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特表2024-508902早期ストレスから生じる精神障害に対する薬物を調製するためのインシュリン様成長因子結合タンパク質2の応用
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  • 特表-早期ストレスから生じる精神障害に対する薬物を調製するためのインシュリン様成長因子結合タンパク質2の応用 図1
  • 特表-早期ストレスから生じる精神障害に対する薬物を調製するためのインシュリン様成長因子結合タンパク質2の応用 図2
  • 特表-早期ストレスから生じる精神障害に対する薬物を調製するためのインシュリン様成長因子結合タンパク質2の応用 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】早期ストレスから生じる精神障害に対する薬物を調製するためのインシュリン様成長因子結合タンパク質2の応用
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/16 20060101AFI20240220BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
A61K38/16
A61P25/22
A61P25/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553431
(86)(22)【出願日】2022-02-07
(85)【翻訳文提出日】2023-09-01
(86)【国際出願番号】 CN2022075358
(87)【国際公開番号】W WO2022183883
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】202110241069.3
(32)【優先日】2021-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110316213.5
(32)【優先日】2021-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521235017
【氏名又は名称】シャンハイ メンタル ヘルス センター (シャンハイ サイコロジカル カウンセリング トレーニング センター)
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI MENTAL HEALTH CENTER (SHANGHAI PSYCHOLOGICAL COUNSELLING TRAINING CENTER)
【住所又は居所原語表記】600 Wan Ping Nan Road, Xuhui District Shanghai 200030 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002251
【氏名又は名称】弁理士法人眞久特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジェン
(72)【発明者】
【氏名】シー,ドンドン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,インダン
【テーマコード(参考)】
4C084
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084BA22
4C084BA44
4C084NA14
4C084ZA051
4C084ZA052
4C084ZA121
4C084ZA122
(57)【要約】
【要約】
本発明は、早期ストレスから生じる精神障害に対する薬物を調製するためのインシュリン様成長因子結合タンパク質2の応用に関する。IGFBP2の青春期介入と成人期介入は、早期ストレスから生じる不安抑鬱のような症状を著しく改善できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
早期ストレスから生じる精神障害に対する薬物を調製するためのインシュリン様成長因子結合タンパク質2の応用。
【請求項2】
前記精神障害は、不安抑鬱のような症状を含むことを特徴とする請求項1に記載の応用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年3月4日の中国発明特許出願の第202110241069.3号及び2021年3月24日の中国発明特許出願の第202110316213.5号の優先権を主張し、これらの全ては、参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、医薬技術の分野に関し、特に、早期ストレスから生じる精神障害に対する薬物を調製するためのインシュリン様成長因子結合タンパク質2の応用に関する。
【背景技術】
【0003】
国家衛生健康委員会と科学技術省の2019年の「中国健康調査」によると、精神疾患は中国の罹病総数の約20%を占め、第1位となり、精神障害に罹っていた個人の割合は16.57%(約2億3000万人)である。多くの精神疾患は、ストレス体験から生じる。小児期には、身体と心理がまだ成熟していないのでストレスによって損傷を受けやすいことにより、精神的行動の異常を引き起こすようになる。両親の缺失、両親の無視、身体的又は精神的虐待などの小児期のストレス事件は、成人期のストレスに対する感受性を大幅に高め、成人期の精神疾患の発生率を高める可能性がある。早期ストレスは、欝病、不安症及び心の傷後ストレス障害と著しく関連する。更に、伝染病学の資料は、認知及び情緒機能に対する早期ストレスの影響が生涯続くことを示す。臨床及び動物実験は、初期の心の傷が成人期のストレスの発作する後欝病に対する感受性を高め、欝病及び不安症のレベルが増えることを示す。
【0004】
米国の全国調査研究によると、青少年は、約2.1%~8%が抑鬱障害と診断されており、抑鬱障害がいつも成人の肥胖症、糖尿病、心血管疾患及び自己免疫疾患と共存することにより、治療順守と薬物反応が悪く、医療費が高く、家族や社会に深刻な影響を及ぼす。欝病の薬物治療は、僅か60%が病患者に対して初期に効果を発揮できるため、治癒率を高めるように新しい介入薬物を模索する研究は緊務となる。
【0005】
研究によると、成長因子受容体の活性化は、心の傷後ストレス障害(PTSD)の治療に有益である。FDAは先天性小人症の治療薬としてインスリン様成長因子1(IGF1)を承認していて、研究によると、IGF1は抗不安と抗抑鬱の作用を有する。インスリン成長因子結合タンパク質2(IGFBP2)は、IGF結合タンパク質の6つの主要メンバーの1つとして大部分は肝臓で合成・放出され、IGFBP2は中枢神経系に広く存在し、発育中の脳で高発現し、初代星状膠細胞や神経細胞において分泌される。IGFBP2は、末梢における濃度が低く、36kDの分子量を有し、そして血液脳関門(blood-brain barrier、BBB)を通過できる。今まで、IGFBP2が早期ストレスから生じる不安抑鬱のような症状を治療できることを実証する研究はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の欠点を克服し、早期ストレスから生じる精神障害に対する薬物を調製するためのインシュリン様成長因子結合タンパク質2の応用を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、早期ストレスから生じる精神障害に対する薬物を調製するためのインシュリン様成長因子結合タンパク質2の応用という技術的解決策を提供する。
【0008】
好ましくは、前記精神障害は、不安抑鬱のような症状を含む。
【0009】
具体的には、精神障害に対するIGFBP2の適用は、主に早期ストレスから生じる精神障害に対抗することであり、精神障害に対抗することは、主に抗欝病と抗不安症の作用を含む。早期ストレスから生じる精神障害は、具体的に早期ストレスから生じる無快感症と、早期ストレスから生じる不安様行動とを含む。
【発明の効果】
【0010】
IGFBP2の青春期介入と成人期介入は、早期ストレスから生じる不安抑鬱のような症状を著しく改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、早期ストレスから生じる心の傷の治療におけるIGFBP2の作用を検証するフロー図である。
図2図2a~2cは、IGFBP2の青春期介入が成人期の動物の不安抑鬱のような症状に及ぼす影響を示す。
図3図3a~3bは、IGFBP2の青春期介入が成人期になった後のストレス投与後の副腎皮質刺激ホルモン含量に及ぼす影響を示す。
図4図4a~4cは、IGFBP2の成人期介入が成人期の動物の不安抑鬱のような症状に及ぼす影響を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の技術的内容がより明確に説明でき、且つ早期ストレスから生じる心の傷の治療におけるIGFBP2の作用を検証するために、次は特定の実施例と相まって更に説明を行う。
【実施例
【0013】
実施例1
早期ストレスモデルを築く。
SDラットは、水と食物を自由に獲得できる12時間の明暗調律環境において飼養されている。全部の習性検出は動物の明暗調律環境において行われる。分娩:SD妊娠したラットは分娩の1~3日前に単独ケージに入れられ、同腹児数、性別及び体重は分娩日(PND 0)に記録され、ケージは分娩日に交換されるが、授乳中で交換されない。授乳期間は21日であり、PND 21において幼ラットは雌性ラットから分離し、雄性幼ラットと雌性幼ラットは分けられて3~5匹当たりで一つのケージに入れられる。
【0014】
選択された早期ストレス方式は、母乳児分離であり、即ち、PND 4-21から幼ラットと雌ラットは毎日4時間分離され、分離中で各幼ラットは互いに分離され、且つ幼ラットと雌ラットは別々の部屋にいる。分離中では、幼ラットの周囲温度が27~33°Cとなり、幼ラットの生存率が分離の影響を受けず、別居後幼ラットの運動能力、摂食及び水分摂取能力が影響を受けないことを確認する。実験中では、幼ラットの体重をそれぞれPND 0、PND 7、PND 14、PND 21、PND 28、PND 45及びPND 56において測定する。
【0015】
IGFBP2介入のために早期ストレスモデルを築いた。
【0016】
実施例2
青春期介入
動物は、対照群(正常な飼養群)、母乳児分離群及びIGFBP2青春期介入群という3群に分けられる。3群の動物数はそれぞれ10匹以上である。図1に示されたように、IGFBP2青春期介入の時間はPND28(注釈、PNDは出生後の日数)、介入方式は尾静脈注射であり、介入用量は1μg/kgであり、介入回数は1回である。介入後、動物は飼育ケージに戻され、9週齢時に習性検出を行い、図1中のRSは拘束ストレスを表す。
【0017】
習性検出は、早期ストレスから生じる心の傷の治療におけるIGFBP2の介入効果を検証するのに用いられる。全部の習性検出は、ラットを照らす中で実施される。習性検出の前に、ラットは習性検出室に入れられて2時間適応する。各実験中、次のラットへの臭いの影響を避けるように毎度実験の完了したラットを70%アルコールで拭く。習性検出の前は、少なくとも4日間適応するように数分間ラットを毎日扱う。習性検出は、抑鬱様行動の評価のための糖水偏好実験、不安様行動の評価のための広所実験及び高架十字迷路実験を含む。
【0018】
早期ストレスから生じる不安抑鬱のような症状に対するIGFBP2の介入効果を更に確定するために、血清中のコルチコステロン量の変化も検出される。
【0019】
まず、動物の抑鬱様行動を検出するために糖水偏好実験を行い、続いて動物の不安様行動を検出するために広所実験及び高架十字迷路実験を行う。図2a~2cは、IGFBP2の青春期介入が成人期の動物の不安抑鬱のような症状に及ぼす影響を示す。図2aは、糖水偏好実験を示し、ここで糖水偏好値%=糖水消費量/(糖水消費量+水消費量)×100がある。図2bは、広所実験を示し、合計時間が10分間であり、分析データは、動物が中央領域で止まった時間を示す。図2cは、高架十字迷路実験を示し、ここでアーム開放時間比%=アーム開放時間/(アーム開放時間+アーム閉合時間)×100がある。一元配置分散分析には、***はP<0.001を表し、**はP<0.001を表し、*はP<0.05を表す。
【0020】
図2aに示されたように、糖水偏好実験の結果は、母乳児分離群(早期ストレス群)の動物の糖水偏好値(61.37%)が、正常な飼養群の動物(93.88%、一元配置分散分析、P<0.001)よりも著しく低くなり、然もIGFBP2介入群の動物の糖水偏好値(78.73%)が、母乳児分離群(P<0.001)よりも著しく高くなり、但し依然として正常な飼養群(93.88%、一元配置分散分析、P=0.003)よりも著しく低くなることを示す。その結果は、IGFBP2が早期ストレスから生じる抑鬱様行動を明らかに改善できることを示す。
【0021】
図2bに示されたように、広所実験の結果は、母乳児分離群(早期ストレス群)における動物が中央領域で止まった時間(6.416秒間)が、正常な飼養群の動物(16.970秒間、一元配置分散分析、P=0.032)よりも著しく短くなり、IGFBP2介入後、母乳児分離群における動物が中央領域で止まった時間が(16.65秒間、一元配置分散分析、P=0.039)明らかに増える上に、正常な飼養群との差異がない(P=0.996)ことを示す。その結果は、IGFBP2青春期介入が、母乳児分離によって引き起こされる不安様行動を明らかに改善できることを示す。
【0022】
また、3群における動物の運動距離を比較すると、3群における動物の間では移動距離に著しい差異がない。これは、早期ストレスもIGFBP2介入も動物の運動機能に影響を及ぼさないことを示す。
【0023】
図2cに示されたように、高架十字迷路実験の結果は、正常な飼養群における動物のアーム開放時間比(27.47%)が、母乳児分離群(早期ストレス群)の時間比(16.18%)よりも著しく大きくなり、IGFBP2介入が、母乳児分離群における動物のアーム開放時間を明らかに高めること(29.49%、一元配置分散分析、P = 0.005)を示す。その結果は、IGFBP2が早期ストレスから生じる不安様行動を有効的に改善できることを示す。
【0024】
従って、上記習性検出は、早期ストレスから生じる不安抑鬱のような症状に対するIGFBP2の介入効果を実証するが、この効果の正確度を更に実証するために、同時に、動物は血清中の副腎皮質刺激ホルモンを検出され、毎群当たり4匹に配置される。検出時間は成人期になった後のストレス投与後の副腎皮質刺激ホルモン含量の変化であり、結果を図3a~3bに示す。図3aは、拘束後の異なる時点における血清中の副腎皮質刺激ホルモン含量の変化を示す。二元配置分散分析によると、***はP<0.001を表し、**はP<0.001を表し、*はP<0.05を表す。図3bは、3群の間で30分間拘束された動物の血清中の副腎皮質刺激ホルモン含量の比較を示す。一元配置分散分析によると、***はP<0.001を表し、**はP<0.001を表し、*はP<0.05を表す。
【0025】
図3aに示されたように、母乳児分離群における動物の副腎皮質刺激ホルモン含量は、拘束前に他の2群(P<0.01)よりも高くなるが、正常な飼養群の動物とIGFBP2介入群の動物の間には著しい差異がない。然も、正常な飼養群の動物は、ストレス後の副腎皮質刺激ホルモン含量がストレス前より明らかに高くなるが、それの増加量が母乳児分離群よりも明らかに低くなる。青春期にIGFBP2が介入した後、母乳児分離を受けた動物も成長の低下傾向を示す。この結果は、IGFBP2が早期ストレスから生じる心の傷を明らかに改善できることを更に検証する。
【0026】
同時には、3群の間で30分間拘束された動物の血清中の副腎皮質刺激ホルモン含量を比較すると、図3bに示されたように、母乳児分離群の動物の含量は他の2群よりも著しく高くなるが、正常な飼養群の動物とIGFBP2介入群の動物の間には著しい差異がない。これは、早期ストレスから生じる精神障害に対するIGFBP2の介入効果を実証する。
【0027】
従って、本実施例はIGFBP2の青春期介入が早期ストレスから生じる不安抑鬱のような症状を著しく改善できることを示す。
【0028】
実施例3
成人期介入
動物は、対照群(正常な飼養群)、母乳児分離群及びIGFBP2成人期介入群という3群に分けられる。3群の動物数はそれぞれ10匹以上である。図1に示されたように、IGFBP2成人期介入の時間はPND63であり、介入方式は尾静脈注射であり、介入用量は1μg/kgであり、介入回数は1回である。介入後、動物は飼育ケージに戻され、翌日、即ちPND64において習性検出を行う。
【0029】
習性検出は、早期ストレスから生じる心の傷の治療におけるIGFBP2の介入効果を検証するのに用いられる。全部の習性検出は、ラットを照らす中で実施される。習性検出の前に、ラットは習性検出室に入れられて2時間適応する。各実験中、次のラットへの臭いの影響を避けるように毎度実験の完了したラットを70%アルコールで拭く。習性検出の前は、少なくとも4日間適応するように数分間ラットを毎日扱う。習性検出は、抑鬱様行動の評価のための糖水偏好実験、不安様行動の評価のための広所実験及び高架十字迷路実験を含む。
【0030】
青春期介入の習性検出のように、まず、動物の抑鬱様行動を検出するために糖水偏好実験を行い、続いて動物の不安様行動を検出するために広所実験及び高架十字迷路実験を行う。図4a~4cは、IGFBP2の成人期介入が成人期の動物の不安抑鬱のような症状に及ぼす影響を示す。図4aは、糖水偏好実験を示し、ここで糖水偏好値%=糖水消費量/(糖水消費量+水消費量)×100がある。図4bは、広所実験を示し、合計時間が10分間であり、分析データは、動物が中央領域で止まった時間を示す。図4cは、高架十字迷路実験を示し、ここでアーム開放時間比%=アーム開放時間/(アーム開放時間+アーム閉合時間)×100がある。一元配置分散分析には、***はP<0.001を表し、**はP<0.001を表し、*はP<0.05を表し、NSは、2群の間に著しい差異がないことを表す。
【0031】
図4aに示されたように、糖水偏好実験の結果は、母乳児分離群(早期ストレス群)の動物の糖水偏好値(66.25%)が、正常な飼養群の動物(87.65%、一元配置分散分析、P<0.001)よりも著しく低くなり、然もIGFBP2介入群の動物の糖水偏好値(72.88%)が、母乳児分離群よりも著しく高くなり、但し著しい差異がない(P=0.14)ことを示す。その結果は、IGFBP2の成人期介入が早期ストレスから生じる抑鬱様行動を明らかに改善することを示す。
【0032】
図4bに示されたように、広所実験の結果は、母乳児分離群(早期ストレス群)における動物が中央領域で止まった時間(10.49秒間)が、正常な飼養群の動物(20.18秒間、一元配置分散分析、P=0.0151)よりも著しく短くなり、IGFBP2介入後、母乳児分離群における動物が中央領域で止まった時間が(25.23秒間、一元配置分散分析、P=0.0003)明らかに増える上に、正常な飼養群との差異がない(P=0.2764)ことを示す。その結果は、IGFBP2の成人期介入が、母乳児分離によって引き起こされる不安様行動を明らかに改善することを示す。
【0033】
また、3群における動物の運動距離を比較すると、3群における動物の間では移動距離に著しい差異がない。これは、早期ストレスもIGFBP2介入も動物の運動機能に影響を及ぼさないことを示す。
【0034】
図4cに示されたように、高架十字迷路実験の結果は、正常な飼養群における動物のアーム開放時間比(35.36%)が、母乳児分離群(早期ストレス群)の時間比(8.070%)よりも著しく長くなるが、IGFBP2の成人期介入が、母乳児分離群における動物のアーム開放時間を明らかに高め、但し両方に著しい差異がないこと(14.56%、一元配置分散分析、P=0.1198)を示す。その結果は、IGFBP2が早期ストレスから生じる不安様行動を有効的に改善できることを示す。
【0035】
従って、本実施例は、成人期介入が早期ストレスから生じる不安様行動を改善できることを示す。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本明細書では、本発明をそれの特定の実施例を参照して説明していたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変換を依然として行うことができることは明らかである。そのため、明細書は制限的ではなく例示的と見なされる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】