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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】呼吸支援システムのアラーム
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/00 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
A61M16/00 345
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023554913
(86)(22)【出願日】2022-03-07
(85)【翻訳文提出日】2023-09-29
(86)【国際出願番号】 IB2022052011
(87)【国際公開番号】W WO2022189944
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】63/158,088
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518329918
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FISHER & PAYKEL HEALTHCARE LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガリー、アントン キム
(72)【発明者】
【氏名】エリングハム、ルーシー エリザベス
(57)【要約】
開示されるのは、フロー生成器、流路、及びコントローラを備えた呼吸装置である。流路は、呼吸可能ガス流を患者に提供するように構成し得る。コントローラは、フロー生成器へのフロー生成器出力を制御することによりフロー生成器を制御するように構成し得、コントローラは、流路の予測流量及び/又は流路の予測最大流量及び/又は流路の予測最小流量を特定するように構成し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸装置であって、
フロー生成器と、
呼吸可能ガス流を患者に提供するように構成された流路と、
前記呼吸可能ガス流を提供するために、前記フロー生成器へのフロー生成器出力を制御することにより前記フロー生成器を制御するように構成されたコントローラであって、前記フロー生成器出力は、許容フロー生成器出力範囲内である、コントローラと、
を備え、前記コントローラは、
前記流路のコンダクタンスを示す変数を特定することと、
前記流路の予測最大流量及び/又は予測最小流量を、
前記流路のコンダクタンスを示す変数、
前記許容フロー生成器出力範囲
に基づいて特定することと、
を行うように構成される呼吸装置。
【請求項2】
前記フロー生成器出力は、
i.モータ速度、
ii.モータ電流、
iii.モータデューティ、
iv.前記流路におけるガスの圧力、若しくは
v.i~ivの任意の組合せ
であるか、又はこれ(ら)を含む、請求項1に記載の呼吸装置。
【請求項3】
前記流路のコンダクタンスを示す変数は、
i.前記流路若しくは前記流路の一部分のコンダクタンス、
ii.前記流路若しくは前記流路の一部分の流れへの抵抗、又は
iii.前記流路若しくは前記流路の一部分に沿った圧力降下、
iv.i~iiiの任意の組合せ
であるか、又はこれ(ら)に基づく、請求項1又は2に記載の呼吸装置。
【請求項4】
前記フロー生成器はインペラを備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の呼吸装置。
【請求項5】
前記呼吸装置はフローセンサを備え、前記フローセンサは、患者への前記呼吸可能ガス流の流量を測定するように構成される、請求項1~4のいずれか1項に記載の呼吸装置。
【請求項6】
前記流路のコンダクタンスを示す変数は、前の時間ステップにおける前記流路のコンダクタンスを示す変数に基づき、又は前記流路のコンダクタンスを示す変数は、時間窓にわたる前記流路のコンダクタンスを示す変数に基づき、任意選択的に、前記時間窓は前の20秒である、請求項1~5のいずれか1項に記載の呼吸装置。
【請求項7】
前記流路のコンダクタンスを示す変数は、現在の前記フロー生成器出力及び現在流量に基づく、請求項1~6のいずれか1項に記載の呼吸装置。
【請求項8】
前記流路のコンダクタンスを示す変数は、前記現在の流れを前記現在のフロー生成器出力で除したものに基づく、請求項1~7のいずれか1項に記載の呼吸装置。
【請求項9】
前記コンダクタンスを示す変数は、
【数1】
に比例する、請求項1~8のいずれか1項に記載の呼吸装置。
【請求項10】
前記コンダクタンスを示す変数は、
【数2】
に比例する、請求項1~9のいずれか1項に記載の呼吸装置。
【請求項11】
前記流路は、
加湿チャンバ、
1つ若しくは複数の呼吸導管、
患者インタフェース、
エルボー、及び
センサモジュール
の1つ又は複数を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の呼吸装置。
【請求項12】
前記コントローラは、前記呼吸可能ガス流を流量設定点で前記患者に提供又は提供を試みるように前記モータを制御するように構成される、請求項1~11のいずれか1項に記載の呼吸装置。
【請求項13】
前記許容フロー生成器出力範囲は許容モータ速度範囲であり、前記許容モータ速度範囲は、モータ速度上限及び/又はモータ速度下限を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の呼吸装置。
【請求項14】
前記予測最大流量は、現在の前記モータ速度及び/又はモータ速度上限に基づく、請求項13に記載の呼吸装置。
【請求項15】
前記予測最小流量は、前記現在のモータ速度及び/又はモータ速度下限に基づく、請求項13又は14に記載の呼吸装置。
【請求項16】
前記コントローラは、前記予測最大流量及び/又は前記予測最小流量及び流量設定点を比較し、前記比較に基づいて少なくとも1つのアラーム状況を生成するように構成される、請求項1~15のいずれか1項に記載の呼吸装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つのアラーム状況は、
流量設定点到達不能アラーム及び
閉塞アラーム
の1つ又は複数を含む、請求項16に記載の呼吸装置。
【請求項18】
前記流量設定点到達不能アラームは、
前記流量設定点が前記最大予測流量を上回る(即ち、流量設定点が高すぎることのアラーム)ことと関連付けられた流量到達不能アラーム及び/又は
前記流量設定点が前記予測最小流量を下回る(即ち、流量設定点が低すぎることのアラーム)ことと関連付けられた流量到達不能アラーム
を含む、請求項17に記載の呼吸装置。
【請求項19】
前記コントローラは、前記予測最大流量及び前記流量設定点に基づいて、前記流量設定点に到達することができない状況を突き止めるように構成され、それに応答して、前記コントローラは、流量設定点到達不能アラームを生成するように構成される、請求項17又は18に記載の呼吸装置。
【請求項20】
前記コントローラは、前記流量設定点が前記予測最大流量よりも大きい場合、少なくとも1つのアラーム状況を生成するように構成される、請求項16~19のいずれか1項に記載の呼吸装置。
【請求項21】
前記コントローラは、前記流量設定点が前記予測最大流量よりもアラーム閾値を超えて大きい場合、少なくとも1つのアラーム状況を生成するように構成される、請求項16~20のいずれか1項に記載の呼吸装置。
【請求項22】
前記アラーム閾値は、前記流量設定点の割合である、請求項21に記載の呼吸装置。
【請求項23】
前記流量設定点の前記割合は、前記流量設定点の約5%から約20%又は約10%である、請求項22に記載の呼吸装置。
【請求項24】
前記コントローラは、前記予測最小流量及び前記流量設定点に基づいて、流量設定点に到達することができない状況を突き止めるように構成され、それに応答して、前記コントローラは、流量設定点到達不能アラームを生成するように構成される、請求項17~23のいずれか1項に記載の呼吸装置。
【請求項25】
前記コントローラは、前記流量設定点が前記予測最小流量よりも小さい場合、少なくとも1つのアラーム状況を生成するように構成される、請求項17~24のいずれか1項に記載の呼吸装置。
【請求項26】
前記コントローラは、前記流量設定点が前記予測最小流量よりもアラーム閾値を超えて小さい場合、少なくとも1つのアラーム状況を生成するように構成される、請求項17~25のいずれか1項に記載の呼吸装置。
【請求項27】
前記アラーム閾値は、前記流量設定点の割合である、請求項26に記載の呼吸装置。
【請求項28】
前記流量設定点の前記割合は、前記流量設定点の約5%から約20%又は約10%である、請求項27に記載の呼吸装置。
【請求項29】
前記少なくとも1つのアラーム状況の前記生成に応答して、前記コントローラは、所定の安全モータ速度に前記モータ速度を制御する、請求項16~28のいずれか1項に記載の呼吸装置。
【請求項30】
前記コントローラは、前記予測最大流量が安全閾値流量よりも大きくなるまで及び/又は前記予測最小流量が安全閾値流量よりも小さくなるまで、前記所定の安全モータ速度に前記モータ速度を制御する、請求項29に記載の呼吸装置。
【請求項31】
前記コントローラは、前記流量設定点が前記予測最大流量よりも小さくなるまで及び/又は前記流量設定点が前記予測最小流量よりも大きくなるまで、前記所定の安全モータ速度に前記モータ速度を制御する、請求項29又は30に記載の呼吸装置。
【請求項32】
呼吸装置であって、
フロー生成器と、
呼吸可能ガス流を患者に提供するように構成された流路と、
前記呼吸可能ガス流を患者に提供するために、前記フロー生成器へのフロー生成器出力を制御することにより前記フロー生成器を制御するように構成されたコントローラと、
を備え、前記コントローラは、
前記流路のコンダクタンスを示す変数を特定することと、
前記流路の予測流量を、
前記流路のコンダクタンスを示す変数及び
現在の前記フロー生成器出力
に基づいて特定することと、
を行うように構成される呼吸装置。
【請求項33】
第1の時間ステップにおいて、前記コントローラは、前記流路のコンダクタンスを示す変数を特定するように構成される、請求項32に記載の呼吸装置。
【請求項34】
第2の時間ステップにおいて、前記コントローラは、前記流路のコンダクタンスを示す変数に基づいて予測流量を特定するように構成される、請求項33に記載の呼吸装置。
【請求項35】
前記フロー生成器出力は、
i.モータ速度、
ii.モータ電流、
iii.モータデューティ、
iv.前記流路におけるガスの圧力、若しくは
v.i~ivの任意の組合せ
であるか、又はこれ(ら)を含む、請求項32~34のいずれか1項に記載の呼吸装置。
【請求項36】
前記コントローラは、現在流量及び前記予測流量を比較し、前記比較に基づいて少なくとも1つのアラーム状況を生成するように構成される、請求項32~35のいずれか1項に記載の呼吸装置。
【請求項37】
前記コントローラは、前記現在流量が少なくとも1つの漏出流量閾値よりも大きい場合(任意選択的に前記予測流量が前記現在流量よりも小さい場合)、漏出アラーム状況を生成するように構成される、請求項32~36のいずれか1項に記載の呼吸装置。
【請求項38】
前記漏出アラーム状況は、前記現在流量が前記少なくとも1つの漏出流量閾値の全てよりも大きい場合、生成される、請求項37に記載の呼吸装置。
【請求項39】
前記少なくとも1つの漏出流量閾値は、
前記予測流量の割合に基づく割合閾値、
前記フロー生成器出力及び任意選択的に定数に基づく限度閾値、
前記予測流量の変動に基づく変動閾値
の1つ又は複数を含む、請求項37又は38に記載の呼吸装置。
【請求項40】
前記コントローラは、前記現在流量が少なくとも1つの閉塞流量閾値よりも小さい場合、少なくとも1つの閉塞アラーム状況を生成するように構成される、請求項32~39のいずれか1項に記載の呼吸装置。
【請求項41】
前記閉塞アラーム状況は、前記現在流量が前記少なくとも1つの閉塞流量閾値の全てよりも小さい場合、生成される、請求項40に記載の呼吸装置。
【請求項42】
前記少なくとも1つの閉塞流量閾値は、
前記予測流量の割合に基づく割合閾値、
前記フロー生成器出力及び任意選択的に定数に基づく限度閾値、
前記予測流量の変動に基づく変動閾値
の1つ又は複数を含む、請求項40又は41に記載の呼吸装置。
【請求項43】
前記現在流量が前記割合閾値、前記限度閾値、及び/又は前記変動閾値の任意の組合せよりも小さい場合、前記コントローラは前記閉塞アラーム状況を生成するように構成される、請求項42に記載の呼吸装置。
【請求項44】
前記少なくとも1つの閉塞アラーム状況及び/又は前記少なくとも1つの漏出アラーム状況の生成に応答して、前記コントローラは、前記モータ速度を所定の安全モータ速度に制御する、請求項32~43のいずれか1項に記載の呼吸装置。
【請求項45】
前記コントローラは、少なくとも1つの漏出アラーム状況又は前記少なくとも1つの閉塞アラーム状況がなくなるまで、前記モータ速度を前記所定の安全モータ速度に制御する、請求項44に記載の呼吸装置。
【請求項46】
前記漏出アラーム状況及び/又は前記閉塞アラーム状況は、
可聴アラーム及び
視覚アラーム
の1つ又は複数を含む、請求項37~45のいずれか1項に記載の呼吸装置。
【請求項47】
前記コントローラは、前記流路のコンダクタンスを特定し、前記流路の予測流量を常時又は定期的に特定するように構成される、請求項32~46のいずれか1項に記載の呼吸装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸支援装置を制御及び/又は動作させる方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸支援装置は、種々の環境(病院、医療設備、施設入所ケア、又は家庭環境)でガス流を患者に送達するのに使用される。呼吸支援装置(例えばフローセラピー装置)は、呼吸装置がガス流と共に補助酸素を送達できるようにする酸素吸入を含み得る。呼吸支援装置はまた(又は代替として)、呼吸装置が加温加湿されたガスを送達できるようにする加湿装置を含み得る。呼吸支援装置は、ガス流の特性の調整及び制御を可能にし得る。これらの特性は、例えば、流量、温度、ガス濃度(補助酸素濃度等)、湿度、及び圧力等を含み得る。
【0003】
種々の健康状態及び疾患がある患者は呼吸治療から恩恵を受けることができる。少なくとも1つの形態において、呼吸治療は酸素治療であり得る。例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎、喘息、気管支肺異形成症、心不全、嚢胞性繊維症、睡眠時無呼吸、肺疾患、呼吸器系への外傷、急性呼吸疾患、及び/又は他の状態又は疾患を有する患者は、呼吸治療から恩恵を受けることができる。同様に、術前及び術後酸素送達を受けている患者も呼吸治療から恩恵を受けることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一態様において、呼吸装置が提供され、本呼吸装置は、
フロー生成器と、
呼吸可能ガス流を患者に提供するように構成された流路と、
呼吸可能ガス流を提供するために、フロー生成器へのフロー生成器出力を制御することによりフロー生成器を制御するように構成されたコントローラであって、フロー生成器出力は、許容フロー生成器出力範囲内である、コントローラと、
を備え、コントローラは、
流路のコンダクタンスを示す変数を特定することと、
流路の予測最大流量及び/又は予測最小流量を、
流路のコンダクタンスを示す変数、
許容フロー生成器出力範囲
に基づいて特定することと、
を行うように構成される。
【0005】
幾つかの実施形態では、フロー生成器出力は、
i.モータ速度、
ii.モータ電流、
iii.モータデューティ、
iv.流路におけるガスの圧力、若しくは
v.i~ivの任意の組合せ
であるか、又はこれ(ら)を含む。
【0006】
幾つかの実施形態では、流路のコンダクタンスを示す変数は、
i.流路若しくは流路の一部分のコンダクタンス、
ii.流路若しくは流路の一部分の流れへの抵抗、又は
iii.流路若しくは流路の一部分に沿った圧力降下、
iv.i~iiiの任意の組合せ
であるか、又はこれ(ら)に基づく。
【0007】
幾つかの実施形態では、フロー生成器はインペラを備える。
【0008】
幾つかの実施形態では、本呼吸装置はフローセンサを備え、フローセンサは、患者への呼吸可能ガス流の流量を測定するように構成される。
【0009】
幾つかの実施形態では、流路のコンダクタンスを示す変数は、前の時間ステップにおける流路のコンダクタンスを示す変数に基づく。
【0010】
幾つかの実施形態では、流路のコンダクタンスを示す変数は、時間窓にわたる流路のコンダクタンスを示す変数に基づき、任意選択的に、時間窓は前の20秒である。
【0011】
幾つかの実施形態では、流路のコンダクタンスを示す変数は、現在のフロー生成器出力及び現在流量に基づく。
【0012】
幾つかの実施形態では、流路のコンダクタンスを示す変数は、現在の流れを現在のフロー生成器で除したものに基づく。
【0013】
幾つかの実施形態では、コンダクタンスを示す変数は、
【数1】
に比例する。
【0014】
幾つかの実施形態では、コンダクタンスを示す変数は、
【数2】
に比例する。
【0015】
幾つかの実施形態では、流路は、
加湿チャンバ、
1つ若しくは複数の呼吸導管、
患者インタフェース、
エルボー、及び
センサモジュール
の1つ又は複数を含む。
【0016】
幾つかの実施形態では、流路はフロー生成器の下流(及び任意選択的にフロー生成器の出力)にあり得る。
【0017】
幾つかの実施形態では、流路は加湿器の下流(及び任意選択的に加湿チャンバの出力)にあり得る。
【0018】
幾つかの実施形態では、流路はエルボーの下流にあり得る。
【0019】
幾つかの実施形態では、流路はセンサモジュールの下流にあり得る。
【0020】
幾つかの実施形態では、流路は、少なくとも加湿チャンバ、患者インタフェース、及び導管(及び任意選択的にセンサモジュール)を含み得る。
【0021】
幾つかの実施形態では、流路は少なくとも患者インタフェース及び導管(及び任意選択的にセンサモジュール)を含み得る。
【0022】
幾つかの実施形態では、予測最大流量及び/又は予測最小流量は定期的に(任意選択的に各時間ステップで)特定される。
【0023】
幾つかの実施形態では、コントローラは、呼吸可能ガス流を流量設定点で患者に提供又は提供を試みるようにモータを制御するように構成される。
【0024】
幾つかの実施形態では、許容フロー生成器出力範囲は流量設定点に基づく。
【0025】
幾つかの実施形態では、許容フロー生成器出力範囲は許容モータ速度範囲であり、許容モータ速度範囲は、モータ速度上限及び/又はモータ速度下限を含む。
【0026】
幾つかの実施形態では、予測最大流量は、現在のモータ速度及び/又はモータ速度上限に基づく。
【0027】
幾つかの実施形態では、予測最大流量は、現在のモータ速度とモータ速度上限との間の差に基づく。
【0028】
幾つかの実施形態では、予測最小流量は、現在のモータ速度及び/又はモータ速度下限に基づく。
【0029】
幾つかの実施形態では、予測最小流量は、現在のモータ速度とモータ速度下限との間の差に基づく。
【0030】
幾つかの実施形態では、コントローラは、予測最大流量及び/又は予測最小流量及び流量設定点を比較し、比較に基づいて少なくとも1つのアラーム状況を生成するように構成される。
【0031】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つのアラーム状況は、
流量設定点到達不能アラーム及び
閉塞アラーム
の1つ又は複数を含む。
【0032】
幾つかの実施形態では、流量設定点到達不能アラームは、
流量設定点が最大予測流量を上回る(即ち、流量設定点が高すぎることのアラーム)ことと関連付けられた流量到達不能アラーム及び/又は
流量設定点が予測最小流量を下回る(即ち、流量設定点が低すぎることのアラーム)ことと関連付けられた流量到達不能アラーム
を含む。
【0033】
幾つかの実施形態では、コントローラは、予測最大流量及び流量設定点に基づいて、流量設定点に到達することができない状況を突き止めるように構成され、それに応答して、コントローラは、流量設定点到達不能アラームを生成するように構成される。
【0034】
幾つかの実施形態では、コントローラは、流量設定点が予測最大流量よりも大きい場合、少なくとも1つのアラーム状況を生成する(任意選択的にアラーム状況は流量設定点到達不能アラームであり、即ち、流量設定点が高すぎることのアラームである)ように構成される。
【0035】
幾つかの実施形態では、コントローラは、流量設定点が予測最大流量よりもアラーム閾値を超えて大きい場合、少なくとも1つのアラーム状況を生成する(任意選択的にアラーム状況は流量設定点到達不能アラームであり、即ち、流量設定点が高すぎることのアラームである)ように構成される。
【0036】
幾つかの実施形態では、アラーム閾値は、流量設定点の割合である(任意選択的にアラーム状況は流量設定点到達不能アラームであり、即ち、流量設定点が高すぎることのアラームである)。
【0037】
幾つかの実施形態では、流量設定点の割合は、流量設定点の約5%から約20%又は約10%である。
【0038】
幾つかの実施形態では、アラーム閾値は、呼吸装置により提供されている治療のタイプに基づく。
【0039】
幾つかの実施形態では、流量設定点が閉塞閾値を超えて予測最大流量よりも大きい場合、コントローラは閉塞アラームを生成するように構成される。
【0040】
幾つかの実施形態では、閉塞閾値は、流量設定点の約20%から約70%又は約50%である。
【0041】
幾つかの実施形態では、コントローラは、予測最小流量及び流量設定点に基づいて、流量設定点に到達することができない状況を突き止めるように構成され、それに応答して、コントローラは、流量設定点到達不能アラームを生成するように構成される。
【0042】
幾つかの実施形態では、コントローラは、流量設定点が予測最小流量よりも小さい場合、少なくとも1つのアラーム状況を生成する(任意選択的にアラーム状況は流量設定点到達不能アラームであり、即ち、流量設定点が低すぎることのアラームである)ように構成される。
【0043】
幾つかの実施形態では、コントローラは、流量設定点が予測最小流量よりもアラーム閾値を超えて小さい場合、少なくとも1つのアラーム状況を生成する(任意選択的にアラーム状況は流量設定点到達不能アラームであり、即ち、流量設定点が低すぎることのアラームである)ように構成される。
【0044】
幾つかの実施形態では、アラーム閾値は、流量設定点の割合である(任意選択的にアラーム状況は流量設定点到達不能アラームである)。
【0045】
幾つかの実施形態では、流量設定点の割合は、流量設定点の約5%から約20%又は約10%である。
【0046】
幾つかの実施形態では、アラーム閾値は、呼吸装置により提供されている治療のタイプに基づく。
【0047】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つのアラーム状況の生成に応答して、コントローラは、所定の安全モータ速度にモータ速度を制御する。
【0048】
幾つかの実施形態では、コントローラは、予測最大流量が安全閾値流量よりも大きくなるまで及び/又は予測最小流量が安全閾値流量よりも小さくなるまで、所定の安全モータ速度にモータ速度を制御する。
【0049】
幾つかの実施形態では、コントローラは、流量設定点が予測最大流量よりも小さくなるまで及び/又は流量設定点が予測最小流量よりも大きくなるまで、所定の安全モータ速度にモータ速度を制御する。
【0050】
幾つかの実施形態では、所定の安全モータ速度は8000RPMである。
【0051】
幾つかの実施形態では、アラーム状況は、
可聴アラーム及び
視覚アラーム
の1つ又は複数を含む。
【0052】
幾つかの実施形態では、本呼吸装置はネーザルハイフロー装置である。
【0053】
幾つかの実施形態では、本呼吸装置は、非封止インタフェースを介してガス流を患者に提供する。
【0054】
本開示の別の態様において、呼吸装置が提供され、本呼吸装置は、
フロー生成器と、
呼吸可能ガス流を患者に提供するように構成された流路と、
呼吸可能ガス流を患者に提供するために、フロー生成器へのフロー生成器出力を制御することによりフロー生成器を制御するように構成されたコントローラと、
を備え、コントローラは、
流路のコンダクタンスを示す変数を特定することと、
流路の予測流量を、
流路のコンダクタンスを示す変数及び
現在のフロー生成器出力
に基づいて特定することと、
を行うように構成される。
【0055】
幾つかの実施形態では、第1の時間ステップにおいて、コントローラは、流路のコンダクタンスを示す変数を特定するように構成される。
【0056】
第2の時間ステップにおいて、コントローラは、流路のコンダクタンスを示す変数に基づいて予測流量を特定するように構成される。
【0057】
幾つかの実施形態では、フロー生成器出力は、
i.モータ速度、
ii.モータ電流、
iii.モータデューティ、
iv.流路におけるガスの圧力、若しくは
v.i~ivの任意の組合せ
であるか、又はこれ(ら)を含む。
【0058】
幾つかの実施形態では、流路のコンダクタンスを示す変数は、
i.流路若しくは流路の一部分のコンダクタンス、
ii.流路若しくは流路の一部分の流れへの抵抗、又は
iii.流路若しくは流路の一部分に沿った圧力降下、
iv.i~iiiの任意の組合せ
であるか、又はこれ(ら)に基づく。
【0059】
幾つかの実施形態では、コントローラは、現在流量及び予測流量を比較し、比較に基づいて少なくとも1つのアラーム状況を生成するように構成される。
【0060】
幾つかの実施形態では、コントローラは、現在流量及び少なくとも1つの流量閾値を比較し、比較に基づいて少なくとも1つのアラーム状況を生成するように構成される。
【0061】
幾つかの実施形態では、コントローラは、現在流量が少なくとも1つの漏出流量閾値よりも大きい場合(任意選択的に予測流量が現在流量よりも小さい場合)、漏出アラーム状況を生成するように構成される。
【0062】
幾つかの実施形態では、漏出アラーム状況は、現在流量が少なくとも1つの漏出流量閾値の全てよりも大きい場合、生成される。
【0063】
幾つかの実施形態では、漏出アラーム状況は、現在流量の複数のインスタンスが少なくとも1つの漏出流量閾値よりも大きくなった後、生成される。
【0064】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの漏出流量閾値は、
予測流量の割合に基づく割合閾値、
フロー生成器出力及び任意選択的に定数に基づく限度閾値、
予測流量の変動に基づく変動閾値
の1つ又は複数を含む。
【0065】
幾つかの実施形態では、現在流量が割合閾値、限度閾値、及び/又は変動閾値の任意の組合せよりも大きい場合、コントローラは漏出アラーム状況を生成するように構成される。
【0066】
幾つかの実施形態では、予測流量の割合は約105%から約180%又は約110%から約120%又は約150%から約180%である。
【0067】
幾つかの実施形態では、限度閾値はフロー生成器出力及び定数に基づき、定数は所定のコンダクタンスである。
【0068】
幾つかの実施形態では、変動閾値は流路のコンダクタンスを示す変数の標準偏差に基づく。
【0069】
幾つかの実施形態では、変動閾値は予測流量に基づく。
【0070】
幾つかの実施形態では、変動閾値は、流路のコンダクタンスを示す変数の平均の誤差に基づく。
【0071】
幾つかの実施形態では、コントローラは、現在流量が少なくとも1つの閉塞流量閾値よりも小さい場合、少なくとも1つの閉塞アラーム状況を生成するように構成される。
【0072】
幾つかの実施形態では、閉塞アラーム状況は、現在流量が少なくとも1つの閉塞流量閾値の全てよりも小さい場合、生成される。
【0073】
幾つかの実施形態では、閉塞アラーム状況は、現在流量が少なくとも1つの閉塞流量閾値よりも小さい複数のインスタンス後、生成される。
【0074】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの閉塞流量閾値は、
予測流量の割合に基づく割合閾値、
フロー生成器出力及び任意選択的に定数に基づく限度閾値、
予測流量の変動に基づく変動閾値
の1つ又は複数を含む。
【0075】
幾つかの実施形態では、現在流量が割合閾値、限度閾値、及び/又は変動閾値の任意の組合せよりも小さい場合、コントローラは閉塞アラーム状況を生成するように構成される。
【0076】
幾つかの実施形態では、予測流量の割合は、予測流量の約40%から約95%又は約50%から約90%又は約60%から約80%である。
【0077】
幾つかの実施形態では、限度閾値は、フロー生成器出力及び定数に基づき、定数は所定のコンダクタンスである。
【0078】
幾つかの実施形態では、変動閾値は流路のコンダクタンスを示す変数の標準偏差に基づく。
【0079】
幾つかの実施形態では、変動閾値は予測流量に基づく。
【0080】
幾つかの実施形態では、変動閾値は、流路のコンダクタンスを示す変数の平均の誤差に基づく。
【0081】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの閉塞アラーム状況及び/又は少なくとも1つの漏出アラーム状況の生成に応答して、コントローラは、モータ速度を所定の安全モータ速度に制御する。
【0082】
幾つかの実施形態では、コントローラは、少なくとも1つの漏出アラーム状況又は少なくとも1つの閉塞アラーム状況がなくなるまで、モータ速度を所定の安全モータ速度に制御する。
【0083】
幾つかの実施形態では、漏出アラーム状況及び/又は閉塞アラーム状況は、
可聴アラーム及び
視覚アラーム
の1つ又は複数を含む。
【0084】
幾つかの実施形態では、流路のコンダクタンスを示す変数は、確率密度関数により表すことができる。
【0085】
幾つかの実施形態では、流路のコンダクタンスを示す変数は、1つ又は複数の加重係数に基づく。
【0086】
幾つかの実施形態では、流路のコンダクタンスを示す変数は、コンダクタンスデータに基づき、コンダクタンスデータは、流路のコンダクタンスの少なくとも1つの過去の特定を含む。
【0087】
幾つかの実施形態では、流路のコンダクタンスを示す変数は、時間窓にわたる流路のコンダクタンスデータに基づき、任意選択的に、時間窓は前の20秒である。
【0088】
幾つかの実施形態では、各時間ステップにおいて又は定期的に、流路のコンダクタンスの特定は、流路のコンダクタンスの少なくとも1つの過去の特定として記憶される。
【0089】
幾つかの実施形態では、コンダクタンスデータは、流路のコンダクタンスの過去の各特定と関連付けられたタイムスタンプ情報を含む。
【0090】
幾つかの実施形態では、タイムスタンプ情報は、流路のコンダクタンスの過去の特定が特定されてから経過した時間を含む。
【0091】
幾つかの実施形態では、コンダクタンスデータは、関連付けられたタイムスタンプ情報に基づいて、流路のコンダクタンスを示す変数を特定するに当たり加重される。
【0092】
幾つかの実施形態では、最近のコンダクタンスデータほど、昔のコンダクタンスデータよりも大きな重みが与えられる。
【0093】
幾つかの実施形態では、コンダクタンスデータは、流路のコンダクタンスの過去の各特定と関連付けられた加重係数を含む。
【0094】
幾つかの実施形態では、コントローラは、流路のコンダクタンスを特定し、流路の予測流量を常時又は定期的に特定するように構成される。
【0095】
本明細書に開示される数字の範囲(例えば1から10)は、その範囲内の全ての有理数(例えば、1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9、及び10)への参照を組み込むとともに、その範囲内の有理数の任意の範囲(例えば、2から8、1.5から5.5、及び3.1から4.7)も組み込むことが意図される。
【0096】
本明細書に記載の実施形態は、本願の明細書で言及又は示される部品、要素、及び特徴に個々に又は集合的に並びに上記部品、要素、又は特徴の任意の2つ以上の任意の又は全ての組合せに広く関連するとも言え、本発明が関連する技術分野に既知の均等物がある具体的な完全体が本明細書で述べられる場合、そのような既知の均等物は、個々に記載されるかのように本明細書に援用されると考えられる。
【0097】
本明細書では、特許明細書及び他の文献を含め、外部情報源が参照された場合、これは一般に、本発明の特徴を考察するための状況を提供することを目的としている。別記される場合を除き、そのような情報源の参照は、いかなる法域であっても、そのような情報源が先行技術であること又はそのような情報源が当技術分野で共通の一般知識の一部をなすことを認めるものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0098】
図1】呼吸支援装置を概略形態で示す。
図2】呼吸支援装置で使用し得る検知回路基板を示す。
図3】モータ及び/又はセンサモジュールサブアセンブリの筐体内部の凹部を示す、呼吸支援装置の主筐体の第1の下側斜視図である。
図3A】モータ及び/又はセンサモジュールサブアセンブリのための凹部を示す呼吸支援装置の主筐体の第2の下側斜視図である。
図4】呼吸支援装置の斜視図である。
図5】主筐体の下側のモータ及び/又はセンササブアセンブリ及び呼吸支援装置の固定エルボーの斜視図である。
図6】サブアセンブリを通るガス流路を→により概略的に示す、モータ及び/又はセンササブアセンブリの構成要素の分解組立斜視図である。
図7】カバーと、センサの位置を示すモータ及び/又はセンササブアセンブリの検知PCBとの下面図である。
図8】流れを表す実線矢印を有するフィルタモジュール及び弁モジュールの概略ガス流路図である。
図9】流量設定点に到達可能であるか否かを判断するプロセスの一例を示す。
図10】モータ速度限度と予測流量との間の関係の一例を示す。
図11A】予測最小流量と流量設定点との種々の比較を示す。
図11B-1】予測最小流量と流量設定点との種々の比較を示す。
図11B-2】予測最小流量と流量設定点との種々の比較を示す。
図11C】流量設定点に到達可能であるか否かを判断するプロセスの一例を示す。
図12A】予測最大流量と流量設定点との種々の比較を示す。
図12B】予測最大流量と流量設定点との種々の比較を示す。
図12C】予測最大流量と流量設定点との種々の比較を示す。
図12D】予測最大流量と流量設定点との種々の比較を示す。
図12E】流量設定点に到達可能であるか否か及び閉塞が存在するか否かを判断するプロセスの一例を示す。
図13】流量設定点に到達可能であるか否か及び閉塞が存在するか否かの判断の一例を示す。
図14】予測流量に基づいて漏出又は閉塞を判断する方法を示す。
図15A】予測流量及び現在流量を用いてプロットされた漏出流閾値の図を示す。
図15B】予測流量及び現在流量を用いてプロットされた漏出流閾値の図を示す。
図15C】予測流量及び現在流量を用いてプロットされた閉塞流閾値の図を示す。
図15D】予測流量及び現在流量を用いてプロットされた閉塞流閾値の図を示す。
図16】モータ速度及び関連付けられた予測流量の一例を示す。
図17】漏出イベント及び幾つかの漏出流量閾値の一例を示す。
図18】閉塞イベント及び幾つかの閉塞流量閾値の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0099】
呼吸支援装置10を図1に示す。呼吸支援装置10は、幾つかの実施形態ではモータインペラ構成(例えばブロワ)の形態のフロー生成器11、任意選択的な加湿器12、コントローラ13、及びユーザインタフェース14(例えば、ディスプレイと、ボタン、タッチスクリーン等の入力デバイス等を備える)の1つ又は複数を含む主筐体100を備えることができる。
【0100】
幾つかの実施形態では、加湿器12は加湿チャンバを備え得る。加湿チャンバは、加湿器から取り外される(例えば、交換、クリーニング、及び/又は補充のために)ように構成し得る。代替的には、加湿チャンバは加湿器と一体化し得る。
【0101】
幾つかの実施形態では、加湿器12は加湿器加温要素310(図4参照)を備え得る。加湿器加温要素は、熱を液体チャンバ300に提供する。液体チャンバ中の液体は、水又は別の液体であってもよく、及び/又は1つ又は複数の液体混合物(例えば、水と薬剤との混合物)を含んでもよい。
【0102】
加湿器12(存在する場合)は、適切なレベルまでガス流を加湿及び/又はガス流を加温することができる。コントローラ13は、(例えば少なくとも加湿器加温要素を制御することにより)加湿器12を制御するように構成することができる。
【0103】
コントローラ13は、呼吸支援装置10の動作を制御するように構成又はプログラムすることができる。例えば、コントローラ13は、限定されないが、患者に送達するためのガス流(複数のガス流)を生み出すようなフロー生成器11の動作、生成されたガス流を加湿及び/又は加温するような加湿器12(存在する場合)の動作、フロー生成器ブロワへの酸素流の制御、呼吸支援装置10の再構成及び/又はユーザ定義の動作のためのユーザ入力のユーザインタフェース14からの受信、及びユーザへの情報の出力(例えばディスプレイでの)を含め、呼吸支援装置10の構成要素を制御することができる。
【0104】
コントローラ13は、1つ又は複数のコンピュータプロセッサと、プロセッサ実行可能命令又はコードを記憶する、関連付けられた非一時的メモリ又は記憶媒体とを含み得る。命令は、1つ又は複数のプロセッサにより実行されると、呼吸治療装置に本明細書に記載のステップ及びプロセスを行わせる。
【0105】
呼吸支援装置という用語は、呼吸支援装置、呼吸治療装置、又はフローセラピー装置と同義で使用し得る。
【0106】
呼吸支援システムという用語は、呼吸支援システム、呼吸治療システム、又はフローセラピーシステムと同義で使用し得る。
【0107】
現在流量という用語は、現在行われたばかりの(例えば、現在の時間ステップにおける)流量の測定値を指し得る。現在流量という用語が、最新の流量特定に限定されず、最近行われた流量特定(例えば、前の時間ステップ又は最新の流量特定)及び/又は過去の一連の測定に基づいて行われたフィルタリングされたフローデータ特定(任意選択的に信号フィルタリング及び/又は処理を含み得る)を含むことが認められよう。
【0108】
本明細書に記載の方法がコントローラ(又は別のプロセッサ)により実行することができることが認められよう。
【0109】
本明細書に記載の方法は、コントローラ(又は関連付けられたメモリ)に記憶され、コントローラ(及び/又は関連付けられたプロセッサ)により実行される制御ソフトウェアの一部(例えば、コンピュータ可読命令)として、ソフトウェア又はソフトウェアモジュールとして実施し得る。
【0110】
ユーザは、患者、医療専門家(例えば臨床医)、又は本装置の使用に関心のある他の誰かの1人又は複数であることができる。
【0111】
本明細書で使用される場合、「ガス流」は、呼吸支援装置により提供し得る任意のガス流、例えば、周囲空気の流れ、略100%の酸素を含む流れ、及び/又は周囲空気と酸素との何らかの組合せを含む流れ等を指すことができる。
【0112】
患者呼吸導管16は、一端部において呼吸支援装置10の筐体100のガス流出口21に結合される。患者呼吸導管16は、他端部において、マニフォルド19及びプロング18を有する非封止ネーザルカニューレ等の患者インタフェース17に結合される。これに加えて又は代えて、患者呼吸導管16は、フェイスマスク、ネーザルマスク、ネーザルピローマスク、気管内チューブ、及び/又は気管切開インタフェース等に結合することができる。
【0113】
呼吸支援装置10により生成されたガス流は、加湿され、患者呼吸導管16及び患者インタフェース17を介して患者に送達し得る。
【0114】
患者呼吸導管16は、そこを通って患者に送達されるガス流を加温する加温要素16aを有することができる。加温要素16aはコントローラ13の制御下にあることができる。少なくとも一構成において、加温要素16aはヒータワイヤである。患者呼吸導管16及び/又は患者インタフェース17は、呼吸支援治療システムの一部と見なすことができる。呼吸支援システム1は、呼吸支援装置10、患者呼吸導管16、及び患者インタフェース17を備え得る。
【0115】
コントローラ13は、所望の流量でガス流を生成するようにフロー生成器11を制御することができる。コントローラ13は、補助酸素を送達できるように補助酸素流入口を制御することもできる。
【0116】
コントローラ13は、所望の治療レベル及び/又は患者の快適性レベルに望ましい温度までガスを加温するように、加湿器12における加湿器加温要素及び/又は患者導管16における加温要素16aを制御することもできる。
【0117】
コントローラ13に、ガス流の適した標的温度を提供することができ、又はコントローラ13はガス流の適した標的温度を決定することができる。コントローラ13は、ガス流の1つ又は複数の適した標的温度に基づいて、加湿器12及び/又は加温要素16bにおける加湿器加温要素を制御し得る。
【0118】
幾つかの実施形態では、コントローラ13は、患者インタフェース及び/又は呼吸導管の端部における設定露点に基づいて、加湿器12における加湿器加温要素を制御し得る。
【0119】
幾つかの実施形態では、コントローラ13は、患者インタフェース及び/又は呼吸導管の端部におけるガスの設定点温度に基づいて、加温要素16bを制御し得る。
【0120】
例えば図4に示されるように、酸素流入口28は、加圧ガスが呼吸治療装置10に入り得る弁1003を含む。弁は、呼吸治療装置10への酸素流を制御することができる。弁は、比例弁又はバイナリ弁を含む任意のタイプの弁であることができる。
【0121】
酸素源は酸素タンク又は病院酸素供給源であることができる。医療用酸素は典型的には純度95%~100%である。低純度の酸素源を使用することもできる。弁モジュール及びフィルタの例は、10月18日付けで出願された「Valve Module and Filter」と題する国際公開第2018074935号パンフレットに開示されており、参照により全体的に本明細書に援用される。
【0122】
呼吸支援装置10は、患者に送達されているガスの酸素含有率、ひいては患者が吸い込んだガスの酸素含有率を測定及び制御することができる。
【0123】
幾つかの実施形態では、呼吸支援装置10はハイフローセラピーを提供し得、その場合、送達されるガスの高流量は、患者のピーク呼吸需要を満たすか又はそれを越える。
【0124】
フローセンサ、温度センサ、湿度センサ、及び/又は圧力センサ等の動作センサ3a、3b、3cを呼吸支援装置10の種々の場所に配置することができる。追加のセンサ(例えば、センサ20、25)を患者導管16及び/又は患者インタフェース17の種々の場所に配置し得る(例えば、呼吸チューブの端部又はその近傍に温度センサ29があり得る)。
【0125】
システムの1つ又は複数の構成要素により、装置10を通るガスの流路を提供し得る。例えば、図1では、ガスの流路は、加湿器12、導管16、患者インタフェース19、及び任意の中間構成要素を介してフロー生成器11の出力と患者との間に画定し得る。流路はシステムの構成要素の異なる組合せにより提供してもよいことが認められよう。
【0126】
呼吸治療装置10は、送信機、受信機、及び/又は送受信機15を有し得、コントローラ13がセンサから信号8を受信及び/又は限定されないが、フロー生成器11、加湿器12、加温要素16a、加湿器加温要素、又は呼吸支援装置10と関連付けられた付属品若しくは周辺機器を含め、呼吸支援装置10の種々の構成要素を制御できるようにし得る。これに加えて又は代えて、送信機、受信機、及び/又は送受信機15は、データをリモートサーバに送り得又は呼吸治療装置10又は呼吸治療システム1の遠隔制御可能にし得る。
【0127】
幾つかの実施形態では、送信機、受信機、及び/又は送受信機15は、モデムとして又はモデムの一部として提供し得る。送信機、受信機、及び/又は送受信機15は、当技術分野で既知の1つ又は複数の通信プロトコル、例えばBluetooth、セルラ(3G、4G、又は5G等)を使用し得る。
【0128】
幾つかの実施形態では、1つ又は複数の漏出又は閉塞イベント及び/又はアラーム(より詳細に後述する)を1つ又は複数のサーバ及び/又はデバイス(例えば、コンピュータ、電話、又はタブレット)に送信し得る。イベント又はアラームと関連付けられた追加情報(例えば、時間、持続時間、又は深刻度)がサーバ及び/又はデバイスに更に送信され得る。
【0129】
幾つかの実施形態では、1つ又は複数の漏出又は閉塞イベント及び/又はアラーム(より詳細に後述する)をリモート患者管理システムに送信し得る。リモート患者管理システムは、例えば1つ又は複数のサーバを含む分散コンピュータシステム及び/又はクラウドベースのシステムとして実施し得る。1つ又は複数の漏出又は閉塞イベント及び/又はアラームは、リポートに組み込むことができる。リポートは、患者リポート()であってもよく又は患者群に関連してもよい。1つ又は複数の漏出又は閉塞イベント及び/又はアラームの数は他の情報(例えば、イベント及び/又はアラームの関連付けられた時間)と共にリポートに含め得る。
【0130】
上述したように、呼吸支援装置10は、患者に送達されているガスの酸素含有率を測定及び制御することができる。酸素は、酸素及び周囲空気の混合後に1つ又は複数のガス組成センサ(超音波トランスデューサシステム等)を配置することにより測定し得る。測定は、呼吸治療装置10内、患者呼吸導管16、患者インタフェース17、又は任意の他の適した場所で行うことができる。
【0131】
デバイスで測定される酸素濃度は、送達酸素分率(FdO2)と同等であり得るとともに、患者が呼吸している酸素濃度、吸入酸素分率(FiO2)と略同じであり得、したがって、これらの用語は同等と見なすことができる。
【0132】
酸素濃度は、周囲空気流入導管、酸素流入導管、及び患者呼吸導管の少なくとも2つに流量センサを使用して、少なくとも2つのガスの流量を特定することにより測定することもできる。流入ガスの仮定又は実測酸素濃度(周囲空気では約20.9%、酸素では約100%)と共に、両流入ガスの流量又は1つの流入ガスの流量及び1つの総流量を特定することにより、最終ガス組成物の酸素濃度を計算することができる。代替的には、流量センサは、周囲空気流入導管、酸素流入導管、及び患者呼吸導管の3つ全てに配置して、冗長性及び読み取り値の一貫性をチェックすることにより各センサが正しく機能していることのテストを可能にすることができる。呼吸支援装置10により送達されている酸素濃度を測定する他の方法を使用することも可能である。
【0133】
呼吸支援装置10は、患者の血中酸素濃度(例えば、血中酸素飽和度(SpO2))、心拍数、呼吸速度、灌流指数等の患者の1つ又は複数の生理学的パラメータを測定し、信号品質の尺度を提供する、パルスオキシメータ又は患者モニタリングシステム等の患者センサ26を含むことができる。センサ26は、有線接続を通して又はセンサ26の無線送信機を通した通信により、コントローラ13と通信することができる。センサ26は、患者の指に接続されるように設計された使い捨ての接着性センサであってよい。センサ26は非使い捨てセンサ(即ち再使用可能なセンサ)であってもよい。異なる年齢群に向けて設計され、患者の異なる場所に接続されるセンサが利用可能であり、呼吸支援システム1と併用することができる。パルスオキシメータは、患者の典型的には指に取り付けることができるが、耳朶等の他の場所も選択肢である。パルスオキシメータは、呼吸治療装置10のプロセッサに接続することができ、患者の血中酸素飽和度を示す信号を常時提供することができる。患者センサ26は、呼吸支援装置10の動作中、取り付け又は交換することができるホットスワップ可能デバイスであることができる。例えば、患者センサ26はUSBインタフェース又は無線通信プロトコル(Bluetooth(登録商標)等)を使用して呼吸支援装置10に接続し得る。動作中、患者センサ26が切断される場合、呼吸支援装置10は、定義された時間期間にわたり、前の動作状態で動作し続け得る。定義された時間期間後、呼吸支援装置10はアラームをトリガーし、自動モードから手動モードに遷移し、及び/又は制御モード(例えば、自動モード又は手動モード)を完全に終了し得る。患者センサ26は、物理的なインタフェース又は無線インタフェースを通して呼吸支援装置10と通信するベッドサイドモニタリングシステム又は他の患者モニタリングシステムであり得る。
【0134】
呼吸支援装置10は、ハイフローセラピー装置を含んでもよく又はハイフローセラピー装置の形態であってもよい。
【0135】
本明細書で考察されるハイフローセラピーには、当業者により理解される典型的な通常の意味が与えられることが意図され、一般に、一般に患者の吸入流を満たす又は越えることが意図される流量で、意図的に封止されない患者インタフェースを介して加湿された呼吸ガスの標的流を送達している呼吸支援装置を指す。典型的な患者インタフェースには、限定されないが、鼻又は気管患者インタフェースがある。成人での典型的な流量は、限定されないが、約15リットル/分から約60リットル/分又はそれを越える範囲であることが多い。小児患者(新生児、幼児、及び子ども等)での典型的な流量は、限定されないが、患者体重1キログラム当たり約1リットル/分から患者体重1キログラム当たり約3リットル/分又はそれを越える範囲であることが多い。ハイフローセラピーは任意選択的に、補助酸素及び/又は治療薬剤の投与を含むガス混合組成物を含むこともできる。ハイフローセラピーは多くの場合、一般的な名称の中でもとりわけ、ネーザルハイフロー(NHF)、加湿ハイフローネーザルカニューレ(HHFNC)、ハイフローネーザル酸素(HFNO)、ハイフローセラピー(HFT)、又は気管ハイフロー(THF)と呼ばれる。
【0136】
例えば、幾つかの構成では、成人患者の場合、「ハイフローセラピー」は、約10リットル/分(10LPM)以上の流量、例えば約10LPM~約100LPM、約15LPMから約95LPM、約20LPM~約90LPM、約25LPM~約85LPM、約30LPM~約80LPM、約35LPM~約75LPM、約40LPM~約70LPM、約45LPM~約65LPM、又は約50LPM~約60LPMの流量での患者へのガス送達を指し得る。幾つかの構成では、新生児、幼児、又は子どもの患者の場合、「ハイフローセラピー」は、1LPMを越える流量、例えば約1LPM~約25LPM、約2LPM~約25LPM、約2LPM~約5LPM、約5LPM~約25LPM、約5LPM~約10LPM、約10LPM~約25LPM、約10LPM~約20LPM、約10LPM~約15LPM、又は約20LPM~約25LPMの流量での患者へのガス送達を指し得る。成人患者、新生児、幼児、又は子どもの患者でのハイフローセラピー装置は、幾つかの構成では、約1LPM~約100LPMの流量又は上記概説した部分範囲のいずれか内の流量でガスを患者に送達し得る。送達されるガスはある割合の酸素を含み得る。幾つかの構成では、送達されるガス中の酸素の割合は約20%~約100%、約30%~約100%、約40%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約90%~約100%、約100%、又は100%であり得る。
【0137】
ハイフローセラピーは、患者の吸気流を満たす又は越える、患者の酸素化の増大、及び/又は呼吸仕事量の低減に有効であり得る。
【0138】
ハイフローセラピーは、患者の鼻孔に及び/又は経口又は気管切開インタフェースを介して投与し得る。
【0139】
ハイフローセラピーは、上気道の解剖学的なデッドスペースが高流入ガス流によりフラッシュされるように、鼻咽頭をフラッシュする効果を生み出し得る。これは、窒素及び二酸化炭素の再呼吸を低減しながら、ありとあらゆる呼吸に利用可能な新鮮なガスの槽を作ることができる。呼吸需要を満たし、気道をフラッシュすることは、患者のFdO2の制御を試みる場合、更に重要である。ハイフローセラピーは、非封止患者インタフェース、例えばネーザルカニューレ等を用いて送達することができる。ハイフローセラピーは、患者の呼吸速度を下げることができる。ハイフローセラピーは、呼気抵抗を患者に提供し得る。
【0140】
「非封止患者インタフェース」(即ち封止されない患者インタフェース)という用語は、本明細書で使用される場合、患者の気道とガス流源(フロー生成器11から等)との間に、患者の気道を完全には塞がない空気リンクを提供するインタフェースを指すことができる。非封止空気リンクは、患者の気道の約95%未満の閉塞を含むことができる。非封止空気リンクは、患者の気道の約90%未満の閉塞を含むことができる。非封止空気リンクは、患者の気道の約40%~約80%の閉塞を含むことができる。気道は、患者の片方又は両方の鼻孔及び/又は患者の口を含むことができる。ネーザルカニューレの場合、気道は鼻孔を通る。
【0141】
フロー生成器11は、ブロワモジュールであってもよく、又はブロワモジュールを備えてもよい。ブロワモジュールは、上記ガス流を生成するように構成された少なくとも1つのブロワ11を備え得る。
【0142】
フロー生成器11は、部屋の周囲空気をブロワに取り込めるようにすることができる周囲空気流入口27を含むことができる。呼吸支援装置10は、加圧ガスをフロー生成器11に入れられるようにする、弁に繋がる酸素流入口28を含むこともできる。弁は、フロー生成器11への酸素流を制御することができる。弁は、比例弁又はバイナリ弁を含め、任意のタイプの弁であることができる。
【0143】
ブロワ11は、約1,000RPM超且つ約8,000RPM未満、約2,000RPM超且つ約10,000RPM未満、又は上記値のいずれかの間のモータ速度で動作することができる。ブロワ11は、流入口(例えば、周囲空気流入口27及び/又は酸素流入口28)を通してブロワ11に入るガスを混合することができる。ブロワ11をミキサとして使用することで、バッフルを備えた静的ミキサ等の別個のミキサを有するシステムに対する圧力降下を低減することができる。
【0144】
呼吸支援装置は、ガス組成センサを更に備え得る。ガス組成センサは、後述するセンサ(例えば、超音波トランスデューサ構成)であり得る。
【0145】
呼吸支援装置10はフローセンサを備える。フローセンサは、患者への呼吸可能ガス流の流量を測定するように構成し得る。
【0146】
コントローラ13は1つ又は複数のプロセッサを備え得る。プロセッサにはコンピュータ可読命令を構成し得る。
【0147】
コントローラ13は、少なくとも1つのメモリ要素を備え得る。メモリ要素は、上記コンピュータ可読命令を記憶するように構成し得る。
【0148】
メモリ要素は非一時的であり得る。
【0149】
呼吸支援装置は、アラーム出力を表示するように構成された少なくとも1つのディスプレイモジュールを備え得る。
【0150】
呼吸支援装置は、可聴アラームを発するように構成された少なくとも1つの可聴モジュールを備え得る。
【0151】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの可聴モジュールはスピーカを含み得る。
【0152】
ディスプレイモジュールは、少なくとも1つのディスプレイを含み得る(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)又は発光ダイオード(LED)ディスプレイであるが、任意のディスプレイ技術を使用してよいことが認められよう)。
【0153】
ディスプレイモジュールは取り外し可能ディスプレイ(例えば、装置から切断することができるディスプレイ)であってもよい。取り外し可能ディスプレイは、有線又は無線接続を介して装置(例えば装置のコントローラ)に接続されて、装置(例えば装置のコントローラ)とのデータの送受信を行うように構成し得る。
【0154】
ディスプレイモジュールは、装置の外部にあるリモートディスプレイであってもよい。
【0155】
ディスプレイモジュールは、システムへの入力を受信するように構成し得る(例えばタッチスクリーンとして)。
【0156】
ディスプレイモジュールは入力/出力(I/O)モジュールであるように構成し得る。例えば、ディスプレイモジュールは、ユーザから入力を受信し、出力をユーザに提供するように構成し得る。
【0157】
ディスプレイモジュールはコントローラ13と通信し得る。幾つかの実施形態では、ディスプレイモジュールは、情報をコントローラ13に提供し得る(例えば設定点)。幾つかの実施形態では、ディスプレイモジュールはコントローラ13から情報を受信し得る(例えば、アラーム、センサ出力、及び/又は他の計算された変数)。
【0158】
図2を更に参照すると、呼吸支援装置10で実施することができる検知回路基板2200が示されている。検知回路基板2200は、検知回路基板2200がガス流に少なくとも部分的に浸漬するように、センサチャンバに位置することができる。ガス流は、導管を通してブロワ11から出て、センサチャンバの流路に入ることができる。検知回路基板2200のセンサの少なくとも幾つかは、ガス流(矢印2203による方向で示される)内に位置して、流れ内のガスの性質を測定することができる。センサチャンバ内の流路を通過した後、ガスはセンサチャンバから出て上述した加湿器12に入ることができる。
【0159】
検知回路基板2200はプリント検知回路基板(PCB)であることができる。代替的には、基板2200上の回路は、回路基板にプリントされる代わりに、電子構成要素を接続する電気ワイヤを用いて作製することができる。検知回路基板2200の少なくとも一部分は、ガス流外に搭載することができる。ガス流は、上述したフロー生成器11により生成することができる。検知回路基板2200は超音波トランスデューサ2204を備えることができる。検知回路基板2200は、1つ又は複数のサーミスタ2205を含むことができる。サーミスタ2205は、ガス流の温度を測定するように構成することができる。検知回路基板2200は、サーミスタ流量センサ2206を備えることができる。検知回路基板2200は、湿度センサ(別個の温度センサと併用される湿度のみのセンサ及び湿度センサと温度センサとの組合せを含む)、大気圧を測定するためのセンサ、差圧を測定するためのセンサ、及び/又はゲージ圧を測定するためのセンサ等の他のタイプのセンサを備えることも可能である。サーミスタ流量センサ2206は、白金線等の熱線流速計及び/又は負温度係数(NTC)サーミスタ又は正温度係数(PTC)サーミスタ等のサーミスタを含むことができる。加熱温度検知要素の他の非限定的な例には、ガラス又はエポキシ封入又は非封入サーミスタがある。サーミスタ流量センサ2206は、一定の電力が供給されることにより又は一定温度に維持若しくはセンサとガス流との間に一定の温度差を維持することにより、ガスの流量を測定するように構成することができる。
【0160】
サーミスタ2205及び/又はサーミスタ流量センサ2206をブロワとミキサとの組合せの下流に位置決めすることは、センサ読み取り値が、ブロワによりガス流に供給される熱に依存することを意味する。さらに、検知回路基板及びセンサの少なくとも一部を流路に浸漬させることで、測定の正確性を上げることができる。浸漬されないセンサと比べて、流れに浸漬されたセンサは、ガスが流れるにつれて、温度及び圧力等の同じ条件を受ける可能性が高くなる。したがって、これらの浸漬されたセンサは、ガス流特性のよりよい表現を提供し得る。
【0161】
検知回路基板2200は、ガスストリーム内の1つ又は複数のガスの組成又は濃度等のガス流の性質を測定する超音波トランスデューサ、送受信機、又は他のセンサを含むことができる。認められるように、任意の適したトランスデューサ、送受信機、又はセンサを検知回路基板2200に搭載し得る。この構成では、ガス組成センサは、ガス濃度の特定に超音波又は音波を採用する超音波トランスデューサである。
【0162】
フローセラピー装置の幾つかの例は、2016年12月2日付けで出願された「Flow Path Sensing for Flow Therapy Apparatus」と題する国際特許出願第PCT/NZ2016/050193号明細書及び2016年6月24日付けで出願された「Breathing Assistance Apparatus」と題する国際特許出願第PCT/IB2016/053761号明細書に開示されており、これらは参照により本明細書に全体的に援用される。
【0163】
呼吸支援装置10の構成を図3図7に示す。例えば図4に示されるように、呼吸支援装置は主筐体100を備える。主筐体100は、主筐体上部シャーシ102及び主筐体下部シャーシ202を有する。
【0164】
図3及び図3Aに示されるように、下部シャーシ202は、図13図15に示される、更に詳細に以下説明する取り外し可能又は非取り外し可能モータ及び/又はセンサモジュール400を受けるためのモータ凹部250を有する。凹部開口部251が、図5及び図6に示され、更に詳細に以下説明する取り外し可能又は非取り外し可能モータ/センサモジュール400を受けるために、後縁部に隣接して底壁230に提供される。
【0165】
図5図7は、モータ及び/又はセンサモジュール又はサブアセンブリ400を更に詳細に示している。上述したように、下部シャーシ202は、モータ及び/又はセンサモジュール400を受けるための凹部250を備える。
【0166】
図5図7に示される形態では、モータ及び/又はセンサモジュール400は、3つの主構成要素の積層配置を含む:サブアセンブリ400のベース403(その上にモータ402が位置する)、ベース403の上に位置する出口ガス流路及び検知層420、並びにカバー層440。ベース403、検知層420、及びカバー層440は組み立てられて、サブアセンブリ400を凹部250で受けることができるように、凹部250の形状と相補的な形状を有するサブアセンブリ筐体を形成する。ベース403は、サブアセンブリ400が凹部250に位置するとき、凹部開口部251を閉じるように構成される。サブアセンブリ400は、例えば留め具、クリップ、又はクイック解放装置等を用いて任意の適した様式で凹部内の定位置に維持されてもよく又は非取り外し可能に固定されてもよい。
【0167】
検知層は、1つ又は複数のセンサを有するガス流路を含み、ガス流路は筐体の流出口にガスを送達するように配置される。
【0168】
モータ402は、インペラを含むインペラチャンバを画定する本体408を有する。モータ402は、任意の適したガスブロワモータであることができ、例えば、公開されたPCT明細書である国際公開第2013/009193号パンフレットに記載されているタイプのモータ及びインペラアセンブリであってよい。その明細書の内容は全体的に、参照により本明細書に援用される。
【0169】
ガス出口406は、出口ガス流路のガス入口及びモータの上に重ねられた検知層420と流通する。この層420は、ベース403の複数の取り付けスロット(図示せず)に挿入されて本体422をベース403に固定することができる複数の取り付け脚部425を備えた本体422を備える。一構成では、本体422は、ガス出口406をガス流路のガス入口及び検知層420と結合するガス流路を画定する。
【0170】
本体422は、検知・ガス流路の下部426を画定する。カバー層440は、検知・ガス流路の上部446を画定する本体442を有し、上部426及び下部446の形状は互いに実質的に対応する。
【0171】
図6及び図7に示されるように、ガス流路は線形長尺状ガス流部分428、448を備える。入口は、ガス流路の線形長尺状部分428、448の入口端部又はそれに隣接して配置された、ガス流路の接線入口部分430、450と流通する。凹部433、453及び434、454をガス流路の線形長尺状部分の両端部に提供し得る。
【0172】
ガス流出口452が、カバー層440の本体442を通って垂直に延在し、ガス流路の線形長尺状部分428、448の対向する出口端部又はそれに隣接して配置される。ガス流出口452は、モータ凹部250の上部と流通し、モータ凹部250はガス流通路を流通する。ここでも、凹部250の壁252及び天井262の構成に起因して、モータ/センサモジュール400からのガス漏れがある場合、それは、電子回路及び制御機器の大部分を含む主筐体100の部分に入るのではなく、大気に通気されることになる。凹部250は、図15に示されるように天井262から下方に突出する、ラグ等のスペーサを備え得、それにより、ガス流出口452及び凹部の天井262からのガス流に適したスペースを維持する。
【0173】
図7から、モータ及び/又は検知モジュール400を通ってそこを出るガス流の少なくとも一部が、蛇行又は波状構成を有することを見て取ることができる。例えば、長尺状部分428、448を通って移動ガス流の方向は、ガス流出口452からエルボー324を通るガス流の入口に移動ガス流の方向の概して逆である。
【0174】
図6及び図7に示されるように、カバー層440は検知プリント回路基板(PCB)456を備える。カバー層440は、ガス流路の長尺状部分428、448にあるサーミスタ等の1つ又は複数の温度センサを備えることもできる。1つのセンサはガス温度を測定することになり、他方のセンサは冗長温度センサとして作用することができる。代替的には、サーミスタの1つは参照フローセンサとして使用することができ(例えば、一定温度サーミスタとしての使用を介して)、測定された温度は、ガス流路の部分428、448を通るガス流量の特定に使用することができる。1つ又は複数の温度センサは、ガス流に面する検知PCB456の部分に配置し得る。検知PCB456は、限定されないが、圧力センサ、湿度センサ、及び露点センサを含む他のセンサを更に含んでもよい。
【0175】
一方又は両方の電子基板272はセンサと電気通信又はセンサと結合して、センサから受信した情報を処理し、センサから受信した情報に基づいて装置10を操作することになる。
【0176】
代替の構成では、モータ/インペラユニットは、装置10から離れて提供し得る。その構成では、凹部250で受けられるモジュールは、ガスを固定エルボー324に送達し、それにより液体チャンバ300に送達するためのガス流路及び種々のセンサのみを備え得る。代替の構成では、凹部250で受けられるモジュールは、モータ及びガス流路のみを含み得、センサを含まなくてよい。
【0177】
別の代替の構成では、モータ及び/又はセンサモジュール400は、凹部250から取り外し可能ではなく、その代わりに凹部250に永久的に搭載されてよい。
【0178】
幾つかの構成は、ガス流中のガスから電子回路/電子構成要素を分離するという恩恵を提供し得る。
【0179】
流路はコンパクトであり、ターン/急なターンを低減しており、それにより、流れの分離及び流れへの抵抗を低減する。
【0180】
モータ及び流路の配置は、壁配置により別の分離層を提供する。
【0181】
モジュール式モータ及び/又はセンサモジュールを有することにより、クリーニング及び/又はサービス提供に必要な場合、モジュールの種々の部分を切り離すことができる。
【0182】
幾つかの実施形態では、モータ及び/又はセンサモジュールに漏出路はない。
【0183】
幾つかの実施形態では、モータ及び/又はセンサモジュールは潜在的な漏出点であり得るが、その領域での漏出は、酸素が大気又は液体チャンバに通気されることに繋がる。
【0184】
例えば、図8に示されるように、装置10は、装置10のガス流路に入る酸素及び/又は他のガスの流れを制御し、装置10が空気流に取り込まれる酸素の割合を調整できるようにする弁モジュールを備え得る。弁モジュールは、製造、組み立て、サービス提供、又は交換が容易なようにモジュール式ユニットとして形成される。例えば、誤作動、ルーチンメンテナンス、又は将来のアップグレード/改良の場合。
【0185】
装置10は、フィルタを含み得るフィルタモジュール1001を備え得る。
【0186】
本明細書に記載のフィルタモジュール及び弁モジュールは、様々なガス流路を装置に提供し得る。例えば、弁モジュールは、弁モジュール及びフィルタモジュールを介して、装置のガス流路に入る酸素流を制御し得る。代替的には、弁モジュールは、代替の供給入口を介したフィルタモジュールへの代替酸素源の直接接続により迂回し得る。これは、ユーザが酸素供給を手動で調整したい(即ち、壁面供給式ロータメータにより)ことがある状況で実用的であり得る。
【0187】
本明細書に記載のフィルタモジュール及び弁モジュールが、ガス流を送達するために装置で別個に使用し得ることが認められよう。代替的には、フィルタ及び弁モジュールは、機能改良のためにフィルタ及び弁アセンブリとして一緒に使用し得る。
【0188】
図示の構成では、装置10は、以下の少なくとも1つにより酸素を受け取る:
弁モジュールを介して(装置による自動酸素調整のために)又は
フィルタの上部に提供される代替のガス入口を介して(手動調整可能な酸素供給源を取り付けられるようにする-レギュレータにより調整される壁面供給等)。
【0189】
記載される種々の構成は、単なる例示的な構成である。任意の構成からの任意の1つ又は複数の特徴は、他の任意の構成からの任意の1つ又は複数の特徴と組み合わせて使用することが可能である。
【0190】
別の例として、モータ及び/又はセンササブアセンブリ凹部は主筐体の下側にあるものとして説明されるが、代替的には筐体の後部、側部、前部、又は上部にあってもよい。空気及び/又は酸素入口も、必要に応じて異なる位置にあってもよい。
【0191】
別の例として、液体チャンバが筐体の前方からチャンバベイに挿入されチャンバベイから取り外されるように液体チャンバ及びチャンバベイが構成されるのではなく、構成は、液体チャンバが筐体の側部、後部、又は上部からチャンバベイに挿入されチャンバベイから取り外されるようなものであってもよい。
【0192】
別の例として、フィルタモジュールは、上から筐体に挿入されるものとして説明され、弁モジュールは、下から筐体に挿入されるものとして説明されるが、それらの構成要素の一方又は両方は、上部、下部、側部、前部、又は後部等の筐体の任意の適した部分に挿入することが可能である。
【0193】
フィルタモジュール及び弁モジュールは、加温加湿されたガスを患者又はユーザに送達することができる呼吸支援装置を参照して説明される。装置は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)を有する患者及び/又は呼吸困難を経験している患者の治療に適し得る。例えば、呼吸困難、低酸素飽和度(即ちSpO2)、又は高分圧二酸化炭素(即ちPaCO2)を有する患者の治療。装置は、ガスを患者インタフェースに高流量で送達するように構成し得る(即ち、ハイフローセラピー-特にネーザルハイフローセラピー)。ネーザルハイフローセラピーは、呼吸困難を生じさせる感染症、例えばCOVID19の治療に使用することもできる。
【0194】
代替的には、フィルタモジュール及び/又は弁モジュールは、異なる目的で装置で使用し得る。装置は、ハイフローセラピー装置であってもよく又はローフローセラピー装置であってもよい。特徴は、ガス(加湿等された)を正圧で送達し得る持続陽圧呼吸療法(CPAP)を提供する装置に提供することもできる。
【0195】
フィルタモジュール及び/又は弁モジュールは代替的に、加湿器を必要とせず、したがって、液体チャンバ300を必要としない装置と併用することもできる。例えば、モータ及びガス流路を電気構成要素及び電子構成要素から分離する構成が、他のタイプのガス送達装置において幅広い用途を有することが認められよう。
【0196】
呼吸装置により提供される最小流量及び/又は最大流量を予測する方法及び装置に関する実施形態についてこれより説明する。
【0197】
上述したように、ユーザ又は臨床医は、ユーザインタフェースを介して流量設定点を装置に入力し得る。次いで、装置は、流量設定点の流量を提供するようにモータ又は他のフロー生成器を制御しようとする。
【0198】
特定の流路を用いて流量を流量設定点で患者に送達することができない場合(例えば、流路のコンダクタンスが高すぎる又は低すぎる場合)、患者は適切な治療を受けられない恐れがある。
【0199】
例えば、流量設定点が流路の予測最大流量よりも大きい場合、患者は、臨床医が期待する流量未満の流量(例えば、流路の予測最大流量に等しい流量)を受け取り得る。これは、流路の現在条件で、装置が、流量設定点を満たすのに十分に高い流量を提供することができない(これは例えば、閉塞を示し得る)ためである。
【0200】
別の例では、流量設定点が予測最小流量よりも小さい場合、ユーザは臨床医が期待するよりも高い流量を受け取る恐れがあり、その理由は、流路の現在条件で、装置が流量設定点を満たすのに十分に低い流量を提供することができないためである。この場合、患者は、適切な治療を受け取ることができないことがあり、患者へのリスクを呈し得る。
【0201】
従来技術によるシステムは、呼吸ガスが流量設定点にある時間期間にわたり到達しない場合、アラームを提供するだけである。しかしながら、幾つかの場合、これらのタイプのシステムの幾つかは、そのような状況を検出し、アラームを生成するために長い時間がかかり得、したがって、臨床医又はユーザに通知されるまでに遅延があり得る。この時間中、患者は流量設定点での流量を受け取れないことがあり、したがって、適切な治療を受け取れないことがある。
【0202】
特定の流路の予測最大流量及び予測最小流量の特定(許容フロー生成器出力範囲及び流路のコンダクタンスに基づく)は、不適切な治療(例えば、流量設定点に到達することができない治療)が提供される時間を大きく短縮し得る。特定の流路の予測最大流量及び予測最小流量の特定は、は、アラームを生成するためにかかる時間(及び例えば、臨床医に応答して任意の必要な行動をとるための時間)を短縮することもできる。
【0203】
さらに、装置10は、流量設定点に到達することができないと判断するために流量設定点への到達を試みる必要がないため、アラーム(流量設定点に到達することができないことを示す)の生成にかかる時間を短縮することができる。
【0204】
予測最小流量及び/又は予測最大流量は、呼吸ガスが提供される流路のコンダクタンスを示す変数と、許容フロー生成器出力範囲とに基づき得る。例えば、コンダクタンスを示す変数が計算されると、最大流量及び最小流量は、コンダクタンスを示すこの変数及び最大及び最小フロー生成器出力のそれぞれの関数として予測し得る。これらの予測最大及び最小流量は、許容フロー生成器出力の範囲を所与として、フロー生成器が提供することができる予測流量範囲の境界を表す。
【0205】
流路のコンダクタンスを示す変数は、流路のコンダクタンスであってもよく又は流路のコンダクタンスに基づいて(例えば、より詳細に後述するようにコンダクタンスデータに基づいて)もよい。
【0206】
装置は追加又は代替として、最小流量及び最大流量に基づいて、装置が流量設定点を達成可能になりつつあるか否か(現在の流路条件を所与として)を判断し得る。
【0207】
上述したように、例えば、最小及び最大流量は、流路のコンダクタンスを示す変数に基づく。
【0208】
流路は1つ又は複数の構成要素を含み得る。流路を構成する構成要素は、取り外し可能及び/又は交換可能であり得、各構成要素は1つ又は複数の代替を有し得る。例えば、流路の一部を形成するために接続することができる幾つかの可能な患者インタフェースがあり得る。
【0209】
流路は、加湿チャンバ、1つ若しくは複数の呼吸導管、患者インタフェース、エルボー、及びセンサモジュールの1つ又は複数を含み得る。
【0210】
流路は、フロー生成器10(及び任意選択的にフロー生成器10の出力)の下流にあり得る。
【0211】
流路は加湿器12(及び任意選択的に加湿チャンバの出力)の下流にあり得る。
【0212】
流路はエルボーの下流にあり得る。
【0213】
流路はセンサモジュールの下流にあり得る。
【0214】
例えば、センサの場所に応じて、流路(コンダクタンスを示す変数が特定される)は別様に画定し得る。例えば、加湿器の出力(即ち3b)又は導管の入口(即ち3c)にあるセンサが使用される場合、流路はこのセンサから下流にあると定義し得る。
【0215】
幾つかの実施形態では、流路は少なくとも加湿チャンバ、患者インタフェース、及び導管(及び任意選択的にセンサモジュール)を含み得る。
【0216】
幾つかの実施形態では、流路は少なくとも患者インタフェース及び導管(及び任意選択的にセンサモジュール)を含み得る。
【0217】
流路のコンダクタンスを示す変数の1つ又は複数の値は、流路内の特定の構成要素に依存する。例えば、直径の大きな導管を有する流路のコンダクタンスを示す変数ほど、直径の小さな導管を有する同じ流路のコンダクタンスを示す変数よりも大きくなり得る。
【0218】
流路のコンダクタンスを示す変数は、流路外部のパラメータ、例えば、患者の解剖学的構造又は状態及び患者と患者インタフェースとの間の接続に基づき得る。
【0219】
流路のコンダクタンスを示す変数は、患者インタフェース17と患者との間の接続の特性に基づくこともある。例えば、プロングと鼻孔との間の適合が密であるほど、流路のコンダクタンスを示す変数は小さくなり得る(ガス流のうち、大気に排気される部分が少なくなるため)。しかしながら、プロングと鼻孔との間の適合が緩い場合、ガス流のうち、大気に排気される部分が多くなり、したがって、流路のコンダクタンスを示す変数は大きくなり得る。この効果は非封止システムでより顕著であり、その理由は、コンダクタンスを示す変数の相当部分が、患者インタフェース17と患者との間の接続に基づくためである。
【0220】
更なる例として、鼻プロングの変形も経路のコンダクタンスを示す変数に影響を及ぼし得る。
【0221】
経路のコンダクタンスを示す変数は、患者の呼吸器系の特性にも基づき得る。例えば、患者の呼吸器系の構造的特性は、流路のコンダクタンスの差に繋がり得る。
【0222】
流路のコンダクタンスを示す変数は、フロー生成器出力と呼吸ガスの流量との関係を決める。
【0223】
流路のコンダクタンスを示す変数は、流路(若しくは流路の一部分)のコンダクタンス、流路(若しくは流路の一部分)の流れへの抵抗、流路(若しくは流路の一部分)に沿った圧力降下、又は上記の任意の組合せであってもよく又はこれ(ら)を含んでもよい。
【0224】
図9は、流量設定点に到達可能であるか否かを判断するプロセスの一例を示す。
【0225】
ステップ910において、コントローラ13は、流路のコンダクタンスを示す変数を特定する。
【0226】
ステップ911において、コントローラ13は流路の最大及び/又は最良流量を特定する。
【0227】
ステップ912において、コントローラ13は、流路の最大及び/又は最小流量を流量設定点と比較する。
【0228】
ステップ912において、コントローラ13は、流量設定点に到達可能であるか否かを判断する。
【0229】
上述したように、装置はコントローラ13を備え得る。コントローラ13は、呼吸可能ガスの流量を制御するように構成される。
【0230】
コントローラ13は、フロー生成器出力(例えばモータ速度)を制御することにより、呼吸可能ガスの流量を制御し得る。
【0231】
コントローラ13は、1つ又は複数の制御アルゴリズムに基づいて上記フロー生成器出力を生成し得る。
【0232】
コントローラ13は、許容フロー生成器出力範囲内でフロー生成器出力を制御するように構成し得る。許容フロー生成器出力範囲は、フロー生成器が安全に動作することができる動作限度を示し得る。幾つかの実施形態では、許容フロー生成器出力範囲は安全限度を示し得る。
【0233】
幾つかの実施形態では、例えば、フロー生成器がモータを備える場合、フロー生成器出力はモータ出力であり得る。本明細書では、フロー生成器出力はモータ出力に関連して説明されるが、フロー生成器のタイプに応じて、フロー生成器出力が任意の出力であってよいことが認められよう。フロー生成器出力は、幾つかの実施形態では、例えば流路の標的圧力であり得る。
【0234】
許容モータ出力範囲(例えば、上述したようにフロー生成器出力範囲)は、モータ速度上限及び/又はモータ速度下限を含む。
【0235】
許容モータ出力範囲は、流量設定点に基づくことができる。例えば、許容モータ出力範囲の大きさ及び/又は限度は、流量設定点に比例してもよく又は他の方法で流量設定点に数学的に関連してもよい。
【0236】
予測最大流量はモータ速度上限に基づく。予測最小流量はモータ速度下限に基づき得る。
【0237】
幾つかの実施形態では、予測最大流は現在のモータ速度に更に基づき得る。
【0238】
図10は、モータ速度限度と予測流量との間の関係の一例を示す。例えば、図10に示される予測最小流量(8リットル/分(LPM))は、モータ速度下限(2,000RPM)に対応し、予測最大流量(30LPM)はモータ速度上限(10,000RPM)と対応する。この例では、モータ速度と予測流量との間の関係は、流路のコンダクタンスを示す変数に基づく。
【0239】
図10の参照920は、流量と許容モータ速度範囲内のモータ速度の関係の一例を示す。流路のコンダクタンスを示す変数が、流量とその流路でのモータ速度との間の関係を表し得又は関係に基づき得ることが認められよう。
【0240】
幾つかの実施形態では、予測最大流量は、現在のモータ速度とモータ速度上限との間の差を評価することにより特定し得る。同様に、予測最小流量も、現在のモータ速度とモータ速度下限との間の差に基づき得る。
【0241】
モータ出力1306は、モータ速度、モータ電流、モータデューティ(デューティサイクル)、流路中のガスの圧力、又は上記の任意の組合せであってもよく又はこれ(ら)を含んでもよい。
【0242】
コントローラ13は、流路のコンダクタンスを示す変数を特定するように構成される。
【0243】
流路のコンダクタンスを示す変数は、前の時間ステップでの流路のコンダクタンスを示す変数に基づき得る。
【0244】
流路のコンダクタンスを示す変数は、時間窓にわたる流路のコンダクタンスを示す別の変数に基づいてもよく、任意選択的に、時間窓は前の時間期間、例えば前の20秒である。例えば、コンダクタンスを示す変数は、流路の時間数加重平均コンダクタンスに基づき得る。
【0245】
流路のコンダクタンスを示す変数は、現在モータ出力及び現在流量の関数であり得る。
【0246】
本発明の一例では、流路のコンダクタンスを示す変数は、現在流量を現在モータ出力で除したものに比例することができる。例えば、
【数2】
である。
【0247】
コンダクタンスを示す変数の特定にモータ速度を使用することは、非封止システムで特に恩恵があり得、その理由は、コンダクタンスの特定に使用し得る他の変数(例えば圧力)が、非封止患者インタフェースに起因して、使用するのが難しいことがあるためである。
【0248】
別の例では、流路のコンダクタンスを示す変数は、現在流を現在の圧力の平方根で除したものに比例することができる。例えば
【数1】
である。
【0249】
予測最大流量及び/又は予測最小流は、定期的に(任意選択的にコントローラ13の各時間ステップで)特定し得る。
【0250】
コントローラ13は、予測最大流量及び/又は予測最小流量を1つ又は複数の流量設定点と比較するように構成することもできる。
【0251】
1つ又は複数の流量設定点への予測最大流量及び/又は予測最小流量の比較に基づいて、コントローラは、少なくとも1つのアラーム状況を生成又はアクティブ化するように更に構成し得る。
【0252】
少なくとも1つのアラーム状況は、流量設定点到達不能アラーム及び/又は閉塞アラームを含み得る。
【0253】
流量設定点到達不能に関連するアラーム状況は、流量設定点が予測最大流量よりも大きいことに関連付けられた流量設定点到達不能アラームを含み得る。
【0254】
流量設定点到達不能に関連するアラーム状況は、流量設定点が予測最小流量よりも小さいことに関連付けられた流量設定点到達不能アラームを含み得る。
【0255】
本明細書において記載したアラームに加えて又は代えて、アラームは、一般アラーム指示(例えば、関連付けられたマニュアルで説明され得るメッセージ)及び/又はアラームを生じさせた可能性がある、システムでの特定の故障をチェックするようにユーザに促す指示を示し得る。アラームに関する上記説明は一例であり、特定の表現が変更可能であることが認められよう。
【0256】
幾つかの状況では、フロー生成器出力下限(例えばモータ出力下限)は、装置が流量設定点に到達するのを妨げることがある。例えば、装置がフロー生成器出力をフロー生成器出力下限未満に下げられないようにする場合。そのような状況は、例えば、1つ又は複数の構成要素が流路から切断された場合、1つ又は複数の構成要素が不適切に接続された場合、1つ又は複数の構成要素が不適切に使用されている場合、及び/又は1つ又は複数の正しくない構成要素が使用されている場合、発生し得る。
【0257】
コントローラ13は、予測最小流量及び流量設定点に基づいて、流量設定点に到達することができない状況を突き止め、それに応答して、流量設定点到達不能アラームを生成するように構成し得る。
【0258】
幾つかの実施形態では、コントローラ13は、流量設定点が予測最小流量よりも小さい場合(任意選択的にアラーム状況は流量設定点到達不能アラームである)、少なくとも1つのアラーム状況を生成するように構成し得る。この状況の一例を図11Aに示す。図11Aでは、流量設定点901は、予測最大流量(10LPM)よりも小さい8LPMである。
【0259】
なお、図11A図11B‐2及び図12A図12Dは、図13に示される流れ範囲の部分例を示す。
【0260】
幾つかの実施形態では、コントローラ13は、流量設定点が予測最小流量よりもアラーム閾値を超えて小さい場合、少なくとも1つのアラーム状況を生成するように構成し得る。図11B‐1において、流量設定点901は、予測最小流量906(10LPM)よりもアラーム閾値905(0.8LPM)を越えて小さい8LPMである。例えば、仮に流量設定点が9.2LPM未満であった場合、アラーム状況は生じた。
【0261】
予測最小流量からアラーム閾値905を差し引いたものが、アラーム限度902を定義し得る。
【0262】
幾つかの実施形態では、コントローラ13は、予測最小流量が流量設定点よりもアラーム閾値を超えて大きい場合、少なくとも1つのアラーム状況を生成するように構成し得る。図11B‐2において、予測最小流量906は、流量設定点901(8LPM)よりもアラーム閾値905(1.2LPM)を越えて大きい。例えば、仮に予測最小流量が9.2LPMよりも大きかった場合、アラーム状況は生じた。
【0263】
アラーム閾値は流量設定点の割合である。アラーム閾値は、流量設定点の約5%から約20%又は約10%であり得る。図11Bは、アラーム閾値905が0.8LPM(即ち、流量設定点-8LPMの10%)であるこの状況の一例を示す。
【0264】
アラーム状況は、「流量設定点到達不能」アラーム、任意選択的に「流量設定点到達不能-設定点が最小流よりも低い」アラームであり得る。
【0265】
幾つかの実施形態では、アラーム閾値は予測最小流量の割合であり得る。幾つかの実施形態では、アラーム閾値は設定量であり得る。
【0266】
図11Cは、流量設定点に到達不能であるかどうかを判断するプロセスの一例を示す。流量設定点に到達できない場合、流量設定点到達不能アラームを生成し得る。
【0267】
ステップ950において、コントローラ13は、コンダクタンスを示す変数を特定する(本明細書の他の箇所で拠り詳細に説明したように)。呼吸装置内のコントローラ13は、治療中、各時間ステップでステップ950を実行し得る。
【0268】
ステップ951において、予測最小流量が、コンダクタンスを示す変数(ステップ950において計算された)及び許容モータ出力範囲の最小モータ出力(この例ではフロー生成器出力を表す)に基づいて特定される。
【0269】
ステップ952において、予測最小流は流量設定点及びアラーム閾値と比較される(例えば、図11Bに示されるように)。
【0270】
ステップ953において、コントローラ13は、ステップ952における比較に基づいて、流量設定点に到達できるか否かを判断する。流量設定点が予測最小流量よりもアラーム閾値を超えて小さい場合、コントローラ13はアラーム状況(即ち「設定流到達不能」アラーム)を生成し得る。
【0271】
幾つかの実施形態では、コントローラ13は、流量設定点の幾つかのインスタンスが予測最小流量よりもアラーム閾値を超えて小さいことを必要とし得る。これらの実施形態では、コントローラ13は、幾つかの連続した「設定流到達不能」イベントが連続カウント閾値を超えることを必要とし得る。連続カウント閾値を越える場合、コントローラ13は、流量設定点が予測最小流量よりも小さいことを示すアラーム状況(任意選択的にアラーム状況は流量設定点到達不能アラームである)を生成し得る。
【0272】
幾つかの実施形態では、コントローラ13は、アラーム状況を生成するために閾値時間を必要とし得る。例えば、コントローラ13は、流量設定点が予測最小流量よりもアラーム閾値を超えて小さい閾値時間を必要とし得る。これらの実施形態では、コントローラ13は、「設定流到達不能」イベントがアクティブである時間が閾値時間を越えることを必要とし得る。閾値時間を越える場合、コントローラ13は、流量設定点が予測最小流量よりも小さいことを示すアラーム状況(任意選択的にアラーム状況は流量設定点到達不能アラームである)を生成し得る。幾つかの実施形態では、閾値時間は約1秒から約5秒であり得る。
【0273】
幾つかの状況では、フロー生成器上限(例えばモータ速度上限)が、装置が流量設定点に達することを妨げることがある。例えば、装置が、フロー生成器出力上限を超えてフロー生成器出力を増大させることを妨げられる場合。これは、例えば、ユーザにより入力された流量設定点が、患者インタフェースに適切な流量よりも高いため、患者インタフェースが患者には大きすぎるため、チューブに閉塞若しくは捻れがあるため、又は流路に何らかの他の詰まり(例えば、チューブの上に患者が横たわっていることにより生じる)があるためであり得る。
【0274】
コントローラ13は、予測最大流量及び流量設定点に基づいて、流量設定点に到達することができない状況を突き止め、それに応答して、流量設定点到達不能アラームを生成するように構成し得る。
【0275】
幾つかの実施形態では、コントローラ13は、流量設定点が予測最大流量よりも大きい場合(任意選択的にアラーム状況は流量設定点到達不能アラームである)、少なくとも1つのアラーム状況を生成するように構成し得る。図12Aでは、流量設定点901は、予測最大流量906(30LPM)よりも大きい40LPMである。
【0276】
幾つかの実施形態では、コントローラ13は、流量設定点が予測最大流量よりもアラーム閾値を超えて大きい場合、少なくとも1つのアラーム状況を生成するように構成し得る。
【0277】
幾つかの実施形態では、コントローラ13は、予測最大流量が流量設定点よりもアラーム閾値908を超えて小さい場合、少なくとも1つのアラーム状況を生成するように構成し得る。
【0278】
予測最大流量にアラーム閾値908を足したものが、アラーム限度903を定義し得る。
【0279】
アラーム閾値は流量設定点の割合である。アラーム閾値は、流量設定点の約5%から約20%又は約10%であり得る。図12Bは、アラーム閾値が5LPM(即ち、流量設定点-50LPMの10%)であるこの状況の一例を示す。
【0280】
アラーム状況は、「流量設定点到達不能」アラーム、任意選択的に「流量設定点到達不能-設定点が高すぎる」アラームであり得る。
【0281】
幾つかの実施形態では、流量設定点が予測最大流量よりも閉塞閾値を超えて大きい場合、コントローラは閉塞アラームを生成するように構成し得る。例えば、図12Cにおいて、流量設定点901は、予測最大流量907(30LPM)よりも閉塞閾値909(10LPM)を越えて大きい50LPMである。
【0282】
閉塞閾値は、流量設定点と予測最大流量との間の差が、流路での閉塞を示すのに十分に大きい(例えば、流量設定点が予測最大流量よりもはるかに大きい場合)ことを示し得る。
【0283】
予測最大流量に閉塞閾値を足したものが、閉塞限度904を定義し得る。
【0284】
幾つかの実施形態では、予測最大流量が流量設定点よりも閉塞閾値を超えて小さい場合、コントローラは閉塞アラームを生成するように構成される。例えば、図12Cにおいて、予測最大流量907(30LPM)は、流量設定点901(50LPM)よりも閉塞閾値909(10LPM)を越えて小さい。
【0285】
閉塞閾値は、流量設定点の約20%から約70%又は約50%である。図12Cは、閉塞閾値が10LPM(即ち、流量設定点-50LPMの20%)であるこの状況の一例を示す。図12Dは、閉塞閾値が15LPM(即ち、流量設定点-40LPMの37.5%)であるこの状況の一例を示す。
【0286】
幾つかの実施形態では、閉塞閾値は、予測最大流量の割合であってもよく又は例えば設定量であってもよい。
【0287】
幾つかの実施形態では、閉塞閾値を定義する予測最大流量の割合は、予測最大流量に基づき得る。
【0288】
アラーム状況は閉塞アラームであり得る。
【0289】
流量設定点到達不能アラーム及び閉塞アラームが独立して特定及び発生し得ることが認められよう。例えば、図12Dに示されるように、流量設定点が予測最大流量よりも大きいが、予測最大流量よりも閉塞閾値を超えては大きくない場合、流量設定点到達不能アラームは発生し得るが、閉塞アラームは発生しない。
【0290】
幾つかの実施形態では、例えば図13に示されるように、アラーム限度903及び閉塞限度904は両方とも、上述したように同じ時間に両方とも利用し得る。
【0291】
図12Eは、コントローラ13により実行される流量設定点到達不能アラーム及び閉塞アラーム(両方ともより詳細に上述した)を判断する方法の一例を示す。
【0292】
ステップ1101において、コントローラ13は、コンダクタンスを示す変数を特定する(より詳細に上述したように)。ステップ1101は、呼吸装置内に提供されるコントローラ13により、治療中、各時間ステップで行うことができる。
【0293】
ステップ1102において、コントローラ13は、コンダクタンスを示す変数(ステップ1101において計算された)及びフロー生成器出力範囲、この特定の実施形態では許容モータ出力範囲のモータ出力上限に基づいて予測最大流量を特定する。
【0294】
ステップ1103において、予測最大流は流量設定点及びアラーム閾値と比較される。
【0295】
ステップ1104において、コントローラ13は、流量設定点に到達することができるか否かを判断し、例えば、流量設定点が予測最大流量よりもアラーム閾値を超えて大きい場合、コントローラ13はアラーム状況(例えば、流量設定点到達不能アラーム)を生成し得る。
【0296】
ステップ1105において、予測最大流は流量設定点及び閉塞閾値と比較される。
【0297】
ステップ1106において、コントローラ13は、閉塞が存在するか否か又は存在する可能性があるか否かを判断し、存在する場合又は存在する可能性がある場合、コントローラ13は閉塞アラームを生成し得る。例えば、流量設定点が予測最大流量よりも閉塞閾値を超えて大きい場合、コントローラ13は閉塞アラームを生成し得る。
【0298】
幾つかの実施形態では、コントローラ13は、関連するアラームをアクティブ化するためには、流量設定点の複数のインスタンスが予測最大流量よりもアラーム閾値(又は閉塞閾値)を超えて大きいことを必要とし得る。これらの実施形態では、コントローラ13は、「設定流到達不能」又は「閉塞」イベントの連続回数が連続カウント閾値を超えることを必要とし得る。連続カウント閾値を越える場合、コントローラ13はアラーム状況(例えば、流量設定点到達不能アラーム又は閉塞アラーム)を生成し得る。
【0299】
さらに、上述したような少なくとも1つのアラーム状況の生成に応答して、コントローラ13は、モータ速度(又はフロー生成器出力)を所定の安全モータ速度(又は安全フロー生成器出力)に制御し得る。
【0300】
幾つかの実施形態では、コントローラ13は、閉塞アラームが発生した場合、モータ速度(又はフロー生成器出力)を所定の安全モータ速度(又は安全フロー生成器出力)に制御し得る。
【0301】
幾つかの実施形態では、コントローラ13は、アラーム状況が発生した場合、加湿器加温要素310及び/又は加温要素16aをオフに切り替え得る。
【0302】
幾つかの実施形態では、コントローラ13は、閉塞アラームが発生した場合、加湿器加温要素310及び/又は加温要素16aをオフに切り替え得る。
【0303】
幾つかの実施形態では、コントローラ13は、アラーム状況が発生した場合、弁を介した補助ガス(例えば酸素)の流れを低減又は阻止するように弁を制御し得る。
【0304】
コントローラ13は、予測最大流量が安全閾値流量よりも大きくなるまで及び/又は予測最小流量が安全閾値流量よりも小さくなるまで、モータ速度を所定の安全モータ速度に制御し得る。
【0305】
コントローラ13は、流量設定点が予測最大流量よりも小さくなるまで及び/又は流量設定点が予測最小流量よりも大きくなるまで、モータ速度を所定の安全モータ速度に制御し得る。
【0306】
所定の安全モータ速度は、約6000RPMから約10000RPM又は約8000RPMであり得る。
【0307】
アラーム状況は、装置が流量設定点に到達することができないと予測される1つ又は複数の事例後、トリガーし得る。
【0308】
図13は、上記アラーム状況の一例を単一のグラフで示す。図13は、流量設定点到達不能領域及び閉塞領域の各々を示す。流量設定点がこれらの領域のいずれかにある場合、対応するアラームがアクティブ化されることになる。
【0309】
例えば、図13に示されるように、流量設定点がアラーム限度903よりも大きい(例えば、流量設定点到達不能領域にある)場合、流量設定点到達不能アラーム及び/又は流量設定点が高すぎるアラームを発生させ得る。
【0310】
流量設定点が閉塞限度904よりも大きい(例えば閉塞領域にある)場合、閉塞アラームが発生し得る。
【0311】
流量設定点がアラーム限度902よりも小さい(例えば流量設定点到達不能領域にある)場合、流量設定点到達不能アラーム及び/又は流量設定点が低すぎることのアラームが発生し得る。
【0312】
予測最小流量に関する流量設定点到達不能アラームに異なる名称(即ち、流量設定点が低すぎる)を与えてもよく、又は予測最小流量に関する流量設定点到達不能アラームが(予測最大流量に関する流量設定点到達不能アラームとは)別個のアラーム状況を生成してもよいことが認められよう。
【0313】
予測最大流量に関する流量設定点到達不能アラームに異なる名称(即ち、流量設定点が高すぎる)を与えてもよいことが認められよう。
【0314】
アラーム状況は、可聴アラーム及び視覚アラームの1つ又は複数を含み得る。
【0315】
1つ又は複数の閾値(例えば、アラーム閾値又は閉塞閾値)は、呼吸装置(例えば、ネーザルハイフロー装置であることができる)により提供される治療のタイプに基づいて変更し得る。
【0316】
上述したように、予測最大流量との比較に使用されるアラーム閾値は、予測最小流量との比較に使用されるアラームと同じであってもよく又は異なってもよい。
【0317】
流路状況に変化(例えば、新しい漏出又は新しい閉塞)があったか否かを判断するために、流路の予測流量と現在流量との比較も記載される。
【0318】
より詳細に以下説明するこの手法は、構成要素の多数の潜在的な組合せがあるシステムで特に有用であり得る。構成要素の潜在的な各組合せは、異なる流路コンダクタンス及び/又は漏出率に繋がり得る。例えば、ハイフローセラピーデバイスを使用する場合、異なる各非封止インタフェースは異なる漏出率を有し得る。
【0319】
システムは、異なるインタフェース(例えば、異なるインタフェースタイプ又は異なるインタフェースサイズ)及び/又は異なる導管(例えば、異なる治療用の)と併用し得る。構成要素がいかに使用されるか(例えば、ユーザへのインタフェースの適合の差)の変動及び治療の過程にわたるシステムの変動(例えば、導管位置の変化、チューブ内の凝縮の変化、及び/又はユーザへのインタフェースの適合の変化)が存在し得る。
【0320】
患者インタフェースの変動は、インタフェースのサイズ範囲が大きいことに起因して、非封止インタフェースを有するシステム(例えばハイフローシステム)で問題であり得る。例えば、最も大きなインタフェース(例えば、成人用の大きなサイズのインタフェース)は、流れに対して、最も小さなインタフェース(例えば、新生児用のインタフェース)よりも数桁低い抵抗を有し得る。したがって、全インタフェースにわたる流れへの抵抗の範囲が大きすぎて、1つの予め設定された閾値では(又は幾つかの予め設定された閾値でさえも)全範囲のインタフェースにわたる患者インタフェースの漏出、閉塞、及び/又は接続又は切断を正確に検出することができないため、従来技術による手法は非効率的である。
【0321】
システムは、異なる呼吸器系構造及び/又は(例えば、疾患により生じる)異なる呼吸器系状態を有する異なる患者と併用し得る。
【0322】
したがって、システムは広範囲の状態を経験する可能性があり、それ故、漏出及び/又は閉塞を判断する従来技術による方法は、全範囲の状況にわたり一貫して機能することはできず(システムの状態の少なくとも幾つかの知識なしでは)、例えば、不必要なアラームを発する恐れ又はアラームを発すべきときに発しない恐れがある。
【0323】
システムの構成要素の識別は、臨床医にとって時間がかかり得、又は追加の複雑性を構成要素又はシステムにもたらし得る。
【0324】
以下概説する手法では、流路に漏出及び/又は閉塞があるか否かを判断するために、システムはガスの流量を予測する。次いでシステムは、この予測流量を現在の実測流量と比較又は現在の実測流量を1つ若しくは複数の閾値(そのうちの幾つかは予測流量に基づき得る)と比較する。予測流量は流路のコンダクタンス(ひいては構成要素の組合せ)の関数であるため、システムが漏出及び/又は閉塞を検出することができる正確性は、使用されている構成要素の組合せによる影響を受ける度合いが比較的低い。これは、存在する特定の構成要素に関する情報を有するか、又は仮定を行う必要があり得る従来技術によるシステムとは対照的である。
【0325】
現在流量は、コントローラ13の現在時刻で測定された流量であってもよく又は最近測定された流量(例えば、前の時間ステップで測定された流量)であってもよい。現在流量は、センサからのフィルタリング済み(又は他の方法で調整済み)の出力であってもよい。代替的には、現在流量はセンサ(例えば、上述したフローセンサ)からの生の出力であってもよい。
【0326】
予測流量(及び/又は漏出流量閾値)よりも大きな現在流量は、例えば、漏出又は構成要素の取り外しを示し得る。
【0327】
予測流量(及び/又は漏出流量閾値)よりも小さな現在流量は、例えば、(例えば、凝縮又は捻れによる)チューブの閉塞又は塞がりを示し得る。
【0328】
漏出、閉塞、又は別の流路変化イベントを示すために必要な流量閾値(例えば、図17及び図18に示される)は、経時変更し得る。この変動性は、閾値がシステムでの幾つかの測定値(例えば、回路のコンダクタンスを示す変数の過去の値)の関数であることに起因し得る。
【0329】
流量閾値は、1つ又は複数の閉塞流量閾値(閉塞を判断するため)及び/又は1つ又は複数の漏出流量閾値(漏出を判断するため)を含み得る。
【0330】
予測流量が現在流量よりも大きい場合(例えば図18に示されるように)、現在流量は閉塞流量閾値と比較し得る。
【0331】
予測流量が現在流量よりも小さい場合(例えば図17に示されるように)、現在流量は漏出流量閾値と比較し得る。
【0332】
漏出及び閉塞流量閾値の両方で比較を行うことに加えて、漏出流量閾値比較なしで閉塞流量閾値比較を行ってもよく逆も同様であることが認められよう。
【0333】
幾つかの実施形態では、コントローラ13は流路の予測流量を特定するように構成される。
【0334】
流路の予測流量は、流路のコンダクタンスを示す変数及び現在のフロー生成器出力に基づく(より詳細に上述したように)。
【0335】
フロー生成器出力がモータ出力であってもよい(より詳細に上述したように)ことが認められよう。以下の例は、モータ出力としてのフロー生成器出力に関連する(より詳細に上述したように、例えばモータ速度)。
【0336】
コントローラ13は、現在流量を予測流量と比較し、比較に基づいて少なくとも1つのアラーム状況を生成するように構成される。
【0337】
これに加えて又は代えて、コントローラ13は、予測流量の関数である流量閾値(例えば、少なくとも1つの閉塞流量閾値及び/又は少なくとも1つの漏出流量閾値)と現在流量とを比較するように構成され、比較に基づいて少なくとも1つのアラーム状況を生成し得る。
【0338】
上述したように、少なくとも1つの流量閾値は、少なくとも1つの閉塞流量閾値及び/又は少なくとも1つの漏出流量閾値を含み得る。
【0339】
コントローラ13は、現在流量が漏出流量閾値よりも大きい場合、少なくとも1つのアラーム状況(任意選択的に漏出アラーム状況)を生成するように構成される。
【0340】
コントローラ13は、現在流量が少なくとも1つの漏出流量閾値よりも大きい場合、予測流量が現在流量よりも小さい(即ち、閉塞ではなく漏出を示す)とき、少なくとも1つのアラーム状況を生成するように構成される。
【0341】
コントローラ13は、現在流量が少なくとも1つの漏出閉塞流量閾値よりも小さい場合(例えば図18に示されるように)、少なくとも1つのアラーム状況(任意選択的に閉塞アラーム状況)を生成するように構成される。
【0342】
コントローラ13は、現在流量が少なくとも1つの閉塞流量閾値よりも小さい場合、予測流量が現在流量よりも大きい(即ち、漏出ではなく閉塞を示す)とき、少なくとも1つのアラーム状況を生成するように構成される。
【0343】
図14は、予測流量に基づいて漏出又は閉塞を判断する方法を示す。
【0344】
ステップ1120において、コントローラ13は、流路のコンダクタンスを示す変数を特定する。より詳細に以下説明するように、これには、流路のコンダクタンスに関する記憶された過去の情報が関わり得る。
【0345】
ステップ1121において、コントローラ13は、流路のコンダクタンスを示す変数及び現在のフロー生成器出力(例えばモータ速度)に基づいて予測流量を特定する。
【0346】
ステップ1122において、コントローラ13は少なくとも1つの流量閾値を決定する(より詳細に以下説明するように)。
【0347】
ステップ1123において、コントローラは、現在流量を流量閾値と比較する。これらの流量閾値は、予測流量が現在流量よりも大きい場合、閉塞流量閾値であり得又は予測流量が現在流量よりも小さい場合、漏出流量閾値であり得る。コントローラは次いで、現在流量が少なくとも1つ(若しくは任意選択的に全て)の漏出流量閾値よりも大きいか、又は少なくとも1つ(若しくは任意選択的に全て)の閉塞流量閾値よりも小さい場合、少なくとも1つのアラーム状況を生成する。
【0348】
少なくとも1つのアラーム状況の生成に応答して、コントローラはモータ速度を所定の安全モータ速度に制御し得る。コントローラ13は、少なくとも1つのアラーム状況がクリアされるまで、モータ速度を所定の安全モータ速度に制御し得る。所定の安全モータ速度は、約6000RPMから約10000RPM又は約8000RPMであり得る(より詳細に上述したように)。
【0349】
幾つかの実施形態では、コントローラ13は、アラーム状況が発生した場合、加湿器加温要素310及び/又は加温要素16aをオフに切り替え得る。
【0350】
幾つかの実施形態では、コントローラ13は、アラーム状況が発生した場合、弁を介した補助ガス(例えば酸素)の流れを低減又は阻止するように弁を制御し得る。
【0351】
少なくとも1つのアラーム状況の生成に応答して、コントローラは引き続き、治療を標的流量で提供するように試み得る。
【0352】
アラーム状況は、
可聴アラーム及び
視覚アラーム
の1つ又は複数を含む。
【0353】
少なくとも1つのアラーム状況は、現在流量が少なくとも1つの漏出流量閾値よりも大きい複数のインスタンス後、生成されてもよい。
【0354】
少なくとも1つのアラーム状況は、現在流量が閾値時間期間にわたり少なくとも1つの漏出流量閾値よりも大きい場合、生成されてもよい。閾値時間期間は約0.5秒から約5秒であり得る。
【0355】
少なくとも1つのアラーム状況は、現在流量が少なくとも1つの閉塞流量閾値よりも小さい複数のインスタンス後、生成してもよい。
【0356】
少なくとも1つのアラーム状況は、現在流量が閾値時間期間にわたり少なくとも1つの閉塞流量閾値よりも小さい場合、生成してもよい。閾値時間期間は約0.5秒から約5秒であり得る。
【0357】
漏出流量閾値及び/又は閉塞流量閾値は、
予測流量の割合に基づく割合閾値、
フロー生成器出力及び定数に基づいて限度閾値、
予測流量の変動の尺度に基づく変動閾値
の1つ又は複数を含み得る。
【0358】
図15A及び図15Bは、予測流量及び現在流量を用いてプロットされた漏出流閾値の図を示す。
【0359】
図15Aにおいて、現在流量は全ての漏出流量閾値よりも大きく、したがって、アラーム状況が発生する(例えば漏出アラーム)。
【0360】
図15Bにおいて、現在流量は全ての漏出流量閾値よりも小さく、したがって、アラーム状況は発生しない。
【0361】
図15C及び図15Dは、予測流量及び現在流量を用いてプロットされた閉塞流閾値の図を示す。
【0362】
図15Cにおいて、現在流量は全ての閉塞流量閾値よりも小さく、したがって、アラーム状況(例えば閉塞アラーム)が発生する。
【0363】
図15Dにおいて、現在流量は全ての閉塞流量閾値よりも大きく、したがって、アラーム状況は発生しない。
【0364】
アラーム状況は、現在流量と予測流量との間の大きさに基づいて生成されてもよいことが認められよう。しかしながら、幾つかの構成では、コントローラ13は、現在流量と予測流量との間の差が正である(即ち、例えば図15Aに示されるように、現在流量は予測流量よりも大きく、これは漏出を示す)か、それとも負である(即ち、例えば図15Cに示されるように、現在流量は予測流量よりも小さく、これは閉塞を示す)かを考慮に入れることができる。
【0365】
幾つかの実施形態では、アラーム状況は、現在流量が全ての漏出流量閾値(即ち、割合閾値、限度閾値、及び変動閾値)よりも大きい場合、生成される。
【0366】
幾つかの実施形態では、アラーム状況は、現在流量が全ての閉塞流量閾値(即ち、割合閾値、限度閾値、及び変動閾値)よりも小さい場合、生成される。
【0367】
割合閾値、限度閾値、及び変動閾値は、複数の漏出流量閾値で同じであってもよく又は異なってもよい。割合閾値、限度閾値、及び変動閾値は、複数の閉塞流量閾値で同じであってもよく又は異なってもよい。これらの閾値の値が、漏出流量閾値及び閉塞流量閾値で異なってもよいことが認められよう。
【0368】
漏出流量閾値の割合閾値は、予測流量の約105%から約180%、約110%から約120%、又は約150%から約180%である。
【0369】
閉塞流量閾値の割合閾値は、予測流量の約40%から約95%、約50%から約90%、又は約60%から約80%である。
【0370】
幾つかの実施形態では、閉塞流量閾値及び/又は漏出流量閾値の割合閾値は、予測流の大きさに基づき得る。
【0371】
限度閾値は、フロー生成器出力及び定数に基づき得る。代替的には、限度閾値及び定数であり得る。
【0372】
幾つかの実施形態では、定数は所定のコンダクタンス(又は例えば、コンダクタンスを示す別の変数)。である。他の実施形態では、定数は所定の流量である。
【0373】
漏出流量閾値の限度閾値は、第1の所定のコンダクタンス及び/又は第1の所定の流量を使用し得る。
【0374】
閉塞流量閾値の限度閾値は、第1の所定のコンダクタンス及び/又は第1の所定の流量又は第2の所定のコンダクタンス及び/又は第2の所定の流量を使用し得る。
【0375】
変動閾値は、予測流量の標準偏差に基づき得る。
【0376】
漏出流量閾値の変動閾値は、予測流量と予測流量の標準偏差との和であり得る。
【0377】
閉塞流量閾値の変動閾値は、予測流量から予測流量の標準偏差を差し引いたものであり得る。
【0378】
幾つかの実施形態では、変動閾値はこれに加えて又は代えて、流路のコンダクタンスを示す変数の標準偏差に基づき得る。
【0379】
変動閾値は、予測流量の変動、流路のコンダクタンスを示す変数の変動、及び/又はフロー生成器出力の変動の関数であり得る。
【0380】
例えば、予測流量の変動が大きい場合、変動閾値も大きい値であり得、予測流量の変動が小さい場合、変動閾値も小さい値であり得る。
【0381】
変動閾値は、記憶されているモータ速度データに基づき得る(例えば、変動閾値が確率分布関数により表すことができる場合)。
【0382】
変動閾値は、コンダクタンスデータを示す、記憶されている変数に基づき得る(例えば、変動閾値が確率分布関数により表すことができる場合)。
【0383】
変動閾値は、記憶されているコンダクタンスデータに基づき得る。
【0384】
変動閾値は、コンダクタンス信号を示す変数と関連付けられたノイズに基づき得る。
【0385】
図16は、モータ速度1132(フロー生成器出力として)及び関連付けられた予測流量1131の一例を示す。
【0386】
図16は、モータ速度1132の変化に応答して変動閾値がいかに変化し得るかを示す。変動閾値は、閉塞流量閾値1130aの変動閾値及び漏出流量閾値1130bの変動閾値の両方として、予測流量前後の範囲としてプロットされる。変動閾値1130a、1130bの大きさは、モータ速度1132の対応する変化に比例して増大する。モータ速度1132の増大に伴い、この例では予測流量1131も増大する(流路のコンダクタンスが一定のままで)。
【0387】
予測流量が増大する(モータ速度1132の増大に応答して)都度、変動閾値の大きさは一時的に増大し、それから再び低減する。
【0388】
予測流量は、モータ速度1132と一緒の時間に変化するものとして示されているが、予測流量1131がモータ速度1132より遅れ得ることが認められよう。
【0389】
領域1135において、変動閾値又は変動不確実性1130は程々に安定している。
【0390】
領域1136において、モータ速度が変化し、したがって、予測流量の標準偏差(又は他の確率尺度)が増大し、したがって、変動閾値1130も増大する。時間が進み、モータ速度が安定するにつれて、変動閾値1130は低減し、次いで安定する。
【0391】
幾つかの実施形態では、変動閾値1130は予測流量の大きさに基づく。
【0392】
幾つかの実施形態では、変動閾値1130の大きさは、流路のコンダクタンスを示す変数の標準偏差(又は他の確率尺度)に基づく。
【0393】
変動閾値は、流量、モータ速度、及び/又はコンダクタンスを示す変数の時間窓内の変化に比例し得る。時間窓は所定の時間(例えば、最後の10秒)であり得る。
【0394】
図16に示されるように、変動閾値は、モータ速度の最新変化に近いほど大きくなり得る。変動閾値は次いで、モータ速度が定常状態に落ち着くにつれて低減し得る。
【0395】
領域1137において、領域1136と比べてモータ速度は大きく変化し、したがって、流路のコンダクタンスを示す変数の標準偏差(又は他の確率尺度)も領域1136よりも大きな量、増大し、したがって、変動閾値も同じである。領域1136及び1137において、時間が進み、モータ速度が安定するにつれて、変動閾値1130は低減し、そして安定する。
【0396】
変動閾値を決定するに当たり、統計的なばらつき又は誤差を示す他の変数(例えば、分散、標準偏差、四分位間範囲、範囲、又は平均絶対差)を使用してもよいことが認められよう。
【0397】
変動閾値は、コンダクタンスデータに基づき得る(より詳細に以下説明するように)。
【0398】
幾つかの実施形態では、変動閾値は予測流量の関数であり得る(例えば、予測流量に比例し得る)。例えば、領域1137における安定化した変動閾値1130は、予測流量の大きさがより大きいため、領域1135及び1136における変動閾値よりも大きい。
【0399】
幾つかの実施形態では、変動閾値は、流路のコンダクタンスを示す変数の変動量の関数であり得る(例えば、変数の変動量に比例し得る)。
【0400】
図17は、カニューレ切断イベントの一例1140を示す。
【0401】
図17に示されるように、カニューレ切断イベント1140の前、現在流量1131は設定点流量1142で提供されている。
【0402】
カニューレ切断イベント1140が発生すると、回路のコンダクタンスの増大に起因して現在流量1131は増大し、モータ速度は、現在流量を流量設定点に制御するために低減する。コントローラにより特定される予測流量1143は、モータ速度の低下に従って低下して示されている。
【0403】
図17は、幾つかの漏出流量閾値を示す。例えば、限度閾値1151、割合閾値1152、及び変動閾値1153。
【0404】
なお、閾値1151、1152、1153はイベント前に計算されるが、漏出イベント前の閾値は図17に示されていない。
【0405】
閾値1151、1152、1153は時間連続として示されているが、各時間ステップで再計算され、予測流と比較される。この例では、漏出を示す、現在流量が閾値1151、1152、1153よりも大きい場合、アラーム状況が発生することになる。
【0406】
図18は、閉塞イベントの一例1140を示す。
【0407】
図18に示されるように、閉塞イベント1140前、現在流量1131は設定点流量1142で提供されている。
【0408】
閉塞イベント1141が発生すると、回路のコンダクタンスの低下に起因して現在流量1131は低下し、モータ速度は、現在流量を流量設定点に制御するように増大する。コントローラにより特定される予測流量1143は、モータ速度の増大に従って増大して示されている。
【0409】
コントローラ13は、閉塞流量閾値を選択し得る。
【0410】
図18は、幾つかの閉塞流量閾値を示す。例えば、限度閾値1151、割合閾値1152、及び変動閾値1153。
【0411】
なお、閾値1151、1152、1153はイベント前に計算されるが、閉塞イベント前の閾値は図18に示されていない。
【0412】
閾値1151、1152、1153は時間連続として示されているが、各時間ステップで再計算され、予測流と比較される。この例では、閉塞を示す、現在流量が閾値1151、1152、1153よりも小さい場合、アラーム状況が発生することになる。
【0413】
幾つかの実施形態では、これに加えて又は代えて、現在流量と予測流量との間の差を流量差閾値と比較し得る。流量差閾値は、予測流量に基づいて計算し得る。これらの場合、流量閾値を計算し、これを現在流量と比較する代わりに、現在流量と予測流量との間の差が計算され、流量差閾値と比較される。
【0414】
流量差閾値は、現在流量及び流量閾値に基づいて決定し得る(後述するように)。
【0415】
コントローラ13は、上述したプロセスを時間ステッププロセスで行い得る。例えば、後述するように。
【0416】
幾つかの実施形態では、コントローラ13は、第1の時間ステップにおいて、流路のコンダクタンスを示す変数を特定(又は例えば、新しい測定に基づいて流路のコンダクタンスを示す変数を更新)し得る。
【0417】
幾つかの実施形態では、コントローラ13は、第2の時間ステップにおいて、第1の時間ステップにおいて特定された流路のコンダクタンスを示す変数において予測流量を特定するように構成し得る。
【0418】
幾つかの実施形態では、各時間ステップにおいて、流路のコンダクタンスを有する変数は、現在の時間ステップにおけるコンダクタンスを示す変数及び前の時間ステップにおけるコンダクタンスを有する変数に基づいて更新し得る。
【0419】
幾つかの実施形態では、各時間ステップにおいて、流路のコンダクタンスを示す変数は、現在のフロー生成器出力及び現在流量に基づいて更新し得る。
【0420】
幾つかの実施形態では、各時間ステップにおいて、流路のコンダクタンスを示す変数は、幾つかの加重係数に基づいて更新し得る。例えば、一実施形態では、加重係数の1つは、現在の時間ステップにおけるコンダクタンスを示す変数、流量、及びフロー生成器出力の1つ又は複数と関連付けられた測定ノイズに基づき得る。
【0421】
流路のコンダクタンスを示す変数は、本明細書の他の箇所に記載のように特定し得る。
【0422】
流路のコンダクタンスを示す変数は、確率密度関数により表すことができる。例えば、流路のコンダクタンスを示す変数は、コンダクタンスを示す変数が特定の値をとる相対尤度を示す関数であり得る(又は関数を含み得る)。この確率密度関数の特徴は、変動閾値(又は任意の他の閾値)の決定に使用し得る。
【0423】
幾つかの実施形態では、流路のコンダクタンスを示す変数を更新する関数(確率密度関数により表される)は、上述したように加重係数に基づき得る。
【0424】
流路のコンダクタンスを示す変数は、記憶されたデータに基づき得る。記憶されたデータは、1つ又は複数の実測変数又は特定された変数(例えば、コンダクタンスを示す変数(例えば、コンダクタンスであり得る)、流量、圧力、及びモータ出力)の少なくとも1つの過去の特定を含み得る。
【0425】
幾つかの実施形態では、記憶されたデータはコンダクタンスデータであり得、コンダクタンス(例えば、流路のコンダクタンス)を示す変数の過去の特定を含み得る。これらの実施形態では、コンダクタンスデータの一部としてのコンダクタンスを示す変数は、予測流を特定するに当たり(上述したように)システムにより使用されるコンダクタンスを示す変数と異なるタイプであってもよく又は異なるタイプであってもよいことが認められよう。
【0426】
コントローラ13は、1つ又は複数の実測又は特定された変数の少なくとも1つの過去の特定をメモリに記憶し、少なくとも1つの過去の特定を使用して、現在のコンダクタンスを示す変数を計算し得る。このようにして、流路のコンダクタンスを示す変数は、1つ又は複数の1つ又は複数の実測又は特定された変数の前の値に基づいて動的に更新し得る。
【0427】
流路のコンダクタンスを示す変数は、上述したように、記憶されたデータ及び加重係数に基づき得る。流路のコンダクタンスを示す変数は、時間窓にわたる流路の記憶されたデータに基づき得る。例えば、コントローラ13は、前の時間窓内からの記憶されたデータに基づいて、流路のコンダクタンスを示す変数を計算し得る。時間窓は、例えば、前の20秒であり得る。
【0428】
各時間ステップで又は定期的に、流路のコンダクタンスの特定は、流路のコンダクタンスの少なくとも1つの過去の特定として記憶し得る。
【0429】
記憶されるデータは、1つ又は複数の実測又は特定された変数の過去の各特定と関連付けられたタイムスタンプ情報を含み得る。このタイムスタンプ情報は、流路のコンダクタンスを示す変数を特定するに当たりコントローラ13により使用し得る。
【0430】
タイムスタンプ情報は、1つ又は複数の実測又は特定された変数の過去の特定から経過した時間を含み得る。
【0431】
コントローラ13は、関連付けられたタイムスタンプ情報に基づいて、流路のコンダクタンスを特定するに当たり記憶されたデータを加重し得る。
【0432】
幾つかの実施形態では、より最近の記憶されたデータに、あまり最近ではないコンダクタンスデータよりも大きな重みが与えられる。
【0433】
コンダクタンスデータは、1つ又は複数の実測又は特定された変数の過去の各特定と関連付けられた加重係数を含み得る。
【0434】
コントローラは、流路のコンダクタンスを特定し、流路の予測流量を連続して又は定期的に特定するように構成し得る。
【0435】
幾つかの実施形態では、コントローラは予測流量不確実性を特定するように構成される。
【0436】
上述したように、流路のコンダクタンスを示す変数は例えば、コンダクタンスを示す変数の1つの値又は幾つかの値(即ち、例えば確率分布又はベクトルを定義する)により定義し得る。流路のコンダクタンスを示す変数を特定するとき、コントローラは、例えば1つの値又は幾つかの値を特定し得る。
【0437】
本明細書における任意のリストは、リスト内の項目の全ての組合せも開示することが認められよう。
図1
図2
図3
図3A
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B-1】
図11B-2】
図11C
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図16
図17
図18
【国際調査報告】