(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】物質熱分解リアルタイムオンライン分析装置、及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
G01N 30/06 20060101AFI20240221BHJP
G01N 27/62 20210101ALI20240221BHJP
G01N 30/04 20060101ALI20240221BHJP
G01N 30/72 20060101ALI20240221BHJP
G01N 1/22 20060101ALI20240221BHJP
A24B 3/18 20060101ALN20240221BHJP
【FI】
G01N30/06 G
G01N27/62 C
G01N30/04 A
G01N30/72 A
G01N1/22 R
G01N1/22 X
A24B3/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564509
(86)(22)【出願日】2021-12-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-20
(85)【翻訳文提出日】2022-12-21
(86)【国際出願番号】 CN2021143565
(87)【国際公開番号】W WO2023115636
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】202111578066.5
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517283640
【氏名又は名称】雲南中煙工業有限責任公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】楊継
(72)【発明者】
【氏名】劉春波
(72)【発明者】
【氏名】劉志華
(72)【発明者】
【氏名】劉勁芸
(72)【発明者】
【氏名】唐石云
(72)【発明者】
【氏名】朱瑞芝
(72)【発明者】
【氏名】司暁喜
(72)【発明者】
【氏名】張鳳梅
(72)【発明者】
【氏名】蒋薇
(72)【発明者】
【氏名】李振杰
(72)【発明者】
【氏名】▲みお▼明明
【テーマコード(参考)】
2G041
2G052
4B043
【Fターム(参考)】
2G041CA01
2G041DA13
2G041EA06
2G041FA07
2G041GA17
2G041GA18
2G041HA01
2G041JA02
2G041JA16
2G052AD02
2G052AD22
2G052AD32
2G052AD42
2G052BA17
2G052EB11
2G052EB13
2G052ED01
2G052ED09
2G052GA24
2G052GA27
2G052HC22
2G052HC28
2G052JA09
4B043BA71
(57)【要約】
物質熱分解リアルタイムオンライン分析装置、及び物質熱分解リアルタイムオンライン分析装置を用いた物質熱分解リアルタイムオンライン分析方法を提供する。物質熱分解リアルタイムオンライン分析装置は、熱分解システム(1)と、捕集システム(2)と、テストシステム(3)と、制御システム(4)とを含み、熱分解システム(1)、捕集システム(2)及びテストシステム(3)は制御システム(4)に接続され、捕集システム(2)は、冷却室(22)と加熱室(23)を内部に備え、冷却室(22)の温度範囲が室温~-200℃であり、加熱室(23)の温度範囲が室温~1000℃である。物質熱分解リアルタイムオンライン分析装置は、物質に対して複数の温度又は温度範囲で熱分解、捕集、分離及び解析をリアルタイムかつオンラインで行うことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質熱分解リアルタイムオンライン分析装置であって、
熱分解システム(1)と、捕集システム(2)と、テストシステム(3)と、制御システム(4)と、を含み、前記熱分解システム(1)、捕集システム(2)及びテストシステム(3)は、制御システム(4)に接続されており、前記捕集システム(2)は、冷却室(22)と加熱室(23)を内部に備え、冷却室(22)の温度範囲が室温~-200℃であり、加熱室(23)の温度範囲が室温~1000℃であることを特徴とする、物質熱分解リアルタイムオンライン分析装置。
【請求項2】
前記捕集システム(2)は、
水平移動槽(21)と、
前記水平移動槽(21)の一端に配置されており;ガス冷却装置(222)に接続されている冷却管(221)を内部に有し;ガス配管(5)を介して熱分解システム(1)に密封接続されている、冷却室(22)と、
前記水平移動槽(21)の他端に配置されており;加熱管(231)を内部に有し;ガス配管(6)を介してテストシステム(3)に密封接続されている、加熱室(23)と、
前記冷却室(22)と加熱室(23)との間の水平移動槽(21)に配置されており、前記水平移動槽(21)に沿って冷却室(22)又は加熱室(23)へ摺動可能であり;その半径方向に配置された複数の収集管(241)を有する、回転型収集装置(24)と、
前記回転型収集装置(24)に接続されているパージガス管(25)と、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の物質熱分解リアルタイムオンライン分析装置。
【請求項3】
前記ガス冷却装置(222)には、液体窒素が内部に収容されており、冷却温度範囲が室温~-200℃であり、前記加熱管(231)は温度範囲が室温~1000℃であり、昇温速度範囲が1℃/s~300℃/sであることを特徴とする、請求項2に記載の物質熱分解リアルタイムオンライン分析装置。
【請求項4】
前記熱分解システム(1)は、プログラム昇温が可能な熱分解装置(11)を含み、前記熱分解装置(11)には、ガスがキャリアガスとして導入され、キャリアガスとしてのガスは、空気、窒素ガス、酸素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスのうちの1種又は複数種であり、ガス流量は、0~2000mL/minであることを特徴とする、請求項1に記載の物質熱分解リアルタイムオンライン分析装置。
【請求項5】
前記テストシステム(3)は、分離装置(31)と検出装置(32)を含み、前記分離装置(31)は、一端がガス配管(5)を介して加熱室(23)に密封接続されており、他端が検出装置(32)に接続されていることを特徴とする、請求項2に記載の物質熱分解リアルタイムオンライン分析装置。
【請求項6】
前記分離装置(31)は、ガスクロマトグラフであり、前記検出装置(32)は、質量分析計であることを特徴とする、請求項5に記載の物質熱分解リアルタイムオンライン分析装置。
【請求項7】
前記パージガス管(25)内のパージガスは、窒素ガス、ヘリウムガス又はアルゴンガスのうちの1種であり、ガス流量は、0~2000mL/minであることを特徴とする、請求項2に記載の物質熱分解リアルタイムオンライン分析装置。
【請求項8】
前記収集管(241)は、少なくとも8個であることを特徴とする、請求項2に記載の物質熱分解リアルタイムオンライン分析装置。
【請求項9】
物質熱分解リアルタイムオンライン分析方法であって、
請求項1~8のいずれか1項に記載の装置を用い、
分析対象物質を熱分解装置(11)に入れて、制御システム(4)の制御下でプログラム昇温を行って、所定の温度又は温度区間に達すると、この所定の温度又は温度区間で物質を加熱して熱分解するステップiと、
回転型収集装置(10)を水平移動槽(21)に沿って冷却室(22)へ移動し、回転型収集装置(10)にある1つの収集管(241)を冷却室(22)内に完全に入れて、熱分解生成物が前記キャリアガスによって収集管(241)内に運ばれ、冷却管(221)によりキャリアガスを冷却して熱分解生成物を凝縮し収集管(241)内に吸着させ、この温度又は温度区間での熱分解生成物の収集が終了した後、該収集管(241)を回転型収集装置(10)によって180°回転させた後、水平移動槽(21)に沿って加熱室(23)へ移動するステップiiと、
熱分解生成物が収集された該収集管(241)を加熱室(23)内に完全に入れて、加熱管(231)で加熱室(23)を加熱し、収集管(241)内に凝縮吸着させた熱分解生成物を加熱して熱脱着させ、パージガス管(25)内の前記パージガスによって分離装置(31)に送り、分離装置(31)により分離し、分離物が検出装置(32)に入り、検出装置(32)により熱分解生成物についてオンライン分析を行うステップiiiと、
次に、他の温度又は温度帯で物質を熱分解するステップivとを含み、上記のステップiiとステップiiiを繰り返すと、複数の所定の温度又は温度区間での物質熱分解に対してリアルタイムオンライン分析を行うことが可能なことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は検出の技術分野に属し、具体的には、物質熱分解リアルタイムオンライン分析装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの無機物質や有機物質は、ある程度加熱されると分解反応が起こる。工業的意義を持つ有機物の熱分解過程は多く、具体的なプロセスによって異なる名称を持つことが多い。空気を遮断した状態で行われる熱分解反応は、石炭乾留、木材乾留などの乾留と呼ばれ、メタンの熱分解によるカーボンブラックの生成は熱分解と呼ばれ、アルキルベンゼン又はアルキルナフタレンの熱分解によるベンゼン又はナフタレンの生成は、多くの場合熱脱アルキル化と呼ばれ、アセトンからケテンを作ることはアセトン分解と呼ばれる。炭化水素類の熱分解過程は通常、熱分解(thermal cracking)と分解(pyrolysis)に区別される。熱分解過程で得られた生成物の状況をリアルタイムかつオンラインで把握することは、反応の進行を制御し、反応条件を最適化し、反応物質を変えることに対して重大な意義がある。例えば、タバコは成分が複雑なバイオマスであり、その熱分解生成物は紙巻きタバコの品質に極めて重要な影響を与えている。研究によると、煙の中の化学成分の約1/3は直接タバコに由来し、残りはタバコの燃焼中で、蒸留、分解、燃焼、重合など一連の複雑なプロセスを通じて発生したものであることが明らかになった。そのため、タバコバイオマス熱分解の適用モデルシステムを確立し、タバコの各成分の任意の温度における熱分解規則と移動の状況を深く研究する必要がある。
【0003】
従来技術では、主に熱重量分析法(TG/DTA)と瞬間分解法(Py-GC/MS)を用いてタバコの熱分解過程を研究する。瞬間分解法(Py-GC/MS)は主に1つの温度に対して物質の高速分解を行い、その後、分解生成物の分析を行うものであり、物質の温度変化に伴う熱分解の全過程の状況を考察することができない。タバコ中の難揮発性物質(例えば、糖類、アミノ酸、ポリフェノールなど)に関しては単一温度での分解物が得られ、これらの情報を用いて、特定の温度における化合物の熱分解挙動を発見することは困難である。しかも、熱分解によって得られた分解物の含有量は非常に低く、一般的にナノグラムスケールであり、残留物よりも低く、分解物はガスクロマトグラフィー質量分析にかけても、定性と定量の不正確さをもたらす。
【0004】
熱重量分析法(TG/DTA)は、プログラム昇温条件下で安定した反応条件を提供でき、タバコ熱分解研究において最も好適な実験ツールであるが、単一の熱重量分析法では、タバコ熱分解の具体的な物質と含有量を得ることができず、他の方法と併用して熱重量脱出成分を分析しなければならない。しかし、現在、熱重量脱出成分の分析には有効な併用装置がなく、タバコ熱分解研究における熱重量分析法の適用を厳しく制限している。現在の市販併用システムは、タバコ熱分解研究において肝心な役割を発揮しにくく、その原因は、熱重量分析-質量分析併用(TG-MS)はまだオーバーラップ質量スペクトルピークの解析を実現していないが、熱重量分析-赤外線併用(TG-FTIR)や熱重量分析-赤外線-質量分析(TG-FTIR-MS)併用は同じ官能基を持つ化合物を識別することができず、しかも、赤外線ピークは物質の熱分解過程に亘って存在する物質を収集し、ある温度又は温度帯でのリアルタイム物質収集を実現することができなかった。従来技術では、任意の温度又は温度帯で物質の熱分解を研究するには、その温度に対して実験条件を設定して単独の実験を行う必要があり、例えばある物質の熱分解の全過程に対して8つの温度又は温度帯に分けて生成物の含有量の分析を行うには、それぞれ8回の実験を行う必要があり、時間と労力がかかり、資源の浪費を招く。
【0005】
六方弁や八方弁を利用して切り替えることにより熱分解物質を的確に捕集し、後続分析を行うことが報告されている。しかし、物質が昇温して分解された放出ガスは一定の温度を持っており、常温でバルブの切り替えを採用すると熱分解放出物質がバルブ内に凝縮し、バルブの汚染を引き起こしやすく、捕集された物質も複数回の実験で凝縮した物質である可能性があるため、分析結果は信頼性がない。
【0006】
1回の実験を通じていくつかの温度ポイント又は温度帯に分けて物質熱分解の複雑な放出成分のオンライン分析を行うことは現在、物質熱分解研究において早急に解決すべき肝心な課題である。
【0007】
本発明は以上の課題を解決するために提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、捕集システムが冷却室(冷却チャンバー)と加熱室(加熱チャンバー)を有し、冷却室が所定の温度ポイント又は温度帯での熱分解生成物を凝縮吸着させて捕集し、加熱室が熱分解生成物を加熱して熱脱着させ、その後リアルタイムオンライン分離及び分析を行うことができる、物質熱分解リアルタイムオンライン分析装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の技術的解決手段は以下の通りである。
【0010】
本発明の第1態様は、
熱分解システム1と、捕集システム2と、テストシステム3と、制御システム4と、を含み、前記熱分解システム1、捕集システム2及びテストシステム3は制御システム4に接続され、制御システム4は装置全体の物質熱分解、熱分解生成物の捕集及びリアルタイム分離・分析を制御し、前記捕集システム2は冷却室22と加熱室23を内部に備え、冷却室22の温度範囲が室温~-200℃、加熱室23の温度範囲が室温~1000℃である物質熱分解リアルタイムオンライン分析装置を開示する。
【0011】
好ましくは、前記捕集システム2は、
水平移動槽21と、
前記水平移動槽21の一端に配置され、ガス冷却装置222に接続された冷却管221を内部に有し、ガス配管5を介して熱分解システム1に密封接続され、長さが1つの収集管241の長さ以上である冷却室22と、
加熱室23であって、前記水平移動槽21の他端に配置されており、前記加熱室23にガス配管5を介してテストシステム3に密封接続される加熱管231を内部に有し、加熱室23の長さが1つの収集管241の長さ以上である加熱室23と、
回転型収集装置24であって、それが前記冷却室22と加熱室23との間の水平移動槽21に配置され、前記水平移動槽21に沿って冷却室22又は加熱室23へ摺動可能であり、摺動距離が1つの収集管241の長さ以上であり、
回転型収集装置24の半径方向に配置された複数の収集管241を有し、
360°時計回り又は反時計回り回転が可能である回転型収集装置24と、
前記回転型収集装置24に接続されており、パージガスボンベ251が接続されるパージガス管25と、を含む。
【0012】
好ましくは、前記ガス冷却装置222には、液体窒素が内部に収容されており、冷却温度範囲が室温~-200℃であり、前記加熱管231は温度範囲が室温~1000℃であり、昇温速度範囲が1℃/s~300℃/sである。
【0013】
好ましくは、前記熱分解システム1は、プログラム昇温が可能な熱分解装置11を含み、前記熱分解装置11にガスがキャリアガスとして導入され、キャリアガスとしてのガスは空気、窒素ガス、酸素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスのうちの1種又は複数種であり、ガス流量は0~2000mL/minである。熱分解システム1は、熱重量損失、熱流束、エンタルピーなどの変化のプロセスをリアルタイムで収集し、好ましくは同時熱分析装置が使用される。熱分解システム1は物質の熱分解温度に応じて複数の温度点又は温度区間を設定することができ、その設定プログラムは制御システム4によって設定される。
【0014】
好ましくは、前記テストシステム3は、分離装置31と検出装置32を含み、前記分離装置31は、一端がガス配管5を介して加熱室23に密封接続され、他端が検出装置32に接続される。
【0015】
好ましくは、前記分離装置31は、ガスクロマトグラフを含むが、これに限定されず、前記検出装置32は質量分析計を含むが、これに限定されない。
【0016】
好ましくは、前記パージガス管25内のパージガスは、窒素ガス、ヘリウムガス又はアルゴンガスのうちの1種であり、ガス流量は0~2000mL/minである。
【0017】
好ましくは、前記収集管241は、少なくとも8個である。
【0018】
本発明の第2態様は、
前述装置を用い、
分析対象物質を熱分解装置11に入れて、制御システム4の制御下でプログラム昇温を行って、所定の温度又は温度区間にすると、この所定の温度又は温度区間で物質を加熱して熱分解するステップiと、
回転型収集装置10により水平移動槽21に沿って冷却室22へ移動し、回転型収集装置10にある1つの収集管241を冷却室22内に完全に入れて、熱分解生成物が前記キャリアガスによって収集管241内に運ばれ、冷却管221によりキャリアガスを冷却して熱分解生成物を凝縮し収集管241内に吸着させ、この温度又は温度区間での熱分解生成物の収集が終了した後、該収集管241を回転型収集装置10によって180°回転させた後、水平移動槽21に沿って加熱室23へ移動するステップiiと、
熱分解生成物が収集された該収集管241を加熱室23内に完全に入れて、加熱管231で加熱室23を加熱し、収集管241内に凝縮吸着させた熱分解生成物を加熱して熱脱着させ、パージガス管25内の前記パージガスによって分離装置31に送り、分離装置31により分離し、分離物が検出装置32に入り、検出装置32により熱分解生成物についてオンライン分析を行うステップiiiと、
次に、他の温度又は温度帯で物質を熱分解するステップivとを含み、上記のステップiiとステップiiiを繰り返すと、複数の所定の温度又は温度区間での物質熱分解に対してリアルタイムオンライン分析を行うことが可能な、物質熱分解リアルタイムオンライン分析方法を開示する。
【発明の効果】
【0019】
本発明は以下の有利な効果を奏する。
1、本発明の装置は、物質に対して1回の熱分解により複数の温度又は温度帯でのリアルタイムオンライン捕集、分離及び分析を行うことができる。本発明の装置は、熱分解生成物の含有量の温度変化に伴う変化など、物質の一次熱分解生成物のリアルタイムな変化を検出して分析することができる。
2、本発明の装置は、物質熱分解過程における熱分解生成物を冷却方式で迅速に捕集し熱脱着することで分離及び分析を行い、完全密閉一体型実験、プログラム昇温熱分解、コールドトラップ捕集、オンライン熱脱着、自動試料注入、分離及び分析の全過程を実現し、物質の遅い昇温速度での熱分解を研究することができ、物質の熱分解生成物の成分の定性及び相対定量分析を行い、熱分解成分のリアルタイムな変化の法則を把握することができる。
3、本発明は、回転可能な複数の収集管を用いて、複数の温度又は温度帯での物質熱分解の生成物についてコールドトラップ捕集を行い、その後、高温で熱脱着して分離システム及び検出システムに送る。コールドトラップ捕集の使用により、捕集段階の高温で熱分解生成物の二次反応が起こることを効果的に回避する。高温熱脱着によって、分析段階において熱分解生成物が輸送管や切り替え弁に凝縮することを回避し、物質の捕集及び分析の可靠性を大幅に向上させ、分析方法の正確性を大幅に向上させる。
4、本発明の装置は、物質の熱分解法則を監視するとともに、熱分解装置のプログラム昇温に対する動力学研究と組み合わせて、物質の熱的化学反応を調査して解析し、熱的化学反応モデルを確立し、反応プロセスの制御、反応条件の最適化、反応物質の変化などの面において熱分解化学反応に介入し、熱分解反応が制御可能な状態で有益な方向に進行することを実現する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の物質熱分解リアルタイムオンライン分析装置の模式図であり、熱分解システムの矢印方向はキャリアガスの進行方向である。
【
図2】実施例1における特定ブランドの紙巻きタバコ用煙草材料Aの熱重量、熱流束及び微分熱重量図である。
【
図3】実施例1における特定ブランドの紙巻きタバコ用煙草材料Aが31℃~90℃に加熱された場合の熱分解物質の全イオン電流クロマトグラムである。
【
図4】実施例1における特定ブランドの紙巻きタバコ用煙草材料Aが30℃から900℃に昇温した場合の主な熱分解物質の含有量の温度に伴う変化の図である。
【
図5】実施例2における特定ブランドの紙巻きタバコ用煙草材料Bの熱重量、熱流束及び微分熱重量図である。
【
図6】実施例2における特定ブランドの紙巻きタバコ用煙草材料Bが71℃から120℃に昇温した場合の主な熱分解物質の全イオン電流クロマトグラムである。
【
図7】実施例2における特定ブランドの紙巻きタバコ用煙草材料Bが30℃から600℃に昇温した場合の主な熱分解物質含有量の温度に伴う変化の図である。
【
図8】比較例2における特定ブランドの紙巻きタバコ用煙草材料Bが30℃から600℃に昇温した場合の主な熱分解物質の全イオン電流クロマトグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施例によって本発明についてさらに説明するが、このような実施例に限定されるものではない。実施例では、具体的な条件が明示されていない実施方法に関しては、通常、一般的な条件及びマニュアルに記載の条件、若しくはメーカーが推薦する条件に使用される汎用設備、材料、試薬などが使用され、特に断らない限り、これらは全て市販品として入手することができる。以下の実施例及び比較例で必要とされる原料は全て市販品である。
【0022】
図1に示す本発明の物質熱分解リアルタイムオンライン分析装置は、熱分解システム1と、捕集システム2と、テストシステム3と、制御システム4と、を含み、前記熱分解システム1、捕集システム2及びテストシステム3は、制御システム4に接続され、制御システム4は、装置全体の物質熱分解、熱分解生成物の捕集及びリアルタイム分離・分析を制御し、前記捕集システム2は、冷却室22と加熱室23を内部に備え、冷却室22の温度範囲が室温~-200℃であり、加熱室23の温度範囲が室温~1000℃である。
【0023】
なお、前記捕集システム2は、
水平移動槽21と、
前記水平移動槽21の一端に配置され、ガス冷却装置222に接続された冷却管221を内部に有し、ガス配管5を介して熱分解システム1に密封接続され、長さが1つの収集管241の長さ以上である冷却室22と、
前記水平移動槽21の他端に配置され、ガス配管5を介してテストシステム3に密封接続される加熱管231を内部に有し、加熱室23の長さが1つの収集管241の長さ以上である加熱室23と、
前記冷却室22と加熱室23との間の水平移動槽21に配置され、前記水平移動槽21に沿って冷却室22又は加熱室23へ摺動可能であり、摺動距離が1つの収集管241の長さ以上であり、
その半径方向に配置された複数、好ましく少なくとも8個の収集管241を有し、
360°時計回り又は反時計回り回転が可能である回転型収集装置24と、
前記回転型収集装置24に接続され、パージガスボンベ251が接続されるパージガス管25と、を含む。
【0024】
なお、前記ガス冷却装置222には、液体窒素が内部に収容されており、冷却温度範囲が室温~-200℃であり、前記加熱管231は、温度範囲が室温~1000℃であり、昇温速度範囲が1℃/s~300℃/sである。
【0025】
なお、前記熱分解システム1は、プログラム昇温が可能な熱分解装置11を含み、前記熱分解装置11には、ガスがキャリアガスとして導入され、キャリアガスとしてのガスは、空気、窒素ガス、酸素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスのうちの1種又は複数種であり、ガス流量は0~2000mL/minである。熱分解システム1は、熱重量損失、熱流束、エンタルピーなどの変化のプロセスをリアルタイムで収集し、好ましくは同時熱分析装置が使用される。熱分解システム1は、物質の熱分解温度に応じて複数の温度又は温度区間を設定することができ、その設定プログラムは、制御システム4によって設定される。
【0026】
なお、前記テストシステム3は、分離装置31と検出装置32を含み、前記分離装置31は、一端がガス配管5を介して加熱室23に密封接続され、他端が検出装置32に接続され、好ましくは、前記分離装置31は、ガスクロマトグラフを含むが、これに限定されず、前記検出装置32は質量分析計を含むが、これに限定されない。
【0027】
なお、前記パージガス管25内のパージガスは、窒素ガス、ヘリウムガス又はアルゴンガスのうちの1種であり、ガス流量は0~2000mL/minである。
【0028】
本発明の装置を用いた行物質熱分解リアルタイムオンライン分析方法は、
分析対象物質を熱分解装置11に入れて、制御システム4の制御下でプログラム昇温を行って、所定の温度又は温度区間にすると、この所定の温度又は温度区間で物質を加熱して熱分解するステップiと、
回転型収集装置10は水平移動槽21に沿って冷却室22へ移動し、それが有する1つの収集管241を冷却室22内に完全に入れて、熱分解生成物が前記キャリアガスによって収集管241内に運ばれ、冷却管221は、キャリアガスを冷却して熱分解生成物を凝縮し収集管241内に吸着させ、この温度又は温度区間での熱分解生成物の収集が終了した後、該収集管241を回転型収集装置10によって180°回転させた後、水平移動槽21に沿って加熱室23へ移動するステップiiと、
熱分解生成物が収集された該収集管241を加熱室23内に完全に入れて、加熱管231で加熱室23を加熱し、収集管241内に凝縮吸着させた熱分解生成物を加熱して熱脱着し、パージガス管25内の前記パージガスによって分離装置31に送り、分離装置31により分離し、分離物が検出装置32に入り、検出装置32により熱分解生成物に対してオンライン分析を行うステップiiiと、
次に、他の温度又は温度帯で物質を熱分解するステップivとを含み、上記のステップiiとステップiiiを繰り返すと、複数の所定の温度又は温度区間での物質熱分解に対してリアルタイムオンライン分析を行うことが可能である。
【0029】
実施例1:本発明の装置を用いた特定ブランドの紙巻きタバコ用煙草材料Aに対する熱分解リアルタイムオンライン分析
物質熱分解分析に先立って、熱分解装置11を800℃で10min保持して、熱分解装置11内の不純物をすべて排出し、特定ブランドの紙巻きタバコ用煙草材料A5.00mgを熱分解装置11内に量り、昇温プログラムは、初期温度30℃から10℃/minで900℃に昇温して10min保温するものであり、キャリアガスは空気、キャリアガス流量は50mL/minとした。特定ブランドの紙巻きタバコ用煙草材料Aの熱重量、熱流束及び熱重量微分曲線を
図2に示す。
【0030】
図2に示す該煙草材料の主な明らかな熱重量損失ステージを考慮して、表1に示すように、16個の温度帯の収集プログラムを設定し、収集管を16本とし、昇温プログラムに亘って温度帯に応じて16群の熱分解生成物を収集し、液体窒素を用いて収集管内の熱分解物質を冷却温度-80℃で迅速に冷却した。
【0031】
【0032】
16個の熱分解生成物の収集が完了した後、回転型収集装置の360°回転及び水平移動によって、収集管を加熱室に送って熱脱着に供し、窒素ガスをパージガスとして、ガス流量及び熱重量流量の両方を50mL/minに保持し、熱脱着昇温プログラムを起動し、すなわち、室温から20℃/sで900℃に昇温した。
【0033】
分離装置31はクロマトグラフとし、このクロマトグラフでは、クロマトグラフィーカラム:DB-5MS;キャピラリーカラム(30m×0.25mm、0.25μm);試料注入口温度250℃;キャリアガス:ヘリウムガス;流速:0.8mL/min;試料注入量:1μL;スプリット比:5:1;プログラム昇温条件:初期温度を50℃として10min保温し、10℃/minで280℃に昇温し、10min保温することにした。
【0034】
検出装置32は質量分析計とし、この質量分析計では、イオン源:EI源、イオン源温度:230℃;溶媒遅延時間:7.5min、質量分析走査範囲30~450amu;電子エネルギー:70eV;検出方式:全走査とした。
【0035】
特定ブランドの紙巻きタバコ用煙草材料Aを31℃~90℃に加熱した場合の熱分解物質の全イオン電流クロマトグラムを
図3、30℃から900℃に昇温した場合の主要な熱分解生成物の含有量の温度に伴う変化を
図4に示す。
【0036】
以上から、本発明の装置によれば、熱分解生成物の含有量の温度変化に伴う変化など、ある温度帯での熱分解生成物のリアルタイムな変化を検出して分析できることが分かった。上記効果は従来技術では達成できなかったことであり、独自の優位性を持つ。
【0037】
実施例2:本発明の装置を用いた特定ブランドの紙巻きタバコ用煙草材料Bに対する熱分解リアルタイムオンライン分析
物質熱分解分析に先立って、熱分解装置11を800℃で10min保持して、熱分解装置11内の不純物をすべて排出し、特定ブランドの紙巻きタバコ用煙草材料B5.00mgを熱分解装置11内に量り、昇温プログラムは、初期温度30℃から5℃/minで600℃に昇温して、10min保温するものであり、キャリアガスは空気、キャリアガス流量は40mL/minとした。特定ブランドの紙巻きタバコ用煙草材料Bの熱重量、熱流束及び熱重量微分曲線を
図5に示す。
【0038】
図5に示すように、該紙巻きタバコ用煙草材料Bには4つの熱重量損失ステージが認められ、ステージごとに重量損失比が異なり、30.3~106.3℃では重量損失は3.6%、106.6~219.3℃では重量損失は17.9%、219.3~392℃では重量損失は44.2%、392.2~500℃では重量損失26%である。表2に示すように8つの温度帯の収集プログラムを設定し、収集管を8つ設置し、昇温プログラムに亘って温度帯に応じて8群の熱分解生成物を収集した。液体窒素を用いて収集管内の熱分解物質を冷却温度-40℃で迅速に冷却した。
【0039】
【0040】
8つの熱分解生成物の収集が完了した後、回転型収集装置の360°回転及び水平移動によって、収集管を加熱室に送って熱脱着に供し、窒素ガスをパージガスとして、ガス流量及び熱重量流量の両方を40mL/minに保持し、熱脱着昇温プログラムを起動し、すなわち、室温から10℃/sで900℃に昇温した。
【0041】
分離装置31はクロマトグラフとし、その条件は、クロマトグラフィーカラム:DB-5MS;キャピラリーカラム(30m×0.25mm、0.25μm);試料注入口温度:250℃;キャリアガス:ヘリウムガス;流速:0.8mL/min;試料注入量:1μL;スプリット比:5:1とし、プログラム昇温条件は、初期温度を50℃として10min保温し、2℃/minで230℃に昇温した後、10℃/minで250℃に昇温して10min保温することである。
【0042】
検出装置32は質量分析計とし、この質量分析計では、イオン源:EI源、イオン源温度:230℃;4本の電極ロッドの温度:150℃;溶媒遅延なし、質量分析走査範囲30~450amu;電子エネルギー:70 eV;検出方式:全走査であった。
【0043】
該ブランドの紙巻きタバコ用煙草材料Bに本発明のコールドトラップ捕集、熱脱着及び熱パージを施したところ、熱分解全体にわたって、アルデヒド・ケトン、エステル類、有機酸、ピラジン、フラノン類、フェノール類などの合計83種類の熱分解生成物が検出された。その中でも、71℃~120℃での熱分解物質の全イオン電流クロマトグラムを
図6に示し、83種類の熱分解生成物の中から、含有量の高い9種類の代表的な物質を選択して、30℃から600℃に昇温したときの含有量の変化を
図7に示す。
【0044】
以上から、本発明のリアルタイムオンライン分析装置を用いて、熱重量の4つの主要な重量損失段階に応じて熱分解生成物の捕集及び分析を行ったところ、該煙草材料Bの熱分解生成物も主に以下の4つの領域に分けられた。領域1:リモネンが主に121~210℃で熱分解により生成される。領域2:ニコチン、ニコチリンは主に211~230℃で熱分解により生成される。領域3:5-メチルフルフラール、ベンジルアルコール、イソメントンが主に231~320℃で熱分解により生成される。領域4:安息香酸、イソオイゲノール、フィトールが主に401~500℃で熱分解により生成され、すなわち、最も広い重量損失段階における主な熱分解生成物は安息香酸、イソオイゲノール、フィトールである。
【0045】
本発明の装置によれば、プロセスから結果まで、該煙草材料Bの4つの主な重量損失段階における主要な熱分解生成物がそれぞれどのような物質であるか、これらの物質の温度に伴う変化を明らかにした。これは従来技術では達成できなかったことである。
【0046】
比較例:特定ブランドの紙巻きタバコ用煙草材料Bの従来技術による熱重量分析-ガスクロマトグラフィー-質量分析
物質熱分解分析に先立って、熱分解装置11を800℃で10min保持して、熱分解装置11内の不純物をすべて排出し、特定ブランドの紙巻きタバコ用煙草材料B5.00mgを熱分解装置11内に量り、昇温プログラムは、初期温度30℃から5℃/minで600℃に昇温して10min保温するものであり、キャリアガスは空気、キャリアガス流量は40mL/minとした。特定ブランドの紙巻きタバコ用煙草材料Bの熱重量、熱流束及び熱重量微分曲線を
図5に示す。
【0047】
熱重量熱分解生成物についてガスクロマトグラフィー-質量分析により分離解析を直接行い、全イオン電流クロマトグラムを
図8に示す。条件:クロマトグラフ及び質量分析計であり、実施例2と同様;熱分解物質を表3に示す。
【0048】
【0049】
図5の該煙草材料Bの熱重量、熱流束及び熱重量微分曲線から明らかなように、該紙巻きタバコ用煙草材料Bには4つの熱重量損失ステージが認められ、ステージごとに重量損失比が異なり、30.3~106.3℃では重量損失は3.6%、106.6~219.3℃では重量損失は17.9%、219.3~392℃では重量損失は44.2%、392.2~500℃では重量損失は26%であった。煙草材料では明らかな重量損失段階がなく、第1段階の重量損失率が少ない以外、以降の3つの段階は全て20~45%に維持された。このことから、第1温度帯では水分が揮発した以外、残りの3つの温度帯のいずれにおいても、大量の揮発性物質が生成されたことが示唆された。
【0050】
従来技術である熱重量分析-ガスクロマトグラフィー-質量分析によって煙草物質の熱分解生成物を解析する際には、熱分解全体における全ての熱分解物質をGC/MS分析に供したところ、熱分解全体に亘った全イオン電流クロマトグラムは
図8、熱分解物質は表3に示される。従来技術である熱重量分析-ガスクロマトグラフィー-質量分析によれば、多くの熱分解生成物は含有量が低く、しかも熱分解中にキャリアガスにより分離検出システムに運ばれ、分熱分解生成物の一部がシステムの各継ぎ目や管路に凝縮し、残りの分熱分解生成物が検出システムに送られるときに検出限界以下となるまで流失されてしまい、設備により認識できなくなった。このため、23種類の物質しか検出できず、これは本発明で検出可能な熱分解生成物よりも大幅に少なかった。
【0051】
また、比較例では、4つの重量損失段階、すなわち4つの温度帯での熱分解生成物を個別に捕集して解析しないので、該物質の4つの主要な重量損失段階における主要な熱分解生成物がそれぞれどのようなものであるか、これらの生成物の温度に伴う変化が把握できない。
【0052】
以上から、比較例における従来技術は、全ての熱分解物質について捕集及び解析を行うものに過ぎず、任意の温度や温度帯での熱分解物質の捕集及び解析ができず、また、熱分解生成物の含有量の変化及び温度に伴う変化の監視もできない。一方、本発明の装置によれば、熱分解生成物の含有量の温度変化に伴う変化など、ある温度又は温度帯での熱分解生成物のリアルタイムな変化を検出して解析できることが分かった。上記効果は従来技術では達成できなかったことであり、独自の優位性を持つ。このため、本発明は技術的には明らかな優位性を持つ。
【0053】
以上は本発明の基本的な原理、主な特徴及び本発明の利点を例示的に説明した。当業者にとって明らかなように、本発明は上記実施例により制限されるものではなく、上記実施例及び明細書の記載は本発明の原理を説明するものに過ぎず、本発明の趣旨や範囲を逸脱しない限り、本発明では、様々な変化や改良が可能であり、これらの変化や改良は全て本発明の特許範囲内に含まれる。本発明の特許範囲は添付の特許請求の範囲及びその等価物により定められる。
【符号の説明】
【0054】
1 熱分解システム
11 熱分解装置
2 捕集システム
21 水平移動槽
22 冷却室
221 冷却管
222 ガス冷却装置
23 加熱室
231 加熱管
24 回転型収集装置
241 収集管
25 パージガス管
251 パージガスボンベ
3 テストシステム
31 分離装置
32 検出装置
4 制御システム
5 ガス配管
【手続補正書】
【提出日】2023-01-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質熱分解リアルタイムオンライン分析装置であって、
熱分解システム(1)と、捕集システム(2)と、テストシステム(3)と、制御システム(4)と、を含み、前記熱分解システム(1)、捕集システム(2)及びテストシステム(3)は、制御システム(4)に接続されており、前記捕集システム(2)は、冷却室(22)と加熱室(23)を内部に備え、冷却室(22)の温度範囲が室温~-200℃であり、加熱室(23)の温度範囲が室温~1000℃であ
り、
前記捕集システム(2)は、
水平移動槽(21)と、
前記水平移動槽(21)の一端に配置されており;ガス冷却装置(222)に接続されている冷却管(221)を内部に有し;ガス配管(5)を介して熱分解システム(1)に密封接続されている、冷却室(22)と、
前記水平移動槽(21)の他端に配置されており;加熱管(231)を内部に有し;ガス配管(6)を介してテストシステム(3)に密封接続されている、加熱室(23)と、
前記冷却室(22)と加熱室(23)との間の水平移動槽(21)に配置されており、前記水平移動槽(21)に沿って冷却室(22)又は加熱室(23)へ摺動可能であり;その半径方向に配置された複数の収集管(241)を有する、回転型収集装置(24)と、
前記回転型収集装置(24)に接続されているパージガス管(25)と、を含むことを特徴とする、物質熱分解リアルタイムオンライン分析装置。
【請求項2】
前記ガス冷却装置(222)には、液体窒素が内部に収容されており、冷却温度範囲が室温~-200℃であり、前記加熱管(231)は温度範囲が室温~1000℃であり、昇温速度範囲が1℃/s~300℃/sであることを特徴とする、請求項
1に記載の物質熱分解リアルタイムオンライン分析装置。
【請求項3】
前記熱分解システム(1)は、プログラム昇温が可能な熱分解装置(11)を含み、前記熱分解装置(11)には、ガスがキャリアガスとして導入され、キャリアガスとしてのガスは、空気、窒素ガス、酸素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスのうちの1種又は複数種であり、ガス流量は、0~2000mL/minであることを特徴とする、請求項1に記載の物質熱分解リアルタイムオンライン分析装置。
【請求項4】
前記テストシステム(3)は、分離装置(31)と検出装置(32)を含み、前記分離装置(31)は、一端がガス配管(5)を介して加熱室(23)に密封接続されており、他端が検出装置(32)に接続されていることを特徴とする、請求項
1に記載の物質熱分解リアルタイムオンライン分析装置。
【請求項5】
前記分離装置(31)は、ガスクロマトグラフであり、前記検出装置(32)は、質量分析計であることを特徴とする、請求項
4に記載の物質熱分解リアルタイムオンライン分析装置。
【請求項6】
前記パージガス管(25)内のパージガスは、窒素ガス、ヘリウムガス又はアルゴンガスのうちの1種であり、ガス流量は、0~2000mL/minであることを特徴とする、請求項
1に記載の物質熱分解リアルタイムオンライン分析装置。
【請求項7】
前記収集管(241)は、少なくとも8個であることを特徴とする、請求項
1に記載の物質熱分解リアルタイムオンライン分析装置。
【請求項8】
物質熱分解リアルタイムオンライン分析方法であって、
請求項1~
7のいずれか1項に記載の装置を用い、
分析対象物質を熱分解装置(11)に入れて、制御システム(4)の制御下でプログラム昇温を行って、所定の温度又は温度区間に達すると、この所定の温度又は温度区間で物質を加熱して熱分解するステップiと、
回転型収集装置(10)を水平移動槽(21)に沿って冷却室(22)へ移動し、回転型収集装置(10)にある1つの収集管(241)を冷却室(22)内に完全に入れて、熱分解生成物
がキャリアガスによって収集管(241)内に運ばれ、冷却管(221)によりキャリアガスを冷却して熱分解生成物を凝縮し収集管(241)内に吸着させ、この温度又は温度区間での熱分解生成物の収集が終了した後、該収集管(241)を回転型収集装置(10)によって180°回転させた後、水平移動槽(21)に沿って加熱室(23)へ移動するステップiiと、
熱分解生成物が収集された該収集管(241)を加熱室(23)内に完全に入れて、加熱管(231)で加熱室(23)を加熱し、収集管(241)内に凝縮吸着させた熱分解生成物を加熱して熱脱着させ、パージガス管(25)内
のパージガスによって分離装置(31)に送り、分離装置(31)により分離し、分離物が検出装置(32)に入り、検出装置(32)により熱分解生成物についてオンライン分析を行うステップiiiと、
次に、他の温度又は温度帯で物質を熱分解するステップivとを含み、上記のステップiiとステップiiiを繰り返すと、複数の所定の温度又は温度区間での物質熱分解に対してリアルタイムオンライン分析を行うことが可能なことを特徴とする、方法。
【国際調査報告】