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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】レーザマーキングされた締結具
(51)【国際特許分類】
   F16B 37/14 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
F16B37/14 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552517
(86)(22)【出願日】2022-03-02
(85)【翻訳文提出日】2023-10-20
(86)【国際出願番号】 US2022018550
(87)【国際公開番号】W WO2022187382
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】63/155,576
(32)【優先日】2021-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/155,565
(32)【優先日】2021-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522238941
【氏名又は名称】マクレーン-フォッグ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】MACLEAN-FOGG COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】カーティン,ジョー
(72)【発明者】
【氏名】レイヴス,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ,ルーク マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルラ,ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】リマツキ,ケネス ジェームズ
(57)【要約】
締結具アセンブリは、下端部にネジ部分を有し、上端部にステム部分を有する締結具本体を含む。キャップは、レンチ面および上面を規定し、上面を接続する側壁を有し、当該キャップが締結具本体の上端部のステム部分に固定されている。アセンブリは、キャップの上面に規定された装飾的なレーザマークも含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結具アセンブリであって、
下端部にネジ部分を有し、上端部にステム部分を有する締結具本体と、
レンチ面および上面を規定し、前記上面を接続する側壁を有するキャップであって、前記締結具本体の上端部の前記ステム部分に固定されたキャップと、
前記キャップの上面に規定された装飾的なレーザマークとを備えることを特徴とする締結具アセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の締結具アセンブリにおいて、
前記装飾的なレーザマークが、白色を有することを特徴とする締結具アセンブリ。
【請求項3】
請求項2に記載の締結具アセンブリにおいて、
前記装飾的なレーザマークが、少なくとも70のL値を有することを特徴とする締結具アセンブリ。
【請求項4】
請求項2に記載の締結具アセンブリにおいて、
前記装飾的なレーザマークの白色が、4.5未満のa値および9.5未満のb値を有することを特徴とする締結具アセンブリ。
【請求項5】
請求項1に記載の締結具アセンブリにおいて、
前記キャップが、ステンレス鋼材料で形成されていることを特徴とする締結具アセンブリ。
【請求項6】
請求項1に記載の締結具アセンブリにおいて、
前記装飾的なレーザマークが、拡散面である表面仕上げを有することを特徴とする締結具アセンブリ。
【請求項7】
請求項1に記載の締結具アセンブリにおいて、
前記拡散面が、前記キャップの表面仕上げよりも大きい表面粗さを有することを特徴とする締結具アセンブリ。
【請求項8】
請求項7に記載の締結具アセンブリにおいて、
表面粗さRaが、39~75μinの範囲内であることを特徴とする締結具アセンブリ。
【請求項9】
請求項1に記載の締結具アセンブリにおいて、
前記装飾的なレーザマークが、黒、赤、緑、黄または青のうちの少なくとも1つ、またはそれらの組合せである色を有することを特徴とする締結具アセンブリ。
【請求項10】
請求項1に記載の締結具アセンブリにおいて、
前記キャップが、前記装飾的なレーザマークの上にコーティングを有することを特徴とする締結具アセンブリ。
【請求項11】
請求項1に記載の締結具アセンブリにおいて、
前記装飾的なレーザマークが、0.7mm未満の線間隔を有することを特徴とする締結具アセンブリ。
【請求項12】
請求項1に記載の締結具アセンブリにおいて、
前記締結具本体が、摩擦制御コーティングを有することを特徴とする締結具アセンブリ。
【請求項13】
締結具を形成する方法であって、
複数のレンチ面および上面を有するキャップを形成するステップと、
前記上面に装飾マークをレーザマーキングするステップと、
第1の端部に隣接するネジ部分と、第2の端部に隣接するステムとを有する締結具本体を形成するステップと、
前記上面にレーザマーキングした後に、前記キャップを前記ステムに固定するステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
レーザマーキングした後に、前記キャップに透明な保護コーティングを施すステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法において、
前記キャップが、圧着により前記ステムに固定されることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法において、
前記キャップが、ステンレス鋼で形成されることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項13に記載の方法において、
レーザマーキングが、白色レーザマークを形成するためのレーザエッチングを含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項13に記載の方法において、
レーザマーキングが、カラーレーザマークを形成するためのレーザアニールを含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、
前記カラーレーザマークをレーザアニールした後に、前記キャップに透明コーティングを施すステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項13に記載の方法において、
前記キャップを固定する前に、前記締結具本体に摩擦制御コーティングを施すステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して締結具に関し、より詳細には、装飾的なホイール締結具に関する。
【0002】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2021年3月2日に出願された米国仮出願第63/155,576号、および2021年3月2日に出願された米国仮出願第63/155,565号の利益を主張するものであり、これらの開示内容は、引用によりその全体が本明細書に援用されるものとする。
【発明の概要】
【0003】
少なくとも1の実施形態によれば、締結具アセンブリは、下端部にネジ部分を有し、上端部にステム部分を有する締結具本体を含む。このアセンブリは、レンチ面および上面を規定し、上面を接続する側壁を有するキャップであって、締結具本体の上端部のステム部分に固定されたキャップも含む。また、アセンブリは、キャップの上面に規定された装飾的なレーザマークも含む。
【0004】
別の実施形態では、装飾的なレーザマークが白色を有する。
【0005】
別の実施形態では、装飾的なレーザマークが、少なくとも70であるL値を有する。装飾的なレーザマークの白色は、a値が5未満であり、b値が9.5未満である。
【0006】
別の実施形態では、キャップがステンレス鋼材料で形成されている。
【0007】
別の実施形態では、装飾的なレーザマークが、拡散面である表面仕上げを有する。別の実施形態では、拡散面が、キャップの表面仕上げよりも大きい表面粗さを有する。
【0008】
別の実施形態では、装飾的なレーザマークが、黒色、赤色、緑色、黄色または青色のうちの少なくとも1つ、またはそれらの組合せである色を有する。
【0009】
別の実施形態では、装飾的なレーザマークが、0.7mm未満の線間隔を有する。
【0010】
別の実施形態では、締結具本体が、摩擦制御コーティングを有する。
【0011】
一実施形態によれば、締結具を形成する方法が提供される。本方法は、複数のレンチ面および上面を有するキャップを形成するステップも含む。本方法は、上面に装飾マークをレーザマーキングするステップも含む。本方法は、第1の端部に隣接するネジ部分と第2の端部に隣接するステムとを有する締結具本体を形成するステップも含む。本方法は、上面にレーザマーキングした後に、キャップをステムに固定するステップも含む。
【0012】
別の実施形態では、本方法が、レーザマーキングした後に、キャップを透明な保護コーティングで被覆するステップを含むことができる。
【0013】
別の実施形態では、キャップが圧着によってステムに固定される。
【0014】
別の実施形態では、レーザマーキングが、白色レーザマーキングを形成するためのレーザエッチングを含むことができる。レーザマーキングは、カラーレーザマークを形成するためのレーザアニールを含むことができる。
【0015】
別の実施形態では、本方法が、キャップを固定する前に締結具本体に摩擦制御コーティングを施すステップを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、一実施形態に係るレーザエッチングされた装飾マークを有するキャップの斜視図を示している。
図2図2は、別の実施形態に係るレーザエッチングされた装飾マークを有するキャップの斜視図を示している。
図3図3は、装飾マークを付けるためのレーザエッチングプロセスを示し、入射角を示している。
図4図4は、レーザパラメータおよびその結果得られるレーザマーキング特性を示している。
図5図5は、様々なパラメータに基づいてレーザエッチングされた締結具を示している。
図6図6は、様々なパラメータに基づいてレーザエッチングされた締結具を示している。
図7図7は、一実施形態に係るレーザアニールされた装飾マークを有するキャップの斜視図を示している。
図8図8は、別の実施形態に係る、キャップ上にレーザアニールされた装飾マークを有するキャップの斜視図を示している。
図9図9は、締結具アセンブリを形成する方法を示すフローチャートである。
図10図10は、一実施形態に係る締結具の側面図/断面図を示している。
図11図11は、別の実施形態に係る締結具の側面図/断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
必要に応じて、本発明の詳細な実施形態を本明細書に開示するが、開示の実施形態は、本発明の単なる例示であり、様々な代替的な形態で具体化され得ることを理解されたい。図面は必ずしも縮尺通りではなく、一部の特徴は、特定の構成要素の詳細を示すために誇張または最小化されている場合がある。したがって、本明細書に開示の特定の構造的および機能的な詳細は、限定として解釈されるべきではなく、単に、本発明を様々な形で使用することを当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるべきである。
【0018】
図面には、異なるレーザマークを有する様々な締結具が示されている。レーザマーキングは、レーザビームが材料の表面と相互作用するときに発生し、その特性または外観を僅かに変化させる。レーザマーキングプロセスは、ロゴ、画像、文字または他のマークを締結具に追加するために使用することができる。
【0019】
図1および図2は、レーザエッチングされた装飾マークを有するキャップ14を示している。図1は、ステンレス鋼製のキャップの裸の表面に形成されたレーザエッチング装飾マーク50を有するキャップ14の斜視図を示している。図2は、黒色表面コーティングを有するキャップ上に形成されたレーザエッチング装飾マーク50を有するキャップ14の上面斜視図を示している。レーザエッチングは、陽極酸化またはメッキされた金属表面に対して行うことができる。レーザエッチングは、鋼、ステンレス鋼、タングステン、チタン、アルミニウム、陽極酸化アルミニウム黒色酸化物またはクロム、鉛、マグネシウム亜鉛または他の材料を含む様々な材料で使用することができる。
【0020】
レーザエッチングは、レーザビームからターゲット表面にエネルギーが伝達されて、表面粒子が急速に励起されるときに発生する。レーザビームが表面に接触すると、表面粒子のエネルギーレベルが増加して、温度が上昇する。その後、エネルギーは熱の形で、励起された粒子から隣接する低エネルギーの粒子に伝達される。伝達されたエネルギーは、ターゲット表面の温度を材料の昇華(沸騰)点まで上昇させる。材料が気化すると、周囲の材料が急速に冷却され、局所的な表面粗さの変化が生じ、装飾マークが形成される。レーザエッチングは、レーザビームが材料の表面を物理的に除去するプロセスを含むことができる。レーザエッチングは、0.001インチ以下の材料を除去することができる。
【0021】
レーザエッチングは、金属の表面仕上げを変化させ、その反射率を変え、コントラストを高める。レーザエッチングによって表面粗さが形成され、光が様々な角度で反射して拡散反射が生じる。レーザマーキングされた領域の拡散反射により、表面が白く見える。例えば、装飾マーク50の表面粗さ(Ra)は39~75μinであってもよい。装飾マーク50の表面粗さは、キャップ14が全体的により反射性の表面仕上げを有する場合、キャップ14の上面の粗さとは異なり得る。
【0022】
レーザマーキングは、YAGレーザおよびMOPA(主発振電力増幅器)レーザを使用して行うことができる。レーザは、ファイバーレーザであってもよい。パルス周波数、出力、速度、焦点距離、線間隔または他のレーザ特性を含むレーザ特性およびパラメータの違いを制御することによって、エッチングされたマークの色合いを操作することができる。レーザエッチングプロセスでマーキングされた締結具は、追加の腐食保護は必要ない。レーザエッチングされたサンプルは、塩浴耐久性試験後でも腐食しない。レーザエッチングされたマーキングは、ロゴ、フォントまたは他の画像を含む様々なデザインであってもよい。
【0023】
レーザパラメータおよび特性は、塩水噴霧試験などのホイール締結具の腐食と耐久性の要件にも合格する、審美的に受け入れられるレーザマークを保証するために変更される。
【0024】
図4の表は、線間隔、線速度、出力(20Wの割合として)、パルス周波数のレーザパラメータと、1回のクロスシャッチパスの後のそれぞれの出力を示している。出力には、表面仕上げ(Ra)および得られた色値(L、a、b)が含まれ、それらは、エッチングが耐食性の耐久性要件を満たすために許容可能であるか否かの指標となる。
【0025】
3次元の色空間は、互いに垂直な3本の軸から構成される。L軸は明度を表し、白い物体のL値は100で、黒い物体のL値は0である。有彩色は、水平面内の2本の軸を使用して記述される。a軸は緑から赤の軸で、b軸は青(-b)から黄(+b)までの軸である。各色は、色点L、a、bの色座標(L、a、b)で表される。図1および図2に示すように、本願に係るレーザエッチングされたマーキングは、白色または艶消しに見える。このため、得られるマークは、Lが約70より大きい色を有し得る。また、得られるマークは、4.5未満のa値色を有するように制御することもできる。b値色は、概ね9.5未満となるように制御することができる。別の実施形態では、L値は72よりも大きく、a値は4.3未満、b値は9.2未満であり得る。しかしながら、色値の他の組合せが許容され、変色のレベルが許容され得る。
【0026】
図5および図6は、様々なパラメータに基づいてレーザエッチングされた締結具を示している。図5は、許容可能な色を有する装飾的なレーザマーク50を有するキャップを示している。例えば、図5のキャップは、許容可能なL、a、b値を有する図4のサンプル1~14に対応し得る。図5の装飾マーク50は、白または艶消しに見える。対照的に、図6は、レーザマークが暗褐色またはオレンジ色に見える許容できない色を有する装飾的なレーザマーク50を有するキャップを示し、図4の代表的なサンプル15~20に対応し得る。
【0027】
別のレーザパラメータは、入射角であり得る。図3は、入射角と反射角の概念を示している。これらの角度は等しく、接触点におけるエッチング表面に対して垂直な平面によって均等に分割される。入射角が大きいほど、より多くのエネルギーが表面から反射され、吸収されない。キャップ14の上面は完全に平坦でなくてもよく、典型的には丸みを帯びた表面または尖った表面を有する。入射角度を制限すると、キャップの上面が平坦でなくても、レーザエッチングされたマークの色が一定になることが分かっている。例えば、入射角度は30度未満に制限することができる。上面の形状によっては、他の入射角度が許容される場合もある。
【0028】
レーザエッチングは、キャップの材料組成を変化させることはなく、レーザマークの領域の一部の材料を除去するだけである。したがって、レーザエッチングされたマークを有するステンレス鋼製のキャップは、追加の保護コーティングを必要としない。レーザエッチングのもう一つの利点は、レーザエッチングが高速レーザマーキングプロセスであることである。例えば、レーザエッチングは、レーザアニールマーキングの2倍の速さであり得る。エッチング速度を上げるために、より高いレーザ出力を使用することができる。さらに、白色マークのレーザエッチングは、黒色マークのレーザエッチングよりも高速であり得る。
【0029】
図7および図8は、別の実施形態に係るレーザアニールされた装飾マーキング60を有する締結具を示している。カラーレーザマーキングは、本質的にアニールプロセスである。図7は、ステンレス鋼キャップの裸の表面上に形成されたレーザアニール装飾マーク60を有するキャップ14の斜視図である。
【0030】
図8は、黒色の表面コーティングを有するキャップ上に形成されたレーザアニール装飾マーク60を有するキャップ14の上面斜視図である。レーザアニールは、陽極酸化またはメッキされた金属表面に対して行うことができる。レーザアニールは、鋼、ステンレス鋼、タングステン、チタン、アルミニウム、陽極酸化アルミニウム黒色酸化物またはクロム、鉛、マグネシウム亜鉛または他の材料を含む様々な材料に使用することができる。
【0031】
レーザアニールによるマーキングでは、材料の表面は無傷のままである。レーザアニールは、レーザビームが材料の表面と相互作用するときに発生し、その特性や外観を僅かに変化させる。レーザアニールでは、低出力のレーザビームが締結具の表面をゆっくりと移動する。レーザビームは、締結具の表面材料を加熱し、表面下で酸化を引き起こし、材料を変化させる。レーザビームは金属に低温を与え、表面をアニールする。これにより、材料を破壊することなく、表面をそのままにして、高コントラストのマークを作成する。
【0032】
レーザアニールされたマークは、YAGレーザやMOPA(主発振電力増幅器)レーザを使用して作成することができる。レーザはファイバーレーザであってもよい。出力、速度、周波数、角度またはその他のレーザ特性の違いを含むレーザ特性およびパラメータを操作することによって、様々な色を作り出すことができる。さらに、マークの透明度/暗さ、および腐食に耐えるプロセス出力能力は、マーキング時間と組み合わせたレーザ出力パワーの関数であり得る。
【0033】
レーザアニールマーキングでは材料は除去されないが、レーザアニールによって炭素が締結具の表面に移動し、様々な色が形成される。レーザパラメータの制御により、変色を制御することができる。L値が70未満、a値が4.5より大きく、b値が9.5より大きく、白色以外の色が望まれる場合は、レーザアニールが必要となる場合がある。
【0034】
着色中などのプロセス中に使用される熱は、マークされた表面の不動態層を損傷する可能性がある。例えば、ステンレス鋼のような耐食性材料には、酸化クロムからなる自然耐食性層がある。アニールプロセスによって化学組成が変化し、レーザマークが腐食し易くなる可能性がある。キャップ14は、その後の腐食を減らし、締結具の耐食性を維持するために、レーザマーキング後に処理またはコーティングされることがある。マーキングされた表面に透明な保護コーティングを施したり、クエン酸や硝酸で再不動態化したりするなど、マーキングされた表面の腐食を低減する方法がいくつかある。例えば、Plexonなどのアクリルウレタンコーティングは、レーザアニールマーキングの後に塗布することができる。保護コーティングはキャップ全体に施してもよいし、上面だけに施してもよい。他の実施形態では、レーザアニールされたマークが表面粗さや表面仕上げを変えないため、二次コーティングを必要としない場合がある。
【0035】
鋼、ステンレス鋼、タングステン、チタン、アルミニウム、黒色酸化物またはクロム、または他の材料を含む他の適切な締結具材料にレーザマークを付けることができる。
【0036】
図10および図11は、キャップ付きホイール締結具の側面図/断面図を示している。図10は、締結具本体12とキャップ14とを有するホイールナットであるホイール締結具アセンブリ10を示している。締結具本体12は、本実施形態では内ネジとして規定されるネジ部分16を有する。同様に、図11は、外ネジを有するネジ部分16を備えたボルトであるホイール締結具を示している。
【0037】
締結具本体は長手方向軸Aを有し、ネジ部分16は長手方向軸を中心に構成されている。ネジ部分16は、締結具本体12の下端部に隣接して配置されている。ステム部分20は、締結具本体12の上端部に位置している。ステム部分20は、キャップを取り付けるための取付位置を提供する。図示のように、ステム部分20は、長手方向軸Aに対して概ね平行に向けられたレンチ面18を規定することができる。レンチ面18は、六角形状とすることができ、図示のように、レンチ面は、ラグレンチなどの工具からのトルクを受け入れるように設計された6つのレンチフラットのセットを規定する。また、ステム部分20は、キャップ14と係合するために、異なるレンチ面または異なる形状を有する他の構成を有することもできる。例えば、ステム部分20は、円筒形状などの装飾的な安全機能のために、キャップが自由に回転できる形状、またはキャップ14に対して接線方向である部分を有することができる。
【0038】
締結具本体12は、ステム部分20から半径方向外側に延びるフランジ22を有する。キャップ14は、全体としてステム部分20に適合するような形状であり、フランジ22の少なくとも一部にも適合することができる。このため、キャップ14は、図1に示すように、六角形パターンに配置された外側レンチ面26も規定する。他の適切なレンチ面を使用することもできる。一例では、締結具が、3点レンチ面、ハイブリッド3点レンチ面、キー付きレンチ面、または他のレンチ面を有することができる。
【0039】
また、キャップ14は、締結具10の上面30も規定する。上面30は、ネジ部分16の反対側にあり、締結具がホイールに取り付けられたときに締結具10の外面を規定する。上面30は、図示のように、レーザエッチング40を含むことができる。
【0040】
例えば、締結具10は、円形ドーム、平坦ドーム、円錐、または尖ったドームの形状の上面30を有することができる。また、上面は、レーザエッチングに適した他の形状を含むこともできる。
【0041】
図9は、レーザマーキングされた締結具を形成する方法100を示すフローチャートである。ステップ110では、キャップ14が形成される。キャップ14は、304SSまたは436SSなどのステンレス鋼などのシートメタルから作ることができる。キャップ14は、他の適切な材料で形成することもできる。また、キャップ14は、コーティング、陽極酸化またはメッキされた金属表面で実施されるものであってもよい。キャップ14は、黒色酸化物コーティングや黒色クロムコーティングなどの黒色コーティングを有することができる。別の実施形態では、締結具が薄膜コーティングまたは物理蒸着(PVD)コーティングを有することができる。黒色コーティングを有する例では、レーザエッチングプロセスにより、コーティングにのみバンプまたは溝が形成され、下層の締結具またはキャップ表面には形成されない。
【0042】
ステップ112では、締結具本体12が形成される。締結具本体12は、低炭素鋼または中炭素鋼などの金属で冷間成形することができる。締結具本体12とは別個にキャップを形成することにより、締結具本体12にあらゆるタイプのコーティング、メッキとコーティング、またはメッキのみを使用することができる。このため、キャップ14は、耐久性を与えるクロムを使用せずに、耐久性および望ましい外観を提供し、錆やクロムに関連する他の問題を回避するステンレス鋼であってもよい。締結具本体12は、クランプ荷重を確保するために摩擦制御コーティングを有することができる。
【0043】
ステップ114では、キャップ14が締結具本体12に固定される。キャップ14は、レンチ面18にかかる力がキャップ14を外すように作用しないように、締結具本体12に圧着または固定されるものであってもよい。キャップ14は、キャップ14と本体12との間の溶接取付または接着剤取付なしで、締結具本体12上に固定され得る。
【0044】
ステップ116では、キャップにレーザマーキングが施される。キャップは、上述したように、白色/艶消しマークまたはカラーレーザマークでレーザマーキングが施されるものであってもよい。レーザマーキングのパラメータは、薄いキャップが損傷せず、明瞭なマークを得ながらも耐久性を確保するように展開されている。
【0045】
例示的な実施形態を上述したが、これらの実施形態は、本発明のすべての可能性のある形態を説明することを意図したものではない。むしろ、本明細書で使用される文言は、限定ではなく説明のための文言であり、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく様々な変更がなされ得ることが理解されよう。さらに、様々な実施形態の特徴を組み合わせて、本発明の更なる実施形態を形成することもできる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】