(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】スタキボトリス・チャータラムからの農薬アジュバント
(51)【国際特許分類】
A01N 25/00 20060101AFI20240220BHJP
A01N 47/24 20060101ALI20240220BHJP
A01N 43/653 20060101ALI20240220BHJP
A01N 43/84 20060101ALI20240220BHJP
A01N 47/14 20060101ALI20240220BHJP
A01N 59/16 20060101ALI20240220BHJP
A01N 43/54 20060101ALI20240220BHJP
A01N 37/46 20060101ALI20240220BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20240220BHJP
C12N 1/14 20060101ALI20240220BHJP
C12P 1/02 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
A01N25/00 101
A01N47/24 G
A01N43/653 C
A01N43/84 101
A01N43/653 Q
A01N47/14 C
A01N59/16 Z
A01N43/54 D
A01N37/46
A01P3/00
C12N1/14 A
C12P1/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553102
(86)(22)【出願日】2022-03-01
(85)【翻訳文提出日】2023-09-19
(86)【国際出願番号】 US2022018292
(87)【国際公開番号】W WO2022187209
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】506352278
【氏名又は名称】クローダ インターナショナル パブリック リミティド カンパニー
(71)【出願人】
【識別番号】508276992
【氏名又は名称】クローダ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100170852
【氏名又は名称】白樫 依子
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー ジェイムズ リンドナー
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー アーノルド ハルトリ
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル グレイグ カー
(72)【発明者】
【氏名】アリッサ ルイーズ グランワルド
(72)【発明者】
【氏名】ヘベリン コレア ベランディア
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4H011
【Fターム(参考)】
4B064AE48
4B064CA05
4B064DA11
4B065AA58X
4B065BA22
4B065CA18
4B065CA47
4H011AA01
4H011AA03
4H011BA02
4H011BB06
4H011BB09
4H011BB10
4H011BB13
4H011BB18
(57)【要約】
フェニルスピロドリマン及びその誘導体から選択されるアジュバント、並びに農薬活性物質を含む新規農薬製剤。その製剤を形成するのに好適な濃縮物もまた提供される。フェニルスピロドリマンは、その濃縮物や農薬製剤においてアジュバンシーを提供する。その製剤を製造する方法もまた提供し、及び農薬製剤におけるアジュバントとしての前記フェニルスピロドリマンの使用もまた提供する。スタキボトリス・チャータラム、菌株RKDO1264の培養物からジケトピペラジンを得る方法もまたを記載する。抽出されたフェニルスピロドリマンは、害虫防除のための植生処理向けの製剤に使用されても、又は種子被覆物に使用されてもよい。あるいは、菌株RKDO1264自体が、種子被覆物に使用されても、又は害虫防除のための植生処理向けの製剤に使用されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の:
i) 以下の式(I):
【化1】
{式中、
R
1は独立して、水素、C
1~C
4アルキル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、又はアミンを表し;
R
2は独立して、水素、C
1~C
6アルキル、フェニル、置換フェニル、アルキルフェニル又はアルキル置換フェニルを表し;
R
3とR
4は独立して、水素又はC
1~C
4アルキルを表す}又は
以下の式(II):
【化2】
{式中、
R
10は独立して、水素、C
1~C
4アルキル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、カルボキシルを表し;
R
11、R
12、R
13、及びR
14はそれぞれ独立して、水素又はC
1~C
4アルキルを表す}によるフェニルスピロドリマンから選択されるアジュバント;及び
ii) 少なくとも1種類の農薬活性物質、
を含む農薬製剤。
【請求項2】
前記アジュバントが式(I)によるものであり、かつ、式中、
R
1が、ヒドロキシ、メトキシ、又はアミンを表し;
R
2が、n-ブチル、イソブチル、フェニル、又はメチルフェニルを表し;及び
R
3とR
4が独立して、水素、メチル、又はエチルを表す、
請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記アジュバントが式(I)によるものであり、かつ、式中、
R
1が、ヒドロキシを表し;
R
2が、イソブチル又はメチルフェニルを表し;及び
R
3とR
4は独立して、水素を表す、
請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
前記アジュバントが式(II)によるものであり、かつ、式中、
R
10が、水素、ヒドロキシ、メトキシ、又はカルボキシルを表し;及び
R
11、R
12、R
13、及びR
14がそれぞれ独立して、水素、メチル、又はエチルを表す、
請求項1に記載の製剤。
【請求項5】
前記アジュバントが式(II)によるものであり;かつ、式中、
R
10が、カルボキシルを表し;及び
R
11、R
12、R
13、及びR
14がそれぞれ独立して、水素を表す、
請求項1に記載の製剤。
【請求項6】
前記アジュバントが、以下の式:
【化3】
のフェニルスピロドリマンから選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項7】
請求項1に記載の農薬製剤を製造するのに好適な濃縮製剤であって、以下の:
i) 以下の式(I):
【化4】
{式中、
R
1は独立して、水素、C
1~C
4アルキル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、又はアミンを表し;
R
2は独立して、水素、C
1~C
6アルキル、フェニル、置換フェニル、アルキルフェニル又はアルキル置換フェニルを表し;
R
3とR
4は独立して、水素又はC
1~C
4アルキルを表す}又は
以下の式(II):
【化5】
{式中、
R
10は独立して、水素、C
1~C
4アルキル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、カルボキシルを表し;
R
11、R
12、R
13、及びR
14はそれぞれ独立して、水素又はC
1~C
4アルキルを表す}によるフェニルスピロドリマンから選択されるアジュバント;及び
ii) 少なくとも1種類の農薬活性物質、
を含む前記濃縮物。
【請求項8】
少なくとも1種類の農薬活性物質を含む農薬製剤中のアジュバントとしての、以下の:
i) 以下の式(I):
【化6】
{式中、
R
1は独立して、水素、C
1~C
4アルキル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、又はアミンを表し;
R
2は独立して、水素、C
1~C
6アルキル、フェニル、置換フェニル、アルキルフェニル又はアルキル置換フェニルを表し;
R
3とR
4は独立して、水素又はC
1~C
4アルキルを表す}又は
以下の式(II):
【化7】
{式中、
R
10は独立して、水素、C
1~C
4アルキル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、カルボキシルを表し;
R
11、R
12、R
13、及びR
14はそれぞれ独立して、水素又はC
1~C
4アルキルを表す}によるフェニルスピロドリマンから選択される化合物の使用。
【請求項9】
害虫を防除するために植生を処理する方法であって、請求項1に記載の製剤、又は希釈された、請求項7に記載の濃縮製剤を、前記植生又は前記植生の周辺環境のいずれかに適用することを含む前記方法。
【請求項10】
請求項1に記載のアジュバントを得る方法であって、以下のステップ:
スタキボトリス・チャータラムRKDO1264を、そのスタキボトリス・チャータラムからの請求項1に記載のアジュバントの代謝合成を促進する条件下、培地中で培養し、そして
培養した培地から合成アジュバントを精製すること、
を含む、前記方法。
【請求項11】
スタキボトリス・チャータラム、菌株RKDO1264、農業研究局系統保存機関(NRRL)受託番号NRRL-67988から成る生物体。
【請求項12】
スタキボトリス・チャータラム、菌株RKDO1264、農業研究局系統保存機関(NRRL)受託番号NRRL67988から成る生物体から得られる抽出物であって、請求項1に記載のフェニルスピロドリマンを含む前記抽出物。
【請求項13】
害虫を防除するために植生を処理する方法であって、請求項11に記載の生物体又は請求項12に記載の抽出物を、前記植生又は前記植生の周辺環境のいずれかに適用することを含む前記方法。
【請求項14】
請求項1に記載のアジュバント又は請求項11に記載の生物体を含む種子被覆組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、農薬活性製剤向けの、微生物から得られるアジュバント、及び1若しくは複数の農薬活性物質と共に前記アジュバントを含んだ農薬製剤においてアジュバンシー(adjuvancy)を提供する方法に関する。本発明はまた、前記製剤を用いて作物を処理することも含む。
【背景技術】
【0002】
アジュバントは、一般に、農薬活性物質の生物学的活性又は有効性を改善することができる化学物質又は化学物質の混合物として定義される。アジュバント自身は害虫を防除したり殺したりすることはない。代わりに、これらの添加剤は、標的生物内の分子標的(細胞壁、イオンチャネル、構造タンパク質、酵素など)と相互作用したり、農薬製剤の特性(拡散、保持、浸透、液滴サイズなど)を変更したりする可能性があり、それによって、生物に作用する農薬の生物学的活性を改善する。アジュバントとして使用される化合物の典型的なタイプは、小分子、界面活性剤、乳化剤、油及び塩を含むことができる。アジュバントは、典型的には、処理された植物における活性の転位を阻害しない。さらに、アジュバントは植物に対して望ましくない植物毒性作用を生じさせてはならない。
【0003】
菌類は陸上環境に広く分布しており、農業生産性に対する大きな課題となっている。未確認の真菌感染は収穫前及び収穫後の80%を超える可能性がある。このような損失を減少させ、増大する食糧需要を満たすために、真菌性農業害虫を防除するための殺菌剤の使用は、農業害虫管理システムの重要な構成要素であり、今後も引き続き重要である。
【0004】
農業害虫、特に真菌害虫に対抗するための新しい戦略を開発する必要がある。1つの戦略は、農産物生産性に対する真菌害虫の影響を防止又は低減するために、野外及び温室作物での使用に既に承認されている既存の殺菌剤の有効性を改善する、安全で無毒性の化学物質であるアジュバントを開発することである。これらのアジュバントは、野外又は収穫後の害虫の防除を改善し、それによって生産性を高めることができる。また、望ましいレベルの害虫防除を達成するために必要な殺菌剤の量を減らし、持続可能な生産性の向上を達成する目標に貢献するかもしれない。
【0005】
本発明は、農薬活性物質と組み合わせた農薬製剤での化合物の使用を提供することを目的とし、ここで、該化合物は、その活性の改善された効力を含めた所望のアジュバンシーを提供し得る。本発明はまた、前記アジュバントを含む農薬濃縮物及び希釈製剤の使用を提供することも目的とする。
【0006】
本発明はまた、農薬製剤で化合物を提供することも目的とし、ここで、該化合物は、既存のアジュバントに匹敵するか、又は改善されたアジュバンシーを提供し得る。
【0007】
本発明はまた、アジュバントとしての化合物の使用、及びアジュバンシーを提供するのに使用するために農薬製剤中に前記化合物を含む製剤を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の第一の態様によれば、以下の:
i) 以下の式(I):
【化1】
{式中、
R
1は独立して、水素、C
1~C
4アルキル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、又はアミンを表し;
R
2は独立して、水素、C
1~C
6アルキル、フェニル、置換フェニル、アルキルフェニル又はアルキル置換フェニルを表し;
R
3とR
4は独立して、水素又はC
1~C
4アルキルを表す}又は
以下の式(II):
【化2】
{式中、
R
10は独立して、水素、C
1~C
4アルキル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、カルボキシルを表し;
R
11、R
12、R
13、及びR
14はそれぞれ独立して、水素又はC
1~C
4アルキルを表す}によるフェニルスピロドリマンから選択されるアジュバント;及び
ii) 少なくとも1種類の農薬活性物質、
を含む農薬製剤を提供する。
【0009】
本発明の第二の態様によれば、第一の態様による農薬製剤を製造するのに好適な濃縮製剤を提供し、前記濃縮物は、以下の:
i) 以下の式(I):
【化3】
{式中、
R
1は独立して、水素、C
1~C
4アルキル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、又はアミンを表し;
R
2は独立して、水素、C
1~C
6アルキル、フェニル、置換フェニル、アルキルフェニル又はアルキル置換フェニルを表し;
R
3とR
4は独立して、水素又はC
1~C
4アルキルを表す}又は
以下の式(II):
【化4】
{式中、
R
10は独立して、水素、C
1~C
4アルキル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、カルボキシルを表し;
R
11、R
12、R
13、及びR
14はそれぞれ独立して、水素又はC
1~C
4アルキルを表す}によるフェニルスピロドリマンから選択されるアジュバント;及び
ii) 少なくとも1種類の農薬活性物質、
を含む。
【0010】
本発明の第三の態様によれば、少なくとも1種類の農薬活性物質を含む農薬製剤中のアジュバントとしての、以下の:
i) 以下の式(I):
【化5】
{式中、
R
1は独立して、水素、C
1~C
4アルキル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、又はアミンを表し;
R
2は独立して、水素、C
1~C
6アルキル、フェニル、置換フェニル、アルキルフェニル又はアルキル置換フェニルを表し;
R
3とR
4は独立して、水素又はC
1~C
4アルキルを表す}又は
以下の式(II):
【化6】
{式中、
R
10は独立して、水素、C
1~C
4アルキル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、カルボキシルを表し;
R
11、R
12、R
13、及びR
14はそれぞれ独立して、水素又はC
1~C
4アルキルを表す}によるフェニルスピロドリマンから選択される化合物の使用を提供する。
【0011】
本発明の第四の態様によれば、害虫を防除するために植生を処理する方法であって、第一の態様による製剤又は希釈された第二の態様による濃縮製剤を、前記植生又は前記植生の周辺環境のいずれかに適用することを含む方法を提供する。
【0012】
本発明の第五の態様によれば、第一の態様によるアジュバントを得る方法であって、以下のステップ:
スタキボトリス・チャータラムRKDO1264を、そのスタキボトリス・チャータラムからの第一の態様によるアジュバントの代謝合成を促進する条件下、培地中で培養し、そして
培養した培地から合成アジュバントを精製すること、
を含む、前記方法を提供する。
【0013】
本発明の第六の態様によれば、スタキボトリス・チャータラム、菌株RKDO1264、農業研究局系統保存機関(NRRL)受託番号NRRL-67988から成る生物体を提供する。
【0014】
本発明の第七の態様によれば、スタキボトリス・チャータラム、菌株RKDO1264、農業研究局系統保存機関(NRRL)受託番号NRRL67988から成る生物体から得られる抽出物であって、第一の態様によるフェニルスピロドリマンを含む前記抽出物を提供する。
【0015】
本発明の第八の態様によれば、害虫を防除するために植生を処理する方法であって、第六の態様による生物体を、前記植生又は前記植生の周辺環境のいずれかに適用することを含む方法を提供する。
【0016】
本発明の第九の態様によれば、第一の態様によるアジュバント又は第六の態様による生物体を含む種子被覆組成物を提供する。
【0017】
本明細書で定義される化合物は、少なくとも1種類の農薬活性を有する農薬製剤中で使用されるとき、所望のアジュバンシーを提供することがわかった。重要なことに、同定されたそのクラスの化合物、フェニルスピロドリマンは、固有の殺虫活性を示さない。
【0018】
本明細書で使用される場合、「例えば(for example)」、「例えば(for instance)」、「例えば・・・など(such as)」又は「を包含する(including)」という用語は、より一般的な主題をさらに明確にする例を紹介することを意味する。特に明記しない限り、これらの例は、本開示に示される用途を理解するための助けとしてのみ提供されており、どんなことであれ限定することを意図するものではない。
【0019】
置換基中の炭素原子の数を説明する場合(例えば、「C1~C4アルキル」)、この数は、任意の分岐基に存在するものを含む、置換基に存在する炭素原子の総数を指す。さらに、例えば脂肪酸中の炭素原子の数を説明する場合、これは、カルボン酸に位置するもの及び任意の分岐基に存在するものを含む炭素原子の総数を指す。
【0020】
本発明のアジュバントは、以下の式(I)の構造;
【化7】
{式中、
R
1は独立して、水素、C
1~C
4アルキル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、又はアミンを表し;
R
2は独立して、水素、C
1~C
6アルキル、フェニル、置換フェニル、アルキルフェニル、又は置換アルキルフェニルを表し;
R
3とR
4は独立して、水素又はC
1~C
4アルキルを表す}又は
式(II)の構造;
【化8】
{式中、
R
10は独立して、水素、C
1~C
4アルキル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、カルボキシルを表し;
R
11、R
12、R
13、及びR
14はそれぞれ独立して、水素又はC
1~C
4アルキルを表す}
を有するフェニルスピロドリマンから選択される。
【0021】
本明細書で使用される場合、「C1~C4アルキル」という用語は、別段の定義がない限り、1~4個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝鎖である飽和炭化水素ラジカルを指す。RのいずれかがC1~C4アルキルを表す場合、前記アルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルなどから独立して選択され得る。好ましくは、メチル、エチル、n-ブチル、又はイソブチルである。より好ましくは、メチル又はイソブチルである。
【0022】
本明細書で使用される場合、「C1~C6アルキル」という用語は、別段の定義がない限り、1~6個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖である飽和炭化水素ラジカルを指す。RのいずれかがC1~C6アルキルを表す場合、前記アルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、2メチル-ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシルなどから独立して選択され得る。好ましくは、メチル又はエチルである。より好ましくは、メチルである。
【0023】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシル」という用語は、別段の定義がない限り、構造-O-Hを有する、1つの酸素と1つの水素原子を含み、そしてそれがその酸素を介して隣接するラジカルに結合されるヒドロキシルラジカルを指す。
【0024】
本明細書で使用される場合、「フェニル」という用語は、別段の定義がない限り、1個の水素の除去によって得られるベンゼン芳香族炭化水素に由来するC6H5有機ラジカルを指す。
【0025】
本明細書で使用される場合、「フェニル」という用語は、別段の定義がない限り、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、又はハロで置換されるフェニルを指す。前記置換は、芳香族環上の任意の位置、好ましくはオルソ又はパラ位置に存在し得る。
【0026】
本明細書で使用される場合、「アルキルフェニル」という用語は、アルキル基、好ましくはメチル又はエチル、そしてより好ましくはメチルを有し、そしてそれを介してそれが隣接するラジカルに結合される、フェニルを指す。
【0027】
本明細書で使用される場合、「置換アルキルフェニル」という用語は、別段の定義がない限り、本明細書に記載されるアルキルフェニル及び置換フェニルの特徴を含むフェニルを指す。
R2基がフェニル含有基である場合、フェニル又はアルキルフェニルが好まれ得る。特に、アルキルフェニルが好まれ得る。
【0028】
本明細書で使用される場合、「メトキシ」及び「エトキシ」という用語は、別段の定義がない限り、構造-O-Me及び-O-Etを有するアルコキシラジカルを形成し、かつ、その酸素を介して隣接するラジカルに結合される、酸素に連結されるメチル及びエチル基を指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、「アミン」という用語は、別段の定義がない限り、構造-NR15R16R17を有し、そしてそれが窒素を介して隣接するラジカルに結合される、第一級、第二級、又は第三級アミンであるアミンラジカルを指す。R15、R16、及びR17はそれぞれ、本明細書に定義される水素又はC1~C4アルキルを表す。
【0030】
本明細書で使用される場合、「カルボキシル」という用語は、別段の定義がない限り、構造-C(=O)-O-Hを有し、そしてそれが炭素を介して隣接するラジカルに結合される、カルボキシルラジカルに指す。
【0031】
フェニルスピロドリマンが式(I)の構造を有する場合、好ましくは、R1は、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、又はアミンを表す。より好ましくは、ヒドロキシ、メトキシ、又はアミンを表す。さらに好ましくは、ヒドロキシを表す。
【0032】
好ましくは、R2は、C1~C4アルキル、フェニル、又はアルキルフェニルを表す。より好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、フェニル、メチルフェニル、又はエチルフェニルを表す。好ましくは、n-ブチル、イソブチル、フェニル、又はメチルフェニルを表す。より好ましくは、イソブチル又はメチルフェニルを表す。
【0033】
好ましくは、R3とR4は独立して、水素、メチル又はエチルを表す。より好ましくは、水素を表す。
【0034】
フェニルスピロドリマンが式(II)の構造を有する場合、好ましくは、R10は、水素、ヒドロキシ、メトキシ、又はカルボキシルを表す。より好ましくは、水素、メトキシ、又はカルボキシルを表す。さらに好ましくは、カルボキシルを表す。
【0035】
好ましくは、R11、R12、R13、及びR14はそれぞれ独立して、水素、メチル又はエチルを表す。より好ましくは、水素を表す。
【0036】
式(I)及び(II)の化合物は、キラル炭素の周りに光学異性化があってもよい。R及びS異性体の両方が式(I)のフェニルスピロドリマンの定義の中に包含されることは、理解される。
【0037】
特に、以下のものから選択されるフェニルスピロドリマが好まれ得る:
【化9】
【0038】
発酵に用いられる生物はスタキボトリス属に属する糸状菌である。スタキボトリス・チャータラムの特定の菌株であるRKDO1264は、新規アジュバントの製造に特に有用であることが見出されており、この株は、米国イリノイ州ペオリアの農業研究局系統保存機関(NRRL)において、ブダペスト条約下での受託の対象となった:
【0039】
【0040】
NRRL-67988は、本発明のアジュバント活性を提供するのに特に好まれる。
好ましくは、式(I)又は(II)のフェニルスピロドリマンアジュバントを得るための第五の態様による方法を提供する。
【0041】
フェニルスピロドリマンはそれぞれ、スタキボトリス・チャータラム、特にRKDO1264の培養物から形成及び抽出することができる。所望の化合物は、微生物代謝産物を一般的に回収するために典型的に使用される任意の手段によって、培養液又は真菌バイオマスから抽出及び精製することができる。例えば、各種イオン交換樹脂、非イオン性吸着樹脂、ゲル濾過クロマトグラフィー、活性炭、アルミナ及びシリカゲルなどの吸着剤によるクロマトグラフィー、又は高速液体クロマトグラフィーによる分離法、晶析、減圧濃縮、もしくは凍結乾燥が含まれ、この手段は、単独で、又はそれらの適切な組み合わせで、又は繰り返し使用できることを意味する。
【0042】
スタキボトリス・チャータラムであるRKDO1264の培養は、天然源から、又は農業研究局系統保存機関(NRRL)のような培養コレクションから入手することができる。スタキボトリス・チャータラムの分離株であるRKDO1264は、真菌学の分野で公知の方法によって培養することができる。
【0043】
本発明の化合物を製造する手段として、生産生物は、炭素源、窒素源、及び無機塩を適切に含有する限り、任意の適切な合成媒体又は天然媒体上で増殖させることができる。必要に応じて、培地にビタミン及び他の栄養物質を適切に添加してもよい。
【0044】
一般的な炭素源としては、グルコース、マルトース、フルクトース、スクロース、デンプンなどの糖類、グリセロール、マンニトールなどのアルコール類、グリシン、アラニン、アスパラギンなどのアミノ酸類、大豆油やオリーブ油などの油類及び脂肪類などが挙げられるが、これらに限定されない。窒素源の例としては、大豆粉末、コーンスティープリカー、牛肉抽出物、ペプトン、酵母抽出物、アミノ酸混合物及び魚粉のような有機窒素含有化合物、ならびにアンモニウム塩及び硝酸塩のような無機窒素化合物が挙げられる。同様に、無機塩の形態の微量栄養素、例えば、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸銅、塩化マンガン、硫酸亜鉛、塩化コバルト、及び様々なリン酸塩を使用することができる。
【0045】
微生物の増殖及び本発明の化合物の効果的な生産を可能にする範囲内で、微生物を適切な培養温度で増殖させることができる。好ましい培養温度は10~32℃、より好ましくは20~25℃にてあり、培養開始時のpHは約6~8であることが好ましい。培養期間は、一般に約1日から数週間である。
【0046】
培養は、本発明の化合物の生成量が回収に適した量に達したとき、好ましくはそれが最大量に達したときに終了することができる。培養方法としては、固相培養や通常の撹拌培養など、通常使用される方法まで、任意の方法を適切に用いることができる。
【0047】
例えば、スタキボトリス・チャータラムの分離株であるRKDO1264は、栄養素含有(例えば、YM(酵母麦芽抽出物)寒天上に平板培養することができ、観察可能なコロニーが現れるまで室温で数日間インキュベートすることができる。寒天上の個々のスタキボトリス・チャータラムであるRKDO1264コロニーは、フェニルスピロドリマンの産生についてアッセイすることができる。
【0048】
所望の分子を産生するこれらのコロニーを用いて、液体培地(例えば、YMブロス培地)を接種することができ、これを適切な条件下(例えば、室温で数日間.振とうしながら)で培養して、種子接種材料を得ることができる。種子接種材料を使用して、より大きな液体培養物(例えば、10g/LのL-ロイシンを補充したYESブロス)を開始することができ、これは、約室温で数日間(例えば、4~28日間)インキュベートして、スタキボトリス・チャータラム培養物を拡大させることができる。
【0049】
フェニルスピロドリマンは、液体培地(例えば、YESブロス)に排出されることが見出されている。フェニルスピロドリマンは、酢酸エチル及び水を含む液体:液体抽出、ならびに化合物を吸収性樹脂(Diaion(商標)HP20など)に結合させ、樹脂を水で洗浄し、次に、適切な溶媒(メタノール又はエタノールなど)を用いてフェニルスピロドリマンを溶出することを使用して、発酵ブロスから単離することができる。フェニルスピロドリマンの極性の違いにより、個々の化合物は、フラッシュクロマトグラフィー及び逆相固定相(C-18など)などのクロマトグラフィーを用いて分離することができる。
【0050】
得られた抽出されたフェニルスピロドリマンを精製し、個々の均質化合物として使用することができる。別の実施形態では、抽出された物質は、第一の態様によるフェニルスピロドリマンとの組み合わせであってもよく、農薬製剤において組み合わせて使用してもよい。
【0051】
他の実施形態では、フェニルスピロドリマンは、他の利用可能な資源、典型的には他の真菌から得ることができる。
【0052】
フェニルスピロドリマンは、合成技術によって製造することもできる。フェニルスピロドリマン及びその誘導体は、科学文献に記載されている市販の材料及び合成方法を用いて、有機化学の当業者による化学合成によって製造することができる。
【0053】
アジュバント自体の特性は、アジュバントを含む農薬製剤に対して同じ有利な利点を提供すると理解される。従って、アジュバント自体の特性の利点を有する、本発明のアジュバントを含む場合、農薬製剤を提供する。
【0054】
殺虫剤及び殺菌剤を包含する農薬活性化合物は、当該活性化合物が植物/標的生物によって取り込まれることを可能にする製剤を必要とする。
【0055】
本明細書で使用される「農薬製剤」という用語は、活性農薬を含む組成物を指し、濃縮物及びスプレー製剤を包含するあらゆる形態の組成物を包含することを意図している。特に明記しない限り、本発明の農薬製剤は、濃縮物、希釈された濃縮物、又は噴霧可能な製剤の形態であることができる。
【0056】
本発明のアジュバントは、少なくとも1種の農薬活性物質を含む農薬製剤を形成するために、他の成分と組み合わせることができる。
【0057】
従って、農薬活性化合物は、乳化性濃縮物(EC)、エマルジョン濃縮物(EW)、懸濁液濃縮物(SC)、可溶性液体(SL)、オイルベースの懸濁液濃縮物(OD)、及び/又は懸濁液エマルジョン(SE)として処方され得る。
【0058】
EC製剤及びSL製剤では、活性化合物は溶解した形態で存在し得るのに対し、OD、SC、EW又はSE製剤では、活性化合物は固体又は乳化液体として存在し得る。
【0059】
本発明のアジュバントは、特にEC、EW、SC、SL、OD、又はSE製剤での使用が想定される。
【0060】
農薬濃縮物は、水性又は非水性であることができ、水(又は水ベースの液体)で希釈されて対応するスプレー製剤を形成するように設計されたできる農薬組成物である。前記組成物は、液体形態(例えば、溶液、エマルジョン又は分散液など)及び固体形態(特に水分散性の固体形態)、例えば、粒剤又は粉剤などのものを包含する。
【0061】
スプレー製剤は、植物又はそれらの環境に施用することが望まれるすべての成分を含む水性農薬製剤である。スプレー製剤は、所望の成分(水以外)を含有する濃縮物の単純希釈、又は個々の成分の混合、又は濃縮物を希釈し、さらに個々の成分又は成分の混合物を加える組み合わせによって調製することができる。典型的には、このような最終用途の混合は、配合物がスプレーされるタンク内で、又は別法として、スプレータンクを充填するための保持タンク内で行われる。このような混合及び混合物は、典型的には、タンク混合及びタンク混合物と呼ばれる。
【0062】
従って、アジュバントは、農薬活性化合物の製剤(in-can/built-in製剤)中に組み込まれてもよく、又はスプレー液の濃縮製剤(タンクミックス)の希釈後に添加されてもよい。投与ミスを避け、農薬製品の適用中の使用者の安全性を改善するために、アジュバントを製剤に組み込むことが有利である。これにより、タンクミックス製品の包装材料を不必要に使用することもなくなる。
【0063】
顧客のニーズに応じて、このように形成された濃縮物は、典型的には最大95質量%の農薬活性物質を含むことができる。前記濃縮物は、使用のために希釈することができ、約0.5質量%~約1質量%の農薬活性濃度を有する希釈組成物をもたらす。前記希薄組成物(例えば、スプレー施用率が10~500l.ha-1であることができるスプレー製剤)において、農薬活性物質濃度は、噴霧される際の全製剤の約0.001質量%~約1質量%の範囲内であることができる。
【0064】
本発明のアジュバントは、典型的には、製剤中の活性農薬の量に比例する量で使用される。農薬製剤濃縮物では、アジュバントの割合は、液体キャリヤー中の成分の溶解度に依存する。典型的には、そのような濃縮物中のアジュバントの濃度は、1質量%~99質量%である。好ましくは、1質量%~70質量%。より好ましくは、3質量%~50質量%である。
【0065】
例えば、スプレー製剤を形成するために希釈することによって、アジュバントは、典型的には、スプレー製剤の0.01質量%~2質量%、より一般的には製剤の0.03質量%~0.5質量%の濃度で存在する。さらに好ましくは、スプレー製剤の0.12質量%~0.4質量%である。
【0066】
農薬製剤中のアジュバントと活性農薬との比は、好ましくは約1:40~約1:1である。より好ましくは、約1:20~約1:1である。さらに好ましくは、約1:5~1:1である。この比の範囲は、一般的に、濃縮形態の製剤(例えば、アジュバントが分散性液体濃縮物又は分散性固体粒剤に含まれる場合)の場合、及びスプレー製剤で維持される。
【0067】
濃縮物(固体又は液体)が活性農薬及び/又はアジュバントの供給源として使用される場合、濃縮物は、典型的には、スプレー製剤を形成するために希釈される。希釈は、スプレー製剤を形成するために、濃縮物の総質量の1~10,000倍、特に10~1,000倍の水を用いるというものであることができる。
【0068】
農薬活性物質が水性の最終用途製剤中に固体粒子として存在する場合、ほとんどの場合、それは主に活性農薬の粒子として存在する。しかしながら、必要に応じて、活性農薬は、固体キャリヤー、例えばシリカ又は珪藻土上に担持することができ、固体キャリヤーは、上記のような固体支持体、フィラー又は希釈剤材料であることができる。
【0069】
スプレー製剤は、典型的には、中程度の酸性(例えば、約3)から中程度のアルカリ性(例えば、約10)までの範囲内のpH、特に中性に近い(例えば、約5~8の)pHを有する。より濃縮な製剤は、同程度の酸性度/アルカリ性を有するが、それらはほぼ非水性であるおそれがあるため、pHは必ずしもこれの適切な尺度ではない。
【0070】
農薬製剤は、アジュバントと関連して、例えばモノプロピレングリコールなどの溶媒(水以外)、植物油又は鉱油、例えばスプレー油であることができる油(非界面活性剤アジュバントとしてスプレー製剤に含まれる油)などを含むことができる。かかる溶媒は、アジュバントのための溶媒として、及び/又は、保湿剤として含まれることができ、例えば特にプロピレングリコールである。使用される場合、かかる溶媒は、典型的には、アジュバントの質量基準で5質量%~500質量%、望ましくは10質量%~100質量%の量で含まれる。そのような組み合わせは、例えば塩化アンモニウム及び/又は安息香酸ナトリウムなどの塩、及び/又は、特にゲル抑制助剤としての尿素を含んでもよい。
【0071】
別の実施形態では、本発明のアジュバント、又は第六の態様による生物のいずれかを、種子に塗布するのに適した種子塗布組成物に含めることができる。好ましくは、本発明のアジュバントは、種子被覆組成物に含まれ得る。
【0072】
アジュバントは、組成物の全重量に基づいて、0.5~25重量%、好ましくは2~18重量%、より好ましくは5~15重量%、特に8~12重量%の範囲の濃度で、種子被覆組成物中に適切に存在する。
【0073】
被覆は、フィルム被覆、ペレット化、及び包接、又は当技術分野で公知のこれらの技術の組み合わせを含み得る。本発明は、好ましくはフィルム被覆に対して、すべての前記被覆タイプに適用されることが想定される。
【0074】
本発明の種子被覆組成物は、従来の方法で種子に適用することができる。
【0075】
種子はプライミングされてもよいし、プライミングされていなくてもよい(発芽速度を改善するための処理、例えば、オスモプライミング、ハイドロプライミング、マトリックスプライミングに付されていてもよい)。
【0076】
一実施形態において、種子には、本発明の種子被覆組成物、例えばポリマーのような結合剤を含むプライマー層を塗布する前に、人工層が設けられていない。従って、種子被覆組成物は、好ましくは、種子の天然外表面に直接塗布される。それにもかかわらず、種子被覆組成物を塗布する前に、種子表面が表面処理を受けている可能性がある。
【0077】
好ましくは、種子被覆組成物は、液体組成物及び/又はエマルジョン及び/又は分散及び/又はラテックス組成物として適用され、その後、固化され(硬化及び/又は乾燥されたものを含む)、種子被覆を形成する。本出願で使用される用語「液体被覆組成物」は、懸濁液、エマルジョン、及び/又は分散液、好ましくは分散液の形態の被覆組成物を含むことを意味する。
【0078】
種子を被覆するために、従来の被覆手段を用いることができる。種々の被覆機械が当業者に利用可能である。いくつかの周知の技術には、ドラムコーター、流動床技術、回転コーター(一体乾燥を伴う又は伴わない)、及び噴出床の使用が含まれる。適切には、種子被覆組成物は、ロータリーコータ、ロータリードライコータ、パンコータ又は連続処理装置によって種子に塗布される。
【0079】
種子被覆組成物は、例えば、種子被覆組成物のフィルム被覆、スプレー塗布、浸漬又はブラシ塗布によって塗布することができる。好ましくは、この方法は、種子被覆組成物を塗布してフィルム又は種子被覆層を形成することを含む。種子被覆は、典型的には、種子の表面に、堅固に付着した透湿性被覆を形成することを含む。この方法は、典型的には、播種前に液体種子被覆組成物を種子に塗布することを含む。
【0080】
追加のフィルム被覆層は、化粧品、被覆率、活性剤、栄養素、及びより速い乾燥、種子の流れ、耐久性などの加工改良を含むが、これらに限定されない追加の利点を提供するために、本発明の被覆層の上部に任意に塗布されてもよい。
【0081】
農薬製剤又は種子被覆組成物は、必要に応じて他の成分を含んでもよい。これらの他の成分は、次のものから選択することができる。
・結合剤、特に、容易に水に溶解し、高い結合剤濃度で低粘度の溶液を与える結合剤、例えば、ポリビニルピロリドン;ポリビニルアルコール;カルボキシメチルセルロース;アラビアゴム;糖、例えばスクロース又はソルビトール;デンプン;エチレン-酢酸ビニルコポリマー、スクロース、及びアルギネートなど;
・希釈剤、吸収剤又はキャリヤー、例えばカーボンブラック;タルク;珪藻土;カオリン;ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム又はステアリン酸マグネシウム;トリポリリン酸ナトリウム;四ホウ酸ナトリウム;硫酸ナトリウム;ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウム、及びケイ酸ナトリウム-ケイ酸アルミニウム混合体;安息香酸ナトリウムなど;
・崩壊剤、例えば、界面活性剤、水中で膨潤する材料、例えばカルボキシメチルセルロース、コロジオン、ポリビニルピロリドン、及びミクロクリスタリンセルロース膨潤剤;塩、例えば酢酸ナトリウム又はカリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム又はセスキ炭酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、及びリン酸水素二カリウムなど;
・湿潤剤、例えばアルコールエトキシレート及びアルコールエトキシレート/プロポキシレート湿潤剤など;
・アジュバント、例えばスルホン化ナフタレンホルムアルデヒド縮合物及びアクリル酸コポリマー、例えばポリアクリル酸骨格にキャップドポリエチレングリコール側鎖を有する櫛型コポリマーなど;
・乳化剤、例えばアルコールエトキシレート、ABAブロックコポリマー、ヒマシ油エトキシレートなど;
・消泡剤、例えばポリシロキサン消泡剤、典型的には製剤の0.005質量%~10質量%の量;
・粘度調整剤、例えば市販の水溶性又は混和性ガム、例えば、キサンタンガム、及び/又はセルロース系材料、例えば、カルボキシ-、メチル-、エチル-又はプロピル-セルロースなど;及び/又は
・防腐剤及び/又は抗微生物剤、例えば有機酸又はそれらのエステル若しくは塩、例えばアスコルビン酸系のもの、例えばパルミチン酸アスコルビル、ソルビン酸系のもの、例えばソルビン酸カリウム、安息香酸系のもの、例えば安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸メチル及び4-ヒドロキシ安息香酸プロピル、プロピオン酸系のもの、例えばプロピオン酸ナトリウム、フェノール系のもの、例えば2-フェニルフェネートナトリウム;1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン;又はホルムアルデヒド自体又はパラホルムアルデヒド;又は、無機材料、例えば亜硫酸及びその塩、典型的には製剤の0.01質量%~1質量%の量。
【0082】
本発明による農薬製剤又は種子被覆組成物は、例えば、乳化剤系の一部を形成する界面活性物質などの成分を含んでもよい。前記界面活性剤としては、界面活性アジュバントが挙げられる。
【0083】
本発明の範囲外の他のアジュバント、例えば、界面活性アジュバントなどが、本発明の組成物及び製剤、並びに本発明で使用される組成物及び製剤に含まれてもよい。例としては、アルキル多糖類(より適切にはアルキルオリゴ糖類と呼ばれる);脂肪アミンエトキシレート、例えばココナッツアルキルアミン2EO;及びアルキル(アルケニル)無水コハク酸の誘導体、特にPCT出願WO94/00508及びWO96/16930に記載されているものが挙げられる。
【0084】
製剤/組成物は、1つ以上の生物学的に活性な成分(植物増強剤、特に植物保護製品(PPPとも呼ばれる)を含む)を含み得る。活性成分、特に植物増強剤の適切な例は、抗菌剤、殺菌剤、殺虫剤(insecticidal agent)、殺線虫剤、軟体動物駆除剤、生物製剤、殺ダニ剤又は殺ダニ剤、殺虫剤(pesticide)、及び殺生物剤である。さらに考えられる有効成分には、消毒剤、微生物、殺鼠剤、除草剤(weed killer)(除草剤(herbicide))、誘引剤、(トリ)忌避剤、植物成長調整剤(ジベレリン酸、オーキシン又はサイトカイニンなど)、栄養素(硝酸カリウム、硫酸マグネシウム、鉄キレートなど)、植物ホルモン、ミネラル、植物エキス、発芽促進剤、フェロモン、生物製剤などが含まれる。
【0085】
本発明による製剤又は種子被覆組成物で使用するのに適した農薬活性物質は、室温で固体又は液体であることができるすべての農薬活性化合物である。本発明のアジュバントは、すべてのタイプの農薬活性物質に幅広い施用性を有することが想定される。
【0086】
農薬活性成分とは、本発明の文脈において植物保護剤であり、より具体的には、例えば医薬、農業、林業及び蚊駆除などの分野で使用される様々な形態の生物を殺すことができる化学物質である殺生物剤を指す。殺生物剤のグループには、いわゆる植物成長調整剤も包含される。
【0087】
本発明の農薬製剤又は種子被覆組成物で使用される殺生物剤は、典型的には2つのサブグループに分けられる:
・例えば、殺菌剤、除草剤、殺虫剤、殺藻剤、殺軟体動物剤、殺ダニ剤、及び殺鼠剤を包含する農薬、及び
・例えば、消毒薬(germicides)、抗生物質、抗バクテリア剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、抗原虫剤及び抗寄生虫剤を包含する抗微生物剤。
【0088】
特に、殺虫剤、殺菌剤又は除草剤から選択される殺生物剤が特に好ましい場合がある。
【0089】
「農薬」という用語は、害虫の予防、破壊、忌避又は軽減を意図した物質又は物質の混合物を指すと理解される。農薬は、昆虫、植物病原体、雑草、軟体動
物、鳥、哺乳動物、魚、線虫(回虫)や、食物についてヒトと競合し、所有物を破壊したり、病気を広めたり、迷惑をかけたりする微生物を包含する害虫に対して使用される化学物質又は生物学的製剤(例えばウイルス又はバクテリアなど)である。以下の実施例では、本発明による農薬組成物に適した農薬が示される。
【0090】
殺菌剤は、菌の化学的防除物質である。殺菌剤は、庭や作物における菌の拡散を防ぐために使用される化合物である。殺菌剤はまた、真菌感染症と戦うためにも使用される。殺菌剤は接触性又は浸透性のいずれかである。接触性殺菌剤は、葉の表面に保持されている殺菌剤と接触すると、真菌を死滅させる。浸透性殺菌剤は植物組織に吸収され、宿主に侵入しようとすると真菌を死滅させる。
【0091】
本発明によると、適切な殺菌剤の例は、(3-エトキシプロピル)臭化水銀、2-メトキシエチル塩化水銀、2-フェニルフェノール、硫酸8-ヒドロキシキノリン、8-フェニル水銀オキシキノリン、アシベンゾラー、アシルアミノ酸殺菌剤、アシペタック、アルジモルフ、脂肪族窒素殺菌剤、アリルアルコール、アミド殺菌剤、アンプロピルホス、アニラジン、アニリド殺菌剤、抗生物質殺菌剤、芳香族殺菌剤、オーレオファンギン、アザコナゾール、アジチラム、アゾキシストロビン、多硫化バリウム、ベナラキシル-M、ベノダニル、ベノミル、ベンキノックス、ベンタルロン、ベンチアバリカルブ、塩化ベンザルコニウム、ベンザマクリル、ベンズアミド系殺菌剤、ベンザモルフ、ベンズアニリド系殺菌剤、ベンズイミダゾール系殺菌剤、ベンズイミダゾール前駆体系殺菌剤、ベンズイミダゾリルカルバメート系殺菌剤、ベンゾヒドロキサム酸、ベンゾチアゾール系殺菌剤、ベトキサジン、ビナパクリル、ビフェニル、ビテルタノール、ビチオノール、ブラストサイジン-S、ボルドー混合物、ボスカリド、架橋ジフェニル殺菌剤、ブロムコナゾール、ブピリメート、ブルゴーニュ混合物、ブチオベート、ブチルアミン、ポリスルフィドカルシウム、キャプタフォール、キャプタン、カルバメート殺菌剤、カルバモルフ、カルバニル酸殺菌剤、カルベンダジム、カルボキシン、カルプロパミド、カルボン、チェシャント混合物、キノメチオネート、クロベンチアゾン、クロラニホルメタン、クロラニル、クロルフェナゾール、クロルジニトロナフタレン、クロロネブ、クロルピクリン、クロルタロニル、クロルキノックス、クロゾリネート、シクロピロックス、クリバゾール、クロトリマゾール、コナゾール殺菌剤、コナゾール殺菌剤(イミダゾール)、コナゾール殺菌剤(トリアゾール)、酢酸銅(II)、炭酸銅(II)、塩基性、銅殺菌剤、水酸化銅、ナフテン酸銅、オレイン酸銅、オキシ塩化銅、硫酸銅(II)、硫酸銅、塩基性、クロム酸亜鉛銅、クレゾール、クフラネブ、キュプロバム、亜酸化銅、シアゾファミド、シクラフラミド、環状ジチオカルバメート系殺菌剤、シクロヘキシミド、シフルフェナミド、シモキサニル、シペンダゾール、シプロコナゾール、シプロジニル、ダゾメット、DBCP、デバカルブ、デカフェンチン、デヒドロ酢酸、ジカルボキシイミド系殺菌剤、ジクロフルアニド、ジクロン、ジクロロフェン、ジクロロフェニル、ジカルボキシイミド系殺菌剤、ジクロゾリン、ジクロブトラゾール、ジクロシメット、ジクロメジン、ジクロラン、ジエトフェンカルブ、ピロ炭酸ジエチル、ジフェノコナゾール、ジフルメトリム、ジメチリモール、ジメトモルフ、ジモキシストロビン、ジニコナゾール、ジニトロフェノール殺菌剤、ジノブトン、ジノカプ、ジノクトン、ジノペントン、ジノスルホン、ジノテルボン、ジフェニルアミン、ジピリチオン、ジスルフィラム、ジタリンホス、ジチアノン、ジチオカルバメート殺菌剤、DNOC、ドデモルフ、ドディシン、ドジン、ドナトジン、ドラゾキソロン、エディフェンホス、エポキシコナゾール、エタコナゾール、エテム、エタボクサム、エチリモール、エトキシキン、エチル水銀2,3-ジヒドロキシプロピルメルカプチド、酢酸エチル水銀、臭化エチル水銀、塩化エチル水銀、リン酸エチル水銀、エトリジアゾール、ファモキサドン、フェンナミドン、フェナパニル、フェナリモール、フェンブコナゾール、フェンフラム、フェンヘキサミド、フェニトロパン、フェノキサニル、フェンピクロニル、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、フェンチン、フェルバム、フェリムゾン、フルアジナム、フルジオキソニル、フルメトオーバー、フルオピコリド、フルオロイミド、フルトリマゾール、フルオキサストロビン、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルスルファミド、フルトラニル、フルトリアフォール、フォルペット、ホルムアルデヒド、ホセチル、フベリダゾール、フララキシル、フラメトピル、フラミド殺菌剤、フラニリド殺菌剤、フルカルバニル、フルコナゾール、フルコナゾールシス、フルフラール、フルメシクロックス、フロファネート、グリオジン、グリセオフルビン、グアザチン、ハラクリネート、ヘキサクロロベンゼン、ヘキサクロロブタジエン、ヘキサクロロフェン、ヘキサコナゾール、ヘキシルチオホス、ヒドラルガフェン、ヒメキサゾール、イマザリル、イミベンコナゾール、イミダゾール殺菌剤、イミノクタジン、無機殺菌剤、無機水銀殺菌剤、ヨードメタン、イプコナゾール、イプロベンホス、イプロジオン、イプロバリカルブ、イソプロチオラン、イソバレディオン、カスガマイシン、クレソキシムメチル、石灰硫黄、マンコッパー、マンコゼブ、マネブ、メベニル、メカルビンジド、メパニピリム、メプロニル、塩化第二水銀、酸化第二水銀、塩化第一水銀、水銀殺菌剤、メタラキシル、メタラキシル-M、メタム、メタゾキソロン、メトコナゾール、メタスルホカルブ、メトフロキサム、臭化メチル、イソチオシアン酸メチル、安息香酸メチル水銀、メチル水銀ジシアンジアミド、メチル水銀ペンタクロロフェノキシド、メチラム、メトミノストロビン、メトラフェノン、メトスルフォバックス、ミルネブ、モルホリン系殺菌剤、ミクロブタニル、ミクロゾリン、N-(エチル水銀)-p-トルエンスルホンアニリド、ナバム、ナタマイシン、ニトロスチレン、ニトロタールイソプロピル、ヌアリモール、OCH、オクチリノン、オフレース、有機水銀系殺菌剤、有機リン系殺菌剤、有機スズ系殺菌剤、オリサストロビン、オキサジキシル、オキサチイン系殺菌剤、オキサゾール系殺菌剤、オーキシン銅、オクスポコナゾール、オキシカルボキシン、ペフラゾエート、ペンコナゾール、ペンシクロン、ペンタクロロフェノール、ペンチオピラド、フェニル水銀尿素、酢酸フェニル水銀、塩化フェニル水銀、ピロカテコールのフェニル水銀誘導体、硝酸フェニル水銀、サリチル酸フェニル水銀、フェニルスルファミド殺菌剤、ホスジフェン、フタリド、フタルイミド殺菌剤、ピコキシストロビン、ピペラリン、ポリカルバメート、ポリマージチオカルバメート殺菌剤、ポリオキシン、ポリオキソリム、ポリスルフィド殺菌剤、アジ化カリウム、ポリスルフィドカリウム、チオシアン酸カリウム、プロベナゾール、プロクロラズ、プロシミドン、プロパモカルブ、プロピコナゾール、プロピネブ、プロキナジド、プロチオカルブ、プロチオコナゾール、ピラカルボリド、ピラクロストロビン、ピラゾール殺菌剤、ピラゾホス、ピリジン殺菌剤、ピリジニトリル、ピリフェノクス、ピリメタニル、ピリミジン系殺菌剤、ピロキロン、ピロキシクロル、ピロキシフィル、ピロール系殺菌剤、キナセトール、キナザミド、キンコナゾール、キノリン系殺菌剤、キノン系殺菌剤、キノキサリン系殺菌剤、キノキシフェン、キントゼン、ラベンザゾール、サリチルアニリド、シルチオファム、シメコナゾール、アジ化ナトリウム、オルトフェニルフェノキシドナトリウム、ペンタクロロフェノキシドナトリウム、ポリスルフィドナトリウム、スピロキサミン、ストレプトマイシン、ストロビルリン殺菌剤、スルホンアニリド殺菌剤、硫黄、スルトロペン、TCMTB、テブコナゾール、テクロフタラム、テクナゼン、テコラム、テトラコナゾール、チアベンダゾール、チアジフルオル、チアゾール系殺菌剤、チチョフェン、チフルザミド、チオカルバメート系殺菌剤、チオクロルフェンフィム、チオメルサール、チオファネート、チオファネートメチル、チオフェン系殺菌剤、チオキノックス、チラム、チアジニル、チ、ミドオキシチブトルクロホスメチル、トルナフテート、トリルフルアニド、酢酸トリル水銀、トリアジメフォン、トリアジメノール、トリアミホス、トリアリモール、トリアズブチル、トリアジン系殺菌剤、トリアゾール系殺菌剤、トリアゾキシド、酸化トリブチルスズ、トリクラミド、トリシクラゾール、トリフロキシストロビン、トリフルミゾール、トリフォリン、トリチコナゾール、未分類の殺菌剤、ウンデシレン酸、ウニコナゾール、尿素殺菌剤、バリダマイシン、バリナミド殺菌剤、ビンクロゾリン、ザリラミド、ナフテン酸亜鉛、ジネブ、ジラム、ゾキサミド、及びそれらの混合物を含む。
【0092】
除草剤は、不要な植物を死滅させるために使用される農薬である。選択的除草剤は特定の標的を死滅させ、望ましい作物は比較的無害のまま残す。これらのいくつかは、雑草の成長を妨げることにより作用し、多くの場合植物ホルモンに基づく。荒廃地を切り開くために使用される除草剤は非選択的であり、接触するすべての植物材料を死滅させる。除草剤は、農業及び景観管理に広く使用されている。これらは、高速道路や鉄道のメンテナンスのための総植生管理(TVC)プログラムで施用される。森林、牧草地システム、及び野生生物の生息地として確保されている地域の管理には、より少ない量が使用される。
【0093】
適切な除草剤は、例えば、アリールオキシカルボン酸、例えばMCPA、アリールオキシフェノキシプロピオン酸塩、例えばクロジナホップ、シクロヘキサンジオンオキシム、例えばセトキシジム、ヒドロキシベンゾニトリル、例えばブロモキシニル、スルホニル尿素、例えばニコスルフロン、トリアゾロピリミジン、例えばペノクススラム、トリケチオン、例えばメソトリオン、メトリブジン、ヘキサキシノン、又はアトラジンなどのトリアジン除草剤;クロルスルフロンなどのスルホニル尿素除草剤;レナシル、ブロマシル、テルバシルなどのウラシル;リニュロン、ジウロン、シデュロン、又はネブロンなどの尿素除草剤;アラクロール、又はメトラクロールなどのアセトアニリド除草剤;ベンチオカルブ、トリアレートなどのチオカルバメート系除草剤;オキサジアゾンなどのオキサジアゾロン除草剤;イソキサゾリドン除草剤、フェノキシ酢酸;フルアジホップ、アシフルオルフェン、ビフェノックス、又はオキシフルオルフェンなどのジフェニルエーテル除草剤;トリフルラリンなどのジニトロアニリン除草剤;グルホシネート塩及びエステルならびにグリホセート塩及びエステルなどの有機ホスホネート除草剤;及び/又はブロモキシニルなどのジハロベンゾニトリル除草剤、又はイオキシニル、安息香酸除草剤、パラコートなどのジピリジリウム除草剤;クロマゾン、カルフェントラゾン、サフルフェナシル、ピロキサスルフォンなどの他の除草剤を含む群から選択することができる。
【0094】
特に好ましい除草剤は、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)、アトラジン、安息香酸としてのジカンバ、グリホセート、グルホシネート、イミダゾリノンとしてのイマザピック、クロロアセトアミドとしてのメトラクロール、ピリジンカルボン酸としてのピクロラム、クロピラリド、及びトリクロピル又は合成オーキシン、それらのそれぞれの水溶性塩及びエステル、ならびにそれらの混合物から選択され得る。
【0095】
殺虫剤は、あらゆる発生形態の昆虫に対して使用される農薬であり、昆虫の卵及び幼虫に対して使用される殺卵剤及び幼虫駆除剤を包含する。殺虫剤は、農業、医療、工業及び家庭で使用される。
【0096】
適切な殺虫剤には、例えば、カンフェクロール、DDT、ヘキサクロロシクロヘキサン、γ-ヘキサクロロシクロヘキサン、メトキシクロール、ペンタクロロフェノール、TDE、アルドリン、クロルデン、クロルデコン、ディルドリン、エンドスルファン、エンドリンなどの塩素化殺虫剤、ヘプタクロル、マイレックス及びそれらの混合物;例えば、アセフェート、アジンホスメチル、ベンスリド、クロレトキシホス、クロルピリホス、クロルピリホスメチル、ダイアジノン、ジクロルボス(DDVP)、ジクロトホス、ジメトエート、ジスルフォトン、エトプロップ、フェナミホス、フェニトロチオンなどの有機リン化合物、フェンチオン、フォスチアゼート、マラチオン、メタミドホス、メチダチオン、メチルパラチオン、メビンホス、ナレド、オメトエート、オキシデメトンメチル、パラチオン、フォレート、フォサロン、ホスメット、ホステブピリム、ピリミホスメチル、プロフェノホス、テルブホス、テトラクロルビンホス、トリブホス、トリクロルフォン及びそれらの混合物;例えば、アルジカルブ、カルボフラン、カルバリル、メソミル、2-(1-メチルプロピル)フェニルメチルカルバメート及びそれらの混合物などのカルバメート;ピレスロイド、例えば、アレスリン、ビフェントリン、デルタメトリン、ペルメトリン、レスメトリン、スミトリン、テトラメトリン、トラロメトリン、トランスフルトリン及びその混合物;例えば、デリス(ロテノン)、除虫菊、ニーム(アザディラクチン)、ニコチン、カフェイン及びそれらの混合物などの植物毒素由来化合物;イミダクロプリドなどのネオニコチノイド;アバメクチン、エママクチン;インドキサカルブなどのオキサジアジン;及び/又はリナキシピルなどのアントラニルジアミドから選択されるものが含まれ得る。
【0097】
殺ダニ剤はダニを死滅させる農薬である。抗生物質系の殺ダニ剤、カルバメート系の殺ダニ剤、ホルムアミジン系の殺ダニ剤、ダニ成長調節剤、有機塩素系、ペルメトリン、有機リン系の殺ダニ剤はすべてこのカテゴリーに属する。軟体動物駆除剤は、ガ、ナメクジ、及びカタツムリなどの軟体動物の駆除に使用される農薬である。これらの物質としては、メタアルデヒド、メチオカルブ及び硫酸アルミニウムが挙げられる。線虫駆除剤は、寄生性線虫(線虫門)を死滅させるために使用される化学農薬の一種である。
【0098】
最も好ましくは、本発明の農薬配合物又は種子被覆組成物中に存在する活性物質は、トリアゾール系殺菌剤、ストロビルリン系殺菌剤、又はそれらの組み合わせから選択される。特に、テブコナゾール、フルトリアフォール、カルベンダジム、アゾキシストロビン、クレゾキシム-メチル、シプロコナゾール、又はピラクロストロビン。
【0099】
栄養素は、農薬に加えて、又は代替として存在してもよい。このような製剤/組成物において、栄養素は典型的には乾燥形態である。
【0100】
栄養素は、好ましくは、固相栄養素であってもよい。固体栄養素は、本発明において、融点が20℃(標準圧力)を超える物質を意味するものとして理解されるべきである。固体栄養素はまた、不溶性の栄養成分、すなわち、水への溶解度が、添加後に濃縮物中に有意な固形分が存在するような栄養成分を含む。
【0101】
栄養素とは、植物の成長を促進又は改善するために望ましい又は必要な化学元素及び化合物を指す。適切な栄養素は、一般的に、多量栄養素又は微量栄養素として説明される。本発明による濃縮物で使用するのに適した栄養素は、すべて栄養化合物である。
【0102】
微量栄養素は、典型的には、微量金属又は微量元素を指し、多くの場合、低用量で施用される。適切な微量栄養素は、亜鉛、ホウ素、塩素、銅、鉄、モリブデン、及びマンガンから選択される微量元素を含む。微量栄養素は、可溶性形態であっても、又は不溶性固体として含まれてもよく、塩であっても若しくはキレート化されてもよい。
【0103】
多量栄養素は、典型的には、窒素、リン及びカリウムを含むものを指し、例えば、硫酸アンモニウムなどの肥料、及び水調整剤を含む。好適な多量栄養素は、肥料及び他の窒素、リン、カリウム、カルシウム、マグネシウム、又は硫黄含有化合物、並びに水調整剤を含む。
【0104】
好適な肥料は、窒素、リン、カリウム又は硫黄などの栄養素を提供する無機肥料を含む。肥料は、比較的低濃度で希釈された製剤中に、又はより高濃度の溶液として含まれてもよく、この溶液は、非常に高濃度で、固形肥料及び溶液を含んでもよい。
【0105】
栄養素の含有は、特定の栄養素に依存し、微量栄養素は、典型的には、より低い濃度で含有され、一方、多量栄養素は、典型的には、より高い濃度で含有されることが想定される。
【0106】
生体刺激成分は、作物植物の成長を促進するために、配合物又は種子被覆組成物に添加され得る。生体刺激成分は、1つ以上の生体刺激剤を含み得るか、又はそれらから構成され得る。
【0107】
有用な生体刺激剤の例としては、植物成長ホルモン及び植物成長調節剤、例えば、サイトカイニン、オーキシン、ジベレリン、エチレン、アブシジン酸が挙げられるが、これらに限定されない。他の生体刺激剤には、タンパク質加水分解物誘導体、海藻抽出物、アミノ酸、植物抽出物、キトサン誘導体、生体高分子、無機化合物、腐植物質、微生物接種材料及び微生物産物、又はそれらの混合物が含まれる。
【0108】
本発明のアジュバントは、それが含まれる農薬製剤にアジュバンシーを提供し、特に、殺菌剤アジュバンシーを提供する用途を見出すことができる。
【0109】
本明細書で使用される場合、「アジュバント」又は「アジュバンシー」という用語は、農薬製剤に添加されたときに農薬の所望の効果を改善する化合物を指す。アジュバントは、活性物質の性能の改善によって、希釈剤、混合物、活性物質、又は標的に影響を与えることができる。アジュバントを使用して、農薬が機能する領域に農薬を付着させ、農薬が侵入することを可能にする葉表面の表皮層を変化させ、及び/又は農薬製剤中の活性農薬に対して標的農薬を感作させることができる。
【0110】
特定のアジュバンシー効果には、界面活性剤、乳化剤(分散剤及び懸濁剤)、油、乳化可能な油、相溶化剤、緩衝剤及びコンディショニング剤、消泡剤、沈着剤、ドリフト制御剤、増粘剤、展着剤(湿潤剤)、ステッカー(ビルダー及び増量剤)、植物浸透剤、トランスロケーター、土壌浸透剤、安定剤(UVフィルター)、及び/又は活性農薬に対する害虫感作が含まれる場合がある。
【0111】
好ましくは、本発明のアジュバントは、タンク添加用に製剤化されたアジュバント、又は農薬濃縮物中に直接製剤化されたアジュバント中の唯一の成分又は主官能化剤としての使用を見出すことができる。
【0112】
殺菌剤単独(例えば、ピラクロストロビン)のB.シネレア(B. cinerea)に対する活性との関連でのアジュバント活性の尺度として、阻害パーセント(アジュバント及び殺菌剤)を阻害パーセント(殺菌剤)で除した値を、より高い所望の値で定義することができる。従って、1の値は、殺菌剤単独に対するアジュバント/殺菌剤の組み合わせの同等の活性を表すが、1を超える値は、殺菌剤単独よりもアジュバント/殺菌剤の組み合わせによるより高い活性を表すであろう。本発明の活性物質は、1超の値を有することができる。好ましくは、1.5超、最も好ましくは2超の値を有する。
【0113】
本明細書に記載されるすべての特徴は、任意の組み合わせで、上記の態様のいずれかと組み合わせることができる。
【実施例】
【0114】
本発明をより容易に理解できるようにするために、ここで、例として、以下の記載を参照する。
【0115】
ここに記載されているすべての試験及び物理的特性は、本書に別段の記載がない限り、又は参照されている試験方法及び手順に別段の記載がない限り、大気圧及び室温(すなわち、20~25℃)で測定されたものであることが理解される。
【0116】
形成と抽出
真菌スタキボトリス・チャータラムRKDO1264の培養抽出物のバイオアッセイ誘導分画は、フェニルスピロドリマン及びスタキボシンAの単離につながった。分離株RKDO1264をYM寒天培地(w/v:1%の麦芽エキス、0.2%の酵母抽出物、1%のグルコース、2%の寒天)上で培養し、22℃にて14日間インキュベートした。8個のコロニー外植片(約3mm3)を、滅菌50mL試験管内の15mLのYMブロス(w/v:1%の麦芽エキス、0.2%の酵母抽出物、1%のグルコース)への接種に使用し、200RPM、22℃にて5日間振盪し、種接種材料を作製した。種培養物を、三角フラスコ内で調製した発酵培地(w/v:15%のスクロース、2%の酵母抽出物、0.05%の硫酸マグネシウム七水和物、及び1%のL-ロイシン)への接種に使用した。
【0117】
22℃にて21日後、1容量の酢酸エチルで発酵物を抽出し、175RPMで60分間振盪した。抽出物をWhatman #3濾紙を通して濾過することにより清澄化し、溶媒を減圧下で除去した後、化学的精製を実施した。
【0118】
RKDO1264発酵抽出物を、Teledyne Nextgen 300+ Combiflashにおいて20分間にわたり10%MeOH:90%H2O~100%MeOHのグラジエントを用いて、Silasep C18フラッシュカートリッジ(43gのC-18)により分画した。SEDEX 80LT ELSD及びサーモフォトダイオードアレイ(PDA)検出器を備えたThermo Exactive Electrospray mass spectrometer(ESI-MS)と組み合わせたThermo Scientific Accela UHPLCにより画分を分析した。フェニルスピロドリマン及びスタキボシンAを含有する画分を、蒸発光散乱検出器(Waters 2424)及び質量分析計(Waters 3100)を備えたWaters HPLCシステム上で、逆相C-18 HPLC(Kinetex 5μm C18カラム、10×250mm)を用いて精製した。フェニルスピロドリマン及びスタキボシンAの初期精製を、流速3mL/分の60%MeCN水溶液の定組成溶離を用いて実施した。
【0119】
質量分析とNMR分析を組み合わせて、フェニルスピロドリマン及びスタキボシンAの構造を解明した。NMRスペクトルは、1H及び13Cについて、それぞれ400MHz及び150MHzで動作するBruker Avance III 400MHz NMR分光計で記録した。スペクトルは、残存する非重水素化溶媒ピークを参照した。
【0120】
代謝産物のNMR解析が、文献データと一致したので、フェニルスピロドリマン(Ia)、フェニルスピロドリマン(Ib)、及びスタキボシンA(IIa)として構造を確認した。
【0121】
アジュバンシーの例
「阻害率」及び「倍率変化」というパラメータは、次のように表し、そして、計算されるものと理解される;
阻害率-阻害率は、殺菌剤及び/又はアジュバントが、ビヒクルで処理した対照と比較して、22℃にて48時間インキュベートした後、微生物の目に見える増殖を阻害する量を表すと理解される。これは、次の式:
【数1】
を使用して計算される。
【0122】
倍率変化-倍率変化は、殺菌剤単独と比較して、微生物を阻害する際のアジュバント/殺菌剤の組み合わせの尺度である。これは、アジュバントが殺菌剤単独と比較してどのように機能するかを示す。これは、次の式:
INHAF/INHF
{式中、
INHAF=殺菌剤及びアジュバントで処理した場合の真菌増殖の阻害率、及び
INHF=殺菌剤単独で処理した場合の真菌増殖の阻害率}
を使用して計算される。
【0123】
実施例-アジュバンシー
ボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)(ATCC 90479)をDifcoジャガイモデキストロース寒天(PDA)上で7日間、日周UVサイクル(12時間UV光と12時間暗)で培養した。胞子を緩衝滅菌生理食塩水(w/v:1%のTween80を含む0.9%のNaCl)中で回収し、血球計数器を用いて計数した。胞子懸濁液を8.5×106胞子/mLの最終濃度に調整して、標準化接種材料を作製した。
【0124】
アジュバント試験のための菌糸断片を調製するために、8.5×104胞子を、150×25mmの試験管内の10mLのDifcoジャガイモデキストロースブロスに接種するのに使用した。その試験管を220RPM、22℃にて48時間インキュベートした。培養物から菌糸断片を作製するために、培養物を約20個の滅菌した直径5mmのガラスビーズが入った50mLのプラスチック製コニカルチューブに移し、5分間ボルテックスにかけた。ボルテックスにかけた後、そのチューブを5分間放置して、大きな菌糸塊を沈降させ、次に菌糸断片を含有する上層を取り出し、そして、生育阻害アッセイのための接種材料として使用した。
【0125】
殺菌剤及びアジュバントをメタノールに溶解し、溶融PDA(約50℃)に加え、次に、寒天を12ウェルマルチウェルプレート(1mL/ウェル)のウェルに分布させた。プレートを室温に冷却し、菌糸接種物10μLを各ウェルの中心に添加した。プレートを22℃にて48時間インキュベートし、デジタルキャリパーを用いてコロニー直径を測定した。生物学的増殖対照は菌糸及び媒体(0.07%メタノール)からなり、陰性対照は培地及び媒体(0.07%メタノール)であった。
【0126】
本発明のアジュバント活性の結果を表1~3に示す。
【表2】
【0127】
【0128】
【0129】
殺真菌活性に対するアジュバントの効果は、生育阻害の倍増として表される。1の値は殺菌活性の増加がないことを示す。1未満の値は殺真菌活性の減少を示し、1より大きい値は殺真菌活性の増加を示す。
【0130】
B.シネレアに対するピラクロストロビンによるアジュバント活性を、試験した化合物のそれぞれについて観察したが、中でも注目すべきは、0.1μg/mLでのピラクロストロビン単独と比較して、殺真菌活性における33.83及び17.87倍の増加を示したフェニルスピロドリマン(Ia)及びフェニルスピロドリマン(Ib)である。
【0131】
フェニルスピロドリマン(Ia)は、0.05μg/mLでのテブコナゾール単独と比較して、殺真菌活性における39.68倍の増加を示した。
フェニルスピロドリマン(Ia)及び(Ib)、並びにスタキボシンA(IIa)は、ジメトモルフ、プロチオコナゾール、マンコゼブ、メタラキシル及びピリメタニルに比べて増強された殺真菌活性を示した。
フェニルスピロドリマン(Ia)及び(Ib)、並びにスタキボシンA(IIa)は、試験した濃度のいずれにおいても、それら自体に固有の殺真菌活性は実証されなかった。
【0132】
実施例-細胞毒性
フェニルスピロドリマン及びスタキボシンAの細胞毒性を、アフリカミドリザルVero腎細胞(ATCC CCL-81)に対してインビトロにおいて評価した。10%ウシ胎児血清(VWR)、100μUペニシリン、及びT75cm2細胞培養フラスコ中の0.1mg/mLストレプトマイシンを補充したイーグル最小必須培地(Sigma)15mL中で細胞を培養した。細胞を、5%CO2の加湿雰囲気中、37℃にて24時間インキュベートした。培養培地は2~3日ごとに更新し、細胞は80%コンフルエントを超えてはならなかった。
【0133】
80%コンフルエントで、細胞をカウントし、希釈し、90μLの増殖培地中でウェル当たり10,000細胞の細胞密度で96ウェル平底細胞培養プレート(Corning)に平板培養した。プレートを37℃にて5% CO2の加湿雰囲気中で24時間インキュベートし、細胞をプレートに付着させた後、処理した。24時間後、アジュバントをDMSOに溶解し、連続希釈し、1μg/mLから128μg/mLの範囲の最終濃度でウェルに添加した。DMSOをウェル中の最終濃度1%のビヒクルとして使用した。
【0134】
プレートを37℃にて5% CO2の加湿雰囲気中で24時間インキュベートした後、アラマブルー(Invitrogen)を培養容量の10%で各ウェルに添加した。蛍光は、Thermo Scientific Varioskan Flashプレートリーダーを用いて、励起560/12、発光590nmで、アラマーブルー添加後0時間及び4時間でモニターした。最終測定値から時間ゼロ発光590nm測定値を差し引いた後、ビヒクル対照ウェルに対する細胞生存率の推定パーセンテージを計算した。
【0135】
フェニルスピロドリマン(Ia)及び(Ib)、並びにスタキボシンA(IIa)は、試験された最高濃度(128mg/mL)でVero細胞に対して細胞毒性を示さなかったことから、アジュバントは試験された濃度で哺乳動物細胞に対して毒性がないことが示された。
【0136】
実施例-植物毒性
フェニルスピロドリマン(Ia)の植物毒性を、ダイズとバターヘッドレタスの葉で評価した。ダイズ種子に、ブラジリゾビウム・ジャポニカム(Bradyrhizobium japnicum)を植菌し、そして、9cm2プラスチックポット内のLevington’s M3堆肥中に播種したダイズ植物体にはSON-T電球を用いて追加照明を与えた。生物的防除を使用してスリップス被害を予防した(Biolone-Amblyseius cucumeris)。ガラスハウス温度を、日中には22℃±2及び夜間には19℃±1を維持するように設定した。レタス植物体を、リゾバクテリアの植菌なしに同じ様式で栽培した。追加照明をLED電球によって提供した。すべての植物体を、十分に水分を与えられるように維持し、14日間栽培した。
【0137】
試験化合物/抽出物を2%のDMSOで再懸濁した(0.10%、1.0g/L)。Synperonic A11 LQを陽性対照として使用し、及びAtplus UEP-100を陰性対照として使用した。処理を、葉面上への6滴の10μLの液滴として適用された。植物毒性組織損傷を、処理の1日後及び7日後に、0~3のスコアにより評価した。結果を表4に示す。
【0138】
【0139】
1g/Lの化合物/抽出物の植物毒性を、平均植物毒性壊死スコアとして表す、ここで、0=壊死なし;1=接種部位の軽微なスポット様壊死;2=環状壊死;3=拡大壊死。
フェニルスピロドリマン(Ia)は、7日後にダイズ又はバターヘッドレタスの葉に対してまったく植物毒性を示さなかった。RKDO1264粗抽出物は、ダイズ及びバターヘッドレタスに対して、7日後に非常に小さな植物毒性を示した(それぞれスコア0.4及び0.2)。
【0140】
本発明は、単に例として記載した上記の実施形態の詳細に限定されるべきではなく、多くのバリエーションが可能であることが理解されるべきである。
【国際調査報告】