IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 武漢華星光電半導体顕示技術有限公司の特許一覧

<>
  • 特表-表示パネル及び表示装置 図1
  • 特表-表示パネル及び表示装置 図2
  • 特表-表示パネル及び表示装置 図3
  • 特表-表示パネル及び表示装置 図4
  • 特表-表示パネル及び表示装置 図5
  • 特表-表示パネル及び表示装置 図6
  • 特表-表示パネル及び表示装置 図7
  • 特表-表示パネル及び表示装置 図8a
  • 特表-表示パネル及び表示装置 図8b
  • 特表-表示パネル及び表示装置 図8c
  • 特表-表示パネル及び表示装置 図8d
  • 特表-表示パネル及び表示装置 図8e
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】表示パネル及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   H10K 59/124 20230101AFI20240221BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240221BHJP
   H10K 59/122 20230101ALI20240221BHJP
   H10K 50/844 20230101ALI20240221BHJP
【FI】
H10K59/124
G09F9/30 365
G09F9/30 309
G09F9/30 349Z
G09F9/30 338
G09F9/30 348A
H10K59/122
H10K50/844 445
H10K50/844
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520941
(86)(22)【出願日】2022-02-11
(85)【翻訳文提出日】2022-04-05
(86)【国際出願番号】 CN2022075966
(87)【国際公開番号】W WO2023142169
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】202210088445.4
(32)【優先日】2022-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517333336
【氏名又は名称】武漢華星光電半導体顕示技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】WUHAN CHINA STAR OPTOELECTRONICS SEMICONDUCTOR DISOLAY TECHNOLOGY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】305 Room,Building C5 Biolake of Optics Valley,No.666 Gaoxin Avenue,.Wuhan East Lake High-tech Development Zone Wuhan,Hubei 430079 China
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】彭 斯敏
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC23
3K107CC28
3K107DD89
3K107DD90
3K107DD95
3K107EE03
3K107EE48
5C094AA31
5C094BA03
5C094BA27
5C094DA07
5C094DA13
5C094DA15
5C094FA02
5C094JA08
(57)【要約】
本発明の実施例は、表示パネル及び表示装置を開示する。本発明の実施例に係る表示パネルは、基板、無機構造層、ダム構造及び発光層を含む。無機構造層が基板上に設けられる。無機構造層上に凹溝が設けられる。ダム構造が無機構造層上に設けられる。発光層がダム構造及び無機構造層上に設けられる。ダム構造の少なくとも一側が凹溝の開口の一部を覆う。発光層が凹溝で分断される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域と、前記表示領域を取り囲む非表示領域とを含む表示パネルであって、
基板と、
前記基板の一側に設けられて、前記非表示領域に凹溝が設けられる無機構造層と、
前記無機構造層の前記基板から遠い側に設けられるダム構造であって、前記ダム構造の少なくとも一側が前記凹溝の開口の一部を覆うダム構造と、
前記無機構造層の前記基板から遠い側に設けられて、前記非表示領域に前記ダム構造を覆うとともに前記凹溝で分断される発光層と、
前記発光層の前記基板から遠い側に設けられて、非表示領域に前記ダム構造及び前記凹溝を覆う封止層と、を含む表示パネル。
【請求項2】
前記表示パネルは、
前記基板と前記発光層との間に設けられる駆動回路層であって、前記無機構造層と、前記無機構造層に設けられるトランジスタ構造と、前記無機構造層の前記基板から遠い側に設けられる有機構造層とを含む駆動回路層をさらに含み、
前記ダム構造が前記有機構造層と同じ有機材料を含む請求項1に記載の表示パネル。
【請求項3】
前記駆動回路層は、
前記基板の一側に設けられるバッファ層と、
前記バッファ層の前記基板から遠い側に設けられる半導体層と、
前記半導体層の前記基板から遠い側に設けられるゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層の前記基板から遠い側に設けられるゲート層と、
前記ゲート層の前記基板から遠い側に設けられる第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の前記基板から遠い側に設けられる金属層と、
前記金属層の前記基板から遠い側に設けられる第2絶縁層と、
前記第2絶縁層の前記基板から遠い側に設けられるソースドレイン層と、
前記ソースドレイン層の前記基板から遠い側に設けられる平坦化層と、
前記平坦化層の前記基板から遠い側に設けられる画素画定層と、を含み、
前記無機構造層は、前記バッファ層、前記ゲート絶縁層、前記第1絶縁層、前記第2絶縁層を含み、前記凹溝が少なくとも前記第2絶縁層を貫通し、
前記有機構造層が前記平坦化層及び前記画素画定層を含む請求項2に記載の表示パネル。
【請求項4】
前記ダム構造の前記凹溝の開口を覆う側縁から前記凹溝の開口が覆われる側縁までの距離を第1閾値とし、前記第1閾値の範囲が500~1000nmであり、
前記凹溝の底面幅を第2閾値とし、前記第2閾値が前記第1閾値よりも大きく、
前記凹溝の深さを第3閾値とし、前記第3閾値の範囲が300~500nmである請求項3に記載の表示パネル。
【請求項5】
前記凹溝の深さが前記凹溝にある発光層の厚さよりも大きい請求項3に記載の表示パネル。
【請求項6】
前記ダム構造は、前記表示領域に近い側及び前記表示領域から遠い側がそれぞれ前記凹溝の開口の一部を覆う第1ダムを含む請求項1に記載の表示パネル。
【請求項7】
前記ダム構造は、前記第1ダムの前記表示領域から遠い側に設けられる第2ダムをさらに含み、前記第2ダムの前記第1ダムに近い側及び前記第1ダムから遠い側がそれぞれ前記凹溝の開口の一部を覆う請求項6に記載の表示パネル。
【請求項8】
前記第1ダムと前記第2ダムとの間に設けられる2つの前記凹溝の間が連通していない請求項7に記載の表示パネル。
【請求項9】
前記封止層は、順に積層して設けられる第1無機封止層、有機封止層、第2無機封止層を含み、
前記第1無機封止層及び前記第2無機封止層がそれぞれ前記発光層を覆って前記ダム構造及び前記凹溝を延びて覆うとともに、前記凹溝で分断されることなく連続している請求項1に記載の表示パネル。
【請求項10】
前記封止層の一部が前記凹溝に充填される請求項1に記載の表示パネル。
【請求項11】
表示領域と、前記表示領域を取り囲む非表示領域とを含む表示パネルを含み、前記表示パネルが、
基板と、
前記基板の一側に設けられて、前記非表示領域に凹溝が設けられる無機構造層と、
前記無機構造層の前記基板から遠い側に設けられるダム構造であって、前記ダム構造の少なくとも一側が前記凹溝の開口の一部を覆うダム構造と、
前記無機構造層の前記基板から遠い側に設けられて、前記非表示領域に前記ダム構造を覆うとともに前記凹溝で分断される発光層と、
前記発光層の前記基板から遠い側に設けられて、非表示領域に前記ダム構造及び前記凹溝を覆う封止層と、を含む表示装置。
【請求項12】
前記表示パネルは、
前記基板と前記発光層との間に設けられる駆動回路層であって、前記無機構造層と、前記無機構造層に設けられるトランジスタ構造と、前記無機構造層の前記基板から遠い側に設けられる有機構造層とを含む駆動回路層をさらに含み、
前記ダム構造が前記有機構造層と同じ有機材料を含む請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記駆動回路層は、
前記基板の一側に設けられるバッファ層と、
前記バッファ層の前記基板から遠い側に設けられる半導体層と、
前記半導体層の前記基板から遠い側に設けられるゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層の前記基板から遠い側に設けられるゲート層と、
前記ゲート層の前記基板から遠い側に設けられる第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の前記基板から遠い側に設けられる金属層と、
前記金属層の前記基板から遠い側に設けられる第2絶縁層と、
前記第2絶縁層の前記基板から遠い側に設けられるソースドレイン層と、
前記ソースドレイン層の前記基板から遠い側に設けられる平坦化層と、
前記平坦化層の前記基板から遠い側に設けられる画素画定層と、を含み、
前記無機構造層は、前記バッファ層、前記ゲート絶縁層、前記第1絶縁層、前記第2絶縁層を含み、前記凹溝が少なくとも前記第2絶縁層を貫通し、
前記有機構造層が前記平坦化層及び前記画素画定層を含む請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記ダム構造の前記凹溝の開口を覆う側縁から前記凹溝の開口が覆われる側縁までの距離を第1閾値とし、前記第1閾値の範囲が500~1000nmであり、
前記凹溝の底面幅を第2閾値とし、前記第2閾値が前記第1閾値よりも大きく、
前記凹溝の深さを第3閾値とし、前記第3閾値の範囲が300~500nmである請求項13に記載の表示装置。
【請求項15】
前記凹溝の深さが前記凹溝にある発光層の厚さよりも大きい請求項13に記載の表示装置。
【請求項16】
前記ダム構造は、前記表示領域に近い側及び前記表示領域から遠い側がそれぞれ前記凹溝の開口の一部を覆う第1ダムを含む請求項11に記載の表示装置。
【請求項17】
前記ダム構造は、前記第1ダムの前記表示領域から遠い側に設けられる第2ダムをさらに含み、前記第2ダムの前記第1ダムに近い側及び前記第1ダムから遠い側がそれぞれ前記凹溝の開口の一部を覆う請求項16に記載の表示装置。
【請求項18】
前記第1ダムと前記第2ダムとの間に設けられる2つの前記凹溝の間が連通していない請求項17に記載の表示装置。
【請求項19】
前記封止層は、順に積層して設けられる第1無機封止層、有機封止層、第2無機封止層を含み、
前記第1無機封止層及び前記第2無機封止層がそれぞれ前記発光層を覆って前記ダム構造及び前記凹溝を延びて覆うとともに、前記凹溝で分断されることなく連続している請求項11に記載の表示装置。
【請求項20】
前記封止層の一部が前記凹溝に充填される請求項11に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示技術分野に関し、特に表示パネル及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブル有機発光ダイオード(Organic Light-Emitting Diode,OLED)ディスプレイは、低消費電力、可撓性などの特性を有し、ウェアラブルデバイスの応用に大きな影響を与え、プラスチックをガラスの代わりに用いてディスプレイを作製することにより、ディスプレイをより耐久性があり、軽量にし、性能に優れたフレキシブルOLEDディスプレイは、個人スマート端末の普及に伴って広く応用されている。
【0003】
有機エレクトロルミネッセンス(Electro-Luminescence,EL)材料は、蒸着する際にマスク板(mask)の開口縁にシャドー(shadow)効果を形成する。maskの設計を最適化しても、shadow効果を完全に除去することはできない。そのため、パネルを設計する際に、各EL材料が膜を蒸着する際のシャドー状況を考慮する必要があり、パネル額縁が大きく増加してしまう。ユーザーエクスペリエンスを向上させるために、製品の額縁を絶えずに圧縮していく。額縁を圧縮する際に、EL成膜の有効範囲も大きく圧縮されることにより、EL膜層あるいはshadowがパネル縁部のダム(Dam)を覆い、水蒸気侵入の経路を短縮し、製品の信頼性を大幅に低下させ、製品の使用寿命に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施例は、発光層からの水蒸気の侵入を阻止し、表示パネルの信頼性を向上させることができる表示パネル及び表示パネルの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施例は、表示領域と、前記表示領域を取り囲む非表示領域とを含む表示パネルであって、
基板と、
前記基板の一側に設けられて、前記非表示領域に凹溝が設けられる無機構造層と、
前記無機構造層の前記基板から遠い側に設けられるダム構造であって、前記ダム構造の少なくとも一側が前記凹溝の開口の一部を覆うダム構造と、
前記無機構造層の前記基板から遠い側に設けられて、前記非表示領域に前記ダム構造を覆うとともに前記凹溝で分断される発光層と、
前記発光層の前記基板から遠い側に設けられて、非表示領域に前記ダム構造及び前記凹溝を覆う封止層と、を含む表示パネルを提供する。
【0006】
所望により、本発明のいくつかの実施例において、前記表示パネルは、
前記基板と前記発光層との間に設けられる駆動回路層であって、前記無機構造層と、前記無機構造層に設けられるトランジスタ構造と、前記無機構造層の前記基板から遠い側に設けられる有機構造層とを含む駆動回路層をさらに含み、
前記ダム構造が前記有機構造層と同じ有機材料を含む。
【0007】
所望により、本発明のいくつかの実施例において、前記駆動回路層は、
前記基板の一側に設けられるバッファ層と、
前記バッファ層の前記基板から遠い側に設けられる半導体層と、
前記半導体層の前記基板から遠い側に設けられるゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層の前記基板から遠い側に設けられるゲート層と、
前記ゲート層の前記基板から遠い側に設けられる第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の前記基板から遠い側に設けられる金属層と、
前記金属層の前記基板から遠い側に設けられる第2絶縁層と、
前記第2絶縁層の前記基板から遠い側に設けられるソースドレイン層と、
前記ソースドレイン層の前記基板から遠い側に設けられる平坦化層と、
前記平坦化層の前記基板から遠い側に設けられる画素画定層と、を含み、
前記無機構造層は、前記バッファ層、前記ゲート絶縁層、前記第1絶縁層、前記第2絶縁層を含み、前記凹溝が少なくとも前記第2絶縁層を貫通し、
前記有機構造層が前記平坦化層及び前記画素画定層を含む。
【0008】
所望により、本発明のいくつかの実施例において、前記ダム構造の前記凹溝の開口を覆う側縁から前記凹溝の開口が覆われる側縁までの距離を第1閾値とし、前記第1閾値の範囲が500~1000nmであり、
前記凹溝の底面幅を第2閾値とし、前記第2閾値が前記第1閾値よりも大きく、
前記凹溝の深さを第3閾値とし、前記第3閾値の範囲が300~500nmである。
【0009】
所望により、本発明のいくつかの実施例において、前記凹溝の深さが前記凹溝にある発光層の厚さよりも大きい。
【0010】
所望により、本発明のいくつかの実施例において、前記ダム構造は、前記表示領域に近い側及び前記表示領域から遠い側がそれぞれ前記凹溝の開口の一部を覆う第1ダムを含む。
【0011】
所望により、本発明のいくつかの実施例において、前記ダム構造は、前記第1ダムの前記表示領域から遠い側に設けられる第2ダムをさらに含み、前記第2ダムの前記第1ダムに近い側及び前記第1ダムから遠い側がそれぞれ前記凹溝の開口の一部を覆う。
【0012】
所望により、本発明のいくつかの実施例において、前記第1ダムと前記第2ダムとの間に設けられる2つの前記凹溝の間が連通していない。
【0013】
所望により、本発明のいくつかの実施例において、前記封止層は、順に積層して設けられる第1無機封止層、有機封止層、第2無機封止層を含み、
前記第1無機封止層及び前記第2無機封止層がそれぞれ前記発光層を覆って前記ダム構造及び前記凹溝を延びて覆うとともに、前記凹溝で分断されることなく連続している。
【0014】
所望により、本発明のいくつかの実施例において、前記封止層の一部が前記凹溝に充填される。
【0015】
本発明の実施例は、表示領域と、前記表示領域を取り囲む非表示領域とを含む表示パネルを含み、前記表示パネルが、
基板と、
前記基板の一側に設けられて、前記非表示領域に凹溝が設けられる無機構造層と、
前記無機構造層の前記基板から遠い側に設けられるダム構造であって、前記ダム構造の少なくとも一側が前記凹溝の開口の一部を覆うダム構造と、
前記無機構造層の前記基板から遠い側に設けられて、前記非表示領域に前記ダム構造を覆うとともに前記凹溝で分断される発光層と、
前記発光層の前記基板から遠い側に設けられて、非表示領域に前記ダム構造及び前記凹溝を覆う封止層と、を含む表示装置を提供する。
【0016】
所望により、本発明のいくつかの実施例において、前記表示パネルは、
前記基板と前記発光層との間に設けられる駆動回路層であって、前記無機構造層と、前記無機構造層に設けられるトランジスタ構造と、前記無機構造層の前記基板から遠い側に設けられる有機構造層とを含む駆動回路層をさらに含み、
前記ダム構造が前記有機構造層と同じ有機材料を含む。
【0017】
所望により、本発明のいくつかの実施例において、前記駆動回路層は、
前記基板の一側に設けられるバッファ層と、
前記バッファ層の前記基板から遠い側に設けられる半導体層と、
前記半導体層の前記基板から遠い側に設けられるゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層の前記基板から遠い側に設けられるゲート層と、
前記ゲート層の前記基板から遠い側に設けられる第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の前記基板から遠い側に設けられる金属層と、
前記金属層の前記基板から遠い側に設けられる第2絶縁層と、
前記第2絶縁層の前記基板から遠い側に設けられるソースドレイン層と、
前記ソースドレイン層の前記基板から遠い側に設けられる平坦化層と、
前記平坦化層の前記基板から遠い側に設けられる画素画定層と、を含み、
前記無機構造層は、前記バッファ層、前記ゲート絶縁層、前記第1絶縁層、前記第2絶縁層を含み、前記凹溝が少なくとも前記第2絶縁層を貫通し、
前記有機構造層が前記平坦化層及び前記画素画定層を含む。
【0018】
所望により、本発明のいくつかの実施例において、前記ダム構造の前記凹溝の開口を覆う側縁から前記凹溝の開口が覆われる側縁までの距離を第1閾値とし、前記第1閾値の範囲が500~1000nmであり、
前記凹溝の底面幅を第2閾値とし、前記第2閾値が前記第1閾値よりも大きく、
前記凹溝の深さを第3閾値とし、前記第3閾値の範囲が300~500nmである。
【0019】
所望により、本発明のいくつかの実施例において、前記凹溝の深さが前記凹溝にある発光層の厚さよりも大きい。
【0020】
所望により、本発明のいくつかの実施例において、前記ダム構造は、前記表示領域に近い側及び前記表示領域から遠い側がそれぞれ前記凹溝の開口の一部を覆う第1ダムを含む。
【0021】
所望により、本発明のいくつかの実施例において、前記ダム構造は、前記第1ダムの前記表示領域から遠い側に設けられる第2ダムをさらに含み、前記第2ダムの前記第1ダムに近い側及び前記第1ダムから遠い側がそれぞれ前記凹溝の開口の一部を覆う。
【0022】
所望により、本発明のいくつかの実施例において、前記第1ダムと前記第2ダムとの間に設けられる2つの前記凹溝の間が連通していない。
【0023】
所望により、本発明のいくつかの実施例において、前記封止層は、順に積層して設けられる第1無機封止層、有機封止層、第2無機封止層を含み、
前記第1無機封止層及び前記第2無機封止層がそれぞれ前記発光層を覆って前記ダム構造及び前記凹溝を延びて覆うとともに、前記凹溝で分断されることなく連続している。
【0024】
所望により、本発明のいくつかの実施例において、前記封止層の一部が前記凹溝に充填される。
【発明の効果】
【0025】
本発明の実施例に係る表示パネルは、基板、無機構造層、ダム構造及び発光層を含む。無機構造層が基板上に設けられる。無機構造層上に凹溝が設けられる。ダム構造が無機構造層上に設けられる。発光層がダム及び無機構造層上に設けられる。ダム構造の少なくとも一側が凹溝の開口の一部を覆う。発光層が凹溝で分断される。表示パネルは、ダムの下方に凹溝が設けられて、ダム構造の少なくとも一側が凹溝の開口の一部を覆うことで、アンダーカット構造を形成する。発光層が成膜の際に凹溝で分断されるように、アンダーカット構造が発光層に対して遮断役割を果たすことができる。したがって、水蒸気が発光層に沿って侵入する経路を遮断し、表示パネルの信頼性を向上させ、製品の使用寿命を向上させる。
【0026】
本発明の実施例における技術的手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明で使用する必要がある図面を簡単に紹介し、以下の説明における図面は、本発明の幾つかの実施例に過ぎなく、当業者にとっては創造的努力なしにこれらの図面から他の図面を導き出すこともできることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施例に係る表示パネルの構造概略図である。
図2】本発明の実施例に係る表示パネルの非表示領域の第1の構造概略図である。
図3】本発明の実施例に係る表示パネルの表示領域の構造概略図である。
図4】本発明の実施例に係る表示パネルの部分構造概略図である。
図5】本発明の実施例に係る表示パネルの非表示領域の第2の構造概略図である。
図6】本発明の実施例に係る表示パネルにおける非表示領域の第3の構造概略図である。
図7】本発明の実施例に係る表示パネルの製造方法のフローチャートである。
図8a】本発明の実施例に係る表示パネルの製造方法のステップ概略図である。
図8b】本発明の実施例に係る表示パネルの製造方法のステップ概略図である。
図8c】本発明の実施例に係る表示パネルの製造方法のステップ概略図である。
図8d】本発明の実施例に係る表示パネルの製造方法のステップ概略図である。
図8e】本発明の実施例に係る表示パネルの製造方法のステップ概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術的手段を明確かつ完全に説明するが、説明した実施例は本発明の実施例のすべてではなく、単に実施例の一部であることは明らかである。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的努力なしに取得したすべての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属している。また、ここで記載する具体的な実施形態は本発明を説明や解釈するためのものであり、本発明を限定するためのものではないことを理解されたい。本発明において、反対の説明がなされない場合、「上」及び「下」などの使用される方向語は、通常、装置が実際に使用されている状態又は稼働している状態における上及び下を意味し、具体的に図面における図面方向であるが、「内」及び「外」は、装置の輪郭について示すものである。
【0029】
本発明の実施例は、アレイ基板及びアレイ基板の製造方法を提供する。以下、それぞれについて詳細に説明する。なお、以下の実施例の説明順序は、実施例の好ましい順序を限定するものではない。
【0030】
図1及び図2を参照されたく、図1は本発明の実施例に係る表示パネルの構造概略図である。図2は本発明の実施例に係る表示パネルの非表示領域の構造概略図である。本発明の実施例に係る表示パネル100は、表示領域AAと、表示領域AAを取り囲む非表示領域NAとを含む。表示パネル100は、基板101、無機構造層102、ダム構造103、発光層104及び封止層105を含む。無機構造層102が基板101の一側に設けられて、非表示領域NAに凹溝102aが設けられる。ダム構造103が無機構造層102の基板101から遠い側に設けられて、ダム構造103の少なくとも一側が凹溝102aの開口の一部を覆う。発光層104が無機構造層102の基板101から遠い側に設けられて、非表示領域NAにおいてダム構造103を覆うとともに凹溝102aで分断される。封止層105が発光層104の基板101から遠い側に設けられて、非表示領域NAにおいてダム構造103及び凹溝102aを覆う。
【0031】
本発明の実施例に係る表示パネルは、基板101、無機構造層102、ダム構造103、発光層104及び封止層105を含む。水蒸気がフレキシブルOLEDディスプレイに侵入することを防止するために、フレキシブルOLEDディスプレイに薄膜封止構造を作製するのが一般的である。薄膜封止構造における有機材料が溢れ出すことを防止するために、ディスプレイの額縁にダムを作製する。一部の狭額縁ディスプレイの額縁領域が小さい場合に、発光材料の成膜領域も圧縮される。これは、発光材料が成膜時にダムを覆って、水蒸気が侵入する経路を短縮し、ディスプレイの信頼性を低減する。本発明の実施例に係る表示パネル100は、無機構造層102に凹溝102aが設けられる。そして、ダム構造103の少なくとも一側が凹溝102aの開口の一部を覆う。即ちダム構造103の下方にアンダーカット構造(Undercut)を形成する。発光層104が成膜の際に、ダム構造103及び凹溝102aで分断されるように、このようなアンダーカット構造が発光層104に対して遮断役割を果たすことができる。これにより、水蒸気が発光層104に沿って侵入する経路を遮断し、表示パネル100の信頼性を向上させ、製品の使用寿命を延長する。そして、封止層105を用いて表示パネル100における発光層104及びデバイス構造を封止し、水蒸気が発光層104から侵入することを遮断するとともに、表示パネル100をうまく封止し、水蒸気の侵入をよりよく遮断することができる。
【0032】
そして、ダム構造103の下に凹溝102aが設けられるとともに、ダム構造103が凹溝102aの開口の一部を覆う。製造の際に発光層104の蒸着有効領域を適宜に緩和することができる。狭額縁の表示パネル100は、発光層104がダム構造103を覆うことで水や酸素の侵入問題を効果的に解決することができる。したがって、表示パネル100の額縁を効果的に短縮することができる。
【0033】
所望により、図2及び図3を参照されたく、図3は本発明の実施例に係る表示パネルの表示領域の構造概略図である。表示パネル100は、基板101と発光層104との間に設けられる駆動回路層10をさらに含む。駆動回路層10は、無機構造層と、無機構造層に設けられるトランジスタ構造と、無機構造層の基板から遠い側に設けられる有機構造層とを含む。ダム構造は、有機構造層と同じ有機材料を含む。
【0034】
なお、同一のエッチング液は、有機膜層及び無機膜層をエッチングする速度が異なり、また、無機膜層によってエッチング速度が異なる。したがって、ダム構造が有機材料を用いて製造し、さらにエッチングの方法により無機構造層をエッチングし、ダム構造の下方にアンダーカット構造を容易に製造することができる。所望により、エッチング液がフッ化水素酸(HF)を用いることができる。
【0035】
所望により、駆動回路層10は、バッファ層1021、半導体層11、ゲート絶縁層1022、ゲート層12、第1絶縁層1023、金属層13、第2絶縁層1024、ソースドレイン層14、平坦化層151、画素電極層16及び画素画定層152を含む。バッファ層1021が基板101の一側に設けられる。半導体層11がバッファ層1021の基板101から遠い側に設けられる。ゲート絶縁層1022が半導体層11の基板101から遠い側に設けられる。ゲート層12がゲート絶縁層1022の基板101から遠い側に設けられる。第1絶縁層1023がゲート層12の基板101から遠い側に設けられる。金属層13が第1絶縁層1023の基板101から遠い側に設けられる。第2絶縁層1024が金属層13の基板101から遠い側に設けられる。ソースドレイン層14が第2絶縁層1024の基板101から遠い側に設けられる。平坦化層151がソースドレイン層14の基板101から遠い側に設けられる。画素画定層152が平坦化層151の基板101から遠い側に設けられる。画素電極層16が平坦化層151に設けられるとともに、ビアホールを介してソースドレイン層14に接続される。発光層が画素電極層16の基板101から遠い側に設けられる。
【0036】
無機構造層102は、バッファ層1021、ゲート絶縁層1022、第1絶縁層1023、第2絶縁層1024を含む。凹溝102aが少なくとも第2絶縁層1024を貫通する。有機構造層15が平坦化層151及び画素画定層152を含む。半導体層11は、ソース領域111、活性領域112及びドレイン領域113を含む。
【0037】
なお、駆動回路層10の具体的な構造は当業者によく知られる技術であるため、本発明で詳しい説明を省略する。また、上記の駆動回路層10はデュアルゲート型の薄膜トランジスタを例として説明するが、本発明の実施例では薄膜トランジスタの具体的な種別を限定するものではない。トップゲート型の薄膜トランジスタであってもよいし、ボトムゲート型の薄膜トランジスタであってもよい。さらにデュアルゲート型の薄膜トランジスタであってもよいし、シングルゲート型の薄膜トランジスタであってもよい。
【0038】
凹溝102aが少なくとも第2絶縁層1024を貫通する。所望により、凹溝102aが引続き下方に延びることができる。例えば、凹溝102aが第2絶縁層1024及び第1絶縁層1023の一部を貫通する。又は、凹溝102aが第2絶縁層1024及び第1絶縁層1023を貫通する。又は、凹溝102aが第2絶縁層1024、第1絶縁層1023及びゲート絶縁層1022を貫通する。本発明は、凹溝102aの無機構造層102を貫通する深さを限定するものではない。
【0039】
具体的には、無機構造層102における少なくとも一層が単層構造である。凹溝102aの深さが無機構造層102の厚さよりも小さい。即ち、無機構造層102が単層である場合に、凹溝102aが無機構造層102をエッチングにより貫通しないように、無機構造層102の厚さに合わせてエッチング液の使用量を制御する。
【0040】
又は、無機構造層102における少なくとも一層が積層して設けられる多層の副層である。例えば、第2絶縁層1024が多層の副層からなる膜層である。凹溝102aが第2絶縁層1024の基板101から遠い側の少なくとも1層の副層を貫通する。例えば、第2絶縁層1024の基板101から遠い方向に向かって酸化チタン層、酸化ケイ素層及び酸化アルミニウム層が順に積層して設けられ、酸化アルミニウムの特定のエッチング液を用いて酸化アルミニウム層をエッチングする。酸化アルミニウムの特定のエッチング液の酸化ケイ素に対するエッチング速度が酸化アルミニウムに対するエッチング速度よりも小さいため、エッチングが酸化アルミニウム層の左右に向かってエッチングし続け、酸化ケイ素層をエッチングにより貫通することができない。したがって、無機構造層102上にアンダーカット構造を形成する。
【0041】
無機構造層102における副層は、さらに他の順序又は他の材料で形成される膜層であってもよいことを理解されたい。上記の無機構造層102は、基板から遠い方向に向かって順に積層して設けられた酸化チタン層、酸化ケイ素層及び酸化アルミニウム層を含むことは一実施形態のみであるが、本発明を限定するものではない。また、凹溝102aが酸化アルミニウム層を貫通することも例であり、凹溝102aがさらに酸化アルミニウム層及び酸化ケイ素層などを貫通することができる。
【0042】
所望により、引続き図2を参照されたい。ダム構造103は第1ダム1031を含む。第1ダム1031の表示領域AAに近い側及び表示領域AAから遠い側がそれぞれ凹溝102aの開口の一部を覆う。所望により、ダム構造103は、第1ダム1031の表示領域AAから遠い側に設けられる第2ダム1032をさらに含む。第2ダム1032の第1ダム1031に近い側及び第1ダム1031から遠い側がそれぞれ凹溝102aの開口の一部を覆う。所望により、第1ダム1031と第2ダム1032との間に設けられる2つの凹溝102aの間が連通していない。
【0043】
上記の設計により、発光層104がダム構造103と凹溝102aとに形成されたアンダーカット構造で十分に分断されるように確保し、水蒸気が発光層104に沿って表示パネル100の内部に侵入することを効果的に防止することができる。
【0044】
所望により、引続き図2を参照されたい。封止層105は、順に積層して設けられる第1無機封止層1051、有機封止層1052、第2無機封止層1053を含む。第1無機封止層1051及び第2無機封止層1053にそれぞれ発光層104を覆ってダム構造103及び凹溝102aを延びて覆うとともに、凹溝102aで分断されることなく連続している。
【0045】
第1無機封止層1051及び第2無機封止層1053が用いられる材料は、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素及び炭窒化ケイ素の1種又は複数種の組み合わせである。有機封止層1052が用いられる材料は、有機層が用いられる材料であり、アクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリカーボネート、ポリスチレン及びヘキサメチルジシロキサンの1種又は複数種の組み合わせである。封止層105が無機材料と有機材料との組み合わせを用いて封止すると、より良い封止効果を得ることができる。第1無機封止層1051及び第2無機封止層1053が水や酸素を遮断するためのものである。そして、有機封止層1052の有機的特性により、水蒸気の侵入経路を延長する。また、有機封止層1052が段差被覆性に優れており、封止すべき膜層をうまく被覆することができる。有機材料と無機材料とを組み合わせることにより、封止層の水や酸素遮断能力を向上させ、表示パネル100の寿命を向上させることができる。
【0046】
有機封止層1052を第1無機封止層1051と第2無機封止層1053との間に設けることにより、第1無機封止層1051及び第2無機封止層1053がダムのような役割を果たすことができる。有機封止層1052が水や酸素を吸着した後、第1無機封止層1051及び第2無機封止層1053が水や酸素を有機封止層1052内に遮断することができ、水や酸素を閉じ込める遮断空間を形成し、さらに水や酸素の拡散侵入を防止する。この封止層105は水や酸素遮断性及び封止の信頼性をさらに向上させる。
【0047】
なお、封止層105は、無機/有機/無機/有機/無機の5層の積層構造であってもよく、又は他の構造であってもよい。表示パネル100の寸法及び薄型化の要求に基づいて封止層105を適宜設計することができる。
【0048】
発光層104の厚さが凹溝102aの深さよりも小さく、封止層105の厚さが凹溝102aの深さよりも大きい。これにより、発光層104をアンダーカット空間102bで分断して、封止層105をアンダーカット空間102bで連続膜層とすることができる。
【0049】
封止層105が凹溝102aの他の一部の開口を覆う。製造中に、封止層105の製造工程を制御することにより、封止層105が凹溝102aに入り込んで、封止層105を凹溝102aで浮き上がらせることを防止することができる。このような構造は、封止層105のダム構造103の両側における段差を低減し、封止層105の破断を防止し、封止層105の封止効果を保障し、表示パネル100の信頼性をさらに高めることができる。
【0050】
所望により、図4を参照されたく、図4は本発明の実施例に係る表示パネルの部分構造概略図である。ダム構造103の凹溝102aの開口を覆う側縁から凹溝102aの開口が覆われる側縁までの距離を第1閾値aとする。第1閾値aの範囲が500~1000nmである。凹溝102aの底面幅を第2閾値bとし、第2閾値bが第1閾値aよりも大きい。凹溝102aの深さを第3閾値cとし、第3閾値cの範囲が300~500nmである。
【0051】
具体的には、第1閾値aの範囲が500nm、550nm、600nm、650nm、700nm、750nm、800nm、850nm、900nm、950nm又は1000nmであってもよい。第3閾値cの範囲が300nm、310nm、320nm、330nm、340nm、350nm、400nm、450nm、460nm、470nm、480nm、490nm又は500nmであってもよい。
【0052】
範囲形式での記述は、単に便宜上及び簡潔にするためのものであり、本発明の範囲を厳密に限定するものと解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、記載された範囲記述は、全ての可能なサブ範囲及びその範囲内の単一の数値を具体的に開示したものと考えられる。例えば、300ナノメートルから500ナノメートルまでの範囲の記述は、300ナノメートルから347ナノメートルまで、415ナノメートルから488ナノメートルまでなどのサブ範囲、並びに300、301、302及び303などの所属範囲内の単一の数字などを具体的に開示したものと考えられ、これは、範囲を問わずに適用する。また、本明細書で示される数値範囲は、常に示される範囲内の任意の引用数字(分数又は整数)を含むことを意味する。
【0053】
本発明の実施例に係る表示パネルの発光層104は、ダム構造103の下方の凹溝102aで分散される必要があるとともに、封止層105を連続膜層とするように確保する。したがって、本発明の発明者らは、第1閾値aの範囲を500~1000nmとし、凹溝102aの底面幅を第2閾値bとし、第2閾値bが第1閾値aよりも大きく、第3閾値cの範囲を300~500nmとすることを満たす場合に、封止層105が凹溝102aで分断されることなく、発光層104が凹溝102aで分断される構造を製造することができることを実験により見出した。これにより、発光層104の水や酸素の侵入経路を遮断し、封止層105の封止効果を確保する。
【0054】
所望により、凹溝102aの深さcが凹溝102aにある発光層104の厚さよりも大きい。これにより、発光層104が凹溝102aで分断されることをよりよく確保することができる。
【0055】
所望により、図5を参照されたく、図5は本発明の実施例に係る表示パネルの非表示領域の第2の構造概略図である。表示パネル100は、充填材層102bをさらに含む。充填材層102bが少なくとも凹溝102aの一部に充填される。
【0056】
図5は充填材層102bが凹溝102aの一部に充填されることを例に説明し、充填材層102bがさらに凹溝102aに一杯充填されてもよい。具体的な充填材層102bの高さが凹溝102aの深さ及び封止層105の厚さにより適宜調整することができる。
【0057】
充填材層102bが塗布する方法により凹溝102aに充填されてもよい。例えば、具体的な一実施形態において、液体のりを凹溝102aに充填した後、紫外光により照射し、液体のりを硬化させることにより、充填材層102bを形成する。
【0058】
凹溝102aに充填材層102bを設けることにより、嵩上げ役割を果たすことができ、封止層105が堆積時に凹溝102aに落下することにより過大な段差が生じにくく、封止層105が凹溝102aで破断されることを防止する。そして、充填材層102bは、止水効果に優れた材料を用いて作製することができ、さらに凹溝102aで発光層104を遮断する。また、充填材層102bはさらに、ダム構造103を強固させることができ、凹溝102aを形成するとともに、ダム構造103の構造安定性を確保する。
【0059】
所望により、図6を参照されたく、図6は本発明の実施例に係る表示パネルの非表示領域の第3の構造概略図である。封止層105の一部が凹溝102aに充填される。
【0060】
封止層105の一部が凹溝102aに充填され、凹溝102aにおける水や酸素遮断効果を増加させることができる。発光層104が分断される位置に封止層105が充填され、水や酸素の侵入をよりよく遮断することができ、表示パネル100の信頼性を高め、表示パネル100の使用寿命を増加することができる。一方で、凹溝102aに封止層105が充填されると、ダム構造103を強固させ、ダム構造103が封止層105に押圧される場合に、凹溝102aに傾斜して、表示パネル100の封止信頼性に影響を与えることを防止する。
【0061】
所望により、第1無機封止層1051が凹溝102aに充填される。封止層105における第1無機封止層1051の厚さが通常凹溝102aの深さよりも大きい。そのため、第1無機封止層1051を用いて凹溝102aに直接充填されてもよい。
【0062】
したがって、本発明の実施例は、表示パネルの製造方法をさらに提供する。具体的には、図7図8eを参照されたい。図7は本発明の実施例に係る表示パネルの製造方法のフローチャートである。図8a~図8eは本発明の実施例に係る表示パネルの製造方法のステップ概略図である。本発明の実施例に係る表示パネルの製造方法は、具体的にステップ11~ステップ16を含む。
【0063】
ステップ11:基板を提供する。
【0064】
ステップ12:アレイ基板上に無機構造層を作製する。
【0065】
具体的には、図8aを参照されたい。プラズマ化学気相成長法(PECVD)、原子層堆積法(ALD)、パルスレーザー堆積法(PLD)又はスパッタリング(Sputter)の方法を用いて基板101上に無機構造層102を堆積することができる。無機構造層102の無機薄膜が用いられる材料は、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、窒化ケイ素及び炭窒化ケイ素等の止水機能を増加させるための無機機能材料を含むが、これらに限定されるものではない。無機構造層102が一層又は多層構造であってもよく、少なくとも一層が特定のエッチング液によりエッチングされてもよい。
【0066】
ステップ13:無機構造層上にダム構造を作製する。
【0067】
具体的には、図8bを参照されたい。ダム構造103の作製方法は当業者の常套手段であるため、ここでは詳しい説明を省略する。
【0068】
ステップ14:エッチング液を用いて少なくとも一部の無機構造層をエッチングし、無機構造層上に凹溝を作製して、ダム構造の少なくとも一側が凹溝の開口の一部を覆う。
【0069】
具体的には、図8cを参照されたい。表示パネル100の額縁領域のダム構造103の下方に、露光、現像、エッチングなどの方法により無機構造層102をエッチングして凹溝102aを形成する。ダム構造103の少なくとも一側が凹溝102aの開口の一部を覆うことで、凹溝102aとダム構造103との基板101に近い側にアンダーカット構造を形成する。そして、ダム構造103の凹溝102aの開口を覆う側縁から凹溝102aの開口が覆われる側縁までの距離を第1閾値aとする。第1閾値aの範囲が500~1000nmである。凹溝102aの底面幅を第2閾値bとし、第2閾値bが第1閾値aよりも大きい。凹溝102aの深さを第3閾値cとし、第3閾値cの範囲が300~500nmである。凹溝102aで堆積される発光層104が分断するが、後続で作製する封止層105を分断することはない。
【0070】
ステップ15:ダム構造及び無機構造層上に発光層を作製し、発光層が凹溝で分断される。
【0071】
具体的には、図8dを参照されたい。発光層マスク板によりアレイ基板上に発光層104を蒸着する。発光層104がダム構造103において凹溝102aの作用のため分断され、連続していない発光層104を形成し、水蒸気が侵入する経路を遮断する。
【0072】
ステップ16:発光層上に封止層を作製し、封止層が凹溝において連続膜層である。
【0073】
所望により、発光層上に封止層を作製するステップは、ステップ161~ステップ163を含む。
【0074】
ステップ161:発光層上に第1無機封止層を作製する。
【0075】
具体的には、図8eを参照されたい。プラズマ化学気相成長法、原子層堆積法、パルスレーザー堆積法又はスパッタリングの方法を用いて発光層104上に第1無機封止層1051を堆積する。第1無機封止層1051が用いられる材料は、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、窒化ケイ素及び炭窒化ケイ素等の止水機能を増加させるための無機機能材料を含むが、これらに限定されるものではない。
【0076】
ステップ162:第1無機封止層上に有機封止層を作製する。
【0077】
具体的には、有機材料をインクジェットプリント(Ink-jet Print, IJP)、PECVD又はスリットコート法(slot coating)により塗布するとともに、有機材料をフォトリソグラフィによりパターニングして、第1無機封止層上に一層の有機封止層を堆積する。有機封止層が用いられる材料は、アクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリカーボネート、ポリスチレン及びヘキサメチルジシロキサンを含むが、これらに限定されるものではない。有機封止層は、水蒸気の侵入経路を延長することができるだけではなく、デバイスを折り曲げたり折り畳んだりする際の応力を緩和するためにも用いられてもよい。また、有機封止層は、粒状汚染物を被覆し、表示不良を防止することもできる。
【0078】
ステップ163:有機封止層上に第2無機封止層を作製する。
【0079】
所望により、有機封止層上に第2無機封止層を作製する方法は、第1無機封止層を作製する方法と一致するため、ここでは詳しい説明を省略する。第2無機封止層を作製した後、図2に示す表示パネル100を得る。なお、ステップ17及びステップ18は、複数回交互に行って、多層交互する有機、無機薄膜封止構造を得ることができる。
【0080】
本発明の実施例に係る表示パネルの製造方法は、表示パネルを製造するためのものであり、表示パネルが基板、無機構造層、ダム構造及び発光層を含む。無機構造層が基板上に設けられる。無機構造層上に凹溝が設けられる。ダム構造が無機構造層上に設けられる。発光層がダム構造及び無機構造層上に設けられる。エッチング液により無機構造層中の異なる材料をエッチングする速度が異なるため、ダム構造の下方にエッチングしてアンダーカット構造を形成することができる。発光層が成膜の際にアンダーカット構造で分断されるように、アンダーカット構造が発光層に対して遮断役割を果たすことができる。したがって、水蒸気が発光層に沿って侵入する経路を遮断し、表示パネルの信頼性を向上させ、製品の使用寿命を向上させる。
【0081】
また、ダム構造の下方にアンダーカット構造を設けることにより、作製の際に発光層の蒸着有効領域を適宜に緩和することができる。狭額縁の表示パネルは、発光層がダム構造を覆うことで水や酸素の侵入問題を効果的に解決することができる。したがって、表示パネルの額縁を効果的に短縮することができる。
【0082】
以上、本発明の実施例に係る表示パネル及び表示パネルの製造方法について詳細に説明したが、本明細書では具体的な実施例を用いて本発明の原理及び実施形態について説明したが、以上の実施例の説明は本発明の方法及びその核心的な思想を理解するためのものに過ぎず、一方、当業者であれば、本発明の構想に基づき、具体的な実施形態及び適用範囲に変更を加えることがあり、要約すると、本明細書の内容は本発明を限定するものとして理解されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図8c
図8d
図8e
【国際調査報告】