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特表2024-508877視覚の評価および治療のためのシステム、方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】視覚の評価および治療のためのシステム、方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/08 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
A61B3/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553128
(86)(22)【出願日】2022-03-01
(85)【翻訳文提出日】2023-10-30
(86)【国際出願番号】 US2022018388
(87)【国際公開番号】W WO2022187279
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】63/215,182
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/155,720
(32)【優先日】2021-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/155,141
(32)【優先日】2021-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520167689
【氏名又は名称】ビビッド・ビジョン・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Vivid Vision,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン バッカス
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ドーンボス
(72)【発明者】
【氏名】トゥアン トラン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ジェイ. ブラハ
(72)【発明者】
【氏名】マニシュ グプタ
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA16
4C316FA01
4C316FB13
4C316FC04
4C316FZ01
(57)【要約】
コンピュータシステムが提供される。システムは、少なくとも1つのデータプロセッサと、コンピュータ実行可能命令を記憶した少なくとも1つのコンピュータ可読記憶媒体とを含むコンピューティングデバイスを含む。システムはさらに、コンピューティングデバイスと通信するように構成された、ディスプレイを含む装置を含む。少なくとも1つのデータプロセッサは、動作を実行するためのコンピュータ実行可能命令を実行するように構成されている。動作は、少なくとも1つのデータプロセッサを使用して、ディスプレイに、ユーザの1つもしくは複数の視覚技能を測定するように構成された複数の眼状態評価または複数の眼状態矯正活動のうちの第1の眼状態評価または第1の眼状態矯正活動を表示するステップを含む。動作はさらに、少なくとも1つのデータプロセッサにより、第1の眼状態評価または第1の眼状態矯正活動に関するユーザ入力を受け取るステップを含む。動作はさらに、少なくとも1つのパラメータの目標値が達成されたかどうかを判別するステップを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
視覚の評価および矯正のためのコンピュータシステムであって、
該システムが少なくとも1つのデータプロセッサを備え、前記データプロセッサが、
少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを使用して、ディスプレイに、該ディスプレイを観察しているユーザの医学的障害または知覚技能を測定するように構成された複数の眼状態評価または複数の眼状態矯正活動のうちの第1の眼状態評価または第1の眼状態矯正活動を表示するステップと、
前記少なくとも1つのプログラマブルプロセッサにより、第1の評価または第1の矯正活動に関するユーザ入力を受け取るステップであって、前記ユーザ入力は、前記眼状態評価中または前記眼状態矯正活動中に前記ユーザから取得された入力に基づいて生成されたものである、ステップと、
前記少なくとも1つのプログラマブルプロセッサにより、受け取られた前記ユーザ入力を使用して、前記ユーザの少なくとも一方の眼による前記第1の眼状態評価または前記第1の眼状態矯正活動の第1の特性の知覚を示す少なくとも1つのパラメータの目標値が達成されたかどうかを判別するステップと、
前記少なくとも1つのプログラマブルプロセッサにより、達成された目標パラメータに基づいて、前記ユーザの医学的障害または知覚技能のモデル内の複数の潜在状態のなかから前記ユーザの現在状態を判別するステップと、
前記少なくとも1つのプログラマブルプロセッサにより、前記目標値が変更されたことが判別された場合に、前記ユーザの医学的障害のモデル内に前記ユーザの現在状態を反映させるために、前記ユーザに対して前記コンピューティングデバイスによってスケジューリングされた眼状態評価および/または眼状態矯正活動を更新するステップと、
前記少なくとも1つのプログラマブルプロセッサにより、前記ユーザの医学的状態または知覚技能が前記目標値の達成ポイントまで改善されたことが判別されるまで、前記表示するステップ、前記受け取るステップ、前記判別するステップおよび前記更新するステップを繰り返し実行するステップと
を含む各動作を実行するように構成されている、コンピュータシステム。
【請求項2】
前記医学的障害または知覚技能が、異所性弱視、斜視性弱視、間歇性外斜視、恒常性外斜視、輻輳開散障害、輻輳不全、輻輳過剰、開散不全、開散過剰、内斜視(間歇性)、内斜視、上斜視、皮質抑制、融像に必要な両眼視感覚の欠如、輻輳開散不全からの両眼視感覚の欠如、調節不全、調節不能、外傷性脳障害(TBI)、対応異常、眼球運動、緑内障、ロービジョン訓練、脳損傷、視野欠損、無視、錯乱、暗点、立体視深度知覚の欠如もしくは立体視深度知覚障害、スポーツビジョンに関連する状態、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1記載のコンピューティングシステム。
【請求項3】
前記複数の眼状態評価または複数の眼状態矯正活動は、輻輳開散範囲、視力、コントラスト感度、中心-周辺認識、立体視深度、視覚処理、知覚、反応時間、調節、追跡精度、融像、立体視、複視の認識、および固視ずれの最小化、のうちの1つもしくは複数を含む、請求項1または2記載のコンピューティングシステム。
【請求項4】
前記システムはさらに、前記少なくとも1つのプログラマブルプロセッサと通信するように構成された、ディスプレイを含む装置を備える、請求項1から3までのいずれか1項記載のコンピューティングシステム。
【請求項5】
前記装置が、仮想現実デバイス、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、拡張現実デバイス、複合現実デバイス、アイトラッキングデバイス、ウェアラブルディスプレイ、レンズ、身体動作追跡デバイス、顔面追跡デバイス、付属肢追跡デバイス、触覚フィードバックデバイス、音響センサ、マイクロフォン、および/またはバイオセンサ、のうちの1つもしくは複数を含む、請求項4記載のコンピューティングシステム。
【請求項6】
方法であって、
ユーザの1つもしくは複数の視覚技能を測定するように構成された複数の眼状態評価または複数の眼状態矯正活動のうちの第1の眼状態評価または第1の眼状態矯正活動を表示するステップと、
第1の評価または第1の矯正活動に関するユーザ入力を受け取るステップであって、前記ユーザ入力は、前記眼状態評価中または前記眼状態矯正活動中に前記ユーザから取得された入力に基づいて生成されたものである、ステップと、
前記ユーザの少なくとも一方の眼による前記第1の眼状態評価または前記第1の眼状態矯正活動の第1の特性の知覚を示す少なくとも1つのパラメータの目標値が達成されたかどうかを判別するステップと、
達成された目標パラメータに基づいて、前記ユーザの医学的障害または知覚技能のモデル内の複数の潜在状態のなかから前記ユーザの現在状態を判別するステップと、
前記目標値が変更されたことが判別された場合に、前記ユーザの医学的障害または知覚技能のモデル内に前記ユーザの現在状態を反映させるために、前記ユーザに対してスケジューリングされた眼状態評価または眼状態矯正活動を更新するステップと、
前記ユーザの医学的状態または知覚技能が前記目標値の達成ポイントまで改善されたことが判別されるまで、前記表示するステップ、前記受け取るステップ、前記判別するステップおよび前記更新するステップを繰り返し実行するステップと
を含む、方法。
【請求項7】
前記医学的障害または知覚技能が、異所性弱視、斜視性弱視、間歇性外斜視、恒常性外斜視、輻輳開散障害、輻輳不全、輻輳過剰、開散不全、開散過剰、内斜視(間歇性)、内斜視、上斜視、皮質抑制、融像に必要な両眼視感覚の欠如、輻輳開散不全からの両眼視感覚の欠如、調節不全、調節不能、外傷性脳障害(TBI)、対応異常、眼球運動、緑内障、ロービジョン訓練、脳損傷、視野欠損、無視、錯乱、暗点、立体視深度知覚の欠如もしくは立体視深度知覚障害、スポーツビジョンに関連する状態、のうちの少なくとも1つを含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記複数の眼状態評価または複数の眼状態矯正活動は、輻輳開散範囲、視力、コントラスト感度、中心-周辺認識、立体視深度、視覚処理、知覚、反応時間、調節、追跡精度、融像、立体視、複視の認識、および固視ずれの最小化、のうちの1つもしくは複数を含む、請求項6または7記載の方法。
【請求項9】
前記表示するステップは、前記ユーザと対話するように構成されたディスプレイを有する装置を使用して行われる、請求項6から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記装置が、仮想現実デバイス、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、拡張現実デバイス、複合現実デバイス、アイトラッキングデバイス、ウェアラブルディスプレイ、レンズ、身体動作追跡デバイス、顔面追跡デバイス、付属肢追跡デバイス、触覚フィードバックデバイス、音響センサ、マイクロフォン、および/またはバイオセンサ、のうちの1つもしくは複数を含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記表示するステップ、前記受け取るステップ、前記判別するステップ、前記更新するステップおよび前記繰り返し実行するステップが、1つもしくは複数のプログラマブルプロセッサを使用して実行される、請求項5から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
命令を記憶した非一時的なコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品であって、前記命令は、少なくとも1つのプログラマブルプロセッサによって実行される際に、
ユーザの1つもしくは複数の視覚技能を測定するように構成された複数の眼状態評価または複数の眼状態矯正活動のうちの第1の眼状態評価または第1の眼状態矯正活動を表示するステップと、
第1の評価または第1の矯正活動に関するユーザ入力を受け取るステップであって、前記ユーザ入力は、前記眼状態評価中または前記眼状態矯正活動中に前記ユーザから取得された入力に基づいて生成されたものである、ステップと、
前記ユーザの少なくとも一方の眼による前記第1の眼状態評価または前記第1の眼状態矯正活動の第1の特性の知覚を示す少なくとも1つのパラメータの目標値が達成されたかどうかを判別するステップと、
達成された目標パラメータに基づいて、前記ユーザの医学的障害または知覚技能のモデル内の複数の潜在状態のなかから前記ユーザの現在状態を判別するステップと、
前記目標値が変更されたことが判別された場合に、前記ユーザの医学的障害または知覚技能のモデル内に前記ユーザの現在状態を反映させるために、前記ユーザに対してスケジューリングされた眼状態評価または眼状態矯正活動を更新するステップと、
前記ユーザの医学的状態または知覚技能が前記目標値の達成ポイントまで改善されたことが判別されるまで、前記表示するステップ、前記受け取るステップ、前記判別するステップおよび前記更新するステップを繰り返し実行するステップと
を含む動作を生じさせるためのものである、コンピュータプログラム製品。
【請求項13】
前記医学的障害または知覚技能が、異所性弱視、斜視性弱視、間歇性外斜視、恒常性外斜視、輻輳開散障害、輻輳不全、輻輳過剰、開散不全、開散過剰、内斜視(間歇性)、内斜視、上斜視、皮質抑制、融像に必要な両眼視感覚の欠如、輻輳開散不全からの両眼視感覚の欠如、調節不全、調節不能、外傷性脳障害(TBI)、対応異常、眼球運動、緑内障、ロービジョン訓練、脳損傷、視野欠損、無視、錯乱、暗点、立体視深度知覚の欠如もしくは立体視深度知覚障害、スポーツビジョンに関連する状態、のうちの少なくとも1つを含む、請求項12記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項14】
前記複数の眼状態評価または複数の眼状態矯正活動は、輻輳開散範囲、視力、コントラスト感度、中心-周辺認識、立体視深度、視覚処理、知覚、反応時間、調節、追跡精度、融像、立体視、複視の認識、および固視ずれの最小化、のうちの1つもしくは複数を含む、請求項12または13記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項15】
前記表示するステップは、前記ユーザと通信するように構成されたディスプレイを有する装置を使用して行われる、請求項12から14までのいずれか1項記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項16】
前記装置が、仮想現実デバイス、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、拡張現実デバイス、複合現実デバイス、アイトラッキングデバイス、ウェアラブルディスプレイ、レンズ、身体動作追跡デバイス、顔面追跡デバイス、付属肢追跡デバイス、触覚フィードバックデバイス、音響センサ、マイクロフォン、および/またはバイオセンサ、のうちの1つもしくは複数を含む、請求項15記載のコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、同時係属中の、2021年3月1日付にて出願された米国仮特許出願第63/155141号明細書、2021年3月2日付にて出願された米国仮特許出願第63/155720号明細書、2021年6月25日付にて出願された米国仮特許出願第63/215182号明細書の優先権を主張する。ここで、各出願の内容全体が参照により本明細書に援用されるものとする。
【0002】
技術分野
本明細書に記載する主題は、治療活動を駆動するための1回のもしくは一連のテストをエンドユーザである患者が実施する一連のフィードバックループを使用した、健康障害に対する自動化およびカスタマイズされた治療を含む、視覚評価矯正システムに関する。
【0003】
背景
多くの人々が、しばしば診断されないまま放置されて治療されない様々な視覚障害を患っている。幾つかの視覚障害は小児期から患者に影響を及ぼし、適時に検出されて治療されない場合、この患者が成長するにつれて永久的な視覚障害を引き起こす可能性がある。例えば、弱視または「レイジーアイ」は、米国の人口の約4%を占める一般的な視覚障害である。弱視は、脳と弱視眼すなわち「弱い」眼との間の視覚の不適合によって起こり、その結果、他方の「強い」眼が弱視眼を抑制してしまうため、こちらの眼の視力が持続的に低下してしまう。弱視は典型的には小児において発生するが、成人において発生する例もある。
【0004】
弱視の典型的な治療としては、患者に弱い方の眼を強制的に使用させることを目的として健常な方の眼にアイパッチを当て、したがって弱い方の眼が強くなるよう訓練することを含む。しかし、患者、特に小児はこのような治療を不便かつ不快なものとする傾向があるので、コンプライアンスが低くなり、したがって結果を信頼することができない。こうした治療の進行状況の測定は困難である。さらに、幼児における弱視およびその他の視覚障害の検出は複雑化しうる。
【0005】
概要
以下できわめて詳細に述べるように、本主題の特徴により、視覚障害に対する自動化およびカスタマイズされた治療を可能にすることができる。本主題の特徴は、視覚の評価および矯正のためのシステムおよび方法をサポートすることができる。
【0006】
一態様において、視覚の評価および矯正のためのコンピュータシステムが提供される。当該システムは、少なくとも1つのデータプロセッサとコンピュータ実行可能命令を記憶した少なくとも1つのコンピュータ可読記憶媒体とを含むコンピューティングデバイスを含む。当該システムはさらに、コンピューティングデバイスと通信するように構成された装置を含み、この装置は、医学的障害または知覚技能を有するユーザと対話するように構成されたディスプレイを有する。少なくとも1つのデータプロセッサは、動作を実行するためのコンピュータ実行可能命令を実行するように構成されている。動作は、少なくとも1つのデータプロセッサを使用して、ディスプレイに、ユーザの1つもしくは複数の視覚技能を測定するように構成された複数の眼状態評価または複数の眼状態矯正活動のうちの第1の眼状態評価または第1の眼状態矯正活動を表示するステップを含む。動作はさらに、少なくとも1つのデータプロセッサにより、第1の評価または第1の矯正活動に関するユーザ入力を受け取るステップを含む。動作はさらに、少なくとも1つのデータプロセッサにより、受け取られたユーザ入力を使用して、少なくとも1つのパラメータの目標値が達成されたかどうかを判別するステップを含む。少なくとも1つのパラメータの目標値は、ユーザの少なくとも一方の眼による第1の眼状態評価または第1の眼状態矯正活動の第1の特性の知覚を示すものであり、達成された目標パラメータに基づいて、ユーザが改善を望む医学的障害または知覚技能のモデル内の複数の潜在状態のなかからユーザの現在状態を判別するステップがさらに含まれる。動作はさらに、少なくとも1つのデータプロセッサを使用して、目標値が変更されたことが判別された場合に、ユーザの医学的障害のモデル内にこのユーザの現在状態を反映させるために、このユーザに対してコンピューティングデバイスによってスケジューリングされた眼状態評価および/または眼状態矯正活動を更新するステップを含む。動作はさらに、ユーザの医学的状態または知覚技能が目標値の達成ポイントまで改善されたことが判別されるまで、表示するステップ、受け取るステップ、判別するステップおよび更新するステップを繰り返し実行するステップを含む。
【0007】
本主題の実現形態は、本明細書において提供する説明に適合する方法、ならびに記載の特徴のうちの1つもしくは複数を実現する動作を1つもしくは複数の機械(例えばコンピュータなど)に実行させるように動作可能な、有形で具現化された機械可読媒体を含む物品を含みうる。同様に、1つもしくは複数のプロセッサおよびこれに結合された1つもしくは複数のメモリを含みうるコンピュータシステムも説明される。コンピュータ可読記憶媒体を含みうるメモリは、本明細書において説明する動作のうちの1つもしくは複数を1つもしくは複数のプロセッサに実行させるための1つもしくは複数のプログラムを含んでいてよく、または符号化していてよく、または記憶していてよく、またはその他の形式で有していてよい。本主題の1つもしくは複数の実現形態に適合するコンピュータ実装方法は、単一のコンピューティングシステム内または複数のコンピューティングシステム内に常駐する1つもしくは複数のデータプロセッサによって実装することができる。ここでの複数のコンピューティングシステムは、接続されて、1つもしくは複数の接続を介してデータおよび/またはコマンドもしくは他の命令などを交換することができ、この接続には、以下に限定されるものではないが、ネットワーク(例えばインターネット、ワイヤレスワイドエリアネットワーク、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、有線ネットワークなど)を介した接続、複数のコンピューティングシステムのうちの1つもしくは複数間の直接接続などを介した接続が含まれる。
【0008】
別の態様では、視覚の評価および矯正のためのコンピュータシステムが提供される。当該システムは、動作を実行するように構成された少なくとも1つのデータプロセッサを含み、動作には、少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを使用して、ディスプレイに、このディスプレイを観察しているユーザの医学的障害または知覚技能を測定するように構成された複数の眼状態評価または複数の眼状態矯正活動のうちの第1の眼状態評価または第1の眼状態矯正活動を表示するステップと、少なくとも1つのプログラマブルプロセッサにより、第1の評価または第1の矯正活動に関するユーザ入力を受け取るステップであって、ユーザ入力は、眼状態評価中または眼状態矯正活動中にユーザから取得された入力に基づいて生成されたものである、ステップと、少なくとも1つのプログラマブルプロセッサにより、受け取られたユーザ入力を使用して、ユーザの少なくとも一方の眼による第1の眼状態評価または第1の眼状態矯正活動の第1の特性の知覚を示す少なくとも1つのパラメータの目標値が達成されたかどうかを判別するステップと、少なくとも1つのプログラマブルプロセッサにより、達成された目標パラメータに基づいて、ユーザの医学的障害または知覚技能のモデル内の複数の潜在状態のなかからユーザの現在状態を判別するステップと、少なくとも1つのプログラマブルプロセッサにより、目標値が変更されたことが判別された場合に、ユーザの医学的障害のモデル内にこのユーザの現在状態を反映させるために、このユーザに対してコンピューティングデバイスによってスケジューリングされた眼状態評価および/または眼状態矯正活動を更新するステップと、少なくとも1つのプログラマブルプロセッサにより、ユーザの医学的状態または知覚技能が目標値の達成ポイントまで改善されたことが判別されるまで、表示するステップ、受け取るステップ、判別するステップおよび更新するステップを繰り返し実行するステップとが含まれる。
【0009】
別の態様では、方法が提供され、当該方法は、ユーザの1つもしくは複数の視覚技能を測定するように構成された複数の眼状態評価または複数の眼状態矯正活動のうちの第1の眼状態評価または第1の眼状態矯正活動を表示するステップと、第1の評価または第1の矯正活動に関するユーザ入力を受け取るステップであって、ユーザ入力は、眼状態評価中または眼状態矯正活動中にユーザから取得された入力に基づいて生成されたものである、ステップと、ユーザの少なくとも一方の眼による第1の眼状態評価または第1の眼状態矯正活動の第1の特性の知覚を示す少なくとも1つのパラメータの目標値が達成されたかどうかを判別するステップと、達成された目標パラメータに基づいて、ユーザの医学的障害または知覚技能のモデル内の複数の潜在状態のなかからこのユーザの現在状態を判別するステップと、目標値が変更されたことが判別された場合に、ユーザの医学的障害または知覚技能のモデル内にこのユーザの現在状態を反映させるために、このユーザに対してスケジューリングされた眼状態評価または眼状態矯正活動を更新するステップと、ユーザの医学的状態または知覚技能が目標値の達成ポイントまで改善されたことが判別されるまで、表示するステップ、受け取るステップ、判別するステップおよび更新するステップを繰り返し実行するステップとを含む。
【0010】
別の態様では、少なくとも1つのプログラマブルプロセッサによって実行される際に動作を生じさせるための命令を記憶した非一時的なコンピュータ可読媒体を含む、コンピュータプログラム製品が提供される。当該動作は、ユーザの1つもしくは複数の視覚技能を測定するように構成された複数の眼状態評価または複数の眼状態矯正活動のうちの第1の眼状態評価または第1の眼状態矯正活動を表示するステップと、第1の評価または第1の矯正活動に関するユーザ入力を受け取るステップであって、ユーザ入力は、眼状態評価中または眼状態矯正活動中にユーザから取得された入力に基づいて生成されたものである、ステップと、ユーザの少なくとも一方の眼による第1の眼状態評価または第1の眼状態矯正活動の第1の特性の知覚を示す少なくとも1つのパラメータの目標値が達成されたかどうかを判別するステップと、達成された目標パラメータに基づいて、ユーザの医学的障害または知覚技能のモデル内の複数の潜在状態のなかからユーザの現在状態を判別するステップと、目標値が変更されたことが判別された場合に、ユーザの医学的障害または知覚技能のモデル内にこのユーザの現在状態を反映させるために、このユーザに対してスケジューリングされた眼状態評価または眼状態矯正活動を更新するステップと、ユーザの医学的状態または知覚技能が目標値の達成ポイントまで改善されたことが判別されるまで、表示するステップ、受け取るステップ、判別するステップおよび更新するステップを繰り返し実行するステップとを含む。
【0011】
各実現形態には、以下の特徴を個別にまたは組み合わせて含めることができる。医学的障害または知覚技能には、異所性弱視、斜視性弱視、間歇性外斜視、恒常性外斜視、輻輳開散障害、輻輳不全、輻輳過剰、開散不全、開散過剰、間歇性内斜視、内斜視、上斜視、皮質抑制、融像に必要な両眼視感覚の欠如、輻輳開散不全からの両眼視感覚の欠如、調節不全、調節不能、外傷性脳障害(TBI)、対応異常、眼球運動、緑内障、ロービジョン訓練、脳損傷、視野欠損、無視、錯乱、暗点、立体視深度知覚の欠如もしくは立体視深度知覚障害、スポーツビジョンに関連する状態、のうちの少なくとも1つが含まれうる。複数の眼状態評価または複数の眼状態矯正活動には、輻輳開散範囲、視力、コントラスト感度、中心-周辺認識、立体視深度、視覚処理、知覚(perceptual)、反応時間、調節、追跡精度、融像、立体視、複視の認識、および固視ずれの最小化、のうちの1つもしくは複数が含まれうる。装置には、仮想現実デバイス、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、拡張現実デバイス、複合現実デバイス、アイトラッキングデバイス、ウェアラブルディスプレイ、レンズ、身体動作追跡デバイス、顔面追跡デバイス、付属肢追跡デバイス、触覚フィードバックデバイス、音響センサ、マイクロフォン、および/またはバイオセンサ、のうちの1つもしくは複数が含まれうる。
【0012】
コンピューティングシステムはさらに、少なくとも1つのプログラマブルプロセッサと通信するように構成された、ディスプレイを含む装置を含むことができる。ここでの表示は、ユーザと対話するように構成されたディスプレイを有する装置を使用して行うことができる。ここでの表示は、ユーザと通信するように構成されたディスプレイを有する装置を使用して行われてもよい。表示するステップ、受け取るステップ、判別するステップ、更新するステップおよび繰り返し実行するステップは、1つもしくは複数のプログラマブルプロセッサを使用して実行可能である。
【0013】
本明細書に記載する主題の1つもしくは複数の変形形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。本明細書に記載する主題の他の特徴および利点は、説明、図面および特許請求の範囲から明らかとなる。本開示の主題の特定の特徴については、例示の目的で、エンタープライズソフトウェアシステムまたは他のコンテンツ管理ソフトウェアソリューションもしくはアーキテクチャに関連して説明しているが、こうした特徴が限定を意図するものでないことは容易に理解されるであろう。本開示に続く特許請求の範囲は、保護すべき主題の範囲を規定することを意図したものである。
【0014】
本明細書に組み込まれてその一部を成す添付の図面は、本明細書において開示する主題の特定の態様を示しており、その説明と併せて、開示の実施形態に関連する幾つかの基本方式を説明するのに役立つものである。図面には、次のことが示されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】患者の視覚障害を評価するかつ/または治療するためのコンピューティングシステムを動作させるプロセスを示すフローチャートである。
図2】本主題の実現形態に適合する、図1のプロセスを実現可能なコンピュータシステムを示すブロック図である。
図3】患者の視覚障害を評価するかつ/または治療するためのコンピューティングシステムを動作させるプロセスを示すフローチャートである。
図4】幾つかの例示的な実現形態による例示的なコンピューティング装置を示すブロック図である。
図5】例示的な視覚障害のための例示的な治療プロセスを示す図である。
図6】幾つかの例示的な実現形態による視覚の評価および矯正治療を示すフローチャートである。
図7】幾つかの例示的な実現形態による視覚の評価および矯正治療を示す別のフローチャートである。
図8】幾つかの例示的な実現形態による視覚の評価および矯正治療を示す別のフローチャートである。
図9】幾つかの例示的な実現形態による視覚の評価および矯正治療を示す別のフローチャートである。
図10】幾つかの例示的な実現形態による、視覚の評価および矯正治療のシステム用のユーザインタフェースの例示的な画面を示す図である。
図11】幾つかの例示的な実現形態による、視覚の評価および矯正治療のシステム用のユーザインタフェースの別の例示的な画面を示す図である。
図12】幾つかの例示的な実現形態による、視覚の評価および矯正治療のシステム用のユーザインタフェースの別の例示的な画面を示す図である。
図13A】幾つかの例示的な実現形態による、視覚の評価および矯正治療のシステム用のユーザインタフェースの例示的な患者ダッシュボード画面を示す図である。
図13B】幾つかの例示的な実現形態による、視覚の評価および矯正治療のシステム用のユーザインタフェースの例示的な進行状況ホイールを示す図である。
図14】幾つかの例示的な実現形態による、視覚評価タスクの完了を動機付けるスキーマの例を示す図である。
図15】幾つかの例示的な実現形態による、視覚の評価および矯正治療のシステム用のユーザインタフェースの別の例示的な画面を示す図である。
図16】幾つかの例示的な実現形態による、視覚の評価および矯正治療のシステム用のユーザインタフェースの別の例示的な画面を示す図である。
図17】幾つかの例示的な実現形態による、視覚の評価および矯正治療のシステム用のユーザインタフェースの別の例示的な画面を示す図である。
図18】本明細書に記載する各例を含むシステムおよび方法を使用してテスト可能な、基礎となる視覚技能のチャートを示す図である。
図19】幾つかの例示的な実現形態による、視覚の評価および矯正治療のシステム用のユーザインタフェースの別の例示的な画面を示す図である。
図20】幾つかの例示的な実現形態による、視覚の評価および矯正治療のシステム用のユーザインタフェースの別の例示的な画面を示す図である。
図21】幾つかの例示的な実現形態による、視覚の評価および矯正治療のシステム用のユーザインタフェースの別の例示的な画面を示す図である。
図22】幾つかの例示的な実現形態による、視覚の評価および矯正治療のシステム用のユーザインタフェースの別の例示的な画面を示す図である。
図23】幾つかの例示的な実現形態による、視覚の評価および矯正治療のシステム用のユーザインタフェースの別の例示的な画面を示す図である。
図24】幾つかの例示的な実現形態による、視覚の評価および矯正治療のシステム用のユーザインタフェースの別の例示的な画面を示す図である。
図25】幾つかの例示的な実現形態による視覚の評価および矯正治療のシステム用のユーザインタフェースの別の例示的な画面を示す図である。
図26図7の視覚の評価および矯正治療のシステムのフローチャートである。
図27】例示的な視覚障害のための例示的な治療プロセスを示す図である。
【0016】
詳細な説明
本明細書において開示するシステムおよび方法の基本方式の全体的な理解を提供するために、本主題の特定の例示的な態様をここで以下に説明する。これらの態様のうちの1つもしくは複数の例が添付の図面に示されている。当業者は、本明細書に具体的に記載されておりかつ添付の図面に示されているシステムおよび方法が非限定の例示的な態様であり、各態様の範囲は特許請求の範囲によってのみ規定されることを理解するであろう。さらに、1つの例示的な態様に関連して図示するもしくは説明する特徴は、他の態様の特徴と組み合わせることができる。このような修正および変更も記載の主題の範囲内に含まれることが意図されている。
【0017】
本主題は、患者における視覚障害を検出、評価および治療するための方法、システムおよびコンピュータプログラム製品を提供する。ここでのシステムは、ディスプレイまたは画面がユーザの眼前に位置するように、装着しているユーザに対して仮想現実環境を生成するデバイス(例えばヘッドマウント仮想現実(VR)デバイス)と通信するように構成されたコンピューティングデバイスを含むことができる。コンピューティングデバイスおよび/またはデバイスは、少なくとも1つのデータプロセッサ、ビジュアルインタフェース、および少なくとも1つのデータプロセッサによって実行される命令を記憶したメモリを含みうる。
【0018】
本主題は、両眼視障害(例えば、弱視、立体視の欠如、斜視および/または輻輳開散障害)に対処するために使用可能である。本主題はまた、調節障害、またはより一般的な視覚系もしくは身体の障害を治療するためにも使用可能である。眼評価および/または眼訓練システムの使用は、幾つかの実施形態において医師側の監視および専門知識が必要となりうるものであって、そのため、治療が常に患者に合わせて最適化されるとは限らない。例えば、医師は、製品を使用する際、治療中および訓練活動中にどの設定を使用したらよいかまたはどのように設定を調整すべきかについてわからなくなったり、同様に、患者の視覚能力(または視能)のチャレンジを連続的に要求する治療の調整もしくは変更に失敗して治療プラトーを生じさせてしまったりすることがある。本明細書に記載する視覚評価矯正システムならびに関連するシステム、方法、装置、ソフトウェアおよび/またはアルゴリズムは、治療のためのガイドとして、医療機関内または在宅のいずれで治療が行われる場合にも有益でありうる。
【0019】
図1は、人の視覚障害を評価するかつ/または治療するためのコンピューティングシステムを動作させる方法を示すプロセスフローチャート100である。コンピューティングシステムは、少なくとも1つのデータプロセッサと、この少なくともデータプロセッサに通信可能に結合されたメモリとを含むことができる。メモリは、視覚矯正プラットフォームまたは視覚矯正アプリケーションとして具現化されたコンピュータ実行可能命令を記憶するように構成可能である。コンピュータ実行可能命令は、少なくとも1つのデータプロセッサによって実行される際に、記載の方法を実行するためのものである。さらに、幾つかの態様では、プラットフォームの全体もしくは一部をリモートコンピューティングデバイスに記憶しておき、コンピューティングデバイスを介してアクセス可能とすることができる。コンピューティングシステムは、以下でより詳細に論じるように、ヘッドマウントディスプレイ(例えば仮想現実(VR)デバイス、拡張現実(AR)デバイスなど)と通信する。
【0020】
図1に示されているように、プロセス100は、任意の適切な時点でブロック102から開始することができる。ブロック102では、ユーザまたは患者の視覚における状態もしくは問題が、ユーザによる知覚、手動テストを実施する医師による鑑別、またはユーザもしくは医師による自動鑑別、のうちの1つもしくは複数によって識別可能である。プロセス100はブロック104に進むことができ、このブロック104で、コンピューティングシステムがユーザまたは患者の視覚を評価することができる。例えば、ユーザは、ユーザの視覚を評価するために、ブロック105において第1の技能テストを実行することができ、またはブロック106において第2の技能テストを実行することができる。ユーザが正常範囲(WNL)において技能(例えば第1の技能テストまたは第2の技能テスト)を実施できた場合、ブロック107においてさらなる治療の必要なしとすることができ、システムは、別の技能のテスト(例えば第1の技能テストまたは第2の技能テストの他方、第3の技能テスト、技能Nのテストなど)に進むことができる。しかし、ユーザが十分なレベルでテスト(例えば第1の技能テスト)を実施できなかったかまたは通過できなかった場合、システムはブロック108へ進み、初期テストで識別/判別された障害もしくは欠陥(例えばブロック105での第1の技能またはブロック106での第2の技能のうちの対応する1つに関連する障害もしくは欠陥)を治療するための自動トラックを実行することができる。ユーザが第2の技能テストを実施できなかった場合、ブロック109において、システムは、初期テストで識別/判別された障害もしくは欠陥を治療するための自動トラックを実行することができる。幾つかの実現形態では、特定の技能(例えば第1の技能テストまたは第2の技能テスト)を再び(例えば、第1の技能テストのためのブロック110で、または第2の技能テストのためのブロック111でそれぞれ)テストして、ユーザのさらなる(後続の)テストとの比較のためのベースライン値を形成することができる。次いで、ユーザに対し、識別された障害もしくは欠陥を標的とした治療活動が(例えば第1の技能のためのブロック113でまたは第2の技能のためのブロック114でそれぞれ)提示可能となり、適切な時間にわたって(例えば、1時間、周期的に1週間にわたってまたは1ヶ月にわたって、など)治療が実施された後に、ユーザに再びテストを受けさせることができる。それでもユーザが技能テスト(例えば第1の技能テストまたは第2の技能テスト)を達成もしくは通過できない場合には、ユーザが技能テストを通過できるまで(例えばブロック112で、ユーザが正常範囲においてテストを終えるまで)、あるいはプログラム、医師もしくはユーザが他の形式で治療を中止するまで、(例えばブロック113でまたはブロック114で)対応する治療の実施または提示を継続することができる。代替的な実現形態では、初期技能テストをベースライン値として利用することができ、その直後に治療へと進むことができる(技能テストが実行された後のテストも含まれ、技能テストが達成されるかまたは他の形式で中止されるまで、治療が継続される)。
【0021】
図2には、ユーザ212が患っている視覚障害を診断、評価または治療するプロセス、例えば図1のプロセス100を実行するように構成可能なコンピュータシステム200が示されている。ユーザ212は、小児または成人でありうる任意の患者でありうる。システム200は、少なくとも1つのデータプロセッサ204と、この少なくとも1つのデータプロセッサ204に結合されたコンピュータ可読記憶媒体(例えばメモリ)206とを含むコンピューティングデバイス202を備えている。システム200はまた、装置208(例えば、ヘッドマウントバーチャルリアリティ(VR)デバイス)を含み、この装置208は、コンピューティングデバイス202と通信するように構成されており、さらに、装置208を(例えば装着して)使用するユーザの眼前にディスプレイを配置してこのユーザ212に対して画像を表示するように構成されたディスプレイ210を有する。図2に示されているように、システム200はさらに、ユーザ212から受け取られた能動的な入力に基づいてかつ/または受動的に取得されたセンサ画像データに基づいてユーザ入力を取得するように構成された1つもしくは複数の入力デバイス214を含むこともできる。入力デバイス214の非限定的な例には、マウス、キーボード、ジェスチャ/動作追跡装置、マイクロフォン、カメラ、全方向性トレッドミル、ゲームパッド、体温モニタ、脈拍数モニタ、血圧モニタ、呼吸数モニタ、脳波モニタまたは任意の他のデバイスが含まれる。1つもしくは複数の入力デバイス214によって取得された情報は、図2に示されているように、コンピューティングデバイス202に送信することができる。
【0022】
図2にさらに示されているように、コンピュータシステム200は、サーバ216を含むことができるかまたはリモート接続を介してサーバ216と通信することができ、このサーバ216は、1つもしくは複数の記憶媒体に記憶された1つもしくは複数のデータベース217を含むことができ、コンピューティングデバイス202および他のコンピューティングデバイスによって取得された情報を記憶するように構成されている。情報は、少なくとも部分的に、コンピューティングデバイスのメモリ206にさらに記憶することもできる。
【0023】
コンピューティングデバイス202は、デスクトップまたはラップトップのパーソナルコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、スマートフォン、サーバ、またはユーザが操作可能であってユーザにサービスを提供することのできる他の任意の適切なコンピューティングデバイスのような任意の適切なコンピューティングデバイスであってよい。上述したように、コンピューティングデバイス202は、少なくとも1つのデータプロセッサ204と、1つもしくは複数のコンピュータ可読記憶媒体206とを含む。本明細書に記載する技術を実現するためのコンピュータ実行可能命令が1つもしくは複数のコンピュータ可読記憶媒体206上に符号化可能であり、これにより、こうした命令が記憶媒体に機能として提供される。ここでの媒体には、ハードディスクドライブなどの磁気媒体、コンパクトディスク(CD)もしくはデジタルヴァーサティルディスク(DVD)などの光学媒体、持続性のまたは非持続性のソリッドステートメモリ(例えばフラッシュメモリ、磁気RAMなど)、または他の任意の適切な記憶媒体が含まれる。本明細書で使用しているように、「コンピュータ可読記憶媒体」を含む「コンピュータ可読媒体」とは、コンピュータ可読媒体にデータを記録するプロセスにおいて何らかの方式で変更可能な少なくとも1つの物理的特性を有する有形の記憶媒体をいうものであると理解されたい。例えば、コンピュータ可読媒体の物理的構造の一部の磁化状態が記録プロセス中に変更されうる。
【0024】
コンピューティングデバイス202は、有線接続または無線接続を介して装置208に結合することができる。同様に、コンピューティングデバイス202は、有線接続または無線接続を介してコントローラ(例えばコンピューティングデバイス202に結合されたタッチパネルデバイス)に結合することができる。
【0025】
図3には、人の視覚障害を評価するかつ/または治療するためのコンピューティングシステムを動作させるプロセス300が示されている。
【0026】
一般的に、プロセス300は、図1のプロセス100と同様とすることができる。ただし、プロセス300には、2つのトラック(例えばブロック105以降の第1の技能すなわち技能1のためのブロック、またはブロック106以降の第2の技能すなわち技能2のためのブロック)間のインタラクションが示されており、ここでは、図1の下部に追加された新たなフロー線によって、図3に示されている各側の技能テストの進行において、(例えばブロック111での)技能2のテストを(例えばブロック113での)技能1の治療活動に続けて行ってもよいし、逆に技能1のテストを技能2の治療活動に続けて行ってもよいことが示されている。
【0027】
図4には、幾つかの例示的な実現形態による、説明している特徴および/または構成要素のうちの1つもしくは複数の実装に用いることができる例示的なコンピューティング装置400が示されている。例えば、コンピューティング装置400の少なくとも一部を、コンピューティングデバイス202、サーバ216および/またはこれに類するもののうちの少なくとも一部の実装のために使用することができる。コンピューティング装置400のコンポーネントは、図示しているかつ/または説明しているコンピューティングデバイス202の任意のコンポーネントに加えてもしくはこれに代えて実装することができる。
【0028】
コンピューティング装置400は、本明細書に記載するプロセスのうちの1つもしくは複数を実行することができる。例えば、コンピューティング装置400は、このコンピューティング装置400と通信するコンピューティングデバイスのユーザ制御を提供するアプリケーションを実行するために、かつ/または幾つかの例示的な実現形態においては、ユーザがコンピューティングデバイス202に関連する機能に介入制御するためおよびこれと対話するためのインタフェースを提供するために使用可能である。
【0029】
図示されているように、コンピューティング装置400は、本明細書に記載する動作に適合する動作を実現できるようにするための命令を実行するプロセッサ410などの1つもしくは複数のプロセッサを含むことができる。コンピューティング装置400は、実行可能命令および/または情報を記憶するメモリ420を含むことができる。メモリ420は、ソリッドステートメモリ、ソリッドステートディスクドライブ、磁気ディスクドライブ、または任意の他の情報記憶装置を含むことができる。コンピューティング装置400は、有線ネットワークまたは無線ネットワークのためのネットワークインタフェース440を含むことができる。無線通信を実現するために、ネットワークインタフェース440は、例えばアンテナ490などの1つもしくは複数のアンテナを利用することができる。
【0030】
コンピューティング装置400は、ユーザインタフェース450のような1つもしくは複数のユーザインタフェースを含むことができる。ユーザインタフェース450はハードウェアまたはソフトウェアのインタフェース、例えばキーボード、マウスもしくは他のインタフェースを含むことができ、そのうちの幾つかはディスプレイ430と一体化されたタッチパネルを含むことができる。ディスプレイ430は、情報、例えばコンピューティングデバイス202の機能に関する情報の表示、ユーザへのプロンプトの提示、ユーザ入力の受信および/またはこれらに類することのために使用することができる。様々な実現形態において、ユーザインタフェース450は、1つもしくは複数の周辺装置を含むことができ、かつ/またはこれらの周辺装置と通信するように構成可能である。
【0031】
幾つかの態様では、ユーザインタフェース450は、1つもしくは複数のセンサを含み、かつ/または本明細書に記載するような1つもしくは複数のセンサに対するインタフェースを含むことができる。これらのセンサの動作は、少なくとも部分的にセンサモジュール460によって制御することができる。コンピューティング装置400は入出力フィルタ470を有することができ、このフィルタ470は、センサまたは他のユーザインタフェースから受信される情報、ネットワークインタフェース440を介して送受信される情報、および/またはこれらに類するものをフィルタリングすることができる。例えば、センサによって検出された信号につき、適切な信号調整のためにフィルタ470を通過させることができ、次いで、フィルタリングされたデータを、検証および処理のために(例えば、結果または指示をネットワークインタフェース440を介して送信する前に)センサモジュール460および/またはプロセッサ410へ渡すことができる。電源480のような1つもしくは複数の電源を使用することによって、コンピューティング装置400への給電を行うことができる。図示されているように、コンピューティング装置400のコンポーネントのうちの1つもしくは複数は、システムバス499を介して通信を行い、かつ/または電力を受け取ることができる。
【0032】
図5には、例示的な視覚障害のための例示的な治療プロセス500のためのフローチャートが示されている。幾つかの態様では、プロセス500(またはその少なくとも一部)は、コンピューティングデバイス202、サーバ216、デバイス208、コンピューティング装置400などのうちの1つもしくは複数によって実行可能である。
【0033】
プロセス500はブロック501から開始することができ、このブロック501において、装置400が、例えばユーザの視覚状態、視覚障害、健康状態などを判別することができる。例えば、ユーザ212は、医師が医療機関において実施するテスト、コンピューティングデバイスで実行されるテストなどのような、フルバッテリテストを受けることができる。フルバッテリテストは、ユーザを1つもしくは複数の治療トラックへ移すために利用可能な、1つもしくは複数の視覚技能または視力を評価するテストセットを含むことができる。例えば、ユーザには、以下のプリズムチューナ、フィルタ(例えばプリズムチューナからのプリズムが存在する場合にこれを用いて実行されるフィルタテスト)、立体視テスト(例えば支援プリズムあり、ダークフィルタなし)、立体視テスト(例えば支援プリズムなし、ダークフィルタなし)、4ドットテスト、輻輳開散範囲テスト、輻輳開散機能テストなどのフルバッテリテストセットが与えられる。
【0034】
プロセス500はブロック503に進むことができ、このブロック503において、コンピューティング装置400は、例えばユーザ212に対する治療トラックを決定することができる。当該決定は、ブロック501で実施されたフルバッテリテストの結果に基づくものであってよい。図5の例に示されているように、コンピューティング装置400は、1つもしくは複数のそれぞれ異なる治療トラックから選択を行うことができる。例えば、さらに図示されているように、コンピューティング装置400は、抗抑制トラック504、立体視トラック505、および輻輳開散トラック506から選択を行うことができる。
【0035】
選択された治療トラックに応じて、コンピューティング装置400は、ユーザ212が治療トラックの一部として実行するための特定の活動(例えば視覚技能テスト)を決定することができる。図示されているように、プロセス500は、抗抑制トラック504の一部であるブロック507に進むことができる。ブロック507は、ユーザ212につき識別された視覚状態または視覚障害に対処するための特定の技能レベル閾値を定義することのできる抗抑制エントランス基準を含みうる。例えば、抑制を治療するために、コンピューティング装置400は、セッションの開始時に評価されたダーク/ブラーフィルタのレベルを使用して、両眼視のゲームおよび活動を処方することができる。フィルタの量はテストフェーズにおけるユーザ212のパフォーマンスに基づいて調整可能であるが、ユーザがもはやテストを必要としないことを実証すると漸減させることができ、これは、トラック(例えばトラック504)の各段階を通る移動に対応する。ユーザ212は、トラック504の各段階を通る移動のために、技能テスト中に技能レベル閾値を上回るスコアを獲得することを要求されうる。
【0036】
さらに図示されているように、プロセス500は、立体視トラック505の一部であるブロック508に進むことができる。ブロック508は、ユーザ212につき識別された視覚状態または視覚障害に対処するための特定の技能レベル閾値を定義することのできる立体視エントランス基準を含みうる。例えば、立体視トラック505は、立体視深度テストを使用して、両眼の位置合わせを改善または確認し、眼間インバランスを補償するための活動(例えば技能テスト)を含むことができる。目的は3重であり、すなわち、(両眼が位置合わせされているときの視差信号から深度を抽出することによる)深度判断の質の改善、単眼神経入力を使用する立体視深度神経機構による単眼神経入力使用の促進、および(立体視は現在のところ実際に信頼できる手法であるため)他の深度キューに対して立体視に与えるべき重みを増大させる脳関連原因の特定、である。
【0037】
立体視の欠如を治療するために、対象物のサイズおよび視差を最初は大きく、次第に小さくなるようにし、ユーザが立体視テストがもはや必要ないことを実証したときに、視覚系が立体視にどのように依拠しているかを習得するのを支援するための最初のスカフォールドとして使用することができ、これは、トラック(例えばトラック505)の各段階を通る移動に対応する。ユーザ212は、トラック505の各段階を通る移動のために、技能テスト中に技能レベル閾値を上回るスコアを獲得することを要求されうる。
【0038】
さらに示されているように、プロセス500は、輻輳開散トラック506の一部であるブロック509に進むことができる。ブロック509は、ユーザ212につき識別された視覚状態または視覚障害に対処するための特定の技能レベル閾値を定義することのできる輻輳開散エントランス基準を含みうる。例えば、輻輳開散トラック506は、輻輳開散機能(例えば速やかに新たな輻輳開散眼姿勢へ切り替える能力)、輻輳開散範囲、強直性輻輳開散(例えば暗斜位)、および調節刺激に対する輻輳開散応答を含む、少なくとも4つの技能の訓練を含むことができる。コンピューティング装置400は、強直性輻輳開散(または暗斜位)を測定することができるが、医療機関での視覚治療の設定における治療中にしばしば見られるように、特に当該強直性輻輳開散(または暗斜位)を標的とした明示的な活動を行うことなく、それ自体が正斜位へ向かって移行していくことが期待される。コンピューティング装置400は、任意選択手段として、調節刺激に対する適切な輻輳開散応答を訓練することができる。ここでの活動は、固定された調節を保持することで、輻輳開散と調節との独立した利用を促進することができる。臨床的には、逆2焦点レンズを使用して(例えばデバイス208を使用して)VRにおいて複製可能なベースインマイナスベースアウトプラス(BIMBOP)技術を利用することができる。
【0039】
輻輳開散を治療するために、患者(例えばユーザ212)が行うことのできるジャンプのサイズの増大、ならびに患者の強直性輻輳開散(解離した斜位)にも依存するプリズムの絶対値、および輻輳開散要求に対する持続的な変化をさしはさみながら、輻輳開散応答の範囲を時間の経過に伴って増大させることができる。ゲームおよび活動には、輻輳開散要求に対する急速な変化、緩慢な変化、または輻輳開散保持変化などが含まれうる。よって、ユーザは、このユーザが適切な技能レベル閾値を満たしたことをコンピューティング装置400が判別するまで、輻輳開散の精度、範囲および持続性をそれぞれ増大させることによって、状態を改善することができる。
【0040】
図6には、幾つかの例示的な実現形態による視覚の評価および矯正治療のための方法600のフローチャートが示されている。様々な実現形態において、方法600(またはその少なくとも一部)は、コンピューティングシステム200、コンピューティングデバイス202、サーバ216、コンピューティング装置400、他の関連する装置、および/またはその一部、のうちの1つもしくは複数によって実行可能である。例えば、方法600は、視覚の評価および矯正のためのコンピュータシステム(例えばコンピューティングシステム200)によって実行可能である。幾つかの態様では、コンピューティングデバイス202は、少なくとも1つのデータプロセッサ204と、1つもしくは複数のコンピュータ可読記憶媒体206とを含む。装置208は、コンピューティングデバイス202と通信するように構成可能であり、ディスプレイ210を含むことができる。ディスプレイ210は、医学的障害または視覚的知覚技能を有するユーザと対話するように構成可能である。視覚的知覚技能は、ユーザが改善を望む知覚運動技能を含むことができる。少なくとも1つのデータプロセッサ204は、方法600を実行するためのコンピュータ実行可能命令を実行するように構成可能である。ここでの医学的障害および視覚的知覚技能には、異所性弱視、斜視性弱視、間歇性外斜視、恒常性外斜視、輻輳開散障害、輻輳不全、輻輳過剰、開散不全、開散過剰、間歇性内斜視、遠視に起因する内斜視、上斜視、皮質抑制、融像に必要な両眼視感覚の欠如、輻輳開散不全からの両眼視感覚の欠如、調節不全、調節不能、TBI、対応異常、眼球運動、緑内障(テストを通じた治療ガイダンス)、ロービジョン訓練(偏心視訓練、暗点回避、特殊角膜使用[例えばPelliプリズム])、脳損傷(脳しんとう、外傷性脳損傷または脳血管発作を含む)、視野欠損、無視、錯乱、暗点、立体視深度知覚の欠如もしくは立体視深度知覚障害、スポーツビジョンに関連する状態(例えば反応時間訓練、眼-手もしくは眼-身体の協応)などが含まれうる。
【0041】
方法600は動作ブロック610から開始することができ、この動作ブロック610では、装置400が、例えば、少なくとも1つのデータプロセッサ(例えば少なくとも1つのデータプロセッサ204)を使用して、ディスプレイ(例えばディスプレイ210)に、ユーザの1つもしくは複数の視覚技能を測定するように構成された複数の眼状態評価または複数の眼状態矯正活動のうちの第1の眼状態評価または第1の眼状態矯正活動を表示することができる。例えば、装置400は、ユーザ(例えばユーザ212)に関するフルバッテリ視覚テストから結果を実行または取得することができる。この場合、装置400は、ユーザインタフェース(例えばユーザインタフェース450またはディスプレイ210)上に、フルバッテリテストの結果に基づいて、第1の眼状態評価または第1の眼状態矯正活動(例えば視覚障害、視覚状態、視覚矯正活動など)を表示することができる。
【0042】
方法600は動作ブロック620に進むことができ、この動作ブロック620では、装置400が、例えば、少なくとも1つのデータプロセッサ(例えば少なくとも1つのデータプロセッサ204)により、第1の評価または第1の矯正活動に関するユーザ入力を受け取ることができ、このユーザ入力は、第1の眼状態評価中または第1の眼状態矯正活動中にユーザから取得された入力に基づいて生成されたものである。例えば、ユーザ入力は、ブロック501または102において実施されうるフルバッテリテストからの結果を含むことができる。当該ユーザ入力には、第1の眼状態評価または第1の眼状態矯正活動(例えばブロック105,106,504,505または506で実施されるテスト)からの結果も含まれうる。
【0043】
方法600は動作ブロック630に進むことができ、この動作ブロック630では、装置400が、例えば、少なくとも1つのデータプロセッサにより、受け取られたユーザ入力を使用して、少なくとも1つのパラメータの目標値が達成されたかどうかを判別することができる。少なくとも1つのパラメータの目標値は、ユーザの少なくとも一方の眼による、第1の眼状態評価または第1の眼状態矯正活動の第1の特性の知覚を示すものでありうる。例えば、目標値は、特定の視覚技能テスト(例えばブロック105における第1の技能テストまたはブロック106における第2の技能テスト)につき達成された閾値スコアまたは技能レベルを含むことができる。
【0044】
方法600は動作ブロック640に進むことができ、この動作ブロック640では、装置400が、例えば、達成された目標値に基づいて、ユーザが改善を望む医学的障害または知覚技能のモデル内の複数の潜在状態のなかから、ユーザの現在状態を判別することができる。例えば、コンピューティングデバイス202は、ユーザ212が視覚技能テスト(例えばブロック105の第1の技能テストまたはブロック106の第2の技能テスト)を正常範囲において実施し、以降の治療を必要としないことを判別することができる。方法600またはコンピューティングシステム200を使用して改善することのできる視覚または知覚技能の例には、治療前に既に正常範囲内にあるかまたは正常値を上回っている技能、輻輳開散範囲、視力(分解能)、視力(動体視力)、コントラスト感度、中心-周辺認識、立体視深度、視覚処理、知覚(視覚的集中、視覚的閉鎖、視覚的シークエンシング、視覚的運動統合、視覚的探索、視覚的走査、視覚的スパンなど)、反応時間、調節、追跡精度、融像、立体視、複視の認識、および固視ずれの最小化など、が含まれる。
【0045】
方法600は動作ブロック650に進むことができ、この動作ブロック650では、装置400が、例えば、目標値が変更されたことが判別された場合、少なくとも1つのデータプロセッサにより、ユーザの医学的障害のモデル(例えば治療トラック)内にユーザの現在状態を反映させるために、ユーザに対してコンピューティングデバイス(例えば、コンピューティングデバイス202)によってスケジューリングされた眼状態評価および/または眼状態矯正活動を更新することができる。例えば、コンピューティングデバイス202は、特定の視覚技能(例えば立体視深度)に関する目標値(例えば技能レベル閾値)を調整することができる。ユーザに対してスケジューリングされた眼状態評価および/または眼状態矯正活動には、ユーザの1つもしくは複数の視覚技能を測定するように構成された複数の眼状態評価または複数の眼状態矯正活動からの眼状態評価または眼状態矯正活動を含むことができる。
【0046】
方法600は動作ブロック660に進むことができ、この動作ブロック660では、装置400が、例えば、ユーザの医学的状態または知覚技能が目標値の達成ポイントまで改善されたことが(例えばコンピューティングデバイス202により)判別されるまで、表示するステップ、受け取るステップ、判別するステップ、および更新するステップ(例えば、ブロック610,620,630,640および/または650)を繰り返し実行することができる。例えば、装置400は、ユーザ212の視覚状態または視力が正常範囲内にあって、もはや治療を必要としないことが判別される閾値レベルを上回るスコアをこのユーザ212が獲得するまで、技能活動および技能テストを繰り返すことができる。
【0047】
本明細書に記載の実施例および実施形態は例示のみを目的としており、これらを考慮した様々な修正または変更は、当業者に提案されるものであって、本出願の思想および趣旨ならびに添付の特許請求の範囲に含まれることを理解されたい。本明細書で引用する全ての刊行物、特許および特許出願は、あらゆる目的に関して、その全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0048】
例1. スマートアシスタントシステム、方法、および装置
この例の目的は、視覚評価矯正システムの実現形態を説明することである。一態様では、視覚評価矯正システム、例えばスマートアシスト(SA)(関連するシステム、方法および/または装置を含む)は、治療活動を駆動するための1回のもしくは一連のテストをエンドユーザが実施する一連のフィードバックループを使用して、健康障害に対する自動化およびカスタマイズされた治療を提供するように構成可能である。
【0049】
図7には、本主題の実現形態に適合する治療システムの例示的なフローチャートが示されている。図7に示されているように、まず視覚機能の初期検査が実施される。次に、患者への診断が下され、この患者が弱視または斜視(これらの場合、屈折異常は視力(VA)が安定するまで矯正される)または輻輳開散障害を患っていることが診断される。輻輳開散障害の診断が確定されると、VividVisionによる立体視および輻輳開散の治療が開始される。立体視および輻輳開散の治療は両眼視機能に改善が認められて、輻輳開散障害の機能的治癒が得られるまで継続される。それ以外で、視力が安定するまで屈折異常が矯正された場合には、視覚機能の2回目の検査が行われる。ここでの検査の結果として、視覚機能の完全な解決が認められている場合には、以降の治療は必要とされないこともある。代替的に、2回目の検査で視覚機能の解決が示されなかった場合には、VividVisionによる抗抑制治療が開始される。抗抑制治療は、患者が立体視タスクを完了できるようになるまで継続される。いったん立体視タスクの実行が可能になると、立体視が発生し、立体視および輻輳開散の治療が開始される。先に示したように、立体視および輻輳開散の治療は両眼視機能に改善が認められて、立体視の機能的治癒(すなわち両眼視機能障害の解決)が得られるまで継続される。
【0050】
SAは、治療計画をガイドするコンピュータ化されたシステムおよび関連するプログラミング(例えばアルゴリズムまたは機械学習システム)を含むことができる。例示的な実施形態では、SAを使用して両眼視障害に対処することができ、この障害には、以下に限定されるものではないが、弱視、立体視の欠如、斜視および/または輻輳開散障害が含まれる。幾つかの実現形態では、SAは、調節障害、またはより一般的には視覚系または身体の障害の治療にも使用可能である。現在のところ、眼評価および/または眼訓練のシステムの使用には医師側の監視および専門知識が必要であり、そのため、治療は常に患者に合わせて最適化されるとは限らない。例えば、医師は、製品を使用する際に、治療中および訓練活動中にどの設定を使用すべきかまたはどのように設定を調整すべきかについてわからなくなったり、同様に、患者の(1つもしくは複数の)視覚技能のチャレンジを連続的に要求する治療の調整もしくは変更に失敗して治療プラトーを生じさせてしまったりすることがある。本明細書において説明および図示するSAシステムならびに関連するシステム、方法、装置、ソフトウェアおよび/またはアルゴリズムは、治療のためのガイドとして、医療機関内または在宅のいずれで治療が行われる場合にも有益でありうる。在宅での評価および/または治療のアプリケーションは、SAシステム、ソフトウェアおよび/またはアルゴリズムを視覚の評価および/または治療でのリアルタイム使用のためのかつ/または非リアルタイム使用のための外部デバイス、例えば本明細書に記載のランチャーに統合するソフトウェアを含むことができ、医療機関での使用または在宅ガイドでの治療に統合することができる。
【0051】
患者は一般に、来院時に医師がSAシステムの使用を処方した後に、SAシステムの利用を開始する。例えば、患者の初回の使用は、医師の機器にディスプレイをミラーリングしながら(ただし幾つかの実現形態ではインタラクティブなランチャーを使用せずに)、医療機関での監督下で行うことができる。ただし、このことは、必須というわけではない(むしろ、患者の動作をリアルタイムで観察するために推奨されるベストプラクティスである)。幾つかの実現形態では、SAは、最初の来院を必要としない。患者への診断を組み込むことにより改善可能な幾つかの治療決定(すなわちプログラミングされたソフトウェアの選択/決定ブロック、または機械学習によりガイドされるステップ)を設けることができ、これにより、特定の診断にとって有益であることが知られている治療経路または治療活動を事前選択するプログラムが可能となりうる。ランチャーおよび在宅治療を念頭に置いて設計されうる実施形態では、患者は、診断に関係なく同じプログラムに入ることができ、ソフトウェアは、ソフトウェア自体におけるテストによって測定された視覚技能に応じて必要な訓練を決定することができる。
【0052】
例示的な実施形態は、(1)医師が治療をより良好に制御できるよう、患者の状態を評価するためにSAが使用する視覚テストを追加する段階、および(2)これらのテストの結果を使用して治療を自動制御する段階、の2段階に分けられる。
【0053】
患者の状態は、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、または複合現実(MR)内でのテストを使用して、またはラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、スマートフォンコンピュータ、もしくはタブレットコンピュータなどの適切なディスプレイを備えたコンピュータ上で評価することができ、患者の視覚健康状態もしくは視覚ステータスに応じた治療を当該患者に提供することができる。治療は、指定されたトラックにおいて行うことにより、個別化することができる。例示的なトラックには、抗抑制、立体視および輻輳開散が含まれうる。付加的にもしくは代替的に、他のトラックには、調節、眼球運動、ランダムドットステレオグラム知覚、視覚的密集に対する耐性、弱視眼による読み取り、両眼視読み取り、垂直輻輳開散、離反回復などが含まれうる。
【0054】
実施形態では、SAは、医師の積極的介入がない場合にも安全、有用かつセンシブルな治療を提供するように設計されているが、治療を医師の管理のもとに置くこともできる。こうした責任を負う医師を支援するために、コードが、医師のレビューのための報告を作成し、潜在的な問題(例えば経時的に正位から逸脱する強直性輻輳開散の増大、または立体視深度知覚の悪化、もしくは他の予測値からの逸脱など)が検出された際に警告フラグを立て、かつ/またはSAが治療に重大な変化を引き起こす可能性がある場合(例えば患者が治療トラックのうちのいずれかを終了する場合)に、推奨される活動に備えて医師の承認を要求する。
【0055】
現在の視覚テスト治療システムは、ユーザの視覚系の個別の様態/能力を評価し訓練する能力を欠いているものが多い。本明細書に開示するSAシステムおよび方法を使用すれば、患者の視覚の個々の様態(すなわち「トラック」)を個別にもしくは所望の組み合わせでテストおよび/または訓練を行うことができる。テストおよび/または訓練は、自動的に(例えば、プリセットプログラムによって)または医療機関での処方および手動調整によって(例えば医師もしくはユーザによりプログラミングされて、または医師もしくはユーザにより調整されたプリセットプログラムによって)施与されうる。幾つかの例では、プログラミングはダイナミックに行われる。例えば、プログラミングには、特定のユーザもしくは患者の使用状態および/または視覚能力に合わせて経時的にシステムを調整できるようにする機械学習を組み込むことができる(すなわち、プログラミングは、患者がシステム/治療プログラムの使用を経時的に繰り返すときに適応化される)。したがって、本明細書に開示する本システムおよび本方法により、患者/ユーザが、従来の視覚評価および治療手順に比べて、障害を有するユーザの視覚系の特定の様態を識別および改善する可能性がより高い視覚評価および視覚訓練を受けることが可能となる。
【0056】
治療のアプローチ
実施形態において、自動治療のためのSAのアプローチには、治療トラックおよびテストが含まれる。
【0057】
両眼視における機能障害は、視覚技能の様々なセットを損なう幾つかの異なる状態によって引き起こされうる。視覚状態(障害)の例として、弱視および輻輳不全(CI)が挙げられる。技能の例としては、眼間バランスの調節、深度知覚のための両眼視差の利用、および輻輳開散制御および眼位制御のための両眼視差の利用が挙げられる。良好な両眼視力には、これらの技能の全てにおける良好な機能を必要とする。基礎となる状態の治療は、その大部分が、疾患を有する技能の機能改善からなる。技能は、ある程度まで個別に独立して治療することができ、別個の治療トラック内で扱われる。
【0058】
図8に治療トラックが示されているが、より一般的な治療トラックの概要は図1に示して前述したとおりである。
【0059】
図8は、患者の視覚障害を評価するかつ/または治療するためにコンピューティングシステムを動作させる方法を示すプロセスフローチャート800の図である。コンピューティングシステムは、少なくとも1つのデータプロセッサと、この少なくとも1つのデータプロセッサに通信可能に結合されたメモリとを含むことができる。メモリは、視覚矯正プラットフォームまたはアプリケーションとして具現化されたコンピュータ実行可能命令を記憶するように構成することができる。コンピュータ実行可能命令は、少なくとも1つのデータプロセッサによって実行される際に、記載の方法を実行するためのものである。さらに、幾つかの態様では、プラットフォームの全体または一部をリモートコンピューティングデバイスに記憶することができ、コンピューティングデバイスを介してアクセス可能とすることができる。コンピューティングシステムは、以下でより詳細に論じるように、ヘッドマウントディスプレイ(例えば仮想現実(VR)デバイス、拡張現実(AR)デバイスなど)と通信する。
【0060】
図8に示されているように、プロセス800は、ブロック802において、任意の適切な時点で開始することができる。ブロック802では、ユーザもしくは患者の視覚における状態または問題が、ユーザによる知覚の1つもしくは複数のテスト、手動テストを管理する医師による鑑別、またはユーザもしくは医師による自動鑑別によって識別されうる。プロセス800はブロック804に進むことができ、このブロック804では、コンピューティングシステムがユーザもしくは患者の視覚を評価することができる。例えば、ユーザは、自身の視覚を評価するために、ブロック805で第1の技能テストを実行することができ、またはブロック806で第2の技能テストを実行することができる。ユーザが技能(例えば第1の技能テストまたは第2の技能テスト)を正常範囲(WNL)内で実施できた場合、ブロック807で以降の治療が必要ないとされれば、システムは、別の技能(例えば、第1の技能テストもしくは第2の技能テストの他方、第3の技能テスト、技能Nのテストなど)のテストに進むことができる。しかし、ユーザがテスト(例えば第1の技能テスト)を十分なレベルで実施できなかった場合または通過できなかった場合、システムはブロック808に進み、初期テストで識別/判別された障害または損傷(例えば、ブロック805での第1の技能またはブロック806での第2の技能のうちの対応する一方に関連する障害または損傷)を治療するための自動トラックを実行することができる。ユーザが第2の技能テストを実施できなかった場合、ブロック809で、システムは、初期テストで識別/判別された障害または損傷を治療するための自動トラックを実行することができる。幾つかの実施形態では、指定された技能(例えば第1の技能テストまたは第2の技能テスト)をあらためて(例えば、第1の技能テストをブロック810で、または第2の技能テストをブロック811で、それぞれ)テストして、ユーザのさらなる(後続の)テストとの比較のためのベースライン値を形成することができる。次いで、ユーザに、識別された障害または損傷を標的とした治療活動を(例えば、第1の技能につきブロック813でまたは第2の技能につきブロック814でそれぞれ)提示することができ、適切な時間にわたって(例えば、1時間、周期的に1週間にわたってまたは1ヶ月にわたって、など)治療が施与された後に、当該ユーザに再びテストを受けさせることができる。それでもなおユーザが技能テスト(例えば第1の技能テストまたは第2の技能テスト)を達成もしくは通過できない場合には、対応する治療の施与または提示を、ユーザが当該技能テストを通過できる(例えばブロック812でユーザがテストを正常範囲で行える)まで、あるいはプログラム、医師もしくはユーザが他の形式で治療を中止するまで、(例えばブロック813もしくはブロック814において)継続することができる。代替的な実現形態では、初回の技能テストをベースライン値として利用することができ、その直後にプロセスが治療に進むことができる(技能テストが実行された後にテストを行うこと、および技能テストが達成されるかそうでなければ中止されるまで治療を継続することを含む)。
【0061】
例2. SAによる治療方法
この例の目的は、本明細書において開示および図示するシステムおよび方法を使用して実行可能となる汎用のスマートアシスタント(SA)方法の例示的な実施形態を説明すると共に、例示的なSA治療方法のいっそう詳細な実現形態を提供することである。SAを実現するための例示的なシステムが図9に示されているが、コンピュータシステムを、先に提示した図3の考察においてより一般的に説明している。まず、ユーザもしくは患者の視覚における状態または問題が、ユーザによる知覚の1つもしくは複数のテスト、手動テストを実施する医師による鑑別、またはユーザもしくは医師による自動鑑別、によって識別可能である。次に、ユーザもしくは患者の視覚が、1つもしくは複数の治療トラックを介して評価される。例えば、ユーザは技能1のテストまたは技能2のテストを実施することができる。ユーザが正常範囲(WNL)内で技能を実施できた場合、それ以上の治療は必要なく、システムは、別の技能(例えば技能1のテストもしくは技能2のテストの他方、技能3のテスト、技能nのテストなど)のテストに進むことができる。しかし、ユーザがテストを十分なレベルで実施できなかった場合または通過できなかった場合、システムは、初回のテストで識別/判別された障害または損傷(例えば、技能1または技能2の対応する一方に関連する障害または損傷)を治療するための自動トラックの実現形態へと進む。複数の実現形態において、指定された技能(例えば技能1または技能2)があらためてテストされ、ユーザのさらなる(後続の)テストとの比較のためのベースライン値を形成することができる。次いで、識別された障害または損傷を標的とした治療活動をユーザに提示することができ、適切な時間にわたって(例えば、1時間、周期的に1週間にわたってまたは1ヶ月にわたって、など)治療が実施された後に、ユーザに再びテストを受けさせることができる。それでもなおユーザが技能テスト(例えば技能1のテストまたは技能2のテスト)を達成もしくは通過できない場合、ユーザが技能テストを通過できるまで(あるいはプログラム、医師もしくはユーザが他の形式で治療を中止するまで)、対応する治療の実施または提示を継続する。代替的な実現形態では、初期技能テストをベースライン値として利用することができ、その直後に治療へと進むことができる(ここでは技能テストが実行された後のテストも含まれ、技能テストが達成されるかまたは他の形式で中止されるまで、治療が継続される)。
【0062】
実施形態では、治療トラックは、抗抑制、輻輳開散および/または立体視を含み、付加的にもしくは代替的に、視力トラックおよび調節トラックまたはその他を含むことができる。これらのトラックが対象としている技能を改善することにより、他の技能での利得(視力、調節)も得られると考えることができる。なぜなら、眼間バランスの調節不良、深度知覚不良および運動融像の不良によって生じるこれらの技能の習得への障害が取り除かれるからである。例えば、両眼の対応点に網膜像が当たり(輻輳開散運動)、弱い方の眼の習慣的な抑制が克服された場合(眼間バランスの調節)、視神経機構を維持するルーチン習得機構の動作により、弱視眼における視力が時間の経過に伴ってまたは仮想現実(VR)外での活動の補助によって改善されることが期待される。輻輳開散運動が改善された場合、調節範囲および調節機能の改善も期待される。なぜなら、輻輳開散系から調節系への直接的な入力が生じ、その後調節が近距離での視覚を明瞭にするにあたっての唯一の障害となるからである。この時点で、調節の改善は視力の改善をもたらすが、輻輳開散運動問題が治療されるまではこのことは顕在化しない。
【0063】
1つの技能を使用する能力は通常別の技能に依存しているため、現実世界での経験は、ある特定の状態を治療するのに十分ではない。例えば、両眼視差から深度を理解するには眼を適切に輻輳させる必要があり、一方で、正確な両眼運動を計画するには、視差から深度を理解する必要がある。正常な視力を有する人における技能間の依存性の正確なグラフは不明であるが、理論的な考察および臨床経験から、視覚技能を個別に治療することが有益であることは明らかである。つまり、ゴルフが苦手な人は、単により多くゴルフをプレイするよりも、ジムにおいて特定の筋肉群を個別に働かせる運動を追加することによりゴルフゲームを改善することができるのと同様である。2つのトラック間のインタラクションが示されているが、ここでは、先の図の下部に追加された新たなフロー線によって示されている各側のトラックの以降の図の進行により、技能2のテストを技能1の治療活動に続けて行ってもよいし、逆に技能1のテストを技能2の治療活動に続けて行ってもよいことが示されている。
【0064】
図9には、人の視覚障害を評価するかつ/または治療するためのコンピューティングシステムを動作させるプロセス900が示されている。
【0065】
全体として、プロセス900は、図8のプロセス800と同様にすることができる。ただし、プロセス900では、2つのトラック(例えばブロック905以降の第1の技能すなわち技能1のためのブロック、またはブロック906以降の第2の技能すなわち技能2のためのブロック)間のインタラクションも示されており、ここでは、図8の下部に追加された新たなフロー線によって図9に示されている各側の技能テストの進行により、一方側または双方側の治療基準が達成されるまで繰り返して、(例えばブロック911での)技能2のテストを(例えばブロック913での)技能1の治療活動に続けて行ってもよいし、逆に技能1のテストを技能2の治療活動に続けて行ってもよいことが示されている。
【0066】
抗抑制トラック
当該トラックでは眼間バランスの調整が治療される。良好な眼間バランスは、それ自体が複数の異なる技能、すなわち、両眼競合の適切な調整、(常でないにせよ、時間の経過に伴っての)融像への均等な寄与、および第1の眼による第2の眼の適切な抑制または第2の眼による第1の眼の抑制、の組み合わせである。これらの機構は相互に相関させうるものであり、したがって、一方の眼の他方の眼に対する「相対強度」は有意な概念である。
【0067】
治療中の焦点は、弱視眼からの情報を使用するように脳を説得することであり、これは、他方の眼のダークフィルタおよびブラーフィルタを通して弱視眼から脳への入力の相対強度を高めることによって行われる。必要に応じてこれらのゲーム中の刺激の良好な両眼融像を促進するために、プリズムが使用される。
【0068】
抑制を治療するための主なツールは、両眼視ゲーム、およびセッションの開始時に評価されたダーク/ブラーフィルタのレベルを使用した活動である。フィルタ量は、テストフェーズにおける患者のパフォーマンスに基づいて調整され、患者が治療が不要であることを実証すると徐々に低減されるが、これはトラックの各段階を移動することに対応する。抑制を治療するゲームは、「複視モード」にあるディスプレイを含むことができる。複視モードでは、ディスプレイの一部が弱視眼のみに表示され、ゲームプレイに成功するには、こうした単眼表示される要素の使用が要求される。複視モードの目的は、弱視眼の中心視力を促進することである。背景は両眼視であるので、患者は、立体視背景の環境において治療活動を実施する。抑制の治療の開始時に複視モードが使用され、治療終了へ向けて(中心融像および視覚視差の利用を促進するために)立体視モードが使用される。
【0069】
患者が立体視を利用し始めると、視差キューの重み付けを促すために、抗抑制訓練または立体視訓練の後期段階において「キュースカフォールド」または「訓練ホイール」のアプローチを導入することができる。このアプローチでは、両眼視差が、ディスプレイ内で患者が利用できる、タスクを行うのに必要な深度関係を示す唯一のキューとなるわけではない。例えば、BullseyeまたはBubblesなどのゲームは、ゲームの試行ごとに、最も近い対象物を選択するための立体視深度キューの使用を要求することがある。動き視差、インターポジション、相対サイズなどの付加的な深度キューを導入して、視覚系に対し、相関する立体視深度キューの適切な使用開始の教示を支援できる。知覚される深度を構築するための両眼視差キューの使用など、知覚キューの使用を習得することの背後にある基本方式は、[Backus, B.T. (2011), Recruitment of new visual cues for perceptual apperarance. Sensory cue integration. 101-109; Law, C.L., Backus, B. & Caziot, B. (2011), Improvement in Stereoacuity through Training with Correlated Cues. Journal of Vision. 11(11), 1016-1016; Godinez,A., Gonzalez,S. & Levi, D. (2020), Cue Scaffolding to train stereo-anomalous observers to rely on disparity cues. Journal of Vision, 20(11). 300-300]に説明されている。前掲の各参考文献の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0070】
立体視トラック
当該トラックには、両眼の位置合わせを確認すること、眼間インバランスを補償すること、および立体視を使用して深度タスクを行うことが含まれる。目的は3重であり、すなわち、(両眼が位置合わせされているときの視差信号から深度を抽出することによる)深度判断の質の改善、単眼神経入力を使用する立体視深度神経機構による単眼神経入力使用の促進、および(立体視は現在実際に信頼できる手法であるため)他の深度キューに対して立体視に与えるべき重みを増大させる脳関連原因の特定、である。
【0071】
立体視の欠如を治療するために、対象物のサイズおよび視差を最初は大きく、次第に小さくなるようにし、最初のスカフォールドを使用して、視覚系が立体視にどのように依拠するかの学習に役立てることができる。
【0072】
輻輳開散トラック
当該トラックには、輻輳開散機能(新しい輻輳開散眼位に速やかに切り替えられる能力)、輻輳開散範囲、強直性輻輳開散(暗斜位)、および調節刺激に対する輻輳開散反応を含む、少なくとも4つの技能が含まれうる。本発明では強直性輻輳開散(または暗斜位)を測定するが、臨床視覚治療設定において治療中によく見られるように、特異的に標的とした明確な活動なしに自然に矯正斜位へ向かうことが期待される。本発明では、任意選択手段として、調節刺激に対する適切な輻輳開散応答を訓練することができる。本発明での活動は、調節を固定したまま保持することにより、輻輳開散と調節との独立した使用を促進するものであり、臨床的には、例えば米国仮特許出願第62/990335号明細書に開示されているような倒立型二焦点レンズを使用してVRにおいて複製することのできるベースインマイナスベースアウトプラス(BIMBOP)技術を利用する。
【0073】
輻輳開散を治療するために、患者の強直性輻輳開散(解離性斜位)および患者の強直性輻輳開散要求に対する持続的変化に依存するプリズムの絶対値が用いられ、患者が行うことのできるジャンプの大きさの増大と組み合わされて、輻輳開散反応の範囲が時間と共に増大する。ゲームおよび活動には、輻輳開散要求に対する急速な変化、緩慢な変化、または輻輳開散維持での変化などがありうる。したがって、患者は、輻輳開散の精度、範囲、持続性をそれぞれ増大させることによって改善される。
【0074】
「矯正レンズ」は、適切な技能の行使ができない場合に視覚系を支援するものである。VRにおいてシミュレートされるベースインベースアウトプリズムは、輻輳開散機能が不十分である場合に、患者の斜位に適合しない輻輳開散要求を除去することができる。眼間バランスの調整が不適切である場合、抑制眼に示されている画像をフィルタリングして、より暗くしたり、より低コントラストにしたり、またはより暈けさせたりすることができる。抗抑制活動は、仮想プリズムを使用した、斜位の緩和(輻輳開散運動要求)を伴う両眼性の環境によって、ならびに、抑制眼(しばしば主眼と称される)にダーク/ブラーフィルタを使用することによる抑制の緩和によって行われる。立体視活動も、斜位および抑制の両方を緩和した状態で行われる。輻輳開散活動は抑制を緩和した状態(抑制眼でのダーク/ブラー)で行われる。
【0075】
訓練中の幾つかの時点で、SAシステムにおけるテストにより、ダーク/ブラーフィルタがもはや不要であることまたは付加されたプリズムがもはや不要であることが示されることがある。当該時点で、プリズムは、より自然条件のもとでのさらなる改善を促すために、訓練中にSAによって使用されなくなる。
【0076】
技能レベル
トラックと同義である各技能につき、患者のステータスを、数値(レベル)、例えば0~10(10=正常)として定量化することができる。これらの数値は、各トラックに1つずつ、患者の視覚技能プロファイルを含む。技能レベルはテストにより判定される。技能レベルは、当該トラックでのセッション中にどの活動が発生するかを判別する。技能レベルを計算するための基礎となるアルゴリズムは技能ごとに異なるが、医師および患者がより理解しやすくなるよう、いずれも0~10に正規化されている。スコアの正規化には、スケーリングテストのスコアと、種々のサブコンポーネントテストの結果の組み合わせとが含まれうる。
【0077】
セッションの活動および設定を決定するレベルの使用。抗抑制トラックおよび立体視トラックでは、ゲームおよび活動の選択、ならびにゲーム内および活動内の設定は、技能レベルによって(必要に応じてダーク/ブラー量およびプリズム量と共に)判別可能である。輻輳開散トラックでは、プリズムセッタテストにより評価された、レベル、強直性輻輳開散、および200cmでのプリズム要求によって、選択および設定を決定することができる。
【0078】
テスト
テストは、2つの理由から、すなわち、(1)訓練中に適切となるように治療を制御することから、かつ/または(2)患者の進行状況を評価することから、実施されうる。治療を制御するために、各セッションの開始時に200cmで2つのテスト、すなわちプリズムセッタおよびダーク/ブラーが行われる。実施形態では、たとえテストが一貫して一方もしくは他方のタイプの緩和の必要性を示さなくとも(後に必要ではなくなった場合にはテストを中止できる)、全ての患者に対して各セッションの開始時に両方のテストを行うことができる。代替的に、1つのテストを選択的に除外することもできる。
【0079】
患者の進行状況を評価してベースラインを設定するために、一連のテストを治療開始時に実施することができ、このテストは数週間または数カ月続き、治療中、スケジューリングされた間隔で再度行われうる。ここでのスケジューリングされたテストは、1回の設定で完了を実行するように設計された評価セッションであってよい。初回評価の出力は、初回治療活動のガイドとなる。評価セッションの出力により、進行中の治療活動がガイドされる。ここで説明しているシステムおよび方法の実施形態につき、以下のテスト(すなわち「フル[テスト]バッテリ」)が提案される。
【0080】
プリズムチューナテストには、非融像の斜位/向性姿勢推定およびこれに続く仮想プリズムに対する患者の需要を推定する融像試行シリーズが含まれうる。出力は、プリズム視度値(すなわち水平垂直プリズム)および回転の度数値である(実施形態では、システムは水平垂直プリズムの度数変換も表示可能であるが、多くの医師はプリズム視度値を視認することを好む。
【0081】
抗抑制フィルタテストには、患者が抑制を破って複視ゲームに成功を収めるために必要なダークフィルタとブラーフィルタとの組み合わせを推定するための複視テストが含まれうる。出力は、ブラーフィルタおよびダークフィルタの値(それぞれの場合に0~100のスケーリング)であり、これがその後結合フィルタとなる。
【0082】
立体視力テストは、患者の立体視力閾値を推定する。テストは、仮想プリズムなしで、かつプリズムチューナによってもしくは医師が手動入力することで決定された仮想プリズム値を用いて実行されるように設計されている。出力は、0~30までの整数でスケーリングされた秒角の値および複合立体視スコア(CSD)である。
【0083】
4ドットテストは、抑制状態についての推定値を含む。出力は、抑制、融像または複視のメトリックであって、さらに(適用可能である場合には)複視の向きでもある。
【0084】
輻輳開散範囲テストでは、扁平刺激または立体刺激のいずれかを使用して患者の最大輻輳開散値が推定される。出力はプリズムジオプトリの値である。
【0085】
輻輳開散機能テストは、患者が輻輳開散要求の変化に応答して輻輳開散を変化させる能力を推定するものである。出力は、テストされた要求における単位時間(30秒または60秒)あたりの完了したサイクルの値である(例えば、3ΔBI/12ΔBO[ここで、Δはプリズムジオプトリ値を示す]であって、60秒では15サイクルである)。
【0086】
治療を制御するために、技能レベルも決定することができる。抗抑制トラックでは、技能レベルがダーク/ブラーフィルタ(レベル0~8)によって判別されるため、追加のテストは不要である。レベル9およびレベル10では立体視テストも必要となるため、抗抑制トラックがオンであってダーク/ブラー中の技能レベルが8以上であると判定された場合、プリズムセッタおよびダーク/ブラーの後に立体視が実行される。立体視トラックでは、技能レベルが立体視テストによって判定され、このテストは、そのトラックの全てのセッションの開始時に実行される(プリズム矯正を使用するかまたは使用しないかのいずれかで、プリズムチューナテストによって判別される)。輻輳開散トラックでは、当該技能レベルが、輻輳開散範囲および輻輳開散機能のテスト(の両方)によって決定される。当該トラックでは、新たな技能レベルへの進級は、要求されるレベルの両方のサブ技能(範囲および能力)を有することに応じて生じる。これらの技能のうち1つだけが所与のレベル増大で変化するので、基本的にはテストのうちの1つしか必要ないが、第1の実施形態では、各セッションの開始時に両方のデータを収集する。なお、所与のレベルの輻輳開散範囲テストのエンドポイント(プリズムジオプトリにおける輻輳開散要求)は、患者の強直性輻輳開散およびプリズム設定(プリズムセッタによって決定される)に依存して定められることに留意されたい。所与のレベルでの輻輳開散機能テストにおいて使用されるエンドポイントは、テストが快適であることを確認するために輻輳開散範囲テストを使用して測定された範囲よりも著しく近く、このテストの値は、プリズムセッタの強直性輻輳開散およびプリズム設定によって判別されるが、過去の輻輳開散機能テストの履歴からも判別される。
【0087】
特に、輻輳開散機能テストは複数のエンドポイント間の切り替えであり、輻輳開散範囲テストはこれらのエンドポイント間を移動するが、ここで、エンドポイントは、1つのエンドポイントとしてのプリズム設定を含み、このプリズム設定が0になるまで強直性輻輳開散姿勢の方向で拡張され、エンドポイントにおいて、プリズム設定は、5BIおよび25BOへ拡張されるまで、約1:4の比でBIおよびBOの両方を含む。
【0088】
なお、実施形態では、患者はCSDスコアが10以上となるまで輻輳開散トラックを開始できないことに留意されたい。なぜなら、これらの患者は、輻輳開散およびジャンプ単眼運動のステップを実行できないからである(これらの活動は、まだ融像に基づく応答を可能にするように適応化されていないが、特定の実施形態ではこれを行うように適応化可能である)。
【0089】
使用されるダーク/ブラーおよびプリズムの緩和量を決定することに加えて、ダーク/ブラーテストでは、抗抑制トラックでの技能レベル(レベル0~8の場合)が技能レベルを更新するのに十分であるかどうかが決定され、この技能レベルを使用して治療が制御される。3つの技能レベルは、患者の技能プロファイルを含む。したがって、これらの日常のテストは、患者の能力のスナップショットを提供するのに十分である。
【0090】
例3. 臨床警告
この例の目的は、システムの別個の製品または付加的な機能部を含む実現形態で、SAを使用せず、これに代えて手動制御モードでVividVision(VV)システムを使用する医師がセンシブルな治療を処方するかどうかが検査可能であり、製品を使用する方式において何らかの異常または異常可能性があることを医師に警告可能であることを説明することである。SAの使用中の患者のパフォーマンスのモニタリングに必要な専門家の判断の自動化と医師のパフォーマンスとの間には重複がある。さらに、医師は活動の処方の形式でデータを作成する。これらの処方につき、品質、およびベストプラクティスとの適合性をモニタリングすることができる。医師によるVVの使用は、専門家がVVを使用して特定の視覚状態をどのように治療するかに関する情報のソースも提供し、この情報は、SAに組み込むことのできる専門知識を構成する。
【0091】
インタフェース
臨床ランチャー
実施形態において、臨床におけるSAは、VVへ組み込まれるものとは僅かに異なる製品として設けられる。理想的には、当該プログラムは、種々の治療トラックを対象とするというよりもむしろ、ユーザ(医師/療法士)に対してテスト(例えば、抗抑制、輻輳開散要求、仮想プリズムなど)のための較正ステップを提供する。他の実施形態では、臨床SAは、治療トラックを対象とすることもできる。両方の実施形態において、SAは、直感的であるかまたは使用/イネーブルが容易であって(容易に利用可能なオプションであるか、またはSAを使用するオプションを検索する必要がなく)、ディスエーブルも簡単であるべきである。
【0092】
SA治療に関連するリスクについて患者を教育するため、患者のSAをオンにする前にリスクステートメントが示される。
【0093】
実施形態では、SAシステムならびに関連するプログラミングおよび方法は、弱視、斜視および輻輳開散障害を有する患者のケアを支援するように設計されている(VividVision製品はハプロスコープとして示される用途を有する)。SAは、仮想現実(VR)内で一連のテストを使用することによって患者のステータスを評価する。治療は患者のテスト結果に基づいて個別化されており、周期的に、例えば毎日もしくは定期的な間隔で周期的に、更新することができる。治療を行う医師は、進行状況のレビューおよび必要に応じて治療の調整、変更もしくは中止を担当することができる。例示的な注意事項は、ユーザマニュアルに含めることができる。
【0094】
診療セッションが実施される際には、少なくとも次の5つの異なるシナリオが発生する可能性がある。
シナリオ1:患者が在宅にてイナクティブであり、テストデータ/SAデータがない。医療機関は、最初にテストを全く実行せずに完全な手動のセッションを実行することを希望している。アクション:医療機関が手動のセッションを実行する(テストは使用せず、従来使用されているソフトウェアを使用する)。
シナリオ2:患者が在宅にてイナクティブであり、テストデータ/SAデータがない。医療機関はテスト/SAを使用して診療セッションにおいて診療の指針を得たいと考えている。アクション:バッテリテストの一部または全部を実行するために、ボタンがクリックされる。SAがバッテリテストを実行し、その後、患者が実施すべき活動をポップアップする。医師は患者に実施させたくない項目のチェックを外すことができる。結果:各トラック内のステータス、プリズムおよびダーク/ブラーの設定(この時点で変更可能である)、ゲーム用の推奨パラメータ設定、および一部または全部のテスト結果が得られる。医師が活動またはゲームの特徴を手動で調整したいと望む場合には、特徴の完全なリストまたは縮小されたリストにアクセスすることができ、あるいは活動またはゲームの特徴を医師が調整のために全く利用できないようにすることもできる。
シナリオ3:患者が在宅にてスマートアシストトラックデータをアクティブとしており、医療機関は診療セッションにおいて完全に手動のセッションを実施することを希望している。アクション:医療機関が手動のセッション(テストは使用せず、従来使用されているソフトウェアを使用する)を実施し、患者の在宅治療プログラムがSAアルゴリズムに従って行われる。
シナリオ4:患者が在宅にてスマートアシストトラックデータをアクティブとしており、医療機関が診療セッションにおいてSAを継続したい(患者が現在のSAトラックのどの地点にいるかをピックアップしたい)と望んでいる。アクション:患者が標準SAセッションとして機能したデータを医療機関において記録する(すなわち、医療機関におけるセッションが当該患者の治療における次に計画されるSAセッションと同一となる)。
シナリオ5:患者が在宅にてスマートアシストをアクティブとしており、医療機関はSAに適合するプリズムおよびダーク/ブラーの設定をインポートし、手動で継続することを望んでいる。アクション:任意のSAテストから最新の設定をインポートする。
【0095】
以下に説明する図10図15には、SAインタフェースのための例示的なテンプレートが示されている。図10には、患者が利用可能な全てのゲームを含むユーザインタフェース画面が示されている。図11には、患者もしくはユーザが抗抑制トラック/抗抑制ゲーム、特にダーク/ブラーテストを選択した後のユーザインタフェース画面が示されている。図12には、患者もしくはユーザが立体視トラック/立体視ゲーム、特にBubblesゲームを選択した後のユーザインタフェース画面が示されている。
【0096】
例えば、スマートアシストは、VVセッションについて、セッションメーカ内のセッションプラン(プログラミングされた活動のセット)を提案することができる。
【0097】
医師はセッションメーカに滞在することもできるし、あるいは個々の活動を行うこともできる。医師がセッションメーカに滞在する場合、当該医師は、セッションプランの開始前に活動を追加および削除して活動内の設定を変更することにより、セッションプランを修正することができる。デフォルトのセッションプランは、在宅にてスマートアシストを使用する場合と同じである。
【0098】
セッションがセッションプランから実行されている場合、各活動中に経過時間および残り時間を示すポップアップが表示され、これにより医師は残りの活動をスキップしたり、フィルタ設定/プリズム設定をオンザフライで変更したりすることができる。スキップされた場合、「次の活動を開始する」または「セッションプランを終了する」の2つのオプションがある。活動を自然に終了する場合には、カウントダウンメニューを使用して、「すぐに活動を開始する」、「活動をスキップする」または「セッションプランを終了する」を押す機会が医師に与えられる。セッションプランは、項目が完了したとき、チェックされたチェックボックスを有するリストとして表示される(スキップの場合はXで表され、また計画時間の部分割合のみが完了した場合には円グラフアイコンで表される)。
【0099】
データレビューおよび治療進行状況のモニタリング
SAシステムに、データレビューおよび治療進行状況のモニタリングのためのインタフェースを組み込むことができる。当該インタフェースは、患者が治療ステップを進んでいる様子を示す進行状況バーもしくは進行状況ホイールまたは同等のインタフェース表示要素を含むことができる。これは医師、患者またはその両方が視認可能である。図13Aには、治療プロセスのデータレビューおよびモニタリングのための例示的なユーザインタフェースが示されている。図13Bには、幾つかのテストパラメータのための例示的な進行状況ホイールが示されている。
【0100】
例としての進行状況ホイールは、再生日を表示することができ(すなわち、ホイールは、毎日のセグメンテーションおよびピースの充填により、テスト日を表示することができ)、SAトラック(抑制、立体視、輻輳開散)における進行状況を示すことができ、全体的なパーセント終了割合を示すことができ、または特定の活動についてのパーセント順位を示すことができる。
【0101】
患者ポータル
患者は、「患者ポータル」を使用して、SAシステムおよび/または関連するプログラミングによって収集されたデータを閲覧することができる。患者ポータルは、医師への表示と同じフォーマットでデータの表示を行うこともできるし、または結果の解釈において患者ユーザを補助するために単純化した状態もしくは他の形式に変更した状態で表示を行うこともできる。当該データは、死亡データベース(HMD)において、または専用の患者ウェブポータルを介して利用可能であり、別個のコンピュータディスプレイデバイス上で閲覧可能である。所定の基準に基づいて(すなわち毎日、毎週、n回ごとなどで)、結果を患者に通知することができる。
【0102】
患者が利用できる情報/報告
システムの目的は、患者にテストまたはゲームを完了するよう動機付けることでありうる。図14には、可能な動機付けの6つの異なる領域、および可能な動機付けの各領域での十分な満足の得られる2つの結果を含む、例示的な動機付けスキーマが示されている。
【0103】
患者のデータ(習熟度/達成度および/または改善が必要な領域)を当該患者に示すことに加えて、SAは、ゲーム設計において従来適用されている多くのコンセプトを利用している。投入された時間と達成された結果との両方に基づいて、バッジを付与することができる。他のプレーヤとの比較として、パーセンタイル順位を示すことで競争を提供することができる。VR環境に存在するゲームメカニクスにより、ファンタジー、ストーリー、発見およびアクションが提供される。各セッション内の活動および各セッション間の活動におけるプレーヤへの動機付けにより、自動化された治療行程の全体を通した患者のガイドが支援される。
【0104】
動機付けは、各タスクの難易度レベルの変化によっても生じうる。患者は、タスクが困難であっても達成可能であるように、イージー-トゥ-ハードのアプローチを取ることができる。治療の付加的な態様も本明細書において説明する。
【0105】
例4. 視覚的難易度とゲームプレイ難易度との分離
この例の目的は、スマートアシスタント(SA)システムにおけるゲーム使用の実現形態を説明することである。実施形態では、SAは、プレイに取り組みながら視覚技能を訓練するように設計されたゲームおよび活動を利用することができる。ゲームの難易度の制御は、こうした取り組みの1つの様態である。多くのゲームにおいて、「視覚的難易度」と「ゲームプレイ難易度」とを操作において区別することができる。これら2つのタイプの難易度を区別することにより、これらを別個に制御することができる。例えば、Breakerゲームは、抑制(眼間バランスの不適切な調整)の治療に使用することができる。Breakerゲームでは、ユーザは、仮想的にレンダリングされたパドルを使用して、仮想的にレンダリングされたボールを打つ。複視モードにおいて、ボールは非優位眼に対して単眼視表示される。抑制の治療を受けている患者は、小さいボールを打とうとするが、このボールがあまりに小さくなると見えなくなるので打つことができなくなる。したがって、視覚的難易度を制御する1つの例は、ボールの画像サイズを制御することである。ボールの画像が小さくなると、ユーザの視覚系がボールの画像を抑制する可能性が高くなるため、視覚的難易度は増大する。ゲームプレイ難易度を制御する1つの例は、ボールの速度を制御することである。速度が速くなると、眼間バランスの調整に困難を有するプレーヤのみではなく、どのプレーヤもゲームをプレイすることがより難しくなる。難易度が視覚技能とゲーム技能とに分離されているので、当該プログラムは、多数の異なる視覚技能レベルおよびゲームプレイ技能レベルのユーザによって適切に使用可能となる。ユーザの年齢は、ゲームプレイ技能レベルの要因であるため、分離することで、種々の年齢の患者が同じゲームをプレイすることが可能となる。さらに、視覚技能難易度がコンピュータの制御下にあっても、患者に自身のゲーム技能難易度を調節させることによって、患者に自身の治療計画の制御を与えることができる。患者によるこうしたタイプの制御は、治療の全過程にわたってセッションごとに改善のための付加的なチャレンジを追加することによって、患者にとっての本質的な動機付けとなりうる。
【0106】
医療機関においてSAを使用する治療(VVの医療機関への統合)
SAシステムおよび/またはプログラムは、医療機関において使用可能である。バッテリテストを実行することにより、医師もしくは療法士に医療機関内の患者の治療を最適化するためのベースラインデータが与えられる。さらに、当該テストデータを経時的に追跡して、患者の視覚技能における改善を示すことができる。プログラムは、(テスト出力に基づいて)インポート可能であるかまたは医師/療法士によってオーバーライド可能な特定のゲームまたは活動に対する設定を提案することができる。提案された設定をオーバーライドするためのオプションは、治療プロセスの必須の要素である。治療セッションにおいて、多くの場合、医師もしくは療法士は、意図的に患者にチャレンジを要求する活動または活動設定を変更する。提案される設定の二分法と手動で設定をオーバーライドすることのできる能力とにより、医師に対して、患者の治療に関する専門家レベルの制御が与えられる。
【0107】
在宅でのSAを使用した治療(VVの在宅への統合)
知覚学習は、視覚リハビリテーションプロセスの要素である。提案では、医療機関外で推奨される治療セッションの回数として、週5回である。SAプログラムは、毎日の治療セッションおよびn回目のセッションごとのフルテストセッションのために、短縮されたテストセッションを利用してゲーム設定の「微調整」を行うことができる。ここでのテストセッションは、在宅ベースの治療中の患者の進行状況をレビューする際の追跡メトリックとなる。
【0108】
プログラムは、治療計画における包括性のレベルを患者に与えるためのゲーム選択のオプションを、当該患者に提供する。患者は、タスクとなるビデオゲームの難易度に影響を与える特定のゲーム設定を選択することもできる。重要な要素は、ビデオゲームの難易度を、タスク中に治療される視覚技能から分離することである。患者は、プログラムに費消した時間を把握すべきであり、このことがさらなる動機付け要素として機能する。治療セッションへの能動的な参加/完了のためにバッジまたは同様の報酬システムを解放する能力により、患者が治療セッションを完了することへのさらなる動機付けを与えることができる。
【0109】
レイユーザにとって容易に不安定となりうる制限されるデータセットは、SAプログラムの要素である。より多くの技術データセットを医師が入手できるようにすべきである。
【0110】
維持モード
患者が治療を終了した後、SAは維持モードへ移行することができる。治療フェーズと比較して、SAが維持モードにある場合には、治療時間が短縮される(例えば、週5回のセッションから週1回のセッションへと短縮することができる)。また、患者はSAの使用が有益であると感じた場合、SAの使用に再び参入することもできる。SAの課金形態は、治療中と維持中とで異なってもよく、例えば治療中は無制限に使用できるが、維持モードの場合、最大で月10時間(または他の所定の数)とすることができる。
【0111】
SAによる治療中の休止に関して、SAは、中断されていないゲームプレイおよびテスト時間量が所定の時間量、例えば20分を超えた場合、無制限の使用に対し、「休憩を取る」との通知(提案)を与えることができる。
【0112】
例示的なユーザインタフェースのためのストーリーボードが図15図25に提示されている。
【0113】
図15には、ユーザインタフェースを介して患者を追加することが示されている。
【0114】
「患者を追加する」オプションへのナビゲートが生じると、タブが消え、左側にユーザ(患者情報)を入力するオプションが表示される。タブは、医師(VT)が患者に関連する追加情報を入力することを可能にする新しいページに置き換わる。
【0115】
当該情報は編集可能であるが、「患者を追加する」内では編集できない。当該ページは、(「ユーザの追加」に応答した)次回、患者がPatientタブから選択された後、ゲーム/活動/その他のタブと共に利用可能なPlayタブを選択することによって利用可能となる。
【0116】
ユーザインタフェース画面の左側の例示的な項目には、ユーザ名、生年月日(DOB)、GDPRチェックボックス(DOBに基づくダイナミックテキスト)、一般的なユーザ指示/ヒント、および「ユーザを追加する」ボタンが含まれる。
【0117】
ユーザインタフェース画面の左側の例示的な項目には、日付(地域に応じたMM/DD/YYYYまたはDD/MM/YYYYの現在日付)、優位眼(左、右、またはなし(なしの場合、この項目は優位眼を有さない患者を捕捉するためにソフトウェアの右側に設定され、フィルタが適用不能となる))、チャートで測定された視力(チャートは、リストボックス、スネレン(20ft)、メトリック(6m)、メトリック(4m)、小数視力、LogMAR/ETDRS、ランドルトC、タンブリングEもしくはその他を含むことができ(例えば、当該オプションには、氏名を入力するためのスペースおよび値を入力するためのテキストボックスを持ち込むことができる)、またはOD/OS値によって測定されたもの)が含まれる。OD/OSオプションで提供される値は、次のウェブサイトnidek-intl.com/visual_acuityに従うべきである(例えば、チャート=スネレン(20フィート)の場合、ODおよびOSは20/10~20/400のオプションを有し、上限は>20/400である)。右側の追加の項目には、カバーテスト、立体視(近い)、診断(例えば、弱視、斜視(または斜視履歴)、輻輳不全、開散過剰、調節障害など)、およびデータ入力ページ(例えば、ベースラインにおいて、次いで1ヶ月に1回「患者の結果は何月何日(例えばMM/DD/YY)に最終更新されている」などのメモを追加する)が含まれうる。付加的に、インタフェースには、新しいデータを入力するためのスペースおよび「後で」ボタンも設けられうる。例えば、患者が当該ソフトウェアを次回使用するときなど、後日に、新しいデータ用のスペースに入力すべきデータを医師に要求するようシステムに促すため、医師によって任意に使用される「後で」ボタンが設けられてもよい。立体視の場合、インタフェースは、テストのタイプ(例えば、ランダムドット、円、虫、ラング、フリスビー、小星など)および結果(例えば、12.5、15、20、25、30、40、50、60、80、100、150、200、400、600、>600など)を指定することができる。
【0118】
図16には、スマートアシストノートを設けるための、更新された左側のランチャーインタフェースの例が示されている。
【0119】
なお、図15のインタフェースに比較した図16のインタフェースにおける次の変更箇所に注意されたい。すなわち、ユーザIDの下方のスマートアシストノートには、(直近のフルテスト日付での)VVテスト、テストデータページでの最後の更新、優位眼へと変更された優位眼(手動のオーバーライド);抗抑制フィールドへの移動;ダークフィルタ/ブラーフィルタ/コントラスト比のフィルタの並べ替え;中心0、-100左、+100右の仮想プリズムスライダを模倣するように変更されたフィルタ;-100=最密フィルタOS、+100=最密フィルタOD;+50=+50%のフィルタOD、などが含まれる。スライダには、図面に示されているようなOS/ODインジケータ、すなわちダーク-ブラーテスト結果をロードするためのオプションと、ゼロへのリセット(filters)のためのオプション(この場合も仮想プリズムに類似している)が含まれているべきである。
【0120】
スマートアシスト機能は手動操作制御と共に実行可能であり、例えばスマートアシスト機能は、ソフトウェア内の別個のタブによって表現されうる。代替的に、スマートアシストの項目を現在のGameタブおよびActivityタブに含まれている手動制御と組み合わせて単一のタブとし、現在のレイアウト内でカテゴライズすることもできる。例示的なインタフェース1700が図17に示されている。インタフェース1700は、幾つかの実施形態では、Smartタブ1705、Manualタブ1710、医療機関またはSessionBilderタブ1715、および治療トラックおよび現在の完了ステータスを示す進行状況画面1701を含むことができる。付加的にもしくは代替的に、インタフェース1700は、スマートアシストをイネーブルおよびディスエーブルするためのトグル機能を含むように構成されていてもよい。
【0121】
図18には、基礎となる例示的な3つの視覚技能のグラフが示されている。基礎となる技能は、図の左方から右方へ向かって順に、各眼からの入力の相対強度を調節する能力、網膜像から網膜視差を抽出する能力、および網膜視差をゼロにすることにより輻輳開散を制御する能力、である。これら3つの基礎となる技能は、本明細書で説明するテストおよびゲームによって、また本明細書で説明するインタフェースおよびシステムを使用してテストを行うことができる。
【0122】
図19および図20には、例示的なインタフェース1700の別の実施形態が示されている。図19に示されているように、Manualタブ1710が選択されている。Manualタブ1710の選択は、トラック(例えば、抗抑制トラック、立体視トラックなど)などの付加的な選択を表示する。図20に示されているように、ゲームなどの付加的なオプションを表示するSessionBilderタブ1715が選択されている。
【0123】
図21には、SessionBilderタブ1715が選択された別の画面が示されており、ユーザはここで、ゲーム、評価、およびウォームアップエクササイズ/ウォームダウンエクササイズなどの活動を追加することができる。図21には、VVHと同様の例示的な実現形態が示されているが、各ゲームの主たるプレイまたは焦点が何に関するものかを医師に示すラベルが含まれている。また、図21には、平均的なユーザがテストを完了させるのに要する時間に関する最尤推定値を含む推定時間計算器1725も示されている。
【0124】
図22には、より組織化された外観が実装されているインタフェース2200の別の実現形態が示されている。図22に示されているように、SessionBilderタブ2215が選択されており、推定時間計算器と共に、活動に関する付加的なオプションが提供される。
【0125】
図23には、インタフェース2300の別の実現形態が示されている。図23に示されているように、医師により、Smartタブ2305のオプションの使用が決定された(図の上方を参照)。Smartタブ2305の選択により、スマートアシストがイネーブルされている。図23には、スマートアシストをイネーブルまたはディスエーブルするためのトグル機能が示されている。
【0126】
図24には、インタフェース2300が示されている。図24に示されているように、医師により、医師が設定のいずれかの変更を可能にする「スマートアシストの設定をオーバーライドする」オプションが(Manualタブ2310の使用と同様に)選択された。例えば、図24に示されているように、Bubblesゲームではもはや当該設定はグレー表示されない。
【0127】
図24にも示されているように、当該実施形態におけるスタートボタンは、カウントダウンを有していない(すなわち、活動は手動で開始される)。セッション中に医師が「スマートアシストの設定をオーバーライドする」オプションの使用を選択した場合には、このボタンは「適用する(Apply)」と読み替える必要がある。
【0128】
幾つかの実現形態では、例示的な治療計画は、治療の開始時にフルバッテリテスト(すなわちSAの初期起動)を実行することを含むことができる。これにより、次いで治療中にSAが走行するトラックが判別される。医師がトラックの選択を解除しても、これはテストのスケジュールに影響しない。患者がVVAを有するSAでアクティブでない場合にのみ、(医療機関での)7回目付近のセッションにおいて再びフルバッテリテストが提供される。代替的に、VVHでは、患者はSAの進行中に一連のフルテストセッションを経由して自然に進行していく。
【0129】
例えば、治療計画の2つのシナリオ/成果が存在する場合がある。すなわち、(1)患者がVVHにおいてSAをアクティブにしている場合、患者は医療機関のSAでフルバッテリテストを実施する必要はないが、医師には必要に応じてフルバッテリテストを実行するオプションが与えられ、VVHのSAの最後のテスト結果(結果および日付)が利用可能であるべきである、または(2)患者がVVHにおいてSAをアクティブにしていない場合、医療機関のSAプログラムがフルバッテリテストを提案する。
【0130】
例5. 治療プロセス
例示的な治療プロセスを本明細書において説明する。例示的な治療のフローチャートは図7に示されており、上述している。
【0131】
単純化された(提案の)治療プロセスを、以下に説明する。
【0132】
SAに対する患者の選択
図27に、例示的な選択基準のフローチャートが示されており、別の例示的な概要は図5に示されており、上述している。
【0133】
図27には、例示的な視覚障害のための例示的な治療プロセス2700のフローチャートが示されている。幾つかの態様では、プロセス2700は、図5に示されている上述したプロセス500と実質的に同様である。
【0134】
自身の視覚障害に対する治療の候補である患者の多くがSAシステムおよびSA方法による治療の候補にもなる。実施形態では、SAを開始する前に、患者は、(a)VVデータベースに入力された結果を伴う少なくとも1回の臨床検査、(b)医師に報告される結果を伴うフルバッテリテスト(例えば、患者が医療機関内でモバイルヘッドセットを着用して行ったテスト)、および(c)医師による、医療機関でのセッションに使用されるSA治療計画の確認/編集、を有するべきである。
【0135】
患者に最初から診断が下されていることもあるが、輻輳開散制御の困難、弱視、斜視および/または立体視の欠如を有する多くの患者に対してセンシブルかつ安全な治療が提供されるようにSAを全て自動になるように設計することも可能である。治療を排除しない受け入れ可能な状態の例として、中心抑制、偏心固視、微小斜視、および30Δ未満の(内または外)顕在偏位などがある。
【0136】
使用の禁忌には、5Δ超の不適合対応部位を有する網膜対応異常が挙げられる(VividVisionは、外科医師の監督下での治療の一部として、網膜対応異常(ARC)を有する患者において使用可能であるが、スマートアシストは眼位の位置合わせに主観的な尺度を使用しているため、ARCに起因する眼位ずれがある場合、両眼視の使用を検出できないかまたは矯正できないことがある)。また、刺激知覚を確立した後の融合不能(例えばホラー融合)も禁忌の1つでありうる。抗抑制トラックは融像または融合運動の実証がない場合にも開始することができるが、当該トラックにおける継続的な治療、または立体視トラックもしくは輻輳開散トラックの開始は、融合の実証を必要とする。現在のところ、立体視トラックおよび輻輳開散トラックは、双方とも、初期レベルを超える継続的な進行については、立体視深度知覚に依拠している。
【0137】
治療の開始
一般的に、治療は、患者のそれぞれの視覚技能を評価するフルバッテリテストセットから開始される。これらのテストの結果は、患者を1つもしくは複数の治療トラックに配置するために使用される。
【0138】
例えば、弱視の患者には、次のような例示的なフルバッテリテストセット、すなわち、プリズムチューナ;フィルタ(存在する場合、プリズムチューナからのプリズムと共に実行される);立体視力(支援プリズムあり、ダークフィルタなし);立体視力(支援プリズムなし、ダークフィルタなし);4ドット;輻輳開散範囲(200cmに対して、融像刺激);輻輳開散機能(200cmに対して、CSD>10:立体視バージョン、CSD≦10:患者が指示に十分に追従できる年齢である場合には融像バージョン)が与えられうる。
【0139】
ここでの例示的な患者は、(プリズムチューナテストから)仮想プリズムを必要とせず、フィルタテストからダークフィルタおよびブラーフィルタの組み合わせを必要とし、(立体視テストから)900秒角の立体視力を有し、(4ドットテストから)R眼を抑制し、(輻輳開散範囲テストおよび輻輳開散機能テストから)制限された輻輳開散機能を有しうる。したがって、当該例示的な患者は、抑制トラック、立体視トラックおよび輻輳開散トラックの3つのトラックに参加することが有益であるとされるはずである。
【0140】
治療中
患者は、フルバッテリテストを使用して周期的に評価され、例えば(治療開始の項において説明したように)10セッションごとに1回、および毎日の短い評価を受けることができる。こうした毎日の短い評価は、毎日計算される活動パラメータの調整によって当該患者の治療を最適化するためのテストの「短縮」バージョンと考えることができる。在宅でも医療機関でも、SAは提案のセッション構造を構築する。最初のセッション(またはエピソード)のコンテンツ(1つもしくは複数の治療トラック)が終了すると、医師(または在宅の場合は患者)にセッションを継続するかどうかの問い合わせが行われる。
【0141】
上述した例の場合、SAプログラムは、1つもしくは複数の治療トラック内の活動の組み合わせを提案することができる。医師は、利用可能なトラックまたは(複数の)トラック内の設定を手動でオーバーライドまたは変更することができる。
【0142】
治療の終了
治療は、患者が全てのトラックにおいてレベル10となった場合、または20セッション(すなわち4週間)の治療後に少なくとも1つのトラックにおいて初期的な改善または継続的な改善を示せなかった場合、終了されうる。
【0143】
提案のこうした「エンドポイント」チェックシステムは、医師ユーザおよび患者ユーザにとって有益である。医師ユーザは、時間の経過において、さらには遠隔で患者をモニタリングすることができる。患者が進行に失敗した場合、医師は、この失敗を患者と対面でもしくはリモートで面談するための「フラグ」と見なすことができる。患者ユーザは、進行上の欠落を、自己防衛的な(必要に応じた)治療変更のための機会として、または治療セッションにいっそう積極的に参加するための動機付けとして捉えることができる。
【0144】
維持
維持は、「集中的な」治療が完了した後(すなわち、患者が指定された全ての治療トラックにおいて最終レベルを完了したか、または医師が患者の技能セットが適切であると判断した場合)に実行することができる。これにより、2つの重要な項目、すなわち、1)維持治療(および維持治療への参加の動機付け)が視覚技能の維持にとって有益であることを患者が理解すること、ならびに2)対面訪問が減少した場合にも医師と患者との関係を維持するための医療機関の監視のオプション、が提供される。
【0145】
提案の維持モードでは、SAシステムおよび関連のプログラミングによって、患者ユーザがゲームまたは活動に関するより多くの制御を行うことができるようになる。SAシステムは、提案された間隔でテストの提供を継続し、医療機関への再受診が必要となりうる技能の何らかの疾患についての洞察が患者に(また該当する場合は監視している医師に)得られるようにすべきである。
【0146】
スマートアシストが最適化するパラメータには次のものが含まれる。すなわち、どのテストを行うか;どの活動またはどの活動のセットをどのような順序で(または順序を問わずに)行うか;どのようなデータ(例えば、検査結果、メタデータ)を収集するか:活動/テストのパラメータ(例えば、ダーク/ブラーもしくは他のフィルタの追加/削除、仮想プリズムの追加、変更、もしくは削除、サイズ、コントラスト、形状、色、動き、テクスチャ、深度/視差、ルミナンス、網膜上の位置、仮想世界内の位置);いずれかのテストに含まれるアタッチメント(例えば直近のテストで用いられたレンズ)の指定の必要性;テストがテストパラメータを変更するためのアタッチメントの使用、例えばプラス、マイナス、二焦点、三焦点、プログレッシブもしくはプリズムレンズなどの使用を含みうること;距離テスト、近接テストもしくは輻輳開散テストのための画像および出力のレンダリング;テストまたは活動のための外部機器/周辺機器(例えば、文字、単語もしくは画像、またはこれらと類似した特定の距離を表すものを含むハンドヘルドカードまたはタブレット/電話機)の使用;主に着用されているディスプレイ/デバイスと相互作用する特定の周辺機器/フィードバックデバイス(例えば、バイオフィードバックセンサ、電極、触覚デバイス))の使用;患者が立体視を使用してタスクを実施できる場合の、複視から立体視への活動内でのプレイモードの切り替え;抑制を治療する際の視覚の中心部位もしくは他の特定部位のみへのブラー;および抗抑制治療に対する末梢から中心へのアプローチ、である。
【0147】
スマートアシストが使用するアルゴリズムには、次の種類のアルゴリズム、すなわち、ベイジアンハイパーパラメータ最適化;ニューラルネットワーク、勾配降下法、勾配ブースティング、変換など多くのデータを含むAI/MLモデルベースアプローチ;強化学習、モデルベースおよびモデルフリーの2つのアプローチ;判断のための種々のモデルのアンサンブル学習;初期テスト;テストおよび評価のプロセス;活動およびテストの提案または提案される治療が有益でないかもしれないこと;治療が開始された場合のリアルタイムでの進行状況のモニタリングおよび必要に応じた修正;テストおよびプロセスおよび評価の繰り返し(治療の継続もしくは休止の提案をもたらす改善もしくは非改善);活動およびテストの提案の更新;フィードバックループ、が含まれる。
【0148】
個別のトラックは、視覚能力に寄与する弱い方の眼によって視覚が制限されているという理論に基づき、個別の技能について独立した進行状況の測定に使用可能である。治療期間の開始時の評価、または頻度の低い評価(例えば1週間に1回行われる)、または頻度の高い評価(例えばゲームプレイ中に頻繁に行われる)を使用して、(a)適切な活動を選択し、(b)これらの活動について適切なパラメータを選択することにより、最大限の学習に適した難易度レベルを維持することができる。技能のそれぞれは、特定の技能のテストを標的とした評価によって測定される。SAは、特定の視覚技能を標的とした能力または同時に複数の技能を働かせる能力を有しうる。
【0149】
当該患者に対して優しいチャレンジ(疲労をもたらすほど困難でないチャレンジ)を提供するために、治療に使用される最良のプリズムの自動測定を次のことに使用できる。すなわち、治療中の進行状況のモニタリング;NRCを仮定した患者の主観的反応(例えば非眼筋アライメント)を使用したアイトラッキングなしでのカバーテストのシミュレーション;患者の主観的反応と共にアイトラッキング(客観的測定)を用いるカバーテストのシミュレーション;関連する斜位を測定するプリズムの使用に対する固視視差を測定する単眼視での配置換えされた対象物の使用;見分け機構を横断するプロファイルを取得するための眼間バランスの複数回の異なる測定の使用(刺激が異なる場合の眼全体の抑制;類似した画像が融合した場合のサイクロペアン画像に対する相対寄与分;健常観察者による画像部分を抑制する能力;DSKLモデルにおける対応するゲインの全て、見かけのルミナンスへの寄与分、見かけのコントラストへの寄与分、競合刺激において見られる時間のパーセント割合;競合刺激への切り替えにかかる時間;競合刺激もしくは非競合刺激でのインクリメント検出閾値の測定);(単眼または両眼の場合の)抑制を克服するためのゲーム内の対象物サイズの変更;不等像視をゼロ化もしくは制限するためのゲーム内の対象物側面の変更;ゲームプレイ中の抗抑制チェックの使用、のためである。
【0150】
スカフォールドホイール/トレーニングホイールには、イージー-トゥ-ハードの形式で技能につき構築される一般的なアプローチ、すなわち、
(1)(a)セッション進行における、または(b)あるセッションから別のセッションへの(例:Breakerにおけるボールのサイズ)、ゲームプレイ中のブランスウィック比の変更の実装、
(2)(c)人が運動視差を使用してタスクを行うことができるため、BarnyardBounceにおいて自然に行われ、ただし小さな視差に対してはより精細な立体視がないと所定のポイントを超える進行ができなくなる、最大エクスカーション到達後に頭部を動かすと共にボックスを移動させることによる、運動視差を制御する方法、
が含まれうる。
【0151】
スマートアシストによって使用されるハードウェアおよびセンサには、次のもの、すなわち、VR;PC;電話機;ARまたはMR;アイトラッキングデバイス(眼球運動および瞳孔の動きを観察および記録するため、作業中の眼球運動の制度を追跡するため、眼球運動を訓練するため、活動またはテストにおけるパラメータを変更するため、または経時的な眼球運動の改善を追跡するため);ウェアラブルディスプレイ;レンズ;コントローラ/センサの使用ありもしくはなしでの、またはジェスチャトラッキングもしくは触覚フィードバックを使用しての、頭部、顔面、手、足もしくは他の付属肢の追跡を含む、何らかの身体動作追跡デバイス;音響関連センサもしくはマイクロフォン/音声センサまたは音声認識を使用した何か;バイオセンサ(例えば、瞳孔追跡、温度センサ/心拍数センサ/他のバイオフィードバック、皮膚容量、血圧、EEG)、が含まれる。
【0152】
本明細書で論じているシステムおよび方法と共に使用される例示的なハードウェアは、米国特許出願公開第14/726264号明細書、同第16/191324号明細書に開示されており、これらはそれぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0153】
スマートアシストで治療可能な状態として、以下に限定されるものではないが、次のものが含まれうる。すなわち、異所性弱視、斜視性弱視、間歇性外斜視、恒常性外斜視、輻輳開散障害、輻輳不全、輻輳過剰、開散不全、開散過剰、内斜視(間歇性)、内斜視(遠視に起因する)、上斜視、皮質抑制、融像に必要な両眼視感覚の欠如、輻輳開散不全からの両眼視感覚の欠如、調節不全、調節不能、TBI、対応異常、眼球運動、緑内障(テストを通じた治療のためのガイダンス)、ロービジョン訓練(偏心視訓練、暗点回避、特殊プリズム[例えばPelliプリズム]の使用)、脳損傷(脳しんとう、外傷性脳損傷または脳血管事故、視野欠損、無視、錯乱、暗点を含む)、立体視深度知覚の欠如もしくは立体視深度知覚障害、スポーツビジョンに関連する状態(例えば、反応時間訓練、眼-手協応または眼-身体協応)、である。
【0154】
スマートアシストで改善可能な視覚技能には次のものが含まれる。すなわち、治療前に既に正常範囲にあるかもしくは正常範囲を上回っている技能、輻輳開散範囲、視力(分解能)、視力(動体視力)、コントラスト感度、中心-周辺認識、立体視深度(例えば、微細立体視、コース立体、デルタ輻輳開散、操作(例えばペグボードタスク)のため、ナビゲーションのため(例えば、並列駐車において、どのホールウェイが現実であるかを見取り、ホールウェイの絵の描かれたドアではなくそこへ入っていくことができる)、到来するプロジェクタイルを検出するため、対象物を背景に対して検出してその存在および空間統合窓のサイズを認識するため)、視覚処理(例えば、視覚弁別、視覚記憶、空間的関係、形状一貫性、逐次記憶、視覚人物-背景認識、視覚的閉鎖)、知覚(例えば、視覚的集中、視覚的閉鎖、視覚的シークエンシング、視覚的運動統合、注意瞬間視力、視覚的探索、視覚的走査、視覚的スパン)、反応時間(例えば、周辺視、立体視)、調節、追跡精度(例えば、立体視による制限、コントラストによる制限)、融像、立体視、複視の認識、および固視ずれの最小化、である。
【0155】
測定可能な視覚機能としては次のものがある。すなわち、調節(調節機能(調節を迅速に変化させる能力)、調節振幅);プリズム対輻輳開散(プリズム許容範囲、輻輳開散範囲、輻輳開散機能、輻輳開散精度);瞳孔(それぞれ右(R)対左(L))(大きさ、形態、明/薄暮光反応、調節に対する反応、瞳孔求心欠陥の有無);色覚;IPD(瞳孔間距離);まばたき速度、まばたきの完全性、瞼の位置および対称性/非対称性;頭部位置/傾き;立体視;視力;コントラスト感度;視野/感度;暗点マッピング;歪みに対する中心視力分析/テスト(黄斑/網膜障害);眼球運動性/可動範囲;眼間バランス;視路の完全性(VEP);グレア感度;(疲労をもたらすほど困難でない)患者に優しいチャレンジを提供するための、治療に使用される(HMD内の)視覚フィルタ、例えばダークフィルタ、コントラストフィルタおよび/またはブラーフィルタによる自動測定、ならびに治療中の進行状況のモニタリングにも使用可能なフィルタ、例えばダークフィルタ、コントラストフィルタおよびブラーフィルタによる自動測定;アイトラッキング(治療/テスト中のHMD内の眼位置のモニタリング):眼球運動テスト、例えばVORテスト、眼球頭部テスト/ドールズアイ反射テスト、頭神経3-、4-、6-の評価、サッケード、視力回復、輻輳開散、単眼運動、読み取り速度、回帰、速度および精度、眼振、任意の凝視の姿勢における眼位置(身体の動きを含むもしくは含まない)、眼位置対頭部位置もしくは身体位置、外部刺激(例えば熱的刺激)がある場合の眼位置、調節刺激がある場合もしくはない場合の眼位置;眼球運動訓練、例えば、アイトラッキングおよびVR内の3Dシーンの組み合わせを使用した眼-手協応の測定、ならびに読み取り訓練;視覚パラメータを測定する方法としての動的瞬間追跡、である。
【0156】
ユーザの視点から見た製品説明
患者のエクスペリエンス
スマートアシストは患者にとって可能な限りユーザフレンドリであるべきである。一連のテストが繰り返され、これにより、どの設定および活動が当該患者に利用可能であるかがガイドされる。これにより、患者に、特定のゲームまたは活動を選択する自由が与えられる。定期的な治療を継続するよう患者に動機付けを与えるため、ゲーム、活動、テストおよび結果をゲーム化することができる。患者は、ゲーム、活動またはテストから、これらによって収集されたデータの自動分析を示す出力を閲覧することができる。患者は、コンピュータを使用して当該出力を閲覧することができる。当該出力は、テストを受けるために使用するローカルデバイスから、またはインターネットを介して中央コンピュータに接続されたコンピューティングデバイスから、患者へ送信可能である。患者がこれらのデータを閲覧する(すなわち「患者の進行状況を見る」)能力は、患者が治療プロセスにおいてより能動的な役割を果たすことになるので、その関与を向上させることができる。
【0157】
医師のエクスペリエンス
スマートアシストは、3つの異なる状況、すなわち、(1)患者が定期的に(週2回から月1回までのいずれかで)医療機関を受診し、また在宅での治療も行っている(すなわち「両方」)、(2)患者が定期的に医療機関を受診しておらず、リモート治療を行っている(すなわち「在宅のみ」)、ならびに(3)医療機関のみで治療を行っており、患者が在宅でシステムを使用していない(ただし使用への移行が望ましい)(すなわち「医療機関のみ」)における、活動および設定の選択を支援する柔軟なシステムまたはツールでありうる。
【0158】
バッテリテストが実行された場合、「スマートアシストが利用可能です」がグレー表示されないことがある。結果欄は、完了するまでダッシュボードにおいて空白である。また、臨床テストおよび診断のための空白スペースも含まれうる。システムは、テストの日付を含まなければならない。医師は患者によって収集されたデータへの完全なアクセスが可能である。
【0159】
患者ユーザがSAを進行させていく間、プログラムは、「異常」と見なされた出力をラベル付けする(すなわち「フラグ」を立てる)ために、継続的に自動にて患者ユーザのパフォーマンスを監視することができる(例えば、過去に反復的な立体視の値が与えられた患者は、自身の立体視技能の悪化を示すテスト結果を得ることができる)。このようなフラグは、潜在異常または関連する結果を医師に警告することにより、危険低減として機能する。
【0160】
本明細書において説明している主題の1つもしくは複数の態様または特徴は、デジタル電子回路、集積回路、専用設計された特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアおよび/またはこれらの組み合わせにおいて実現可能である。これらの様々な態様または特徴は、ストレージシステム、少なくとも1つの入力デバイスおよび少なくとも1つの出力デバイスにデータおよび命令を送受信するように結合された、専用もしくは汎用であってよい少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステム上で実行可能および/または解釈可能な1つもしくは複数のコンピュータプログラムの実装を含むことができる。プログラマブルシステムまたはプログラマブルコンピューティングシステムは、クライアントおよびサーバを含むことができる。クライアントおよびサーバは、一般的に相互に遠隔の関係にあり、典型的には通信ネットワークを介して相互作用する。クライアントとサーバとの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行され、相互にクライアント-サーバ関係を有するコンピュータプログラムによって発生する。
【0161】
プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、アプリケーション、コンポーネントまたはコードとも称されうるこれらのコンピュータプログラムは、プログラマブルプロセッサのための機械命令を含み、高水準手続き型言語、オブジェクト指向プログラミング言語、機能プログラミング言語、論理プログラミング言語、および/またはアセンブリ/機械言語において実装することができる。本明細書で使用する「機械可読媒体」なる用語は、機械可読信号としての機械命令を受信する機械可読媒体を含むプログラマブルプロセッサに機械命令および/またはデータを提供するために使用される、任意のコンピュータプログラム製品、装置および/またはデバイス、例えば磁気ディスク、光ディスク、メモリおよびプログラマブルロジックデバイス(PLD)を指す。用語「機械可読信号」とは、機械命令および/またはデータをプログラマブルプロセッサに供給するために使用される任意の信号を指す。機械可読媒体は、このような機械命令を非一時的に、例えば非一時性のソリッドステートメモリまたは磁気ハードディスクドライブまたは任意の等価のストレージ媒体に、記憶することができる。代替的にもしくは付加的に、機械可読媒体は、このような機械命令を一時的に、例えばプロセッサキャッシュまたは1つもしくは複数の物理プロセッサコアに関連付けられた他のランダムアクセスメモリに記憶することもできる。
【0162】
ユーザとの対話を提供するために、本明細書で説明している主題の1つもしくは複数の態様または特徴を、ユーザに情報を表示するためのディスプレイデバイス、例えばブラウン管(CRT)もしくは液晶ディスプレイ(LCD)もしくは発光ダイオード(LED)モニタと、ユーザがコンピュータに入力を提供できるようにするためのキーボードおよびポインティングデバイス、例えばマウスもしくはトラックボールとを含むコンピュータ上に実装することができる。同様に、ユーザとの対話を提供する他の種類のデバイスを使用することもできる。例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、例えば視覚フィードバック、聴覚フィードバックもしくは触覚フィードバックのような任意の形態の感覚フィードバックであってよく、ユーザからの入力は、以下に限定されるものではないが音響入力、音声入力もしくは触覚入力を含む任意の形態で受信されるものであってよい。他の可能な入力デバイスには、以下に限定されるものではないが、タッチパネルまたは他のタッチ感応デバイス、例えば、シングルポイント抵抗性もしくはマルチポイント抵抗性トラックパッドまたは容量性トラックパッド、音声認識ハードウェアおよび音声認識ソフトウェア、光学スキャナ、光学ポインタ、デジタル撮像デバイスおよび関連する解釈ソフトウェアなどが挙げられる。
【0163】
本明細書において説明している主題は、所望の構成に依存するシステム、装置、方法および/または物品として具現化可能である。上記の説明に記載した各実現形態は、本明細書において説明する主題に適合する全ての実施形態を表すものではない。むしろ、これらは、説明する主題に関連する態様に適合する幾つかの例にすぎない。幾つかの変形形態を上記にて詳細に説明したが、他の修正形態または付加形態も可能である。特に、本明細書に記載した特徴および/または変形形態に加えて、さらなる特徴および/または変形形態も得られる。例えば、上述した実現形態は、開示の特徴の様々な組み合わせおよび部分的組み合わせおよび/または上記にて開示した複数の別の特徴の組み合わせおよび部分的組み合わせを志向することもできる。また、添付の図面に示したかつ/または本明細書において説明した論理フローは、所望の結果の達成にあたって必ずしも示した特定の位列または順序を要求するものではない。
【0164】
上記の説明および特許請求の範囲では、複数の要素もしくは特徴の連言的な列挙に続けて「~のうちの少なくとも1つ」または「~のうちの1つもしくは複数」などの語句を用いたところがある。2つ以上の要素もしくは特徴の列挙においては、用語「および/または」を用いたところがある。これらの語句は、使用の文脈によって暗黙的にもしくは明示的に否定されない限り、列挙された要素もしくは特徴のいずれかを個別のものとして、または列挙された要素もしくは特徴のいずれかと他の列挙された要素もしくは特徴のいずれかとを組み合わせたものとして意味することを意図している。例えば、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」、「AおよびBのうちの1つもしくは複数」ならびに「Aおよび/またはB」なる語句は、それぞれ「Aのみ、Bのみ、またはAおよびBの双方」を意味することが意図されている。同様の解釈は、3つ以上の項目を含む列挙についても当てはまる。例えば、「A、BおよびCのうちの少なくとも1つ」、「A、BおよびCのうちの1つもしくは複数」ならびに「A、Bおよび/またはC」なる語句は、それぞれ「Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBの双方、AおよびCの双方、BおよびCの双方、またはAおよびBおよびCの全て」を意味することが意図されている。
【0165】
上記のおよび特許請求の範囲における「~に基づいて」なる用語の使用は、列挙されていない特徴もしくは要素なども可能であり、「少なくとも部分的に~基づいて」との意味を意図している。
【0166】
本明細書において説明したもの以外の他の実施形態も以下の特許請求の範囲内に含まれうる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7-1】
図7-2】
図7-3】
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
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【国際調査報告】