(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】マルチモードの機械液圧複合伝動装置
(51)【国際特許分類】
F16H 47/04 20060101AFI20240221BHJP
F16H 47/02 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
F16H47/04 A
F16H47/02 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515614
(86)(22)【出願日】2022-02-24
(85)【翻訳文提出日】2023-03-08
(86)【国際出願番号】 CN2022077552
(87)【国際公開番号】W WO2023159408
(87)【国際公開日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】202210163801.4
(32)【優先日】2022-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517405840
【氏名又は名称】江▲蘇▼大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】朱 鎮
(72)【発明者】
【氏名】盛 杰
(72)【発明者】
【氏名】蔡 英鳳
(72)【発明者】
【氏名】陳 龍
(72)【発明者】
【氏名】孫 暁東
(72)【発明者】
【氏名】田 翔
(72)【発明者】
【氏名】夏 長高
(72)【発明者】
【氏名】張 奕涵
(72)【発明者】
【氏名】▲后▼ 睿
(57)【要約】
【課題】本発明は、マルチモードの機械液圧複合伝動装置を提供する。
【解決手段】上記のマルチモードの機械液圧複合伝動装置は、入力部材、液圧式伝動機構、機械式伝動機構、合流機構、出力部材、クラッチ部品、及びブレーキ部品が含まれ、上記のクラッチ部品は、上記の入力機構の出力端を液圧式伝動機構の入力端、機械式伝動機構、及び合流機構にそれぞれ接続し、上記のクラッチ部品は、液圧式伝動機構の出力端を合流機構に接続し、上記のクラッチ部品は、上記の機械式伝動機構を合流機構に接続し、上記の合流機構は、出力部材に接続され、液圧式伝動機構の排気量比を調整すること、上記のクラッチ部品とブレーキ部品との接合を選択的に制御することにより、入力部材と出力部材との間で連続可変なギア比を提供する。本発明は、機械式伝動、液圧式伝動、及び機械液圧複合伝動などのモードの切り替えを実現することができ、システムの故障許容機能を高める前提で調整の自由度を向上させ、前進と後退の方向での速度調整範囲を拡大する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力部材、液圧式伝動機構(6)、機械式伝動機構(2)、合流機構(4)、出力部材、クラッチ部品、及びブレーキ部品が含まれ、前記のクラッチ部品は、前記の入力機構の出力端を液圧式伝動機構(6)の入力端、機械式伝動機構(2)、及び合流機構(4)にそれぞれ接続し、前記のクラッチ部品は、液圧式伝動機構(6)の出力端を合流機構(4)に接続し、前記のクラッチ部品は、前記の機械式伝動機構(2)を合流機構(4)に接続し、前記の合流機構(4)は、出力部材に接続され、液圧式伝動機構(6)の排気量比を調整すること、前記のクラッチ部品とブレーキ部品との接合を選択的に制御することにより、入力部材と出力部材との間で連続可変なギア比を提供し、
前記の機械式伝動機構(2)は、機械式伝動出力軸(2-15)、左遊星歯車系、及び右遊星歯車系が含まれ、
前記の左遊星歯車系は、左太陽歯車(2-5)、左遊星キャリア(2-6)、及び左リングギア(2-8)が含まれ、前記の右遊星歯車系は、右遊星キャリア(2-9)、右太陽歯車(2-10)、及び右リングギア(2-12)が含まれ、前記の左太陽歯車(2-5)は、右太陽歯車(2-10)に接続され、前記の右リングギア(2-12)は、左遊星キャリア(2-6)に接続され、
前記のクラッチ部品は、第5のクラッチC
5(2-13)と第6のクラッチC
6(2-14)とが含まれ、前記の第5のクラッチC
5(2-13)は、右リングギア(2-12)を機械式伝動出力軸(2-15)に接続するために使用され、前記の第6のクラッチC
6(2-14)は、右太陽歯車(2-10)を機械式伝動出力軸(2-15)に接続するために使用され、前記のブレーキ部品は、第2のブレーキB
2(2-7)と第3のブレーキB
3(2-11)とが含まれ、前記の第2のブレーキB
2(2-7)は、左リングギア(2-8)を固定部に接続するために使用され、前記の第3のブレーキB
3(2-11)は、右リングギア(2-12)を固定部に接続するために使用され、
前記の合流機構(4)は、合流機構の左遊星歯車系と合流機構の右歯車系とが含まれ、前記の合流機構の左遊星歯車系は、合流機構の左遊星キャリア(4-1)、合流機構の左太陽歯車(4-2)、及び合流機構の左リングギア(4-3)が含まれ、前記の合流機構の右歯車系は、合流機構の右太陽歯車(4-4)、合流機構の右遊星キャリア(4-5)、及び合流機構の右リングギア(4-7)が含まれ、前記の合流機構の左太陽歯車(4-2)は、合流機構の右太陽歯車(4-4)に接続され、前記の合流機構の左太陽歯車(4-2)は、液圧式伝動機構(6)の出力端に接続され、前記の合流機構の左リングギア(4-3)は、合流機構の右遊星キャリア(4-5)に接続され、前記の入力部材は、左歯車対(2-1)と右歯車対(2-3)とをそれぞれ通して合流機構の左遊星キャリア(4-1)に接続され、前記の合流機構の右リングギア(4-7)は、機械式伝動出力歯車対(2-16)を通して機械式伝動出力軸(2-15)に接続され、前記の合流機構の右遊星キャリア(4-5)は、出力部材に接続され、
前記のクラッチ部品は、さらに第3のクラッチC
3(2-2)、第4のクラッチC
4(2-4)、及び第7のクラッチC
7(4-8)が含まれ、前記の第3のクラッチC
3(2-2)は、左歯車対(2-1)に介して入力部材を合流機構(4)の入力端に接続するために使用され、前記の第4のクラッチC
4(2-4)は、右歯車対(2-3)に介して入力部材を合流機構(4)の入力端に接続するために使用され、前記の第7のクラッチC
7(4-8)は、合流機構の右太陽歯車(4-4)を合流機構の右遊星キャリア(4-5)に接続するために使用され、前記のブレーキ部品は、さらに第1のブレーキB
1(6-10)と第4のブレーキB
4(4-6)とが含まれ、第1のブレーキB
1(6-10)は、合流機構の左太陽歯車(4-2)を固定部に接続するために使用され、前記の第4のブレーキB
4(4-6)は、合流機構の右リングギア(4-7)を固定部に接続するために使用される
ことを特徴とする、マルチモードの機械液圧複合伝動装置。
【請求項2】
液圧式伝動機構(6)の排気量比を調整すること、前記のクラッチ部品とブレーキ部品との接合を選択的に制御することにより提供される入力部材と出力部材との間で前進又は後退する伝動方式は、液圧式伝動、機械式伝動、及び機械液圧複合伝動が含まれることを特徴とする、請求項1に記載のマルチモードの機械液圧複合伝動装置。
【請求項3】
第3のクラッチC
3(2-2)、第4のクラッチC
4(2-4)、第5のクラッチC
5(2-13)、第6のクラッチC
6(2-14)、第1のブレーキB
1(6-10)、第2のブレーキB
2(2-7)、及び第3のブレーキB
3(2-11)が接合し、入力部材と出力部材との間で前進又は後退する複数ギア比の機械式伝動を提供することを特徴とする、請求項2に記載のマルチモードの機械液圧複合伝動装置。
【請求項4】
第5のクラッチC
5(2-13)、第6のクラッチC
6(2-14)、及び第1のブレーキB
1(6-10)が接合し、入力部材と出力部材との間で前進する機械式伝動F(M1)を提供し、機械式伝動F(M1)において入力部材と出力部材の回転数は、
【数37】
を満たし、式中、n
0は出力部材の回転数であり、n
Iは入力部材の回転数であり、k
4は合流機構の右歯車系の特性パラメーターであり、i
6i
7は機械式伝動出力軸(2-15)と合流機構の右リングギア(4-7)との間のギア比であり、
第6のクラッチC
6(2-14)、第1のブレーキB
1(6-10)、及び第3のブレーキB
3(2-11)が接合し、入力部材と出力部材との間で前進する機械式伝動F(M2)を提供し、機械式伝動F(M2)において入力部材と出力部材の回転数は、
【数38】
を満たし、式中、k
1は左遊星歯車系の特性パラメーターであり、k
2は右遊星歯車系の特性パラメーターであり、
第3のクラッチC
3(2-2)及び第7のクラッチC
7(4-8)が接合し、入力部材と出力部材との間で前進する機械式伝動F(M3)を提供し、機械式伝動F(M3)において入力部材と出力部材の回転数は、
【数39】
を満たし、式中、i
3i
4は左歯車対(2-1)のギア比であり、
第6のクラッチC
6(2-14)、第1のブレーキB
1(6-10)、及び第2のブレーキB
2(2-7)が接合し、入力部材と出力部材との間で前進する機械式伝動F(M4)を提供し、機械式伝動F(M4)において入力部材と出力部材の回転数は、
【数40】
を満たし、
第5のクラッチC
5(2-13)、第1のブレーキB
1(6-10)、及び第2のブレーキB
2(2-7)が接合し、入力部材と出力部材との間で後退する機械式伝動R(M1)を提供し、機械式伝動R(M1)において入力部材と出力部材の回転数は、
【数41】
を満たし、
第4のクラッチC
4(2-4)及び第1のブレーキB
1(6-10)が接合し、入力部材と出力部材との間で後退する機械式伝動R(M2)を提供し、機械式伝動R(M2)において入力部材と出力部材の回転数は、
【数42】
を満たし、式中、k
3は合流機構左歯車系の特性パラメーターであり、i
5は右歯車対(2-3)のギア比である
ことを特徴とする、請求項3に記載のマルチモードの機械液圧複合伝動装置。
【請求項5】
前記のクラッチ部品は、さらに第1のクラッチC
1(6-3)と第2のクラッチC
2(6-6)とが含まれ、前記の第1のクラッチC
1(6-3)は、入力部材を液圧式伝動機構(6)の入力端に接続するために使用され、前記の第2のクラッチC
2(6-6)は、液圧式伝動機構(6)の出力端を合流機構の左太陽歯車(4-2)に接続するために使用され、液圧式伝動機構(6)の排気量比を調整すること、第1のクラッチC
1(6-3)、第2のクラッチC
2(6-6)、第7のクラッチC
7(4-8)、及び第4のブレーキB
4(4-6)が接合することにより、入力部材と出力部材との間で前進又は後退する複数ギア比の液圧式伝動を提供することを特徴とする、請求項2に記載のマルチモードの機械液圧複合伝動装置。
【請求項6】
液圧式伝動機構(6)の排気量比を調整すること、第1のクラッチC
1(6-3)、第2のクラッチC
2(6-6)、及び第4のブレーキB
4(4-6)が接合することにより、入力部材と出力部材との間で前進又は後退する液圧式伝動F(H1)/R(H1)を提供し、液圧式伝動F(H1)/R(H1)において入力部材と出力部材の回転数は、
【数43】
を満たし、式中、k
4は合流機構の右歯車系の特性パラメーターであり、eは液圧式伝動機構(6)の排気量比であり、i
1は液圧式伝動機構(6)の入力端と入力部材との間のギア比であり、i
1は液圧式伝動機構(6)の出力端と合流機構の左太陽歯車(4-2)との間のギア比であり、e>0である場合、F(H1)であり、e<0である場合、R(H1)であり、
第1のクラッチC
1(6-3)、及び第2のクラッチC
2(6-6)、及び第7のクラッチC
7(4-8)が接合し、入力部材と出力部材との間で前進又は後退する液圧式伝動F(H2)/R(H2)を提供し、液圧式伝動F(H2)/R(H2)において入力部材と出力部材の回転数は、
【数44】
を満たし、式中、e>0である場合、F(H2)であり、e<0である場合、R(H2)である
ことを特徴とする、請求項5に記載のマルチモードの機械液圧複合伝動装置。
【請求項7】
液圧式伝動機構(6)の排気量比を調整すること、第1のクラッチC
1(6-3)、第2のクラッチC
2(6-6)、第3のクラッチC
3(2-2)、第4のクラッチC
4(2-4)、第5のクラッチC
5(2-13)、第6のクラッチC
6(2-14)、第2のブレーキB
2(2-7)、及び第3のブレーキB
3(2-11)が接合することにより、入力部材と出力部材との間で前進又は後退する複数ギア比の機械液圧複合伝動を提供することを特徴とする、請求項5に記載のマルチモードの機械液圧複合伝動装置。
【請求項8】
液圧式伝動機構(6)の排気量比を調整すること、第1のクラッチC
1(6-3)、第2のクラッチC
2(6-6)、第5のクラッチC
5(2-13)、及び第6のクラッチC
6(2-14)が接合することにより、入力部材と出力部材との間で前進する機械液圧複合伝動F(HM1)を提供し、機械液圧複合伝動F(HM1)において入力部材と出力部材の回転数は、
【数45】
を満たし、
液圧式伝動機構(6)の排気量比を調整すること、第1のクラッチC
1(6-3)、第2のクラッチC
2(6-6)、及び第3のクラッチC
3(2-2)が接合することにより、入力部材と出力部材との間で前進する機械液圧複合伝動F(HM2)を提供し、機械液圧複合伝動F(HM2)において入力部材と出力部材の回転数は、
【数46】
を満たし、
液圧式伝動機構(6)の排気量比を調整すること、第1のクラッチC
1(6-3)、第2のクラッチC
2(6-6)、第6のクラッチC
6(2-14)、及び第3のブレーキB
3(2-11)が接合することにより、入力部材と出力部材との間で前進する機械液圧複合伝動F(HM3)を提供し、機械液圧複合伝動F(HM3)において入力部材と出力部材の回転数は、
【数47】
を満たし、
液圧式伝動機構(6)の排気量比を調整すること、第1のクラッチC
1(6-3)、第2のクラッチC
2(6-6)、第6のクラッチC
6(2-14)、及び第2のブレーキB
2(2-7)が接合することにより、入力部材と出力部材との間で前進する機械液圧複合伝動F(HM4)を提供し、機械液圧複合伝動F(HM4)において入力部材と出力部材の回転数は、
【数48】
を満たし、
液圧式伝動機構(6)の排気量比を調整すること、第1のクラッチC
1(6-3)、第2のクラッチC
2(6-6)、第5のクラッチC
5(2-13)、及び第2のブレーキB
2(2-7)が接合することにより、入力部材と出力部材との間で後退する機械液圧複合伝動R(HM1)を提供し、機械液圧複合伝動R(HM1)において入力部材と出力部材の回転数は、
【数49】
を満たし、
液圧式伝動機構(6)の排気量比を調整すること、第1のクラッチC
1(6-3)、第2のクラッチC
2(6-6)、及び第4のクラッチC
4(2-4)が接合することにより、入力部材と出力部材との間で後退する機械液圧複合伝動R(HM2)を提供し、機械液圧複合伝動R(HM2)において入力部材と出力部材の回転数は、
【数50】
を満たすことを特徴とする、請求項7に記載のマルチモードの機械液圧複合伝動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ギアボックスの分野に関し、特にマルチモードの機械液圧複合伝動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多機能機械液圧伝動装置は、一般に液圧式伝動を採用して柔軟で高トルクの始動を実現し、機械式伝動により効率的な移行を完了し、機械液圧複合伝動により効率的な無段階速度調整の作業を満たし、速度調整の全範囲内で様々な作業状態の作業要件に適応できる。一般的な機械液圧複合伝動は、前進方向の各ギアで無段階の速度調整を実現するのは相対的に簡単であるが、後退方向の各ギアの作業状態に対する適応性を十分に考慮していない。機械液圧複合伝動は、前進と後退の速度調整範囲で効率的な無段変速機能を有し、液圧機械式伝動モードを実現するために合理的な接続で複数のギアを使用すると、この問題をよく解決することができる。
【発明の概要】
【0003】
従来技術の不足に対して、本発明は、クラッチとブレーキとの組み合わせを切り替えることにより、機械式伝動、液圧式伝動、及び機械液圧複合伝動などのモードの切り替えを実現し、システムの故障許容機能を高める前提で、調整の自由度を向上させ、前進と後退の方向での速度調整範囲を拡大することができるマルチモードの機械液圧複合伝動装置を提供する。
【0004】
本発明は、以下の技術的手段により上記の技術目的を達成する。
【0005】
マルチモードの機械液圧複合伝動装置は、入力部材、液圧式伝動機構、機械式伝動機構、合流機構、出力部材、クラッチ部品、及びブレーキ部品が含まれ、上記のクラッチ部品は、上記の入力機構の出力端を液圧式伝動機構の入力端、機械式伝動機構、及び合流機構にそれぞれ接続し、上記のクラッチ部品は、液圧式伝動機構の出力端を合流機構に接続し、上記のクラッチ部品は、上記の機械式伝動機構を合流機構に接続し、上記の合流機構は、出力部材に接続され、液圧式伝動機構の排気量比を調整すること、上記のクラッチ部品とブレーキ部品との接合を選択的に制御することにより、入力部材と出力部材との間で連続可変なギア比を提供する。
【0006】
さらに、上記の機械式伝動機構は、機械式伝動出力軸、左遊星歯車系、及び右遊星歯車系が含まれ、
上記の左遊星歯車系は、左太陽歯車、左遊星キャリア、及び左リングギアが含まれ、上記の右遊星歯車系は、右遊星キャリア、右太陽歯車、及び右リングギアが含まれ、上記の左太陽歯車は、右太陽歯車に接続され、上記の右リングギアは、左遊星キャリアに接続され、
上記のクラッチ部品は、第5のクラッチC5と第6のクラッチC6とが含まれ、上記の第5のクラッチC5は、右リングギアを機械式伝動出力軸に接続するために使用され、上記の第6のクラッチC6は、右太陽歯車を機械式伝動出力軸に接続するために使用され、上記のブレーキ部品は、第2のブレーキB2と第3のブレーキB3とが含まれ、上記の第2のブレーキB2は、左リングギアを固定部に接続するために使用され、上記の第3のブレーキB3は、右リングギアを固定部に接続するために使用される。
【0007】
さらに、上記の合流機構は、合流機構の左遊星歯車系と合流機構の右歯車系とが含まれ、上記の合流機構の左遊星歯車系は、合流機構の左遊星キャリア、合流機構の左太陽歯車、及び合流機構の左リングギアが含まれ、上記の合流機構の右歯車系は、合流機構の右太陽歯車、合流機構の右遊星キャリア、及び合流機構の右リングギアが含まれ、上記の合流機構の左太陽歯車は、合流機構の右太陽歯車に接続され、上記の合流機構の左太陽歯車は、液圧式伝動機構の出力端に接続され、上記の合流機構の左リングギアは、合流機構の右遊星キャリアに接続され、上記の入力部材は、左歯車対と右歯車対をそれぞれ通して合流機構の左遊星キャリアに接続され、上記の合流機構の右リングギアは、機械式伝動出力歯車対を通して機械式伝動出力軸に接続され、上記の合流機構の右遊星キャリアは、出力部材に接続され、
上記のクラッチ部品は、さらに第3のクラッチC3、第4のクラッチC4、及び第7のクラッチC7が含まれ、上記の第3のクラッチC3は、左歯車対に介して入力部材を合流機構の入力端に接続するために使用され、上記の第4のクラッチC4は、右歯車対に介して入力部材を合流機構の入力端に接続するために使用され、上記の第7のクラッチC7は、合流機構の右太陽歯車を合流機構の右遊星キャリアに接続するために使用され、上記のブレーキ部品は、さらに第1のブレーキB1と第4のブレーキB4とが含まれ、第1のブレーキB1は、合流機構の左太陽歯車を固定部に接続するために使用され、上記の第4のブレーキB4は、合流機構の右リングギアを固定部に接続するために使用される。
【0008】
さらに、液圧式伝動機構の排気量比を調整すること、上記のクラッチ部品とブレーキ部品との接合を選択的に制御することにより提供される入力部材と出力部材との間で前進又は後退する伝動方式は、液圧式伝動、機械式伝動、及び機械液圧複合伝動が含まれる。
【0009】
さらに、第3のクラッチC3、第4のクラッチC4、第5のクラッチC5、第6のクラッチC6、第1のブレーキB1、第2のブレーキB2、及び第3のブレーキB3が接合し、入力部材と出力部材との間で前進又は後退する複数ギア比の機械式伝動を提供する。
【0010】
さらに、第5のクラッチC
5、第6のクラッチC
6、及び第1のブレーキB
1が接合し、入力部材と出力部材との間で前進する機械式伝動F(M1)を提供し、機械式伝動F(M1)において入力部材と出力部材の回転数は、
【数1】
を満たし、式中、n
0は出力部材の回転数であり、n
Iは入力部材の回転数であり、k
4は合流機構の右歯車系の特性パラメーターであり、i
6i
7は機械式伝動出力軸と合流機構の右リングギアとの間のギア比であり、
第6のクラッチC
6、第1のブレーキB
1、及び第3のブレーキB
3が接合し、入力部材と出力部材との間で前進する機械式伝動F(M2)を提供し、機械式伝動F(M2)において入力部材と出力部材の回転数は、
【数2】
を満たし、式中、k
1は左遊星歯車系の特性パラメーターであり、k
2は右遊星歯車系の特性パラメーターであり、
第3のクラッチC
3及び第7のクラッチC
7が接合し、入力部材と出力部材との間で前進する機械式伝動F(M3)を提供し、機械式伝動F(M3)において入力部材と出力部材の回転数は、
【数3】
を満たし、式中、i
3i
4は左歯車対ギア比であり、
第6のクラッチC
6、第1のブレーキB
1、及び第2のブレーキB
2が接合し、入力部材と出力部材との間で前進する機械式伝動F(M4)を提供し、機械式伝動F(M4)において入力部材と出力部材の回転数は、
【数4】
を満たし、
第5のクラッチC
5、第1のブレーキB
1、及び第2のブレーキB
2が接合し、入力部材と出力部材との間で後退する機械式伝動R(M1)を提供し、機械式伝動R(M1)において入力部材と出力部材の回転数は、
【数5】
を満たし、
第4のクラッチC
4及び第1のブレーキB
1が接合し、入力部材と出力部材との間で後退する機械式伝動R(M2)を提供し、機械式伝動R(M2)において入力部材と出力部材の回転数は、
【数6】
を満たし、式中、k
3は合流機構左歯車系の特性パラメーターであり、i
5は右歯車対のギア比である。
【0011】
さらに、上記のクラッチ部品は、さらに第1のクラッチC1と第2のクラッチC2とが含まれ、上記の第1のクラッチC1は、入力部材を液圧式伝動機構の入力端に接続するために使用され、上記の第2のクラッチC2は、液圧式伝動機構の出力端を合流機構の左太陽歯車に接続するために使用され、液圧式伝動機構の排気量比を調整すること、第1のクラッチC1、第2のクラッチC2、第7のクラッチC7、及び第4のブレーキB4が接合することにより、入力部材と出力部材との間で前進又は後退する複数ギア比の液圧式伝動を提供する。
【0012】
さらに、液圧式伝動機構の排気量比を調整すること、第1のクラッチC
1、第2のクラッチC
2、及び第4のブレーキB
4が接合することにより、入力部材と出力部材との間で前進又は後退する液圧式伝動F(H1)/R(H1)を提供し、液圧式伝動F(H1)/R(H1)において入力部材と出力部材の回転数は、
【数7】
を満たし、式中、k
4は合流機構の右歯車系の特性パラメーターであり、eは液圧式伝動機構の排気量比であり、i
1は液圧式伝動機構の入力端と入力部材との間のギア比であり、i
2は液圧式伝動機構の出力端と合流機構の左太陽歯車との間のギア比であり、e>0である場合、F(H1)ギアであり、e<0である場合、R(H1)ギアであり、
第1のクラッチC
1、第2のクラッチC
2、及び第7のクラッチC
7が接合し、入力部材と出力部材との間で前進又は後退する液圧式伝動F(H2)/R(H2)を提供し、液圧式伝動F(H2)/R(H2)において入力部材と出力部材の回転数は、
【数8】
を満たし、式中、e>0である場合、F(H2)ギアであり、e<0である場合、R(H2)ギアである。
【0013】
さらに、液圧式伝動機構の排気量比を調整すること、第1のクラッチC1、第2のクラッチC2、第3のクラッチC3、第4のクラッチC4、第5のクラッチC5、第6のクラッチC6、第2のブレーキB2、及び第3のブレーキB3が接合することにより、入力部材と出力部材との間で前進又は後退する複数ギア比の機械液圧複合伝動を提供する。
【0014】
さらに、液圧式伝動機構の排気量比を調整すること、第1のクラッチC
1、第2のクラッチC
2、第5のクラッチC
5、及び第6のクラッチC
6が接合することにより、入力部材と出力部材との間で前進する機械液圧複合伝動F(HM1)を提供し、機械液圧複合伝動F(HM1)において入力部材と出力部材の回転数は、
【数9】
を満たし、
液圧式伝動機構の排気量比を調整すること、第1のクラッチC
1、第2のクラッチC
2、及び第3のクラッチC
3が接合することにより、入力部材と出力部材との間で前進する機械液圧複合伝動F(HM2)を提供し、機械液圧複合伝動F(HM2)において入力部材と出力部材の回転数は、
【数10】
を満たし、
液圧式伝動機構の排気量比を調整すること、第1のクラッチC
1、第2のクラッチC
2、第6のクラッチC
6、及び第3のブレーキB
3が接合することにより、入力部材と出力部材との間で前進する機械液圧複合伝動F(HM3)を提供し、機械液圧複合伝動F(HM3)において入力部材と出力部材の回転数は、
【数11】
を満たし、
液圧式伝動機構の排気量比を調整すること、第1のクラッチC
1、第2のクラッチC
2、第6のクラッチC
6、及び第2のブレーキB
2が接合することにより、入力部材と出力部材との間で前進する機械液圧複合伝動F(HM4)を提供し、機械液圧複合伝動F(HM4)において入力部材と出力部材の回転数は、
【数12】
を満たし、
液圧式伝動機構の排気量比を調整すること、第1のクラッチC
1、第2のクラッチC
2、第5のクラッチC
5、及び第2のブレーキB
2が接合することにより、入力部材と出力部材との間で後退する機械液圧複合伝動R(HM1)を提供し、機械液圧複合伝動R(HM1)において入力部材と出力部材の回転数は、
【数13】
を満たし、
液圧式伝動機構の排気量比を調整すること、第1のクラッチC
1、第2のクラッチC
2、及び第4のクラッチC
4が接合することにより、入力部材と出力部材との間で後退する機械液圧複合伝動R(HM2)を提供し、機械液圧複合伝動R(HM2)において入力部材と出力部材の回転数は、
【数14】
を満たす。
【0015】
本発明の有益な効果は、
本発明に記載のマルチモードの機械液圧複合伝動装置は、液圧式伝動、機械式伝動、及び機械液圧複合伝動の3つのモード、14個のギアにより複雑な作業の要件を満たし、動力中断なしに液圧式伝動ギア及び機械液圧伝動の各ギアをシフトすることがでるだけでなく、機械液圧伝動の各ギア間の無段階速度調整も実現することができ、前進と後退の方向での速度調整範囲が広がり、調整の自由度が拡大される。
【0016】
以下、本発明の実施例又は従来技術の実施例における技術的手段をより明確に説明するために、実施例又は従来技術の説明に使用する必要がある図面を簡単に説明し、以下の説明は、本発明の実施例に過ぎず、当業者は、創造的な作業なしにこれらの図面に従って他の図面を取得することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に記載のマルチモードの機械液圧複合伝動装置の構造原理図である。
【
図2】本発明の機械式伝動F(M1)のギアパワーフローの模式図である。
【
図3】本発明の機械式伝動F(M2)のギアパワーフローの模式図である。
【
図4】本発明の機械式伝動F(M3)のギアパワーフローの模式図である。
【
図5】本発明の機械式伝動F(M4)のギアパワーフローの模式図である。
【
図6】本発明の機械式伝動R(M1)のギアパワーフローの模式図である。
【
図7】本発明の機械式伝動R(M2)のギアパワーフローの模式図である。
【
図8】本発明の液圧式伝動F(H1)/R(H1)のギアパワーフローの模式図である。
【
図9】本発明の液圧式伝動F(H2)/R(H2)のギアパワーフローの模式図である。
【
図10】本発明の機械液圧複合伝動F(HM1)のギアパワーフローの模式図である。
【
図11】本発明の機械液圧複合伝動F(HM2)のギアパワーフローの模式図である。
【
図12】本発明の機械液圧複合伝動F(HM3)のギアパワーフローの模式図である。
【
図13】本発明の機械液圧複合伝動F(HM4)のギアパワーフローの模式図である。
【
図14】本発明の機械液圧複合伝動R(HM1)のギアパワーフローの模式図である。
【
図15】本発明の機械液圧複合伝動R(HM2)のギアパワーフローの模式図である。
【
図16】本発明の各ギアモードの切り替え及びその速度調整特性の曲線図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面及び具体的な実施例を参照して本発明をさらに説明するが、本発明の保護範囲は、これらに限定されない。
【0019】
以下、本発明の実施例を詳細に説明し、上記の実施例が図面に示されるが、同じ符号または類似的符号は、常に、同じモジュール又は類似的モジュール、或いは、同じ機能又は類似的機能を有するモジュールを表す。以下、図面を参照しながら説明される実施例は例示的なものであり、本発明を解釈するためだけに用いられ、本発明を限定するものと理解されてはならない。
【0020】
本発明の説明において、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚み」、「上」、「下」、「軸方向」、「直径方向」、「鉛直」、「水平」、「内」、「外」などの用語が示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づき、本発明を便利にまたは簡単に説明するために使用されるものであり、指定された装置又は部品が特定の方位にあり、特定の方位において構造され操作されると指示又は示唆するものではないので、本発明に対する限定と理解してはいけない。なお、「第1の」、「第2の」という用語は、説明のみを目的として使用され、相対的な重要性を示したり示唆したり、示された技術的特徴の数を暗黙的に示したりするものではない。従って、「第1の」、「第2の」の特徴は、1つ又は複数のこの特徴を明確又は曖昧に含んでもよい。本発明の説明において、特に具体的に限定されない限り、「複数」は、2つ又は2つ以上を意図する。
【0021】
本発明において、「取り付け」、「結び」、「接続」、「固定」という用語は、特に明記及び限定されない限り、広い意味で理解されるべきであることを説明したい。これは、機械的接続または電気的接続であり、直接接続または中間媒体を介して間接的に接続され、2つのコンポーネントの内部通信である可能性がある。当業者が本発明における上記の用語の特定の意味は、特定の状況下で理解することができる。
【0022】
図1に示されるように、本発明に記載のマルチモードの機械液圧複合伝動装置は、入力軸1、機械式伝動機構2、出力軸3、合流機構4、中間軸5、液圧式伝動機構6、クラッチ部品、及びブレーキ部品が含まれ、
上記の液圧式伝動機構6は、液圧式伝動入力歯車対6-1、液圧式伝動入力軸6-2、第1のクラッチC
16-3、可変ポンプ6-4、液圧配管6-5、第2のクラッチC
26-6、液圧式伝動出力軸6-7、定量モーター6-8、液圧式伝動出力歯車対6-9、及び第1のブレーキB
16-10が含まれ、上記の第1のクラッチC
16-3は、入力軸1を液圧式伝動入力軸6-2に接続するために使用され、上記の第2のクラッチC
26-6は、液圧式伝動出力軸6-7を中間軸5に接続するために使用され、上記の第1のブレーキB
16-10は、中間軸5を制動するために使用される。
【0023】
上記の機械式伝動機構2は、左太陽歯車2-5、左遊星キャリア2-6、第2のブレーキB22-7、左リングギア2-8、右遊星キャリア2-9、右太陽歯車2-10、第3のブレーキB32-11、右リングギア2-12、第5のクラッチC52-13、第6のクラッチC62-14、機械式伝動出力軸2-15、及び機械式伝動出力歯車対2-16が含まれ、上記の左遊星歯車系は、左太陽歯車2-5、左遊星キャリア2-6、及び左リングギア2-8が含まれ、上記の右遊星歯車系は、右遊星キャリア2-9、右太陽歯車2-10、及び右リングギア2-12が含まれ、上記の左太陽歯車2-5は、右太陽歯車2-10に接続され、上記の右リングギア2-12は、左遊星キャリア2-6に接続され、上記の第5のクラッチC52-13は、右リングギア2-12を機械式伝動出力軸2-15に接続するために使用され、上記の第6のクラッチC62-14は、右太陽歯車2-10を機械式伝動出力軸2-15に接続するために使用され、上記の第5のクラッチC52-13と第6のクラッチC62-14とが同時に接合すると機械式伝動機構2を一体に固定して接続されることができ、上記の第2のブレーキB22-7は、左リングギア2-8を固定部に接続するために使用され、上記の第3のブレーキB32-11は、右リングギア2-12を固定部に接続するために使用される。
【0024】
上記の合流機構4は、合流機構の左遊星歯車系、合流機構の右歯車系、第1のブレーキB16-10、第4のブレーキB44-6、第3のクラッチC32-2、第4のクラッチC42-4、及び第7のクラッチC74-8が含まれ、上記の合流機構の左遊星歯車系は、合流機構の左遊星キャリア4-1、合流機構の左太陽歯車4-2、及び合流機構の左リングギア4-3が含まれ、上記の合流機構の右歯車系は、合流機構の右太陽歯車4-4、合流機構の右遊星キャリア4-5、及び合流機構の右リングギア4-7が含まれ、上記の合流機構の左太陽歯車4-2は、合流機構の右太陽歯車4-4に接続され、上記の合流機構の左太陽歯車4-2は、中間軸5に接続され、上記の合流機構の左太陽歯車4-2は、液圧式伝動機構6の出力端に接続され、上記の合流機構の左リングギア4-3は、合流機構の右遊星キャリア4-5に接続され、上記の入力軸1は、左歯車対2-1と右歯車対2-3とをそれぞれ通して合流機構の左遊星キャリア4-1に接続され、上記の合流機構の右リングギア4-7は、機械式伝動出力歯車対2-16を通して機械式伝動出力軸2-15に接続され、上記の合流機構の右遊星キャリア4-5は、出力軸3に接続され、上記の第3のクラッチC32-2は、左歯車対2-1に介して入力軸1を合流機構4の入力端に接続するために使用され、上記の第4のクラッチC42-4は、右歯車対2-3に介して入力軸1を合流機構4の入力端に接続するために使用され、上記の第7のクラッチC74-8は、合流機構の右太陽歯車4-4を合流機構の右遊星キャリア4-5に接続するために使用され、上記の第1のブレーキB16-10は、合流機構の左太陽歯車4-2を固定部に接続するために使用され、上記の第4のブレーキB44-6は、合流機構の右リングギア4-7を固定部に接続するために使用される。
【0025】
クラッチとブレーキとの間の組み合わせを切り替えることにより、機械式伝動、液圧式伝動、及び機械液圧複合伝動の3つのモードの前進と後退の14個のギアの切り替えを実現し、各ギアモードの切り替え素子の接合状態は、表1に示される。
【表1】
ここで、Cはクラッチを表し、Bはブレーキを表し、Fは前進ギアを表し、Rは後退ギアを表し、Hは液圧式伝動を表し、Mは機械式伝動を表し、HMは機械液圧伝動を表し、▲は素子が接合状態にあることを表す。
【0026】
第3のクラッチC32-2、第4のクラッチC42-4、第5のクラッチC52-13、第6のクラッチC62-14、第1のブレーキB16-10、第2のブレーキB22-7、及び第3のブレーキB32-11が接合し、入力部材と出力部材との間で前進又は後退する複数ギア比の機械式伝動を提供する。
【0027】
図2に示されるように、機械式伝動F(M1)のパワーフローは、第5のクラッチC
52-13、第6のクラッチC
62-14、及び第1のブレーキB
16-10だけが接合した。動力は、入力軸1、一体に固定して接続された機械式伝動機構2を介して機械式伝動出力軸2-15に伝達され、機械式伝動出力歯車対2-16を介して合流機構の右リングギア4-7に伝達され、動力が合流機構の右遊星キャリア4-5を介して出力軸3から出力される。出力の回転数と入力の回転数との関係は、
【数15】
であり、式中、n
0は出力部材の回転数であり、n
Iは入力部材の回転数であり、k
4は合流機構の右歯車系の特性パラメーターであり、i
6i
7は機械式伝動出力軸2-15と合流機構の右リングギア4-7との間のギア比である。
【0028】
図3に示されるように、機械式伝動F(M2)のパワーフローは、第6のクラッチC
62-14、第1のブレーキB
16-10、及び第3のブレーキB
32-11だけが接合した。動力は、入力軸1、左遊星キャリア2-6を介して右遊星キャリア2-9と右太陽歯車2-10とに分路し、右太陽歯車2-10を介して機械式伝動出力軸2-15で合流し、機械式伝動出力歯車対2-16を介して合流機構の右リングギア4-7に伝達され、動力が合流機構の右遊星キャリア4-5を介して出力軸3から出力される。出力の回転数と入力の回転数との関係は、
【数16】
であり、式中、k
1は左遊星歯車系の特性パラメーターであり、k
2は右遊星歯車系の特性パラメーターである。
【0029】
図4に示されるように、機械式伝動F(M3)のパワーフローは、第3のクラッチC
32-2、及び第7のクラッチC
74-8だけが接合した。動力は、入力軸1、左歯車対2-1を介して合流機構の左遊星キャリア4-1に伝達され、一体に固定して接続される合流機構4を介して出力軸3から出力される。出力の回転数と入力の回転数との関係は、
【数17】
であり、式中、i
3i
4は左歯車対2-1ギア比である。
【0030】
図5に示されるように、機械式伝動F(M4)のパワーフローは、第6のクラッチC
62-14、第1のブレーキB
16-10、及び第2のブレーキB
22-7だけが接合した。動力は、入力軸1、左遊星キャリア2-6、左太陽歯車2-5、及び右太陽歯車2-10を介して機械式伝動出力軸2-15に伝達され、機械式伝動出力歯車対2-16を介して合流機構の右リングギア4-7に伝達され、動力が合流機構の右遊星キャリア4-5を介して出力軸3から出力される。出力の回転数と入力の回転数との関係は、次の通りである。
【数18】
【0031】
図6に示されるように、機械式伝動R(M1)のパワーフローは、第5のクラッチC
52-13、第1のブレーキB
16-10、及び第2のブレーキB
22-7だけが接合した。動力は、入力軸1、左遊星キャリア2-6、左太陽歯車2-5、右太陽歯車2-10、及び右リングギア2-12を介して機械式伝動出力軸2-15に伝達され、機械式伝動出力歯車対2-16を介して合流機構の右リングギア4-7に伝達され、動力が合流機構の右遊星キャリア4-5を介して出力軸3から出力される。出力の回転数と入力の回転数との関係は、次の通りである。
【数19】
【0032】
図7に示されるように、機械式伝動R(M2)のパワーフローは、第4のクラッチC
42-4、及び第1のブレーキB
16-10だけが接合した。動力は、入力軸1、右歯車対2-3を介して合流機構の左遊星キャリア4-1に伝達され、合流機構の左リングギア4-3及び機構の右遊星キャリア4-5を介して出力軸3から出力される。出力の回転数と入力の回転数との関係は、
【数20】
であり、式中、k
3は合流機構左歯車系の特性パラメーターであり、i
5は右歯車対2-3ギア比である。
【0033】
液圧式伝動機構6の排気量比を調整すること、第1のクラッチC16-3、第2のクラッチC26-6、第7のクラッチC74-8、及び第4のブレーキB44-6が接合することにより、入力部材と出力部材との間で前進又は後退する複数ギア比の液圧式伝動を提供する。
【0034】
図8に示されるように、液圧式伝動F(H1)/R(H1)のパワーフローは、第1のクラッチC
16-3、第2のクラッチC
26-6、及び第4のブレーキB
44-6だけが接合した。動力は、入力軸1、液圧式伝動入力歯車対6-1を介して液圧式伝動入力軸6-2に伝達されて可変ポンプ6-4を駆動し、油液が液圧配管6-5に介して定量モーター6-8を駆動し、液圧式伝動出力軸6-7を駆動し、動力が液圧式伝動出力歯車対6-9、合流機構の右太陽歯車4-4、及び合流機構の右遊星キャリア4-5を介して出力軸3から出力される。出力の回転数と入力の回転数との関係は、
【数21】
であり、式中、k
4は合流機構の右歯車系の特性パラメーターであり、eは液圧式伝動機構6排気量比であり、i
1は液圧式伝動機構6入力端と入力部材との間のギア比であり、i
2は液圧式伝動機構6の出力端と合流機構の左太陽歯車4-2との間のギア比であり、e>0である場合、F(H1)ギアであり、e<0である場合、R(H1)ギアである。
【0035】
図9に示されるように、液圧式伝動F(H2)/R(H2)のパワーフローは、第1のクラッチC
16-3、第2のクラッチC
26-6、及び第7のクラッチC
74-8だけが接合した。動力は、入力軸1、液圧式伝動入力歯車対6-1を介して液圧式伝動入力軸6-2に伝達されて可変ポンプ6-4を駆動し、油液が液圧配管6-5に介して定量モーター6-8を駆動し、液圧式伝動出力軸6-7を駆動し、動力が液圧式伝動出力歯車対6-9、一体に固定して接続される合流機構4を介して出力軸3から出力される。出力の回転数と入力の回転数との関係は、
【数22】
であり、式中、e>0である場合、F(H2)であり、e<0である場合、R(H2)である。
【0036】
液圧式伝動機構6の排気量比を調整すること、第1のクラッチC16-3、第2のクラッチC26-6、第3のクラッチC32-2、第4のクラッチC42-4、第5のクラッチC52-13、第6のクラッチC62-14、第2のブレーキB22-7、及び第3のブレーキB32-11が接合することにより、入力部材と出力部材との間で前進又は後退する複数ギア比の機械液圧複合伝動を提供する。
【0037】
図10に示されるように、機械液圧複合伝動F(HM1)のパワーフローは、第1のクラッチC
16-3、第2のクラッチC
26-6、第5のクラッチC
52-13、及び第6のクラッチC
62-14だけが接合した。動力は、入力軸1を介して分路し、一つの分路が一体に固定して接続された機械式伝動機構2を介して機械式伝動出力軸2-15に伝達され、機械式伝動出力歯車対2-16を介して合流機構の右リングギア4-7に伝達され、もう一つの分路が液圧式伝動機構6を介して合流機構の右太陽歯車4-4に伝達される。合流機構の右リングギア4-7に伝達された機械動力と合流機構の右太陽歯車4-4に伝達された液圧動力は、合流機構の右遊星キャリア4-5で合流した後、出力軸3から出力される。出力の回転数と入力の回転数との関係は、次の通りである。
【数23】
【0038】
図11に示されるように、機械液圧複合伝動F(HM2)のパワーフローは、第1のクラッチC
16-3、第2のクラッチC
26-6、及び第3のクラッチC
32-2だけが接合した。動力は、入力軸1を介して分路し、一つの分路が左歯車対2-1を介して合流機構の左遊星キャリア4-1に伝達され、もう一つの分路が液圧式伝動機構6を介して合流機構の左太陽歯車4-2に伝達される。遊星キャリア4-1に伝達された機械動力と左太陽歯車4-2に伝達された液圧動力は、合流機構の左リングギア4-3で合流した後、合流機構の右遊星キャリア4-5を介して出力軸3から出力される。出力の回転数と入力の回転数との関係は、次の通りである。
【数24】
【0039】
図12に示されるように、機械液圧複合伝動F(HM3)のパワーフローは、第1のクラッチC
16-3、第2のクラッチC
26-6、第6のクラッチC
62-14、及び第3のブレーキB
32-11だけが接合した。動力は、入力軸1を介して分路し、一つの分路が左遊星キャリア2-6を介して右遊星キャリア2-9と右太陽歯車2-10とに分路し、右太陽歯車2-10を介して機械式伝動出力軸2-15で合流し、機械式伝動出力歯車対2-16を介して合流機構の右リングギア4-7に伝達され、もう一つの分路が液圧式伝動機構6を介して合流機構の右太陽歯車4-4に伝達される。合流機構の右リングギア4-7に伝達された機械動力と合流機構の右太陽歯車4-4に伝達された液圧動力は、合流機構の右遊星キャリア4-5で合流した後、出力軸3から出力される。出力の回転数と入力の回転数との関係は、次の通りである。
【数25】
【0040】
図13に示されるように、機械液圧複合伝動F(HM4)のギアのパワーフローは、第1のクラッチC
16-3、第2のクラッチC
26-6、第6のクラッチC
62-14、及び第2のブレーキB
22-7だけが接合し、動力は、入力軸1を介して分路し、一つの分路が左遊星キャリア2-6、左太陽歯車2-5、及び右太陽歯車2-10を介して機械式伝動出力軸2-15に伝達され、機械式伝動出力歯車対2-16を介して合流機構の右リングギア4-7に伝達され、もう一つの分路が液圧式伝動機構6を介して合流機構の右太陽歯車4-4に伝達される。合流機構の右リングギア4-7に伝達された機械動力と合流機構の右太陽歯車4-4に伝達された液圧動力は、合流機構の右遊星キャリア4-5で合流した後、出力軸3から出力される。出力の回転数と入力の回転数との関係は、次の通りである。
【数26】
【0041】
図14に示されるように、機械液圧複合伝動R(HM1)のパワーフローは、第1のクラッチC
16-3、第2のクラッチC
26-6、第5のクラッチC
52-13、及び第2のブレーキB
22-7だけが接合した。動力は、入力軸1を介して分路し、一つの分路が左遊星キャリア2-6、左太陽歯車2-5、右太陽歯車2-10、及び右リングギア2-12を介して機械式伝動出力軸2-15に伝達され、機械式伝動出力歯車対2-16を介して合流機構の右リングギア4-7に伝達され、もう一つの分路が液圧式伝動機構6を介して合流機構の右太陽歯車4-4に伝達される。合流機構の右リングギア4-7に伝達された機械動力と合流機構の右太陽歯車4-4に伝達された液圧動力は、合流機構の右遊星キャリア4-5で合流した後、出力軸3から出力される。出力の回転数と入力の回転数との関係は、次の通りである。
【数27】
【0042】
図15に示されるように、機械液圧複合伝動R(HM2)のパワーフローは、第1のクラッチC
16-3、第2のクラッチC
26-6、及び第4のクラッチC
42-4だけが接合した。動力は、入力軸1を介して分路し、一つの分路が右歯車対2-3を介して合流機構の左遊星キャリア4-1に伝達され、もう一つの分路が液圧式伝動機構6を介して合流機構の左太陽歯車4-2に伝達される。遊星キャリア4-1に伝達された機械動力と左太陽歯車4-2に伝達された液圧動力は、合流機構の左リングギア4-3で合流した後、合流機構の右遊星キャリア4-5を介して出力軸3から出力される。出力の回転数と入力の回転数との関係は、次の通りである。
【数28】
【実施例】
【0043】
主なパラメーターは、i1i2=1.00、i3i4=i5=i6i7=1.00、k1=k2=k4=2、k3=3に設定された。
【0044】
図16は、伝動装置の出力回転数と入力回転数との比、と排気量比との関係を示し、出力軸は、減速装置に接続されて車両を駆動して移行させることができる。
Oは、原点であり、
(0、0.67)は、機械式伝動F(M1)ギアの特性点であるn
0=0.67n
Iであり、
(0、1.20)は、機械式伝動F(M2)ギアの特性点であるn
0=1.20n
Iであり、
(0、1.33)は、機械式伝動F(M3)ギアの特性点であるn
0=n
Iであり、
(0、2.00)は、機械式伝動F(M4)ギアの特性点であるn
0=2.00n
Iであり、
(0、-0.33)は、機械式伝動R(M1)ギアの特性点であるn
0=-0.5n
Iであり、
(0、-1.00)は、機械式伝動R(M2)ギアの特性点であるn
0=-1.33n
Iであり、
H1ギアでは、
【数29】
H2ギアでは、
【数30】
F(HM1)ギアでは、
【数31】
F(HM2)ギアでは、
【数32】
F(HM3)ギアでは、
【数33】
F(HM4)ギアでは、
【数34】
R(HM1)ギアでは、
【数35】
R(HM2)ギアでは、
【数36】
e=1.00である場合、F(H2)ギアとF(HM1)ギアとは、動力の中断なしに切り替え、特性点は(1.00、1.00)であり、
e=1.00である場合、F(HM1)ギアとF(HM2)ギアとは、動力の中断なしに切り替え、特性点は(1.00、1.00)であり、
e=0.20である場合、F(HM2)ギアとF(HM3)ギアとは、動力の中断なしに切り替え、特性点は(0.20、1.27)であり、
e=-1.00である場合、F(HM2)ギアとF(HM4)ギアとは、動力の中断なしに切り替え、特性点は(-1.00、1.67)であり、
e=-1.00である場合、F(H2)ギアとR(HM2)ギアとは、動力の中断なしに切り替え、特性点は(-1.00、-1.00)である。
e=-0.50である場合、R(HM1)ギアとR(HM2)ギアとは、動力の中断なしに切り替え、特性点は(-0.50、-1.17)であり、
液圧式伝動に高精度が要求される場合は、H1ギアがH2ギアの代わりに使用されるが、H2ギアは、動力中断なしに機械液圧複合伝動のギアに切り替えることできない。
【0045】
本明細書は、様々な実施例に従って説明されているが、各実施例が独立した実施形態のみを含むわけではなく、説明書のこのような記載方式がはっきりしたためだけであるので、当業者は明細書を全体に見なしなければいけなく、各実施例の実施形態を適切に組み合わせて、当業者が理解できる他の実施形態にしても良い。
【0046】
上記の一連の詳細な説明は、本発明の実行可能な実施例の特定の説明にすぎず、本発明の保護範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の技術的精神から逸脱しない変更は、すべて本発明の保護範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0047】
1 入力軸
2 機械式伝動機構
2-1 左歯車対
2-2 第3のクラッチC3
2-3 右歯車対
2-4 第4のクラッチC4
2-5 左太陽歯車
2-6 左遊星キャリア
2-7 第2のブレーキB2
2-8 左リングギア
2-9 右遊星キャリア
2-10 右太陽歯車
2-11 第3のブレーキB3
2-12 右リングギア
2-13 第5のクラッチC5
2-14 第6のクラッチC6
2-15 機械式伝動出力軸
2-16 機械式伝動出力歯車対
3 出力軸
4 合流機構
4-1 合流機構の左遊星キャリア
4-2 合流機構の左太陽歯車
4-3 合流機構の左リングギア
4-4 合流機構の右太陽歯車
4-5 合流機構の右遊星キャリア
4-6 第4のブレーキB4
4-7 合流機構の右リングギア
4-8 第7のクラッチC7
5 中間軸
6 液圧式伝動機構
6-1 液圧式伝動入力歯車対
6-2 液圧式伝動入力軸
6-3 第1のクラッチC1
6-4 可変ポンプ
6-5 液圧配管
6-6 第2のクラッチC2
6-7 液圧式伝動出力軸
6-8 定量モーター
6-9 液圧式伝動出力歯車対
6-10 第1のブレーキB1
【国際調査報告】