(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】がん療法におけるフェロトーシスを標的とするためのジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害剤の使用
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20240220BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240220BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240220BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240220BHJP
A61K 31/4192 20060101ALI20240220BHJP
A61K 31/44 20060101ALI20240220BHJP
A61K 31/4196 20060101ALI20240220BHJP
A61K 31/42 20060101ALI20240220BHJP
A61K 31/47 20060101ALI20240220BHJP
A61K 31/277 20060101ALI20240220BHJP
A61K 31/19 20060101ALI20240220BHJP
A61K 31/381 20060101ALI20240220BHJP
A61K 31/437 20060101ALI20240220BHJP
A61K 31/635 20060101ALI20240220BHJP
A61K 38/39 20060101ALI20240220BHJP
C12Q 1/28 20060101ALI20240220BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20240220BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALI20240220BHJP
C12Q 1/6874 20180101ALI20240220BHJP
C12N 9/04 20060101ALN20240220BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20240220BHJP
【FI】
A61K45/00 ZNA
A61P35/00
A61P43/00 111
A61P35/02
A61P43/00 105
A61P43/00 121
A61K31/4192
A61K31/44
A61K31/4196
A61K31/42
A61K31/47
A61K31/277
A61K31/19
A61K31/381
A61K31/437
A61K31/635
A61K38/39
C12Q1/28
C12Q1/686 Z
C12Q1/6869 Z
C12Q1/6874 Z
C12N9/04 Z
C12N15/09 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553513
(86)(22)【出願日】2022-03-03
(85)【翻訳文提出日】2023-10-25
(86)【国際出願番号】 US2022018663
(87)【国際公開番号】W WO2022187458
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507410113
【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ, ザ ユニヴァーシティー オブ テキサス システム
(71)【出願人】
【識別番号】523334198
【氏名又は名称】カドモン コーポレーション エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】KADMON CORPORATION LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ガン, ボイ
(72)【発明者】
【氏名】オルシェウスキー, ケレン
(72)【発明者】
【氏名】マオ, チャオ
【テーマコード(参考)】
4B063
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ02
4B063QQ22
4B063QQ52
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4B063QS36
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4C086NA14
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4C086ZC20
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
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4C206MA02
4C206MA05
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZB26
4C206ZB27
4C206ZC20
4C206ZC75
(57)【要約】
本開示は、がんを治療するための方法であって、その治療を必要とする対象に、治療有効量のジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害剤を投与することを含み、がんは、対照試料と比較して、変化したグルタチオンペルオキシダーゼ4(GPX4)発現を有する、方法を提供する。本開示はまた、対象のGPX4発現が対照試料と比較して低い場合にはジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害剤により、または対象のGPX4発現が対照試料と比較して高い場合にはDHODH阻害剤及びフェロトーシス誘導剤により、対象を治療する方法を提供する。
【選択図】
図1-1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
がんを治療するための方法であって、前記治療を必要とする対象に、治療有効量のジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害剤を投与することを含み、前記がんが、対照試料と比較して変化したグルタチオンペルオキシダーゼ4(GPX4)発現を有する、前記方法。
【請求項2】
前記変化したGPX4発現が、対照試料と比較して、GPX4の低い発現レベルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記がんが、腫瘍である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記腫瘍が、癌腫である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記がんが、再発性、難治性、または少なくとも1つの抗がん剤の投与を含む少なくとも1つの事前の療法後に難治性である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記がんが、線維肉腫、肺扁平上皮細胞癌、肺腺癌、腎細胞癌、乳房腺癌、結腸直腸腺癌、子宮頸管内膜腺癌、またはT急性リンパ芽球性白血病から選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記DHODH阻害剤が、Ag-636、ASLAN003、BAY2402234、レフルノミド、ブレキナール、テリフルノミド、IMU-838、PP-001、PTC299、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記DHODH阻害剤が、レフルノミド、ブレキナール、テリフルノミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記変化したGPX4発現が、対照試料と比較して、GPX4の高い発現レベルである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記がんが、腫瘍である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記腫瘍が、癌腫である、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記がんが、再発性、難治性、または少なくとも1つの抗がん剤の投与を含む少なくとも1つの事前の療法後に難治性である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記がんが、線維肉腫、肺扁平上皮細胞癌、肺腺癌、腎細胞癌、乳房腺癌、結腸直腸腺癌、子宮頸管内膜腺癌、またはT急性リンパ芽球性白血病から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、治療有効量のフェロトーシス誘導剤を投与することをさらに含む、請求項9~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記フェロトーシス誘導剤が、クラスIフェロトーシス誘導剤、クラスIIフェロトーシス誘導剤、またはそれらの組み合わせである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記フェロトーシス誘導剤が、スルファサラジン、ロシグリタゾン、マレイン酸ロシグリタゾン、バルドキソロンメチル、リナグリプチン、クルクミン、ジレウトン、ピオグリタゾンHCl、ノルディヒドログアイアレチン酸(NDGA)、トログリタゾン、セタナキシブ、メシル酸デフェロキサミン、トシル酸ソラフェニブ、シスプラチン、ロサデュスタット、ラパチニブ、シンバスタチン、デフェラシロックス、ソラフェニブ、エラスチン、イミダゾールケトンエラスチン、RSL3、(1S,3R)-RSL3、ML210、ML162、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記フェロトーシス誘導剤が、スルファサラジン、トシル酸ソラフェニブ、エラスチン、イミダゾールケトンエラシン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項14~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記対象が、ヒトである、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害剤により対象を治療する方法であって、前記対象が、がんに罹患しており、前記方法が、
a.前記がん試料において、グルタチオンペルオキシダーゼ4(GPX4)の発現レベルを決定することと、
b.前記GPX4の発現レベルが対照試料中の相対的なGPX4発現レベルと比較して低い場合、治療有効量の前記DHODH阻害剤を前記対象に投与することか、または
c.前記GPX4の発現レベルが対照試料中の相対的なGPX4発現レベルと比較して高い場合、治療有効量の前記DHODH阻害剤及び治療有効量のフェロトーシス誘導剤を前記対象に投与することと、を含む、前記方法。
【請求項20】
がんに罹患している対象を治療する方法であって、前記対象に治療有効量のジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害剤を投与することを含み、前記投与前に、前記対象が、対照試料中の相対グルタチオンペルオキシダーゼ4(GPX4)発現レベルと比較してGPX4の変化した発現レベルを示すことが同定されている、前記方法。
【請求項21】
前記対象がGPX4の低い発現レベルを示すことが同定されている場合、前記治療が、治療有効量の前記DHODH阻害剤を前記対象に投与することを含む、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記対象がGPX4の高い発現レベルを示すことが同定されている場合、前記治療が、治療有効量の前記DHODH阻害剤及び治療有効量のフェロトーシス誘導剤を前記対象に投与することを含む、請求項19または20に記載の方法。
【請求項23】
前記対象をGPX4の変化した発現レベルを示すとして同定することが、前記対象からがん試料を取得し、前記試料を前記GPX4の発現レベルについて分析することを含む、請求項20~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
がんに罹患している対象を、ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害剤による治療に好適であるとして同定する方法であって、対照試料中の相対グルタチオンペルオキシダーゼ4(GPX4)発現レベルと比較して、前記対象がGPX4の変化した発現レベルを有するか否かを決定することを含み、
a.前記GPX4の発現レベルが対照試料中の相対GPX4発現レベルと比較して低い場合、治療有効量の前記DHODH阻害剤を前記対象に投与することができるか、または、
b.前記GPX4の発現レベルが対照試料中の相対GPX4発現レベルと比較して高い場合、治療有効量の前記DHODH阻害剤及び治療有効量のフェロトーシス誘導剤を前記対象に投与することができる、前記方法。
【請求項25】
前記対象がGPX4の変化した発現レベルを有するか否かを決定することが、前記対象からがん試料を取得し、前記試料を前記GPX4の発現レベルについて分析することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害剤が、Ag-636、ASLAN003、BAY2402234、レフルノミド、ブレキナール、テリフルノミド、IMU-838、PP-001、PTC299、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
前記ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害剤が、レフルノミド、ブレキナール、テリフルノミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項24~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記フェロトーシス誘導剤が、クラスIフェロトーシス誘導剤、クラスIIフェロトーシス誘導剤、またはそれらの組み合わせである、請求項24~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記フェロトーシス誘導剤が、スルファサラジン、ロシグリタゾン、マレイン酸ロシグリタゾン、バルドキソロンメチル、リナグリプチン、クルクミン、ジレウトン、ピオグリタゾンHCl、ノルディヒドログアイアレチン酸(NDGA)、トログリタゾン、セタナキシブ、メシル酸デフェロキサミン、トシル酸ソラフェニブ、シスプラチン、ロサデュスタット、ラパチニブ、シンバスタチン、デフェラシロックス、ソラフェニブ、エラスチン、イミダゾールケトンエラスチン、RSL3、(1S,3R)-RSL3、ML210、ML162、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項24~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記フェロトーシス誘導剤が、スルファサラジン、トシル酸ソラフェニブ、エラスチン、イミダゾールケトンエラシン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項24~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記対象が、ヒトである、請求項19~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記がん試料が、腫瘍組織、腫瘍内組織、血液試料、骨髄、またはそれらの組み合わせを含む、請求項19、23、または25~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記GPX4の発現レベルが、配列決定またはRNAもしくはタンパク質発現レベルを測定する任意の技術を使用して決定される、請求項19~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記GPX4の発現レベルが、PCR、リアルタイムPCR、ディープシーケンシング、次世代シーケンシング(NGS)、RNA-Seq、EdgeSeq、PCR、ナノストリング(Nanostring)、マイクロアレイ発現プロファイリング、免疫組織化学的方法、ELISA、ウェスタン解析、HPLC、プロテオミクスアッセイ、またはそれらの組み合わせによって決定される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
a.化学療法を投与すること、
b.手術を行うこと、
c.放射線療法を投与すること、
d.免疫療法を投与すること、
e.標的療法を投与すること、または
f.それらの任意の組み合わせ、をさらに含む、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記投与が、がん負荷を低減する、請求項1~35のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年3月3日に出願された米国仮出願第63/156,179号の優先権の利益を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
政府の権利
本発明は、国立衛生研究所によって授与された助成金番号CA181196に基づく政府の支援を受けて行われた。政府は、本発明において特定の権利を有する。
【0003】
参照による配列表の組み込み
本願と共に出願され、電子的に提出された配列表の内容(名称:4443_001PC01_Seqlisting_ST25、サイズ:4,812バイト、及び作成日:2022年2月24日)は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
フェロトーシスは、過剰な脂質過酸化によって誘導される非アポトーシス細胞死の一形態である(Dixon,S.J.,et al.,Cell 149,1060-1072(2012)、Stockwell,B.R.,et al.,Cell 171,273-285(2017))。細胞は、フェロトーシスを抑制するために少なくとも2つの防御機構を進化させている。第1に、グルタチオンペルオキシダーゼ4(GPX4)は、還元型グルタチオン(GSH)を利用して、脂質ヒドロペルオキシドを解毒し、フェロトーシスを阻害する(Jiang,L.,et al.,Nature 520,57-62(2015)、Zhang,Y.,et al.,Nat Cell Biol 20,1181-1192(2018))。ほとんどのがん細胞は、GSH生合成のためのシステインを得るために、溶質キャリアファミリー7メンバー11(SLC7A11)によって媒介されるシスチン輸送に依存する(Yang,W.S.,et al.,Cell 156,317-331(2014))。SLC7A11-GPX4シグナル伝達軸は、フェロトーシスに対する主要な細胞防御システムを表し、対応するフェロトーシス誘導剤によるGPX4またはSLC7A11の不活性化は、多くのがん細胞においてフェロトーシスを誘導する(Dixon,S.J.,et al.,Cell 149,1060-1072(2012)Jiang,L.,et al.,Nature 520,57-62(2015)、Zhang,Y.,et al.,Nat Cell Biol 20,1181-1192(2018))。第2に、フェロトーシス抑制タンパク質1(FSP1。AIFM2とも呼ばれる)は、フェロトーシスを抑制するためにGPX4と並行して作用する別のフェロトーシス阻害剤として機能する。機械的に、FSP1は、主に形質膜上に局在するオキシドレダクターゼとして機能し、ユビキノン(CoQ)をユビキノール(CoQH2)に還元し、次に、脂質ヒドロペルオキシドを解毒する親油性ラジカル捕捉酸化防止剤(RTA)として機能する(Friedmann Angeli,J.P.,et al.,Nat Cell Biol 16,1180-1191(2014)、Bersuker,K.,et al.,Nature 575,688-692(2019))。他の細胞下区画にフェロトーシスに対する追加の細胞防御機構が存在するか否かは不明である。
【0005】
フェロトーシスは、最近、重要な腫瘍抑制機構として出現している(Dixon,S.J.,et al.,Cell 149,1060-1072(2012)、Stockwell,B.R.,et al.,Cell 171,273-285(2017)、Doll,S.,et al.,Nature 575,693-698(2019)、Koppula,P.,Zhuang,L.&Gan,B.,Protein Cell(2020))。しかしながら、がん療法におけるフェロトーシスを標的とする能力は、フェロトーシス機構の不完全な理解によって妨げられる。さらに、腫瘍抑制におけるフェロトーシスの役割の新たな理解にもかかわらず、フェロトーシス及び/または合理的な薬物併用戦略の治療的標的化のための特定の状況を特定するための重要な必要性が存在する。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に記載される場合、ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)は、とりわけ、GPX4及びFSP1から独立して、ミトコンドリア内で作動するフェロトーシス防御機構である。DHODHの阻害は、フェロトーシスの治療的標的化及び合理的な併用薬物の設計のための手段を提供する。本明細書に記載されるように、GPX4low固形腫瘍のアレイは、DHODH阻害剤によって効果的に標的化されて、腫瘍負荷を軽減することができ、また、限定されないが、スルファサラジンを含むフェロトーシス誘導剤とのDHODH阻害剤の組み合わせを使用して、GPX4high固形腫瘍を治療することができる。
【0007】
本開示は、がんを治療するための方法であって、その治療を必要とする対象に、治療有効量のジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害剤を投与することを含み、がんは、対照試料と比較して、変化したグルタチオンペルオキシダーゼ4(GPX4)発現を有する、方法を提供する。
【0008】
本明細書に記載の方法の態様では、変化したGPX4発現は、対照試料と比較して、GPX4の低い発現レベルである。いくつかの態様では、がんは、腫瘍である。いくつかの態様では、腫瘍は、癌腫である。いくつかの態様では、がんは、再発性、難治性、または少なくとも1つの抗がん剤の投与を含む少なくとも1つの事前の療法後に難治性である。いくつかの態様では、がんは、線維肉腫、肺扁平上皮細胞癌、肺腺癌、腎細胞癌、乳房腺癌、結腸直腸腺癌、子宮頸管内膜腺癌、またはT急性リンパ芽球性白血病から選択される。
【0009】
いくつかの態様では、DHODH阻害剤は、Ag-636、ASLAN003、BAY2402234、レフルノミド、ブレキナール、テリフルノミド、IMU-838、PP-001、PTC299、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの態様では、DHODH阻害物質は、レフルノミド、ブレキナール、テリフルノミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0010】
本明細書に記載の方法の態様では、変化したGPX4発現は、対照試料と比較して、GPX4の高い発現レベルである。いくつかの態様では、がんは、腫瘍である。いくつかの態様では、腫瘍は、癌腫である。いくつかの態様では、がんは、再発性、難治性、または少なくとも1つの抗がん剤の投与を含む少なくとも1つの事前の療法後に難治性である。いくつかの態様では、がんは、線維肉腫、肺扁平上皮細胞癌、肺腺癌、腎細胞癌、乳房腺癌、結腸直腸腺癌、子宮頸管内膜腺癌、またはT急性リンパ芽球性白血病から選択される。
【0011】
本明細書に記載の方法の態様では、方法は、治療有効量のフェロトーシス誘導剤を投与することをさらに含む。いくつかの態様では、フェロトーシス誘導剤は、クラスIフェロトーシス誘導剤、クラスIIフェロトーシス誘導剤、またはそれらの組み合わせである。いくつかの態様では、フェロトーシス誘導剤は、スルファサラジン、ロシグリタゾン、マレイン酸ロシグリタゾン、バルドキソロンメチル、リナグリプチン、クルクミン、ジレウトン、ピオグリタゾンHCl、ノルディヒドログアイアレチン酸(NDGA)、トログリタゾン、セタナキシブ、メシル酸デフェロキサミン、トシル酸ソラフェニブ、シスプラチン、ロサデュスタット、ラパチニブ、シンバスタチン、デフェラシロックス、ソラフェニブ、エラスチン、イミダゾールケトンエラスチン、RSL3、(1S,3R)-RSL3、ML210、ML162、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの態様では、フェロトーシス誘導剤は、スルファサラジン、トシル酸ソラフェニブ、エラスチン、イミダゾールケトンエラシン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0012】
いくつかの態様では、対象は、ヒトである。
【0013】
本開示はまた、ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害剤により対象を治療する方法であって、対象が、がんに罹患しており、本方法は、(a)がん試料中のグルタチオンペルオキシダーゼ4(GPX4)の発現レベルを決定することと、(b)GPX4の発現レベルが対照試料中の相対GPX4発現レベルと比較して低い場合、治療有効量のDHODH阻害剤を対象に投与することか、または(c)GPX4の発現レベルが対照試料中の相対GPX4発現レベルと比較して高い場合、治療有効量のDHODH阻害剤及び治療有効量のフェロトーシス誘導剤を対象に投与することと、を含む、方法を提供する。
【0014】
本開示はまた、がんに罹患している対象を治療する方法であって、治療有効量のジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害剤を対象に投与することを含み、投与前に、対象が、対照試料中の相対グルタチオンペルオキシダーゼ4(GPX4)発現レベルと比較してGPX4の変化した発現レベルを示すことが同定されている、方法を提供する。
【0015】
いくつかの態様では、対象がGPX4の低い発現レベルを示すと同定されている場合、治療は、治療有効量のDHODH阻害剤を対象に投与することを含む。いくつかの態様では、対象がGPX4の高い発現レベルを示すと同定されている場合、治療は、治療有効量のDHODH阻害剤及び治療有効量のフェロトーシス誘導剤を対象に投与することを含む。
【0016】
いくつかの態様では、対象を、GPX4の変化した発現レベルを示すものとして同定することは、対象からがん試料を得ることと、試料をGPX4発現レベルについて分析することとを含む。
【0017】
本開示はまた、がんに罹患している対象を、ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害剤による治療に好適であるとして同定する方法であって、対照試料中の相対グルタチオンペルオキシダーゼ4(GPX4)発現レベルと比較して、対象がGPX4の変化した発現レベルを有するか否かを決定することを含み、(a)GPX4の発現レベルが対照試料中の相対GPX4発現レベルと比較して低い場合、治療有効量のDHODH阻害剤を対象に投与することができるか、または、(b)GPX4の発現レベルが対照試料中の相対GPX4発現レベルと比較して高い場合、治療有効量のDHODH阻害剤及び治療有効量のフェロトーシス誘導剤を対象に投与することができる、方法を提供する。
【0018】
いくつかの態様では、対象がGPX4の変化した発現レベルを有するか否かを決定することは、対象からがん試料を得ることと、試料をGPX4発現レベルについて分析することとを含む。
【0019】
いくつかの態様では、ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害剤は、Ag-636、ASLAN003、BAY2402234、レフルノミド、ブレキナール、テリフルノミド、IMU-838、PP-001、PTC299、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの態様では、ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害剤は、レフルノミド、ブレキナール、テリフルノミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0020】
いくつかの態様では、フェロトーシス誘導剤は、クラスIフェロトーシス誘導剤、クラスIIフェロトーシス誘導剤、またはそれらの組み合わせである。いくつかの態様では、フェロトーシス誘導剤は、スルファサラジン、ロシグリタゾン、マレイン酸ロシグリタゾン、バルドキソロンメチル、リナグリプチン、クルクミン、ジレウトン、ピオグリタゾンHCl、ノルディヒドログアイアレチン酸(NDGA)、トログリタゾン、セタナキシブ、メシル酸デフェロキサミン、トシル酸ソラフェニブ、シスプラチン、ロサデュスタット、ラパチニブ、シンバスタチン、デフェラシロックス、ソラフェニブ、エラスチン、イミダゾールケトンエラスチン、RSL3、(1S,3R)-RSL3、ML210、ML162、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの態様では、フェロトーシス誘導剤は、スルファサラジン、トシル酸ソラフェニブ、エラスチン、イミダゾールケトンエラシン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0021】
いくつかの態様では、対象は、ヒトである。
【0022】
本明細書に記載の方法の態様では、がん試料は、腫瘍組織、腫瘍内組織、血液試料、骨髄、またはそれらの組み合わせを含む。
【0023】
本明細書に記載の方法の態様では、GPX4発現レベルは、配列決定またはRNAもしくはタンパク質発現レベルを測定する任意の技術を使用して決定される。いくつかの態様では、GPX4発現レベルは、PCR、リアルタイムPCR、ディープシーケンシング、次世代シーケンシング(NGS)、RNA-Seq、EdgeSeq、PCR、ナノストリング(Nanostring)、マイクロアレイ発現プロファイリング、免疫組織化学的方法、ELISA、ウェスタン解析、HPLC、プロテオミクスアッセイ、またはそれらの組み合わせによって決定される。
【0024】
本明細書に記載の方法の態様では、本明細書に記載の方法は、a.化学療法を投与すること、b.手術を行うこと、c.放射線療法を投与すること、d.免疫療法を投与すること、e.標的療法を投与すること、またはf.それらの任意の組み合わせをさらに含む。
【0025】
いくつかの態様では、治療有効量のジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害剤、または治療有効量のジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害剤及び治療有効量のフェロトーシス誘導剤の両方、を投与することは、がん負荷を低減する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1-1】DHODH不活性化がGPX4
low腫瘍細胞においてフェロトーシスを促進することを示す。A及びBは、ビヒクルで処理したHT-1080細胞のメタボロミクスプロファイルと、RSL3(10μM)(A)またはML162(10μM)(B)で2時間処理した細胞のメタボロミクスプロファイルとを比較した火山プロットである。n=3の独立した実験である。C及びDは、HT-1080細胞における、2時間のRSL3(10μM)またはML162(10μM)処理によって誘導される、C-Asp(C)及びウリジン(D)の倍率変化を示す棒グラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Eは、デノボでのピリミジン生合成経路の簡略化された概略図である。F及びGは、ビヒクル、C-Asp(100μM)、DHO(100μM)、OA(100μM)、またはウリジン(50μM)で48時間前処理した後、異なる用量のRSL3で4時間処理したNCI-H226(F)またはHT-1080細胞(G)における細胞生存率の測定値を示すグラフである。Asp:アスパラギン酸塩、C-P:カルバモイルリン酸塩、P:リン酸塩、C-Asp:N-カルバモイル-L-アスパラギン酸塩、DHO:ジヒドロオロト酸塩、FMN:フラビンモノヌクレオチド、FMNH
2:還元型フラビンモノヌクレオチド、OA:オロト酸塩、PRPP:ホスホリボシルピロリン酸塩、PPi:無機ピロリン酸塩、OMP:オロチジン5’-モノリン酸塩、CO
2:二酸化炭素、UMP:ウリジン5’-モノリン酸塩、BQR:ブレキナール、Lip-1:リプロキスタチン-1、ZVF:N-ベンジルオキシカルボニル-val-ala-asp(o-me)フルオロメチルケトン。
【
図1-2】DHODH不活性化がGPX4
low腫瘍細胞においてフェロトーシスを促進することを示す。F及びGは、ビヒクル、C-Asp(100μM)、DHO(100μM)、OA(100μM)、またはウリジン(50μM)で48時間前処理した後、異なる用量のRSL3で4時間処理したNCI-H226(F)またはHT-1080細胞(G)における細胞生存率の測定値を示すグラフである。H及びIは、Lip-1(10μM)またはZVF(10μM)で24時間前処理した後、異なる用量のBQRで4時間処理したNCI-H226(H)またはHT-1080細胞(I)における細胞生存率の測定値を示すグラフである。Asp:アスパラギン酸塩、C-P:カルバモイルリン酸塩、P:リン酸塩、C-Asp:N-カルバモイル-L-アスパラギン酸塩、DHO:ジヒドロオロト酸塩、FMN:フラビンモノヌクレオチド、FMNH
2:還元型フラビンモノヌクレオチド、OA:オロト酸塩、PRPP:ホスホリボシルピロリン酸塩、PPi:無機ピロリン酸塩、OMP:オロチジン5’-モノリン酸塩、CO
2:二酸化炭素、UMP:ウリジン5’-モノリン酸塩、BQR:ブレキナール、Lip-1:リプロキスタチン-1、ZVF:N-ベンジルオキシカルボニル-val-ala-asp(o-me)フルオロメチルケトン。
【
図1-3】DHODH不活性化がGPX4
low腫瘍細胞においてフェロトーシスを促進することを示す。J及びKは、Lip-1(10μM)またはZVF(10μM)で24時間前処理した後の、NCI-H226(500μM)(J)またはHT-1080(5mM)(K)細胞におけるBQRによる4時間処理時の脂質過酸化の測定値を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Lは、異なる用量のRSL3及びBQR(500μM)で4時間共処理したHT-1080細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。Mは、RSL3(1μM)及び/またはBQR(500μM)で4時間処理したHT-1080細胞における脂質過酸化の測定値を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Asp:アスパラギン酸塩、C-P:カルバモイルリン酸塩、P:リン酸塩、C-Asp:N-カルバモイル-L-アスパラギン酸塩、DHO:ジヒドロオロト酸塩、FMN:フラビンモノヌクレオチド、FMNH
2:還元型フラビンモノヌクレオチド、OA:オロト酸塩、PRPP:ホスホリボシルピロリン酸塩、PPi:無機ピロリン酸塩、OMP:オロチジン5’-モノリン酸塩、CO
2:二酸化炭素、UMP:ウリジン5’-モノリン酸塩、BQR:ブレキナール、Lip-1:リプロキスタチン-1、ZVF:N-ベンジルオキシカルボニル-val-ala-asp(o-me)フルオロメチルケトン。
【
図2-1】GPX4の異なる発現を有する異なるがん細胞における、フェロトーシスの誘導に対するDHODH阻害剤の効果を示す。A及びBは、ビヒクル、ZVF(10μM)、及び/またはLip-1(10μM)で24時間前処理した後、BQR(NCI-H226細胞の場合は500μM、HT-1080細胞の場合は5mM)で処理した、NCI-H226(A)またはHT-1080(B)細胞における細胞生存率及びPTGS2のmRNAレベルの測定値を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。BQR:ブレキナール、LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド、ZVF:N-ベンジルオキシカルボニル-val-ala-asp(o-me)フルオロメチルケトン、Lip-1:リプロックスキスタチン-1、SAS:スルファサラジン、GSH:グルタチオン。
【
図2-2】GPX4の異なる発現を有する異なるがん細胞における、フェロトーシスの誘導に対するDHODH阻害剤の効果を示す。Cは、ビヒクルまたはLip-1(10μM)で24時間前処理した後、異なる用量のRSL3で処理し、LFM(100μM)またはTF(500μM)で4時間共処理した、HT-1080細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。Dは、ビヒクルまたはLip-1(10μM)で24時間前処理した後、異なる用量のML162で処理し、BQR(500μM)、LFM(100μM)、またはTF(500μM)で4時間共処理した、HT-1080細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。BQR:ブレキナール、LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド、ZVF:N-ベンジルオキシカルボニル-val-ala-asp(o-me)フルオロメチルケトン、Lip-1:リプロックスキスタチン-1、SAS:スルファサラジン、GSH:グルタチオン。
【
図2-3】GPX4の異なる発現を有する異なるがん細胞における、フェロトーシスの誘導に対するDHODH阻害剤の効果を示す。Eは、ビヒクルまたはLip-1(10μM)で24時間前処理した後、RSL3(1μM)及び/またはBQR(500μM)で4時間処理したときの、HT-1080細胞における細胞生存率及びPTGS2 mRNAレベルの測定値を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Fは、ビヒクルまたはLip-1(10μM)で24時間前処理した後、異なる用量のSASで処理し、BQR(500μM)、LFM(100μM)、またはTF(500μM)で4時間共処理した、HT-1080細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。BQR:ブレキナール、LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド、ZVF:N-ベンジルオキシカルボニル-val-ala-asp(o-me)フルオロメチルケトン、Lip-1:リプロックスキスタチン-1、SAS:スルファサラジン、GSH:グルタチオン。
【
図2-4】GPX4の異なる発現を有する異なるがん細胞における、フェロトーシスの誘導に対するDHODH阻害剤の効果を示す。Gは、ビヒクルまたはLip-1(10μM)で24時間前処理した後、異なる用量のエラスチンで処理し、BQR(500μM)、LFM(100μM)、またはTF(500μM)で4時間共処理した、HT-1080細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。BQR:ブレキナール、LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド、ZVF:N-ベンジルオキシカルボニル-val-ala-asp(o-me)フルオロメチルケトン、Lip-1:リプロックスキスタチン-1、SAS:スルファサラジン、GSH:グルタチオン。
【
図2-5】GPX4の異なる発現を有する異なるがん細胞における、フェロトーシスの誘導に対するDHODH阻害剤の効果を示す。Hは、SLC7A11、GPX4、またはACSL4のmRNAレベル、ならびにそれらのタンパク質レベルを、BQR(500μM)、LFM(100μM)、またはTF(500μM)で4時間処理したHT-1080細胞において測定した結果を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Iは、BQR(500μM)、LFM(100μM)、またはTF(500μM)で4時間処理したときのHT-1080細胞におけるGSHレベルの測定値を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。BQR:ブレキナール、LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド、ZVF:N-ベンジルオキシカルボニル-val-ala-asp(o-me)フルオロメチルケトン、Lip-1:リプロックスキスタチン-1、SAS:スルファサラジン、GSH:グルタチオン。
【
図3-1】GPX4の薬理学的阻害が、デノボピリミジン生合成経路における中間レベルに影響を及ぼすことを示す。A及びBは、2時間、ビヒクルで処理したA-498(A)またはRCC4(B)細胞のメタボロミクスプロファイルと、RSL3(10μM)またはML162(10μM)で処理した同じ細胞のメタボロミクスプロファイルとを比較した火山プロットである。n=3個の独立した反復である。C-Asp:N-カルバモイル-L-アスパラギン酸塩、UMP:ウリジン5’-モノリン酸塩、DHO:ジヒドロオロト酸塩、OA:オロト酸塩、BQR:ブレキナール、LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド。
【
図3-2】GPX4の薬理学的阻害が、デノボピリミジン生合成経路における中間レベルに影響を及ぼすことを示す。C及びDは、A-498(C)またはRCC4(D)細胞における、ビヒクル処理と比較した、2時間のRSL3(10μM)またはML162(10μM)処理によって誘導されるC-Asp及びウリジンの倍率変化を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。C-Asp:N-カルバモイル-L-アスパラギン酸塩、UMP:ウリジン5’-モノリン酸塩、DHO:ジヒドロオロト酸塩、OA:オロト酸塩、BQR:ブレキナール、LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド。
【
図3-3】GPX4の薬理学的阻害が、デノボピリミジン生合成経路における中間レベルに影響を及ぼすことを示す。Eは、RSL3(10μM)及び/またはLip-1(10μM)で2時間処理したときのHT-1080細胞における
15N-UMPレベルのアミド-
15N-グルタミン標識分析を示すグラフを示す。Fは、NCI-H226細胞において、ビヒクル、DHO(100μM)またはOA(100μM)でそれぞれ48時間処理したときの細胞内DHOまたはOAレベルの倍率変化を示すグラフである。C-Asp:N-カルバモイル-L-アスパラギン酸塩、UMP:ウリジン5’-モノリン酸塩、DHO:ジヒドロオロト酸塩、OA:オロト酸塩、BQR:ブレキナール、LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド。
【
図3-4】GPX4の薬理学的阻害が、デノボピリミジン生合成経路における中間レベルに影響を及ぼすことを示す。Gは、NCI-H226細胞においてビヒクルまたはC-Asp(100μM)で48時間処理したときの細胞内C-Aspレベルの倍率変化を示すグラフである。Hは、ビヒクル、OA(100μM)で24時間、またはLip-1(10μM)で48時間前処理した後、RSL3(10μM)で2時間処理した、HT-1080細胞におけるDHO活性測定値を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Iは、ウェスタンブロッティングによって決定される、異なる細胞株におけるGPX4タンパク質、DHODH、及びFSP1レベル対ビンキュリンの画像である。C-Asp:N-カルバモイル-L-アスパラギン酸塩、UMP:ウリジン5’-モノリン酸塩、DHO:ジヒドロオロト酸塩、OA:オロト酸塩、BQR:ブレキナール、LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド。
【
図3-5】GPX4の薬理学的阻害が、デノボピリミジン生合成経路における中間レベルに影響を及ぼすことを示す。Jは、ビヒクル、C-Asp(100μM)、DHO(100μM)、OA(100μM)、またはウリジン(50μM)で48時間前処理した後、異なる用量のRSL3で4時間処理した、TK-10、UMRC2、A498、またはRCC4細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。C-Asp:N-カルバモイル-L-アスパラギン酸塩、UMP:ウリジン5’-モノリン酸塩、DHO:ジヒドロオロト酸塩、OA:オロト酸塩、BQR:ブレキナール、LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド。
【
図3-6】GPX4の薬理学的阻害が、デノボピリミジン生合成経路における中間レベルに影響を及ぼすことを示す。Kは、ビヒクル、DHO(100μM)またはOA(100μM)で48時間前処理した後、異なる用量のRSL3で4時間処理した、SW620、U-87MG、A549、NCI-H1437、MDA-MB-436またはMDA-MB-231細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。C-Asp:N-カルバモイル-L-アスパラギン酸塩、UMP:ウリジン5’-モノリン酸塩、DHO:ジヒドロオロト酸塩、OA:オロト酸塩、BQR:ブレキナール、LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド。
【
図3-7】GPX4の薬理学的阻害が、デノボピリミジン生合成経路における中間レベルに影響を及ぼすことを示す。Lは、ウェスタンブロッティングによって決定される、異なるがん細胞株におけるGPX4、DHODH、及びFSP1タンパク質レベルの画像である。C-Asp:N-カルバモイル-L-アスパラギン酸塩、UMP:ウリジン5’-モノリン酸塩、DHO:ジヒドロオロト酸塩、OA:オロト酸塩、BQR:ブレキナール、LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド。
【
図3-8】GPX4の薬理学的阻害が、デノボピリミジン生合成経路における中間レベルに影響を及ぼすことを示す。Mは、異なる用量のBQR、LFM、またはTFで4時間処理したGPX4
high(HT-1080、A-498、RCC4、786-O及び769-P)及びGPX4
low(HCT-8、UMRC6、TK-10、UMRC2及びNCI-H226)細胞における、細胞生存率の測定値を示すグラフである。C-Asp:N-カルバモイル-L-アスパラギン酸塩、UMP:ウリジン5’-モノリン酸塩、DHO:ジヒドロオロト酸塩、OA:オロト酸塩、BQR:ブレキナール、LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド。
【
図4-1】フェロトーシスの調節におけるDHODHとGPX4との間の遺伝的相互作用を示す。Aは、がん細胞におけるGPX4阻害剤(RSL3、ML162、及びML210)に対する耐性と高いDHODH発現が相関することを示すグラフである。プロットされたデータをCTRPデータベースから採取した。プロットされた値はピアソンの相関係数である。Bは、異なる用量のRSL3で4時間処理したCas9
ctrl及びDHODH
ko HT-1080細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。Cは、RSL3(1μM)で4時間処理したときのCas9
ctrl及びDHODH
ko HT-1080細胞における脂質過酸化の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Dは、Cas9
ctrl及びDHODH
ko NCI-H226細胞における脂質過酸化の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。CTRP:Cancer Therapeutics Response Portal、BQR:ブレキナール、Lip-1:リプロキスタチン-1。
【
図4-2】フェロトーシスの調節におけるDHODHとGPX4との間の遺伝的相互作用を示す。Eは、ビヒクル、ウリジン(50μM)、及びウリジン(50μM)+Lip-1(10μM)で24時間処理したときのCas9
ctrl及びDHODH
ko NCI-H226細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Fは、異なる用量のBQRで4時間処理したSh
ctrl及びGPX4
sh HT-1080細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。Gは、BQR(500μM)で4時間処理したときのSh
ctrl及びGPX4
sh HT-1080細胞における脂質過酸化の測定値を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Hは、示される遺伝子型を有するHT-1080細胞における脂質過酸化の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。CTRP:Cancer Therapeutics Response Portal、BQR:ブレキナール、Lip-1:リプロキスタチン-1。
【
図4-3】フェロトーシスの調節におけるDHODHとGPX4との間の遺伝的相互作用を示す。Iは、ビヒクル、ウリジン(50μM)、及びウリジン(50μM)+Lip-1(10μM)で24時間処理したときの、示される遺伝子型を有するHT-1080細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。CTRP:Cancer Therapeutics Response Portal、BQR:ブレキナール、Lip-1:リプロキスタチン-1。
【
図5-1】DHODH欠失が、GPX4
highがん細胞をフェロトーシスに感作させることを示す。Aは、Cas9
ctrl及びDHODH
ko GPX4
highがん細胞株におけるDHODHタンパク質レベルの画像である。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。Bは、Cas9
ctrl及びDHODH
ko HT-1080細胞におけるDHO活性の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Cは、ビヒクルまたはウリジン(50μM)で24時間処理したときのCas9
ctrl及びDHODH
ko HT-1080細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Dは、Cas9
ctrl及びDHODH
ko HT-1080細胞におけるPTGS2 mRNAの測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。DHO:ジヒドロオロト酸塩、GSH:グルタチオン。
【
図5-2】DHODH欠失が、GPX4
highがん細胞をフェロトーシスに感作させることを示す。Eは、示されるCas9
ctrl及びDHODH
ko GPX4
high細胞株における脂質過酸化の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Fは、異なる用量のML162で4時間処理したCas9
ctrl及びDHODH
ko HT-1080細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地で培養した。DHO:ジヒドロオロト酸塩、GSH:グルタチオン。
【
図5-3】DHODH欠失が、GPX4
highがん細胞をフェロトーシスに感作させることを示す。Gは、RSL3(1μM)で4時間処理したときのCas9
ctrl及びDHODH
ko HT-1080細胞における細胞生存率及びPTGS2 mRNAレベルの測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Hは、示される遺伝子型を有するHT-1080細胞におけるDHODH及びACSL4タンパク質レベルのウェスタンブロット解析である。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。Iは、異なる用量のRSL3で4時間処理した、示される遺伝子型を有するHT-1080細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。DHO:ジヒドロオロト酸塩、GSH:グルタチオン。
【
図5-4】DHODH欠失が、GPX4
highがん細胞をフェロトーシスに感作させることを示す。Jは、Cas9
ctrl及びDHODH
ko HT-1080細胞におけるSLC7A11、GPX4、またはACSL4のmRNAレベル、ならびにそれらのタンパク質レベル(ウェスタンブロット解析による)の測定値を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。DHO:ジヒドロオロト酸塩、GSH:グルタチオン。
【
図5-5】DHODH欠失が、GPX4
highがん細胞をフェロトーシスに感作させることを示す。Kは、Cas9
ctrl及びDHODH
ko HT-1080細胞におけるGSHレベルの測定値を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Lは、Cas9
ctrl及びDHODH
ko GPX4
low細胞株におけるDHODHタンパク質レベルを示す画像である。細胞を、ウリジン(50μM)及びLip-1(10μM)を補充した培地中で増殖させた。Mは、Cas9
ctrl及びDHODH
ko NCI-H226細胞におけるDHO活性の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)及びLip-1(10μM)を補充した培地中で増殖させた。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Nは、Cas9
ctrl及びDHODH
ko NCI-H226細胞の細胞増殖の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Oは、Cas9
ctrl及びDHODH
ko NCI-H226細胞におけるPTGS2のmRNAレベルの測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。DHO:ジヒドロオロト酸塩、GSH:グルタチオン。
【
図5-6】DHODH欠失が、GPX4
highがん細胞をフェロトーシスに感作させることを示す。Pは、Cas9
ctrl及びDHODH
ko GPX4
low細胞の脂質過酸化の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。DHO:ジヒドロオロト酸塩、GSH:グルタチオン。
【
図6-1】DHODH欠失がGPX4
lowがん細胞においてフェロトーシスを誘導することを示す。Aは、Sh
ctrl及びGPX4
sh HT-1080細胞におけるGPX4及びDHODHタンパク質レベルのウェスタンブロット解析を示す画像である。Bは、Sh
ctrl及びGPX4
sh HT-1080細胞の細胞増殖の測定値を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Cは、異なる用量のLFMまたはTFで4時間処理したSh
ctrl及びGPX4
sh HT-1080細胞の細胞生存率の測定値を示すグラフである。LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド、BQR:ブレキナール、Lip-1:リプロキスタチン-1、MTS:ミトコンドリア標的配列、DHODドメイン:ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼドメイン、Cyto:細胞質、Mito:ミトコンドリア。
【
図6-2】DHODH欠失がGPX4
lowがん細胞においてフェロトーシスを誘導することを示す。Dは、BQR(500μM)で4時間処理したときの、Sh
ctrl及びGPX4
sh HT-1080細胞における細胞生存率及びPTGS2 mRNAレベルの測定値を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Eは示される遺伝子型を有するHT-1080細胞におけるGPX4及びDHODHタンパク質レベルのウェスタンブロット解析を示す画像である。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。Fは、示される遺伝子型を有するHT-1080細胞におけるPTGS2 mRNAレベルの測定を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド、BQR:ブレキナール、Lip-1:リプロキスタチン-1、MTS:ミトコンドリア標的配列、DHODドメイン:ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼドメイン、Cyto:細胞質、Mito:ミトコンドリア。
【
図6-3】DHODH欠失がGPX4
lowがん細胞においてフェロトーシスを誘導することを示す。Gは、Sh
ctrlまたはGPX4
sh HT-1080細胞におけるDHODH
koの細胞増殖の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Hは、示される遺伝子型を有するHT-1080細胞におけるDHODH及びFSP1タンパク質レベルのウェスタンブロット解析を示す画像である。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。Iは、ビヒクルまたはLip-1(10μM)で24時間前処理した後、異なる用量のRSL3で4時間処理した、示される遺伝子型を有するCas9
ctrlまたはDHODH
ko HT-1080細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。Jは、示される遺伝子型を有するHT-1080細胞におけるDHODH及びFSP1タンパク質レベルのウェスタンブロット解析を示す画像である。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド、BQR:ブレキナール、Lip-1:リプロキスタチン-1、MTS:ミトコンドリア標的配列、DHODドメイン:ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼドメイン、Cyto:細胞質、Mito:ミトコンドリア。
【
図6-4】DHODH欠失がGPX4
lowがん細胞においてフェロトーシスを誘導することを示す。Kは、ビヒクルまたはLip-1(10μM)で24時間前処理した後、異なる用量のRSL3で4時間処理した、示される遺伝子型を有するCas9
ctrlまたはDHODH
ko HT-1080細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。Lは、ビヒクルまたはBQR(500μM)、及び4時間にわたって異なる用量のRSL3で処理したCas9
ctrlまたはFSP1
ko HT-1080細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。Mは、示されるようなDHODH及びその変異体の簡略化された概略図である。LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド、BQR:ブレキナール、Lip-1:リプロキスタチン-1、MTS:ミトコンドリア標的配列、DHODドメイン:ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼドメイン、Cyto:細胞質、Mito:ミトコンドリア。
【
図6-5】DHODH欠失がGPX4
lowがん細胞においてフェロトーシスを誘導することを示す。Nは、示されるDHODH構築物を発現するDHODH
ko HT-1080細胞由来の細胞質及びミトコンドリア画分におけるDHODHタンパク質レベルのウェスタンブロッティング分析を示す画像である。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。Oは、示されるDHODH構築物を発現するDHODH
ko HT-1080細胞におけるDHO活性の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Pは、異なる用量のML162で4時間処理した、示されるDHODH構築物を発現するDHODH
ko HT-1080細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド、BQR:ブレキナール、Lip-1:リプロキスタチン-1、MTS:ミトコンドリア標的配列、DHODドメイン:ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼドメイン、Cyto:細胞質、Mito:ミトコンドリア。
【
図6-6】DHODH欠失がGPX4
lowがん細胞においてフェロトーシスを誘導することを示す。Qは、4時間のRSL3(1μM)での処理時に示されるDHODH構築物を発現するDHODH
ko HT-1080細胞における細胞生存率及びPTGS2 mRNAレベルの測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド、BQR:ブレキナール、Lip-1:リプロキスタチン-1、MTS:ミトコンドリア標的配列、DHODドメイン:ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼドメイン、Cyto:細胞質、Mito:ミトコンドリア。
【
図7-1】DHODHがミトコンドリアにおける脂質過酸化を抑制することを示す。Aは、異なる用量のRSL3で4時間処理した、示されるDHODH構築物を発現するDHODH
ko HT-1080細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。Bは、RSL3(1μM)で4時間処理したときに示されるDHODH構築物を発現するDHODH
koHT-1080細胞における脂質過酸化の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Cは、4時間、異なる用量のBQRで処理した、示されるGPX4構築物を発現するGPX4
sh HT-1080細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。Dは、BQR(500μM)で4時間処理したときに示されるGPX4構築物を発現するGPX4
sh HT-1080細胞における脂質過酸化の測定値を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。BQR:ブレキナール、Cyto:細胞質、Mito:ミトコンドリア、TEMPO:2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ、MitoTEMPO:2-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル-4-イルアミノ)-2-オキソエチル)トリフェニルホスホニウムクロリド、Lip-1:リプロキスタチン-1、Mito-C11:蛍光ミトコンドリア標的脂質過酸化プローブ。
【
図7-2】DHODHがミトコンドリアにおける脂質過酸化を抑制することを示す。Eは、異なる用量のBQRで4時間処理した、示されるGPX4構築物を発現するNCI-H226細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。Fは、BQR(500μM)で4時間処理したときに示されるGPX4構築物を発現するNCI-H226細胞における脂質過酸化の測定値を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。G及びHは、ビヒクル、TEMPO(10μM)、MitoTEMPO(10μM)、またはLip-1(10μM)で24時間前処理した後、異なる用量のRSL3で4時間処理した、Cas9
ctrl(G)またはDHODH
ko(H)HT-1080細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。BQR:ブレキナール、Cyto:細胞質、Mito:ミトコンドリア、TEMPO:2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ、MitoTEMPO:2-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル-4-イルアミノ)-2-オキソエチル)トリフェニルホスホニウムクロリド、Lip-1:リプロキスタチン-1、Mito-C11:蛍光ミトコンドリア標的脂質過酸化プローブ。
【
図7-3】DHODHがミトコンドリアにおける脂質過酸化を抑制することを示す。I及びJは、ビヒクル、TEMPO(10μM)、MitoTEMPO(10μM)、またはLip-1(10μM)で24時間前処理した後の、RSL3(1μM)で4時間処理したときの、Cas9
ctrl(I)またはDHODH
ko(J)HT-1080細胞におけるミトコンドリア脂質過酸化の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Kは、Cas9
ctrlまたはDHODH
ko HT-1080細胞をRSL3(1μM)で2時間処理し、次いでmito-BODIPYで染色したことを示す画像である。酸化型mito-BODIPY(緑色)は、ミトコンドリアの脂質過酸化を示す。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。BQR:ブレキナール、Cyto:細胞質、Mito:ミトコンドリア、TEMPO:2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ、MitoTEMPO:2-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル-4-イルアミノ)-2-オキソエチル)トリフェニルホスホニウムクロリド、Lip-1:リプロキスタチン-1、Mito-C11:蛍光ミトコンドリア標的脂質過酸化プローブ。
【
図8-1】DHODHがミトコンドリアGPX4と協働して、様々な細胞株におけるフェロトーシスを抑制することを示す。Aは、がん細胞株のパネルにおける細胞質及びミトコンドリア画分におけるGPX4レベルのウェスタンブロット解析を示す画像である。Bは、細胞質及びミトコンドリアのGPX4構築物の簡略化された概略図である。Cは、示されるGPX4構築物を発現するGPX4
sh HT-1080細胞由来の細胞質及びミトコンドリア画分におけるGPX4タンパク質レベルのウェスタンブロッティング分析を示す画像である。Dは、4時間、異なる用量のLFMまたはTFで処理した、示されるGPX4構築物を発現するGPX4
sh HT-1080細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。Cyto:細胞質、Mito:ミトコンドリア、MTS:ミトコンドリア標的配列、GSHペルオキシダーゼ:グルタチオンペルオキシダーゼ、LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド、BQR:ブレキナール。
【
図8-2】DHODHがミトコンドリアGPX4と協働して、様々な細胞株におけるフェロトーシスを抑制することを示す。Eは、BQR(500μM)で4時間処理したときに示されるGPX4構築物を発現するGPX4
sh HT-1080細胞における細胞生存率及びPTGS2 mRNAレベルの測定値を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Fは、様々な細胞株において示されるGPX4構築物を発現するGPX4
sh細胞におけるGPX4タンパク質レベルのウェスタンブロット解析を示す画像である。Cyto:細胞質、Mito:ミトコンドリア、MTS:ミトコンドリア標的配列、GSHペルオキシダーゼ:グルタチオンペルオキシダーゼ、LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド、BQR:ブレキナール。
【
図8-3】DHODHがミトコンドリアGPX4と協働して、様々な細胞株におけるフェロトーシスを抑制することを示す。Gは、4時間、異なる用量のBQRで処理した、示されるGPX4構築物を発現する様々なGPX4
sh細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。Cyto:細胞質、Mito:ミトコンドリア、MTS:ミトコンドリア標的配列、GSHペルオキシダーゼ:グルタチオンペルオキシダーゼ、LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド、BQR:ブレキナール。
【
図8-4】DHODHがミトコンドリアGPX4と協働して、様々な細胞株におけるフェロトーシスを抑制することを示す。Gは、4時間、異なる用量のBQRで処理した、示されるGPX4構築物を発現する様々なGPX4
sh細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。Cyto:細胞質、Mito:ミトコンドリア、MTS:ミトコンドリア標的配列、GSHペルオキシダーゼ:グルタチオンペルオキシダーゼ、LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド、BQR:ブレキナール。
【
図9-1】DHODH及びGPX4の不活性化が、ミトコンドリア脂質過酸化を促進することを示す。Aは、示されるGPX4構築物を発現するNCI-H226細胞由来の細胞質及びミトコンドリア画分におけるGPX4タンパク質レベルのウェスタンブロット解析を示す画像である。Bは、示されるGPX4構築物を発現するNCI-H226細胞の細胞増殖の測定値を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Cは、異なる用量のLFMまたはTFで4時間処理した、示されるGPX4構築物を発現するNCI-H226細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。Dは、BQR(500μM)で4時間処理したときに示されるGPX4構築物を発現するNCI-H226細胞における細胞生存率及びPTGS2 mRNAレベルの測定値を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Cyto:細胞質、Mito:ミトコンドリア、LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド、BQR:ブレキナール、TEMPO:2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ、MitoTEMPO:2-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル-4-イルアミノ)-2-オキソエチル)トリフェニルホスホニウムクロリド、Lip-1:リプロキスタチン-1。
【
図9-2】DHODH及びGPX4の不活性化が、ミトコンドリア脂質過酸化を促進することを示す。Eは、ビヒクル、TEMPO(10μM)、MitoTEMPO(10μM)、またはLip-1(10μM)で24時間前処理した後、異なる用量のML162で4時間処理した、Cas9
ctrlまたはDHODH
ko HT-1080細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。Fは、RSL3(1μM)で4時間処理したときの、Cas9
ctrlまたはDHODH
ko HT-1080細胞におけるミトコンドリア脂質過酸化の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Gは、BQR(500μM)で4時間処理したときの、Sh
ctrlまたはGPX4
sh HT-1080細胞におけるミトコンドリア脂質過酸化の測定値を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Cyto:細胞質、Mito:ミトコンドリア、LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド、BQR:ブレキナール、TEMPO:2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ、MitoTEMPO:2-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル-4-イルアミノ)-2-オキソエチル)トリフェニルホスホニウムクロリド、Lip-1:リプロキスタチン-1。
【
図9-3】DHODH及びGPX4の不活性化が、ミトコンドリア脂質過酸化を促進することを示す。Hは、ビヒクルまたはLip-1(10μM)で24時間前処理した後、RSL3(1μM)及び/またはBQR(500μM)、LFM(100μM)、またはTF(500μM)で4時間処理したときの、HT-1080細胞のミトコンドリア脂質過酸化の測定値を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Cyto:細胞質、Mito:ミトコンドリア、LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド、BQR:ブレキナール、TEMPO:2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ、MitoTEMPO:2-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル-4-イルアミノ)-2-オキソエチル)トリフェニルホスホニウムクロリド、Lip-1:リプロキスタチン-1。
【
図9-4】DHODH及びGPX4の不活性化が、ミトコンドリア脂質過酸化を促進することを示す。Iは、ビヒクルまたはLip-1(10μM)で24時間前処理した後、ML162(1μM)及び/またはBQR(500μM)、LFM(100μM)、またはTF(500μM)で4時間処理したときの、HT-1080細胞のミトコンドリア脂質過酸化の測定値を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Cyto:細胞質、Mito:ミトコンドリア、LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド、BQR:ブレキナール、TEMPO:2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ、MitoTEMPO:2-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル-4-イルアミノ)-2-オキソエチル)トリフェニルホスホニウムクロリド、Lip-1:リプロキスタチン-1。
【
図9-5】DHODH及びGPX4の不活性化が、ミトコンドリア脂質過酸化を促進することを示す。Jは、RSL3(1μM)で4時間処理したときに示されるDHODH構築物を発現するDHODH
koHT-1080細胞のミトコンドリア脂質過酸化の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。K及びLは、ビヒクルまたはLip-1(10μM)で24時間前処理した後、RSL3(1μM)で4時間処理したときの、示される遺伝子型を有するCas9
ctrlまたはDHODH
ko HT-1080細胞におけるミトコンドリア脂質過酸化の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Cyto:細胞質、Mito:ミトコンドリア、LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド、BQR:ブレキナール、TEMPO:2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ、MitoTEMPO:2-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル-4-イルアミノ)-2-オキソエチル)トリフェニルホスホニウムクロリド、Lip-1:リプロキスタチン-1。
【
図9-6】DHODH及びGPX4の不活性化が、ミトコンドリア脂質過酸化を促進することを示す。K及びLは、ビヒクルまたはLip-1(10μM)で24時間前処理した後、RSL3(1μM)で4時間処理したときの、示される遺伝子型を有するCas9
ctrlまたはDHODH
ko HT-1080細胞におけるミトコンドリア脂質過酸化の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Mは、RSL3(1μM)及び/またはBQR(500μM)で4時間処理したときの、Cas9
ctrlまたはFSP1
ko HT-1080細胞におけるミトコンドリア脂質過酸化の測定値を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Nは、示される遺伝子型を有するHT-1080細胞の細胞質(cyto)及びミトコンドリア(mito)画分におけるDHODH及びFSP1タンパク質レベルのウェスタンブロット解析を示す画像である。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。Cyto:細胞質、Mito:ミトコンドリア、LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド、BQR:ブレキナール、TEMPO:2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ、MitoTEMPO:2-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル-4-イルアミノ)-2-オキソエチル)トリフェニルホスホニウムクロリド、Lip-1:リプロキスタチン-1。
【
図9-7】DHODH及びGPX4の不活性化が、ミトコンドリア脂質過酸化を促進することを示す。Oは、ビヒクルまたはLip-1(10μM)で24時間前処理した後、異なる用量のRSL3で4時間処理した、示される遺伝子型を有するCas9
ctrlまたはDHODH
ko HT-1080細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。Cyto:細胞質、Mito:ミトコンドリア、LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド、BQR:ブレキナール、TEMPO:2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ、MitoTEMPO:2-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル-4-イルアミノ)-2-オキソエチル)トリフェニルホスホニウムクロリド、Lip-1:リプロキスタチン-1。
【
図9-8】Pは、DHODH及びGPX4の不活性化が、ミトコンドリア脂質過酸化を促進することを示す。ビヒクルまたはLip-1(10μM)で24時間前処理した後、RSL3(1μM)で4時間処理したときの、示される遺伝子型を有するCas9
ctrlまたはDHODH
ko HT-1080細胞におけるミトコンドリア脂質過酸化測定を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Qは、BQR(500μM)で4時間処理したときに示されるGPX4構築物を発現するGPX4
sh HT-1080細胞のミトコンドリア脂質過酸化測定を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Rは、BQR(500μM)で4時間処理したときに示されるGPX4構築物を発現するNCI-H226細胞のミトコンドリア脂質過酸化の測定値を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Cyto:細胞質、Mito:ミトコンドリア、LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド、BQR:ブレキナール、TEMPO:2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ、MitoTEMPO:2-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル-4-イルアミノ)-2-オキソエチル)トリフェニルホスホニウムクロリド、Lip-1:リプロキスタチン-1。
【
図10-1】DHODHがCoQをCoQH
2に還元することによってフェロトーシスを抑制する可能性が高いことを示す。Aは、ビヒクルまたはLip-1(10μM)で24時間前処理した後、異なる用量のFIN56で処理し、ビヒクルまたはBQR(500μM)で4時間共処理した、HT-1080細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。Bは、ビヒクルまたはLip-1(10μM)で24時間前処理した後、ビヒクル、FIN56(50μM)、及び/またはBQR(500μM)で4時間処理したときの、HT-1080細胞におけるミトコンドリア脂質過酸化の測定値を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。C及びDは、ビヒクルまたはLip-1(10μM)で24時間前処理した後、異なる用量のRSL3で4時間処理した、示される遺伝子型を有するCas9
ctrl(C)またはDHODH
ko(D)HT-1080細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。BQR:ブレキナール、Lip-1:リプロキスタチン-1、4-CBA:4-カルボキシベンズアルデヒド、DHO:ジヒドロオロト酸塩、OA:オロト酸塩、FMN:フラビンモノヌクレオチド、FMNH
2:還元型フラビンモノヌクレオチド、CoQ:コエンザイムQ、CoQH
2:還元型コエンザイムQ、MitoQ:[10-(4,5-ジメトキシ-2-メチル-3,6-ジオキソ-1,4-シクロヘキサジエン-1-イル)デシル]トリフェニル-ホスホニウム、モノメタンスルホネート、MitoQH
2:[10-(2,5-ジヒドロキシ-3,4-ジメトキシ-6-メチルフェニル)デシル]トリフェニル-ホスホニウム、モノメタンスルホネート。
【
図10-2】DHODHがCoQをCoQH
2に還元することによってフェロトーシスを抑制する可能性が高いことを示す。E及びFは、ビヒクル、4-CBA(5mM)、または4-CBA(5mM)+Lip-1(10μM)で24時間前処理した後、異なる用量のRSL3で4時間処理した、Cas9
ctrl(E)またはDHODH
ko(F)HT-1080細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。G及びHは、BQR(1mM)で2時間治療したHT-1080(G)またはNCI-H226(H)細胞におけるCoQ/CoQH
2比の測定値を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。I及びJは、ビヒクル、MitoQ(10μM)、MitoQH
2(10μM)、またはLip-1(10μM)で24時間前処理した後、異なる用量のRSL3で4時間処理した、Cas9
ctrl(I)またはDHODH
ko(J)HT-1080細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。BQR:ブレキナール、Lip-1:リプロキスタチン-1、4-CBA:4-カルボキシベンズアルデヒド、DHO:ジヒドロオロト酸塩、OA:オロト酸塩、FMN:フラビンモノヌクレオチド、FMNH
2:還元型フラビンモノヌクレオチド、CoQ:コエンザイムQ、CoQH
2:還元型コエンザイムQ、MitoQ:[10-(4,5-ジメトキシ-2-メチル-3,6-ジオキソ-1,4-シクロヘキサジエン-1-イル)デシル]トリフェニル-ホスホニウム、モノメタンスルホネート、MitoQH
2:[10-(2,5-ジヒドロキシ-3,4-ジメトキシ-6-メチルフェニル)デシル]トリフェニル-ホスホニウム、モノメタンスルホネート。
【
図10-3】DHODHがCoQをCoQH
2に還元することによってフェロトーシスを抑制する可能性が高いことを示す。I及びJは、ビヒクル、MitoQ(10μM)、MitoQH
2(10μM)、またはLip-1(10μM)で24時間前処理した後、異なる用量のRSL3で4時間処理した、Cas9
ctrl(I)またはDHODH
ko(J)HT-1080細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。K及びLは、ビヒクル、MitoQ(10μM)、MitoQH
2(10μM)、またはLip-1(10μM)で24時間前処理した後、RSL3(1μM)で4時間処理したときの、Cas9
ctrl(K)またはDHODH
ko(L)HT-1080細胞のミトコンドリア脂質過酸化の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。BQR:ブレキナール、Lip-1:リプロキスタチン-1、4-CBA:4-カルボキシベンズアルデヒド、DHO:ジヒドロオロト酸塩、OA:オロト酸塩、FMN:フラビンモノヌクレオチド、FMNH
2:還元型フラビンモノヌクレオチド、CoQ:コエンザイムQ、CoQH
2:還元型コエンザイムQ、MitoQ:[10-(4,5-ジメトキシ-2-メチル-3,6-ジオキソ-1,4-シクロヘキサジエン-1-イル)デシル]トリフェニル-ホスホニウム、モノメタンスルホネート、MitoQH
2:[10-(2,5-ジヒドロキシ-3,4-ジメトキシ-6-メチルフェニル)デシル]トリフェニル-ホスホニウム、モノメタンスルホネート。
【
図10-4】DHODHがCoQをCoQH
2に還元することによってフェロトーシスを抑制する可能性が高いことを示す。Mは、異なる用量のRSL3で4時間処理した、示される遺伝子型を有するHT-1080細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。Nは、RSL3(1μM)で4時間処理したときの、示される遺伝子型を有するHT-1080細胞のミトコンドリア脂質過酸化の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。BQR:ブレキナール、Lip-1:リプロキスタチン-1、4-CBA:4-カルボキシベンズアルデヒド、DHO:ジヒドロオロト酸塩、OA:オロト酸塩、FMN:フラビンモノヌクレオチド、FMNH
2:還元型フラビンモノヌクレオチド、CoQ:コエンザイムQ、CoQH
2:還元型コエンザイムQ、MitoQ:[10-(4,5-ジメトキシ-2-メチル-3,6-ジオキソ-1,4-シクロヘキサジエン-1-イル)デシル]トリフェニル-ホスホニウム、モノメタンスルホネート、MitoQH
2:[10-(2,5-ジヒドロキシ-3,4-ジメトキシ-6-メチルフェニル)デシル]トリフェニル-ホスホニウム、モノメタンスルホネート。
【
図11-1】フェロトーシスのDHODH調節が、ミトコンドリアにおけるCoQをCoQH
2に還元する機能に関連していることを示す。Aは、ビヒクルまたはLip-1(10μM)で24時間前処理した後、異なる用量のFIN56で処理し、LFM(100μM)またはTF(500μM)で4時間共処理した、HT-1080細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。Bは、ビヒクルまたはLip-1(10μM)で24時間前処理した後、ビヒクル、FIN56(50μM)及び/またはBQR(500μM)で4時間処理したときの、HT-1080細胞における細胞生存率及びPTGS2 mRNAレベルの測定値を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。BQR:ブレキナール、LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド、4-CBA:4-カルボキシベンズアルデヒド、DHO:ジヒドロオロト酸塩、OA:オロト酸塩、FMN:酸化型フラビンモノヌクレオチド、FMNH
2:還元型フラビンモノヌクレオチド、CoQH
2:還元型コエンザイムQ、CoQ:酸化型コエンザイムQ、OCR:酸素消費速度、MitoQ:[10-(4,5-ジメトキシ-2-メチル-3,6-ジオキソ-1,4-シクロヘキサジエン-1-イル)デシル]トリフェニル-ホスホニウム、モノメタンスルホネート、MitoQH
2:[10-(2,5-ジヒドロキシ-3,4-ジメトキシ-6-メチルフェニル)デシル]トリフェニル-ホスホニウム、モノメタンスルホネート、Lip-1:リプロキスタチン-1。
【
図11-2】フェロトーシスのDHODH調節が、ミトコンドリアにおけるCoQをCoQH
2に還元する機能に関連していることを示す。Cは、示される遺伝子型を有するHT-1080細胞におけるCOQ2及びDHODHタンパク質レベルのウェスタンブロット解析を示す画像である。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。Dは、Cas9
ctrlまたはCOQ2
ko HT-1080細胞における総CoQ測定値を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Eは、ビヒクルまたは4-CBA(5mM)で24時間処理したHT-1080細胞における総CoQ測定値を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Fは、ビヒクルまたはLip-1(10μM)で24時間前処理した後、異なる用量のML162で4時間処理した、示される遺伝子型を有するCas9
ctrl及びDHODH
ko HT-1080細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。BQR:ブレキナール、LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド、4-CBA:4-カルボキシベンズアルデヒド、DHO:ジヒドロオロト酸塩、OA:オロト酸塩、FMN:酸化型フラビンモノヌクレオチド、FMNH
2:還元型フラビンモノヌクレオチド、CoQH
2:還元型コエンザイムQ、CoQ:酸化型コエンザイムQ、OCR:酸素消費速度、MitoQ:[10-(4,5-ジメトキシ-2-メチル-3,6-ジオキソ-1,4-シクロヘキサジエン-1-イル)デシル]トリフェニル-ホスホニウム、モノメタンスルホネート、MitoQH
2:[10-(2,5-ジヒドロキシ-3,4-ジメトキシ-6-メチルフェニル)デシル]トリフェニル-ホスホニウム、モノメタンスルホネート、Lip-1:リプロキスタチン-1。
【
図11-3】フェロトーシスのDHODH調節が、ミトコンドリアにおけるCoQをCoQH
2に還元する機能に関連していることを示す。Gは、ビヒクル、4-CBA(5mM)及びLip-1(10μM)で24時間前処理した後、異なる用量のML162で4時間処理した、Cas9
ctrl及びDHODH
ko HT-1080細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。Hは、ビヒクル、4-CBA(5mM)、または4-CBA(5mM)+Lip-1(10μM)で24時間前処理した後、RSL3(1μM)で処理した、Cas9
ctrlまたはDHODH
ko HT-1080細胞におけるミトコンドリア脂質過酸化の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。BQR:ブレキナール、LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド、4-CBA:4-カルボキシベンズアルデヒド、DHO:ジヒドロオロト酸塩、OA:オロト酸塩、FMN:酸化型フラビンモノヌクレオチド、FMNH
2:還元型フラビンモノヌクレオチド、CoQH
2:還元型コエンザイムQ、CoQ:酸化型コエンザイムQ、OCR:酸素消費速度、MitoQ:[10-(4,5-ジメトキシ-2-メチル-3,6-ジオキソ-1,4-シクロヘキサジエン-1-イル)デシル]トリフェニル-ホスホニウム、モノメタンスルホネート、MitoQH
2:[10-(2,5-ジヒドロキシ-3,4-ジメトキシ-6-メチルフェニル)デシル]トリフェニル-ホスホニウム、モノメタンスルホネート、Lip-1:リプロキスタチン-1。
【
図11-4】フェロトーシスのDHODH調節が、ミトコンドリアにおけるCoQをCoQH
2に還元する機能に関連していることを示す。Iは、DHODHが、DHOのOAへの酸化を、ミトコンドリア内膜におけるCoQからCoQH
2への還元にどのように結合するかを示す概略図である。Jは、ビヒクル、MitoQ(10μM)、MitoQH
2(10μM)、またはLip-1(10μM)で24時間前処理した後、異なる用量のML162で4時間処理した、Cas9
ctrl及びDHODH
ko HT-1080細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。Kは、ビヒクル、MitoQ(10μM)、MitoQH
2(10μM)、またはLip-1(10μM)で24時間前処理した後、RSL3(1μM)で4時間処理したときの、Cas9
ctrl及びDHODH
ko HT-1080細胞の脂質過酸化の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。BQR:ブレキナール、LFM:レフルノミド、TF:テリフルノミド、4-CBA:4-カルボキシベンズアルデヒド、DHO:ジヒドロオロト酸塩、OA:オロト酸塩、FMN:酸化型フラビンモノヌクレオチド、FMNH
2:還元型フラビンモノヌクレオチド、CoQH
2:還元型コエンザイムQ、CoQ:酸化型コエンザイムQ、OCR:酸素消費速度、MitoQ:[10-(4,5-ジメトキシ-2-メチル-3,6-ジオキソ-1,4-シクロヘキサジエン-1-イル)デシル]トリフェニル-ホスホニウム、モノメタンスルホネート、MitoQH
2:[10-(2,5-ジヒドロキシ-3,4-ジメトキシ-6-メチルフェニル)デシル]トリフェニル-ホスホニウム、モノメタンスルホネート、Lip-1:リプロキスタチン-1。
【
図12-1】様々な細胞株におけるRSL3及びBQR誘発性フェロトーシスに対するMitoQ及びMitoQH
2の効果を示す。Aは、示される細胞株におけるGPX4、DHODH及びFSP1タンパク質レベルのウェスタンブロット解析を示す画像である。B、C、D、E、F、G、H、I、及びJは、ビヒクル、MitoQ(10μM)、MitoQH
2(10μM)、またはLip-1(10μM)で24時間前処理した後、ビヒクル(上パネル)またはBQR(500μM)(下パネル)で異なる用量のRSL3で4時間処理した、293T(B)、Hela(C)、Jurkat(D)、SW620(E)、U-87MG(F)、A549(G)、NCI-H1437(H)、MDA-MB-436(I)、及びMDA-MB-231(J)細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。MitoQ:[10-(4,5-ジメトキシ-2-メチル-3,6-ジオキソ-1,4-シクロヘキサジエン-1-イル)デシル]トリフェニル-ホスホニウム、モノメタンスルホネート、MitoQH
2:[10-(2,5-ジヒドロキシ-3,4-ジメトキシ-6-メチルフェニル)デシル]トリフェニル-ホスホニウム、モノメタンスルホネート、Lip-1:リプロキスタチン-1、OCR:酸素消費速度。
【
図12-2】様々な細胞株におけるRSL3及びBQR誘発性フェロトーシスに対するMitoQ及びMitoQH
2の効果を示す。B、C、D、E、F、G、H、I、及びJは、ビヒクル、MitoQ(10μM)、MitoQH
2(10μM)、またはLip-1(10μM)で24時間前処理した後、ビヒクル(上パネル)またはBQR(500μM)(下パネル)で異なる用量のRSL3で4時間処理した、293T(B)、Hela(C)、Jurkat(D)、SW620(E)、U-87MG(F)、A549(G)、NCI-H1437(H)、MDA-MB-436(I)、及びMDA-MB-231(J)細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。MitoQ:[10-(4,5-ジメトキシ-2-メチル-3,6-ジオキソ-1,4-シクロヘキサジエン-1-イル)デシル]トリフェニル-ホスホニウム、モノメタンスルホネート、MitoQH
2:[10-(2,5-ジヒドロキシ-3,4-ジメトキシ-6-メチルフェニル)デシル]トリフェニル-ホスホニウム、モノメタンスルホネート、Lip-1:リプロキスタチン-1、OCR:酸素消費速度。
【
図12-3】様々な細胞株におけるRSL3及びBQR誘発性フェロトーシスに対するMitoQ及びMitoQH
2の効果を示す。B、C、D、E、F、G、H、I、及びJは、ビヒクル、MitoQ(10μM)、MitoQH
2(10μM)、またはLip-1(10μM)で24時間前処理した後、ビヒクル(上パネル)またはBQR(500μM)(下パネル)で異なる用量のRSL3で4時間処理した、293T(B)、Hela(C)、Jurkat(D)、SW620(E)、U-87MG(F)、A549(G)、NCI-H1437(H)、MDA-MB-436(I)、及びMDA-MB-231(J)細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。MitoQ:[10-(4,5-ジメトキシ-2-メチル-3,6-ジオキソ-1,4-シクロヘキサジエン-1-イル)デシル]トリフェニル-ホスホニウム、モノメタンスルホネート、MitoQH
2:[10-(2,5-ジヒドロキシ-3,4-ジメトキシ-6-メチルフェニル)デシル]トリフェニル-ホスホニウム、モノメタンスルホネート、Lip-1:リプロキスタチン-1、OCR:酸素消費速度。
【
図12-4】様々な細胞株におけるRSL3及びBQR誘発性フェロトーシスに対するMitoQ及びMitoQH
2の効果を示す。B、C、D、E、F、G、H、I、及びJは、ビヒクル、MitoQ(10μM)、MitoQH
2(10μM)、またはLip-1(10μM)で24時間前処理した後、ビヒクル(上パネル)またはBQR(500μM)(下パネル)で異なる用量のRSL3で4時間処理した、293T(B)、Hela(C)、Jurkat(D)、SW620(E)、U-87MG(F)、A549(G)、NCI-H1437(H)、MDA-MB-436(I)、及びMDA-MB-231(J)細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。MitoQ:[10-(4,5-ジメトキシ-2-メチル-3,6-ジオキソ-1,4-シクロヘキサジエン-1-イル)デシル]トリフェニル-ホスホニウム、モノメタンスルホネート、MitoQH
2:[10-(2,5-ジヒドロキシ-3,4-ジメトキシ-6-メチルフェニル)デシル]トリフェニル-ホスホニウム、モノメタンスルホネート、Lip-1:リプロキスタチン-1、OCR:酸素消費速度。
【
図12-5】様々な細胞株におけるRSL3及びBQR誘発性フェロトーシスに対するMitoQ及びMitoQH
2の効果を示す。B、C、D、E、F、G、H、I、及びJは、ビヒクル、MitoQ(10μM)、MitoQH
2(10μM)、またはLip-1(10μM)で24時間前処理した後、ビヒクル(上パネル)またはBQR(500μM)(下パネル)で異なる用量のRSL3で4時間処理した、293T(B)、Hela(C)、Jurkat(D)、SW620(E)、U-87MG(F)、A549(G)、NCI-H1437(H)、MDA-MB-436(I)、及びMDA-MB-231(J)細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。Kは、ミキソチアゾール(10μM)で2時間処理したHT-1080細胞におけるCoQ/CoQH
2比の測定値を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Lは、ビヒクルまたはミキソチアゾール(1μM)で24時間前処理した後、異なる用量のRSL3で4時間処理した、Cas9
ctrl及びDHODH
ko HT-1080細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。MitoQ:[10-(4,5-ジメトキシ-2-メチル-3,6-ジオキソ-1,4-シクロヘキサジエン-1-イル)デシル]トリフェニル-ホスホニウム、モノメタンスルホネート、MitoQH
2:[10-(2,5-ジヒドロキシ-3,4-ジメトキシ-6-メチルフェニル)デシル]トリフェニル-ホスホニウム、モノメタンスルホネート、Lip-1:リプロキスタチン-1、OCR:酸素消費速度。
【
図12-6】様々な細胞株におけるRSL3及びBQR誘発性フェロトーシスに対するMitoQ及びMitoQH
2の効果を示す。Mは、ミキソチアゾール(10μM)で2時間処理したA549細胞におけるCoQ/CoQH
2比の測定値を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=3回の独立した反復である。Nは、ビヒクルまたはミキソチアゾール(1μM)で24時間前処理した後、BQR(500μM)ありまたはなしで異なる用量のRSL3で4時間処理した、A549細胞における細胞生存率の測定値を示すグラフである。Oは、示される遺伝子型を有するHT-1080細胞におけるDHODH及びciAOXタンパク質レベルのウェスタンブロット解析を示す画像である。細胞を、ウリジン(50μM)を補充した培地中で増殖させた。MitoQ:[10-(4,5-ジメトキシ-2-メチル-3,6-ジオキソ-1,4-シクロヘキサジエン-1-イル)デシル]トリフェニル-ホスホニウム、モノメタンスルホネート、MitoQH
2:[10-(2,5-ジヒドロキシ-3,4-ジメトキシ-6-メチルフェニル)デシル]トリフェニル-ホスホニウム、モノメタンスルホネート、Lip-1:リプロキスタチン-1、OCR:酸素消費速度。
【
図13-1】DHODH阻害剤処理が、インビボでフェロトーシスを誘導することによってGPX4
low腫瘍増殖を抑制することを示す。A及びBは、異なる時点(日)で示される処理を用いたSh
ctrl(A)及びGPX4
sh(B)HT-1080異種移植片腫瘍の体積を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=8個の独立した腫瘍である。C及びDは、Sh
ctrl(
図13C)及びGPX4
sh(
図13D)HT-1080異種移植片腫瘍の4-HNE染色の免疫化学スコアリングを示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=5個の独立した腫瘍である。Eは、異なる時点(日)で示された処理を用いたNCI-H226細胞異種移植片腫瘍の体積を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=8個の独立した腫瘍である。Fは、異なるPDXモデルにおけるGPX4タンパク質レベルのウェスタンブロット解析を示す画像である。BQR:ブレキナール、Lip-1:リプロキスタチン-1、4-HNE:4-ヒドロキシノネナール、PDX:患者由来異種移植片、SAS:スルファサラジン。
【
図13-2】DHODH阻害剤処理が、インビボでフェロトーシスを誘導することによってGPX4
low腫瘍増殖を抑制することを示す。G、H、及びIは、異なる時点(日)で示された処理を行ったTC632(G)、TC629(H)、またはTC494(I)PDX腫瘍の体積を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=6個の独立した腫瘍である。Jは、異なる時点(日)で示された処理を用いたHT-1080細胞異種移植片腫瘍の体積を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=8個の独立した腫瘍である。Kは、HT-1080異種移植片腫瘍の4-HNE染色の免疫化学スコアリングを示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=5個の独立した腫瘍である。Lは、異なる時点(日)で示された処理を用いたTC632 PDX腫瘍の体積を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=6個の独立した腫瘍である。BQR:ブレキナール、Lip-1:リプロキスタチン-1、4-HNE:4-ヒドロキシノネナール、PDX:患者由来異種移植片、SAS:スルファサラジン。
【
図14-1】DHODH阻害剤がGPX4
low腫瘍増殖を選択的に抑制することを示す。Aは、示される処理を用いたSh
ctrl及びGPX4
sh HT-1080異種移植片腫瘍の重量測定を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=8個の独立した腫瘍である。B、C、及びDは、示される処理を用いたSh
ctrl及びGPX4
sh HT-1080異種移植片腫瘍からの代表的な免疫化学画像であり(B)、切断カスパーゼ3(C)及びki67(D)染色の染色スコアをさらに示す。エラーバーは平均±sdであり、n=5個の独立した腫瘍である。BQR:ブレキナール、Lip-1:リプロキスタチン-1、H&E:ヘマトキシリン及びエオシン、4-HNE:4-ヒドロキシノネナール、SAS:スルファサラジン、PDX:患者由来異種移植片。
【
図14-2】DHODH阻害剤がGPX4
low腫瘍増殖を選択的に抑制することを示す。B、C、及びDは、示される処理を用いたSh
ctrl及びGPX4
sh HT-1080異種移植片腫瘍からの代表的な免疫化学画像であり(B)、切断カスパーゼ3(C)及びki67(D)染色の染色スコアをさらに示す。エラーバーは平均±sdであり、n=5個の独立した腫瘍である。BQR:ブレキナール、Lip-1:リプロキスタチン-1、H&E:ヘマトキシリン及びエオシン、4-HNE:4-ヒドロキシノネナール、SAS:スルファサラジン、PDX:患者由来異種移植片。
【
図14-3】DHODH阻害剤がGPX4
low腫瘍増殖を選択的に抑制することを示す。Eは、示される処理を用いたNCI-H226異種移植片腫瘍の重量測定を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=8個の独立した腫瘍である。Fは、示される処理を用いたTC632、TC629、またはTC494PDXの腫瘍の重量測定を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=6個の独立した腫瘍である。Gは、異なる時点(日)で示される処理を用いたCas9
ctrl及びDHODH
ko NCI-H226異種移植片腫瘍の体積を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=8個の独立した腫瘍である。BQR:ブレキナール、Lip-1:リプロキスタチン-1、H&E:ヘマトキシリン及びエオシン、4-HNE:4-ヒドロキシノネナール、SAS:スルファサラジン、PDX:患者由来異種移植片。
【
図14-4】DHODH阻害剤がGPX4
low腫瘍増殖を選択的に抑制することを示す。Hは、示される処理を用いたCas9
ctrl及びDHODH
ko NCI-H226異種移植片腫瘍の重量測定を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=8個の独立した腫瘍である。Iは、示される処理を用いたHT-1080異種移植片腫瘍の重量測定を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=8回の独立した反復である。BQR:ブレキナール、Lip-1:リプロキスタチン-1、H&E:ヘマトキシリン及びエオシン、4-HNE:4-ヒドロキシノネナール、SAS:スルファサラジン、PDX:患者由来異種移植片。
【
図14-5】DHODH阻害剤がGPX4
low腫瘍増殖を選択的に抑制することを示す。J、K、及びLは、示される処理を用いたHT-1080異種移植片腫瘍の代表的な免疫化学画像であり(J)、切断カスパーゼ3(K)及びki67(L)染色の染色スコアをさらに示す。エラーバーは平均±sdであり、n=5個の独立した腫瘍である。BQR:ブレキナール、Lip-1:リプロキスタチン-1、H&E:ヘマトキシリン及びエオシン、4-HNE:4-ヒドロキシノネナール、SAS:スルファサラジン、PDX:患者由来異種移植片。
【
図14-6】DHODH阻害剤がGPX4
low腫瘍増殖を選択的に抑制することを示す。Mは、異なる時点(日)で示された処理を用いたTC629 PDX腫瘍の体積を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=6個の独立した腫瘍である。Nは、示される処理を用いたTC632及びTC629PDX腫瘍の重量測定を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=6個の独立した腫瘍である。BQR:ブレキナール、Lip-1:リプロキスタチン-1、H&E:ヘマトキシリン及びエオシン、4-HNE:4-ヒドロキシノネナール、SAS:スルファサラジン、PDX:患者由来異種移植片。
【
図14-7】DHODH阻害剤がGPX4
low腫瘍増殖を選択的に抑制することを示す。Oは、異なる時点(日数)で示される異なる処理を行った全ての細胞株異種移植片またはPDXのマウス体重測定を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=8(ヌードマウス)またはn=6(NSGマウス)の独立したマウスである。BQR:ブレキナール、Lip-1:リプロキスタチン-1、H&E:ヘマトキシリン及びエオシン、4-HNE:4-ヒドロキシノネナール、SAS:スルファサラジン、PDX:患者由来異種移植片。
【
図14-8】DHODH阻害剤がGPX4
low腫瘍増殖を選択的に抑制することを示す。Oは、異なる時点(日数)で示される異なる処理を行った全ての細胞株異種移植片またはPDXのマウス体重測定を示すグラフである。エラーバーは平均±sdであり、n=8(ヌードマウス)またはn=6(NSGマウス)の独立したマウスである。BQR:ブレキナール、Lip-1:リプロキスタチン-1、H&E:ヘマトキシリン及びエオシン、4-HNE:4-ヒドロキシノネナール、SAS:スルファサラジン、PDX:患者由来異種移植片。
【
図15】異なる細胞下区画におけるフェロトーシス抑制を示す図である。PLOOH:リン脂質ヒドロペルオキシド、PLOO・:リン脂質ヒドロペルオキシルラジカル、GSH:還元型グルタチオン、GSSH:酸化型グルタチオン、NAD(P)H:還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(リン酸塩)、NAD(P)
+:酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(リン酸塩)、CoQ:酸化型コエンザイムQ、CoQH
2:還元型コエンザイムQ、FMNH
2:還元型フラビンモノヌクレオチド、FMN:酸化型フラビンモノヌクレオチド、Asp:アスパラギン酸塩、C-P:カルバモイルリン酸塩、P:リン酸塩、C-Asp:N-カルバモイル-L-アスパラギン酸塩、DHO:ジヒドロオロト酸塩、OA:オロト酸塩、PRPP:ホスホリボシルピロリン酸塩、PPi:無機ピロリン酸塩、OMP:オロチジン5’-モノリン酸塩、CO
2:二酸化炭素、UMP:ウリジン5’-モノリン酸塩。
【発明を実施するための形態】
【0027】
I.定義
本開示をより容易に理解できるようにするために、特定の用語を最初に定義する。本出願で使用される場合、本明細書に別段の定めがある場合を除き、以下の各用語は、以下に記載される意味を有するものとする。追加の定義は、本出願全体を通して記載されている。
【0028】
本明細書及び添付の特許請求の範囲では、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含む。「a」(または「an」)という用語、ならびに「1つ以上」、及び「少なくとも1つ」という用語は、本明細書において互換的に使用され得る。特定の態様では、「a」または「an」という用語は、「単一」を意味する。他の態様において、「a」または「an」という用語は、「2つ以上」または「複数」を含む。
【0029】
さらに、本明細書で使用する場合、「及び/または」は、他方を伴うまたは伴わない2つの指定された特徴または構成成分をそれぞれ具体的に開示するものとして解釈するものとする。したがって、本明細書で「A及び/またはB」などの語句で使用される「及び/または」という用語は、「A及びB」、「AまたはB」、「A」(単独)、及び「B」(単独)を含むことが意図される。同様に、「A、B、及び/またはC」などのフレーズで使用される「及び/または」という用語は、以下の態様のそれぞれを包含することが意図される。A、B、及びC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)。
【0030】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本開示が関係する当該技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0031】
本明細書で使用される「約」という用語は、当業者によって決定される特定の値または組成物に対する許容誤差範囲内にある値または組成物を指し、それは、その値または組成物がどのように測定または決定されるか、すなわち、測定システムの限界に一部依存する。例えば、約は、列挙された数±10%(例えば、「約10」は、9~11を意味する)を含むことができる。
【0032】
本明細書で使用される「投与する」という用語は、当業者に知られている様々な方法及び送達システムのいずれかを使用して、治療剤(例えば、ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害剤及び/またはフェロトーシス誘導剤)を含む組成物を対象に物理的に導入することを指す。投与経路には、経口、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、脊髄または他の非経口投与経路、例えば、注射または注入による投与経路が含まれる。
【0033】
「抗がん剤」またはそれらの組み合わせという用語は、対象においてがん退縮を促進する。いくつかの態様では、治療有効量の治療剤は、がんを除去する点までがんの退縮を促進する。
【0034】
「免疫療法」という用語は、免疫応答を誘導する、向上させる、抑制する、または別様に改変することを含む方法による、疾患に罹患しているか、または疾患の罹患リスクもしくは再発リスクがある対象の治療を意味する。
【0035】
本明細書で使用される「試料」または「生体試料」という用語は、対象から単離された生体材料を指す。試料は、例えば、核酸を配列決定することによって、遺伝子発現を決定するのに適した任意の生物学的材料を含有することができる。
【0036】
試料は、任意の好適な生体組織、例えば、がん組織であってもよい。一態様では、試料は、腫瘍組織生検、例えば、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍組織または新鮮凍結腫瘍組織などである。別の態様では、腫瘍内試料が使用される。別の態様では、生体液は、腫瘍組織生検に存在することができるが、生体試料は、生体液自体ではない。
【0037】
本明細書で使用される「がん」という用語は、体内の異常細胞の無制御増殖を特徴とする様々な疾患の広範な群を指す。調節されていない細胞分裂及び成長は、隣接する組織に浸潤する悪性腫瘍の形成をもたらし、また、リンパ系または血流を介して身体の遠隔部分に転移する可能性がある。「腫瘍」という用語は、固形がんを指す。「癌腫」という用語は、上皮由来のがんを指す。
【0038】
本明細書で使用される「対照試料」という用語は、がんを有しないと考えられる「正常な」または「健康な」個体(複数可)から得られた生体試料(例えば、血液、尿、腫瘍)、またはがんを有すると考えられる個体(複数可)から得られた「正常な」または「健康な」(例えば、非がん性)生体試料を指す。対照は、当該技術分野で周知である方法を使用して選択され得る。あるレベルが対照集団について十分に確立されると、試験生体試料からのアレイ結果を、既知のレベルと直接比較することができる。
【0039】
「グルタチオンペルオキシダーゼ4」または「GPX4」という用語は、本明細書で使用される場合、GPX4遺伝子をコードする酵素を指す。GPX4は、細胞を膜脂質過酸化から保護するリン脂質ヒドロペルオキシダーゼである。
【0040】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語には、任意のヒト動物または非ヒト動物が含まれる。「対象」及び「患者」という用語は、本明細書において互換的に使用される。「非ヒト動物」という用語は、限定されないが、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、イノシシ、ヒツジ、ヤギ、バッファロー、バイソン、ラマ、シカ、エルク、及び他の大型動物等の脊椎動物、ならびに子牛及び子羊を含むそれらの若者、ならびにマウス、ラット、ウサギ、モルモット、サル等の霊長類、及び他の実験動物を含む。動物内では、哺乳動物が好ましく、最も好ましくは、家畜ペット、競走馬、及びヒトの消費のために直接的に(例えば、肉)または間接的に(例えば、乳)食品を生産するために使用される動物などの貴重かつ貴重な動物であるが、実験動物もまた含まれる。特定の態様では、対象は、ヒトである。したがって、本開示は、臨床、獣医学、及び研究用途に適用可能である。
【0041】
本明細書で使用される「治療する(treat)」、「治療する(treating)」、「治療(treatment)」などの用語は、疾患または状態、及び/またはそれに関連する症状を排除、軽減、または改善することを指す。除外されてはいないものの、疾患または状態を処置することは、その疾患、状態、またはそれらに関連する症状が完全に排除されることは必要としない。本明細書で使用される場合、「治療する(treat)」、「治療すること(treating)」、「治療(treatment)」などの用語は、「予防的治療」を含み得、これは、疾患もしくは状態を再発症していないが、疾患もしくは状態を再発症すること、または疾患もしくは状態の再発を有していないが、そのリスクがあるか、またはそれに罹患しやすい対象における、疾患もしくは状態の再発の可能性、または以前に制御された疾患もしくは状態の再発の可能性を低下させることを指す。「治療する」という用語及び同義語は、治療有効量のDHODH阻害剤及び/またはフェロトーシス誘導剤を、そのような治療を必要とする個体に投与することを企図する。
【0042】
本明細書で使用される「治療有効量」または「有効用量」という用語は、本開示の方法によって投与されるとき、目的の状態または疾患の治療のための活性成分(複数可)を、その治療を必要とする個体に有効に送達するのに十分な活性成分(複数可)の量を指す。がんまたは他の増殖障害の場合、治療有効量の薬剤は、望ましくない細胞増殖を減らす(すなわち、ある程度遅延させる、好ましくは停止させる)、がん細胞数を減らす、腫瘍のサイズを縮小する、末梢器官へのがん細胞の浸潤を阻害する(すなわち、ある程度遅延させる、好ましくは停止させる)、腫瘍転移を阻害する(すなわち、ある程度遅延させる、好ましくは停止させる)、腫瘍成長をある程度阻害する、標的細胞内のタンパク質メチル化を調節する、及び/またはがんに関連する症状の1つ以上をある程度緩和することができる。投与される化合物または組成物は、既存のがん細胞の成長を防止する、及び/またはそれを殺傷する程度に、細胞増殖抑制性及び/または細胞傷害性であり得る。
【0043】
加えて、本明細書に開示される治療に関して「有効」及び「有効性」という用語は、薬理学的有効性及び生理学的安全性の両方を含む。薬理学的有効性は、患者のがん退縮を促進する薬物の能力を指す。生理学的安全性は、薬物の投与から生じる細胞、臓器及び/または生物レベルでの毒性のレベル、または他の有害な生理学的影響(有害な影響)を指す。
【0044】
疾患退縮、例えば、がん退縮を促進する治療薬の能力は、当業者に既知の様々な方法を使用して、例えば、臨床試験中のヒト対象、ヒトにおける効能を予測する動物モデル系、またはインビトロアッセイにおける薬剤の活性をアッセイすることによって評価することができる。
【0045】
本明細書に記載されるように、特に明記されない限り、任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲、または整数範囲は、列挙される範囲内の任意の整数の値、及び適切な場合、その分数(整数の10分の1及び100分の1など)を含むと理解されるべきである。
【0046】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本開示が関係する当該技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei-Show,2nd ed.,2002,CRC Press、The Dictionary of Cell and Molecular Biology,3rd ed.,1999,Academic Press、及びOxford Dictionary of Biochemistry And Molecular Biology,Revised,2000,Oxford University Pressは、当業者に、本開示で使用される多くの用語の一般的な辞書を提供する。
【0047】
態様が「含む(comprising)」という言語で本明細書に記載されている場合はいつでも、それ以外は類似である「からなる(consisting of)」及び/または「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語で記載されている態様も提供されることを理解されたい。
【0048】
単位、接頭辞、及び記号は、それらの国際単位系(SI)で認められた形態で示される。本明細書に提供される見出しは、本開示の様々な態様の限定ではなく、本明細書全体を参照することによって有することができる。したがって、定義された用語は、その全体が明細書を参照することによってより完全に定義される。
【0049】
本明細書で使用される略語は、本開示を通して定義される。本開示の様々な態様については、以下のサブセクションでさらに詳細に説明する。
【0050】
II.治療方法
本開示の一態様は、がんを治療するための方法に関し、方法は、その治療を必要とする対象に、治療有効量のジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害剤を投与することを含み、がんは、対照試料と比較して、変化したグルタチオンペルオキシダーゼ4(GPX4)発現を有する。
【0051】
いくつかの態様では、改変されたGPX4発現は、対照試料と比較してGPX4の低い発現レベルである。GPX4を指すために使用される「発現レベル」(例えば、改変されたGPX4発現レベル、低いGPX4発現レベル、低いGPX4発現、高GPX4発現レベル、または高GPX4発現)には、GPX4 RNA、GPX4タンパク質、またはその両方の発現レベルが含まれる。GPX4 RNAを指すとき、発現レベルは、一般に、対象もしくはそこからの試料または対照試料中に存在する目的の核酸配列を表すRNA分子の検出された量、例えば、目的の核酸配列を含むDNA分子(例えば、対象のゲノムまたは対象のがんからのもの)から発現されたRNA分子の量を指す。GPX4タンパク質を指す場合、発現レベルは、一般に、対象もしくはそこからの試料、または対照試料中に存在する目的のタンパク質を表すタンパク質分子の検出量、例えば、目的のリボ核酸配列を含むRNA分子(例えば、対象のトランスクリプトームまたは対象のがんからの)から発現されるタンパク質分子の量を指す。
【0052】
いくつかの態様では、がんは、腫瘍である。さらなる態様では、腫瘍は、がんである。
【0053】
いくつかの態様では、腫瘍は、固形腫瘍である。「固形腫瘍」には、肉腫、黒色腫、癌腫、または他の固形腫瘍癌が含まれるがこれらに限定されない。
【0054】
「肉腫」という用語は、胚性結合組織のような物質からなり、かつ、一般に、線維状または均質な物質に埋め込まれた密接に充填された細胞から構成される腫瘍を指す。肉腫には、軟骨肉腫、線維肉腫、リンパ肉腫、黒色肉腫(melanosarcoma)、粘液肉腫、骨肉腫、アベメシー肉腫、脂肪性肉腫、脂肪肉腫、胞巣状軟部肉腫、エナメル芽細胞肉腫、ブドウ状肉腫、緑色肉腫、絨毛腫、胎児性肉腫、ウィルムス腫瘍肉腫、子宮内膜肉腫、間質肉腫、ユーイング肉腫、筋膜肉腫、線維芽細胞肉腫、巨細胞肉腫、顆粒球肉腫、ホジキン肉腫、特発性多発性色素性出血性肉腫、B細胞の免疫芽球性肉腫、リンパ腫、T細胞の免疫芽球性肉腫、ジェンセン肉腫、カポジ肉腫、クッパー細胞肉腫、血管肉腫、白血球肉腫(leukosarcoma)、悪性間葉肉腫、傍骨性肉腫、網状赤血球肉腫、ラウス肉腫、漿液嚢包性肉腫、滑膜肉腫、または毛細血管拡張性肉腫が含まれるがこれらに限定されない。
【0055】
「黒色腫」という用語は、皮膚及び他の器官のメラノサイト系から生じる腫瘍を指す。黒色腫には、例えば、末端黒子型黒色腫、無色素性黒色腫、良性若年性黒色腫、クラウドマン黒色腫、S91黒色腫、ハーディング・パッセイ黒色腫、若年性黒色腫、悪性黒子型黒色腫、悪性黒色腫、転移性黒色腫、結節型黒色腫、爪下黒色腫、または表在拡大型黒色腫が含まれる。
【0056】
「癌腫」という用語は、周囲組織に浸潤する傾向があり転移を引き起こす上皮細胞から構成される悪性の新たな成長物を指す。例示的ながんとしては、例えば、腺房癌、小葉癌、腺嚢胞癌、腺様嚢胞癌、腺腫様癌、副腎皮質の癌、肺胞癌、肺胞細胞癌、基底細胞癌、基底細胞癌、基底扁平上皮癌、基底扁平上皮癌、気管支肺胞癌、気管支肺胞癌、気管支原性癌、大脳癌、胆管細胞癌、絨毛癌、コロイド癌、コメド癌、子宮体癌、篩状癌、よろい状癌、皮膚癌、円柱癌、円柱細胞癌、管癌、デュラム癌、胚性癌、脳様癌、類上皮癌、アデノイド上皮癌、外植生癌、潰瘍外癌、線維性癌、ゼラチン様癌、ゼラチン状癌、巨大細胞癌、巨大細胞癌、腺癌、顆粒膜細胞癌、毛母細胞癌、ヘマトイド癌、肝細胞癌、ヒュルトレ細胞癌、ヒアリン癌、類上皮小体癌、小児胚性癌、上皮内癌(carcinoma in situ)、表皮内癌、上皮内癌(intraepithelial carcinoma)、Krompecher癌、Kulchitzkycell癌、大細胞癌、レンズ状癌(lenticular carcinoma)、レンズ状癌(carcinoma lenticulare)、脂肪腫様癌、リンパ上皮癌、髄様癌(carcinoma medullare)、髄様癌(medullary carcinoma)、黒色癌、軟性癌(carcinoma molle)、粘液性癌(mucinous carcinoma)、粘液細胞癌(carcinoma muciparum)、粘液細胞癌(carcinoma mucocellulare)、粘表皮癌、粘膜癌、粘液性癌(mucous carcinoma)、粘液腫様癌、鼻咽頭癌、麦粒腫、骨化癌、骨様癌、乳頭癌、門脈周囲癌、前浸潤癌、プリックル細胞癌、プルテース癌、腎臓の腎細胞癌、予備細胞癌、肉腫、シュナイデル癌、スキルス癌、スクロチ癌、印環細胞癌、単純癌、小細胞癌、ソラノイド癌、球状細胞癌、紡錘細胞癌、海綿状癌、扁平上皮癌(squamous carcinoma)、扁平上皮癌(squamous cell carcinoma)、糸状癌、毛細血管拡張癌、毛細血管拡張症癌、移行細胞癌、結節性癌、結節性癌、疣状癌、または絨毛癌(carcinoma viflosum)が挙げられる。
【0057】
本明細書に開示される方法に従って治療することができる追加のがんとしては、例えば、白血病、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、乳癌、卵巣癌、肺癌、横紋筋肉腫、原発性血小板症、原発性マクログロブリン血症、小細胞肺腫瘍、原発性脳腫瘍、胃癌、結腸癌、悪性膵臓インシュラノーマ、悪性カルチノイド、膀胱癌、前悪性皮膚病変、精巣癌、リンパ腫、甲状腺癌、甲状腺乳頭癌、神経芽細胞腫、神経内分泌癌、食道癌、泌尿生殖器癌、悪性高カルシウム血症、子宮頸癌、子宮内膜癌、副腎皮質癌、前立腺癌、ミュラー癌、卵巣癌、腹膜癌、卵管癌、または子宮漿液性乳頭癌が挙げられる。
【0058】
いくつかの態様では、がんは、再発性、難治性、または少なくとも1つの抗がん剤の投与を含む少なくとも1つの事前の療法後に難治性である。「再発」という用語は、療法後にがんの寛解を有した対象ががん細胞の復帰を有する状況を指す。本明細書で使用される場合、「難治性」または「耐性」という用語は、対象が、強力な治療後であっても、体内に残存がん細胞を有する状況を指す。いくつかの態様において、がんは、転移性である。
【0059】
いくつかの態様では、がんとしては、副腎皮質癌、進行癌、肛門癌、再生不良性貧血、胆管癌、膀胱癌、骨癌、骨転移、脳腫瘍(brain tumor)、脳腫瘍(brain cancer)、乳癌、小児癌、原発不明癌、キャッスルマン病、子宮頸癌、結腸/直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、ユーイングファミリー腫瘍、眼癌、胆嚢癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、妊娠性絨毛性疾患、ホジキン病、カポジ肉腫、腎細胞癌、喉頭・下咽頭癌、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病、肝臓癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肺カルチノイド腫瘍、皮膚リンパ腫、悪性中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、鼻腔・副鼻腔癌、上咽頭癌、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、口腔・中咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、陰茎癌、下垂体腫瘍前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、成人軟部組織肉腫、基底細胞・扁平上皮皮膚癌、黒色腫、小腸癌、胃癌、精巣癌、咽頭癌、胸腺癌、甲状腺癌、子宮肉腫、膣癌、外陰癌、ワルデンシュトレーム・マクログロブリン血症、ウィルムス腫瘍、がん治療による二次がんを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0060】
いくつかの態様では、がんは、線維肉腫、肺扁平上皮細胞癌、肺腺癌、腎細胞癌、乳房腺癌、結腸直腸腺癌、子宮頸管内膜腺癌、またはT急性リンパ芽球性白血病から選択される。
【0061】
「がん」または「がん組織」は、様々な段階における腫瘍を含み得る。ある特定の態様では、がんまたは腫瘍は、ステージ0、例えば、がんまたは腫瘍が、発達における極めて早期であり、転移していないようなものである。いくつかの態様では、がんまたは腫瘍は、ステージI、例えば、がんまたは腫瘍が、サイズが比較的小さく、近くの組織に広がっておらず、転移していないようなものである。他の態様では、がんまたは腫瘍は、ステージIIまたはステージIII、例えば、がんまたは腫瘍が、ステージ0またはステージIよりも大きく、近くの組織に成長しているが、潜在的にリンパ節を除き転移していないようなものである。他の態様では、がんまたは腫瘍は、ステージIV、例えば、がんまたは腫瘍が転移しているようなものである。ステージIVはまた、進行または転移がんと称され得る。
【0062】
ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害剤は、自己免疫疾患、免疫及び炎症性疾患、破壊的な骨障害、悪性腫瘍性疾患、血管新生関連障害、ウイルス性疾患、及び感染症の治療または予防のために開示されている。例えば、WO2010083975、WO2011138665、WO200137081、WO2009133379、WO2009021696、WO200082691、WO2009029473、WO2009153043、US2009209557、US2009062318、US2009082374、WO2008097180、W02QQ8Q77639、US2008027079、US2007299U4、US2007027193、US2007224672、WO2007149211、JP2007015952、WO2006044741、WO2006001961、WO2006051937、WO2006038606、WO2006022442、US2006199856、WO2005075410、米国特許第10,016,402号、米国特許第7,074,831号、WO2004056797、米国特許第7,247,736号、WO2004056747、WO2004056746、JP2004099586、WO2003097574、WO2003030905、WO2003006425、WO2003006424、US2003203951、WO2002080897、米国特許第7,176,241号、米国特許第7,423,057号、WO2001024785、米国特許第6,841,561号、WO9945926、WO9938846、WO9941239、EP767167及び米国特許第5,976,848号を参照されたく、各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる。DHODH阻害剤に関するさらなるレビュー及び文献については、Bio&Med.Chem.Letters,20(6),2010,pages1981-1984、Med.Chem.2009,52,2683-2693、J.Med.Chem.2008,51(12),3649-3653を参照のこと。
【0063】
例えば、ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害剤としては、限定されないが、レフルノミド、テリフルノミド、ブレキナール、ジクロロアリルロゾン、マリチムス、レドキサール、Ag-636、ASLAN003、BAY2402234、IMU-838、PP-001、及びPTC299が挙げられる。
【0064】
いくつかの態様では、ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害剤は、Ag-636、ASLAN003、BAY2402234、レフルノミド、ブレキナール、テリフルノミド、IMU-838、PP-001、PTC299、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。さらなる態様では、ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害剤は、レフルノミド、ブレキナール、テリフルノミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0065】
いくつかの態様では、改変されたGPX4発現は、対照試料と比較してGPX4の高い発現レベルである。
【0066】
いくつかの態様では、本方法は、治療有効量のフェロトーシス誘導剤を投与することをさらに含む。
【0067】
フェロトーシス誘導剤(FIN)は、悪性腫瘍性疾患、神経系疾患、及び血液疾患の治療または予防のために開示されている。例えば、参照によりそれぞれの全内容が本明細書に組み込まれるUS20200138829、WO2019200343、WO2018218087、及びWO2020236620を参照されたい。
【0068】
フェロトーシス誘導剤(FIN)は、4つのクラス、すなわち、(i)系Xc-を阻害し、システイン取り込みを防止すること、(ii)GPX4を阻害すること、(iii)GPX4を分解し、SQSに結合し、酸化防止剤CoQ10を枯渇させること、(iv)鉄及びリピドームを直接、及び非活性のGPX4を直接酸化すること、に分けられる。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Li et al.Cell Death&Disease,11,88(2020)を参照されたい。クラスIには、例えば、エラスチン、ソラフェニブ、スルファサラジンが含まれ、クラスIIには、例えば、RSL3、(1S,3R)-RSL3、ML210、ML162、DPI7、及びDPI10が含まれ、クラスIIIには、例えば、FIN56が含まれ、クレーム4には、例えば、FINO2が含まれる。
【0069】
いくつかの態様では、フェロトーシス誘導剤は、クラスIフェロトーシス誘導剤、クラスIIフェロトーシス誘導剤、またはそれらの組み合わせである。
【0070】
いくつかの態様では、フェロトーシス誘導剤は、スルファサラジン、ロシグリタゾン、マレイン酸ロシグリタゾン、バルドキソロンメチル、リナグリプチン、クルクミン、ジレウトン、ピオグリタゾンHCl、ノルディヒドログアイアレチン酸(NDGA)、トログリタゾン、セタナキシブ、メシル酸デフェロキサミン、トシル酸ソラフェニブ、シスプラチン、ロサデュスタット、ラパチニブ、シンバスタチン、デフェラシロックス、ソラフェニブ、エラスチン、イミダゾールケトンエラスチン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。さらなる態様では、フェロトーシス誘導剤は、スルファサラジンRSL3、(1S,3R)-RSL3、ML210、ML162、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0071】
いくつかの態様では、フェロトーシス誘導剤は、クラス(iii)フェロトーシス誘導剤ではない。いくつかの態様では、DHODH阻害剤は、クラス(i)フェロトーシス誘導剤と組み合わせて投与される。いくつかの態様では、DHODH阻害剤は、クラス(ii)フェロトーシス誘導剤と組み合わせて投与される。いくつかの態様では、DHODH阻害剤は、クラス(iv)フェロトーシス誘導剤と組み合わせて投与される。
【0072】
いくつかの態様では、対象は、ヒトである。
【0073】
本開示の別の態様は、ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害剤により対象を治療する方法であって、対象が、がんに罹患しており、本方法は、(a)がん試料中のグルタチオンペルオキシダーゼ4(GPX4)の発現レベルを決定することと、(b)GPX4の発現レベルが対照試料中の相対GPX4発現レベルと比較して低い場合、治療有効量のDHODH阻害剤を対象に投与することか、または(c)GPX4の発現レベルが対照試料中の相対GPX4発現レベルと比較して高い場合、治療有効量のDHODH阻害剤及び治療有効量のフェロトーシス誘導剤を対象に投与することと、を含む、方法に関する。
【0074】
本開示の別の態様は、がんに罹患している対象を治療する方法であって、治療有効量のジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害剤を対象に投与することを含み、投与前に、対象が、対照試料中の相対グルタチオンペルオキシダーゼ4(GPX4)発現レベルと比較してGPX4の変化した発現レベルを示すことが同定されている、方法に関する。
【0075】
いくつかの態様では、対象がGPX4の低発現レベルを示すと同定されている場合、治療は、治療有効量のDHODH阻害剤を対象に投与することを含む。
【0076】
いくつかの態様では、対象がGPX4の高い発現レベルを示すと同定されている場合、治療は、治療有効量のDHODH阻害剤及び治療有効量のフェロトーシス誘導剤を対象に投与することを含む。
【0077】
いくつかの態様では、対象を、GPX4の変化した発現レベルを示すものとして同定することは、対象からがん試料を得ることと、試料をGPX4発現レベルについて分析することとを含む。
【0078】
本開示の別の態様は、がんに罹患している対象をジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害剤による治療に好適であるとして同定する方法であって、対照試料中の相対グルタチオンペルオキシダーゼ4(GPX4)発現レベルと比較して、対象がGPX4の変化した発現レベルを有するか否かを決定することを含み、(a)GPX4の発現レベルが対照試料中の相対GPX4発現レベルと比較して低い場合、治療有効量のDHODH阻害剤を対象に投与することができるか、または、(b)GPX4の発現レベルが対照試料中の相対GPX4発現レベルと比較して高い場合、治療有効量のDHODH阻害剤及び治療有効量のフェロトーシス誘導剤を対象に投与することができる、方法に関する。
【0079】
いくつかの態様では、対象がGPX4の変化した発現レベルを有するか否かを決定することは、対象からがん試料を得ることと、試料をGPX4発現レベルについて分析することとを含む。
【0080】
本明細書に記載されるGPX4発現のレベルは、当該技術分野の任意の方法を使用して決定することができる。例えば、発現レベルは、核酸(例えば、RNAまたはmRNA)または遺伝子によってコードされるタンパク質の発現を検出することによって決定され得る。したがって、いくつかの態様では、発現レベルは、転写されたRNAレベル及び/または発現されたタンパク質レベルである。いくつかの態様では、RNAレベルは、配列決定方法、例えば、次世代配列決定(NGS)を使用して決定される。いくつかの態様では、NGSは、RNA-Seq、EdgeSeq、PCR、Nanostring、もしくはこれらの組み合わせ、またはRNAを測定する任意の技術である。いくつかの態様では、RNA測定方法は、ヌクレアーゼ保護を含む。いくつかの態様では、RNAレベルは蛍光を使用して決定される。いくつかの態様では、RNAレベルは、Agilentによって販売されるようなAffymetrixマイクロアレイまたはマイクロアレイを使用して決定される。
【0081】
いくつかの態様では、試料のGPX4発現レベルの分析には、PCR(例えば、リアルタイムPCR)、シーケンシング(例えば、ディープシーケンシングまたは次世代シーケンシング、例えば、RNA-Seq)、マイクロアレイ発現プロファイリング、免疫組織化学的方法、ELISA、ウェスタン解析、HPLC、プロテオミクスアッセイ、またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0082】
いくつかの態様では、ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害剤は、Ag-636、ASLAN003、BAY2402234、レフルノミド、ブレキナール、テリフルノミド、IMU-838、PP-001、PTC299、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。さらなる態様では、ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害剤は、レフルノミド、ブレキナール、テリフルノミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0083】
いくつかの態様では、フェロトーシス誘導剤は、スルファサラジン、ロシグリタゾン、マレイン酸ロシグリタゾン、バルドキソロンメチル、リナグリプチン、クルクミン、ジレウトン、ピオグリタゾンHCl、ノルディヒドログアイアレチン酸(NDGA)、トログリタゾン、セタナキシブ、メシル酸デフェロキサミン、トシル酸ソラフェニブ、シスプラチン、ロサデュスタット、ラパチニブ、シンバスタチン、デフェラシロックス、ソラフェニブ、エラスチン、イミダゾールケトンエラスチン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。さらなる態様では、フェロトーシス誘導剤は、スルファサラジンRSL3、(1S,3R)-RSL3、ML210、ML162、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0084】
いくつかの態様では、フェロトーシス誘導剤は、クラス(iii)フェロトーシス誘導剤ではない。いくつかの態様では、DHODH阻害剤は、クラス(i)フェロトーシス誘導剤と組み合わせて投与される。いくつかの態様では、DHODH阻害剤は、クラス(ii)フェロトーシス誘導剤と組み合わせて投与される。いくつかの態様では、DHODH阻害剤は、クラス(iv)フェロトーシス誘導剤と組み合わせて投与される。
【0085】
いくつかの態様では、対象は、ヒトである。
【0086】
いくつかの態様では、がん試料は、腫瘍組織、腫瘍内組織、血液試料、骨髄、またはそれらの組み合わせを含む。
【0087】
いくつかの態様では、GPX4発現レベルは、例えば、本明細書に開示されるように、配列決定またはRNAもしくはタンパク質発現レベルを測定する任意の技術を使用して決定される。
【0088】
本明細書に開示される方法はまた、GPX4発現レベルの決定に少なくとも部分的に基づいて、予防及び/または治療を処方、開始、及び/または変更するなどの追加のステップを含むことができる。いくつかの態様では、本明細書に開示される方法は、(a)化学療法を投与すること、(b)手術を行うこと、(c)放射線療法を投与すること、または(d)それらの任意の組み合わせをさらに含む。
【0089】
他の態様では、本明細書に開示される方法は、がん療法のための標準的なケアと組み合わせることができる。いくつかの態様では、標準的なケアとしては、化学療法、放射線療法、免疫療法の投与、標的療法の投与、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
いくつかの態様では、本明細書に開示される方法は、がん負荷を軽減する。
【0091】
いくつかの態様では、がん負荷は、DHODH阻害剤及び/またはフェロトーシス誘導剤の投与前のがん負荷と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、または約50%減少する。
【0092】
いくつかの態様では、対象は、DHODH阻害剤及び/またはフェロトーシス誘導剤の初回投与後、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約1年、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の無増悪生存を示す。
【0093】
いくつかの態様では、対象は、DHODH阻害剤及び/またはフェロトーシス誘導剤の初回投与から約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約1年、約18ヶ月、約2年、約3年、約4年、または約5年後に安定した疾患を示す。「安定した疾患」という用語は、がんの存在についての診断を指すが、がんは、例えば、イメージングデータ及び/または最良の臨床的判断によって決定されるように、治療されており、安定した状態、すなわち、進行性ではない状態に留まる。「進行性疾患」という用語は、画像化データ及び/または最良の臨床的判断によって決定されるように、がんの高活性状態、すなわち、治療されておらず、安定していない、または治療されて、療法に応答していない、または治療されて、活性疾患が残っている状態の存在についての診断を指す。
【0094】
「安定した疾患」は、治療開始時(すなわち、治療前)の初期腫瘍体積と比較して、治療過程中の(一時的な)腫瘍縮小/腫瘍体積の減少を包含することができる。この関連において、「腫瘍縮小」は、治療開始時(すなわち、治療前)の初期体積と比較して、治療時の腫瘍の体積の減少を指すことができる。例えば、100%未満(例えば、治療開始時の初期体積の約99%~約66%)の腫瘍体積は、「安定した疾患」を表すことができる。
【0095】
「安定した疾患」は、あるいは、治療開始時(すなわち、治療前)の初期腫瘍体積と比較して、治療過程中の(一時的な)腫瘍増殖/腫瘍体積の増加を包含することができる。この関連において、「腫瘍成長」は、治療の開始時(すなわち、治療の前)の初期体積と比較して、治療阻害剤時の腫瘍の体積の増加を指すことができる。例えば、100%を超える(例えば、初期体積の約101%~約135%、好ましくは治療開始時の初期体積の約101%~約110%)腫瘍体積は、「安定した疾患」を表すことができる。
【0096】
「安定した疾患」という用語は、以下の態様を含むことができる。例えば、腫瘍体積は、例えば、処置後に縮小しない(すなわち、腫瘍増殖が停止する)か、または例えば、処置の開始時に縮小するが、腫瘍が消失するまで縮小し続けない(すなわち、腫瘍増殖が最初に回復するが、腫瘍が例えば、初期体積の65%未満になる前に、腫瘍が再び増殖する)かのいずれかである。
【0097】
いくつかの態様では、対象は、DHODH阻害剤及び/またはフェロトーシス誘導剤の初回投与から約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約1年、約18ヶ月、約2年、約3年、約4年、または約5年後に部分奏効を示す。
【0098】
いくつかの態様では、対象は、DHODH阻害剤及び/またはフェロトーシス誘導剤の初回投与から約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約1年、約18ヶ月、約2年、約3年、約4年、または約5年後に完全奏効を示す。
【0099】
本明細書で使用される場合、「奏効」という用語は、例えば、がんが転移したときの「腫瘍縮小」または腫瘍数の減少を指すことができる。「奏効」という用語は、患者または腫瘍の「完全奏効」または「部分奏効」にも反映され得る。本明細書で使用される「完全奏効」という用語は、本明細書に開示される特定の療法に応答して、がんの全ての徴候の消失を指すことができる。「完全奏効」という用語及び「完全寛解」という用語は、本明細書において互換的に使用され得る。例えば、「完全奏効」は、腫瘍が消失するまで、腫瘍の継続的な縮小に反映することができる(添付の実施例に示すように)。治療の開始時(すなわち、それ以前)の初期腫瘍体積(100%)と比較して、例えば、0%の腫瘍体積は、「完全奏効」を表すことができる。
【0100】
本明細書に開示されるDHODH阻害剤及び/またはフェロトーシス誘導剤による処置は、「部分応答」(または部分寛解、例えば、処置に応答して、腫瘍のサイズの減少、または体内のがんの程度の減少)をもたらし得る。「部分奏効」は、治療開始時(すなわち、治療前)の初期腫瘍体積と比較して、治療過程中の(一時的な)腫瘍縮小/腫瘍体積の減少を包含することができる。
【0101】
いくつかの態様では、DHODH阻害剤及び/またはフェロトーシス誘導剤を投与することは、治療を受けていない対象の無増悪生存確率と比較して、無増悪生存確率を少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、少なくとも約130%、少なくとも約140%、または少なくとも約150%改善する。
【0102】
いくつかの態様では、DHODH阻害剤及び/またはフェロトーシス誘導剤を投与することは、治療を受けない対象の全生存確率と比較して、全生存確率を少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、少なくとも約300%、少なくとも約325%、少なくとも約350%、または少なくとも約375%改善する。
【0103】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、試料(例えば、がん試料または生体試料)は、例えば、ヘルスケア提供者(例えば、医師)またはヘルスケア利益提供者によって要求され、同じまたは異なるヘルスケア提供者(例えば、看護師、病院)または臨床検査室によって取得及び/または処理され、処理後、結果は、元のヘルスケア提供者またはさらに別のヘルスケア提供者、ヘルスケア利益提供者または患者に転送され得る。同様に、本明細書に開示されるGPX4の発現レベルの定量化、例えば、対照試料の発現レベルと対象の発現レベルとの比較、GPX4の不在または存在の評価、特定の閾値に関するGPX4発現レベルの決定、処置決定、またはそれらの組み合わせは、1つ以上のヘルスケア提供者、ヘルスケア利益提供者、及び/または臨床検査室によって行うことができる。
【0104】
本明細書で使用される場合、「ヘルスケア提供者」という用語は、生体の対象、例えば、ヒト患者と直接やりとりを行い、それに投与する個人または機関を指す。ヘルスケア提供者の非限定的な例としては、医師、看護師、技術者、セラピスト、薬剤師、カウンセラー、代替医療の開業医、医療施設、医師のオフィス、病院、救急治療室、診療所、緊急治療センター、代替医療の診療所/施設、及び一般的及び/または専門的な治療、評価、維持、療法、投薬、及び/または患者の健康状態の全てまたは一部に関連するアドバイス(限定されないが、一般的な医療、専門的な医療、外科、及び/または任意の他のタイプの治療、評価、維持、療法、投薬、及び/またはアドバイスを含む)を提供する任意の他の団体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
本明細書で使用される場合、「臨床検査室」という用語は、生体対象、例えば、ヒトに由来する材料の検査または処理のための施設を指す。処理の非限定的な例としては、例えば、生体対象、例えば、ヒトの疾患または障害の診断、予防、または治療、または健康の評価のために情報を提供する目的で、人体に由来する材料の生物学的、生化学的、血清学的、化学的、免疫学的、血液学的、生物物理学的、細胞学的、病理学的、遺伝的、または他の検査が挙げられる。これらの検査はまた、試料を収集するか、またはそれ以外の方法で取得するための手順、生体対象、例えば、ヒトの体内における様々な物質、または生体対象、例えば、ヒトの体内から得られた試料中の様々な物質を調製、決定、測定、またはそうでなければその存在または非存在を説明する手順を含むことができる。
【0106】
本明細書で使用される場合、「ヘルスケア給付提供者」という用語は、1つ以上のヘルスケア給付、給付プラン、健康保険、及び/またはヘルスケア費用アカウントプログラムを提供する、提示する、提供する、全体的または部分的に支払う、または患者にアクセスを与えることに関連する、個々の当事者、組織、またはグループを包含する。
【0107】
いくつかの態様では、ヘルスケア提供者は、がんを治療するために、本明細書に開示されるDHODH阻害剤及び/またはフェロトーシス誘導剤を投与すること、または別のヘルスケア提供者にその投与を行うよう指示することができる。ヘルスケア提供者は、試料を取得する、試料を処理する、試料を提出する、試料を受け取る、試料を移送する、試料を分析または測定する、試料を定量化する、試料を分析/測定/定量化した後に得られた結果を提供する、試料を分析/測定/定量化した後に得られた結果を受け取る、1つ以上の試料を分析/測定/定量化した後に得られた結果を比較/スコアリングする、1つ以上の試料から比較/スコアを提供する、1つ以上の試料から比較/スコアを取得する、療法を投与する、療法の投与を開始する、療法の投与を中止する、療法の投与を継続する、一時的に中断する、投与される治療薬の量を増加させる、投与される治療薬の量を減少させる、治療薬の量の投与を継続する、治療薬の投与頻度を増加させる、治療薬の投与頻度を減少させる、治療薬に対する同じ投与頻度を維持する、薬剤または治療薬を少なくとも別の薬剤または治療薬に置き換える、薬剤または治療薬を少なくとも別の薬剤または追加の治療薬と組み合わせる、という作業を実行すること、またはそれを行うようヘルスケア提供者または患者に指示することができる。
【0108】
いくつかの態様では、ヘルスケア利益提供者は、例えば、試料の収集、試料の処理、試料の提出、試料の受領、試料の移送、試料の分析または測定、試料の定量化、試料の分析/測定/定量化後に得られた結果の提供、試料の分析/測定/定量化後に得られた結果の移送、1つ以上の試料の分析/測定/定量化後に得られた結果の比較/スコアリング、比較/1つ以上の試料からのスコアの移送、療法または治療剤の投与、療法または治療剤の投与の開始、療法または治療剤の投与の中止、療法または治療剤の投与の継続、療法または治療剤の投与の一時的な中断、投与される治療剤の量の増加、投与される治療剤の量の減少、ある量の治療剤の投与の継続、治療剤の投与頻度の増加、治療剤の投与頻度の減少、治療剤の同じ投与頻度の維持、療法または治療剤を少なくとも別の療法または治療剤で置き換えること、または療法もしくは治療剤を少なくとも別の療法または追加の治療剤と組み合わせること、を認可または拒絶することができる。
【0109】
加えて、ヘルスケア利益は、例えば、療法の処方を認可または拒絶すること、療法の補償を認可または拒絶すること、療法費用の払い戻しを認可または拒絶すること、療法の適格性を決定または拒絶することなどを提供することができる。
【0110】
いくつかの態様では、臨床検査室は、例えば、試料を収集または取得し、試料を処理し、試料を提出し、試料を受け取り、試料を移送し、試料を分析または測定し、試料を定量化し、試料を分析/測定/定量化した後に得られた結果を提供し、試料を分析/測定/定量化した後に得られた結果を受け取り、1つ以上の試料を分析/測定/定量化した後に得られた結果を比較/スコアリングし、1つ以上の試料から比較/スコアを提供し、1つ以上の試料から比較/スコアを取得し、または他の関連する活動を行うことができる。
【0111】
III.医薬組成物
DHODH阻害剤及び/またはフェロトーシス誘導剤は、任意の他の成分が存在しない生の化学物質の形態で対象に投与することができる。DHODH阻害剤及び/またはフェロトーシス誘導剤は、好適な薬学的に許容される担体と組み合わせた化合物を含有する医薬組成物の一部として、対象に投与することもできる。かかる担体は、薬学的に許容される賦形剤及び補助剤から選択され得る。「薬学的に許容される担体」または「薬学的に許容されるビヒクル」という用語は、標準的な医薬担体、溶媒、界面活性剤、またはビヒクルのいずれかを包含する。適切な薬学的に許容されるビヒクルとしては、水性ビヒクル及び非水性ビヒクルが挙げられる。標準的な医薬担体及びそれらの製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,PA,19th ed.1995に記載されている。
【0112】
本開示の範囲内の医薬組成物は、DHODH阻害剤及び/またはフェロトーシス誘導剤が1つ以上の薬学的に許容される担体と組み合わせられている全ての組成物を含む。ある特定の態様では、DHODH阻害剤及び/またはフェロトーシス誘導剤は、その意図される治療目的を達成するのに有効な量で組成物中に存在する。個々の必要性は変化し得るが、各化合物の有効量の最適範囲の決定は当業者の範囲内である。典型的には、DHODH阻害剤及び/またはフェロトーシス誘導剤は、個別にまたは組み合わせて、特定の障害を治療するために、哺乳動物、例えば、ヒトに、1日当たり、哺乳動物の体重1kg当たり約0.0025~約1500mgの用量、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の等量で投与することができる。哺乳動物に投与されるDHODH阻害剤及び/またはフェロトーシス誘導剤の有用な用量は、個別にまたは組み合わせて、哺乳動物の体重1kg当たり約0.0025~約50mg、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の等量である。筋肉内注射の場合、用量は、典型的には、経口用量の約半分である。
【0113】
単位用量は、約0.01mg~約1gのDHODH阻害剤及び/またはフェロトーシス誘導剤を、個別にまたは組み合わせて、例えば、約0.01mg~約500mg、約0.01mg~約250mg、約0.01mg~約100mg、0.01mg~約50mg、例えば、約0.1mg~約10mgの化合物を含み得る。単位用量は、1日1回以上、例えば、それぞれが約0.01mg~約1gの化合物、または等量のその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含有する1つ以上の錠剤またはカプセルとして投与することができる。
【0114】
DHODH阻害剤及び/またはフェロトーシス誘導剤を含む医薬組成物は、DHODH阻害剤及び/またはフェロトーシス誘導剤の有益な効果を経験し得る任意の対象、例えば、その治療を必要とするがん患者に投与することができる。そのような対象の中で最も重要なのは、哺乳動物、例えば、ヒト及びコンパニオン動物であるが、本開示は、そのように限定されることを意図していない。1つのいくつかの態様では、対象は、ヒトである。
【0115】
いくつかの態様では、DHODH阻害剤は、フェロトーシス誘導剤と同時に投与することができる。他の態様では、DHODH阻害剤は、フェロトーシス誘導剤とは異なる時間に投与することができる。追加の態様では、DHODH阻害剤及びフェロトーシス誘導剤は、連続的に投与することができる。一態様では、DHODH阻害剤は、フェロトーシス誘導剤の後に投与することができる。別の態様では、フェロトーシス誘導剤は、DHODH阻害剤の後に投与することができる。
【0116】
本開示の薬学的組成物は、その意図される目的を達成する任意の手段によって投与され得る。例えば、投与は、経口、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経皮、鼻腔内、経粘膜、直腸、膣内、もしくは頬側経路によるもの、または吸入によるものとすることができる。投与される投与量及び投与経路は、特定の対象の状況に応じて、レシピエントの年齢、性別、健康状態及び体重、治療される状態または障害、もしあれば同時治療の種類、治療の頻度、及び所望の効果の性質などの要因を考慮に入れて変化するであろう。
【0117】
いくつかの態様では、本開示の医薬組成物は、経口的に投与することができる。いくつかの態様では、本開示の医薬組成物は、経口投与することができ、錠剤、糖衣錠、カプセル、または経口液体製剤に製剤化される。いくつかの態様では、経口製剤は、DHODH阻害剤及び/またはフェロトーシス誘導剤を含む押出された多数の粒子を含む。
【0118】
あるいは、本開示の医薬組成物は、直腸投与することができ、坐薬に製剤化される。
【0119】
代替的に、本開示の医薬組成物は、注射によって投与することができる。
【0120】
あるいは、本開示の医薬組成物は、経皮的に投与することができる。
【0121】
あるいは、本開示の医薬組成物は、吸入によって、または鼻腔内または経粘膜投与によって投与することができる。
【0122】
代替的に、本開示の医薬組成物は、膣内経路によって投与することができる。
【0123】
本開示の医薬組成物は、個別にまたは組み合わせて、約0.01~99重量%、例えば、約0.25~75重量%のDHODH阻害剤及び/またはフェロトーシス誘導剤、例えば、約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、または約75重量%のDHODH阻害剤及び/またはフェロトーシス誘導剤を個別にまたは組み合わせて含むことができる。
【0124】
本開示の薬学的組成物は、それ自体が本開示を考慮して既知となる方法で、例えば、従来の混合、造粒、糖衣錠作製、溶解、押出、または凍結乾燥工程によって製造される。ゆえに、経口使用のための医薬組成物は、活性化合物を固形賦形剤と組み合わせることによって得ることができ、任意に、所望される場合、または必要に応じて、好適な補助剤を添加した後、結果として得られる混合物を粉砕し、顆粒の混合物を処理して錠剤または糖衣コアを得る。
【0125】
好適な賦形剤としては、糖(例えば、ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトール)、セルロース調製物、リン酸カルシウム(例えば、リン酸三カルシウムまたはリン酸水素カルシウム)、ならびにデンプンペースト(例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、またはジャガイモデンプンを使用)、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び/またはポリビニルピロリドン等の結合剤が挙げられる。所望される場合、上述のデンプン、及びカルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、アガー、またはアルギン酸もしくはその塩、例えば、アルギン酸ナトリウム等の1つ以上の崩壊剤が添加され得る。
【0126】
補助剤は、典型的には、流量調節剤及び滑沢剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸またはそれらの塩(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウム)、及びポリエチレングリコールである。糖衣コアには、胃液に耐える好適なコーティングが提供される。この目的のために、任意に、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、及び/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに好適な有機溶媒または溶媒混合物を含有し得る、濃縮された糖類溶液を使用することができる。胃液に耐えるコーティングを生成するために、フタル酸アセチルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチル-フタル酸セルロース等の好適なセルロース調製物の溶液が使用され得る。染料または色素を、識別のため、または活性化合物用量の組み合わせを特徴付けるために、錠剤または糖衣錠コーティングに添加することができる。
【0127】
経口的に使用され得る他の薬学的調製物の例には、ゼラチンで作製された押込嵌めカプセル、またはゼラチン及びグリセロールまたはソルビトール等の可塑剤で作られた軟性、密封カプセルが含まれる。プッシュフィットカプセルは、顆粒の形態の化合物を含み得、これは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、及び/またはタルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、及び任意選択的に安定剤、または押出された多粒子の形態で混合することができる。軟性カプセルにおいて、活性化合物は、好ましくは脂肪油または液体パラフィン等の好適な液体中に溶解または懸濁される。加えて、安定剤を添加することができる。
【0128】
直腸投与のための可能な薬学的調製物には、例えば、1つ以上の活性化合物と坐剤基剤との組み合わせからなる坐薬が含まれる。好適な坐剤基剤には、特に天然及び合成トリグリセリド、ならびに炭化水素パラフィンが含まれる。例えば、液体トリグリセリド、ポリエチレングリコール、または炭化水素パラフィン等の、活性化合物と塩基材料との組み合わせからなるゼラチン直腸カプセルを使用することも可能である。
【0129】
非経口投与に適した製剤には、例えば、水溶性塩、アルカリ溶液、または酸性溶液等の水溶性形態の活性化合物の水性溶液が含まれる。あるいは、活性化合物の懸濁液を、油性懸濁液として調製することができる。懸濁液などの好適な親油性溶媒またはビヒクルには、脂肪油(例えば、ゴマ油)、合成脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチル)、トリグリセリド、またはポリエチレングリコール-400(PEG-400)などのポリエチレングリコールが含まれ得る。水性懸濁液は、例えば、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、及び/またはデキストランを含む、懸濁液の粘度を増加させる1つ以上の物質を含有し得る。懸濁液は、任意に安定剤を含有し得る。
【0130】
IV.キット
いくつかの態様では、本開示は、DHODH阻害剤及び/またはフェロトーシス誘導剤(またはDHODH阻害剤及び/またはフェロトーシス誘導剤を含む組成物)を、本開示の方法を実施するためのそれらの使用を容易にするように包装したキットを提供する。いくつかの態様では、キットは、密封されたボトルまたは容器などの容器に包装されたDHODH阻害剤及び/またはフェロトーシス誘導剤(またはDHODH阻害剤及び/またはフェロトーシス誘導剤を含む組成物)を含み、ラベルが容器に貼付されているか、または本開示の方法を実践するための化合物または組成物の使用を説明するキットに含まれている。いくつかの態様では、化合物または組成物は、単位剤形で包装される。このキットは、さらに、意図される投与経路に従ってこの組成物を投与するために適したデバイスを備えることができる。
【0131】
かかるキットは、本明細書に記載の方法に従って、及び当該技術分野で知られているように、GPX4の発現レベル、例えば、GPX4 RNA、GPX4タンパク質、またはその両方を決定するのに使用するための様々な試薬(例えば、濃縮形態)を含むことができる。例えば、かかる試薬は、1つ以上のオリゴヌクレオチド(例えば、GPX4に対応するmRNAにハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチド)または抗体(例えば、GPX4のタンパク質発現産物を検出することができる抗体)を含むことができる。1つ以上のオリゴヌクレオチドまたは抗体、例えば、捕捉抗体は、固体支持体に既に付着して提供することができる。1つ以上のオリゴヌクレオチドまたは抗体を、検出可能な標識に予め共役させて提供することができる。キットはまた、本明細書に提供される方法の実施をサポートするために、試薬、緩衝剤、及び/または器具を提供することができる。キットはまた、対象のGPX4発現レベルを決定するための、本明細書に開示される方法またはそれらの実用的な適用を説明するパンフレットまたは説明書を含むことができる。したがって、本開示のキットは、本開示の方法に従って対象のGPX4発現レベルを決定し、本開示の方法に従って対象を治療し、本開示の方法に従って決定及び治療するためのキットを含む。
【実施例】
【0132】
以下の実施例は、本開示の様々な態様を実証するために設けるものである。以下の実施例に開示される技術は、本開示の実施において十分に機能するために発明者によって発見された技術を表し、したがって、その実施のための好ましい様式を構成すると考えることができることを当業者は理解すべきである。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、開示され、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく同様または類似の結果を得る特定の例において多くの変更を行うことができることを理解すべきである。
【0133】
実施例1:ミトコンドリア脂質過酸化及びフェロトーシスのDHODH調節は、GPX4lowがんにおける標的化可能な脆弱性を誘発する
方法及び材料
細胞培養試験
UMRC2、UMRC6、及びRCC4細胞株は、Dana-Farber Cancer InstituteのW.G.Kaelinから提供を受けた。TK-10細胞株は、MD Anderson Cancer CenterのGordon Mills博士から入手した。他の全てのがん細胞株は、American Type Culture Collectionから入手した。全ての細胞株は、マイコプラズマ汚染がなかった(ベンダーによる試験より)。この試験で使用した細胞株は、ベンダーによって実施された短いタンデムリピートプロファイリングに基づいて、一般的に誤認される細胞株の国際細胞株認証委員会データベースには見出されていないものである。細胞を、10%(体積/体積;v/v)FBS及び1%(v/v)ペニシリン/ストレプトマイシンを含むDMEM中で、37℃で、20%O2及び5%CO2の加湿雰囲気で培養した。全ての細胞株を10cmプレートで培養し、次いで、細胞死及び脂質過酸化測定のために12ウェルプレートで培養した。細胞生存率アッセイの際は、細胞を96ウェルプレートにて培養した。細胞を、RSL3(Selleckchem)、ML162(Cayman Chemical)、エラスチン(Cayman Chemical)、FIN56(Cayman Chemical)、またはスルファサラジン(Sigma-Aldrich)を含むフェロトーシス誘導剤;ブレキナール(Tocris)、レフルノミド(Sigma-Aldrich)、またはテリフルノミド(Sigma-Aldrich)を含むDHODH阻害剤、細胞死阻害剤リプロキスタチン-1(Cayman Chemical)またはZ-VAD-FMK(R&D Systems)、TEMPO(Sigma-Aldrich)、MitoTEMPO(Sigma-Aldrich)、MitoQ(Cayman Chemical)、またはMitoQH2(Cayman Chemical)を含む酸化防止剤;及びミキソチアゾール(Sigma-Aldrich)を含むミトコンドリア複合体III阻害剤で処理した。
【0134】
プラスミド構築物
GPX4ショートヘアピンRNA(shRNA)を、Origene(TR316568)から購入した。GPX4発現プラスミドは、The University of Arizona Health SciencesのAikseng Ooi博士から得た。DHODH及びFSP1 cDNAは、The University of Texas MD Anderson Cancer CenterのFunctional Genomics Core Facilityから入手し、ciAOX cDNAは、Addgene(#111661)から購入し、その後、レンチウイルスベクターpLVX-Puroにクローニングした。全ての構築物をDNA配列決定によって確認した。
【0135】
CRISPR-Cas9媒介遺伝子ノックアウト
ヒト細胞株におけるDHODH、ACSL4及びCOQ2のノックアウトは、単一ガイドRNA(sgRNA)及びドキシサイクリン(DOX)誘導性CRISPR-Cas9発現系を使用して、本発明者らの最近の刊行物(Lee,H.,et al.,Nature cell biology 22,225-234(2020))に記載のように実施した。sgRNAをレンチウイルスレンチガイドベクターにクローニングした。本試験で使用したsgRNAの配列を表1に列挙する。LentiGuideクローンを、psPAX2パッケージングプラスミド及びpMD2.G発現プラスミドを用いてHEK293T細胞にトランスフェクトした。細胞を0.8μg/mlポリブレンによりレンチウイルスに3日間感染させ、ピューロマイシン(1μg/ml、InvivoGen)、ブラスチジン(2μg/ml、InvivoGen)またはハイグロマイシンB(2μg/ml、InvivoGen)で選抜し、次いで単一細胞を96ウェルプレートに分類した。単一細胞を、10%(v/v)FBS及び1%(v/v)ペニシリン/ストレプトマイシンを含むDMEM中、37℃で、20%O
2及び5%CO
2を含むインキュベーター中で3~4週間維持し、各コロニーをウェスタンブロットによって検証して、標的遺伝子欠失を確認した。DOX誘導性CRISPR-Cas9媒介性遺伝子欠失を有する細胞株を作製するために、細胞をレンチウイルスに感染させ、ピューロマイシン(1μg/ml、InvivoGen)、ブラスチジン(2μg/ml、InvivoGen)またはハイグロマイシンB(2μg/ml、InvivoGen)で2日間選択し、次いで単一の細胞を96ウェルプレートに選別した。細胞株を確立した後、1μg/mlのDOX(Sigma-Aldrich)を培地に添加して、選択後48時間の標的遺伝子欠失を誘導し、次いで、細胞をDOXを含まない培地中で培養して、その後の解析を行った。
【表1】
【0136】
過剰発現細胞株の生成
標的遺伝子の安定した過剰発現を有する細胞株を、以前に記載されているように作製した(Zhang,Y.,Koppula,P.&Gan,B,Cell Cycle 18,773-783(2019)、Chauhan,A.S.,et al.,FASEB J 33,2957-2970(2019))。簡単に言えば、HEK293T細胞を、0.8μg/mlのポリブレンを使用して、psPAX.2及びpMD2.G第三世代レンチウイルスパッケージングシステムにより、pLVX-空のベクターまたは標的遺伝子構築物のいずれかでトランスフェクトした。72時間後、培地中のレンチウイルス粒子を採取し、濾過した後、標的細胞株を感染させた。感染後48時間で、ピューロマイシンを添加して、形質導入に成功した安定した細胞株を得た。
【0137】
メタボローム解析
メタボローム解析は、既に記載されているように実施した(Liu,X.,et al.,Nat Cell Biol 22,476-486(2020)を参照されたい)。細胞を、抽出時に約70~80%のコンフルエンスを確実にするのに十分な密度で35mmの培養プレートに播種した。ピリミジン合成の代謝トレーサー分析のために、HT-1080細胞をRSL3及び/またはLip-1で2時間処理し、次いで、アミド-15N-グルタミンを含有する無薬物培地に移した(この時点を0時間として定義する)。代謝物を、後続の解析のために示される時点で抽出した。培養培地を急速に吸引し、次いで0.6mLの80%メタノール:20%水の混合物をドライアイス温度で添加して代謝物を抽出した。プレートをドライアイス上で15分間インキュベートした後、細胞材料を氷上で掻き取り、予め冷却したエッペンドルフチューブに入れた。細胞破砕物を、4℃、13,000RCFで5分間遠心分離することによってペレット化し、上清を新鮮なチューブに移し、解析までドライアイス上で保存した。解析の直前に、500μLの抽出物を窒素ガス流下で乾燥させ、次いで100μLの水中に再懸濁した。
【0138】
完全なプラットフォームは、Xcalibur 3.0.63ソフトウェアパッケージによって制御されるAccela 1250 HPLCシステム、Accela Open Autosampler、MayLab Mistraswitchカラムオーブン、及びExactive orbitrap質量分析計で構成される。クロマトグラフィーを、Phenomenex Synergi Hydro-RPカラム(100×2mm、2.5μm粒径)を用いて行った。溶媒Aは、水中の10mMのトリブチルアミン及び15mmの酢酸であり、溶媒Bは、メタノールである。勾配は以下のとおりである:0分、0%B;2.5分、0%B;5分、20%B;7.5分、20%B;13分、55%B;15.5分、95%B;18.5分、95%B;19分、0%B;25分、0%B。注入体積は10μLであった。カラム温度を40℃に設定し、流量を200μL/分とした。Exactiveは、エレクトロスプレーイオン化インターフェースを備えた負イオン化モードで動作させた。機器のパラメータは、シースガス流量30(任意の単位)、補助ガス流量10(任意の単位)、スイープガス流量3(任意の単位)、スプレー電圧3kV、キャピラリー温度325℃、キャピラリー電圧-25V、チューブレンズ電圧-50Vである。スキャン範囲は、最大注入時間250ms、1Hzで解像度100,000、及びAGC(自動ゲイン制御)ターゲット1E6で、80~1000m/zに設定した。MAVEN software suite57を使用して、ピーク面積(上部)として決定されたシグナル強度をデータとして分析した。代謝標識実験については、IsoCorrectoR(Heinrich,P.,et al.,Sci Rep 8,17910(2018))を用いて窒素-15の天然の含有量に対してデータを補正した。
【0139】
細胞生存率アッセイ
既に記載されているように(Koppula,P.,Zhang,Y.,Shi,J.,Li,W.&Gan,B,J Biol Chem 292,14240-14249(2017)、Liu,X.&Gan,B,Cell Cycle 15,3471-3481(2016))、細胞計数キット-8(CCK-8,Dojindo)を使用して、生存細胞を測定した。簡潔に述べると、細胞をウェル当たり2×104の密度で96ウェルプレートに播種した。翌日、細胞をGPX4またはDHODH阻害剤で4時間処理した。その後、10μlのCCK-8試薬(1ウェル当たり100μlの培地)に37℃で1時間、インキュベーター内で5%のCO2で細胞を曝露した。450nmの波長での吸光度を、FLUOstar Omegaマイクロプレートリーダー(BMG Labtech)を使用して決定した。
【0140】
脂質過酸化の測定
細胞を12ウェルプレートに播種し、一晩インキュベートした。翌日、細胞を示された時間の間化合物で処理し、トリプシン処理によって回収し、5μMのC11-BODIPY 581/591(Invitrogen)を含有する200μlのPBS中に再懸濁した。細胞を、水浴中で37℃で30分間インキュベートした。脂質過酸化を、FL1検出器上の488nmレーザーによりフローサイトメーターBD Accuri C6 を使用して評価した。ウェル当たり少なくとも10,000個の単一細胞を解析した。
【0141】
細胞死アッセイ
細胞死を、フローサイトメーターを使用したヨウ化プロピジウム(Roche)染色によって以前記載されているように測定した(Dai,F.,et al.,Proc Natl Acad Sci U S A 114,3192-3197(2017)、Zhang,Y.,et al.,Cancer Res 80,2243-2256(2020))。ヨウ化プロピジウム染色のために、細胞を50%コンフルエンスの密度で12ウェルプレートに播種した。翌日、細胞を異なる試薬で処理した。細胞死を測定するために、(浮遊死細胞を含む)細胞を採取し、5μg/mlのヨウ化プロピジウムで染色し、フローサイトメーターBD Accuri C6(BD Biosciences)及びFL2検出器を使用して、ヨウ化プロピジウム陽性死細胞集団のパーセンテージを解析した。1ウェル当たり少なくとも10,000個の単一細胞を分析し、全ての実験を少なくとも3回実施した。
【0142】
DHODH活性測定
DHODH活性は、既に記載されるように(Fang,J.,et al.,Biosci Rep 33,e00021(2013))、還元2,6-ジクロロフェノール-インドフェノール(DCPIP)の600nmの吸光度の減少をモニターすることによって、37℃で分光測光法で決定した。簡潔に述べると、50μMのDCPIP、2μgのロテノン、2μgのアンチマイシンA、5mMのNaN3、及び0.1mgの全細胞溶解物を補充した1mLの標準反応緩衝液中の20mMのDHOで反応を開始させた。データを、タンパク質のnmol min-1μg-1として表した。
【0143】
グルタチオン測定
以前に記載されたように、グルタチオンレベルの測定を行い(Zhang,Y.,et al.,Nat Cell Biol 20,1181-1192(2018))、その際、1ウェル当たり1×105個の細胞を6ウェルディッシュに播種した。細胞を薬物で4時間処理した。細胞をスクレイピングによって回収し、プロトコルに従ってグルタチオンアッセイキット(Cayman Chemical)を使用してグルタチオンの測定のために調製した。GSH及びGSSG濃度は、標準曲線を使用して計算し、全タンパク質レベルに正規化した。
【0144】
CoQ及びCoQH2解析
Nagaseらによって開発された方法の変法を使用して、ユビキノン(CoQ)及びユビキノール(CoQH2)を培養細胞から抽出し(Nagase,M.,Yamamoto,Y.,Mitsui,J.&Tsuji,S.,J Clin Biochem Nutr 63,205-210(2018))、脳脊髄液中のCoQ及びCoQH2を解析した。簡潔には、細胞を最初に35mmプレート上で約70%のコンフルエンスまで増殖させた。次いで、細胞を、1mLの無血清室温培養培地中で速やかに1回洗浄して、細胞への代謝摂動を最小限に抑えて、血清由来のCoQ及びCoQH2を除去した。100μMのtert-ブチル-ヒドロキノンを含有する600μLの調製直後の氷冷イソプロパノールをプレートに添加し、次いで氷上の冷却したプレート上に置いた。細胞を細胞リフターで擦り、細胞懸濁液を氷上のエッペンドルフチューブに移した。短時間のボルテックス後、チューブを4℃で5分間13,000RCFで遠心分離することによって清澄化し、上清を新鮮なチューブに移した。これらの抽出物を、LC-MSによる分析まで、暗所でドライアイス上で保存した。これらの条件におけるCoQ及びCoQH2の相対レベルは、少なくとも48時間安定していた。
【0145】
CoQ及びCoQH2レベルを、以前に記載されたリピドミクス法に由来する分析方法を使用して、LC-MSによって決定した(Zhang,Y.,et al.,Cell Chem Biol(2019))。抽出物を、4℃に維持されたオートサンプラー中のアンバーガラス試料バイアルに移した。Acquity UPLC HSS T3カラム(2.1×100mm、1.8μm粒径)を使用して、Thermo Scientific UltiMate 3000 HPLCシステム上で分離を実施した。移動相Aは、アセトニトリル:10mM酢酸アンモニウム及び0.1%酢酸を伴う水(60:40、v/v)からなり、移動相Bは、イソプロパノール:アセトニトリル:10mM酢酸アンモニウム及び0.1%酢酸を伴う水(85:10:5、v/v/v)からなるものとした。勾配は0分、40%B;1.5分、40%B;12分、100%B;15分、100%B;16分、40%B;17分、40%Bとした。注入体積は10μLとした。カラム温度を55℃に設定し、流量を400μL/分とした。
【0146】
試料を、加熱されたエレクトロスプレーイオン源を用いた陽イオン化モードで、Exactive orbitrap質量分析計によって分析した。機器のパラメータは、シースガス流量30(任意の単位)、補助ガス流量10(任意の単位)、スイープガス流量3(任意の単位)、スプレー電圧4kV、キャピラリー温度120℃、ヒーター温度500℃、キャピラリー電圧65V、チューブレンズ電圧100Vである。スキャン範囲は、最大注入時間100ms、1Hzで解像度100,000、及びAGC(自動ゲイン制御)ターゲット1E6で、200~1000m/zに設定した。MAVEN software 57を使用して、ピーク面積(上部)として決定されたシグナル強度をデータとして分析した。CoQ及びCoQH2の両方を、それらのアンモニウム付加物([M+NH4]+)として検出した。
【0147】
定量的逆転写PCR
qRT-PCRを、以前に記載されたように行った(Liu,X.,et al.,Nat Cell Biol 18,431-442(2016)、Lee,H.,et al.,Oncotarget 7,19134-19146(2016))。簡潔に述べると、TRIzol試薬(15596026、Invitrogen)を使用して総RNAを抽出し、SuperScript II Reverse Transcriptase(18064014、Invitrogen)を使用してcDNAを合成した。SYBR GreenER qPCR SuperMix Universal(11762500、Invitrogen)を使用してqRT-PCRを行い、製造元のプロトコルに従ってStratagene MX3000P qPCRシステム上で3個の試料でランした。各遺伝子の閾値サイクル(Ct)値を、β-アクチンの閾値サイクル(Ct)値に正規化し、2-ΔΔCt法を定量分析に用いた。プライマー配列を表1に列挙する。
【0148】
免疫ブロット法
タンパク質発現を解析するためのウェスタンブロットを、以前に記載されたように行った(Lin,A.,et al.,Oncogene 33,3183-3194(2014)、Lin,A.,et al.,Cancer Res 74,1682-1693(2014))。簡潔に述べると、細胞ペレット及び組織をIP溶解バッファー(Fisher Scientific)を使用して溶解し、FLUOstar Omegaマイクロプレートリーダー(BMG Labtech)を使用してビシンコニン酸タンパク質アッセイ(Thermo Scientific)によってタンパク質濃度を決定した。25μgのタンパク質を、DHODH(1:1,000、14877-1-AP、Proteintech)、GPX4(1:1,000、MAB5457、R&Dシステム)、ビンキュリン(1:3,000、V4505、Sigma-Aldrich)、SLC7A11(1:1,000、12691、Cell Signaling)、ACSL4(1:1,000、sc-271800、Santa Cruz)、COQ2(1:1,000、sc-517107、Santa Cruz Biotechnology)、FSP1(1:1,000、sc-377120、Santa Cruz Biotechnology)、及びFLAG(1:10,000、66008-3-Ig、Proteintech)に対する抗体を使用して、免疫ブロット解析に使用した。
【0149】
組織学及び免疫組織化学
新鮮な腫瘍組織を10%中性緩衝ホルマリンで一晩固定し、PBSで一度洗浄し、4℃で70%エタノールで保存した。組織を脱水し、標準的なプロトコルに従って、Research Histology Core Laboratory(MD Anderson Cancer Center)によってパラフィンに包埋させた。包埋された組織を、H&Eまたは免疫組織化学(IHC)分析のために5μmの厚さの切片とした。IHC分析は、以前に記載されているように実施した(Gan,B.,et al.,Cancer Cell 18,472-484(2010)、Gan,B.,et al.,J Cell Biol 175,121-133(2006))。簡潔に述べると、ki-67(1:500、9027s、Cell Signaling Technology)、切断カスパーゼ3(1:500、9661s、Cell Signaling Technology)、または4-HNE(1:400、ab46545、Abcam)を含む一次抗体を、4℃で一晩インキュベートした。染色を、Vectastain ELITE ABCキット及びDABペルオキシダーゼ基質キット(Vector Laboratories)を使用して行った。画像は、Olympus BX43顕微鏡を使用して、×200倍で腎皮質からランダムに採取した(腫瘍当たり5つの画像)。
【0150】
細胞株由来異種移植片モデル
全ての異種移植実験は、The University of Texas MD Anderson Cancer CenterのInstitutional Animal Care and Use Committee and Institutional Review Boardによって承認されたプロトコルに従って実施した。この試験は、動物研究に関する全ての関連する倫理規定に準拠している。雌の4~6週齢の無胸腺ヌードマウス(Foxn1nu/Foxn1nu)を、MD Anderson Cancer CenterのExperimental Radiation Oncology Breeding Core Facilityから購入し、MD AndersonのDepartment of Veterinary Medicine and SurgeryのAnimal Care Facilityに収容した。がん細胞株を懸濁し、冷リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中でカウントし、5×106個のHT-1080または1×107個のNCI-H226細胞をマウスに皮下注射した。腫瘍が50~100mm3に達したとき、マウスを異なる治療群にランダムに割り当てた。ブレキナールまたはスルファサラジンをジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させ、PBS中で希釈した。ブレキナールを3日ごとに30mg/kgの用量でマウスに腹腔内注射した。スルファサラジンを100mg/kg用量で毎日腹腔内注射した。PBS中で希釈したリプロキスタチン-1を10mg/kgの用量で毎日腹腔内注射した。対応する図に示されるように、ブレキナール、スルファサラジン、またはリプロキスタチン-1の毎日の注射を、エンドポイントまで継続した。腫瘍体積は、エンドポイントまで3日ごとに測定し、体積=長さ×幅2×1/2の式に従って計算した。
【0151】
患者由来異種移植片(PDX)モデル
PDXは、The University of Texas MD Anderson Cancer CenterのInstitutional Review Boardによって承認されたプロトコルに従って生成された。患者からインフォームドコンセントを取得し、この研究は、ヒト参加者を含む研究に関する全ての関連する倫理規定に準拠している。全てのNOD scid γ(NSG)マウスを、MD Anderson Cancer CenterのExperimental Radiation Oncology Breeding Core Facilityから購入し、MD Anderson Cancer CenterのDepartment of Veterinary Medicine and SurgeryのAnimal Care Facilityに収容した。この試験で使用したPDXモデルは、もともとMD Anderson Cancer Centerの肺癌PDXプラットフォームから得られたものである。PDX実験を、以前に記載されたように実施した(Liu,X.,et al.,Nat Cell Biol 22,476-486(2020))。簡潔に述べると、冷却したDMEM培地中のPDX腫瘍を体積1~2mm3の断片にミンチした。次に、各PDX腫瘍断片をNSGマウスの背側脇腹に皮下接種した。腫瘍の体積が50~100mm3に達したとき、細胞株由来の異種移植片モデルに記載されているように、マウスをブレキナール、スルファサラジン、及び/またはリプロキスタチン-1の治療のために異なる治療群にランダムに割り当てた。腫瘍体積は、エンドポイントまで3日ごとに測定し、体積=長さ×幅2×1/2の式に従って計算した。
【0152】
統計分析及び再現性
細胞培養実験の結果を少なくとも3つの独立した反復から収集した。各群の少なくとも6個の腫瘍からの体積または重量をプロットした。データは、平均±標準偏差(SD)として表す。統計的有意性(P値)は、不対スチューデントt検定またはLogランク検定を用いて、GraphPad Prism 8.0またはSPSS 25.0によって計算した。*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001、ns:有意ではない。
【0153】
結果
メタボロミクス解析は、DHODHとフェロトーシス調節とを関連付ける
全般的なメタボローム解析は、複数のがん細胞株におけるGPX4阻害剤RSL3またはML162による短期(2時間)の処理が、ピリミジン生合成の最終生成物であるウリジンの同時蓄積を伴う、ピリミジン生合成の中間体であるC-Aspの著しい枯渇をもたらしたことを明らかにした(
図1A、
図1B、
図1C、
図1D、
図1E、
図3A、
図3B、
図3C、及び
図3D)。デノボ生合成経路の第1のステップでピリミジン環に組み込まれるアミド窒素で標識されたグルタミンを使用した代謝トレーサー試験は、RSL3処理が
15N-UMPレベルを有意に増加させ、この効果がフェロトーシス阻害剤であるリプロキスタチン-1によって完全にレスキューされたことを明らかにした(
図3E)。理論に縛られることを望まないが、このメタボローム変化は、急性のGPX4不活性化に応答してフェロトーシスに対する細胞防御システムを回復させる試みを反映する可能性があるため、GPX4阻害によって誘導されるフェロトーシスに対するピリミジン生合成中間体の補充の潜在的な効果を試験した(
図1E)。これらの解析は、DHOが細胞をGPX4阻害から保護し、OAは細胞をGPX4阻害に感作したことを明らかにした。驚くべきことに、ウリジン補給は、GPX4阻害剤に対する細胞感受性に影響を及ぼさなかった(
図1F)。DHOまたはOA補給がその細胞内レベルを劇的に増加させたことを見ることができる(
図3F)。C-Asp補充は、その細胞内レベルを適度に増加させ(
図3G)、したがって、RSL3に対するフェロトーシス感受性に影響を及ぼさなかった(
図1F)ため、C-Aspは細胞に対して大部分が不透過性であると考えられる。DHODH反応の基質及び生成物(
図1E)が、フェロトーシス感受性に反対の効果を及ぼしたことは、ピリミジンヌクレオチドの生成におけるその役割とは独立した方法で、フェロトーシスを調節するDHODHの潜在的な役割を示唆するものであった。これと一致して、RSL3誘発性フェロトーシスストレスがDHODH活性を有意に増加させることが観察された(
図3H)。
【0154】
DHO(またはOA)の補充は、一般に、GPX4
low細胞株(NCI-H226等)において、GPX4
high細胞株(HT-1080等)よりもはるかに顕著な保護(または感作)効果を発揮したことが分かる(
図1F、
図1G、
図3I、
図3J、及び
図3K)。GPX4
high及びGPX4
lowがん細胞株のパネルの解析は、GPX4
lowがん細胞が一般的にDHODH阻害剤に対してより感受性であることを明らかにした(
図3L及び
図3M)。アポトーシス阻害剤Z-VAD-FMKではなく、リプロキスタチン-1が、GPX4
low NCI-H226細胞におけるDHODH阻害誘発性細胞死を大幅にレスキューした(
図1H及び
図2A)が、DHODH阻害剤で処理したGPX4
high HT-1080細胞ではその反対の現象が観察された(
図1I及び
図2B)。DHODH阻害は、GPX4
highがん細胞ではなく、GPX4
lowにおいて、強力な脂質過酸化及びフェロトーシスマーカー遺伝子PTGS2の発現を誘導した(
図1J、
図1K、
図2A、及び
図2B)。これらのデータにより、DHODH阻害が主にGPX4
lowがん細胞においてフェロトーシスを誘導すること、及びフェロトーシス誘導がGPX4
highがん細胞よりもGPX4
lowがん細胞のDHODH阻害に対するより顕著な脆弱性を説明する可能性が高いことが示唆される。DHODH阻害は、GPX4
high HT-1080細胞においてフェロトーシスを誘導しなかったが(
図1I)、そのような細胞を、クラス2FIN(GPX4活性を阻害するRSL3及びML162)(
図1L、
図1M、
図2C、
図2D、及び
図2E)またはクラス1 FIN(SLC7A11媒介のシスチン輸送を遮断するスルファサラジン及びエラスチン、がん細胞は、主にSLC7A11に依存して、GSH合成のためのシステインを得る(Koppula,P.,Zhuang,L.&Gan,B.,Protein Cell(2020))(
図2F及び
図2G)によって誘導されるフェロトーシスに対して著しく感作した。DHODH阻害剤処置は、GPX4、SLC7A11、またはACSL4(多くの細胞株においてフェロトーシスに必要な脂質代謝酵素)の発現(Doll,S.,et al.,Nature chemical biology 13,91-98(2017))、またはGSHレベル(
図2H及び
図2I)に影響を与えなかった。まとめると、これらのデータは、DHODH阻害がGPX4
lowがん細胞におけるフェロトーシスを誘導するが、GPX4
highがん細胞をフェロトーシスに感作させること、及びフェロトーシスのDHODH調節が、SLC7A11-GPX4シグナル伝達とは独立している(または並行している)可能性が高いことを示唆する。
【0155】
DHODH欠失は、フェロトーシスを促進する
遺伝的アプローチを使用して、フェロトーシス調節におけるDHODH機能を試験した。Cancer Therapeutics Response Portalの解析(Basu,A.,et al.,Cell 154,1151-1161(2013))は、500を超える薬物の中で、GPX4阻害剤がDHODH発現に対する最も強い耐性相関のいくつかを示すことを明らかにした(
図4A)。誘導性CRISPR-Cas9アプローチ(
図5A)によるGPX4
high HT-1080細胞におけるDHODHノックアウト(KO)は、DHODH酵素活性を排除し、実質的な細胞死を誘導し(ただし、明らかなフェロトーシスマーカー遺伝子PTGS2発現または脂質過酸化を誘導することはなかった)、これは、ウリジン補充によって主にレスキューされ得る(
図5B、
図5C、
図5D、及び
図5E)。DHODH欠失時の脂質過酸化誘導の欠如は、追加のGPX4
highがん細胞において確認された(
図5A及び
図5E)。(別段記述されない限り、ウリジン補充培地は、DHODH KO細胞を用いた全ての試験において使用した。)ウリジン補充条件下で、DHODH欠失は、HT-1080細胞を、RSL3またはML162誘発性脂質過酸化及びフェロトーシスに対して著しく感作させ(
図4B、
図4C、
図5F、及び
図5G)、これは、ACSL4欠失によって大部分妨害され得る(
図5H及び
図5I)。DHODH欠失は、HT-1080細胞におけるGPX4、SLC7A11、もしくはACSL4発現レベル、またはGSHレベルに影響を及ぼさなかった(
図5J及び
図5K)。HT-1080細胞とは異なり、GPX4
low NCI-H226細胞におけるDHODH欠失は、ウリジン補充であっても脂質過酸化及びフェロトーシスを強力に誘導し、ウリジン補充は、DHODH KO NCI-H226細胞の長期培養を維持するのに十分ではなかった(
図4D、
図4E、
図5L、
図5M、
図5N、及び
図5O)。追加のGPX4
lowがん細胞(
図5L及び
図5P)におけるDHODH欠失誘発性脂質過酸化を検証した。したがって、DHODHの遺伝的アブレーションを伴うデータは、DHODH阻害剤を使用してデータをミラーリングした(
図1H、
図1I、
図1J、
図1K、
図1L、及び
図1M)。
【0156】
上述のデータは、DHODHとGPX4との間の遺伝的相互作用のさらなる解析を促した。HT-1080細胞におけるGPX4部分ノックダウンは、基底細胞の成長または生存率に有意には影響しなかったが、DHODH阻害剤誘発性脂質過酸化及びフェロトーシスに対して細胞を著しく感作させた(
図4F、
図4G、
図6A、
図6B、
図6C、及び
図6D)。HT-1080細胞におけるGPX4ノックダウンは、DHODHレベルを有意に増加させ(
図6A)、これは、慢性GPX4不活性化に応答してフェロトーシスを抑制しようとする適応細胞応答を表す可能性が高い。GPX4ノックダウンHT-1080細胞におけるDHODHのさらなる欠失(DHODH欠失またはGPX4ノックダウン単独ではない)は、脂質過酸化及びフェロトーシスを著しく誘導し、これは、フェロトーシス阻害剤であるリプロキスタチン-1による処理によってレスキューされ得る(
図4H、
図4I、
図6E、及び
図6F)が、注目すべきことに、ウリジン補充は、DHODH KO HT-1080細胞における細胞死をレスキューし得るが、GPX4ノックダウンを有するそのような細胞においてはレスキューされない(
図4I及び
図6G)。データをまとめると、DHODHがフェロトーシスを抑制するためにGPX4と並行して作用し、DHODH欠失がGPX4
lowがん細胞(またはGPX4ノックダウンを伴うGPX4
highがん細胞)においてフェロトーシスを誘導することが示唆される。
【0157】
DHODHとFSP1との間の遺伝的相互作用を試験した(Bersuker,K.,et al.,Nature 575,688-692(2019)、Doll,S.,et al.,Nature 575,693-698(2019))。FSP1の過剰発現は、HT-1080細胞におけるRSL3誘発性フェロトーシスを有意に抑制し、逆にその欠失が促進したが、しかしながら、FSP1の過剰発現または欠失は、DHODH KO細胞におけるRSL3誘発性フェロトーシスに影響を及ぼさなかった(
図6H、
図6I、
図6J、及び
図6K)。同様に、DHODH阻害剤ブレキナールによる処理は、野生型(WT)細胞ではRSL3誘発性フェロトーシスを促進するが、FSP1KO細胞では促進しない(
図6L)。したがって、DHODH及びFSP1は、それぞれ、ミトコンドリア内膜及び形質膜上のこれらの2つのタンパク質の独特の局在と一致して、2つの別々のシステムでフェロトーシスを阻害するように作用する。
【0158】
DHODHは、ミトコンドリアにおける脂質過酸化を抑制する
DHODHは、ミトコンドリア内膜の外面に局在する酵素である(Madak,J.T.,Bankhead,A.,3rd,Cuthbertson,C.R.,Showalter,H.D.&Neamati,N.,Pharmacol Ther 195,111-131(2019))。DHODH KO HT-1080細胞では、DHODH WTの修復が、GPX4阻害剤に対するフェロトーシス感受性を修復したが、その触媒不活性変異体(R135C)またはミトコンドリア局在化に欠陥のある変異体(Δ2-12)では見られなかったことがわかる(
図7A、
図7B、
図6M、
図6N、
図6O、
図6P、及び
図6Q)。哺乳動物細胞は、細胞質及びミトコンドリア局在化GPX4(GPX4
cyto及びGPX4
mito)
13を含む、独特の細胞下局在を有するいくつかのGPX4アイソフォームをコードする。分画分析は、GPX4
highがん細胞が、一般に、GPX4
mitoとGPX4
cytoとの両方の高い発現を示したことを明らかにした(
図8A)。GPX4ノックダウンHT-1080細胞におけるGPX4
cytoではなく、GPX4
mitoの修復は、DHODH阻害に対する細胞の感受性をレスキューした(
図7C、
図7D、
図8B、
図8C、
図8D、及び
図8E)。これは、様々な細胞株(
図8F及び
図8G)において生じた。同様に、NCI-H226細胞におけるGPX4
cytoではなく、GPX4
mitoの過剰発現は、これらの細胞を、DHODH阻害剤によって誘導されるDHODH阻害及び緩和された脂質過酸化に対して耐性を強化した(
図7E、
図7F、
図9A、
図9B、
図9C、及び
図9D)。RTA2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル-1-オキシ(TEMPO)は、リプロキスタチン-1と同様に、DHODH WT及びKO HT-1080細胞の両方において、GPX4阻害誘発性フェロトーシスをレスキューしたが、対照的に、ミトコンドリア標的化TEMPO(mito-TEMPO)(Trnka,J.,Blaikie,F.H.,Smith,R.A.&Murphy,M.P.,Free Radic Biol Med 44,1406-1419(2008))は、DHODH KOにおいて実質的な保護を提供したが、そのWT対応体においては提供しなかった(
図7G、
図7H、及び
図9E)。
【0159】
以前の報告と一致するとおり(Friedmann Angeli,J.P.,et al.,Nat Cell Biol 16,1180-1191(2014))、mito-BoDIPYの染色(ミトコンドリア脂質過酸化を特異的に検出するためのC11-BoDIPYのミトコンドリア標的バージョン(Prime,T.A.,et al.,Free Radic Biol Med 53,544-553(2012))は、HT-1080細胞におけるGPX4阻害時のミトコンドリア脂質過酸化を示さず(
図7I)、注目すべきことに、GPX4阻害剤は、DHODH KO HT-1080細胞において強力なミトコンドリア脂質過酸化を誘導し、これはTEMPO、mito-TEMPO、またはリプロキスタチン-1処理によって抑制され得る(
図7J)。mito-BODIPY染色の共焦点顕微鏡分析により、DHODH KOにおけるRSL3誘発性ミトコンドリア脂質過酸化が確認されたが、WT細胞では確認されなかった(
図7K)。同様に、GPX4及びDHODHの併用不活性化は、ミトコンドリア脂質過酸化を大規模に誘導し、これは単一の不活性化のいずれでも見られなかった(
図9F、
図9G、
図9H、
図9I、及び
図9J)。FSP1の過剰発現または欠失は、DHODH WT細胞またはKO細胞のいずれにおいても、ミトコンドリア脂質過酸化に影響を及ぼさなかった(
図9K、
図9L、及び
図9M)。ミトコンドリア局在化FSP1(FSP1
mito、FSP1のN末端にミトコンドリア標的化配列を付加することによる)の過剰発現は、HT-1080細胞またはDHDOH KO対応体におけるミトコンドリア脂質過酸化に影響を与えなかったか、またはRSL3誘発性フェロトーシスにいかなる保護も提供しなかった(
図9N、
図9O、及び
図9P)。これらのデータは、FSP1の抗フェロトーシス機能を媒介する際のFSP1の形質膜局在化の重要な役割を確認している。さらに、FSP1をミトコンドリアに単独で標的化することは、ミトコンドリアにおいて、その推定される抗フェロトーシス機能を促進するのに十分ではなく、これは、フェロトーシス調節におけるFSP1の機能が、細胞質内または形質膜上に局在する追加の調節タンパク質を必要とするため、及び/またはミトコンドリア標的配列の付加が、フェロトーシスの抑制におけるその機能に必要とされるFSP1のN末端ミリストイル化を破壊するためである可能性が高い(Bersuker,K.,et al.,Nature 575,688-692(2019)、Doll,S.,et al.,Nature 575,693-698(2019))。最後に、GPX4
cytoではなく、GPX4
mitoの修復が、GPX4ノックダウンHT-1080細胞またはGPX4
low NCI-H226細胞におけるDHODH阻害によって引き起こされるミトコンドリア脂質過酸化を抑制したことを見ることができる(
図9Q及び
図9R)。一緒に、このデータは、DHODH及びミトコンドリア局在化GPX4が、ミトコンドリア脂質過酸化及びフェロトーシスを抑制するために協調的に作用するモデルをサポートする。
【0160】
DHODHは、ミトコンドリア内のCoQをCoQH2に還元することによってフェロトーシスを抑制する
次に、DHODHがミトコンドリア脂質過酸化及びフェロトーシスを抑制するメカニズムを検討した。DHODH阻害は、HT-1080細胞をクラス1または2のFIN(
図1L、
図1M、
図2C、
図2D、
図2E、
図2F、及び
図2G)に感作したが、驚くべきことに、GPX4タンパク質及びCoQの両方を枯渇させることによって作用するクラス3のFIN FIN56には感作しなかった(Shimada,K.,et al.,Nature chemical biology 12,497-503(2016))(
図10A、
図11A、及び
図11B)ことが見られ、これにより、DHODHがフェロトーシスをCoQ依存的に調節することが示唆される。RSL3とは異なり、FIN56処理は、実質的なミトコンドリア脂質過酸化を誘導し、DHODH欠失は、FIN56処理の下でミトコンドリア脂質過酸化をさらに増加させなかった(
図10B)。CoQ生合成に関与する主要酵素であるCOQ2の欠失、または4-クロロ安息香酸(4-CBA)処置によるCoQ生合成の遮断により、全CoQレベルが有意に低下し(
図11C、
図11D、及び
図11E)、HT-1080細胞において、DHODH KO対応体(
図10C、
図10D、
図10E、
図10F、
図11F、
図11G、及び
図11H)よりもはるかに劇的に、フェロトーシスが促進された。これらのデータは共に、DHODHが、CoQ生合成経路と同じシグナル伝達軸において作用して、ミトコンドリア脂質過酸化及びフェロトーシスを抑制することを示す。
【0161】
DHODHは、DHOのOAへの酸化を、ミトコンドリア内膜におけるCoQからCoQH
2への還元に結合させる(Madak,J.T.,Bankhead,A.,3rd,Cuthbertson,C.R.,Showalter,H.D.&Neamati,N.,Pharmacol Ther 195,111-131(2019))(
図11I)。DHODH阻害がCoQ/CoQH2比を有意に増加させたことを見ることができる(
図10G及び
図10H)。MitoQ及びmitoQH
2(それぞれ、CoQ及びCoQH
2のミトコンドリア標的類似体)の補充は、HT-1080細胞におけるRSL3またはML162誘発性フェロトーシスに対する限定的な保護を提供し(
図10I及び
図11J)(Friedmann Angeli,J.P.,et al.,Nat Cell Biol 16,1180-1191(2014))、対照的に、mitoQではなく、mitoQH
2は、DHODH KO細胞におけるRSL3またはML162誘導のミトコンドリア脂質過酸化及びフェロトーシスから有意に保護した(
図10J、
図10K、
図10L、
図11J、及び
図11K)。これらの結果は、(i)mitoQH
2が主に、広範囲のミトコンドリア脂質過酸化を伴う細胞(GPX4不活性化を伴うDHODH KO細胞など)におけるフェロトーシスを阻害し、(ii)フェロトーシスを抑制するために、mitoQをmitoQH
2に還元するためにDHODHが必要であることを示している。これらの観察は、試験した他の細胞株のほとんどにも見られる(
図12A、
図12B、
図12C、
図12D、
図12E、
図12F、
図12G、
図12H、
図12I、及び
図12J)。
【0162】
電子伝達鎖(ETC)複合体IIIは、CoQH
2をCoQに戻す。複合体III阻害剤ミキソチアゾールを用いた処置は、CoQ/CoQH
2比を有意に低下させ、mitoQH
2処置と同様に、HT-1080細胞におけるフェロトーシス感受性に影響を及ぼさなかったが、DHODH KO対応体におけるRSL3誘発性フェロトーシスに対して保護し、mitoQH
2よりも中等度の保護効果を有する(
図10J、
図12K、
図12L、
図12M、及び
図12N)。これは、GPX4の不活性化時に、CoQH
2プールの多くがミトコンドリア脂質過酸化物をクエンチすることによって消費され、複合体IIIに供給するために利用可能なCoQH
2が少ないためである可能性が高い。最後に、プロトンをポンピングせずにミトコンドリアCoQH
2をCoQに酸化させるCiona intestinalis AOXの過剰発現(Hakkaart,G.A.,Dassa,E.P.,Jacobs,H.T.&Rustin,P.,EMBO Rep 7,341-345(2006))は、HT-1080細胞におけるRSL3誘発性ミトコンドリア脂質過酸化及びフェロトーシスに対して劇的な感作効果を有し、重要なことに、DHODH欠失は、AOX過剰発現細胞においてさらなるフェロトーシス感作効果をもたらさなかった(
図10M、
図10N、及び
図12O)。理論に拘束されないが、データは、DHODHが、ミトコンドリア内のCoQをCoQH
2に還元することによってフェロトーシスを阻害するモデルをサポートする。
【0163】
DHODH阻害剤は、インビボでフェロトーシスを誘導することによってGPX4
low腫瘍増殖を抑制する
理論に拘束されないが、データが、GPX4
lowがん細胞がDHODH阻害誘発性フェロトーシスに特に感受性であることを示唆したため、インビボでGPX4
low腫瘍を処理することにおけるDHODH阻害剤の治療可能性を調査した。強力かつ特異的なDHODH阻害剤であるブレキナール(Peters,G.J.,et al.,Cancer Res 50,4644-4649(1990)、Natale,R.,et al.,Ann Oncol 3,659-660(1992)、Urba,S.,et al.,Cancer Chemother Pharmacol 31,167-169(1992)、Maroun,J.,et al.,Cancer Chemother Pharmacol 32,64-66(1993))をこれらの研究に使用した。ブレキナール処理またはGPX4ノックダウン単独では、HT-1080異種移植片腫瘍の成長に影響を与えなかったが、GPX4ノックダウンは、HT-1080異種移植片腫瘍をDHODH阻害に対して有意に感作させ、リプロキスタチン-1による処理は、ブレキナール処理下でのGPX4ノックダウン腫瘍の成長を大幅に回復させた(
図13A、
図13B、及び
図14A)。さらなる解析は、ブレキナール処理が、対照試料及びGPX4ノックダウン異種移植片試料の両方において切断カスパーゼ-3またはKi67染色に影響を及ぼさなかったことを明らかにした(
図14B、
図14C、及び
図14D)が、しかしながら、ブレキナール処理は、GPX4-ノックダウン腫瘍において、脂質過酸化マーカーである4-HNE染色を劇的に増加させ(Lei,G.,et al.,Cell research 30,146-162(2020))、対照腫瘍においては増加させなかった(
図13C、
図13D、及び
図14B)。同様に、ブレキナールは、GPX4
low NCI-H226異種移植片またはGPX4
low患者由来異種移植片(PDX)の腫瘍増殖を有意に抑制したが、GPX4
high PDXの腫瘍増殖は抑制せず、NCI-H226異種移植片またはGPX4
low PDXにおける抑制された腫瘍増殖は、リプロキスタチン-1処理によって回復することができる(
図13E、
図13F、
図13G、
図13H、
図13I、
図14E、及び
図14F)。さらに、DHODHアブレーションは、NCI-H226異種移植片腫瘍の成長を著しく抑制したが、リプロキスタチン-1及びウリジンによる併用処置は、DHODH KO腫瘍の成長をほぼ完全に回復させ(
図14G及び
図14H)、いずれの単独処理ではそうではなく、これはインビトロデータ(
図4E)と一致する。
【0164】
最後に、ブレキナール及びスルファサラジン(SLC7A11を阻害するクラス1のFIN(Gout,P.W.,Buckley,A.R.,Simms,C.R.&Bruchovsky,N.,Leukemia 15,1633-1640(2001))による併用処理が、相乗作用で脂質過酸化を誘発して、HT-1080異種移植腫瘍の増殖を抑制したこと、またその抑制された腫瘍増殖が、主にリプロキスタチン-1処理によって回復することができること(
図13J、
図13K、
図14I、
図14J、
図14K、及び
図14L)を理解することができる。GPX4
high PDXにおいて同様の観察が見られた(
図13L、
図14M、及び
図14N)。これらの全ての動物試験において、薬物治療は動物の体重に有意な影響を及ぼさず(
図14O)、これは、治療がインビボで良好に耐容されたことを示唆している。
【0165】
考察
理論に縛られることなく、独特の細胞下局在を有するフェロトーシスに対する、以下の少なくとも3つの細胞保護システムが存在する(
図15):サイトゾル及びミトコンドリア中のGPX4、原形質膜上のFSP1、及びミトコンドリア中のDHODH。GPX4は、フェロトーシスに対する強力な防御機構を構成し、少なくとも部分的には細胞内でのGPX4の多用途な局在化に関連しているため、GPX4は、全てまたはほとんどの細胞膜で産生される脂質過酸化物を解毒する可能性が高い。フェロトーシス防御機構の区画化も重要な役割を果たし、異なる細胞下区画におけるフェロトーシス調節をさらに理解するための幅広い概念的枠組みを提供する。DHODH及びミトコンドリアGPX4はまた、ミトコンドリア脂質過酸化物を解毒するための2つの主要な防御アームを構成し、したがって、一方のアームを無効にすると、細胞が他方により依存するようになり、両方のアームを無効にすると、主にミトコンドリア脂質過酸化によって誘発されるフェロトーシスを引き起こす可能性がある。DHODHは、以前のCRISPRスクリーニングでは同定されなかったが(Zou,Y.,et al.,Nat Commun 10,1617(2019)、Soula,M.,et al.,Nat Chem Biol 16,1351-1360(2020))、それは必須遺伝子である。したがって、ウリジンの補給は、基底細胞の増殖を維持し、したがって、DHODH KO細胞におけるフェロトーシス表現型を明らかにするために必要である。
【0166】
一方、ブレキナールなどのDHODH阻害剤は、腫瘍学的臨床試験で試験されており、ブレキナールは患者において忍容性が良好であるが、固形腫瘍に対する広範な有効性を欠いていることが示されている(Peters,G.J.,et al.,Cancer Res 50,4644-4649(1990)、Natale,R.,et al.,Ann Oncol 3,659-660(1992)、Urba,S.,et al.,Cancer Chemother Pharmacol 31,167-169(1992)、Maroun,J.,et al.,Cancer Chemother Pharmacol 32,64-66(1993))、DHODH及び/または合理的な薬物併用戦略の治療的標的化のための具体的な前後関係を特定することが何より必要である。本明細書に記載のデータは、GPX4low固形腫瘍のアレイがDHODH阻害剤によって効果的に標的化されて腫瘍負荷を軽減することができ、DHODH阻害剤とスルファサラジンなどのフェロトーシス誘導剤との組み合わせを使用してGPX4high固形腫瘍を治療することができることを示す。加えて、DHODH阻害剤は、放射線療法及び免疫療法等の、フェロトーシスを誘発することができるがん療法における他の標準的なケアと組み合わせることができる(Lei,G.,et al.,Cell research 30,146-162(2020)、Wang,W.,et al.,Nature 569,270-274(2019)、Lang,X.,et al.,Cancer Discov(2019)、Ye,L.F.,et al.,ACS Chem Biol 15,469-484(2020))。
【0167】
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【0168】
ここで本発明を完全に説明したが、当業者であれば、本発明の範囲またはその任意の態様に影響を与えることなく、条件、製剤、及び他のパラメータの広範かつ同等の範囲内で同じことを行うことができることを理解するであろう。
【0169】
本開示の他の態様は、本明細書に開示される本発明の仕様及び実践の考慮から、当業者には明らかであろう。本明細書及び実施例は、例示的なものにすぎないとみなされることが意図され、本発明の真の範囲及び趣旨は、次の特許請求の範囲によって示される。
【0170】
本明細書に引用される全ての特許及び刊行物は、その全体が参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【配列表】
【国際調査報告】