IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジーンクアンタム ヘルスケア (スーチョウ) シーオー., エルティーディー.の特許一覧

特表2024-508976抗体-免疫アゴニストコンジュゲート及びその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】抗体-免疫アゴニストコンジュゲート及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20240220BHJP
   C07D 473/18 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20240220BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 31/4738 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 31/522 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240220BHJP
   C07K 16/30 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
C07D471/04 105C
C07D473/18 CSP
A61K47/68
A61K39/395 N
A61K39/395 D
A61K31/4738
A61K31/522
A61P37/02
A61K45/00
C07K16/30 ZNA
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023554827
(86)(22)【出願日】2022-03-07
(85)【翻訳文提出日】2023-09-07
(86)【国際出願番号】 CN2022079523
(87)【国際公開番号】W WO2022188740
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/079609
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516310910
【氏名又は名称】ジーンクアンタム ヘルスケア (スーチョウ) シーオー., エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】GENEQUANTUM HEALTHCARE (SUZHOU)CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ポール・エイチ・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ギャン・チン
(72)【発明者】
【氏名】チョン・リウ
【テーマコード(参考)】
4C065
4C076
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C065AA05
4C065AA18
4C065BB06
4C065CC01
4C065DD03
4C065EE02
4C065HH01
4C065JJ07
4C065KK09
4C065LL01
4C065PP01
4C076AA95
4C076CC07
4C076CC41
4C076EE59
4C084AA17
4C084NA13
4C084ZB071
4C084ZB072
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086CB07
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA13
4C086ZB07
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA51
4H045BA72
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、標的化分子-薬物コンジュゲートの連結ユニット分子、及び対応するコンジュゲート、その調製と使用に関し、特に新規タイプの癌療法である抗体-免疫アゴニストコンジュゲート(AIAC)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物であって、
【化1】
式中、nは3~10の整数であり、
Lm2は
【化2】
又はそれらの混合物であり、
xは水素、OH、NH、1~10個のアミノ酸を含むアミノ酸フラグメント、1~10個のヌクレオチドを含むヌクレオチドフラグメントから選ばれ、
LkはL-L-Lの組合せであり、
及びLは、それぞれ独立して、
-CH-、-NH-、-C(O)-、-NHC(O)-、-C(O)NH-、及びC1-4アルキレン基と-CH-、-NH-、-C(O)-、-NHC(O)-、-C(O)NH-という基の1つとの組合せから選ばれ、
は存在しないか、又はC7-34アルキレン基であり、前記アルキレン基中の1つ又は複数の(-CH-)構造は-O-によって任意に置き換えられ、
Y及びWは、それぞれ独立して存在しないか、又はPABCであるか、又は1~10個、好ましくは1~6個、より好ましくは1~4個のアミノ酸を含むスペーサーから選ばれ、
B2は、-(CHC(O)-、-(CHC(O)-Val-Cit-PABC-、-(CHC(O)-Val-Cit-PABC-(NH-CR-C(O))-、-(CHk1C(O)-NH-(C-O)-(CHk2C(O)-Lys-、-(CHC(O)-NH-(C-O)-、-(CHC(O)-(NH-CR-C(O))-NH-(C-O)-、-(CHC(O)-(NH-CR-C(O))という基又はそれらの組合せから選ばれ、
a及びbはそれぞれ独立して0又は1であり、
各k、k1及びk2は独立して0~10の整数、好ましくは0、1又は2、特に1又は2であり、
dは1~10の整数、特に1又は2であり、
jは1~10の整数、特に1、3、又は4であり、
及びRはそれぞれ独立して、水素、-OH、-NH、-C1-6アルキル、-O-C1-6アルキル、-NH-C1-6アルキル、-C1-6アルキル-NH、-N(C1-6アルキル)-C1-6アルキル、-C1-6アルキル-O-C1-6アルキル、-C1-6アルキル-NH-C1-6アルキル、-C(O)-C1-6アルキル、-NHC(O)-C1-6アルキル、-C(O)-NH、-C(O)NH-C1-6アルキル、-C(O)N(C1-6アルキル)-C1-6アルキル、-S(=O)-C1-6アルキル、-NHS(=O)-C1-6アルキル、-S(=O)O-C1-6アルキル、-S(=O)NH-C1-6アルキル及び-S(=O)N(C1-6アルキル)-C1-6アルキルから選ばれ、
PLは免疫アゴニストであるペイロードである、前記化合物。
【請求項2】
LkはL-L-Lであり、Lは-NH-であり、Lは-C(O)-であり、Lは-(C-O)-C-である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
iは2~10の整数、特に4である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
B2は-(CHC(O)-である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
B2は-(CHC(O)-Val-Cit-PABCである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
B2は-(CHC(O)-Val-Cit-PABC-(NH-CR-C(O))-である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
B2は-(CHC(O)-NH-(C-O)-である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
B2は-(CHk1C(O)-NH-(C-O)-(CHk2C(O)-Lys-である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
B2は-(CHC(O)-(NH-CR-C(O))-NH-(C-O)-である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
B2は-(CHC(O)-(NH-CR-C(O))-である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
各k、k1及びk2は独立して1又は2である、請求項4から10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
Y及びWは独立してロイシン(Leu)、グルタミン(Gln)、PABC、Phe-Lys-PABC、Val-Cit-PABC及びVal-Lys-PABCから選ばれる、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
a及びbは0である、請求項1から12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
及びRはそれぞれ独立して水素又はC1-6アルキル基であり、好ましくは、R及びRはそれぞれ独立して共に水素又は共にC1-6アルキル基であり、より好ましくは、R及びRは共にメチル基である、請求項1から13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
xはNHである、請求項1から14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
前記免疫アゴニストはイミダゾキノリン類から選ばれる、請求項1から15のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
前記免疫アゴニストは式iの構造を有し、
【化3】
式中、
各Rは独立して水素、ハロゲン、C1-7アルキル-OC(O)-C1-7アルキル、 C1-7アルキル-OC(O)-C2-7アルケニル及び5~7員複素環から選ばれ、
10及びR11はそれぞれ独立して水素及びC1-7アルキル基から選ばれ、
12はC1-7アルキル基及びC1-7アルコキシ-C1-7アルキルから選ばれ、
13はC1-7アルキル基から選ばれ、-OH及び-NHから選ばれる置換基によって任意に置換され、
uは1、2、3又は4である、請求項1から15のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
前記免疫アゴニストは化合物i-1~i-5から選ばれる、請求項17に記載の化合物。
【化4】
【請求項19】
前記免疫アゴニストは式iiの構造を有し、
【化5】
式中、
は-CH-、-NH-、-O-及び-C(O)-から選ばれ、
14はC1-7アルキル基、C1-7アルコキシ基及びC1-7アルキル-OC(O)-C1-7アルキルから選ばれ、
15及びR16はそれぞれ独立して水素及びC1-7アルキル基から選ばれ、
17は-NH、-OH、C1-7アルキル基、C1-7アルコキシ基及び-NH-C1-7アルキルから選ばれ、
18は-CH-アリール、及び-CH-ヘテロアリールから選ばれ、前記アリール基及び前記ヘテロアリール基はそれぞれ独立して、-C(O)OH及び
【化6】
から選ばれる置換基によって任意に置換される、請求項1から15のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項20】
前記免疫アゴニストは化合物ii-1~ii-2から選ばれる、請求項19に記載の化合物。
【化7】
【請求項21】
前記免疫アゴニストは式iiiの構造を有し、
【化8】
式中、
19は-OH、-NH、C1-7アルキル基、C1-7アルコキシ基及び-NH-C1-7アルキルから選ばれ、
20は-CH-アリールから選ばれ、前記アリール基は、-OH、C1-7アルコキシ基及び-C1-7アルキル-ピペリジニルから選ばれる2つの置換基によって任意に置換される、請求項1から15のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項22】
前記免疫アゴニストは化合物iii-1である、請求項21に記載の化合物。
【化9】
【請求項23】
前記免疫アゴニストは式ivの構造を有し、
【化10】
式中、
は-CH-、-NH-、-C(O)-、-NHC(O)-及び-C(O)NH-から選ばれ、
21
【化11】
から選ばれ、Bはヘテロアリール環であり、
22は水素及びC1-7アルキル基から選ばれ、
23及びR24はそれぞれ独立して水素及びC1-7アルキル基から選ばれ、
は-CH-及び-C(O)-から選ばれ、
25は-N(C1-7アルキル)(C1-7アルキル)から選ばれ、
26、R27及びR28はそれぞれ独立して水素及びC1-7アルキル基から選ばれ、
vは1、2又は3である、請求項1から15のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項24】
前記免疫アゴニストは化合物iv-1である、請求項23に記載の化合物。
【化12】
【請求項25】
以下の構造から選ばれる、請求項1に記載の化合物。
【化13-1】
【化13-2】
【請求項26】
式(II)の抗体薬物コンジュゲートであって、
【化14】
式中、n、Y、Lk、W、Lm2、B2、x、PL、a及びbは請求項1から25のいずれか1項に定義されたとおりであり、
zは1~20の整数であり、
Aは抗体又は抗原結合フラグメントである標的化分子である、前記抗体薬物コンジュゲート。
【請求項27】
以下の構造から選ばれる、請求項26に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【化15-1】
【化15-2】
【化15-3】
【請求項28】
以下の構造から選ばれる、請求項27に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【化16-1】
【化16-2】
【請求項29】
前記標的化分子により認識される1つ又は複数のターゲットは、CD19、CD22、CD25、CD30/TNFRSF8、CD33、CD37、CD44v6、CD56、CD70、CD71、CD74、CD79b、CD117/KIT、CD123、CD138、CD142、CD174、CD227/MUC1、CD352、CLDN18.2、DLL3、ErbB2/HER2、CN33、GPNMB、ENPP3、ネクチン-4、EGFRvIII、SLC44A4/AGS-5、メソテリン、CEACAM5、PSMA、TIM1、LY6E、LIV1、ネクチン4、SLITRK6、HGFR/cMet、SLAMF7/CS1、EGFR、BCMA、AXL、NaPi2B、GCC、STEAP1、MUC16、Mesothelin、ETBR、EphA2、5T4、FOLR1、LAMP1、カドヘリン6、FGFR2、FGFR3、CA6、CanAg、インテグリンαV、TDGF1、エフリンA4、Trop2、PTK7、NOTCH3、C4.4A、FLT3、ROR1、ROR2及びROR1/2から選ばれる、請求項26から28のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項30】
前記抗体は抗ヒトHER2抗体である、請求項26から28のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項31】
前記抗ヒトHER2抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を有する軽鎖及び配列番号2のアミノ酸配列を有する重鎖、又は配列番号3のアミノ酸配列を有する軽鎖及び配列番号4のアミノ酸配列を有する重鎖、又は配列番号5のアミノ酸配列を有する軽鎖及び配列番号6のアミノ酸配列を有する重鎖、又は配列番号7のアミノ酸配列を有する軽鎖及び配列番号8のアミノ酸配列を有する重鎖、又は配列番号9のアミノ酸配列を有する軽鎖及び配列番号10のアミノ酸配列を有する重鎖、又は配列番号11のアミノ酸配列を有する軽鎖及び配列番号12のアミノ酸配列を有する重鎖、又は配列番号13のアミノ酸配列を有する軽鎖及び配列番号14のアミノ酸配列を有する重鎖、又は配列番号15のアミノ酸配列を有する軽鎖及び配列番号16のアミノ酸配列を有する重鎖を含む、請求項30に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項32】
前記抗体は抗ヒトTROP2抗体である、請求項26から28のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項33】
前記抗ヒトTROP2抗体は、配列番号17のアミノ酸配列を有する軽鎖及び配列番号18のアミノ酸配列を有する重鎖、又は配列番号19のアミノ酸配列を有する軽鎖及び配列番号20のアミノ酸配列を有する重鎖を含む、請求項32に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項34】
前記抗体は抗ヒトCLDN18.2抗体である、請求項26から28のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項35】
前記抗ヒトCLDN18.2抗体は、配列番号21のアミノ酸配列を有する軽鎖及び配列番号22のアミノ酸配列を有する重鎖、又は配列番号23のアミノ酸配列を有する軽鎖及び配列番号24のアミノ酸配列を有する重鎖を含む、請求項34に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項36】
前記コンジュゲートは1~20、1~10、1~8、1~6、1~4、1~3.5、1~3、1~2.5、1~2、1.5~2、1.6~2、又は1.7~2の整数又は非整数の薬物抗体比(DAR)を有する、請求項26~35のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はバイオ医薬品の分野に関し、特に標的化分子-免疫アゴニストコンジュゲートの連結ユニット、及び対応するコンジュゲート、その調製プロセスと使用に関する。
【背景技術】
【0002】
開発及び臨床の環境において、治療薬の標的送達は癌治療にとってまだ大きな課題である。FDAによって承認された現在の標的化分子-薬物コンジュゲートは主に、薬物(弾頭)が一般に小分子細胞毒である抗体薬物コンジュゲート(ADCs)である。
【0003】
免疫療法は強い効果を示している癌治療の新しいモダリティである。CLTA-4及びPD-1/L1モノクローナル抗体を代表とした免疫チェックポイント阻害薬は、基本的にT細胞ベースの治療法によるものであり、様々な癌適応症用に承認されたが、癌と戦う他の免疫系メカニズムを探索する多数の取り組みも行われている。骨髄細胞、主にマクロファージ、DCsを標的とすることは有望な方向となっている。アゴニスト又はマクロファージチェックポイント阻害剤によってマクロファージ及びDCsを活性化すれば、それらの腫瘍細胞を除去する食作用の能力だけでなく、抗原提示の機能も強化され、適応抗腫瘍免疫がより強力に誘発される。
【0004】
TLR7/8は、マクロファージ、DCs、及び単球のエンドソーム膜に位置する2つの重要なパターン認識受容体である。それらはウイルス由来のssRNAsを自然に検知し、免疫細胞の活性化と炎症誘発性サイトカインの放出を仲介する。多くの研究において、TLR7/8アゴニストが抗腫瘍活性を有することが実証されている。TLR7アゴニストであるイミキモドは、局所投与による性器疣贅、表在性基底細胞癌、及び日光角化症の治療用に承認されたものである。TLR7/8デュアルアゴニストであるレシキモドは、皮膚T細胞リンパ腫の治療用に承認されたものである。しかしながら、TLR7/8アゴニストの全身投与による副作用により、それらのより広範囲の癌における使用が制限されている。
【0005】
本発明は、新規タイプの腫瘍標的療法である抗体-免疫アゴニストコンジュゲート(AIAC)を提供する。
【発明の概要】
【0006】
一態様において、式(I)の化合物であって、
【化1】
式中、nは3~10の整数であり、
Lm2は
【化2】
又はそれらの混合物であり、
xは、水素、OH、NH、1~10個のアミノ酸を含むアミノ酸フラグメント、1~10個のヌクレオチドを含むヌクレオチドフラグメントから選ばれ、
LkはL-L-Lの組合せであり、
及びLはそれぞれ独立して、
-CH-、-NH-、-C(O)-、-NHC(O)-、-C(O)NH-、及びC1-4アルキレン基と-CH-、-NH-、-C(O)-、-NHC(O)-、-C(O)NH-という基の1つとの組合せから選ばれ、
は存在しないか、又はC7-34アルキレン基であり、前記アルキレン基中の1つ又は複数の(-CH-)構造は-O-によって任意に置き換えられ、
Y及びWはそれぞれ独立して存在しないか、又はPABCであるか、又は1~10個、好ましくは1~6個、より好ましくは1~4個のアミノ酸を含むスペーサーから選ばれ、
B2は、-(CHC(O)-、-(CHC(O)-Val-Cit-PABC-、-(CHC(O)-Val-Cit-PABC-(NH-CR-C(O))-、-(CHk1C(O)-NH-(C-O)-(CHk2C(O)-Lys-、-(CHC(O)-NH-(C-O)-、-(CHC(O)-(NH-CR-C(O))-NH-(C-O)-、-(CHC(O)-(NH-CR-C(O))という基又はそれらの組合せから選ばれ、
a及びbはそれぞれ独立して0又は1であり、
各k、k1及びk2は独立して0~10の整数、好ましくは0、1又は2、特に1又は2であり、
dは1~10の整数、特に1又は2であり、
jは1~10の整数、特に1、3、又は4であり、
及びRはそれぞれ独立して、水素、-OH、-NH、-C1-6アルキル、-O-C1-6アルキル、-NH-C1-6アルキル、-C1-6アルキル-NH、-N(C1-6アルキル)-C1-6アルキル、-C1-6アルキル-O-C1-6アルキル、-C1-6アルキル-NH-C1-6アルキル、-C(O)-C1-6アルキル、-NHC(O)-C1-6アルキル、-C(O)-NH、-C(O)NH-C1-6アルキル、-C(O)N(C1-6アルキル)-C1-6アルキル、-S(=O)-C1-6アルキル、-NHS(=O)-C1-6アルキル、-S(=O)O-C1-6アルキル、-S(=O)NH-C1-6アルキル及び-S(=O)N(C1-6アルキル)-C1-6アルキルから選ばれ、
PLは免疫アゴニストであるペイロードである、前記化合物を提供する。
【0007】
別の態様において、式(II)の抗体薬物コンジュゲートであって、
【化3】
式中、n、Y、Lk、W、Lm2、B2、x、PL、a及びbは式(I)に定義されたとおりであり、
zは1~20の整数であり、
Aは抗体又は抗原結合フラグメントである標的化分子である、前記抗体薬物コンジュゲートを提供する。
【0008】
本発明の抗体-免疫アゴニストコンジュゲート(AIACs)は新規タイプの腫瘍標的療法を提供する。インビトロ実験によると、該AIACsは裸の未修飾抗体に比べて、より高いTNFα産生を誘導できる。該AIACsのインビボ実験では、抗腫瘍効果が示される。
【0009】
図23~30において、X軸下の矢印は投与時点を示す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】式(I’)の化合物の実例である。Rは本明細書で定義されたとおりである。
図2a】式(II’)の化合物の実例である。
図2b】式(II’)の化合物の実例である。
図3】式(III’)の化合物の実例である。
図4a】式(IV’)の化合物の実例である。
図4b】式(IV’)の化合物の実例である。
図5】連結ユニットフラグメントLU102~LU110である。
図6】コンジュゲートAC102-6-1-1及び対応する裸の未修飾抗体Ab0001(Trastuzumab,トラスツズマブ)、並びにアゴニストのレシキモドの、ヒトPBMC-NCI N87共培養アッセイにおけるTNFα誘導活性。
図7】コンジュゲートAC102-6-1-1、AC102-8-1-1及びそれらの対応する裸の未修飾抗体Ab0001の、ヒトPBMC-NCI N87共培養アッセイにおけるTNFα誘導活性。
図8】PBMCとNCI N87又はMDA-MB-468細胞のいずれかとの共培養におけるAC102-6-1-1及び抗体のTNFα誘導活性。
図9】PBMCとHCC1954細胞との共培養におけるAC102-8-1-1及び抗体のTNFα誘導活性。
図10】PBMCとSK-BR-3細胞との共培養におけるAC102-8-1-1及び抗体のTNFα誘導活性。
図11】PBMCとBT474細胞との共培養におけるAC102-8-1-1及び抗体のTNFα誘導活性。
図12】PBMCとJIMT1細胞との共培養におけるAC102-8-1-1及び抗体のTNFα誘導活性。
図13】PBMCとColo205細胞との共培養におけるAC102-8-1-1及び抗体のTNFα誘導活性。
図14】PBMCとMDA-MB-468細胞との共培養におけるAC102-8-1-1及び抗体のTNFα誘導活性。
図15】PBMCとNCI N87細胞との共培養におけるAC102-1-1-1、AC102-1-1-2、AC102-2-1-1、AC102-3-1-1、AC102-4-1-1、及び抗体のTNFα誘導活性。
図16】PBMCとNCI N87細胞との共培養におけるAC201-1-1-1及び抗体のTNFα誘導活性。
図17】PBMCとNCI N87細胞との共培養におけるAC102-1-1-4、AC102-1-1-5、AC102-1-1-6及び抗体のTNFα誘導活性。
図18】PBMCとNCI N87細胞との共培養におけるAC102-8-2-1及びAC102-6-2-1並びに抗体のTNFα誘導活性。
図19】PBMCとヒトクローディン18.2を過剰発現するヒト胃癌細胞NCI-N87(NCI-N87-Claudin18.2と呼ばれる)との共培養におけるAC102-8-3-1、AC201-1-3-1、及び抗体のTNFα誘導活性。
図20】クローディン18.2陰性NCI-N87親細胞におけるAC102-8-3-1、AC201-1-3-1、及び抗体のTNFα誘導活性。
図21】PBMCとSK-BR-3細胞との共培養におけるAC102-6-1-1及び抗体のINF-γ誘導活性。
図22】PBMCとHCC1954細胞との共培養におけるAC102-6-1-1及び抗体のINF-γ誘導活性。
図23】ビヒクル(PBS pH6.5)、抗体、及びコンジュゲートAC102-6-1-1とAC102-8-1-1を5mg/kgで投与したNCI N87 CDXモデルSCIDベージュマウスにおける腫瘍体積の経時変化。
図24】AC102-8-1-1を0.5、1、及び3mg/kgで投与したNCI N87 CDXモデルSCIDベージュマウスにおける腫瘍体積の経時変化。
図25】AC102-8-1-1を5mg/kgで投与したJIMT1 CDXモデルSCIDベージュマウスにおける腫瘍体積の経時変化。
図26】AC102-6-1-1を3mg/kg及び10mg/kgで投与した、hHER2を過剰発現するMC38モデルにおける腫瘍体積の経時変化。
図27】AC102-8-1-1を3mg/kg及び10mg/kgで投与した、hHER2を過剰発現するMC38モデルにおける腫瘍体積の経時変化。
図28】AC102-6-2-1及びAC102-8-2-1を5mg/kgで投与したNCI-N87異種移植モデルにおける腫瘍体積の経時変化。
図29】AC102-8-2-1及びAC201-1-2-1を3mg/kgで投与したMDA-MB-468異種移植モデルにおける腫瘍体積の経時変化。
図30】AC102-8-3-1及び抗体を5mg/kgで投与したNUGC4モデルにおける腫瘍体積の経時変化。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下において、具体的な実施形態を示して本開示の技術内容を説明する。当業者であれば、本明細書に開示された内容から、本開示の他の利点及び効果を容易に理解できる。本開示は他の異なる具体的実施形態により実施又は適用してもよい。当業者であれば、本開示の精神から逸脱することなく、様々な修飾及び変形を加えることが可能である。
【0012】
定義
以下において他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味である。本明細書で使用される技術は当該分野において一般的に理解される技術を指し、当業者にとって自明な変形及び等価置換を含む。以下の用語が当業者によってよく理解されると考えられるにも関わらず、本開示をよく説明するためにその定義を以下に記載する。本明細書に記載の商品名は対応する商品又はその有効成分を指すものである。本明細書に引用される全ての特許、公開された特許出願及び刊行物は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0013】
特定の量、濃度、又は他の値もしくはパラメータが、範囲、好ましい範囲、又は好ましい上限もしくは好ましい下限の形で記載されていることは、任意の上限もしくは好ましい値と任意の下限もしくは好ましい値とを組み合わせた任意の範囲が、明記されているかどうかに関わらず、具体的に開示されていることと同等であると理解すべきである。特に断らない限り、本明細書で列挙される数値の範囲は範囲の端点及び該範囲内の全ての整数及び分数(小数)を含むよう意図される。例えば、「iは2~20の整数である」という表現は、iは2~20の任意の整数であることを意味し、例えば、iは2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20であり得る。他の類似表現も同様に理解すべきである。
【0014】
特に明記されていない限り、「1つ(one)」及び「前記(the)」のような単数形は複数形を含む。「1つ又は複数」又は「少なくとも1つ」という表現は1、2、3、4、5、6、7、8及び9又はそれ以上を表してもよい。
【0015】
用語「約」及び「およそ」は、数値変数に関連して使用される場合、一般に、変数の値及び変数の全ての値が実験誤差の範囲内(例えば、平均値の95%信頼区間内)又は指定値±10%以内、又はより広い範囲内にあることを意味する。
【0016】
用語「化学量論比」は特定量の重量で様々な物質を配合する意味である。例えば、本開示において、有効成分は指定された重量比で充填剤、結合剤、及び潤滑剤と混合される。
【0017】
用語「任意の」又は「任意に」は、その後に説明される事象が発生する可能性があるが、必ずしも発生するわけではないことを意味し、該表現は、前記事象又は状況が発生する場合又は発生しない場合を含む。
【0018】
表現「含む」又は類似の表現「備える」、「含有」及び「有する」等はオープンエンドなものであり、追加の列挙されていない要素、ステップ又は成分を排除しない。表現「…からなる」は、明確に示していない要素、ステップ又は成分をいずれも除外する。表現「実質的に…からなる」は、範囲を、指定の要素、ステップ又は成分、及び保護を請求する主題の重要な特徴及び新規な特徴に実質的な影響を及ぼさない任意に存在する元素、ステップ又は成分に限定することを意味する。表現「含む」は表現「実質的に…からなる」と「…からなる」を包含すると理解すべきである。
【0019】
用語「標的化分子」とは、特定のターゲット(例えば受容体、細胞表面タンパク質、サイトカイン等)に対して親和性を有する分子を意味する。標的化分子は、標的送達によりペイロードを生体内の特異部位に送達することができる。標的化分子は、1つ又は複数のターゲットを認識することができる。特異的な標的部位は、標的化分子が認識したターゲットによって定義される。例えば、受容体を標的とする標的化分子は、大量の前記受容体を含む部位にペイロードを送達することができる。標的化分子の例としては、抗体、抗体フラグメント、所与抗原の結合タンパク質、抗体模倣体、所与ターゲットに対して親和性を有する足場タンパク質、リガンド等を含むが、これらに限定されない。
【0020】
本明細書で使用されるように、用語「抗体」は広義に使用され、所望の生物学的活性を有する限り、インタクトモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、単一特異性抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体フラグメントを含む。該抗体は任意のサブタイプ(IgG、IgE、IgM、IgD、及びIgA等)又はサブクラスであってもよく、任意の適切な種に由来してもよい。いくつかの実施形態において、該抗体はヒト又はマウス由来のものである。該抗体は完全ヒト抗体、ヒト化抗体又は組換え法によって調製されたキメラ抗体であってもよい。
【0021】
モノクローナル抗体は、本明細書において、実質的に均質な抗体集団から得られた抗体を指すために使用され、つまり、該集団を構成する個々の抗体は、少数の可能な自然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は単一の抗原部位に対して高度に特異的である。用語「モノクローナル」とは、抗体の特性が実質的に均質な抗体集団に由来することを指し、抗体を生成するために何らかの特定の方法を必要とするものとして解釈されるべきではない。
【0022】
インタクト抗体又は完全長抗体は、本質的に、抗原結合可変領域、軽鎖定常領域(C)及び重鎖定常領域(C)を含み、該重鎖定常領域(C)は、抗体のサブタイプに応じて、C1、C2、C3及びC4を含み得る。抗原結合可変領域(フラグメント可変領域、Fvフラグメントとしても知られる)は、典型的に、軽鎖可変領域(V)及び重鎖可変領域(V)を含む。定常領域は、天然配列(ヒト天然配列を有する定常領域等)又はそのアミノ酸配列変異体を有する定常領域であってもよい。可変領域は標的抗原を認識し、それと相互作用する。定常領域は免疫系によって認識され得、それと相互作用する。
【0023】
抗体フラグメントは、インタクト抗体の一部、好ましくはその抗原結合領域又は可変領域を含み得る。抗体フラグメントの例としては、Fab、Fab’、F(ab’)、VとC1ドメインからなるFdフラグメント、Fvフラグメント、単一ドメイン抗体(dAb)フラグメント、及び単離された相補性決定領域(CDR)を含む。Fabフラグメントは全長免疫グロブリンをパパイン消化して得られた抗体フラグメント、又は、例えば組換え発現等により生成されたものと同じ構造を有するフラグメントである。Fabフラグメントは軽鎖(V及びCを含む)及び別の鎖を含み、前記別の鎖は、重鎖(V)の可変ドメイン及び重鎖(C1)の定常領域ドメインを含む。F(ab’)フラグメントは、免疫グロブリンをpH4.0~4.5でペプシン消化して得られた抗体フラグメント、又は、例えば組換え発現等により生成されたものと同じ構造を有するフラグメントである。F(ab’)フラグメントは本質的に2つのFabフラグメントを含み、各重鎖部分は、2つのフラグメントを接続するジスルフィド結合を形成するシステインを含むいくつかの追加のアミノ酸を含む。Fab’フラグメントは、F(ab’)フラグメント(1つの重鎖及び1つの軽鎖)の半分を含むフラグメントである。抗体フラグメントは、例えばジスルフィド結合及び/又はペプチド連結ユニットを介して結合された複数の鎖を含み得る。抗体フラグメントの例としては、単鎖Fv(scFv)、Fv、dsFv、ダイアボディ、Fd及びFd’フラグメント、及び、修飾フラグメントを含む他のフラグメントを含む。抗体フラグメントは、典型的に少なくとも又は約50個のアミノ酸、及び典型的に少なくとも又は約200個のアミノ酸を含む。抗原結合フラグメントは、抗体フレームワークに(例えば、対応する領域の置換によって)挿入されると抗原に免疫特異的に結合する抗体を生じ得る任意の抗体フラグメントを含み得る。
【0024】
本開示に係る抗体は、例えば、組換え技術、ファージディスプレイ技術、合成技術のような、本分野で公知の技術又はそれらの組合せ、又は他の本分野で公知の技術を使用して調製することができる。例えば、遺伝子操作された組換え抗体(又は抗体模倣体)は、適切な培養系(例えば、大腸菌又は哺乳類細胞)により発現可能である。該操作は、例えば、リガーゼ特異的認識配列を末端に導入することを指してもよい。
【0025】
HER2は、ヒト上皮成長因子受容体-2を指し、上皮成長因子(EGFR)受容体チロシンキナーゼファミリーに属する。本出願において、用語ErbB2とHER2は同じ意味を有し、互換的に使用することができる。
【0026】
TROP2は、Tacstd2遺伝子によってコードされる膜貫通糖タンパク質である。TROP2は細胞内カルシウムシグナルトランスデューサーであり、様々な腫瘍で過剰発現する。
【0027】
CLDN18.2(クローディン18アイソフォーム2)はヒトクローディンファミリーのメンバーである。CLDN18.2はいくつかの種類のヒト癌の原発巣及び転移で発現する汎癌標的である。
【0028】
本明細書で使用されるように、用語「標的化分子-薬物コンジュゲート」は、「コンジュゲート」と呼ばれる。コンジュゲートの例としては、抗体薬物コンジュゲートを含むが、それらに限定されない。
【0029】
小分子化合物は、医薬品において慣用される有機分子に匹敵するサイズの分子を指す。該用語は生体高分子(例えば、タンパク質、核酸等)を包含しないが、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、ペンタペプチド等のような低分子量ペプチド又はその誘導体を包含する。典型的に、該小分子化合物の分子量は、例えば、約100~約2000Da、約200~約1000Da、約200~約900Da、約200~約800Da、約200~約700Da、約200~約600Da、約200~約500Daであってもよい。
【0030】
免疫アゴニストは、DCs、B細胞、マクロファージ、NK細胞、及びT細胞を含むがそれらに限定されない免疫細胞の活性化等を通じて、腫瘍に対する免疫応答を誘導又は増強できるアゴニストである。免疫アゴニストの非限定的な例として、TLR7及び/又はTLR8及び/又はTLR9アゴニスト(例えば、イミキモド、レシキモド、852A及びVTX-2337)を含むがそれらに限定されないTLRアゴニスト、及びSTINGアゴニスト(例えば、ADU-S100及びMK-1454)等は本分野で知られている。
【0031】
連結ユニットは、化合物又は材料中の2つ又はそれ以上の部分を共有結合する官能基を指す。例えば、該連結ユニットは、標的化分子及び/又はペイロードのアジュバント部分を共有結合するように働くことができる。
【0032】
スペーサーは、異なる構造モジュールの間に位置し、構造モジュールを空間的に分離できる構造である。スペーサーの定義は、特定の機能を有するかどうか、又は生体内で切断又は分解され得るかどうかによって限定されない。スペーサーの例としては、アミノ酸及び非アミノ酸構造を含むが、これらに限定されない。そのうち、非アミノ酸構造は、アミノ酸誘導体又は類似体であり得るが、これらに限定されない。「スペーサー配列」とは、スペーサーとして働くアミノ酸配列を指し、その例としては、Leu、Gln等の単一のアミノ酸、複数のアミノ酸を含む配列、例えばGA等の2つのアミノ酸を含む配列、又は例えばGGGGS、GGGGSGGGGS、GGGGSGGGGSGGGGS等を含むが、これらに限定されない。スペーサーの他の例としては、例えば、PABC(p-benzyloxycarbonyl,p-ベンジルオキシカルボニル)等の自壊的スペーサー等を含む。
【0033】
用語「アルキル基」とは、炭素原子と水素原子からなる直鎖又は分枝飽和脂肪族炭化水素基を意味し、該飽和脂肪族炭化水素基は単結合によって分子の残りの部分に連結されている。アルキル基は、1~20個の炭素原子を含み得、即ちC-C20アルキル基であり得、例えば、C-Cアルキル基、C-Cアルキル基、C-Cアルキル基、Cアルキル基、Cアルキル基、C-Cアルキル基である。アルキル基の非限定的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、2-メチルブチル基、1-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、ネオペンチル基、1,1-ジメチルプロピル基、4-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、1-メチルペンチル基、2-エチルブチル基、1-エチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1,1-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、又は1,2-ジメチルブチル基、又はそれらの異性体を含むが、これらに限定されない。二価ラジカルとは、対応する一価ラジカルの自由価電子を持つ炭素原子から水素原子を1つ除去することによって得られた基を意味する。二価ラジカルは、分子の残りの部分に連結されている2つの連結部位を有する。例えば、「アルキレン基」又は「アルキリデン基」とは、直鎖又は分枝鎖の飽和二価炭化水素基を指す。アルキレン基の例としては、メチレン(-CH-)、エチレン(-C-)、プロピレン(-C-)、ブチレン(-C-)、ペンチレン(-C10-)、ヘキシレン(-C12-)、1-メチルエチレン(-CH(CH)CH-)、2-メチルエチレン(-CHCH(CH)-)、メチルプロピレン基、エチルプロピレン基等を含むが、これらに限定されない。
【0034】
本明細書で使用されるように、1つの基が他の基と組み合わされる場合、化学的に安定な構造が形成されるのであれば、基の連結は直鎖状でも分枝状でもよい。このような組合せによって形成される構造は、該構造内の任意の適切な原子によって、好ましくは指定の化学結合によって分子の他の部分に連結することができる。例えば、C1-4アルキレン基と、-CH-、-NH-、-C(O)-、-NHC(O)-、-C(O)NH-を含む基の1つとを組み合わせると記述する場合、C1-4アルキレン基は上記基と直鎖状連結を形成することができ、例えば、C1-4アルキレン-CH-、C1-4アルキレン-NH-、C1-4アルキレン-C(O)-、C1-4アルキレン-NHC(O)-、C1-4アルキレン-C(O)NH-、-CH-C1-4アルキレン、-NH-C1-4アルキレン、-C(O)-C1-4アルキレン、-NHC(O)-C1-4アルキレン、-C(O)NH-C1-4アルキレンを形成することができる。得られた二価構造は、分子の他の部分にさらに連結することができる。
【0035】
単独で又は他の用語と組み合わせて使用される用語「複素環」(及びその「複素環式」又は「ヘテロシクリル基」等の変形)は、通常3~12個の環原子を有する単一の脂肪族環を広く指し、酸素、硫黄、窒素及びリンから独立して選ばれる1つ又は複数の、好ましくは1~3個のヘテロ原子、及び前記ヘテロ原子の少なくとも1つを含む組合せに加えて、少なくとも2つの炭素原子を含有する。あるいは、上記で定義した複素環は、2つ又はそれ以上の環が縮合又は架橋又はスピロ結合し得る多環式環系(例えば、二環式)であってもよく、ここで、このような環の少なくとも1つは、酸素、硫黄、窒素及びリンから独立して選ばれる1つ又は複数のヘテロ原子を含有する。
【0036】
ヘテロシクリル基は、例えば、アゼチジニル基、オキセタニル基等の4員環、又はテトラヒドロフラニル基、ジオキソリニル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリジニル基、ピロリニル基、オキソピロリジニル基、2-オキソイミダゾリジン-1-イル等の5員環、又はテトラヒドロピラニル基、ピペリジニル基、モルホリニル基、ジチアニル基、チオモルホリニル基、ピペラジニル基、1,1-ジオキソ-1,2-チアジナン-2-イル又はトリチアニル基等の6員環、又はジアゼピン環等の7員環であってもよい。任意に、ヘテロシクリル基はベンゾ縮合することができる。
【0037】
ヘテロシクリル基は、制限なく二環式であってもよく、例えば、ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール-2(1H)-イル等の5員縮合5員環、又はヘキサヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-2(1H)-イル等の5員縮合6員二環式環である。
【0038】
上述したように、複素環は不飽和であってもよく、つまり、1つ又は複数の二重結合を制限なく含有してもよい。例えば、窒素原子を含有する不飽和複素環は、1,6-ジヒドロピリミジン、1,2-ジヒドロピリミジン、1,4-ジヒドロピリミジン、1,6-ジヒドロピリジン、1,2-ジヒドロピリジン、1,4-ジヒドロピリジン、2,3-ジヒドロ-1H-ピロール、3,4-ジヒドロ-1H-ピロール、2,5-ジヒドロ-1H-ピロリル、4H-[1,3,4]チアジアジニル、4,5-ジヒドロオキサゾリル、又は4H-[1,4]チアジニル環であってもよく、酸素原子を含有する不飽和複素環は、2H-ピラン、4H-ピラン、又は2,3-ジヒドロフランであってもよく、硫黄原子を含有する不飽和複素環は、2H-チオピラン、又は4H-チオピランであってもよい。ジヒドロイソキノリニル環等の複素環は制限なくベンゾ縮合することができる。
[0068]用語「ヘテロアリール基」は、好ましくは5、6、7、8、9又は10個、特に5又は6又は9又は10個の環原子を有する一価の単環式、二環式、又は三環式芳香族環系(「5~10員ヘテロアリール基」)を意味すると理解すべきであり、該環原子の少なくとも1つ(好適に1~4つ、より好適に1つ、2つ又は3つ)は、酸素、窒素又は硫黄環系等のような同じ又は異なるヘテロ原子であってもよい。さらに、ヘテロアリール基は各場合においてベンゾ縮合することができる。具体的には、ヘテロアリール基は、チエニル基、フリル基、ピロリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、チオジアゾリル基等及びそれらのベンゾ誘導体、例えばベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイソオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、インダゾール基、インドリル基、イソインドリル基等、又はピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基等及びそれらのベンゾ縮合誘導体、例えばキノリニル基、キナゾリニル基、イソキノリニル基等、又はアゾシニル基、インドリジニル基、プリニル基等及びそれらのベンゾ縮合誘導体、又はシンノリニル基、フタラジニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、ナフチリジニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基等からなる群から選ばれる。
【0039】
式(I’)の化合物
一態様において、式(I’)(式(I’-1)又は式(I’-2))の化合物であって、
D1―Y―Lk―W―A2―Lm2―B2 (I’-1)
B1―Lm1―A1―W―Lk―Y―D2 (I’-2)
式中、
D1及びD2は独立してリガーゼ受容体又は供与体基質の認識配列を含む部分であり、
B1及びB2はそれぞれ独立して、1)C2-30アルキレン基であって、該アルキレン基中の1つ又は複数の-CH-構造が-CR-、-O-、-C(O)-、-NR-、切断可能配列1、又はスペーサーSp1によって任意に置き換えられる前記アルキレン基と、2)末端基と、の組合せであり、
該末端基は水素又はRであり、
はペイロード内の基と反応する時に離れることができる基であり、
、R及びRはそれぞれ独立して、水素、-OH、-NH、-C1-6アルキル、-O-C1-6アルキル、-NH-C1-6アルキル、-C1-6アルキル-NH、-N(C1-6アルキル)-C1-6アルキル、-C1-6アルキル-O-C1-6アルキル、-C1-6アルキル-NH-C1-6アルキル、-C(O)-C1-6アルキル、-NHC(O)-C1-6アルキル、-C(O)-NH、-C(O)NH-C1-6アルキル、-C(O)N(C1-6アルキル)-C1-6アルキル、-S(=O)-C1-6アルキル、-NHS(=O)-C1-6アルキル、-S(=O)O-C1-6アルキル、-S(=O)NH-C1-6アルキル及び-S(=O)N(C1-6アルキル)-C1-6アルキルから選ばれ、
Lm1及びLm2はそれぞれ独立して開環スクシンイミド部分であり、
A1及びA2はそれぞれ独立して、ジスルフィド結合、チオエーテル結合、チオエステル結合、又はウレタン結合を介してLm1又はLm2とコンジュゲートされる部分であり、
LkはL-L-Lの組合せであり、
及びLはそれぞれ独立して、
-CH-、-NH-、-C(O)-、-NHC(O)-、-C(O)NH-、及びC1-4アルキレン基と-CH-、-NH-、-C(O)-、-NHC(O)-、-C(O)NH-という基の1つとの組合せから選ばれ、
は存在しないか、又はC7-34アルキレン基であり、該アルキレン基中の1つ又は複数の(-CH-)構造は-O-によって任意に置き換えられ、
、L及びLはそれぞれ任意に且つ独立して、-OR及び-NRから選ばれる1、2又は3個の置換基によって置換され、
、R及びRはそれぞれ独立して、水素、-C1-6アルキル、-C(O)-C1-6アルキル及び-S(=O)-C1-6アルキルから選ばれ、
Y及びWはそれぞれ独立して存在しないか、又は切断可能配列2、スペーサーSp2、及びそれらの組合せから選ばれ、
切断可能配列1は、酵素により切断可能なアミノ酸配列を含み、且つ切断可能配列1は1~10個のアミノ酸を含み、
切断可能配列2は、酵素により切断可能なアミノ酸配列を含み、且つ切断可能配列2は1~10個のアミノ酸を含み、
Sp1及びSp2はそれぞれ独立して1~20個のアミノ酸を含有するスペーサー配列、PABC、及びそれらの組合せから選ばれ、
a、b及びpはそれぞれ独立して0又は1である、前記化合物を提供する。
【0040】
1つの実施形態において、a及びbは両方とも0である。1つの実施形態において、aは1であり、bは0である。1つの実施形態において、pは0である。
【0041】
1つの実施形態において、R及びRは両方とも水素であるか、又は両方とも-C1-6アルキルである。1つの実施形態において、R及びRはそれぞれ独立して、水素、-C(O)-C1-6アルキル、-C(O)-NH、-C(O)NH-C1-6アルキル、-C(O)N(C1-6アルキル)-C1-6アルキル、-S(=O)-C1-6アルキル、-S(=O)O-C1-6アルキル、-S(=O)NH-C1-6アルキル及び-S(=O)N(C1-6アルキル)-C1-6アルキルから選ばれるか、又はそれぞれ独立して、-C1-6アルキル、-C(O)-NH、-C(O)NH-C1-6アルキル、-C(O)N(C1-6アルキル)-C1-6アルキル、及び-S(=O)-C1-6アルキル、-S(=O)O-C1-6アルキル、-S(=O)NH-C1-6アルキル及び-S(=O)N(C1-6アルキル)-C1-6アルキルから選ばれる。1つの実施形態において、R及びRは両方とも水素であるか、又は両方とも-C1-6アルキルであるか、又はそれぞれ独立して水素、-C(O)-C1-6アルキル及び-S(=O)-C1-6アルキルから選ばれるか、又はそれぞれ独立して-C1-6アルキル、-C(O)-C1-6アルキル及び-S(=O)-C1-6アルキルから選ばれる。
【0042】
1つの実施形態において、L、L及びLは独立して、-OR及び-NRから選ばれる1、2、又は3個の置換基によって置換される。置換は、例えば、-CH、-CH-又は
【化4】
構造上、特に-CH-上で発生する。
【0043】
1つの実施形態において、Lは-NH-であるか、又はC1-4アルキレン基と-NH-の組合せである。別の実施形態において、Lは-C(O)-であるか、又はC1-4アルキレン基と-C(O)-の組合せである。
【0044】
1つの実施形態において、Lは-NH-であるか、又はC1-4アルキレン基と-NH-の組合せである。別の実施形態において、Lは-C(O)-であるか、又はC1-4アルキレン基と-C(O)-の組合せである。
【0045】
1つの実施形態において、Lは、直鎖状または分枝状のアルキレン基であるC7-34アルキレン基であり、該アルキレン基中の1つ又は複数の-CH-構造は-O-によって任意に置き換えることができ、該アルキレン基は、-OR及び-NRから選ばれる1、2又は3個の置換基によって任意に置換される。さらに別の実施形態において、Lは、-OR及び-NRから選ばれる1、2又は3個の置換基によって任意に置換される二価基から選ばれ、ここで前記二価基は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、1-メチルエチレン基、2-メチルエチレン基、2-メチルプロピレン基、2-エチルプロピレン基である。
【0046】
別の実施形態において、Lは-(C-O)-C1-4アルキレンであり、iは2~10の整数である。1つの実施形態において、LはC1-4アルキレン-(O-C-である。「-(C-O)-」又は「-(O-C-」は、PEGユニットの重合によって形成される構造を表し、ここでiはPEGユニットの数を示す。別の実施形態において、Lは-(C-O)-C1-2アルキレンである。特定の実施形態において、Lは-(C-O)-C-である。別の実施形態において、LはC1-2アルキレン-(O-C-である。特定の実施形態において、Lは-C-(O-C-である。1つの実施形態において、iは、2~10、2~8、2~6、2~4又は4~6の値から選ばれる。特定の実施形態において、iは4である。
【0047】
1つの実施形態において、Y及びWはそれぞれ独立して存在しないか、又は切断可能配列1、スペーサーSp2、及びそれらの組合せから選ばれる。特定の実施形態において、aは0であり、Yはそのために存在しない。別の特定の実施形態において、bは0であり、Wはそのために存在しない。さらに別の特定の実施形態において、Y及びWの両方とも存在しない。1つの実施形態において、切断可能配列2は、酵素基質として認識可能で且つ酵素によって切断可能なアミノ酸配列を含む。特定の実施形態において、切断可能配列2は細胞内、特にリソソーム内で酵素的に切断可能である。別の特定の実施形態において、切断可能配列2はプロテアーゼ、具体的にはカテプシンにより切断可能である。さらに別の特定の実施形態において、切断可能配列2はグルタミナーゼにより切断可能である。1つの実施形態において、切断可能配列2は、カテプシン制限部位、グルタミナーゼ制限部位、及びそれらの組合せから選ばれる。1つの実施形態において、切断可能配列2は、Phe-Lys、Val-Cit、Val-Lys、GLy-Phe-Leu-Gly、Ala-Leu-Ala-Leu及びそれらの組合せから選ばれる。
【0048】
1つの実施形態において、Y及びWはそれぞれ独立して存在しないか、又はスペーサーSp2から選ばれる。別の実施形態において、Sp2は、1~10個、好ましくは1~6個、より好ましくは1~4個のアミノ酸を含むスペーサー配列である。特定の実施形態において、Sp2はLeuである。別の特定の実施形態において、Sp2はGlnである。1つの実施形態において、Sp2はPABCである。さらに別の実施形態において、Y及びWはそれぞれ独立して、Phe-Lys-PABC、Val-Cit-PABC、及びVal-Lys-PABCから選ばれる。
【0049】
1つの実施形態において、Y及び/又はWに含まれるアミノ酸は天然又は非天然であってもよい。特定の実施形態において、Yはアミノ酸フラグメント1である。アミノ酸フラグメント1は、それぞれ独立して同一又は異なる1~30個の天然又は非天然アミノ酸である。アミノ酸フラグメント1は、1~10個のアミノ酸を含む切断可能配列、1~20個のアミノ酸を含むスペーサー配列、及びそれらの組合せから選ばれる。別の特定の実施形態において、Wはアミノ酸フラグメント2である。アミノ酸フラグメント2は、それぞれ独立して同一又は異なる1~30個の天然又は非天然アミノ酸を含む。アミノ酸フラグメント2は、1~10個のアミノ酸を含む切断可能配列、1~20個のアミノ酸を含むスペーサー配列、及びそれらの組合せから選ばれる。
【0050】
リガーゼ受容体又は供与体基質の認識配列を含む部分
1つの実施形態において、リガーゼはトランスペプチダーゼである。1つの実施形態において、リガーゼは、天然トランスペプチダーゼ、非天然トランスペプチダーゼ、それらの変異体、及びこれらの組合せから選ばれる。非天然トランスペプチダーゼ酵素は、天然トランスペプチダーゼを操作して得られたものであってもよいが、それらに限定されない。好ましい実施形態において、リガーゼは、天然ソルターゼ、非天然ソルターゼ、及びそれらの組合せから選ばれる。天然ソルターゼの種類は、ソルターゼA、ソルターゼB、ソルターゼC、ソルターゼD、ソルターゼL.plantarum等を含む(US20110321183A1)。リガーゼのタイプはリガーゼ認識配列に対応するため、異なる分子又は構造フラグメント間の特異的コンジュゲーションを達成するために用いられる。1つの実施形態において、リガーゼ受容体基質の認識配列は、オリゴメリックグリシン、オリゴメリックアラニン、及び重合度3~10のオリゴメリックグリシン/アラニンの混合物から選ばれる。特定の実施形態において、リガーゼ受容体基質の認識配列はGであり、ここでGはグリシン(Gly)であり、nは3~10の整数である。別の特定の実施形態において、リガーゼは黄色ブドウ球菌に由来のソルターゼAである。それに応じて、リガーゼ認識配列は、該酵素の典型的な認識配列LPXTGであり得る。さらに別の特定の実施形態において、リガーゼ供与体基質の認識配列はLPXTGJであり、リガーゼ受容体基質の認識配列はGであり、ここでXはは天然又は非天然の任意の単一アミノ酸であってもよく、Jは存在しないか、又は任意にラベル付けされた、1~10個のアミノ酸を含むアミノ酸フラグメントである。1つの実施形態において、Jは存在しない。さらに別の実施形態において、Jは1~10個のアミノ酸を含むアミノ酸フラグメントであり、ここで各アミノ酸は独立して任意の天然又は非天然アミノ酸である。別の実施形態において、JはGであり、ここでmは1~10の整数である。さらに別の特定の実施形態において、リガーゼ供与体基質の認識配列はLPETGである。別の特定の実施形態において、リガーゼ供与体基質の認識配列はLPETGGである。1つの実施形態において、リガーゼは黄色ブドウ球菌に由来のソルターゼBであり、対応する供与体基質認識配列はNPQTNであってもよい。別の実施形態において、リガーゼは炭疽菌に由来のソルターゼBであり、対応する供与体基質認識配列はNPKTGであってもよい。さらに別の実施形態において、リガーゼは化膿性連鎖球菌に由来のソルターゼAであり、対応する供与体基質認識配列はLPXTGJであってもよく、ここでJは上記で定義したとおりである。別の実施形態において、リガーゼはストレプトマイセス・セリカラーに由来のソルターゼサブファミリー5であり、対応する供与体基質認識配列はLAXTGであってもよい。さらに別の実施形態において、リガーゼはラクトバチルス・プランタルムに由来のソルターゼAであり、対応する供与体基質認識配列はLPQTSEQであってもよい。リガーゼ認識配列は、さらに、手動スクリーニングによって最適化されたトランスペプチダーゼのための別の全く新しい認識配列であってもよい。
【0051】
反応性基を含む部分
ペイロードと接続するための反応性基
1つの実施形態において、B1又はB2はペイロードへの接続に用いられる。ペイロードと接続するために、式(I’)の化合物は反応性基を含む。1つの実施形態において、式(I’)の化合物中のB1又はB2はアミド結合又はエステル結合又はエーテル結合を介してペイロードに接続される。1つの実施形態において、式(I’)におけるB1又はB2中の反応性基は独立して、縮合反応、求核付加又は求電子付加のための反応性基(例えば反応性C=O部分、反応性C=C-C=O部分、アミノ基、アミン基、ヒドロキシ基、チオール基)、又は置換反応のための反応性基(例えばO、C、N又はS原子に付着した脱離基)である。1つの実施形態において、B1又はB2中の反応性基は独立して、カルボキシル基、スルホン酸基、遊離-OH末端を持つホスホリル基、活性エステル、アルデヒド基、イソシアネート基、マイケル付加の受容体基(マレイミド基等)、アミノ基、アミン基、水酸基、チオール基、ピリジルジチオール基及びハロ酢酸基から選ばれる。具体的な実施形態において、ペイロードへの接続用のB1又はB2中の反応性基は独立して、アミノ基、アミン基、水酸基、チオール基、カルボキシル基及び活性エステルから選ばれる。別の具体的な実施形態において、B1又はB2は、-OH及び-COOH、特にアルキルアルコールの水酸基又はアルキルカルボン酸のカルボキシル基から選ばれる基を介してペイロードに接続される。
【0052】
1つの実施形態において、B1又はB2中の反応性基は独立してアミノ基、アミン基又は水酸基であり、ペイロード内で対応する基(例えばカルボキシル基、スルホン酸基、遊離-OH末端を持つホスホリル基、活性エステル、酸塩化物又はイソシアネート基)と反応する。別の実施形態において、B1又はB2中の反応性基は独立してカルボキシル基、スルホン酸基、遊離-OH末端を持つホスホリル基、活性エステル又はイソシアネート基であり、ペイロード内で対応する基(例えばアミノ基、アミン基又は水酸基)と反応する。
【0053】
1つの実施形態において、B1又はB2中の反応性基は独立してアミノ基、水酸基又はチオール基であり、ペイロード内で対応する基(例えばハロゲン、水酸基、チオール基、アルデヒド基)と反応する。別の実施形態において、B1又はB2中の反応性基は独立して水酸基であり、ペイロード内で対応する基(例えばハロゲン又は水酸基)と反応する。
【0054】
B1及びB2
1つの実施形態において、B1及びB2はそれぞれ独立して、
1)-(CHC(O)-、-NR-、-(C-O)-、-(NH-CR-C(O))-、-(C-、-C(O)(CH-、-(O-C-、-(C(O)-CR-NH)-という二価基から選ばれる1つ又は2つもしくはそれ以上の組合せ、切断可能配列1、及びスペーサーSp1と、2)末端基と、の組合せであり、ここで、
該末端基は水素又はRであり、
kは0~20の整数であり、jは1~20の整数であり、dは1~20の整数であり、gは1~20の整数であり、
各-(CHC(O)-、-C(O)(CH-及び-(C-は独立して非置換であるか、又は-OH、-NH、C1-6アルキル基、-O-C1-6アルキル、-NH-C1-6アルキル、-C1-6アルキル-NH、-N(C1-6アルキル)-C1-6アルキル、-C(O)-C1-6アルキル、-NHC(O)-C1-6アルキル、-S(=O)-C1-6アルキル及び-NHS(=O)-C1-6アルキルから選ばれる1つ又は複数の基によって置換される。
【0055】
1つの実施形態において、末端基は水素である。1つの実施形態において、Rは水酸基又は
【化5】
である。
【0056】
1つの実施形態において、末端基RはB1又はB2とペイロードの反応から生じた生成物分子に現れない構造部分を表すため、連結ユニット-ペイロード中間体(下記参照)では、B1又はB2に対応する構造部分は上記二価基のうちの1つ、又は2つもしくはそれ以上の組合せである。
【0057】
1つの実施形態において、各-(CHC(O)-、-C(O)(CH-及び-(C-は独立して非置換であるか、又は-OH、C1-6アルキル基、-O-C1-6アルキル、-N(C1-6アルキル)-C1-6アルキル、-C(O)-C1-6アルキル、-NHC(O)-C1-6アルキル、-S(=O)-C1-6アルキル及び-NHS(=O)-C1-6アルキルから選ばれる1つ又は複数の基によって置換され、より好ましくは-C1-6アルキル又は-NHC(O)-C1-6アルキルから選ばれる1つ又は複数の基によって置換される。別の実施形態において、各-(CHC(O)-、-C(O)(CH-及び-(C-は独立して非置換であるか、又は-C(O)-NH、-NH、-C1-6アルキル-NH、-NH-C1-6アルキルから選ばれる1つ又は複数の基によって置換され、好ましくは-C(O)-NH、-C1-6アルキル-NH、-NH-C1-6アルキルから選ばれる1つ又は複数の基によって置換される。
【0058】
1つの実施形態において、kは、0、1、2~10、2~9、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4又は2~3、好ましくは0、1又は2、特に1又は2の値から選ばれる。1つの実施形態において、jは、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、特に1、3、又は4の値から選ばれる。1つの実施形態において、dは、1~10、1~8、1~6、1~4、1~3、1~2の値から選ばれる。特定の実施形態において、dは1又は2である。特定の実施形態において、dは1である。1つの実施形態において、gは、2~10、2~9、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4の値から選ばれる。
【0059】
分子内で2つ又はそれ以上の-(CHC(O)-基がある場合、各kの値は独立して選択されることを理解すべきである。いくつかの実施形態において、分子内の「k」sは、付加の数字が付いているか又は付いておらず、例えばk1、k2、k3等であり、ここで、該数字は順序を示すものではなく、単に「k」sを区別するためのものである。g、j、d等の他の下付き文字は同様に理解すべきである。
【0060】
2つ又はそれ以上のR(xは1、2、3、4、5、6、7等)がある場合、各Rは独立して選択されることを理解すべきである。いくつかの実施形態において、分子内の「x」sは、付加のアポストロフィ(’)又はアポストロフィ(’’、’’’、’’’’等)が付いているか又は付いておらず、例えばR、R1’、R1’’、R1’’’、R2’、R2’’、R2’’’等である。R、R、R、R、R等の別のRsは同様に理解すべきである。
【0061】
別の実施形態において、切断可能配列1は、プロテアーゼに敏感なオリゴマーペプチド、カテプシン切断部位、グルタミナーゼ切断部位、及びそれらの組合せから選ばれる酵素切断部位を含む。特定の実施形態において、切断可能配列1は、Phe-Lys、Val-Cit、及びVal-Lysから選ばれる。
【0062】
別の実施形態において、Sp1は、1~10個、好ましくは1~6個、より好ましくは1~4個のアミノ酸を含むスペーサー配列である。1つの実施形態において、Sp1はPABCである。
【0063】
1つの実施形態において、B1及びB2はそれぞれ任意に誘導体化されたリジンである。別の実施形態において、リジンの誘導体化は、1)カルボキシル基のアミド化であって、得られたアミドNHがC1-6アルキル基によって任意に置換される前記アミド化と、2)1~10個のアミノ酸を含むアミノ酸フラグメント又は1~10個のヌクレオチドを含むヌクレオチドフラグメントへのカルボキシル基及び/又はアミノ基の連結であって、該アミノ酸フラグメントはGlyが好ましい前記連結と、から選ばれる。
【0064】
1つの実施形態において、末端基が二価基と組み合わされる場合、下記二価基はそれぞれ下記構造部分を形成する。-(CHC(O)-は-(CHC(O)-OHを形成し、-NR-は-NHR又はRHN-を形成し、-(C-O)-は-(C-O)-Hを形成し、-(NH-CR-C(O))-は-(NH-CR-C(O))OHを形成し、-(C-は-(C-H、-(C-OH、H-(C-又はHO-(C-を形成し、-C(O)(CH-はHO-C(O)(CH-を形成し、-(O-C-はH-(O-C-を形成し、-(C(O)-CR-NH)-はHO-(C(O)-CR-NH)-を形成し、ここで-(CHC(O)-、-C(O)(CH-及び-(C-のそれぞれは独立して非置換であるか、又は上記で定義した1つ又は複数の基によって置換される。
【0065】
1つの実施形態において、B2は、-(CHC(O)-OH、-(NH-CR-C(O))-OH、-NH-(C-O)-H、-Val-Cit-PABC、-(Lys-NH)、-(CHC(O)-(NH-CR-C(O))-OH、-(CHC(O)-NH-(C-O)-H、-(NH-CR-C(O))-NH-(C-O)-H、-(CHC(O)-(NH-CR-C(O))-NH-(C-O)-H、-(CHk1C(O)-NH-(C-O)-(CHk2C(O)-(Lys-OH)、-Val-Cit-PABC-(NH-CR-C(O))-OH、-(CHC(O)-Val-Cit-PABC及び-(CHC(O)-Val-Cit-PABC-(NH-CR-C(O))-OHから選ばれる。
【0066】
1つの実施形態において、B2は、-(CHC(O)-OH、-(NH-CR-C(O))-OH、-NH-(C-O)-H、-Val-Cit-PABC、-(Lys-NH)、-(CHC(O)-(NH-CR-C(O))-OH、-(CHC(O)-NH-(C-O)-H、-(NH-CR-C(O))-NH-(C-O)-H、-(CHk1C(O)-NH-(C-O)-(CHk2C(O)-(Lys-OH)、-Val-Cit-PABC-(NH-CR-C(O))-OH、-(CHC(O)-Val-Cit-PABC及び-(CHC(O)-Val-Cit-PABC-(NH-CR-C(O))-OHから選ばれる。
【0067】
1つの実施形態において、B2は、-(CHC(O)-OH、-(NH-CR-C(O))-OH、-NH-(C-O)-H、-Val-Cit-PABC、-(Lys-NH)、-(CHC(O)-(NH-CR-C(O))-OH、-(CHC(O)-NH-(C-O)-H、-(NH-CR-C(O))-NH-(C-O)-H、-(CHk1C(O)-NH-(C-O)-(CHk2C(O)-(Lys-OH)、-Val-Cit-PABC-(NH-CR-C(O))-OH及び-(CHC(O)-Val-Cit-PABCから選ばれる。
【0068】
1つの実施形態において、B2は-(Lys-NH)である。1つの実施形態において、B1は(Lys-NH)-である。
【0069】
1つの実施形態において、B2は、-(CHC(O)-OH、-(CHC(O)-(NH-CR-C(O))-OH、-(CHC(O)-NH-(C-O)-H、-(CHC(O)-(NH-CR-C(O))-NH-(C-O)-H、-(CHC(O)-Val-Cit-PABC及び-(CHC(O)-Val-Cit-PABC-(NH-CR-C(O))-OHから選ばれる。
【0070】
1つの実施形態において、B2は、-(CHC(O)-OH、-(CHC(O)-(NH-CR-C(O))-OH、-(CHC(O)-NH-(C-O)-H、-(CHC(O)-Val-Cit-PABC及び-(CHC(O)-Val-Cit-PABC-(NH-CR-C(O))-OHから選ばれる。
【0071】
1つの実施形態において、B2は、-(CHC(O)-OH、-(CHC(O)-(NH-CR-C(O))-OH、-(CHC(O)-NH-(C-O)-H及び-(CHC(O)-Val-Cit-PABCから選ばれる。
【0072】
1つの実施形態において、B1は、HO-C(O)(CH-、HO-(C(O)-CR-NH)-、H-(O-C-NH-、(Lys-NH)-、HO-(C(O)-CR-NH)-C(O)(CH-、H-(O-C-NH-C(O)(CH-、H-(O-C-NH-(C(O)-CR-NH)-、H-(O-C-NH-(C(O)-CR-NH)C(O)(CH-、(Lys-OH)-C(O)(CHk1-(O-C-NH-C(O)(CHk2-、HO-(C(O)-CR-NH)-Val-Cit-PABC-、及びHO-(C(O)-CR-NH)-Val-Cit-PABC-C(O)(CHk1-から選ばれる。
【0073】
1つの実施形態において、B1は、HO-C(O)(CH-、HO-(C(O)-CR-NH)-、H-(O-C-NH-、(Lys-NH)-、HO-(C(O)-CR-NH)-C(O)(CH-、H-(O-C-NH-C(O)(CH-、H-(O-C-NH-(C(O)-CR-NH)-、(Lys-OH)-C(O)(CHk1-(O-C-NH-C(O)(CHk2-、HO-(C(O)-CR-NH)-Val-Cit-PABC-、及びHO-(C(O)-CR-NH)-Val-Cit-PABC-C(O)(CHk1-から選ばれる。
【0074】
1つの実施形態において、R及びRは両方とも水素又は両方とも-C1-6アルキルであり、好ましくは両方とも水素又は両方とも-C1-3アルキルであり、より好ましくは両方とも水素又は両方とも-C1-2アルキルであり、特に両方とも水素又は両方ともメチル基である。1つの実施形態において、Rは水素又は-C1-6アルキルであり、好ましくは水素又は-C1-2アルキルであり、特に水素である。
【0075】
A及びLm
1つの実施形態において、式(I’)におけるA1及びA2はそれぞれ独立して、アミノ化合物、チオール化合物、ピリジルジチオール化合物及びイソシアネートから選ばれる反応性基から得られた残基である。別の実施形態において、A1及びA2はそれぞれ独立して、アミノ基、チオール基、ピリジルジチオ基、及びイソシアネート基から選ばれる反応性基を介してLm1又はLm2にコンジュゲートされた部分である。特定の実施形態において、A1及びA2はそれぞれ独立して、任意に誘導体化されたアミノ酸、好ましくは任意に誘導体化されたシステイン又はリジンから選ばれる。
【0076】
別の特定の実施形態において、A1及びA2はそれぞれ独立して、任意に誘導体化されたシステインから選ばれる。好ましい実施形態において、システインの誘導体化は、1)カルボキシル基のアミド化であって、得られたアミドNHがC1-6アルキル基によって任意に置換される前記アミド化と、2)アミノ基のアシル化と、3)1~10個のアミノ酸を含むアミノ酸フラグメント又は1~10個のヌクレオチドを含むヌクレオチドフラグメントへのカルボキシル基及び/又はアミノ基の連結であって、該アミノ酸フラグメントはGlyが好ましい前記連結と、から選ばれる。特定の実施形態において、システインの誘導体化とは、システインのカルボキシル基のアミド化又はグリシンへの連結を指す。
【0077】
1つの実施形態において、A2は
【化6】
であり、ここでxは、水素、OH、NH、1~10個のアミノ酸を含むアミノ酸フラグメント、及び1~10個のヌクレオチドを含むヌクレオチドフラグメントから選ばれ、好ましくはNHである。1つの実施形態において、A1は
【化7】
であり、ここでxは、水素、1~10個のアミノ酸を含むアミノ酸フラグメント、及び1~10個のヌクレオチドを含むヌクレオチドフラグメントから選ばれ、好ましくはNHである。1つの実施形態において、アミノ基のアシル化とは、システインのアミノ基のC1-6アルキルカルボニル基との置換を指す。
【0078】
1つの実施形態において、A部分とLm部分との連結は、システイン構造におけるチオール基がLmに含まれるマレイミド基と反応し、チオスクシンイミド構造を生成するように、形成されてもよい。
【0079】
特定の実施形態において、システイン構造におけるチオール基はマイケル付加によって前記マレイミド基に接続される。
【0080】
チオスクシンイミドは生理学的条件下で不安定であり、コンジュゲーション部位での切断を引き起こすようにマイケル付加を逆転させる傾向にある。また、系内に別のチオール化合物が存在する場合、チオスクシンイミドは他のチオール化合物とチオール交換する可能性もある。両方の反応ともペイロードの減少を引き起こし、有毒な副作用をもたらす。本開示において、スクシンイミドの開環はマイケル付加のステップ後に開環反応によって行う。開環後、スクシンイミドは逆マイケル付加又はチオール交換を行わなくなるため、生成物はより安定する。開環反応の方法はWO2015165413A1を参照すればよい。
【0081】
式(I’)の開環化合物は、スクシンイミド開環反応の効率に関わらず、セミ分取/分取HPLC又は他の適切な分離手段によって精製して高い純度及び規定の組成を有するペイロード担持式(I’)化合物を得ることができる。
【0082】
1つの実施形態において、Lm1及びLm2はそれぞれ独立して
【化8】
の混合物である。1つの実施形態において、Lm1は
【化9】
又はそれらの混合物である。1つの実施形態において、Lm2は
【化10】
又はそれらの混合物である。
【0083】
式(I’)化合物の具体的実施形態
1、A及びLmが存在する式(I’)化合物
pが1、D1がG、Gがグリシン、A2がチオール基とLm2の反応後に
【化11】
である式(I’-1)の連結ユニット、及び式(I’-1)の化合物の構造は下記式(I’-1-1)に示すとおりであり、
【化12】
式中、nは3~10の整数であり、Lm2は
【化13】
又はそれらの混合物であり、
xは、水素、OH、NH、1~10個のアミノ酸を含むアミノ酸フラグメント、1~10個のヌクレオチドを含むヌクレオチドフラグメントから選ばれ、
Y、Lk及びWはそれぞれ式(I’)に定義したとおりである。
【0084】
好ましい実施形態において、式(I’-1-1)中、xは、OH、NH及びGlyから選ばれ、特にNHである。
【0085】
特定の実施形態において、式(I’-1-1)中、aは0であり、bは0であり、n=3であり、LkはL-L-Lであり、Lは-NH-であり、Lは-C(O)-であり、Lは-(C-O)-C-であり、i=4であり、xはNHであり、連結ユニットの構造は以下のとおりである(連結ユニットLN102)。
【0086】
【化14】
【0087】
1つの実施形態において、連結ユニットLN102中、B2は下記表から選ばれる。
【0088】
【表1】
【0089】
1つの実施形態において、連結ユニットLN102中、B2は下記表から選ばれる。
【0090】
【表2】
【0091】
1つの実施形態において、連結ユニットLN102中、Lm2は
【化15】
又はそれらの混合物であり、B2は-(CHC(O)-Rであり、kは2であり、連結ユニットの構造は以下の2つの構造の混合物である(連結ユニットLN102-1)。
【0092】
【化16】
【0093】
1つの実施形態において、連結ユニットLN102中、Lm2は
【化17】
又はそれらの混合物であり、B2は-(CHC(O)-Rであり、kは5であり、連結ユニットの構造は以下の2つの構造の混合物である(連結ユニットLN102-2)。
【0094】
【化18】
【0095】
1つの実施形態において、連結ユニットLN102中、Lm2は
【化19】
又はそれらの混合物であり、B2は-(CHC(O)-Val-Cit-PABCであり、kは5であり、連結ユニットの構造は以下の2つの構造の混合物である(連結ユニットLN102-3)。
【0096】
【化20】
【0097】
1つの実施形態において、連結ユニットLN102中、Lm2は
【化21】
又はそれらの混合物であり、B2は-(CHC(O)-Val-Cit-PABC-(NH-CR-C(O))-Rであり、kは5であり、dは1であり、R及びRは水素であり、連結ユニットの構造は以下の2つの構造の混合物である(連結ユニットLN102-4)。
【0098】
【化22】
【0099】
1つの実施形態において、連結ユニットLN102中、Lm2は
【化23】
又はそれらの混合物であり、B2は-(CHC(O)-NH-(C-O)-Hであり、kは2であり、jは1であり、連結ユニットの構造は以下の2つの構造の混合物である(連結ユニットLN102-6)。
【0100】
【化24】
【0101】
1つの実施形態において、連結ユニットLN102中、Lm2は
【化25】
又はそれらの混合物であり、B2は-(CHC(O)-(NH-CR-C(O))-NH-(C-O)-Hであり、kは2であり、dは1であり、jは1であり、R及びRはメチル基であり、連結ユニットの構造は以下の2つの構造の混合物である(連結ユニットLN102-7)。
【0102】
【化26】
【0103】
1つの実施形態において、連結ユニットLN102中、Lm2は
【化27】
又はそれらの混合物であり、B2は-(CHC(O)-(NH-CR-C(O))-であり、kは2であり、dは1であり、R及びRは水素であり、連結ユニットの構造は以下の2つの構造の混合物である(連結ユニットLN102-8)。
【0104】
【化28】
【0105】
1つの実施形態において、連結ユニットLN102中、Lm2は
【化29】
又はそれらの混合物であり、B2は-(CHC(O)-(NH-CR-C(O))-Rであり、kは2であり、dは2であり、R及びRはメチル基であり、R1’及びR2’は水素であり、連結ユニットの構造は以下の2つの構造の混合物である(連結ユニットLN102-11)。
【0106】
【化30】
【0107】
特定の実施形態において、式(I’-1-1)中、aは0であり、bは0であり、n=3であり、B2は-Cys-NHであり、連結ユニットの構造は以下のとおりである(連結ユニットLN105)。
【0108】
【化31】
【0109】
特定の実施形態において、式(I’-1-1)中、aは0であり、bは0であり、n=3であり、LkはL-L-Lであり、Lは-NH-であり、Lは-C(O)-であり、Lは-(C-O)-C-であり、i=4であり、xはOHであり、連結ユニットの構造は以下のとおりである(連結ユニットLN106)。
【0110】
【化32】
【0111】
特定の実施形態において、式(I’-1-1)中、aは1であり、bは0であり、YはLであり、Lはロイシン(Leu)であり、n=3であり、LkはL-L-Lであり、Lは-NH-であり、Lは-C(O)-であり、Lは-(C-O)-C-であり、i=4であり、xはNHであり、連結ユニットの構造は以下のとおりである(連結ユニットLN107)。
【0112】
【化33】
【0113】
さらに別の特定の実施形態において、式(I’-1-1)中、aは1であり、bは0であり、YはQであり、Qはグルタミン(Gln)であり、n=3であり、LkはL-L-Lであり、Lは-NH-であり、Lは-C(O)-であり、Lは-(C-O)-C-であり、i=4であり、xはNHであり、連結ユニットの構造は以下のとおりである(連結ユニットLN108)。
【0114】
【化34】
【0115】
特定の実施形態において、式(I’-1-1)中、aは0であり、bは0であり、n=3であり、LkはL-L-Lであり、Lは-NH-であり、Lは-C(O)-であり、Lは-C10-であり、連結ユニットの構造は以下のとおりである(連結ユニットLN109)。
【0116】
【化35】
【0117】
さらに別の特定の実施形態において、式(I’-1-1)中、aは0であり、bは0であり、n=3であり、LkはL-L-Lであり、Lは-NH-であり、Lは-C(O)-であり、Lは1つの-NR基で置換された-C10-基であり、Rは水素であり、Rは-C(O)CHであり、xはNHであり、連結ユニットの構造は以下のとおりである(連結ユニットLN110)。
【0118】
【化36】
【0119】
D2がLPXTG、A1がチオール基とLm2の反応後に
【化37】
の場合の式(I’-2)の連結ユニット、及び式(I’-2)の化合物の構造は下記式(I’-2-1)に示すとおりであり、
【化38】
式中、xは、水素、1~10個のアミノ酸を含むアミノ酸フラグメント、1~10個のヌクレオチドを含むヌクレオチドフラグメントから選ばれ、Lm1は
【化39】
又はそれらの混合物であり、
Y、Lk及びWはそれぞれ式(I’)に定義したとおりである。
【0120】
1つの実施形態において、xは水素である。
【0121】
2、A及びLmが存在しない式(I’)化合物
【0122】
pが0、D1がG、Gがグリシンである式(I’-1)の連結ユニット、及び式(I’-1)の化合物の構造は下記式(I’-1-2)に示すとおりであり、
【化40】
式中、nは3~10の整数であり、
Y、Lk、W、a及びbはそれぞれ式(I’)に定義したとおりである。
【0123】
1つの実施形態において、式(I’-1-2)中、aは0であり、bは0であり、n=3であり、B2は-(Lys-NH)であり、連結ユニットの構造は以下のとおりである(連結ユニットLN201)。
【0124】
【化41】
式中、nは3~10の整数である。
【0125】
1つの実施形態において、式(I’)の化合物は図1に示す化合物の1つである。
【0126】
連結ユニットとしての式(I’)の化合物
1つの実施形態において、B1又はB2に含まれる反応性基は、式(I’)の化合物がペイロードを担持するように、別の反応性基を含有するペイロードと共有結合的にコンジュゲートするために用いることができる。
【0127】
別の実施形態において、D1又はD2に含まれるリガーゼ認識配列は、対応するリガーゼ認識配列とのリガーゼによるコンジュゲーションに用いることができる。その結果、式(I’)の化合物は、リガーゼ認識配列を含む分子に連結することができ、ここで、前記分子に含まれるリガーゼ認識配列は、D1又はD2に含まれるリガーゼ認識配列に対応するリガーゼ供与体/受容体基質認識配列である。
【0128】
1つの実施形態において、該分子はリガーゼ供与体基質の認識配列を含み、それに応じて、D1又はD2は独立してリガーゼ受容体基質の認識配列である。別の実施形態において、該分子はリガーゼ受容体基質の認識配列を含み、それに応じて、D1又はD2は独立してリガーゼ供与体基質の認識配列である。
【0129】
したがって、式(I’)の化合物は、標的化分子(例えば抗体又はその抗原結合フラグメント)及び/又はペイロードに連結可能な連結ユニットとして使用することができる。該連結ユニットは連結ユニットと標的化分子のコンジュゲーション用のリガーゼ認識配列を含有してもよい。該連結ユニットは、さらに、ペイロードとの共有コンジュゲーション用の反応性基を含有してもよい。
【0130】
コンジュゲートすべき標的化分子の末端修飾のタイプに応じて、連結ユニットに含まれるリガーゼ認識配列は、リガーゼ受容体基質の認識配列又はリガーゼ供与体基質の認識配列である。認識配列は採用されるリガーゼに対応する。
【0131】
コンジュゲートすべきペイロードの反応性基のタイプに応じて、連結ユニットに含まれる反応性基は、縮合反応が進行可能なタイプに属する。
【0132】
連結ユニットはそれで形成された薬物コンジュゲートの特性に影響し得る。例えば、連結ユニットは適切な親水性を提供するために任意に用いることができ、ペイロードの適切な放出プロファイルを達成するように切断部位を任意に含有することができる。
【0133】
代替的な実施形態において、連結ユニットは、それぞれ独立して任意の適切な位置にある1つ又は複数の非酵素切断部位をさらに含む。1つの実施形態において、該非酵素切断部位はpHに敏感なヒドラゾンであってもよい。別の実施形態において、該非酵素切断部位は還元剤に敏感なジスルフィド結合である。別の代替的な実施形態において、連結ユニットは、それぞれ独立してY及びW以外の任意の適切な位置にある1つ又は複数の酵素切断部位をさらに含む。1つの実施形態において、該酵素切断部位は、プロテアーゼに敏感なオリゴマーペプチド、カテプシン切断部位、グルタミナーゼ切断部位、及びそれらの組合せから選ばれる。
【0134】
さらに別の代替的な実施形態において、標的化分子-薬物コンジュゲートのDARを向上させるために、連結ユニットは分枝構造フラグメントをさらに含んでもよい。この分枝構造の骨格は特定の連結パターンに従って多機能分子で形成され、分枝の数及び構造は、所望の数のペイロードに対応して作ってもよい。分枝の各々は上述した線形連結ユニットの構造を含んでもよい。
【0135】
当業者であれば、従来の固相法又は液相法によって連結ユニットを合成することができる。
【0136】
ペイロード担持式(I’)化合物
B1又はB2に含まれる反応性基は、別の反応性基を含有するペイロードと共有結合的にコンジュゲートされてペイロード担持式(I’)化合物を提供する。
【0137】
さらに別の態様において、式(II’)(式(II’-1)又は式(II’-2))の構造を有する化合物であって、
(式(I’)の化合物)―PL (II’-1)
PL―(式(I’)の化合物) 化合物(II’-2)
式中、
PLは式(I’)の化合物のB1又はB2部分に連結されたペイロードであり、
tは1~20の整数である、前記化合物を提供する。
tは式(I’)の化合物に連結されたPL(s)の数を表す。
【0138】
1つの実施形態において、tは1~10の整数であり、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である。
【0139】
1つの実施形態において、tは1であり、式(II’-1)及び(II’-2)の化合物はそれぞれ下記式(II’-1-1)又は式(II’-2-1)の構造を有し、
D1―Y―Lk―W―A2―Lm2―B2―PL (II’-1-1)
PL―B1―Lm1―A1―W―Lk―Y―D2 (II’-2-1)
式中、A1、A2、Lm1、Lm2、B1、B2、D1、D2、Y、Lk、W、a、b及びpはそれぞれ上記で定義したとおりである。
【0140】
別の実施形態において、tは2~20であり、式(II’)の化合物の構造は下記式(II’-3)~式(II’-6)のいずれかに示すとおりであり、
D1―Y―Lk―W―A2―Lm2―(B2―PL) (II’-1-2)
D1―Y―Lk―W―(A2―Lm2―B2―PL) (II’-1-3)
D1―(Y―Lk―W―A2―Lm2―B2―PL) (II’-1-4)
(PL―B1)―Lm1―A1―W―Lk―Y―D2 (II’-2-2)
(PL―B1―Lm1―A1―W―Lk―Y―D2 (II’-2-3)
(PL―B1―Lm1―A1―W―Lk―Y―D2 (II’-2-4)
式中、A1、A2、Lm1、Lm2、B1、B2、D1、D2、Y、Lk、W、a、b及びpはそれぞれ式(II’-1)又は式(II’-2)で定義したとおりである。
【0141】
ペイロード
本開示において、ペイロードは、小分子化合物、核酸及びその類似体、トレーサー分子(蛍光分子等を含む)、短ペプチド、ポリペプチド、ペプチド模倣体、及びタンパク質から選ばれてもよい。1つの実施形態において、ペイロードは、小分子化合物、核酸分子、及びトレーサー分子から選ばれる。好ましい実施形態において、ペイロードは、小分子化合物から選ばれる。より好ましい実施形態において、ペイロードは、細胞毒及びそのフラグメントから選ばれる。より好ましい実施形態において、ペイロードは、免疫アゴニスト及びそのフラグメントから選ばれる。
【0142】
1つの実施形態において、免疫アゴニストは、TLRアゴニスト及びSTINGアゴニストから選ばれ、好ましくはTLRアゴニスト(例えば、TLR7アゴニスト、TLR8アゴニスト、TLR7/8アゴニスト)等のTLRアゴニスト及びSTINGアゴニストである。1つの実施形態において、免疫アゴニストは、TLRアゴニストから選ばれる。
【0143】
1つの実施形態において、免疫アゴニストは、イミダゾキノリン類から選ばれる。1つの実施形態において、免疫アゴニストは式iの構造を有し、
【化42】
式中、
各Rは独立して、水素、ハロゲン、C1-7アルキル-OC(O)-C1-7アルキル、C1-7アルキル-OC(O)-C2-7アルケニル及び5~7員複素環から選ばれ、
10及びR11はそれぞれ独立して、水素及びC1-7アルキル基から選ばれ、
12は、C1-7アルキル基及びC1-7アルコキシ-C1-7アルキルから選ばれ、
13は、-OH及び-NHから選ばれる置換基によって任意に置換されるC1-7アルキルから選ばれ、
uは1、2、3又は4である。
【0144】
1つの実施形態において、免疫アゴニストは、化合物i-1~i-5から選ばれる。
【化43】
【0145】
1つの実施形態において、免疫アゴニストは、9H-プリンから選ばれる。1つの実施形態において、免疫アゴニストは式iiの構造を有し、
【化44】
式中、
は、-CH-、-NH-、-O-、-C(O)-から選ばれ、
14は、C1-7アルキル基、C1-7アルコキシ基及びC1-7アルキル-OC(O)-C1-7アルキルから選ばれ、
15及びR16はそれぞれ独立して、水素及びC1-7アルキルから選ばれ、
17は、-NH、-OH、C1-7アルキル基、C1-7アルコキシ基及び-NH-C1-7アルキルから選ばれ、
18は、-CH-アリール、及び-CH-ヘテロアリールから選ばれ、該アリール基及び該ヘテロアリール基はそれぞれ独立して、-C(O)OH又は
【化45】
から選ばれる置換基によって任意に置換される。
【0146】
1つの実施形態において、免疫アゴニストは、化合物ii-1及びii-2から選ばれる。
【化46】
【0147】
1つの実施形態において、免疫アゴニストは、5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジンから選ばれる。1つの実施形態において、免疫アゴニストは式iiiの構造を有し、
【化47】
式中、
19は、-OH、-NH、C1-7アルキル基、C1-7アルコキシ基及び-NH-C1-7アルキルから選ばれ、
20は、-CH-アリールから選ばれ、該アリール基は、-OH、C1-7アルコキシ及び-C1-7アルキル-ピペリジニルから選ばれる2つの置換基によって任意に置換される。
【0148】
1つの実施形態において、免疫アゴニストは化合物iii-1である。
【化48】
【0149】
1つの実施形態において、免疫アゴニストは、3H-ベンゾ[b]アゼピンから選ばれる。1つの実施形態において、免疫アゴニストは式ivの構造を有し、
【化49】
式中、
は、-CH-、-NH-、-C(O)-、-NHC(O)-及び-C(O)NH-から選ばれ、
21は、
【化50】
から選ばれ、Bはヘテロアリール環であり、
22は、水素及びC1-7アルキル基から選ばれ、
23及びR24はそれぞれ独立して、水素及びC1-7アルキル基から選ばれ、
は、-CH-及び-C(O)-から選ばれ、
25は、-N(C1-7アルキル)(C1-7アルキル)から選ばれ、
26、R27及びR28はそれぞれ独立して、水素及びC1-7アルキル基から選ばれ、
vは1、2又は3である。
【0150】
1つの実施形態において、免疫アゴニストは化合物iv-1である。
【化51】
【0151】
ペイロード担持式(I’)化合物の調製
1つの実施形態において、連結ユニットとペイロードは、縮合反応、求核付加、求電子付加等を含むがそれらに限定されない本分野で知られている任意の反応によって、上記で定義した反応性基を介して接続される。
【0152】
1つの実施形態において、ペイロードは免疫アゴニストであり、抗体-免疫アゴニストコンジュゲート(LPxで番号付けられ)は下記表及び図2aと図2bに示す化合物の1つである。
【0153】
【表3】
【0154】
式(III’)の化合物
一態様において、式(III’)(式(III’-1)又は式(III’-2))の化合物であって、
【化52】
式中、B1及びB2は式(I’)に定義したとおりである、前記化合物を提供する。
【0155】
1つの実施形態において、式(III’)の化合物は、下記ルートによってペイロード担持式(I’)化合物を調製するために用いることができる。
【0156】
【化53】
【0157】
ペイロード担持式(III’)化合物からペイロード担持式(I’)化合物への変換は、本分野の任意の知られている方法で、又は本明細書で説明したように、行うことができる。例えば、単一ステップ又は複数ステップ合成を行って構造フラグメント「D1―Y―Lk―W―A2」又は「A1―W―Lk―Y―D2」をペイロード担持式(III’)化合物中のマレイミド環に導入することができ、そして得られたスクシンイミド部分を含有する分子は、開環反応を行ってスクシンイミド環を開け、ペイロード担持式(I’)化合物(即ち、式(II’)化合物)を得ることができる。1つの実施形態において、「D1―Y―Lk―W―A2」又は「A1―W―Lk―Y―D2」は、式(III’)化合物に含有されるマレイミド基とチオール基又はアミノ基の反応によってペイロード担持式(III’)化合物に導入され、該チオール基又はアミノ基は「D1―Y―Lk―W―A2」又は「A1―W―Lk―Y―D2」の構築ブロックの一部である。1つの実施形態において、該チオール基は任意に誘導体化されたシスチンに含有される。1つの実施形態において、該アミノ基は任意に誘導体化されたリジンに含有される。
【0158】
1つの実施形態において、式(III’)の化合物は図3に示す化合物の1つである。
【0159】
コンジュゲート及びその調製
さらに、リガーゼ認識配列を含む部分を有するペイロード担持式(I’)化合物は、リガーゼ認識配列を含む別の分子とコンジュゲートすることができるため、例えば、抗体薬物コンジュゲート等の標的化分子-薬物コンジュゲートの調製に用いることができる。それに応じて、さらに別の態様において、式(I’)の化合物と、標的化分子と、ペイロードとを含むコンジュゲートを提供する。
【0160】
コンジュゲートの具体的な組成
さらに別の態様において、式(IV’)(式(IV’-1)又は式(IV’-2))の構造を有するコンジュゲートであって、
A―((式(I’)の化合物)―PL (IV’-1)
((式(I’)の化合物)―PL―A (IV’-2)
式中、
PLは式(I’)の化合物のA1又はA2部分に連結されたペイロードであり、
Aは式(I’)の化合物のD1又はD2部分に連結された標的化分子であり、
zは1~20の整数であり、
tは1~20の整数である、前記コンジュゲートを提供する。
tは式(I’)の化合物に連結されたPL(s)の数を表す。
【0161】
1つの実施形態において、ペイロードは、上記で定義した免疫アゴニストである。1つの実施形態において、コンジュゲートは抗体-免疫アゴニストコンジュゲートである。
【0162】
1つの実施形態において、式(I’)の化合物中のD1又はD2で表されるリガーゼ認識配列は、それとコンジュゲートすべき標的化分子中のリガーゼ認識配列に対応し、それによって標的化分子と式(I’)の化合物の部位特異的コンジュゲーションは実現される。コンジュゲートすべき標的化分子の末端修飾がリガーゼ供与体基質の認識配列に基づく末端修飾である場合、D1又はD2は独立してリガーゼ受容体基質の認識配列である。あるいは、コンジュゲートすべき標的化分子の末端修飾がリガーゼ受容体基質の認識配列に基づく末端修飾である場合、D1又はD2は独立してリガーゼ供与体基質の認識配列である。
【0163】
1つの実施形態において、zは1~10の整数であり、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である。
【0164】
1つの実施形態において、tは1~10の整数であり、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である。
【0165】
1つの実施形態において、tは1であり、式(IV’)のコンジュゲートは下記式(IV’-1-1)又は式(IV’-2-1)の構造を有し、
A―(D1―Y―Lk―W―A2―Lm2―B2―PL) (IV’-1-1)
(PL―B1―Lm1―A1―W―Lk―Y―D2)―A (IV’-2-1)
式中、PL、A1、A2、D1、D2、Y、W、Lk、a、b及びpはそれぞれ上記で定義したとおりである。
【0166】
別の実施形態において、tは2~20であり、式(IV’)のコンジュゲートは下記式(IV’-1-2)、(IV’-1-3)、(IV’-1-4)、(IV’-2-2)、(IV’-2-3)及び(IV’-2-4)の構造を有し、
A―(D1―Y―Lk―W―A2―Lm2―(B2―PL) (IV’-1-2)
A―(D1―Y―Lk―W―(A2―Lm2―B2―PL) (IV’-1-3)
A―(D1―(Y―Lk―W―A2―Lm2―B2―PL) (IV’-1-4)
((PL―B1)―Lm1―A1―W―Lk―Y―D2)―A (IV’-2-2)
((PL―B1―Lm1―A1―W―Lk―Y―D2)―A (IV’-2-3)
((PL―B1―Lm1―A1―W―Lk―Y―D2)―A (IV’-2-4)
式中、PL、A1、A2、D1、D2、Y、W、Lk、a、b、p及びzはそれぞれ式(IV’-1-1)又は式(IV’-2-1)で定義したとおりである。
【0167】
標的化分子
1つの実施形態において、標的化分子は抗体又はその抗原結合フラグメントである。
【0168】
本開示のいくつかの実施形態において、標的化分子(例えば抗体又はその抗原結合フラグメント)によって認識されるターゲットは、CD19、CD22、CD25、CD30/TNFRSF8、CD33、CD37、CD44v6、CD56、CD70、CD71、CD74、CD79b、CD117/KIT、CD123、CD138、CD142、CD174、CD227/MUC1、CD352、CLDN18.2、DLL3、ErbB2/HER2、CN33、GPNMB、ENPP3、ネクチン-4、EGFRvIII、SLC44A4/AGS-5、メソテリン、CEACAM5、PSMA、TIM1、LY6E、LIV1、ネクチン4、SLITRK6、HGFR/cMet、SLAMF7/CS1、EGFR、BCMA、AXL、NaPi2B、GCC、STEAP1、MUC16、Mesothelin、ETBR、EphA2、5T4、FOLR1、LAMP1、カドヘリン6、FGFR2、FGFR3、CA6、CanAg、インテグリンαV、TDGF1、エフリンA4、Trop2、PTK7、NOTCH3、C4.4A、FLT3、ROR1、ROR2、ROR1/2を含むが、それらに限定されない。
【0169】
1つの実施形態において、標的化分子は抗ヒトHER2抗体又はその抗原結合フラグメントである。抗ヒトHER2抗体の例としては、ペルツズマブ及びトラスツズマブを含むが、それらに限定されない。ペルツズマブはHER2の第2細胞外ドメイン(ECD2)に結合し、HER2陽性乳癌の治療用に承認されたものである。トラスツズマブはHER2の第4細胞外ドメイン(ECD4)に結合し、Her2陽性乳癌及び胃癌の治療用に承認されたものである。
【0170】
好ましい実施形態において、抗ヒトHER2抗体はトラスツズマブに基づく操作された抗HER2抗体から選ばれる1つ又は複数である。
【0171】
1つの実施形態において、標的化分子は、抗ヒトTROP2抗体又はその抗原結合フラグメントから選ばれる1つ又は複数である。特定の実施形態において、抗ヒトTROP2抗体は、Ab0064に基づく任意に操作された抗TROP2抗体から選ばれる1つ又は複数である。
【0172】
1つの実施形態において、標的化分子は、抗ヒトCLDN18.2抗体又はその抗原結合フラグメントから選ばれる1つ又は複数である。特定の実施形態において、抗ヒトCLDN18.2抗体は、Ab0098に基づく任意に操作された抗CLDN18.2抗体から選ばれる1つ又は複数である。
【0173】
好ましい実施形態において、抗ヒトHER2、TROP2又はCLDN18.2抗体は、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、抗体フラグメント、及び抗体模倣体から選ばれる組換え抗体である。1つの実施形態において、抗体模倣体は、scFv、ミニボディ、ダイアボディ、ナノボディから選ばれる。式(I’)の化合物とのコンジュゲーションのために、本開示の標的化分子は、式(I’)の化合物中のD1又はD2に接続する修飾部分を含んでもよい。このような修飾部分の導入位置は限定されず、例えば、標的化分子が抗体である場合、その導入位置は、抗体の重鎖又は軽鎖のC末端又はN末端に位置してもよいが、これに限定されない。
【0174】
代替的な実施形態において、式(I’)の化合物中のD1又はD2とのコンジュゲーション用の修飾部分は、例えば化学修飾法を使用して、抗体の重鎖又は軽鎖の非末端位置に導入してもよい。
【0175】
1つの実施形態において、本開示の標的化分子は、末端修飾を含み得る抗体又はその抗原結合フラグメントである。末端修飾とは、例えばリガーゼ認識配列を含む抗体の重鎖又は軽鎖のC末端又はN末端での修飾を指す。別の実施形態において、末端修飾は、2~100個のアミノ酸を含むスペーサーSp3をさらに含んでもよく、ここで抗体、Sp3及びリガーゼ認識配列は順次連結される。好ましい実施形態において、Sp3は2~20個のアミノ酸を含有するスペーサー配列である。特定の実施形態において、Sp3は、GA、GGGGS、GGGGSGGGGS及びGGGGSGGGGSGGGGSから選ばれるスペーサー配列であり、特にGAである。
【0176】
好ましい実施形態において、抗体又はその抗原結合フラグメントの軽鎖は、野生型(LC)と、リガーゼ認識配列LPXTGの直接導入によって修飾されたC末端修飾軽鎖(LCCT)と、短鎖ペプチドスペーサー及びリガーゼ供与体基質認識配列LPXTGの導入によって修飾されたC末端修飾軽鎖(LCCT)との3つのタイプを含む。抗体又はその抗原結合フラグメントの重鎖は、野生型(HC)と、リガーゼ認識配列LPXTGの直接導入によって修飾されたC末端修飾重鎖(HCCT)と、短鎖ペプチドスペーサー及びリガーゼ供与体基質認識配列LPXTGの導入によって修飾されたC末端修飾重鎖(HCCT)との3つのタイプを含む。Xは任意の天然又は非天然の単一アミノ酸であってもよい。アミノ酸配列表に示すように、式(IV’)の化合物におけるzが1又は2である場合、上記重鎖と軽鎖の組合せは8つの好ましい抗体分子を形成することができる。
【0177】
好ましい実施形態において、抗体又はその抗原結合フラグメントの軽鎖は、野生型(LC)と、リガーゼ認識配列GGGの直接導入によって修飾されたN末端修飾軽鎖(LCNT)と、短鎖ペプチドスペーサー及びリガーゼ受容体基質認識配列GGGの導入によって修飾されたN末端修飾軽鎖(LCNT)との3つのタイプを含む。抗体又はその抗原結合フラグメントの重鎖は、野生型(HC)と、リガーゼ認識配列GGGの直接導入によって修飾されたN末端修飾重鎖(HCNT)と、短鎖ペプチドスペーサー及びリガーゼ受容体基質認識配列GGGの導入によって修飾されたN末端修飾重鎖(HCNT)との3つのタイプを含む。
【0178】
本開示のコンジュゲートはペイロードをさらに含んでもよい。該ペイロードは上述したとおりである。
【0179】
コンジュゲートの具体的な実施形態
1、A及びLmが存在する式(IV’)化合物
pが1、D1がG、Gがグリシン、A2がチオール基とLm2の反応後に
【化54】
である式(IV’-1-1)のコンジュゲート、及び式(IV’-1-1)の化合物の構造は、下記式に示すとおりであり(式IV’-1-1-1又は式IIとする)、
【化55】
式中、nは3~10の整数であり、Lm2は
【化56】
又はそれらの混合物であり、
xは、水素、OH、NH、1~10個のアミノ酸を含むアミノ酸フラグメント、1~10個のヌクレオチドを含むヌクレオチドフラグメントから選ばれ、
Y、Lk及びWはそれぞれ式(IV’)で定義したとおりである。
【0180】
好ましい実施形態において、式(II)中、xは、OH、NH及びGlyから選ばれ、特にNHである。
【0181】
1つの実施形態において、式(II)中、aは0であり、bは0であり、n=3であり、LkはL-L-Lであり、Lは-NH-であり、Lは-C(O)-であり、Lは-(C-O)-C-であり、i=4であり、xはNHであり、式(II)の化合物の構造は下記式に示すとおりである(II-1)。
【化57】
【0182】
1つの実施形態において、式(II-1)中、B2は、下記表から選ばれる。
【0183】
【表4】
【0184】
1つの実施形態において、式(II-1)中、B2は、下記表から選ばれる。
【0185】
【表5】
【0186】
1つの実施形態において、式(II-1)中、Lm2は
【化58】
又はそれらの混合物であり、B2は-(CHC(O)-であり、kは2であり、コンジュゲートの構造は以下のとおりである(式AC102-1)。
【化59】
【0187】
1つの実施形態において、式(II-1)中、Lm2は
【化60】
又はそれらの混合物であり、B2は-(CHC(O)-であり、kは5であり、コンジュゲートの構造は以下のとおりである(式AC102-2)。
【化61】
【0188】
1つの実施形態において、式(II-1)中、Lm2は
【化62】
又はそれらの混合物であり、B2は-(CHC(O)-Val-Cit-PABC-であり、kは5であり、コンジュゲートの構造は以下のとおりである(式AC102-3)。
【0189】
【化63】
【0190】
1つの実施形態において、式(II-1)中、Lm2は
【化64】
又はそれらの混合物であり、B2は-(CHC(O)-Val-Cit-PABC-(NH-CR-C(O))-であり、kは5であり、dは1であり、R及びRは水素であり、コンジュゲートの構造は以下のとおりである(式AC102-4)。
【化65】
【0191】
1つの実施形態において、式(II-1)中、Lm2は
【化66】
又はそれらの混合物であり、B2は-(CHC(O)-(NH-CR-C(O))-NH-(C-O)-であり、kは2であり、dは1であり、jは1であり、R及びRはメチル基であり、コンジュゲートの構造は以下のとおりである(式AC102-7)。
【化67】
【0192】
1つの実施形態において、式(II-1)中、Lm2は
【化68】
又はそれらの混合物であり、B2は-(CHC(O)-(NH-CR-C(O))-であり、kは2でありであり、dは1であり、R及びRは水素であり、コンジュゲートの構造は以下のとおりである(式AC102-8)。
【化69】
【0193】
1つの実施形態において、式(II-1)中、Lm2は
【化70】
又はそれらの混合物であり、B2は-(CHC(O)-(NH-CR-C(O))-であり、kは2であり、dは2であり、R及びRはメチル基であり、R1’及びR2’は水素であり、コンジュゲートの構造は以下のとおりである(式AC102-11)。
【化71】
【0194】
特定の実施形態において、式(II)中、aは0であり、bは0であり、n=3であり、B2は-(Cys-NH)-であり、コンジュゲートの構造は以下のとおりである(式AC105)。
【化72】
【0195】
特定の実施形態において、式(II)中、aは0であり、bは0であり、n=3であり、LkはL-L-Lであり、Lは-NH-であり、Lは-C(O)-であり、Lは-(C-O)-C-であり、i=4であり、xはOHであり、コンジュゲートの構造は以下のとおりである(式AC106)。
【化73】
【0196】
特定の実施形態において、式(II)中、aは1であり、bは0であり、YはLであり、Lはロイシン(Leu)であり、n=3であり、LkはL-L-Lであり、Lは-NH-であり、Lは-C(O)-であり、Lは-(C-O)-C-であり、i=4であり、xはNHであり、コンジュゲートの構造は以下のとおりである(式AC107)。
【化74】
【0197】
さらに別の特定の実施形態において、式(II)中、aは1であり、bは0であり、YはQであり、Qはグルタミン(Gln)であり、n=3であり、LkはL-L-Lであり、Lは-NH-であり、Lは-C(O)-であり、Lは-(C-O)-C-であり、i=4であり、xはNHであり、コンジュゲートの構造は以下のとおりである(式AC108)。
【化75】
【0198】
特定の実施形態において、式(II)中、aは0であり、bは0であり、n=3であり、LkはL-L-Lであり、Lは-NH-であり、Lは-C(O)-であり、Lは-C10-であり、コンジュゲートの構造は以下のとおりである(式AC109)。
【化76】
【0199】
さらに別の特定の実施形態において、式(II)中、aは0であり、bは0であり、n=3であり、LkはL-L-Lであり、Lは-NH-であり、Lは-C(O)-であり、Lは1つの-NR基で置換された-C10-基であり、Rは水素であり、Rは-C(O)CHであり、xはNHであり、コンジュゲートの構造は以下のとおりである(式AC110)。
【化77】
【0200】
D2がLPXTG、A1がチオール基とLm2の反応後に
【化78】
の場合の式(IV’-2)のコンジュゲート、及び式(IV’-2-1)の化合物の構造は、下記式に示すとおりであり(IV’-2-1-1)、
【化79】
式中、xは、水素、1~10個のアミノ酸を含むアミノ酸フラグメント、1~10個のヌクレオチドを含むヌクレオチドフラグメントから選ばれ、Lm1は
【化80】
又はそれらの混合物であり、
Y、Lk及びWはそれぞれ式(IV’)で定義したとおりである。
【0201】
1つの実施形態において、xは水素である。
【0202】
2、A及びLmが存在しない式(IV’)化合物
pが0、D1がG、Gがグリシンである式(IV’-1-1)の連結ユニット、及び式(IV’-1-1)の化合物の構造は、下記式に示すとおりであり(IV’-1-1-2)、
【化81】
式中、nは3~10の整数であり、
Y、Lk、W、a及びbはそれぞれ式(IV’)で定義したとおりである。
【0203】
1つの実施形態において、式(IV’-1-1-2)中、aは0であり、bは0であり、n=3であり、LkはL-L-Lであり、Lは-NH-であり、Lは-C(O)-であり、Lは-(C-O)-C-であり、i=4であり、B2は-(Lys-NH)-であり、コンジュゲートの構造は以下のとおりである(式AC201)。
【化82】
【0204】
コンジュゲートの調製
本開示のコンジュゲートは本分野の任意の知られている方法によって調製してもよい。いくつかの実施形態において、コンジュゲートは標的化分子とペイロード担持式(I’)化合物のリガーゼ触媒部位特異的コンジュゲーションによって調製され、ここで該標的化分子はリガーゼ認識配列により修飾される。該方法はステップA及びステップBを含む。
【0205】
ステップA、連結ユニット-ペイロード中間体の調製
好ましい実施形態において、式(I’)の化合物中のB1又はB2はそれぞれ独立して反応性基を介して対応する反応性基を含有するペイロードに共有連結され、ここで反応性基はそれぞれ上記で定義したとおりである。
【0206】
本開示の式(I’)の化合物を用いて調製された連結ユニット-ペイロード中間体は、規定の構造、規定の組成及び高い純度を有するため、抗体とのコンジュゲーション反応を行う際に、導入される不純物がより少ない、又は他の不純物が導入されない。リガーゼ認識配列を含有する修飾抗体とのリガーゼ触媒部位特異的コンジュゲーションにこのような中間体を使用すると、得られたADCは均質で高度に制御可能な品質を有する。
【0207】
ステップB、ペイロード担持式(I’)化合物への標的化分子の連結
本開示の標的化分子は本分野の任意の知られている方法によってペイロード担持式(I’)化合物(即ち、式(II’)の化合物)とコンジュゲートすることができる。例えば、リガーゼ触媒部位特異的コンジュゲーション技術を適用し、標的化分子とペイロード担持式(I’)化合物を基質のリガーゼ特異的認識配列によって互いに連結する。認識配列は採用される具体的なリガーゼによって決まる。1つの実施形態において、標的化分子は、軽鎖及び/又は重鎖のC末端に導入された、認識配列に基づく末端修飾を有する抗体であり、該標的化分子は、野生型の又は最適に操作されたリガーゼ又はそれらの任意の組合せの触媒作用下で、適切な触媒反応条件下で、式(II’)の化合物とコンジュゲートされる。
【0208】
具体的な実施形態において、リガーゼはソルターゼAであり、コンジュゲーション反応は以下のスキームで表すことができる。
【化83】
【0209】
三角形及び五角形は、それぞれ、抗体の一部又は式(II’)の化合物の一部、及び交換可能な位置のいずれかを表す。n、X及びJはそれぞれ上記で定義したとおりである。受容体基質の対応する認識配列であるGとコンジュゲートされる場合、LPXTGJ配列におけるグリシンの上流のペプチド結合は、ソルターゼAにより切断され、得られた中間体はGの遊離N末端に連結されて新しいペプチド結合を生成する。得られたアミノ酸配列はLPXTGである。配列G及びLPXTGJは上記で定義したとおりである。
【0210】
具体的なコンジュゲートの表
1つの実施形態において、ペイロードは免疫アゴニストである。1つの実施形態において、抗体は修飾トラスツズマブであり、好ましくはAb0001-LCCT-HC(軽鎖:配列番号1、重鎖:配列番号2)である。Ab0001-LCCT-HCの配列はAb0001(トラスツズマブ)のアミノ酸配列に基づくものであり、GALPETGGは軽鎖のC末端に導入され、ここでLPETGGはリガーゼ供与体基質の認識配列であり、GAはスペーサー配列である。1つの実施形態において、抗体-免疫アゴニストコンジュゲートは下記表及び図4aと図4bに示すとおりである。
【0211】
【表6】
【0212】
医薬組成物及び医薬製剤
本開示の別の目的は、予防的又は治療的有効量の本開示のコンジュゲートと、少なくとも1つの薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供することである。
【0213】
本開示の医薬組成物は、ヒト又は動物の症状を予防、軽減、防止又は治癒する効果を達成できる限り、任意の方式で投与してもよい。例えば、投与経路に応じて、様々な適切な剤形、特に注射用凍結乾燥粉末、注射薬、又は注射用滅菌粉末等の注射剤を調製することができる。
【0214】
用語「薬学的に許容される」とは、通常の医学的判断の範囲内で患者の組織と接触した場合に、不当な毒性、刺激、又はアレルギー反応等が生じず、妥当な利点/欠点比を有し、使用目的に有効であることを意味する。
【0215】
薬学的に許容される担体という用語は、薬学的に許容され、コンジュゲートの生物活性及び特性を妨げない担体材料をいう。水性担体の例としては、緩衝食塩水等を含むが、それらに限定されない。薬学的に許容される担体は、組成物を生理的条件に近付ける担体材料、例えばpH調整剤、緩衝剤、毒性調整剤等、及び酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウム等をも含む。
【0216】
1つの実施形態において、本開示の医薬組成物は1~20の整数又は非整数の薬物抗体比(DAR)を有し、例えば1~10、1~8、1~6、1~4、1~3.5、1~3、1~2.5であり、好ましくは1~2である。1つの実施形態において、本開示の医薬組成物は約1.5~約2のDARを有し、好ましくは約1.6~約2であり、より好ましくは約1.7~約2である。
【0217】
治療方法及び使用
本開示のコンジュゲートは腫瘍及び/又は自己免疫疾患の治療に有用である。コンジュゲート治療の影響を受けやすい腫瘍は、特定の腫瘍関連抗原又は細胞表面受容体によって特徴付けられる腫瘍、及びコンジュゲート中の標的化分子により認識され、コンジュゲート中のアゴニストの免疫細胞活性化活性の影響を受け得る腫瘍を含む。
【0218】
それに応じて、さらに別の態様において、腫瘍又は自己免疫疾患から選択される疾患、障害又は症状を治療する薬剤を製造するための、本開示のコンジュゲート又は本開示の医薬組成物の使用をさらに提供する。
【0219】
別の態様において、腫瘍又は自己免疫疾患を治療するための、本開示のコンジュゲート又は本開示の医薬組成物の使用を提供する。
【0220】
さらなる態様において、腫瘍又は自己免疫疾患を治療する方法であって、需要のある個体に有効量の本開示のコンジュゲート又は本開示の医薬組成物を投与することを含む、前記方法を提供する。
【0221】
好ましい実施形態において、抗ヒトHER2抗体とペイロードのコンジュゲーションによって形成された本開示のコンジュゲートは、腫瘍細胞表面上のHER2に特異的に結合し、HER2発現腫瘍細胞を選択的に死滅させることができる。別の好ましい実施形態において、HER2陽性腫瘍から選択される疾患、障害又は症状を治療する薬剤を製造するための、本開示のコンジュゲート又は本開示の医薬組成物の使用を提供する。より好ましい実施形態において、該疾患、障害又は症状は、乳癌、胃癌、肺癌、卵巣癌、尿路上皮癌等から選択される。
【0222】
好ましい実施形態において、抗ヒトTROP2抗体とペイロードのコンジュゲーションによって形成された本開示のコンジュゲートは、腫瘍細胞表面上のTROP2に特異的に結合し、TROP2発現腫瘍細胞を選択的に死滅させることができる。別の好ましい実施形態において、TROP2陽性腫瘍から選択される疾患、障害又は症状を治療する薬剤を製造するための、本開示のコンジュゲート又は本開示の医薬組成物の使用を提供する。より好ましい実施形態において、該疾患、障害又は症状は、乳癌、尿路上皮癌、肺癌、肝臓癌、子宮内膜癌、頭頸部癌、卵巣癌等から選択される。
【0223】
好ましい実施形態において、抗ヒトCLDN18.2抗体とペイロードのコンジュゲーションによって形成された本開示のコンジュゲートは、腫瘍細胞表面上のCLDN18.2に特異的に結合し、CLDN18.2発現腫瘍細胞を選択的に死滅させることができる。別の好ましい実施形態において、CLDN18.2陽性腫瘍から選択される疾患、障害又は症状を治療する薬剤を製造するための、本開示のコンジュゲート又は本開示の医薬組成物の使用を提供する。より好ましい実施形態において、該疾患、障害又は症状は、胃癌又は膵臓癌等から選択される。
【0224】
対象に投与されるコンジュゲートの用量は、かなりの範囲で調整することができる。該用量は、具体的な投与経路及び対象のニーズに応じて変化してもよく、医療専門家の判断に従ってもよい。
【0225】
有益な効果
本開示は独特の構造を有する連結ユニットを利用し、リガーゼを使用して標的化分子とアゴニストのコンジュゲーションを触媒する。本開示のコンジュゲートは高い均質性、高い活性及び高い選択性を有する。特に、細胞内代謝産物は、標的抗原の発現が低い、又は発現していない細胞に対する細胞増殖毒性が大幅に軽減する。さらに、連結ユニット-アゴニスト中間体の毒性は遊離アゴニストより遥かに低いため、薬物の製造プロセスによる悪影響が少なく、工業生産に有利である。
【0226】
本開示のコンジュゲートは以下の少なくとも1つの技術効果を達成する。
(1)標的細胞に対する高い阻害活性、又は標的細胞に対する強力な死滅効果。
(2)良好な物理化学的特性(例えば、溶解性、物理的及び/又は化学的安定性)。
(3)良好な薬物動態特性(例えば、血漿中での高い安定性、適切な半減期及び作用持続時間)。
(4)高い安全性(標的外の正常細胞又は組織に対する毒性が低く、及び/又は副作用が少なく、治療ウィンドウが広い)等。
【0227】
実施例
調製例
発明の目的及び技術的解決手段をより明確に説明するために、以下において具体例により本開示をさらに説明する。これらの実施例は本開示の範囲を限定するためのものではないことを理解すべきである。以下の実施例に記載されていない具体的な実験方法は、従来の実験方法に従って実施する。
【0228】
器具、材料及び試薬
特に断らない限り、実施例において使用される器具及び試薬は市販されるものである。試薬はさらに精製することなく直接使用できる。
MS:Thermo Fisher Q Exactive Plus、Water2795-Quattro micro三連四重極質量分析計
HPLC:Waters2695、Agilent1100、Agilent1200
セミ分取HPLC:Lisure HP plus 50D
フローサイトメトリー:CytoFLEX S
HIC-HPLC:Butyl-HIC、移動相A:25mM PB、2M (NHSO、pH7.0、移動相B:25mM PB、pH7.0、流量:0.8ml/min、収集時間:25min、試料注入量:20μg、カラム温度:25℃、検出波長:280nm、サンプル室温度:8℃。
SEC-HPLC:カラム:TSK-gel G3000 SWXL、TOSOH 7.8mm ID × 300mm、5μm、移動相:0.2M KHPO、0.25M KCl、pH6.2、流量:0.5ml/min、収集時間:30min、試料注入量:50μl、カラム温度:25℃、検出波長:280nm、サンプルトレイ温度:8℃。
CHOはThermo Fisher Scientificから入手した。pcDNA3.3はLife Technologyから入手した。HEK293FはPrejinから入手した。PEIMAXトランスフェクション試薬はPolyscienceから入手した。MabSelect Sure ProAはGEから入手した。Capto S ImpActはGEから入手した。リンクアミドMBHA樹脂及びジクロロ樹脂はNankai synthesisから入手した。HCC1954はATCC CAT# CRL-2338として入手した。SK-BR-3はATCC CAT# HTB-30として入手した。BT474細胞はATCC CAT# HTB-20として入手した。JIMT1細胞はDSMZ CAT#ACC589として入手した。Colo205細胞はATCC CAT# CRL-222として入手した。NCI-N87-Claudin18.2ヒト胃癌細胞はKYinno Biotechnology Co., Ltdから入手した。クローディン18.2陰性NCI-N87親細胞はATCC CAT# CRL-5822として入手した。MC38hHER2マウス結腸直腸癌細胞はBiocytogenから入手した。NUGC4ヒト胃癌細胞はJCRB CAT#JCRB0834として入手した。NCI-N87細胞(ATCC CAT# CRL-5822)。MDA-MB-468はATCC CAT# HTB-132として入手した。
【0229】
実施例1 抗体発現ベクターの構築、抗体発現、精製及び同定
1.1 修飾抗ヒトHER2抗体Ab0001-LCCT-HCの産生
抗体Ab0001-LCCT-HC(軽鎖:配列番号1、重鎖:配列番号2)の発現プラスミドは次のように構築される。抗体Ab0001-LCCT-HCの配列をトラスツズマブのアミノ酸配列に基づくものとし、GALPETGGを軽鎖のC末端に導入し、ここでLPETGGはリガーゼ供与体基質の認識配列であり、GAはスペーサー配列である。プラスミドをCHO細胞内にトランスフェクトし、高発現細胞集団のための細胞集団を構築しスクリーニングし、該細胞集団はトラスツズマブの培養プロセスを参照して5~10Lの反応器内で培養されたものであり、そして上清を回収した。
【0230】
1.2 抗体Ab0001-LCCT-HCの精製
Ab0001-LCCT-HCの精製はMabSelectアフィニティークロマトグラフィーとSepharose S陽イオン交換クロマトグラフィーの組合せを使用した標準プロセスで実施し、精製物を元のトラスツズマブ薬物緩衝液(5mMヒスチジンHCl、2%トレハロース、0.009%ポリソルベート20、PH6.0)で溶解し、少量ずつ凍結させる。
【0231】
1.3 抗体Ab0001-LCCT-HCの品質管理
上記精製された抗体Ab0001-LCCT-HCの純度はSDS-PAGEで98.5%であり、サンプルの高分子量ポリマー含有量はSEC-HPLCで0.4%未満であり、エンドトキシン含有量は0.098EU/mg未満である。
【0232】
1.4 他の修飾抗ヒト抗体の調製
同様な方法に従って、リガーゼ認識配列に基づく末端修飾をトラスツズマブの軽鎖及び/又は重鎖のC末端にそれぞれ導入し、修飾抗体を得た。
Ab0001(トラスツズマブ)に基づく修飾抗ヒトHER2抗体を表1に示す。末端修飾配列におけるLPETGGはリガーゼ供与体基質の認識配列であり、GAはスペーサー配列である。
【0233】
【表7】
【0234】
修飾抗ヒトTROP2抗体Ab0064-LCCT-HCを表2に示す。末端修飾配列におけるLPETGGはリガーゼ供与体基質の認識配列であり、GAはスペーサー配列である。
【0235】
【表8】
【0236】
修飾抗ヒトCLDN18.2抗体を表3に示す。末端修飾配列におけるLPETGGはリガーゼ供与体基質の認識配列であり、GAはスペーサー配列である。
【0237】
【表9】
【0238】
実施例2 中間体の調製
2.1 連結ユニットの調製
2.1.1 A及びLmが存在する連結ユニット
リンクアミドMBHA樹脂又はジクロロ樹脂を使用して従来の固相ポリペプチド合成によって式(I’)の部分Aを含有する連結ユニットフラグメントLU102~LU110を合成した。連結ユニット内のLk構造のアミノ酸及びアミノ基を保護するためにFmocを使用した。コンジュゲーション試薬は、HOBT、HOAt/DIC、DCC、EDCI又はHATUから選ばれる。合成後、トリフルオロ酢酸を用いて樹脂を切断した。生成物をHPLCで精製し、凍結乾燥し、保存して使用に備える。連結ユニットフラグメントを下記表及び図5に示す。
【0239】
【表10】
【0240】
上記表における連結ユニットフラグメントを、マレイミド構造又はその誘導体を含有する連結ユニットフラグメントと反応させ、続いてWO2015165413A1に記載の方法を用いて開環反応を行って連結ユニットLN102-1-1、LN102-2-1、LN102-3-1、LN102-4-1、LN102-7-1、LN102-8-1、LN102-11-1を得た。それらの構造は上記で示したとおりである。下記表において、
【表11】
【0241】
2.1.2 A及びLmが存在しない連結ユニット
リンクアミドMBHA樹脂を使用して従来のの固相ポリペプチド合成によって連結ユニットLN201を合成した。連結ユニット中のアミノ酸を保護するためにFmocを使用した。コンジュゲーション試薬は、HOBt、HOAt/DIC、DCC、EDCI又はHATUから選ばれる。合成後、トリフルオロ酢酸を用いて樹脂を切断した。生成物をHPLCで精製し、凍結乾燥し、保存して使用に備える。理論分子量:785.9、測定値:[M+H]=786.8。
【0242】
2.2 連結ユニット-アゴニスト中間体の調製
2.2.1 連結ユニット-アゴニスト中間体LP102-1-4の調製
【化84】
【0243】
ステップ1で、4-クロロ-3-ニトロキノリン(6.25g、30.0mmol)をDCM(100mL)で溶解し、BocNH(CHNH(5.76g、30.6mmol)、続いてTEA(8.0mL、61.8mmol)で処理した。反応を室温で24h維持した後、HO(80mL)、塩水(50mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。黄色固体の目的化合物HX20099-aを得た(10.0g、92.5%)。MS m/z 361.5 [M+H]
[0265]ステップ2で、ニトロ化合物(HX20099-a)(3.0g、8.33mmol)をTHF(100mL)及び水(80mL)で溶解した。亜鉛(13.54g、208.3mmol)を一括で添加し、続いてNHCl(13.4g、250.0mmol)を添加した。懸濁液を室温で1h強く撹拌した(TLC)。濾過後、ケーキをTHF(20mL x 2)で洗浄した。濾液に水相が飽和するまでNaClを添加した。液相を収集し、THF層を分離した。水層をTHF/EAで抽出した(50mL/50mL)。有機層を組み合わせ、MgSOで乾燥させ、濃縮して次のステップのための残渣(HX20099-b)を得た(3.1g、>100%)。MS m/z 331.5 [M+H]
【0244】
ステップ3で、アミン化合物(HX20099-b)(660mg、粗製、<2.0mmol)及びオルト吉草酸トリエチル(816mg、4.0mmol)をトルエン(50mL)に懸濁させ、110℃に加熱した。次いで、ピリジンHCI(23.2mg、0.2mmol)を添加した。反応を4h加熱した。混合物を室温で48h維持した(TLC)。液体をデカントし、残った固体/残渣をトルエン(10mL x 2)とともに撹拌し、液体と混合し、濃縮した。残渣をDCMで溶解し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM中メタノール、0~10~20%、30gカラム)によって精製して目的化合物HX20099-cを得た(300mg、2ステップで37.8%)。MS m/z 397.5 [M+H]
【0245】
ステップ4で、化合物HX20099-c(200mg、0.51mmol)をDCM(8mL)で溶解し、mCPBA(261.5mg、1.52mmol)で処理した。反応を室温で4h維持した。混合物をNaHCO飽和溶液(15mL x 3)で洗浄し、乾燥させ、濃縮して次のステップのための粗生成物HX20099-dを得た。MS m/z 413.5 [M+H]
【0246】
ステップ5で、圧力管内で、化合物HX20099-d(200mg、<0.48mmol)をジクロロエタン(15mL)で溶解し、濃水酸化アンモニウム(28%、0.24mL)で処理し、温度を0℃にした。この混合物に、冷却後に塩化トシル(104mg、0.54mmol)を3minかけて徐々に添加した。濃水酸化アンモニウム(0.12mL)を添加し、管を密封した。管を80℃で4h加熱した(TLC)。冷却後、混合物をDCM(25mL)で希釈し、水(30mL)で洗浄し、乾燥させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して目的化合物(HX20099-e)を得た(150mg、76%)。MS m/z 412.5 [M+H]
【0247】
ステップ6で、化合物HX20099-e(150mg、0.36mmol)をTFA/DCM(2mL/6mL)で室温にて2h処理した(HPLC)。次に、反応を真空中で乾燥させ、残渣をセミ分取/分取HPLCによって精製し、凍結乾燥して化合物i-3を得た(74mg、66%)。MS m/z 312.5 [M+H]
[0270]ステップ7で、化合物i-3(62mg、0.2mmol)をDMF(5mL)で溶解し、DIPEA(66μL、0.4mmol)及びN-スクシンイミジル3-マレイミドプロピオネート(63.9mg、0.24mmol)で処理した。反応を室温で3h維持し(HPLC)、そして混合物をそのまま次のステップに使用した。
【0248】
ステップ8~9で、ステップ7からの混合物を連結ユニットLU102(161mg、0.3mmol)とHO(5mL)の溶液で処理した。混合物を0~40℃にて0.5~20h反応させた。次いで、反応混合物を適量のトリス塩基溶液又は開環反応を促進する他の溶液と混合し、反応を0~40℃で0.2~20h進行させた。反応完了後、生成物をセミ分取/分取HPLCによって精製し、凍結乾燥して連結ユニット-アゴニストLP102-1-4を得た(60mg、3ステップで30%)。MS m/z 1019.5 [M+H]
【0249】
2.2.2 連結ユニット-アゴニストLP201-1-1の調製
【化85】
【0250】
ステップ1、Fmoc-LP201-1-1の調製
購入したアゴニストii-1を秤量し、DMFで溶解した。次いで、DIEA又はEtNと、HOBt、HOAt/DIC、DCC、EDCI又はHATUから選ばれるコンジュゲーション試薬とを添加した。混合物を10~120min撹拌した。次いで、連結ユニットLN201とDMFの溶液を反応混合物に添加し、0~40℃で0.5~20h反応させた。反応完了後、生成物をセミ分取/分取HPLCによって精製し、凍結乾燥してFmoc-LP201-1-1を得た。理論分子量:1127.2、測定値:[M+H]=1127.7。
【0251】
ステップ2、連結ユニット-アゴニストLP201-1-1の調製
Fmoc-LP201-1-1を秤量し、ピペリジン/DMF(v/v=1:4)で溶解した。次いで、混合物を0~40℃で0.5~20h反応させた。反応完了後、生成物をセミ分取/分取HPLCによって精製し、凍結乾燥してLP201-1-1を得た。理論分子量:905.0、測定値:[M+H]=905.6。
【0252】
【表12】
【0253】
実施例3 標的化分子-薬剤コンジュゲートの調製
連結ユニット-アゴニスト中間体をリガーゼによって部位特異的に抗体にそれぞれコンジュゲーしてAIACを形成した。コンジュゲーション反応の方法はWO2015165413A1を参照すればよい。得られたAIACsは下記表に示すとおりである。
【0254】
【表13】
【0255】
効果例1 インビトロでの抗体免疫アゴニストコンジュゲートの評価
ヒト末梢単核細胞の単離
SepMate50及びLymphoprep(Stem Cell Technologies)を使用して健康な献血者からヒト末梢単核細胞を単離した。生細胞を計数し、10%FBSを含むRPMI1640培地で細胞濃度を1.25x10/mlに調整した。腫瘍細胞をトリプシンによって剥離し、回収した。生細胞を計数し、10%FBSを含むRPMI1640培地で細胞濃度を2.5x10/mlに調整した。12.5x10のヒトPBMC及び2.5x10の腫瘍細胞(PBMC:腫瘍細胞=5:1)を96ウェルプレートのウェルに添加し、次いで抗体又はコンジュゲートを指定の濃度で添加した。細胞混合物を薬物とともに18時間インキュベートしてから、ヒトTNFα ELISA用に無細胞上清を収集した。
【0256】
HER2標的免疫コンジュゲートの活性を評価するために、ヒトPBMC及びNCI N87ヒト胃癌細胞を5:1の比率で共培養し、抗体又は試験免疫コンジュゲート(AC102-6-1-1又はAC102-8-1-1)を指定の濃度で添加した。AC102-6-1-1は抗体Ab0001より高いTNFα産生を誘導し、AC102-6-1-1の有効濃度はペイロードのレシキモドより遥かに低かった(図6)。AC102-8-1-1は、AC102-6-1-1と同様に、Ab0001より高いレベルのTNFαを誘導した(図7)。AC102-6-1-1の活性はヒトPBMCとMDA-MB-468 HER2陰性細胞の共培養において観察されず、このことからAC102-6-1-1の活性が標的腫瘍細胞上のHER2発現に大きく依存することが分かる(図8)。このデータを考慮して、免疫コンジュゲートの活性は、ヒトPBMCと、HCC1954(図9)、SK-BR-3(図10)、BT474(図11)、JIMT1(図12)、Colo205(図13)、MDA-MB-468(図14)を含む異なるHER2発現レベルの他の癌細胞との共培養で試験した。データによると、AC102-8-1-1はPBMCとHER2 high腫瘍細胞との共培養においてのみTNFαを誘導できる。
【0257】
同様な実験設定において、他のいくつかのコンジュゲートのインビトロ活性を評価した(図15図17)。AC102-2-1-1及びAC102-3-1-1は同じアゴニストペイロードを有するが、連結ユニットが異なり、異なるレベルのTNFα産生を誘導した(図15)。
【0258】
効果例2 インビトロでの抗体免疫アゴニストコンジュゲートの評価
TROP2標的免疫コンジュゲートの活性を評価するために、ヒトPBMCとNCI-N87ヒト胃癌細胞を5:1の比率で共培養し、試験免疫コンジュゲート(AC102-8-2-1又はAC102-6-2-1)又は裸の未修飾抗TROP2抗体を指定の濃度で添加した。ヒトPBMCの単離及び実験設定は効果例1と同様にした。AC102-8-2-1及びAC102-6-2-1は抗体Ab0064(軽鎖:配列番号17、重鎖:配列番号18)より高いTNFα産生を誘導した(図18)。
【0259】
効果例3 インビトロでの抗体免疫アゴニストコンジュゲートの評価
クローディン18.2はAIACターゲットの例とすることもできる。クローディン18.2標的免疫コンジュゲートの活性を評価するために、NCI-N87-Claudin18.2ヒト胃癌細胞過剰発現ヒトクローディン18.2又は親NCI-N87細胞をヒトPBMCと1:5の比率で共培養し、試験免疫コンジュゲート(AC102-8-3-1又はAC201-1-3-1)又は裸の未修飾抗クローディン18.2抗体を指定の濃度でそれぞれ添加した。ヒトPBMCの単離及び実験設定は効果例1と同様にした。AC102-8-3-1及びAC201-1-3-1コンジュゲートは抗体Ab0098に比べてより高いTNFα産生を誘導したが(図19)、これらのコンジュゲートは、クローディン18.2陰性NCI-N87親細胞において非常に高い用量で極僅かなTNFα産生しか誘導しなかった(図20)。リンカー-ペイロード中間体LP201-1-1とAb0098-LCCT-HCを使用して調製されたコンジュゲートは、リンカー-ペイロード中間体LP102-8-1とAb0098-LCCT-HCを使用して調製されたコンジュゲートに比べて、この2つのペイロードの効力と一致するように、より穏やかな活性を示した。
【0260】
効果例4 インビトロでの抗体免疫アゴニストコンジュゲートの評価
HER2標的免疫コンジュゲートの活性を評価するために、ヒトPBMCとSK-BR-3(図21)又はHCC1954(図22)ヒト乳癌細胞を5:1の比率で共培養し、免疫コンジュゲート(AC102-6-1-1)及び抗体(Ab0001)を指定の濃度で添加した。細胞を薬物とともに18時間インキュベートした後、ELISAによるヒトIFNγ検出のために無細胞上清を収集した。ヒトPBMCの単離及び実験設定は効果例1と同様にした。AC102-6-1-1は抗体Ab0001より高いIFNγ産生を誘導しており、T細胞応答を活性化する潜在的な能力が示唆されている。
【0261】
効果例5 インビボでの抗体免疫アゴニストコンジュゲートの評価
インビボ抗腫瘍効果研究のために、1x10のNCI-N87ヒト胃癌細胞をSCIDベージュマウスの右脇腹に皮下接種した。6日後、腫瘍体積が平均173mmに達した時、腫瘍担持マウスを振り分け、Ab0001又は又は試験免疫コンジュゲート(AC102-6-1-1又はAC102-8-1-1)を5mg/kgで静脈内投与した。腫瘍体積を週に2回ノギスで測定した。抗体自体、Ab0001は、非常に限られた抗腫瘍活性を示した。AC102-6-1-1及びAC102-8-1-1は、最終的に腫瘍をほぼ治癒した(図23)。別の研究では、AC102-8-1-1は0.5、1、及び3mg/kgで用量依存的な活性を示した(図24)。
【0262】
5x10 のJIMT1ヒト乳癌細胞をSCIDベージュマウスの右脇腹に皮下接種して異種移植モデルを生成した。9日後、腫瘍体積が平均149mmに達した時、腫瘍担持マウスにAC102-8-1-1を5mg/kgで静脈内投与した。腫瘍の増殖は大幅に阻害された(図25)。
【0263】
MC38hHER2マウス結腸直腸癌細胞を過剰発現する5x10 のヒトHER2をC57BL/6マウスの右脇腹に皮下接種した。8日後、腫瘍体積が平均90mmに達した時、腫瘍担持マウスを振り分け、Ab0001又はAC102-6-1-1を静脈内投与した。10mg/kgでのAb0001は明らかな抗腫瘍活性を示さなかった。3mg/kg及び10mg/kgでのAC102-6-1-1は用量依存的に腫瘍増殖を阻害した(図26)。同様な設定において、3mg/kg及び10mg/kgでのAC102-8-1-1は両方ともマウスの100%において完全な腫瘍退縮を誘導した(図27)。
【0264】
効果例6 インビボでの抗体免疫アゴニストコンジュゲートの評価
抗TROP2 AIACのインビボ抗腫瘍効果を試験するために、1x10のNCI-N87ヒト胃癌細胞をSCIDベージュマウスの右脇腹に皮下接種した。腫瘍体積が平均182mmに達した時、腫瘍担持マウスを振り分け、ビヒクル又は試験免疫コンジュゲート(AC102-6-2-1、AC102-8-2-1又はAC201-1-2-1)を5mg/kgで静脈内投与した。腫瘍体積を週に2回ノギスで測定した。ビヒクル対照群に比べ、AC102-6-2-1及びAC102-8-2-1は強い抗腫瘍活性を示した(図28)。
【0265】
1千万のMDA-MB-468ヒト乳癌細胞をSCIDベージュマウスの右脇腹に皮下接種して異種移植モデルを生成した。腫瘍体積が平均183mmに達した時、腫瘍担持マウスを振り分け、ビヒクル又は試験免疫コンジュゲート(AC102-8-2-1又はAC201-1-2-1)を静脈内投与した。AC102-8-2-1及びAC201-1-2-1は3mg/kgで良好且つ同等の抗腫瘍活性を示した。AC102-8-2-1は3mg/kgで、0.5mg/kgの場合より高い抗腫瘍応答を示し、用量依存的な効果を示した(図29)。
【0266】
効果例7 インビボでの抗体免疫アゴニストコンジュゲートの評価
NUGC4モデルを使用して抗クローディン18.2AIACのインビボ抗腫瘍効果を評価した。1百万のNUGC4ヒト胃癌細胞をBALB/cヌードマウスの右脇腹に皮下接種して異種移植モデルを生成した。腫瘍体積が平均108mmに達した時、腫瘍担持マウスを振り分け、試験抗クローディン18.2コンジュゲート(AC102-8-3-1)又は対応する裸の未修飾抗体を0日目と14日目に、5mg/kgで静脈内投与した。腫瘍体積を週に2回ノギスで測定した。抗体単独、Ab0098(軽鎖:配列番号21、重鎖:配列番号22)は、抗腫瘍活性を示さず、AC102-8-3-1は抗腫瘍活性を示した(図30)。
【0267】
配列表
配列番号1:Ab0001-LCCT-HC 軽鎖:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVNTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSRSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQHYTTPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGECGALPETGG

配列番号2:Ab0001-LCCT-HC 重鎖:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFNIKDTYIHWVRQAPGKGLEWVARIYPTNGYTRYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCSRWGGDGFYAMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK

配列番号3:Ab0001-LC-HCCT 軽鎖:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVNTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSRSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQHYTTPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC

配列番号4:Ab0001-LC-HCCT 重鎖:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFNIKDTYIHWVRQAPGKGLEWVARIYPTNGYTRYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCSRWGGDGFYAMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKLPETGG

配列番号5:Ab0001-LC-HCCT 軽鎖:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVNTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSRSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQHYTTPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC

配列番号6:Ab0001-LC-HCCT 重鎖:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFNIKDTYIHWVRQAPGKGLEWVARIYPTNGYTRYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCSRWGGDGFYAMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKGALPETGG

配列番号7:Ab0001-LCCT-HC 軽鎖:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVNTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSRSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQHYTTPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGECLPETGG

配列番号8:Ab0001-LCCT-HC 重鎖:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFNIKDTYIHWVRQAPGKGLEWVARIYPTNGYTRYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCSRWGGDGFYAMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK

配列番号9:Ab0001-LCCT-HCCT 軽鎖:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVNTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSRSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQHYTTPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGECLPETGG

配列番号10:Ab0001-LCCT-HCCT 重鎖:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFNIKDTYIHWVRQAPGKGLEWVARIYPTNGYTRYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCSRWGGDGFYAMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKLPETGG

配列番号11:Ab0001-LCCT-HCCT 軽鎖:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVNTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSRSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQHYTTPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGECLPETGG

配列番号12:Ab0001-LCCT-HCCT 重鎖:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFNIKDTYIHWVRQAPGKGLEWVARIYPTNGYTRYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCSRWGGDGFYAMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKGALPETGG

配列番号13:Ab0001-LCCT-HCCT 軽鎖:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVNTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSRSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQHYTTPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGECGALPETGG

配列番号14:Ab0001-LCCT-HCCT 重鎖:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFNIKDTYIHWVRQAPGKGLEWVARIYPTNGYTRYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCSRWGGDGFYAMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKLPETGG

配列番号15:Ab0001-LCCT-HCCT 軽鎖:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVNTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSRSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQHYTTPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGECGALPETGG

配列番号16:Ab0001-LCCT-HCCT 重鎖:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFNIKDTYIHWVRQAPGKGLEWVARIYPTNGYTRYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCSRWGGDGFYAMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKGALPETGG

配列番号17:Ab0064 軽鎖
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQGINNYLSWYQQKPGKAPKSLIYRANRLVSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCLQYDEFPLTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC

配列番号18:Ab0064 重鎖
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYRFTDYVINWVRQAPGQGLEWMGQIYPGSDTFHYNQKFQGRATLTADKSTNTAYMELSSLRSEDTAVYYCARFFEGLAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK

配列番号19:Ab0064-LCCT-HC 軽鎖
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQGINNYLSWYQQKPGKAPKSLIYRANRLVSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCLQYDEFPLTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGECGALPETGG

配列番号20:Ab0064-LCCT-HC 重鎖
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYRFTDYVINWVRQAPGQGLEWMGQIYPGSDTFHYNQKFQGRATLTADKSTNTAYMELSSLRSEDTAVYYCARFFEGLAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK

配列番号21:Ab0098 軽鎖
DIVMTQSPSSLTVTAGEKVTMSCKSSQSLLNSGNQKNYLTWYQQKPGQPPKLLIYWASTRESGVPDRFTGSGSGTDFTLTISSVQAEDLAVYYCQNDYSYPFTFGSGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC

配列番号22:Ab0098 重鎖
QVQLQQPGAELVRPGASVKLSCKASGYTFTSYWINWVKQRPGQGLEWIGNIYPSDSYTNYNQKFKDKATLTVDKSSSTAYMQLSSPTSEDSAVYYCTRSWRGNSFDYWGQGTTLTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK

配列番号23:Ab0098-LCCT-HC 軽鎖
DIVMTQSPSSLTVTAGEKVTMSCKSSQSLLNSGNQKNYLTWYQQKPGQPPKLLIYWASTRESGVPDRFTGSGSGTDFTLTISSVQAEDLAVYYCQNDYSYPFTFGSGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGECGALPETGG

配列番号24:Ab0098-LCCT-HC 重鎖
QVQLQQPGAELVRPGASVKLSCKASGYTFTSYWINWVKQRPGQGLEWIGNIYPSDSYTNYNQKFKDKATLTVDKSSSTAYMQLSSPTSEDSAVYYCTRSWRGNSFDYWGQGTTLTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
図1
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
【配列表】
2024508976000001.app
【国際調査報告】