(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを使用した標的化の増強
(51)【国際特許分類】
C12N 15/11 20060101AFI20240220BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20240220BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240220BHJP
C07K 16/00 20060101ALI20240220BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20240220BHJP
C12P 21/08 20060101ALN20240220BHJP
【FI】
C12N15/11 Z
A61K47/68 ZNA
A61K39/395 Y
C07K16/00
C07K19/00
C12P21/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553225
(86)(22)【出願日】2022-03-04
(85)【翻訳文提出日】2023-09-21
(86)【国際出願番号】 US2022018855
(87)【国際公開番号】W WO2022187586
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522006144
【氏名又は名称】コード バイオセラピューティクス インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】520159592
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ メリーランド, カレッジ パーク
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】シルヴィア・ムロ
(72)【発明者】
【氏名】ニクサ・ロキ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ゲッツ
【テーマコード(参考)】
4B064
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA19
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4B064DA01
4C076AA95
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4C085GG02
4H045AA10
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4H045BA72
4H045CA40
4H045DA02
4H045DA30
4H045DA75
4H045DA76
4H045DA83
4H045DA89
4H045EA20
(57)【要約】
本開示は、DNAデンドリマーにハイブリダイズされないオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた抗体、及びその断片、それを含む組成物、ならびに、検出方法、細胞単離方法、枯渇方法、診断方法、及び治療方法におけるそれらの使用を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリゴヌクレオチドであって、DNAデンドリマーにハイブリダイズされていない前記オリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた抗体またはその抗原結合断片であって、
前記抗体またはその抗原結合断片は、同一のオリゴヌクレオチドであって、同一のDNAデンドリマーにハイブリダイズされていない前記同一のオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされていない同一の抗体またはその抗原結合断片よりもより大きな程度またはより速く、抗原に結合するか、あるいは
生理学的に許容される量の前記抗体またはその抗原結合断片の対象への静脈内投与の際に、前記抗体またはその抗原結合断片が、同一のオリゴヌクレオチドであって、同一のDNAデンドリマーにハイブリダイズされていない前記同一のオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされていない同一の抗体またはその抗原結合断片よりも、静脈内投与後の期間において前記対象の血液中に少ない程度で存在する、前記抗体またはその抗原結合断片。
【請求項2】
前記抗体またはその抗原結合断片が、IgA抗体もしくはその抗原結合断片、IgD抗体もしくはその抗原結合断片、IgE抗体もしくはその抗原結合断片、IgG抗体もしくはその抗原結合断片、またはIgM抗体もしくはその抗原結合断片を含む、請求項1に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項3】
前記IgA抗体またはその抗原結合断片が、IgA1抗体もしくはその抗原結合断片、またはIgA2抗体もしくはその抗原結合断片を含む、請求項2に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項4】
前記IgG抗体またはその抗原結合断片が、IgG1抗体もしくはその抗原結合断片、IgG2抗体もしくはその抗原結合断片、IgG3抗体もしくはその抗原結合断片、またはIgG4抗体もしくはその抗原結合断片を含む、請求項2に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項5】
前記IgG1抗体またはその抗原結合断片が、IgG1 G1m1アロタイプ抗体もしくはその抗原結合断片、IgG1 G1m2アロタイプ抗体もしくはその抗原結合断片、IgG1 G1m3アロタイプ抗体もしくはその抗原結合断片、またはIgG1 G1m17アロタイプ抗体もしくはその抗原結合断片を含む、請求項4に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項6】
前記IgG1抗体またはその抗原結合断片が、変異型IgG1重鎖を含む、請求項4に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項7】
前記変異型IgG1抗体またはその抗原結合断片が、カッパ軽鎖を含む、請求項6に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項8】
前記カッパ軽鎖が、アロタイプKm1、Km2、またはKm3である、請求項7に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項9】
前記変異型IgG1抗体またはその抗原結合断片が、ラムダ軽鎖を含む、請求項6に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項10】
前記抗体またはその抗原結合断片が、誘導体化抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項1~9のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項11】
前記誘導体化が、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、保護基/ブロック基による誘導体化、タンパク質分解切断の結果、細胞リガンドもしくは他のタンパク質への結合、またはホルミル化を含む、請求項10に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項12】
前記グリコシル化が、2つのN-アセチルグルコサミン(G1cNAc)残基、3つのマンノース残基、ならびにα-6マンノース及びα-3マンノースにβ-1,2結合した2つのG1cNAc残基を有するコア構造を含む、請求項11に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項13】
1つ以上のフコース残基、1つ以上のガラクトース残基、1つ以上の高マンノースグリカン残基、1つ以上の二分岐G1cNAc残基、または1つ以上のシアル酸残基が前記コア構造に結合している、請求項12に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項14】
前記1つ以上の高マンノースグリカン残基が、Man-5またはMan-9を含む、請求項13に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項15】
前記1つ以上のシアル酸残基が、N-アセチルノイラミン酸残基(NANA)またはN-グリコリルノイラミン酸残基(NGNA)を含む、請求項13に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項16】
前記抗体またはその抗原結合断片が、エフェクター部分に共有結合し、前記共有結合は、前記抗体またはその抗原結合断片の抗原への結合に影響しない、請求項1~15のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項17】
前記エフェクター部分が、検出可能な標識、細胞毒性剤、化学療法剤、核酸分子、抗腫瘍剤、薬物、毒素、生物学的に活性なタンパク質、別の抗体またはその抗原結合断片、合成または天然のポリマー、放射性核種、放射性同位体、キレート化金属、ナノ粒子、レポーター基、薬物部分、ポリペプチド、シグナル伝達分子、血栓剤もしくは抗血管新生剤、生物学的応答修飾物質、または化学療法剤を含む、請求項16に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項18】
前記生物学的に活性なタンパク質が酵素を含む、請求項17に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項19】
放射性ヌクレオチドが、放射性ヨウ化物を含む、請求項17に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項20】
前記レポーター基が、蛍光化合物またはNMRもしくはESR分光法によって検出することができる化合物である、請求項17に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項21】
前記毒素が、アブリン、リシンA、サポリン、Pseudomonas外毒素、ジフテリア毒素、臭化エチジウム、PE40、PE38、ゲロニン、RNAse、ペプチド核酸(PNA)、リボソーム不活性化タンパク質(RIP)1型もしくは2型、ヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質(PAP)、ブリオジン、モモルジン、化学療法剤、またはブガニンを含む、請求項17に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項22】
前記シグナル伝達分子が、α-インターフェロン、β-インターフェロン、神経成長因子、血小板由来成長因子、または組織プラスミノーゲン活性化剤を含む、請求項17に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項23】
前記血栓剤または抗血管新生剤が、アンジオスタチンまたはエンドスタチンを含む、請求項17に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項24】
前記生物学的応答修飾物質が、サイトカインまたは成長因子を含む、請求項17に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項25】
前記サイトカインが、インターロイキン-1(IL-1)、インターロイキン-2(IL-2)、またはインターロイキン-6(IL-6)を含む、請求項24に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項26】
前記成長因子が、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、または神経成長因子(NGF)を含む、請求項17に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項27】
前記細胞毒性剤が、小分子、プロドラッグ、メイタンシノイド、または毒素を含む、請求項17に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項28】
前記細胞毒性剤が、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒシン、ドキソルビシン、ダウノラビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、またはピューロマイシンを含む、請求項17に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項29】
前記抗体またはその抗原結合断片が、3~5個のメイタンシノイド分子を含む、請求項1~27のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項30】
前記3~5個のメイタンシノイド分子のうちの1つのメイタンシノイド分子が、化学リンカーによって前記抗体またはその抗原結合断片にコンジュゲートされる、請求項29に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項31】
前記化学リンカーが、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート、N-スクシンイミジル-4-(2-ピリジルチオ)ペンタノエート(SPP)、またはスクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサンネル-1-カルボキシレートを含む、請求項30に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項32】
前記検出可能な標識が、放射性化合物、蛍光化合物、発色団、酵素、イメージング剤、金属イオン、基質、蛍光部分、または酵素標識を含む、請求項17に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項33】
前記蛍光部分が、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、5-ジメチルアミン-1-ナフタレンスルホニルクロリド、またはフィコエリスリンを含む、請求項32に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項34】
前記酵素標識が、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、またはグルコースオキシダーゼを含む、請求項32に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項35】
前記エフェクター部分が、代謝拮抗剤、アルキル化剤、アントラサイクリン、抗生物質、または抗有糸分裂剤を含む、請求項17に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項36】
前記代謝拮抗剤が、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、または5-フルオロウラシル、ダカルバジンを含む、請求項35に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項37】
前記アルキル化剤が、メクロレタミン、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)、ロムスチン(CCNU)、シクロソスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC5、またはシスジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチンを含む、請求項35に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項38】
前記アントラサイクリンが、ダウノルビシンまたはドキソルビシンを含む、請求項35に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項39】
前記抗生物質が、ダクチノマイシン、ブレオマイシン、ミトラマイシン、アントラマイシン(AMC)、カリケアマイシン、またはデュオカルマイシンを含む、請求項35に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項40】
前記抗有糸分裂剤が、ビンクリスチンまたはビンブラスチンを含む、請求項35に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項41】
前記放射性核種が、
13N、
18F、
32P、
64Cu、
66Ga、
67Ga、
68Ga、
67Cu、
77Br、
80mBr、
82Rb、
86Y、
90Y、
95Ru、
97Ru、
99mTc、
103Ru、
105Ru、
111In、
113mIn、
113Sn、
121mTe、
122mTe、
125mTe、
123I、
124I、
125I、
126I、
131I、
133I、
165Tm、
167Tm、
168Tm、
177Lu、
186Re、
188Re、
195mHg、
211At、
212Bi、
213Bi、または
225Acを含む、請求項17に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項42】
前記化学療法剤が、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、サトラプラチン、メトトレキサート、ビンクリスチン、ドキソルビシン、ツニカマイシン、オリゴマイシン、ボルテゾミブ、MG132、5-フルロウラシル、ソラフェニブ、フラボピリドール、ゲムシタビン、タキソール、メルカプトプリン、チオグアニン、ヒドロキシ尿素、シタラビン、マイトマイシン、シクロホスファミド、イホスファミド、ニトロソウレア、ダカルバジン、プロカルビジン、エトポシド、カンパテシン、ブレオマイシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、ディスタマイシンA、エチジウム、ネトロプシン、アウリスタチン、アムサクリン、プロジジオシン、ボルテゾミブ、ピベンジモール、トマイマイシン、デュオカルマイシンSA、プリカマイシン、ミトキサントロン、アスパラギナーゼ、ビンブラスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、ドセタキセル、CPT-11、グリベック、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イブルチニブ、クリゾチニブ、セリチニブ、ラパチニブ、ナビトクラクス、またはレゴラフェニブを含む、請求項17に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項43】
前記抗体またはその抗原結合断片が、別のタンパク質またはその部分のアミノ酸配列に共有結合を介して融合される、請求項1~42のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項44】
前記共有結合がペプチド結合である、請求項43に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項45】
前記融合が、前記抗体または抗原結合断片のN末端またはC末端を介して行われる、請求項43に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項46】
前記融合が、前記抗体またはその抗原結合断片の内部部分を介して行われる、請求項43に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項47】
前記別のタンパク質またはその部分が、前記抗体またはその抗原結合断片の定常ドメインのN末端に結合している、請求項43に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項48】
前記タンパク質又はその部分が、少なくとも10、20、または50アミノ酸長である、請求項43に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項49】
前記エフェクター部分が、インビボで組成物の半減期を増加させるか、または上皮バリアを横断する前記抗体または抗原結合断片の送達を増強する、請求項16に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項50】
前記エフェクター部分が、ポリマー、アルブミン、アルブミン結合タンパク質、またはアルブミン結合化合物を含む、請求項16に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項51】
前記抗体またはその抗原結合断片が、小分子毒素にコンジュゲートされる、請求項1~50のいずれか1項に気載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項52】
前記小分子毒素が、ドロスタチンまたはドロスタチンペプチド類似体もしくは誘導体を含む、請求項51に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項53】
前記ドラスタチンペプチド類似体または誘導体が、アウリスタチンを含む、請求項52に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項54】
前記ドロスタチンまたはドラスタチンペプチド類似体もしくは誘導体が、前記抗体またはその抗原結合断片のN末端またはC末端を介して前記抗体またはその抗原結合断片に結合している、請求項52に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項55】
前記ドロスタチンまたはドラスタチンペプチド類似体もしくは誘導体が、前記抗体またはその抗原結合断片の内部部分を介して結合される、請求項52に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項56】
前記ドロスタチンまたはドラスタチンペプチド類似体もしくは誘導体が、N末端結合型モノメチルアウリスタチン薬物部分DEまたはDFである、請求項52に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項57】
前記抗体またはその抗原結合断片が、リポソームにコンジュゲートされる、請求項1~56のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項58】
前記抗体またはその抗原結合断片が、ポリ(エチレングリコール)(PEG)部分に結合されている、請求項1~57のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項59】
前記PEG部分が、アミノ酸側鎖または末端アミノ酸官能基に結合されている、請求項58に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項60】
前記アミノ酸側鎖または末端アミノ酸官能基が、アミノ基、イミノ基、チオール基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基を含む、請求項59に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項61】
前記チオール基が、前記抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つのシステイン残基である、請求項60に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項62】
前記抗体またはその抗原結合断片が修飾を含む、請求項1~61のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項63】
前記修飾が、ビオチン化または西洋ワサビペルオキシダーゼの付加を含む、請求項62に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項64】
前記抗体またはその抗原結合断片が、検出可能な物質に結合されている、請求項1~63のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項65】
前記検出可能な物質が、酵素、補欠分子族、蛍光材料、発光材料、生物発光材料、光学剤、放射性物質、陽電子放出金属、または非放射性常磁性金属イオンを含む、請求項64に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項66】
前記蛍光材料が、フルオレセイン、ローダミン、またはそれらの誘導体を含む、請求項65に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項67】
前記光学剤が、ポルフィリン、アントラキノン、アントラピラゾール、ペリレンキノン、キサンテン、シアニン、アクリジン、フェノキサジン、またはフェノチアジンの誘導体を含む、請求項65に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項68】
前記非放射性常磁性金属イオンが、Gd(III)イオン、Eu(III)イオン、Dy(III)イオン、Pr(III)イオン、Pa(IV)イオン、Mn(II)イオン、Cr(III)イオン、Co(III)イオン、Fe(III)イオン、Cu(II)イオン、Ni(II)イオン、Ti(III)イオン、またはV(IV)イオンを含む、請求項65に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項69】
前記検出可能な物質が、前記抗体またはその抗原結合断片に直接的にコンジュゲートされる、請求項64に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項70】
前記検出可能な物質が、前記抗体またはその抗原結合断片に間接的にコンジュゲートされる、請求項64に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項71】
前記コンジュゲートは中間体を含む、請求項70に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項72】
前記酵素標識が、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタラジンジオン、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖オキシダーゼ、複素環オキシダーゼ、ラクトペルオキシダーゼ、またはマイクロペルオキシダーゼを含む、請求項32に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項73】
前記ルシフェラーゼが、ホタルルシフェラーゼまたは細菌ルシフェラーゼを含む、請求項72に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項74】
前記ペルオキシダーゼが、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRPO)を含む、請求項72に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項75】
前記糖オキシダーゼが、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、またはグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼを含む、請求項72に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項76】
前記複素環オキシダーゼが、ウリサーゼまたはキサンチンオキシダーゼを含む、請求項72に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項77】
前記補欠分子族が、ストレプトアビジン/ビオチンまたはアビジン/ビオチンを含む、請求項65に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項78】
前記蛍光材料が、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシル、またはフィコエリスリンを含む、請求項65に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項79】
前記発光材料がルミノールを含む、請求項65に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項80】
前記生物発光材料が、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、またはエクオリンを含む、請求項65に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項81】
前記放射性物質が、
125I、
131I、
111In、または
99Tcを含む、請求項65に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項82】
前記抗体またはその抗原結合断片が、ポリクローナル抗体若しくはその抗原結合断片、モノクローナル抗体もしくはその抗原結合断片、あるいは、遺伝子操作された、もしくはそれ以外の方法で修飾された抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項1~81のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項83】
前記抗体またはその抗原結合断片が、キメラ抗体、ヒト化抗体、霊長類化抗体、またはヘテロコンジュゲート抗体を含む、請求項1~82のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項84】
前記ヘテロコンジュゲート抗体が、二重特異性抗体、ダイアボディ、トリアボディ、またはテトラボディを含む、請求項83に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項85】
前記抗体またはその抗原結合断片が、Fab、Fab’、F(ab’)
2、Fv、scFv、scFv-Fc、ダイアボディ、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、ミニボディ、単一特異性Fab
2、二重特異性Fab
2、三重特異性Fab
3、ナノボディ、IgNAR、V-NAR、hcIgG、またはVhH断片を含む、請求項1~84のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項86】
前記抗体またはその抗原結合断片が治療用抗体である、請求項1~85のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項87】
前記治療用抗体が、3F8、8H9、アバゴボマブ、アブシキシマブ、アビツズマブ、アブレゼキマブ、アブリルマブ、アクトクスマブ、アダリムマブ、アデカツムマブ、アデュカヌマブ、アファセビクマブ、アフェリモマブ、アラシズマブ ペゴル、アレムツズマブ、アリロクマブ、アルツモマブ ペンテテート、アマツキシマブ、アミバンタマブ、アナツモマブ マフェナトックス、アンデカリキシマブ、アネツマブ ラブタンシン、アニフロルマブ、アンスビマブ、アンルキンズマブ、アポリズマブ、アプルツマブ イキサドチン、アルシツモマブ、アスクリンバクマブ、アセリズマブ、アテゾリズマブ、アティドルトクスマブ、アチヌマブ、アトルチビマブ、マフティビマブ、オデシビマブ、アトロリムマブ、アベルマブ、アジンツキシズマブ ベドチン、バムラニビマブ、バピネオズマブ、バシリキシマブ、バビツキシマブ、BCD-100、ベクツモマブ、ベゲロマブ、ベランタマブマホドチン、ベリムマブ、ベマリツズマブ、ベンラリズマブ、ベルリマトクスマブ、ベルメキマブ、ベルサンリマブ、ベルティリムマブ、ベシレソマブ、ベバシズマブ、ベズロトクスマブ、ビシロマブ、ビマグルマブ、ビメキズマブ、ビルタミマブ、ビバツズマブ、ブレセルマブ、ブリナツモマブ、ブロンツベトマブ、ブロソズマブ、ボコシズマブ、ブラジクマブ、ブレンツキシマブ ベドチン、ブリアキヌマブ、ブロダルマブ、ブロルシズマブ、ブロンチクツズマブ、ブロスマブ、カビラリズマブ、カミダンルマブ テシリン、カムレリズマブ、カナキヌマブ、カンツズマブ メルタンシン、カンツズマブ ラブタンシン、カプラシズマブ、カシリビマブ、カプロマブ、カルマブ、カロツキシマブ、カツマキソマブ、cBR96-ドキソルビシン免疫コンジュゲート、セデリズマブ、セミプリマブ、セルグツズマブ アムナロイキン 、セルトリズマブ ペゴル、セトレリマブ、セツキシマブ、シビサタマブ、サームツズマブ、シタツズマブ ボガトックス、シクツムマブ、クラザキズマブ、クレノリキシマブ、クリバツズマブ テトラキセタン、コドリツズマブ、コフェツズマブ ペリドチン、コルツキシマブ ラブタンシン、コナツムマブ、コンシズマブ、コスフロビキシマブ、クレネズマブ、クリザンリズマブ、クロテヅマブ、CR6261、クサツズマブ、ダセツズマブ、ダクリズマブ、ダロツズマブ、ダピロリズマブペゴル、ダラツムマブ、デクトレクマブ、デムシズマブ、デニンツズマブマフォドチン、デノスマブ、デパツキシズマブ マホドチン、デルロツキシマブ ビオチン、デツモマブ、デザミズマブ、ジヌツキシマブ、ジヌツキシマブ ベータ、ディリダブマブ、ドマグロズマブ、ドルリモマブ アリトックス、ドスタルリマブ、ドロジツマブ、DS-8201、デュリゴツズマブ、デュピルマブ、デュルバルマブ、デュシギツマブ、デュボルツキシズマブ、エクロメキシマブ、エクリズマブ、エドバコマブ、エドレコロマブ、エファリズマブ、エフングマブ、エルデルマブ、エレザヌマブ、エルゲムツマブ、エロツズマブ、エルシリモマブ、エマクツズマブ、エマパルマブ、エミベツズマブ、エミシズマブ、エナポタマブ ベドチン、エナバツズマブ、エンホルツマブ ベドチン、エンリモマブ ペゴル、エノブリツズマブ、エノキズマブ、エノティクマブ、エンシツキシマブ、エプコリタマブ、エピツモマブ シツキセタン、エプラツズマブ、エプチネズマブ、エレヌマブ、エルリズマブ、エルツマキソマブ、エタラシズマブ、エテセビマブ、エチギリマブ、エトロリズマブ、エビナクマブ、エボロクマブ、エクスビビルマブ、ファノレソマブ、ファラリモマブ、ファリシマブ、ファレツズマブ、ファシヌマブ、FBTA05、フェルビズマブ、フェザキヌマブ、フィバツズマブ、フィクラツズマブ、フィギツムマブ、フィリブマブ、フランボツマブ、フレチクマブ、フロテツズマブ、フォントリズマブ、フォラルマブ、フォラビルマブ、フレマネズマブ、フレソリムマブ、フロボシマブ、フルネベトマブ、フルラヌマブ、フツキシマブ、ガルカネズマブ、ガリキシマブ、ガンコタマブ、ガニツマブ、ガンテンネルマブ、ガチポツズマブ、ガビリモマブ、ゲディブマブ、ゲムツズマブ オゾガマイシン、ゲボキズマブ、ギルベトマブ、ギムシルマブ、ギレンツキシマブ、グレンバツムマブ ベドチン、ゴリムマブ、ゴミリキシマブ、ゴスラネマブ、グセルクマブ、イナルマブ、イバリズマブ、IBI308、イブリツモマブ チウキセタン、イクルクマブ、イダルシズマブ、イファボツズマブ、イゴボマブ、イラダツズマブ ベドチン、IMAB362、イマルマブ、イマプレリマブ、イムシロマブ、イムデビマブ、イムガツズマブ、インクラクマブ、インダツキシマブ ラブタンシン、インデュサツマブ ベドチン、イネビリズマブ、インフリキシマブ、インテツムマブ、イノリモマブ、イノツズマブ オゾガマイシン、イピリムマブ、イオマブ-B、イラツムマブ、イサツキシマブ、イスカリマブ、イスティラツマブ、イトリズマブ、イキセキズマブ、ケリキシマブ、ラベツズマブ、ラクノツズマブ、ラディラツズマブベドチン、ランパリズマブ、ラナデルマブ、ランドグロズマブ、ラプリツキシマブ エムタンシン、ラルカビキシマブ、レブリキズマブ、レマレソマブ、レンダリズマブ、レンベルビマブ、レンジルマブ、レルデリムマブ、レロンリマブ、レソファブマブ、レトリズマブ、レキサツムマブ、リビビルマブ、リファツズマブ ベドチン、リゲリズマブ、ロンカツキシマブ テシリン、ロサツキシズマブ ベドチン、リロトマブ サテトラキセタン、リンツズマブ、リリルマブ、ロデルシズマブ、ロキベトマブ、ロルボツズマブ メルタンシン、ルカツムマブ、ルリズマブ ペゴル、ルミリキシマブ、ルムレツズマブ、ルパルツマブ、ルパルツマブ アマドチン、ルチキズマブ、マフティビマブ、マパツムマブ、マルゲツキシマブ、マルスタシマブ、マスリモマブ、マブリリムマブ、マツズマブ、メポリズマブ、メテリムマブ、ミラツズマブ、ミンレツモマブ、ミリキズマブ、ミルベツキシマブ ソラブタンシン、ミツモマブ、モドツキシマブ、モガムリズマブ、モナリズマブ、モロリムマブ、モスネツズマブ、モタビズマブ、モキセツモマブ パスドトックス、ムロモナブ-CD3、ナコロマブ タフェナトックス、ナミルマブ、ナプツモマブ エスタフェナトックス、ナラツキシマブ エムタンシン、ナルナツマブ、ナタリズマブ、ナビシキシズマブ、ナビブマブ、ナキシタマブ、ネバクマブ、ネシツムマブ、ネモリズマブ、NEOD001、ネレリモマブ、ネスバクマブ、ネタキマブ、ニモツズマブ、ニルセビマブ、ニボルマブ、ノフェツモマブ メルペンタン、オビルトキサキシマブ、オビヌツズマブ、オカラツズマブ、オクレリズマブ、オデシビマブ、オデュリモマブ、オファツムマブ、オララツマブ、オレクルマブ、オレンダリズマブ、オロキズマブ、オマリズマブ、オンブルタマブ、OMS721、オナルツズマブ、オンツキシズマブ、オンバチリマブ、オピシヌマブ、オポルツズマブ モナトックス、オレゴボマブ、オルチクマブ、オテリキシズマブ、オチリマブ、オトレルツズマブ、オキセルマブ、オザネズマブ、オゾラリズマブ、パギバキシマブ、パリビズマブ、パムレブルマブ、パニツムマブ、パンコマブ、パノバクマブ、パルサツズマブ、パスコリズマブ、パソツキシズマブ、パテクリズマブ、パトリツマブ、PDR001、ペムブロリズマブ、ペムツモマブ、ペラキズマブ、ペルツズマブ、ペクセリズマブ、ピジリズマブ、ピナツズマブ ベドチン、ピンツモマブ、プラクルマブ、プレザルマブ、プロザリズマブ、ポガリズマブ、ポラツズマブ ベドチン、ポネズマブ、ポルガビキシマブ、プラシネズマブ、プレザリズマブ、プリリキシマブ、プリトキサキシマブ、プリツムマブ、PRO140、キリズマブ、ラコツモマブ、ラドレツマブ、ラフィビルマブ、ラルパンシズマブ、ラムシルマブ、ラネベトマブ、ラニビズマブ、ラキシバクマブ、ラバガリマブ、ラブリズマブ、レファネズマブ、レガビルマブ、レグダンビマブ、レラチマブ、レムトルマブ、レスリズマブ、リロツムマブ、リヌクマブ、リサンキズマブ、リツキシマブ、リババズマブ ペゴル、ロバツムマブ、SII RMAb、ロレデュマブ、ロミルキマブ、ロモソズマブ、ロンタリズマブ、ロスマンツズマブ、ロバルピツズマブ テシリン、ロベリズマブ、ロザノリキシズマブ、ルプリズマブ、SA237、サシツズマブ ゴビテカン、サマリズマブ、サムロタマブ ベドチン、サリルマブ、サトラリズマブ、サツモマブ ペンデチド、セクキヌマブ、セリクレルマブ、セリバンツマブ、セトキサキシマブ、セトルスマブ、セビルマブ、シブロツズマブ、SGN-CD19A、SHP647、シファリムマブ、シルツキシマブ、シムツズマブ、シプリズマブ、シルトラツマブ ベドチン、シルクマブ、ソフィツズマブ ベドチン、ソラネズマブ、ソリトマブ、ソネプシズマブ、ソンツズマブ、スパルタリズマブ、スタムルマブ、スレソマブ、スプタブマブ、スチムリマブ、スビズマブ、スブラトクスマブ、タバルマブ、タカツズマブ テトラキセタン、タドシズマブ、タファシタマブ、タラコツズマブ、タリズマブ、タルケタマブ、タムツベトマブ、タネズマブ、タプリツモマブ パプトックス、タレックスツマブ、タボリマブ、テクリスタマブ、テフィバズマブ、テリモマブ アリトックス、テリソツズマブ、テリソツズマブ ベドチン、テナツモマブ、テネリキシマブ、テプリズマブ、テポジタマブ、テプロツムマブ、テシドルマブ、テツロマブ、テゼペルマブ、TGN1412、チブリズマブ、チルドラキズマブ、チガツズマブ、チミグツズマブ、チモルマブ、チラゴルマブ、チラゴツマブ、チスレリズマブ、チソツマブ ベドチン、TNX-650、トシリズマブ、トムゾツキシマブ、トラリズマブ、トサトクスマブ、トシツモマブ、トベツマブ、トラロキヌマブ、トラスツズマブ、トラスツズマブ デュオカルマジン、トラスツズマブ エムタンシン、TRBS07、トレガリズマブ、トレメリムマブ、トレボグルマブ、ツコツズマブ セルモロイキン、ツビルマブ、ウブリツキシマブ、ウロクプルマブ、ウレルマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、ウトミルマブ、バダスツキシマブ タリリン、バナリマブ、バンドルツズマブ ベドチン、バンチクツマブ、バヌシズマブ、バパリキシマブ、バリサクマブ、バルリルマブ、バテリズマブ、ベドリズマブ、ベルツズマブ、ベパリモマブ、ベセンクマブ、ビシリズマブ、ボバリリズマブ、ボロシキシマブ、ボンレロリズマブ、ボプラテリマブ、ボルセツズマブ マホドチン、ボツムマブ、ブナキズマブ、キセンツズマブ、XMAB-5574、ザルツムマブ、ザノリムマブ、ザツキシマブ、ゼノクツズマブ、ジラリムマブ、ゾルベツキシマブ、またはゾリモマブ アリトックスを含む、請求項86に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項88】
前記治療用抗体が、イピリムマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、セミプリマブ、スパルタリズマブ、またはアテゾリズマブを含む、請求項87に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項89】
前記治療用抗体が、ペムブロリズマブを含む、請求項87に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項90】
前記治療用抗体が、ベルサリマブまたはエンリモマブペゴルを含む、請求項87に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項91】
前記オリゴヌクレオチドが、非天然ヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、またはヌクレオチド代用物を含む、請求項1~90のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項92】
前記非天然ヌクレオチド、前記修飾ヌクレオチド、前記ヌクレオチド類似体、または前記ヌクレオチド代用物が、修飾塩基、修飾糖、または修飾リン酸基を含む、請求項91に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項93】
非天然部分が、前記オリゴヌクレオチドの構造に組み込まれる、請求項1~92のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項94】
前記非天然ヌクレオチドが、ジデオキシヌクレオチド、ビオチン化ヌクレオチド、アミノ酸化ヌクレオチド、脱アミノヌクレオチド、アルキル化ヌクレオチド、ベンジル化ヌクレオチド、またはフルオロフォア標識ヌクレオチドを含む、請求項91に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項95】
前記修飾塩基が、A、C、G、T、またはUの天然または合成修飾を含む、請求項92に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項96】
前記修飾塩基が、A、C、G、T、またはUとは異なるプリンまたはピリミジン塩基を含む、請求項92に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項97】
前記異なるプリンまたはピリミジンが、プソイドウリジン、ウラシル-5-イル、ヒポキサンチン-9-イル(I)、または2-アミノアデニン-9-イルを含む、請求項96に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項98】
前記修飾塩基が、5-メチルシトシン(5-me-C)、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、6-メチル、アデニンまたはグアニンのアルキル誘導体、アデニンまたはグアニンの2-プロピル誘導体、アデニンまたはグアニンのアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミン、2-チオシトシン、5-ハロウラシル、5-ハロシトシン、5-プロピニルウラシル、5-プロピニルシトシン、6-アゾウラシル、6-アゾシトシン、または6-アゾチミン、5-ウラシル(プソイドウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロアデニンまたはグアニン、8-アミノアデニンまたはグアニン、8-チオールアデニンまたはグアニン、8-チオアルキルアデニンまたはグアニン、8-ヒドロキシルアデニンまたはグアニン、8-置換アデニンまたはグアニン、5-ハロウラシルまたはシトシン、5-ブロモウラシルまたはシトシン、5-トリフルオロメチルウラシルまたはシトシン、5-置換ウラシルまたはシトシン、7-メチルグアニン、7-メチルアデニン、8-アザグアニン、8-アザデニン、7-デアザグアニン、7-デアザアデニン、3-デアザグアニン、あるいは3-デアザアデニンを含む、請求項92に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項99】
前記修飾糖が、リボースの天然修飾、デオキシリボースの天然修飾、リボースの合成修飾、またはデオキシリボースの合成修飾を含む、請求項92に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項100】
前記修飾糖が、2’位における修飾、3’位における修飾、3’末端ヌクレオチドにおける修飾、2’-5’結合オリゴヌクレオチド内の修飾、または5’末端ヌクレオチドの5’位の修飾を含む、請求項92に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項101】
前記2’位における修飾が、OH基、F基、O-アルキル基、S-アルキル基、N-アルキル基、O-アルケニル基、S-アルケニル基、N-アルケニル基、O-アルキニル基、S-アルキニル基、N-アルキニル基、またはO-アルキル-O-アルキル基を含む、請求項100に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項102】
前記O-アルキル基、前記S-アルキル基、前記N-アルキル基、前記O-アルケニル基、前記S-アルケニル基、前記N-アルケニル基、前記O-アルキニル基、前記S-アルキニル基、または前記N-アルキニル基が、置換もしくは非置換のC
1-10アルキル、置換もしくは非置換のC
2-10アルケニル、または置換もしくは非置換のC
2-10アルキニルを含む、請求項101に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項103】
前記2’位における修飾が、-O((CH
2)
nO)
mCH
3基、-O(CH
2)
nOCH
3基、-O(CH
2)
nNH
2基、-O(CH
2)
nCH
3基、-O(CH
2)
n-ONH
2基、または
-O(CH
2)
nON((CH
2)
nCH
3))
2を含み、式中、n及びmは独立して、1~約10の整数である、請求項100に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項104】
前記2’位における修飾、前記3’位における修飾、前記3’末端ヌクレオチドにおける修飾、前記2’-5’結合オリゴヌクレオチド内の修飾、または前記5’末端ヌクレオチドの5’位の修飾が、C
1-10アルキル基、置換低級アルキル基、置換低級アルカリル基、置換低級アラルキル基、O-アルカリル基、O-アラルキル基、SH基、SCH
3基、OCN基、Cl、Br、CN基、CF
3基、OCF
3基、SOCH
3基、SO
2CH
3基、ONO
2基、NO
2基、N
3基、NH
2基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロシクロアルカリル基、アミノアルキルアミノ基、ポリアルキルアミノ基、置換シリル基、RNA切断基、レポーター基、インターカレーター、オリゴヌクレオチドの薬物動態特性を改善するための基、またはオリゴヌクレオチドの薬力学的特性を改善するための基を含む、請求項100に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項105】
前記修飾糖が、架橋環酸素における修飾を含む、請求項92に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項106】
前記架橋環酸素における修飾が、CH
2基またはSを含む、請求項105に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項107】
前記修飾糖が、糖模倣物を含む、請求項92に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項108】
前記糖模倣物が、ペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル部分を含む、請求項107に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項109】
前記修飾リン酸基は、第1のヌクレオチドと第2のヌクレオチドとの間の結合が、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチルホスホネート、アルキルホスホネート、ホスフィネート、ホスホラミデート、チオノホスホラミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、またはボラノホスフェートを含むような修飾を含む、請求項92に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項110】
前記メチルホスホネートまたは前記アルキルホスホネートが、3’-アルキレンホスホネートまたはキラルホスホネートを含む、請求項109に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項111】
前記ホスホラミデートが、3’-アミノホスホラミデートまたはアミノアルキルホスホラミデートを含む、請求項109に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項112】
前記修飾リン酸基が、3’-5’結合または2’-5’結合の修飾を含む、請求項92に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項113】
前記修飾リン酸基が、逆極性を有する結合を含む、請求項92に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項114】
前記逆極性が、3’-5’~5’-3’または2’-5’~5’-2’である、請求項13に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項115】
前記ヌクレオチド代用物が、ペプチド核酸(PNA)を含む、請求項91に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項116】
前記より大きな程度が親和性の増加を含む、請求項1~115のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項117】
前記親和性の増加が、結合定数の増加を含む、請求項116に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項118】
前記結合定数が、K
A(k
on/k
off)を含む、請求項117に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項119】
前記より大きな程度が、0.1倍の増加、0.2倍の増加、0.3倍の増加、0.4倍の増加、0.5倍の増加、0.6倍の増加、0.7倍の増加、0.8倍の増加、0.9倍の増加、1.0倍の増加、1.1倍の増加、1.2倍の増加、1.3倍の増加、1.4倍の増加、1.5倍の増加、1.6倍の増加、1.7倍の増加、1.8倍の増加、1.9倍の増加、2.0倍の増加、2.5倍の増加、3.0倍の増加、3.5倍の増加、4.0倍の増加、4.5倍の増加、5.0倍の増加、6.0倍の増加、7.0倍の増加、8.0倍の増加、9.0倍の増加、10.0倍の増加、20倍の増加、30倍の増加、40倍の増加、50倍の増加、60倍の増加、70倍の増加、80倍の増加、90倍の増加、100倍の増加、250倍の増加、500倍の増加、750倍の増加、または1000倍の増加を含む、請求項1~118のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項120】
前記より大きな程度が、アビディティの増加を含む、請求項1~119のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項121】
前記アビディティの増加が、結合定数の増加を含む、請求項120に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項122】
前記結合定数が、K
A(k
on/k
off)を含む、請求項121に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項123】
前記より大きな程度が、0.1倍の増加、0.2倍の増加、0.3倍の増加、0.4倍の増加、0.5倍の増加、0.6倍の増加、0.7倍の増加、0.8倍の増加、0.9倍の増加、1.0倍の増加、1.1倍の増加、1.2倍の増加、1.3倍の増加、1.4倍の増加、1.5倍の増加、1.6倍の増加、1.7倍の増加、1.8倍の増加、1.9倍の増加、2.0倍の増加、2.5倍の増加、3.0倍の増加、3.5倍の増加、4.0倍の増加、4.5倍の増加、5.0倍の増加、6.0倍の増加、7.0倍の増加、8.0倍の増加、9.0倍の増加、10.0倍の増加、20倍の増加、30倍の増加、40倍の増加、50倍の増加、60倍の増加、70倍の増加、80倍の増加、90倍の増加、100倍の増加、250倍の増加、500倍の増加、750倍の増加、または1000倍の増加を含む、請求項1~118のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項124】
前記より大きな程度またはより速くが、インビトロで評価され得る、請求項1~123のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項125】
前記より大きな程度またはより速くが、インビボで評価され得る、請求項1~124のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項126】
前記期間が、1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、または60分を含む、請求項1~125のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項127】
請求項1~126のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片を含む組成物。
【請求項128】
抗体またはその抗原結合断片が抗原に結合する程度を増加させる方法であって、それを必要とする抗体またはその抗原結合断片を、オリゴヌクレオチドであって、DNAデンドリマーにハイブリダイズされていない前記オリゴヌクレオチドにコンジュゲートすることを含み、前記抗体またはその抗原結合断片が、同一のオリゴヌクレオチドであって、同一のDNAデンドリマーにハイブリダイズされていない前記同一のオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされていない同一の抗体またはその抗原結合断片よりも大きな程度またはより速く抗原に結合する、前記方法。
【請求項129】
抗体またはその抗原結合断片の非特異的結合を減少させる方法であって、それを必要とする抗体またはその抗原結合断片を、オリゴヌクレオチドであって、DNAデンドリマーにハイブリダイズされていない前記オリゴヌクレオチドにコンジュゲートすることを含み、生理学的に許容される量の抗体またはその抗原結合断片を対象に静脈内投与する際に、前記抗体またはその抗原結合断片が、同一のオリゴヌクレオチドであって、同一のDNAデンドリマーにハイブリダイズされていない前記同一のオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされていない同一の抗体またはその抗原結合断片よりも、静脈内投与後の期間に、より少ない程度で前記対象の血液中に存在する、前記方法。
【請求項130】
対象における疾患を治療または予防する方法であって、生理学的に許容される量の、オリゴヌクレオチドであって、DNAデンドリマーにハイブリダイズされていない前記オリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた抗体またはその抗原結合断片を、それを必要とする対象に投与することを含み、
前記抗体またはその抗原結合断片が、同一のオリゴヌクレオチドであって、同一のDNAデンドリマーにハイブリダイズされていない前記同一のオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされていない同一の抗体またはその抗原結合断片よりも大きな程度またはより速く抗原に結合するか、あるいは、
生理学的に許容される量の前記抗体またはその抗原結合断片を対象に静脈内投与する際に、前記抗体またはその抗原結合断片が、同一のオリゴヌクレオチドであって、同一のDNAデンドリマーにハイブリダイズされていない前記同一のオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされていない同一の抗体またはその抗原結合断片よりも、静脈内投与後の期間において前記対象の血液中に少ない程度で存在する、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表への参照
本出願は、19128800602SEQという名前のテキストファイルとして電子的に提出され、1キロバイトのサイズで2022年3月2日に作成された配列表を含む。配列表は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、DNAデンドリマーにハイブリダイズされないオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた抗体、及びその断片、それを含む組成物、ならびに、検出方法、細胞単離方法、枯渇方法、診断方法、及び治療方法におけるそれらの使用を対象とする。
【背景技術】
【0003】
抗体は、例えば、がん、自己免疫、及び炎症性疾患等の多数の疾患及び状態の治療のための治療用化合物として広く使用されている。更に、抗体は、標的抗原への薬物送達のためにも使用されている。治療用抗体は、抗原受容体を認識し、抗原受容体に結合して、がん細胞の増殖を阻害するか、または免疫系を誘発するための一連の生物学的プロセスを活性化または阻害する。治療用抗体は、高親和性、高特異性、及び低免疫原性の特徴的な特性を有する。初期のモノクローナル抗体(mab)は、骨髄腫細胞及び脾臓細胞を融合させて、mabを分泌するハイブリドーマを得ることによって生成された。初期の治療用抗体は、通常、マウス宿主において産生され、所望の治療効果を妨害し得る、重篤なヒト抗マウス抗体発現をもたらす。短い半減期、異種原性、及び限定された活性の欠点は、遺伝子工学、インビトロ細胞培養技術、及び抗体機能のより良い理解の発展により徐々に改善されてきた。過去40年間で、治療用抗体は、抗体工学を介して改善されてきた。抗体機能及び/または活性の更なる改善が、依然として所望されている。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、オリゴヌクレオチドであって、DNAデンドリマーにハイブリダイズされていない上記オリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた抗体またはその抗原結合断片であって、上記抗体またはその抗原結合断片は、同一のオリゴヌクレオチドであって、同一のDNAデンドリマーにハイブリダイズされていない上記同一のオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされていない同一の抗体またはその抗原結合断片よりもより大きな程度またはより速く、抗原に結合するか、あるいは生理学的に許容される量の上記抗体またはその抗原結合断片の対象への静脈内投与の際に、上記抗体またはその抗原結合断片が、同一のオリゴヌクレオチドであって、同一のDNAデンドリマーにハイブリダイズされていない上記同一のオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされていない同一の抗体またはその抗原結合断片よりも、静脈内投与後の期間において上記対象の血液中に少ない程度で存在する、上記抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0005】
本開示はまた、抗体またはその抗原結合断片を含む組成物を提供する。
【0006】
本開示はまた、抗体またはその抗原結合断片が抗原に結合する程度を増加させる方法であって、それを必要とする抗体またはその抗原結合断片を、オリゴヌクレオチドであって、DNAデンドリマーにハイブリダイズされていない上記オリゴヌクレオチドにコンジュゲートすることを含み、上記抗体またはその抗原結合断片は、同一のオリゴヌクレオチドであって、同一のDNAデンドリマーにハイブリダイズされていない同一の抗体またはその抗原結合断片よりも大きな程度またはより速く抗原に結合する、上記方法を提供する。
【0007】
本開示はまた、抗体またはその抗原結合断片の非特異的結合を減少させる方法を提供し、本方法は、それを必要とする抗体またはその抗原結合断片を、オリゴヌクレオチドであって、DNAデンドリマーにハイブリダイズされていない上記オリゴヌクレオチドにコンジュゲートすることを含み、生理学的に許容される量の抗体またはその抗原結合断片を対象に静脈内投与する際に、上記抗体またはその抗原結合断片が、同一のオリゴヌクレオチドであって、同一のDNAデンドリマーにハイブリダイズされていない上記同一のオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされていない同一の抗体またはその抗原結合断片よりも、静脈内投与後の期間に、より少ない程度で上記対象の血液中に存在する。
【0008】
本開示はまた、対象における疾患を治療または予防する方法を提供し、上記方法は、生理学的に許容される量の、オリゴヌクレオチドであって、DNAデンドリマーにハイブリダイズされていない上記オリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた抗体またはその抗原結合断片を、それを必要とする対象に投与することを含み、上記抗体またはその抗原結合断片が、同一のオリゴヌクレオチドであって、同一のDNAデンドリマーにハイブリダイズされていない上記同一のオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされていない同一の抗体またはその抗原結合断片よりも大きな程度またはより速く抗原に結合するか、あるいは生理学的に許容される量の上記抗体またはその抗原結合断片を対象に静脈内投与する際に、上記抗体またはその抗原結合断片が、同一のオリゴヌクレオチドであって、同一のDNAデンドリマーにハイブリダイズされていない上記同一のオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされていない同一の抗体またはその抗原結合断片よりも、静脈内投与後の期間において上記対象の血液中に少ない程度で存在する。
【0009】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものにすぎず、本明細書で要求されるように、実施形態を限定するものではないことを理解されたい。
【0010】
特許または出願ファイルは、カラーで実行された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面(複数可)付きのこの特許または特許出願の公開のコピーは、請求及び必要な手数料の支払いに応じて当局によって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】IgG-オリゴが血流からの除去を増強することを示す。IgGと比較して、非特異的IgG-オリゴについての循環からのより速いクリアランスが観察され、これは、抗体の使用に関連する全身性の副作用の可能性を低減するのに役立ち得る。
【
図2-1】IgG-オリゴが脾臓及び肝臓のクリアランスを増強することを示す。IgGと比較して、非特異的IgG-オリゴの肝臓及び脾臓の蓄積の増加が観察され、これは、
図1に示されるように、血液循環からクリアランスを担当するこれらの臓器へのより速い除去に起因し得、これは、非クリアランス臓器に対する抗体の使用に由来する副作用の可能性を減弱させるのに役立ち得る。また、膀胱、腎臓、及び胃におけるIgG-オリゴのレベルの低下が存在する。これは、レベルが高い脾臓及び肝臓で起こる除去に起因し得るか、または腎臓及び胃経路を通る排泄がより速くなり得、IgG-オリゴがこれらの臓器にもはや存在せず、これはまた、抗体を体内から除去し、副作用を回避するのに十分であるからである。
【
図3-1】抗ICAM-オリゴが血流から急速に除去されることを示す。特異的抗ICAM抗体は、オリゴにコンジュゲートされたときの、非オリゴ抗ICAMと比較した、循環からより速いクリアランスを示し、これは、上記のように、全身性副作用から保護するのにも役立つはずである。更に、IgG-オリゴと比較して、抗ICAM-オリゴのより速いクリアランスは、この保護効果が、特異的抗原を認識する抗体についてより顕著であることを示す。このことは、特異的抗体は抗原を認識する抗体であり、したがって、研究、診断、予防、または治療の場面で使用されることを意図した抗体であるため、関連性がある。
【
図4-1】抗ICAM-オリゴが肺標的化を増強することを示す。特異的抗ICAM抗体は、肺(ICAM-1発現のための主要部位)を、抗ICAM対照と比較して著しく良好に標的化し、非特異的IgG(オリゴにコンジュゲートされているか否かにかかわらず)よりもはるかに大きく、増強された絶対標的化及び特異性を実証する。
【
図5】抗ICAM-オリゴの肺標的化が、他の製剤と比較して非常に特異的であり、リンパ節での最小限の蓄積を提供したことを示す。抗ICAM-オリゴによって提供されるICAM-1発現の主要部位(肺)についての増強された特異性が、注射された全ての他の種と比較して示される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
DNAオリゴヌクレオチドは、以下のような分析インビトロシステム、エキソビボ組織、細胞培養物、またはインビボ生物を含むことができるいくつかの目的及び用途のために抗体に結合されてもよい:a)オリゴヌクレオチドは、抗体と診断または治療用カーゴ(抗体プローブまたは抗体-薬物コンジュゲート)との間のリンカーとして使用することができ、b)オリゴヌクレオチドは、抗体と、診断または治療用カーゴとともにロードされる薬物送達ビヒクル(例えば、リポソーム、ポリマー、デンドリマー、無機ナノ粒子等)との間のリンカーとして使用することができ、c)オリゴヌクレオチドは(完全にまたは部分的に)相補的なオリゴヌクレオチドにアニーリングすることができ、得られる二本鎖DNA部分をDNAインターカレート薬物(例えば、ドキソルビシン)とともにロードすることができ、d)オリゴヌクレオチドは相補的なオリゴヌクレオチドとともにアニーリングすることができ、得られる二本鎖DNAまたはDNA/RNAキメラは、遺伝子(複数可)またはメッセンジャーRNA(複数可)(例えば、siRNA、マイクロRNA効果等)の1つ/一群の発現を発現またはブロックすることができ、e)オリゴヌクレオチドは、d)に記載の機能をそれ自体に提供するような配列を設計することができ、f)オリゴヌクレオチドは、アプタマーに折り畳まれ、オリゴヌクレオチドが結合している抗体とは異なる抗原、または抗体と同じ抗原に特異的な結合を提供して、その親和性を高めるか、または同じ/異なるドメインで抗原を活性化/遮断するような配列で設計することができる。したがって、これらの設計は、研究におけるツールとして使用され得るか、あるいは診断及び/または治療分野に適用され得る。
【0013】
主に肺で過剰発現されるが、炎症を伴う疾患における他の臓器でも過剰発現される細胞表面タンパク質であるICAM-1を認識するモノクローナル抗体の、DNAオリゴヌクレオチドへのカップリングにより、マウスの静脈内注射後に体内のICAM-1標的部位(主に肺)へのこの抗体の結合が顕著に増加することが観察された。更に、抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートは、通常の抗体よりも速くマウスの循環から除去され、より豊富に分布され、これは、人体に適用される抗体の全身性副作用を回避するのに役立ち得る。この観察は、オリゴヌクレオチドへのカップリングが、a)立体障害、b)抗原を認識する可変領域との修飾または干渉の可能性、c)他の抗体領域の物理化学的特性の変化、及び/またはd)体内の細胞の表面上に存在する負の電荷(細胞膜内のグリコシル化タンパク質及び脂質の糖部分によって提供される)に反発するオリゴヌクレオチドによって提供される負の電荷(核酸は負に荷電された種である)の理由により、抗体の結合及び/または標的化能力を低下させることが予想されるため、驚くべきものであった。この予期せぬ発見のメカニズムは不明であるが、それにもかかわらず、この発見は重要な転換の可能性を秘めている。
【0014】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定することを意図するものではない。本開示の態様に関する様々な用語は、本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して使用される。そのような用語は、別段の指示がない限り、当該技術分野におけるそれらの通常の意味を付与されるべきである。他の具体的に定義された用語は、本明細書で提供される定義と一致する様式で解釈されるべきである。
【0015】
別段の明示的な記載がない限り、本明細書に記載される任意の方法または態様が、その工程が任意の特定の順序で実行されることを要求するものと解釈されることは決して意図されない。方法の請求項が、特許請求の範囲または説明において、工程が特定の順序に限定されるべきであると具体的に述べていない場合、いかなる点においても、順序が推測されることは決して意図されていない。これは、工程または操作フローの配置に関する論理の問題、文法的な組織または句読点に由来する明白な意味、または本明細書に記載されている態様の数または種類を含む、解釈のための任意の可能な非表現の根拠に当てはまる。
【0016】
本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈により明らかにそうではないと指示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0017】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、列挙された数値が近似的であり、小さな変動が開示された実施形態の実施に有意に影響を及ぼさないことを意味する。数値が使用される場合、文脈によって別段の指示がない限り、「約」は、数値が±10%変動し、開示された実施形態の範囲内に留まることができることを意味する。
【0018】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、特定の抗原に特異的に結合するか、または特定の抗原と免疫学的に反応性である免疫グロブリン分子を指し、ナノボディ、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヘテロコンジュゲート抗体(例えば、二重特異性抗体、ダイアボディ、トリアボディ、及びテトラボディ)を含むがこれらに限定されない、そのポリクローナル型、モノクローナル型、遺伝子操作型、及び他の方法で修飾された型を含む。
【0019】
本明細書で使用される場合、「その抗原結合断片」という語句は、抗原に結合することができる抗体の断片を意味する。抗原結合断片には、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、scFv-Fc、ダイアボディ、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、ミニボディ、単一特異性Fab2、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、ナノボディ、IgNAR、V-NAR、hcIgG、及びVhH断片が含まれるが、これらに限定されない。
【0020】
本明細書で使用される場合、「キメラ抗体」という語句は、ラットまたはマウス抗体等の非ヒト免疫グロブリンに由来する可変配列、及び典型的にはヒト免疫グロブリンテンプレートから選択されるヒト免疫グロブリン定常領域を有する抗体を指す。
【0021】
本明細書で使用される場合、「Fv」断片という用語は、完全な標的認識及び結合部位を含有する最小抗体断片である。この領域は、非共有結合における1つの重鎖可変ドメイン及び1つの軽鎖可変ドメインの二量体(VH-VL二量体)からなる。各可変ドメインの3つのCDRが相互作用して、VH-VL二量体の表面上の標的結合部位を定義するのは、この構成においてである。
【0022】
本明細書で使用される場合、「ヒト抗体」という語句は、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体を指し、ヒト免疫グロブリンライブラリから、または1つ以上のヒト免疫グロブリンに対してトランスジェニックである動物から単離され、内因性免疫グロブリンを発現しない抗体を含む。
【0023】
本明細書で使用される場合、「ヒト化抗体」という語句は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小の配列を含有するキメラ抗体またはその抗原結合断片を指す。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、そのCDR領域の全てまたは実質的に全ては、非ヒト免疫グロブリンの領域に対応し、ヒト免疫グロブリン配列のフレームワーク(FR)領域の全てまたは実質的に全ては、ヒト免疫グロブリン配列のフレームワーク(FR)領域に対応する。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンコンセンサス配列の免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分を含むことができる。
【0024】
本明細書で使用される場合、「それを必要とする」という語句は、「対象」または「患者」が、特定の方法、予防、または治療を必要とすると特定されていることを意味する。いくつかの実施形態において、特定は、任意の診断手段によって行うことができる。本明細書に記載の方法、予防、及び治療のいずれにおいても、「対象」または「患者」はそれを必要とすることができる。
【0025】
本明細書で使用される場合、「核酸分子」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態であり、DNA及び/またはRNAを含み得、一本鎖、二本鎖、または多本鎖であり得る。核酸の1つの鎖はまた、その相補鎖を指す。
【0026】
本明細書で使用される場合、「霊長類化された抗体」という語句は、サルの可変領域及びヒト定常領域を含む抗体を指す。
【0027】
本明細書で使用される場合、「調節配列」という語句は、抗体鎖遺伝子の転写または翻訳を制御するプロモーター、エンハンサー、及びポリアデニル化シグナル等の他の発現制御エレメントを含むことが意図される。
【0028】
本明細書で使用される場合、「単鎖Fv」または「scFv」という用語は、従来の抗体からの重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(VH及びVLドメイン)が連結されて1つの鎖を形成している一本鎖Fv抗体を指す。一般に、Fvポリペプチドは、scFvが標的結合のために所望の構造を形成することを可能にする、VHドメインとVLドメインとの間のポリペプチドリンカーを更に含む。
【0029】
本明細書で使用される場合、「対象」及び「患者」という用語は交換可能に使用される。対象は、哺乳動物を含む任意の動物を含む。哺乳動物には、農場動物(例えば、ウマ、ウシ、ブタ)、コンパニオン動物(例えば、イヌ、ネコ)、実験動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ)、及び非ヒト霊長類(例えば、サル)が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、対象または患者はヒトである。
【0030】
本明細書で使用される場合、「VH」という用語は、例えば、Fv、scFv、またはFab断片の重鎖を含む、抗体の免疫グロブリン重鎖の可変領域を指す。
【0031】
本明細書で使用される場合、「VL」という用語は、例えば、Fv、scFv、dsFv、またはFab断片の軽鎖を含む、抗体の免疫グロブリン軽鎖の可変領域を指す。
【0032】
本明細書で使用される場合、「核酸」、「核酸分子」、「核酸配列」、「ポリヌクレオチド」、または「オリゴヌクレオチド」という用語は、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を含み得、DNA及び/またはRNAを含み得、一本鎖、二本鎖、または多数本鎖であり得る。核酸の1つの鎖はまた、その相補鎖を指す。
【0033】
本明細書で使用される場合、抗体またはその抗原結合断片の「内部部分」は、それぞれ、抗体またはその抗原結合断片のN末端及びC末端のアミノ酸以外のアミノ酸を指す。
【0034】
本明細書で使用される場合、「治療用抗体」という用語は、疾患または障害を治療及び/または予防するために対象に投与するのに好適な抗体またはその抗原結合断片を指す。
【0035】
本明細書で使用される場合、「DNAデンドリマー」は、少なくとも3つのDNA鎖を有する、高度に秩序付けられた分岐した高分子分子である。鎖のうちの1つは、少なくとも10個の連続したヌクレオチドについて、他の鎖のうちの1つに対して少なくとも部分的に相補的である。
【0036】
本明細書で使用される場合、第1のオリゴヌクレオチドは、第1のオリゴヌクレオチド内の少なくとも10個の連続したヌクレオチドが、Crick-Watson塩基対によって、第2のヌクレオチド内の少なくとも10個の連続した相補的なヌクレオチドに結合されるとき、第2のオリゴヌクレオチドに「ハイブリダイズ」される。
【0037】
本明細書で使用される場合、第1の抗体またはその抗原結合断片は、第1の抗体またはその抗原結合断片が、第2の抗体またはその抗原結合断片よりも、抗原に対する、親和性の増加、結合定数の増加、KA(kon/koff)の増加、またはアビディティの増加を有する場合、第2の抗体またはその抗原結合断片よりも「より大きな程度またはより速く」抗原に結合する。
【0038】
本明細書で使用される場合、第1の抗体またはその抗原結合断片は、第1の抗体またはその抗原結合断片、及び第2の抗体またはその抗原結合断片が、(i)同じアミノ酸配列(複数可)を有し、(ii)もしあれば、同じ種の誘導体化(複数可)を有し、(iii)もしあれば、同じ種のエフェクター部分への同じ種の共有結合を有し、(iv)もしあれば、同じ種の共有結合を介して、同じ種の別のタンパク質またはその部分の同じ種のアミノ酸配列に融合され、(v)もしあれば、同じ種の小分子毒素にコンジュゲートされ、(vi)もしあれば、同じ種のリポソームにコンジュゲートされ、(vii)もしあれば、同じ種のポリエチレングリコール(PEG)部分に結合され、(viii)もしあれば、同じ種の修飾(複数可)を有し、及び/または(ix)同じ種の検出可能な物質(複数可)に結合されている場合に、第2の抗体またはその抗原結合断片と「同一」である。しかしながら、第1の抗体またはその抗原結合断片、及び第2の抗体またはその抗原結合断片は、少なくとも1つの特定された差異以外は同一であり得る。非限定的な例として、第1の抗体またはその抗原結合断片、及び第2の抗体またはその抗原結合断片は、アミノ酸配列の特定の差異以外は同一であり得る。
【0039】
本明細書で使用される場合、第1のオリゴヌクレオチドは、第1のオリゴヌクレオチド及び第2のオリゴヌクレオチドが、(i)同じヌクレオチド配列(複数可)を有し、及び/または(ii)オリゴヌクレオチドが同じ位置(複数可)に同じ種の非天然ヌクレオチド(複数可)、修飾ヌクレオチド(複数可)、ヌクレオチド類似体(複数可)、またはヌクレオチド代用物(複数可)を含む場合に、第2のオリゴヌクレオチドと「同一」である。しかしながら、第1のオリゴヌクレオチド及び第2のオリゴヌクレオチドは、特定の差異以外について同一であり得る。非限定的な例として、第1のオリゴヌクレオチド及び第2のオリゴヌクレオチドは、ヌクレオチド配列における特定の差異以外は同一であり得る。
【0040】
例えば、チェックポイント阻害剤、EGFR、Her2、ハーセプチン、または抗体プローブもしくは抗体薬物コンジュゲート等の治療用抗体にオリゴヌクレオチドを付着させることは、標的への局在化と結合性または抗体の溶解度を有意に改善し得、したがって、より低い用量が投与され得るため、またはオフターゲット効果のより効率的なクリア及び回避のために、毒性を低減しながら、薬剤の診断指標または治療指標を改善する。この同じ結果は、抗体断片またはscFvが診断プローブ及び/または治療剤とともに使用される場合に観察され得る。特定の実施形態において、ミニボディ、ナノボディ、ダイアボディ、トリアボディ、及びテトラボディを含むがこれらに限定されない、抗体様分子も企図される。特定の実施形態において、二重特異性、三重特異性、または四重特異性抗体を含むがこれらに限定されない、抗体ベースの分子も企図される。
【0041】
本開示は、オリゴヌクレオチドであって、DNAデンドリマーにハイブリダイズされていない上記オリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた抗体またはその抗原結合断片であって、上記抗体またはその抗原結合断片は、同一のオリゴヌクレオチドであって、同一のDNAデンドリマーにハイブリダイズされていない上記同一のオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされていない同一の抗体またはその抗原結合断片よりもより大きな程度またはより速く、抗原に結合するか、あるいは生理学的に許容される量の上記抗体またはその抗原結合断片の対象への静脈内投与の際に、上記抗体またはその抗原結合断片が、同一のオリゴヌクレオチドであって、同一のDNAデンドリマーにハイブリダイズされていない上記同一のオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされていない同一の抗体またはその抗原結合断片よりも、静脈内投与後の期間において上記対象の血液中に少ない程度で存在する、上記抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0042】
本開示はまた、抗体またはその抗原結合断片が抗原に結合する程度または速度を増加させる方法であって、それを必要とする抗体またはその抗原結合断片を、オリゴヌクレオチドであって、DNAデンドリマーにハイブリダイズされていない上記オリゴヌクレオチドにコンジュゲートすることを含み、上記抗体またはその抗原結合断片が、同一のオリゴヌクレオチドであって、同一のDNAデンドリマーにハイブリダイズされていない上記同一のオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされていない同一の抗体またはその抗原結合断片よりも大きな程度またはより速く抗原に結合する、上記方法を提供する。
【0043】
本開示はまた、抗体またはその抗原結合断片の非特異的結合を減少させる方法であって、それを必要とする抗体またはその抗原結合断片を、オリゴヌクレオチドであって、DNAデンドリマーにハイブリダイズされていない上記オリゴヌクレオチドにコンジュゲートすることを含み、生理学的に許容される量の抗体またはその抗原結合断片を対象に静脈内投与する際に、上記抗体またはその抗原結合断片が、同一のオリゴヌクレオチドであって、同一のDNAデンドリマーにハイブリダイズされていない上記同一のオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされていない同一の抗体またはその抗原結合断片よりも、静脈内投与後の期間に、より少ない程度で上記対象の血液中に存在する、上記方法を提供する。
【0044】
本開示はまた、抗体またはその抗原結合断片の非特異的結合を減少させる方法であって、それを必要とする抗体またはその抗原結合断片を、オリゴヌクレオチドであって、DNAデンドリマーにハイブリダイズされていない上記オリゴヌクレオチドにコンジュゲートすることを含み、生理学的に許容される量の抗体またはその抗原結合断片を対象に静脈内投与する際に、上記抗体またはその抗原結合断片が、同一のオリゴヌクレオチドであって、同一のDNAデンドリマーにハイブリダイズされていない上記同一のオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされていない同一の抗体またはその抗原結合断片よりも、より大きな程度またはより速く、その標的に結合する、上記方法を提供する。
【0045】
本開示はまた、対象における疾患を診断、治療、または予防する方法であって、生理学的に許容される量の、オリゴヌクレオチドであって、DNAデンドリマーにハイブリダイズされていない上記オリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた抗体またはその抗原結合断片を、それを必要とする対象に投与することを含み、上記抗体またはその抗原結合断片が、同一のオリゴヌクレオチドであって、同一のDNAデンドリマーにハイブリダイズされていない上記同一のオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされていない同一の抗体またはその抗原結合断片よりも大きな程度またはより速く抗原に結合するか、あるいは生理学的に許容される量の上記抗体またはその抗原結合断片を対象に静脈内投与する際に、上記抗体またはその抗原結合断片が、同一のオリゴヌクレオチドであって、同一のDNAデンドリマーにハイブリダイズされていない上記同一のオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされていない同一の抗体またはその抗原結合断片よりも、静脈内投与後の期間において上記対象の血液中に少ない程度で存在する、上記方法を提供する。
【0046】
抗体またはその抗原結合断片は、任意のアイソタイプであり得る。いくつかの実施形態において、抗体は、IgM、IgA、IgD、IgE、またはIgG抗体である。いくつかの実施形態において、抗体は、IgM抗体である。いくつかの実施形態において、抗体は、IgG抗体である。いくつかの実施形態において、抗体は、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、またはIgG4抗体である。いくつかの実施形態において、IgG1抗体は、IgG1 G1m1、G1m2、G1m3、G1m17、nG1mI、nG1m2、またはnG1m17アロタイプ抗体である。いくつかの実施形態において、抗体は、IgG1 G1m17アロタイプ抗体である。いくつかの実施形態において、IgA抗体は、IgA1またはIgA2抗体である。いくつかの実施形態において、抗体は変異型重鎖を有する。
【0047】
いくつかの実施形態において、変異型IgG1重鎖は、アロタイプKm1、Km2、またはKm3のカッパ軽鎖と対合される。いくつかの実施形態において、変異型IgG1重鎖は、ラムダ軽鎖と対合される。
【0048】
いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、ヒト化され、IgGである。いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、ヒト化され、IgG1である。
【0049】
いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片はキメラ抗体またはその抗原結合断片である。キメラ抗体を産生するための方法は当該技術分野で既知である(Morrison,Science,1985,229,1202-1207;Oi et al.,BioTechniques,1986,4,214-221;Gillies et al.,J.Immunol.Methods,1985,125,191-202、ならびに米国特許第5,807,715号、同第4,816,567号、及び同第4,816,397号を参照されたい)。
【0050】
いくつかの実施形態において、キメラ抗体またはその抗原結合断片は、霊長類化キメラ抗体またはその抗原結合断片である。霊長類化抗体を産生するための方法は、当該技術分野で既知である(米国特許第5,658,570号、同第5,681,722号、及び同第5,693,780号を参照されたい)。
【0051】
いくつかの実施形態において、キメラ抗体またはその抗原結合断片は、ヒト化抗体またはその抗原結合断片である。ヒト化抗体を産生するための方法は、当該技術分野で既知である(Riechmann et al.,Nature,1988,332,323-327;Padlan,Mol.Immunol.,1991,28,489-498、Studnicka et al.,Prot.Eng.,1994,7,805-814、Roguska et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,1994,91,969-973、欧州特許第EP239400号、同第EP592106号、及び同第EP519596号、PCT公開WO91/09967号、及び米国特許第5,225,539号、同第5,530,101号、同第5,585,089号、同第5,693,761号、同第5,693,762号、同第6,180,370号、及び同第5,565,332号を参照されたい)。
【0052】
いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は完全にヒト化されている。完全に「ヒト」の抗体は、ヒト患者の治療的治療に望ましい場合がある。完全にヒト抗体を産生するための方法は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリを使用するファージディスプレイ方法を含み、当該技術分野で既知である(米国特許第4,444,887号及び同第4,716,111号、ならびにPCT公開第WO98/46645号、同第WO98/50433号、同第WO98/24893号、同第WO98/16654号、同第WO96/34096号、同第WO96/33735号、及び同第WO91/10741を参照されたい)。ヒト抗体はまた、機能的な内因性免疫グロブリンを発現することができないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを用いて産生することができる(PCT公開第WO98/24893号、同第WO92/01047号、同第WO96/34096号、及び同第WO96/33735、ならびに米国特許第5,413,923号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、同第5,569,825号、同第5,661,016号、同第5,545,806号、同第5,814,318号、同第5,885,793号、同第5,916,771号、及び同第5,939,598号を参照されたい)。選択されたエピトープを認識する完全にヒト抗体はまた、「誘導選択」と称される技術を使用して生成され得る(Jespers et al.,Biotechnology,1988,12,899-903を参照されたい)。
【0053】
いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、二重特異性抗体である。二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対する結合特異性を有する(すなわち、結合特異性の1つは、1つの抗原に向けられ、他の結合特異性は、細胞表面タンパク質、受容体、受容体サブユニット、組織特異的抗原、ウイルス由来タンパク質、ウイルスコードエンベロープタンパク質、細菌由来タンパク質、または細菌表面タンパク質等の任意の他の抗原に対するものである)。
【0054】
いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、誘導体化抗体である。例えば、誘導体化抗体は、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、既知の保護基/ブロック基による誘導体化、タンパク質分解切断、細胞リガンドまたは他のタンパク質への結合等によって修飾される抗体であり得る。多数の化学修飾のいずれも、特定の化学切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成等を含むがこれらに限定されない、既知の技法によって実施することができる。加えて、誘導体は、ambrx技術を使用する等して、1つ以上の非天然アミノ酸を含有することができる(Wolfson,Chem.Biol.,2006,13,1011-1012を参照されたい)。
【0055】
いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、グリコシル化を通して誘導体化される。好適な二分岐複合体は、2つのN-アセチルグルコサミン(G1cNAc)、3つのマンノース、及び2つのアンテナを形成するためのα-6マンノース及びα-3マンノースにβ-1,2結合した2つのG1cNAc残基を有するコア構造から構成され得る。N-アセチルノイラミン酸(NANA)またはN-グリコリルノイラミン酸(NGNA)残基を含む1つ以上のフコース(Fuc)、ガラクトース(Gal)、高マンノースグリカンMan-5またはMan-9、二分岐G1cNAc及びシアル酸がコアに結合し得る。N結合糖形態は、G0(コア二分岐グリコシル化構造を有するタンパク質)、G0F(フコシル化G0)、G0F G1cNAc、G1(1つのガラクトース残基を有するコアグリコシル化構造を有するタンパク質)、G1F(フコシル化G1)、G2(2つのガラクトース残基を有するコアグリコシル化構造を有するタンパク質)、及び/またはG2F(フコシル化G2)を含み得る。いくつかの実施形態において、抗体はG0Fグリカンを有する。
【0056】
抗体またはその抗原結合断片は、宿主細胞における免疫グロブリン軽鎖及び重鎖遺伝子の組換え発現によって調製され得る。抗体を組換え的に発現させるために、宿主細胞は、抗体の免疫グロブリン軽鎖及び重鎖をコードするDNA断片を保有する1つ以上の組換え発現ベクターでトランスフェクトされ、その結果、軽鎖及び重鎖が宿主細胞内で発現され、任意選択で、宿主細胞が培養される培地に分泌され、その培地から抗体を回収することができる。標準的な組換えDNA方法論を使用して、抗体重鎖及び軽鎖遺伝子を取得し、これらの遺伝子を組換え発現ベクターに組み込み、ベクターを宿主細胞に導入することができる(Molecular Cloning;A Laboratory Manual,Second Edition,Sambrook,Fritsch and Maniatis(eds.),Cold Spring Harbor,N.Y.,1989;Current Protocols in Molecular Biology,Ausubel et al.,eds.,Greene Publishing Associates,1989、及び米国特許第4,816,397号)。
【0057】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸分子を生成するために、軽鎖及び重鎖可変領域をコードするDNA断片が最初に得られる。これらのDNAは、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、軽鎖及び重鎖可変配列をコードする生殖細胞系DNAまたはcDNAの増幅及び修飾によって得ることができる。ヒト重鎖及び軽鎖可変領域遺伝子の生殖細胞系DNA配列は、当該技術分野において既知である(「VBASE」ヒト生殖細胞系配列データベース、Kabat et al.,1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242、Tomlinson et al.,J.Mol.Biol.,1992,22T,116-198、及びCox et al.,Eur.J.Immunol.,1994,24,827-836を参照されたい)。重鎖または軽鎖可変領域をコードするDNA断片を合成し、変異誘発のための鋳型として使用して、ルーチン変異誘発技術を使用して本明細書に記載のバリアントを生成することができ、あるいは、バリアントをコードするDNA断片を直接合成することができる。
【0058】
これらのDNA断片は、例えば、可変領域遺伝子を完全長抗体鎖遺伝子、Fab断片遺伝子、またはscFv遺伝子に変換するために、標準的な組換えDNA技術によって更に操作され得る。これらの操作において、VHまたはVLをコードするDNA断片は、抗体定常領域または可動性リンカー等の別のタンパク質をコードする別のDNA断片に動作可能に結合される。この文脈で使用される「動作可能に結合された」という語句は、2つのDNA断片によってコードされるアミノ酸配列がフレーム内に残るように、2つのDNA断片が連結されることを意味することを意図する。
【0059】
VH領域をコードする単離されたDNA分子は、VHをコードするDNAを、重鎖定常領域(CH1、CH2、CH3、及び任意選択でCH4)をコードする別のDNA分子に動作可能に結合することによって、完全長の重鎖遺伝子に変換することができる。ヒト重鎖定常領域遺伝子の配列は、当該技術分野で既知であり(Kabat et al.,1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242を参照されたい)、これらの領域を包含するDNA断片は、標準的なPCR増幅によって得ることができる。重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgMまたはIgD定常領域であり得る。いくつかの実施形態において、重鎖定常領域は、IgG1またはIgG4定常領域である。Fab断片重鎖遺伝子については、VHをコードするDNAを、重鎖CH1定常領域のみをコードする別のDNA分子に動作可能に結合させることができる。
【0060】
VL領域をコードする単離されたDNAは、VLをコードするDNAを、軽鎖定常領域であるCLをコードする別のDNA分子に動作可能に結合することによって、全長軽鎖遺伝子(ならびにFab軽鎖遺伝子)に変換することができる。ヒト軽鎖定常領域遺伝子の配列は、当該技術分野で既知であり(Kabat et al.,1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition(U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242)を参照されたい)、これらの領域を包含するDNA断片は、標準的なPCR増幅によって得ることができる。軽鎖定常領域は、カッパまたはラムダ定常領域であり得る。いくつかの実施形態において、軽鎖定常領域はカッパ定常領域である。scFv遺伝子を作製するために、VH及びVLをコードするDNA断片を、フレキシブルリンカーをコードする、例えば、アミノ酸配列(Gly4Ser)3をコードする別の断片に動作可能に結合させ、その結果、VH及びVL配列が、連続した1本鎖タンパク質として発現され得、VL及びVH領域がフレキシブルリンカーによって接合される(Bird et al.,Science,1988,242,423-426、Huston et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1988,85,5879-5883、及びMcCafferty et al.,Nature,1990,348,552-554を参照されたい)。
【0061】
本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片を発現するために、本明細書に記載されるように得られる、部分的または完全長の軽鎖及び重鎖をコードするDNA分子は、遺伝子が転写及び翻訳制御配列に動作可能に結合されるように、発現ベクター内に挿入することができる。この文脈では、「動作可能に結合された」という語句は、ベクター内の転写及び翻訳制御配列が、抗体遺伝子の転写及び翻訳を調節するそれらの意図された機能を果たすように、抗体遺伝子がベクター内にライゲーションされることを意味することが意図される。発現ベクター及び発現制御配列は、使用される発現宿主細胞と適合するように選択することができる。抗体軽鎖遺伝子及び抗体重鎖遺伝子は別々のベクターに挿入され得るか、またはより典型的には、両方の遺伝子は同じ発現ベクターに挿入され得る。
【0062】
抗体遺伝子は、例えば、抗体遺伝子断片及びベクター上の相補的制限部位のライゲーション、または制限部位が存在しない場合の平滑末端ライゲーション等の標準的な方法によって発現ベクターに挿入され得る。軽鎖または重鎖配列の挿入に先立って、発現ベクターは、既に抗体定常領域配列を運ぶことができる。例えば、VH及びVL配列を完全長抗体遺伝子に変換するための1つのアプローチは、VHセグメントがベクター内のCHセグメント(複数可)に動作可能に結合され、VLセグメントがベクター内のCLセグメントに動作可能に結合されるように、それぞれ、既に重鎖定常領域及び軽鎖定常領域をコードする発現ベクターにそれらを挿入することである。追加的または代替的に、組換え発現ベクターは、宿主細胞からの抗体鎖の分泌を促進するシグナルペプチドをコードすることができる。シグナルペプチドが抗体鎖遺伝子のアミノ末端にフレーム内で結合されるように、抗体鎖遺伝子をベクターにクローニングすることができる。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチドまたは異種シグナルペプチド、例えば、非免疫グロブリンタンパク質由来のシグナルペプチドであり得る。
【0063】
抗体鎖遺伝子に加えて、組換え発現ベクターは、宿主細胞における抗体鎖遺伝子の発現を制御する調節配列を運ぶことができる。このような調節配列は、例えば、Goeddel,Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185(Academic Press,San Diego,Calif.,1990)に記載されている。調節配列の選択を含む発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベル等の因子に依存し得ることが当業者には理解される。哺乳動物類宿主細胞発現のために好適な調節配列として、哺乳動物細胞における高レベルのタンパク質発現を方向付けるウイルスエレメント、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)由来のプロモーター及び/またはエンハンサー(CMVプロモーター/エンハンサー等)、シミアンウイルス40(SV40)(SV40プロモーター/エンハンサー等)、アデノウイルス(アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP)等)、及びポリオーマが挙げられる。ウイルス調節エレメント及びその配列は、当該技術分野で既知である(例えば、米国特許第5,168,062号、同第4,510,245号、及び同第4,968,615号を参照されたい)。
【0064】
本開示の組換え発現ベクターはまた、追加の配列、例えば、宿主細胞内のベクターの複製を調節する配列(複製起点等)及び選択可能なマーカー遺伝子を運ぶことができる。選択可能なマーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞の選択を容易にする(米国特許第4,399,216号、同第4,634,665号、及び同第5,179,017号を参照されたい)。例えば、典型的には、選択可能なマーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞に、G418、ピューロマイシン、ブラスタシジン、ハイグロマイシン、またはメトトレキサート等の薬物に対する耐性を付与する。好適な選択可能なマーカー遺伝子としては、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子(DHFR-宿主細胞においてメトトレキサート選択/増幅を伴って使用するため)及びNEO遺伝子(G418選択のため)が挙げられる。軽鎖及び重鎖の発現のために、重鎖及び軽鎖をコードする発現ベクター(複数可)は、標準技術によって宿主細胞内にトランスフェクトされる。「トランスフェクション」という用語の様々な型は、エレクトロポレーション、リポフェクション、カルシウム-リン酸沈殿、DEAE-デキストラントランスフェクション等の、原核または真核宿主細胞への外因性DNAの導入のために一般的に使用される多種多様な技術を包含することを意図している。
【0065】
抗体またはその抗原結合断片は、原核宿主細胞または真核宿主細胞のいずれかにおいて発現することができる。いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片の発現は、適切に折り畳まれ、免疫学的に活性な抗体の分泌のために、哺乳動物宿主細胞等の真核生物細胞において行うことができる。本開示の組換え抗体またはその抗原結合断片を発現させるための例示的な哺乳動物宿主細胞には、DHFR選択マーカー(Kaufman,Mol.Biol.,1982,159,601-621を参照されたい)とともに使用される、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)(DHFR CHO細胞(Urlaub,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1980,77,4216-4220を参照されたい)、NS0骨髄腫細胞、COS細胞、293細胞、及びSP2/0細胞が含まれる。抗体遺伝子をコードする組換え発現ベクターが哺乳動物宿主細胞に導入されるとき、抗体は、宿主細胞内での抗体の発現、または宿主細胞が成長する培地への抗体の分泌を可能にするのに十分な期間、宿主細胞を培養することによって産生される。抗体またはその抗原結合断片は、標準的なタンパク質精製方法を使用して培地から回収することができる。宿主細胞を使用して、Fab断片またはscFv分子等のインタクトな抗体の一部を産生することもできる。上記の手順のバリエーションは、本開示の範囲内であることを理解されたい。例えば、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片の軽鎖または重鎖(両方ではないが)のいずれかをコードするDNAで宿主細胞をトランスフェクトすることが望ましい場合がある。
【0066】
組換えDNA技術もまた、抗原への結合のために必要でない軽鎖及び重鎖のいずれかまたは両方をコードするDNAの一部または全てを除去するために使用することができる。そのような切り取られたDNA分子から発現される分子もまた、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片に包含される。
【0067】
更に、一方の重鎖及び一方の軽鎖が、第1の抗原に結合することができる本開示の抗体であり、他方の重鎖及び軽鎖が、標準的な化学的架橋方法によって、本開示の抗体を第2の抗体に架橋することによって、第1の抗原以外の抗原に特異的である、二官能性抗体またはその抗原結合断片を製造することができる。二官能性抗体はまた、二官能性抗体をコードするように操作された核酸を発現させることによって作製することもできる。
【0068】
本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片の組換え発現のために、宿主細胞は、重鎖由来ポリペプチドをコードする第1のベクター及び軽鎖由来ポリペプチドをコードする第2のベクターという、本開示の2つの発現ベクターを用いて共トランスフェクションされることができる。典型的には、2つのベクターは各々、別個の選択可能なマーカーを含む。あるいは、重鎖ポリペプチドと軽鎖ポリペプチドの両方をコードする単一のベクターを使用することができる。
【0069】
一旦、所望のCDR配列を有する抗体またはその抗原結合断片の1つ以上の部分をコードする核酸が生成されると、例えば、コード配列に更なる変化を導入して、異なるCDR配列を有する抗体、Fc受容体に対する親和性が低下した抗体、または異なるサブクラスの抗体をコードする核酸を生成することができる。
【0070】
本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片はまた、化学合成によって(例えば、Solid Phase Peptide Synthesis,2nd ed.,1984 The Pierce Chemical Co.,Rockford,Ill.に記載の方法によって)産生することもできる。バリアント抗体またはその抗原結合断片はまた、無細胞プラットフォームを使用して生成することができる(Chu et al.,Biochemia,2001,2)。
【0071】
一旦、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片が組換え発現によって産生されると、それらは、免疫グロブリン分子の精製のための当該技術分野で既知である任意の方法によって、例えば、クロマトグラフィーによって(イオン交換、親和性、特にプロテインA、プロテインGまたはプロテインL選択のための親和性による親和性、ならびにサイジングカラムクロマトグラフィー等によって)、遠心分離、示差溶解性、またはタンパク質の精製のための任意の他の標準技術によって精製することができる。更に、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片は、精製を容易にするために本明細書に記載されるか、またはさもなくば当該技術分野で既知の異種ポリペプチド配列に融合され得る。
【0072】
一旦単離されると、抗体またはその抗原結合断片は、必要に応じて、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって(Fisher,Laboratory Techniques In Biochemistry And Molecular Biology(Work and Burdon,eds.(Elsevier,1980))、またはSuperdex(商標)75カラム(Pharmacia Biotech AB,Uppsala,Sweden)上のゲル濾過クロマトグラフィーによって、更に精製することができる。
【0073】
本開示は、本明細書に記載の核酸分子を含むベクターを提供する。本開示は、ベクターでトランスフェクトした原核宿主細胞も提供する。本開示は、ベクターでトランスフェクトした真核宿主細胞も提供する。いくつかの実施形態において、真核生物宿主細胞は哺乳動物宿主細胞である。
【0074】
いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、エフェクター部分にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、抗体またはその抗原結合断片への任意のタイプの分子の共有結合によって修飾され、その結果、共有結合は抗原への結合を妨げない。いくつかの実施形態において、エフェクター部分は、検出可能な標識、細胞毒性剤、化学療法剤、または核酸分子である。エフェクター部分はまた、抗腫瘍剤、薬物、毒素、生物学的に活性なタンパク質(酵素等)、別の抗体または抗体断片、合成または天然のポリマー、核酸分子、放射性核種(放射性ヨウ素等)、放射性同位体、キレート化金属、ナノ粒子、またはレポーター群(蛍光化合物またはNMRもしくはESR分光法によって検出することができる化合物等)であってもよい。
【0075】
いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、特定の生物学的応答を修飾するために、細胞毒性薬剤、放射性核種、または薬物部分にコンジュゲートされ得る。エフェクター部分は、例えば、毒素(例えば、アブリン、リシンA、サポリン、Pseudomonas外毒素、ジフテリア毒素、臭化エチジウムまたはPE40、PE38、ゲロニン、RNAse、ペプチド核酸(PNA)、リボソーム不活性化タンパク質(RIP)1型または2型、ヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質(PAP)、ブリオジン、モモルジン、化学療法剤、及びブガニン)、シグナル伝達分子(例えば、α-インターフェロン、β-インターフェロン、神経成長因子、血小板由来成長因子または組織プラスミノーゲン活性化因子)、血栓形成剤または抗血管新生剤(例えば、アンジオスタチンまたはエンドスタチン)、またはサイトカインもしくは成長因子(例えば、インターロイキン-1(IL-1)、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-6(IL-6)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、または神経成長因子(NGF)等のタンパク質またはポリペプチドであり得る。
【0076】
いくつかの実施形態において、細胞毒性剤は、小分子、プロドラッグ、メイタンシノイド、または毒素である。いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、抗体またはその抗原結合断片当たり3~5個のメイタンシノイド分子を含む。いくつかの実施形態において、メイタンシノイドは、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート、N-スクシンイミジル-4-(2-ピリジルチオ)ペンタノエート(SPP)、及びスクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサンネル-1-カルボキシレートから選択される化学リンカーによって、抗体またはその抗原結合断片にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態において、細胞毒性剤は、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒシン、ドキソルビシン、ダウノラビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、またはピューロマイシンである。
【0077】
いくつかの実施形態において、検出可能な標識は、放射性化合物、蛍光化合物、発色団、酵素、イメージング剤、金属イオン、または基質である。いくつかの実施形態において、蛍光部分は、限定されないが、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、5-ジメチルアミン-1-ナフタレンスルホニルクロリド、フィコエリスリン等を含む。有用な酵素標識には、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ等が含まれるが、これらに限定されない。
【0078】
いくつかの実施形態において、エフェクター部分は、代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、及び5-フルオロウラシル、デカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパ、クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)、ロムスチン(CCNU)、シクロソスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC5、及びシスジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(旧ダウノマイシン)及びドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(旧アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、アントラマイシン(AMC)、カリケアマイシンまたはデュオカルマイシン)、または抗有糸分裂剤(例えば、ビンキスチン及びビンブラスチン)である。
【0079】
いくつかの実施形態において、放射性核種は、13N、18F、32P、64Cu、66Ga、67Ga、68Ga、67Cu、77Br、80mBr、82Rb、86Y、90Y、95Ru、97Ru、99mTc、103Ru、105Ru、111In、113mIn、113Sn、121mTe、122mTe、125mTe、123I、124I、125I、126I、131I、133I、165Tm、167Tm、168Tm、177Lu、186Re、188Re、195mHg、211At、212Bi、213Bi、及び225Acであるが、これらに限定されない。
【0080】
いくつかの実施形態において、化学療法剤は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、サトラプラチン、メトトレキサート、ビンクリスチン、ドキソルビシン、ツニカマイシン、オリゴマイシン、ボルテゾミブ、MG132、5-フルロウラシル、ソラフェニブ、フラボピリドール、ゲムシタビン、タキソール、メルカプトプリン、チオグアニン、ヒドロキシ尿素、シタラビン、マイトマイシン、シクロホスファミド、イホスファミド、ニトロソウレア、ダカルバジン、プロカルビジン、エトポシド、カンパテシン、ブレオマイシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、ディスタマイシンA、エチジウム、ネトロプシン、アウリスタチン、アムサクリン、プロジジオシン、ボルテゾミブ、ピベンジモール、トマイマイシン、デュオカルマイシンSA、プリカマイシン、ミトキサントロン、アスパラギナーゼ、ビンブラスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、ドセタキセル、CPT-11、グリベック、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イブルチニブ、クリゾチニブ、セリチニブ、ラパチニブ、ナビトクラクス、またはレゴラフェニブである。
【0081】
いくつかの実施形態において、核酸分子は、単層核酸担体、1.5層核酸担体、2層核酸担体、2.5層核酸担体、または3層核酸担体(例えば、PCT公報第WO17/143156号及び同第WO17/143171号に開示されているもの等)である。
【0082】
このようなエフェクター部分を抗体にコンジュゲートするための技法は、当該技術分野で周知である(Hellstrom et al.,Controlled Drug Delivery,2nd Ed.,pages 623-53(Robinson et al.,eds.,1987))、Thorpe et al.,Immunol.Rev.,1982,62,119-58、及びDubowchik et al.,Pharmacology and Therapeutics,1999,83,67-123を参照されたい)。
【0083】
いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、共有結合(例えば、ペプチド結合)を介して、抗体のN末端またはC末端を通して、または内部的に、別のタンパク質のアミノ酸配列(またはその一部;例えば、タンパク質の少なくとも10、20、または50アミノ酸部分)に融合され得る。本発明の抗体またはその抗原結合断片は、この抗体の定常ドメインのN末端で他のタンパク質に結合することができる。組換えDNA手順を使用して、例えば、PCT公開第WO86/01533号及び欧州特許第EP0392745号に記載されるように、そのような融合物を作製することができる。いくつかの実施形態において、エフェクター部分は、インビボでの半減期を増加させることができ、及び/または免疫系への上皮バリアを横断する抗体の送達を増強することができる。このタイプの好適なエフェクター部分の例としては、ポリマー、アルブミン、アルブミン結合タンパク質、またはPCT公開第WO2005/117984号に記載されるようなアルブミン結合化合物が挙げられる。
【0084】
いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、小分子毒素にコンジュゲートされ得る。いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、アウリスタチン等のドロスタチンまたはドロスタチンペプチド類似体または誘導体にコンジュゲートされ得る(米国特許第5,635,483号及び同第5,780,588号を参照)。ドラスタチンまたはアウリスタチン薬物部分は、そのN末端、C末端を介して、または内部的に抗体に結合し得る(PCT公報第WO02/088172号を参照されたい)。例示的なアウリスタチン実施形態としては、米国特許第7,498,298号(リンカー及びリンカーにコンジュゲートされたMMAE及びMMAF等のモノメチルバリン化合物の調製方法を開示する)に開示されるようなN末端結合型モノメチルアウリスタチン薬物部分DE及びDFが挙げられる。
【0085】
抗体またはその抗原結合断片もまた、標的送達のためにリポソームにコンジュゲートされ得る(Park et al.,Adv.Pharmacol.,1997,40,399-435、及びMarty et al.,Methods Molec.Med.,2004,109,389-401を参照されたい)。
【0086】
いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、PEG部分に結合することができる。いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片、及びPEG部分は、抗体またはその抗原結合断片に位置する任意の利用可能なアミノ酸側鎖または末端アミノ酸官能基、例えば、任意の遊離アミノ、イミノ、チオール、ヒドロキシルまたはカルボキシル基を介して結合され得る。このようなアミノ酸は、抗体またはその抗原結合断片中に天然に存在し得るか、または組換えDNA法を使用して断片中に操作され得る(米国特許第5,219,996号を参照されたい)。複数の部位を使用して、2つ以上のPEG部分を結合させることができる。PEG部分は、抗体またはその抗原結合断片に位置する少なくとも1つのシステイン残基のチオール基を介して共有結合され得る。チオール基が結合点として使用される場合、適切に活性化されたエフェクター部分、例えば、マレイミド及びシステイン誘導体等のチオール選択的誘導体を使用することができる。
【0087】
いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、PEG化された修飾Fab’断片を含むことができる。PEG部分は、ヒンジ領域内のシステインに結合することができる。いくつかの実施形態において、PEG修飾Fab’断片は、修飾されたヒンジ領域内の単一のチオール基に共有結合したマレイミド基を有する。リジン残基は、マレイミド基に共有結合し、リジン残基上の各アミン基には、約20,000Daの分子量を有するメトキシポリ(エチレングリコール)ポリマーを結合させることができる。したがって、Fab’断片に結合したPEGの総分子量は、約40,000Daとすることができる。
【0088】
いくつかの実施形態において、抗原結合断片は、Fab、F(ab’)2、Fv、scFv、scFv-Fc、ダイアボディ、またはミニボディ断片であり得る。いくつかの実施形態において、抗原結合断片はFab断片であり得る。いくつかの実施形態において、抗原結合断片はF(ab’)2断片であり得る。いくつかの実施形態において、抗原結合断片はFv断片であり得る。いくつかの実施形態において、抗原結合断片はscFv断片であり得る。いくつかの実施形態において、抗原結合断片はscFv-Fc断片であり得る。いくつかの実施形態において、抗原結合断片はダイアボディ断片であり得る。いくつかの実施形態において、抗原結合断片はミニボディ断片であり得る。
【0089】
いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、治療用抗体である。いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、3F8、8H9、アバゴボマブ、アブシキシマブ、アビツズマブ、アブレゼキマブ、アブリルマブ、アクトクスマブ、アダリムマブ、アデカツムマブ、アデュカヌマブ、アファセビクマブ、アフェリモマブ、アラシズマブ ペゴル、アレムツズマブ、アリロクマブ、アルツモマブ ペンテテート、アマツキシマブ、アミバンタマブ、アナツモマブ マフェナトックス、アンデカリキシマブ、アネツマブ ラブタンシン、アニフロルマブ、アンスビマブ、アンルキンズマブ、アポリズマブ、アプルツマブ イキサドチン、アルシツモマブ、アスクリンバクマブ、アセリズマブ、アテゾリズマブ、アティドルトクスマブ、アチヌマブ、アトルチビマブ、マフティビマブ、オデシビマブ、アトロリムマブ、アベルマブ、アジンツキシズマブ ベドチン、バムラニビマブ、バピネオズマブ、バシリキシマブ、バビツキシマブ、BCD-100、ベクツモマブ、ベゲロマブ、ベランタマブマホドチン、ベリムマブ、ベマリツズマブ、ベンラリズマブ、ベルリマトクスマブ、ベルメキマブ、ベルサンリマブ、ベルティリムマブ、ベシレソマブ、ベバシズマブ、ベズロトクスマブ、ビシロマブ、ビマグルマブ、ビメキズマブ、ビルタミマブ、ビバツズマブ、ブレセルマブ、ブリナツモマブ、ブロンツベトマブ、ブロソズマブ、ボコシズマブ、ブラジクマブ、ブレンツキシマブ ベドチン、ブリアキヌマブ、ブロダルマブ、ブロルシズマブ、ブロンチクツズマブ、ブロスマブ、カビラリズマブ、カミダンルマブ テシリン、カムレリズマブ、カナキヌマブ、カンツズマブ メルタンシン、カンツズマブ ラブタンシン、カプラシズマブ、カシリビマブ、カプロマブ、カルマブ、カロツキシマブ、カツマキソマブ、cBR96-ドキソルビシン免疫コンジュゲート、セデリズマブ、セミプリマブ、セルグツズマブ アムナロイキン、セルトリズマブ ペゴル、セトレリマブ、セツキシマブ、シビサタマブ、サームツズマブ、シタツズマブ ボガトックス、シクツムマブ、クラザキズマブ、クレノリキシマブ、クリバツズマブ テトラキセタン、コドリツズマブ、コフェツズマブ ペリドチン、コルツキシマブ ラブタンシン、コナツムマブ、コンシズマブ、コスフロビキシマブ、クレネズマブ、クリザンリズマブ、クロテヅマブ、CR6261、クサツズマブ、ダセツズマブ、ダクリズマブ、ダロツズマブ、ダピロリズマブペゴル、ダラツムマブ、デクトレクマブ、デムシズマブ、デニンツズマブマフォドチン、デノスマブ、デパツキシズマブ マホドチン、デルロツキシマブ ビオチン、デツモマブ、デザミズマブ、ジヌツキシマブ、ジヌツキシマブ ベータ、ディリダブマブ、ドマグロズマブ、ドルリモマブ アリトックス、ドスタルリマブ、ドロジツマブ、DS-8201、デュリゴツズマブ、デュピルマブ、デュルバルマブ、デュシギツマブ、デュボルツキシズマブ、エクロメキシマブ、エクリズマブ、エドバコマブ、エドレコロマブ、エファリズマブ、エフングマブ、エルデルマブ、エレザヌマブ、エルゲムツマブ、エロツズマブ、エルシリモマブ、エマクツズマブ、エマパルマブ、エミベツズマブ、エミシズマブ、エナポタマブ ベドチン、エナバツズマブ、エンホルツマブ ベドチン、エンリモマブ ペゴル、エノブリツズマブ、エノキズマブ、エノティクマブ、エンシツキシマブ、エプコリタマブ、エピツモマブ シツキセタン、エプラツズマブ、エプチネズマブ、エレヌマブ、エルリズマブ、エルツマキソマブ、エタラシズマブ、エテセビマブ、エチギリマブ、エトロリズマブ、エビナクマブ、エボロクマブ、エクスビビルマブ、ファノレソマブ、ファラリモマブ、ファリシマブ、ファレツズマブ、ファシヌマブ、FBTA05、フェルビズマブ、フェザキヌマブ、フィバツズマブ、フィクラツズマブ、フィギツムマブ、フィリブマブ、フランボツマブ、フレチクマブ、フロテツズマブ、フォントリズマブ、フォラルマブ、フォラビルマブ、フレマネズマブ、フレソリムマブ、フロボシマブ、フルネベトマブ、フルラヌマブ、フツキシマブ、ガルカネズマブ、ガリキシマブ、ガンコタマブ、ガニツマブ、ガンテンネルマブ、ガチポツズマブ、ガビリモマブ、ゲディブマブ、ゲムツズマブ オゾガマイシン、ゲボキズマブ、ギルベトマブ、ギムシルマブ、ギレンツキシマブ、グレンバツムマブ ベドチン、ゴリムマブ、ゴミリキシマブ、ゴスラネマブ、グセルクマブ、イナルマブ、イバリズマブ、IBI308、イブリツモマブ チウキセタン、イクルクマブ、イダルシズマブ、イファボツズマブ、イゴボマブ、イラダツズマブ ベドチン、IMAB362、イマルマブ、イマプレリマブ、イムシロマブ、イムデビマブ、イムガツズマブ、インクラクマブ、インダツキシマブ ラブタンシン、インデュサツマブ ベドチン、イネビリズマブ、インフリキシマブ、インテツムマブ、イノリモマブ、イノツズマブ オゾガマイシン、イピリムマブ、イオマブ-B、イラツムマブ、イサツキシマブ、イスカリマブ、イスティラツマブ、イトリズマブ、イキセキズマブ、ケリキシマブ、ラベツズマブ、ラクノツズマブ、ラディラツズマブベドチン、ランパリズマブ、ラナデルマブ、ランドグロズマブ、ラプリツキシマブ エムタンシン、ラルカビキシマブ、レブリキズマブ、レマレソマブ、レンダリズマブ、レンベルビマブ、レンジルマブ、レルデリムマブ、レロンリマブ、レソファブマブ、レトリズマブ、レキサツムマブ、リビビルマブ、リファツズマブ ベドチン、リゲリズマブ、ロンカツキシマブ テシリン、ロサツキシズマブ ベドチン、リロトマブ サテトラキセタン、リンツズマブ、リリルマブ、ロデルシズマブ、ロキベトマブ、ロルボツズマブ メルタンシン、ルカツムマブ、ルリズマブ ペゴル、ルミリキシマブ、ルムレツズマブ、ルパルツマブ、ルパルツマブ アマドチン、ルチキズマブ、マフティビマブ、マパツムマブ、マルゲツキシマブ、マルスタシマブ、マスリモマブ、マブリリムマブ、マツズマブ、メポリズマブ、メテリムマブ、ミラツズマブ、ミンレツモマブ、ミリキズマブ、ミルベツキシマブ ソラブタンシン、ミツモマブ、モドツキシマブ、モガムリズマブ、モナリズマブ、モロリムマブ、モスネツズマブ、モタビズマブ、モキセツモマブ パスドトックス、ムロモナブ-CD3、ナコロマブ タフェナトックス、ナミルマブ、ナプツモマブ エスタフェナトックス、ナラツキシマブ エムタンシン、ナルナツマブ、ナタリズマブ、ナビシキシズマブ、ナビブマブ、ナキシタマブ、ネバクマブ、ネシツムマブ、ネモリズマブ、NEOD001、ネレリモマブ、ネスバクマブ、ネタキマブ、ニモツズマブ、ニルセビマブ、ニボルマブ、ノフェツモマブ メルペンタン、オビルトキサキシマブ、オビヌツズマブ、オカラツズマブ、オクレリズマブ、オデシビマブ、オデュリモマブ、オファツムマブ、オララツマブ、オレクルマブ、オレンダリズマブ、オロキズマブ、オマリズマブ、オンブルタマブ、OMS721、オナルツズマブ、オンツキシズマブ、オンバチリマブ、オピシヌマブ、オポルツズマブ モナトックス、オレゴボマブ、オルチクマブ、オテリキシズマブ、オチリマブ、オトレルツズマブ、オキセルマブ、オザネズマブ、オゾラリズマブ、パギバキシマブ、パリビズマブ、パムレブルマブ、パニツムマブ、パンコマブ、パノバクマブ、パルサツズマブ、パスコリズマブ、パソツキシズマブ、パテクリズマブ、パトリツマブ、PDR001、ペムブロリズマブ、ペムツモマブ、ペラキズマブ、ペルツズマブ、ペクセリズマブ、ピジリズマブ、ピナツズマブ ベドチン、ピンツモマブ、プラクルマブ、プレザルマブ、プロザリズマブ、ポガリズマブ、ポラツズマブ ベドチン、ポネズマブ、ポルガビキシマブ、プラシネズマブ、プレザリズマブ、プリリキシマブ、プリトキサキシマブ、プリツムマブ、PRO140、キリズマブ、ラコツモマブ、ラドレツマブ、ラフィビルマブ、ラルパンシズマブ、ラムシルマブ、ラネベトマブ、ラニビズマブ、ラキシバクマブ、ラバガリマブ、ラブリズマブ、レファネズマブ、レガビルマブ、レグダンビマブ、レラチマブ、レムトルマブ、レスリズマブ、リロツムマブ、リヌクマブ、リサンキズマブ、リツキシマブ、リババズマブ ペゴル、ロバツムマブ、SII RMAb、ロレデュマブ、ロミルキマブ、ロモソズマブ、ロンタリズマブ、ロスマンツズマブ、ロバルピツズマブ テシリン、ロベリズマブ、ロザノリキシズマブ、ルプリズマブ、SA237、サシツズマブ ゴビテカン、サマリズマブ、サムロタマブ ベドチン、サリルマブ、サトラリズマブ、サツモマブ ペンデチド、セクキヌマブ、セリクレルマブ、セリバンツマブ、セトキサキシマブ、セトルスマブ、セビルマブ、シブロツズマブ、SGN-CD19A、SHP647、シファリムマブ、シルツキシマブ、シムツズマブ、シプリズマブ、シルトラツマブ ベドチン、シルクマブ、ソフィツズマブ ベドチン、ソラネズマブ、ソリトマブ、ソネプシズマブ、ソンツズマブ、スパルタリズマブ、スタムルマブ、スレソマブ、スプタブマブ、スチムリマブ、スビズマブ、スブラトクスマブ、タバルマブ、タカツズマブ テトラキセタン、タドシズマブ、タファシタマブ、タラコツズマブ、タリズマブ、タルケタマブ、タムツベトマブ、タネズマブ、タプリツモマブ パプトックス、タレックスツマブ、タボリマブ、テクリスタマブ、テフィバズマブ、テリモマブ アリトックス、テリソツズマブ、テリソツズマブ ベドチン、テナツモマブ、テネリキシマブ、テプリズマブ、テポジタマブ、テプロツムマブ、テシドルマブ、テツロマブ、テゼペルマブ、TGN1412、チブリズマブ、チルドラキズマブ、チガツズマブ、チミグツズマブ、チモルマブ、チラゴルマブ、チラゴツマブ、チスレリズマブ、チソツマブ ベドチン、TNX-650、トシリズマブ、トムゾツキシマブ、トラリズマブ、トサトクスマブ、トシツモマブ、トベツマブ、トラロキヌマブ、トラスツズマブ、トラスツズマブ デュオカルマジン、トラスツズマブ エムタンシン、TRBS07、トレガリズマブ、トレメリムマブ、トレボグルマブ、ツコツズマブ セルモロイキン、ツビルマブ、ウブリツキシマブ、ウロクプルマブ、ウレルマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、ウトミルマブ、バダスツキシマブ タリリン、バナリマブ、バンドルツズマブ ベドチン、バンチクツマブ、バヌシズマブ、バパリキシマブ、バリサクマブ、バルリルマブ、バテリズマブ、ベドリズマブ、ベルツズマブ、ベパリモマブ、ベセンクマブ、ビシリズマブ、ボバリリズマブ、ボロシキシマブ、ボンレロリズマブ、ボプラテリマブ、ボルセツズマブ マホドチン、ボツムマブ、ブナキズマブ、キセンツズマブ、XMAB-5574、ザルツムマブ、ザノリムマブ、ザツキシマブ、ゼノクツズマブ、ジラリムマブ、ゾルベツキシマブ、またはゾリモマブ アリトックスを含む。いくつかの特に好ましい実施形態において、治療用抗体は、イピリムマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、セミプリマブ、スパルタリズマブ、またはアテゾリズマブを含む。いくつかの実施形態において、治療用抗体はペムブロリズマブを含む。いくつかの実施形態において、治療抗体はベルサンリマブまたはエンリモマブ ペゴルを含む。
【0090】
本開示はまた、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片と、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物を提供する。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、等張化剤、界面活性剤、保存剤、及び/または約4.0~約8.0のpHを有する緩衝系を更に含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、1つ以上の追加の治療剤、例えば、本明細書に記載の併用治療剤を更に含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は液体薬学的組成物である。
【0091】
いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、用量当たり本明細書に記載される所定量の抗体またはその抗原結合断片を含有する単位用量形態で提示され得る。薬学的組成物中での使用のための薬学的に許容される担体は、治療される状態または投与経路に応じて、多種多様な形態をとることができる。
【0092】
本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片を含む薬学的組成物は、所望の純度を有する抗体またはその抗原結合断片を、例えば、緩衝剤、安定化剤、保存剤、等張化剤、非イオン性洗剤、酸化防止剤、及び他の雑多な添加剤等の当該技術分野で典型的に使用される任意選択の薬学的に許容される担体、賦形剤または安定剤(これらの全てを本明細書で「担体」と称する)と混合することによって、凍結乾燥製剤または水溶液としての保管のために調製することができる。
【0093】
緩衝剤は、生理学的条件に近い範囲でpHを維持するのに役立つ。それらは、約2mM~約50mMの範囲の濃度で存在し得る。本明細書に記載の薬学的組成物における使用のための好適な緩衝剤としては、有機及び無機酸ならびにその塩の両方、例えば、クエン酸緩衝液(例えば、クエン酸一ナトリウム-クエン酸二ナトリウム混合物、クエン酸三ナトリウムクエン酸混合物、クエン酸一ナトリウムクエン酸混合物等)、コハク酸緩衝液(例えば、コハク酸一ナトリウムコハク酸混合物、コハク酸-水酸化ナトリウム混合物、コハク酸-コハク酸二ナトリウム混合物等)、酒石酸緩衝液(例えば、酒石酸-酒石酸ナトリウム混合物、酒石酸カリウム混合物、酒石酸-水酸化ナトリウム混合物等)、フマル酸緩衝液(例えば、フマル酸-フマル酸一ナトリウム混合物、フマル酸-フマル酸二ナトリウム混合物、フマル酸一ナトリウム-フマル酸二ナトリウム混合物等)、グルコン酸緩衝液(グルコン酸-グリコン酸ナトリウム混合物、グルコン酸-水酸化ナトリウム混合物、グルコン酸-グリコン酸カリウム混合物等)、シュウ酸緩衝液(シュウ酸-シュウ酸ナトリウム混合物、シュウ酸-水酸化ナトリウム混合物、シュウ酸-シュウ酸カリウム混合物等)、乳酸緩衝液(乳酸-乳酸ナトリウム混合物、乳酸-水酸化ナトリウム混合物、乳酸-乳酸カリウム混合物等)及び酢酸緩衝液(酢酸-酢酸ナトリウム混合物、酢酸-水酸化ナトリウム混合物等)を含めることができる。更に、リン酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液、及びTris等のトリメチルアミン塩を使用することができる。
【0094】
保存剤は、微生物の増殖を低減するために薬学的組成物に添加することができ、約0.2%~約1%(w/v)の範囲の量で添加することができる。本明細書に記載の薬学的組成物とともに使用するための好適な保存剤としては、フェノール、ベンジルアルコール、メタ-クレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ベンザルコニウムハライド(例えば、塩化物、臭化物、及びヨウ化物)、ヘキサメトニウムクロリド、ならびにメチルまたはプロピルパラベン等のアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、及び3-ペンタノールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
時折「安定剤」として知られる等張化剤は、液体組成物の等張性を確保するために添加することができ、多価糖アルコール、例えば、グリセリン、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、及びマンニトール等の三価またはより高価の糖アルコールを含む。安定剤は、賦形剤の広範なカテゴリーを指し、これは、治療剤を可溶化するか、または変性もしくは容器壁への接着を防止するのに役立つ、増量剤から添加剤までの機能の範囲であり得る。典型的な安定剤は、多価糖アルコール(上で列挙)、アルギニン、リジン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アラニン、オルニチン、L-ロイシン、2-フェニルアラニン、グルタミン酸、スレオニン等のアミノ酸、ラクトース、トレハロース、スタキオース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、ミオイノシトール、ガラクチトール、グリセロール等の有機糖または糖アルコール、これはイノシトール等のシクロトールを含み、ポリエチレングリコール、アミノ酸重合体、尿素、グルタチオン、チオクチン酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、α-モノチオグリセロール、及びチオ硫酸ナトリウム等の硫黄含有還元剤、低分子量ポリペプチド(10残基以下のペプチド等)、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン等のタンパク質、ポリビニルピロシドン等の水性ポリマー、キシロース、マンノース、フルクトース、グルコース等の単糖類、ラクトース、マルトース、スクロース等の二糖類、及びラフィノース等の三糖類、ならびにデキストラン等の多糖類であり得る。安定剤は、重量活性タンパク質1部当たり約0.1~約10,000重量の範囲で存在し得る。
【0096】
非イオン性界面活性剤または洗剤(「湿潤剤」とも呼ばれる)を薬学的組成物に添加して、抗体またはその抗原結合断片を可溶化するのを補助し、ならびに、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片を攪拌誘発凝集から保護することもでき、これはまた、タンパク質の変性を引き起こすことなく、製剤を剪断面に曝露することを可能にする。好適な非イオン性界面活性剤としては、ポリソルベート(20、80等)、ポリオキサマー(184、188等)、Pluronicポリオール、ポリオキシエチレンソルビタンモノエーテル(TWEEN(商標)-20、TWEEN(商標)-80等)が挙げられる。)非イオン性界面活性剤は、約0.05mg/mL~約1.0mg/mL、例えば、約0.07mg/mL~約0.2mg/mLの範囲で存在することができる。
【0097】
追加の賦形剤、例えば、増量剤(例えば、デンプン)、キレート剤(例えば、EDTA)、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、メチオニン、及びビタミンE)、ならびに共溶媒もまた、薬学的組成物に添加することができる。
【0098】
本開示はまた、抗体コンジュゲートを含む、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片を含有する薬学的キットを提供する。この薬学的キットは、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片(例えば、凍結乾燥型または水溶液のいずれか)と、以下のうちの1つ以上、併用治療剤、抗体またはその抗原結合断片を投与するためのデバイス(ペン、針及び/または注射器等)、ならびに抗体が凍結乾燥型である場合には、抗体またはその抗原結合断片を再懸濁させるための医薬品グレードの水または緩衝液とを含むパッケージであり得る。
【0099】
いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片の各単位用量は、別々にパッケージ化され、キットは、1つ以上の単位用量(例えば、2単位用量、3単位用量、4単位用量、5単位用量、8単位用量、10単位用量、またはそれ以上)を含むことができる。いくつかの実施形態において、1つ以上の単位用量は、各々シリンジまたはペンに収容される。
【0100】
本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片(抗体コンジュゲートを含む)を含有する診断キットもまた、本明細書に包含される。診断キットは、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片(凍結乾燥型または水溶液のいずれか等)と、診断アッセイを実行するために有用な1つ以上の試薬とを含むパッケージであり得る。抗体またはその抗原結合断片が酵素で標識される場合、キットは、酵素によって必要とされる基質及び補因子(例えば、検出可能な発色団またはフルオロフォアを提供する基質前駆体)を含むことができる。加えて、安定剤、緩衝液(ブロック緩衝液または溶解緩衝液等)等の他の添加剤を含めることができる。いくつかの実施形態において、診断キットに含まれる抗体またはその抗原結合断片は、固体表面上に固定化され得るか、または抗体またはその抗原結合断片が固定化され得る固体表面(スライドまたはプレート等)がキットに含まれ得る。様々な試薬の相対量は、アッセイの感度を実質的に最適化する試薬の溶液中の濃度を提供するために変化させることができる。いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片、及び1つ以上の試薬は、溶解時に適切な濃度を有する試薬溶液を提供する賦形剤を含む、通常凍結乾燥された乾燥粉末として(個々にまたは組み合わせて)提供され得る。
【0101】
本開示はまた、抗原を発現する細胞を検出する方法であって、細胞を、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片と接触させることと、抗体またはその抗原結合断片を検出することとを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、細胞はヒトから得られた生体試料中に存在し、細胞はインビトロで抗体またはその抗原結合断片と接触される。いくつかの実施形態において、細胞はヒトに存在し、細胞はインビボで抗体またはその抗原結合断片と接触される。
【0102】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片は、抗原に対して高い結合親和性を有する。いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、特定の会合速度定数(konまたはkA値)、解離速度定数(koffまたはkD値)、親和性定数(KA値)、解離定数(KD値)及び/またはIC50値を有する。
【0103】
いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、少なくとも約1010M-1、少なくとも約4×1011M-1、少なくとも約1011M-1、少なくとも約4×1012M-1、少なくとも約1012M-1、少なくとも約4×1013M-1、少なくとも約1013M-1、少なくとも約4×1014M-1、少なくとも約1014M-1、少なくとも約4×1015M-1、または少なくとも約1015M-1のKA(kon/koff)、または前述の値のうちの任意の対(約4×1011M-1~4×1013M-1、または約4×1012M-1~約4×1015M-1の任意の範囲のKAで抗原に結合する。
【0104】
いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、約10-10以下、約4×10-11M以下、約10-11M以下、約4×10-12M以下、約10-12M以下、約4×1013M以下、約10-13M以下、約4×1014M以下、約10-14M以下、約4×10-15M以下、または約10-15M以下のKD(koff/kon)、または前述の値のうちの任意の対(例えば、約4×10-11M~約4×10-13Mまたは約4×10-12M~約4×10-15M)の任意の範囲のKDで抗原に結合する。
【0105】
いくつかの実施形態において、KD(koff/kon)値は、ELISA、等温滴定熱量測定(ITC)、蛍光偏光アッセイ、またはBIAcore等の任意の他のバイオセンサー等の当該技術分野で周知のアッセイによって決定される。
【0106】
いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、約0.02nM未満、約0.01nM未満、約0.005nM未満、約0.002nM未満、約0.001nM未満、約5×10-4nM未満、約2×10-4nM未満、約1×10-4nM未満、約5×10-5nM未満、約2×10-5nM未満、約1×10-4nM未満、約5×10-6nM未満、約2×10-6nM未満、約1×10-6nM未満、約5×10-7nM未満、約2×10-7nM未満、または約1×10-7nM未満、のIC50で、または前述の値の任意のペアの任意の範囲(例えば、約0.02nM~約2×10-5nM、または約5×10-5nM~約1×10-7nM)のIC50で、抗原に結合し、抗原のリガンドの結合を阻害する。IC50は、ELISA等の当該技術分野で周知の方法に従って測定することができる。
【0107】
例えば、ビオチン化、西洋ワサビペルオキシダーゼ、または任意の他の検出可能な部分(上述のものを含む)によって修飾されたものを含む、抗体またはその抗原結合断片は、診断目的のために使用することができる。
【0108】
いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、インビトロとインビボ診断方法の両方を含む抗原を精製または検出するために使用することができる。例えば、抗体またはその抗原結合断片は、生体試料中の抗原のレベルを定性的及び定量的に測定するため、または動物中の抗原の位置、量、挙動及び/または同様のものを同定するために、免疫アッセイにおいて使用することができる。例えば、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片を使用して抗原のレベルを測定することは、例えば、1)患者においてがんを発症するリスクの増加を診断または決定するために、2)腫瘍の病期及びグレード(特に、がんが転移性であるか、または転移性である可能性が高いかどうか)及び/または抗体療法に対するその潜在的な感受性を含む、患者の予後を決定するために、3)腫瘍の起源を決定するために、及び/または4)患者の治療の有効性を決定するために、使用することができる。
【0109】
いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、例えば、抗原の発現及び/または活性に対する医薬品の効果の評価のために、化合物スクリーニングアッセイと併せて使用することができる。加えて、抗体またはその抗原結合断片は、例えば、正常及び/または操作された抗原発現のトランスフェクションの成功を評価するために、遺伝子療法技術と併せて使用することができる。
【0110】
本開示はまた、神経組織、または、肺、肝臓、腎臓、脾臓等の非CNS標的器官に関連する任意の組織で発現される抗原の量または活性を検出することを含む、神経疾患の診断方法も提供する。診断方法は、診断剤にコンジュゲートされた抗体またはその抗原結合断片を使用することができる。抗体またはその抗原結合断片は、例えば、特定の細胞、組織、または血清中で抗原の発現を検出するために、あるいは、例えば、特定の治療レジメンの有効性を決定するために、臨床試験手順の一部として免疫学的応答の発生または進行を監視するために、診断的に使用することができる。検出は、抗体またはその抗原結合断片を検出可能な物質にカップリングさせることによって容易にすることができる。検出可能な物質の例としては、様々な酵素、補欠分子族、蛍光物質(フルオレセイン及びローダミン及びそれらの誘導体等)、発光物質、生物発光物質、光学剤(ポルフィリン、アントラキノン、アントラピラゾール、ペリレンキノン、キサンテン、シアニン、アクリジン、フェノキサジン及びフェノチアジンの誘導体等)、放射性物質、様々な陽電子放出断層撮影を使用する陽電子放出金属、及び非放射性常磁性金属イオン(Gd(III)、Eu(III)、Dy(III)、Pr(III)、Pa(IV)、Mn(II)、Cr(III)、Co(III)、Fe(III)、Cu(II)、Ni(II)、Ti(III)、及びV(IV)等)が挙げられるが、これらに限定されない。検出可能な物質は、当該技術分野で既知の技術を使用して、抗体またはその抗原結合断片に直接的に、または中間体(例えば、当該技術分野で既知のリンカー等)を介して間接的にカップリングまたはコンジュゲートすることができる。酵素標識の例としては、ルシフェラーゼ(例えば、ホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼ、米国特許第4,737,456号を参照されたい)、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタラジンジオン、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、ペルオキシダーゼ、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRPO)、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖オキシダーゼ(例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ)、複素環オキシダーゼ(例えば、ウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼ)、ラクトペルオキシダーゼ、マイクロペルオキシダーゼ等が挙げられる。好適な補欠分子族複合体の例としては、限定されないが、ストレプトアビジン/ビオチン及びアビジン/ビオチンが挙げられ、好適な蛍光物質の例としては、限定されないが、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリスリンが挙げられ、発光物質の例としては、ルミノールが挙げられ、生物発光物質の例としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、及びエクオリンが挙げられ、好適な放射性物質の例としては、限定されないが、125I、131I、111Inまたは99Tcが挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
本開示はまた、細胞上の抗原の発現を検出するための方法であって、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片のうちの1つ以上を使用して(任意選択で検出可能な部分にコンジュゲートされる)、患者由来の生体試料を接触させることと、試料が抗原発現に対して陽性であるかどうか、または試料が対照試料と比較して発現を変化させた(例えば、減少または増加させた)かどうかを検出することと、を含む方法も提供する。生体試料は、限定されないが、皮膚、筋肉、乳房、前立腺、子宮頸部、卵巣、脳、精巣、消化管、眼、肝臓、腎臓、及び肺を含む様々な組織の生検を含み得る。生体試料の細胞例としては、腫瘍細胞、皮膚細胞、筋肉細胞、血液細胞、卵巣細胞、脳細胞、前立腺細胞、乳房細胞、精巣細胞、胃腸細胞、眼細胞、肝細胞、腎細胞、子宮頸細胞、及び肺細胞が挙げられる。生体試料はまた、生体液であってもよい。
【0112】
生体試料中の抗原発現細胞の存在は、特に正常な健康な対象のものよりも多い量で存在する場合、がんの存在を示すことができ、転移を示すこともある。患者、特に治療を受けている患者における抗原発現細胞の経時的な消失は、寛解(すなわち、成功した治療)を示すことができ、一方、治療を受けている患者における抗原発現細胞レベルの変化の欠如は、治療に対する耐性を示すことができ、異なる治療戦略を用いることができることを示す。同様に、患者における抗原発現細胞の経時的な増加は、再発を示すことができる。更に、本明細書に記載のイメージング技術は、治療の有効性を決定するために、腫瘍のサイズを監視するために利用され得る。いくつかの実施形態において、他のがん診断アッセイを実施して、本明細書に記載の方法で得られた結果を確認することができる。
【0113】
いくつかの実施形態において、生体試料(例えば、腫瘍試料)を対象から取得し、抗原発現細胞の存在を決定することができる。抗原発現細胞の数は、腫瘍グレードと相関させることができる。いくつかの実施形態において、生体試料中の抗原発現細胞の数を、健康な個体からの対応する生体試料中の抗原発現細胞の数と比較して、腫瘍中の抗原発現細胞の調節を決定する。腫瘍を含む対象は、抗原発現細胞の活性を正常で健康なレベルに調節するために、医薬品で治療することができる。
【0114】
本方法を使用して診断することができる疾患としては、限定されないが、神経膠腫(膠芽細胞腫)、髄膜腫、神経線維腫症、下垂体腺腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、血管腫、類表皮腫瘍、肉腫を含む原発性脳腫瘍、及び他の腫瘍源からの頭蓋内転移等の神経癌が挙げられる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片を使用して、多形性膠芽腫(GBM)を診断することができる。
【0115】
本開示はまた、抗原を発現するがんを治療する方法であって、それを必要とするヒト患者に、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片を投与することを含む、上記方法を提供する。いくつかの実施形態において、この方法は、治療上の利益を提供するために、固形腫瘍を有するヒト患者に、一定量の本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片を投与することを含む。
【0116】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片は、経口、経皮、皮下、鼻腔内、静脈内、動脈内、筋肉内、眼内、局所、局部、くも膜下内、脳室内、髄腔内、及び頭蓋内等の様々な経路によって患者に投与することができる。任意の所与の場合における投与のための最も好適な経路は、特定の抗体、対象、ならびに疾患の性質及び重症度、ならびに対象の身体状態に依存する。いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、水溶液として製剤化され得る。いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、静脈内または頭蓋内に投与される。
【0117】
本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片を使用して、様々な抗原発現腫瘍を治療することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片を使用して、骨格筋の特性を有する肉腫、及び皮膚腫瘍等の抗原発現がんを治療することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片は、患者における脳腫瘍または小脳病変、例えば微小転移等の抗原発現神経癌を治療するために使用することができる。いくつかの実施形態において、抗原発現がんは神経がんである。いくつかの実施形態において、神経がんは、原発性脳腫瘍、膠芽細胞腫、神経膠腫、髄膜腫、神経線維腫症、下垂体腺腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、血管腫瘍、類表皮腫瘍、肉腫、または他の腫瘍源からの頭蓋内転移である。いくつかの実施形態において、神経癌は膠芽細胞腫である。いくつかの実施形態において、膠芽細胞腫は多形性膠芽細胞腫(GBM)である。
【0118】
いくつかの実施形態において、抗原発現脳腫瘍はGBM腫瘍開始細胞を含有するGBM腫瘍である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片を用いる治療は、GBM腫瘍開始細胞の増殖の阻害を生じる。いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、GBM腫瘍開始細胞の自己再生を更に阻害する。細胞増殖及び/または自己再生の阻害は、疾患の徴候または症状の改善をもたらし得る。例えば、そのような療法は、生存(全生存及び/または無増悪生存率)の改善をもたらし得、及び/または客観的臨床応答(部分的または完全)をもたらし得る。いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、GBM腫瘍細胞によって内在化され、抗体またはその抗原結合断片が結合するGBM腫瘍細胞を殺傷する際に、その抗体またはその抗原結合断片の治療有効性の増加を生じる。いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、抗原生物学的活性の拮抗剤として作用し、更に異常な抗原活性の阻害のための方法として使用することができる。
【0119】
いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、がん及び良性腫瘍を含む非神経学的抗原発現腫瘍の治療において有用である。本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片による治療を受け入れ可能ながんには、抗原を過剰発現するがんが含まれる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片による治療を受け入れ可能ながんとしては、上皮細胞癌が挙げられる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片による治療を受け入れ可能ながんとしては、乳癌、卵巣癌、肺癌、結腸直腸癌、肛門癌、前立腺癌、腎臓癌、膀胱癌、頭頸部癌、卵巣癌、膵臓癌、皮膚癌、口腔癌、食道癌、膣癌、子宮頚癌、脾臓の癌、精巣癌、胸腺の癌、頭頸部癌、及び結腸直腸癌が挙げられるが、これらに限定されない。がんは、新たに診断され、治療に未経験であってもよく、または再発性、難治性、もしくは再発性及び難治性であってもよく、または固形腫瘍の転移型であってもよい。
【0120】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片は、骨髄腫(多発性骨髄腫等)、リンパ腫(ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ヴァルデンストロームマクログロブリン血症、及びマントル細胞リンパ腫等)、白血病(慢性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、及び急性リンパ球性白血病等)、ならびに骨髄異形成症候群を含むがこれらに限定されない、抗原発現血液悪性腫瘍の治療に使用することができる。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、血液悪性腫瘍を有するヒト患者に、治療上の利益を提供するために、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片を投与することを含む。
【0121】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片の投与は、1日後、2日後、3日後、5日後、1週間後、2週間後、3週間後、1ヶ月後、5週間後、6週間後、7週間後、8週間後、2ヶ月後、または3ヶ月後に反復される。反復投与は、同じ用量または異なる用量であり得る。投与は、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、またはそれ以上反復できる。例えば、特定の投与レジメンによれば、患者は、6ヶ月、1年、またはそれ以上の長期間、抗体療法を受けることができる。患者に投与する本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片の量は、治療有効量である。本明細書で使用される場合、「治療上有効な」量の本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片は、単回用量として、または治療レジメンの経過、例えば、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年、またはそれ以上にわたって投与することができる。例示的な治療レジメンは、本明細書に更に記載される。疾患の治療は、任意の臨床段階または兆候で任意の型の疾患を有すると既に診断された患者の治療、疾患の症状または徴候の発症または進行または悪化の遅延、及び/または疾患の重症度の予防及び/または低減を包含する。
【0122】
患者のがんを治療するための本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片の使用は、(適切な場合)治療を行わないことと比較して、または既知の標準治療と比較して、任意の実証された臨床的利益を生じることができる。臨床的利益は、当業者に既知の任意の方法によって評価することができる。いくつかの実施形態において、臨床的有益性は、客観的奏効率(ORR)(RECISTバージョン1.1を使用して決定される)、奏効期間(DOR)、無増悪生存率(PFS)、及び/または全生存(OS)に基づいて評価される。いくつかの実施形態において、完全奏効は、治療上の利益を示す。いくつかの実施形態において、部分奏効は、治療上の利益を示す。いくつかの実施形態において、安定した疾患は、治療上の利益を示す。いくつかの実施形態において、全生存の増加は、治療上の利益を示す。いくつかの実施形態において、治療上の利益は、疾患進行までの時間の改善及び/または症状もしくは生活の質の改善を構成し得る。いくつかの実施形態において、治療上の利益は、疾患制御の期間の増加に変換され得ず、むしろ、生活の質の改善を生じる症状負担の著しい減少に変換され得る。当業者には明らかであるように、単独で(単独療法)、または他の抗がん療法及び/または標的化もしくは非標的化抗がん剤に対して補助的に、またはそれとともに、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片を使用して、治療上の利益が観察され得る。
【0123】
いくつかの実施形態において、治療上の利益は、がんの新しい治療に対する応答を測定するように設計された標準的な臨床試験を使用して評価され得る。本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片の治療上の利益を評価するために、以下の試験の1つまたはその組み合わせを使用することができる:1)Response Evaluation Criteria In Solid Tumors(RECIST)バージョン1.1、2)免疫関連RECIST(irRECIST)、3)Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータス、4)免疫関連奏効基準(irRC);5)腫瘍抗原の評価によって評価可能な疾患;6)検証された患者報告転帰尺度;及び/または7)全生存期間及び無増悪生存期間に関するカプランマイヤー推定値。
【0124】
本開示はまた、少なくとも2つの薬剤を患者に投与することを含む併用療法を提供し、第1の薬剤は、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片であり、第2の薬剤は、併用療法剤である。本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片、及び併用治療剤は、同時に、連続的に、または別個に投与することができる。併用療法は、相加的または相加的以上の効果を生じることができる。
【0125】
本方法では、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片、及び併用治療剤は、同時に(同時または連続のどちらでも)投与することができる。本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片及び併用治療剤は、それらが同じ日に、例えば、患者が来院中に同じ患者に投与される場合、連続して投与される。連続投与は、1、2、3、4、5、6、7、または8時間間隔で行うことができる。対照的に、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片及び併用治療剤は、それらが異なる日に患者に投与される場合、例えば、抗体またはその抗原結合断片と、併用治療剤は、1日間隔、2日間隔または3日間隔、1週間間隔、2週間間隔または1ヶ月間隔で、別々の日に投与され得る。本開示の方法では、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片の投与は、併用治療剤の投与の前または後に行うことができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片、及び併用治療剤は、一定期間、同時に投与されてもよく、その後、抗体またはその抗原結合断片、及び併用治療剤の投与が交互に行われる第2の期間が続いてもよい。
【0126】
いくつかの実施形態において、併用治療剤は、化学療法剤、抗血管新生剤、抗リウマチ薬、抗炎症剤、放射線治療剤、免疫抑制剤、または細胞毒性薬物である。本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片は、手術、放射線療法、化学療法、またはそれらの組み合わせ等の従来のがん療法と併用され得る。
【0127】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、外科的に腫瘍細胞を切除すること及び/または放射線療法を投与することの一方または両方を更に含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片と腫瘍療法を併用するために有用な他の治療剤としては、HER2、HER3、HER4、VEGF、またはTNF-α等の腫瘍増殖に関与する他の因子の拮抗剤、例えば抗体が挙げられる。いくつかの実施形態において、がんの治療のために、1つ以上のサイトカインを患者に投与することも有益であり得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片は、増殖阻害剤とともに共投与される。
【0128】
がんの治療のために、抗炎症剤は、好適に、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片と併用して使用され得る。抗炎症剤としては、アセトアミノフェン、ジフェンヒドラミン、メペリジン、デキサメタゾン、ペンタサ、メサラジン、アサコール、リン酸コデイン、ベノリレート、フェンブフェン、ナプロシン、ジクロフェナク、エトドラック及びインドメタシン、アスピリン、ならびにイブプロフェンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0129】
がんの治療のために、化学療法剤は、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片と併用して使用され得る。化学療法剤には、限定されないが、放射性分子、毒素(細胞毒素または細胞毒性剤等)が含まれ、これらには、細胞の生存に対して有害である任意の薬剤、薬剤、及び化学療法化合物を含有するリポソーム、または他の小胞が含まれる。好適な化学療法剤の例としては、1-デヒドロテストステロン、5-フルオロウラシル、デカルバジン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、アクチノマイシンD、アドリアマイシン、アルデスロイキン、抗α5β1インテグリン抗体、アルキル化剤、アロプリノールナトリウム、アルトレタミン、アミフォスチン、アナストロゾール、アントラマイシン(AMC))、抗有糸分裂剤、シスジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン、ジアミノジクロロ白金、アントラサイクリン、抗生物質、代謝拮抗物質、アスパラギナーゼ、生BCG(膀胱内)、ベタメタゾンリン酸ナトリウム及び酢酸ベタメタゾン、ビカルタミド、硫酸ブレオマイシン、ブスルファン、カルシウムロイクオリン、カリケアマイシン、カペシタビン、カルボプラチン、ロムスチン(CCNU)、カルムスチン(BSNU)、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、コルヒシン、コンジュゲートエストロゲン、シクロホスファミド、シクロソスファミド、シタラビン、シタラビン、サイトカラシンB、シトキサン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダクチノマイシン(旧アクチノマイシン)、ダウニルビシン、ダウノルクビシンクエン酸塩、デニロイキン ジフチトクス、デクスラゾキサン、ジブロモマンニトール、ジヒドロキシアントラシンジオン、ドセタキセル、ドルアセトロンメシル酸塩、ドキソルビシン、ドロナビノール、E.coli L-アスパラギナーゼ、エオロシキシマブ、エメチン、エポエチン-α、Erwinia L-アスパラギナーゼ、エステル化エストロゲン、エストラジオール、エストラムスチンリン酸ナトリウム、臭化エチジウム、エチニルエストラジオール、エチドロネート、エトポシド シトロロラム因子、エトポシドリン酸塩、フィルグラスチム、フロキシウリジン、フルコナゾール、フルダラビンリン酸塩、フルオロウラシル、フルタミド、フォリン酸、ゲムシタビン、グルココルチコイド、酢酸ゴセレリン、グラミシジンD、グラニセトロン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、インターフェロンα-2b、イリノテカン、レトロゾール、ロイコボリンカルシウム、酢酸ロイプロリド、レバミゾール、リドカイン、ロムスチン、メイタンシノイド、メクロレタミン、メドロキシプロゲステロンアセテート、酢酸メゲストロール、メルファラン、メルカプチプリン、メスナ、メトトレキサート、メチルテストステロン、ミトラマイシン、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、ニルタミド、酢酸オクトレオチド、オンダンセトロン、パクリタキセル、パミドロネート二ナトリウム、ペントスタチン、ピロカルピン、プリマイシン、カルムスチンインプラント付きポリフェプロサン20、ポルフィマーナトリウム、プロカイン、プロカルバジン、プロプラノロール、リツキシマブ、サルグラモスチム、ストレプトゾトシン、タモキシフェン、タキソール、テニポシド、テノポシド、テストラクトン、テトラカイン、チオエパ、クロラムブシル、チオグアニン、チオテパ、トポテカン、クエン酸トレミフェン、トラスツズマブ、トレチノイン、バルビシン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、及び酒石酸ビノレルビン、またはそれらのいずれかの塩が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、少なくとも1つの化学療法剤を患者に投与することを含む。
【0130】
任意の抗血管新生剤を、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片と併用して使用することができる。いくつかの実施形態において、抗血管新生剤は、VEGFアンタゴニスト、またはVEGFバリアント、可溶性VEGF受容体断片、VEGFまたはVEGFRを遮断して、抗VEGFR抗体を中和することができるアプタマー、VEGFRチロシンキナーゼの低分子量阻害剤、及びそれらの任意の組み合わせ等の別のVEGF受容体アンタゴニストである。代替的に、または加えて、抗VEGF抗体を患者に同時投与してもよい。
【0131】
患者に投与する治療レジメンは、患者の年齢、体重、及び疾患状態に応じて変えることができる。治療レジメンは、2週間から無期限まで続くことができる。いくつかの実施形態において、治療レジメンは、約2週間~約6ヶ月、約3ヶ月~約5年、約6ヶ月~約1年または約2年、約8ヶ月~約18ヶ月等の期間継続される。治療レジメンは、非可変用量レジメンまたは多変量用量レジメンであってもよい。
【0132】
本明細書に記載される、投与される抗体またはその抗原結合断片の量は、治療される固形腫瘍の特定のタイプ、治療される固形腫瘍の病期、投与様式、投与頻度、所望の治療効果、ならびに患者の年齢、体重、及び他の特徴等の他のパラメータを含むがこれらに限定されない様々な要因に依存し得る。特定の投与様式及び投与頻度に治療上の利益を提供するために有効な用量の決定は、当業者の能力の範囲内である。治療的利益を提供するために有効な用量は、最初にインビボ動物モデルまたは臨床試験から推定され得る。多種多様な疾患に好適な動物モデルは、当該技術分野で既知である。本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片は、治療される状態に対して適切な任意の経路によって投与され得る。
【0133】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片は、バイアル内の凍結乾燥粉末として提供される。バイアルは、約100mg、約125mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、または約400mgの抗体またはその抗原結合断片を含有し得る。投与前に、凍結乾燥された粉末を無菌注射用水(SWFI)または他の好適な媒体で用時溶解して、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片を含有する溶液を提供することができる。いくつかの実施形態において、得られた用時溶解された溶液を、生理食塩水または注入のための他の好適な培地で更に希釈し、例えば、7日に2回、7日に1回、14日に1回、21日に1回、28日に1回、35日に1回、42日に1回、49日に1回、または56日に1回のIV注入を介して投与する。いくつかの実施形態において、第1のサイクルについて、注入は90分間にわたって行われる。いくつかの実施形態において、後続の注入は60分を超える。
【0134】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片は、約0.1mg/kg、約0.5mg/kg、約1.0mg/kg、約2.0mg/kg、約3.0mg/kg、約4.0mg/kg、約5.0mg/kg、約6.0mg/kg、約8.0mg/kg、または約10.0mg/kgで7日に1回IV注入として投与される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片は、約0.1mg/kg、約0.5mg/kg、約1.0mg/kg、約2.0mg/kg、約3.0mg/kg、約4.0mg/kg、約5.0mg/kg、約6.0mg/kg、約8.0mg/kg、または約10.0mg/kgで14日に1回IV注入として投与される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片は、約0.1mg/kg、約0.5mg/kg、約1.0mg/kg、約2.0mg/kg、約3.0mg/kg、約4.0mg/kg、約5.0mg/kg、約6.0mg/kg、約8.0mg/kg、または約10.0mg/kgで21日に1回IV注入として投与される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片は、約0.1mg/kg、約0.5mg/kg、約1.0mg/kg、約2.0mg/kg、約3.0mg/kg、約4.0mg/kg、約5.0mg/kg、約6.0mg/kg、約8.0mg/kg、または約10.0mg/kgで28日に1回IV注入として投与される。
【0135】
他の薬剤、例えば、他の化学療法剤に対して補助的に、またはそれらとともに投与される場合、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片は、他の薬剤(複数可)と同じスケジュールで、または異なるスケジュールで投与することができる。同じスケジュールで投与される場合、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片は、他の薬剤の前、後、または他の薬剤と同時に投与することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片がケアの標準に対して補助的に、またはそれとともに投与される場合、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片は、標準療法の開始前、例えば、標準ケア療法の開始の1日前、数日前、1週間前、数週間前、1ヶ月前、または更に数ヶ月前に開始することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片がケアの標準に対して補助的に、またはそれとともに投与される場合、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片は、標準療法の開始後、例えば、標準ケア療法の開始の1日後、数日後、1週間後、数週間後、1ヶ月後、または更に数ヶ月後に開始することができる。
【0136】
皮下投与のための投与スケジュールは、疾患のタイプ、疾患の重症度、及び本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片に対する患者の感受性を含む多数の臨床因子に応じて、6ヶ月に1回から1日に1回まで変化することができる。
【0137】
本開示はまた、後嚢混濁(PCO)を治療する方法を提供し、この方法は、それを必要とするヒト患者に、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片を投与することを含む。いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、眼に投与される。
【0138】
本開示はまた、線維症を治療する方法を提供し、この方法は、それを必要とするヒト患者に、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片を投与することを含む。いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、臓器に投与される。いくつかの実施形態において、臓器は腎臓または肺である。
【0139】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片は、それに結合する細胞を選別することによって、例えば、筋線維芽細胞前駆体等の細胞を単離及び/または精製する方法で使用することができる。そのような細胞は、皮膚、水晶体、網膜、及び脳の創傷に急速に移動することができ、それによって創傷治癒を助ける。そのような細胞は、収縮性筋線維芽細胞に成長する可能性を有する。単離された抗原陽性細胞は、ヒトに投与するか、または創傷閉鎖を容易にするために、糖尿病性及び褥瘡性潰瘍ならびに重度の外科的切除等の徐々に治癒するかまたは治癒しない創傷に移植することができる。
【0140】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片は、それに結合する細胞を選別することによって神経保護細胞を単離する方法において使用することができる。抗原を発現する細胞は、損傷に応答して数を増加させることができる。そのような細胞は、ニューロンの死滅を減少させるために、網膜及び脳に投与することができる。抗原陽性細胞及び/またはそれらが産生する分子(複数可)は、傷害の後に、対象に注射されるか、またはそうでなければ導入されることができる。
【0141】
本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドは、ヌクレオチド、または、例えば、ヌクレオチド類似体もしくはヌクレオチド代用物等の非天然もしくは修飾ヌクレオチドを含むことができる。そのようなヌクレオチドは、修飾塩基、糖、またはリン酸基を含有するか、またはその構造に非天然部分を組み込むヌクレオチドを含む。非天然ヌクレオチドの例としては、限定されないが、ジデオキシヌクレオチド、ビオチン化ヌクレオチド、アミノ化ヌクレオチド、脱アミノ化ヌクレオチド、アルキル化ヌクレオチド、ベンジル化ヌクレオチド、及びフルオロフォア標識ヌクレオチドが挙げられる。本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドは、DNA、RNA、またはDNA及びRNAの両方を含むことができる。
【0142】
本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドはまた、1つ以上のヌクレオチド類似体または置換体も含むことができる。ヌクレオチド類似体は、塩基、糖、またはリン酸部分のいずれかに対する修飾を含有するヌクレオチドである。塩基部分への修飾には、A、C、G、及びT/Uの天然及び合成修飾、ならびに異なるプリンまたはピリミジン塩基、例えば、プソイドウリジン、ウラシル-5-イル、ヒポキサンチン-9-イル(I)、ならびに2-アミノアデニン-9-イル等が含まれるが、これらに限定されない。修飾塩基には、5-メチルシトシン(5-me-C)、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、アデニン及びグアニンの6-メチル及び他のアルキル誘導体、アデニン及びグアニンの2-プロピル及び他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミン及び2-チオシトシン、5-ハロウラシル及びシトシン、5-プロピニルウラシル及びシトシン、6-アゾウラシル、シトシン及びチミン、5-ウラシル(プソイドウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシル及び他の8-置換アデニン及びグアニン、5-ハロ(例えば、5-ブロモ等)、5-トリフルオロメチル及び他の5-置換ウラシル及びシトシン、7-メチルグアニン、7-メチルアデニン、8-アザグアニン、8-アザアデニン、7-デアザグアニン、7-デアザアデニン、3-デアザグアニン、及び3-デアザアデニンが含まれるが、これらに限定されない。
【0143】
ヌクレオチド類似体は、糖部分の修飾も含むことができる。糖部分に対する修飾には、リボース及びデオキシリボースの天然修飾、ならびに合成修飾が含まれるが、これらに限定されない。糖修飾には、2’位における以下の修飾が含まれるが、これらに限定されない:OH;F;O-、S-、またはN-アルキル;O-、S-、またはN-アルケニル;O-、S-、またはN-アルキニル;またはO-アルキル-O-アルキルであって、アルキル、アルケニル、及びアルキニルは、置換または非置換のC1-10アルキルまたはC2-10アルケニル、及びC2-10アルキニルであってもよい。例示的な2’糖修飾には、-O[(CH2)nO]mCH3、-O(CH2)nOCH3、-O(CH2)nNH2、-O(CH2)nCH3、-O(CH2)n-ONH2、及び-O(CH2)nON[(CH2)nCH3)]2も含まれるが、これらに限定されず、式中、n及びmは、独立して、1~約10である。2’位における他の修飾には、C1-10アルキル、置換低級アルキル、アルカリル、アラルキル、O-アルカリルまたはO-アラルキル、SH、SCH3、OCN、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、SOCH3、SO2CH3、ONO2、NO2、N3、NH2、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、インターカレーター、オリゴヌクレオチドの薬物動態特性を改善するための基、またはオリゴヌクレオチドの薬力学的特性を改善するための基、及び同様の特性を有する他の置換基が含まれるが、これらに限定されない。同様の修飾は、糖上の他の位置、特に3’末端ヌクレオチド上または2’-5’結合オリゴヌクレオチド上の糖の3’位、及び5’末端ヌクレオチドの5’位でも行われ得る。修飾糖はまた、架橋環酸素において修飾を含有するもの、例えば、CH2及びSを含むことができる。ヌクレオチド糖類似体はまた、ペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル部分等の糖模倣物を有することができる。
【0144】
ヌクレオチド類似体は、リン酸部分においても修飾することができる。修飾されたリン酸部分には、2つのヌクレオチド間の結合が、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチルならびに3’-アルキレンホスホネート及びキラルホスホネートを含む他のアルキルホスホネート、ホスフィネート、3’-アミノホスホルアミデート及びアミノアルキルホスホルアミデートを含むホスホルアミデート、チオノホスホルアミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、チオノアルキルホスホトリエステル、ならびにボラノホスフェートを含むように修飾することができるものが含まれるが、これらに限定されない。2つのヌクレオチド間のこれらのリン酸または修飾されたリン酸結合は、3’-5’結合または2’-5’結合を介してもよく、結合は、3’-5’から5’-3’または2’-5’から5’-2’等の逆極性を含み得る。様々な塩、混合塩、及び遊離酸型も含まれる。ヌクレオチド代用物としては、ペプチド核酸(PNA)も挙げられる。
【0145】
抗体上のオリゴヌクレオチドの異なる長さ、異なる塩基組成、ヌクレオチドの異なる配列(複数可)、及び/または異なるオリゴヌクレオチド密度は、分子特性の調節、ならびに最終的には生物製剤の治療有効性または治療指数を可能にする異なる効果を有し得る。
【0146】
オリゴヌクレオチドの付着の化学的性質はまた、生物学的分布及びクリアランスレートの両方に特性が関連している新規の治療実体部分の設計の適応に独自の調節特性または柔軟性を提供し得る。
【0147】
開示される核酸分子は、例えば、ヌクレオチド、または、ヌクレオチド類似体またはヌクレオチド代用物等の非天然もしくは修飾ヌクレオチドを含むことができる。そのようなヌクレオチドは、修飾塩基、糖、またはリン酸基を含有するか、またはその構造に非天然部分を組み込むヌクレオチドを含む。非天然ヌクレオチドの例としては、ジデオキシヌクレオチド、ビオチン化ヌクレオチド、アミノ化ヌクレオチド、脱アミノ化ヌクレオチド、アルキル化ヌクレオチド、ベンジル化ヌクレオチド、及びフルオロホル標識ヌクレオチドが挙げられるがこれらに限定されない。
【0148】
本明細書に開示される核酸分子はまた、1つ以上のヌクレオチド類似体または置換を含むことができる。ヌクレオチド類似体は、塩基、糖、またはリン酸部分のいずれかに対する修飾を含有するヌクレオチドである。塩基部分に対する修飾には、A、C、G、及びT/U、ならびに異なるプリンまたはピリミジン塩基、例えば、プソイドウリジン、ウラシル-5-イル、ヒポキサンチン-9-イル(I)、及び2-アミノアデニン-9-イル等の天然及び合成修飾が含まれるが、これらに限定されない。修飾塩基には、5-メチルシトシン(5-me-C)、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、アデニン及びグアニンの6-メチル及び他のアルキル誘導体、アデニン及びグアニンの2-プロピル及び他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミン及び2-チオシトシン、5-ハロウラシル及びシトシン、5-プロピニルウラシル及びシトシン、6-アゾウラシル、シトシン及びチミン、5-ウラシル(プロイドウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシル及び他の8-置換アデニン及びグアニン、5-ハロ(例えば、5-ブロモ等)、5-トリフルオロメチル及び他の5-置換ウラシル及びシトシン、7-メチルグアニン、7-メチルアデニン、8-アザグアニン、8-アザアデニン、7-デアザグアニン、7-デアザアデニン、3-デアザグアニン、及び3-デアザアデニンが含まれるが、これらに限定されない。
【0149】
ヌクレオチド類似体はまた、糖部分の修飾も含むことができる。糖部分に対する修飾には、リボース及びデオキシリボースの天然修飾、ならびに合成修飾が含まれるが、これらに限定されない。糖修飾には、2’位における以下の修飾が含まれるが、これらに限定されない:OH;F;O-、S-、またはN-アルキル;O-、S-、またはN-アルケニル;O-、S-、またはN-アルキニル;またはO-アルキル-O-アルキルであって、アルキル、アルケニル、及びアルキニルは、置換または非置換のC1-10アルキルまたはC2-10アルケニル、及びC2-10アルキニルであってもよい。例示的な2’糖修飾には、-O[(CH2)nO]mCH3、-O(CH2)nOCH3、-O(CH2)nNH2、-O(CH2)nCH3、-O(CH2)n-ONH2、及び-O(CH2)nON[(CH2)nCH3)]2もまた含まれるが、これらに限定されず、式中、n及びmは、独立して、1~約10である。2’位における他の修飾には、C1-10アルキル、置換低級アルキル、アルカリル、アラルキル、O-アルカリルまたはO-アラルキル、SH、SCH3、OCN、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、SOCH3、SO2CH3、ONO2、NO2、N3、NH2、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、インターカレーター、オリゴヌクレオチドの薬物動態特性を改善するための基、またはオリゴヌクレオチドの薬力学的特性を改善するための基、ならびに同様の特性を有する他の置換基が含まれるが、これらに限定されない。同様の修飾は、糖上の他の位置、特に3’末端ヌクレオチド上または2’-5’結合オリゴヌクレオチド上の糖の3’位、及び5’末端ヌクレオチドの5’位でも行われ得る。修飾糖はまた、架橋環酸素において修飾を含有するもの、例えば、CH2及びSを含むことができる。ヌクレオチド糖類似体はまた、ペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル部分等の糖模倣物を有することができる。
【0150】
ヌクレオチド類似体はまた、リン酸部分においても修飾することができる。修飾されたリン酸部分には、2つのヌクレオチド間の結合が、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチル、ならびに3’-アルキレンホスホネート及びキラルホスホネートを含む他のアルキルホスホネート、ホスフィネート、3’-アミノホスホルアミデート及びアミノアルキルホスホルアミデートを含むホスホルアミデート、チオノホスホルアミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエート、チオノアルキルホスホトリエステル、ならびにボラノホスフェートを含有するように修飾することができるものが含まれるが、これらに限定されない。2つのヌクレオチド間のこれらのリン酸または修飾リン酸結合は、3’-5’結合または2’-5’結合を介することができ、これらの結合は、3’-5’から5’-3’または2’-5’から5’-2’等の逆極性を含むことができる。様々な塩、混合塩、及び遊離酸型も含まれる。ヌクレオチド代用物としては、ペプチド核酸(PNA)もまた挙げられる。
【0151】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、配列番号1に記載のヌクレオチド配列を有する。
【0152】
本明細書に開示される主題をより効率的に理解できるようにするために、以下に実施例を提供する。これらの実施例は、例示的な目的のためだけであり、いかなる方法でも特許請求される主題を限定するものとして解釈されないことが理解されるべきである。これらの実施例を通して、分子クローニング反応、及び他の標準的な組換えDNA技術は、他に注記される場合を除き、市販の試薬を使用して、Maniatis et al.,Molecular Cloning-A Laboratory Manual,2nd ed.Cold Spring Harbor Press(1989)に記載される方法に従って実行した。本明細書で使用される場合、免疫グロブリンアミノ酸残基の番号付けは、特に指示されない限り、Kabat et al.の免疫グロブリンアミノ酸残基番号付けシステムに従って行われる。
【0153】
インビボでの抗ICAM/3DNAの循環及び生体内分布を研究するために、抗ICAM抗体を3DNA外側分岐に結合した。3DNAの外側分岐は一本鎖DNAであるため、抗ICAMを3DNAにカップリングさせる手段は、配列が3DNAの外側分岐と相補的であるオリゴヌクレオチドに抗ICAMを最初にコンジュゲートさせることであり、その結果、抗体-オリゴコンジュゲートは、それらを一緒に混合することによってアニーリングすることを通して単純に3DNAにカップリングさせることができる。ICAM-1の特異的標的化を実証しなければならなかったので、非特異的抗体(IgG対照)を使用した同様の構築物もまた、比較的に研究した。しかしながら、それぞれの抗ICAM/3DNAまたは抗ICAM/3DNAのマウスへの後続の注射のために、抗ICAM-オリゴまたはIgG-オリゴを3DNAにカップリングする前に、コンジュゲートされた種(抗ICAM-オリゴまたはIgG-オリゴ)が、元の抗ICAM及びIgGとして、すなわち、それらが、それぞれ、主に肺で発現されるICAM-1を標的とするか、または非特異的対照抗体として機能することが依然としてできることを実証する必要があった。この目的のために、マウスにIgG、IgG-オリゴ、抗ICAM、または抗ICAM-オリゴを注射し、次いで、それらの循環及び生体内分布に対処し、比較した。驚くべきことに、結果は、抗体オリゴ種が元の抗体種とは異なる振る舞いをすることを実証し、オリゴの存在は、抗ICAMの標的特異性を増加させた。
【0154】
開示された研究は、DNAオリゴヌクレオチドへの抗体のカップリングが、予期しない様式で抗体の挙動を修飾することを示す。ICAM-1を認識するモノクローナル抗体が例示的である特異的抗体の例について、オリゴヌクレオチドへのコンジュゲーションは、インビボで実証された抗体のそれぞれの抗原(ICAM-1)に対する絶対結合及び結合特異性の両方を著しく増加させた。加えて、抗体オリゴコンジュゲート(特異的と非特異的の両方)は、元の非コンジュゲート抗体よりも速く循環から消去され、より豊富に分布し、これは、インビボで適用される抗体の全身性副作用を回避するために役立ち得る。この予期しない発見は、その抗原に対する抗体の認識/標的化能力を増強する重要な転換可能性を保持し、これは、単独で、またはいくつかの目的及び用途のために薬物、トレーサー、担体、デバイス、材料、もしくは細胞と組み合わせて使用されるかどうかにかかわらず、上記抗体の研究、治療及び/または診断の可能性を増強するための手段として使用され得、これらの目的及び用途には、分析的インビトロシステム、エキソビボ組織、細胞培養物、またはインビボ生物が含まれ得る。
【実施例】
【0155】
実施例1:非特異的IgG抗体、IgG抗体-オリゴヌクレオチド、特異的抗ICAM抗体、及び抗ICAM抗体-オリゴヌクレオチドのインビボ生体内分布
試薬:
マウスICAM-1(抗ICAM)に対するラットモノクローナル免疫グロブリンG Ab(IgG)は、American Type Culture Collection(Manassas,VA)からそれぞれのハイブリドーマで産生されたYNlをクローン化した。非特異的ラットIgG Ab(本明細書以下、IgGと称する)は、Jackson Immunoresearch(Pike West Grove,PA)から入手した。5’末端においてチオールで修飾されたDNAオリゴヌクレオチド(72マー)をOligo Factory(Holliston,MA)から入手した。Pierce Bond-Breaker TCEP Solution,Pierce LC-SMCC Crosslinker,Pierce Zeba Spin Columns(7k分子量カットオフ,MWCO)、Pierce Thiophilic Adsorption Resin,Amiconスピンフィルター(10k MWCO)、Pierce BCA Protein Assay Kit及びHeterobifunctional Pierce Crosslinking Kit、ウシ血清アルブミン(BSA)、及びTCAをFisher Scientific(Kerrville,TX)から入手した。ヨウ素原ヨウ素化チューブは、Pierce(Rockford,IL)から入手し、BioSpin Trisカラムは、BioRad(Hercules,CA)から入手した。Na125Iは、Perkin-Elmer(Waltham,MA)から入手した。全ての他の試薬をSigma Chemical(St.Louis,MO)から入手した。
【0156】
抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲート:
抗ICAMまたは非特異的対照IgG Abについての抗体-オリゴヌクレオチド(Ab-オリゴ)コンジュゲーションを、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)-マレイミド化学を使用して実施した。手短に述べると、5’チオール修飾を有する72マーのDNAオリゴヌクレオチドを、最初に、50mMのトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)を添加し、25℃で1時間インキュベートすることによって還元した。過剰なTCEPをエタノール沈殿によって除去し、オリゴヌクレオチドをリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)+5mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、pH7.2中に再懸濁した。並行して、Abを、過剰のLC-SMCC架橋剤(スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシ-(6-アミドカプロン酸))と、25℃で1時間反応させた。ベンダーの指示書に従って、PBS+5mM EDTA pH7.2で平衡化したZebaスピンカラムを使用して、Ab-LC-SMCC反応から未反応のLC-SMCC架橋剤を除去した。次いで、還元されたオリゴヌクレオチドをAb-LC-SMCCに添加し、コンジュゲーション反応物を25℃で12時間インキュベートした。親チオ性吸着クロマトグラフィーを利用して、過剰な未反応チオールオリゴヌクレオチドをAb-オリゴヌクレオチドコンジュゲートから除去し、コンジュゲートを含有する画分をプールして、Amicon 10kDa MWCOスピンフィルターを使用して濃縮した。Ab-オリゴヌクレオチドコンジュゲートの最終タンパク質濃度を、ウシガンマグロブリン標準を用いる(ビシンコニン酸)BCAタンパク質アッセイキットを使用して決定した。
【0157】
抗体及び抗体オリゴコンジュゲートの放射性標識:
Ab(非オリゴヌクレオチド)またはAb-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを、Na125I及びヨウ素源コーティングされたヨウ素化チューブを使用して125I-放射線標識した。20μCiのNa125Iを、PBS中100μLの1μg/μLAbを含有するヨウ化チューブ中で4℃にて5分間インキュベートした。次いで、試料を6kDaカットオフTrisカラム中でサイズ排除クロマトグラフィーに供し、1000×gで4分間遠心分離して、非反応性遊離125Iを除去した。得られた125I-Abまたは125I-Ab-オリゴヌクレオチドコンジュゲートの最終濃度を、Bradfordタンパク質アッセイ及びBSA標準曲線を使用して測定した。次いで、γカウンター(2470 Wizard2(商標)、Perkin Elmer,Waltham,MA)で、μgタンパク質当たりのCPMとして表される試料の放射能(1分間当たりに検出された放射性事象の計数、CPM)、及び遊離125I残余の存在を測定した。このために、2μLの125I-Abまたは125I-Ab-オリゴヌクレオチドをPBS中の3%BSA中で希釈し、合計体積1mLを得、次いでγカウンターで測定した。次に、200μLのTCAを加え(最終TCA濃度=17%、v/v)、試料をボルテックスし、室温で15分間インキュベートした。次いで、試料を2418×gで5分間遠心分離して、125I-Ab-オリゴヌクレオチドを沈殿させ、上清中で遊離の125Iを分離した。次いで、上清の600μLアリコート(総反応体積の半分)をγカウンターで測定し、以下の式を使用してマウスに注入される試料中の遊離の125Iの存在を推定した。遊離のヨウ素CPM=総CPM-(2×上清CPM)。
【0158】
マウスモデル:
8週齢のC57BL/6野生型雄マウスを、Jackson Laboratory(Bar Harbor,ME)から得た。マウスに餌及び水を自由に提供し、受け取った状態で、約25gの体重(BW)で実験に使用した。マウスを、各インビボ実験について、100mg/kg・体重のケタミン及び10mg/kg・体重のキシラジンの混合物で腹腔内麻酔した。全ての動物実験は、規制に準拠し、制度的に承認されたプロトコルの下で実施した。
【0159】
循環及び生体内分布:
麻酔したC57BL/6マウスに、125I-標識抗体または抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを注射した。示されるように、示される時点で血液試料を採取し、及び注射の60分後に屠殺し、続いて主要臓器(例えば、脳、心臓、腎臓、肝臓、肺及び脾臓)の採取及び重量測定、臓器の均質化、ならびに試料中のあらゆる潜在的な遊離125Iを排除するためのトリクロロ酢酸(TCA)による試料沈殿を行った。次いで、γカウンターを使用して、得られた放射能測定値を利用して、%注射用量(%ID)を計算し、ここで、注射用量は、注射前に測定された用量から注射後のシリンジ内の用量残留物を差し引いたものである。異なる重量を有する臓器における相対蓄積を比較し、したがって臓器濃度を反映する、臓器1グラム当たりの注射用量%(%ID/g)もまた計算した。局在化比(臓器におけるLR=%ID/g:血液中の%ID/g)は、臓器対血液分布を表すためであり、他の種の%ID/gで除算した種の%ID/gとして計算される特異性指数(SI)は、それらを比較するためである。
【0160】
図1は、IgG-オリゴヌクレオチドが血流からの除去を増強することを示す。マウスに、非特異的IgG対照抗体またはオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた同じ抗体(IgG-オリゴ)を静脈内注射した。これらの実体部分はまた、ヨウ素
125で放射性標識して、投与後60分まで循環を追跡した。データは、平均値±平均値の標準誤差として計算した。示されるパラメータは、循環中の絶対生体分布値を反映する、注入用量(%ID)の%である。
図1は、IgGと比較して、非特異的IgG-オリゴについての循環からのより速いクリアランスを実証し、これは、抗体の使用に関連する、全身性の副作用の可能性を低減するために役立ち得る。
【0161】
図2は、IgG-オリゴヌクレオチドが脾臓及び肝臓のクリアランスを増強することを示す。マウスに、非特異的IgG対照抗体またはオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた同じ抗体(IgG-オリゴ)を静脈内注射した。これらの実体部分をヨウ素
125で放射性標識して、投与から60分後に体内分布を追跡した。データは、平均値±平均値の標準誤差として計算した。示されるパラメータは、臓器内の濃度を反映する、臓器のグラム当たりの注射用量の%(%ID/g)(パネルA)、及び組織対血液比を反映する、臓器内の%ID/gを血液中の%ID/gで除算した局在化比(LR)(パネルB)である。
図2は、IgGと比較して、非特異的IgG-オリゴの肝臓及び脾臓の蓄積の増加を実証し、これは、これらのクリアランス臓器を介して身体から抗体-オリゴをクリアし、他の器官における副作用の可能性を減弱するのを助けることができる。また、膀胱、腎臓、及び胃におけるlgG-オリゴのレベルのある程度の低下が存在する。これは、肝臓及び脾臓におけるクリアランスの増強、または腎臓及び胃経路を通した、より速い排泄に起因する可能性があるので、その結果、これらの臓器においてこの時点でより少ない量が見出され、これは、抗体を身体から除去し、副作用を回避するのに十分である。
【0162】
図3は、抗ICAM-オリゴヌクレオチドが血流から急速に除去されることを示す。マウスに、非特異的IgG対照抗体、ICAM-1特異的抗ICAM抗体、または抗ICAM-オリゴコンジュゲート(パネルA)、または抗ICAM-オリゴもしくはIgG-オリゴコンジュゲート(パネルB)を静脈内に注射した。両方の場合において、投与後60分までの循環を追跡するために、実体部分をヨウ素
125で放射性標識した。データは、平均値±平均値の標準誤差として計算した。示されるパラメータは、循環中の絶対生体分布値を反映する、注入用量の%(%ID)である。
図3は、非オリゴヌクレオチド抗ICAMと比較して、オリゴヌクレオチドにコンジュゲートされたときの循環からの特異的な抗ICAM抗体のより速いクリアランスを実証し、このことは、上記のような全身性副作用から保護するためにも役立つはずである。更に、IgG-オリゴヌクレオチドと比較して、抗ICAM-オリゴヌクレオチドのより速いクリアランスは、この保護効果が、特異的抗原を認識する抗体についてより明白であることを示す。このことは、特異的抗体は、抗原を認識するものであり、したがって、研究、診断、または治療の設定で使用されることを意図したものであるため、実質的価値がある。
【0163】
図4は、抗ICAM-オリゴが肺標的化を増強することを示す。マウスに、非特異的IgG対照抗体、ICAM-1特異的抗ICAM抗体、または抗ICAM-オリゴコンジュゲート(パネルA及びパネルB)、または抗ICAM-オリゴもしくはIgG-オリゴコンジュゲート(パネルC及びパネルD)を静脈内注射した。全ての場合において、実体部分をヨウ素
125で放射性標識して、投与の60分後にそれらの身体分布を追跡した。データは、平均値±平均値の標準誤差として計算した。示されるパラメータは、臓器内の濃度を反映した、臓器グラム当たりの注射用量のパーセント(%ID/g)(パネルA及びパネルC)、ならびに組織対血液比を反映した、臓器内の%ID/gを血液中の%ID/gで除算した局在化比(LR)(パネルB及びパネルD)である。
図4は、特異的抗ICAM抗体が、肺(ICAM-1発現の主要な部位)を、抗ICAM対照と比較して著しく良好に、かつ非特異的IgG(オリゴヌクレオチドとコンジュゲートされているか、またはコンジュゲートされていない)よりもはるかに大きく標的化することを実証し、絶対標的化及び特異性の増強を実証する。
【0164】
図5は、抗ICAM-オリゴヌクレオチドの肺標的化が、他の製剤と比較して肺に対して非常に特異的であり、リンパ節における最小限の蓄積を提供することを示す。マウスに、非特異的IgG対照抗体、ICAM-1特異的抗ICAM抗体、またはオリゴヌクレオチド(オリゴ)にコンジュゲートされたそれぞれの抗体を静脈内注射し、これらの実体部分をヨウ素
125で放射性標識して、投与60分後にそれらの身体分布を追跡した。データは、平均値±平均値の標準誤差として計算した。示されるパラメータは、特異性を反映した、種の%ID/gを他の種の%ID/gで除算したものとして計算された、グラフキーに示される2つの種の生体内分布を比較する特異性指数(SI)である。
図5は、注射された他の全ての種と比較して、抗ICAM-オリゴによって提供されるICAM-1発現の主要部位(肺)に対する特異性の増強を示す。
【0165】
本明細書に記載されるものに加えて、記載される主題の様々な改変は、前述の説明から当業者には明白である。そのような改変はまた、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図される。本出願において引用される各参考文献(ジャーナル論文、米国特許及び非米国特許、特許出願公開、国際特許出願公開、遺伝子バンク受託番号等を含むがこれらに限定されない)は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【配列表】
【国際調査報告】