用における使用のための、任意の好適な体積であり得る。いくつかの実施形態では、血管チャネルシステムは、約0.01mL~約10Lの体積を有する。いくつかの実施形態では、血管チャネルシステムは、約0.01mL~約100mL、約0.1mL~約10mL、若しくは1mL~100mL、又はその間の任意の範囲の体積を有する。いくつかの実施形態では、血管チャネルシステムは、WO2018/112480(2018年6月21日公開)、又はWO2018/227026(2018年12月13日公開)に記載されている。
【0023】
開示されるデバイスは、単一の導管(例えば、ここで、生物学的流体は、導管を通して細胞足場の中及び外に拡散し、例えば、内分泌腺機能を再現する)又は1つより多い導管を有し得る。いくつかの実施形態では、デバイスは、第2の管腔空間を有する第2の導管と、組織足場の生体適合性細胞外マトリックス材料中に包埋された(例えば、包埋及び統合された)第1の端部と、流体出口に接続するように構成された第2の端部とを含み、ここで、管腔空間、血管チャネルシステム及び第2の管腔空間は、相互、流体供給部、及び流体出口と流体連通するように構成されている。そのようなデバイスは、例えば、血管チャネルシステムを通して血液などの生物学的流体を短絡して、血管チャネルシステム中の細胞によって産生されるホルモン、サイトカイン、又は内分泌物質などの所望の物質を加えるために使用され得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、デバイスは、血管チャネルシステムを第2の血管チャネルシステムから分離する膜を含む。膜は、限定されず、任意の好適な膜であり得る。いくつかの実施形態では、膜は、WO2018/112480(2018年6月21日公開)、又はWO2018/227026(2018年12月13日公開)(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。いくつかの実施形態では、第2の血管チャネルシステムは、本明細書に記載されるような導管に流体的に接続される。いくつかの実施形態では、第2の血管システムは、本明細書に記載されるような2つの導管に流体的に接続される。いくつかの特定の実施形態では、デバイスは、膜と、第2の血管チャネルシステムと、第3の管腔空間を有する第3の管路と、第4の管腔空間を有する第4の導管とを更に含み、ここで、血管チャネルシステムと、第2の血管チャネルシステムとは、膜を横断して流体連通するように構成されており、第3の導管は、組織足場の生体適合性細胞外マトリックス中に包埋された(例えば、包埋及び統合された)第1の端部と、第2の流体供給部に接続するように構成された第2の端部とを有し、第4の導管は、組織足場の生体適合性細胞外マトリックス中に包埋された(例えば、包埋及び統合された)第1の端部と、第2の流体出口に接続するように構成された第2の端部とを有し、第3の管路空間、第2の血管チャネルシステム、及び第4の管腔空間は、相互、第2の流体供給部、及び第2の流体出口と流体連通するように構成されている。いくつかの実施形態では、デバイスは、第1の~第4の導管、第1の血管チャネルシステム、及び第2の血管チャネルシステムのうちの1つ以上において、本明細書に記載されるような哺乳動物細胞を更に含む。いくつかの実施形態では、デバイスは、例えば、腎機能、肺機能、内分泌腺機能、消化管機能、リンパ機能などを置き換えるか又は増強するために、対象の血管又は他のチャネルシステム中に外科的に吻合される。
【0025】
本開示のいくつかの態様は、本明細書に記載されるような導管又はデバイスを製造する方法に関する。いくつかの実施形態では、導管を製造する方法は、内部管腔空間を有し、多孔質生体適合性ポリマーを含む、管状構造を提供することと、管状構造の細孔及び管腔空間を第1の溶液で灌流することと、管状構造の細孔及び管腔空間を、液化細胞外マトリックス材料を含む水溶液で灌流することによって、第1の溶液を置き換えることと、液化細胞外マトリックス材料を重合することによって、管状構造を細胞外マトリックス材料中に包埋して、導管を形成することと、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、細胞外マトリックス材料を含む組織足場(例えば、本明細書に記載されるような組織足場)を提供することと、導管の第1の端部を組織足場の細胞外マトリックス材料中に包埋する(例えば、包埋及び統合する)ことと、を更に含む。いくつかの実施形態では、組織足場は、血管チャネルシステムを更に含み、第1の端部は、管腔空間が血管チャネルシステムと流体連通するように構成されるように、細胞外マトリックス材料中に包埋される。
【0026】
いくつかの代替的な実施形態では、管状構造の細孔及び管腔空間を第1の溶液で灌流するステップ、並びに管状構造の細孔及び管腔空間を、液化細胞外マトリックス材料を含む水溶液で灌流することによって、第1の溶液を置き換えるステップは、単一のステップに置き換えられ、ここで、第1の溶液は、管状構造の細孔及び管腔空間を灌流し、液化細胞外マトリックス材料を含有する(例えば、第1の溶液は、液化細胞外マトリックス材料及び界面活性剤を、管状構造の細孔中への灌流を可能にするのに十分な濃度で含む水溶液である)。
【0027】
第1の溶液は、限定されず、管状構造と適合性であり(例えば、管状構造を損傷しない)、細孔及び管腔空間中に灌流することができる(例えば、十分に低い表面張力、粘度などを有する溶液)任意の好適な溶液であり得る。いくつかの実施形態では、第1の溶液は、水溶液であり、界面活性剤を、細孔中への灌流を可能にするのに十分な濃度で含む。界面活性剤は、限定されず、任意の好適な界面活性剤であり得る。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ポリソルベート型非イオン性界面活性剤(例えば、TWEEN(登録商標)-20、TWEEN(登録商標)-80)、Triton X-100、又はそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、医学的に許容される界面活性剤である。いくつかの実施形態では、第1の溶液は、非極性であり、液化細胞外マトリックス材料を含む水溶液において混和性である。
【0028】
多孔質生体適合性ポリマーは、限定されず、本明細書に記載される任意の好適な多孔質生体適合性ポリマーであり得る。いくつかの実施形態では、多孔質生体適合性ポリマーは、延伸ポリテトラフルオロエチレンである。いくつかの実施形態では、多孔質生体適合性ポリマーは、直径01.~10μmの細孔サイズ及び50%を超える多孔度を有する細孔を含む。いくつかの実施形態では、生体適合性細胞外マトリックス材料は、重合されており、ゼラチン、ゼラチンメタクリロイル、コラーゲン、又は脱細胞化天然細胞外マトリックスを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、導管の内部管腔空間は、0.1~10cmの直径を有する。
【0030】
いくつかの実施形態では、方法は、血管チャネルシステム及び/又は導管に哺乳動物細胞を添加する(例えば、播種する)ことを更に含む。哺乳動物細胞は、限定されず、本明細書に記載される任意の哺乳動物細胞又は哺乳動物細胞の混合物であり得る。いくつかの実施形態では、哺乳動物細胞は、平滑筋細胞、線維芽細胞、及び/又は内皮細胞から選択される。
【0031】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態は、以下のステップを含む。
【0032】
ステップ1において、機械的に堅牢な管状の多孔質ePTFE構造が、標準的な技術を使用して調達、製作、又は製造される。この構造は、本来純粋に管状であり得るか、又は機能若しくは他の構造との統合を増強するように設計されたうね織り模様、フランジ、固定点、若しくは他のそのような構造的付加物などの追加の特徴を有し得る。チューブの多孔度と同等である、この構造における空隙空間の量は、調整可能であり、また均一であり得るか、又は最終組成における多孔度及び剛性の量及び位置を変動させるように局所的に適応させられ得る。
【0033】
ステップ2において、多孔質構造は、製作を補助するか、又は最終産物を増強するために、親水性若しくは材料表面エネルギー、生物活性、又は他の所望の特性を改善するなど、化学的、生物学的、又は物理的特性を改変するように、他の材料又はプロセスを用いて処理され得る。
【0034】
ステップ3において、多孔質チューブ構造における空隙空間の全体は、水溶液と混和性である最初の非極性溶液を含浸させられる。これは、浸漬によって、又は真空、圧力、超音波処理、若しくは他の技術による補助で多孔質構造を通して溶液を流すことによって行われ得る。
【0035】
ステップ4において、最初の非極性溶液は、一次水溶液に置き換えられる。これは、ステップ3において記載されるのと同様の技術によって行われ得る。
【0036】
ステップ5において、二次材料溶液が、水溶液を置き換えるために使用される。この二次材料は、最終適用によって決定されるように、細胞又は他の生物学的材料を含有してもよく、又は含有しなくてもよい。この二次材料は、生物学的、ポリマー、複合、又は他の組成物であり得るが、液体形態でなければならない。これは、ステップ3及び4において記載されるのと同様のプロセスを通して行われ得、分離して生じ得るか、又は、管状構造を灌流可能な構築物に統合するように、他の構造若しくは加工された足場の製作と併せて生じ得る。
【0037】
ステップ6において、材料は、ePFTEチューブの相互接続された多孔質構造内で重合される、ゲル化される、架橋される、結合される、又はそうでなければ固体にされる。必要に応じて、チューブの管腔は、二次材料の固化の前又は後にクリアされ得る。
【0038】
ステップ7において、本特許の管状構造は、そのままで使用され得るか、又は更に処理され得るか若しくはその後の構造又は加工された組織中に組み込まれ得る。これは、成形、鋳造、又は他のそのような技術によって行われ得る。このプロセスの間、二次材料は、多孔質構造中に含浸させられ得、加工された構築物中で同様の材料と接触し、その後、架橋、結合、硬化、又はそうでなければ固化され、その結果、それは、多孔質構造と、加工された足場のいくらか又は全ての両方に広がる粘着性のある均一な単一の材料小片を形成する。この足場の部分又は構成要素は、管状構造の統合の前に製作され得るか、又は管状構造は、足場の製作のための基礎若しくは構成要素として作用し得る。
【0039】
ステップ8において、加工された足場は完全であり、管状構造の管腔は、棘付きの(barbed)接続、カニューレ挿入、外科的吻合、又は他のそのような手段を介してアクセスされ得る。多孔質管状構造は、堅牢な接続のための機械的に安定な構造を提供し、これは、管腔及び吻合されたか又は取り付けられた組織又は血管の中又は外への液体又は気体の流れを可能にする。
***
【0040】
特定される全ての特許及び他の刊行物は、例えば、本発明に関連して使用され得るそのような刊行物に記載される方法論を、説明及び開示する目的のために、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。これらの刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示のためにのみ提供される。この点でいかなるものも、先行発明若しくは先行刊行物によって、又はいずれかの他の理由のために、本発明者らがそのような開示に先行する権利を与えられないことの承認として解釈されるべきではない。これらの文献の日付に関する記述又は内容に関する表示の全ては、出願人にとって利用可能な情報に基づいており、これらの文献の日付又は内容の正確性に関するいかなる承認も構成しない。
【0041】
当業者は、本発明が、目的を実行し、言及される目標及び利点並びにそれらに固有のものを得るように十分に適合されていることを容易に理解する。本明細書における説明及び例の詳細は、特定の実施形態の代表であり、例示的であり、本発明の範囲に対する限定として意図するもではない。それにおける改変及び他の使用は当業者に思い浮かぶであろう。これらの改変は、本発明の精神の範囲内に包含される。本発明の範囲及び精神から逸脱することなしに、本明細書に開示される発明に様々な置換及び改変がなされ得ることは当業者には容易に明らかであろう。
【0042】
明細書及び特許請求の範囲において本明細書で使用される冠詞「a」及び「an」は、明確にそれに反して指示されない限り、複数の指示物を含むと理解するべきである。グループの1つ以上のメンバーの間に「又は」を含む特許請求の範囲又は説明は、それに反して指示されるか、又は別途文脈から明白でない限り、グループメンバーの1つ、1つ超、又は全てが、所与の産物又はプロセスにおいて存在するか、用いられるか、又はそうでなければそれに関連している場合に、満足されるとみなされる。本発明は、グループのうちの正確に1つのメンバーが、所与の産物又はプロセスにおいて存在するか、用いられるか、又はそうでなければそれに関連する実施形態を含む。本発明はまた、グループメンバーのうちの1つ超、又は全てが、所与の産物又はプロセスにおいて存在する、用いられる、又はそうでなければそれに関連する実施形態も含む。更に、本発明は、別段の指示がない限り、又は矛盾若しくは不一致が生じるであろうことが当業者に明らかでない限り、列挙される請求項のうちの1つ以上からの1つ以上の限定、要素、節、説明用語などが、同じ基本請求項に従属する別の請求項(又は、関連する場合、任意の他の請求項)に導入される、全ての変形、組み合わせ、及び順列を提供することを理解されたい。本明細書に記載される全ての実施形態は、適切な場合、本発明の全ての異なる態様に適用可能であることが企図される。また、任意の実施形態又は態様が、必要に応じて、1つ以上の他のそのような実施形態又は態様と自由に組み合わされ得ることが企図される。要素が、リストとして、例えば、マーカッシュグループ又は類似の形式で提示される場合、要素の各サブグループも開示され、任意の要素が、グループから取り除かれ得ることを理解されたい。一般に、本発明、又は本発明の態様が、特定の要素、特徴などを含むとして言及される場合、本発明の特定の実施形態又は本発明の態様は、そのような要素、特徴などからなる、又はそれから本質的になることを理解するべきである。簡略化の目的のために、それらの実施形態は、全ての場合に、本明細書において、さほど多くの言葉で具体的に記載されるわけではない。具体的な除外が本明細書に記載されているかどうかにかかわらず、本発明の任意の実施形態又は態様が、特許請求の範囲から明示的に除外され得ることも理解するべきである。例えば、任意の1つ以上の活性薬剤、添加物、成分、任意薬剤、生物の型、障害、対象、又はそれらの組み合わせが除外され得る。
【0043】
特許請求の範囲又は説明が物質の組成物に関する場合、別段の指示がない限り、又は矛盾若しくは不一致が生じるであろうことが当業者に明らかでない限り、本明細書に開示される任意の方法による物質の組成物を作製又は使用する方法、及び本明細書に開示される任意の目的のために物質の組成物を使用する方法が、本発明の態様であることを理解されたい。特許請求の範囲又は説明が方法に関する場合、例えば、別段の指示がない限り、又は矛盾若しくは不一致が生じるであろうことが当業者に明らかでない限り、方法の実施に有用な組成物を作製する方法、及び方法に従って産生された産物が本発明の態様であることを理解されたい。
【0044】
本明細書において範囲が与えられる場合、本発明は、エンドポイントが含まれる実施形態、両方のエンドポイントが除外される実施形態、及び一方のエンドポイントが含まれ、他方が除外される実施形態を含む。別段の指示がない限り、両方のエンドポイントが含まれると推定するべきである。更に、別段の指示がない限り、又は文脈及び当業者の理解から明らかでない限り、範囲として表される値は、文脈が別段明確に示さない限り、範囲の下限の単位の10分の1まで、本発明の異なる実施形態における記述される範囲内の任意の特定の値又は部分範囲をとり得ることを理解されたい。また、一連の数値が本明細書において記述される場合、本発明は、一連の値の任意の2つによって規定される任意の中間値又は範囲に同様に関連する実施形態を含み、最も小さな値を最小値とし、最も大きな値を最大値とし得ることも理解されたい。本明細書で使用される数値は、パーセンテージとして表される値を含む。数値が「約」又は「おおよそ」によって前置きされる本発明の任意の実施形態について、本発明は、その正確な値が記載される実施形態を含む。数値が「約」又は「おおよそ」によって前置きされない本発明の任意の実施形態について、本発明は、値が「約」又は「おおよそ」によって前置きされる実施形態を含む。
【0045】
本明細書で使用される場合、「A及び/又はB」は、A及びBが異なる特許請求の範囲の用語である場合、一般に、A、B、又はA及びBの両方のうちの少なくとも1つを意味する。例えば、別の配列に相補的である、及び/又はハイブリダイズする1つの配列は、(i)たとえ、当該1つの配列が全ての条件下で必ずしも他の配列にハイブリダイズしない可能性があっても、当該他の配列に相補的である1つの配列、(ii)たとえ、当該1つの配列が他の配列に完全には相補的でなくても、当該他の配列にハイブリダイズする1つの配列、及び(iii)他の配列に相補的である、及び他の配列にハイブリダイズする、の両方である配列を含む。
【0046】
「おおよそ」又は「約」は、一般に、別途の記述がない限り、又は文脈から明らかでない限り(そのような数が可能な値の100%を許容されないほど超える場合を除き)、1%の範囲内、又はいくつかの実施形態では、数の5%の範囲内、又はいくつかの実施形態では、数の10%の範囲内に入るいずれもの方向の(当該数より大きいか又は小さい)数を含む。明確にそれに反して指示されない限り、1つより多い行為を含む本明細書において請求される任意の方法において、方法の行為の順序は、必ずしも、方法の行為が記載されている順序に限定されるわけではないが、本発明は、順序がそのように限定される実施形態を含むことを理解するべきである。別段の指示がない限り、又は文脈から明らかでない限り、本明細書に記載される任意の産物又は組成物が「単離されている」とみなされ得ることも理解するべきである。
【0047】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」又は「含む(comprises)」という用語は、本発明に本質的である組成物、方法、及びそれらのそれぞれの構成要素に関連して使用され、本質的であるかどうかにかかわらず、特定されていない要素を含めることをなお許容する。
【0048】
本明細書で使用される場合、「本質的にからなる」という用語は、所与の実施形態のために必要とされる要素を指す。この用語は、本発明のその実施形態の基本的及び新規又は機能的な特性に実質的に影響を及ぼさない追加の要素の存在を容認する。
【0049】
「からなる」という用語は、本明細書に記載の組成物、方法、及びそのそれぞれの構成要素を指し、これらは、実施形態のその説明に記載されていないいかなる要素も除外する。
【実施例
【0050】
実施例1
一例では、多孔質管状構造は、Goreによって最初に開発された、市販の、高度に調整可能な生物学的に不活性な材料である、一定の長さの延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)である。処理の間の延伸の速度及び加速度(パラメータの中でもとりわけ)を変動させることによって、最大80%及びのそれを超える多孔度を有するチューブを達成することが可能であり、これは、二次材料の統合のための実質的な量の空隙空間を提供する。ePTFEチューブは、3mmの内径及び6mm外径を有し、50mm長である。ePTFEチューブの一方の端部を、棘付きのフィッティング上に置き、他方の端部を、棘付きのフィッティング及びクロージャを用いてキャップする。チューブの開放端部をシリンジに接続し、チューブに、37℃に加温した70%イソプロパノール溶液を手動で充填する。チューブの管腔を加圧することによって、溶液をチューブの壁を通して強制的に出し、空隙空間に含浸させ、チューブ細孔からいかなる空気をも完全に排除する。次いで、チューブをシリンジ又はポンプシステムに取り付け、37℃の10重量%ゼラチンを含有する溶液を用いて加圧する。チューブの加圧は、溶液を、チューブの壁を通してイソプロパノール溶液によって占有された空隙空間中に強制的に押し込み、混合し、最終的に空隙空間中の溶液をゼラチン溶液に全体に置き換える。十分な体積をチューブに通して、イソプロパノールの完全な排除を確実にする。
【0051】
次いで、チューブのキャップを取り外し、チューブをポンプから取り外し、ゼラチン溶液をチューブから排出させる。次いで、シリンジを再び取り付け、チューブの他方の端部を開いたままにし、37℃の生理食塩水のボーラスをチューブに通して、チューブの内部に残存し、後で層剥離し得るゼラチンのいかなる分離した層をも除去する。次いで、チューブを棘付きのフィッティングから取り外し、生理食塩水の4℃の浴中に入れて、多孔質チューブの空隙空間中に残存するゼラチン溶液の熱架橋及びゲル化を引き起こす。この時点で、チューブを、貯蔵し得るか、又は下流の製作において含めるためにトリミングし、更に操作し得る。
【0052】
ゼラチンを含浸させたチューブを、組織足場中に組み込む。具体的には、チューブの管腔を、足場におけるチャネル構造を形成する犠牲材料と一緒にし、デバイス全体を、同様のゼラチン材料中に包埋された管状構造を有する足場を生成する単一の又は一連のステップにおいて成形する。成形プロセスの間、足場中のゼラチンは、管状構造中のゼラチンと一体化され、粘着性になり、その後、酵素的、化学的、又は他の手段を使用して架橋され得る。最終結果は、高度に多孔質の管状支持構造に浸透する、単一の一体化されたヒドロゲル材料を有するゼラチンベースの足場であり、これは、足場構築の間にインサイチュで製作される機械的に堅牢な管状構造をもたらす。
【0053】
本発明の追加の例では、ゼラチン溶液は、平滑筋細胞、線維芽細胞、及び内皮細胞などの、細胞を含有する。
【0054】
本発明の追加の例では、チューブに、ゼラチン溶液に加えて、又はゼラチン溶液の代わりに、GelMA、コラーゲン、脱細胞化天然ECM、又は他のそのような生体材料を含浸させる。
【0055】
本発明の追加の例では、チューブに、組織型又は構成ごとに可変性の機能又は移行を達成するために、異なる領域において異なる溶液を含浸させる。
【0056】
本発明の追加の例では、ePTFEチューブは、より大きな構築物との界面表面領域及び全体的な統合を改善するために、一方の端部にフランジ及び/又は棘付きの特徴を有する。
【0057】
本発明の追加の例では、ePTFEチューブは、機能を改善するために、その長さに沿って可変性の特性、例えば、可変性の多孔度又は剛性を有する。
【0058】
本発明の追加の例では、ePTFEチューブは、流体の灌流及び分配を調整するために、その長さに沿って分枝構造又はテーパリングを有する。
図1
図2A
図2B
図3
図4
【国際調査報告】