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特表2024-508834好中球細胞外トラップを特異的に認識する抗切断ヒストンH3モノクローナル抗体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】好中球細胞外トラップを特異的に認識する抗切断ヒストンH3モノクローナル抗体
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/18 20060101AFI20240220BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240220BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240220BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240220BHJP
   C12N 5/12 20060101ALI20240220BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240220BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 7/02 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20240220BHJP
   G01N 33/577 20060101ALI20240220BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
C07K16/18 ZNA
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/12
C12N15/63 Z
C12N15/13
A61P7/02
A61P25/00
A61P31/04
A61P31/12
A61P31/10
A61P29/00
A61P37/06
A61P35/00
A61P35/04
A61P17/06
A61P9/00
A61P17/00
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P1/04
A61P3/10
A61P13/12
A61P3/00
A61P7/00
G01N33/577 B
G01N33/53 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552074
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-10-25
(86)【国際出願番号】 EP2022054022
(87)【国際公開番号】W WO2022179937
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】21159757.0
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】501497655
【氏名又は名称】マックス プランク ゲゼルシャフト ツゥアー フェデルゥン デル ヴィッセンシャフテン エー フォー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ティリー ドロシア オグモア
(72)【発明者】
【氏名】ジクリンスキー アルトゥーロ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルツィヒ アルフ
【テーマコード(参考)】
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AA92X
4B065AA94X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA43
4B065CA44
4B065CA46
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA09
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
4H045GA25
(57)【要約】
本発明は、NETにおいて切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的に結合するモノクローナル抗体3D9に関し、モノクローナル抗体3D9は、切断されたヒストンH3を異なる起源のクロマチンと区別してNETを特異的に検出するために使用されることができる。本発明は更に、単離された生体試料中の好中球細胞外トラップのインビトロ検出のための方法、およびNET形成に関連する疾患状態を評価するための方法を提供する。本発明は更に、部位L48R49で切断されたヒトヒストンH3の単離断片、およびヒト好中球細胞外トラップの特異的検出用の切断部位L48R49の使用に関する。本発明は更に、前記ポリペプチドをコードする組換え核酸配列、および前記ポリペプチドをコードする組換え核酸配列を含む宿主細胞に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する単離された抗体、またはその抗原結合部分であって、ここで、前記抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3。
【請求項2】
請求項1に記載の切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的に結合する単離された抗体、またはその抗原結合部分であって、ここで、前記抗体は以下を含む:
I)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む重鎖可変領域;および
II)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む軽鎖可変領域。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的に結合する単離された抗体、またはその抗原結合部分であって、
ここで、前記抗原結合断片は、エピトープ結合領域を含む単鎖可変断片(scFv)、可変ドメイン(Fv)断片、断片抗原結合(Fab)断片、F(ab)2断片、ペプチド、またはタンパク質分解断片、を含む群から選択される、抗体。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合部分をコードする一つ以上の核酸分子を含む、核酸組成物。
【請求項5】
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合部分をコードする一つ以上の核酸分子を含む核酸組成物であって、ここで、前記核酸組成物は、SEQ ID NO:9と90%を超える配列同一性を有する核酸配列、およびSEQ ID NO:10と90%を超える配列同一性を有する核酸配列を含む、核酸組成物。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の組換え核酸分子を含む宿主細胞。
【請求項7】
単離された生体試料中の好中球細胞外トラップのインビトロ検出のための方法であって、前記方法は以下を含む:
1)前記単離された生体試料を、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分と接触させること、
2)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な前記抗体、またはその抗原結合部分が前記単離された生体試料に結合することを可能にするために十分な条件を提供すること、
3)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な前記抗体、またはその抗原結合部分が前記単離された生体試料に結合するかどうかを決定すること。
【請求項8】
請求項7に記載の方法の方法であって、ここで、切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な前記抗体、またはその抗原結合部分は、検出可能な標識に連結される、方法。
【請求項9】
個体における疾患状態をインビトロで評価するための方法であって:
i)前記個体から得られた単離された生体試料を、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分と接触させること;
ii)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な前記抗体、またはその抗原結合部分が前記単離された生体試料に結合することを可能にするために十分な条件を提供すること、
iii)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な前記抗体、またはその抗原結合部分が前記単離された生体試料に結合するかどうかを決定すること、
ここで、前記疾患はNET形成と関連しており、
ここで、前記疾患は、血栓性疾患、神経疾患、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、炎症性疾患、自己免疫疾患、癌疾患、癌転移疾患を含む群から選択される、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、ここで、前記自己免疫疾患は、乾癬、血管炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、クローン病、免疫介在性または1型糖尿病、免疫介在性糸球体腎炎、炎症性腸疾患(IBD)、抗リン脂質抗体症候群、免疫性血小板減少症、を含む群から選択される、方法。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載の方法であって、ここで、切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な前記抗体、またはその抗原結合部分は、検出可能な標識に連結される、方法。
【請求項12】
SEQ ID NO25の部位L48R49で切断されたヒトヒストンH3の単離された断片であって、ここで、部位L48R49で切断されたヒトヒストンH3の前記断片は、SEQ ID NO25の残基R49~A135の間に含まれるアミノ酸配列、もしくはその断片からなる、またはSEQ ID NO25の残基A1~L48の間に含まれるアミノ酸配列、もしくはその断片からなる、
単離された断片。
【請求項13】
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分、および/または請求項12に記載のヒトヒストンH3の断片、を含む疾患を評価するためのキットであって、ここで、前記疾患は、血栓性疾患、神経疾患、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、炎症性疾患、自己免疫疾患、癌疾患、癌転移疾患、を含む群から選択され、ここで、前記疾患はNET形成と関連している、キット。
【請求項14】
請求項13に記載の疾患を評価するためのキットであって、ここで、前記自己免疫疾患は、乾癬、血管炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、クローン病、免疫介在性または1型糖尿病、免疫介在性糸球体腎炎、炎症性腸疾患(IBD)、抗リン脂質抗体症候群、免疫性血小板減少症、を含む群から選択される、キット。
【請求項15】
好中球細胞外トラップの特異的検出のための、SEQ ID NO25のL48R49に位置するヒストンH3の切断部位の使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、NETにおいて切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的に結合するモノクローナル抗体3D9に関し、モノクローナル抗体3D9は、それらを異なる起源のクロマチンと区別してNETを特異的に検出するために使用されることができる。本発明は更に、単離された生体試料中の好中球細胞外トラップのインビトロ検出のための方法、およびNET形成に関連する疾患状態を評価するための方法を提供する。本発明は更に、部位L48R49で切断されたヒトヒストンH3の単離された精製断片、およびヒト好中球細胞外トラップの特異的検出のための切断部位L48R49の使用に関する。本発明は更に、前記ポリペプチドをコードする組換え核酸配列、および前記ポリペプチドをコードする組換え核酸配列を含む宿主細胞に関する。
【0002】
[発明の背景]
好中球細胞外トラップ(NET)は、好中球顆粒タンパク質または細胞質タンパク質と共局在する、脱凝縮したDNAおよびヒストンの領域として組織学的に定義される。
【0003】
NETosisは、病原体に対する宿主防御に寄与する好中球細胞死の制御された形態であり、2004年に最初の記述後すぐに、様々な病気に関連があった。NETosisの間、好中球は、抗菌タンパク質で装飾されたクロマチンを放出し、結果的に、病原体を捕らえて殺すことができる粘着性NETをもたらし、病原体が拡散することを防ぐ。NETにおける欠陥クリアランスは、NETに関連するDNA、ヒストン、および他の細胞内タンパク質に対する免疫応答を引き起こす可能性があるので、この自己犠牲的な戦略は、自己免疫の方向に進歩してきた研究分野を開始した。5
好中球細胞外トラップ(NET)は、宿主防御だけでなく、癌、血栓症、自己免疫疾患、および神経疾患を含む多くの非感染性疾患にも役割を果たす。
【0004】
現在、NETは、例えば、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)または好中球エラスターゼ(NE)などの抗好中球タンパク質、および抗クロマチン抗体、並びにDNA染色の組み合わせによって検出される。免疫蛍光顕微鏡法は、組織切片およびインビトロ(in vitro)実験においてNETを検出するために有用な方法である。しかしながら、NET構成要素は、大きな非凝縮構造全体に分散され、結果的に弱い信号もたらすので、これは困難な場合がある。例えば、好中球エラスターゼ(NE)に対する抗体の信号は、このプロテアーゼが高度に濃縮されている静止細胞の顆粒においてより、NETにおいて著しく弱くなる。逆に、抗ヒストン抗体は、NETを強く染色するが、クロマチンがコンパクトであり近づきにくいナイーブ好中球の核は染色しない。この示差的ヒストン染色特性は、現在、NETの検出および定量化に利用される(Brinkmann et al.,2012)。しかしながら、試料調製、および続く画像解析は、異なる研究室間で結果を比較することを困難にする。したがって、NET抗原に対する抗体を同定する必要がある。
【0005】
NETは、NETosis中に起こる翻訳後修飾(PTM)に基づいて検出されることもできる。これらのPTMの1つは、アルギニン残基をシトルリンに変換させるプロテインアルギニンデイミナーゼ4(PAD4)によるヒストン3(H3)シトルリン化であり、シトルリンはタンパク質が合成される時にタンパク質に組み込まれないアミノ酸である。シトルリン化H3(H3cit)は、インビトロ(in vitro)およびインビボ(in vivo)実験の両方においてNETの代替マーカーとして広く使用されている。シトルリン化は、NET形成に特異的でないことに注意することが重要である。
【0006】
NETosis中に発生し、およびNETosisに寄与する更なるPTMは、顆粒由来の好中球プロテアーゼによるヒストンの切断(クリッピングとも呼ばれる)である。システインプロテアーゼまたはセリンプロテアーゼによるヒストン切断は、ヒストン尾部において複数の、より微妙なPTMの全体的な除去を促進し、および酵母から哺乳動物まで保存される正真正銘のヒストンPTMである。
【0007】
疾患における、および治療標的としてのNETの役割における研究は、NETの検出のための信頼できる、および特異的な方法の欠如によって妨げられる。NETを特異的に標識する利用可能な抗体はない。NET特異的抗体は、(1)研究者がNETを同定するために、および(2)診断について-複雑な組織がNETを含むかどうか決定するために有用であるだろう。
【0008】
本発明の目的は、化合物、より具体的には好中球細胞外トラップ(NET)を特異的に認識する抗体、を提供することである。この抗体は、より容易なNET定量化も促進する。
本発明の目的は、独立請求項の教示によって解決される。本発明の更に有利な特徴、態様、および詳細は、本出願の従属請求項、明細書、図面、および実施例から明白である。
【0009】
[発明の簡単な説明]
NETの特異的マーカーの検索において、本発明者らは、ヒトNET形成において起こる独特のヒストンH3切断事象を同定しており、ヒストンH3切断事象はヒトH3SEQ ID NO25のL48R49に位置される(図1図2)。
【0010】
本発明者らは、この事象の特異性を利用して、切断されたヒストンH3のC末端断片のR49で始まるN末端に位置されるデノボ(de novo)ヒストンH3エピトープに対するマウスモノクローナル抗体3D9(図3)を作製した。言い換えると、抗体は、切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的に結合する。
【0011】
顕微鏡法によって、この抗体は、精製細胞試料(図5)および混合細胞試料(図6)においてクロマチンからNETを識別し、研究における単純なNET検出および定量化を促進する。重要なことに、3D9は、微生物および宿主由来の生理的刺激の両方によって誘導されたヒトNETを認識する(図5)。さらに、この抗体は、ヒト組織切片におけるNETも検出する(図8図10)。抗体を、半自動方法および自動方法によるNET定量化にも使用することができる(図4)。重要なことに、抗体3D9は、好中球におけるNETosisと他の形態の細胞死とを区別することができ(図7A)、一方、抗クロマチン抗体PL2.3は、区別しない(図7B)。
【0012】
したがって、本発明者らは、この抗体がNETを検出する、および定量するための新しいツールであり、研究室間の結果の比較を容易にし、およびNETに関して生検を行う、および他の複雑な組織を調べるためのツールであることを実証している。
【0013】
本発明の抗体は、NET形成中にのみ現れるヒストンH3におけるR49位に位置されるデノボ(de novo)エピトープを認識する。したがって、この抗体は、NETを特異的に認識する最初の抗体である。
【0014】
今まで、ヒストンシトルリン化H3citは、NETにおける抗体に基づく検出のために使用されている唯一のPTMファミリーである。本明細書において、発明者らは、ヒト試料からのNETにおける広範な検出に使用されることができる新しいヒストンPTMとして、H3R49でのヒストン切断を示している。NETの検出についてH3citの使用は、議論がないわけではない。全てのNETが、シトルリン化されるのではなく、NET形成は、シトルリン化酵素の非存在下または阻害下で起こる可能性がある。正確なヒストン切断部位を同定することによって、本発明者らは、このことを更に解明した。最も一般的に使用されるH3cit抗体は、R2、R8、およびR17のシトルリン化を検出する。しかしながら、R49でのヒストン切断は、H3citエピトープを除去することになり、これらのNET定義PTMを、単一のヒストンレベルで相互排他的にする。実際に、炎症を起こした腎臓(図8C)、胆嚢(図9)、および虫垂(図10)のパラフィン切片における抗H3citおよび3D9による同時染色は、2つのマークの広範な相互排除、および3D9による脱凝縮されたクロマチンのより豊富な染色を明らかにした。したがって、本発明者らは、3D9が、NETの広範な検出を可能にすることになるが、より成熟した、またはタンパク質分解処理されたNETを優先して表示し得ることを示している。
【0015】
本研究とは対照的に、ヒストン切断は、NET形成の異なる経路間を区別するとして最近報告された(Pieterse et al.,2018,Annals of the rheumatic diseases 77,1790-1798)。サンドイッチELISAアプローチを使用して、Pieterseらは、一般的に、N末端ヒストン尾部が、NOX依存性のNET形成で除去されるが、NOX非依存性のNET形成では除去されないと結論を出した。彼らは、H2B、H3、およびH4に対して一連のN末端指向性抗体を使用し、全てのH3エピトープは、切断部位H3R49にN末端を位置していた。しかしながら、最終的な生物学的試料試験において、著者らはH3を試験しなかった。興味深いことに、著者らは、免疫蛍光顕微鏡法により、全てのヒストンN末端抗体は、細胞溶解後の時点でNETを染色することができなかったことを観察した。
【0016】
本発明者らは、インビトロ(in vitro)実験および組織学的試料からの固定した、または変性したヒト試料においてNETを検出した。
したがって、H3R49でのヒストン切断は、真核生物において新規であり、および今までのところ記述されていない切断部位である。
【0017】
珍しいことに、切断部位H3R49は、H3の非構造化尾部領域というよりもむしろ球状に位置している。
したがって、本発明は、切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する単離された抗体、またはその抗原結合部分に関し、ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3。
【0018】
本発明はまた、上述の切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合部分も対象とし、ここで、抗体は以下を含む:
I)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む重鎖可変領域;および
II)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む軽鎖可変領域。
【0019】
本発明の好ましい実施形態は、上述の切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する単離された抗体、またはその抗原結合部分を対象とし、ここで、抗原結合断片は、エピトープ結合領域を含む単鎖可変断片(scFv)、可変ドメイン(Fv)断片、断片抗原結合(Fab)断片、F(ab)2断片、ペプチド、またはタンパク質分解断片、を含む群から選択される。
【0020】
本発明の他の好ましい実施形態は、上述の切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合部分をコードする一つ以上の核酸分子を含む、核酸組成物を対象とする。
【0021】
本発明のより好ましい実施形態は、上述の切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合部分をコードする一つ以上の核酸分子を含む核酸組成物を対象とし、ここで、核酸組成物は、SEQ ID NO:9と90%を超える配列同一性を有する核酸配列、およびSEQ ID NO:10と90%を超える配列同一性を有する核酸配列を含む。
【0022】
本発明の更に好ましい実施形態は、上述の組換え核酸分子を含む宿主細胞を対象とする。
本発明の他の実施形態は、単離された生体試料中の好中球細胞外トラップのインビトロ(in vitro)検出のための方法を提供し、方法は以下を含む:
1)前記単離された生体試料を、上述の切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分と接触させること、
2)切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的な前記抗体、またはその抗原結合部分が前記単離された生体試料に結合することを可能にするために十分な条件を提供すること、
3)切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分が前記単離された生体試料に結合するかどうかを決定すること。
【0023】
本発明の更なる実施形態は、上述の方法を提供し、ここで切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分は、検出可能な標識に連結される。
【0024】
本発明の好ましい実施形態は、個体における疾患状態をインビトロ(in vitro)で評価する方法を提供し:
i)前記個体から得られた単離された生体を、上述の切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分と接触させること;
ii)切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的な前記抗体、またはその抗原結合部分が前記単離された生体試料に結合することを可能にするために十分な条件を提供すること、
iii)切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分が前記単離された生体試料に結合するかどうかを決定すること、
ここで、前記疾患はNET形成と関連しており、
ここで、前記疾患は、血栓性疾患、神経疾患、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、炎症性疾患、自己免疫疾患、癌疾患、癌転移疾患を含む群から選択される。
【0025】
本発明の他の好ましい実施形態は、上述の方法を提供し、ここで、自己免疫疾患は、乾癬;血管炎;全身性エリテマトーデス(SLE);関節リウマチ;潰瘍性大腸炎;クローン病;免疫介在性または1型糖尿病;免疫介在性糸球体腎炎;炎症性腸疾患(IBD);抗リン脂質抗体症候群;免疫性血小板減少症、を含む群から選択される。
【0026】
本発明の他の好ましい実施形態は、上述の方法を提供し、ここで切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分は、検出可能な標識に連結される。
【0027】
本発明の更に好ましい実施形態は、SEQ ID NO25の部位L48R49で切断されたヒトヒストンH3の単離された断片を提供し、ここで、部位L48R49で切断されたヒトヒストンH3の断片は、SEQ ID NO25の残基R49~A135の間に含まれるアミノ酸配列、もしくはその断片からなる、またはSEQ ID NO25の残基A1~L48の間に含まれるアミノ酸配列、もしくはその断片からなる。
【0028】
他の態様において、本発明は、上述のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分、および/または上述のヒトヒストンH3の断片、を含む疾患を評価するためのキットを提供し、ここで、疾患は、血栓性疾患、神経疾患、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、炎症性疾患、自己免疫疾患、癌疾患、癌転移疾患、を含む群から選択される。
【0029】
更なる態様において、本発明は、上述のキットを提供し、ここで、自己免疫疾患は、乾癬;血管炎;全身性エリテマトーデス(SLE);関節リウマチ;潰瘍性大腸炎;クローン病;免疫介在性または1型糖尿病;免疫介在性糸球体腎炎;炎症性腸疾患(IBD);抗リン脂質抗体症候群;免疫性血小板減少症、を含む群から選択される。
【0030】
特定の態様において、本発明は、好中球細胞外トラップの特異的検出のための、SEQ ID NO25のL48R49に位置するヒストンH3の切断部位の使用を提供する。
[本発明の説明]
本発明は、切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的に結合する単離された抗体、またはその抗原結合部分に関し、ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3。
【0031】
[定義]
「切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する抗体」は、SEQ ID NO25の部位L48R49で切断されたヒストンH3のC末端断片のR49から始まるN末端に位置するデノボ(de novo)ヒストンH3エピトープに特異的に結合する抗体を指す。
【0032】
「L48R49」および「H3R49」は、SEQ ID NO25を参照する場合、切断部位を示すために、本明細書において互いに交換可能で使用される。
SEQ ID NO25は、最初のMetを有さないヒストンH3配列Q71DI3に対応する。したがって、SEQ ID NO25における切断部位L48R49は、Q71DI3における、および他のH3変異体配列P0DPK2、Q6NXT2、Q16695、P84243、およびP68431における切断部位L49R50に対応する(実施例9)。
【0033】
したがって、切断部位L48R49は、SEQ ID NO25と少なくとも90%の同一性を有する配列を含むヒストンH3の他の変異体またはホモログに存在する切断部位も指す。
【0034】
部位L48R49での切断自体は、ヒストンH3のN末端ドメインの近くで起こる。このことは2つの断片をもたらし、2つの断片の1つは、ヒストンH3の「N末端断片」と呼ばれる。もう1つのより大きな断片は、ヒストンH3の非構造化「C末端ドメイン」および主要な「らせん状ドメイン」で構成される。抗原エピトープは、このらせん状ドメインのN末端に位置され、本明細書においてヒストンH3の「C末端断片」とも呼ばれる。
【0035】
したがって、本発明はまた、SEQ ID NO25のL48R49で切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する単離された抗体、またはその抗原結合部分に関し、ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3。
【0036】
本発明はまた、切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する単離された抗体、またはその抗原結合部分も対象とし、ここで、抗体は以下を含む:
I)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む重鎖可変領域;および
II)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む軽鎖可変領域。
【0037】
本発明はさらに、SEQ ID NO25のL48R49で切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的に結合する単離された抗体、またはその抗原結合部分を対象とし、ここで、抗体は以下を含む:
I)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む重鎖可変領域;および
II)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む軽鎖可変領域。
【0038】
したがって、本発明はまた、切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する単離された抗体、またはその抗原結合部分に関し、
ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、および
ここで、抗体は以下を含む:
I)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む重鎖可変領域;および
II)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む軽鎖可変領域。
【0039】
本発明の好ましい実施形態は、上述の切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する単離された抗体、またはその抗原結合部分を対象とし、ここで、抗原結合断片は、エピトープ結合領域を含む単鎖可変断片(scFv)、可変ドメイン(Fv)断片、断片抗原結合(Fab)断片、F(ab)2断片、ペプチド、またはタンパク質分解断片、を含む群から選択される。
【0040】
本発明の好ましい実施形態は、切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する単離された抗体、またはその抗原結合部分を対象とし、ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、および
ここで、抗原結合断片は、エピトープ結合領域を含む単鎖可変断片(scFv)、可変ドメイン(Fv)断片、断片抗原結合(Fab)断片、F(ab)2断片、ペプチド、またはタンパク質分解断片、を含む群から選択される。
【0041】
本発明の更に好ましい実施形態は、切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的に結合する単離された抗体、またはその抗原結合部分を対象とし、ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、抗体は以下を含む:
I)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む重鎖可変領域;および
II)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む軽鎖可変領域、
ここで、抗原結合断片は、エピトープ結合領域を含む単鎖可変断片(scFv)、可変ドメイン(Fv)断片、断片抗原結合(Fab)断片、F(ab)2断片、ペプチド、またはタンパク質分解断片、を含む群から選択される。
【0042】
本発明の更により好ましい実施形態は、切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的に結合する単離された抗体、またはその抗原結合部分を対象とし、ここで、抗体は以下を含む:
I)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む重鎖可変領域;および
II)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む軽鎖可変領域、
ここで、抗原結合断片は、エピトープ結合領域を含む単鎖可変断片(scFv)、可変ドメイン(Fv)断片、断片抗原結合(Fab)断片、F(ab)2断片、ペプチド、またはタンパク質分解断片、を含む群から選択される。
【0043】
本発明の好ましい実施形態は、SEQ ID NO25のL48R49で切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する単離された抗体、またはその抗原結合部分を対象とし、ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、抗原結合断片は、エピトープ結合領域を含む単鎖可変断片(scFv)、可変ドメイン(Fv)断片、断片抗原結合(Fab)断片、F(ab)2断片、ペプチド、またはタンパク質分解断片、を含む群から選択される。
【0044】
本発明の更に好ましい実施形態は、SEQ ID NO25のL48R49で切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する単離された抗体、またはその抗原結合部分を対象とし、ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、抗体は以下を含む:
I)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む重鎖可変領域;および
II)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む軽鎖可変領域、
ここで、抗原結合断片は、エピトープ結合領域を含む単鎖可変断片(scFv)、可変ドメイン(Fv)断片、断片抗原結合(Fab)断片、F(ab)2断片、ペプチド、またはタンパク質分解断片、を含む群から選択される。
【0045】
本発明の更により好ましい実施形態は、SEQ ID NO25のL48R49で切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する単離された抗体、またはその抗原結合部分を対象とし、ここで、抗体は以下を含む:
I)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む重鎖可変領域;および
II)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む軽鎖可変領域、
ここで、抗原結合断片は、エピトープ結合領域を含む単鎖可変断片(scFv)、可変ドメイン(Fv)断片、断片抗原結合(Fab)断片、F(ab)2断片、ペプチド、またはタンパク質分解断片、を含む群から選択される。
【0046】
[核酸]
本発明の好ましい実施形態は、切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合部分、をコードする一つ以上の核酸分子を含む、核酸組成物を対象とし、ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3。
【0047】
本発明の他の好ましい実施形態は、切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合部分、をコードする一つ以上の核酸分子を含む、核酸組成物を対象とし、ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、ここで、抗体は以下を含む:
I)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む重鎖可変領域;および
II)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む軽鎖可変領域。
【0048】
本発明の他の更に好ましい実施形態は、切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合部分、をコードする一つ以上の核酸分子、を含む核酸組成物を対象とし、ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、抗原結合断片は、エピトープ結合領域を含む単鎖可変断片(scFv)、可変ドメイン(Fv)断片、断片抗原結合(Fab)断片、F(ab)2断片、ペプチド、またはタンパク質分解断片、を含む群から選択される。
【0049】
本発明の他の更に好ましい実施形態は、切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合部分、をコードする一つ以上の核酸分子、を含む核酸組成物を対象とし、ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、抗体は以下を含む:
I)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む重鎖可変領域;および
II)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む軽鎖可変領域、
ここで、抗原結合断片は、エピトープ結合領域を含む単鎖可変断片(scFv)、可変ドメイン(Fv)断片、断片抗原結合(Fab)断片、F(ab)2断片、ペプチド、またはタンパク質分解断片、を含む群から選択される。
【0050】
より好ましくは、核酸組成物は、SEQ ID NO:9と90%を超える配列同一性を有する核酸配列、およびSEQ ID NO:10と90%を超える配列同一性を有する核酸配列、を含む。
【0051】
本発明の好ましい実施形態は、切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合部分、をコードする一つ以上の核酸分子、を含む核酸組成物を対象とし、ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、核酸組成物は、SEQ ID NO:9と90%を超える配列同一性を有する核酸配列、およびSEQ ID NO:10と90%を超える配列同一性を有する核酸配列、を含む。
【0052】
本発明の他の好ましい実施形態は、切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合部分、をコードする一つ以上の核酸分子、を含む核酸組成物を対象とし、ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、抗体は以下を含む:
I)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む重鎖可変領域;および
II)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む軽鎖可変領域、
ここで、核酸組成物は、SEQ ID NO:9と90%を超える配列同一性を有する核酸配列、およびSEQ ID NO:10と90%を超える配列同一性を有する核酸配列、を含む。
【0053】
本発明の他の更に好ましい実施形態は、切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合部分、をコードする一つ以上の核酸分子、を含む核酸組成物を対象とし、ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、抗原結合断片は、エピトープ結合領域を含む単鎖可変断片(scFv)、可変ドメイン(Fv)断片、断片抗原結合(Fab)断片、F(ab)2断片、ペプチド、またはタンパク質分解断片、を含む群から選択され;
ここで、核酸組成物は、SEQ ID NO:9と90%を超える配列同一性を有する核酸配列、およびSEQ ID NO:10と90%を超える配列同一性を有する核酸配列、を含む。
【0054】
本発明の他の更に好ましい実施形態は、切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合部分、をコードする一つ以上の核酸分子、を含む核酸組成物を対象とし、ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、抗体は以下を含む:
I)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む重鎖可変領域;および
II)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む軽鎖可変領域、
ここで、抗原結合断片は、エピトープ結合領域を含む単鎖可変断片(scFv)、可変ドメイン(Fv)断片、断片抗原結合(Fab)断片、F(ab)2断片、ペプチド、またはタンパク質分解断片、を含む群から選択され;
ここで、核酸組成物は、SEQ ID NO:9と90%を超える配列同一性を有する核酸配列、およびSEQ ID NO:10と90%を超える配列同一性を有する核酸配列、を含む。
【0055】
[宿主細胞]
本発明はまた、切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合部分、をコードするための組換え核酸分子を含む宿主細胞を提供する。
【0056】
したがって、本発明の他の実施形態は、切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合部分、をコードする一つ以上の核酸分子、を含む核酸組成物を含む宿主細胞を対象とし、ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3。
【0057】
本発明の他の好ましい実施形態は、切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合部分、をコードする一つ以上の核酸分子、を含む核酸組成物を含む宿主細胞を対象とし、
ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、抗体は以下を含む:
I)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む重鎖可変領域;および
II)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む軽鎖可変領域。
【0058】
本発明の他の更に好ましい実施形態は、切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合部分、をコードする一つ以上の核酸分子、を含む核酸組成物を含む宿主細胞を対象とし、ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、抗原結合断片は、エピトープ結合領域を含む単鎖可変断片(scFv)、可変ドメイン(Fv)断片、断片抗原結合(Fab)断片、F(ab)2断片、ペプチド、またはタンパク質分解断片、を含む群から選択される。
【0059】
本発明の他の更に好ましい実施形態は、切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合部分、をコードする一つ以上の核酸分子、を含む核酸組成物を含む宿主細胞を対象とし、ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、抗体は以下を含む:
I)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む重鎖可変領域;および
II)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む軽鎖可変領域、
ここで、抗原結合断片は、エピトープ結合領域を含む単鎖可変断片(scFv)、可変ドメイン(Fv)断片、断片抗原結合(Fab)断片、F(ab)2断片、ペプチド、またはタンパク質分解断片、を含む群から選択される。
【0060】
したがって、本発明の実施形態は、切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合部分、をコードする一つ以上の核酸分子、を含む核酸組成物を含む宿主細胞を対象とし、ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、核酸組成物は、SEQ ID NO:9と90%を超える配列同一性を有する核酸配列、およびSEQ ID NO:10と90%を超える配列同一性を有する核酸配列、を含む。
【0061】
本発明の他の実施形態は、切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合部分、をコードする一つ以上の核酸分子、を含む核酸組成物を含む宿主細胞を対象とし、ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、抗体は以下を含む:
I)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む重鎖可変領域;および
II)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む軽鎖可変領域、
ここで、核酸組成物は、SEQ ID NO:9と90%を超える配列同一性を有する核酸配列、およびSEQ ID NO:10と90%を超える配列同一性を有する核酸配列、を含む。
【0062】
本発明の他の更に好ましい実施形態は、切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合部分、をコードする一つ以上の核酸分子、を含む核酸組成物を含む宿主細胞を対象とし、ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、抗原結合断片は、エピトープ結合領域を含む単鎖可変断片(scFv)、可変ドメイン(Fv)断片、断片抗原結合(Fab)断片、F(ab)2断片、ペプチド、またはタンパク質分解断片、を含む群から選択され;
ここで、核酸組成物は、SEQ ID NO:9と90%を超える配列同一性を有する核酸配列、およびSEQ ID NO:10と90%を超える配列同一性を有する核酸配列、を含む。
【0063】
本発明の他の更に好ましい実施形態は、切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合部分、をコードする一つ以上の核酸分子、を含む核酸組成物を含む宿主細胞を対象とし、ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、抗体は以下を含む:
I)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む重鎖可変領域;および
II)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む軽鎖可変領域、
ここで、抗原結合断片は、エピトープ結合領域を含む単鎖可変断片(scFv)、可変ドメイン(Fv)断片、断片抗原結合(Fab)断片、F(ab)2断片、ペプチド、またはタンパク質分解断片、を含む群から選択され;
ここで、核酸組成物は、SEQ ID NO:9と90%を超える配列同一性を有する核酸配列、およびSEQ ID NO:10と90%を超える配列同一性を有する核酸配列、を含む。
【0064】
[NETのインビトロ(in vitro)検出のための方法]
本発明の他の実施形態は、単離された生体試料中の好中球細胞外トラップのインビトロ(in vitro)検出のための方法を提供し、方法は以下を含む:
1)前記単離された生体試料を、切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分と接触させること、
2)切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的な前記抗体、またはその抗原結合部分が、前記単離された生体試料に結合することを可能にするために十分な条件を提供すること、
3)切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分が、前記単離された生体試料に結合するかどうかを決定すること、
ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3。
【0065】
本発明の更なる実施形態は、単離された生体試料中の好中球細胞外トラップのインビトロ(in vitro)検出のための方法を提供し、方法は以下を含む:
1)前記単離された生体試料を、切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分と接触させること、
2)切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的な前記抗体、またはその抗原結合部分が、前記単離された生体試料に結合することを可能にするために十分な条件を提供すること、
3)切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分が、前記単離された生体試料に結合するかどうかを決定すること、
ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、抗体は以下を含む:
I)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む重鎖可変領域;および
II)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む軽鎖可変領域。
【0066】
本発明の他の好ましい実施形態は、単離された生体試料中の好中球細胞外トラップのインビトロ(in vitro)検出のための方法を提供し、方法は以下を含む:
1)前記単離された生体試料を、切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分と接触させること、
2)切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的な前記抗体、またはその抗原結合部分が、前記単離された生体試料に結合することを可能にするために十分な条件を提供すること、
3)切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分が、前記単離された生体試料に結合するかどうかを決定すること、
ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、抗原結合断片は、エピトープ結合領域を含む単鎖可変断片(scFv)、可変ドメイン(Fv)断片、断片抗原結合(Fab)断片、F(ab)2断片、ペプチド、またはタンパク質分解断片、を含む群から選択される。
【0067】
本発明の他のより好ましい実施形態は、単離された生体試料中の好中球細胞外トラップのインビトロ(in vitro)検出のための方法を提供し、方法は以下を含む:
1)前記単離された生体試料を、切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分と接触させること、
2)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な前記抗体、またはその抗原結合部分が、前記単離された生体試料に結合することを可能にするために十分な条件を提供すること、
3)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分が、前記単離された生体試料に結合するかどうかを決定すること、
ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、抗体は以下を含む:
I)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む重鎖可変領域;および
II)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む軽鎖可変領域、
ここで、抗原結合断片は、エピトープ結合領域を含む単鎖可変断片(scFv)、可変ドメイン(Fv)断片、断片抗原結合(Fab)断片、F(ab)2断片、ペプチド、またはタンパク質分解断片、を含む群から選択される。
【0068】
いくつかの実施形態において、切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、または抗原結合部分は、検出可能な標識に連結される。
したがって、本発明の他の実施形態は、単離された生体試料中の好中球細胞外トラップのインビトロ(in vitro)検出のための方法を提供し、方法は以下を含む:
1)前記単離された生体試料を、切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分と接触させること、
2)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な前記抗体、またはその抗原結合部分が、前記単離された生体試料に結合することを可能にするために十分な条件を提供すること、
3)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分が、前記単離された生体試料に結合するかどうかを決定すること、
ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、または抗原結合部分は、検出可能な標識に連結される。
【0069】
本発明の更なる実施形態は、単離された生体試料中の好中球細胞外トラップのインビトロ(in vitro)検出のための方法を提供し、方法は以下を含む:
1)前記単離された生体試料を、切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分と接触させること、
2)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な前記抗体、またはその抗原結合部分が、前記単離された生体試料に結合することを可能にするために十分な条件を提供すること、
3)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分が、前記単離された生体試料に結合するかどうかを決定すること、
ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、抗体は以下を含む:
I)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む重鎖可変領域;および
II)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む軽鎖可変領域、
ここで、切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、または抗原結合部分は、検出可能な標識に連結される。
【0070】
本発明の他の好ましい実施形態は、単離された生体試料中の好中球細胞外トラップのインビトロ(in vitro)検出のための方法を提供し、方法は以下を含む:
1)前記単離された生体試料を、切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分と接触させること、
2)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な前記抗体、またはその抗原結合部分が、前記単離された生体試料に結合することを可能にするために十分な条件を提供すること、
3)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分が、前記単離された生体試料に結合するかどうかを決定すること、
ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、抗原結合断片は、エピトープ結合領域を含む単鎖可変断片(scFv)、可変ドメイン(Fv)断片、断片抗原結合(Fab)断片、F(ab)2断片、ペプチド、またはタンパク質分解断片、を含む群から選択され、
ここで、切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、または抗原結合部分は、検出可能な標識に連結される。
【0071】
本発明の他のより好ましい実施形態は、単離された生体試料中の好中球細胞外トラップのインビトロ(in vitro)検出のための方法を提供し、方法は以下を含む:
1)前記単離された生体試料を、切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分と接触させること、
2)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な前記抗体、またはその抗原結合部分が、前記単離された生体試料に結合することを可能にするために十分な条件を提供すること、
3)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分が、前記単離された生体試料に結合するかどうかを決定すること、
ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、抗体は以下を含む:
I)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む重鎖可変領域;および
II)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む軽鎖可変領域、
ここで、抗原結合断片は、エピトープ結合領域を含む単鎖可変断片(scFv)、可変ドメイン(Fv)断片、断片抗原結合(Fab)断片、F(ab)2断片、ペプチド、またはタンパク質分解断片、を含む群から選択され、
ここで、切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、または抗原結合部分は、検出可能な標識に連結される。
【0072】
生体試料は、好ましくは、細胞試料、混合細胞試料、細胞株試料、初代細胞試料、血液試料、末梢血単核細胞(PBMC)試料、好中球試料、組織試料、組織学的組織試料、例えばパラフィンに包埋された組織試料または凍結保存組織試料など、から選択される。
【0073】
[NET形成と関連する疾患のインビトロ(in vitro)評価のための方法]
本発明の好ましい実施形態は、個体における疾患状態をインビトロ(in vitro)で評価する方法を提供し:
i)前記個体から得られた単離された生体試料を、上述の切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分と接触させること;
ii)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な前記抗体、またはその抗原結合部分が前記単離された生体試料に結合することを可能にするために十分な条件を提供すること、
iii)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分が前記単離された生体試料に結合するかどうかを決定すること、
ここで、前記疾患はNET形成と関連しており、
ここで、前記疾患は、血栓性疾患、神経疾患、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、炎症性疾患、自己免疫疾患、癌疾患、癌転移疾患を含む群から選択され、
ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3。
【0074】
生体試料は、好ましくは、細胞試料、混合細胞試料、細胞株試料、初代細胞試料、血液試料、末梢血単核細胞(PBMC)試料、好中球試料、組織試料、組織学的組織試料、例えばパラフィンに包埋された組織試料または凍結保存組織試料など、から選択される。
【0075】
したがって、本発明のより好ましい実施形態は、個体における疾患状態をインビトロ(in vitro)で評価する方法を提供し:
i)前記個体から得られた単離された生体試料を、上述の切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分と接触させること;
ii)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な前記抗体、またはその抗原結合部分が前記単離された生体試料に結合することを可能にするために十分な条件を提供すること、
iii)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分が前記単離された生体試料に結合するかどうかを決定すること、
ここで、前記疾患はNET形成と関連しており、
ここで、前記疾患は、血栓性疾患、神経疾患、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、炎症性疾患、自己免疫疾患、癌疾患、癌転移疾患を含む群から選択され、
ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、生体試料は、細胞試料、混合細胞試料、細胞株試料、初代細胞試料、血液試料、末梢血単核細胞(PBMC)試料、好中球試料、組織試料、組織学的組織試料、パラフィンに包埋された組織試料、または凍結保存組織試料、から選択される。
【0076】
本発明の好ましい実施形態は、個体における疾患状態をインビトロ(in vitro)で評価する方法を提供し:
i)前記個体から得られた単離された生体試料を、上述の切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分と接触させること;
ii)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な前記抗体、またはその抗原結合部分が前記単離された生体試料に結合することを可能にするために十分な条件を提供すること、
iii)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分が前記単離された生体試料に結合するかどうかを決定すること、
ここで、前記疾患はNET形成と関連しており、
ここで、前記疾患は、血栓性疾患、神経疾患、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、炎症性疾患、自己免疫疾患、癌疾患、癌転移疾患を含む群から選択され、
ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、抗体は以下を含む:
I)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む重鎖可変領域;および
II)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む軽鎖可変領域。
【0077】
本発明のより好ましい実施形態は、個体における疾患状態をインビトロ(in vitro)で評価する方法を提供し:
i)前記個体から得られた単離された生体試料を、上述の切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分と接触させること;
ii)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な前記抗体、またはその抗原結合部分が前記単離された生体試料に結合することを可能にするために十分な条件を提供すること、
iii)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分が前記単離された生体試料に結合するかどうかを決定すること、
ここで、前記疾患はNET形成と関連しており、
ここで、前記疾患は、血栓性疾患、神経疾患、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、炎症性疾患、自己免疫疾患、癌疾患、癌転移疾患を含む群から選択され、
ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、抗原結合断片は、エピトープ結合領域を含む単鎖可変断片(scFv)、可変ドメイン(Fv)断片、断片抗原結合(Fab)断片、F(ab)2断片、ペプチド、またはタンパク質分解断片、を含む群から選択される。
【0078】
本発明の更により好ましい実施形態は、個体における疾患状態をインビトロ(in vitro)で評価する方法を提供し:
i)前記個体から得られた単離された生体試料を、上述の切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分と接触させること;
ii)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な前記抗体、またはその抗原結合部分が前記単離された生体試料に結合することを可能にするために十分な条件を提供すること、
iii)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分が前記単離された生体試料に結合するかどうかを決定すること、
ここで、前記疾患はNET形成と関連しており、
ここで、前記疾患は、血栓性疾患、神経疾患、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、炎症性疾患、自己免疫疾患、癌疾患、癌転移疾患を含む群から選択され、
ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、抗体は以下を含む:
I)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む重鎖可変領域;および
II)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む軽鎖可変領域、
ここで、抗原結合断片は、エピトープ結合領域を含む単鎖可変断片(scFv)、可変ドメイン(Fv)断片、断片抗原結合(Fab)断片、F(ab)2断片、ペプチド、またはタンパク質分解断片、を含む群から選択される。
【0079】
本発明の好ましい実施形態は、個体における疾患状態をインビトロ(in vitro)で評価する方法を提供し:
i)前記個体から得られた単離された生体試料を、上述の切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分と接触させること;
ii)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な前記抗体、またはその抗原結合部分が前記単離された生体試料に結合することを可能にするために十分な条件を提供すること、
iii)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分が前記単離された生体試料に結合するかどうかを決定すること、
ここで、前記疾患はNET形成と関連しており、
ここで、前記疾患は、乾癬;血管炎;全身性エリテマトーデス(SLE);関節リウマチ;潰瘍性大腸炎;クローン病;免疫介在性または1型糖尿病;免疫介在性糸球体腎炎;炎症性腸疾患(IBD);抗リン脂質抗体症候群;免疫性血小板減少症、を含む群から選択される自己免疫疾患であり、
ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3。
【0080】
本発明の好ましい実施形態は、個体における疾患状態をインビトロ(in vitro)で評価する方法を提供し:
i)前記個体から得られた単離された生体試料を、上述の切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分と接触させること;
ii)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な前記抗体、またはその抗原結合部分が前記単離された生体試料に結合することを可能にするために十分な条件を提供すること、
iii)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分が前記単離された生体試料に結合するかどうかを決定すること、
ここで、前記疾患はNET形成と関連しており、
ここで、前記疾患は、乾癬;血管炎;全身性エリテマトーデス(SLE);関節リウマチ;潰瘍性大腸炎;クローン病;免疫介在性または1型糖尿病;免疫介在性糸球体腎炎;炎症性腸疾患(IBD);抗リン脂質抗体症候群;免疫性血小板減少症、を含む群から選択される自己免疫疾患であり、
ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、抗体は以下を含む:
I)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む重鎖可変領域;および
II)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む軽鎖可変領域。
【0081】
本発明のより好ましい実施形態は、個体における疾患状態をインビトロ(in vitro)で評価する方法を提供し:
i)前記個体から得られた単離された生体試料を、上述の切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分と接触させること;
ii)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な前記抗体、またはその抗原結合部分が前記単離された生体試料に結合することを可能にするために十分な条件を提供すること、
iii)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分が前記単離された生体試料に結合するかどうかを決定すること、
ここで、前記疾患はNET形成と関連しており、
ここで、前記疾患は、乾癬;血管炎;全身性エリテマトーデス(SLE);関節リウマチ;潰瘍性大腸炎;クローン病;免疫介在性または1型糖尿病;免疫介在性糸球体腎炎;炎症性腸疾患(IBD);抗リン脂質抗体症候群;免疫性血小板減少症、を含む群から選択される自己免疫疾患であり、
ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、抗原結合断片は、エピトープ結合領域を含む単鎖可変断片(scFv)、可変ドメイン(Fv)断片、断片抗原結合(Fab)断片、F(ab)2断片、ペプチド、またはタンパク質分解断片、を含む群から選択される。
【0082】
本発明の更により好ましい実施形態は、個体における疾患状態をインビトロ(in vitro)で評価する方法を提供し:
i)前記個体から得られた単離された生体試料を、上述の切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分と接触させること;
ii)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な前記抗体、またはその抗原結合部分が前記単離された生体試料に結合することを可能にするために十分な条件を提供すること、
iii)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分が前記単離された生体試料に結合するかどうかを決定すること、
ここで、前記疾患はNET形成と関連しており、
ここで、前記疾患は、乾癬;血管炎;全身性エリテマトーデス(SLE);関節リウマチ;潰瘍性大腸炎;クローン病;免疫介在性または1型糖尿病;免疫介在性糸球体腎炎;炎症性腸疾患(IBD);抗リン脂質抗体症候群;免疫性血小板減少症、を含む群から選択される自己免疫疾患であり、
ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、抗体は以下を含む:
I)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む重鎖可変領域;および
II)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む軽鎖可変領域、
ここで、抗原結合断片は、エピトープ結合領域を含む単鎖可変断片(scFv)、可変ドメイン(Fv)断片、断片抗原結合(Fab)断片、F(ab)2断片、ペプチド、またはタンパク質分解断片、を含む群から選択される。
【0083】
本発明の好ましい実施形態は、個体における疾患状態をインビトロ(in vitro)で評価する方法を提供し:
i)前記個体から得られた単離された生体試料を、上述の切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分と接触させること;
ii)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な前記抗体、またはその抗原結合部分が前記単離された生体試料に結合することを可能にするために十分な条件を提供すること、
iii)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分が前記単離された生体試料に結合するかどうかを決定すること、
ここで、前記疾患はNET形成と関連しており、
ここで、前記疾患は、血栓性疾患、神経疾患、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、炎症性疾患、自己免疫疾患、癌疾患、癌転移疾患を含む群から選択され、
ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分は、検出可能な標識に連結される。
【0084】
本発明の好ましい実施形態は、個体における疾患状態をインビトロ(in vitro)で評価する方法を提供し:
i)前記個体から得られた単離された生体試料を、上述の切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分と接触させること;
ii)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な前記抗体、またはその抗原結合部分が前記単離された生体試料に結合することを可能にするために十分な条件を提供すること、
iii)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分が前記単離された生体試料に結合するかどうかを決定すること、
ここで、前記疾患はNET形成と関連しており、
ここで、前記疾患は、血栓性疾患、神経疾患、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、炎症性疾患、自己免疫疾患、癌疾患、癌転移疾患を含む群から選択され、
ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、抗体は以下を含む:
I)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む重鎖可変領域;および
II)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む軽鎖可変領域、
ここで、切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分は、検出可能な標識に連結される。
【0085】
本発明のより好ましい実施形態は、個体における疾患状態をインビトロ(in vitro)で評価する方法を提供し:
i)前記個体から得られた単離された生体試料を、上述の切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分と接触させること;
ii)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な前記抗体、またはその抗原結合部分が前記単離された生体試料に結合することを可能にするために十分な条件を提供すること、
iii)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分が前記単離された生体試料に結合するかどうかを決定すること、
ここで、前記疾患はNET形成と関連しており、
ここで、前記疾患は、血栓性疾患、神経疾患、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、炎症性疾患、自己免疫疾患、癌疾患、癌転移疾患を含む群から選択され、
ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、抗原結合断片は、エピトープ結合領域を含む単鎖可変断片(scFv)、可変ドメイン(Fv)断片、断片抗原結合(Fab)断片、F(ab)2断片、ペプチド、またはタンパク質分解断片、を含む群から選択され、
ここで、切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分は、検出可能な標識に連結される。
【0086】
本発明の更により好ましい実施形態は、個体における疾患状態をインビトロ(in vitro)で評価する方法を提供し:
i)前記個体から得られた単離された生体試料を、上述の切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分と接触させること;
ii)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な前記抗体、またはその抗原結合部分が前記単離された生体試料に結合することを可能にするために十分な条件を提供すること、
iii)切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分が前記単離された生体試料に結合するかどうかを決定すること、
ここで、前記疾患はNET形成と関連しており、
ここで、前記疾患は、血栓性疾患、神経疾患、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、炎症性疾患、自己免疫疾患、癌疾患、癌転移疾患を含む群から選択され、
ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、抗体は以下を含む:
I)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む重鎖可変領域;および
II)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む軽鎖可変領域、
ここで、抗原結合断片は、エピトープ結合領域を含む単鎖可変断片(scFv)、可変ドメイン(Fv)断片、断片抗原結合(Fab)断片、F(ab)2断片、ペプチド、またはタンパク質分解断片、を含む群から選択され、
ここで、切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分は、検出可能な標識に連結される。
【0087】
本発明の他の好ましい実施形態は、上述の方法を提供し、ここで、切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的な抗体、またはその抗原結合部分は、検出可能な標識に連結される。
【0088】
好ましくは、本明細書において使用される「検出可能な標識」は、蛍光分子、リン光分子、化学発光分子、生物発光分子、放射性同位体、発色団、を含む群から選択される。
L48R49で切断されたヒストンH3の断片(fragment)および切片(segment)。
【0089】
本発明者らは、ここで、部位L48R49でのヒストンH3の切断は、2つの主要な断片:SEQ ID NO25のアミノ酸A1~L48を含むH3の「N末端断片」、およびSEQ ID NO25のアミノ酸R49~A135を含むH3の「C末端断片」を生成することを明らかにしている。
【0090】
さらに、L48R49で切断されたH3の「N末端断片」は、NET形成およびNETosisの間に、より小さな切片にさらに切断されることができ、ここで、前記切片は、SEQ ID NO25の25のアミノ酸A1~L48の間のアミノ酸配列に含まれる。同様に、L48R49で切断されたH3の「C末端断片」は、NET形成およびNETosisの間に、より小さな切片にさらに切断されることができ、ここで、前記切片は、SEQ ID NO25のアミノ酸R49~A135の間のアミノ酸配列に含まれる。
【0091】
したがって、本明細書において使用されるヒストンH3の用語「断片」は、SEQ ID NO25の部位L48R49での切断によって生成されたヒストンH3の断片を指す。前記断片は、H3の「N末端断片」またはH3の「C末端断片」である。
【0092】
本明細書において使用されるヒストンH3の用語「切片」は、NET形成またはNETosis中に、L48R49での切断の前後におけるヒストンH3またはヒストンH3断片の更なる切断によって生成されたH3の切片を指す。
【0093】
したがって、本発明は、SEQ ID NO25のアミノ酸A1~L48を含むH3の「N末端断片」、またはその切片、および/またはSEQ ID NO25のアミノ酸R49~A135を含むH3の「C末端断片」、またはその切片を対象とする。
【0094】
本明細書において開示されるヒストンH3の「N末端断片」、またはその切片は、好ましくは5~48アミノ酸長、好ましくは10~48アミノ酸長、好ましくは15~48アミノ酸長、好ましくは20~48アミノ酸長、好ましくは25~48アミノ酸長、好ましくは30~48アミノ酸長、好ましくは35~48アミノ酸長、好ましくは5~38アミノ酸長、好ましくは10~38アミノ酸長、好ましくは15~38アミノ酸長、好ましくは20~38アミノ酸長、好ましくは25~38アミノ酸長、好ましくは30~38アミノ酸長、好ましくは5~28アミノ酸長、好ましくは10~28アミノ酸長、好ましくは15~28アミノ酸長、好ましくは20~28アミノ酸長、好ましくは25~28アミノ酸長、好ましくは5~18アミノ酸長、好ましくは10~18アミノ酸長、好ましくは15~18アミノ酸長、好ましくは2~10アミノ酸長、好ましくは5~10アミノ酸長、である。
【0095】
本明細書において開示されるヒストンH3の「C末端断片」、またはその切片は、好ましくは5~87アミノ酸長、好ましくは10~87アミノ酸長、好ましくは15~87アミノ酸長、好ましくは20~87アミノ酸長、好ましくは25~87アミノ酸長、好ましくは30~87アミノ酸長、好ましくは35~87アミノ酸長、好ましくは45~87アミノ酸長、好ましくは55~87アミノ酸長、好ましくは65~87アミノ酸長、好ましくは75~87アミノ酸長、好ましくは5~70アミノ酸長、好ましくは10~70アミノ酸長、好ましくは15~70アミノ酸長、好ましくは20~70アミノ酸長、好ましくは25~70アミノ酸長、好ましくは30~70アミノ酸長、好ましくは35~70アミノ酸長、好ましくは45~70アミノ酸長、好ましくは55~70アミノ酸長、好ましくは65~70アミノ酸長、好ましくは5~60アミノ酸長、好ましくは10~60アミノ酸長、好ましくは15~87アミノ酸長、好ましくは20~60アミノ酸長、好ましくは25~60アミノ酸長、好ましくは30~60アミノ酸長、好ましくは35~60アミノ酸長、好ましくは45~60アミノ酸長、好ましくは55~60アミノ酸長、好ましくは5~50の間のアミノ酸長、好ましくは10~50アミノ酸長、好ましくは15~50アミノ酸長、好ましくは20~50アミノ酸長、好ましくは25~50アミノ酸長、好ましくは30~50アミノ酸長、好ましくは35~50アミノ酸長、好ましくは40~50アミノ酸長、好ましくは5~40アミノ酸長、好ましくは10~40アミノ酸長、好ましくは15~40アミノ酸長、好ましくは20~40アミノ酸長、好ましくは25~40アミノ酸長、好ましくは30~40アミノ酸長、好ましくは35~40アミノ酸長、好ましくは5~30アミノ酸長、好ましくは10~30アミノ酸長、好ましくは15~30アミノ酸長、好ましくは20~30アミノ酸長、好ましくは5~20アミノ酸長、好ましくは10~20アミノ酸長である。
【0096】
したがって、本発明の好ましい実施形態は、SEQ ID NO25のL48R49で切断されたヒトヒストンH3の単離された断片を提供し、ここで、部位L48R49で切断されたヒトヒストンH3の断片は、SEQ ID NO25の残基R49~A135の間に含まれるアミノ酸配列、またはその切片からなり、またはSEQ ID NO25の残基A1~L48の間に含まれるアミノ酸配列、またはその切片からなる。
【0097】
本明細書において使用される用語タンパク質またはその断片は、タンパク質の、またはその断片もしくは切片の「変異体」も含み、当技術分野で公知の方法によるアラインメントに対して、参照タンパク質または断片または切片と特定のアミノ酸配列同一性を共有するタンパク質または断片または切片を指す。タンパク質の、または断片の、またはその切片の変異体は、他のタンパク質における置換、挿入、欠失、フレームシフトまたは再配列を含むことができる。いくつかの実施形態において、変異体は、天然タンパク質と、またはその断片もしくは切片と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%または99%の配列同一性を共有する。
【0098】
したがって、本発明のより好ましい実施形態は、SEQ ID NO25のL48R49で切断されたヒトヒストンH3の単離された断片を提供し、ここで、部位L48R49で切断されたヒトヒストンH3の断片は、SEQ ID NO25の残基R49~A135の間に含まれるアミノ酸配列、またはその切片、またはSEQ ID NO25の残基A1~L48の間に含まれるアミノ酸配列、またはその切片からなり、ここで、ヒトヒストンH3の断片またはその切片は、ヒトヒストンH3の天然断片またはその切片と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%または99%の配列同一性を共有する。
【0099】
言い換えると、前記N末端断片および前記C末端断片は、SEQ ID NO25と少なくとも90%の同一性を有する配列を含むヒストンH3の他の変異体または相同体に由来することもできる。注目すべきことに、SEQ ID NO25は、最初のMetを有さないヒストンH3配列Q71DI3に相当する。
【0100】
NET形成と関連する疾患を評価するためのキット
他の態様において、本発明は、切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合部分を含む、疾患を評価するためのキットを提供し、ここで、疾患は、血栓性疾患、神経疾患、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、炎症性疾患、自己免疫疾患、癌疾患、癌転移疾患、を含む群から選択され、
ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、前記疾患はNET形成と関連している。
【0101】
他の態様において、本発明は、切断されたヒストンH3のC末端断片に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合部分、を含む、疾患を評価するためのキットを提供し、ここで、疾患は、血栓性疾患、神経疾患、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、炎症性疾患、自己免疫疾患、癌疾患、癌転移疾患、を含む群から選択され、
ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、抗体は以下を含む:
I)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む重鎖可変領域;および
II)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む軽鎖可変領域、
ここで、前記疾患はNET形成と関連している。
【0102】
好ましくは、抗原結合断片は、エピトープ結合領域を含む単鎖可変断片(scFv)、可変ドメイン(Fv)断片、断片抗原結合(Fab)断片、F(ab)2断片、ペプチド、またはタンパク質分解断片、を含む群から選択される。
【0103】
他の態様において、本発明は、SEQ ID NO25のL48R49で切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合部分を含む、疾患を評価するためのキットを提供し、ここで、疾患は、血栓性疾患、神経疾患、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、炎症性疾患、自己免疫疾患、癌疾患、癌転移疾患、を含む群から選択され、
ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、前記疾患はNET形成と関連している。
【0104】
他の態様において、本発明は、SEQ ID NO25のL48R49で切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合部分を含む、疾患を評価するためのキットを提供し、ここで、疾患は、血栓性疾患、神経疾患、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、炎症性疾患、自己免疫疾患、癌疾患、癌転移疾患、を含む群から選択され、
ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、抗体は以下を含む:
I)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む重鎖可変領域;および
II)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む軽鎖可変領域、
ここで、前記疾患はNET形成と関連している。
【0105】
更なる態様において、本発明は上述のキットを提供し、ここで、自己免疫疾患は、乾癬;血管炎;全身性エリテマトーデス(SLE);関節リウマチ;潰瘍性大腸炎;クローン病;免疫介在性または1型糖尿病;免疫介在性糸球体腎炎;炎症性腸疾患(IBD);抗リン脂質抗体症候群;免疫性血小板減少症、を含む群から選択される。
【0106】
したがって、本発明は、切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合部分を含む、疾患を評価するためのキットを提供し、ここで、疾患は、乾癬;血管炎;全身性エリテマトーデス(SLE);関節リウマチ;潰瘍性大腸炎;クローン病;免疫介在性または1型糖尿病;免疫介在性糸球体腎炎;炎症性腸疾患(IBD);抗リン脂質抗体症候群;免疫性血小板減少症、を含む群から選択される自己免疫疾患であり、
ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、前記疾患はNET形成と関連している。
【0107】
他の態様において、本発明は、切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合部分を含む、疾患を評価するためのキットを提供し、ここで、疾患は、乾癬;血管炎;全身性エリテマトーデス(SLE);関節リウマチ;潰瘍性大腸炎;クローン病;免疫介在性または1型糖尿病;免疫介在性糸球体腎炎;炎症性腸疾患(IBD);抗リン脂質抗体症候群;免疫性血小板減少症、を含む群から選択される自己免疫疾患であり、
ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、抗体は以下を含む:
I)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む重鎖可変領域;および
II)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む軽鎖可変領域、
ここで、前記疾患はNET形成と関連している。
【0108】
好ましくは、抗原結合断片は、エピトープ結合領域を含む単鎖可変断片(scFv)、可変ドメイン(Fv)断片、断片抗原結合(Fab)断片、F(ab)2断片、ペプチド、またはタンパク質分解断片、を含む群から選択される。
【0109】
他の態様において、本発明は、SEQ ID NO25のL48R49で切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合部分、を含む、疾患を評価するためのキットを提供し、ここで、疾患は、乾癬;血管炎;全身性エリテマトーデス(SLE);関節リウマチ;潰瘍性大腸炎;クローン病;免疫介在性または1型糖尿病;免疫介在性糸球体腎炎;炎症性腸疾患(IBD);抗リン脂質抗体症候群;免疫性血小板減少症、を含む群から選択される自己免疫疾患であり、
ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、前記疾患はNET形成と関連している。
【0110】
他の態様において、本発明は、SEQ ID NO25のL48R49で切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合部分、を含む、疾患を評価するためのキットを提供し、ここで、疾患は、乾癬;血管炎;全身性エリテマトーデス(SLE);関節リウマチ;潰瘍性大腸炎;クローン病;免疫介在性または1型糖尿病;免疫介在性糸球体腎炎;炎症性腸疾患(IBD);抗リン脂質抗体症候群;免疫性血小板減少症、を含む群から選択される自己免疫疾患であり、
ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、抗体は以下を含む:
I)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む重鎖可変領域;および
II)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含む軽鎖可変領域、
ここで、前記疾患はNET形成と関連している。
【0111】
本発明の更なる実施形態は、ヒトヒストンH3における断片を含む、疾患を評価するためのキットを提供し、ここで、疾患は、血栓性疾患、神経疾患、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、炎症性疾患、自己免疫疾患、癌疾患、癌転移疾患、を含む群から選択され、
ここで、前記ヒトヒストンH3における断片は、SEQ ID NO25の部位L48R49で切断されたヒトヒストンH3における断片であり、ここで、部位L48R49で切断されたヒトヒストンH3における断片は、SEQ ID NO25のR49~A135の間に含まれるアミノ酸配列、またはその断片からなり、またはSEQ ID NO25のA1~L48の間に含まれるアミノ酸配列、またはその断片からなり、
ここで、前記疾患はNET形成と関連している。
【0112】
本発明の更に好ましい実施形態は、ヒトヒストンH3における断片を含む、疾患を評価するためのキットを提供し、ここで、疾患は、乾癬;血管炎;全身性エリテマトーデス(SLE);関節リウマチ;潰瘍性大腸炎;クローン病;免疫介在性または1型糖尿病;免疫介在性糸球体腎炎;炎症性腸疾患(IBD);抗リン脂質抗体症候群;免疫性血小板減少症、を含む群から選択される自己免疫疾患であり、
ここで、前記ヒトヒストンH3における断片は、SEQ ID NO25の部位L48R49で切断されたヒトヒストンH3における断片であり、ここで、部位L48R49で切断されたヒトヒストンH3における断片は、SEQ ID NO25のR49~A135の間に含まれるアミノ酸配列、またはその断片からなり、またはSEQ ID NO25のA1~L48の間に含まれるアミノ酸配列、またはその断片からなり、
ここで、前記疾患はNET形成と関連している。
【0113】
本発明の他の実施形態は、ヒトヒストンH3における断片を含む、疾患を評価するためのキットを提供し、ここで、疾患は、血栓性疾患、神経疾患、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、炎症性疾患、自己免疫疾患、癌疾患、癌転移疾患、を含む群から選択され、
ここで、前記ヒトヒストンH3における断片は、SEQ ID NO25の部位L48R49で切断されたヒトヒストンH3における断片であり、ここで、部位L48R49で切断されたヒトヒストンH3における断片は、SEQ ID NO25のR49~A135の間に含まれるアミノ酸配列、またはその断片からなり、またはSEQ ID NO25の残基A1~L48の間に含まれるアミノ酸配列、またはその断片からなり、
ここで、前記ヒトヒストンH3における断片またはその切片は、ヒトヒストンH3の天然断片またはその切片の配列と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%または99%の配列同一性を共有し、
ここで、前記疾患はNET形成と関連している。
【0114】
本発明の更に好ましい実施形態は、ヒトヒストンH3における断片を含む、疾患を評価するためのキットを提供し、ここで、疾患は、乾癬;血管炎;全身性エリテマトーデス(SLE);関節リウマチ;潰瘍性大腸炎;クローン病;免疫介在性または1型糖尿病;免疫介在性糸球体腎炎;炎症性腸疾患(IBD);抗リン脂質抗体症候群;免疫性血小板減少症、を含む群から選択される自己免疫疾患であり、
ここで、前記ヒトヒストンH3における断片は、SEQ ID NO25の部位L48R49で切断されたヒトヒストンH3における断片であり、ここで、部位L48R49で切断されたヒトヒストンH3における断片は、SEQ ID NO25のR49~A135の間に含まれるアミノ酸配列、またはその断片からなり、またはSEQ ID NO25の残基A1~L48の間に含まれるアミノ酸配列、またはその断片からなり、
ここで、前記ヒトヒストンH3における断片(fragment)またはその断片(segment)は、ヒトヒストンH3における天然断片(fragment)またはその断片(segment)の配列と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%または99%の配列同一性を共有し、および
ここで、前記疾患はNET形成と関連している。
【0115】
更により好ましい実施形態は、切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合部分を含む、疾患を評価するためのキットを対象とし、ここで、疾患は、血栓性疾患、神経疾患、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、炎症性疾患、自己免疫疾患、癌疾患、癌転移疾患、を含む群から選択され、ここで、前記疾患はNET形成と関連しており、
ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、前記ヒトヒストンH3における断片は、SEQ ID NO25の部位L48R49で切断されたヒトヒストンH3における断片であり、ここで、部位L48R49で切断されたヒトヒストンH3における断片は、SEQ ID NO25の残基R49~A135の間に含まれるアミノ酸配列、またはその断片からなり、または
SEQ ID NO25の残基A1~L48の間に含まれるアミノ酸配列、またはその断片からなり、
ここで、前記疾患はNET形成と関連している。
【0116】
更により好ましい実施形態は、切断されたヒストンH3におけるC末端断片に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合部分、を含む、疾患を評価するためのキットを対象とし、ここで、疾患は、乾癬;血管炎;全身性エリテマトーデス(SLE);関節リウマチ;潰瘍性大腸炎;クローン病;免疫介在性または1型糖尿病;免疫介在性糸球体腎炎;炎症性腸疾患(IBD);抗リン脂質抗体症候群;免疫性血小板減少症、を含む群から選択される自己免疫疾患であり、および
ここで、抗体は以下を含む:
a)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR1;
b)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR2;
c)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むH-CDR3;
d)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR1;
e)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR2;
f)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列、を含むL-CDR3、
ここで、前記ヒトヒストンH3における断片は、SEQ ID NO25の部位L48R49で切断されたヒトヒストンH3における断片であり、ここで、部位L48R49で切断されたヒトヒストンH3における断片は、SEQ ID NO25の残基R49~A135の間に含まれるアミノ酸配列、またはその断片からなり、または
SEQ ID NO25の残基A1~L48の間に含まれるアミノ酸配列、またはその断片からなり、
ここで、前記疾患はNET形成と関連している。
【0117】
[ヒストンH3の切断部位の使用]
本発明の更に好ましい実施形態は、好中球細胞外トラップの特異的検出のための、SEQ ID NO25のL48R49に位置されるヒストンH3の切断部位の使用を提供する。
【0118】
「抗体」(Abs)および「免疫グロブリン」(Ig)は、同じ構造的特徴を有する糖タンパク質である。抗体は、特定の抗原に対して結合特異性を示すが、免疫グロブリンは、抗体および一般的に抗原特異性を欠く他の抗体様分子の両方を含む。用語「抗体」および「免疫グロブリン」は、最も広い意味において互いに交換可能で使用され、モノクローナル抗体(例えば、全長または無傷のモノクローナル抗体など)、ポリクローナル抗体、ヒト抗体、多重特異性(またはヘテロ複合体)抗体(例えば、二重特異性抗体など)、一価抗体、多価抗体、抗原結合抗体断片、例えば、エピトープ結合領域を含む単鎖可変断片(scFv)、可変ドメイン(Fv)断片、断片抗原結合(Fab)断片、F(ab)2断片、ペプチド、またはタンパク質分解断片など、Fv断片、sdAb、VHH、抗体融合体(fusions)、および合成抗体(または抗体模倣体)、を含む。抗体は、キメラ、ヒト、ヒト化、および/または親和性成熟であることができる。
【0119】
本明細書において使用される用語「抗原」は、免疫応答を誘発することができる任意の物質として定義される。
本明細書において使用される用語「免疫原性」は、免疫原、抗原、またはワクチンの免疫応答を刺激する能力を指す。
【0120】
本明細書において使用される用語「エピトープ」は、抗体の、またはT細胞受容体の抗原結合部位と接触する抗原分子の部分として定義される。
本明細書において使用される用語「特異的結合」または「特異的に結合する(specifically binding)」または「特異的に結合する(binds specifically)」は、結合対(例えば、抗体および抗原など)間の相互作用を指す。
【0121】
「完全長抗体」、「無傷抗体」または「全抗体」は、本明細書において互いに交換可能に使用され、天然の抗体構造に実質的に同様の構造を有する抗体を指す。
「抗体の抗原結合部分」は、完全長抗体として同じ抗原を結合することができる完全長抗体の部分を指す。抗体断片の例は、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、二重特異性抗体、線状抗体、一本鎖抗体分子(例えば、scFv、など)、単一ドメイン抗体、抗体断片から形成される多重特異性抗体、を含むが、限定されない。
【0122】
抗体の「可変領域」または「可変ドメイン」は、抗体の重鎖または軽鎖のアミノ末端ドメインを指す。天然抗体の重鎖および軽鎖の可変ドメイン(VHおよびVL、それぞれ)は、一般的に類似の構造を有する。単一のVHまたはVLドメインは、抗原結合特異性を与えるのに十分であり得る。
【0123】
用語「可変」は、可変ドメインの特定の部分が、抗体間で配列において広く異なり、特定の抗原に対する各特定の抗体の結合および特異性において使用されるという事実を指す。しかしながら、可変性は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインの両方において、相補性決定領域(CDR)または超可変領域(HVR)と呼ばれる3つの断片に集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖および軽鎖における可変ドメインは、それぞれ4つのFR領域を含み、主にベータシート構造を採用し、3つのCDRによって接続され、それらはループを形成してベータシート構造を接続し、場合によってはベータシート構造の一部を形成する。各鎖においてCDRは、FR領域によって近接して一緒に保持され、もう一方の鎖のCDRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,第5版、国立衛生研究所、ベセスダ、メリーランド州(1991))。定常ドメインは、抗原に抗体を結合することにおいて直接関与していないが、さまざまなエフェクター機能、例えば、抗体の抗体依存性細胞毒性への関与など、を示す。
【0124】
本明細書において使用される「超可変領域」または「HVR」は、配列において超可変であり、および/または構造的に定義されたループを形成する、抗体可変ドメインの各領域を指す。一般に、天然の抗体は、6個のHVR:重鎖可変ドメイン、VH(H1、H2、H3)に3個、および軽鎖可変ドメイン、VL(L1、L2、L3)に3個、を有する4本の鎖を含む。単一ドメイン抗体は、重鎖可変ドメインに3個のHVRのみを含む。HVRは、一般的に、超可変ループからのアミノ酸残基および/または「相補性決定領域」(CDR)からのアミノ酸残基を含む。別段の指示がない限り、可変ドメインにおいてHVR残基および他の残基(例えば、FR残基など)は、本明細書においてKabatら、1991に従って番号付けされる。
【0125】
本明細書において使用される「相補性決定領域」または「CDR」は、最も高い配列可変性を有する、および/または抗原認識に関与する、可変ドメインの超可変領域内の領域を指す。一般に、天然の抗体は、6個のCDR:重鎖可変ドメイン、VH(H1、H2、H3)に3個、および軽鎖可変ドメイン、VL(L1、L2、L3)に3個、を有する4本の鎖を含む。例示的なCDR(CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3)は、L1のアミノ酸残基24~34、L2のアミノ酸残基50~56、L3のアミノ酸残基89~97、H1のアミノ酸残基31~35、H2のアミノ酸残基50~65、およびH3のアミノ酸残基95~102に存在する(Kabatら、1991)。
【0126】
「フレームワーク」または「FR」は、超可変領域(HVR)残基以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは、一般的に、4個のFRドメイン:FR1、FR2、FR3、およびFR4からなる。したがって、HVRおよびFR配列は、一般的に、VH(またはVL)に続く配列で現れる:FR1-H1(L1)-FR2-H2(L2)-FR3-H3(L3)-FR4。
【0127】
「天然の抗体」は、天然に存在する免疫グロブリン分子を指す。例えば、天然のIgG抗体は、約150ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質であり、ジスルフィド結合した2本の同一の軽鎖および2本の同一の重鎖で構成される。N末端からC末端まで、各重鎖は、可変重鎖ドメインまたは重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VH)を有し、その後に3個の定常ドメイン(CH1、CH2、およびCH3)が続く。同様に、N末端からC末端まで、各軽鎖は、可変軽鎖ドメインまたは軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)を有し、その後に定常軽鎖(CL)ドメインが続く。抗体の軽鎖は、当該定常ドメインにおけるアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)とラムダ(λ)と呼ばれる2つの型の一つに割り当てられてもよい。
【0128】
本明細書において使用される「モノクローナル抗体」は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、可能性のある変異抗体(例えば、変異抗体は、自然に発生する、またはモノクローナル抗体の生産中に発生する変異を含み、一般的に少量で存在する)を除いて、同一である、および/または同じエピトープに結合する。通常、異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原における単一の決定基に対するものである。したがって、用語「モノクローナル」は、実質的に均質な抗体集団から得られるような抗体の性質を示し、任意の特定の方法による抗体の生産を必要とするとして解釈されるべきではない。
【0129】
「キメラ抗体」とは、重鎖および/または軽鎖の一部が特定の供給源または種に由来し、一方、重鎖および/または軽鎖の残りの部分が異なる供給源または種に由来する、抗体を指す。
【0130】
「ヒト化抗体」とは、非ヒトHVR由来のアミノ酸配列およびヒトFR由来のアミノ酸配列を含むキメラ抗体を指す。特定の実施形態において、ヒト化抗体は、実質的に単一ドメイン抗体を含み、単一ドメイン抗体において、CDRの全て、または実質的に全てが非ヒト抗体のCDRに対応し、FRの全て、または実質的に全てがヒト抗体のFRに対応する。ヒト化抗体は、任意に、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部を含んでもよい。抗体の「ヒト化形態」、例えば、非ヒト抗体などは、ヒト化を受けている抗体を指す。
【0131】
「ヒト抗体」とは、ヒトもしくはヒト細胞によって生産される抗体、またはヒト抗体レパートリーもしくは他のヒト抗体コード化配列を利用する非ヒト供給源に由来する抗体、のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有する抗体を指す。ヒト抗体におけるこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特に除外する。
【0132】
「Fc領域」または「Fc抗体断片」とは、免疫グロブリン重鎖のC末端ポリペプチド配列を含む二量体複合体を指し、ここで、C末端ポリペプチド配列は、無傷の抗体のパパイン消化によって得られるものである。Fc領域は、天然または変異Fc配列を含み得る。
【0133】
「Fab断片」は、軽鎖の可変ドメインおよび定常ドメイン、並びに重鎖の可変ドメインおよび第一の定常ドメイン(CH1)を含む抗体断片を指す。抗体のパパイン消化は、2つの同一の「Fab」断片を生成し、それぞれは単一の抗原結合部位、および残りの「Fc」断片を有し、その名前は、容易に結晶化する当該能力を反映する。ペプシン処理により、2つの抗原結合部位を有し、さらに交差結合することができるF(ab’)2断片を生み出す。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域からの1つ以上のシステインを含む重鎖CH1ドメインにおけるカルボキシ末端にいくつかの残基を加えることによってFab断片と異なる。F(ab’)2抗体断片は、F(ab’)2抗体断片の間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として本来は生産された。抗体断片における他の化学結合も当技術分野で知られている。
【0134】
「Fv断片」とは、完全な抗原認識および結合部位を含む抗体断片を指す。この領域は、堅く結合した1つの重鎖可変ドメインおよび1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなり、例えば、scFvなどにおいて、1つの重鎖可変ドメインおよび1つの軽鎖可変ドメインは、本質的に共有結合されることができる。この配置において、各可変ドメインの3つのHVRは、相互作用して、VH-VL二量体の表面における抗原結合部位を定義する。
【0135】
集合的に、6つのHVRまたはそのサブセットは、抗体に対して抗原結合特異性を与える。しかしながら、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つのHVRのみを含むFvの半分)でさえも、通常は結合部位全体よりも低い親和性ではあるけれども、抗原を認識し、結合する能力を有する。
【0136】
「単鎖Fv」または「scFv」は、抗体のVHドメインおよびVLドメインを含む抗体断片を指し、ここで、これらのドメインは、単一のポリペプチド鎖中に存在する。一般に、Fvポリペプチドは、scFvが所望の抗原結合構造を形成することができるようにVHドメインとVLドメインの間にポリペプチドリンカーを更に含む。
【0137】
「単離された」抗体、またはタンパク質、またはタンパク質断片は、自然環境の成分から同定され、分離され、および/または回収されているものである。当該自然環境における汚染成分は、抗体、またはタンパク質、またはタンパク質断片についての研究、診断、または治療的使用を妨げることになる物質であり、並びに酵素、ホルモン、および他のタンパク質性または非タンパク質性溶質を含み得る。通常、単離された抗体またはタンパク質またはタンパク質断片は、少なくとも1つの精製ステップによって調製されることになる。
【0138】
「配列同一性」の割合は、参照配列の全長についての「比較ウィンドウ」にわたって、2つの最適に配列された核酸配列またはポリペプチド配列を比較することによって決定される。本明細書で使用される「比較ウィンドウ」とは、2つの配列が最適に配列された後の、参照配列と変異配列との間の最適な配列を指し、ここで、比較ウィンドウ内の変異核酸またはポリペプチド配列は、最適な配列の用の参照配列(参照配列は付加または欠失を含まない)と比較して、20パーセント以下、通常は5パーセントから15パーセント、または10パーセントから12パーセントの付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。同一性割合は、両方の配列において、同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が存在する位置の数を決定し、一致した位置の数を得て、一致した位置の数を参照配列(すなわち、アミノ酸またはヌクレオチドの全長)内の位置の総数で割り、その結果に100を掛けることによって算出され、配列同一性の割合を得る。2つの核酸、またはタンパク質、またはペプチド、またはポリペプチド配列は、上述のように最適に配列した場合に2つの配列内のヌクレオチドまたはアミノ酸の配列が同じであるなら、「同一」であると言われる。「配列同一性」の割合を、NCBIWebサイトで入手可能な「BLAST 2 Sequences」ツールを用いてblastpを利用して、上記に定義された比較ウィンドウで決定することができる。(Tatusova A.et al.,FEMS Microbiol Lett.1999,174:247-250)。
【0139】
代替方法として、変異配列は、以下の式に従って、親配列における任意の数の位置で許容される置換から生じる任意のアミノ酸配列であってもよい:
Ser、Thr、Gly、およびAsnによって置換されるSer;
Arg、His、Gin、Lys、Gluの一つによって置換されるArg;
Leu、Ile、Phe、Tyr、Met、およびValの一つによって置換されるLeu;
Pro、Gly、Ala、およびThrの一つによって置換されるPro;
Thr、Pro、Ser、Ala、Gly、His、およびGinの一つによって置換されるThr;
Ala、Gly、Thr、およびProの一つによって置換されるAla;
Val、Met、Tyr、Phe、Ile、およびLeuの一つによって置換されるVal;
Gly、Ala、Thr、Pro、およびSerの一つによって置換されるGly;
Ile、Met、Tyr、Phe、Val、およびLeuの一つによって置換されるIle;
Phe、Trp、Met、Tyr、lie、Val、およびLeuの一つによって置換されるPhe;
Tyr、Trp、Met、Phe、Ile、Val、およびLeuの一つによって置換されるTyr;
His、Glu、Lys、Gin、Thr、およびArgの一つによって置換されるHis;
Gin、Glu、Lys、Asn、His、Thr、およびArgの一つによって置換されるGln;
Asn、Glu、Asp、Gin、およびSerの一つによって置換されるAsn;
Lys、Glu、Gln、His、およびArgの一つによって置換されるLys;
Asp、Glu、およびAsnの一つによって置換されるAsp;
Glu、Asp、Lys、Asn、Gln、His、およびArgの一つによって置換されるGlu;
Met、Phe、Ile、Val、Leu、およびTyrの一つによって置換されるMet。
【0140】
親配列と比較して変異配列におけるアミノ酸欠失または置換の数は、好ましくは最大1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、 15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40個のアミノ酸である。
【0141】
本明細書において互いに交換可能に使用される「ポリヌクレオチド」または「核酸分子」とは、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNAおよびRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾されたヌクレオチドまたは塩基、および/またはそれらの類似体、またはDNAポリメラーゼもしくはRNAポリメラーゼによって、または合成反応によってポリマーに組み込まれることができる任意の基質であることができる。ポリヌクレオチドは、修飾ヌクレオチド、例えば、メチル化ヌクレオチドなど、およびそれらの類似体を含んでもよい。存在する場合、ヌクレオチド構造への修飾は、ポリマーの構築前または構築後に与えてもよい。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって中断されてもよい。ポリヌクレオチドは、例えば、標識との結合などによって、合成後に更に修飾されてもよい。他の型の修飾は、例えば、「キャップ」、類似体を用いての一つ以上の天然に存在するヌクレオチドの置換、ヌクレオチド間修飾、例えば、非荷電結合を用いての置換(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメートなど)、および荷電結合を用いての置換(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)、ペンダント部分、例えば、タンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ply-L-リジンなど)などを含む置換、挿入剤(例えば、アクリジン、ソラレンなど)を用いての置換、キレート剤(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化金属など)を含む置換、アルキル化剤を含む置換、修飾された結合(例えば、アルファアノマー核酸など)を用いての置換などを含み、および未修飾形態のポリヌクレオチドを含む。更に、糖において通常存在するヒドロキシル基のいずれかは、追加のヌクレオチドへの追加の結合を調製するために、例えば、ホスホネート基、ホスフェート基によって置換され、標準的な保護基によって保護され、または活性化されてもよく、または固体もしくは半固体支持体に結合させてもよい。5’末端および3’末端のOHを、リン酸化することができ、またはアミンを用いて、もしくは1個から20個の炭素原子の有機キャッピング基部分を用いて置換することができる。他のヒドロキシルを、標準的な保護基に誘導体化してもよい。
【0142】
本明細書において使用される「オリゴヌクレオチド」は、短い、一般に一本鎖の、一般に合成ポリヌクレオチドを指し、一般に、必ずしも長さが約200ヌクレオチド未満ではない。用語「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」は、相互排他的ではない。ポリヌクレオチドに関する上記の説明は、オリゴヌクレオチドに対して、等しく、および完全に適用可能である。
【0143】
本明細書において使用される用語「ベクター」は、結合している核酸に他の核酸を輸送することができる核酸分子を指すことを意図している。ベクターの1つの型は「プラスミド」であり、プラスミドは、追加のDNA断片が連結される得る環状二本鎖DNAループを指す。他の型のベクターはファージベクターである。他の型のベクターは、ウイルスベクターであり、ここで、追加のDNA断片は、ウイルスゲノムに連結され得る。特定のベクターは、ベクターが導入された宿主細胞内で自己複製することができる。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳類ベクター)は、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに組み込まれることができ、それによって宿主ゲノムと共に複製される。さらに、特定のベクターは、ベクターが動作可能に連結されている遺伝子の発現を指示することができる。当該ベクターは、本明細書において「組換え発現ベクター」(または単に「発現ベクター」または「組換えベクター」)と呼ばれる。一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、しばしばプラスミドの形態である。本明細書において、プラスミドは、ベクターにおける最も一般的に使用される形態であるので、「プラスミド」および「ベクター」は互いに交換可能に使用され得る。
【0144】
核酸分子は、天然配列(すなわち、抗体または抗体の一部をコードする内因性配列)を含んでもよく、または当該配列の変異体を含んでもよい。
核酸変異体は、コードされた抗体の免疫反応性が参照の天然抗体と比べて実質的に異ならないように、一つ以上の置換、付加、欠失および/または挿入を含む。いくつかの実施形態において、核酸変異体は、親核酸配列に対して少なくとも約70%の同一性、いくつかの実施形態において、少なくとも約80%の同一性、いくつかの実施形態において、少なくとも約85%の同一性、いくつかの実施形態において、少なくとも約90%の同一性、およびいくつかの実施形態において、少なくとも約95%の同一性を示し、ここで、配列同一性の割合は、上述のように決定される。これらの値は、限定することを意味するものではなく、列挙された割合間の増分は、本開示の一部として具体的に想定される。
【0145】
本開示における核酸分子を、化学合成、組換え法、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して得ることができる。化学的ポリヌクレオチド合成の方法は、当技術分野でよく知られており、本明細書において詳細に記述される必要はない。当業者は、本明細書において提供される配列、および市販のDNA合成装置を使用して、所望のDNA配列を生成することができる。組換え法を使用してポリヌクレオチドを調製するために、本明細書において更に議論されるように、所望の配列を含むポリヌクレオチドを、適切なベクターに挿入することができ、次に、ベクターを、複製および増幅のための適切な宿主細胞に導入することができる。ポリヌクレオチドは、当技術分野で知られている任意の方法によって宿主細胞に挿入され得る。細胞は、直接取り込み、エンドサイトーシス、トランスフェクション、F-接合(mating)またはエレクトロポレーションによって、外因性ポリヌクレオチドを導入することにより形質転換される。導入されると、外因性ポリヌクレオチドは、非組み込み型ベクター(プラスミドなど)として細胞内に維持されることができ、または宿主細胞ゲノムに組み込まれることができる。このように増幅されたポリヌクレオチドを、当技術分野でよく知られている方法によって宿主細胞から単離することができる。
【0146】
適切なクローニングベクターおよび発現ベクターは、様々な成分、例えば、プロモーター、エンハンサー、および他の転写調節配列などを含むことができる。ベクターは、抗体可変ドメインを異なるベクターへ続くクローニングすることを可能にするように構築されてもよい。適切なクローニングベクターは、標準的な技術に従って構築されてもよく、または当技術分野で利用可能な多数のクローニングベクターから選択されてもよい。選択されるクローニングベクターは、使用されることを目的とした宿主細胞に従って異なり得るが、有用なクローニングベクターは、一般に自己複製能力を有することになり、特定の制限エンドヌクレアーゼに対する単一の標的を有してもよく、および/またはベクターを含むクローンを選択することにおいて使用されることができるマーカー用の遺伝子を有してもよい。適切な例は、プラスミドおよび細菌ウイルス、例えば、pUC18、pUC19、ブルースクリプト(Bluescript)(例えば、pBS SK+など)および当該誘導体、mp18、mp19、pBR322、pMB9、ColE1、pCR1、RP4、ファージDNAなど、並びにシャトルベクター、例えば、pSA3およびpAT28など、を含む。これらの、および多くの他のクローニングベクターは、例えば、メルク社(Merck)、バイオラッド社(BioRad)、ストラタジーン社(Strategene)、およびインビトロジェン社(Invitrogen)など、の販売業者から入手可能である。
【0147】
さらに、本発明は、本明細書に開示される単一ドメイン抗体またはその変異体のいずれかをコードする核酸配列を含む発現ベクター、並びに当該発現ベクターを含む宿主細胞も想定する。発現ベクターは、エピソームとして、または染色体DNAの不可欠な部分として宿主細胞内において複製可能でなければならないことを暗示する。ベクター成分は、一般的に、以下の一つ以上を含み得るが、これらに限定されない:シグナル配列;複製起点;一つ以上のマーカー遺伝子;適切な転写制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、およびターミネーターなど)。発現(すなわち、翻訳)に関して、一つ以上の翻訳制御エレメント、例えば、リボソーム結合部位、翻訳開始部位、および終止コドンなども、通常、必要とされる。
【0148】
目的の核酸分子および/または核酸分子自体を含むベクターを、エレクトロポレーション、塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE-デキストラン、または他の物質を使用するトランスフェクション;マイクロプロジェクタイル衝撃(microprojectile bombardment);リポフェクション;および感染(例えば、ベクターが感染性因子、例えば、ワクシニアウイルスなどである場合)を含む、多数の適切な方法のいずれかによって宿主細胞に導入することができる。特定の手順の選択は、しばしば、宿主細胞の特徴に依存することになる。
【0149】
本明細書において使用される用語「インビトロ(in vitro)」または「エクスビボ(ex vivo)」は、人工環境、および人工環境内で起こる工程または反応、を指し、例えば試験管および細胞培養物を指すが、これらに限定されない。用語「インビボ(in vivo)」は、自然環境(例えば、動物または細胞)、および自然環境内で起こる工程または反応、を指す。
【0150】
本発明に関して「自己免疫疾患」は、個体自身の組織、または共分離、またはその発現、またはそこから生じる状態、に起因する、および向けられた疾患(disease)または障害(disorder)である。このクラスの障害は、異なる種類の自己免疫疾患間および自己免疫疾患内で非常に多様であり、そのことは診断および効果的な治療を複雑にする。自己免疫疾患の原因も、ほとんど理解されておらず、そのことは、結果的に症状に主に焦点を合わせる治療過程をもたらす。
【0151】
NET形成に関連する疾患は、好ましくは、血栓性疾患、神経疾患、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、炎症性疾患、自己免疫疾患、癌疾患、癌転移疾患、を含む群から選択される。
【0152】
NET形成に関連する「自己免疫疾患」は、好ましくは、乾癬;血管炎;全身性エリテマトーデス(SLE);関節リウマチ;潰瘍性大腸炎;クローン病;免疫介在性または1型糖尿病;免疫介在性糸球体腎炎;炎症性腸疾患(IBD);抗リン脂質抗体症候群;免疫性血小板減少症、を含む群から選択される。
【0153】
「全身性エリテマトーデス」(SLE)は、複数の臓器に損傷を与え、慢性腎不全を誘発し、重篤な疾病率および死亡率を引き起こす可能性のある消耗性自己免疫疾患である。SLEの特性は、細胞残屑と免疫複合体を形成し、末端臓器障害を引き起こす抗核自己抗体の存在である。現在の治療計画は、非特異的免疫抑制および炎症性症状の管理に限定される。
【0154】
本明細書において使用される用語「ループス」は、結合組織を攻撃する抗体が一般的に関与する自己免疫疾患または自己免疫障害である。ループスの主な形態は、全身性形態、全身性エリテマトーデス(SLE)であり、皮膚SLEおよび亜急性皮膚SLEを含み、並びに、腎炎、腎外性の(extrarenal)、脳炎、小児、腎外性の(non-renal)、円板状の、および脱毛症を含む他の型のループスである。特定の実施形態において、用語「全身性エリテマトーデス」とは、皮膚病変、関節痛、および腫れ、腎臓病(ループス腎炎)、心臓および/または肺の周囲の液体、および心臓の炎症、および様々な他の全身状態を結果的にもたらし得る慢性自己免疫疾患を指す。特定の実施形態において、用語「ループス腎炎」とは、SLE患者に生じる腎臓の炎症を指す。ループス腎炎は、例えば、糸球体腎炎および/または間質性腎炎などを含んでもよく、高血圧、タンパク尿、および腎不全を引き起こす可能性がある。ループス腎炎のクラスは、クラスI(微小メサンギウムループス腎炎)、クラスII(メサンギウム増殖性ループス腎炎)、クラス1II(限局性ループス腎炎)、クラスIV(びまん性部分的(IV-S)またはびまん性全体的(IV-G)ループス腎炎、クラスV(膜性ループス腎炎)、およびクラスVI(進行性硬化性ループス腎炎)、を含む。
【0155】
「癌」および「癌性」とは、典型的に、細胞増殖性疾患によって特徴付けられる哺乳類の生理学的状態を指す、または説明する。癌は、一般的に、癌腫、リンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫)、芽細胞腫、肉腫、および白血病を含み得るが、これらに限定されない。癌のより具体的な例は、扁平上皮癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、腹膜癌、肝細胞癌、消化管癌、膵臓癌、神経膠腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞癌(hepatoma)、乳癌、結腸癌、大腸癌、子宮内膜癌または子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌(hepatic carcinoma)、白血病、および他のリンパ増殖性疾患、および様々な種類の頭頸部癌、を含み得る。
【0156】
本明細書において使用される用語「個体」、「対象」、および「患者」とは、本明細書において互いに交換可能で使用され、ヒトおよび非ヒト動物の両方を指す。本開示の用語「非ヒト動物」とは、全ての脊椎動物、例えば哺乳類および非哺乳類、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などを含む。好ましくは、対象は、自己免疫疾患に罹っているヒト患者、または自己免疫疾患を患っているヒト患者である。
[図面の説明]
【図面の簡単な説明】
【0157】
図1図1は、PMA誘導ヒストンH3切断が、N末端ドメインで起こり、セリンプロテアーゼ阻害によって阻止されることを示す。(A)図に示されるように、好中球を、微小遠心管内でセリンプロテアーゼ阻害剤AEBSFと共に30分間プレインキュベートし、その後、PMAを用いて刺激した。溶解物を、SDS-PAGEによって分離し、H3に対するN末端抗体およびC末端抗体を用いてイムノブロットした。GAPDHを、ローディング対照として使用した。データは、セリンプロテアーゼが特定のアミノ酸でH3のN末端を切断することを示す。(B)NET形成の免疫蛍光共焦点顕微鏡検査を示す。図に示されるように、好中球をカバースリップ上に播種し、AEBSFと共にプレインキュベートし、その後、PMA(50nM)を用いて刺激した。150分で細胞を固定し、DAPI(4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール)を使用して、好中球エラスターゼ(NE)、クロマチン(H2A-H2B-DNA抗体PL2.3を使用する)、およびDNA、を染色した。NS:無刺激。画像を63×で撮影し、スケールバーは、20μmである。
図2A図2は、NET形成におけるヒストンH3切断部位の同定を示す。A)NETからの酸抽出ヒストンにおける代表的なRP-HPLCクロマトグラム、並びにH3およびH4含有画分を同定するための対応する1D-SDS-PAGEおよびイムノブロットを示す。ヒストン豊富な上清を、PMAを用いて90分間刺激された好中球から調製した。(B)2D電気泳動によって分離された、プールH3画分の代表的なクマシー染色ブロットを示す。差し込み図は、質量分析法によりヒストンH3として同定された全てのスポット(1~5)の拡大である。
図2B】(C)H3の直鎖配列およびヌクレオソームコンテクスト(context)の両方における切断されたH3産物における切断部位の略図を示す。H3を青で表し、およびピンクの尾部領域および部分的なアルファヘリックスは、除去されるH3の部分を表す。ヌクレオソーム構造は、PDB 2F8Nから適用される。構造は、X線結晶構造解析によって組み立てられ、および複数の種からのヒストンで構成される。H3変異体は、アフリカツメガエルのH3.2であるが、ヒトH3.2と100%の同一性を有する。アフリカツメガエルおよびヒトに関してのタンパク質識別子は、それぞれP84233およびQ71DI3である。
図3A図3は、3D9によって切断されたH3およびNETのスクリーニングおよび検出を示す。(A)PMAを用いて刺激され、指示された時間で固定された好中球の免疫蛍光顕微鏡検査を示す。試料を、ヘキスト(Hoechst)(DNA-青)および3D9(アレクサフルオロ(Alexafluor-568)結合二次抗体-赤)を用いて染色した。NS:無刺激。画像を、20×で、正立蛍光顕微鏡で撮影した。スケールバー-50μm(フルフィールド)および10μm(差し込み図)。
図3B】(B)図に示された時間についてPMA(50nM)を用いて刺激された好中球から調製された溶解物のイムノブロットを示す。H3 C末端抗体を、全てのH3形態を検出するための対照として使用し、一方、単一のバンド(切断されたH3)は、新たに生成されたモノクローナル抗体である3D9によって検出された。(C)NET、クロマチン(A549肺上皮細胞)、組換えヒストンH3、およびDNAにおける切断されたH3の直接ELISAを示す。試料を、それぞれ、ピコグリーン(PicoGreen)分析およびビシンコニン酸分析によって決定されたDNA含有量(NET、クロマチン、およびDNAに関して)またはタンパク質含有量(組換えヒストンH3に関して)に従って、段階希釈し、高親和性ELISAプレートに固定化した。開始濃度は、1μg/mlDNAまたはタンパク質であった。切断されたH3を、3D9(2μg/ml)およびHRP結合抗マウス二次抗体を使用して検出し、反応を、TMB(3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン)を基質として使用して展開させた。データは、希釈200ng/mlについて示される。REIRRは、SEQ ID NO11およびSEQ ID NO26によって形成される非結合分岐免疫ペプチド対照を示す。このペプチドを、20ng/mlで被覆した。データは、独立したドナーを使用した3回の実験の平均±SDを表す。
図3C】(D)ELISA、および続くインハウス(inhouse)イムノブロットおよび免疫蛍光顕微鏡スクリーニング戦略を示す。
図3D】(E)競合ペプチドおよび対照ペプチドの存在下で、PMAを用いて3時間刺激され、3D9(1μg/ml)と共に染色された好中球の免疫蛍光顕微鏡を示す。染色前に、3D9を、示されたモル濃度比で免疫化分岐ペプチド(SEQ ID NO11および12)および陰性対照分岐ペプチド(SEQ ID NO16および17)と共に4℃で一晩プレインキュベートした。(F、G)好中球を、10mlのペトリ皿に播種し、PMAを用いて3時間刺激した。全細胞溶解および免疫沈降の前に、NETを、抗体結合のために、ベンゾナーゼを用いて消化し、ヒストンおよび八量体を遊離させた。ライン1:ISO、ライン2:3D9、ライン3:ビーズのみ;INP:インプット;M:マーカー。
図3E】(F)3D9またはアイソタイプ対照によって免疫沈降されたタンパク質のクマシー染色ゲル、および対応する銀染色ゲルを示す。予測された切断H3バンドおよび無傷H3バンドを示す。HC-Ab:抗体の重鎖、LC-Ab:抗体の軽鎖。
図3F】(G)3D9またはアイソタイプ対照抗体によって免疫沈降されたタンパク質における総H3(C末端抗体)および切断H3についてのイムノブロット、および並行して実行した試料におけるクマシー染色ゲルを示す。ゲルは3つの独立した実験の代表するものである。
図4A図4は、抗クロマチン抗体PL2.3対3D9を用いたNET定量化の比較を示す。(A)PMAを用いて刺激され(180分)、ヘキスト(Hoechst)および抗クロマチン抗体(PL2.3)または3D9を用いて染色された好中球の共焦点免疫蛍光顕微鏡の図を示す。差し込み図は、高倍率(63×)で調べられ、グレースケールの分割チャネルとして表示される、または全視野により統合される(20×倍率)、選択された細胞を表す。白色スケールバー-50μm、シアンスケールバー-10μm。画像は、3つの実験の代表である。
図4B】(B)PMA刺激細胞のPL2.3染色と3D9染色における経時的(6時間)な蛍光分布の比較を示す。染色強度は、それぞれの時間経過の全ての画像にわたって正規化された。NS:360:360分で無刺激。分析を、3つ~4つの独立した時間経過実験の代表するものである1つのデータセットに対して行う。
図4C】(C)クロマチン抗体(PL2.3)および切断H3抗体(または3D9)に関して、手動または自動のしきい値処理およびセグメンテーション手順を使用したNET定量化の比較を示す。手動しきい値処理は、弱い信号を有する細胞/NETを除外し、一方、自動しきい値処理は、信号に関係なく全ての対象を含む。分析用の画像を、蛍光顕微鏡を用いて撮影した。グラフは、平均±標準偏差を表し、ここでn=3~4である。
図5図5は、様々な刺激からのNETにおける3D9による検出を示す。未刺激のまま置かれた好中球(NS)、PMA(50nM、2.5時間)を用いて刺激された好中球、二ゲリシン(15μM、2.5時間)を用いて刺激された好中球、TNF感作され、その後、ヘム(20μM、6時間)を用いて刺激された好中球、カンジダ アルビカンス(Candida albicans)菌糸(MOI5)を用いて4時間共培養された好中球、の免疫蛍光顕微鏡検査の図を示す。試料を、ヘキスト(Hoechst)、抗-好中球エラスターゼ(NE)、および3D9を用いて染色した。スケールバー-50μm。画像は、共焦点顕微鏡で20×で撮影され、独立したドナーを用いての3回の実験の代表である。スケールバー-20μm。
図6図6は、混合細胞画分におけるNETの検出を示す。NET刺激、PMA(50nM、2.5時間)または二ゲリシン(15μM、2.5時間)を用いて処理され、その後、ヘキスト(Hoechst)、抗-好中球エラスターゼ(NE)および3D9またはPL2.3を用いて染色された未精製の末梢血単核細胞(PBMC)画分の免疫蛍光顕微鏡検査の図を示す。画像を、正立蛍光顕微鏡で20×倍率で撮影し、選択された画像は、3つの独立した実験の代表である。スケールバー-50μm。
図7A図7は、アポトーシス、ネクロプトーシス、および壊死性細胞死刺激に応答した3D9検出の比較を示す。A)様々な細胞死刺激を用いて刺激され、続いてヘキスト(Hoechst)、抗好中球エラスターゼ(NE)および3D9を用いて染色された好中球の共焦点免疫蛍光顕微鏡の図を示す。NETは、PMA(100nM、3時間)を用いて誘導された。一晩刺激無しで24時間インキュベートすることにより、休止している好中球においてアポトーシスを誘導した。好中球は、カスパーゼ阻害剤Z-VAD-FMK(50μM)プラスSMAC模倣物(100nM)プラスTNF(50ng/ml)を用いて、6時間刺激され、ネクロプトーシスを誘導した。ネクローシスは、孔形成毒素α-溶血素(25μg/ml)を用いて誘発された。画像を、20×で撮影し、3つの実験の代表である。スケールバー20μm。ns:無刺激。
図7B】B)比較を、クロマチン抗体PL23を用いて染色された並行試料で行った。ns:無刺激。
図8A図8は、ヒト組織において切り取られたヒストン3およびNETの検出を示す。パラフィン包埋された切片を、ヘキスト(Hoechst)、抗NE、および3D9、またはH3 cit抗体を用いて染色し、共焦点顕微鏡によって検査した。スケールバー-10μm(A)炎症を起こしたヒト扁桃腺(B&C)炎症を起こしたヒト腎臓。
図8B図8は、ヒト組織において切り取られたヒストン3およびNETの検出を示す。パラフィン包埋された切片を、ヘキスト(Hoechst)、抗NE、および3D9、またはH3 cit抗体を用いて染色し、共焦点顕微鏡によって検査した。スケールバー-10μm(A)炎症を起こしたヒト扁桃腺(B&C)炎症を起こしたヒト腎臓。
図9図9は、胆嚢における切り取られたH3、H3cit、およびH2B染色の比較を示す。パラフィン包埋された切片を、ヘキスト(Hoechst)、抗NEおよびヒストン抗体3D9、H3citおよびH2Bを用いて染色し、共焦点顕微鏡によって検査した。スケールバー-20μm。
図10図10は、虫垂において切り取られたH3、H3cit、およびH2B染色の比較を示す。パラフィン包埋された切片を、ヘキスト(Hoechst)、抗NE、および3D9またはH3cit抗体を用いて染色し、共焦点顕微鏡によって検査した。スケールバー-20μm。
【発明を実施するための形態】
【0158】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を明示するために含まれる。以下の実施例において開示される技術は、発明者によって、本発明の実施において良好に機能することを発見された技術を表し、従って、当該実施のための好ましい様式を構成すると考えることができることが、当業者によって理解されるべきである。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、開示される特定の実施形態に多くの変更を行うことができ、さらに同様の(like)、または類似(similar)の結果を得ることを理解すべきである。
【0159】
本発明の様々な態様における更なる修正および代替実施形態は、この明細書を考慮すると当業者にとって明らかとなるだろう。したがって、この明細書は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する一般的な方法を当業者に教示することを目的としている。本明細書に示され、および記述された本発明の形態は、実施形態の例として解釈されるべきであることを理解すべきである。要素および材料は、本明細書に説明され、記述されるものと置き換えられてもよく、部分および工程を逆にしてもよく、本発明の特定の特徴を、全ては、本発明におけるこの明細書の利益を得た後に、当業者に明らかになるように、独立して利用してもよい。以下の特許請求の範囲に記述されている本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に記述される要素に変更を加えてもよい。
【0160】
[実施例]
材料および方法
試薬
全ての試薬を、実験室用試薬の一般的な供給業者、例えば、特に明記しない限りシグマアルドリッチ社(Sigma Aldrich)またはVWRドイツ社から購入した。
【0161】
採血および倫理審査による承認
静脈血を、ヘルシンキ宣言に従ってインフォームドコンセントを提供した健康なドナーから採取した。倫理審査による承認は、シャリテーベルリン医科大学(Charite-Universitatsmedizin Berlin)の医療委員会によって提供され、血液は、シャリテーベルリン病院(Charite Hospital Berlin)で、匿名で提供された。
【0162】
ヒト末梢血好中球の精製および培養
好中球を、Amulicら(2017)の記述に従って単離した。簡潔に、静脈全血を、EDTA中に収集し、等量のヒストパーク(Histopaque)1119上に重層し、800g(20分)で遠心分離することによって分離した。ピンク色がかった好中球豊富な画分を収集し、および3容量の洗浄緩衝液(0.5%[w/v]ヒト血清アルブミン[HSA、グリフォルス社(Grifols)]を補充されたMg2+またはCa2+を含まないPBS[ギブコ(Gibco)])の添加によって1回洗浄し、300g(10分)で遠心分離した。好中球画分を、密度勾配遠心分離-パーコール(Percoll)(ファルマシア(Pharmacia))、85%~65%(v/v)の勾配、によって更に精製した。精製細胞を、80%~70%画分から収集し、洗浄バッファーに再懸濁する前に1回洗浄した。CASY細胞計数器を使用して細胞を計数した。
【0163】
全ての実験に関して、特に指示されない限り、好中球を、10mMヘペス(HEPES)および0.1%(w/v)HSAを補充され、CO条件で1時間予め平衡化されたRPMI(GIBCO 32404014)で培養した。いくつかの刺激に関して、図の凡例に示されるように、HSA含有量を、0.05%または0%HSAに減らした。特に指示されない限り、細胞を、37℃、5%COで日常的に培養した。全ての実験に関して、RPMIで新たに希釈された10×のワーキングストック溶液として、刺激を細胞反応に加えた。阻害実験に関して、10×の阻害剤ストックおよび適切なビヒクル対照を、細胞に添加し、図の凡例に記載されている時間についてプレインキュベートした。
【0164】
好中球およびNET溶解物の調製
タンパク質を分析するために、溶解物を、刺激された好中球、または休止している好中球から調製した。細胞を、1.5ml微小遠心管中の培地に、1×10細胞/mlで、時点当たり5×10細胞で播種した。阻害剤またはアゴニストの添加後、細胞を穏やかに混合し、穏やかに回転しながら37℃でインキュベートした。指定の時点で、プロテアーゼ阻害剤-1mM AEBSF、20μMカテプシンG阻害剤I(カルバイオケム(Calbiochem))、20μM好中球エラスターゼ阻害剤GW311616A(バイオモル(Biomol))、2X Haltプロテアーゼ阻害剤カクテル(PIC、サーモフィッシャーサイエンティフィック社(Thermofisher Scientific))、10mM EDTA、2mM EGTA-を細胞懸濁液に直接添加した。細胞を穏やかに混合し、1000g(30秒)で遠心分離し、全ての残留液体を収集した。沸騰した5Xサンプルローディングバッファー(50mMトリス(Tris)-HCl pH6.8、2%[w/v]SDS、10%グリセロール、0.1%[w/v]ブロモフェノールブルー、100mM DTT)を試料に加え、その後、手短にボルテックスし、98℃で10分間煮沸し、液体窒素中で急速冷凍し、-80℃で保存した。
【0165】
1D SDS-PAGEおよびイムノブロット
ルーチンタンパク質分析に関して、試料を、1D SDS-PAGEによって分析し、イムノブロットした。試料を氷上で解凍し、98℃で煮沸し(10分)、超音波処理して粘度を下げた(ブラウン(Braun)ソニケーター、10秒、サイクル7、出力70%)。タンパク質を、NuPAGE12%ゲル(インビトロジェン社(Invitrogen)、サーモフィッシャー社(Thermofisher))に適用し、MES緩衝液(サーモフィッシャーサイエンティフィック社(Thermofisher Scientific))中で、150Vで実行した。バイオラッド(BioRad)湿式転写システム(緩衝液:25mMトリス(Tris)、192mMグリシン、20%メタノール、プロトコール:100mAで30分、400mAで120分)を使用して、PVDF(0.2μm孔径、アマシャム GE ヘルスケア社(Amersham GE Healthcare))にウェスタンブロットによってタンパク質を転写した。ブロッティング効率を、ポンソー(Ponceau)S染色によって評価した。ブロットを、5%[w/v]スキムミルクを有するTBST(TBS pH7.5、0.1%[v/v]ツイ―ン(Tween)-20)で、1時間、RTでブロックした。その後、ブロットを以下の一次抗体とともに、一晩、4℃で、または2時間室温でインキュベートした。ウサギ抗ヒストンH3 C末端pAb、1:15000(アクティブモティフ社(Active motif)#61277):ラット抗ヒストンH3 N末端mAb、1:1000(アクティブモティフ社(Active motif)#61647、aa1-19);ヒストンH4 C末端、1:5000(アブカム社(Abcam)10158-C末端にaa50);ウサギ抗ヒストンH4 N末端mAb、1:30,000(アップステイト(Upstate)、ミリポア社(Millipore)#05-858、aa17-28);ウサギ GAPDH mAb、1:5000(セルシグナリングテクノロジー社(Cell Signaling Technology)、#2118);マウス3D9 1ug/ml(この研究において生産された)は、全て3%(w/v)スキムミルクを有するTBSTで希釈された。TBST(3×5分)を用いて洗浄後、以前の通り、ブロットを、15分間ブロックし、その後、二次HRP結合抗体(ジャックソンイムノリサーチ社(Jackson ImmunoResearch)-5%スキムミルクTBSTで1:20000に希釈された)を用いて1時間、室温でプローブした。ブロットを、TBST(3×5分)で洗浄し、スーパーシグナル(SuperSignal)(商標)West Dura Extended Duration Substrate(サーモフィッシャーサイエンティフィック社(ThermoFisher Scientific))およびイメージクオント ゲルイメージャー(ImageQuant Gel imager)(GEヘルスケア社(GE Healthcare)を使用して現像した。
【0166】
インビトロ(in vitro)試料における免疫蛍光染色
精製細胞の免疫蛍光イメージングに関して、好中球/PBMCを、ガラスカバースリップを含む24ウェルディッシュに、1ウェルあたり1×10細胞を用いて播種し、および37℃で1時間インキュベートし、カバースリップに付着させた。この段階で、示されるように、阻害剤およびプライミング因子を含んだ。反応を、パラホルムアルデヒド(2%[w/v])の添加によって、20分間室温で、または4℃で一晩で、停止させた。固定後、細胞を洗浄し、以前に記述されるように染色した(Brinkmannら2012)。簡潔に、全てのステップを、実験用パラフィルム上で緩衝液滴の上に逆さまのカバーガラスを浮かせることによって実行した。細胞を、PBS、pH7.5、0.5%(v/v)トリトン(Triton)X-100を用いて3分間、透過処理した。スクリーニングおよび定量実験のために、この透過化ステップを、10分に延長した。試料を、PBS、0.05%(v/v)ツィーン(Tween)20を用いて洗浄し(3×5分)、ブロッキング緩衝液-PBS pH7.5、0.05%(v/v)ツィーン(Tween)20、3%(v/v)正常ヤギ血清、3%(w/v)淡水魚ゼラチン、1%(w/v)BSA-を用いて20分間、室温でインキュベートし、その後、ブロッキングバッファーで希釈された一次抗体を用いてプローブし、および4℃で一晩インキュベートした。一次抗体:抗クロマチン(H2A-H2B-DNA複合体)マウスmAb、1μg/ml(ロスマン(Losman)1992);好中球エラスターゼ、ウサギpAb1:500(カルバイオケムCalbiochem);スクリーニング用マウス血清、1:100;ハイブリドーマ上清、ニート(neat);3D9マウスmAb、1μg/ml。試料を、その後、以前の通り洗浄した。アレクサ(Alexa)標識二次抗体(インビトロジェン社(Invitrogen))を、ブロッキング緩衝液で1/500に希釈し、2時間、室温でインキュベートした。DNAを、ヘキスト(Hoescht)33342(インビトロジェン社(Invitrogen)、分子プローブ)1μg/mlを用いて染色し、二次抗体ステップでインキュベートした。試料を、PBS、続いて水で洗浄し、モウィオール(Mowiol)封入剤に封入した。
【0167】
好中球からのヒストン抽出
ヒストン豊富な画分を、Shechterらから改変された方法に従って、休止している好中球およびNETから調製した(Shechter,D.,Dormann,H.L.,Allis,C.D.,およびHake,S.B.(2007)。ヒストンの抽出、精製および分析(Extraction,purification and analysis of histones).Nat Protoc 2、1445-1457)。好中球(4~8×10)を、15mlポリプロピレンチューブ中で13mlのRPMI(HSA無し)に再懸濁し、ローラー上で、37℃で、PMA50nMと共に90分間インキュベートした。刺激後、1mM AEBSFを添加し、NSPによる更なる分解を阻害し、細胞を、氷上で10分間冷却した。全ての続くステップを、氷上で、または可能な場合は4℃で実行した。細胞およびNETを、1000gで、10分間の遠心分離によりペレット状にした。試料を、氷冷した低張溶解緩衝液(10mMトリス(Tris)-HCl pH8.0、1mM KCL、1.5mM MgCl、使用直前にプロテアーゼ阻害剤を補充された1mM DTT-1mM AEBSF、20μM NEi、20μM CGi、 2XPIC、10mM EDTA)中に、1mlの緩衝液/5×10細胞を使用して再懸濁した。その後、細胞を、回転装置上で、4℃で、30分間インキュベートした後、無傷細胞の溶解およびせん断を助けるためにシリンジに通した。核およびNETを、10,000gで、10分間、遠心分離によって収集し、上清を廃棄した。核を破壊するために、試料を、以前の通り、プロテアーゼ阻害剤を補充されたdHO(1ml/1x10細胞)に再懸濁し、断続的にボルテックスしながら氷上で、5分間インキュベートした。NP40(0.2%[v/v])を、NETの溶解および破壊を助けるために添加し、試料を短時間超音波処理した(10秒、モード7、出力70%)。ヒストンを抽出するために、HSO(0.4N)を、試料に加え、短時間ボルテックスした。その後、試料を、回転させながら2~3時間インキュベートした。試料を複数の1.5ml微小遠心管に等分し、16,000gで10分間、遠心分離し、続いて上清を収集することによって、ヒストン豊富な画分を収集した。ヒストンにおける更なる処理を最小限に抑えるために、トリクロロ酢酸を33%の最終濃度まで滴下し、その後、混合することにより、タンパク質を、一晩、直ちに沈殿させた。翌日、沈殿したタンパク質を、16,000gで、10分間の遠心分離によりペレット状にした。上清を廃棄し、ワックス状ペレットを、0.2%(v/v)HClを有する等量の氷冷アセトンを用いて1回洗浄し、氷冷アセトン単独で5回洗浄した。ペレットを、5分間空気乾燥させた後、1mMのAEBSFを加えた1ml(5×10細胞当たり)のdHOを用いて再懸濁した。再懸濁するのは困難であるペレットに関して、混合物を、以前の通り、4℃で一晩激しく振とうし、試料を遠心分離して未溶解のタンパク質を除去した。各試料についてプール上清を凍結乾燥し、ヒストン分別まで-80℃で保存した。
【0168】
ヒストンH3の精製
ヒストンを、以前に記述された方法に従ってRP-HPLCによって画分した。凍結乾燥後、試料を、300μlの緩衝液A(5%アセトニトリル、0.1%トリフルオロ酢酸)に再懸濁し、14,000gで遠心分離し、粒子状物質を除去した。Schechterらの記述(Nat.Protoc.2007,2,1445-1457)に従って、150μlの精製試料を、40μlの緩衝液Aと混合した後、C18カラム(#218TP53、グレイブ バイダック(Grave Vydac))に適用し、RP-HPLC(ウォーターズ(Waters)626LCシステム,マサチューセッツ州,米国)にかけた。流量を1ml分-1に設定し、30分から55分まで30秒間隔で画分を収集した。全ての画分を凍結乾燥し、分析まで-80℃で保存した。どの画分がH3および切断種を含むかを決定するために、各画分を、50μlのdHOに溶解し、および5μlを、SDS-PAGEにかけ、クマシーブルー染色を用いて染色し、またはPVDFに移し、すでに記述されているようにH3およびH4についてイムノブロットした。
【0169】
精製ヒストンにおける2D電気泳動(2-DE)
切断部位を決定するために、H3を含む画分をプールし、前述の改変された2-DE手順にかけた。簡潔に、プールされた画分を、9M尿素、70mM DTT、2%セルバライト(Servalyte)2-4および2%チャップス(Chaps)で変性した。試料(30μl)を、1.5mm厚の等電点電気泳動(IEF)ゲルに適用し、短縮IEFプロトコルを使用した:長さ8cmのIEFチューブゲルに20分100V、20分200V、20分400V、15分600V、5分800V、および3分1000V(合計83分、および500V/h)。2次元での分離を、6.5cm×8.5cm×1.5mmのSDS-PAGEゲルで行った。重複ゲル(Duplicate gel)を調製した。1つは質量分析による同定のためのスポットの除去用にクマシーブリリアントブルーR250を用いて染色した。2つ目は、次の通りにPVDFに転写した。タンパク質を、100mMホウ酸塩のブロッティング緩衝液中で、セミドライブロッティング手順を用いて、PVDFブロッティング膜(0.2μm)にブロットした。スポットを、クマシーブリリアントブルーR250によって染色し、N末端エドマン分解シーケンシング(プロテオーム ファクトリー(Proteome Factory)、ベルリン、ドイツ)によって分析した。
【0170】
抗体生成
免疫ペプチドおよびスクリーニングペプチドは次の通りである:免疫化用にKLHに結合したREIRR(SEQ ID NO11)およびREIRRKC-NH(SEQ ID NO12)によって形成される分岐ペプチド、ネガティブスクリーニング用にAARKS(SEQ ID NO13)およびAARKSKC-NH(SEQ ID NO14)によって形成される分岐ペプチド、検証用にSEQ ID NO11およびREIRRKC-NH(SEQ ID NO15)によって形成される競合分岐ペプチド、並びに検証用にネガティブ対照として、TGGVK(SEQ ID NO16)およびTGGVKK-NH(SEQ ID NO17)によって形成される分岐ペプチド、ポジティブスクリーニングおよびイライザ(Elisa)用に、KLHに結合されないSEQ ID NO11およびREIRRKC-NH(SEQ ID NO26)。分岐ペプチドにおいて、第一のペプチド(SEQ ID NO11、SEQ ID NO13、またはSEQ ID NO16)は、5位のアミノ酸のカルボキシル末端と第二のペプチド(SEQ ID NO12、SEQ ID NO14、SEQ ID NO15、SEQ ID NO17、またはSEQ ID NO26)の6位のリジンの側鎖アミンとの間のアミド結合を介して結合される。これらのペプチドを、ユーロジェネティック社(Eurogentec)(ベルギー)によって合成した。一部は、免疫化のためにキーリンパ球ヘモグルチニン(Key Lymphocyte Haemoglutinin)(KLH)に更に結合された。マウスの免疫化、予備的なELISAスクリーニング、およびハイブリドーマの産生は、以下の通り、ジェンスクリプト社(Genscript)によって行われた。6匹のマウス(3xBalb/cおよび3xC57/BL6)を、分岐ペプチドを用いて免疫化した。マウスから採血し、直接ELISAを使用して効果的な免疫化を評価した。ELISA、および続くインハウス(inhouse)イムノブロット、および免疫蛍光顕微鏡スクリーニング戦略の概要を図3Dに示す。効果的に免疫化された動物の選択に続いて、免疫原の更なる追加注射を、ハイブリドーマ産生のための脾臓細胞の単離前に行った。結果的に得られたハイブリドーマ上清を、同様にスクリーニングした。上清の大規模培養および抗体の精製は、ジェンスクリプト社(Genscript)によって行われた。
【0171】
ELISA
NETに対する3D9特異性を評価するために、3D9を、間接ELISAに使用し、精製NET、クロマチン、組換えH3、およびDNAにおいて切断されたH3を検出した。6ウェルディッシュに3×10個の好中球を播種し、100nM PMAとともに3~6時間インキュベートすることによってNETを調製した。NETを等量のPBSを用いて3回穏やかに洗浄した後、300μlのPBS中に集めた。凝集したNETを、短時間超音波処理(3秒、モード7、出力70%-ブラウン(Braun)ソニケーター)することによって破砕し、その後、瞬間凍結し、-80℃で保存した。クロマチンを、Shechterら(Nat.Protoc.2007,2,1445-1457)によって以前に記述されるように、肺上皮細胞(A549)から調製した。最終的な核ペレットを、dHO中に再懸濁し、以前の通り超音波処理し、-80℃で保存した。NETおよびクロマチンにおけるDNA含有量は、製造者の指示(サーモフィッシャーサイエンティフィック社(Thermofisher Scientific))に従って、ピコグリーン(PicoGreen)分析によって評価した。1μg/ml(DNA含有量)から開始して、NET、クロマチン、および仔ウシ胸腺DNA(インビトロジェン社(Invitrogen))における段階希釈物を、lo-DNA結合エッペンドルフ微小遠心管内で調製した。組換えヒストンH3(ニューイングランドバイオラボズ社(New England Biolabs))の同様の希釈系列を、1μg/mlタンパク質から開始して調製した。全ての希釈をPBSで行った。各試料の100マイクロリットルを、1μg/mlから1ng/mlの希釈で、ディプリケートで、ヌンクマキシソーブ(Nunc Maxisorb)96ウェルディッシュに分取し、4℃、250rpmで一晩固定化した。免疫ペプチド、REIRR(10ng/ml)を、陽性対照として使用した。翌日、全てのウェルを、洗浄緩衝液(PBS、0.05%ツィーン(Tween)20)を用いて6回洗浄し、その後200μlのブロッキング溶液(洗浄緩衝液中に1%BSA)を用いて2時間(室温)ブロッキングした。ウェルを、洗浄緩衝液を用いて1回洗浄し、および100μlの3D9(2μg/ml、ブロッキング溶液中)と共に室温(2時間)で穏やかに振とう(250rpm)しながらインキュベートした。ウェルを、以前の通りに6回洗浄し、その後、ブロッキング溶液で1:10,0000に希釈の100μlの二次HRP結合抗マウス(ジャクソン ラボラトリーズ社(Jackson laboratories))と共にインキュベートし、以前の通りにインキュベートした。最後に、ウェルを、以前の通りに6回洗浄し、製造業者の指示に従って(15~30分間インキュベートする)、TMB(3,3’,5,5’テトラメチルベンジジン)試薬(BD OptEIA(商標))を使用してHRP活性を検出した。分析を、100μlのHSO(0.16M)の添加によって停止し、吸光度(450nm)を、96ウェルプレートリーダー(VERSAマックス(max)、モレキュラーデバイスズ社(Molecular Devices)、カリフォルニア州、米国)で測定した。
【0172】
イメージJおよびRによる染色特性の定量化
NET形成中の抗体における染色特性を評価するために、発明者らは、イメージJおよびRスクリプトのバンドルを開発した。これらのスクリプトは、一連の実験(DNA染色、抗体染色)の2チャンネル顕微鏡画像から始まり、個々の細胞におけるグラフィック表示および分類、並びに最終的にこれらの分類をグラフィックオーバーレイとして元の画像に戻ってマッピングするまでの自動化されたワークフローを可能にする。最初のステップにおいて、核は、サイズ選択の下限および上限に関してのオプションを含む、強度しきい値(プログラムの、または手動のいずれか)に基づいて断片化される。同じしきい値が実験シリーズ全体に適用され、およびサイズの上限は、個々の細胞に割り当てられることができない融合構造を除外するために使用される。品質スコアは、個々の細胞(またはNET)に割り当てられることができるDNA染色領域全体の割合に基づいて、全ての画像に割り当てられる。このスコアは、分析における全ての他のパラメーターと共に、レポートファイルとしてエクスポートされ、分析から画像を自動的に除外するために使用されることができる。さらに、スクリプトのこの部分は、情報、例えば、プログラムで割り当てられることができる時点または刺激などと共に、全ての検出された核に対する各チャネルの面積、円周(X、Y座標として)、および累積的強度を含む結果ファイルを生成する。これらのデータセットを分析するために、我々は、Rに一連の機能を実行した。これらの機能は、イメージ(Image)J結果ファイルのインポート、核領域および染色強度に基づく細胞の分類、様々なプロットおよびデータエクスポート機能、さらに色分けされた円周としての核の分類を、元の画像に重ねて表示することを可能にするマッピング機能も含む。
【0173】
イメージJによるNETの定量化
NETは、Brinkmannらによって記述された半自動方法によって(Brinkmann,et al.(2012).インビトロNET形成における自動定量化(Automatic quantification of in vitro NETformation).Frontiers in immunology3,413)、および自動定量を可能にする第2の修正方法を介して定量化した。全ての顕微鏡画像データセットを、両方の方法によって処理し、比較を可能にする。ヘキスト(Hoechst)を使用して全DNAを染色し、およびNETを、前の節に従って、抗クロマチン(PL2.3)または3D9抗体(1μg/ml)、およびアレクサ(Alexa)-568結合二次抗体を用いてさらに染色した。画像を、ジェノプティック(Jenoptic)B/Wデジタル顕微鏡カメラおよび10×または20×対物レンズを備えているライカ(Leica)DMR正立蛍光顕微鏡を用いて取得した。各実験に関して、同じ露出設定を、全ての試料に使用し、および最低限の3つのランダムな視野(FOV)を収集した。画像を、イメージ(ImageJ)/FIJIソフトウェアを用いて分析した。Brinkmannら、2012によって記述されるように、各チャンネルを、イメージシーケンスとしてインポートし、スタックに変換した。視野(FOV)あたりの合計細胞/NETをカウントするために、ヘキスト(Hoechst)チャネルスタックをインポートし、半径15およびパラメーター1を35に設定した自動しきい値関数(Bernsen法)を使用して断片化し、黒および白のしきい値画像を生成した。その後、粒子分析を実行し、細胞核のサイズ以上のサイズの全ての対象物をカウントし(10×対物レンズ:粒子サイズ25~無限大;20×対物レンズ:粒子サイズ100~無限大)、およびバックグラウンド染色アーティファクトを除外した。その後、抗クロマチン(PL2.3)または3D9チャネルを使用して、総NETを、適切にカウントした。上記の方法に関して、静止細胞核における強度の低い染色が除外されるように、手動で調整されたしきい値を使用して、抗クロマチン染色を、断片化した。その後、粒子分析を実行し、静止細胞核より大きい全ての対象物をカウントした(10×対物レンズ:粒子サイズ75~無限大;20×対物レンズ:粒子サイズ250~無限大)。これを3D9についても実行した。第二の自動NET分析を、ワークフローが修正されたことを除いて、手動半自動分析として実行し、したがって、自動Bernsenしきい値処理および断片化は、ヘキスト(Hoechst)チャネルおよびNETチャネルの両方、総細胞、およびNET、それぞれに関して使用された。各方法に関して、FOV当たりのNETの割合は、(FOV当たりの総NET/FOV当たりの総細胞)x100として算出された。その後、FOV当たりの結果を、試料に従って平均化した。
【0174】
組織切片からの組織試料における免疫蛍光染色
パラフィン切片(2μm厚)を、100%キシレンで5分ずつ、2回交換して脱パラフィン処理し、その後100%エタノールで5分ずつ、続いて90%および70%エタノールで5分ずつ、2回交換して再水和した。切片を、脱イオン水を3回交換して洗浄し、およびTBS(トリス緩衝生理食塩水)中でインキュベートした。抗原回復のために、標的賦活化溶液(Target Retrieval Solution)(TRS pH9)(ダコ社(Dako)S2367)を使用して、スライドをスチームクッカー(ブラウン社Braun)で、20分間インキュベートした。抗原賦活化緩衝液中で室温まで冷却した後、スライドを脱イオン水で3回リンスし、更なる処理までTBS中でインキュベートした。スライドを、ブロッキング緩衝液(TBS中に、1%BSA、5%正常ロバ血清、5%冷水魚ゼラチン、および0.05%ツィーン(Tween20)を有する溶液、pH7.4)を用いて30分間ブロッキングした。ブロッキング緩衝液を除去し、切片をブロッキング緩衝液(0.05%トリトン(Triton)-X100を含む)中で適切に希釈した一次抗体と共に一晩、室温でインキュベートした。切片を、TBSでリンスし、その後、適切な濃度(1:100)で二次抗体と共に、45分間、暗所で、室温でインキュベートし、その後、TBSで5分間、3回リンスし、続いて脱イオン水を用いてリンスした。スライドを、DNA染色ヘキスト(Hoechst)33342(1:5000)を用いて、5分間インキュベートし、水を用いてリンスした後、モウィオール(Mowiol)を用いて封入した。NETの検出用の一次抗体は次の通りであった:マウス抗切断ヒストン3クローン3D9(2μg/ml)、ラット抗カルグラヌリンAクローン8H6、インハウス(in-house)MPIIB(1:100)、ウサギ抗ヒストンH3抗体(シトルリンR2+R8+R17;ab5103、アブカム(Abcam))、ウサギ抗ヒストンシトルリンH4抗体(シトルリン3)ミリポア07-596(1:100)ニワトリ抗ヒストンH2B ab134211アブカム(Abcam)(1:400)、ウサギ抗フィブリノーゲン ミリポアABT259(1:200)。二次抗体は、次の通りであった:ロバ抗ウサギ免疫グロブリンG(IgG)重鎖および軽鎖(H&L)アレクサフルオロ(Alexa Fluor)488(ジャックソン(Jackson)711-225-152)およびロバ抗マウスIgG H&L Cy3(ジャックソン(Jackson)715-165-151)。ロバ抗ニワトリIgY H&L Cy3(ジャックソン(Jackson)703-165-155)、ロバ抗ラット免疫グロブリンG(IgG)重鎖および軽鎖(H&L)Cy5(ジャックソン(Jackson))。蛍光イメージングに関して、ジェノプティック(JENOPTIK)B/Wデジタル顕微鏡カメラまたはライカ(Leica)共焦点顕微鏡SP8を備えている正立広視野顕微鏡(ライカ(Leica)DMR)を使用した。Zスタック画像を、63xの倍率で収集した。ヒト扁桃腺および腎臓のパラフィン組織ブロックを、AMSbio社から購入し、炎症組織-胆嚢および虫垂-のパラフィン切片は、Dr.Stefan Florian、シャリテー(Charite)ベルリン、から提供された。
【0175】
細胞毒性分析
阻害剤の毒性を評価するために、LDH放出を、製造業者の指示に従って、サイトトックス(CytoTox)96(登録商標)非放射性細胞毒性分析(プロメガ社(Promega))を使用して、評価した。好中球を、6ウェルプレートのRPMIに1×10細胞/100μlで播種した。阻害剤を、図に示された濃度で、細胞と共に30分間、37℃でプレインキュベートした。
【0176】
活性酸素種分析
活性酸素種(ROS)生成を、Amulicらによって記述されたルミノールHRP分析を使用して測定した(Amulic,B.,Knackstedt,S.L.,Abu Abed,U.,Deigendesch,N.,Harbort,C.J.,Caffrey,B.E.,Brinkmann,V.,Heppner,F.L.,Hinds,P.W.,Zychlinsky,A.(2017)。細胞周期タンパク質は好中球細胞外トラップの生成を制御する(Cell-Cycle Proteins Control Production of Neutrophil Extracellular Traps).Dev Cell43,449-462 e445.)。さらに、分析の全ての段階は、大気条件で行われるので、正常組織培養培地は、以前の通り、炭酸塩を含み、フェノールレッド無添加のRPMI(シーホース(Seahorse)XF RPMI 培地#103336-100、アジレント社(Agilent))に置き換えられた。阻害剤を、図に示された濃度で、細胞と共に30分間、37℃でプレインキュベートした。刺激の直前に、ルミノール(50μM)およびHRP(1.2U/ml)を添加し、続いて50nM PMAを添加した。発光測定を、発光プレートリーダー(ビクター ライト(VICTOR Light)発光カウンター、パーキンエルマー社(Perkin Elmer))を使用して30秒ごとに行い、相対的な光単位(Relative Light Units)(RLU)として表した。
【0177】
質量分析法
タンパク質スポットを切除し、0.5mlエッペンドルフチューブに移した。試料を、50%アセトニトリル(ACN)中に200mM重炭酸アンモニウム(ABC)を有する溶液の500μl中で、30分間、37℃で脱色し、200μlの50mM ABC、5%ACN中で、30分間、37℃で平衡化した。その後、試料を、室温で60分間乾燥した。タンパク消化を、25μlの50mM ABC、5% ACN中で100ngのトリプシンを用いて(スポット1、3、7は200ng用いて)、37℃で、一晩行った。上清を、新しいエッペンドルフチューブに移し、追加のペプチドを、60%ACN、0.5%トリフルオロ酢酸(TFA)を有する溶液を25μl、10分間適用し、続いて25μlの100%ACNを10分間適用することによって抽出した。全ての上清を合わせ、エッペンドルフ濃縮器で、45℃で乾燥した。15μlの0.1%TFA中で可溶化後、ペプチドを、ジップチップス(ZipTips)を用いて脱塩し、1μlのa-シアノ-4-ヒドロキシ桂皮酸(60%CAN、0.3%TFA中で5mg/ml)を用いてMALDIプレート上に溶出した。最も強度の高い5つのピークのペプチドマスフィンガープリント(PMF)および断片スペクトル(MSMS)を、4700プロテオミクス分析装置(Proteomics Analyzer)(ABサイエックス社(Sciex))を使用して測定した。データベース検索を、ヒトタンパク質におけるスウィス-プロット(Swiss-Prot)サブセットを検索するためのマスコット(Mascot)MS/MSイオン検索機能を適用して行った。断片質量許容差に関して、30ppm、および±0.3Daのペプチド質量許容差を可能にした。1つの欠落した切断(missed cleavage)、メチオニンの酸化、タンパク質のN末端アセチル化、システイン残基でのプロピオンアミド、およびN末端ピログルタミン酸の形成を、可変修飾として定義した。以下の同定基準を使用した:最低30%の配列カバレージ(coverage);または、最低15%の配列カバレージ(coverage)、および1回のMS/MS確認;また15%未満の配列カバレージ(coverage)、および少なくとも2回のMS/MS確認。
【0178】
切り取られた(clipped)ヒストンにおける免疫沈降(IP)
磁性タンパク質G結合ビーズ(インビトロジェン社(Invitrogen))を、等量のPBSを用いて洗浄した(×3)。各IP試料に関して、20μlのビーズを調製した。3D9は、マウスIgG1であるので、架橋抗体(抗マウス、アクティブモティフ社(Active motif)#53017)を、タンパク質G結合ビーズへの結合を改善するために使用した。架橋抗体(50μg)を、20μlの磁気ビーズと共に、1時間、4℃で、穏やかに反転させながらインキュベートした。ビーズを、PBSを用いて2回洗浄した。その後、ビーズを50μgの3D9、またはアイソタイプ対照(IgG1、k-ジェンスクリプト(Genscript)クローン1H7A8)と共に、3時間、室温で(穏やかに回転させながら)インキュベートした。ビーズを3回洗浄し、15mlファルコンチューブ中の2mlのPBSに再懸濁した。抗体を永久に架橋するために、PFA固定を使用した。2mlの1%PFA(PBS中)を、ビーズに添加し、直ちに1分間ボルテックスした。その後、反応を、125mMグリシン(pH8.0)を用いてクエンチし、氷上で5分間インキュベートした。その後、ビーズを、IP溶解緩衝液(20mMトリス(Tris)、150mM NaCl、1%トリトン(Triton)X-100、pH 7.5)を用いて5回洗浄し、IP溶解緩衝液中に1%BSAを有する溶液を用いて、1時間、室温でブロッキングした。ビーズを直ぐに使用するか、または4℃で一晩保存した。翌日、好中球(1×10)を、10mlの培地を有するペトリ皿に播種し、刺激せずに放置、または100nM PMAを用いて、3時間、37℃で刺激した。刺激後、細胞/NETを、等量のPBS(1mM AEBSFを加えて)で非常に穏やかに洗浄した(×3)。最後の洗浄後、NETを、250Uベンゾナーゼ(シグマ社(Sigma)E1014)および1mM AEBSF、20μM NEiおよびCGiを有する1mlのベンゾナーゼ緩衝液(20mMトリス(Tris)-HCl、pH7.6、2mM MgCl、1mM CaCl)中で、緩衝液を分散するために断続的に揺動しながら、30分間、37℃で消化した。反応を、4mM EDTAおよび4mM EGTAを添加して停止した。300μlの5×IP溶解緩衝液(5×プロテアーゼ阻害剤を加えて)を添加して、細胞を更に溶解した。皿を、氷上で10分間インキュベートした。その後、細胞およびNETを、エッペンドルフチューブにこすり取ることによって収集した。同じ時点および刺激での複数の皿に関して、試料をプールし、実行されるIPステップに直ちに分割した。各IPに関して、1×10細胞からの溶解物を、15μlの結合ビーズと共に使用し、穏やかに回転しながら、4℃で一晩インキュベートした。翌日、ビーズを、IP溶解緩衝液と阻害剤とを用いて5回洗浄した。最終洗浄後、ビーズを、30μlの1×SDS-PAGE試料ローディング緩衝液に再懸濁した。試料を、SDS-PAGEによって分析し、示されているように染色またはイムノブロットを行った。クマシーインスタントブルー(Coomassie Instant Blue)染色またはサーモフィッシャー(Thermofisher)銀染色キットを、製造業者の指示に従って使用した。
【0179】
ペプチド競合分析
好中球を24ウェルディッシュでカバースリップ上に播種し(1×10細胞/ウェル)、およびPMAを用いて3時間刺激し、および2%PFAを用いて固定した。染色前に、3D9(2μg/ml=~12.9nM)を、0.01~200倍モル過剰の分岐REIRRペプチドを有するPBS中で、4℃で回転させながら一晩プレインキュベートした。TGGVK分岐ペプチドを、陰性対照として使用した。翌日、競合した抗体-ペプチド溶液を、ブロッキング緩衝液を用いて1:1に希釈し、および免疫染色手順を以前の通りに行った。ペプチド競合を、蛍光顕微鏡により視覚的に評価した。
【0180】
エピトープマッピング
ヒトH3への抗体結合を、ペプスキャン プレスト社(Pepscan Presto B.V.)(ライデン、オランダ)によって行われたペプチド合成およびELISA分析を用いて、線状、立体構造、およびアミノ酸置換分析エピトープマッピングの組み合わせによって評価した。標的分子におけるエピトープ(PATGGVKKPHRYRPGTVALREIRRYQKSTELIRKLPFQRL SEQ ID NO:25のH3アミノ酸残基30~70)を再構成するために、ペプチドベースのペプチド模倣体のライブラリーを、Fmocベースの固相ペプチド合成を使用して合成した。アミノ官能化ポリプロピレン支持体を、独自の親水性ポリマー製剤を用いてグラフト化し(grafting)、続いて、N-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)と共にジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を使用してt-ブチルオキシカルボニル-ヘキサメチレンジアミン(BocHMDA)と反応させ、続いて、トリフルオロ酢酸(TFA)を使用してBoc基を切断することによって得た。標準的なFmocペプチド合成を使用して、特注で改変されたヤヌス(JANUS)液体ハンドリングステーション(JANUS liquid handling stations)(パーキンエルマー社(Perkin Elmer))によってアミノ官能基化固体支持体上でペプチドを合成した。構造模倣体の合成(構造解析)を、ペプスキャン(Pepscan)独自のスキャフォールド上で化学的に結合するペプチド(Chemically Linked Peptides on Scaffolds)(CLIPS)技術を使用して行った。合成されたペプチドのそれぞれに対する抗体の結合を、ペプスキャン(Pepscan)ベースのイライザ(ELISA)で試験した。ペプチド配列を、線状および立体構造解析の場合は0.02μg/mlで一次抗体(3D9またはアイソタイプ対照)を用いて、アミノ酸置換分析の場合は0.5μg/mlで一次抗体を用いてインキュベートした(4℃で一晩)。洗浄後、ペプチド配列を、1/1000希釈のウサギ抗マウスIgG(H+L)HRPコンジュゲート(サウザーンバイオテック(Southern Biotech)、バーミンガム、アラバマ州、米国)とともに25℃で1時間インキュベートした。洗浄後、ペルオキシダーゼ基質である2,2’-アジノ-ジ-3-エチルベンズチアゾリンスルホネート(ABTS)および20μl/mlの3%Hを添加した。1時間後、発色現像を、電荷結合素子(CCD)-カメラおよび画像処理システムを使用して定量化した。CCDカメラから得られた値は、0~3000mAUの範囲であり、標準的な96ウェルプレートイライザ(ELISA)リーダーと同様であった。結果を定量化し、ペップラボ(Peplab)データベースに保存した。合成されたペプチドの品質を検証するために、陽性対照ペプチドおよび陰性対照ペプチドの個別のセットを並行して合成した。これらは、市販の抗体3C9および57を用いてスクリーニングした(Posthumus,W.P.,Lenstra,J.A.,Schaaper,W.M.,van Nieuwstadt,A.P.,Enjuanes,L.,およびMeloen,R.H.(1990)。伝染性胃腸炎ウイルスにおける中和エピトープの分析およびシミュレーション(Analysis and simulation of a neutralizing epitope of transmissible gastroenteritis virus.).J Virol64,3304-3309)。
【0181】
ハイブリドーマ抗体遺伝子シーケンシング
ハイブリドーマ3D9の抗体遺伝子のシーケンシングは、ジェンスプリト社(Genscript)(ニュージャージー州、米国)によって実行された。簡潔に、全RNAを、トリゾール(TRIzol)(登録商標)試薬の技術マニュアルに従って、3D9ハイブリドーマの5クローンから単離した。その後、全RNAを、プライムスクリプト(PrimeScript)TMファーストストランド(1st Strand)cDNA合成キットの技術マニュアルに従って、アイソタイプ特異的アンチセンスプライマー、またはユニバーサルプライマーのいずれかを使用して、cDNAに逆転写した。重鎖および軽鎖の抗体断片を、cDNA末端の高速増幅(RACE)のためのジェンスクリプト(Genscript)の標準操作手順に従って増幅した。増幅した抗体断片を、クローニングベクターpCE2 TA/ブラント-ゼロ(Blunt-zero)ベクター(CAT#C601-01- ヴァゼム バイオテック社(Vazyme Biotech Co.,Ltd),中国)にクローニングした。コロニーPCRを実行し、正しいサイズのインサートを有するクローンをスクリーニングした。コンセンサス配列を提供し、その断片は、アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems)3730 DNAアナライザーを使用して配列を決定した。その後、配列を、NCBI Igブラスト(Blast)の結果を使用してアラインメントし、注釈付けした。
【0182】
【表1-1】
【0183】
【表1-2】
【0184】
実施例1:NET形成中のヒストンH3のN末端尾部におけるセリンプロテアーゼ依存性切断
ヒストンは、ホルボール12ミリステート13アセテート-PMA、および他のNET刺激に応答して処理される。PMAとインキュベートされたヒト好中球における経時的実験において、本発明者らは、早ければ刺激後30分で~14kDaのH3切断生成物を検出し(図1)、その後、約13kDaおよび10kDaの切断生成物を得た。C末端ヒストン抗体は、H3の切断生成物を検出したが、N末端ヒストン抗体は、H3の切断生成物を検出しなかった(図1A)。図1Aは、PMA誘導性ヒストンH3切断が、N末端ドメインで起こり、セリンプロテアーゼ阻害によって妨げられることを示す。これらの結果は、切断されたH3において、N末端が、切り取られることを示す。
【0185】
好中球のアズール顆粒は、インビトロ(in vitro)でヒストンを分解することができるセリンプロテアーゼが豊富である。したがって、NET形成中のH3切断に対するこれらのプロテアーゼの寄与を試験した。セリンプロテアーゼ阻害剤であるAEBSF(4-[2-アミノエチル]ベンゼンスルホニルフルオリド)とのプレインキュベーション(図1A)は、PMA刺激時のH3切断を阻害した。免疫蛍光顕微鏡によって示されるように、AEBSFは、NET形成および核の脱凝縮も阻害した(図1B)。このデータは、セリンプロテアーゼが、NET形成の初期にH3のN末端を切断することを示す。
【0186】
実施例2:ヒストンH3は、球状ドメインの新規部位で切断される
正確なH3切断部位を同定するために、本発明者らは、PMAを用いて90分間刺激された初代好中球からヒストン豊富な抽出物を調製し、その後、方法の節に記述されたようにH3を精製した。本発明者らは、抗H3C末端抗体を用いてウェスタンブロットにより、H3および当該切断生成物を含む画分を同定した。H3は、45~46分で溶出する最後のコアヒストンであった(図2A)。本発明者らは、2D電気泳動(2D-E)によって、H3および当該切断型を分離し、質量分析によってそれらの同一性を確認した(図2A)。図2Bは、2D電気泳動によって分離されたプールされたH3画分における代表的なクマシー染色されたブロットを示す。
【0187】
配列範囲は、H3変異体の区別を可能にする残基を含まなかった。図2Bに示される分離されたH3断片のN末端は、2つの独立した実験からエドマン分解によって配列決定された(表1)。最大分子量のH3スポットにおけるN末端配列は、無傷H3のN末端配列と一致した(スポット1)。我々は、スポット2およびスポット3における信頼できる配列決定は得られなかったが、スポット4およびスポット5における切断部位を同定した。最も切断されたH3断片(スポット5)は、ヌクレオソームコア構造内のタンパク質の球状ドメインにおけるL48とR49との間で切断された。これは、H3において以前に同定されていない切断部位であり、したがって、本発明者らは、H3R49での切断を、NETの候補マーカーとして選択した。
【0188】
【表2】
【0189】
実施例3:ヒストンH3切断部位モノクローナル抗体の生成
切断されたヒストン部位に対する抗体を高めるために、本発明者らは、H3R49切断部位に対する5アミノ酸カルボキシル基を含むリジン分岐免疫原を用いてマウスを免疫化した(図3D)。最初に、血清を、および、その後のハイブリドーマ上清を、免疫原(SEQ ID NO11およびSEQ ID NO12によって形成される分岐ペプチド)および対照ペプチド(SEQ ID NO13およびSEQ ID NO14)に対して、ELISAによってスクリーニングした。その後、PMA刺激好中球細胞溶解物のイムノブロットにおいて切断されたH3を検出した血清またはクローンについてのスクリーニングを実行した。切断されたH3に加えて全長ヒストンH3を検出した血清およびクローンを除外した(図3Aおよび3B)。並行して、血清をスクリーニングし、免疫蛍光顕微鏡法によってNETを検出するがナイーブ好中球の静止クロマチンを検出しないクローンを選択した。免疫化された6匹のマウスのうち、ウェスタンブロットおよび顕微鏡法の両方において機能する1匹の安定なクローン、3D9、を得た。
【0190】
3D9は、PMAを用いて120分間以上刺激された好中球において~10kDaのタンパク質を認識したが、静止細胞または初期刺激細胞においてタンパク質を検出しなかった(図3B)。このバンドは、H3 C末端抗体によって検出された最小のH3断片とサイズが一致した。興味深いことに、顕微鏡検査によって、3D9は、クロマチンの脱凝縮を伴ってNETosisを起こしている好中球をただ認識しただけであった(図3A)。NETにおけるデノボN末端H3エピトープに対する抗体の特異性を検証するために、本発明者らは、分岐免疫ペプチド(SEQ ID NO11およびSEQ ID NO12)、および分岐陰性対照ペプチド(SEQ ID NO16およびSEQ ID NO17)を用いた競合実験を行い、免疫蛍光顕微鏡法によって示されるように、NETへの3D9結合を阻止することができたことを実証した(図3E)。
【0191】
間接Elisa実験は、3D9が配列REIRR(SEQ ID NO11およびSEQ ID NO24)を含む分岐免疫ペプチドに、および単離されたNETに結合するように、3D9は切断されたH3に特異的に結合することを示したが、直接ELISAによって、等濃度のクロマチン、組換えH3、または精製ウシ胸腺DNAには結合しないことを示した(図3C)。さらに、免疫沈降実験において、3D9は、ナイーブ好中球と活性化好中球との両方の溶解物においてH3をプルダウン(pulled down)するが、活性化細胞からはH3の切断断片のみをプルダウンし、アイソタイプ対照ではプルダウンしなかった(図3F)。本発明者らは、クマシーゲルおよび銀染色ゲルの両方によって、これらのプルダウンを検出した。同様の実験において、免疫沈降物を、C末端抗体および3D9を用いてイムノブロットし(図3G)、本発明のモノクローナルのみが切断されたH3を認識することを示した。結果として、これらのデータは、3D9がSDS-PAGEの変性条件下では切断されたH3に対して選択的であるが、IPのより天然の条件下で全長H3も認識することを示す。
【0192】
実施例4:ヒストンH3に対する抗体クローン3D9のエピトープマッピング
本発明者らは、H3R49切断部位周囲の配列(PATGGVKKPHRYRPGTVALREIRRYQKSTELIRKLPFQRL=SEQ ID NO25の残基30~70)に基づいて、重複直鎖ペプチド配列およびらせん形のペプチド模倣体配列を用いてELISAによって、ヒストンH3における3D9の結合部位を決定した。新たに明らかになったN末端R49で生成される潜在的な電荷を模倣するために、配列は未修飾ペプチドの配列を含んだ。重複ペプチドに基づいて、直鎖配列における推定のコアエピトープは、(R)EIRRであった。REIRRで終了するペプチドは、全ての場合において各ペプチド模倣体の上位2つに入っていた。興味深いことに、N末端で伸長したペプチドも認識された。さらに、REIRR配列で終了するペプチドのN末端でのアセチル化は、結合に影響を与えず、遊離のN末端が抗体によって認識されない可能性があることを示唆している。エピトープマッピングを、REIRRで終了する直鎖ペプチド、およびらせん形のペプチド模倣体におけるアミノ酸置換分析によって精密化した。Glu51、Ile52、およびArg54での変異は、シグナルに悪影響を及ぼし、これらの残基がエピトープ認識に重要であることを示す。
【0193】
実施例5:顕微鏡によるインビトロ(in vitro)生成されたNETの自動定量化
本発明者らは、試料全体への抗体の分配を促進するために透過処理(トリトン(Triton)X-100、0.5%、10分間)された試料において、3D9がどのようにNETを染色するかを免疫蛍光顕微鏡により試験した。3D9は、ほぼ排他的に非凝縮クロマチンを検出した(図4A)。対照的に、H2A-H2B-DNAエピトープに対する抗クロマチン抗体(クローンPL2.3)は、凝縮した核に加えてNETを染色した。
【0194】
NET形成中の3D9およびPL2.3の染色特性を比較した。核面積およびシグナル強度を、複数の視野から指定された時点で決定した(図4B)。両方の抗体は、シミュレーション後の15分~180分の間に、NETosisの特徴的な核面積の増加を検出した。後の時点で、PL2.3染色の強度は低下し、静止細胞核とNETとを区別することができなかった。対照的に、3D9は、NETosisを起こしている核を、非活性化細胞の核よりも明るく染色した。
【0195】
公的に入手可能なソフトウェアイメージ(ImageJ)を、インビトロ(in vitro)NETosisを定量化するために使用することができる。3D9を用いての染色は、以前に公開された手動半自動画像解析(Brinkmann et al.,2012)および修正された自動方法によって、抗クロマチン抗体に対して比較された。両方の方法は、DNAチャンネル(ヘキスト(Hoechst))の自動しきい値処理を使用して、全細胞/対象物を計数した。歴史的な手動半自動方法は、NETosisの細胞を計数するために、凝縮クロマチン(弱いシグナル)に対する脱凝縮クロマチン(高いシグナル)におけるクロマチン抗体による示差染色を利用する。この方法は、手動のしきい値化および断片化手順を使用する(図において手動と示される)。この手動しきい値化ステップは、観察者バイアスの影響を受ける。対照的に、修正された方法は、両方の段階:総細胞およびNETの計数で自動しきい値化を使用する。両方の方法は、サイズ排除粒子分析ステップを使用し、したがって、静止核より大きい構造のみを計数する。3D9抗体およびPL2.3抗体の両方は、以前に公開された方法(図4C-手動)を使用して効果的にNETを定量化した。しかしながら、PL2.3は、特に刺激後の初期の時点(15分)で、全自動方法を用いてNETの数を正確に定量化することができず、ここで、弱く染色された分葉状の核は細胞の活性化および接着中に、より大きな表面積に広がる可能性がある。総合的に、これらのデータは、3D9染色を使用する修正された自動方法が実験バイアスを軽減することを示す。
【0196】
実施例5:3D9は、複数の刺激によって誘導されたNETを検出する
ヒストンH3切断は、複数の刺激によって誘導されたNETにおいて起こる。3D9は、NADPHオキシダーゼ活性化とは独立してNETを誘導する細菌毒素ナイゲリシンによって、TNF感作された好中球のヘムによって、および真菌病原体カンジダ アルビカンス(Candida albicans)によって誘導されるNETを検出した(図5)。興味深いことに、C.アルビカンス(albicans)感染において、3D9陽性NETおよび3D9陰性NETの両方を検出した。
【0197】
実施例6:3D9は、混合細胞試料においてNETを識別する
ヒストンH3クリッピング(clipping)は、N末端尾部の他の部位ではあるが、肥満細胞および非刺激PBMC画分において観察された。注目すべきことに、PBMC画分は、汚染好中球をしばしば含む。3D9が、NET刺激を用いて処理された好中球を特異的に染色したかどうかを試験するために、PBMCをPMAまたはナイゲリシンと共にインキュベートした(図6)。重要なことに、3D9は、特異的な好中球マーカーであるNEに対して陽性であった細胞内で脱凝縮したように見えた核のみを検出した。対照的に、クロマチン抗体は、NETosisの好中球および他の細胞の核の両方を染色した。これは、3D9が他の血液細胞の存在下でさえも、NETを特異的に検出することを示す。
【0198】
実施例7:3D9は、好中球においてNETosisと他の形態の細胞死とを区別する
好中球は異なる細胞死経路に関与することができることはよく知られている。本発明者らは、SMAC(第2のミトコンドリア由来カスパーゼ活性化因子)模倣体およびカスパーゼ阻害の存在下で、一晩インキュベートすることによってアポトーシス、およびTNFα刺激を用いてネクロプトーシスを誘導した。興味深いことに、抗クロマチン抗体PL2.3(図7B)は、アポトーシスを起こしている細胞の凝縮核を染色したが、3D9(図7A)は染色せず、どちらの抗体もブドウ球菌毒素α-溶血素によって誘導されたネクローシス中の細胞を染色しなかった。
【0199】
実施例8:3D9は、ヒト組織切片においてNETを標識化する
NETは、クロマチンと顆粒メーカーとの並置、およびシトルリン化H3の検出に基づいて、炎症組織において発見される。3D9は、炎症を起こしたヒト扁桃腺(図8A)、ヒト腎臓(図8B)の両方において、NEと共局在する脱凝縮DNAの領域を染色する(ヘキスト(Hoechst))。このことは、3D9が組織学的試料においてNETを標識化することを示す。実際に、腎臓(図8C)、炎症を起こした虫垂(図9)、および胆嚢(図10)において、3D9は、抗H3cit抗体または抗H2B抗体と同じクラスター内のDNAを標識化した。興味深いことに、3D9は、脱凝縮した、よりNET様の構造を染色したが、一方、抗H3cit抗体または抗H2B抗体は、相対的に凝縮クロマチンを染色した。
【0200】
実施例9:他のヒストンH3変異体における切断部位L48R49の同定
配列アラインメント分析を行うことにより、最初のMetを有さないヒストンH3配列Q71DI3に対応するSEQ ID NO25におけるL48R49の切断部位が、他のヒストンH3変異体P0DPK2、Q6NXT2、Q16695、P84243、およびP68431においても同じ位置で存在することを観察した。したがって、SEQ ID NO25の切断部位L48R49は、Q71DI3、P0DPK2、Q6NXT2、Q16695、P84243、およびP68431の部位L49R50に対応する。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
【配列表】
2024508834000001.app
【国際調査報告】