(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】高屈折率のポリシロキサンビニル架橋剤
(51)【国際特許分類】
C08G 77/38 20060101AFI20240220BHJP
C08F 299/08 20060101ALI20240220BHJP
G02C 7/04 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
C08G77/38
C08F299/08
G02C7/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552210
(86)(22)【出願日】2022-03-22
(85)【翻訳文提出日】2023-08-28
(86)【国際出願番号】 IB2022052593
(87)【国際公開番号】W WO2022201013
(87)【国際公開日】2022-09-29
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520000722
【氏名又は名称】アルコン インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】チャン,フランク
(72)【発明者】
【氏名】モイ,トーマス・エム
(72)【発明者】
【氏名】スニアディ,アダム・ケー
【テーマコード(参考)】
2H006
4J127
4J246
【Fターム(参考)】
2H006BB01
2H006BB05
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2H006BB10
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(57)【要約】
本発明は、ある部類の高RIポリシロキサンビニル架橋剤を提供する。本発明の各ポリシロキサンビニル架橋剤は、(1)ジメチルシロキサン単位とアリール含有シロキサン単位とを含むポリシロキサンセグメントであって、前記アリール含有シロキサン単位が1つのメチル置換基と1つの有機置換基とをそれぞれ有し、前記1つの有機置換基が少なくとも2つ(好ましくは3つ)の炭素原子を有するリンカーを介してSi原子に結合した少なくとも1つのアリール部位と最大45個の炭素原子とを有する、ポリシロキサンセグメントと;(2)エチレン性不飽和基と;を含む。本発明はまた、そのような部類の高RIポリシロキサンビニル架橋剤の少なくとも1つの繰り返し単位を含む架橋ポリマー材料を含む、インサート又はシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズも提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)ジメチルシロキサン単位とアリール含有シロキサン単位とを含むポリシロキサンセグメントであって、前記アリール含有シロキサン単位が1つのメチル置換基と1つの有機置換基とを有し、前記1つの有機置換基が少なくとも2つの炭素原子を有するリンカーを介してSi原子に結合した少なくとも1つのアリール部位と最大45個の炭素原子とを有する、ポリシロキサンセグメントと;
(2)エチレン性不飽和基と;
を含むポリシロキサンビニル架橋剤。
【請求項2】
少なくとも1.48の屈折率及び約0℃以下のT
gを有する、請求項1に記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
【請求項3】
前記ポリシロキサンセグメントが少なくとも30モル%のアリール含有シロキサン単位を含む、請求項1又は2に記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
【請求項4】
少なくとも1000ダルトンの数平均分子量を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
【請求項5】
式(1):
【化1】
(式中:
υ1は1~400の整数であり;
ω1は1~800の整数であり;
E
1は、
【化2】
の一価ラジカルであり;
R
0は、水素又はメチルであり;
a1は、ゼロ又は1であり;
X
0は、O又はNR
N1であり;
R
N1は、水素又はC
1~C
6アルキルであり;
L
0は、C
2~C
8アルキレン二価ラジカルであるか、又は-L
O’-X
1-L
0’’-、
【化3】
の二価ラジカルであり;
L
0’は、C
2~C
8アルキレン二価ラジカルであり;
L
0’’は、C
3~C
8アルキレン二価ラジカルであり;
X
1は、-O-、-NR
N1-、-NHCOO-、-OCONH-、-CONR
N1-又は-NR
N1CO-であり;
q1は1~10の整数であり;
ARはアリールラジカルであり;
L
ARは、
【化4】
の二価ラジカルであり;
L
eは、-CH
2-CH
2-、-CH
2-CHR
O-R
1-、-CH
2-CHR
O-R
1-O-、-CH
2-CHR
O-R
1-O-R
2-、-C
3H
6-O-R
2-、-C
3H
6-O-R
2-O-、
【化5】
の二価ラジカルであり;
a2は、ゼロ又は1又は2であり;
a3は、ゼロ又は1であり;
R
1は、C
1~C
4アルコキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、オキソ基、又はこれらの組み合わせで任意選択的に置換されていてもよい直鎖状若しくは分岐状C
1~C
10アルキレン二価ラジカルであり;
R
2は、直鎖状若しくは分岐状C
1~C
10アルキレン二価ラジカルであり;
R
3は、直接結合又は直鎖状若しくは分岐状C
1~C
4アルキレン二価ラジカルであり;
X
AR及び各X
2は、他とは独立して、共有結合、直鎖状若しくは分岐状のC
1~C
4アルキレン二価ラジカル、又は-O-、-S-、
【化6】
、-NR
N2-、-NHCOO-、-OCONH-、-NHCONR
N2-、-NR
N2CONH-、
【化7】
、-CONR
N2-、-NR
N2CO-、
【化8】
、-NHCOS-、-SCONH-、-COO-、若しくは-OCO-の共有結合であり;
R
N2は、水素、直鎖状若しくは分岐状C
1~C
6アルキル、シクロヘキシル、シクロペンチル、置換若しくは非置換フェニル又は置換若しくは非置換フェニル-C
1~C
6アルキルであり;
各L
xは、独立して、1つ以上のヒドロキシル若しくはC
1~C
4-アルコキシ基若しくはC
1~C
4-アシルアミノ基を任意選択的に有していてもよい直鎖状若しくは分枝状のC
1~C
10アルキレン二価ラジカル、-CH
2-CHOH-CH
2-O-R
4-O-CH
2-CHOH-CH
2-、
【化9】
、又は1つ以上のヒドロキシル又は
1~C
4-アルコキシ基を任意選択的に有していてもよく且つ20個までの炭素原子を有する炭化水素の2つの異なる原子から2つの水素原子を除去することによって得られ、且つシクロアルキレンラジカル、置換シクロアルキレンラジカル、フェニレンラジカル、置換フェニレンラジカル、シクロヘテロアルキレンラジカル、及び置換シクロヘテロアルキレンラジカルからなる群から選択される少なくとも1つの二価ラジカルを含む二価ラジカルであり、
各R
4、R
5及びR
6は、互いに独立して、ゼロ又は1つのヒドロキシル基を有する直鎖状又は分岐状C
1~C
10アルキレン二価ラジカルである)
で定義される、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
【請求項6】
式(1)において、υ1が3~350の整数である、請求項5に記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
【請求項7】
式(1)において、ω1が5~700の整数である、請求項5又は6に記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
【請求項8】
式(1)において、a1がゼロである、請求項5~7のいずれか一項に記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
【請求項9】
式(1)において、X
0がOである、請求項8に記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
【請求項10】
式(1)において、X
0がNR
N1である、請求項8に記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
【請求項11】
式(1)において、ω1/(υ1+ω1)が約0.30~約0.95である、請求項5~10のいずれか一項に記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
【請求項12】
式(1)において、ARがフェニル基、置換フェニル基、ナフチル基、置換ナフチル基、アントラセニル基、置換アントラセニル基、フェナントリル基、又は置換フェナントリル基である、請求項5~11のいずれか一項に記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
【請求項13】
式(1)において、ARが
【化10】
(式中、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、及びR
13は、互いに独立して、H、Cl、Br、F、CF
3、CCl
3、C
1~C
5アルキル、C
1~C
5アルコキシ、C
2~C
5アシルオキシ、OH、フェニル、フェノキシ、ベンジルオキシ、フェニルカルボニル、フェノキシカルボニル、フェニルカルボキシ(フェニルカルボニルオキシ)、又はナフチルである)
の一価ラジカルである、請求項5~11のいずれか一項に記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のポリシロキサンビニル架橋剤の繰り返し単位を含む、疎水性架橋ポリマー材料から製造されるインサート。
【請求項15】
シリコーンハイドロゲルバルク材料と請求項14に記載のインサートとを含む埋込式シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズであって、前記インサートが前記シリコーンハイドロゲルバルク材料内に完全に又は部分的に埋め込まれている、埋込式シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項16】
請求項1~13のいずれか一項に記載のポリシロキサンビニル架橋剤の繰り返し単位を含むシリコーンハイドロゲルバルク材料を含む、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つのメチル置換基と、フレキシブルなリンカーを介してSi原子に結合している少なくとも1つのアリール部位を有する1つ以上の有機置換基とをそれぞれ有する1つ以上のアリール含有シロキサン単位をそれぞれ有する高屈折率(RI)ポリシロキサンビニル架橋剤、並びに高RIインサート及び高RIシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの製造におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば角膜の健康、視力矯正、診断などの様々な目的のために、様々なインサートをハイドロゲルコンタクトレンズに組み込むことができることが提案されている(例えば、米国特許第4268132号明細書、同第4401371号明細書、同第5098546号明細書、同第5156726号明細書、同第6851805号明細書、同第7490936号明細書、同第7883207号明細書、同第8154804号明細書、同第8215770号明細書、同第8348424号明細書、同第8874182号明細書、同第9176332号明細書、同第9618773号明細書、同第10203521号明細書、及び同第10209534;並びに米国特許出願公開第20040141150号明細書、同第20040212779号明細書、同第2008/0208335号明細書、同第2009/0091818号明細書、同第20090244477号明細書、同第2010/0072643号明細書、同第2010/0076553号明細書、同第20110157544号明細書、同第2012/0120365号明細書、同第2012/0140167号明細書、同第2012/0234453号明細書、同第2014/0276481号明細書、及び同第2015/0145155号明細書を参照のこと)。
【0003】
インサートは、典型的に、水を吸収することができない非水膨潤性材料であり、低い酸素透過率及び比較的低い屈折率を有する非ハイドロゲル材料から製造される。インサートの高い酸素透過率は、角膜の健康に対する悪影響が最小限となるために必要とされる。埋込式コンタクトレンズに回折型多焦点光学素子など高い光学性能を与えるためには高い屈折率が望ましいであろう。高い酸素透過率と高い屈折率を有する材料から製造されたインサートを得ることが望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、一態様において、高い屈折率(RI)と比較的低いガラス転移温度(Tg)とを有するポリシロキサンビニル架橋剤を提供する。本発明のポリシロキサンビニル架橋剤は、ジメチルシロキサン単位とアリール含有シロキサン単位とを含むポリシロキサンセグメントであって、アリール含有シロキサン単位が1つのメチル置換基と少なくとも2つ(好ましくは3つ)の炭素原子を有するリンカーを介してSi原子に結合した少なくとも1つのアリール部位を有する1つの有機置換基とを有するポリシロキサンセグメントと、エチレン性不飽和基とを含む。
【0005】
別の態様では、本発明は、本発明の高RIポリシロキサンビニル架橋剤の繰り返し単位を含む架橋ポリマー材料から製造されたインサートを提供する。
【0006】
更なる態様では、本発明は、本発明の高RIポリシロキサンビニル架橋剤の繰り返し単位を含むシリコーンハイドロゲルバルク材料を含むシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを提供する。
【0007】
更に別の態様では、本発明は、シリコーンハイドロゲルバルク材料と、本発明の高RIポリシロキサンビニル架橋剤(上述)の単位を含む架橋ポリマー材料から製造されており且つシリコーンハイドロゲルバルク材料内に埋め込まれているインサートと、を含む、埋込式シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを提供する。
【0008】
本発明は、前述の及び他の特徴を提供し、本発明の利点は、添付の図と併せて読まれる、本好ましい実施形態の以下の詳細な説明から更に明らかになるであろう。詳細な説明及び図は、添付の特許請求の範囲及びその同等物によって定義される、本発明を単に例示するものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】示差走査熱量測定(DSC)を使用することによって本発明の高RIポリシロキサンビニル架橋剤について得られたDSCダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
特に定義しない限り、本明細書で用いられる全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般に、本明細書で用いられる命名法及び実験手順は、よく知られており、当技術分野において一般的に用いられている。当技術分野及び様々な一般参考文献において提供されるものなどの、従来の方法が、これらの手順のために用いられる。用語が単数形で与えられている場合、本発明者らはまた、その用語の複数形も想定している。本明細書で用いられる命名法及び以下で記載される実験手順は、当技術分野においてよく知られており、一般的に用いられているものである。
【0011】
「約」は、本出願において本明細書で用いられる場合、「約」として言及される数は、その列挙された数のプラス又はマイナス1~10%の列挙された数を含むことを意味する。
【0012】
「コンタクトレンズ」は、装着者の目上又は目内に配置することができる構造体を指す。コンタクトレンズは、使用者の視力を矯正する、改善する又は変更することができるが、そうである必要はない。
【0013】
「シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ」は、バルク材料としてのシリコーンハイドロゲル材料(すなわちシリコーンハイドロゲルバルク材料)を含むコンタクトレンズを指す。
【0014】
「ハイドロゲル」又は「ハイドロゲル材料」は、3次元ポリマーネットワーク(すなわち、ポリマーマトリックス)を有し、水に不溶性であるが、完全に水和した(又は平衡した)時に少なくとも10重量%の水をそのポリマーマトリックス中に保持することができる架橋ポリマー材料を指す。
【0015】
「シリコーンハイドロゲル」又は「SiHy」は、同じ意味で、少なくとも1つのシリコーン含有モノマー及び/又はシリコーン含有ビニル架橋剤の繰り返し単位と、少なくとも親水性のビニルモノマーの繰り返し単位とを含むシリコーン含有ハイドロゲルを指す。それは、典型的には、少なくとも1つのシリコーン含有モノマー及び/又はシリコーン含有ビニル架橋剤と少なくとも1つの親水性ビニルモノマーとを含む重合性組成物の共重合によって形成される。
【0016】
本出願で用いられる場合、「非シリコーンハイドロゲル」という用語は、理論上ケイ素を含まないハイドロゲルを指す。
【0017】
「埋込式シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ」は、非ハイドロゲル材料から製造されて、コンタクトレンズの主要レンズ材料としてのシリコーンハイドロゲル材料内に埋め込まれる少なくとも1つのインサートを含むシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを指す。
【0018】
「インサート」は、非ハイドロゲル材料から製造されて、少なくとも5ミクロンの寸法を有するが、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ中に埋め込まれるために十分寸法がより小さい、いずれかの3次元物品を指す。本発明によると、非ハイドロゲル材料は、完全に水和された時に5重量%未満(好ましくは約4重量%以下、より好ましくは約3重量%以下、更に好ましくは約2重量%以下)の水を吸収することができるいずれの材料であることも可能である。
【0019】
本発明によると、本発明のインサートは、インサートが埋め込まれる領域における埋込式シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズのいずれの厚さ未満の厚さを有する。インサートは、いずれの幾何学的形状を有する物体を有することができ、そしていずれの所望の機能も有し得る。好ましいインサートの例には、限定されないが、硬質ガス透過性(RGP)コンタクトレンズのような乱視をマスキングするための硬質センターオプティックを提供するための曲面を有する薄型硬質ディスク、マルチフォーカルレンズインサート、フォトクロミックインサート、その上に色パターンが印刷されたコスメティックインサートなどが含まれる。
【0020】
「親水性」は、本明細書で用いられる場合、脂質とよりも水とより容易に会合するであろう材料又はその一部を表す。
【0021】
「ビニルモノマー」は、1つの唯一のエチレン性不飽和基を有し、溶媒に可溶性であり、化学線的に又は熱的に重合することができる化合物を指す。
【0022】
溶媒における化合物又は材料に関連して、「可溶性」という用語は、化合物又は材料が室温(すなわち、約21℃~約27℃の温度)で溶媒に溶解して少なくとも約0.5重量%の濃度の溶液を与えることができることを意味する。
【0023】
溶媒における化合物又は材料に関連して、「不溶性」という用語は、化合物又は材料が室温(上に定義されたような)で溶媒に溶解して約0.01重量%未満の濃度の溶液を与えることができることを意味する。
【0024】
「エチレン性不飽和基」という用語は、本明細書では広い意味で用いられ、少なくとも1つの>C=C<基を含有する任意の基を包含することが意図する。例示的なエチレン性不飽和基としては、限定なしに、(メタ)アクリロイル
【化1】
、ビニルオキシカルボニルアミノ(
【化2】
式中、R
oは、H又はC
1~C
4アルキルである)、ビニルオキシカルボニルオキシ
【化3】
、ビニルアミノカルボニルアミノ(
【化4】
式中、R
oは、H又はC
1~C
4アルキルである)、ビニルアミノカルボニルオキシ
【化5】
、アリル、ビニル、スチレニル
【化6】
、又は他のC=C含有基が挙げられる。
【0025】
本明細書で用いられる場合、重合性組成物、プレポリマー又は材料の硬化、架橋又は重合に関連して「化学線的に」は、硬化(例えば、架橋及び/又は重合)が、例えば、UV照射、イオン化放射線(例えば、ガンマ線又はX線照射)、マイクロ波照射等などの、化学線照射によって行われることを意味する。熱硬化又は化学線硬化方法は、当業者によく知られている。
【0026】
「アクリルモノマー」は、1つの唯一の(メタ)アクリロイル基を有するビニルモノマーを指す。アクリルモノマーの例としては、(メタ)アクリルオキシ[又は(メタ)アクリロイルオキシ]モノマー及び(メタ)アクリルアミドモノマーが挙げられる。
【0027】
「(メタ)アクリルオキシモノマー」又は「(メタ)アクリロイルオキシモノマー」は、1つの唯一の
【化7】
の基を有するビニルモノマーを指す。
【0028】
「(メタ)アクリルアミドモノマー」は、
【化8】
(式中、R
oは、H又はC
1~C
4アルキルである)
の1つの唯一の基を有するビニルモノマーを指す。
【0029】
「(メタ)アクリルアミド」という用語は、メタクリルアミド及び/又はアクリルアミドを指す。
【0030】
「(メタ)アクリレート」という用語は、メタクリレート及び/又はアクリレートを指す。
【0031】
「N-ビニルアミドモノマー」は、アミド基の窒素原子に直接結合しているビニル基(-CH=CH2)を有するアミド化合物を指す。
【0032】
「エン基」という用語は、酸素若しくは窒素原子又はカルボニル基に共有結合していないCH2=CH-又はCH2=CCH3-の一価ラジカルを指す。
【0033】
「エンモノマー」は、1つの唯一のエン基を有するビニルモノマーを指す。
【0034】
「親水性ビニルモノマー」は、水溶性であるか又は少なくとも10重量パーセントの水を吸収することができるホモポリマーを典型的に生じるビニルモノマーを指す。
【0035】
「疎水性ビニルモノマー」は、水中で不溶性であり且つ10重量%未満の水を吸収可能であるホモポリマーを典型的に生じるビニルモノマーを指す。
【0036】
本出願で用いられる場合、「ビニル架橋剤」という用語は、少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する有機化合物を指す。「ビニル架橋剤」は、700ダルトン以下の分子量を有するビニル架橋剤を指す。
【0037】
多くの場合にシリコーンとも記載される、シロキサンは、各Si原子が2つの有機基を置換基として持っている-Si-O-Si-の少なくとも1つの部分を有する分子を指す。
【0038】
「シリコーン含有ビニルモノマー若しくは架橋剤」又は「シロキサン含有ビニルモノマー若しくは架橋剤」は、同じ意味で、-Si-O-Si-(ここで、各Si原子は少なくとも2つの置換基(有機基)を持っている)の少なくとも1つの部分を有するビニルモノマー若しくは架橋剤を指す。
【0039】
「ポリシロキサンセグメント」又は「ポリジオルガノシロキサンセグメント」は、同じ意味で、
【化9】
のポリマー鎖セグメント(すなわち二価ラジカル)を指し、式中、SNは3以上の整数であり、R
S1及びR
S2のそれぞれは、互いに独立して、C
1~C
10アルキル;フェニル;C
1~C
4アルキル置換フェニル;C
1~C
4アルコキシ置換フェニル;フェニル-C
1~C
6アルキル;C
1~C
10フルオロアルキル;C
1~C
10フルオロエーテル;アリール;アリールC
1~C
18アルキル;-アルク-(OC
2H
4)
γ1-OR
o(ここで、アルクは、C
1~C
6アルキレンジラジカルであり、R
oは、H又はC
1~C
4アルキルであり、γ1は、1~10の整数である);ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、アミノ基(-NR
N1R
N1’)、-NR
N1-のアミノ結合、-CONR
N1-のアミド結合、-CONR
N1R
N1’のアミド、-OCONH-のウレタン結合、及びC
1~C
4アルコキシ基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有するC
2~C
40有機ラジカル、又は直鎖親水性ポリマー鎖からなる群から選択され、ここで、R
N1及びR
N1’は、互いに独立して、水素又はC
1~C
15アルキル;並びに最大45個の炭素原子を有する有機ラジカルである。
【0040】
「ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤」又は「ポリシロキサンビニル架橋剤」は、同じ意味で、少なくとも1つのポリシロキサンセグメントと少なくとも2つのエチレン性不飽和基とを含む化合物を指す。
【0041】
「流体」という用語は、本明細書で用いられる場合、材料が液体のように流れ得ることを示す。
【0042】
本出願で用いられる場合、重合性組成物に関連して「透明」という用語は、重合性組成物が400~700nmの範囲において85%以上(好ましくは90%以上)の光透過性を有する透明な溶液又は液体混合物であることを意味する。
【0043】
本出願で用いられる場合、「ポリマー」という用語は、1つ以上のモノマー若しくはマクロマー若しくはプレポリマー又はそれらの組み合わせを重合させる/架橋させることによって形成される材料を意味する。
【0044】
「マクロマー」又は「プレポリマー」は、エチレン性不飽和基を含有し、700ダルトン超の数平均分子量を有する化合物又はポリマーを指す。
【0045】
本出願で用いられる場合、ポリマー材料(モノマー材料又はマクロマー材料を含む)の「分子量」という用語は、特に明記がない限り又は試験条件が特に示さない限り、数平均分子量を指す。当業者は、公知の方法、例えば、屈折率検出器、低角レーザー光散乱検出器、マルチアングルレーザー光散乱検出器、示差粘度測定検出器、UV検出器、及び赤外線(IR)検出器のうちの1つ以上を持ったGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー);MALDI-TOF MS(マトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析)、1H NMR(プロトン核磁気共鳴)分光法等に従ってポリマーの分子量を決定する方法を知っている。
【0046】
「一価ラジカル」という用語は、有機化合物から水素原子を除去することによって得られる、及び有機化合物中の1つの他の基と1つの結合を形成する有機ラジカルを指す。例としては、限定なしに、アルキル(アルカンからの水素原子の除去による)、アルコキシ(又はアルコキシル)(アルキルアルコールのヒドロキシル基からの1つの水素原子の除去による)、チイル(アルキルチオールのチオール基からの1つの水素原子の除去による)、シクロアルキル(シクロアルカンからの水素原子の除去による)、シクロヘテロアルキル(シクロヘテロアルカンからの水素原子の除去による)、アリール(芳香族炭化水素の芳香環からの水素原子の除去による)、ヘテロアリール(任意の環原子からの水素原子の除去による)、アミノ(アミンからの1つの水素原子の除去による)等が挙げられる。
【0047】
「二価ラジカル」という用語は、有機化合物から2つの水素原子を除去することによって得られる、及び有機化合物中の他の2つの基と2つの結合を形成する有機ラジカルを指す。例えば、アルキレン二価ラジカル(すなわち、アルキレニル)は、アルカンからの2つの水素原子を除去により得られ、シクロアルキレン二価ラジカル(すなわち、シクロアルキレニル)は、環状環からの2つの水素原子の除去により得られる。
【0048】
本出願において、アルキル又はアルキレニルに関連して「置換された」という用語は、アルキル又はアルキレニルが、アルキル又はアルキレニルの1つの水素原子と置き換わる、並びにヒドロキシル(-OH)、カルボキシル(-COOH)、-NH2、スルフヒドリル(-SH)、C1~C4アルキル、C1~C4アルコキシ、C1~C4アルキルチオ(アルキルスルフィド)、C1~C4アシルアミノ、C1~C4アルキルアミノ、ジ-C1~C4アルキルアミノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を含むことを意味する。
【0049】
「末端エチレン性不飽和基」という用語は、当業者に公知であるように、有機化合物の主鎖(又は骨格)の2つの末端の1つにおける1つのエチレン性不飽和基を指す。
【0050】
「ブレンディングビニルモノマー」は、重合性組成物の親水性及び疎水性成分の両方を溶解させて溶液を形成することができるビニルモノマーを指す。
【0051】
フリーラジカル開始剤は、光開始剤か又は熱開始剤かのどちらかであることができる。「光開始剤」は、光の使用によりフリーラジカル架橋/重合反応を開始する化学物質を指す。「熱開始剤」は、熱エネルギーの使用によりラジカル架橋/重合反応を開始する化学物質を指す。
【0052】
シリコーンハイドロゲルバルク材料又はSiHyコンタクトレンズに関連して、「硬化後表面処理」は、SiHyレンズ配合物を硬化させる(すなわち、熱的に又は化学線的に重合させる)ことによってシリコーンハイドロゲルバルク材料又はSiHyコンタクトレンズが形成された後に行われる表面処理プロセスを意味する。
【0053】
「シリコーンハイドロゲルレンズ配合物」又は「SiHyレンズ配合物」という用語は、同じ意味で、当業者によく知られているように、シリコーンハイドロゲル(SiHy)コンタクトレンズ又はSiHyレンズバルク材料を製造するための全ての必要な重合性成分を含む重合性組成物を指す。
【0054】
概して、本発明は、(1)ジメチルシロキサン単位とアリール含有シロキサン単位とを含むポリシロキサンセグメントであって、前記アリール含有シロキサン単位が1つのメチル置換基と1つの有機置換基とをそれぞれ有し、前記1つの有機置換基が少なくとも2つ(好ましくは3つ)の炭素原子を有するリンカーを介してSi原子に結合した少なくとも1つのアリール部位と最大45個の炭素原子とを有する、ポリシロキサンセグメントと;(2)エチレン性不飽和基と;をそれぞれ含む、ある部類の高RIポリシロキサンビニル架橋剤に関する。
【0055】
比較的高いRI(屈折率)を有するインサート又はSiHyコンタクトレンズの製造における本発明の高RIポリシロキサンビニル架橋剤の使用に関連したいくつかの潜在的なユニークな特徴が存在する。
【0056】
1つ目は、本発明の高RIポリシロキサンビニル架橋剤が、高屈折率(RI1.50)且つ比較的高い酸素透過性を有するインサート又はSiHyコンタクトレンズを製造するのに有用なことである。典型的には、ポリジメチルシロキサンは1.38~1.42のRI値を有する。そのようなポリジメチルシロキサンは、比較的高い酸素透過性を有するインサート又はSiHyコンタクトレンズを製造するために使用できるものの、高いRIを有するインサート又はSiHyコンタクトレンズの製造には適さないであろう。対照的に、本発明の高RIポリシロキサンビニル架橋剤は、高いRIを付与するアリール部位を含むのみならず、得られるインサート又はSiHyコンタクトレンズに比較的高い酸素透過性を付与するジメチルシロキサン単位も含む。埋込式回折多焦点シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを製造するために、高いRIと高い酸素透過性とを有するインサートを使用することができる。高RIのSiHyコンタクトレンズは、高い酸素透過率を有するように厚さを薄くすることができる。
【0057】
2つ目は、本発明の高RIポリシロキサンビニル架橋剤では、各アリール部位がシロキサン単位のSi原子に直接結合せず、代わりにフレキシブルなリンカーを介してSi原子に結合することである。そのようなフレキシブルなリンカーを用いると、アリール部位はより容易に動くことができ、本発明の高屈折率ポリシロキサンビニル架橋剤は比較的低いガラス転移温度(Tg)を有することができる。高Tgのポリシロキサンから製造されたインサート又はレンズは、より脆く、より亀裂が生じやすくなる可能性がある。
【0058】
本発明は、一態様では、高RIポリシロキサンビニル架橋剤を提供する。本発明の高RIポリシロキサンビニル架橋剤は、(1)ジメチルシロキサン単位とアリール含有シロキサン単位とを含むポリシロキサンセグメントであって、前記アリール含有シロキサン単位が1つのメチル置換基と1つの有機置換基とをそれぞれ有し、前記1つの有機置換基が少なくとも2つ(好ましくは3つ)の炭素原子を有するリンカーを介してSi原子に結合した少なくとも1つのアリール部位と最大45個の炭素原子とを有する、ポリシロキサンセグメントと;(2)エチレン性不飽和基(好ましくは(メタ)アクリロイル基)と;を含む。本発明の高RIポリシロキサンビニル架橋剤は、少なくとも1.48(好ましくは少なくとも1.51、より好ましくは少なくとも1.54、更により好ましくは1.57)のRI、及び約0℃以下(好ましくは約-5.0℃以下、より好ましくは約-10.0℃以下、更に好ましくは約-20.0℃以下)のTgを有する。
【0059】
好ましい実施形態では、ポリシロキサンセグメントは、少なくとも30モル%(好ましくは少なくとも40モル%、より好ましくは少なくとも50モル%、更により好ましくは少なくとも60モル%、特に好ましくは少なくとも70モル%)のアリール含有シロキサン単位を含む。
【0060】
別の好ましい実施形態では、本発明の高RIポリシロキサンビニル架橋剤は、少なくとも1000ダルトン(好ましくは1500ダルトン~100000ダルトン、より好ましくは2000~80000ダルトン、更により好ましくは2500~60000ダルトン)の数平均分子量を有することができる。
【0061】
本発明によると、高RIポリシロキサンビニル架橋剤は、好ましくは、式(1)で定義される:
【化10】
(式中:
υ1は、1~400(好ましくは3~350、より好ましくは5~300、更により好ましくは10~250)の整数であり;
ω1は、1~800(好ましくは5~700、より好ましくは10~600、更により好ましくは15~500)の整数であり;
E
1は、
【化11】
の一価ラジカルであり;
R
0は、水素又メチルであり;
a1は、ゼロ又は1であり;
X
0は、O又はNR
N1であり;
R
N1は、水素又はC
1~C
6アルキルであり;
L
0は、C
2~C
8アルキレン二価ラジカルであるか、又は-L
O’-X
1-L
0’’-、
【化12】
の二価ラジカルであり;
L
0‘は、C
2~C
8アルキレン二価ラジカルであり;
L
0‘‘は、C
3~C
8アルキレン二価ラジカルであり;
X
1は、-O-、-NR
N1-、-NHCOO-、-OCONH-、-CONR
N1-、又は-NR
N1CO-であり;
q1は1~10の整数であり;
ARはアリールラジカルであり;
L
ARは、
【化13】
の二価ラジカルであり;
L
eは、-CH
2-CH
2-、-CH
2-CHR
O-R
1-、-CH
2-CHR
O-R
1-O-、-CH
2-CHR
O-R
1-O-R
2-、-C
3H
6-O-R
2-、-C
3H
6-O-R
2-O-、
【化14】
の二価ラジカルであり;
a2は、ゼロ又は1又は2であり;
a3は、ゼロ又は1であり;
R
1は、C
1~C
4アルコキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、オキソ基、又はこれらの組み合わせで任意選択的に置換されていてもよい直鎖状若しくは分岐状C
1~C
10アルキレン二価ラジカルであり;
R
2は、直鎖状若しくは分岐状C
1~C
10アルキレン二価ラジカルであり;
R
3は、直接結合又は直鎖状若しくは分岐状C
1~C
4アルキレン二価ラジカルであり;
X
AR及び各X
2は、他とは独立して、共有結合、直鎖状若しくは分岐状のC
1~C
4アルキレン二価ラジカル、又は-O-、-S-、
【化15】
、-NR
N2-、-NHCOO-、-OCONH-、-NHCONR
N2-、-NR
N2CONH-、
【化16】
、-CONR
N2-、-NR
N2CO-、
【化17】
、-NHCOS-、-SCONH-、-COO-、若しくは-OCO-の共有結合であり;
R
N2は、水素、直鎖状若しくは分岐状C
1~C
6アルキル、シクロヘキシル、シクロペンチル、置換若しくは非置換フェニル又は置換若しくは非置換フェニル-C
1~C
6アルキルであり、
各L
xは、独立して、1つ以上のヒドロキシル若しくはC
1~C
4-アルコキシ基若しくはC
1~C
4-アシルアミノ基を任意選択的に有していてもよい直鎖状若しくは分枝状のC
1~C
10アルキレン二価ラジカル、-CH
2-CHCH-CH
2-O-R
4-O-CH
2-CHCH-CH
2-、
【化18】
、又は1つ以上のヒドロキシル又はC
1~C
4-アルコキシ基を任意選択的に有していてもよく且つ20個までの炭素原子を有する炭化水素の2つの異なる原子から2つの水素原子を除去することによって得られ、且つシクロアルキレンラジカル、置換シクロアルキレンラジカル、フェニレンラジカル、置換フェニレンラジカル、シクロヘテロアルキレンラジカル、及び置換シクロヘテロアルキレンラジカルからなる群から選択される少なくとも1つの二価ラジカルを含む二価ラジカルであり、
各R
4、R
5、及びR
6は、互いに独立して、ゼロ又は1つのヒドロキシル基を有する直鎖状又は分岐状C
1~C
10アルキレン二価ラジカルである)。
【0062】
好ましい実施形態では、式(1)において、a1はゼロであり、そのときE
1は、
【化19】
の一価ラジカルである。
【0063】
別の好ましい実施形態では、ω1/(υ1+ω1)は、約0.30~約0.95(好ましくは約0.40~約0.90、より好ましくは約0.50~約0.90、更により好ましくは約0.60~約0.85)である。
【0064】
別の好ましい実施形態では、ARは、フェニル基、置換フェニル基、ナフチル基、置換ナフチル基、アントラセニル基、置換アントラセニル基、フェナントリル基、又は置換フェナントリル基である。
【0065】
別の好ましい実施形態では、ARは、
【化20】
の一価ラジカルであり、
式中、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、及びR
13は、互いに独立して、H、Cl、Br、F、CF
3、CCl
3、C
1~C
5アルキル、C
1~C
5アルコキシ、C
2~C
5アシルオキシ、OH、フェニル、フェノキシ、ベンジルオキシ、フェニルカルボニル、フェノキシカルボニル、フェニルカルボキシ(フェニルカルボニルオキシ)、又はナフチルである。
【0066】
式(1)のポリシロキサンビニル架橋剤は、2段階プロセス又は3段階プロセスにおいて調製することができる。
【0067】
2段階プロセスによれば、公知の手順に従って、1段階目で式(2)のヒドロシロキサン含有ポリシロキサンが得られる。
【化21】
(式中、E
1、υ1、及びω1は、式(1)について上で定義された通りである)。
【0068】
2段階プロセスによれば、式(2)のヒドロシロキサン含有ポリシロキサンは、鎖末端ブロックとしての1,3-ビス(E1基)末端テトラメチルジシロキサン(例えば、1,3-ビス[3-(メタ)アクリルオキシプロピル]テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス[3-(メタ)アクリルアミドプロピル]テトラメチルジシロキサン等)の存在下で及び触媒の存在下でオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)と1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン(H4)との混合物の重合から調製することができる。D4対H4のモル比を制御することによって、υ1/ω1の所望の値を得ることができる。1,3-ビス(E1基)末端テトラメチルジシロキサンは、1,3-ビス(ヒドロキシアルキル)テトラメチルジスロキサン(例えば、1,3-ビス(ヒドロキシプロピル)テトラメチルジスロキサン)又は1,3-ビス(アミノアルキル)テトラメチルジスロキサン(例えば、1,3-ビス(アミノプロピル)テトラメチルジスロキサン)から、例えばこれらのうちの1つを(メタ)アクリロイルクロリド又はビニルイソシアネート(又はイソプロペニルイソシアネート)と反応させることによって調製できることが理解される。
【0069】
2段階プロセスの2段階目では、式(2)のヒドロシロキサン含有ポリシロキサンを、当業者に公知の白金触媒ヒドロシリル化反応において、アリール含有エンモノマー(すなわち、フェニル基、置換フェニル基、ナフチル基、又は置換ナフチル基を含むエンモノマー)と反応させて、式(1)のポリシロキサンビニル架橋剤を形成することができる。
【0070】
アリール含有エンモノマーがフェニル基、置換フェニル基、ナフチル基、置換ナフチル基、アントラセニル基、置換アントラセニル基、フェナントリル基、又は置換フェナントリル基を含む限り、式(1)のポリシロキサンビニル架橋剤の調製において任意のアリール含有エンモノマーを使用することができる。そのようなアリール含有エンモノマーの例としては、限定されないが、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルフェナントレン、ビニルピレン、ビニルビフェニル、ビニルテルフェニル、ビニルフェニルナフタレン、ビニルフェニルアントラセン、ビニルフェニルフェナントレン、ビニルフェニルピレン、ビニルフェニルテルフェニル、フェノキシスチレン、フェニルカルボニルスチレン、フェニルカルボキシスチレン、フェノキシカルボニルスチレン、アリルナフタレン、アリルアントラセン、アリルフェナントレン、アリルピレン、アリルビフェニル、アリルテルフェニル、アリルフェニルナフタレン、アリルフェニルアントラセン、アリルフェニルフェナントレン、アリルフェニルピレン、アリルフェニテルフェニル、アリルフェノキシベンゼン、アリル(フェニルカルボニル)ベンゼン、アリルフェノキシベンゼン、アリル(フェニルカルボニル)ベンゼン、アリル(フェニルカルボキシ)ベンゼン、アリルフェニルエーテル、アリルベンジルエーテル、及びアリル(フェノキシカルボニル)ベンゼンが挙げられる。
【0071】
様々なアリール含有エンモノマーは、商業的供給元から入手することができ、又は公知の方法に従って調製することができる。好ましいアリール含有エンモノマーの例としては、限定されないが、スチレン、2,5-ジメチルスチレン、2-(トリフルオロメチル)スチレン、2-クロロスチレン、3,4-ジメトキシスチレン、3-クロロスチレン、3-ブロモスチレン、3-ビニルアニソール、3-メチルスチレン、4-ブロモスチレン、4-tert-ブチルスチレン、2,3,4,5,6-ペンタンフルオロスチレン、2,4-ジメチルスチレン、1-メトキシ-4-ビニルベンゼン、1-クロロ-4-ビニルベンゼン、1-メチル-4-ビニルベンゼン、1-(クロロメチル)-4-ビニルベンゼン、1-(ブロモメチル)-4-ビニルベンゼン、3-ニトロスチレン、1,2-ビニルフェニルベンゼン、1,3-ビニルフェニルベンゼン、1,4-ビニルフェニルベンゼン、4-ビニル-1,1’-(4’-フェニル)ビフェニレン、1-ビニル-4-(フェニルオキシ)ベンゼン、1-ビニル-3-(フェニルオキシ)ベンゼン、1-ビニル-2-(フェニルオキシ)ベンゼン、1-ビニル-4-(フェニルカルボニル)ベンゼン、1-ビニル-3-(フェニルカルボキシ)ベンゼン、1-ビニル-2-(フェノキシカルボニル)ベンゼン、アリルフェニルエーテル、アリルベンジルエーテル、2-ビフェニリルアリルエーテル、アリル4-フェノキシフェニルエーテル、アリル2,4,6-トリブロモフェニルエーテル、アリルフェニルカーボネート、1-アリルオキシ-2-トリフルオロメチルベンゼン、アリルベンゼン、1-フェニル-2-プロプ-2-エニルベンゼン、4-フェニル-1-ブテン、4-フェニル-1-ブテン-4-オール、1-(4-メチルフェニル)-3-ブテン-1-オール、1-(4-クロロフェニル)-3-ブテン-1-オール、4-アリルトルエン、1-アリル-4-フルオロベンゼン、1-アリル-2-メチルベンゼン、1-アリル-3-メチルベンゼン、1-アリル-3-メチルベンゼン、2-アリルアニソール、4-アリルアニソール、1-アリル-4-(トリフルオロメチル)ベンゼン、アリルペンタフルオロベンゼン、1-アリル-2-メトキシベンゼン、4-アリル-1,2-ジメトキシベンゼン、2-アリルフェノール、2-アリル-6-メチルフェノール、4-アリル-2-メトキシフェノール、2-アリルオキシアニソール、4-アリル-2-メトキシフェニルアセテート、2-アリル-6-メトキシフェノール、1-アリル-2-ブロモベンゼン、α-ビニルベンジルアルコール、1-フェニル-3-ブテン-1-オン、アリルベンジルエーテル、(3-アリルオキシ)プロピル)ベンゼン、アリルフェニルエチルエーテル、1-ベンジルオキシ-4-ペンテン、(1-アリルオキシ)エチル)ベンゼン、1-フェニルアリルエチルエーテル、(2-メチル-2-(2-プロペニルオキシ)プロピル)ベンゼン、((5-ヘキセニルオキシ)メチル)ベンゼン、1-アリルオキシ-4-プロポキシベンゼン、1-フェノキシ-4-(3-プロプ-2-エノキシプロポキシ)ベンゼン、6-(4’-ヒドロキシフェノキシ)-1-ヘキセン、4-ブト-3-エノキシフェノール、1-アリルオキシ-4-ブトキシベンゼン、1-アリルオキシ-4-エトキシベンゼン、1-アリル-4-ベンジルオキシベンゼン、1-アリル-4-(フェノキシ)ベンゼン、1-アリル-3-(フェノキシ)ベンゼン、1-アリル-2-(フェノキシ))ベンゼン、1-アリル-4-(フェニルカルボニル)ベンゼン、1-アリル-3-(フェニルカルボキシ)ベンゼン、1-アリル-2-(フェノキシカルボニル)ベンゼン、1,2-アリルフェニルベンゼン、1,3-アリルフェニルベンゼン、1,4-アリルフェニルベンゼン、4-ビニル-1,1’-(4’-フェニル)ビフェニレン、1-アリル-4-(フェニルオキシ)ベンゼン、1-アリル-3-(フェニルオキシ)ベンゼン、1-アリル-2-(フェニルオキシ)ベンゼン、1-アリル-4-(フェニルカルボニル)ベンゼン、1-アリル-3-(フェニルカルボキシ)ベンゼン、及び1-アリル-2-(フェノキシカルボニル)ベンゼン、1-ビニルナフチレン、2-ビニルナフチレン、1-アリルナフタレン、2-アリルナフタレン、アリル-2-ナフチルエーテル、2-(2-メチルプロプ-2-エニル)ナフタレン、2-プロプ-2-エニルナフタレン、4-(2-ナフチル)-1-ブテン、1-(3-ブテニル)ナフタレン、1-アリルナフタレン、2-アリルナフタレン、1-アリル-4-ナフチルナフタレン、2-(アリルオキシ)-1-ブロモナフタレン、2-ブロモ-6-アリルオキシナフタレン、1,2-ビニル(1-ナフチル)ベンゼン、1,2-ビニル(2-ナフチル)ベンゼン、1,3-ビニル(1-ナフチル)ベンゼン、1,3-ビニル(2-ナフチル)ベンゼン、1,4-ビニル(1-ナフチル)ベンゼン、1,4-ビニル(2-ナフチル)ベンゼン、1-ナフチル-4-ビニルナフタレン、1-アリルナフタレン、2-アリルナフタレン、1,2-アリル(1-ナフチル)ベンゼン、1,2-アリル(2-ナフチル)ベンゼン、1,3-アリル(1-ナフチル)ベンゼン、1,3-アリル(2-ナフチル)ベンゼン、1,4-アリル(1-ナフチル)ベンゼン、1,4-アリル(2-ナフチル)ベンゼン、1-アリル-4-ナフチルナフタレン、1-ビニルアントラセン、2-ビニルアントラセン、9-ビニルアントラセン、1-アリルアントラセン、2-アリルアントラセン、9-アリルアントラセン、9-ペント-4-エニルアントラセン、9-アリル-1,2,3,4-テトラクロロアントラセン、1-ビニルフェナントレン、2-ビニルフェナントレン、3-ビニルフェナントレン、4-ビニルフェナントレン、9-ビニルフェナントレン、1-アリルフェナントレン、2-アリルフェナントレン、3-アリルフェナントレン、4-アリルフェナントレン、9-アリルフェナントレン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0072】
3段階プロセスによれば、上記手順に従って、上述した式(2)のヒドロシロキサン含有ポリシロキサンを調製することができる。
【0073】
3段階プロセスの2段階目では、式(2)のヒドロシロキサン含有ポリシロキサンを、当業者に公知の白金触媒によるヒドロシリル化反応において第1の反応性官能基(E
e)を含むエンモノマーと反応させ、式(3)で表されるペンダント型反応性官能基を有するポリシロキサンビニル架橋剤を形成する:
【化22】
(式中、E
1、υ1、ω1、及びL
eは、式(1)について上で定義した通りであり、E
eは、-COOH、-NHR
N2、
【化23】
、-NCO、-OH、-SH、-CHO、エポキシ基
【化24】
、及びアジリジニル
【化25】
基からなる群から選択される第1の反応性官能基である)。
【0074】
式(3)のポリシロキサンビニル架橋剤の調製には、エンモノマーが反応性官能基(-COOH、-NHR
N2、
【化26】
、-NCO、-OH、-SH、-CHO、
【化27】
)を含んでいる限り、任意のエンモノマーを使用することができる。反応性官能基を有する種々のエンモノマーは、商業的供給元から入手することができるか、又は公知の方法に従って調製することができる。
【0075】
市販のカルボキシル含有エンモノマーの例としては、限定されないが、3-ブテノイン酸、4-ペンテノイン酸、5-ヘキセン酸及び6-ヘプテンイン酸、2,2-ジメチル-4-ペンタン酸、2-メチル-4-ペンタン酸、2-プロピル-4-ペンタン酸、3-メチル-4-ペンタン酸、4-ビニルシクロヘキサンカルボン酸、2-[4-(4-ペンテニル)シクロヘキシル]酢酸、4-プロペニルシクロヘキサンカルボン酸、3-[2-(2-ペンチル)シクロヘキシル]プロパン酸、2-(4-エチエニルシクロヘキシル)酢酸、4-[4-(2-プロペニル)シクロヘキシル]ブタン酸、2-エテニルシクロヘキサベ-1-カルボン酸、2-、3-又は4-ビニル安息香酸、4-(2-プロペニル)安息香酸、2-アリル安息香酸、(4-ビニルフェニル)酢酸及び2-メチル-2-(4-ビニルフェニル)プロパン酸が挙げられる。
【0076】
1級又は2級アミノ基を有する市販のエンモノマーの例としては、限定されないが、アリルアミン、3-ブテニルアミン、4-ペンテニルアミン、1,1-ジメチルアリルアミン、1-メチル-4-ペンテニルアミン、5-ヘキセニルアミン、5-ヘプテニルアミン、6-ヘプテニルアミン、N-エチル-2-メチルアリルアミン、N-エチルアリルアミン、N-アリルメチルアミン、N-アリル-1-ペンタンアミン、N-アリル-2-メチル-1-ペンタンアミン、N-アリル-2,3-ジメチル-1-ペンタンアミン、N-アリル-1-ヘキサンアミン、N-アリル-2-メチル-1-ヘキサンアミン、N-アリル-1-オクタナミン、N-アリル-1-エカナミン、N-アリル-1-ドデカナミン、N-アリル-1-ヘプタナミン、N-アリル-エチレンジアミン、N-アリル-シクロ-ヘキサンアミン、N-3-ブテニルシクロヘキサンアミン、N-4-ペンテニルシクロヘキサナミン、N-5-ヘキセニルシクロヘキサナミン、1-アミノ-4-ビニル-シクロヘキサン、1-アリル-2,5-ジメチルピペラジン、1-アリル-ピペラジン、4-ビニルアニリン、N-アリルアニリン、N-アリル-ベンジルアミン、N-アリル-α-メチルベンジルアニリン、4-ビニルピペリジン、3-ビニルピペリジン、2-アリルピロリジン、3-ビニルピロリジン等が挙げられる。
【0077】
イソシアネート基を有する市販のエンモノマーの例としては、限定されないが、アリルイソシアネート、4-イソシアネート-1-ブテン、3-イソシアネート2-メチルプロペン、3-イソシアネート-1-ブテン、3-イソシアネート-3-メチル-1-ブテン、3-イソシアネート-2,3-ジメチル-1-ブテン、4-イソシアネート-2-メチル-1-ブテン、4-イソシアネート-3,3-ジメチル-1-ブテン、3-イソシアネート-3-メチル-1-ペンテン、4-イソシアネート-4-メチル-1-ペンテン、5-イソシアネート-1-ペンテン、3-イソシアネート-1-ヘキセン、3-イソシアネート-5,5-ジメチル-1-ヘキセン、1-イソシアネート-2-ヘプテン等が挙げられる。
【0078】
市販のヒドロキシル含有エンモノマーの例としては、限定されないが、アリルアルコール、2-メチル-2-プロペン-1-オール、3-ブテン-1-オール、3-ブテン-2-オール、3-メチル-3-ブテン-1-オール、2-メチル-3-ブテン-2-オール、2-メチル-3-ブテン-1-オール、1-ペンテン-3-オール、4-ペンテン-1-オール、4-ペンテン-2-オール、1-ヘキセン-3-オール、5-ヘキセン-1-オール、5-ヘキセン-2-オール、3-メチル-1-ヘキセン-3-オール、5-メチル-1-ヘキセン-3-コール、1-ヘプテン-3-オール、アリロキシエタノール、ジ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)モノアリルエーテル、アリロキシプロパノール、1-アリロキシ-2-プロパノール、4-アリロキシ-1-ブタノール、1-ビニルシクロヘキサノール、2-ビニルシクロヘキサノール、4-ビニルシクロヘキサノール、1-アリルシクロヘキサノール、2-アリルシクロヘキサノール、4-アリルシクロヘキサノール、4-ビニルフェノール、(4-ビニルフェニル)メタノール、(4-ビニルフェニル)エタノール、3-(4-ビニルフェニル)-1-プロパノール、1-(4-ビニルフェニル)-2-メチル-2プロパノール等が挙げられる。
【0079】
市販のチオール含有エンモノマーの例としては、限定されないが、アリルメルカプタン、3-ブテン-1-チオール、3-メチル-3-ブテン-1-チオール、2-メチル-3-ブテン-1-チオール、2-メチル-3-ブテン-2-チオール、4-ペンテン-1-チオール等が挙げられる。
【0080】
アルデヒド基を有する市販のエンモノマーの例としては、限定されないが、3-ブテナール、4-ペンタナール、5-ヘキセナール、2,2-ジメチル-4-ペンテナール、2-メチル-4-ペンテナール等が挙げられる。
【0081】
市販のエポキシ含有エンモノマーの例としては、限定されないが、3,4-エポキシ-1-ブテン、2-メチル-2-ビニルオキシラン、3,4-エポキシ-1-ペンテン、4,5-エポキシ-1-ペンテン、1,2-エポキシ-5-ヘキセン、1,2-エポキシ-6-ヘプテン、1,2-エポキシ-7-オクテン、1,2-エポキシ-8-ノネン、1,2-エポキシ-9-デセン、アリロキシグリシジルエーテル及び2-メチル-2-ビニルオキシラン、4-ビニル-1-シクロヘキセン-1,2-エポキシド等が挙げられる。
【0082】
アジリジニル基を有する市販のエンモノマーの例としては、限定されないが、2-ビニルアジリジン、1-アリアジリジン、N-アリル-2-メチルアジリジン等が挙げられる。
【0083】
本発明では、上述した市販のエンモノマーを全て使用することができる。代わりに、反応性官能基を有するエンモノマーは、2つのエン基を有する化合物を、当技術分野で知られているチオール-エン「クリック(click)」反応に基づいて反応性官能基(例えば、ヒドロキシル、1級アミノ、2級アミノ、カルボキシル又はケトン基)を有するメルカプタンと反応させることによって調製することができる。
【0084】
3段階目では、カップリング剤(すなわち、上で列挙した反応性官能基のうちの2つを有するもの)の不存在下又は存在下、周知のカップリング反応条件で、式(3)のポリシロキサンビニル架橋剤を、(-COOH、-NHR
N2、
【化28】
、-NCO、-OH、-SH、-CHO、
【化29】
)からなる群から選択される第2の反応性官能基(「EAR」と呼ぶ)を有するアリール含有化合物と反応させて、式(1)の高RIポリシロキサンビニル架橋剤を形成する。
【0085】
1級基、2級アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、酸無水物基、アルデヒド基、イソシアネート基、エポキシ基、アジリジン基、アズラクトン基及びチオール基から好ましくはなる群から選択される一対の適合する共反応性官能基間の種々の反応条件下でのカップリング反応の非制限的な例を、例示の目的のために以下に挙げる。1級/2級アミノ基は、アルデヒド又はケトン基と反応して、更にアミン結合に還元されることができるシッフ塩基を形成し、1級/2級アミノ基-NHR(この場合、Rは、水素又はC1~C6アルキルである)は、酸の塩化物基又は臭化物基又は酸無水物基と反応してアミド結合(-CO-NR-)を形成し、アミノ基-NHRは、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル基と反応してアミド結合を形成し、アミノ基-NHRは、カップリング剤-カルボジイミド(例えば、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-シクロヘキシル-3-(2-モルホリノエチル)カルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド又はこれらの混合物)及びN-ヒドロキシスクシンイミドの存在下でカルボン酸基と反応して、アミド結合を形成し、アミノ基-NHRは、アズラクトン基と反応(開環)して、アルキレン-ジアミド結合(-CONH-CT1T2-(CH2)p1-CONH-)を形成し、アミノ基-NHRは、イソシアネート基と反応して、尿素結合(上で定義されたRを有する-NR-C(O)-NH-)を形成し、アミノ基-NHRは、エポキシ基又はアジリジン基と反応してアミン結合(-C-NR-)を形成し、ヒドロキシルは、イソシアネートと反応してウレタン結合を形成し、ヒドロキシルは、エポキシ又はアジリジンと反応してエーテル結合(-O-)を形成し、ヒドロキシルは、酸の塩化物基又は臭化物基又は酸無水物基と反応してエステル結合を形成し、カルボキシル基は、エポキシ基と反応してエステル結合を形成し、チオール基(-SH)は、イソシアネートと反応して、チオカルバメート結合(-N-C(O)-S-)を形成し、チオール基は、エポキシ又はアジリジンと反応して、チオエーテル結合(-S-)を形成し、チオール基は、酸の塩化物基又は臭化物基又は酸無水物基と反応して、チオエステル結合を形成し、チオール基は触媒の存在下でアズラクトン基と反応して、結合(-CONH-CT1T2-(CH2)p1-CO-S-)を形成し、チオール基は、チオール-エン反応条件下でのチオール-エン「クリック」反応に基づいてエン基又はビニルスルホニル基と反応してチオエーテル結合(-S-)を形成し、チオール基は、適切な反応条件下でマイケル付加に基づいて(メタ)アクリロイル基と反応してチオエーテル結合を形成する。
【0086】
上述したカップリング反応の反応条件は、教科書に教示されており、当業者によく知られている。
【0087】
本発明によると、そのそれぞれが2つの反応性官能基を有するカップリング剤を、カップリング反応に使用することができる。2つの反応性官能基を有するカップリング剤は、以下であり得る:ジイソシアネート化合物、ジ酸ハライド化合物、ジカルボン酸化合物、ジカルボン酸無水物化合物、ジアミン化合物、ジオール化合物、ジエポキシ化合物、ジアジリジン化合物、ジアズラクトン化合物、ジエン化合物、ジビニルスルホン化合物、ジチオール化合物、チオラクトン化合物、アミノ酸化合物、ヒドロキシ含有アミン化合物、1つのヒドロキシル基又はケトン基を有するアミン化合物、ヒドロキシ含有カルボン酸化合物、ヒドロキシル基、カルボキシル基又はアミノ基を有するメルカプタン。
【0088】
例えば、それらが、異なる又は同一であり、ヒドロキシル基、1級アミノ基、2級アミノ基及びチオール基からなる群から選択される場合、ジイソシアネート、ジカルボン酸(好ましくはジカルボン酸無水物)、ジアジリジン、ジエポキシ又はジアズラクトン化合物が、EeとEPCのカップリングに使用されることができ、それらが、異なる又は同一であり、イソシアネート基、エポキシ基、アジリジン基及びカルボン酸基からなる群から選択される場合、ジアミン、ジヒドロキシル、ジチオール、ヒドロキシ含有アミン又はヒドロキシ含有チオール化合物が、EeとEPCのカップリングに使用されることができ、それらが、共にカルボン酸基である場合、ジエポキシ化合物が、EeとEPCのカップリングに使用されることができ、それらが、共にアルデヒド基である場合、ジアミン化合物が、EeとEPCのカップリングに使用されることができ、それらが、共にチオール基である場合、ジビニルスルホン化合物が、EeとEPCのカップリングに使用されることができ、それが、1級又は2級アミノ基である場合、チオラクトン化合物が、EeとEPCのいずれかへの結合を介してチオール基を共有結合させるために使用されることができ、それが、エン基又は(メタ)アクリロイル基である場合、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基又はケトン基を有するメルカプタンが、EPCへの結合を介してヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基又はケトン基を共有結合させるために使用されることができる。当業者は、EeとEPCを結合して本発明のフォトクロミックポリシロキサンビニル架橋剤を形成するために、所定の官能基の選択性及び/又は微分反応度に基づいて、1つ以上のカップリング剤を選択する方法をよく知っている。
【0089】
市販のジカルボン酸無水物の例としては、限定されないが、コハク酸無水物、メチルコハク酸無水物、2,2-ジメチルコハク酸無水物、2,3-ジメチルコハク酸、グルタル酸無水物、3,3-ジメチルグルタル酸無水物、2,2-ジメチルグルタル酸無水物、3-メチルグルタル酸無水物、3,3-テトラメチルグルタル酸無水物、ジグリコール酸無水物、アジピン酸無水物等が挙げられる。
【0090】
本発明では、任意の適切なC3~C24ジカルボン酸化合物を使用することができる。好ましいジカルボン酸化合物の例としては、限定されないが、直鎖状又は分岐状C3~C24脂肪族ジカルボン酸、C5~C24脂環式又は脂肪族-脂環式ジカルボン酸、C6~C24芳香族又は芳香脂肪族(araliphatic)ジカルボン酸、アミノ基又はイミド基又はN-ヘテロ環を含むジカルボン酸及びこれらの組み合わせが挙げられる。適切な脂肪族ジカルボン酸は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ジメチルマロン酸、オクタデシルコハク酸、トリメチルアジピン酸及びダイマー酸(不飽和脂肪族カルボン酸のダイマー化生成物、例えばオレイン酸)である。適切な脂環式ジカルボン酸の例は、1,3-シクロブタンジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,3-及び1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-及び1,4-ジカルボキシルメチルシクロヘキサン、4,4’-ジシクロヘキシルジカルボン酸である。適切な芳香族ジカルボン酸の例は、テレフタル酸、イソフタル酸、o-フタル酸、1,3-、1,4-、2,6-又は2,7-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、2,2’-ビフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルスルホン-ジカルボン酸、1,1,3-トリメチル-5-カルボキシル-3-(p-カルボキシフェニル)-インダン、4,4’-ジフェニルエーテル-ジカルボン酸、ビス-p-(カルボキシルフェニル)-メタンである。
【0091】
本発明では、任意の適切な二酸ハロゲン化物を使用することができる。好ましい二酸ハライドの例としては、限定されないが、塩化フマリル、塩化スベロイル、塩化スクシニル、塩化フタロイル、塩化イソフタロイル、塩化テレフタロイル、塩化セバコイル、塩化アジポイル、塩化トリメチルアジポイル、塩化アゼロイル、塩化ドデカン二酸、塩化スクシニル、塩化グルタール、塩化オキサリル、塩化ダイマー酸(dimer acid chloride)及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0092】
本発明では、任意の適切なジアミンを使用することができる。有機ジアミンは、直鎖状又は分岐状C2~C24脂肪族ジアミン、C5~C24脂環式又は脂肪族-脂環式ジアミン又はC6~C24芳香族又はアルキル-芳香族ジアミンであり得る。好ましい有機ジアミンは、N,N’-ビス(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N’-ジメチルエチレンジアミン、エチレンジアミン、N,N’-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、N,N’-ジエチル-1,3-プロパンジアミン、N-メチル-1,3-ジアミノプロパン、N-メチルエチレンジアミン、N-エチルエチレンジアミン、N-イソプロピル-1,3-プロパンジアミン、N-プロピル-1,3-プロパンジアミン、N-ブチルエチレンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、N,N’-ジメチル-1,6-ヘキサメチレンジアミン、2,2,4(2,4,4)-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、1,3-ジアミノ-2-プロパノール、1,2-ジアミノエタン-1,2-ジオール、1,1-ジアミノエタン-1,2-ジオール、1,4-ジアミノ-2,3-ブタンジオール、1,3-シクロペンタンジアミン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’-メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン)、イソホロンジアミン(3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン)、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、ピペラジン、1-(2-アミノエチル)ピペラジン、1,4-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジン、2-ピペラジノエチルアミン、1-Boc-ピペラジン、4-(2-アミノエチル)-1-Boc-ピペラジン、1-(2-N-Boc-アミノエチル)ピペラジン、4-(2-アミノエチル)-1-Boc-ピペラジン、4-アミノピペリジン、3-アミノピペリジン、4-アミノメチルピペリジン、2-アミノメチルピペリジン、1-Boc-ピペリジン-4-カルボキシアルデヒド、1-Boc-ピペリジン-4-アセトアルデヒド等である。
【0093】
本発明では、任意の適切なC4~C24ジイソシアネートを使用することができる。好ましいジイソシアネートの例としては、限定されないが、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、1,6-ジイソシアネート-2,2,4-トリメチルヘキサン、オクタメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-ビス-(4,4’-イソシアントメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0094】
本発明では、任意の適切なジエポキシ化合物を使用することができる。好ましいジエポキシ化合物の例は、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3-ブタジエンジオキサイド、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2,7,8-ジエポキシオクタン、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサン、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ビス[4-(グリシジルオキシ)フェニル]メタン、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(2,2-ビス[4-(グリシジルオキシ)フェニル]プロパン)、ビスフェノールAプロポキシレートジグリシジルエーテル及びこれらの組み合わせである。
【0095】
本発明では、任意の適切なC2~C24ジオール(すなわち、2つのヒドロキシル基を有する化合物)を使用することができる。好ましいジオールの例としては、限定されないが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、種々のペンタンジオール、種々のヘキサンジオール、種々のシクロヘキサンジオール、1,4-ビス(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’-メチレンジフェノール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0096】
2~24の炭素原子を有する任意のジメルカプタンが、本発明のプレポリマーを調製するために本発明で使用され得る。ジメルカプタンの例としては、限定されないが、C2~C12アルキルジメルカプタン(例えば、エチルジメルカプタン、プロピルジメルカプタン、ブチルジメルカプタン、ペンタメチレンジメルカプタン、ヘキサメチレンジメルカプタン、ヘプタメチレンジメルカプタン、オクタメチレンジメルカプタン、ノナメチレンジメルカプタン、デカメチレンジメルカプタン、3-エチルシクロヘキサン-1,2-ジチオール、3-(2-スルファニルエチル)シクロヘキサン-1-チオール、3-(1-スルファニルエチル)シクロヘキサン-1-チオール、2-メチル-5-(2-スルファニルプロピル)シクロヘキサン-1-チオール、2-プロピルシクロヘキサン-1,4-ジチオール、ベンゼンジチオール、メチル置換ベンゼンジチオール、ベンゼンジメタンチオール、1,1-ビフェニル-4,4’-ジメタンチオール、ビフェニル-4,4-ジチオール、エチルエーテルジメルカプタン、トリグリコールジメルカプタン、テトラグリコールジメルカプタン、ジメルカプロール、2,3-ジメルカプトプロパノール、ジチオスレイトール等が挙げられる。
【0097】
本発明では、任意のアミノ酸を使用することができる。アミノ酸の例としては、限定されないが、グリシン、プロリン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、2-アミノ酪酸、4-アミノ酪酸、3-アミノイソ酪酸、3-アミノ酪酸、β-アラニン、1-アミノ-3-シクロペンタンカルボン酸、3-アミノシクロヘキサンカルボン酸、ピロリジン-3-カルボン酸、4-ピペリジンカルボン酸、3-ピペリジンカルボン酸、1-ピペラジン酢酸等が挙げられる。
【0098】
1つのアミノ基と1つのヒドロキシル基又はアルデヒド基(又はケトン基)を有する化合物の例としては、限定されないが、1-ピペラジンプロパノール、2-[2-(1-ピペラジニル)エトキシ]エタノール、4-アミノ-1-ピペラジンエタノール、4-ピペリジンメタノール、1-Boc-ピペリジン-4-カルボキシアルデヒド、4-ホルミルピペリジン、N-Boc-4-ピペリジンアセトアルデヒド等が挙げられる。
【0099】
好ましい市販のチオラクトンの例としては、限定されないが、4-ブチロチオラクトン(又はジヒドロ-2(3H)-チオフェノン)、3-メチルジヒドロ-2(3H)-チオフェノン、3-エチルジヒドロ-2(3H)-チオフェノン、3-(1-メチルエチル)ジヒドロ-2(3H)-チオフェノン、3,3-ジメチルジヒドロ-2(3H)-チオフェノン、3-エチル-3-メチルジヒドロ-2(3H)-チオフェノン、3-アセチルジヒドロ-2(3H)-チオフェノン、N-アセチルホモシステインチオラクトン、N-プロピオニルホモシステインチオラクトン、N-ブチリルホモシステインチオラクトン及びN-カルボキシブチリルホモシステインチオラクトン(又は4-オキソ-4-[(テトラヒドロ-2-オキソ-3-チエニル)アミノ]-ブタン酸)が挙げられる。
【0100】
本発明では、任意のジビニルスルホン化合物を使用することができる。好ましいジビニルスルホン化合物の例としては、限定されないが、ジビニルスルホン、ビス(ビニルスルホニル)C1~C6アルカン、1,3-ビス(ビニルスルホニル)-2-プロパノール、1,1-ビス(ビニルスルホニル)-1-プロパノール、1,5-ビス(ビニルスルホニル)-3-ペンタノール、1,1-ビス(ビニルスルホニル)-3-メトキシプロパン、1,5-ビス(ビニルスルホニル)-2,4-ジメチルベンゼン及び1,4-ビス(ビニルスルホニル)-2,3,5,6-テトラフルオロベンゼンが挙げられる。
【0101】
好ましい1級及び2級アミノ含有連鎖移動剤の例としては、限定されないが、2-メルカプトエチルアミン、2-メルカプトプロピルアミン、3-メルカプトプロピルアミン、2-メルカプトブチルアミン、3-メルカプトブチルアミン、4-メルカプトブチルアミン、5-メルカプトペンチルアミン、6-メルカプトヘキシルアミン、N-メチルアミノエタンチオール、N-エチルアミノエタンチオール、N-メチルアミノプロパンチオール、N-エチルアミノプロパンチオール、N-メチルアミノブタンチオール、N-エチルアミノブタンチオール、2-アミノチオールフェノール、3-アミノチオールフェノール、4-アミノチオールフェノール等が挙げられる。
【0102】
カルボキシル基を有するメルカプタンの例としては、限定されないが、チオグリコール酸、2-メルカプトプロピン酸、3-メルカプトプロピオン酸、4-メルカプト酪酸、2-メチル-3-スルファニルプロパン酸、2-メルカプトイソ酪酸、6-メルカプトヘキサン酸、8-メルカプトオクタン酸、4-メルカプト安息香酸、3-メルカプト安息香酸、4-メルカプトフェニル酢酸、2-メルカプト-2-フェニル酢酸等が挙げられる。
【0103】
好ましいヒドロキシル含有メルカプタンの例としては、限定されないが、2-メルカプトエタノール、3-メルカプトンプロパノール、1-メルカプト-2-プロパノール、2-メルカプト-1-プロパノール、4-メルカプト-1-ブタノール、2-メルカプト-3-ブタノール、3-メルカプト-3-メチル1-ブタノール、4-メルカプト-4-メチル-1-ペンタノール、4-メルカプト-4-メチル-2-ペンタノール、6-メルカプト-1-ヘキサノール、3-メルカプト-1-ヘキサノール、8-マルカート-1-オクタノール、9-メルカプト-1-ノナノール、2-メルカプトフェノール、3-メルカプトフェノール、4-メルカプトフェノール、2-メルカプトベンジルアルコール、4-(6-メルカプトへキシロキシ)ベンジルアルコール等が挙げられる。
【0104】
メチルカルボニル基(-COCH3)を有する好ましいメルカプタンの例としては、限定されないが、4-メチル-4-メルカプトペンタン-2-オン、3-メルカプト-2-ブタノン等が挙げられる。
【0105】
アリール含有化合物の1つの第1の反応性官能基Eeと第2の官能基EARとの間の共有結合の長さを長くし、且つ/又は1つ以上のカップリング剤(すなわち、上述したものなどのいずれか1つ)を用いてEe及びEARの一方を他の基(例えば、上記式(1)においてa3が1~2の整数である場合)と反応する異なる反応性官能基に変換することが望ましい。
【0106】
本発明の高RIポリシロキサンビニル架橋剤の調製には、反応性官能基、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、1級アミノ基、2級アミノ基、イソシアネート基、エポキシ基、アジリジン基、チオール基、ケトン基、又はエチレン性不飽和基(例えば、エン基、ビニル、ビニルスルホニル基、アクリロイル基、及びメタクリロイル基)などを含む限り、任意のアリール含有化合物を使用することができる。
【0107】
様々な反応性アリール含有化合物は、商業的供給元から入手することができ、或いは特許及び文献に記載されているものを含む当業者に公知の手順に従って調製することができる。
【0108】
本発明の高RIポリシロキサンビニル系架橋剤(特に上で定義した式(1)のもの)は、高RIインサートを形成するための疎水性架橋ポリマー材料並びに高RI且つ高Dk(酸素透過率)のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを形成するためのシリコーンハイドロゲルポリマー材料の調製に特に有用であることができ、これらの材料は本発明の別の態様である。当業者は、任意の公知の重合機構に従って、重合性組成物から疎水性架橋ポリマー材料又はシリコーンハイドロゲルポリマー材料を調製する方法を知っている。
【0109】
別の態様では、本発明は、本発明の高RIポリシロキサンビニル架橋剤の繰り返し単位(上述した通り)を含む疎水性架橋ポリマー材料から製造されたインサートを提供する。
【0110】
更なる態様では、本発明は、本発明のポリシロキサンビニル架橋剤の単位(上述した通り)を含む架橋ポリマー材料を含むシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを提供する。
【0111】
本発明に従って、本発明のインサート又はシリコーンハイドロゲル(SiHy)コンタクトレンズは、任意のレンズ製造プロセスに従って製造することができる。当業者は、インサート又はSiHyコンタクトレンズを製造する方法を非常によく知っている。例えば、インサート又はSiHyコンタクトレンズは、例えば米国特許第3408429号明細書に記載されているような、従来の「スピン鋳型」において、又は米国特許第4347198号明細書、同第5508317号明細書、同第5583463号明細書、同第5789464号明細書、及び同第5849810号明細書に記載されているような、静的形態での完全キャスト成形プロセス、若しくはカスタマイズされたコンタクトレンズの作製に使用されるようなポリマー材料ボタンの旋盤切断によって製造することができる。キャスト成形において、重合性組成物(すなわち、インサート配合物又はSiHyレンズ配合物)は、典型的には、鋳型に分配され、インサート又はSiHyコンタクトレンズを作製するために鋳型中で熱又は化学線により硬化させられる(すなわち、重合及び/又は架橋させられる)。
【0112】
インサート又はSiHyコンタクトレンズなどのコンタクトレンズを作製するためのレンズ鋳型は、当業者によく知られており、例えば、キャスト成形又はスピンキャスティングに用いられる。例えば、鋳型(キャスト成形用の)は、一般に、少なくとも2つの鋳型片(若しくは部分)又は鋳型半体、すなわち第1及び第2の鋳型半体を含む。第1の鋳型半体は、第1の成形(又は光学)面を画定し、第2の鋳型半体は、第2の成形(又は光学)面を画定する。第1及び第2の鋳型半体は、第1の成形面と第2の成形面との間にインサート成形又はレンズ形成キャビティが形成されるように、互いに受け入れるように構成される。鋳型半体の成形面は、鋳型のキャビティ形成面であり、重合性組成物と直接接触する。
【0113】
コンタクトレンズ又はインサートをキャスト成形するための鋳型部分を製造する方法は、一般に当業者によく知られている。本発明のプロセスは、鋳型を形成する任意の特定の方法に限定されない。実際に、鋳型を形成する任意の方法を本発明で使用することができる。第1及び第2の鋳型半体は、射出成形又は旋盤などの、様々な技法により形成することができる。鋳型半体を形成するための好適なプロセスの例は、米国特許第4444711号明細書、同第4460534号明細書、同第5843346号明細書、及び同第5894002号明細書に開示されている。
【0114】
鋳型を製造するための当技術分野で公知の事実上全ての材料を、コンタクトレンズ又はインサートを作製するための鋳型を製造するために使用することができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、PMMA、Topas(登録商標)COCグレード8007-S10(Frankfurt,Germany及びSummit,New JerseyのTicona GmbH製の、エチレンとノルボルネンとの透明な非晶質コポリマー)等などの、ポリマー材料を使用することができる。石英ガラス及びサファイアなどの、UV光透過を可能にする他の材料を使用することができるであろう。
【0115】
本発明のインサートを製造するためのインサート配合物(すなわち重合性組成物)は、当業者に公知のように、高RIポリシロキサンビニル架橋剤、他の共重合性成分、フリーラジカル開始剤(熱開始剤又は光開始剤)(以下で記載するいずれかのもの)、任意選択的なUV吸収性ビニルモノマー(以下で記載するいずれかのもの)、任意選択的なUV/高エネルギー紫光(「HEVL」)吸収性ビニルモノマー、任意選択的なフォトクロミックビニルモノマーなどを含有する。
【0116】
インサート配合物中で使用される共重合可能な成分の例としては、限定されないが、疎水性アクリルモノマー(以下で記載するいずれかのもの)、アリールビニルモノマー(以下で記載するいずれかのもの)、疎水性アクリルモノマー以外の疎水性ビニルモノマー(以下で記載するいずれかのもの)、及びビニル架橋剤(以下で記載するいずれかのもの)が挙げられる。
【0117】
本発明のSiHyコンタクトレンズを製造するためのSiHyレンズ配合物(すなわち重合性組成物)は、当業者に公知のように、高RIポリシロキサンビニル架橋剤、他の共重合性成分、フリーラジカル開始剤(熱開始剤又は光開始剤)(以下で記載するいずれかのもの)、任意選択的なUV吸収性ビニルモノマー(以下で記載するいずれかのもの)、任意選択的なUV/HEVL吸収性ビニルモノマー、任意選択的なフォトクロミックビニルモノマーなどを含有する。多数のシリコーンハイドロゲルレンズ配合物が、本出願の出願日までに公開された多数の特許及び特許出願に記載されており、市販のSiHyコンタクトレンズの製造において使用されてきた。
市販のSiHyコンタクトレンズの例としては、限定されないが、アスモフィルコンA、バラフィルコンA、コンフィルコンA、デレフィルコンA、エフロフィルコンA、エンフィルコンA、ファンフィルコンA、ガリフィルコンA、ロトラフィルコンA、ロトラフィルコンB、ナラフィルコンA、ナラフィルコンB、セノフィルコンA、セノフィルコンB、セノフィルコンC、スマフィルコンA、ソモフィルコンA、及びステンフィルコンAが挙げられる。これらは、本発明のレンズ形成組成物として使用することができる。
【0118】
SiHyレンズ配合物に使用される共重合可能な成分の例としては、限定されないが、(1)少なくとも1種のシリコーン含有ビニルモノマー(以下で記載するいずれかのもの)及び/又は少なくとも1種のシリコーン含有ビニル架橋剤(以下で記載するいずれかのもの);(2)少なくとも1種の親水性ビニルモノマー(以下で記載するいずれかのもの);(3)任意選択的な少なくとも1種の疎水性非シリコーンビニルモノマー(以下で記載するいずれかのもの);並びに(4)任意選択的な少なくとも1種の非シリコーン系ビニル架橋剤(以下で記載するいずれかのもの)が挙げられる。
【0119】
本発明のインサートを形成する際に、いずれの疎水性アクリルモノマーも使用することができる。疎水性アクリルモノマーの例としては、シリコーン含有アクリルモノマー(本出願の上で記載したいずれかのもの)、非シリコーン系疎水性アクリルモノマー(本出願の上で記載したいずれかのもの)、フッ素含有アクリルモノマー(本出願の上で記載したいずれかのもの)、アリールアクリルモノマー(本出願の上で記載したいずれかのもの)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0120】
アリールアクリルモノマーの例としては、限定されないが、2-エチルフェノキシアクリレート;2-エチルフェノキシメタクリレート;フェニルアクリレート;フェニルメタクリレート;ベンジルアクリレート;ベンジルメタクリレート;2-フェニルエチルアクリレート;2-フェニルエチルメタクリレート;3-フェニルプロピルアクリレート;3-フェニルプロピルメタクリレート;4-フェニルブチルアクリレート;4-フェニルブチルメタクリレート;4-メチルフェニルアクリレート;4-メチルフェニルメタクリレート;4-メチルベンジルアクリレート;4-メチルベンジルメタクリレート;2-(2-メチルフェニル)エチルアクリレート;2-(2-メチルフェニル)エチルメタクリレート;2-(3-メチルフェニル)エチルアクリレート;2-(3-メチルフェニル)エチルメタクリレート;2-(4-メチルフェニル)エチルアクリレート;2-(4-メチルフェニル)エチルメタクリレート;2-(4-プロピルフェニル)エチルアクリレート;2-(4-プロピルフェニル)エチルメタクリレート;2-(4-(1-メチルエチル)フェニル)エチルアクリレート;2-(4-(1-メチルエチル)フェニル)エチルメタクリレート;2-(4-メトキシフェニル)エチルアクリレート;2-(4-メトキシフェニル)エチルメタクリレート;2-(4-シクロヘキシルフェニル)エチルアクリレート;2-(4-シクロヘキシルフェニル)エチルメタクリレート;2-(2-クロロフェニル)エチルアクリレート;2-(2-クロロフェニル)エチルメタクリレート;2-(3-クロロフェニル)エチルアクリレート;2-(3-クロロフェニル)エチルメタクリレート;2-(4-クロロフェニル)エチルアクリレート;2-(4-クロロフェニル)エチルメタクリレート;2-(4-ブロモフェニル)エチルアクリレート;2-(4-ブロモフェニル)エチルメタクリレート;2-(3-フェニルフェニル)エチルアクリレート;2-(3-フェニルフェニル)エチルメタクリレート;2-(4-フェニルフェニル)エチルアクリレート;2-(4-フェニルフェニル)エチルメタクリレート;2-(4-ベンジルフェニル)エチルアクリレート;2-(4-ベンジルフェニル)エチルメタクリレート;2-(フェニルチオ)エチルアクリレート;2-(フェニルチオ)エチルメタクリレート;2-ベンジルオキシエチルアクリレート;3-ベンジルオキシプロピルアクリレート;2-ベンジルオキシエチルメタクリレート;3-ベンジルオキシプロピルメタクリレート;2-[2-(ベンジルオキシ)エトキシ]エチルアクリレート;2-[2-(ベンジルオキシ)エトキシ]エチルメタクリレート;又はそれらの組み合わせが挙げられる。より好ましい疎水性アクリルモノマーは、2-フェニルエチルアクリレート;3-フェニルプロピルアクリレート;4-フェニルブチルアクリレート;5-フェニルペンチルアクリレート;2-ベンジルオキシエチルアクリレート;3-ベンジルオキシプロピルアクリレート;2-[2-(ベンジルオキシ)エトキシ]エチルアクリレート;及びそれらに対応するメタクリレートである。上で列挙されたアリールアクリルモノマーは、商業的供給元から得ることができ、或いは当技術分野で既知の方法によって調製することができる。
【0121】
疎水性アクリルモノマー以外の疎水性モノマーの例としては、ビニルアルカノエート(本出願の上で記載したいずれかのもの)、ビニルオキシアルカン(本出願の上で記載したいずれかのもの)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0122】
好ましい疎水性非シリコーンビニルモノマーの例は、非シリコーン疎水性アクリルモノマー(下記のメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリルなど)、フッ素含有アクリルモノマー(例えば、ペルフルオロヘキシルエチル-チオ-カルボニル-アミノエチル-メタクリレート、ペルフルオロ-置換-C2-C12アルキル(メタ)アクリレートなど)、ビニルアルカノエート(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニルなど)、ビニルオキシアルカン(例えば、ビニルエチルエーテル、プロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソプチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、t-ブチルビニルエーテルなど)、スチレン、ビニルトルエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、1-ブテン並びにそれらの組み合わせであることが可能である。
いずれの適切なペルフルオロ-置換-C2-C12~C12アルキル(メタ)アクリレートも本発明において使用することができる。ペルフルオロ-置換-C2-C12アルキル(メタ)アクリレートの例としては、限定されないが、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロ-イソ-プロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、ヘプタフルオロブチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロフェニル(メタ)アクリレート及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0123】
任意の好適なビニル架橋剤を本発明のインサートの製造において使用することができる。好ましいビニル架橋剤の例としては、限定されないが、ポリシロキサンビニル架橋剤(以下で記載するいずれかのもの)及び/又は非シリコーンビニル架橋剤が挙げられる。
【0124】
非シリコーンビニル架橋剤の例としては、限定されないが、アクリル架橋剤(以下で記載するいずれかのもの)、アリール架橋剤(例えば、ジビニルベンゼン、2-メチル-1,4-ジビニルベンゼン、ビス(4-ビニルフェニル)メタン、1,2-ビス(4-ビニルフェニル)エタンなど)、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、N-アリル-メタクリルアミド、N-アリル-アクリルアミド、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0125】
アクリル架橋剤の例としては、限定されないが、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート;1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート;2,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート;1,3-ブタンジオールジ-(メタ)アクリレート;1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート;グリセロール1,3-ジグリセロレートジ-(メタ)アクリレート;1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート;1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;エチレンビス[オキシ(2-ヒドロキシプロパン-1,3-ジイル)]ジ-(メタ)アクリレート;ビス[2-(メタ)アクリルオキシエチル]ホスフェート;3,4-ビス[(メタ)アクリロイル]テトラヒドロフラン;ジ(メタ)アクリルアミド;N,N-ジ(メタ)アクリロイル-N-メチルアミン;N,N-ジ(メタ)アクリロイル-N-エチルアミン;N,N’-メチレンビス((メタ)アクリルアミド);N,N’-エチレンビス((メタ)アクリルアミド);N,N’-ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド;N,N’-ジヒドロキシエチレンビス(メタ)アクリルアミド;N,N’-プロピレンビス(メタ)アクリルアミド;N,N’-2-ヒドロキシプロピレンビス(メタ)アクリルアミド;N,N’-2,3-ジヒドロキシブチレンビス(メタ)アクリルアミド;リン酸二水素1,3-ビス(メタ)アクリルアミドプロパン-2-イル;ピペラジンジアクリルアミド;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート;トリメチロイルプロパントリ(メタ)アクリレート;トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート;1,3,5-トリ(メタ)アクリロキシルヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート;ジ(トリメチロイルプロパン)テトラ(メタ)アクリレート;ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート;又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0126】
本発明に従って、シリコーン含有ビニルモノマーは、当業者に公知の任意のシリコーン含有ビニルモノマーであることができる。好ましいシリコーン含有ビニルモノマーの例としては、限定なしに、ビス(トリアルキルシリルオキシ)アルキルシリル基又はトリス(トリアルキルシリルオキシ)シリル基をそれぞれが有するビニルモノマー、ポリシロキサンビニルモノマー、3-メタクリロキシプロピルペンタメチルジシロキサン、t-ブチルジメチル-シロキシエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルエチルビニルカーボネート、及びトリメチルシリルメチルビニルカーボネート、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0127】
好ましいポリシロキサンビニルモノマーは、商業的供給業元(例えば、信越化学工業、Gelest等)から入手することができ;例えば、米国特許第5070215号明細書、同第6166236号明細書、同第6867245号明細書、同第8415405号明細書、同第8475529号明細書、同第8614261号明細書、及び同第9217813号明細書に記載の手順に従って調製することができ;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリルアミド若しくは(メタ)アクリルオキシポリエチレングリコールをモノエポキシプロピルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサンと反応させることによって調製することができ;グリシジル(メタ)アクリレートをモノカルビノール末端ポリジメチルシロキサン、モノアミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン、若しくはモノエチルアミノプロピル末端ポリジメチルシロキサンと反応させることによって調製することができ;又は当業者に周知のカップリング反応に従ってイソシアナトエチル(メタ)アクリレートをモノカルビノール末端ポリジメチルシロキサンと反応させることによって調製することができる。
【0128】
ビス(トリアルキルシリルオキシ)アルキルシリル基又はトリス(トリアルキルシリルオキシ)シリル基をそれぞれ有する好ましいシリコーン含有ビニルモノマーは、米国特許第5070215号明細書、同第6166236号明細書、同第7214809号明細書、同第8475529号明細書、同第8658748号明細書、同第9097840号明細書、同第9103965号明細書、及び同第9475827号明細書に記載の手順に従って調製することができる。
【0129】
任意の好適なポリシロキサンビニル架橋剤を本発明で使用することができる。好ましいポリシロキサンビニル架橋剤の例は、ジ-(メタ)アクリロイル末端ポリジメチルシロキサン;ジビニルカーボネート末端ポリジメチルシロキサン;ジビニルカルバメート末端ポリジメチルシロキサン;N,N,N’,N’-テトラキス(3-メタクリロキシ-2-ヒドロキシプロピル)-アルファ,オメガ-ビス-3-アミノプロピル-ポリジメチルシロキサン;米国特許第5,760,100号明細書に記載されているマクロマーA、マクロマーB、マクロマーC、及びマクロマーDからなる群から選択されるポリシロキサン含有マクロマー;米国特許第4136250号明細書、同第4153641号明細書、同第4182822号明細書、同第4189546号明細書、同第4343927号明細書、同第4254248号明細書、同第4355147号明細書、同第4276402号明細書、同第4327203号明細書、同第4341889号明細書、同第4486577号明細書、同第4543398号明細書、同第4605712号明細書、同第4661575号明細書、同第4684538号明細書、同第4703097号明細書、同第4833218号明細書、同第4837289号明細書、同第4954586号明細書、同第4954587号明細書、同第5010141号明細書、同第5034461号明細書、同第5070170号明細書、同第5079319号明細書、同第5039761号明細書、同第5346946号明細書、同第5358995号明細書、同第5387632号明細書、同第5416132号明細書、同第5451617号明細書、同第5486579号明細書、同第5962548号明細書、同第5981675号明細書、同第6039913号明細書、及び同6762264号明細書に開示されているポリシロキサン含有マクロマー;米国特許第4259467号明細書、同第4260725号明細書、及び同第4261875号明細書に開示されているポリシロキサン含有マクロマーである。
【0130】
好ましいポリシロキサンビニル架橋剤の1つの好ましい部類は、ジメチルシロキサン単位と親水化シロキサン単位とをそれぞれ有するジ-(メタ)アクリロイルオキシ末端ポリシロキサンビニル架橋剤であって、親水化シロキサン単位が1つのメチル置換基と2~6つのヒドロキシル基を有する1つの一価C4~C40有機ラジカル置換基とをそれぞれ有する、ジ-(メタ)アクリロイルオキシ末端ポリシロキサンビニル架橋剤である。これは、米国特許第10081697号明細書に開示されている手順に従って調製することができる。
【0131】
別の部類の好ましいポリシロキサンビニル架橋剤は、それらのそれぞれが1つの唯一のポリシロキサンセグメントと、2つの末端(メタ)アクリロイル基とを含むビニル架橋剤であり、それは、商業的供給元から入手することができ;グリシジル(メタ)アクリレート(メタ)アクリロイルクロリドをジアミノ末端ポリジメチルシロキサン若しくはジヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンと反応させることによって調製することができ;イソシアナトエチル(メタ)アクリレートをジヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンと反応させることによって調製することができ;カップリング剤(カルボジイミド)の存在下でアミノ含有アクリルモノマーをジカルボキシル末端ポリジメチルシロキサンと反応させることによって調製することができ;カップリング剤(カルボジイミド)の存在下でカルボキシル含有アクリルモノマーをジアミノ末端ポリジメチルシロキサンと反応させることによって調製することができ;又はジイソシアネート若しくはジエポキシカップリング剤の存在下でヒドロキシル含有アクリルモノマーをジヒドロキシ末端ポリジシロキサンと反応させることによって調製することができる。
【0132】
他の部類の好ましいポリシロキサンビニル架橋剤は、それらのそれぞれが、ポリシロキサンセグメントの各対と、2つの末端エチレン性不飽和基との間のリンカーによって結合された少なくとも2つのポリシロキサンセグメントを有する鎖延長ポリシロキサンビニル架橋剤であり;それは、米国特許第5034461号明細書、同第5416132号明細書、同第5449729号明細書、同第5760100号明細書、同第7423074号明細書、同第8529057号明細書、同第8835525号明細書、同第8993651号明細書、同第10301451号明細書、及び同第10465047号明細書に記載されている手順に従って調製することができる。
【0133】
任意の親水性ビニルモノマーを本発明で使用することができる。好ましい親水性ビニルモノマーの例は、アルキル(メタ)アクリルアミド(本出願で後述する通り)、ヒドロキシル含有アクリルモノマー(以下に記載の通り)、アミノ含有アクリルモノマー(本出願で後述する通り)、カルボキシル含有アクリルモノマー(本出願で後述する通り)、N-ビニルアミドモノマー(本出願で後述する通り)、メチレン含有ピロリドンモノマー(すなわち、3-又は5-位でピロリドン環に結合したメチレン基をそれぞれ有するピロリドン誘導体)(本出願で後述する通り)、C1~C4アルコキシエトキシ基を有するアクリルモノマー(本出願で後述する通り)、ビニルエーテルモノマー(本出願で後述する通り)、アリルエーテルモノマー(本出願で後述する通り)、ホスホリルコリン含有ビニルモノマー(本出願で後述する通り)、アリルアルコール、N-2-ヒドロキシエチルビニルカルバメート、N-カルボキシビニル-β-アラニン(VINAL)、N-カルボキシビニル-α-アラニン、及びそれらの組み合わせである。
【0134】
アルキル(メタ)アクリルアミドの例としては、限定されないが(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0135】
ヒドロキシル含有アクリルモノマーの例としては、限定されないが、N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールメタクリレート(GMA)、ジ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500までの数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500までの数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0136】
カルボキシル含有アクリルモノマーの例としては、限定されないが、2-(メタ)アクリルアミドグリコール酸、(メタ)アクリル酸、エチルアクリル酸、3-(メタ)アクリルアミド-プロピオン酸、5-(メタ)アクリルアミドペンタン酸、4-(メタ)アクリルアミドブタン酸、3-(メタ)アクリルアミド-2-メチルブタン酸、3-(メタ)アクリルアミド-3-メチルブタン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2メチル-3,3-ジメチルブタン酸、3-(メタ)アクリルアミドヘキサン酸、4-(メタ)アクリルアミド-3,3-ジメチルヘキサン酸、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0137】
アミノ含有アクリルモノマーの例としては、限定されないがN-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-エチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-アミノ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルアンモニウム2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートヒドロクロリド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0138】
N-ビニルアミドモノマーの例としては、限定されないが、N-ビニルピロリドン(別名、N-ビニル-2-ピロリドン)、N-ビニル-3-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3,3,5-トリメチル-2-ピロリドン、N-ビニルピペリドン(別名、N-ビニル-2-ピペリドン)、N-ビニル-3-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-エチル-2-ピペリドン、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4,4-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニルカプロラクタム(別名、N-ビニル-2-カプロラクタム)、N-ビニル-3-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-エチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4,6-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5,7-トリメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルイソプロピルアミド、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0139】
メチレン含有ピロリドンモノマーの例としては、限定されないが、1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、5-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-n-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-tert-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0140】
C1~C4アルコキシエトキシ基を有するアクリルモノマーの例としては、限定されないが、エチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、1500までの数平均分子量を有するC1~C4-アルコキシポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、1500までの数平均分子量を有するメトキシ-ポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0141】
ビニルエーテルモノマーの例としては、限定されないが、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、エチレングリコールメチルビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0142】
アリルエーテルモノマーの例としては、限定されないが、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、エチレングリコールメチルアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0143】
ホスホリルコリン含有ビニルモノマーの例としては、限定されないが、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスホリルコリン、4-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-[(メタ)アクリロイルアミノ]エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、3-[(メタ)アクリロイルアミノ]プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4-[(メタ)アクリロイルアミノ]ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、5-((メタ)アクリロイルオキシ)ペンチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、6-((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキシル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ペンチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキシル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ビニルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ビニルオキシカルボニル)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシカルボニル)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-(ビニルカルボニルアミノ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシカルボニルアミノ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ブテノイルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0144】
本発明の予形成SiHyコンタクトレンズを調製するために、いずれの適切なUV吸収ビニルモノマー及びUV/HEVL吸収ビニルモノマーも重合性組成物中に使用することができる。好ましいUV吸収及びUV/HEVL吸収ビニルモノマーの例としては、限定されないが、2-(2-ヒドロキシ-5-ビニルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2(2-ヒドロキシ-5-アクリロイルオキシフェニル)-2Hベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルアミドメチル-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メタクリルアミドフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メタクリルアミドフェニル)-5-メトキシベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-グリシドオキシプロピル-3’-t-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メタクリルオキシプロピルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-ヒドロキシ-5-メトキシ-3-(5-(トリフルオロメチル)-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾル-2-イル)ベンジルメタクリレート(WL-1)、2-ヒドロキシ-5-メトキシ-3-(5-メトキシ-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾル-2-イル)ベンジルメタクリレート(WL-5)、3-(5-フルオロ-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾル-2-イル)-2-ヒドロキシ-5-メトキシベンジルメタクリレート(WL-2)、3-(2Hベンゾ[d][1,2,3]トリアゾル-2-イル)-2-ヒドロキシ-5-メトキシベンジルメタクリレート(WL-3)、3-(5-クロロ-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾル-2-イル)-2-ヒドロキシ-5-メトキシベンジルメタクリレート(WL-4)、2-ヒドロキシ-5-メトキシ-3-(5-メチル-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾル-2-イル)ベンジルメタクリレート(WL-6)、2-ヒドロキシ-5-メチル-3-(5-(トリフルオロメチル)-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾル-2-イル)ベンジルメタクリレート(WL-7)、4-アリル-2-(5-クロロ-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾル-2-イル)-6-メトキシフェノール(WL-8)、2{2’-ヒドロキシ-3’-tert-5’[3”-(4”-ビニルベンジルオキシ)プロポキシ]フェニル}-5-メトキシ-2H-ベンゾトリアゾール、フェノール、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾル-2-イル)-6-(1,1ジメチルエチル)-4-エテニル-(UVAM)、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(2-メタクリルオキシエチル)フェニル)]-2H-ベンゾトリアゾール(2-プロペン酸、2-メチル-、2-[3-(2H-ベンゾトリアゾル-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]エチルエステル、Norbloc)、2{2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-[3’-メタクリロイルオキシプロポキシ]フェニル}-2H-ベンゾトリアゾール、2{2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-[3’-メタクリロイルオキシプロポキシ]フェニル}-5-メトキシ-2H-ベンゾトリアゾール(UV13)、2-{2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-[3’-メタクリロイルオキシプロポキシ]フェニル}-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール(UV28)、2[2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-(3’-アクリロイルオキシプロポキシ)フェニル]-5-トリフルオロメチル-2H-ベンゾトリアゾール(UV23)、2-(2’-ヒドロキシ-5-メタクリルアミドフェニル)-5-メトキシベンゾトリアゾール(UV6)、2-(3-アリル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(UV9)、2-(2-ヒドロキシ-3-メタリル-5-メチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(UV12)、2-3’-t-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-(3”-ジメチルビニルシリルプロポキシ)-2’-ヒドロキシフェニル)-5-メトキシベンゾトリアゾール(UV15)、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メタクリロイルプロピル-3’-tert-ブチルフェニル)-5-メトキシ-2H-ベンゾトリアゾール(UV16)、2-(2’-ヒドロキシ-5’-アクリロイルプロピル-3’-tert-ブチルフェニル)-5-メトキシ-2H-ベンゾトリアゾール(UV16A)、2-メチルアクリル酸3-[3-tert-ブチル-5-(5-クロロベンゾトリアゾル-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]-プロピルエステル(16-100、CAS#96478-15-8)、2-(3-(tert-ブチル)-4-ヒドロキシ-5-(5-メトキシ-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾル-2-イル)フェノキシ)エチルメタクリレート(16-102);フェノール、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾル-2-イル)-6-メトキシ-4-(2-プロペン-1-イル)(CAS#1260141-20-5);2-[2-ヒドロキシ-5-[3-(メタクリロイルオキシ)プロピル]-3-tert-ブチルフェニル]-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール;フェノール、2-(5-エテニル-2H-ベンゾトリアゾル-2-イル)-4-メチル-、ホモポリマー(9CI)(CAS#83063-87-0)が挙げられる。本発明によると、重合性組成物は、重合性組成物中の全重合性成分の量に対して約0.1重量%~約3.0重量%、好ましくは約0.2重量%~約2.5重量%、より好ましくは約0.3重量%~約2.0重量%の1つ又はそれ以上のUV吸収ビニルモノマーを含む。
【0145】
好ましいフォトクロミックビニルモノマーの例としては、重合性ナフトピラン、重合性ベンゾピラン、重合性インデノナフトピラン、重合性フェナントロピラン、重合性スピロ(ベンズインドリン)-ナフトピラン、重合性スピロ(インドリン)ベンゾピラン、重合性スピロ(インドリン)-ナフトピラン、重合性スピロ(インドリン)キノプラン、重合性スピロ(インドリン)-ピラン、重合性ナフトキサジン、重合性スピロベンゾピラン;重合性スピロベンゾピラン、重合性スピロベンゾチオピラン、重合性ナフタセンジオン、重合性スピロオキサジン、重合性スピロ(インドリン)ナフトキサジン、重合性スピロ(インドリン)ピリドベンゾキサジン、重合性スピロ(ベンズインドリン)ピリドベンゾキサジン、重合性スピロ(ベンズインドリン)ナフトキサジン、重合性スピロ(インドリン)-ベンゾオキサジン、重合性ジアリールエテン及びそれらの組み合わせが含まれる。これらは米国特許第4929693号明細書、同第5166345号明細書、同第6017121号明細書、同第7556750号明細書、同第7584630号明細書、同第7999989号明細書、同第8158037号明細書、同第8697770号明細書、同第8741188号明細書、同第9052438号明細書、同第9097916号明細書、同第9465234号明細書、同第9904074号明細書、同第10197707号明細書、同第6019914号明細書、同第6113814号明細書、同第6149841号明細書、同第6296785号明細書及び同第6348604号明細書に開示される通りである。
【0146】
任意の熱重合開始剤を本発明で使用することができる。好適な熱重合開始剤は、当業者に公知であり、例えば、ペルオキシド、ヒドロペルオキシド、アゾ-ビス(アルキル-又はシクロアルキルニトリル)、過硫酸塩、ペルカーボネート、又はそれらの混合物を含む。好ましい熱重合開始剤の例としては、限定なしに、ベンゾイルペルオキシド、t-ブチルペルオキシド、t-アミルペルオキシベンゾエート、2,2-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ブタン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチル-3-ヘキシン、ビス(1-(tert-ブチルペルオキシ)-1-メチルエチル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、ジ-t-ブチル-ジペロキシフタレート、t-ブチルヒドロペルオキシド、t-ブチルペルアセテート、t-ブチルペルオキシベンゾエート、t-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、アセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ジセチルペルオキシジカーボネート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(Perkadox 16S)、ジ(2-エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、t-ブチルペルオキシピバレート(Lupersol 11);t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(Trigonox 21-C50)、2,4-ペンタンジオンペルオキシド、ジクミルペルオキシド、過酢酸、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)(VAZO 33)、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩(VAZO 44)、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩(VAZO 50)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(VAZO 52)、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(VAZO 64又はAIBN)、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル(VAZO 67)、1,1-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)(VAZO 88);2,2’-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(メチルイソブチレート)、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、熱開始剤は、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN又はVAZO 64)である。
【0147】
好適な光開始剤は、ベンゾインメチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイルホスフィンオキシド、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン並びにDarocur及びIrgacurタイプ、好ましくはDarocur 1173(登録商標)及びDarocur 2959(登録商標)、ゲルマニウム系のノリッシュI型光開始剤(例えば、米国特許第7,605,190号明細書に記載されているもの)である。ベンゾイルホスフィン開始剤の例としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド;ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-N-プロピルフェニルホスフィンオキシド;及びビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-N-ブチルフェニルホスフィンオキシドが挙げられる。例えば、マクロマー中へ組み込むことができる又は特殊なモノマーとして使用することができる反応性光開始剤も好適である。反応性光開始剤の例は、欧州特許第632329号明細書に開示されているものである。好ましくは、SiHyコンタクトレンズを作製するためのSiHyレンズ配合物は、ベンゾイルホスフィンオキシド光開始剤、ゲルマニウム系ノリッシュI型光開始剤、又はそれらの組み合わせなどの、可視光によって開始することができる少なくとも1つの光開始剤を含む。
【0148】
重合性組成物(インサート配合物又はSiHyレンズ配合物)は、当業者に公知であるように、全ての重合性成分と他の必要な成分とを混合することによって調製される無溶媒の透明な液体、又は水と、水混和性の1つ以上の有機溶媒との混合物、有機溶媒、若しくは1つ以上の有機溶媒の混合物などの、任意の好適な溶媒中に所望の成分の全てを溶解させることによって調製される溶液であることができる。「溶媒」という用語は、フリーラジカル重合反応に関与することができない化学物質を指す。
【0149】
無溶媒重合性組成物は、典型的には、無溶媒SiHyレンズ配合物の全ての他の重合性成分を溶解させるための反応性溶媒として少なくとも1種のブレンディングビニルモノマーを含む。
【0150】
好ましいブレンディングビニルモノマーの例としては、限定されないが、C1~C10アルキル(メタ)アクリレート、シクロペンチルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、スチレン、4,6-トリメチルスチレン(TMS)、t-ブチルスチレン(TBS)、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロ-イソプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、又はそれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、メチルメタクリレートが、無溶媒SiHyレンズ配合物を調製する際にブレンディングビニルモノマーとして使用される。
【0151】
任意の溶媒を本発明で使用することができる。好ましい有機溶媒の例としては、限定なしに、テトラヒドロフラン、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールn-ブチルエーテル、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン等)、ジエチレングリコールn-ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸i-プロピル、塩化メチレン、2-ブタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、メントール、シクロヘキサノール、シクロペンタノール及びエキソノルボルネオール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、3-メチル-2-ブタノール、2-ヘプタノール、2-オクタノール、2-ノナノール、2-デカノール、3-オクタノール、ノルボルネオール、tert-ブタノール、tert-アミルアルコール、2-メチル-2-ペンタノール、2,3-ジメチル-2-ブタノール、3-メチル-3-ペンタノール、1-メチルシクロヘキサノール、2-メチル-2-ヘキサノール、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-クロロ-2-メチル-2-プロパノール、2-メチル-2-ヘプタノール、2-メチル-2-オクタノール、2-2-メチル-2-ノナノール、2-メチル-2-デカノール、3-メチル-3-ヘキサノール、3-メチル-3-ヘプタノール、4-メチル-4-ヘプタノール、3-メチル-3-オクタノール、4-メチル-4-オクタノール、3-メチル-3-ノナノール、4-メチル-4-ノナノール、3-メチル-3-オクタノール、3-エチル-3-ヘキサノール、3-メチル-3-ヘプタノール、4-エチル-4-ヘプタノール、4-プロピル-4-ヘプタノール、4-イソプロピル-4-ヘプタノール、2,4-ジメチル-2-ペンタノール、1-メチルシクロペンタノール、1-エチルシクロペンタノール、1-エチルシクロペンタノール、3-ヒドロキシ-3-メチル-1-ブテン、4-ヒドロキシ-4-メチル-1-シクロペンタノール、2-フェニル-2-プロパノール、2-メトキシ-2-メチル-2-プロパノール、2,3,4-トリメチル-3-ペンタノール、3,7-ジメチル-3-オクタノール、2-フェニル-2-ブタノール、2-メチル-1-フェニル-2-プロパノール及び3-エチル-3-ペンタノール、1-エトキシ-2-プロパノール、1-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルプロピオンアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルプロピオンアミド、N-メチルピロリドン、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0152】
本発明に従って、重合性組成物(インサート配合物又はSiHyレンズ配合物)は、任意の公知の方法に従って、鋳型の雄型半体と雌型半体とによって形成されるキャビティに導入(吐出)することができる。
【0153】
重合性組成物が鋳型中へ分配された後に、それは、SiHyコンタクトレンズを生成するために重合させられる。架橋は、当業者に公知のように、熱又は化学線により開始することができる。
【0154】
熱重合は、例えば、25~120℃、好ましくは40~100℃の温度で、都合よく実施される。反応時間は、広い範囲内で変動し得るが、好都合には、例えば1~24時間又は好ましくは2~12時間である。重合反応に使用される成分及び溶媒を予め脱気すること、及び不活性雰囲気下で、例えば窒素又はアルゴンの雰囲気下で前記共重合反応を実施することが有利である。
【0155】
次いで、化学線重合は、化学線、例えば光、特に好適な波長のUV光又は可視光によって引き起こすことができる。必要に応じて、好適な光増感剤の添加により、スペクトル要件を適切に制御することができる。
【0156】
成形されたインサート又はSiHyコンタクトレンズを鋳型から取り外すことができるように鋳型を開けることは、それ自体公知の方法で行われ得る。
【0157】
成形されたインサート又はSiHyコンタクトレンズは、未重合の重合性成分及び形成されたオリゴマーを除去するために、液体抽出媒体を用いたレンズ抽出にかけることができる。本発明に従って、抽出液体媒体は、乾燥コンタクトレンズ中の有機溶媒、未重合の重合性材料、及びオリゴマーを溶解させることができる任意の溶媒である。水、当業者に公知の任意の有機溶媒、又はそれらの混合物を本発明で使用することができる。好ましくは、抽出液体媒体に使用される有機溶媒は、水、緩衝食塩水、C1~C3アルキルアルコール、1,2-プロピレングリコール、約400ダルトン以下の数平均分子量を有するポリエチレングリコール、C1~C6アルキルアルコール、又はそれらの組み合わせである。
【0158】
抽出後に、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、当業者に公知の任意の方法に従って、液体抽出媒体を置き換えるために水又は水溶液中で水和させることができる。
【0159】
水和されたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、例えば、表面処理、当業者によく知られているパッケージング溶液でのレンズパッケージにおけるパッケージング;118~124℃で少なくとも約30分間のオートクレーブなどの滅菌等などの、更なるプロセスに更にかけることができる。
【0160】
レンズパッケージ(又は容器)は、ソフトコンタクトレンズをオートクレーブ処理し、保存することに関して当業者によく知られている。任意のレンズパッケージを本発明で使用することができる。好ましくは、レンズパッケージは、ベースとカバーとを含むブリスターパッケージであり;ここで、カバーは、ベースに着脱可能なように密封され、ここで、ベースは、滅菌パッケージング溶液とコンタクトレンズとを受け入れるためのキャビティを含む。
【0161】
レンズは、個別のパッケージにパッケージングされ、密封され、使用者に分配される前に(例えば、加圧下に少なくとも30分間約120℃以上でオートクレーブにより)滅菌される。当業者は、レンズパッケージを密封する及び滅菌する方法をよく理解するであろう。
【0162】
本発明の様々な実施形態が、特定の用語、デバイス、及び方法を用いて記載されてきたが、そのような記載は、例示目的のみのためである。用いられる語は、限定の語よりもむしろ説明の語である。以下の特許請求の範囲において明記される、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく当業者によって変更及び変動が行われ得ることが理解されるべきである。加えて、以下に例示されるように、様々な実施形態の態様は、全体的にか若しくは部分的にかのどちらかで交換され得るか、又はいずれかの様式で組み合わせる及び/若しくは一緒に使用することができることが理解されるべきである:
【0163】
1. (1)ジメチルシロキサン単位とアリール含有シロキサン単位とを含むポリシロキサンセグメントであって、アリール含有シロキサン単位が1つのメチル置換基と1つの有機置換基とをそれぞれ有し、1つの有機置換基が少なくとも2つ(好ましくは3つ)の炭素原子を有するリンカーを介してSi原子に結合した少なくとも1つのアリール部位と最大45個の炭素原子とを有する、ポリシロキサンセグメントと;
(2)エチレン性不飽和基と;
を含むポリシロキサンビニル架橋剤。
2. 少なくとも1.48の屈折率及び約0℃以下のT
gを有する、実施形態1に記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
3. 少なくとも1.51の屈折率を有する、実施形態2に記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
4. 少なくとも1.54の屈折率を有する、実施形態2に記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
5. 少なくとも1.57の屈折率を有する、実施形態2に記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
6. 約-5.0℃以下のT
gを有する、実施形態1~5のいずれか1つに記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
7. 約-10.0℃以下のT
gを有する、実施形態1~5のいずれか1つに記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
8. 約-20.0℃以下のT
gを有する、実施形態1~5のいずれか1つに記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
9. 前記ポリシロキサンセグメントが少なくとも30モル%のアリール含有シロキサン単位を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
10. 前記ポリシロキサンセグメントが少なくとも40モル%のアリール含有シロキサン単位を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
11. 前記ポリシロキサンセグメントが少なくとも50モル%のアリール含有シロキサン単位を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
12. 前記ポリシロキサンセグメントが少なくとも60モル%のアリール含有シロキサン単位を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
13. 前記ポリシロキサンセグメントが少なくとも70モル%のアリール含有シロキサン単位を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
14. 少なくとも1000ダルトンの数平均分子量を有する、実施形態1~13のいずれか1つに記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
15. 約1500ダルトン~約100000ダルトンの数平均分子量を有する、実施形態1~14のいずれか1つに記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
16. 約2000ダルトン~約80000ダルトンの数平均分子量を有する、実施形態1~14のいずれか1つに記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
17. 約2500ダルトン~約60000ダルトンの数平均分子量を有する、実施形態1~14のいずれか1つに記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
18. 式(1)で定義される、実施形態1~17のいずれか1つに記載のポリシロキサンビニル架橋剤:
【化30】
(式中:
υ1は1~400の整数であり;
ω1は1~800の整数であり;
E
1は、
【化31】
の一価ラジカルであり;
R
0は、水素又メチルであり;
a1は、ゼロ又は1であり;
X
0は、O又はNR
N1であり;
R
N1は、水素又はC
1~C
6アルキルであり;
L
0は、C
2~C
8アルキレン二価ラジカルであるか、又は-L
O’-X
1-L
0’’-、
【化32】
の二価ラジカルであり;
L
0‘は、C
2~C
8アルキレン二価ラジカルであり;
L
0‘‘は、C
3~C
8アルキレン二価ラジカルであり;
X
1は、-O-、-NR
N1-、-NHCOO-、-OCONH-、-CONR
N1-、又は-NR
N1CO-であり;
q1は1~10の整数であり;
ARはアリールラジカルであり;
L
ARは、
【化33】
の二価ラジカルであり;
L
eは、-CH
2-CH
2-、-CH
2-CHR
O-R
1-、-CH
2-CHR
O-R
1-O-、-CH
2-CHR
O-R
1-O-R
2-、-C
3H
6-O-R
2-、-C
3H
6-O-R
2-O-、
【化34】
の二価ラジカルであり;
a2は、ゼロ又は1又は2であり;
a3は、ゼロ又は1であり;
R
1は、C
1~C
4アルコキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、オキソ基、又はこれらの組み合わせで任意選択的に置換されていてもよい直鎖状若しくは分岐状C
1~C
10アルキレン二価ラジカルであり;
R
2は、直鎖状若しくは分岐状C
1~C
10アルキレン二価ラジカルであり;
R
3は、直接結合又は直鎖状若しくは分岐状C
1~C
4アルキレン二価ラジカルであり;
X
AR及び各X
2は、他とは独立して、共有結合、直鎖状若しくは分岐状のC
1~C
4アルキレン二価ラジカル、又は-O-、-S-、
【化35】
、-NR
N2-、-NHCOO-、-OCONH-、-NHCONR
N2-、-NR
N2CONH-、
【化36】
、-CONR
N2-、-NR
N2CO-、
【化37】
、-NHCOS-、-SCONH-、-COO-、若しくは-OCO-の共有結合であり;
R
N2は、水素、直鎖状若しくは分岐状C
1~C
6アルキル、シクロヘキシル、シクロペンチル、置換若しくは非置換フェニル又は置換若しくは非置換フェニル-C
1~C
6アルキルであり;
各L
xは、独立して、1つ以上のヒドロキシル若しくはC
1~C
4--アルコキシ基若しくはC
1~C
4-アシルアミノ基を任意選択的に有していてもよい直鎖状若しくは分枝状のC
1~C
10アルキレン二価ラジカル、-CH
2-CHOH-CH
2-O-R
4-O-CH
2-CHOH-CH
2-、
【化38】
、又は1つ以上のヒドロキシル又は
1~C
4アルコキシ基を任意選択的に有していてもよく且つ20個までの炭素原子を有する炭化水素の2つの異なる原子から2つの水素原子を除去することによって得られ、且つシクロアルキレンラジカル、置換シクロアルキレンラジカル、フェニレンラジカル、置換フェニレンラジカル、シクロヘテロアルキレンラジカル、及び置換シクロヘテロアルキレンラジカルからなる群から選択される少なくとも1つの二価ラジカルを含む二価ラジカルであり、
各R
4、R
5、及びR
6は、互いに独立して、ゼロ又は1つのヒドロキシル基を有する直鎖状又は分岐状C
1~C
10アルキレン二価ラジカルである)。
19. 式(1)において、υ1が3~350の整数である、実施形態18に記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
20. 式(1)において、υ1が5~300の整数である、実施形態18に記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
21. 式(1)において、υ1が10~250の整数である、実施形態18に記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
22. 式(1)において、ω1が5~700の整数である、実施形態18~22のいずれか1つに記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
23. 式(1)において、ω1が10~600の整数である、実施形態18~22のいずれか1つに記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
24. 式(1)において、ω1が15~500の整数である、実施形態18~22のいずれか1つに記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
25. 式(1)において、a1がゼロである、実施形態18~24のいずれか1つに記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
26. 式(1)において、X
0がOである、実施形態25に記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
27. 式(1)において、X
0がNR
N1である、実施形態25に記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
28. 式(1)において、ω1/(υ1+ω1)が約0.30~約0.95である、実施形態18~27のいずれか1つに記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
29. 式(1)において、ω1/(υ1+ω1)が約0.40~約0.90である、実施形態18~27のいずれか1つに記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
30. 式(1)において、ω1/(υ1+ω1)が約0.50~約0.90である、実施形態18~27のいずれか1つに記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
31. 式(1)において、ω1/(υ1+ω1)が約0.60~約0.85である、実施形態18~27のいずれか1つに記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
32. 式(1)において、ARがフェニル基、置換フェニル基、ナフチル基、置換ナフチル基、アントラセニル基、置換アントラセニル基、フェナントリル基、又は置換フェナントリル基である、実施形態18~31のいずれか1つに記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
33. 式(1)において、ARが
【化39】
(式中、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、及びR
13は、互いに独立して、H、Cl、Br、F、CF
3、CCl
3、C
1~C
5アルキル、C
1~C
5アルコキシ、C
2~C
5アシルオキシ、OH、フェニル、フェノキシ、ベンジルオキシ、フェニルカルボニル、フェノキシカルボニル、フェニルカルボキシ(フェニルカルボニルオキシ)、又はナフチルである)の一価ラジカルである、実施形態18~31のいずれか1つに記載のポリシロキサンビニル架橋剤。
34. 実施形態1~33のいずれか1つに記載のポリシロキサンビニル架橋剤の繰り返し単位を含む、疎水性架橋ポリマー材料から製造されるインサート。
35. シリコーンハイドロゲルバルク材料と実施形態34に記載のインサートとを含む埋込式シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズであって、インサートがシリコーンハイドロゲルバルク材料内に完全に又は部分的に埋め込まれている、埋込式シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
36. 実施形態1~33のいずれか1つに記載のポリシロキサンビニル架橋剤の繰り返し単位を含むシリコーンハイドロゲルバルク材料を含む、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【0164】
上記本開示は、当業者が本発明を実施することを可能にするであろう。様々な修正、変形、及び組み合わせを本明細書に記載される様々な実施形態に対して行うことができる。読者が特定の実施形態及びそれの利点を理解することをよりよく可能にするために、以下の実施例への参照が提案される。本明細書及び実施例は、例示的であると考えられることが意図される。
【実施例】
【0165】
実施例1
酸素透過率の測定
明記しない限り、レンズ及びレンズ材料の酸素透過係数(Dk/t)、固有の(又はエッジ補正された)酸素透過係数(Dki又はDkc)は、ISO 18369-4に記載される手順に従って測定する。
【0166】
平衡含水量
コンタクトレンズの平衡含水量(EWC)は、以下の通りに測定する。
生理食塩水中で完全に平衡化される、水和ハイドロゲルコンタクトレンズ中に存在する水の量(重量パーセントとして表される)は、室温で測定する。レンズを迅速に積み重ね、レンズを布において拭った後にレンズスタックを分析天びん上のアルミパンに移す。各試料パンについてのレンズの数は、典型的には、5つである。パン+レンズの水和重量を記録する。パンをアルミ箔で被う。パンを100±2℃での実験室用オーブン中に入れて16~18時間乾燥させる。パン+レンズをオーブンから取り出し、デシケーター中で少なくとも30分間冷却する。デシケーターからただ一つのパンを取り出し、アルミ箔を捨てる。パン+乾燥レンズ試料を分析天びんで秤量する。全てのパンについて繰り返す。レンズ試料の湿潤重量及び乾燥重量は、空の秤量パンの重量を差し引くことで計算することができる。
【0167】
弾性率
インサートの貯蔵弾性率(ヤング率)は、TA RSA-G2 DMA(動的機械分析装置(Dynamic Mechanical Analyzer))を使用して決定される。Precision Conceptの乾燥レンズカッターを使用して、インサートを幅3.08mmのストリップに切断する。5つの厚さ値を6.5mmゲージ長以内で測定する。金属グリップを用いてストリップを機器に取り付ける。2℃/分で10℃~50℃の直直鎖状昇温速度を用いた振動温度昇温試験をインサートに適用し、1Hzの一定振動数、0.5%歪みの一定振幅及び10.0pts/sのサンプリング速度において温度増加に対する材料の応答を監視する。貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E”)及びtanδデータを、TRIOSソフトウェアによって算出する。
【0168】
コンタクトレンズの弾性率は、MTSインサイト機器を使用して測定する。コンタクトレンズを、先ずPrecision Conceptの2ステージカッターを使用して幅3.12mmのストリップへカットする。5つの厚さ値を6.5mmゲージ長以内で測定する。ストリップを機器グリップに取り付け、21±2℃に制御された温度でPBS(リン酸緩衝生理食塩水)中に沈める。典型的には、5Nロードセルを試験のために使用する。試料が破損するまで、一定の力及び速度を試料に加える。力及び変位データをTestWorksソフトウェアによって収集する。弾性率値は、TestWorksソフトウェアによって計算され、それは、弾性変形領域における、ゼロの伸び近傍での応力対ひずみ曲線の傾き又は接線である。
【0169】
屈折率
インサートの屈折率(RI)は、25℃においてAbbe透過型実験室用屈折計Reichert Abbe Mark IIIによって決定される。測定の前にインサートをPBS食塩水中で完全に平衡化する。
【0170】
ポリシロキサンビニル架橋剤の屈折率(RI)は、20℃でRudolph Research分析屈折計(Model J357)により決定される。蒸留水のRI(20.0℃で1.33299のRI)が基準として使用され、ポリシロキサンビニル架橋剤の測定の前後に実行される。
【0171】
ガラス転移温度
インサートのガラス転移温度(Tg)は、TA RSA-G2 DMA(動的機械分析装置)を使用することによる動的昇温試験からのtanδのピークとして定義される。
【0172】
本出願によれば、ポリシロキサンビニル架橋剤のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定(DSC)を使用して得られる示差走査熱量測定ダイアグラムの中点温度である。
図1は、本発明のポリシロキサンビニル架橋剤について得られたDSCダイアグラムを示しており、その開始温度、中点温度、変曲点温度、及び終了温度によって特徴付けられる。
【0173】
層間剥離
Optimec機器又は光干渉断層撮影(Optical Coherence Tomography)(OCT)を用いて、層間剥離の可能性に関して埋込式シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを試験する。
【0174】
評価方法に関係なく、オートクレーブ実行の後及び層間剥離研究の前に、室温で最小12時間、コンタクトレンズをステージングする。
【0175】
必要とされるステージング時間を満たした後、完全に水和されたコンタクトレンズをOptimec機器の「V」グラチクルアセンブリに配置する(モデルJCF;OPTIMEC England)。コンタクトレンズを重力の影響下に設定した後、コンタクトレンズの正面を円形パターンのいずれの徴候に関しても慎重に調査する。層間剥離は、Optimecイメージの円形パターンとして示される。
【0176】
層間剥離を研究するためにOCT(Thorlabsスペクトル領域光干渉断層撮影(Spectral Domain Optical Coherence Tomography)する(モデル-II)も利用することができる。OCTによって、高解像度断面像を得るためのコンタクトレンズの非侵襲性画像処理が可能である。この目的のために、最小ステージング必要条件を満たした後、コンタクトレンズをそのブリスターから取り出し、平衡になるまで最小30分間PBS溶液中に浸漬する。次いで、「V」ブロック特徴を有するキュベットの約3/4に新しいPBS溶液を充填し、そしてQ-チップを使用してコンタクトレンズをキュベットに移す。レンズはキュベットの底部で「V」形に自由に漂うことができ、そしてコンタクトレンズ全体を10度の増加でスキャンする。層間剥離は、OCT像においてインサート及びキャリアの間隔表面のエアポケットとして現れる。
【0177】
化学物質
以下の実施例において、以下の略語が使用される:BzAはベンジルアクリレートを表し;BzMAはベンジルメタクリレートを表し;DVBzはジビニルベンゼンを表し;p-STTMSはスチリルトリメトキシシランを表し;PETAはペンタエリスリトールテトラアクリレートを表し;TrisMAは3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレートを表し;D6は、モノブチル末端モノメタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(M.W.600~800g/mol、Gelestより)を表し;DMAはN,N-ジメチルアクリルアミドを表し;MMAはメチルメタクリレートを表し;TEGDMAはトリエチレングリコールジメタクリレートを表し;Vazo-67は2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)を表し;Ominirad-1173は、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパノンから製造された光開始剤を表し;Noblocは、Aldrichの2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]エチルメタクリレートであり;RB247は、Reactive Blue 247(2-プロペン酸,2-メチル-,1,1’-[(9,10-ジヒドロ-9,10-ジオキソ-1,4-アントラセンジイル)ビス(イミノ-2,1-エタンジイル)])]エステル)であり;TAAは、tert-アミルアルコールを表し;PrOHは、1-プロパノールを表し;IPAは、イソプロパノールを表し;PPGは、ポリ(プロピレングリコール)を表し;EGBEは、エチレングリコールブチルエーテルを表し;PBSは、25℃において7.2±0.2のpHを有し、約0.044重量%のNaH
2PO
4・H
2O、約0.388重量%のNa
2HPO
2HPO
4・2H
2O、及び約0.79重量%のNaClを含有するリン酸緩衝生理食塩水を表し;wt.%は、重量パーセントを表し;「H4」マクロマーは、以下に示される式(A)のジ-メタクリロイルオキシプロピル末端ポリシロキサン(Mn約11.3K~12.3Kg/モル、OH含有量約1.82~2.01meq/g)を表し;「HA」マクロマーは、以下に示される式(A)のジ-メタクリロイルオキシプロピル末端ポリシロキサン(Mn約6.8Kg/モル、OH含有量約1.2meq/g)を表す。
【化40】
【0178】
実施例2
ヒドロシロキサン含有ポリシロキサン(本発明のポリシロキサンビニル架橋剤を製造するための前駆体)は、スキーム1に示される手順に従って調製される。
【化41】
【0179】
ヒドロシロキサン含有ポリシロキサン(Mn約5KD)の合成
602.05gのオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、510.32gの1,3,5,7-テトラメチル-シクロテトラシロキサン(D4H)、及び92.81gの1,3-ビス(3-メタクリロキシプロピル)テトラメチルジシロキサンを秤量し、フラスコ内で予め混合し、次いで機械式モーターと、熱電対と、窒素流アダプターとを備えた2Lジャケット付き反応器に入れる。その後、2.4gのトリフル酸をピペットを介して撹拌されている反応混合物に添加する。反応を25℃で約16時間撹拌する。反応が完了した後、溶液を1000mLのトルエンで希釈し、次いで固体塩基で中和し、その後1時間撹拌する。最終混合物を、0.45ミクロンのガラスマイクロファイバーフィルターを使用して濾過する。この時点で、BHT及びMEHQ阻害剤を添加する(それぞれ250ppm)。ポリマー溶液をロータリーエバポレーターで濃縮し、次いで低真空下で残留溶媒を除去する。得られた前駆体は精製せず、数平均分子量が約5,000g/モルであり、平均のxが約31(1HNMRによる)であり、平均のyが約32(1HNMRによる)であると決定される。
【0180】
ヒドロシロキサン含有ポリシロキサン(Mn約3KD)の合成
100.19gのオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、247.39gの1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン(D4H)、及び51.32gの1,3-ビス(3-メタクリロキシプロピル)-テトラメチルジシロキサンを秤量し、フラスコ内で予め混合し、次いで機械式モーターと、熱電対と、窒素流アダプターとを備えた1Lのジャケット付き反応器に入れる。その後、0.8gのトリフル酸をピペットを介して撹拌されている反応混合物に添加する。反応を25℃で約16時間撹拌する。反応が完了した後、溶液を200mLのトルエンで希釈し、次いで固体塩基で中和し、その後1時間撹拌する。最終混合物を、0.45ミクロンのガラスマイクロファイバーフィルターを使用して濾過する。この時点で、BHT及びMEHQ阻害剤を添加する(それぞれ250ppm)。ポリマー溶液をロータリーエバポレーターで濃縮し、次いで低真空下で残留溶媒を除去する。得られた前駆体は精製せず、数平均分子量が約3,000g/モルであり、平均のxが約9.4(1H NMRによる)であり、平均のyが約28.1(1H NMRによる)であると決定される。
【0181】
実施例3
高屈折率ポリシロキサンビニル架橋剤の合成:
【化42】
メカニカルスターラーと、熱電対と、窒素供給口と、セプタムと、コンデンサーとを備えた500mLのジャケット付き反応器を、80℃まで温め、100mL/分の速度で30分間窒素でパージする。アリルフェニルエーテル(約158.62g、すなわちヒドロシロキサン単位に対して2:1のモル比)、トルエン(40mL)、及び約88.1μL(前駆体に対して約25ppm)のKarstedt触媒溶液を反応器に入れる。窒素流量を50mL/分に減らした。実施例2で調製したヒドロシロキサン含有ポリシロキサン(Mn約3KD)(約60.00g)、MEHQ阻害剤(0.0085g)、及びトルエン(60~80mL)をビーカーに入れ、MEHQが溶解するまで10分間撹拌し、プラスチックカニューレを備えた2つの100mLハミルトンガスタイトシリンジに充填した。約70mLのポリマー溶液が入っている各シリンジをHarvard PHD Infusionシリンジポンプに固定し、供給ラインをゴムセプタムを介して反応器に挿入する。トルエン中のヒドロシロキサン含有ポリシロキサンの溶液を、シリンジポンプを介して5時間かけて添加する(速度0.2333mL/分)。反応器の温度は、反応の間80±2℃に維持する。ポリマーの添加後、反応混合物を更に1時間撹拌する。この時間の後、粗反応混合物のIRスキャンにより、Si-H結合が完全に消費されたことが確認される。その後、反応混合物を室温まで冷却し、粗製ポリマーを薄膜蒸留によって精製する(ホットフィンガーの温度は水の還流により100℃に到達し、プロセス全体で減圧は1.3~1.9mbarに維持される)。回収されたポリマーフラクションは-48℃のT
gと1.51553(20℃)の屈折率を有する。最終生成物の
1H NMRスペクトルは、アリルフェニルエーテルの存在を示さない。
【0182】
実施例2で調製したヒドロシロキサン含有ポリシロキサン(Mn約5KD)も、上記の手順に従ってポリシロキサンビニル架橋剤を調製するために使用される。得られたポリシロキサンビニル架橋剤は1.49617(20℃)の屈折率を有する。
【0183】
実施例4
この実施例では、2つの高屈折率ポリシロキサンビニル架橋剤(マクロマー)の合成が説明される。
メカニカルスターラーと、熱電対と、窒素供給口と、セプタムと、コンデンサーとを備えた500mLのジャケット付き反応器に、フェノチアジン(0.096g)、ヒドロシロキサン単位に対して約1.6:1のモル比のアリルベンジルエーテル(約117.9g)、及びトルエン(59mL)を入れる。反応混合物を、室温で30~40分間、100mL/分の速度で窒素でパージする。次いで、約111.2μL(前駆体に関して約40ppm)のKarstedt触媒溶液を反応器に入れ、反応器を95℃まで温め、窒素流を50mL/分に減らす。
【0184】
実施例2で調製したヒドロシロキサン含有ポリシロキサン(Mn=約3KD;x=約9;y=約28)(約48.0g)及びトルエン(24mL)をビーカーに入れ、10分間撹拌し、プラスチックカニューレを備えた100mLのハミルトンガスタイトシリンジの中に入れる。約72mLのポリマー溶液が入っているシリンジをHarvard PHD Infusionシリンジポンプに固定し、供給ラインをゴムセプタムを介して反応器に挿入する。トルエン中のヒドロシロキサン含有ポリシロキサンの溶液を、シリンジポンプを介して2時間かけて添加する(0.6mL/分の速度)。反応器の温度は、反応の間95±2℃に維持する。ポリマーの添加後、反応混合物を更に1時間撹拌する。この時間の後、粗反応混合物のIRスキャンにより、Si-H結合が完全に消費されたことが確認される。その後、反応混合物を室温まで冷却し、粗製ポリマーをシクロヘキサン/アセトニトリル系で抽出することによって精製する。ポリマーはシクロヘキサンに溶解し(下層)、過剰のアリルベンジルエーテルはアセトニトリル層に分配される。典型的には、アリルベンジルエーテルを完全に除去するためには5回の抽出が行われる。抽出後、83.7gの透明で粘稠なほぼ無臭の琥珀色の液体が回収される。
【0185】
ヒドロシリル化反応の最適化中に、アリルフェニルエーテルを使用すると、末端メタクリレート二重結合が大幅に失われ、最大40%に到達することに注目される。反応条件、例えば温度、化学量論量、添加順序、添加時間などを変えても、反応の結果は改善されない。阻害剤(フェノチアジン)レベルを6000ppmまで増やしても二重結合の損失は減少しない。これは、メタクリレート基がシラン(Si-H)とのヒドロシリル化反応でアリル成分と競合してC-Si結合を形成することを示唆している。この競合の結果として、最終マクロマーの粘度の大幅な増加が観察される(表1)。極端な場合には、最終的なポリマーが厚くなりすぎて、これを配合物にブレンドできなくなる可能性がある。しかしながら、アリルフェニルエーテルをアリルベンジルエーテルに置き換えると、非常に異なる結果が観察される。無視できるほど非常にわずかなメタクリレート二重結合の損失がNMRにより観察される。最終的なマクロマーの粘度も低くなり、扱いやすくなる。結果を表1に報告する。
【0186】
【0187】
実施例5
インサート配合物
インサートを製造するための重合性組成物(インサート配合物)は、表2に示される組成を有するように、それらの所望の量(重量部単位)で全ての成分(材料)をブレンドすることによって、空気中、室温で調製される。
【0188】
【0189】
キャスト成形インサート
レンズ配合物を、室温で30~35分間窒素でパージする。N2パージされた重合性組成物(30~40mg)をポリプロピレン製鋳型中に導入し、そして鋳型を密閉し、オーブン中に配置する。オーブンは以下の通りに構成される:オーブンを通過する窒素のフロー速度を制御することができる高フロー容量制御装置を通して窒素供給をオーブンに接続し;オーブンの排出ラインにおいて、オーブンの差圧を制御するために真空ポンプを接続する。
【0190】
鋳型中のインサート配合物(重合性組成物)を、以下の条件下でオーブン中で熱硬化する:25℃、80scfh(標準立方フィート毎時)のN2流量で約30分間保持;約7℃/分の昇温速度で25℃から55℃まで昇温;55℃、40scfhのN2流量で約30分間保持;約7℃/分の昇温速度で55℃から80℃まで昇温;80℃、40scfhのN2流量で約30分間保持;約7℃/分の昇温速度で80℃から100℃まで昇温;100℃、40scfhのN2流量で約30分間保持。鋳型を開放し、成形されたインサートを鋳型から取り出す。
【0191】
インサートは抽出される場合とされない場合がある。インサートの抽出には次の手順が使用される(必要な場合)。最初に、インサートを約3時間、PrOHで抽出し、約10分間、脱イオン水によって2回すすぎ、50℃、26mmHgで1時間、真空オーブン中で乾燥する。インサート配合物#1から得られたインサートは約1.50のRIを有し;インサート配合物#2から得られたインサートは約1.51のRIを有し;インサート配合物#3から得られたインサートは約1.55のRIを有する。
【0192】
SiHyレンズ配合物
2つのSiHyレンズ配合物は、表3に示される組成を有するように、それらの所望の量(重量部単位)で全ての成分(材料)をブレンドすることによって、空気中、室温で調製される。
【0193】
【0194】
SiHyコンタクトレンズの作製
熱又は化学線によりキャスト成形されるSiHyコンタクトレンズは、以下の通りに作製される。
【0195】
成形アセンブリ。上で調製した一定量(約50~60mg)のSiHyレンズ配合物をポリプロピレン製雌型半体に注入し、次いでポリプロピレン製雄型半体を雌型半体の上に置き、鋳型をしっかりと閉じて成形アセンブリを形成する。
【0196】
熱硬化。成形アセンブリ(すなわちSiHyレンズ配合物が中に入っている閉じた鋳型)を、以下の条件下でオーブン中で熱硬化する:25℃、80scfhのN2流量で約30分間保持;約7℃/分の昇温速度で25℃から55℃まで昇温;55℃、40scfhのN2流量で約30分間保持;約7℃/分の昇温速度で55℃から80℃まで昇温;80℃、40scfhのN2流量で約30分間保持;約7℃/分の昇温速度で80℃から100℃まで昇温;100℃、40scfhのN2流量で約30分間保持。
【0197】
化学線硬化。成形アセンブリ(すなわちSiHyレンズ配合物♯5が中に入っている閉じた鋳型)を、約1mW/cm2の強度を有する両面UV硬化オーブン(Wicked Engineering、UV LED Module9W 365nm/405nm)を10分間使用して完全に硬化させる。
【0198】
脱型及びレンズの取り外し。それぞれがその中に成形された未加工のSiHyコンタクトレンズを有するレンズ鋳型を機械的に開放する。成形された未加工のSiHyコンタクトレンズは、雄型半体又は雌型半体に付着している。雄型半体に付着した成形された未加工のSiHyコンタクトレンズは、超音波装置を使用して取り外され;雌型半体に付着した成形された未加工のSiHyコンタクトレンズは、レンズが付着した雌型半体から手で取り外される。
【0199】
レンズ取り外し後のプロセス。取り外された未加工のSiHyコンタクトレンズは、プロピレングリコール:水の50:50混合物を用いて抽出されることができる。好ましくは、取り外された未加工のSiHyコンタクトレンズは、以下の抽出/水和、コーティング、オートクレーブプロセスを受ける。未加工のSiHyコンタクトレンズを、約60分間、脱イオン水又はTween 80(500PPM)の水溶液を含有する浴中に、次いで、約120分間、40℃において約0.1重量%の濃度のポリアクリル酸(PAA、Mw450K)の水溶液を含有する浴中に、次いで、約60分間、室温でPBS溶液を含有する浴中で浸漬し;米国特許第8480227号明細書の実施例19に記載の手順に従って調製された0.65mLのイン-パッケージ-コーティングパッケージング生理食塩水を有するポリプロピレン製レンズパッケージングシェル(又はブリスター)(1つのシェルあたり1つのレンズ)中に包装/密閉し;そして最後に121℃において約45分間、オートクレーブ処理する。得られたSiHyコンタクトレンズは、それぞれその上にハイドロゲルコーティングを有する。
【0200】
得られたSiHyコンタクトレンズのレンズ特性を実施例1に記載の手順に従って決定し、表4に報告する。
【0201】
【0202】
完全埋込式SiHyコンタクトレンズの作製
熱又は化学線によりキャスト成形された埋込式SiHyコンタクトレンズは、以下の通りに作製される。
【0203】
成形アセンブリ。上で作製したインサートを、好ましくは成形面上でインサートの位置を固定するためにインサートに収容するために十分な直径を有する円形に分布した3つ以上のスパイクを有する(ポリプロピレン製)雌型半体の成形面の中央領域に配置し、上で調製した一定量(約50~60mg)のSiHyレンズ配合物を雌型半体中に注入し、インサートを浸漬させ、次いで、ポリプロピレン製雄型半体を雌型半体の上部に配置し、鋳型をしっかりと閉じて成形アセンブリを形成する。
【0204】
熱硬化。成形アセンブリ(すなわちSiHyレンズ配合物中に浸漬されたインサートがそれぞれ中に入っている閉じた鋳型)を、SiHyコンタクトレンズを製造するための上述した手順に従って熱硬化する。
【0205】
化学線硬化。成形アセンブリ(すなわちSiHyレンズ配合物♯5中に浸漬されたインサートがそれぞれ中に入っている閉じた鋳型)を、SiHyコンタクトレンズを製造するための上述した手順に従って化学線により完全に硬化させる。
【0206】
脱型及びレンズの取り外し。脱型及びレンズの取り外しは、SiHyコンタクトレンズの製造について上述した通りに行う。
【0207】
レンズ取り外し後のプロセス。取り外された未加工の埋込式SiHyコンタクトレンズは、SiHyコンタクトレンズを製造するための上述した抽出/水和、コーティング、オートクレーブプロセスを受ける。得られた埋込式SiHyコンタクトレンズは、それぞれその上にハイドロゲルコーティングを有する。
【0208】
得られた埋込式SiHyコンタクトレンズを、顕微鏡下で(すなわち実施例1に記載の手順に従ってOCTを使用して)剥離の可能性について調べる。剥離は観察されない。埋込式SiHyコンタクトレンズは、レンズ取り出し、抽出、コーティング、水和、オートクレーブ処理後に、歪みのない明確なレンズ形状を示す。インサートとバルクSiHy材料の両方が最小の水和時の膨潤比を有しており、その結果内部応力が最小になり、ひいては経時的に優れた形状安定性を有すると考えられる。埋込式SiHyコンタクトレンズの特性評価を表5に報告する。
【0209】
【0210】
少なくとも約0.07の差を有することにより、本発明の埋込式SiHyコンタクトレンズは、回折多焦点コンタクトレンズの製造において特に有用であることができる。
【0211】
部分埋込式SiHyコンタクトレンズの作製
熱又は化学線によりキャスト成形された埋込式SiHyコンタクトレンズは、以下の通りに作製される。
【0212】
上で調製したインサート形成組成物(インサート配合物♯2)を、室温で30~35分間、窒素でパージする。特定の体積(例えば30~40mg)のN2パージされたインサート形成組成物を、ポリプロピレン製の雌型レンズ鋳型半体の成形面の中心に配置する。成形面は成形されるコンタクトレンズの前面を規定する。インサート形成組成物を中に含む雌型レンズ鋳型半体を、ポリプロピレン製であり且つ第1の成形アセンブリを形成するために閉じる際に過剰なインサート形成組成物が押し込まれるオーバーフロー溝を有するように設計されている雄型インサート鋳型半体で閉じる。雄型インサート鋳型半体は、成形されるインサートの後面を規定する成形面を有する。オーブンは以下の通りに構成される:オーブンを通過する窒素のフロー速度を制御することができる高フロー容量制御装置を通して窒素供給をオーブンに接続し;オーブンの排出ラインにおいて、オーブンの差圧を制御するために真空ポンプを接続する。
【0213】
第1の成形アセンブリ内のインサート形成組成物を以下の条件でオーブン中で熱硬化する:約7℃/分の昇温速度で室温から55℃まで昇温;55℃で約30~40分間保持;約7℃/分の昇温速度で55℃から80℃まで昇温;55℃で約30~40分間保持;約7℃/分の昇温速度で80℃から100℃まで昇温;100℃で約30~40分間保持。第1の成形アセンブリを開く。成形されたインサートは、雌型レンズ鋳型半体の成形面の中央領域に付着している。
【0214】
上で調製したレンズ形成組成物(SiHyレンズ配合物♯1)を、室温で30~35分間、窒素でパージする。特定の体積(例えば50~60mg)のN2パージしたレンズ形成組成物を、雌型レンズ型半体の成形面の中央部分に付着した成形されたインサート上に配置する。上に付着したインサート及びレンズ形成組成物を含む雌型レンズ鋳型半体を、ポリプロピレン製であり且つ第2の成形アセンブリを形成するために閉じる際に過剰なインサート形成組成物が押し込まれるオーバーフロー溝を有するように設計されている雄型レンズ鋳型半体で閉じる。雄型レンズ鋳型半体は、成形されコンタクトレンズの後面を規定する成形面を有する。オーブンは以下の通りに構成される:オーブンを通過する窒素のフロー速度を制御することができる高フロー容量制御装置を通して窒素供給をオーブンに接続し;オーブンの排出ラインにおいて、オーブンの差圧を制御するために真空ポンプを接続する。
【0215】
それぞれレンズ成形キャビティ内のレンズ形成組成物に浸漬された成形インサートが入っている閉じた第2の成形アセンブリを、以下の条件下でオーブン内で熱硬化させる:約7℃/分の昇温速度で室温から55℃まで昇温;55℃で約30~40分間保持;約7℃/分の昇温速度で55℃から80℃まで昇温;55℃で約30~40分間保持;約7℃/分の昇温速度で80℃から100℃まで昇温;100℃で約30~40分間保持。中に成形された未加工の埋込式シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズをそれぞれ有する第2の成形アセンブリを機械的に開放する。成形された未加工の埋込式シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、雄型半体又は雌型半体に付着している。雄型半体に付着した成形された未加工の埋込式シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、超音波装置を使用して取り外され;雌型半体に付着した成形された未加工の埋込式シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、レンズが付着した雌型半体から手で取り外される。
【0216】
取り外された未加工の埋込式SiHyコンタクトレンズは、SiHyコンタクトレンズを製造するための上述した抽出/水和、コーティング、オートクレーブ処理を受ける。得られた埋込式SiHyコンタクトレンズは、それぞれその上にハイドロゲルコーティングを有する。
【0217】
得られた部分埋込式SiHyコンタクトレンズを、実施例1に記載の手順に従ってOCTを使用して、剥離の可能性について調べる。剥離は観察されない。埋込式SiHyコンタクトレンズは、レンズ取り出し、抽出、コーティング、水和、及びオートクレーブ処理後に、歪みのない明確なレンズ形状を示す。インサートとバルクSiHy材料の両方が最小の水和時の膨潤比を有しており、その結果内部応力が最小になり、ひいては経時的に優れた形状安定性を有すると考えられる。埋込式SiHyコンタクトレンズの特性評価を表6に報告する。
【0218】
【0219】
少なくとも約0.08の差を有することにより、本発明の部分埋込式SiHyコンタクトレンズは、回折多焦点コンタクトレンズの製造において特に有用であることができる。
【0220】
本明細書において上で引用された、全ての刊行物、特許、及び公開特許公報は、それらの全体を参照により本明細書に援用される。
【国際調査報告】