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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】磁気センサ及び強磁性極
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/245 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
G01D5/245 110W
G01D5/245 110L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023554353
(86)(22)【出願日】2022-03-08
(85)【翻訳文提出日】2023-09-06
(86)【国際出願番号】 FR2022050417
(87)【国際公開番号】W WO2022189750
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】2102198
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501377391
【氏名又は名称】ムービング マグネット テクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】フラション,ディディエ
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077JJ01
2F077JJ03
2F077JJ07
2F077JJ23
2F077UU12
(57)【要約】
本発明は、磁場を生成する永久磁石に対して移動することができる少なくとも1つの磁気感知要素を備える磁気位置センサであって、永久磁石の磁石が、当該磁石の両側に配置された2つの磁極片を有する軟強磁性材料製の支持体に埋め込まれている磁気位置センサに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気位置センサであって、
●磁化構造(1)であって、磁場を生成する永久磁石(10)と、前記磁石(10)が埋め込まれた軟強磁性材料製の支持体(20)とを備え、前記支持体(20)は前記磁石(10)の両側に位置する2つの磁極片(21、22)を有する、磁化構造(1)と、
●前記磁石(10)に対して測定経路(2)に沿って移動可能な少なくとも1つの磁気感知要素(30)と、を備え、
前記磁石(10)及び前記2つの磁極片(21、22)はそれぞれ、前記測定経路(2)に沿った前記移動中に前記少なくとも1つの磁気感知要素(30)に全て対向して配置される前面(15、24、25)を有し、
前記測定経路(2)に沿った前記移動中に、前記前面(15、24、25)は、前記感知要素(30)に対向して連続的に位置し、
-前記磁石(10)の前記前面(15)と前記磁気感知要素(30)の前記中心との間の最小距離と、
-前記磁極片(21、22)の前記前面(24、25)の一方又は他方と前記磁気感知要素(30)の前記中心との間の最小距離との間の比率は、
0.7~1.3であることを特徴とする、磁気位置センサ。
【請求項2】
前記測定経路(2)に沿った前記変位中に、前記前面(15、24、25)は前記感知要素(30)に対向して連続的に位置し、前記磁気感知要素(30)に対向する前面(15、24、25)と前記磁気感知要素(30)の前記中心との間の最小距離は、その平均値に対して50%未満の変動を有することを特徴とする、請求項1に記載の磁気位置センサ。
【請求項3】
-一方、前記測定経路(2)に沿った前記変位中の、前記磁石の前記前面(15)と前記少なくとも1つの磁気感知要素(30)との間の最小距離と、
-他方、前記測定経路(2)に沿った前記変位中の、前記磁極片(21、22)の前記前面(24、25)の一方又は他方と前記少なくとも1つの磁気感知要素(30)との間の最小距離との間の比率は、
両方とも0.7~1.3であることを特徴とする、請求項1に記載の磁気位置センサ。
【請求項4】
前記比率は両方とも0.9~1.1であることを特徴とする、請求項2に記載の磁気位置センサ。
【請求項5】
前記磁極片(21、22)と前記磁石(10)との間に、前記前面(15、24、25)が隣接しないように凹部(34、35)が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の磁気位置センサ。
【請求項6】
前記測定経路(2)は平面内に位置し、この平面に直交する方向において、前記磁極片(21、22)の厚さは前記磁石(10)の厚さよりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の磁気位置センサ。
【請求項7】
前記測定経路に沿った前記磁極片(21、22)の前記前面(24、25)の長さの合計は、前記磁石(10)の前記前面(15)の長さ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の磁気位置センサ。
【請求項8】
前記測定経路に沿った前記磁極片(21、22)の各々の前記前面(24、25)の長さは、前記磁石(10)の前記前面(15)の長さ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の磁気位置センサ。
【請求項9】
前記磁石(10)の前記磁化は、単一の磁化方向(14)、又は一方向磁化を有することを特徴とする、請求項1に記載の磁気位置センサ。
【請求項10】
前記磁石(10)の前記磁化は直径方向であることを特徴とする、請求項2に記載の磁気位置センサ。
【請求項11】
前記磁石(10)の前記磁化は、その強度が前記移動経路に沿って連続的に変化する磁化を有することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の磁気位置センサ。
【請求項12】
前記磁石(10)の前記磁化は、前記移動経路に沿って連続的に変化する磁化方向(14)を有することを特徴とする、請求項1に記載の磁気位置センサ。
【請求項13】
前記磁気感知要素は、前記磁気角度の直接測定のための、又は前記機械的位置に基づく絶対出力センサを構成する前記磁気構成要素の前記測定を介した間接測定のためのプローブであることを特徴とする、請求項1に記載の磁気位置センサ。
【請求項14】
前記磁気感知要素(30)に対する前記永久磁石(10)の前記相対変位が直線であることを特徴とする、請求項1から8の少なくとも一項に記載の磁気位置センサ。
【請求項15】
前記磁気感知要素(30)に対する前記永久磁石(10)の相対変位が回転式であることを特徴とする、請求項1から8の少なくとも一項に記載の磁気位置センサ。
【請求項16】
前記磁気感知プローブは磁気スイッチであり、前記位置センサは、前記エアギャップに基づいて不変の切り替え位置を有することを特徴とする、請求項1に記載の磁気位置センサ。
【請求項17】
前記磁気スイッチは前記磁場の成分を測定し、前記切り替え閾値はプログラムされることを特徴とする、請求項16に記載の磁気位置センサ。
【請求項18】
前記磁気感知プローブは、前記変位と同一直線上にあり、前記相対変位に直交する方向にある前記磁場の前記成分からアナログ位置情報を再構成することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の磁気位置センサ。
【請求項19】
前記磁気感知プローブは、前記磁化方向と同一直線上にある前記磁場の前記成分から前記アナログ位置情報を再構成することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の磁気位置センサ。
【請求項20】
少なくとも一部がコイルによって取り囲まれた歯を画定する強磁性積層体のアセンブリからなるステータによって形成されたアクチュエータと、請求項19に記載の位置センサとを備えるメカトロニクスアセンブリであって、前記センサの強磁性材料からなる前記支持体(20)の前記積層体の外側輪郭は、前記アクチュエータの前記ステータの前記積層体の内側輪郭に含まれることを特徴とするメカトロニクスアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気感知プローブの前の通過を検出するための、少なくとも1つの永久磁石を含む磁気位置センサの分野に関し、プローブに対する磁石の相対変位は、対象とする用途に応じて、直線又は角度、あるいは多方向である。
【0002】
これらのセンサは、例えば、自動車、トラック、輸送機関、農業用機械等の熱機関制御用途のための電気ギヤドモータなどのアクチュエータの出力軸線の角度位置を監視及び検出するのに適している。
【0003】
電気モータの集積電子機器によって車両の集中電子制御ユニット(ECU)に戻される位置情報は、アクチュエータの較正を実行する(停止間の有用な行程を決定する)ために決定的であり、これはまた、制御を改良するために、又は診断目的のために使用され得る。
【0004】
これらの用途のために、センサは、20°~30°の範囲にわたって「オン」状態にあり、相補的な角度範囲にわたって「オフ」状態にある信号で、最大360°に達することができる変位のためのデジタルセンサの形態でなければならず、予想される切り替え公差は±2°である。
【0005】
別の可能な統合は、数十ミリメートルのストロークにわたってシャフトの直線位置を検出するためのセンサの統合であり、一方では、磁気感知プローブによって測定され得るように十分な磁場を得るために、他方では、典型的には+/-1%未満の精度で、必要とされる磁石体積を最小化することが重要である。例としては、自動車のステアリングラック又はクラッチの200mmにわたる直線変位を検出する場合が挙げられる。
【背景技術】
【0006】
最新技術は、接触(摩擦摩耗に敏感なポテンショメータ)による、又は光学技術(汚れ及び埃に敏感)を使用する、多数の「低コスト」解決策を提案している。
【0007】
しかしながら、高レベルの要件(非常に長い寿命、振動、高い熱振幅)を満たさなければならない用途に対しては、これらの解決策は適切ではなく、静止感知要素を励起する可動要素を備える磁気解決策が好ましい。
【0008】
例えば、米国特許出願公開第20190078910号は、ケーシングと、ケーシング内のアクチュエータモータと、回転可能な出力シャフト及びギヤを含むケーシング内の回転可能な出力ギヤシャフトアセンブリとを備える車両要素アクチュエータを記載している。出力ギヤは、磁束シグネチャを有する、出力ギヤに画定された少なくとも1つの不連続部を含む。例えば、一体化された磁石を有するホール効果位置センサを含む位置センサは、出力ギヤシャフトアセンブリの位置を感知し決定するために、出力ギヤ上の当該不連続性の磁束シグネチャを感知する。不連続部は、同じ又は異なるサイズ/構成であってもよく、互いに等間隔又は不等間隔であってもよい。不連続部は、スロットもしくは突起、又は位置センサによって感知され得る固有の磁束シグネチャを有する任意の他の特徴とすることができる。
【0009】
減速ギヤの出力ホイール上に不連続部を使用することは、不連続部の境界が時間及び温度と共に変化し、予期せぬ切り替えをもたらす可能性があるので、完全に満足できるものではない。更に、これらの技術に固有の困難は、センサがエアギャップ公差を受けるときに、これらの小さい角度の良好な精度を保証しながら、それらが非常に大きい角度、例えば340°によって囲まれているときに、小さい角度、例えば20°を検出することができることである。
【0010】
米国特許出願公開第20190140524号は、回転可能なパターン化されたリング磁石を備える回転位置センサを記載しており、このリング磁石は、一実施形態では、アクチュエータの出力シャフトに取り付けられ、リング磁石の円周の周りに交互の関係で延在し、ホール効果スイッチなどのスイッチによって感知するように適合されたリング磁石の複数の所定の一意の位置に対応するリング磁石上の所定の距離で離間された、複数の円周方向に延在する磁場スイッチ点を画定する複数対のN極部及びS極部を備える。一実施形態では、リング磁石は、複数対のN極セクション及びS極セクションと、感知される複数の所定のリング磁石位置にそれぞれ対応する異なる所定の長さ及び所定の位置のリング磁石上のスイッチ点とを備える。
【0011】
出力ホイール上の多極リング磁石の使用は、比較的高いコストにつながる。
【0012】
一般に、従来技術のこれらの解決策は、磁気ターゲットを支持する出力ホイールを磁気感知要素を支持するプリント回路のすぐ近くに配置することを可能にするために、アクチュエータのトポロジ及び減速ギヤのアセンブリを大幅に制限する。これらの解決策は、軸方向成分を測定するための磁石を担持する出力ホイールを覆わなければならないプリント回路に対しても制限的であり、したがって、プリント回路は、挿入される案内要素に利用可能な空間を大幅に制限する。
【0013】
第2の解決策を実施することは複雑であることが分かる。実際には、磁束を案内して集中させるために、かさばる強磁性部品を一体化する必要がある。更に、磁石は完全なリングからなるので、大きな磁石体積を必要とする。
【0014】
欧州特許EP1989505B1もまた、最新技術において知られており、少なくとも1つの永久磁石と、互いに対して移動することができる少なくとも1つの磁気感知要素とを使用する、回転、直線又は曲線変位の磁気センサを記載している。磁石は、回転センサの場合の直径方向の磁化を除いて、変位方向及び法線方向によって規定される表面上で磁石の当該変位方向に沿って直線的に変化する磁化方向を示す。したがって、一方では、永久磁石は磁場を発生し、他方では、その磁場の法線成分(Y)と、その磁場の接線成分(X)及び公差成分(Z)の少なくとも一方は、磁石の表面で測定して周期的に変化し、法線(Y)及び公差(Z)成分は同じ位相で変化するが、接線成分(X)は周期の四分の一だけ位相シフトされる。
【0015】
この後者の解決策は、非常に適切かつ効率的であるが、測定されなければならない行程の約1倍をカバーしなければならず、回転磁化を実行するのが難しいので、かなりの(したがって高価な)磁石体積を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
これらの欠点に対処するために、本発明は、その最も一般的な意味において、請求項1に記載される特徴を示す磁気センサに関する。
【0017】
このような磁気センサは、鉄極の使用が必要な磁石体積を減少させる用途に適合され、これはコストの著しい低減を提供し、製造ばらつきに起因して生産ラインにおいて、又は摩耗に起因してセンサの寿命中に起こり得るエアギャップ変化に対して非感受性を示す。
【0018】
有利には、磁気位置センサは、
○磁化構造であって、磁場を生成する永久磁石と、当該磁石が埋め込まれた軟強磁性材料製の支持体とを備え、当該支持体は磁石の両側に位置する2つの磁極片を有する、磁化構造と、
○支持体に埋め込まれた当該磁石に対して測定経路に沿って移動可能な少なくとも1つの磁気感知要素と、を備え、
当該磁石及び当該2つの磁極片は、それぞれ、測定経路に沿った変位中に少なくとも1つの磁気感知要素に全てが対向して配置される前面を有し、測定経路に沿った変位中に、前面は感知要素に対向して連続的に位置し、
○磁石の前面と磁気感知要素の中心との間の最小距離と、
○磁極片の前面の一方又は他方と磁気感知要素の中心との間の最小距離との間の比率は、
は、0.7~1.3であることを特徴とする。
【0019】
第1変形例によれば、測定経路に沿った変位中に、前面は感知要素に対向して連続的に位置し、磁気感知要素に対向する前面と磁気感知要素の中心との間の最小距離は、その平均値に対して50%未満の変動を有することを特徴とする。
【0020】
一変形例によれば、磁気位置センサは、以下の比率を有する。
【0021】
○一方、測定経路に沿った変位中の、磁石の前面と少なくとも1つの磁気感知要素との間の最小距離と、
○他方、測定経路に沿った変位中の、磁極片の前面の一方又は他方と少なくとも1つの磁気感知要素との間の最小距離との間の比率は、
両方とも0.7~1.3の間に位置する。
【0022】
あるいは、これらの比率は両方とも0.9~1.1の間に位置する。
【0023】
別の変形例では、磁極片と磁石との間に凹部があり、前面が隣接しないようになっている。
【0024】
好ましくは、本発明による磁気位置センサは、測定経路が平面内に位置し、この平面に直交する方向において、磁極片の厚さが磁石の厚さよりも小さいことを特徴とする。
【0025】
更に好ましくは、測定経路に沿った磁極片の前面の長さの合計は、磁石の前面の長さ以上である。
【0026】
1つの可能な代替案として、測定経路に沿った磁極片の各々の前面の長さは、磁石の前面の長さ以上である。
【0027】
一変形例によれば、当該磁石の磁化は、一方向の磁化方向を有する。
【0028】
1つの可能な代替案として、当該磁石の磁化は、磁石を通過する平面に平行であり、相対変位の経路に直交する。
【0029】
第2の代替形態では、当該磁石の磁化は直径方向である。
【0030】
第3の代替形態では、当該磁石の磁化は、変位経路に沿って連続的に変化する磁化方向を有する。
【0031】
第4の代替形態では、当該磁石の磁化は、その強度が変位経路に沿って連続的に変化する磁化を有する。
【0032】
第5の代替形態では、当該磁石の磁化は、変位経路に対応する2つの方向に沿って連続的に変化する磁化方向を有する。
【0033】
有利には、当該磁気感知要素は、磁石の特性に応じた温度補償されたプログラム可能なプローブである。
【0034】
特定の一実施形態によれば、当該磁気感知要素は、磁気角度の直接測定のための、又は機械的位置に基づく絶対出力センサを構成する磁気構成要素の測定を介した間接測定のためのプローブである。
【0035】
一変形例によれば、当該磁気感知要素に対する当該永久磁石の相対変位は直線的である。
【0036】
別の変形例によれば、当該磁気感知要素に対する当該永久磁石の相対変位は回転である。
【0037】
別の変形例によれば、当該磁気感知要素に対する当該永久磁石の相対変位は、いくつかの次元に沿って行われ、例えば、1つの次元に沿った直線変位及び別の次元に沿った回転変位であるが、これらの変位の組み合わせ又は2つの次元のみに沿った変位を限定するものではない。
【0038】
一実施形態によれば、磁気感知プローブは磁気スイッチであり、位置センサはエアギャップに基づいて不変の切り替え位置を有する。
【0039】
有利には、磁気スイッチは、磁場の成分を測定し、プログラム可能な切り替え閾値を有する。
【0040】
特定の一実施形態によれば、磁気感知プローブは、変位と同一直線上にあり、当該相対変位に直交する方向にある磁場の成分からアナログ位置情報を再構成する。
【0041】
有利には、磁気感知プローブは、磁化方向と同一直線上の磁場の成分からアナログ位置情報を再構成する。
【0042】
好ましくは、当該磁極片は、センサの精度を最大化するアルゴリズムに従って彫刻された形状のプロファイルを有する。
【0043】
特定の一実施形態によれば、強磁性材料で作られた当該支持体は、積層体のスタックからなる。
【0044】
本発明はまた、少なくとも一部がコイルによって取り囲まれた歯を画定する強磁性積層体のアセンブリからなるステータによって形成されたアクチュエータと、先行する請求項に記載の位置センサとを備えるメカトロニクスアセンブリであって、センサの強磁性材料からなる当該支持体の積層体の外側輪郭は、アクチュエータの当該ステータの積層体の内側輪郭に含まれることを特徴とするメカトロニクスアセンブリに関する。
【0045】
測定経路は、磁気感知要素の座標系において、測定のための全有効ストロークにわたって磁石の前面の重心によって記述される移動を表す経路を意味すると理解される。測定経路の移動の間、磁気感知要素の中心との最小距離を有する前面の1つに位置する点は、測定経路の移動を通じて変化する。したがって、当業者に知られており、磁化構造を支持する可動要素の回転軸上にプローブが配置される「軸端」タイプのセンサは、これが1回限りの経路をもたらすので、本発明の意味の範囲内の経路の概念を示さない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
本発明は、添付の図面によって図示される非限定的な例示的実施形態を参照する、以下の説明を読むことによってより良く理解されるであろう。
図1】磁石を透視した回転センサの斜視図である。
図2】本発明による減少したアクティブストロークのための回転センサの、位置の関数としての磁気角度と同様に、誘導の半径方向及び接線方向成分の曲線を示す。
図3】いくつかのエアギャップについて、本発明による回転センサのシャフトの位置に基づく誘導の半径方向成分の曲線、ならびに磁気感知プローブから来るデジタル信号を示す。
図4】多極ロータ上に載置された本発明による回転センサの変形例を示す図である。
図5】本発明によるシステムの斜視図である。
図6】本発明に係るリニアセンサの位置に基づく誘導の磁化方向に平行な成分及び直交する成分の曲線を示す。
図7図6のリニアセンサの位置に基づく磁気角度曲線及び直線性を示す。
図8】多極磁化構造上に載置された本発明によるリニアセンサの変形例を示す図である。
図9】本発明による軸流回転センサの斜視図を示す。
図10】多極ロータ上に載置された本発明による回転センサの変形例を示す図である。
図11】本発明に係る回転センサの量産に最適化された磁化構造の斜視図である。
図12】センサの強磁性積層体及びセンサが関連付けられたアクチュエータのモータの切り欠き上面図を示す。
図13】本発明に係るセンサ付きアクチュエータの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
磁化構造について説明する。
【0048】
より明確にするために、この部分で使用される番号付けは、文書全体に共通であり、様々な図を通して評価されるべきである。
【0049】
磁化構造(1)は永久磁石(10)からなり、その磁化は方向及び強度に関して可変であり得、2つの隣接する磁極片(21、22)を画定する構成を形成する軟鉄積層体からなる強磁性支持体(20)と関連付けられる。第1のアセンブリに関連付けられたこの磁化構造(1)は、第2のアセンブリに関連付けられた磁気感知プローブ(30)によって検出される磁場を生成することを目的とし、当該第1及び第2のアセンブリは、測定経路(2)に沿って相対運動している。磁極片(21、22)及び磁石(10)は、それぞれ前面(15、24、25)を有し、すなわち、前面は、測定経路(2)の移動中に磁気感知プローブ(30)に直接対向して位置することができ、これらの前面(15、24、25)と磁気感知プローブ(30)との間に生成されるエアギャップは、小さい変動を有する。前面は、プローブのすぐ近くに位置する磁気的に活性な表面を意味し、磁石(10)の前面(15)は、プローブによって測定される磁場を放出する表面であり、前面(24、25)は、磁石によって生成される磁束を収集するように意図された磁極片(21、22)の表面である。
【0050】
エアギャップの小さな変動は、プローブを磁化構造(1)に可能な限り近づけることを可能にすることによって、非常にコンパクトなセンサ構造の製造を可能にする。エアギャップにおけるこれらの小さな変動はまた、測定経路(2)に沿った誘導の最大化を可能にする。エアギャップ変動が強すぎる場合、直線性の問題を回避するために、磁気感知要素(30)を磁化構造から離す必要がある。例えば、重要な基準は、磁石が磁極片(21、22)よりも磁気感知要素(30)から遠く離れて配置されてはならないことである。実際、この除去は、プローブによって測定可能な磁気誘導の著しい低下をもたらし、センサの大きさを増大させる。その逆、すなわち磁石(10)に対して凹んだ磁極片(21、22)は、同じ理由で望ましくない。この要求を満たすために定義される1つの基準は、測定経路(2)に沿って、一方では磁石(10)の前面(15)と磁気感知要素(30)との間で測定された最小距離と、他方では磁極片(21、22)の前面(24、25)の一方又は他方と磁気感知要素(30)との間で測定された最小距離との比率が0.7~1.3であることである。より制限的な用途では、この比は0.9と1.1の間の変動に制限することができる。別のあまり一般的でない基準は、単一の前面(15、24、25)内の距離変動に関する。測定経路(2)に沿った単一の前面(15、24、25)の移動中、満足すべき条件は、前面と磁気感知プローブとの間で測定された最小距離と最大距離との比率が0.5未満のままであることである。別のより制限的な基準は、磁石(10)の前面(15)と両方の磁極片(21、22)の前面(24、25)との間のエアギャップの変動に関連付けられる。実際、線形性及びコンパクト性が真の関心事である場合、満足のいく基準は、プローブが前面に対向する測定経路(2)の任意の点について、磁気エアギャップがその平均値に対して50%を超える変動を有さないことを必要とする。
【0051】
永久磁石(10)の形状、その磁化プロファイル、及び磁極片(21、22)のプロファイルは、分析される運動の経路(2)に応じて異なってもよく、目標は、製造ばらつき又は経年変化に固有のばらつきに対する良好な復元力を確保しながら、当該第1及び第2のアセンブリの相対位置の可能な限り最良の精度を得ることである。
【0052】
直線運動又は回転運動を検出することを目的として、提示された例を通して様々な構成が示されているが、後者は本発明に関して限定するものではない。解析される経路(2)が曲線であることを想像することも可能であろう。
【0053】
したがって、磁石の磁化は、変位方向に沿って連続的又は離散的に変化する強度及び/又は方向(14)を有することができる。極端な場合、この磁化は、一方向であり、磁石の飽和を可能にする最大強度であり得る。一方向磁化は、優先的にデカルト座標系の単一方向における材料の磁化を意味すると理解される。したがって、磁石のエッジ効果が除外される場合、磁化は、全ての点において所与のベクトルに平行であり、それと同じ方向である。当然ながら、このタイプの磁化は本発明に関して限定するものではなく、直径方向の磁化、すなわち円筒座標系における一方向の磁化も想定される。最後に、当業者は、磁石を彫刻することによって、又は追加の強磁性材料を加えることによって、成形された極を有する磁石に異なる磁化を関連付けることを想像することができ、一方向磁化は、本発明の目的のために実行及び説明するのに最も簡単である。
【0054】
強磁性支持体(20)は、好ましくは、その磁極片(21、22)の間に永久磁石(10)を収容することができる凹部を有する単一片の強磁性材料の積層体のスタックであり、好ましくは、打ち込み、又は注入、又は当業者が想定することができる任意の他のタイプのアセンブリによって収容することができる。1つの可能な代替案は、磁極片(21、22)を別個の積層体の2つのスタックで製造し、次いで、当業者に知られている手段によって磁石に固定することである。この代替案は、磁極片(21、22)を永久磁石(10)に組み立てるためにより多くの予防措置を必要とするという意味で好ましくない。1つの可能性は、磁極片をプラスチック材料によるオーバーモールドで固定するか、又は磁石を構成する材料に直接固定しないことである。全ての場合において、本発明は、支持部(20)内に磁石(10)を機械的に埋め込むことを含み、第1のアセンブリの完全性を保証するために磁極端(21、22)と磁石(10)との間の磁気結合力を満たさない。実際、磁力による組み立て及び保持は、極端な環境における組み立ての完全性を保証することを可能にせず、製造ばらつきに非常に敏感である。磁極片(21、22)は、切削工具又は当業者に知られている任意の他の材料除去プロセスによって生成される形状プロファイルを有する。支持体(20)が積層体のスタックの結果でない場合、支持体(20)は、例えば焼結プロセスを使用してモノリシック軟強磁性材料から得ることができる。強磁性支持体(20)の磁極片(21、22)は、永久磁石(10)の両側で拡張し、磁石(10)と共に凹部(34、35)を残し、その結果、前面(15、24、25)は、測定経路の移動の間、隣接しない。この構成は、限定するものではないが、プローブを通過することができずに磁極片(21,22)に直接境界ゾーンで生成された磁石(10)の磁束のループを回避するという利点を有し、これは一般に信号の振幅の損失をもたらすが、センサの直線性の劣化にもつながる。磁気スイッチの製造など、これらの2つの基準が必須ではない場合には、これらの凹部を形成する必要はなく、したがって、製造公差の影響を受けにくいよりコンパクトな要素を得ることが可能になる。
【0055】
磁化構造(1)は、好ましくは、対称の隣接する磁極片(21、22)を有し、これらは直線経路に沿った角度又は位置を検出するのに特に適しているが、これは本発明に関して限定するものではなく、永久磁石(10)又は磁極片(21、22)(磁極端とも呼ばれる)は、曲線経路に沿った位置を測定するために、又はセンサのその環境への統合が考慮されるときにより良好な線形性を得るために、非対称であることができる。
【0056】
図1の例では、強磁性支持体(20)の高さは、永久磁石(10)の高さよりも低く、典型的には永久磁石(10)の高さの15%~60%である。この構成は、支持体(20)上への永久磁石(10)のより良好な固定を目的とするだけでなく、高い磁場レベルを維持しながら磁束のより良好な規則性も与え、これは、信号対雑音比を増加させることによって本発明によるセンサの精度の向上につながる。これらの教示は、磁化構造(1)が軸方向の厚さが小さい場合に特に当てはまるが、本発明の一般性を限定するものではない。
【0057】
回転センサ
図1図2及び図3は、本発明による回転センサの第1の例を示す。図1は、磁気感知プローブ(30)に対向する磁化構造(1)の斜視図を示し、磁気感知プローブ(30)は測定経路(2)に沿って相対運動するように設定される。ここでの目的は、耐久性及び振動に関して堅牢であり、単純かつ非常に経済的であり、強磁性部品によるヒステリシス及び非常に低減された永久磁石(11)の残留誘導への依存性を伴って、アクティブ角度ストローク(典型的には30°)とパッシブ角度ストローク(典型的には330°)との間の大きな不均衡を保証し、最後に、従来技術の解決策に対するエアギャップの変動による信号安定性を保証する角度センサ解決策を提供することである。
【0058】
アクティブ角度ストロークは、角度を測定すること、又はより単純に磁気スイッチの切り替え状態を変更することを望む角度ストロークを意味すると理解され、パッシブ角度ストロークは、測定を必要としない角度範囲、又は磁気スイッチが低状態にある角度範囲である。
【0059】
この目的のために、磁化構造(1)は、測定経路(2)の小部分、ここではプローブの近傍に位置する半径Rの円にわたってその磁気変動を集中させる構成を採用する。磁化構造(1)は、ここでは磁極端と呼ばれる磁極片(21、22)によって両側に対称的に延在する中央ゾーンを有する強磁性積層体のスタックからなる支持部(20)と、支持部(20)上にオーバーモールドすることによって注入されるか、又は半径方向挿入によって固定するために支持部(20)の中央ゾーンに相補的な切り欠きを有する永久磁石(10)とから構成される。磁石(10)は図1では透明に示されているが、支持部(20)上でのその保持を評価することが可能である。磁石(10)は、単一の磁化方向(14)に磁化され、回転変位用途のために、磁気感知プローブ(30)に対する磁石(10)の相対変位の方向Y(12)に垂直な平面(X,Z)に含まれる方向に磁場の一定の振幅が配向され、座標系は磁石(10)に対して固定されている。磁化の方向(14)は、磁場の振幅の半径方向成分を最大化するようにベクトルX(11)と同一直線上にあることが好ましいが、製造上の制約に適合するために、又はプローブの特定の位置決めの場合に測定される磁場を改善するために、ベクトルZ(13)と同一直線上にある成分を有してもよい。この経路に沿って測定された半径方向(50)及び接線方向(51)の磁気誘導の振幅は、典型的には、図2にグラフで示されるものと同様である。磁気感知プローブによるこれらの成分の測定は、例えば以下の式に従って磁気角度(52)のデジタル再構成を可能にする。
【0060】
【数1】

この場合、約60°の機械的回転に対して360°の磁場の変動を測定することが可能であり、これにより、ストロークが制限された角度にわたってのみ評価を必要とする場合にセンサの精度を高めることが可能になる。
【0061】
幾何学的分散に対して特に堅牢であるこの第1の実施形態の第2の特徴が図3に示されている。このグラフは、図1に示されたものと同心であるが異なる半径(3)の3つの円形経路に沿った半径方向磁気誘導(54、55、56)の変動を示し、曲線(54)は最小半径に対応し、曲線(56)は最大半径を有する。これは、一般的に言えば、機械的測定エアギャップを増加させることになる。系統的に、これらの測定は、両側に変曲点を有する正の誘導の中心ローブを有し、変曲点(58、59)は、磁気測定エアギャップが変化するときに角度及び振幅に関してほとんど変化しないことに留意されたい。この実施形態は、低状態から高状態への遷移位置が製造公差又は経年変化公差に対して非常に堅牢である磁気スイッチを製造するのに特に有利である。実際、磁気スイッチの遷移が半径方向誘導の変曲点(58、59)と一致する場合、図3に示す曲線(57)が得られ、これは磁気感知プローブの距離とは無関係であり、本発明に従って作製されたスイッチは、当該プローブの位置決めの不正確さを吸収することができる。ここでは示されないが、典型的には図3に示されるものと同じタイプの結果をもたらす別の利点は、永久磁石(10)の飽和レベルに対するこれらの変曲点(58、59)の非感受性である。したがって、図3に示される3つの誘導曲線(54、55、56)は、同じ半径(3)の経路に対して得られ得るが、3つの異なる磁化レベルに対応する。このようにして、磁化レベルと共に変曲点(58、59)が得られ、したがって、磁化ツールにおける分散又はデバイスの寿命の間に生じ得る部分減磁の両方を吸収することができるセンサが得られる。
【0062】
最後に、変曲点(58、59)は、比較的高レベルの誘導、ここでは60ガウスの誘導を有し、これにより、遷移が0ガウスに近く、環境が磁気的に乱されているときに非アクティブ範囲全体にわたって現れ得る寄生遷移に対して非感受性の磁気スイッチを得ることが可能になる。
【0063】
当然ながら、有効角度ストロークは小さい角度に限定されず、その増加は、背景技術で従来使用されているセンサと比較して磁石体積のより大きな減少を伴う。しかしながら、本発明によるセンサの回転バージョンでは、永久磁石(10)は、センサの良好な線形性を保証するために、角度ストロークの角度広がり約半数を優先的に有する。
【0064】
例えば、デジタルプローブと関連付けられたそのようなセンサの回転変形例は、非常に正確である所定の角度にわたるインデックスの生成を可能にし、例えば、優れた再現性でストローク開始位置を検索することを可能にする。
【0065】
角度センサの1つの変形例は、図4に示されるように、360°にわたって均一又は不均一に分布されたN個の磁気構造を乗算することにある。磁気角度を直接又は磁場の成分を測定する磁気感知プローブに関連して、この多極リングは、例えばベクトルモードで電気モータを制御するために磁気エンコーダを製造することを可能にする。
【0066】
リニアセンサ
図5は、本発明によるリニアセンサの全体図を示す。この例示的な実施形態では、磁化構造(1)は、可変方向(14)及び一定振幅の磁場に磁化された永久磁石(10)を収容するように切り欠きが設けられた支持体(20)を備える。磁化構造(1)は、測定経路(2)に沿って、磁気感知プローブ(30)に対して相対変位しており、この経路は線形であり、Y方向である。
【0067】
支持体(20)は、例えばプラスチック射出又は接着結合によって磁石(10)を受け入れるための切り欠きを有する、軟強磁性材料で作られた積層体のスタック又はモノリシックバーによって形成される。この支持体は、磁石(10)の両側に横方向に延在する2つの磁極片(21、22)を有する。
【0068】
磁極片の形状は、磁場の変動の規則性を改善し、したがってセンサの非線形性を最小限に抑えるために、磁石の周囲で長手方向成分及び直交成分の彫刻を可能にする。先端部の形状は、デジタル磁気計算ソフトウェアに関連する最適化アルゴリズムを用いて計算することができる。この計算はまた、第2又は第3の最適化レバーを構成するために、磁石上の形状プロファイル又は更に磁化の可変プロファイルを含んでもよい。この種の最適化は、曲線経路に沿った変位を測定しようとする場合に特に興味深い。
【0069】
支持体(20)は、変位が測定される可動部の一部であってもよいし、可動部に付加された部分であってもよいことに留意されたい。
【0070】
図6は、この特定の場合において、磁化構造(1)が単一の磁化方向(14)又は一方向磁化を有するときの、2つの構成要素による磁化構造(1)によって生成される磁場の変動を示す。これらの成分の一方は、X軸(11)に沿った変位に直交し(60)、他方は、Y軸(12)に沿った変位に平行である(61)。これらの2つの構成要素が、2つの測定軸を有する、又は磁気角度に敏感なプローブと関連付けられるとき、それらは、図7に示され、この位置測定が示す典型的な線形性欠陥を曲線(63)上に伴う、磁石(62)の位置の測定を可能にする。この例では、90mmのストロークにわたる測定が、50mmの長さの磁石を用いて+/-0.25%程度の誤差で行われ、これは従来必要であったものの約半分である。
【0071】
大きなストロークのために、磁石(10)は、その端部よりも中心においてより大きな厚さを有するように、凸状断面を有してもよい。
【0072】
支持体(20)は、任意選択で、この特徴に加えて、図5に示すように、磁石から離れるにつれて厚さが増加する。
【0073】
アナログ出力プローブに関連付けられたそのようなセンサの直線変形例は、例えば、ケーシング内の直線変位における油圧ジャッキ又はラック型機械シャフトの位置を検出することを可能にする。1つの可能な用途は、補助ステアリングにおけるステアリングホイール角度の直接測定のための解決策、又はステアバイワイヤ型ステアリングにおける車輪における所与の角度を直接測定するための解決策を提供することにある。
【0074】
リニアセンサの一変形例は、図8に示されるように、測定される全ストロークにわたって均一又は不均一に分布されたN個の磁気構造を乗算することにある。磁場の成分を測定する磁気感知プローブに関連して、この多極構造は、精度を低下させることなく全ストロークの延長を可能にする。絶対位置測定は、M個の磁気感知プローブ、又は磁気rpmセンサ要素に関連付けられた磁気感知プローブを使用することによって可能なままであり、2つの場合において、絶対位置を再構成するために後処理される信号を有する。
【0075】
軸流回転センサ
図9は、本発明による軸方向感知回転センサのための磁化構造(1)及び磁気感知プローブ(30)の図を示す。磁場の一定の方向及び振幅に磁化され、磁気感知プローブに対する永久磁石(10)の相対変位の方向X(11)に垂直なXY平面に含まれる方向に配向された永久磁石(10)からなる。軸方向検出を伴う回転センサのバージョンでは、永久磁石(10)の磁化の好ましい方向は、方向Z(13)であり、この方向において磁気感知プローブ(30)によって収集される磁束を最大化する。
【0076】
支持体(20)は、例えば、永久磁石(10)を受け入れるための切り欠きを有する環状の粉末を、例えばプラスチック射出又は接着によって焼結することによって得られる部品によって形成される。当該支持体(20)は、永久磁石(10)の両側に配置された、磁極端とも呼ばれる2つの磁極片(21、22)によって軸方向に延長される。支持体(20)は、その角度位置が検出されるべき軸(70)、例えばロータ上に組み立てられるように円筒形通路(26)を有し、これは、装置がシャフトの端部に取り付けられるように意図されているときに特に興味深い解決策を与え、磁気感知プローブ(30)は、静止プリント回路に直接組み込むことができる。
【0077】
回転センサの特定の実施形態
図11図13は、工業生産及びメカトロニクスシステムへの統合に特に適した実施形態を示す。
【0078】
図11は、静止磁気感知プローブに対する永久磁石(10)の角変位を駆動する回転軸上への支持体(20)の取付けを容易にする円筒形通路(26)を画定する環状強磁性積層体のスタック内の環状ヨークによって、磁極端とも呼ばれる磁極片(21、22)の後部で延在する支持体(20)の特定の構成を示す。2つの磁極片(21、22)は、永久磁石(10)をオーバーモールドする際に射出するためのハウジング(23)を画定する。
【0079】
当該永久磁石(10)は、注入された等方性磁石であり、その注入点(16)は、外径上の半径方向突出部に注入残留物を有することを回避するために軸方向に配置される(したがって、近くのプリント回路との接触のリスクを制限する)。磁石は、離型を容易にするために最大0.5°~1°のアンダーカットを有するが、磁石の縁部が直線状/円筒状である積層体のスタックの厚さゾーン(2.5mm)では、金型の接合面が積層体のスタックの2つの面のうちの1つと同一平面上にある。しかしながら、磁石の注入は、本発明に関して限定するものではなく、例えば、圧縮された磁石をオーバーモールドするなど、任意の他のタイプの磁石及び鉄極に接続するためのその手段が想定される。
【0080】
より詳細には、単極磁石は、支持体(20)をオーバーモールドすることによって製造される。温度に対する良好な機械抵抗を有するPPS-NdFeB材料が、高い磁気性能(Br、Hcb)と共に使用され、したがって、高い切り替え閾値(>70G)及び急勾配が、適切かつ十分に制御された切り替えのために得られる。金属支持体はまた、オーバーモールドされた磁石を半径方向にロックするための特定の形状を有する。支持体として積層体のスタックを選択することにより、積層体内の残留磁化(非常に低い保磁力)が切り替えに大きな影響を及ぼすことなく、したがって目標ストロークの精度に大きな影響を及ぼすことなく、磁石をオーバーモールドした後に磁化することが可能になる。
【0081】
外乱及びアセンブリ公差に対する感度を制限するために、磁石は、積層体のスタックの厚さよりも大きい軸方向の厚さ、典型的には2.5mmの鉄に対して7mm、又は2:1よりも大きい比率を有するが、これは本発明に関して限定するものではない。公称では、磁石及び積層体のスタックの軸方向正中面は、プローブの感知要素と同一平面上にある。
【0082】
軸流回転センサの一変形例は、図10に示されるように、360°にわたって均一又は不均一に分布されたN個の磁気構造を乗算することにある。磁気角度を直接又は磁場の成分を測定する磁気感知プローブに関連して、この多極リングは、例えばベクトルモードで電気モータを制御するために磁気エンコーダを製造することを可能にする。
【0083】
図12に示すように、センサの強磁性支持体(20)は、アクチュエータに一体化された電気モータのステータ積層体スタック(40)の中心で材料のオフカットを使用することによって製造することができる。この解決策は、非常に経済的であり(切断片の回収、適用されるべき表面処理がないなど)、また、特に再機械加工なしに、軸上の支持体(20)の圧力嵌め及び2つの磁極片(21、22)の形状の非常に正確な製造公差を可能にする。
【0084】
本発明によるメカトロニクスアセンブリ
図13は、本発明に係るセンサ付きアクチュエータの部分断面図である。支持体(20)は、回転アクチュエータの出口軸(70)上に埋め込まれる。それは永久磁石(10)を駆動し、それは静止プリント回路(31)上に取り付けられた磁気感知プローブ(30)に一時的に対向して位置決めされるように回転する。この製造は、製造及び組み立てが非常に簡単であり、非常に低コストであり、耐久性-振動温度における高い堅牢性ならびに指定された±2°未満(±0.50°程度)の「精度」を有する。
【0085】
積層体スタックは、アクチュエータの出口軸に対して調整され、肩部(27)上で軸方向に停止され、角度的に割り出される必要がない(360°アクチュエータ)。肩部(27)はまた、軸上の支持体(20)の旋回を制限することを可能にし(短い調整:φ9.8に対して2.5mm厚)、磁石の正中面と回転軸との間の直交性を保証する。センサアセンブリの低質量(5g)は、28.9Grimの振動外乱(又は28.9×3×√2=122G)の下で、アセンブリが6Nの加速度しか受けないと推定することを可能にする。250Nから1250Nまで変化し得る打ち込み力に関して、保持の安全マージンは非常に良好である。
【0086】
切り欠き(26)は、角度位置が測定される部材の軸、例えば、メカトロニクスアセンブリ用のアクチュエータの軸(70)に係合される。
【0087】
支持体(20)が取り付けられる軸は、2つの玉軸受によって担持され、上部転がり軸受は、蓋内で案内され、センサアセンブリに近い下部転がり軸受は、ハウジングによって案内され、ホール効果プローブを担持するPCBは、ケーシングに取り付けられる。したがって、読取り半径は、少数のリンクを有する一連の寸法のおかげで、かつ容易に制御可能な公称寸法(アルミニウムの機械加工、転がり軸受面、軸面、スタンピングされた積層体のスタック、磁石のオーバーモールド)のおかげで正確である。
【0088】
そのような構造は、磁石体積を171mmに低減すること、又は磁石のみからなる構造に対して25%を超える低減を可能にする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】