IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブリス テクノロジーズ リミティドの特許一覧

<>
  • 特表-局所用組成物及びその使用 図1
  • 特表-局所用組成物及びその使用 図2
  • 特表-局所用組成物及びその使用 図3
  • 特表-局所用組成物及びその使用 図4
  • 特表-局所用組成物及びその使用 図5
  • 特表-局所用組成物及びその使用 図6
  • 特表-局所用組成物及びその使用 図7
  • 特表-局所用組成物及びその使用 図8
  • 特表-局所用組成物及びその使用 図9
  • 特表-局所用組成物及びその使用 図10
  • 特表-局所用組成物及びその使用 図11
  • 特表-局所用組成物及びその使用 図12
  • 特表-局所用組成物及びその使用 図13
  • 特表-局所用組成物及びその使用 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】局所用組成物及びその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/99 20170101AFI20240220BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 8/04 20060101ALI20240220BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20240220BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
A61K8/99
A61K8/25
A61K8/92
A61K8/31
A61K8/60
A61K8/36
A61K8/81
A61K8/86
A61K8/37
A61K8/55
A61K8/04
A61Q19/08
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553338
(86)(22)【出願日】2022-03-03
(85)【翻訳文提出日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 IB2022051860
(87)【国際公開番号】W WO2022185238
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】2021900605
(32)【優先日】2021-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.アンドロイド
(71)【出願人】
【識別番号】507324555
【氏名又は名称】ブリス テクノロジーズ リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】ジョン デイビッド フランシス ヘイル
(72)【発明者】
【氏名】ロヒット ジャイン
(72)【発明者】
【氏名】アビゲイル ルイーズ ボス
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA031
4C083AA032
4C083AA071
4C083AA081
4C083AA111
4C083AA121
4C083AA122
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB191
4C083AB221
4C083AB281
4C083AB321
4C083AB331
4C083AB441
4C083AC011
4C083AC021
4C083AC031
4C083AC122
4C083AC131
4C083AC172
4C083AC231
4C083AC291
4C083AC301
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC431
4C083AC441
4C083AC442
4C083AC461
4C083AC491
4C083AC531
4C083AC581
4C083AC641
4C083AC681
4C083AC851
4C083AD091
4C083AD151
4C083AD201
4C083AD211
4C083AD241
4C083AD261
4C083AD262
4C083AD272
4C083AD331
4C083AD351
4C083AD352
4C083AD411
4C083AD412
4C083AD431
4C083AD571
4C083AD621
4C083AD631
4C083AD641
4C083AD661
4C083BB11
4C083BB23
4C083BB41
4C083BB44
4C083BB46
4C083BB47
4C083BB48
4C083BB51
4C083CC02
4C083DD05
4C083DD27
4C083DD30
4C083DD39
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE12
4C083FF01
(57)【要約】
本明細書中に記述されていることは、ミクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)組成物を用いて、皮膚の外観又は少なくとも1つの皮膚の老化の兆候を改善する方法である。本発明はまた、そのような方法において有用な局所用組成物、キット及び局所用組成物の製造方法にも関連している。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミクロコッカス・ルテウスQ24(Micrococcus luteus Q24)を含む局所用組成物を皮膚に適用することを含む、皮膚の外観又は少なくとも1つの老化の兆候を改善する方法。
【請求項2】
前記組成物は、約1×10~約1×1012cfu/gの量のミクロコッカス・ルテウスQ24を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物は、粘度調整剤を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物は、約3~約15%w/wの量の粘度調整剤を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記粘度調整剤は、疎水性シリカ、親水性シリカ、白蝋、黄蝋、パラフィンワックス、ホホバワックス、マイクロクリスタリンワックス、エチルセルロース、ステアリン酸、キサンタンガム、タピオカデンプン、カーボポールポリマー、ココアバター、シアバター及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記組成物は、分散剤を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物は、約0.1~約5%w/wの量の分散剤を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記分散剤は、ポリソルベート80、ポリソルベート20、オレイン酸ソルビタン、卵レシチン、大豆レシチン、ポリオキシル35ヒマシ油及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物は、オイルビヒクルを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記オイルビヒクルは、中鎖トリグリセリド、植物油又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記中鎖トリグリセリドは、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記植物油は、ひまわり油、菜種油、大豆油、オリーブオイル、ホホバオイル、アルガンオイル、ローズヒップオイル、マルラオイル、カモミールオイル、タマヌオイル、ブドウ種子油及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ミクロコッカス・ルテウスQ24は、凍結乾燥保護剤を含まない、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物は、さらに一又は複数の追加のプロバイオティクスを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記一又は複数の追加のプロバイオティクスは、ストレプトコッカス種(a Streptococcus spp.)、ラクトバチルス種(a Lactobacillus spp.)、リモシラクトバチルス種(Limosilactobacillus spp.)、ラクチカゼイバチルス種(a Lacticaseibacillus spp.)、リギラクトバチルス種(a Ligilactobacillus spp.)、ラクチプランチバチルス種(Lactiplantibacillus spp.)、ビフィドバクテリウム種(a Bifidobacterium spp.)、サッカロミセス種(a Saccharomyces spp.)及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ストレプトコッカス種は、ストレプトコッカス・サリバリウスK12(Streptococcus salivarius K12)、ストレプトコッカス・サリバリウスM18(Streptococcus salivarius M18)、ストレプトコッカス24SMB(Streptococcus 24SMB)、ストレプトコッカス・オラリス(Streptococcus oralis)、ストレプトコッカス・サリバリウスDB-B5(Streptococcus salivarius DB-B5)及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記組成物は、約1×10~約1×1012cfu/gの量のそれぞれ追加のプロバイオティクスを含む、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記組成物は、阻害活性エンハンサー、緩衝剤、抗細菌剤、プレバイオティクス、香料、酸化防止剤、着色剤、皮膚保護剤、抗微生物剤、アルミニウム塩、鉱物顔料、臭気吸収剤又は中和剤、日焼け防止剤及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせをさらに含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記阻害活性エンハンサーは、塩化ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸、アルギニン、炭酸カルシウム及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記緩衝剤は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、炭酸マグネシウム、尿素、水和酸化アルミニウム、ベントナイト粘度、カオリン粘度及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記抗細菌剤は、キシリトール、エリスリトール、エピデルミン、ナイシン、サリバリシンA、サリバリシンA1、サリバリシンA2、サリバリシンB、サリバリシン9、サリバリシンMPS及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記プレバイオティクスは、マヌカハニーパウダー、オリーブスクワラン、ザクロ種子油、フラックスシードオイル、ココナッツオイル、コロイドオートミール、ビタミンE、ビタミンC、レチノール(ビタミンA)、オリーブオイル、ヒアルロン酸、カレンデュラオイル、アーモンドオイル、トマト油、アラントイン、アロエベラパウダー、キシリトール、酵母エキス、フラクトオリゴ糖粉末、フラクトオリゴ糖液、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ナイアシンアミド、日焼け止め及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記香料は、ローズウォーター、オレンジブロッサム、ローズガーデニア、ピオニー、ホワイトジャスミン、イランイランオイル、ゼラニウムオイル、ローズオイル及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記酸化防止剤は、ビタミンE、レスベラトロール、スクワラン、ビタミンC、β-カロテン、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、レチノール、ナイアシンアミド、カフェイン及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記皮膚保護剤は、セラミド、コラーゲン、エラスチン、コエンザイムQ10、加水分解コラーゲン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、レチノール、パルミトイルトリペプチド-1、パルミトイルテトラペプチド-7、パルミトイルテトラペプチド-38、アセチルヘキサペプチド-8、ヘプタペプチド-14、ヘプタペプチド-15-パルミテート、パルミトイルテトラペプチド-7、パルミトイルトリペプチド-1、α-ヒドロキシ酸、β-ヒドロキシ酸、ビタミンB5、海藻、海藻抽出物、シリコーン、キシリトール、カラスムギエキス、オートミール粉、コロイドオートミール、アロエベラ、日焼け止め及びこれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記抗微生物剤は、亜鉛、アゼライン酸、過酸化ベンゾイル及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
前記組成物は、約0.1%~約10%w/wのオリーブスクワラン及び約0.1~約10%w/wのザクロ種子油を含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記組成物は、約0.1%~約10%w/wのオリーブスクワラン及び約0.1~約3%w/wのビタミンEを含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記皮膚の外観又は少なくとも1つの老化の兆候を改善することには、皮膚がより輝いて見えること、皮膚がより健康に見えること、皮膚がより潤ったと感じること、毛穴が小さくなること、皮膚がより柔らかく感じること、皮膚がより透明に見えること、シワが減少すること、乾燥が減少すること、シミが減少すること、不純物が減少すること、水分が増加すること及び皮脂生成が減少することが含まれる、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記組成物は非水性である、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
適用される場合に、前記組成物は、水相と組み合わせて適用される、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記組成物は、25℃で約20,000~約2,000,000cpの粘度を有する、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記組成物は、25℃で、60%RHで少なくとも6ヶ月の保存可能期間を有する、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
ミクロコッカス・ルテウスQ24、粘度調整剤、分散剤及びオイルビヒクルを含む局所用組成物であって、前記組成物が、約1×10~約1×1010cfu/gの量のミクロコッカス・ルテウスQ24を含む、局所用組成物。
【請求項35】
ミクロコッカス・ルテウスQ24、疎水性シリカ、ポリソルベート80及びオイルビヒクルを含む局所用組成物。
【請求項36】
局所用組成物であって、以下の
約1×10~約1×1012cfu/gのミクロコッカス・ルテウスQ24、
約2~約10%w/wの疎水性シリカ、
約0.5~約2%w/wのポリソルベート80、及び
十分な量のオイルビヒクル、
を含む、局所用組成物。
【請求項37】
前記オイルビヒクルは、中鎖トリグリセリドである、請求項36に記載の局所用組成物。
【請求項38】
0.1~35%w/wのプレバイオティクス(複数可)をさらに含む、請求項36又は37に記載の局所用組成物。
【請求項39】
前記プレバイオティクス(複数可)は、オリーブスクワラン、ザクロ種子油、ビタミンE又はそれらの組み合わせから選択される、請求項38に記載の局所用組成物。
【請求項40】
前記プレバイオティクスは、オリーブスクワラン及びザクロ種子油;オリーブスクワラン及びビタミンE;並びにオリーブスクワラン及びザクロ種子油及びビタミンEの組み合わせから選択される、請求項38又は39に記載の局所用組成物。
【請求項41】
皮膚の外観又は少なくとも1つの老化の兆候を改善するための、請求項1~40のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項42】
皮膚の外観又は少なくとも1つの老化の兆候を改善するための、薬剤の製造におけるミクロコッカス・ルテウスQ24の使用。
【請求項43】
油相及び水相を含む二相組成物であって、前記油相は、請求項36~40のいずれか一項に記載の局所用組成物を含む、二相組成物。
【請求項44】
ミクロコッカス・ルテウスQ24を含む局所用組成物及び水性組成物を含む、キット。
【請求項45】
前記キットは、第1の容器及び第2の容器を有する分注システムを含み、前記第1の容器がミクロコッカス・ルテウスQ24を含む油相を含み、第2の容器が水相を含む、請求項44に記載のキット。
【請求項46】
ミクロコッカス・ルテウスQ24を含む局所用組成物の製造方法であって、以下の工程:
a)オイルビヒクル及び分散剤を混合すること、
b)工程a)からの混合物に、ミクロコッカス・ルテウスQ24及び粘度調整剤を添加すること、
c)工程b)からの混合物を均質化し、組成物を提供すること、
を含む、製造方法。
【請求項47】
前記ミクロコッカス・ルテウスQ24の粒径(Dv90)は、約300μm未満である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記ミクロコッカス・ルテウスQ24の粒径は、約250μm未満又は約100μm未満である、請求項46又は47に記載の方法。
【請求項49】
加熱せずに実施される、請求項46~48のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)組成物を用いて、皮膚の外観又は少なくとも1つの皮膚の老化の兆候を改善する方法に関する。本発明はまた、かかる方法において有用な局所用組成物(topical compositions)及びキットにも関連している。
【背景技術】
【0002】
プロバイオティック微生物を含むスキンケア製品は、ますますよく知られるようになってきている。現在までスキンケア製品において用いられてきた微生物又は関連製品は、一般に、ビフィドバクテリウム種(Bifidobacterium spp)、ラクトバチルス種(Lactobacillus spp)(現在では、リモシラクトバチルス種(Limosilactobacillus spp.)、ラクチカゼイバチルス種(Lacticaseibacillus spp.)、ラクチプランチバチルス種(Lactiplantibacillus spp.)、リギラクトバチルス種(Ligilactobacillus spp.)として知られている)、ラクトコッカス種(Lactococcus spp)及びストレプトコッカス種(Streptococcus spp)又は前記細菌から作成されたろ液若しくは溶解物である。しかしながら、それらが皮膚微生物叢と相互作用する際に果たす役割は、十分に理解されていない。
【0003】
WO2006104403(Blis Technologies Limited)は、ミクロコッカス・ルテウス(M.luteus)組成物及び皮膚疾患又は障害を制御するためのそれらの治療的使用を説明する。Deutsche Sammlung von Mikro organisms Und Zellkulturen GmbH、ブラウンシュヴァイク、ドイツにアセッション番号 DSM 17172で寄託するプロバイオティック株Q24もまた、提供されている。この文書は、参照により本明細書中に全体として援用される。
【0004】
ANZCTR、湿疹治療(Eczema Treatment)のためのプロバイオティクス(登録番号:ACTRN12616000022460)は、湿疹の治療のためのミクロコッカス・ルテウスQ24(Micrococcus luteus Q24)の溶解物の使用を試験する臨床試験を説明する。結果は提供されていない。
【0005】
本出願人らは、化粧品用途におけるM.ルテウスの新たな役割を予想外に同定した。そのような化粧品用途としては、皮膚の外観又は少なくとも1つの皮膚の老化の兆候を改善することが挙げられる。この予期せぬ発見に基づき、化粧品用途に適した新しい化粧品処理方法及び組成物を開発する必要がある。
【0006】
プロバイオティック生物を扱うことは困難である。プロバイオティクスは敏感であり、様々な凍結乾燥工程、かかる工程において用いられる薬剤、処理条件及び製剤化剤(formulation agents)などに対して、しばしば予測できない反応を示す。
【0007】
厳しい凍結乾燥工程において、微生物は、一般に様々な凍結乾燥保護剤(lyoprotectants)及び凍結保護剤(cryoprotectants)を用いて保護される。本出願人らはまた、驚くべきことに、M.ルテウスがプロバイオティック微生物の生存能力の有意な低下を伴わない、凍結乾燥保護剤又は凍結保護剤の非存在下において製剤化し得るということを見出した。
【0008】
M.ルテウスが水性溶媒及び極性溶媒中で不安定であることが発見され、化学物質に敏感であり、かつ熱に敏感であるため、ミクロコッカス・ルテウスを含む製剤の調製は、困難であり得る。
【0009】
本発明の目的は、ミクロコッカス・ルテウス組成物を使用して、皮膚の外観又は少なくとも1つの皮膚の老化の兆候を改善する方法を提供すること;及び/又は少なくとも有用な選択肢を公衆に提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、ほんの一例として与えられる以下の記述から明らかになり得る。
【0011】
本明細書に含まれる文書、行為、材料、装置、物品又は同様のもののいかなる議論も、本発明に関する文脈を提供する目的のためだけのものである。これらの事項のいずれか又は全てが先行技術基盤の一部を形成しているか、あるいは優先日以前に存在した本発明に関連する分野における公衆の一般知識であったと認めるものと解釈してはならない。
【発明の概要】
【0012】
第1の態様において、本発明は、ミクロコッカス・ルテウスQ24を含む局所用組成物を皮膚に適用することを含む、皮膚の外観又は少なくとも1つの老化の兆候を改善する方法に関する。
【0013】
第2の態様において、本発明は、ミクロコッカス・ルテウスQ24、粘度調整剤、分散剤及びオイルビヒクル(an oil vehicle)を含む局所用組成物を提供し、前記組成物は約1×10~約1×1010cfu/gの量のミクロコッカス・ルテウスQ24を含む。
【0014】
第3の態様において、本発明は、ミクロコッカス・ルテウスQ24、疎水性シリカ、ポリソルベート80及びオイルビヒクルを含む局所用組成物を提供する。
【0015】
第4の態様において、本発明は、以下の
約1×10~約1×1012cfu/gのミクロコッカス・ルテウスQ24、
約2~約10%w/wの疎水性シリカ
約0.5~約2%w/wのポリソルベート80、及び
十分な量のオイルビヒクル、
を含む、局所用組成物を提供する。
【0016】
第5の態様において、本発明は、皮膚の外観又は少なくとも1つの老化の兆候を改善するために、第1から第4の態様のいずれか1つに規定される局所用組成物を提供する。
【0017】
第6の態様において、本発明は、皮膚の外観又は少なくとも1つの老化の兆候を改善するための薬剤の製造におけるミクロコッカス・ルテウスQ24の使用に関する。
【0018】
第7の態様において、本発明は、油相及び水相を含む二相組成物を提供し、前記油相が第2から第4の態様のいずれか1つに記載の局所用組成物を含む。
【0019】
第8の態様において、本発明は、ミクロコッカス・ルテウスQ24を含む局所用組成物及び水性組成物を含むキットを提供する。
【0020】
第9の態様において、本発明は、以下の工程:
a)オイルビヒクルと分散剤を混合すること、
b)工程a)からの混合物にミクロコッカス・ルテウスQ24及び粘度調整剤を添加すること、
c)工程b)からの混合物を均質化し、組成物を提供すること、
を含む、ミクロコッカス・ルテウスQ24を含む局所用組成物の製造方法に関する。
【0021】
以下の実施形態及び選好は、単独で、あるいは任意の2つ以上の任意の組み合わせで、上記の態様のいずれかに関連してもよい。
【0022】
様々な実施形態において、組成物は、約1×10~約1×1012cfu/gの量のミクロコッカス・ルテウスQ24を含む。
【0023】
様々な実施形態において、組成物は粘度調整剤を含む。
【0024】
様々な実施形態において、組成物は、約3~約15%w/wの量の粘度調整剤を含む。
【0025】
様々な実施形態において、粘度調整剤は、疎水性シリカ、親水性シリカ、白蝋(white beeswax)、黄蝋(yellow beeswax)、パラフィンワックス、ホホバワックス、マイクロクリスタリンワックス(microcrystalline wax)、エチルセルロース、ステアリン酸、キサンタンガム、タピオカデンプン、カーボポールポリマー(Carbopol polymer)、ココアバター、シアバター及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0026】
様々な実施形態において、組成物は分散剤を含む。
【0027】
様々な実施形態において、組成物は、約0.1~約5%w/wの量の分散剤を含む。
【0028】
様々な実施形態において、分散剤は、ポリソルベート80、ポリソルベート20、オレイン酸ソルビタン、卵レシチン、大豆レシチン、ポリオキシル35ヒマシ油(polyoxyl 35 castor oil)及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0029】
様々な実施形態において、組成物はオイルビヒクルを含む。
【0030】
様々な実施形態において、オイルビヒクルは、中鎖トリグリセリド(a medium chain triglyceride)、植物油又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0031】
様々な実施形態において、中鎖トリグリセリドは、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル(a caprylic/capric triglyceride)である。
【0032】
様々な実施形態において、植物油は、ひまわり油、菜種油、大豆油、オリーブオイル、ホホバオイル、アルガンオイル、ローズヒップオイル、マルラオイル、カモミールオイル、タマヌオイル、ブドウ種子油及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0033】
様々な実施形態において、ミクロコッカス・ルテウスQ24は、凍結乾燥保護剤を含まない(lyoprotectant-free)。
【0034】
様々な実施形態において、組成物は、一又は複数の追加のプロバイオティクス(probiotics)をさらに含む。
【0035】
様々な実施形態において、一又は複数の追加のプロバイオティクスは、ストレプトコッカス種、ラクトバチルス種、リモシラクトバチルス種、ラクチカゼイバチルス種、リギラクトバチルス種、ラクチプランチバチルス種、ビフィドバクテリウム種、サッカロミセス種(a Saccharomyces spp)及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0036】
様々な実施形態において、ストレプトコッカス種は、ストレプトコッカス・サリバリウスK12(Streptococcus salivarius K12)、ストレプトコッカス・サリバリウスM18(Streptococcus salivarius M18)、ストレプトコッカス・サリバリウス24SMB(Streptococcus salivarius24SMB)、ストレプトコッカス・オラリス(Streptococcus oralis)(例えば、S.オラリス89a(S.Oralis89a))及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。様々な実施形態において、ストレプトコッカス種は、ストレプトコッカス・サリバリウスK12、ストレプトコッカス・サリバリウスM18、ストレプトコッカス・サリバリウス24SMB、ストレプトコッカス・オラリス(例えば、S.オラリス89a)、ストレプトコッカス・サリバリウスDB-B5(Streptococcus salivarius DB-B5)及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0037】
様々な実施形態において、組成物は、約1×10~約1×1012cfu/gの量のそれぞれ追加のプロバイオティクスを含む。
【0038】
様々な実施形態において、組成物は、阻害活性エンハンサー(an inhibitory activity enhancer)、緩衝剤、抗細菌剤(an antibacterial agent)、プレバイオティクス(a prebiotic)、香料、酸化防止剤、着色剤、皮膚保護剤、抗微生物剤(an antimicrobial)、アルミニウム塩、鉱物顔料(a mineral pigment)、臭気吸収剤又は中和剤、日焼け防止剤及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせをさらに含む。
【0039】
様々な実施形態において、阻害活性エンハンサーは、塩化ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸、アルギニン、炭酸カルシウム及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0040】
様々な実施形態において、緩衝剤は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二カリウム及びリン酸二水素カリウム、炭酸マグネシウム、尿素、水和酸化アルミニウム(hydrated aluminum oxides)、水和酸化アルミニウム、ベントナイト粘度、カオリン粘度並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0041】
様々な実施形態において、抗細菌剤は、キシリトール、エリスリトール、エピデルミン、ナイシン、サリバリシン(salivaricin)A、サリバリシンA1、サリバリシンA2、サリバリシンB及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。様々な実施形態において、抗細菌剤は、キシリトール、エリスリトール、エピデルミン、ナイシン、サリバリシンA、サリバリシンA1、サリバリシンA2、サリバリシンB、サリバリシン9、サリバリシンMPS及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0042】
様々な実施形態において、プレバイオティクスは、マヌカハニーパウダー、オリーブスクワラン(olive squalene)、ザクロ種子油、フラックスシードオイル(flax seed oil)、ココナッツオイル、コロイドオートミール(colloidal oatmeal)、ビタミンE、ビタミンC、レチノール(ビタミンA)、オリーブオイル、ヒアルロン酸、カレンデュラオイル、アーモンドオイル、トマト油、アラントイン、アロエベラパウダー、コロイドオートミール、キシリトール、酵母エキス、フラクトオリゴ糖粉末、フラクトオリゴ糖液、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ナイアシンアミド、日焼け止め及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0043】
様々な実施形態において、プレバイオティクスは、酵母エキス、システイン、マルトデキストリン、イヌリン、甘草の根、甘草エキス、蜂蜜及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0044】
様々な実施形態において、香料は、ローズウォーター、オレンジブロッサム、ローズガーデニア、ピオニー、ホワイトジャスミン、イランイランオイル、ゼラニウムオイル、ローズオイル及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0045】
様々な実施形態において、酸化防止剤は、ビタミンE、レスベラトロール、スクワラン(squalene)、ビタミンC、β-カロテン、酢酸レチノール(retinyl acetate)、パルミチン酸レチノール(retinyl palmitate)、レチノール、ナイアシンアミド、緑茶、緑茶抽出物、カフェイン及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0046】
様々な実施形態において、酸化防止剤は、オリーブスクワラン、ザクロ種子油、フラックスシードオイル、ココナッツオイル、コロイドオートミール、ビタミンE、ビタミンC、レチノール(ビタミンA)、オリーブオイル、ヒアルロン酸、カレンデュラオイル、アーモンドオイル、トマト油及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択される。
【0047】
様々な実施形態において、皮膚保護剤は、セラミド、コラーゲン、エラスチン、コエンザイムQ10、加水分解コラーゲン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、レチノール、パルミトイルトリペプチド-1、パルミトイルテトラペプチド-7、パルミトイルテトラペプチド-38、アセチルヘキサペプチド-8、ヘプタペプチド-14、ヘプタペプチド-15-パルミテート(heptapeptide-15-palmitate)、パルミトイルテトラペプチド-7、パルミトイルトリペプチド-1、α-ヒドロキシ酸、β-ヒドロキシ酸、ビタミンB5、海藻、海藻抽出物(seaweed extract)、シリコーン、キシリトール、カラスムギエキス(oat extract)、オートミールパウダー、コロイドオートミール、アロエベラ及びこれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。様々な実施形態において、皮膚保護剤は、セラミド、コラーゲン、エラスチン、コエンザイムQ10、加水分解コラーゲン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、レチノール、パルミトイルトリペプチド-1、パルミトイルテトラペプチド-7、パルミトイルテトラペプチド-38、アセチルヘキサペプチド-8、ヘプタペプチド-14、ヘプタペプチド-15-パルミテート、パルミトイルテトラペプチド-7、パルミトイルトリペプチド-1、α-ヒドロキシ酸、β-ヒドロキシ酸、ビタミンB5、海藻、海藻抽出物、シリコーン、キシリトール、カラスムギエキス、オートミールパウダー、コロイドオートミール、アロエベラ、日焼け止め及びこれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0048】
様々な実施形態において、抗微生物剤は、亜鉛、サリチル酸、アゼライン酸、過酸化ベンゾイル及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0049】
様々な実施形態において、組成物は、約0.1%~約10%w/wのオリーブスクワラン及び約0.1~約10%w/wのザクロ種子油を含む。
【0050】
様々な実施形態において、組成物は、約0.1%~約10%w/wのオリーブスクワラン及び約0.1~約3%w/wのビタミンEを含む。
【0051】
様々な実施形態において、組成物は、約0.1%~約10%w/wのオリーブスクワラン及び約0.1~約10%w/wのザクロ種子油及び約0.1~約3%w/wのビタミンEを含む。
【0052】
様々な実施形態において、皮膚の外観又は少なくとも1つの老化の兆候を改善することとしては、皮膚がより輝いて見えること、皮膚がより健康に見えること、皮膚がより潤ったと感じること、毛穴が小さくなること、皮膚がより柔らかく感じること、皮膚がより透明に見えること、シワが減少すること、乾燥が減少すること、シミが減少すること、不純物が減少すること、水分が増加すること及び皮脂生成が減少することが挙げられる。
【0053】
様々な実施形態において、組成物は非水性である。
【0054】
様々な実施形態において、適用される場合、組成物は、水相と組み合わせて適用される。
【0055】
様々な実施形態において、組成物は、25℃で約20,000~約500,000cpの粘度を有する。様々な実施形態において、組成物は、25℃で約20,000~約2,000,000cpの粘度を有する。
【0056】
様々な実施形態において、組成物は、25℃で、60%RHで少なくとも6ヶ月の保存可能期間を有する。
【0057】
様々な実施形態において、オイルビヒクルは中鎖トリグリセリドである。
【0058】
様々な実施形態において、組成物は、0.1~10%w/wのプレバイオティクス(複数可)をさらに含む。様々な実施形態において、組成物は、0.1~35%w/wのプレバイオティクス(複数可)をさらに含む。
【0059】
様々な実施形態において、プレバイオティクス(複数可)は、オリーブスクワラン、ザクロ種子油、ビタミンE又はそれらの組み合わせから選択される。
【0060】
様々な実施形態において、プレバイオティクスは、オリーブスクワラン及びザクロ種子油;オリーブスクワラン及びビタミンE;並びにオリーブスクワラン及びザクロ種子油及びビタミンEの組み合わせから選択される。
【0061】
様々な実施形態において、キットは、第1の容器及び第2の容器を有する分注システム(a dispensing system)を含み、前記第1の容器がミクロコッカス・ルテウスQ24を含む油相を含み、第2の容器が水相を含む。
【0062】
様々な実施形態において、ミクロコッカス・ルテウスQ24の粒径(Dv90)は、約300μm未満である。
【0063】
様々な実施形態において、ミクロコッカス・ルテウスQ24の粒径は、約250μm未満又は約100μm未満である。
【0064】
様々な実施形態において、本方法は、加熱せずに実施される。
【0065】
本発明はまた、本出願の明細書中で言及されるか、あるいは示される部分、要素及び特徴が個々に、あるいは集合的に、前記部分、要素又は特徴の任意の、あるいは全ての2つ以上の組み合わせに存在すると広く言うこともでき、本発明が関連付ける当技術分野において既知の等価物を有する特定の整数が本明細書中で言及される場合、そのような既知の等価物は個々に規定されたかのように、本明細書中に援用されるとみなされる。
【0066】
本明細書中で開示される数の範囲(例えば、1~10)への言及はまた、その範囲内のすべての有理数(例えば、1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9及び10)及びまた、その範囲内の任意の有理数の範囲(例えば、2~8、1.5~5.5及び3.1~4.7)への言及も援用することが意図され、それ故に本明細書中で明示的に開示される全ての範囲の全てのサブ範囲(sub-range)は、本明細書によって明示的に開示される。これらは、具体的に意図されたものの例のみであり、列挙された最低値と最高値の間の数値の全ての可能な組み合わせは、本出願において同様のやり方で明記されるとみなされることになっている。
【0067】
本明細書において、特許明細書、他の外部文書又は他の情報源に言及した場合、これは、一般に本発明の特徴を議論するための文脈を提供する目的である。特に別段の定めをした場合を除き、かかる外部文書への言及は、いかなる法域においても、かかる文書若しくはかかる情報源が、先行技術であること又は当技術分野における周知の一般知識の一部を形成すると認めるものとして構成されるべきではない。
【0068】
本発明が関連付ける当技術分野の当業者にとっては、本発明の構造における多くの変更並びに大きく異なる実施形態及び適用は、添付の特許請求の範囲に記載の本発明の範囲から逸脱することなく示唆されるであろう。本明細書における開示及び記述は、純粋に例示的であり、いかなる意味においても限定的であることを意図したものではない。
【0069】
本発明は広義には上記で規定したとおりであるが、当業者は、本発明がこれらに限定されず、本発明はまた、下記の説明が実施例を与える実施形態も含有するということを理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0070】
本発明は、添付の図面を参照して説明されることになる:
【0071】
図1図1は、ミクロコッカス・ルテウスQ24の凍結乾燥原料(raw ingredient)の4℃の冷蔵保管条件下での保存可能期間の安定性を示す。P1:凍結乾燥保護剤としてのトレハロース(trehalose)。P2:Blis Technologies Ltd、トレハロース、マルトデキストリン(maltodextrin)及びラクチトール(lactitol)のトライミックスブレンド(trimix blend)。P3:凍結乾燥保護剤なし。
【0072】
図2図2は、皮膚分析装置(a Skin analyzer device)(Dermo Prime(dp)/viso、CHOWIS、韓国)から得られたデータを用いて、ベースラインと比較した本発明の組成物の使用後の皮膚パラメーターにおける変化を示す参加者の割合を表示する。
【0073】
図3図3は、ベースラインから25日目までの、本発明の組成物を使用した参加者からキャプチャーされた画像を示す。パラメーターとしては、毛穴、シミ、不純物及びシワが挙げられ、パラメーターは皮膚分析装置(dP/viso、CHOWIS、韓国)を使用して測定された。
【0074】
図4図4は、25日間にわたる本発明の組成物の適用前後の参加者におけるパラメーターの範囲の変化の例を示す。
【0075】
図5図5は、25℃/60%RHにおける、製剤14、17、19、21、28、30及び32(表1参照)並びにセトマクロゴールクリーム(Cetomacrogol cream)におけるQ24の安定性を示す。
【0076】
図6図6は、Blis Q24の各用量レベルを与えられた個々の組織の(PBSネガティブコントロール処理と比較した)生存率を示す散布図を表示する。処理群5~9は、それぞれ105~109cfu/mLの用量でBlis Q24を与えられた。太い水平バー(horizontal bar)は、群平均を示し、エラーバーは95%信頼区間、P<0.05で有意差を示す。
【0077】
図7図7は、0日目及び4日目に組織の条件培地中で測定された個々のIL-6、IL8及びIL-18レベルの散布図を示す。水平バーは、群平均であり、エラーバーは95%信頼区間**、P<0.01で有意に差異を示す。
【0078】
図8図8は、Blis Q24で5日間処理されたEpiDermの組織像を示す(かつPBS及びビタミンC-データは示されない)。切片は、ヘマトキシリン・エオジン染色(H&E)で染色され、40倍の倍率で画像化された。矢印「B」は、組織が成長した透過性膜を示す。示されている組織層は、「C」の基底層、「D」の顆粒層、「E」の角質層である。「A」とラベルされた矢印は、角質層に捕捉された核の遺残(nuclear remunants)を示す(存在は、角質層の産生を促進した可能性を示す)。
【0079】
図9図9は、主処理及び±0.5%SDSの組み合わせを与えられた組織の調整培地において、4日目及び5日目に測定されたIL-8レベルの個々の変化の散布図を示す。水平バーは、群平均であり、エラーバーは95%信頼区間***、P<0.001で有意に差異を示す。
【0080】
図10図10は、ベースラインと比較した、Blis Q24「活性」組成物対偽薬の肌質パラメーターを示す。
【0081】
図11図11は、ベースラインと比較した、Blis Q24「生体(Live)」組成物対Blis Q24「死滅(Dead)」組成物の肌質パラメーターを示す。
【0082】
図12図12は、潜在的プレバイオティクスを有するQ24の成長曲線を示す。
【0083】
図13図13は、プレバイオティクスの組み合わせ-オリーブスクワランとザクロ種子油;オリーブスクワランとオートミール粉(コロイドオートミール);及びオリーブスクワランとビタミンEの成長曲線を示す。
【0084】
図14図14は、プレバイオティクス存在下における共生種(commensal species)の増殖を示す。
【0085】
発明の詳細な説明
定義
本明細書及び特許請求の範囲において用いられる「を含む」という用語は、「少なくとも部分的にからなる(consisting at least in part of)」を意味する。「を含む」という用語を含有する本明細書及び特許請求の範囲において各記述を解釈する場合、前記用語又は前記用語によって前置きされる用語以外の特徴もまた、存在することができる。「comprise」、「comprising」及び「comprises」などの関連用語も同様に解釈されることになっている。
【0086】
本明細書中で用いられるとき、「及び/又は」という用語は、「及び」あるいは「又は」、あるいはその両方を意味する。
【0087】
本明細書中で用いられるとき、名詞の後に続く「(s)」とは、名詞の複数形及び/又は単数形を意味する。
【0088】
本明細書において、例えば、式中で用いられる一般的な化学用語及び生物学用語は、それらの通常の意味を有する。
【0089】
本明細書中で用いられるとき、「対象」という用語は、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ヒツジ、ウシ及び他の家畜(domestic and farm animals)を含む哺乳類を指す。
【0090】
単位「cfu/g」とは、グラム当たりのコロニー形成単位を意味する。コロニー形成単位(CFU)は、試料中の生菌数を推定するために使用される単位である。コロニー形成単位の決定は、微生物の培養を必要とし、生存細胞、すなわち増殖して目に見えるコロニーを形成することができる細胞のみをカウントする。
【0091】
単位「%w/w」とは、組成物の総重量に基づく百分率重量(percentage weight)を意味する。
【0092】
本明細書中で用いられるとき、「凍結乾燥保護剤を含まない」又は「凍結保護剤を含まない(cryoprotectant-free)」という用語は、M.ルテウスが凍結乾燥保護剤又は凍結保護剤又はその両方の非存在下において産生されていることを意味する。
【0093】
本明細書中で用いられるとき、「対象における皮膚の外観又は少なくとも1つの老化の兆候の改善」という用語は、皮膚の輝き、皮膚の健康、皮膚保湿(skin hydration)、毛穴の大きさ、皮膚の柔らかさ、皮膚の透明感、水分レベル、皮脂レベル、シワ、乾燥、荒れ、くすみの出現、加齢によるシミ(age spots)を含むシミの出現及び不純物を含む、皮膚分析のために一般的に使用される少なくとも1つのパラメーターの改善を意味する。
【0094】
局所用組成物及び方法
本明細書中に記述されていることは、ミクロコッカス・ルテウスQ24を含む局所用組成物を皮膚に適用することを含む、皮膚の外観又は少なくとも1つの老化の兆候を改善する方法である。また、本明細書中に記述されていることは、皮膚の外観又は少なくとも1つの老化の兆候を改善するための、ミクロコッカス・ルテウスQ24を含む局所用組成物でもある。さらに、本明細書中に記述されていることは、皮膚の外観又は少なくとも1つの老化の兆候を改善するための薬剤の製造におけるミクロコッカス・ルテウスQ24の使用である。
【0095】
本明細書中に記述されていることは、ミクロコッカス・ルテウスQ24、粘度調整剤、分散剤及びオイルビヒクルを含む局所用組成物であり、前記組成物が、約1×10~約1×1010cfu/gの量のミクロコッカス・ルテウスQ24を含む。
【0096】
また、本明細書中に記述されていることは、ミクロコッカス・ルテウスQ24、疎水性シリカ、ポリソルベート80及びオイルビヒクルを含む局所用組成物である。
【0097】
また、本明細書中に記述されていることは、以下の
約1×10~約1×1012cfu/gのミクロコッカス・ルテウスQ24、
約2~約10%w/wの疎水性シリカ、
約0.5~約2%w/wのポリソルベート80、及び
十分な量のオイルビヒクル、
を含む、局所用組成物である。
【0098】
様々な実施形態において、オイルビヒクルは中鎖トリグリセリドである。
【0099】
本明細書中に記述されている局所用組成物は、皮膚の外観又は少なくとも1つの老化の兆候を改善するために使用されることができる。
【0100】
本明細書中に記述されていることは、皮膚の外観又は少なくとも1つの老化の兆候を改善するための薬剤の製造におけるミクロコッカス・ルテウスQ24の使用である。
【0101】
本発明において有用なQ24は、組織培養モデルによって、耐容性良好であること、抗炎症性反応を誘発しないこと、抗炎症作用を有すること、皮膚を若返らせること及び潤いを与えること並びに皮膚の毛穴及びシワを減少させることに役立つことができる角質層の成長を促進することが見出されている(実施例9参照)。
【0102】
ミクロコッカス・ルテウスQ24
ミクロコッカス・ルテウスは、ヒトの皮膚上の通常の細菌(共生生物)であり、皮膚の様々な微生物叢の間のバランスを保つ上で重要な細菌である。
【0103】
M.ルテウス Q24は、2005年3月10日にDeutsche Sammlung von Mikro organisms Und Zellkulturen GmbH、ブラウンシュヴァイク、ドイツに寄託され、アクセッション番号 DSM 17172を付与された。M.ルテウス株Q24は、参照により本明細書中に援用されるWO2006104403に記述されている。
【0104】
様々な実施形態において、M.ルテウスは生きているプロバイオティクスである。
【0105】
様々な実施形態において、本発明の方法において有用である本発明の組成物は、約1×10~約1×1012cfu/gの量のミクロコッカス・ルテウスQ24を含む。様々な実施形態において、組成物は、約1×10~約1×1012、約1×10~約1×1012、約1×10~約1×1012、約1×10~約1×1012、約1×10~約1×1012、約1×10~約1×1010、 約1×10~約1×1010、約1×10~約1×1010、約1×10~約1×1010、約1×10~約1×1010、約1×10~約1×10、約1×10~約1×10、約1×10~約1×10、約1×10~約1×10cfu/gの量のミクロコッカス・ルテウスQ24を含む。様々な実施形態において、組成物は、約1×10cfu/gの量のミクロコッカス・ルテウスQ24を含む。
【0106】
様々な実施形態において、ミクロコッカス・ルテウスQ24は、凍結乾燥する(freeze-dried)か、あるいは凍結乾燥される(lyophilized)。様々な実施形態において、ミクロコッカス・ルテウスQ24は、凍結乾燥保護剤又は凍結保護剤中で提供される。凍結乾燥保護剤及び凍結保護剤は、細胞の生存性を保護及び維持するために、プロバイオティクスを含む製品の製造において一般的に使用される。「凍結乾燥保護剤」及び「凍結保護剤」という用語は、有効成分、この場合はミクロコッカス・ルテウスQ24を保護する組成物を指す。凍結乾燥保護剤は、乾燥時に保護するが、凍結保護剤は凍結時に保護する。同様の組成物は、両方の機能を有することができ、別段の定めがある場合を除き、用語は本明細書中で意味の区別なく使用される。
【0107】
適切な凍結乾燥保護剤又は凍結保護剤は、当業者に既知であろう。様々な実施形態において、凍結乾燥保護剤は、トレハロース又はトレハロース、マルトデキストリン及びラクチトールを含むトライミックス(trimix)である。
【0108】
驚いたことに、本出願人らは、ミクロコッカス・ルテウスQ24もまた、図1に示されるように、凍結乾燥保護剤又は凍結保護剤の非存在下において、細胞生存率の有意な減少がなくても凍結乾燥し得るということを同定した。この結果は、微生物が日常的に凍結乾燥工程中に保護される必要がある場合には、直感では理解し難い。様々な実施形態において、ミクロコッカス・ルテウスQ24は、組成物中で凍結乾燥保護剤を含まない。
【0109】
上記の内容から分かるように、この発見は、凍結乾燥工程が簡略化される場合に重要な製造の利点につながり、凍結乾燥保護剤又は凍結保護剤を用いる必要がない場合にはコストが減少する。
【0110】
粘度調整剤
様々な実施形態において、組成物は、粘度調整剤を含む。有利には、粘度調整剤は、プロバイオティクスの放出特性を調節し、組成物の粘度を変更するためにも使用されることができる。
【0111】
様々な実施形態において、組成物は、約3~約15%w/wの量の粘度調整剤を含む。例えば、組成物は、約3~約10%又は約3~約9%又は約3~約8%又は約4~約15%又は約4~約10%又は約4~約9%又は約4~約8%又は約5~約15%又は約5~約10%又は約5~約9%又は約5~約8%w/wの量の粘度調整剤を含んでもよい。例えば、組成物は、組成物の総重量に基づいて、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%又は約15%w/wの量の粘度調整剤を含んでもよい。様々な実施形態において、組成物は、約7%w/wの量の粘度調整剤(例えば、疎水性シリカ)を含む。
【0112】
適切な粘度調整剤としては、疎水性シリカ、親水性シリカ、白蝋、黄蝋、パラフィンワックス、ホホバワックス、マイクロクリスタリンワックス、エチルセルロース、ステアリン酸、キサンタンガム、タピオカデンプン、カーボポールポリマー(例えば971p、974p)、ココアバター、シアバター及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、粘度調整剤は疎水性シリカ(例えば、Aerosil R972)(登録商標)である。
【0113】
分散剤
様々な実施形態において、組成物は、分散剤を含む。有利には、分散剤は、組成物中の固体粒子の分散を促進することができる。例えば、分散剤は、組成物中のプロバイオティクスの分散を促進することができる。さらに、分散剤は、適用前に一緒に混合される場合、油相の水相との乳化を補助することができる。分散剤は、非イオン性分散剤又は両性分散剤であることができる。非イオン性分散剤の例としては、ポリソルベート80(Tween80)、ポリソルベート20(Tween20)、オレイン酸ソルビタン(Span80)、ポリオキシル35ヒマシ油(Cremaphor EL)が挙げられるが、これらに限定されない。両性分散剤の例としては、卵レシチン及び大豆レシチンなどのレシチンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0114】
様々な実施形態において、組成物は、約0.1~約5%w/wの量の分散剤を含む。例えば、組成物は、約0.5~約4%、約0.5~約3%、約0.5~約2.5%w/w、約0.5~約2%w/w又は約1~約2%w/wの量の分散剤を含んでもよい。様々な実施形態において、組成物は、約1%w/w又は約2%w/wの量の分散剤(例えばTween80)を含む。
【0115】
オイルビヒクル
様々な実施形態において、組成物は、オイルビヒクルを含む。適切なオイルビヒクルとしては、中鎖トリグリセリド及び植物油が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、中鎖トリグリセリドは、Miglyol812N(飽和ココナッツオイル/パーム核油由来のカプリル脂肪酸及びカプリン脂肪酸並びに植物由来のグリセロールのトリグリセリドエステル)などのトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルである。様々な実施形態において、植物油は、ひまわり油、菜種油、大豆油、オリーブオイル、ホホバオイル、アルガンオイル、ローズヒップオイル、マルラオイル、カモミールオイル、タマヌオイル、ブドウ種子油及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0116】
様々な実施形態において、組成物は、十分な量(a quantity sufficient (q.s.) amount)、すなわち、組成物の合計%w/wを100%に至らせる量の非水性担体を含む。様々な実施形態において、組成物は、約55~約95%w/wの量の非水性担体を含む。例えば、組成物は、約60~約95%又は約60~約90%又は約65~約90%又は約65~約90%又は約70~約95%又は約75~約95%又は約75~約90%又は約80~約90%又は約80~約90%w/w又は約85~約95%又は約85~約90%約88~又は約93%w/wを含んでもよい。様々な実施形態において、組成物は、88、89、90、91、92又は93%w/wの量の非水性担体を含む。
【0117】
様々な実施形態において、組成物は非水性である。様々な実施形態において、組成物は、実質的に無水である。様々な実施形態において、組成物は、7%未満の水、5%未満の水、3%未満の水、2%未満の水、1%未満の水、0.5%未満の水、0.1%未満の水又は0.01%未満の水を含む。本組成物において、水は、周囲から吸収された水分を含有する。
【0118】
追加のプロバイオティクス
様々な実施形態において、組成物は、さらに一又は複数の追加のプロバイオティクスを含む。適切な追加のプロバイオティクスとしては、ラクトバチルス種(例えば、L.アシドフィルス(L.acidophilus))、リモシラクトバチルス属(例えば、L.ロイテリ(L.reuteri)、以前はラクトバチルス・ロイテリ)、ラクチカゼイバチルス種(例えば、L.ラムノサス(L.rhamnosus)、以前はラクトバチルス・ラムノサス)、リギラクトバチルス種(例えば、L.サリバリウス(L.salivarius)、以前はラクトバチルス・サリバリウス)、ラクチプランチバチルス種(例えば、L.プランタルム(L.plantarum)、以前はラクトバチルス・プランタルム)、ビフィドバクテリウム種(例えば、B.ビフィダム(B.bifidum)、B.ロンガム(B.longum)又はB.ラクティスBB12(B.lactis BB12))、ストレプトコッカス種(例えば、S.オラリス(S.oralis)、S.オラリス89a、S.ウベリス(S.uberis)、S.サリバリウス24SMB(S.salivarius24SMB)、S.サリバリウスM18(S.salivarius M18)、S.サリバリウスK12(S.salivarius K12)又はS.サリバリウスDB-B5(S.salivarius DB-B5))及びサッカロミセス種(例えば、S.ブラウディ(S.boulardii)又はS.セレビシエ(S.cerevisiae))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0119】
S.サリバリウスK12は、1999年10月8日にDeutsche Sammlung von Mikro organismen Und Zellkulturen GmbH,Mascheroder Weg 1b,D-38124、ブラウンシュヴァイク、ドイツに寄託され、アクセッション番号DSM13084を付与された。S.サリバリウスM18は、2001年12月12日にDeutsche Sammlung von Mikro organismen Und Zellkulturen GmbH,Mascheroder Weg 1b,D-38124、ブラウンシュヴァイク、ドイツに寄託され、DSM14685番を付与された。
【0120】
様々な実施形態において、ストレプトコッカス種は、ストレプトコッカス・サリバリウスK12、ストレプトコッカス・サリバリウスM18、ストレプトコッカス・オラリス(例えば、S.オラリス89a)、ストレプトコッカス・サリバリウス24SMB及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。様々な実施形態において、ストレプトコッカス種は、ストレプトコッカス・サリバリウスK12、ストレプトコッカス・サリバリウスM18、ストレプトコッカス・サリバリウス24SMB、ストレプトコッカス・オラリス(例えば、S.オラリス89a)、ストレプトコッカス・サリバリウスDB-B5及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0121】
様々な実施形態において、組成物は、約1×10~約1×1012cfu/gの量のそれぞれの追加のプロバイオティクスを含む。例えば、組成物は、約1×10~約1×1012、約1×10~約1×1012、約1×10~約1×1012、約1×10~約1×1012、約1×10~約1×1012、約1×10~約1×1010、約1×10~約1×1010、約1×10~約1×1010、約1×10~約1×1010、約1×10~約1×1010、約1×10~約1×10、約1×10~約1×10、約1×10~約1×10、約1×10~約1×10cfu/gの量のそれぞれの追加のプロバイオティクスを含む。様々な実施形態において、組成物は、約1×10cfu/gの量のそれぞれの追加のプロバイオティクスを含む。
【0122】
追加の添加剤
当業者は、局所用組成物が保湿剤のような、局所用組成物において従来の方法で用いられる他の添加剤を含んでもよいということを十分理解するであろう。当業者は、添加剤がプロバイオティクスの生存能力及び効能に適合する必要があるということをさらに理解するであろう。そのような添加剤は、組成物の治療法、化粧品、安定性、及び/又は外観の特性を提供、あるいは改善することができる。適切な添加物の例としては、阻害活性エンハンサー、緩衝剤、抗細菌剤、プレバイオティクス、香料、酸化防止剤、着色剤、皮膚保護剤、抗微生物剤、アルミニウム塩、鉱物顔料、臭気吸収剤又は中和剤又は日焼け防止剤が挙げられるが、これらに限定されない。そのような添加剤は、局所製剤に典型的な量で本発明の組成物中に含有されることができる。生菌又は凍結乾細菌の局所適用に適している様々な薬学的に許容される添加剤は、当技術分野で周知である。当業者は、任意の追加の添加剤がミクロコッカス・ルテウスQ24に対して阻害性であってはならないということを正しく理解するであろう。
【0123】
当業者はまた、いくつかの添加物は、例えば、酸化防止剤又は皮膚保護剤がプレバイオティクスとしても機能するような、二重機能を有するということも十分理解するであろう。
【0124】
様々な実施形態において、組成物は、阻害活性エンハンサー、緩衝剤、抗細菌剤、プレバイオティクス、香料、酸化防止剤、着色剤、皮膚保護剤、抗微生物剤、アルミニウム塩、鉱物顔料、臭気吸収剤又は中和剤、日焼け防止剤及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせをさらに含む。
【0125】
様々な実施形態において、阻害活性エンハンサーは、塩化ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸、アルギニン、炭酸カルシウム及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0126】
様々な実施形態において、緩衝剤は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、炭酸マグネシウム、尿素、水和酸化アルミニウム、ベントナイト粘度、カオリン粘度及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0127】
様々な実施形態において、抗細菌剤は、キシリトール、エリスリトール、エピデルミン、ナイシン、サリバリシンA、サリバリシンA1、サリバリシンA2、サリバリシンB及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。様々な実施形態において、抗細菌剤は、キシリトール、エリスリトール、エピデルミン、ナイシン、サリバリシンA、サリバリシンA1、サリバリシンA2、サリバリシンB、サリバリシン9、サリバリシンMPS及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0128】
様々な実施形態において、組成物は、プレバイオティクスを含む。プレバイオティクスは、Q24の成長を増進し、抗菌活性を強化するか、あるいは皮膚の品質パラメーターを向上させるための化合物の産生を増進することができる。
【0129】
様々な実施形態において、プレバイオティクスは、マヌカハニー、オリーブスクワラン、ザクロ種子油、フラックスシードオイル、ココナッツオイル、コロイドオートミール、ビタミンE、ビタミンC、オリーブオイル、ヒアルロン酸、カレンデュラオイル、アーモンドオイル、トマト油、アラントイン、アロエベラパウダー、コロイドオートミール、キシリトール、酵母エキス、フラクトオリゴ糖粉末、フラクトオリゴ糖液、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0130】
様々な実施形態において、プレバイオティクスは、酵母エキス、システイン、マルトデキストリン、イヌリン、甘草の根、甘草エキス、蜂蜜及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。様々な実施形態において、プレバイオティクスは、酵母エキス、システイン、マルトデキストリン、イヌリン、甘草の根、甘草エキス及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0131】
様々な実施形態において、プレバイオティクスは、油プレバイオティクス又は粉末プロバイオティクスであってもよい。様々な実施形態において、組成物は、油プレバイオティクス及び/又は粉末プレバイオティクスを含む。様々な実施形態において、油プレバイオティクスは、オリーブスクワラン、ザクロ種子油、フラックスシードオイル、ココナッツオイル、ビタミンE、オリーブオイル、カレンデュラオイル、アーモンドオイル、トマト油、フラクトオリゴ糖液及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。様々な実施形態において、粉末プレバイオティクスは、マヌカハニー、コロイドオートミール、ビタミンC、ヒアルロン酸、アラントイン、アロエベラパウダー、コロイドオートミール、キシリトール、酵母エキス、フラクトオリゴ糖粉末、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0132】
様々な実施形態において、プレバイオティクスは、オリーブスクワラン及びザクロ種子油;オリーブスクワラン及びビタミンE;又はオリーブスクワラン、ザクロ種子油及びビタミンEの組み合わせである。本発明者らは、驚いたことに、オリーブスクワラン及びザクロ種子油又はオリーブスクワラン及びビタミンEの組み合わせがミクロコッカス・ルテウスQ24の成長に対する相乗効果を有するということを同定した。
【0133】
様々な実施形態において、組成物は、約0.1%~約10%w/wのプレバイオティクス、例えば、約0.1%~約8%又は約0.1%~約6%又は約0.1%~約5%又は約0.3%~約8%又は約0.3%~約6%又は約0.3%~約5%又は約0.5%~約8%又は約0.5%~約6%又は約0.5%~約5%又は約1%~約8%又は約1%~約6%又は約1%~約5%w/wのプレバイオティクスを含む。
【0134】
様々な実施形態において、組成物は、約0.1%~約35%w/wのプレバイオティクス、例えば、約0.1%~約30%、約0.1%~約25%又は約0.1%~約20%又は約0.1%~約18%又は約0.1%~約16%又は約0.1%~約15%又は約0.1%~約12%又は約0.1%~約10%又は約0.1%~約8%又は約0.1%~約6%又は約0.1%~約5%又は約0.1%~約2%、又は約0.3%~約35%又は約0.3%~約30%又は約0.3%~約25%又は約0.3%~約20%又は約0.3%~約18%又は約0.3%~約16%又は約0.3%~約15%又は約0.3%~約12%又は約0.3%~約10%又は約0.3%~約8%又は約0.3%~約6%又は約0.3%~約5%又は約0.3%~約2%、又は約0.5%~約35%又は約0.5%~約30%又は約0.5%~約25%又は約0.5%~約20%又は約0.5%~約18%又は約0.5%~約16%又は約0.5%~約15%又は約0.5%~約12%又は約0.5%~約10%又は約0.5%~約8%又は約0.5%~約6%又は約0.5%~約5%又は約0.5%~約2%、又は約0.5%~約35%、又は約1%~約30%又は約1%~約25%又は約1%~約20%又は約1%~約18%又は約1%~約16%又は約1%~約15%又は約1%~約12%又は約1%~約10%又は約1%~約8%又は約1%~約6%又は約1%~約5%、又は約0.5%~約35%、又は約3%~約30%又は約3%から約25%又は約3%から約20%又は約3%~約18%又は約3%~約16%又は約3%~約15%又は約3%~約12%又は約3%~約10%又は約3%~約8%又は約3%~約6%又は約3%~約5%、又は約4%~約30%又は約4%~約25%又は約4%~約20%又は約4%~約18%又は約4%~約16%又は約4%~約15%又は約4%~約12%又は約4%~約10%又は約4%~約8%又は約4%~約6%又は約4%~約5%w/wのプレバイオティクスを含む。
【0135】
様々な実施形態において、組成物は、約35%w/wのプレバイオティクスの量の油プレバイオティクス、例えば、約0.1%~約30%、約0.1%~約25%又は約0.1%~約20%又は約0.1%~約18%又は約0.1%~約16%又は約0.1%~約15%又は約0.1%~約12%又は約0.1%~約10%又は約0.1%~約8%又は約0.1%~約6%又は約0.1%~約5%又は約0.1%~約2%、又は約0.3%~約35%又は約0.3%~約30%又は約0.3%~約25%又は約0.3%~約20%又は約0.3%~約18%又は約0.3%~約16%又は約0.3%~約15%又は約0.3%~約12%又は約0.3%~約10%又は約0.3%~約8%又は約0.3%~約6%又は約0.3%~約5%又は約0.3%~約2%、又は約0.5%~約35%又は約0.5%~約30%又は約0.5%~約25%又は約0.5%~約20%又は約0.5%~約18%又は約0.5%~約16%又は約0.5%~約15%又は約0.5%~約12%又は約0.5%~約10%又は約0.5%~約8%又は約0.5%~約6%又は約0.5%~約5%又は約0.5%~約2%、又は約0.5%~約35%、又は約1%~約30%又は約1%~約25%又は約1%~約20%又は約1%~約18%又は約1%~約16%又は約1%~約15%又は約1%~約12%又は約1%~約10%又は約1%~約8%又は約1%~約6%又は約1%~約5%、又は約0.5%~約35%、又は約3%~約30%又は約3%~約25%又は約3%~約20%又は約3%~約18%又は約3%~約16%又は約3%~約15%又は約3%~約12%又は約3%~約10%又は約3%~約8%又は約3%~約6%又は約3%~約5%、又は約4%~約30%又は約4%~約25%又は約4%~約20%又は約4%~約18%又は約4%~約16%又は約4%~約15%又は約4%~約12%又は約4%~約10%又は約4%~約8%又は約4%~約6%又は約4%~約5%の油プレバイオティクスを含む。
【0136】
様々な実施形態において、組成物は、約0.1%~約20%又は約0.1%~約18%又は約0.1%~約16%又は約0.1%~約15%又は約0.1%~約12%又は約0.1%~約10%又は約0.1%~約8%又は約0.1%~約6%又は約0.1%~約5%又は約0.1%~約2%、又は約0.3%~約20%又は約0.3%~約18%又は約0.3%~約16%又は約0.3%~約15%又は約0.3%~約12%又は約0.3%~約10%又は約0.3%~約8%又は約0.3%~約6%又は約0.3%~約5%又は約0.3%~約2%、又は約0.5%~約20%又は約0.5%~約18%又は約0.5%~約16%又は約0.5%~約15%又は約0.5%~約12%又は約0.5%~約10%又は約0.5%~約8%又は約0.5%~約6%又は約0.5%~約5%又は約0.5%~約2%、又は約1%~約20%又は約1%~約18%又は約1%~約16%又は約1%~約15%又は約1%~約12%又は約1%~約10%又は約1%~約8%又は約1%~約6%又は約1%~約5%、又は約3%~約20%又は約3%~約18%又は約3%~約16%又は約3%~約15%又は約3%~約12%又は約3%~約10%又は約3%~約8%又は約3%~約6%又は約3%~約5%、又は約4%~約20%又は約4%~約18%又は約4%~約16%又は約4%~約15%又は約4%~約12%又は約4%~約10%又は約4%~約8%又は約4%~約6%又は約4%~約5%w/wの粉末プレバイオティクスの量の粉末プレバイオティクスを含む。
【0137】
特定の実施形態において、組成物は、約0.1~約30%w/w又は約3%~約8%w/w又は約4%~約6%w/w又は約5%w/wのオリーブスクワランを含む。特定の実施形態において、組成物は、約0.1~約30%w/w又は約3%~約8%w/w又は約4%~約6%w/w又は約5%w/wのオリーブスクワランを含む。特定の実施形態において、組成物は、約5%w/wのフラックスシードオイルを含む。特定の実施形態において、組成物は、約1%w/wのコロイドオートミールを含む。特定の実施形態において、組成物は、約0.1~約2%w/w又は約0.2~約1.5%又は約0.2~約0.6%又は約0.3%又は約0.5~約1.3%又は約0.8~約1.2%又は約1%w/wのビタミンEを含む。
【0138】
本発明者らは、プレバイオティクスであるオリーブスクワラン及びザクロ種子油の組み合わせ;及びプレバイオティクスであるオリーブスクワラン及びビタミンEの組み合わせが相乗的であるということを予想外に同定した。その結果、特定の実施形態において、組成物は、約0.1%~約10%w/wのオリーブスクワラン、約3%~約8%w/w又は約4~約7%w/w又は約5%w/w又は約0.5%~約3%w/w又は約0.5~約2%w/w又は約1%w/wのオリーブスクワラン、及び約0.1~約10%w/wのザクロ種子油又は約2~約8%w/w又は約3~約7%w/w又は約4~約6%w/w又は約3~約5%w/w又は約5%w/w又は約0.5~約3%w/w又は約0.5~約2%w/w又は約1%w/wのザクロ種子油を含む。特定の実施形態において、組成物は、約0.1%~約10%w/wのオリーブスクワラン、約3%~約8%w/wのオリーブスクワラン又は約4~約7%w/wのオリーブスクワラン、例えば、約5%w/wのオリーブスクワラン、及び約0.1~約3%w/w又は約0.1~約2%w/w又は約0.2~約1.5%又は約0.2~約0.6%又は約0.3%又は約0.5~約1.3%又は約0.8~約1.2%又は約1%w/wのビタミンEを含む。
【0139】
特定の実施形態において、組成物は、約0.1%~約10%w/wのオリーブスクワラン又は約3%~約8%w/w又は約4~約7%w/w又は約5%w/w又は約0.5%~約3%w/w又は約0.5~約2%w/w又は約1%w/wのオリーブスクワラン;及び約0.1~約10%w/wのザクロ種子油又は約2~約8%w/w又は約3~約7%w/w又は約4~約6%w/w又は約3~約5%w/w又は約5%w/w又は約0.5%~約3%w/w又は約0.5~約2%w/w又は約1%w/wのザクロ種子油;及び約0.1~約3%w/w又は約0.1~約2%w/w又は約0.2~約1.5%又は約0.2~約0.6%又は約0.3%又は約0.5~約1.3%又は約0.8~約1.2%又は約1%w/wのビタミンEを含む。
【0140】
様々な実施形態において、香料は、ローズウォーター、オレンジブロッサム、ローズガーデニア、ピオニー、ホワイトジャスミン、イランイランオイル、ゼラニウムオイル、ローズオイル及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。香料は、油又は粉末として添加されることができる。
【0141】
様々な実施形態において、酸化防止剤は、ビタミンE、レスベラトロール、スクワラン、ビタミンC、β-カロテン、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、レチノール、ナイアシンアミド、緑茶、緑茶抽出物、カフェイン及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。様々な実施形態において、酸化防止剤は、ビタミンE、レスベラトロール、スクワラン(例えば、オリーブスクワラン)、ビタミンC、β-カロテン、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、レチノール、ナイアシンアミド、ザクロ種子油、フラックスシードオイル及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0142】
様々な実施形態において、皮膚保護剤は、セラミド、コラーゲン、エラスチン、コエンザイムQ10、加水分解コラーゲン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、レチノール、パルミトイルトリペプチド-1、パルミトイルテトラペプチド-7、パルミトイルテトラペプチド-38、アセチルヘキサペプチド-8、ヘプタペプチド-14、ヘプタペプチド-15-パルミテート、パルミトイルテトラペプチド-7、パルミトイルトリペプチド-1、α-ヒドロキシ酸(例えば、乳酸、グリコール酸)、β-ヒドロキシ酸(例えば、サリチル酸)、ビタミンB5、海藻、海藻抽出物、シリコーン、キシリトール、カラスムギエキス、オートミールパウダー、コロイドオートミール、アロエベラ及びこれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。様々な実施形態において、皮膚保護剤は、セラミド、コラーゲン、エラスチン、コエンザイムQ10、加水分解コラーゲン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、レチノール、パルミトイルトリペプチド-1、パルミトイルテトラペプチド-7、パルミトイルテトラペプチド-38、アセチルヘキサペプチド-8、ヘプタペプチド-14、ヘプタペプチド-15-パルミテート、パルミトイルテトラペプチド-7、パルミトイルトリペプチド-1、α-ヒドロキシ酸(例えば、乳酸、グリコール酸)、β-ヒドロキシ酸(例えば、サリチル酸)、ビタミンB5、海藻、海藻抽出物、シリコーン、キシリトール、カラスムギエキス、オートミールパウダー、コロイドオートミール、アロエベラ、日焼け止め及びこれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0143】
様々な実施形態において、抗微生物剤は、亜鉛、サリチル酸、アゼライン酸、過酸化ベンゾイル及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。様々な実施形態において、抗微生物剤は、亜鉛、アゼライン酸、過酸化ベンゾイル及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0144】
様々な実施形態において、アルミニウム塩は、クロルヒドロキシアルミニウム塩(aluminium chlorohydrate salt)又は制汗剤に一般的に使用される他の塩である。
【0145】
様々な実施形態において、鉱物顔料は、酸化亜鉛及び/又は二酸化チタンである。鉱物顔料は、例えば、太陽からの紫外線から保護することが知られている。
【0146】
様々な実施形態において、臭気吸収剤又は中和剤は、リシノール酸亜鉛(zinc ricinoleate)又はラウロイルサルコシン酸ナトリウム(sodium lauryl sarcosinate)である。
【0147】
様々な実施形態において、日焼け防止剤は、オキシベンゾン、アボベンゾン、オクチサレート(octisalate)、オクトクリレン、ホモサレート又はオクチノキサートである。ミネラル日焼け防止剤は、酸化亜鉛及び/又は二酸化チタンを使用する。
【0148】
当業者はまた、組成物が水相と組み合わせて適用される場合、記述されている追加の添加剤もまた、水相中に提供されることができるということも理解するであろう。
【0149】
皮膚の外観又は老化の兆候の改善
本明細書中に記述されている組成物としては、皮膚の外観を改善するためか、あるいは皮膚の老化の兆候を改善するために有用である。皮膚の外観又は老化の兆候の改善としては、皮膚がより輝いて見えること、皮膚がより健康に見えること、皮膚がより潤ったと感じること、毛穴が小さくなること、皮膚がより柔らかく感じること、皮膚がより透明に見えること、水分が増加すること、皮脂生成が減少すること並びにシワ、乾燥、荒れ、くすみ、加齢によるシミを含むシミ及び不純物の出現を減少させることを含むが、これらに限定されない効果を挙げることができる。
【0150】
毛穴の大きさ、皮膚の水分量、皮脂生成、シワ、シミ及び不純物は、全て皮膚分析装置(例えば、(Dermo Prime(dp)/viso、CHOWIS、韓国)を用いて測定されることができる。AIを搭載した皮膚分析装置は、水分補給(hydration)、皮脂、毛穴、シワ、シミ/色素沈着、不純物、角質(keratin)、肌の色合い、黒ずみ、皮膚の敏感性などの様々な皮膚パラメーターの変化を定量的に測定する。装置は、湿度センサーを装備しており、レンズ交換式の高度な光学技術を利用して最大10の異なる皮膚測定値を測定し、アンドロイドOS又はタブレット又はスマートフォンにインストールされたDermoBellaアプリを介して高解像度画像(high resolution images)の正確な分析を実施する。装置は、本明細書中の実施例に記載のプロトコルに従って使用される。皮膚パラメーター測定は、毎回同じ皮膚の部位で行われる。
【0151】
赤み(redness)のような不純物の程度は、ポルフィリンの量を測定することによって分析され得る。それは、UV光の特定の波長範囲に反応して、緋色、オレンジ色の光として示される。
【0152】
不純物は、緋色又は黄緑色として見られる。これらは、別々に分析され得るが、装置は前記2つを組み合わせ、それらを不純物として分類する。指標は、画像サイズに対する百分率によって計算される。検出されたポルフィリンの量に基づいて赤みの程度を分類する任意の値は存在しない。
【0153】
局所用組成物の形態
様々な実施形態において、組成物は、25℃で約20,000~約500,000cp、例えば25℃で約30,000~約100,000cpの粘度を有する。様々な実施形態において、組成物は、25℃で約20,000~約2,000,000cpの粘度を有する。
【0154】
粘度は、0.5RPMに設定されたBrookfield Helipath Spindle(S94又はS95又はS96)を用いるBrookfield LVDVI Primeを使用して、25℃で測定されることができる。当業者は、粘度を測定するために使用され得る他の方法、及び粘度測定値が用いられる方法によって変化する可能性があるということを十分理解するであろう。
【0155】
様々な実施形態において、組成物は、60%RH(相対湿度)で、25℃で少なくとも6ヶ月の保存可能期間を有する。様々な実施形態において、組成物は、60%RH(相対湿度)で、25℃で少なくとも12ヶ月の保存可能期間を有する。
【0156】
二相組成物
水性組成物は、一般に病原体の増殖を防ぐために防腐剤の添加を必要とする。これらの防腐剤は、通常は非選択性であり、プロバイオティクスの細胞死を引き起こし、それ故にすぐさま効力を失う。さらに、ミクロコッカス・ルテウスQ24は、水性製剤において安定でないようである。しかしながら、例えば、ミクロコッカス・ルテウスQ24の安定性又は生存能力に影響を与えずに組成物の展延性を改善し、組成物の官能的特徴(sensory features)を改善し(例えば、油っぽい感覚が薄れる)及び/又はビヒクルとして作用するために、本発明の局所用組成物を水性組成物に応用することは、有利であることができる。
【0157】
様々な実施形態において、適用される場合、組成物は、水相と組み合わせて適用される。
【0158】
適切な水相は、当業者にとって明らかであろう。水相は、溶媒、皮膚軟化剤、保湿剤(humectants)、乳化剤、防腐剤、粘度調整剤、プレバイオティクス及び香料の適切な組合せを含むことができる。市販の保湿剤(moisturisers)は、適切な水相の一例である。
【0159】
水相の成分としては、水、CMCナトリウム及び微結晶性セルロース(Vivapur MCG 811)、防腐剤(例えば、フェノキシエタノール及びエチルヘキシルグリセリン)、グリセリン、サーファクチンナトリウム、キサンタンガム、香料、カプリル酸ヤシアルキル(coco-caprylate)、セトステアリルアルコール、ステアリン酸グリセリル、セテアリルコムギワラグリコシズ、フェノキシエタノール及びステアロイルグルタミン酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0160】
水相はまた、プレバイオティクス又は酸化防止剤などの上記で概説されたような追加の添加剤を含んでもよい。
【0161】
また、本明細書中に記述されていることは、油相及び水相を含む二相組成物であり、前記油相は、ミクロコッカス・ルテウスQ24、粘度調整剤、分散剤及びオイルビヒクルを含む。本明細書中に記述されていることは、別個の油相及び別個の水相を含む二相組成物であり、前記油相は、ミクロコッカス・ルテウスQ24、粘度調整剤、分散剤及びオイルビヒクルを含む。組成物は、任意の前述の特徴を含んでもよい。様々な実施形態において、油相は、水相と同時に適用される。
【0162】
二相組成物は、適用時に二相を同時に分注するように設計されたノズルを有する、油相及び水相のための別個の室(chambers)又は容器を含むデュアルチャンバーボトル(a dual chamber bottle)に充填されることができる。相は、室に別々に保管され、適用時に組み合わされる。適切なディスペンサーの例は、米国特許10,384,224に記述されている。
【0163】
キット
本明細書中に記述されていることは、ミクロコッカス・ルテウスQ24を含む局所用組成物及び水性組成物を含むキットである。
【0164】
様々な実施形態において、キットは、第1の容器及び第2の容器を有する分注システムを含み、前記第1の容器がミクロコッカス・ルテウスQ24を含む油相を含み、第2の容器が水相を含む。US10,384,224に記述されているようなデュアルチャンバーボトルは、キット中に含まれることに適している。
【0165】
キットはまた、使用のための導入書(instructions)とともに提供されてもよい。
【0166】
局所用組成物の調製方法
一態様において、本発明は、以下の工程:
a)オイルビヒクル及び分散剤を混合すること、
b)工程a)からの混合物に、ミクロコッカス・ルテウスQ24及び粘度調整剤を添加すること、
c)工程b)からの混合物を均質化し、組成物を提供すること、
を含む、ミクロコッカス・ルテウスQ24を含む局所用組成物の製造方法を提供する。
【0167】
本明細書中に記述されている局所用組成物は、最初にオイルビヒクル及び分散剤を混合し、ミクロコッカス・ルテウスQ24を一定の旋回をしながら混合物に添加し、粘度調整剤を混合物に添加し、混合物を、例えば、約1~3分間均質化し、組成物を提供することによって調製されることができる。様々な実施形態において、ミクロコッカス・ルテウスQ24は、粘度調整剤の前に添加される。他の実施形態において、粘度調整剤は、ミクロコッカス・ルテウスQ24の前に添加される。様々な実施形態において、混合物は、高せん断ホモジナイザー(a high shear homogeniser)又はオーバーヘッドスターラーを用いて均質化される。
【0168】
有利には、方法は、加熱工程を含まない。様々な実施形態において、方法は、加熱することなく実施される。ミクロコッカス・ルテウスQ24は、熱に弱いことが判明している。加熱することは、細胞の生存性を失う結果となる。したがって、本出願人らは、プロバイオティクスの最適な生存能力を維持しながら、組成物の効率的な製造を可能にする代わりの組成物を開発した。
【0169】
ミクロコッカス・ルテウスQ24は、混合物に添加する前に、250μm未満の粒径に粉砕されるか、あるいはふるいにかけられることができる。様々な実施形態において、ミクロコッカス・ルテウスQ24の粒径は約250μm未満又は約100μm未満である。適切な粉砕及びふるい分け技術は、当業者にとって明らかであろう。例えば、ミクロコッカス・ルテウスQ24は、乾式粉体機(a dry powder comill)(例えば、U10又はU21などのQuadro Powder Mills)を用いて粉砕されることができる。より小さい粒径は、二相ディスペンサーからの油相の分注にとって有利であり、組成物の改善された展延性を提供し、水相と組み合わせた場合に分散性を向上させ、組成物の改善された知覚特性(sensory properties)、すなわち、粒子が大きくないか、あるいはザラザラしていないことを提供することができる。
【0170】
様々な実施形態において、ミクロコッカス・ルテウスQ24は、約300μm未満又は約250μm未満の粒径(Dv90)を有する。Dv90は、乾式粉体分散(dry power dispersion)の粒度分析のためのレーザー回折法(Malvern Instruments、米国)によって測定されることができる。当業者は、Dv90が300μm未満の粒子が250μmのふるいを完全に通過することができることを十分理解するであろう。
【0171】
使用方法
本発明は、それを必要とする対象者における皮膚の外観又は少なくとも1つの老化の兆候を改善する方法に関する。方法は、それを必要とする対象の皮膚に本発明の局所用組成物を適用することを含む。本発明の組成物は、油相セラム(serum)単独として、顔用クリーム若しくは全身用保湿剤として、スプレーとして又はスポットオンクリーム(spot on cream)として、二相の保湿クリームに使用されることができる。組成物は、対象者の皮膚の問題に対処するために適切な量で適用されることができる。当業者は、組成物が非常に若い人から非常に高齢の人まで、あらゆる年齢の対象者に適用されることができるということを十分理解するであろう。適用される量は、対象者の年齢、性別及び対処される問題に従って変化する可能性がある。典型的な適用体制は、本発明の組成物を月1回、週1回、毎日又は1日1~4回適用することを含むことができる。
【0172】
顔に適用されるか、あるいはスポットオン製剤として使用される場合の組成物の通常用量は、典型的には0.09~0.20グラム、より一般的には0.10~0.15グラムである。用量は、典型的には約1×10~約1×10cfuを含むであろう。当然のことながら、より大量が身体の保湿のために使用される。当業者は、調剤される量が、適用される組成物におけるミクロコッカス・ルテウスQ24の濃度及びそれが適用される形態によって決まるということを理解するであろう。
【0173】
本発明の組成物は、従来の保湿剤として同様に、かつ任意の日常のスキンケア体制で使用されることができる。典型的な適用体制は、本発明の組成物を1日1回又は2回、通常はクレンジング後に使用することを含むことができる。組成物の長期間か、あるいは例えば、1~2ヶ月の限られた期間の使用が検討される。
【実施例
【0174】
材料
設備:油相製剤の成分は、ホモジナイザー(IKA Ultra Turrax T25、John Morris group、ニュージーランド)を用いて混合された。臨床試験のために、油相は、二重シリンダー単一分注ボトル(dual cylinder single dispensing bottles)(Neomix、Salient、フランス)中に充填された。
【0175】
化学物質:Blis Q24は、FoodBowl Aucklandによって発酵及び凍結乾燥した。Blisリオプロテクタントブレンドは、Callaghan innovationによって調製された(2017年6月)。複数の皮膚病原体株は、Blis Technologies Labにある-80℃の冷凍庫から調達された。中鎖トリグリセリド(トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル)、例えば、Miglyol812(Ph Eurグレード)又はRadia7104は、それぞれSasol、ハンブルグ、ドイツ又はOleon、マレーシアから購入された。Tween80(Ph Eurグレード)は、Sigma(ニュージーランド)から購入された。疎水性シリカ(Aerosil R972(医薬品グレード))は、Evonik、ドイツから購入された(Chemiplas、オークランド、ニュージーランドが供給)。水性クリームは、Blis Technologies社内で調製され、水性保湿剤はShieling laboratories、ニュージーランドによって供給された。蒸留水は、試料及び培養物の調製のために使用された。他の全ての化学薬品及び溶媒は、分析グレードのものである(Sigma、ニュージーランド)。臨床試験及び安定性研究用のQ24油相及び水相を保管するためのプラスチックボトルは、Neomix、フランスから購入された。皮膚分析装置(dpViso、Dermobella app)は、CHOWIS(北朝鮮)から購入された。Samsung Tablet10.1は、PB Technologies、ニュージーランドから購入された。
【0176】
実施例1:油相に含有するためのBlis Q24原料のサイズの最適化
Blis Q24原料は、目に見えて大きな粒径>500μmを有していた。油相の製剤化に関して、二重シリンダー単一ディスペンサーボトル(Neomix、フランス)からの安定した調剤及び皮膚に適用する際に感覚的な審美眼(sensory aesthetic)を可能にするために、意図された粒径は<250μm未満であることになっていた。フィルターバッグ(BagPage+極小孔あきフィルター付き全面フィルターバッグ<250μm)(Interscience、ニュージーランド)が使用された。Blis Q24は、フィルターバッグの内側のメッシュポケット/ふるい(250μm)の中に入れられ、5分間手で振った後に、細かくふるいにかけられた材料(<250μm)は外側のポケットに収集された。必要に応じて、麺棒を用いて原料に軽く圧力が加えられ、大きな凝集体をさらに粉砕した。その後、ストマッカー袋の外側のポケットに小さな切れ目を入れ、分離されてふるいにかけられた原料(<250μm)及びふるいにかけられていない原料(>250μm)は、収集され、かつ別々に保管された。
【0177】
実施例2:局所用組成物の調製方法
250mlのガラスのビーカーを用いて、必要量のビヒクル(表1、MCT参照)は軽量され、その後に分散剤Tween80の添加が続いた。その後、ビーカーは、ぼんやりした混合物が形成されるまで手動で静かに回転した。その後、Blis Q24及び疎水性シリカは、常に回転させながらMCT/Tween80混合物に添加され、均一な混合物が得られ、その後に高せん断ホモジナイザー又はオーバーヘッドホモジナイザーを用いる分散が続き、全ての成分を均一に分散させた。
【表1】
【0178】
実施例3:安定性試験
製剤の安定性は、ICHが推奨した、ガラス瓶又はデュアルチャンバーボトル中で5℃±3℃で冷蔵及び/又は25℃±2℃/60±5%RHのリアルタイムの条件下で保管する、安定性試験のガイドライン(ICH Q1AR2)に従う温度及び湿度の保管条件のとおり試験された。
【0179】
製剤BLT17Q24-2(水性クリーム)に関して、5℃±3℃で保管された場合、2ヶ月以内に1対数減少(log reduction)未満で減少が観測された。製剤BLT17Q24-2(水性クリーム)、BLT17Q24-5(ココナッツオイル)及びBLT17Q24-1(水)に関して、製剤が25℃±2℃/60±5%RHに従って保管された場合、1週間以内に生存細胞数の劇的な減少が観測された。製剤BLT17Q24-7(中鎖トリグリセリド)は、少なくとも6ヶ月間安定であった(試験終了時)。
【0180】
グリセロールを含む製剤BLT17Q24-30及びBLT17Q24-31は、油の種類に関係なく安定でなかった。製剤BLT17Q24-14(MCTビヒクル)、BLT17Q24-17(MCTビヒクル)、BLT17Q24-19(オリーブオイルビヒクル)、BLT17Q24-21(オリーブオイルビヒクル)は、ガラス瓶中で、25℃±2℃/60±5%RHで、少なくとも9ヶ月間安定であることが判明した(図5)。
【0181】
BLT17Q24-25(MCTビヒクル)は、デュアルチャンバーボトル中では、25℃±2℃/60±5%RHで、かつ30℃±2℃/65±5%RHで、少なくとも6カ月間安定であり、ガラスバイアル中では、5℃±3℃で少なくとも9カ月間並びに25℃±2℃/60±5%RHで、かつ40℃±2℃/75±5%RHで少なくとも6カ月間安定であった。製剤は少なくとも2年間安定であるとの見込みである。
【0182】
実施例4:水相
水相の実施例が提供される。
【表2】
【0183】
実施例5:インビトロ試験
製剤BLT17Q24-28を用いる化粧品試験は、成人ボランティア(n=10)を対象にして、2020年11月~12月に実施された。参加者は全て女性であり、22歳~60歳であった。試設計は、新規の皮膚分析装置を用いる皮膚パラメーターの測定及びBlis Q24顔用保湿剤のコロニー形成効能を判定するための拭き取り(swab)試料採取を含んでいた。
【0184】
臨床試験試料の採集
各参加者は、毎回同じ部屋で評価され、各時点で同じ手順に従った。皮膚分析装置を用いる皮膚パラメーターの測定に関して、装置のセンサーは、目尻及び鼻先に合わせて左頬に当てられた。測定値が装置アプリによって指示されたとおりに、おおよそ頬又は額のほぼ同一の部位から測られるように、この方法は、各時点で一貫性のある状態に保たれた。シワは、目尻に装置のカメラを当てることによって測定された。含水状態/保湿状態は、額(Tゾーン)に、それから頬(Uゾーン)に装置を当てることによって測定された。
【0185】
皮脂/油っぽさは、額にあぶらとり紙(sebum paper)(CHOWISによるラベル付き)のTゾーン側を当て、それから頬にあぶらとり紙のUゾーン側を当てることによって測定された。その後、分析装置のカメラは、あぶらとり紙上の皮脂を撮影するために使用された。異なるパラメーターの測定に関して、画像が撮影された場合及び可能な限り各パラメーターについて3枚の画像を撮影した場合に装置のセンサーは動かなかった。測定は、段階的なやり方で収集され、装置のソフトウェアの指示に基づいて、水分、皮脂、毛穴の大きさ、シミ、不純物、シワの順番で進行する。
【0186】
試験結果
図2は、25日間、単一のディスペンサーボトルを用いて、2ポンプ分の油相(BLT17Q24-28)+顔用保湿剤の組み合わせを顔に適用した後の種々の皮膚パラメーターの変化を示す。平均0.05gで供給される各ポンプは、それによって1日あたり=0.200gの総投与量(~0.05g×2ポンプを1日2回)と一致する総投与量を供給する。投与量当たり(ポンプ2回で0.1g)の顔に付着した総細胞数は、3.29E+8CFU/0.1g又は1日2回の投与では6.6E+8CFU/日であった。これらは、0日目の初期油相細胞数=3.29E+9CFU/gに基づいている。
【0187】
ベースラインと比較して、毛穴の大きさ、シミ、シワ(目尻)、不純物(ポルフィリン)及び皮脂レベルの一貫した減少並びに水分レベル(Tゾーン)の一貫した増加は、各時点(10、18、25日目)で、60%~90%の参加者において観察され、Blis Q24ハイドレーティングセラム(hydrating serum)顔用保湿剤の有効性を示唆した。
【0188】
図2は、ベースラインから25日目までの全ての参加者における皮膚パラメーターの変化率を記述している。水分レベル/水分補給レベルは、90%の全体的な増加を有し、研究の参加者の中で最も大きな変化率を有した。シワは、45%の全体的な減少を有した。皮脂生成は、10日後に60%減少した。皮脂生成の変化は、10日目から25日目まで一貫したままであった。さらなる分析は、40%の参加者が50%以上の毛穴の全体的な減少を有し、10%の参加者が50%以上のシミの出現における全体的な減少を有し、66%の参加者が50%以上の皮膚中のポルフィリンの量における全体的な減少を有し、55%の参加者が50%以上のTゾーンに存在する水分の量における全体的な増加を有するということを示した。
【0189】
図3は、皮膚分析装置によって割り当てられた対応する数値とともに、ベースラインから25日目までの1人の参加者の観察結果を示す。この参加者は、0日目から25日目まで、シミ、不純物及びシワの全体的な減少を有していた。0日目から18日目まで、毛穴の一貫した減少があったにもかかわらず、25日目のそれらの結果である10は、ベースラインの測定値である7よりも高かった。25日目の皮膚の視覚的観察は、皮膚の改善された質感及びテカリ(shine)が少なくなり、毛穴が引き締まって見えるような結果を示している。
【0190】
図4は、ある参加者の鍵となるパラメーターに関して、スコアの減少例を示している。Blis Q24保湿剤の適用は、毛穴の大きさ、シミ及びシワの数を減少させ、適用前後の皮膚保湿を向上させた。
【0191】
実施例6:比較試験-沈降およびケーキング
3つの異なる粒径(乾式粉体分散(Malvern Instruments、米国)を用いる粒径分析のレーザー回折によって測定されるようなDv90:290μm、Dv90:623μm、Dv90:1090μm)を有する原料成分を用いて、WO2006/104403:実施例3において記述されている過程に従って、ブドウ種子油の懸濁液の3つの試料は製造された。
【0192】
3つの異なる粒径(Dv90:290μm、Dv90:623μm、Dv90:1090μm)を有する原料を用いて、上記実施例2において記述されている過程に従って、3つのバージョンのセラム製剤(serum formulation)は製造された。
【0193】
290μmのDv90を有するQ24は、250μmのモレキュラーシーブを通過することが示された。623μm又は1090μmのDv90を有するQ24は通過しなかった。
【0194】
沈殿
2本の10mlシリンジは、6.4mLずつの6つの製剤で満たされており、1mlのヘッドスペース間隙(headspace gap)は、ブドウ種子油の懸濁液が振とうによる混合を可能にするために残され、全てのシリンジはブルータック(blue tac)を用いて先端で密封された。
【0195】
セラム製剤を含んだシリンジは、ベンチ(bench)に取り付けられ、沈殿したQ24原料成分の体積はシリンジの測定値を用いて、0、0.8、7、15及び30日目の時点で測定された。ブドウ種子油の懸濁液を含むシリンジは振動し、ベンチに取り付けられ、かつ沈殿したQ24原料の体積は0、1、3、5、10、30及び60分の時点で測定された。全ての製剤のシリンジは手付かずにしておかれ、30日間ベンチに取り付けられた。
【0196】
Q24セラム製剤の粘度は、あらゆるQ24原料粒径で沈降体積の変化をもたらさず、視覚的には、290μmのDv90を有する原料が最も均等な分布をもたらした。全てのブドウ種子油の懸濁液は、Q24原料の100%の沈殿を有し、最も大きな粒径の原料が数分以内に最も速く沈降した。
【0197】
ケーキング
上述の沈殿試験が30日で完了するとすぐに、ブドウ種子油の懸濁液は、Q24原料「ケーキ」を上側にして、一定のペースで、垂直に振動した。Q24原料の100%が再懸濁するまで、未懸濁のまま「ケーキ」に残っている原料の測定は、10秒ごとに行われた。
【0198】
セラム製剤のいずれも、任意のQ24の沈降を有さず、「ケーキング」の試験を必要としなかった。全てのブドウ種子油懸の濁製製剤は、Q24原料の100%の沈降を有し、試験された。290μm及び623μmのDv90を有するQ24原料で製造されたブドウ種子油の懸濁液は、20秒以内に100%再懸濁したが、Dv90が1090μmの原料で製造された製剤は、100%再懸濁するために40秒かかった。
【0199】
したがって、WO2006/104403に記述されているブドウ種子油の懸濁液は、本発明に従って局所用化粧品製剤として用いられるための適切な沈殿及びアンチケーキング特性を示さなかった。
【0200】
実施例7:比較試験-粘度、展延性及び安定性
4つの異なる製剤が調製された。
1. 290μmのDv90を有するQ24原料を用いて、WO2006/10440:実施例3において記述されている過程に従って、ブドウ種子油の懸濁液が製造された。
2. 290μmのDv902を有するQ24原料を用いて、WO2006/10440:実施例2において記述されている過程に従って、デオドラントスティック製剤が製造された。
3. オーストラリアニュージーランド臨床試験登録(ANZCTR)試験ACTRN12616000022460に従って、ガンマ線照射により死滅したQ24原料(250μmのふるいにかけられた)を市販のセトマクロゴールクリーム(HealthE非イオン性クリーム、Jaychem、ニュージーランド)に混合することによって、セトマクロゴールクリーム製剤が製造された。
4. 290μmのDv90を有するQ24原料を用いて、実施例2に従って、セラム製剤BLT17Q24-31が製造された。
【0201】
粘度
各製剤は、10mlのシリンジに充填され、気泡が叩き出され、プランジャーを押し下げることによりスライドガラス(a glass microscope slide)上に分注された。分注の容易さ又は難しさは記録され、製剤は、粘度の適合性、Q24原料成分の分布及び顔用保湿剤の包装の2つの最も一般的な形態、ポンプボトル又は適用前に製剤を採取するために指をつけるための小さな丸い容器から均等に分注できそうな能力について、視覚的に評価された。
【表3】
【0202】
製剤1及び2は、それぞれ、粘性が低すぎて、粘度が高すぎるため、顔面化粧品の皮膚適用に適しているとは考えられなかった。
【0203】
展延性
試料1及び4の機械的展延性を決定するために、直径2cmの円は、フラットシャーレの蓋の裏側に鮮明に印を付けられた。次に、0.5gの製剤は、直径2cmの円を均等に覆う蓋の上に配置された。200gの塊でトップダウンを上塗りする(facing top down)もう1つのシャーレは、製剤の最上部に配置され、20秒間静置された。その後、広がった製剤の円の直径が測定された。下記の方程式は、展延性の百分率を決定するために使用された。(方法 Saleh A.ら、「Evaluation of Skin Permeation and Analgesic Activity Effects of Carbopol Lornoxicam Topical Gels Containing Penetration Enhancer」、The Scientific World Journal、2014年巻、記事ID 127495、9ページ、201)は、試験されるフォーマットに適しているわずかに修正された試験方法を設計するために使用された。
【0204】
一旦広がった微生物増殖の一貫性を決定するために、0.1gの各製剤は、ヒト血液寒天プレートの最上部に配置された。その後、綿棒は、製剤をプレートの下で左右14の筋状(streaks)に、均等に広げるために使用された。デオスティックの粘度は、寒天プレートの下に均一に広げることができなかったので、製剤があらかじめ溶かされ、それからプレートの下に広げられる第2の方法が使用された。
【0205】
製剤4は、製剤1と比較して、優良な物理的及び微生物に関する展延性を示し、身体/顔用皮膚適用に適していた。
【0206】
安定性
製剤3は、滅菌スプーンを用いて、ストマッカー袋に19.8gのセトマクロゴール100BPクリーム(HealthE、非イオン性クリーム、B62236、Jaychem、ニュージーランド)を計量することによって調製された。0.2g(最終製剤中2%)のBlis Q24原料は、セトマクロゴールクリームに添加され、密封され、均質なクリームが形成されるまで手で混合された。次に、クリームは、ストマッカーに入れられ、追加の5分間混合された。その後、セトマクロゴールQ24クリームは、30mlのガラスバイアルに分注され、三重に列挙された。マイクロチューブ(a microcentrifuge tube)(Eppendorf、米国)において、0.1gのM.ルテウス Q24セラム又はクリームは軽量され、0.9gの加温(37℃)リン酸緩衝生理食塩水及びポリソルベート80(0.1%w/w)で希釈された。混合物は、ボルテックスミキサー(オートボルテックス)を用いて2800rpmで5分間、周囲条件下(20℃±2℃)で振とうすることにより均質化され、均一な分散を得た。その後、100μlは、PBSで適切に、連続的に希釈され、hBaCa寒天プレートに広げられ、37℃/5%COで28時間~48時間培養された。コロニーの数を数え、コロニーは、Q-Count Automatic Colony Counter (Spiral Biotech、ニュージーランド)を用いて、CFU/gで細菌濃度を算出された。その後、バイアルは、7及び14日時点での安定性試験のために、25℃/60%RHに設定したインキュベーターに入れられた。
【0207】
製剤4は、実施例2において記述されている過程に従って製造された。次に、セラムは、30mlのガラスバイアルに分注され、三重に列挙された。その後、バイアルは、安定性試験のために25℃/60%RHに設定したインキュベーターに入れられた。
【0208】
Blis Q24は、製剤3において非常に不安定であることが発見された。25℃/60%RHで保管された場合、わずか7日後に7-logの低下が観測され、14日目には生存細胞数が見られなかった。比較すると、Blis Q24は、シリカ含量、Q24の割合、MCT及びオリーブオイルを変化させた状態で、25℃/60%RHで少なくとも24ヶ月間非常に安定であった(図5)。
【0209】
実施例8:比較官能検査
製剤1、2及び4は、実施例7において記述されているとおりに調製された。製剤5は、本明細書中に記述されているように、デュアルチャンバーボトル中のセラム製剤4に水和保湿剤を提供することによって調製された。
【0210】
各製剤は、清潔なビーカー中にセットアップされ、ラベル付きの白色の背景の上に設置された。各参加者には、製剤を寄せ集めて投薬するための滅菌綿棒が提供された。各参加者(女性5名、男性3名(n=8))は、各官能特性の試験方法及び採点システムを説明した採点用紙を提供された。各々は、提供された指示に従い、個別に、各官能特性について各製剤を評価し、採点することが求められた。
【0211】
評価された特性は以下の通りである:
・一貫性
・クッション効果
・分布(拡散)
・粘着性(Tackiness)/粘性(stickiness)
・吸収速度
・水和作用
【0212】
参加者はまた、外見、好み、適用性、メイクアップしやすいかどうか及び他の人に推奨することになるかどうかに基づいて、製剤の選択を評価することも求められた。
【0213】
試験された全てのパラメーターに関して、製剤3及び5は、製剤1及び2よりも有意に高い得点を得られた。
【0214】
実施例9:安全性および有効性
Blis Q24細菌細胞の安全性及び有効性は、EpiDerm 3D皮膚モデル(EpiDerm 3D Skin Model)を用いて評価された。
【0215】
方法論
EpiDermヒト3D皮膚モデル培養(皮膚モデル)
受領時に、未熟なEpiDerm(EPI-201-4D;MatTekCorporation、アッシュランド、MA、米国)組織の最終的な発育は、製造者の指示に従って完成した。手短に言えば、組織は、出荷時のアガロース含有ゲルから、あらかじめ加温した分化培地(EPI-201-DM)を含む細胞培養プレートに移動した。次に、それらは、37℃で、5%CO雰囲気下において4日間維持され、その間に新鮮な分化培地に2又は3回交換した。最後に、完全に発育したEpiDerm組織は、各実験で用いるために、標準培養培地(EPI-100-NMM)を含む新鮮なプレートに移動した。
【0216】
耐容性に関する用量反応実験
24つの未熟なEpiDerm組織の成熟は、上述のように実施された。完全に分化した組織は、PBS(ネガティブコントロール)又はBlis Q24のどちらか一方を5つの用量レベル(1×10cfu/ml~1×10cfu/ml)の1つで投与を受けるために無作為に割り当てられ、1つの処理につき4つの複製組織が用いられた。組織の頂端表面は、30μLの処理溶液で処理され、その後組織は、5%CO2雰囲気下において、37℃で24時間培養した。その期間の最後に、組織は、PBSで穏やかに洗浄され、それらの生存率がMTT生存アッセイを用いて評価された。(Mosmann,T.(1983)。Journal of Immunological Methods,65(1-2),55-63,Kubilus,J.(1996)。In Vitro and Molecular Toxicology,9(2),157-166.)。
【0217】
安全性及び有効性の実験
36個の未熟なEpiDerm組織の成熟は、上述のように実施された。完全に分化した組織は、1~36の番号が付けられ、表3に示される処理の1つを受けるように無作為に割り当てられた。これは、主処理(PBS、Q24又はビタミンC)及び0.5%SDS曝露処理(±0.5%SDS)の6つの組み合わせの各々が5つの6ウェル細胞培養プレートの各々に無作為に表されるように行われた。残りの6つの組織は、組織学(histology)用であるか、あるいは5%SDSを受けることになっているが、6番目の細胞培養プレートにまとめられた。成熟の後に、36の組織は、アッセイ培地中で、5%CO2雰囲気下において、37℃で24時間培養され、その後で、ベースライン(0日目)の条件培地試料が採集され、サイトカインの測定のために-80℃で冷凍保管された。0日目から4日間にわたって、各組織が毎日適切な主処理溶液で処理された後で、組織は、5%CO雰囲気の37℃に維持されたインキュベーターに戻された。Blis Q24又はPBSビヒクルで処理された組織は、組織の頂端表面に適用された30μLの適切な溶液を含有する前に、前日の投与の残滓がPBSで洗い流された。代わりに、ビタミンC(50μg/mL)は、培養液に供給された。4日目に、条件培地試料は採集され、サイトカインの測定のために-80℃で冷凍保管された。その後、33の組織は、30μLのPBS中の0.5%又は5%SDS、あるいはネガティブコントロールとしてPBSにさらされた。1時間後、これらの組織は、PBSで洗浄され、綿棒で軽くたたかれ乾燥した後で、適切な主処理(PBS、Blis Q24又はビタミンC)を再度適用し、新鮮な培地を含むプレートに移動させた。残りの3組織(組織学用)は、新鮮な培地を簡単に供給され、適切な主処理を実施された。全組織は、5%CO雰囲気下において、37℃でさらに24時間培養するためにインキュベーターに戻され、その後で、5日目の条件培地が採集され、-80℃で冷凍保管された。全ての組織は、PBSで穏やかに洗浄され、3つの組織構造組織(histology tissues)が中性緩衝ホルマリンで固定された。他の33組織の生存率は、MTT生存アッセイを用いて評価された。
【0218】
MTT生存アッセイ(安全性)
細胞培養インサート上のEpiDerm組織は、DMEM培地(サーモフィッシャーサイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific))中の1mg/mL MTTを0.9mL含む6ウェル細胞培養に添加され、5%CO雰囲気下において、37℃で3時間培養された。その後、PBSで洗浄し、コットンガーゼ上で水分を拭き取り乾燥させた。インサートの内側に残った水分は、綿棒を用いることによって除去され、その後で各インサート及び組織が6mLの2-プロパノール(propan-2-ol)に浸され、密閉された20mLのシンチレーションバイアルに暗所で一晩浸された。得られたホルマザン色素の紫色溶液は、使い捨てのキュベットに移動され、ウルトロスペック(Ultrospec)紫外・可視分光光度計(LKB)で570nm及び650nm(基準波長)の吸光度を測定した。データ解析は、570nmの測定値から基準波長の吸光度を差し引き、補正した吸光度値を与えた。各吸光度値をネガティブコントロール群(0.5%SDSに曝露していないPBS)の平均値で割り、100をかけることによって、生存率%の値に変換した。
【0219】
組織学(有効性)
組織は、中性緩衝ホルマリン(LabServ)で固定され、HE染色切片を調製するためにGribbles Veterinary Lab(クライストチャーチ、NZ)に送られた。光学顕微鏡検査は、Leica DM6000 B顕微鏡(Leica Microsystems、スイス)で実施され、画像はLeica Application Suite v4.12ソフトウェアを用いて取得された。
【0220】
抗炎症作用のためのサイトカインの定量化(有効性)
IL-1β、IFN-α2、IFN-γ、TNF-α、MCP-1(CCL2)、IL-6、IL-8(CXCL8)、IL-10、IL-12p70、IL-17A、IL-18、IL-23及びIL-33の定量化のために、ビーズベースの多重化LEGENDplex(商標)分析(LEGENDplex(商標) Human Inflammation Panel 1(13-plex);BioLegend、サンディエゴ、CA、米国)が、製造業者の指示に従って使用された。測定された各サイトカインの関連性は、表4に記載されている。反応は、二重に実施された。分析は、Cytek(商標)Auroraフローサイトメーター(Cytek Biosciences Inc.、フリーモント、CA,米国)で実施された。データは、Legendplex V8.0ソフトウェア(BioLegend)を用いて回析され、pg/mLと規定された。
【0221】
統計解析
統計解析及びグラフ化は、Prism9.2.0(GraphPad Software)を用いて実施された。データは、1元配置又は2元配置分散分析(ANOVA)によって解析され、必要に応じて、Dunnettの方法又はSidakの方法を用いて多重比較のために補正された。
【0222】
耐容性
Blis Q24の耐容性は、用量反応実験により決定された。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の生体Blis Q24(1.42×10、1.31×10、1.46×10、1.71×10及び1.63×10cfu/ml)懸濁液で処理されたEpiDerm組織は、>90%の生存率を示した(図6)。1×10CFU/mlの生存率は、PBS対照と有意に異なったが、平均細胞%は、依然として>90%生存可能であり、Blis Q24は24時間の曝露の間、モデル皮膚組織が良好な耐容性を示すというということを示している。
【0223】
これらのインビトロの結果は、1.5×10CFU/doseを繰り返し投与した後でも皮膚刺激が観察されなかった、Blis Q24ハイドレーションセラム(hydration serum)のインビボ試験と比較しても劣らない。
【0224】
結論:様々な臨床的に適切な用量のBlis Q24は、組織培養モデルにおいて良好な耐容性を示し、Blis Q24を含む株及び製品の安全性を示している。
【0225】
安全性
用量反応実験の後に、1×10CFU/mlの用量が、安全性及び有効性研究のために選択された。
【0226】
13つのサイトカインの測定(0日目及び4日目)は、Blis Q24(1×10CFU/ml)、PBS(ネガティブコントロール)及びVit C(ポジティブコントロール)で処理されたEpiDerm組織において実施された。13の処理に関連する効果の中から、3つのサイトカインのみが観測された。インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-8(IL-8)及びインターロイキン-18(IL-18)は、炎症性刺激に反応して皮膚細胞によって産生されることが知られている炎症性サイトカインである。IL-6レベルは、ビタミンCに関して、4日目にほんのわずかではあるが有意な上昇を示したが、Blis Q24及びPBSに関して、2日間変化しなかった(図7左上)。IL-8レベルは、Blis Q24及びPBSに関して、4日目にほんのわずかに低下し(しかし、変化は後者でのみ有意であった)、ビタミンCに関して、変化しなかった(図7右上)。IL-18については、0日目及び4日目のレベルに有意差はなかったが、Blis Q24及びビタミンCは4日目に値が低くなる傾向を示した(図7下中)。
【0227】
結論:この結果は、4日間毎日投与した後にEpiDerm組織において炎症性免疫反応を誘発しなかったため、Blis Q24が安全であるということを示した。
【0228】
有効性(組織学)
PBS、PBS(ネガティブコントロール)及びVit C(ポジティブコントロール)中の、1×10CFU/mlの用量の生体Blis Q24懸濁液は、EpiDerm細胞に適用され(継続期間4日)、組織形態に対する処理に関連する変化が記録された(n=1、図8)。処理に関連する明らかな差は見られなかったが、Blis Q24の投与を受けた組織は、角質層に捕らえられた核の遺残を明らかにし、角質層の生成を促進する可能性があることを示した。角質層はまた、PBS又はビタミンCで処理された組織よりも、Blis Q24の組織の方がほんのわずかに厚かった。これらの知見を確認するために、より多くの複製が必要であるが、Blis Q24の好ましい効果があるように見える。角質層は主に皮膚の深層と外部環境との間のバリアとして機能し、毒素及び細菌が体内に侵入するのを防ぐということが知られている。また、水分が大気中に蒸発することを防ぐのに役立ち、肌の潤いを保つために重要である。
【0229】
この結果は、Blis Q24が角質層の形成を促進することによって、皮膚を若返らせ、かつ潤いを与えることに役立つ可能性があるということを示している。
【0230】
結論:Blis Q24は、バリア機能及び水分保持を担う角質層の成長を促進するのに有効である。これらのインビトロの結果は、Blis Q24ハイドレーションセラムを適用すると、水分補給の増加、毛穴及びシワの減少が研究の参加者によって観察されたインビボ試験の結果を裏付ける。
【0231】
抗炎症作用
IL-6、IL-8及びIL-18のみが、Blis Q24、PBS(ネガティブコントロール及びVit Cポジティブコントロール)処理の効果を決定するために検出可能なレベルを有していた。(図9-左上)。
【0232】
Blis Q24を用いた前処理は、0.5%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)に反応して放出されたIL-6の量にごくわずかな有意でない減少を引き起こし、対照的に、ビタミンC処理組織は、0.5%SDS曝露に反応して5日目にごくわずかな増加を表示した。IL-8レベルの有意な増加は、3つの主処理群全てに関して0.5%SDSに反応して、4日目と比較した5日目に明らかになった(図14-右上)。IL-18の放出もまた、全ての群において、0.5%SDSによって刺激されたが、変化はBris Q24群に関して、有意でなかった(図14-下中央)。
【0233】
結論:Blis Q24+0.5%SDS群に関して、SDS誘発性のIL-6放出のごくわずかな減少及びIL-18の鈍い増加は、Blis Q24の抗炎症作用を示す。
【0234】
実施例10:プラセボ試験
美容皮膚パラメーターについての本発明製剤の効果を決定するために、2つの試験が実施された。
・試験1:活性Q24セラム(油相)+水相vsプラセボセラム+水相。
・試験2:生体Q24+セトマクロゴールvs死滅(Dead)Q24+セトマクロゴール。
【0235】
試験1:この任意抽出された、プラセボ対照二重盲検試験において、8人の参加者は、2つの群に分けられた。第1群(n=4)(活性群)は、デュアルチャンバーボトルを与えられ、第1室は活性Bris Q24(1×10cfu/g)を含むセラムからなり、第2室が水相を含んでいた。第2群(n=4)(プラセボ群)もまた、デュアルチャンバーボトルを与えられ、第1室はセラムベース(Blis Q24を含まない偽薬)からなり、第2室が水相を含んでいた。グループ1の参加者1名は、試験とは関係のない理由により試験を完了しなかった。
【0236】
試験2:この任意抽出された、対照二重盲検試験において、8人の参加者は、2つの群に分けられた。第1群(n=4)(生体Q24群)は、デュアルチャンバーボトルを与えられ、第1室は生体Blis Q24(1×10cfu/g)を含むセラムからなり、第2室がセトマクロゴールクリームを含んでいた。第2群(n=4)(死滅Q24グループ)もまた、デュアルチャンバーボトルを与えられ、第1室はガンマ線を照射されたBlis Q24(死菌)を含む血清からなり、第2室がセトマクロゴールクリームを含んでいた。
【0237】
その後、両試験の参加者は、製剤(セラム及び保湿剤又はクリームを各1ポンプ)をポンプでくみ出し、手のひらで混ぜ合わせ、31日間、1日2回(朝と夜)顔に適用するよう求められた。
【0238】
全顔の肌質パラメーター分析は、初回適用前(試験前0日目)に、試験期間中の11日目、31日目に、かつ最終試験10日後(41日目)に高度な皮膚分析装置(Chowis、韓国)を用いて実施された。
【0239】
試験1:実薬vs偽薬
Blis Q24「活性」組成物は、様々な時点で、ベースラインと比較した偽薬に対して全ての肌質パラメーターの改善を示した(図10)。改善は、治療(Tx)後10日目以降でも見られた。
【0240】
この研究において、皮脂の増加もまた、観察された。皮脂は、重要な多面的な役割を担っているため、皮脂スコアの解釈は難しい:皮脂は、摩擦から保護するために皮膚をスベスベにし、より水分を通さないようにする。皮膚表面からの水分損失を減少させる。細菌及び真菌による感染から皮膚を保護する。さらに、皮脂腺は、皮膚の内及び上で抗酸化物質を輸送し、天然の光防御活性を示す。皮脂の過剰分泌は、脂性肌につながる。
【0241】
本研究において、参加者の誰も「脂性肌」を訴えず、皮脂のレベルが参加者にとって十分望ましい範囲内であることを示唆しており、全員が皮脂及び含水量の増加を示したことに留意する。皮脂の増加はまた、プラセボ群においても観察された。それ故に、ベースラインと比較した皮脂の増減は、必ずしも「望ましい」か、あるいは「望ましくない」ことではなく、むしろ皮脂のバランスが重要な要素である。
【0242】
試験2:生体Q24vs死菌
Blis Q24「生体」組成物は、様々な時点で、ベースラインと比較した偽薬に対して全ての肌質パラメーターの改善を示した(図11)。改善は、治療(Tx)後10日目以降でも見られた。
【0243】
実施例11:プレバイオティクスの添加
一般的なプレバイオティクスの阻害
CABK12寒天プレートは、6つの切片に分かれて、M.ルテウス Q24原料P3の懸濁液で芝生化された(lawned)。滅菌蒸留水を用いて、100%から0.3%までの濃度の範囲において、スクリーニングされるべき水性潜在的プレバイオティック物質のそれぞれは、連続的に希釈された。油性の物質は、100%でのみ試験された。
【0244】
各濃度の各物質20μLは、芝生化されたCABK12寒天プレートの1切片上のスポットにピペッティングされ、空気中で37℃5%COで24時間培養された。
【表4】
【0245】
結論:試験された全て濃度で抑制的であった緑茶粉末を除いて、全ての物質が、Q24非含有製品の最初のスクリーニング試験に合格した。他の6つの潜在的プレバイオティクスは、Q24に対していくつかの阻害作用を示し、生体Q24の安定性を必要とする製品用には適さないが、プレバイオティクスのみの製剤において使用できる可能性があることを示した。
【0246】
Blis Q24の増殖に対するプレバイオティクスの効果
製造者の指示に従って、ラクトース溶液を除いたM17ブロス(Difco#218561)のバッチは製造された。50mlのブロスは、滅菌した100mlのSchott瓶に分注され、2.5g(5%)の各潜在的プレバイオティクス物質が添加され、マグネチックスターラー及び攪拌板(stir plate)を用いてよく混合された。混合物は、110℃で10分間オートクレーブされ、冷まされた。
【0247】
プレバイオティクス候補の懸濁液は、ウェルに分注する前に任意の油性成分の均質化を向上させることを可能にするために、40℃に予熱された。各懸濁液2ml及びM17のみ(対照)は、滅菌24ウェル組織培養プレートにピペッティングされた。Q24原料P3の懸濁液は、PBS中で製造され、0.125の光学濃度に調整された。100μlの懸濁液は、各ウェルにピペッティングされた。懸濁液が添加されると、各ウェルは、1mlピペットで溶液を5回吸引し、かつ分注することによって混合された。
【0248】
各サンプルは、0、3、6、15、26及び34時間の時点で、下記の方法を用いて数え上げられた。ウェルは、各時点で1mlピペットを用いて、5回分注し、かつ吸引することによって混合された。次に、100μlが各ウェルから取り出され、900μlのEppendorfのPBS(1/10希釈液)に添加された。これらの1/10希釈液は、2600rpmで10分間水平にボルテックスされた。その後、試料は、100μlの1/10希釈液を新たな900μlのPBSに移動させることによって連続的に希釈され、これが6回連続的に希釈されるまで繰り返された。各サンプルからの各希釈液20μlは、羊血液寒天プレートに三重でスポットされた。スポットは、乾燥させるために30分間放置され、37℃の5%COインキュベーターで28~36時間セットされた。その後、各スポットのコロニーの数は、電子コロニーカウンターを用いて数えられ、最終結果を与えるための平均値を求めた。
【0249】
結果:全ての試験されたプレバイオティクス候補は、対照と比較して24時間にわたって1~2logの増加をもたらすものがほとんどで、対照よりも高いQ24の増加を示した。
【0250】
結論:驚いたことに、局所適用に典型的な、一般的に用いられているプレバイオティクス(炭水化物(オートミールを除いて))は、Q24の増殖を支持しなかった。
【0251】
腸内細菌用のプレバイオティクスとして用いられる従来の物質は、Q24の増殖を増加させるという点ではうまく機能せず、キシリトール及びマヌカハニーなどの一部は24時間後の生体Q24細胞数にとって有害になった(図12)。
【0252】
対照的に、機能活性及びその他の化粧品成分として一般的に用いられる油性物質は、非常にうまく機能し、最も優れたものは24時間かけてQ24の生体細胞数を2-logだけ増加させた。
【0253】
プレバイオティクスの組み合わせ
試験された時点が0、6、18、24時間である以外は、研究課題10と同じ方法が使用された。オリーブスクワランは、好ましいプレバイオティクスの1つとして選択され、他の3つはオリーブスクワランと組み合わせて分析され、プレバイオティクス候補単独の結果と比較された(図13)。
【0254】
結果:Q24の増殖は、オリーブスクワラン及びザクロ種子油を別々に添加した和を優に上回って増加し、両方のプレバイオティクスが一緒に添加された場合に相乗反応を示し、Q24の増殖速度の上昇をもたらした。
【0255】
Q24の増殖は、オリーブスクワラン及びオートミール粉(コロイドオートミール)を別々に添加した和と同じであり、この組み合わせに関して、相乗反応を示さなかった。
【0256】
Q24の増殖は、オリーブスクワラン及びビタミンEを別々に添加した和を優に上回って増加し、両方のプレバイオティクスが一緒に添加された場合に相乗反応を示し、Q24の増殖速度の上昇をもたらした。
【0257】
結論:オリーブスクワラン+ザクロ種子油及びオリーブスクワラン+ビタミンEの両方は、どちらか一方のみと比較して、Q24の増殖率を増加させる相乗関係を有することが判明した。オリーブスクワラン及びオートミール粉は、これと同じ反応を示さなかった。オリーブスクワラン及びザクロ種子油又はビタミンEの両方を含むように作られた製剤は、オリーブスクワラン、ザクロ種子油又はビタミンEのみを含む製剤よりも有効であろう。
【0258】
いくつかの皮膚共生生物(skin commensals)に対するプレバイオティクス活性
選択された3つの皮膚共生生物のそれぞれに関して、0.125の光学濃度を有する懸濁液が調製された以外は、Blis Q24成分について上記と同じ方法が使用された。
【0259】
選択された皮膚共生生物は、以下の:
・表皮ブドウ球菌#4(S.epidermidis#4)-Q24阻害に感受性
・表皮ブドウ球菌E30(S.epidermidis E30)-Q24阻害に耐性
・S.ホミニスATCC27844(S.hominis ATCC27844)-混合耐性条件依存性(mixed resistance condition dependent)
である。
【0260】
S.ホミニスATCC27844は、American Type Culture Collection (ATCC)から入手可能である;表皮ブドウ球菌#4及び表皮ブドウ球菌E30は、依頼に応じてBLIS Technologies Ltdから入手可能である。
【0261】
結果:プレバイオティクスの有無にかかわらず、皮膚共生生物に対する付加的な増殖の優位性は観察されず、プレバイオティクスがBlis Q24の増殖を選択的に促進ということを示唆した(図14)。
【0262】
結論:オリーブスクワラン及びザクロ種子油は、皮膚共生生物に対して、単独で、あるいは組み合わせで対照培地と比較していかなる有意性も提供せず、効果はBlis Q24に対してより顕著かつ特異的であった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】