(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】電気モータのロータコアを成形するためのロータコア成形方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
H02K 15/02 20060101AFI20240221BHJP
B29C 33/12 20060101ALI20240221BHJP
B29C 33/42 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
H02K15/02 K
B29C33/12
B29C33/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549584
(86)(22)【出願日】2022-03-07
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 NL2022050122
(87)【国際公開番号】W WO2022191699
(87)【国際公開日】2022-09-15
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520483903
【氏名又は名称】ボシュマン テクノロジーズ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】BOSCHMAN TECHNOLOGIES B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ボシュマン, フランシスカス, ヘラルドゥス, ヨハネス
【テーマコード(参考)】
4F202
5H615
【Fターム(参考)】
4F202AD02
4F202AD19
4F202AH04
4F202AH33
4F202AR12
4F202CA09
4F202CA11
4F202CA30
4F202CB01
4F202CB12
4F202CB22
4F202CK12
4F202CK42
4F202CK52
4F202CQ01
5H615AA01
5H615BB01
5H615BB07
5H615BB14
5H615PP02
5H615SS10
5H615SS44
5H615SS57
(57)【要約】
電気モータ用の成形ロータコアを提供するために未成形ロータコア内に磁石を成形するためのロータコア成形システムは、少なくとも1つの未成形ロータコアをその間にクランプすることを可能にするように配置された第1および第2の金型と、金型の事前設定された開放構成における金型間の距離を事前調整距離に事前調整することを可能にするための事前調整装置と、金型を互いに向かって移動させて、金型間に設けられた未成形ロータコア(複数可)を閉鎖構成における金型間に所定の圧力でクランプすることによって、金型を事前設定された開放構成から閉鎖構成に閉鎖することを可能にするための金型閉鎖装置とを備える。事前調整装置は、特に1つまたは複数のロータコア高さに対応して、比較的長距離の移動をもたらすように構成される。金型閉鎖装置は、比較的短距離の移動をもたらすように構成される。
【選択図】
図4D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータ用の成形ロータコアを提供するために、未成形ロータコア内に磁石を成形するためのロータコア成形方法であって、
前記未成形ロータコア(10A)がロータコア本体(11)を備え、前記ロータコア本体が、該ロータコア本体の長手方向軸線(A)の周りに分布される磁石キャビティ(12)と、前記磁石キャビティ内に挿入された磁石(13)とを有し、前記磁石キャビティが、前記ロータコア本体の互いに反対向きの第1のロータコア端部(11.1)と第2のロータコア端部(11.2)との間で前記長手方向軸線に沿って延在し、前記ロータコア本体が、前記第1のロータコア端部と前記第2のロータコア端部との間で測定されるロータコア高さ(h)を有し、前記磁石キャビティが、前記磁石を挿入し、前記磁石キャビティに流体成形材料を充填することを可能にするために、前記第1のロータコア端部および前記第2のロータコア端部の一方または両方に開口部(12.1)を有し、
前記成形ロータコア(10B)が、前記磁石キャビティ内の硬化した成形材料(14)によって前記磁石キャビティ内に固定された前記磁石を有する前記ロータコア本体(11)を備え、
当該ロータコア成形方法は、
変位機構を使用してロータコア成形システム(100)の第1の金型(110)および第2の金型(120)を互いに対して変位させるステップであって、
前記変位機構が、
未成形ロータコア、または積層されたロータコアの磁石キャビティが互いに連通するように第1のロータコア端部および第2のロータコア端部を上下にして積層された未成形ロータコアのスタックを、前記第1のロータコア端部および前記第2のロータコア端部を前記第1の金型および前記第2の金型の対応のものに向けて、前記第1の金型と前記第2の金型との間に挿入し、成形ロータコアまたは成形ロータコアのスタックそれぞれを、前記第1の金型と前記第2の金型との間から取り外すための前記第1の金型および前記第2の金型の開放構成と、
前記未成形ロータコアまたは未成形ロータコアの前記スタックそれぞれを前記第1の金型と前記第2の金型との間にクランプし、前記磁石キャビティ内に前記流体成形材料を通過させて、前記第1の金型と前記第2の金型との間にクランプされた成形ロータコアまたは成形ロータコアのスタックそれぞれを提供するための前記第1の金型および前記第2の金型の閉鎖構成とを画定し、
前記変位機構が、事前調整装置(130)と金型閉鎖装置(140)とを備える、ステップと、
前記事前調整装置(130)を使用して、前記第1の金型および前記第2の金型の事前設定された開放構成における前記第1の金型(110)と前記第2の金型(120)との間の距離を、クリアランス距離(d)に、前記成形ロータコアまたは成形ロータコアの前記スタックにそれぞれ処理される前記未成形ロータコアまたは未成形ロータコアの前記スタックそれぞれの高さ(H)を加えたものに対応する事前調整距離(H0)に事前調整するステップであって、前記事前調整装置が、特に様々なタイプのロータコアの高さおよび/または様々なタイプのロータコアの1つまたは複数のロータコアの高さの変動に対応して、比較的長距離の移動をもたらすように構成される、ステップと、
前記未成形ロータコアまたは未成形ロータコアの前記スタックを、前記第1のロータコア端部および前記第2のロータコア端部を前記第1の金型および前記第2の金型の対応のものに向けて前記第1の金型と前記第2の金型との間に提供するステップと、
前記金型閉鎖装置(140)を使用して、前記第1の金型および前記第2の金型を互いに向かって移動させて、前記未成形ロータコアを、前記閉鎖構成における前記第1の金型と前記第2の金型との間に所定の圧力でクランプすることによって、前記第1の金型および前記第2の金型を前記事前設定された開放構成から前記閉鎖構成に閉鎖するステップであって、前記金型閉鎖装置が、前記クリアランス距離(d)に対応する比較的短距離の移動をもたらすように構成され、前記長距離および前記短距離が、互いに対して相対的である、ステップと、
前記第1の金型と前記第2の金型との間にクランプされた前記未成形ロータコアの前記磁石キャビティ内に前記流体成形材料を提供するステップと、
前記流体成形材料を前記磁石キャビティ内で硬化させて、1つまたは複数の成形ロータコアを提供するステップと、
前記金型閉鎖装置(160)を使用して、前記第1の金型および前記第2の金型を互いから離れるように移動させることによって、前記第1の金型および前記第2の金型を前記閉鎖構成から前記事前設定された開放構成に開放するステップと、
前記成形ロータコアを前記第1の金型と前記第2の金型との間から取り外すステップと
を含む、ロータコア成形方法。
【請求項2】
電気モータ用の成形ロータコアを提供するために、未成形ロータコア内に磁石を成形するためのロータコア成形システムであって、
未成形ロータコア(10A)がロータコア本体(11)を備え、前記ロータコア本体が、該ロータコア本体の長手方向軸線の周りに分布された磁石キャビティ(12)と、前記磁石キャビティ内に挿入された磁石(13)とを有する、ロータコア本体を備え、前記磁石キャビティが、前記ロータコア本体の互いに反対向きの第1のロータコア端部(11.1)と第2のロータコア端部(11.2)との間で前記長手方向軸線に沿って延在し、前記ロータコア本体が、前記第1のロータコア端部と前記第2のロータコア端部との間で測定されるロータコア高さ(h)を有し、前記磁石キャビティが、前記磁石を挿入し、前記磁石キャビティに流体成形材料を充填することを可能にするために、前記第1のロータコア端部および前記第2のロータコア端部の一方または両方に開口部(12.1)を有し、
前記成形ロータコア(10B)が、前記磁石キャビティ内の硬化した成形材料(14)によって前記磁石キャビティ内に固定された前記磁石を有する前記ロータコア本体(11)を備え、
当該ロータコア成形システムは、
少なくとも1つの未成形ロータコアをその間にクランプすることを可能にするように配置された第1の金型(110)および第2の金型(120)と、
前記第1の金型および前記第2の金型を互いに対して変位させるための変位機構であって、
未成形ロータコア、または積層されたロータコアの磁石キャビティが互いに連通するように第1のロータコア端部および第2のロータコア端部を上下にして積層された未成形ロータコアのスタックを、前記第1のロータコア端部および前記第2のロータコア端部を前記第1の金型および前記第2の金型の対応のものに向けて前記第1の金型と前記第2の金型との間に挿入し、成形ロータコアまたは成形ロータコアのスタックそれぞれを、前記第1の金型と前記第2の金型との間から取り外すための前記第1の金型および前記第2の金型の開放構成と、
前記未成形ロータコアまたは未成形ロータコアの前記スタックそれぞれを前記第1の金型と前記第2の金型との間にクランプし、前記磁石キャビティ内に前記流体成形材料を通過させて、前記第1の金型と前記第2の金型との間にクランプされた成形ロータコアまたは成形ロータコアのスタックそれぞれを提供するための前記第1の金型および前記第2の金型の閉鎖構成とを画定する、変位機構とを備え、
前記変位機構が、
前記第1の金型および前記第2の金型の事前設定された開放構成における前記第1の金型と前記第2の金型との間の距離を、クリアランス距離(d)に、前記成形ロータコアまたは成形ロータコアの前記スタックにそれぞれ処理される、前記未成形ロータコアまたは未成形ロータコアの前記スタックそれぞれの高さ(H)を加えたものに対応する事前調整距離(H0)に事前調整し、画定するように構成された事前調整装置(130)であって、前記事前調整装置が、特に様々なタイプのロータコアの高さおよび/または様々なタイプのロータコアの1つまたは複数のロータコアの高さの変動に対応して、比較的長距離の移動をもたらすように構成される、事前調整装置と、
前記第1の金型および前記第2の金型を互いに向かって移動させて、前記第1の金型と前記第2の金型との間に設けられた未成形ロータコアを、前記閉鎖構成における前記第1の金型と前記第2の金型との間に所定の圧力でクランプすることによって、前記第1の金型および前記第2の金型を前記事前設定された開放構成から前記閉鎖構成に閉鎖し、前記第1の金型および前記第2の金型を互いに離れるように移動させることによって、前記第1の金型および前記第2の金型を前記閉鎖構成から前記事前設定された開放構成に開放するように構成された金型閉鎖装置(140)であって、前記金型閉鎖装置が、前記クリアランス距離(d)に対応する比較的短距離の移動をもたらすように構成され、前記長距離および前記短距離が、互いに対して相対的である、金型閉鎖装置と
を備える、ロータコア成形システム。
【請求項3】
前記金型閉鎖装置(140)が、前記第1の金型(110)および前記第2の金型(120)を開閉するための金型閉鎖アクチュエータ(141)を備える、請求項1または2に記載のロータコア成形方法またはロータコア成形システム。
【請求項4】
前記金型閉鎖アクチュエータ(141)が、油圧駆動装置、任意選択的にサーボ制御油圧駆動装置を備える、請求項3に記載のロータコア成形方法またはロータコア成形システム。
【請求項5】
前記ロータコア成形システムが、フレーム(150)を備え、前記第1の金型(110)および前記第2の金型(120)が、前記フレーム上に配置され、前記事前調整装置(130)が、前記フレームと前記第1の金型および前記第2の金型の一方との間に作用するように配置されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のロータコア成形方法またはロータコア成形システム。
【請求項6】
前記金型閉鎖装置(140)が、前記第1の金型および前記第2の金型を開閉するために、前記フレーム(150)と前記第1の金型(110)および前記第2の金型(120)の前記一方との間に作用するように構成されている、請求項5に記載のロータコア成形方法またはロータコア成形システム。
【請求項7】
前記金型閉鎖装置(140)が、金型閉鎖事前調整部(144)を有し、前記金型閉鎖事前調整部が、前記第1の金型および前記第2の金型の前記一方に取り付けられ、前記第1の金型(110)と前記第2の金型(120)との間の前記距離を前記事前調整距離(H0)に調整することを可能にするために、前記金型閉鎖事前調整部が前記フレーム(150)から連結解除された連結解除状態で前記事前調整装置(130)によって移動可能であり、前記第1の金型および前記第2の金型の前記一方に作用する前記金型閉鎖装置によって前記第1の金型および前記第2の金型を開閉することを可能にするために、前記金型閉鎖事前調整部が前記フレームに連結された連結状態で前記事前調整装置に対して移動可能である、請求項6に記載のロータコア成形方法またはロータコア成形システム。
【請求項8】
前記金型閉鎖装置が、金型閉鎖連結部(142)を備え、前記金型閉鎖連結部が、前記金型閉鎖事前調整部の前記連結状態をもたらすために前記金型閉鎖事前調整部(144)を前記フレーム(150)に連結することを可能にし、前記金型閉鎖事前調整部の前記連結解除状態をもたらすために、前記金型閉鎖事前調整部(144)を前記フレームから連結解除することを可能にするように構成され配置される、請求項7に記載のロータコア成形方法またはロータコア成形システム。
【請求項9】
前記金型閉鎖連結部が、前記金型閉鎖事前調整部の前記連結解除状態をもたらすために前記金型閉鎖事前調整部との接触から外れて取り外し可能であり、前記金型閉鎖事前調整部の前記連結状態をもたらすために前記金型閉鎖事前調整部と接触するように移動可能であるように、移動可能である、請求項8に記載のロータコア成形方法またはロータコア成形システム。
【請求項10】
前記金型閉鎖アクチュエータが、前記フレーム上に設けられ、前記金型閉鎖連結部が、前記金型閉鎖事前調整部の前記連結解除状態をもたらすために、前記金型閉鎖アクチュエータと前記金型閉鎖事前調整部との間の位置から取り外し可能であり、前記金型閉鎖事前調整部の前記連結状態をもたらすために、前記金型閉鎖アクチュエータと前記金型閉鎖事前調整部との間の位置に挿入可能であるように構成および配置されている、請求項9および請求項3または4に記載のロータコア成形方法またはロータコア成形システム。
【請求項11】
前記金型閉鎖連結部が、少なくとも1つの可動ロッドを備える、請求項10に記載のロータコア成形方法またはロータコア成形システム。
【請求項12】
前記事前調整装置が、前記第1の金型と前記第2の金型との間の前記距離を前記事前調整距離(H0)に調整するための事前調整アクチュエータを備える、請求項1~11のいずれか一項に記載のロータコア成形方法またはロータコア成形システム。
【請求項13】
前記事前調整アクチュエータが、機械的変位駆動装置、任意選択的にスピンドル駆動装置、任意選択的にサーボ制御スピンドル駆動装置を備える、請求項12に記載のロータコア成形方法またはロータコア成形システム。
【請求項14】
前記事前調整装置が、前記第1の金型と前記第2の金型との間の前記距離を事前調整することを可能にするために、前記第1の金型および前記第2の金型の一方を支持するように配置された事前調整テーブルを備える、請求項1~13のいずれか一項に記載のロータコア成形方法またはロータコア成形システム。
【請求項15】
前記事前調整アクチュエータが、前記フレームと前記事前調整テーブルとの間に作用する、請求項14および請求項12または13に記載のロータコア成形方法またはロータコア成形システム。
【請求項16】
前記第1の金型および前記第2の金型の一方または両方が、前記第1の金型と前記第2の金型との間にクランプされた前記未成形ロータコアの前記磁石キャビティに前記流体成形材料を案内することを可能にする、請求項1~15のいずれか一項に記載のロータコア成形方法またはロータコア成形システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、電気モータ用の成形ロータコアを提供するために、未成形ロータコア内に磁石を成形するためのロータコア成形方法およびシステムであって、未成形ロータコアは、ロータコア本体であって、ロータコア本体の長手方向軸線の周りに分布する磁石キャビティと、磁石キャビティに挿入された磁石とを備える、ロータコア本体を備え、磁石キャビティは、ロータコア本体の互いに反対向きの第1および第2のロータコア端部間で長手方向軸線に沿って延在し、ロータコア本体は、第1と第2のロータコア端部間で測定されるロータコア高さを有し、磁石キャビティは、磁石を挿入し、磁石キャビティに流体成形材料を充填することを可能にするために、第1および第2のロータコア端部の一方または両方に開口部を有し、成形ロータコアは、磁石キャビティ内の硬化した成形材料によって磁石キャビティ内に固定された磁石を有するロータコア本体を備える、ロータコア成形方法およびシステムに関する。システムは、少なくとも1つの未成形ロータコアをその間にクランプすることを可能にするように配置された第1の金型および第2の金型と、金型を閉鎖し、金型によってクランプ圧力を提供するための装置とを備える。
【背景技術】
【0002】
[0002]そのようなロータコア成形システムおよび対応する方法は、一般に知られている。未成形の単一のロータコアまたは未成形ロータコアのスタックが、金型間に設けられ、その後クランプ圧力が設定される。流体成形材料が、第1の金型と第2の金型との間にクランプされた未成形ロータコア(複数可)の磁石キャビティ内に供給され、その後、磁石キャビティ内で硬化させられて、1つまたは複数の成形ロータコアを提供する。次いで、第1および第2の金型が開かれ、ロータコアが、第1の金型と第2の金型との間から取り外される。
【0003】
[0003]金型の開閉に使用される装置には、容易に処理できる様々な種類のロータコアの高さ、処理できるロータコアの様々なスタック高さ、比較的大きな高さ変動を有するロータコアのスタックの処理、異なるスタック高さを有するスタックの別のバッチの処理に対する適合、およびロータコアのスタックの処理における処理時間などに制限がある。例えば、機械的金型プレスは、スタック高さの小さな変動にしか対処することができない。このような欠点のために、既知の成形装置は、ロボット化および/または自動化された製造環境では容易に使用されない。さらに、それらは、自動車部品製造の要件である、厳密に設定されたプロセス境界内での製造を可能にするための明確な品質およびプロセス制御を提供しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004]本発明の目的は、スタック内に異なる数のロータコアを有することができるロータコアスタックを効率的に処理することを可能にするロータコア成形方法およびシステムを提供することである。
【0005】
[0005]本発明の別のまたは代替の目的は、様々な異なる高さの様々なタイプのロータコアの効率的な処理を可能にする、ロータコア成形方法およびシステムを提供することである。
【0006】
[0006]本発明の別のまたは代替の目的は、処理されるロータコアユニットごとに極めて同一のプロセス条件および/または実際のプロセス条件のトレーサビリティを可能にする、ロータコア成形方法およびシステムを提供することである。
【0007】
[0007]本発明のさらに別のまたは代替の目的は、ロボット化された製造セルにおける完全自動(ハンズオフ)実施を可能にする、ロータコア成形方法およびシステムを提供することである。
【0008】
[0008]本発明のさらに別のまたは代替の目的は、単一のプランジャから複数のプランジャ成形への変換、およびその逆の変換のような、様々なプロセス状況および要件の容易な適応を可能にする、ロータコア成形方法およびシステムを提供することである。
【0009】
[0009]本発明のさらに別のまたは代替の目的は、変換部品を必要とせずに、例えば5~200トンの範囲の広い範囲のクランプ圧力をカバーすることを可能にする、ロータコア成形方法およびシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[0010]一態様では、本発明は、電気モータ用の成形ロータコアを提供するために、未成形ロータコア内に磁石を成形するためのロータコア成形方法であって、
未成形ロータコアが、ロータコア本体であって、ロータコア本体の長手方向軸線の周りに分布する磁石キャビティと、磁石キャビティ内に挿入された磁石とを有する、ロータコア本体を備え、磁石キャビティが、ロータコア本体の互いに反対向きの第1と第2のロータコア端部間で長手方向軸線に沿って延在し、ロータコア本体が、第1と第2のロータコア端部間で測定されるロータコア高さを有し、磁石キャビティが、磁石を挿入し、磁石キャビティに流体成形材料を充填することを可能にするために、第1および第2のロータコア端部の一方または両方に開口部を有し、
成形ロータコアが、磁石キャビティ内の硬化した成形材料によって磁石キャビティ内に固定された磁石を有するロータコア本体を備え、
方法が、
-変位機構を使用してロータコア成形システムの第1の金型および第2の金型を互いに対して変位させるステップであって、変位機構は、
未成形ロータコア、または積層されたロータコアの磁石キャビティが互いに連通するように第1および第2のロータコア端部を上下にして積層された未成形ロータコアのスタックを、第1および第2のロータコア端部を第1および第2の金型のそれぞれの1つに向けて第1と第2の金型間に挿入し、成形ロータコアまたは成形ロータコアのスタックそれぞれを第1と第2の金型間から取り外すための第1および第2の金型の開放構成と、
未成形ロータコアまたは未成形ロータコアのスタックそれぞれを第1と第2の金型間にクランプし、磁石キャビティ内に流体成形材料を通過させて、第1と第2の金型間にクランプされた成形ロータコアまたは成形ロータコアのスタックそれぞれを提供するための第1および第2の金型の閉鎖構成とを画定し、
変位機構は、事前調整装置と金型閉鎖装置とを備える、ステップと、
-事前調整装置を使用して、第1および第2の金型の事前設定された開放構成における第1の金型と第2の金型間の距離を、クリアランス距離(d)に、成形ロータコアまたは成形ロータコアのスタックにそれぞれ処理される未成形ロータコアまたは未成形ロータコアそれぞれのスタックの高さ(H)を加えたものに対応する事前調整距離に事前調整するステップであって、事前調整装置は、特に様々なタイプのロータコアの高さおよび/または様々なタイプのロータコアの1つまたは複数のロータコアの高さの変動に対応して、比較的長距離の移動をもたらすように構成される、ステップと、
-未成形ロータコアまたは未成形ロータコアのスタックを、第1および第2のロータコア端部を第1および第2の金型の対応のものに向けて第1と第2の金型間に提供するステップと、
-金型閉鎖装置を使用して、第1および第2の金型を互いに向かって移動させて、未成形ロータコアを閉鎖構成における第1と第2の金型間に所定の圧力でクランプすることによって、第1および第2の金型を事前設定された開放構成から閉鎖構成に閉鎖するステップであって、金型閉鎖装置は、クリアランス距離に対応する比較的短距離の移動をもたらすように構成され、長距離および短距離は、互いに対して相対的である、ステップと、
-第1と第2の金型間にクランプされた未成形ロータコアの磁石キャビティ内に流体成形材料を提供するステップと、
-流体成形材料を磁石キャビティ内で硬化させて、1つまたは複数の成形ロータコアを提供するステップと、
-金型閉鎖装置を使用して、第1および第2の金型を互いから離れるように移動させることによって、第1および第2の金型を閉鎖構成から事前設定された開放構成に開放するステップと、
-成形ロータコア(複数可)を第1と第2の金型間から取り外すステップと
を含む、ロータコア成形方法を提供する。
【0011】
[0011]一態様では、本発明は、電気モータ用の成形ロータコアを提供するために、未成形ロータコア内に磁石を成形するためのロータコア成形システムであって、
未成形ロータコアが、ロータコア本体であって、ロータコア本体の長手方向軸線の周りに分布する磁石キャビティと、磁石キャビティ内に挿入された磁石とを有する、ロータコア本体を備え、磁石キャビティが、ロータコア本体の互いに反対向きの第1と第2のロータコア端部間で長手方向軸線に沿って延在し、ロータコア本体が、第1と第2のロータコア端部との間で測定されるロータコア高さを有し、磁石キャビティが、磁石を挿入し、磁石キャビティに流体成形材料を充填することを可能にするために第1および第2のロータコア端部の一方または両方に開口部を有し、
成形ロータコアが、磁石キャビティ内の硬化した成形材料によって磁石キャビティ内に固定された磁石を有するロータコア本体を備え、
システムは、
-少なくとも1つの未成形ロータコアをその間にクランプすることを可能にするように配置された第1の金型および第2の金型と、
-第1の金型および第2の金型を互いに対して変位させるための変位機構であって、
未成形ロータコア、または積層されたロータコアの磁石キャビティが互いに連通するように第1および第2のロータコア端部を上下にして積層された未成形ロータコアのスタックを、第1および第2のロータコア端部を第1および第2の金型のそれぞれの1つに向けて第1と第2の金型間に挿入し、成形ロータコアまたは成形ロータコアのスタックそれぞれを、第1と第2の金型間から取り外すための第1および第2の金型の開放構成と、
未成形ロータコアまたは未成形ロータコアのスタックそれぞれを第1と第2の金型間にクランプし、磁石キャビティ内に流体成形材料を通過させて、第1と第2の金型間にクランプされた成形ロータコアまたは成形ロータコアのスタックそれぞれを提供するための第1および第2の金型の閉鎖構成とを画定する、変位機構とを備え、
変位機構は、
-第1および第2の金型の事前設定された開放構成における第1と第2の金型間の距離を、クリアランス距離に、成形ロータコアまたは成形ロータコアのスタックにそれぞれ処理される、未成形ロータコアまたは未成形ロータコアのスタックそれぞれの高さを加えたものに対応する事前調整距離に事前調整し、画定するように構成された事前調整装置であって、事前調整装置は、特に様々なタイプのロータコアの高さおよび/または様々なタイプのロータコアの1つまたは複数のロータコアの高さの変動に対応して、比較的長距離の移動をもたらすように構成される、事前調整装置と、
-第1および第2の金型を互いに向かって移動させて、第1と第2の金型間に設けられた未成形ロータコア(複数可)を、閉鎖構成における第1と第2の金型間に所定の圧力でクランプすることによって、調整された第1および第2の金型を事前設定された開放構成から閉鎖構成に閉鎖し、第1および第2の金型を互いに離れるように移動させることによって、第1および第2の金型を閉鎖構成から事前設定された開放構成に開放するように構成された金型閉鎖装置であって、金型閉鎖装置は、クリアランス距離に対応する比較的短距離の移動をもたらすように構成され、長距離および短距離は、互いに対して相対的である、金型閉鎖装置とを備える、ロータコア成形システムを提供する。
【0012】
[0012]本発明による方法およびシステムは、様々な重要な利点を有する。スタック高さの大きな変動を取り扱うことができ、スタック高さの変動は、調整を行う必要なく自動的に補償される。本方法およびシステムは、完全にロボット化された製造セルで使用することができる。例えば、自動高さ補償は、とりわけ、それぞれの同様のロータスタックについて、クランプ力、ブリード、フラッシュ制御などに関する処理条件、および達成される品質が極めて同一であることを保証する。これは、厳密に設定されたプロセス境界内で品質およびプロセス制御を実行する必要があり、処理される各ユニットについて製造条件を追跡できる必要がある自動車部品製造にとって特に重要である。事前調整装置は、第1の金型および第2の金型の事前設定された開放構成を画定し、この事前設定された開放構成から、金型は、金型閉鎖装置によって閉鎖構成に閉鎖される。事前調整装置によって画定された事前設定された開放構成は、未成形ロータコアまたは未成形ロータコアのスタックを第1と第2の金型間に挿入することを可能にし、成形ロータコアまたはロータコアのスタックをそれぞれ第1と第2の金型間から取り外すために、処理されるロータコア(複数可)の高さに加えてクリアランス距離を提供する。事前調整装置は、詳細には、例えば、比較的長い移動範囲および金型閉鎖装置による高いクランプ圧力に耐える能力など、事前設定された開放構成における第1と第2の金型間の必要な距離に事前調整する要件に合わせて構成することができる。金型閉鎖装置は、例えば、高いクランプ圧力、確実なクランプ圧力、ならびに事前設定された開放構成と閉鎖構成との間の急速な閉鎖および開放など、第1および第2の金型を予め設定された開放構成から閉鎖構成に閉鎖するための詳細な要件に合わせて構成することができる。
【0013】
[0013]一実施形態では、金型閉鎖装置は、第1および第2の金型を開閉するための金型閉鎖アクチュエータを備える。
【0014】
[0014]一実施形態では、金型閉鎖アクチュエータは、油圧駆動装置、任意選択的にサーボ制御油圧駆動装置を備える。
【0015】
[0015]一実施形態では、成形システムはフレームを備え、第1および第2の金型はフレーム上に配置され、事前調整装置は、フレームと第1および第2の金型の一方との間に作用するように配置される。
【0016】
[0016]一実施形態では、金型閉鎖装置は、第1および第2の金型を開閉するために、フレームと第1および第2の金型の前記一方との間に作用するように構成される。
【0017】
[0017]一実施形態では、金型閉鎖装置は、金型事前調整部を有し、金型事前調整部は、第1および第2の金型の前記一方に取り付けられ、第1と第2の金型間の距離を事前調整距離に調整することを可能にするために、金型閉鎖事前調整部がフレームから連結解除された連結解除状態で事前調整装置によって移動可能であり、第1および第2の金型の前記一方に作用する金型閉鎖装置によって第1および第2の金型を開閉することを可能にするために、金型閉鎖事前調整部がフレームに連結された連結状態で事前調整装置に対して移動可能である。
【0018】
[0018]一実施形態では、金型閉鎖装置は、金型閉鎖連結部を備え、金型閉鎖連結部は、金型閉鎖事前調整部の連結状態をもたらすために金型閉鎖事前調整部をフレームに連結することを可能にし、金型閉鎖事前調整部の連結解除状態をもたらすために、金型閉鎖事前調整部をフレームから連結解除することを可能にするように構成および配置される。
【0019】
[0019]一実施形態では、金型閉鎖連結部は、金型閉鎖事前調整部の連結解除状態をもたらすために金型閉鎖事前調整部との接触から外れて取り外し可能であり、金型閉鎖事前調整部の連結状態をもたらすために金型閉鎖事前調整部と接触するように移動可能であるように移動可能である。
【0020】
[0020]一実施形態では、金型閉鎖アクチュエータは、フレーム上に設けられ、金型閉鎖連結部は、金型閉鎖事前調整部の連結解除状態をもたらすために、金型閉鎖アクチュエータと金型閉鎖事前調整部との間の位置から取り外し可能であり、金型閉鎖事前調整部の連結状態をもたらすために、金型閉鎖アクチュエータと金型閉鎖事前調整部との間の位置に挿入可能であるように構成および配置される。
【0021】
[0021]一実施形態では、金型閉鎖連結部は、少なくとも1つの可動ロッドを備える。
【0022】
[0022]一実施形態では、事前調整装置は、第1と第2の金型間の距離を事前調整距離に調整するための事前調整アクチュエータを備える。
【0023】
[0023]一実施形態では、事前調整アクチュエータは、機械的変位駆動装置、任意選択的にスピンドル駆動装置、任意選択的にサーボ制御スピンドル駆動装置を備える。
【0024】
[0024]一実施形態では、事前調整装置は、第1と第2の金型間の距離を事前調整することを可能にするために、第1および第2の金型の一方を支持するように配置された事前調整テーブルを備える。
【0025】
[0025]一実施形態では、事前調整アクチュエータは、フレームと事前調整テーブルとの間で作用する。
【0026】
[0026]一実施形態では、第1および第2の金型の一方または両方は、第1と第2の金型間にクランプされた未成形ロータコア(複数可)の磁石キャビティに流体成形材料を案内することを可能にする。
【0027】
[0027]本発明のさらなる特徴および利点は、非限定的かつ非排他的な実施形態によって本発明の説明から明らかになるであろう。これらの実施形態は、保護の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の他の代替形態および同等の実施形態を想起し、実施することができることを理解するであろう。本発明の実施形態は、添付の図を参照して説明され、図中、同様または同じ参照符号は、同じ、同じまたは対応する部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2A】ロータコア本体の磁石キャビティに磁石が挿入された未成形ロータコアを示す図である。
【
図2B】
図2Aの未成形ロータコアに対応する、硬化した成形材料によって磁石がその磁石キャビティ内に固定された成形ロータコアを示す図である。
【
図4A】本発明によるロータコアシステムの実施形態を使用する、本発明によるロータコア成形方法の実施形態の一段階を示す図である。
【
図4B】本発明によるロータコアシステムの実施形態を使用する、本発明によるロータコア成形方法の実施形態の別の段階を示す図である。
【
図4C】本発明によるロータコアシステムの実施形態を使用する、本発明によるロータコア成形方法の実施形態の別の段階を示す図である。
【
図4D】本発明によるロータコアシステムの実施形態を使用する、本発明によるロータコア成形方法の実施形態の別の段階を示す図である。
【
図4E】本発明によるロータコアシステムの実施形態を使用する、本発明によるロータコア成形方法の実施形態の別の段階を示す図である。
【
図4F】本発明によるロータコアシステムの実施形態を使用する、本発明によるロータコア成形方法の実施形態の別の段階を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[0028]
図1は、電気モータ1、特に自動車などの車両を駆動するための電気モータの断面図を示し、電気モータは、ロータコア10とステータ20とを有する。ステータは、ロータコア10を回転駆動するようにロータ10の永久磁石13の磁場と相互作用する磁場を誘導する電流用の電気巻線21を有する。通常、電気モータは、電気巻線および磁石のための多種多様な構成を有することができる。軸線Aに沿ってロータコア10の中央開口部15内に取り付けられた車軸またはシャフト16は、ロータコア10を回転駆動することによって回転駆動される。シャフト16は、電気モータの回転を被駆動アセンブリに伝達するための電気モータ1の駆動シャフトである。
【0030】
[0029]
図2Aは、ロータコアおよびロータコア本体の長手方向軸線Aの周りに分布する磁石キャビティ12を有するロータコア本体11を備えるロータコア10Aの別の実施形態を示す。磁石キャビティ12は、ロータコア本体の互いに反対向きの第1のロータコア端部11.1と第2のロータコア端部11.2との間で長手方向軸線Aに沿って延在する。ロータコア本体、したがってロータコアもまた、第1のロータコア端部と第2のロータコア端部との間で測定される高さhと、中央開口部15とを有する。磁石キャビティ12の各々は、第1および第2のロータコア端部の一方または両方に開口部12.1を有する。開口部12.1は、永久磁石13を磁石キャビティ12に挿入することを可能にする。
図2Aは、ロータコア本体11のそれぞれの磁石キャビティ12に挿入された永久磁石13を示す。磁石13は、
図2Aに示すロータコア10Aの磁石キャビティ12内にまだ固定されていない。ロータコアの次の製造ステップにおいて、磁石13は、適切な熱硬化性エポキシ樹脂などの流体成形材料を磁石キャビティに導入して、磁石キャビティの空き部分を流体成形材料で充填することによって、それぞれの磁石キャビティ12内に固定される。続いて、流体成形材料は、磁石を磁石キャビティ内に固定するために硬化される。
図2Bは、磁石キャビティ内の硬化した成形材料14Bを示す。
図2Aは、未成形ロータコア10Aを示し、
図2Bは、成形ロータコア10Bを示す。成形ロータコア10Bは、電気モータを組み立てる際に、ステータの内部に設けられるロータの主要部である。
【0031】
[0030]
図2Aおよび
図2Bを参照して説明されたロータコアを成形するための成形アセンブリが、
図3に示される。金型アセンブリは、底部金型としての第1の金型110と、上部金型としての第2の金型120とを備える。第1の金型110には、マンドレル50上に設けられた4つの未成形ロータコア10AのスタックSが、配置される。マンドレル50は、ロータコアが積層されるベースプレート51と、ロータコアの中央開口部15を貫通してロータコアを互いに位置合わせさせるピン52とを有する。
図3は、磁石キャビティ12および対応する磁石13が別のものに対してわずかに変位していることを示しており、これは主に、個々のロータコアをより良好に区別できるように説明する目的で行われる。ロータコアは、隣接するロータコアの磁石キャビティ12が位置合わせされるように互いに配置される。ランナーゲートプレート125が、ロータコアのスタックの上部に配置され、ロータコアのスタックとランナープレート125を位置合わせするためにマンドレルのピン52の上部を受け入れるための中央凹部を有する。ランナープレート125内のチャネル127は、上部ロータコアの磁石キャビティ12と位置合わせされる。
【0032】
[0031]図示の実施形態では、マンドレル50、未成形ロータコア10Aのスタック、およびその上に配置されたランナープレート125を有する第1の金型110は、使用中に上方に移動され、第2の金型120に押し付けられる。
図3は、第1の金型110と第2の金型120との間でプレスされたスタックSを示す。成形材料が、第2の金型120のリザーバ122に搬入され、加熱されて流体状態で提供され、その後、プランジャ121が下方に移動されて、ランナーゲートプレート125内のチャネル126および127を介して、上部の未成形ロータコアのロータコア本体の磁石キャビティ12内に流体成形材料14Aを移送する。磁石キャビティが位置合わせされているので、流体成形材料は、上部ロータコア本体の磁石キャビティ12から底部の未成形ロータコアのロータコア本体の磁石キャビティまで通過し、最終的に、磁石13によって占められていない磁石キャビティ内の空間を充填する。成形材料はその後硬化して固体になり、磁石13を磁石キャビティ12内に固定する。ロータコア本体のスタックは、成形ロータコア本体10Bのスタックとなっている。金型アセンブリの第1および第2の金型110、120は、第1および第2の金型を互いに離れるように移動させることによって成形材料が硬化したときに開かれて、成形されたロータコア本体のスタックを有するマンドレルを第1の金型110から取り出すことを可能にする。
【0033】
[0032]本発明によるロータコア成形システムおよび方法は、用途に応じて、マンドレル50およびランナープレート125などのスタックSの一部であり得る他の要素を含む、様々なスタック高さのロータコアのスタックSを成形することを可能にする。スタック高さHは、スタック内のロータコアの数(1つまたは複数)、個々のロータコア(複数可)の高さh、およびスタック内に存在する任意の他の要素の高さの結果として変化し得る。本システムおよび方法は、ロータコアスタックの先行するバッチとは別のスタック高さHを有するロータコアスタックSのバッチの処理に迅速に適応し、バッチ内のスタック高さHの変動に適応することを可能にする。本開示の目的のために、スタックSは、単一のロータコアも備えてもよい。
図4Aから
図4Fは、本発明のロータコア成形方法およびシステム100の一実施形態を概略的に示す。ロータコア成形システムは、フレーム150と、フレーム上に配置された第1および第2の金型110、120とを備える。第1の金型110はフレーム150に対して移動可能であり、第2の金型120はフレームに固定的に取り付けられている。金型アセンブリの第1および第2の金型を閉鎖するとき、第1の金型110は、第2の金型120に向かって上方に移動される。第1の金型は、金型アセンブリの第1および第2の金型を開放するために、第2の金型から離れるように下方に移動される。
【0034】
[0033]ロータコア成形システム100は、第1の金型および第2の金型を互いに対して変位させるための変位機構を備える。変位機構は、
図4Dに示されるように、高さHを有する未成形ロータコアのスタックSを挿入することを可能にするように事前設定された開放構成を画定するために、開放構成における第1と第2の金型間の距離を事前調整距離H0に事前調整するための事前調整装置130を備える。事前調整距離H0は、スタック高さHにクリアランス距離dを加えたものに対応する。クリアランス距離dは、第1および第2の金型の事前設定された開放構成においてスタックSを挿入する(およびスタックを除去する)のに十分な空間またはクリアランスを提供する。事前調整装置130は、フレーム150と第1の金型110との間に作用する。スタックSはまた、マンドレルおよびランナープレートなどの他の要素がない単一のロータコアのスタックを備えることを可能にすることを意図しており、そのようなスタックは、そのような要素が第1および/または第2の金型に組み込まれる場合、高さH=hを有する。第1および第2の金型の事前設定された開放構成は、金型110、120間にスタックSを配置することを可能にし、金型は、閉鎖構成でスタックSと接触する。
図4Dは、第1と第2の金型110、120との間の距離が、高さHを有する
図3のマンドレル50、積み重ねられた4つのロータコア、およびランナープレート125のスタックSの挿入を可能にする事前調整距離H0に事前調整されることを示している。したがって、事前調整距離H0は、高さHよりも大きい。
【0035】
[0034]事前調整装置130は、スピンドル駆動装置131によって上下に動かすことができる事前調整テーブル132を備える。
図4Aは、必要な事前調整距離H0よりもわずかに小さい、第1と第2の金型間の距離になるまで、第1と第2の金型110、120間の距離を減少させるために、スピンドル駆動装置131が、事前調整テーブル132を上方に移動させるように駆動されることを示している。第1の金型110は、事前調整テーブル132によって支持されており、事前調整テーブルと共に上下に移動する。
図4Aに示すこの場合、第1と第2の金型間の距離は、別の事前調整距離H0に調整するために減少されるものである。別の場合には、第1と第2の金型110、120間の距離は、別の事前調整距離H0を設定するために増大されるものであることができる。
図4Bは、第1と第2の金型110、120間の距離が事前調整距離H0よりもわずかに小さい距離に設定された状況を示す。第1の金型110は、事前調整テーブル132に支持されたままである。
【0036】
[0035]第1および第2の金型を互いに対して変位させるための変位機構は、金型閉鎖装置140をさらに備える。金型閉鎖装置140の金型閉鎖事前調整部144は、第1の金型110に取り付けられ、事前調整テーブル132に対して移動可能である。
図4Aから
図4Fに示す実施形態では、金型閉鎖事前調整部144は、事前調整テーブル132を通って摺動可能に案内されるロッドとして構成される。金型閉鎖事前調整部144は、第1の金型110と共に、その位置が事前調整テーブル132によって設定されているときに移動する。
図4Bに示す状況では、金型閉鎖事前調整部144は、フレーム150から連結解除された連結解除状態にある。
【0037】
[0036]金型閉鎖装置140は、金型閉鎖連結部142をさらに備え、この金型閉鎖連結部は、金型閉鎖事前調整部の連結解除状態をもたらすために金型閉鎖事前調整部144との接触から外れて取り外し可能であるように、そして、金型閉鎖事前調整部の連結状態をもたらすために金型閉鎖事前調整部144と接触して移動可能であるように、移動可能である。さらに、金型閉鎖装置140は、フレーム150上に配置された金型閉鎖アクチュエータ141を備える。図示の実施形態では、金型閉鎖連結部142は、金型閉鎖事前調整部144のロッドに関連する連結ロッドを備える。
図4Bに示す連結解除状態では、金型閉鎖連結部142の連結ロッドは、金型閉鎖アクチュエータ141と金型閉鎖事前調整部144のロッドとの間の位置から外れている。金型閉鎖連結部142の連結ロッドは、アクチュエータ143によって、金型閉鎖事前調整部144の連結解除状態および連結状態をもたらす位置間で移動可能である。アクチュエータ143は、金型閉鎖連結部142の水平移動をもたらし、金型閉鎖連結部142の垂直移動は、連結状態の位置に提供されたときに可能にされる。
【0038】
[0037]
図4Cは、金型閉鎖連結部142の連結ロッドが金型閉鎖事前調整部144の連結状態を可能にする位置に移動されたことを示す。しかしながら、金型閉鎖連結部142の連結されたロッドは、金型閉鎖アクチュエータ141および金型閉鎖事前調整部144のロッドの両方と接触していないため、連結状態には至っていない。
図4Dは、スピンドルアクチュエータ131を適切に駆動することによって事前調整テーブル132を下降させることによって、金型閉鎖事前調整部144の連結状態が提供された状況を示す。
図4Dに示すこの状態では、第1の金型110は、金型閉鎖装置140、特に金型閉鎖装置140のロッド144、142によって完全に支持されているが、事前調整装置130の事前調整テーブル132によってもはや支持されない。
図4Dは、第1の金型110と事前調整テーブル132との間の間隙を示す。概略
図4Aから
図4Fは、ロッドを備えるものとして、金型閉鎖連結部142および金型閉鎖事前調整部144を示す。しかしながら、金型閉鎖アクチュエータ141によって誘発される並進および押圧力を第1の金型に伝送しながら、事前調整位置への事前調整のために連結解除状態をもたらすことを可能にするために、金型閉鎖連結部142および金型閉鎖事前調整部144の他の多くの構成が考案され得る。
【0039】
[0038]
図4Dに示す状況では、第1および第2の金型110、120は、事前調整装置130によって、第1の金型110と第2の金型120との間の事前調整距離H0に事前調整されており、これにより、スタック高さHに加えたクリアランス距離dにより、第1の金型と第2の金型との間の第1の金型110上に未成形ロータコア(マンドレル50およびランナープレート125を含む)のスタックSを挿入することが可能になる。第1の金型110上に配置された、高さHを有するそのようなスタックSも、
図4Dに示されている。次のステップとして、
図4Eに示すように、金型閉鎖装置140の金型閉鎖アクチュエータ141を駆動して第1の金型110を上方に移動させ、未成形ロータコアのスタックSを第2の金型120に押し付けることによって、金型アセンブリの第1および第2の金型110、120は閉鎖される。図示の実施形態では、金型閉鎖アクチュエータ141は、第1の金型と第2の金型との間に5から200トン程度のクランプ力を提供することを可能にする、サーボモータ制御油圧駆動装置である。金型閉鎖アクチュエータ141による並進および力は、金型閉鎖連結部142および金型閉鎖事前調整部144によって第1の金型110に伝達される。金型閉鎖事前調整部144は事前調整テーブル132を通って摺動式に案内されるため、第1の金型110は、事前調整テーブルに対して移動する。
【0040】
[0039]
図4Eに示すように第1および第2の金型110、120が閉鎖されると、
図3を参照して説明されたように、成形材料が、磁石キャビティ内に供給され、次いで硬化させられる。続いて、
図4Fに示すように、金型閉鎖アクチュエータ141を適切に駆動することによって第1の金型110を下降させることによって、第1および第2の金型110、120は、再び事前設定された開放構成に開放され、現在成形されているロータコアのスタックSを取り外すことが可能になる。次いで、
図4D~
図4Fを参照して説明したステップを繰り返し、未成形ロータコアのスタックから成形ロータコアのスタックまでのスタックSのバッチを処理するために、まだ未成形のロータコアの次のスタックSが、第1の金型と第2の金型との間の第1の金型110上に置かれる。
【0041】
[0040]このようなロータコアのバッチを処理した後、異なる高さHを有するロータコアのスタックの次のバッチが、処理されてもよい。次の事前調整シーケンスでは、
図4A~
図4Dを参照して上記で説明したように、第1の金型110と第2の金型120との間の距離は、別の事前調整距離H0に事前調整される。次のバッチのロータコアのスタックSの高さHが前のバッチのロータコアのスタックSの高さよりも大きい場合、より大きいスタック高さHを有するスタックSの処理を可能にするために、第1の金型110の事前調整位置は下げられなければならず、これは、
図4Aを参照して説明したものの反対方向の調整である。第1の金型110のより低い事前調整位置を可能にするために、金型閉鎖連結部142の異なる連結ロッドが必要とされる。したがって、連結ロッドの変更が必要とされる。しかしながら、金型閉鎖装置140の代替的な実施形態では、第1の金型の異なる事前調整位置を可能にする1つまたは複数の連結要素が設けられ得る。
【国際調査報告】