(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】時間同期されたマルチストリームデータ伝送を提供する方法
(51)【国際特許分類】
H04N 5/91 20060101AFI20240220BHJP
H04N 5/92 20060101ALI20240220BHJP
G11B 20/10 20060101ALI20240220BHJP
G11B 27/00 20060101ALI20240220BHJP
G11B 27/10 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
H04N5/91
H04N5/92 010
G11B20/10 301A
G11B27/00 A
G11B27/10 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553526
(86)(22)【出願日】2022-03-02
(85)【翻訳文提出日】2023-10-20
(86)【国際出願番号】 ZA2022050010
(87)【国際公開番号】W WO2022187876
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ZA
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523334486
【氏名又は名称】モビイ システムズ (プロプライエタリー) リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Mobii Systems (Pty) Ltd
【住所又は居所原語表記】3rd Floor, 5 High Street, Rosenpark, Bellville, 7535, Cape Town, South Africa
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ドン サッカー
(72)【発明者】
【氏名】ブレンダン バレット
【テーマコード(参考)】
5D044
5D110
【Fターム(参考)】
5D044AB05
5D044AB07
5D044DE22
5D044DE27
5D044DE37
5D044DE49
5D044DE54
5D044EF02
5D044EF05
5D044GK11
5D110DA01
5D110DA04
5D110DA11
(57)【要約】
時間同期されたマルチストリームデータ伝送を提供する方法は、(i)第1のデータストリームのフレームを提供するための第1の記録または生成装置を提供するステップと、(ii)第1のデータストリームをパケットに符号化するステップであって、各第1のデータストリームのパケットは、提示時間と、所定数の第1のデータストリームのフレームとを含んでいる、ステップと、(iii)第2のデータストリームのフレームを提供するための第2の記録または生成装置を提供するステップと、(iv)第2のデータストリームをパケットに符号化するステップであって、各第2のデータストリームのパケットは、提示時間と、所定数の第2のデータストリームのフレームとを含んでいる、ステップと、(v)第1のデータストリームおよび第2のデータストリームを処理装置に伝送するステップと、(vi)開始基準時間を、伝送された第1のデータストリームおよび第2のデータストリームの第1のパケットに関連付けるステップと、(vii)第1のストリームの開始時間を、伝送された第1のデータストリームの第1のパケットに割り当て、第2のストリームの開始時間を、伝送された第2のデータストリームの第1のパケットに割り当てるステップと、(viii)開始基準時間からの第1の時間オフセットおよび第1のデータストリームの開始時間を(直接的または間接的に)第1のデータストリームの各後続パケットに関連付け、開始基準時間からの第2の時間オフセットおよび第2のデータストリームの開始時間を(直接的または間接的に)第2のデータストリームの各後続パケットに関連付けるステップと、(ix)第1のデータストリームに関連付けられた第1の時間オフセットを使用し、かつ第2のデータストリームに関連付けられた第2の時間オフセットを使用して、第1のデータストリームのパケットを第2のデータストリームのパケットと時間的に整合させるステップと、(x)整合された第1のデータストリームのパケットおよび第2のデータストリームのパケットに、第1のデータストリームおよび第2のデータストリームの元来の提示時間とは関係なく、共通の提示時間を適用するステップとを含んでいる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間同期されたマルチストリームデータ伝送を提供する方法であって、
第1のデータストリームのフレームを提供するための第1の記録または生成装置を提供するステップと、
前記第1のデータストリームをパケットに符号化するステップであって、各第1のデータストリームのパケットは、提示時間と、所定数の第1のデータストリームのフレームとを含んでいる、ステップと、
第2のデータストリームのフレームを提供するための第2の記録または生成装置を提供するステップと、
前記第2のデータストリームをパケットに符号化するステップであって、各第2のデータストリームのパケットは、提示時間と、所定数の第2のデータストリームのフレームとを含んでいる、ステップと、
前記第1のデータストリームおよび前記第2のデータストリームを処理装置に伝送するステップと、
開始基準時間を、伝送された前記第1のデータストリームおよび前記第2のデータストリームの第1のパケットに関連付けるステップと、
第1のストリームの開始時間を、伝送された前記第1のデータストリームの前記第1のパケットに割り当て、第2のストリームの開始時間を、伝送された前記第2のデータストリームの前記第1のパケットに割り当てるステップと、
前記開始基準時間からの第1の時間オフセットおよび第1のデータストリームの開始時間を(直接的または間接的に)前記第1のデータストリームの各後続パケットに関連付け、前記開始基準時間からの第2の時間オフセットおよび第2のデータストリームの開始時間を(直接的または間接的に)前記第2のデータストリームの各後続パケットに関連付けるステップと、
前記第1のデータストリームに関連付けられた前記第1の時間オフセットを使用し、かつ前記第2のデータストリームに関連付けられた前記第2の時間オフセットを使用して、前記第1のデータストリームのパケットを前記第2のデータストリームのパケットと時間的に整合させるステップと、
整合された前記第1のデータストリームのパケットおよび前記第2のデータストリームのパケットに、前記第1のデータストリームおよび前記第2のデータストリームの元来の前記提示時間とは関係なく、共通の提示時間を適用するステップと
を含んでいる、
方法。
【請求項2】
前記第1のデータストリームおよび前記第2のデータストリームは、ビデオ、オーディオまたはデータのストリームを備えている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記伝送は、放送を含んでいる、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記開始基準時間は、デイスタンプの時間、その導関数、または選択された任意の時間である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記時間オフセットは、増分に関して、またはデイスタンプの時間を比較することによって決定される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記処理装置はサーバである、請求項4記載の方法。
【請求項7】
前記記録または生成装置は、ビデオレコーダ、マイクロフォン、またはデータを生成する装置である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記第1の記録または生成装置および前記第2の記録または生成装置は、記録またはデータ生成の間に、デイスタンプの時間または時間オフセットを各パケットに適用する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記第1の記録または生成装置および前記第2の記録または生成装置は、前記第1のデータストリームおよび前記第2のデータストリームを処理装置に伝送し、前記処理装置は、前記第1のデータストリームおよび前記第2のデータストリームの受け取りに応じて、受け取った前記第1のデータストリームのパケットおよび前記第2のデータストリームのパケットにデイスタンプの時間または時間オフセットを適用する、請求項7記載の方法。
【請求項10】
デイスタンプの時間は、GPSタイムスタンプ、NTPサーバタイムスタンプ、手動で作成されたタイムスタンプなどを含んでいる、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記処理装置は、前記第1のデータストリームのパケットと前記第2のデータストリームのパケットとを時間的に整合させ、共通の提示時間を前記パケットに適用する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記処理装置は、(共通の提示時間を有する)前記第1のデータストリームのパケットと前記第2のデータストリームのパケットとを、表示のためにリモート装置に伝送し、前記リモート装置は、時刻または時間オフセットスタンプの時間ではなく、提示時間を処理することができる、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記リモート装置は、コンピュータ、TVまたはスマートフォンである、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記開始基準時間は、伝送された前記第1のデータストリームおよび前記第2のデータストリームの前記第1のパケットのデイスタンプの時間に関連付けられている、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記処理装置は、1つの処理装置である、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記処理装置は、前記開始基準時間によって同期される第1の処理装置および第2の処理装置を備えている、請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記開始基準時間は、第3のデータストリームを受け取る第2の処理装置によって同期され、その結果、前記第2の処理装置は、前記第3のデータストリームを前記第1のデータストリームおよび前記第2のデータストリームと時間的に整合させることができる、請求項16記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
本発明は、時間同期されたマルチストリームデータ伝送を提供する方法に関する。より詳細には、本発明は、マルチストリームデータ伝送を提供する方法に関し、ここでは、各データストリームがパケットに符号化され;各データストリームに共通の開始基準時間が割り当てられ;開始基準時間に関する時間オフセットが各データストリームの各パケットに、表示のためのリモート装置への伝送の前に割り当てられる。
【0002】
マルチストリームデータを伝送するための種々の方法が知られている。しかし、標準的なビデオプレーヤは、ビデオデータストリームのパケットにおける提示時間に基づいて、ビデオデータストリームを再生する。典型的に、ライブストリーム放送では、ビデオプレーヤがライブビデオデータストリームを再生するために、ビデオプレーヤは現在の時刻および提示時間に関するオフセットを調整する。これは、複数の同時のビデオデータストリームを視聴しようとする場合に、個々のビデオデータストリームをそれぞれ現在の時間に、それらの個々の提示時間に関して整合させるための付加的なコントロールおよび複雑性をビデオプレーヤが要するため、困難になる。これは、付加的なデータストリームをこれらのライブビデオデータストリーム(たとえば、ライブスポーツ分析データ、または別個のオーディオストリーム)に同期させる必要がある場合に、さらに困難になる。各付加的なデータストリームがビューに組み合わされると、これらすべてのデータストリームの同期を維持するために、付加的なエンドユーザ側/クライアント側の同期計算が必要になる。
【0003】
本発明の課題は、データフィードの開始時期に関係なく、様々なデータフィードを同期させ、同期されたデータフィードを表示のためにリモート装置(たとえば、ビデオプレーヤ)に伝送することができるマルチストリームデータフィードを提供することである。より具体的には、本発明の課題は、第1のデータストリームから開始基準時間を決定し、次いで、時間同期されたデータストリームを表示のためにリモート装置に伝送する前に、各データストリームの提示時間を共通の提示時間に整合するように変更することによって、リモート装置でのデータストリームの時間同期化に対するソリューションを提供することである。このようにすることによって、時間同期されたデータストリームが標準の、未変更のビデオプレーヤによって表示されてよい。
【0004】
発明の概要
本発明によれば、時間同期されたマルチストリームデータ伝送を提供する方法が提供され、この方法は、
第1のデータストリームのフレームを提供するための第1の記録または生成装置を提供するステップと、
第1のデータストリームをパケットに符号化するステップであって、各第1のデータストリームのパケットは、提示時間と、所定数の第1のデータストリームのフレームとを含んでいる、ステップと、
第2のデータストリームのフレームを提供するための第2の記録または生成装置を提供するステップと、
第2のデータストリームをパケットに符号化するステップであって、各第2のデータストリームのパケットは、提示時間と、所定数の第2のデータストリームのフレームとを含んでいる、ステップと、
第1のデータストリームおよび第2のデータストリームを処理装置に伝送するステップと、
共通の開始基準時間を、伝送された第1のデータストリームおよび第2のデータストリームの第1のパケットに関連付けるステップと、
第1のストリームの開始時間を、伝送された第1のデータストリームの第1のパケットに割り当て、第2のストリームの開始時間を、伝送された第2のデータストリームの第1のパケットに割り当てるステップと、
開始基準時間からの第1の時間オフセットおよび第1のデータストリームの開始時間を(直接的または間接的に)第1のデータストリームの各後続パケットに関連付け、開始基準時間からの第2の時間オフセットおよび第2のデータストリームの開始時間を(直接的または間接的に)第2のデータストリームの各後続パケットに関連付けるステップと、
第1のデータストリームに関連付けられた第1の時間オフセットを使用し、かつ第2のデータストリームに関連付けられた第2の時間オフセットを使用して、第1のデータストリームのパケットを第2のデータストリームのパケットと時間的に整合させるステップと、
整合された第1のデータストリームのパケットおよび第2のデータストリームのパケットに、第1のデータストリームおよび第2のデータストリームの元来の提示時間とは関係なく、共通の提示時間を適用するステップと
を含んでいる。
【0005】
典型的に、データストリームは、ビデオ、オーディオまたはデータ(たとえば、字幕または分析データ)のストリームを備えている。
【0006】
一般的に、伝送は、放送、たとえばビデオ放送、オーディオ放送またはマルチメディア(データを含む)伝送を含む。
【0007】
開始基準時間は、デイスタンプの時間(たとえば、2021年3月1日9時31分10秒5ミリ秒)、その導関数(たとえば、デイスタンプの時間からの増分)または選択された任意の時間であってよい。
【0008】
好ましくは、時間オフセットは、増分に関して、またはデイスタンプの時間を比較することによって決定される。
【0009】
典型的に、処理装置はサーバである。
【0010】
一般的に、記録または生成装置は、ビデオレコーダ、マイクロフォンまたはデータを生成する装置である。
【0011】
任意選択的に、第1の記録または生成装置および第2の記録または生成装置は、記録またはデータ生成の間に、デイスタンプの時間または時間オフセットを各パケットに適用する。代替的に、第1の記録または生成装置および第2の記録または生成装置は、第1のデータストリームおよび第2のデータストリームを処理装置に伝送し、処理装置は、第1のデータストリームおよび第2のデータストリームの受け取りに応じて、受け取った第1のデータストリームのパケットおよび第2のデータストリームのパケットにデイスタンプの時間または時間オフセットを適用する。
【0012】
好ましくは、デイスタンプの時間は、(限定ではなく)GPSタイムスタンプ、NTPサーバタイムスタンプ、手動で作成されたタイムスタンプなどを含む。
【0013】
典型的に、処理装置は、第1のデータストリームのパケットと第2のデータストリームのパケットとを時間的に整合させ、共通の提示時間をこれらのパケットに適用する。
【0014】
一般的に、処理装置は、(共通の提示時間を有する)第1のデータストリームのパケットと第2のデータストリームのパケットとを、表示のためにリモート装置(たとえば、コンピュータ、TV、スマートフォン)に伝送し、これらのリモート装置は、時刻または時間オフセットスタンプの時間ではなく、提示時間を処理することができる。
【0015】
好ましくは、開始基準時間は、伝送された第1のデータストリームおよび第2のデータストリームの第1のパケットのデイスタンプの時間に関連付けられている。
【0016】
処理装置は、1つの処理装置であってよい。代替的に、処理装置は、開始基準時間によって同期される第1の処理装置および第2の処理装置であってよい。
【0017】
任意選択的に、開始基準時間は、第3のデータストリームを受け取る第2の処理装置によって同期され、その結果、第2の処理装置は、第3のデータストリームを第1のデータストリームおよび第2のデータストリームと時間的に整合させることができる。
【0018】
次に、添付の図面を参照して、単なる例として、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】時間同期されたデータフィードを概略的に示す図である。
【
図2】元来の提示時間に従った(データフィードの時間的な整合を伴わない)
図1のデータフィードの再生を概略的に示す図である。
【
図3】時間オフセットを用いて時間的に整合されたデータフィードを有する、
図1のデータフィードを概略的に示す図である。
【
図4】
図3のデータフィードの再生を概略的に示す図である。
【
図5】
図1のデータフィードを再生するために使用されるハードウェアを概略的に示す図である。
【0020】
発明の説明
図面の
図3および
図5に関連して、放送(たとえば、ビデオ放送、オーディオ放送または(データを含む)マルチメディア伝送)を伝送するための、時間同期されたマルチストリームデータ伝送を提供する方法は、
・第1の記録または生成装置22(たとえば、ビデオレコーダ、マイクロフォンまたはデータを生成する装置);
・第2の記録または生成装置24(たとえば、ビデオレコーダ、マイクロフォンまたはデータを生成する装置);および
・処理装置26(たとえば、サーバ)
を含むシステムを利用する。
【0021】
第1の記録または生成装置または第2の記録または生成装置22は、データストリーム12,14,16または18を生成する装置である。そのような装置の例は、カメラビュー角度からフレームを捕捉して、このコンテンツを伝送するためのデータストリームを作成するビデオエンコーダである。
【0022】
本発明による、時間同期されたマルチストリームデータ伝送を提供する方法は、次のステップを含んでいる:
【0023】
1.第1のデータストリーム16のフレームを提供するための第1の記録または生成装置22を提供するステップ;
第1のデータストリーム16は、ビデオ、オーディオまたはデータ(たとえば、字幕または分析データ)であってよい。
【0024】
2.第1のデータストリーム16をパケットに符号化するステップであって、各第1のデータストリームのパケットは、提示時間と、所定数の第1のデータストリームのフレームとを含んでいる、ステップ;
「フレーム」は、ビデオストリーム内の1つのピクチャのデータのサンプルであるか、または所定の様式でサンプリングもしくは捕捉されたオーディオまたは他のデータのサンプルである。サンプリングレートは、通常、ビデオの場合には「1秒あたりのフレーム」によって表され、オーディオおよび他のデータの場合には「1秒あたりのサンプル」によって表される。たとえば、ビデオカメラは、1秒当たり所定数のフレームでフレームを生成する。
「符号化」は、フレームを取得し、提示時間を含む付加的な情報でフレームに記述し、伝送のためにパケットにフレームをパック/符号化する方法である。共通の符号化フォーマット(MP4、RTMPなど)を使用した符号化によって、共通の再生装置が、エンドユーザへの再生のために、フレームにパケットをアンパック/復号化することが可能になる。
「パケット」は、符号化によって生成される。パケットは、サンプルデータの1つのフレームまたは複数のフレームと、サンプルデータを記述するための付加的な情報、たとえば提示時間とを包含する。
「提示時間」は、パケットに含まれるビデオ、オーディオまたはデータをエンドユーザに提示する時間を記述するために、各パケット内に包含されているタイムスタンプである。提示時間は、典型的に、データストリームの開始から経過した絶対時間であり、これは、ストリームの開始時間での提示時間が典型的にはゼロであり、ストリーム中の各パケットのストップウォッチのように増分することを意味する。提示時間は、記録または生成装置によってフレームがサンプリングされた時間の提示である。
【0025】
3.第2のデータストリーム18のフレームを提供するための第2の記録または生成装置22を提供するステップ;
同様に、第2のデータストリーム18は、ビデオ、オーディオまたはデータ(たとえば、字幕または分析データ)であってよい。
【0026】
4.第2のデータストリーム18をパケットに符号化するステップであって、各第2のデータストリームのパケットは、提示時間と、所定数の第2のデータストリームのフレームとを含んでいる、ステップ;
【0027】
5.第1のデータストリーム16および第2のデータストリーム18を処理装置24に伝送するステップ;
「処理装置」24は、中央サーバ、分散サーバまたはコンピューティング装置(カメラ電話など)を含むことができるが、これらに限定されない。処理装置24は、記録または生成装置と同じ装置であってもよい。
【0028】
6.共通の開始基準時間(すなわち、同じ開始基準時間)を、伝送された第1のデータストリーム16および第2のデータストリーム18の第1のパケットに関連付けるステップ;
たとえば、第1のデータストリーム16または第2のデータストリーム18が開始される場合、開始基準時間は、伝送されたそのような第1のデータストリーム16または第2のデータストリーム18の第1のパケットのデイスタンプの時間(たとえば、2021年3月1日9時31分10秒5ミリ秒)に設定され得る。代替的に、開始基準をデイスタンプの時間に設定する代わりに、開始基準時間を、開始基準時間の導関数(たとえば、デイスタンプの時間からの増分)または選択された任意の時間に設定してよい。
デイスタンプの時間は、(限定ではなく)GPSタイムスタンプ、NTPサーバタイムスタンプ、手動で作成されたタイムスタンプなどを含むこともできる。
【0029】
7.第1のストリームの開始時間を、伝送された第1のデータストリーム16の第1のパケットに割り当て、第2のストリームの開始時間を、伝送された第2のデータストリーム18の第1のパケットに割り当てるステップ;
「ストリームの開始時間」は、ストリームが開始された時間であり、これは時刻によって決定され得るか、または開始基準時間から経過した相対的な時間として測定され得る。ストリームの開始時間は、記録または生成装置によって決定され得る。代替的に、ストリームの第1のパケットを受け取ったときに、処理装置によってストリームの開始時間が決定され得る。さらに代替的に、ストリームの開始時間は、記録または生成装置と処理装置との間の相互作用によって決定され得る。
【0030】
8.開始基準時間からの第1の時間オフセットおよび第1のデータストリーム16の開始時間を(直接的または間接的に)第1のデータストリーム16の各後続パケットに関連付け、開始基準時間からの第2の時間オフセットおよび第2のデータストリーム18の開始時間を(直接的または間接的に)第2のデータストリーム18の各後続パケットに関連付けるステップ;
「時間オフセット」は、データストリームのストリームの開始時間と開始基準時間との間に決定される時間差である。これは、増分に関して、またはデイスタンプの時間を比較することによって決定されてよい。
任意選択的に、第1の記録または生成装置および第2の記録または生成装置22は、記録またはデータ生成の間に、デイスタンプの時間または時間オフセットを各パケットに適用する。代替的に、第1の記録または生成装置および第2の記録または生成装置22は、第1のデータストリームおよび第2のデータストリームを処理装置24に伝送し、処理装置24は、第1のデータストリーム16および第2のデータストリームおよび18の受け取りに応じて、受け取った第1のデータストリームのパケットおよび第2のデータストリームのパケットにデイスタンプの時間または時間オフセットを適用する。
好ましくは、開始基準時間および関連するストリームの開始時間に関する時間オフセットは、処理装置24によって決定される。
【0031】
9.第1のデータストリーム16に関連付けられた第1の時間オフセットを使用し、かつ第2のデータストリーム18に関連付けられた第2の時間オフセットを使用して、第1のデータストリーム16のパケットを第2のデータストリーム18のパケットと時間的に整合させるステップ;
第1のデータストリーム16および第2のデータストリーム18の各パケットは、「元来の提示時間」(すなわち、時間的な整合の前の固有の提示時間)を有する。これは、記録または生成装置22によって元来、決定された提示時間である。
「時間的な整合」は、このような第2のデータストリームのパケットと同時の第1のデータストリームのパケットとの時間的な整合のために、計算された時間オフセットを元来の提示時間に加算することによって、第2のデータストリームパケットの元来の提示時間を調整する方法である。
処理装置24は、第2のデータストリーム18パケットの元来の提示時間の時間的な整合を行う。
【0032】
10.整合された第1のデータストリームのパケットおよび第2のデータストリームのパケットに、第1のデータストリーム16および第2のデータストリーム18の元来の提示時間とは関係なく、共通の提示時間を適用するステップ;
「共通の提示時間」は、単純に、データストリームのパケットの元来の提示時間を時間オフセットに加算した結果であり得る。
「共通の提示時間」は、時間的に整合された第1のデータストリームのパケットおよび第2のデータストリームのパケットの元来の提示時間に置き換わる。これによって、時間的に整合された第1のデータストリーム16のパケットおよび第2のデータストリーム18のパケットが、他のデータストリーム12および14のパケットと時間同期されることが可能になる。
元来の提示時間を共通の提示時間に置き換えることは、処理装置24によって行われる。
【0033】
時間同期されたマルチストリームデータ伝送を提供する方法は、典型的に、(処理装置によって)第1のデータストリームのパケットおよび第2のデータストリームのパケット(共通の提示時間を有する)を、表示のためにリモート装置20(たとえば、コンピュータ、TV、スマートフォン)に伝送するさらなるステップを含み、これらのリモート装置20は、時刻または時間オフセットスタンプの時間ではなく、提示時間を処理することができる。
【0034】
「伝送」とは、データストリームの分配を意味することを意図する。たとえば、ビデオデータストリーム伝送は、自身のビデオプレーヤでビデオを視聴するエンドユーザへのビデオコンテンツの分配放送を備え得る。伝送は、サーバ上で生成され、エンドユーザに分配されるデータストリームも含み得る。
【0035】
処理装置24が1つの処理装置であり得ることが理解されよう。代替的に、処理装置は、開始基準時間によって同期される第1の処理装置および第2の処理装置であってよい。
【0036】
さらに、開始基準時間は、第3のデータストリームを受け取る第2の処理装置24によって同期されてよく、それによって、第2の処理装置は、第3のデータストリームを第1のデータストリーム16および第2のデータストリーム18と時間的に整合させることができる。
【0037】
時間同期されたマルチストリームデータ伝送を提供する方法については、以降で例を用いてさらに説明する。
【0038】
スポーツイベントにおけるビデオ放送装置は、典型的に、複数のカメラ22を使用して対戦を記録し、各カメラは、異なる視野角からゲームプレイを捕捉する。これらの視野角は、1つの放送ビデオフィードに編集され、この1つの放送ビデオフィードは、エンドユーザに伝送され、エンドユーザは、自身のラップトップまたはモバイル装置20上で家庭においてこのライブビデオストリームを視聴することができる。
【0039】
ビデオ放送装置が、3つの異なる視野角をマルチビュー放送ストリームとして放送することを望む場合があり、これによって、視聴者が家庭において自身の視野角を自身で変更し、利用可能なビデオストリームから、この対戦の視聴方法を選択することができる。
【0040】
このシナリオでは、エンドユーザによる良好な視聴体験を保証するために、これらのビデオストリームが時間同期されていることを保証することが重要であり、かつ望ましい。
【0041】
図1は、(本発明による方法を使用しない)時間同期されたデータフィードを示している。この例では、第1のビデオデータストリーム112は13:00にストリーミングを開始し、第2のビデオデータストリーム114は13:02にストリーミングを開始し、第3のビデオデータストリーム116は13:05にストリーミングを開始する。データストリームの提示時間を、データストリームが開始する時間に開始されるストップウォッチの開始時間にたとえることができ、この開始時間はゼロの絶対時間から開始される。
【0042】
各別個のビデオフィードがストリーミングを開始すると、それらの提示時間はすべてゼロで開始し、ただしそれらの実際の開始時刻は異なっており、ビデオストリームに関連付けられたメタデータに記録され得る。
【0043】
時間的な整合が行われない場合、ビデオデータストリーム112,114および116は、それらの元来の提示時間に従ってリモート装置120上で再生されることになり、その結果、
図2に示されているように、リモート装置120上でこれらのビデオデータストリームが不所望に非同期で再生されることになる。
【0044】
ビデオデータストリームを、そのビデオデータストリームのパケット内の提示時間に基づいて再生する現在のビデオプレーヤ20の欠点に対処するために、本発明による方法は、データストリームを次のように、
図3に示すように処理する:
・第1のデータストリーム12が13:00に開始されるとき、開始基準時間が作成され、処理装置24によって保存される。
・第1のビデオデータストリーム16および別個のオーディオデータストリーム14が13:02に開始されるとき、これらの後者のビデオデータストリーム16およびオーディオデータストリーム14が開始基準時間を00:02遅らせるので、それらのパケット提示時間が00:02の時間オフセットで変更される。
・第2のビデオデータストリーム18が13:05に開始されるとき、そのパケット提示時間が00:05の時間オフセットだけ変更される。
【0045】
その結果、すべてのデータストリーム12,14,16および18(データ、ビデオおよびオーディオ)が視聴者のリモート装置20(たとえば、ビデオプレーヤおよび関連する再生装置)に分配される前に、互いに整合される。
図4を参照すると、視聴者のリモート装置20が、複数のデータストリーム12,14,16および18を同時に再生するために付加的なクライアント側の同期を必要としないことが理解されよう。なぜなら、データストリーム12,14,16および18は、分配前に処理装置上で同期されているからである。
【0046】
開始基準時間およびデータストリームの開始時間に戻る:
開始基準時間およびデータストリームの開始時間は、いくつかの手法で決定され得る。典型的に、これらは、捕捉された時刻のタイムスタンプを備える。代替的に、これらを、多くのディジタル/コンピューティング装置内に存在するフリーランニングクロック/タイマからのタイムスタンプとして捕捉することができる。フリーランニングタイマは、時刻とは無関係であるが、開始基準時間とデータストリームの開始時間との間の時間オフセットを決定するための基準点として用いることができる。いくつかのシナリオを以降で説明する。
【0047】
シナリオ1-第1のデータストリームの第1のパケットからの時間を使用する:
処理装置24が、第1のデータストリームの第1のパケットを受け取ると、タイムスタンプが、第1のデータストリームの開始時間と同じ開始基準時間として捕捉される。時刻を使用して捕捉される場合、13:00の例が開始基準時間として使用される。フリーランニングタイマを使用して捕捉される場合、00:00の値でタイマが開始される。
開始基準時間(時刻として)=13:00
開始基準時間(タイマとして)=00:00
第1のデータストリームの開始時間(時刻として)=13:00
第1のデータストリームの開始時間(タイマとして)=00:00
【0048】
第1のデータストリームに対する時間オフセットは、第1のデータストリームが開始基準時間と見なされたため、00:00である。
【0049】
処理装置24が、第2のストリームの第1のパケットを受け取ると、タイムスタンプが、第2のデータストリームの開始時間として捕捉される。時刻を使用して捕捉される場合、13:02の例が第2のデータストリームの開始時間として使用される。フリーランニングタイマを使用して捕捉される場合、第1のデータストリームの第1のパケットの受け取り時に開始されたタイマが時を刻み続け、現在では値00:02である。
第2のデータストリームの開始時間(時刻として)=13:02
第2のデータストリームの開始時間(タイマとして)=00:02
【0050】
したがって、第2のデータストリームに対する時間オフセットは00:02である。これは、時刻の差を減算するか、またはフリーランニングタイマの値を読み取るかのいずれかによって計算される。
【0051】
シナリオ2-第2のデータストリームの第1のパケットからの時間を使用する:
シナリオ1に詳述されている例は、第2のデータストリームが処理装置に最初に到達し、開始基準時間として使用される場合には、逆に適用可能である。以降の時間を想定する:
開始基準時間(時刻として)=14:05
開始基準時間(タイマとして)=00:00
第2のデータストリームの開始時間(時刻として)=14:05
第2のデータストリームの開始時間(タイマとして)=00:00
【0052】
第2のデータストリームに対する時間オフセットは、第2のデータストリームが開始基準時間と見なされたため、00:00である。
【0053】
第1のデータストリームは、その後、処理装置24に到達する。
第1のデータストリームの開始時間(時刻として)=14:10
第1のデータストリームの開始時間(タイマとして)=00:05
【0054】
したがって、第1のデータストリームに対する時間オフセットは00:05である。これは、時刻の差を減算するか、またはフリーランニングタイマの値を読み取るかのいずれかによって計算される。
【0055】
シナリオ3-任意の開始基準時間からの時間を使用する:
このシナリオでは、任意の時間、たとえば、伝送または放送の開始のために設定されている所定の時間に開始基準時間が設定される。次いで、開始基準時間が命令によって設定され、この命令は、人間の相互作用によって、または「開始基準時間を今に設定する」様式で、コンピューティング装置間で命令を計算することによって行われ得る。
【0056】
開始基準時間は、15:00の時刻であることが多い「今」に指示される。または、フリーランニングタイマが00:00で開始される。
【0057】
第1のデータストリームの第1のパケットは15:02に捕捉され、またはタイマ値は00:02に捕捉される。第2のデータストリームの第1のパケットは15:08に捕捉され、またはタイマ値は00:08に捕捉される。
開始基準時間(時刻として)=15:00
開始基準時間(タイマとして)=00:00
第1のデータストリームの開始時間(時刻として)=15:02
第1のデータストリームの開始時間(タイマとして)=00:02
第2のデータストリームの開始時間(時刻として)=15:08
第2のデータストリームの開始時間(タイマとして)=00:08
【0058】
したがって、第1のデータストリームに対する時間オフセットは00:02である。これは、時刻の差を減算するか、またはフリーランニングタイマの値を読み取るかのいずれかによって計算される。
【0059】
したがって、第2のデータストリームに対する時間オフセットは00:08である。これは、時刻の差を減算するか、またはフリーランニングタイマの値を読み取るかのいずれかによって計算される。
【0060】
自明のとおり、開始基準時間を作成し、開始基準時間に対する時間オフセットを用いて、すべての付加的なデータストリームのパケットの提示時間を共通の提示時間に変更することによって、すべてのデータストリームが処理装置24において時間同期されて維持される。これは、マルチビュー放送などのアプリケーションにおいて複数の利点を有しており、ここではエンドユーザ側/クライアント側で別個の時間オフセットクロックを管理する複雑さを伴わずに、ビデオデータストリームを互いに同期させ、かつ付加的なデータストリーム(たとえば、スポーツ分析データストリームおよびオーディオストリーム)に同期させ続けることができる。
【0061】
複数のデータストリームが時間的に整合され、同期された再生のためにエンドユーザアプリケーションに分配される典型的なサーバ環境に処理装置を含めることが可能であることも理解されるであろう。
【0062】
さらに、分散型コンピューティングによって、各々が各自の別個のデータストリームを用いて、異なる地理的位置における複数の処理装置にわたって開始基準時間を同期させることができることが理解されるであろう。このことは、地理的に分散した複数の異なる領域からのオーディオ、ビデオおよびデータストリームを時間同期様式で結合する必要がある状況において有利になり得る。
【国際調査報告】