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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】端子プリチェックを有する圧着機
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/048 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
H01R43/048 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552307
(86)(22)【出願日】2022-03-01
(85)【翻訳文提出日】2023-10-27
(86)【国際出願番号】 IB2022051814
(87)【国際公開番号】W WO2022185219
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】17/188,353
(32)【優先日】2021-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518345815
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ソリューソンズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】オーロウスキー,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ボリスク,ペーター ジョン
【テーマコード(参考)】
5E063
【Fターム(参考)】
5E063CB19
5E063CC05
(57)【要約】
圧着機(100)は、下側形成面(124)を有する下側ダイ(122)を有するアンビル(120)を含み、アンビルは、ワイヤ(104)を受け入れる端子(102)の圧着バレル(184)を支持するように構成される。圧着機は、上側形成面(134)を有する上側ダイ(132)を有するプレス(130)を含む。プレスは、圧着バレルをワイヤに接続するために、圧着プロセス中にアンビルに対して移動可能である。圧着領域(106)が、上側形成面と下側形成面との間に画定される。圧着機は、圧着領域を視認するように配置される視覚システム(200)を含む。視覚システムは、端子の圧着バレルおよびワイヤを撮像するように構成される撮像デバイス(202)を含む。視覚システムは、圧着プロセスの前に検証プリチェックを行うために、圧着プロセスの前に画像を撮るように撮像デバイスを動作させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧着機(100)であって、
- 下側形成面(124)を有する下側ダイ(122)を有するアンビル(120)であって、前記アンビルは、ワイヤ(104)を受け入れる端子(102)の圧着バレル(184)を支持するように構成されている、アンビル(120)と、
- 上側形成面(134)を有する上側ダイ(132)を有するプレス(130)であって、前記プレスは、前記圧着バレルを前記ワイヤに接続するために、圧着プロセス中に前記アンビルに対して移動可能であり、圧着領域(106)が、前記上側形成面と前記下側形成面との間に画定されている、プレス(130)と、
- 前記圧着領域を視認するように配置されている視覚システム(200)であって、前記視覚システムは、前記端子の前記圧着バレルおよび前記ワイヤを撮像するように構成されている撮像デバイス(202)を含み、前記視覚システムは、前記圧着プロセスの前に検証プリチェックを行うために、前記圧着プロセスの前に画像を撮るように前記撮像デバイスを動作させる、視覚システム(200)と、
を備える圧着機(100)。
【請求項2】
前記視覚システム(200)は、前記検証プリチェックが合格の検証プリチェックであるか、または前記検証プリチェックが不合格の検証プリチェックであるかを決定するために、前記画像を処理する、
請求項1に記載の圧着機(100)。
【請求項3】
前記プレス(130)に動作可能に結合するコントローラ(150)をさらに備え、
前記コントローラは、前記プレスを前記圧着プロセス中に移動させるように構成され、
前記コントローラは、前記検証プリチェックに基づいて前記プレスを動作させる、
請求項1に記載の圧着機(100)。
【請求項4】
前記コントローラ(150)は、前記検証プリチェックが合格の検証プリチェックである場合に前記プレス(130)を動作させ、
前記コントローラは、前記検証プリチェックが不合格の検証プリチェックである場合に前記プレスの動作を制限する、
請求項3に記載の圧着機(100)。
【請求項5】
キャビネットをさらに備え、
前記アンビル(120)および前記プレス(130)は、前記キャビネットに受け入れられ、
前記視覚システム(200)は、ブラケットを含み、
前記撮像デバイス(202)は、前記ブラケットに取り付けられ、
前記ブラケットは、前記キャビネットに結合されている、
請求項1に記載の圧着機(100)。
【請求項6】
前記アンビル(120)は下側ダイグラフィック識別子(212)を含み、前記下側ダイグラフィック識別子(212)は、コンピュータにより読み取り可能であり、前記下側ダイ(122)に配されており、
前記プレス(130)は上側ダイグラフィック識別子(210)を含み、前記上側ダイグラフィック識別子(210)は、コンピュータにより読み取り可能であり、前記上側ダイ(132)に配されており、
前記撮像デバイス(202)は、前記下側ダイグラフィック識別子または前記上側ダイグラフィック識別子のうちの少なくとも一方を撮像するように構成され、
前記視覚システム(200)は、前記検証プリチェックを行うために前記画像における前記下側ダイグラフィック識別子または前記上側ダイグラフィック識別子のうちの前記少なくとも一方を読み取る、
請求項1に記載の圧着機(100)。
【請求項7】
前記下側ダイグラフィック識別子(210)は、スキャン可能なバーコードであり、
前記上側ダイグラフィック識別子(212)は、スキャン可能なバーコードである、
請求項6に記載の圧着機(100)。
【請求項8】
前記視覚システム(200)に通信可能に結合するユーザインターフェースをさらに備え、
前記ユーザインターフェースは、ディスプレイを含み、
前記画像は、ユーザによる確認のために前記ディスプレイに表示される、
請求項1に記載の圧着機(100)。
【請求項9】
前記ディスプレイは、前記ユーザによる確認のために検証グラフィック(220)を前記画像にオーバーレイし、
前記検証グラフィックは、前記検証プリチェックのために前記視覚システム(200)により用いられる検証基準に関連する、
請求項8に記載の圧着機(100)。
【請求項10】
前記オーバーレイされた検証グラフィック(220)は、前記検証プリチェック中に前記視覚システム(200)により用いられる前記検証基準を調節するために、前記ユーザによりカスタマイズ可能である、
請求項9に記載の圧着機(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の主題は、一般に圧着機に関する。
【背景技術】
【0002】
電気端子は、リード線またはワイヤハーネスを形成するための、卓上機またはリード線作製機などの圧着機により、ワイヤに圧着される場合がある。通常の圧着作業では、端子が圧着機の圧着領域に配置され、ワイヤが端子のフェルールまたはバレルに挿入される。次いで、圧着機のラムが、圧着ストロークに沿ってワイヤおよび端子に向かって移動する。ラムは、端子をワイヤの周囲にピンチまたは圧着し、それにより、ワイヤを端子に機械的かつ電気的に接続し、リード線を形成する。
【0003】
圧着領域における端子に対するワイヤの位置および向き、ならびに圧着領域における器具に対する端子の位置は、圧着機の全体的な生産能力および生産効率にとって重要である。例えば、生産リード線は、非常に厳格な圧着仕様を満たす必要がある。端子に対して横方向または前後方向のいずれかにおいて適切に配置されていないワイヤは、圧着仕様を満たさない場合がある。加えて、器具に誤配置された端子は、圧着仕様を満たさない場合がある。一部の既知の圧着機は、様々な成端後チェックを用いて圧着品質を確保する。例えば、一部の既知の圧着機は、圧着品質試験のために圧着力分析および/または位置分析を用いる。他のシステムは、圧着品質分析のために完成した成端部の引張試験または断面カットを用いる。既知の圧着品質試験の一部は、成端部に対して破壊的であり、これは時間および材料を浪費する。加えて、圧着品質試験は、圧着が完了した後に行われる。圧着仕様を満たさない成端部は廃棄され、これは時間および材料を浪費する。成端後チェックは、複数の成端部を有する、自動車産業において用いられるような高コストなケーブルアセンブリまたはワイヤハーネスを用いる用途で特に問題となる。この場合、成端部のいずれかが圧着仕様を満たさない場合には、ワイヤハーネス全体が廃棄される場合がある。
【発明の概要】
【0004】
ここで、添付の図面を参照して、本発明を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】例示的実施形態に係る圧着機を示す図である。
図2】例示的実施形態に係るリード線またはワイヤハーネスの一部分を示す図である。
図3】例示的実施形態に係る視覚システムにより撮影された圧着機の一部分の正面画像である。
図4】例示的実施形態に係る視覚システムにより撮影された圧着機の一部分の左側画像である。
図5】例示的実施形態に係る視覚システムにより撮影された圧着機の一部分の右側画像である。
図6】例示的実施形態に係る視覚システムにより撮影された圧着機の一部分の上面画像である。
図7】例示的実施形態に係る視覚システムにより撮影された圧着機の一部分の上面画像である。
図8】例示的実施形態に係る視覚システムにより撮影された圧着機の一部分の上面画像である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1は、例示的実施形態に係る圧着機100を示す図である。圧着機100は、圧着機100の圧着領域106において端子102をワイヤ104の端部に圧着するために用いられる。ワイヤ104は、複数のワイヤ104を含むワイヤハーネスの一部であってよい。様々な実施形態において、端子102は、ブレード端子またはソケット端子などの高電圧電力端子であってよい。代替的実施形態においては、他のタイプの端子が設けられてもよい。様々な実施形態において、ワイヤ104における端子102は、例えば電気自動車のバッテリシステムの一部として、自動車用途において用いられてよい。
【0007】
例示的実施形態において、圧着機100は、端子102および/またはワイヤ104および/または圧着機100の他の構成要素を撮像するように構成される1つまたは複数の撮像デバイス202を含む視覚システム200を含む。撮像デバイス202は、カメラ、スキャナ、光学リーダ、または他のタイプの撮像デバイスであってよい。視覚システム200は、例えば、端子またはワイヤへの損傷、端子またはワイヤの不正確な配置等のような欠陥を特定するための圧着品質のモニタリングや、適切な端子、ワイヤおよび圧着ダイの確認等を特定するための圧着品質のモニタリングに用いられる。例示的実施形態において、視覚システム200は、圧着プロセスの前に検証プリチェックを行う。例えば、視覚システム200は、検証プリチェックを行うために、圧着プロセスの前に画像を撮るようにカメラ202を動作させる。検証プリチェックプロセスは、圧着プロセスを行う前に、特定の成端基準をチェックし検証する。そのため、圧着品質が高まり、屑および廃物が低減し、製品スループットが向上する。
【0008】
圧着機100は、圧着機100の様々な構成要素を保持するキャビネット110を含む。キャビネット110は、空洞部114を取り囲む1つまたは複数の壁112により画定される。圧着機100は、空洞部114内に受け入れられる成端構成要素を含む。例えば、成端構成要素は、アンビル120、およびアンビル120に対して移動可能なプレス130を含む。圧着領域106は、アンビル120とプレス130との間に画定される。端子102は、アンビル120とプレス130との間でワイヤ104の端部に圧着される。例示的実施形態において、アンビル120は、固定または定置される。代替的に、アンビル120は、圧着プロセス中にキャビネット110内で移動可能であってもよい。
【0009】
アンビル120は、下側形成面124を有する下側ダイ122を含む。下側形成面124は、圧着プロセス中に端子102を整形するために用いられる形成プロファイルを有する。様々な実施形態において、下側形成面124は、平面状であってよい。他の様々な実施形態において、下側形成面124は、例えば湾曲したまたは角度のついたプロファイルを含む、非平面状のものであってもよい。アンビル120は、圧着領域106の底部に配置され、圧着プロセス中に端子102の圧着バレルおよび/またはワイヤ104を支持するために用いられる。例えば、端子102の底部が、下側形成面124に支持されてよい。例示的実施形態において、下側ダイ122は、取り外し可能かつ交換可能である。例えば、異なる端子102を形成するために、異なるサイズおよび/または形状の下側形成面124を有する一組の下側ダイ122が設けられてよい。例えば、異なるサイズの端子102を圧着する、または各端子102について異なるタイプのクリンプを形成するために、異なる下側ダイ122が用いられてよい。
【0010】
プレス130は、上側形成面134を有する上側ダイ132を含む。上側形成面134は、圧着プロセス中に端子102を整形するために用いられる形成プロファイルを有する。様々な実施形態において、上側形成面134は、M字形状を有してよい。例えば、上側形成面134は、端子102の圧着バレルを形成するための、中央に配置されるウェッジを有してよい。様々な実施形態において、上側形成面134は、Fクリンプを形成するために用いられてよい。プレス130は、圧着領域106の頂部に配置される。プレス130は、端子102をワイヤ104に圧着するために、圧着プロセス中にアンビル120に向かって駆動される。例示的実施形態において、プレス130は、アクチュエータ138により上下に駆動されるラム136を含む。様々な実施形態において、アクチュエータ138は、圧着プロセス中にラム136を駆動するために用いられる電気モータであってよい。代替的実施形態においては、液圧式アクチュエータまたは空気圧式アクチュエータなどの他のタイプのアクチュエータが用いられてもよい。例示的実施形態において、上側ダイ132は、取り外し可能かつ交換可能である。例えば、異なる端子102を形成するために、異なるサイズおよび/または形状の上側形成面134を有する一組の上側ダイ132が設けられてよい。例えば、異なるサイズの端子102を圧着する、または各端子102について異なるタイプのクリンプを形成するために、異なる上側ダイ132が用いられてよい。
【0011】
例示的実施形態において、圧着機100は、プレス130に動作可能に結合するコントローラ150を含む。コントローラ150は、圧着機100の動作を制御するためのコンピュータおよび/またはプロセッサを含んでよい。例示的実施形態において、圧着機100は、コントローラ150と関連付けられるユーザインターフェース152を含む。ユーザインターフェース152は、ディスプレイ154および1つまたは複数のユーザ入力部156を含む。ユーザ入力部156は、ボタン、ダイアル、ノブ、キーボード、キーパッド、マウスまたはポインタデバイス、または他のタイプのユーザ入力部を含んでよい。例示的実施形態において、ディスプレイ154は、視覚システム200からの1つまたは複数の画像を表示するように構成される。例えば、ディスプレイ154は、圧着領域106の画像を表示してよい。ディスプレイ154は、端子102および/またはワイヤ104を表示してよい。ディスプレイ154は、下側ダイ122および/または上側ダイ132を表示してよい。
【0012】
コントローラ150は、圧着プロセス中におけるプレス130の動作を制御する。コントローラ150は、圧着プロセス中にプレス130を移動させる。例えば、コントローラ150は、圧着プロセス中にアクチュエータ138をオンおよびオフにするために、アクチュエータ138に動作可能に結合してよい。コントローラ150は、視覚システム200に通信可能に結合する。コントローラ150および視覚システム200の構成要素は、キャビネット110内に共に収容されてよい。コントローラ150は、圧着プロセスを制御するために、視覚システム200からの入力を受け取る。例えば、コントローラ150は、システムが検証プリチェックに合格した場合に第1の信号を受け取ってよく、システムが検証プリチェックに不合格となった場合に第2の信号を受け取ってよい。コントローラ150は、システムが検証プリチェックに合格すると、圧着プロセスが進行することを許可してよい。コントローラ150は、システムが検証プリチェックに不合格となると、圧着プロセスが進行することを制限してよい、または許可しなくてよい。そのため、圧着機100は、システムが特定の検証基準に合格しない限り圧着プロセスを制限することにより、高品質な圧着を出力する。
【0013】
例示的実施形態において、視覚システム200は、検証プリチェックのための画像分析を行う画像分析モジュール204を含む。画像分析モジュール204は、画像分析を行うための1つまたは複数のプロセッサおよび1つまたは複数のメモリを含んでよい。プロセッサおよび/またはメモリは、1つまたは複数の回路基板に設けられてよい。コントローラ150は、画像分析モジュール204と通信するために回路基板に結合してよい。画像分析モジュール204は、カメラ202からの画像を検証基準と比較して、検証プリチェックに合格または不合格とする。例示的実施形態において、画像分析モジュール204は、形状認識ツールを用いて画像を処理することで、端子102および/またはワイヤ104および/または圧着ダイ122、132についての検証結果を決定する。様々な実施形態において、画像は、画像において検出された境界および表面の特徴抽出を行い、境界および表面を画像分析モデル204と比較することにより処理される。画像分析モジュール204は、抽出された境界および表面の位置を、画像分析モジュール204内で画定される許容可能な限度または範囲と比較してよい。画像は、成端の前および/または成端の後に撮影されてよい。例えば、成端の後にチェックが行われてよく、成端が適切であるかを推測するために、確定されたプリチェックからのずれが視覚システム100により行うことができる。
【0014】
例示的実施形態において、視覚システム200は、人工知能(AI)学習モジュール206を含む。AI学習モジュール206は、人工知能を用いて、画像分析モジュール204を訓練し、画像分析モジュール204の検査精度を向上させる。例えば、視覚システム200は、カメラ202を用いて、端子なしの画像、端子ありの画像、および端子およびワイヤありの画像などの、圧着領域の複数の画像を撮影してよい。画像は、圧着領域内における端子およびワイヤの様々な状況および構成の比較などの、AI学習モジュール206の訓練に用いられる。AI学習モジュール206の訓練の助けとなるように、画像の一部は良好な圧着に対応するものであってよく、画像の一部は不良な圧着に対応するものであってよい。AI学習モジュール206は、人工知能を用いて、画像に基づいて圧着品質を推測する。AI学習モジュール206は、カメラ202から受け取った画像に基づいて、画像分析モジュール204をカスタマイズおよび構成する。画像分析モジュール204は、較正プロセス中に事前訓練済みであることに加えて、圧着機100の動作中にリアルタイムで更新および訓練されてよい。AI学習モジュール206は、画像分析モジュール204を訓練し、画像分析モデルをさらに開発するために、学習モードで動作可能であってよい。画像分析モデル204は、AI学習モジュール206からの入力に基づいて(例えばカメラ202により撮影された端子102およびワイヤ104の画像に基づいて)、時間と共に変化する。AI学習モジュール206は、別個のエンティティにより事前訓練され、またはユーザにより現場で訓練され得るモデルおよび実行可能コードを含む。
【0015】
図2は、例示的実施形態に係るリード線またはワイヤハーネスの一部分を示す。図2は、成端前における例示的実施形態に係る端子102およびワイヤ104を示す。ワイヤ104は、導体170、および導体170を取り囲む絶縁体172を含む。
【0016】
様々な実施形態において、ワイヤ104は、導体170と同軸のアウターシールド(不図示)を有し、アウターシールドと導体170との間に絶縁体172を挟んだシールドワイヤであってよい。アウタージャケット(不図示)は、アウターシールドを取り囲む。他の実施形態においては、例えば例示の実施形態においては、絶縁体172がアウタージャケットを形成する。例示的実施形態において、異なるワイヤ104は、ワイヤ104のワイヤゲージに対応し得る異なる色の絶縁体172を有してよい。例示的実施形態において、絶縁体の色が、プリチェック検証のために視覚システム200により決定されてよい。他の様々な実施形態においては、絶縁体172の直径が、プリチェック検証のために視覚システム200により決定されてよい。
【0017】
導体170は、撚り線であってよい。代替的に、導体170は、ソリッドコア導体であってもよい。導体170は、ワイヤ104のワイヤゲージに対応する直径を有する。例示的実施形態において、導体170の直径が、プリチェック検証のために視覚システム200により決定されてよい。
【0018】
ワイヤ104は、ワイヤ104の端部における絶縁体172の一部分を除去して導体170を露出させることにより準備される。露出する導体170の長さは、ストリップ長さと称される。例えば、ストリップ長さは、除去される絶縁体172の長さに等しい。例示的実施形態において、ストリップ長さが、プリチェック検証のために視覚システム200により決定されてよい。導体170の露出部分は、端子102とワイヤ104との間の機械的接続および電気的接続のために、端子102に配置される。例示的実施形態において、端子102に対する導体170の位置が、プリチェック検証のために視覚システム200により決定されてよい。例えば、視覚システム200は、端子102の圧着バレル部に受け入れられる導体170の長さ、および/または、端子102の圧着バレル部を越えて突出する導体170の量を決定してよい。視覚システム200は、端子102の圧着バレル部に受け入れられる絶縁体172の長さを、それが存在する場合には、決定してよい。
【0019】
端子102は、金属材料から製造され、導電性である。端子102は、圧着プロセス中にワイヤ104に機械的かつ電気的に結合するように構成される。例示的実施形態において、端子102は、嵌合端部180と成端端部182との間で延びる。成端端部182は、ワイヤ104の端部に圧着されるように構成される。例えば、成端端部182は、絶縁体172および/または導体170に圧着されてよい。成端端部182は、ワイヤ104を受け入れるように構成される圧着バレル184を含む。圧着バレル184は、圧着タブ188が側部に配されるカップ186を含む。圧着タブ188は、ワイヤ104の導体170に機械的かつ電気的に接続するように、圧着プロセス中に折り重ねられるように構成される。例示的実施形態において、圧着バレル184のサイズおよび形状が、プリチェック検証のために視覚システム200により決定されてよい。例えば、圧着タブ188の長さおよび/または幅および/または高さが、視覚システム200により決定されてよい。カップ186のサイズが、視覚システム200により決定されてよい。ワイヤ104および圧着バレル184の相対位置が、視覚システム200により決定されてよい。
【0020】
様々な実施形態において、嵌合端部180は、ブレード端子を受け入れるように構成されるソケットを形成する。例えば、ソケットは、矩形の形状であってよい。他の様々な実施形態において、ソケットは、円筒形の形状であってもよい。代替的実施形態において、嵌合端部180は、相手側端子に差し込まれるように構成されるブレード(例えば平面状の略矩形の構造体)であってもよい。他の様々な実施形態において、嵌合端部180は、円筒形ピンなどのピンであってもよい。代替的実施形態において、嵌合端部180は、他の形状および特徴を有してもよい。例えば、嵌合端部180は、ねじ付きポストなどのポストを含んでよい。代替的に、嵌合端部180は、ボルトを受け入れるように構成されるねじ付き開口部などの開口部を含んでもよい。代替的実施形態においては、他のタイプの嵌合端部が用いられてもよい。例示的実施形態において、嵌合端部180のサイズおよび/または形が、検証プリチェックのために視覚システム200により決定されてよい。
【0021】
図3は、例示的実施形態に係る視覚システム200により撮影された圧着機100の一部分の正面画像である。図4は、例示的実施形態に係る視覚システム200により撮影された圧着機100の一部分の左側画像である。図5は、例示的実施形態に係る視覚システム200により撮影された圧着機100の一部分の右側画像である。図3図5は、圧着領域106における端子102およびワイヤ104を示す。図3は、下側ダイ122および上側ダイ132を示す。図4および図5は、下側ダイ122を示すが、上側ダイ132は、図から遮られているかまたは図の外側にある。
【0022】
例示的実施形態において、アンビル120は下側ダイグラフィック識別子210を含み、プレス130は上側ダイグラフィック識別子212を含む。下側ダイグラフィック識別子210は下側ダイ122に配され、上側ダイグラフィック識別子212は上側ダイ132に配される。例示の実施形態において、下側ダイグラフィック識別子210は、下側ダイ122の上面に配される。代替的実施形態においては、他の位置も可能である。例示の実施形態において、上側ダイグラフィック識別子212は、上側ダイ132の前面に配される。代替的実施形態においては、他の位置も可能である。任意選択で、複数の下側グラフィック識別子210および/または複数の上側グラフィック識別子212が設けられてもよい。複数の下側グラフィック識別子210は、互いに異なっていてよい。複数の上側グラフィック識別子212は、互いに異なっていてよい。例示的実施形態において、グラフィック識別子210、212は、コンピュータにより読み取り可能なラベルである。例えば、グラフィック識別子210、212は、視覚システム200によりスキャン可能である。例示的実施形態において、グラフィック識別子210、212は、機械により読み取り可能な光学ラベルである。例えば、グラフィック識別子210、212は、QRコード(登録商標)、バーコード、データマトリックスコード、または他のタイプの光学ラベルであってよい。代替的実施形態においては、下側ダイ122または上側ダイ132の表面、下側ダイ122または上側ダイ132における図柄、または視覚システム200により識別可能な他の特徴などの、他のタイプの識別子が用いられてもよい。例示的実施形態において、グラフィック識別子210、212は、検証プリチェックのために視覚システム200により分析されてよい。例えば、視覚システム200は、圧着動作を行う前に、圧着を行うために正しい下側ダイ122および正しい上側ダイ132が機械内で使用されていることを決定してよい。
【0023】
使用中、端子102およびワイヤ104が、圧着機100の圧着領域106に搭載される。例えば、端子102がアンビル120に配置される。アンビル120は、端子102を下側ダイ122に対して配置するための配置機構を含む。例えば、配置機構は、端子102に係合し端子102を位置決めする壁または面であってよい。例示的実施形態において、端子102は、圧着バレル184が下側ダイ122の下側形成面124に載るように配置される。ワイヤ104は、圧着バレル184に搭載される。例えば、ワイヤ104のストリップされた端部は、導体170が圧着バレル184に受け入れられるように配置される。任意選択で、絶縁体172の一部分が圧着バレル184に配置されてもよい。代替的に、絶縁体172のいずれの部分も圧着バレル184に配置されない。
【0024】
端子102およびワイヤ104が圧着領域106に配置された後、視覚システム200は、検証プリチェックを行うように動作される。例えば、カメラ202は、圧着領域106を撮像するように動作される。例示的実施形態において、端子102およびワイヤ104は、画像内で視認可能である。例示的実施形態において、下側ダイ122および上側ダイ132は、画像内で視認可能である。任意選択で、複数のカメラ202が、圧着領域106に対して異なる位置に設けられる。複数のカメラ202は、異なる角度から圧着領域106を撮像する。複数のカメラ202からの画像は、圧着作業を行う前に、検証プリチェックを行うために分析される。様々な実施形態において、視覚システム200は、手動で作動される。例えば、ユーザが、ユーザインターフェース152(図1に示す)において検証プリチェックを開始してよい。代替的実施形態において、視覚システム200は、自動的に作動されてもよく、例えば周期的にまたは継続的に動作されてもよい。視覚システム200が作動されると、カメラ202が圧着領域106の画像を撮る。カメラ202により撮影される画像は、可視スペクトルにおけるものであってもよく、または、赤外画像、X線画像等のような他のスペクトルにおけるものであってもよい。視覚システム200は、画像を分析して、1つまたは複数の検証基準が満たされているかを確認する。検証基準が満たされている場合、検証プリチェックは合格の検証プリチェックとなり、圧着プロセスが進行することが許可される。例えば、コントローラ150(図1に示す)が、プレス130を圧着ストロークにわたって移動させるようにアクチュエータ138(図1に示す)に信号を送ってよい。1つまたは複数の検証基準が満たされない場合、検証プリチェックは不合格の検証プリチェックとなり、圧着プロセスが制限される。例えば、プレス130は、圧着作業を行うために圧着ストロークにわたって移動することができない。
【0025】
様々な実施形態において、検証プリチェックのための検証基準は、適切な下側ダイ122がアンビル120内に設けられていることをチェックすることを含む。例えば、異なる端子の成端には、異なる下側ダイ122が用いられてよい。検証プリチェックは、成端中の特定の端子に対して適切な下側ダイ122が設けられていることを確実にする。様々な実施形態において、検証プリチェックのための検証基準は、適切な上側ダイ132がプレス130内に設けられていることをチェックすることを含む。例えば、異なる端子の成端には、異なる上側ダイ132が用いられてよい。検証プリチェックは、成端中の特定の端子に対して適切な上側ダイ132が設けられていることを確実にする。任意選択で、下側ダイ122および上側ダイ132は、合致したセットの一部であってよい。検証プリチェックは、下側ダイ122および上側ダイ132が合致したセットの一部であることを決定してよい。例示的実施形態において、視覚システム200は、下側ダイグラフィック識別子210および上側ダイグラフィック識別子212をスキャンおよび分析することにより、下側ダイ122および上側ダイ132をチェックする。
【0026】
様々な実施形態において、検証プリチェックのための検証基準は、アンビル120内における下側ダイ122の適切な向きをチェックすることを含む。例えば、検証プリチェックは、下側ダイ122が前方を向いている、例えばワイヤに向いていることを決定するために用いられる。様々な実施形態において、検証プリチェックのための検証基準は、プレス130内における上側ダイ132の適切な向きをチェックすることを含む。例えば、検証プリチェックは、上側ダイ132が前方を向いている、例えばワイヤに向いていることを決定するために用いられる。例示的実施形態において、視覚システム200は、下側ダイグラフィック識別子210および上側ダイグラフィック識別子212をスキャンおよび分析することにより、下側ダイ122および上側ダイ132をチェックする。
【0027】
様々な実施形態において、検証プリチェックのための検証基準は、圧着領域106内における端子102の適切な配置をチェックすることを含む。例えば、検証プリチェックは、端子102が下側ダイ122に対して適切に配置されていることを決定するために用いられる。検証プリチェックは、端子102が上側ダイ132に対して適切に配置されていることを決定するために用いられてもよい。様々な実施形態において、検証プリチェックは、圧着領域106内における端子102の前後方向の配置を検証する。様々な実施形態において、検証プリチェックは、圧着領域106内における端子102の横方向の配置を検証する。様々な実施形態において、検証プリチェックは、圧着領域106内における端子102の鉛直方向の配置を検証する。例えば、検証プリチェックは、端子102の圧着バレル184が、下側ダイ122の下側形成面124に載っていることを検証してよい。例示的実施形態において、視覚システム200は、画像を分析し、パターン認識または境界認識を行って、端子102の特徴を識別することにより、検証プリチェックを行う。例えば、視覚システム200は、端子102の前部または縁部、および/または圧着バレル184の外面、および/または圧着タブ188の位置を決定することにより、圧着バレル184の位置を決定してよい。
【0028】
様々な実施形態において、検証プリチェックのための検証基準は、圧着領域106内におけるワイヤ104の適切な配置をチェックすることを含む。例えば、検証プリチェックは、ワイヤ104が端子102に対して適切に配置されていることを決定するために用いられる。様々な実施形態において、検証プリチェックは、端子102に対するワイヤ104の前後方向の配置を検証する。様々な実施形態において、検証プリチェックは、端子102に対するワイヤ104の横方向の配置を検証する。様々な実施形態において、検証プリチェックは、端子102に対するワイヤ104の鉛直方向の配置を検証する。様々な実施形態において、検証プリチェックは、例えば1つまたは複数の軸に対するかつ/または端子102に対する、ワイヤ104の角度位置を検証する。例えば、検証プリチェックは、1つまたは複数の軸からの角度ずれが許容値以内であることを決定してよい。例示的実施形態において、視覚システム200は、画像を分析し、パターン認識または境界認識を行って、ワイヤ104の特徴を識別することにより、検証プリチェックを行う。例えば、視覚システム200は、導体170の端部174および/または絶縁体172の端部176の位置を決定してよい。視覚システム200は、導体170の側部および/または絶縁体172の側部の位置を決定してよい。視覚システム200は、アウターシールドおよび/またはアウタージャケットなどの、ワイヤ104の他の特徴の位置を決定してよい。様々な実施形態において、視覚システム200は、ワイヤ中心線を圧着バレル中心線と比較することにより、端子102に対するワイヤ104の適切な配置を決定してよい。例えば、圧着バレル中心線に対するワイヤ中心線のオフセットが閾値距離を越えると、端子102に対するワイヤ104の適切な位置決めができず、検証プリチェックの不合格につながる。
【0029】
様々な実施形態において、検証プリチェックは、正しい端子102および正しいワイヤ104が圧着領域106内に配置されていることを決定するために用いられる。視覚システム200は、画像に基づいて、端子102のサイズおよび/またはタイプを決定してよい。例えば、視覚システム200は、正しい端子102が圧着領域106内に配置されていることを決定するために、端子102、または圧着バレル184などの端子102の特徴の高さおよび/または幅および/または長さを決定してよい。視覚システム200は、画像に基づいて、ワイヤ104のサイズおよび/またはタイプを決定してよい。例えば、視覚システム200は、ワイヤ104のタイプを決定するために、絶縁体172の色を決定してよい。視覚システム200は、ワイヤ104のタイプを決定するために、導体170の直径および/または絶縁体172の直径を決定してよい。
【0030】
様々な実施形態において、検証プリチェックは、圧着を行う前に、ワイヤ104の適切な準備を決定するために用いられる。例えば、視覚システム200は、十分な長さの導体170が端子102の成端のために絶縁体172を越えて露出していることを決定するために、絶縁体172のストリップ長さを決定してよい。ストリップ長さは、導体170の端部174を識別し、絶縁体172の端部176を識別することにより決定されてよい。
【0031】
様々な実施形態において、検証プリチェックは、圧着バレル184内に配置された絶縁体172の長さを決定することにより、端子102に対するワイヤ104の適切な配置を決定する。様々な実施形態において、圧着バレル184内の任意の長さの絶縁体172は、検証プリチェックの不合格に相当する。代替的実施形態においては、特定の長さの絶縁体172が、圧着バレル184内に配置されるように設計される。所定の許容可能な長さを越える任意の長さの絶縁体172は、検証プリチェックの不合格に相当する。
【0032】
様々な実施形態において、検証プリチェックは、圧着バレル184を越えて配置された導体170の長さを決定することにより、端子102に対するワイヤ104の適切な配置を決定する。例えば、視覚システム200は、圧着バレル184の後方へのケーブルの突出量を決定する。様々な実施形態において、圧着バレル184を越えて突出する任意の長さの導体170は、検証プリチェックの不合格に相当する。代替的実施形態においては、特定の長さの導体170が、圧着バレル184を越えて突出するように設計される。所定の許容可能な長さを越える任意の長さの導体170は、検証プリチェックの不合格に相当する。視覚システム200は、検証プリチェックの合格または不合格を決定するために、圧着バレル184の前方に延びるケーブルの量を決定してよい。
【0033】
例示的実施形態において、システムは、検証プリチェックのうちの一部のみを用いるように構成されるか、または検証プリチェックの全てを用いるように構成されてもよい。例えば、システムは、検証プリチェックの任意の順列を有効化または無効化するようにユーザインターフェース152において設定されてよい。
【0034】
図6は、例示的実施形態に係る視覚システム200により撮影された圧着機100の一部分の上面画像である。図6は、圧着領域106における端子102およびワイヤ104を示す。図6は、ユーザインターフェース152におけるディスプレイ154(図1に示す)に表示される画像を示す。例示的実施形態において、視覚システム200は、ユーザによる確認のために、ディスプレイ154に表示される画像に検証グラフィック220をオーバーレイするように構成される。検証グラフィック220は、検証プリチェックのために視覚システム200により用いられる検証基準に関連する。例えば、検証グラフィック220は、許容可能な限度または範囲を設定する、画像分析モジュール204により用いられる検証基準と対応する。検証グラフィック220は、検証プリチェックに適用されるべき最小許容値および最大許容値を課すためにユーザにより構成可能または調節可能な、ユーザインターフェース152に含まれる重ね合わされた限度線であってよい。そのため、エンドユーザは、自身の要件に合うように検証基準を較正または調節することが可能である。限度線は、検証基準を調整または更新するために、実行時間中または実行時間前に調節されてよい。検証プリチェックに用いられる基準は、画像およびオーバーレイされた検証グラフィックの両方に基づく。検証グラフィック220は、視覚システム200により動作されるニューラルネットワークの訓練中に、例えば工場での較正またはセットアップ中に用いられてよい。例えば、視覚システム200は、検証プリチェックのための許容限度を訓練するために、検証グラフィック220を画像にオーバーレイしてよい。検証グラフィック220は、視覚システム200により動作されるニューラルネットワークの訓練中にコンピュータにより生成されてよい。例示的実施形態において、視覚システム200は、検証プリチェックを行うために検証プリチェック基準を用いる。検証プリチェック基準は、例えば圧着機の事前訓練および較正が行われる製造施設において、圧着機100を用いてまたは別の機械を用いて、訓練プロセスにより生成され、次いで圧着機100にアップロードされてよい。
【0035】
検証グラフィック220は、検証プリチェックのために視覚システム200により用いられる検証基準の視覚的表示を提供する。様々なタイプの検証グラフィック220が、視覚システム200により用いられてよい。例えば、検証グラフィック220は、線(実線または破線)、ボックス、ドット、矢印、円、三角形、他の図形、または他のグラフィックを含んでよい。検証グラフィック220は、画像にオーバーレイされた文字および/または数などの数字を含んでよい。例示的実施形態において、検証基準は、ユーザによりカスタマイズ可能であってよい。例えば、ユーザは、検証プリチェックのために視覚システム200により使用可能な検証基準を調節、カスタマイズまたは定義してよい。様々な実施形態において、検証基準は、画像内における検証グラフィック220の位置を手動で調節して検証基準の範囲または限度を変更することにより、ユーザによりカスタマイズされる。より容易にプリチェックに不合格または合格となるように、検証基準の厳格度がユーザにより増大または減少されてよい。検証基準は、視覚システム200の動作の較正モード中にカスタマイズ可能であってよい。追加的にまたは代替的に、検証基準は、視覚システム200の通常動作中にカスタマイズ可能であってよい。
【0036】
様々な実施形態において、検証基準は、導体170の露出長さに対応する、絶縁体172のストリップ長さに関連する絶縁ストリップ範囲230を含む。ストリップ範囲230は、前方線232および後方線234により識別される。代替的実施形態において、絶縁ストリップ範囲230は、ボックスにより画定されてもよい。ストリップ範囲230は、前方線232および/または後方線234を移動させることによりサイズ変更可能であってよい。任意選択で、ストリップ範囲230は、ストリップ長さが検証基準を満たす場合に第1の色(例えば緑色)で示されてよく、ストリップ長さが検証基準に不合格となる場合に第2の色(例えば赤色)で示されてよい。
【0037】
様々な実施形態において、検証基準は、端子102に対するワイヤ104の角度に関連する角度限度線240を含む。例えば、ワイヤ104は、ワイヤ中心線が端子中心線に対して角度を付けるように、圧着バレル184内で湾曲され、よじられ、曲げられ、または他の方法で置かれてよい。角度限度線240は、端子102に対するワイヤ104の許容可能な角度限度を識別する。角度限度線240は、例えば角度限度線240を端子中心線に対して回転させることにより、カスタマイズ可能であってよい。任意選択で、角度限度線240は、ワイヤ104の角度が検証基準を満たす場合に第1の色で示されてよく、ワイヤ104の角度が検証基準に不合格となる場合に第2の色で示されてよい。
【0038】
様々な実施形態において、検証基準は、ワイヤ104のワイヤゲージを表すために用いられるワイヤゲージ線250を含む。ワイヤゲージ線250は、ボックスを形成してよい。ワイヤゲージ線250は、適切なワイヤ104が圧着領域106に設けられていることを決定するために用いられる。ワイヤゲージ線250は、カスタマイズ可能であってよい。任意選択で、ワイヤゲージ線250は、ワイヤ104のワイヤゲージが検証基準を満たす場合に第1の色で示されてよく、ワイヤ104のワイヤゲージが検証基準に不合格となる場合に第2の色で示されてよい。
【0039】
様々な実施形態において、検証基準は、圧着バレル184からの導体170の突出量、および/または圧着バレル184への絶縁体172の突出量を表すために用いられるワイヤ突出線260を含む。ワイヤ突出線260は、導体の突出および/または絶縁体の突出についての許容可能範囲を識別する。様々な実施形態において、ワイヤ突出線260は、圧着バレル184の前部における前方ワイヤ突出線262、および圧着バレル184の後部における後方ワイヤ突出線264を含む。前方ワイヤ突出線262は、圧着バレル184に対する絶縁体172の端部176の位置に相関する。後方ワイヤ突出線264は、圧着バレル184に対する導体170の端部174の位置に相関する。ワイヤ突出線260は、例えばワイヤ突出線260を前方または後方にずらすことにより、カスタマイズ可能であってよい。任意選択で、ワイヤ突出線260は、導体170および/または絶縁体172の突出量が検証基準を満たす場合に第1の色で示されてよく、導体170および/または絶縁体172の突出量が検証基準に不合格となる場合に第2の色で示されてよい。
【0040】
図7は、例示的実施形態に係る視覚システム200により撮影された圧着機100の一部分の上面画像である。図8は、例示的実施形態に係る視覚システム200により撮影された圧着機100の一部分の上面画像である。図7および図8は、画像にオーバーレイされた検証グラフィック220を示す。例示の実施形態において、検証グラフィック220は、ワイヤ突出線260を含む。図7および図8に示す画像を比較すると、図8では図7と比較してワイヤ突出線260がカスタマイズされている。例えば、ワイヤ突出線260は、導体170の端部174の位置についての許容可能範囲を狭めるようにずらされている。図7では、導体170の端部174がワイヤ突出線260の範囲内に収まり、よって合格の検証プリチェックとして分類されることになる。一方、図8では、導体170の端部174がワイヤ突出線260の範囲外にあり、よって不合格の検証プリチェックとして分類されることになる。
【0041】
上記の説明は、限定ではなく例示となるように意図されていることを理解されたい。例えば、上述の実施形態(および/またはそれらの態様)は、互いに組み合わせて用いられてよい。加えて、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、特定の状況または材料を本発明の教示に適応させるために、多数の修正がなされてよい。様々な構成要素の寸法、材料の種類、向き、ならびに本明細書において説明されている様々な構成要素の数および位置は、特定の実施形態のパラメータを定義することを意図したものであり、決して限定ではなく、単に例示的な実施形態である。上記の説明を検討することで、請求項の趣旨および範囲内における多数の他の実施形態および修正が、当業者に明らかとなるであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の請求項と共に、そのような請求項が該当する均等物の全範囲に関して決定されるべきである。添付の請求項において、「including」および「in which」という用語は、「comprising」および「wherein」という対応する用語の平易な英語の等価語として用いられる。さらに、以下の請求項において、「第1」、「第2」、および「第3」等の用語は、単に標識として用いられ、それらの対象に数値的要件を課すことを意図するものではない。さらに、以下の請求項の限定は、そのような請求項の限定がさらなる構造を欠いた機能の記述が後続する「~ための手段」という語句を明示的に用いるものでない限り、ミーンズプラスファンクション形式で記述されておらず、米国特許法112条(f)に基づいて解釈されるよう意図したものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】