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特表2024-508827炭素環ヌクレオシド誘導体を含む新型コロナウイルス感染症の予防及び治療用の薬学的組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】炭素環ヌクレオシド誘導体を含む新型コロナウイルス感染症の予防及び治療用の薬学的組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/52 20060101AFI20240220BHJP
   A61K 31/7076 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
A61K31/52
A61K31/7076
A61P31/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552043
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-25
(86)【国際出願番号】 KR2022002329
(87)【国際公開番号】W WO2022182054
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0026365
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Witepsol
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】520188684
【氏名又は名称】フューチャー・メディシン・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FUTURE MEDICINE CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヒョクウ
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ソヒョン
(72)【発明者】
【氏名】カン,ジユン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ヒュジョン
(72)【発明者】
【氏名】ソ,ソンウク
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB07
4C086EA18
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA55
4C086NA14
4C086ZB33
(57)【要約】
本発明は新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の予防または治療用の薬学的組成物に関し、詳しくは、化学式A-1または化学式A-2で表される炭素環ヌクレオシド(carbocyclic nucleoside)誘導体またはこれの薬学的に許容可能な塩を含む薬学的組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式A-1で表される炭素環ヌクレオシド(carbocyclic nucleoside)誘導体またはこれの薬学的に許容可能な塩を含む、
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の予防または治療用の薬学的組成物。
【化1】
(前記化学式A-1において、R及びRはそれぞれ独立して水素またはフッ素であるが、R及びRのうち少なくとも一つはフッ素であり、Bは下記化学式B-1である)
【化2】
(前記化学式B-1において、Xはアミノ基(amino group)、アルキル(alkyl)アミノ基またはアリール(aryl)アミノ基であり、Yは水素、チオフェニル基(thiophenyl group)またはフラニル基(furanyl group)であり、前記Zは水素、アルキニル基(alkynyl group)、アルキルアルキニル基またはアリールアルキニル基である)
【請求項2】
前記化学式A-1は下記化学式1-1である、
請求項1に記載COVID-19の予防または治療用の薬学的組成物。
【化3】
【請求項3】
前記化学式A-1は下記化学式1-2である、
請求項1に記載COVID-19の予防または治療用の薬学的組成物。
【化4】
【請求項4】
前記炭素環ヌクレオシド誘導体または塩のSARS-CoV-2に対するIC50値が7.5μM以下で、CC50値が50以上で、SI値が6.5以上である、
請求項1に記載COVID-19の予防または治療用の薬学的組成物。
【請求項5】
前記炭素環ヌクレオシド誘導体または塩のSARS-CoV-2に対するIC50値が4μM以下で、SI値が16以上である、
請求項4に記載COVID-19の予防または治療用の薬学的組成物。
【請求項6】
下記化学式A-2で表される炭素環ヌクレオシド誘導体またはこれの薬学的に許容可能な塩を含む、
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の予防または治療用の薬学的組成物。
【化5】
(前記化学式A-2において、Bは下記化学式B-1である)
【化6】
(前記化学式B-1において、Xはアミノ基、アルキルアミノ基またはアリールアミノ基であり、Yは水素、チオフェニル基またはフラニル基であり、前記Zは水素、アルキニル基、アルキルアルキニル基またはアリールアルキニル基である)
【請求項7】
前記化学式B-1において、Xはアルキルアミノ基またはアリールアミノ基で、Yはチオフェニル基またはフラニル基で、前記Zはアルキニル基、アルキルアルキニル基、またはアリールアルキニル基であるが、
前記アルキルアミノ基は-NHMeまたは-NHEtで、前記アリールアミノ基はベンジルアミノまたはハロゲン化ベンジルアミノで、前記アルキルアルキニル基と前記アリールアルキニル基はフェニルエチニルまたベンジルエチニルである、
請求項6に記載COVID-19の予防または治療用の薬学的組成物。
【請求項8】
前記化学式A-2は下記化学式2である、
請求項7に記載COVID-19の予防または治療用の薬学的組成物。
【化7】
【請求項9】
前記炭素環ヌクレオシド誘導体または塩のSARS-CoV-2に対するIC50値が7.5μM以下で、CC50値が50以上で、SI値が6.5以上である、
請求項6に記載COVID-19の予防または治療用の薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は炭素環ヌクレオシド誘導体を含む新型コロナウイルス感染症の予防及び治療用の薬学的組成物に関し、詳しくは、SARS-CoV-2に対する優秀な感染阻害能と低い細胞毒性を有して新型コロナウイルス感染症を予防または治療するのに活用される炭素環ヌクレオシド誘導体を含む薬学的組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ウィルスは人類の健康を威嚇する多数の難病の体表的な原因の一つであって、全世界的にそれを予防または治療するために莫大な資本を投資している。最近は中国の武漢で最初に発生した新たな類型の重症急性呼吸器症候群の新型コロナウィルス(Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2;SARS-CoV-2)による呼吸器感染疾患である新型コロナウィルス感染症(coronavirus disease 19;COVID-19)が全世界に拡散し、パンデミック(pandemic)現象を引き起こしている。よって、これらの増殖を抑制するウィルス治療剤の開発が急を要する状況であるが、現在このウィルスを安全で効果的に抑制する治療剤または予防剤が皆無な実情である。
【0003】
一方、抗ウィルス剤は多様な機序(mechanism)によってウィルスを抑制するが、そのうち以下のような2つの機序はウィルスを効果的に抑制するのに使用されると知られている。
【0004】
第一、S-adenosylhomocysteine(以下、SAH)加水分解酵素(hydrolase)を抑制することである。SAH加水分解酵素はNADを助酵素として利用する四量体(tetramer)形態の酵素であって、SAHをアデノシン(adenosine、Ado)とホモシステイン(homocysteine、Hcy)に可逆的に加水分解する役割をし、生体内のタンパク質、脂質、核酸だけでなくヒスタミン、ノルエピネフリンのような体内物質のメチル化(methylation)に非常に重要な酵素である。
【0005】
このようなSAH加水分解酵素の抑制はSAHの蓄積を誘発し、過剰なSAHは順次にS-adenosylmethionine(AdoMet)-dependent transmethylaseの抑制、及びウィルスmRNAのキャッピング(capping)を抑制して、ウィルスの複製に必要なタンパク質がろくに作れないようにするため、結果的に抗ウィルス効果を示すようになる。
【0006】
殆どの動物DNAウィルスだけでなく、RNAウィルスもmRNAキャッピングにメチル化酵素(viral mRNA guanosine N7-methytransferases、O-2’-methytransferase)が必須的であるため、SAH加水分解酵素は広範囲の抗ウィルス剤の開発において必須的な要素とみなされている。つまり、RNAウィルス治療剤の開発とSAH加水分解酵素阻害剤の開発は高い相関性を有すると考えられている。
【0007】
第二、ウィルスRNA重合酵素(polymerase)を阻害することである。RNAウィルスは、基質であるNucleoside-5’-triphosphate(NTP)がRNA重合酵素によってRNA鎖(chain)に挿入されて複製される。よって、RNA重合酵素を阻害する物質も抗ウィルスの役割をし、体内で三リン酸塩(triphosphate)に転換されてウィルスRNA重合酵素を選択的に抑制するか、ウィルスRNA鎖で直接挿入されて連鎖停止反応(chain termination)を誘導する物質を利用すれば効果的な抗ウィルス剤を開発することができると考えられている。
【0008】
Tetrahedron:Asymmetry,2002,13,1189-1193
【0009】
J.Med.Chem.2001,44,3985-3993
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、コロナウィルスの一種であるSARS-CoV-2に対する優秀な感染阻害能と低い細胞毒性を有する炭素環ヌクレオシド誘導体を発掘し、全世界的に深刻な危険をもたらしている新型コロナウィルス感染症(COVID-19)を予防または治療するための薬学的組成物を提供することである。
【0011】
本発明の課題は上述した技術的課題に限らず、言及されていない他の技術的課題は以下の記載から当業者に明確に理解されるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するための本発明の一実施例による新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の予防及び/または治療用の薬学的組成物は、下記化学式A-1または化学式A-2で表される炭素環ヌクレオシド(carbocyclic nucleoside)誘導体またはこれの薬学的に許容可能な塩を含む。
【0013】
【化1】
【0014】
【化2】
【0015】
前記化学式A-1または化学式A-2において、R及びRはそれぞれ独立して水素またはフッ素であるが、R及びRのうち少なくとも一つはフッ素であり、Bは下記化学式B-1である。
【0016】
【化3】
【0017】
前記化学式B-1において、Xはアミノ基(amino group)、アルキル(alkyl)アミノ基またはアリール(aryl)アミノ基であり、Yは水素、チオフェニル基(thiophenyl group)またはフラニル基(furanyl group)であり、前記Zは水素、アルキニル基(alkynyl group)、アルキルアルキニル基またはアリールアルキニル基である。
【0018】
前記アルキルアミノ基は-NHMe、-NHEt、-NMe、-NMeEt、または-NEtであり、前記アリールアミノ基はフェニルアミノ(phenylamino)、ベンジルアミノ(benzylamino)、ハロゲン化フェニルアミノ(halogenized phenylamino)、またはハロゲン化ベンジルアミノ(halogenized benzylamino)であり、前記アルキルアルキニル基はベンジルエチニル(benzylethynyl)またはベンジルピロピニル(benzylpropynyl)であり、前記アリールアルキニル基はフェニルエチニル(phenylethynyl)またはフェニルプロピニル(phenylpropynyl)である。
【0019】
前記ハロゲン化フェニルアミノ基またはハロゲン化ベンジルアミノ基は、例えば、フッ化(fluoro)、塩素化(chloro)、臭化(bromo)、またはヨウ化(iodo)されたフェニルアミノ基またはベンジルアミノであってもよいが、これに限らない。
【0020】
前記アルキニル基は、例えば、エチニル(ethynyl)、プロピニル(propynyl)、またはブチニル(butynyl)であってもよいが、これに限らない。
【0021】
詳しくは、前記化学式A-1は下記化学式1-1または化学式1-2であり、前記化学式A-2は下記化学式2である。
【0022】
【化4】
【0023】
【化5】
【0024】
【化6】
【0025】
本発明の一実施例によるCOVID-19の予防及び/または治療用の薬学的組成物は、上述した炭素環ヌクレオシド誘導体をSARS-CoV-2に対する有効成分として含む。つまり、本発明の実施例は上述した炭素環ヌクレオシド誘導体を含むSARS-CoV-2に対する抗ウィルス剤(antiviral agent)、または抗SARS-CoV-2剤(anti-SARS-CoV-2 agent)である。
【0026】
抗ウィルス剤とは、ウィルスの活性、複製などを抑制するだけでなく、ウィルスによって誘発される諸疾患の予防及び/または治療用途としても使用可能な薬学的組成物を意味する。
【0027】
前記炭素環ヌクレオシド誘導体または塩は、SARS-CoV-2に対して優秀な感染阻害能と低い細胞毒性を有する。詳しくは、前記炭素環ヌクレオシド誘導体または塩のSARS-CoV-2に対するIC50値は7.5μM以下、CC50値は50以上及び/またはSI値は6.5以上である。より詳しくは、前記炭素環ヌクレオシド誘導体または塩のSARS-CoV-2に対するIC50値が4μM以下及び/またはSI値が16以上である。
【0028】
または、前記炭素環ヌクレオシド誘導体または塩は10μM濃度である際、SARS-CoV-2に対する感染阻害率(inhibition of infection)が70%以上である。それと共に、生存細胞割合(cell ratio)は70%以上である。前記感染阻害率は、前記炭素環ヌクレオシド誘導体または塩を処理していない未感染細胞(感染度0%)及び感染細胞(感染度100%)と比較して導出される相対的な比率である。
【0029】
前記化学式A-1または化学式A-2で表される炭素環ヌクレオシド誘導体は薬学的に許容可能な塩の形態で提供される。塩としては、薬学的に許容される多様な有機酸または無機酸によって形成される酸付加塩が有用である。適合した有機酸としては、例えば、カルボキシル基、ホスホン酸、スルホン酸、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、デカン酸、グリコール酸、乳酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、マレイン酸、安息香酸、サリチル酸、フタル酸、フェニル酢酸、ベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、メチル硫酸、エチル硫酸、ドデシル硫酸などを使用してもよく、例えば、塩酸、硫酸などのハロゲン酸またはリン酸などを使用してもよい。
【0030】
但し、これに限らず、本発明の炭素環ヌクレオシド誘導体は通常の方法によって製造される全ての塩、水和物、及び溶媒化物の形態で提供されてもよい。
【0031】
前記COVID-19の予防及び/または治療用の薬学的組成物は全身的または局部的に投与されるが、経口または非経口投与のために一般的に使用される充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの賦形剤(または希釈剤)を使用して剤型化される。以下、賦形剤及び剤型方法について詳しく例示するが、これらの例に限らない。
【0032】
経口投与のための固形剤型は、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などを含むが、このような固形剤型は一つ以上の前記化学式A-1または化学式A-2の化合物に少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、デンプン、炭酸カルシウム、スクロース(sucrose)またはラクトース(lactose)、ゼラチンなどを混ぜて調剤する。また、単純な賦形剤以外に、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどのような潤滑剤を使用してもよい。経口投与のための液状剤型は、例えば、懸濁剤、内用液剤、油剤、シロップ剤などが挙げられるが、液状剤型は通常的に使用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィン以外にも様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などを含んでもよい。
【0033】
非経口投与のための剤型は、注射剤、油剤、吸入剤、坐剤などを含む。注射剤はプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物油、エチルオラートのようなエステルなどの滅菌された水性溶材、非水性溶材、及び懸濁剤を含み、坐剤は基剤としてウイテプゾール(witepsol)、マクロゴール、ツイーン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどを含む。また、局所適用のために、本発明の抗ウィルス剤を軟膏やクリームに剤型化してもよい。
【0034】
前記薬学的組成物の好ましい投与量は、患者の状態及び体重、疾病の程度、薬物の形態、投与経路及び期間など多数の因子によって異なるが、当業者によって適切に選択される。また、投与経路は患者の状態及びその重症度によって変えられる。
【0035】
その他の実施例の具体的な事項は詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0036】
本発明の実施例による炭素環ヌクレオシド誘導体はSARS-CoV-2に対する優秀な感染阻害能と低い細胞毒性を有するため、安全で効果的な新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の予防及び治療剤として活用される。
【0037】
本発明に実施例による効果は以上で例示した内容に限らず、より多様な効果が本明細書内に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の実験例によるHTS自動化(automation)によるSARS-CoV-2の感染分析過程を示すフローチャートである。
【0039】
図2】本発明の実験例による384-組織培養プレートの各ウェルを処理物質及び方法別に区分した図(Plate map)である。
【0040】
図3】本発明の実験例によるIMソフトウェアを利用して画像を分析する原理を示す図である。
【0041】
図4】本発明の実験例によって処理された各プレートをheatmap分析した画像である。
【0042】
図5】本発明の実験例によって化合物を処理した各ウェルの感染阻害能と細胞毒性(cytotoxicity)を示すグラフである。
【0043】
図6】本発明の実験例によって化合物を処理した各ウェルの感染阻害能と細胞毒性を示すグラフである。
【0044】
図7】本発明の実験例によって化合物を処理した各ウェルの感染阻害能と細胞毒性を示すグラフである。
【0045】
図8】本発明の実験例によって最終スクリーニングされた3種の化合物10μMを処理したウェルと対照群ウェルの共焦点顕微鏡画像である。
【0046】
図9】本発明の実験例によって対照群ウェルのパフォーマンスとZ’-factorを分析したグラフである。
【0047】
図10】本発明の実験例による分析によって導出された薬物用量反応曲線(dose response curve;DRC)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は、詳細に後述する実施例を参照すると明確になるはずである。しかし、本発明は以下に開示される実施例に限らず、互いに異なる様々な形態に具現されるはずであるが、但し、実施例は本発明の開示が完全になるようにし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであって、本発明は特許請求の範囲によって定義されるのみである。
【0049】
本明細書で使用された用語は実施例を説明するためのものであって、本発明を制限するものではない。本明細書において、「及び/または」は言及されたアイテムそれぞれ及び一つ以上の全ての組み合わせを含む。また、単数形は文の中で特に言及されない限り複数形も含む。明細書で使用される「含む(comprises)」及び/または「含む(comprising)」は、言及された構成要素以外にも一つ以上の他の構成要素の存在または追加を排除しない。「-」または「乃至」を使用して示した数値範囲は他の言及がない限り、その前後に記載の値をそれぞれ下限と上限として含む数値範囲を示す。「約」または「おおよそ」は、その後に記載の値及び数値範囲の20%以内の値または数値範囲を意味する。
【0050】
また、本発明の実施例の構成要素を説明するに当たって、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することがある。このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって該当構成要素の本質や順番などは限られない。
【0051】
他の定義がなければ、本明細書で使用される全ての用語(技術及び科学的用語を含む)は本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に共通に理解できる意味で使用される。また、一般に使用される辞書に定義されている用語は明白に特別に定義されていない限り理想的にまたは過度に解釈されない。
【0052】
そして、本発明の実施例を説明するに当たって、関連する公知構成または機能に関する具体的な説明が本発明の実施例に関する理解を妨げると判断されれば、その詳細な説明は省略する。
【0053】
本発明において、「予防」とは、症状または疾患はまだないが、このような症状または疾患にかかる可能性がある個体で症状または疾患の発生を抑制することを意味する。
【0054】
本明細書において、「治療」とは、個体で(a)症状または疾患の発展(悪化)の抑制、(b)症状または疾患の軽減または改善、または(c)症状または疾患の除去を意味する。
【0055】
本明細書において、「個体」とは、本発明の組成物を投与することで「予防」または「治療」される症状または疾患を有するヒトを含む動物、特に哺乳類を意味する。
【0056】
以下、本発明の実施例を製造例と実験例を介して詳細に説明するが、本発明の効果が下記実験例によって制限されないことは明らかである。
【0057】
製造例:本発明の炭素環ヌクレオシド誘導体の製造
【0058】
製造例1:化学式1-1
【0059】
<物質1>
【0060】
【化7】
【0061】
物質1の製造方法:参照文献[1]Tetrahedron:Asymmetry,2002,13,1189-1193と、[2]J.Med.Chem.2001,44,3985-3993を参照して合成した。
【0062】
<物質2a-2c>
【0063】
【化8】
【0064】
物質2a、2bの製造方法:先に合成した物質1(6g、24.8mmol)を無水THFに溶かした後、クロロトリエチルシラン(TESCl)(16.7mL、99.2mmol)を滴加し、-78℃に冷却させる。冷却された混合物に1.0Mリチウムビス(トリメチルシリル)アミド/THF溶液(LiHMDS 1.0M solution in THF)(50mL、50mmol)を徐々に滴加した後、30分間同じ条件で反応をよく撹拌させて、シリルエノールエーテル化させる。反応が終結したことをTLCで確認した後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム(NHCl)水溶液で反応を終結させ、水溶液層を酢酸エチルで抽出した後、有機層を分液する。分離された有機層を水とbrineで十分に洗浄した後、硫酸マグネシウム(MgSO)で乾燥させ、減圧濾過を介して残余固体を除去した後、減圧濃縮する。この濃縮された残留物を無水DMFに溶かした後、0℃に冷却させる。冷却された混合物に1-クロロメチル-4-フルオロ-1,4-ジアゾニアビシクロ[2,2,2]オクタンビス(テトラフルオロボラート)(商標名Selectfluor(登録商標))(10.15g、28.65mmol)を1.5当量滴加した後、同じ条件で15時間撹拌すると、フッ化された化合物である物質2aと2bがそれぞれ3:1の比率で生成(NMRで比率で確認)される。反応が終結したことをTLCで確認したら、反応混合物を飽和塩化アンモニウム(NHCl)水溶液で反応を終結させ、水溶液層を酢酸エチルで抽出した後、有機層を分液する。分離された有機層を水とbrineで十分に洗浄した後、硫酸マグネシウム(MgSO)で乾燥させ、減圧濾過を介して残余固体を除去した後、減圧濃縮する。濃縮された残留物はシリカゲルクロマトグラフィなどによって分離精製し、2a(6.591g、58%)と2b(3.078g、27%)をそれぞれ得る。
【0065】
【0066】
【0067】
物質2cの製造方法:前記で合成した物質2a(3.29g、12.6mmol)を、前記明示された物質1から物質2a、2bへの合成過程を同じく行うと2c(2.95g、84%)を合成することができる。
【0068】
【0069】
<物質3a-3c>
【0070】
【化9】
【0071】
物質3aの製造方法:物質2a(3.33g、12.8mmol)をメタノールに溶かした後、0℃以下に十分に冷却させる。冷却させた溶液に水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)(1.45g、38.4mmol)を徐々に添加する。次に、同じ条件で反応を撹拌させて、TLCで反応終結を確認した後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム(NHCl)水溶液で反応を終結させ、水溶液層を酢酸エチルで抽出した後、有機層を分液する。分離された有機層を水とbrineで十分に洗浄した後、硫酸マグネシウム(MgSO)で乾燥させ、減圧濾過を介して残余固体を除去した後、減圧濃縮する。生成されたアルコール化合物をシリカゲルクロマトグラフィなどで分離精製した中間体(2.54g、76%)を無水ピリジン(pyridine)に溶かした後、0℃に冷却させる。冷却させた混合物にトリフルオロメタンスルホン酸無水物(trifluoromethanesulfonic anhydride)(3.26ml、19.36mmol)を滴加した後、同じ条件で30分撹拌させてトリフルオロメタンスルホン酸化させる。反応が終結したことをTLCで確認した後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム(NHCl)水溶液で反応を終結させ、水溶液層を酢酸エチルで抽出した後、有機層を分液する。分離された有機層を水とbrineで十分に洗浄した後、硫酸マグネシウム(MgSO)で乾燥させ、減圧濾過を介して残余固体を除去した後、減圧濃縮する。生成されたトリフルオロメタンスルホン酸化化合物とアジ化ナトリウム(NaN)(1.89g、29.04mmol)を無水DMFに混合した後、60℃に加熱した状態で撹拌させてアジ化する。4時間ぐらい撹拌させた後、TLCで反応が終結したことを確認して水を反応を終結させた後、水溶液層を酢酸エチルで抽出してから有機層を分液する。分離された有機層を水とbrineで十分に洗浄した後、硫酸マグネシウム(MgSO)で乾燥させ、減圧濾過を介して残余固体を除去した後、減圧濃縮する。得られたアジ化化合物をシリカゲルクロマトグラフィなどによって分離精製し、得られた化合物(4.07g、42%)をメタノールに溶解させる。該当溶液にパラジウム/炭素を適量添加し、反応容器を水素置換して水素化反応を行って、アジド基をアミン基に還元させる。反応が終結したことをTLCで確認した後、反応が終結したら、減圧濾過によって残余固体を除去し減圧露出すると所望の物質3aが得られる。得られた物質3aは分離精製過程を行わずに次の過程に進む。
【0072】
【0073】
物質3cの製造方法:前記で合成した物質2c(4.95g、17.79mmol)を、前記明示された物質2aから物質3aへの合成過程と同じく行うと3c(2.98g、60%)を合成することができる。但し、ケトンをアルコール化する反応で水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)の代わりに水素化ホウ素リチウム(LiBH)を使用し、アジ化反応でアジ化ナトリウムを10当量使用し、温度を100℃に上げるべきであって、撹拌時間を15時間程度に伸ばすべきである。
【0074】
【0075】
<物質4a-4c>
【0076】
【化10】
【0077】
物質4aの製造方法:前記で合成した物質3a(982mg、3.757mmol)と5-アミノ-4,6-ジクロロピリミジン(5-amino-4,6-dichloropyrimidine)(1.85g、11.27mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(6.54mL、37.57mmol)をn-ブタノール(n-butanol)に混合した後、マイクロウェーブなどを使用して170℃に加熱して、4時間程度撹拌させる。反応が終結したことをTLCで確認した後、反応混合物をメタノールと共に混合して減圧濃縮させた後、残留物をシリカゲルクロマトグラフィなどで分離精製して、中間体(964mg、66%)を得る。この中間体を酢酸ジエトキシメチル(diethoxymethyl acetate)に溶かした後、マイクロウェーブなどを使用して140℃で3時間程度撹拌させる。反応が終結したことをTLCで確認した後、反応混合物をメタノールと共に混合して減圧濃縮させた後、シリカゲルクロマトグラフィなどで分離精製すると物質4a(643mg、65%)が得られる。
【0078】
【0079】
物質4cの製造方法:前記で合成した物質3c(182mg、0.625mmol)を、前記明示された物質3aから物質4aへの合成過程と同じく行うと4c(223mg、50%)を合成することができる。但し、最初の反応ステップで温度を200℃に上げるべきであって、撹拌時間を7時間程度に伸ばすべきである。
【0080】
【0081】
【化11】
【0082】
化1-1の製造方法:前記で合成した物質4a(220mg、0.54mmol)をtert-ブタノール(tert-butanol)に溶かした後、高温の密閉容器(stainless steel bomb reactor)に移す。混合液に飽和アンモニア/tert-ブタノール(第3ブタノール)を滴加した後、反応容器を密閉し、120℃で15時間程度撹拌させる。反応が終結したことをTLCで確認した後、反応混合物をメタノールで希釈してから減圧濃縮させる。濃縮された残留物はTHFに能化した後、混合液にトリフルオロ酢酸(TFA)と水が2:1に混合された溶液を滴加する。反応混合物を60℃で15時間ぐらい撹拌させた後、反応が終結したことをTLCで確認して減圧濃縮させる。濃縮された残留物をシリカゲルクロマトグラフィなどで分離精製して、最終物質である化学式1-1の化合物(66mg、43%)を得る。
【0083】
【0084】
製造例2:化学式1-2
【0085】
【化12】
【0086】
前記で合成した物質4c(223mg、0.534mmol)を、前記明示された物質4aから化学式1-1への合成過程と同じく行うと化学式1-2の化合物(99mg、61%)を合成することができる。
【0087】
H NMR(400MHz、CDOD) δ8.29(s、1H)、8.21(s、1H)、5.29-5.36(m、2H)、4.66(bs、1H)、3.75-3.79(m、1H)、3.66-3.70(m、1H)、2.80-2.89(m、1H)、1.57(s、3H)、1.34(s、3H)、1.22(s、9H)
【0088】
製造例3:化学式2
【0089】
<物質5>
【0090】
【化13】
【0091】
物質5の製造方法:窒素ガス下で2,2,6,6-tetramethylpiperidine(TMP、59.2g、419mmol)を無水THF(170mL)に溶かし、-78℃でn-BuLi(285mL、2.5M in hexane、457mmol)を徐々に添加して、0℃で2時間撹拌させる。この反応混合物を更に-78℃に下げ、無水THF(110mL)に溶かした出発物質である6-chloro-9-(tetrahydro-2H-pyran-2-yl)-9H-purine(20g、84mmol)を徐々に添加して3時間撹拌する。この反応混合物にTHF(200mL)に溶かしたiodine(102g、402mmol)を-78℃で徐々に添加し、同じ温度で3時間撹拌させた後、5時間にかけて温度を0℃に徐々に上げる。反応終結を確認した後、10%のsodium thiosulfate溶液(550mL)と飽和NHCl水溶液(250mL)を加えて反応を終結する。反応混合物をEtOAc(500mL)で抽出し、無水MgSOで乾燥して減圧濃縮する。残りの残渣物はCHCl/MeOH=100/1の条件でflashカラムクロマトグラフィで精製して、アイボリー色固体状の所望の目的化合物5(66%)を得る。
【0092】
【0093】
<物質6>
【0094】
【化14】
【0095】
物質6の製造方法:出発物質5(500mg、1.01mmol)を無水DMF(10mL)とtoluene(10mL)によく溶かした後、Bis(dibenzylideneacetone)palladium(0)(57.5mg、0.10mmol)、copper(I)iodide(38.4mg、0.20mmol)、diisopropylamine(306.60mg、3.03mmol)、そしてphenylacetylene(1.1当量)を入れて十分に撹拌させる。反応混合物は窒素ガス下で常温で12時間撹拌する。反応が終結したら反応混合物をEtOAc(20mL)で抽出し、無水MgSOで乾燥、濃縮する。残渣物はhexanes/EtOAc=4/1条件でカラムクロマトグラフィで精製し、目的化合物6(75%)を得る。
【0096】
【0097】
<物質7>
【0098】
【化15】
【0099】
物質7の製造方法:出発物質6を無水THF(0.13M)に溶かし、bis(triphenylphosphine)palladium(II)dichloride、0.1当量と2-tributylstannylthiophene、2当量を入れ、窒素気体置換条件下で室温で撹拌させる。前記混合物を60℃で3時間加熱撹拌させた後、室温に温度を下げて蒸発させる。残りの物質はカラムクロマトグラフィ(silica gel、hexanes/EtOAc、15/1)で分離し、最終生成物7を得る。
【0100】
【0101】
<物質8>
【0102】
【化16】
【0103】
物質8の製造方法:出発物質7に無水エタノール(0.13M)を入れて撹拌させた後、pyridinium p-toluenesulfonate、0.2当量を窒素ガス置換下で室温で入れる。同じ温度で4時間撹拌させた後、triethylamine(1mL)を入れて反応を終結させてから蒸発させる。反応物はカラムクロマトグラフィで分離し、最終生成物8(60%)を得る。
【0104】
【0105】
<物質9>
【0106】
【化17】
【0107】
物質9の製造方法:出発物質8(0.5mmol)をEDC(5mL)に十分に溶かした後、常温でN,O-bis(trimethylsilyl)acetamide(BSA)(1.44当量)を徐々に滴加する。反応混合物は40℃で1時間攪拌した後、常温でsugar 3(1.2eq)をEDC(2mL)に溶かして徐々に滴加する。この反応混合物を0℃に冷却させた後、TMSOTf(0.68当量)を添加し、80℃に昇温して3時間撹拌する。反応が終結したら反応混合物を飽和NaHCO水溶液で処理し、CHClで抽出する。残渣物は濃縮してカラムクロマトグラフィで精製し、目的化合物9(58%)を得る。
【0108】
【0109】
【化18】
【0110】
化学式2の製造方法:出発物質9に無水エタノール(0.3M)を入れて撹拌させた後、trimethylamine(4当量)とメチルアミン塩酸塩(1.3当量)を入れ、窒素ガス充填下で常温で撹拌させる。同じ温度で24時間撹拌させて蒸発させた後、生成された混合物はカラムクロマトグラフィで分離して最終物質である化学式2(物質10)を得る。
【0111】
【0112】
実験例:SARS-CoV-2に対する活性試験
【0113】
SARS-CoV-2に対する本発明の化合物の活性を検証するために、前記化合物をコロナウィルス評価モデルで試験した。そのために、Image Mining(IM)ソフトウェアを使用してウィルスNタンパク質と細胞核の共焦点顕微鏡画像を分析し、各化合物に対する用量反応曲線(DCR)を生成した。図1は、このような実験例によるHTS自動化によるSARS-CoV-2の感染分析過程を示すフローチャートであって、具体的な実験方法は以下のようであった。
【0114】
韓国疾病管理本部(KCDC)からSARS-CoV-2を提供されており、Vero細胞はATCCから獲得した。
【0115】
384-組織培養プレートにウェル当たり1.2×10個のVero細胞を接種した。24時間後、DMSOに2倍連続希釈して10ポイントで用意された化合物を50μMを最高濃度にして細胞に処理した。図2は、前記384-組織培養プレートの各ウェルを処理物質及び方法別に区分した図である。図2において、青色の「Compound」ウェルは本発明の化合物を含む84種の化合物を処理したウェルを示す。前記過程は信頼性検証のために2つのプレート(Replicate 1、2)に同じく行った。
【0116】
化合物を処理してから約1時間後、BSL3施設で細胞に0.0125MOIのSARS-CoV-2を感染させ、37℃で24時間培養した。次に、4% paraformaldehyde(PFA)で細胞を固定した後、permeabilizationした。次に、anti-SARS-CoV-2 Nucleocapsid(N) 1次抗体を処理し、488-conjugated goat anti-rabbit IgG 2次抗体とHoechst 33342を処理して細胞を染色した。蛍光発現は大容量画像分析機器であるOperetta(Perkin Elmer)を利用してイメージングした。
【0117】
獲得された画像は内部分析プログラムであるImage Mining(IM)ソフトウェアを利用して分析された。図3は、IMソフトウェアを利用して画像を分析する原理を示す図である。
【0118】
ウェル当たりの総細胞数はHoechstで染色された核数で算出し、感染された細胞数はnucleocapsidタンパク質を発現する細胞数で算出した。感染度(infection ratio)はnucleocapsidタンパク質を発現する細胞数/総細胞数で計算した。各ウェル当たりの感染度は、同じプレートで未感染細胞(mock)を含むウェルの平均感染度を0%にし、化合物が処理されていない感染細胞(0.5%、DMSO group)を含むウェルの平均感染度を100%にしてノーマライゼーションされた。薬物濃度による反応曲線とIC50、CC50のような値は、XLFit4(IDBS)ソフトウェアを利用してY=Bottom+(Top Bottom)/(1+(IC50/X)Hillslope)数式を活用して導出した。全てのIC50とCC50値は2回の繰り返しの実験で測定されており、アッセイの信頼度はZ’-factorと変動係数百分率(%CV)の値で検証された。
【0119】
図4は、本発明の実験例によって処理された各プレートをheatmap分析した画像である。図5乃至図7は、化合物を処理した各ウェルの感染阻害能と細胞毒性を示すグラフである。
【0120】
図4の画像分析結果と図5乃至図7のグラフを介して感染阻害能が70%以上の化合物5種(Positives+Toxic-Positives)をスクリーニングし、そのうちから細胞毒性を示す生存細胞割合(cell ratio)が70%以上の化合物3種(Positives)をスクリーニングした。図8は、最終スクリーニングされた3種の化合物(FM4L-038、FM2L-001、FM2L-002)10μMを処理したウェルと対照群ウェルの共焦点顕微鏡画像である。FM2L-001、FM2L-002、及びFM4L-038はそれぞれ化学式1-1、1-2、及び2の化合物を示す。
【0121】
一方、図5及び図6の2つのプレート間の相関関係を示すグラフは前記実験が信頼性よく行われたことを裏付ける。図9は、対照群ウェルのパフォーマンスとZ’-factorを分析したグラフであるが、Z’-factorは陽性対照群(positive control)と陰性対照群(negative control)のmean値とstandard deviations値を介して求められるものであって、0.5以上に当たれば信頼性が確立された実験であると判断する。前記実験のZ’-factorは0.82と示されたため、よく検証された実験であることが分かる。
【0122】
図10は、前記分析を介して導出された薬物用量反応曲線(DRC)を示すグラフであり、下記表1は各化合物のDRCを介して導出されたIC50、CC50、及びSI値である。図10に示したように、最終スクリーニングされた本発明の化合物は、SARS-CoV-2に効能があると知られている従来の化合物であるクロロキン(Chloroquine)、レムデシビル(Remdesivir)、及びロピナビル(Lopinavir)よりずいぶん低いIC50値を示して優秀な感染阻害能を示すと共に、同じ水準のCC50値を示してSI値も相対的に高いため、より安全で効果的なSARS-CoV-2感染病(COVID-19)の予防及び治療剤として活用することができる。
【0123】
【表1】

【0124】
これまで本発明の実施例を中心に説明したが、これは単なる例示であって本発明を限定するものではなく、本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の実施例の本質的な特性を逸脱しない範囲内で前記の例示されていない様々な変更と応用が可能であることを理解できるはずである。例えば、本発明の実施例に具体的に示した各構成要素は変形して実施してもよい。そして、このような変形と応用に関する差は、添付した特許請求の範囲で規定する本発明の範囲に含まれると解釈すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】