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特表2024-508914磁気抵抗デバイスをプログラミングするためのレーザ書き込み装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】磁気抵抗デバイスをプログラミングするためのレーザ書き込み装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H10N 50/10 20230101AFI20240220BHJP
   G01R 33/09 20060101ALI20240220BHJP
   H01L 29/82 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
H10N50/10 Z
G01R33/09
H01L29/82 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553601
(86)(22)【出願日】2022-03-02
(85)【翻訳文提出日】2023-11-01
(86)【国際出願番号】 CN2022078776
(87)【国際公開番号】W WO2022184090
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】202110247124.X
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514116947
【氏名又は名称】江▲蘇▼多▲維▼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】MULTIDIMENSION TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building D & E, No.2 Guangdong Road,Zhangjiagang Free Trade Zone,Zhangjiagang,Jiangsu,215634 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディーク、ジェイムズ ゲーザ
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、チーミン
【テーマコード(参考)】
2G017
5F092
【Fターム(参考)】
2G017AA02
2G017AA10
2G017AD55
2G017AD65
5F092AB01
5F092AB10
5F092AC08
5F092AC12
5F092AD03
5F092BB08
5F092BB16
5F092BB31
5F092BB35
5F092BB36
5F092BB53
5F092BB90
5F092BC04
5F092BC07
(57)【要約】
【課題】
【解決手段】本発明の実施形態において、磁気抵抗デバイスをプログラミングするためのレーザ書き込み装置および方法が開示される。装置は、スタック状に順次配置された、基板と、磁気抵抗センサと、熱制御層とを備える。電気的隔絶のための非磁性絶縁層は、磁気抵抗センサと熱制御層との間に設けられる。磁気抵抗センサは、反強磁性層を含む多層薄膜スタック構造である磁気抵抗感知ユニットで構成される。レーザ書き込みプログラミング装置は、レーザ・ライタ・プログラミング段階中に、熱制御層および/または磁気抵抗センサの変えられたパラメータとともに使用されて、磁気抵抗センサに対してレーザによってもたらされる熱勾配を変化させ、それによって同じレーザ出力で磁気抵抗センサの温度変化を増加または減少させ、これをするために使用される膜パラメータは、材料組成、および膜厚を含む。本発明の実施形態を通じて、改善された磁気抵抗センサ製造性、改善された磁気抵抗センサ・ノイズ性能、および改善された磁気抵抗センサ検出能を有する磁気抵抗センサの高精度レーザ・プログラミングが得られる。
【選択図】図7A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気抵抗デバイスをプログラミングするためのレーザ書き込み装置であって、スタック状に順次配置された、基板と、磁気抵抗センサと、熱制御層とを備え、電気的隔絶のための非磁性絶縁層が、前記磁気抵抗センサと前記熱制御層との間に設けられ、前記磁気抵抗センサは、反強磁性層を有する多層薄膜スタック構造である磁気抵抗感知ユニットで構成され、
プログラミングするための前記レーザ書き込み装置は、プログラミングするためのレーザ書き込みの段階において、前記熱制御層および/または前記磁気抵抗センサの膜層パラメータを変化させて、レーザ出力とともに前記磁気抵抗センサの温度の変化率を調整するとともに、同じレーザ出力で前記磁気抵抗センサに書き込む温度を上昇または低下させるように構成され、前記膜層パラメータは、膜層材料および膜層厚さのうちの少なくとも1つを含む、プログラミングするためのレーザ書き込み装置。
【請求項2】
前記磁気抵抗センサは、巨大磁気抵抗(GMR)センサ、トンネル磁気抵抗(TMR)センサ、または異方性磁気抵抗(AMR)センサである、請求項1に記載のプログラミングするためのレーザ書き込み装置。
【請求項3】
前記基板から前記熱制御層への方向に、前記多層薄膜スタック構造は、スタック状に順次配置された、シード層と、前記反強磁性層と、自由層と、上部電極層と、キャップ層とを備え、第1の絶縁層が、前記基板と前記シード層との間に設けられ、
前記プログラミングするためのレーザ書き込み装置は、前記熱制御層、前記第1の絶縁層、前記シード層、前記上部電極層、および前記キャップ層のうちの少なくとも1つの膜層の材料を変化させて、同じレーザ出力で前記磁気抵抗センサに書き込む前記温度を上昇または低下させるように構成され、ならびに/または
前記プログラミングするためのレーザ書き込み装置は、前記熱制御層、前記第1の絶縁層、前記シード層、前記上部電極層、および前記キャップ層のうちの少なくとも1つの膜層の厚さを変化させて、同じレーザ出力で前記磁気抵抗センサに書き込む前記温度を上昇または低下させるように構成される、請求項1に記載のプログラミングするためのレーザ書き込み装置。
【請求項4】
前記磁気抵抗センサは、プッシュ・プル磁気抵抗センサであり、前記プッシュ・プル磁気抵抗センサは、プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイおよびプル磁気抵抗感知ユニット・アレイで構成され、前記プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイと前記プル磁気抵抗感知ユニット・アレイとの両方は、磁気抵抗感知ユニットで構成される、請求項1に記載のプログラミングするためのレーザ書き込み装置。
【請求項5】
前記プッシュ・プル磁気抵抗センサは、フル・ブリッジ構造、半ブリッジ構造、または準ブリッジ構造である、請求項4に記載のプログラミングするためのレーザ書き込み装置。
【請求項6】
前記プッシュ・プル磁気抵抗センサは、単軸プッシュ・プル磁気抵抗センサ、二軸プッシュ・プル磁気抵抗センサ、または三軸プッシュ・プル磁気抵抗センサである、請求項4に記載のプログラミングするためのレーザ書き込み装置。
【請求項7】
前記熱制御層の構成材料は、非磁性レーザ低吸収係数材料またはレーザ高吸収係数材料を含み、前記レーザ低吸収係数材料は、タンタル、チタン、銅、モリブデン、金、銀、アルミニウム、白金、およびスズのうちの少なくとも1つを含み、前記レーザ高吸収係数材料は、酸化ジルコニウム、酸化チタン、炭素膜、リン酸塩、および窒化アルミニウム・チタンのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のプログラミングするためのレーザ書き込み装置。
【請求項8】
前記熱制御層の構成材料は、カーボン・ブラック、非磁性レーザ吸収樹脂、または非磁性レーザ吸収コーティングを含む、請求項1に記載のプログラミングするためのレーザ書き込み装置。
【請求項9】
レーザは、100nmから3000nmの範囲内の波長を有する、請求項1に記載のプログラミングするためのレーザ書き込み装置。
【請求項10】
プログラミングするためのレーザ書き込みシステムによって実施される磁気抵抗デバイスをプログラミングするためのレーザ書き込み方法であって、前記プログラミングするためのレーザ書き込みシステムは、磁場発生装置と、請求項1から9のいずれかに記載のプログラミングするためのレーザ書き込み装置とを備え、
前記プログラミングするためのレーザ書き込みシステムの前記プログラミングするためのレーザ書き込み方法は、
プログラミングするためのレーザ書き込みの段階において、膜層材料および膜層厚さのうちの少なくとも1つを含む、前記熱制御層および/または前記磁気抵抗センサの膜層パラメータを変化させることと、
レーザ出力とともに前記磁気抵抗センサの温度の変化率を調整し、同じレーザ出力で前記磁気抵抗センサに書き込む温度を上昇または低下させることと、を含むプログラミングするためのレーザ書き込み方法。
【請求項11】
前記磁気抵抗センサは、プッシュ・プル磁気抵抗センサであり、前記プッシュ・プル磁気抵抗センサは、プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイと、プル磁気抵抗感知ユニット・アレイとを備え、前記プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイの反強磁性層は、磁気モーメント方向+diを有し、前記プル磁気抵抗感知ユニット・アレイの反強磁性層は、磁気モーメント方向-diを有し、iは正の整数であり、1≦i≦3であり、
前記プログラミングするためのレーザ書き込み方法は、反強磁性層の前記磁気モーメント方向+diを前記プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイに書き込むことと、前記反強磁性層の前記磁気モーメント方向-diを前記プル磁気抵抗感知ユニット・アレイに書き込むことと、を含む磁気モーメントを前記プッシュ・プル磁気抵抗センサの前記反強磁性層に書き込むことをさらに含む、請求項10に記載のプログラミングするためのレーザ書き込み方法。
【請求項12】
前記反強磁性層の前記磁気モーメント方向+diを前記プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイに書き込むことは、
各前記磁気抵抗感知ユニット・アレイの前記反強磁性層が前記磁気モーメント方向+diを有するように、磁場アニーリング出力をPovenにおよび温度をTwに設定し、ウェハに対して方向+di磁場熱アニーリングを実行すること、または
前記レーザ出力をP(+di)におよび前記温度をTdiに設定し、前記方向+di磁気モーメントを前記プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイの前記反強磁性層に書き込むように方向+di磁場を発生させること、を含む、請求項11に記載のプログラミングするためのレーザ書き込み方法。
【請求項13】
前記反強磁性層の前記磁気モーメント方向-diを前記プル磁気抵抗感知ユニット・アレイに書き込むことは、
各前記磁気抵抗感知ユニット・アレイの前記反強磁性層が前記磁気モーメント方向-diを有するように、前記磁場アニーリング出力をPovenにおよび前記温度をTwに設定し、前記ウェハに対して方向-di磁場熱アニーリングを実行すること、または
前記レーザ出力をP(-di)におよび前記温度をTdiに設定し、前記方向-di磁気モーメントを前記プル磁気抵抗感知ユニット・アレイの前記反強磁性層に書き込むように方向-di磁場を発生させること、を含む、請求項12に記載のプログラミングするためのレーザ書き込み方法。
【請求項14】
Td1<Td2<Td3である、請求項13に記載のプログラミングするためのレーザ書き込み方法。
【請求項15】
Tb<Td1<Td2<Td3<Tdであり、前記Tbは、前記磁気抵抗感知ユニット・アレイの書き込み温度であり、前記Tdは、前記磁気抵抗感知ユニット・アレイの損傷温度である、請求項14に記載のプログラミングするためのレーザ書き込み方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気センサの技術分野に関し、詳細には、磁気抵抗デバイスをプログラミングするためのレーザ書き込み装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気抵抗デバイスは、リニア・センサ、角度センサ、スイッチング・センサ、勾配センサ、および様々な下流磁気抵抗デバイス、例えば、電流センサ、ファイナンシャル磁気ヘッド、イメージ・センサ、電磁エンコーダ、および磁電アイソレータを含む。磁気抵抗センサは、磁気抵抗デバイス内に統合され、磁気抵抗センサのタイプは、トンネル磁気抵抗(TMR)センサ、巨大磁気抵抗(GMR)センサ、および異方性磁気抵抗(AMR)センサを含む。
【0003】
現在、磁気抵抗センサは、まず、ウェハ全体に対して磁場アニーリングを実行し、次いで、フリップ・ダイ・パッケージングによってそれをパッケージングすることにより、製造される。具体的には、2つの同一のダイがパッケージング中に選択され、ダイのうちの1つは他のダイに対して180°回転させられ、次いで、ワイヤ・ボンディングが磁気抵抗センサを得るために実行される。
【0004】
しかしながら、この製造方法は、2つのウェハの相対位相が続く動作を必要とするという欠点を有し、このことは、精度を保証するのを困難にさせ、磁気抵抗センサの性能に影響を及ぼし、磁気抵抗センサの検出精度をさらに低下させ、磁気抵抗センサのプロセスの複雑さを増加させる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、高精度磁気抵抗センサを製造するための磁気抵抗デバイスをプログラミングするためのレーザ書き込み装置および方法を提供する。
【0006】
本発明の実施形態は、磁気抵抗デバイスをプログラミングするためのレーザ書き込み装置を提供する。装置は、スタック状に順次配置された、基板と、磁気抵抗センサと、熱制御層とを備える。電気的隔絶のための非磁性絶縁層は、磁気抵抗センサと熱制御層との間に設けられる。磁気抵抗センサは、反強磁性層を有する多層薄膜スタック構造である磁気抵抗感知ユニットで構成される。
【0007】
プログラミングするためのレーザ書き込み装置は、プログラミングするためのレーザ書き込みの段階において、熱制御層および/または磁気抵抗センサの膜層パラメータを変化させて、レーザ出力とともに磁気抵抗センサの温度の変化率を調整するとともに、同じレーザ出力で磁気抵抗センサに書き込む温度を上昇または低下させるように構成され、膜層パラメータは、膜層材料および膜層厚さのうちの少なくとも1つを含む。
【0008】
同じ発明概念に基づいて、本発明の実施形態は、プログラミングするためのレーザ書き込みシステムによって実施される磁気抵抗デバイスをプログラミングするためのレーザ書き込み方法も提供し、プログラミングするためのレーザ書き込みシステムは、上述したように、磁場発生装置と、プログラミングするためのレーザ書き込み装置とを備え、プログラミングするためのレーザ書き込みシステムのプログラミングするためのレーザ書き込み方法は、
プログラミングするためのレーザ書き込みの段階において、膜層材料および膜層厚さのうちの少なくとも1つを含む、熱制御層および/または磁気抵抗センサの膜層パラメータを変化させることと、
レーザ出力とともに磁気抵抗センサの温度の変化率を調整し、同じレーザ出力で磁気抵抗センサに書き込む温度を上昇または低下させることと、を含む。
【0009】
本発明の実施形態では、プログラミングするためのレーザ書き込み装置は、基板と、基板上に位置する磁気抵抗センサと、磁気抵抗センサ上に位置する熱制御層とを備え、非磁性電気絶縁層は、熱制御層と磁気抵抗センサとの間に設けられ、磁気抵抗センサは、磁気抵抗感知ユニットを備え、磁気抵抗感知ユニットは、反強磁性層を備える多層薄膜スタック構造であり、熱制御層のパラメータが変化し、これにより書き込みが実行されるレーザ出力とともに対応する磁気抵抗感知ユニット・アレイの温度の変化率を増加または減少させ、同じレーザ出力でプログラミングするためのレーザ書き込みが実行されるときの磁気抵抗感知ユニット・アレイの温度を上昇または低下させ、それによって磁気抵抗センサをプログラミングするための高精度のレーザ書き込みを達成し、磁気抵抗センサの製造欠陥を改善し、磁気抵抗センサの性能を改善し、さらに磁気抵抗センサの検出精度を改善することができる。
【0010】
本発明の実施形態に係るまたは先行技術における技術的解決策をより明確に示すために、実施形態または先行技術の説明に必要とされる添付図面が、以下に簡単に紹介される。明らかに、以下の説明における添付図面は、本発明のいくつかの特定の実施形態であるが、様々な本発明の実施形態によって開示および示唆されるデバイス構造、駆動方法、および製造方法の基本的概念に従って当業者のために他の構造および図面に拡大および拡張され得る。間違いなく、これらは、本発明の請求項の範囲内にあるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態による磁気抵抗デバイスをプログラミングするためのレーザ書き込み装置の概略図である。
図2】本発明の一実施形態によるプログラミングするためのレーザ書き込み装置の多層薄膜スタックの概略図である。
図3】別の多層薄膜スタック構造の概略図である。
図4】さらに別の多層薄膜スタック構造の概略図である。
図5】本発明の一実施形態による磁気抵抗センサの概略図である。
図6】本発明の一実施形態による単軸プッシュ・プル磁気抵抗センサの概略図である。
図7A】プッシュ・プル磁気抵抗センサをプログラミングするためのレーザ書き込みの概略図である。
図7B図7Aの温度プロファイルである。
図8A】熱アニーリング中に書き込まれる単軸プッシュ・プル磁気抵抗センサにおける+d磁気モーメントの概略図である。
図8B図8Aの温度プロファイルである。
図9A】グローバル・レーザ・プログラミング中に書き込まれる単軸プッシュ・プル磁気抵抗センサにおける+d磁気モーメントの概略図である。
図9B図9Aの温度プロファイルである。
図10A】ローカル・レーザ・プログラミング中に書き込まれる単軸プッシュ・プル磁気抵抗センサにおける+d磁気モーメントの概略図である。
図10B図10Aの温度プロファイルである。
図11A】グローバル・レーザ・プログラミング中に書き込まれる単軸プッシュ・プル磁気抵抗センサにおける-d磁気モーメントの概略図である。
図11B図11Aの温度プロファイルである。
図12A】ローカル・レーザ・プログラミング中に書き込まれる単軸プッシュ・プル磁気抵抗センサにおける-d磁気モーメントの概略図である。
図12B図12Aの温度プロファイルである。
図13A】熱アニーリング中に書き込まれる二軸プッシュ・プル磁気抵抗センサにおける+d1磁気モーメントの概略図である。
図13B図13Aの温度プロファイルである。
図14A】グローバル・レーザ・プログラミング中に書き込まれる二軸プッシュ・プル磁気抵抗センサにおける+d1磁気モーメントの概略図である。
図14B図14Aの温度プロファイルである。
図15A】ローカル・レーザ・プログラミング中に書き込まれる二軸プッシュ・プル磁気抵抗センサにおける+d1磁気モーメントの概略図である。
図15B図15Aの温度プロファイルである。
図16A】グローバル・レーザ・プログラミング中に書き込まれる二軸プッシュ・プル磁気抵抗センサにおける-d1磁気モーメントの概略図である。
図16B図16Aの温度プロファイルである。
図17A】ローカル・レーザ・プログラミング中に書き込まれる二軸プッシュ・プル磁気抵抗センサにおける-d1磁気モーメントの概略図である。
図17B図17Aの温度プロファイルである。
図18A】グローバル・レーザ・プログラミング中に書き込まれる二軸プッシュ・プル磁気抵抗センサにおける+d2磁気モーメントの概略図である。
図18B図18Aの温度プロファイルである。
図19A】ローカル・レーザ・プログラミング中に書き込まれる二軸プッシュ・プル磁気抵抗センサにおける+d2磁気モーメントの概略図である。
図19B図19Aの温度プロファイルである。
図20A】グローバル・レーザ・プログラミング中に書き込まれる二軸プッシュ・プル磁気抵抗センサにおける-d2磁気モーメントの概略図である。
図20B図20Aの温度プロファイルである。
図21A】ローカル・レーザ・プログラミング中に書き込まれる二軸プッシュ・プル磁気抵抗センサにおける-d2磁気モーメントの概略図である。
図21B図21Aの温度プロファイルである。
図22A】熱アニーリング中に書き込まれる三軸プッシュ・プル磁気抵抗センサにおける+d1磁気モーメントの概略図である。
図22B図22Aの温度プロファイルである。
図23A】グローバル・レーザ・プログラミング中に書き込まれる三軸プッシュ・プル磁気抵抗センサにおける+d1磁気モーメントの概略図である。
図23B図23Aの温度プロファイルである。
図24A】ローカル・レーザ・プログラミング中に書き込まれる三軸プッシュ・プル磁気抵抗センサにおける+d1磁気モーメントの概略図である。
図24B図24Aの温度プロファイルである。
図25A】グローバル・レーザ・プログラミング中に書き込まれる三軸プッシュ・プル磁気抵抗センサにおける-d1磁気モーメントの概略図である。
図25B図25Aの温度プロファイルである。
図26A】ローカル・レーザ・プログラミング中に書き込まれる三軸プッシュ・プル磁気抵抗センサにおける-d1磁気モーメントの概略図である。
図26B図26Aの温度プロファイルである。
図27A】グローバル・レーザ・プログラミング中に書き込まれる三軸プッシュ・プル磁気抵抗センサにおける+d2磁気モーメントの概略図である。
図27B図27Aの温度プロファイルである。
図28A】ローカル・レーザ・プログラミング中に書き込まれる三軸プッシュ・プル磁気抵抗センサにおける+d2磁気モーメントの概略図である。
図28B図28Aの温度プロファイルである。
図29A】グローバル・レーザ・プログラミング中に書き込まれる三軸プッシュ・プル磁気抵抗センサにおける-d2磁気モーメントの概略図である。
図29B図29Aの温度プロファイルである。
図30A】ローカル・レーザ・プログラミング中に書き込まれる三軸プッシュ・プル磁気抵抗センサにおける-d2磁気モーメントの概略図である。
図30B図30Aの温度プロファイルである。
図31A】グローバル・レーザ・プログラミング中に書き込まれる三軸プッシュ・プル磁気抵抗センサにおける+d3磁気モーメントの概略図である。
図31B図31Aの温度プロファイルである。
図32A】ローカル・レーザ・プログラミング中に書き込まれる三軸プッシュ・プル磁気抵抗センサにおける+d3磁気モーメントの概略図である。
図32B図32Aの温度プロファイルである。
図33A】グローバル・レーザ・プログラミング中に書き込まれる三軸プッシュ・プル磁気抵抗センサにおける-d3磁気モーメントの概略図である。
図33B図33Aの温度プロファイルである。
図34A】ローカル・レーザ・プログラミング中に書き込まれる三軸プッシュ・プル磁気抵抗センサにおける-d3磁気モーメントの概略図である。
図34B図34Aの温度プロファイルである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の目的、技術的解決策、および利点をより明確にするために、本発明の技術的解決策は、本発明の実施形態における添付図面を参照して実施形態によって以下に明確におよび完全に説明され、この説明される実施形態は、本発明の実施形態の全部ではなく、本発明の実施形態のごく一部であることは明らかである。本発明の実施形態によって開示および示唆される基本的概念に基づいて当業者によって得られる全ての他の実施形態は、本発明の範囲内にある。
【0013】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による磁気抵抗デバイスをプログラミングするためのレーザ書き込み装置の概略図が示されている。図1に示されるように、プログラミングするためのレーザ書き込み装置は、スタック状に順次配置された、基板100と、磁気抵抗センサ200と、熱制御層300とを備え、電気的隔絶のための非磁性絶縁層400は、磁気抵抗センサ200と熱制御層300との間に設けられ、磁気抵抗センサ200は、反強磁性層を有する多層薄膜スタック構造である磁気抵抗感知ユニットで構成され、プログラミングするためのレーザ書き込み装置は、プログラミングするためのレーザ書き込みの段階において、熱制御層300および/または磁気抵抗センサ200の膜層パラメータを変化させて、レーザ出力とともに磁気抵抗センサ200の温度の変化率を調整するとともに、同じ出力で磁気抵抗センサ200に書き込む温度を上昇または低下させるように構成され、膜層パラメータは、膜層材料および膜層厚さのうちの少なくとも1つを含む。
【0014】
本実施形態では、任意選択で、基板100はウェハであり、磁気抵抗センサ200は、反強磁性層を有する多層薄膜スタック構造である磁気抵抗感知ユニットで構成され、非磁性絶縁層400は、磁気抵抗センサ200と熱制御層300との間に配置され、非磁性絶縁層400は、磁気抵抗センサ200を熱制御層300から電気的に絶縁するように働く。
【0015】
プログラミングするためのレーザ書き込みのプロセスは、磁気抵抗センサ200にレーザを書き込むプロセスであり、これにより磁気抵抗センサ200における反強磁性層の磁気モーメントのプログラミングを実現し、このプロセスは、プログラミングするためのレーザ書き込みの段階とも定義される。プログラミングするためのレーザ書き込みの段階では、熱伝達プロセス中の磁気抵抗センサ200の温度Tの変化率は、磁気抵抗センサ200に書き込むレーザ出力Pの大きさとともに変わり、したがって、磁気抵抗センサ200に書き込むレーザ出力の大きさを調整することは、レーザ出力とともに磁気抵抗センサ200の温度の変化率を増加または減少させることができ、温度の変化率は、dT/dPであり、それによって同じレーザ出力で磁気抵抗センサ200に書き込む温度を制御する。
【0016】
レーザが磁気抵抗センサ200に書き込まれるとき、レーザは、熱制御層300を通過する必要がある。熱制御層300が材料または厚さの点で変化する場合、レーザは、同じレーザ出力で異なる膜パラメータを有する熱制御層300を通過し、磁気抵抗センサ200に実際に書き込むレーザ出力は、それに応じてやはり変化する。これに基づいて、熱制御層300の材料または厚さを増加または減少させることにより、磁気抵抗センサ200に実際に書き込む同じレーザ出力の大きさを調整し、それによって、レーザの作用によって磁気抵抗センサ200の熱伝達を制御することができ、その結果、磁気抵抗センサ200の熱伝達は、レーザ出力の変化に応答して変化し、それによってレーザ出力とともに磁気抵抗センサ200の温度の変化率を調整し、それによって同じレーザ出力で磁気抵抗センサ200に書き込む温度を制御し、またはその逆も同様である。
【0017】
磁気抵抗センサ200に要求される温度および/または変化率と、熱制御層300の一定の膜パラメータとに従って、要求されるレーザ出力が逆に導出され、プログラミングのためのレーザ書き込み装置が、計算されたレーザ出力に従ってレーザを放出するように駆動され、レーザが熱制御層300を通して磁気抵抗センサ200に書き込まれるとき、磁気抵抗センサ200に実際に書き込まれるレーザ出力は、磁気抵抗センサ200を要求される温度の変化率および要求される温度に調整することができる。
【0018】
要するに、同じレーザの作用によって、熱制御層300の材料または厚さを増加または減少させることで、レーザ出力の大きさの変化とともに磁気抵抗センサ200の温度の変化率を増加または減少させることができ、それによって同じレーザ出力で、磁気抵抗センサ200の温度を上昇または低下させるなど、磁気抵抗センサ200の温度を調整し、それによって磁気抵抗センサ200における反強磁性層の磁気モーメントをプログラミングする。
【0019】
同様に、磁気抵抗感知ユニットは反強磁性層を有する多層薄膜スタック構造であることが分かり得る。レーザが磁気抵抗センサ200に書き込まれるとき、レーザ伝搬経路上で、レーザは、磁気抵抗センサ200における反強磁性層上に位置する各膜層を連続的に通過し、次いで反強磁性層に入る。次いで、磁気抵抗センサ200における反強磁性層上に位置し、レーザが通過する少なくとも1つの膜層の材料または厚さが、増加または減少するなど、変化する場合、磁気抵抗センサ200に実際に書き込むレーザ出力も、それに応じて変化し、その結果、磁気抵抗センサ200の熱伝達は、レーザ出力の変化に応答して変化し、それによってレーザ出力とともに磁気抵抗センサ200の温度の変化率を調整し、同じレーザ出力で磁気抵抗センサ200に書き込む温度をさらに制御し、磁気抵抗センサ200における反強磁性層の磁気モーメントをプログラミングする。
【0020】
任意選択で、レーザの波長範囲は、100nmと3000nmとの間である。レーザ出力は、磁気抵抗センサの温度を制御するためにこの範囲内で調整される。他の実施形態では、さらなる任意選択で、熱制御層は、多層薄膜スタック構造内に位置する。
【0021】
本発明の実施形態では、プログラミングするためのレーザ書き込み装置は、基板と、この基板上に位置する磁気抵抗センサと、この磁気抵抗センサ上に位置する熱制御層とを備え、非磁性電気絶縁層は、熱制御層と磁気抵抗センサとの間に設けられ、磁気抵抗センサは、磁気抵抗感知ユニットを備え、磁気抵抗感知ユニットは、反強磁性層を備える多層薄膜スタック構造であり、熱制御層のパラメータが変化し、これにより書き込みが実行されるレーザ出力とともに対応する磁気抵抗感知ユニット・アレイの温度の変化率を増加または減少させ、プログラミングするためのレーザ書き込みが同じレーザ出力で実行されるときに磁気抵抗感知ユニット・アレイの温度を上昇または低下させることができ、それによって磁気抵抗センサをプログラミングするための高精度のレーザ書き込みを達成し、磁気抵抗センサの製造欠陥を改善し、磁気抵抗センサの性能を改善し、さらに磁気抵抗センサの検出精度を改善する。
【0022】
例示として、上述した基本的解決策に基づいて、任意選択で、磁気抵抗センサは、巨大磁気抵抗(GMR)センサ、トンネル磁気抵抗(TMR)センサ、または異方性磁気抵抗(AMR)センサである。任意選択で、基板から熱制御層への方向に、多層薄膜スタック構造は、スタック状に順次配置された、シード層と、反強磁性層と、自由層と、上部電極層と、キャップ層とを備え、第1の絶縁層は、基板とシード層との間に設けられ、プログラミングするためのレーザ書き込み装置は、熱制御層、第1の絶縁層、シード層、上部電極層、およびキャップ層のうちの少なくとも1つの膜層の材料を変化させて、同じレーザ出力で磁気抵抗センサに書き込む温度を上昇または低下させるように構成され、および/またはプログラミングするためのレーザ書き込み装置は、熱制御層、第1の絶縁層、シード層、上部電極層、およびキャップ層のうちの少なくとも1つの膜層の厚さを変化させて、同じレーザ出力で磁気抵抗センサに書き込む温度を上昇または低下させるように構成される。
【0023】
図2を参照すると、本発明の一実施形態によるプログラミングするためのレーザ書き込み装置の多層薄膜スタックの概略図が示されている。図2に示されるように、任意選択で、磁気抵抗センサ200は、GMRまたはTMRセンサであり、磁気抵抗センサ200は、SAF参照層204を備える。本実施形態では、プログラミングするためのレーザ書き込み装置は、基板100と、この基板100上に位置する磁気抵抗センサ200と、この磁気抵抗センサ200上に位置する熱制御層(ヒート制御)300とを備える。非磁性絶縁層(図示せず)が、磁気抵抗センサ200と熱制御層300との間にさらに設けられることを理解されたい。任意選択で、基板100は、ウェハであるが、それらに限定されない。
【0024】
磁気抵抗センサ200は、1つまたは複数の磁気抵抗感知ユニットで構成され、磁気抵抗感知ユニットは、多層薄膜スタック構造である。基板100から熱制御層300への方向に、多層薄膜スタック構造は、第1の絶縁層201、シード層(Seed)202、反強磁性層(AFL)203、SAF参照層204、バリア層(BL)205、自由層(FL)206、上部電極層(TE)207、およびキャップ層(CAP)208を順次備える。それらの中で、SAF参照層204は、ピン止め層(PL)204a、金属層(ML)204b、および参照層(RL)204cを備える。
【0025】
図3を参照すると、本発明の一実施形態によるプログラミングするための別のレーザ書き込み装置の多層薄膜スタックの概略図が示されている。図3に示されるように、任意選択で、磁気抵抗センサ200は、GMRまたはTMRセンサである。図2との違いは、図3において、磁気抵抗センサ200のSAF参照層が参照層(RL)204を備えることである。
【0026】
図2および図3に示された磁気抵抗センサ200に関して、バリア層(BL)205が金属材料で作製された膜層であり、任意選択で、金属材料がTa、Ru、およびCuのいずれか1つまたは合金を含む場合、磁気抵抗感知ユニットは、GMR感知ユニットであり、バリア層(BL)205が非金属材料で作製された膜層であり、任意選択で、非金属材料がAlおよびMgOのうちの少なくとも1つを備える場合、磁気抵抗感知ユニットは、TMR感知ユニットである。
【0027】
図4を参照すると、本発明の一実施形態によるプログラミングするためのさらに別のレーザ書き込み装置の多層薄膜スタックの概略図が示されている。図4に示されるように、任意選択で、磁気抵抗センサ200は、AMRセンサである。図2との違いは、図4において、磁気抵抗センサ200は、SAF参照層とバリア層(BL)とを備えないことである。
【0028】
例示として、上述した基本的解決策に基づいて、任意選択で、磁気抵抗センサは、プッシュ・プル磁気抵抗センサであり、プッシュ・プル磁気抵抗センサは、プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイおよびプル磁気抵抗感知ユニット・アレイで構成され、プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイとプル磁気抵抗感知ユニット・アレイとの両方は、磁気抵抗感知ユニットで構成される。プッシュ・プル磁気抵抗センサは、フル・ブリッジ構造、半ブリッジ構造、または準ブリッジ構造である。
【0029】
図5を参照すると、本発明の一実施形態による磁気抵抗センサの概略図が示されている。図5に示されるように、磁気抵抗センサは、基板100と熱制御層との間に位置する。任意選択で、磁気抵抗センサは、プッシュ・プル磁気抵抗センサ200である。本実施形態では、プッシュ・プル磁気抵抗センサ200は、プッシュ磁気抵抗ユニット・アレイと、プル磁気抵抗ユニット・アレイとを備え、プッシュ磁気抵抗ユニット・アレイは、プッシュ磁気抵抗感知ユニット200aで構成され、プル磁気抵抗ユニット・アレイは、プル磁気抵抗感知ユニット200bで構成される。この図5に示された磁気抵抗センサは、図2に示されるようにSAF参照層を有するGMR/TMRセンサで示されるが、解析プロセスおよびその結果は、異なるSAF参照層を有するまたはSAF参照層を有さない他の磁気抵抗センサに等しくに当てはまる。
【0030】
プッシュ磁気抵抗感知ユニット200aおよびプル磁気抵抗感知ユニット200bは、同じ基板100上に位置し、プッシュ磁気抵抗感知ユニット200a上に位置する熱制御層は、プッシュ熱制御層300aであり、プル磁気抵抗感知ユニット200b上に位置する熱制御層は、プル熱制御層300bである。プッシュ磁気抵抗感知ユニット200aの多層薄膜スタック構造における反強磁性層203aと、プル磁気抵抗感知ユニット200bの多層薄膜スタック構造における反強磁性層203bとは、反対の磁気モーメント方向を有し、プッシュ磁気抵抗感知ユニット200aにおける反強磁性層203aは磁気モーメント方向+dを有し、プル磁気抵抗感知ユニット200bにおける反強磁性層203bは、磁気モーメント方向-dを有し、dは、X方向、Y方向、またはZ方向であり得る。
【0031】
プッシュ磁気抵抗感知ユニット200aおよびプル磁気抵抗感知ユニット200bにおける以下の同じ名称の膜層は、同じ材料および特性を有する。具体的には、プッシュ磁気抵抗感知ユニット200aおよびプル磁気抵抗感知ユニット200bにおけるそれぞれのピン止め層(PL)204aは、同じ材料および同じ特性を有し、その中のそれぞれの金属層(ML)204bは、同じ材料および同じ特性を有し、その中のそれぞれの参照層(RL)204cは、同じ材料および同じ特性を有し、その中のそれぞれのバリア層(BL)205は、同じ材料および同じ特性を有し、それぞれの自由層(FL)206は、同じ材料および同じ特性を有する。
【0032】
同じレーザ出力で磁気抵抗センサにおけるプッシュ磁気抵抗感知ユニット200aとプル磁気抵抗感知ユニット200bとの間の熱伝達の差を形成するために、以下の膜層設計方式の少なくとも1つが、実装され得る。
1)プッシュ磁気抵抗感知ユニット200aのキャップ層(CAP)、およびプル磁気抵抗感知ユニット200bのキャップ層208は、異なる材料および/または厚さを使用する。
2)プッシュ磁気抵抗感知ユニット200aの上部電極層(TE)、およびプル磁気抵抗感知ユニット200bの上部電極層207は、異なる材料および/または厚さを使用する。
3)プッシュ磁気抵抗感知ユニット200aのシード層(Seed)、およびプル磁気抵抗感知ユニット200bのシード層202は、異なる材料および/または厚さを使用する。
4)プッシュ磁気抵抗感知ユニット200aの第1の絶縁層、およびプル磁気抵抗感知ユニット200bの第1の絶縁層201は、異なる材料および/または厚さを使用する。
5)プッシュ磁気抵抗感知ユニット200aのプッシュ熱制御層300a、およびプル磁気抵抗感知ユニット200bのプル熱制御層300bは、異なる材料および/または厚さを使用する。
【0033】
上記の膜設計方式1)から5)のいずれか1つまたは複数の組合せを、プログラミングするためのレーザ書き込みのプロセスにおいて使用して、同じレーザ出力で書き込むときに、プッシュ磁気抵抗感知ユニット200aとプル磁気抵抗感知ユニット200bとの間の熱伝達の差を実現し、プッシュ磁気抵抗感知ユニット200aの反強磁性層(AFL)とプル磁気抵抗感知ユニット200bの反強磁性層(AFL)との間の温度の差を最終的に実現することができ、それによってプログラミングするためのレーザ書き込みのプロセスおよびパラメータを変化させ、反強磁性層の磁気モーメントの別個の書き込みを実現する。
【0034】
例示として、任意選択で、熱制御層の構成材料は、非磁性レーザ低吸収係数材料またはレーザ高吸収係数材料を含み、レーザ低吸収係数材料は、タンタル、チタン、銅、モリブデン、金、銀、アルミニウム、白金、およびスズのうちの少なくとも1つを含み、レーザ高吸収係数材料は、酸化ジルコニウム、酸化チタン、炭素膜、リン酸塩、および窒化アルミニウム・チタンのうちの少なくとも1つを含む。任意選択で、熱制御層の構成材料は、カーボン・ブラック、非磁性レーザ吸収樹脂、または非磁性レーザ吸収コーティングを含む。
【0035】
熱制御層は、空気層であり得る。代替として、熱制御層は、非磁性材料である。熱制御層を構成する非磁性材料は、Ta、Ti、Cu、Mo、Au、Ag、Al、Mo、Pt、およびSnのうちの少なくとも1つなどのレーザ低吸収係数材料を含む。代替として、熱制御層を構成する非磁性材料は、ZrO、TiO、炭素膜、リン酸塩、およびTiAlNのうちの少なくとも1つなどのレーザ高吸収係数材料を含む。熱制御層が非磁性材料で作製される場合、電気的隔絶は、電気絶縁材料を使用して熱制御層と磁気抵抗センサとの間で達成され得、すなわち、非磁性絶縁層は、それらの間に配置される。さらなる任意選択で、熱制御層の構成材料は、カーボン・ブラック、レーザ吸収樹脂、またはレーザ吸収コーティングを含み、レーザ吸収樹脂およびレーザ吸収コーティングは、ポリマー、カーボン・ブラック、および酸化物粒子の混合物を含む。
【0036】
任意選択で、プッシュ・プル磁気抵抗センサは、単軸プッシュ・プル磁気抵抗センサ、二軸プッシュ・プル磁気抵抗センサ、または三軸プッシュ・プル磁気抵抗センサである。
【0037】
任意選択で、プッシュ・プル磁気抵抗センサは、単軸プッシュ・プル磁気抵抗センサである。例えば、磁気抵抗センサは、+X磁気抵抗感知ユニット・アレイと-X磁気抵抗感知ユニット・アレイとを備えるX軸プッシュ・プル磁気抵抗センサである。代替として、+X磁気抵抗感知ユニット・アレイおよび-X磁気抵抗感知ユニット・アレイ、ならびに磁束コンセントレータは、Y軸プッシュ・プル磁気抵抗センサを形成する。代替として、+X磁気抵抗感知ユニット・アレイおよび-X磁気抵抗感知ユニット・アレイ、ならびに磁束コンセントレータは、Z軸プッシュ・プル磁気抵抗センサを形成する。代替として、+Yおよび-Y磁気抵抗感知ユニット・アレイならびに磁束コンセントレータは、Z軸プッシュ・プル磁気抵抗センサを形成する。
【0038】
任意選択で、プッシュ・プル磁気抵抗センサは、二軸プッシュ・プル磁気抵抗センサである。例えば、磁気抵抗センサは、+X、-X、+Y、および-Y磁気抵抗感知ユニット・アレイを備えるX-Y二軸プッシュ・プル磁気抵抗センサである。代替として、+X、-X、+Z、および-Z磁気抵抗感知ユニット・アレイは、X-Z二軸プッシュ・プル磁気抵抗センサを形成する。代替として、+Y、-Y、+Z、および-Z磁気抵抗感知ユニット・アレイは、Y-Z二軸プッシュ・プル磁気抵抗センサを形成する。代替として、+X、-X、+Y、および-Y磁気抵抗感知ユニット・アレイ、ならびに磁束コンセントレータは、Z軸コンパウンド・プッシュ・プル磁気抵抗センサを形成する。
【0039】
任意選択で、プッシュ・プル磁気抵抗センサは、三軸プッシュ・プル磁気抵抗センサである。例えば、磁気抵抗センサは、+X、-X、+Y、-Y、+Z、および-Z磁気抵抗感知ユニット・アレイを備えるX-Y-Z三軸プッシュ・プル磁気抵抗センサである。
【0040】
他の実施形態では、さらなる任意選択で、+Zおよび-Z磁気抵抗感知ユニット・アレイは、Z軸プッシュ・プル磁気抵抗センサを形成し、+Z磁気抵抗感知ユニット・アレイの磁気抵抗感知ユニットにおける反強磁性層は、磁化方向+Zを有し、-Z磁気抵抗感知ユニット・アレイの磁気抵抗感知ユニットにおける反強磁性層は、磁化方向-Zを有する。
【0041】
図6を参照すると、本発明の一実施形態による単軸プッシュ・プル磁気抵抗センサの概略図が示されている。本実施形態では、単軸磁気抵抗センサは、4つの電極、すなわち、Vcc、GND、V+、およびV-電極を備え、2*2アレイで配置された4つの磁気抵抗感知ユニット・アレイ200aから200dをさらに備え、4つの磁気抵抗感知ユニット・アレイ200aから200dの反強磁性層は、2つの反対の磁気モーメント方向d1およびd2を有する。それらの中で、アレイ状に斜めに配置された2つの磁気抵抗感知ユニット・アレイ200aおよび200dは、プル磁気抵抗感知ユニット・アレイとして働き、2つのアレイの反強磁性層は、同じ磁気モーメント方向d2を有し、アレイ状に斜めに配置された2つの磁気抵抗感知ユニット・アレイ200bおよび200cは、プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイとして働き、2つのアレイの反強磁性層は、同じ磁気モーメント方向d1を有する。単軸磁気抵抗センサは、2つのプッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ200bおよび200cをそれぞれ覆うプッシュ熱制御層302および303と、2つのプル磁気抵抗感知ユニット・アレイ200aおよび200dをそれぞれ覆うプル熱制御層301および304とをさらに備え、プッシュ熱制御層302および303、ならびにプル熱制御層301および304は、全て空気層である。
【0042】
他の実施形態では、さらに任意選択で、プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイは、同じ行にまたは同じ列に配置されてもよく、それに応じて、プル磁気抵抗感知ユニット・アレイは、同じ行にまたは同じ列に配置されてもよい。代替として、さらに任意選択で、プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイおよびプル磁気抵抗感知ユニット・アレイは、1*4アレイまたは4*1アレイを形成してもよく、2つのプッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイは、隣接してまたは交差して配置されてもよい。
【0043】
図6は、単軸磁気抵抗センサのダイ図を示す。他の実施形態では、さらなる任意選択で、磁気抵抗センサは、二軸磁気抵抗センサであり、二軸磁気抵抗センサは、磁気モーメント方向d1を有する反強磁性層を備えたプッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイと、磁気モーメント方向-d1を有する反強磁性層を備えたプル磁気抵抗感知ユニット・アレイと、磁気モーメント方向d2を有する反強磁性層を備えたプッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイと、磁気モーメント方向-d2を有する反強磁性層を備えたプル磁気抵抗感知ユニット・アレイとを備える。
【0044】
他の実施形態では、さらなる任意選択で、磁気抵抗センサは、三軸磁気抵抗センサであり、三軸磁気抵抗センサは、磁気モーメント方向d1を有する反強磁性層を備えたプッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイと、磁気モーメント方向-d1を有する反強磁性層を備えたプル磁気抵抗感知ユニット・アレイと、磁気モーメント方向d2を有する反強磁性層を備えたプッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイと、磁気モーメント方向-d2を有する反強磁性層を備えたプル磁気抵抗感知ユニット・アレイと、磁気モーメント方向d3を有する反強磁性層を備えたプッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイと、磁気モーメント方向-d3を有する反強磁性層を備えたプル磁気抵抗感知ユニット・アレイとを備える。
【0045】
それらの中で、磁気抵抗センサは、各次元においてフル・ブリッジ構造を有し、それに対応して、2つのプッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイと、2つのプル磁気抵抗感知ユニット・アレイとを備える。代替として、磁気抵抗センサは、各次元において半ブリッジ構造を有し、それに対応して、1つのプッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイと、1つのプル磁気抵抗感知ユニット・アレイとを備える。代替として、磁気抵抗センサは、各次元において準ブリッジ構造を有し、それに対応して、1つのプッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイと、1つのプル磁気抵抗感知ユニット・アレイとを備える。実際には、磁気抵抗センサの組み合わされた配置にかかわらず、磁気モーメントは、同じ方式のプログラミングするためのレーザ書き込みによって反強磁性層に書き込まれ得る。
【0046】
同じ発明概念に基づいて、本発明の実施形態は、プログラミングするためのレーザ書き込みシステムに基づいて実施される磁気抵抗デバイスをプログラミングするためのレーザ書き込み方法を提供し、プログラミングするためのレーザ書き込みシステムは、磁場発生装置と、上記実施形態のいずれか1つに記載のプログラミングするためのレーザ書き込み装置とを備え、プログラミングするためのレーザ書き込みシステムのプログラミングするためのレーザ書き込み方法は、
プログラミングするためのレーザ書き込みの段階において、膜層材料および膜層厚さのうちの少なくとも1つを含む、熱制御層および/または磁気抵抗センサの膜層パラメータを変化させることと、
レーザ出力とともに磁気抵抗センサの温度の変化率を調整し、同じレーザ出力で磁気抵抗センサに書き込む温度を上昇または低下させることと、を含む。
【0047】
任意選択で、磁気抵抗センサは、プッシュ・プル磁気抵抗センサであり、プッシュ・プル磁気抵抗センサは、プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイおよびプル磁気抵抗感知ユニット・アレイのグループを備え、プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイの反強磁性層は、磁気モーメント方向+diを有し、プル磁気抵抗感知ユニット・アレイの反強磁性層は、磁気モーメント方向-diを有し、iは正の整数であり、1≦i≦3である。
【0048】
プログラミングするためのレーザ書き込み方法は、磁気モーメントをプッシュ・プル磁気抵抗センサの反強磁性層に書き込むことをさらに含み、これは、反強磁性層の磁気モーメント方向+diをプッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイに書き込むこと、および反強磁性層の磁気モーメント方向-diをプル磁気抵抗感知ユニット・アレイに書き込むことを含む。
【0049】
任意選択で、反強磁性層の磁気モーメント方向+diをプッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイに書き込むことは、
各磁気抵抗感知ユニット・アレイの反強磁性層が磁気モーメント方向+diを有するように、磁場アニーリング出力をPovenにおよび温度をTwに設定し、ウェハに対して方向+di磁場熱アニーリングを実行すること、または、レーザ出力をP(+di)におよび温度をTdiに設定し、方向+di磁気モーメントをプッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイの反強磁性層に書き込むように方向+di磁場を発生させること、を含む。
【0050】
任意選択で、反強磁性層の磁気モーメント方向-diをプル磁気抵抗感知ユニット・アレイに書き込むことは、
各磁気抵抗感知ユニット・アレイの反強磁性層が磁気モーメント方向-diを有するように、磁場アニーリング出力をPovenにおよび温度をTwに設定し、ウェハに対して方向-di磁場熱アニーリングを実行すること、または、レーザ出力をP(-di)におよび温度をTdiに設定し、方向-di磁気モーメントをプル磁気抵抗感知ユニット・アレイの反強磁性層に書き込むように方向-di磁場を発生させること、を含む。
【0051】
任意選択で、Td1<Td2<Td3である。
【0052】
任意選択で、Tb<Td1<Td2<Td3<Tdであり、Tbは、磁気抵抗感知ユニット・アレイの書き込み温度であり、Tdは、磁気抵抗感知ユニット・アレイの損傷温度である。d1、d2、およびd3は、x軸、y軸、およびz軸のいずれか1つを表し、互いに正および負である軸方向を含むことを理解されたい。
【0053】
三軸磁場書き込みシステム、すなわち、プログラミングするためのレーザ書き込みシステムは、図7Aに示されるようなものである。このシステムは、X磁場6および-X磁場6(1)を発生させるためのX軸コイル5(1)と、Z磁場6(4)および-Z磁場6(5)を発生させるためのZ軸コイル5(5)と、Y磁場6(2)および-Y磁場6(3)を発生させるためのY軸コイルと、磁気モーメント方向d1を有するd1プッシュ/プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ11と、磁気モーメント方向d2を有する隣接したd2プッシュ/プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12とを備え、対応する41および42は、それぞれ、d1プッシュ/プル熱制御層およびd2プッシュ/プル熱制御層である。
【0054】
プログラミングするためのレーザ書き込み中、レーザ・スポット8は、方向9に沿って熱制御層41および42の表面上に書き込まれ、その結果、d1プッシュ/プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ11は、磁界13(0)に書き込まれ、書き込みプロセスの温度は、図7Bに示されるようなものである。レーザ出力P(+d1)でd1プッシュ/プル磁気抵抗感知ユニット・アレイに書き込むとき、その磁気抵抗感知ユニットは、温度Tw(d1)|P(+d1)を有し、ただし、Twは、反強磁性(AF)層のブロッキング温度Tbと磁気抵抗感知ユニットの損傷温度Tdとの間である。方向d1磁場を発生させるために磁場発生装置がスイッチ・オンされ、その結果、磁気モーメントが冷却中に反強磁性層に書き込まれ得る。
【0055】
さらに、隣接したd2磁気抵抗感知ユニットとd1磁気抵抗感知ユニット・アレイとの間に大きな間隔の熱的隔絶(>50um)を使用する必要がないので、隣接したd2磁気抵抗感知ユニットは、温度Tw(d2)|P(+d1)で加熱される機会を有する。温度は、d2磁気抵抗感知ユニットおよびd1磁気抵抗感知ユニットの熱伝達に依存し、任意選択でTbより低く、実際にはTbとTdとの間であり得る。これに基づいて、任意選択で、レーザは、100nmから3000nmの範囲内の波長を有し、これは、プログラミングするためのレーザ書き込みの走査シーケンス、および磁気抵抗検知ユニット・アレイ間の熱伝達の設計を満たすことができる。
【0056】
例示として、単軸プッシュ・プル磁気抵抗センサの反強磁性層の磁気モーメント方向+dおよび-dを書き込むことは、2つのステップ、すなわち、1)反強磁性層の磁気モーメント方向+dを+dプッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイに書き込むことと、2)反強磁性層の磁気モーメント方向-dを-dプル磁気抵抗感知ユニット・アレイに書き込むこととを含み得る。
【0057】
任意選択で、1)反強磁性層の磁気モーメント方向+dを+dプッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイに書き込むことは、以下の3つの方法を含む。
【0058】
方法I:図8Aに示されるように、単軸プッシュ・プル磁気抵抗センサが、磁場アニール炉7に設置され、磁場アニール炉7の熱出力はPovenに設定され、温度はTwに設定され、磁場発生装置5(1)が方向+d磁場6を発生させるために使用され、ウェハが方向+d磁気熱アニーリングを受け、その結果、基板3上に位置する+dプッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ11および-dプル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12は、方向+d磁気モーメント13(0)を得、プッシュ熱制御層41およびプル熱制御層42は機能せず、この時点で、単軸プッシュ・プル磁気抵抗センサの温度プロファイルは、図8Bに示されるようなものであり、Tw(+d)|P(oven)=Tw(-d)|P(oven)、すなわち、+dプッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ11の温度上昇Tw(+d)|P(oven)は、-dプル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12の温度上昇Tw(-d)|P(oven)に等しく、磁気抵抗感知ユニット・アレイの温度は、TbとTdとの間である。
【0059】
方法II:図9Aに示されるように、単軸プッシュ・プル磁気抵抗センサが、磁場発生装置5(1)に設置され、磁場発生装置5(1)は、方向+d磁場6を発生させ、磁場発生装置5(1)のレーザ出力はP(+d)に設定され、温度はTwに設定され、次いで、磁場発生装置5(1)によって発生させられたレーザ・スポット8が、方向9に沿って+dプッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ11および-dプル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12を走査し、その結果、基板3上に位置する各磁気抵抗感知ユニット・アレイは、方向+d磁場13(0)に書き込まれ、プッシュ熱制御層41およびプル熱制御層42は機能せず、この時点で、単軸プッシュ・プル磁気抵抗センサの温度プロファイルは、図9Bに示されるようなものであり、Tb<Tw(+d)|P(+d)<Tw(-d)|P(+d)<Tdであり、すなわち、同じレーザ出力P(+d)の作用によって、+dプッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ11の温度上昇Tw(+d)|P(+d)は、-dプル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12の温度上昇Tw(-d)|P(+d)よりも遅く、磁気抵抗感知ユニット・アレイの温度は、TbとTdとの間である。
【0060】
方法III:図10Aに示されるように、単軸プッシュ・プル磁気抵抗センサが、磁場発生装置5(1)に設置され、磁場発生装置5(1)は、方向+d磁場6を発生させ、磁場発生装置5(1)のレーザ出力はP(+d)に設定され、温度はTwに設定され、次いで、磁場発生装置5(1)によって発生させられるレーザ・スポット8が、方向9に沿って+dプッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ11を走査し、その結果、基板3上に位置する+dプッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ11は、方向+d磁場13(0)に書き込まれ、プッシュ熱制御層41およびプル熱制御層42は、機能せず、この時点で、単軸プッシュ・プル磁気抵抗センサの温度プロファイルは、図12に示されるようなものであり、+dプッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ11は、温度上昇Tw(+d)|P(+d)を有し、-dプル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12は、室温Trである温度上昇Tw(-d)|P(+d)を有する。
【0061】
任意選択で、2)反強磁性層の磁気モーメント方向-dを-dプル磁気抵抗感知ユニット・アレイに書き込むことは、以下の3つの方法を含む。
【0062】
方法I:図11Aに示されるように、レーザ・スポット8は、方向9に沿って+dプッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ11および-dプル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12を走査し、磁場発生装置5(1)のレーザ出力がP(-d)に設定され、温度がTwに設定される場合、次いで、磁場発生装置5(1)は、方向-d磁場6(0)を発生させ、-dプル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12は、方向-d磁場13(1)に書き込まれ、この時点で、図11Bに示されるように、単軸プッシュ・プル磁気抵抗センサの温度プロファイルにおいて、Tr<Tw(+d)|P(-d)<Tb<Tw(-d)|P(-d)<Tdであり、ただし、Trは室温であり、+dプル磁気抵抗感知ユニット・アレイ11は、温度上昇Tw(+d)|P(-d)を有し、-dプル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12は、温度上昇Tw(-d)|P(-d)を有する。
【0063】
方法II:図12Aに示されるように、レーザ・スポット8は、方向9に沿って-dプル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12を走査し、磁場発生装置5(1)のレーザ出力がP(-d)に設定され、温度がTwに設定される場合、次いで、磁場発生装置5(1)は、方向-d磁場6(0)を発生させ、-dプル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12は、方向-d磁場13(1)に書き込まれ、隣接した+dプッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ11の磁気モーメントは影響を受けず、その温度プロファイルは、図12Bに示されるようなものであり、Tr<Tw(+d)|P(-d)<Tb<Tw(-d)|P(-d)<Tdであり、その温度は、Tw(+d)|P(-d)で維持され、-dプル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12は、温度上昇Tw(-d)|P(-d)を有し、ただし、Trは室温である。
【0064】
例示として、二軸プッシュ・プル磁気抵抗センサの反強磁性層の磁気モーメント方向+dおよび-dを書き込むことは、4つのステップ、すなわち、1)反強磁性層の磁気モーメント方向+d1を+d1プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイに書き込むこと、2)反強磁性層の磁気モーメント方向-d1を-d1プル磁気抵抗感知ユニット・アレイに書き込むこと、3)反強磁性層の磁気モーメント方向+d2を+d2プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイに書き込むこと、および4)反強磁性層の磁気モーメント方向-d2を-d2プル磁気抵抗感知ユニット・アレイに書き込むことを含み得る。
【0065】
任意選択で、1)反強磁性層の磁気モーメント方向+d1を+d1プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイに書き込むことは、以下の3つの方法を含む。
【0066】
方法I:図13Aに示されるように、磁場アニール炉7が使用され、磁場アニール炉7の熱出力はPovenに設定され、温度はTwに設定され、その磁場発生装置5(1)は、方向+d1磁場6を発生させるために使用され、その結果、基板3上に位置する+d1プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ11および-d1プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12、ならびに+d2プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ13および-d2プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ14は、方向+d1磁気モーメント13(0)を得、+d1プッシュ熱制御層41、-d1プル熱制御層42、+d2プッシュ熱制御層43、および-d2熱制御層44は、機能せず、その温度プロファイルは、図13Bに示されるようなものであり、+d1プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ11は、温度上昇Tw(+d1)|P(oven)を有し、-d1プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12は、温度上昇Tw(-d1)|P(oven)を有し、+d2プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ13は、温度上昇Tw(+d2)|P(oven)を有し、-d2プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ14は、温度上昇Tw(-d2)|P(oven)を有し、これらは、Tb<Tw(+d1)|P(oven)=Tw(-d1)|P(oven)=Tw(+d2)|P(oven)=Tw(-d2)|P(oven)<Tdという関係を満足し、磁気抵抗感知ユニット・アレイの温度は、TbとTdとの間である。
【0067】
方法II:図14Aに示されるように、磁場発生装置5(1)が、方向+d1磁場6を発生させ、磁場発生装置5(1)のレーザ出力がP(+d1)に設定され、温度がTwに設定される場合、磁場発生装置5(1)によって発生させられるレーザ・スポット8は、方向9に沿って+d1および+d2プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ11および13と、-d1および-d2プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12および14とを走査し、磁場発生装置5(1)が、方向+d1磁場6を発生させる場合、全ての磁気抵抗感知ユニット・アレイ11から14は、方向+d1磁場13(0)に書き込まれ、その温度プロファイルは、図14Bに示されるようなものであり、Tb<Tw(+d1)|P(+d1)<T(-d1)|P(+d1)<Tw(+d2)|P(+d1)<Tw(-d2)|P(+d1)<Tdであり、すなわち、同じレーザ出力P(+d1)の作用によって、+d1プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ11の温度上昇Tw(+d1)|P(+d1)、-d1プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12の温度上昇Tw(-d1)|P(+d1)、+d2プッシュ磁気抵抗感知ユニット13の温度上昇Tw(+d2)|P(+d1)、および-d2プル磁気抵抗感知ユニット14の温度上昇Tw(-d2)|P(+d1)は、遅いものから速いものへの順に配置される。
【0068】
方法III:図15Aに示されるように、レーザ・スポット8は、方向9に沿って+d1プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ11を走査する場合、磁場発生装置5(1)は、方向+d1磁場6を発生させ、+d1プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ11は、方向+d1磁場13(0)に書き込まれ、その温度プロファイルは、図15Bに示されるようなものであり、+d1プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ11は、温度Tw(+d1)|P(+d1)を有し、隣接した-d1プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12は、温度Tw(-d1)|P(+d1)を有し、Tw(+d1)|P(+d1)は、Tw(-d1)|P(+d1)よりも遅く、これにより、磁気モーメントを磁気抵抗感知ユニットに書き込む結果となり得る。
【0069】
任意選択で、2)反強磁性層の磁気モーメント方向-d1を-d1プル磁気抵抗感知ユニット・アレイに書き込むことは、次の2つの方法を含む。
【0070】
方法I:図16Aに示されるように、レーザ・スポット8は、方向9に沿って+d1プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ11および-d1プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12、ならびに+d2プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ13および-d2プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ14を走査し、磁場発生装置5(1)は、方向-d1磁場6(0)を発生させ、-d1プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12、+d2プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ13、および-d2プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ14は、方向-d1磁場13(1)に全て書き込まれ、磁気抵抗センサの温度プロファイルは、図16Bに示されるようなものであり、Tr<Tw(+d1)|P(-d1)<Tb<Tw(-d1)|P(-d1)<Tw(+d2)|P(-d1)<Tw(-d2)|P(-d1)<Tdである。
【0071】
方法II:図17Aに示されるように、レーザ・スポット8は、方向9に沿って-d1プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12を走査し、磁場発生装置5(1)が方向-d1磁場6(0)を発生させる場合、-d1プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12のみが、方向-d1磁場13(1)に書き込まれ、隣接した+d1プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ11の磁気モーメントは影響を受けず、隣接した+d2プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ13の磁気モーメントは影響を受ける可能性があり、その温度プロファイルは、図17Bに示されるようなものであり、Tr<Tw(+d1)|P(-d1)<Tb<Tw(-d1)|P(-d1)<Tw(+d2)|P(-d1)<Tdである。
【0072】
任意選択で、3)反強磁性層の磁気モーメント方向+d2を+d2プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイに書き込むことは、次の2つの方法を含む。
【0073】
方法I:図18Aに示されるように、レーザ・スポット8は、方向9に沿って+d1プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ11および-d1プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12、ならびに+d2プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ13および-d2プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ14を走査し、磁場発生装置(ここではマークされず)は、方向+d2磁場6(2)を発生させ、+d2プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ13および-d2プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ14のみが、方向+d2磁場13(2)に書き込まれ、磁気抵抗センサの温度プロファイルは、図18Bに示されるようなものであり、Tr<Tw(+d1)|P(+d2)<Tw(-d1)|P(+d2)<Tb<Tw(+d2)|P(+d2)<Tw(-d2)|P(+d2)<Tdである。
【0074】
方法II:図19Aに示されるように、レーザ・スポット8は、方向9に沿って+d2プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ13を走査し、磁場発生装置は、方向+d2磁場6(2)を発生させ、+d2プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ13のみが、方向+d2磁場13(2)に書き込まれ、隣接した-d1プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12の磁気モーメントは影響を受けず、隣接した-d2プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ14の磁気モーメントは影響を受け、その温度プロファイルは、図19Bに示されるようなものであり、Tr<Tw(-d1)|P(+d2)<Tb<Tw(+d2)|P(+d2)<Tw(-d2)|P(+d2)<Tdである。
【0075】
任意選択で、4)反強磁性層の磁気モーメント方向-d2を-d2プル磁気抵抗感知ユニット・アレイに書き込むことは、次の2つの方法を含む。
【0076】
方法I:図20Aに示されるように、レーザ・スポット8は、方向9に沿って+d1プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ11および-d1プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12、ならびに+d2プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ13および-d2プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ14を走査し、磁場発生装置(ここではマークされず)は、方向-d2磁場6(3)を発生させ、-d2プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ14のみが、方向-d2磁場13(3)に書き込まれ、その温度プロファイルは、図20Bに示されるようなものであり、Tr<Tw(+d1)|P(-d2)<Tw(-d1)|P(-d2)<Tw(+d2)|P(-d2)<Tb<Tw(-d2)|P(-d2)<Tdである。
【0077】
方法II:図21Aに示されるように、レーザ・スポット8は、方向9に沿って-d2プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ14に沿って走査し、2つの磁場発生装置が、方向-d2磁場6(3)を発生させ、方向-d2磁気モーメント13(3)は、-d2プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ14のみに書き込まれ、隣接した+d2プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ13の磁気モーメントは影響を受け、その温度プロファイルは、図21Bに示されるようなものであり、Tr<Tw(+d2)|P(-d2)<Tb<Tw(-d2)|P(-d2)<Tdである。
【0078】
例示として、三軸プッシュ・プル磁気抵抗センサの反強磁性層の磁気モーメント方向+dおよび-dを書き込むことは、6つのステップ、すなわち、1)反強磁性層の磁気モーメント方向+d1を+d1プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイに書き込むこと、2)反強磁性層の磁気モーメント方向-d1を-d1プル磁気抵抗感知ユニット・アレイに書き込むこと、3)反強磁性層の磁気モーメント方向+d2を+d2プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイに書き込むこと、4)反強磁性層の磁気モーメント方向-d2を-d2プル磁気抵抗感知ユニット・アレイに書き込むこと、5)反強磁性層の磁気モーメント方向+d3を+d3プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイに書き込むこと、および6)反強磁性層の磁気モーメント方向-d3を-d3プル磁気抵抗感知ユニット・アレイに書き込むことを含み得る。
【0079】
任意選択で、1)反強磁性層の磁気モーメント方向+d1を+d1プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイに書き込むことは、以下の3つの方法を含む。
【0080】
方法I:図22Aに示されるように、磁場アニール炉7が使用され、その磁場発生装置5(1)は、方向+d1磁場6を発生させるために使用され、基板3上に位置する+d1プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ11および-d1プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12、+d2プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ13および-d2プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ14、ならびに+d3プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ15および-d3プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ16は全て、方向+d1磁気モーメント13(0)を得、+d1プッシュ熱制御層41および-d1プル熱制御層42、+d2プッシュ熱制御層43および-d2熱制御層44、ならびに+d3プッシュ熱制御層45および-d3熱制御層46は、機能せず、その温度プロファイルは、図22Bに示されるようなものであり、Tb<Tw(+d1)|P(oven)=Tw(-d1)|P(oven)=Tw(+d2)|P(oven)=Tw(-d2)|P(oven)=Tw(+d3)|P(oven)=Tw(-d3)|P(oven)<Tdである。
【0081】
方法II:図23Aに示されるように、レーザ・スポット8は、+d1プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ11および-d1プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12、+d2プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ13および-d2プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ14、ならびに+d3プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ15および-d3プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ16を方向9に沿って走査し、磁場発生装置5(1)は、方向+d1磁場6を発生させ、方向+d1磁気モーメント13(0)は、全ての磁気抵抗感知ユニットに書き込まれ、その温度プロファイルは、図23Bに示されるようなものであり、Tb<Tw(+d1)|P(+d1)<Tw(-d1)|P(+d1)<Tw(+d2)|P(+d1)<Tw(-d2)|P(+d1)<Tw(+d3)|P(+d1)<Tw(-d3)|P(+d1)<Tdであり、すなわち、同じレーザ出力P(+d1)の作用によって、+d1プッシュ磁気抵抗感知ユニットの温度上昇Tw(+d1)|P(+d1)、-d1プル磁気抵抗感知ユニットの温度上昇Tw(-d1)|P(+d1)、+d2プッシュ磁気抵抗感知ユニットの温度上昇Tw(+d2)|P(+d1)、-d2プル磁気抵抗感知ユニットの温度上昇Tw(-d2)|P(+d1)、+d3プッシュ磁気抵抗感知ユニットの温度上昇Tw(+d3)|P(+d1)、および-d3プル磁気抵抗感知ユニットの温度上昇Tw(-d3)|P(+d1)は、遅いものから速いものへの順に配置される。
【0082】
方法III:図24Aに示されるように、レーザ・スポット8は、方向9に沿って+d1プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ11を走査し、磁場発生装置5(1)は、方向+d1磁場6を発生させ、+d1プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ11は、方向+d1磁場13(0)に書き込まれ、図24Bに示されるように、+d1プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ11は、温度Tw(+d1)|P(+d1)を有し、隣接した-d1プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12は、温度Tw(-d1)|P(+d1)を有し、これにより、磁気モーメントを他の磁気抵抗感知ユニットに書き込むという結果になり得る。
【0083】
任意選択で、2)反強磁性層の磁気モーメント方向-d1を-d1プル磁気抵抗感知ユニット・アレイに書き込むことは、次の2つの方法を含む。
【0084】
方法I:図25Aに示されるように、レーザ・スポット8は、+d1プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ11および-d1プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12、+d2プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ13および-d2プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ14、ならびに+d3プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ15および-d3プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ16を方向9に沿って走査し、磁場発生装置5(1)は、方向-d1磁場6(1)を発生させ、-d1プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12、+d2プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ13、-d2プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ14、+d3プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ15、および-d3プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ16のみが、方向-d1磁場13(1)に全て書き込まれ、その温度プロファイルは、図25Bに示されるようなものであり、Tr<Tw(+d1)|P(-d1)<Tb<Tw(-d1)|P(-d1)<Tw(+d2)|P(-d1)<Tw(-d2)|P(-d1)<Tw(+d3)|P(-d1)<Tw(-d3)|P(-d1)<Tdである。
【0085】
方法II:図26Aに示されるように、レーザ・スポット8は、方向9に沿って-d1プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12を走査し、磁場発生装置5(1)は、方向-d1磁場6(1)を発生させ、-d1プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12のみが、方向-d1磁場13(1)に書き込まれ、隣接した+d1プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ11の磁気モーメントは影響を受けず、隣接した+d2プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ13の磁気モーメントは影響を受け、その温度プロファイルは、図26Bに示されるようなものであり、Tr<Tw(+d1)|P(-d1)<Tb<Tw(-d1)|P(-d1)<Tw(+d2)|P(-d1)<Tdである。
【0086】
任意選択で、3)反強磁性層の磁気モーメント方向+d2を+d2プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイに書き込むことは、次の2つの方法を含む。
【0087】
方法I:図27Aに示されるように、レーザ・スポット8は、+d1プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ11および-d1プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12、+d2プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ13および-d2プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ14、ならびに+d3プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ15および-d3プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ16を方向9に沿って走査し、磁場発生装置(ここではマークされず)は、方向+d2磁場6(2)を発生させ、+d2プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ13、-d2プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ14、+d3プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ15、および-d3プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ16のみが、方向+d2磁場13(2)に書き込まれ、その温度プロファイルは、図27Bに示されるようなものであり、Tr<Tw(+d1)|P(+d2)<Tw(-d1)|P(+d2)<Tb<Tw(+d2)|P(+d2)<Tw(-d2)|P(+d2)<Tw(+d3)|P(+d2)<Tw(-d3)|P(+d2)<Tdである。
【0088】
方法II:図28Aに示されるように、レーザ・スポット8は、方向9に沿って+d2プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ13を走査し、磁場発生装置は、方向+d2磁場6(2)を発生させ、方向+d2磁場13(2)は、+d2プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ13のみに書き込まれ、隣接した-d1プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12の磁気モーメントは影響を受けず、隣接した-d2プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ14の磁気モーメントは影響を受け、その温度プロファイルは、図28Bに示されるようなものであり、Tr<Tw(-d1)|P(+d2)<Tb<Tw(+d2)|P(+d2)<Tw(-d2)|P(+d2)<Tdである。
【0089】
任意選択で、4)反強磁性層の磁気モーメント方向-d2を-d2プル磁気抵抗感知ユニット・アレイに書き込むことは、次の2つの方法を含む。
【0090】
方法I:図29Aに示されるように、レーザ・スポット8は、+d1プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ11および-d1プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12、+d2プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ13および-d2プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ14、ならびに+d3プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ15および-d3プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ16を方向9に沿って走査し、磁場発生装置(ここではマークされず)が、方向-d2磁場6(3)を発生させ、-d2プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ14、+d3プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ15、および-d3プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ16のみが、方向-d2磁場13(3)に書き込まれ、その温度プロファイルは、図29Bに示されるようなものであり、Tr<Tw(+d1)|P(-d2)<Tw(-d1)|P(-d2)<Tw(+d2)|P(-d2)<Tb<Tw(-d2)|P(-d2)<Tw(+d3)|P(-d2)<Tw(-d3)|P(-d2)<Tdである。
【0091】
方法II:図30Aに示されるように、レーザ・スポット8は、-d2プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ14を方向9に沿って走査し、磁場発生装置は方向-d2磁場6(3)を発生させ、方向-d2磁気モーメント13(3)は、-d2プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ14のみに書き込まれ、隣接した+d2プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ13の磁気モーメントは影響を受けず、隣接した+d3プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ15の磁気モーメントは影響を受け、その温度プロファイルは、図30Bに示されるようなものであり、Tr<Tw(+d2)|P(-d2)<Tb<Tw(-d2)|P(-d2)<Td<Tw(+d3)|P(-d2)<Tdである。
【0092】
任意選択で、5)+d3プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイに反強磁性層の磁気モーメント方向+d3を書き込むことは、次の2つの方法を含む。
方法I:図31Aに示されるように、レーザ・スポット8は、+d1プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ11および-d1プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12、+d2プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ13および-d2プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ14、ならびに+d3プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ15および-d3プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ16を方向9に沿って走査し、磁場発生装置5(5)は方向+d3磁場6(4)を発生させ、方向+d3磁気モーメント13(4)は+d3プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ15および-d3プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ16のみに書き込まれ、その温度プロファイルは、図31Bに示されるようなものであり、Tr<Tw(+d1)|P(+d3)<Tw(-d1)|P(+d3)<Tw(+d2)|P(+d3)<Tw(-d2)|P(+d3)<Tb<Tw(+d3)|P(+d3)<Tw(-d3)|P(+d3)<Tdである。
【0093】
方法II:図32Aに示されるように、レーザ・スポット8は、方向9に沿って+d3プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ15を走査し、磁場発生装置5(5)は、方向+d3磁場6(4)を発生させ、方向+d3磁場13(4)は、+d3プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ15のみに書き込まれ、隣接した-d2プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ14の磁気モーメントは影響を受けず、隣接した-d3プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ16の磁気モーメントは影響を受け、その温度プロファイルは、図32Bに示されるようなものであり、Tr<Tw(-d2)|P(+d3)<Td<Tw(+d3)|P(+d3)<Tw(-d3)|P(+d3)<Tdである。
【0094】
任意選択で、6)反強磁性層の磁気モーメント方向-d3を-d3プル磁気抵抗感知ユニット・アレイに書き込むことは、次の2つの方法を含む。
【0095】
方法I:図33Aに示されるように、レーザ・スポット8は、+d1プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ11および-d1プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ12、+d2プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ13および-d2プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ14、ならびに+d3プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ15および-d3プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ16を方向9に沿って走査し、磁場発生装置5(5)は、方向-d3磁場6(5)を発生させ、方向-d3磁気モーメント13(5)は、-d3プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ16のみに書き込まれ、その温度プロファイルは、図33Bに示されるようなものであり、Tr<Tw(+d1)|P(-d3)<Tw(-d1)|P(-d3)<Tw(+d2)|P(-d3)<Tw(-d2)|P(-d3)<Tw(+d3)|P(-d3)<Tb<Tw(-d3)|P(-d3)<Tdである。
【0096】
方法II:図34Aに示されるように、レーザ・スポット8は、方向9に沿って-d3プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ16を走査し、磁場発生装置5(5)は、方向-d3磁場6(5)を発生させ、方向-d3磁気モーメント13(5)は、-d3プル磁気抵抗感知ユニット・アレイ16のみに書き込まれ、隣接した+d3プッシュ磁気抵抗感知ユニット・アレイ15の磁気モーメントは影響を受けず、その温度プロファイルは、図34Bに示されるようなものであり、Tr<Tw(+d3)|P(-d3)<Td<Tw(-d3)|P(-d3)<Tdである。
【0097】
上記は、本発明の好ましい実施形態および適用される技術原理に過ぎないことに留意されたい。当業者は、本発明は本明細書中の特定の実施形態に限定されないことを理解し、また当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な明らかな変更、再調整、組合せ、および置換を行うことができる。したがって、本発明は、上記の実施形態によってより詳細に説明されてきたが、本発明は、それに限定されず、本発明の概念から逸脱することなく、より多くの他の均等な実施形態を含み得、本発明の範囲は、添付の請求項の範囲によって決定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図20A
図20B
図21A
図21B
図22A
図22B
図23A
図23B
図24A
図24B
図25A
図25B
図26A
図26B
図27A
図27B
図28A
図28B
図29A
図29B
図30A
図30B
図31A
図31B
図32A
図32B
図33A
図33B
図34A
図34B
【国際調査報告】