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特表2024-508985開封挙動が改良された注ぎ口要素および積層包装体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】開封挙動が改良された注ぎ口要素および積層包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/74 20060101AFI20240220BHJP
   B65D 75/60 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
B65D5/74 020D
B65D75/60
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555202
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(85)【翻訳文提出日】2023-11-07
(86)【国際出願番号】 EP2021086007
(87)【国際公開番号】W WO2022189029
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】21020137.2
(32)【優先日】2021-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21187218.9
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507132710
【氏名又は名称】エスアイジー コンビブロック サービシズ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SIG Combibloc Services AG
【住所又は居所原語表記】Laufengasse 18,CH-8212 Neuhausen am Rheinfall,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】スヴェン ヒンメルスバッハ
(72)【発明者】
【氏名】ダーヴィト コーラー
【テーマコード(参考)】
3E060
3E067
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060BC01
3E060BC04
3E060CF04
3E060CF06
3E060CG12
3E060DA14
3E060DA23
3E060EA03
3E067AA03
3E067AB01
3E067AC01
3E067BA05A
3E067BB01A
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067BB25A
3E067CA05
3E067CA06
3E067CA07
3E067EB01
3E067EB27
3E067EE59
3E067FC01
(57)【要約】
積層包装体(P、P’)のための注ぎ口要素(1、1’)が図示および説明されている。注ぎ口要素(1、1’)は、
- フランジ(4、4’)と、中心軸線(Z)を画定する中空円筒状の注ぎ口(5、5’)と、注ぎ口(5、5’)の中に形成された閉鎖部(6、6’)と、を有する一体式本体(3、3’)であって、閉鎖部(6、6’)は、中心軸線(Z)にほぼ直交し、脆弱ゾーン(7、7’)を有する、本体(3、3’)と、
- 注ぎ口(5、5’)の中を移動可能に案内される中空円筒状の切断要素(11、11’)であって、注ぎ口(5、5’)と積層包装体とを開封するために脆弱ゾーン(7、7’)を切断する切歯(12、12’)を少なくとも1つ有する、中空円筒状の切断要素(11、11’)と、
- 再封可能なねじ式キャップ(2、2’)であって、積層包装体の初回開封時に、切断要素(11、11’)を駆動する役割を担うねじ式キャップ(2、2’)と、
を備えている。
液状食品用の2つの代替積層包装体(P、P’)も説明されている。これら積層包装体(P、P’)は、本発明による注ぎ口要素が積層包装体のゲーブル領域に一体化されている。本体(3、3’)が少なくとも92重量%のHDPEで構成され、中心軸線(Z)に直交して本体(3、3’)のフランジ(4、4’)を通る測定面を通して測定された酸素透過率がASTM D3985に準拠して、12mlO/(m*day)と23mlO/(m*day)の間であるように、バリア箔が追加されていない注ぎ口要素(1、1’)の総合的により好適な代替案が設計されている。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層包装体(P、P’)のための注ぎ口要素(1、1’)であって、
- フランジ(4、4’)と、中心軸線(Z)を画定する中空円筒状の注ぎ口(5、5’)と、前記注ぎ口(5、5’)に形成された、前記中心軸線(Z)にほぼ直交する閉鎖部(6、6’)とを有する一体式本体(3、3’)であって、前記閉鎖部(6、6’)は脆弱ゾーン(7、7’)を有する、本体(3、3’)と、
- 前記注ぎ口(5、5’)の中を移動可能に案内される中空円筒状の切断要素(11、11’)であって、前記注ぎ口(5、5’)と積層包装体とを開封するために、前記脆弱ゾーン(7、7’)を切断するための切歯(12、12’)を少なくとも1つ有する、切断要素(11、11’)と、
- 再封可能なねじ式キャップ(2、2’)であって、前記積層包装体の初回開封時に前記切断要素(11、11’)を駆動する役割を担う、ねじ式キャップ(2、2’)と、
を備え、
前記本体(3、3’)は少なくとも92重量%のHDPEで構成され、前記中心軸線(Z)に直交して前記本体(3、3’)の前記フランジ(4、4’)を通る測定面を通して測定された酸素透過率がASTM D3985に準拠して、12mlO/(m*day)と23mlO/(m*day)の間であることを特徴とする注ぎ口要素。
【請求項2】
前記本体(3、3’)は、前記中心軸線(Z)に直交して前記本体(3、3’)の前記フランジ(4、4’)を通る測定面を通して測定された酸素透過率が20mlO/(m*day)未満、好ましくは18mlO/(m*day)未満、であることを特徴とする、請求項1に記載の注ぎ口要素。
【請求項3】
前記脆弱ゾーン(7、7’)の高さは、前記中心軸線(Z)に平行に測定された残りの閉鎖部(6、6‘)の高さの50%未満であることを特徴とする、請求項1に記載の注ぎ口要素。
【請求項4】
前記脆弱ゾーン(7、7’)は、リング状に設計され、前記注ぎ口(5、5’)に直接接続されていることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の注ぎ口要素。
【請求項5】
初回開封前に前記注ぎ口要素全体が許容する光の透過が波長範囲350~550nmにおいて1%未満であることを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載の注ぎ口要素。
【請求項6】
前記切断要素(11、11’)および前記ねじ式キャップ(2、2’)もポリオレフィンで構成されていることを特徴とする、請求項1~5の何れか一項に記載の注ぎ口要素。
【請求項7】
前記注ぎ口要素全体が再生可能な原料で構成されていることを特徴とする、請求項6に記載の注ぎ口要素。
【請求項8】
前記切断要素(11、11’)はポリプロピレンで構成されていることを特徴とする、請求項1~7の何れか一項に記載の注ぎ口要素。
【請求項9】
前記ポリプロピレンは、少なくとも1900MPaの曲げ弾性率を有することを特徴とする、請求項8に記載の注ぎ口要素。
【請求項10】
前記切歯(12、12’)は、前記脆弱ゾーン(7、7’)に面する端部が前記中心軸線(Z)に直交する平面に周方向に延在することを特徴とする、請求項1~9の何れか一項に記載の注ぎ口要素。
【請求項11】
前記切断要素(11、11’)は、前記切歯(12、12’)の領域が半径方向内方に肥厚化するように設計されていることを特徴とする、請求項1~10の何れか一項に記載の注ぎ口要素。
【請求項12】
前記切断要素(11、11’)は2つの切歯(12、12’)を有することを特徴とする、請求項1~11の何れか一項に記載の注ぎ口要素。
【請求項13】
液状食品用の積層包装体(P)であって、請求項1~12の何れか一項に記載の注ぎ口要素(1)が前記積層包装体のゲーブル領域に一体化されている、積層包装体(P)。
【請求項14】
液状食品用の積層包装体(P’)であって、請求項1~12の何れか一項に記載の注ぎ口要素(1’)が前記積層包装体(P’)のゲーブル領域に一体化され、前記ゲーブル領域は多面形状のゲーブル面を複数有し、前記多面形状のゲーブル面は前記注ぎ口要素(1’)の多面形状のフランジ(4’)に対応付けて接続されている、積層包装体(P’)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層包装体のための注ぎ口要素であって、
- フランジと、中心軸線を画定する中空円筒状の注ぎ口と、この注ぎ口の中に形成された、中心軸線にほぼ直交する閉鎖部と、を有する一体式本体であって、閉鎖部は脆弱ゾーンを有する、本体と、
- 注ぎ口の中を移動可能に案内される中空円筒状の切断要素であって、注ぎ口と積層包装体とを開封するために、脆弱ゾーンを切断するための切歯を少なくとも1つ有する、切断要素と、
- 再封可能なねじ式キャップであって、積層包装体の初回開封時に切断要素を駆動するために使用される、ねじ式キャップと、
を備えた注ぎ口要素に関する。
【背景技術】
【0002】
このような注ぎ口要素は、注ぎ出し中の取り扱いの簡素化と積層包装体の再封可能性とのために、積層包装体のゲーブルの一部として一体化されている。この種の注ぎ口要素は、例えば、本出願人の特許文献1に示されている。中空円筒状の切断要素は、本体、ひいてはそれ迄気密であった包装体、を初めて開封し、ひいては注出用開口部を形成する。この場合、ねじ式キャップは、現在開封されている積層包装体の再封を可能にする。注ぎ口の中を移動可能に案内される切断要素は、複数の力伝達要素を備え、これにより、キャップ側の対応する力伝達要素によって駆動される。初回開封プロセス中、切断要素は閉鎖部に接近し、この2つの要素の初回接触後、切断要素の切歯は、閉鎖部をほぼ脆弱ゾーンの領域において切り離す。切断要素の移動経路は、通常はリング状の脆弱ゾーンに対応する。
【0003】
開封プロセスは、例えば、以下の部分に分割可能である。上記の切断要素の接近は、組み立てられた状態で上記2つの要素が既に接触している場合は、省くこともできる。その後、切断要素は閉鎖部を貫いて移動し、切歯によって閉鎖部を切断線に沿って切り離す。この切り離しプロセスは、切り離しと、塑性変形と、材料変位との組み合わせである。この場合、力の一様な、且つ制御された、印加が有利である。円周の大部分が切り離されるや否や、切断要素は閉鎖部を脇へ折り曲げ始め、ひいては中身のための注ぎ口を解放し始める。折り曲げは、脆弱ゾーンの切り離されていない残片を枢動軸として行われる。この場合、折り曲げの過程において、最初に切歯が、次に切断要素の外側が、閉鎖部に力を加え、ひいては閉鎖部を脇に押しやる。注ぎ口要素が完全に開封された後、閉鎖部は、ねじ込まれた切断要素の外壁に沿って、中心軸線Zにほぼ平行である。
【0004】
このような閉鎖部を有する注ぎ口要素は、主に無菌包装体に使用されるが、これだけには限定されない。この場合、所謂無菌包装体を得るために、事前に滅菌された食品が同様に滅菌済みの包装材料に無菌状態で包装される。無菌の問題は別として、本発明による注ぎ口要素を一体化できる各種の積層包装体が存在する。
【0005】
第1の方法では、注ぎ口要素は、積層包装体の一体部分である。注ぎ口要素は、その製造プロセス中に導入されている。この目的のために、最初に長手方向シームの封着によって包装スリーブに形成される積層材料の切り抜きが、通常、最初に所謂「フォームフィルシール(FFS)」包装機において注ぎ口要素に接続される。この場合、片側が開口している、これら半造形製品は、製品が充填され、その後に封着される。第1ステップは、さまざまな方法で提供され得る。例えば、包装機において直接射出成形された更なるプラスチック要素によって、フランジを包装スリーブの片側に接続できる。追加のプラスチック要素を使用せずに、フランジを包装スリーブに直接溶接または接着することもできる。この場合、フランジを包装スリーブの開口部と同じサイズで設計することも、プラスチックを節約するために、それより小さいサイズで設計することもできる。フランジの方が小さい場合、包装スリーブの各表面を折り重ね合わせ、その後にフランジに載置し、フランジに溶接する必要がある。この場合、このような積層包装体は、注ぎ口要素の多面形状のフランジに対応付けて接続される多面形状のゲーブル面を有することが好ましい。この場合、多面形状のフランジは、ピラミッド断端にほぼ対応する。
【0006】
第2の方法では、最初に完全に封着された積層包装体が製造される。この場合、注ぎ口要素を導入するための打ち抜き穴が積層包装体に、通常はゲーブル領域に、存在する。注ぎ口要素の挿入は、通常、フランジを積層材料の少なくとも1つの層に溶接することによって行われる。あるいは、これらの部分を接着することもできる。この第2の種類の積層包装体は、更に、注ぎ口要素の挿入を積層包装体の製造とは独立に行えることを特に特徴とする。したがって、穴の製作および注ぎ口要素の挿入を積層包装体自体の製造の前、中、または後、に行うことができる。包装機自体を無用に複雑にしないため、両ステップは製造前に行われることが好ましい。これら製作ステップのこの配置は、打ち抜き穴への注ぎ口要素の挿入を内側から最も簡単に行えることも意味している。このような積層包装体の製造は、通常、2種類の包装機のうちの1つで行われる。この第1の代替案では、滅菌済みの積層材料から成る無端ウェブが筒状に形成されて封着されている。その後、同様に滅菌済みの製品で充填され、封着され、等距離で横断方向に切断される。得られた「包装パッド」は、その後、折り癖が付けられた折り山に沿って平行六面体の包装体に形成される。ゲーブル領域における横断方向の封着中に形成された封着シームは、通常、ゲーブルシームと称される。第2の代替案は、積層材料製のブランクを使用する。ブランクは、最初に、長手方向シームの封着によって、包装スリーブに造形され、その後、マンドレル上で片側が開口している包装体に造形され、その後、滅菌、充填され、最後に封着され、最終的に造形される。この場合、ゲーブル領域をさまざまに設計できる。例えば、底面に平行な表面として(平坦ゲーブル型包装体)、または少なくとも一部が底面に対して斜めに形成された表面として(傾斜ゲーブル型包装体)、または2つの対向する傾斜面を有する両流れ屋根として(「ゲーブルトップ型」包装体)、設計できる。
【0007】
積層材料の精確な層構造は、要件に応じて可変であるが、少なくとも厚紙製のキャリア層とプラスチック製の被覆層とで構成される。加えて、無菌製品のために気体に対する、およびアルミニウムの場合は光にも対する、バリア効果の向上を保証するために、バリア層(例えば、アルミニウム(Al)、ポリアミド(PA)、またはエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH))が必要になり得る。この理由により、このような積層包装体は、厚紙/プラスチック積層包装体とも称される。注ぎ口要素が積層包装体の一部として一体化される場合、注ぎ口要素は、使用される積層材料と同様に強力な、気体および光に対するバリア効果を有するべきである。同時に、一緒にリサイクルし易い安価な材料が使用されるべきであることは言うまでもない。このことは、特に、使用される注ぎ口要素の材料にも当てはまる。
【0008】
上記の従来技術においては、気体バリアが必要であるというこの問題は、本体のために好適な基材、すなわちLDPE、を選択することによって解決されていた。その際、極めて低い酸素透過率を実現するために、本体に隣接するバリア箔によってLDPEを補完していた。これは、本体自体の好適な製造を可能にしたが、高価なバリア箔と、エラーを発生させ易い別の製作ステップと、が必要であった。常に重要なコストの問題に加え、これは、潜在的な諸問題も生じさせた。その理由は、箔の端縁領域が起伏を形成したことによる。この起伏は、本体とバリア箔との間に非無菌ポケットを形成し得るので、無菌プロセスにおいては問題であると判明することもあり得た。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2 627 569A号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記に基づき、本発明の基礎を成す目的は、上記の諸欠点を克服するように、冒頭で言及し、上でより詳細に説明した注ぎ口要素を設計し更に発展させることである。
【0011】
この目的は、本体が少なくとも92重量%のHDPEで構成され、中心軸線に直交して本体のフランジを通る測定面を通して測定された酸素透過率がASTM D3985に準拠して、12~23mlO/(m*day)の間であることで、請求項1の前提部分の諸特徴を有する注ぎ口要素において達成される。積層包装体に包装される食品の多くは酸素感受性であるので、原則として、酸素透過率がより低く、ひいてはより長い保存期間を可能にすることが望ましい。更に低い12mlO/(m*day)未満の値も有利であろうが、このような値は、進歩性のない、極めて高価なバリア設計、例えば、上記のバリア箔、によってのみ可能である。多成分射出成形によって2つの部分で製造された本体は、第2の構成要素として射出されたバリア材、またはある限られた時間にわたって酸素を自身に積極的に結合する所謂スカベンジャー材、を有する。
【0012】
したがって、箔のない一体式本体を得るために、高価で複雑なバリア箔は省かれる。本体自体はより高価なHDPE製であるが、全体としては著しく安価になる。名前が示唆しているように、LDPE(低密度ポリエチレン)とHDPE(高密度ポリエチレン)との区別は、それぞれの密度に基づき行われる。密度が940kg/mと970kg/mの間のポリエチレンは、通常、HDPEと見做される。より高い密度に加え、より高い結晶化度および異なる結晶形態も、より良好な酸素バリアをもたらし、ひいては、LDPEに比べ、HDPE製の構成要素を通る酸素透過率はより低い。HDPEの結晶化度は、通常、ほぼ50%~80%である。大半のケースにおいては、少なくとも92重量%のHDPEに加え、所謂マスターバッチが基材に少量追加される。例えば、射出成形工具からの部品の離型を容易にするために、潤滑剤またはブロッキング防止剤を追加することもできる。あるいは、上記の実施形態のうちの1つのように、入射放射線の特定の波長範囲を吸収する光安定剤を追加することもできる。一般に使用されている他のマスターバッチは、例えば、成核剤、カラーマスターバッチ、または衝撃強度向上剤である。対応する材料は、特定の造形プロセスのために予混合されて販売されていることが極めて多い。
【0013】
材料の選択に加え、本体の脆弱ゾーンの設計によっても、酸素バリアの改良が可能である。特に、脆弱ゾーンの軸線方向高さは、並びに脆弱ゾーンが延在する表面も、明らかに影響する。その理由は、酸素の透過は主にこの領域を通って起こるからである。特に、本体が射出成形によって製造される場合は、射出成形中、成形工具全体に充填するために、脆弱ゾーンを通して溶融材料を押し込む必要がある。本体を完全に充填するために、中心軸線に平行に測定された脆弱ゾーンの高さは、少なくとも0.1mm、例えば0.13mm、であるべきである。この脆弱ゾーンの諸寸法と内部構造との組み合わせは、本体全体の酸素透過率に及ぼされる更なる影響を意味する。所望の酸素透過率範囲は、複数の異なる実施形態によって達成可能である。酸素透過率が測定される測定面は、可能であれば、本体全体をカバーすべきであるが、何れの場合も、脆弱ゾーン全体(または中心軸線に沿った、測定面上へのその突出)がその内側にある必要がある。ASTM D3985では、酸素透過の測定は、シーリング材によって測定デバイス内に保持された箔に対して主に行われる。このシーリング材も測定面を同時に画成する。同様に、本願明細書に記載の本体など、より複雑な構成要素の測定も、当該規格に準拠した、このような測定デバイスにおいて行うことができる。通常、シーリングのために、二液エポキシ樹脂系接着剤、例えば「デブコン5ミニッツエポキシ(Devcon 5 Minute Epoxy)」、が使用される。この場合、本体は、例えば、本体に適合化されたサンプルホルダに取り付けられる、または適切なサイズの測定デバイスの何れかのフランジに取り付けられる。
【0014】
上記のように、一主要素の進歩性のないさまざまな実施形態が存在する。例えば、バリア箔が取り付けられた従来技術から公知のものは、箔の選択に応じて、通常、2.5mlO/(m*day)と10mlO/(m*day)の間の酸素透過値を有する。箔が封着されていない実際の主要素は、40~50mlO/(m*day)の範囲内であり、LLDPE、すなわち直鎖状LDPE、が代わりに使用された場合は、値は60mlO/(m*day)に増加する。
【0015】
本発明の更なる一設計では、中心軸線に直交して本体のフランジを通る測定面を通して測定された本体の酸素透過率は、20mlO/(m*day)未満、好ましくは18mlO/(m*day)未満、である。
【0016】
本発明の更なる一教示によると、脆弱ゾーンの高さは、中心軸線に平行に測定された残りの閉鎖部の高さの50%未満である。これは、安定した閉鎖部と組み合わされた、脆弱ゾーンのきれいな切り離しを保証する。閉鎖部も開封プロセスの最後に完全に脇に折り曲げ可能である。同時に、これにより、酸素透過の大部分が脆弱ゾーンを通って起こることが保証される。その理由は、残りの閉鎖部は、はるかに肉厚に設計されているからである。工具内での製造中、脆弱ゾーンにおける相対的に肉薄の壁厚と相対的に高い圧力とが結晶化度に影響する。例えば、主要素の相対的に肉薄の領域における冷却が高速であるほど、結晶化度がより高く、より一様になる。脆弱ゾーンの高さは、残りの閉鎖部の高さの25%未満であることが好ましい。
【0017】
更なる好都合な一実施形態において、脆弱ゾーンはリング状に設計され、注ぎ口に直接接続される。これは、一方では、本体の製作の簡素化を可能にする。その理由は、注ぎ口と閉鎖部との間の移行領域の形成をより精確に行えるからである。他方、切り離しプロセス中に力がより良好に伝達され、注ぎ口によって吸収される。
【0018】
更なる有利な一実施形態において、初回開封前、注ぎ口要素全体が許容する光の透過は、波長範囲350~550nmにおいて1%未満である。高い酸素バリアに加え、積層包装体自体も光の透過に対するバリアを有する。これらのバリア効果は、積層構造のさまざまな層、例えば、アルミニウム製バリア層など、によって、または部分的にキャリア層によっても、もたらされ得る。注ぎ口要素の領域には積層材料が連続して形成されていないので、通常のバリア効果を保証できない。したがって、最も容易で、且つ費用効率性が最も高いのは、匹敵するバリア効果を有するように、マスターバッチによって注ぎ口要素を補完することである。このような光バリアが特に有用であるのは、光感受性製品、例えばミルクなど、の場合である。このような製品の損傷は、とりわけ上記の波長範囲350~550nmにおいて発生する。これは、光を特にそこで吸収しなければならない理由である。このようなマスターバッチが特定の光の吸収のために材料に導入されない場合は、本体を少なくとも96重量%のHDPEで構成することも可能である。その理由は、光吸収マスターバッチは、通常、4~6重量%の量で追加されるからである。測定のために任意の分光光度計、例えば、アナリティク・イエナ(Analytik Jena)社のSpecord 250 Plus、またはパルキン・エルマー(Perkin-Elmer)社のLAMBDA 850+、を製造者の指示に従って使用することができる。
【0019】
本発明の更なる一構成においては、切断要素およびねじ式キャップもポリオレフィン製である。上記のように、本体は、ポリオレフィンとしても公知の、HDPEで一体に構成される。特に切断要素の場合、この選択によって、ポリスチレンなど、公知の切断要素材料に比べ、コストを削減できる。ポリスチレンは、閉鎖部付きの本発明による注ぎ口要素に以前使用されていた。ポリスチレンなどの材料は、例えば機能不良の発生時など、より長い停止時間が製作プロセス中に発生すると、問題を引き起こす傾向がある。これは、材料の熱劣化を極めて素早くもたらし、材料をガラス状にするので望ましくない。ポリオレフィンを選択することによって、そのような問題を回避できる。これらの利点にも拘らず、公知の各材料は、開封挙動に関して、閉鎖部付きの注ぎ口要素のための切断要素として、実際により適している。予想外であるが、バリア箔のない本発明による本体の切り離しのために、ポリオレフィン製の切断要素で十分であることが分かった。加えて、この連続材料の選択は、注ぎ口要素全体のリサイクルを容易にする。
【0020】
本発明の更なる一設計では、注ぎ口要素全体が再生可能な原料で構成される。一般に、ポリオレフィンは、エタン、液化石油ガス、または石油、などの化石原料から製造されている。近年、より持続可能な製品を得るために、代替品の模索が増えている。バイオエタノールは、周知の化石原料の代わりに実現可能な道であることが立証されており、例えば、でんぷん含有、糖含有、またはセルロース含有、原料から製造されている。ここで、集約的農業管理を必要とせず、劣悪な土壌でも育つ原料が好適である。その場合、ポリオレフィンは、このバイオエタノールから通常のプロセスで製造可能である。本ケースにおいては、注ぎ口要素のすべての構成要素がポリオレフィン製であるので、同じ再生可能原料からでも、比較的容易に製造可能である。
【0021】
本発明の更なる一構成において、切断要素はポリプロピレンで構成される。勿論、ポリプロピレンもポリオレフィンであり、上記の諸利点は、この実施形態にも概ね該当する。ポリプロピレンは、閉鎖部を有する公知の注ぎ口要素のために、従来使用されていた材料の安価な代替物質として適している。
【0022】
更なる有利な一実施形態は、少なくとも1900MPaの曲げ弾性率を有するポリプロピレンに関する。特に、HDPEなど、より丈夫な材料から成る本体を有する注ぎ口要素の場合は、相応に高い曲げ弾性率を有する剛性材料を切断要素のために使用すると有利である。これにより保証されるのは、例えば、切断要素が所望の位置、すなわち脆弱ゾーン、において安定した効果を有することと、歯が側方に曲がらずに、閉鎖部がきれいに切り離されることである。概して、このような材料は、閉鎖部または脆弱ゾーンの切れ目付けおよび切断時に、向上した切断挙動ももたらす。
【0023】
更なる有利な一実施形態において、切歯は、脆弱ゾーンに面する端部が、中心軸線に直交する平面に周方向に延在する。切歯の端部が平らであることによって、切歯が脆弱ゾーンをより安定して切り離すことと、切歯が中間領域に沿って案内されることと、が保証される。中間領域上の突起の部分が大きいため、中心軸線に直交する平面に周方向に延在するこの端部が中間領域の上方に配置される場合は、切歯のこの刃先が、切り離しのために十分に肉薄な領域、例えば脆弱ゾーン自体など、に達するまで、中間領域から外方に適切に向けられることも保証される。
【0024】
本発明の更なる一設計では、切断要素は、切歯の領域が半径方向内方に肥厚化されるように設計される。切歯の位置合わせを強化することによって、開封プロセスのさまざまな段階において発生する力が何の問題もなく吸収されることを保証する。これが特に有用であるのは、切歯は切断要素の突出部であり、したがって欠け易いからである。切断プロセスに関連する切断要素に対する諸調整は、例えば上記の各実施形態に示されているように、通常、切歯の領域に位置する。ただし、このような変更は、残りの切断要素の材料をできるだけ節約するために、局部に限定すれば通常十分である。この点において、切断要素の何れの補強も肥厚化と見做され得る。この肥厚化は、中空円筒体の内方に突出するように設計され、例えば、残りの中空円筒体の内半径の最大95%を有する。
【0025】
更なる好都合な一実施形態において、切断要素は2つの切歯を有する。原理上、切断要素に形成されている切歯の数が多いほど、切断要素は切り離し段階をより素早く通過して折り曲げに移行する。ただし、これら切歯が円周にわたって合理的に規則的に分散されている場合に限られる。他方、追加の各切歯によって開封時の力が増加する。これら切歯は、同じ長さの複数の切歯が同時に閉鎖部に入り込む。この選択では、ねじ式キャップの必要な回転とそのために必要とされる力との間で良好に折り合いがつく。
【0026】
本発明の更なる一構成においては、射出成形点が閉鎖部の中心軸線上に位置する。大半の場合、注ぎ口要素の個々の構成要素は、射出成形プロセスによって製造される。この場合、製作される部品のネガ形状を有する工具に液状プラスチックが充填される。その後、この液状プラスチックは凝固し、この工具が開かれ、ひいては完成した部品が突き出される。通常、液状プラスチックの充填は単一ノズルを介して行われる。この場合、中実のプラスチック部品は、突き出し時に、依然としてノズル内にある残りのプラスチックから切り離される。
【0027】
勿論、この切り離しは、突き出し前にノズル自体を介して行うこともできる。何れの場合も、目に見える、通常は突き出た、表面起伏がこのプラスチック部品に生じる。これは一般に射出点と称される。液状プラスチックの充填が低速であるほど、より多くの材料を狭い箇所、例えば脆弱ゾーンなど、を通して押し込む必要がある。驚くべきことに、中心射出点、ひいては本体全体の均一な充填、の諸利点が勝ることが分かっているが、その場合、液状プラスチックの大部分を脆弱ゾーン経由で移動させる必要がある。
【0028】
本発明の好都合な一実施形態においては、本発明による注ぎ口要素が積層包装体のゲーブル領域に一体化された液状食品用の積層包装体が提供される。このような積層包装体の製造方法は、既に説明したように、各種存在する。この場合、注ぎ口要素は、多くの場合、ゲーブル領域の開口部を封じる役割を主に担い、積層包装体の寸法安定性に関してはやや二次的な効果を有する。
【0029】
本発明の別の有利な実施形態は、本発明による注ぎ口要素が積層包装体のゲーブル領域に一体化されている積層包装体に関する。この場合、ゲーブル領域は、注ぎ口要素の多面形状のフランジに対応付けて接続される多面形状のゲーブル面を有する。既に説明したように、この組み合わせは、更なる構成要素を必要とせずに、瓶状積層包装体の形成を可能にする。
【0030】
プラスチックの密度を判定するために、ASTM D792-20が使用されている。ISO178は、曲げ弾性率に関して適した方法である。
【0031】
以下においては、好適な2つの例示的実施形態を単に表している図面に基づき、本発明をより詳細に説明する。図面は、以下の図を示している。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明による注ぎ口要素の斜視図である。
図2】本発明による注ぎ口要素の平面図である。
図3図2の本発明による注ぎ口要素のIII-III線に沿った縦断面図である。
図4図3の縦断面図の詳細図である。
図5】開封プロセス中の図3の縦断面図の詳細図である。
図6】ねじ式キャップの平面図である。
図7図6のねじ式キャップのVII-VII線に沿った縦断面図である。
図8図6のねじ式キャップの下からの斜視図である。
図9図3による切断要素の上からの斜視図である。
図10】切断要素の下からの斜視図である。
図11】注ぎ口要素が一体化された本発明による積層包装体の初回開封後およびねじ式キャップの再封後の切開斜視図である。
図12】本発明による注ぎ口要素の第2の例示的実施形態の斜視図である。
図13図12の本発明による注ぎ口要素の平面図である。
図14図13の本発明による注ぎ口要素のXIV-XIV線に沿った縦断面図である。
図15図13の本発明による注ぎ口要素のXV-XV線に沿った縦断面図である。
図16図15の縦断面図の詳細図である。
図17】第2の例示的実施形態のねじ式キャップの斜視図である。
図18】第2の例示的実施形態の切断要素の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
開封時の動作モードを明らかにするために、本発明による注ぎ口要素1、1’の2つの好適な実施形態が図面に示されている。図1は、第1の注ぎ口要素1の閉状態を、積層包装体Pなしに、中心軸線Zと共に示す。積層包装体Pの初回開封および再封のために使用される再封可能なねじ式キャップ2が本体3の上に配置されている。本体3は、図3にのみ明らかに見える。図1では、本体3の単一の周縁フランジ4のみが見える。周縁フランジ4は、積層包装体Pとの接続および一体化のために使用される。図2の平面図には、III-III断面線も描かれている。
【0034】
図3は、注ぎ口要素1の全体をIII-III断面線に沿った縦断面図で示す。本体3は、中空円筒状の注ぎ口5とこの注ぎ口5に形成された閉鎖部6とを更に有する。閉鎖部6は、注ぎ口5に隣接したリング状の脆弱ゾーン7と、注出用開口部の大部分を閉鎖する中心領域8と、脆弱ゾーン7と中心領域8との間に延在する円錐リング状の中間領域9と、を備える。中間領域9の面取りは、中心領域8と脆弱ゾーン7との間の厚さの差を滑らかにする。この断面図では、周縁フランジ4および中心領域8の両方の高さが脆弱ゾーン7の高さのほぼ6倍であることも認識可能である。これは、酸素が最も透過するのは脆弱ゾーン7であることを明らかに示している。この場合、注ぎ口要素1のこの内部までのねじ式キャップ2の封止を完全に気密に設計することはできない。
【0035】
ねじ式キャップ2と注ぎ口5の外側との間に、第1ねじ山対10A、10Bが存在する。ねじ山対10A、10Bは、ねじ式キャップ2のねじ込みと締め付けとを可能にする。2つの切歯12を有する中空円筒状の切断要素11が本体3の内側に配置されている。注ぎ口要素1ひいては積層包装体Pの初回開封時、切断要素11は閉鎖部6を切り離す。中心軸線Zは、同心円状に配置された中空円筒状の注ぎ口5および切断要素11の両要素によって画定されている。開封プロセス中、切断要素11は中心軸線Zを中心に回転して中心軸線Zに沿って移動する。この移動は、第2ねじ山対13A、13Bによって規定される。第2ねじ山対13A、13Bは、注ぎ口5の内側と切断要素11との間に配置されている。この移動において、切断要素11は、少なくとも1つの力引継要素14の上で駆動される。力引継要素14は、ねじ式キャップ2の少なくとも1つの対応する力伝達要素15と連携する。
【0036】
図4および図5の詳細図は、切歯12が脆弱ゾーン7および中間領域9にどのように突き当たってこの領域を切り離し始めるかを示す。図3および図4は、初回開封前の各要素の元の配置を示し、図5は、開封プロセス中の配置を示す。これらの図では、切歯12の突起の内側境界も破線で表された投影線で示されているので、切断要素11ひいては切歯12が中間領域9の上方にどのように配置されているのかが特に容易に分かる。
【0037】
図6図8は、図1図3の図にほぼ対応し、ねじ式キャップ2のみが示されている。この場合、図7には第1ねじ山対の半分10Aが特にはっきりと見え、図8には3つの力伝達要素15が特にはっきりと見える。ねじ式キャップ2は、不正開封防止シールとしての役割を担う帯片16と係留リング17とを更に有する。この目的のために、帯片16は、初回開封時にねじ式キャップ2の残りの部分から直ちに引き離され、視認可能に分離されてその元の位置に留まっている。帯片16に設けられた複数の停止要素18は、本体3の対応要素に引っ掛かるので、切り離し中、切断要素11が閉鎖部6の完全性を損ねる前に、帯片16がねじ式キャップ2の残りの部分から既に引き離されていることを保証する。係留リング17も初回開封プロセス中に切り離され、その後、注ぎ口5に留まる。係留リング17とねじ式キャップ2の残りの部分とは、複数の保持要素によって接続されている。これらは、ねじ式キャップ2が注ぎ口5から螺合解除された後、注ぎ出しを可能にするために、脇に折り曲げられるように、設計されている。ねじ式キャップ2の上記部分および注ぎ口5の対応要素の配置は、図4および図5の詳細図でも見ることができる。
【0038】
図9および図10には、単一の切断要素11が2つの異なる斜視図で示されている。切断要素11の下端に形成されている2つの切歯12がはっきりと見える。3つの力引継要素14も内壁に見ることができ、第2ねじ山対のねじ山13Bは外壁に見える。
【0039】
図11の切開図では、ねじ式キャップ2が再封された開封後の積層包装体Pを内側から見ることができる。タブが特に目立つ。これは、切断要素11が完全な円を切断できる前に、切り離しプロセス中に閉鎖部6がその張力を失うために生じる。タブは、中心領域8と中間領域9とにほぼ対応しているが、このとき、脆弱ゾーン7の単一セグメントで保持されているだけであり、切断要素11の更なる移動によって脇に押しやられて、注出用開口部を解放する。脆弱ゾーン7のこのセグメントは、積層包装体Pの開封時、タブの不測の引きちぎれと脆弱ゾーン7の完全な切断とを確実に防止するために、タブをその「折り曲げられた」状態に保持するために十分である。回転方向前方に形成されている切歯12は、初回開封の最後に、タブの高さにあって、タブを脇に安定的に保持するように、位置付けられる。
【0040】
図面の図12図18は、第2の好適な例示的実施形態を示す。これらの図には、相違点が特に示されている。したがって、第1の例示的実施形態の残りの各実施形態は、以下の部分にも該当する。この実施形態において、本体3’のフランジ4’は、多面形状のピラミッド断端として設計されている。特に注目すべき点は、特に図12図14において識別可能であるように、積層包装体P’の積層材との接触面が最早一平面にはなく、ピラミッド断端の4つの側面によって設けられていることである。フランジ4’を除き、注ぎ口要素1’の基本構造は、第1の例示的実施形態に匹敵する。更に、この基本構造は、本体3’と、ねじ式キャップ2’と、切断要素11’とを有する三部構成の注ぎ口要素1’である。ねじ式キャップ2’と本体3の注ぎ口5’の外側との間に、第1ねじ山対10A’、10B’が配置されている。第2ねじ山対13A’、13B’は、切断要素11’を移動可能に配置するために、注ぎ口5’の内側を切断要素11’に接続する。開封プロセス中にねじ式キャップ2’から切断要素11’に力を伝達するための、相当する要素も設計されている。図17および図18では、ねじ式キャップ2’と切断要素11’とが、それぞれ2つの力伝達要素14’および力伝達要素15’によって、互いに接続されることが分かる。
【0041】
最後に、図15および図16は、切歯12’が、特に上方領域において、その厚さが補強されて設計されているという点で、切断要素11’の改造も可能であることを明らかに示している。したがって、切断要素11’は、組み立てられた状態において中間領域9’の上に突出し、開封プロセス中に中間領域9’と接触するように、半径方向内方に肥厚化されている。
図1
図2
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【国際調査報告】