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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】トルカーのアダプタ
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/08 20060101AFI20240221BHJP
【FI】
A61M25/08 500
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542789
(86)(22)【出願日】2021-01-14
(85)【翻訳文提出日】2023-09-11
(86)【国際出願番号】 US2021070033
(87)【国際公開番号】W WO2022154976
(87)【国際公開日】2022-07-21
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510292504
【氏名又は名称】コリンダス、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ザープス,クリストファー
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA01
4C267AA28
4C267AA56
4C267BB54
4C267CC08
4C267EE01
4C267HH22
(57)【要約】
トルカーを保持するアダプタであって、貫通形成された経路を有するアダプタ胴体を含む。アダプタ胴体は、アダプタ胴体の第1の端部に開口を有するキャビティを画定する受容部を含む。トルカーは開口を通しキャビティ内に受け入れられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルカーを保持するアダプタであって、
貫通形成された経路を有するアダプタ胴体と、
前記アダプタ胴体の第1の端部に開口を有するキャビティを画定し、前記開口を通して前記キャビティに前記トルカーを受け入れる、受容部と、を含み、
前記受容部は、前記トルカーを前記アダプタ胴体に保持するための係合部材を含み、
前記トルカーは、前記アダプタ胴体の長手方向軸の方向及び該長手方向軸の周りに、前記アダプタ胴体と共に可動である、アダプタ。
【請求項2】
前記トルカーは、トルカー胴体と、該トルカー胴体に対して回転可能なナットと、を含み、
前記ナットは、前記受容部の前記キャビティにスナップフィットする、請求項1に記載のアダプタ。
【請求項3】
前記係合部材は、前記ナットを越えてスナップフィットする部分を有する少なくとも1つのタブを含む、請求項2に記載のアダプタ。
【請求項4】
前記アダプタ胴体は、前記受容部及び前記キャビティの開口から離れる方向に前記アダプタ胴体の長手方向軸に沿って延伸するグリップ部を有する、請求項1に記載のアダプタ。
【請求項5】
前記トルカーは、トルカー胴体を含み、
前記アダプタ胴体とナットが、前記トルカー胴体に対して回転可能であり、前記グリップ部を前記トルカー胴体に対して回転させることにより、前記トルカー及び前記経路を通って延伸する細長い医療デバイスを解放可能にピンチする、請求項4に記載のアダプタ。
【請求項6】
前記アダプタ胴体は、前記キャビティの開口と前記グリップ部との間にある被駆動部材を含む、請求項5に記載のアダプタ。
【請求項7】
前記被駆動部材がギアである、請求項6に記載のアダプタ。
【請求項8】
前記アダプタ胴体は、前記キャビティの開口から離れる方向に前記グリップ部から延伸する延伸部材部を含み、
前記延伸部材部は、前記第1の端部と反対側の当該アダプタの第2の端部を画定する自由端を有する、請求項5に記載のアダプタ。
【請求項9】
前記グリップ部の外径が、前記延伸部材部の外径よりも大きい、請求項8に記載のアダプタ。
【請求項10】
前記アダプタ胴体は、前記アダプタ胴体の前記第1の端部と第2の端部との間に外側軸受部を含む、請求項4に記載のアダプタ。
【請求項11】
カテーテル処置用のロボット駆動システムであって、
駆動部材を含むデバイスモジュールと、
経路を貫通形成したアダプタ胴体及び該アダプタ胴体の第1の端部に開口を有するキャビティを画定する受容部を有し、前記受容部が前記キャビティにトルカーを着脱可能に受容する、アダプタと、を含み、
前記受容部は、前記トルカーを前記アダプタ胴体に保持する係合機構を含み、
前記トルカーの一部が、前記アダプタ胴体の長手方向軸の方向及び該長手方向軸の周りに、前記アダプタ胴体と共に可動であり、
前記アダプタ胴体が、前記アダプタ胴体と前記トルカーとを前記アダプタの長手方向軸の周りに回転させるように前記駆動部材と接続されて作動する被駆動部材を含む、ロボット駆動システム。
【請求項12】
前記トルカーは、トルカー胴体と、該トルカー胴体に対して回転可能なナットと、を含み、
前記ナットは、前記受容部の前記キャビティにスナップフィットし、前記アダプタ胴体と共に可動の前記トルカーの一部が、前記ナットである、請求項11に記載のロボット駆動システム。
【請求項13】
前記受容部は、前記ナットを越えてスナップフィットする部分を有する少なくとも1つのタブを含む、請求項12に記載のロボット駆動システム。
【請求項14】
前記アダプタ胴体は、前記デバイスモジュールの軸受面に回転可能に受け入れられる外側軸受部を含む、請求項12に記載のロボット駆動システム。
【請求項15】
前記アダプタ胴体は、前記受容部及び前記キャビティの開口から離れる方向に前記アダプタ胴体の長手方向軸に沿って延伸するグリップ部を含む、請求項11に記載のロボット駆動システム。
【請求項16】
前記アダプタ胴体は、前記アダプタ胴体に対して前記グリップ部を回転させることにより、前記トルカー及び前記経路を通って延伸する細長い医療デバイスを解放可能にピンチするように、ナットに対して回転可能である、請求項15に記載のロボット駆動システム。
【請求項17】
前記アダプタ胴体は、前記キャビティの開口から離れる方向に前記グリップ部から延伸する延伸部材部を含み、
前記延伸部材部は、前記アダプタの前記第1の端部と反対側の前記アダプタの第2の端部を画定する自由端を有し、該延伸部材部の自由端が可撓性トラックの直ぐ傍にある、請求項15に記載のロボット駆動システム。
【請求項18】
前記グリップ部の外径が、前記延伸部材部の外径よりも大きい、請求項17に記載のロボット駆動システム。
【請求項19】
カテーテル処置用のロボット駆動システムにトルカーを保持する方法であって、
駆動部材を含むデバイスモジュールを提供し、
アダプタ胴体を含むアダプタを提供し、前記アダプタ胴体は、貫通形成された経路と、前記アダプタ胴体の第1の端部に開口を有するキャビティを画定する受容部と、を有し、
前記アダプタ胴体の第1の端部の開口から前記アダプタの前記キャビティに前記トルカーのナットを挿入することにより前記アダプタに前記トルカーを取り付け、このときに、前記トルカーの一部を前記アダプタの外側に位置させ、前記ナットは、前記アダプタ胴体に固定され、前記アダプタ胴体の長手方向軸の方向及び該長手方向軸の周りに可動であり、
前記トルカー内に細長い医療デバイスを保持し、前記経路を通し延伸させ、
前記細長い医療デバイス、前記アダプタ、及び前記トルカーを前記デバイスモジュール内に配置する、ことを含む、方法。
【請求項20】
前記アダプタが被駆動部材を含み、
前記デバイスモジュール内の駆動部材をロボット制御して、前記被駆動部材、前記アダプタ、前記トルカー、及び前記細長い医療デバイスを一緒に回転させるように操作する、ことをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
カテーテルやその他の細長い医療デバイス(EMD)は、神経介入手術としても知られる神経血管インターベンション(NVI)、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)、及び末梢血管インターベンション(PVI)を含む、様々な脈管系疾患の診断及び治療のための低侵襲医療処置に使用される。これらの処置は、通例、脈管系を通してガイドワイヤをナビゲートし、ガイドワイヤを利用してカテーテルを前進させ治療を行うことを含む。カテーテル式処置は、標準的な経皮的手法を使用し、イントロデューサシースを用いて、動脈や静脈などの適切な血管へアクセスすることから始まる。イントロデューサシースを介して、次に、NVIの場合の内頸動脈、PCIの場合の冠動脈口、又はPVIの場合の浅大腿動脈といった一次位置へ、診断ガイドワイヤを利用してシース又はガイドカテーテルを進める。そして、脈管系に適したガイドワイヤを、シース又はガイドカテーテルを通して、脈管系内の標的位置までナビゲートする。蛇行解剖学的構造などの状況では、ガイドワイヤ伝いに支持カテーテル又はマイクロカテーテルを挿入し、ガイドワイヤのナビゲーションを補助する。医師などの操作者は、画像システム(例えば、透視装置)を使用して造影剤注入によるシネを得て、ガイドワイヤ又はカテーテルを標的位置、例えば病変、にナビゲートするためのロードマップとして使用する固定フレームを選択することができる。また、操作者がガイドワイヤ又はカテーテルを送り込む間にも造影画像が得られ、これにより操作者は、デバイスが標的位置へ向かう正しい経路に沿って移動していることを確認できる。操作者は、透視法を用いて解剖学的構造を観察しながら、ガイドワイヤ又はカテーテルの近位端を操作し、遠位先端を適切な血管へ入れ標的の解剖学的位置(病変など)に向かわせ、側枝への進入を避ける。
【0002】
例えば、NVI、PCI、及びPVIのようなカテーテル式処置を行う医師を補助するために使用される、ロボットカテーテル式処置システムが開発されている。NVI処置の例としては、動脈瘤のコイル塞栓術、動静脈奇形の液体塞栓術、及び急性虚血性脳卒中の状況における大血管閉塞の機械的血栓摘出術が挙げられる。NVI処置において、医師は、ロボットシステムを用いて、神経血管ガイドワイヤ及びマイクロカテーテルの操作を制御することにより標的病変へのアクセスを獲得し、正常な血流を回復させる治療を施す。標的へのアクセスはシース又はガイドカテーテルによって可能になるが、より遠位の領域に対して、又は、マイクロカテーテル及びガイドワイヤの適切な支持を提供するために、中間カテーテルを必要とすることもある。ガイドワイヤの遠位先端は、病変や治療の種類に応じて、病変中にナビゲートされるか又は病変を通り過ぎてナビゲートされる。動脈瘤を治療する場合は、マイクロカテーテルを病変内に進め、ガイドワイヤを除去し、マイクロカテーテルを通して動脈瘤内にいくつかの塞栓コイルを留置し、動脈瘤内への血流を遮断するために使用する。動静脈奇形を治療する場合は、マイクロカテーテルを介して液体塞栓を奇形内に注入する。血管閉塞を治療するための機械的血栓除去は、吸引及びステント回収器の使用のいずれか又は両方によって達成される。血栓の位置に応じて、吸引は、吸引カテーテルを介して行うか、又は、細い動脈の場合はマイクロカテーテルを介して行う。吸引カテーテルが病変に入ったら、陰圧をかけてカテーテルを通し血栓を除去する。あるいは、マイクロカテーテルを通してステント回収器を配置することによって、血栓を除去することもできる。血栓をステント回収器で絡め取った後、ステント回収器及びマイクロカテーテル(又は中間カテーテル)をガイドカテーテルに引き込むことによって、血栓が回収される。
【0003】
PCIの場合、医師は、ロボットシステムを用いて、冠状動脈ガイドワイヤを操作することによって病変にアクセスし、治療を行い、正常な血流を回復させる。アクセスは、ガイドカテーテルを冠動脈入口部に着座させることにより可能となる。ガイドワイヤの遠位先端を病変の先までナビゲートし、そして、複雑な解剖学的構造のために、マイクロカテーテルを用いてガイドワイヤを適切に支持することができる。血流は、病変にステント又はバルーンを送り込んで展開することによって回復させる。病変は、ステント留置の前に前処置を必要とすることがあり、病変の前拡張のためにバルーンが送り込まれたり、又は、例えばレーザー又は回転式アテレクトミーカテーテル及びガイドワイヤを利用したバルーンを用いてアテレクトミーが実施される。画像診断及び生理学的測定が、画像カテーテル又は血流予備量比(FFR)測定を用いることにより適切な治療法を決定するために実施され得る。
【0004】
PVIの場合、医師は、ロボットシステムを用いて治療を行い、NVIと同様の技術で血流を回復させる。ガイドワイヤの遠位先端は病変の先までナビゲートされ、複雑な解剖学的構造に対してはガイドワイヤを適切に支持するためにマイクロカテーテルが使用される。病変にステント又はバルーンを送り込んで展開することにより血流を回復させる。PCIの場合と同様に、病変の前処置や画像診断も同じ様に用いられる。
【0005】
カテーテル又はガイドワイヤの遠位端での支持が、例えば、蛇行又は石灰化した脈管系のナビゲーションのために、遠位の解剖学的位置に到達するために、又は、硬化病変を横切るために、必要とされる場合、オーバーザワイヤ(OTW)カテーテル又は同軸システムが用いられる。OTWカテーテルにはガイドワイヤ用の内腔があり、この内腔がカテーテルの全長に延びている。これによりガイドワイヤが全長にわたって支持されるので、比較的安定したシステムとなる。しかし、このシステムには、ラピッドエクスチェンジカテーテル(後述)と比較した場合に、摩擦が大きい、全長が長いといったいくつかの弱点がある。通常、留置ガイドワイヤの位置を維持しながらOTWカテーテルを抜去又は交換するためには、ガイドワイヤの(患者から出ている)露出長がOTWカテーテルより長くなければならない。長さ300cmのガイドワイヤが一般的にはこの目的に十分とされており、交換長ガイドワイヤと呼ばれることが多い。このガイドワイヤの長さ故に、OTWカテーテルの抜去又は交換には2名の操作者が必要である。このことは、三軸系として当該技術分野で知られている三重同軸系を使用する場合(四重同軸カテーテルが使用されることも知られている)、さらに困難になる。しかしながら、その安定性を理由として、NVI及びPVI処置ではOTWシステムを使用することが多い。一方、PCI処置の場合は、ラピッドエクスチェンジ(又はモノレール)カテーテルを使用することが多い。ラピッドエクスチェンジカテーテルのガイドワイヤ内腔は、モノレール又はラピッドエクスチェンジ(RX)セクションと呼ばれるカテーテルの遠位部分を通るだけである。RXシステムを使用する操作者は、互いに対し平行にインターベンションデバイスを操作し(OTWシステムではデバイスを縦列構成で操作するのとは対照的に)、ガイドワイヤの露出長はカテーテルのRXセクションよりもわずかに長くしてあればよい。ラピッドエクスチェンジガイドワイヤは、通例で180~200cmの長さである。ガイドワイヤとモノレールの短さを考えれば、RXカテーテルは1人の操作者で交換可能である。しかし、より遠位の支持が必要な場合にRXカテーテルは不適当であることが多い。
【0006】
手動の非ロボット処置の場合、ガイドワイヤ、ステント回収器、コイルなどの様々なワイヤ様EMDをそのシャフトで把持し、処置中に患者の解剖学的構造内でデバイスを直線操作及び/又は回転操作しなければならない。EMDは、通常、操作者の指によって、又は一般にトルクデバイスと呼ばれる既製(shelf)のピンバイス型デバイスによって、把持される。
【0007】
手動処置の場合、処置中、カテーテルガイドワイヤなどの細長い医療デバイス(EMD)の一部を解放可能にピンチしアンピンチするために、操作者によってトルカーが使用される。トルカーは、EMDの一部を解放可能に固定するために使用され、使用者がEMDを回転及び/又は並進させるなどのEMD操作を行えるようにする。
【発明の概要】
【0008】
トルカーと係合するアダプタであって、このアダプタは、経路を貫通形成してあるアダプタ胴体を含む。アダプタ胴体は、アダプタ胴体の第1の端部に開口を有するキャビティを画定する受容部を含む。トルカーは、開口を通してキャビティ内に受容される。受容部は、トルカーをアダプタ胴体に保持する係合部材を含む。トルカーは、アダプタ胴体の長手方向軸の方向及び該長手方向軸の周りに、アダプタ胴体と共に可動である。
【0009】
一態様において、駆動部材を含んだデバイスモジュールを含む、カテーテル処置用ロボット駆動システムである。アダプタは、経路を貫通形成してあるアダプタ胴体を含む。アダプタ胴体は、アダプタ胴体の第1の端部に開口を有するキャビティを画定する受容部を含む。トルカーはアダプタのキャビティ内に受容される。アダプタの受容部は、トルカーをアダプタ胴体に保持する係合部材を含む。トルカーの一部は、アダプタ胴体の長手方向軸の方向及び該長手方向軸の周りに、アダプタ胴体と共に可動である。アダプタ胴体は、アダプタ胴体及びトルカをアダプタの長手方向軸の周りに回転させる駆動部材に接続されて動作する被駆動部材を含む。
【0010】
一態様において、カテーテル処置用のロボット駆動システムにトルカーを保持する方法であって、駆動部材を含むデバイスモジュールを提供することを含む。さらに、本方法は、アダプタ胴体を含んだアダプタを提供することを含み、アダプタ胴体は、貫通延伸した経路を有すると共に、アダプタ胴体の第1の端部に開口を有するキャビティを画定する受容部を有する。さらに、本方法は、アダプタ胴体の第1の端部の開口を通してアダプタのキャビティ内にトルカーのナットを挿入することにより、アダプタにトルカーを取り付けることを含み、このときに、トルカーの一部はアダプタの外側に位置し、ナットは、アダプタ胴体に固定され、そして、アダプタ胴体の長手方向軸の方向及び該長手方向軸の周りに、アダプタ胴体と共に可動である。さらに、本方法は、トルカー内に細長い医療デバイスを保持して経路を通し延伸させ、細長い医療デバイス、アダプタ、及びトルカーをデバイスモジュール内に配置することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例に係る、カテーテル処置システムの概略図。
図2】実施例に係る、カテーテル処置システムの概略ブロック図。
図3】実施例に係る、カテーテル処置システムのベッドサイドシステムを例示する
図4】アダプタとトルカーの斜視図。
図5図4のアダプタとトルカーの分解図。
図6】非把持(解放)状態にある図4のアダプタとトルカーの軸方向断面図。
図7】把持状態にある図4のアダプタとトルカーの軸方向断面図。
図8図6のライン8-8に沿って切り取ったアダプタとトルカの横断面図。
図9】使用状態にあるデバイスモジュールと、アダプタ及びトルカーの斜視図。
図10】デバイスモジュールと、アダプタ及びトルカーの分解図。
図11】使用状態にあるデバイスモジュールと、アダプタ及びトルカーの平面図。
図12】アダプタとトルカーの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施例に係る図1は、カテーテル式処置システム10の一例を示した斜視図である。カテーテル式処置システム10は、カテーテル式医療処置、例えば、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)(例えば、STEMIを治療するため)などの経皮的インターベンション処置、神経血管インターベンション処置(NVI)(例えば、緊急の大血管閉塞(ELVO)を治療するため)、末梢血管インターベンション処置(PVI)(例えば、重症下肢虚血(CLI)のため)などを実施するために使用される。カテーテル式医療処置には、患者の疾患診断を補助するために1つ以上のカテーテルや他の細長い医療デバイス(EMD)を使用する診断カテーテル法処置が含まれる。例えば、カテーテル式診断処置の一実施例では、造影剤をカテーテルを通して1つ以上の動脈に注入し、患者の脈管系の画像を取得する。カテーテル式医療処置には、カテーテル(又は他のEMD)を用いて疾患を治療するカテーテル式治療処置(例えば、血管形成術、ステント留置、末梢血管疾患の治療、血栓除去、動脈静脈奇形治療、動脈瘤の治療など)も含まれる。治療処置は、例えば、血管内超音波(IVUS)、光干渉断層計(OCT)、血流予備量比(FFR)などの補助デバイス54(図2に示す)を含めることによって強化することができる。しかしながら、当分野で通常の知識を有する者であれば、実施されるべき処置の種類に基づいて特定の経皮的インターベンションデバイス又はコンポーネント(例えば、ガイドワイヤのタイプ、カテーテルのタイプなど)を選択可能である、と認識するのは当然である。カテーテル式処置システム10は、処置で使用される専用の経皮的インターベンションデバイスをわずかな調節で収容でき、あらゆるカテーテル式医療処置を実行することができる。
【0013】
カテーテル式処置システム10は、複数ある要素の中でも特に、ベッドサイドユニット20及び制御ステーション26を含む。ベッドサイドユニット20は、ロボット駆動装置24と、患者12の脇に位置する位置決めシステム22と、を備える。患者12は、患者テーブル18上に寝かされている。位置決めシステム22は、ロボット駆動装置24を位置決めし支持するために使用される。位置決めシステム22は、例えば、ロボットアーム、関節式アーム、ホルダーなどである。位置決めシステム22は、一端で、例えば患者テーブル18のレール、ベース、又はカートに取り付けることができる。位置決めシステム22の他端に、ロボット駆動装置24が取り付けられる。位置決めシステム22は(ロボット駆動装置24と共に)、患者12を患者テーブル18に寝かせるために、退避させることができる。患者テーブル18上に患者12を寝かせた後、位置決めシステム22を使用して、処置のためにロボット駆動装置24を患者12に対して位置決め(固定)する。一実施例において、患者テーブル18は、床及び/又は地面に据え付けられている台座17に支持され作動する。患者台18は、台座17に対して、多自由度、例えば、ロール、ピッチ、ヨー、で動作させることができる。ベッドサイドユニット20は、制御機器及びディスプレイ46(図2に示す)も含み得る。例えば、制御機器及びディスプレイは、ロボット駆動装置24のハウジングに配置することができる。
【0014】
一般に、ロボット駆動装置24は、適切な経皮的インターベンションデバイス及び付属機器48(図2に示す)(例えば、ガイドワイヤ、バルーンカテーテルを含む各種カテーテル、ステントデリバリーシステム、ステント回収器、塞栓形成コイル、液体塞栓、吸引ポンプ、造影剤や薬剤の送入デバイス、止血弁アダプタ、シリンジ、ストップコック、膨張デバイスなど)を備えていて、操作者(ユーザ)11が、制御ステーション26に配置された制御機器及び入力機器などの各種制御機器を操作することによって、ロボットシステムを利用してカテーテル式医療処置を実施できるようにしている。ベッドサイドユニット20、特にロボット駆動装置24は、ここに記載する機能をベッドサイドユニット20に付与するためのあらゆるコンポーネント及び/又はその組み合わせを含み得る。制御ステーション26の操作者11を、制御ステーション操作者(ユーザ)と呼び、ここでは操作者(ユーザ)を指す。ベッドサイドユニット20の操作者(ユーザ)は、ベッドサイドユニット操作者(ユーザ)と呼ぶ。ロボット駆動装置24は、レール又は直線部材60(図3に示す)に取り付けられた複数のデバイスモジュール32a-dを備える。レール又は直線部材60は、デバイスモジュールを案内し支持する。デバイスモジュール32a-dの各々を用いて、カテーテル又はガイドワイヤなどのEMDを駆動することができる。例えば、ロボット駆動装置24を用いて、診断カテーテルの中に、そして患者12の動脈の中のガイドカテーテルの中に、ガイドワイヤを自動的に送り込むことができる。EMDなど、1つ以上のデバイスは、例えばイントロデューサシースを介して、挿入点16から患者12の体内(例えば血管)に入る。
【0015】
ベッドサイドユニット20は制御ステーション26と通信し、制御ステーション26は、制御ステーション26のユーザ入力によって生成される信号をベッドサイドユニット20へ無線又は有線で送信してベッドサイドユニット20の様々な機能を制御することを可能にする。後述するように、制御ステーション26は、制御コンピューティングシステム34(図2に示す)を含むか、又は制御コンピューティングシステム34を介してベッドサイドユニット20と接続される。ベッドサイドユニット20は、制御ステーション26又は制御コンピューティングシステム34、あるいはその両方に、フィードバック信号(例えば、装填、速度、動作条件、警告信号、エラーコードなど)を提供することもできる。制御コンピューティングシステム34とカテーテル式処置システム10の各コンポーネントとの間の通信は、無線接続、有線接続、又はコンポーネント間の通信を可能にする他のあらゆる手段とし得る通信リンクを介して、提供される。制御ステーション26又は他の類似の制御システムは、ローカルサイト(例えば、図2中のローカル制御ステーション38)又はリモートサイト(例えば、図2中のリモート制御ステーション及びコンピューティングシステム42)のいずれかに位置する。カテーテル処置システム10は、ローカルサイトの制御ステーション又はリモートサイトの制御ステーション、あるいは同時にローカル制御ステーションとリモート制御ステーションの両方によって、操作することができる。ローカルサイトにおいて、操作者11及び制御ステーション26は、患者12及びベッドサイドユニット20と同じ部屋又は隣の部屋に位置する。ここで使用する場合のローカルサイトは、ベッドサイドユニット20と患者12又は被験体(例えば、動物又は死体)の場所であり、リモートサイトは、ベッドサイドユニット20を遠隔制御するために使用される制御ステーション26と操作者11の場所である。リモートサイトの制御ステーション26(及び制御コンピューティングシステム)とローカルサイトのベッドサイドユニット20及び/又は制御コンピューティングシステムは、例えばインターネットを介し、通信システム及びサービス36(図2に示す)で通信する。一実施例において、リモートサイトとローカル(患者)サイトは、互いに離れており、例えば、同じ建物内の別々の部屋、同じ都市内の別々の建物、別々の都市、又は、その他の、リモートサイトがローカルサイトのベッドサイドユニット20及び/又は患者12に対する物理的アクセスをもたない別々の場所、にある。
【0016】
制御ステーション26は、通例、カテーテル式処置システム10の各コンポーネント又はシステムを操作するためのユーザ入力を受信するように構成された1つ以上の入力モジュール28を含む。ここに示す実施例の場合、制御ステーション26は、操作者11がベッドサイドユニット20を制御してカテーテル式医療処置を行えるようにする。例えば、入力モジュール28は、ロボット駆動装置24と連動する経皮的インターベンションデバイス(例えば、EMD)を用いて各種のタスクをベッドサイドユニット20に行わせるように構成される(例えば、ガイドワイヤを前進、後退又は回転させる、カテーテルを前進、後退又は回転させる、カテーテルで配置したバルーンを膨張又は収縮させる、ステントを配置及び/又は展開させる、ステント回収器を配置及び/又は展開させる、コイルを配置及び/又は展開させる、造影剤をカテーテルへ注入する、カテーテルへ液体塞栓を注入する、カテーテルへ薬剤又は生理食塩水を注入する、カテーテルで吸引する、又は、カテーテル式医療処置の一部として実施され得るその他の機能を実施するなど)。ロボット駆動装置24は、経皮的インターベンションデバイスを含むベッドサイドユニット20のコンポーネントを動作(例えば、軸方向動作及び回転動作)させるための各種駆動機構を含む。
【0017】
一実施例において、入力モジュール28は、1つ以上のタッチスクリーン、ジョイスティック、スクロールホイール、及び/又はボタンを含む。入力モジュール28に加えて、制御ステーション26は、フットスイッチや、音声命令用のマイクロフォンなど、追加のユーザ制御機器44(図2に示す)を使用することができる。入力モジュール28は、各種のコンポーネントと、例えばガイドワイヤ及び1つ以上のカテーテル又はマイクロカテーテルなどの各種の経皮的インターベンションデバイスと、を前進、後退、又は回転させるように構成される。ボタンは、例えば、緊急停止ボタン、倍率ボタン、デバイス選択ボタン、及び自動作動ボタンを含む。非常停止ボタンが押されると、ベッドサイドユニット20に対し動力(例えば、電力)が遮断又は除去される。速度制御モードにあるとき、倍率ボタンは、入力モジュール28の操作に応答して関連コンポーネントが動く速度を増加又は減少させるように作用する。位置制御モードにあるとき、倍率ボタンは、入力距離と出力指令距離との間のマッピングを変更する。デバイス選択ボタンは、ロボット駆動装置24に装填されている経皮的インターベンションデバイスのどれを入力モジュール28によって制御するかを、操作者11が選択できるようにする。自動作動ボタンは、カテーテル式処置システム10が操作者11から直接命令を受けずに経皮的インターベンションデバイスで実行することができるアルゴリズムによる動作を実行するために、使用される。一実施例において、入力モジュール28は、タッチスクリーン(ディスプレイ30の一部である場合とそうでない場合がある)に表示される1つ以上のコントローラ又はアイコン(図示せず)を含み、これらは、アクティブになると、カテーテル式処置システム10のコンポーネントを作動させる。入力モジュール28はまた、バルーンを膨張又は収縮させ、及び/又はステントを展開させるように構成されたバルーン又はステント制御器を含むことができる。入力モジュール28の各々は、1つ以上のボタン、スクロールホイール、ジョイスティック、タッチスクリーンなどを含み、これらは、1つ以上の特定のコンポーネントを専用制御するために使用され得る。さらに、1つ以上のタッチスクリーンが、入力モジュール28の各部分又はカテーテル式処置システム10の各コンポーネントに関連した1つ以上のアイコン(図示せず)を表示する。
【0018】
制御ステーション26は、ディスプレイ30を含む。一実施例において、制御ステーション26は、2つ以上のディスプレイ30を含むこともできる。ディスプレイ30は、制御ステーション26に位置する操作者11に情報又は患者特有のデータを表示するように構成される。例えば、ディスプレイ30は、画像データ(例えば、X線画像、MRI画像、CT画像、超音波画像など)、血行動態データ(例えば、血圧、心拍数など)、患者カルテ情報(例えば、病歴、年齢、体重など)、病変又は治療評価データ(例えば、IVUS、OCT、FFRなど)を表示するように構成することができる。さらに、ディスプレイ30は、処置特有の情報(例えば、処置チェックリスト、勧告(提言)、処置の期間、カテーテル又はガイドワイヤの位置、送り込まれた薬剤又は造影剤の量など)を表示するようにも構成される。また、ディスプレイ30は、制御コンピューティングシステム34(図2に示す)に関連した機能を提供するための情報を表示するように構成されていてもよい。ディスプレイ30は、システムのユーザ入力機能の一部を提供するためのタッチスクリーン機能を有する場合もある。
【0019】
カテーテル式処置システム10は、撮像システム14も含む。撮像システム14は、カテーテル式医療処置と併せて使用され得る医用撮像システム(例えば、非デジタルX線、デジタルX線、CT、MRI、超音波など)のいずれであってもよい。一実施例において、撮像システム14は、制御ステーション26と通信するデジタルX線撮像装置である。一実施例において、撮像システム14は、患者12に対する様々な角度位置の画像(例えば、矢状面像、尾面像、前後面像など)を得るために、患者12の周囲を撮像システム14が部分的又は完全に回転することを可能にするCアーム(図1に示す)を含む。一実施例において、撮像システム14は、X線源13と、イメージインテンシファイアとしても知られる検出器15と、を有するCアームを含んだ透視システムである。
【0020】
撮像システム14は、処置中に患者12の適切な領域のX線画像を撮像するように構成される。例えば、撮像システム14は、神経血管状態を診断するために、頭部の1つ以上のX線画像を撮像するように構成することができる。撮像システム14は、カテーテル式医療処置中に1つ以上のX線画像(例えば、リアルタイム画像)を撮像して、ガイドワイヤ、ガイドカテーテル、マイクロカテーテル、ステント回収器、コイル、ステント、バルーンなどを処置中に適切に位置決めするために、制御ステーション26の操作者11を補助するように構成することもできる。1つ以上の画像がディスプレイ30に表示される。例えば、画像をディスプレイ30に表示し、操作者11がガイドカテーテル又はガイドワイヤを適切な位置へ正確に移動させることができるようにする。
【0021】
方向を明確にするために、直交座標系をX,Y,Z軸で提示してある。正のX軸は、長手方向(軸方向)の遠位方向、すなわち、近位端から遠位端への方向、別の言い方をすれば近位から遠位の方向、に向いている。Y軸とZ軸は、X軸に対する横断面内にあり、正のZ軸が上向きで、つまり重力の反対方向であり、Y軸は、右手の法則によって自動的に決まる。
【0022】
一実施例に係る図2は、カテーテル式処置システム10のブロック図である。カテーテル処置システム10は、制御コンピューティングシステム34を含む。制御コンピューティングシステム34は、物理的に、例えば制御ステーション26(図1に示す)の一部であり得る。制御コンピューティングシステム34は、通例、ここに説明する各機能を備えたカテーテル式処置システム10を提供するのに適した電子制御ユニットである。例えば、制御コンピューティングシステム34は、埋め込みシステム、専用回路、ここに説明する機能をプログラムした汎用システムなどである。制御コンピューティングシステム34は、ベッドサイドユニット20、通信システム及びサービス36(例えば、インターネット、ファイアウォール、クラウドサービス、セッションマネージャ、病院ネットワークなど)、ローカル制御ステーション38、追加の通信システム40(例えば、テレプレゼンスシステム)、リモート制御ステーション及びコンピューティングシステム42、及び患者センサ56(例えば、心電図(ECG)デバイス、脳波(EEG)デバイス、血圧モニタ、温度モニタ、心拍モニタ、呼吸モニタなど)と通信する。制御コンピューティングシステムは、撮像システム14、患者テーブル18、追加の医療システム50、造影剤注入システム52、及び補助デバイス54(例えば、IVUS、OCT、FFRなど)とも通信する。ベッドサイドユニット20は、ロボット駆動装置24と位置決めシステム22とを含み、追加の制御機器及びディスプレイ46を含むこともできる。上述のように、追加の制御機器及びディスプレイは、ロボット駆動装置24のハウジングに配置することができる。インターベンションデバイス及び付属機器48(例えば、ガイドワイヤ、カテーテルなど)は、ベッドサイドシステム20と接続される。一実施例において、インターベンションデバイス及び付属機器48は、それぞれの補助デバイス54、すなわちIVUSシステム、OCTシステム、FFRシステムなどと、接続する専用のデバイス(例えば、IVUSカテーテル、OCTカテーテル、FFRワイヤ、造影用診断カテーテルなど)を含む。
【0023】
一実施例において、制御コンピューティングシステム34は、(例えば、ローカル制御ステーション38又はリモート制御ステーション42などの制御ステーション26(図1に示す)の)入力モジュール28とのユーザ相互作用に基づいた制御信号及び/又はカテーテル式処置システム10を用いて医療処置を実行するべく制御コンピューティングシステム34を制御するためにアクセス可能な情報に基づいた制御信号を生成するように構成されている。ローカル制御ステーション38は、1つ以上のディスプレイ30、1つ以上の入力モジュール28、及び追加のユーザ制御機器44を含む。リモート制御ステーション及びコンピューティングシステム42は、ローカル制御ステーション38と同様のコンポーネントを含み得る。リモート制御ステーション42及びローカル制御ステーション38は、それぞれに要求される機能に応じてあつらえた異なったものとすることができる。追加のユーザ制御機器44は、例えば、1つ以上の足入力コントローラを含む。足入力コントローラは、X線をオン/オフする、複数の保存画像をスクロールするなどの撮像システム14の機能を操作者が選択することを可能にするように、構成することができる。一実施例において、足入力デバイスは、入力モジュール28に含まれるスクロールホイールにマップされるデバイスを操作者が選択できるように構成することができる。追加の通信システム40(例えば、音声会話、ビデオ会話、テレプレゼンスなど)は、オペレータが患者、医療スタッフ(例えば、血管造影(angio suite)スタッフ)、及び/又はベッドサイド近くの機器とコミュニケーションを取るための支援に採用され得る。
【0024】
カテーテル式処置システム10は、明示していないあらゆる他のシステム及び/又はデバイスを含むように接続又は構成することができる。例えば、カテーテル式処置システム10は、画像処理エンジン、データ保存及びアーカイブシステム、自動バルーン及び/又はステント膨張システム、薬剤注入システム、薬剤追跡及び/又はログシステム、ユーザログ、暗号化システム、カテーテル式処置システム10のアクセス又は使用を制限するシステムなどを、含むことができる。
【0025】
上述したように、制御コンピューティングシステム34は、ロボット駆動装置24及び位置決めシステム22を含み且つ追加の制御機器及びディスプレイ46を含み得るベッドサイドユニット20と通信し、モータを動作制御し、経皮的インターベンションデバイス(例えば、ガイドワイヤ、カテーテルなど)を駆動するべく使用される機構を駆動するために、ベッドサイドユニット20へ制御信号を提供する。各駆動機構は、ロボット駆動装置24の一部として設けることができる。実施例に係る図3は、カテーテル式処置システム10のロボット駆動装置の斜視図である。図3において、ロボット駆動装置24は、直線部材60に連結された複数のデバイスモジュール32a-dを含む。デバイスモジュール32a-dのそれぞれは、直線部材60に移動可能に取り付けられたステージ62a-dを介して直線部材60に連結される。一つ一つのデバイスモジュール32a-dは、オフセットブラケット78a-dのようなコネクタを用いてステージ62a-dと接続される。一実施例において、デバイスモジュール32a-dは、ステージ62a-dに直接取り付けられる。各ステージ62a-dは、直線部材60に沿って直線的に移動するように独立して動作させることができる。したがって、各ステージ62a-d(及びステージ62a-dに連結された対応するデバイスモジュール32a-d)は、互いに対し及び直線部材60に対し、それぞれ個別に動作させることができる。各ステージ62a-dを作動させるために駆動機構が使用される。図3に示す実施例において、駆動機構は、各ステージ62a-dに連結された個別のステージ並進モータ64a-dとステージ駆動機構76とを有しているか、又は、ステージ並進モータ64a-d自体をリニアモータとして有することができる。ステージ駆動機構76は、例えば、回転ナットを介した送りねじ、ピニオンを介したラック、ピニオン又はプーリを介したベルト、スプロケットを介したチェーンである。一実施例では、ステージ駆動機構76は、これらの機構の組み合わせである。例えば、ステージ62a-dのそれぞれで、異なるタイプのステージ駆動機構を採用することができる。ステージ駆動機構が送りねじ及び回転ナットである実施例の場合、送りねじを回転させ、送りねじに対し各ステージ62a-dを係合させ及び係合解除させ、例えば前進又は後退させるなど、動作させる。図3に図示の実施例において、ステージ62a-d及びデバイスモジュール32a-dは、縦列駆動構造になっている。
【0026】
各デバイスモジュール32a-dは、駆動モジュール68a-dと、駆動モジュール68a-dに搭載され連結されたカセット66a-dと、を含む。図3に図示の実施例において、カセット66a-dの各々は、カセット66a-dを上下方向の下に向けて駆動モジュール66a-d上へ降ろすことにより、カセット66a-dが駆動モジュール68a-dに装着される向きで、駆動モジュール68a-dに装着される。カセット66a-dの上面(又は側面)は、カセット66a-dが駆動モジュール68a-dに装着されると、駆動モジュール68a-dの上面(又は側面)(すなわち、装着面)と平行である。ここで使用する場合、図3に示す装着したときの方向を水平方向と呼ぶ。他の実施例において、各カセット66a-dは、他の装着方向で駆動モジュール68a-dに取り付けられてもよい。図7図10に関して、種々の装着方向を以下に開示する。各カセット66a-dは、EMD(図示せず)の近位部と接続し支持するように構成されている。さらに、各カセット66a-dは、対応するステージ62a-dの作動で直線部材60に沿って直線的に移動することにより提供される直線動作に加えて、1つ以上の自由度を提供する要素を含むことができる。例えば、カセット66a-dは、駆動モジュール68a-dに連結されたカセットにおいてEMDを回転させるために使用される要素を、含むことができる。各駆動モジュール68a-dは、各カセット66a-d内の機構に駆動インターフェースを提供して自由度を追加するために、少なくとも1つのカプラを含む。また、各カセット66a-dは、デバイス支持体79a-dが配置されるチャンネルを含み、各デバイス支持体79a-dは、EMDの座屈を防止するために使用される。デバイスモジュール32a,32b,32cのそれぞれに支持アーム77a,77b,77cを取り付け、デバイスサポート79b,79c,79dの近位端をそれぞれ支持する固定点を設ける。ロボット駆動装置24は、デバイス支持体79、遠位支持アーム70、及び支持アーム77に接続されたデバイス支持接続部72も含む。支持アーム77は、最も遠位のデバイスモジュール32aに収容された最も遠位のデバイス支持体79aの近位端を支持する固定点を提供するために使用される。さらに、イントロデューサインターフェース支持体(リダイレクタ)74を、デバイス支持接続部72及びEMD(例えば、イントロデューサシース)に接続することができる。このロボット駆動装置24の構成は、単一の直線部材におけるアクチュエータの使用で、ロボット駆動装置24の体積及び重量を減少させることができる、という利点を有する。
【0027】
患者の病原体感染を防ぐために、ヘルスケアスタッフは、ベッドサイドユニット20と患者12又は被験体(図1に示す)が収容されている部屋で無菌技術を用いる。ベッドサイドユニット20と患者12を収容する部屋は、例えば、カテーテルラボ又はアンギオスイートである。無菌技術は、滅菌バリア、滅菌器具、適切な患者準備、環境管理、及び接触ガイドラインを使用することからなる。すなわち、すべてのEMD及びインターベンション付属品が滅菌され、滅菌バリアか滅菌器具のいずれかとのみ接触が許される。一実施例において、滅菌ドレープ(図示せず)を非滅菌ロボット駆動装置24を覆って配置する。各カセット66a-dは滅菌され、ドレープ付きロボット駆動装置24と少なくとも1つのEMDとの間の滅菌インターフェースとして機能する。各カセット66a-dは、1回の使用を目的として滅菌できるように設計されるか、カセット66a-d又はそのコンポーネントを複数の処置で使用できるように全部又は一部を再滅菌できるように設計される。
【0028】
「座屈」は、軸方向に圧縮を受けている可撓性のEMDが、長手方向軸から逸れて又は前進中の目標経路から逸れて意図せず曲がるような、可撓性EMDの傾向を指す。一実施例において、軸方向の圧縮は、脈管系内ナビゲーションに起因する抵抗に応じて起こる。EMDが座屈するまでに支持無しでEMDを長手方向軸に沿って駆動できる距離を、ここではデバイス座屈距離と呼ぶ。デバイス座屈距離は、デバイスの剛性、形状(直径を含むがこれに限定されない)、及びEMDに加えられる力、に関係する。座屈により、目標経路とは違う弓状部分をEMDが形作ってしまう可能性がある。「よじれ」は、EMDの変形が非弾性で直せない歪みを生じた場合の座屈の一例である。
【0029】
「デバイスモジュール」は、駆動モジュールとカセットの組み合わせを意味する。
【0030】
部材(カテーテル式処置システムのEMD又は他の要素)の「長手方向軸(縦軸、長手軸)」は、部材の近位部分から部材の遠位部分へ向かう方向に部材の横断面の中心を通過する部材の全長に延びる線又は軸である。例えば、ガイドワイヤの長手方向軸は、ガイドワイヤが関連する部分において非直線であろうとも、ガイドワイヤの近位部分からガイドワイヤの遠位部分へ向かう方向の中心軸である。
【0031】
「操作者(ユーザ)」は、制御ステーションの操作者(ユーザ)を指す。「操作者又はユーザ」は、制御ステーション操作者又は制御ステーションユーザとも言う。
【0032】
「カセット」は、広く言って、駆動モジュールと少なくとも1つのEMDとの間の(直接)又はデバイスアダプタを介した(間接)通常は滅菌インターフェースである、ロボット駆動システムの部分(主要部ではない、消耗品の、又は滅菌可能なユニット)を意味する。
【0033】
部材の「軸方向動作」は、部材の長手方向軸に沿った部材の並進(平行移動)を意味する。「軸方向挿入」は、第1の部材を、第2の部材の長手方向軸に沿って第2部材へ挿入することを意味する。「トルカー」は、EMDの一部を解放可能に固定することのできるコレットなどのデバイスを意味する。ここで使う「固定」は、操作中にコレットとEMDとが意図的に相対動しないことを意味する。「遠位」と「近位」は、2つの別部分の相対的位置を定義する。ロボット駆動装置に関して言えば、「遠位」及び「近位」は、患者に対する使用目的に応じたロボット駆動装置の配置によって定義される。
【0034】
相対的位置を定義するために使用される場合、遠位部分は、ロボット駆動装置が使用目的の配置にあるときの近位部分よりも患者に近いところのロボット駆動装置の部分である。患者の体内では、アクセスポイントからの経路に沿ってより遠くにある脈管系ランドマークが、アクセスポイントに近いランドマークよりも遠位であると見なされる。アクセスポイントはEMDを患者に入れるポイントである。同様に、近位部分は、ロボット駆動装置が使用目的の配置にあるときの遠位部分よりも患者から遠いところの部分である。方向を定義するために使用される場合、遠位方向は、ロボット駆動が使用目的の配置にあるときの、何かが動いている又は何かが動いていく先の経路、又は、何かが近位部分から遠位部分及び/又は患者の方を目指す又は向いている経路を指す。近位方向は遠位方向の反対方向である。
【0035】
「細長い医療デバイス(EMD)」は、カテーテル(ガイドカテーテル、マイクロカテーテル、バルーン/ステントカテーテルなど)、ワイヤ式デバイス(ガイドワイヤ、塞栓コイル、ステント回収器など)、及び、これらの組み合せを有するデバイスを指す(ただしこれらに限定されない)。
【0036】
「固定」は、操作中に、第2の部材に対して第1の部材の意図的な相対動作が無いことを意味する。
【0037】
部材の「回転動作」は、部材の局所的長手方向軸の周りの部材の角度方向変化を意味する。
【0038】
「ピンチ(つまむ)」は、部材が動くときにEMDと部材が一緒に動くように、EMDを部材に解放可能に固定することを意味する。部材の回転動作は、ピンチされた状態のEMDを回転動作させることになる。「アンピンチ(解放)」は、部材が動くときにEMDと部材とが個々に動くように、部材からEMDを解放することを意味する。アンピンチされたEMDは、部材に対して移動/回転することができる。
【0039】
「コレット」は、EMDの一部を解放可能に固定することができるデバイスを意味する。ここでの「固定」は、操作中、コレットとEMDの意図的な相対動作が無いことを意味する。
【0040】
「トルカー」は、ガイドワイヤなどのEMDの一部を解放可能にピンチし、アンピンチするデバイスを意味する。「トルカー」は、EMDを回転させ及び/又はEMDを並進させるために使用されるデバイスを示すために、カテーテル処置の医療専門家によって使用される一般的に受け入れられている用語である。トルカーは、コレット又はピンバイスとしても広く知られている。ここに開示するトルカーは、生体外(ex vivo)で使用され、患者の体外でEMDの一部をピンチするものである。
【0041】
図4図6を参照すると、アダプタ100がトルカー102と係合している。アダプタ100は、経路106を有するアダプタ胴体104を含む。アダプタ胴体104は受容部108を含み、受容部108は、アダプタ胴体104の第1の端部114に開口112を有するキャビティ110を画定する。トルカー102は、開口112を通してキャビティ110内に受け入れられる。受容部108は、トルカー102をアダプタ胴体104に保持する係合機構116を含む。トルカー102は、アダプタ胴体104の長手方向軸118の方向に及び長手方向軸118の周りに、アダプタ胴体104と共に可動である。一実施例において、係合機構116は1つの係合部材を含み、又は、一実施例において、2つ以上の係合部材を含む。受容部108は、トルカー102の少なくとも一部がアダプタ100から独立して回転しないように、回転防止機能を含んでいる。以下に、回転防止機能について説明する。図8を参照すると、一実施例において、3つの係合部材116a,116b,116cがある。一実施例において、受容部は、トルカーを係合する他の機構を含んでいてもよい。一実施例において、トルカーの一部は、圧入、超音波、加熱、振動溶接、接着、又は当技術分野で周知の機構によって、アダプタに組み付けることもできる。
【0042】
トルカー102は、トルカー胴体120と、トルカー胴体120に対して回転可能なナット122とを含む。ナット122の回転によりEMDが把持及び/又は解放され、EMDがトルカー102に対して固定される。把持状態において、トルカーの長手方向軸に沿った軸方向動作及び/又は長手方向軸の周りの回転動作が、EMDの対応する軸方向動作及び/又は回転動作を生じさせる。一実施例において、トルカー102は、GLIDEWIRE(登録商標)TORQUE(商標)Deviceなどのような既製(shelf)デバイスである。一実施例において、トルカー102は、MERIT(登録商標)Torque DeviceやMeritMAP500の商品名でMerit Medical社が販売するトルクデバイスである。他にも、既製のトルカーを使用してもよい。一実施例において、既製トルカーを手動で又はロボットシステム内で使用することができる。一実施例において、トルカー102は、アダプタに接続されるナットがアダプタの長手方向軸の方向に並進し、また長手方向軸の周りを回転するように設計された、特殊なトルカーである。一実施例において、トルカーのナットは、被駆動部材、グリップ部を有するアダプタと一体的に形成される。一実施例において、一体型ナットを有するアダプタは、ここに説明するような延伸部材部も含む。アダプタ及び一体型ナットは、EMDがトルカーに固定されない非把持状態からEMDがトルカに固定される把持状態まで少なくとも1つの顎部を動作させるように、トルカー胴体に接続されて回転可能である。
【0043】
一実施例において、ナット122は、受容部108のキャビティ110にスナップフィット(締り嵌め)される。「スナップフィット」は、可撓性部品(通常はプラスチック)を組み付ける組み立て方法で、部品の連結コンポーネントを互いに押し付けて最終製品を形成する。スナップフィットには、片持ち梁型、ねじり型、環状型など多くのバリエーションがある。スナップフィットは、一体型組み付け機能として、爪やねじを用いた組み立ての代替法であり、早さの点、緩んだ部分がない点で、利点がある。係合部材116は、トルカー102をアダプタ100と固定係合するためにナット122の近位部分126と係合するタブ124を有するレバーを画定する片持ち梁設計のスナップフィットである。近位部分126は、長手方向軸118に対して実質的に直交する輪郭を有する既製形態とすることができる。近位部分126は、タブ124を受ける凹部でもあり得る。ナット122が長手方向軸118に沿った方向でキャビティ110の中へ移動すると、係合部材116は、タブ124が近位部分126と係合自在となってそれにより係合部材116が長手方向軸118に向かって半径方向に移動することができるようになるまで、長手方向軸118から半径方向に離れるように動く。一実施例において、ナット122は、受容部によって画定されるスロット130内に受け入れられる少なくとも1つの部材128を含み、アダプタ100に対する長手方向軸118の周りのナット122の独立回転が防止される。別の言い方をすれば、係合部材116は、ナット122を越えてスナップフィットする自由端を有する少なくとも1つのタブ124を含む。一実施例において、係合部材116は、アダプタ胴体104と一体的に形成される。スロット130は、1つの係合部材116と第2の(別の)部材117との間の間隙として画定される。図5を参照すると、一実施例において、係合部材は、3つの別々の部材116と、間隔を置いた3つの隔離配置部材117とを含み、隣り合った部材116の間に隔離配置部材117がそれぞれある。
【0044】
一実施例において、トルカーのナット122は、係合部材116の一部及び/又はナット122の一部を損傷することなく、アダプタ胴体から取り外し可能である。一実施例において、トルカーのナット122は、係合部材116の一部及び/又はナット122の一部を損傷することなくアダプタ胴体から取り外せない。
【0045】
図7を参照すると、アダプタ胴体104は、受容部108及びキャビティ110の開口112から離れる方向で、アダプタ胴体104の長手方向軸118に沿って延在する、グリップ部分132を含む。一実施例において、アダプタ胴体104は、グリップ部132と開口112との間に、グリップ部の外径が受容部の外径よりも小さくなるように傾斜した遷移部を備えている。
【0046】
図6及び図7を参照すると、トルカー102は、トルカーがアダプタ胴体104にスナップフィットされると、EMDを把持して固定する把持位置へ移動させることができる。ナット122は、トルカー胴体120に対してアダプタ100のグリップ部132を回転させることにより、トルカー胴体120に対して回転し、それにより、トルカー102の第1の顎部134と第2の顎部136とでEMDが把持される。
【0047】
一実施例において、アダプタ100は、被駆動部材138を含む。一実施例において、被駆動部材138は、ロボットシステム10などのロボットシステムにおける駆動ギアと噛み合うベベルギアである。一実施例において、被駆動部材138は、アダプタ胴体104と一体的に形成される。一実施例において、被駆動部材138は、グリップ部132と受容部108の開口112との間にある。
【0048】
一実施例において、アダプタ100は、キャビティ110の開口112から離れる方向へグリップ部132から延びる延伸部材部140を含む。この延伸部材の部分は、トルカー102と支持トラックとの間のEMDに対して座屈防止の支持を提供する。延伸部材部140は、アダプタ胴体104の一部であり、第1の端部114とは反対のアダプタ100の第2の端部を画定する自由端142を有する。一実施例において、グリップ部132の外径144は、延伸部材部140の外径146よりも大きい。
【0049】
図9図10、及び図11を参照すると、カテーテル式処置システムの駆動部材150を有するデバイスモジュール148内に、アダプタ100とトルカー102が配置されている。アダプタ100及びトルカー102は、キャビティ110内のトルカー102のナット122による係合状態にある。デバイスモジュール148は、図1図3に関連して説明したデバイスモジュール32の一実施例であり、カテーテル処置システム10で使用することができる。上述のように、アダプタ100はアダプタ胴体104を含み、アダプタ胴体104は、貫通形成された経路106と受容部108とを有し、受容部108は、アダプタ胴体104の第1の端部114に開口112を有するキャビティ110を画定する。アダプタ胴体の第1の端部114は、アダプタ胴体104の近位端である。受容部108は、トルカー102をアダプタ胴体104に固定する係合部材116を含む。トルカー102が係合位置にあると、トルカー102は、アダプタ胴体104と共に、アダプタ胴体104の長手方向軸118の方向に及び長手方向軸108の周りに可動である。一実施例において、アダプタがデバイスモジュール148内の使用時位置に配置されていると、アダプタ胴体104の長手方向軸118は、デバイスモジュール148の長手方向軸と同軸となる。
【0050】
アダプタ100及びトルカー102は、デバイスモジュール148での使用にあたり、上述したのと同じ特徴を有する。一実施例において、アダプタ胴体104は、デバイスモジュール軸受面154に回転可能に受け入れられる外周軸受部152を含む。デバイスモジュールの軸受面は、アダプタ100及びトルカー102の回転及びスラスト支持を提供し、これにより、デバイスモジュール自体は回転しない一方、アダプタ100及びトルカー102はデバイスモジュールの長手方向軸の周りに回転することができる。一実施例において、デバイスモジュールの軸受面は、アダプタ100及びトルカー102の軸方向の支持を提供し、アダプタ100及びトルカー102がデバイスモジュールの長手方向軸の方向には固定されているようにする。アダプタ100及びトルカー102がデバイスモジュールにおいて使用時位置にあるとき、トルカー胴体120の近位端は、ナット122及び駆動部材150の近位側に配置される。使用時位置において、アダプタ100のアダプタ胴体近位端は、トルカー胴体120の近位端より遠位に位置する。
【0051】
アダプタ100及びトルカー102がデバイスモジュール内の使用時位置にあるとき、トルカー内の顎部が把持位置と解放位置との間で可動であり、トルカー胴体に対してアダプタ胴体及びナットを一緒に回転させることによって、EMDをピンチするように作動する。アダプタ胴体にナットが固定されて回転するので、アダプタ胴体の回転でナットが共に回転する。アダプタ胴体のグリップ部をトルカー胴体に対して第1の方向に回転させることにより、トルカーの顎部は、EMDが顎部に固定されていない非把持位置からEMDが顎部に固定される把持位置に動く。このときの「固定」は、デバイスモジュールの長手方向軸の方向又はその周りの顎部の動きが、デバイスモジュールの長手方向軸の方向及び/又はその周りのEMDの対応する動きをもたらすことを意味する。
【0052】
キャビティの開口から離れる遠位方向にグリップ部から延伸する延伸部材部の遠位端は、アダプタの自由端を規定する。延伸部材部の自由端は、アダプタがデバイスモジュール内の使用時位置にあるとき、トラックの直ぐ傍に配置される。一実施例において、延伸部材部の遠位自由端は、デバイスモジュールの長手方向軸に沿ってデバイス支持体又は可撓性トラックの直ぐ傍に位置し、EMDを並進及び/又は回転させるときに延伸部材部の遠位端とトラックとの間でEMDが座屈しないようにする。一実施例において、延伸部材部の遠位自由端とデバイス支持体との間の距離は1インチ以下であり、一実施例において、0.5インチ(12.7mm)以下である。一実施例において、延伸部材部の遠位自由端は、デバイス支持体又はトラックに画定される内腔の中に位置する。一実施例において、トラックは、柔軟材料から形成され、デバイスモジュールがトラックに対して移動するときに、デバイスモジュールの長手方向軸と同軸の位置から、デバイスモジュールの長手方向軸からオフセットした位置へ移動する。一実施例において、トルカー102、アダプタ100、及びトラック156の中のEMDの部分は、直線になっている。一実施例において、直線になっているEMDの部分は、トラックを通って患者の間近へ延伸するEMDの部分も含む。
【0053】
使用中、ガイドワイヤなどのEMDは、トルカー102及びアダプタ100の経路を通って延伸する。EMDはトルカー102に固定され、デバイスモジュールの長手方向軸164の方向又は長手方向軸164の周りのトルカーの動きにより、デバイスモジュールの長手方向軸164の方向又は長手方向軸164の周りのEMDの対応する動きが生じる。一実施例において、被駆動部材と噛み合ってアダプタ100及びトルカー102とトルカー102に固定されたEMDとを回転させる駆動部材を回転させるための信号によって、トルカー102の回転はロボット制御される。一実施例において、遠位及び/又は近位の方向におけるデバイスモジュールの長手方向軸に沿ったデバイスモジュールの移動により、対応する遠位及び/又は近位の方向におけるEMDの長手方向軸に沿った移動が生じる。
【0054】
キャビティの開口から遠位方向にグリップ部から延びる延伸部材部の遠位端は、アダプタの自由端を画定する。延伸部材部の自由端は、アダプタがデバイスモジュール内の使用時位置にあるとき、デバイス支持体又は可撓性トラックの直ぐ傍に配置される。
【0055】
一実施例において、カテーテル式処置システム10などのロボット駆動システムにトルカーを保持する方法は、駆動部材150を含んだデバイスモジュール148などのデバイスモジュール32を提供することを含む。アダプタ100はアダプタ胴体104を含み、アダプタ胴体104は、貫通形成された経路106と、アダプタ胴体の第1の端部に開口を有するキャビティを画定する受容部と、を有する。トルカー102は、アダプタ胴体104の第1の端部114又は近位端部の開口112を通してアダプタ100のキャビティ110にトルカー102のナット122を挿入することによって、アダプタ100に保持される。トルカー102の一部は、アダプタ胴体104の外側に位置する。ナット122は、アダプタ胴体104に固定され、アダプタ胴体の長手方向軸の方向及び長手方向軸の周りに、アダプタ胴体104と共に可動である。一実施例において、ナットは、係合部材116によってキャビティ110にスナップフィットする。一実施例において、係合部材116は、アダプタ胴体と一体に形成され、係合部材116の自由端が、アダプタ胴体の外面の方向、長手方向軸118から半径方向に離れる方向に動き、その後に、長手方向軸118に向かって半径方向に動いて、ナット122の肩部分又は他の凹部又は爪などのトルカー胴体120の部分と係合する。
【0056】
ガイドワイヤなどの細長い医療デバイスの近位端160がトルカー胴体120の遠位開口から挿入され、ナット122の近位開口を通って外に押し出される。ガイドワイヤの近位端とガイドワイヤの遠位端との間のガイドワイヤの部分がトルカー102に固定され、当分野で通常の知識を有する者に理解できるように、トルカー胴体に対するナットの動きが細長い医療デバイスに向け少なくとも1つの顎部を動作させてトルカーに固定することを含む(ただしこれに限定されない)。ガイドワイヤがトルカーに通されれば、ガイドワイヤの近位端がアダプタ胴体の近位端を通り且つアダプタ胴体の遠位端開口を通って動かされ、ガイドワイヤの一部がアダプタ胴体に位置するように延伸する。
【0057】
一実施例において、トルカーをアダプタ内に配置し、そして細長い医療デバイスをトルカーとアダプタの両方を通して延伸させた後、アダプタ、トルカー、及び細長い医療デバイスは、デバイスモジュール内に配置される。一実施例において、トルカー及びアダプタをデバイスモジュール内に配置した後に、細長い医療デバイスをトルカー及びアダプタを通して配置することも想到される。一実施例において、EMDの遠位端をトルカーの近位端の開口に先ず挿入し、そしてトルカーを通し及びアダプタ経路を通し、EMDの遠位端をアダプタの遠位端の開口を通って延伸させることにより、EMDを前方装填又は近位から装填する。一実施例において、EMDの近位端をアダプタの遠位端の開口に先ず挿入し、そしてEMDの近位端を経路を通し及びトルカーを通して押し、EMDの近位端をトルカーの近位端の開口を通し出すことにより、EMDを後方装填する。アダプタ及びトルカーが、アダプタ及びトルカーの外面からアダプタの経路及びトルカーの内腔に至り、アダプタ及びトルカーの全長に延伸するスリットを有する、ということも、一実施例において想到される。この実施例におけるEMDは、EMDの近位端と遠位端との間のEMDの部分を、スリットを通して経路及び内腔まで通すことによって、アダプタ及び内腔に挿入することができる。
【0058】
アダプタの被駆動部材はデバイスモジュールの駆動部材と噛み合い、操作者は、被駆動部材、アダプタ、トルカー、及び細長い医療デバイスを一緒に回転させる駆動部材を回転操作することによって、細長い医療デバイスの回転動作を制御する。一実施例において、ナット122は、アダプタ100と一体的に形成される。
【0059】
図12を参照すると、別のトルカー170がアダプタ180に接続されている。一実施例において、トルカー170は、上述のMeritが販売し、MeritMAP500又はMERIT Torque Deviceとしても知られる、手動処置で使用される既製の市販トルカーである。トルカー170は、トルカー胴体172とトルカー胴体172に螺合するトルカーナット174とを含み、一対の顎部を、トルカー胴体172の長手方向軸に向かって及び長手方向軸から離れる方向に十分に動作させ、ガイドワイヤなどの細長い医療デバイスを把持し解放する。把持状態において、EMDがトルカーに固定され、EMDは、トルカーと共に、トルカーの長手方向軸に沿って及び長手方向軸の周りに軸方向及び回転方向に動作できる。トルカーナット174は、リブ176の第1の対と、リブ178の第2の対と、を含み、これらリブは、トルカーナットの外面に沿ってトルカーナット174の遠位端から近位端に向かって延伸する。アダプタ180は、アダプタ100と同様であり、受容部と係合機構とが異なる。アダプタは、グリップ部182と、グリップ部182から遠位に延出する延伸部186と、受容部184と、軸受部188と、被駆動部材190と、を有するアダプタ胴体を含む。受容部184は、トルカーナット174を受容するキャビティと、アダプタ180の近位端の開口と、を含む。キャビティと流体連通する内腔が、アダプタグリップ部182とアダプタ延伸部186を通って延伸する。組み立て状態において、トルカー170の長手方向軸は、アダプタ180の長手方向軸と同軸であり、キャビティ及び内腔と同軸である。上述のように、ガイドワイヤなどのEMDは、キャビティ及び内腔を通って延伸する。受容部は、開口に近接する自由端を有する部材192の第1の対と、開口に近接する自由端を有する係合部材196の第2の対と、を含む。第1の対の部材192の各々は、トルカーがアダプタ180に接続されたときに第1のリブ176をそれぞれ受け入れる溝194を含む。第2の対の部材196の各々は、部材196の近位自由端から間隔を置いた近位端を有するスロット198を含む。第2の対の部材196は片持ち梁を形成し、トルカーが開口を通ってアダプタ180のキャビティ内に移動する際に、部材196の自由近位端がアダプタの長手方向軸から半径方向外向きに移動する。第2のリブ178の各々の近位端200がスロット198の近位端を越えると、第2の対の部材196の近位端は、アダプタの長手方向軸に向かって戻る。このようにして、トルカー170がアダプタ180に保持される。上述のように、トルカーナット174はアダプタ180にスナップフィットし、長手方向軸の周りのアダプタ180の手動又はロボット制御による回転が、トルカー170の対応する手動又はロボット制御による回転を生じさせる。加えて、アダプタ180の軸方向の動きは、トルカー170の対応する軸方向の動きをもたらす。一実施例において、第2の対のリブ178の一部は、スロット198の近位端及びスロット198の遠位端の両方と接触する。一実施例において、アダプタ180は、アダプタ100に関して上述したように、デバイスモジュール148においてロボット制御される。他の既製のトルカーも、トルカーをアダプタに軸方向及び回転方向で固定するために、アダプタに適切な係合部材を設けることによって、アダプタに接続又は保持することができる。
【0060】
一実施例において、近位シャフトを回転させるのが好ましくないステント回収器やある種のコイルなど、ある種のEMDに使用するトルカーには、アダプタは被駆動部材を備えていない。一実施例において、アダプタは、アダプタと特定のEMDの回転を防止するためにカセット又はデバイスモジュールのストッパと係合するタブのような形態を含む。一実施例において、被駆動部材190は、トルカー胴体の外側部分のどこでも配置することができる。被駆動部材190は、平歯車、ウォームギヤ、ハイポイドギヤなどの別のタイプのギヤであってもよく、又は、ベルト駆動機構を含む駆動部材と摩擦係合する面であってもよい(これらに限定されない)。
【0061】
一実施例において、被駆動部材は、トルカー胴体の外側部分のどこでも配置することができ、及び/又は、アクチュエータ又はナットの外側部分に配置することができる。
【0062】
実施例に基づく説明で開示してきたが、当分野で通常の知識をもつ者であれば、定義された主題の思想及び範囲から逸脱することなく、形態及び細部に変更を加えることができることは、当然認識される。例えば、種々の実施例が、1つ以上の利益を提供する1つ以上の特徴を含むとして説明されているが、説明された特徴は、互いに交換することもでき、あるいは、説明された実施例において互いに又は他の代替的な実施例において、組み合わせることもできる、ということが想到される。ここに開示した技術は比較的複雑であるため、当該技術における全て変更が予見可能であるとは限らない。上記の開示は、可能な限り広範囲であることを明白に意図している。例えば、特に明記しない限り、1つの特定の要素を記述する定義は、複数の同様の特定の要素も包含する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【誤訳訂正書】
【提出日】2023-12-22
【誤訳訂正1】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0026
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0026】
各デバイスモジュール32a-dは、駆動モジュール68a-dと、駆動モジュール68a-dに搭載され連結されたカセット66a-dと、を含む。図3に図示の実施例において、カセット66a-dの各々は、上下方向の向きでカセット66a-dに装着される。他の実施例において、各カセット66a-dは、他の装着方向で駆動モジュール68a-dに取り付けられ得る。各カセット66a-dは、EMD(図示せず)の近位部と接続し支持するように構成されている。さらに、各カセット66a-dは、対応するステージ62a-dの作動で直線部材60に沿って直線的に移動することにより提供される直線動作に加えて、1つ以上の自由度を提供する要素を含むことができる。例えば、カセット66a-dは、駆動モジュール68a-dに連結されたカセットにおいてEMDを回転させるために使用される要素を、含むことができる。各駆動モジュール68a-dは、各カセット66a-d内の機構に駆動インターフェースを提供して自由度を追加するために、少なくとも1つのカプラを含む。また、各カセット66a-dは、デバイス支持体79a-dが配置されるチャンネルを含み、各デバイス支持体79a-dは、EMDの座屈を防止するために使用される。デバイスモジュール32a,32b,32cのそれぞれに支持アーム77a,77b,77cを取り付け、デバイスサポート79b,79c,79dの近位端をそれぞれ支持する固定点を設ける。ロボット駆動装置24は、デバイス支持体79、遠位支持アーム70、及び支持アーム77に接続されたデバイス支持接続部72も含む。支持アーム77は、最も遠位のデバイスモジュール32aに収容された最も遠位のデバイス支持体79aの近位端を支持する固定点を提供するために使用される。さらに、イントロデューサインターフェース支持体(リダイレクタ)74を、デバイス支持接続部72及びEMD(例えば、イントロデューサシース)に接続することができる。このロボット駆動装置24の構成は、単一の直線部材におけるアクチュエータの使用で、ロボット駆動装置24の体積及び重量を減少させることができる、という利点を有する。
【誤訳訂正2】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0049
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0049】
図9図10、及び図11を参照すると、カテーテル式処置システムの駆動部材150を有するデバイスモジュール148内に、アダプタ100とトルカー102が配置されている。アダプタ100及びトルカー102は、キャビティ110内のトルカー102のナット122による係合状態にある。デバイスモジュール148は、図1図3に関連して説明したデバイスモジュール32の一実施例であり、カテーテル処置システム10で使用することができる。上述のように、アダプタ100はアダプタ胴体104を含み、アダプタ胴体104は、貫通形成された経路106と受容部108とを有し、受容部108は、アダプタ胴体104の第1の端部114に開口112を有するキャビティ110を画定する。アダプタ胴体の第1の端部114は、アダプタ胴体104の近位端である。受容部108は、トルカー102をアダプタ胴体104に固定する係合部材116を含む。トルカー102が係合位置にあると、トルカー102は、アダプタ胴体104と共に、アダプタ胴体104の長手方向軸118の方向に及び長手方向軸118の周りに可動である。一実施例において、アダプタがデバイスモジュール148内の使用時位置に配置されていると、アダプタ胴体104の長手方向軸118は、デバイスモジュール148の長手方向軸と同軸となる。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】