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特表2024-508922セロトニン作動性薬に関係する障害の治療に有用なセロトニン作動性薬としてのインドール誘導体
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  • 特表-セロトニン作動性薬に関係する障害の治療に有用なセロトニン作動性薬としてのインドール誘導体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】セロトニン作動性薬に関係する障害の治療に有用なセロトニン作動性薬としてのインドール誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 403/04 20060101AFI20240220BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 31/404 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
C07D403/04 CSP
A61P43/00 121
A61P25/00
A61P25/08
A61P25/04
A61P25/14
A61P25/18
A61P25/16
A61P25/20
A61P25/22
A61P25/24
A61P25/28
A61K31/404
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553664
(86)(22)【出願日】2022-03-02
(85)【翻訳文提出日】2023-11-06
(86)【国際出願番号】 CA2022050296
(87)【国際公開番号】W WO2022183288
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】63/155,634
(32)【優先日】2021-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】522312573
【氏名又は名称】マインドセット ファーマ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スラッシ、アブデルマリク
(72)【発明者】
【氏名】アラウホ、ジョーセフ
(72)【発明者】
【氏名】ヒギンズ、ガイ アンドリュー
【テーマコード(参考)】
4C063
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB03
4C063CC06
4C063DD03
4C063EE01
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZA021
4C084ZA051
4C084ZA061
4C084ZA081
4C084ZA112
4C084ZA121
4C084ZA151
4C084ZA161
4C084ZA181
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC13
4C086GA07
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA05
4C086ZA06
4C086ZA08
4C086ZA11
4C086ZA12
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZA18
4C086ZC75
(57)【要約】
本願は、一般式(I-B)の3-アミノインドール誘導体、該誘導体の調製方法、該誘導体を含む組成物、並びに細胞内のセロトニン受容体の活性化における、及び細胞内のセロトニン受容体の活性化によって疾患、障害、又は状態を治療することにおける、前記誘導体の使用に関する。前記疾患、障害、又は状態としては、例えば、精神病、精神疾患、及びCNS障害が挙げられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I-B)の化合物又はその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/若しくはプロドラッグ:
【化1】

式中
は、水素、重水素、C~Cアルキル、C1~6アルキレンP(O)(OR、C1~6アルキレンOP(O)(OR、C(O)R、CO、C(O)N(R、S(O)R及びSOから選択され;
、R13、R14及びR15は、水素、重水素、ハロゲン及びC~Cアルキルから独立に選択され;
は、水素、重水素、CN、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルケニル、CO18、C(O)N(R18、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキニル、C~Cシクロアルキル、並びにO、S、S(O)、SO、N及びNR18から選択される1つ~2つのヘテロ部分を含む3~7員のヘテロ環から独立に選択され、ここで前記C~Cアルキル基、C~Cハロアルキル基、C~Cアルケニル基、C~Cハロアルケニル基、C~Cアルキニル基、C~Cハロアルキニル基、C~Cシクロアルキル基及び3~7員のヘテロ環基は、CN、OR18、N(R18及びSR18から独立に選択される1つ又は複数の置換基によって任意に(optionally)置換されており、そしてここで前記C~Cシクロアルキル及び3~7員のヘテロ環は、それぞれ、ハロゲン、CO18、C(O)N(R18、SO18、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cハロアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキニル、C~Cシクロアルキル、並びにO、S、S(O)、SO、N、及びNR18から選択される1つ~2つの環ヘテロ部分を含む3~6員のヘテロ環から選択される置換基によって任意に(optionally)さらに置換されており;
及びRは、水素、重水素、ハロゲン、CN、OR18、N(R18、SR18、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルケニル、CO18、C(O)N(R18、S(O)R18、SO18、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキニル、C~Cシクロアルキル、並びにO、S、S(O)、SO、N及びNR18から選択される1つ~2つのヘテロ部分を含む3~7員のヘテロ環から独立に選択され、ここで前記C~Cアルキル基、C~Cハロアルキル基、C~Cアルケニル基、C~Cハロアルケニル基、C~Cアルキニル基、C~Cハロアルキニル基、C~Cシクロアルキル基及び3~7員のヘテロ環基は、CN、OR18、N(R18及びSR18から独立に選択される1つ又は複数の置換基によって任意に(optionally)置換され、そしてここで前記C~Cシクロアルキル及び3~7員のヘテロ環は、それぞれ、ハロゲン、CO18、C(O)N(R18、SO18、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cハロアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキニル、C~Cシクロアルキル、並びにO、S、S(O)、SO、N、及びNR18から選択される1つ~2つの環ヘテロ部分を含む3~6員のヘテロ環から選択される置換基によって任意に(optionally)さらに置換されており;
Aは、水素、重水素、ハロゲン、OR19、N(R19)(R19a)、SR19、S(O)R19及びS(O)R19から選択され;
6は、水素、重水素、及びC~Cアルキルから独立に選択され;
16は、水素、重水素及びC~Cアルキルから選択され;
各R17は、重水素、ハロゲン及びC~Cアルキルから独立に選択され;
各R18は、水素、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cハロアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキニル、C~Cシクロアルキル、並びにO、S、S(O)、SO、N及びNR20から選択される1つ~2つの環ヘテロ部分を含む3~7員のヘテロ環から独立に選択され、ここで前記C~Cアルキル基、C~Cハロアルキル基、C~Cアルケニル基、C~Cハロアルケニル基、C~Cアルキニル基、C~Cハロアルキニル基、C~Cシクロアルキル基及び3~7員のヘテロ環基は、CN、OR20、N(R20及びSR20から独立に選択される1つ又は複数の置換基によって任意に(optionally)置換されており、そしてここで前記C~Cシクロアルキル及び3~7員のヘテロ環は、それぞれ、ハロゲン、CO20、C(O)N(R20、SO20、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cハロアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキニル、C~Cシクロアルキル、並びにO、S、S(O)、SO、N及びNR20から選択される1つ~2つの環ヘテロ部分を含む3~6員のヘテロ環から選択される置換基によって任意に(optionally)さらに置換されており;
19、R19a及びR20は、水素、重水素、置換若しくは無置換のC~Cアルキル、置換若しくは無置換のC~Cアルケニル、置換若しくは無置換のC~Cアルキニル、置換若しくは無置換のC~Cハロアルキル、置換若しくは無置換のC~Cシクロアルキル、置換若しくは無置換のC~Cヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換のアリール、及び置換若しくは無置換のヘテロアリールから独立に選択され;
nは、0~6から選択される整数であり、そして
ここで全ての利用可能な水素原子は、ハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子は、その代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられており、
ただし、A、R、R、R、R、R、R、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R19a及びR20のうちの1つ又は複数が、1つ又は複数の重水素を含むか、またはA、R、R、R、R、R、R、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R19a及びR20のうちの1つ又は複数が重水素である。
【請求項2】
は、水素、重水素、C~Cアルキル、C~CアルキレンP(O)(OR、C~CアルキレンOP(O)(OR、C(O)R、CO及びC(O)N(R)から選択され、ここで全ての利用可能な水素原子は、フッ素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子は、その代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
は、水素、CH、及びCHCHから選択され、ここで全ての利用可能な水素原子は、フッ素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子は、その代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
は、水素及び重水素から選択される、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
、R13、R14及びR15は、水素、重水素、ハロゲン、C~Cアルキル及びC1~4フルオロアルキルから独立に選択され、ここで全ての利用可能な水素原子は、ハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子は、その代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている、請求項1~4のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
、R13、R14及びR15は、水素、重水素、F、Br、Cl、CH、CDH、CDH、CD3、CHCH、CHCHD、CHCDH及びCDCDから独立に選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
は水素及び重水素から選択される、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
は、水素、重水素、CH、CF、CHF、CDH、CDH、及びCDから選択される、請求項1~7のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
は、CH及びCDから選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
13、R14及びR15は、水素及び重水素から独立に選択される、請求項5~9のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
16は、水素、重水素、CH、CDH、CDH、CD3、CHCH、CHCHD、CHCDH及びCDCDから選択される、請求項5~10のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
16は、水素、重水素、CH及びCDから選択される、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
13、R14及びR15は、水素、重水素及びFから独立に選択され、そしてR16は、水素、重水素、CH、及びCDから選択される、請求項5~10のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
13及びR14はどちらも重水素であり、R15は水素であり、そしてR16はCH及びCDから選択される、請求項1~13のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
17は重水素及びC~Cアルキルから選択され、ここで全ての利用可能な水素原子は、ハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な水素原子は、重水素によって任意に(optionally)置き換えられている、請求項1~14のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
nは0~4から選択される整数である、請求項1~15のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
nは0である、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
は、水素、重水素、CN、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルケニル、CO18、C(O)N(R18、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル及びC~Cハロアルキニルから選択され、ここで前記C~Cアルキル基、C~Cハロアルキル基、C~Cアルケニル基、C~Cハロアルケニル基、C~Cアルキニル基及びC~Cハロアルキニル基は、CN、OR18、N(R18及びSR18から独立に選択される1つ~3つの置換基によって任意に(optionally)置換されており、ここで全ての利用可能な水素原子は、フッ素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子は、その代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている、請求項1~17のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項19】
は水素及び重水素から選択される、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
及びRは、水素、重水素、F、Cl、Br、CN、OR18、N(R18、SR18、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルケニル、CO18、C(O)N(R18、S(O)R18、SO18、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル及びC~Cハロアルキニルから独立に選択され、ここで前記C~Cアルキル基、C~Cハロアルキル基、C~Cアルケニル基、C~Cハロアルケニル基、C~Cアルキニル基及びC~Cハロアルキニル基は、CN、OR18、N(R18及びSR18から独立に選択される1つ~3つの置換基によって任意に(optionally)置換されており、ここで全ての利用可能な水素原子は、フッ素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子は、その代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている、請求項1~18のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項21】
及びRは、水素及び重水素から独立に選択される、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
、R及びRが水素及び重水素から独立に選択されるか、または、R、R及びRはが全て水素であるか、または、R、R及びRは、全て重水素である、請求項1~20のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項23】
各R18は、水素、重水素、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cハロアルケニル、C~Cアルキニル、及びC~Cハロアルキニルから独立に選択され、ここで前記C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cハロアルケニル、C~Cアルキニル及びC~Cハロアルキニルは、CN、OR20、N(R20及びSR20から独立に選択される1つ~3つの置換基によって任意に(optionally)置換されている、請求項1~18及び20のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項24】
各R18は、水素、重水素、F、Cl、CH、CHCH、CH(CH、C(CH、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル及びC~Cハロアルケニルから独立に選択され、ここで全ての利用可能な水素原子は、フッ素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子は、その代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
各R18は、C~Cシクロアルキル並びにO、S、S(O)、SO、N及びNR20から選択される1つ~2つの環ヘテロ部分を含む3~7員のヘテロ環から独立に選択され、ここでそれぞれのC~Cシクロアルキル基及び3~7員のヘテロ環基は、CN、OR20、N(R20及びSR20から独立に選択される1つ~3つの置換基によって任意に(optionally)置換されており、また、ハロゲン、CO20、C(O)N(R20、SO20、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cハロアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキニル、C~Cシクロアルキル、並びにO、S、S(O)、SO、N及びNR20から選択される1つ~2つの環ヘテロ部分を含む3~6員のヘテロ環から選択される置換基によって任意に(optionally)さらに置換されている、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
19、R19a及びR20は、水素、重水素、CH、CF、CHF、CDH、CDH、CD3、CHCH及びCDCDから独立に選択される、請求項1~25のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項27】
Aは、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリールから選択され、ここで全ての利用可能な水素原子は、ハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子は、その代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている、請求項1~26のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項28】
Aは、水素、重水素、C1~6アルキル、OR19、NHR19及びSR19から選択され、ここで全ての利用可能な水素原子は、ハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子は、その代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている、請求項1~26のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項29】
Aは、水素、重水素及びOR19から選択される、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
19は、水素、重水素、CH、CF、CHF、CDH、CDH、CD3、CHCH及びCDCDから選択される、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
Aは、水素、重水素、OCH、OCD、OCF、及びOCHFから選択される、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
Aは、O-C1~6アルキル、O-C~Cシクロアルキル、O-C~Cシクロアルケニル、O-ヘテロシクロアルキル、O-アリール及びO-ヘテロアリールから選択され、ここで全ての利用可能な水素原子は、ハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子は、その代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられており、またはここで全ての利用可能な水素原子は、フッ素又は重水素によって任意に(optionally)置き換えられ、最も好ましくはここで全ての利用可能な水素原子は、重水素によって任意に(optionally)置き換えられている、請求項1~31のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項33】
前記式(I-B)の化合物は、式(I-B5)の化合物又はその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/若しくはプロドラッグである、請求項1に記載の化合物:
【化2】

式中:
n、R13、R14、R15、R16及びR17は、請求項1~17のうちのいずれか1項に定義するとおりであり;
ここで全ての利用可能な水素原子は、重水素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子は、その代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。
【請求項34】
前記式(I-B)の化合物は、式(I-B6)の化合物又はその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/若しくはプロドラッグである、請求項1に記載の化合物:
【化3】

式中:
、R、R、R、R15、R16、R17及びnは、請求項1~32で定義されたとおりであり;
Aは、水素、重水素及びOR19から選択され、そして
19は、C~Cアルキルであり,
ここで全ての利用可能な水素原子は、重水素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子は、その代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。
【請求項35】
19は、CF、CHF、CDH、CDH、CD3、及びCDCDから選択される、請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
前記式(I-B)の化合物は、式(I-B7)の化合物又はその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/若しくはプロドラッグである、請求項1に記載の化合物:
【化4】

式中:
、R、R、R、R13、R14、R15、R16、R17及びnは、請求項1~25のうちのいずれか1項に定義するとおりであり;
AはOR19であり、そして
19は、CF、CHF、CFH、CDH、CDH、CD3、及びCDCDから選択され,
ここで全ての利用可能な水素原子は、重水素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子は、その代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。
【請求項37】
Aは、OCD及びOCHFから選択される、請求項36に記載の化合物。
【請求項38】
前記式(I-B)の化合物は、式(I-B8)の化合物又はその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/若しくはプロドラッグである、請求項1に記載の化合物:
【化5】

式中:
A、R、R、R、R、R13、R14、R15、R17 及びnは、請求項1~25のうちのいずれか1項で定義されるとおりであり;そして
16は重水素及びC~Cアルキルから選択され、
ここで全ての利用可能な水素原子は、重水素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子は、その代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられており、
ただし、R16は重水素であるか、またはR16は重水素を含む。
【請求項39】
16は、重水素、CDH、CDH、CD3、CHCHD、CHCDH及びCDCDから選択される、請求項38に記載の化合物。
【請求項40】
16はCDである、請求項39に記載の化合物。
【請求項41】
前記式(I-B)の化合物は、以下に列挙した化合物又はその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/若しくはプロドラッグから選択される、請求項1に記載の化合物:
【表1】

【表2】

【表3】
【請求項42】
請求項1~請求項41のいずれか一項に記載の1種又は複数種の化合物及びキャリアを含む、組成物。
【請求項43】
請求項1~請求項41のいずれか一項に記載の1種又は複数種の化合物及び医薬的に許容可能なキャリアを含む、医薬組成物。
【請求項44】
生物サンプルにおける又は患者における細胞内のセロトニン受容体を活性化する方法であって、有効量の請求項1~請求項41のいずれか一項に記載の1種又は複数種の化合物を前記細胞に投与することを含む、前記方法。
【請求項45】
治療有効量の請求項1~請求項41のいずれか一項に記載の1種又は複数種の化合物を、治療を必要としている対象に投与することを含む、セロトニン受容体の活性化によって疾患、障害、又は状態を治療する方法。
【請求項46】
生物サンプルにおける又は患者における細胞内の5-HT1A及び5-HT2Aを活性化する方法であって、有効量の請求項1~請求項41のいずれか一項に記載の1種又は複数種の化合物を前記細胞に投与することを含む、前記方法。
【請求項47】
治療有効量の請求項1~請求項41のいずれか一項に記載の1種又は複数種の化合物を、治療を必要としている対象に投与することを含む、精神疾患を治療する方法。
【請求項48】
前記精神疾患は、幻覚及び妄想並びにこれらの組合せから選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記精神疾患は、不安障害;抑うつ;気分障害;精神障害;衝動制御及び嗜癖障害;薬物嗜癖;強迫性障害(OCD);外傷後ストレス障害(PTSD);ストレス応答症候群;解離症;離人症;作為症;性障害及び性別障害;及び身体症状症;並びにこれらの組合せから選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
治療有効量の請求項1~請求項41のいずれか一項に記載の1種又は複数種の化合物を、治療を必要としている対象に投与することを含む、精神病又は精神病症状を治療する方法。
【請求項51】
治療有効量の請求項1~請求項41のいずれか一項に記載の1種又は複数種の化合物を、治療を必要としている対象に投与することを含む、中枢神経系(CNS)の疾患、障害、若しくは状態、及び/又は神経の疾患、障害、若しくは状態を治療する方法。
【請求項52】
前記CNSの疾患、障害、若しくは状態、及び/又は神経の疾患、障害、若しくは状態は、神経発達疾患及び神経変性疾患を含む神経疾患、例としてアルツハイマー病;初老期認知症;老人性認知症;血管性認知症;レビー小体型認知症;認知障害;パーキンソン病、パーキンソン病関連障害、例えばパーキンソン認知症、皮質基底核変性症、及び核上性麻痺;てんかん;CNS外傷;CNS感染;CNS炎症;脳卒中;多発性硬化症;ハンチントン病;ミトコンドリア病;脆弱X症候群;アンジェルマン症候群;遺伝性運動失調症;神経耳科学的障害及び眼球運動障害;網膜の神経変性疾患、筋萎縮性側索硬化症;遅発性ジスキネジア;多動障害;注意欠陥多動性障害及び注意欠陥障害;下肢静止不能症候群;トゥレット症候群;統合失調症;自閉症スペクトラム障害;結節性硬化症;レット症候群;脳性麻痺;神経性食欲不振症(AN)及び神経性過食症等(BN)の摂食障害等の、報酬系の障害;及び過食性障害(BED)、抜毛癖、自傷性皮膚症、爪噛み;片頭痛;線維筋痛症;並びに、任意の病因の末梢神経障害、並びにこれらの組合せ、から選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
治療有効量の請求項1~請求項41のいずれか一項に記載の1種又は複数種の化合物を、治療を必要としている非ヒト対象に投与することを含む、行動障害を治療する方法。
【請求項54】
前記非ヒト対象は、神経疾患、行動上の問題、調教可能性の問題、及び/若しくはこれらの組合せを患っているイヌ又はネコである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記神経疾患、行動上の問題、調教可能性の問題が、不安、恐怖及びストレス、睡眠障害、認知障害、攻撃性、及び/又はこれらの組合せを含むがこれらに限定されない、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
セロトニン受容体の活性化による疾患、障害、又は状態の治療のために有用な他の既知の剤と組み合わせて、治療有効量の請求項1~請求項41のいずれか一項に記載の1種又は複数種の化合物を治療を必要としている対象に投与することを含む、セロトニン受容体の活性化によって疾患、障害、又は状態を治療する方法。
【請求項57】
請求項1~請求項41のいずれか一項に記載の化合物及び追加的な治療薬を含む、医薬組成物。
【請求項58】
前記追加的な治療薬は精神賦活薬である、請求項57に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、精神医学、神経生物学、及び薬物療法の分野において、セロトニン受容体の活性化によって治療される種々の状態、例えば精神疾患及び神経性の疾患、の治療のための一般式(I-B)の3-アミノ-インドール誘導体に関する。本願はさらに式(I-B)の化合物及び対応する中間体を作製する方法をさらに含む。
【背景技術】
【0002】
本願は、2021年3月2日に出願された共係属する米国仮特許出願63/155,634からの優先権の利益を主張する。この米国仮特許出願の内容はその全体が参照により本開示に取り込まれる。
【0003】
メンタルヘルス異常、あるいは精神疾患、は、抑うつ障害、不安及びパニック障害、統合失調症、摂食障害、薬物誤用障害(substance misuse disorders)、外傷後ストレス障害、注意欠陥/多動性障害、並びに強迫性障害を含むがこれらに限定されない広範囲の障害を指す。症状の重篤度は、ある個体は正常な社会的機能を不可能とする衰弱性疾患を経験するのに対し、他の個体は間欠的な繰り返されるエピソードに自らの寿命を通して悩まされる、というようにばらつく。種々の精神疾患状態の間では症状及び診断基準は部分的には別個であるが、それらの疾患の間で共通する注目すべき中間形質が存在し、しばしば併存症が存在する。具体的には、気分、認知、及び行動における変化と関連した表現型の中間形質が存在する。興味深いことに、これらの中間形質のうちの多くは神経性状態まで伸びている。例えば、注意欠陥は、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、摂食障害、薬物誤用障害、統合失調症、抑うつ、強迫性障害、外傷性脳損傷、脆弱X、アルツハイマー病、パーキンソン病、及び前頭側頭型認知症を有する患者において報告されている。
【0004】
多くのメンタルヘルス異常並びに神経性障害は、脳のセロトニン作動系の変化、機能障害、変性、及び/又は損傷によって影響され、このことは、種々の精神神経疾患及び神経性疾患の間での共通の中間形質及び併存症を部分的に説明しうる。セロトニン作動性機能を調節する多くの治療剤が市販されており、これらには、セロトニン再取り込み阻害剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、抗うつ剤、モノアミンオキシダーゼ阻害剤が含まれる。これらの治療剤は主として抑うつ障害のために開発されたものであるが、これらの治療剤のうちの多くは、アルツハイマー病及びその他の神経変性疾患における抑うつ、慢性痛、実存的苦悩(existential pain)、双極性障害、強迫性障害、不安障害、及び禁煙を含むがこれらに限定されない複数の医療適用を通じて用いられている。しかしながら、多くの場合には、市販薬はプラセボに対して限られた利益しか示さず、患者によっては作用するまでに6週間を要し得、また、睡眠障害、眠気、疲労、脱力感、血圧の変化、記憶障害、消化障害、体重増、及び性的問題を含むいくつかの副作用が付随する。
【0005】
幻覚剤神経科学の分野は、その法的地位のために限られた研究の年代の後に、近年のルネッサンスを迎えた。幻覚剤は人類に知られた最も古いクラスの精神薬理学的剤のうちの一つであり、人類学、民族薬理学、精神医学、心理学、社会学、その他を含む種々の研究分野を参照すること無しには完全に理解することはできない。幻覚剤(セロトニン作動性幻覚薬)は、知覚及び気分を変化させ、多くの認知プロセスに影響を与える強力な精神賦活性物質である。幻覚剤は一般に生理学的に安全で、依存又は嗜癖にはつながらないと考えられている。幻覚剤の起源は文書化された歴史よりも古いものであって、初期の文化で、多くの社会文化的及び儀式的な文脈において用いられた。実質的に同時期に起こった(5R,8R)-(+)-リセルグ酸-N,N-ジエチルアミド(LSD、5、スキーム1)の発見と脳内におけるセロトニンの同定の後、初期の研究は、LSD及びその他の幻覚剤がその働きについてセロトニン作動性の基礎を有する可能性について強く重点を置いた。今日では、幻覚剤は脳セロトニン5-ヒドロキシトリプタミン2A(5-HT2A)受容体における、特に重要なのは第V層における新皮質錐体細胞の尖端樹状突起状に発現した当該受容体における、アゴニスト又は部分的アゴニストであるものの、シグマ-1受容体等の他の受容体にもより低い親和性で結合する、というのがコンセンサスである。いくつかの有用な齧歯類モデルが長年にわたって開発されてきて、脳内におけるセロトニン5-HT2A受容体の活性化の神経化学的相関を解明する助けとなっており、また、幻覚剤によって直接影響される、鍵となる脳領域を同定するために種々のイメージング技術が用いられてきた。
【0006】
幻覚剤は迅速な作用発現と、その急性の影響のずっと後でも持続する効果の両方を有し、これには気分及び脳機能の変化が含まれる。長く続く効果は幻覚剤の有する特有の受容体親和性に起因し得、このことは、脳の活性を調節するのに働く神経調節系を通じての神経伝達、つまり神経可塑性、に影響を与え、そして、細胞生存を促し、神経保護的であり、脳神経免疫系を調節する。これらの長期的な神経調節的変化につながるメカニズムは、エピジェネティック修飾、遺伝子発現変化、並びにシナプス前及びシナプス後の受容体密度の調節にリンクしている。これらの、以前には研究が十分になされていなかった、幻覚剤は、新世代の神経治療学を提供しうる可能性を有しており、そこでは、治療に抵抗性の精神疾患及び神経性疾患、例えば抑うつ、外傷後ストレス障害、認知症、及び嗜癖、が弱まった薬理学的リスクプロファイルで治療可能となりうる。
【0007】
幻覚剤は危険だという一般認識が存在するが、生理的安全性の観点からは、それらは中枢神経系(CNS)薬の最も安全な既知のクラスのうちの一つである。幻覚剤は嗜癖を引き起こさず、LSD、シロシビン、又はメスカリン等(1、スキーム1)の古典的な精神薬(psychotic agent)の典型的な用量の摂取の後に過剰摂取による死は起きていない。予備的なデータは、ヒトにおける幻覚剤の投与は、効果と、安全性を最大化するために適切に対処する必要がある潜在的な有害反応との独特なプロファイルを生じることを示している。安全性の主たる懸念は、本質的に、生理学的なものではなく主に心理学的なものである。身体的な影響はばらつくものの、比較的低度(relatively insignificant)なものであり、これは強力な心理的効果を引き起こす用量においてすらそうである。シロシビンは、制御されたセッティングで投与された場合、一過性で遅延した頭痛を引き起こし、発生、継続時間、及び重篤度は用量に関連した態様で増加することがしばしば報告されてきた[Johnson et al., Drug Alcohol Depend (2012), 123(1-3):132-140]。幻覚剤を繰り返し投与すると、タキフィラキシーとして知られる非常に急速な耐性の発達が起こることが見出されており、これは、部分的には5-HT2A受容体によって媒介されると考えられている現象である。実際、いくつかの研究では、幻覚剤に対する急速な耐性は5-HT2A受容体の下方制御に相関していることが示されている。例えば、LSDの毎日投与はラット脳において5-HT2受容体密度を選択的に減少させた[Buckholtz et al., Eur. J. Pharmacol. 1990, 109:421-425. 1985; Buckholtz et al., Life Sci. 1985, 42:2439-2445]。
【化1】

スキーム1:メスカリン(1)、DMT(2)、5-MeO-DMT(3)、LSD(4)、シロシビン(5)、及びシロシン(6)の化学構造
【0008】
古典的幻覚剤及び解離性幻覚剤は、現在利用可能ないかなる治療とも異なり、急速に開始する抗うつ効果及び抗嗜癖効果を有することが知られている。無作為化された臨床対照試験により、古典的幻覚剤が有するヒトにおける抗うつ効果及び抗不安効果が確認された。ケタミンも、ヒトにおけるよく確立された抗うつ効果及び抗嗜癖効果を有しており、これは主にケタミンが有するNMDAアンタゴニストとしての働きを通じてのものである。イボガインは臨床前試験において強力な抗嗜癖能力を示しており、ロバストなヒト試験における有効性を決定するため、治験の初期ステージにある[Barsuglia et al., Prog Brain Res, 2018, 242:121-158; Corkery, Prog Brain Res, 2018, 242:217-257]。
【0009】
シロシビン(4-ホスホリルオキシ-N,N-ジメチルトリプタミン(5、スキーム1))は、C1217Pの化学式を有する。これはトリプタミンであって、シビレタケ種のマッシュルームにおける主要な精神賦活性成分のうちの1つである。シロシビンは1957年にHofmannによってシビレタケマッシュルームから最初に単離され、その後1958年にHofmannによって合成され[Passie et al. Addict Biol., 2002, 7(4):357-364]、1960年代初頭~中頃から、米国において1970年、ドイツにおいて1980年代に規制医薬品スケジュール掲載されるまでの期間、精神科及び心理学的研究において及び心理療法に用いられた[Passie 2005; Passie et al. Addict Biol., 2002, 7(4):357-364]。シロシビンの効果を探求する研究は1990年代半ばに再開され、シロシビンは現在、セロトニン作動性幻覚薬の効果の試験における使用のための好ましい化合物である[Carter et al. J. Cogn. Neurosci., 2005 17(10):1497-1508; Gouzoulis-Mayfrank et al. Neuropsychopharmacology 1999, 20(6):565-581; Hasler et al, Psychopharmacology (Berl) 2004, 172(2):145-156]。このことはおそらく、シロシビンが作用持続時間が短く、LSDよりも悪評高くないからである。このクラスの他の構成員と同様に、シロシビンは、感情不安定性等の、知覚、認知、及び感情におけるときどきは重度である変化を誘導する。
【0010】
ヒト及びその他の哺乳類において、シロシビンは活性代謝物であるシロシンあるいは4-ヒドロキシ-N,N-ジメチルトリプタミン(6、スキーム1)へと変換される。シロシンが、ヒト及び非ヒト動物におけるシロシビンの主観的影響及び心理学的影響のうちのほとんどを部分的又は完全に生み出している可能性が高い。最近、ヒトでのシロシビン研究により、シロシビン及びシロシンの5-HT2A活性が確認され、このことは5HT2A活性を通じてのドーパミンに対する間接的効果及び他のセロトニン受容体における可能な活性についてのいくらかのサポートを与える。実際、幻覚剤の作用における他の受容体の関与についての最も一貫性のある発見は5-HT1A受容体である。このことは、この受容体において顕著な親和性及び機能的効力を一般に有するトリプタミン及びLSDの場合に特に当てはまる。5-HT1A受容体が皮質錐体細胞上で5-HT2A受容体と共局在することが知られている[Martin-Ruiz et al. J Neurosci. 2001, 21(24):9856-986]。そこでは、これら2つの受容体のタイプは逆の機能的効果を有する[Araneda et al. Neuroscience 1991, 40(2):399-412]。
【0011】
5-HT2A受容体及び他の5-HT2受容体ファミリー構成員の正確な役割は扁桃体についてはよく分かっていないものの、5-HT2A受容体が感情応答において重要な役割を果たし、5-HT2Aアゴニスト幻覚剤の作用において考慮すべき重要なターゲットであることは明らかである。実際、既知の5HT2Aアゴニストの大半はヒトで幻覚作用を生み出し、シロシビン-LSD間のように、齧歯類は1つの5HT2Aアゴニストから他の5HT2Aアゴニストへと一般化する[Aghajanian et al., Eur J Pharmacol., 1999, 367(2-3):197-206; Nichols at al., J Neurochem., 2004, 90(3):576-584]。シロシビンはラットの受容体に対するよりもヒトの5HT2A受容体に対してより強い親和性を有し、5HT2A受容体と5HT2C受容体の両方についてLSDよりも低いKiを有する。さらに、ラットにおける一連の薬物識別試験からの結果は、5HT1Aアンタゴニストではなく5HT2Aアンタゴニストが、ラットがシロシビンを認識するのを防止したことを見出した[Winter et al., Pharmacol Biochem Behav., 2007, 87(4):472-480]。LSD及びシロシビンの毎日投与はラット脳における5HT2受容体密度を減少させる。
【0012】
1960年代及び1970年代における臨床試験は、シロシビンが「知覚、気分、及び思考における顕著な変化、時間、空間、及び自身の経験における変化」等の主観的症状を有する変化した意識状態を生み出すことを示した。シロシビンは選択的心理障害の疾病原因の理解のための実験研究において用いられ、心理治療面で能力を示した [Rucker et al., Psychopharmacol., 2016, 30(12):1220-1229]。シロシビンは幻覚を生み出す娯楽的薬物として次第に人気になり、結局1970年にスケジュール1の規制薬物に分類された。幻覚剤の乱用に対する恐れはこの領域で行われる研究の大きな減少につながり、これは1990年代までそうだった。1990年代には、安全な投与のための条件が確立され、シロシビンのヒトでの研究が復活した[Johnson et al., Psychopharmacol., 2008, 22(6):603-620]。今日では、シロシビンは、その相対的な安全性、ほどほどに長い活性持続時間、及び対象における良好な吸収のため、ヒトでの試験において最も広く用いられている幻覚剤の1つである。最近の研究は、神経症性障害、アルコール依存、病状末期のがん患者における抑うつ、強迫性障害、嗜癖、不安、外傷後ストレス障害、及びさらには群発頭痛においてさえ、様々な程度の成功を示してきたため、シロシビンについての強い研究及び治療可能性が依然として存在する。シロシビンは、精神障害の新たな治療の開発のための精神病モデルとしても有用でありうる[Dubovyk and Monahan-Vaughn, ACS Chem. Neurosci., 2018, 9(9):2241-2251]。
【0013】
この分野での最近の刺激的な発展は臨床研究の分野で起こり、そこでは、治療抵抗性の大うつ病性障害及びがん関連心理社会的苦悩を有する患者におけるシロシビン補助心理療法の、いくつかの二重盲検プラセボ対照第2相試験が不安及び抑うつに対して先例の無いポジティブな軽減を示した。シロシビン補助心理療法の2つの最近の小規模パイロット試験でも、アルコール嗜癖及びニコチン嗜癖の両方を治療する上でのポジティブな利益が示された。最近では、幻覚剤の投与後のヒトにおけるインビボ脳イメージングのために血中酸素レベル依存磁気共鳴機能画像法及び脳磁気造影法が用いられてきており、結果は、静脈内投与されたシロシビン及びLSDが脳のデフォールトモードネットワークの領域における振動パワーの減少を生み出したことを示している[Nichols DE. Pharmacol Rev. (
2016) 68(2):264-355]。
【0014】
陽電子放出断層撮影(PET)を用いた予備的な試験は、健康な参加者においてシロシビン摂取(経口で15又は20mg)が前頭におけるグルコースの絶対代謝速度を増加させ、他の皮質領域において並びに線条体及び辺縁系皮質下構造においてはより少ない程度で増加させたことを示し、このことは、シロシビンの鍵となる行動上の効果のいくつかは前頭皮質が関わることを示唆している[Gouzoulis-Mayfrank et al., Neuropsychopharmacology, 1999, 20(6):565-581; Vollenweider et al., Brain Res. Bull. 2001, 56(5):495-507]。5HT2Aアゴニズムは古典的な幻覚剤の主たる作用であると広く認識されているが、シロシビンは広範囲の他の前シナプス及び後シナプスセロトニン及びドーパミン受容体への、並びにセロトニン再取り込み輸送体への、より弱い親和性を有している[Tyls et al., Eur. Neuropsychopharmacol. 2014, 24(3):342-356]。シロシビンは5HT1A受容体を活性化し、このことは抗うつ/抗不安効果に寄与しうる。
【0015】
抑うつ及び不安は、世界中における最も一般的な精神障害のうちの2つである。抑うつは、気分障害並びにその他の症状、例えば無快感症、精神運動性愁訴、罪の感覚、注意欠如、及び自殺傾向、のエピソードによって特徴付けられる多面的状態であり、これらの症状は全て、重篤性に幅がある。世界保健機関によると、主流の抗うつ剤の発見は抑うつの管理に大きな革命を起こしたが、依然、約60%までの患者は不十分に治療されているままである。これはしばしば、薬の遅延治療効果(一般的に治療開始から6週)、服薬非遵守につながる副作用、又は元々そうした薬に非応答性であるためである。同様に、不安障害は強烈な心理社会的苦悩及びサブタイプに応じたその他の症状により特徴付けられる病因学的に複雑な障害の集合である。生命を脅かす疾患に関連する不安は、幻覚剤補助療法の点で研究された唯一の不安サブタイプである。この形の不安は、がんなどの生命を脅かす疾患と診断された個人のうち40%までに影響する。これは、不快な感覚又は緊張という身体的症状を伴う、将来の危険又は不運に関する心配として現れ、しばしば抑うつと共在する。これには、低下した生活の質、減少した治療アドヒアランス、延長した入院、増加した能力障害、及び無希望が付随し、これらは総体として減少した生存率に寄与する。薬理学的及び心理社会的介入はこのタイプの不安に対処するために一般的に用いられているが、それらはしばしば満足のいく感情上の救済を与えるのに失敗するというように、その有効性は混合性で限られたものである。幻覚剤補助療法の使用についての最近の関心は、従来の方法で非効率的に対処されている抑うつ及び不安を有する患者に対する有望な代替策を表しうる。
【0016】
一般に、幻覚剤治療モデルは、経口で活性な薬剤を投与して幻覚剤の種類に応じて4~9時間続く神秘的経験を誘導することからなる[Halberstadt, Behav Brain Res., 2015, 277:99-120; Nichols, Pharmacol Rev., 2016, 68(2): 264-355]。このことは、参加者が困難な感情及び状況を克服及び統合することを可能とし、永続的な抗うつ効果及び抗不安効果につながる。シロシビン及びLSDなどの古典的幻覚剤は有力な候補として現在研究されている。古典的幻覚剤を用いた、生命を脅かす疾患に付随する抑うつ及び不安の治療のための1つの試験では、支持的セッティングにおいて、シロシビン及びLSDが顕著で持続性の抗うつ効果及び抗不安効果を一貫して生み出したことが見られた。
【0017】
幻覚剤治療は一般によく耐容され、持続する悪影響が無い。その作用メカニズムについては、それはセロトニン受容体アゴニズムを通して生化学的に、また、心理的柔軟性に寄与する有意義なサイコスピリチュアルな経験を生み出すことによって心理学的に、自らの主要な治療効果を媒介する。不安及び気分障害に対する現在の治療の成功率が限られていること、並びにこれらの状態に付随する高い罹患率を考慮すると、従来の方法では不十分にしか対処されなかった患者において幻覚剤が症状軽減を与える可能性が存在する。
【0018】
さらなる新たに生じた臨床研究及びエビデンスは、幻覚剤補助療法は難治性薬物使用障害及びメンタルヘルス状態についての代替的な治療としての可能性を示し、既存の手法が限られた成功しか産まなかったクライシスにおける重要なツールとなりうる。直近25年間に発行された治験についての最近の体系的レビューは古典的幻覚剤の抗うつ、抗不安、及び抗嗜癖効果のいくつかについて概説している。それらのなかで、LSD療法の無作為化比較対照試験のメタ分析及びアルコール使用障害を治療するためのシロシビン補助療法の最近のパイロット試験からの知見は勇気づけられるものであった[dos Santos et al., Ther Adv Psychopharmacol., 2016, 6(3):193-213]。同様に勇気づけられることとして、タバコ使用障害に対するシロシビン補助療法についての最近のパイロット試験からの知見があり、当該試験は6ヶ月の追跡では80%の禁煙率、12ヶ月の追跡では67%の禁煙率を示し[Johnson et al., J Drug Alcohol Abuse 2017, 43(1):55-60; Johnson et al., 2014, Psychopharmacol. 2014, 28(11):983-992]、そのような割合はタバコ禁煙文献に記載されたいずれよりも顕著に高いものである。特筆すべきこととして、シロシビンセッションから生み出される神秘的種類の体験は、ポジティブな治療成績と有意に相関していた。これらの結果は、治療抵抗性抑うつ及び終末期不安に対するシロシビン補助療法の有効性についての支持を与える最近の治験からの急増するエビデンスとも合致する[Carhart-Harris et al. Neuropsychopharmacology, 2017 42(11):2105-2113]。オピオイド使用障害(OUD)に対する幻覚剤補助療法の潜在的な利益についての研究が現れ始めており、累積しつつあるエビデンスはこの線での調査を進める必要を支持している。先の無作為化治験から利用可能なエビデンスはOUDの治療についての有望な役割を示唆している:ヘロイン嗜癖に対して高用量のLSD補助療法を受けている参加者及び高用量のケタミン補助療法を受けている参加者においては、対照と比較してより高い割合での薬物離脱が長期追跡において観察された。最近では、4万4千人の個人による米国での大規模な集団試験では、幻覚剤の使用は、次の年において、DSM-IV評価基準での定義によれば40%低下したオピオイド乱用リスク及び27%低下したオピオイド依存性リスクを伴ったことが見られた[Pisano et al., J Psychopharmacol., 2017, 31(5):606-613]。同様に、幻覚剤使用の保護的な緩和効果が、社会的に取り残された女性の間での処方オピオイド使用と自殺リスクとの間の関係において見られた[Argento et al., J. Psychopharmacol., 2018, 32(12):1385-1391]。古典的な幻覚剤を用いた場合のこれらの予備的な知見からの期待にもかかわらず、幻覚剤の毒性の可能性を考えると、それがオピオイドクライシス反応に対していかなる貢献をし得るのか決定するためにさらなる研究が正当化される。一方、心理障害及び薬物使用障害の治療についてのシロシビンの安全性及び有効性についての成長を続けるエビデンスは、OUDに対する新規の介入としてのシロシビンの使用についてのさらなる臨床研究の動機を与えることを助けるものとなろう。
【0019】
幻覚剤の通常用量は睡眠障害をも改善する。睡眠障害は抑うつ患者において高度に広がっており、抑うつ患者のうち80%超が睡眠の質が良くないことの愁訴を有している。睡眠症状はしばしば第一選択治療では解決できず、再燃及び再発のより大きなリスクを伴う。興味深いことに、睡眠問題はしばしば他の抑うつ症状の前に現れ、再発抑うつにおけるエピソードの開始より前に主観的な睡眠の質が悪化する。悪い睡眠スコア及びより高いうつ症状スコアに対する増加した機能的結合性を有する脳領域は、感情のプロセシングに関与する領域である前頭前野及び辺縁系領域を含んでいた。健康な参加者における睡眠の妨害は、気分、感情評価プロセス、及び感情的刺激に対する脳の反応性に睡眠が実際に関与していることを示した。マイナスの気分の増加、及び、気分とは独立して起こる、中性の刺激を誤ってマイナスのものとラベルしてしまうことは、例えば1つの試験において示され、他の試験ではマイナスの刺激及びプラスの刺激の両方に応答して辺縁系脳領域における増幅された反応性が示された。睡眠の間の脳波記録(EEG)上の脳活動を評価した2つの他の試験では、LSD等の幻覚剤が睡眠パターンに良い影響を与えることが示された。加えて、一晩を部分的に、あるいは完全に一晩睡眠を剥奪することは、抑うつの症状を緩和することが示されているが、これはクロック遺伝子の発現の改変を通じて概日リズムをリセットすることによるものであることが示唆される。幻覚剤の一回投与は睡眠/覚醒サイクルの基底となる生物学的時計のリセットを生じ、それにより抑うつの人々における認識-感情プロセスを増強し、しかも、健康な個人において幸福感を改善し、気分を向上することがさらに示唆されている[Kuypers, Medical Hypotheses, 2019, 125:21-24]。
【0020】
重篤又は末期の病気及び関連する精神的病を有する患者における幻覚剤処置の治療的使用を研究した1960年~2018年の治験の体系的メタ解析では、幻覚剤による治療(ほとんどのものはLSDによる)はがんに関係した抑うつ、不安、及び死への恐怖を改善し得ることが見出された。2011年~2016年には4つの無作為化比較対照治験が公表され、これらはほとんどがシロシビン処置を用いたものであり、そこでは、幻覚剤補助療法は、がんに関係した心理的及び実存的苦悩における迅速で強靱な持続性の改善を生み出すことができることが示された[Ross, Int. Rev. Psychiatry, 2018, 30(4):317-330]。したがって、腫瘍学及び緩和ケアの分野における幻覚剤の使用はいくつかの理由で興味をそそる。第1に、がん又はその他の生命を脅かす病気に直面した多くの患者は、人生における意義あるいは目的の喪失に関係した重大な実存的苦悩を経験し、この苦悩には、絶望感、堕落、無力感、知覚される重荷感(burdensomeness)、及び早まった死への希求が伴いうる。これらの特徴は、しばしば、臨床的に有意な不安及び抑うつの核に位置するものでもあり、この患者集団における生活の質を大きく減じうる。それらの形態の苦悩を軽減することは、緩和ケアの中心的目標に含まれるべきである。したがって、がんに関係した実存的苦悩に対するいくつかのマニュアル化された心理療法が近年開発され、尊厳及び意義の形成に重きを置いている。しかし、現在のところ実存的苦悩それ自体に対する薬理学的介入は存在せず、がんを有する患者においてうつ症状に対する利用可能な薬理学的治療はプラセボに対する優位性を示していない。これらの状態に対するさらなる効果的な治療への必要性が依然として存在する[Rosenbaum et al., Curr. Oncol., 2019, 26(4): 225-226]。
【0021】
口語ではマイクロドージングと称される、シロシビン及びLSD等の幻覚剤についての新たな投薬パラダイムに対する大きくなり続ける関心が近年、存在してきた。このパラダイムでは、認識用量未満(sub-perceptive)の用量のセロトニン作動性幻覚剤-これは完全な用量のおよそ10%以下である-が、毎日1回、2日毎、又は3日毎等というより一貫した基礎で服用される。この投薬パラタイムは薬理学的ケアにおける現在の標準とより一貫性があるだけでなく、アルツハイマー病及びその他の神経変性疾患、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害等の特定の状態について、並びに、高齢者、若齢者、及び幻覚剤補助療法を恐れている又はこれに反対している患者等の特定の患者集団について、特に利益をもたらしうる。さらに、この手法は、認知障害を管理し、神経変性を防止するのに特によく適している可能性がある。例えば、幻覚発現用量と関連した古典的な震え(wet dog shake)行動反応を誘発する閾値未満のシロシビン投薬の後に、注意力が低く、やる気も低いラットの亜集団は5選択反応時間(5 choice serial reaction time)及びプログレッシブ比課題(progressive ratio tasks)のそれぞれについて改善した成績を示した(Blumstock et al., WO 2020/157569 A1)。同様に、5HT2Aアゴニストの幻覚発現用量での患者の治療は、増加した脳由来神経栄養因子(BDNF)及びmTOR経路の活性化を伴い、これらは、神経可塑性を促進すると考えられ、また、認知症及びその他の神経変性障害の治療のための分子標的として働くとの仮説が作られている((Ly et al. Cell Rep., 2018; 23(11):3170-3182))。さらに、いくつかのグループは、低い、幻覚を発現せず、また精神異常を発現しない用量の5HT2Aアゴニストも類似の神経保護効果及び増加した神経可塑効果(神経可塑性産生剤(neuroplastogens))並びに減少した神経炎症を示すことを示したが、このことは、神経変性疾患及び神経発達疾患の両方及び慢性障害において利益となりうる((Manfredi et al., WO 2020/181194, Flanagan et al., Int. Rev. Psychiatry, 2018, 13:1-13; Nichols et al., 2016, Psychedelics as medicines; an emerging new paradigm))。この、繰り返しの、より低い用量のパラダイムは、これらの化合物の有用性をさらなる適応症に拡張し得、ウェルネス用途にも有用であることを示しうる。
【0022】
5-メトキシ-N,N-ジメチルトリプタミン(5-MeO-DMT;3、スキーム1)は、C1318Oの化学式を有し、最も一般的にはコロラドリバーヒキガエル(Sonoran Desert toad)であるIncilius alvariusの耳下腺分泌物における主要な精神賦活成分として同定されたトリプタミン天然成分であり、種々の植物、低木、及び種子中に低濃度で存在する[Uthaug, M. V. et al., Psychopharmacology 2019, 236:2653-2666; Weil et al., J. Ethnopharmacol. 1994, 41(1-2):1-8]。N,N-ジメチルトリプタミン(DMT;2、スキーム1)は、C1215の化学式を有し、最も一般的にはAcacia属、Desmodium属、Mimosa属、Virola属、Delosperma属、及びPhalaris属などの種々の天然植物及びつる植物(vines)の主要な精神賦活性成分として同定されたトリプタミン天然成分である。これらの材料を、それらが有する精神賦活特性のために、ヒトが摂取したことは、数百年にわたり報告されてきた[Agurell et al., Acta Chem. Scand. 1969, 23(3):903-916; Torres et al., Haworth Herbal Press: New York, 2014]。
【0023】
5-MeO-DMTは、中枢神経系で発言するほとんどのセロトニン受容体亜種を通して、マイクロモル未満(sub-micromolar)の結合親和性を示しており、ヒトの5-HT1A(3±0.2nM)受容体亜種に対して、5-HT2A(907±170nM)受容体亜種と比べて焼く300倍の選択制を有する[Halberstadt et al., Psychopharmacology, 2012, 221(4):709-718]。DMTは、5-HT1A(0.075nM)に対し、5-HT2A(0.237nM)と比べて3倍を超える結合親和性を有する。データは、5HT2A活性化と相乗的な態様で、幻覚剤が奏する主観的効果及び行動面の効果に寄与する上で重要な役割も担い得ることを示した。5-MeO-DMT及びDMTとは対照的に、シロシン(シロシビンの活性代謝物)は、ヒト5-HT2A受容体に対して(107nM)、5-HT1A(567nM)と比べて約5倍選択性が高い[Sherwood et al., ACS Omega, 2020, 5(49):32067-32075]。
【0024】
5-MeO-DMTの摂取は、DMTなどの他の幻覚剤に典型的に付随する色鮮やかな幾何学的幻視を一般的に欠くことにつながることが報告されている。また、5-MeO-DMT及びDMTはどちらも、臨床的な精神衛生状態を治療する上で役立ち得ることも示唆されている[Barsuglia et al. Front. Psychol. 2018, 9:2459; Davis et al., Am. J. Drug Alcohol Abuse, 2019, 45(2):161-169; Malcolm et al., Mental Health Clinician, 2017, 7(1):39-45; Uthaug, M. V. et al., Psychopharmacology 2019, 236:2653-2666]。これらのデータは、5-MeO-DMT及びDMTはシロシビンによって生み出されるものと同等又はそれを超える強度の神秘的体験を生み出すが、その効果の持続時間はより短く、投与の経路に応じて10分から60分続くものであることを示している。
【0025】
したがって、5-MeO-DMT及びDMTは、以前の臨床試験された幻覚剤、特にシロシビン及びLSD、と比べて薬力学的に特異であるように見受けられ、現代の幻覚剤を用いた比較臨床試験において有用な比較基準(comparator)を与えることができ、それによってそれらの作用形態をよりよく理解することができる。シロシビンとは異なり、DMT及び5-MeO-DMTなどの幻覚性トリプタミンは、モノアミンオキシダーゼによる急速な初回通過代謝を受け、したがって、経口的に活性ではない[Mckenna, D. J. et. al., J. Ethnopharmacol., 1984, 12(2):179-211]。非経口的に摂取された場合、それらは、シロシビンによって生み出される効果の5~8時間という持続時間と比べて顕著に短い作用持続時間を示し、典型的には1時間未満である。
【0026】
5-MeO-DMT及びDMTは、短い作用持続時間及びおそらくは顕著な5-HT2A受容体選択性を有するがために、他の臨床試験された幻覚剤と比べて特異な薬力学的性質及び薬物動態適正質を有する。これらの特徴は、ヒトにおける比較臨床試験におけるよりポジティブな治療成績と相関し得、より短い作用持続時間は、幻覚剤支援精神療法の中で、患者が医院で費やす時間を減少させることを助ける。この仮説を試験し、また5-MeO-DMT及びDMTの精神治療上の有用性についてよりよく理解するために、医薬品原薬(API)の調製の際には、効力(potency)、純度、及び強度(strength)を確実にするための適切な制御が必要とされる。本願は、5-MeO-DMT及びDMTに関係する次世代の短時間作用幻覚性医薬を薬理学的に最適化することを目標として、これら化合物両方の新規のアナログを報告する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0027】
本願は、一般構造式(I-B)を有する化合物又はその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/若しくはプロドラッグを包含する。
【化2】

式中、
は、水素、重水素、C~Cアルキル、C1~6アルキレンP(O)(OR、C1~6アルキレンOP(O)(OR、C(O)R、CO、C(O)N(R、S(O)R及びSOから選択され;
、R13、R14及びR15は、水素、重水素、ハロゲン及びC~Cアルキルから独立に選択され;
は、水素、重水素、CN、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルケニル、CO18、C(O)N(R18、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキニル、C~Cシクロアルキル、並びにO、S、S(O)、SO、N及びNR18から選択される1つ又は2つのヘテロ部分を含む3~7員のヘテロ環から独立に選択され、ここで前記C~Cアルキル基、C~Cハロアルキル基、C~Cアルケニル基、C~Cハロアルケニル基、C~Cアルキニル基、C~Cハロアルキニル基、C~Cシクロアルキル基及び3~7員のヘテロ環基は、CN、OR18、N(R18及びSR18から独立に選択される1つ又は複数の置換基によって任意に(optionally)置換されており、またここで前記C~Cシクロアルキル及び3~7員のヘテロ環は、それぞれ、ハロゲン、CO18、C(O)N(R18、SO18、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cハロアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキニル、C~Cシクロアルキル、並びにO、S、S(O)、SO、N、及びNR18から選択される1つ又は2つの環ヘテロ部分を含む3~6員のヘテロ環から選択される置換基によって任意に(optionally)さらに置換され;
及びRは、水素、重水素、ハロゲン、CN、OR18、N(R18、SR18、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルケニル、CO18、C(O)N(R18、S(O)R18、SO18、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキニル、C~Cシクロアルキル、並びにO、S、S(O)、SO、N及びNR18から選択される1つ又は2つのヘテロ部分を含む3~7員のヘテロ環から独立に選択され、ここで前記C~Cアルキル基、C~Cハロアルキル基、C~Cアルケニル基、C~Cハロアルケニル基、C~Cアルキニル基、C~Cハロアルキニル基、C~Cシクロアルキル基及び3~7員のヘテロ環基は、CN、OR18、N(R18及びSR18から独立に選択される1つ又は複数の置換基によって任意に(optionally)置換されており、そしてここで前記C~Cシクロアルキル及び3~7員のヘテロ環は、それぞれ、ハロゲン、CO18、C(O)N(R18、SO18、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cハロアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキニル、C~Cシクロアルキル、並びにO、S、S(O)、SO、N、及びNR18から選択される1つ又は2つの環ヘテロ部分を含む3~6員のヘテロ環から選択される置換基によって任意に(optionally)さらに置換され;
Aは、水素、重水素、ハロゲン、OR19、N(R19)(R19a)、SR19、S(O)R19及びS(O)R19から選択され;
は、水素、重水素、及びC~Cアルキルから独立に選択され;
16は、水素、重水素及びC~Cアルキルから選択され;
各R17は、重水素、ハロゲン及びC~Cアルキルから独立に選択され;
各R18は、水素、重水素、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cハロアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキニル、C~Cシクロアルキル、並びにO、S、S(O)、SO、N及びNR20から選択される1つ~2つの環ヘテロ部分を含む3~7員のヘテロ環から独立に選択され、ここで前記C~Cアルキル基、C~Cハロアルキル基、C~Cアルケニル基、C~Cハロアルケニル基、C~Cアルキニル基、C~Cハロアルキニル基、C~Cシクロアルキル基及び3~7員のヘテロ環基は、CN、OR20、N(R20及びSR20から独立に選択される1つ又は複数の置換基によって任意に(optionally)置換されており、そしてここで前記C~Cシクロアルキル及び3~7員のヘテロ環は、それぞれ、ハロゲン、CO20、C(O)N(R20、SO20、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cハロアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキニル、C~Cシクロアルキル、並びにO、S、S(O)、SO、N及びNR20から選択される1つ~2つの環ヘテロ部分を含む3~6員のヘテロ環から選択される置換基によって任意に(optionally)さらに置換され;
19、R19a及びR20は、水素、重水素、置換若しくは無置換のC~Cアルキル、置換若しくは無置換のC~Cアルケニル、置換若しくは無置換のC~Cアルキニル、置換若しくは無置換のC~Cハロアルキル、置換若しくは無置換のC~Cシクロアルキル、置換若しくは無置換のC~Cヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換のアリール、及び置換若しくは無置換のヘテロアリールから独立に選択され;
nは0~6の整数から選択され、そしてここで、全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられ、
ただし、A、R、R、R、R、R、R、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R19a及びR20のうちの1つ又は複数が、1つ若しくは複数の重水素を含むか、またはA、R、R、R、R、R、R、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R19a及びR20のうちの1つ又は複数が重水素である。
【0028】
いくつかの実施形態では、式(I-B)の化合物及びその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/若しくはプロドラッグは、重水素で同位体濃縮されている。これらの実施形態の態様では、A、R、R、R、R、R、R、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20のうちの1つ又は複数が、任意に(optionally)、重水素を含む。
【0029】
あるさらなる実施形態では、本願の化合物は医薬として用いられる。したがって、本願は、医薬としての使用のための本願の化合物をも含む。
【0030】
本願は、生物学的サンプルにおけるあるいは患者における細胞内のセロトニン受容体を活性化する方法であって、有効量の1種又は複数種の本願の化合物を前記細胞に投与することを含む方法、を含む。
【0031】
本願は、精神病又は精神病症状の治療を必要とする対象に、治療有効量の1種又は複数種の本願の化合物を投与することを含む、精神病又は精神病症状を治療する方法も含む。
【0032】
本願は、精神疾患の治療を必要とする対象に、治療有効量の1種又は複数種の本願の化合物を投与することを含む、精神疾患を治療する方法も含む。
【0033】
本願はさらに、本願の化合物を調製するプロセスも提供する。一般的プロセス及び具体的プロセスは、以下でより詳細に説明され、また、後述の実施例で記載される。
【0034】
本願のその他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明及び具体例は、本願の実施形態を示すものではあるものの、例示として与えられるのみであって、特許請求の範囲はこれらの実施形態により制限されず、開示全体と整合する最も広い解釈が与えられるべきことは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本願は添付の図面及び表を参照して以降でより詳細に記載される。ここで、
【0036】
図1図1は、雄のC57BL6マウスにおける頭部痙攣反応(HTR)に対する、種々の用量の式I-Bの例示化合物I-B-1の効果を示すグラフである。マウスは、化合物I-B-1(0.03~10mg/kg)によって、皮下注射(SC)ルートで処置され、1時間の期間にわたって頭部痙攣の総数を記録した。データは、平均±平均の標準誤差(SEM)で表される。
【発明を実施するための形態】
【0037】
I. 定義
他に断りが無い限り、このセクション及び他のセクションに記載された定義及び実施形態は、それらが適している本開示に記載の本願の全ての実施形態及び態様に適用可能であることが意図される。このことは当業者が理解するであろう。
【0038】
本開示に記載される「本願の化合物」(単数若しくは複数)又は「本出願の化合物」(単数又は複数)等々は、式(I-B)、(I-B1)、(I-B2)、(I-B3)、又は(I-B4)の化合物を指し、また、それらの医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/又はプロドラッグを包含する。
【0039】
本開示に記載される「本願の組成物」(単数若しくは複数)又は「本出願の組成物」(単数又は複数)等々は、本願の化合物の1種又は複数種を含む組成物、例えば医薬組成物、を指す。
【0040】
本開示において用いられる用語「及び/又は」は、列挙されたものが個別に又は組み合わせで、存在する又は用いられることを意味する。実質的に、この用語は、列挙されたもののうちの「少なくとも1つ」あるいは「1つ又は複数」が用いられる又は存在することを意味する。医薬的に許容可能な塩及び/又は溶媒和物についての、この用語「及び/又は(若しくは)」は、本願の化合物が個別の塩及び溶媒和物として存在すること、並びに、本願の化合物の例えば溶媒和物の塩という組み合わせとして存在すること、を意味する。
【0041】
本願で用いられる場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、そうではないことを文脈が明らかに指示している場合以外は、複数の対象物も含む。例えば、「a 化合物」を含む実施形態は、1種類の化合物を有するある態様、あるいは2種以上の追加的化合物を有するある態様を提示するものと理解すべきである。
【0042】
本願及び請求項において用いられる場合、「含む」(comprising)(及び、含む(comprising)の任意の語形、例えば「含む」(現在形)(三人称単数に付随するs有り又は無し))、「有する」(having)(及び、有する(having)の任意の語形、例えば「有する」(現在形)(三人称単数に付随するs有り又は無し))、「含む」(including)(及び、含む(including)の任意の語形、例えば「含む」(現在形)(三人称単数に付随するs有り又は無し))、並びに「含む」(containing)(及び、含む(containing)の任意の語形、例えば「含む」(現在形)(三人称単数に付随するs有り又は無し))の語は、包含的で開放しており、追加の、記載されていない要素又はプロセスステップを排除しない。
【0043】
本開示で用いられる用語「からなる」及びその派生形は、記載された特徴、要素、成分、群、整数、及び/又はステップの存在を特定し、また、他の、記載されていない特徴、要素、成分、群、整数、及び/又はステップの存在を排除する閉じた用語であることが意図されている。
【0044】
本開示で用いられる用語「~本質的になる」は、記載された特徴、要素、成分、群、整数、及び/又はステップ、並びに、これらの特徴、要素、成分、群、整数、及び/又はステップの基本的かつ新規の特性(単数又は複数)に実質的に影響しないもの、の存在を特定することを意図している。
【0045】
「追加的」又は「第2の」成分、例えば追加的又は第2の化合物、を含む実施形態においては、本開示でいう第2の成分とは、それ以外の成分あるいは第1の成分とは化学的に異なる。「第3の」成分は、それ以外の第1及び第2の成分とは異なり、さらなる列挙された又は「追加的な」成分は同様に異なる。
【0046】
本開示で用いられる用語「適した」(「好適」)は、特定の化合物又は条件の選択が、行うべき特定の合成操作、変換される分子(単数又は複数)が何であるか、及び/又は前記化合物のための特定の用途に依存するが、その選択は、当業者のスキルの十分に範囲内であることを意味している。本開示に記載の全てのプロセス/方法ステップは、示された製品を提供するのに十分な条件の下で行われるものとする。例えば反応溶媒、反応時間、反応温度、反応圧力、反応物比、反応が無水又は不活性雰囲気で行われるべきであるかどうか等、全ての反応条件は、所望の生成物の収率を最大化するために変動させることができることを、当業者は理解するであろうし、またそれを行うことは当業者のスキルの範囲内である。
【0047】
本開示で用いられる用語「約」、「実質的に」、及び「おおよそ」は、最終結果が大きくは変わらない(not significantly changed)ような被修飾語のずれの合理的な量を意味する。これらの程度に関する用語は、ずれが、該用語が修飾する対象の語の意味を否定しないのであれば、あるいは文脈が異なる内容を当業者に示唆するものでない限りは、修飾対象の語から少なくとも±5%のずれを含むものと解釈されるべきである。
【0048】
本明細書は、当業者によって用いられる多くの化学的用語及び略語を記載する。しかしながら、選択された用語の定義が、明確性及び一貫性のために与えられる。
【0049】
本開示で用いられる用語「溶媒和物」は、適切な溶媒の分子が結晶格子に取り込まれた、化合物又は化合物の塩若しくはプロドラッグを意味する。適切な溶媒は、投与された投薬量では生理学的に許容可能である。
【0050】
本開示で用いられる用語「プロドラッグ」は、投与後に活性な薬剤に変換される、化合物又は化合物の塩を意味する。
【0051】
本開示で用いられる用語「アルキル」は、単独で用いられる場合であっても、他の基の一部として用いられる場合であっても、直鎖又は分岐鎖の飽和アルキル基を意味する。着目するアルキル基において可能な炭素原子の数は、接頭語「Cn1~Cn2」によって表される。したがって、例えば、用語「C1~6アルキル」(あるいは「C~Cアルキル」)は、1個、2個、3個、4個、5個、又はc個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、例えば、ヘキシルアルキル及びペンチルアルキルの同位体のうち任意のもの、また、n-、iso-、sec-、及びter-ブチル、n-及びiso-プロピル、エチル、並びにメチルを含む。他の例としては、「Cアルキル」とは、n-、iso-、sec-、及びtert-ブチル、n-及びイソプロピル、エチル、並びにメチルを指す。
【0052】
用語「アルケニル」は、単独で用いられる場合であっても、他の基の一部として用いられる場合であっても、直鎖又は分岐鎖の飽和アルキレン基、つまり、その末端のうち2つの上に置換基を含む飽和炭素鎖を意味する。着目するアルキレン基において可能な炭素原子の数は、接頭語「Cn1~n2」によって表される。したがって、例えば、用語「C2~6アルキレン」とは、2個、3個、4個、5個、又は6個の炭素原子を有するアルキレン基を意味する。
【0053】
本開示で用いられる用語「アルキニル」は、単独で用いられる場合であっても、他の基の一部として用いられる場合であっても、少なくとも1つの三重結合を含む直鎖又は分岐鎖の不飽和のアルキニル基を意味する。着目するアルキル基において可能な炭素原子の数は、接頭語「Cn1~n2」によって表される。例えば、用語C2~6アルキニルは、2個、3個、4個、5個、又は6個の炭素原子を有するアルキニル基を意味する。
【0054】
本開示で用いられる用語「シクロアルキル」は、単独で用いられる場合であっても、他の基の一部として用いられる場合であっても、3~20個の炭素原子及び1つ又は複数の環を含む飽和炭素環基を意味する。着目するシクロアルキル基において可能な炭素原子の数は、接頭語「Cn1~n2」によって表される。例えば、用語C10シクロアルキルは、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、又は10個の炭素原子を有するシクロアルキル基を意味する。
【0055】
本開示で用いられる用語「アリール」は、単独で用いられる場合であっても、他の基の一部として用いられる場合であっても、少なくとも1つの芳香族環を含む炭素環基を指し、6~20個の炭素原子を含む。
【0056】
「利用可能な水素原子」又は「利用可能な原子」における用語「利用可能な」とは、置換基/置換物(substituent)によって置き換えることが可能なことが当業者に知られているであろう原子を指す。
【0057】
本開示で用いられる用語「ヘテロシクロアルキル」は、単独で用いられる場合であっても、他の基の一部として用いられる場合であっても、3~20個の原子を含む非芳香族環であって、該原子のうちの1つ又は複数がO、S、S(O)、SO及びNから選択されるヘテロ部分であり、残りの原子がCである非芳香族環を少なくとも1つ含む環状基を指す。ヘテロシクロアルキル基は、飽和でも不飽和(つまり、1つ又は複数の二重結合を含む)でもよい。ヘテロシクロアルキル基が接頭語Cn1~n2又は「n1~n2」を含むときには、この接頭語は、対応する炭素環基中における炭素原子の数を表し、ここで、環原子のうち1つ又は複数、好適には1~5個が、O、S、S(O)、SO及びNから選択されるヘテロ部分によって置き換えられ、残りの原子がCである。ヘテロシクロアルキル基は、任意に(optionally)、ベンゾ縮環している。
【0058】
本開示で用いられる用語「ヘテロアリール」は、単独で用いられる場合であっても、他の基の一部として用いられる場合であっても、5~20個の原子を含むヘテロ芳香族環であって、該原子のうちの1つ又は複数がO、S、及びNから選択されるヘテロ原子であり、残りの原子がCであるヘテロ芳香族環を少なくとも1つ含む環状基を指す。ヘテロアリール基が接頭語が接頭語Cn1~n2を含むときには、この接頭語は、対応する炭素環基中における炭素原子の数を表し、ここで、環原子のうち1つ又は複数、好適には1~5個が、上記で規定されたヘテロ原子によって置き換えられている。ヘテロアリール基は、任意に(optionally)、ベンゾ縮環している。
【0059】
アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロシクロアルキル基、及びシクロアルキル基を含め、全ての環状基は、1つ又は複数の環(つまり多環式)を含む。環状基が複数の環を含む場合、それら複数の環は縮環していても、橋架けしていても、スピロ縮環していても、結合によって連結していてもよい。
【0060】
本開示で用いられる用語「ベンゾ縮環」とは、ベンゼン環が他の環と縮環している多環式基を指す。
【0061】
第1の環が第2の環と「縮環」しているとは、第1の環と第2の環とが互いの間で2つの隣接する原子を共有していることを意味する。
【0062】
第1の環が第2の環と「橋架け」しているとは、第1の環と第2の環とが互いの間で2つの隣接していない原子を共有していることを意味する。
【0063】
第1の環が第2の環と「スピロ縮環」しているとは、第1の環と第2の環とが互いの間で1つの原子を共有していることを意味する。
【0064】
用語「ハロゲン」(あるいは「ハロ」)は、単独で用いられる場合であっても、他の基の一部として用いられる場合であっても、ハロゲン原子を指し、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードを含む。
【0065】
本開示で用いられる用語「ハロアルキル」とは、上記で規定されたアルキル基であって、利用可能な水素原子のうちの1つ又は複数がハロゲンによって置き換えられたアルキル基を指す。したがって、例えば、「C1~6ハロアルキル」(あるいは「C~Cハロアルキル」)とは、C~Cの直鎖又は分岐の上記で規定されたアルキル基であって、1つ又は複数のハロゲン置換基を有するアルキル基を指す。
【0066】
本開示で用いられる用語「ハロアルケニル」とは、上記で規定されたアルケニル基であって、利用可能な水素原子のうち1つ又は複数がハロゲンによって置き換えられているアルケニル基を指す。したがって、例えば、「C1~6ハロアルケニル」(あるいは「C~Cハロアルケニル」)とは、C~Cの直鎖又は分岐の上記で規定されたアルケニル基であって、1つ又は複数のハロゲン置換基を有するアルケニル基を指す。
【0067】
本開示で用いられる用語「ハロアルキニル」とは、上記で規定されたアルキニル基であって、利用可能な水素原子のうち1つ又は複数がハロゲンによって置き換えられているアルキニル基を指す。したがって、例えば、「C1~6ハロアルキニル」(あるいは「C~Cハロアルキニル」)とは、C~Cの直鎖又は分岐の上記で規定されたアルキニル基であって、1つ又は複数のハロゲン置換基を有するアルキニル基を指す。
【0068】
本開示で用いられる用語「アルコキシ」とは、単独でも組み合わせにおいても、酸素である連結原子に連結したアルキル基を含む。
【0069】
本開示で用いられる用語「1つ又は複数の」ものは、リストから選択された単一のもの、並びに、リストから選択された2つ以上のものの混合物、を包含する。
【0070】
本開示で用いられる用語「置換された」は、他に断りのない限り、参照された基がハロゲン、COH、COCH、C(O)NH、C(O)N(CH、C(O)NHCH、SOCH3、SOCH、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cハロアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキニル、C~Cシクロアルキル、並びにO、S、S(O)、SO、N、NH及びNCHから選択される1つ~2つの環員を含む3~6員のヘテロ環、から独立に選択される1つ又は複数の置換基によって置換されていることを意味する。
【0071】
本開示で用いられる用語「その代替的同位体」は、天然に最も豊富である同位体以外の、元素の同位体を指す。
【0072】
一般式(I-B)の化合物並びにその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/又はプロドラッグにおいては、原子は自らの天然の同位体存在度を示してもよく、あるいは、原子のうち1つ又は複数が同じ原子番号を有しながらも自然界で主に見られる原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する特定の同位体について人為的に濃縮されていてもよい。本開示は、一般式(I-B)の化合物並びにその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/又はプロドラッグの全ての適切な同位体バリエーションを包含するように意図されている。例えば、水素(H)の異なる同位体型は、プロチウム(1H)、重水素(2H)、及びトリチウム(3H)を含む。プロチウムは、自然界に見られる主たる水素同位体である。
【0073】
本開示で用いられる用語「全ての利用可能な原子は任意に(optionally)代替的同位体によって置き換えられる」とは、利用可能な原子が、同じ原子番号を有しながらも、自然界に主に見られる原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する、前記原子の同位体によって任意に(optionally)置き換えられていることを意味する。
【0074】
用語「化合物」とは、当該化合物、並びに、ある実施形態においては、任意の水和物又は溶媒和物を、それらが安定であるという限りにおいて、指す。水和物とは、水と複合化した化合物であり、溶媒和物とは、溶媒と複合化した化合物であり、この溶媒は有機溶媒又は無機溶媒であってもよい。「安定な」化合物とは、調製及び単離が可能であって、本開示に記載の目的(例えば、対象に対する治療的投与)のために化合物を使用することを可能にするのに十分な期間にわたり、その構造及び性質が本質的に変化しないままであるか、本質的に変化しないようにさせることができる化合物である。本願の化合物は、一般式(I-B)に包含される安定な化合物、又はその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/若しくはプロドラッグに限定される。
【0075】
用語「医薬的に許容可能な」とは、対象を処置するのに適合する(compatible with)ことを意味する。
【0076】
用語「医薬的に許容可能なキャリア」とは、医薬組成物、つまり、対象への投与が可能な投薬形態、の形成を可能とするために活性成分と混合される、非毒性の溶媒、分散剤、製剤添加剤(excipient)、アジュバント、又はその他の材料を意味する。
【0077】
用語「医薬的に許容可能な塩」とは、対象を処置するのに適した、又は適合する、酸付加塩又は塩基付加塩を意味する。
【0078】
対象を処置するのに適した、又は適合する、酸付加塩は、任意の塩基性化合物の任意の非毒性有機又は無機酸付加塩である。
【0079】
対象を処置するのに適した、又は適合する、塩基付加塩は、任意の酸性化合物の任意の非毒性有機又は無機塩基付加塩である。
【0080】
本開示で用いられる用語「保護基」又は「PG」等は、分子の反応性部分を保護又はマスクして、前記分子の異なる部分を操作又は反応させている際に前記分子のそれら反応性部分における副反応を防止する化学的部分を指す。前記操作又は反応か完了した後に、前記分子の残りの部分を破壊あるいは分解しない条件下で保護基は除去される。適切な保護基の選択は、当業者がなすことができる。多くの従来の保護基が当技術分野で知られており、例えば、"Protective Groups in Organic Chemistry" McOmie, J.F.W. Ed., Plenum Press, 1973, in Greene, T.W. and Wuts, P.G.M., "Protective Groups in Organic Synthesis", John Wiley & Sons, 3rd Edition, 1999 and in Kocienski, P. Protecting Groups, 3rd Edition, 2003, Georg Thieme Verlag (The Americas)に記載されている。
【0081】
本開示で用いられる用語「対象」は、哺乳類を含め動物界の全ての構成員を含み、好適にはヒトを指す。したがって、本願の方法は、ヒトの治療及び獣医学的用途の両方に適用可能である。
【0082】
本開示において用いられる用語「治療する」又は「治療」とは、当技術分野でよく知られているように、臨床結果等の有益な又は所望の結果を得るための手法を意味する。有益又は所望の臨床結果は、1つ又は複数の症状又は状態の軽減又は改善、疾患の程度の低下、疾患の安定化された(つまり、悪化していない)状態、疾患の広がりの防止、疾患の進行の遅延又は速度低下、疾患状態の改善又は緩和、疾患の再発の減少及び寛解(部分的であっても完全なものであっても)を含むがこれらに限定されず、また、これらは検出可能なものであっても、検出できないものであってもよい。「治療する」及び「治療」は、治療を受けない場合の期待生存時間と比しての延長された生存時間を意味してもよい。本開示においては、「治療する」及び「治療」は、予防的な処置をも包含する。例えば、初期がんを有する対象は進行を防ぐために処置されてもよく、あるいは、寛解期の対象を再発を防止するために本願の化合物又は組成物で処置してもよい。治療方法は、治療有効量の1種または複数種の本願の化合物を対象に投与することを含み、これは任意に(optionally)、単回の投与からなるものであるか、あるいは一連の複数回投与を含む。
【0083】
本開示で用いられる用語「有効量」又は「治療有効量」は、所望の結果を達成するために必要な投薬量及び期間において、有効な1種又は複数種の本願の化合物の量を意味する。例えば、セロトニン作動性受容体及び下流のセカンドメッセンジャーのアゴニズム又は活性化により媒介されるあるいは処置される疾患、障害、又は状態を治療する文脈においては、有効量とは、例えば、前記1種又は複数種の化合物の投与無しでの活性化と比べて前記活性化を増加させる量である。
【0084】
疾患、障害、又は状態を「緩和する」(palliating)とは、障害を治療しない場合と比べて、疾患、障害、又は状態の程度及び/又は望ましくない臨床所見が減じられる、及び/又は進行の経時変化(time course)が遅くされる又は長くされることを意味する。
【0085】
本開示で用いられる用語「投与された」とは、治療有効量の1種又は複数種の本願の化合物又は組成物を、細胞、組織、器官、又は対象に投与することを意味する。
【0086】
本開示で用いられる用語「防止」又は「予防」、又はその同義語は、患者が疾患、障害、若しくは状態で苦しめられるリスク若しくは確率、あるいは疾患、障害、若しくは状態に関連した症状を呈するリスク若しくは確率の減少を指す。
【0087】
本開示においては、「疾患、障害、又は状態」とは、セロトニン受容体、例えば5-HT2A、の活性化によって治療される又は治療可能な、特には本開示に記載の1種又は複数種の本願化合物等のセロトニン受容体アゴニストを用いて治療される又は治療可能な、疾患、障害、又は状態を指す。
【0088】
本開示で用いられる用語「セロトニン受容体の活性化によって疾患、障害、又は状態を治療する」とは、治療対象の疾患、障害、又は状態が、セロトニン作動活性、特にはセロトニン作動活性の増加、により影響される、調節される、及び/又は直接であれ間接であれセロトニン作動活性、特にはセロトニン作動活性の増加、を含む何らかの生物学的基礎を有する、ことを意味する。これらの疾患は、本願の化合物又は組成物の1種又は複数種により、疾患、障害、又は状態に関連したセロトニン作動活性が刺激された(agonized)ときに良い方向に反応する。
【0089】
本開示で用いられる用語「活性化」は、セロトニン受容体のアゴニズム、部分的アゴニスト、及び正のアロステリック調節を包含する。
【0090】
本開示で用いられる用語「5-HT1A」及び「5-HT2A」とは、5-HTセロトニン受容体のうちの5-HT2A受容体サブタイプ及び5-HT2A受容体サブタイプを意味する。
【0091】
本開示で用いられる用語「治療剤」とは、対象に投与されたときに薬理学的効果を有する任意の薬又は活性剤を指す。
【0092】
II.化合物
本願は、一般式(I-B)の化合物、又はその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/若しくはプロドラッグを含む。
【化3】

式中
は、水素、重水素、C~Cアルキル、C1~6アルキレンP(O)(OR、C1~6アルキレンOP(O)(OR、C(O)R、CO、C(O)N(R、S(O)R及びSOから選択され;
、R13、R14、及びR15 は、水素、重水素、ハロゲン及びC~Cアルキルから独立に選択され;
は、水素、重水素、CN、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルケニル、CO18、C(O)N(R18、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキニル、C~Cシクロアルキル、並びにO、S、S(O)、SO、N及びNR18から選択される1つ又は2つのヘテロ部分を含む3~7員のヘテロ環から独立に選択され、ここで前記C~Cアルキル基、C~Cハロアルキル基、C~Cアルケニル基、C~Cハロアルケニル基、C~Cアルキニル基、C~Cハロアルキニル基、C~Cシクロアルキル基及び3~7員のヘテロ環基は、CN、OR18、N(R18及びSR18から独立に選択される1つ又は複数の置換基によって任意に(optionally)置換されており、そしてここで前記C~Cシクロアルキル及び3~7員のヘテロ環は、それぞれ、ハロゲン、CO18、C(O)N(R18、SO18、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cハロアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキニル、C~Cシクロアルキル、並びにO、S、S(O)、SO、N、及びNR18から選択される1つ又は2つの環ヘテロ部分を含む3~6員のヘテロ環から選択される置換基によって任意に(optionally)さらに置換され;
及びRは、水素、重水素、ハロゲン、CN、OR18、N(R18、SR18、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルケニル、CO18、C(O)N(R18、S(O)R18、SO18、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキニル、C~Cシクロアルキル、並びにO、S、S(O)、SO、N及びNR18から選択される1つ又は2つのヘテロ部分を含む3~7員のヘテロ環から独立に選択され、ここで前記C~Cアルキル基、C~Cハロアルキル基、C~Cアルケニル基、C~Cハロアルケニル基、C~Cアルキニル基、C~Cハロアルキニル基、C~Cシクロアルキル基及び3~7員のヘテロ環基は、CN、OR18、N(R18及びSR18から独立に選択される1つ又は複数の置換基によって任意に(optionally)置換されており、そしてここで前記C~Cシクロアルキル及び3~7員のヘテロ環は、それぞれ、ハロゲン、CO18、C(O)N(R18、SO18、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cハロアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキニル、C~Cシクロアルキル、並びにO、S、S(O)、SO、N、及びNR18から選択される1つ又は2つの環ヘテロ部分を含む3~6員のヘテロ環から選択される置換基によって任意に(optionally)さらに置換され;
Aは、水素、重水素、ハロゲン、OR19、N(R19)(R19a)、SR19、S(O)R19及びS(O)R19から選択され;
は、水素、重水素、及びC~Cアルキルから独立に選択され;
16は、水素、重水素及びC~Cアルキルから選択され;
各R17は、重水素、ハロゲン及びC~Cアルキルから独立に選択され;
各R18は、水素、重水素、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cハロアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキニル、C~Cシクロアルキル,並びにO、S、S(O)、SO、N及びNR20から選択される1つ~2つの環ヘテロ部分を含む3~7員のヘテロ環から独立に選択され、ここで前記C~Cアルキル基、C~Cハロアルキル基、C~Cアルケニル基、C~Cハロアルケニル基、C~Cアルキニル基、C~Cハロアルキニル基、C~Cシクロアルキル基及び3~7員のヘテロ環基は、CN、OR20、N(R20及びSR20から独立に選択される1つ又は複数の置換基によって任意に(optionally)置換されており、そしてここで前記C~Cシクロアルキル及び3~7員のヘテロ環は、それぞれ、ハロゲン、CO20、C(O)N(R20、SO20、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cハロアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキニル、C~Cシクロアルキル、並びにO、S、S(O)、SO、N及びNR20から選択される1つ~2つの環ヘテロ部分を含む3~6員のヘテロ環から選択される置換基によって任意に(optionally)さらに置換され;
19、R19a及びR20は、水素、重水素、置換若しくは無置換のC~Cアルキル、置換若しくは無置換のC~Cアルケニル、置換若しくは無置換のC~Cアルキニル、置換若しくは無置換のC~Cハロアルキル、置換若しくは無置換のC~Cシクロアルキル、置換若しくは無置換のC~Cヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換のアリール、及び置換若しくは無置換のヘテロアリールから独立に選択され;
nは0~6の整数であり;
そして、ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられており、
ただし、A、R、R、R、R、R、R、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R19a及びR20のうちの1つ又は複数が、1つ又は複数の重水素を含むか、またはA、R、R、R、R、R、R、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R19a及びR20のうちの1つ又は複数が重水素である。
【0093】
本願は、式(I)の化合物又はその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/若しくはプロドラッグを包含する:
【化4】

式中、
は、水素、重水素、C~Cアルキル、CHP(O)(OR;C(O)R、CO、C(O)N(R、S(O)R及びSOから選択され;
Qは、
【化5】

であり、;
、R13、R14、R15、R16及びR17は、水素、重水素、ハロゲン及びC~Cアルキルから独立に選択され;
、R及びRは、水素、重水素、ハロゲン、CN、OR18、N(R18、SR18、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルケニル、CO18、C(O)N(R18、S(O)R18、SO18、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキニル、C~Cシクロアルキル、並びにO、S、S(O)、SO、N及びNR18から選択される1つ又は2つのヘテロ部分を含む3~7員のヘテロ環から独立に選択され、ここで前記C~Cアルキル基、C~Cハロアルキル基、C~Cアルケニル基、C~Cハロアルケニル基、C~Cアルキニル基、C~Cハロアルキニル基、C~Cシクロアルキル基及び3~7員のヘテロ環基は、CN、OR18、N(R18及びSR18から独立に選択される1つ又は複数の置換基によって任意に(optionally)置換されており、そしてここで前記C~Cシクロアルキル及び3~7員のヘテロ環は、それぞれ、ハロゲン、CO18、C(O)N(R18、SO18、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cハロアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキニル、C~Cシクロアルキル、並びにO、S、S(O)、SO、N、及びNR18から選択される1つ又は2つの環ヘテロ部分を含む3~6員のヘテロ環から選択される置換基によって任意に(optionally)さらに置換され;
Aは、水素、重水素、ハロゲン、OR19、NR19、SR19、S(O)R19及びS(O)R19から選択され;
各R18は、水素、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cハロアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキニル、C~Cシクロアルキル,並びにO、S、S(O)、SO、N及びNR20から選択される1つ~2つの環ヘテロ部分を含む3~7員のヘテロ環から独立に選択され、ここで前記C~Cアルキル基、C~Cハロアルキル基、C~Cアルケニル基、C~Cハロアルケニル基、C~Cアルキニル基、C~Cハロアルキニル基、C~Cシクロアルキル基及び3~7員のヘテロ環基は、CN、OR20、N(R20及びSR20から独立に選択される1つ又は複数の置換基によって任意に(optionally)置換されており、そしてここで前記C~Cシクロアルキル及び3~7員のヘテロ環は、それぞれ、ハロゲン、CO20、C(O)N(R20、SO20、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cハロアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキニル、C~Cシクロアルキル、並びにO、S、S(O)、SO、N及びNR20から選択される1つ~2つの環ヘテロ部分を含む3~6員のヘテロ環から選択される置換基によって任意に(optionally)さらに置換され;
19及びR20は、水素、重水素、ハロゲン、置換若しくは無置換のC~Cアルキル、置換若しくは無置換のC~Cアルケニル、置換若しくは無置換のC~Cアルキニル、置換若しくは無置換のC~Cハロアルキル、置換若しくは無置換のC~Cシクロアルキル、置換若しくは無置換のC~Cヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換のアリール、及び置換若しくは無置換のヘテロアリールから独立に選択され;そして、ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。
【0094】
いくつかの実施形態では、基中の全ての利用可能な水素原子がハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられている場合、前記ハロゲン原子は、F、Cl又はBrである。いくつかの実施形態では、基中の全ての利用可能な水素原子がハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられている場合、前記ハロゲン原子は、F又はBrである。いくつかの実施形態では、全ての利用可能な水素原子がハロゲン原子によって置き換えられている場合、前記ハロゲン原子は、F又はClである。いくつかの実施形態では、基中の全ての利用可能な水素原子がハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられている場合、前記ハロゲン原子はFである。
【0095】
したがって、いくつかの実施形態では、全ての利用可能な水素原子は、フッ素原子、塩素原子、若しくは臭素原子によって独立して任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子は、その代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、全ての利用可能な水素原子は、フッ素原子若しくは臭素原子によって独立して任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子は、その代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、全ての利用可能な水素原子は、フッ素原子若しくは塩素原子によって独立して任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子は、その代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、全ての利用可能な水素原子は、フッ素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子は、その代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。
【0096】
いくつかの実施形態では、全ての利用可能な水素原子は、その代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。したがって、いくつかの実施形態では、全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な水素原子は、重水素によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、全ての利用可能な水素原子は、フッ素原子及び/若しくは塩素原子によって独立して任意に(optionally)置き換えられ、並びに/又は全ての利用可能な水素原子は、重水素によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、全ての利用可能な原子が、重水素によって任意に(optionally)置き換えられている。したがって、いくつかの実施形態では、全ての利用可能な水素原子は、フッ素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な水素原子は、重水素によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、全ての利用可能な水素原子は、重水素によって任意に(optionally)置き換えられている。
【0097】
いくつかの実施形態では、全ての利用可能な水素原子は、その代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、水素の前記代替的同位体は、重水素である。したがって、いくつかの実施形態では、本願の化合物は、重水素によって同位体濃縮されている。いくつかの実施形態では、A、R、R、R、R、R、R、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R19a及びR20のうちの1つ又は複数が、1つ又は複数の重水素を含むか、またはA、R、R、R、R、R、R、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R19a及びR20のうちの1つ又は複数が重水素である。
【0098】
いくつかの実施形態では、Rは、S(O)R及びSOから選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。
【0099】
いくつかの実施形態では、Rは、水素、重水素、C~Cアルキル、C~CアルキレンP(O)(OR、C~CアルキレンOP(O)(OR、C(O)R、CO及びC(O)N(Rから選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、Rは、水素、重水素、C~Cアルキル、CHP(O)(OR、CHCHP(O)(OR、CHCH(CH)P(O)(OR、CH(CH)CHP(O)(OR、CH(CH)P(O)(OR、CH(CHCH)P(O)(OR、(CH)OP(O)(OR、C(O)R及びCOから選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はフッ素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、Rは、水素、重水素、CH、CHCH、CHP(O)(OR、CH(CH)P(O)(OR、及び(CH)OP(O)(ORから選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、Rは、水素、重水素、CH、CHCH、CHP(O)(OR、CH(CH)P(O)(OR及び(CH)OP(O)(ORから選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はフッ素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、Rは、水素、重水素、CH、CHCH、CHP(O)(OR及び(CH)OP(O)(ORから選択される。いくつかの実施形態では、Rは、水素、CH、CHCH、CHP(O)(OR、(CH)OP(O)(OR、C(O)R及びCOから選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、Rは、水素、重水素、CH、及びCHCHから選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はフッ素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、Rは、水素及び重水素から選択される。いくつかの実施形態では、Rは、水素である。
【0100】
いくつかの実施形態では、R、R13、R14、及びR15は、水素、重水素、ハロゲン、C~Cアルキル及びC1~4フルオロアルキルから独立に選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、R、R13、R14、及びR15は、水素、重水素、F、Br、Cl、CH、CDH、CDH、CD3、CHCH、CHCHD、CHCDH及びCDCDから独立に選択される。いくつかの実施形態では、R、R13、R14、R15及びR15は、水素、重水素、F、Br、CH、CDH、CDH、及びCDから独立に選択される。いくつかの実施形態では、R、R13、R14、及びR15は、水素、重水素、CH及びCDから独立に選択される。
【0101】
いくつかの実施形態では、Rは、水素、重水素、CH及びCDから選択される。いくつかの実施形態では、Rは、水素及び重水素から選択される。
【0102】
いくつかの実施形態では、Rは、水素、重水素、C~Cアルキル及びC1~4フルオロアルキルから選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、Rは、水素、重水素、CH、CDH、CDH、CD、CF、CHF、CHCH、CHCHD、CHCDH及びCDCDから選択される。いくつかの実施形態では、Rは、水素、重水素、CH、CF、CHF、CDH、CDH、及びCDから選択される。いくつかの実施形態では、Rは、CH及びCDから選択される。
【0103】
いくつかの実施形態では、R13、R14及びR15のうち少なくとも1つは重水素であるか、または、R13、R14及びR15のうち少なくとも1つは重水素を含む。いくつかの実施形態では、R13、R14及びR15は、水素、重水素、F、Br、CH、CF、CHF、CDH、CDH、CD3、CHCH、CHCHD、CHCDH及びCDCDから独立に選択される。いくつかの実施形態では、R13、R14及びR15は、水素、重水素、F、Br、CH、CDH、CDH、及びCDから独立に選択される。いくつかの実施形態では、R13、R14及びR15は、水素、重水素、F、Br、CH、及びCDから独立に選択される。いくつかの実施形態では、R13、R14及びR15は、水素、重水素、CH及びCDから独立に選択される。いくつかの実施形態では、R13、R14及びR15は、水素及び重水素から独立に選択される。いくつかの実施形態では、R13及びR14はどちらも重水素である。いくつかの実施形態では、R、R、R及びR10は全て重水素である。いくつかの実施形態では、R13及びR14はどちらも重水素であり、また、R15は水素である。
【0104】
いくつかの実施形態では、R16は、水素、重水素及びC~Cアルキルから選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な水素原子は重水素によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、R16は、水素、重水素、CH、CHCH、CH(CH及びC(CHから選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はフッ素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な水素原子は重水素によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、R16は、水素、重水素、CH、CDH、CDH、CD3、CHCH、CHCHD、CHCDH及びCDCDから選択される。いくつかの実施形態では、R16は、水素、重水素、CH及びCDから選択される。いくつかの実施形態では、R16はCD又はCHである。
【0105】
いくつかの実施形態では、R16は重水素であるか、または重水素を含む。いくつかの実施形態では、R16は、重水素、CDH、CDH、CD3、CHCHD、CHCDH及びCDCDから選択される。いくつかの実施形態では、R16は重水素及びCDから選択される。いくつかの実施形態では、R16はCDである。
【0106】
いくつかの実施形態では、R13、R14及びR15は、水素、重水素及びFから独立に選択され、そしてR16は、水素、重水素、CH及びCDから選択される。いくつかの実施形態では、R13、R14及びR15のうちの少なくとも1つ又は少なくとも2つは重水素である。いくつかの実施形態では、R13、R14、及びR15は全て水素であり、そしてR16は、水素、重水素、CH、及びCDから選択される。いくつかの実施形態では、R13、R14及びR15は、全て重水素であり、R16は、CH及びCDから選択される。いくつかの実施形態では、R13及びR14はどちらも重水素であり、R15は水素であり、そしてR16はCH及びCDから選択される。
【0107】
いくつかの実施形態では、R17は重水素及びC~Cアルキルから選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な水素原子は重水素によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、R17は、重水素、CH、CHCH、CH(CH及びC(CHから選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はフッ素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な水素原子は重水素によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、R17は、重水素、CH、CDH、CDH、CD3、CHCH、CHCHD、CHCDH及びCDCDから選択される。いくつかの実施形態では、R17は、重水素、CH及びCDから選択される。いくつかの実施形態では、R17はCD又はCHである。
【0108】
いくつかの実施形態では、nは6である。いくつかの実施形態では、nは0~4から選択される整数である。いくつかの実施形態では、nは0~3から選択される整数である。いくつかの実施形態では、nは0~2から選択される整数である。いくつかの実施形態では、nは1である。いくつかの実施形態では、nは0である。
【0109】
いくつかの実施形態では、Rは、水素、重水素、CN、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルケニル、CO18、C(O)N(R18、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキニル、C~Cシクロアルキル、並びにO、S、S(O)、SO、N及びNR18から選択される1つ~2つの環ヘテロ部分を含む3~7員のヘテロ環から選択され、ここで前記C~Cアルキル基、C~Cハロアルキル基、C~Cアルケニル基、C~Cハロアルケニル基、C~Cアルキニル基、C~Cハロアルキニル基、C~Cシクロアルキル基及び3~7員のヘテロ環基は、CN、OR18、N(R18及びSR18から独立に選択される1つ又は複数の置換基によって任意に(optionally)置換されており、そしてここで前記C~Cシクロアルキル及び3~7員のヘテロ環は、それぞれ、ハロゲン、CO18、C(O)N(R18、SO18、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cハロアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキニル、C~Cシクロアルキル、並びにO、S、S(O)、SO、N及びNR18から選択される1つ~2つの環ヘテロ部分を含む3~6員のヘテロ環から選択される置換基によって任意に(optionally)さらに置換され;ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。
【0110】
いくつかの実施形態では、Rは、水素、重水素、CN、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルケニル、CO18、C(O)N(R18、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル及びC~Cハロアルキニルから選択され、ここで前記C~Cアルキル基、C~Cハロアルキル基、C~Cアルケニル基、C~Cハロアルケニル基、C~Cアルキニル基及びC~Cハロアルキニル基は、CN、OR18、N(R18及びSR18から独立に選択される1つ又は複数の置換基によって任意に(optionally)置換されており、そしてここで全ての利用可能な水素原子はフッ素によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、Rは、水素、重水素、CN、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルケニル、CO18、C(O)N(R18、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル及びC~Cハロアルキニルから選択され、ここで前記C~Cアルキル基、C~Cハロアルキル基、C~Cアルケニル基、C~Cハロアルケニル基、C~Cアルキニル基及びC~Cハロアルキニル基は、CN、OR18、N(R18及びSR18から独立に選択される1つ~3つの置換基によって任意に(optionally)置換されており、ここで全ての利用可能な水素原子はフッ素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、Rは、水素、重水素、CN、SR18、CH、CHCH、CH(CH、C(CH、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルケニル、CO18、C(O)N(R18、C~Cアルケニル及びC~Cアルキニルから選択され、ここで前記C~Cアルキル基、C~Cハロアルキル基、C~Cアルケニル基、C~Cハロアルケニル基及びC~Cアルキニル基は、CN、OR18、N(R18及びSR18から独立に選択される1つ又は2つの置換基によって任意に(optionally)置換されており、ここで全ての利用可能な水素原子はフッ素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、Rは、水素、重水素、CN、CH、CHCH、CH(CH、C(CH、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルケニル、CO18、及びC~Cアルケニルから選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はフッ素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な水素原子は重水素によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、Rは、水素、重水素、CH、CHCH、CH(CH、C(CH、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルケニル、及びC~Cアルケニルから選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はフッ素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な水素原子は重水素によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、Rは、水素及び重水素から選択される。いくつかの実施形態では、Rは水素である。いくつかの実施形態では、Rは重水素である。
【0111】
いくつかの実施形態では、R及びRは、水素、重水素、ハロゲン、CN、OR18、N(R18、SR18、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルケニル、CO18、C(O)N(R18、S(O)R18、SO18、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキニル、C~Cシクロアルキル、並びにO、S、S(O)、SO、N及びNR18から選択される1つ~2つの環ヘテロ部分を含む3~7員のヘテロ環から独立に選択され、ここで前記C~Cアルキル基、C~Cハロアルキル基、C~Cアルケニル基、C~Cハロアルケニル基、C~Cアルキニル基、C~Cハロアルキニル基、C~Cシクロアルキル基及び3~7員のヘテロ環基は、CN、OR18、N(R18及びSR18から独立に選択される1つ又は複数の置換基によって任意に(optionally)置換されており、そしてここで前記C~Cシクロアルキル及び3~7員のヘテロ環は、それぞれ、ハロゲン、CO18、C(O)N(R18、SO18、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cハロアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキニル、C~Cシクロアルキル、並びにO、S、S(O)、SO、N及びNR18から選択される1つ~2つの環ヘテロ部分を含む3~6員のヘテロ環から選択される置換基によって任意に(optionally)さらに置換され;ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。
【0112】
いくつかの実施形態では、R及びRは、水素、重水素、ハロゲン、CN、OR18、N(R18、SR18、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルケニル、CO18、C(O)N(R18、S(O)R18、SO18、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル及びC~Cハロアルキニルから独立に選択され、ここで前記C~Cアルキル基、C~Cハロアルキル基、C~Cアルケニル基、C~Cハロアルケニル基、C~Cアルキニル基及びC~Cハロアルキニル基は、CN、OR18、N(R18及びSR18から独立に選択される1つ又は複数の置換基によって任意に(optionally)置換されており、そしてここで全ての利用可能な水素原子はフッ素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、R及びRは、水素、重水素、F、Cl、Br、CN、OR18、N(R18、SR18、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルケニル、CO18、C(O)N(R18、S(O)R18、SO18、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル及びC~Cハロアルキニルから独立に選択され、ここで前記C~Cアルキル基、C~Cハロアルキル基、C~Cアルケニル基、C~Cハロアルケニル基、C~Cアルキニル基及びC~Cハロアルキニル基は、CN、OR18、N(R18及びSR18から独立に選択される1つ~3つの置換基によって任意に(optionally)置換されており、ここで全ての利用可能な水素原子はフッ素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、R及びRは、水素、重水素、F、Cl、Br、CN、OR18、N(R18、SR18、CH、CHCH、CH(CH、C(CH、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルケニル、CO18、S(O)R18、SO18、C(O)N(R18、C~Cアルケニル及びC~Cアルキニルから独立に選択され、ここで前記C~Cアルキル基、C~Cハロアルキル基、C~Cアルケニル基、C~Cハロアルケニル基及びC~Cアルキニル基は、CN、OR18、N(R18及びSR18から独立に選択される1つ又は2つの置換基によって任意に(optionally)置換されており、ここで全ての利用可能な水素原子はフッ素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、R及びRは、水素、重水素、F、Cl、Br、CN、OR18、N(R18、SR18、CH、CHCH、CH(CH、C(CH、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルケニル、CO18、S(O)R18、SO18及びC~Cアルケニルから独立に選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はフッ素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な水素原子は重水素によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、R及びRは、水素、重水素、F、Cl及びBrから独立に選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はフッ素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、R及びRは、水素、重水素、F、Cl及びBrから独立に選択される。いくつかの実施形態では、R及びRは水素及び重水素から独立に選択される。いくつかの実施形態では、R及びRはどちらも水素である。いくつかの実施形態では、R及びRはどちらも重水素である。
【0113】
いくつかの実施形態では、R、R及びRは水素及び重水素から独立に選択される。いくつかの実施形態では、R、R及びRは全て水素である。いくつかの実施形態では、R、R及びRは全て重水素である。いくつかの実施形態では、R、R及びR中の前記C~Cシクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルから独立に選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。
【0114】
いくつかの実施形態では、R、R及びR中の前記3~7員のヘテロ環は、独立に、置換又は無置換のヘテロ環である。いくつかの実施形態では、R、R及びR中の前記3~7員のヘテロ環は、独立に、置換又は無置換の橋架け二環式ヘテロ環である。いくつかの実施形態では、前記置換又は無置換の橋架け二環式ヘテロ環は、アザビシクロヘキサニル、ジアザビシクロヘプタニル、オキソビシクロヘキサニル、オキソビシクロヘプタニル及びオキソビシクロヘプタネニル(oxobicycloheptanenyl)から独立に選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。
【0115】
いくつかの実施形態では、R、R及びR中の前記3~7員のヘテロ環は、独立に、置換又は無置換のヘテロ環である。いくつかの実施形態では、R、R及びR中の前記3~7員のヘテロ環は、独立に、置換又は無置換の橋架け二環式ヘテロ環である。いくつかの実施形態では、前記置換又は無置換の橋架け二環式ヘテロ環は、独立に、アザビシクロヘキサニル、ジアザビシクロヘプタニル、オキソビシクロヘキサニル、オキソビシクロヘプタニル及びオキソビシクロヘプタネニル(oxobicycloheptanenyl)から選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。
【0116】
いくつかの実施形態では、R、R及びR中の前記3~7員のヘテロ環は、アジリジニル、オキシラニル、チイラニル、オキサキシリジニル(oxaxiridinyl)、ジオキシラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル(theitanyl)、ジアゼチジニル、ジオキセタニル、ジチエタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、イソキシチオリジニル(isoxthiolidinyl)、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、ジオキソラニル、ジチオラニル、トリアゾリル、フラザニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ジオキサゾリル、ジチアゾリル、テトラゾリル、オキサテトラゾリル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジオキサニル、ジチアニル、アゼパニル、オキセパニル、チエパニル、及びジアゼパニルから独立に選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。
【0117】
いくつかの実施形態では、各R18は、水素、重水素、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cハロアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキニル、C~Cシクロアルキル,並びにO、S、S(O)、SO、N及びNR20から選択される1つ~2つの環ヘテロ部分を含む3~7員のヘテロ環から独立に選択され、ここで前記C~Cアルキル基、C~Cハロアルキル基、C~Cアルケニル基、C~Cハロアルケニル基、C~Cアルキニル基、C~Cハロアルキニル基、C~Cシクロアルキル基及び3~7員のヘテロ環基は、CN、OR20、N(R20及びSR20から独立に選択される1つ~3つの置換基によって任意に(optionally)置換されており、そしてここで前記C~Cシクロアルキル及び3~7員のヘテロ環は、それぞれ、ハロゲン、CO20、C(O)N(R20、SO20、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cハロアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキニル、C~Cシクロアルキル、並びにO、S、S(O)、SO、N及びNR20から選択される1つ~2つの環ヘテロ部分を含む3~6員のヘテロ環から選択される置換基によって任意に(optionally)さらに置換されている。
【0118】
いくつかの実施形態では、各R18は、水素、重水素、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cハロアルケニル、C~Cアルキニル、及びC~Cハロアルキニルから独立に選択され、ここで前記C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cハロアルケニル、C~Cアルキニル及びC~Cハロアルキニルは、CN、OR20、N(R20及びSR20から独立に選択される1つ~3つの置換基によって任意に(optionally)置換されている。いくつかの実施形態では、各R18は、水素、重水素、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cハロアルケニル、及びC~Cアルキニルから独立に選択され、ここで前記C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cハロアルケニル及びC~Cアルキニルは、CN、OR20、N(R20及びSR20から独立に選択される1つ~3つの置換基によって任意に(optionally)置換されており、ここで全ての利用可能な水素原子はフッ素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、各R18は、水素、重水素、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cハロアルケニル、及びC~Cアルキニルから独立に選択され、ここで前記C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cハロアルケニル及びC~Cアルキニルは、CN、OR20及び N(R20から独立に選択される1つ又は2つの置換基によって任意に(optionally)置換されており、ここで全ての利用可能な水素原子はフッ素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、各R18は、水素、重水素、F、Cl、CH、CHCH、CH(CH、C(CH、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル及びC~Cハロアルケニルから独立に選択され、ここで前記CH、CHCH、CH(CH、C(CH、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル、及びC~Cハロアルケニルは、CN、OR20及び N(R20)から独立に選択される1つ~3つの置換基によって任意に(optionally)置換されており、ここで全ての利用可能な水素原子はフッ素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、各R18は、水素、重水素、F、Cl、CH、CHCH、CH(CH、C(CH、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル及びC~Cハロアルケニルから独立に選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はフッ素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、各R18は、水素、重水素、F、Cl、CH、CHCH、CH(CH、C(CH及びC~Cハロアルキルから独立に選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はフッ素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、各R18は、水素、重水素、F、Cl、CH、CHCH、CH(CH、C(CH CF、CHF、CDH、CDH、CD3、CHCH及びCDCDから独立に選択される。いくつかの実施形態では、各R18は、水素、重水素、CH、CHCH、CH(CH、C(CH、CF、CHF、CDH、CDH、CD3、CHCH及びCDCDから独立に選択される。
【0119】
ある実施形態では、各R18は、C~Cシクロアルキル,並びにO、S、S(O)、SO、N及びNR20から選択される1つ~2つの環ヘテロ部分を含む3~7員のヘテロ環から独立に選択され、ここで、C~Cシクロアルキル基及び3~7員のヘテロ環基は、それぞれ、CN、OR20、N(R20及びSR20から独立に選択される1つ~3つの置換基によって任意に(optionally)置換されており、そしてハロゲン、CO20、C(O)N(R20、SO20、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cハロアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cハロアルキニル、C~Cシクロアルキル、並びにO、S、S(O)、SO、N及びNR20から選択される1つ~2つの環ヘテロ部分を含む3~6員のヘテロ環から選択される置換基によって任意に(optionally)さらに置換されている。
【0120】
ある実施形態では、各R18は、C~Cシクロアルキル,並びにO、S、N及びNR20から選択される1つ~2つの環ヘテロ部分を含む3~7員のヘテロ環から独立に選択され、ここで、C~Cシクロアルキル基及び3~7員のヘテロ環基は、それぞれ、CN、OR20、N(R20及びSR20から独立に選択される1つ~3つの置換基によって任意に(optionally)置換されており、そしてハロゲン、CO20、C(O)N(R20、SO20、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cハロアルケニル、C~Cアルキニル及びC~Cハロアルキニルから選択される置換基によって任意に(optionally)さらに置換されている。ある実施形態では、各R18は、C~Cシクロアルキル,並びにO、S、N及びNR20から選択される1つ~2つの環ヘテロ部分を含む3~7員のヘテロ環から独立に選択され、ここで、C~Cシクロアルキル基及び3~7員のヘテロ環基は、それぞれ、OR20、N(R20及びSR20から独立に選択される1つ又は2つの置換基によって任意に(optionally)置換されており、そしてハロゲン、C~Cアルキル及びC~Cハロアルキルから選択される置換基によって任意に(optionally)さらに置換されている。
【0121】
ある実施形態では、各R18は、C~Cシクロアルキル,並びにO、S、N及びNR20から選択される1つ~2つの環ヘテロ部分を含む3~7員のヘテロ環から独立に選択され、ここで、C~Cシクロアルキル基及び3~7員のヘテロ環基は、それぞれ、CN、OR20、N(R20及びSR20から独立に選択される1つ~3つの置換基によって任意に(optionally)置換されており、そしてC~Cシクロアルキル並びにO、S、S(O)、SO、N及びNR20から選択される1つ~2つの環ヘテロ部分を含む3~6員のヘテロ環から選択される置換基によって任意に(optionally)さらに置換されている。ある実施形態では、各R18は、C~Cシクロアルキル並びにO、S、N及びNR20から選択される1つ~2つの環ヘテロ部分を含む3~7員のヘテロ環から独立に選択され、ここで、C~Cシクロアルキル基及び3~7員のヘテロ環基は、それぞれ、OR20、N(R20及びSR20から独立に選択される1つ~3つの置換基によって任意に(optionally)置換されており、そしてC~Cシクロアルキル並びにO、S、N及びNR20から選択される1つ~2つの環ヘテロ部分を含む3~6員のヘテロ環から選択される置換基によって任意に(optionally)さらに置換されている。
【0122】
いくつかの実施形態では、R18中の各C~Cシクロアルキル又はC~Cシクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルから独立に選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。
【0123】
いくつかの実施形態では、R18中の各3~7員のヘテロ環は、アジリジニル、オキシラニル、チイラニル、オキサキシリジニル(oxaxiridinyl)、ジオキシラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル(theitanyl)、ジアゼチジニル、ジオキセタニル、ジチエタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、イソキシチオリジニル(isoxthiolidinyl)、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、ジオキソラニル、ジチオラニル、トリアゾリル、フラザニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ジオキサゾリル、ジチアゾリル、テトラゾリル、オキサテトラゾリル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジオキサニル、ジチアニル、アゼパニル、オキセパニル、チエパニル、及びジアゼパニルから独立に選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。
【0124】
いくつかの実施形態では、R18中の前記3~7員のヘテロ環は、置換又は無置換のヘテロ環から独立に選択される。いくつかの実施形態では、R18中の環中の前記3~7員のヘテロ環は、置換又は無置換の橋架け二環式ヘテロ環から独立に選択される。いくつかの実施形態では、前記置換又は無置換の橋架け二環式ヘテロ環は、アザビシクロヘキサニル、ジアザビシクロヘプタニル、オキソビシクロヘキサニル、オキソビシクロヘプタニル及びオキソビシクロヘプタネニル(oxobicycloheptanenyl)から独立に選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。
【0125】
いくつかの実施形態では、R18中の各3~6員のヘテロ環は、アジリジニル、オキシラニル、チイラニル、オキサキシリジニル(oxaxiridinyl)、ジオキシラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル(theitanyl)、ジアゼチジニル、ジオキセタニル、ジチエタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、イソキシチオリジニル(isoxthiolidinyl)、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、ジオキソラニル、ジチオラニル、トリアゾリル、フラザニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ジオキサゾリル、ジチアゾリル、テトラゾリル、オキサテトラゾリル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジオキサニル、及びジチアニルから独立に選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。
【0126】
いくつかの実施形態では、R18中の前記3~6員のヘテロ環は、置換又は無置換のヘテロ環から独立に選択される。いくつかの実施形態では、R18中の環中の前記3~7員のヘテロ環は、置換又は無置換の橋架け二環式ヘテロ環から独立に選択される。いくつかの実施形態では、前記置換又は無置換の橋架け二環式ヘテロ環は、アザビシクロヘキサニル、ジアザビシクロヘプタニル、オキソビシクロヘキサニル、オキソビシクロヘプタニル及びオキソビシクロヘプタネニル(oxobicycloheptanenyl)から独立に選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。
【0127】
いくつかの実施形態では、R19、R19a及び各R20は、水素、重水素、置換若しくは無置換のC~Cアルキル、置換若しくは無置換のC~Cアルケニル、置換若しくは無置換のC~Cアルキニル、置換若しくは無置換のC~Cハロアルキル、置換若しくは無置換のC~Cシクロアルキル、置換若しくは無置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換のアリール及び置換若しくは無置換のヘテロアリールから独立に選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。
【0128】
いくつかの実施形態では、R19、R19a及び各R20は、水素、重水素、置換若しくは無置換のC~Cアルキル、置換若しくは無置換のC~Cアルケニル、置換若しくは無置換のC~Cアルキニル、置換若しくは無置換のC~Cハロアルキル、置換若しくは無置換のC~Cシクロアルキル、置換若しくは無置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換のアリール及び置換若しくは無置換のヘテロアリールから独立に選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。
【0129】
いくつかの実施形態では、R19、R19a及び各R20は、水素、重水素、置換若しくは無置換のC~Cアルキル、置換若しくは無置換のC~Cアルケニル、置換若しくは無置換のC~Cアルキニル、置換若しくは無置換のC~Cハロアルキル、置換若しくは無置換のC~Cシクロアルキル、置換若しくは無置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換のアリール及び置換若しくは無置換のヘテロアリールから独立に選択される。
【0130】
いくつかの実施形態では、R19、R19a及び各R20中の前記C~Cシクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルから独立に選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。
【0131】
いくつかの実施形態では、R19、R19a及び各R20中の前記3~7員のヘテロ環は、アジリジニル、オキシラニル、チイラニル、オキサキシリジニル(oxaxiridinyl)、ジオキシラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル(theitanyl)、ジアゼチジニル、ジオキセタニル、ジチエタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、イソキシチオリジニル(isoxthiolidinyl)、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、ジオキソラニル、ジチオラニル、トリアゾリル、フラザニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ジオキサゾリル、ジチアゾリル、テトラゾリル、オキサテトラゾリル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジオキサニル、ジチアニル、アゼパニル、オキセパニル、チエパニル、及びジアゼパニルから独立に選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。
【0132】
いくつかの実施形態では、R及びR10中の前記3~7員のヘテロ環は、置換又は無置換のヘテロ環から独立に選択される。いくつかの実施形態では、環R19、R19a及び各R20中の前記3~7員のヘテロ環は、置換又は無置換の橋架け二環式ヘテロ環から独立に選択される。いくつかの実施形態では、前記置換又は無置換の橋架け二環式ヘテロ環は、アザビシクロヘキサニル、ジアザビシクロヘプタニル、オキソビシクロヘキサニル、オキソビシクロヘプタニル及びオキソビシクロヘプタネニル(oxobicycloheptanenyl)から独立に選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。
【0133】
いくつかの実施形態では、R19、R19a及び各R20中の前記ヘテロアリールは、アゼピニル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、クロマニル、シンノリニル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホン、1,3-ジオキソラニル、フリル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソクロマニル、イソインドリニル、イソキノリニル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2-オキソアゼピニル、オキサゾリル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペルジニル(2-oxopiperdinyl)、2-オキソピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアゾリル、チアゾリニル、チエノフリル、チエノチエニル、トリアゾリル、及びチエニルから独立に選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。
【0134】
いくつかの実施形態では、R19、R19a及び各R20は、水素、重水素、置換若しくは無置換のC~Cアルキル、置換若しくは無置換のC~Cアルケニル、置換若しくは無置換のC~Cアルキニル及び置換若しくは無置換のC~Cハロアルキルから独立に選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はフッ素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、R19、R19a及び各R20は、水素、重水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル及びC~Cハロアルキルから独立に選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はフッ素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、R19、R19a及び各R20は、水素、重水素、C~Cアルキル及びC~Cアルケニルから独立に選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はフッ素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、R19、R19a及び各R20は、水素、重水素及びC~Cアルキルから独立に選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はフッ素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な水素原子は重水素によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、R19、R19a及び各R20は、C~Cアルキルから独立に選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はフッ素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な水素原子は重水素によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、R19、R19a及び各R20は、水素、重水素、CH、CF、CHF、CDH、CDH、CD3、CHCH及びCDCDから独立に選択される。いくつかの実施形態では、R19、R19a及び各R20は、水素、重水素、CH、CF、CHF及びCDから独立に選択される。
【0135】
19、R19a及び各R20が置換されている場合、いくつかの実施形態では、前記置換基は、Cl、F、Br、COH、COCH、C(O)NH、C(O)N(CH、C(O)NHCH、SOCH、C~Cアルキル、C~Cフルオロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cフルオロアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cフルオロアルキニル、C~Cシクロアルキル、並びにO、S、S(O)、SO、N、NH及びNCHから選択される1つ~2つの環ヘテロ部分を含む3~6員のヘテロ環のうちの1つ又は複数から独立に選択される。いくつかの実施形態では、R19及びR20上の前記置換基は、Cl、F、C~Cアルキル、C~Cフルオロアルキル、C~Cアルケニル、C~Cフルオロアルケニル、C~Cアルキニル及びC~Cフルオロアルキニルのうちの1つ~3つから独立に選択される。いくつかの実施形態では、R19、R19a及び各R20上の前記置換基は、Cl、F、Br、CH、及びCFのうちの1つ又は2つから独立に選択される。
【0136】
いくつかの実施形態では、Aは、C~Cシクロアルキル、C~Cシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリールから選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。
【0137】
いくつかの実施形態では、Aは、水素、重水素、C1~6アルキル、OR19、NHR19及びSR19から選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はフッ素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、Aは、水素、重水素、C1~6アルキル、又はOR19から選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はフッ素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、Aは、水素、重水素及びOR19から選択される。いくつかの実施形態では、R19は、水素、重水素、CH、CF、CHF、CDH、CDH、CD3、CHCH及びCDCDから選択される。いくつかの実施形態では、R19は、CF、CHF、CDH、CDH、CD及びCDCDから選択される。
【0138】
いくつかの実施形態では、Aは、水素、重水素、OCH、OCD、OCHD、OCDH、OCF、OCFH、及びOCHFから選択される。いくつかの実施形態では、Aは、OCH、OCD、OCHD、OCDH、OCF、OCFH、及びOCHFから選択される。いくつかの実施形態では、Aは、OCD、OCHD、OCDH、OCF、OCFH、及びOCHFから選択される。いくつかの実施形態では、Aは、水素、重水素、OCH、OCD、OCF、及びOCHFから選択される。いくつかの実施形態では、Aは、水素、重水素、OCH及びOCDから選択される。
【0139】
いくつかの実施形態では、Aは、O-C1~6アルキル、O-C~Cシクロアルキル、O-C~Cシクロアルケニル、O-ヘテロシクロアルキル、O-アリール及びO-ヘテロアリールから選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、Aは、O-C1~6アルキル、O-C~Cシクロアルキル、O-C~Cシクロアルケニル、O-ヘテロシクロアルキル、O-アリール及びO-ヘテロアリールから選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な水素原子は重水素によって任意に(optionally)置き換えられている。
【0140】
いくつかの実施形態では、A中の前記C~Cシクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルから選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。
【0141】
いくつかの実施形態では、A中の前記C~Cシクロアルケニルは、シクロブテニル、シクロペンテニル、及びシクロヘキセニルから選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。
【0142】
いくつかの実施形態では、Aにおける3員~7員のヘテロ環は、アジリジニル、オキシラニル、チイラニル、オキサキシリジニル(oxaxiridinyl)、ジオキシラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル(theitanyl)、ジアゼチジニル、ジオキセタニル、ジチエタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、イソキシチオリジニル(isoxthiolidinyl)、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、ジオキソラニル、ジチオラニル、トリアゾリル、フラザニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ジオキサゾリル、ジチアゾリル、テトラゾリル、オキサテトラゾリル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジオキサニル、ジチアニル、アゼパニル、オキセパニル、チエパニル、及びジアゼパニルから独立して選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。
【0143】
いくつかの実施形態では、Aにおける3員~7員のヘテロ環は、飽和又は不飽和ヘテロ環である。いくつかの実施形態では、Aにおける3員~7員のヘテロ環は、飽和又は不飽和架橋二環式ヘテロ環である。いくつかの実施形態では、前記飽和又は不飽和架橋二環式ヘテロ環は、アザビシクロヘキサニル、ジアザビシクロヘプタニル、オキソビシクロヘキサニル、オキソビシクロヘプタニル、及びオキソビシクロヘプタネニル(oxobicycloheptanenyl)から選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。
【0144】
いくつかの実施形態では、Aにおけるヘテロアリールは、アゼピニル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、クロマニル、シンノリニル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホン、1,3-ジオキソラニル、フリル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソクロマニル、イソインドリニル、イソキノリニル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2-オキソアゼピニル、オキサゾリル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペルジニル(2-oxopiperdinyl)、2-オキソピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアゾリル、チアゾリニル、チエノフリル、チエノチエニル、トリアゾリル、及びチエニルから選択され、ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。
【0145】
いくつかの実施形態では、Aは水素又はOR19であり、そして式(I-B)の化合物は、式(I-B1)又は式(I-B2)の化合物である。したがって、いくつかの実施形態では、本願は、式(I-B1)又は式(I-B2)の化合物又はその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/若しくはプロドラッグを包含する:
【化6】

式中:
、R、R、R、R、R、R13、R14、R15、R16、R17及びnは、式(I-B)において定義されたとおりであり;そして、
19は、C1~6アルキルであり、
ここで全ての利用可能な水素原子はハロゲン原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子はその代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、全ての利用可能な水素原子は、フッ素又は重水素によって任意に(optionally)置換されている。
【0146】
いくつかの実施形態では、R、R、R、R及びRは全てHであり、そしてAはH又はOC1~6アルキルであり、そして式(I-B)の化合物は、式(I-B3)又は式(I-B4)の化合物である。したがって、いくつかの実施形態では、本願は、式(I-B3)又は式(I-B4)の化合物又はその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/若しくはプロドラッグを包含する:
【化7】

式中:
n、R13、R14、R15、R16及びR17は、式(I-B)において定義されたとおりであり;そして、
19は、C1~6アルキルであり、
ここで、全ての利用可能な水素原子は、重水素原子によって任意に(optionally)置き換えられており、及び/又は全ての利用可能な原子は、その代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、全ての利用可能な水素原子は、フッ素又は重水素によって任意に(optionally)置き換えられている。
【0147】
いくつかの実施形態では、式(I-B)、(I-B1)、(I-B2)、(I-B3)及び(I-B4)の化合物において、R13、R14、R15及びR16のうちの少なくとも1つは重水素を含むか、または少なくとも1つのR13、R14、R15及びR16は重水素である。いくつかの実施形態では、式(I-B)、(I-B1)、(I-B2)、(I-B3)、及び(I-B4)の化合物において、R13及びR14のうちの少なくとも1つは重水素であるか、または重水素を含む。いくつかの実施形態では、式(I-B)、(I-B1)、(I-B2)、(I-B3)及び(I-B4)の化合物において、R13及びR14は、水素及び重水素から独立に選択される。いくつかの実施形態では、式(I-B)、(I-B1)、(I-B2)、(I-B3)、及び(I-B4)の化合物において、R13及びR14のうちの少なくとも1つは重水素である。いくつかの実施形態では、式(I-B)、(I-B1)、(I-B2)、(I-B3)、及び(I-B4)の化合物において、R13及びR14は、どちらも水素であるか、またはどちらも重水素である。いくつかの実施形態では、式(I-B2)、(I-B3)、及び(I-B4)の化合物において、R13及びR14は、どちらも重水素である。いくつかの実施形態では、式(I-B)、(I-B1)、(I-B2)、(I-B3)、及び(I-B4)の化合物において、R15は水素である。いくつかの実施形態では、式(I-B)、(I-B1)、(I-B2)、(I-B3)、及び(I-B4)の化合物において、R15は重水素であるか、または重水素を含む。いくつかの実施形態では、式(I-B)、(I-B1)、(I-B2)、(I-B3)、及び(I-B4)の化合物において、R15は重水素を含む。いくつかの実施形態では、式(I-B)、(I-B1)、(I-B2)、(I-B3)、及び(I-B4)の化合物において、R15は、水素、重水素、CH、CDH、CDH、CD3、CHCH、CHCHD、CHCDH及びCDCDから選択される。いくつかの実施形態では、式(I-B)、(I-B1)、(I-B2)、(I-B3)、及び(I-B4)の化合物において、R15は、水素、CH又はCDである。
【0148】
いくつかの実施形態では、式(I-B)、(I-B1)、(I-B2)、(I-B3)及び(I-B4)の化合物において、nは0である。
【0149】
いくつかの実施形態では、RはHであり、またA、R、R及びR及びRは全て重水素であり、式(I-B)の化合物は、式(I-B5)の化合物である。したがって、いくつかの実施形態では、本願は、式(I-B5)の化合物又はその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/若しくはプロドラッグを包含する:
【化8】

式中:
n、R13、R14、R15、R16及びR17は、式(I-B)において定義されたとおりであり、
ここで全ての利用可能な水素原子は、重水素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子は、その代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、全ての利用可能な水素原子は、フッ素又は重水素によって任意に(optionally)置き換えられている。
【0150】
いくつかの実施形態では、R13及びR14はどちらも重水素であり、式(I-B)の化合物は式(I-B6)の化合物である。したがって、いくつかの実施形態では、本願は式(I-B6)の化合物又はその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/若しくはプロドラッグを包含する:
【化9】

式中:
、R、R、R、R15、R16、R17及びnは、式(I-B)において定義されたとおりであり;
Aは、水素、重水素及びOR19から選択され、そして
19は、C~Cアルキルであり、
ここで全ての利用可能な水素原子は、重水素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子は、その代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、全ての利用可能な水素原子は、フッ素又は重水素によって任意に(optionally)置き換えられている。
【0151】
いくつかの実施形態では、式(I-B6)の化合物において、R19は、CF、CHF、CDH、CDH、CD3、及びCDCDから選択される。したがって、いくつかの実施形態では、式(I-B6)の化合物において、Aは、水素、重水素、OCH、OCD、OCHD、OCDH、OCF、OCFH、及びOCHFから選択される。いくつかの実施形態では、式(I-B6)の化合物において、Aは、OCH、OCD、OCF、及びOCHFから選択される。
【0152】
いくつかの実施形態では、AはOR19であり、また、式(I-B)の化合物は、式(I-B7)の化合物である。したがって、いくつかの実施形態では、本願は式(I-B7)の化合物又はその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/若しくはプロドラッグを包含する:
【化10】

式中:
、R、R、R、R13、R14、R15、R16、R17及びnは、式(I-B)において定義されたとおりであり;
Aは、OR19であり、そして
19は、CF、CHF、CFH、CDH、CDH、CD3、及びCDCDから選択され、
ここで全ての利用可能な水素原子は、重水素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子は、その代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられている。いくつかの実施形態では、全ての利用可能な水素原子は、フッ素又は重水素によって任意に(optionally)置き換えられている。
【0153】
したがって、いくつかの実施形態では、式(I-B7)の化合物において、Aは、OCD、OCHD、OCDH、OCF、OCFH、OCHF及びOCDCDから選択される。いくつかの実施形態では、Aは、OCH、OCD、OCHD、OCDH、OCF、OCFH、及びOCHFから選択される。いくつかの実施形態では、式(I-B7)の化合物において、Aは、OCD、OCHD、OCDH、OCF、OCFH、及びOCHFから選択される。いくつかの実施形態では、式(I-B7)の化合物において、Aは、OCD及びOCHFから選択される。
【0154】
いくつかの実施形態では、R16は重水素及びC~Cアルキルから選択され、ただしR16は重水素であるかまたは重水素を含み、そして式(I-B)の化合物は、式(I-B8)の化合物である。したがって、いくつかの実施形態では、本願は式(I-B8)の化合物又はその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/若しくはプロドラッグを包含する:
【化11】

式中:
A、R、R、R、R、R13、R14、R15、R17及びnは、式(I-B)において定義されたとおりであり;そして
16は重水素及びC~Cアルキルから選択され、
ここで全ての利用可能な水素原子は、重水素原子によって任意に(optionally)置き換えられ、及び/又は全ての利用可能な原子は、その代替的同位体によって任意に(optionally)置き換えられており,
ただしR16は重水素であるか、またはR16は重水素を含む。
【0155】
いくつかの実施形態では、全ての利用可能な水素原子は、フッ素又は重水素によって任意に(optionally)置き換えられている。
【0156】
いくつかの実施形態では、式(I-B8)の化合物において、R16は、重水素、CDH、CDH、CD3、CHCHD、CHCDH及びCDCDから選択される。いくつかの実施形態では、式(I-B8)の化合物において、R16は重水素及びCDから選択される。いくつかの実施形態では、式(I-B8)の化合物において、R16はCDである。
【0157】
いくつかの実施形態では、式(I-B5)、(I-B6)、(I-B7)及び(I-B8)の化合物において、nは0である。
【0158】
いくつかの実施形態では、式(I-B)の化合物は:
(R)-3-((1-メチルピロリジン-2-イル)メチル-d2)-1H-インドール;
(R)-3-((1-(メチル-d3)ピロリジン-2-イル)メチル-d2)-1H-インドール;
(R)-3-((1-(メチル-d3)ピロリジン-2-イル)メチル)-1H-インドール;
(S)-3-((1-(メチル-d3)ピロリジン-2-イル)メチル)-1H-インドール;
(R)-3-((1-メチルピロリジン-2-イル)メチル)-1H-インドール-2,4,5,6,7-d5;
(R)-3-(ピロリジン-2-イルメチル)-1H-インドール-2,4,5,6,7-d5;
(R)-5-メトキシ-3-((1-(メチル-d3)ピロリジン-2-イル)メチル)-1H-インドール;
(S)-3-((1-メチルピロリジン-2-イル)メチル-d2)-1H-インドール;
(R)-3-(ピロリジン-2-イルメチル-d2)-1H-インドール;
(R)-5-メトキシ-3-((1-(メチル-d3)ピロリジン-2-イル)メチル)-1H-インドール;
(R)-5-(メトキシ-d3)-3-((1-(メチル-d3)ピロリジン-2-イル)メチル-d2)-1H-インドール;
(R)-5-メトキシ-3-((1-(メチル-d3)ピロリジン-2-イル)メチル-d2)-1H-インドール;
(R)-5-(メトキシ-d3)-3-(ピロリジン-2-イルメチル)-1H-インドール;
(R)-5-(メトキシ-d3)-3-(ピロリジン-2-イルメチル-d2)-1H-インドール;
(S)-5-(メトキシ-d3)-3-(ピロリジン-2-イルメチル-d2)-1H-インドール;
(R)-5-(ジフルオロメトキシ)-3-((1-メチルピロリジン-2-イル)メチル-d2)-1H-インドール;
(S)-5-メトキシ-3-((1-(メチル-d3)ピロリジン-2-イル)メチル-d2)-1H-インドール;
(S)-5-メトキシ-3-((1-メチルピロリジン-2-イル)メチル-d2)-1H-インドール;
又はその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/若しくはプロドラッグから選択される。
【0159】
いくつかの実施形態では、式(I-B)の化合物は、以下に列挙された化合物又はその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/若しくはプロドラッグから選択される:
【表1-1】

【表1-2】

【表1-3】
【0160】
いくつかの実施形態では、医薬的に許容可能な塩は、酸付加塩又は塩基付加塩である。適切な塩の選択は、当業者が行うことができる。適切な塩としては酸付加塩が挙げられ、該酸付加塩は、例えば、化合物の溶液を、塩酸、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、又は安息香酸などの医薬的に許容可能な酸の溶液と混合することにより形成されてもよい。加えて、塩基性医薬化合物から医薬的に有用な塩を生成するために適切であると一般的に考えられている酸は、例えば、P.Stahl et al,Camille G.(eds.)及びHandbook of Pharmaceutical Salts.Properties,Selection and Use.(2002)Zurich:Wiley VCH; S. Berge et al, Journal of Pharmaceutical Sciences 1977 66(1)1-19;P.Gould,International J.of Pharmaceutics (1986) 33 201-217;Anderson et al,The Practice of Medicinal Chemistry(1996),Academic Press,New York;及びThe Orange Book (Food & Drug Administration, Washington, D.C. on their website)に論じられている。
【0161】
対象の治療に適切な又は適合した(compatible)酸付加塩は、任意の塩基性化合物の任意の非毒性の有機酸付加塩又は無機酸付加塩である。酸付加塩を生成する塩基性化合物としては、例えば、アミン基を含む化合物が挙げられる。適切な塩を生成する例示的無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、及びリン酸、並びにオルトリン酸一水素ナトリウム及び硫酸水素カリウムなどの酸性金属塩が挙げられる。適切な塩を生成する例示的有機酸としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸、及びトリカルボン酸が挙げられる。そのような有機酸の例示は、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、ケイ皮酸、マンデル酸、サリチル酸、2-フェノキシ安息香酸、p-トルエンスルホン酸、並びにメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、及び2-ヒドロキシエタンスルホン酸などその他のスルホン酸である。いくつかの実施形態では、例示的酸付加塩としては、酢酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩(「メシル酸塩」)、ナフタレンスルホン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩(トシル酸塩としても公知)、等々が挙げられる。いくつかの実施形態では、一酸塩(monoacid salt)又は二酸塩(diacid salt)が形成され、そのような酸は、水和された形態、溶媒和された形態、又は実質的に無水の形態のいずれかで存在する。一般に、酸付加塩は、その遊離塩基の形態と比べて、水及び様々な親水性有機溶媒への可溶性がより高く、一般に、より高い融点を示す。適切な塩の選択基準は、当業者の知るところであろう。他の医薬的に許容可能でない塩、例えばシュウ酸塩であるがこれに限定されない、は、例えば、実験用途のための本願の化合物の単離において使用してもよく、またはその後の医薬的に許容可能な酸付加塩への変換のために使用してよい。
【0162】
対象の治療に適切な又は適合した(compatible)塩基付加塩は、任意の酸性化合物の任意の非毒性の有機塩基付加塩又は無機塩基付加塩である。塩基付加塩を生成する酸性化合物としては、例えば、カルボン酸基を含む化合物が挙げられる。適切な塩を生成する例示的無機塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、又は水酸化バリウム、並びにアンモニアが挙げられる。適切な塩を生成する例示的有機塩基としては、イソプロピルアミン、メチルアミン、トリメチルアミン、ピコリン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂、などの脂肪族、脂環式、又は芳香族の有機アミン、等々が挙げられる。例示的有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン、及びカフェインである。適切な塩の選択が有用でありうるが、これは例えば、化合物の他の部分のエステル官能基がもし存在するならば、該エステル官能基が加水分解されないようにする点で有用でありうる。適切な塩の選択基準は、当業者が知るところであろう。いくつかの実施形態では、例示的な塩基との塩としては、アンモニウム塩、ナトリウム塩、リチウム塩、及びカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミン、ブチルアミン、コリンなどの有機塩基(例えば、有機アミン)との塩、並びにアルギニン、リジンなどのアミノ酸との塩、等々も挙げられる。塩基性窒素含有基を、低級アルキルハロゲン化物(例えば、メチル、エチル、及びブチルの塩化物、臭化物、及びヨウ化物)、硫酸ジアルキル(例えば、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、及び硫酸ジブチル)、長鎖ハロゲン化物(例えば、デシル、ラウリル、及びステアリルの塩化物、臭化物、及びヨウ化物)、アラルキルハロゲン化物(例えば、臭化ベンジル及び臭化フェネチル)などの薬剤等々を用いて第四級化(quartenized)してよい。酸性部分を有する化合物を、適切な医薬的に許容可能な塩と混合して、例えば、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩又はカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩又はマグネシウム塩)、及び適切な有機リガンドと形成した塩、例えば第四級アンモニウム塩、を得ることができる。また、酸基(-COOH)又はアルコール基が存在する場合には、化合物の溶解度又は加水分解特性を改変するために医薬的に許容可能なエステルを用いることができる。
【0163】
全てのそのような酸塩及び塩基塩は、本願の範囲内の医薬的に許容可能な塩であることが意図され、全ての酸塩及び塩基塩は、本願の目的においては、対応する化合物の遊離形態と均等であるとみなされる。加えて、本願の化合物が、塩基性部分(例えば、脂肪族の第一級、第二級、第三級、又は環状のアミン、芳香族アミン又はヘテロアリールアミン、ピリジン、又はイミダゾールがあるがこれらに限定されない)と酸性部分(例えば、テトラゾール又はカルボン酸があるがこれらに限定されない)の両方を含む場合、双性イオン(「分子内塩」)が生じうるが、これも本明細書で使用される用語「塩」の範囲内に含まれる。本願の化合物のうちあるものは、同一化合物内にアニオン中心及びカチオン中心の両方を有し、そして正味の中性電荷を有する双性イオンの形態で存在し得ることが理解される。そのような双性イオンは、本願の範囲内に含まれる。
【0164】
本願の化合物の溶媒和物としては、例えば、医薬的に許容可能である溶媒と生成されたものが挙げられる。そのような溶媒の例としては、水(得られた溶媒和物は、水和物と呼ばれる)及びエタノール、等々が挙げられる。適切な溶媒は、投与される投与量において生理的に耐容できる(tolerable)。
【0165】
いくつかの実施形態では、本願の化合物は、少なくとも1つのキラル中心を有する場合があり、したがって、鏡像異性体及び/又はジアステレオマーとして存在し得ることが理解され、認識される。全てのそのような異性体及び任意の比率でのそれらの混合物が、本願の範囲内に包含されることが理解されるべきである。化合物の立体化学は、本開示に列挙された所与の化合物において示されている通りであってよいが、該化合物は、代替的な立体化学を有する本願の化合物を特定量(例えば、20%未満、適切には10%未満、より適切には5%未満)を含んでもよいこともさらに理解されるべきである。分離された、純粋な、若しくは部分的に純粋化された光学異性体としての任意の光学異性体、又はそれらのラセミ混合物は、本願の範囲内に含まれることが意図される。
【0166】
いくつかの実施形態では、本願の化合物は、ケト-エノール互変異性体等の互変異性体形態を含むこともできる。互変異性体形態は、平衡にあってもよいし、あるいは適切な置換により1つの形態に立体的にロックされていてもよい。当該化合物が形成するいかなる互変異性体形態も、またそれらの混合物も、本願の範囲に含まれることが意図されている。
【0167】
本願の化合物はさらに、種々の不定形(amorphous forms)及び多形相で存在することができ、いかなる不定形(amorphous forms)、多形、又はそれらの混合物も、本願の範囲に入るものとする。
【0168】
本願の化合物はさらに、放射性標識されていてもよく、したがって、本願の化合物の全ての放射性標識体が本願の範囲に含まれる。ここで、本願の化合物は、1つ又は複数の放射性原子がその構造中に導入されている化合物も含む。
【0169】
III.組成物
本願の化合物は、1種又は複数種のキャリアを用いて従来のやり方で適切に組成物へと調合される。したがって、本願は、1種又は複数種の本願の化合物及びキャリアを含む組成物も包含する。本願の化合物は、インビボでの投与に適した生物学的に適合性の形態の、対象への投与用の医薬組成物へと適切に調合される。したがって、本願はさらに、1種又は複数種の本願の化合物及び医薬的に許容可能なキャリアを含む医薬組成物も包含する。本願のある実施形態では、前記医薬組成物は、本開示に記載の疾患、障害、又は状態のうちの任意のものの治療に用いられる。
【0170】
本願の化合物は、当業者に理解されるとおりの、選択された投与ルートに応じた種々の形態で対象に投与される。例えば、本願の化合物は、経口、吸入、非経口、頬側、舌下、送気(insufflation)、硬膜外、鼻腔、直腸、膣内、パッチ、ポンプ、ミニポンプ、局所、又は経皮での投与により投与され、医薬組成物はそれに応じて製剤化される。いくつかの実施形態では、周期的又は連続的な送達のためにポンプにより投与が行われる。適切な組成物を選択及び調製するための従来の手順及び原料は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences (2000 - 20th edition)及び1999年に発行されたThe United States Pharmacopeia: The National Formulary (USP 24 NF19)に記載されている。
【0171】
非経口投与は、胃腸(GI)管以外の全身送達ルートを含み、例えば、静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、経上皮、鼻腔、肺内(例えば、エアロゾルの使用による)、髄腔内、直腸、及び局所(パッチ又はその他の経皮送達デバイスの使用が挙げられる)の投与モードが挙げられる。非経口投与は、選択された期間にわたる連続的な輸液によるものであってもよい。
【0172】
いくつかの実施形態では、本願の化合物は経口投与され、これは、例えば、不活性の希釈剤又は同化可能な可食キャリアと共に行われ、あるいはこれは硬質又は軟質のシェルゼラチンカプセルに封入され、あるいはこれは錠剤へと圧縮され、あるいは、食餌の食物と共に直接取り込まれる。いくつかの実施形態では、前記化合物は製剤添加剤(excipient)と共に取り込まれ、経口摂取可能な(ingestible)錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、カプレット、ペレット、顆粒、ロゼンジ、チューイングガム、パウダー、シロップ、エリキシル、ウェハ、水溶液、水性懸濁液、等々の形態で用いられる。錠剤の場合、用いられるキャリアとしては、ラクトース、コーンスターチ、クエン酸ナトリウム、及びリン酸の塩が挙げられる。医薬的に許容可能な製剤添加剤としては、結合剤(例えば、予備ゼラチン化したトウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、若しくはヒドロキシプロピルメチルセルロース);フィラー(例えば、ラクトース、マイクロクリスタリンセルロース、若しくはリン酸カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、若しくはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプン若しくはデンプングリコール酸ナトリウム);又は湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、又は溶媒(例えば、中鎖トリグリセリド、エタノール、水)が挙げられる。ある実施形態では、錠剤は、当技術分野で周知の方法でコーティングされる。経口投与用の錠剤、カプセル、カプレット、ペレット、又は顆粒の場合、活性成分の放出を制御するように設計されたEudragits(登録商標)等のpH感受性腸溶性コーティングが任意に(optionally)用いられる。経口投薬形態としては、改変放出(modified release)製剤、例えば速放性製剤及び時限放出(timed-release)製剤、も挙げられる。改変放出製剤の例には、例えば、持続放出(SR)、長期放出(extended-relase)(ER、XR、若しくはXL)、時間放出(time-release)若しくは時限放出(timed-release)、放出制御(CR)、又は連続放出(continuous-release)(CR若しくはContin)が含まれ、例えば、コーティングされた錠剤、浸透圧送達デバイス、コーティングされたカプセル、マイクロカプセル化されたマイクロスフェア、凝集粒子(例えば、分子篩型粒子の凝集粒子)、又は微細な中空の浸透性繊維束、あるいは、線維性のパケットへと集積若しくは保持されている刻まれた(chopped)中空の浸透性繊維群の形態で用いられる。時限放出組成物は、例えば、リポソームとして、あるいは活性化合物が(マイクロカプセル化、多層コーティング等により)差示的に分解可能なコーティングにより保護された製剤として、製剤化される。リポソーム送達系としては、例えば、微小な(small)単層膜(unilamellar)ベシクル、大きな(large)単層膜(unilamellar)ベシクル、及び多層膜(multilamellar)ベシクルが挙げられる。いくつかの実施形態では、リポソームは、種々のリン脂質、例えばコレステロール、ステアリルアミン、若しくはホスファチジルコリン、から形成される。カプセル形態での経口投与のためには、有用なキャリア、溶媒、又は希釈剤として、ラクトース、中鎖トリグリセリド、エタノール、及び乾燥コーンスターチが挙げられる。
【0173】
いくつかの実施形態では、経口投与用の液体調製物は、例えば、溶液、シロップ、又は懸濁液の形態を取るか、あるいは、使用前に水若しくはその他の適切な溶媒(vehicle)を用いて構成するための乾燥製品として適切に提示される。水性の懸濁液及び/又は乳化液を経口投与する場合には、本願の化合物は、乳化剤及び/又は懸濁剤と組み合わせられた油相中に好適に懸濁又は溶解される。所望によっては、特定の甘味料及び/又は矯味剤及び/又は着色料を添加する。このような経口投与用の液体調製物は、医薬的に許容可能な添加剤を用いて従来の手法で調製される。医薬的に許容可能な添加剤には、例えば、懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、メチルセルロース、若しくは可食硬化脂肪);乳化剤(例えば、レシチン若しくはアカシア);非水性溶媒(vehicle)(例えば、中鎖トリグリセリド、アーモンドオイル、油性エステル、若しくはエチルアルコール);及び保存料(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、又はソルビン酸)がある。有用な希釈剤としては、ラクトース及び高分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。
【0174】
例えば注入用製品の調製のために、本願の化合物を凍結乾燥して、得られた凍結乾燥物を用いることも可能である。
【0175】
いくつかの実施形態では、本願の化合物は非経口で投与される。例えば、ヒドロキシプロピルセルロース等の界面活性剤と適切に混合された、水を溶媒とする(in water)本願の化合物の溶液が調製される。いくつかの実施形態では、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、DMSO、及びこれらの混合物中(アルコールと共に若しくはアルコールを用いずに)における、及びオイル中における、分散液が調製される。通常の保存及び使用条件の下では、これらの調製物は微生物の増殖を防止するための保存料を含む。当技術分野における当業者は、適切な製剤をどのようにして調製するかを知っている。非経口投与のためには、普通、本願の化合物の無菌溶液を調製し、該溶液のpHを適切に調整して緩衝化する。静脈内使用のためには、調製物が等張となるように溶質の総濃度を制御すべきである。眼への投与(ocular administration)のためには、軟膏又は点眼可能な液体を送達するが、これは例えば、アプリケーター又はスポイト等の当技術分野で知られた眼への送達システムにより行われる。いくつかの実施形態では、このような組成物は、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、若しくはポリビニルアルコール等の粘膜疑似物質、ソルビン酸、EDTA、若しくは塩化ベンザルコニウム(benzyl chromium chloride)等の保存料、並びに通常量の希釈剤若しくはキャリアを含む。肺投与のためには、エアロゾルの形成を可能にするのに適するよう、希釈剤又はキャリアが選択されよう。
【0176】
いくつかの実施形態では、本願の化合物は、注入による非経口投与のために製剤化され、これには、従来のカテーテル挿入技術又は輸液も含まれる。注入用の製剤は、例えば、添加された保存料と共に単位投薬形態で、例えばアンプル内に又は複数回投与用容器内に、与えられる。いくつかの実施形態では、組成物は、油性又は水性の溶媒(vehicle)における無菌の懸濁液、溶液、又は乳化液等の形態を取り、懸濁剤、安定剤、及び/又は分散剤等の製剤化剤を含む。全ての場合に、当該形態は無菌でなければならず、また、容易に注射が可能である程度に流動性でなければならない。あるいは、本願の化合物は、好適には、例えば発熱物質を含まない無菌水といった適切な溶媒(vehicle)を用いて使用前に再構成するための無菌パウダー形態である。
【0177】
いくつかの実施形態では、鼻腔投与のための組成物は、便利なように、エアロゾル、ドロップ、ゲル、及びパウダーとして製剤化される。例えば、鼻腔内投与又は吸入による投与のためには、患者によって絞られ若しくはポンプされるポンプスプレー容器から溶液、乾燥パウダー製剤、若しくは懸濁液の形態で、あるいは加圧された容器又はネブライザーからのエアロゾルスプレーとしての形態で、本願の化合物は便利に送達される。エアロゾル製剤は、典型的には、生理的に許容可能な水性又は非水性の溶媒中における活性物質の溶液又は微懸濁液を含み、普通は、封がされた容器中における無菌形態の単回用量又は多数回用量として与えられる。該容器は、例えば、噴霧装置と共に用いるためのカートリッジ又は詰め替えの形態を取る。あるいは、前記の封がされた容器は、単位分配装置、例えば単回用量鼻腔吸入器若しくは使用後に廃棄されることが意図された計量バルブが装着されたエアロゾル分配器である。投薬形態がエアロゾルディスペンサーを含む場合、それは噴射剤も含むこととなる。噴射剤は、例えば、圧縮空気、又はフルオロクロロ炭化水素等の有機噴射剤等の、圧縮ガスである。好適な噴射剤としては、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、ヘプタフルオロアルカン、二酸化炭素、又はその他の適切なガスが挙げられるが、これらに限定されない。加圧されたエアロゾルの場合、投薬量単位は、計量された量を分配するバルブを設けることにより、適切に決定される。いくつかの実施形態では、加圧された容器又はネブライザーは、活性化合物の溶液又は懸濁液を含む。吸入器又は送気器に用いるためのカプセル及びカートリッジ(例えばゼラチンからなる)は、例えば、本願の化合物と、ラクトース若しくはデンプン等の適切なパウダーベースとのパウダー混合物を含んで調合される。エアロゾル投薬形態は、ポンプアトマイザーの形態を取ってもよい。
【0178】
頬側又は舌下投与に適した組成物としては、錠剤、ロゼンジ、及びトローチが挙げられ、ここで、本願の化合物は、糖、アカシア、トラガント、又はゼラチン及びグリセリン等のキャリアと共に製剤化される。直腸投与のための組成物は、便利には、ココアバター等の従来の坐薬ベースを含む坐薬の形態である。
【0179】
坐薬形態の本願の化合物は、膣、尿道、及び直腸投与に適している。そのような坐薬は、一般的に、室温では固体であるが体温で溶解する物質混合物で構成されている。そのようなビヒクル(vehicle)を作るのに一般的に用いられる物質としては、カカオ脂(カカオバターとしても知られる)、グリセリン化ゼラチン、その他のグリセリド、植物硬化油、種々の分子量のポリエチレングリコールの混合物、及びポリエチレングリコールの脂肪酸エステルが挙げられるが、これらに限定されない。坐薬投薬形態のさらなる説明については、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th Ed., Mack Publishing, Easton, PA, 1980, pp. 1530-1533を参照のこと。
【0180】
いくつかの実施形態においては、本願の化合物は、標的化可能なドラッグキャリアとしての可溶性ポリマーと結合している。そのようなポリマーとしては、例えば、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド-フェノール、ポリヒドロキシ-エチルアスパルトアミド-フェノール、又はパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシド-ポリリシンが挙げられる。さらに、いくつかの実施形態では、本願の化合物は、薬の制御放出を達成するのに有用なクラスの生分解性ポリマーに結合しており、そのような生分解性ポリマーとしては、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸との共重合体、ポリε-カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、及びヒドロゲルの架橋又は両親媒性ブロック共重合体がある。
【0181】
本願の化合物は、その医薬的に許容可能な塩及び/又は溶媒和物を含め、単独で適切に用いられるが、一般的には、1種又は複数種の本願の化合物 (活性成分)が医薬的に許容可能なキャリアを伴った医薬組成物の形態で投与される。投与態様に応じて、医薬組成物は、約0.05重量%~約99重量%又は約0.10重量%~約70重量%の活性成分、及び、約1重量%~約99.95重量%又は約30重量%~約99.90重量%の医薬的に許容可能なキャリアを含み、ここで、全ての重量パーセント値は、全組成物を基準としている。
【0182】
いくつかの実施形態では、本願の化合物は、その医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/又はプロドラッグを含め、追加の治療剤を含む組成物中で用いられ、投与される。したがって、本願は、1種又は複数種の本願の化合物、又はその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/若しくはプロドラッグ、並びに追加の治療剤、並びに任意に(optionally)1種又は複数種の医薬的に許容可能な製剤添加剤(excipients)を含む医薬組成物も包含する。いくつかの実施形態では、前記追加の治療剤は、セロトニン受容体の活性化によって疾患、障害、又は状態を治療するのに有用な他の既知の剤であり、それは例えば、後述の「方法及び用途」の項に列挙された剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、前記追加の治療剤は、精神賦活薬である。
【0183】
上記において、用語「化合物」は、1種又は複数種の化合物を指す実施形態も包含する。
【0184】
IV.本願の方法及び用途
本願の化合物は、セロトニン受容体においてアゴニスト又は部分的アゴニストとして働くセロトニン作動性結合剤である。
【0185】
したがって、本願は、生物学的サンプル内であれ患者内であれ、細胞内のセロトニン受容体を活性化する方法であって、有効量の1種又は複数種の本願の化合物を前記細胞に投与する方法を包含する。本願は、細胞内のセロトニン受容体を活性化するための、1種又は複数種の本願の化合物の使用、並びに、細胞内のセロトニン受容体を活性化するための医薬の調製のための、1種又は複数種の本願の化合物の使用をも包含する。本願はさらに、細胞内のセロトニン受容体の活性化における使用のための1種又は複数種の本願の化合物もさらに包含する。
【0186】
本願の化合物はセロトニン受容体を活性化可能であるため、本願の化合物は、セロトニン受容体を活性化することで疾患、障害、又は状態を治療するのに有用である。したがって、本願の化合物は医薬として有用である。したがって、本願は、医薬としての使用のための本願の化合物も包含する。
【0187】
本願は、治療有効量の1種又は複数種の本願の化合物を治療を必要とする対象に投与することを含む、セロトニン受容体の活性化によって疾患、障害、又は状態を治療する方法をも包含する。
【0188】
本願は、セロトニン受容体の活性化による疾患、障害、又は状態の治療のための1種又は複数種の本願の化合物の使用、並びにセロトニン受容体の活性化による疾患、障害、又は状態の治療のための医薬の調製のための1種又は複数種の本願の化合物の使用をも包含する。本願は、セロトニン受容体の活性化による疾患、障害、又は状態の治療における使用のための1種又は複数種の本願の化合物もさらに包含する。
【0189】
いくつかの実施形態では、前記セロトニン受容体は5-HT2Aである。したがって、本願は、生物学的サンプル内であれ患者内であれ、細胞内の5-HT2Aを活性化する方法であって、有効量の1種又は複数種の本願の化合物を前記細胞に投与することを含む方法を包含する。本願は、細胞内の5-HT2Aを活性化するための1種又は複数種の本願の化合物の使用、並びに細胞内の5-HT2Aを活性化するための医薬の調製のための1種又は複数種の本願の化合物の使用をも包含する。本願は、細胞内の5-HT2Aの活性化における使用のための1種又は複数種の本願の化合物をさらに含む。
【0190】
本願は、治療有効量の1種又は複数種の本願の化合物を治療を必要とする対象に投与することを含む、5-HT2Aの活性化によって疾患、障害、又は状態を治療する方法をも包含する。本願は、5-HT2Aの活性化による疾患、障害、又は状態の治療のための1種又は複数種の本願の化合物の使用、並びに5-HT2Aの活性化による疾患、障害、又は状態の治療のための医薬の調製のための1種又は複数種の本願の化合物の使用をも包含する。本願はさらに、5-HT2Aの活性化による疾患、障害、又は状態の治療における使用のための1種又は複数種の本願の化合物を包含する。
【0191】
いくつかの実施形態では、本願の化合物は、対象における精神疾患障害及び/又は状態を予防する、治療する、及び/又はその重篤性を減少させるのに有用である。したがって、いくつかの実施形態では、セロトニン受容体の活性化によって治療される疾患、障害、又は状態は精神疾患である。したがって、本願は、治療有効量の1種又は複数種の本願の化合物を治療を必要とする対象に投与することを含む精神疾患を治療する方法をも包含する。本願は、精神疾患の治療のための1種又は複数種の本願の化合物の使用、並びに精神疾患の治療のための医薬の調製のための1種又は複数種の本願の化合物の使用をも包含する。本願はさらに、精神疾患の治療における使用のための1種又は複数種の本願の化合物を包含する。
【0192】
いくつかの実施形態では、前記精神疾患は、全般不安障害、パニック障害、社会不安障害、及び限局性恐怖症等の不安障害;無希望、快楽の喪失、疲労、及び自殺思考などの抑うつ;抑うつ、双極性障害、がん関連抑うつ、不安、及び気分循環性障害等の気分障害;幻覚、妄想、統合失調症等の精神障害;放火癖(着火)、窃盗癖(盗み)、及び強迫性賭博等の衝動制御及び嗜癖障害;アルコール嗜癖;オピオイド嗜癖等の薬物嗜癖;反社会性パーソナリティ障害、強迫性パーソナリティ障害、及び妄想性パーソナリティ障害等のパーソナリティ障害;対象に特定の儀式若しくはルーティンを行わせる思考又は恐怖等の強迫性障害(OCD);外傷後ストレス障害(PTSD);ストレス応答症候群(以前は適応障害と呼ばれていた);解離症、これは以前は多重人格障害、あるいは「多重人格」(split personality)と呼ばれていた、及び離人症;作為症;性機能障害、性同一性障害、及び性的倒錯等の性障害及び性別障害;身体症状症、これは以前は心身症若しくは身体表現性障害として知られていた;並びにそれらの組み合わせ、から選択される。
【0193】
いくつかの実施形態では、セロトニン受容体の活性化によって治療される疾患、障害、又は状態は、認知障害;脳卒中を含め虚血;神経変性;難治性薬物使用障害;睡眠障害;、社会的苦痛、急性痛、がん性疼痛、慢性痛、突出痛、骨痛、軟組織の痛み、神経痛、関連痛、幻痛、神経傷害性疼痛、群発頭痛、及び片頭痛等の苦痛;肥満及び摂食障害;てんかん及び発作性疾患;神経細胞死;興奮毒性細胞死;又はこれらの組み合わせを含む。
【0194】
いくつかの実施形態では、精神疾患は、幻覚及び妄想並びにこれらの組み合わせから選択される。
【0195】
いくつかの実施形態では、幻覚は、幻視、幻聴、幻嗅、幻味、幻触、固有感覚での幻覚、平衡感覚における幻覚、侵害受容での幻覚、熱感覚での幻覚、及び時間感覚での幻覚、並びにこれらの組み合わせから選択される。
【0196】
いくつかの実施形態では、セロトニン受容体の活性化によって治療される疾患、障害、又は状態は、精神病又は精神病症状である。したがって、本願は、治療有効量の1種又は複数種の本願の化合物を治療を必要とする対象に投与することを含む、精神病又は精神病症状を治療する方法も包含する。
【0197】
本願は、精神病又は精神病症状の治療のための1種又は複数種の本願の化合物の使用、並びに精神病又は精神病症状の治療のための医薬の調製のための1種又は複数種の本願の化合物の使用をも包含する。本願はさらに、精神病又は精神病症状の治療における使用のための1種又は複数種の本願の化合物を包含する。
【0198】
いくつかの実施形態では、治療を必要とする前記対象への治療有効量の本願の化合物の投与は、幻覚及び妄想を例とするがこれらに限定されない精神病又は精神病症状の悪化を生じない。いくつかの実施形態では、治療を必要とする前記対象への治療有効量の本願の化合物の投与は、幻覚及び妄想を例とするがこれらに限定されない精神病又は精神病症状の改善を生じる。いくつかの実施形態では、治療を必要とする前記対象への治療有効量の本願の化合物の投与は、精神病又は精神病症状の改善を生じる。
【0199】
いくつかの実施形態では、本願の化合物は、治療を必要とする対象における中枢神経系(CNS)の障害を治療するのに有用であり、該治療は、治療有効量の一般式(I-B)の化合物又はその医薬的に許容可能な塩を前記対象に投与することを含む。
【0200】
したがって、いくつかの実施形態では、セロトニン受容体の活性化で治療される疾患、障害、又は状態は、中枢神経系(CNS)の疾患、障害、若しくは状態、及び/又は神経性の疾患、障害、若しくは状態である。したがって、本願は、治療有効量の1種又は複数種の本願の化合物を治療を必要とする対象に投与することを含む、CNSの疾患、障害、若しくは状態、及び/又は神経性の疾患、障害、若しくは状態を治療する方法をも包含する。本願は、CNSの疾患、障害、若しくは状態、及び/又は神経性の疾患、障害、若しくは状態の治療のための1種又は複数種の本願の化合物の使用、並びに、CNSの疾患、障害、若しくは状態、及び/又は神経性の疾患、障害、若しくは状態の治療のための医薬の調製のための1種又は複数種の本願の化合物の使用をも包含する。本願はさらに、CNSの疾患、障害、若しくは状態、及び/又は神経性の疾患、障害、若しくは状態の治療における使用のための1種又は複数種の本願の化合物をも包含する。いくつかの実施形態においては、前記CNSの疾患、障害、若しくは状態、及び/又は神経性の疾患、障害、若しくは状態は、神経発達障害及び神経変性疾患を含む神経疾患から選択され、その例としては、アルツハイマー病;初老期認知症;老人性認知症;血管性認知症;レビ-小体型認知症;認知障害;パーキンソン病及びパーキンソン病関連障害、例えばパーキンソン認知症、皮質基底核変性症、及び核上性麻痺;てんかん;CNS外傷;CNS感染;CNS炎症;脳卒中;多発性硬化症;ハンチントン病;ミトコンドリア障害;脆弱X症候群;アンジェルマン症候群;遺伝性運動失調症;神経耳科学的障害及び眼球運動障害;網膜の神経変性疾患 筋萎縮性側索硬化症;遅発性ジスキネジア;多動障害;注意欠陥多動性障害及び注意欠陥障害;下肢静止不能症候群;トゥレット症候群;統合失調症;自閉症スペクトラム障害; 結節性硬化症;レット症候群;脳性麻痺;神経性食欲不振症(AN)及び神経性過食症等(BN)の摂食障害等の、報酬系の障害;及び過食性障害(BED)、抜毛癖、自傷性皮膚症、爪噛み;片頭痛;繊維筋痛症;並びに、任意の病因の末梢神経障害、並びにこれらの組み合わせ、が挙げられる。
【0201】
いくつかの実施形態では、前記対象は哺乳類である。別の実施形態では、前記対象はヒトである。いくつかの実施形態では、前記対象はヒトではない動物である。いくつかの実施形態では、前記対象はイヌである。いくつかの実施形態では、前記対象はネコである。したがって、本願の化合物、方法、及び使用は、ヒト及び獣医学の両方の疾患、障害、及び状態を扱うものである。
【0202】
いくつかの実施形態では、本願の化合物は、ネコ又はイヌである対象における行動上の問題を治療するのに有用である。
【0203】
したがって、いくつかの実施形態では、セロトニン受容体の活性化によって治療される疾患、障害、又は状態は、ネコ又はイヌである対象における行動上の問題である。したがって、本願は、治療有効量の1種又は複数種の本願の化合物を治療を必要とする非ヒト対象に投与することを含む、行動上の問題を治療する方法をも包含する。本願は、非ヒト対象における行動上の問題を治療するための1種又は複数種の本願の化合物の使用、並びに非ヒト対象における行動上の問題を治療するための医薬の調製のための1種又は複数種の本願の化合物の使用をも包含する。本願はさらに、非ヒト対象における行動上の問題の治療における使用のための1種又は複数種の本願の化合物を包含する。
【0204】
いくつかの実施形態では、前記行動上の問題は、不安、恐れ、ストレス、睡眠障害、認知障害、攻撃性、過剰な騒ぎ立て(excessive noise making)、引っ掻き行動、噛む癖(biting)、及びこれらの組み合わせから選択されるがこれらに限定されない。
【0205】
いくつかの実施形態では、前記非ヒト対象はイヌである。いくつかの実施形態では、前記非ヒト対象はネコである。
【0206】
本願は、治療有効量の1種又は複数種の本願の化合物を、セロトニン受容体の活性化によって疾患、障害、又は状態を治療するのに有用な他の既知の剤と共に、治療を必要とする対象に投与することを含む、セロトニン受容体の活性化によって疾患、障害、又は状態を治療する方法も包含する。本願は、セロトニン受容体の活性化による疾患、障害、又は状態の治療のための、セロトニン受容体の活性化によって疾患、障害、又は状態を治療するのに有用な他の既知の剤と組み合わせての1種又は複数種の本願の化合物の使用、並びにセロトニン受容体の活性化による疾患、障害、又は状態の治療のための医薬の調製のための、セロトニン受容体の活性化によって疾患、障害、又は状態を治療するのに有用な他の既知の剤と組み合わせての1種又は複数種の本願の化合物の使用をも包含する。本願はさらに、セロトニン受容体の活性化による疾患、障害、又は状態の治療における使用のための、セロトニン受容体の活性化によって疾患、障害、又は状態を治療するのに有用な他の既知の剤と組み合わせての1種又は複数種の本願の化合物を包含する。
【0207】
いくつかの実施形態では、セロトニン受容体の活性化によって治療される疾患、障害、又は状態は、精神疾患である。いくつかの実施形態では、精神疾患は、幻覚及び妄想並びにこれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、セロトニン受容体の活性化によって治療される疾患、障害、又は状態は中枢神経系(CNS)の障害である。いくつかの実施形態では、セロトニン受容体の活性化によって治療される疾患、障害、又は状態は精神病又は精神病症状である。いくつかの実施形態では、セロトニン受容体の活性化によって治療される疾患、障害、又は状態は非ヒト対象における行動上の問題である。
【0208】
いくつかの実施形態では、セロトニン受容体の活性化によって治療される疾患、障害、又は状態は精神疾患であり、1種又は複数種の本願の化合物が精神疾患のための1つ又は複数の追加的治療と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、精神疾患のための前記追加的治療は、定型抗精神病薬及び非定型抗精神病薬を含め、抗精神病薬;選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)及び選択的ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、三環系抗うつ剤、及びモノアミン酸化酵素阻害剤(MAOI)(例えば、ブプロピオン)を含め、抗うつ剤;アルプラゾラム等のベンゾジアゼピンを含め、抗不安薬(anti-anxiety medication);リチウム等の気分安定剤、並びにカルバマゼピン、ジバルプロエクス(バルプロ酸)、ラモトリギン、ガバペンチン、及びトピラマート等の抗痙攣薬、から選択される。
【0209】
いくつかの実施形態では、セロトニン受容体の活性化によって治療される疾患、障害、又は状態は、注意欠陥多動性障害及び注意欠陥障害並びにこれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、セロトニン受容体の活性化によって治療される疾患、障害、又は状態は、注意欠陥多動性障害及び/又は注意欠陥障害並びにこれらの組み合わせであり、1種又は複数種の本願の化合物が、注意欠陥多動性障害及び/又は注意欠陥障害並びにこれらの組み合わせのための1つ又は複数の追加的治療と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、注意欠陥多動性障害及び/又は注意欠陥障害並びにこれらの組み合わせのための前記追加的治療は、メチルフェニデート、アトモキセチン、及びアンフェタミン、並びにこれらの組み合わせから選択される。
【0210】
いくつかの実施形態では、セロトニン受容体の活性化によって治療される疾患、障害、又は状態は認知症又はアルツハイマー病であり、1種又は複数種の本願の化合物が、認知症又はアルツハイマー病の治療のための1つ又は複数の追加的治療と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、認知症又はアルツハイマー病のための前記追加的治療は、選択されたアセチルコリンエステラーゼ阻害剤、NMDAアンタゴニスト、ムスカリンアゴニスト及びムスカリンアンタゴニスト、及びニコチンアゴニストから選択される。
【0211】
いくつかの実施形態では、前記アセチルコリンエステラーゼ阻害剤は、ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン、及びフェンセリン、並びにこれらの組み合わせから選択される。
【0212】
いくつかの実施形態では、前記NMDAアンタゴニストは、MK-801、ケタミン、フェンシクリジン、及びメマンチン、並びにこれらの組み合わせから選択される。
【0213】
いくつかの実施形態では、前記ニコチンアゴニストは、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン性α7アゴニスト、α2β4アゴニスト、又はこれらの組み合わせである。
【0214】
いくつかの実施形態では、前記ムスカリンアゴニストは、ムスカリンM1アゴニスト、又はムスカリンM4アゴニスト、又はこれらの組み合わせである。
【0215】
いくつかの実施形態では、前記ムスカリンアンタゴニストは、ムスカリンM2アンタゴニストである。
【0216】
いくつかの実施形態では、セロトニン受容体の活性化によって治療される疾患、障害、又は状態は、精神病又は精神病症状であり、1種又は複数種の本願の化合物が、精神病又は精神病症状のための1つ又は複数の追加的治療と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、精神病又は精神病症状のための前記追加的治療は、定型抗精神病薬及び非定型抗精神病薬から選択される。
【0217】
いくつかの実施形態では、前記定型抗精神病薬は、アセプロマジン、アセトフェナジン、ベンペリドール、ブロムペリドール、ブタペラジン、カルファナジン(carfenazine)、クロルプロエタジン、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、クロペンチキソール、シアメマジン、ジキシラジン、ドロペリドール、フルアニソン、フルペンチキソール、フルフェナジン、フルスピリレン、ハロペリドール、レボメプロマジン、レンペロン(lenperone)、ロキサピン、メソリダジン、メチテピン、モリンドン、モペロン、オキシペルチン、オキシプロテピン(oxyprotepine)、ペンフルリドール、ペラジン、ペリシアジン、ペルフェナジン、ピモジド、ピパンペロン、ピペラセタジン、ピポチアジン、プロクロルペラジン、プロマジン、プロチペンジル、スピペロン、スルホリダジン(sulforidazine)、チオプロパザート、チオプロペラジン、チオリダジン、チオチキセン、チミペロン、トリフルオペラジン、トリフルペリドール、トリフルプロマジン、及びズクロペンチキソール、並びにこれらの組み合わせから選択される。
【0218】
いくつかの実施形態では、前記非定型抗精神病薬は、アモキサピン、アミスルプリド、アリピプラゾール、アセナピン、ブロナンセリン、ブレクスピプラゾール、カリプラジン、カルピプラミン、クロカプラミン、クロロテピン(clorotepine)、クロチアピン、クロザピン、イロペリドン、レボスルピリド、ルラシドン、メルペロン、モサプラミン、ネモナプリド、オランザピン、パリペリドン、ペロスピロン、クエチアピン、レモキシプリド、レセルピン、リスペリドン、セルチンドール、スルピリド、スルトプリド、チアプリド、ベラリプリド、ジプラシドン、及びゾテピン、並びにこれらの組み合わせから選択される。
【0219】
いくつかの実施形態では、セロトニン受容体の活性化によって治療される疾患、障害、又は状態は精神病であり、1種又は複数種の本願の化合物が、精神病のための1つ又は複数の追加的治療と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、精神病のための前記追加的治療は、定型抗精神病薬及び非定型抗精神病薬から選択される。
【0220】
いくつかの実施形態では、有効量は、対象又は種(species)の疾患状態、年齢、性別、及び/又は体重、等の因子に応じて変動する。いくつかの実施形態では、有効量に相当することになる所与の1種又は複数種の化合物の量は、例えば所与の1種又は複数種の薬物若しくは化合物、医薬調合、投与ルート、状態、疾患、若しくは障害の種類、治療される対象のアイデンティティ、等の因子に応じて変動することになるが、とはいえ当業者によって日常的手法で決定することができる。
【0221】
ある実施形態では、本願の化合物は1年に1回、2回、3回、又は4回投与される。いくつかの実施形態では、本願の化合物は、週に一度以上投与される。しかし、別の実施形態では、前記化合物は、2週間に約1回、3週間に約1回、又は1ヶ月に約1回から対象に投与される。別の実施形態では、前記化合物は、週に約1回~1日に約1回投与される。別の実施形態では、前記化合物は、1日に1回、2回、3回、4回、5回、又は6回投与される。治療期間の長さは様々な因子に依存し、例えば、疾患、障害、若しくは状態の重篤度、対象の年齢、本願の化合物の濃度及び/若しくは活性、及び/又はこれらの組み合わせである。治療に用いられる化合物の有効投薬量は、特定の治療レジメンの間に増加又は減少してもよいことも理解されよう。投薬量の変更は、当技術分野で既知の標準的な診断アッセイにより生じ、また、明らかなものとなる。いくつかの場合には、慢性投与が必要である。例えば、対象を治療するのに十分な量及び期間、前記化合物は対象に投与される。
【0222】
いくつかの実施形態では、本願の化合物は、幻覚発現性又は精神異常発現性の用量で投与され、心理療法又は治療と共に服用され、1年に1回、2回、3回、又は4回投与が行われてもよい。しかし、いくつかの実施形態では、前記化合物は、1日に1回、2日に1回、3日に1回、1週間に1回、2週間に1回、1ヶ月に1回、2ヶ月に1回、又は3ヶ月に1回、幻覚発現性又は精神異常発現性ではない用量で対象に投与される。
【0223】
本願の(ある)化合物は、単独で使用されても、セロトニン受容体の活性化によって疾患、障害、又は状態を治療するのに有用な他の既知の剤(例えば本願の化合物)と組み合わせて用いられてもよい。セロトニン受容体の活性化によって疾患、障害、又は状態を治療するのに有用な他の既知の剤と組み合わせて用いられる場合、本願の化合物がそれらの剤と同時期に投与されることは1つの実施形態である。本開示においては、対象に対する2つの物質の「同時期の投与」とは、それら2つの物質が個体中で同時に活性であるようにそれら2つの物質のそれぞれを与えることを意味する。投与の正確な詳細は互いの存在下におけるそれら2つの物質の薬物動態に依存するが、薬物動態が適していれば、2つの物質を互いに数時間以内の時間差で投与すること、あるいは一方の物質を他方の物質の投与の24時間以内に投与することさえ、含みうる。適切な投薬レジメンを設計することは、当業者にとって日常手法的である。ある特定の実施形態では、2つの物質は実質的に同時に、つまり、互いに数分以内の時間差で、あるいは両方の物質を含む単一の組成物中で、投与される。剤の組み合わせが対象に非同時期的に投与されることは、本発明のさらなる実施形態である。いくつかの実施形態では、本願の化合物は、他の治療剤と、別々の単位投薬形態で同時に又は順々に、あるいは単一の単位投薬形態で一緒に、投与される。したがって、本願は、1種又は複数種の本願の化合物、追加的治療剤、及び医薬的に許容可能なキャリアを含む単位投薬形態を提供する。
【0224】
本願の化合物の投薬量は多くの因子に依存して変動し、それらとしては例えば、化合物の薬物動態特性、投与態様、服用者(recipient)の年齢、健康、及び体重、症状の性質及び程度、治療の頻度、並びに(もしあるなら)並行する(concurrent)治療の種類、並びに治療を受ける対象内における化合物のクリアランス速度が挙げられる。当業者は、上記の因子に基づいて適切な投薬量を決定することができる。いくつかの実施形態では、1種又は複数種の本願の化合物は適切な投薬量で最初に投与され、投薬量は臨床反応に応じて必要に応じ調整される。投薬量は、一般に、1種又は複数種の本願の化合物の血清レベルを約0.01μg/cc~約1000μg/cc又は約0.1μg/cc~約100μg/ccに維持するように選択される。代表的な例としては、1種又は複数種の本願の化合物の経口投薬量は成人の場合1日あたり約10μg~1日あたり約1000mg、好適には、1日あたり約10μg~1日あたり約500mg、より好適には、1日あたり約10μg~1日あたり約200mgである。非経口投与の場合、代表的な量は、約0.0001mg/kg~約10mg/kg、約0.0001mg/kg~約1mg/kg、約0.01mg/kg~約0.1mg/kg、又は約0.0001mg/kg~約0.01mg/kgが投与される。経口投与の場合、代表的な量は、約0.001μg/kg~約10mg/kg、約0.1μg/kg~約10mg/kg、約0.01μg/kg~約1mg/kg、又は約0.1μg/kg~約1mg/kgである。坐薬形態での投与の場合、代表的な量は、約0.1mg/kg~約10mg/kg又は約0.1mg/kg~約1mg/kgである。本願のいくつかの実施形態においては、組成物は経口投与用に製剤化され、前記1種又は複数種の化合物は、好適には、一錠あたり0.1、0.25、0.5、0.75、1.0、5.0、10.0、20.0、25.0、30.0、40.0、50.0、60.0、70.0、75.0、80.0、90.0、100.0、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、又は1000mgの活性成分(1種又は複数種の本願の化合物)を含む錠剤形態である。本願のいくつかの実施形態においては、1種又は複数種の本願の化合物は、1日1回投与、1週1回投与、又は1月1回の用量で投与されるか、あるいは、1日の全用量が1日2回、1日3回、又は1日4回の用量に分割される。
【0225】
いくつかの実施形態では、本願の化合物は、臨床的に意味のある幻覚惹起性/精神異常発現性作用を欠く用量又は投薬量レジメンの投与を含む有効量で使用又は投与される。いくつかの実施形態では、本願の化合物は、4ng/mL以下のヒト血漿シロシンCmax及び/又は40%以下のヒト5-HT2AヒトCNS受容体占有度により発現される臨床的効果、あるいは1ng/mL以下のヒト血漿シロシンCmax及び/又は30%以下のヒト5-HT2AヒトCNS受容体占有率により発現される臨床的効果に類似する臨床的効果を与える用量又は投薬量レジメンの投与を含む有効量で使用又は投与される。いくつかの実施形態では、本願の化合物は、60分を超える、120分を超える、又は180分を超える、ヒト血漿シロシンTmaxにより発現される臨床的効果に類似する臨床的効果を与える用量又は投薬量レジメンの投与を含む有効量で使用又は投与される。
【0226】
明確にするために言うと、上記で、a「化合物」という用語は、1種又は複数種の化合物が参照される実施形態を包含する。同様に、「本願の化合物」sという表現は、1種類のみの化合物が参照される実施形態をも包含する。
【0227】
V.化合物の調製
【0228】
本願の化合物は、種々の合成プロセスにより調製できる。特定の構造的特徴及び/又は置換基の選択は、一つのプロセスを別のプロセスに優先して選択することに影響し得る。所与の本願の化合物を調製する特定のプロセスを選択することは、当業者の作業範囲の範囲内にある。本願の化合物を調製するためのいくつかの出発物質は、商用の化学品供給元から入手可能であるし、あるいは、細胞、植物、動物、又は真菌から抽出し得る。例えば以下に記載するもの等の他の出発物質は、当業者に周知の単純な変換を用いて、入手可能な前駆体から容易に調製される。本願の化合物を調製する方法のいくつかの実施形態を示す以下のスキームでは、全ての記号(variables)は、断りの無い限り式Iで定義されたとおりである。
【0229】
いくつかの実施形態では、本願の化合物は一般的に、スキームI~IIIに示すプロセスによって調製される。
【0230】
いくつかの実施形態では、式I-Bの化合物は、スキームI~IIIに示すように調製される。したがって、いくつかの実施形態では、式(A)のオルトヨードアニリン化合物を、Pd触媒などの触媒の存在下で、式(E)の二置換アルキン化合物などの適切な不飽和前駆体とカップリングし、これによって既知の方法を通じて、例えば、Fricke et al., Chem. Eur. J., 2019, 25(4):897-903に見られるPd触媒手順を用いて。式(I-B)の化合物を与える。
【化12】
【0231】
いくつかの実施形態では、式(I-B)の化合物はスキームIIによって合成される。したがって、式(C)の置換インドール化合物を、塩化オキサリルなどの適切なカップリング試薬の存在下で、式(F)の適切なピロリジンカルボン酸化合物とカップリングして、式(G)の化合物を与える。この式(G)の化合物を、Al系還元剤などの適切な還元剤で還元して、一般式(I-B)の化合物を与える。
【化13】
【0232】
いくつかの実施形態では、スキームIIIに示すように、式(I-B)の化合物は既知の方法を用いて、例えば、Gerasimov et al., J. Med. Chem., 1999, 42(20):4257-4263及び/又はMacor et al. J. Med. Chem., 1992, 35(23):4503-4505に見られる合成手順を用いて、調製される。したがって、式(C)の置換インドール化合物を、N-ブロモスクシンイミド(NBS)又はアルキルマグネシウムブロミド等のグリニャール試薬などの適切な臭素化試薬を用いて臭素化して、式(H)の臭素化されたインドール化合物を与える。式(H)の化合物を、塩化オキサリルなどの適切なカップリング試薬の存在下で、Xが脱離基である式(F)の化合物などの適切な活性化されたピロリジンカルボン酸とカップリングさせて、式(J)の化合物を与える。式(D)の化合物を、水素化アルミニウムリチウム若しくは重水素化アルミニウムリチウムなどのAl系還元剤又は水素化ホウ素リチウムなどの適切な還元剤を用いて還元して、一般式(I-B)の化合物を与える。
【化14】
【0233】
当業者は、上記のスキームにおいて中間体及び最終化合物に対して、既知の化学手法を用いた置換基のさらなる操作を行って、代替的な本願の化合物を与えることができることを理解するであろう。
【0234】
本願の化合物の塩は、当業者に既知の方法で、例えば、本願の化合物を、塩が沈殿する媒体などの媒体中で又は水性媒体中で、ある量の酸又は塩基、例えば当量の酸又は塩基、と反応させ、続いて凍結乾燥することにより形成させてもよい。
【0235】
溶媒和物の形成は、化合物及び溶媒和物に応じて変動することになろう。一般に、溶媒和物は、適切な溶媒に化合物を溶解し、冷却することで又は貧溶媒(antisolvent)を使用して、溶媒和物を単離することにより形成される。溶媒和物は、典型的には、環境条件下で乾燥又は共沸させられる。特定の溶媒和物を形成するための適切な条件の選択は、当業者が行うことができる。適切な溶媒の例は、エタノール、水、等々である。水が溶媒である場合、分子は「水和物」と呼ばれる。本願の化合物の溶媒和物の形成は、化合物及び溶媒和物に応じて変動することになろう。一般に、溶媒和物は、適切な溶媒に化合物を溶解し、冷却することで又は貧溶媒を使用して、溶媒和物を単離することにより形成される。溶媒和物は、典型的には、環境条件下で乾燥又は共沸させられる。特定の溶媒和物を形成するための適切な条件の選択は、当業者が行うことができる。
【0236】
本願の同位体濃縮された化合物及びその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、及び/又はプロドラッグは、適切な同位体濃縮された試薬及び/又は中間体を用いて、当業者に周知の従来技術によって又は本明細書中のスキーム及び実施例に記載されているものと類似のプロセスによって、過度な実験無しに調製することができる。
【0237】
本開示に記載されているプロセス全体を通して、必要な場合には、適切な保護基が、当業者によって容易に理解されるだろう手法で様々な反応物及び中間体に対して付加され、その後該反応物及び中間体から除去されることが理解されるべきである。そのような保護基を使用するための従来の手順及び適切な保護基の例は、例えば、“Protective Groups in Organic Synthesis”,T.W.Green,P.G.M.Wuts,Wiley-Interscience,New York,(1999)に記載されている。ある基又は置換基から別の基又は置換基への化学的操作による変換を、最終生成物へと向かう合成経路上の任意の中間体又は最終生成物に対して行うことができ、可能な変換の種類は、その段階における分子が有する他の官能性が有する、前記変換に使用される条件又は試薬に対する生来の不適合性によってのみ限定されることも理解されるべきである。そのような本来の不適合性、並びに適切な変換及び適切な順序での合成ステップを行うことによりそのような本来の不適合性を回避する方法は、当業者が容易に理解するところであろう。変換の例は本開示に与えられており、記載されている変換は、変換が例示されている属概念(generic)の基又は置換基だけに限定されないことが理解されるべきである。他の適切な変換についての参照及び記載は、“Comprehensive Organic Transformations - A Guide to Functional Group Preparations”R.C. Larock,VHC Publishers,Inc.(1989)に与えられている。他の適切な反応についての参照及び記述は、有機化学の教科書、例えば、“Advanced Organic Chemistry”,March,4th ed.McGraw Hill(1992)又は“Organic Synthesis”,Smith,McGraw Hill,(1994)に記載されている。中間体及び最終生成物の精製技術としては、例えば、カラム上での又は回転板上での順相及び逆相クロマトグラフィー、再結晶化、蒸留、及び液-液抽出又は固-液抽出が挙げられ、これらは、当業者が容易に理解するところであろう。
【0238】
また、最終産物に向かう合成経路上の任意の中間体又は最終産物に対して、基又は置換基を化学的操作により別の基又は置換基に変換することを行うことができること、その変換において変換の可能な種類はそのステージの分子がまとっている他の官能性が本質的に、変換で用いられる条件又は試薬に対して不適合であることによってのみ制限されること、も理解されるべきである。そのような、本質的な不適合性、及び適切な変換及び合成ステップを適切な順番で行うことでこれを回避するやり方は、当業者にとって容易に理解されるであろう。変換の例は本開示中で与えられ、そして、記載された変換は、変換が例示された一般的(generic)な基又は置換基のみに限定されないことも理解されるべきである。他の好適な変換の参照及び記載は、“Comprehensive Organic Transformations - A Guide to Functional Group Preparations” R.C. Larock, VHC Publishers, Inc. (1989)に与えられている。他の好適な反応の参照及び記載は有機化学の教科書に記載されており、例えば、“Advanced Organic Chemistry”, March, 4th ed. McGraw Hill (1992)又は“Organic Synthesis”, Smith, McGraw Hill, (1994)に記載されている。
【0239】
中間体及び最終産物の精製のための技術としては、例えば、カラム又は回転プレート上での順相クロマトグラフィー及び逆相クロマトグラフィー、再結晶化、蒸留、及び液体-液体若しくは固体-液体抽出が挙げられ、これらは、当業者が容易に理解するであろう。
【0240】
本願のプロセスの産物は、既知の方法によって単離されてもよく、例えば、化合物は、溶剤の蒸発、ろ過、遠心分離、クロマトグラフィー又はその他の適切な方法によって単離されてもよい。
【0241】
本願の化合物のプロドラッグは、例えば、利用可能なヒドロキシ基、チオール基、アミノ基又はカルボキシル基を用いて形成した従来からのエステルであってもよい。例えば、利用可能なヒドロキシル基又はアミノ基は、塩基の存在下で、任意には(optionally)不活性溶媒中で、活性化された酸を用いて(例えば、ピリジン中の酸塩化物)アシル化されててもよい。
【0242】
当業者は、本願の反応ステップが種々の溶媒又は溶媒系中で行われる場合に、前記反応ステップは適切な溶媒の、又は溶媒系の混合物中で行われてもよいことを理解するであろう。
【実施例
【0243】
以下の非限定的な実施例は、本願を例示する。
一般的方法
【0244】
本開示において使用される全ての出発物質は、市販されたものであるか、文献中に先に記載されている。H及び13C NMRスペクトルは、特に断りの無い限り、溶媒としての重水素化クロロホルム中で、TMS又は残留溶媒シグナルを内部標準として用いて、H NMRについてそれぞれ300MHz、400MHz、及び400MHzで作動するBruker 300、Bruker DPX400、又はVarian +400のいずれかの分光光度計で記録した。全ての報告された化学シフトは、デルタスケール上のppmで表され、記録中に現れたシグナルの微細分裂は一般には、例えば、s:一重項、br s:ブロード一重項、d:二重項、t:三重項、q:四重項、m:多重項、として表される。特に断りが無ければ、以下の表では、H NMRデータは、溶媒としてCDClを用いて400MHzで得た。
【0245】
生成物の精製は、Chem Elut Extraction Columns(Varian、cat#1219-8002)、Mega BE-SI(Bond Elut Silica)SPE Columns(Varian、cat#12256018;12256026;12256034)を用いて、又はシリカ充填ガラスカラムのフラッシュクロマトグラフィーにより行った。
【0246】
以下の化合物を、スキームI~IVに概要を記載されている合成方法のうちの1つ又は複数を用いて調製した。
A.例示的な本願化合物の合成
実施例1:式(R)-3-((1-(メチル-d)ピロリジン-2-イル)メチル-d)-1H-インドールの化合物(I-B-1)の合成
【化15】


(R)-2-(2-(1H-インドール-3-カルボニル)ピロリジン-1-イル)-1-フェニル-2 λ22-エタン-1-オン(8)の合成:
【0247】
無水(dry)THF(70mL)中における(2-オキソ-2-フェニル-1 λ-エチル)-D-プロリン(15.4g、61.782mmol)の溶液を、0℃で塩化チオニル(9.0mL、123.56mmol)で処理した。反応産物を室温とし、そして2時間還流した。反応産物を室温とし、真空下で溶媒を蒸発させ及び粗産物を乾燥させて対応する酸塩化物を得た。
【0248】
5~10℃の無水(dry)CHCl(50mL)中における1H-インドール(7、7.23g、61.782mmol)の溶液を、無水(dry)CHCl(50mL)中における上記の粗酸塩化物及びエチルマグネシウムブロミド(41.2mL、123.56mmol、THF中3M)で同時に15分の期間にわたって処理し、同温度でさらに15分間撹拌した。反応を濃HCl(10mL)で、次いで水(150mL)で反応停止させ、生成物をCHCl(2×150mL)中に抽出した。CHCl層を飽和NaHCO溶液(50mL)、塩水(brine)(25mL)で洗い、そして乾燥させた(NaSO)。溶媒を蒸発させ、粗生成物をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(CHClからEtOAc:CHCl、1:4)により精製して、見出しに記載の化合物8(13.0g、60.4%)を明褐色固体として得た。1H NMR (CDCl3): δ 9.54, 9.24 (2s, 1H), 8.43, 8.20 (2d, 1H, J = 3.0 Hz), 7.70-7.64 (m, 1H), 7.44-7.00 (m, 8H), 5.29-5.01 (m, 3H), 3.81-3.63 (m, 2H), 2.28-2.25 (m, 1H), 2.09-1.94 (m, 3H); ESI-MS (m/z, %): 371 (M+Na, 100), 349 (MH+)
【0249】
(R)-3-((1-(メチル-d)ピロリジン-2-イル)メチル-d)-1H-インドール (I-B-1)の合成
無水(dry)THF(10mL)中の重水素化アルミニウムリチウム(0.50g、11.911mmol)の懸濁液を無水(dry)THF(15mL)中の(R)-2-(2-(1H-インドール-3-カルボニル)ピロリジン-1-イル)-1-フェニル-2 λ-エタン-1-オン(8、0.83g、2.382mmol)で0℃で10分間の期間にわたり処理した。反応産物を室温とし、それからさらに16時間還流した。反応産物をワークアップ及び精製して、見出しに記載の化合物I-B-1(0.5g、77%)をベージュの固体として得た。1H NMR (DMSO-d6): δ 10.77 (s, 1H), 7.51 (d, 1H, J = 6.0 Hz), 7.33 (d, 1H, J = 6.0 Hz), 7.14 (d, 1H, J = 3.0 Hz), 7.07 (dd, 1H, J = 3.0 Hz), 7.05-6.95 (m, 1H), 3.00-2.95 (m, 1H), 2.36-2.32 (m, 1H), 2.14-2.07 (m, 1H), 1.71-1.43 (m, 4H); ESI-MS (m/z, %): 219 (MH+, 100).
【0250】
実施例2:(R)-3-(ピロリジン-2-イルメチル-d)-1H-インドール(I-B-8)
【化16】

(R)-3-プロピル-1H-インドール(10)の合成:
メタノール(25mL)中の(R)-2-(2-(1H-インドール-3-カルボニル)ピロリジン-1-イル)-1-フェニル-2 -エタン-1-オン(8、1.2g、3.444mmol)の懸濁液をパラジウム炭素(1.2g)(パラジウム10%)で処理し、そしてParr装置を用いて33PSIで50分間水素化した。反応産物をパッドセライトを通してろ過し、そしてメタノール(3×25mL)で洗浄した。合わせられたメタノール層を蒸発させ、粗生成物をCHCl:ヘキサン(1:1)の混合液からの結晶化により精製して、見出しに記載の化合物10(0.48g、65%)をオフホワイトの固体として得た。1H NMR (DMSO-d6): δ 8.41 (d, 1H, J = 3.0 Hz), 8.21 (dd, 1H, J = 3.0 Hz), 7.50-7.46 (m, 1H), 7.25-7.18 (m, 2H), 4.42-4.39 (m, 1H), 3.10-3.04 (m, 1H), 2.79-2.75 (m, 1H), 2.20-2.18 (m, 1H), 1.76-1.62 (m, 3); ESI-MS (m/z, %): 215 (MH+, 100).
【0251】
(R)-3-(ピロリジン-2-イルメチル-d)-1H-インドール (I-B-8)の合成:
無水(dry)THF(20mL)中の(R)-3-プロピル-1H-インドール(10、0.45g、2.100mmol)の懸濁液を重水素化アルミニウムリチウム(0.26g、6.300mmol)で0℃で処理した。反応産物を室温とし、それからさらに16時間還流した。反応産物をワークアップ及び精製して、見出しに記載の化合物I-B-8(0.13g、31%)を淡黄色の固体として得た。1H NMR (DMSO-d6): δ 10.79 (s, 1H), 7.53 (d, 1H, J = 6.0 Hz), 7.34 (d, 1H, J = 6.0 Hz), 7.08 (d, 1H, J = 3.0 Hz), 7.05 (dd, 1H, J = 3.0, 6.0 Hz), 6.98 (dd, 1H, J = 3.0, 6.0 Hz), 3.29-3.22 (m, 1H), 2.95-2.88 (m, 1H), 2.75-2.69 (m, 1H), 1.76-1.57 (m, 3H), 1.36-1.29 (m, 1H); ESI-MS (m/z, %): 203 (MH+, 100).
【0252】
(R)-5-メトキシ-3-((1-(メチル-d)ピロリジン-2-イル)メチル)-1H-インドール(I-B-9)
【化17】


(R)-2-(2-(5-メトキシ-1H-インドール-3-カルボニル)ピロリジン-1-イル)-1-フェニル-2 -エタン-1-オン(13)の合成
無水(dry)THF(100mL)中の(2-オキソ-2-フェニル-1 λ-エチル)-D-プロリン(17.4g、69.806mmol)の溶液を塩化チオニル(10.2mL、139.613mmol)で0℃で処理した。反応産物を室温とし、それから2時間還流した。反応産物を室温とし、真空下で溶媒を蒸発させ及び粗生成物を乾燥させて、対応する酸塩化物を得た。
【0253】
5~10℃の無水(dry)CHCl(100mL)中の5-メトキシ-1H-インドール(12、10.2g、69.806mmol)の溶液を無水(dry)CHCl(40mL)中の前記粗酸塩化物及びエチルマグネシウムブロミド(46.5mL、139.61mmol、THF中3M)で同時に15分間の期間にわたって処理し、そして同温度でさらに15分間撹拌した。化合物8について記載したのと同様に、反応を停止させ、反応産物をワークアップし、そして精製して、見出しに記載の化合物13(18.9g、71.5%)を黄色の固体として得た。ESI-MS (m/z, %): 401 (M+Na, 100), 379 (MH+).
【0254】
(R)-2-(2-((5-メトキシ-1H-インドール-3-イル)メチル)ピロリジン-1-イル)-1-フェニル-2 -エタン-1-オン(14)の合成
無水(dry)THF(25mL)中の(R)-2-(2-(5-メトキシ-1H-インドール-3-カルボニル)ピロリジン-1-イル)-1-フェニル-2λ-エタン-1-オン(1.6g、4.227mmol)の溶液を水素化ホウ素リチウム(8.45mL、16.911mmol、THF中2Mの溶液)の溶液で室温で5分間の期間にわたって処理し、そして反応産物をさらに4時間還流した。反応産物を0℃に冷却し、メタノール(10mL)を15分間の期間にわたって注意深く添加することで反応停止させた。反応産物を室温とし、そしてさらに1時間撹拌した。反応産物を飽和NaHCO溶液(30mL)で処理し、そして生成物を酢酸エチル(3×50mL)中に抽出した。合わせられた酢酸エチル層を塩水(20mL)で洗いそして乾燥させた(NaSO)。溶媒を蒸発させ、そして粗生成物をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH:CHCl=2:98)で精製して、見出しに記載の化合物14(1.17g、76%)を淡黄色の半固体として得た。1H NMR (CDCl3): δ 7.91 (s, 1H), 7.46-7.18 (m, 6H), 7.05-6.85 (m, 3H), 5.27-5.20 (m, 2H), 3.70 (S, 3H), 3.51-3.44 (m, 2H), 3.48-3.44 (m, 1H), 3.35-3.30 (m, 1H), 2.82-2.71 (m, 1H), 1.70-1.60 (m, 4H); ESI-MS (m/z, %): 387 (M+Na, 100).
【0255】
(R)-5-メトキシ-3-((1-(メチル-d)ピロリジン-2-イル)メチル)-1H-インドール(I-B-9)の合成
無水(dry)THF(30mL)中の(R)-2-(2-((5-メトキシ-1H-インドール-3-イル)メチル)ピロリジン-1-イル)-1-フェニル-2 λ-エタン-1-オン(14、0.95g、2.606mmol)の懸濁液を重水素化アルミニウムリチウム(0.27g、6.516mmol)で0℃で処理した。反応産物を室温とし、それからさらに16時間還流した。反応産物をワークアップ及び精製して、見出しに記載の化合物I-B-9(0.5g、78%)を明褐色の糊状物(glue)として得た。1H NMR (DMSO-d6): δ 10.61 (s, 1H), 7.22 (d, 1H, J = 6.0 Hz), 7.10 (d, 1H, J = 3.0 Hz), 6.98 (d, 1H, J = 3.0 Hz), 6.71 (d, 1H, J = 3.0 Hz), 3.76 (s, 3H), 3.02-2.96 (m, 2H), 2.50-2.30 (m, 2H), 2.15-2.09 (m, 1H), 1.75-1.43 (m, 4H); ESI-MS (m/z, %): 248 (MH+, 100).
【0256】
実施例3:(R)-5-(メトキシ-d)-3-((1-(メチル-d)ピロリジン-2-イル)メチル)-1H-インドール(I-B-11)
【化18】

(R)-2-(2-(5-(メトキシ-d)-1H-インドール-3-カルボニル)ピロリジン-1-イル)-1-フェニル-2 λ-エタン-1-オン(16)の合成
無水(dry)THF(70mL)中の(2-オキソ-2-フェニル-1 λ-エチル)-D-プロリン(11.74g、47.099mmol)の溶液を塩化チオニル(6.87mL、94.198mmol)で0℃で処理した。反応産物を室温とし、それから2時間還流した。反応産物を室温とし、真空下で溶媒を蒸発させ及び粗生成物を乾燥させて、対応する酸塩化物を得た。
【0257】
5~10℃の無水(dry)CHCl(50mL)中の5-(メトキシ-d)-1H-インドール(4、7.0g、47.099mmol)の溶液を無水(dry)CHCl(50mL)中の前記粗酸塩化物及びエチルマグネシウムブロミド(31.4mL、94.198mmol、THF中3M)で同時に15分間の期間にわたって処理し、そして同温度でさらに15分間撹拌した。化合物8について記載したのと同様に、反応を停止させ、反応産物をワークアップし、そして精製して、見出しに記載の化合物16(12.0g、66.8%)を淡黄色の固体として得た。1H NMR (CDCl3): δ 9.63, 8.68 (2s, 1H), 7.67-7.31 (m, 5H), 7.12-6.76 (m, 3H), 5.30-5.04 (m, 3H), 3.83-3.63 (m, 2H), 2.30-2.25 (m, 1H), 2.12-1.93 (m, 3H); ESI-MS (m/z, %): 404 (M+Na, 100), 382 (MH+).
【0258】
(R)-2-(2-((5-メトキシ-1H-インドール-3-イル)メチル)ピロリジン-1-イル)-1-フェニル-2 λ-エタン-1-オン(17)の合成
無水(dry)THF(25mL)中の(R)-2-(2-(5-(メトキシ-d)-1H-インドール-3-カルボニル)ピロリジン-1-イル)-1-フェニル-2 -エタン-1-オン(16、1.25g、3.227mmol)の溶液を水素化ホウ素リチウム(6.55mL、16.911mmol、THF中2Mの溶液)の溶液で室温で5分間の期間にわたって処理し、そして反応産物をさらに4時間還流した。反応産物を化合物14について記載したのと同様にワークアップ及び精製して、見出しに記載の化合物17(1.16g、66%)を淡黄色の固体として得た。1H NMR (CDCl3): δ 7.92 (s, 1H), 7.45-7.27 (m, 6H), 7.01-6.84 (m, 3H), 5.32-5.19 (m, 2H), 3.49-3.30 (m, 2H), 3.23-3.22 (m, 1H), 3.19-3.12 (m, 1H), 2.81-2.71 (m, 1H), 2.80-2.65 (m, 4H); ESI-MS (m/z, %): 390 (M+Na, 100), 368 (MH+).
(R)-5-(メトキシ-d)-3-((1-(メチル-d)ピロリジン-2-イル)メチル)-1H-インドール(I-B-11)の合成
無水(dry)THF(30mL)中の(R)-2-(2-((5-メトキシ-1H-インドール-3-イル)メチル)ピロリジン-1-イル)-1-フェニル-2 λエタン-1-オン(17、0.81g、2.204mmol)の懸濁液を重水素化アルミニウムリチウム(0.23g、5.510mmol)で0℃で処理した。反応産物を室温とし、それからさらに16時間還流した。反応産物を化合物3について記載したのと同様にワークアップ及び精製して、見出しに記載の化合物I-B-11(0.45g、81.8%)を明褐色の糊状物(glue)として得た。1H NMR (DMSO-d6): δ 10.60 (s, 1H), 7.21 (d, 1H, J = 6.0 Hz), 7.09 (d, 1H, J = 3.0 Hz), 6.97 (d, 1H, J = 3.0 Hz), 6.71 (dd, 1H, J = 3.0, 6.0 Hz), 3.18 (d, 1H, J = 6.0 Hz), 3.02-2.95 (m, 2H), 2.43-2.33 (m, 1H), 2.14-2.08 (m, 1H), 1.74-1.45 (m, 4H); ESI-MS (m/z, %): 251 (MH+, 100).
【0259】
実施例4:(R)-5-(メトキシ-d)-3-((1-(メチル-d)ピロリジン-2-イル)メチル-d)-1H-インドール(I-B-12)
【化19】

(R)-5-(メトキシ-d)-3-((1-(メチル-d)ピロリジン-2-イル)メチル-d)-1H-インドール(I-B-12)の合成
無水(dry)THF(30mL)中の(R)-2-(2-(5-(メトキシ-d)-1H-インドール-3-カルボニル)ピロリジン-1-イル)-1-フェニル-2 λ-エタン-1-オン(16、0.85g、2.228mmol)の懸濁液を重水素化アルミニウムリチウム(0.46g、11.141mmol)で0℃で処理した。反応産物を室温とし、それからさらに16時間還流した。反応産物を化合物3について記載したのと同様にワークアップ及び精製して、見出しに記載の化合物I-B-12(0.5g、89%)を明褐色の糊状物(glue)として得た。1H NMR (DMSO-d6): δ 10.60 (s, 1H), 7.21 (d, 1H, J = 6.0 Hz), 7.09 (d, 1H, J = 3.0 Hz), 6.97 (d, 1H, J = 3.0 Hz), 6.71 (dd, 1H, J = 3.0 Hz), 2.99-2.95 (m, 1H), 2.35-2.31 (m, 1H), 2.14-2.07 (m, 1H), 1.75-1.41 (m, 4H); ESI-MS (m/z, %): 253 (MH+, 100).
【0260】
実施例5:(R)-5-メトキシ-3-((1-(メチル-d)ピロリジン-2-イル)メチル-d)-1H-インドール(I-B-13)
【化20】

(R)-5-メトキシ-3-((1-(メチル-d)ピロリジン-2-イル)メチル-d)-1H-インドール(I-B-13)の合成
無水(dry)THF(30mL)中の(R)-2-(2-(5-メトキシ-1H-インドール-3-カルボニル)ピロリジン-1-イル)-1-フェニル-2 λ-エタン-1-オン(13、0.91g、2.404mmol)の懸濁液を重水素化アルミニウムリチウム(0.5g、12.023mmol)で0℃で処理した。反応産物を室温とし、それからさらに16時間還流した。反応産物を化合物3について記載したのと同様にワークアップ及び精製して、見出しに記載の化合物I-B-13(0.46g、76.6%)を淡黄色の糊状物(glue)として得た。1H NMR (DMSO-d6): δ 10.61 (s, 1H), 7.22 (d, 1H, J = 6.0 Hz), 7.09 (d, 1H, J = 1.5 Hz), 6.98 (d, 1H, J = 3.0 Hz), 6.72 (
dd, 1H, J = 3.0, 6.0 Hz), 3.76 (s, 3H), 3.00-2.95 (m, 1H), 2.36-2.32 (m, 1H), 2.14-2.08 (m, 1H), 1.76-1.42 (m, 4H); ESI-MS (m/z, %): 250 (MH+, 100).
【0261】
実施例6:(R)-5-(メトキシ-d)-3-(ピロリジン-2-イルメチル)-1H-インドール(I-B-14)
【化21】

(R)-5-(メトキシ-d)-3-プロピル-1H-インドール(21)の合成
メタノール(100mL)中の(R)-2-(2-(5-(メトキシ-d)-1H-インドール-3-カルボニル)ピロリジン-1-イル)-1-フェニル-2 λ-エタン-1-オン(16、3.0g、7.864mmol)の懸濁液をパラジウム炭素(3.0g)(パラジウム10%)で処理し、そしてParr装置を用いて33PSIで24時間水素化した。反応産物をパッドセライトを通してろ過し、そしてメタノール(3×25mL)で洗浄した。合わせられたメタノール層を蒸発させ、粗生成物をCHCl:ヘキサン(1:1)の混合液からの結晶化により精製して、見出しに記載の化合物21(0.475g、24.4%)を明黄色固体として得た。1H NMR (DMSO-d6): δ11.89 (brs, 1H), 8.32 (s, 1H), 7.72 (d, 1H, J = 3.0 Hz), 7.38 (d, 1H, J = 9.0 Hz), 6.85 (dd, 1H, J = 6.0 Hz), 4.38-4.35 (m, 1H), 3.07-3.03 (m, 1H), 2.78-2.72 (m, 1H), 2.20-2.14 (m, 1H), 1.73-1.61 (m, 3H); ESI-MS (m/z, %): 248 (MH+, 100).
【0262】
(R)-5-(メトキシ-d)-3-(ピロリジン-2-イルメチル)-1H-インドール(I-B-14)の合成
無水(dry)THF(20mL)中の(R)-5-(メトキシ-d)-3-プロピル-1H-インドール(21、0.23g、0.930mmol)の懸濁液を水素化アルミニウムリチウム(0.105g、2.790mmol)で0℃で処理した。反応産物を室温とし、それからさらに16時間還流した。反応産物をワークアップ及び精製して、見出しに記載の化合物I-B-14(0.075g、35.7%)を淡黄色の半固体として得た。1H NMR (DMSO-d6): δ 10.63 (s, 1H), 7.23 (dd, 1H, J = 3.0 Hz), 7.12 (d, 1H, J = 3.0 Hz), 7.00 (s, 1H), 6.72 (dd, 1H, J = 6.0 Hz), 3.31-3.24 (m, 2H), 2.96-2.91 (m, 1H), 2.82-2.67 (m, 2H), 1.77-1.60 (m, 3H), 1.39-1.32 (m, 1H); ESI-MS (m/z, %): 234 (MH+, 100).
【0263】
実施例7:(R)-5-(メトキシ-d)-3-(ピロリジン-2-イルメチル-d)-1H-インドール(I-B-15)
【化22】

(R)-5-(メトキシ-d)-3-(ピロリジン-2-イルメチル-d)-1H-インドール(I-B-15)の合成
無水(dry)THF(25mL)中の(R)-5-(メトキシ-d)-3-プロピル-1H-インドール(21、0.24g、0.970mmol)の懸濁液を重水素化アルミニウムリチウム(0.122g、2.911mmol)で0℃で処理した。反応産物を室温とし、それからさらに16時間還流した。反応産物をワークアップ及び精製して、見出しに記載の化合物I-B-15(0.05g、21.7%)を明褐色の半固体として得た。1H NMR (DMSO-d6): δ 10.63 (s, 1H), 7.23 (dd, 1H, J = 3.0 Hz), 7.11 (d, 1H, J = 1.5 Hz), 7.00 (d, 1H, J = 1.5 Hz), 6.70 (dd, 1H, J = 3.0 Hz), 3.26-3.17 (m, 1H), 2.96-2.91 (m, 1H), 2.77-2.71 (m, 1H), 1.77-1.59 (m, 3H), 1.44-1.30 (m, 1H); ESI-MS (m/z, %): 235 (MH+, 100).
【0264】
実施例8:(R)-5-メトキシ-3-(ピロリジン-2-イルメチル-d)-1H-インドール(I-B-16)
【化23】

(R)-5-メトキシ-3-プロピル-1H-インドール(24)の合成
メタノール(100mL)中の(R)-2-(2-(5-メトキシ-1H-インドール-3-カルボニル)ピロリジン-1-イル)-1-フェニル-2 λ-エタン-1-オン(13、4.65g、12.287mmol)の懸濁液をパラジウム炭素(4.5g)(パラジウム10%)で処理し、そしてParr装置を用いて33PSIで2時間水素化した。反応産物をセライトのパッドを通してろ過し、メタノール(3×50mL)で洗浄した。合わせられたメタノール層を蒸発させ、粗生成物をCHCl:ヘキサン(1:1)の混合液からの結晶化により精製して、見出しに記載の化合物24(1.1g、36.6%)を明黄色の固体として得た。1H NMR (DMSO-d6): δ 8.32 (s, 1H), 7.72 (d, 1H, J = 1.5 Hz), 7.38 (d, 1H, J = 6.0 Hz), 6.86 (dd, 1H, J = 3.0, 6.0 Hz), 4.39-4.35 (m, 1H), 3.79 (s, 3H), 3.09-3.03 (m, 1H), 2.78-2.72 (m, 1H), 2.21-2.14 (m, 1H), 1.76-1.58 (m, 3H); ESI-MS (m/z, %): 245 (MH+, 100).
【0265】
(R)-5-メトキシ-3-(ピロリジン-2-イルメチル-d)-1H-インドール(I-B-16)の合成
無水(dry)THF(25mL)中の(R)-5-メトキシ-3-プロピル-1H-インドール(24、0.44g、1.801mmol)の懸濁液を重水素化アルミニウムリチウム(0.226g、5.403mmol)で0℃で処理した。反応産物を室温とし、それからさらに16時間還流した。反応産物をワークアップ及び精製して、見出しに記載の化合物I-B-16(0.2g、47.8%)を淡黄色の固体として得た。1H NMR (DMSO-d6): δ 10.63 (s, 1H), 7.23 (d, 1H, J = 3.0 Hz), 7.11 (d, 1H, J = 1.5 Hz), 7.00 (d, 1H, J = 1.5 Hz), 6.71 (dd, 1H, J = 3.0, 6.0 Hz), 3.76 (s, 3H), 3.27-3.23 (m, 1H), 2.95-2.90 (m, 1H), 2.76-2.70 (m, 1H), 1.78-1.56 (m, 3H), 1.38-1.29 (m, 1H); ESI-MS (m/z, %): 233 (MH+, 100).
【0266】
実施例9:(R)-3-((1-メチルピロリジン-2-イル)メチル-d)-1H-インドール(I-B-2)
【化24】

3-(メチル-D-プロピル)-1H-インドール(28)の合成:
ジクロロエタン(50mL)中の(R)-3-プロピル-1H-インドール(10、1.02g、4.760mmol)の懸濁液を酢酸(0.81mL、14.282mmol)で、続いてホルムアルデヒド溶液(1.06mL、14.282mmol)で0℃で処理した。反応産物を室温とし、そしてさらに6時間撹拌した。反応産物をトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(3.02g、14.282mmol)で0℃で処理した。反応産物を室温とし、そして一晩(18時間)撹拌した。反応産物を4NのNaOH溶液(50mL)で反応停止させ、そして生成物をクロロホルム(4×50mL)中に抽出した。合わせられたクロロホルム層を塩水(25mL)で洗いそして乾燥させた(NaSO)。溶媒を蒸発させ、そして粗生成物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(MeOH:CHCl=5:95中の2MのNH)で精製し、見出しに記載の化合物28(0.47g、43.5%)を明褐色固体として得た。1H NMR (DMSO-d6): δ 11.90 (s, 1H), 8.54 (d, 1H, J = 3.0 Hz), 8.28-8.20 (m, 1H), 7.49-7.46 (m, 1H), 7.25-7.13 (m, 2H), 3.46 (dd, 1H, J = 3.0, 6.0 Hz), 3.13-3.08 (m, 1H), 2.14 (s, 3H), 2-12-2.10 (m, 1H), 1.93-1.74 (m, 4H); ESI-MS (m/z, %): 228 (MH+, 100).
【0267】
(R)-3-((1-メチルピロリジン-2-イル)メチル-d)-1H-インドール(I-B-2)の合成
無水(dry)THF(10mL)中の重水素化アルミニウムリチウム(0.25g、6.044mmol)の懸濁液を無水(dry)THF(20mL)中の3-(メチル-D-プロピル)-1H-インドール(28、0.46g、2.014mmol)で0℃で10分間の期間にわたり処理した。反応産物を室温とし、それからさらに16時間還流した。反応産物を化合物3について記載したのと同様にワークアップ及び精製して、見出しに記載の化合物I-B-2(0.31g、71.0%)を淡黄色の固体として得た。1H NMR (DMSO-d6): δ 10.77 (s, 1H), 7.50 (dd, 1H, J = 3.0 Hz), 7.34-7.31 (m, 1H), 7.13 (d, 1H, J = 1.5 Hz). 7.07-7.03 (m, 1H), 6.99-6.95 (m, 1H), 3.39-3.34 (m, 1H), 3.19-2.95 (m, 1H), 2.37 (s, 3H), 2.12-2.07 (m, 1H), 1.69-1.42 (m, 4H); ESI-MS (m/z, %): 217 (MH+, 100).
【0268】
実施例10:(R)-5-メトキシ-3-((1-メチルピロリジン-2-イル)メチル-d)-1H-インドール(I-B-10)
【化25】

5-メトキシ-3-(メチル-D-プロピル)-1H-インドール(30)の合成
ジクロロエタン(30mL)中の(R)-5-メトキシ-3-プロピル-1H-インドール(0.56g、2.304mmol)の懸濁液を酢酸(0.39mL、6.913mmol)で、続いてホルムアルデヒド溶液(0.51mL、6.913mmol、水中37%)で0℃で処理した。反応産物を室温とし、そしてさらに6時間撹拌した。反応産物をトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.46g、6.913mmol)で0℃で処理した。反応産物を室温とし、そして一晩(18時間)撹拌した。反応産物を化合物28について記載したのと同様にワークアップ及び精製して、見出しに記載の化合物30(0.19g、32%)を明褐色固体として得た。1H NMR (CDCl3): δ 9.08 (brs, 1H), 8.33 (d, 1H, J = 3.0 Hz), 8.02 (dd, 1H, J = 3.0, 4.5 Hz), 7.34 (dd, 1H, J = 3.0, 4.5 Hz), 6.96-6.93 (m, 1H), 3.89 (s, 3H), 3.48-3.44 (m, 1H), 3.29-3.25 (m, 1H), 2.29-2.26 (m, 1H), 2.07-1.86 (m, 4H); ESI-MS (m/z, %): 259 (MH+, 100).
【0269】
(R)-5-メトキシ-3-((1-メチルピロリジン-2-イル)メチル-d)-1H-インドール(I-B-10)の合成
無水(dry)THF(10mL)中の重水素化アルミニウムリチウム(0.112g、2.670mmol)の懸濁液を無水(dry)THF(20mL)中の5-メトキシ-3-(メチル-D-プロピル)-1H-インドール(30、0.23g、0.890mmol)で0℃で10分間の期間にわたり処理した。反応産物を室温とし、それからさらに16時間還流した。反応産物をワークアップ及び精製して、見出しに記載の化合物I-B-10(0.14g、63.6%)を淡黄色の糊状物(glue)として得た。1H NMR (DMSO-d6): δ 10.61 (s, 1H), 7.22 (d, 1H, J = 6.0 Hz), 7.09 (d, 1H, J = 3.0 Hz), 6.97 (d, 1H NMR (DMSO-d6): δ 10.61 (s, 1H), 7.22 (d, 1H, J = 6.0 Hz), 7.09 (d, 1H, J = 3.0 Hz), 6.97 (d, 1H, J = 3.0 Hz), 6.71 (dd, 1H, J = 3.0, 6.0 Hz), 3.77 (s, 3H), 3.42-3.34 (m, 1H), 3.19-2.96 (m, 1H), 2.36 (s, 3H), 2.15-2.08 (m, 1H), 1.76-1.43 (m, 4H); ESI-MS (m/z, %): 247 (MH+, 100).ESI-MS (m/z, %): 247 (MH+, 100).
B.生物試験
実施例11:FLIPRアッセイ:ヒト5-HT2A
I.アゴニストモードでヒト5-HT2A(h5-HT2A)受容体を標的とする式I-Bの化合物の活性化された効果の評価:
化合物調製及びアッセイ用の対照
【表1-4】


【表1-5】

【0270】
I.c.実験方法及び手順:
1.細胞培養培地(10%FBS、1×ペニシリン-ストレプトマイシン300μg/mlのG418、及び100μg/mlハイグロマイシンBを含むDMEM)において37℃、5%(体積/体積)CO2で細胞を培養した。
【0271】
2.アッセイの1日前に、TrypLE(商標)Expressを用いて細胞を剥がし、細胞カウンターを用いて細胞をカウントした。85%超の生存率を有する細胞のみをアッセイに使用した。
【0272】
3.30μl/ウェルの培養培地中の20000細胞/ウェルを384-ウェル細胞プレートに播種して、細胞を37℃、5%(体積/体積)COで一晩インキュベートした。
【0273】
4.アッセイの当日、FLIPR(登録商標)カルシウム6アッセイキットのマニュアルに従って2×色素溶液を調製した:i.色素をアッセイバッファー(1×HBSS中の20mM HEPES、pH7.4)で希釈した;ii.プロベネシドを終濃度5mMとなるように加えた;iii.1~2分間、激しくボルテックスした。
【0274】
5.細胞プレートをタオルペーパー上で軽く叩くことにより、細胞プレートから培地を離した。
【0275】
6.10μlのアッセイバッファー及び10μlの2×色素溶液を細胞プレートの各ウェルに加えた。
【0276】
7.細胞プレートをプレートシェーカー上に置き、前記プレートを600rpmで2分間撹拌した。前記プレートを37℃で2時間インキュベートし、続いて、25℃でさらに15分間インキュベートした。
【0277】
8.3×化合物をアッセイバッファー中に調製した:a.参照化合物をDMSOで必要な濃度に希釈した。該化合物を384-ウェル化合物プレートに加えた;b.段階希釈を行った;c.10mMの試験化合物を前記化合物プレートに加え、3倍段階希釈を行った。D.60nl/ウェルの化合物をソースプレートから384-ウェル化合物プレート(Corning、3657)にEchoを用いて移した;e.20μl/ウェルのアッセイバッファーを前記化合物プレートに加えた;f.プレートシェーカー上で前記プレートを2分間混合した;
【0278】
9.細胞プレート、化合物プレート、及びチップをFLIPR中に配置し、FLIPRでウェルあたり10μlの3×化合物を前記細胞プレートに移した。
【0279】
データ解析
i.正規化された蛍光読み値(RFU)を以下に示すように計算した。ここで、Fmax及びFminは、規定された時間ウィンドウの間での最大のカルシウムシグナル及び最小のカルシウムシグナルを表す:RFU=Fmax-Fmin
【0280】
ii.以下の式を用いて活性化パーセンテージを計算した:
【数1】
【0281】
iii.Xlfitを用いて、化合物濃度のlogに対する活性化%をHill式に当てはめることによりEC50を計算した。
【0282】
本発明の化合物は5-HT2Aアゴニストであることが見出された。代表的な化合物の結果は、表1中のEC50として示されている。文字「A」は、EC50が100nM未満であることを示し、「B」は、EC50が100nM超1,000nM未満であることを示し、「C」は、EC50が1,000nM超であることを示す。
【表1-6】

【0283】
結果及び考察
式I-Bの代表的な化合物を、h5-HT2A受容体に対するアゴニストモードでのこれら化合物の効果についてFLIPRアッセイを用いて機能的に評価した。EC50(nM)濃度を表1に示す。このアッセイは、本願の化合物が、標的とするヒト5-HT2A受容体の有効な阻害剤であることを確認している。
II.ヒト5-HT2A:放射性リガンド結合アッセイ:
II.1.材料及び機材:
【表1-7】

II.2.機材及び消耗品:
【表1-8】

II.3 実験手順:
i.以下の表に従ってアッセイバッファーを調製した;
【表1-9】

【0284】
ii.100%での5倍段階希釈で要求される10mM原液から始まる参照化合物及び試験化合物の8つの用量を調製した;
【0285】
iii.(体積/体積)DMSOを以下のように調製した:a.50μl/ウェルの0.5%(体積/体積)PEIをUniFilter-96 GF/Bプレートに加えた。前記プレートを封し、4℃で3時間インキュベートした;b.インキュベーション後に、前記プレートを氷冷洗浄バッファー(50mM Tris、pH7.4)で3回洗った;
【0286】
iv.アッセイプレートの調製:a.細胞膜をアッセイバッファーで希釈し、330μl/ウェルを96丸深底ウェルプレートに加えて20μg/ウェルの濃度に到達した;b.8つの濃度の参照化合物又は試験化合物を準備し、110μl/ウェルを96丸深底ウェルプレートに加えた;c.[3H]-ケタンセリンをアッセイバッファーで5nM(5×終濃度)となるように希釈し、そして、110μl/ウェルを96丸深底ウェルプレートに加えた。
【0287】
v.前記プレートを1000rpmで30秒間遠心し、それから室温で5分間、600rpmで撹拌した。
【0288】
vi.前記プレートを封し、27℃で90分間インキュベートした。
【0289】
vii.GF/Bフィルタープレート上へと真空ろ過することによりインキュベーションを停止させ、その後、氷冷洗浄バッファー(50mM Tris、pH7.4)で4回洗った。
【0290】
viii.前記プレートを37℃で45分間乾燥させた。
【0291】
ix.フィルタープレートに封をし、40μl/ウェルのシンチレーションカクテルを加えた。
【0292】
x.Microbeta2マイクロプレートカウンターを用いて、前記プレートを読んだ。
【0293】
データ解析:
参照化合物及び試験化合物について、結果を正規化式:
N=100-100×(U-C2)/(C1-C2)
を用いて%阻害で表した。ここで、Uは未知の値であり、C1は高対照の平均であり、C2は低対照の平均である。IC50は、化合物濃度の関数としての阻害パーセントを、XLfitを用いてHill式に当てはめることにより決定する。
【0294】
結果及び考察:
ヒト5-ヒドロキシトリプタミン受容体2A(5-HT2A)を標的とする、代表的化合物の潜在的な競合結合特性の結果を表2にまとめる。代表的な化合物の結果が、表2に記載のIC50として示される。シンボル「#」は、IC50が500nM未満であることを示し、「##」は、IC50が500nM超で5,000nM未満であることを示し、「###」は、IC50が5,000nM超であることを示す。
【表2】

【0295】
結果及び考察
代表的な式I-Bの化合物を、ヒト5-HT2A受容体に対する放射性リガンド結合アッセイを用いて評価した。EC50(nM)濃度を表2に示す。このアッセイは、本願化合物が、標的とするヒト5-HT2A受容体の有効なリガンドであることを確認している。
【0296】
実施例12:ヒト、ラット、及びマウスの肝ミクロソーム安定性
目的
この試験の目的は、プールされたヒト及び雄マウスの肝ミクロソームにおける本願の代表的化合物のインビトロ代謝安定性を見積もることであった。反応系における親化合物の濃度を、プールされたヒト及び雄マウスの肝ミクロソームにおける安定性を見積もるために、LC-MS/MSで評価した。試験化合物のインビトロ固有クリアランスも決定した。
【0297】
プロトコール
リン酸バッファー、超純粋HO、MgCl溶液、及び肝ミクロソームを含む「インキュベーションプレート」中のマスター溶液を表3に従って作製した。この混合物を37℃の水浴で5分間予備加温した。
【表3】

【0298】
40μLの10mM NADPH溶液を各ウェルに加えた。NADPHの終濃度は1mMであった。陰性対照サンプルを、NADPHを40μLの超純粋HOによって置き換えることで調製した。サンプルは2連で調製した。陰性対照は1連で調製した。
【0299】
反応は、200μMの試験化合物又は対照化合物を4μL、終濃度が2μMとなるように各マスター溶液に加えることで開始させた。この試験は2連で行った。
【0300】
0分、15分、30分、45分、及び60分に、反応溶液から50μLのアリコートを採取した。反応溶液を内部標準(100nMのアルプラゾラム、200nMのイミプラミン、200nMのラベタロール、及び2μMのケトプロフェン)を含む4体積の冷メタノールを加えることで停止させた。サンプルを3,220gで40分間遠心した。90μLの上清のアリコートを90μLの超純粋HOと混合し、それからLC-MS/MS分析に用いた。
【0301】
この試験での全サンプルについて、脱ガス装置DGU-20A5R,;溶媒送達ユニットLC-30AD;システムコントローラーSIL-30AC;カラムオーブンCTO-30A;CTC分析HTC PALシステム;を備えた島津液体クロマトグラフ分離システムを用いてLC/MS分析を行った。質量分光分析は、Triple Quad(商標)5500装置を用いて行った。
【0302】
全ての計算は、マイクロソフト・エクセルを用いて行った。内部標準(後述の表に記載)に対する試験化合物のピーク面積比を、抽出されたイオンクロマトグラムから決定した。
【0303】
全ての計算は、マイクロソフト・エクセルを用いて行った。ピーク面積は、抽出されたイオンクロマトグラムから決定した。傾き値「k」を、親薬物の残留パーセンテージの自然対数値 対 インキュベーション時間、の曲線の直線回帰により決定した。
【0304】
インビトロ半減時間(インビトロt1/2)を傾き値から決定した:
インビトロt=-(0.693/k)
【0305】
インビトロt1/2(分)のインビトロ固有クリアランス(インビトロCLint、単位はμL/分/mgタンパク質)への変換は、以下の式を用いて行った(2連の測定の平均値):
【数2】
【0306】
初期の急速な消失そしてその後のゆっくりとした消失を示した化合物又は対照化合物については、初期速度の範囲内の時点のみを計算に含めた。
【0307】
結果及び考察
ヒト、ラット、及びマウスの肝ミクロソームは多様な薬物代謝酵素を含んでおり、インビトロでのADME(吸収、分布、代謝、及び排泄)試験を支持するために一般的に用られている。これらのミクロソームは、経口投与された薬の可能な初回通過代謝副産物を調べるために用いられている。代表的本願化合物を、ヒト、ラット、及びマウスの肝ミクロソームにおけるそれらの安定性について評価した。ヒト、ラット、及びマウスという3つの種の肝ミクロソームにおいて、本願化合物はその大部分が60分の期間内において回収された、このことは、それらの化合物が急速には除去されないことを示している(例示的な式I-Bの代表的化合物について表4を参照)。
【表4-1】


実施例13(I-B-1):マウス及びラットにおける薬物動態のインビトロ評価
1.製剤調製物及び保存
【表4-2】


2.サンプル採取
【表4-3】


3.試験の詳細
【0308】
動物:
Charles River研究室から入手した雄のC57BL/6マウス(25~30g)を投薬の前に最低5日間順化した。投薬当日に体重を記録した。
【0309】
食物制限:
経口投与される動物は一晩食物を絶っており、投薬の約2時間後に給餌した。
【0310】
臨床所見:
投薬の時点で及び各サンプル採取の時点で動物を観察した。何らかの異常があれば記録した。
【0311】
投薬
製剤は、尾静脈を通して静脈内(i.v.)投与したか、あるいは使い捨て給餌針を通しての胃管栄養により経口(p.o.)投与した。
【0312】
サンプル採取:
逐次の血液サンプルは尾スニップで採取した。最終の血液サンプルは、イソフラボン麻酔下で心穿刺により採取した。
【0313】
サンプル処理/保管:
全ての血液サンプルをウエットアイス上のKEDTAチューブに移し、5分の期間内(4℃で3200×gを5分間)遠心して血漿を得た。血漿は分析まで-80℃で保管した。
【0314】
サンプル保持:血漿サンプルを分析し、残ったサンプルは試験が完結するまで-80℃で保管した。

4.生物分析方法の改良及びサンプル分析
マトリクス:マウス血漿
【0315】
機材:バイナリポンプ、溶媒の脱ガス装置、サーモスタット付きカラムコンパートメント、及びマルチプレート自動サンプラーを有する液体クロマトグラフィーシステムを備えたAB Sciex QTRAP4000又は6500 MS/MSシステム
●方法の開発
【0316】
i.試験化合物についてのイオン遷移の選択(つまり、親イオン及び生成物イオンの同定)
【0317】
ii.質量分析操作パラメータの最適化
【0318】
iii.クロマトグラフィー条件の確立
【0319】
iv.(1つ又は複数の)適切な内部標準(IS)の選択
【0320】
v.タンパク質沈殿を用いたサンプル清浄化方法
●方法の適格性判断:
【0321】
i.(複数の)非ゼロ校正標準を(STD)を1連で用いての、適格性ダイナミックレンジの決定。前記(複数の)STDはブランクマトリクスサンプル(内部標準無し)、ゼロサンプル(内部標準あり)、及び、予測される範囲をカバーし、定量下限(LLOQ)を含む6つ以上の非ゼロSTDからなる。
【0322】
ii.バッチの前後での、システム適性サンプル(分析対象物及び内部標準を含む溶剤無添加溶液(neat solution))の3つの注入
●方法受容基準:
【0323】
iii.非ゼロSTDの75%以上が較正曲線に含まれ、戻し計算された濃度は全て、名目上の濃度からのずれが±20%以内である(定量下限(LLOQ)については±25%以内)。
【0324】
iv.較正曲線の相関係数(r)は0.99以上である。
【0325】
v.ランの前及びランの後でのシステム適性サンプルの注入の面積比の変動が±25%以内である。
●サンプル分析バッチ:
【0326】
vi.バッチの前後でのシステム適性サンプルの3つの注入
【0327】
vii.昇順の(複数の)STD
【0328】
viii.試験サンプル及び投薬組成物は、ブランクマトリクス(血漿)中に3つの独立した希釈物として希釈される。
【0329】
iv.バッチ中の40超の試験サンプルがある場合については、サンプル群の前後でのSTDを2セット用いることとする。
【0330】
x.最も高い校正標準より25%大きいサンプルは希釈し、対応する希釈品質管理標準と共に再度アッセイした。希釈標準は、目標の濃度からのずれが25%以内である正確性であるなら許容可能である。

5.PK分析
【0331】
i.分析ソフトウェア:Phoenix(登録商標) WinNonlin(登録商標) 8.2 (Pharsight, Certara, Mountainview, CA)
【0332】
ii.分析方法:ノンコンパートメント解析、linear up/log down台形法
【0333】
iii.PKパラメータ:適宜、C、t1/2、AUC0-tlast. AUC0-∞、CL、Vss、MRT、tmax(po)、Cmax(po)、F

6.結果及び考察
【表5】

【表6】

M13及びM14については、見かけのt1/2 見積もりは正確でないおそれがある;
終末相におけるサンプル採取間隔は、2×t1/2未満である。
ncは、終末相がよく規定されないため、計算できないことを表す。
M15については、AUC0-tlastは経口群について用いられた。

【表7-1】

【表7-2】


【表8】

R17について、見かけのt1/2の見積もりは外れ値と考えられ、平均には含められていない。
【0334】
実施例14:式I-Bの化合物の幻覚惹起様効果
様々な用量の例示的な式I-Bの代表的化合物の効果を、幻覚惹起活性の行動ベースのモデルとしての頭部痙攣反応(HTR)に基づいて評価した。
【0335】
1.プロトコール
マウス頭部痙攣
雄C57BL/6Jマウス(体重範囲20g~30g)に適切な用量の試験対象物を投薬し、1分の処置前時間の後に、個々の観察チャンバーの中に入れた。1時間の期間、頭部痙攣事象について継続的に動物を視覚的に評価した。頭部痙攣とは、外部からの触覚刺激により引き起こされるものではない、頭部の急速なひきつけとして定義された(Corne and Pickering,Psychopharmacologia,1967,11(1):65-78)。各頭部痙攣は個別に、訓練された観察者によってカウントされ、データは1群当たり6~10匹のマウスの平均±平均の標準誤差(SEM)で表された。マウスは、単一の実験のみで用いられた。
【0336】
ラット行動テスト
雄のSprague-Dawleyラット(体重範囲250g~400g)に適切な用量の試験対象物を投薬し、1分間の治療前時間の後に、前記ラットを自発運動ボックス(寸法:幅17インチ×長さ17インチ×高さ12インチ)に入れ、1時間の期間継続的にモニターし、データは10分間ずつのビンに収集した。動物は、顕性の行動上の徴候について視覚的に評価され、これには、5-HT2A受容体活性化(激しい震え(wet dog shakes)、背筋収縮)、5-HT2A受容体活性化(あくび、陰茎グルーミング)、及び5-HT1A行動(前肢足踏み、後肢外転)の行動特性が含まれる(Halberzettl et al,Behav Brain Res.256:328-345,2013)。5-HT症候群に特徴的な追加的な行動上及び身体上の徴候(例えば、震え、唾液分泌、うつぶせフラット姿勢、深部体温変化)も測定した。同時に、ラットの自発的な行動を、自動化されたトラッキングシステム(Med Associates、米国バーモント州)を用いて測定した。収集された活動データには、移動総距離、立ち上がり回数、及び歩行(ambulatory)エピソードが含まれた。全てのデータは、一群当たり6~10匹のラットの平均±平均の標準誤差(SEM)として表された。
【0337】
ラットにおける薬物識別
雄のSprague-Dawleyラットを最初に、一日の終わりに18g~20gの食物を提示することで食物制限した(単独居住(single housing))。食物制限手順に7日間順応させた後に、これらのラットを、Med-PCソフトウェアで制御された標準の2レバーオペラント条件づけチャンバー内で1週間にわたり、食物(45mgのBioserveペレット)のためにレバー押しするよう毎日訓練した(Med.Associates Ins.、米国バーモント州セントオールバンズ)。これらのラットをFR10値まで食物のためレバーを押すように(つまり、1回の食物報酬のために10回のレバー押し)訓練した。両方の応答レバーについて安定な食物応答が獲得されたら、識別訓練を開始した。20~50回の訓練セッションの期間にわたり、ラットは、1つのレバーを1mg/kg皮下注射のシロシビン訓練用量に関連づけ、第2のレバーを中性刺激(食塩水、皮下注射)に関連づけるように訓練された(Winter et al,Pharmacol Biochem Behav.87(4):472-480,2007)。訓練セッションは30分間、又は50ペレットが配られるまで続き、動物が適切な刺激制御(これは、第1の報酬の配分の前に動物が行うレバー押しが16回以下であるセッションが6回連続する、及び総反応のうちの95%以上が適切な方のレバーに対してであることとして定義される)を達成するまで続けられた。ラットは1日の終わりに自らのホームケージ内においてその日の食物配分を受け取ることが続けられた。
【0338】
ひとたび訓練されると、置換のテストを行った。テストの日に、両方のレバーが作動性とされた、つまり、どちらのレバーでも10回目の応答で食物ペレットの配給とした。テストセッションは、50ペレットが得られるまで、あるいは30分が経過するまで続けられた。これらのセッション中、応答速度も測定された。
【0339】
結果及び考察:
用量反応(0.3~3mg/kg 皮下注射)-激しい震え/背筋収縮(WDS/BMC)という5-HT2Aの徴候を1時間にわたって測定した。また、自発運動及びその他の5-HT受容体徴候も測定した。例えば、種々の用量の式I-Bの例示化合物I-B-1の、雄のC57BL6マウスにおける頭部痙攣反応(HTR)に対する効果を試験した。マウスを、食塩水中の10%DMSOビヒクル(2滴のHCl(0.1M)+1滴のTween80を添加)での皮下注射(SC)ルートによって例示化合物I-B-1(0.03~10mg/kg)で処置し、頭部痙攣の総数を1時間の期間にわたって記録した。データは平均±平均の標準誤差(SEM)で表される(図1を参照のこと)。
【0340】
式Iの化合物によって引き起こされるHTRに対する5-HT2A受容体の関与を評価するために、式I-Bの例示化合物の投与の前に、マウスを選択的5-HT2ARアンタゴニストであるM100907(ボリナンセリンとしても知られる)で事前処置した。予想されたとおり、このアンタゴニストでの事前処置は、式I-Bの代表的化合物が有するHTRに対する効果を完全にブロックした。
【0341】
本願は、実施例を参照して説明してきたが、特許請求の範囲は実施例に記載の実施形態によって限定されるものではなく、本開示全体と整合する最も広い解釈が与えられるべきであることを理解されたい。
【0342】
本開示中で引用された全ての特許、特許出願、及び刊行物は、その全体が、参照により本開示に取り込まれる。それらの刊行物の開示は、本開示中に記載されまた特許請求されている出願の日時点での当業者に知られていた技術水準をより完全に記載するために、その全体が本願中に参照により取り込まれる。
図1
【国際調査報告】