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特表2024-508983主電源電圧変動を補償するための低電力変換器
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  • 特表-主電源電圧変動を補償するための低電力変換器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】主電源電圧変動を補償するための低電力変換器
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/34 20200101AFI20240220BHJP
   H05B 45/385 20200101ALI20240220BHJP
   H05B 45/31 20200101ALI20240220BHJP
   H05B 45/10 20200101ALI20240220BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20240220BHJP
【FI】
H05B45/34
H05B45/385
H05B45/31
H05B45/10
H05B47/105
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555180
(86)(22)【出願日】2022-02-28
(85)【翻訳文提出日】2023-10-30
(86)【国際出願番号】 EP2022054982
(87)【国際公開番号】W WO2022189184
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】21162037.2
(32)【優先日】2021-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】アルランドゥ カルネクマール
(72)【発明者】
【氏名】リンナーツ ヨハン パウル マリー ヘラルド
(72)【発明者】
【氏名】ミスドム ヨハンネス アドリアヌス コルネリス
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273AA09
3K273BA23
3K273BA24
3K273CA02
3K273CA12
3K273CA26
3K273DA08
3K273FA06
3K273FA14
3K273FA41
3K273GA12
3K273GA14
3K273GA25
3K273GA27
3K273GA28
(57)【要約】
本開示は、回路内の電圧変動を補償するための電力変換器であって、前記回路が、主電源入力を受け取り、前記主電源入力を、負荷を駆動するための直流(DC)出力に変換するよう構成される電力段と、前記負荷と並列なブランチ内に接続される第1バッファコンデンサとを有し、前記電力変換器が、前記第1バッファコンデンサと直列に接続される出力コンデンサを有し、前記出力コンデンサが、前記負荷と並列な前記ブランチ内の前記第1バッファコンデンサと直列に接続するよう構成され、前記電力変換器が、前記第1バッファコンデンサと直列に接続するよう構成される第2バッファコンデンサを有し、前記電力変換器が、前記DC出力が所定の閾値を下回るときには、前記第2バッファコンデンサから前記出力コンデンサを充電するように構成される電力変換器を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路内の電圧変動を補償するための電力変換器であって、前記回路が、
主電源入力を受け取り、前記主電源入力を、負荷を駆動するためのDC出力に変換するよう構成される電力段と、
第1バッファコンデンサとを有し、
前記電力変換器が、
前記第1バッファコンデンサと直列に接続される出力コンデンサの直列組み合わせであって、前記負荷と並列に結合される直列組み合わせと、
前記第1バッファコンデンサと直列に接続するよう構成される第2バッファコンデンサとを有し、
前記電力変換器が、前記DC出力が所定の閾値を下回るときには、前記第2バッファコンデンサから前記出力コンデンサを充電するよう構成される電力変換器。
【請求項2】
前記所定の閾値が、前記第1バッファコンデンサにわたる電圧と前記第2バッファコンデンサにわたる電圧との和である、又は前記和と電気的に等価である請求項1に記載の電力変換器。
【請求項3】
前記電力変換器が、前記電力変換器が前記第2バッファコンデンサから前記出力コンデンサを充電しているときに、前記第1バッファコンデンサが、放電し、それによって、前記負荷に電力を供給することを可能にするよう構成される請求項1乃至2のいずれか一項に記載の電力変換器。
【請求項4】
前記電力変換器が、前記DC出力が前記所定の閾値を上回る場合には、前記第2バッファコンデンサからの前記出力コンデンサの充電を停止又は低減させるよう構成される請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電力変換器。
【請求項5】
前記負荷が、少なくとも1つのLEDを含むLEDユニットを有する請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電力変換器。
【請求項6】
前記第1バッファコンデンサが使い果たされているときに前記電力変換器にわたる電圧降下を制限するよう構成される突入回路を有する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電力変換器。
【請求項7】
前記出力コンデンサを充電するために前記電力変換器の作動及び停止をさせるよう構成されるコントローラを有する請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電力変換器。
【請求項8】
前記コントローラが、
前記第2バッファコンデンサにわたる電圧、
前記第1バッファコンデンサにわたる電圧、及び
前記電力段によって供給される電圧のうちの少なくとも1つに基づいて、前記作動及び前記停止をさせるよう構成される請求項7に記載の電力変換器。
【請求項9】
前記電力変換器が、更に、前記DC出力が前記所定の閾値を上回る期間の少なくとも一部の間、前記負荷の出力電流を変調するよう構成される請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電力変換器。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の電力変換器を使用することによって回路内の電圧変動を補償するための方法であって、前記回路が、主電源入力を受け取り、前記主電源入力を、負荷を駆動するためのDC出力に変換するよう構成される電力段と、第1バッファコンデンサとを有し、前記方法が、
前記負荷と並列に、出力コンデンサ及び前記第1バッファコンデンサの直列組み合わせを接続すること、
前記第1バッファコンデンサと直列に第2バッファコンデンサを接続すること、及び
前記DC出力が所定の閾値を下回るときには、前記第2バッファコンデンサから前記出力コンデンサを充電することを有する方法。
【請求項11】
前記所定の閾値が、前記第1バッファコンデンサにわたる電圧と前記第2バッファコンデンサにわたる電圧との和である、又は前記和と電気的に等価である請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記電力変換器が前記第2バッファコンデンサから前記出力コンデンサを充電しているときに、前記第1バッファコンデンサが、放電し、それによって、前記負荷に電力を供給することを可能にすることを有する請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記DC出力が前記所定の閾値を上回る場合には、前記第2バッファコンデンサからの前記出力コンデンサの充電を停止又は低減させることを有する請求項10乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の電力変換器を有するLEDベースの照明デバイス。
【請求項15】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の電力変換器と、
回路であって、
主電源入力を受け取り、前記主電源入力を、負荷を駆動するためのDC出力に変換するよう構成される電力段、及び
第1バッファコンデンサを含む回路と、
前記負荷とを有するランプ又は照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広くは、電力変換器に関する。より具体的には、本開示は、電力変換器、前記電力変換器を使用することによって回路内の電圧変動を補償するための方法、LEDベースの照明デバイス、及び前記電力変換器を有する回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電力変換のための従来のSMPS(スイッチモード電源)トポロジは、数十年にわたって適用されている。コストと効率の観点から、それらは非常に効果的であることが証明されている。それ故、従来のトポロジは、アップコンバージョンとダウンコンバージョンとの両方の意味において、あらゆるタイプの電力変換器にとって重要なビルディングブロックになっている。一般に、コストと効率との両方の観点から、総負荷電力を効率的に変換するためにこれらのトポロジが使用される。
【0003】
しかしながら、LED(発光ダイオード)の価格は、LEDに給電するための回路のコストがLEDのコストよりも支配的になるようなレベルまで低下している。従来の電力変換トポロジは、総入力電力をLEDの適切な出力電力に変換する。このことは、全出力電力にわたる電力変換損失を伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、改良された電力変換器を提供することである。本開示との関連においては、電力変換器は、前記電力変換器が、より小さい電力変換損失をもたらすことができる場合に、即ち、より効率的である場合に、「改良された」とみなされ得る。
【0005】
本開示の副次的な目的は、よりコンパクトで、且つ/又はよりコストがかからず、更に依然として効率的な電力変換器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様においては、回路内の電圧変動を補償するための電力変換器であって、前記回路が、主電源入力を受け取り、前記主電源入力を、負荷を駆動するための直流(DC)出力に変換するよう構成される電力段と、第1バッファコンデンサとを有し、前記電力変換器が、前記第1バッファコンデンサと直列に接続される出力コンデンサの直列組み合わせであって、前記負荷と並列に結合される直列組み合わせと、前記第1バッファコンデンサと直列に接続するよう構成される第2バッファコンデンサとを有し、前記電力変換器が、前記DC出力が所定の閾値を下回るときには、前記第2バッファコンデンサから前記出力コンデンサを充電するよう構成される電力変換器が提供される。
【0007】
本発明者は、全電力変換段(通常は第2段)と比較して、全負荷電力のごく一部のみを変換するために前記負荷を通した電圧降下を利用することは、以下の利点の1つ以上を有することに気付いた。前記電力変換器は、低い電圧で高い周波数で動作され得ることから、前記電力変換器は、よりコンパクトである可能性がある。前記電力変換器は、低コストである可能性がある。電力変換のための損失が全負荷電力のごく一部しか伴わないことから、前記電力変換器は、効率的である可能性がある。それ故、本開示による例は、主電源電圧変動が補償されることができるように、負荷電力のごく一部のみを変換しながら、LEDに給電する新規な手法を提供し得る。
【0008】
換言すれば、前記電力変換器は、高負荷電力を、安定化、分配又は変調するのに役立つ可能性があり、このことは、電力のごく一部のみが変換されるので高効率、低電圧構成要素が使用されることができるので低コスト、及び小さいフォームファクタという利点のうちの1つ以上を有する可能性がある。高い周波数(例えば、1MHz乃至5MHz)で動作することができる小さな低電圧変換器は、全電力のほんの一部しか変換しない可能性がある。
【0009】
更に、前記電力変換器は、主電源変動を補償することができることから、特に、従来の(LED)ドライバが大きすぎて収まらないコンパクトな設計の場合、前記電力変換器は、ドライバレスコンセプトに適用可能である可能性がある。
【0010】
好ましい例においては、前記電力変換器は、前記負荷にわたって前記第1バッファコンデンサを放電させるために、前記第2バッファコンデンサから前記出力コンデンサを充電するよう構成される。しかしながら、所望の用途に応じて、その時に前記第1バッファコンデンサを放電させず、前記第1バッファコンデンサを一定又はほぼ一定の充電状態に保つことも可能である。
【0011】
好ましくは、前記所定の閾値は、前記第1バッファコンデンサにわたる電圧と前記第2バッファコンデンサにわたる電圧との和である、又は前記和と電気的に等価である。
【0012】
好ましくは、前記電力変換器は、前記電力変換器が前記第2バッファコンデンサから前記出力コンデンサを充電しているときに、前記第1バッファコンデンサが、放電し、それによって、前記負荷に電力を供給することを可能にするよう構成される。
【0013】
好ましくは、前記電力変換器は、前記DC出力が前記所定の閾値を上回る場合には、前記第2バッファコンデンサからの前記出力コンデンサの充電を停止又は低減させるよう構成される。
【0014】
このやり方においては、前記入力電流の力率が改善され得る。加えて、又はその代わりに、例えば、前記第2バッファコンデンサがDC出力から充電されている間に、前記第2バッファコンデンサから前記出力コンデンサを低減された割合で充電することによって、前記負荷電流の連続性が改善される可能性がある。この状況においては、前記第1バッファコンデンサもDC出力から充電される可能性があるが、少なくとも幾らかのDC出力は前記負荷のために利用可能なままである。それ故、この状況においては、前記負荷電流はゼロではなく、有利には、前記負荷電流の連続性の改善につながる可能性がある。
【0015】
本開示との関連においては、充電を停止させることは、電荷が追加されされないこと、及び随意に、電荷が放電によって取り除かれることを意味すると解釈されることができ、充電を低減させることは、充電し続けるが、低減された割合で充電すること、又は上記で既定されているように充電を停止させることのいずれかを意味すると解釈されることができる。
【0016】
好ましくは、前記負荷は、少なくとも1つの発光ダイオード(LED)を含むLEDユニットを有する。
【0017】
好ましくは、前記電力変換器は、前記第1バッファコンデンサが使い果たされているときに前記電力変換器にわたる電圧降下を制限するよう構成される突入回路(inrush circuit)を有する。
【0018】
好ましくは、前記電力変換器は、前記出力コンデンサを充電するために前記電力変換器の作動及び停止をさせるよう構成されるコントローラを有する。
【0019】
好ましくは、前記コントローラは、前記第2バッファコンデンサにわたる電圧、前記第1バッファコンデンサにわたる電圧、及び前記電力段によって供給される電圧のうちの少なくとも1つに基づいて、前記作動及び前記停止をさせるよう構成される。
【0020】
好ましくは、前記電力変換器は、更に、前記DC出力が前記所定の閾値を上回る期間の少なくとも一部の間、前記負荷の出力電流を変調するよう構成される。このやり方においては、前記負荷の前記出力電流における望ましくない変動は、低減又は防止されることができる。
【0021】
好ましくは、前記電力変換器は、前記バッファコンデンサと直列に接続される電流リミッタを有する。
【0022】
本開示の第2態様においては、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の電力変換器を使用することによって回路内の電圧変動を補償するための方法であって、前記回路が、主電源入力を受け取り、前記主電源入力を、負荷を駆動するための直流(DC)出力に変換するよう構成される電力段と、前記負荷と並列なブランチ内に接続される第1バッファコンデンサとを有し、前記方法が、前記負荷と並列な前記ブランチ内の前記第1バッファコンデンサと直列に出力コンデンサを接続すること、前記第1バッファコンデンサと直列に第2バッファコンデンサを接続すること、及び前記DC出力が所定の閾値を下回るときには、前記第2バッファコンデンサから前記出力コンデンサを充電することを有する方法が提供される。
【0023】
前記電力変換器について上述したのと同じ考察及び利点が、前記方法に準用され得ることは理解されるだろう。
【0024】
好ましくは、前記所定の閾値は、前記第1バッファコンデンサにわたる電圧と前記第2バッファコンデンサにわたる電圧との和である、又は前記和と電気的に等価である。
【0025】
好ましくは、前記方法は、前記電力変換器が前記第2バッファコンデンサから前記出力コンデンサを充電しているときに、前記第1バッファコンデンサが、放電し、それによって、前記負荷に電力を供給することを可能にすることを有する。
【0026】
好ましくは、前記方法は、前記DC出力が前記所定の閾値を上回る場合には、前記第2バッファコンデンサからの前記出力コンデンサの充電を停止又は低減させることを有する。
【0027】
好ましくは、前記負荷は、少なくとも1つの発光ダイオード(LED)を含むLEDユニットを有する。
【0028】
好ましくは、前記方法は、前記第1バッファコンデンサが使い果たされているときに前記電力変換器にわたる電圧降下を制限することを有する。
【0029】
好ましくは、前記方法は、前記出力コンデンサを充電するために前記電力変換器の作動及び停止させることによって、前記電力変換器の制御をすることを有する。
【0030】
更なる発展例においては、前記制御は、前記第2バッファコンデンサにわたる電圧、前記第1バッファコンデンサにわたる電圧、及び前記電力段によって供給される電圧のうちの少なくとも1つに基づいている。
【0031】
本開示の第3態様においては、上記の例のうちのいずれか1つによる電力変換器を有する発光ダイオード(LED)ベースの照明デバイスが提供される。
【0032】
前記電力変換器について上述したのと同じ考察及び利点が、前記LEDベースの照明デバイスに準用され得ることは理解されるだろう。
【0033】
本開示の第3態様においては、主電源入力を受け取り、前記主電源入力を、負荷を駆動するための直流(DC)出力に変換するよう構成される電力段と、前記負荷と並列なブランチ内に接続される第1バッファコンデンサと、上記の例のうちのいずれかによる電力変換器とを有する回路が提供される。
【0034】
前記電力変換器と、主電源入力を受け取り、前記主電源入力を、負荷を駆動するための直流(DC)出力に変換するよう構成される電力段、及び第1バッファコンデンサを含む回路と、前記負荷とを有するランプ又は照明器具が提供される。
【0035】
前記電力変換器について上述したのと同じ考察及び利点が、前記回路に準用され得ることは理解されるだろう。
【0036】
更に、本開示による幾つかの好ましい例が別々に記載されているが、当業者は、別々に記載されている好ましい例を、記載されていない実施形態に、この記載されていない実施形態が依然として特許請求の範囲の定義の範囲に入る限り、組み合わせることができることは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
上記の態様、例及び実施形態をより詳細に説明するために、以下の図が添付されており、これらの図においては、同様の参照符号は、同様の要素を指している。
図1】本開示による電力変換器の第1例を示す。
図2】本開示による電力変換器の第2例を示す。
図3】本開示による電力変換器の例のモデルのシミュレーション結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、本発明による電力変換器の第1例を示している。とりわけ、図1は、回路内の電圧変動を補償するための電力変換器の略ブロック図を示している。
【0039】
回路においては、主電源が供給され得る、端子線111、及びニュートラル(neutral)112が設けられる。示されている回路は、ヒューズ113も有する。主電源からの電力は、ヒューズ113の後、EMC(電磁両立性)フィルタ114及びブリッジ整流器115を通過する。それ故、これらの要素は、主電源交流(AC)入力を受け取り、主電源入力を、負荷を駆動するための直流(DC)出力に変換するよう構成される電力段を形成する。
【0040】
DC出力は、この例においてはLED負荷101を含むが、任意の適切なタイプの負荷101が考えられ得る負荷001と、電力変換器002であって、電力変換器002の二次巻線、ダイオード及び出力コンデンサ103は、負荷と並列なブランチであって、第1バッファコンデンサ102と同じブランチ内にあることから、電力変換器002の出力側は、参照符号001の範囲内に示されている電力変換器002と、随意だが、好ましい電流制限回路003との直列構成に供給される。出力コンデンサ103を充電するために電力変換器の作動及び停止させるために構成される、随意だが、好ましいコントローラCTRLを有する電力変換器002が示されている。
【0041】
LED負荷101の順方向電圧が一般的に主電源ピーク電圧に近いよう設計されるドライバレス又はリニアトポロジとは対照的に、本開示による例は、主電源リップルが、第1バッファコンデンサ102によってフィルタにかけて除去されるよう意図されていることから、好ましくは、少なくとも平均主電圧にほぼ等しい順方向電圧を有する。
【0042】
当業者が、従来技術において行われているように、LED負荷101と第1バッファコンデンサ102との間の直接的な並列接続を考慮するとしたら、このことは、バッファコンデンサの不十分な利用をもたらすだろう。更に、主電源電圧における変動は、(LED負荷の場合に)光出力の高い変動及び/又は電流制限回路109における追加的な電力損失をもたらすだろう。これらの不利な点を効果的に解消するために、ここに記載されている例は、LED負荷101及びバッファコンデンサ102と直列に接続するよう構成される、電力変換器002を提供する。電流制限回路003もLED負荷101及びバッファコンデンサ102と直列に接続するよう構成されることに留意されたい。
【0043】
電力変換器002は、第1バッファコンデンサ102と直列に接続される出力コンデンサ103を有する。出力コンデンサ103及び第1バッファコンデンサ102の直列組み合わせは、負荷と並列に結合されるよう構成される。それ故、第1バッファコンデンサ102及び出力コンデンサ103の合計電圧(combined voltage)が、負荷101をバッファする(buffer)ために利用可能である。
【0044】
出力コンデンサ103は、好ましくは、出力コンデンサ103が、第1バッファコンデンサ102に比べてわずかな電荷しか蓄積することができないように、第1バッファコンデンサ102に比べて相対的に低い静電容量を有する。このやり方においては、出力コンデンサ103は、有利には、電力変換器002からの高周波リップルを平滑化することができる。
【0045】
電力変換器002は、第1バッファコンデンサ102と直列に接続するよう構成される第2バッファコンデンサ105を有する。電力変換器002は、図2を参照して更に説明するように、DC出力が所定の閾値を下回るときには、第2バッファコンデンサ105から出力コンデンサ103を充電するよう構成される。
【0046】
この特定の例の場合、電力変換器のためにフライバックトポロジが選ばれているが、他のトポロジが使用されることもある。当業者は、有利には、随意に、高速応答、低い動的抵抗、高効率の必要性などの、LED101の幾つかの特性を克服するために、幾つかの付加的な回路が設けられ得ることを理解するだろう。
【0047】
電力変換器が、電力のごく一部のみを変換するよう設計される場合、電力変換器が、より高いスイッチング周波数のより小さい構成要素を可能にする低電圧構成要素で実現されることができるという利点、及びDC出力のごく一部、例えば、3%乃至10%のみが変換されるので、損失が、より小さいという利点のうちの1つ以上が得られ得る。用途の要件に応じて、他の利点、例えば、より大きい範囲の主電源電圧変動を許容するという利点が得られる場合がある。低電圧構成要素の使用を可能にするために、好ましくは、突入回路が、第1バッファコンデンサ102が使い果たされているときに低電圧電力変換器を通した電圧降下を制限するために追加されてもよい。有利には、この同じ突入リミッタが、入力電流の全高調波歪みを改善するための制御電流源としても使用されることができる。
【0048】
LEDユニット101は、好ましくは、LEDユニット101にわたる電圧降下が、電力段の平均電圧出力と少なくともほぼ等しくなるように、多数のLEDを含み得る。この意味において、それは、負荷が負荷にわたる電圧降下に基づいている場合に、好ましい。実際には、LEDは、それらが所望の光出力のための主電源入力電圧と一致するように、直列及び並列に構成されることができる。
【0049】
図2は、本開示による電力変換器の第2例を示している。図2の第2例は、上記の、図1の第1例を更に発展させたものである。それ故、図2は、大部分は、図1と一致するが、図2は、それぞれ、実線矢印及び破線矢印で、幾つかの電流の方向も示している。どの構成要素が電力変換器に含まれているのかをより明確にするために、図 1 と比較して、参照符号001、002及び003が図2から削除されており、電力変換器のための参照符号104が図2に含まれている。
【0050】
本発明においては、完全な主電源サイクル、即ち、50Hz又は60Hzにわたって電力変換器104の出力コンデンサ103の両端の電圧変動を実現することによって、バッファコンデンサの利用が強化される。電力が主電源から電力が引き出されるとき、一般的には、瞬時主電源電圧が高いとき、例えば、主電源のピークにおいて、第1バッファコンデンサ102及び第2バッファコンデンサ105に電荷が蓄積され得る。図2における実線矢印は、この状況の電流経路及び電流方向の方向を示している。
【0051】
その後、DC出力(即ち、時間変動主電源電圧)が、第1バッファコンデンサ102の両端の電圧と第2バッファコンデンサ105の両端の電圧との和より低くなるとき、第1バッファコンデンサ102が、(この例においては、先と同様に、LED負荷101であるが、任意の適切なタイプの負荷が使用され得る)負荷101にわたって放電されることができるように、第2バッファコンデンサ105からの電荷が、出力コンデンサ103に送られ得る。図2における破線矢印は、この状況の電流フロー及び電流方向を示している。
【0052】
定常状態の主電源電圧変動は、電力取り込み量(power intake)が同じままであり、電流リミッタにおける電力損失が制限されるように、105を通したオフセット電圧降下を適応させることによって、補償されることができる。電流リミッタの実施に応じて、この回路の入力電流波形は、更に、THD(全高調波歪み)を最小限に抑えるよう、向上されることができる。驚くべきことに、導通角及び入力電力も、電流リミッタ109によって適応されることができ、即ち、電力取り込み量は、導通時間で割った入力電流を乗じた入力電圧の積である。より長い導通角は、周期的な(50Hz又は60Hzの)主電源電圧変動の一部が、より高い導通角に対して電流リミッタを通したより高い電圧降下をもたらすので、より高い電力損失をもたらし得ることに留意されたい。
【0053】
実際の実施形態においては、負荷にわたる電圧並びに第1バッファコンデンサ102及び第2バッファコンデンサ105にわたる電圧だけでなく、DC出力電圧も決定するために、コントローラCTRLによって抵抗器107及び108が使用されてもよい。
【0054】
その代わりに、しかし、等価的に定式化すると、電力変換器は、作動されるときに、第2バッファコンデンサを使用して出力コンデンサを充電するよう構成されてもよい。この場合には、電力変換器は、好ましくは、作動されるときに、第1バッファコンデンサ及び第2バッファコンデンサの充電状態に基づいて、好ましくは、第1バッファコンデンサ及び第2バッファコンデンサの合計電荷に基づいて、出力コンデンサを充電するよう構成されてもよい。更に、この場合には、電力変換器は、好ましくは、主電源入力の特性、好ましくは、主電源入力の絶対実効電圧が、所定の閾値より大きい値を有する場合に、停止されてもよい。
【0055】
実際の例においては、電流リミッタ109を無効にすることによって、第1バッファコンデンサ102及び第2バッファコンデンサ105の充電が停止されてもよい。
【0056】
更なる発展例においては、ヒステリシスのような効果をもたらすために、複合閾値(composite threshold value)、即ち、別個のより低い閾値と、別個のより高い閾値とを使用することがと考えられる。
【0057】
図3は、LTspiceにおいてシミュレートされた、本開示による電力変換器の例のモデルのシミュレーション結果を示している。定常状態条件の場合、主電源Vacは一定である。時間の関数としての主電源入力電圧が、一番上のプロットペイン(plot pane)に示されている。上から2番目のプロットペインは、電力変換器の電力を示している。上から3番目のプロットペインは、主入力電流を示している。上から4番目のプロットペインは、例の実施におけるLED電流を示している。
【0058】
瞬時主電源電圧が所定の閾値より低い条件(区間1)の場合、第2プロットペインにおいて示されているように電力変換器が作動される。この状況(区間1)においては、第3プロットペインにおいて示されているように、主電源から入力電流は引き出されず、第1バッファコンデンサ102及び第2バッファコンデンサ105を放電させることによってLED電流が供給される。
【0059】
換言すれば、第1バッファコンデンサ102及び第2バッファコンデンサ105が、十分に充電されているが、DC出力(即ち、主電源電圧)が、低くなりすぎる、即ち、所定の閾値より低くなるときに、区間1が始まる。この例においては、所定の閾値を、第1バッファコンデンサ102及び第2バッファコンデンサ105にわたる合計電圧に設定することが好ましい。区間1の開始時、第2バッファコンデンサ105から出力コンデンサ103を充電するために、電力変換器が作動される。主電源から入力電流が引き出されないので、第1バッファコンデンサ102及び第2バッファコンデンサ105を能動的に(actively)放電させることによってLEDに電流が供給される。
【0060】
主電源の瞬時電圧が、第1バッファコンデンサ102及び第2バッファコンデンサ105を通した合計電圧降下より大きい条件(区間2)の場合、主電源から電流が引き出され、第1バッファコンデンサ102及び第2バッファコンデンサ105が充電される。この区間2における電力変換器104は、停止されてもよく、即ち、オフに切り替えられてもよく、第2バッファコンデンサ105は使い果たされていることから、LED電流は、より少ないことに注目すべきである。この特定の例においては、LED電流はゼロである。しかしながら、更なる発展例においては、電力変換器104は、好ましくは、更に、DC出力が所定の閾値を上回る期間の少なくとも一部の間、例えば、少なくとも区間2の間、負荷101の出力電流を変調するよう構成されてもよい。換言すれば、電力変換器104は、負荷の特定の動作条件に基づいて、LED電流を平滑化し、LED電流の電流不連続性を低減又は防止するよう設定されてもよい。このことは、電力変換器の電力を正誤することによって行われることができる。このやり方においては、望ましくないちらつき又はストロボ効果が低減され得る。
【0061】
換言すれば、区間2において、DC出力は、再び、所定の閾値を超える。同等に、主電源電圧は、十分に高くなり、例えば、第1バッファコンデンサ102及び第2バッファコンデンサ105にわたる合計電圧より高くなる。区間2の開始時、電力変換器104は停止され、故に、電力変換器104は、もはや出力コンデンサ103を充電しない。この区間2においては、第1バッファコンデンサ102及び第2バッファコンデンサ105を充電するために、再び主電源から電流が引き出される。この区間2においては、(第2バッファコンデンサ105が使い果たされていることから)LEDには電流が供給されない。
【0062】
区間3の間、バッファコンデンサは充電を続けるので、LED電流は、主電源電圧が、第1バッファコンデンサ102及び第2バッファコンデンサ105を通した電圧降下の和よりも低くなるまで、増加し始め、従って、前記和が、所定の閾値を構成する。
【0063】
換言すれば、区間3の開始時、第2バッファコンデンサ105は、十分に充電された状態になる一方で、主電源電圧は、十分に高いまま、例えば、第1バッファコンデンサ102及び第2バッファコンデンサ105にわたる合計電圧より高いままである。電力変換器104は停止されたままであり、依然として主電源から電流が引き出されており、前記電流は、第1バッファコンデンサ102を充電するために使用される。第2バッファコンデンサ105を充電するためにはもはや必要とされない全ての「余剰」電流が、有利には、LEDに供給されることができ、このことは、図3の第4プロットペインにおけるLED電流の増加から分かる。
【0064】
区間4内では、LEDは、第1バッファコンデンサ102の放電によって受動的に(passively)供給される。第1バッファコンデンサ102を受動的に放電させた後、第1バッファコンデンサ102及び第2バッファコンデンサ105を能動的に放電させるために、電力変換器104が再び作動される。このことが、主電源サイクルの半分に対する4つの動作状態を終了させる。
【0065】
換言すれば、DC出力が、所定の閾値より低くなるときに、例えば、主電源電圧が、第1バッファコンデンサ102及び第2バッファコンデンサ105にわたる合計電圧より低くなるときに、区間4が始まる。電力変換器104は停止されたままであり、主電源から電流は引き出されていない。第1バッファコンデンサ102を受動的に放電させることによってLEDに電流が供給される。
【0066】
LEDを通る電流リップルが、更にもっと最小限に抑えられることができるように、電力変換器104の動作を更に向上させることが考えられる。
【0067】
示されている例においては、第2バッファコンデンサ105は、第1バッファコンデンサ102と出力コンデンサ103との間のノードと、整流器115への帰還ノード(return node)との間に結合され得る。帰還ノードへの接続において、電流制限回路109が含まれ得る。
【0068】
本開示の実施形態の幾つかの電子要素は、実施形態の本質的な機能特性を変えることなく、他の等価な電子要素に置き換えられ得ることは理解されるだろう。更に、実際には、特定の目的、例えば、電磁両立性の改善又は放散特性の改善を達成するために、本開示の実施形態に特定の電子要素が追加されてもよいことは理解されるだろう。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-10-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路内の電圧変動を補償するための電力変換器であって、前記回路が、
整流器を含む電力段であって、主電源入力を受け取り、前記主電源入力を、負荷を駆動するためのDC出力に変換するよう構成される電力段と、
第1バッファコンデンサとを有し、
前記電力変換器が、
前記第1バッファコンデンサと直列に接続される出力コンデンサの直列組み合わせであって、前記負荷と並列に結合される直列組み合わせと、
前記第1バッファコンデンサと直列に接続するよう構成される第2バッファコンデンサであって、前記第1バッファコンデンサと前記出力コンデンサとの間のノードと、前記整流器への帰還ノードとの間に結合される第2バッファコンデンサとを有し、
前記電力変換器が、前記DC出力が所定の閾値を下回るときには、前記第2バッファコンデンサから前記出力コンデンサを充電するよう構成される電力変換器。
【請求項2】
前記所定の閾値が、前記第1バッファコンデンサにわたる電圧と前記第2バッファコンデンサにわたる電圧との和である、又は前記和と電気的に等価である請求項1に記載の電力変換器。
【請求項3】
前記電力変換器が、前記電力変換器が前記第2バッファコンデンサから前記出力コンデンサを充電しているときに、前記第1バッファコンデンサが、放電し、それによって、前記負荷に電力を供給することを可能にするよう構成される請求項に記載の電力変換器。
【請求項4】
前記電力変換器が、前記DC出力が前記所定の閾値を上回る場合には、前記第2バッファコンデンサからの前記出力コンデンサの充電を停止又は低減させるよう構成される請求項に記載の電力変換器。
【請求項5】
前記負荷が、少なくとも1つのLEDを含むLEDユニットを有する請求項に記載の電力変換器。
【請求項6】
前記第1バッファコンデンサが使い果たされているときに前記電力変換器にわたる電圧降下を制限するよう構成される突入回路を有する請求項に記載の電力変換器。
【請求項7】
前記出力コンデンサを充電するために前記電力変換器の作動及び停止をさせるよう構成されるコントローラを有する請求項に記載の電力変換器。
【請求項8】
前記コントローラが、
前記第2バッファコンデンサにわたる電圧、
前記第1バッファコンデンサにわたる電圧、及び
前記電力段によって供給される電圧のうちの少なくとも1つに基づいて、前記作動及び前記停止をさせるよう構成される請求項7に記載の電力変換器。
【請求項9】
前記電力変換器が、更に、前記DC出力が前記所定の閾値を上回る期間の少なくとも一部の間、前記負荷の出力電流を変調するよう構成される請求項に記載の電力変換器。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の電力変換器を使用することによって回路内の電圧変動を補償するための方法であって、前記回路が、主電源入力を受け取り、前記主電源入力を、負荷を駆動するためのDC出力に変換するよう構成される電力段と、第1バッファコンデンサとを有し、前記方法が、
前記負荷と並列に、出力コンデンサ及び前記第1バッファコンデンサの直列組み合わせを接続すること、
前記第1バッファコンデンサと直列に第2バッファコンデンサを接続すること、及び
前記DC出力が所定の閾値を下回るときには、前記第2バッファコンデンサから前記出力コンデンサを充電することを有する方法。
【請求項11】
前記所定の閾値が、前記第1バッファコンデンサにわたる電圧と前記第2バッファコンデンサにわたる電圧との和である、又は前記和と電気的に等価である請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記電力変換器が前記第2バッファコンデンサから前記出力コンデンサを充電しているときに、前記第1バッファコンデンサが、放電し、それによって、前記負荷に電力を供給することを可能にすることを有する請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記DC出力が前記所定の閾値を上回る場合には、前記第2バッファコンデンサからの前記出力コンデンサの充電を停止又は低減させることを有する請求項10に記載の方法。
【請求項14】
請求項に記載の電力変換器を有するLEDベースの照明デバイス。
【請求項15】
請求項に記載の電力変換器と、
回路であって、
主電源入力を受け取り、前記主電源入力を、負荷を駆動するためのDC出力に変換するよう構成される電力段、及び
第1バッファコンデンサを含む回路と、
前記負荷とを有するランプ又は照明器具。
【国際調査報告】