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特表2024-508995整形外科手術を支援するためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】整形外科手術を支援するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/10 20160101AFI20240220BHJP
   A61B 17/32 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
A61B34/10
A61B17/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557825
(86)(22)【出願日】2021-12-08
(85)【翻訳文提出日】2023-07-31
(86)【国際出願番号】 EP2021084745
(87)【国際公開番号】W WO2022122803
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】20306516.4
(32)【優先日】2020-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523215978
【氏名又は名称】ガニメッド ロボティクス
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ピーター,ロイック
(72)【発明者】
【氏名】ロイ ロダス,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】デクルーエズ,マリオン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL01
4C160LL29
(57)【要約】
本発明は、対象の標的骨に対して、平面切断面を含む平面状手術道具を用いて行われる平面切断の結果を手術中に予測するためのシステムおよびコンピュータ実装方法(100)方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の標的骨に対して、平面切断面(Sc)を含む平面状手術道具を用いて行われる平面切断の結果を手術中に予測するためのコンピュータ実装方法(100)であって、前記方法は、
・少なくとも1つの3D撮像センサから先に取得された少なくとも1つの3D画像(Im)を受信する工程(110)であって、前記3D画像(Im)は前記標的骨(Bt)の少なくとも1つの部分および前記手術道具の平面切断面(Sc)の少なくとも1つの部分を含む3D点群である工程と、
・前記3D画像(Im)を領域分割して前記手術道具の前記平面切断面(Sc)に属する前記3D画像の点および前記標的骨(Bt)に属する前記3D画像の点を得る工程(120)と、
・平面を前記手術道具の前記平面切断面(Sc)に属する前記領域分割された点にフィッティングすることにより骨切り面(P)の空間的方位および位置を得る工程(130)と、
・前記骨切り面(P)を前記標的骨(Bt)に属する前記領域分割された点に重ね合わせ、かつ前記手術道具で除去する予定の標的骨の前記部分(Pr)に属する点を選択する工程(140)と、
・前記手術道具で除去する予定の標的骨の前記部分(Pr)に属する前記点を出力する工程(150)と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記手術道具で除去する予定の標的骨の前記部分(Pr)に属する前記点を用いて前記除去される骨部分のシミュレートされた3Dモデルを生成する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
・前記骨の3Dモデルおよび前記骨の前記3Dモデルの基準座標系における前記計画された切断面の方程式を含む術前計画を受信する工程と、
・前記切断面の前記方程式を前記骨の前記3Dモデルに適用することにより前記除去される骨部分の計画された3Dモデルを得る工程と、
・前記除去される骨部分の前記シミュレートされた3Dモデルおよび前記計画された3Dモデルを3D形状解析を用いて比較し、かつ前記比較の結果を出力する工程と、
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記比較の前記結果は3D形状類似性測度またはマッチング誤差である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記シミュレートされた3Dモデルの主成分を計算する工程と、前記除去される骨部分のバウンディングボックスを前記主成分から定める工程と、前記除去される骨部分の厚さを前記バウンディングボックスから推定する工程とをさらに含む、請求項2乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記除去される骨部分の前記推定された厚さを前記除去される骨部分の計画された厚さと比較する工程と、前記計画された厚さからの偏差が検出されるときには必ず警報を出力する工程とをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記手術道具は、前記骨切り面の前記空間的方位および位置を得るのを助けるための基準マーカーを含む、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記標的骨は大腿骨または脛骨である、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
コンピュータによって実行されるときに、前記コンピュータに請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法の工程を実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項10】
コンピュータによって実行されるときに、前記コンピュータに請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法の工程を実行させる命令を含むコンピュータ可読媒体。
【請求項11】
対象の標的骨に対して、平面切断面(Sc)を含む平面状手術道具を用いて行われる平面切断の結果を手術中に予測するためのシステムであって、前記システムは、
・少なくとも1つの3D撮像センサから先に取得された少なくとも1つの3D画像(Im)を受信するように適合された少なくとも1つの入力であって、前記3D画像(Im)は前記標的骨(Bt)の少なくとも1つの部分および前記手術道具の前記平面切断面(Sc)の少なくとも1つの部分を含む3D点群である、入力と、
・少なくとも1つのプロセッサであって、
・前記3D画像(Im)を領域分割して前記手術道具の前記平面切断面(Sc)に属する前記3D画像の点および前記標的骨(Bt)に属する前記3D画像の点を得、
・前記手術道具の前記平面切断面(Sc)に属する前記領域分割された点を3Dフィッティングすることにより骨切り面(P)の空間的方位および位置を得、
・前記骨切り面(P)を前記標的骨(Bt)に属する前記領域分割された点に重ね合わせ、かつ前記手術道具で除去する予定の標的骨の前記部分(Pr)に属する点を選択する
ように構成された、プロセッサと、
・前記手術道具で除去する予定の標的骨の前記部分(Pr)に属する前記点を提供するように適合された少なくとも1つの出力と、
を備える、システム。
【請求項12】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記手術道具で除去する予定の標的骨の前記部分に属する前記点を用いて前記除去される骨部分のシミュレートされた3Dモデルを生成するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、
・前記骨の3Dモデルおよび前記骨の前記3Dモデルの基準座標系における前記計画された切断面の方程式を含む術前計画を受信し、
・前記切断面の前記方程式を前記骨の前記3Dモデルに適用することにより前記除去される骨部分の計画された3Dモデルを得、
・前記除去される骨部分の前記シミュレートされた3Dモデルおよび前記計画された3Dモデルを3D形状解析を用いて比較し、かつ前記比較の前記結果を出力する
ように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記シミュレートされた3Dモデルの主成分を計算し、前記除去される骨部分のバウンディングボックスを前記主成分から定め、かつ前記除去される骨部分の厚さを前記バウンディングボックスから推定するように構成されている、請求項12または13のどちらか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記除去される骨部分の前記推定された厚さを前記除去される骨部分の計画された厚さと比較し、かつ前記計画された厚さからの偏差が検出されるときには必ず警報を出力するように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記シミュレートされた3Dモデルと前記計画された3Dモデルとの前記比較の前記結果として、3D形状類似性測度またはマッチング誤差を生成するように構成されている、請求項13に記載のシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整形外科手術のための画像処理の分野に関する。特に本発明は、外科手術中に対象の標的骨に対して平面状手術道具を用いて行われる平面切断の結果を予測するように構成されたコンピュータ実装方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
人工膝関節全置換術(TKA)は、関節炎によって損傷された膝の表面を置き換えるための外科手術である。膝関節を形成する骨の端部を覆うために金属インプラントが使用される。骨準備段階中に、外科医は外科用切断器具、通常は矢状鋸を使用して大腿骨上の5箇所の平面切断および脛骨上の1箇所の平面切断を行う。ナビゲーションまたはロボット支援TKAの場合、ガイダンスソフトウェアを使用して切断前に骨の上の所望の平面内に切断器具を位置決めする。
【0003】
ガイダンスシステムを使用して、標的平面に従って切除される骨に対して平面切断器具を位置合わせする。そのようなシステムは、骨切断において特定の精度まで保証することはできるが、いくつかの因子(患者の形態、ユーザの当該システムへの精通度、基準位置決め誤差)がそれらの性能になお影響を与える可能性があり、切断器具の正確な位置決めは完全に満足が行くものにはなり得ない。実際に切断を行わずに骨切除の正確性を確認し、かつ切断後の解剖学的構造の形状を予測するために定性的もしくは定量的情報を得るための独立した方法は存在しない。
【0004】
本発明は、ロボットおよび/またはナビゲーションシステムと共に使用することができる、切断を行う前に平面切断を確認し、かつその将来的な効果の可視化を行うための方法およびシステムを提供することによりこの欠如を埋めることを目的とする。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、対象の標的骨に対して、平面切断面を含む平面状手術道具を用いて行われる平面切断の結果を手術中に予測するためのコンピュータ実装方法であって、前記方法は、
・少なくとも1つの3D撮像センサから先に取得された少なくとも1つの3D画像を受信する工程であって、前記3D画像は標的骨の少なくとも1つの部分および手術道具の平面切断面の少なくとも1つの部分を含む3D点群である工程と、
・3D画像を領域分割して手術道具の平面切断面に属する3D画像の点および標的骨に属する3D画像の点を得る工程と、
・平面を手術道具の平面切断面に属する領域分割された点にフィッティングすることにより骨切り面の空間的方位および位置を得る工程と、
・骨切り面を標的骨に属する領域分割された点に重ね合わせ、かつ手術道具で除去する予定の標的骨の部分に属する点を選択する工程と、
・手術道具で除去する予定の標的骨の部分に属する点を出力する工程と、
を含む方法に関する。
【0006】
有利には本方法は、平面切断の将来の結果を確認し、かつ切断を行う前にその将来の効果を医療スタッフのために可視化することを可能にし、従ってあらゆる位置合わせ誤差などを収集するための貴重な情報を提供する。さらに外部測定装置(すなわち3D撮像センサ)のおかげで、この方法は、外科手術中に使用されるロボットアームまたはナビゲーションシステムからのあらゆる運動学的もしくは位置決めデータに依存しない独立した確認を可能にするので、それらの初期の位置決め誤差によって影響を受けない。
【0007】
一実施形態によれば、本方法は、手術道具で除去する予定の標的骨の部分に属する点を用いて除去される骨部分のシミュレートされた3Dモデルを生成する工程をさらに含む。
【0008】
一実施形態によれば、本方法は、
・骨の3Dモデルおよびその骨の3Dモデルの基準座標系における計画された切断面の方程式を含む術前計画を受信する工程と、
・切断面の方程式をその骨の3Dモデルに適用することにより、除去される骨部分の計画された3Dモデルを得る工程と、
・シミュレートされた3Dモデルと除去される骨部分の前記計画された3Dモデルとを3D形状解析を用いて比較し、かつ前記比較の結果を出力する工程と、
をさらに含む。
【0009】
骨の3Dモデルおよびシミュレートされた3Dモデルは、その骨の3Dモデルから得られる計画された3Dモデルとしての3Dデジタルモデルであってもよい。
【0010】
一実施形態によれば、比較の結果は3D形状類似性測度またはマッチング誤差である。本方法のこの出力は有利には、術前計画に対する手術道具の位置決めの正確性に関する情報を医療スタッフに提供する。
【0011】
一実施形態によれば、本方法は、シミュレートされた3Dモデルの主成分を計算する工程と、除去される骨部分のバウンディングボックスをその主成分から定める工程と、除去される骨部分の厚さをバウンディングボックスから推定する工程とをさらに含む。この実施形態は有利には、実際に切断を行う前に骨断片(すなわち切除される骨部分)の厚さを計算することを可能にする。
【0012】
一実施形態によれば、本方法は、除去される骨部分の前記推定された厚さを除去される骨部分の計画された厚さと比較する工程と、計画された厚さからの偏差が検出されるときには必ず警報を出力する工程とをさらに含む。これは有利には、手術道具の位置決めに対する補正を行い得ることを医療スタッフに警告する。
【0013】
一実施形態によれば、手術道具は、骨切り面の空間的方位および位置を得るのを助けるための基準マーカーを含む。
【0014】
一実施形態によれば、標的骨は大腿骨または脛骨である。
【0015】
本発明は、コンピュータによって実行されるときに、コンピュータに上記実施形態のいずれか1つに係る本方法の工程を実行させる命令を含むコンピュータプログラムにも関する。
【0016】
本発明は、コンピュータによって実行されるときに、コンピュータに上記実施形態のいずれか1つに係る本方法の工程を実行させる命令を含むコンピュータ可読媒体にも関する。
【0017】
本発明は、対象の標的骨に対して、平面切断面を含む平面状手術道具を用いて行われる平面切断の結果を手術中に予測するためのシステムであって、前記システムは、
・少なくとも1つの3D撮像センサから先に取得された少なくとも1つの3D画像を受信するように適合された少なくとも1つの入力であって、前記3D画像は標的骨の少なくとも1つの部分および手術道具の平面切断面の少なくとも1つの部分を含む3D点群である入力と、
・少なくとも1つのプロセッサであって、
・3D画像を領域分割し、手術道具の平面切断面に属する3D画像の点および標的骨に属する3D画像の点を得、
・手術道具の平面切断面に属する領域分割された点を3Dフィッティングすることにより骨切り面の空間的方位および位置を得、
・骨切り面を標的骨に属する領域分割された点に重ね合わせ、かつ手術道具で除去する予定の標的骨の部分に属する点を選択する
ように構成されたプロセッサと、
・手術道具で除去する予定の標的骨の部分に属する点を提供するように適合された少なくとも1つの出力と、
を備えるシステムにも関する。
【0018】
一実施形態によれば、プロセッサはさらに、手術道具で除去する予定の標的骨の部分に属する点を用いて除去される骨部分のシミュレートされた3Dモデルを生成するように構成されている。
【0019】
一実施形態によれば、プロセッサはさらに、
・骨の3Dモデルおよびその骨の3Dモデルの基準座標系における切断面の方程式を含む術前計画を受信し、
・切断面の方程式をその骨の3Dモデルに適用することにより、除去される骨部分の計画された3Dモデルを得、
・除去される骨部分のシミュレートされた3Dモデルおよび前記計画された3Dモデルを3D形状解析を用いて比較し、かつ前記比較の結果を出力する
ように構成されている。
【0020】
一実施形態によれば、比較の結果は3D形状類似性測度またはマッチング誤差である。
【0021】
一実施形態によれば、プロセッサはさらに、シミュレートされた3Dモデルの主成分を計算し、除去される骨部分のバウンディングボックスをその主成分から定め、かつ除去される骨部分の厚さをバウンディングボックスから推定するように構成されている。
【0022】
一実施形態によれば、プロセッサはさらに、除去される骨部分の前記推定された厚さを除去される骨部分の計画された厚さと比較し、かつ計画された厚さからの偏差が検出されるときには必ず警報を出力するように構成されている。
【0023】
定義
本発明では、以下の用語は以下の意味を有する。
【0024】
「骨切除の厚さ」は、骨の切除される部分の小さい方の寸法を指す。
【0025】
「適合された」および「構成された」は、材料またはソフトウェア手段(ファームウェアを含む)のどちらを通して行われるかを問わず、本装置の初期構成、後での適合または補完あるいはそれらの任意の組み合わせも広く包含するものとして本開示で使用される。
【0026】
「プロセッサ」は、ソフトウェアを実行することができるハードウェアに限定されるように解釈されるべきではなく、一般には処理装置を指し、例えばコンピュータ、マイクロプロセッサ、集積回路またはプログラマブルロジックデバイス(PLD)が挙げられる。またプロセッサは、コンピュータグラフィックスおよび画像処理または他の機能のいずれのために利用されるかを問わず、1つ以上のグラフィックス処理装置(GPU)を包含してもよい。さらに、関連する機能および/または結果として生じる機能を行うことができる命令および/またはデータは、例えば集積回路、ハードディスク、CD(コンパクトディスク)、DVD(デジタル多用途ディスク)、RAM(ランダムアクセスメモリ)またはROM(リードオンリーメモリ)などの光ディスクなどの任意のプロセッサ読取り可能媒体に記憶されていてもよい。命令は特にハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはそれらの任意の組み合わせに記憶されていてもよい。
【0027】
「基準座標系」は、1つ以上の数を使用する座標系、またはユークリッド空間などの多様体上の点または他の幾何学的要素の位置を一意的に決定するための座標を指す。
【0028】
「3次元デジタルモデル」は、3次元の仮想オブジェクトである3次元デジタル(または仮想)モデルを指す。モデルの位置および方位は関連づけられたデジタル基準系において公知である。
【0029】
外科手術の文脈における「術前計画」は、異なる手術段階中に行われる行為のリストを指す。この手術計画は、外科手術の標的である患者の骨の3次元デジタルモデルを使用する動作の前に行われるシミュレーションプログラムを用いて得てもよい。膝関節形成術の場合、例えば術前計画は、大腿骨および脛骨の3次元モデルに対する切断面およびドリル軸のそれぞれを定めることからなる。
【0030】
詳細な説明
以下の詳細な説明は、図面と共に読まれるときにより良く理解されることになる。例示のために、本方法の工程は好ましい実施形態で示されている。但し当然のことながら、本発明は図示されている正確な配置、構造、特徴、実施形態および態様に限定されない。図面は一定の縮尺で描かれておらず、かつ特許請求の範囲を描かれている実施形態に限定することは意図していない。従って当然のことながら、添付の特許請求の範囲において言及されている特徴に符号が付されている場合、そのような符号は特許請求の範囲の理解度を高めるためにのみ含まれており、決して特許請求の範囲を限定するものではない。
【0031】
図に示されている様々な要素の機能は、専用のハードウェアならびに適当なソフトウェアに関連しているソフトウェアを実行することができるハードウェアの使用により提供されてもよい。プロセッサによって提供されるときには、その機能は単一の専用プロセッサ、単一の共有プロセッサによって、あるいは複数の個々のプロセッサによって提供されてもよく、それらのうちのいくつかは共有されてもよい。
【0032】
当然のことながら、図に示されている要素は様々な形態のハードウェア、ソフトウェアまたはそれらの組み合わせに実装されていてもよい。好ましくはこれらの要素は、プロセッサ、メモリおよび入力/出力インタフェースを備え得る1つ以上の適当にプログラムされた汎用の装置上のハードウェアとソフトウェアとの組み合わせに実装されている。
【0033】
本発明の特徴および利点は、システムの実施形態の以下の説明から明らかになり、この説明は添付の図面を参照しながら単に例として与えられている。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一実施形態に係る方法の主要な工程を表しているブロック図である。
図2】標的骨および平面切断を行う前に位置決めされる平面状手術道具のカラー画像の概略図である。
図3図2のカラー画像に対応する深度画像である。
図4図4aは領域分割後の手術道具の平面切断面および標的骨の両方に属する点群を示し、図4bは領域分割後の手術道具の平面切断面および標的骨に属する点群に重なっている骨切り面を示し、図4cは手術道具で除去する予定の標的骨部分に属する点を示す。
図5】除去された骨部分および切除される骨の計画された3Dモデルを示す。
図6】右側に平面切断の実施後の脛骨および左側に適切な人工関節を示す。
図7】右側に平面切断の実施後の大腿骨および左側に適切な人工関節を示す。
図8】前方大腿部の切断後に除去された骨部分および滑動計で測定した除去部分の厚さを示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
様々な実施形態が説明および図示されてきたが、詳細な説明はそれらに限定されるものとして解釈されるべきではない。特許請求の範囲によって定められている本開示の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者によって実施形態に対して様々な修正を行うことができる。
【0036】
図1に示すように、本発明の第1の態様は対象の標的骨Btに対して平面状手術道具を用いて行われる少なくとも1つの平面切断の結果を手術中に予測することを目的とする、複数の工程を含むコンピュータ実装方法100に関する。
【0037】
図2は、平面切断面Scが術前計画に従って平面切断を行うように適合された空間的方位および位置を有するように平面状手術道具が位置決めされている状態の標的骨Btの概略図を示す。手術道具は、術前計画に従って手術道具を位置決めするように構成されているキネマティックチェーンに装着されていてもよい。
【0038】
図1の実施形態によれば、本方法の第1の工程110は、標的骨Btに対して切断を行う前に少なくとも1つの3D撮像センサから取得された標的骨Btの少なくとも1つの部分および手術道具の平面切断面Scの少なくとも1つの部分を含む少なくとも1つの3D画像を受信する工程からなる。図3は、図2に表されている場面の深度画像を示す。
【0039】
3D撮像センサから得られた3D画像は、3D画像において取得された場面の各点間の距離および3D撮像センサの情報を含む。従って3D撮像センサによって得られた生の3D画像を、グレースケール画像またはRGB画像を表す2次元配列の形態で提供することができる深度マップまたは深度画像とも呼び、その配列のサイズはカメラの種類およびセンサ寸法によって決まる。
【0040】
一実施形態によれば、3D画像の取得は立体視によって取得を行うために少なくとも2つのカメラを用いて行う。別の実施形態によれば、2つのカメラからのストリームデータのマッチングを助けるパターン(模様状の光)を場面上に投影するために、プロジェクターを使用する。
【0041】
3D撮像センサの使用により有利には、患者に接触することなく(触診技術に関して)1枚の画像が全ての手術野をキャプチャーするので、容易であって非侵襲的かつ迅速な方法で骨表面の情報を得ることが可能になる。
【0042】
少なくとも1つの3D撮像センサ30は手術室において標的10に対して固定された位置を有していてもよく、あるいは代わりとしてそれを手術用ナビゲーションまたはロボットシステムに運動学的に接続させることができる。
【0043】
本方法は、ノイズ低減アルゴリズムを実施する前処理工程をさらに含んでいてもよい。
【0044】
一実施形態によれば、第2の工程120は、手術道具の平面切断面Scに属する点を含む1つの点群および標的骨Btの点を含む1つの点群を得るために3D画像の点群を領域分割することを含む。図4aは手術道具の平面切断面Scおよび標的骨Btに属する点群を示す。
【0045】
図4bに示すように一実施形態では、後続の工程130は、平面を手術道具の平面切断面Scに属する領域分割された点にフィッティングすることにより骨切り面Pの空間的方位および位置を得ることを含む。
【0046】
一実施形態では、本方法の工程140は、骨切り面Pを標的骨Btに属する領域分割された点に重ね合わせること140により、手術道具で除去する予定の標的骨の部分Prに属する点を選択することを含む。図4cは工程140で得られた除去される予定の標的骨の部分に属する点群を示す。これにより有利には、平面切断が提案されている平面Pに沿って行われるかのように除去される予定の標的骨の部分の領域分割が可能になる。
【0047】
一実施形態では、本方法は手術道具で除去する予定の標的骨の部分に属する点を出力する工程150を含む。この出力は単に、少なくとも1つのデータ記憶媒体またはデータベースあるいはデジタル/アナログ変換モジュールに転送される情報であってもよい。前記デジタル/アナログ変換モジュールは、除去される予定の標的骨の部分を可視化するための表示装置であってもよい。
【0048】
一実施形態によれば、本方法は手術道具で除去する予定の標的骨の部分に属する点をレンダリングすることにより、除去される骨部分のシミュレートされた3Dモデルを生成する工程をさらに含む。
【0049】
一実施形態によれば、本方法は、手術道具を用いて外科手術中に治療される標的骨Btの3Dモデルをコンピュータ可読記憶媒体またはサーバなどから検索する工程を含む。前記3Dモデルは標的骨Btの3次元仮想表現である。
【0050】
一実施形態では、標的骨Btの3Dモデルは、コンピュータ断層撮影もしくはMRIシステムを用いて取得された撮像データを用いて生成される。またX線、蛍光透視法、超音波または他の撮像手段などの他の撮像技術を使用してもよい。この場合、3次元デジタルモデルは外科手術の前に得られる。
【0051】
一実施形態では、標的骨Btの3Dモデルは、標的を含む2次元X線撮影法、標的の統計学的形状モデル、および/または3D撮像センサによって手術中に取得された3D画像を用いて生成する。この実施形態は有利には、3D撮像データ(すなわちコンピュータ断層撮影またはMRI)が利用可能でないときであっても3次元モデルを生成することを可能にする。
【0052】
一実施形態では、標的骨Btの3Dモデルを修正して測定ノイズまたは軟骨の存在をシミュレートする。前記修正は訓練データまたは生物力学的シミュレーションデータから計算してもよい。
【0053】
3Dモデルと共に本方法は、コンピュータ可読記憶媒体または医療用サーバからも検索することができる術前計画を受信するように構成されている。前記術前計画は、骨モデルの同じ基準座標系に切断面の方程式を含む。次いで切断面の方程式を使用して切断面を骨の3Dモデルに適用することにより、除去される骨部分の計画された3Dモデルを得てもよい。その後に、除去される骨部分のシミュレートされた3Dモデルおよび前記計画された3Dモデルを3D形状解析を用いて比較する。この比較の結果はマッチング誤差または3D形状類似性測度であってもよい。ICP(反復最近接点)の基づく方法を用いた3Dモデルのマッチングおよびシミュレートされた切断平面と計画された切断平面との角度偏差の推定により、マッチング誤差を実行してもよい。形状類似性測度のために、マッチング後にハウスドルフ距離またはジャッカード距離のような形状測度を使用してもよい。最後に前記比較の結果が出力として提供される。図5は、除去される骨部分の計画された3Dモデルの可視化の例を示す。
【0054】
一実施形態によれば、本方法は、シミュレートされた3Dモデルの主成分を計算する工程と、除去される骨のバウンディングボックスをその主成分から定める工程とをさらに含む。バウンディングボックスの1つの側面はシミュレートされた骨切り面と一致する。バウンディングボックスを使用して除去される骨部分の厚さを推定する。この工程は有利には、実際に切断を行う前に骨断片の厚さ(すなわち切除される骨部分)を計算することを可能にする。図8はこの方法により、介入前に計算することが可能になり、かつ外科的切除後に滑動計で測定することができる骨断片の厚さの例示的な表現を提供する。
【0055】
有利な一実施形態によれば、本方法は、除去される骨部分の推定された厚さを除去される骨部分の計画された厚さと比較する工程と、術前計画切断面と手術道具の実際の位置との間に相違が存在することを医療スタッフに知らせるために、偏差が検出されるときには必ず警報を出力する工程とを含む。
【0056】
一実施形態では、手術道具は、骨切り面の推定を助けるために撮像センサで視認できる基準マーカーを含む。撮像センサによっては、それらのマーカーはストリームデータにおいて検出するのに非常に容易になり得る。本出願では、赤外線反射マーカーを赤外線センサを含む立体視センサと共に使用してもよく、あるいはArucoマーカーのようなコントラストのある白黒マーカーをRGB-Dカメラと共に使用してもよい。有利には、平面状手術道具に属する点を領域分割するのがより容易になるように、基準マーカーは画像中で検出するのが容易なものである。従って、基準マーカーを用いた場合、手術道具の平面切断面に属する領域分割された点は異常値をほとんど含まないか全く含まず、結果として骨切り面の方程式はより正確になる。
【0057】
有利には、本発明の方法により得られる情報は術前計画実現の独立した確認を可能にする。
【0058】
一実施形態によれば、本方法は、リアルタイムでの異なる工程の出力の可視化を含む。特にその可視化は、除去される骨部分の計画された3Dモデルの表面と同時に除去される骨部分のシミュレートされた3Dモデルの表面をリアルタイムで示すように構成されている。これらの2つのモデルを一貫した方法で重ね合わせてもよく(3Dモデルの主成分の位置合わせおよび/または位置決め)、この可視化はそれらの間の差を強調するように構成されていてもよい。これらの重ね合わせられたモデルは、定性的および定量的フィードバックをユーザに提供するために3D形状解析を用いたそれらの比較から得られた値と同時に表示してもよい。そのような視覚的フィードバックを用いて、外科医は有利には、手術道具位置を適合させて除去される骨部分のシミュレートされた3Dモデルの表面が除去される骨部分の計画された3Dモデルの表面に一致するように差を最小限に抑えることができる。
【0059】
本方法をナビゲーションシステムと共に使用してもよい。この場合、平面状手術道具および手術道具で除去する予定の標的骨の部分はナビゲーションシステムから独立して計算され、従ってそれに依存しない。有利には本方法は、投影された骨切除の正確性の独立した確認および評価を提供することができる。
【0060】
また本方法はロボットシステムと共に使用してもよい。その場合、本方法はロボットの運動学およびセンサから計算される手術道具の位置の知識を使用しない。このように本方法は有利には、投影された骨切除の正確性の独立した確認および評価を提供することができる。
【0061】
本発明の方法は脛骨または大腿骨である標的骨のために使用してもよい。
【0062】
インプラントを含む場合と含まない場合の1回の切断を行った後の脛骨の例が図6に示されている。
【0063】
一実施形態によれば、術前計画に含まれている新しい切断平面に従って手術道具を標的骨に対して再位置決めするたびに工程110~150を繰り返す。実際には、図7に示されている大腿骨の例のように、インプラントを正確に適合させるために大腿骨を5つの平面に従って切断する。
【0064】
本発明は、上に記載されている本方法の工程を行うための手段を備えたシステムにも関する。特に本発明のシステムは、
・少なくとも1つの3D撮像センサから先に取得された少なくとも1つの3D画像を受信するように適合された少なくとも1つの入力であって、前記3D画像は標的骨の少なくとも1つの部分および手術道具の平面切断面の少なくとも1つの部分を含む3D点群である入力と、
・少なくとも1つのプロセッサであって、
・手術道具の平面切断面および標的骨に属する3D画像の点を領域分割し、
・手術道具の平面切断面に属する領域分割された点を3Dフィッティングすることにより骨切り面の空間的方位および位置を得、
・骨切り面を標的骨に属する領域分割された点に重ね合わせ、かつ手術道具で除去する予定の標的骨の部分に属する点を選択する
ように構成されたプロセッサと、
・手術道具で除去する予定の標的骨の部分に属する点を提供するように適合された少なくとも1つの出力と、
を備える。
【0065】
別の実施形態では、本システムは、切断平面が手術計画に一致することを保証するために鋸の軌道を自動的に補正するロボットガイダンスソフトウェアの中に組み込まれている。
【0066】
本明細書に開示されている実施形態は、本明細書に記載されている本方法の異なる工程に実装されている様々な動作を含む。上で考察されているように、これらの動作はハードウェアコンポーネントによって実行されてもよく、かつ/または機械実行可能命令に具体化されていてもよく、これを使用して命令によりプログラムされた汎用もしくは専用プロセッサに当該動作を実行させてもよい。あるいは、当該動作はハードウェア、ソフトウェアおよび/またはファームウェアの組み合わせによって実行されてもよい。
【0067】
本明細書に記載されている1つ以上の動作の実行は1つ以上のプロセッサに分散されていてもよく、すなわち単一の機械の中に存在しているのではなく多くの機械にわたって展開されている。いくつかの例では、1つ以上のプロセッサまたはプロセッサ実装モジュールは単一の地理的位置(例えば、家庭環境、職場環境またはサーバファームの中)に位置していてもよい。他の実施形態では、1つ以上のプロセッサまたはプロセッサ実装モジュールは多くの地理的位置にわたって分散されていてもよい。
【0068】
本発明は、平面切断の結果を手術中に予測するためのコンピュータプログラム製品であって、プログラムがコンピュータによって実行されるときにコンピュータに上に記載されている実施形態のいずれか1つに係る本方法の工程を実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品をさらに含む。
【0069】
上に記載されている方法を実行するためのコンピュータプログラム製品は、プロセッサまたはコンピュータをハードウェアコンポーネントによって実行される動作を実行するための機械または専用コンピュータとして動作させるように個々またはまとめて命令または構成するために、コンピュータプログラム、コードセグメント、命令またはそれらの任意の組み合わせとして記述されていてもよい。一例ではコンピュータプログラム製品は、コンパイラによって生成される機械コードなどのプロセッサまたはコンピュータによって直接実行される機械コードを含む。別の例では、コンピュータプログラム製品は、インタプリタを用いてプロセッサまたはコンピュータによって実行されるより高レベルのコードを含む。当業者のプログラマであれば、図面に示されているブロック図およびフローチャートならびに上に記載されている方法の動作を行うためのアルゴリズムを開示している本明細書中の対応する記載に基づいて、命令またはソフトウェアを容易に記述することができる。
【0070】
本発明は、プログラムがコンピュータによって実行されるときに、コンピュータに上に記載されている実施形態のいずれか1つに係る本方法の工程を実行させる命令を含むコンピュータ可読記憶媒体をさらに含む。
【0071】
一実施形態によれば、コンピュータ可読記憶媒体は非一時的コンピュータ可読記憶媒体である。
【0072】
本実施形態の方法を実行するコンピュータプログラムは一般に、限定されるものではないが、SDカード、外部記憶装置、マイクロチップ、フラッシュメモリ装置、携帯可能なハードドライブおよびソフトウェアウェブサイトなどの配布用コンピュータ可読記憶媒体によりユーザに配布することができる。配布媒体から、コンピュータプログラムをハードディスクまたは同様の中間記憶媒体にコピーすることができる。コンピュータプログラムは、コンピュータ命令をそれらの配布媒体またはそれらの中間記憶媒体のいずれかからコンピュータの実行メモリにロードし、コンピュータを本発明の方法に従って動作するように構成することにより実行させることができる。全てのこれらの動作はコンピュータシステムの当業者によく知られている。
【0073】
プロセッサまたはコンピュータを制御してハードウェアコンポーネントを実行し、かつ上に記載されている方法を実行するための命令またはソフトウェアならびにあらゆる関連するデータ、データファイルおよびデータ構造は、1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体の中または上に記録、記憶または固定されている。非一時的コンピュータ可読記憶媒体の例としては、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、CD-ROM、CD-R、CD+R、CD-RW、CD+RW、DVD-ROM、DVD-R、DVD+R、DVD-RW、DVD+RW、DVD-RAM、BD-ROM、BD-R、BD-R LTH、BD-RE、磁気テープ、フロッピーディスク、光磁気データ記憶装置、光データ記憶装置、ハードディスク、ソリッドステートディスク、命令またはソフトウェアならびにあらゆる関連するデータ、データファイルおよびデータ構造を非一時的に記憶し、かつプロセッサまたはコンピュータが命令を実行することができるように、プロセッサまたはコンピュータに命令またはソフトウェアならびにあらゆる関連するデータ、データファイルおよびデータ構造を提供することができる当業者に知られているあらゆる装置を挙げることができる。一例では、命令またはソフトウェアならびにあらゆる関連するデータ、データファイルおよびデータ構造は、命令およびソフトウェアならびにあらゆる関連するデータ、データファイルおよびデータ構造が記憶、アクセスおよび実行されるようにプロセッサまたはコンピュータによって配布される形で、ネットワークに結合されたコンピュータシステムを通して配布される。
【実施例
【0074】
本発明の方法およびシステムをロボットの人工膝関節全置換術(TKA)処置および特に大腿部の表面の準備に適用する以下の実施例により、本発明をさらに例示する。
【0075】
術前段階で患者の下肢のCTスキャンを行う。そのデータを領域分割して大腿骨(すなわち標的骨)の3Dモデルを得る。専用の計画ソフトウェアを用いてインプラント3Dモデルを大腿骨3Dモデル上に配置する。このように、平面切断の方程式を大腿骨3Dモデルの座標系に定める。
【0076】
骨準備段階中であって大腿骨の露出後に、正確性の不確実性を伴うガイダンスソフトウェアによって推定された術前計画に含まれるものとして、平面切断器具を計画された骨切り面内に位置決めする。深度カメラにより露出された大腿骨および鋸を撮影する。本方法の工程120を使用して、大腿骨および鋸に属する深度データを検出して領域分割する。鋸の平面切断面の平面性のおかげで、3D平面を鋸に属する領域分割された点群にフィッティングすることにより骨切り面を推定する。骨切り面の方程式を所与として、大腿骨に属する深度データを、手術道具で除去する予定の標的骨の部分に属する点を選択することにより領域分割する。
【0077】
従って本方法により、術前計画後に切断が行われる場合に得られるシミュレートされた除去部分の3D表現を得ることが可能になる。次いで3D形状解析により、シミュレートされた骨断片を術前段階から計画された骨断片と比較する。外科医はシミュレートされた骨断片、シミュレートされた切除される骨、および術前計画との比較を画面に表示される専用のグラフィカルユーザインタフェース上に可視化することができる。
【0078】
このシステムおよび方法により、実際に切断(これは不可逆的である)を行う直前に、除去される骨部分のシミュレートされた3Dモデルが術前計画に一致するかどうかを比較することが可能になる。本システムは、除去される骨部分のシミュレートされた3Dモデルと計画された3Dモデルとの類似性を定量的に評価するための測定法も提供する。この比較はガイダンスシステムそれ自体(例えばロボットアーム)に依存せず、従って手術実行が正確であるかを確認する別個の方法である。
【0079】
手術ガイダンスシステムは多くの場合に、切断前に骨切り面を(画面上に表示されるか拡張現実を用いて)可視化することも可能にする。但しこの特徴は、鋸を最初の場所に位置決めするために使用される正確な同じ情報を使用し、それ以上のものではない。従って、手術道具の位置決めにおいて誤差が既に存在していた場合(すなわち、ロボットがそれが点Aに位置決めされていると記録した場合、そのときそれは実際には点Bにある)、同じ誤差が切断前確認機構において再現されるであろう。
【0080】
整形外科手術のための典型的なロボットシステムおよびTKAは特に、計画、初期位置決めおよび埋め込みセンサを使用して、切除される骨に対して空間における手術道具の物理的位置決めを指示する。従って、手術道具が適切に位置決めされているか否かを確認するために同じ情報を使用するため、誤差も防止されない。
【0081】
対照的に本システムおよび方法は有利には、ロボットまたはナビゲーションシステムからのあらゆる運動学的もしくは位置決めデータに依存しない外部測定装置(深度カメラ)に依存する独立した確認を可能にし、従ってそれらの初期位置決め誤差によって影響を受けない。
図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図4(c)】
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】