(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】ケラチン物質をケア及び/又はメイクアップするための固体無水組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/02 20060101AFI20240220BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240220BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240220BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20240220BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
A61K8/02
A61Q19/00
A61K8/37
A61K8/92
A61K8/81
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553352
(86)(22)【出願日】2021-04-30
(85)【翻訳文提出日】2023-09-01
(86)【国際出願番号】 CN2021091514
(87)【国際公開番号】W WO2022227011
(87)【国際公開日】2022-11-03
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ジェン・ゴン
(72)【発明者】
【氏名】トゥ・ルアン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB171
4C083AB231
4C083AB241
4C083AB431
4C083AB441
4C083AB442
4C083AB471
4C083AC012
4C083AC021
4C083AC022
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC131
4C083AC132
4C083AC391
4C083AC392
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC641
4C083AC642
4C083AC791
4C083AC792
4C083AC841
4C083AC842
4C083AD021
4C083AD022
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD491
4C083AD492
4C083AD662
4C083BB04
4C083BB11
4C083BB12
4C083BB21
4C083CC11
4C083CC13
4C083DD21
4C083DD28
4C083EE01
4C083EE03
(57)【要約】
ケラチン物質をケア及び/又はメイクアップするための固体無水組成物は、a)組成物の総質量に対して2wt.%以上の少なくとも1種の親水性加湿剤、b)グリセリル脂肪酸モノエステル及びポリグリセリル脂肪酸エステルから選択される、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、c)ポリエチレンワックス、並びにe)少なくとも1種の油を含む。ケラチン物質をケア及び/又はメイクアップするための美容方法は、本発明による固体無水組成物をケラチン物質に適用する工程を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン物質をケア及び/又はメイクアップするための固体無水組成物であって、
a)組成物の総質量に対して2wt.%以上の少なくとも1種の親水性加湿剤、
b)グリセリル脂肪酸モノエステル及びポリグリセリル脂肪酸エステルから選択される、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、
c)ポリエチレンワックス、並びに
d)少なくとも1種の油
を含む、組成物。
【請求項2】
親水性加湿剤が、グリセリン、パンテノール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ソルビトール及びこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
親水性加湿剤が、組成物の総質量に対して、2wt.%~20wt.%、好ましくは4wt.%~10wt.%の範囲内の量で存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
非イオン性界面活性剤が、1種又は複数のC16~C22飽和又は不飽和脂肪酸のグリセリルモノエステル、及び8~22個、好ましくは16~22個の炭素原子を含む飽和又は不飽和脂肪酸と、2~10個のグリセロール単位から誘導されたポリグリセリル部分を有するポリグリセリンとのエステルから選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
非イオン性界面活性剤が、オレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、モノベヘン酸グリセリル、ペンタリシノール酸ポリグリセリル-3、ペンタリシノール酸ポリグリセリル-6、ペンタリシノール酸ポリグリセリル-10、ポリリシノール酸ポリグリセリル-3、ポリリシノール酸ポリグリセリル-6、リシノール酸ポリグリセリル-3、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、イソステアリン酸ポリグリセリル-4、ジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸ポリグリセリル-4、イソステアリン酸ポリグリセリル-5、イソステアリン酸ポリグリセリル-6、イソステアリン酸ポリグリセリル-10、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-4、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-3及びこれらの混合物から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
非イオン性界面活性剤が、組成物の総質量に対して、0.1wt.%~30wt.%、好ましくは1wt.%~8wt.%の範囲内の量で存在する、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
ポリエチレンワックスが、組成物の総質量に対して、3wt.%~80wt.%、好ましくは5wt.%~15wt.%の範囲内の量で存在する、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
ペースト状化合物を更に含み、好ましくはペースト状化合物が、以下のINCI名称を有するエステル:イソステアリン酸ポリグリセリル-2ダイマージリノール酸コポリマー、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビスベヘニル/イソステアリル/フィトステリル、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
増粘剤、好ましくは、シリル化シリカ、ヒュームドシリカ、ゼオライト、天然クレイ、合成クレイ、カオリン、ヘクトライト、ジステアルジモニウムヘクトライト、ステアラルコニウムヘクトライト、クオタニウム-18ベントナイト、クオタニウム-18ヘクトライト、ベンザルコニウムベントナイト及びこれらの混合物から選択される鉱物増粘剤を更に含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
油が、アブラナ油、スクアラン、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、これらの混合物から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
油が、組成物の総質量に対して、10wt.%~90wt.%、好ましくは40wt.%~80wt.%の範囲内の量で存在する、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
水溶性又は非水溶性で、脂溶性又は非脂溶性の有機又は無機着色剤、及び光学効果を有する材料、並びにこれらの混合物から選択される少なくとも1種の着色剤を更に含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
着色剤が、組成物の総質量に対して、0.01wt.%~35wt.%、好ましくは5wt.%~15wt.%の範囲内の量で存在する、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
組成物の総質量に対して、
a)4wt.%~10wt.%のグリセリン、
b)1wt.%~8wt.%の、モノステアリン酸グリセリル、ポリリシノール酸ポリグリセリル-6、ジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸ポリグリセリル-4、イソステアリン酸ポリグリセリル-4及びこれらの混合物から選択される、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、
c)5wt.%~15wt.%のポリエチレンワックス、
d)40wt.%~80wt.%の、アブラナ油、スクアラン、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、これらの混合物から選択される、少なくとも1種の油、並びに
e)5wt.%~15wt.%の、黄5レーキ、青1レーキ、赤104(1)レーキ、赤223、赤202、二酸化チタン、酸化鉄、合成フルオロフロゴパイト及びこれらの混合物から選択される着色剤
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
ケラチン物質をケア及び/又はメイクアップするための美容方法であって、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物をケラチン物質に適用する工程を含む、美容方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン物質をケア及び/又はメイクアップするための組成物に関する。より詳細には、本発明は、ケラチン物質をケア及び/又はメイクアップするための固体無水組成物に関する。本発明はまた、ケラチン物質をケア及び/又はメイクアップするための美容方法に関する。
【背景技術】
【0002】
口紅は、使用者の唇の肯定的な様相を強調するために、長年使用されている。口紅は、使用者の外観的な顔面の特徴を変化させることができる。唇の形状を変化させることに加えて、口紅は、多数の色及び明暗の度合いで作製して、所望の効果を促進すること、又は使用者の気分を表現することができる。
【0003】
今日まで、皮膚及び/又は唇をメイクアップ及び/又はケアするための化粧用固体組成物に関する、いくつかの先行技術文献が公開されている。
【0004】
例えば、国際公開第2013/191300号は、生理学的に許容される媒体中に、
- 組成物の総質量に対して5~30質量%の不揮発性無極性油又はその混合物、
- 組成物の総質量に対して43~90質量%の総含有量の不揮発性シリコーン油(ここで、前記不揮発性シリコーン油の少なくとも1種は、不揮発性フェニル化ケイ素油である)、及び
- 組成物の総質量に対して3~30質量%のワックス又はその混合物
を含む、少なくとも1つの脂肪相を含む、皮膚及び/又は唇をメイクアップ及び/又はケアするための固体化粧用組成物を開示している。
【0005】
多量の顔料を含む口紅は、通常、十分な水分補給、すなわち加湿をしないという欠点を示す。この欠点を改善するため、多くの尽力がなされてきた。
【0006】
良好な解決策の1つは、効率的な湿潤剤として、多量のポリオール、例えばグリセリンを、無水固体製品に組み込むことである。しかしながら、グリセリンの吸湿性に起因して、このようなスティック組成物は、温度及び/又は湿度が変動した後、汗をかく(すなわち、口紅の表面に複数の液滴が現れる)という問題を有する傾向があり、これは消費者によって、品質上の課題と考えられる。
【0007】
そのため、良好な安定性(すなわち、抗汗かき性能)を示す加湿口紅を開発する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2013/191300号
【特許文献2】欧州特許出願公開第1086683号
【特許文献3】仏国出願第9910942号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook」、1997年版、371~386頁及び524~528頁、「The Cosmetic, Toiletries and Fragrance Association」刊
【非特許文献2】「Fluorescent Whitening Agent, Encyclopedia of Chemical Technology, Kirk-Othmer」、11巻、227~241頁、第4版、1994年、Wiley社
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、良好な安定性(すなわち、抗汗かき性能)を示す加湿口紅を開発することである。
【0011】
本発明の別の目的は、加湿効果を発揮することになる、ケラチン物質をケア及び/又はメイクアップするための美容方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、第1の態様によれば、本発明は、ケラチン物質をケア及び/又はメイクアップするための固体無水組成物であって、
a)組成物の総質量に対して2wt.%以上の少なくとも1種の親水性加湿剤、
b)グリセリル脂肪酸モノエステル及びポリグリセリル脂肪酸エステルから選択される、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、
c)ポリエチレンワックス、並びに
d)少なくとも1種の油
を含む、組成物を提供する。
【0013】
第2の態様によれば、本発明は、ケラチン物質をケア及び/又はメイクアップするための美容方法であって、上に記載した固体無水組成物をケラチン物質に適用する工程を含む、美容方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
グリセリル脂肪酸モノエステル、ポリグリセリル脂肪酸エステルから選択される、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と、ポリエチレンワックスとの組み合わせによって、本発明による固体無水組成物は、少なくとも1ヶ月の間、4℃、25℃、37℃、45℃のオーブン中で、及び1週間、-20℃~47℃の温度変化サイクルを経るオーブン中で、汗かきの課題を有しないことが見出されている。
【0015】
高湿度環境における抗汗かき特性は、増粘剤の存在下では更に改善できることも見出されている。
【0016】
本発明の他の主題及び特徴、態様及び利点は、以下の発明を実施するための形態及び実施例を読むことによって、よりいっそう明解となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書中で使用される場合、別段の指示がない限り、値の範囲の限界値は、特に「…から…の間」及び「…~…」という表現において、その範囲内に含まれる。
【0018】
本明細書中で使用される場合、「含む(comprising)」という用語は、すべての特定的に言及される特徴部に加えて、任意選択の、追加の、不特定の特徴部を包含するものと解釈されたい。
【0019】
本明細書中で使用される場合、「含む(comprising)」という用語の使用はまた、特定的に言及される特徴部以外の特徴部が存在しない(すなわち「~からなる」)実施形態を開示している。
【0020】
本出願において使用される「少なくとも1つ」という表現は、「1つ又は複数」という表現と同等である。
【0021】
別段の定義がない限り、本明細書中で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野における当業者が通例理解するものと同じ意味を有する。本記載における用語の定義が、本発明が属する分野における当業者が通例理解する意味と競合する場合、本明細書中に記載される定義を適用するものとする。
【0022】
別段の指定がない限り、本記載及び特許請求の範囲において使用される、成分の量等を表現する数値のすべては、「約」という用語によって修飾されているものと理解されたい。したがって、反対の指示がない限り、本明細書中で記載される数値及びパラメータは、必要に応じて得られる所望の性能に従って変更することができる、およその値である。
【0023】
本発明の目的上、「無水」という用語は、本発明による組成物が、組成物の総質量に対して、2wt.%未満、好ましくは0.5wt.%未満の水を含有することを意味する。該当する場合、このような少量の水は、それを残存量で含有する組成物の成分によって提供されうるが、意図的には提供されない。
【0024】
本出願における百分率はすべて、別段の指定がない限り、質量百分率を指す。
【0025】
ここで使用される場合、「ケラチン物質」という用語は、皮膚及び唇を指す。「皮膚」は、頭皮を含む身体の皮膚のすべてを意味することを意図している。好ましくは、ケラチン物質は唇である。
【0026】
本発明による固体無水組成物は、
a)組成物の総質量に対して2wt.%以上の少なくとも1種の親水性加湿剤、
b)グリセリル脂肪酸モノエステル及びポリグリセリル脂肪酸エステルから選択される、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、
c)ポリエチレンワックス、並びに
d)少なくとも1種の油
を含む。
【0027】
本明細書中で使用される「固体」という用語は、20℃且つ大気圧(760mmHg)における組成物の硬度が、下記のプロトコールに従って測定した場合に、30Nm-1以上であることを意味する。
【0028】
硬度を決定する組成物は、硬度の測定前に20℃で24時間保管する。
【0029】
硬度は、「チーズワイヤ」法によって20℃で測定することができ、これは、好ましくは円柱である棒状生成物を、直径250μmの硬質タングステンワイヤを用いて、この棒に対して100mm/分の速度でワイヤを動かすことによって横方向に切断することで構成される。
【0030】
本発明の組成物の試料の硬度は、Nm-1で表され、Indelco-Chatillon社製のDFGS2引張試験機を使用して測定される。
【0031】
測定は3回繰り返し、次いで平均する。上述の引張試験機を使用して読み取った3つのせん断値の平均をYと記し、グラム単位で与える。この平均値をニュートンに変換し、次いでワイヤが通過する最も長い距離を表す、Lで除する。円柱形の棒状である場合、Lは直径(メートル単位)に等しい。
【0032】
硬度を、以下の式:
(Y×10-3×9.8)/L
によってNm-1に変換する。
【0033】
異なる温度で測定する場合、測定の前に、組成物をこの新しい温度で24時間保管する。
【0034】
この測定方法によれば、本発明による組成物は、好ましくは、20℃且つ大気圧において、60Nm-1以上、好ましくは75Nm-1超の硬度を有する。
【0035】
好ましくは、本発明による組成物は、とりわけ、20℃において、200Nm-1未満、好ましくは160Nm-1未満の硬度を有する。
【0036】
有利には、これらの組成物は、75~250、好ましくは100~205gFの範囲内のせん断値を有する。したがって、これらの組成物は、一切の組成物支持手段を要しない、標準的な包装において配合されうる。
【0037】
親水性加湿剤
本発明の第1の態様によれば、固体無水組成物は、組成物の総質量に対して2wt.%以上の親水性加湿剤を含む。
【0038】
加湿剤は、本発明の固体無水組成物の親油性又は連続相中に分散する。
【0039】
前記加湿剤は親水性であり、多価アルコール、エトキシル化及びプロポキシル化ポリオール、多糖類並びにこれらの混合物を含む。
【0040】
好ましい加湿剤は、グリセリン、パンテノール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ソルビトール及びこれらの混合物からなる群から選択される。グリセリンが最も好ましい。
【0041】
有利には、親水性加湿剤は、組成物の総質量に対して、2wt.%~20wt.%、好ましくは4wt.%~10wt.%の範囲内の量で、本発明の組成物中に存在する。
【0042】
グリセリル脂肪酸モノエステル及びポリグリセリル脂肪酸エステル
本発明の第1の態様によれば、固体無水組成物は、グリセリル脂肪酸モノエステル及びポリグリセリル脂肪酸エステルから選択される、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含む。
【0043】
本発明に好適なグリセリル脂肪酸モノエステルとしては、限定するものではないが、C16~C22飽和又は不飽和脂肪酸のグリセリルモノエステルが挙げられる。
【0044】
好ましくは、グリセリル脂肪酸モノエステルは、オレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル(又はステアリン酸グリセリル)、モノイソステアリン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、モノベヘン酸グリセリル及びこれらの混合物から選択される。
【0045】
より好ましくは、本発明の組成物に使用されるグリセリル脂肪酸モノエステルは、モノステアリン酸グリセリル(又はステアリン酸グリセリル)である。
【0046】
本発明に好適なポリグリセリル脂肪酸エステルとしては、限定するものではないが、2~10個のグリセロール単位から誘導されたポリグリセリル部分を有するポリグリセリル脂肪酸エステルが挙げられる。
【0047】
好ましくは、ポリグリセリル脂肪酸エステルは、8~22個、好ましくは16~22個の炭素原子を含む、1種又は複数の飽和又は不飽和脂肪酸と、2~10個のグリセロール単位から誘導されたポリグリセリル部分を有するポリグリセリンとのエステルから選択される。
【0048】
より好ましくは、ポリグリセロール脂肪酸エステルは、カプリン酸ポリグリセリル-4、カプリン酸ポリグリセリル-2、カプリル酸ポリグリセリル-4、カプリル酸ポリグリセリル-6、カプリン酸ポリグリセリル-6、カプリル酸/カプリン酸ポリグリセリル-4、カプリル酸/カプリン酸ポリグリセリル-6、ヤシ脂肪酸ポリグリセリル-3、ヤシ脂肪酸ポリグリセリル-4、デカリノール酸ポリグリセリル-10、デカオレイン酸ポリグリセリル-10、デカカステリン酸ポリグリセリル-10(polyglyceryl-10 decacasterate)、ジカプリン酸ポリグリセリル-3、ジヤシ脂肪酸ポリグリセリル-3、ジデカン酸ポリグリセリル-10、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-4、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ジラウリン酸ポリグリセリル-4、ジオレイン酸ポリグリセリン-2、ジオレイン酸ポリグリセリル-3、ジオレイン酸ポリグリセリル-6、ジオレイン酸ポリグリセリル-10、ジパルミチン酸ポリグリセリル-6、ジパルミチン酸ポリグリセリル-10、ジポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-2、ジステアリン酸ポリグリセリル-2、ジステアリン酸ポリグリセリル-3、ジステアリン酸ポリグリセリル-6、ジステアリン酸ポリグリセリル-10、ヘプタオレイン酸ポリグリセリル-10、ヘプタステアリン酸ポリグリセリル-10、ヘキサオレイン酸ポリグリセリル-6、ヘキサオレイン酸ポリグリセリル-10、イソパルミチン酸ポリグリセリル-2、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、イソステアリン酸ポリグリセリル-4、ジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸ポリグリセリル-4、イソステアリン酸ポリグリセリル-5、イソステアリン酸ポリグリセリル-6、イソステアリン酸ポリグリセリル-10、ラウリン酸ポリグリセリル-2、ラウリン酸ポリグリセリル-3、ラウリン酸ポリグリセリル-4、ラウリン酸/セバシン酸ポリグリセリル-4、ラウリン酸/コハク酸ポリグリセリル-4、ラウリン酸ポリグリセリル-5、ラウリン酸ポリグリセリル-6、ラウリン酸ポリグリセリル-10、ミリスチン酸ポリグリセリル-3、ミリスチン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-2、オレイン酸ポリグリセリル-3、オレイン酸ポリグリセリル-4、オレイン酸ポリグリセリル-5、オレイン酸ポリグリセリル-6、オレイン酸ポリグリセリル-8、オレイン酸ポリグリセリル-10、パルミチン酸ポリグリセリル-3、パルミチン酸ポリグリセリル-6、ペンタラウリン酸ポリグリセリル-10、ペンタリノール酸ポリグリセリル-10、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-4、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10、ペンタリシノール酸ポリグリセリル-3、ペンタリシノール酸ポリグリセリル-6、ペンタリシノール酸ポリグリセリル-10、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-4、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-6、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-10、ポリリシノール酸ポリグリセリル-3、ポリリシノール酸ポリグリセリル-6、リシノール酸ポリグリセリル-3、ステアリン酸ポリグリセリル-3、ステアリン酸ポリグリセリル-2、ステアリン酸ポリグリセリル-4、ステアリン酸ポリグリセリル-8、ステアリン酸ポリグリセリル-10、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2、テトラオレイン酸ポリグリセリル-6、テトラオレイン酸ポリグリセリル-10、テトラステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-3、トリオレイン酸ポリグリセリル-10、トリステアリン酸ポリグリセリル-4、トリステアリン酸ポリグリセリル-10及びこれらの混合物から選択される。
【0049】
最も好ましくは、本発明の組成物に使用されるポリグリセリル脂肪酸エステルは、ポリリシノール酸ポリグリセリル-6、ジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸ポリグリセリル-4、又はこれらの混合物である。
【0050】
いくつかの好ましい実施形態では、使用される非イオン性界面活性剤は、オレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、モノベヘン酸グリセリル、ペンタリシノール酸ポリグリセリル-3、ペンタリシノール酸ポリグリセリル-6、ペンタリシノール酸ポリグリセリル-10、ポリリシノール酸ポリグリセリル-3、ポリリシノール酸ポリグリセリル-6、リシノール酸ポリグリセリル-3、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、イソステアリン酸ポリグリセリル-4、イソステアリン酸ポリグリセリル-5、イソステアリン酸ポリグリセリル-6、イソステアリン酸ポリグリセリル-10、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-4、ジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸ポリグリセリル-4、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-3及びこれらの混合物から選択される。
【0051】
いくつかのより好ましい実施形態では、使用される非イオン性界面活性剤は、モノステアリン酸グリセリル、ポリリシノール酸ポリグリセリル-6、ジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸ポリグリセリル-4、イソステアリン酸ポリグリセリル-4及びこれらの混合物から選択される。
【0052】
有利には、グリセリル脂肪酸モノエステル及びポリグリセリル脂肪酸エステルから選択される非イオン性界面活性剤は、組成物の総質量に対して、0.1wt.%~30wt.%、好ましくは1wt.%~8wt.%の範囲内の量で、本発明の組成物中に存在する。
【0053】
ポリエチレンワックス
本発明の第1の態様によれば、固体無水組成物はポリエチレンワックスを含む。
【0054】
有利には、ポリエチレンワックスは、組成物の総質量に対して、3wt.%~80wt.%、好ましくは5wt.%~15wt.%の範囲内の量で、本発明の組成物中に存在する。
【0055】
本発明者らは、ポリエチレンワックスの存在が、構造安定性及び唇の感覚である限り、有益であることを見出した。
【0056】
ポリエチレンワックスに加えて、任意選択で、他のワックス、例えば、マイクロクリスタリンワックス、合成ワックス、ヒマワリ種子ワックス及びカンデリラワックス等が存在してもよい。
【0057】
油
本発明の第1の態様によれば、固体無水組成物は少なくとも1種の油を含む。
【0058】
ここでは、「油」は、大気圧(760mmHg)下、室内温度(25℃)において、液体又はペースト(非固体)の形態の脂肪化合物又は脂肪物質を意味する。油として、化粧品に一般に使用されるものを、単独で又はそれらの組み合わせで使用することができる。これらの油は、揮発性であっても、不揮発性であってもよい。
【0059】
油は、非極性油、例えば炭化水素油若しくはシリコーン油等、極性油、例えば植物若しくは動物油、及びエステル油若しくはエーテル油、又はこれらの混合物であってもよい。
【0060】
油は、植物又は動物起源の油、合成油、シリコーン油、炭化水素油及び脂肪族アルコールからなる群から選択してもよい。
【0061】
植物油の例として、例えば、アブラナ油、アマニ油、カメリア油、マカダミアナッツ油、コーン油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、ベニバナ油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、ナタネ油、ゴマ油、ダイズ油、ピーナッツ油及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0062】
動物油の例として、例えば、スクアレン及びスクアランを挙げることができる。
【0063】
合成油の例として、アルカン油、例えば、イソドデカン及びイソヘキサデカン、エステル油、エーテル油、並びに人工トリグリセリドを挙げることができる。
【0064】
エステル油は、好ましくは、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族一酸又は多酸と、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族モノアルコール又はポリアルコールとの液体エステルであり、エステルの炭素原子の総数は10以上である。
【0065】
一酸とモノアルコールとのモノエステルの中でも、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル及びネオペンタン酸イソステアリルを挙げることができる。
【0066】
C4~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC1~C22アルコールとのエステル、及びモノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸と、非糖C4~C26ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、テトラヒドロキシ又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルも使用してもよい。
【0067】
とりわけ挙げることができるのは、セバシン酸ジエチル、ラウロイルサルコシンイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコールである。
【0068】
この変形形態によるエステルはまた、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル及びポリエステル、並びにこれらの混合物から選択することもできる。
【0069】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、イソステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル及びアラキドン酸エステル、又はこれらの混合物、例えばとりわけ、オレオパルミチン酸、オレオステアリン酸、及びパルミトステアリン酸の混合エステル、並びにテトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリトリチルであってもよい。
【0070】
好ましいエステル油の例として、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、ヘキサン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸エチル、オクタン酸セチル、オクタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、プロピオン酸ミリスチル、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、オクタン酸2-エチルヘキシル、カプリル酸/カプリン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ラウロイルサルコシンイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソデシル、トリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリル、テトラ(2-エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0071】
人工トリグリセリドの例として、例えば、カプリルカプリリルグリセリド、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル(又はカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド)、及びトリ(カプリン酸/カプリル酸/リノレン酸)グリセリルを挙げることができる。
【0072】
シリコーン油の例として、例えば、直鎖状オルガノポリシロキサン、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等、環状オルガノポリシロキサン、例えば、シクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0073】
好ましくは、シリコーン油は、液体ポリジアルキルシロキサン、とりわけ液体ポリジメチルシロキサン(PDMS)、及び少なくとも1つのアリール基を含む液体ポリオルガノシロキサンから選択される。これらは、揮発性であっても、不揮発性であってもよい。
【0074】
揮発性である場合、シリコーンは、より詳細には、60℃から260℃の間の沸点を有するものから選択され、よりいっそう詳細には、以下から選択される:
(i)3~7個、好ましくは4~5個のケイ素原子を含む、環状ポリジアルキルシロキサン、及び
(ii)2~9個のケイ素原子を含有し、25℃で5×10-6m2/s以下の粘度を有する、直鎖状揮発性ポリジアルキルシロキサン。
【0075】
不揮発性ポリジアルキルシロキサンも使用されうる。これらの不揮発性シリコーンは、より詳細にはポリジアルキルシロキサンから選択され、その中でも、トリメチルシリル末端基を含有するポリジメチルシロキサンを主に挙げることができる。
【0076】
ジメチコノール(CTFA)の名称で知られる、ジメチルシラノール末端基を含有するポリジメチルシロキサン、例えばRhodia社製48シリーズの油も挙げることができる。
【0077】
アリール基を含有するシリコーンの中でも、ポリジアリールシロキサン、とりわけポリジフェニルシロキサン及びポリアルキルアリールシロキサン、例えばフェニルシリコーン油を挙げることができる。
【0078】
炭化水素油は、以下から選択されうる:
- 直鎖状又は分枝状の、任意選択で環状の、C6~C16低級アルカン。挙げることができる例には、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン及びイソパラフィン、例えば、イソヘキサデカン、イソドデカン及びイソデカンが含まれる。並びに
- 16個超の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば、流動パラフィン、流動石油ゼリー、ポリデセン及び水添ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、並びにスクアラン。
【0079】
炭化水素油の好ましい例として、例えば、直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば、イソヘキサデカン、イソドデカン、スクアラン、鉱物油(例えば流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン又はペトロラタム、及びナフタレン類等;水添ポリイソブテン、イソエイコサン、及びデセン/ブテンコポリマー;並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0080】
脂肪族アルコールにおける「脂肪族」という用語は、比較的多数の炭素原子を含むことを意味する。したがって、4個以上、好ましくは6個以上、より好ましくは12個以上の炭素原子を有するアルコールは、脂肪族アルコールの範囲内に包含される。脂肪族アルコールは、飽和していても、不飽和であってもよい。脂肪族アルコールは、直鎖状であっても、分枝状であってもよい。
【0081】
脂肪族アルコールは、構造R-OH(式中、Rは、4~40個の炭素原子、好ましくは6~30個の炭素原子、より好ましくは12~20個の炭素原子を含有する、飽和及び不飽和の、直鎖状及び分枝状基から選択される)を有しうる。少なくとも1つの実施形態では、Rは、C12~C20アルキル基及びC12~C20アルケニル基から選択されうる。Rは、少なくとも1つのヒドロキシル基によって置換されていることも、されていないこともある。
【0082】
脂肪族アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、エルシルアルコール及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0083】
脂肪族アルコールは、飽和脂肪族アルコールであることが好ましい。
【0084】
したがって、脂肪族アルコールは、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和C6~C30アルコール、好ましくは直鎖状又は分枝状の、飽和C6~C30アルコール、より好ましくは直鎖状又は分枝状の、飽和C12~C20アルコールから選択されうる。
【0085】
「飽和脂肪族アルコール」という用語は、ここでは、長い脂肪族飽和炭素鎖を有するアルコールを意味する。飽和脂肪族アルコールは、直鎖状又は分枝状の飽和C6~C30脂肪族アルコールから選択されることが好ましい。直鎖状又は分枝状の飽和C6~C30脂肪族アルコールの中でも、直鎖状又は分枝状の飽和C12~C20脂肪族アルコールが、好ましく使用されうる。任意の直鎖状又は分枝状の飽和C16~C20脂肪族アルコールが、より好ましく使用されうる。分枝状C16~C20脂肪族アルコールが、よりいっそう好ましく使用されうる。
【0086】
いくつかの好ましい実施形態では、油は、アブラナ油、スクアラン、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、これらの混合物から選択される。
【0087】
有利には、油は、組成物の総質量に対して、10wt.%~90wt.%、好ましくは40wt.%~80wt.%の範囲内の量で、本発明の組成物中に存在する。
【0088】
増粘剤
好ましくは、本発明による組成物は、増粘剤、特に鉱物増粘剤を含む。
【0089】
鉱物増粘剤は、化粧用組成物の粘度を増粘する又は変更する鉱物系化合物である。
【0090】
鉱物増粘剤の非限定例としては、シリル化シリカ、ヒュームドシリカ、ゼオライト、天然クレイ、合成クレイ、カオリン、ヘクトライト、有機改質ヘクトライト(例えば、INCI:テトライソステアリン酸ペンタエリトリチル(及び)ジステアルジモニウムヘクトライト(及び)炭酸プロピレン)、活性白土(例えば、ジステアルジモニウムヘクトライト、ステアラルコニウムヘクトライト、クオタニウム-18ベントナイト、クオタニウム-18ヘクトライト及びベンザルコニウムベントナイト)、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0091】
いくつかの例では、鉱物増粘化剤は、シリル化シリカ、ヒュームドシリカ、ゼオライト、天然クレイ、合成クレイ、カオリン、ヘクトライト、ジステアルジモニウムヘクトライト、ステアラルコニウムヘクトライト、クオタニウム-18ベントナイト、クオタニウム-18ヘクトライト、ベンザルコニウムベントナイト及びこれらの混合物から選択される。
【0092】
好ましくは、存在する場合、本発明による組成物中の鉱物増粘剤の総量は、組成物の総質量に対して、0.1wt.%~5wt.%である。
【0093】
鉱物増粘剤の総量は、化粧用組成物の総質量に対して、0.2wt.%~3wt.%、0.2wt.%~3wt.%、0.5wt.%~1wt.%であってもよい。
【0094】
本発明者らは、増粘剤によって、比較的高湿度の条件下で、本発明による組成物の抗汗かき特性を更に改善できることを見出した。
【0095】
ペースト状化合物
任意選択で、固体無水組成物はペースト状化合物を含む。
【0096】
ここで使用される「ペースト状化合物」という用語は、可逆的な固体/液体の状態変化を伴い、固体状態においては異方性の結晶配置を呈し、23℃の温度で液体画分と固体画分とを含む、親油性脂肪化合物を意味するものと理解される。
【0097】
言い換えれば、ペースト状化合物の溶融開始温度は、23℃未満である。ペースト状化合物の液体画分は、23℃で測定して、組成物の9wt.%~97wt.%に相当する。23℃におけるこの液体画分は、好ましくは15wt.%から85wt.%の間、より好ましくは40wt.%から85wt.%の間に相当する。
【0098】
固体脂肪物質の融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えばTA Instruments社により「DSC Q100」の名称で販売されている熱量計を使用し、ソフトウェア「TA Universal Analysis」を用いて測定することができる。
【0099】
測定プロトコールは以下の通りである。
【0100】
るつぼに入れた5mgのペースト状化合物の試料を、10℃/分の加熱速度で、-20℃から100℃の範囲の第1の昇温に供し、次いで10℃/分の冷却速度で、100℃から-20℃まで冷却し、最後に5℃/分の加熱速度で、-20℃から100℃の範囲の第2の昇温に供する。第2の昇温中に、空のるつぼが吸収する電力量と、ペースト状脂肪物質の試料を含有するるつぼが吸収する電力量との差の変化を、温度の関数として測定する。ペースト状化合物の融点は、吸収される電力量の差の変化を温度の関数として示す曲線の、ピークの頂点に対応する温度値である。
【0101】
23℃におけるペースト状化合物の質量による液体画分は、23℃で消費されている融解熱の、ペースト状化合物の融解熱に対する比に等しい。
【0102】
ペースト状化合物の融解熱(J/gで表される)は、化合物を固体状態から液体状態へと変化させるのに必要とされるエネルギー量である。ペースト状化合物は、その質量のすべてが結晶性固体形態である場合、固体の状態にあると言われる。ペースト状化合物は、その質量のすべてが液体形態である場合、液体の状態にあると言われる。23℃で消費されている融解熱は、試料が、固体状態から、23℃における液体画分と固体画分とからなる状態へと変化するために吸収したエネルギーの量である。
【0103】
ペースト状化合物の融解熱は、示差走査熱量計(DSC)、例えばTA Instrument社によりMDSC 2920の名称で販売されている熱量計を使用して、ISO規格11357-3;1999年に従い、1分当たり5℃又は10℃の昇温で得られたサーモグラムの曲線下面積と等しい。
【0104】
32℃で測定されるペースト状化合物の液体画分は、好ましくは、ペースト状化合物の30質量%~100質量%、好ましくは50質量%~100質量%、より好ましくはペースト状化合物の60質量%~100質量%に相当する。32℃で測定されるペースト状化合物の液体画分が100%に等しい場合、ペースト状化合物の融解範囲の終点の温度は、32℃以下である。
【0105】
32℃で測定されるペースト状化合物の液体画分は、32℃で消費されている融解熱の、ペースト状化合物の融解熱に対する比に等しい。32℃で消費されている融解熱は、23℃で消費されている融解熱と同じ方法で算出される。
【0106】
ペースト状化合物は、特に、合成ペースト状化合物及び植物起源の脂肪物質から選択されうる。ペースト状化合物は、炭化水素系又はシリコーン系であってもよい。
【0107】
ペースト状化合物は、以下から特に選択されうる:
- ラノリン及びその誘導体、例えば、ラノリンアルコール、オキシエチレン化ラノリン、アセチル化ラノリン、ラノリンエステル、例えばラノリン脂肪酸イソプロピル、及びオキシプロピレン化ラノリン、
- 石油ゼリー(ペトロラタムとしても知られる)、
- C2~C4ポリアルキレングリコールペンタエリスリチルエーテル、糖の脂肪族アルコールエーテル及びこれらの混合物から選択されるポリオールエーテル。例えば、5つのオキシエチレン単位(5OE)を含むポリエチレングリコールペンタエリスリチルエーテル(CTFA名:PPG-5ペンタエリスリチルエーテル)、5つのオキシプロピレン(5OP)単位を含むポリプロピレングリコールペンタエリスリチルエーテル(CTFA名:PPG-5ペンタエリスリチルエーテル)及びこれらの混合物、より特定的には、Vevy社によりLanolideの名称で販売されている、PEG-5ペンタエリスリチルエーテルとPPG-5ペンタエリスリチルエーテルとダイズ油との混合物(構成成分は、46/46/8の質量比で、46%のPEG-5ペンタエリスリチルエーテルと、46%のPPG-5ペンタエリスリチルエーテルと、8%のダイズ油との混合物である)を挙げることができる、
- ポリマー性又は非ポリマー性のシリコーン化合物、
- ポリマー性又は非ポリマー性のフルオロ化合物、
- ビニルポリマー、とりわけ:
○ オレフィンホモポリマー及びコポリマー、
○ 水添ジエンホモポリマー及びコポリマー、
○ 好ましくはC8~C30アルキル基を含有する、アルキル(メタ)アクリレートのホモポリマー又はコポリマーである、直鎖状又は分枝鎖状のオリゴマー、
○ C8~C30アルキル基を含有するビニルエステルのホモポリマー及びコポリマーである、オリゴマー、並びに
○ C8~C30アルキル基を含有するビニルエステルのホモポリマー及びコポリマーである、オリゴマー、
- 1種又は複数のC2~C100、好ましくはC2~C50ジオール間のポリエーテル化によって得られる脂溶性ポリエーテル。特に検討される脂溶性ポリエーテルの中には、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドとC6~C30長鎖アルキレンオキシドとのコポリマー、より好ましくは、コポリマーにおけるエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドのアルキレンオキシドに対する質量比が5:95から70:30であるものがある。このファミリーにおいて、とりわけ挙げられるのは、長鎖アルキレンオキシドが、1000~10000の平均分子量を有するブロックで配列されたコポリマー、例えばポリオキシエチレン/ポリドデシルグリコールブロックコポリマー、例えばAkzo Nobel社によりElfacos ST9のブランド名で販売されている、ドデカンジオール(22mol)とポリエチレングリコール(45OE)とのエーテルである、
- エステル及びポリエステル。エステルの中でも、以下のものがとりわけ検討される:
○ 直鎖状若しくは分枝状で、飽和若しくは不飽和の、好ましくは飽和したC6~C20の、任意選択でヒドロキシル化された、モノカルボン酸、及び/又は直鎖状若しくは分枝状で、飽和若しくは不飽和の、好ましくは飽和したC6~C10ジカルボン酸との、グリセロールオリゴマーのエステル、とりわけジグリセロールエステル、特にアジピン酸とジグリセロールとの縮合物であり、グリセロールのヒドロキシル基の一部が、脂肪酸、例えばステアリン酸、カプリン酸、イソステアリン酸及び12-ヒドロキシステアリン酸の混合物と反応したもの、例えば、Sasol社によりSoftisan(登録商標) 649の参照名で販売されているビスジグリセリルポリアシルアジペート-2、
○ C8~C30アルキル基を有するビニルエステルホモポリマー、例えばポリラウリン酸ビニル(とりわけChimex社によりMexomer PPの参照名で販売されている)、
○ Alzo社によりWaxenol 801のブランド名で販売されているプロピオン酸アラキジル、
○ フィトステロールエステル、
○ 脂肪酸トリグリセリド及びその誘導体、特に、任意選択で水素化されており(完全に又は部分的に)、任意選択でモノヒドロキシル化又はポリヒドロキシル化されている、C6~C30、より詳細にはC8~C18の、直鎖状又は分枝状の飽和又は不飽和脂肪酸トリグリセリド、例えばSasol社により販売されているSoftisan 100(登録商標)、
○ ペンタエリスリトールエステル、
○ 脂肪族ヒドロキシカルボン酸エステルと脂肪族カルボン酸とのエステル化から得られる、脂肪族エステル。より詳細には、脂肪族カルボン酸は、C4~C30、好ましくはC8~C30のものである。ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、2-エチルヘキサン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデセン酸、ヘキシルデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、イソステアリン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、イソアラキジン酸、オクチルドデカン酸、ヘンエイコサン酸及びドコサン酸、並びにこれらの混合物が、好ましく選択される。脂肪族カルボン酸は、好ましくは分枝状である。ヒドロキシカルボン酸エステルは、有利には、C2~C40、好ましくはC10~C34、よりいっそう優先的にはC12~C28ヒドロキシル化カルボン酸から誘導され、そのヒドロキシル基の数は、1から20の間、より詳細には1から10の間、好ましくは1から6の間である。
○ 該当する場合、そのフリーのアルコール又は酸官能基が酸又はアルコール基でエステル化された、ジオールダイマーと二酸ダイマーとのエステル、とりわけダイマージリノール酸エステル(このようなエステルは、とりわけ以下のINCI名称を有するエステル:ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス-ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル(Plandool G)、ダイマージリノール酸フィトステリル/イソステリル/セチル/ステアリル/ベヘニル(Plandool H又はPlandool S)、及びこれらの混合物から選択されうる)、
○ ロジンの水添エステル(日本精化株式会社製のLusplan DD-DHR又はDD-DHR)、
- 植物起源のバター、例えばマンゴーバター、例えばAarhuskarlshamn社によりLipex 203の参照名で販売されている製品、シアバター、特にINCI名がButyrospermum Parkii Butterである製品、例えばAarhuskarlshamn社によりSheasoft(登録商標)の参照名で販売されている製品、クプアスバター(Beraca Sabara社製Rain Forest RF3410)、ムルムルバター(Beraca Sabara社製Rain Forest RF3710)、ココアバター、ババスバター、例えばCroda社によりCropure Babassu SS-(LK)の名称で販売されている製品、及びまたオレンジワックス、例えばKoster Keunen社によりOrange Peel Waxの参照名で販売されている製品、
- 完全又は部分水添植物油、例えば水添ダイズ油、水添ヤシ油、水添アブラナ種子油、水添植物油の混合物、例えば水添ダイズ、ヤシ、パーム及びアブラナ種子植物油の混合物、例えばAarhuskarlshamn社によりAkogel(登録商標)の参照名で販売されている混合物(INCI名水添植物油)、Desert Whale社によりIso-Jojoba-50(登録商標)の市販参照名で製造又は販売されているtrans-異性化部分水添ホホバ油、部分水添オリーブ油、例えばSoliance社によりBeurroliveの参照名で販売されている化合物、
- 水添ヒマシ油エステル、例えばダイマージリノール酸水添ヒマシ油、例えば高級アルコール工業株式会社により販売されているRisocast DA-L、及びイソステアリン酸水添ヒマシ油、例えばNisshin Oil社により販売されているSalacos HCIS (V-L)、
- 並びにこれらの混合物。
【0108】
好ましくは、本発明に使用されるペースト状化合物は、ジオールダイマーと二酸ダイマーとのエステル、例えばジリノール酸ダイマーエステルから選択される。
【0109】
より好ましくは、ペースト状化合物は、式(I)の化合物:
R3-OCO-R1(-COO-R2-OCO-R1)n-COO-R3 (I)
(式中、
- COR1COは、ダイマージリノール酸残基を表し、
- OR2Oは、16~68個、24~44個、特に32~40個、より詳細には36個の炭素原子を有する脂肪族アルコールダイマー残基を表し、
- OR3は、4~40個、特に6~36個、特に8~32個、特に16~28個、より詳細には18~24個の炭素原子を有するモノアルコール残基を表し、
- nは、1~15、特に2~10、より詳細には5~7の範囲内の整数である)
から選択される。
【0110】
最も好ましくは、ペースト状化合物は、以下のINCI名称を有するエステル:イソステアリン酸ポリグリセリル-2ダイマージリノール酸コポリマー、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス-ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0111】
好ましくは、存在する場合、ペースト状化合物は、組成物の総質量に対して、0.01wt.%~60wt.%、好ましくは0.01wt.%~30wt.%の範囲内の量で、本発明の組成物中に存在する。
【0112】
着色剤
本発明による固体無水組成物は、任意選択で、少なくとも1種の着色剤を含んでもよい。好ましくは、着色剤の量は、組成物の総質量に対して20wt.%未満である。
【0113】
本発明の目的上、「着色剤」という用語は、好適な化粧品媒体中に十分な量で配合された場合、有色の光学効果を生じることができる化合物を意味する。
【0114】
本発明の文脈において検討される着色剤は、水溶性又は非水溶性で、脂溶性又は非脂溶性の有機又は無機着色剤、及び光学効果を有する材料、並びにこれらの混合物から選択されうる。
【0115】
水溶性染料
本発明に従って使用される水溶性着色剤は、より詳細には、水溶性染料である。
【0116】
本発明の目的上、「水溶性染料」という用語は、水性相又は水混和性の溶媒に可溶性であり、色を付与することができる、任意の天然若しくは合成の、一般には有機化合物を意味する。特に、「水溶性」という用語は、25℃で測定して、少なくとも0.1g/lに等しい濃度まで水に溶解する、化合物の能力(巨視的に等方性で、透明な、有色又は無色の溶液の生成)を特徴付けることが意図される。この溶解性は、特に1g/l以上である。
【0117】
本発明における使用に好適な水溶性染料として、特に、合成又は天然の水溶性染料、例えば、FD&C Red 4(CI:14700)、DC Red 6(Lithol Rubine Na; CI:15850)、DC Red 22(CI:45380)、DC Red 28(CI:45410 Na塩)、DC Red 30(CI:73360)、DC Red 33(CI:17200)、DC Orange 4(CI:15510)、FDC Yellow 5(CI:19140)、FDC Yellow 6(CI:15985)、DC Yellow 8(CI:45350 Na塩)、FDC Green 3(CI:42053)、DC Green 5(CI:61570)、FDC Blue 1(CI:42090)を挙げることができる。
【0118】
本発明の文脈において使用されうる水溶性着色剤の供給源の非限定的な例証として、特に天然起源のもの、例えば、コチニールカルミン、ビート根、ブドウ、ニンジン、トマト、アナトー、パプリカ、ヘンナ、カラメル及びクルクミンの抽出物を挙げることができる。
【0119】
したがって、本発明における使用に好適な水溶性着色剤は、特に、カルミン酸、ベタニン、アントシアン、エノシアニン、リコペン、β-カロテン、ビキシン、ノルビキシン、カプサンチン、カプソルビン、フラボキサンチン、ルテイン、クリプトキサンチン、ルビキサンチン、ビオラキサンチン、リボフラビン、ロドキサンチン、カンタキサンチン及びクロロフィル、並びにこれらの混合物である。
【0120】
これらはまた、硫酸銅、硫酸鉄、水溶性スルホポリエステル、ローダミン、ベタイン、メチレンブルー、タートラジンの二ナトリウム塩及びフクシンの二ナトリウム塩であってもよい。
【0121】
これらの水溶性着色剤のいくつかは、食品使用について、特に認可されている。挙げることができるこれらの染料の代表例には、より詳細には、食品コードE120、E162、E163、E160a~g、E150a、E101、E100、E140及びE141で参照される、カロテノイドファミリーの染料が含まれる。
【0122】
顔料
「顔料」という用語は、液体有機相に不溶性であり、組成物及び/又は組成物によって生成する堆積物を着色及び/又は不透明化することが意図される、白色又は有色の無機(鉱物)又は有機粒子を意味するものと理解されるべきである。
【0123】
顔料は、鉱物顔料、有機顔料及び複合顔料(すなわち、鉱物材料及び/又は有機材料をベースとする顔料)から選択されうる。
【0124】
顔料は、単色顔料、レーキ及び光学効果を有する顔料、例えばゴニオクロマチック顔料及び真珠層から選択されうる。
【0125】
鉱物顔料は、金属酸化物顔料、例えば、酸化クロム、酸化鉄(黒色、黄色、赤色)、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム及び酸化ジルコニウム、クロム水和物、マンガンバイオレット、プルシアンブルー、ウルトラマリンブルー、フェリックブルー、合成フルオロフロゴパイト、金属粉、例えばアルミニウム粉末及び銅粉末、並びにこれらの混合物から選択されうる。
【0126】
有機レーキとは、基材に結合された染料から形成される有機顔料である。
【0127】
レーキは、有機顔料としても知られ、以下の材料:
- コチニールカルミン、
- アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、キサンテン染料、ピレン染料、キノリン染料、トリフェニルメタン染料又はフルオラン染料の有機顔料
及びこれらの混合物から選択されうる。
【0128】
特に挙げることができる有機顔料の中には、以下の名称で知られるものがある: D&C Blue No. 4、D&C Brown No. 1、D&C Green No. 5、D&C Green No. 6、D&C Orange No. 4、D&C Orange No. 5、D&C Orange No. 10、D&C Orange No. 11、D&C Red No. 6、D&C Red No. 7、D&C Red No. 17、D&C Red No. 21、D&C Red No. 22、D&C Red No. 27、D&C Red No. 28、D&C Red No. 30、D&C Red No. 31、D&C Red No. 33、D&C Red No. 34、D&C Red No. 36、D&C Violet No. 2、D&C Yellow No. 7、D&C Yellow No. 8、D&C Yellow No. 10、D&C Yellow No. 11、FD&C Blue No. 1、FD&C Green No. 3、FD&C Red No. 40、FD&C Yellow No. 5、FD&C Yellow No. 6、
- 有機レーキは、少なくとも1つのカルボン酸又はスルホン酸基を場合によって含む酸性染料、例えば、アゾ、アントラキノン、インジゴイド、キサンテン、ピレン、キノリン、トリフェニルメタン又はフルオラン染料の不溶性ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、ジルコニウム、ストロンチウム又はチタン塩であってもよい。
【0129】
有機レーキはまた、有機支持体、例えば、ロジン又は安息香酸アルミニウム上に支持されていてもよい。
【0130】
有機レーキの中でも、特に、以下の名称で知られるものを挙げることができる: D&C Red No. 2 Aluminiumレーキ、D&C Red No. 3 Aluminiumレーキ、D&C Red No. 4 Aluminiumレーキ、D&C Red No. 6 Aluminiumレーキ、D&C Red No. 6 Bariumレーキ、D&C Red No. 6 Barium/Strontiumレーキ、D&C Red No. 6 Strontiumレーキ、D&C Red No. 6 Potassiumレーキ、D&C Red No. 7 Aluminiumレーキ、D&C Red No. 7 Bariumレーキ、D&C Red No. 7 Calciumレーキ、D&C Red No. 7 Calcium/Strontiumレーキ、D&C Red No. 7 Zirconiumレーキ、D&C Red No. 8 Sodiumレーキ、D&C Red No. 9 Aluminiumレーキ、D&C Red No. 9 Bariumレーキ、D&C Red No. 9 Barium/Strontiumレーキ、D&C Red No. 9 Zirconiumレーキ、D&C Red No. 10 Sodiumレーキ、D&C Red No. 19 Aluminiumレーキ、D&C Red No. 19 Bariumレーキ、D&C Red No. 19 Zirconiumレーキ、D&C Red No. 21 Aluminiumレーキ、D&C Red No. 21 Zirconiumレーキ、D&C Red No. 22 Aluminiumレーキ、D&C Red No. 27 Aluminiumレーキ、D&C Red No. 27 Aluminium/Titanium/Zirconiumレーキ、D&C Red No. 27 Bariumレーキ、D&C Red No. 27 Calciumレーキ、D&C Red No. 27 Zirconiumレーキ、D&C Red No. 28 Aluminiumレーキ、D&C Red No. 30レーキ、D&C Red No. 31 Calciumレーキ、D&C Red No. 33 Aluminiumレーキ、D&C Red No. 34 Calciumレーキ、D&C Red No. 36レーキ、D&C Red No. 40 Aluminiumレーキ、D&C Blue No. 1 Aluminiumレーキ、D&C Green No. 3 Aluminiumレーキ、D&C Orange No. 4 Aluminiumレーキ、D&C Orange No. 5 Aluminiumレーキ、D&C Orange No. 5 Zirconiumレーキ、D&C Orange No. 10 Aluminiumレーキ、D&C Orange No. 17 Bariumレーキ、D&C Yellow No. 5 Aluminiumレーキ、D&C Yellow No. 5 Zirconiumレーキ、D&C Yellow No. 6 Aluminiumレーキ、D&C Yellow No. 7 Zirconiumレーキ、D&C Yellow No. 10 Aluminiumレーキ、FD&C Blue No. 1 Aluminiumレーキ、FD&C Red No. 4 Aluminiumレーキ、FD&C Red No. 40 Aluminiumレーキ、FD&C Yellow No. 5 Aluminiumレーキ及びFD&C Yellow No. 6 Aluminiumレーキ。
【0131】
やはり挙げることができるのは、脂溶性染料、例えば、スーダンレッド、DC Red 17、DC Green 6、β-カロテン、ダイズ油、スーダンブラウン、DC Yellow 11、DC Violet 2、DC Orange 5及びキノリンイエロー等である。
【0132】
上で引き合いに出した有機着色剤の各々に対応する化学物質は、刊行物「International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook」、1997年版、371~386頁及び524~528頁、「The Cosmetic, Toiletries and Fragrance Association」刊に言及されており、その内容は、参照により本特許出願に組み込まれる。
【0133】
顔料はまた、疎水性処理に供されていてもよい。
【0134】
疎水性処理剤は、シリコーン、例えば、メチコン、ジメチコン、アルコキシシラン(例えばトリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン)並びにペルフルオロアルキルシラン;脂肪酸、例えば、ステアリン酸;金属石鹸、例えば、ジミリスチン酸アルミニウム、水添タロウグルタミン酸のアルミニウム塩、リン酸ペルフルオロアルキル、ペルフルオロアルキルシラン、ペルフルオロアルキルシラザン、ポリヘキサフルオロプロピレンオキシド、ペルフルオロアルキルペルフルオロポリエーテル基及びアミノ酸を含むポリオルガノシロキサン;N-アシルアミノ酸又はその塩;レシチン、イソプロピルトリイソステアリルチタネート、並びにこれらの混合物から選択されうる。
【0135】
N-アシルアミノ酸は、8~22個の炭素原子を含有するアシル基、例えば、2-エチルヘキサノイル、カプロイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル又はココイル基等を含みうる。これらの化合物の塩は、アルミニウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ジルコニウム塩、亜鉛塩、ナトリウム塩又はカリウム塩でありうる。アミノ酸は、例えば、リジン、グルタミン酸又はアラニンであってもよい。
【0136】
上で引き合いに出した化合物で言及した「アルキル」という用語は、特に、1~30個の炭素原子を含有する、好ましくは5~16個の炭素原子を含有するアルキル基を示す。
【0137】
疎水性処理した顔料は、特に、欧州特許出願公開第1086683号に記載されている。
【0138】
真珠層
本特許出願の目的上、「真珠層」という用語は、真珠光沢であることも、そうでないこともあり、特に、ある特定の軟体動物によって殻の中で生成されるか、又は代わりに合成され、光学干渉を介した色彩効果を有する、任意の形状の有色粒子を意味する。
【0139】
挙げることができる真珠層の例には、真珠層顔料、例えば、酸化鉄でコーティングされているチタンマイカ、オキシ塩化ビスマスでコーティングされているマイカ、酸化クロムでコーティングされているチタンマイカ、有機染料、特に上述のタイプのものでコーティングされているチタンマイカ、及びまたオキシ塩化ビスマスをベースとする真珠層顔料が含まれる。
【0140】
これらはまた、その表面に、金属酸化物及び/又は有機着色剤の少なくとも2つの連続層が重ねられているマイカ粒子であってもよい。
【0141】
真珠層は、より詳細には、黄、ピンク、赤、青銅、オレンジ、茶、金及び/又は銅の色又は色調を有しうる。
【0142】
第1の組成物中に干渉顔料として導入されうる真珠層の例証として、特にBASF社によりBrilliant gold 212G(Timica)、Gold 222C(Cloisonne)、Sparkle gold(Timica)及びMonarch gold 233X(Cloisonne)の名称で販売されている金色に着色された真珠層;特にMerck社によりBronze fine(17384)(Colorona)及びBronze(17353)(Colorona)の名称で、並びにBASF社によりSuper bronze(Cloisonne)の名称で販売されている青銅色の真珠層;特にBASF社によりOrange 363C(Cloisonne)の名称で、並びにMerck社によりPassion orange(Colorona)及びMatte orange(17449)(Microna)の名称で販売されているオレンジ色の真珠層;特にEngelhard社によりNu-antique copper 340XB(Cloisonne)及びBrown CL4509(Chroma-lite)の名称で販売されている茶色の色調の真珠層;特にBASF社によりCopper 340A(Timica)の名称で販売されている銅色の色調の真珠層;特にMerck社により名称Sienna fine(17386)(Colorona)で販売されている赤色の色調の真珠層;特にBASF社によりYellow(4502)(Chromalite)の名称で販売されている黄色の色調の真珠層;特にBASF社によりSunstone G012(Gemtone)の名称で販売されている金色の色調の赤色真珠層;特にBASF社によりTan opale G005(Gemtone)の名称で販売されているピンク色の真珠層;特にBASF社によりNu antique bronze 240 AB(Timica)の名称で販売されている金色の色調の黒色真珠層、特にMerck社によりMatte blue(17433)(Microna)の名称で販売されている青色の真珠層、特にMerck社によりXirona Silverの名称で販売されている銀色の色調の白色真珠層、及び特にMerck社によりIndian summer(Xirona)の名称で販売されている金緑色でピンク-オレンジ色の真珠層、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0143】
ゴニオクロマチック顔料
本発明の目的上、「ゴニオクロマチック顔料」という用語は、組成物を支持体に塗り拡げた場合、CIE 1976色空間のa*b*平面において、垂直に対する観測の角度が、0°から80°の間で変化すると、入射光の角度が45°の場合、少なくとも20°という色相角h°の変化量Dhに対応する色軌跡を得ることを可能にする顔料を示す。
【0144】
色軌跡は、例えば、自動延展器を使用して、Typ 24/5という参照名のErichsenブランドのコントラストカード上に、組成物を流体形態で300μmの厚さに塗り拡げた後、GON 360 Goniometerという参照名のInstrument Systemsブランドの分光ゴニオリフレクトメータ(spectrogonioreflectometer)を使用して測定することができ、測定値は、カードの黒色背景に対して取得される。
【0145】
ゴニオクロマチック着色剤は、例えば、多層干渉構造の着色剤及び液晶の着色剤から選択されうる。
【0146】
多層構造の場合、例えば、各々の層が、例えば以下の材料:MgF2、CeF3、ZnS、ZnSe、Si、SiO2、Ge、Te、Fe2O3、Pt、Va、Al2O3、MgO、Y2O3、S2O3、SiO、HfO2、ZrO2、CeO2、Nb2O5、Ta2O5、TiO2、Ag、Al、Au、Cu、Rb、Ti、Ta、W、Zn、MoS2、氷晶石、合金、ポリマー及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料から作製される、少なくとも2つの層を含みうる。
【0147】
多層構造は、中央層に対して、積層された層の化学的性質における対称性を有することも、有しないこともある。
【0148】
様々な層の厚さ及び性質に応じて、異なる効果が得られる。
【0149】
対称な多層干渉構造の例は、例えば、以下の構造である:Fe2O3/SiO2/Fe2O3/SiO2/Fe2O3(この構造を有する顔料は、BASF社によりSicopearlの名称で販売されている)、MoS2/SiO2/酸化マイカ/SiO2/MoS2、Fe2O3/SiO2/酸化マイカ/SiO2/Fe2O3、TiO2/SiO2/TiO2及びTiO2/Al2O3/TiO2(これらの構造を有する顔料は、Merck社によりXironaの名称で販売されている)。
【0150】
液晶着色剤は、例えば、中間状態の(mesomorphic)基がグラフトされたシリコーン又はセルロースエーテルを含む。使用されうる液晶ゴニオクロマチック粒子の例としては、例えば、Chenix社により販売されているもの、及びまたWacker社によりHelicone(登録商標) HCの名称で市販されているものが挙げられる。
【0151】
やはり使用されうるゴニオクロマチック顔料としては、ある特定の真珠層、合成基材上、特に、アルミナ、シリカ、ボロシリケート、酸化鉄若しくはアルミニウム等の基材上で効果を有する顔料、又はポリテレフタレートフィルムから得られる干渉フレークが挙げられる。
【0152】
ゴニオクロマチック顔料の非限定例として、特に、SunChemicals社により販売されているSunShine(登録商標)ゴニオクロマチック顔料、東洋アルミニウム株式会社製Cosmicolor Celeste(登録商標)、Merck社製Xirona(登録商標)及びBASF社製Reflecks Multidimensions(登録商標)を、単独で又は混合物において挙げることができる。
【0153】
任意選択で、これらの粒子は、光学明色化物質(又は有機白色蛍光物質)を含んでもよく、これによって覆われていてもよい。
【0154】
光学明色化物質は、当業者に周知の化合物である。このような化合物は、「Fluorescent Whitening Agent, Encyclopedia of Chemical Technology, Kirk-Othmer」、11巻、227~241頁、第4版、1994年、Wiley社に記載されている。
【0155】
化粧品におけるその使用は、特に、これらが、紫外領域で吸光し(最大吸光は400nm未満の波長)、蛍光によって380nmから830nmの間の波長でエネルギーを再放出する、蛍光特性を有する化学化合物からなることを利用している。これらは、より詳細には、本質的に300から390nmの間のUVA領域で吸光し、400から525nmの間で本質的に再放出する化合物として定義されうる。照明効果は、より詳細には、400から480nmの間のエネルギーの放出に基づき、これは、可視領域の青色部分における放出に対応し、皮膚上でこの放出が起こると、皮膚を視覚的に明るくすることに寄与する。
【0156】
特に知られる光学明色化物質としては、スチルベン誘導体、特にポリスチリルスチルベン及びトリアジニルスチルベン、クマリン誘導体、特にヒドロキシクマリン及びアミノクマリン、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、イミダゾール、トリアゾール並びにピラゾリン誘導体、ピレン誘導体、ポルフィリン誘導体並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0157】
使用することができる光学明色化物質はまた、仏国出願第9910942号に記載されているように、光学明色化基がグラフトされた、例えばアクリレート及び/又はメタクリレートの、コポリマーの形態であってもよい。
【0158】
好ましい実施形態によれば、本発明に使用される着色剤は、金属酸化物顔料、有機レーキ、合成又は天然水溶性染料及びこれらの混合物から選択される。
【0159】
特に好ましい実施形態によれば、本発明に使用される着色剤は、黄5レーキ、青1レーキ、赤104(1)レーキ、赤223、赤202、二酸化チタン、酸化鉄、合成フルオロフロゴパイト及びこれらの混合物から選択される。
【0160】
好ましくは、存在する場合、着色剤は、組成物の総質量に対して、0.01wt.%~35wt.%、好ましくは5wt.%~15wt.%の範囲内の量で存在する。
【0161】
他の成分
本発明による固体無水組成物は、検討している分野において通常使用される他の成分を、更に含んでもよい。
【0162】
例えば、本発明による固体無水組成物は、使用性改善のためのポリマー、充填材、酸化防止剤、保存剤、香料、中和剤、防腐剤、追加の美容活性剤、例えば、ビタミン、コラーゲン保護剤及びこれらの混合物から選択される他の成分を、更に含んでもよい。
【0163】
本発明による固体無水組成物は、増粘剤の存在下で、改善した抗汗かき性能を示すことができると見出された。
【0164】
本発明に準拠した組成物中に存在する他の成分の性質及び量を、本発明に従って使用される組成物の有利な特性が、想定される添加によって悪影響を受けない、又は実質的に受けないように調節することは、当業者にとって常法である。
【0165】
好ましい実施形態によれば、本発明は、固体無水組成物であって、組成物の総質量に対して、
a)4wt.%~10wt.%のグリセリン、
b)1wt.%~8wt.%の、モノステアリン酸グリセリル、ポリリシノール酸ポリグリセリル-6、ジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸ポリグリセリル-4、イソステアリン酸ポリグリセリル-4及びこれらの混合物から選択される、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、
c)5wt.%~15wt.%のポリエチレンワックス、
d)40wt.%~80wt.%の、アブラナ油、スクアラン、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、これらの混合物から選択される、少なくとも1種の油、並びに
e)5wt.%~15wt.%の、黄5、青1、赤104(1)、赤223、赤202、二酸化チタン、酸化鉄、合成フルオロフロゴパイト及びこれらの混合物から選択される着色剤
を含む、組成物を提供する。
【0166】
ガレヌス形態
本発明の固体無水組成物は、スキンケア及び/又はメイクアップ製品として使用するのに好適である。より詳細には、本発明の組成物は、口紅等の形態である。
【0167】
本発明による組成物は、従来の方法で調製されうる。
【0168】
第2の態様によれば、本発明は、ケラチン物質をケア/メイクアップするための美容方法であって、上に記載した固体無水組成物をケラチン物質に適用する工程を含む、美容方法を提供する。
【0169】
以下の実施例は、本発明の非限定的な例証として与えられる。
【実施例】
【0170】
使用した主な原材料、その商標名及び供給業者を、Table 1(表1)に列挙する。
【0171】
【0172】
(本発明の実施例1~6及び比較例1~4)
本発明による口紅(IE.)1~6及び比較例の口紅(CE)1~4を、Table 2(表2)及びTable 3(表3)に列挙する成分を用いて調製した(別段の指示がない限り、含有量は、活性材料の質量百分率として表す)。
【0173】
【0174】
【0175】
調製手順
上記口紅を調製する詳細な手順は、以下の通りである。
1).顔料(赤202、赤104(1)及び黄5)を、3本ロールミルを使用して、アブラナ油とともに粉砕した。
2).油、ワックス、界面活性剤及びペースト状化合物を、メイン容器に秤量し、均一な混合物が得られるまで、撹拌しながら容器を95℃前後に加熱した。
3).グリセリンをメイン容器に加え、強い掻き混ぜ速度でバルクを均一化させる。
4).工程1)において調製した顔料ペーストを加える。
5).均一化された混合物を、42±2℃に予備加熱された口紅型に注ぎ込み、混合物が固化するまで、25℃未満で型内に放置する。
6)口紅型から口紅を型出しする。
【0176】
評価
調製した口紅のせん断値、硬度及び抗汗かき特性に関する評価を実行した。
【0177】
せん断値及び硬度は、以前に記載したプロトコールに従って評価した。
【0178】
各口紅のせん断値及び硬度の結果を、Table 4(表4)にまとめた。
【0179】
【0180】
口紅の抗汗かき特性を、以下の通り評価した。
【0181】
まず、口紅を、20℃の一定温度を有するオーブンに入れた。
【0182】
24時間後、口紅を6つの試験オーブンに入れた:
1つのサイクルオーブン:-20℃~47℃で約1週間の温度変化サイクルを経る、
1つのHUMオーブン:37℃且つ80%RH(相対湿度)に設定、及び
4つのオーブン:湿度制御をせずに、それぞれ4℃、25℃、37℃及び45℃に設定。
【0183】
1つの試料をキャップなしで立てたHUMオーブンを除いて、一般に、各口紅について2つの試料(一方は正立させ、他方は倒立させた)を、各オーブンに同時に入れた。各チェックポイントで口紅を取り出し、各口紅の外観をチェックし、データを記録して、口紅を戻した。
【0184】
口紅の抗汗かきの結果を、Table 5(表5)及びTable 6(表6)にまとめた。ここで、Yは汗かきを意味し(複数の液滴が口紅表面に見られた)、Nは汗かきがないことを意味する。
【0185】
【0186】
【0187】
Table 5(表5)及びTable 6(表6)から、本発明による固体無水組成物は、少なくとも1ヶ月の間、4℃、25℃、37℃又は45℃のオーブン中で、及び1週間、-20℃~47℃の温度変化サイクルを経るオーブン中で、汗かきの課題を有しないことがわかる。
【0188】
比較的高湿度環境下での抗汗かき特性を、増粘剤の存在によって、更に改善できることもわかる。
【国際調査報告】