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特表2024-508952ニトレートと単体金属とアミノ酸との増強された組成物ならびに使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】ニトレートと単体金属とアミノ酸との増強された組成物ならびに使用方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/10 20160101AFI20240220BHJP
   A61K 31/195 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 33/14 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 33/24 20190101ALI20240220BHJP
   A61K 33/26 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 31/19 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20240220BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20240220BHJP
   A23L 33/175 20160101ALI20240220BHJP
   A23L 33/16 20160101ALI20240220BHJP
【FI】
A23L33/10
A61K31/195
A61K31/198
A61K33/14
A61K33/24
A61K33/26
A61K31/19
A61K45/06
A23L33/105
A23L33/175
A23L33/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023554339
(86)(22)【出願日】2022-03-11
(85)【翻訳文提出日】2023-10-20
(86)【国際出願番号】 US2022020054
(87)【国際公開番号】W WO2022192743
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】63/159,990
(32)【優先日】2021-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】316009027
【氏名又は名称】サーモライフ インターナショナル, エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】THERMOLIFE INTERNATIONAL,LLC
【住所又は居所原語表記】1220 E Hill St, Signal Hill, CA 90755 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】クレイマー, ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】ニコライディス, アレクサンドロス
【テーマコード(参考)】
4B018
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4B018MD01
4B018MD02
4B018MD03
4B018MD04
4B018MD05
4B018MD18
4B018MD19
4B018MD48
4B018ME14
4B018MF02
4C084AA18
4C084AA19
4C084AA20
4C084MA02
4C084MA52
4C084NA05
4C084NA06
4C084NA07
4C084ZA941
4C084ZA942
4C084ZC211
4C084ZC212
4C086AA01
4C086HA01
4C086HA03
4C086HA05
4C086HA06
4C086HA07
4C086HA08
4C086HA09
4C086HA10
4C086MA03
4C086MA52
4C086NA05
4C086NA06
4C086NA07
4C086ZA94
4C086ZC21
4C206AA01
4C206FA44
4C206FA53
4C206MA03
4C206MA72
4C206NA05
4C206NA06
4C206NA07
4C206ZA94
4C206ZC21
(57)【要約】
本開示は、ニトロソアミン形成を少なくとも低減するか、ニトロソアミンの形成を防止するか、あるいはニトロソアミンの形成を逆転さえして、対象における運動性能を改善し、対象における有酸素能力、スタミナ、筋力、持久力、および/または疲労困憊に至るまでの時間を増加させる、方法に関する。本開示はまた、ニトレート(硝酸アニオンNO の供給源)および/またはニトライト(亜硝酸アニオンNO の供給源)と、アミン部分含有化合物と、単体金属とを含む関連組成物に関する。他の実施において、その組成物はまた酸を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミン部分含有化合物からのニトロソアミン形成を低減する方法であって、
該アミン部分含有化合物と、単体金属ならびにニトレートおよび/またはニトライトとを共投与する工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記アミン部分含有化合物がアミノ酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アミノ酸が塩形態である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アミン部分含有化合物が、アグマチン、アラニン、β-アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、GABA、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニル-β-アラニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
酸を投与する工程をさらに含み、該酸が前記アミン部分含有化合物、前記単体金属、ならびに前記ニトレートおよび/またはニトライトと共投与される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記アミン化合物のニトロソアミン形成が防止される、請求項6に記載の方法。
【請求項7】
前記単体金属が、単体マグネシウム、単体カルシウム、単体リチウム、単体亜鉛、単体ナトリウム、単体カリウム、単体ベリリウム、単体ルビジウム、単体セシウム、単体アルミニウム、単体ガリウム、単体インジウム、単体スズ、単体ビスマス、単体スカンジウム、単体チタン、単体バナジウム、単体クロム、単体マンガン、単体コバルト、単体マンガン、単体スカンジウム、単体チタン、ニッケル、単体銅、単体亜鉛、単体イットリウム、単体ジルコニウム、単体ニオブ、単体モリブデン、単体テクネチウム、単体ルテニウム、単体ロジウム、単体パラジウム、単体銀、単体カドミウム、単体ランタン、単体ハフニウム、単体タンタル、単体タングステン、単体レニウム、単体オスミウム、単体イリジウム、単体白金、単体金、および単体マンガンからなる群より選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
酸を投与する工程をさらに含み、該酸が前記アミン部分含有化合物、前記単体金属、ならびに前記ニトレートおよび/またはニトライトと共投与される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記アミン化合物のニトロソアミン形成が防止される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
アミン部分含有化合物と、ニトレート、ニトライト、一酸化窒素、および二酸化窒素からなる群より選択されるニトロソ化剤とを含む組成物におけるニトロソアミン形成を低減する方法であって、
単体金属を該組成物に添加する工程
を含む、方法。
【請求項11】
前記単体金属が、単体マグネシウム、単体カルシウム、単体リチウム、単体亜鉛、単体ナトリウム、単体カリウム、単体ベリリウム、単体ルビジウム、単体セシウム、単体アルミニウム、単体ガリウム、単体インジウム、単体スズ、単体ビスマス、単体スカンジウム、単体チタン、単体バナジウム、単体クロム、単体マンガン、単体コバルト、単体マンガン、単体スカンジウム、単体チタン、ニッケル、単体銅、単体亜鉛、単体イットリウム、単体ジルコニウム、単体ニオブ、単体モリブデン、単体テクネチウム、単体ルテニウム、単体ロジウム、単体パラジウム、単体銀、単体カドミウム、単体ランタン、単体ハフニウム、単体タンタル、単体タングステン、単体レニウム、単体オスミウム、単体イリジウム、単体白金、単体金、および単体マンガンからなる群より選択される少なくとも1種の金属である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
酸を前記組成物に添加する工程をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ニトロソ化剤が一酸化窒素および/または二酸化窒素である、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記アミン化合物がアミノ酸である、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記アミノ酸が塩形態である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記組成物が摂取の際にニトロソアミンを形成しない、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記単体金属を含む前記組成物の摂取が、前記単体金属を含まない前記組成物の摂取と比較して少ない量のニトロソアミンを形成する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記アミン部分含有化合物が、アグマチン、アラニン、β-アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、GABA、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニル-β-アラニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択される、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
単体金属と、
ニトレートおよび/またはニトライトと、
アミン部分含有化合物と
を含む、組成物。
【請求項20】
酸をさらに含む、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記単体金属が、単体マグネシウム、単体カルシウム、単体リチウム、単体亜鉛、単体ナトリウム、単体カリウム、単体ベリリウム、単体ルビジウム、単体セシウム、単体アルミニウム、単体ガリウム、単体インジウム、単体スズ、単体ビスマス、単体スカンジウム、単体チタン、単体バナジウム、単体クロム、単体マンガン、単体コバルト、単体マンガン、単体スカンジウム、単体チタン、ニッケル、単体銅、単体亜鉛、単体イットリウム、単体ジルコニウム、単体ニオブ、単体モリブデン、単体テクネチウム、単体ルテニウム、単体ロジウム、単体パラジウム、単体銀、単体カドミウム、単体ランタン、単体ハフニウム、単体タンタル、単体タングステン、単体レニウム、単体オスミウム、単体イリジウム、単体白金、単体金、および単体マンガンからなる群より選択される少なくとも1種の金属である、請求項19に記載の組成物。
【請求項22】
酸をさらに含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記アミン部分含有化合物がアミノ酸である、請求項21または22に記載の組成物。
【請求項24】
前記アミノ酸が塩形態である、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記アミン部分含有化合物が、アグマチン、アラニン、β-アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、GABA、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニル-β-アラニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択される、請求項21または22に記載の組成物。
【請求項26】
前記アミン部分含有化合物がアミノ酸である、請求項19~21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
前記アミノ酸が塩形態である、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記アミン部分含有化合物が、アグマチン、アラニン、β-アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、GABA、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニル-β-アラニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択される、請求項19~21のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年3月11日に出願された米国仮特許出願第63/159,990号に対する優先権を主張し、その米国仮特許出願の各々の内容は、その全体が参照により本明細書において援用される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
N-ニトロソ化合物の形成は、多段階プロセスである。ヒトの栄養学において、経口消費されたニトレートは、消費後に部分的にニトライトへと変換される。その後、そのニトライトは、食物中または水中にある天然または合成の有機アミン化合物と反応して、N-ニトロソ化合物(ニトロソアミンまたはニトロソアミドのいずれか)と呼ばれる新たな組み合わせを形成する。
【0003】
N-ニトロソアミンは、このニトロソ化反応において、一級アミン、二級アミンおよび三級アミンならびに三級アンモニウム化合物(例えば、コリンおよびカルニチン)から形成される。ほとんどのニトロソアミンは、そのニトロソ基が強力な発色団であるので、明るい色が付いている。
【0004】
これらのN-ニトロソ化合物の多くは、試験された動物種すべてにおいて発癌性であることが見出されている。
【0005】
ニトライトによるニトロソアミン形成は、酸性環境(例えば、胃の酸性環境)において、かなり高い割合で生じる。120種のN-ニトロソ化合物のうちの少なくとも75%は、動物にとって発癌性であることが見出されている。
【0006】
なんらかの供給源、例えば、飲料水中の混入物、市販の薬物中の混入物によって人々が曝露され得る他のニトロソアミン、例えば、N-ニトロソジメチルアミン(NDMA)、N-ニトロソジエチルアミン(NDEA)、N-ニトロソジブチルアミン(NDBA)、N-ニトロソピペリジン(NPIP)、N-ニトロソピロリジン(NPYR)、およびN-ニトロソチアゾリジン(NTHZ)もまた、存在する(人気のある医薬であるラニチジンは、2019年にFDAによって市場から除去された)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、ニトレートおよびニトライトとアミノ酸との共投与に関する懸念が存在してきており、それは依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の概要)
本開示は、アミン部分含有化合物からのニトロソアミン形成を低減するための、組成物、キット、および方法に関する。
【0009】
アミン部分含有化合物からのニトロソアミン形成を低減する方法が開示され、その方法は、そのアミン部分含有化合物と、単体金属ならびにニトレートおよび/またはニトライトとを共投与する工程を含む。
【0010】
一部の実施において、そのアミン部分含有化合物はアミノ酸(例えば、塩形態である)である。他の実施において、そのアミン部分含有化合物は、アグマチン、アラニン、β-アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、GABA、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニル-β-アラニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択される。一部の実施において、その単体金属は、単体マグネシウム、単体カルシウム、単体リチウム、単体亜鉛、単体ナトリウム、単体カリウム、単体ベリリウム、単体ルビジウム、単体セシウム、単体アルミニウム、単体ガリウム、単体インジウム、単体スズ、単体ビスマス、単体スカンジウム、単体チタン、単体バナジウム、単体クロム、単体マンガン、単体コバルト、単体マンガン、単体スカンジウム、単体チタン、ニッケル、単体銅、単体亜鉛、単体イットリウム、単体ジルコニウム、単体ニオブ、単体モリブデン、単体テクネチウム、単体ルテニウム、単体ロジウム、単体パラジウム、単体銀、単体カドミウム、単体ランタン、単体ハフニウム、単体タンタル、単体タングステン、単体レニウム、単体オスミウム、単体イリジウム、単体白金、単体金、および単体マンガンからなる群より選択される。
【0011】
一部の実施において、その方法は、酸を投与する工程をさらに含み、その酸は、アミン部分含有化合物、単体金属、ならびにニトレートおよび/またはニトライトと共投与される。そのような実施において、そのアミン部分含有化合物のニトロソアミン形成は防止される。
【0012】
アミン部分含有化合物とニトロソ化剤とを含む組成物におけるニトロソアミン形成を低減する方法もまた、開示される。その方法は、単体金属をその組成物に添加する工程を含む。
【0013】
一部の実施において、そのニトロソ化剤は、ニトレート、ニトライト、一酸化窒素、および二酸化窒素からなる群より選択される。特定の実施において、そのニトロソ化剤は一酸化窒素および/または二酸化窒素である。
【0014】
一部の実施において、その単体金属を含む組成物の摂取は、その単体金属を含まない組成物の摂取と比較して少ない量のニトロソアミンを形成する。
【0015】
一部の実施において、その単体金属は、単体マグネシウム、単体カルシウム、単体リチウム、単体亜鉛、単体ナトリウム、単体カリウム、単体ベリリウム、単体ルビジウム、単体セシウム、単体アルミニウム、単体ガリウム、単体インジウム、単体スズ、単体ビスマス、単体スカンジウム、単体チタン、単体バナジウム、単体クロム、単体マンガン、単体コバルト、単体マンガン、単体スカンジウム、単体チタン、ニッケル、単体銅、単体亜鉛、単体イットリウム、単体ジルコニウム、単体ニオブ、単体モリブデン、単体テクネチウム、単体ルテニウム、単体ロジウム、単体パラジウム、単体銀、単体カドミウム、単体ランタン、単体ハフニウム、単体タンタル、単体タングステン、単体レニウム、単体オスミウム、単体イリジウム、単体白金、単体金、および単体マンガンからなる群より選択される少なくとも1種の金属である。
【0016】
一部の実施において、そのアミン部分含有化合物はアミノ酸(例えば、塩形態である)であり、その組成物は、摂取の際にニトロソアミンを形成しない。
【0017】
一部の実施において、そのアミン部分含有化合物は、アグマチン、アラニン、β-アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、GABA、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニル-β-アラニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択される。
【0018】
ある特定の実施において、その方法は、酸をその組成物に添加する工程をさらに含む。
【0019】
ニトロソアミン形成が低減した組成物もまた、開示される。その組成物は、単体金属と、ニトレートおよび/またはニトライトと、アミン部分含有化合物とを含む。
【0020】
一部の実施において、その組成物は酸をさらに含む。
【0021】
一部の実施において、その単体金属は、単体マグネシウム、単体カルシウム、単体リチウム、単体亜鉛、単体ナトリウム、単体カリウム、単体ベリリウム、単体ルビジウム、単体セシウム、単体アルミニウム、単体ガリウム、単体インジウム、単体スズ、単体ビスマス、単体スカンジウム、単体チタン、単体バナジウム、単体クロム、単体マンガン、単体コバルト、単体マンガン、単体スカンジウム、単体チタン、ニッケル、単体銅、単体亜鉛、単体イットリウム、単体ジルコニウム、単体ニオブ、単体モリブデン、単体テクネチウム、単体ルテニウム、単体ロジウム、単体パラジウム、単体銀、単体カドミウム、単体ランタン、単体ハフニウム、単体タンタル、単体タングステン、単体レニウム、単体オスミウム、単体イリジウム、単体白金、単体金、および単体マンガンからなる群より選択される少なくとも1種の金属である。
【0022】
一部の実施において、そのアミン部分含有化合物はアミノ酸(例えば、塩形態であるアミノ酸)である。他の実施において、そのアミン部分含有化合物は、アグマチン、アラニン、β-アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、GABA、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニル-β-アラニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(詳細な説明)
本開示の詳細な局面および適用が、次に述べる本技術の詳細な説明において以下に記載される。具体的に記載されない限りは、本明細書および特許請求の範囲における用語および語句は、適用可能な分野の当業者にそれらの用語および語句の平易で通常の慣用的な意味で提供されることが、意図される。
【0024】
以下の説明において、説明を目的として、多くの具体的な詳細が、本開示の種々の局面の完全な理解を提供するために示される。しかし、本明細書において開示される技術の実施はこれらの具体的な詳細を用いずに実施され得ることが、関連する分野の当業者によって理解される。開示された技術が適用され得る多くの異なる代替的な構成、デバイスおよび技術が存在することが、留意されるべきである。本明細書において開示される技術の全範囲は、下記の実施例には限定されない。
【0025】
単数形「ある(1つの)(a)」、「ある(1つの)(an)」、および「その(the)」は、そうではないと文脈が明示しない限りは複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「ある(1つの)工程」への言及は、1つまたは複数のそのような工程への言及を含む。
【0026】
本明細書において使用される場合、用語「約」とは、所定の値の5%以下の逸脱、例えば、その所定の値の3%、2%、1%、0.5%、または0.1%の逸脱を指す。
【0027】
本明細書において使用される場合、用語「受容可能」とは、その最も広い意味で使用される句であり、米国食品医薬品局(FDA)の標準規格、米国薬局方(USP)の標準規格、食品グレードの物質に関する米国農務省(USDA)の標準規格、栄養補助食品産業の一般的に受容されている標準規格、産業標準規格、植物標準規格、またはなんらかの個人によって確立された標準規格を満たす、組成物成分を記載し得る。これらの標準規格は、組成物成分の特徴(例えば、組成物の実施において使用される化学物質、組成物、または調製物の可食性、毒性、薬理学的作用、もしくは他のあらゆる特徴)の受容可能な範囲を記載し得る。
【0028】
本明細書において使用される場合、「アミノ酸」とは、その最も広い意味で使用される用語であり、その多くの異なる化学的形態にあるアミノ酸(その遊離形態(例えば、L-システイン)、その生理学的に活性な塩(例えば、その硝酸塩)、その種々の塩とのその組合せ、その互変異性形態および/もしくはその異性体形態、そのエステル形態およびアミド形態、ならびに/またはその脱炭酸生成物である、単回投与のアミノ酸(single administration amino acid)が挙げられる)を指し得る。アミノ酸としては、非限定的な例として、アグマチン、アラニン、β-アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニル-β-アラニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンが挙げられる。
【0029】
本明細書において使用される場合、用語「アミン部分含有化合物」とは、孤立電子対を有する塩基性窒素原子を含む官能基(例えば、一級アミン基(-NH-R、アミノ基としても知られている)、二級アミン基(-NH-R-R)、または三級アミン基(-N-R-R-R))を含む、化合物を指す。したがって、アミン部分含有化合物は、必須アミノ酸ならびにγ-アミノ酪酸(GABA)を包含する。
【0030】
本明細書において使用される場合、用語「組成物」とは、成分または構成要素の混合物、ならびに種々の成分または構成要素を含むカプセルの組合せの両方を指す。したがって、ある特定の実施において、組成物は、一緒に包装されていて一緒に摂取されるようになっている別個のカプセルを含む。
【0031】
本明細書において使用される場合、用語「単体(elemental)金属」とは、金属元素の中性電荷状態、換言すると、その非荷電単体形態であり塩形態でも荷電形態(例示的な塩形態および荷電形態としては、その金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、塩化物、乳酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、グリシン酸塩、およびグルコン酸塩が挙げられる)でもない金属を指す。そういうわけで、本明細書において使用される場合、単体金属と同じ金属の塩とは、異なる構成要素である。単体金属を含む組成物という記載は金属塩の存在によって満たされ得ず、逆もまた同様である。例えば、クエン酸マグネシウムからなる組成物は、クエン酸マグネシウムがある程度の量の単体マグネシウムを提供するといういかなる記載にも関わらず、単体マグネシウムを含む組成物ではない。
【0032】
本明細書において記載される単体金属としては、単体マグネシウム、単体カルシウム、単体リチウム、単体亜鉛、単体ナトリウム、単体カリウム、単体ベリリウム、単体ルビジウム、単体セシウム、単体アルミニウム、単体ガリウム、単体インジウム、単体スズ、単体ビスマス、単体スカンジウム、単体チタン、単体バナジウム、単体クロム、単体マンガン、単体コバルト、単体マンガン、単体スカンジウム、単体チタン、単体ニッケル、単体銅、単体亜鉛、単体イットリウム、単体ジルコニウム、単体ニオブ、単体モリブデン、単体テクネチウム、単体ルテニウム、単体ロジウム、単体パラジウム、単体銀、単体カドミウム、単体ランタン、単体ハフニウム、単体タンタル、単体タングステン、単体レニウム、単体オスミウム、単体イリジウム、単体白金、単体金、単体マンガン、および単体鉄が挙げられる。
【0033】
本明細書において使用される場合、「ポンプ(pump)」とは、アスリートによって述べられる、より良い血流の感覚を指し、それは、使用者の経験ならびに科学的方法(例えば、運動後の筋周囲長の測定、血流のドップラー超音波測定、静脈可視装置(vein viewer))を用いた静脈サイズの測定など)によって確認され得る。
【0034】
本明細書において使用される場合、用語「ニトロソ化剤」とは、別の化合物のニトロソ化を引き起こす作用物質を指す。例えば、ニトロソ化剤としては、亜硝酸アニオン(NO )の供給源、硝酸アニオン(NO )の供給源、一酸化窒素(NO)、および二酸化窒素(NO)が挙げられるが、それらに限定はされない。
【0035】
本発明者らは、健康およびニトレート補給の他の利点(例えば、血圧の低下、内皮機能の改善、および運動性能の向上)が原因で、本発明のニトレートまたはニトライトを伴うアミノ酸の発明において商業的に成功した。そのニトライト製品について、ニトレートと比較して安全性を保証するために投与制限が依然として残っており、したがって、さらなる改善の必要が存在する。
【0036】
ニトレート(硝酸アニオンNO の供給源)および/またはニトライト(亜硝酸アニオンNO の供給源)と、アミン部分含有化合物と、単体金属とを含む、ニトロソアミン形成リスクが低減した新規な組成物が、本明細書において開示される。一部の実施において、そのアミン部分含有化合物はアミノ酸である。他の実施において、そのアミン部分含有化合物は、アグマチン、アラニン、β-アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、GABA、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニル-β-アラニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択される。他の実施において、その組成物はまた酸を含み得る。
【0037】
一部の実施において、そのニトレートおよび/またはニトライトは、アミノ酸またはアミノ酸誘導体の硝酸塩および/もしくは亜硝酸塩(例えば、硝酸シトルリン、亜硝酸シトルリン、硝酸ベタイン、亜硝酸ベタイン)、無機硝酸塩(例えば、硝酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸カルシウム、硝酸リチウム、亜硝酸マグネシウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸カルシウム、および亜硝酸リチウム、またはそれらの混合塩、共結晶処方物および水和物)、あるいは天然供給源である。天然供給源について、そのニトレートおよび/またはニトライトは、天然供給源(例えば、植物ニトレート供給源もしくは植物ニトライト供給源)から濃縮および/または単離されている。天然のニトレート供給源および/またはニトライト供給源の例としては、ビートジュース、ビートジュース粉末、濃縮したビートジュース粉末、セロリ粉末、ホウレンソウ抽出物および赤ホウレンソウ抽出物、ならびにアマランサス(Amaranthus)抽出物が挙げられるが、それらに限定はされない。特定の実施において、天然のニトレート供給源ならびに/またはニトライト供給源のニトレートおよび/もしくはニトライトの含有量は、十分な量のニトレートを提供するために標準化される。一部の実施において、その組成物は、ニトレートおよび/またはニトライトの1種よりも多い供給源もしくは形態を含む。
【0038】
一部の実施において、その単体金属は、単体マグネシウム、単体カルシウム、単体リチウム、単体亜鉛、単体ナトリウム、単体カリウム、単体ベリリウム、単体ルビジウム、単体セシウム、単体アルミニウム、単体ガリウム、単体インジウム、単体スズ、単体ビスマス、単体スカンジウム、単体チタン、単体バナジウム、単体クロム、単体マンガン、単体コバルト、単体マンガン、単体スカンジウム、単体チタン、ニッケル、単体銅、単体亜鉛、単体イットリウム、単体ジルコニウム、単体ニオブ、単体モリブデン、単体テクネチウム、単体ルテニウム、単体ロジウム、単体パラジウム、単体銀、単体カドミウム、単体ランタン、単体ハフニウム、単体タンタル、単体タングステン、単体レニウム、単体オスミウム、単体イリジウム、単体白金、単体金、および単体マンガンからなる群より選択される少なくとも1種の金属である。
【0039】
特定の実施において、その組成物は、その単体金属成分としての単体鉄と、アミン部分含有化合物成分としてのβ-アラニンおよびプロリンと、ニトレート成分および/またはニトライト成分としての硝酸シトルリンおよび硝酸ベタインとを含む。一部の実施において、その組成物は、さらなるアミン部分含有化合物成分としてのシトルリンと、さらなるニトレート成分および/またはニトライト成分としての硝酸シトルリンとをさらに含む。特定の実施において、その組成物は少なくとも1種の抗酸化剤をさらに含み、例えば、その組成物は、紅茶茶葉抽出物、フェルラ酸、およびL-テアニンをさらに含み得る。一部の実施において、その組成物はカフェインをさらに含む。その組成物はまた、カルシウムおよび葉酸塩を含み得る。
【0040】
他の特定の実施において、その組成物は、その単体金属成分としての単体鉄と、そのアミン部分含有化合物成分としてのシステインと、そのニトレート成分および/またはニトライト成分としてのアマランサス抽出物とを含む。一部の実施において、その組成物は酸、例えば、アスコルビン酸(ビタミンC)をさらに含む。特定の実施において、その組成物は少なくとも1種の抗酸化剤をさらに含む。例えば、その組成物はテアニンをさらに含み得る。一部の実施において、その組成物はまた、カルシウムおよび葉酸塩/5-MTHFおよび/またはモリブデン酸カリウムを含み得る。
【0041】
ニトレート(硝酸アニオンNO の供給源)および/またはニトライト(亜硝酸アニオンNO の供給源)と他の単体金属(例えば、単体マグネシウムおよび単体亜鉛)との共投与もまたそのニトレートおよび/またはニトライトの有効性を増加したこともまた、驚くべきことに発見された。したがって、本開示はまた、対象に有益な効果を提供することにおけるその硝酸アニオン(NO )および/または亜硝酸アニオン(NO )の有効性を増加する方法に関する。例えば、その方法は、対象における運動性能を改善し得る。対象における運動性能を改善する方法の一部の局面において、対象における有酸素能力、スタミナ、筋力、持久力、および/または疲労困憊に至るまでの時間が、増加される。
【0042】
開示された組成物の摂取に由来する生理学的効果は、その組成物の摂取後の15分以内に、わずか5分以内に生じ得る。この時間枠は、プレワークアウトサプリメント(pre-workout supplement)が典型的に投与される場合と一致する。ほとんどのプレワークアウトサプリメントはトレーニングの約30分前に摂取すべきことが推奨されるが、使用者はしばしば、トレーニングの直前に自身のサプリメントを摂取する。したがって、開示された組成物は、アスリートおよび他のプレワークアウトサプリメント使用者の習慣に、より適合する。ニトレート補充の利益を最大化するためにトレーニングの3時間前に自身のニトレートサプリメントを摂取することを思い出すことを必要とする代わりに、使用者は、トレーニングの数分(例えば、5分)前に、本願組成物を摂取することだけしか必要としない。本願組成物の摂取と、無機ニトレートに起因する生理学的効果との間の最小限の遅延は、トレーニング開始時のウォーミングアップ時間によって容易に満足され得る。したがって、運動性能を改善する方法、またはスタミナ、筋力、持久力、および/もしくは疲労困憊に至るまでの時間を増加する方法のある特定の実施において、その対象は、単体金属とニトレート(硝酸アニオンNO の供給源)および/またはニトライト(亜硝酸アニオンNO の供給源)とを、身体活動またはトレーニングのセッション前の30分以内に共投与される。
【0043】
開示された組成物の迅速で強力な作用が原因で、これらの組成物は、ニトレートの効果が有益であり新規で迅速な効果が望まれるすべての状況のために、使用され得る。
【0044】
その単体金属は、アルカリ土類金属、アルカリ金属、または遷移金属である。一部の実施において、その単体金属は、単体マグネシウム、単体カルシウム、単体リチウム、単体亜鉛、単体鉄などであり得る。一部の実施において、そのニトレート(硝酸アニオンNO の供給源)は、硝酸の塩、例えば、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、硝酸プロリン、硝酸ベタイン、硝酸β-アラニン、硝酸シトルリンなどであり得る。他の局面において、その硝酸アニオンは植物ニトレート供給源である。他の実施において、その組成物は酸をさらに含み得る。ある特定の実施において、その酸は液体の酸、例えば、塩酸、リン酸、硝酸、または硫酸である。他の実施において、固体酸(例えば、クエン酸)が使用され、それは水中に溶解される。その酸は、単体金属およびニトレートを添加する前に、水中に溶解され得る。
【0045】
一部の実施において、その組成物は、有効量のニトレート(硝酸アニオンNO の供給源)および/またはニトライト(亜硝酸アニオンNO の供給源)と、有効量の単体金属とを含み、その有効量の単体金属は、有益な効果を提供することにおいてその硝酸アニオン(NO )の有効性を支援/増強する。したがって、一部の実施において、そのニトレート(硝酸アニオンNO の供給源)および/またはニトライト(亜硝酸アニオンNO の供給源)の有効量は、対象において血管拡張を引き起こして運動性能などを増強するのに十分な量である。他の実施において、その組成物におけるそのニトレート(硝酸アニオンNO の供給源)および/またはニトライト(亜硝酸アニオンNO の供給源)の有効量は、対象において血管拡張を引き起こすためまたは運動性能を増加するために単独で必要とされる硝酸アニオン(NO )の量よりも少ないが、その単体金属の有効量は、対象において血管拡張を引き起こすことまたは運動性能を増加することにおいてそのニトレート(硝酸アニオンNO の供給源)および/またはニトライト(亜硝酸アニオン(NO )の供給源))を支援するために十分な量である。
【0046】
ある特定の実施において、その組成物は、約1mg~約900mgの単体マグネシウムと、ニトレート(硝酸アニオンNO の供給源)および/またはニトライト(亜硝酸アニオンNO の供給源)とを含み、その無機ニトレートの供給源は約5mg~約2000mgの硝酸アニオン(NO )を提供する。一部の局面において、そのニトレート(硝酸アニオンNO の供給源)および/またはニトライト(亜硝酸アニオンNO の供給源)は、約30mg~2000mgの硝酸アニオン(NO )、約50mg~約2000mgの硝酸アニオン(NO )、約5mg~約1000mgの硝酸アニオン(NO )、約30mg~約1000mgの硝酸アニオン(NO )、約50mg~約1000mgの硝酸アニオン(NO )、約5mg~約600mgの硝酸アニオン(NO )、約30mg~約600mgの硝酸アニオン(NO )、約50mg~約600mgの硝酸アニオン(NO )、約5mg~約500mgの硝酸アニオン(NO )、約30mg~約500mgの硝酸アニオン(NO )、または約50mg~約500mgの硝酸アニオン(NO )を提供する。ある特定の実施において、そのニトレート(硝酸アニオンNO の供給源)および/またはニトライト(亜硝酸アニオンNO の供給源)は硝酸の塩(例えば、硝酸マグネシウムまたは硝酸プロリン)である。
【0047】
一部の実施において、その組成物におけるニトレート(硝酸アニオンNO の供給源)および/またはニトライト(亜硝酸アニオンNO の供給源)対単体金属のモル比は、少なくとも2:1である。その単体金属の用量ならびにそのニトレート(硝酸アニオンNO の供給源)および/またはそのニトライト(亜硝酸アニオンNO の供給源)の用量は、対象の体重、年齢、および健康状態にしたがって調整され得る。典型的には、正常血圧の対象は、高血圧の対象よりも少ない単体金属および硝酸アニオン(NO )しか必要とせず、低血圧の対象は、正常血圧の対象よりもさらに少ない単体金属および硝酸アニオン(NO )しか必要としない。一部の実施において、その組成物は、1mg~5000mgのNO および/またはNO と、1mg~10000mgの単体金属とを含む。他の実施において、その組成物は、5mg~200mgのNO および/またはNO と、5mg~1000mgの単体金属とを含む。一部の実施において、その組成物における単体金属の量は、1mgと800mgとの間、または5mgと400mgとの間である。一部の実施において、そのニトレート(硝酸アニオンNO の供給源)および/またはニトライト(亜硝酸アニオンNO の供給源)の量は、30mgと2000mgとの間、または50mgと600mgとの間である。
【0048】
一部の実施において、その組成物は、カプセル、カシェ剤(cachet)、丸剤、錠剤、散剤、顆粒剤、ペレット、ビーズ、粒子、トローチ剤、ロゼンジ(lozenge)、口内錠(pastille)、液剤、エリキシル剤、シロップ剤、チンキ剤、懸濁剤、乳剤、マウスウォッシュ、スプレー剤、ドロップ、軟膏剤、クリーム剤、ゲル、ペースト剤、経皮パッチ、坐剤、ペッサリー、クリーム剤、ゲル、ペースト剤、フォーム剤、およびそれらの組合せの形態である。その組成物は、受容可能な添加剤および/または受容可能なキャリアをさらに含み得る。その受容可能な添加剤は、可溶化剤、酵素阻害剤、抗凝固薬、消泡剤、抗酸化剤、着色料、冷却剤、凍結保護物質、水素結合剤(hydrogen bonding agent)、矯味矯臭剤、可塑剤、保存剤、甘味料、および増粘剤からなる群より選択される少なくとも1種のメンバーから選択され得る。その受容可能なキャリアは、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、希釈剤、増量剤(extender)、溶媒、懸濁化剤、溶解助剤、等張化剤、緩衝化剤、鎮静剤(soothing agent)、および両親媒性脂質送達系からなる群より選択される少なくとも1種のメンバーから選択され得る。一部の実施において、その組成物は経口投与のために適切な形態である。他の実施において、その組成物は、酸性化された溶媒と接触した場合に生成される気体の吸入のために適切な形態である。
【0049】
その組成物中の単体金属は、任意の形態、例えば、粉末または顆粒であり得る。その組成物のある特定の実施において、そのニトレートおよび/またはニトライトは、カプセル、カシェ剤、丸剤、錠剤、散剤、顆粒剤、ペレット、ビーズ、粒子、トローチ剤、または口内錠中に包装されており、その単体金属は、カプセル、カシェ剤、丸剤、錠剤、散剤、顆粒剤、ペレット、ビーズ、粒子、トローチ剤、または口内錠中に包装されている。別の実施において、そのニトレートおよび/またはそのニトライトは、カプセル、カシェ剤、丸剤、錠剤、散剤、顆粒剤、ペレット、ビーズ、粒子、トローチ剤、または口内錠中に包装されており、その単体金属は、カプセル、カシェ剤、丸剤、錠剤、散剤、顆粒剤、ペレット、ビーズ、粒子、トローチ剤、または口内錠中に包装されており、その酸は、そのニトレートおよび/またはニトライトならびにその単体金属とは別個に包装されている。一部の実施において、そのニトレートおよび/またはそのニトライトと、その単体金属と、その酸とは、固体形態である。特定の実施において、そのニトレートおよび/またはニトライトとその単体金属とは、一緒に、例えば、1個のカプセル、1個のカシェ剤、1個の丸剤、または1個の錠剤中に包装されている。
【0050】
さらに他の実施において、その組成物は、亜硝酸アニオン(NO )の供給源を、硝酸アニオン(NO )の供給源の代わりに含む。例えば、その組成物は、亜硝酸アニオン(NO )の供給源と、アミノ酸と、単体金属とを含む。一部の実施において、その組成物は、亜硝酸アニオンの供給源と、アミノ酸と、単体金属と、酸とを含む。
【0051】
一部の実施において、その組成物中の単体金属は、水中では溶解性が乏しいが胃の酸性環境において可溶性である適切な物質(例えば、酸化マグネシウム、セルロースポリマー、アルギン酸塩(例えば、アルギン酸カルシウム)、または水酸化アルミニウム)で、覆われているかまたはマイクロカプセル化されている。
【0052】
一部の実施において、硝酸プロリンが、その組成物におけるニトレート(硝酸アニオンNO の供給源)および/またはニトライト(亜硝酸アニオンNO の供給源)である。一部の実施において、硝酸マグネシウムが、その組成物におけるニトレート(硝酸アニオンNO の供給源)および/またはそのニトライト(亜硝酸アニオンNO の供給源)である。そのような実施において、その硝酸マグネシウムは無水物であってもよいし、水和されていてもよい。その硝酸マグネシウムの水和の程度は、硝酸マグネシウム1分子当たり、水1分子と水6分子との間である。特定の実施において、硝酸マグネシウム六水和物が、その組成物における硝酸の塩である。
【0053】
一部の実施において、開示された組成物は酸をさらに含む。その酸は、本願組成物の摂取の際に胃のpHが酸性のままであることを保証するために添加される。その酸成分は、ヒトによる消費のために適切な任意の酸、例えば、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、または酒石酸であり得る。一部の実施において、その酸は、固体形態、例えば、粉末である。したがって、その組成物における酸の量は、一部の実施において、50mgと20,000mgとの間、50mgと2000mgとの間、50mgと1000mgとの間、100mgと20,000mgとの間、100mgと2000mgとの間、100mgと1000mgとの間、200mgと20,000mgとの間、200mgと2000mgとの間、200mgと1000mgとの間、300mgと20,000mgとの間、300mgと2000mgとの間、300mgと1000mgとの間、500mgと20,000mgとの間、500mgと2000mgとの間、または500mgと1000mgとの間である。一部の実施において、その組成物の酸成分は酢である。一部の実施において、開示された組成物は酸を含まないが、その組成物は酸とともに投与される。例えば、その組成物は、pHが2~6の間である酸性溶液(例えば、希釈した酢またはクエン酸の溶液)とともに共投与される。一部の実施において、その酸性溶液は希釈された酢酸、硝酸、硫酸などである。
【0054】
開示された組成物は、カプセル、錠剤、丸剤、液体、液体懸濁剤、蒸気、散剤、造粒物(granulate)、粉状物(pulverulence)、またはそれらの組合せの形態であり得る。一実施において、開示された組成物は固体形態である。一部の実施において、その単体金属とニトレート(硝酸アニオンNO の供給源)および/またはニトライト(亜硝酸アニオンNO の供給源)とは、一部の実施において、酸および/またはアミノ酸と、組み合わせてカプセルまたは錠剤に入れられる。他の実施において、その酸および/またはアミノ酸は、その単体金属および硝酸イオンの供給源とは別個の錠剤/錠剤(複数)またはカプセル/カプセル(複数)中にある。そのニトレート(硝酸アニオンNO の供給源)および/またはニトライト(亜硝酸アニオンNO の供給源)と単体金属とアミノ酸との共投与の増強された活性は、対象がそれらを(例えば、3個の別個のカプセルの共投与によって)別々に摂取する場合に、低減されない。したがって、一部の実施において、本明細書において記載される組成物は、ニトレート(硝酸アニオンNO の供給源)および/またはニトライト(亜硝酸アニオンNO の供給源)を含むカプセルと、単体金属を含むカプセルと、アミノ酸を含むカプセルとを含む。酸をさらに含むその組成物のある特定の実施において、その組成物は、その酸を含むカプセルをさらに含み得る。
【0055】
開示された組成物の粉末形態は、摂取前に水中にて投与された場合にその効力の一部を失うことが、着目される。したがって、その組成物の粉末形態の投与は、水への曝露時間を最小限にしながら行われるべきである。理想的には、水への粉末化組成物の曝露は、1分間未満、5分間未満、10分間未満、15分間未満、または30分間未満であるべきである。例えば、その対象は、その粉末化組成物を水に溶解してその混合物を飲む代わりに、その粉末化組成物を摂取した後で、それを水で流し込むべきである。あるいは、その対象は、その組成物を水に混合してそれをすぐに摂取し得る。また、その組成物がアルカリ性混合物(pHが7よりも高い)(例えば、ベーキングソーダと混合された水)に添加される場合、それはその有効性を摂取前に少なくとも10分間保持し得、これは典型的には、人がプレワークアウト飲料を混合してそれを摂取するために十分な時間である。
【0056】
一部の実施において、その組成物は、水分がその錠剤および/または添加剤に入り込むのを防ぐために適切な薬学的に受容可能なコーティングをさらに含む。その薬学的に受容可能なコーティングの非限定的な例としては、蝋、ポリマー、固体脂肪酸などが挙げられる。その添加剤の非限定的な例としては、キャリア、賦形剤、結合剤、着色料、矯味矯臭剤、保存剤、緩衝液、希釈剤、およびそれらの組合せが挙げられる。一部の局面において、その添加剤は薬学的に受容可能な添加剤または受容可能な食品添加剤である。
【0057】
本開示はまた、アミン部分含有化合物とニトロソ化剤とを含む組成物におけるニトロソアミン形成を低減する方法に関する。その方法は、単体金属を、そのアミン部分含有化合物とニトロソ化剤とを含む組成物に添加する工程を含む。ある特定の実施において、そのニトロソ化剤は、ニトレート、ニトライト、一酸化窒素、および二酸化窒素からなる群より選択される。実施例において示されるとおり、そのアミン部分含有化合物とニトロソ化剤とを含む組成物における単体金属の存在は、その組成物において形成されるニトロソアミンの量を低減する。ある特定の実施において、その組成物へのその単体金属の添加は、ニトロソアミン形成を防止し得る。これもまた実施例において示されるとおり、そのアミン部分含有化合物がニトロソ化を経た場合に、その組成物へのその単体金属の添加は、その反応を取り消し得る。したがって、そのアミン部分含有化合物とそのニトロソ化剤とその単体金属とを含むそのような組成物の摂取は、最終的には少しでも形成される場合であっても、低減したニトロソアミン形成をもたらす。
【0058】
したがって、アミン部分含有化合物のニトロソアミン形成を低減する方法が、開示される。その方法は、そのアミン部分含有化合物と、単体金属ならびにニトレートおよび/またはニトライトとを共投与する工程を含む。本明細書において開示される方法の一部の実施において、その方法は、酸をその組成物に添加する工程、あるいはそのアミン部分含有化合物と、単体金属、ニトレートおよび/またはニトライト、ならびに酸とを共投与する工程をさらに含む。特定の実施において、単体金属は、金属マグネシウム、鉄、亜鉛、およびカルシウムである。
【実施例
【0059】
(実施例)
(実施例1)
模倣した胃の条件におけるニトロソアミン形成を低減することにおける上記の組成物および方法の有効性を実証するために、大さじ1/2のグリシンを100mlの0.1N HCl溶液に添加して、透明な溶液が形成された。0.1N HClが、胃の酸性胃条件を模倣するために当該分野において一般的に使用される。その後、大さじ1/4の亜硝酸ナトリウムを、200rpmで撹拌しながら添加した。緑色のニトロソ化生成物であるn-ニトロソグリシンが迅速に形成された。1時間後、小さじ1/4の単体マグネシウム(顆粒状)を添加した。30分後、その溶液は透明な色に変わり、n-ニトロソグリシンの除去を示した。
【0060】
(実施例2)
模倣した胃の条件におけるニトロソアミン形成を低減することにおける上記の組成物および方法の有効性を実証するために、大さじ1/2のl-チロシンを100mlの0.1N HCl溶液に添加して、白色溶液が形成された。その後、大さじ1/4の亜硝酸ナトリウムを、200rpmで撹拌しながら添加した。橙色~黄色のニトロソ化生成物であるn-ニトロソチロシンが迅速に形成された。1時間後、小さじ1/4の単体マグネシウム(顆粒状)を添加した。30分後、その溶液は白色に変わり、n-ニトロソチロシンの除去を示した。
【0061】
(実施例3)
模倣した胃の条件におけるニトロソアミン形成を低減することにおける上記の組成物および方法の有効性を実証するために、大さじ1/2のl-システインを100mlの0.1N HCl溶液に添加して、白色溶液が形成された。その後、大さじ1/4の亜硝酸ナトリウムを、200rpmで撹拌しながら添加した。桃色のS-ニトロソ化生成物であるS-ニトロソシステインが迅速に形成された。1時間後、小さじ1/4の単体マグネシウム(顆粒状)を添加した。30分後、その溶液は白色に変わり、S-ニトロソシステインの除去を示した。
【0062】
(実施例4)
一実施において、その組成物は、1g~2gのアマランサス抽出物(10%~90%のニトレートを提供する)、50mg~1000mgのビタミンC、50mg~1000mgの酸化マグネシウム、10mg~1000mgのL-システイン、50mg~1000mgのテアニン、5mg~100mgの単体鉄、0.5mg~30mgの葉酸塩/5-MTHF、および1mcg~500mcgのモリブデン酸カリウムを含む。
【0063】
なお別の実施において、その組成物は、運動性能指標(例えば、力、持久力、血管拡張、およびポンプ)を改善することが意図される運動性能増強製品(プレワークアウト製品)である(表1を参照のこと)。そのプレワークアウト製品は、有効量のニトレート(NO )およびアミノ酸を含む。その組成物の1回分は各々、5gのアミノ酸ニトレート(硝酸プロリンおよび硝酸β-アラニンを含む)を提供し、その組成物は水素還元型単体鉄で増強されて、ニトロソアミン形成を最小限にしながらそのニトレートの効果をさらに増幅する。さらに、そのプレワークアウト製品中にある各ニトレートは、その通常の対応物(10gのリンゴ酸シトルリン、2gの無水ベタイン、および2.6gのβ-アラニン)と一緒に提供される。他の成分としては、1g用量の紅茶抽出物、200mgのテアニン、およびエネルギー用の250mgのカフェインが挙げられる。
【表1】
【国際調査報告】